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投下用SS一時置き場4th

156エンドロールは流れない -混沌と英雄達の輪舞曲-4:2017/11/16(木) 13:44:46 ID:XoqtS/Ro0

やはり馬鹿は頭が軽いからか、よく飛ぶ―――。
瓦礫に猛烈な速度で叩きつけられたカイルを冷めた目で眺めつつ、ミトスは殴った方の手をひらひらさせた。
ティアとシャルティエから驚きの声や批判の声が飛ぶが知った事では無い。
あくまで“プレセアとの約束”通り全力で殴ってやっただけだ。
それでも拳をあえて振り抜かず、直撃と同時に止めるという
天使の慈悲付きと来たのだ。寧ろ有り難いと思えとミトスは思う。

「…殴ったな?父さんにも殴られたことないのに…!」

そんなミトスの心境など知る由も無く、ティアの手を借り鼻血を拭いつつ立ち上がり
睨みつけて来たが、ミトスにとっては欠片も恐怖も威圧感も覚える物では無い。

「――だったら如何する?リアラの英雄でも辞めるつもりか?」

“リアラ”肩を竦めつつ紡がれた言葉に、カイルの表情がハッとなる。
――そうだ。俺は決めたんだ。今度こそ、今度こそリアラを守ると―――。

「………辞める訳無いだろ。今度こそ、俺が…俺が必ずリアラを守ると誓ったんだから」
「――なら、いい加減その耳障りな餓鬼の癇癪を止めろ」

未だ何も終わっていないのだ。ミクトランも生きている。砲撃の意図が何処にあるにせよ、
南西の方でも事態は急転しつつある事を、時折感じる魔力の余波から察する事が出来る。
そして塔の周りにも、崩落や轟音に紛れて近づいて来る者、戦いとなる音も天使の聴覚に届いて来る。
エンドロールは流れない。寧ろ此処からが悲劇の始まりだと道化は哂う。

「お前達をハロルド=ベルセリオスとルーク=フォン=ファブレの元に連れて行く。だがその前に――」

そう言うとミトスはシャルティエを手に、翼を煌めかせ宙を舞う。
何も事情を知らぬ者が見れば、その神々しいまでの姿に目を奪われていたか、
或いは断罪の天使の降臨と恐れ戦いていたに違いない。

「あの男――ミクトランに止めを刺す。お前達はそれまで此処で大人しく待っていろ」

その言葉を最後に、ミトスは未だ崩落止まぬ塔の上空を一挙に飛翔する。
エンドロールは流れない、加速する運命、降り注ぎ、世界を覆う絶望――全て此処からが本番と、
道化は止まる事無く役者を舞台で操る。だが全てがお前の台本通りに行くと思うな道化よ――。
神の剣を背負い、絶望が満ちる世界を飛翔する天使の眼光、鋭く――――――。



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