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単発SS投下スレ

272私だけの女2/3 ◆4aIZLTQ72s:2018/07/17(火) 21:53:45 ID:s6iQaLQw0


第16回トーナメントで立会人を務めた少女、春奈(はるな)・モーティマーは、普段は隆星学園の生徒として、太平洋のど真ん中に位置する島で日々を過ごす。
この日、彼女が本土にいたのは、近日開催予定のトーナメントに向け、立会人らが招集をうけたからであった。
春奈は都内某所のビルで行われた学習会に参加したあと、宿泊先のホテルに戻ろうとしたところで、阿須名に声をかけられた。

「やぁ。お久しぶり。忙しそうだね」

春奈は阿須名をちらりと見て、それから少しばかり顔をしかめた。

「……何の用ですか?」

「頼みたいことがあるんだ。この男の住所を調べてほしい」

そう言って、阿須名は一枚の紙を春奈に差し出した。
春奈はそれを一瞥するが、受け取ろうとはしなかった。

「……探偵事務所にいかれては?」

「ダメ? 美味しいケーキをご馳走するよ。頼れる友達は君だけなんだよね」

「私がいつ貴女の友達になったんです?」

美味しいケーキは知りたかったが、春奈は乗らなかった。
はっきりと拒絶したはずだったが、それでも阿須名は全く意に介していない様子だった。
彼女に諦める気がまるでないことを察すると、春奈ははぁ、とため息をついた。

「……で、何か手がかりはあるんですか」

渋々と言った様子で、春奈は紙を受け取った。
阿須名はうっすら笑みを浮かべた。

「なんにもないよ。そこにSNSのアカウントは書いといたけど」

「充分です」

春奈はかばんからタブレットを取り出し、その場で運営のシステムを起動した。
阿須名から手渡された情報を、システムに入力していく。

「助かるよ。わかったら連絡ちょうだい」

「はい? ちょっと、どこへいくおつもりですか? 10分くらい待ってられないんですか、貴女は?」

阿須名が颯爽と去ろうとしたところを、春奈が呼び止めた。

「え、まさか10分で調べられるの?」

「当たり前です。こんなことに時間はかけません」

「マジ? 超カッコいい」

両目をキラキラと輝かせて、阿須名は春奈のタブレットを覗き込む。
外部の人間に運営のシステムを見せるのは厳禁だったが、抵抗するのも面倒なので、春奈はそのまま放っておいた。


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