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投下用SS一時置き場4th

166エンドロールは流れない -混沌と英雄達の輪舞曲-14:2017/11/16(木) 14:10:08 ID:XoqtS/Ro0

『――しっかりするんだ!ミトス!!!』

…五月蠅い。瓦礫に仰向けに倒れたままミトスは僅かに苛立ちの念を覚える。
確かに物の見事に御大層な一撃を被ってしまったが、あくまで回避が間に合わなかっただけで
防御自体は余裕で間に合っている。シャルティエが危惧する程ダメージはそこまで深刻では無い。

「少し黙ってろ。集中出来ないし、耳障りだ」

ミトスはそう言い放つと、身体を起こし、意識を研ぎ澄ませる。
どうやら今のところ周囲に人の気配は無い。奇襲の後、深追いを避けたか
それとも…―――何れにせよ今のところ危険は無いか。
そう判断すると、ミトスは次に素早く自分の身体を診断する。
とりあえず魔術による火傷裂傷及び吹き飛ばされ、瓦礫に叩きつけられた打撲は
それなりではあるが戦闘に支障は無い。問題は銃弾を受けた左肩か。
骨がやられたらしく、上手く動かせそうに無い。

(少しばかり戦闘に支障が出そうだね。まあこの程度のハンデならどうとでもなるか)

そう結論付けると、ミトスはシャルティエにイクティノスの位置を再び探らせた。
無論ミクトランがイクティノスを回収していなければ動きは無いだろうが…。

『…ゆっくりとだけど西に移動してるね。多分―――』
「――ミクトラン、か」

シャルティエの言葉を遮り、ミトスは呟く。勿論ミクトラン以外の誰かの手に
イクティノスが渡った可能性もあるが、さすがにそんな馬鹿な失態は起こすまい。
無論、向こうもあの一撃で死んだとは楽観していないだろうし、イクティノスを手にした事で
再び此方に探知されるのは承知の上だろうが、それでもこうして動きだした事を見ても
ある程度の勝算や目的があると見ていいだろう。

(まあ、どう思うと勝手だけどね。此処で死ぬことには変わりは無いし)

ミトスは軽く身体の埃を払うと、今度こそ止めを刺すべく
ミクトランのいる場所に向けて翼を輝かせて飛翔したが、暫くしてその動きが止まってしまった。

『ミトス?』

シャルティエの言葉に返答せず、ミトスは暫しその場で立ち止まっていたが、
やがて1つ溜息を吐くと、ミクトランのいる場所から北に逸れた方角に飛翔を再開する。
天使聴覚が聞き覚えのある声を捉えたからだ。

(真逆、此処で出会うとはね…これでアイツがアレを持っていれば、
Deus-Ex-Machina<ご都合主義>此処に極まれり…ってとこだけど…多分そうなんだろうね、きっと)

やがてミトスは、その視界に旧知の存在を捉える。
もう片方は見覚えの無い人間ではあるが、その様子と声音から、今のところ敵意は無いものと判断し、
その会話に割って入るように言葉を紡ぐ。

「俺は今からロニを追い掛ける。アイツが向かった先と、チャットとキールが向かった先が一緒だったから、
もしかしたら戦いになってるかもしれない。皆を助けて、クレメンテを取り戻して――――」
「――――お前には他にやるべき事がある」

天使が知る由も無いが、直感は正しかった。
精霊王の加護を受けし炎の魔剣と水の魔剣、それらの真の力を使役するのに必要な鍵―――。
それら全てがついにこの場に揃う事となる。

「――――――ミトス」
「久しぶりだね、ロイド」





運命か必然か――再びこの世に顕現せんとする時空を制す魔剣。
其れが齎すは混沌を払いし希望か、混沌に呑まれし絶望か―――――。


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