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孕みし救世主

1名無しさん:2014/11/17(月) 01:35:16
「うむむ・・・勇者は未だに現れぬのか・・・」
王がため息をついた。
その王国、そして世界は存亡の危機に扮していた。魔王バルマグ率いる闇の軍勢によって。
だが、希望があった。王国から西にある小さな森。その森に眠る魔法の剣。数多の精霊と賢者たちによって造られたと言われている。
世界が存亡の危機に扮するときその魔法の剣に選ばれた救世主が、悪しきものを打ち倒し世界を救うと言う伝説が。
まさに今がその時だ。王国からそして外国から数多くの勇ましき者が岩に突き刺さる魔法の剣を抜こうとした。しかし遂に剣を抜ける者は現れなかった。

未だに現れぬ救世主と各地で猛威を振るう闇の軍勢。この国と世界も自分の代で終わるのか。王は深く悩んでいた。その時である。
一人の兵士が急いで駆けつけて言った。

「王様!つ、ついにま、魔法の剣を抜いた者が現れました・・・!!!」

王は急いでその選ばれし者を玉座まで連れてくるように命令した。
それから一時間後、兵士たちに連れられて剣を抜いた救世主が現れた。それを見て王は驚いた。
その救世主はまだ若く肉付きのいい農婦だった。だが王が驚くのは彼女の、服の上からでもわかる大きく膨らんだお腹である。剣を抜いた救世主は妊婦だったのだ。

「も、申し訳ありません!わ、わたしはただ薪割りに使う鉈がなかったので代わりにこの剣を使おうとしただけで・・・!ど、どうか命だけは・・・せ、せめてこの子の命ばかりは・・・!」

涙目で命乞いをする妊婦の救世主を見て、王は呆気に取られるしかなかった。



ドロシー(20)若き妊婦であり魔法の剣に選ばれた救世主。世界の命運は彼女の手と大きなお腹に掛かっている。


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