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投下用SS一時置き場4th

158エンドロールは流れない -混沌と英雄達の輪舞曲-6:2017/11/16(木) 13:46:09 ID:XoqtS/Ro0

天使として4000年以上の年月を過ごしたミトスにとって、時間の経過は常人とは大きくかけ離れている。
既に殆どの事象を経験し、知っている以上、既に知り尽くした内容など脳が不要な情報として排除してしまうからだ。
故に驚きという物が殆ど無い筈のミトスが目を瞠ったのは、それが余りにも非常識な光景過ぎたからと言える。

(…タイダルウェーブ――いや、最早“海”を具象化するなど次元が明らかに違う…)

そもそも水属性の筈の海から感じるのが“光”という時点で、余りにも異質。
術の威力と言い、属性と言い。一体誰が何をしたのか…――――。
僅かながら思考に耽った次の瞬間――突如銃声が鳴り響き、超音速で銃弾がミトス目掛けて襲い掛かった。
時間にして1秒にすら満たない中で、ミトスは己が失策に舌打ちし、咄嗟に回避、或いは銃弾を剣で弾く。

…この時点でミトス達には誤算が3つあった。1つはミクトランが未だにイクティノスを所持していると思い込んでいた事。
サックに入れられるとソーディアン同士の交信は出来なくなるが、居場所の特定自体は可能であった。
それ故にミトスはシャルティエを用いて追い詰めようとしたのだが、ミクトランは既に予想済み…というより
過去にソーディアンに宿っていた時に体感済みだった。だからあえてイクティノスをサックごと置き捨てた。

2つ、ミクトランが攻撃に用いたのはデザートイーグル、つまり銃だったこと。
塔崩落の混乱の最中、咄嗟に回収した武器の1つであり、本来ならばミトス相手に通じる物でも無かったが、
今回の状況に限っては最も適切な攻撃と言えた。これが術ならば発動前に魔力の流れで感知可能であったが、
銃はそこに魔力を込め無ければ物理攻撃でしかない。無論ミトスならば風を切る音、火薬が爆発する音で
気付く事は出来ただろうが、この時南西の海に意識を向け過ぎていた。
それ故に生じたほんの僅かな隙――回避や防御を誘導するように計算されて放たれた4発の弾丸の次、
最後の1発―――狙いを研ぎ澄ませた銃弾の回避と防御が間に合わなかった。
鈍い衝撃と共に左肩を銃弾が貫き、血が吹き出る。無論痛覚はシャットアウトしているため
苦痛は無いのだが、それでも衝撃で身体が僅かに硬直してしまう。

そして最後の誤算――ミクトランが回収出来た武具の中に魔杖ケイオスハートがあったこと。
斬撃、打撃としての質は落ちるが、術の触媒としてはソーディアン以上。それ故にそこから放たれる術は、
先刻までのカオスフレアやアンビバレンスとはまるで比較にならない威力―――。
発砲と同時に杖を構え、魔力を極限まで集中させながら一挙に大地を蹴り、駆け出したミクトランは
ミトスとの距離を一挙に詰める。その接近に気付き、銃弾を受けた硬直から即座に回避へと
移行しようとしたミトスだったが、僅かに間に合わなかった。ミトスの視界が捉えたのは、
恐るべき速度と威力で目前に迫り来る、自分達が持つような神々しい羽――――――。

神々しいまでの眩い光が輝いた次の瞬間、轟音と共に周囲の瓦礫が膨大な魔力によって四散した―――――。



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