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投下用SS一時置き場4th

154エンドロールは流れない -混沌と英雄達の輪舞曲-2:2017/11/16(木) 13:43:03 ID:XoqtS/Ro0

(運が無かったね。悪いけど諦めて―――)

ミトスがそう思考しかけた時、ティアも男の咆哮に気付き、同時にその姿を捉えたのか
目を瞠り、一瞬どうすべきか逡巡を見せたが、如何やらミトスとは真逆の結論に至ったのか、
何とか片手でカイルを押さえつつ、もう片方の手で男に手を伸ばそうとする。

『―――ヴェイグ!あの手を! 手を取れ!!』

その男が持つカトラスから聞こえた切迫した声に、ミトスはその思考を極限まで回転させた。

(ハロルドの情報だと、それはソーディアンの内の1本)
(指示こそ無かったがディムロス以外に可能な限り回収をしておきたい物の1つ)
(このまま放置して瓦礫の中に消えたとしても、何かの偶然で掘りだされる可能性はある)
(それがミクトランや、それ以外の劣悪種共の手に渡ればまた厄介事の種になりかねない)
(ならば回収必須)(だが如何する?)(さすがに今のティアの状況ではあの男の腕は掴めまい)
(僕の“手”も塞がっている――ならば)

極限且つ刹那の瞬間に解を叩きだしたミトスは
男の傍まで一挙に飛行を加速し、言葉を紡ぐ。

「――特別だ。今なら神に掴まる許可をくれてやろう」

打算が絡んだとはいえ、甘くなったものだと、僅かに自嘲する。
救いの手を差し伸べてやる程の慈悲は、きっと生前は無かった筈だ。
…念の為言っておくが、昔から“手”以外なら差し伸べて来たという戯言では無いぞ。

「――未だ死にたくないなら、この“足”を掴め」

そう言い、差し出された“足”に、男は迷う事無く唸りながら手を伸ばし、
この死に損ないの何処に力があったかという位の強さで足首を掴む。
痛みも重みも感じはしないが、劣悪種に触れられる事の不快感までは拭えない。
全く、この舞台に呼ばれてから…否、あの女に会ってからロクな目に遭っていない気がする。

(…何れこの礼はたっぷりして貰うからね)

ミトスは心の中で1人ごちると、瓦礫の驟雨の間隙を一挙に加速し潜り抜け、
安全な宙域へと脱出する。その直後、塔は完全に崩落し、瓦礫の山と化した―――。

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