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仮投下スレ

1管理人◆777Wt6LHaA★:2015/04/08(水) 14:21:51 ID:???
作品の仮投下はこちらのスレで。

148 ◆0STfKvIzq6:2015/04/26(日) 14:48:37 ID:I39YXPGs
>>146
1時間ごと、というのがいつからなのかわからなかったので12時から1時間ごとに、13時、14時…19時にしました。
参加キャラが状況を理解したり、話し合ったり、または戦ったりする時間があったほうがいいかと思ったので。

149名無しさん:2015/04/26(日) 15:21:46 ID:CwsCJBRU
>>148
なるほど
てっきり1時から爆破だと思い込んでました
となると早速作品同士の矛盾が起こってしまったけどどうしたものか……

150 ◆0STfKvIzq6:2015/04/26(日) 16:17:51 ID:I39YXPGs
まだ仮投下の段階ですので変えるのは可能です
(私の場合1文消すだけですし…)
とりあえずもう1日様子を見たい…
予約していらっしゃる方は爆破にどのくらい触れていらっしゃるのか…
できるだけ全員のつじつまが合うようにしたいところです

151 ◆0STfKvIzq6:2015/04/26(日) 23:48:22 ID:I39YXPGs
爆発時間への言及を削除して投下しました。

152 ◆dKv6nbYMB.:2015/04/27(月) 02:20:12 ID:oePjqcqg
仮投下スレに投下したものに微修正を加えて投下しました。
あってもなくてもいい程度の修正ですので、気にしないでください。
例)ホル・ホースの状態表の思考欄の追加
などです

153 ◆fuYuujilTw:2015/04/27(月) 19:33:52 ID:RG0vsj1k
投下します。

154オリンピックにゃまだ早い ◆fuYuujilTw:2015/04/27(月) 19:35:59 ID:RG0vsj1k
「なんなんだよ……」

日暮熟睡男はこの訳の分からない状況に戸惑いを覚えていた。

目が覚めたら民宿のような建物の中にいて、首には首輪がつけられている。
確か最後の記憶は、火星で眠りについたものだった。
両さんだったら、中川さんの力を借りて自分を起こしにくることは容易いだろう。
とりあえず、今の状況を知ることが先だ。

「……おかしいな」

うまくいかない。
起きたばかりだから、なまっているのだろうか。
気を取り直し、ディパックの中を確認する。

「なんだこれ……」

見覚えのない機械。
透視を試みたところ、非常に複雑な構造をしているようだ。

「よく分かんないや……」

水に食料、メタルマッチ、方位磁石、紙切れ。
まるで遭難したみたいだと思った。

そしてなぜか週刊誌。随分と美人な人が表紙を飾っている。
どうやら歌手のインタビューらしい。
中身を見てみる。
自分が知らない間に政権も交代したらしい。

「!!」

ある箇所に目が止まる。

155オリンピックにゃまだ早い ◆fuYuujilTw:2015/04/27(月) 19:37:52 ID:RG0vsj1k

「……またか……」

怒りがふつふつと涌き起こる。
ここがどこなのか、そんなことはどうでもよくなった。
ただ怒りだけが心を塗りつぶしていくのだった。
オーラが体を包んでいく。
大きな音と共に、日暮のいる部屋が滅茶苦茶になっていった。


つけるだけで治る?新薬認証まであと半年!本当に効くか、と題された記事は
日暮に大きな勘違いを生んだ。
今が2011年であるという勘違いを。

【G-3/民宿内部 /一日目/深夜】

【日暮熟睡男@こちら葛飾区亀有公園前派出所】
[状態]:暴走
[服装]:パジャマ
[装備]:なし
[道具]:基本支給品一式、週刊現代の真実@THE IDOLM@STER
[思考]
基本:怒り
1:怒り
2:怒り
3:怒り
[備考]
*参戦時期はアニメ第357話以降。
*火を見ると瞬間移動します。
*ギャグ補正は解除されています。

能力の制限について
・修正力の影響で未来の予知は出来ませんが、
 誰かが近づいてくることを察知する程度の能力はあります。
・テレポーテーションは最大5m程度です。
・念力は本気を出せば人をバラバラにすることの出来る程度の威力です。
・エネルギー光線の射程は10m程度。雷に撃たれる程度の威力があります。
・地面から最大で1m程度浮くことが出来ます。
・首輪を透視することはできません。

作中の年代について
こち亀第357話の年代は2004年となっています。
アイマス第1話では2011年のカレンダーが登場しており、第22話がクリスマスの話であることから、
「週刊現代の真実」が登場した第21話時点ではまだ2011年であることが分かります。

156オリンピックにゃまだ早い ◆fuYuujilTw:2015/04/27(月) 19:38:30 ID:RG0vsj1k
投下を終了します。

157名無しさん:2015/04/27(月) 21:20:52 ID:yPNuVyi.
投下乙です
やっぱりオリンピック前から参戦かー
にしても能力はがチート過ぎて笑うわwwww

158 ◆qB2O9LoFeA:2015/04/29(水) 00:03:47 ID:qTWNeUvc
李小狼、キャスターを投下します

159リトルボーイfat.‥‥ ◆qB2O9LoFeA:2015/04/29(水) 00:08:14 ID:qTWNeUvc



 李小狼は頭を振った。

 気絶していたのか寝過ぎたのか、それはわからないが、微かな衝撃と音を感じて目覚めたとき自分が真っ暗い空間にいることに気づいた。
 立ち上がろうとしてよろける。立ち眩みのような体のダルさと自分がおかれている状況をいぶかしんでいると、今度は扉のようなものが開かれた。

(‥‥なんだ‥‥これ‥‥?)

 意味不明。

 全くわけのわからない状況にとりあえず自分の頬をつねってみる。痛い。

(‥‥夢じゃない、のか、それなら。)
「クロウカード‥‥?」

 とりあえず最初にクロウカードを疑ってみる。意識を集中させれば、幻や結界の類いに近いものは感じる気がする。だがしかし、同時に何かが違うとも感じた。

(周りを調べるか。)

 足下にあったハデなデイパックを掴んでドアから外に出る。オレンジ色のそれはいかにも『非常用』という感じがして、なにか災害にでも巻き込まれたかのような感じがした。

 と、そのときだった。
 足にあたるデイパックの感覚に思わず足を止める。そのまま外側から確かめると、それが一度は触れたことのあるもののように思われた。独特なラッパのような形のそれに、足を止めてしばし考える。頭に思い浮かんだのはある道具だ。もしこれが小狼の想像どうりの物ならば、それはこの状況にうってつけのアイテムと言える。

「開けていい、よな‥‥?」

 しかし小狼は迷った。
 気がつけば見知らぬところにいた自分。その側にあったそれは、あまりにも怪しかった。ハデなオレンジ色もどことなく毒キノコや毒ヘビを連想させる。そもそも自分の物でもないカバンを開けるのはどうかというのもある。

 手に取り考えること一分弱。「非常時だから」と自分を納得させて、意を決して開けた。

「ふぅ‥‥やっぱりこれか。」

 どことなく声に安堵が交じる。予想どうりの形をしたそれ����拡声器を手に取ると、小狼はトリガーを引いた。

160リトルボーイfat.‥‥ ◆qB2O9LoFeA:2015/04/29(水) 00:11:11 ID:qTWNeUvc



 李小狼は頭を振った。

 気絶していたのか寝過ぎたのか、それはわからないが、微かな衝撃と音を感じて目覚めたとき自分が真っ暗い空間にいることに気づいた。
 立ち上がろうとしてよろける。立ち眩みのような体のダルさと自分がおかれている状況をいぶかしんでいると、今度は扉のようなものが開かれた。

(‥‥なんだ‥‥これ‥‥?)

 意味不明。

 全くわけのわからない状況にとりあえず自分の頬をつねってみる。痛い。

(‥‥夢じゃない、のか、それなら。)
「クロウカード‥‥?」

 とりあえず最初にクロウカードを疑ってみる。意識を集中させれば、幻や結界の類いに近いものは感じる気がする。だがしかし、同時に何かが違うとも感じた。

(周りを調べるか。)

 足下にあったハデなデイパックを掴んでドアから外に出る。オレンジ色のそれはいかにも『非常用』という感じがして、なにか災害にでも巻き込まれたかのような感じがした。

 と、そのときだった。
 足にあたるデイパックの感覚に思わず足を止める。そのまま外側から確かめると、それが一度は触れたことのあるもののように思われた。独特なラッパのような形のそれに、足を止めてしばし考える。頭に思い浮かんだのはある道具だ。もしこれが小狼の想像どうりの物ならば、それはこの状況にうってつけのアイテムと言える。

「開けていい、よな‥‥?」

 しかし小狼は迷った。
 気がつけば見知らぬところにいた自分。その側にあったそれは、あまりにも怪しかった。ハデなオレンジ色もどことなく毒キノコや毒ヘビを連想させる。そもそも自分の物でもないカバンを開けるのはどうかというのもある。

 手に取り考えること一分弱。「非常時だから」と自分を納得させて、意を決して開けた。

「ふぅ‥‥やっぱりこれか。」

 どことなく声に安堵が交じる。予想どうりの形をしたそれ━━拡声器を手に取ると、小狼はトリガーを引いた。

161リトルボーイfat.‥‥ ◆qB2O9LoFeA:2015/04/29(水) 00:21:11 ID:qTWNeUvc



(使わなきゃ良かった‥‥)
「少年、怖がらなくていい。私もこのような異常な状況には少し心得がある。今は、あの声の言うとうり島の中央へと向かうのが賢明だろう。」

 廃村で拡声器を使い周囲に呼びかけた小狼。それから数分で一人の男に遭遇した。長身でオールバック、そして目と目が離れすぎている独特な顔。そしてなりより、剣呑で異様な雰囲気の男。

「おお、名乗りを忘れていた‥‥私は、青髭。こちらの名前で呼ばれるほうが多いので、君もこの名で呼んでくれたまえ。」
「‥‥リ‥‥レイ・シウラァン。」
「レイ‥‥いや、東洋なのでシウラァンが名前か‥‥よろしく、シウラァン。」
「よ、よろしく‥‥」

 青髭、ことジル・ド・レィ。第四次聖杯戦争においてキャスターのクラスで召喚され、中盤で脱落しながらも冬木市を混乱に追いやったサーヴァント。
 その男が小狼が、この不可思議な状況で巡りあった人物だった。

(なんなんだコイツ‥‥人間か?)

 思わず小狼は心の中で愚痴を言った。否、それは本人にもわからない嫌悪感の現れだった。男からでる雰囲気、佇まい。その全てが小狼に、最大限の警戒を強いていた。
 突発的に偽名を名乗る━━もっともそれは、単に読み方の違いではあるが━━という、普段ならまずしないような行動。
 それをせずにはいられないほど、全身全霊をかけて男に相対していた。

162名無しさん:2015/04/29(水) 00:23:39 ID:l9x/zq42
いやよく読め、飛ばしてないよ
すげえわかりづらいけど

163名無しさん:2015/04/29(水) 00:34:12 ID:2CeLpKYI
ジル・ド・レェですよ

164リトルボーイfat.‥‥ ◆qB2O9LoFeA:2015/04/29(水) 01:13:21 ID:qTWNeUvc
すぃません最後のレスが投下されていませんでした。キャスターの部分と共に投下します。

165リトルボーイfat.‥‥ ◆qB2O9LoFeA:2015/04/29(水) 01:14:50 ID:qTWNeUvc



(使わなきゃ良かった‥‥)
「少年、怖がらなくていい。私もこのような異常な状況には少し心得がある。今は、あの声の言うとうり島の中央へと向かうのが賢明だろう。」

 廃村で拡声器を使い周囲に呼びかけた小狼。それから数分で一人の男に遭遇した。長身でオールバック、そして目と目が離れすぎている独特な顔。そしてなりより、剣呑で異様な雰囲気の男。

「おお、名乗りを忘れていた‥‥私は、青髭。こちらの名前で呼ばれるほうが多いので、君もこの名で呼んでくれたまえ。」
「‥‥リ‥‥レイ・シウラァン。」
「レイ‥‥いや、東洋なのでシウラァンが名前か‥‥よろしく、シウラァン。」
「よ、よろしく‥‥」

 青髭、ことジル・ド・レェ。第四次聖杯戦争においてキャスターのクラスで召喚され、中盤で脱落しながらも冬木市を混乱に追いやったサーヴァント。
 その男が小狼が、この不可思議な状況で巡りあった人物だった。

(なんなんだコイツ‥‥人間か?)

 思わず小狼は心の中で愚痴を言った。否、それは本人にもわからない嫌悪感の現れだった。男からでる雰囲気、佇まい。その全てが小狼に、最大限の警戒を強いていた。
 突発的に偽名を名乗る━━もっともそれは、単に読み方の違いではあるが━━という、普段ならまずしないような行動。
 それをせずにはいられないほど、全身全霊をかけて男に相対していた。

166リトルボーイfat.‥‥ ◆qB2O9LoFeA:2015/04/29(水) 01:16:25 ID:qTWNeUvc



(こんなに怯えて‥‥まあこのようことになっては無理もないか‥‥)

 一方のキャスターは怯えている理由が自分にあるとは気づかずそんなことを考えていた。
 もちろん、普段の彼ならば自分に向けられるその感情を察しないはずがない。だが、それは小狼に対しては当てはまらなかった。

 理由はいくつかある。

 一つはキャスターから見れば、肉付きから小狼が子供という範疇に入らないと判断されたこと。
 一つはやはりキャスターから見れば、その精神性が子供とは言いがたいものがあるということ。

 ようするにストライクゾーンから微妙に外れているのである。

(しかし、常人なら震えて何もできなくなるのか‥‥?それなら、仮のパートナーとしては、合格か‥‥私の目も曇ってはいないようだ‥‥)
「シウラァン、実は私はまだこの鞄を改めていないのだ。互いに何を持っているかを、ここで確認するというのはどうだろう?」
「(何が狙いだ)!‥‥いや‥‥(断るのは怪しいよな)‥‥わかった。やろう‥‥」
「うむ、それではさっそく。」
(ここは年長者が先導せねばな。)

 小狼が自分を警戒していることに気づかず、キャスターは話を進める。
 小狼もキャスターの言っていること事態はおかしいと言えるようなものはなく、従うしかない。

(落ち着け‥‥怪しいけど、怪しいけどいい人かも‥‥)
(リュウノスケ、あなたも巻き込まれているかもしれませんね‥‥確認する手がないのがつらい‥‥)

 全く心が噛み合わないまま、二人は手近な廃屋に入り支給品を確認し始めた。


 と、その時だ。

 小狼とキャスターはほぼ同時にあるアイテムを手に取った。見覚えのないそれに、思わず互いに顔を見合わせる。

「あの、これって‥‥」
「シウラァン、一ついいかね?」
「「この板はなんだ?」」

 同時に取り出したタブレット。
 それについての疑問が、二人が初めて心を通じさせたものだった。



【I3/廃村/1日/深夜】

【李小狼@カードキャプターさくら】
[状態]:キャスターへの生理的な嫌悪と無自覚な怯え、強いストレス。
[服装]:制服。
[装備]:なし。
[道具]:デイパック一式(内ランダム支給品の一つは拡声器)
[思考]
基本:この男(キャスター)は信用できない‥‥
1:どうしてこんなことに‥‥
2:出来ればキャスターと離れたい。
[備考]
●出展時期は少なくとも四年生の頃よりあとです。
●キャスターとの接触が心理的な悪影響をもたらしています。
●キャスターの名前を『青髭』で認識しています。
●タブレットがなんなのかがわかりません。
●最初の放送を聞き逃しました。

【キャスター@fate/zero】
[状態]:魔力パスなし
[服装]:いつものアレ
[装備]:なし
[道具]:デイパック一式
[思考]
基本:まずは状況確認。
1:これ(タブレット)は一体?
2:リュウノスケが巻き込まれていないといいのですが‥‥
3:とりあえず、島の中央へ行きますか。
4:李小狼はとりあえずの同行者たりえると判断。
[備考]
●李小狼の名前をレイ・シウラァンと発音します。
●タブレットがなんなのかがわかりません。

167 ◆qB2O9LoFeA:2015/04/29(水) 01:19:42 ID:qTWNeUvc
投下終了です
キャスターの真名を間違えたこと、ならびに投下の遅延を発生させてしまい申し訳ありませんでした。

168 ◆kdN026sJVA:2015/05/02(土) 13:52:50 ID:Z.vv4No2
仮投下します

169 ◆kdN026sJVA:2015/05/02(土) 13:53:44 ID:Z.vv4No2
「マミさん!」

少女は沈んでいた顔を一気に明るくしてマミに抱き着いた。
豊満な胸に少女の顔が沈み込む。

「まどかちゃん、よかった…」

マミはまどかの頭を一撫ですると、ほぅっと一息をつく。
とにかくもマミは不安であった。
目が覚めればいきなり森の中。
しかも核爆弾が投下されたことを放送され、放射線から身を守る首輪のバッテリーは残り一日分。
冗談としか思えない、夢だと信じたい。
そんな言いようのない焦燥と恐怖、叫びだしてどこかへ飛んでいきたいとさえ思った矢先の邂逅である。
我儘すぎるが、誰かとこの恐怖を共有したかった。
孤独を紛らわせ、忘れたかった。
そしてそれが叶ったとき。
巴マミは鹿目まどかを絶対に守ると、そう誓った。

「もう絶対にマミさんと離れないから! だから…」

自分の心を見透かされたように、それは自分の台詞じゃないかと思うほどに。
まどかの言葉はマミの心を代弁した。
ただ、まどかの目には恐怖ですがる者とはまた違う感情が込められていたのだが、マミにそれに気づく余裕は無かった。
暖かく、やさしく強く抱きしめあっていた二人であったが、不意にまどかの体がぶるっと震えた。

「…あの、マミさん」

前言を撤回することの恥ずかしさか、生理現象を告げる恥ずかしさか。
マミはなんとなく本意を察してまどかを解放した。

「あぁ、うん、ほっとしたからね」
「あ、はははは…すぐ戻りますから!」

言ってまどかは森の茂みの中へと駆けていった。
夜の森にまた一人取り残されたマミではあったが、先ほどまでとは全く違う安定感を持っていた。
だから多少待たされていても立ち続けられていた。
だからどれだけ時間が経っていたのか分かっていなかった。
やがて茂みが動く。
待ち人来る。
そう思って振り返ったマミが観たのは山のように大きな男の姿であった。

170 ◆kdN026sJVA:2015/05/02(土) 13:55:21 ID:Z.vv4No2
「やぁお嬢さん。 俺の名前はラバーソール。 あなたは?」

茂みから出てきたのは、オールバックのやや残念なハンサム顔の男である。
自信たっぷりに表情豊かに聞いてくるフレンドリーさはナンパでもしてるかのようだ。
異様なのはその身長。 ヒグマかと思うが程のデカさ。 パースが狂ってるとしか言いようがない。

「わたしは巴マミ。 …まどかさんを、女の子を見かけませんでしたか?」

マミは突然、大男がやってきた方向へと駆けて行った少女の消息が急に気になってきた。
いやな予感がする。
安心したからと言って目を離すべきではなかった。
そればかりではなくそっぽを向いて安心感に浸っている場合ではなかった。
焦燥はある意味で裏切られなかった。

「まどかさん? 鹿目まどかさん! 見滝原中学校二年生の14歳! 四人家族の長女で美樹さやかが友人の鹿目まどかさんですね?!」

すらすらと、マミでもあまり知らないパーソナルデータが語られる。

「なぜそれを?!」
「学生手帳ってなこと細かくデータが書かれてるもんだなぁ〜?
 こんなもん詳細に書き込んだところで、誘拐犯に情報を与えるだけだって分からんのかねぇ? んん? 」

そういって取り出したピンク色の手帳をぺらぺらとめくる。

「ほら見ろよ、こんなに写真がたくさん貼られてるぜ〜? 交友関係丸わかりだよなぁ〜? 便利でたまらねぇぜ〜!
 んん〜だけどお前の顔は見当たらんなぁ〜?! あんたお友達じゃなかったのかい?」

もはや取り繕うしぐささえ見せずに男は手帳を読み上げ続ける。
マミの冷静さは脆くも崩れ去った。

「まどかさんをどうしたの?!」
「あぁ〜間抜けにも一人で目の前に現れたからよぉ〜? 食っちまったよ。 頭からな」

銃声が鳴り響いた。 大男の顔に一発。 瞬時の抜き打ちである。
だが男は崩れ落ちない。 悠然と立ち尽くしたまま。
マスケットを構えるマミに驚愕の表情が浮かぶ。

「危ねぇなぁ〜!? 死んだらどうするんだよ、巴先輩よぉ〜!」

顔の下半分を失いながらもマミを見つめる視線は外さない。
いや、ダメージを受けたように見えない。

171 ◆kdN026sJVA:2015/05/02(土) 13:57:10 ID:Z.vv4No2
一発、二発、三発。
ならばと続けざまに発砲。
男の体はその都度波打つが、身体が大きく弾けるが、倒れない。

「効かないんだよ、スカタンがぁ〜! 俺のスタンド、イエローテンパランスはすべての衝撃を無効にする!
 お前の攻撃なんて、赤ん坊の屁のように無力なんだよぉ〜〜! 」
「なら!」

マミの手から放たれたリボンが大男の崩れ去りつつある身体を縛り付ける。

「動きを止めて数を撃つ!」

無数のマスケット銃がマミの周囲に浮かび、その全てが火を噴く!
しかし硝煙の晴れた先に見えたのは、ややスケールが縮んだ男の姿であった。 縮んだと言っても180はある。

「だから効かねぇっていってんだろうが、糞ガキがぁ!」
「それがあなたの本当の体ね?」
「だからどうした! お前の攻撃はすべて受け切った! 今度は…」
「ティロ・フィナーレ」

呟くように宣言したマミの正面に巨大なマスケットが出現する。
口径はマミの頭を超える。
直撃した際の威力に関しては言うまでもない。

「痛っ!」

唐突にか細い悲鳴が上がる。
ラバーソールのものでも、マミのものでもない。
少女の声。


「あーぁ、あんなメクラに打ちまくるもんだから、あたっちまったじゃねぇか…鹿目まどかちゃんによぉ〜?」

ラバーソールがニヤリと笑うと、体を覆う肉の塊、スタンド・イエローテンパランスからもろりと少女の体が抜け出る。
まどかである。

172 ◆kdN026sJVA:2015/05/02(土) 13:58:58 ID:Z.vv4No2
「そのまま撃ってみろ! 鹿目まどかも死ぬことになるぜ? えぇ? 巴先輩?」

まどかを前に押し出し、男のハンサムな顔が凶悪にゆがむ。
躊躇するマミを見たのか、それとも咄嗟に叫んだのか。

「マミさん! 私のことはいいから! わたしのことはいいから撃って!」

その一言がマミを縛り付けた。 
…そんなことは出来ない。

「こんな事言ってるぜぇ? 巴先輩よぉ〜。 なんなら逃げてもいいんだぜ?(そうしたら俺は詰むけどな!)」

そうである。
ラバーソールは防御力こそ堅牢であるものの、スピード、攻撃力においてあまり得意ではない。
全力で逃げられたら追い付けない。
もし承太郎などに泣きつかれたら迎撃されるだろう。
タイマンなら負ける気はしないが、仲間を引き連れられたら確実にとは言えない。
いや、むしろ圧倒的に不利!
ゆえにここで決着をつけたいのだ。
ゆえにここで巴マミを殺しておきたいのだ。
24時間の命の担保である首輪と、食料を奪うためにも。

ラバーソールは金で雇われた男である。
こんなところに連れ出されて命の危険性に立たされて、しかも一銭にもならないとかやってられないのだ。
一刻も早くここから出て行きたい。 しかしそれには時間が必要だ。
その猶予がもたらされる首輪はぜひとも数を抑えておきたい。
なるべく早い段階で、大量に。
だから目の前にまどかが飛び込んできたのは僥倖であった。
捕まえたときに視線がある一点を見つめたのはラッキーだった。
その先に仲間がいると直感できたから。
しかしこんな体力を浪費する相手だったとはアンラッキーだ。
だからここで始末する。
確実にッ!

そして…マミは銃を降ろした。
マミはまどかを犠牲にするなんてできなかった。
一人に戻るなんて耐えられなかった。
得たものを失うなんて考えられなかった。
それが決定的な損失を意味するとしても。
出来なかった。

「マミさん!」

まどかが叫ぶ。 まただ。
また止められない。 また目の前で死んでしまう。

「よく決断できたな、巴マミ。 よく出来ましたと褒めてやるよ」

ズカズカとまどかを抱えながら歩を進める。
そしてゼロ距離。
荒い鼻息をぶつけながら宣告する。

「そして、死ね」

マミの頭からスタンド・イエローテンパランスが襲い掛かる。
マミは観念したかのように目を閉じ。
そしてその顔は身体から失われた。

173 ◆kdN026sJVA:2015/05/02(土) 14:06:55 ID:Z.vv4No2
ラバーソールは高笑いを挙げる。
まどかはマミの名を絶叫する。
駆け寄ろうとするまどかをラバーソールは苦も無く引き止めた。

「おまえにはまだまだ働いてもらわないとなぁ? この美樹さやかっての、お前の友達だろ?」
「さやかちゃんも?!」

ラバーソールの言葉にまどかは振り返る。
それに当然の答えを浴びせようとした、にやにやしたハンサム顔を、ラバーソールは一瞬にして引きつらせる。
ラバーソールの異変にまどかもその視線の先に振り向く。

そこには首を失ったマミの姿。
倒れていない。
立ち上がった姿がそこにあった。
ゆっくりと腕を上げ、ずるずると足を引きずりながら前に。
ラバーソールの居る所へ歩いていく。

「ば、化け物がぁ!」

余裕なんて吹き飛んだ。
ラバーソールは四方八方からスタンドでマミの体を包む。
イエローテンパランスは包み込んだ対象を消化・吸収するっ!
そっくりそのままスタンドに包まれたマミの体くらいならあっという間に消化できるはずである。
だが、出来ない。

黒い光が上がり、イエローテンパランスの消化能力に並ぶ再生能力で、マミの体は復元していく。
いや、完全な復元ではない。
マミの体が復元するたび、異様な肉の塊に変換されていく。
とにかくも再生に全力を傾けているのだ。
ゆえに元の形など形成することなど後回しなのだ。

(まどかちゃんだけは守る!)

そんなマミの意思だけが、マミの体を突き動かしていた。
ソウルジェムの限界などとうに過ぎている。
ただまどかを守りたいがために、少女は限界を超え、人としての姿を捨てた。

174 ◆kdN026sJVA:2015/05/02(土) 14:12:53 ID:Z.vv4No2
ソウルジェムが高速で黒く鈍る。
彼女の体を包む光も、神聖さからは遠く離れたおぞましい瘴気にも見える。
光と同様、彼女の体自体も人間とは遠く離れた姿。
そう、それはもう魔物。
そこまでしても闘い続けるマミの姿に、まどかは叫ぶしかなかった。

「もうやめて、マミさん!もう、やめて…」

止めなくてはいけないのに、またここで死なせるわけにはいかないのに。無力な自分を悔いていたのに。
涙でもう、それ以上言葉を続けることは出来なかった。

一瞬、それをみたマミであったものは優しい表情を浮かべたように見えた。
顔などとうの昔に無くなったのに。
そして最後の抵抗を始める。再生能力はついにラバーソールのそれを超えた。
あとは膨張すれば勝てる。
それはラバーソールにも理解できた。

「糞がぁ!」

なんの意味もない言葉を上げるしか出来ない。
この先の絶望は彼にすら予想できた。

だが、天使が現れた。

175 ◆kdN026sJVA:2015/05/02(土) 14:17:02 ID:Z.vv4No2
光の塊。
そうとしか言えない輝度。
しかしまどかもラバーソールもそれを天使としか見えなかった。
そして、おそらくはマミであったものにしかその本質はつかめぬであろう。
それはまどかであった。

アルティメットまどか。
魔女を救済するもの。

アルティメットまどかはマミの体をやさしく抱きしめる。
もういいんだよ、と。
もう闘わなくてもいいんだよと。

それで、マミは止まれた。
魔女にならずに済んだ。
そのまま命を果てることができた。
少女のままの魂で。

真夜中の森の中に星が現れたかのような光の柱が浮かび。
そして消えた。

176 ◆kdN026sJVA:2015/05/02(土) 14:29:59 ID:Z.vv4No2
光が収まった時、そこにはラバーソールとまどかしかいなかった。
マミであったものもマミもそこにはいない。
まるで存在自体が抹消されたかのように。
いや、確かにそこにいたことも激闘を繰り広げていたことも記憶にある。
マミだけがそっくりそのまま消え去ったのだ。

数瞬、呆気にとられていたラバーソールではあったが、そこに落ちている首輪…おそらくはマミが身に着けていたものであろう…を
同じく呆然としているまどかに放ってよこした。

「おまえのものだ。 とっておけ」
「え…?」

それ以上何も言わず、ラバーソールはへたれこんでいるまどかの腕を取って強引に立たせた。
そのまま歩を進める。
あまりに目立ちすぎたからだ。
光の柱など浮かび上がったのだ。 だれかが襲撃してくる危険性がある。
少なくとも自分なら襲うだろう。
その前に場所を移動しなくてはならない。
首輪を渡したのは…おそらくは毒気を抜かれたためだろう、と彼は思いこんだ。

まどかも、振り返ってマミが居た場所を見つめると「ごめんね」とつぶやくのみで、もう二度と振り返らなかった。


【F6/森/1日/深夜】

【鹿目まどか@まどかマギカ】
[状態]:健康
[服装]:制服。
[装備]:なし。
[道具]:デイパック一式、巴マミの首輪
[思考]
基本:生きる
1:マミの分まで生きる
2:とりあえずはラバーソールの言う事を聞く
[備考]
●四話以降からの参戦

【ラバーソール@ジョジョの奇妙な冒険】
[状態]:健康(軽い疲労感)
[服装]:スタンド一丁
[装備]:なし
[道具]:デイパック一式、食料・水二日分
[思考]
基本:脱出
1:美樹さやか等を始末し首輪を回収する
2:まどかはエサなので生かして連れまわし利用する
3:出来れば承太郎を倒したいが優先順位はかなり低い

177 ◆kdN026sJVA:2015/05/02(土) 14:36:07 ID:Z.vv4No2
さて、アルティメットまどかが降臨したということは魔法少女が救済されるという事である。
しかし修正力がそれをさせない。
これ以降の干渉は許さない。
つまりこれ以降、魔法少女がソウルジェムを曇らせても魔女になる事を回避できないという事である。

それはこの一瞬において魔女であった存在が救済されるという事でもある。
この島におけるただ一人の魔女、シャルロッテ。
彼女も救済の対象である。
救済されると魔女になった事実が因果律の根底から開放される。
ゆえに魔女であったものが居たということ自体が消去される。

しかし修正力がそれをさせない。
そうしてシャルロッテの存在はそのままに、しかし救済は実行された。

そう
魔法少女シャルロッテの顕現である。

【??/??/1日/深夜】

【シャルロッテ@まどかマギカ】
[状態]:呆然。 魔法少女形態。
[服装]:
[装備]:不明。首輪も着用している。
[道具]:デイパック一式
[思考]:???

178 ◆kdN026sJVA:2015/05/02(土) 14:37:11 ID:Z.vv4No2
仮投下終了します。

シャルロッテの処遇について、不安になったのもあり
仮投下とさせていただきました

179名無しさん:2015/05/02(土) 14:39:56 ID:mmjdpLb2
投下乙です。
マミさんのまどかの呼び方は「鹿目さん」だったかと。

魔法少女シャルロッテ…ってことは劇場版のなぎさなのかな…?

180名無しさん:2015/05/02(土) 15:39:04 ID:mmjdpLb2
あえて問題になりそうなところを探すと、女神まどかはマミさん浄化されたところをみると初めから法則として存在していたようなので、
シャルロッテはマミさんが浄化された瞬間でなく、ロワに放り込まれた時点で魔法少女に戻ってた、ということにしといたほうがいいのかもしれません。
途中からもう浄化されなくなるのは、修正力さんが数回の干渉により免疫的ができたとかアプデしたとかでなんとなりそう。
契約前のまどか(変身してないし多分契約前だと思う)と契約後のまどかが同時にいることについては、参戦時期だの概念のあるパロロワではよくあることなのであんま問題にするほどではないと思います。

181名無しさん:2015/05/02(土) 16:11:26 ID:mmjdpLb2
あとパロロワのルール的にバトロワ関係者(主催、参加者、ジョーカー、意思持ち支給品、外部勢力など)以外のキャラを気軽に登場させていいのかという問題もあるかも
多次元に存在するまど神なら艦これとよく似た世界のパロロワ世界の魔女も消し去れる可能性もギリギリあるかもしれませんが
バトロワで死んだ太公望@フジリュー封神の魂も封神台に基本飛ばないように普通に死ぬべきなのかも

182名無しさん:2015/05/02(土) 16:16:24 ID:mmjdpLb2
長々書きましたが多数のクロスオーバーではやっぱり矛盾とかいろいろ出てくると思うのでギリギリありえそうならセーフでいいのかもしれません
連レス失礼しました

183 ◆Sumbb1w5Ew:2015/05/03(日) 00:29:49 ID:CIZe.FUI
投下します

184 ◆Sumbb1w5Ew:2015/05/03(日) 00:30:43 ID:CIZe.FUI
怒りと孤独#リベリオンズ


「殺す、殺す、殺す、殺す、殺す、殺す、殺す、殺す、殺す、殺す、殺す、殺す、殺す、殺す、殺す、殺す、殺す、殺す、殺す、殺す、殺す……。」

静かに呪詛のように繰り返されるその言葉には、殺意と苛立ちが渦巻いている。
平和島静雄は先程まで自身を拘留していた球体の傍らで、
鬼の形相を浮かべながら、タブレットを操作していた。

「訳わかんねえとこ連れてきて、核だ、首輪だ突拍子もねえ事ゴチャゴチャ抜かしやがって!
 しかも俺だけじゃなく、セルティまで巻き込みやがって……。
 どこの阿呆か知らねえが、この落とし前はきっちりとつけてもらうからなぁああーーー!」

獣のような雄叫びを上げて、金属の球体を蹴り飛ばす。
人一人を納めるには十分すぎるほどの容積を持ち、
相応の重量を持つ金属球体ではあったが、
彼にとってはサッカーボールも同然の存在である。
激しい衝突音とともに、蹴り上げられた球体はロケットのように吹き飛び、
ロングシュートは夜空の闇の中へと吸い込まれていく。

- 歩く『暴力』
- 池袋で最も「喧嘩を売ってはいけない男」
- 自動喧嘩人形
- 怪物
- 最強


平和島静雄を揶揄する言葉はどれも破壊的かつ物騒なものばかりであるが、
静雄本人は、周囲からの第一印象とは異なり、
争いとは無縁な平穏な生活を望んでいる。

だからこそ彼は怒っている。
自分が置かれている圧倒的理不尽な状況に対して。
その理不尽な状況に数少ない友人であるセルティが巻き込まれていることに対して。
そして・・・。

「つまりこれはアレだろ?自分が生き残るために、この名簿に載ってる他の参加者の首輪を奪えって事だろう。
 舐めやがって!誰が手前らの思惑通りに動くかよぉ!」

自身への生存への必須アイテムである首輪を奪い合えと、遠回しに示唆する第三者の存在。
その悪意に対して反逆を宣言する。

タブレットの情報によると、現在自分のいるG7エリアは核爆発の対象外ということがわかった。
また、名簿にはセルティの他にも見知った名前が二つあった。

・園原杏里 - 確か新羅のとこにいた眼鏡を掛けた女の子だっけか……?
・折原臨也 - …………とりあえず見つけたら、殺しとくか。

185 ◆Sumbb1w5Ew:2015/05/03(日) 00:31:44 ID:CIZe.FUI
「何にせよ、まずはこのエリアでセルティの奴を探すか。」

とりあえずの行動方針を口にしたその瞬間、

♪♪♪〜♪♪♪〜

軽快な音と共に、自分が手にするタブレットが突然発光した。
目を丸くし、タブレットにタッチすると、
TOP画面に先程までは存在していなかった
新しいアイコンが表示されていた。

「何だこりゃ・・・メールか・・・?」

アイコンをクリックすると、「New」というポップアップとともに
1件のメッセージが表示された。


----------------------------------
Title: No Tilte

突然のメールごめんなさい!

私、高坂穂乃果って言います。
音ノ木坂学院の2年生で、スクールアイドルをやっています。

今私はG-7の学校に一人でいます。
説明書によると、このメッセージは同じエリアにいる人、
皆に届くみたいです。

私の友達がこのメッセージを見ていると期待して、
メッセージを送ります。

海未ちゃん!、絵里ちゃん!、にこちゃん!、希ちゃん!
もしこのメッセージを見ていたら、学校まで来て!
穂乃果は学校にいるよ!

何だかよくわかんないことに巻き込まれちゃったみたいだけど、
皆で、皆で…一緒に帰ろう!

------------------------------------


「学校か……。」

スクールアイドルという単語は聞き慣れないが、
どうやら女子学生が学校に一人でいるらしい。

内容から察するにこのメールは身内に宛てたもののようなので、
赤の他人である自分が学校に行く義理はどこにもない。

しかし、セルティなら…。
世話好きな彼女なら、このメールを受信したら、
発信者を保護しに学校に向かう可能性は大いに考えられる。

それに、首輪の強奪を考えているどこぞの馬鹿がメッセージを見て、
この発信者を襲撃する可能性もある。
そう考えると、放置するにはばつが悪い。

「行ってみるか…。」

バーテンダーは進行方向を学校へと定め、その歩を進める。

【G-7/ 南端 / 1日目/ 深夜】
【平和島静雄@デュラララ!!】
[状態]: 健康、
[服装]: いつものバーテン服、いつものサングラス
[装備]:
[道具]: 支給品一式、不明支給品 X 2
[思考]
基本: この島に拉致してきた犯人を見つけてぶっ殺す!
1: 学校に向かう。
2: セルティを探す。
3: ノミ蟲野郎(臨也)はぶっ殺す!

[備考] 参戦時期はアニメ1期終了後からとなります。

186 ◆Sumbb1w5Ew:2015/05/03(日) 00:32:30 ID:CIZe.FUI
--- 同時刻 G7 学校3階教室 


「これで…送れたのかな?」

薄暗い教室の中、椅子に座りながら高坂穂乃果は発光するタブレットを見つめる。
その机の上には説明書とUSBメモリが置いてある。
このUSBメモリは彼女の支給品の一つである。
USBメモリに同梱されている説明書には以下の内容が記載されていた。

・メール送信ソフト利用方法
- このソフトウェアは同梱のUSBメモリをタブレットの端子に接続することで、
 自動的にインストールされます。
- インストールされた当該ソフトを利用することで、利用者と同じエリア内にいる
 全ての参加者にメッセージを送信することが出来ます。
- メッセージは3時間に1回しか送信できません。

・メール閲覧ソフトについて
- メールの閲覧ソフトに関しては、予めタブレットにインストールされていますが、
 通常はTOP画面でソフトを確認することは出来ません。メッセージを受信することで
 TOP画面に表示される仕様となっております。
- メッセージの受信者は、メールに返信することは出来ません。

「はぁ〜………どうしてこんなことになっちゃったんだろう………。」

大きく溜め息をつき、机にうつ伏せる。


「絵里ちゃん…。
 にこちゃん…。
 希ちゃん…。
 海未ちゃん…。
 誰か来て…淋しいよぉ…。」


【G-7/ 学校3階教室 / 1日目/ 深夜】
【高坂穂乃果@ラブライブ!】
[状態]: 健康
[服装]: 音ノ木坂学院制服
[装備]:
[道具]: 支給品一式、USBメモリ(メール送信ソフト)、不明支給品 X 1(本人確認済み)
[思考]
基本: μ'sのメンバーと合流して島から脱出する。
1: 怖い…淋しい…。
2: 学校でμ'sのメンバーを待つ。
[備考] 参戦時期はアニメ第2期、ラブライブ予選の直前からとなります。

※ 穂乃果のメッセージはG7にいる全ての参加者のタブレットに送信されました。

187 ◆Sumbb1w5Ew:2015/05/03(日) 00:33:10 ID:CIZe.FUI
投下完了です

188 ◆JdI4UF1wGo:2015/05/03(日) 00:55:18 ID:CIZe.FUI
誤ってタイトルとトリを本文に含めてしまったので、トリを変えます。

189 ◆/BLqsN1tl6:2015/05/03(日) 02:55:41 ID:PMn7M0aY
投下します。タイトルは「蘇生率Zero」です。

190 ◆/BLqsN1tl6:2015/05/03(日) 02:56:14 ID:PMn7M0aY
 衛宮切嗣は身近な岩陰に隠れながら情報の分析をしていた。
 己の限界を知り、出来ることと出来ないことを知っていれば戦いの中では強いアドバンテージとなる。

(体に異常はない。疲労もない。筋力も……)
 太い枯れ枝に力を入れる。すると、少ししなった後、音を立てて折れる。
(大丈夫だ。次は魔力)
 体に魔力を巡らせる。

(……やや、巡りが悪い。何かされたか? いや、この環境によるものか)

(原因は何にせよ、魔術に頼った戦いは今は避けるべきだ。武器を手に入れる必要がある)

 戦闘準備は急がねばならない。2350がセンターの入り口が開放される時間。そして2400が首輪のエネルギーが切れる時間。
 その間わずか10分。何かしらの不具合で首輪のエネルギーチャージ量が少なかったり、エネルギーの消費スピードが早まったら、そのわずか10分の振れ幅からこぼれ落ちてしまう。
 そうなると人間はどう考えるか? それは他人の物を奪おうとする。
 極限状態となったとき、1人では使い切ることの出来ない量の食料、武器、弾薬を頑なに得ようとする人間は沢山見てきた。
 
 今回もそんな奴は必ず出現する。
 
 ならば自衛の……時には他者から奪うための武器が必要だ。

 武器、手に入れる可能性はここにある。デイバッグだ。
(良い物が入っていてくれ)
 切嗣はささやかな願いを込めてデイバッグを開けた。

 まず最初に手にとったのは3枚のカードだった。
 サイズ的にはタロットカードに近い。
(っ! 1枚1枚に魔力が込められている。それも生半可な量ではない)

 魔術師の切嗣はすぐにカードの価値を理解する。
 これは並の魔術師では一生を掛けてもつくり上げることの出来ない生きたカードだ。

(キャスターの宝具か? いや、これほどのものを作れる英霊は記憶に無い。誰だ……?)

 数秒悩み、考えを放棄した。どうあれ、このカードの所有権は今、切嗣にある。

(魔力はあまり使いたくないところに魔具か……)

 わがままは言ってられない。切嗣は使い方の把握を行う。
 カードの絵柄を読み精霊召喚魔法とすぐに当たりが付いた。

(「THE WATERY」、水の精霊か)

 島という環境下では海岸にたどり着けばすぐに水を得ることが出来る。活用する場面は多そうだ。

 そこまで確認した時、切嗣の耳に鈍い打撃音が届いた。

(――近い、崖の方だ)
 切嗣はカードを胸の内ポケットにしまうと、音の方へ向かった。

               〆

191 ◆/BLqsN1tl6:2015/05/03(日) 02:57:48 ID:PMn7M0aY
 切嗣が到着したと同時に勢い良く水柱が上がった。

(誰かが落ちたのか?)

 近くの岩肌には大量の血痕が付着している。
 おおよそ人一人が破裂した分の量だった。

(投身自殺か……? いや、待て)

 泡立った海が波で透明度を取り戻す。
 2人の女性の姿が目にはいってきた。

 1人は岩肌の血の持ち主だろう。頭部と腕部、背部が潰れ、大量の血を海に流している。
 だが、もう一人は目立った外傷は見られなかった。ただブクブクと海底へと誘われている。

(転落だ。恐らく1人がもう一人をかばって落ちたんだ)
 異様なまでの損傷の偏りはその証拠だ。

(まだ助かるかもしれない)

「来い、ウォーティ!」

 切嗣は胸の内ポケットからカードを取り出すと魔力を込めてそれを掲げた。
 風が巻き起こり、ウォーティが実体化する。

 青い透明感のある人魚、それがウォーティの姿だった。

「ウォーティ、あの子を引き上げろ」

 ウォーティは頷くと手を前に掲げた。同時に少女の体が海面ごと持ち上がり、海岸へと運ばれた。

 すぐに切嗣は少女の脈を取る。
(――心肺停止。水を多く飲んでいる。呼吸が止まって既に5分は経っているだろう……くそっ!)

192 ◆/BLqsN1tl6:2015/05/03(日) 02:58:29 ID:PMn7M0aY
 呼吸が停止して3分で蘇生率は75%まで減少し、8分経過すると0%へ限りなく近くなる。
 切嗣は心臓マッサージを開始した。

(くそっ! 生き返れ!)

 切嗣の努力も虚しく、時計は吹雪が呼吸を止めてから8分を経過した。

               〆

 切嗣は手を合わせ、精一杯の追悼を行っていた。
 赤の他人であったが、目の前で少女の命が失われる。それが切嗣の大切なところに痛みを走らせる。

(――行こう)

 何が何でも聖杯を手に入れてこのような悲しいことが起こらない世界を作るために……
 最後にもう一度顔を見ておこう。そう思って振り返った時、少女の持っていた四角い箱がわずかに動いたことに気がつく。

(何だ?)

 胸の内ポケットからウォーティのカードを取り出し、身構える。
 箱が内部から小窓が開かれ何やら白いモノがもそもそと出てきた。

(――妖精!?)

 体長わずか10cm足らずの2頭身の人だった。
 妖精は吹雪を悲しげに見つめている。

「お前のご主人は死んでしまった。すまない……」
 切嗣は謝ることしか出来なかった。
 すると妖精は首をブンブンとふった。どうやら許してくれるらしい。
 それどころかお辞儀をした。吹雪を助けようとしてくれたことに感謝しているようだ。

「だが、結果的に僕は彼女を助けることが出来なかった。そして、彼女の体を君たちの家に連れて行くことも出来ない。まだ戦いは続く」

 妖精は頷いた。妖精も現状を理解しているのだろう。

 妖精は覚悟を決めたかのように大きく頷くと、彼女の背後に着けられている装置を外した。
 そして、それを指さして切嗣に目で訴える。

「……それを僕に使えってことかい?」

 妖精は頷いた。

               〆

193 ◆/BLqsN1tl6:2015/05/03(日) 02:59:23 ID:PMn7M0aY

 妖精が入っていた箱をよく見るとこれは戦闘艦が搭載する砲によく似ている。
 足に付けられたヒレみたいなものも船の舵だ。
 太ももに着けられている箱なんて魚雷が見えている。
 間違いない、この子は船を模した兵器を身につけている。
 妖精曰くこれで海を滑ることが出来るらしい。半信半疑だった。

 切嗣は自分の体のサイズに合わせるべく、戦闘艦を模した兵器”艤装”の改造に着手する。
 少女の装備だけでは自分の体に合わせることは難しかったが、少女が持っていたデイバッグに似たようなものがもう一つあった。
 恐らくこの子をかばった女性のものだろう。

 工具はやたらと精巧なドライバーやニッパーが入った工具箱が支給されていたため、それを使った。

 作業は程なくして完了する。
 大型艤装の中の妖精たちが手伝ってくれたおかげだ。

 完成品のボイラーを腰に装着し、ストックと照準器を着けた12.7サンチ連装砲を右手に持つ。
 長い脚の腿の部分には鈍く輝く3連装魚雷があり、革と金属が混在するゴテゴテとした靴をはく。
 1基の2門の35.6サンチ連装砲の砲身が左肩から覗いている。

 これを動かすのは重油(燃料)と魔力のハイブリッドだ。

――魔導戦艦 切嗣。抜錨!

194 ◆/BLqsN1tl6:2015/05/03(日) 03:00:43 ID:PMn7M0aY

【I-2/ 崖下 / 1日目/ 深夜】
【衛宮切嗣@Fate/Zero】
[状態]: 健康、魔力消費(微)
[服装]: 魔導戦艦切嗣
[装備]: 吹雪&金剛近代化改修艤装、クロウカード(ウォーティ)
[道具]: 支給品一式 X3、不明支給品(1〜7)、クロウカード X2
[思考]
基本: 正義の味方
1: 己の力を把握する。
2: 情報収集を行う。

※クロウカード残り2枚は不明です。
※吹雪&金剛の艤装を無理やり改造し、切嗣に合わせました。
 よって本来のスペックを出すのは難しく、魔力で補っています。
 兵装は金剛主砲1基(背部)、吹雪主砲1基[ストック+照準器](右腕)
 3連装魚雷発射管 X2(脚部)です。

195 ◆/BLqsN1tl6:2015/05/03(日) 03:01:18 ID:PMn7M0aY
以上です。

196 ◆/BLqsN1tl6:2015/05/03(日) 03:04:15 ID:PMn7M0aY
忘れていました。
道具に「両津勘吉のプラモ作成工具」を追加します。

197名無しさん:2015/05/03(日) 16:59:15 ID:b8baXV.s
投下乙です
吹雪達が死んだのが黎明だから時間設定が矛盾してますよ

198 ◆YD4qd4xJMs:2015/05/03(日) 18:07:06 ID:t1lAL0eI
仮投下します。タイトルは「魔術師とスクールアイドルの夜」です

199魔術師とスクールアイドルの夜 ◆YD4qd4xJMs:2015/05/03(日) 18:08:36 ID:t1lAL0eI


夜の森が平気な人間は、あまりいないだろう。
あの通信の内容が確かならば、ここは放射能によって生物が全て死に絶えている静寂の森。
時折吹く風によって、葉の擦れる音がするだけで、後は自分が踏みしめる足音だけ。
彼女、園田海未は暗い森の中を一人歩いていた。

(こ、怖すぎます)

自分の記憶が確かならば、いつもと同じようにμ'sの仲間達との練習を終えて帰宅し、
パジャマに着替えて、眠ったはずである。
それが気づけば、狭い球の中に入れられ、放射性物質に汚染されたという島にいるのだ。
おまけに、一定時間ごとに核爆弾が起爆するとのこと。
古典的に海未は頬をつねり、夢かどうか確かめてみたが………痛かった。
首に付けられている首輪の存在もあり、紛れもない現実であることに絶望した。

ゆっくりと足元や周りを探りながら海未は歩いていく。
さて、何故彼女は夜の森を歩いているのか?
彼女は実のところ、日が昇ってから、
通信にあった島の中心にあると言う防災センターに向かうつもりであった。
放送を聞いた限り、24時間で首輪の機能は失われるらしい。
助かるには、センターで放射能から身を守らなくてはならない。そう、海未は考えていた。

(ですが、あそこで火を起こしているのは誰でしょうか?)

つい先ほど、自分のバックの中身を確認し終わり、何気なく森の様子を体操座りで見ていた。
すると、凡そ五百メートルほど先だろうか。
木々の間で火が揺らいでいるような灯りが見えたのだ。
確認した名簿の中には、穂乃果を始めとしたμ'sの仲間達の名前もある。
もし、あそこで灯りをともしている人物が穂乃果達なら………
そんな期待をしつつ、海未は夜の森をゆっくりと歩いて近づいているのだ。

「きゃっ!」

近くの木から何かが飛びだした。
慌てて、その場で海未はしゃがみこむ。
ホゥーホゥーと、鳴きながら灯りの方へと飛んでいく何か…どうやらフクロウのようだ。
安心してから、彼女の目にうっすら涙が浮かぶ。
だが、同時に海未はある違和感に気づく。
なぜ、今のフクロウは放射能の影響を受けて動くことができたのか?
恐る恐る顔を上げてみる。
当然、フクロウは飛びさったあとで、目指していた火の灯りが見えるだけ………では、なかった。

「待っていたよ、君もこの島に連れてこられた内の一人だね?」

いつの間に目の前にいたのだろうか。二メートルほど先に赤い目立つスーツを着た男性が立っている。
ハーフだろうか?両目は碧眼だ。
彼が右手に持っていた松明の明かりで、その風貌を確認することができた。

「多分そうですけれど、あの…あなたは?」

海未は立ちあがり、声をかけた。
知らない男性ではあったが、彼の柔らかな頬笑みによって、
警戒心はあまり抱かなかった。

「私は遠坂家五代目当主の遠坂時臣という。君の名前を伺ってもいいだろうか?」
「あ、私の名前は園田海未といいます。その、音ノ木坂学院という高校の2年生です」

仰々しい肩書が付いていることに少々海未は委縮する。
そんな彼女の様子を気にしないで、遠坂時臣は彼女について考察する。

「ふむ、女子高生とは…どうやら私のような人間以外にも、ここには多種多様な参加者がいるようだ」

新たな発見を得た喜びから、時臣は僅かに抑揚を上げつつ語った。

「参加者とは…いったい何のことでしょうか?」
「知りたいかね?まだ私も全ての現状を理解はできていない。が、調べて分かったこともある」

ミステリアスな雰囲気のする時臣の話し方に、海未は次第に引き込まれてゆく。

「できれば、君と情報交換をしたいのだが構わないだろうか?」

時臣は松明を持っていた右手を後ろに向け、奥に見える火のある場所へと、
彼女の視線を誘導しながら問いかけた。どうやら海未が目指していた灯りは、彼の拠点のようであった。

「えっと…遠坂さん、こちらこそよろしくお願いします」

初めて出会えた同じ境遇の人。
ほっと一息ついた表情で、軽くお辞儀をして彼の誘いを了承した。

「ありがとう。園田嬢」
「…普通に海未と呼んで貰って結構ですよ」

200魔術師とスクールアイドルの夜 ◆YD4qd4xJMs:2015/05/03(日) 18:10:20 ID:t1lAL0eI



***


連れられてきた場所は、森の中でも少し開けた空間だった。その空間の中心には焚き火があり、
このような状況でありながらも、海未はキャンプに来ているかのような場違いなことを思った。
地面に倒れていた倒木に座る海未、焚き火を間に挟み彼女の反対側に立つ時臣。
今更だが、海未は一度落ち着いたことで、かなり年上の男性と一対一で対面している状況に緊張する。

(こんなとき、穂乃果なら自分から話しかけられるのでしょうが………)

自分の友人を思いつつも、海未はなかなか自分から時臣に声を掛けることができず、悶々とする。
すると、彼女から見て背を向けていた時臣が振り向き、語りかける。

「さて、まず君は魔術について、どの程度聞いたことがあるだろうか?」
「ま、まじゅつ。ですか?」

正直戸惑った。もしかして遠坂さんなりの場を和ます冗談………では、ないようだ。目が真剣である。
スクールアイドルとして活動していることを除けば、一般的な女子高生である海未は反応に困った。

「ええっと、漫画やアニメに出てくる想像上の技術のことでしょうか?あ、もしくはオカルト的な…」
「いや、もう結構だ…秘匿が正しく為されているとわかっていても、頭が痛い」

時臣は、こめかみに手を当て嘆かわしいと言わんばかりに顔を歪める。
女子高生に聞いておいてこの態度である。その動作に不満げな表情の海未、
ふうっ。と、一息吐いた時臣は改めて彼女へと視線を合わせた。

「海未。これから話すことを理解する為には、まずは私のことを知ってもらう必要がある」

先ほど、森の中で使っていた松明を再び手に時臣は持つ。すでに火は消されていた。
いったい何をするのか?疑問に思う海未。
時臣は目を閉じ、何か呟いた様子であったが、彼女の耳にはなんと言ったのか、聞き取れなかった。

「えっ!?」

そんな彼女の目の前で、一瞬で松明に火が灯った。
松明の火は次第に強まり、時臣の頭を軽く越す。
そして、まるで意思を持った炎のように、時臣の体を回り始める。
時臣が、松明ごと焚き火の方へと向けると、
釣られるように回っていた炎は勢いよく焚き火の中へと飛び込んで行く。
一瞬、焚き火が激しく燃え上がった。

(今のは…火を操った…?)

海未は目の前でおきたことに驚きを隠せない。

「にわかには信じ難いだろうが、今見せたのが魔術のほんの一端。私は魔術師と呼ばれる人間なのだよ」
「魔術師………」

放心状態の海未に、時臣は松明を置き、魔術の説明を始める。
この島へと着いてから時臣は、魔術で強化した方位磁針を使って周辺の警戒をしていた。
凡そ1キロメートル程度にいる生物に反応するようにしたのだ。
だが、自身が得意とする宝石等の、魔術に使える触媒が無い状態の為、
自分の魔術回路と魔術刻印による魔力の精製で、魔術の行使をしなければならなかった。
時臣は数分おきに発動させることで、魔力の消費を抑えつつ周囲の様子を探っていた。

そして、反応があったのが海未であった。
ただ、この時点では、どういった生物であるのか詳細は分からなかったため、
放射能によって死んだフクロウの遺骸を利用して、これを使い魔として海未の下へと放った。
視覚の共有で監視を行い、海未が自分の方へと向かっていることが分かったので、
途中で人目につかなくする結界を張った上で待ち伏せていたのだ。

「ずっと、見られていたのですか…」
「何か不都合なことでもあったかね?」

いや、監視されていい気分のする女性はいないだろうが、
自分の魔術を語り聞かせることに少々熱くなった時臣には、察すことができなかったようだ。

「何でもありません!遠坂さんが魔術師だということは納得しました」
「うむ、海未は理解が早くて助かるよ」

201魔術師とスクールアイドルの夜 ◆YD4qd4xJMs:2015/05/03(日) 18:11:33 ID:t1lAL0eI

満足した様子の時臣は、海未から見て右手にある金属球に近づく。
火の灯りに照らされることで初めて金属球の全体像が見えた。
それは思ったより大きく、周りの風景から浮いた異質な存在であった。
これはおそらく時臣が入っていた物のようである。
時臣は、左手でその球へと触れながら語り始めた。

「まず私が試みたのが、魔術による金属球の解析だ」

解析ということは、魔術を使って構造を読み取るということだろうか。

「魔術的に調べた限り、この金属製の球体には我々を転移や召喚、あるいは記憶操作を施すといった魔術は仕組まれていないことがわかった」
「…えっと、それはつまりどういうことでしょうか?」

海未は話を促す。

「つまり、この金属球には魔術の痕跡はなかった。参加者を入れるための、単なる入れ物に過ぎないというのが私の推測だ」

そこまで話を聞いても、ああ、そうかもしれませんね。と海未は思うくらいだった。
正直、あの通信にあった核、とか放射能が本当なのか?そちらの方が重要に思っていたからである。
しかし、時臣は金属球を擦りながら、自分の調べた成果を話すことに夢中な様子である。
ひょっとして、聞き役が欲しかっただけではないかと思う海未であったが、
次の質問で意識が変わった。

「では海未、質問だ。我々は“どうやって”この金属球に入った?」

どうやって?この金属球が単なる入れ物であるとするなら、
海未は自分から入った記憶など、もちろんありはしない。だから答えは、

「それは“誰か”が私達を入れたのではないでしょうか?この球の中に………あれ?」

一瞬、海未の中でカチリと何か意識がズレた気がした。
さっきまで、穂乃果達に会いたい気持ちや、生きて帰りたい気持ちで一杯だった心に、
別の視点が生まれた。いや、違う。目を背けていたことに気付かされたのだ。
海未の様子を観察するように目を向ける時臣。

「現状を正しく認識できたかね?」
「あれ、そうですよね……誰かって…いったい誰ですか?私、何をされてこの島に………」

寒気がした、なぜ、こんな簡単なことに気付かなかったのだろうか。

「無理もない、人は無意識のうちに理解が及ばないことから逃れようとするものだ」

決め手となったのはあの通信だと、時臣は言う。

「分かりやすい現状の説明と生存のための行動指針の提示、だが、その裏には参加者達から余裕を奪う思惑がある」
「余裕ですか?」
「生き残ることに必死にさせ、そもそも何故この島にいるのかという根源的問題から目を背けさせようとしているのだよ」

ごくりと、海未は唾を飲み込んだ。
時臣の語る推測が自分の状況にピタリと嵌まっていたからだ。
私達をこの現状に引き入れた何者かの思惑が、この島には存在している。
それが、私達の意志など関係なくこの金属球にいれ、この島へ連れてきたと、時臣は補足した。

「いいかね、私達は断じて、災害に巻き込まれただけなどという“生存者”ではない。何者かの思惑によってこの島へと連れてこられた“参加者”なのだ」

202魔術師とスクールアイドルの夜 ◆YD4qd4xJMs:2015/05/03(日) 18:12:36 ID:t1lAL0eI

焚き火の中の炭が燃え尽き、甲高い爆ぜる音が響いた。
ここで一息ついた時臣は、海未の様子を観察しながら、
彼女を中心にゆっくり時計回りに歩きながら話を続ける。

「そして、魔術師である私からすると、この何者かはとても興味深い存在だ」
「興味深いですか?」

海未とは対照的に時臣は興奮した様子である。

「ああ、そうだとも。なぜなら、ここに来る直前の記憶では、私は殺されたはずなのだよ」
「えっ!?こ、殺されたってどういうことですか!?」

今度の発言には純粋に驚いた海未。
どうやら時臣は、ここに来る以前は、聖杯戦争と呼ばれる儀式に参加していたのだという。
概要を説明してもらったが、海未は恐ろしいと感じた。
本当にそんなことが日本で起きていたのか、と。
その聖杯戦争の終盤で彼は魔術の弟子に…裏切られ、
刺された所で意識を失い、気がつけばここにいた。ということらしい。
何といったらいいのか分からない海未だったが、
時臣の「君も死んでここに来たのかね?」という発言は、断固否定した。

「じゃあ、遠坂さんはこの島に連れてこられて………生き返った、ということになるのでしょうか」
「おそらくそうだろう。魔術において、死からの肉体、魂を含めた完全蘇生など最早魔法の領域だ。それを成した存在とは…矮小の我が身では測ることすら適わないだろう」

しかし、自分がその成功例だというのに、何も分からないというのは、
魔術師として腹立たしい。と、時臣は言う。
やはり、その観点は一般人からするとおかしい。そう海未は思わずにはいられなかった。

203魔術師とスクールアイドルの夜 ◆YD4qd4xJMs:2015/05/03(日) 18:13:51 ID:t1lAL0eI


***


「…なるほど、君と同じ高校の友人達も、巻き込まれているとは…心中穏やかではないだろう」
「はい…私は遠坂さんと出会えて幸運でしたが、みんなも無事だといいのですけれど…」

あれから海未が友人を探していることを時臣に伝えると、
「なぜ、友人がこの島にいると分かったのかね?」と聞いてきた。
不思議に思いつつも、彼女はタブレットを操作し、名簿を見せると時臣はひどく驚いた様子だった。
………ひょっとして、時臣さんは機械が苦手な人かもしれない。そう思うと、海未はちょっとおかしかった。
魔術師で一見すると完璧人間に見えるこの人にも苦手なことがあるのだと、気が楽になる。
名簿を慣れない操作で動かしながら、時臣は確認していく。
すると、その手が止まった。
おそらく時臣さんの関係者ではないだろうか。海未はそう当たりをつけた。

「これは………まずいな」

名簿から目を離した時臣は鋭い目つきでそう呟いた。

「何か名簿を見て分かったのですか?」
「うむ、私が考えるに、この島の参加者達は大きくニ種類に分けられる」

右手の人差指を伸ばして、一つ目を示す時臣。

「一つ目は“生存”を第一に行動する者達だ」
「防災試験センターで救助を待つ人達ということでしょうか」

確かに、あの放送を聞いた人間ならまず考える選択肢であるといえるだろう。
それに島の中央ならば、仲間たちに遭遇する可能性が高くなる。

「大多数はそうだろう。ただ一部の人間は港や軍事基地等で、船などがあれば、独自にこの島を脱出しようとするかもしれない」
「なるほど」

問題なのはもう一つのグループということだろう。
右手の中指も伸ばして、二つ目を示した。
時臣はゆっくりと口を開く。

「二つ目は…自分の“願望”を第一に行動する者達だ」
「願望、ですか?それは、生きてこの島を出たい。ということではないのでしょうか?」

違う。と、時臣は否定する。
名簿を見て確信した者達を、時臣は指差した。

「キャスターとライダー、そしてバーサーカー。彼らは本来なら聖杯戦争にサーヴァントとして呼ばれる英霊達のクラス名だ」

先ほど聞いた聖杯戦争の情報を思い出しながら、
海未は名簿の名前を凝視した。

「最も重要なことは、英霊にとって、生きることよりも優先される願望をそれぞれが持っている可能性が高いということだ」
「生きることよりも優先される願い…ですか?」

大雑把にしか英霊と呼ばれる存在について、海未は理解ができていないが、
かつての英雄であるならば、逆に、私達を助けてくれないのか。
純粋にそんな感情を抱いていた。

「例えばだ、第四次聖杯戦争において召喚されたキャスターは、自分たちの存在を一般に隠そうともせず、児童の誘拐・殺人などの凶行を繰り返した」

断じて許されない行いだ。と、時臣の表情は苦虫を潰したかのように歪む。
海未もその情報に驚く。時臣が危惧しているのはこのことであった。

この島にいるとされるサーヴァントが、
自身の経験した第四次聖杯戦争に召喚されたサーヴァントであるという確証は時臣にはない。
しかし、キャスターを含め、サーヴァント達にはそれぞれが叶えたい願いがあって、
聖杯戦争に招かれるという共通点がある。
他者の魔術師と英霊を倒してでも叶えたい、死後の願い。
この島で彼らが行動を起こす際に基準となるのは、核や放射能から逃れるということではなく、
その願いにあるはずだと、時臣は判断した。

「海未。バーサーカーとはどんなクラスなのか想像がつくだろうか?」
「言葉どおりの意味なら狂戦士といった意味でしょうか」
「その通り、聖杯戦争においてバーサーカーとは、狂化のスキルによって全体の能力を上げる代償に、英霊の理性を狂わせ、ただ戦いのみに特化させたクラスだ」

理性が狂っている?
それはつまり、本能のみで動く存在ということなのだろうか。

「間違いなく危険な存在だ。普通の人間はおろか並みの魔術師では、襲われれば殺されるという選択肢しかない」
「そんな人物がこの島にいるのですか………」

海未にもようやく時臣の言いたいことがわかった。
つまり、この島には生存を求める者達とは別に、他者を害する可能性のある者がいるということだ。
タブレットに表示されている名簿の中の知らない人物達。
この人たちが何を考えて行動しているのか。
もし、μ'sの仲間達が、悪意ある人物に出会っていたとするならば………
想像すると、海未の不安はこれまで以上のものとなった。

204魔術師とスクールアイドルの夜 ◆YD4qd4xJMs:2015/05/03(日) 18:15:20 ID:t1lAL0eI



***


時臣は焚き火に追加の薪を入れた。
火が爆ぜる音が再び鳴り、それが今の沈んだ気持ちの海未には少し心地よかった。

………色々な情報を聞いた。
私たちをこの島へと連れてきた何者かの思惑。魔術。参加者の中に危険人物がいること。
常人ならば尻込みしてしまうような事態に置かれていることを認識してなお、海未は絶望していなかった。
それは、スクールアイドルとして諦めず努力を続けた経験のおかげかもしれない。
事の大きさは違えども、決して自分が望んだ状況でなくとも、挫けたくはない。

(今、穂乃果は何を考えているのでしょうか…)

彼女の持ち前の明るさと行動力が、今、無性に羨ましく感じた…みんなに、会いたい。
一人ぼっちは嫌だった。結局、彼女の一番したいことは決まっている。
俯いていた顔を上げる。海未の覚悟を決めた表情を見て、時臣は感心したと同時に、望郷の念を抱く。

(高校生となれば凛も、きっとこんな表情をする日が来るのだろう)

魔術師である時臣は、この島からなんとしても帰還を果たさねばならない。
自身の体にある遠坂家の魔術刻印、これを娘である凛に継承して貰わなければ、
遠坂家は没落してしまうこととなる。
冬木の地で死んでいれば、凛に移植される可能性はあったが、この島でそれは叶わないからだ。
徹頭徹尾、自身の成すべきことは決まっていた。

「………遠坂さんはこれからどうされるおつもりですか」
「当面の目的は、この地の詳しい調査。そして別分野の知識、情報をもった参加者との接触が妥当なところだろう」

先に口を開いたのは、海未からだった。
時臣の返事には、やはりという気持ちが大きかった。
この人は私と違って一人でもきっと、前へ進める人なのだ。でも、私ではだめなのだ。
時臣に仲間探しを手伝ってもらうことは、迷惑、いや足手まといになると、
これまでの会話で海未は判断していた。

「そう…ですか………」
「ふむ。もしよければ、君の友人の保護と並行して行おうと考えていたのだが…何か都合が悪いだろうか?」

ところが、時臣の口から出た言葉に海未は意表を突かれた。
なぜ?そういった気持ちが強かった。
ただの高校生に過ぎず、何の役にも立たない人間をそばに置く理由が無いはずである。
しかし、当の本人は、顎に手を当てて、当てが外れたかな?と考えるしぐさをしていた。

「でも、私みたいな普通の高校生が、遠坂さんのお役には立てません。いいえ、むしろ迷惑なのでは…」

視線を泳がせながら海未は答える。
その答えを聞いた時臣は、ああ、と納得した様子で海未を見ていた。

205魔術師とスクールアイドルの夜 ◆YD4qd4xJMs:2015/05/03(日) 18:16:01 ID:t1lAL0eI

「常に余裕を持って優雅たれ」
「え?」

流暢な声で目を瞑り微笑みながら、そう呟く。

「我が遠坂家の家訓だよ。このような危険な状況で普通の女子高生をそのまま放任するなど…遠坂の人間として恥ずべき行いだろう」

呆気に取られた表情の海未に対して、
まるで、娘に語りかけるような優しい口調であった。
確かに、多くの魔術師は、魔道を知らぬ一般人からすれば、
魔術の探求のために非道な行いをする人種にみえるだろう。
事実、時臣は聖杯戦争において、監督役の神父とともに、
巻き込まれた一般人の被害よりも魔術という神秘の秘匿に重点を置いていた。

だが、聖杯戦争とこの島で行われていることは違う。
海未は自分のことを一般人と言ったが、時臣にとっては同じ参加者であることに重点を置いていた。

(この島全体を使った61人による大規模儀式、集められた多様な参加者に何をさせたいのか。それを見極める必要がある)

だからこそ、普通の女子高生に自身の魔術の一端を見せ、彼女の状態を観察していた。
極端な話だが、彼女自身は何も特別ではないと思っていても、ここに送られた時点で、何か影響を受けている可能性があったからである。
もちろん家訓を理由に挙げたのも本当ではある、が。

「常に余裕を持って優雅たれ…ですか。ふふっ、素敵な言葉ですね」
「そうだろうとも。海未、君はなかなか聡明なようだ。この地で最初に君に出会えたことは、私にとっても僥倖だったようだ」

海未はもう遠慮はしなかった。それに今まで話した中で、
この人は自分の家名に誇りを持っていることはよく分かった。その家訓を理由にしたのだ。
信じられる。μ'sで作詞をしている海未からして、その言葉はあまりに綺麗で憧れた。
この紳士的な魔術師が言って初めて似合う言葉ということかもしれない。
一方で、家訓を賞賛された時臣は気分が良くなり、お互い笑顔になった。





―――夜の森に、焚き火の灯りが一つと、魔術師とスクールアイドルの影が一つずつ。
   混迷の夜は過ぎてゆく、やがて訪れる困難を覚悟しつつ、二人は語り合った―――

206魔術師とスクールアイドルの夜 ◆YD4qd4xJMs:2015/05/03(日) 18:16:39 ID:t1lAL0eI

【J5/金属球近く/一日目/深夜】
【遠坂時臣@Fate/Zero】
[状態]:健康
[服装]:いつもの赤スーツ
[装備]:なし
[道具]:支給品一式、アゾット剣@Fate/Zero、
    ブラック・マジシャンのカード@遊☆戯☆王デュエルモンスターズ
[思考]
基本:自分達を連れてきた存在の調査。冬木市へ帰還して魔術刻印を娘の凛に継承させる。
1: 島と参加者の調査 
2: バーサーカーを含めた危険人物への対抗手段の確保
3: 園田海未と友人達の捜索と保護
[備考] アニメ第17話で殺された後からの参加、うっかり属性。


【園田海未@ラブライブ!】
[状態]:健康
[服装]:音乃木坂高校の制服
[装備]:なし
[道具]:支給品一式、封印の杖(鍵の状態)@カードキャプターさくら、
    海パン刑事の海パン@こちら葛飾区亀有公園前派出所。
[思考]
基本:μ'sの仲間達と生還する
1: 時臣さんに協力してもらい仲間達を探す
2: この島で起きていることを知りたい
3: ………魔術って私にもできるでしょうか?
[備考] 時期はお任せします

207 ◆YD4qd4xJMs:2015/05/03(日) 18:18:25 ID:t1lAL0eI
仮投下終了します

208名無しさん:2015/05/03(日) 20:15:31 ID:jy.vNgMg
投下乙です
やっぱ回るのかw

209名無しさん:2015/05/03(日) 20:35:33 ID:jy.vNgMg
道具なのですが本文中で存在を描写するか不明にしたほうがよいのではないでしょうか

210 ◆YD4qd4xJMs:2015/05/03(日) 20:58:27 ID:t1lAL0eI
>>209
ご指摘ありがとうございます。
当初、道具を含めて話を書くつもりでしたが、文章が多くなりそうだったので、泣く泣く削った名残でした。
本スレに投下する際には、道具の欄は二人とも不明に変更します。

211 ◆dKv6nbYMB.:2015/05/04(月) 01:08:08 ID:EjRjQcUI
投下します

212 ◆dKv6nbYMB.:2015/05/04(月) 01:10:02 ID:EjRjQcUI
どうしてこんなことになったんだろう。
決まっている。これは、あたしへの罰だ。

『あなたは、その人を助けたいの?それとも、その人を助けた恩人になりたいの?他人の願いを叶えるのなら、尚のこと自分の望みをはっきりさせておくべきだわ』

先輩からの忠告を蔑ろにして、勝手に奇跡を願ってしまった。

『私、もう自分に嘘はつかないって決めたんですの。さやかさん、あなたはどうですか?本当の気持ちを向き合えますか?』

勝手に嫉妬して、自分の身体を言い訳にして、本当の気持ちに向き合うことから逃げ出した。

『痛くないから傷ついていいなんて、そんなの駄目だよ。...それで勝っても、さやかちゃんのためにならないよ』
『...だったら、あんたが戦ってよ』


勝手に自暴自棄になって...大切な友達を傷付けた。


あたしはマミさんみたいにはなれない。あたしには正義の味方なんて無理だったんだ。
あたしなんか、消えちゃえば...


「なにをそんなに悲しんでいるんだね、お嬢さん」

213 ◆dKv6nbYMB.:2015/05/04(月) 01:12:24 ID:EjRjQcUI
背後から声をかけられた。その低い声音からして、男性のようだ。
「怖がらなくてもいい。私は見ての通り刑事だ。さあ、こちらを向いて事情を話してくれたまえ」
「刑事...?」
刑事。それは、市民の味方...つまりは、正義の味方だ。あたしが憧れて...でも手の届かない人たちだ。
その事実が、心優しくも心配してくれる人に対して、あたしを強く反発させてしまった。
「うるさい...放っておいて」
「そうもいかない。こんな危険な状況だ。一般市民を見捨てるわけにはいかない」
だというのに、刑事さんは一歩もひいてくれない。それどころか、あたしを見捨てないとまで言ってくれている。
「あはは、なら大丈夫だよ。だってあたし人間じゃないもん。あたしなんかに構ってるひまがあるなら他の人を探しに行ってあげてよ」
「...いまの私の目には、か弱い女子中学生しかうつっていないがな」
刑事さんの優しい言葉が、あたしの心を抉ってくる。そして、そのぶんだけあたしの心は妬みで汚れていく。
人の都合も知らずに―――!
そう言いかけてふりむいたとき、あたしは言葉を失った。
なんでかって?だって考えてもごらんよ。刑事さんだと思って振り向いたらさ


海 パ ン 一 丁 の 変 態



がいたんだよ?そりゃ思考の一つや二つ、フリーズもするわ。

214 ◆dKv6nbYMB.:2015/05/04(月) 01:14:45 ID:EjRjQcUI
い...いやいや。落ち着け美樹さやか。ここは島だよ。ひょっとして、海水浴かなんかでたまたま来てて巻き込まれただけかもしれない。
それで、着替える時にネクタイから先に着けちゃったうっかりさんなだけかもしれない。
それを変態扱いは...

「む。そういえば自己紹介をしていなかったかな。私としたことが、これは失礼した。では改めて名乗らせていただこう。
股間のモッコリ伊達じゃない!
陸に事件が起きた時、
海パン一つで全て解決!
特殊刑事課三羽烏の一人
海パン刑事、ここに参上!」


どうやらこれがデフォらしいよチクショウ。どうみても変態です、本当にありがとうございました。


「さあ、きみが悲しんでいた理由を話してくれるかね?」
変態のかけてくる言葉で、ハッと我に返る。同時に、またも心が歪んでいくのがわかる。
ああ見えても、この人は刑事なんだ(本当かどうかはわからないけど)。あたしなんかとは違う、本当の正義の味方なんだ...
「何度も言わせないで。あたしなんか放っておいてよ」
「言葉を返すようだが、それは無理だ。私は市民の安全を守る刑事なのだからな」
(違うんだよ、刑事さん。あたしは卑怯で、汚くて、どうしようもない屑なんだよ)
あたしたちの間に、沈黙が流れ、代わりに風が木々をざわめかせる。
「...どうやら、警戒は解いてもらえないようだ」
しばらくすると、刑事さんは両手を腰に当て
―――スルルルル
あまりに自然な流れで、何の躊躇いもなく海パンをずりおろした。
あたしがその行為を認識できるまでにかかった時間、約3秒。
「!?」
「恐れることはない。これで私は、正真正銘の無防備状態だ」


海パンが下ろされ、露わになった男の勲章。
普段は見慣れないそれを見たあたしは叫んだ。
「ぎゃあああああああああああああぁぁぁぁぁ!!」
...ええ、それはもう清々しいくらい叫びましたとも。

215 ◆dKv6nbYMB.:2015/05/04(月) 01:16:23 ID:EjRjQcUI
なにが刑事よ!こんな正義の味方がいてたまるか!
「いいかい、今からそちらに行くが...落ち着いて私の話をきいてくれないか?」
股ぐらのキノコをぶらつかせながら、変態はあたしにゆっくりと歩みよってくる。なんかもう色んな意味で泣きたくなってきた。
「むかし...むか〜しのことじゃった。あるところにお爺さんとお婆さんが...」
人はどうやって産まれるかって話!?この状況にかこつけて手を出そうなんて...この変態ロリコン刑事!
「こ、来ないで!」
あたしは、魔法で剣を作り、変態を牽制する。
「......」
「ち、近づいたら、その粗末なものブッた斬るからね。この変態!」
言葉に出して、馬鹿らしく思う。
(あたし、この期に及んでまだ自分が可愛いの?...ほんと、どうしようもないよ)
あたしが一瞬目を伏せた瞬間、変態が信じられない速さで駆けだしてきた。
「とうっ!」
そのまま、空高くジャンプ!あたしは反射的に剣をふるってしまう。
だが、変態は空中で開脚し、あたしの両手首を蹴りつける。その衝撃で剣を落としてしまう。
(こ、この体勢は...)
変態のカメさんがあたしとコンニチワする。おそらく1秒後には、この子とキスすることになるだろう。
(おわった...)
全てを諦め、目を閉じる。あたしに押し付けられるのは、変態の生暖かいキノコ


「ようやく、わかってくれたようだね」


ではなかった。

216 ◆dKv6nbYMB.:2015/05/04(月) 01:22:25 ID:EjRjQcUI
変態のゴツゴツとした逞しい手の平が、あたしの頭に乗せられる。
フルチン丸出しの変態なのに、不思議と嫌悪感がわかなかった。むしろ、優しい温もりに包まれているかのようだ。
この人は、やましい心無しに、あたしを純粋に心配してくれていたんだ
だからこそ、疑問に思う。
「...して」
「ん?」
あたしは、この人に対して剣を向けた。罵声も浴びせた。なのに、この人は憶せず裸で向き合ってくれた。
「どうして...あたしなんかを気にかけてくれるの?」
彼は、大人の渋みを漂わせる笑顔で答えた。
「私は特殊刑事課三羽烏の一人、海パン刑事だ。刑事たるもの、困っている市民は見捨てれん」
もう三度目になるこの返答。でも、今までとは違い、彼の言葉を素直に受け止めることができた。
「何も隠すことはない。さあ、心を裸にして全てを吐きだせばいい。そのための私だ」
何も隠すことは無い。全てを吐きだせばいい。その言葉で、あたしの溜まっていたものが蠢いていく。
気が付けば、涙が頬を伝っていた。
「あ、あれ?なんで...」
目を擦り、涙を止めようとするが、その手を刑事さんに止められる。
刑事さんは、それでいいと言わんばかりに、微笑んでくれた。


―――気が付けば、あたしは、涙と共に刑事さんに全てを吐きだしていた。
その行為になんの気恥ずかしさも感じず、むしろ、全裸でお風呂へ跳びこんだときのような清々しい解放感すら感じていた。

217 ◆dKv6nbYMB.:2015/05/04(月) 01:26:56 ID:EjRjQcUI
刑事さんは、あたしの独白を同情も批難もせず、ただ黙って聞いてくれていた。
いまのあたしには、それがとてもありがたかった。
「...よく、話してくれたな」
再び、頭に手を乗せられる。
なんだか、自分が思ったより子供だってことを思い知らされてこそばゆく感じた。
「それで、きみはこれからどうしたい?」
「あ、あたし...」
さっきまでは、なにをどうすればいいのか頭の中でこんがらがってた。
でも、全部吐き出してからは強く思える。
「あたし...みんなに謝りたい。謝って、みんなと一緒にいたい」
自分勝手に皆を振り回してきたのは自分だ。そんなことが許されるはずもないかもしれない。
でも、刑事さんは力強く答えてくれた。
「ならば、私が力になろう。きみを必ずこの島から脱出させると約束する」
「あ、ありがとう...みんなとまた、仲直りできるかな」
「なあに、最初はわかってもらえなくても、このように裸になって伝えれば、必ず解りあえるさ」
「それはちょっと勘弁」


あたしがやるべきことは決まった。
まずは、この場を生きることを考えよう。生きて、ちゃんとみんなに謝るんだ。
そして、もう一度あの日常へ...



「ところで、刑事さん。そろそろアレを...」
「むっ?ああ、すまない。ネクタイが緩んでいたか」
「そっちじゃなくてもっと下!」


【B-7/一日目/深夜】
【美樹さやか@魔法少女まどか☆マギカ】
[状態]:健康、だいぶスッキリ
[装備]: 制服、ソウルジェム
[道具]: 支給品一式、その他不明支給品
[思考・行動]
基本方針: 生きて帰って、みんなに謝る。
1: 海パン刑事と行動する。
2: とりあえずパンツを穿いて

※支給品一式には目を通していません。そのため、まどかたちがいることを知りません。
※魔法少女のことについてだいたい話しました。
※心を裸にすることに喜びを憶えました。ただ、全裸自体にはまだ抵抗があります。
※参戦時期は、8話でまどかを罵倒して別れた後です。

218 ◆dKv6nbYMB.:2015/05/04(月) 01:27:48 ID:EjRjQcUI

うむ、いつも通りうまくいったようだ。
検挙率100%の私にかかれば、傷心の少女を説得することなど容易い。
全裸になって全てを曝け出すことにより、誠意を持って相手と接し、我が汚野家に伝わる秘伝のオイルで相手の気持ちを落ち着かせる。
やはり私のやり方は合理的だな。
(それにしても、魔法少女か...)
両津が聞いたら利用して金儲けに使おうと考えるかもしれんが、私は違う。
いくら不思議な力を持っていようと、やはり彼女は一般市民なのだ。保護しないわけにはいくまい。
そう...私は、刑事として市民を保護しなければならないのだ。
おそらく、巻き込まれた者の中には、この異常事態に錯乱してしまう者もいるだろう。
そんな状況で皆を纏めあげることは普通の刑事には不可能かもしれない。
だが、この島には私と両津たちがいる。
私と奴らが力を合わせれば、どんな困難もたちどころに解決できる。
しかし、私としたことが、ネクタイが緩んでいたことに気が付かなかったとはな。
気が緩んでいた証拠だ。反省しなければ。



【海パン刑事@こちら葛飾区亀有公園前派出所】
[状態]: 健康、全裸
[装備]: いい匂いのするオイル@こちら葛飾区亀有公園前派出所(支給品)
[道具]: 支給品一式、その他不明支給品1〜2、海パン
[思考・行動]
基本方針: 島からの脱出。
1:刑事として市民を守る。
2:怯える者・錯乱する者には全てを曝け出して語り合う。
3:両津たちと合流する。
4:気を引き締める

※支給品には目を通してあります。
※海パンからは何も出せません。
※魔法少女のことはだいたい把握しました

219 ◆dKv6nbYMB.:2015/05/04(月) 01:30:28 ID:EjRjQcUI
投下終了です。
タイトルは『人魚姫の涙』です。
誤字・脱字・その他問題などあればご指摘お願いします。

220名無しさん:2015/05/04(月) 05:14:18 ID:pGk4rATE
投下乙です
変態だあ…(どん引き)

221名無しさん:2015/05/05(火) 09:22:34 ID:mxantBIg
マミ、まどか、ラバーソールを投下した人は指摘もあるようですが説明や修正などの意思はありますか?

222 ◆/ebAZhNPSM:2015/05/05(火) 10:52:42 ID:cv7oMdag
没SSを投下します

223 ◆/ebAZhNPSM:2015/05/05(火) 10:53:42 ID:cv7oMdag
目が覚めると犬吠埼樹は謎の乗り物に乗せられて島に運ばれていた。
思考を働かせるが、自宅のベッドで眠りに付いた所までは覚えているが
それからの記憶は無い、気づいたら乗り物の中に乗せられていた。

(どうして私はここに入れられてるんだろう?)

何かの目的を果たすために大赦が与えた指令なのだろうか?
乗り物の中を見回すとデイバッグが収納されており
中を見てみるとさまざまな道具が入っていた。
道具の一つから光っている物を見つけるとそれはタブレットだった。
からの情報では島が放射能に汚染されていて
アンテナには核が設置されていると書かれていた。

どうしてこんな事になっているのか。
樹には到底理解出来なかった。
タブレットには島に集められた人達の情報も載っていた。
その中には勇者部の仲間達の名前も記載されていた。
会いたい、皆と会いたい。
しばらくすると外部へ出るための扉が開かれた。
乗り物から抜け出した樹は皆に会いたい一心で歩み始めた。

(……そうだ!携帯で連絡を……)

制服のポケットに手を入れると、樹が普段愛用している携帯電話が入っていた。
さっそくお姉ちゃんに向けて電話をかけるが一向に繋がる気配が無い。
他の部員へかけても同様に繋がらなかった。
この島では携帯での連絡のやり取りが出来ないようだ。

(どうしても繋がらない……それにこれは……)

携帯を操作している時にあるアプリがダウンロードされているのに気付いた。
勇者アプリ、樹が勇者へと変身する時に必要になるシステム。
これはバーテックスとの戦いが終わり、勇者を引退した時に削除されたはず。
なぜこの機能が追加されているのか。
謎は解けない、けど連絡が取れない今はお姉ちゃん達との合流を優先したい。
携帯を制服のポケットへ入れた樹は再び歩いた。

224 ◆/ebAZhNPSM:2015/05/05(火) 10:55:44 ID:cv7oMdag
「ここは………学校……?」

夜道を進んでいった先に木造の大きな建築物が視界に入った。
明かりが点いていない所から、今は使われていないのだろうか。
でももしかしたら中に誰かがいるかもしれない。
不安と期待が入り混じった不安定な感情を胸に秘め
樹は廃校舎の入口へと入っていった。

(く……暗いよ……)

犬吠埼樹は人一倍怖がりであった。
夏休みの合宿中に怪談話を聞かされた時は、真っ先に姉のいる布団の中に潜り込んでしまうほどに。
それだけ今の廃校舎は不気味だった。

校内は非常灯すら付いておらず、窓から差す月明かりによって
辛うじて明るさが保たれている薄暗さ。
床はかなり古く、歩くだけでギシ……ギシ……と木が軋む音が
静寂に包まれた旧校舎に鳴り響く。
まさに肝試しをするにはうってつけのホラースポットと呼べるだろう。

「すいませーん!誰かいませんかー!?」

今すぐにでも逃げ出したい怖さだが、それ以上に誰かに会いたい想いが強い。
樹はデイバッグから懐中電灯を取り出してライトを付けた。
怪我をしないよう周囲を明かりで照らしながら廃校舎の探索を開始した。

教室を一室ずつライトで照らして確認していく。
机と椅子が散乱したまま放置されていて凄く荒れていた。
誰かが暴れていたのか砕かれている物もある。
4つ目の教室に入り、明かりを照らす。
そこには窓の方を向いて椅子に座っている人の姿がライトに映った。
校内に人間は残っていたのだ。

「……あ、あのー!………」

樹は心臓のドキドキを抑えながら声をかけるが反応は無い。
座ったまま眠っているのか、頭が下へ向いたまま動かない。

「すみません……聞きたいことがあるんですが………」

樹は椅子に座る人物にゆっくりと近づく。
申し訳ないと思いつつも背中を擦って起こそうとした。

ドサリ……。

ほんの少しの力で背中に触れただけで相手は椅子から倒れた。
床に叩きつけられた衝撃で顔の向きが変わり
相手の顔が樹の視界に入った。

225 ◆/ebAZhNPSM:2015/05/05(火) 10:56:51 ID:cv7oMdag
「ひっ……いやぁぁぁぁぁぁぁ!!」

恐怖で一瞬青ざめた後、樹は悲鳴を出して教室から飛び出した。
教室に座っていたのは腐敗した死体だった。

「うう……お姉ちゃん、お姉ちゃん……会いたいよぉ……」

涙目になりながら廊下を走っていると樹の体に生理現象が襲い掛かる。
恐怖のせいで体が縮み上がり、急に尿意が催してきた。
丁度目の前に女子トイレを発見した樹は迷わずトイレの中に向かった。

「……はぁ」

和式トイレの便座の上で屈んで下着を下げると
秘所からチョロチョロ……と黄金色の尿を放出した。
最後の一滴まで出し切り、一呼吸置いてから紙へと手を伸ばした。

「な、ない……」

ここは廃校舎、とっくに使われていない学び舎である。
そんな場所にトイレットペーパーの補充などあるはずも無く
とっくに紙など切らしていた。

紙で秘所を吹くのを渋々諦め、下着の位置を戻した樹。
だがそれだけではない。
トイレのレバーを押しても反応が無かった。

もちろん水道もとっくに止められている。
樹が出した黄金水は流される事なく、便器の中に留まり続けるのだ。
自分のおしっこが流せずに放置するのはとても恥ずかしい。
しかし水道が使えないなら諦めるしかない。
樹は羞恥心で顔を赤くしながら便器から離れた。

「……はぁ、やっぱり出ない……」

試しに手洗い場の蛇口を捻るが水は出ない。
トイレの後の手を洗う事すら出来なかった。
年頃の少女には酷な環境である。

樹は暗い気分で手洗い場の鏡を見た。
落ち込んだ自分と、背後から近づくミイラ男の姿……ミイラ男!?

226 ◆/ebAZhNPSM:2015/05/05(火) 10:58:06 ID:cv7oMdag
「―――ッ!!?」

鏡に映るミイラ男に驚き、樹は後ろへと振り返った。
そこには誰もいない、気のせいだったのか。
教室で死体を見たショックで幻覚を見ていたのだろうか。
落ち着くよう自分に言い聞かせた樹は振り返るのをやめて再びを鏡を見た。

「きゃあッ!!」

幻覚ではなかった。
鏡に映るミイラ男は樹のすぐ傍まで迫っていた。
現実の世界ではミイラ男の姿を認識できない。
鏡の中でのみ、その姿が映し出されていたのだ。

『おまえ……おれの姿が見えているのか?スタンド使いか?』
「だ、誰なの……?」

鏡の中からミイラ男が語りかける。
聞きなれない単語が出てくる。
バーテックスとは全く質の違う怪物の出現に、樹の理解は超えていた。

『まあいい……どのみち、おまえはここで死ぬのだからなぁ〜〜〜ッ』
「―――ッ!?」

ミイラ男の手首に装着されたナイフが樹の胸元に向かって振り下ろされる。
ナイフが胸に突き刺さる瞬間、植物の種を連想させる精霊が出現した。

『なに……ッ!?スタンドだと……いや、腕から伝わるこの感じはそれとは別、この能力は……』

自らが盾となってミイラ男のナイフを受け止める精霊。
それは勇者になった樹が与えられた『木霊』と呼ばれる精霊であった。
勇者の身に危険が訪れた時、本人の意思とは関係無く自動的に精霊が命を守ろうと行動する。

(……今のうちに逃げないと)

空中で攻撃を受け止めて、火花を散らしながら防ぎ続けている隙に
女子トイレから出ようとする。

『させるかッ!!』

精霊の防御を強引に突破したミイラ男は樹に向かって飛びかかった。
ナイフが背中に届く寸前で樹は女子トイレから抜け出す。
ミイラ男は自分がいる鏡に映らない場所までは攻撃できなかった。

227 ◆/ebAZhNPSM:2015/05/05(火) 10:59:04 ID:cv7oMdag
(はぁはぁ……早く学校から出ないと……ッ!!)

ミイラ男の襲撃から逃れようと樹は玄関に向かって走る。
すると鋭い痛みが足に伝わり、バランスを崩して倒れる。
右足のふくらはぎが、刃物でぱっくりと抉られていた。
これでは走ることが出来ない。

『クククッ……逃げられると思ったかぁ〜〜〜?』
「ひぃっ!」

廊下のガラスにミイラ男の姿があった。
鏡だけではない。
光が反射する物、全てが鏡の中の世界でありミイラ男が行動できる範囲内である。

「……逃げ………ないと、はやく……」

目の前に保健室がある。
片足を引きずりながらも体勢を整えなおした樹は
保健室の中に入り、急いでドアを閉じて鍵をかけた。

「これで……きゃぁぁぁ!!」

ミイラ男が保健室の窓に張り付き樹の様子を伺っていた。
樹はドアの鍵を外して廊下に出ようとするが
ミイラ男の歩みの方が速い。

『おまえはもうここから生きて出られることは無いッ!!』

樹は反射的にデイバッグを盾代わりにしてかざす。
ミイラ男のナイフがデイバッグを切り裂いて中身をぶちまける。
樹に支給された愛用のタロットカードが勢いよくバラまかれ
カードの一枚がミイラ男の傍に映るように舞った。

それは『吊るされた男』

暗示は『無意味な犠牲』『無駄な我慢』『固定概念に縛られる』

228 ◆/ebAZhNPSM:2015/05/05(火) 11:00:43 ID:cv7oMdag
ミイラ男が樹の喉元を掴んだ。
樹の両足が床から離れて、首の締め上げが強くなる。

「ぐぐっ……お姉ちゃん……」
『んんっ?おまえ、姉がいるのか?なら丁度いい。おまえを殺したあとで、姉の方も殺しといてやるよ』
「……いや……おねえ……ちゃんは……やめ、て……」
『あの世で姉妹仲良く報告するんだなぁ〜〜〜おれにどうやって殺してもらったかをなぁ〜〜〜ヒャハハハッ!!』

殺される?
お姉ちゃんが殺される?
私の大事なお姉ちゃんがあの怪物に?
……それだけはさせない。
世界で一番大切なお姉ちゃんをあんな怪物なんかにッ!!

『なんだッ!?』

樹の体から緑色の輝きを放ち、ミイラ男を怯ませた。
緑の花びらが舞い散り、樹の姿が変化した。
一度は勇者システムを手放し、引退をした。
だが新たな地で、最も大切な人達を守るべく
犬吠埼樹は再び勇者になる。

「あなたなんかにィ――ッ!!お姉ちゃんをッ!!殺させないッ!!」

樹の腕に装着された武器からワイヤーを飛ばして保健室の窓ガラスを全て切り裂く。
廊下のガラスに移動したミイラ男は一瞬、呆気にとられた表情をしたがすぐににやけ面へと変わる。

『ククク……驚いたぞ。まさかそんな力を隠し持っていたとはな
 だがおまえは鏡の中に入れない。鏡を壊すことは出来てもおれに攻撃することは不可能なのさ』

ミイラ男のナイフが樹の右肩に突き刺さる。
以前、樹が劣勢であることには変わりない。
それでも樹の瞳には闘志が消えていなかった。

勇者部五箇条『なるべく諦めない』

例えどんな困難が目の前にあろうとも最後まで足掻けばきっと乗り越えることが出来る。
勇者として活動してきた樹は臆病だが、その信念は本物である。

229 ◆/ebAZhNPSM:2015/05/05(火) 11:02:04 ID:cv7oMdag
樹の放たれたワイヤーが廊下のガラスを次々と破壊する。
それでもミイラ男の体には傷一つ付かない。

『ハァッ!!』
「くうっ……まだまだァ!!」

左脇腹が切られる。
反撃にワイヤーを飛ばすもガラスが細かく砕けるのみ。
ミイラ男の居場所が増え続けるだけであった。

『もう、諦めて大人しく―――ッ!?』

樹の体が再び輝きだす。
先ほど変身した時とは大違いの輝きで。
樹の背後に巨大なユリの花が咲き誇り、更に進化を遂げた。
樹は満開ゲージが溜まるのを待っていた。

満開、それは勇者が使う最強の切り札。
溜まったゲージを消費して新たな姿に変わり
更なる力を得る事ができる。

『何度も姿を変えようが結果はかわらんぞッ!!』
「そんなのやってみなくちゃ分からない!!」
『は、速いッ!?』

樹はミイラ男のスピードを凌駕した動きで攻撃を躱し校舎の外へ出た。
上空へ飛んだ樹は大量のワイヤーを放出し、廃校舎全体を包み込んだ。

『おまえッ!!まさか〜〜〜ッ!!?』
「これでぇぇぇ!!終わりぃぃぃぃぃ!!!!」

大量のワイヤーが廃校舎を内部まで切り刻み、倒壊が始まる。
校内にある全てのガラスが砕け散り、ミイラ男の頭上に瓦礫が降り注いだ。

『ぐぅおおおおおおおおおおおッ!!!』

樹の目の前で廃校舎が崩れ落ち
空高く舞い上がる粉塵が瓦礫の山を覆い尽くした。

230 ◆/ebAZhNPSM:2015/05/05(火) 11:03:12 ID:cv7oMdag
「………………………………」
(やったよ……お姉ちゃん……)

変身が解除されて元の制服姿に戻った樹は
廃校舎跡からゆっくりと立ち去った。

満開を使った者は代償を支払うことになる。
それは満開を使用した後に散華と呼ばれる現象が起こり
身体の機能の一部を失うことになる。

それでも樹は悲しみはしない。
姉の命を狙う怪物を倒すことが出来たのだから。

【J3/廃校舎跡/一日目/深夜】

【犬吠埼樹@結城友奈は勇者である】
[状態]:疲労(大) 声帯の機能の損失、右肩裂傷、左脇腹裂傷、右ふくらはぎの一部欠損
[装備]: 無し
[道具]: 樹の携帯
[思考]
基本: 勇者部の皆に会いたい
[備考]
※アニメ最終回終了後からの参戦です。
※散華によって声帯の機能を失いました。
※樹の所持品は廃校舎跡の中で埋まっています。
※制限により精霊の自動防御は連続で行えません。
※散華の後に精霊の追加はありません。
※バトルロワイアル中での散華の回復は不可能です。







廃校舎跡の瓦礫の中で砕け散ったガラスの中でミイラ男はほくそ笑む。

『ククク……』

まさか俺が再び生を受けるとはな。
板のような機械から『君を生き返らせた。好きなだけ殺戮を行え』と命令されたのは癇に障るが
せっかく貰った命だ、やりたいことを楽しませてもらうぜ。
だが俺を殺した連中には用心をしておこう。
あの時は油断した俺が独断専行をしたから敗れたのだ。

この島には相棒やお袋が来ているらしい。
連中と組んで共同で仕掛ければ俺たちが負けることは無いだろう。
今度は逆に俺たちがてめえらを地獄に送ってやるぜ。

『ククク……ハハハ……ハァーハッハッハッハッハッハッ!!!!』


【?????@??????????】
[状態]:???
[装備]:???
[道具]:???
[思考]
基本:殺戮を楽しむ。
1: 逃げた少女(犬吠埼樹)を追い詰めて殺害する。
2: 相棒(?????)やお袋(?????)と合流する
3: 自分を殺した連中には用心して挑む。
[備考]
※状態表の一部が隠されています。
※本体の存在や能力を看破することで隠された情報が提示されます。
※主催者から個別で指示を与えられています。

231名無しさん:2015/05/05(火) 11:04:47 ID:cv7oMdag
没SS投下終了 タイトルは『犬吠埼樹は再び勇者になる』です

232名無しさん:2015/05/05(火) 18:26:21 ID:2kNV1Lwo
え?

233 ◆qB2O9LoFeA:2015/05/13(水) 15:56:17 ID:a0NJ6wa6
投下します

234embryo&incubator ◆qB2O9LoFeA:2015/05/13(水) 16:03:08 ID:a0NJ6wa6







「もう一度言う、動くな。」

 そう言うとマリク・イシュタールは、千年ロッドを『人質』に突きつけた。
 その杖の先があと数センチ動けば、どうなるかわかったものではない。

「テメェ‥‥汚ぇぞ!」

 悔しそうに叫んだのは佐倉杏子だ。マリクから離れること5m強。『人質』を挟んで向かい合っている。

「汚い?オイオイ冗談キツいねぇ。先にふっかけたのはどっちだぁ?」
 コツン、とマリクはロッドで『人質』を叩く。
 それを見た杏子は踏み出しかけていた足を止めざるを得なかった。

235embryo&incubator ◆qB2O9LoFeA:2015/05/13(水) 16:11:29 ID:a0NJ6wa6



 卵である。
 最初にマリクが球体から出て見たものは、まさしく卵としか言い様のないものだった。

(‥‥なんだアレ‥‥)

 傍らのデイパックを漁り中の物を確認し、とりあえず球体から出ようとしたところで発見した卵。
 なにか台座のようなものに乗せられているそれは、懐中電灯で照らすとまだら模様の黒い部分で鈍く光を跳ね返しながらでんと鎮座している。

(で、上には鉄塔と。)

 マリクは懐中電灯を上に向けた。
 見れば、アンテナのようなものが付いた鉄塔が建っている。どうやら、自分が最初に入れられていた玉は鉄塔の敷地にあったらしい、そうマリクは理解した。

 ドン。

 理解して、心臓を貫かれるような感覚を覚えた。
 なにか、とても嫌な、とても嫌なことになりそうな予感がする。
 それはマリクが決闘者として磨かれた勝負勘のようなものかまたは本能的なものか。それはマリク自身にも解らなかったが、予感にしたがって警戒するのに変わりはなかった。

(鉄塔、アンテナ、卵‥‥なんだ、なんだこの嫌な感覚は!)

(落ちつけ、ヒントはある‥‥!)

 マリクはデイパックを開けた。
 千年ロッド、ペットボトル‥‥タブレット。
 目当てのタブレットを見つけると引っ張り出して操作する。その時間は数十秒から一分弱といったところか。その僅かな時間にマリクの顔はひきつりにひきつっていた。

(まさか‥‥いや、アレが‥‥)
「核、か?!」

 マリクは懐中電灯で『卵』を照らした。
 アンテナのようなものが付いた鉄塔と、アンテナの近くにあるという核爆弾。この鉄塔がもしアンテナならば、あれが核である可能性はある。

 マリクは『卵』に近づくと子細にあらためた。よく見ればところどころ土で汚れ、それをこそげおとすと金属でできているような黒い部分が現れる。まだらに見えたのは付着した土のせいだろう。ダチョウの卵ほどの大きさ、というのはマリクには解らなかったが、それが『核爆弾』としては小さいというのはマリクにも思えた。
 次に、マリクは台座に目を向けた。『60』と表示されたディスプレイを除き『卵』と同じ材質でできているようだ。

(いや、いやいやいや、いくらなんでも核って)
「こんなもんがか‥‥?」

 ツン、と『卵』をマリクはつついてみた。
 特に異常は見られない。
 コン、と『卵』をマリクは叩いてみた。
 特に異常は見られない。
 ガン、と『卵』をマリクは蹴ってみた。
 ビイィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィ。
「うおォ!?」

 ぐらり、と『卵』が台座の上で傾くと同時にけたましくブザーが鳴り響いた。同時に台座のディスプレイがカウントダウンを始める。
 ズンと『卵』が自重で戻ると、二つとも収まった。

「なるほど‥‥」

 マリクは、ニヤリ、と舌なめずりをしながら笑みを浮かべた。

「━━ひょっとしたら、使い方次第で楽しめそうだな。」

236embryo & incubator ◆qB2O9LoFeA:2015/05/13(水) 16:45:18 ID:a0NJ6wa6



「あ?」

 佐倉杏子がその音に気がついたのは風向きのせいか、鋭敏な聴覚のせいか、それとも他の巡り合わせか。
 金属球の扉が開いてすぐに移動を開始し、開けた荒野から手近な建物を目指した彼女は、すぐに目当ての廃墟へとたどり着いていた。

 しかし、入ることはためらわれた。

 廃墟から起きたブザーのような異音。
 建物の中庭からだろうか、突き出た鉄塔。
 そしてその鉄塔に付いているアンテナ。

(あれ?ヤバくね?)

 杏子が思い出したのは先程の放送だ。体のだるさを覚えながらも、『聞いておかないとマズイ』と感じて頭に叩き込んだそれは、くしくもマリクと同じようにある可能性に気づかせた。

「アンテナの近くに核爆弾とか言ってな‥‥」

 すっ‥‥、と廃墟の入り口に張り付く。中からは僅かに人の気配がした。

「核か‥‥まあ魔法少女なら‥‥」

 が、慢心。
 慎重に内部へと歩みを進める。
 幅の狭い通路を挟んですぐに中庭が見え‥‥同時に一人の人影を見つけた。

(デイパックは持ってるみたいだな、よし。)

 クラウチング。
 低く体勢を取ると、狙いをつける。
 なんと言うことはない、彼女がこれからしようとしているのは略奪。このような、まさしく食うのに困る異常事態で最初にすべきは自身の安全と衣食住の確保。

(ま、殺しはしないけど━━)

 魔力を足に集める。いつでも飛び出せる。

(━━頂く━━なっ!?」

 そして飛び出し、二歩目で横への移動へと変える。音をたてて飛来した礫を交わすと杏子はマリクと向かい合った。そして。

(?なんだあの卵みたいなの?棒なんか突きつけて。)
「動くなぁっ!!動けばこいつを爆破する!」
(‥‥!?まさか、おい‥‥!)

 ニヤリ、とは言えない異形の笑みを浮かべてマリクは叫んだ。


「この核爆弾が人質だァッ!」

237embryo & incubator ◆qB2O9LoFeA:2015/05/13(水) 17:08:48 ID:a0NJ6wa6



「もう一度言う、動くな。」

 そう言いながらマリクは、内心安堵のため息を吐いていた。彼が杏子の接近に気がついたのは、杏子が飛び出す寸前のことだ。放射線により感知しがたいとはいえ、千年ロッドは魔法少女の強い魔力を嗅ぎ付けたのだ。とはいえ、それもたまたまマリクが礫を持っていたからこそ活きたことだ。さすがに千年ロッドで『卵』を叩くのには抵抗のあった彼が何気なく持っていたそれが、彼の立場を大きく変えた。

「テメェ‥‥汚ぇぞ!」

 一方の杏子はそう叫びながら、マリクとの会話を試みようとしていた。今すべきことは、あの『人質』が果たして本当に核爆弾なのか。それとも違うのか。そして。
(アイツの持つ杖‥‥とりあえずアレを弾き飛ばす。)
 集中する意識はマリクの持つ杖、その下の地面。自分から離れたところに正確に槍を生み出すために魔力を調整する。

「汚い?オイオイ冗談キツいねぇ。先にふっかけたのはどっちだぁ?」

 コツン、とマリクはロッドで『人質』を叩く。



 故に、それを見た杏子は方針を変更決定した。

(アレが核爆弾って証拠はない。)

(もしアレが核爆弾でもあんぐらいならぞんざいに扱ってもセーフ。)

(なにより、コイツはなんかヤバい!)

 杏子は踏み出しかけて止まっていた足を戻す。マリクはそれを見て薄く声をあげて笑う。僅かに意識がそれる。足を戻して。


 千年ロッドが光ると同時に飛び上がった。

「何ぃ!」

 千年ロッドの異変に気づいたマリクの腕に衝撃が走る。荒れたコンクリの地面から、確かに『槍』が生え、千年ロッドをあらぬ方へ向けさせていた。

(弾き飛ばせなかったか、ま)
「終わりだよ。」

 壁を蹴っての三角飛びで上をとった杏子は倒れこむようにマリクを押さえつけた。

238embryo & incubator ◆qB2O9LoFeA:2015/05/13(水) 17:29:51 ID:a0NJ6wa6



「ナメるなァァァッッッッッ!!!」

 吼えるマリクを無視して杏子は腕を極めにかかる。うつ伏せの状態で腕を抑えられて拘束されている以上、もっともいくらマリクの上背があるとはいえ魔法少女に敵うはずがないが、杏子の優位は揺るがない。

「静かにしな、男だろ?」
「ぐぅ‥‥っ‥‥!」

 腕を極めると今度は喉を抑える。叫べなくすると同時に、杏子はマリクを落としにかかった。

「手こずらせやがって、落ちろ!」

 だから油断した。
 千年ロッドを弾き飛ばせなかったことを軽視し、千年ロッドに集められた『力』を見落とし、その光が弾き飛ばそうとしたときから増しているのが視界に入らなかった。


 ばき。


「落ちた、なあ!?」

 杏子は首に衝撃を感じながら、奇妙な解放感を感じた。と、同じくして自分が乗っている男、マリクの背に妙な機械が落ちているのを見た。それはちょうど、マリクの首にはまっている物と瓜二つだ。

「もしかしてこれっ。」
「形勢逆転、って言うんだったかァ。フハハハハハァ‥‥」

 ゴフゴフと咳き込みながら、マリクは哄笑を上げると、首だけ向けて杏子に目を合わせた。

「その首輪似合ってなかったんでなぁ‥‥外してやったよ。」

239embryo & incubator ◆qB2O9LoFeA:2015/05/13(水) 17:49:41 ID:a0NJ6wa6


「ざっけんな!!!」
「グガアッ!!‥‥ゴフ、フフ、フハハハハハ、アァハハハハハハハハハハハッッ!!」

 杏子は怒りに任せてマリクを叩きつけた。魔法少女のそれも半ば加減なしの力である。普通なら気絶するか、痛みで息ができないか。その一撃を受けて。

「フハハハハハハハハハハハハハハハハッッ!!」

 マリクは狂ったように笑っていた。自分へと一撃をくれた杏子の行動が、おかしくておかしくてたまらないといった具合に高笑いを響かせた。

 ビイィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィ‥‥

 そしてマリクの哄笑に合わせるように、ブザーが鳴り響いた。マリクにぶつかられころころと転がった卵。そしてその台座はけたましくブザーを鳴らしてカウントダウンを進める。

(ヤバい。)
 高笑いとブザーの二重奏が廃墟に鳴り響く。
(ヤバいヤバいヤバいヤバいヤバいヤバいヤバいヤバいヤバいヤバい。)
 刻一刻と終焉がやってくる。
(ヤバいヤバいヤバいヤバいヤバいヤバいヤバいヤバいヤバいヤバいヤバいヤバいヤバいヤバいヤバいヤバいヤバいヤバいヤバいヤバいヤバいヤバいヤバいヤバいヤバいヤバいヤバいヤバいヤバいヤバいヤバいヤバいヤバいヤバいヤバいヤバいヤバいヤバいヤバいヤバいヤバいヤバいヤバいヤバいヤバいヤバいヤバいヤバいヤバいヤバいヤバいヤバいヤバいヤバいヤバいヤバいヤバいヤバいヤバいヤバいヤバいヤバいヤバいヤバいヤバいヤバいヤバいヤバいヤバいヤバいヤバいヤバいヤバいヤバいヤバいヤバいヤバいヤバいヤバいヤバいヤバいヤバいヤバいヤバいヤバいヤバいヤバいヤバいヤバいヤバいヤバいヤバいヤバいヤバいヤバいヤバいヤバいヤバいヤバいヤバい)

 カウントダウンはあと20。

240embryo & incubator ◆qB2O9LoFeA:2015/05/13(水) 18:06:30 ID:a0NJ6wa6



【C6(とD7の境)の核爆弾設置地点/廃村/1日/深夜】

【マリク・イシュタール@遊☆戯☆王デュエルモンスターズ】
[状態]:闇マリク、ハイテンション。
[服装]:いつものアレ。
[装備]:千年ロッド。
[道具]:デイパック一式(内ランダム支給品の一つは千年ロッド)
[思考]
基本:とりあえずはこの状況を楽しむ。
1:いいねぇ‥‥その顔。
2:もう少ししたら『卵』を『台座』に設置する。
[備考]

【佐倉杏子@魔法少女まどか☆マギカ】
[状態]:呆然自失から立ち直った?首輪なし(マリクとほぼ同位置のため放射線障害はまだ起きない。)
[服装]:魔法少女。
[装備]:なし。
[道具]:デイパック一式
[思考]
基本:死にたくはないしとりあえず島の中央に向かう。
1:首輪が、いやまず核を、てかあれ核爆弾か?それとも‥‥
[備考]
●首輪が取れました。
●『台座』の横に『卵』が転がっています。あと二十秒以内に戻さないと起爆します。また『卵』内部の核爆弾になんらかの影響があった可能性があります。

241 ◆qB2O9LoFeA:2015/05/13(水) 18:11:19 ID:a0NJ6wa6
投下終了です

242名無しさん:2015/05/13(水) 20:36:27 ID:dI1XTh8o
投下乙です。
ただ首輪が外れたあたりがよくわからないのですが…
千年ロッドで切れ目がついて外れた?
それとも元々、簡単に外れるようになっていた?
OPのバーサーカーは殴った衝撃で首輪の機能を止めた感じでしたがそんな感じでしょうか

243名無しさん:2015/05/13(水) 21:18:31 ID:N.QKPXwg
投下乙です
今のところマリクさんに何の非も無いな
マリクさんが楽しそうで何よりです

244名無しさん:2015/05/14(木) 11:19:16 ID:AsqoVoMg
投下乙です。ちなみにキャスターと子狼のSSは本投下されないのでしょうか?

245 ◆qB2O9LoFeA:2015/05/18(月) 23:44:45 ID:JHsxIBTw
>>242
返信が遅れてすいません
マリクが杏子の首輪を破壊したくだりは、アニメ遊戯王デュエルモンスターズの王国編より、バクラがペガサスから千年眼を奪おうとしたときのレーザーの打ち合いの描写から千年アイテムに共通する能力として判断しました
腕を極めようとしている間にレーザーが首輪を直撃した感じですかね


まず先に小狼とキャスターの話を投下してきます

246 ◆11MEKbPvno:2015/07/25(土) 18:21:24 ID:nVr/BNVA
こちらにも投下とあったので投下します

247 ◆11MEKbPvno:2015/07/25(土) 18:22:08 ID:nVr/BNVA
「死ねっ・・・死ねっ・・・アカギ・・・!!!」

鷲巣が発射した無数のミサイルが次々と島に降り注ぐ。
それに巻き込まれてアカギに加えて何人もの参加者が何も分らぬまま散っていった。
皆それぞれ何かを為そうとしていた。
この状況下で何とかしようと模索していた。
だがそれは全て爆発に消えていった。
そしてミサイルの爆発は核爆弾の爆発を誘発していき--。

ドンッ

――ついには島の火山を噴火させるまでに至った。
この島は火山の影響で出来た島であり、島の中央の山はまさにそれだった。
もう長い間休火山化していたが、今回の多大な爆発で火が付いてしまった。
その二次災害によって辛うじて生き残っていた参加者達も、島の地下に本拠を置いていた鷲巣達も、全て死んでいった。
元々島の監視・緊急時の干渉を目的に本拠地は島の地下にあったが、それが裏目に出た結果となった。
誰にも何も出来ぬまま人の作りだした兵器と自然の脅威によって島は跡形もなく消え去った。

こうして歴史の修正力に踊らされたバトルロワイアルは島ごと消滅した。

宇宙の中に浮かぶ一つの星。
地球という名の星の何処かの島で起きた出来事。
奇妙で不可思議とも言える最後を知る者はいない。
理由なき見えざる意思によってもたらされた結果がただそこにあった。

【全参加者 死亡】
【全主催者 死亡】

【アニメキャラ・バトルロワイアル4th 完結】


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