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絶対服従 完結編

1H.K:2016/01/12(火) 16:01:58 ID:NYcajiAo
プロローグ。
冷たい潮風が吹き抜け、海岸に打ち寄せる波が荒々しい姿を見せていた。
「・・・寒っ。」
大きなスポーツバッグを肩に抱えて駅に降りた若者は、ダウンコートの襟を立てると、帽子を深く被って寒さから身を守った。
帽子にダウンコートにジーパンと言う姿の若者は、何か格闘技でもヤっている様なガッチリとした体型をしており、その若者の厳つい面構えは、まさしく格闘家の面と言った顔だった。
「・・・猛の奴、まだ来てねぇのかよ。ちゃんと時間は教えたはずやけどな。ったく、何やってんだ?アイツは・・・。」
駅に降りた若者は、誰かと待ち合わせをしていたらしく、その相手が駅に来ていない事に苛立っている様な感じだった。
「んで、こんな時にスマホが充電切れかよ。・・・ツイてねぇなぁ。」
スマホで待ち合わせの相手と連絡を取ろうした若者だったが、スマホの画像は真っ暗で充電が切れてしまっていた。
一人ブツブツと文句を言いながら歩き出した若者は、駅から遥か向こう見える丘に建っている旅館へと歩みを進めていた。
夏場は海水浴に訪れた人達で賑わう駅通りも、ほとんど人の気配はなく、どこか寒々しい様子だった。
「やっぱり駅で待つか?・・・って言うか、ロクに店がねぇんだよな、この場所は。それにしても良くもまぁ、こんな場所に旅館を建てもんだよなぁ。」
少し歩いた若者は、何度か駅の方を振り返りながら、喫茶店やファミレスを探してみたが、駅通りの店は、ほとんどシャッターが降りており、かなり先にコンビニがポッつんと一件あるだけだった。
「仕方ねぇ。コンビニまで歩くか・・・。」
コンビニまで歩いて行く事に決めた若者は、寂れた駅通りをブラブラ歩きながら、この場所の風景を眺めていた。
海水浴場がある以外は、特にコレと言った名所や観光スポットもない場所は、夏場は海水浴に訪れた人達で賑わうが、その時期が終わるとゴーストタウンの様になっていた。
「・・・人の気配が全くねぇな。そもそも駅にタクシーが一台も居ねぇって、どんな場所だよ。」
若者は、シーンと静まり返っている駅通りに苦笑しながら、駅通りで唯一明かりが灯っているコンビニに向かって足を速めた。
「・・・ん?なんだ?ありゃ?!」
海水浴場にあるコンビニらしく広い駐車場があるコンビニの駐車場には、黒塗りの高級車で埋め尽くされており、その高級車の周りにはイカにも怪しげな男達が仁王立ちしていた。
「チッ。ヤーさんの御一行様かよ。ホント今日はツイてねぇなぁ。」
若者は、駐車場に停車している黒塗りの高級車が極道関係者のモノだと気付くと、チッと舌打ちした。
だが、若者は、それを避けずに堂々と黒塗りの高級車の前を通って、コンビニへと足を踏み入れた。
「・・・・・。」
コンビニへと足を踏み入れた若者は、一瞬だけ自分の視界に入って来た光景に動揺したが、直ぐに平静さを取り戻し、何事もなかった様に買い物を済ませた。
「ぁ、あ、ありがとうございました。」
コンビニの若い女の店員は、完全に怯えており、若者にお釣りを渡す手が恐怖で震えている様だった。
「・・・この世界の野郎も大変だよな。にしても赤フン一丁でパシリでもさせられてんのかな?あのオッサン?。・・・ま、俺には関係ねぇ事か。」
コンビニから出た若者は、コンビニの中に居た全身総彫りで赤い越中褌を締めていた中年男が買い物籠に沢山のビールや菓子袋を入れていた様子が少し気になったが、それに振り返る事はなく、来た道を戻り始めていた。
再び駅通りを抜けて駅に戻って来た若者は、駅の前でオロオロしている坊主頭の男臭い顔をした男を見付けると、大きな声で、その男の名前を呼び、その男にダッシュで駆け寄っていた・・・。
数ヶ月ぶりに再会した二人の若者は、互いの何かを確かめ合うかの様に抱き合い、自然と唇を重ねて行った・・・。
教育実習を終えた二人の若者は、人間として一回り成長した様にも見えたが、まだまだ青臭い部分は抜けておらず、お互いの気持ちを確かめ合う様に長い接吻を交わしていた。


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