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【壊りて現る】 やる夫は死を夢に見る26 【破滅の化身】

1死夢見 ◆XDD/DkyjV6:2022/02/23(水) 11:03:25 ID:n1RcznkUMM





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        \     。ノ      / ・             \   ト、       ,   ´ ̄
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          \         {i   ヾ、}xL|!」、| 、__ノ   i}  /´ ̄   ⌒ ヽ     □ニ□
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     ___          ヽ  \ヘ V> \_人_/<   Z     / イ´「 j 〉yヽ    ノ
      タ ├   を       > 、ヾー'   ー`⌒´ァ__   ノ    { ヾー Lノ 〈_/}  .      に
        ̄         /    \      V   /_/o    ヽ_〉    <_ノ}
                    /      \     V             `ー≠ー′
               /                 V{  ´ ̄` ヽ        V
              /            〉     V        ミ、     八、
             イ        ´  ̄  ム     V         \_  イニ三ム
            /人     /      ム / ̄ ヾ            ヾニニィ}Xム
           ィニニニ≧≠´         〈   / ヽ} r7          V三、ィXニリ
          /三三ニ=r´            V´    \7            \三三シ′
          {ニ}≧≦ニ}              `}  ト ヽ             ゙¨¨´
          {三=-=三}               ヾ / } ノリ      __
           `ー ― ´           ___V /_ノ       | ―‐|
                           `マ   ミ 、       |ニニ|
                             >  rミ \        j l_,
                            / / i!ト  ミ\
                              / / | i!   `           る
                                / /  | i!

2死夢見 ◆XDD/DkyjV6:2022/02/23(水) 11:04:12 ID:n1RcznkUMM
このスレは?

・安価でゲームをするスレでした。
・ルールは真・女神転生TRPG 魔都東京200Xを使ってました。
・世界観はよくある現代厨二退魔バトルものです。メガテン成分は多めですが、メガテンとは限らない。
・15禁くらいということにしておきます。セクシー系で。

・更新速度は亀の歩みです。
・月2で大体週末、予告なし、平均15レスの投下を予定しています。

・安価? 知らない子ですね。


┏───────────────────────────────────────┓

    ・前スレ(上の方ほど新しい)
ttps://jbbs.shitaraba.net/bbs/read.cgi/otaku/15956/1616917432/
ttps://jbbs.shitaraba.net/bbs/read.cgi/otaku/15956/1548538375/
ttps://jbbs.shitaraba.net/bbs/read.cgi/otaku/15956/1478809266/
ttp://jbbs.shitaraba.net/bbs/read.cgi/otaku/15956/1446699310/
ttp://jbbs.shitaraba.net/bbs/read.cgi/otaku/15956/1427158210/
ttp://jbbs.shitaraba.net/bbs/read.cgi/otaku/15956/1413503559/
ttp://jbbs.shitaraba.net/bbs/read.cgi/otaku/15956/1401668530/
ttp://jbbs.shitaraba.net/bbs/read.cgi/otaku/15956/1391033198/
ttp://jbbs.shitaraba.net/bbs/read.cgi/otaku/15956/1381356590/
ttp://jbbs.livedoor.jp/bbs/read.cgi/otaku/15956/1373002055/
ttp://jbbs.livedoor.jp/bbs/read.cgi/otaku/15956/1369357348/
ttp://jbbs.livedoor.jp/bbs/read.cgi/otaku/15956/1363135694/
ttp://jbbs.livedoor.jp/bbs/read.cgi/otaku/12766/1355187068/
ttp://jbbs.livedoor.jp/bbs/read.cgi/otaku/12766/1348465861/
ttp://jbbs.livedoor.jp/bbs/read.cgi/otaku/12766/1339549392/
ttp://jbbs.livedoor.jp/bbs/read.cgi/otaku/12973/1332300939/
ttp://jbbs.livedoor.jp/bbs/read.cgi/otaku/12973/1324955599/
ttp://jbbs.livedoor.jp/bbs/read.cgi/otaku/12973/1318653965/
ttp://jbbs.livedoor.jp/bbs/read.cgi/otaku/12973/1313541378/
ttp://jbbs.livedoor.jp/bbs/read.cgi/otaku/12973/1308013310/
ttp://jbbs.livedoor.jp/bbs/read.cgi/otaku/12973/1301360524/
ttp://jbbs.livedoor.jp/bbs/read.cgi/otaku/12973/1295329382/
ttp://jbbs.livedoor.jp/bbs/read.cgi/otaku/12973/1288919010/
ttp://jbbs.livedoor.jp/bbs/read.cgi/otaku/12973/1280966604/
ttp://jbbs.livedoor.jp/bbs/read.cgi/otaku/12973/1274484280/


   ・データ確認用wiki(動いてない)
ttp://www35.atwiki.jp/siwoyumeni/

   ・雑談所(放置)
ttp://jbbs.shitaraba.net/bbs/read.cgi/otaku/12368/1448323343/

   ・Twitterアカウント
かくうのツン@XDDDkyjV6

3死夢見 ◆XDD/DkyjV6:2022/02/23(水) 11:06:08 ID:n1RcznkUMM

☆ 今までのあらすじ!!

・やる夫、封印から目覚める
・やらない夫、世界を敵に回す
・蒼星石、『血族』を離反

 の状態で、世界を滅ぼす『十壊』をどうにかするのだ

◎ タイムスケジュール
12/7 『モーリアンビル襲撃』『やらない夫の演説』
12/11 『第二の夢』
12/12 『学園封鎖』
12/14 『やらない夫の集会』『間桐屋敷襲撃』 ←イマココ!
12/24 クトゥグア到達予定日

現状
 『やらない夫の集会』および『間桐屋敷襲撃』の最中。

◎ 『十壊』


済『テングサの歌』
 やらない夫と弥勒菩薩のこと。
済『ひとりでおかえり』
 アサギの『滅ぼすもの』

『冥王ニビル』
 高位悪魔による宇宙戦で対策予定
『クトゥグア』
 ビスケットハンマーで打ち返したい
『ビスケットハンマー』
 ペルソナ使いが塔を登りつめれば利用できる
『木星の無力化』
 泉こなたがなんとかしてくれるらしい
『哀しみからくり人形楽団』
 シロッコ関係
『第四の万魔』
 間桐関係
『人類補完計画』
 『血族』関係
『第二次関東大震災』
 詳細不明

4死夢見 ◆XDD/DkyjV6:2022/02/23(水) 11:06:30 ID:n1RcznkUMM

☆登場人物紹介(『学園封鎖』直後状態)

◎『秘密結社入即貸本』

・やる夫
人の心を失った。

・やる夫の協力者
真紅、情報収集しながらうわさを流している
でっていう、ネビロス。地下で魔力を貯めている
長門有希、接触していない

・やらない夫
『エクスカリバー』を利用し『セイバー』化。
シロッコの暴走をすべて『見えない世界の敵』のせいに押し付け、救世主の道を歩む……?

・やらない夫の仲魔
ニャンコ先生、墨目、ねずみ男。

・やらない夫の協力者
天龍、シグ。『血族』を裏切った。
鹿島、お色気担当
ダル、『異端審問官』。スーパーハカー。
ミスト、四ツ目。のけもの。
ディオ、『学園封鎖』で宿敵ジョニィ・ジョースターと相打ちになった
『甘味処ニュクス』の『糖分同盟』


・蒼星石
やる夫の姿をしたニャルラトホテプに気付き、『血族』を離反。
その後の着地点は見えていない。

・蒼星石の協力者
麻呂、実は正気だった。ニャルラトホテプ殺すべし。慈悲はない。
ジャギ、麻呂に助けられ、生きていた。
ロストスキル、呪いにより死にそう
黄泉、『血族』をスパイしている


・夢宮アリカ
ふつうのおんなのこ。

・アリカの協力者
エダ、ヨランダ。暴力教会でアリカをかくまい情報をくれる
マイケル小原、おしいちゃん。ガンダム(?)をくれた
聖詠刹那、ガンダムではないがガンダムだッッ
イナミ、『蛇身』。刀を直す代わりにアリカに修行をつけた



・ペルソナ使い
『夢の塔』の攻略中、攻略に参加すると日中は疲弊して動けない

・真紅の協力者
やんねえ香、ロラン。もうひとりいたような……?
・元『破滅願望者』とその仲間
上条当麻、球磨川禊、花京院典明、雨宮夕日、白雪ひめ、美樹さやか、窓付き
・チームやらない子
やらない子、糸川はやぶさ、霧野タカオ、朝霧朝霧
・アトリーム亡命者
マーガレット・バートン、十六夜咲夜、長門弟(委員長)
・その他
アーダン、橘あすか、貞山青葉、浅葱みかん

・リタイア組
島津由乃、持病の悪化で集中治療室
早瀬浩一、アリーに倒され意識不明


◎復讐者たち
間桐慎二、『弓兵』、遠坂凛、ターニャ、ルイズ

5死夢見 ◆XDD/DkyjV6:2022/02/23(水) 11:06:57 ID:n1RcznkUMM



◎『血族』
・ニャルラトホテプ
できる夫によってこの次元に縛り付けられた。やる夫の顔を奪い『血族』を利用する。

・藤堂志摩子
大首領。精力的に指揮を執る
・『緊急事態対策班』
ケンシロウ、キオ・アスノ、『狂死』、先代巫女、呂布、石田、龍田、馬岱

・杏子班
佐倉杏子、キュウべぇ、横島忠夫、ヴァイジャヤ

・『元老院』
フリット・アスノ、間桐臓硯

・『グレン団』
カミナ、シモン

・ジャギ掌握圏
巡音ルカ、博麗霊夢

・翠星石
意識不明

・『邪悪帝国』
金糸雀、曹操華琳、趙雲子龍星、そして雪だるまたち

・その他
上杉謙信、東京守護結界の要
鷹野三四、ニャルラトホテプの正体を知った
ラオウ、治療中
諫山冥、死んだ
高良みゆき、発狂。三四に保護されている

◎『教会』

・『武僧』アンデルセン派
 やらない夫処刑反対 戦争反対
アンデルセン、ジェリド、カクリコン

・『異端審問官』
 やらない夫処刑賛成 戦争反対
ジャンヌ・ダルク、ジル・ド・レェ

・『十字軍』
 やらない夫処刑興味なし 戦争賛成
オズ、オズマ

・『武僧』シロッコ派
 やらない夫処刑賛成 戦争賛成
パプテマス・シロッコ
ヤザン・ゲーブル
謎のヒロインX、客将
『リトルボーイ』と『ファットマン』、核天使
レイ・ザ・バレル、デュランダルの忘れ形見

・カトルカール
ノミ脚、バレリーナ、電波汚染主。第一世代。初期メンバー
爆弾蜂、アゲハチョウ、百足四肢。第二世代。飛行タイプ
戦車男、透明の敵、ボクサー。第三世代。初期改良型
大筒、戦闘機。第四世代。抗磁圧兵器
ロビン。第五世代。流体金属兵器

・その他
トールマン兄弟、兄が大使で戦争賛成派、弟は反対派
ジャジャマル、元グリーンベレー、アトリーム人


◎『警察』
・警察
阿部さん、バジルール、ノイマン、チャンドラ。あと白石。

・外部協力者
アセム・アスノ。そして謎のフードの男。一体何噛ネウロ……あるいは何藤誠なんだ?


◎アリー・アル・サーシェス
無所属、戦争狂、夢世界の黒幕、ディオとオズの肉体を操っている。
賢者の石。元同僚のキンブリーを殺害して奪った
『アンダーグラウンド』のdisk。ニャルラトホテプから授与された
『法務官 隠れしウラヴラスク』窓付きから授与された。絶対隠密
『法務官 エリシュ・ノーン』窓付きの母親を殺害して奪った。切断接続
『法務官 ヴォリンクレックス』窓付きの父親を殺害して奪った。能力奪喰
『法務官 ジン=ギタクシアス』クロトワを殺害して奪った。解析改造

6死夢見 ◆XDD/DkyjV6:2022/02/23(水) 11:07:12 ID:n1RcznkUMM



     ""ヾ;ヾ ;ヾ ;ヾ ゙;ヾ〃ミヾ ;ヾ゙;ヾ ;ヾ 〃;ヾ ;ヾ ;ヾ ;ヾ;ヾ
        ;ヾ ;ヾ 〃;ヾ ;ヾ ;ヾ ;ヾ ;ヾ ;ヾ ;ヾ ;ヾ ;ヾ ;ヾ ;ヾ"
        "" ;ヾ ;ヾ゙ヾ ;ヾ ;ヾ;ヾ"゙ "iヾ;ヾ;ヾ" ゙ヾ;ヾ;ヾ"
           ""   'ヾ;ヾ" || l | ゙|/;ヾ"     "
                "   |l i  l゙l|
       ,,,,   ",,,," ,,, " ,,, |l | ゙ || '' ,, "  " ,,
            チンポ    ノノ 从ヾ ヽ、   ,,,ハナミハムリダネ
     ,,,,,   ∧_∧ "   ∧_∧    (⌒─⌒),,,,, ,,,,、 ,,,,,,       新スレです
    ,,,    (´・ω・`)  ((・)ω(・))  ((^ω^`))   ,,,            楽しく使ってね
     / ̄ ( つ日ヽ ( o旦o )   日⊂  ) ̄ ̄/ ,,,  ,,,,,         仲良く使ってね
   /    (__))  ( _)_ )  ((__)  / ,,,,    ,,,,
   __________________/

7令和もどこかの名無しさん:2022/02/28(月) 23:54:54 ID:5F177p5YSa
新スレ乙です

前スレ、よく連携できました、まる

8死夢見 ◆XDD/DkyjV6:2022/03/06(日) 13:57:32 ID:y92r8/8IMM



            rミ{ス
             人 Y/> ⌒ ー- 、, -―- 、
          / (ノ⌒  ,      ヽ_    ヽ
          { ィ{ { 八{_ィ ) )、  ヽ  `ヽ} /`ヽ
           ヽ人_>-、⌒zェメ} j )   ⌒ー(ス_ィ)
            Уj iわ   rか 〉リイ       `ー’
           /rイ{! ^¨_ └゚゙ 人{ュ ミー-- _      チクタク・マジカる・シャルウィーゴー!
          /  ` ヘ Vノ  イ⌒ー⌒ ミー―  ヽ
        /rー┐ /⌒≧= 彡  ̄ヽ ヽ   `ー 、    わたし、夢川ゆい。小学六年生!
        /人」/7≠ュ、{レィ´Y /⌒人__      \   好物はお米! 髪型はツインテール付のロングヘア!
       }7⌒/イ7{ /7 ヽ {/ rイ/ ̄rー’ ヽ     )
       Yー〈`ー非 `゚ /〉、人_{7j   \   \ ハ/   500kcalパンチしない方のゆいって憶えてね。
       /r、人ァ⌒¨ヾ、〈/ 人  ̄j r r、〈ヽ〉   八{
       ⌒i~ フ__ノヽ  ゙¨ー{_\ Lハ」 }」     /      大変大変!
        \>jヽ_>ーr、\  \ーァ≠⌒ (       とうとうやらない夫の前にディオが来ちゃった!
          r-、/ 、   Y⌒jノ\  ̄ イ 人  ヽ      奇襲で女のコ二人がやられちゃって、ユメ大ぴーんち!
       (⌒>ーァ、-=≦ヽ_  `ーノ/  `ー―
        〉   「  >   `ヽ ミ  、´            だからって、ここで足を止めては居られないよね。
    r= ≧_ 人ヘ「ミ__ノ┘    \           やる気、元気、寝起き……ユメカワ!
   __j/> 、_ノ j 八     >、 ̄`ー´
  ノ/ // /  /  j>、_ ィーミ、_ノ⌒ヽ          の気持ちで、なんとか乗り越えようね、やらない夫!
 /⌒ 「7/ 「/_}r〜、  j   }  〉ヾ_ノ  ̄)
    ~⌒⌒T⌒7´ ̄⌒ >`ー≠⌒ヽ `ー、
          |  /   /        \  ヽ

9死夢見 ◆XDD/DkyjV6:2022/03/06(日) 13:57:53 ID:y92r8/8IMM


◎現状(八十三話開始時)
  カトルカールの電波汚染で電子機器と電波の使用不可
  鳴り響く銃声と爆発で民衆はパニック?

やらない夫の仲間
 目的:やらない夫を死んだと世間に見せる

・やらない夫
  カトルカール、石田龍田と交戦。ニャンコ先生と墨目にまかせて逃亡
  女装、ヤザンに遭遇後、ディオに遭遇
・咲夜、球磨川、マーガレット
  ディオ(アリー)により殺害
・天龍、シグ
  ロビンに敗北
・ジャギ
  偽ヤーボと交戦、自爆される
・やらない子
  ヤザンを足止め
・はやぶさ
  やらない夫と同行
・アサギ、タカオ
  やらない夫と同行中、ディオに攻撃される

・その他
  白雪ひめが参加。
  その他は現状不明

警察
 目的:やらない夫の確保と暴徒鎮圧

・阿部さん
  様子見
・ナタル、ノイマン、ダリダ
  電波汚染に対抗中に爆破された?

陸上自衛隊ムスカ配下
 目的:扇動、これをきっかけにクーデターを起こしたい

『血族』
 目的:やらない夫の確保と暴徒鎮圧

・カミナとシモン
  ジャギと共同で偽ヤーボと交戦、自爆される
・龍田と石田
  カルカールと交戦、やらない夫を取り逃がす

『異端審問官』
 目的:やらない夫の確保と暴徒鎮圧

シロッコ配下
 目的:日本を内戦状態にしたい

・ヤザン
  ねずみ男の放屁をくらい、やらない子に足止めされる
・ロビン
  天龍シグを下した
・爆弾蜂
  罠を仕掛けている最中に逆に罠にかかる
・他のカトルカール
  石田龍田と交戦、やらない夫を取り逃がす
  透明、大砲がリタイア

・レイ・ザ・バレル
  ドローン視野で連絡係
  偽ヤーボを自爆させる
・合衆国軍
  一般人を攻撃

ディオ(アリー・アル・サーシェス
 目的:不明
  球磨川たちを殺害した
  アサギとタカオに致命傷を与えた

10死夢見 ◆XDD/DkyjV6:2022/03/06(日) 13:58:23 ID:y92r8/8IMM



                      ,,,;;;;;;;;彡彡;;之 ヽ
        ,,,,,,,,,,,,,;;;;;ll;;;;;;;;;;;;;;| l;;;;;;;リ)リ;;;;;;|l;;;;(ミ彡/、 Z
l|ヽ= 从;;l |l|;;ll;;;;;l|;;;;;l;;;イl;;;;;;;;;;;;;| l|;;;;;;-〈、|;;;;;;;;;;;;;;,,三∠ノ フ    な 地 き
ヽミ三从;;从|;(;;;;|l;;;;l|;;;((;;;;;(ヽ乂;;;;;;/ノ人、从;;;;;;;;ヽ ∠ |     ま 獄 さ
ミ二ミミ从 ; ;;;;;;゙;;;;゙;;;;;L{{ミ|Y;;";;;;;rテ'';''i゙''ミ゙   イ;;;;{ミヽ∠ノ     ぬ す ま
゙ヽ乏゙゙从゙ ;;ヽ、、_;;;;;;;;;;;;;{≧Y;ノノ=-゙'''"´彡   ';;;;;;ヾ,,', ヽ      る ら に
 <彡l|;;;;;;;l、;}:/;r't;;;)>| 彡 ̄""´         |;;;;;;〈 |.| }     い.   は
  ノノイ;;;;;;之"゙"''"´  |、  _,,、:::::        |;;;;;ノノリ;∠     //
   イ彡l|;;;;ヽ ゙::::::::   j _,、 -)゙ヽ::...       |;;/- /;;/ミヽ   ・・
   l|//l|;;;l~、'、 ::::   ゙''::ヽ,/          |(,,ノ;;;ヽ〉ミ/
    リノイ;ヽヽ'、     `゙'、l__,,、、、,,_,,     / l||;;;;;;;;|∠_
    "´ノ|;;;;`'-;',     (t -'''ヘヘ)}}    リ  リ;;;;;;;/从ミ | / ̄\/\/ ̄\
      |/l|;;;;;;;;ヽ    レ- '''""´     /:::" {;;;从;;;;;;;;)"
      l|l||;;l|;;;;;;;;'、   ,,、;;''";; ̄::   ,/:::::"  ヽl|リ;;;r''、リ
       ヽl |;;;;;;;;;\    "  `゙   /::::::"    レ',、-ー゙''""゙''ー、    ,,、- ''
        //|;;;;;;;', \  〈     / :::::::   ,、 '´        ゙'> ''"
          (从l|;;', ヽ, ヽ:::ノ/   :::::: ,、 '´        ,、 '´
           `゙゙゙''',   ゙'' ー '''"    ::::/         /


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| 強烈無比な突きが、市民に発砲していた自衛隊員に突き刺さる。
|
|「たわばっ」
|
| 白目を剥いて失禁しながら意識喪失、両腕が内側から爆ぜる、命はあるが再起不能。
| ムスカ配下の自衛隊員は、この機に乗じてクーデターを企てていた。
|
| 市民を扇動し、武器を渡して暴動を起こそうと画策していたのだ。
| だが、『やらない夫の集会』に来た市民は国家転覆を望んでいなかった。
|
| 半数はやらない夫がどうなるのか見に来た野次馬で。
| 恐ろしいことに残り半分はやらない夫のシンパだった。
|
| 前者にはクーデターなど他人事で、後者はやらない夫が先導するならともかく、
| 他の誰かに差し出された場所についていく気はしなかった。
|
| 『集会』に集まる人間は現状に不満がある、ここではないどこかを求めているというムスカの分析は的を射ていた。
|
| しかし、それだけだった。
| 自ら銃を持つ気概は、彼らには存在しなかった。
|
| 結果、ムスカを盲信する自衛隊は、彼らの他人事感に憤慨し、罵り、殺害した。
| この戦場めいた状況に、彼もまた混乱し、酔っていた。一方的で過剰な暴力への歯止めが効かなくなっていた。
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11死夢見 ◆XDD/DkyjV6:2022/03/06(日) 13:58:40 ID:y92r8/8IMM


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                /:::/    ヾ:\:::::::::ヽVl:::|::::::::l:::::::::|
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| 死と暴力の凶気に支配されつつある芝公園。
| この場において、正気を保つ佐倉杏子の存在は煌めいていた。
|
| 暴走する自衛隊を殴り、武装解除して他の誰かを助けに行く。
|
|「キオくん、暴徒の居場所は?」
|「向こうにも人だかりが、合衆国軍と誰かが交戦してます」
|
| 『やらない夫の集会』に集まった『血族』のうち、石田班はまっすぐにやらない夫を目指した。
| 杏子班とケンシロウとキオはここまで、市民の避難と自衛隊及び合衆国軍の鎮圧に努めてきた。
|
| 駆け寄る二人、装甲車に乗り機銃を掃射する合衆国軍。全身ローブ姿の怪しい男が、血煙に変わる。
| 無謀にも機銃に正面突撃をするローブの勢力。
|
|「止ま……る、な……!」
|
| 剣を振り上げて、掠れた声で号令する包帯姿の人物。『異端審問官』のジャンヌ・ダルク。
| そこに合衆国兵のロケット弾が直撃。爆炎の中から無傷で現れる包帯姿。
|
|「狂信者めが!」
|「背、信者……め……ッ!」
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| いくらジャンヌが無敵でも、彼女に従う『異端審問官』は猛烈な火線になぎ倒される。
|
|「ケンさん!」「おう!」
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12死夢見 ◆XDD/DkyjV6:2022/03/06(日) 13:59:01 ID:y92r8/8IMM


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| 超能力による簡易カタパルト、射出されたケンシロウが合衆国の装甲車に連打。
| 突然の砲撃に横転する装甲車、半ばパニックで這い出る合衆国兵に、『異端審問官』が無慈悲にとどめを刺す。
|
|「ぐ、指揮官は……殺すな、尋問……する」
|
| 息も絶え絶えのジャンヌ。そもそも普通に考えれば動けるような様態ではない。
| 全身の皮膚と脂肪をほとんど失い、動く内蔵標本のような有様なのだ。
|
|「ぐぐ……協力を、感謝……する……ぐ……無意味……な、虐殺、は……我、らも……望まぬ」
|「少し休んで下さい」「簡易的な治療なら施せるが?」
|
| 二人の申し出を拒絶して、ジャンヌは自ら傷ついた部下たちを労い、治療に向かった。
| 顔を見合わせるキオとケンシロウ。いや、ジャンヌらしいと言うべきか。
|
|「ケンさん、すいませんが用事が出来ました」
|
| 不意に、遠くの音に耳を澄ますかのようにキオが目を伏せて顎を上げた。
| 超能力で何かを感知したのだ。
|
|「手伝いは?」
|「ありがとうございます。一人でやれます」
|
| 子供扱いはしない。キオは立派な戦士だ。
| 飛ぶように走るキオを見送り、ケンシロウはいまだ止まない爆音と悲鳴の中で、近い場所に向かって走った。
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13死夢見 ◆XDD/DkyjV6:2022/03/06(日) 13:59:16 ID:y92r8/8IMM



                          ,ィ≧──=≦
                         /:zア´: : : : : ヾア: <
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   ,ィ=ミ、        __/,7/ニニヽ /:/: : :ハ{: :/、!{',: }、: : :.',: : : : : :ヽ
   l しリニ=-  _,,ィ≦く>ニニニニニニニム/:ハ: : ゝ{:/{リヾ.'ノァ'!: :ト:',ヽ-、: : :ヘ
.   `¨´-=ニニニ=-ニニニニニニニマ::::::::マニ=-.从:_:_: :{ ,-、 ' }!ハ: ハ: : :',  ヽ:イ
         `''=彡'ニニニニニニニヽ:::::}}ニニム> ヽヽ、::イイ¨ノく.: : : :}  }: ',       ご奉仕させて頂きますわ!
          /ニニニニニニニニア=ミノニニニマハ> .}ヽイ≧zz彡ニニミz、_ノ}:.リ
          寸ニニニニニア´:::::::::::バヽ{.j.)ノ>/''''" ヾ、 ヽ__〉: : :`、¨¨¨´
            ¨''‐<{::::::O:::::::::}}ニ}}イ、/´    ',',  ヽ: : : : :\
               乂:::::::::::::ノ≧z'ニム {  〃.  ∥   ノ: : : : : : :ヽ
                 `¨¨´  `¨¨¨ ヘゝイ'  _イ'zx,イ } : : : : : : : : "''<
                             マニニ}}ニニニ}リ/ニヽ : : : : : : : : : : : :ヽ
                      _  -‐≦マニムマニニニ≧===zzzz : : : : : : : : : ',
                  _.. -‐''".   ,イニ>}ニニニ〉〉ニニ\ニニ}////} : : : : : : : : :',
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| ダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダッッ!
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| アメシストの右手に据え付けられた重機関銃が火を吹いた。
| 巨大な蝶の翅、そこにぶら下がる機関銃。地球上で最も回避性能に優れた生物を模倣した翅。
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| ふわふわと舞うように動きながら、火線は激烈。
| 地を這う炎の蛇の様に、触れたものを粉砕して焼き払う。
|
| 立木を粉砕しながら、その影に隠れる暗殺者を狙う。
| だが、敵もさるもの。巧みに火線を避ける避ける。
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| 奇妙な男だった。しかし、誰が見ても剣呑な人物。世界的指名手配、やらない夫と同時にテロリストにされた男。
| 目の下、鼻筋を真横に走る目の入れ墨。生来の眼球と合わせて四つの目玉が何者も逃さない。
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| 故に四ツ目。
| 防弾コートに拳銃一丁でカトルカールと渡り合う悪魔改造人間。
|
| アメシストは改造前は『武僧』見習いだった。『結社』撃滅作戦で負傷し、シロッコに助けられた。
| 昔から、『武僧』の洗練された『ガン=カタ』には憧れていた。
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| 今の自分は似ても似つかぬ機関銃兵器。そして、皮肉にも四ツ目の動きは『ガン=カタ』に酷似していた。
|
| 一切の無駄がなく、隙のない動き。
| 動作の一つ一つに今後の戦略を組み込んだ、チェスゲームの如き射撃がアメシストを襲う。
|
| 避ける避ける避ける、右腕の付け根にヒット。
| 避ける避ける避ける避ける、右腕の付け根にヒット。
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14死夢見 ◆XDD/DkyjV6:2022/03/06(日) 13:59:35 ID:y92r8/8IMM


                  __
             _ノ ̄ ~      `ヽ
           /             ヽ
           r'                 `、
          j              ィ'' ヽ   }          __
         l   ,,-‐--、、       ,''   }   ヽ __,, ー-- -''´.:.:.:.:.:`ー 、
         {  {     ヾ、、    ,,''    !   r' 、.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:
         }   ',      `゙ー'''"      !/l |/ ヽ.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.
         ノ   l            i/     ',.l, 、 /.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:
         rゝ、 _ i    \',    l      ,  !|) ハ.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.     火力が足らんな。
         l i 、ヾi ゙      ヽ   !__,、ィ‐ブ ,ィー j '、.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:
         ヾ  l', ヾtラ‐- ァャ/i  iヘー ,,,ィ三l lー'i  ヽ.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.
          iヽ ヽ   ゙ー ´7 _,,、_ィ三三三ニシ/  l  j.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:__,, -、
          l `ー !| Ⅶ三三三三三三三三=' !  l  l/ ̄ ̄ヾ _.;.;.;.;.;\
          /l  l ',ヽⅦ三三三三ニ=-''   , ! __/ィ 〉 r- 、    `ー--
         ノ.:.:l  ! ', ハ      `ー ' ,, ィ´- ''.;.;.;.;ヽ- '  __,, >- ,,イ`ー
       ノ.:.:.:.:ヽ  ヽ 」  ヽ `ーrニニニニ '.;.;.;.;.;.;.;__,;.;-‐ '' /     ,,
       j:.:.:.:.:.:.:.:ヽ,  r-‐ ''  ̄.;.;.;.;.;.;.;.;__,;.;-‐ ''.;.;.;.;`ー-‐'/  rー-‐'   ヾ
      ノ.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:ゝ_,lヽ.;.;.;.;.;__,;.;-‐ '';.;.;.;.;.;.;.;.;.;.;.;.;.;__,,ィ l  /   __,, イ
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| 当たれば四つ目をミンチに変える高火力でも、アメシストの射撃はかすりもしない。
| 恐ろしいことに、一対一の撃ち合いなのに、その上四ツ目はしばしばアメシストの視界から消えるのだ。
|
| 幻のように、あるいは手品みたいに。
| 避けた先に配置される弾丸、狙っているはずの獲物の姿が見えない。
|
| アメシストは段々と、何を相手にしているのかわからなくなってきていた。
|
|(トパスさん! そちらの様子は)
|(あと36秒)
|
| そもそも、罠にかかった同僚を助けに来たはずなのに。
| 予想通り、爆弾を解除するまで動けないトパスを殺しに来た四ツ目。それを待ち伏せしたはずなのに。
|
|「先にあちらを始末するか」
|(トパスさん!!)
|
| 四ツ目の気配がフッと消える。アメシストが恐慌に駆られて仲間の所へ飛ぼうとした、矢先。
| 眼前に浮かんだ三個の榴弾が目に入った。
|
| 四ツ目はいつの間にか、もう一丁銃を抜いていた。二丁拳銃が獰猛に叫ぶ。
| 三発の榴弾が眼前で爆発。その上狙われ続けた右腕付け根に集中砲火。
|
| 巨大な銃身で身を守ろうとしたのが仇となる。
| 重さに耐えきれず、嫌な音を立てて右腕が付け根から破損、落下。
|
| 全身を炎で炙られ、破片が突き刺さった状態で、アメシストは墜落した。
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15死夢見 ◆XDD/DkyjV6:2022/03/06(日) 13:59:56 ID:y92r8/8IMM


                  -- ー― 、 ___
            __ /        `マニニニ7ス}
           「「ニニニ     、  、    :. マ/イリ
           | |ニニ i!  |!  ハ  i!  }  :.  K、j/
            マニ  j!  jト_{ ヽ__}! ハ   !  }ハ
           7  ハ/     -―--\}   !__}}
             / j |! /⌒     z=㍉x |   |ニニュ
           }/ }! j  〆㍉、     爆。 リ :   !ニニ{
           |  ハ {! 爆j 、    `¨゚   !  リニニ i
           |  |ハ{             u j   /ニニ !
           |  | ハ\            /  /ニニ  i!
           |  ! ム     r_。     /  /ニニ 川
            :. V }≧。..     .. ィ // /リ j
            :. V ハ 个 ー=゚ T j/、イ/ //
               \ハ_}ミ、 _」 ィ  ´  ´
          ´ ̄ ̄ `ー「   ミ「 」⌒>=ー―、
         /    {    V  ,ィ〒KヽY     ハ
          /     ヽ   `ーノ  i!ヾ7    /  ヽ
       /    j   / ̄ ̄ ミ 、      /    \
     /     / ̄j/         {    {       {
     }     /  /          y´ ̄ ヽr、/ヽ/{」ト、

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| 爆弾解体に全神経を集中していたトパスがようやく顔をあげると、
| 『致命的なダメージ』を意味するマーカーが点滅していた。
||
 周囲に警戒しながら慌てて飛ぶトパス、敵影なし。
|
| トパスを爆弾で上回り、アメシストを撃墜した怪人、四ツ目の気配はどこにもない。
| 泣きそうになりながら、重傷のアメシストを助け起こそうと手を伸ばし、トパスは硬直した。
|
| 黄色い。アメシストが夕日みたいに真っ黄色で、すごくブンブンいっていた。
|
| 案の定、アメシストの頭の下に地雷があった。
| 助け起こそうとすればドカン。アメシストは即死、運が悪いと助けようとしたトパスも。
|
| トパスは猛烈な敵意と戦意が奮い立つのを感じた。
| 仲間を助けるのだ。そしてこの爆弾魔に思い知らせてやる。貴様の思う通りになんてなってやらないんだから。
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16死夢見 ◆XDD/DkyjV6:2022/03/06(日) 14:00:13 ID:y92r8/8IMM



              ,, -- ー-- 、
           ,, "´  ,,、、     ヽ
          /  /  '',      ゙、
         /ィ ,,/    /,,ィ  rー、 ゙、
         イ ゙" ./  __,;;::  '',,l イ、} ミ
          ! l  l_,ィ_ソ    ´! 〉{  ミ
         ! ,>ィr-ゝ-ー三ヽ   、_ノl シ        無茶苦茶ばら撒きやがって……
         `lーシ三三,ニ==' u   ヾ{         金のあるやつは羨ましいね。
            ∨ソ_..::;          /  ヽ
          ` !  __    /:: :. ,,,ゝ-ー 、
           ヽ ´ __  `  /;; ,;イ   ', {
             ヽ ,,i''ー-、、イ  ', ' ,   ', ヽ
              `フ、´  ',  ' ,  ' ,_ -ーゝ、
               ィ  ' ,  ',  ,, - ´.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:’-、
             <´o ' ,  ' , /.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:ヽ
              `)0   /.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:ヽ
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| 一方こちら、手持ちの火薬を使い果たしてほうほうの体の四ツ目。
| 全身の至るところに焦げ目、アメシストの銃撃によるもの。当然裂傷や火傷も無数。
|
| 逃亡生活の彼は弾薬に限りがある。
| ディオとダルのコネで多少は補充できたものの、せっせと作ってきた爆薬の類は使い切った。
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| 彼の目的はカトルカールの爆弾魔、つまりトパスの撃破だった。
| それが叶わぬなら、足止め。
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| 四ツ目は、トパスのブービートラップを警戒していた。
| 警察と『血族』の支援車両に爆弾を仕込んだのもアイツだろう。誰にも気づかれず、こっそりと。
|
| 一見単純な爆弾だったが、解体は苦労した。
| 見つからないようにやるのは本当に骨が折れた。
|
| 代わりに取り付けた爆竹で、どちらも泡を食ったに違いあるまい。
| いいさ、今の状況は警戒しすぎるに越したことはない。
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| とりあえず何でもいいから汚染電波を除去して通信を回復してもらわなければ。
| 『処理』されていないライフルからハッキング中のダルとミストの援護のために。
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17死夢見 ◆XDD/DkyjV6:2022/03/06(日) 14:01:29 ID:y92r8/8IMM



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        ,           /´l
       /   r ―-_、 /   !
    〃     {  { `Y´ノノ^i            /´\-―- 、
    /     _ ゝ‐ ゝ @_ノ ノ__ , -、     { ,、  }    \
    ,'  , /  丶-z ノ´r‐'´  /  |‐、l⌒` _」 V厶-‐- 、  \
-‐-イ / 丶---‐ァ  /        |  \ {  @ ノ   〉   \
-‐            `フ”             >`i   `ヽ _/  丶   丶
     、_      〃          /     { ヽ-'^¨´ \     ',     l      やるき〜なくなれ〜。
      } ̄ ̄´/  {乂人ハ{     /      ゝ _ 人    l    ',   |      おうち帰っておこたに入れ〜〜。
      ノ    { 乂{ィニ=ュハ  /ノj ノ ,   人  丶 _」   |   |
     〃    人  {      \{ィニ=、}ノ     /丶.        |    |
    /⌒)    `¨ l|ト'-‐-、ヽ  __    }ノ  〈   丶     l   ノ
-‐ 〃 {      ノi|.:.:.:.   ,   -‐-、  ノ_,ノ_,ノ      `  、    ⌒丶         r 、
  {  丶.,_ _ /rハ.  /`==-、_  :.:.:.:/ / )       r‐、 〉        \        〔ヽ',
  ヽ        >/∧ V ⌒ヽ  〉  〃/く」          「ヽ! l           \     r‐ヽ ヽ
    \   r‐- 、´l l  \ー--‐'´_,. イ / o 〈-,      | l| |              丶   ヽ| |
    /¨,二ニし‐-、 l |ー-ャ) ̄ ̄{へ _八ヽ r‐' }―-、  r 、 l! |             ',     )l |
    し'⌒l   ̄ }ハ V  }∨ -‐}   ∧∨⌒’ーァJ-‐' l | j|八           |  |   /ノ {  /⌒!
     `{r‐、―/ 丶.二ノ从ノソ   /! } }   {  , ノ .ノノ'  , ⌒!       |  | xヘ.j   ヽJ /
      {  { ,ニ二)   ∨/     { し' ノ  ̄`ノ`/  /, {/ / 、      l l ./:/>>      /
      ヽ `¨⌒! { /,二、.二.ヽ/ 丶-く  //    /   /    \    ノ./:/ xく\   /
       ',     | ヽ{{:::::::o:::::::} }   ,≧ニ=ニ、   /  /丶    / 丶  >く./ \_,>‐'´
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| ヤラネーッダ! そうこうしているうちにトロプリが終わって次のプリキュアが始まってしまった。
|
| 白雪ひめの広域やる気減退ペルソナは強力で、芝公園の一角まるごと戦闘は散発的だった。
| だが、強い意思や魔力を持つ相手には効果が薄い。
| ついでに当然だが機械にも効かない。
|
| 襲撃してくるレイ・ザ・バレルの戦闘機械、やる気をなくした警察も自衛隊もグレン団も迎撃してくれない。
| なので仕方なく、麻呂の式神で対処していた。
|
| 汚染電波のせいで、シロッコ麾下以外はいまだ連絡ができない。そうすると音の激しい方に『血族』やらは集まる。
| つまり、敵も増えないが味方も増えない。
|
|「おう、麻呂さん。相変わらず若い女が好きだな」
|「人聞き悪いことを言うではない! 女子高生とか好きなだけでおじゃろう!」
|
| 車椅子を押しながら、硬直するひめ。十分いやんな感じである。
|
|「ちなみに、麻呂のコレクションは健全健康。誰に見られても恥ずかしいものを取り揃えているでおじゃる」
|「だめじゃん!」
|
|「雨宮夕日の丸秘ムフフ写真もあるでおじゃ?」
|「あ、それは……興味あるかもー」
|
| 心揺れる思春期の少女。横で頷くのは話しかけてきた男。
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18死夢見 ◆XDD/DkyjV6:2022/03/06(日) 14:01:42 ID:y92r8/8IMM


    〃                 i,
   r'   ィ=ゝー-、-、、r=‐ヮォ.〈
    !  :l      ,リ|}    |. }
.   {.   |          ′    | }
    レ-、{∠ニ'==ァ   、==ニゞ<
    !∩|.}. '___゙`   ./'__` f^|     そいつは俺も大いに興味あるね。
   l(( ゙′` ̄'"   f::` ̄' |l.|     いい男に育ったろう?
.    ヽ.ヽ        {:.    lリ
.    }.iーi       ^ r'    ,'
     !| ヽ.   ー===-   /
.   /}   \    ー‐   ,イ
 __/ ∥  .  ヽ、_!__/:::|\

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|三三三三三三三三三三三/ /_. / / ̄ / ,ィ |  7 /ン ) / /_. / / ̄ 7 /ン ). // 〉 〉  // // / /三三三三三三三三三
| ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
|「おや、知っているでおじゃるか?」
|「彼の親父さんと、昔な」
|
| 雨宮夕日の父親は警官だった。そしてこの男も。
|
|「それより、人を探している」
|「この混乱の中で?」
|
| 阿部は苦笑してうなずいた。
| ひめの周辺は混乱も少ないだろう。だが、少し離れれば右に左の大混乱だ。
|
|「なにもの?」
|「警察の協力者なんだがね、この混乱で逃げちまってなあ」
|「ええ〜、だめじゃん」
|「手厳しいお嬢さんだ」
|
| なお、取り逃がしたのはヒトとそうでないものを見分けられる殺人鬼などではない。
| 時と場合によっては、もっと危険な存在だ。
|
|「誰でおじゃるか?」
|「伊藤誠だ」
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19死夢見 ◆XDD/DkyjV6:2022/03/06(日) 14:02:05 ID:y92r8/8IMM





  〈 ー=========ミ、____
   ヽー─────\  }l\  _
 /_\ ___ ̄ ̄\/ jl ∨厂|
  ´ ̄ ̄// ̄ ̄ ̄ ̄\ i ∥ ノ \l|
 、____,ノ/ // ̄⌒\ }lレ// ,ィ \
   ´ ̄/ //ニ==―┴ァ^Y^ヽ∧ l i∧
  ー==ァ  /_______{ i   }i^|│ l|│
. 、___/  /z==≦,__  乂__r'リ j l| l| l!
   一=彳ー‐tr==ミトx__ ヽ }\ノ,ノ/ノ
  辷¬ ブ   癶___斧fうぅー人jャセ刋 ̄
   =彡'  \  ̄ ̄ /⌒ 守{iリ
     }    i     i   ヽ ∨
  入   \         \ァ¬ァ           はっはあ!
  (__       i       \_人
.    ∧    l / __/ ̄___}│           若い女、しかも美人を切るのは楽しいなぁ!
  「} ̄        \__ ´ ―┴|
  U  ̄,     、    、  _ノ、
      ′             ̄  { l
      〕iト    \   __}
      /    `¨¨Τ´ ̄   /
   i_厶-─── ┴ 、ーf´
                  \|
   ___           |\___
        \          l\___
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| 血の池に沈むアサギとタカオ、絶叫するはやぶさ。
| ディオ。いや、ディオの姿をしたアリー・アル・サーシェスははやぶさを一瞥したがやらない夫に向かい合う。
|
| 彼ははやぶさのベルソナ能力を把握していた。
| 『滅ぼすもの』能力も理解していた。
|
| 彼女が周辺生物の肉体を融解し、くっつけることで命を繋げるのは知っていた。
| そして、『法務官』の絶対性は『滅ぼすもの』には通じないことも。
|
| つまり、このナイフの傷ははやぶさなら癒せる。
| だからまず、はやぶさを殺すつもりだった。アサギに邪魔されなければ現にそうしていた。
|
| やらない夫の攻撃など、無視してはやぶさを殺そうと思っていたのに。
| この肉体も悪くないが、所詮は屍。使い捨てだ。
|
| なのに、アサギを殺した瞬間にふと、心の陥穽に囁きかける声があった。
| 『このまま、あのやらない夫を殺したほうがいいんじゃないか?』
|
| アリーはなんの疑問も抱かず、はやぶさを無視した。やらない夫に向かった。
| 彼は己の奥底からの導きを重視していた。直感、アリーの命を幾度となく救い人生を愉快にしてくれたもの。
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| だから迷いなく従った。迷いは刃を鈍らせる。鈍った刃は敵を殺し損なう。
| 敵を殺し損なえば、自分が死ぬ。
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| それはつまらないだろ?
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20死夢見 ◆XDD/DkyjV6:2022/03/06(日) 14:02:24 ID:y92r8/8IMM



         __ノ}  ノ{__}\/
.       / }__}_/ ノ  /
.   ___//{/}  __/  /  /
   {  /八_/  }\{__ノ__/}
   {_  {__ }_] }   '⌒}_/
   {____  }ノ⌒ }_,ノ}  }-/ ̄\
     } _}/  r='⌒}ノ ///}
     } {    r\_ノ{//{ノイヲ
     {_.\ 人tー‐{ {__ ̄              備府やらない夫。
      ̄`\  ̄\ ̄\  ,            一つ聞いて見たかったんだがなぁ。
       f⌒} }__ノ⌒}{ヒソ /ノ
      }  }  ̄ ̄\ イ/
      }--}      \〈
      }  }       //ニ二
      }--} _______//=ニニ
     __,ノ  }厂 ̄ ̄{ {ニニニ
   ___{/^\\___ 人\ニニ
__{___{   }ノ⌒}  {\\ニ
 厂 ̄ ̄\_人__/      \\

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| バネ脚で飛び掛かるやらない夫。
| 対するアリーは軍隊格闘術を納め、悪魔殺しとしても鳴らした歴戦の勇。
|
| しかしアリーは、やらない夫を侮らない。
| 北斗ケンシロウを退け、『聖処女』ジャンヌ・ダルクを退け。カトルカールを四人も葬った。
|
| 『法務官』エリシュ・ノーンの『切断継接』による斬撃はペルソナでなくとも防げない。
| 多くの場合は。
|
| 藤木源之助に爪弾を止められた事が脳裏をよぎる。
| やらない夫の防具を切り裂けたとしても、謎の防御魔術に止められるかもしれない。
|
| アリーは『エクスカリバー』を知らない。
| だが、やらない夫が強力なマジックアイテムを有し、それを用いて敵を退けて来たことは知っていた。
|
|「民衆を戦争に駆り立てるのって最高に楽しそうだな! あやかりたいぜ! なあ、今どんな気持ちよ!」
|「誰が!!」
|
| やらない夫が振り上げた拳が、九尾鞭になって伸びた。
| 回避しなければ健かに打ち据えられていただろう。アリーは笑みの裏側で口笛を吹く。
|
|「大衆扇動者! いわゆるデマゴーグって奴だろ? 羨ましいなぁ、オイ!」
|「もう黙れ! ディオの口で喋るな!!」
|
| 着地、その衝撃を次のノミ脚のバネに貯めて即座にアリーに飛び掛かる。
| 脳に突然のベクトル移動がかかり、常人なら失神しそうなもの。
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21死夢見 ◆XDD/DkyjV6:2022/03/06(日) 14:03:19 ID:y92r8/8IMM



                   ,, -‐ 、
                  /'    ヽ
       / ̄ ̄\      ./      i
     / ._ノ  ヽ、\    /    ...........i
     |  (●)(●) |  /   ..:::::::::::::::|
     |  (__人__)  |  /  ..::::::::::::::::::l
     .|   ` ⌒´  .} ./  ..::::::::::::::::::::!
      |         }/  .::::::::::::::::::::/          ニャンコ先生!
      ヽ       ./   .:::::::::::::::::::/
      .ヽ    . ./  .:::::::::::::::::::/
   ,. ‐'"´  `'‐,r''"~   .:::::::::::::::::/
..:./,. -‐‐- 、 l′     ..:::::::::::::/|
:,'      /       !.:::::::/:i..:..l
r   、  /           !::::::::::: i..:..i
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.ヽ ::::::|  `、   `、  .....::::::::::::l::::::::::::  `,
/ \:::l.   `、   ヽ::::::::::::::::::::l:::::::::::  /'''ー─----、
   `ヽ   `、  .::::\:::::::::::::::|::::::::: /,,   ,. ‐;''

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| 空中に呼びかけるやらない夫、アリーの注意が一瞬逸れる。
| 瞬間に、さらなる加速。召喚はせず、小賢しいフェイント!
|
|「楽しいよなぁ、そうやって他人を思うがままに動かすのは!」
|「うるさい!」
|
| 笑いながら攻撃を難なく避ける。
| そこで、アリーは目を見張った。空中で方向転換するやらない夫。
|
| 膝がディオの顔面を粉砕。鼻がへし折れるが血は流れない。
|
|「デマゴーグ扱いは嫌か? アジテーター!
| どこへ行く? お前らを地獄に連れて行くってちゃんと答えろよぉ!」
|「黙れ黙れ!」
|
| 憤怒のあまり口角泡を飛ばすやらない夫。
| 振り下ろされるヒゲ槍。アリーはそれを『食う』ことにした。
|
| 『法務官』ヴォリンクレックスの能力『弱肉強奪』。相手に食らいつき、その能力を奪う。
| 悪魔の牙や尻尾、翼、火を吹く能力などを奪うのが本来の使い方だ。おかげで利用する機会に恵まれなかった。
|
| だがやらない夫のこの武器は悪魔由来のものだという。
| アリーは左手でヒゲ槍を受けた。強烈な斬撃を左腕に食い込ませるつもりだった。
|
| であるが。
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22死夢見 ◆XDD/DkyjV6:2022/03/06(日) 14:04:11 ID:y92r8/8IMM


                      . ‐……‐   ..、
                    /::::/i:::::::{::::::\::::::\
                       /:::::::/ :|:::::::l\:::::::\三三≧
                    i:::::::/  ヽ::::::\__く::::::ヽ::::.
                    ,:{::::::i ー‐ミ  ̄´ィt=オX:{:::::::.、
                      /::ヘ::::{.「死   ´死 八::::、:::::::ヽ
                  /:::::人:::》、 丶     i}:::::\:::::::\        ……………『一人でお帰り』。
                  .':::::/:::::込、   _ /`ーイ:ト::::::::{  ̄ ̄
                  {:::/l::/{::::::≧ ´ ノi:i:i:i:i:i:i:i7\::〉
                 V !'   》<^⌒ ィ ´ ̄`ヾ/∧
                     くi:i:i人r一' lハ 、   ∨∧
                    //イ7厶-=====オ。V   ∨∧
                  〃/メ´i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:∧ ‘,  ∨∧
                    ///'i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:∧ ‘,  ∨∧ ___
                //八i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:ハ.。‘,  ∨∧i:i:i:i:i:i:i:i:\
                  ///  Vi:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i∧  》   ∨∧¨¨ヽi:i:i:i:廴
                    ///   }i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i{  \|    ∨∧  ∨i:i:i:i}
                ///   .ノi:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:ハ   !    ∨∧  }i:i:i:i:|
                  ///  ___}i:i:i:i:i:i:i:i> ´ ̄  ヽ. |:     ∨∧_ノi:i:i:iリ
              ///   }_ イo ̄ l|       》 》====…ヾ/∧i:i:i∠
              \///_ 厶イ。|!   l|     斗匕ヘ ヽi:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i》
          .イi:i:i:i:i:i:/{!   |! o .斗匕 //     \.}i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:iく
           /i:i:i:i:i:i:i:i:}/{!   斗≦.=====//         {i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:}
           》i:i:i:i:i:i:i:i:}  /─ャ== …── ≧ュ.   戈i:i:i:i{ ̄ `⌒ヾi:iノ
         戈'⌒ヾi:i:}/i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i≧ュ.__}≧オ   }   Ⅵ
         rE{  {__゙オi:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:{  |//∧  } リ
         |/∧ }广ヘ{i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i> ´ ̄ ̄ ‘, |///∧. ∨
         |///トイ_ノ / ̄ ̄ ̄ ¨¨ <i:i:i:iィ ´           ‘, ∨.//∧._)
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| ひげ槍が左腕に食い込むところまではアリーの想像通りだった。
| だがそこで内側から肥大化、左腕が吹き飛ぶのは想定外だったようだ。
|
| 一瞬虚を突かれたアリーは、顔面にバネで強化された蹴りを食らう。首がねじれて一回転。
| 人間なら即死だ。しかし、ディオの体は死んでいた。
|
|「なんだ……クソッ、噛み合わん……!」
|
| 呻きながら立ち上がるアリー。
| アサギはいい気味だとばかりに笑った。
|
| あたしの友達の、かわいい顔を傷付けたんだ。死ね。そのまま死ね。
|
| 首を切られた瞬間は熱かった、すぐに寒くなった。そして今は、眠りにつく瞬間のように心地よい。
| 何が世界を滅ぼす『十壊』だ。使い方によっては友達も守れるみたいじゃん。
|
| 夢見心地の中で、アサギはディオの姿をした怪物に、
| 『一人でお帰り』をなすりつけてやる。呪ってやるのだと想像した。
|
| 今後、何をするにも直感はうまく働かない。誤った囁きが常に思考を操作する。
|
| そこまで上手くいくとは思えないけど。
| 致命的なところで、アイツを破滅させられたら、それで……。
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| それが、朝霧アサギの最期の思考となった。
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23死夢見 ◆XDD/DkyjV6:2022/03/06(日) 14:04:32 ID:y92r8/8IMM



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                 /   |  く し' {ト、  ノ j} l{ );;;;'⌒ヽ \ \;;;ヽ ヽー--  _
              /  ノ   }/⌒i「:{三Y^Y^ヽ_);;;;;;;;;;;;;;;;\ \ ヽ;| |        }
                /    /         人:{ ̄ ヽ  jノ;;;;( \;;;;;;;;;;{  | |ノ`/\\_,ノ   |
           /   /   ____/| ト、{   ̄__,ノ;;;;;;\ \;;;/  | ト /|   }\   ノ
            / ̄ ̄ / / ̄{    | 岱ぅ _j;;;;;;;::::::::ハ\_ヽ    }`|   |  l /{
       / _   | {  i⌒ヽ   ju // ア,ィ岱テ厂 };ノ      //  |  |   l      クソがッ!!
.        / /_________ 乂L_ \___)  j  /__/  };;;;/ /__/  /   /    ノ {__ |   |
    ̄ ̄{/´        __ ノ   { j  ト---、  ノ;;/ /)/  /   /  / ̄ ̄\_ |
   / ̄/           /  )    } j  ノ}  / /;;〈 /  ト、___ノ) /          \
.      /        〈  ∠ _____ノ人 \_/ /;;;イ /(___/)\   / ̄ ̄ ̄\ {
     /   /   __  ∨  )  厂\\__ -=≦ __/ ノ(___/ _|__/
.     {  /  /   _/  /)/ヽ  ) \   /  厂 (____/    |
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| 逃げるディオ、やらない夫は追いかけるかを逡巡し、辛抱した。
| カトルカールと交戦しながらも、距離を置いていたニャンコ先生を呼び戻す。
|
| 急いで治療すれば間に合うかもしれない。
| ……もちろん、その逃亡もアサギの『一人でお帰り』の影響だった。
|
| どれほど噛み合わなくとも、アリー・アル・サーシェスはやらない夫ごときには負けない。
| 最悪、ディオの体を使い捨てて相打ちに持ち込めば良かったのだ。
|
| だが、アリーは己の直感に、逃げた方がいいと囁く声に従った。誤った判断だった。
|
| これから先、彼には呪いのように憑いてまわる。誤った判断が。
| いや、アサギを殺した時点で既に遅かったとも言えるが。
|
|「やらない夫さん……」
|
| 泣きそうな声で、いや、涙をボロボロ流しながらはやぶさが囁く。
| やらない夫は恐怖に怯えた。見たくない、見たくない。だが、見なくては。
|
| さっきの奴の言うとおりだ。
| オレがこの子たちを戦争に連れてきた。
|
| その末路が、ああ。これが末路か。
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24死夢見 ◆XDD/DkyjV6:2022/03/06(日) 14:06:27 ID:y92r8/8IMM


                  /: : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : \
                   /: : : : : : : : : : : : : : : : :.、: : : : : : : : ヽ
                /: : /:: : : / : : : !:: : : : !: : !: : : ヽ:: : : : : ',
                /: : /: : : 斗--、 :|: : : : :|: : | ,ィT: ',: : :ヽ : !
                |: : |: : : : : |: /  \: : /|: : r 、 : : :.|.: : : ト、:|
                |: : |: : : : /!/    | :/ |:.:(ヽ、`\:|.: : : | V        朝霧アサギは血を失いすぎてるし、
               < : 」_: : /  _   _|/   レ. \ \ \ : |          心臓が止まってから時間がかかった。
               <:: |. 小{   `゙''''''       ‐-\ \ \_
                厶ヘ ハ        、 r--‐-、 >、    `ヽ       霧野タカオは脳に傷がある。
                  \_!          ' ` ‐-、 ``      `、      どっちも障害は残るだろうな。
              _, r´:/ : :| ヽ   'ー―--   /\         `、
          _, r ´:.:.:.:./:.:.:.:.::| | \         /ヽ :`ヽ         ヽ
       _, r'´:.:.:.:.:.:.:.:./:.:.:.:.:.:.:|  \ ヽ _ , ィ ´ |::.:.:ヽ: : `、        `、
    _, r ´:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:/:.:.:.:.:.:.:.:.|    >-、ー_'/   !::.:.:.:.:ヽ: : ` 、 __ ___i__
   /゙: : : : : : : : : : : : ヽ:.:.:.:.:.:./i!  /ヘ i. / 入  |\.:.:.:.:.ヽ;,r'`‐´_,,..---┴‐,
   l:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.\/:.:.:.:!'! /ヽ、ヽrk'´:_,r、 イ:.:.:\/ _>-‐'´.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.l
   !:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:/:.:.:.:.:.:.:.l ゙'   !   ! ヘ/|:.:.:.:.:.:\/::::::.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.l
  l:.:.:.:.:.::i.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:ヘ:.:.:.:.:.:.:.:.:.:!   ヘ__/     |:.:.:.:.:.:.:./!:::::::::::..:.:.:.:.:.:.:.:.:..::.:.:.:l
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|「は?」
|
| いつの間にか、キザなスーツの男が、血溜まりに屈み込んでいた。
| 仕立てのいい、明らかにオーダーメイドのツーピースを血で汚すのを構わずに、
| その男は針と糸でタカオの顔面を縫い合わせる。
|
|「右目はダメかもな。切れ味が良すぎたおかげで、うまーく くっつくかもしれねぇが。
| しかし、勿体無いことしやがるぜ。やらない夫、この子たち処女だろ?」
|
|「いや、その、知らない……というか」
|「かわいそうだから早めに食っとけ。悪いことは言わないぜ」
|
| 護符と宝石を取り出し、治癒の魔術で処置を終える。
| 鮮やかな治療、いつも胡乱で猥談ばかりの姿しか見たことがなくて、やらない夫は困惑した。
|
|「え? あれ?」「うう、よかった……っ!」
|
| 泣き崩れるはやぶさに胸を貸しながら、その男はゲス丸出しの笑顔で笑った。
|
|「やっとあのホモ野郎から逃げれたぜ。あんな所に居たらケツがいくつあっても足りねえ。
| 匿ってくれよやらない夫。昔のよしみでさ」
|
| 伊藤誠は、しれっと言ってのけた。
|_________________________________________________
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25死夢見 ◆XDD/DkyjV6:2022/03/06(日) 14:06:50 ID:y92r8/8IMM




☆ 次回予告!

 お前は誰だ?

 顔を奪われた男に。
 名前を捨てた男に。
 怪物になった女たちに問いかける。

 自分は誰だ?

 答えはどこにある。
 心の奥深く。
 あるいは、誰かの瞳に映る姿に。

 答えられる者。
 答えられない者。

 どちらにしても結局、決めるのは自分自身で。


 次回、最終幕八十四話『名も無き者
果てに見るのは破滅か死か。

26死夢見 ◆XDD/DkyjV6:2022/03/06(日) 14:07:27 ID:y92r8/8IMM



: :/: :/ :/:/:.://, へヘi:./,/ ∨、: : : :ハ
:/: :.:./:./: :/:/: / /: :/   ~^~´  丶\: ヽ:ハ
: : : /:./: :/:/: / /: :/  }        ヽ:ヽ: ヽハ
: : /:./: :/:/: / /: :/  {   二ニニ=-∨ヽ:ハハ
: /:./: :/:/: / /: :/   i!    三二ニ=-Ⅴ:/: : i
/ /,-=ニ_ / /: :/    ヾ_ _ニ=-‐=ニ_  Ⅴ:./: {
. f´ソヽ ハzzzzzzzzzzzzzzzz======ミ. {ニV: : :}
/i !:.:.:.:.ハハ: : !       `ヽ/////}i}///}:.:/
/! V:.:.: ノ ハ: :i   =-ニミ   Ⅴ/// i Ⅴ/!/
: :ヽ. \:.ヽヾ、:}  =ニ=--    Ⅴ///} V }
: /:.:\ ヽ:.{ \     i     `¨¨´.  ',             え?
/: //:/ヽ.  i:!ヽヽ _   し      ,'    '.,            何なのその話し方。
: //:/ / !ゝイ ! \: >、      {_.     ',           小学六年生? ふざけてんの?
//:/ / /!i   !   ヽ: : : > 、_________≧=‐- '
.: / / //,'   i!     ヽ.: : : : : : : : >=、:}! /
从イレハ}j   }      ̄二二二二}´ヽ/
`ヽ.       i{       `¨¨¨¨¨¨',
//∧   ! 从             ',
///∧   i   ヾヾx          ',
////∧   !  ', `ヾミxヾヾxミヾミx=zx=ヽ

.   /                          ヽ-、 : : : :|
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/        /          `、      ヽ      ',  \_|: : .
        /            ヽ-、     }       ト.   |: : : : .
          |          |   | ヽ/   ノヽ      |ヽ  |: : : : : .
       /|  l   ャ-、.   }、   !./ノ  .ノ  |     /: :ヘ 乂: : : :
    |   |  | l  l   ) l   / .l _/__ケ毛z<‐/メ__/ : :   \. \_
    l  ハ  ヽ\ \_,ノ ./ _ノ ノノ~z// ̄ ヌ゙゙弋 | l--、: :   \
   ト、_ ̄戈ー-ゝt--‐' ̄     ;γヽ☆   ヽ. : | ヽ' ゙i、     >、
   |    ̄  メxttttrx        ト‐'     c} ; !  `、ノ:\
    \    布/  ̄\ヽ         ヤ γ   |/ |   |: : : \
\___`_フ/,γヽ☆.  `、          \__ .. ィ'´   |´ ̄ Y: : : : : \_      こっちが素ですー。
  l.  `lヽ /レ l` '    c |     ,       , ,    }=-,、 |、: : : : : : : :`
  i  : :| `、 \\γ   .Z              /‐‐'、ノ: :ヽ: : : : : : : :     ネット上じゃみんなあんなもんでしょー?
  |   (\.__>、 \ゝ+‐ ´       _  -<       丿-、 }: : - ゝ-、: : : : :
  |  : :/   >、   ' '     /        /: : : :' ´/     `ヽ、
  |  : :!  ,イ厶\                   / ̄\__/
  |  : :`ー‐t´ _ノ: :` 、 _          / .|  ノ. \       ヽ
  |   : : : :l\二フ : : : | ̄:>───‐‐´___/∧'     |       、 `、
 /    : :l: : : : : : : : : :|: : / \__}====, -‐' l     }_____ヽ__l_
./    : :/:: : : : : : :_.⊥斗     ヽ┌‐' ̄|  ヽ   ノ        \
'    : :/: : : :/ ̄     人       } ヽ、_ /   `、 /         `
   : :/: : : :/        >、   }        /
.  : :/: : : :/  l      /   `ー亠、      斗   ,-'¨l
  : :/: : : : l   l     /           }--‐‐ ´_ -' ∧ ` -'
. : :/: : : : : |   `、   /             }--‐: :´ : : /: :`、
: :/: : : : : : |    V| ´      ━━  | \: : : : :/ : : : :ヽ

27死夢見 ◆XDD/DkyjV6:2022/03/06(日) 14:07:58 ID:y92r8/8IMM



◎現状(八十三話終了時)
  カトルカールの電波汚染で電子機器と電波の使用不可
  鳴り響く銃声と爆発で民衆はパニック?

やらない夫の仲間
 目的:やらない夫を死んだと世間に見せる

・やらない夫
  ディオと交戦、誠と合流
・咲夜、球磨川、マーガレット
  ディオ(アリー)により殺害
・天龍、シグ
  ロビンに敗北
・ジャギ
  偽ヤーボと交戦、自爆される
・四ツ目
  トパス、アメシストと交戦後弾薬不足で撤退
・ミスト・レックス
  ハッキング中らしい
・やらない子
  ヤザンを足止め
・はやぶさ
  やらない夫と同行
・アサギ、タカオ
  やらない夫と同行中、ディオに攻撃される。アサギ、『滅ぼすもの』でディオを呪い死亡
・麻呂、白雪ひめ
  やる気を減退させ、一般人を避難中

警察
 目的:やらない夫の確保と暴徒鎮圧

・阿部さん
  誠を探している
・ナタル、ノイマン、ダリダ
  電波汚染に対抗中。

・誠
 やらない夫に合流、タカオとアサギを治療。

陸上自衛隊ムスカ配下
 目的:扇動、これをきっかけにクーデターを起こしたいが、鎮圧されつつある

『血族』
 目的:やらない夫の確保と暴徒鎮圧

・カミナとシモン
  ジャギと共同で偽ヤーボと交戦、自爆される
・龍田と石田
  カルカールと交戦、やらない夫を取り逃がす
・ケンシロウ
  暴徒鎮圧中、ジャンヌと合流
・杏子班
  暴徒鎮圧中
・キオ・アスノ
  暴徒鎮圧中、単独行動

『異端審問官』
 目的:やらない夫の確保と暴徒鎮圧
  ケンシロウと合流

シロッコ配下
 目的:日本を内戦状態にしたい

・ヤザン
  ねずみ男の放屁をくらい、やらない子に足止めされる
・ロビン
  天龍シグを下した
・トパス、アメシスト
  四ツ目と交戦、再び足止めされる
・他のカトルカール
  石田龍田と交戦、やらない夫を取り逃がす
  透明、大砲がリタイア

・レイ・ザ・バレル
  ドローン視野で連絡係
  偽ヤーボを自爆させる
・合衆国軍
  一般人を攻撃、鎮圧されつつある

ディオ(アリー・アル・サーシェス
 目的:不明
  球磨川たちとアサギを殺害した
  タカオに致命傷を与えた
  アサギに『一人でおかえり』を憑けられ誤った囁きを受けることになる

28令和もどこかの名無しさん:2022/03/06(日) 16:14:30 ID:FE1dsUG6MM

現状報告でアサギの死亡情報と助かった情報が両方ある……w

29令和もどこかの名無しさん:2022/03/06(日) 16:21:09 ID:csLKpF3ISa
誠来た、誠来た
これで勝つる(本当?)

乙でした
いやぁ、こちらの乱戦ぶり見るとワカメ側の何と平和なことか(平和とは一体)

30令和もどこかの名無しさん:2022/03/07(月) 13:24:26 ID:yPp3thkw00


31死夢見 ◆XDD/DkyjV6:2022/03/13(日) 14:04:35 ID:sa340pM6MM


     ∨ニニニニニニニニニニニニニニニ-/
.       ∨> '"´    ̄ ̄ ̄    ー-=ニ二_′
  _____}                        {  ____
  \三二ニ≡====ー----―==≡ニ二三三三:/
    \三三三三三三三三三三三三三三三三三/
      7: : :/. : :/. : {:∨∧: : : : : `ヾ: : :ヽ: :ヽハ才
     ,: i : :{:: ::/. : :∧:∨∧: : : : : : .∨: : :': : i: :{
      {: |: : }: /_才/:ハ:.∨∧: : : :斗弌: : : : : : ::!
      j八: :{/彡,:イ云ー: :乂ハ=彳ハ: {ハ: :/ ,: : :!         我々は間桐慎二の友人として、
     从: 乂ハ    ``ヾ   '"  }リ }'. / : : ;
      ∨: : 爻_ゞ==-     r===彡彳.: ::.′        この東京を来る破滅と
.        ∨: : 八            イ. : : : .'          ニャルラトホテプの
.       ∨: {: :≫.     _'_     乂: ,.: :/          手から守るために、
         ∨从ハハ> . -‐ミ.. . .イハ.: :/: /
.        乂{   . ィf -‐:._}ヽ(  .イ乂::.′           間桐臓硯氏に
       rfー--‐ " ィ{ .二二}=ミ` <从(___           助力を願いに参りました。
      /:フ {   //:. -‐ ヲ   \   } }
.     /. :} i}  { i{才:ハ  fハ\___ノi}  ′ハ
..    /. : 乙{   ゞ=ミf }  j〈 ヾ==彡  ′{∧
    .゙. : : フi}    /乙′⌒Y{ }i:{    ′乙 ∧
   ,.: : : : :廴ハ  ./ {__  乂气{i:{   .゙⌒(: : :.∧

|lニニニニ三三三三三三三三三三三三三三三三三三三三三三三三三三三三三三三三三三三三三三三三三三ニニニニ
|三三三三三三三三三三三/ /_. / / ̄ / ,ィ |  7 /ン ) / /_. / / ̄ 7 /ン ). // 〉 〉  // // / /三三三三三三三三三
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| 『やらない夫の集会』当日未明。
| 未だ冷たい雨が降り注ぐ東京、間桐屋敷の土間。
| 
| 冷え切った外気と石油ストーブの熱の寒暖差で頬をりんごのように染めて、蒼星石は言い切った。
| 彼女の脇には駱駝色のコートのやる夫。後ろにはうなずくアリカとつまらなさそうなルイズ。
| 
| 蒼星石の言い分に困惑した博麗先代が『狂死』を振り返る。
| 脳筋の呂布には聞くだけ無駄だ。
| 
| 『弓兵』と遠坂凛の襲撃を待ち伏せるために詰めていたはずなのに。
| なぜここで、蒼星石とやる夫が現れる?
| 
|「正直言いまして、僕は間桐臓硯をよく思ってません。しかし、利に聡く打算的な交渉ができるのは確かでしょう。
| なにより彼は失脚した。今は好機に貪欲なはずです」
| 
| 滔々と、蒼星石らしい論理的な理由を述べる。
| 『弓兵』らのことが無ければ納得できそうだ。だが。
| 
|「やる夫たちは、世界を守るためになんとかできる事をしてーんだお」
|「アンタが口を挟むと面倒になるから黙ってなさい」
|「はい」
| 
| ルイズの一喝で挟みかけたふぐりを噤むやる夫。
| なお、ふぐりは金的ではなくやる夫の唇を指す一般用語だ。
|_________________________________________________
|三三三三三三三三三三三_7 /〈 〈__ ./ /7|./ ∧\ ./ /__〈 〈__ / ∧\ 〈〈 / /  〈〈.∧∨,/三三三三三三三三三
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32死夢見 ◆XDD/DkyjV6:2022/03/13(日) 14:04:53 ID:sa340pM6MM


               ., -‐━━‐- 、
            / ̄.>'´:::::::::::::::::\::::::::`ヽ
          /  ./::::/:://::i:::\::::::\:::::::::::ヽ、
        /   i::::::: |:::|:|、::|:::::::::ヽ:::::::\:::::::::::、
      /     |::::::::i、从;斗rミ ヽ::',::r、::::\:::::::::、
.     /       |,斗‐ミ、 ,似リノ、 |:::i |ソ::::::::iヽ:::::::、
    /         |::汽シ ,  ̄゛  |: | |:::::::::::|:::ヽ:::::::、
.   /        ¦:∧ `__.   ,.|: | |:::::::::: |:::::::ヽ:::::、
.   i        /:/::::i丶、  /_j:::i |::::::::::人:::::::::ヽ::::、       待て蒼星石。
   \__,.   //:::::::|::::::i`¨:}'´;;/::;リ/〉──ミ::::::::::::::、      その前に確認させろ。
          /'i_i:::ノ-‐<;ノ;;;/ ̄/:/´ ,.──┴ミ::::::、
         _/ _j/´;;;;;;;;ヽノ;;;;;;;/:// ,:.:.-──r-}:::::::、
       _∠二二、;;;;;;;;;;;∠ -─‐|:.:{_,.イ  ,. -─┴イ二二}
      /: : : : : : : :.>:/: : : : : {爻}:j;}   Y     ト、⌒}:::、
    /: : : : : : : : : : /: : : : : : : : : : :|;;{   |     .∧/:::::::、
.    i: : : : : : : : : : :.|: : : : : : : : : : : :|;;i   |/ ̄--ノ::::::::::::::::、
.    人: : : : : : : : :.:八: : : : : : : : : : :ヾ;、 ./,-─‐  \::::::::::::::::、
   {__.\: : : : : ∠二..\__: : : : : : : : 〉イ ̄ ̄`ヽ  .|::::::::::::::::、
  ノ  >'Tー‐'´      `ー──ヘ    ,、    ト、::::::::::::、
.r'´  /  \_r‐、_          ./}  //i    , ′ \:::::::、
.|   .i ,z‐‐'´  /   >=‐'´ ̄>‐.' /_.,ノ.//   /   /:::::::::、
.ヽ- '└イ    i|       ./'     ̄ - 'ノ^i   ̄   /::::::::::::、
     |' |   /        .|         _,/'ヽ、__,イ |::::::::::::::::、
     | .|  i        | ̄| ̄`¨¨¨¨´:/:::::::::::|:|:::::::|::|:::::::::::::::::、
     | .|  |        ヽ/|三三三三{:::::::::::::|:|:::::::|::|::::::::::::::::::i
     | .|  |        || |三三三三\::::::://:::::: |::|::::::::::::::::::|
     | .|  |        || |==イ, ̄ ̄ ̄ヾ:、/:::::::::::::::::::::::::::::::::|
.   /::| ヽ  |        || `}: :∧     \∨:::::::::::::::::::::::::::::|
   /:::::| .i             リ /: /: :.{      ヽ∨:/::::::::::::::::::::: |
.  /::::::;リ..│         | ノ:/: : : |:\      i∨::/::::::::::::::::::: |
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 i:::::://            | |: : : :  |: : : : |\   |: :∨:::::::::::::::::::/
 |::://           .| |/: : : : : :.|: : : :.{: :  ̄`ヽ: 人:::::::::::::/
 i://            | |: : : : : : :′: : : ヽ: : : : : {: : :.\:;/
 7 |             | |: : : : : : :|: : : : : : ヽ: : : : ヽ: : : :\


|lニニニニ三三三三三三三三三三三三三三三三三三三三三三三三三三三三三三三三三三三三三三三三三三ニニニニ
|三三三三三三三三三三三/ /_. / / ̄ / ,ィ |  7 /ン ) / /_. / / ̄ 7 /ン ). // 〉 〉  // // / /三三三三三三三三三
| ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
|「そこに居る入即やる夫が本物で、『血族』に居るのが偽物だと、そう言いたいのか?」
|「さあ」
|「さ、さあ?」
| 
| 『やる夫』は今や『血族』の、『緊急事態対策班』の中核だ。
| 彼の判断は的確、世界を破滅から守るという強い意志は人を惹きつける。
| 
| だが、この目前にいる男はなんだ?
| 見るからに自信のなさそうな雰囲気、心ここにあらずの淀んだ目付き。
| 
| 肥大した頭部、脂肪でブヨブヨした肉体、魚のような金壺眼にブルドッグみたいに潰れた鼻。
| 
| 膨れ上がった唇、病人のように青白い肌で、体毛は極めて薄い。
| 胴長短足、人類としてデッサンが狂った外見。
| 
|「このやる夫が本物かどうかアンケートの結果。
| 『思う:2票』『だいたいそう思う7票』『あまり思わない:一票』『思わない:0票』となりました」
|
|「つまり、貴様らは十人以上のグループだと?」
|「いえ、脳内会議で」
| 
| 鼻白む『狂死』。蒼星石はこんな冗談を言う奴だったか?
| 呻く先代、蒼星石なら言う。だが、ここ最近はそんな余裕が無かった。
| 
|「これはやる夫兄いに見えるけど、やる夫兄いじゃないかもしれないの。
| そもそも、ホンモノってなんだろ? 顔形? 能力? 性格?」
|_________________________________________________
|三三三三三三三三三三三_7 /〈 〈__ ./ /7|./ ∧\ ./ /__〈 〈__ / ∧\ 〈〈 / /  〈〈.∧∨,/三三三三三三三三三
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33死夢見 ◆XDD/DkyjV6:2022/03/13(日) 14:05:11 ID:sa340pM6MM



          / . : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : \
        / / . : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : \: : ::\
      / /. : : : : : : / : : /: : : : : : : : : : :l: :l : : : : : : : : :ヽ: : : l
     {/ {: :.|.:|: : : |: : :/: :l: : : : : : : : !::l: :|l: : : : : i: : : : :l: : : :l
          |: :.|.:|: : :⊥.:ム:!: : : : :ー十1‐|l‐- 、: :}: : : : :l: : : :l
        \|.:|: : :1ヽ| ヽ|\. : : : : ::l: l l:!:::ハ: :}: : : : l: : : :l
         `ト\1,.テ弍ヽ  \: : :/l/-_リ:仁_.l/l : : : :.:l: : : :l     脳噛のクソが作ったコピーや
             |: : :| {{ し。1   )ノ そ〒テ弐ミヽ: : : : :!: : : l     平行世界から連れてきたもうひとりのコイツ、
             | : ! ヽ廴ソ       辷 ソノノ V . : : :.!: : : :!     あるいはさらに訳の分からないものでも
           /:| : :!          ´ ̄⊂つ/ . : : : :ハ: : : :ヽ    おかしくはないわね。
          /: .:| : : :l     ′      ,r┐/. : : : : :.ハ: : : : :.\
         /. : :.:| : : : \          / l ∩: : : : : /: : :ヽ: : : : : :\
       /. : : : :| : : : : : lヽ、   `   ∩ l!l: : : : /L....: : : \: : : :
      ( . : : : /\: : : : V::::〉ゝ --‐ < l / / 〉.::::/.:::::::::::`ヽ: : :\: :
      ヽ:::::/.:::::::.\: : : V:::l L ,.ィ´//    /.:.::/.:.::::::::::::::::::L__: : : :
        V.:::::::::::::::::): : : V /⌒V /    /.:.:.:/.:.:.:.:.:.:.:.:.::::::::::::::): : :
       /l:.::::::::::::::/ . : : : V☆ //    /.:.::./.:.:.:.:.:.:.:.:.:::::::::::::::(: : : :
      /: :l.::::::::::::/ . : : : : /VV./    /.:::::/.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.): : :
     /: : ::l.:::::::::/. : : : : :./l /.:L.-─┴ イ.:.:.:.:.:::::::::::::::::::::::::::::/: : : :
    /. : : :.:l.::::::/ . : : : : :/::l /.:〈       L.:.:.:.:.:.:.:.::::::::::::::::::::/: : : : :
   /. : : : ::::l.:::/ . : : : : : (.:::l/.::::ハ      〈.:.:.:.:.::::::::::::::::::::::/: : : : : :

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|三三三三三三三三三三三/ /_. / / ̄ / ,ィ |  7 /ン ) / /_. / / ̄ 7 /ン ). // 〉 〉  // // / /三三三三三三三三三
| ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
|「三人揃ってヒデーお」
|「そういう貴様自身はどう思っているんだ?」
| 
| やる夫は首を傾げた。死んだマグロのように漆黒の瞳。死に毒されすぎて、何も映さぬ無明の深淵。
| 
|「さっき『狂死』さんが言った通り。やる夫をやる夫だって証明することはできねーお」
| 
| やる夫か、ニャルラトホテプか、それとも別の何かなのか。
| ではそも、やる夫とは何なのか? やる夫の定義はどこにあるのか。
| 
|「でも」
|「まあ」
| 
| その後ろから、二人の女が肩を掴む。
| 
|「この弱虫で甘ったれの臆病者が、僕に親しみのあるやる夫だ」
|「この優しくて不器用で人のことは簡単に信じるのに自分のことが信じられないのは、あたしの知ってるやる夫兄いだよ」
| 
| 定義はない。観測と認識こそが全てだ。
| それはつまり。
| 
|「そっちの『やる夫』もやる夫かもしれねーってこったお」
|「…………」
| 
| 押し黙る先代。全く興味のない呂布。
| その後ろで『狂死』が乾いた拍手を送る。
|_________________________________________________
|三三三三三三三三三三三_7 /〈 〈__ ./ /7|./ ∧\ ./ /__〈 〈__ / ∧\ 〈〈 / /  〈〈.∧∨,/三三三三三三三三三
|lニニニニ三三三三三三三三三三三三三三三三三三三三三三三三三三三三三三三三三三三三三三三三三三ニニニニ

34死夢見 ◆XDD/DkyjV6:2022/03/13(日) 14:05:49 ID:sa340pM6MM



             __,. -ニ¨<⌒ヽ--、
         .  _,.<>'"´i ̄ `丶ヽ ソト、
           /二ニゝ ノ_,,..、   Y'¨入
           />-ニフヽ::〉.''"二_`丶  !、 ハ
         i'"´,,.zェヲ'  ィテラ `ヽ   ノ¨゙ヽ
..        l./´ヽ'´ .ノ丶  `¨ ̄/´ ハヌヽ_j      んっん〜。
            j r`丶¨   l.  ''"´  /  〉` i
            { i´ら 、  l        ヽ'  l       大変感動的な演説だな。
.            ヽr- ソ!.  ',    ,∠_`^ヽ ,'       なるほどなるほど。
          .l    l   '     、_  ̄´./    
          「¨ミ>、 ヽ、      ⌒i /     
        /¨丶、   \ 丶    _._  ,'
        /    > 、   \. <,. -‐'"
       ,'        `丶  ヽ/
      ;.ィ"´  ̄` > 、  \∧ト、
     /     /  ',  \  ヽi:r‐!
 .  ,.'       `¨´ ̄ ',   \丶::ヘ、
   /          _,.. ⊥ ..,,_ヽ \::\
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|「なら君らは本来行うべき答え合わせを後回しにして、有用な『やる夫』を両方利用しようって腹か?」
|「そうです」
| 
| 剣呑に目を光らせて、とげどげしく問う『狂死』。
| 平然と答える蒼星石。
| 
|「こちらのやる夫は得体のしれないものである可能性以上に、有用です。
| この世界を守る能力を持ち、尽力している……もちろん」
| 
|「マッチポンプでなければ、かな?」
|「はい」
| 
| 満足そうにうなずく『狂死』。
| それは、どちらの『やる夫』にも言えること。
| 
| 東京を守るために動いている。
| 自分の撒いた種である可能性もあるのだけれど。
| 
|「やる夫についての問題は、他の問題が片付いた後でいいと、僕は考えています」
|「『彼ら』こそが根本的問題かもしれないのに?」
| 
| デマゴーグ。不安を煽る言動で民衆を扇動し戦争へと駆り立てるもの。
| 二人のやる夫が二人揃ってニャルラトホテプでデマゴーグであるなら。
| 
| 二人の排除で事態は収まる。
|_________________________________________________
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35死夢見 ◆XDD/DkyjV6:2022/03/13(日) 14:06:22 ID:sa340pM6MM



          , -===、、
         /'      ヽ
        /'
      /' _. .-: :―: :-. ._
     _〃´-:―: 、: :`: : : 、`丶、
   /: : :_: : :-: : :_:ヽ: : : : : \: 丶
  /: : : : : : :`: :- :、: `丶、\: : ヽ: ヽ
 f : : i:、: \: 丶:、: :\ー ォ 、:ヽ、; :l: :!
 | : : ハ:ヽ、:_\ー-ゝ ̄ヾ _.- ト、V: :!
 |: :/: 小、;':< ̄      f ):::i リ|: 大、=、、
 V/: /ハ /  ̄>=、    丶- ' 'イ- 、l!   ヽ
 ハ: 〃:∧  f ):::::}    ヽ     !\ノヽ        …………ん?
 !: ハr-=_- ヽ`‐'    '     /\ ヽ ヽ
 〉〈 | f (ヽ \      r_)  /   \ヽ ト、
 !: }  トニ二´ ヽ        ∧  /   |_」
 〉〈 〈::〉  `ハ ―-- -- 'ノ i/  /: : \
 ヽハ 〈::〉   | \____/r:^ヽr: :':´ : : : : : :ヽ
  ヽV:ノ   |\____  ヽ-リ: : r_┐ : : : : : ',
   い   / \____ / ̄: :rへ: : : : : : : : :!
   ∧:>―f        l |: : : n:ヽ ノ : : : : : : /
   |: 〉|  ヽ、      | |: : : `: : : : :'v l: ::::/
   い {`丶、 ` ― - ┘ !: : : : : : : : : : :|/!
    Yヽ`ト、 ` ー― -  |: : : : : : : : : : :l  |
    ー辷ゝ ` ー ―‐┬‐': : : : : : : : : : / ト小、
        ヽ      八::::::.. : : : : : : / /ヘf ヽ

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|三三三三三三三三三三三/ /_. / / ̄ / ,ィ |  7 /ン ) / /_. / / ̄ 7 /ン ). // 〉 〉  // // / /三三三三三三三三三
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| 急に、キョロキョロと落ち着かなく周囲を見るアリカ。ルイズが肘で小突く。
| アリカの様子に眉を顰める呂布。目を閉じ、首をひねる。
| 
|「魂を震わす何かを感じたか?」
|「分かんないけど、何か……ばっちゃなら『私のゴーストが囁くのよ』って言いそう」
| 
| 虫の知らせ。
| ちょうどその頃、地下で慎二が反撃の狼煙を上げていた。
| 
| だが、異界として隔絶された空間での出来事だ。
| 常識外れの異様な直感を有する呂布ですら感知できない。
| 
|「特にこちらのやる夫は危険ですね。世界の破滅に関する知識が多すぎる。
| マッチポンプノ可能性を捨てきれません」
| 
|「え、そんなふうに見て他の顔?」
|「君は怪しすぎるんだよ」
| 
| 突然封印から解かれて、何が『十壊』だ。
| その上、スーパー運命破壊マシーンでやらない夫とアサギによる破滅を止めた?
| 
| 冷静に考えると怪しさ大爆発だ。
| 特に止めたとされるやらない夫とアサギの破滅も、やる夫以外には観測できていない。
| 
|「所で大事な質問なのだが」
| 
| 忘れ物を思い出したかのような顔で、『狂死』か口を開いた。
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36死夢見 ◆XDD/DkyjV6:2022/03/13(日) 14:06:38 ID:sa340pM6MM




        ト、./ i i  i 、.  /〈 / r/ィ   7   i
        ト,/¨`ー──一´ーイ ̄ ̄ ̄ 7 . _i、
       rく|::: ::: ::: :/: ノ: :: :: ::  :  : i// i i
     .. / トト-、: ::: /::/: : / : :: :  :   : i/  /|
      | t | ,ミミ、::: :i: :i: : ノ /:  :  : :  . i / /
      /! Y ヽ、 rx ::Y:: :/ /    _   - //./   
    ¨ヽ ti !  ゛T´ :|  トイー ニ¨ - ラ¨/  /
       i ,i i .   |r.イ    くーr三テ、  / /i     
       i .i i.    レ ∧   ヽ ヾ-- ´ テ 7イ              君ら、陽動目的でいいんだな?
      l ,i i     ir'            /  / i、     
      i !i    ミ_ -       /.  / /  i、
  .     i   i、  入__       /   _/  | r'/ i   
     i . | ヽ _, ヽ   / ∠´/  ヽ_Y /
     /   ヽ_          , イ   /     )'
          ¨ ー- イ彡 .    /     ¨     ,ィ

|lニニニニ三三三三三三三三三三三三三三三三三三三三三三三三三三三三三三三三三三三三三三三三三三ニニニニ
|三三三三三三三三三三三/ /_. / / ̄ / ,ィ |  7 /ン ) / /_. / / ̄ 7 /ン ). // 〉 〉  // // / /三三三三三三三三三
| ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
|「え?」「あー」
| 
| 身も蓋もない。しかし突然の確認に、ルイズとやる夫は対処できなかった。
| アリカが無反応なのは、さっきからどこかぼんやりしているせいである。
| 
|「いいえ、最後通牒を突きつけに来ました」
|「…………脅迫か?」
| 
| 同様に、突然のことに驚きながらも先代。
| 間桐臓硯を脅す? 馬鹿馬鹿しいとは思いながらも。
| 
|「協力しなければ『弓兵』と遠坂凛を抑えておけない。というだけです」
|「立派な脅迫ではないか」
| 
| 鼻で笑う呂布。不機嫌な先代。そして『狂死』はつまらなさそう。
| 
|「全部、陽動のための狂言か?」
|「まさか」
| 
| 蒼星石は頭を振る。そう、彼女の目的は違う。
| だが、それを仄めかした所で、もう遅い。
| 
|「もうよかろう、ぶちのめして生きていたら捕虜にして聞けば良い」
| 
| そう言って、呂布が矛槍を手に取った。
|_________________________________________________
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37死夢見 ◆XDD/DkyjV6:2022/03/13(日) 14:07:02 ID:sa340pM6MM



                   ,....._'ニニニ''::::...
                /,.'´      ` ヽ、`ヽ
              ,..:'::/___{彡''´:: ̄`ヽ    ヽ:::ヽ
             ./.':´: ̄::::::`:::::::::::::::::::::::::\   ヾハ
            /::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::`..ー- イハ
         {廴ノ/::::::::::::::rz、.ィ:::::::::::::::::::、::::::::::::::::-=' ミ:i、
          フ:::,ィ::::::::::::/`¨¨j::::ト、::::::、::::::ミ:、:_:::::::::-=:、:::ヽ
          {:::/!:::/::::i:::{   ヽ::::\:::::\:::::::::: ̄::≧:::ヾハ:i
.           V八:i:::::::ト:{!___ \::ヽ>;;≧>z、::ヾー、:ミ:::i
         ,/::::::::Y、::从 ̄__ ̄ ` ヾ ´ ̄__ ̄ ̄ヾソ::ヽ::::l
          ,.'::::/: 八ヾ .《了Y不ミ     ィテ杯下》 .,' /:::::::::l
          ,'::: /:::::::::ヽヽ 弋zソ    i    弋zソ  /,ノ:::::::::::ヽ
       /:::::;':::::::::::::::>、  ̄    j!     ̄ ./く::::::ヽ::::::::',
     ,.<::::/::::::::::/  ∧            ./ >、:::::ヾ::八
    ,.':::::::::::::ノ:::::::::::::\   .\   `ー=-'  ./  __/:::::::\:::',
   {::::::::::::::::/:::::::::/::::::\} //∧>..    ...<从\/:::ヽ::::::::::::::::::::ヽ、
   {::::::::::::::::::::::::: ノ::::::::://ノ \   ̄  / V  ヽ::::::::::::::::::::::::::::::::\
  i、_>:::::イ::::::::::::/::: //:/    \ ___/   V__  ヽ::::\::::::::::::::::::::::::ヽ
  `ー Y:::::::::::::::/;;z..ィ<: : : !    、_  || __ ノ   i: : >.、.V::::::ヽ:::::::::::::::::::::::)
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| 夜ごとに思い返される悪夢。
| 物理的な痛みすら伴う最悪の瞬間。
| 
| あの日、約十五年前。
| 
| あのときも寒い冬だった。
| 凍えるような木枯らしと、刺すような雨の夜だった。
| 
| まだ夢宮士郎だった『弓兵』は、間桐雁夜の手引でこの地下空洞まで侵入していた。
| まだ十代の遠坂凛も一緒で、当時殿を務めたのは『万魔』ではなくレナだった。
| 
| レナ・セイヤーズ。
| いや、既に士郎の妻であったため、夢宮レナであったが。
| 
| 地下空洞は、あの日と何も変わらない。
| 脈動するかのような赤光。張り巡らされた結界。
| 
| そして、穴蔵の奥に。
| 底なし沼のような、蟲のプール。
| 
| 士郎は蟲にまとわりつかれ、穴という穴を犯され、身悶え喘ぐ間桐桜を引き上げた。
| 蟲どもを焼き払い、上着を着せて、朦朧とした桜を連れ出そうとした。
|_________________________________________________
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38死夢見 ◆XDD/DkyjV6:2022/03/13(日) 14:07:18 ID:sa340pM6MM



                   _    ____
                    ''´   `ヽ´.       `丶、
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                  /                      ヽ
               /    /                 ヽ
            /    /    /                 ',
.             ,    l    /   /              l
             ′    |    |  /  /         ヽ |
                   |    | ./   /  /         ',
           |      |    | |  ./   ,イ     | |   ',
           |   ァ^|    | |  |i   |:{      | |   | }
           |   |f |    | |  |l   |ハ     ,  ,   | }
           |    乂|    |∨ヽ,|ヘ. |:::|    ///|   /レ′
           |     l :|    |:::::::::::::: ヽ|:::|   /// / /
           |    , : |    |\:::::::::::::::: ノ_,,ィ::::/イ //.!
              ,   : : :|    |  、 ̄   ^)し,イ.|    |
.             '  / : : :|    |  ヽニ=-  ノ;イ: : :.|    |
             / / ィzzz|    |ト、   ,、<.: : : : : :.|    |
         / /: :|:: |:: |    |zz≧≦.: : : : : : : :. :.|    |          う、うう……ああぁぁ……。
           / /: : :|:: |:::ハ.     |:::::|:::::::|zzx,____|__  |
.         _/__rzz': : |:::::ハ.    |:::::|:::::::|、:::\:::\::::::::::::≧s。
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     //:::::/:::::::/:::::ノ.....ハ   |:::::|::::::::ヽ::/ ,ィ‐ 、 `'ー― / ̄`''<
   /:::/:::::::/::::::::::::|:::::::〈:::::::::::ハ 从:::ヽ:::::_<_,,、-‐''~´  ,ィi:i:i:/::::::::::::::\`''<
   ,::::/:::::::::|::::::::::::::|::::::::::ヽ::::::|..}/::::::::::::く_  -‐''"  ,ツi:i:i:|`〜、、::::::::\:::::ヽ
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| その桜に、刺された。
| まったくの奇襲だった。周囲に注意は払っていたが、桜には無警戒だった。
| 
|「センパイ、センパイ……ワタシト、イッショニ…………」
| 
| 桜の下腹部から伸びた黒い触手が六本、気がつけば士郎の腹部に突き刺さりのたうっていた。
| ヒョウモンダコめいた神経毒と、内臓を食い荒らす卵を植え付けられ、良くて即死、悪ければ苦しんで助からない。
| 
|「イッショニ、シンデ」
| 
| 何が起こったのか分からず呆然とする凛と雁夜、桜は士郎を確実に仕留めるために、次の触手を上半身に向けた。
| 心臓、喉、脳。士郎は動けなかった。防げなかった。
| 
| 霞む目で最後に見たのは、自分を庇い胸を貫かれる妻の姿で。
| そしてそれが、士郎がレナを見た最後になった。
| 
| 一週間以上生死の境をさまよい、肉体と精神のショックから記憶を失った士郎が、何もかもを思い出すまで数年。
| その後は、ずっと悪夢を見てきた。
| 
| 大切な後輩が、愛する妻を殺す夢を。
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39死夢見 ◆XDD/DkyjV6:2022/03/13(日) 14:07:31 ID:sa340pM6MM




  ヽ  /ヽ       /: : : : : : : : : : : : : : ̄` : :、
   〉 八  }     /: : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : ヽ
  / / ヘ ノ   /: : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : \
  ィ ヽ /   /: : : : :/: : : : : : : : : : : : : : : : : : ト: : : : : :ヽ
   \/   , : : : : : : /: : : : : : : : : :/ : : : : : : : : : j: : : : : : : :.
    /    /: : : : : : /: : /: : : : : :/ : : : : : : : : : / ̄ ̄ ̄ ̄入
 _ ノ   /: : : : : : /: : /: : : : : : :/ : /: : : : : : : /____/ 介
      /i: : : : : : /: : /: : : :| : :イ : :/ : : : : : / \  ヽ / ハ
      /: !: : : |: :/: : /: : : : i: / !: :/: : : : :/  `ヽ \   V
      /: 川: : :|: j: :/八: : : :i/ /: //: : /´ ̄   \ \  |
      . : : :八: : {ハ从  ヽ从{ > ´ ノ  7 ̄`ヾ    }:\!
    /: : : : j: : :i|       /        / r  人   j: : :|
    / : : : : |: : : }    /     /    ヽ、  / }ト  /: : : |
  . :__:_:j: : : :i //   . ―、      ¨゙ `⌒ ィ、⌒j: |        センパイ。
       |: : : :V /   ,イ    ヽ         _ソ   イ: :!        センパァァァイ!!
       |: : : : ∨   {ィ      ハ      /   /: !: :レ´
       |: : : : : ト    マ、__ノノ     ..ェ┬彡≧ュ:|: : : : : :
       |: : : : : i \  ゚ ー― ´    / / jニニニニュ: : : :
 \     : : : : : :ハ   ヽ     _。 ≦    /ニニニニニニ
   \  / |: : : : :i   ミ ≧=ニ二   / /ニニニニニニ/
    \{  !: : : : ト ヽ          //ニニニニニニ人
      } |: : : : :! \ ミー  =彡 /ニニニニニニニ’ \
      i !: : : : ト   `ー――― } ̄ ̄ ̄ ̄ ミ 、イ
 `ヽ、   i |: : : : j \     イニニ             〉 {
  |:ト、≧、i|: : : :/       彡ニニ}          /  \
  |:}  ー i!: : :/__         \      /     \
  |: V   l : /     ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ― \ _ ノ
  ノ: 八    |: {              >――= 、 ミ 、ヽ
 : : / `ミー}: :!______>ー ´       ヽ     \
 : /ヽ    j:イヽ____  {       ノ__ ノ
 /  \  ノ八         ≧=――≦{  }≧ュ。_  }
   \ \        ̄ ̄ ̄       八  |    {` ー―
     `   __     彡     / {!  |    {

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| 咆哮、振り下ろされる腕。
| 
| 地下空洞の戦いは新たな局面に至っていた。
| 理性の感じさせない、虚ろな叫びがこだまする。
| 
| 凛の炎に焼かれ消滅しつつある臓硯の束縛を離れて、間桐桜は狂乱した。
| 死と破壊を振りまく怪物に成り果て、目前の士郎……いや、『弓兵』を排除しようとしていた。
| 
| そう、亡き妻の仇を討ち、桜を助け出すまでは『弓兵』は誰にも合わせる顔がない。
| 故に名もなき『弓兵』なのだ。夢宮士郎はそれまでお休みだ。
| 
| あの時。幾度となく繰り返した自責。
| 桜に油断していなければ、レナは死なずに済んだかもしれない。
| 
| 桜を助けられていたかもしれない。
| そして今では、すぐ近くに怪物として横たわる雁夜も……。
| 
|「破ァー!」
| 
| 巨大な拳を受け流す、左手で押し流しながら、巨大なパワーが『弓兵』の全身を回転しながら駆け巡る。
| 上半身を倒しながらの回し蹴り、その威力には桜のパワーが乗っている。
| 
| 自分自身の破壊力を手首に一点集中され、桜はよろめき転倒。
| その右手首はありえない方向に曲がり……もげた。
| 
|「イタイ」
| 
| 手首からドロドロと胆汁が流れ落ち、花畑を溶かし沸騰。
| その胆汁から無数の触手が伸びる。痛みを伴う記憶と合致。
|_________________________________________________
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40死夢見 ◆XDD/DkyjV6:2022/03/13(日) 14:07:59 ID:sa340pM6MM



                      、 / |/    /       /  -=< _
                   / ∨               /     \
                    l\!                   /     ̄ヽ. _\
                   ∨ヽ          /     /    -―  \
                   ∨   /|    |   /             \
                  ∨  ヽ|    | //             \_\
                 l ト 、     l  / /     _         \
                   l !   ヽ       _ ,   -        \  |
                  i!     ` ´ ´ ´      }  /     トリ
                  {ヽ               i        ∨
                 ∧.r\             ヽ   /,、 Y   |
                      l ヽfォ、{  / _, _  -‐ 'Z    ミ// / } ハノ     慎二、ターニャ!
                 /.}   ` `  ヽ - ‐ヒ て不ヌッ     〉-' } /       こいつも臓硯と同じだ!
                /. : ∧   /       `  ¨¨´     /ノ/!´
                  /. : : : ∧  /              _ イ从トヽ       ガワに騙されるな、
              /. : : : : : ∧〈                 /   }: }: |       中に本体があるはずだ!
               /. : : : : : : : ∧ 、              /   ,,ィ} 〉. :.|
                 {: : : : : : : : :{: ∧   ヽ       ,  '  ,,ィチニ /. : :.|ヽ
                 |: : : : : : : : :|:ムム      ,  '  _,,ィチニニ/. : : :.l: :|
                 |: : : : : : : : :|:{ニ/ .> - r<ニニ彡三ニ=.' : : : : : : :/. :.ヽ
                  ∨. : : :/._:.!:ト.|      {rニニ=-.':´:.: : : : : : : :: : : /. : : :∧
                } : /ト//.:イ. ト、    |: : : : : : : : : : : : : : : : /. : : : : :∧
              {.:/ : ヽX. ム ヽ_,>、_.ノ. : : : : : : : : : :_:_:.-‐. . /. : : : : : :.∧
               |/. : : /ヽ){ア . __/. : : : : : : : :´ : : : : : : : /. : : : : : : : : :.}
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|「遠坂に焼いてもらえよ!」
|「中身まで焼けてしまうぞ?」
| 
| 焼死体そのままの見た目で動かなくなった雁夜から『万魔』が離れる。
| よたよたと駆け寄る慎二、指を噛み切って血を与える。
| 
| つもりが、がっしりと頭を掴まれて丹念にディープキス。
| 白目を剥いてけいれんする慎二。絡まる舌、溶け合う粘膜、情熱的な吸引。舌を噛み切られて吸血される。
|
| 恍惚の表情で舌なめずりする『万魔』、浄化によるダメージの回復。
| 
|「魔力を回せ、慎二。年季の違いを教えてやろう」
| 
| 人間サイズの雁夜と違い、巨大な桜相手だ。
| 『弓兵』が攻め、『万魔』が防御。慎二が応援という役割分担。
| 
|「いいか、『エレシュキガル』が効いてる。削りきれ!」
|「急がば回れ、ある意味合理的だな」
| 
| 花畑による魔力抑制、落ちた胆汁は短時間だけ虫や触手の苗床になる。
| だが、一分足らずで花に埋もれて消えてしまう。凛様様と言ったところか。
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41死夢見 ◆XDD/DkyjV6:2022/03/13(日) 14:08:18 ID:sa340pM6MM



           _,.,,-=ー''7¬777¬-、
        _、‐゙/////////////////,ヽ
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      ∨////////////" ̄ ̄ ̄ ̄`ヾ       食い尽くしてやろう。
      ∨//////// ! / ,l. ∧ ト、\ ハ
       V/////!   lハ/'レ_` \!,.ヘ_;ノ! ;
       ∨//,' ,.! ! .krfヽヾ.  kj川: ,
       ;V' ,'.r-、! l. .!` ´     ハ, ト、         _.ゝ.._  _
        /ミl i i 'ヽ!  l. !        ; .l `丶、._ ,. -‐' ,. '´ ⌒!`:/ ヽ
     ,.'/  ! 、: ヽ.._!   l .l.    ' .´ / : !   `ヽ        l ./ / '゙`、
     /ミミミヽ,、   !   !.l._     /i !.|       )      ,.-/ ー/ ,/ ,)、
     ,'ミミミミミ{ `` T !    ト、.`7、 ´}.l! | l          '" ,{ 〈. '_./ ,. ノ
.       lイ   ,.' !`l丁`'、    ゙.三l.{ーヽ! ! |           i´ i, .'  ´, '.、
.      リミ'/ ! l {.,_ l 、  ゙.ニl.i、_  `ヽ`ー,.、       ,'  ヽl  , イ:.、 ミ.、
       !,,,,i ! _l,..///ヽl. ヽ.  ゙.ー.、゙ヽ   ゝ./∧       {    ゙、 !:::::::::::. ヾ
        〉‐7///////∧ ヽ  ゙.  ヽ \ `、/∧      }     ヽ!_:::::::::::. }
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| 『万魔』が髪の毛を引き抜く、生まれた甲虫の群れが桜に群がった。
| 花畑から供給される魔力、一度はへたり込んだが生まれたての子鹿のように立ち上がる慎二からの魔力。
| 
| 『万魔』はずっと独りだった。
| しもべはいた、しかし彼らは『万魔』の一部、甲虫と同じく仲間ではなく武器のような存在だった。
|
| 完全に背中を向けて、一切の警戒もなく桜と戦う『弓兵』を見る。
| 
| 自分の背後には慎二と凛。誰かに背中を預けたのも、預けられたのもいつ以来だろうか。
| 少なくとも、『万魔』になってからは初めての事だ。
| 
| 慎二との繋がりを感じる。
| 『弓兵』の信頼を、凛の援護を感じる。
| 
| 応えなくては。『万魔』は強く想う。
| 自分は『十二の封印像』の悪魔が一柱『万魔』……である以上に、彼らの仲間のターニャなのだ。
| 
| 『万魔』改めターニャの操る甲虫はモーター音のごとき不快な羽音の大合唱と共に桜の巨体を覆い尽くす。
| 邪悪な不定形生物の様な威容、悲鳴を上げ、両手を振り回して暴れる桜から『弓兵』が距離を取る。
| 
|「イタイイタイイタイイタイイタイ!!」
| 
| 甲虫の暗雲が桜の表皮を食い破る。
| 血液の代わりに沸騰した胆汁が滴り甲虫を焼くも、ターニャは失う以上に呼び出して対抗。
|
| 体長10メートルの巨人と言えども、全身にまとわりつく小さな虫には無力。
| サバンナでグンタイアリが巨大な象を食い殺すのにも似た凄惨さ。
|_________________________________________________
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42死夢見 ◆XDD/DkyjV6:2022/03/13(日) 14:08:39 ID:sa340pM6MM



            /.:ア; : : : : : : : : : ',: :`、: : : : : : V-‐───‐ァ
            j{:/:/: : : : : : : : : : : ',: : ',ァ<',¨¨¨¨¨¨´ /
            l/: ゙.: : : : : : : : : : :i: :'. : : :i-i{ \''<.,____j          ぐ……ががが!!
               j{: : : i: ;.: : : : :|: :l: :| : |',:| ∧  \ \ 、            ヤ・メ・ロ!
           j{: :i: :l: :',.: : : : :|: :| | : L:|斗ヘ    `ト∨`'<
           i|: :l : l: :l.', : : : :|' 斗<´l:.リ ァ く:.、  ベ^\  ` <
            l|: :|: :ⅣN\ : :| ァ芹芥㍉ ; }: :\′、 \,.>‐……‐<
              ∧ |ヽl  /  \|   乂..ソ /  ゙ ノ: : _`__ー--  、、  、、 ` く
              i|:`: :心、  .′  `¨´  .r ^ア;.;:;:;:;:;:;:;:;\    > 、 ー- 、\
              l|: : :l:i! 心、.′, -..、     ィ゙ /;.;.;.;.;.;:;:;:;.;.;.;.;:;`、       \v  \\
              l|: : :l:iア  iト ,ヽ:::::ノ .ィ  /};:;:;.;.;.;.;.;.;.;.;.;:;.;.;:;:`、            \V
.            l|: : :l7       }iト.<,__,.>'’;};:;:;.;.;.;.;.;.;.;.;.;:;:;:;:;:;:;∨
           l| : : :′__    ', └- 、   }!;:;.;.;.;.;.;.;.;:;:;/ ~ `ヽ∨、
           ,.斗r ァ'"  \、ィ____ > ァ'"´∨ ̄ ̄``'〜、′丶` ∨:.、
        ア´ rー<′     ‘,.ァ'"  /     }‐ f¨¨<     `'<  .∨:.\
      /  r‐=ァ゙'"^ 、    .i′  く  γ⌒>-┴- ., ` <    `'<: : : \
.     └i   > ⌒`` / 7 <|  ,、丶```Y^ト ,   /`〜゙、、     `'く: : \
.       | く       |/  / ``〜 、、  |    /` ,`ュ   > 、  ', /: : : : \
        /〕ト ,/   |_l   {   /  /``L.。s≦⌒`` ┘i---‐‐…\ }イ: : : : : : : :\
          / ァ′ ,`≧vl  ̄ ``〜、  '  /   ; \   \        } ',:. :. : : : : : :\
        ' /  / ′ l  ‘, .、 ヘ  〕ト , ′   ′ 心   \___,,..、<. Ⅵ:. :. : : : : : : :`、
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.       ∥  ト .L.. 、<__.、丶` 心,      ≧s。。,,/ハ    ∨   \   ∨:. :. : : : : : : : :∨
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| 雄叫びが地下空洞を震撼させる。
| だが、絶叫と同時に口腔内に侵入する甲虫。体内からも食い荒らす。
| 
|「来るぞ!」
|
| 『弓兵』の警告直後、桜の全身から伸びた黒い触手が甲虫の群れを叩き潰す。
| 触手の正体は沸騰する胆汁そのもの、触れた甲虫を飲み込み、叩きつけられた壁を割り、花畑を散らす。
| 
| その触手に喰らいつく甲虫、食い破り四散させる速度と、飲み込まれ吸収される速度が拮抗。
| 千日手? もちろん違う。
| 
| 桜の狂乱した瞳が、ターニャに焦点を合わせた。
| 天井に傷を付けながら、触手を束ねた瀑布のような一撃が叩きつけられる。
| 
|「感謝するんだな!」
|「ありがとう慎二愛してる」
|「う、怖っ」
| 
| 慎二が放つ呪詛の大槍が、触手の強打を反らした。
| 花畑を叩き割り、クレーターを作る触手。だが、花畑に魔力を吸われて端からボロボロと崩壊。
| 
| 崩壊する端から食いちぎる甲虫、暴れる桜。
| 全身から伸びた触手がミキサーのように振り回される。壁を天井を花畑を抉る触手。
| 
| ふと凛と慎二へ振り向いたターニャは……見た。
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43死夢見 ◆XDD/DkyjV6:2022/03/13(日) 14:08:54 ID:sa340pM6MM



             / イ     /  ,rー‐‐ 、\.    |    /     、.    / /
         ///    /  ヽ f⌒l ヽ \_  | l  /         l    //
           /    /    ` ゙ ラ=´   .ミ | /      ___  |  /
            /   x‐y              ヽ ー' ‐ラ‐=ニミ、 ` レ
           .//|:Y 人                 /   ヽひ  Y  /
          '  |:.l  . 〉              }     `ミー '
           |.イ  〈               /          /
           リ\ ヽ                       /, _ . . . . .
               ∧\ Y    ィ' .-‐    ー- 、      ,ィ≦: : : : : : : : : :
              l |  ヽ    `   ー- 、 彡ィ ´ : : : : : : : : : : : : : : :
              从 | ∧          ,ィ´: : : : : : : : : : : : : : : : : : : :
               从   、        ,ィ' : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : :
                |   ヘ _   ,ィ': : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : :
                     |      ∠: : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : :
            rヘ  /`Y|, -‐‐/. : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : :
          {: :ム {ニラ'´|   /. : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : :
          マ: :ム-キム |  /. : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : :
          マ: :.}:∧ ∨/. : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : :
       , >-マ: :}:::彡'/. : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : :
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| 一方で呼吸を整え、気を練り、タイミングを見計らっていた『弓兵』は、触手のミキサーをくぐり抜けて肉薄していた。
| 
|「『霊光……」
| 
| 地面すれすれに横殴りの触手。『弓兵』は電柱よりも太い斧のような一撃を右腕で受け止める。
| 
|「波動拳』……!」
| 
| おお、しかしその一撃は『弓兵』を真っ二つにするどころか水のようにすり抜けた。
| それどころか、右手から入った衝撃が『弓兵』の体を通って左手に流れ込む。
| 
|「奥義・『霊光反射鏡』……」
| 
| 触手の威力の乗ったフックが、桜の巨大な乳房に突き刺さる。
| 激しく揺れる双丘、もちろん趣味や嗜好による攻撃ではない。もちろん。
| 
| 心臓だ。桜の本体があるとしたら、心臓か脳だという想像による。
| 
|「『光浄裁』!!」
| 
| 地鳴り、『弓兵』を中心に巨大なクレーターが発生し、花吹雪が舞った。
| 桜が常人であったならば、全身の気脈を駆け回る純白の光に内側から灼かれ爆発していた。
| 
| 全身の傷口、目口、その他にも何箇所かから光が漏れる。
| 常人ならざる巨大な怪物でも、内側を灼かれ爆発四散するのは同じ。
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|「おおおおおああああ!!!?」
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| 胸を掻き毟る桜。傷口から漏れる光。
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44死夢見 ◆XDD/DkyjV6:2022/03/13(日) 14:09:11 ID:sa340pM6MM



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            /   {        /      >     ` 、    |! /
             /!          /          7       ヽ  .lレ
         / !    l  // ./ ./    ∠ィ 、       〈
          〈 |    { .     / ./ヘ   ノ __ .!  ヽ
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         ヽ_      l/'"´    .,v´"' .} } .|!    {n}ノ ノ   イ、、                   ´
          \  r'"`゛゙"      ノ,.ィ'  Yリ .|l_  {>Xイ /:::|::}ハ_                 /
            /\l       }  ,.ィf.ソ   r }__ ̄`V_」=彡:::::::,':Y::}=ミ 、ー=ミ     /
          ,   `ゞー-=ミゝ. ト彡ー       } /::::〈::::::::::::::::::::::::::::}、::::::::ヽ \\ \ー=彡
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           〃      ゝ  }_  ィ ==ァ./ ニニ´_.  \:::::/ ̄`ヽ::::::::}ー:リ  .i  |    >
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          ',                // ̄        トー=彡 ̄   -‐ ´    <_
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| 『霊光波動拳』。夢宮アリカの祖母……つまり『弓兵』の母が使っていた退魔拳法。
| 全身の気脈を操り、超人的な肉体能力を行使できるようになる。
| 
| 『弓兵』は魔力の弾丸を放射するのは苦手だが、自己強化は得意だった。
| 得意と言っても、母親ほどではない。
| 
| あのバケモノは、肉体能力を限界までま底上げした結果、一時的にとはいえ全盛期の若さまでも取り戻せた。
| あの領域に達するには、あと何年かかるだろう。
|
| そもそも一生涯かけても手が届くかすら怪しい。『弓兵』はその頂を見上げ続けてきた。
| おかげで、慢心に負けることなくここまで強くなれたと思う。
| 
| 『霊光波動拳』の中でも、『光浄裁』は特殊な技だった。
| 邪悪なものを滅ぼし、善なるものには危害を加えない。
| 
| アンデルセンや佐倉杏子の武器が人体に無害なように。
| いや、あれとも少し違う。
| 
| 『光浄裁』は邪悪のみを選り分けて消し去る。体内に侵入した悪魔毒や寄生悪魔などを除去するための技なのだ。
| それを『弓兵』は桜に打ち込んだ。
| 
| 本体核が『善』であるなどという期待からではない。
| この奥義でも、祓いきれないだろうという忸怩たる思いからだ。
| 
| それでも、この体積を半分にまで減らす位ならば……!
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45死夢見 ◆XDD/DkyjV6:2022/03/13(日) 14:09:26 ID:sa340pM6MM



                      _  ト、     _ }\  ,ィ
                     辷>| Y´: : ヽ : :`ヾ∀ ト、
                      /: :_乂リ/ : : : :`: : 、.:.:∨: :|
           /⌒ヽ、       ./: :∠, //// / //゙"| ト、│:.:|
            |: : : : : :\___ノ: : : :.:,У Wヽ从|{  リ∠l/: .:ト、
            |: :r'⌒\: : : : : : .:.:.:./|: : r 汽ヒソヽ  ヒソイ: : .:| \
        ー=彡ノ    ヽ、: : :.:.:.:.ノ.ノ: : :ゞヘ   _,丶人:.:.:.:\  )      士郎!!
.            ⌒>──-、_/:.:_: : : : ト\〈_ ソ/: : ト、: : : :\
              "⌒): : : : : :__rヘ'´  ヽ \_≧彳、: : :| \: : : :)
             / ̄ ̄ヾ     ,ゝ   〉   `。 。´ ∧  )/
          (、    \|           /     ╋   ヽ|  ソ
            . :\`ヽ、  ̄`弋ー─-ヘソ、 ゝ─ ┃ ─-ヘ
      ー=彡ノ⌒>-ミ  oo了 ̄フ込.__\       ノ
             ´):.:.:.:≧-、_大ー' r─〒′      Υλ
              ( r‐ラ: : : : : :.:`ヽ):.:.:.:〉          |.  \
.              ヾ {ハ: : : :爪/}: : :./        ∧    \
                 ) :ノ_,⊥イ           .〈  \    \
                ̄ 〈i:i:i:i:i:i:人_         |    \    \_
                  レ'´i:i:i:i:i/ `>、      .イ     `ヽ  ゚。|
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| 技の入りは完璧だった。あとは効果を継続させる必要があった。
| であるのに、元妻の悲鳴に『弓兵』は集中力を欠いてしまった。
| 
| 自分のことで、あんな悲鳴を上げる女ではない。
| 凜が叫ぶのであれば、それは親しい誰かが傷ついたときだ。
| 
| 空気が重く、時間が粘るように遅く感じた。
| 振り返った『弓兵』の目に映ったのは、凛と慎二を庇うように立ったターニャ。
| 
| その頭を、怪物のような雁夜が食い千切る瞬間だった。
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46死夢見 ◆XDD/DkyjV6:2022/03/13(日) 14:09:45 ID:sa340pM6MM


☆ 次回予告!

 『集会』は、いまや新たな顔を見せていた。
 やらない夫が用意した蟻地獄の罠。

 用意された舞台に食い付いた獲物たち。
 壮絶な喰らい合い。

 並び立つ敗者の名簿。
 そして、勝利を掴むために最適の手とは。

次回、最終幕八十五話『『血族』の猛攻』
 果てに見るのは破滅か死か。

47令和もどこかの名無しさん:2022/03/13(日) 15:07:22 ID:mmRYlUbc00

あっちもこっちもエラいこっちゃ

48令和もどこかの名無しさん:2022/03/13(日) 17:47:54 ID:7GkX9IbM00
乙です

49令和もどこかの名無しさん:2022/03/13(日) 19:31:54 ID:7.lV8LX.Sa
意識の外からの急襲
油断大敵乙

50令和もどこかの名無しさん:2022/03/13(日) 21:53:45 ID:BdakEB2oMM

雁夜の相手できる人員がいなかったからなあ

51令和もどこかの名無しさん:2022/03/14(月) 00:51:43 ID:P2Jq2Exs00
ばっちゃ……幻海婆さんだったのか
婆さんキャラってあんまおらんから選択肢としては少ないんだが


52令和もどこかの名無しさん:2022/03/14(月) 19:11:40 ID:B1MFOFZ2Sa
お梅、お種かもしれない(AAあるのか?

53死夢見 ◆XDD/DkyjV6:2022/03/20(日) 17:31:57 ID:Zc3R.Gw.MM



.   /l ̄`ヽ-´ ̄ ̄`|   -☆;─┐
.  l  |. /  ィ ,    ̄ ̄ \ / ̄ヽ
 \弋 `/,   {_| |    |l    Y ノ  |
 |._、 `‐| 乂匕j \_フノlノ |ヽ. l |/  /、
.イ__l.l‐_フ、i、iゝ       マ-__>ノ |--‐___|_
.  /   ハ .x==x`  x==x /- /l'-/ _/      チョイスターイム!!!
 (  /  レハ         /lヘ´ \ヌニイ
  ヽ、 l . レト、  ` ´   /.マ´ lノ |         パンごはん麺類チョイスタイム
  ト-' \| | |> ..ュィ‐ 彳V|   /         レッツエンジョイ炭水化物!!
.   ̄/ ̄,vチマフュ ィ‐-゙-┐-、|/ , `-ァ
   /lー┘ ̄/ヽ |`二´ヽユ  ヽ´ ̄´         俺のハンドルネームは『チクタクマン』。
   | Y´ `ヽ'  .}|´  |/\-、 |            これを見ている下位化身どもは覚えてるか?
   `l.|      {|      ./'ノ
.   ||     /.|     //             『満月の幻死』や『九月のトレース』で
.   ||    ,'_,|     //              コメントしてた四人のうちの一人さ。
   {.|     ,'  |    //
   ヤ   ./   |   `}'               『ID:cHicK.ta』って言ったほうが通りがいいか?
    |\__/゚   ゚\__/l




.                        ,.. -‐ ´ ̄ ̄ ̄/         |
                       _斗-‐ァ─´ ̄ ̄ ̄ ̄\_       /   __
                 /     ̄ ̄ ̄ ̄ ̄\_マ      |/ ̄    > 、
               /   /    _..-‐      乂_ ,.、  , 、             ハ
                  |.   l     //         l´~ └i´ .ヤ          |
              , -‐ " V l _ト斗-< .|  ャ-、.        ア_,、_l´  .>          /
             /   /   乂.__l \__l `| -'  |.  |  |    l_, -、_/、___人___.ノ
.           |    | / |       `ーl‐" ,イ /       ヽ |    十月の半ばから音信不通になった世界に
           _!   l/. V z=zx:x、ヽ     ` ̄ アX ノ     l   l |/    ようやくアクセスできたと思ったら、
          / \__ >─l    `゙ヤ      __    ∠\-‐_/   .| |     なにやら無茶苦茶になってんじゃねえか。
        , ̄ > ノ/^i ,-l  ""    ,   z=zx、_  ` ̄フ     / ./\
          `ー=斗 \` ∧    ..._         `゙fァ ∠_/ ./  i  ヽ   仕方がないから他の三人に声をかけて
           l ̄`<   ハ.  /  ` ,   ,,     /´ .|  ̄    ./  }   こうやって再介入の楔を打ち込んでるって寸法さ。
.  /" ‐-、      |     \ ∧ ヽ   /   "  イ   l      /  /
  l     ` ー-、人    | ̄ .l\ `"´     _/l´ ̄.l´  |     , イ    なのにフェイスレス以外は応答ねえ。
  |      /   `,   ∧     ̄ ̄ ̄厂厂   >_/ |  \__/ _/    マジかよ、付き合い悪いぜ。
  l    _../     {    ,斗--\   __/_/     丁 |/  l__/ | く___,
  乂_ l´      ∨ /    ハ . / ̄ ̄\ ア |/ /__>   `-‐''"   でも、負けない!
    `|        `>.乂_   z‐' `‐ァ     l |  \‐´  |         やる気! 元気! 寝起き……ユメカワ!
     V          } l_ .丶-、__l_, 、_l   .i‐_´ィ´    \   |
    /ヤ       ./   ゝ,       ̄ ̄ ノ /      l ./         なんてな。

54死夢見 ◆XDD/DkyjV6:2022/03/20(日) 17:32:12 ID:Zc3R.Gw.MM

◎現状(八十五話開始時)
  カトルカールの電波汚染で電子機器と電波の使用不可
  鳴り響く銃声と爆発で民衆はパニック?

やらない夫の仲間
 目的:やらない夫を死んだと世間に見せる

・やらない夫
  ディオと交戦、誠と合流
・咲夜、球磨川、マーガレット
  ディオ(アリー)により殺害
・天龍、シグ
  ロビンに敗北
・ジャギ
  偽ヤーボと交戦、自爆される
・四ツ目
  トパス、アメシストと交戦後弾薬不足で撤退
・ミスト・レックス
  ハッキング中らしい
・やらない子
  ヤザンを足止め
・はやぶさ
  やらない夫と同行
・アサギ、タカオ
  やらない夫と同行中、ディオに攻撃される。アサギ、『滅ぼすもの』でディオを呪い死亡
・麻呂、白雪ひめ
  やる気を減退させ、一般人を避難中

警察
 目的:やらない夫の確保と暴徒鎮圧

・阿部さん
  誠を探している
・ナタル、ノイマン、ダリダ
  電波汚染に対抗中。

・誠
 やらない夫に合流、タカオとアサギを治療。

陸上自衛隊ムスカ配下
 目的:扇動、これをきっかけにクーデターを起こしたいが、鎮圧されつつある

『血族』
 目的:やらない夫の確保と暴徒鎮圧

・カミナとシモン
  ジャギと共同で偽ヤーボと交戦、自爆される
・龍田と石田
  カルカールと交戦、やらない夫を取り逃がす
・ケンシロウ
  暴徒鎮圧中、ジャンヌと合流
・杏子班
  暴徒鎮圧中
・キオ・アスノ
  暴徒鎮圧中、単独行動

『異端審問官』
 目的:やらない夫の確保と暴徒鎮圧
  ケンシロウと合流

シロッコ配下
 目的:日本を内戦状態にしたい

・ヤザン
  ねずみ男の放屁をくらい、やらない子に足止めされる
・ロビン
  天龍シグを下した
・トパス、アメシスト
  四ツ目と交戦、再び足止めされる
・他のカトルカール
  石田龍田と交戦、やらない夫を取り逃がす
  透明、大砲がリタイア

・レイ・ザ・バレル
  ドローン視野で連絡係
  偽ヤーボを自爆させる
・合衆国軍
  一般人を攻撃、鎮圧されつつある

ディオ(アリー・アル・サーシェス
 目的:不明
  球磨川たちとアサギを殺害した
  タカオに致命傷を与えた
  アサギに『一人でおかえり』を憑けられ誤った囁きを受けることになる

55死夢見 ◆XDD/DkyjV6:2022/03/20(日) 17:32:26 ID:Zc3R.Gw.MM



                  /: : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : \
                   /: : : : : : : : : : : : : : : : :.、: : : : : : : : ヽ
                /: : /:: : : / : : : !:: : : : !: : !: : : ヽ:: : : : : ',
                /: : /: : : 斗--、 :|: : : : :|: : | ,ィT: ',: : :ヽ : !
                |: : |: : : : : |: /  \: : /|: : r 、 : : :.|.: : : ト、:|
                |: : |: : : : /!/    | :/ |:.:(ヽ、`\:|.: : : | V
               < : 」_: : /  _   _|/   レ. \ \ \ : |
               <:: |. 小{   `゙''''''       ‐-\ \ \_        積もる話もあるが、
                厶ヘ ハ        、 r--‐-、 >、    `ヽ      ここは任せてお前は逃げろ。
                  \_!          ' ` ‐-、 ``      `、
              _, r´:/ : :| ヽ   'ー―--   /\         `、    この子達は悪いようにはしねえよ。
          _, r ´:.:.:.:./:.:.:.:.::| | \         /ヽ :`ヽ         ヽ
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| 混乱続く芝公園の一角、血泥の沼で顔まで汚して、伊藤誠は凄惨に笑った。
| 立ち尽くすやらない夫、その隣にようやく戻ったニャンコ先生。
| 
| 滅多に見せない感情を顕にして泣きじゃくるはやぶさに胸を貸し、最高級のキメ顔の誠。
| 彼の足元には倒れたタカオとアサギ。
| 
| 二人の傷は、誠によって綺麗に縫合されていた。
| しかし、それでも、二人が安泰という訳ではない。
| 
| 後ろ髪引かれるやらない夫。
| アサギとタカオは元々は友を助けたいとやらない夫を頼って来た。
| 
| その友、『滅ぼすもの』で暴走したはやぶさとやらない子を正気に戻した後、
| 二人はやらない夫が困った時に手伝うと言ってくれた。
|
| その結果が、これだ。
| 
| 二人はディオの姿をした怪人に襲われて瀕死の重傷。
| いや、死んでいないのがおかしいような怪我を負った。
| 
| 怪人の嘲笑う声が耳にこびりついて離れない。
| デマゴーグ! 人々を戦争に導いて破滅させるのはどんな気分だ?
| 
|「止まらないでください」
| 
| いつの間にか地面を見つめていた、うつむいていたやらない夫。
| 鼻をすするはやぶさに顔を上げる。
|_________________________________________________
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56死夢見 ◆XDD/DkyjV6:2022/03/20(日) 17:32:42 ID:Zc3R.Gw.MM



                -―-- _
            , ィ´      `ヽ
           ,イ           `ヽ
         , '  ヽ     __   /  ',
          , '    ゞ==≦ュ、 `ヾ    l
       /    /       `ヽ ハ  ,イ
       ,'    ,'  /    ',    j   ハ      やらない夫さんがやらない夫さんであるために、
       l    l  ,'     ',   / , イ   ',     まだ止まらないで下さい。
       ',    ',  l       !// ',   l
       ヽ   \!__ ,, ィ-イ    ',  ハ
         `Tー--― ´j   l     l  j
         ,' イ    イ   ハ    j  ト
         ,' j    / l   { \  ヽノ  \       /〉
         ! ,'    { ',   ヽ  >_`=≦ヽ__       //
         | ハ ,イ  ヾ `ー,ィ≦///////////ヽ` __ ノ/_∨_∧_
         l | Y  ゝ  ,≦/////////!l/>==≦´   ,,=≦´ ̄ ハ
         ', ', jr-==ュ、////===≦/ j____,,=≦´     ,,-l==ュ、_
         ヽ∨´ ̄` ==ミ/ハ//////ハ ̄ ̄ ̄ ̄ヘ ___,,ィ三三三三ニノ
          / ´ ヽ    〕、//////ハ      {三三三{ jー、イ  r=、ヾ''
          ,'     , <_> イ//////ハ      ゞ三三彡' ̄ヽ  ,' ハ ',
         _ゝ <_>イl、    !|//////ハ      ∨   !  ハ !  } l
      , <_>ィ    !|i \  |///////ハ       !    !   ノ トヾ__ノ/
   <_> ´    ', ' 、  !|i  ∨ i///////ハ       !  ハ ヽー' ノ ゝ-'、
   ´         ハ  ヽ !|i`>-! レ//////ハ       !   >‐' ヽ イ/´ヽヽ

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|「止まるんなら、後始末の後だな。クソしてその後はケツを拭くもんだ」
| 
| 赤い目のはやぶさ、ニヤニヤ笑いの誠。
| やらない夫は頷いた。そうだ、今は迷っている暇はない。
| 
| やらない夫は死なねばならぬ。
| 
|「伊藤さん」
|「立ち直りが早いな」
|「はやぶさちゃんを頼みます。その子はこの先の作戦の鍵になる」
|
| はやぶさが瞬きする。瀕死の二人とやらない夫を見比べる。
| 最悪の場合は、そっちの二人よりはやぶさを守れ、やらない夫はそう頼んだのだ。
| 
|「俺を舐めてない?」
|「あのアレイスター・クロウリーを? まさかだろ」
|「なら良し」
| 
| 誠が薄く、邪悪に微笑む。
| 
|「それと、やる夫が何かおかしい。見てあげてください」
|「…………考えておくぜ」
| 
| そうして、やらない夫は伊藤誠と別れた。
|_________________________________________________
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57死夢見 ◆XDD/DkyjV6:2022/03/20(日) 17:32:58 ID:Zc3R.Gw.MM



                                ヾヽ
                         _,.-‐'´ ̄ ̄ヽノノ-、
                          /:::イ::::::::::::::::::::::::::::::::\
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                      /::::/::; イ ,_,≠_///:::::::/ハ:::::i:::::ヘ
                  _,ノ::://j:/ 乂:::7 ` /:::イ/イ`ヽ:::::|、i、:i
                  >、::::::∧,′   `  彳´ 7心、 ',:::从|
                   ̄ム::;_::::i        冫 ヽソ〃i/:::|
                    ´ ',:::〉   ヽ-  _     /!:::::::j
                         j′、   `‐-、ソ   /:ハ::::7
                    _,-、ィ、   ヽ       ...イ::〃 j:::/       そういや、長門は元気か?
                 _,.ィ´\::::\ `ヽ、 `:y‐ ´ j:::::/  i/
              ,ィ´、:::::::::::::::ヽ::::::ヽ  y<',   iイ
              i/::::::::\::::::::::::::ヘ::::::ヘ人:::::iヽ、             _
                 j::::::::::::::::ヘ::::::::::::::::::フ:ヘ j::ハ i::::\            jニ,)
             /::::::::::::::::::::::',::i:::::く::::::::::ハ!::::',ヘ:::<:ヽ        i .i,-、_
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|「長門? 委員長ですか?」
| 
| 内ポケットから、フラスコを取り出す誠。中には赤く発光する謎の液体。
| 
|「ああ、俺はあいつの後見人もしていてね。『品川大聖堂の夢』で一回死んだろ?」
|「……それは、彼が《ブギーポップ》だったと」
| 
| 頷く誠、フラスコを逆向け、粘度の高い液体を地面に垂らす。
| 血液と反応した液体はじゅうじゅうと蒸発するような音を立てて、泡立ちながら膨らんだ。
| 
|「ペルソナ能力を失ったと聞いていますけれど」
|「ペルソナ? バカ言うなよ。アイツは『世界因子憑き』だぜ。水門と同じさ、ペルソナなんて持てねえよ」
| 
| みるみると大きくなり、人間の子供サイズののっぺりしたヒトガタ(?)になる。
| 表面はヌルっとしていて、ハムみたいなピンク色、はやぶさは目を見張った。
| 
|「え、これは……」
|「ただのホムンクルスさ、使い捨ての小間使いだよ。長門弟がペルソナを出せるならこれからだな、まあ元気で何よりだぜ」
| 
| シーツを被ったゴーストめいたシルエット、頭部と思しき部位に突起。ペンギンみたいだとはやぶさは想像した。
| 
|「朝霧の血で作ったからか、プリニーみたいになっちまったが、爆発はしないはず。
| あと三匹ほど作って、二人を運ばせるぜ」
| 
|「……どちらに?」
|「警察」
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58死夢見 ◆XDD/DkyjV6:2022/03/20(日) 17:33:13 ID:Zc3R.Gw.MM



      〃                 j/ /
    \{                   /〃
      `ヾ
                         . -=ミ       j//
         ...._ \ヽ        /   ∨   /'′
      /   `ヽ\,、      /       V
.     /      \     /       ∨
    /           ’,    ′        V
    ,′         ヽ.....ノ           ∨
    {                            /`ヽ
   ‘,              / ,        レう}
     ‘,        ヘ、   / / ,  ─=イ {_,ノリ       消えな。
   ハ i〃          \  レ′/  ‘ /  |忻ハ  丿     そうすりゃ追わねえ。
  {し} ! \____   __j jノ /ミ=彡′  lノ/ //
   Ⅵ乢、  `ヽ _‘`彡ヘツ  ヾ      j/ //
  \∨ ^Y   `¨¨¨¨¨´   j | }       イ_彡'
 ``≧\_ハj         / { しク \  /小、
 ⌒¨¨¨`ヾ小  \     └-、j__/     ,ヽ ハ ヽ
       |∧   } ,.,___  --一/   i |   \
       |/∧     ` ー―‐=彡    ′j      ヽ
       |///\      癶辷彡'   / /
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| 首を鳴らし、銃火に晒されてズタボロのダウンジャケットを脱ぎ捨てるヤザン・ゲーブル。
| 彼の前に立ちはだかるのは、恐怖で歯を鳴らすやらない子。
| 
| 二人は、前に一度だけ遭遇していた。
| やらない子は鎧袖一触だった。一発ぶん殴られて終わりだった。
| 
|「尻尾を巻けば、アンタはお兄ちゃんたちを追うかもしれないでアフロ」
|「お兄ちゃん……なるほど、お前備府やらない夫の妹か。よく似てる」
|「え? マジアフロ?」
| 
| いきなりデレて、くねくねと照れるやらない子。
| 躊躇いのない殺意、命を投げ出す事に迷いがない。そこがヤザンには似て見えたのだが。
| 
|「あんな口先野郎のために命を張るのか?」
|「あ?」
| 
| 唐突な怒気。なるほど、とヤザンは納得した。
| この娘、兄の狂信者か。精神状態は『異端審問官』に近い。
| 
|「あのクソハゲアニキの悪口を言っていいのはこの世に五人だけでアフロ」
| 
| コートの前を開ける。露出狂スタイルのオープン。
| まろび出されたのは碁石の山。どこに隠していたのかザラザラこぼれ落ちる。
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59死夢見 ◆XDD/DkyjV6:2022/03/20(日) 17:33:55 ID:Zc3R.Gw.MM



      , ⌒ハ           ハ⌒ 、
     j:::::::::ヽ ,ヘ^ ⌒ Y ⌒ヽ/ .::::::::i
     ノ:::::::::j(ノ ..::::....::::..:::: ::. .ヾ)':::::::::::i
    /ル/:::::リγ::..:::::..:..ヘ、: : : : ::ノy:::::::リ
     Yyノ(::. ::.ノ ノ    ヽ、ヾ:::::( ルノリ      父さん、母さん、あたし。
       ヽ:::( (●) (●) ):::::ノ(        それと翠星石さんとやる夫さんだッッ!!
         リ(i   r‐-  iィ))`)
        ((ハ:ゝ  L 」 ノいノ:(リ         でアフロ。
        ,..ノj/ lヘ_ // 丿lノ卜.、∩
    _ ,、r‐"  、/l("!´ っ..l l |: ′`'' | |-,/)
r-r;''´    `、/´ |lぅ夕  1ヽ..-.,,_ 丿}ノ /ノ)
(,_{ハ_ ,,  ''-‐1  ‐/    ゙'〈/⊂ニ  '"  ニ⊃
        ヘ        ノ,′   `'=>'''"´
         ノ      //

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| いつの間にか両手に持っていた折りたたみ式の碁盤、やらない子は迷わず投擲。
| 木製の板だ、当たれば痛かろう。打ち身くらいできるし、最悪骨も折れる。
| 
| しかし、砲弾すら受け止めるヤザンの鋼の肉体への効果には疑問がある。
| 風斬り音と共に弧を描く二枚の碁盤。ヤザンを狙って両側から挟み込む。
| 
|「やるかい」
| 
| 前に出るヤザン、やらない子は左手で足元の碁石をザッと拾い、右手で高速投擲。
| 狙いはまばらだが威力は一級品、枝をへし折り木に弾痕めいた穴を穿つ。
| 
| キラリと輝く軌道を残す白石、その下や裏に隠れて黒石が飛ぶ。
| 白は全て黒を隠すための布石に過ぎない、黒が本命。中でも本当の数発だけが。
| 
|「『ドッペル玄関』」
| 
| やらない子の『滅ぼすもの』、裏返しの能力。反物質みたいな危険なだけの能力ではない。
| 斥力を発生させ、投擲威力を極限まで上げる。
| 
| ヤザンの周りを走りながら投擲を続けるやらない子。全ての碁石はよけられ、外れ、時に弾かれて木立に消える。
| 悠々と歩くヤザン。まるでやらない子の必死の攻撃を楽しむかのように。
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60死夢見 ◆XDD/DkyjV6:2022/03/20(日) 17:34:09 ID:Zc3R.Gw.MM



    {V       __  `丶、  、 ` ゙:,
  /          ``ヽ、   、 ゙:, } }
. /        // _ -―-  _ \ } ソ
/            V´       ``````ヽ、
    _、‐''゛  ,彡/              ` 、
   /      彡/           ` 、 Y  ` 、
         彡{        _ -  __) ノ(_ -、ノ
      / / 彡 ゛7    _ -<__’_ノ彡 :. ` ’- 、
、          彡{ ,, ´      ̄    _     ノ
、ヽ    /⌒\彡{               {     /∨         あくびが出るぜ!
、〉    l| l^  \{   ``ヽ、               ',
{    l{    (         \ /       _  -―ァ ',
 、    、 、  ヽ       ヽ ー―< _ _,,.、イ  ',
  \   \  -               ー― "   ,
   \    `ー― へ                   ',
     \   }  } 八,\                 }
      \   ノ  从. `ー―--    __      ノ
      、_)   }  }   : . .   ::::::::::::::::::::: ̄ ̄ ̄/
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|「アフロぉ!」
| 
| ここでペルソナを召喚。
| 巨大なアフロのついた雄牛、あるいはバッファローが轟音とともにやらない子の背後に現れる。
| 
| 猛烈な突進、それまでの投擲で払った小枝。突進の邪魔をされない通路を確保していたのだ。
| 巨体の突進、質量とは覆せない暴力だ。なのだが、それでもヤザンに効くかは疑問がある。
| 
|「はっはぁ!」
| 
| 笑いながら膝で迎撃、バカみたいに分厚い雄牛の頭蓋骨を粉砕するはずの一撃。
| だが、残念ながらそのバッファローにはアフロが付いていた。
| 
| ごわごわの、針金みたいな剛毛。熱も電気も衝撃も。それこそ弾丸も砲撃も止める特殊装甲。それがアフロ!
| 頭蓋骨までダメージは通らず、逆にヤザンは衝撃をもろに受け、ゴム鞠みたいに吹っ飛んだ。
| 
| 木をへし折り、地面に叩きつけられるヤザン。その間に碁石の山に戻り弾丸を拾うやらない子。
| 雄牛は再びヤザンに突進、轢殺だ。
| 
|「痛ってえ、やりやがったな!」
| 
| どことなく嬉しそうに立ち上がるヤザン、血の混じった唾を吐き捨てる。
| やらない子が碁石をめくらめっぽう乱れ打ち。ペルソナへの援護射撃。
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61死夢見 ◆XDD/DkyjV6:2022/03/20(日) 17:34:21 ID:Zc3R.Gw.MM



    {~ 、                                 /~}
    、 \_         _ , -‐〜'´ ̄`'〜ー、_         _/ /
     \  /フー/7ー―'‐ァ'///////////////ハ、―‐くヽーくヽ  /
      ヽl l  //     ノ//////////////////∧,   l |  l | /
       L{、 l |   「//////,}∠ y'´、 ̄,ヽイ////}   l | //'
         `L{ーァy'///////リ_‘/{ , ===、|y////`ァくノ~´
           ノ//////// イ / //   l|イ {//////}          ブモォォォオオオ!!
           {///////////} { iN ⌒ヽjl | ノ/////八
           ‘Y//////////)ヽヽ、_,ノ/イ////////}
            {//////////j  ヽ二/ {///////ノ
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             |      |          /    ,'
            |     从     /     /
           |      ,'ー\/Vl/ハ    /
              从ハヘ/   ヽ   / 从ヘハ{
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              人__」^^}      i^^~{   レ-〈
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| 強烈無比な突撃、今度は態勢の整っていないヤザン。
| だが、インパクトの瞬間に身構える。背中からアフロに衝突。
| 
|「あっ……フロ……?」
| 
| ヤザンの強烈な震脚が地面を揺らす。
| アフロで相殺しきれなかった衝撃が、雄牛の岩盤みたいな頭蓋骨を粉砕。
| 
| 破壊されたペルソナが粒子になって消滅、フィードバックで無様に倒れるやらない子。
| 顔面をしたたかに打ち据え、涙目でふらつきながら立ち上がる。
| 
|「終わりか?」
|「まさか!」
| 
| 飛び退るやらない子、再び碁石の連射。つまらなさそうなヤザン。
| ゆっくりと前に出ながら、弾切れを待つ。それはすぐに訪れた。
| 
| 徒手空拳のやらない子……しかし、その戦意に衰えなし。
| 
|「いくらアンタがバケモノでも、当たれば傷がつくのは確かでアフロ」
|「防御のない場所に当たりゃあな」
| 
| 少なくとも、その四肢は強烈な魔力をまとっていた。砲撃すら弾くのだ。
| しかし、背中はどうなのだろう。木にぶつかった時に血の混じったツバを吐いた。腕ほどの防御力はないに違いない。
|_________________________________________________
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62死夢見 ◆XDD/DkyjV6:2022/03/20(日) 17:34:45 ID:Zc3R.Gw.MM



          , ⌒ハ           ハ⌒ 、
          j:::::::::ヽ ,ヘ^ ⌒ Y ⌒ヽ/ .::::::::i
         ノ:::::::::j(ノ ..::::....::::..:::: ::. .ヾ)':::::::::::i
         ル:::::リγ::..:::::..:::...ヘ、: : : :: ノy:::::::リ
          Yyノ ノ :ノ...:ノ ノ  ヽ ::::::) ルリノ
            リ::::::( ( ●) (●::(
      .      ハ::::ハ  ,,  r‐ァ リ) )
             ) ) )、    ̄ノく//7 /77、       当てるでアフロ。
            (,(.( ' ヘ   い l レ' ///
          /    Y 〉 ≧≦、 /  ' '/
        /       l∧イ:::::li::::y′ , -┴ぅ
      厶 -─‐-、 /:.:.:.j::: - ´    ∠、
      ヽ下了 ̄`>‐''"´     ィ 「 ̄ヽ  >、
      `--V  /       ,..:::´:::::l l::::::::::}///
        ',       ,..::´::::::::::::::j l::::::::/.//
            ー──く:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.// :.:.厶 イ
             ハ:.:.:.:.:.:.:.:.:.:{ {:.:.:.:.{  ト、
               ':.:l:.:.:.:.:.:.:.:.:.l l:.:.:.:.:ヘ   \
             /:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:! l:.:.:.:.:.:.ヘ、   \
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| ポケットに残っていた碁石を弾く。
| 真正面からの黒石。反物質爆弾で道連れにする事も考える。
| 
| だが、それではまだ近くにいる仲間たちも巻き込みかねない。
| だからただの、碁石。弾丸の速度。普通の人間相手なら十分な威力。
| 
| それが人間 備府やらない子の精一杯。
| 
| ヤザンはつまらなさそうに、その最後の足掻きを受け止めた。
| 容易く、空中でキャッチした。その慢心が、やらない子の本当の狙い。
| 
|「『ドッペル玄関』!!」
| 
| 裏返す能力。逆向る能力。ヤザンの手の中の碁石からヤザンの手に伝播⇔反転。
| 
|「なんだとっ!」
| 
| 捩れる右手、骨が内側から外側に飛び出そうと蠢く。ぐっと力を込めて堪えるヤザン。
| それで抵抗できるのがおかしい。超人的な魔力耐性の為せる技。
| 
| やらない子はふらつきながら膝をつき、這うようにヤザンから離れる。
| 同時に、周辺一帯から恐ろしい唸り。
| 
| この戦闘で発射した、全ての碁石⇔逆向き。弾丸の速度で乱れ飛ぶ無数の弾丸。
| 右手に集中し、一瞬動けないヤザン。這っているやらない子には危害はない。
| 
|「くくっ」
| 
| ヤザンは笑い、可視化できるほどの濃密な魔力を纏った。震える手で十字を切る。
| 厳粛な空気が、荒れ狂う碁石の中にて存在した。
| 
| 見る者が見れば、局所的な結界であると判断しただろう。
| あの『聖処女』ジャンヌ・ダルクにすら匹敵する、肉体に制限された超密度の結界。
| 
| 『滅ぼすもの』の攻撃さえ無効化し、全ての碁石を弾いた。
|_________________________________________________
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63死夢見 ◆XDD/DkyjV6:2022/03/20(日) 17:34:59 ID:Zc3R.Gw.MM



              /Y彡⌒ ̄ ̄ ヽ、
               ,イ´          ミ
          〃  /   /        `ヽ
          ト、  {l.  〆 ニ三辷ー    \
          ミ  、小、 トミソ    ヽ      ヽ
          Z  /   `¨´         }       人
          {  j      {   ___ ` 弋      ',
             ≧|   ヽ从...r< 。ア  } j,,,     }          惜しかったな。
              `{ 辷。イ ::::.......  ̄   ) | }ミヽ.   ノ
             `l  / :::.      ィ'  .ソ ハ |. ィ´
                 ヽ `ミ::::..   、_ } u    从|
                 | 辷ニニフ´     ト彡' 人
              ',  ,,,,,,       j ナ   |
                   ',       ..:<  `Z彡ノ
                 __ト、__...:<:::  ノ  |辷二ニー 、
         __>-‐Z´ `ヽヽ:::::::::: r‐==fニ二二 、 ハ.  |
         Y  ̄`ヽ   }} |     |   |  {***} | |  |
            小   }}   }_ |    |   |       | >弋辷ニ ̄ ̄
     三ミy<〉',   }} /:八.    人___ {__...-ー=彡
       辷ノ /:::::ミ辷'´::::::/  `    f´ j
         `Y::::::::::::::::::/ `ヽ}   j  {
            く:::::::::::::::::::|`ヽ、____彡イ  j
             \:::::::::::::|      |  {

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| もはや成す術なし。
| ペルソナ破壊の影響で頭が割れるように痛い。やらない子は絶望しない。
| 
| こうなったら、来い。ここまで来い!
| この肉体を『ドッペル玄関』で⇔反転し、貴様に取り憑かせてやる。
| 
| 同時刻、アサギがアリーに『一人でお帰り』を憑けていた事など知る由もないが、
| やらない子はこの強敵をなんとしても除かねばならぬと決意していた。
|
| でなければ、決定的な所でやらない夫の障害になる。そんな予感がするのだ。
| 
| 恋する乙女の勘である。
| 
|「だがお前の勝ちだ。次はハナから殺す気で行く」
| 
| やらない子は顔を上げた。甲高いエンジン音が近付いてくる。
| なんだ? 何が始まる?
| 
|「魂ィィィィーーーッッ!!!」
| 
| 木々をなぎ倒して現れた馬イクの車輪を、ヤザンが危なげなく避ける。
| 輝く鎧を身に纏い、巨大な矛槍を持った小柄な人物が推参。
| 
|「畜生! 面白くなってきやがったな!」
|「我が魂を震わす強敵! なるほど貴様かヤザン!!」
| 
| 咆哮、ヤザンはちらりとやらない子を一瞥し、薄い唇を歪めて獣のように笑った。
| 
|「消えな、巻き添えで死ぬぜ」
|_________________________________________________
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64死夢見 ◆XDD/DkyjV6:2022/03/20(日) 17:35:27 ID:Zc3R.Gw.MM






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          V i:::::::ト=ー ュ, `'ー一` 仏.き 7  ,}:::::/i::::ィ:::::::::::l
          ヽ!:::::{ ,.rェォ,      '弋少 '  // レ'´`ヽ,ヘ{
            \{ : 心リ       “¨   ′  .ィヽ  l::::ト、
             iゝ` ” ,               ノ   ノ:::::::::ヽ,
                i    ヽ `            ィ’ ノ:::::::::::::::::ム       さっきこっちの方に……いた。
                  .     、ー‐- .          r=≦:::::::::::::::::::::::リ
              ヽ      ̄        /{::::::::::::::::::::::::::::::リ
                〉、             i.,:::::::::::::::::::::::::ノ
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                  ヽ,::::::::::::: ̄ i   ,. ≦    ∨ュ,
                      ∨ヽ r.イハ  /ハ    /   ≧rュ。_
                 _,.。≦ハ j r’.ノ  ∧   /         ≧rュ。_
             _,.。≦’   // ヽ,ィ ィ’ ∧/             ≧ュ
           ィ仁        /   /     /                   ´  ム
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| 市民に銃を向ける合衆国兵。それをゴルフバッグでぶん殴るサングラスの女。
| 鼻血を吹く兵士の胸ぐらを掴んで何かを尋ね、もう一回殴って意識を奪う。 
| 
| 不機嫌につばを吐き、合衆国兵の手をカウボーイブーツで踏み砕く。
| 駆けつけた別の兵士、後ろからの弾丸を回避。反転しながら一瞬で接敵、ゴルフバッグで胸を突く。
| 
|「殺されたくなきゃ俺を『教会』のエラいヒトんトコ連れていけ」
|「げほっ、きょうかい……?」
| 
| 膝が顔面に炸裂。歯と意識を失う兵士。
| キオは彼女が見えた所で叫んだ。喜色が溢れる。
| 
|「イナミさん!」
|「あ? 誰かと思えばキオじゃねェか。言っとくが契約はとっくにチャラだぜ。
| 期限切れだ。テメエらの首を取らないだけありがたく思いな」
| 
| 九月の契約、十月の契約。
| 『ネクロノミコン』を見つけて引き渡す代わりに、それまでは人を殺さず危害を加えず。
| 
|「……お願いに来ました」
|「どのツラ下げてだ」
| 
| 『血族』の都合など悪魔たる、『十二の封印像』の『蛇身』たるイナミには関係がない。
| 契約を一方的に無視し、連絡を断ったのはキオや蒼星石の方である。
| 
| キオにとって、イナミは師匠である。
| 彼の超能力がここまで発展したのは、イナミの訓練あってのものだ。
| 
| 逆にイナミにとってのキオは何なのだろうか。キオは不意に胸を刺す寂寥感にうろたえた。
| 彼女にとって、僕は何なんだろう?
|_________________________________________________
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65死夢見 ◆XDD/DkyjV6:2022/03/20(日) 17:35:46 ID:Zc3R.Gw.MM



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               /::::::::::::::::::ト,::::::::::::::::::i::::::::::::::::::::::::::::::l::::::::::::::::::::::::::::::::::::ハ
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              '::::ヽ,:::::::::::ト=ィヘ:::::::::::i!:::::::::!:::::::::::::::/:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::'
             \::ヽ,:::::::{ォアキ,ヽ::::{ヽ,::::!:::::::::::::/::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::}
              ヾリ ヽ’,例  〉 `’ ヘj:::::::::/::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::リ
                _ ,.。 '    j夕 .″   ノ::>j’::::.ィニャ:::::::::::::::::::::::::::::::::::::/
            l       ` ”     ¨’  }::::/.ィ , ;,::::::::::::::::::::::::::::::::/
                }  、                 レ' 〈  i  i::::::::::::::::::::::::i::::/
            l                    .。ィ ソ ノ:::::::::::::::::::::::::i/
                ; r- 、             レ' ”. < i::::::::::::::::::::::ム
            ',  ̄            ヘァイ    j::::::::::::::::::::::::ハ     手を貸してください。
                 .            . ィ  /    /:::::::::::::::::::::::::::ヽ,
             i          '"    i     /:::::::::::::::::::::::::::::::::::}
             `'ー=ニ __¨      ,.。・'ヘ:   /::::::::::::::::::::j:::::::ソレ'
                    ヽ,  ,.。 '"     ヽ∧::::,ィ::_.>イレ'´
                   r'¨’ 〉く         . >=ハ
                  リハ  i 1     .>'"      ',
                  /  _」 :i  ,.ィ'’            ハ
                    〈__ /  .イ! /     - ─ - .    ハ
                  /  /  ` .。 '´        `丶 ハ

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|「お断りだね」
| 
| ゴルフバッグを担ぎ、コートのポケットからヘタれたタバコを取り出しくわえる。
| 即答で拒絶しながら、イナミは去らない、攻撃もしない。殺意も向けない。
| 
| こういうヒトだ。キオはほんの二ヶ月なのに、とても懐かしいような気持ちになった。
| 
|「『血族』はこの東京の異変と破滅に対処すべく奔走しています。
| 僕もその一人として、それなりの地位を与えられました」
|「なんだ自慢か?」
| 
| 超能力で自然発火、火のついたタバコ。イナミは平然と吸い、細い煙を吐いた。
| 
|「『ネクロノミコン』を所有していたヌケドナルド・トールマンは兄のサンダース・トールマンに幽閉されています」
|「オーライ、じゃあそいつを殺す」
| 
| 慌てる必要はない。こういう斜に構えるヒトなのだ。本気ではない。
| 
|「サンダース・トールマンは『武僧』のパプテマス・シロッコと共謀して、
| 東京を内戦状態に持ち込もうとしていると思われます」
|「…………あンだって?」
| 
| 『血族』も馬鹿ではない。『モーリアンビル攻防戦』の災禍が、
| 全てウィリアム・ヤーボひとりの独断だなんて信じるはずもない。
| やらない夫の言っていた通りだ。業腹ながら。
|_________________________________________________
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66死夢見 ◆XDD/DkyjV6:2022/03/20(日) 17:36:11 ID:Zc3R.Gw.MM




                    ({ ̄
                  ..ィ::: ̄`::::ー::._
                 イ:ヽ::r―--::::::::::::`::..、
                    |´ ̄`ー'    ̄ ̄`ヾ:!
                    |!      __ _リ           あー、アレか。
                   i! ,ァ:.ー--== ァ/ r }!
                 Y´《 、    rケ:j r'           『自衛隊を飛び越えて
                  !         { Tてヽ           合衆国軍を動かせるのが敵』か。
                  ヽ `ー 、     ノ  ゝリ
                    \    イ//   ヾYス_.
                      ー彡人/    }ア≦ァ-、
                      ´ ̄コ} ト、 , /ノ⌒<   ̄ ヽ
                    /   /ィハ {_  __rケヾ ´     V
                      ′   j_イ ハフ{ Y、リ `
                      `ヽ  マ_ァ―' /j     i    マ、
                   /     )、  ー=’      !    !_ム
                     /      /  j     {      |    ト 7、
                 ム ̄ニュ、./        !      !    | `Y⌒ヽ
                / ///////    ー-、   ヽ     j  __j  j:::::::::ハ
                  / //////        `ヽ  `ー 彡レ´ ///| 7イ:::ト j
             イ /////           \      !イ///j!   八{
           <///////        /ト .    、  _  |! ̄///    `
         イ/////ク´         <ィ_ムハ_ __.ノ ヽ}  | ///」
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|「見てましたか?」
|「サ店のラジオで流れてたぜ」
| 
| この所イナミが出入りしている和菓子屋の喫茶スペースである。
| マイケルの鍛冶場併設の休憩室や待合室を寝床にする代わりに、何度かお使いを頼まれたのである。
| 
| 老舗の和菓子屋なのだが、地域密着でお手頃価格。
| しかもどういう理屈か大抵の食事よりも魔力補給率が高い。高すぎる。
| 
| 税別百円のぜったいあく饅頭一つで、焼肉食うより魔力になるのだ。わけがわからないよ。
| 
|「僕らはこの『集会』を最低限の犠牲で抑え、『教会』側に証拠を提出し、パプテマス・シロッコを弾劾します」
|「…………ほう」
| 
| 興味が湧いてきたのか、イナミが二本目のタバコを取り出す。
| 一本目はタバコ部分が燃え尽きたので指で揉み消されポイ捨てだ。
| 
|「そのままサンダース・トールマンも拘禁し、ヌケドナルド・トールマンを開放します。
| 彼は穏健派で、元々は『ネクロノミコン』の譲渡を約束してくれていました」
| 
| だが、その約束はサンダース・トールマンに反故にされた。
| とはいえ、ヌケドナルド・トールマンを開放すれば蘇るやもしれぬ。
| 
|「分かりますか?」
|「ここで暴れると『血族』に目をつけられっから、『ネクロノミコン』が遠ざかると?」
|「はい、そして」
|_________________________________________________
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67死夢見 ◆XDD/DkyjV6:2022/03/20(日) 17:36:27 ID:Zc3R.Gw.MM



                                _
                                _)ュ、_
                               /::::;:::::::::ヽ`ミ::、
                              _j:::ィ:::::::::::::::::::)::、::ヽ
                              /::::::::::::::::::::::/::::人:::ヽ.
                              | ̄ 三ニ≠ー―= ´!
                              |!   ニ=
                              t、_ニ=__    _j
                              [ j マ ̄ ̄ 7「 ̄ ̄ T!       お断りだね。
                             j:::ミム    ヾリ     j!
                            __{⌒ヾ::ト  `ー=ーァ  ,イ⌒
    r、ヽ、  r,                 /_ム  j ≧。  ¨  /人_ j
   r、ヾ、}ト、」/                ィ _ア  ゝ彡    --イ (::ヽ_
    `ヾ>//ハ              r‐’⌒   マ、:j        r::{  ≧、
   ー=/////!                    l::j7、_rvュ ィ、⌒j::::) ニ_j!
      L///7⌒j           j       j 个人7 j l T 、ハ_ハ`\_ ノ
        {レ_イヽ         /    、   |  !  ^ jハトー'    l! 〈
         ヾ////\           八  i!  !           i! ハ
           \////ヾュ、  /     ノ  j  j   |          |!  ハ

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| イナミは言い捨て、ゴルフバッグのジッパーを開けた。
| 黒塗りの鞘に入った打刀が姿を表す。
| 
|「なぜです?」
|「お前らは、既に約束を何度も破ってる。信用はドン底だ」
|「それには事情が」
|「事情も三乗も知ったことかよ」
| 
| 肉感的な赤い唇が皮肉っぽく歪む。タバコを吐き捨て、イナミはサングラスを外した。
| サングラスの下にいつもの目隠し。サングラスをポケットに納め、イナミはコートのボタンを外す。
| 
|「俺に勝てたら……おい、何で背中向けてンだ?」
|「え、いや……だって」
| 
| 経験上、イナミのコートの下が全裸なのは知っていた。
| キオは耳まで真っ赤になりながら視線を隠す。
| 
|「どーせ、お得意のデバガメ能力で下の毛の本数まで見えてンだろーが」
|「み、みみ、見ませんよぉ!」
| 
| イナミは笑った。皮肉も嫌味も屈託もなく。
| そしてコートを投げ捨て腰だめに構える。
| 
|「俺が勝ったら首をもらうぜ」
|_________________________________________________
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68死夢見 ◆XDD/DkyjV6:2022/03/20(日) 17:36:41 ID:Zc3R.Gw.MM






              /               `ヽ、
             /                    \
          /         、           、 ヽ
          /           ,ヘ ヽ         ヽヽヽ
          l         / '、 ト、 、ヽ     、 ! ', ',
          l   l     /   ヽヾヽヽ ヽ 、 、  l '、'、!
          l   l l  ,  l    ヽ'、 ヾ',ヽ ', ヽ  ト、l l
          l   !| | l-=ニニ ヽヾ、_,ヾ !メ,! !  l ゙i !
          l     ! !  '、 l≧ラテfミ   l|fラl|  l リ
          ,  | '、 , ゙、'、::ゞ=''"    、 ̄ ll | l!
          l   | ', ', ';`        ヾ、ィ/ l  l /
           |    !  ヽ ヽヾ u         ノ´イ/  lf′
           |   | lヽ ヽ '、     ,,,... - / ノ ! ハ
             j/  | !| `ヾ`;゙ー    ‐ /-'‐イ /、 '、
           , '    ! ! 'fニ=-、`_´'' -;- 彳  / /  ヽヽ
        , '      ヽヾ,ヽ `''┐T f"´  ! ノ/    `ヽ、
         //       ヾヽ',ミヽ| ! | fイ  !`ヾ、  、   ヽ ヾ'、_,ノ
   __,. -‐''{ ハ  l   ',  ヾ` `゙f l |! /j /  ゙ヽ !   ', ト, l ̄´''ー ..,,_
  f´    ` ヽ ヾ,  ヽ  ゙ーァ゙ヽ、l|l_,. '´     j/ !   j } `       ヽ
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  l ',    /     ̄`''- f´   /  ',      / ´ ̄    `ヽ      l

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| レイ・ザ・バレルは撤退を余儀なくされていた。
| 汚染電波は続いている。シロッコ配下はレイのドローンによる上空からの情報で動ける。
| 
| 暴れる合衆国兵と自衛隊。止めようとする警察を攻撃する犬型自走戦車。
| 大混乱……のはずが、どんどんと鎮圧されていく。
| 
| その上、上空のドローンも撃ち落とされていた。
| 透明なカトルカール同様の光学迷彩を装備した、しかも消音タイプの飛行ユニットが、次々と。
| 
| 撃ち落としているのは、『血族』の支援車両の上に立つ一人の女。
| 手には大弓、その隣で周囲を警戒する隻眼の女。どちらも情報にはない。
|
| 『血族』の秘密兵器か? しかし、『血族』の情報にはそれらしい人物はいない。これほどの腕なのに?
| 
| その他にも、情報にない女戦士が数人、自走戦車と交戦していた。強い。新人ではない。
| 明らかに『血族』と、『グレン団』と連携している。何者だ?
| 
| レイの疑問はシロッコの疑問でもあった。
| そして、日本の事情な詳しい誰かならば、すぐに答えられる疑問でもあった。
| 
| 曹操華琳の愛人たちである。
| 
|「こんな隠し玉がいるなんて……残念だが、すぐに撤退しなければ。
| いや、流石にここを突き止められる奴など」
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69死夢見 ◆XDD/DkyjV6:2022/03/20(日) 17:37:22 ID:Zc3R.Gw.MM



                                
                                
                                
                         f´ ̄'.      
                   x┴…┴、   
                    i´        ヽ  
                    | |[王王王王|} 
                       rf>ゝ、 /`||  
                   j::| [り   [り i||   ここにいるぞ。
                   /:::|  /  |` /:|                    /
                  /::::::ト、 /二二lイ:::{                /
                  /::::::::::::ト.>-==イ|::::\                /   /
              ,.ィ´へ`ヽ::::::|\三三三}:::::::::>ァ、           / //
           /彡イハ \二ニァヘ___斤ニ二ィ´{ミヽ     / //
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          /三ヲ _/|  |三ヲ  j/⌒i   iニj lx Viニl _/  ./
        /三f⌒イ /|  |三>、/ ー┴─ート、j ヽ Vf´| [i_x´
          /三人/ / 厂 ̄_,-====x  /⌒i/:: !人_フ
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     厶イ / / |/}          /::::::// }/∧ ∨|
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| 囁き声、心臓を狙った一撃。正確に肋の間をすり抜ける刃。
| 突き立てた刃が鈍い音を立てて止まる。体内にチタンプレート。レイが改造済みでなければ即死だった。
| 
| 体内でチタンの削れる感覚。身を引き、血の糸が引く、白い制服に赤い染みができる。
| ギルが仕立ててくれた服なのに、レイは向き直った。武将じみた男が冷たく見下ろす。
| 
|「忍者か?」
|「伏兵だ」
| 
| 飛び退りながら銃を抜く、抜き撃ちながら精密な三連射、暗殺者はそれを捌き、撤退の構え。
| 失敗したならすぐに諦める、優秀なのだろう。レイには行幸だ。その気の緩み。
| 
|「ここにいるぞ!!」
|「「「ヒホー!!」」」
| 
| ドタドタと足音、歓声、群がる雪だるまの集団。
| 
|「流石だな馬岱殿。では、次は五島ムスカを頼む」
|「お任せあれ」
| 
| 蝶の半仮面で隻腕の女がレイの前に仁王立ち、周囲に並ぶ雪だるま。退路なし。
| 突然の、いや、とっくに囲まれていたのだ。レイは必死に周囲を見回した。
| 
|「投降せよ! あるいはここで死ぬか? 我が名は長生きとメンマの使者、華蝶仮面!
| 抵抗しなければ悪いようにはしないぞ」
| 
| なんだこのファンシーな悪夢は……レイは頭がクラクラするのを感じた。
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70死夢見 ◆XDD/DkyjV6:2022/03/20(日) 17:38:11 ID:Zc3R.Gw.MM



☆ 次回予告!

 心苛む日毎の悪夢。
 けして許されぬ、消えない罪。

 罪悪の海にどこまでも沈む。
 伸ばした手の先、一縷の望み。

 届くはずない、光を睨む。
 希望を隠す、遮蔽は我が身。

 自覚と意識が絶望を生む。
 許されざるのに、望むのは君。

次回、最終幕八十六話『罪の重責』
 果てに見るのは破滅か死か。

71死夢見 ◆XDD/DkyjV6:2022/03/20(日) 17:38:29 ID:Zc3R.Gw.MM


             ________
              /   ,.       ̄`ヽ
           /  !、´ヘミ\ ィイ \ヘ\
            / 、゙、ッ´        ヽ \ \ ヘ\
          {   ,.ミ |       ヽ ヽヽ、}ヘ \
           {.  、ミ゙. ゙ ,...___ ,    ヽ ヾl}l l} l}
            /‐r,、゙} ミ≡≡=  r==x=ミ l   ヾ
.          /rヘ | }. {/////!}. {/////}. |
.          ヘ し .| }. (/////ノ  j/////ノl゙ |     あのな、実時間で何年経ってると思うんだ?
          ヘ ヾ | }.,  ̄ ̄´    ̄ ̄¨´... |
           \ル.}..      / ´ヽ.,..   |/
..          !|イヽ、 ‐--' ,.ヘ ヾ-‐''"/
      x=ニ三'l| |  \,  /‐ --\  /
   .<ニ三三三゙i\   `´.`--ー ' ´` /
  ,.<三三三三三三\\      ̄   /... /
. /三三三三三三三三\\,、, 、,、,/.三 /!
. i:三三三三三三三三三.\゙i.    ヘ{三/∧ \
. }:三三三三三三三三三三.ヘ!、       ∧<二\
/:三三三三三三三三三三  >...,_ /        \


            rミ{ス
             人 Y/> ⌒ ー- 、, -―- 、
          / (ノ⌒  ,      ヽ_    ヽ
          { ィ{ { 八{_ィ ) )、  ヽ  `ヽ} /`ヽ
           ヽ人_>-、⌒zェメ} j )   ⌒ー(ス_ィ)
            Уj iわ   rか 〉リイ       `ー’
           /rイ{! ^¨_ └゚゙ 人{ュ ミー-- _
          /  ` ヘ Vノ  イ⌒ー⌒ ミー―  ヽ
        /rー┐ /⌒≧= 彡  ̄ヽ ヽ   `ー 、
        /人」/7≠ュ、{レィ´Y /⌒人__      \     プリパラは時間と空間と認識から外れちゃってるから。
       }7⌒/イ7{ /7 ヽ {/ rイ/ ̄rー’ ヽ     )
       Yー〈`ー非 `゚ /〉、人_{7j   \   \ ハ/
       /r、人ァ⌒¨ヾ、〈/ 人  ̄j r r、〈ヽ〉   八{
       ⌒i~ フ__ノヽ  ゙¨ー{_\ Lハ」 }」     /
        \>jヽ_>ーr、\  \ーァ≠⌒ (
          r-、/ 、   Y⌒jノ\  ̄ イ 人  ヽ
       (⌒>ーァ、-=≦ヽ_  `ーノ/  `ー―
        〉   「  >   `ヽ ミ  、´
    r= ≧_ 人ヘ「ミ__ノ┘    \
   __j/> 、_ノ j 八     >、 ̄`ー´
  ノ/ // /  /  j>、_ ィーミ、_ノ⌒ヽ
 /⌒ 「7/ 「/_}r〜、  j   }  〉ヾ_ノ  ̄)
    ~⌒⌒T⌒7´ ̄⌒ >`ー≠⌒ヽ `ー、
          |  /   /        \  ヽ

72死夢見 ◆XDD/DkyjV6:2022/03/20(日) 17:38:46 ID:Zc3R.Gw.MM



           ,'   /  /  / /`ヽγ≫ 、
           '、  /  /  / /⌒ヽ…≪  |
           } .'   i  /// ニニ ニニ  ヽ !
           ヽ ,   ! / /フーへ} {、=== | i}
            `ヽ}  j /ノ===トレ===⊥,⊥  ,     変な所で原作ネタ拾わないで。
             〃ヽ/ハ-|三三シ| |三三三リT 6} /
            ,'i   \ゝヽ三三 .! !ゝ三三 .| //     トラペゾは女好きだから、
            ! ,  ゝ\\__ ー/ニVー-、__//       脱いでDM送ったら食いつくかもよ?
            ) ', ,,ー⌒ヽ、_xrf〒〒r-、__ イ/    r 、
          γ 〉ソー 、_句+ェェェェェェィ/ ハ/   /:.:.:.\
          /γ(0)-≪▽.:.:/ ヽ=大=ン _イ! ,//:.:.:.:.:.:.:.|
          / /:.:.:.ゝ__  i:.:./ゝ \_八___// {i´:.:.:.:i:.:.:.:.:.:.:.∧
         , j:.:.:.:.:.:.:.八:.∨ | \.ノ ゝ /  |<:.:.,':.:.:.:.:.:.:.:.:∧
         /:./:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:// .|  ヘ   /    !  ノ:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.∧
       ..ノ:./:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:/八ゝ    ̄~   > ./イ:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.∧
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    l  ハ  ヽ\ \_,ノ ./ _ノ ノノ~z// ̄ ヌ゙゙弋 | l--、: :   \
   ト、_ ̄戈ー-ゝt--‐' ̄     ;γヽ☆   ヽ. : | ヽ' ゙i、     >、
   |    ̄  メxttttrx        ト‐'     c} ; !  `、ノ:\
    \    布/  ̄\ヽ         ヤ γ   |/ |   |: : : \
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  l.  `lヽ /レ l` '    c |     ,       , ,    }=-,、 |、: : : : : : : :`
  i  : :| `、 \\γ   .Z              /‐‐'、ノ: :ヽ: : : : : : : :
  |   (\.__>、 \ゝ+‐ ´       _  -<       丿-、 }: : - ゝ-、: : : : :
  |  : :/   >、   ' '     /        /: : : :' ´/     `ヽ、
  |  : :!  ,イ厶\                   / ̄\__/
  |  : :`ー‐t´ _ノ: :` 、 _          / .|  ノ. \       ヽ
  |   : : : :l\二フ : : : | ̄:>───‐‐´___/∧'     |       、 `、
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./    : :/:: : : : : : :_.⊥斗     ヽ┌‐' ̄|  ヽ   ノ        \
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73死夢見 ◆XDD/DkyjV6:2022/03/20(日) 17:39:10 ID:Zc3R.Gw.MM


  r、_
 ハ { :、
 N i j                 ,: = 、_
 ヽ、_/ヘ_              ,/´  ,、 i
   < / >ァュ、.    ___.≠ー´州//j≧fヽ、_
    Y_.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:T´`´:.:.:.:.:.:.:i  i!'■+■'   `yヘ       冗談はさておいて。
      ヽ、_.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.::.:.:.:.:.:{  iゝ、_,ij、_.ノi   j.:.:.:ハ
        `ヽ、_.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:ヘ  ` ̄ー ̄   /.:.:.:.:ヽ     これを見ている諸君。
            ̄ ̄ ̄i:.:.::|     `サ´   /.:.:.:.:/.:.:j     憶えているか? 自分の名を。
                !:.:.:i     j    /.:.:.:V.:.:.:{      もう一度、名無しを辞める覚悟はあるか?
                リ.:.:|     }   i.:.:.:.:ヽ.:.:.:i
               i.:.:.:jj      |   |.:..:.:.:.:i.:.:.:|
               |川     |   |.:.:.:.:_/.:.:.:{
                ̄/     .|  川川{.:.:.:.:.:i
                   i     .j   ̄ ̄i|.:.:.:.::|
                  ヽ、_    ハ    |`.:.:.:.:i
                    | i ヽ、_i :!____.イ i.:.:.:.:.:|
                    | |   i´/i   i ゝ、:.:_j
                    | i   | ,    |  iル≧
                    | `:  :レ ;   |  f /j
                 V |  |  !   !  i/´
                  V .|    i   ヘ


.               /~\
.   /l ̄`ヽ-´ ̄ ̄`|   -☆;─┐
.  l  |. /  ィ ,    ̄ ̄ \ / ̄ヽ
 \弋 `/,   {_| |    |l    Y ノ  |
 |._、 `‐| 乂匕j \_フノlノ |ヽ. l |/  /、     そしてもしも、
.イ__l.l‐_フ、i、iゝ       マ-__>ノ |--‐___|_     もしもいままでこのスレに参加していないけれど、
.  /   ハ .x==x`  x==x /- /l'-/ _/     それでも読者でいてくれるあなた。
 (  /  レハ         /lヘ´ \ヌニイ
  ヽ、 l . レト、  ` ´   /.マ´ lノ |        プリパラは誰にでも開けているよ。
  ト-' \| | |> ..ュィ‐ 彳V|   /        あなたの名前を教えて。
.   ̄/ ̄,vチマフュ ィ‐-゙-┐-、|/ , `-ァ       みーんなアイドル。みーんな友達。
   /lー┘ ̄/ヽ |`二´ヽユ  ヽ´ ̄´
   | Y´ `ヽ'  .}|´  |/\-、 |
   `l.|      {|      ./'ノ
.   ||     /.|     //
.   ||    ,'_,|     //
   {.|     ,'  |    //
   ヤ   ./   |   `}'
    |\__/゚   ゚\__/l

74死夢見 ◆XDD/DkyjV6:2022/03/20(日) 17:40:03 ID:Zc3R.Gw.MM



                               / ̄ヽ
                  r― 、     ー― /  _ 」ー― 、
                _{ _  ) ´ ̄      `ー」  ̄L   \
               / r┘Lノ            ヽ_r ┘`ヽ  \
                /   人_ 「        ヽ      {    /   ヽ
              八 /  7    / /    ト、   ヽ. \/ヽ   i  i
               / { \_/    /| {  、 Lj-┼-}、 }  } ヽ \ ノ  }
                 {  ヽ 八 i { 」> ヽノ)ノjノ ノ_ノ  ノ  j  i  {  人
            八  V  ヽト メ_フ 、_  ̄   ゝテ=k、rイー、 八 人_/  }
                人   )  ト|ハ _ァテめ、     rゅわ「`){ リ    (  r)
            人 ヽノ  ノ | い マ.か    心少 r人}ノ   \ `Y(_ノ)     さあ、みんな備えておけ。
              _ (  )_ノ  / .八\\ゞ-゚ `__    人ソ      \ ` ー´
          ( ー彡'  /  / 入  ::。  ヽ_ソ  , ィ J) \        \        やる夫を助ける時間が来るぜ。
     / ̄ ̄ ` ー―彡     (し \  ≧c。 ,。≦ {!      \    \ `ー 、
    {  rーァ ―  ̄ _ノ    「ヽ「 >   j┤    ヽー 、         \  ヽ
    ヽ/ /     /   /   /「 ̄{ /   /   7⌒   \     \   '.   }
   イ   )′   /    /  /   `7ー/   /⌒7 ´/⌒}  / \       ヽ  .  j
   {ヽーイ     /      /  (└i_ `7   / ヽ-ァ⌒   トy-、 _r ヽ     }i  . /
    ̄ {   /{  、  {   八_r、__/   /   「    /Yニ \  __r\   八   !(
      \ ( 乂 }   \__ / ノ   /7八介\__ノ彡ヽ ` ノノ_ノイ /  }  j ヽ_ィ}
       \ミーメ、   /   / /    ムィ⌒ハ (  八ヘ   ,イrー'  ∨ /   j 人_ノ
          ̄、_) {   i /     /〉i |☆j | 、〉   L__ィr'☆o   V ┼=彡'
           \_人       /」 j |  j | ィ    个☆  8、  V、_ノ
                >  i   /) イ |☆j | コ    | OooO \  ヽ
               /   ヽ/`Tレニニュ、 r―‐┬┘  \   \ '.
                     LニニニニニニニL.     <\

75死夢見 ◆XDD/DkyjV6:2022/03/20(日) 17:40:18 ID:Zc3R.Gw.MM

◎現状(八十五話終了時)
  カトルカールの電波汚染で電子機器と電波の使用不可
  暴徒は鎮圧されつつある。

やらない夫の仲間
 目的:やらない夫を死んだと世間に見せる

・やらない夫
  誠と別れ別行動
・咲夜、球磨川、マーガレット
  ディオ(アリー)により殺害
・天龍、シグ
  ロビンに敗北
・ジャギ
  偽ヤーボと交戦、自爆される
・四ツ目
  トパス、アメシストと交戦後弾薬不足で撤退
・ミスト・レックス
  ハッキング中らしい
・やらない子
  ヤザンに敗北
・はやぶさ
  誠に同行
・アサギ、タカオ
  誠により運搬
・麻呂、白雪ひめ
  やる気を減退させ、一般人を避難中

警察
 目的:やらない夫の確保と暴徒鎮圧

・阿部さん
  誠を探している
・ナタル、ノイマン、ダリダ
  電波汚染に対抗中。

・誠
 タカオとアサギ、はやぶさを連れて警察へ。

陸上自衛隊ムスカ配下
 目的:扇動、これをきっかけにクーデターを起こしたいが、鎮圧されつつある

『血族』
 目的:やらない夫の確保と暴徒鎮圧

・カミナとシモン
  ジャギと共同で偽ヤーボと交戦、自爆される
・龍田と石田
  カルカールと交戦、やらない夫を取り逃がす
・ケンシロウ
  暴徒鎮圧中、ジャンヌと合流
・杏子班
  暴徒鎮圧中
・キオ・アスノ
  イナミと交渉
・呂布
  ヤザンと交戦
・馬岱、星、邪悪帝国
  レイを捕虜にした

『異端審問官』
 目的:やらない夫の確保と暴徒鎮圧
  ケンシロウと合流

シロッコ配下
 目的:日本を内戦状態にしたい

・ヤザン
  呂布と交戦
・ロビン
  天龍シグを下した
・トパス、アメシスト
  四ツ目と交戦、再び足止めされる
・他のカトルカール
  石田龍田と交戦、やらない夫を取り逃がす
  透明、大砲がリタイア

・レイ・ザ・バレル
  捕虜にされる
・合衆国軍
  一般人を攻撃、鎮圧されつつある

イナミ
  キオと交渉

ディオ(アリー・アル・サーシェス
 目的:不明
  球磨川たちとアサギを殺害した
  タカオに致命傷を与えた
  アサギに『一人でおかえり』を憑けられ誤った囁きを受けることになる

76 ◆wZFOryiZkw:2022/03/20(日) 18:37:11 ID:F8yHyD8o00
時間の流れが違う所を往復すると、温度差で風邪をひきそうになる

そして、待っていたぞと微笑める乙

77令和もどこかの名無しさん:2022/03/20(日) 19:05:41 ID:7BWUTvnM00
乙です

バッフロンか、イッシュで居たな

78令和もどこかの名無しさん:2022/03/20(日) 23:41:49 ID:.AXUS/DI00

ナイスボートが暴徒の中で活躍中か

79令和もどこかの名無しさん:2022/03/21(月) 22:36:42 ID:MsRw7h7wSa
乙です

前回の安価いつだっけ

80令和もどこかの名無しさん:2022/03/22(火) 00:10:55 ID:qcaajfcQ00
2016年の11月11日、できる夫を信じて石田の死を見るか否かが最後の安価だな
約6年、5年と8か月弱の昔……うそだといってよばーにぃ

81 ◆TIENe3Twtg:2022/03/22(火) 10:56:11 ID:6nXHm63E00
テステス、たぶんこれだったと思うんだけど残ってたかなー

82 ◆Emjcf.lfLU:2022/03/22(火) 20:41:24 ID:9/lipmBs00

数ヶ月位前にこのスレを知った者ですが、これで良いのかな?

83令和もどこかの名無しさん:2022/03/22(火) 21:42:10 ID:YFRBltSUSa
>>80
あったねぇ、そんな昔だったのか……

84 ◆e4DpAp5mDU:2022/03/25(金) 19:48:46 ID:aS.FhYc.00

久しぶりに見に来たらもう使わないと思っていた
垢が役に立つとは…捨てなくて良かったw

85死夢見 ◆XDD/DkyjV6:2022/03/27(日) 13:36:10 ID:K2a2PLDMMM

>>76 >>82 >>84
よくぞ参じてくれた! 作中ででその酉を使わせてもらうから覚悟しておけ下さい。

>>82
え、こんな場末に新規読者が。
ありがとうございます! 今後ともよろしくネ。



            /.:ア; : : : : : : : : : ',: :`、: : : : : : V-‐───‐ァ
            j{:/:/: : : : : : : : : : : ',: : ',ァ<',¨¨¨¨¨¨´ /
            l/: ゙.: : : : : : : : : : :i: :'. : : :i-i{ \''<.,____j
               j{: : : i: ;.: : : : :|: :l: :| : |',:| ∧  \ \ 、
           j{: :i: :l: :',.: : : : :l:¬!‐:!- L:|斗ヘ    `ト∨`'<
           i|: :l : l: :l.', : : : :|',:|: :| : l:.リ ァ く:.、  ベ^\  ` <
            l|: :|: :ⅣN\ : :| ァ芹芥㍉ ; }: :\′、 \,.>‐……‐<
              ∧ |ヽl  /  \|   乂..ソ /  ゙ ノ: : _`__ー--  、、  、、 ` く
              i|:`: :心、  .′  `¨´  .r ^ア;.;:;:;:;:;:;:;:;\    > 、 ー- 、\
              l|: : :l:i! 心、.′      ィ゙ /;.;.;.;.;.;:;:;:;.;.;.;.;:;`、       \v  \\
              l|: : :l:iア  iト ,‘ ’  ィ  /};:;:;.;.;.;.;.;.;.;.;.;:;.;.;:;:`、            \V
            l|: : :l7       }iト.<,__,.>'’;};:;:;.;.;.;.;.;.;.;.;.;:;:;:;:;:;:;∨
           l| : : :′__    ', └- 、   }!;:;.;.;.;.;.;.;.;:;:;/ ~ `ヽ∨、
           ,.斗r ァ'"  \、ィ____ > ァ'"´∨ ̄ ̄``'〜、′丶` ∨:.、
        ア´ rー<′     ‘,.ァ'"  /     }‐ f¨¨<     `'<  .∨:.\
      /  r‐=ァ゙'"^ 、    .i′  く  γ⌒>-┴- ., ` <    `'<: : : \
.     └i   > ⌒`` / 7 <|  ,、丶```Y^ト ,   /`〜゙、、     `'く: : \
.       | く       |/  / ``〜 、、  |    /` ,`ュ   > 、  ', /: : : : \
        /〕ト ,/   |_l   {   /  /``L.。s≦⌒`` ┘i---‐‐…\ }イ: : : : : : : :\
          / ァ′ ,`≧vl  ̄ ``〜、  '  /   ; \   \        } ',:. :. : : : : : :\
        ' /  / ′ l  ‘, .、 ヘ  〕ト , ′   ′ 心   \___,,..、<. Ⅵ:. :. : : : : : : :`、
.         ∥  ' l   ', イ  ∧     〕ト , ′ ./ .∧     V /ヽ     ∨:. :. : : : : : : : :`、
.       ∥  ト .L.. 、<__.、丶` 心,      ≧s。。,,/ハ    ∨   \   ∨:. :. : : : : : : : :∨
        ∥   |. .l/. .∧         \        \.i|    |     `、   W:. : : : : : : : : :∨


|lニニニニ三三三三三三三三三三三三三三三三三三三三三三三三三三三三三三三三三三三三三三三三三三ニニニニ
|三三三三三三三三三三三/ /_. / / ̄ / ,ィ |  7 /ン ) / /_. / / ̄ 7 /ン ). // 〉 〉  // // / /三三三三三三三三三
| ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
| 間桐桜の意識は、『弓兵』の想像通りにその豊かなたわわの内側、心臓に眠っていた。
| 目覚めたくはなかった。目覚める予定もなかった。
| 
| この世は地獄。絶望、後悔と痛みばかり。
| 間桐臓硯への恨みや憎しみははち切れんばかりに膨らんでいた。
| 
| だけれど、自己嫌悪と罪悪感はそれ以上に大きかった。
| 故に桜は自閉の渦の一番底に、底のない奈落の果てに、墜ちて潰れて蓋をされるのを望んでいた。
| 
| 沈み続けて深海魚みたいに平らになれば、何も欲しくない。夢も見ない。
| 自分を閉ざして五感を消せば、誰も桜を責めたりしない。
| 
| …………なのに。
| 
| 沸騰した胆汁よりも苦くて、喉を焼く痛みを伴う言葉が。
| 無理矢理目覚めさせられて、望まぬ相手と交われと強制されて。
| 
| 自分を閉ざして五感を消せば、何もかもが奈落の底みたいに過ぎ去っていくはずだった。
| 
| 終われ、終われ。世界よ終われ。
| 私のすべてを置いてけぼりにして。
| 
| 想像通りの痛みをやり過ごす中で、だけれど。
| その言葉は何よりも深く突き刺さった。
|_________________________________________________
|三三三三三三三三三三三_7 /〈 〈__ ./ /7|./ ∧\ ./ /__〈 〈__ / ∧\ 〈〈 / /  〈〈.∧∨,/三三三三三三三三三
|lニニニニ三三三三三三三三三三三三三三三三三三三三三三三三三三三三三三三三三三三三三三三三三三ニニニニ

86死夢見 ◆XDD/DkyjV6:2022/03/27(日) 13:36:51 ID:K2a2PLDMMM



                   /::\,.へ._
                 r‐:::::::::::_:::/::_::::::::ヽ
               ノ::::::::/:::::::}/:::ヾ::\\
                 l:::::::/:::{::::{ヾ゙厶}:::::::::::::!:::|
                 /イ::〈:::::ハ::::〉  く:::ハ:::::/:l::ゝ
                 }:|:::):⌒ヾ   ーソ-);ノ::ハ^        この優秀な僕の妹になったことを
                ∨:{ ー='   ==-´}/|ソ         むせび泣いて喜んでもいいんだぜ?
                乂'、   l     /.イ
                    };込 、─‐ァ  イ;ル          この先何があっても
                      乂l\ ̄ /!/`           僕がお前の兄である限り、
                      _「¨'''' 千 '''¨ |            僕はお前の味方だからなぁ!
              _  -  丈 _|:|:L - ¨〜-  _
            ,-‐ ¨           |:|:L_        ̄ヽ
        /               |:|:|          |  ',
         /   |          |:|:|         |  l
       ./   :l           |:|:|  ___   ./   ハ
        」    ::!           |:|:|  └──┘ ./_ - '!            __
       {  ̄ ̄ :',           |:|:|          |:.    ∨       /{ィ>'  、_\_
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| 傲慢で無遠慮で無思慮で……なのに。
| この少年は、無知で無能で無力な少年は。
| 
| だからこそ。
| 
| …………永遠に失われたものを突き刺してきたのだ。
| 
| 何度も、何度も何度も。
| 何も知らないからって、甘い顔をして優しいつもりで。
| 
| 絶望的な喪失感、けして消えない傷に塩を塗りながら抉るように。
| 何度も何度も。
| 
| 何度も。
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87死夢見 ◆XDD/DkyjV6:2022/03/27(日) 13:37:03 ID:K2a2PLDMMM



                  ______  }\
                     ..‐ミメ、 :.:.:.:∨ .:. \ ,/
              _彡':.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:. ∨{_
              _ア.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.‘,
             `7 :.:.:.:.:.:i{ | :. | :. ト、:.:.ヽ.:.:.:.:.:.:.:.:.\
                  厶イ:ハ:.:.八{\{\{__\八:.:}:.:.:.:.:.:.ヽ
                 }八{-V‐    ´     V :.:.:.:.: ト、}
                \{ ____      x===ミ }/.:.:.:.:.;
                    /}" ̄`}          }/⌒V
                ヽ.   ′        ノ 丿
                    、  ー─一    __/
                   \          /Ⅳ
                   \    .    |
                    |`¨¨´      |
                    |     /     、__
                  _ . -‐ ' }  /       /ニニ==ー
                 -=ニ/               /ニニニニニニニニ`ヽ
        /ニニニニニヽ        -=ニニニニニニニニニニニi
          /ニニニニ/\ \   <ニ>'゙⌒\=ニニニニニニニニ|
.         /ニニニニ/   .\ `´ニ> ´       \ニニニニニニ二二|
        /=ニニ二/        `ー             \ニニニニニニ二|
.       {ニ二二/                       ∨=ニニニニニ|

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| 桜は狂う事ができなかった。
| 狂いたくとも、臓硯の魔術で狂気に逃げる事ができなくなっていた。
| 
| だから何もかもを諦めて。
| 自分を閉ざして五感を消して。
| 
| 暗闇で虚無だけを見つめて来たというのに!
| 
| なのにあの馬鹿で自己中心的で節穴で口ほどにも無くて陰毛みたいな下品な髪で無能で臆病で
| 見栄っ張りで短小で友達がいなくて考え無しで……ああ。
| 
| 私は先輩を殺した!
| 愛する人をこの手で殺した! 虚数の触手と必殺の毒で、絶対に助からないように。
| 
| 私は先輩の奥さんを殺した!
| 愛する人の愛を独占する憎い女を、ぐちゃぐちゃの肉片にまで解体してその子宮を喰らってやった!
| 
| 姉さん! きっと凜姉さんは私を許さない! 先輩を殺した私を許さない!
| だけれど、それ以上に私も私を許さない! 絶対に! 許せるはずがない!
| 
| なのに。
|_________________________________________________
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88死夢見 ◆XDD/DkyjV6:2022/03/27(日) 13:37:22 ID:K2a2PLDMMM



             ッォ、    ,ィ三三三三三ミ、
             ミ毛、__,ィ|三三三三三三ミャ、
              八ム___彡{三三三三三三三ミ〉
         ,ィソニヽ、i、   /`゙゙ヾミミ三三三ミシ  ニュッ
         ,'´ -‐‐-、\_ ,' i.イ i/,!i、 `ヾミ三シ
        ,イ-'´`>-ラ‐‐「|ヘ_| |イヒメ乂込 ト、|
          /   .'´ 〈    \' .i  ',  } `^ル/`ヽ        馬鹿ども!
           >´`≧、  ヘト  ',‐- ,ィ'!/           落ち着け!!
         ,ィ-'´ ̄`ヽ、キヽ、 iヘ ヽ 'く´ `、    ,
           /:::::::-‐-、:::::|_キ-ゝ}::::\、 ヘ\ `、-‐'ム_        私がこの程度で死ねるか!
        /ニ=‐-::::::::::::::!-j } j:::::::i::`∨ヽ`ヽ-ニ=-
     _,ィ-'´ヽ、\:::::/-'´ノ ノ }:::::::::',::::'., 〉
    ,イ=/´`ヽ、:::::/、 ̄__,ィ'´ ノ:::::::::::::',:::::'.,キ、
   / ,イ´\ ヽッ`) }、___/:::::::::::::::::ノ:::::ノ::::|、
  キ ,' 、 \`)'(/´ .i::::::::::::::ヘ::::____::::イ_ イ::::::::::∨
   キ`ヽソ'´ /    |::::::::::::::::::::::::::i´:/  キ:::::ノ:::`、
   `ゝ-‐'´     ,'::::::::::::::::::::::,-i::/    ヘ:::::::::::::`、
       ,ィ--‐イ:::::::::::,-‐=='´i::ゝ、    \:::::::::__〉┐
      /  ,-イ__,ィ--‐t‐ォイ´∨     〉'´   ヽ、
       /   ト、____,--┴!┴' ̄∨    {_      `i
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      `‐-'彳:::::::::::::::::::::::::::::::::::::,ィ´:::::::\      〉  |

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| 血液の代わりに吹き出した甲虫が、即座にターニャの頭部を再構築。
| ヒトの形をした魔力集合体の面目躍如。
| 
| 同時に雁夜の頭部が爆発、ターニャの首が変化した甲虫の群れが吹き出して全身にまとわりつく。
| 死んだ振りから凜を奇襲しようとした雁夜。かばったターニャ。怪物同士の喰らい合い。
| 
| しかし強烈な絵面に、ターニャの死を想起させる状況に、凛と慎二だけでなく『弓兵』までが動揺。
| それぞれ必殺の術式に揺らぎ。
| 
|「セン……パイ……」
| 
| 全身から光を漏らし、煙を上げて崩れゆく桜。
| 喉を掻きむしる、開いた傷口からは……しかし光ではなく黒い触手!
| 
| 沸騰しながら襲いかかるそれを、『弓兵』は双刀で切り払う。
| 物理攻撃では防げないはずの虚無の触手だが、身を持って解析済み。
| 
| あの夜の失態はもう繰り返さない。
| 
|「いいだろうもう一撃だッ! 行くぞ桜!!」
|「アア……ッ」
| 
| 熱く輝く白い迸りが、桜の体中を駆け巡る。
| 届くかもしれない。
| 
| 桜本人の眠る一番奥の深いトコロまで。
| 閉ざした桜と消した五感を貫いて。
|_________________________________________________
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89死夢見 ◆XDD/DkyjV6:2022/03/27(日) 13:37:34 ID:K2a2PLDMMM



                           _ -、
                    /::::::::::::::>ー、
                       r::7::::::::::::::::::::::::::::::::ヽ            ┐
                     ノ:/::ィ::::::::::::::::::::::::::::::::〈       _//
                 ノ::/:::::{;:イ::::::::::::::::::::::::::::::}   /  └┐     待て!
               /〈:::{:::::::::/:::ノ:::::::::/::::::::/ /\ _∠ア¨´      何かおかしい!!
                 )::}::::::::レ::::::::::::ア:::::::::::::{/  ヾ 「
                イ/:::::::::::::::::::::/;ィノ「l:::ノ     l/
               /: :マ:;:::::;:ィ:::; イハ/ 〈/´     /
              /:\: : `<_/´_' // l    /
          _、丶`: : : : : \_:_: : : :/`¨   |: :_:/
        /¨ヽ: : : : : : : : : : : : ̄∧     ,「
         / : : : : \: : : : : : : : :   '∧ /イ
         ノ:_: : -  \        l/|└' /
      /: : : : :     }          l/|  /
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| 内側から食い破られた雁夜の頭部。
| その穴という穴から糸のような物が伸びる。
| 
| 毒々しいまだら模様のそれは、極めて原始的な生物。菌糸類。
| 全身に群がり食い散らかしていた甲虫からも次々に芽吹く茸。茸。
| 
|「…………なんだと?」
|
| 瞠目するターニャ。さもありなん。
| 互いに『万魔』であるならば、互いに食い合って、戦いは永遠に終わらない。
| 
| ターニャもそれを承知の上。
| だからこそ、『エレシュキガル』の花畑による結界で、ターニャ以外の力を抑制していた。
| 
| ターニャが一方的に有利なはず。
| であるのにも関わらず。
| 
|「うぐっ」
| 
| ターニャが嘔吐……いや、その口から生えたのもまた茸。
| 首や眼球を貫いて、次から次に茸が生える。
| 
| 突然のことに動きを止めたターニャに、雁夜が飛びかかる。
|_________________________________________________
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90死夢見 ◆XDD/DkyjV6:2022/03/27(日) 13:37:57 ID:K2a2PLDMMM



                ____
              /ノ ___    \
             ∠‐´ (   )   ,‐- 、
           /ヽ     ̄   ゝ _)  \
          /{_ノ              ( }   絵面がグロテスクなので
           |   ________    }   あるくキノコで緩和しています。
          \<///////|  |\\\>_ノ
                 ̄ ̄ ̄ ̄|  | ̄ ̄ ̄
                  |、` ̄ヽ
               _ |  ̄ | |
              く  二_/ .| レ ̄}
                \_)   .L__ノ



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| 腕の代わりに伸びた百足の束、それらにも脚に混じって茸が蠢く。
| ガードしたターニャの腕からも服を突き破り茸が生える。
| 
|「畜生! 爺さんめ! 雁夜おじさんで対策してたな!」
| 
| 対策。打撃をガードする度に茸が増える。
| いや、ターニャは慄然としながらも冷静に分析していた。
| 
| ターニャが雁夜を食っている際に、この茸も食っていたのだ。
| これまでの攻撃で、ターニャは茸を取り込んでいた。
| 
| それが、時間差で生えてきたに過ぎない。
| 雁夜の攻撃はとっくに終わっている。もう、ターニャは助からない。
| 
| 対策。
| 凜が『イシュタル』と『エレシュキガル』を用意したように。『弓兵』が『光浄裁』を修めたように。
| 
| 間桐臓硯も対策をしていた。
| 千日手になるだろう同族への、ミラーマッチ・メタ。
| 
| 間桐雁夜は、『万魔』殺しの『万魔』だ!
|_________________________________________________
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91死夢見 ◆XDD/DkyjV6:2022/03/27(日) 13:38:07 ID:K2a2PLDMMM



             .,z‐=‐-ッ、__
         _,zγ'´ミミミミミミ ``ヽ、
        ζミミミミミミミミミミミミミ`ヽ、
         |ミミミミミミミミミミミミミミミミ}
        |ミミミミミミミミミミミミミミミイ
        |ミミミミミミミミミミミミミミミ{
        |ミミミミミミミミミミミミ,、ミミ|
        {_ミミミミミミミミミ , ィ ミヽミ|
        |λ``‐ーーー‐一iミ ,ィv-wイ、
        || ヘ ヽ     レ´,、v‐-‐、ム
         !ヘヽ入 ヽ   i .V´ミミ,wv、ム
        | .个´ ヽ.、ヽ  L、| r‐'´,、  `i          ……裏目に出たな。
          |  ト、  i ヽ冫'´  `v -'´ミヽ'`'|
       |  .| ヽ_iz二i:::::,-‐-、_个、ミ,、ィヘiイ
         |  |/  ̄てィ    トヘ Y    |
       |_,z-イー‐‐-、__|      L,ムミュ、 ノ
.    ,ィレイ  |  、   |     ハ  ``tv、
 ,zィ'´    |  |  、ヽ  |     i  \  |  〒ヽ、
..ハ     .|  |     |      、 .ヽ |  |  `iヽ

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|三三三三三三三三三三三/ /_. / / ̄ / ,ィ |  7 /ン ) / /_. / / ̄ 7 /ン ). // 〉 〉  // // / /三三三三三三三三三
| ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
| すでにターニャの全身に行き渡った菌糸の呪縛。
| 最初の攻防で、雁夜はターニャの一部を取り込んでいた。
| 
| 『エレシュキガル』の影響から外れ、段々と鋭くなる雁夜の動き。
| 逆に全身に張り巡らされた茸によって弱々しいなるターニャの魔力。
| 
| 本来ならば雁夜は『エレシュキガル』の魔力抑制下にある。
| 『万魔』としての強みである魔力吸収能力を逆手に取った対抗策だった。
| 
| しかし、ターニャにだけは無害に作られたのが災いした。
| そう、災いだ。
| 
| ターニャを吸収し、『エレシュキガル』を無効化された。
| そして今、ターニャと苛烈な打撃戦を行いながら……雁夜の腹部が大きく膨らんだ。
| 
| うねうねと蠢く肋骨は、全て昆虫の脚のような鈎が生えていた。
| 心臓も含め内臓は完全に存在せず、内側は魔力と蟲のるつぼである。
| 
| 裂けた腹から飛び出したのは、甲虫の群れ。
| 小さな茸を生やしたそれらが、ターニャに群がり食らいつく。
| 
|「ちょっ、慎二!」
|「分かってる! 遠坂は爺さんに集中してろ!」
| 
| 血相を変える凜、呪詛の霧でターニャを包み、雁夜の甲虫を攻撃する慎二。
| 僅かな甲虫が花畑に落ちて塵と化するも、半数以上は耐えきる。
| 
| 食らいつく端から伸びる茸。もはやターニャはマタンゴもかくやだ。
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92死夢見 ◆XDD/DkyjV6:2022/03/27(日) 13:38:30 ID:K2a2PLDMMM



                     ∨////////////////ト、
                    ∨///////_>-――〈/\
                    辷>'´ ̄ i 、  、  :. ヽwiト、
                    / ,'  i iム_ト、_ヽ、 ゚、 :.  Y,,ィム
                    ,'  i_ム|从i ,斧ィァi f^Y::  i//ム
                    ii i i 斧ミ ` ¨´ ゚, ∨ i トw'´¨}
                    从レヘ¨´ 、     i i |、 ,' ノ ヾ、 i       (…………潮時だな)
                     / ,ヘ  ‐-  ,イ i |ミzム、  `"
                       / .,' /`>。...,イ__i i ゚、   _}_ヽ、
               ,.-―-、 / ,':/ ,ィf´ f:Y:´::::} i },ィ/-―ミ、Y
             /三三/:\,:'/,イ i{  j、i:::::_/i ', i:::::::::::::::::} i
              ,'三三マ´:/⌒ヽf::Vノ f、:i二:{ i i i:::::::::::::::ノ ゚,
    .......         i三三/::f三三三ムf´,..:'´:ノ:::::::|ノ ,' /:::::::::::,:':) i
.  /:::,ィ⌒`ヽ、     |三三j::/三、ノ三ミム⌒~,ニ='´/i ,イii=ミ、::`´イ i |
 /::/三三三斧ヽ  {二彡'´三三Y三三∧,'   リi i‐从、ヽ〉'´{| i i゚、
. {::f三三三三三三㍉{ミ三三三三∧三三ミムニ=ァ‐-リミ、、ヽ∪:::::i| | iミヽ、
 マ三心、三三三仍'゚ Ⅵ三三三三∧三三ミム `ヽ:::::::∪∪-‐'⌒Y { | `ヽ
  ゙Ⅵ三沁三三仍'゚   Ⅵ三三三三ム三三仍'   マ::/  _,-テ'7i ',゚。
   Ⅵ三劣x三/゚    ,゙寸i三三三刈三仍'    }´ `~`ヽ/i i{ ゚, V
.   マ三三ム/    ,'::::::Ⅵi三三三{彡'´    ∧⌒ヽ、  〉乂 リ。 \
    寸三ミ心、   ,':::::::::, Ⅵi三三述     , '. . iヽ、. .::Y   ノ'ヽ、  〉
     ゙寺三三㌧<:::::, '´  Ⅵ三三述   /:.. . . :i: . . ::::i      `´
      `寸三ミム ヾ(    Ⅵ三三∧‐'´::::::::...  .....::::,'
        寸三ム /`ヽ、   Ⅵ三三ム:::::::::::::    :::/
         ∨刃'    狄/Ⅵ三三ム:::::::::::...   ..:::,.゚
          反/ ,   八:::::::::Ⅵ三三ム:::::::::::::::::::, '
            /ミY ,i   _ {. ` ー‐Ⅵ三三心ー‐‐‐ '゚
        /三.i f〈 〈i {\゙ーっ  }三三三沁
     ,..。-‐乞三∪,ヘ ゚ ,ヽ ゚¨´   厂三三三ム
   ,イ三三三三ノ  ∪¨゚     ,イ三三三仍イ
   `ー――‐‐'´        /三三三三/i:j
                 ,イ三三三三マ-'
                f三三三三沙'
                 {三三勿彡'´
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| 災い。
| 
| 間桐雁夜こそが『第四の万魔』だ。ターニャは確信した。
| これからターニャを食って、桜を食って、臓硯を食うのだ。
| 
| 自閉の檻に沈む桜や、みみっちい箱庭の支配に拘る臓硯、そして復讐に支配されたターニャと、雁夜は違う。
| 雁夜は、理性がない。獣も同然だ。
| 
| そして彼は臓硯によってあまりにも悪趣味に改造されている。
| 
| 雁夜の飢えは絶対に満たされない。
| 雁夜の痛みは永遠に癒やされない。
| 
| 本能のままに世界を滅ぼし、世界中を飲み込んで。
| それでもどこにもたどり着けない。
| 
| 先に臓硯を殺してしまったせいで、手綱を失った。
| ここでターニャが食われれば、雁夜を止める術はなくなる。
| 
| ならば。
| ターニャは覚悟などとっくに終えていた。
|
| そうとも。
|_________________________________________________
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93死夢見 ◆XDD/DkyjV6:2022/03/27(日) 13:38:42 ID:K2a2PLDMMM




                _,ッ=ニニニニニ=-、_
           ,ィ´三三三三三三三三三三ミャ、_
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          ,!三三三三三三三三三三三三三三三三ミ/
        /三三ヽ、三彡ィ-‐' ̄ ̄ ̄ ̄``ー―ミ三三ソ
      ./      ,'         i ,' i  λ  i    ',
     ,イト、 ,、    /       i   | ルリ,, ノ ',  .|   |
    ,イ三ミイミッ、  {     r‐┤  レ'7/7ム ̄_', ,'i. ,' .|
    ,'三三三三ミッ/    .i |「`|   | 代茫トャ 从 | ,' , /
   ,'三三三三三/      ! | | .|   |  ゞソ_   ォュレ乂
   i三三三三三{  i.   ,' ! ゝ|   i       !ツ
   |シ´ヘシミ三三i   |  ,'  ゝ┤  i          ゝ      (慎二。凜。『弓兵』。ルイズ……)
   |   ヾィ彡人  | .ノ   ,' .i   ',   、___ ´ノ
   |    ´  / ∧/ ̄ヽ、___ノ ∧   ',.     , '
   |ミャ、   /   ヌ‐-、_ノ二ャ、.∧   ',.     /
   |三三ミノ γ´     く   `ヽ、',.  ',‐--'
   ',彡毛'  /       ',     \  \
      __/     i    |,ッz-―-ッィ´ ̄`>、
     /'., / ,'   |    |     /  /´.   ``ヽ、
    /::::::::/ ,'    |    |____|   /     ,ィ‐'´∧
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   ノ::/ ,'  ,':|    |  i  |:::::::::::::::', ノ::::/::::i:::::::::::::::/
 ,ィ´::ノレ:i i::::|    |  |  |:::::::::::::::::∨ゝ::::::::|:::::::::::/:|
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| ほんの短い時間だけでも、家族のように過ごした。
| イナミやちひろと距離を置いていたターニャには、彼らの存在は特別だった。
| 
| そして、この戦いが終わったとして。
| その後、『ネクロノミコン』を首尾よく手に入れたとしても。
| 
| きっと彼らは、ターニャを持て余す。
| これまで、ヒトを食ってきたのだ。数え切れないほどに殺してきたのだ。
| 
| そんな悪魔を、優しく迎え入れる者などいようものか。
| ターニャの安寧は、今日までだ。今が最後だ。
| 
| ターニャは覚悟してきたつもりだ。
| 胸を焦がしてきた復讐よりも、この日々の終わりを恐れてきた。
| 
| だけれど。
| 
| ここで死ぬのならば、このあとの心配もいらないだろう?
| ターニャは笑った。茸に隠れて、誰にも見えない程度に。
| 
| 先に行って卯月と待っているぞ、慎二。
| ……いや、あいつと私では行き着く場所が違うな。私はひとり地獄行き。
| 
|「卯月の方へ行けよ」
| 
| 冴えない遺言だ。聞こえたかも怪しい。
| ターニャはこの約二ヶ月で、凜から盗んだ技術を悪用した。凜の研究『万魔』殺し。
| 
| それを自分なりにアレンジして再構築していた。想像よりも使う機会は早く来た。
| 『自己破壊プログラム』。ターニャは雁夜に掴みかかった。そのまま食われるつもりだった。
| 
| そして、崩壊する己を食わせて。
| 『第四の万魔』もろとも崩壊して消えて見せよう。
|_________________________________________________
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94死夢見 ◆XDD/DkyjV6:2022/03/27(日) 13:39:10 ID:K2a2PLDMMM



        ト、        _ _ __     _ ,ィ
          }≧=- 、 , : : : : : : : : : ヽ: : :><ニヲ
     __  }ニニニレ: /: : : : : : : : : : : :Y: : : : : : 、
    <ニニУ\ニニ{: /: : : : : : /: : : : : :.ハ;vヘ: : : : : \
     ヾ/: : : ノニニ}/: : :/: : ;イ: : : : : :/    }: : : : : : ヽ
      .: : :∠二二イ: : : ト: :\|: :ハ: : |  u  }: : |: : : : ::.
    ≦! : : : : : : : : |从ハ| V x≧ミ l: : !     }:ハ:ト: : :l: :.|
     :: : : : : : : : ハ: :ミ   《 ィfハヾド;kノ   ゞ≠く ': :/:ト;!           え、嘘っ、ターニャ!?
     |: : : : : : : :{: : :ミ     弋ツ       'fハ 》从八           あの! バカ!!
     ト; : : : : : :.i./⌒     ー       ゞ_' {: : : : :.
     '; : : : : : : l:{ { ハ              ´       !: : : :.ハ
     八: : : : : :圦ゝふ  u.      _     ,:.|: : : : ::.
.    /: : ヽ: : : : :V:> 个       /~{    /: |: : : : :.ト、
    /: : : : ∧: : : : V: : :.|  \     〈⌒ 」  .: : : :|: : : : : !:: .
.   /: : : : /: ∧: : : :.'; : ; !        ̄  /: : : : l: : : : : l: : \
  /: : : : /: /: :.;: : : : :Y: :|      ≧=≦、:_: : : : ; : : : : ム-―
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../: : : : /: /: : : : }: : : :斗1 // ∨ルヘ   /...........У: : : :./..............
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| 慎二が何らかの対処をする前に、凛は、ターニャが手遅れであることに気付いていた。
| しかし、なんの手も講じることができなかった。
| 
| ターニャを助ける方法は簡単ではない。そちらに手を回せば臓硯を燃やす炎に支障が出る。
| 燃え続ける臓硯の蟲プール。無尽蔵に近い魔力貯蔵。根比べに近い地味な対決。
| 
| しかし、ここで手を離せば臓硯は復活しかねない。
| そして、『イシュタル』ほどの宝石と術式を再び用意するのは困難だった。
| 
| だが、『イシュタル』の炎を広げるのは不可能ではなかった。
| 高い集中力と精密動作が必要になる。なに、針の穴に象を通すより簡単だ。
| 
| 簡単だが、凜はできなかった。
| 成れの果てとはいえ雁夜と、ターニャ。知らぬ仲でもない二人をその手で焼き殺すのは、躊躇われた。
| 
| この甘さが遠坂凛最大の弱点であり、多くの門弟や仲間が彼女を慕う美点でもある。
| とにかく、凛はターニャを燃やせなかった。
|
| けれど、開発はしたものの臓硯に叩き込む方法が無く、凍結したはずの自壊プログラムにはいち早く気が付いた。
| 
| ターニャが死ぬ。凜は動揺した。
| この二度目の動揺が、命取り。
| 
| 亜音速で発射された蟲の弾丸が三発。
| 凜の胸、右肩、そして『イシュタル』を撃ち抜いた。
|_________________________________________________
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95死夢見 ◆XDD/DkyjV6:2022/03/27(日) 13:39:33 ID:K2a2PLDMMM



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   { /  -― 、 /      \     /     }
   |        {     `¨   \ ,  /   \
   |    へ   \_\_\   }    // ノ
   {.  / ハ    >[二二>≧-⌒ァr≦- テ二/
    \ } ! ヘ/  u      ̄´ 冫 | {¬¬´  {
      \ (ヽ/ /      ̄ /   | | 、_   j
  _ァ≦7 \二>     ァr‐  ヽ  !  {  __  /
7/{////  /  }   { { ヽ ---- ̄--イ } |/             ぐぬっ!
//{///{   { {  {    ∨二二二二二/
//|///|   | {  \    丶‐------ ’  イ              浅いか!!
//|///|∨   |   }} 心        ///\
//|///|. ∨  }        > }__j_jイ//{//_心
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| いいや致命傷である。
| モース硬度10のブラックダイヤモンドは無惨にひび割れ、肩のささくれた断面からは骨が見えていた。
|
| 同様の一撃を胸に受けたら、即死しない方がおかしいというもの。
| 
| そして凜はおかしかった。
| 
|「げふっ、ごぽっ!」
| 
| 水っぽく咳き込んだ口元から血の糸を引きつつも、凜は健在。
| 蟲の弾丸が薄い胸に直撃したと同時に、その超人的な魔力で焼き潰したのだ。
| 
| 肋骨は何本もへし折れ、肺も傷ついたのだろう。衝突箇所の皮膚は焼き焦げて爛れ痛々しい。
| だが生きていた。血を滴らせながら倒れない、その目はいまだ戦意に満ちている。
| 
|「くそっ、爺さん!!?」
| 
| ターニャを援護しようとしていた慎二が、脂汗を溜らせながら呻いた。
| 呻きたいのは凜も同じ、いや、慎二以上か。
| 
| いつの間にか炎から免れたのか、人型の間桐臓硯が、次弾の準備。
| 次は、防げない。凜はこみ上げる血液にむせながら、手の甲で口を拭った。
| 
| 弾丸にはすぐに気づいた。空中で焼き溶かすだけの魔力と防御力があるつもりだった。
| なのに、致命的な一発に集中しなければ焼けなかった。そんなはずはない。
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96死夢見 ◆XDD/DkyjV6:2022/03/27(日) 13:39:54 ID:K2a2PLDMMM



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             |       ,    -‐ '"   ,..::::::::/
          _:, u    ':,  |  ,.:::'   ,.   ,.:':.:.:.:.:/      好き勝手してくれたのぉ小娘。
          ∨ \ :::..':,│ ,:':,:'  /  ,::.:.:.:.:.:/      貴様の体は桜と違い貧相じゃが、
          〈    `丶::::..:::::/  __,   !.:.:.:.:./´'.      魔力に関しては満点じゃ。
           {:ミ\     〉::f  ''"´    ヽ.:./ 7/
          _У ゝ=` 、∧ r\__,,,.. -rrrァ::'’''  /       犯しつくして苗床にしてやる。
        /::小    '"::} r''ヾミ¨三¨´:ミ、 /イ:、
    ___//:.:.:/: }:, r‐r‐< / | :、   u //:.:.:l: :\
   / : :.:.:.: ':.:.:./: .ハ.!ト、_   ヽ__/ `7''>:、 / /:l:.:.:.:!:.: :..\
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| 蟲のプールは未だ燃えている。
| たが、どんなからくりか、間桐臓硯がそこにいる。
| 
| こちらも余裕のない表情で、額には汗が粒をなす。
| 凜が動揺した僅かな隙をついて、本体核が逃れたのだ。
| 
| どうやって? 凜や慎二には説明したところで分かるまい。
| そんな都合のいい魔術を、偶然にも習得した? そんなことあってたまるものか。
| 
| やる夫や蒼星石がいたならば、心当たりがあっただろう。
| 凄まじい魔力消費ながら、どんな攻撃も通さない。
| 
| 『絶対防御結界』。
| 
| シンプルかつストレート。逆に馬鹿馬鹿しいその障壁。
| でっていうが世界の滅びから愛し子を守るためだけに用意した究極の術式である。
| 
| 記憶力に自身のある読者は、やる夫復活前に『血族』とでっていうが密約していたのを憶えているかもしれない。
| その時の窓口が『やる夫』と臓硯であり、臓硯はでっていうから『絶対防御結界』の術式を教わっていた。
| 
| 臓硯は凜の動揺による僅かなチャンスをものにし、燃え上がる蟲プールを魔力源にした。
| 『絶対防御結界』にて『イシュタル』から逃れたのである。
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97死夢見 ◆XDD/DkyjV6:2022/03/27(日) 13:40:06 ID:K2a2PLDMMM



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                    〉::::::::::::::\_            ,  ―‐ 、  }
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                     八:{_  |     ::.....       /
                 /     ``ヽ、、     :::>   _/
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      ――ー<____:{               `ヽ、
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      \          .∨-`ヽ、          /

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| ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
|「間抜けめ! そこで指をくわえておれ!」
| 
| 老人とは思えぬ俊敏さで、臓硯が駆ける。
| ターニャと凛とのどちらを援護するかで躊躇した慎二には、対応できない。
| 
| 毒々しいまだらの茸、その表面を黒い錆めいた何かが侵食する。
| グズグズと音を立て、スポンジみたいになって崩れる茸と、雁夜に掴みかかるターニャの肉体。
| 
| 次の弾丸を跳びのけて避ける凛、傷の痛みに耐えかねて受け身も取れない。
| 花が散る、右肩から血が溢れて白い花弁を赤く染める。
| 
| その間、『弓兵』は動けない、ここで桜を止めなければ。
| 『光浄裁』は不完全で消耗も大きい。二回目の時点で『弓兵』の限界は近い。
| 
| 慎二はターニャに走った。その選択は誰にも責められない。
| 二人のうちのどちらかを助けられる単純なトロッコ問題などではないからだ。
| 
| どちらを見殺しにしなければならないなら、助けられる可能性が少しでも高い方を選ぶべきだ。
| その背中を臓硯が嘲笑う。
| 
| 所詮は慎二、その程度の無力な臆病者。
| 甘く見るなだって? 自分の実力でもなんでもない、道具頼りな役立たずの癖に生意気なのだ。
|_________________________________________________
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98死夢見 ◆XDD/DkyjV6:2022/03/27(日) 13:40:23 ID:K2a2PLDMMM



                                   ______
                                __>::::::::::_:::-──ヽ
                  _  -─へ───、  、_>:::_,.。*'":::::::::_::::-‐┴:、
              、丶`: : : : : : : : : : : ヾ////ト_-≦::::::>::::/::::::::/:::/::::::::::_」_
             、丶`: : : : : : : : : : : : : : : : : ∨//|_>::::::::/:::/二ヾ-‐::::_:::-‐::::::::::::ヘ
         /: : : : : : : : : : : : / ̄ ̄: : -: :∨/| >:::イ::://_r/:::_::イ::::::::::::::;::-:::::!ハ
        /: : : : : : : : : : : : /: : : : : : : : : : :\/L - ,.。*'   _才:::::/:::://:::::::::/:l::}
       /: : : : : : : : : : : : : /: : : : : : : : : : : : : : l/|  ./     ‐--┐:/:::/::::_:::::::/::{
     /: : : : : : : : : : : : : : :/:_: : : : : : : : : : : : : : l/l /     /  /7::/:::/:/ /:::::::/:!    クソ……クソ……ッ。
    ./: : : : : : : : : :_:_:_:_:._/: : : ̄: : :-: : :_: : : : : :l,'∨   lT7  丈:::::::/:/ /:/ノ::'::/    桜、遠坂……!
    / : : : : : : : : : : \:::::/: : : :\: : : : : : : : :-: :_:|/l|    |/      ̄ ∠=-' /フ:/
   ./: : : : : : : : : : : : : :.ヾ|::::、: : : : \: : : : : : : : : :|/,|ー-∠ニ=- _    ´ _ -ァ:::::{
  /: : : : : : : : : : : :_:_: : : :ヾ:::\: : : : :\: : : : : : :// //////,ヽ\ _ -=‐¬::://
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| 歯が軋むほど食いしばりながら、血を吐くように慎二は呻く。
| 自分では誰も救えない。なんの役にも立たないという無力さに打ちのめされながら。
| 
| 立ち上がれない凜、とどめの射撃がその頭を狙う。
| 間に合わない、慎二の脳裏によぎるのは卯月の笑顔。また、間に合わない?
| 
|「ターニャぁ! 遠坂をッッ!!」
| 
| 不甲斐なさと惨めさに涙がこぼれる、他に思いつかない。結局ただの役立たず。
| 慎二は護身用の魔術武器を、この戦いに赴く前に、凜から譲渡された短剣を引き抜いた。
| 
| 攻撃のための道具ではない、護符の一種に過ぎぬそれ。
| 一瞬の逡巡……しかし、慎二はそれを突き立てた。
|
| 己の。
|
|
|
| 心臓に。
| 
|
|
|「僕の……命を、やるから」
| 
| ニャンコ先生がこの場にいれば、慎二とターニャの魔術的縁を通して、
| 慎二の生命が、魂が注ぎ込まれるのが見えたであろう。
|
| 己が体を錆とも煤ともつかぬつちくれに変え、雁夜ごと滅びようとしたターニャは言葉もない。
| 
| 悪魔と術者として、二人は契約していた。そんなものは要らぬと拒絶もできぬ。
| だが、慎二の生命ごときで対処できるほど、雁夜は甘い存在ではない。
| 
| 無駄死に、犬死に。ターニャの心を絶望が埋め尽くした、瞬間。
|_________________________________________________
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99死夢見 ◆XDD/DkyjV6:2022/03/27(日) 13:40:37 ID:K2a2PLDMMM



  ヽ  /ヽ       /: : : : : : : : : : : : : : ̄` : :、
   〉 八  }     /: : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : ヽ
  / / ヘ ノ   /: : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : \
  ィ ヽ /   /: : : : :/: : : : : : : : : : : : : : : : : : ト: : : : : :ヽ
   \/   , : : : : : : /: : : : : : : : : :/ : : : : : : : : : j: : : : : : : :.
    /    /: : : : : : /: : /: : : : : :/ : : : : : : : : : / ̄ ̄ ̄ ̄入
 _ ノ   /: : : : : : /: : /: : : : : : :/ : /: : : : : : : /____/ 介
      /i: : : : : : /: : /: : : :| : :イ : :/ : : : : : / \  ヽ / ハ
      /: !: : : |: :/: : /: : : : i: / !: :/: : : : :/  `ヽ \   V
      /: 川: : :|: j: :/八: : : :i/ /: //: : /´ ̄   \ \  |
      . : : :八: : {ハ从  ヽ从{ > ´ ノ  7〒癶、   }:\!
    /: : : : j: : :i|       /        什杖_八   j: : :|
    / : : : : |: : : }    /     /    ヾ心'ソ  }ト  /: : : |
  . :__:_:j: : : :i //   . ―、     `¨゙ `⌒ ィ、⌒j: |      …………ネエサン。
       |: : : :V /   ,イ    ヽ         _ソ   イ: :!
       |: : : : ∨   {ィ      ハ      /   /: !: :レ´
       |: : : : : ト    マ、__ノノ     ..ェ┬彡≧ュ:|: : : : : :
       |: : : : : i \  ゚ ー― ´    / / jニニニニュ: : : :
 \     : : : : : :ハ   ヽ     _。 ≦    /ニニニニニニ
   \  / |: : : : :i   ミ ≧=ニ二   / /ニニニニニニ/
    \{  !: : : : ト ヽ          //ニニニニニニ人
      } |: : : : :! \ ミー  =彡 /ニニニニニニニ’ \
      i !: : : : ト   `ー――― } ̄ ̄ ̄ ̄ ミ 、イ
 `ヽ、   i |: : : : j \     イニニ             〉 {
  |:ト、≧、i|: : : :/       彡ニニ}          /  \
  |:}  ー i!: : :/__         \      /     \
  |: V   l : /     ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ― \ _ ノ
  ノ: 八    |: {              >――= 、 ミ 、ヽ
 : : / `ミー}: :!______>ー ´       ヽ     \
 : /ヽ    j:イヽ____  {       ノ__ ノ
 /  \  ノ八         ≧=――≦{  }≧ュ。_  }
   \ \        ̄ ̄ ̄       八  |    {` ー―
     `   __     彡     / {!  |    {
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| 二つのことが同時に起こった。
| 
| 一つ、『弓兵』の攻撃を受けていた桜が突如として振り切り、その巨大な腕で『弓兵』を強打したこと。
| 一つ、突如現れた青い光が彗星のごとく尾を引いて、ターニャと雁夜に激突したこと。
| 
| まずは前者、『弓兵』の『光浄裁』による内部魔力の分解と蒸発の中で朦朧としていたはずの桜。
| しかし、突然かつ高速で動いた。それまでこの瞬間のために力を貯めていたかのように。
| 
| 光の漏れる手で『弓兵』をむんずと掴み、抵抗する暇も与えずアンダースロー。
| その衝撃でちぎれる腕、脚。地響きを立てて転倒。
|
| だるまになって蒸発速度が早まる。
| 動きも止まった。ただ、その目は己の行動の行く先を。
| 
| 投げ飛ばされた『弓兵』は、錐揉みしながら着地。不幸にもそこにいた人物の背中へ。
| 
|「ぐげェ!?」
| 
| 背骨と内臓がグチャグチャになる一撃。当然投擲しようとしていた魔力は消失。
| 反動でジャンプしながら『弓兵』は光を漏らしながら微笑む桜を一瞥、ターニャを一瞥。小さく嘆息。
| 
|「来たのか」
|_________________________________________________
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100死夢見 ◆XDD/DkyjV6:2022/03/27(日) 13:40:47 ID:K2a2PLDMMM



             /ノ           / /   ,. -ァ'ー'´     //
          /}             / /__,..ノ- ´      //
          lノ           / /ノ:::/      //
          {:ヽ            / /ノ ̄       //
        ヽ ̄ `ヽ、      / /'′      //      ___
 ト、      ` - _ ` ー/⌒l /        /⌒ヽ., -v‐ ¨_二 ----- 二、ニ= 、
 ヽlヽ         ` ┬ 、,..‐< ̄- ̄、丶ー┴ 、 : : :\:} ̄          ` =--
  \\          /: :{ : : : ヽ : : : :\: \: : :\::/ ヽ-、
    \\         //: : : :l : : : : : : : : : : :ヽ :ヽ: : : :ヽ: :.}:ノ
     `ヽ.ー- ._,.--./:{: : : : : : : : : _: :-―: :丁 ̄:ト. ̄/:`:7= 、
      _`j7/r.‐/: : : : : :, : ィl:  ̄: : : : : : : リ: : : l :V:.:.:./-、__'__
-_ ニ  ̄--ァォノ : :! : : : : {´: :ヽ:{ : :/´ ̄: ̄: ̄ ̄: ̄:`:<三_j_ ̄ ̄`ヽ
´  riァ,―ァ{: { : : : :|: : : : :ー--‐': : : : : : _: _____: : \|`ヽ   ′
   ト_イ ´  ヽヽ: : :ハ: . :/: : : : : : :ヽ: .ー、- 二_ヽ、 |ノ}⊥>、:ヽ
   {_トヽ`ーナYヽ:. :ヽ: ト、: : ト、\: : `:ー、-`ヽ /`_ヽ!/     ヽト
    `ー`‐'  L: ゝ、:_ヾ、 \ヽー 三._ー-ヽン/,ィ:}/ |      l }!
            {:.:.:.:.:.:.へ― ミ、_     ///ー'′ ,′     j!
           ` ー-!ハ‐\ヽ〒ォ:ァー ´    /
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              ヽ、_ 丶._` ー-- ̄- '

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| 巨大なアンカーが地面を穿つように。
| 青い光は雁夜に流星のような飛び蹴りをねじ込んだ。
| 
| ターニャと雁夜が離れる、崩れ落ちつつあるターニャが慟哭。理性を失った雁夜が咆哮。
| その雁夜の頭部に、跳び蹴りの反動で高く飛んだ青い光がかかと落とし。
| 
| 頭から花畑に埋没し、クモの巣状の亀裂が広がる。
| そのまま振りかぶった右手、断頭台のように振り下ろされる手刀。
|
| 粉微塵に吹き飛ぶ雁夜。
| 青い光は死に至りつつあるターニャと慎二を一瞥。そして期待に満ちた目を『弓兵』に向ける。
| 
| 視線が絡む。言葉は要らない。
| 
| 青い光が跳躍、空中で『弓兵』と交錯。
| 互いに相手の足裏を蹴ってスイッチ。
| 
| 『弓兵』はターニャへ。
| 青い光は不幸な着地点。よろめく臓硯に頭から突っ込む。
|
| アイサツと同時の、右ストレート。
| 
|「こんばんは! 夢宮アリカです!!」
|_________________________________________________
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101死夢見 ◆XDD/DkyjV6:2022/03/27(日) 13:40:58 ID:K2a2PLDMMM



☆ 次回予告!

 それは、愛に似ている。

 例えば朝、ベッドから身を起こし、身支度をしつつ朝食を取りながら。
 それでも心はその人に向いて。

 例えば昼、忙しく働きながら、ふとした瞬間に。
 思い起こされるのはその人ばかり。

 それは、恋に似ている。

 例えば夕暮れ、一日の終わり、残りの仕事に気怠い頭を動かしながら。
 その人は何をしているだろうか。

 例えば夜、夢の中でさえ。
 その人が現れやしないかと胸を弾ませる。

 しかし。

 その想いは。

次回、最終幕八十七話『その気持ちは恋なのでしょうか』
 果てに見るのは破滅か死か。

102 ◆BLUEpl1Jp.:2022/03/27(日) 15:03:40 ID:5lKSNhQoMM
地獄の底から乙

103令和もどこかの名無しさん:2022/03/27(日) 18:32:07 ID:WXG23zg200
乙です

104 ◆uUUL1UxePw:2022/03/27(日) 19:44:39 ID:Tg7RpyN2Sa

アリカ、青い光とな!?

105令和もどこかの名無しさん:2022/03/27(日) 22:11:06 ID:IxwMbaDE00
自分の力が結晶化したか


106令和もどこかの名無しさん:2022/03/28(月) 03:05:29 ID:nU9EeEDM00

青き彗星というどこぞで使われてそうな登場をかましたなw

107死夢見 ◆XDD/DkyjV6:2022/04/03(日) 15:07:33 ID:Fu9ltzgIMM

◎現状(八十七話開始時)
  カトルカールの電波汚染で電子機器と電波の使用不可
  暴徒は鎮圧されつつある。

やらない夫の仲間
 目的:やらない夫を死んだと世間に見せる

・やらない夫
  ケンシロウ、ジャンヌと遭遇
・咲夜、球磨川、マーガレット
  ディオ(アリー)により殺害
・天龍、シグ
  ロビンに敗北
・ジャギ
  『血族』の捕虜になる
・四ツ目
  トパス、アメシストと交戦後弾薬不足で撤退
・ミスト・レックス
  ハッキング中らしい
・やらない子
  ヤザンに敗北
・はやぶさ
  誠に同行
・アサギ、タカオ
  誠により運搬
・麻呂、白雪ひめ
  やる気を減退させ、一般人を避難中

警察
 目的:やらない夫の確保と暴徒鎮圧

・阿部さん
  誠を探している
・ナタル、ノイマン、ダリダ
  電波汚染に対抗中。

・誠
 タカオとアサギ、はやぶさを連れて警察へ。

陸上自衛隊ムスカ配下
 目的:扇動、これをきっかけにクーデターを起こしたいが、鎮圧されつつある

『血族』
 目的:やらない夫の確保と暴徒鎮圧

・カミナとシモン
  ジャギを捕虜にする
・龍田と石田、杏子班
  ロビンと交戦、敗退
・ケンシロウ
  やらない夫と交戦
・キオ・アスノ
  イナミと交渉
・呂布
  ヤザンと交戦
・馬岱、星、邪悪帝国
  レイを捕虜にした

『異端審問官』
 目的:やらない夫の確保と暴徒鎮圧
  やらない夫と交戦

シロッコ配下
 目的:日本を内戦状態にしたい

・ヤザン
  呂布と交戦
・ロビン、カトルカール
  石田、龍田、杏子班に打ち勝つ
・トパス、アメシスト
  四ツ目と交戦、再び足止めされる
・レイ・ザ・バレル
  捕虜にされる
・合衆国軍
  一般人を攻撃、鎮圧されつつある

イナミ
  キオと交渉

ディオ(アリー・アル・サーシェス
 目的:不明
  球磨川たちとアサギを殺害した
  タカオに致命傷を与えた
  アサギに『一人でおかえり』を憑けられ誤った囁きを受けることになる

108死夢見 ◆XDD/DkyjV6:2022/04/03(日) 15:07:46 ID:Fu9ltzgIMM


;;;-‐‐‐‐‐‐-ァ-''-;;;;;;;;;;;;∠_二ニ゛\_
'i,    ,_,,-'‐!  ゛ー-r=''''_ ヽ   |;;;;;;;
 y‐''''´,,..-‐'--''") 、_    ̄''ヽ-,ノー,,,,,,,,,,,,,,---‐‐''''' ̄ ,,,,,,,,
,,/;;; ,/´ ;;_;;;;,-‐"   ,/ ̄゛'''''\_-‐''´   ,,,,-‐'''''''''""""
,ノ;;;;レ";;::,/ ,r‐-,/‐--// / ̄,,r''´   _,,-'''´|
;;;;;;;;;;;;;;;イ/;;; ((,,,,,,/// /゛  ,,,,-''"   |
;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;; ∠,,>ミ‐‐'''')/,,,r--‐'' /     |:─---  ,,,,         …………ぐぐ。
;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;ー‐'''~ヾ、,        _/::::::::::::::::::::::::::ヽ、
;;;;;;;;;;;;;;;;;;::  ,r‐i'|ヽ|、 ヾ|、ヽ\     _,r'' \::::::::::::::::::::::::::::::::::      後は……やらない夫、だ。
、;;;;;;;;;;;;;::: ,/::::::∥゛i、  'ヽ   ヾ、,,,r'''":::   ヾ:::::::::::::    /     ……やらない夫、を、見つ……けて、
:'ヽ;;;;;;;;;::: |;;;:____i, ヽ、  \_∠,ii,  ::::      ''-,,::::::  /
;: ' i,;;;;;;::: ,/;ヽゝ'ヽi:-i, -''''=ニヾ‐'イノ |  i;::         /
;  i,;;;: ,/` ,/::::入 \\ー-‐''" i   i,  \     /:::::::::::::::
;;i,  i、/ r゛ /:  :::::!''\ \ ̄  ____,i    i,   \  /::::::::::::::::::::    …………殺す。
;;;;i,  i,  ゝ'::::: /::7‐- \ ヽ、  ,i  ,,,___,,i,    ヽ(__::::::::::::::::
;;;;;;;i、 i, \::::/:::ヾ─-,,,,,_ヽ、  ̄!/::::|:::::ノ    ::::::::ノ  ̄ ̄ ̄
;;;:::::::i,  i,,  ヽヘ、\‐─一゛7‐-─ソ:::|/       く、
;::::::::;A、 i, ,,‐r‐-ヽ:::::ー-‐'''"  ,/   '''''''''''''''''''"" ,r''''"
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 ̄ \ 'ヽ,, \   i i/ヽ--イ:::::    |  ,/  ,/
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  ヽ   V|  \ \i |     ヽ   ,r'  /
   ''i  |    \ \        "  /

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| 芝公園の騒乱はほとんどが鎮圧されていた。
| 本腰を上げた『血族』が、ほぼすべての場所で合衆国兵や自衛隊を捕縛していた。
| 
| 『グレン団』や『九鬼』、そして曹操華琳が呼び戻した部下たちの活躍が大きい。
| つまり、元『結社』勢力が、完全に治安維持や東京守護のために動いているのを見せつけた形になる。
| 
| 『教会』側で鎮圧に動いたのはジャンヌ・ダルクと『異端審問官』のみ。
| 暴力教会のエダは事前に「シロッコから手出し無用と連絡があった」旨を『血族』に垂れ込んでいた。
| 
| 『学園封鎖』の責任問題で忙しい『十字軍』も不参加。
| より正確に言うと、『学園封鎖』翌日以降は『十字軍』のオズ、オズマの双子と連絡がつかない状態だった。
| 
| なお、いまだ芝公園の汚染電波は続いている。
| 
|「石田班、佐倉班がカトルカールと交戦中。
| 趙雲殿がシロッコ側の将兵と思われる一名を捕虜としました」
|「助かる」
| 
| 『異端審問官』と行動を共にしていたケンシロウ、『血族』は汚染電波による妨害を許す作戦で動いていた。
| 代わりの伝達はアナログの極み、いわゆる伝令である。
| 
| 二人一組の、『九鬼』下級ニンジャが幹部級探して走り回り、連絡をする。
| 汚染電波で調子に乗り、安心しているシロッコの裏をかく作戦は見事に成功し、
| レイ・ザ・バレルの捕虜という成果を出していた。
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109死夢見 ◆XDD/DkyjV6:2022/04/03(日) 15:07:58 ID:Fu9ltzgIMM


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            |: | ∨{    ̄三=  { 坏)「Ⅳ
          八乂V!:         _|   ′
           /:::::::/`l|        ̄`  /
.          /::::/ 八     ∠二ア  /           やらない夫は?
         /::厂   { \     ヾ  /
     -=イ⌒{ /   {  \      /
.  /ニ\ニニニ\     {    \ __/|\
/ニニニニ_\ニニニ\  {       /{   |ニ=\
 ̄}ニニニニニ=丶ニニニ\八     //{  八ニニニ≧=- ___ ィ7
  } ニニニニニニニニニニニ\\   /八   \ニニニニニニニニニニニ7

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|「カトルカールと交戦後、逃亡。捜索中です」
|「分かった」
| 
| ケンシロウは、やらない夫を探していた。
| 聞きたいことがある。知りたいことがある。
| 
| そして何より。
| 
| ケンシロウは己の中に生まれた得体の知れぬ感情に名前をつけなかった。
| ただ、すぐに消えるだろうと無視をしていた。興味もなかった。
| 
| 嘘だ。
| 
| ケンシロウは日増しに存在感を強くする『それ』から必死に目を逸らした。
| 考えまいと努めた。しかし無駄だった。
| 
| 対処できない。完全に手を離れている。
| 戦士として、冷静さを欠くことは死に直結する。はずなのに、自分を保っていられない。
| 
| しかし、この戦いの中で、ケンシロウはとうとう見てしまった。
| 『聖処女』ジャンヌ・ダルクの中に。
| 
| 己とよく似た、身を焦がし駆り立てる、制御不能の感情を。
| 
| それは……………………。
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110死夢見 ◆XDD/DkyjV6:2022/04/03(日) 15:08:10 ID:Fu9ltzgIMM


         /! i`ヾ:、i、_______ `Vレ;
       ト、i.{;;! ゞyイ´ i 、ト、 ヽ.ヾ}!くノ
       >;;ヾ,/ゞj  ト、`ヾ:、、 }! 从、丶 、   ,
     ,ィ´≦;;r'- ‐―━┷,ゞ`;;;;;;}j;| ゙ ヽヾ‐ヽ }! 〃  ,
    〃´/イ;;ノ、  \、 ,〃ィ;;;ハ;ハミ、-._ヽト.、V!/,'  ,.;"
       〃'  \、__ /′イ从!リ ヾト、  ヾミ;;ソレ'ニ='"
       ,ゝ'´ ̄/ ¨T ≠リ___サ、、リ \  ,ゞ;;;;;;;≧=-、
        /   /    ! 〃   i─ミ、、_ ヽ〃'};;トミヾ:ヽ
        /   /    ! i   {. トミゞ_(Y、_j! {;ハヾ. \
.       /   .,′   ! /   |: {二≧/了ノ l }! ヾ,
     ,′   ,′    !'    |:. ∨  ,ィニ〉 ノ .リ  }
    ,′   ,′    j'     ト‐-、! / _゙_\               …………おい、
    ,′   /     /     |/<f`ー=ァ″                そこ、の……娘。
    ´ ̄ ̄ソ-―― 〈‐、__.-=、!\ \::;゙″
   ノ⌒ー/`ー- .__ }´ ヽ--≧、ヽ \/  _____
r<:::::::::\、`、._  ヾ ト-.__;ノ |`ヽ>-イf´  /   ` ヽ,
:、:::::::::::::::::.ヾ:、  ̄ ヾ、!   /! .!  i`ー-t_  {   /  `ヽ、_______
:;::ト、::::::::::::.:. \:.、_  ミ、ー /イ  :l _⊥=―ヽ‐┼''" /   / ̄ /   / `>ァ-=.__.イ¨7━―
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|「ゲェっ」
| 
| 通りかかった一人の女に、ジャンヌが声をかけた。
| ジャンヌ自身理由があっての行動ではない。
| 
| ただ、気になったから話しかけたのだ。
| 
| 女の反応は過剰で、そしてその直前にジャンヌは気付いて愕然としていた。
| 鬘一つで、こんな、こんな…………!
| 
|「備府……やらない、夫!!」
|「あんたにゃ会いたくなかったぜ……」
| 
| 疲労困憊した様子で、やらない夫は鬘を投げ捨てて身構えた。
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111死夢見 ◆XDD/DkyjV6:2022/04/03(日) 15:08:25 ID:Fu9ltzgIMM


         l      |          /   /  ヽ-     |(/ヽ
          !        !;;,         /'  / __   !       ! ヽ  !
       |、       l;;;;;;..     ,'/./ ,、_) ヽ  「     |/ /
        | ヽ      !;;;l;;;;;;,.   //    ゝ二ノ /ヽ     | / /
         !、 ,;,    | '!;;;;;;;;, //       /ヽ       !/   /
      ├ ` =、   | ヽゝ;;;;∠ 'ノ` ー┬┐_ニ´/        !  ノ           無事かァジャギぃッ!
       !  ト-ヘ  ハ |, ヘ;;;;;;;;,,,`ニ三二 ニ¨       ├'´|
      iヽ、  ̄ ∨/ノ「、 「 ̄ ゙';;;;;;;;,,, ̄ ̄ -┬n     !  |
       | ';;;;三ニ;;;//  ヽ     ゙゙';;;;,゙゙''゙゙    / !|      !
      !  ゙;; ̄';;;/     !  ,.    ゙゙''   / 」´ }    !   l
        |  ;;  ;;,       ト. ' r‐     / / r' /       !
       ハ ';;, ';;;,      `  _ -‐ ~_/ ̄ //   /
     /  \;;,, ゙';;,、\、_ -‐ ¨ __ -‐'´   ノ /   /
     ハ    / \ ';;,  \Y´ ̄    _ - ´ /

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|「え? ジャギだったの!?」
|「うるせェ、俺は繊細なんだよ!」
| 
| こちら、偽ヤーボと戦っていた『グレン団』コンビとジャギ。
| 突如自爆した偽ヤーボ、巻き込まれたカミナとシモンは平気な顔。神族守護が違う。
| 
| 対して、大の字になって転がるジャギ。
| 偽ヤーボ戦でも手傷を負っていた上に、実ヤーボ……もとい『リトルボーイ』相手に受けた傷も残っている。
| 
| 生きているのが不思議なくらいの満身創痍。
| 
|「見逃せ」
|「出来るかタコ! こちとら天下の『四天王』だ!」
| 
| 仁王立ちに見下ろすカミナ、ジャギは一瞬ポカンとした。言葉の意味が理解できるまで数瞬。
| 
|「マジか! やったじゃねェか! クッソ早く言えよ! 聞いてねーぞ、祝い酒だ!」
| 
| 自分自身が『四天王』に拘っていた事など嘘のように喜ぶジャギ、カミナは頭を掻いた。
| 
|「ホントにジャギだよアニキ」
|「だな、ちなみにケンシロウも『四天王』だぜ?」
|_________________________________________________
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112死夢見 ◆XDD/DkyjV6:2022/04/03(日) 15:08:42 ID:Fu9ltzgIMM


       /二二二二二二二二二二二二二二二二二二二二二二ヽ
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     /二二二二二二二二二二二二二二二二二二二二二二二二ニl
     /二二二二二=二二ニ===--────--===ニ二=二=二二二ニニl
     l二二二ニ∧ | ヽ-‐''_゙--=ニ\  |  / ̄` ‐-゙_'''゙ |ノ  )ニ二二二l
     l二ニニ∧ノ `' _ -‐'゙/⌒丶 l  | l  /⌒\ \   /|二二ニl
     l二二 |   /  /  _・ __ノ ノ  | l ' _ ・   \ l   ノ,、'二ニニl
     l二二|\  l_  `'''゙゙ _ -‐''゙  人 ゙゙''‐- _゙゙''--'  l    ノ二ニニl
     l二二ゝ、   ヽ_ -‐''            ゙゙''---'    ' l二二l
     ヽニニ\           , -、   ,、           __/二ニニl
      l二二>     /      /: : l  /: :ヽ   \   __/二二ニl          それは聞いてる。
      l二二ニ=7       ∧  l : : l   l : : l  ∧     ヽ二二二二/           くへへっ。
      l二ニニニ/   ,、  l: : l  { ̄ }  l ̄ ,' /: :l  r、   ヽ二ニニニニl
     /二二ニl   /: :l l: : ヽ l ̄ l  l ̄/ ll: : l  l: :l   l二ニニニニl
     /二二二l    l: : ヽ ヽ j゙l l.  l ,'  l  ll: :/ /: :l   /二二二二、
    /二二ニニl   ヽ : : l }l l ,''-‐-l/-‐-l  ll l /: : /  l \二二二ニl
    /二二二ニl     l: :|: :∨/ l/  __ l/、l l/: : /    l   l二ニニニニl
   ./二ニ/ ̄ ̄   / : |: : : :l   ___    l: : : : l   \─'‐゙゙ ̄7ニニl
  /二/         /: : :|: : : :`ー'゙ : : : : : : :  ゙̄'‐': : : : l        /二二l
  /ゝ‐'' ̄/ ̄ ̄`ヽ/: : : : : : : :_: :-‐  ̄ ̄ ‐-: :_: : : : : :l     _ -゙iニニニニニl
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| 抑えきれぬ喜悦に変な笑いのこぼれるジャギ。
| 昔なじみの前で変に気取る必要もなく本音が出てしまっていた。
| 
|「とりあえず、連れてって治療してもらえ。その後、何で隠れてたか吐いてもらうぜ」
|「酒とスシは出るんだろうな?」
| 
|「出ねーよ」
|「出せよケチ臭え、テメエカミナ『四天王』だろッ」
| 
| ジャギの巨体を背負うカミナ、カミナ自身も無傷ではない。
| しかし、既に血は止まり、傷の下から新しい皮膚ができているのが見えた。
| 
|「なンだ? 再生力上がったか?」
|「おう、逆にな」
|「逆かよ」
| 
| カミナの強さの秘訣は、弟分の信頼である。
|
| 普通人に過ぎないカミナだが、シモンの期待がある限り、
| シモンの信じるカミナである限り凄まじいまでの加護を得られる。
| 
| そのことを周囲に知らしめたのが十月、カミナは自己肯定感最低値のシモン共々変わるために努力してきた。
| 加護任せの戦いだけではない、武器や体術を教わった。シモンと並んで訓練を重ねてきた。
| 
| そして、カミナはさらなる信頼で加護が増えた。
| シモン自身が己の能力を扱えるようになれば、相対的に減ると思われたのに、まるでそんな兆候はなかった。
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113死夢見 ◆XDD/DkyjV6:2022/04/03(日) 15:08:56 ID:Fu9ltzgIMM


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                 __.\ `ヽ、  __
              ,. '´   . ̄   `'´.__/
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          ,.'´                     `、
        /    _,..-'''" ̄ ̄"'''- .._        `、
       /   ,.'" -‐‐、        `丶、      `、
      ./  /./    ノ        .r''´ ̄ ヽヽ     .`、
       ./   //    ./         |     ヽ`、      `、
     /   /人___,..'´ _,..-―‐、   ヽ     .ヽヽ       `、
    ./ ,ィ |'    _,..''"      \   `、    `、`、     .l
    .|/ | . | ,r―'''´           .\   ヽ __ノ .`、   ..|
        | . |/    .∧          \____     |    |
        |  |     ./ .`、        .lヽ    `ヽ、  l   .|ヽ|
        |  |   ./‐‐-`、 、     /ヽ . | `、      .`、 |  ..|
        |/|   / r‐‐-.、ヽ|ヽ .   l ̄.ヽ| ̄ `、     r'´ヽ . |         ジャギさぁ
         .|,イ /、 .|.lリ   ヽ  `、 .|.r‐‐-、   ヽl、  //{~)|.∧|
         .//|/ `.ヽ   | .   `、.|.|.lリ  ヽ    \/( .ノ//           みんな心配してたんだぜ。
       //    l   ̄         ヽ    |     .//
        |.|    ヽ    ,      ――'  ./ ̄ ./`ヽ
        |.`ヽ、    ヽ                 /./   /\ .\
       ヽ ヽヽ、   |>、 ―-、      /l/    |、 .\ .\
          .`、 .`、 `ヽ..| 、  ヽ __ ,   '´/     .| \  \ .\
         ヽ lヽ...ヽl ヽ  |     ./  ___.ノ   \  \ .\

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|「悪かったよ」
| 
| ジャギの返答には精彩がない。
| そこを突かれると痛いのだ。
| 
| そして、『血族』の捕虜になるということは……大変顔を合わせづらい相手に会わねばならないということ。
| 
| ジャギは大げさに嘆息した。
| 自分の周辺が危険だと思った際、暴力を使ってでも遠ざけた。
| 
| あの怯えた目付きを思い出すと、ジャギのような闇の心の持ち主でも疼く部分ある。
| ヤザンに殺されかけ、麻呂に助けられ地に潜ると決まったとき、
| もう顔を合わせないで済むと胸を撫で下ろしたのを思い出す。
| 
| だが、まあ、もう諦めるしかない。腹をくくろう。
| 
| ジャギの『やらない夫の集会』は終わりだ。
| 予定通り、『血族』の捕虜になる。
| 
| これより、次の作戦を開始する。
|_________________________________________________
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114死夢見 ◆XDD/DkyjV6:2022/04/03(日) 15:09:08 ID:Fu9ltzgIMM


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     _ ∧ ,,-'/                      .|| ヽ
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    <ニニ!   (ニ>                     |`'´   |
      ヽ_─ ,,-´                       |`    .|
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         | |      | .|        | ,|         | |   |
      _|_|       .| | /ニニニニヽ| |.           | |   !
     ///|ヽ\     |  |!二二二 |  |    /.   | |   |
     ||_|__j \\, ー-,、|  |ニニニニニ|  |,,-‐‐//    | |   |
     ヽ'!_| ヽ  /    / |  `'''''''''''´  |ヽ    ヽ    .| |   |       皆ヲ殺シタクハ アリマセン。
     (--) ヽ_|_,,,、、 .|  .|      .|  |    |    | |  |        退イテハ モラエマセンカ。
      \   !j,,-‐jj | _ |_ ,----、_.|__  |    |    | |  |
        ─'´`'-_|<__| | |. ○ .| |_>|_,,,‐´  ∠ ̄'''-、
              \  |`'''''''''´|   /\ヽム--‐(/三|  |
             </i`! | ` ̄ ̄ | |´ヽ>  ||__    >三 | |
            _,,,-- ! ヽニニニニニ/ ||`'''─,,,,,、''''''''' | | ノ |
          =ニ,,,,,,,,,,,,j \`ー-‐´ / !!,,,--‐‐ ''''  |ニニ,,丿
               ヽ,__ `|○|´ ,==、 /       | |
               / ノ  ` ´ !!  \       |/
             /,,,-´ `-┬─‐`'' - _
             ̄  / ̄ヽ\/`─_
              .||    \ `─'_/`ヽ
            ,-  ||_    \    ヽ/|
         < <=|_ ̄ ̄''''''フ,,,___ノ__ |
           ` - ||   ̄'''''''─',,,,,,,,,,!_!__ノ
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|「コーホー」
|「ナラバ仕方ナイ」
| 
| カトルカールと石田班の乱戦は続いていた。
|
| ロビンの合流したカトルカール、九名。
| 対するは石田龍田と合流した佐倉班で五名に『ストーム・トルーパー』が十一名。
| 
| カトルカール側の戦力は、まずはロビン。
| 次いでノミ脚、バレリーナ、戦車男。
| 
| 新顔の戦闘機と、鉄腕、ムカデ四肢。
| やらない夫にやられた透明と、龍田に撃墜された大砲は戦闘不能。
| 
| 龍田を守って五対一で時間を稼いだ石田、本人は戦えるが支援頭脳たる『ストーム・トルーパー』は疲弊気味。
| 墨目を倒すもやらない夫には逃げられた龍田、段々と動きが鈍化しつつある。
| 
| 補助に回るヴァイジャヤ、龍田の代わりに前に出る杏子、そして指揮官は横島。
| 
|「エロい子多くない!?」
|「死ね」「コーホー」「お相手願って見たらぁ?」「言葉通ジテマスヨ」「しゃぶってやるぜ! しゃぶってやるぜ!」
| 
| ほぼ全裸で、四肢がムカデのムカデ女と、腕部に機械武装が集中し、胴体はビキニスタイルの鉄腕。
| 横島が喜ぶのも頷けるが、周囲の反応は冷ややかだ。
|_________________________________________________
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115死夢見 ◆XDD/DkyjV6:2022/04/03(日) 15:09:19 ID:Fu9ltzgIMM


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      _ノ:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:
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     ノ:.:.:.:.:.:.:.:_rァ<イ//: :>ミ:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:
     〉--‐f 〃i≧x: /: ://: : :-‐`'<:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:
      /ィ:::::N: : ..辷リ `: : : : : : : : -='芹カミ、〜ミ___ノ
      }::::ノ: : : : : : : : : : : : : : : : : : . 辷リ. :/イ:::::::::,、{
      〕:Λ: : u: : : : : : : : : i : : : : : : : : : /イ:::::::::/
    /イ Λ: : : : : : : : : : : ; : : : : : : : : : : /く/イ          よくそんな余裕があるな……。
      /:::ヽ: : : : : : : : : : : : : : : : : : : : /::::::ヽ
    -‐ァ'::::::::::::\: : : :_,_-―-、: : : : : : :/:::::::::/
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| 中距離で走り回りながら機関銃を撒き散らす戦車男。
| 戦場を縦横無尽に飛び回り、後衛を狙うノミ脚、バレリーナ、戦闘機。
| 
|「アタシの代わりにコイツら頼む!」
|「え、無理」
| 
| ムカデ女と鉄腕の相手を引き受けるのは杏子、槍の結界で動きを抑えながらなんとか凌ぐ。
| 鉄腕の生身部分は異様な再生力で、何度切っても刺してもすぐに傷が塞がってしまう。
| 
| ムカデ女は飛び回るため当てづらい上に、
| 一見脆弱な四肢は破損した瞬間にその部位をパージしてつけ直すので、こちらも倒すのが難しい。
|
| しかし、タフさでは杏子も負けてはいない。
| 
| 形勢不利な『血族』側、だが彼らには強固な神聖防御と複合念動装甲に守られた石田という不沈艦がいる。
| 彼を倒すのは容易ではない。容易ではないが。
| 
| ロビンは、彼を上回るスペックで設計されていた。
| 論理上は勝てる。
|
| 石田を倒したいならば彼の装甲を一度に破壊する打撃を用意するか、
| 『ストーム・トルーパー』十一名全員が疲弊するまで叩けばいい。
| 
| ロビンは失笑した。
|_________________________________________________
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116死夢見 ◆XDD/DkyjV6:2022/04/03(日) 15:09:31 ID:Fu9ltzgIMM



            ,....-r::r‐:::-...
           〃.:::::l:::|:::::::::::::::ヽ    コーホー
              ii::::::::::l:::L.:::::::::.、:::.
              jj, -‐'::ー', =ミ::.\',
              /〃⌒i}::::{、_:::)::}:::.\
            ;:::i{ゝイ::Y^Y::::::::/.::::::::::.ヽ
           ;::::::.〈:::://l l l\/.:::::::::::::::::.ヽ   ___
           ::::::::::∨=-‐==7ヽ::::::::::::::::::::〉  {::::::::.\
          i|:::::::::::.\/////.:::::::>==ミ:/   \:::::::::.\
           乂::::::::::::::.∨///.:// ̄/⌒>‐- >...:: ̄::`丶、
           `¨¨フ777.:://.::,=ミ/.:::::/.::::::::::::i{::::::::::::::::::_:::}
            _ . イ:::::/:/:/.:://.::::{::::::.\/.::::::::::::::::/ヽ.二ニ≠::::::/
        /  //.:::/:/:/.:://.:::::/\::::::.`ァァ‐-<::::i{:::::::::::::`:::く
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| そのために用意したレールガンは、念動装甲を貫通しきれなかった。
| 疲弊を待つ? どれだけ戦うつもりだ? やらない夫を追わねばならぬこの状況で。
| 
|「デハ遠慮ナク」
| 
| 内線でカトルカールに作戦を伝達した。ロビンは石田を越えられる。彼らとなら。
|
| 六本の脚のうち四本で身体を支え、前の二本を回転ノコギリに変える。
| 尻尾から火炎放射、だんびらと鉄球も振り回し苛烈な攻撃。
| 
|「あ、テメ!」
|
| ムカデ女が四肢を振り回しコマのように回転、杏子の結界を破壊。
| そこに鉄腕が肉薄、爆雷付きの手甲でワン・ツー。杏子はバク転回避。
| 
| 回転を続けながら後衛を目指すムカデ女、空中で火花を飛ばして跳ねる、石田のフォロー。
| これまで弧を描きながらの援護射撃だった戦車男の機関銃、突撃に変更、苛烈。石田がフォロー。
| 
| 空中から戦闘機の強襲。龍田が奮起、エンジンを吹かして迎撃。対空アッパーを異様な軌道で避ける戦闘機。
| 石田のフォロー、足場を作って龍田も軌道変更。裏拳が直撃。
| 
| 獲物に飛び掛かる肉食獣のように、ノミ脚とバレリーナが後衛に突撃。
| ノミ脚が横島の腕をえぐり、バレリーナがヴァイジャヤの喉首を食い千切……石田のフォロー!
|_________________________________________________
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117死夢見 ◆XDD/DkyjV6:2022/04/03(日) 15:09:42 ID:Fu9ltzgIMM


          _  _
      , ィ≦三三三ニニヽ、
    ィ三三三三三三三三三 、
   /三三三三三三三三三三三\
  /三三三三三三三三三三三|三≧
 ィ三三三三三ニニ三三三三三|三三ヘ
 |l三三ニ>三三ニ''\ニ>ミニ三l三三ハ
 ハ、/ニ=、l´ \|  ヽ  |  Yソ三三ソ          ダメ!
/三|、Yヘ  ヽ    l   _l_メ_ノ/x≦彡           石田クン!!
i三三\ \>― ´ ̄   ィ/i、/ヽ三イ
ヽ、三 /、`≦z _    ,z≦ミ l/ |三ヘ、
  `   ヽl i> ≧≦<  ilリ  ヽ三三ヽ
       ,|、: : i: : : : i: : ': :/: \   〉三/
     , ヘ: : `:ー:=:ニ:彡く: : :/  ヽ、l三ニゝ -‐=ニ
    / 、: : : : : : : : ゝ-〈: : :l    /l   _, -
    / /: : : : : : /´  ノ: : l   l /<´ 、 z

|lニニニニ三三三三三三三三三三三三三三三三三三三三三三三三三三三三三三三三三三三三三三三三三三ニニニニ
|三三三三三三三三三三三/ /_. / / ̄ / ,ィ |  7 /ン ) / /_. / / ̄ 7 /ン ). // 〉 〉  // // / /三三三三三三三三三
| ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
| 龍田の警告、だがもう遅い。
| ロビンの鉄球が直撃し、石田の黒い全身鎧にヒビが入る。
| 
| よろける石田、それでも火炎放射を念動で防ぎ、だんびらを受け流す。
| 挟み込むような回転ノコギリ、念動の足場を蹴って下がる石田。
| 
| 周囲から『ストーム・トルーパー』の狙撃。被弾するも、今のロビンにを止めるには足りない。
| 
|「ナルホド」
|「カリカリガリガリ! カリカリガリガリ!」
|「しゃぶってやるぜ! しゃぶってやるぜ!」
| 
| ノミ脚のバレリーナの遊撃コンビが散開。
| 『ストーム・トルーパー』を狙う、それが石田の生命線。
| 
|「させるかよッ!」
|「ヤリマス」
| 
| 追いかけようとする杏子に火炎放射。
| だが、槍の結界が炎を近寄らせない。さすがだ、ロビンは感服した。
| 
| しかし杏子が離れては鉄腕がフリーになる。
| ムカデ女と二人がかりで石田を抑える。
| 
| 戦闘機を撃墜した龍田が浮く。そこには戦車男。
| 車輪で芝生を飛び散らせながら、チェーンソーと合体した機関銃が咆哮する。
| 
|「喉が喉が喉が! 乾く乾く乾く!」
|_________________________________________________
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118死夢見 ◆XDD/DkyjV6:2022/04/03(日) 15:09:57 ID:Fu9ltzgIMM


                  ./    /        ,. <,:r'´::ー{/////ヽ、::::::::::::ヽ     ヽ
                 /   /       ,...r/::::::::::ヽ::::::::::::::\//////ゝ、:::::::}      |
                ./   /       /::::::::.:l、:l::::::ハ::l>::、::::::::ヽイ::::::::::'::::::::/     /
               /   /       _;:::::::::lハl i:::://-,ヽ:l:::::l::::l:::::::::::::::::::/      /
               /   ./      /::::l:::::/l  /ノィi,lリ  l:|、:::l:::l::l:::::::::::::/      /
               /   /      l::::::l:i、{_    `´   リ l::iィ::/:::::::::::,ヘ     /      ロビンンッ!
              ./   /       |::::::lVr,ィ         ,レ  r=ヽ::へ、`ー--/
             /   /         li:::::|;i `゛'  , - 二>、     ム ノ/   `ー-/:、
            ./   /          ヽ:::lゝ  < ,. - '´     r―/      /:::::ヽ
            /   /            ヾヽ   `       ,r -'/l      /:::::::::ヽ
          ./   /                \       /:.::/ィ |  |    {::::::::::::::ヽ
          /   /                  ` ー ‐へii:.:.:.//:.:i 、 |    l|::::::::::::.:.ヽ
         /   /                    ____,xヾ:./:.:.:.:.:.:ヽヽ     l|:}::::::::::::::::ヽ
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      r' <   /                  /   ,/:.:.:,ィiil/:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:::\ ̄/:::::|:::::::::::::::::
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    ,へ`     ///////'.ヽ、      ,. '`ヽヽ   /:.:.:.:.:.:.:.:.:..::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::l:::::::::::::::
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    /   /  ヽ/////////    \     ,r'´   !::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::/::::::::::::::::
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| 脚部を車輪に変え、高速で杏子を追い抜くロビン。
| 怒りに燃える杏子に尻尾を向ける。
| 
|「効かねェってェ!」
|「いけない、佐倉杏子!!」
| 
| 杏子の首辺りにしがみついていたキュウべぇが、警告しながら飛び降りる。
| いい判断、尻尾から延びた八本の電撃ワイヤーが油で滑りながら絡みつく。
| 
|「ほげぇえええ!!!?」
| 
| 常人なら三回は死ねる高圧電流、口からけむり、白目を剥く杏子。だが食いしばって耐える。
| 
|「ふにゃあぁぁぁああッッッ!!!?」
| 
| 二連続は流石の杏子も無理だった。
| へたり込んで失神。
| 
|「飛び降りてよかった……分解されるところだったよ」
|「伊集院様、説得ヲ頼メマスカ」
|「…………石田ゴレムスも限界だ。仕方ないね」
| 
| 石田と杏子を越えた。ロビンはその勝利に少しも心が浮き立たないのを感じた。
| やらない夫を追う、彼を殺す。そのために邪魔をする石田龍田との交戦であったが、もはや時間を使いすぎた。
| 
| カトルカールの負傷者も少なくない。
| そして、レイからの連絡も途絶えていた。
| 
| …………潮時だ。
| ロビンは判断した。足止めを成功された。試合に勝って勝負に負けた気分であった。
|_________________________________________________
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119死夢見 ◆XDD/DkyjV6:2022/04/03(日) 15:10:09 ID:Fu9ltzgIMM



         /! i`ヾ:、i、_______ `Vレ;
       ト、i.{;;! ゞyイ´ i 、ト、 ヽ.ヾ}!くノ
       >;;ヾ,/ゞj  ト、`ヾ:、、 }! 从、丶 、   ,
     ,ィ´≦;;r'- ‐―━┷,ゞ`;;;;;;}j;| ゙ ヽヾ‐ヽ }! 〃  ,
    〃´/イ;;ノ、  \、 ,〃ィ;;;ハ;ハミ、-._ヽト.、V!/,'  ,.;"
       〃'  \、__ /′イ从!リ ヾト、  ヾミ;;ソレ'ニ='"
       ,ゝ'´ ̄/ ¨T ≠リ___サ、、リ \  ,ゞ;;;;;;;≧=-、
        /   /    ! 〃   i─ミ、、_ ヽ〃'};;トミヾ:ヽ
        /   /    ! i   {. トミゞ_(Y、_j! {;ハヾ. \         貴様、に……
.       /   .,′   ! /   |: {二≧/了ノ l }! ヾ,       一つ……聞きたい
     ,′   ,′    !'    |:. ∨  ,ィニ〉 ノ .リ  }        こと、が……ある……。
    ,′   ,′    j'     ト‐-、! / _゙_\
    ,′   /     /     |/<f`ー=ァ″
    ´ ̄ ̄ソ-―― 〈‐、__.-=、!\ \::;゙″
   ノ⌒ー/`ー- .__ }´ ヽ--≧、ヽ \/  _____
r<:::::::::\、`、._  ヾ ト-.__;ノ |`ヽ>-イf´  /   ` ヽ,
:、:::::::::::::::::.ヾ:、  ̄ ヾ、!   /! .!  i`ー-t_  {   /  `ヽ、_______
:;::ト、::::::::::::.:. \:.、_  ミ、ー /イ  :l _⊥=―ヽ‐┼''" /   / ̄ /   / `>ァ-=.__.イ¨7━―
j:::l:::ヽ:::::::::.:.:. ヾ:、\ ̄ヽノ !ノ´ ̄! ヽ,.-‐━ト、 /.   /   /   /  //  ∧´"   /

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|「備府やらない夫子。身長182センチ体重92kg。
| スリーサイズを鉄平石さんに聞いて参考にしない程度の慎みが作者にもあったようだろ」
| 
| 鬘を脱ぎ捨て、やらない夫は身構えた。
| ジャンヌ・ダルクと北斗ケンシロウ。同時に相手をするのは不可能。
| 
| だが、ケンシロウはある意味理想的な相手。やらない夫を殺してくれるならば経絡秘孔を突き、爆発四散させるだろう。
| 
| ジャンヌは? この『異端審問官』はやらない夫を刃の露にしたいのだ。
| そしてもし捕縛されたら、必要以上の拷問が待ち受けているだろう。想像もしたくないが。
| 
|「俺も一つ聞きたいことがあるが……『聖処女』から先に聞くといい」
|「心遣い……感謝、を……備府、やらない、夫。貴様……どこへ行く?」
| 
| その問に驚いたのはやらない夫だけではない。ケンシロウも困惑の視線を向ける。
| どこへ? 『クォ・ヴァディス』だって?
| 
| 他でもない『異端審問官』がそれを聞くのか。その真意は想像できない。
| やらない夫はわずかに考え込んだ。
| 
|「…………無踏の荒野を行きたかった」
| 
| それはやらない夫の、いつからか分からないほど古い願い。
| 前人未到、誰の足跡もない場所へ。
| 
| だが今はどうだ? 予定調和みたいにレールの上を歩いている。
| とこへ行く? どこへ行くんだっけ? 断頭台か? ゴルゴタの丘か?
| 
|「それで……ここ、か…………ぐぐ、皮肉、だな」
|_________________________________________________
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120死夢見 ◆XDD/DkyjV6:2022/04/03(日) 15:10:22 ID:Fu9ltzgIMM




               / ̄ ̄\
              _ノ  ヽ、  \
            ( ●)( ●)   |             違いない。
            (__人__)      | ../}
      _       ヽ`⌒ ´     | / /    __      ここがオレの道の果て。末路。
   (^ヽ{ ヽ      {        ./ /  . / .ノ     まだ途中なんだって思いたかったが。
 ( ̄ ヽ ヽ i      ヽ      / 厶- ´ /
.(二 ヽ i i |,r‐i    ノ.   ヽ /     /
  ヽ   /  ノ  /    r一'´ ー 、   ̄ ̄ ̄)
   i   {   イ―イ /   .`ー―. 、__ .〈 ̄ ̄
   ヽ. `ー '/   /           /\ \
      `ー '  ̄ ̄!           |  ヽノ

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|「ぐ……私が、ここに……遣わされ、たのは、神の……意志で、あった……のか」
|
| ジャンヌは感慨深そうに、包帯の巻かれた枯れ枝みたいな両手を合わせて天に祈る。
|
|「……………今、確信、した」
|
| やらない夫に向けられる視線は熱っぽく、粘性の湿度を伴っていた。
| 男女の機微に疎いケンシロウですらうろたえるほどの濃密な秋波。
|
|「おお……貴様は、どこ、へも……辿り着けない。
| ぐぐ……先人の……道、を……否定、して……も、結局……誰か、の……足跡を、追う……だけ」
|
| いや、違う。秋の空のように澄み切った視線。
| そこにあるのは確信と哀切。
|
|「それ、が……貴様、の……限界で……そして……ぐぐ……何より、も、ここでは……ない、
| どこか……を、目指す、ような……輩……が。ぐぐ……前も、後ろも…ろ見えて、いない、ような……輩、が。
| 人々……を、導ける……はずも……ない」
|
| 押し殺した声で、血を吐くように苦しげに、しかしそれでもジャンヌはやらない夫への言葉を続ける。
| やらない夫とは拝聴する。それが礼儀であり、ジャンヌとの完全なる決別の儀式だから。
|
|「よもや……と……思った、が、ぐぐ……私の……信仰、の、ゆらぎが……見せた、幻で……あった……」
|
| やらない夫は、ジャンヌと分かり合えると思ったこともあった。
| 揺るぎない意志でやらない夫を付け狙う彼女の決意に、逆に助けられたとも思ったことがある。
|
|「偽救世主……貴様、は……偽救世主、だ。
| ぐぐ……ぐぐぐ……末世に、おいて……人々を、誑かし、堕落……させる、邪悪なる……存在」
|
| それももう、終わりだ。
|_________________________________________________
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121死夢見 ◆XDD/DkyjV6:2022/04/03(日) 15:10:35 ID:Fu9ltzgIMM


   .ィ       /,//ーz
  // __, _//"´   ̄ ̄ ̄(_,.ィ____
/r'^/厂´ '⌒(`′  _/ ̄ ̄`´ ̄``ヽ__`ーz___
⊂'__r'^′ __/´ _,/_二ニ=-  _,、-=、ニ='-'´ ̄`⌒
 ( __ _ノ ̄ 厂(_´  / i、j|_,イ_ ̄  \
} //} 厂,丿 r‐え,ゝ<´ヾ丱尨> .  ∟ノi
! 「/,{ {//l ノ {_イ二∠'ニ=-く/ ヽ,イ j} |
刈/ハ__j//!_|/ ,.-、r (⌒/ ,イ/   V!尨イ_ 7
'//////////ノ ,ィヽ(´/ |!/イ__, /ヽ}洲爻、∟ __
'//////////イヽ!′>>Ⅵ'∠//  }イlトヽ   /       ……そして、ぐぐ……貴様、の……最も、
/////////,| / ! \イィイ!ハ トヽ、 /リイ \   !       唾棄……すべき、点は、
\///////j∨ ノ ,! l:{t<|!厶l!,ィァテ:! ! i   r'⌒
ゝ>'////〈 У, |∧ ̄´!Ⅴ } ̄/' /' |、  \        ぐぐ……己が、邪悪、な……存在で、
//////// ∨   |r〜/´l|`\く. /  ,′>´ ̄        ある……と、いう……自覚。
//////// ∧\ ト、゙〈 ー___一7У / /_
//////// /ヽ!`ヽト\二二二イ ,、!<ヘ ヽ          ぐぐ……自覚、が……
\///>‘ |、Y \、!\`ー‐‐イノイ  / Y! \        ない、ところ……だ。
′ ̄     |ミ!  } `ヽ_ヽ―ノ‐' // /' /  /i丶
ヽ======彳V=‐く  、}_`ヽ{//ヽ-/  /.:  /.:lj :. \
\__________lノV、  ヽ  ヽ´`イ‐' ,' __/.:.:.: /.:.:l|:.:.:.:. \
 i  ̄ ̄ ̄l ハヾ.、 '.   iT ノ  / /.:.:.:.:/.:.:.:l!:.:.:.:.:. /.: }
ヽl、    ,!/ } | i '.  Ⅴ'  / /.:.:.:.:/.:.:.:.:l!:.:.:.:.:./.:.: |
、_ヽ ̄ ̄ 〃 ,ノ j,.|  '.   /  / /.:.:.:.:/.:.:.:.:.:l:.:.:.:. ,'.:.:/ |
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    弋く\ \,. -―――+‐゙/.:.:.:.:/.:.:.:.:.:.:.:/:/.:.:./.:.;′     /.:
     { ヽ_/ヽ   ___j/.:.:.:.:/.:.:.:.:.:.:.:/.:.:.:.:.:./.:.:.:}     j:.:.
     Y´ \,. '´ ̄  /.:.:.:.:./.:.:.:.:.:.:.:/.:.:.:.:.:.//.:{      ,1:.:.
      ト,.ィ´ ̄ヽ __/.:.:.:.:./.:.:.:.:.:.:.:.:./.:.:.:.:.:./.:.:.:.:/\  _ノ.:|:.:.
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| ジャンヌの指摘、やらない夫は不思議そうに瞬きした。
| 己が。暴力に頼る非社会的存在だとは自覚していた。邪悪。そのことではないのか?
|
|「子供、を、さらう……ハーメルン、の……笛、吹き男、の……方が、まだ……かわいい、もの。
| ……己の、邪悪を……知り、人々……の……悲しみ、を……知った、上、で……子供を、根こそぎに……した」
|
| やらない夫は慄然とした。その事はやらない夫自身も自覚しているつもりだった。
| そして、常に恐れてきた。恐れてきたのだけれど。
|
|「貴様は、ただ……自覚なく……進む、だけ、その……果てに、ある……のが、
| 崖で……あると、奈落……へ、真っ逆さま……だ、と……気づき、も……せずに」
|
| やらない夫の言葉で集まった人々の命だ。
| 危険を承知で集めた、彼らの生命の責任を、やらない夫は問われている。
|
|「故に…………私は、貴様、を……ぐぐ……止め、ねば……ならぬ。……貴様、を、消さね……ば……ぐぐ……ならぬ」
| 
| 両目に燃える灯火、火薬に引火寸前の導火線のように、危険な火花。
| やらない夫には返す言葉もない。きっとやらない夫は自覚不足なのだ。
| 
| 綱渡りしなかがら踊る無自覚なピエロ。それが、やらない夫だ。
| やらない夫はしばし打ちのめされ、だけれどその間にジャンヌが打って出てこないことを訝しんだ。
|
| いつもなら問答無用なのに。
| 
|「……北斗」
|「ああ、すまんな」
| 
| ジャンヌに促され、ケンシロウが前に出る。
| その間に、喉を枯らした『聖処女』はゴホゴホと咳き込みうずくまる。
|_________________________________________________
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122死夢見 ◆XDD/DkyjV6:2022/04/03(日) 15:10:48 ID:Fu9ltzgIMM



                        ,r、、、) ̄ヽr"(ー 、、、
                     ,ノヽY"("r"iiit;;;t、 从ヽ`)'"ヽ
                 、 ,r("' "、、、 "''"t;;;ヽ匁、、ー、、))〉;;;;;;;;三彡"
                _ソ"从 了ミミi ,,`ヽ、;;;;ヽ、、、、ーヽ;;、''''-、ノt,,,,,
               it(  (;;ノ (;;;;|、t シヽ;;;;ヽ、、)、 ヽ;;;;;;;jjj'|ii、"""ノ
              、,,t,`レ 从ii|ヽ、ー''"iii、ヽ;;;;;リ|;;;;从i 、、、从、、t;;;;ヽ'ー、ヽ 
              メ''""/;;;;;从,,、、 、 i;i||j;;;;r"t;;;( ソ、t;;;;ヽ |;;;;;tヽミ 、), 
             、ゝイ |;;;;ij|从;;;;ヽ|;;i |、",,,,iiii、,,,,、i、ソi t;;;;|ヽ;;;;;ヽ、 ヽ''''"
             t、,女 t(ツ||i;;;;;;;;;;;;;;;i;;;;";;;;;;;;;;;;;;;;;;;|ツ;;;i、、、i;、~'-、;;;;;、)) 
             、、ノ(iツM;;;;|;;;;;;;;;;;;ii;;;;|i;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;、;;;;;;;|;;;i |;;;t'ヽ三彡
              // り";;;;;;;;;;;;;iヽ;;;;;;;;tiii;;;;;;;;i|;||;;;;ii;;;;itソ;;;;リ;;;;"ヽ;;;;;ir'" 
              ヽツキ;;;;;;;;;;;;;;;;;;ミ人、、、ミ;;;;;;;;tヽ、;;ヽ二リ;-、t;;;;;;;レ;;;;|''"
              ー7;;i|、;;;;;;r、ミr'";;;;;;;;;;;;;;;~~' リヽ|i";;;;;;;;;;;;;;;シi;;;;;;、i|)
               リ;;;;||t;;;;〈 ミ 彡=モ丐ァ、r;;; "リ、zモチテzー' リ;;;;ii|j
              (;;|;;;ヽ、;;;;i    `~ '''' ":::  |~::''- ̄ー  リ; イ           蒼星石はどこだ?
                フ;;;;;ヽ;;;i,     ""    |      ,'r';;;i
  ,r''ヽ           `(;;;;;;;;i~t       ,,,,, j ,,     /"彡|、
.  ii  i             t;|;;;;;i ::t      ヽ:::`"     / {{ヽt ヽ            ,,, 、 --ー '
.  i  リ             't;;;;i :ヽ     ,,、-_~-,,   /::  j ノ ;;リ''ヽ、    ,, 、- '' "~:::::::::::::::::::::
  i  '"|  r'~ヽ,         ヽ、i  ::ヽ    "''ニニ"   ,'::  y"  "ノノ フンゝ'":::::::::::::::::::::::::"""""
 リ   i ,,/   i''''"" ̄ ̄ ̄>'''"~t |i ::ヽ,  ''~~~""" /:::::、-'"  ,r"/zr'":::::::::::::::::"""" "
_,/ :::::"i" / '-、ノ,,,,,,、ニ、 ,、-'";;;r''"::::入 ii;;::::::::ヽ,      /::: '" , ,r、" /"/""t    ー⌒)     ""''
,/ " レ"- '"ii´    ,リ,,""r" ::::::::/:::t ヽ::::::::::~''ーー ''''", '" / r"///    ・ . ⌒
" ,、-'i"    ,、-ー '''ヽ"/r" :::::;;/  t  ヽ::::;;;;;:::::;;;;,r'" ,, ,、-'"" "/          ~
''"  ヽ ,、ー''"ii  ,,,、ノ";;r"::: :::;;;iii|   リ,r'" ヽ   y'" '"//'/"_; '   " ~'ーー   r"~
 ::,、-'"  ,、- '";;;;/;;;r" :::::;;;;iiiii、;;;; 、、,,,,,,,, ヽ,r'" //:::::::/ ',ノ/            )   ー )ヽ,、-'
 "  ,、-' /、;;;;;/';;;;r" ::::::/i"  ~''''''""""",r" 三//::::::, "' /;;/  r''''''''''''''''''''''-、  ( ∴ー''" ,、-'"
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|「…………そりゃ、アンタの方が詳しいんじゃわないのか?」
| 
| やらない夫の答えはケンには不服なものだったらしい。
| しかし、他に答えようがなかった。
| 
|「備府やらない夫、申し訳が無いが、俺はお前を殺す。
| 戦火と混乱は広がるばかり。蒼星石もジャギ兄さんも失われた。
| 
| お前が取るべき責任は少なかろう。お前は被害者でありながら火消しのために奔走していた。そのように思える」
| 
| ケンシロウはしばし目を伏せた。
| 
|「だが」
| 
| 両目に憤怒が宿る。
| 
|「俺の失態はやらない夫、お前を殺し損なったことだ。
| あの時、あの場でお前を仕留めておけば、この戦火は、この混乱は……」
| 
| 拡大していただろう。やらない夫もケンシロウもそうは思わぬが、明らかに状況は悪化していたことだろう。
| やらない夫の首ごときでは『異端審問官』も『十字軍』も止まらない。シロッコは言わずもがな。
| 
| 『モーリアンビル襲撃』に謎のヒロインXは参加しただろうか?
| 彼女なしでの水銀燈による被害は想像を超えるだろう。
| 
| そもそもシロッコがやらない夫に執着していなければ、とっくに日本は内戦状態のはずだ。
|_________________________________________________
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123死夢見 ◆XDD/DkyjV6:2022/04/03(日) 15:11:02 ID:Fu9ltzgIMM



                      ,,,;;;;;;;;彡彡;;之 ヽ
        ,,,,,,,,,,,,,;;;;;ll;;;;;;;;;;;;;;| l;;;;;;;リ)リ;;;;;;|l;;;;(ミ彡/、 Z
l|ヽ= 从;;l |l|;;ll;;;;;l|;;;;;l;;;イl;;;;;;;;;;;;;| l|;;;;;;-〈、|;;;;;;;;;;;;;;,,三∠ノ フ  
ヽミ三从;;从|;(;;;;|l;;;;l|;;;((;;;;;(ヽ乂;;;;;;/ノ人、从;;;;;;;;ヽ ∠ |  
ミ二ミミ从 ; ;;;;;;゙;;;;゙;;;;;L{{ミ|Y;;";;;;;rテ'';''i゙''ミ゙   イ;;;;{ミヽ∠ノ     お前は!
゙ヽ乏゙゙从゙ ;;ヽ、、_;;;;;;;;;;;;;{≧Y;ノノ=-゙'''"´彡   ';;;;;;ヾ,,', ヽ      俺の甘さ、俺の弱さの象徴だッ!
 <彡l|;;;;;;;l、;}:/;r't;;;)>| 彡 ̄""´         |;;;;;;〈 |.| }   
  ノノイ;;;;;;之"゙"''"´  |、  _,,、:::::        |;;;;;ノノリ;∠     生かしちゃおけねえ!!
   イ彡l|;;;;ヽ ゙::::::::   j _,、 -)゙ヽ::...       |;;/- /;;/ミヽ 
   l|//l|;;;l~、'、 ::::   ゙''::ヽ,/          |(,,ノ;;;ヽ〉ミ/
    リノイ;ヽヽ'、     `゙'、l__,,、、、,,_,,     / l||;;;;;;;;|∠_
    "´ノ|;;;;`'-;',     (t -'''ヘヘ)}}    リ  リ;;;;;;;/从ミ | / ̄\/\/ ̄\
      |/l|;;;;;;;;ヽ    レ- '''""´     /:::" {;;;从;;;;;;;;)"
      l|l||;;l|;;;;;;;;'、   ,,、;;''";; ̄::   ,/:::::"  ヽl|リ;;;r''、リ
       ヽl |;;;;;;;;;\    "  `゙   /::::::"    レ',、-ー゙''""゙''ー、    ,,、- ''
        //|;;;;;;;', \  〈     / :::::::   ,、 '´        ゙'> ''"
          (从l|;;', ヽ, ヽ:::ノ/   :::::: ,、 '´        ,、 '´
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| ケンシロウの全身に力が漲る。
| 膨れ上がる鋼の肉体、内側から破裂するように跳ね回るボタン、千切れ飛ぶ上着。
| 
| やらない夫は覚悟を決めた。ここだ。ここが死に時だ。
| 全力で抵抗し、全力で死ぬ。
| 
| ケンシロウとジャンヌならば、誰もがやらない夫の死を信じるだろう。
| 一般人やマスコミへも、うまくやってくれることだろう。
| 
| ジャンヌと『異端審問官』をニャンコ先生にまかせて、やらない夫はケンシロウに向かおう。
| そして彼の北斗神拳の餌食となり、バラバラになって死ぬのだ。
| 
| 
| ……やらない夫のその計画には一つ、どうしようもない誤りがあった。
| そもそもやらない夫は、最初から死ぬつもりだった。死体を回収されないような、例えば爆殺されるつもりだった。
| 
| 当初のプランでは、一般人を含め目立つ場所で爆殺され、その死を多くの人間に確認させる予定であった。
| やらない夫は死ぬ。紛れもなく完全に、本当に死ぬ。
| 
| その上で、球磨川禊のペルソナで無かったことに。 
| 限定的ではあるが死すら凌駕する彼の能力で、復活を遂げるのだ。
| 
| 
| その球磨川禊は、アリー・アル・サーシェスに殺された。
| やらない夫の計画はすでに根底から崩れていた、覆されていた。
| 
| やらない夫は死なねばならぬ。
| そして、蘇る? 馬鹿な。
| 
| 『聖処女』ジャンヌが断じたように、偽りの救世主たるやらない夫には、復活の奇跡など身に余る。
|_________________________________________________
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124死夢見 ◆XDD/DkyjV6:2022/04/03(日) 15:11:26 ID:Fu9ltzgIMM

☆ 次回予告!

 戦いは終わる。
 悪夢の穴蔵で始まった、狂乱の宴も遂にたけなわ。
 
 積み重なった屍の山。
 可憐な白い花は血の河に沈む。

 救いはない。
 勝者もいない。

 夢宮アリカが、それを許すか?

 溢れるパワー爆発。
 愛と勇気の物理で殴る。

 はだかる敵は返り討ち。
 ちょっぴりえっちな普通の女の子。

 女子高生は、無敵なんだよ。


 次回、最終幕八十八話。『勝利の算段』
果てに見るのは破滅か死か。

125令和もどこかの名無しさん:2022/04/03(日) 16:54:43 ID:w6HPFKgs00
そういや、こちらのメガテン世界ではタツジンの死体はどこまで再利用できたのだろう
具体的には再生蟲とか使って魂の抜けた肉体の有効活用……真っ先に婆さんに殺されるから無理か



126 ◆BLUEpl1Jp.:2022/04/03(日) 17:23:48 ID:gh.sRJ..MM

宗派が違うんだ、許せ

127令和もどこかの名無しさん:2022/04/03(日) 17:39:53 ID:hvLoq4Fc00
乙です

128令和もどこかの名無しさん:2022/04/04(月) 00:55:53 ID:VWPnDiqwSa
ぬうん、乙

129 ◆Emjcf.lfLU:2022/04/04(月) 07:19:54 ID:wIncFshk00

公園側というかやらない夫は糸口が見えないなあ

130令和もどこかの名無しさん:2022/04/05(火) 00:57:12 ID:6lDu.s7g00

やらない夫は球磨川の死に気づかない限り、逃げようとしないだろうからなあ

131死夢見 ◆XDD/DkyjV6:2022/04/10(日) 09:44:33 ID:2H//263IMM

                           _,rニア´‐'⌒¨⌒¨´
                        __,rァ´‐'´
                      ,ィ_ノ´
                    ,ィ-'´
                  __∠ニヽ二ヽ--、_
             __,__'´.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:}\`へ._`ヽ.__
           ,ィ'´ ̄/ ̄`ヽ.:.:.://_:.:.:.:.:.:.:|:ヽ  `ヽ._ヽ.__
:\         〃  /.:.:.:.:.:.:.:.:<⌒ヽ`ヽヽ.:l:.|:|      `ヽヽ__
:.:.:.:\         l:.:.:.l:.:.:l:.:.:.:.:.:.\:.:.:ヽ:.:.ヘ:.l:.:!       `ヽヽ._
:.:.:.:.:.:.:\         |:_,ハ.:.ヽ.:.:.:ヽ.:.:.ト、:.:.:.:.:.:|:.:.j         `ヽヽ
:.:.:.:.:.:.:.:.:.:\       lイ  \:ヽヽ:.ト、| ヽl:.:.:.!:/ヽ          `
:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:丶、    f〈 ,.≧、ヾト、N_,.≦、|!ヘ:.|'=≠ニ_¬、
:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:. ̄`ヽY:{〈弋シ`  ´ 弋シ 〉 ||∠__  `ヾ
:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.lヾ==-   '      /リ`ヘヾi
‐-、__:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.|  `ヽヽ、 --   /l    ! l!|        『ララァ・スンは私の母に
   ``ヽ.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.j   | l! ト、 __ ィ´jノ |   | l!|        なってくれるかもしれなかった女性だ』
      丶、___/     | l! |l== ̄rヘイ-―┘_j
         `丶、_,     | l! |,ゝ  _ヽノ'´ ̄ ̄::ヽ
               |`ヽ l  ノ  _,. '´::r、:rヘヾ〉:::::::::::::',        って、ばっちゃが言ってた!!
            ト、__j/`¨´::::::::::::::V::ヽ_〉::::::::::::::::::l
              |:::::::l::::::::::::::::::::::::::::::::::::l:::::::::::::::::::ハ__
               l:::::::',:::::::::::::::::::::::::::::::::j::::::::::::::/:.:ヽ:`ヽ、
       f ̄ ̄``丶!:::::::ヽ::::::::::::::::::::::::/ニ=ニ´、:.:.:.:.:.:ヽ:.:l l==、
         ヽ     ヽ::::::::`ーr---‐_´/  // j {:ヽ.:.:.:.:.:.://r‐一'

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|「アイエエ! 狂人!!」
|「ごめんなさい、正気のつもりなんだけど!」
|「正気の発言なら逆に怖いじゃろ! なぜいきなりそれを言う!?」
| 
| 間桐屋敷地下、間桐臓硯のはらわたにして結界たる暗黒空間での戦いは、新たな局面に至っていた。
| 
| 絶対的なはずの結界は打ち払われ、国宝級の琥珀『エレシュキガル』を使った
| 対『万魔』結界が地下空間を可憐で素朴な花畑に変えていた。
|
| 臓硯の本体であり魔力貯蔵庫である蟲プールは国宝級ブラックダイヤ『イシュタル』によって火の海。
| 
| しかし、焼き滅ぼされたかのように見えた臓硯本体はでっていうから教わった『絶対防御結界』で耐えていた。
| 隙を突いて凜を狙撃、重傷を負わせ『イシュタル』を砕く。
| 
| だが、とどめの直前に『弓兵』の攻撃を受け、さらに乱入してきたアリカに襲われているのが現状だ。
| 
| その『弓兵』は完全に理性を失い『万魔』殺しの怪物と化した間桐雁夜と相対していた。
| 彼の後ろには瀕死の二人。
|
| 雁夜に侵食され、全身に茸を生やすも、自己破壊ブログラムを発動して相打ちを図ったターニャと。
| そのターニャに命を与えるべく、胸に短剣を突き立てた慎二だ。
|_________________________________________________
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132死夢見 ◆XDD/DkyjV6:2022/04/10(日) 09:44:47 ID:2H//263IMM



  ヽ  /ヽ       /: : : : : : : : : : : : : : ̄` : :、
   〉 八  }     /: : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : ヽ
  / / ヘ ノ   /: : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : \
  ィ ヽ /   /: : : : :/: : : : : : : : : : : : : : : : : : ト: : : : : :ヽ
   \/   , : : : : : : /: : : : : : : : : :/ : : : : : : : : : j: : : : : : : :.
    /    /: : : : : : /: : /: : : : : :/ : : : : : : : : : / ̄ ̄ ̄ ̄入
 _ ノ   /: : : : : : /: : /: : : : : : :/ : /: : : : : : : /____/ 介
      /i: : : : : : /: : /: : : :| : :イ : :/ : : : : : / \  ヽ / ハ
      /: !: : : |: :/: : /: : : : i: / !: :/: : : : :/  `ヽ \   V
      /: 川: : :|: j: :/八: : : :i/ /: //: : /´ ̄   \ \  |
      . : : :八: : {ハ从  ヽ从{ > ´ ノ  7 ̄`ヾ    }:\!
    /: : : : j: : :i|       /        / r  人   j: : :|
    / : : : : |: : : }    /     /    ヽ、  / }ト  /: : : |       センパイ……ネエサン……。
  . :__:_:j: : : :i //   . ―、      ¨゙ `⌒ ィ、⌒j: |       レナ…………サン…………?
       |: : : :V /   ,イ    ヽ         _ソ   イ: :!
       |: : : : ∨   {ィ      ハ      /   /: !: :レ´
       |: : : : : ト    マ、__ノノ     ..ェ┬彡≧ュ:|: : : : : :
       |: : : : : i \  ゚ ー― ´    / / jニニニニュ: : : :
 \     : : : : : :ハ   ヽ     _。 ≦    /ニニニニニニ
   \  / |: : : : :i   ミ ≧=ニ二   / /ニニニニニニ/
    \{  !: : : : ト ヽ          //ニニニニニニ人
      } |: : : : :! \ ミー  =彡 /ニニニニニニニ’ \
      i !: : : : ト   `ー――― } ̄ ̄ ̄ ̄ ミ 、イ
 `ヽ、   i |: : : : j \     イニニ             〉 {
  |:ト、≧、i|: : : :/       彡ニニ}          /  \
  |:}  ー i!: : :/__         \      /     \
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  ノ: 八    |: {              >――= 、 ミ 、ヽ
 : : / `ミー}: :!______>ー ´       ヽ     \
 : /ヽ    j:イヽ____  {       ノ__ ノ
 /  \  ノ八         ≧=――≦{  }≧ュ。_  }
   \ \        ̄ ̄ ̄       八  |    {` ー―
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| 霊光波動拳の奥義『光浄裁』を受け、全身の黒胆汁と触手が光に分解されつつある桜。
| 身の丈10メートルの巨人であることには変化なし。
|
| しかし全身の縫合痕から漏れる光で崩壊し、両腕と片足を失い花畑に伏せている。
| 
| 倒れる直前、『弓兵』を投げて臓硯にぶつけた。
| それが凛を助けるための行為だったのか、それとも攻撃から身を守るためだったのか。
| 
|「しかし夢宮よ、行方をくらましていたかと思いきやこんな所に現れるとは。
| 母の仇でも討ちに来たか? ん?」
| 
| アリカの連続攻撃を見事な動きで捌きながら臓硯が問う。
| 『弓兵』からの奇襲のダメージは見えない。蟲の集合体であるため、見せかけだけかもしれないが。
| 
|「え? 私のお母さんの仇? 誰が?」
|
|「桜じゃよ、あそこでのたうつ巨大な肉塊、ヒトに戻るなどおこがましい、
| 嫉妬に狂って愛する男の妻を惨殺した怪物じゃよ!」
| 
| 虚ろな目を虚空に向け、半開きの口から光が漏れる桜。
| アリカは彼女を一瞥し、小首をかしげた。
| 
|「え? 逆でしょ?」
|「なに?」
|_________________________________________________
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133死夢見 ◆XDD/DkyjV6:2022/04/10(日) 09:45:01 ID:2H//263IMM


              ̄|  \        〃     ヽ
               |   ヽ     __,j{_ -.、    }}
             V{ 、  |     ,イ:l: : : :、. :\   ノ′
              ヾ、   ヽ  /ュ{ハ|≧ニヽ、: .ヽ
              l   rーヽl!ヒツ ´'f7:オ  ト、: :!
               ヽ |: rーュv: ̄ヽ ̄r- 、j: :ヽ}-―- 、_
              r‐`'_j / : `´ ̄:`く-.く⌒}:リ´  ̄` ー′
               ヽj_rヘ : : : : : : : : :ヽ-ヽイ{j             あらよっと。
              ノ:/:l:.:.ヽ、: : : : : : : : : : トj、{ヽ
             /: イ':/ヽ:.:.:..`:ー-:、: .:.: :.: :.ハ:j {:ヽ
             V: l/イ }r>、.:.:.:.:.:...ヽ..:.:.:/ {ヽ`ト.、
             _ィ7´ lj /'´ l`ヽ:.:.:.:.:.:V   `ーl、ヽ!、
                 ∠{      \ \:イ   /| ヽ}、ヽj、
            /ニ{.:ト._/rjヽ.__/'´:ー1´   / !   {ヽ ヽ}、
            l{_/`トハ`l:.:.:.:.l:.:.:.: : :.|   / |   `{ヽ ヽ:}、
            ヽ`くノノヘ: ! : : l : : : :.:l/   j    `ト  {ヽ
                ̄   ヽl : : ヽ: : : : ) ̄`く= _   j{  `jヽ
                 /|j:ヽ: : :j__:/ /' }、二 ‐ニ_ー'^_  ^′
                 ト、 {: l : : } _/' /:.:\、ヽ、 ` ‐ 二 - ._
                 >、 ヽl:_ノ l! ,イ:.:.:.:.:.:.ト:ヽ\\    `丶`丶、
                /ト、_:.ヽヽ __ /'/:.:ヽ:.:/二イ  \\     `丶、`丶、
               ∧二 イ:ヽ.二ノィ:.:./ ̄:l l::/ヽ   \\      \ \
              ///|:::::::イ|\ー:.´:./::::::, ヘヽ   !    \\      \ \

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| アリカの強烈なアッパーが臓硯のガードを砕く。ブロックを撃ち抜いて顎に一撃。
| 宙に浮いたところを目にも止まらぬ苛烈な連打。
| 
| だが、『絶対防御結界』による防御が臓硯を守る。
| アリカは、青い外骨格に身を包んでいた。他でもない『蒼天の青玉』に。
|
| アリカ自身が見たこともないほどに光り輝く、あるいは、『弓兵』や凛の見慣れたまばゆさの。
| だがそれでも、臓硯の防御は小揺るぎもしない。
| 
|「カカッ、無駄じゃ無駄じゃ! 貴様のような三下が、この儂に敵うものか」
|「あたしもそう思う」
| 
| 素直に頷き、しかし連打は止まらぬ。
| 臓硯の背中が冷や汗で塗れる、防御をやめる暇がない。
| 
| ここだけの話、『弓兵』の一撃は強烈だった。今の体ではアリカ程度の打撃でも無視できない。
| 
|「『十発で駄目なら百発。百発で駄目なら一万発』」
| 
| 無私。防御されるのを前提にした、ひたすら続く打撃。
| 『蒼天の青玉』による防御がなければ、殴り続ける拳がこそ砕けそうな勢い。止まらない。
| 
|「『それでもまだ駄目なら百万発叩け』って、お母さんに言われたみたいだしね」
|「…………誰じゃと?」
| 
| 臓硯の頬を脂汗が伝う。正気ではない。やはり狂人!
| 揺れるみつあみ、揺るがない確信の瞳。臓硯は五十年ほど前の苦い記憶を思い出して歯噛みした。
|_________________________________________________
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134死夢見 ◆XDD/DkyjV6:2022/04/10(日) 09:45:17 ID:2H//263IMM



       /    ,   /  / /ミ、 ,ィニ、`ヽ   ヽ.  ヽ       l
     /     /   /  / /`ヾll彡ヨ.  |   ',  ',  ヽ   l
.    /   // /   /  // /      }  } |  }   }   }   |
   /   .,',' .,'  , ./  〃'. /        |  i! l、   |、  |   |   |
.   {   / ./ { l .{  / .| /          !  i l l  l }  |   |  l .l
   l.  /l/l. ,l ,| || ,'ニ.、|l        l ./l l. l  | l |ト.  }  | l
   l   ' i | l | l、lli!. { イ:l心l     ,   l/ ll  l l |l l' }   l|.   | | /      ザーコ、ザーコ。
    ', l .l l.l .|l. }l l l Yr': .y`   ヽ、=〃‐/--..} .}__l.| l .!  ll|  i! !//
    ヽl  i ll l l ヽ`_=´      /, =孑う弌}:卞}|_ | ,'l.|.  l l/       あたしみたいな若い女に
            ;   '.     丿       、 ヽr':.:.:.l|::ノ/  l/ ||l ヽ. l l/       ボッコボコにされて、
                 ヽ       `ー‐≠ ´   .ノ ノヽ//ヾヾ、      生きてて恥ずかしくないのかよ?
            ヽ,    `             /´_二,ィ´}´ `ヽ
        . <         `ニ ‐´          ´ ゝ´イ_彡イ}
        /´/         ヽ.          ,. <   {`ヽニ彡´\
     /:::/         ,..㌧、_ _,.   <         |ll>\   〉
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|「夢宮ぁ……ッ」
|
| あのクソババア……いや、当時はまだ若かったが。
| とにかく臓硯は夢宮にわからせられた。
| 
| 夢宮が居るうちは派手なことはしないと約束させられた。
| 
| 実は十五年前も危険だった。夢宮士郎が介入してきたせいで、全面戦争になりかけた。
| 『結社』内部抗争で東京が荒れてなければ殺されていたかもしれない。
| 
| というか、士郎が死んでいたらどうなっていたことか。
| 
| 今でこそ無敵みたいな面をしていられるが、臓硯は結局一度も、夢宮に頭が上がらなかった。
| そして、その血を引く娘がいま再び、臓硯を追い詰めている。
| 
|「レナ・セイヤーズです」
|「いつそんな……!」
|「もちろん、今でしょ!」
| 
| アリカの回し蹴り、そしてハイキックから姿勢を崩さず蹴りの連撃。
| ステップを踏むようにタップ、左右のチョップ、一撃一撃が斧のような重さ。
| 
|「『蒼天の青玉』ずっと『何』が入っているのか誰も教えてくれなかったけどさ」
|「まさか……」
|「逆だってば」
| 
| サマーソルトキック、空中を蹴ってかかと落としに即移行。
| 断頭台の如き振り下ろしも、蹴り足を支点にした延髄斬りも、『絶対防御結界』の前には無意味だ。無意味なのに。
|_________________________________________________
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135死夢見 ◆XDD/DkyjV6:2022/04/10(日) 09:45:32 ID:2H//263IMM



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                      `ヽ>:.´:.:.:.:.`:く_,ィ_ァー'´        `゙  ト. ヽく } ⊂ノ
                         /:、:ト:.:.:.ト、ト、:.:.:Y            _ -┘ヽ. V´ ̄
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           ソヽ._ _ _ _,..、ュァ'‐'´ lハトr芯` 似`ハト __rーォ{/-‐ ´  _. - ´
           `^ー'-ー'‐ ´   __,.ィ=ヘ^´r`┐ /ァ7/r-、/´ ヽi`7  /´
                      {/-ソr≧ ='イ//: :j|: : : : : { {/<       桜さんからです!
                       //: : トニ._=くゝ/、: :.:l : :/^::ノ┴ ´
                     {:{: : : ハ{:..:/{、フヽノl ヽ/!`:_ソ
                     jヽ::..}:::V ヽ}Yr '   V
                     _V_く::小 _ .イjヽ._ ノ/
 _ -, 三 、ー- _            /こ_j_ヽV |l:::::|::::::::r':::::i  , イ
   ̄ ̄ ̄` ―-`_ー _       V7 } }:}リヽ jl: : !: : : !: : :!/ /
            ` ー ニ_- _` ┴' '^j.-V : l : : :jー┴、/                      __
                  ̄ ―=_=く {{ ヽ:/::::.ノ ィ‐三ハ-- _                , z'三ァ/´
                 _. -_ ニ ァく´: ヽヽ 三= ''/.:: : ィヽ二_- 二_ー  _      _ /_ -‐ ´
               //´   >ー三{:ト -- イ.:ヽ-三'_:{  ̄`ヽ`ヽ、 ̄ ―-二二 -― ´
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| 臓硯が困惑する、どれだ? 何がだ?
| この狂人は何を口走って……!
| 
|「おかーさん行ける!?」
|「楽勝! 舐めんじゃあないわよ!」
| 
| 顔面は蒼白を通り過ぎて土気色、唇は紫。しかし強い意志を秘めた黒瞳は揺るぎなし。
| 魔女、遠坂凛。血塗れの顔で凄惨に見栄を張る。
| 
| ヒビの入ったブラックダイヤモンド、『イシュタル』の傷が広がる。
| 万色を含む黒い炎が臓硯を包んだ。悲鳴を上げる暇すらない。
| 
| 鼻血を拭い笑う凜、炎は『完全防御結界』に阻まれる、阻まれるが。
| それがいつまで保つものか!
| 
|「ぐぐぐ! 貴様らァー!」
|「いいザマね、間桐臓硯!」
| 
| 誰もがいっぱいいっぱいすぎて、アリカが凜をなんと呼んだのか気付く者もいなければ指摘する者もない。
| 
|「おのれ死にぞこないィ!」
|「アンタにだけは言われたくないわ!」
| 
| 大上段からの高笑い。だが次の瞬間、凜は血を吐いて倒れた。
| 肺に肋骨が刺さっているのだ、そのまま意識を失う凜、砕けて塵になる『イシュタル』。
| 
| 汗まみれの臓硯が、笑みを浮かべて黒い炎の残滓を振り払った瞬間。
| 
|「『いっきに行くぜ』!!」
| 
| 肉薄、溜めた力を一気に噴出。
| 
|「って、ばっちゃが言ってた!!」
| 
| 臓硯の魔力に限界が来た。
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136死夢見 ◆XDD/DkyjV6:2022/04/10(日) 09:45:50 ID:2H//263IMM




             / イ     /  ,rー‐‐ 、\.    |    /     、.    / /
         ///    /  ヽ f⌒l ヽ \_  | l  /         l    //
           /    /    ` ゙ ラ=´   .ミ | /      ___  |  /
            /   x‐y              ヽ ー' ‐ラ‐=ニミ、 ` レ
           .//|:Y 人                 /   ヽひ  Y  /          ターニャ、よく耐えた。
          '  |:.l  . 〉              }     `ミー '             だがもう少し耐えてもらう!
           |.イ  〈               /          /
           リ\ ヽ                       /, _ . . . . .
               ∧\ Y    ィ' .-‐    ー- 、      ,ィ≦: : : : : : : : : :
              l |  ヽ    `   ー- 、 彡ィ ´ : : : : : : : : : : : : : : :
              从 | ∧          ,ィ´: : : : : : : : : : : : : : : : : : : :
               从   、        ,ィ' : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : :
                |   ヘ _   ,ィ': : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : :
                     |      ∠: : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : :
            rヘ  /`Y|, -‐‐/. : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : :
          {: :ム {ニラ'´|   /. : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : :
          マ: :ム-キム |  /. : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : :
          マ: :.}:∧ ∨/. : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : :
       , >-マ: :}:::彡'/. : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : :
   , >:彡': : : : : :〉: /ニ./. : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : :

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| アリカの攻撃で地面にめり込んで動かなくなった雁夜を一瞥し、『弓兵』が瀕死のターニャに駆け寄る。
| 雁夜による浸食と、共倒れを狙った自己破壊プログラムによるダメージは致命的だった。
| 
| 全身に生えた茸の殆どは黒い錆に覆われてしおれたが、ターニャの四肢もまた黒い煤のようになって崩壊していた。
| 『弓兵』は深く大きく呼吸した。『エレシュキガル』は未だ有効だ。不足した魔力を補ってくれる。
| 
|「スゥーー、ハァーー!」
|
| ここだけの話、今の激励は死に瀕した弟子への言葉であると同時に、己への鼓舞でもあった。
| 霊光波動拳奥義たる『光浄裁』による負担は想像より大きかった。
| 
| 指先の感覚がない、視界の隅で白い光球が明滅している。鼻の奥がツンとする。のどが渇いて仕方がない。
| 耳の近くに心臓があるみたいだ。早鐘のようにガンガンうるさくて仕方がない。
| 
| 浅い呼吸からは立て直した、『弓兵』は桜を想い、凜を想った。
| 桜の抵抗は姉を想ってのものだった。完璧なタイミングだった。やはり桜は桜なのだ。
| 
| そしてひどい傷を負いながら、それでも自信たっぷりに見栄を張る凜。いい女だ。
| あいつなら大丈夫、任せておけばいい。
| 
| そして同時に、任されたのだという責任感がのしかかる。
| 失敗はできない。ターニャと慎二の、どちらかだけでも助けなければ。
| 
| あの子に、アリカに頼まれたのだ。
| 絶対にしくじれない。
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137死夢見 ◆XDD/DkyjV6:2022/04/10(日) 09:46:05 ID:2H//263IMM



                        / Y ::.:               -=、´
                        ∨   :: :  ::               `ヽ、
                        |  .:.  ::.  :::    .. ....:        ____ヽ
.                        |  l`ヽ、 ::::::  .:::: ..::::::.  ...  ...    ヽ、
                     ,  -| .::.|   `ヽ、::::::::::::::_, - == i:::       ヽ、
                 , '´: : : : : : :.|/              .|       ____ヽ
                , ': : : : : : : : : : :.|                .|.....::: ....... ::::::\      霊光波動拳、奥義。
                ,': : : : : : : : : : : : .|\               ヽ:::::::::::::::::::::::丁      『光浄裁』!!
               ,: : : : : : : : : : : : : :| _ヽ、. l     ,     , .    V ´ Y:::::::::l、
        r-- 、    i: : : : :i: : : /: : : : :.| ` 弋ァ |   / _, - '´     / l .l:::::ト=-
   y- 、  |   l |    .i:: : : : |: : /: : : : : :.|  `゙´   、´_弋ラ`ヽ    〉 / ノ:::::ト 、
.  〈  lヽ、 |  | |    .人: : : :|: :/: : : : : :.∧    /     `゙ ^       ソ/l\/: : :.ヽ、
. ハ  ヽ.ヾl  |. ト': :´: : :.ヽ: : ∨: : : : : : : :∧  /           /` /ヽ/: : : l: : : : : `ヽ、
.〈  ヽ  ヽ.ハ  .| ヽ、: : : : : \:.|: : : : : : : :.l/∧ ヽ          / ./ ./: : : :./: : : : : : : : :`ヽ、
.∧   ヽ  Yヽ-'   ヽ、: : : : : :|: : : : : : : :.ト,/∧ ト-  、      / //: : : :./: : : : : : : : : : : : :`ヽ
.../ヽ、 ヽ.ノ      / `ヽ: : : :.|: : : : : : : : :.`l;.∧ ` -   '    イ  ニ/: : : : : /: : : : : : : : : : : : : : : : `ヽ
〈  〈 ヽ _ノ       r-'   |: : :..|: : : : : : : __ : :ト、 ヽ  _   ィ´ r-'´: : : : : : : /: : : : : : : : : : : : : : : : : :
..ヽ ヽ           l   /: : : :|: : : : : : :| | ト、`ヽ、     .|//l: : : : : : : :/: : : : : : : : : : : : : : : : : : : :
  ヽ  `ヽ_ _, 、   ` ´-===-.イ: : : : l\| / / `l l  ゝ- = ┘: : : : :/: : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : :
   `ヽ ノ   `` ´       ヽ: : : :\回/  ヽ、`´  、  |: : : :/: : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : :

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| 三度目。全身から力が抜ける。膝が笑う、目の前が暗い。
| 体の中の大切な何かが破ける。一呼吸ごとに命が零れる。だが、ここで倒れるわけには行かない。
| 
| ターニャを助けなければ。
| 彼女の善性を信じるのだ。
| 
| おそらく身体は全損する。その後、繊細で脆弱な魂を守るのだ。
| 方法は思いつかないので、まあ、出たとこ勝負で。
| 
| …………いや。
| 
| 『弓兵』はほくそ笑んだ。
| 今の彼は周りが思っている以上に死に近い。その結果、魂の『尾』のような繋がりが見えた。
| 
| 『弓兵』は笑った。なんだ、こんなに簡単なことだったのか。
| 生命とは、肉体とは、魔力とは、魂とは……。
| 
| 脳内の血管がブチブチと千切れ飛ぶ、脳溢血を根性で耐えきった。
| この程度で倒れていては、凜のイビリに耐えられるものか。
| 
|「―――同調、開始」
| 
| 見える、解る。『弓兵』は目鼻から血をこぼしながら笑った。
| 
|「魂魄骨子、解明。人体骨子、解明。
| 魂魄材質……解明。人体材質…………解明
| 創造理念………………………………解明……。
| …………魂魄…………投……影………………………………錬成…………………………!!」
|_________________________________________________
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138死夢見 ◆XDD/DkyjV6:2022/04/10(日) 09:46:33 ID:2H//263IMM



   /                               ./
  /  ./            \     |   /  /   ./ /
  ̄ ̄/        | ミ 、 \    l  /  /,.,  イ  /
  ノ´ /.       |     ` ヾ 、 レ ' ´     .l /
   ̄フ        /                   ∨
    |   / ヽ /                   ,. /
    | /《 ヽヽ  -=- 、           ,. -='  /
    ∨|:.l |   ノ    , ____ヾニミミヽ、_   , =ラヨ=-, ./
     |:.〉ヽ 〈    弋t:::ラ ̄ ヽヾソ   r t;;タ ノ ./         お前の体は……剣ではない……。
     ソ|\ヽJ.    `  ̄ ´       ` ´   |
      .|/|\〉                    /         血潮は……血潮…………。
        |:∧|             ヽ    /          ……心は…………心…………。
         ソ| .\            /    /
      /.´イ〈   \    、      ,   イ            ならば……その、体……は………………!
     イ ヽ j;;;;;;ヽ、  \    ̄     , :.:ヽ、
   , .|.:.:.:.:\;;;;;;;;;;;;;;ヽ、 \       / |:.:.:.:.:.:〉
, - ':.:.:.|:.:.:.:.:.:.:.:\;;;;;;;;;;;;;;;;;;`ヽ\_  _  / /:.:.:.:./ ト、
:.:.:.:.:.:.:.:ヽ:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.`ヽ,;;;;;;┌───  イ :.:.:..l:.:.:|:.
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| 突如、目の前が真っ赤に染まった。
| 迫り上がってきた血液を嘔吐、全身から力が抜ける。
| 
| 失神にも似た快楽の中で、なおも『弓兵』は踏みとどまる。
| 
|「……てつ、だえ…………慎二!」
|「無茶を……言う……」
| 
| 心臓に刃を突き立てたはずの慎二、その胸はしとどに濡れ、手にした短剣は赤く染まっていた。
| しかし、であるのに、彼は生きていた。失血で震えながらも、体を起こそうともがいていた。
| 
|「大したものじゃ、ないから……くれてやったんだ、よ……返却なんて、許さないからな……!」
| 
| ターニャに与えようとした命、受け取り拒否され治療されたのだ。
| リソース的には散逸が多い、失態でしかない。
| 
| だが、死に触れて魂を与えたことで、二人の契約はより深くなっていた。
| 故にこれは奇跡ではない。滅び消える『万魔』から、魂の欠片を引き上げる。
| 
| 八月のライブハウスでやる夫が墨目を、すくい上げたのと同様に。
| 
|「……他にないんだ……文句は聞かないからな……!」
| 
| 慎二が、ターニャを召喚する。
| もはやそこに『万魔』はいない。
| 
| 『弓兵』の投影と凜の魔術によって作り上げられた、素朴で可憐な少女に過ぎぬ。
| 
|「だから……僕を…………」
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139死夢見 ◆XDD/DkyjV6:2022/04/10(日) 09:46:53 ID:2H//263IMM



                         _. . . . . . . . . ,_
                   、丶`: : : : : : : : : : : :〕iト.、
                    /: : /: : : : : : : : :Ⅵ: 寸: : ヽ
                  /:/ : /: : : : : : : : : : : :ヤ : : ヾr‐く ̄ ̄ ̄ `ヽ
                    /:/ : /: : : :√: : : : :: : : l{> { マ 、        /
                : :l : :i{: : : : l : : : : : ァ‐=j{  .斗 ヽ \- _   !
                 |: l: : i{: : i{: l : : :i{: :从: /∠._{  \ ヽ   ̄
                 ヤ : : ヤ : ヤ:Ⅳ: :i{ / /イ   ミ:ム   \',
                     ヾ:\:\:ヽ{ \i{' "ィ=ニ彡 }⌒',  _ -'゙
                 ]:`:ハ / /,         ) ノヽ/ ヽ
                     |: : ハ /           /: :´',  ',\ヽ
                      l: : : :゙〈  マ _フ    ィ: : : : :',  ', `ヾ '、          ………………アー。
                  i: : : :}! :> .,   < 「: : i{ : : :∧  ∨   }! \
                   l: : : :}! : : : /  ̄   |: : i{: : : : : ヽ  ヽ  }!   }!
                 j/!:/: /ー'辷ニ=ニ 彡ⅱ:` 彡'冖 、 \ヽ}!  /
                   /  }!: :/  `ヽ  / ̄ ゞィ   ::::::::::’   V \'
                    i  /: /             l  、::::::::::}!  ヽ  ヽ
             _ - l/: /      :.  ,      /__ -― v'    }! 、
            _ - ~  /: : / \___ :./  _ - ⌒     ヽ \     ヽ
          〈    /: : : :i 「 ̄      ̄ ̄   7  ―- 、     \
            ヽ / 从: : { l    ___     /___ '/: :ヽ     ヽ
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| 壁のシミになった老人、めり込んで動かない怪物。
| そして、花畑に倒れ伏す少年と彼の横で静かに眠る少女。
| 
| 赤い服の男はフラフラとよろめきながら、気を失った元妻の元に歩み寄る。
| それを見守る巨人もまた、満身創痍だ。
| 
| 青く輝く鎧をまとった女が、静かに近づく。
| 巨人は本能的な恐怖を覚えたが、振り回す腕はもうどちらも崩壊していた。
| 
| 抵抗はできない、怖い。怖い。
| 何度も追い払った場面、顔を背けた記憶。
| 
| それが、今追い付いて追い詰めてきたのだ。
| 
|「怖がらないで、もう大丈夫。
| もしかして、あたしお母さんにそんなに似てる?」
| 
| 先輩譲りの髪、先輩譲りの大きな口、意思の強そうな眉。
| 同時に、レナ譲りの青い瞳、レナ譲りの目の形、背の低さ。
| 
| 自分の面影はそこにはない。あるはず無い。
| それがたまらなく悲しくて悔しい。それと同時に。
| 
| 桜は罪の意識に押し潰された。
| この子の、母親を、私が。
|_________________________________________________
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140死夢見 ◆XDD/DkyjV6:2022/04/10(日) 09:47:09 ID:2H//263IMM



             ,,. -―/´ァ―-..、    \、
           /´: : ̄`: ´ : : : : : \    ヽ、
          ,.イ: : : : : : : l: : : :{: : 、:_:ヘ    }:}
         /: :{: :|: {: : : : |{: : :下 ̄ヽ:.十-i   〃
          | : ハ.ト ヽ: : : ト\: :ヽ\:ト: :| : :|ー ´
          ト: {  \ヽト :_\ ` ーヽ__ハ:.}: : }
          ∧.:{   ̄`ヽーュフ、ィ/´  j/: :/        桜姉さんのえっち!
          {_A:{   ,z==ミ   , z==/:./_       そりゃあずっと助けられたけどさ。
      /ノ:{ jr    , z-   ,  ,z-ノイハ、`ヽ
     /  jノ‐ト-、      __ __   .小ヽ}}       それにしたって『アレ』はないよ!
     ! /{{  {:..{ ヽ     /..{. }   //:.:} ノヽ
     /    \ヽ{i\  {.__.ノ  イレ':./   i
     ノ      \:ヽ、` ー‐_´-':/      |
    {        ト、` -`二.. - ´ イ /   丶
    ヽ    ヽ.  ヽ-\  人 /イ  {     }
     ト、    j   ` ーz) `'´(r‐ ´   |   ,.イ
     ヽ:.`:ー_.:|             /―:.:/
      |  ̄  ハ      ノ-    /― 7
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|「戦うたんびに下着がぐしゃぐしゃで……最初の頃はおもらししてるって思って大変だったんだからね……」
| 
| 意味不明の罵倒、途中からトーンダウン。
| 夢宮の孫、レナの娘、先輩の娘。
| 
|「今まで、ありがとうございました」
|「ナ……ニ…………」
| 
| 彼女の手が桜の頬に触れる、温かい。柔らかい。
| 突然桜は、己が孤独の底にいたことに気がついた。寒さに凍えていたことに気がついた。
| 
| それらが、消えた。
| 
|「お母さんに代わって、ごめんなさい。あなたを殺してごめんなさい」
| 
| 誰が、誰を……?
| 
|「そーいえば桜姉さんて呼んでいいよね」
| 
| 『蒼天の青玉』から澄んだ魔力が桜に流れ込む。
| 『万魔』としての能力関係なく浸透し吸収できる。それもそのはず。
| 
| これは、他でもない桜の魔力だ。
| ずっと昔に封じられた。『蒼天の青玉』にずっと封じられていた、悪魔の魔力だ。
|_________________________________________________
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141死夢見 ◆XDD/DkyjV6:2022/04/10(日) 09:47:27 ID:2H//263IMM




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| フラッシュバック。
| 
| 『臓硯に植え付けられた偽物』ではない本当の記憶。
| 士郎を庇うレナ、その体を貫く触手、注入される毒。致命傷。致命傷のはずなのに。
| 
|「ぬるい!」
| 
| 手刀の一撃で切り払われ、まっすぐ飛んできたストレート。
| 吹き飛ぶ桜、遠ざかる士郎と凜に手を伸ばす。
| 
|「よそ見してる暇ある?」
| 
| 起動される『蒼天の青玉』。青い光がレナの身体を包み、傷を無理やり押さえつける。毒を全力で中和する。
| 杭打ちのような威力の蹴りの打ち下ろし、ダメージはなくても体重が支えられず転倒。
| 
| 馬乗りになるレナ、冷徹な見下ろし。
| 触手で攻撃する前に顔面に一撃、二撃……数え切れないほどに打撃。
| 
|「ごめんね、前に言ったアレ、嘘なんだ」
| 
| 『万魔』としての魔力障壁がすべてのダメージを軽減。
| しかし、桜はレナの言葉が気になって攻撃を躊躇った。
| 
|「あの人のこと嫌いじゃない。親の決めた結婚なんてお互いにそれくらいの温度で丁度いいなんて」
| 
| 言われた。士郎を掻っ攫ったレナに、桜が食って掛かった時に。
| 勝者の余裕、桜が喉から手が出るほど欲しいヒトを、欲しくないものみたいに扱われて。
| 
| 殺してやりたいと、思った。
|_________________________________________________
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142死夢見 ◆XDD/DkyjV6:2022/04/10(日) 09:47:52 ID:2H//263IMM



                、        ___
                   マ、    ...::::::::::::::::::::::::::::::......
                 マ、  ィー―--:::::::::::::::::::::::::::::\                 『あたしも、あなたと同じ。
                rー< ィ⌒:   ミ 、::::::::::::::::::::ヽ
              / ノ:::::::::::::::::::::::::\    ヽ::::::::::::::::::::::..          /     シロくんがいい。
             (ー::/:::::::::::::::::::::::::::::::\     ヽ::::::::::::::::::::..      。 /       シロくんじゃなきゃ嫌。
              `7::::::ハ::::::::::::::::::::::::::::::`ー彡´ V:::::::::::::::::::.   。</
              .::/::::::{ \:::\::::::、:::::::::::::::::::::ー' V:::::::::::::::::。<  /         でも、恥ずかしくって言えなかったの。
              iハ:i::::ト、 \{ \:::>-=ヽ::::ヽ\ {:::::::::<   /____     ごめんね』
            _{ メミ汁心 `ー彡rぇェx、   \:ハ:}} ノ´   /:::::::::::::::::::::::::::::ミ:::..、
          /:::::::ー':::::::ハヾソ    ヒ少 ´    リ /    /:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::\
         /:::::::::::::::::::::::::::八〈      ̄     o人ヘ/ ̄:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::ノ
         `ー―┬、::::::::::::、  、__        Yュ  V::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::/
            (r〜、:::ー::::::\ マ_7   / ィf「 ム  V:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::└ー――、
                 ̄  > ≧ェ  ィ ィf「    >\{::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::)
               /| /    { i{ \/ i!   <  人::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::(
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             __/ ト v┐   人 し´  > ゞ /}      \  ̄ ー-- 彡  ー'
           /    マ ∨   / }i/{ / マ   /  i        ', /{
          /     マ ム/ ィ  レ´   マ/ ,イム j          /  |
         /       }ーヽ // ィ{   /j/ イニニ' !       /    |
       ノ      _ ノィ7 { { マニL //     マニ j       /     |
    , ´         / /  ヽ{ /ン 人 ̄ ̄` 、マ /´~ ̄ヽ  /      {
  /         ´ / /    ({ /  /  ` マ  ヽ /  ヽ ̄ ̄      ム
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    彡 ´     八  ム       i  /         V ム_イ/  ヽ       ム
             \ ヽ     {  ,'          V /    \
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|「それは……!」
| 
| 何か言おうとして、桜は口の中がズタズタな事に気がついた。
| 目も半分開かない、鼻も詰まっている。頭がズキズキする、耳鳴りもひどい。
| 
|「十発で駄目なら百発。百発で駄目なら一万発。それでも駄目なら百万発殴るつもりだったけど……意外と早く行けたわ」
| 
| やはり暴力/渾沌/貫通/物理。暴力で全てを解決だ。
| 臓硯が偽りの記憶を植え付けるのも納得の桜。何が無敵で不死身だ。
| 
| 殴り続ければ死ぬなんて、そんな冗談みたいに当たり前のことが知れ渡るのは避けたいだろう。
| 
|「シロくんは、あげられない。きっと凜が助けてくれる。だから代わりに、あなたを私の娘にするわ。
| 眠りなさい、『蒼天の青玉』の中で。時が来るまで、私の魔力を食って生き長らえなさい」
| 
| 体がぐしゃぐしゃに潰されていく。丁寧に執念深く殺された。
| 見るも無惨な肉片の記憶、レナではなく桜自身のものだった。
| 
| 『蒼天の青玉』に封印され、レナの過剰な魔力を与えられてまどろんだ。
| 揺籃の時代はすぐに終わり。しばらくは夢宮の苛烈な魔力を与えられて過ごした。
| 
| 臓硯が用意していたバックアップが、巨人の桜。
| 封印されて眠っていたのが最初の桜。
| 
| どちらも同じ、どちらも桜…………だけれど。
|_________________________________________________
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143死夢見 ◆XDD/DkyjV6:2022/04/10(日) 09:48:08 ID:2H//263IMM


            _. . : ´: : : : : ` : . ._
           /: : : : : : : : : : : : : : :\
         .': : : : : : : : : : : : : : : : : : : ヽ
        / : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : .
        j{: : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : :
        ハく: : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : |          よかった……
       //|'、 : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : :|
      ‘‘ | i} : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : |          よかった…………
      {_{ し} : : : : : : : : : : |i: : : : : : : : : : |
      `hイ゙ : : : : : : : : : : :|i: : : : : :|: : : : :          わたし、せんぱいのおくさんを
       .|.| |: : : : :|: : : : : : : |i: : : : : :|: : : : :|
       .U.」: : : : :|: : : : : : : |i: : : : : :|: : : : :|          れなを、ころして…………
        |: : : : : :|: : : : : : : |i: : : : : :|: : : : :|
        |:|:i: :|: :.|: : : : : : : |i: : : : : :|: : : : :|          なかった。
        |:|:|: :|: :.|: : : : : : : |i: : : : : :|: : : : :
        |:|:|: :|: :.|: : : : : : : |i : : : : /.: :.||、
      _、‐''゛|从: : : :|' : : : : : : |i : : : /: :イ:/|/ \
   ./{      \从.',: : : |:i ハ: |: :/ レ レ′   \
   l  ',        ∨∨V |Vレ'         }`.
   |  ', |          }            |  ,' }
   |   ', |           {         ,' / /

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| 体が砕ける、崩壊する。
| 巨大な肉体が灰に変わり、後に残るのは塵の山。
| 
| 巨大なオブジェのような、ヒト型の砂山
| その胸部に身じろぎする影があった。
| 
| 長い髪が垂れ、顔を隠す。一糸まとわぬ均整の取れた裸体の女が現れる。
| そのバストは豊満であった。
| 
| 目を覚ました凜が、そして彼女を腕に抱いて『弓兵』が見守る中で、アリカが女を支えた。
| 十六年前から少しも変わらぬ、間桐桜を。
| 
|「はじめましての気持ちはしないけど、はじめまして桜お姉さん」
|「ずっとあなたと一緒にいた気がするけれどけれど、はじめましてアリカちゃん」
| 
| 体はふらついているが、声は案外としっかりしていた。
| 優しげな顔立ち、はにかんだ笑みで、桜は続けた。
| 
|「あんな気持ちで戦ったのは、後にも先にもあの時だけだったんだから……誤解しないでね」
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144死夢見 ◆XDD/DkyjV6:2022/04/10(日) 09:48:19 ID:2H//263IMM



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| 花畑の中を這いずる虫が一匹。
| 
| 壁の染みからこぼれた体液が、血を這う回虫に形を変えたもの。
| 『イシュタル』は砕けたが、虫プールは燃え尽きようとしていた。
| 
| もはや炎は自然に消えるような常なる火に過ぎない。
| しかし、『絶対防御結界』の消費は大きく、虫プールはとっくに死に体であった。
| 
| 本体も大半かアリカの強打で破壊され、残されたのはこの虫けら一匹。
| 
|(この忌々しい花畑が脱すれば……人でも食って魔力を補充し、『血族』に戻れれば……!)
| 
| 憎んでも憎み足りぬ夢宮と遠坂!
| なんとしても両家を根絶やしにしてくれる!
| 
| 間桐臓硯最後の欠片は憎悪を糧に進んだ。
| 誰もが疲弊しきりで、彼の存在には気が付かない。
| 
| 『エレシュキガル』の花畑さえ抜ければ……臓硯の勝ちだ!
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145死夢見 ◆XDD/DkyjV6:2022/04/10(日) 09:48:34 ID:2H//263IMM




             >-=ニ⌒`ミx,
             /レ'  -<__   \_
          午        \   ア
          |      _{ ̄  く
          |  V\rミx≧     「         清算の、時だ。
             八 {    {  ト、  .{
           ``し_,、  ,' \_\{
                ヽ__/{_jI斗≦三ニ=-  
               /ニニ二二二二V 
                /寸ニニニニニニニV  
                /ニニ寸ニニニ二二二二V
           ,イニニニニ\三三三ニ=-二}、
             {=二二二二二\三三ニ=-/ニ\
             {ニニニ}iニニニニ≧s。ニ=/ニニ}|
             {ニニニ}iニニj{ニニニニニニ二二j}|
             {ニニニ}iニ≠ニニニニニニニニj八

|lニニニニ三三三三三三三三三三三三三三三三三三三三三三三三三三三三三三三三三三三三三三三三三三ニニニニ
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| 不意に、声。どこから来たのか、臓硯は怯えながら周囲を見回した。
| 誰だ? もしかして、わしに話しかけたのではあるまいな?
| 
|「アンタは、僕らから色んなものを奪ってきた。それを、清算する時が来たのさ……」
| 
| 笑い。次の瞬間、臓硯は脚と脚の間からニョキリと生えた毒々しい色の茸に悲鳴を上げた。
| 雁夜の死体を、気付かぬうちに踏んでいたのか!? 侵食される。食われる!
| 
| 臓硯は茸の生えた部位を周辺の腹ごと切り取った。
| 痛みはない、不都合はある。だが、背に腹は代えられない。
| 
| 花畑に落ちた茸が、どす黒い炭屑みたいに変化しながら崩壊。
| 同じく、臓硯の体も段々と黒ずんでいく。
| 
| 自己破壊プログラム!? 臓硯はか細い悲鳴を上げた。
| 最期の言葉は命乞いであった。
|
| だがこれまで、誰にどれほど慈悲を請われても応えなかった臓硯である。
| 許しはなかった。
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146死夢見 ◆XDD/DkyjV6:2022/04/10(日) 09:48:49 ID:2H//263IMM



                     /::\,,__
                 ┌ーヽi::::::::::::::::::ヽ ̄`',
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               / /:/::/::::i:::::/   }:::):::ヘ::::ヘ::ヾヽ
               { {:く;;{:::∧:(   (:::(ヽ:::::):::ヾ::} }
                ヘ::)::)ノ¬))   ):)フ::ハ::::):/
                 {ヘ!:(丁;;jゝ   ´「;;;j厂レ!iヘ
                   {∧   ̄       ̄  / ソ
                 ゝヘ      '       /ノ       ……なあ、爺さん。
                   リヘ  ´  ̄`  /!!′       あんたは馬鹿だよ。
                   \|\ __ / |/!
                   ┌‐┴─rr─‐‐┴!
         ___ _____r=┤: : : : : |||: : : : : ├、,,
        /: : : :: : : : : : : : : : : : : : : : 〃/: : : : : : : : :`:ー:-:.:.、,,,__
        /: : : : :: : : : : : : : : : : : : : : :i ! |: : : : : : : : : : : : : : : : :: : :`ヽ
        /: : : : : :: : : : : : : : : : : : : : : i ! i: : : : : : : : : : : : : : : : :: : : : : ',
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| 最後まで、勝つつもりだった。
| 絶対に屈しない、執念のような殺意が臓硯にはあった。
| 
| 何に執着していたのか、臓硯は意固地になっていた。
| もっと狡猾で、柳のようにのらりくらりしていると思っていた。
| 
| なのに、臓硯は頑なで。
| 凛と『弓兵』を殺そうと躍起になっていた。
| 
| それが、引き際を見失わせ、挙げ句にこの最期だ。
| 誰一人、顧みない臓硯の死。
| 
| だから世界中が笑っても、慎二だけは祖父を悼んだ。
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147死夢見 ◆XDD/DkyjV6:2022/04/10(日) 09:49:39 ID:2H//263IMM
☆ 次回予告!

 剣豪と呼ばれた男たちがいた。
 剣に生きて剣に死んだ。

 その生涯で、幾多の死闘を繰り返し。
 その果てに、究極へと至ったやもしれぬ。

 剣聖と呼ばれた男たちがいた。
 剣に生きて剣に死んだ。

 その生涯で、壮絶な研鑽を繰り返し。
 その果てに、至高へと届いたやもしれぬ。

 だが、ヒトの命は短く儚い。
 究極も至高も夢のまた夢。

 その領域に達するには、人生程度では不足も不足。


 …………ならば、定命ならざる存在なれば?


次回、最終幕七十九話『頂の剣士』
 果てに見るのは破滅か死か。

148令和もどこかの名無しさん:2022/04/10(日) 10:45:56 ID:C4ChBXmU00

やはり暴力…!暴力はだいたい全てを解決するのに便利…!!

149令和もどこかの名無しさん:2022/04/10(日) 10:51:07 ID:w7ptI3xk00
おつおつ
レナと夢宮のババアは血縁ではないらしい……うそやろ!と言うまでのバイオレンス近似

150 ◆e4DpAp5mDU:2022/04/10(日) 11:17:27 ID:y28SZ4LE00

老獪かと思ったらタダのボケた頑固ジジイで草

151令和もどこかの名無しさん:2022/04/10(日) 13:19:59 ID:yZ39n72k00

生存最重視かと思いきや実は夢宮コンプレックスが凄かったお爺ちゃん

152令和もどこかの名無しさん:2022/04/10(日) 13:41:17 ID:6aZZuO7sSa


やはり冷静さを失うと駄目なんだね

153 ◆BLUEpl1Jp.:2022/04/10(日) 17:01:00 ID:xAkPcjeAMM

「桜? 十六年前に助けた」

母ちゃん強い

154 ◆wZFOryiZkw:2022/04/10(日) 19:09:06 ID:pmhDuahg00
今までのアリカのアレってそう言う事だったんだ……
本人の資質だとばかり(チャンピオン版舞乙とかそうよね)

155令和もどこかの名無しさん:2022/04/10(日) 19:09:36 ID:pmhDuahg00
あらためて乙

156令和もどこかの名無しさん:2022/04/10(日) 19:59:26 ID:Y1mbu3xM00
乙です

157 ◆Emjcf.lfLU:2022/04/15(金) 08:09:38 ID:tu9.08CMSa

当初の設定と違ってアリカがPC1になってる気がする

158令和もどこかの名無しさん:2022/04/15(金) 17:20:29 ID:JZBqRVrc00
セッションごとにPCナンバーが移動してるんやろ

159死夢見 ◆XDD/DkyjV6:2022/04/17(日) 13:24:52 ID:xtmZoURYMM



                             /:::::::::::::::::::::`ヾ}/         j´ リ
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                           ハ    三~ ̄ ̄三彡!       j´ リ
                         ⌒j:::|、_         /      j´ イ!
                      __イ:::::::::::::::7⌒マ:ァ--ー=r      j´ ハ}
                    ィ > ´ ̄ ̄ マム_ `ヾ::l     >   _/⌒jィ
                  ィf/´           ヽ{⌒ヽ}  _/    ` マ/7>
               ィf _/                \_} 7     _///rY
            ィf  _イ7        、        ヾー       j/リ´ r'
         ィf    イ7 ./          >..       `iヽ    r‐v//⌒リ
         /j   / /7            V V > .     |//><ム_マ  /
          /   /  /V            / ト    >、> . |/////≧、7  7
      ノ_/    / リ         ノ  」 \ イニ> ⌒L////////ヽ7
     /:::::/    / イ        彡 ´    }>       `ヾ//////\
     ::::/     人' j      /´ ̄             j    「 个/////ヽ
     ::ノ     ヾ::{ l!     /      /        /    l_! T=///\__
           __j__  _ )-、             イ!     l   ̄ 、  ̄マフ }
          r┤  /|i|ニニニム マム/                i       !    、  `ー<ヘ
          Lj  / j7!ニニニニ/          /  l  __j、     :.    }//ハ
          人_ノ  リハニ≠ /              /    「///////|        |!八∧
         7   // > ´ ¨                 ヘ///////|   __}、  ` `jハ
         {   //X               /     / マ//////|ヾ77///ハ     ´
         |   // 八            /    <    マ/////|! V/////ハ
         レ //   ヽ        イ -ー ´       マ////|!  V/////ハ
          ̄ ̄       ー―  ´              マ////   V/////}

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| 『蛇身』イナミ。中近東から来たマリード。
| 流出した『ネクロノミコン』の回収を使命として、はるばる鎖国中の極東までやってきた。
| 
| 彼女はそこで島原の乱を体験し、当時の『血族』と壮絶な戦いを繰り広げ、江戸に流れ着いた。
| イナミの冒険と探索について、詳しい話は『血族』には伝わっていない。
| 
| 刺客を送り敗北した。敗北した。敗北した。
| そればかり。
| 
| その果てに、イナミは『血族』本部を探り当てて単身乗り込んでくる。
| 当時京都にあった『血族』本部はほぼ全滅。
|
| 命がけで『蛇身』の像に封印するも、もはや組織としての体をなさない壊滅状態。
| 
| その結果、大江戸八百八町に作られた『血族』江戸支部が本部と成り代わった。
| そのどさくさで多くの記録が紛失。
| 
| その中には、日本全国を行脚して妖術を編纂した男の資料もあった。
| 彼の悪行の一部が露呈し、敵対する者共を皆殺しにした罪を『蛇身』に着せたとして。
| 
| 誰も真実など分からぬ。
| 全ては歴史の闇の中。
| 
| そして、現代に蘇った『蛇身』。
| 闇に潜み続けた老人。
| 
| 二人の線は交わらずに消えた。
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160死夢見 ◆XDD/DkyjV6:2022/04/17(日) 13:25:06 ID:xtmZoURYMM


                          (  _
                          >::::::::::::`::ヽ  \
                          /`ヽ:::::::::::::::::::::ヽ.._j) 
                              ハ   `>::::::::::::ノ::::ハ 
                 _r、>ュy⌒::人  ヽ/´ ̄ア⌒j┤
               _ノ:::::::::::::::::::::::::::{__j≧ュ。_`ー--  」 
         _ ―ァニ=、ケ> ´  ̄ ̄`ヽrュ ̄__≧、    ノ 
     , ィ「 ̄ _= ´   /          マ_)    ̄〈:ヽ/ 
   /:::::/ー ´    ,        、.      l.  ヾー、 ´ 人          …………。
   アr::ハ{        /         ヽ: .    マヽ ゚¨ イ /ハ  
    ソ ヽ    /              :\.    \`⌒、:ヽー'   
          ,              j/ ヽ:.            
        /              /       __ >ュ、    
          /        . : : . .    /     ヾ<ニニ 、    
              . : : ;、__         ヾニニュ ヽ   
     /      , : _ <              〉ニニ  }  
   マV      /: 「ヽ  \             /ニニニ/   
  ≧ァ        : : j!ト \  ヽrォ           /ニニニ
   /     \. : :{≧}>、ヽ  ー- 、      /ニニ/
  r〈      _)、<マヽク≧「 Tー--、_ァ /j  rアニイァ
  ニハ_r=y´ニニニム マ」-ァ=ュ__{ヽ /「/ハイア⌒ヽ¨
  ニリrトニ{ニニOニ>\≠イリ  `ーヘ {リ 〈_ァ rv≧'-_
  ニ7≧マニ≧彡´    ヽ⌒      L/  ーヘj_)-=ニ≧ュ_
  7ー≠キニム ̄アヽ    、              ` マニ≧ュ_
   r――=、ニ人ニニム    \                ` マj

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| 猫のように身を屈め、左手は鞘。右手は柄を握るか握らないかの微妙な位置。
| 弧を描くようにキオの周りをじわじわ歩く、少しずつ距離が縮まる。
| 
| 対するキオは、自然体。イナミから視線を外さずに、ゆっくりと深い呼吸を重ねる。
| 張り詰める空気、西部のガンマンの決闘のように、互いに動くタイミングを見計らう。
| 
| 決闘。
| 
| これは決闘である。
| 『血族』の『緊急事態対策班』員キオ・アスノと、『十二の封印像』が『蛇身』イナミの。
| 
| ヒトと悪魔。異能者と剣士。弟子と師匠。幼きものと老いたるもの。定命と不死者。
| あるいは、男と女。
| 
|「ッ」
| 
| 遠く、爆音。それが開始の合図であったかのように二者は動いた。
| 疾風のように、互いに目にも止まらず、超感覚で動きを理解。
| 
| 稲妻のごとき抜刀。超能力による見えない腕を寸断。
| 跳躍、足払いする見えない指。かかと落とし、空中への念動波を足場に距離を取る。
| 
| 有効射程から離脱して、イナミは肉感的な唇を歪めた。
|_________________________________________________
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161死夢見 ◆XDD/DkyjV6:2022/04/17(日) 13:25:17 ID:xtmZoURYMM


     {::::::≧ァー-、 。        ̄ ̄ 三ニ                  j!
      キ:::::::/ r⌒ヾ 、_ rォァ  ・                         /
     ノ::::::::{ j ィ,   `マ::> 、_           __          i!
    /:::::::::::ハ_  /   ミ::ア⌒ ̄ ̄ ー== ___二ニ≧ュ、_  ミーリ 
        Lイ ヽ    Y:r-:、             ̄ ̄__ ̄ ̄`マーニj 
         ムr‐、-リ    j:!  ::}                  : : :{!ヾ////「  
         ゝ-’_,   {:  リ                    :ム  //リ  
          {_(::人   ヽ {                  __,  ノ   /         やるようになりやがったな。
           ィュ、 ` ヽ .         ,,            ´       
   ̄ ̄  `  、 {`´    ハ        /_    __           /   
           ヽ   _jハ       {⌒ヾマ三二 ーァ/ア´     /     
             \-'   }         \ヽ _ ̄ フ/    /      
               ヽ_ノ。          ヽ_ ゚¨ ン          
                 \ハ、              ̄    /       
                  \:::ヽ..                /

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|「鍛えられましたから」
| 
| 僅かな攻防、距離を取ったのはイナミ。しかし口元には涼し気な笑み。
| 対するキオ、汗を拭う。緊張した表情。
| 
| 互いに強みと弱みを知り尽くしている。
| 前に会ったときから、キオがどれだけ成長したかが勝敗を分ける。
| 
| 刀を納めるイナミ、神速の抜刀術の構え。万物を両断する恐るべき凄腕。
| に見えるが、実際には魔力を使わぬ単純な剣術。
| 
| 剣の天才が生涯をかけて研鑽し、それでも手の届かない頂。イナミはそこに手をかけている。
| あと一歩、いや数歩……あるいはその先があるに違いないが、とにかく人類の到達点を実際に見た。
|
| そして手の届く範囲にいる。
| 
| だが、見方を変えればそれがイナミの限界点。
|
| いかなる理由かは明かされぬが、人間の姿で人間並の力で、人間が培った技術で戦う。
| 時に限界を越えるために魔力で補佐をするが、それでも人類に可能な範囲。
| 
| そこが、弱点。
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162死夢見 ◆XDD/DkyjV6:2022/04/17(日) 13:25:32 ID:xtmZoURYMM



            ,リ i       {
              j           リ   .>ニ三 ̄ 二=- 。
              }           h  /: : : : : : : : : : : : : : \
                j         {ィ': : : : : : : .ィ: : : ',: : : : : : : ヽ
            i          } /: : : : / ∨: : : ,: ヽ,: ', : : ∧
            |         , j !: : .イ \  ' ,: : ト、: ト、 i : : : ∧
            |         ,'  { j/_,。ニ=ュゝ, \| ヽi ヘ|: : : : i
            |        ,  :|   「秘才′   "}≦ェュリ: : : :リ
            i!      ,    !   込 リ      :機オ」L: : : ソ_
           ili|          i!      丶 ,  ` -'’ 7 イ l l
           ilil         |!      __     /ア { l l
             ilil|            リ,    ,仁二二 ',    /ヒソ: ト、.l l         次は、僕から行きます!
              ilili!            ト、   !    _ l!  .イイ: : : : : l l
           ilili|            j i \    ̄    イ: : : : : : : _| l l
          ililili            Ⅱ i!  > 。 _ <ト、.ィュ: : r,リ´  l l
          }ililil            |  ト,  j .イ ヘl `Yヘ.──‐┼l
          ilililヘ 丶      イ≧ュ!',!  ¨j 7.イヘ   l  >ァ─ァイ
          Ⅵj '。  \    /i≧il }   {// ∧  i     j  / ̄ ヽ.
        .。仁Y!   ,   `    |三i! !  {!     i, '   i' ,   __ ヽ。.,
        ∧ニニi   ',       j!  lリ   }    レイ   .イ ,  ´     
       ∧ニ三!          |   i   {    i,'    リ j   .ィ´   
       ∧三三!            i!.  l!   ヽ   i   、/ リ  /     
      ,' ,'ニ三i!           |  i!    リ   i   ,' / i/      
      ,i ニ三三i           |  i    i'    i!  / ,'  .i       
     ,i二,三三i               l  i!   ,    i'  ,  ,   {       
     i!三三ニイ             l  |   i    i'         ト<     
     i!三三.ハ     /      l  i   i!    i  / ,'   j三三三二ニ
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      ∨  /              |   !    i    i  iハ     j三三三三lⅣ
       / /                 !   !    !   i  l i,     iハ三三三三Ⅳ
     / ,. '                  l /!   j   l  /  ',    i三三三三i´
    /                     j  i     {   l /   ヽ。    トi三i三三ハ、
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  i   /.<                i i         \iト、      ' ,    'マi三
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| イナミが負けた相手。ダースベイダー、石田
| つまり、超能力による全方位攻撃。
|
| 石田の強さは十二人分の超能力を操れるという単純な出力だけではない。
| 石田という男が戦場を俯瞰し、適切な能力を利用できるからである。
| 
| 石田の戦い方は単純だ。
| 超能力も『板』の形に限定することで無駄な脳力を使わない。
| 
| 『板』つまり、足場であり盾であり、面の打撃。
| イナミは、その面に弱い。
| 
| 人間が倒壊する壁に弱いのと同じ、当たり前の道理だ。
| 高位悪魔の圧倒的魔力で吹き飛ばせば話も違うだろうが、イナミはそれをしない。
| 
| できないのかもしれない、とキオは何度も考えてきた。
| そして結論、『できるが、したくない』。
| 
|「来いよ! お前の力を見せてみな!」
| 
| だが、面で押し切るのはキオ単独の能力では不可能。
|_________________________________________________
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163死夢見 ◆XDD/DkyjV6:2022/04/17(日) 13:25:45 ID:xtmZoURYMM



                   マヽ         { ヘ    /  7
  r=- ,,__           マ ヾ、     i! rヘ}  __./r=77
  `=-,,__  ̄ ''== -- ,,__   .マ、 ヘ   r }ヘリ<ヽ >、::レV
      '' =- ,,__ "''==r--\マ{ヘ}.、ヽr'=yく  ン. /7 V/i<二二ニニ=====---
           "''=r 、`'ヾ_,,,,_ヘ`<::>`f 、<ン'::く`rv' .!:::::::`ヽ
             >、 ̄"'''"=-- 、 マヾ:{\{`マ<::::`}i!、 }i!ヽ、 ̄
           r、 /:::::::` <     `}===、ヘ、_}、 リ}`リ_:::::}レ' }ヘ
          , rラ:リ/::::、::;,ヘ、    リ:::::r=::ヾ`'r>.'::::::V:k、/:::::/ヽ__
        //::r.':::::::::::::> 、___rイ、:::::リ::ヾ ̄ マ__マ/V:::} "''マ rヘ:'' ,,
       /イ::://:::::,r= '-く、 ,イ::マ', ヘ:::::::f==--',::ヘ::::::V    レ `'' ;;::"'' ,,
     /'  `'"ン::/「f::::|:::::ト'/ " >、マ ヘ::::',______',::::ヘ::::}        "'' ;;::"'' ,,
    /   , イ{レf  ',L___フ'  ./| リ 、`=_ニXrヘ|リ、"''''"           "'' ;;:'' ,,
..  /  , イ  , 、_{   /   }../   !、::::::::>、// リイ.、ヘ、                   '' ,'':: ,,
./ , イ   ,イ }ハ ,r=f"''=-く   _,Lr、:::::::::::::::}ヘ ン、-、 } 、 `''= 、              "' `,,
. ,.イ    ,イ  {::::レ:::::::L_::::::::}  r' /rく"ヾ ̄>rく:::::ヘ |、ヘミ 、"'' =- ,,__
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   ,.イ /  .{:::::レ{  リ、.},ヘヽ/ /ラ'::X/ ./|i ',  } `r' i!_____{` < 、
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| 代わりに、キオが目指し辿り着いた答え。
| 不可視の力にヒト型のイメージを与える。
| 
| 『それ』が武器を振り回す。遠距離からの見えない腕や衝撃波による攻撃よりも素早く、テクニカルな動き。
| 有効射程が短くなるため、キオはズンズンとイナミに近づく。イナミは様子見しながら鞘で受けるさばく避ける。
| 
|「ンだコリャ、使い魔の一種か?」
|「はい。僕が考える最強のイメージを投影したヴィジョンで、自律機動してくれます」
|「はぁーん、それにしちゃあ……」
| 
| 背は低い、腕も足も細い、俊敏だがパワーは高くない。
| 片手に持った武器を高速で振り回す。武器部分だけは超能力の密度が高い、だが、それにしても。
| 
|「あのな、超能力で作った下僕がヒトガタにこだわってどーすンだよ」
|「でも」
| 
| モゴモゴと反論するキオ、イナミは舌打ちして神速の抜刀。そして?然。
| 縦にした武器を両手と膝で保持することで、必殺の斬撃を防がれた。さらに困惑。
| 
| 距離を取った不可視のヒト型が、武器を腰部に下ろして、猫背に丸まった。
| 飛び掛かる直前のネコ科肉食獣のごとく。
| 
| キオの、イメージする、最強。とは?
|_________________________________________________
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164死夢見 ◆XDD/DkyjV6:2022/04/17(日) 13:25:57 ID:xtmZoURYMM



              /ハ::::::::`::::ヽ
           j/ ̄ヾ ̄ ̄≧`ヽ
            |  、_     ̄!                え? おまっ!
           V´ ト:: ̄ ̄`7r⌒!               卑怯だぞバカ!
              !  `_  u ´ _ノ::ヽ-、
           人 `V_}   {⌒ヾ::j::_}
          (  >     ィ八__ノ`Y ア、-ー-
           ¨  个 <     r三> ̄    `ヽ__
                ヾrァハ 、_,,ノ ヽ_ァ       「/≧
              ノイ 7T「 j ト、}\}   イ     |////
             ,   j/!ハム/ヽ}       ≧= rL///
               j      ハ          }  ∨//
                ′ ー-、/  ム        ノ  ////
              /    /  ハ   ム     _r-イ//ィ´
           /    /    }_ _ ,,-=≦/>ー'´  l
           厂77777       ーァイT、/リ‐´    !
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|三三三三三三三三三三三/ /_. / / ̄ / ,ィ |  7 /ン ) / /_. / / ̄ 7 /ン ). // 〉 〉  // // / /三三三三三三三三三
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| 神速の抜刀! 不可視のヒト型による必殺の斬撃を、思わず同じ姿勢で防ぐ。
| つまり、左手と膝を刀身に当てて刀を盾に。
| 
| 自らも飛んで不可視のヒト型から距離を置く。
| 仕切り直しのために納刀しかけ、イナミは舌を打って唾を吐き捨てた。
| 
|「その……ええと」
| 
| イナミの罵倒が応えたのか、もじもじ落ち着かないキオ。
| だがすぐに思い直したらしく、拳を握って向き直る。
| 
|「卑怯じゃないし、ヒト型でもいいんだ! やっぱりどう考えてもイナミさんより強いものが思いつかない!」
|「だからそれが……ッ」
| 
| そんな事を口にして憚らぬことが、そもそも卑怯なのだとイナミは思う。
| しかし、なぜそう思うかを解説するのは難しかった。
| 
|「僕はこれであなたに勝つ!」
|「パチモンで勝てるかよ!」
| 
| 不可視のヒト型は、本来石田対策として編み出した。
| しかし、イナミは石田に負けている。では、どうやって勝つつもりだったのか。
|_________________________________________________
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165死夢見 ◆XDD/DkyjV6:2022/04/17(日) 13:26:09 ID:xtmZoURYMM



                    _ 。 -‐ ‐ュ,
                ,.。 '":::::::::::::::::::::::::::::`丶
             .イ:::::::::::::::、::::::::::::::::ヽ,:::::::::::\
            .ィ:::::::::::::::‐- 。.ヽ,::::::::::::::',::::::::::::::ヘ
          /:::::::i:::::::ヽ,_:::::::::::'ーx、:::::::::i::::::::::::::::::ム
       ,'イ:::::ソ\:::::ヘ ア>=ャ, ヘ:::::リ::::::::::::::::::::ハ
       }:::::::リ  `'<ヘ仏ハラ′ `ヘ::::::::::::::::::::::::i!          ヴィジョンだけなら勝てないけど!
       V ム'¨>、   ヾ ソ     Ⅵ.ィ:`Ⅵ::::リ
          ヽハ代リ            〉ヘ.i ヘ l
          `i  ヽ 、         .イ ソ:::::::::::`ヽ,
           i     __         l{`´::::::::::::::::::::::l
           ' .  ゙   `      .ィ {:::::::::::::::::::::::::::i
            /ヽ.      . '" イア ノヘ. ヘ ノ`
             ∨i:::ヽ. _  .イ .ィ´  ヘノ >'ー‐──一ュ、
             ∨ヽ,ィ¨  〉 jハ    /   >'´  ̄  ̄`丶,
               ハ />' ヽ.  /   /          ム

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|三三三三三三三三三三三/ /_. / / ̄ / ,ィ |  7 /ン ) / /_. / / ̄ 7 /ン ). // 〉 〉  // // / /三三三三三三三三三
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| 不可視のヒト型が飛んだ。キオの作る念動の足場を踏んで、衝撃波に合わせてロケットみたいな加速。
|
|「へぇッ!」
| 
| 迎撃しようとしたイナミが、己の足元に出来た不可視の足場に笑みを浮かべる。
| 足場というか、すねの位置に置かれた横棒。気づかねば転倒していた。
| 
| 空中を蹴って、アリカみたいな飛び蹴りをするヒト型。避けた先に産まれる足場。
| キオの異常な空間把握能力を駆使して縦横無尽に飛び回る。
| 
| イナミの感覚、周囲に浮かぶいくつもの障害物。だんびら振り回すには厄介。
| そして、不可視のヒト型は障害物を無視し、一方的に飛び回れる。
| 
| なるほど。イナミはニンマリと笑った。
| 良くできている。こいつは厄介だ。
| 
|「褒めてやンよ」
| 
| 妨害、コンビネーション。そして不可視のヒト型による強烈な打撃。
| 芸術的だ。よくぞここまで研鑽した。イナミは素直に感服した。
|_________________________________________________
|三三三三三三三三三三三_7 /〈 〈__ ./ /7|./ ∧\ ./ /__〈 〈__ / ∧\ 〈〈 / /  〈〈.∧∨,/三三三三三三三三三
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166死夢見 ◆XDD/DkyjV6:2022/04/17(日) 13:26:38 ID:xtmZoURYMM



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                    ィ:: ̄::`ヽ_ })
                   r'=::::::::::::::::ヾ
                   j    ̄三ーハ
                r-、tァ=ュ_j/  /
         __ _> ⌒ヽ__}マ  r::ト 、/
                  ミ \  。  人          フッ。
         =-__   人トァ、ゝ ´イ ヽノ
         三    三=z_ 弋⌒ヾ、
          ̄7 ー= 三_  三= z三
          /         l ̄=    =―
         /j    、 _ ノ     ̄ ̄三=
         ゝ/     j             ̄
          |      /
         ノ    ムュ、
           /    〈_フニニr=ァ
         _r-ォ=ニ} ト-'´ ̄¨
        ニニニニニj」
        ニ=ヘ「 ̄ ヽ
           ムニヽ \
            ムニニム  ヽ

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| 不可視のヒト型の手に当たる部位を、柄頭で打つ。
| 狭い場所、屋内での戦闘には相応しい剣がある。
| 
| 刀身を左手で摘む。引くことで柄頭を打ち込む。細かい動きで撹乱、防御、打撃。
| 距離が開けば左手は離す。コンパクトな動きでの切りつけ、突き、蛇のように巻き付く打ち込み。
| 
| キオが初めて見る、想像もしていなかった動き。
| 剣術だ。イナミが封印前に修めた技術、あれだけの達人だ。無いわけがないのに、失念していた。
|
|「この程度か? ガッカリだぜ!」
| 
| 不可視のヒト型が胸を貫かれて砕ける、キオは奥歯を噛み締めて次を呼び出す。
| イメージしろ、さっきより強い。イナミさんはもっと強い!
| 
|「まだまだ! ぶっ飛ばしてやる!」
|「ははッ、いい子ちゃんはオシマイか!?」
|「今更イナミさんの前で!」
| 
| 不可視のヒト型の猛攻、だが今度は容易く捌くイナミ。もはや手の内の見えた手品扱い。
| 
|「カッコつける必要は無いって?」
|「ある!」
| 
| 壁、妨害、未来が見えているかのように逆に利用される。
| キオの目の前が赤くなる、目の血管が切れたのだ。垂れる鼻血を手鼻で拭う。
|_________________________________________________
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167死夢見 ◆XDD/DkyjV6:2022/04/17(日) 13:27:06 ID:xtmZoURYMM



                           |    /: : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : ハ  !
                           |   .イ : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : ム, |
                           |   , ':: / : : : : : : : : : : i: : : : : : l: : : : : : : : : : : : : : : : : ム !
                           | /: : / : : : : /l : : : : : l : : : : : :i!: : : : : : キ: : : : キ: : : : : iエ|
                           | }: :,': : : : /: : i!.: : : : : ', : : : : : i!: : : : : : キ: : : : キ: : : : : l .|
                           | Ⅵ: : . ィ’   ', : : : : : ',.、: : : ∧ 、: : : : : ': : : : : ', : : : リ .|      好きな人には
                           |  Y: :/ /!¨ ヽ   ∨.: : : .∧\: : : ' ,\: : : : ',: : : : i: : : ハ:.l      いいトコ見せたいだろッ!!
                            j。-‐Ⅵ,ヘj .> ヽ。, ∨ : : : ∧ \: : ∧-メ、.: :.',: : : l: : : : : ”¨丶,
                    _,.。-‐ニ ∨ ∨ ハi i  心ムヘ \.: : : ∧_.。ィ≧ャ,\ ヽ: j: : .イ: : : : : ', ¨”
                 ,、,ィ´,      ∨  /: :l丶 Ⅵ仆!ヘ  \:: ∧ィ任ム¨ヽ¨   l/i/ i: : : : : : i
          .。-‐ニニ二’    丶,     i   レ1 } /:; ゞ ィ’     `<!Ⅵ叨 /    、   /: : : : : : l≧ェュ,_
       .。イ’           `ヽ \   l    Ⅵ:;/           ゝ -‐i:j   ノ , ': : : : i>ヘl'´
 ̄三三二                   |     ハ     〈  ,            .、_ .ィ /\: :/
                           l二二二 ヘ    r- ij__         , 'ハ/   7’
       !  ,                   |      j\   ∨  ̄∧       //      /
        j ,'                i     ,'  \ ゝ。. _ j   .< ,仁二二ニ7
        /               ノイl      /  イヘ > ._ .。 ≦’    /      7
         /             _ ,.。 'i  丁¨¨¨7 / i `ー、ヽ,ィニ’ノl,    '     /
 ヽ               _ . >'’   ∧  .i       |   `y  ¨ヽ,   j     /
             ,ィ''¨”       ∧ l!         i    .{;    ∧ ,'      /   ',       /
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| 集中力が途切れていた。妨害は失敗していた。
| 不可視のヒト型の援護は不足していた。
| 
| タイミング最悪で、不用意な一撃を打ち込ませた。
| 防がれる、また破壊される。キオは頭痛に耐えながら絶望した。
| 
|「ぐへぇッ!!?」
| 
| 直撃。イナミの肋に不可視のヒト型の武器が直撃。
| 身体をくの字に曲げて悶絶するイナミ、咳き込みながらくずおれる。
| 
|「え?」
|「ぎゃっ!? てめッ!」
| 
| 自律しているため追撃で殴る不可視のヒト型を慌てて停止、脇腹を押えてうずくまるイナミに駆け寄る。
| 
|「イナミさん、大丈夫ですか!?」
|「キオテメエ……卑怯だぞ……」
| 
| 直撃したのは脇腹だが、全身の体温が高い。もしかして肉体耐久性も人間並みなのか?
| 脈拍も呼吸も極めて荒い。
|_________________________________________________
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168死夢見 ◆XDD/DkyjV6:2022/04/17(日) 13:27:24 ID:xtmZoURYMM



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            l              u.     .。ィ ソ ノ:::::::::::::::::::::::::i/        ……ひきょう?
                ; r- 、             レ' ”. < i::::::::::::::::::::::ム
            ',  ̄            ヘァイ    j::::::::::::::::::::::::ハ
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                   r'¨’ 〉く         . >=ハ
                  リハ  i 1     .>'"      ',
                  /  _」 :i  ,.ィ'’            ハ
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|「こンなのズルじゃねェか! イカサマ野郎!」
| 
| 剣を杖に立ち上がって喚くイナミ、キオにはなんのことか分からない。
| 本当に、分からないのだ。極限状態で己が何を口走ったのか、曖昧なのだ。
| 
| 手を差し伸べるキオ、振り払われる。
| 次に差し出したハンカチ、盛大に鼻をかまれてポイ捨て。
| 
| だが、次の瞬間イナミが顔を上げた。
| そして舌打ち、ため息。
| 
|「ドーモ、『蛇身』サン」
|「ニンジャか、めんどくせえなぁ……」
| 
| 伝令ニンジャのエントリー、イナミはハエでも追うように手を振る。
| 
|「俺とこいつで賭けをして負けた。今から俺はキオ・アスノの客分になる」
|「!!」
| 
| 喜色満面のキオ、驚くモブニンジャ。『蛇身』を仲間にできたなら、戦力としては大幅増強間違いなしだ。
| 
|「石田班、佐倉班がカトルカールに敗北。死者はなし。趙雲殿がシロッコ側の将兵と思われる一名を拿捕」
|「ありがとう。じゃあ、杏子さんたちの方に行きます」
| 
| 伝令ニンジャは方角を示して移動。
| それを見ながらイナミがコートを拾いタバコに火を付ける。
| 
|「どういう変化です?」
|「負けは負けだろ、あーあ」
|_________________________________________________
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169死夢見 ◆XDD/DkyjV6:2022/04/17(日) 13:27:40 ID:xtmZoURYMM



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             ′':::::::::/ヽ:::::::::\ヘ、:::::::::::\::::\:::::::::::i::::::::::::::::!
            |::::l:::::::::′  \:::::::ヽ, >=ニ<`ヽi:::::::::/::::::::::::::::!
          V i:::::::ト=ー ュ, `'ー一` 仏.き 7  ,}:::::/i::::ィ:::::::::::l
          ヽ!:::::{ ,.rェォ,      '弋少 '  // レ'´`ヽ,ヘ{
            \{ : 心リ       “¨   ′  .ィヽ  l::::ト、      イナミさん。
             iゝ` ” ,               ノ   ノ:::::::::ヽ,     僕のお嫁さんになってくれませんか?
                i    ヽ `            ィ’ ノ:::::::::::::::::ム
                  .     、ー‐- .          r=≦:::::::::::::::::::::::リ
              ヽ      ̄        /{::::::::::::::::::::::::::::::リ
                〉、             i.,:::::::::::::::::::::::::ノ
                   i:::::> 、   _,.     ,.。ィ ∨ . ヘ∧/
                  ヽ,::::::::::::: ̄ i   ,. ≦    ∨ュ,
                      ∨ヽ r.イハ  /ハ    /   ≧rュ。_
                 _,.。≦ハ j r’.ノ  ∧   /         ≧rュ。_
             _,.。≦’   // ヽ,ィ ィ’ ∧/             ≧ュ
           ィ仁        /   /     /                   ´  ム
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|「ブゥーッッ!!?」
| 
| 勢いよく吹き出してむせるイナミ、鼻からも紫煙が上がる。
| 
|「テメエ、このタイミングで言うかよ!」
|「賭けとは関係なしです。僕がイナミさんの足を引っ張らない程度には強くなったのを見てもらえたでしょ?」
| 
| 敗北を理由にとか、そういう言い訳を許さないスタイル。
| しかし、キオはまだ中学一年生だ。イナミはどっか行ってしまったタバコを探す。
| 
|「クソつまんねー冗談だ」
|「本気です」
|「もっとつまらなねーよ、バーカ」
| 
| タバコを諦め、コートを着ながら次のタバコを探すイナミ。
| ポケットを順番にひっくり返すも、ゴミしか出ない。
| 
|「タバコはやめましょう、体に悪いですよ」
|「悪かねーよ、悪魔なんだ……そう、俺は悪魔だ。人間の嫁にゃなれる訳ねーだろ?」
| 
| 正論である。
|_________________________________________________
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170死夢見 ◆XDD/DkyjV6:2022/04/17(日) 13:27:54 ID:xtmZoURYMM



                 ,.。-‐=ニ二三 二ニ=ュ。,
                 .ィ´:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::\
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           i:::::::::i:::::::::i:::::::,ノ   \:::\、:::::::::ヽ,:::::::::::', l
           l:::::::::l:::::::::ト,::::l _,.,-‐ -\:::\`'・ャ、 >:::::::i'
               iリ:::::::ヽ,::::i∧j .。=≠ミ、  `'ー' r=ニキ,〉::::/
              l::::><::::{   {i lト' イリ    :心:リ ij iムノ    イナミさんほアラブのマリードですよね?
          .ノ::::i'´ハヽlヽ'   丶弋ソ     ,  弋ソ'’li::!
         /:::::::ムヘ L      ¨"    . 〉   " lリ,     あちらの女妖精は日本や中国の天女同様、
           /::::/:::::`ゝ,._         ____      ノ::::ハ     しばしば人間と交わり子をなすと言います。
        レヘ::::::::::::::::::::::勹。       l  ヽ/   /::::ハ リ
          ∨ヘ:::::_.イハ ヘ.    ` ー'″ /::::/ ′
           .>'’  i ヾ丶. ≧ ,_   / =‐く
          _.>'’     i  \≧ュ。.,_ ̄ ア!     ヽ,
       「丶,       丶      リ ̄ノ      lム
        j'´ヘヽ        \、_   /_ /      リ ト、
        /  ∧         i  ̄ニ!   i      / リ└ュ

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| 調べやがったなこの野郎。歯噛みするイナミ、キオが芝生から何かを拾い、泥を落とす。
| さっきのタバコだ。にっこり笑って差し出され、イナミは渋々受け取った。
| 
|「つーかてめー『血族』だろ? 婚約者とかいねーのか?」
|「じいちゃんが勝手に言ってましたけど、別におたがい望んでないので」
| 
| 大首領藤堂志摩子か、翠星石のどちらかを孕ませろとかいう話である。
| キオだけは、とっくに流れたと思っている。
| 
| そう、キオだけは。
| 
|「好きな女とかいねーのかよ」
|「イナミさんです」 
|「そうじゃなくって……」
| 
| 頭を掻きむしる、話が通じない。いや、何を言っても揺るぎないと言うべきか。
| 
|「顔も見れねーし、いつも裸の女だぞ!」
|「理由があるんですよね?」
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171死夢見 ◆XDD/DkyjV6:2022/04/17(日) 13:28:10 ID:xtmZoURYMM



                 , ィ:::::: ̄ ̄\
                ィ::::::::::::::::::::::::::::::ヽ
               ├- :::::::::::::__;> ´|!
               }   ̄ ̄     リ
               {トュ、_j   _r-y        ……裸はシュミだ。
              ノイ  <`  ̄ ̄j:イ ノ!        目が見えねー分を皮膚感覚で補ってる。
               人ューァ    j /:::{
                 イ//ム´゚   ィ マ^マ=ュ、
           _j´7////r-' ー彡/  ゝァ「ア_ミヽ
       ィ=77///r-彡=≠:::ハ   rイr'     ヾハ
     イ//////人「 ̄   /ァ/リ7ァォ「トj          マ、
    〈//////イ//l!  ヽ /⌒, ´Yゝハ/`        \
     `ー=ー-=' ̄ ̄/  /          イ、    ヽ
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                /  /j           ノ  ム≧、ィ///ハ
                 /  /ヽ       、_ ィ  /ニシ ヾ/////
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            ノ:::{ rュ、 ハ       ,,イ  /     /////
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          ({:::::ハ/   ̄` マ  >、   イ /_    _/////
           ヾ      / `マ \ / j//77イ/////

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| それは趣味ではなく実益である。
| 周辺の気配や諸々を皮膚で感じ取っているのだ。
| 
|「親御さんが許さねーぞ」
|「父さんなんて知りません。じいちゃんは絶対に反対するけど」
| 
| 年相応の子供らしさでプイッとそっぽを向くキオ。
| 狙い所だ。イナミはニヤリと唇を歪ませる。
| 
|「説得してみせろよ」
|「僕はイナミさんの故郷に付いていくつもりですけど」
| 
| 『ネクロノミコン』回収の使命を遂げたイナミが帰国するのに付き合うと言うのだ。
| イナミは舌打ちした。甘く『必ず帰るから待っててくれよベイビー』とでも囁いてバックレすればよかったのだ。
| 
|「それは俺が誘拐犯になるじゃねーか!」
| 
| キオが、付いていくと言ったら本当に来るのをイナミは知っていた。
| 勝手に人質になったほどの男だ。行動力は認めている。
| 
|「下の毛も生え揃ってねーガキが」
|「じゃあ揃うまで待っててください」
|「ンなヒマあるかよ!」
「今更三年くらい待てないんですか?」
|
| ぐうの音も出ない。
| 何しろ江戸時代初期からの探索行だ。待たれているかも不明である。
| 
|「なんにしろ、冗談じゃねー」
|「じゃあ、毛が生え揃うまでにイナミさんを納得させるほどいい男になって、じいちゃんも説得します」
|「もう、勝手にしてくれー」
| 
| 両手を上げて、イナミは降参した。
|_________________________________________________
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172死夢見 ◆XDD/DkyjV6:2022/04/17(日) 13:28:24 ID:xtmZoURYMM



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          i:.|:::::::!::|.:::|.:/--',:::.:.:./!-|ト',:.:.!、!:.:.|:.:.!!
          l::l!::::::|::!メ/リr=、、ヽノ ' :::::::::::::!|:.:i:.:.リ
          ヾヽ:::::!V´ト'::: }  ::::::::::::::::::: }ソイ:.:/
            /:iヽヽ ヾ='   :!  ::::::::::::::::::::/イヽ           う……あ……?
          /::::!/ ',`                /、i:.:.:\_
         ´ーァ::::ヽ、 ',       ‐‐       /シ.:.:.:.<
          7::::::::::7 ヽ          /´!:::::::く´
            !/'イ::i⌒!`i 、      ,.イ´!´|::_く´
              '〈:;:、〉ィ| `` - '´ |リ〈,:、〉
              /.:〈 ノ!       ト、〈:、〉
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        !:::/        _二ニ`ゞ '/,r'二.._        ヽヽ
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| マーガレット・バートンは目を覚ました。ひどい頭痛だった。頭の中で鐘が突かれているかのようにズキズキ痛んだ。
| なぜ眠っていたのか記憶にない、体中も痛い、冷たく硬い床に倒れていたのだ。
| 
| そのうえ寒い。この真冬に、身体を濡らしてそのまま寝ていた。風邪を引くのも当たり前だ。
| 重い頭、視界がやけに悪い。顔がつっぱる。何かが干からびてへばりついていた。
| 
| ……その瞬間、思い出す。
| 
| 頸動脈を切られて倒れる球磨川。
| 腹を掻っ捌かれてちぎれた内臓をはみ出させた咲夜。
| 
| そして、己の眼球を貫くナイフの感覚。
| 視野が狭い、片目をつむったままのように。見慣れぬ天井。他の何も見えない。
| 恐る恐る顔面を触ろうとして、マーガレットは体が全く動かないことに気が付いた。
| 
| 指先すら動かない。声も出ない、呻くしかできない。
| ……そんなとき、視界に何者かが入り込んだ。
|_________________________________________________
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173死夢見 ◆XDD/DkyjV6:2022/04/17(日) 13:28:36 ID:xtmZoURYMM



     /: : /:: : : / : : :.!:: : : : !: : !: : : ヽ:: : : : : ',
   /: : /: : : 斗--、 :|: : : : :|: : | ,ィT: ',: : :ヽ : !
   |: : |: : : : : |: /  \: : /|:.ィ: :ヽ: : :.|.: : : ト、:|       よう、バートンの娘。
   |: : |: : : : /!/ ⌒ヽ| :/ |:./⌒ヽV: |.: : : | V       ヤンチャしすぎだぜ?
  < : _: : : / 〈  ノ |/  レ ヽ }|:./ヽ: : :|
  <:: |. 小{   _,,.. -    、-.,_ レ{: :.|ヽ:|         こんな所で死なれちゃあ、
   厶ヘ ハ         、     {ハ,;' ((         あの世でお前の親父に顔向けできねー所だったぜ。
      \_!         '     ! ( ( ヽ) ホワ〜ッ
        ヽ    'ー―--    / ヽノζ       _
      ___,r| \         / | ̄ ̄ ̄ ̄ ̄|ゝ'゙___ `i
    /:/::::| \  ヽ _ , ィ´   |          |Y__  !
  /::::::/::::::|  \   ´ ∧>、. ',       /コ__  ト、
/:::::::::::/::::::::|    \  /  ! ,r-'' ヽ、__/  !、___   l i ヾ

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| 伊藤誠。この日本にマーガレットを亡命させた男。学園理事。
| 
|「まあ、俺はしばらく地獄に行く気はないけどな」
| 
| ゲラゲラ笑いながら、誠は血まみれの手袋を外した。
| 肉片や脂肪の付着した手袋。なんだ? 何をしていた?
| 
|「俺がいなきゃお友達みたいに死んでたぜ」
|「……え」
| 
| マーガレットは恐怖した。氷のように冷え切ったはずの心が、怯え竦んだ。
| 死んだ? お友達? だれ? 誰が死んだの……?
| 
|「とにかく、命を助けたんだ。お礼代わりに頼まれてくれ」
| 
| 死の衝撃が強すぎて、うまく考えのまとまらないマーガレットを無視して、誠はニヤニヤ笑いのまま続けた。
| 
|「身体で支払っもらうって奴だ」
| 
| 本能的な恐怖を誘う下卑た笑みで、誠はそう告げた。
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174死夢見 ◆XDD/DkyjV6:2022/04/17(日) 13:28:49 ID:xtmZoURYMM

☆ 次回予告!

 ひとつめ。
 最初に作られた喰らうもの。奪うもの。
 無限に力を溜め込み。いかなる魔力も吸い尽くすニ柱。


 ふたつめ。
 後年作られた生むための器。貯めるもの。
 下僕を産まず、力を集め。巨体に至った太母。


 みっつめ。
 対策のための新たなるもの。侵食するもの。
 動型のすべてを食い尽くす、狂気に侵された哀れなるもの。


 よっつめ。


次回、最終幕九十話『第四の万魔』
 果てから至るは破滅の化身。

175 ◆BLUEpl1Jp.:2022/04/17(日) 16:54:11 ID:L8Yf03uAMM

キオ君、立派な漢に育って……

176令和もどこかの名無しさん:2022/04/17(日) 21:54:14 ID:qE8STh6g00
古来より、蛇や竜に一番効くのは愛の告白って分かってんだね(正月に宝具5で飛んできやがった恋人にビビりつつ)


177令和もどこかの名無しさん:2022/04/18(月) 16:24:11 ID:ADCQNlPESa

依頼なんだろな

178 ◆e4DpAp5mDU:2022/04/25(月) 23:44:34 ID:MFbCcXRg00

おねショタ逆転RTA?

179令和もどこかの名無しさん:2022/04/26(火) 10:02:51 ID:tloZgEh.Sa
酉は一度つけておけば、今回分と今までの獲得ポイントが適用されるとの想定だったが
都度付けてる方も居られるのでルールが読めないな……

180令和もどこかの名無しさん:2022/04/27(水) 04:13:27 ID:jq4l57tI00
ポイントはトリップを付けて安価に参加した際に貰えます、ですので投票時をのんびり待ちましょう

181令和もどこかの名無しさん:2022/04/27(水) 08:27:08 ID:nwtfHCrkSa
別ルール適用なら説明あるだろうからいつも通りの想定で良さげか、サンクス

182死夢見 ◆XDD/DkyjV6:2022/04/30(土) 09:17:16 ID:IiLXHbzwMM
先週は体調不良で投下できずに申し訳ありません。

(観客ポイントシステムの復活というよりは、酉を作中に登場させるのが目的でしてね)

183死夢見 ◆XDD/DkyjV6:2022/04/30(土) 09:17:47 ID:IiLXHbzwMM



           ____
        /´ ̄ ̄`ヽ、
        /           ヽ
      {      ,. --‐┴…ー- 、
      ヽ   /.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:`ヽ、
         /.:.:.:.!:.:.!:.:.|:.:.:.:.:l:.:.:.ヽ:.:.:.:.:.ヽ
          l:.:.!:|:|l:.:|ヽ:\:.:.:!、:.:.:.:ヽ:.!:.:.:.ヘ
          |:.ハハ!ヽl  \lヽl__\:.:.l:|:.:.:.l:.:l
       _ rヘ!/f,心ヽ   /f心ヽヽリ.:.:./.:ハ       上は大丈夫だよ。
   ,.--く  ,斗-| ヒzソ    ヒzソ }  }:.:/:/ヽハ       やる夫兄いたちが呂布さんたちを連れてってくれてる。
   {   `メ、 ヘ._! , ,    '   , ,  /ィく`),.-'┴ァ
   ヽ,r‐、―- 、 ヽ   、__,.     /_/-}―‐!`!__
  /´ ̄`丶r‐┬-\      ,. '´{,. -―-、人_|/ソ
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::::::::::::::,. -- 、::::::::`,ニ´-‐'' ´ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄``丶、! }
:::::::://   ヽ∠::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::}'
ヽ::{//    く::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::/
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| 間桐屋敷地下空洞。死闘は終わり。生存者は六名。
| 一番元気なアリカが一同を集め、秘蔵の治療符で応急処置を終えた。
| 
| 三度の奥義を使用して、致命的魔力不足の『弓兵』。
| 臓硯の狙撃で右肩と胸に風穴の空いた凜。
| 
| ターニャを助けるために自ら胸を突いた慎二。
| 『弓兵』に再構築され、慎二に再召喚されたターニャ。
| 
| そして、すべての邪気が吹き飛んだ桜と。
| いつも元気な夢宮アリカ。
| 
|「どうやったのよ」
|「アリンコを応援に寄越してくれたのは助かったが、正直どんな手を使ったのか想像もできん」
| 
| アリカに支えられた凜が、元夫と彼を支える桜を睨む。
| いや。今ぐらいはという気持ちと、くっつき過ぎ当て過ぎという気持ちのせめぎあい。
| 
| その上桜は全裸に『弓兵』のコートを羽織っただけの露出狂スタイルだ。
| 
|「ルイズさんと私でまず呂布さんと戦ってね」
|「その時点で、どう考えても逃げられないんだが」
| 
|「突然再稼働した『蒼天の青玉』に驚いてた所をミカさんと二人でぶっ飛ばしました」
|「…………」
| 
| 呂布は夢宮とは年も近い。『蒼天の青玉』には思うところもあっただろう。
| しかし、高位悪魔である『三日月』相手に致命的な隙を見せたのはいけなかった。
| 
| アリカたちは戦力的優位を得たのだ。
|_________________________________________________
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184死夢見 ◆XDD/DkyjV6:2022/04/30(土) 09:18:03 ID:IiLXHbzwMM



           ∨三三三三三三三三三三ニ/
      __  lニ>‐ '´ ̄ ̄ ̄` ー<三三/
     〈三三二ニ―‐- 、 ___     `ヽ|
     ∨三三三三三三三三三三三三二二ニ¬
       ヽ三三二ニニニニニ二二三三三三三/
       Y´::.::.::.::.::/:l::.::.::.::.::.:\::.:`ヽ::<三/
.       ,'::.::.::.::.::.〃∧::l::ヽ::、::.::.ヽ、::.`、:l:T
      |::.::.::.フ7¬‐、ヾ、:\>、:|-ヘ::.::.}::!:|
       {::.::/代了圷ミヽ. \行‐t予l:ノ/::|        もういいでしょう。
         !::.::.::.:| ゞ-'′  \  辷シ '/:/::./        呂布さんを治療します。
       |::.::.::.:ゝ       ,       厶ノ::.;′
       ヽ.::.::l|ヽ、    r-、     /::.::/
           \:ト、:j> 、   _,.ィ:´::;:l:: /
             ヽ ` ,.イ `¨´ ト、レ'|/ |:/
            __,. '´_>v< `ヽ、′
       ┌イ  //了,ハ\\ヽ `┬ァ
       /7 |  { く/ノ/引ヽヽノノ  | }-、
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|「なんか呼ばれてるって言ったら、蒼星石さんとやる夫兄いが捕虜になる代わりにあたしを開放してくれたの」
| 
| 呂布がノックアウトされている一瞬だけ許される交渉だ。
| アリカが逃げたとして、『狂死』では追いつけない。先代は治療に回りたい。
| 
| しかもその場には『三日月』を従えたルイズがいる。
| 別行動しては各個撃破の危険があった。
| 
| 『狂死』は降参した。
| やる夫と蒼星石は捕虜になった。
| 
| ルイズは? 恐らくは彼女も文句をいいながら。
| 
|「で、『蒼天の青玉』に呼ばれるがままにここに来たら、呼んでたのは桜さんだったって訳なの」
|「レナは、あの状況で勝ったのか……」「いや、普通死んでるわよ?」
| 
| 一撃で倒されて生死の境をさまよった『弓兵』の複雑な表情。
| レナは……強い女だった。死んでしまった事が不思議なくらいに。
| 
|「その……すいません」
|「どうぞ桜お姉さん!」
| 
| おずおずと挙手する桜、『弓兵』を支えているのかすがりついているのか。
| 『弓兵』の腕で押し潰されたバストは豊満だった。
| 
|「レナさんの……死因は」
|「わかんない。でもさ、あたしの誕生日九月なんだよね」
| 
| 原作準拠です。
|_________________________________________________
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185死夢見 ◆XDD/DkyjV6:2022/04/30(土) 09:18:16 ID:IiLXHbzwMM


          丶、   ヽ        レ'/ ,
       ,. -‐ 、ヾ\`ヾ  \ ト、i' |   /イ
       / r‐ 、ヽ    _z--‐‐‐' ヽ | ,   ,ィ'
     / 〈  ヽ 〉-ー'"    ヽ、 ヽ/ ,/
     | {´ ,. '          }  ∨
  ,. - " l ヽ l             iヽ./   /
''"    ヽ Y            |r':j|   l
      〉            Y´L ノj
\   / ′                 /
: : :\/  {                 {            あの時も十二月だったぞ……?
: : : : :\ l   u           \
: : : : : : :\、      r'ニ‐-、  ....::;:: ゝ
: : : : : : : : :ヾ、     `ヽ\\_」'´
 ̄ ̄`ヽ、:.:::::ヽ     、 `Y´
::::::::....: : : :\::::ヽ    ,r゙'´
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:::::::::::::::::..: : : : : ヾ  ノ

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| 仕込んだ日にちに想像を膨らませる遠坂姉妹。
| 
|「つまり少なくとも、夢宮が生まれるまでは生きていたのか?」
|「なんで死んだんだ? 全く想像ができん」
| 
| 花のように可憐になってしまったターニャを膝に乗せて慎二。
| 『弓兵』と凜の顔色はすでに蒼白だ。取るもの取らずに国外逃亡してしまっていたのだ。
| 
|「根性かな」
|「根性でなんとかなる問題かッ」
|「なるな……」「レナならありえるわね」「ですよね……」
| 
| 慎二の常識的ツッコミは、レナ本人を知る三人に覆された。
| では産後の肥立ち? どれだけ考えても、答えは出ないだろう。
|
| 実際には、出産間近のレナが寝たきりの死にかけだったなんて想像もできない。
| 桜を守りながらアリカを生むために、命のすべてを使い尽くしたなんて、思いもよるまい。
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186死夢見 ◆XDD/DkyjV6:2022/04/30(土) 09:18:36 ID:IiLXHbzwMM



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                    八:: ∧芯¨)/¨芯アノ\::.\:\            …………。
                /:: ::\:: \  ,   /V\::\:: .  :\
                    八:: :/ \:: :: ‐-  イ }   \::\::\ \
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                   {   ...| ./ヽ::.、.〈  '       }:: \  } :: }\
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              / ∧ /=‐     /     .〈    〉    )/   ..}
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                  [二 {: .       rくへヘ . . .:}二_/
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| ただ、桜だけは。
| レナの魔力で生かされていた桜だけは、なんとなく想像ができた。
| 
| 自分を救ってくれた少女から、母親を奪ったのは……。
| 
|「『蒼天の青玉』の魔力源になってたのが桜さんだから、今度こそあたし普通の女の子になっちゃったかもね」
|「普通の女の子は大の男を持ち上げられないぞ」
| 
| 先程『弓兵』をお姫様抱っこしていた。
| 
|「とりあえず、今現在安全と考えていいわね。
| このまましばらくは『エレシュキガル』の結界で休みたいのだけれど。
| 
| …………桜、アンタは大丈夫?」
|「はい?」
| 
| 『弓兵』に押し付けられた豊かな双丘。もとい桜が小首を傾げた。
| 
|「この花畑、ターニャ以外の『万魔』を妨害するようにできてるんだけれど」
|「んー……大丈夫そうです。その、ええと…………」
| 
| 口ごもる桜に、凜が眉を寄せた。
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187死夢見 ◆XDD/DkyjV6:2022/04/30(土) 09:18:52 ID:IiLXHbzwMM



         ヽ:::/     /::::::/_,,... -‐‐‐- 、 _
          >!      l:::::シ´ _,. -‐ ''" ̄` `ヽ、
        /;'     ...!::::::ヽ、´  ,     ヽ `ヽ、
       く::::::! .    .:::|____r' / /  /   ハィ⌒ヾ、
        >::! :    ::::l::::::l / ///、,ィ' /!   /、,,:;!i   ヽ
        ヽi :    ::::レ'ヽ/ l/_L/,_ト/ ! ,イ l  l:l:   ,`、‐-、
         l :    ::::l l 〉'   '`7-ヽ.`iX !|  / , ;i.  i:.. l::::::::>
         | :     ::l (    `ヾ;シ^'   __,ノ_ノ/::! , l::::レ'´      なに?
         l :.:    :::し,          ´ィ=z、_7///:::/!
         l: ::    ::::::!i         、 ゞ-',.゛イ〃:/::l     
         ! :::.    ::::| ヽ、     _ ...._ ´  /  i :l ::! ̄´       言いたいことがあるならハッキリなさいよ。
        / l ::    .::::|  \   ` ー '  , イ  | .| :|          イライラするわね。
       / / :    ::::::|    \    ,. イ::::|   l .l ::!
      /  / .:    :::「 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄!::::::l:::i:::..:  l .l ::l
     / .:/ :::    :::| ::::::::::::::::::::::::::::::l:::::::リ:::   / i:::l
    / ..:::/  ::  ____,;;シ':::::::::::::::::::::::::::::::::::ヽ__/  /::::l
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|「心配してくれてありがとう…………姉さん」
|「!!!?」
| 
| 頬を桜色に染めて礼を言う妹。
| 姉はイチゴみたいに真っ赤になってそっぽを向いた。
| 
| 姉。そう呼ばれるのはいつ以来か。
| 桜が間桐の養子になってからは、言われた記憶がない。
| 
| 二十年か、それ以上の時間をかけて……ふたりは再び姉妹になれたのだ。
| 
|「身体の方はどうなの?」
|「はい、アリカちゃんとレナさんのお陰で魔力もバッチリ。何かあったら私が皆を守ります」
|「そうじゃなくて」
| 
| この期に及んで視線を泳がせる凜。慎二がせせら笑った。
| 
|「爺さんやターニャ同様の『万魔』型悪魔と認識していいんだな?」
|「いや、明らかに違うぞ。我々ほど邪悪ではない」
| 
| 凜の代わりに尋ねた慎二、それに答えたのは桜本人ではなく膝の上のターニャ。
| 見た目は妖精のように可愛らしい幼女になってしまったが、性格に変化はなさそうだ。
| 
|「その言い方は誤りではありませんか、ええと……」
|「ターニャだ。私は臓硯の娘、間桐家の遠い祖先。
| 『十二の封印像』の悪魔『万魔』。だが今の私は慎二のかわいい許嫁に過ぎない」
| 
|「じゃあ、私の義理の姉になるということですか?」
|「待て、勝手なことを言うな。僕は悪魔の婚約者なんかいらないぞ」
|_________________________________________________
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188死夢見 ◆XDD/DkyjV6:2022/04/30(土) 09:19:08 ID:IiLXHbzwMM



              ,.、丶`` ̄,.、、..,_`ヽ、` 、\`` 、
             /´/ `Y´    `ヽ、\`、 \\),
.          、^ ,:′ ;  : ⅰ \.,_ ー- -‐ァ``丶、
         、`  ,;゙{ ∥i  ', :, ゚:,   `、``ヽく^\`ヽ\ \
          ,:',′/∥ {{八  ', 、、\ .,_\\ ``、 :,\ ':, ゚:,ヽ〉
       /, ;  { {  " \乂\=ー\\\) , )ノ、 ':,}ノノ´
     .,,_{,ノ{レⅰ {, j { i ``` ゚:,  ':, i  }i ', ヤ:, К .,_
.       j/// ∧ {':, {':, :, {\`、  ',  N ⅱ }i }^ヽノ \_))
      ,',:゙ {∥んヘ{ヽニ=-.,_ \:, }-=ニそノリ ∧人ヽ}乂__,,.
        {′i{ { { { `茨りリヽ  V茨りノ }ノ,.ィ(^i∨} ソ `ー ´    いいではないか。
      ー/Yλ {、\__ブ^`  、   ^` ーッ゙ i}リ }∧}        女房と畳は新しい方がいい。
        { {、乂 乂h、.,_ ,. -‐ァ 人___,,.ノ ノ′′
        乂`ー----‐くぅo。,,_,,、rf〔‐<(```            『ネクロノミコン』で人間に戻ったならば、
           /⌒}Vニニ=- -=ニ,イ_ニ> .,_            それくらいのご褒美はないとな。
.           /i{_‐_ー{_∨ニニニニ/_{//}}ニヽ
          /_ニ{{_‐_‐ムィヘニニニア//_‐_}}‐/ :,
.         ,;゙_‐_ⅱー=={_寸‐ア'゛/==={/_‐_',
       ,;゙_‐_ニ{_‐j/:, `、/ ノ゜/,. ァ \‐_}ニ_‐_゚,
       ∥_‐_ニヤ‐}h。,_v/ └-‐''"∠ -‐ァ゛‐}‐_‐_}i}
.      ノ{_‐_-_ニ}ニ}_,.{/ _,. -‐´__,,. 7 i|_‐/_‐_‐/{
     /‐_\‐_/{「_ー「 ̄ ̄\___ァ´{ニ|_∧_‐_/_‐`、
.    /‐、丶``_ー_{{_‐_{_/     } ̄´"''〜---‐ ⌒ヽ ゚,
.     {_/_‐_‐_‐_‐_‐、 _,∟.,_  ¦_‐_‐jj‐_‐_ ̄ニ=- ‐_゚:,}
.     {_‐_‐_‐_‐_,. <「 リ C‐)h、ノ..,,_∥ニ_‐_‐_‐_‐_‐_‐_}
      ヽ-‐ァ' /^ー{こニ==r―---―‐ヘこニ=‐--=⇒
       //  Гー===ニ{___{ニニ/ { ̄´"i'〈
     //   /}ニ=-〈 Cこ_ _‐_‐_‐_C\\_}/\
   // 、丶`У_j_‐_‐_}_`、‐ ̄ニ=ー=ニ¨{)h、_/  `、
_,,∠丶` _,.  /_‐ⅰ‐_‐]_ー_`、‐_‐_‐_‐_‐_‐_':,_‐_\   `、
   ーニ ̄ /_‐_ー{_‐_‐]‐_‐_‐\‐_‐_‐_/_‐_‐':,‐_‐_\   `、
  _  -=こ/_‐_‐_ⅰ_‐_]_‐_‐_‐_‐` .,_/_‐_‐_‐_゚:,‐_‐_‐\___〉
_ ニ=‐  ̄/‐_‐_‐_‐_‐_ニ{_‐_‐_‐_‐_‐_‐_‐_‐_‐_‐_‐_‐_‐_‐_ ゚:,

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|「まあまあまあ、あの兄さんに、こんな可愛らしい……」
|「楽しそうだな桜ァ」
| 
| 拳を握る慎二、凜が見とがめて口を開くより前に、少年の表情はフニャリと崩れた。
| 泣き笑いのような、複雑怪奇で、それでいて決して悪い感情の発露でない。
| 
|「ようやく、笑わせる事ができたって訳だ……はは、優秀な僕にしては時間がかかったもんだ」
|「……」
| 
| 言葉を失う凜、そうだった。慎二も桜を妹として認識していた。
| そして、家庭内で仲良くともいがみ合う生来の姉妹とは違い、慎二は桜を守るべき存在として認識して来た。
| 
| ようやく報われた。そう凛は気がついて野暮はやめた。
| 
|「もしかして、ターニャさんも桜お姉さんも、もう『万魔』じゃない?」
|「そのようだな。俺が錬成したターニャの魂は、ターニャ自身のものだったが……」
| 
| 『弓兵』の言葉に慎二がうなずき引き継ぐ。
| 
|「肉体は僕が急ごしらえで用意した。『エレシュキガル』の花畑が元になってる」
|「つまり、花の妖精みたいにかわいいけど、ホントに花の妖精だってこと?」
| 
| 憮然とする慎二、ニンマリ笑うターニャ。
| 魔力不足で幼女の姿だが、その可憐さは慎二が与えたものに違いない。
|_________________________________________________
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189死夢見 ◆XDD/DkyjV6:2022/04/30(土) 09:19:24 ID:IiLXHbzwMM



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                 。s≦: : : : : : : :.≧s。
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             ': : : : : ': : : : |: : : : : : : :|: : : :!: : : : : :'
          /´: : : : :.i: : :.!:.:!: : : : : : :/': : : 'ヽ: : : :.ノヽ
           | !: : : : |、: /v'∨: : : : / _!:.:./  ヽ: : | '/,
           | !: : : : | ィ示h \: : ! イ示hヽ  }:.:., '/ ,
           | !: : : : | 《弋ツ  ` ' 乂ツ ノ` ,¨Y  ! ,
           iノ∨: : :! `¨¨´   '   :.:.:.:. / 八 .|__〕       私も、かなり近しい存在です。
             ,: : : :! 、 :.:.:.         /イ 了 | |
            ,: : : :,〕iト、   _-、    , ' :.:.:.: | |_/        懐かしい姉さんの魔力に
              /: : : /:.:.:.:.:.:> ´ ノ   ィi〔:.:.:.:.:.|八_} !        引き寄せられるように
            ./: : : /:.:.|:.:.:∥ /´≧s。ィ( h:.:.:.:.:.: !: : : : :,        形を取りましたから……。
           /: : : /:.:.:.:i:.:./ ¨¨´‐\ __/.乂:.:.:.:.:!: : : : :.,
         /!: : :./ -=ニ! '   、__\ 、 }    7h。_: : : ,
           / ,:.:././: : /    _ヽ` } \  /: : : : : :!≧=‐、
         '  ! ,:.!/_/    / /ヽ〉 ,\ \': : : : : : :.!    ヽ
          ,   ヽ! ア     /,   ∥∧v \ \: : : : : |
         !  __ノ)h、  /´ヽ/   .∥ ∧v .∨∧: : :ヽ!    }
        ノ  √  __}/二ニ7    ∥  ∧v  !_ノ⌒`` ヽ   ,
      ∥  j{   7√ イ/   .∥、__ノ , v  ∨: : : : : : : 、  ,
       .∥  ノ        〉    ∥ ヽ/  , v  .∨: : : : : : :.∨i
     .∥ イ      /:./∧ ./ (__):.:!: : : ヾ、  ノ: : : : : : : : :, ,
     ノ  /  !    ,:./: : :.Υ: : : : : : |: : : : : :.Υ: : : : : : : : : :}
    {  ノ!   !    /: : : : : : : : : : : : !: : : : : : : : : : : : : : : : :, /
    ) , i  |     /: : : : : : : : : : (__):|: : : : : : : : : : : : : : : :./。
   .〈 ノ    ヽ:.:.: /: : : : : : : : : : /⌒!\: : : : : : : : : : : : :イ:.,
     、  \_√、: : : : : : :‐=≦: :○:.!: : ≧s。: : : : :。s≦ /〉
     ,    /´ )ヽ ̄: : : : : : : : : : : |: : : : : : : : 7 /  /,
      ≧=‐   ∧: :\: : : : : : : : : : :i: : : : : : : :.7/   //
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| 『エレシュキガル』。シュメールの冥府の女神。
| 
| 命を失ったターニャと桜は、冥府へ潜り黄泉帰ったようにも思えた。
| 伊邪那岐、オルフェウス……世界各地に偏在する『冥府と黄泉返り』の類型。
| 
| 凜が花畑の結界に冥府の女神の名をつけたのはなんとなくであるのだが、
| こうしてみると何やら因縁めいた巡り合せだ。
| 
|「『万魔』としての能力は殆どない。
| 魔力への耐性も、他人を食って魔力にすることも叶わん。下僕を作るのも容易ではないな」
| 
|「じゃあ、何ができるんだよ」
|「お前が望むことを」
| 
| 慎二の問に、ターニャはいたずらっぽく微笑んだ。
| 
|「誰かさんが生きろ生きろとうるさかったからな。
| 治癒と援護に特化している。趣味ではないが花園の結界も模倣できるな」
| 
| 頷く桜。攻撃力の高い『弓兵』や凜と組みやすい継続戦闘強化系だ。
| アリカが、桜に向かって首を傾げる。不思議だったが、指摘はしなかった。
| 
|「これからどうする?」
|「ん? 桜とターニャを人間に戻してアリンコに借りを返したら、五人で遠坂の家に帰るつもりだったが」
|
| 何気ない『弓兵』の言葉に、慎二は打ちのめされたかのように表情を崩した。
| 彼は凜に目を向け、不思議そうな魔女に気が付いて顔を背けた。
|_________________________________________________
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190死夢見 ◆XDD/DkyjV6:2022/04/30(土) 09:19:39 ID:IiLXHbzwMM



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     |::|::::::::::::::ヽ   ):)fイ:丁 ソr}k ):| )
     |::|::::::::::Y}::|__  ~  ¨´     Y/:::l         そうだな……
     { ヾ:::::::::t k夕         r':::::jゝ        そうだったな……。
         ̄ゝ(ヘ  <   _     ヾリ
       (    ヽ  ´     /   ヽ
               > 、___/---──ゝ.
             z-≠─- 、   ヽ へ─--ヘ
          |      \    `    ゝ、
          |        \         \
          |         \         \
          |                     \
          |           イ          }
          f\   ノ       ヘ          }
          {  \イィ´ ̄      ヘ         }

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|「次は『ネクロノミコン』ね。臓硯殺しちゃったけど、『血族』と戦争になったりしない?」
|「あ、そこらへんは蒼星石さんがなんとかするって言ってた」
| 
| 眉に唾をつける凜、言うは易し行うは難し。
| 
|「蒼星石といったら、やる夫の言っていた『第四の万魔』は一体どうなったんだ?」
|「何の話です?」
|「仲間が予言した『世界を滅ぼす存在』の名前だよ」
| 
| 桜の表情が険しくなり、『弓兵』に胸を押し付ける力が強くなる。
| 
|「間桐雁夜、『万魔喰らいの万魔』が私と臓硯と、そして桜を食った場合のものじゃないのか?」
|「だとすると、問題なく芽を潰せたってこと?」
| 
| ターニャと凜の言葉に、キョトンとするアリカ。
| 桜と目が合う、視線が絡みつく。
| 
|「桜お姉さんはどう思う?」
|「え?」
| 
| 困惑、話が見えないからではない。理解できないからではない。
| 
|「私は」
| 
| アリカの視線に圧を感じる。
| 桜は気圧される己に驚いた。こんな、こんな子供に……?
|_________________________________________________
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191死夢見 ◆XDD/DkyjV6:2022/04/30(土) 09:19:57 ID:IiLXHbzwMM



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.          i Ⅵ:i!:.:///:/:乂//ノ ミ三彡:/: :|i.: : l:l
              ヾ∨//厶、、i/ー  彡イ/: : :|i.: : :l:!
               }   !;j `ゝ    iγヽ:_:_:jiー‐':l         私は…………。
              ノ   "´      |}ノ イ::|!: :|: :|::::!
                \        /ーイ::::|!: :|: :|::::',
               |:ヽ`       :  |:::::|!__jー:':::ハ
               |: :ハ、_ ...イ    : ,|:::::::::::::::::::::::ハ
.               八:.:.:.:.:_j ヽ. r‐ー< !::i::::::::::::::::::::::ハ
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| 世界を滅ぼす『十壊』
| その七番目。姦淫の戒めを壊りて現る破滅の化身。
| 
| その名を『第四の万魔』。
| 
|「あたしはさ、ずっこいと思うならしっかり伝えて、選んでもらえばいいと思うよ」
|「え?」「え?」「なんだ藪から棒に」
| 
| 桜とアリカ以外、可能性すら考えていなかった。
| 故に想像もつかぬ、たった今のやり取りの緊迫感に。
| 
|「エミヤさんは今……遠坂さんと離婚してるんでしょ、奥さんにしてくださいって言えばいいよ」
|「それは、その……」
| 
| 赤くなって困惑する桜に、凛が肩をすくめる。
| 助けを求める『弓兵』と視線を合わせる者はなし。
| 
|「士郎に選ばせましょう。公平にね」
|「…………はい」
| 
| この瞬間、今度こそ本当に『第四の万魔』の危険は消滅した。
| 桜と凛との『弓兵』を巡る昼ドラ真っ青の爛れた愛憎劇フラグはへし折られ。
| 
| あとに残ったのは中学生の恋愛じみた「あたしとこの子どっちを選ぶの」問題だけ。
| 
| その後何があるのか、まだ何も分からない。
|_________________________________________________
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192死夢見 ◆XDD/DkyjV6:2022/04/30(土) 09:20:20 ID:IiLXHbzwMM



                   /::\,.へ._
                 r‐:::::::::::_:::/::_::::::::ヽ
               ノ::::::::/:::::::}/:::ヾ::\\
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                 /イ::〈:::::ハ::::〉  く:::ハ:::::/:l::ゝ
                 }:|:::):⌒ヾ   ーソ-);ノ::ハ^
                ∨:{ ー='   ==-´}/|ソ
                乂'、   l     /.イ
                    };込 、─‐ァ  イ;ル        遠坂とは子供作ってるんだろう?
                      乂l\ ̄ /!/`         桜も一人二人拵えたらどうだ?
                      _「¨'''' 千 '''¨ |
              _  -  丈 _|:|:L - ¨〜-  _
            ,-‐ ¨           |:|:L_        ̄ヽ
        /               |:|:|          |  ',
         /   |          |:|:|         |  l
       ./   :l           |:|:|  ___   ./   ハ
        」    ::!           |:|:|  └──┘ ./_ - '!            __
       {  ̄ ̄ :',           |:|:|          |:.    ∨       /{ィ>'  、_\_
       /   ー-:',         .|:|:|          |:.:.:..    ∨   _/ l! !|   ヽ  _ヽー┘
      ./      ハ         |:|:|          ∧:.:.:.:..   ∨ //   .l!.:',ヘ   ´ ,、\_
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|「そうだね、それがいいと思う!」
|「お前ら……他人事だと思って……!」
| 
| 鬼気を迸らせる『弓兵』。静かに怒りを溜める凜。
| アリカは、眉根を寄せる魔女に耳打ちした。
| 
|「一つ、お願いがあるんですけど」
|「なに? 今あまり機嫌が良くないんだけれど」
| 
| あまりどころではない。すこぶるだ。
| 『弓兵』なら平身低頭するか距離を取って様子を見るだろう。
| 
|「『おかーさん』って、呼んでも平気?」
|「…………え?」
| 
| 囁くアリカを、凜が正面から見る。いたずらっぽく、期待するようにキラキラ光る瞳。
| 本能的に嘘ではないと、本気の本気だと気が付いて、凜は困惑する。
| 
|「その……いつから?」
|「結構前かな。ロストスキルさんと順番に戦った時だから……九月だね」
|「ほとんど出会いたてじゃないの」
|「おかー……遠坂さんは?」
| 
| 凜は苦笑した。戦闘中にそう呼ばれた気がしていたが、気の所為ではなかった。
| 
|「『おかーさん』でいいわ」
|「ありがとう!」
| 
| 凜は頭を掻いた、夢宮とレナの厄介な部分を煮込んだような奴だ。
| まったく困った娘ができてしまったものだ。
| 
|「今度、お子さんに会わせてよ」
|_________________________________________________
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193死夢見 ◆XDD/DkyjV6:2022/04/30(土) 09:20:40 ID:IiLXHbzwMM



                 .. ....:.r:.:..:‐-.:..::.:::...、
              ....:..:.: :.:.:..::.:|:.:..:.:.:..:..: :.:..:...:ヽ
           rア.:..:. :..: :.:..:...:.:{:.:..:|!:.:..:.:. :.:.:. :.:..:.:.
            ノ/:.ヽ :::.: :..::.:::ミ´ \lヽ:.:..ト:..:.:、.: :.:.:..:.
        ノタi:.: :.:.: :.:.:..:ト´  ,x===\、\l\:.: :ハ
       イノ |.: ::ヽ:.::.:.:.}´     ,  、     -xl:. :.:i
        イ {  }:.: :.:. :..:.:.ミ    /  札!        l:.: :}
     ノ/  { ト.:.:: :.:.ミ     {  トィノ     ' 仭イ:.:/
     {Yi     }ト ヽ「ミ`''‐-、          , ー レ'
    ノノ    )〈  { 〈   ヽ    __   __   |
    {Y}     {Y}  ゝ 、    \  丶   / 丿          大家族に憧れあるんだ。
    iタ     }〈      l丶        ヽ_ノ / \         きょうだいも欲しかった。
    {r}      {y}     l  `   .      /
    }タ       〉|       l       T
    {y}     マ!    ノ ___      ト  ._
    マ}     {i}_ - ´/  ヘ      l!  `  ‐ 、
     {ヘ   ,  ´   r´   -┤  -‐  l!         ハ
      マ! /      l     -┤     l!        l
     t} ′       l     イノ      l!           |

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|「それで桜を焚き付けたの?」
|「別におかーさんの子でもいいよ」
|「アンタねぇ……」
| 
| 赤面する凜、作る過程を想像したのだ。
| これは作者の実感だが、乳児が幼児になり手を離れてくると、次の子供が欲しくなる。
| 
| 金銭や家の大きさ、家族計画や年齢などの問題がストップをかけるが。
| 今はまだ三十代だし、高齢出産ではない……いけるのでは……? なんて考えることもしばしばある。
| 
| 個人の感想ではあるが、複数のママ友から同意を得られているし、
| それどころか、「そう思ってたらできちゃった」なんて話もしばしば聞く。
| 
| 閑話休題。
| 
|「イリヤに会わせるのはいいけれど、あなた『血族』はどうするの?」
|「いまさら、戻る場所ないかなぁ。蒼星石さんは気になるけど」
| 
| 凜は瞬きした。それだけ?
| 
|「あのやらない夫と、もう一人の……脳噛の息子は?」
|「やらない夫さんは、翠星石さんがいるし、他のみんなもいるからね」
| 
| だが、アリカはそこでさみしげに微笑んだ。
| 
|「やる夫兄いは、その……」
| 
| 口ごもるアリカ。彼女にしては歯切れが悪い。
|_________________________________________________
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194死夢見 ◆XDD/DkyjV6:2022/04/30(土) 09:20:54 ID:IiLXHbzwMM




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トヘト      \ \:.:ヽ        ` \  \:.:.:|j::::!:.:.:.:      今いるのは、
l トィヘ ̄ ` =、- 、  \:ヽ         , z‐テ ̄ ヽ|イ::|:.:.:.:      やる夫兄いじゃなくて
ヽ´小   _.≧ヽ::\  丶\    /;∠-__ j1:|.:.:.:/
. \ヽ.  l{ 丁7::テ.ミーヽ    _ ィZイ,.イ::ァ-イ リ  l::l.:.:/      ……その、影みたいなものだから。
    ー、 丶ヽ辷ソ ヽ        /´ヽ:辷ノノ  (アj:.:ハヽ
    ,ィハ    ̄ ̄           ̄ ̄   ///  !}
ィ 7´/ |. ヽ         〈|            イイー- _ リ
' i  ! |  \                / / | | ,イ`
 |  !  l    丶、     -‐ __‐-     , イ  /   ! |  |

195死夢見 ◆XDD/DkyjV6:2022/04/30(土) 09:21:07 ID:IiLXHbzwMM





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     /⌒ヽ   ー‐    ィヽ
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   | ヽ,.イ   `二ニニうヽ. |

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| そのやる夫は今、犯罪者みたいに手錠をかけられて、車に押し込められていた。
| 窓を流れる深夜の町並み、街路に人の気配はなく、人工の明かりはどこか白々しい。
| 
| 隣に座る蒼星石の視線を感じる。
| しかしやる夫には言うことは何もなかった、これから『血族』本部だ。
| 
| 『狂死』と先代に任せておけば、蒼星石の安全は確保されるだろう。
| だが、やる夫はどうなるのかまるでわからない。
| 
| この場で殺されてもおかしくはない。
| 
|(見るか?)
| 
| やる夫の内側で声がする。他人の果てを見れるように、やる夫はやる夫の果てを見れる。
| やる夫はどこで死ぬのか。蒼星石は? アリカは? やらない夫は?
| 
| 飛び付きたい衝動を抑制する。
| 今はまだ、その時ではない。
| 
| やる夫は封印から解かれてこちら、死を見る能力に限界が無いことに気が付いていた。
| その気になれば何でも見える。そんな気がした。
| 
| …………だが。
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196死夢見 ◆XDD/DkyjV6:2022/04/30(土) 09:21:19 ID:IiLXHbzwMM



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| それは、やる夫自身の終わりも意味していた。
| 
| 死を見る回数は残り五回。
| やる夫の死を肩代わりしてくれる依代の数と、やる夫本人の命を足した数字。
| 
| 『鏡と茨』大天使 レミエル。
| 『荒野の黒龍』邪竜 クロウ・クルワッハ。
| 『隻眼の老人』魔神 オーディン
| 『黒き剣の残影』魔剣 モーンブレイド。
| 
| 対して、残る『十懐』は七つ。
| 
| 『冥王ニビル』。
| 『クトゥグア』。
 『ビスケットハンマー』。
| 『木星の無力化』。
| 『哀しみからくり人形楽団』。
| 『第二次関東大震災』。
| 『人類補完計画』。
| 
| そしてなにより。
| やる夫はニャルラトホテプと決着を着けねばならない。
| 
| 殺すべき相手に対し、弾丸が足りない。
|_________________________________________________
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197死夢見 ◆XDD/DkyjV6:2022/04/30(土) 09:22:56 ID:IiLXHbzwMM



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| 『木星の無力化』は泉こなたに。
| 『冥王ニビル』はやらない夫と高位悪魔に。
| 『ビスケットハンマー』は『夢の塔』を攻略したペルソナ使いたちに。
| 
| そして、『ビスケットハンマー』を逆に利用して『クトゥグア』にぶつける計画ではある。
| だが、楽観的に見てもそのとおりに進みやしないだろう。
| 
| 『第四の万魔』をアリカに任せられたのは僥倖であった。
| 今後もそんな都合よく行くとは思えない。
| 
| シロッコと彼のサイボーグ軍団に端を発する『哀しみのからくり人形楽団』。
| 超能力による精神感応の暴走が原因となる『人類補完計画』。
| 
| これらの正確な起点は未だ不明だ。
| それでもやらねばならない。
| 
| 他に選択肢はない。やる夫は、やる夫なのだ。
| やる夫がやる夫である以上、世界を救わねばならない。
| 
| やらねばならない。
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198死夢見 ◆XDD/DkyjV6:2022/04/30(土) 09:23:10 ID:IiLXHbzwMM



      /二ニニニニニニニニニニニニニニニニ}
.     /ニニ/ ヽニニニニニニニニニニニニニ/
     /ニニア、   lニニニニニニニニニニニニニ/
    ,'二/  }  l二ニニニニニニニニニニニニ{
    lニア   '  'ニア´ ',ニニニニニニニニニニヽ
    {={  /   /ニ{    ,仁二ニニニニニニニニニ〈
    lニゝイ  ./ニ乂 ,.ィニニニニニニニニニニニニヽ
     }ニ!   /ニニニニニニ=-―――--==ニニニ二ヽ
    V乂,.イ二二>イl./`<//!/ヽ\//////////∧´
.    ∨ニニ>"//∧ ヾ、 __,.ィ V////,ヽ`ヽ///////ハ
      ヽ/ト<'//,∧ ‐i"{ソ .l////V/\; }'//////リ
.     //,∧ _,.`<∧       l/////V//,>、/////
     〈'//∧´ __,..、 ヽ     ハ/////V////> 、イ
.       lヽ///ヽ'ハソ :       ノ .!/////,lV/l<///\
        !/{.ヽ'/∧.  i         }ハ///,!_∨!====、ヽ_
       Vl   !'/ハ  `    ..   '  V//lニ/     ヽニ\
.        乂、 }///,へ.  '       ,.イ∨/{ニ∨ ̄ ´     <ニヽ
          j/////// 、   /////ヽハ'ニV -―  ̄ ヽ >- _
         ノ;ハ/////lV/>"/ ̄`ヽニ/!ニ=ヽ  _ -‐ ヽ    > 、
        ´   V/{ヽ'/./    /./l !ニニ=ヽ       \       、
            ヽハ ヽ    ,.イ=/.l/!ニニニニ\   -‐ ´  \      ヽ
             `  ,ヘ ,.イ>'" .l/lニニニニニ\   _ ‐ ` 、
              /ー-ア'⌒;/∧ .!/l二二二二ニニ\      _   \
                 /ィ//,.-.,.///∧!'ノニニニニニニニニ\  -‐     /、
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             /ニ`'<ーイ /二二二二ニニニニニニニニニニニニニニ,
.        ,.イニニ二/  / lニニニニニニ、二ニ'ニニニニニニニニニニ,
      /ニニニ/   /  .',ニニニニニニ\ニニ,二二ニニニニニニニ、

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| やる夫は、気付いていない。
| 
| 他に選択肢がない。
| 別の道を歩む気はない。
| 
| その視野の狭さ。危険性に。
| 
| 世界を救済するために。
| 『弥勒菩薩』の末法少女に『成らなければならない』。
|
| 父の夢を叶えるために。
| 平等で静謐なる世界を『作らなければならない』。
|
| 愛する人を得るために。
| その他の一切合切を『犠牲にせねばならない』。
|
| 友と肩を並べるために。
| 人間という器を捨てて新たな段階に『進まなければならない』。
| 
| 主人公となるために。
| 自分以外の主人公を『根絶やしにせねばならない』。
| 
| 今の自分が、彼らと同じ領域に、『世界の敵』に片足突っ込んでいることに。
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199死夢見 ◆XDD/DkyjV6:2022/04/30(土) 09:23:30 ID:IiLXHbzwMM


☆ 次回予告!

 勝利者のいない戦いは終わり。
 獣たちは次なる獲物を探す。

 敵をすべて滅ぼせば、世界は平和になるの。
 そう信じて疑わないのは、狂気でしかないというのに。

 調整された均衡、睨み合う平和。
 それを良しとした年月をあざ笑うかのように。


 いま、炎が東京を包み込む。

次回、最終幕九十一話『集会が終わって』
 果てに見るのは破滅か死か。

200令和もどこかの名無しさん:2022/04/30(土) 09:44:29 ID:CIGkmpfsMM

ターニャがターニャになった

201令和もどこかの名無しさん:2022/04/30(土) 10:00:40 ID:DcV2Knb600
乙です

202令和もどこかの名無しさん:2022/04/30(土) 15:05:23 ID:WARbnggs00
乙、何弾丸が足りない?そう言えば貸本屋の代金支払いがまだだっけな

203令和もどこかの名無しさん:2022/04/30(土) 22:53:27 ID:ZCJvxPncSa


おや? やる夫は半開封みたいな状態かな?

204令和もどこかの名無しさん:2022/05/01(日) 00:22:56 ID:VcS3k7..00

不気味な泡がみてる

205令和もどこかの名無しさん:2022/05/01(日) 14:53:58 ID:bTREXqGs00

第二次関東大震災は誰かの最後っ屁(ケンシロウ?)。人類補完計画は血族関係者で超能力者が起点

206死夢見 ◆XDD/DkyjV6:2022/05/08(日) 13:11:39 ID:/9B9xuhwMM




                                     / ̄ ̄\
                                    /ノ     \
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                                  ((___)      |┬フ   i ̄`''´r--っ二>
                       ___,,,,..,..---‐‐‐‐'''' ヽ           |┴<   r-ニ'''''/ f'''´ /
            ___,,,,....--‐‐‐''''''' ̄__,,,,,...--‐‐‐'''''''' ̄´´ {          |__  lニ;l_,f-、~`ヾ /
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| 『やらない夫の集会』は、世界中に衝撃を与えた。
| 
| やらない夫と、その賛同者を皆殺しにしようと暴れる合衆国軍。
| その機に乗じて、武装蜂起を企んだ陸上自衛隊。
| 
| 両者が殺し合い、芝公園は皆殺しの荒野に成り果てた。
| 備府やらない夫本人を含め、百人以上が死亡、または行方不明。
| 
| 民間人の死傷者、三百人以上。
| そこには『集会』に集まった若者だけではなく、近くの売店に務めていた者や、日課の散歩道を歩く老人も含まれた。
| 
| 合衆国軍に命令していたウィリアム・ヤーボ大佐は逮捕。
| 彼と共謀していたとして、サンダース・トールマン合衆国大使も拘引された。
| 
| やらない夫の言っていた『敵』の存在が本当にあるのかどうか。
| この前代未聞の大惨事に国連から捜査のメスが入ることとなる。
| 
| なるが、それはこの物語とは関係しない。
| 組織が大きければ大きいほど、その動きは鈍重になる。
| 
| 国連が、そしてその前に日本の調査局とCIAが動くまで、タイムラグがあるのは仕方のないこと。
| 現在は年の瀬、師も走る十二月の半ばである。
| 
| 具体的な行動は年末年始に始終した。
| この物語が終わりを告げるクリスマスには、間に合わない。
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207死夢見 ◆XDD/DkyjV6:2022/05/08(日) 13:11:56 ID:/9B9xuhwMM



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| 五島ムスカと彼の賛同者らは速やかに獄に繋がれた。
| 彼の存在は自衛隊全体にとっての癌であった。
| 
| ムスカにはカリスマと理想を信じてクーデターの夢を見た同志の数と同じか、それ以上の敵がいた。
| そして、彼の組織はムスカという一人の英雄で結びついていた。
|
| 自衛隊内部には大規模な監査が入り、膿を吐き出すために躍起になっていた。
| 世間に蔓延る軍隊アレルギーの人々が声高に自衛隊解体を叫び、ワイドショーもそれを支持した。
| 
| 内閣支持率はだだ下がり。総辞職間違いなし。野党への支持はうなぎ登り。
| しかし二日後、野党・主民党主が五島ムスカのシンパとして大量の金銭のやり取りをしていたことが発覚。
| 
| 国会は大荒れ、泥沼の政治抗争がその後三年間続く。
| 当然ながら景気は悪化、経済は冷え込み、今再びの就職氷河期。
| 
| もちろん、これもまたこの物語には関係しない。
| そう、もしも『十壊』を乗り越えてこの世界が存続した場合の話である。
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208死夢見 ◆XDD/DkyjV6:2022/05/08(日) 13:12:08 ID:/9B9xuhwMM



                イ        ミイ     ヽ
             / /  イ  ´    个 、     、 \
                / / /  /     / ハ
            / / /  /      /j !  ',
            ! ′/ ィ      //{   .
              | ! リ / |   /   ィノ!∧ j |
             iハ| j/ァ、!/ /,ィ /j/  V  i     !
             jハ个キュ_/zフ⌒> 、  | ト、    l  !
              〉Lソ   ´斤yr‐、_  | | 彡⌒} ! j|
             イj l /    ゞ:;ソ ^´ | |  八 j | イ!
            / j八 ヽ       ̄~   j | ィ_ イ ハ八
            ( r7 jアヽ、__        , /「    j  ! \`ー 、
             } リ / /⌒゚ `      イ  !   / 人  `ヽ  ハ
          イ / /  ⌒  ーr 彡´  | j !   /`ー  ´ ̄ >、 j
         /⌒7/≧=ュ、    ヽ    |/ |  {         ムヽ
          /ニ7/ニュ、 ヾ┬   ハ     ヾ、ハ   ヽ         ムニム
          {ニ7/ニニニュ、「{    トヾ、_   X、ヽ  :.     イニニニj
        マニ {ニニニニj! ゝー┴ 八 `  ハ } j  }   ィニニニニリ
         マムiニニニフ{_     j!ハ   / ,リ/  ノ_ ィニニニニニニト
         マヽ、ニニ「ニ≧、  ィハ ハ jノイ  /ニニニニニニニニ! ヽ
         ハニム、ニjニニ≧≠ニニ!≧y´イ7 /ニニニニニニニニ|  }
        / ハニニ Vニニニニニニ7≠((_⌒ヽ {ニニニニニニニニニ|! リ
         { / |ニリ /ニニニニニニ   rlヽ  ヾ!ニニニニニニニニ|‐´
        ヾ  |ニ7 /ニニニニニニ′ {Lムj/   !マニニニニムニニニニ|
          . j/ /ニニニニニニ7  `ー个、__ノ jニニニムニ7ニニニ、
      ィ    } 个ァニニニニニ7|   ムニ ヽ_ノjニニニjニ/ニニニ|! \
     /(  ノ j/ /ニニニニニニ!ム ノニム    /ニニィニニニニニ|! リ
     {  ̄   /ニニニニニニニjニニニニニニニ>´ ̄ミヾニニュ、ニ! (
     `ー  ´|ニニア⌒ ̄ ̄~~`ヽ ̄ ̄≧「ニニニニニニニニニニヾ|、 ーイ
          V´ィ         }!    }ニニニニニニニニニニニj  ̄

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| 合衆国軍、自衛隊、そしてやらない夫の仲間と、『教会』に『血族』。
| 三つ巴どころか五つ以上の勢力の争った『やらない夫の集会』。
| 
| 勝者は『血族』であった。
| 
| 惨敗地に伏した合衆国軍と自衛隊は言わずもがな。
| やらない夫たちも首魁を失い、配置した仲間の大半が死亡または捕虜になった。
| 
| では、『教会』は?
| 
| 『異端審問官』のジャンヌ・ダルクは『血族』と協調して合衆国軍や自衛隊の鎮圧に従事した。
| 早い段階で群衆に浸透した扇動者を捕縛、シロッコのマッチポンプへの怒りを募らせていた。
| 
| 最終的にやらない夫を殺害したジャンヌは、その後精根尽き果てたかのように芝公園を去った。
| 彼女は己の目的を達した。しかし、何か大切な物を喪ったかのようにも見えた。
| 
| 事実、その三日後に行われたパプテマス・シロッコ糾弾にもジャンヌは参加せず。
| 彼女は、やらない夫を殺害することで意気消沈してしまっていた。
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209死夢見 ◆XDD/DkyjV6:2022/05/08(日) 13:12:25 ID:/9B9xuhwMM



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| パプテマス・シロッコの糾弾と言ったが。
| 『やらない夫の集会』で配置された扇動者や武器弾薬、爆発物の多くはシロッコが準備させたものだと判明した。
| 彼本人ではなく彼の愛人兼部下が、シロッコのために勝手にやったことらしいのだが。
| 
| そんな言い訳はもう通用しない。
| 
| 『学園封鎖』以降、本来の業務すら放棄して沈黙を続ける『十字軍』。
| ウィリアム・ヤーボ大佐の上司として、『やらない夫の敵』に認定されたサンダース・トールマン。
| 
| 彼らを影から操作した嫌疑をかけられたシロッコであるが……無論なんの証拠もない。
| シロッコを誅するのは、政治的に見れば不可能だった。
| 
| 彼は『教会』上層部の覚えも良い。
| 賢く、しかし道化を演じ、そして金儲けが上手だからだ。
| 
| 下部組織である『血族』が何をいくら言っても、シロッコは捕まらない。
| 絶対的な権力の庇護、それを覆す方法など、ありはしない。
| 
| その傲慢が仇となる。
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210死夢見 ◆XDD/DkyjV6:2022/05/08(日) 13:12:40 ID:/9B9xuhwMM



                                  , ----- 、
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                     ,. --- 、     /   / /       ミ\
                     , イ/⌒ヽヽ  / // /  /   / ハ `ヽ
         /二二ヽ、   / // ((⌒ ノノ /// / / //   /   /ハ    !
        / /___\\ | | |  `ー‐ ' // / // / /  /    /∧ l | |
          |/  ____  \\.| ヽ____/l/ | //,イ l┼/-// _.  '"// l | | |
      /  /    `ヽ、`丶、         l/ハ{」 l | / //  `メ、  | | / /
     / //        丶、  `ー─‐ '´  川  l `==       //┤/
    ///! / __     , --‐ ''"´ ̄ ∩  ///  } ""    `== _//ノ{ {
   // / | | ⌒))   / __. --/⌒ヽ_| ///   ∧  、'__  ="/イ/ハヽ
   { { l ヽニニノ   // / / l レ'^ヽヘ-┬─‐ '´  |ヽ ` 〃 ,. イ /{   \\
   トヽ  ̄ ノ     / { // /  |  / )! ヽ|     r┘ ` ll'"//  /  \   ヽ )
       ̄ 〃   | ∨/ /  /ハ /.ィ1  |、    ヽ     jj !!  {\┬、\ レ′
        {{     ノ , ┴┴イ / ハ  `┴‐ { \    X   〃 /\  `ー' )┐/
          〉=='┴----‐' / /| __.\    |\\  ヽ.ニノ _/   フ フ / /{   }}
         / / ̄/丁` ー┬ ' /r'´  ノ\`  /\\\  ヽ / . -‐'/ / /ト`='
       { {   |  \  / / |  〈\ `ーイ  `丶、丶、 ∨'´    /  / |
       いミソハ ト、 ∨  __」    \二イ 〉    , ニニY‐Y"´ ̄   //   \
       ` ̄ ヽノノ } /, イ //      ̄//   /  .-‐‐} ノ ̄|   //     ┬'
           ̄__ノ八{ ヽ./      / / /   / /屮/}   |   〃     l
              丶ニ/        / /       // レ   |  /      l_     . -‐
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                { |       / /  /    /      / / ヽ
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| パプテマス・シロッコは侮っていた。
| 一介のスクールガールに過ぎぬと、まだ小便臭い小娘ごときと。
| 
| パプテマス・シロッコは侮っていた。
| 『血族』大首領 藤堂志摩子はお飾りに過ぎないと。
| 
| その愚かさの対価として、積み上げてきたすべてを失う。
| 
| 死とすら交渉する菊理媛の化身。
| 藤堂志摩子の手に掛かれば、パプテマス・シロッコごとき虎の威を借る狐に過ぎぬ。
| 
| 大義名分などいくらでもある。
| そう例えば。
| 
| 八月の『新宿歌舞伎町胎界事件』で、『教会』側の指揮官でありながら唯一人無傷で帰還したのはおかしくないか?
| 一時帰国し、日本を混乱に陥れるために過剰な武器と兵員を持ち込んだ。
| 
| これは、シロッコはニャルラトホテプの介入を受けているのではあるまいか?
| いや、違う。
| 
| シロッコはニャルラトホテプの手先として働いているのだ。
| とか。
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211死夢見 ◆XDD/DkyjV6:2022/05/08(日) 13:12:53 ID:/9B9xuhwMM


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| 『やらない夫の集会』から三日。
| 電撃的な速度でパプテマス・シロッコ糾弾が始まる。
| 
| それは糾弾という名の誅殺。
| そして同時に、日本国内の覇権を『血族』が握ることを意味していた。
| 
| 約十年前に、『結社』の日本支部長になる前の諸葛亮孔明が唱えた『天下三分の計』。
| 『血族』『教会』『結社』による均衡とにらみ合いで、日本の平穏を維持するという計略。
| 
| ニャルラトホテプの介入がなければ成功していたはずのそれは、もはや完全に瓦解していた。
| 壮健な頃の孔明が現状を見たらなんと言うだろうか。
| 
| 古より、天下の大勢は長らく分かたれているならば必ずや一つとなり。
| 逆に長らく一つであるならば必ずや分かたれるという。
|
| とでも、呟いただろうか。
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212死夢見 ◆XDD/DkyjV6:2022/05/08(日) 13:13:05 ID:/9B9xuhwMM



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                         ,r'´       ノr´ノr´ノ ソ、
                       / ./'> f-二ニニ_ヽ厶〃ノソヽ
                        j「/ }   廴_ 。  `ヽ, :} ニ=-イ 、     マジで助かったぜ。
                      ! //| ̄    ̄ ニニ=- ヾ =-彡.    どのツラ下げて戻るか困ってたんだ。
                        |::レ' .|  r-、  _     `ヽ  =- ∧
              .        |!' .f} :  | | .f !  f⌒l   f-   |
              !,           | i! !|.:  | i! | |  ! ,、 !  ,イ    !
              !ヘ        /| | .!|.! .! |! ! | j .| \ .::|、\  |                 、 , 、
               ! ヘ      / .! i! .!| .l .|_ j  | ,′!    .}:\ .\ ト、               / |/ |
            |  ヘ    , |ヽ!  .!ゝ′ ---..、  `ヽ_ ノ;;;;;;;\ `ト.、.              / | .|
            !    ヘ  / ヽ   i{:::.:::::::::::::::::::::::::::::::::;:   ;;;;/ 心  ヽ            /  .| .|
    i 、      ,.!   . ヘ_/    {ヾ-ノヽ-、:::::::::::::::::::::::;::::,/    /  i!:::.  }!_            /   | .|
     | \ _ / ´ 亅   .{ニニ===-、」'|  | }、:: . . . : :ノ /    / i!  ∧:::ノ' )        /   .! .|
     |   \゙ ̄  ー― ´\  ̄ ̄.:::::::.、 .! ::.,: : : ::   /     |  ,イ゛ _イ         /    | .|
     |    \    , 、   ヽ,  ::::::::::,、∧ ::::,: : : :..::::  ::::::::::  :./ /..::{-、_,...__ /.,     .| .|
    /!      ノ    `´_ </!}  .::::::/    }:. :::.   .::;  ::::::; .f  f:...:::::::/:::://    ̄ ,´/ヘ    .!__.|
   ./ .ヽ _       , <..:::::::./ ,≧ソ::.   ノ:::. ::::.. ..:;   :::::; .::|   |:::::::::;´::://    /  /ヘ    }  `ヽ
  / ○       //.:::::::/  /  .,`ー  _    _/_ _i{::...:::::}  ζ:::::;::::://  f_ッ /   /ヘ---´ .,ィ′
  ≧ ‐ _  ○//.:::::::::〃  ./、          、〃゙゛`     ̄ |   ;:: ::::::::;:/     /     /ヘ   ヽ}
     ≧ -.//.:::::::::::::〃  ./           、/         i}  |::::::::::/     /       /ヘ  f_ッ|
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|「困るほど大したツラじゃァねえ癖によ」
|「ンだテメコラ! 泣くぞ!!」
| 
| 偽ヤーボと交戦し、その後に『血族』に保護された北斗ジャギ。
| 彼は一貫してやらない夫との関係を否定していた。
| 
|「『武僧』のヤザンに殺されかけたンだ。生きてるのがバレちまったら次が来るだろ?」
|「だったら連絡くらい入れなさいよ……」
|「シロッコのスパイが紛れてたらと思うとなァ」
| 
| 施錠可能な、牢獄のような部屋。どっかりとあぐらをかき、出されるスシをモリモリ食べるジャギ。
| 彼を囲うのは無言のケンシロウ、カミナとシモン、そしてロストスキルと巡音ルカ。
| 
|「どれだけ心配したか分かってるの?」
|「知るか、こっちは変なトカゲの悪魔と大変だったんだ」
| 
| 血の滲む包帯に爪を立てるルカ、悲鳴を上げるジャギ。その口にしめやかにダイブするスシ。
| そのスシは、シャリとたっぷりのワサビだけものであった。
| 
| あまりの辛さに悶絶するジャギ。
| 彼によると、下水道でネビロスとでっていうに拾われて下働きをさせられていたらしい。
| 
| でっていうがジャギの存在を秘密にしていたのは、交渉道具にするつもりだったからである。
| その前に抜け出して来たのだという設定だ。
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213死夢見 ◆XDD/DkyjV6:2022/05/08(日) 13:13:18 ID:/9B9xuhwMM



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|┃| ┃|||ヽ                   ノ  )     ( |
|┃| ┃|||ヽ  /(((( ((ヽ(( )ノ)))ノ))ヽ  ノ   )  .ほ  .( |
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|┃| ┃|||ヽ ヽ|  | |   / | \ ̄| | | |/ /  )   ぉ   (  |
|┃| ┃||| ヽ ∨ | | /  ,|、   | | ∨ /   )    l   (  |
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|「おおおーん! 兄者……ぶ、無事で……よか……よかったおおおー!」
|「泣くなバカ、ガキじゃねーンだ」
|
|「喜びで流す涙は実際恥ではない」
|「うっせェぞキル!」
| 
| オイオイと男泣きのケンシロウ、もらい泣きのシモン。同じく涙ぐむカミナ。
| 泣き虫な男たちに呆れ顔のルカ。久しぶりに柔和な笑み。
| 
| これほどまでに、心が安定しているのはいつ以来だろう。
| ジェリドを誘惑してからどん底だった気分が、ジャギの生存たった一つで回復した。
| 
| しかし、涙を見せるのは癪なので、ルカはツンツンとした態度を続けていた。
| 本当は、ジャギの汚い手ぬぐいで顔を拭かれるケンシロウや、背中をバンバン叩くカミナが羨ましかった。
| 
| しかし、自分はそれに参加できる気はしないし。
| なにより、大きな不満があった。
| 
| …………ここに居るべき人物が、足りないことに。
| 
|「ハイハイ、散った散った。往診の時間よっ」
| 
| 無遠慮に引き戸を開けたのは、薬箱を背負った巫女。
| 小五の身体には薬箱は大きく見える。
|_________________________________________________
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214死夢見 ◆XDD/DkyjV6:2022/05/08(日) 13:13:30 ID:/9B9xuhwMM



    rへ
   r7´ `ヽ、-,. ─-、  ,.へ_、
  r7   ァ'">'-─`-<  ヽ!_
 r7'   >'´::::::::::::::::::::::::::::::::`ヽ. ハ                 へ
 ,くi ヽ/:::::/::::::::::::::::::::::::::::::::::::::Y i_{             //〉     なに見てんのよ、
 ヽ./!/::/::::::/:::/:::::i:::::ハ:::i:::::::;::',」            //〉〈〉     金取るわよ。
  /:7 ,':::i::::::/:ハ,ゝ、ハ/ !:ハ::::i::iヽ.          //〈〉〈〉
 くk__!::::::L:ハ/〈 !_ソ`  ォ'r7!/!」 !         // 〈〉 〈〉
   |::ハ:::::::}__.| "  _____└' i__{ヽ、!  _,,. -/⌒ヽ//   〈〉 〈〉
  ノ:::!ハヘ::|::::iヽ、 (  `i ,.イ:::|,.-'"´ l l i しゝ'    〈〉   〈〉
 /:::::ハ::::!::ハ::::!;:イ>ーr<ハ:|::/!     | lY__ノ´
 i:::/:::::!::::::rィ';:|´ |/、  /」|:/ !-   ヽヽゝ'i
 レ'i::::::!;:へ、ヽ!/ムヽ、_/_i ィ,ヘ、     Y /
  ヽ/⌒i、._ Y:::::/ i」::::::::::!-/レ' `ヽ.    i/
   !  iノi 7:::く__ハ|:::::::::::Yiハ|    `'ー-'
   /iヽ-イ| .i::::::::::ハ:::::::::::::ハ!

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|「そうね、治療の邪魔にならないようにしましょ」
| 
| ルカはケンシロウの肩を叩き、カミナとシモンを促した。
| ロストスキルは心得たもので、すでにスシの具材を片付けていた。
| 
|「え? オイ、別にいても……」
|「みんな暇じゃないのよ」
| 
| ルカはそう言って霊夢に目配せ。
| しかし肝心の小学生巫女はジャギから目をそらさない。
| 
|「えぇ……」
|「…………」
| 
| 可愛らしい眉間にシワを寄せ、ギロギロと睨む霊夢。倍近い身長差があるにも関わらず、ジャギは萎縮した。
| 
|「あ〜〜〜霊夢……サン」
|「………………」
| 
| 気まずい沈黙、二人きりになってしまう。
| ジャギは助けを求める視線を入り口に向けるも、無情にも錠の落ちる音。
| 
| しかもこの部屋、防音だ。
| ナニをしようと助けは来ない。音は漏れない。
| 
|「元気そうね、心配して損したわ」
|「悪ィ」
| 
| 頭を掻くジャギ。その手を、熊みたいに巨大な手を霊夢の小さな手が両手で握った。
|_________________________________________________
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215死夢見 ◆XDD/DkyjV6:2022/05/08(日) 13:13:45 ID:/9B9xuhwMM



                         /'"´ ̄`、:ヽ
      FY´¨ヽ、                   ,!:/
.      冫l: : : : : `ヽ、     ,,.. ,-,‐,ァァ ァ;‐,‐,-, 、,/'゛
     〈 ,| : : : :_: : : :`ヽ、/: : : : : : : : : : : : : : : : : :`7‐-、
.     Y |: : : : :.:.:`:.: ヽ, ': : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : ヽ
     |l: : : : : : : : : /: : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : ハ
     广|: : : : : : : : /: : : : : : : : : : : : : : : : : : /!:イ : : : :/! : : : :ハ
     辷l: : : : : : : : 爪: : : : : : : : : : : : : : : : / l: i: : : : /,!: : : : : ハ
      }-i: : : : : : : :.|: : : : : : : : : : : : : : : : :./  |: ハ: : : /|: : : : : ハ
      ', ',、: : : : : : :.!: : : : : : : : : : : : : : : /'  ̄l'イ : : : : !: : : : : イ
      ゛、`、: : : : : 爪: : : : : : : : : : : !:/__ 二 l'ハ: : : /゙l: : : : : /
        '-.,゛: : : : lV: ,'-、: : : : : : :イイ示〒、{ !'//_ l'/: : : :イ
         \,_: : }゙i ヾ: ::`ト、:;_;_:_{ ヾ∠    lシ才/!: : : :リ
.           _>`|: : : : :トJ`ー-i.  , ,      ヾ'/: : : : /        ………………ばか。
         ┌'/:!: : : : ,ゞ|: : : : : !゙!       丶 , ,| : : /
         r'/: : :.| : : : : : |: : : : :,| |          ノ: :/,!l!
         //: : :./!: : : : : :オー- 个ィ⌒ヽ-―〜ぐ宀亠''- 、
        r'./: : :./ィ|: r''"``''`rー‐'.}'               `ヽ
       _ノ/: : :./r'/'"´ ̄ ``ヾ!ト: イ                    ヽ
      ,」 /: : : /r'イ          ヾ;;|                    i
      | /: : : /r' .!  、:::.     V!                      {
     f l : : : i ノ !    、::..      ゙i               .,     l
.     ノ !: : : :l{. / ハ      ` ::..     ヽ          ...:::::;',_   l
     ´`ヾ: : :|. / i        ` :::...   ヽ、        ..::::::::::;:';::'  .. ノ
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|「すまねェ」
| 
| 傷を確認する。偽ヤーボ戦で受けた傷は重傷だ。普通人なら死んでいる。
| 鍛えた人間でも普通に危険だ。笑いながらスシを食うなんてできるはずもない。
| 
|「なんで?」
|「…………次は暗殺じゃあ済まないかもってな」
| 
| 答えづらそうに、ジャギは絞り出した。
| 霊夢は傷を確認している。ジャギの丸太のような腕に、鋼のような筋肉に触れる。
| 
|「そうじゃなくて」
|「……………悪かったよ、乱暴して」
| 
| 素直に頭を下げるジャギ。
| 霊夢は丁寧に包帯を解く。秘孔と気功で応急処置をして、スシによる代謝強化で治療していたが、正直それでは焼け石に水だ。
| 
|「やせ我慢して」
|「傷は我慢できンだろ?」
|「心の傷は?」
|「…………すまん」
| 
| ジャギは、己の身に危険が迫っていると考えて、暴力的に霊夢と距離を置いた。
| 性的暴行を匂わせて、自分に霊夢が近付かないように脅しつけた。
| 
| 心の傷。しっかしりしているようで霊夢はまだ十一歳だ。
| 有効でも、短絡的に過ぎた。
|_________________________________________________
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216死夢見 ◆XDD/DkyjV6:2022/05/08(日) 13:13:59 ID:/9B9xuhwMM



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::::::::::::ゝ  :.:.ァ''''"::: ̄ ̄::''ー'':::ヽ`゚'-゙_,! 丿
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l:::::::::::::i.:.:  |:::| .:.:.|::::| :.: i:::::|.:.:.:.;ヘ.:.:.:. ,ヾ }        いくら出せばいい?
|::::::::::::l:.:  _レヘ:.:.|:::::!:.:. !:::::|.:.:.:l:::;!.:.:./::i 〉
}::::::::::::!:.: ´  .: ,}:.:|:::::l:.:. !::::::!.:.:,!::;!.:.:,'.:.:,',!
!::::::::::::l.:.:......:.: /:l.::l::::::!:: l:::::::|:.:,!::;!:.:,'.:.:7.!    ,ハ
:::::::::/i :.:.:  ,/::::ゝl::::::し':::::::i.::,!::;!.:;',!:/ `ー‐'" }
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:::l :  :  :: ゞ、:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::ソゝ.;,;_,,,,/
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|「あのねぇ、女のコをキズモノにしたのよ? 金で解決するつもりなの?」
|「あー……冗談だ」
|「最っ低」
| 
| 本当は本気だった。霊夢が金で解決しないとなると、本気で怒っている。
| チンピラとクソガキの機嫌を取るのは得意なジャギだが、女のコはどう扱えばいいか想像もできない。
| 
|「マジで反省してる。何でもする」
|「言ったわね?」
| 
| ニンマリと笑う霊夢。治癒の呪符と術式で、ジャギのボロボロの肉体を補修する。
| 痛みが引く、暖かく柔らかな光。いつの間にか、これがある事が当たり前のようになっていた。
| 
| ジャギはこの数日の戦いで、無意識に霊夢に頼っていたことを思い知った。
| そして、恥じ入った。こんな子供に。本当は守ってやらねばならないはずなのに。
| 
| 逆に、守られてきたのだと。
| 
|「とりま十万」
|「ボリやがる……」
|「乙女の純情を踏みにじったのよ? 安いものでしょ」
| 
| ジャギは心底申し訳なく思った。気を使わせた。冗談で空気を変えた。
| いつも、そうやって霊夢は。
|_________________________________________________
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217死夢見 ◆XDD/DkyjV6:2022/05/08(日) 13:14:13 ID:/9B9xuhwMM



      /ニニニニニニニニニニニニニヽ
      ’ニニニニニニニニニニニニニニ ハ
     iニニニニニニニニニニ}ヽィニニニニi|
     |ニニニニニニニニ /}/ /∨ヽニニニ|           人聞き悪いぜ。
.     ト.!ニニニニニニ==─…ミx 0 /》ニニニ│          その薄っぺらなまな板を触ったぐれェだろ?
    Ⅳ≧ー…ャ77//--。-ォ///l} 0 彳ニニニ|
     》 f77ハ  ∨/≧==彡//ノ   《ニニニl|      ト
     `7 V//}  ∨////厶イ==ミ   iニニニ|      |∧
       ⌒i ̄ __ ̄ ̄´   》//∧ lヽニニニl|      |/∧
   ト     ∨ .//| ト. {7∧ ∨///i| ∨\ニゝ __   |  ∧
   |∧    ∨//| |∧ ∨∧ ∨//l|  i}///777{厂三{  |  /∧
   |/∧    }ヽ/| |/∧ ∨∧ ∨/l|  リ  }////|∧三≧|    ∧.=
   |  ∧  、|__i/| |//∧ 》/∧仆ー=彡' '/// l|/∧三 i|    三
   |  /∧  ≧彡. 》====≦///   l i '//三|  ∧三|    三
\ |    ∧イ三/三》 ∨////    j l //三 i|  /∧ .乂__ノ三
/∧.|    /∧./三 ィ/∧∨///    / '//三三|  //∧三三三三

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| ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
|「ケチね、一生ATMになれってんじゃないのよ」
|「いや、お前なら言いかねン」
| 
| 霊夢がジャギの胸に顔を寄せ、背中に腕を回す。
| 色っぽい行為ではなく、包帯を解くためだ。
| 
|「下も脱いで」
|「ンでだよ」
|「あたしのまな板を見たんだからアンタも見せなさいよ」
|「ええ……」
| 
| 本当は治療行為である。ジャギは内臓にも致命的ダメージがあった。
| 致命的……普通ならば致命的。ゴキブリ並みの生命力でなければ。
| 
|「内臓割れてるのにスシ食べないでよ」
|「スシは完全栄養食でニンジャの回復薬だぜ? 俺は詳しいんだ」
| 
| 霊夢はジャギの股間からぶら下がったサツマイモのようなそれをマジマジと見る。
| こんな至近距離で見るのは初めてなのだろう。好奇心で目が輝く。
| 
|「意外とちっちゃいのね」
|「てめえみたいなチンチクリンじゃ欲情のしようもねーンだよ。臨戦態勢になったらラオウサイズだぜ?」
| 
| これは作中の人物名ではなく、北斗の拳コラボコンドームの話です。
| 
|「誰にも反応しない癖によく言うわ」
|「…………え゛」
|_________________________________________________
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218死夢見 ◆XDD/DkyjV6:2022/05/08(日) 13:14:27 ID:/9B9xuhwMM



            __              __ノ^)_
           〈〈 ̄\――‐-      _/:i:i:i:i:i:i:i〈⌒)
            〈乂ノ{:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:>'":: :: :: :: ::  ̄ ̄``丶、
            ( r㍉}:i:i:i:i:i:i:i:i/:: :: ::/:: :: :: :: :: :: :: :: :: ::.\
                ( 〉⌒Y:i:i:i:i: ':: :: :: :: :: :: :: :: :: : : |:: :: ::|:: :: : : \
             (L/ ヽ:i:7:: :: ::.::/:: :: :: :: :: ::|:: :|:: :: ::|:: :: :: :: :: \
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              〈 ノ _/:|:: :: ::/:: :: ::|:: :|_:: |::/|:: :/ } : | :: :: | : :.⌒ヽ
                 (ン⌒八 : : :: :__:| 斗ャミト |::/ ―从‐ :: |:: ::i
             /:人/ : :\::(〈⌒八::乂ノリ  /   斗ミト:: ::.|:: ::|
           _/:i:i:/::/:: :: :: ::.\/⌒ヽヽ´``     ゝノリ 〉:人.从
          乂 \:i/:: :: :: :: ::/:: :: |////|        `  イ>く      入院してる時に
           乂./ :: :: :: :: :: :: :: ::〉〜 人          r‐く\\ヽ     ルカが口を滑らせたわよ。
            /:/:: |:: :: :: :|:: :: 〈_/〜へ,)    ´ `〈_i  }    }
              /:イ::.::.|:: :: :__ : :: |:: :: ::.:| うぅ  .,_ イ      /     その関係で『血族』やめて
             | : : | /   \|:: :: ::.:|    /::::::::{     イ       『結社』に腕試しに行ったって話はキルから。
             人:: :/      人 : : : |  /:: /: ∧  / {:: |
           ⌒\::{      ⌒: : : : 从 ∨匕:: / ∧    Ⅵ
          -‐=====-     \:(  r''⌒ヽ⌒/ ∧ / ̄ ̄\
        〔          \/ ∧\人  } } ∧/:: /  /〉 ̄∧
        ∧            \.:.:.:.:.:.:.:.:/〜〈.:.:.:|)::/ </  / ∧
          〈/∧ ノY〔__〕       〉.:.:.:.:.:/ | |∨.:.:/ /'〉      / ∧
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|「あ、あいつら……」
|「舐めてるわよね」
| 
| 柔らかなそれを両手でぐにぐに玩び、ぶら下がった玉袋や先端のクビレを興味津々でねじる霊夢。
| 
|「痛ててててて!!」
|「体の痛みは我慢なさいよぉ」
|「いやマジ悪いけど、金的は簡便な!!」
|「仕方ないわね……」
| 
| 涙目のジャギ、霊夢は嘆息して手を離した。
| 
|「手ェ洗えよ」
|「汚くしてるの?」
|「ナニ弄った手で傷を触ンなって」
| 
| 手の臭いを嗅ぐ霊夢。入浴していない雄の悪臭に、眉を顰めた。
| 
|「五年後を楽しみにしてなさい」
|「何でだよ」
|「これでも先代の親族なのよ? 誰もが目を奪われる爆乳になってやるから」
|「ほーん、俺には関係ないだろ?」
| 
| 全くもって無関心のジャギの睾丸を、霊夢がデコピン。
| ニメートルもあるような巨体が飛び上がる様を、霊夢はケタケタ笑った。
| 
|「大いに関係あるわよ」
|「ンでだよ」
|_________________________________________________
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219死夢見 ◆XDD/DkyjV6:2022/05/08(日) 13:16:07 ID:/9B9xuhwMM



ニニニニニニニニニ\    {二ニニニニニニニニニニ///   /
ニニニニニニニニニニ> '゛ :::     ̄ ー=ニニニニニ\\}  {
ニニニニニニニニ= '"    .:::::::.. .....:::::::::::::::::::::::ー=ニニ//}  {
ニニニニニニニア゙     ...::/:::::::::::::::::::::::::::::::\::::::::::::::::く/ニ{_ \
ニニニニニニア    ...::::/ / .:::/ :/     ヽ:::::::::::::::\ニニ}⌒  }
ニニニニニ7    ..::::::;:/        /             \:::::::\{    /
ニニニニニ/  ..:::::://         ′            \   \__/
Oニニニニ'  .:::::::/            /                 :.
 ̄ ̄]ニニ,′ .::::::::/         ′       ,′   \   :::. :.
三] ]三{  :::::::::′      ;  .: ,   ,′ .:/    ゚; :::.\  :::. :.
0ニ] ]三  :::::::::    .::  /.:::::::::.′  /  .:/:.   .:::.  ::::::\ }\:.
ニ[__{   ::::::::     .:::   /.:::::::::/   .:::::::::::::/}::::....::::::{:::::. ::::::::::ヽ:. }:!
⌒ヽニニ   ::::::′  .:::::  /.:::::::::/..::::::::::::::::/ }:::::::::::::{\:::::::::. ::::::::::. レ
⌒> }ニニ  :::::  .:::::::: /.:::::::::/:::::::::::::::/    }:::::::::}::|  ヽ:::::::.::::::::::
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  \__} ::/..:::::::::: /.:::::::::::}:::::::ー/::{ 一…‥' }::::/{::「   }::::}  }::|
  にニニ}../:::::::::::::: /.::/:::/:::}::::::::/)ノ\     }:/ {/ _,斗}::{  }::|
  にニニ}:⌒V〉:::::::{/)ノ厂}::::::/ーrt=弌===ミ、}/  f笊爪 }ノ,  ;/
  にニニ}:::::::/::::::::::( ^{^ /::::/  ⌒ ー∨以 '′      ; ‘,
  にニニ/:::::::レ')/.:.\: {;/{ //////////〈///:   ‘,
  にニニ,゙.::::::::::::::::::::::::::::.‘,  ‘,/////////////人   ‘,     ご、五年もあれば、
  にニニ,゙.:::::::::::::::::::::::::::::::::.‘,  ‘, ∪           /  ‘,  ,‘,[    この天才美少女巫女霊夢様が
  にニ,゙.:::::::::::::::::::::::::::::「 ̄ ‘,  ‘,ト .     ,. -  く:{    ;  丿く    アンタの呪いくらいどうにでもしてやるわ。
 厂}ニ,:::::::::::::::::::::r‐=ニ|   ‘,   ‘,[  〕ニ=‐- ァ'゚  ゙:,   [入厂]爪
/⌒jニ,::::::::/:::::::; '゛ ̄`ヾ\  [入厂]爪く /  /^!    :\   }::::::::::}
⌒V /::::::/}::::::;'       \\   〉:::::::::::::〈_/} !     {::::::\  }::::::::::}
/ニ,::::::://:::::::       ∨\{:::::::::::::::/[¨¨]  !    ;\::::::\}:::::::/
ニ,:::::::://::::::::::}         ∨/{::::::::::::/ニ[___]\__j    !丿ヽ::::::{ :::/
ニ,::::::://:::::::::::::}゚,           ∨_\::::/ニノ {ニニ}`ー…・‘   /::::人/
ノ:::::/ {:::::::::::::::} ‘,       ∨\)'ニ/  {ニニ}      /:/
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    {::::::::::::::::::ヽ`ー…‥・ ・‘  {ニ\_人_}ニ{        }
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|「…………は?」
|「そしたら、一生ATMになってもらうわよ? こないだの十万は結納金ね」
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| ジャギは思わぬ流れに、想定もしていなかった流れに困惑した。
| 焦ったと言ってもいい。自分はもう、『血族』としてはここまでの『のけもの』のはずだった。
| 
| なのに、え?
| 霊夢には兄ラオウのために気功義手の研究を続けてもらわねばならない。
| 
| ロストスキルとルカの治療もある。
| 自分なんかにかかずらっている暇はない。
| 
| …………だが、自分を見上げる真剣で怒りに満ちた顔に、ジャギは何も言えなくなった。
| 本気で心配させたのだ。死んだかもしれないと思わせたのだ。
| 
| そして、この想いはその結果なのだろう。
| 
|「何でもするって言ったが、ありゃあ言葉の綾だ」
|「いいから黙って博麗ジャギになんなさいよ」
| 
| 霊夢はジャギの鋼のような胸板に顔を埋めた。自分の言っていることに気がついたのだろう。
| 上気した顔を、そうやって隠した。
| 
|「それまでに、アンタに飽きなかったらだけど」
| 
| そうなってくれた方がいいと、ジャギは思った。
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220死夢見 ◆XDD/DkyjV6:2022/05/08(日) 13:16:29 ID:/9B9xuhwMM


☆ 次回予告!

 塔を登る五つの影。

 先頭に立つのは美少年。
 金髪碧眼、縞々ニーソ。

 指揮を執るのは、おしゃまな女。
 ヘテロクロミア、不屈の負けん気。

 彼女に従う、巨漢の男。
 長い白髪、賢人の瞳。

 恐れながら進む少年。
 ヒーローになるなら今ぞ。

 殿を務める制服の少女。
 一花咲かせて、死ぬなら本望。


次回、最終幕九十二話『先行者』
 果てに見るのは破滅か死か。

221令和もどこかの名無しさん:2022/05/08(日) 15:52:30 ID:O4QtjMVsMM

アー、イイ……トテモイイ……

222令和もどこかの名無しさん:2022/05/08(日) 17:59:53 ID:G.rHUjdQ00
乙 傷だらけの部位にすっとしみてく

223令和もどこかの名無しさん:2022/05/08(日) 18:07:14 ID:8QHPeLUY00

少女相手にタジタジになる巨漢は良い文明

224令和もどこかの名無しさん:2022/05/08(日) 19:57:20 ID:DVHHXwbk00
乙です

225 ◆Emjcf.lfLU:2022/05/08(日) 23:28:53 ID:TQ2O2sHQ00
殺伐とした展開が続くからホッとする

ところで、シロッコとか十字軍とかはこれで退場?
合衆国とか教会全体とか含めて、状況まとめがあると助かる

226令和もどこかの名無しさん:2022/05/09(月) 02:10:35 ID:aNW6xEPg00
合衆国軍はヤーボ逮捕とトルーマン拘引で動きが止まる。実質退場。自衛隊もムスカの件で同様
シロッコの糾弾が始まって、シロッコによって予想外の流れなので、何かが起きて有耶無耶にならない限りシロッコは負ける
ジャンヌは燃え尽き状態。球磨川の死を知らないやらない夫の生死は不明

227 ◆uUUL1UxePw:2022/05/10(火) 09:36:23 ID:oHNnNRmkSa


将来、あるといいね
さて、玉数足りないのをどうやって補うべきか

228令和もどこかの名無しさん:2022/05/10(火) 09:39:29 ID:oHNnNRmkSa
玉じゃない弾だ

229死夢見 ◆XDD/DkyjV6:2022/05/15(日) 13:30:50 ID:qhowCgsIMM
>>226
産業助かる。


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___l  、丶\ |! : : | \: : :|リ人 ノ从iノリ从爻ミノ|:::|_____.| ̄ ̄ ̄|r| |ィ´「」 |二二二二二二|::::::::::::::::::::::
___l  、丶\ |!__|.   \|ノ爻ト从ヘk从ミノリ从iミ|:::||............| |!     i| | |「」 ィ´|            | ̄ ̄ ̄ ̄
___l  、丶\ |!   | :\  |リ爻ハリ爻トfノ戈Yイ从|:::||............| |!     i| | |ィ´「」 |二二二二二二|::::::::::::::::::::::
___l  、丶\ |!─ | : : :丶|从ソヘ乂爻jノ乂ヘメノリ|:::||............| |!     i| | |「」 ィ´|            | ̄ ̄ ̄ ̄
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| 都内某所、地上四階建てのこじんまりしたビルが『十字軍』のアジトだ。
| 地上まで悲鳴の届かない地下階層が魅力的。彼らは無辜の市民を捕縛しては好き放題にした。
| 
| 実際、この三ヶ月における悪魔の被害と『十字軍』による被害、どちらが多いのか分からない。
| 『十字軍』は暴力と略奪だけの集団だ。
| 
| 鼻についた男は殺す。
| 目についた女は犯して殺す。
| 
| 理由なんてでっち上げだ。全部悪魔の仕業にしてしまえばいい。
| 
| 派遣された双子の指揮官。
| オズとオズマはそういう意味では完璧な『十字軍』だった。
| 
| 『教会』日本支部にあてがわれた退屈で窮屈な見回りと悪魔退治なんてどうでも良かった。
| ただ、好き勝手できれば、それで……。
| 
| その末路が、現状である。
|_________________________________________________
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230死夢見 ◆XDD/DkyjV6:2022/05/15(日) 13:31:14 ID:qhowCgsIMM



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.       , ':i:i|i|i|i|i|i|:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:ii|i|i|:i:i:i:i:i|′        {|i|i   {   ̄          ファックだババア。
     , ':i:i|i|i|i|i|i|:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:ii|i|i|i|:i:i:i|   _     _!|ii   ',             ブラッドプールだ。
.    /i|i|i|i|i|i|i|i|i|:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:ii|i|i|i|i|i|i|  `7 ̄|i|i|i|i|i|j   ',
.   /i|i|i|i|i|i|i|i|i|:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:ii|i|i|i|i|i|、\_/i|i|i|i|i|i|i|i| ',   .            しかもただの全滅じゃねえ。
   /i|i|i|i|i|i|i|i|i|:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:ii|i|i|i|i|i. \i|i|i|i|i|i|i|i|i|| '    V
.  /i|i|i|i|i|i|i|i|i|:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:ii|i|i|i|   \i|i|i|i|i|i|i|        V
 /i|i|i|i|i|i|i|i|i|:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:ii:i:i:i:i:i:i:i:i|i|iヽ   ヽi|i|i|i|i||   ',    .
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| どこもかしこも破壊と殺戮の痕跡。致死量の血や臓物、弾痕に破壊痕。
| まだ腐敗していない腕や脳漿が散らばる中を、『暴力教会』のエダは携帯電話片手に放送禁止用語を連発している。
| 
|「『十字軍』がファックされたのはこの二三日で間違いねえ。だが」
| 
| 肉片を咥えて目を光らせるドブネズミ。
| 12月の寒さのせいで、腐敗も悪臭も抑えられている。
| 
|「死体がねえ」
|『だが、死んでんだろ?』
| 
| 電話の向こうはヨランダ。訝しげ。
| エダは唸り、言葉を探した。死体がない。
| 
|「襲撃があって、山程死んだのは確実だ。
| だが、どの階にも死体がない。吹っ飛んだ手足はあっても、バラバラの破片はあっても。
| 
| ねえんだよ。明らかにパーツが足りない」
|
| そして、それだけではない。
| エダは『十字軍』が戯れに犯したり殺したりした犠牲者の所持品が、地下に積まれているのを発見していた。
| 
| しかし、そこにもない。
| 
| 悪臭と湿気から、複数の腐乱死体があったはずなのに。
| 
|『ネクロマンサーかい?』
|「……ここまで大規模な攻撃と屍術を使えるような? そんなのこの東京に一人しかいねえだろ」
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231死夢見 ◆XDD/DkyjV6:2022/05/15(日) 13:31:36 ID:qhowCgsIMM



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      {ヽ',.',  { |/ }
       ', `,ィ'´`ー<_,,-‐/´ ̄ `ヽ、   ._,,
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  't;;:  \:::::';::.-'.V, |{'       .i;ジソy<::`/´゙゙`ヽ,
   `ヾヾ:',`゙´   .(ヾヽ    ヽ、 ' .` ,'´ /´..::/´゙`´
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      .V  /´ヾヽ{, ̄ ̄ヽ__,,/    `ーァ;/ソ
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| 曹操 孟徳 華琳。
| 
| 健康のために日光浴するようなアンデッド。
| デュランダルを襲撃して返り討ちにあったというが……。
| 
| そう、エダたちは知らないのだ。
| その返り討ちすらも華琳の策略で、本人は地に潜っていたなど。
| 
| そしていま現在は、『血族』の客将になっているだなんて。
| 知る由もないのである。
| 
|『あの双子は?』
|「十中八九死んでるぜ」
| 
| このビルで唯一、破壊が無いのが最上階の指揮官室だった。
| だが、引き裂かれたオズマの衣服と、大量の血液が残っている。
| 
| この襲撃は、そこから始まったのだ。
| ……恐らく正式にアポイントメントを取って、オズマに近付き、そして油断させて殺した。
| 
| いかなる手段を用いたのかまでは、分からないが。
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232死夢見 ◆XDD/DkyjV6:2022/05/15(日) 13:31:50 ID:qhowCgsIMM



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                  Ⅵ人_ }oO゚へ{;{rrrrr'
                 {{`Yrミヽ/{しヘ弋ーァ
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                rf斗f{三≧{!_{!_{!ハ
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              {i{i{i{i{i{i{i{i{i{i_}/  〉 ,l]l]l]l] >∥
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|「撤退だ!」
| 
| 夢の塔。
| 人々の夢をパッチワークした非現実の建造物。
| 
| 世界を滅ぼす普遍的無意識の化身『ビスケットハンマー』に届く巨大な塔。
| ペルソナ使いたちはこの塔を踏破し、『ビスケットハンマー』を手にせねばならない。
| 
| 現在、十二月十五日。『やらない夫の集会』の翌日深夜。
| 攻略開始から五日目、四十六階。
| 
| 夢の塔には、人々の悪夢や歪んだ欲望の化身であるシャドウがうろつき、侵入者を阻む。
| 塔の攻略は疲弊を伴い、連続での探索は困難だ。
| 
| そのためペルソナ使いたちは四人程度のグループを作りローテーションで探索していた。
| 
| しかし今夜。
| 
| 次元の違う強敵と遭遇し、撤退を余儀なくされた。
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233死夢見 ◆XDD/DkyjV6:2022/05/15(日) 13:32:05 ID:qhowCgsIMM



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                   /,   ィ     ヽ
                     //////!   ハ .ハ \
                 ////イ'///∧  //∨/∨;|
                ' /イ< |'/ |//∧i////////;!
                 /| jfヾ{ W////////////          …………『先行者』の仕業だな。
           ∨     ノヘ H---ヾ///ヘ'/////
               ∨   __入  `′   Wf ニ}///〈、
             ∨ イ;.:.ハλ      -=イj////ヾー. 、
              ノ、| |:.:. ヘ `  _/  :.:. ヾハ厂 ``ヾ:\
              ヽ ヽ!ノ : : : 7 ̄/`ヽ  :.:       :.ヽ:∨
                 ド-イ`fー'   ハ:|: :|ト ;       :.:.ノ:ハ
               !   !: |   /: : ヽ :||      __//: : ∨
               |   |  ./: : : : : i !、_>.´:_: -‐: ": : : : :.∨
               |   | ハ: : : :.:.::::ヽ:ー-:‐:"´: : : : : : : : : : : :∨
               |   ∨ヽ\: : \:::}: : : : : : : |: :_:_:_:_:_ : : : : ∨
               |   :. }  \\: : ヾ: : : : : :i:ノ!´: : : : : :\:i: /!
               |    :.     へ\入: : : : : ヽ!: : : : : : : /: |': :!
                    、     /   `¨_ハ: : : ヽ:| : : : : : : /: : !: :|
                   \  / ∨   〉 : ‘,: : :::!: : : : : : /:/: ;!: :!
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| 中国製の人型ロボットの話ではない。
| 彼らは高校生だ。生まれたころに発表された『先行者』なんて知る由もない。
| 
| なので、塔の上層を攻略しているペルソナ使いたちとは別の何者かを指す仮称である。
| 強敵は、今までに遭遇したどのシャドウとも違った。しかし、ペルソナ使いたちには心当たりがあった。
| 
|「どう見ても『ツギハギホラー』だった。クロトワ先生の」
|「だが、死んだんじゃなかったか?」「死んだ」
| 
| クロトワ。副担任にして伊藤誠配下の魔術師だった男。
| 『学園封鎖』のどさくさで、ひどい拷問を受けて殺されていた。
| 
| 死体を確認した刹那が神妙に頷く。
| あの死体はクロトワだった。だが、死を偽装した可能性もある。
| 
| それこそクロトワが持つ『法務官 ジン=ギタクシアス』で他の死体を改造して……。
| 
|「教室でジョニィ・ジョースターと一緒にいたのも『ツギハギホラー』だったかもな」
| 
| ペルソナ使いたちの戦いは、夏から秋の終わりにかけて行われた『夢世界』と地続きである。
| ゲームマスターとして窓付きが、五人のサブマスターとして『法務官』を設定した。
| 
| 『法務官』はペルソナの能力や攻撃の影響を受けない。
| 一方的で圧倒的な存在だった。
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234死夢見 ◆XDD/DkyjV6:2022/05/15(日) 13:32:17 ID:qhowCgsIMM



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     ( |/:::´::::::::::::::::::::::::≧
    /:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::`ヽ
   ∠:::::::::::f::f::::::::::::::::::::`l::l:::::::丶
   /::::::::::::|::|:ノナ弋:::/弋|::|::::ハl         センセが
  .人λ:::::(| |( ●) .(●::ノレ´          実は生きてて
.     |:::::::|::| ,,  r‐ァ リ:|            『先行者』やってるって?
   .ヽ ノ:::::::|::|、    ̄ノく|::|
   .冫:::: i⌒\_7ヘ::ハ,、-リ            あー…………ありかもな。
    {:::::::::l,`彡巛ー──;\
    {:::::::::::| `冫-rr-r-く_)
    ヽ:::::::ヾ. ..ヽノ::{:::}::ノ/ノ
     ルヽノ)  |  {:::} | .i

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| 『法務官』は五人。本人の意志とは関係なく利用された。
| 
| 担任教師マリナ・イスマイール。
| 窓付きの両親。
| そして。
| 
| 魔術や異能を知る二人が、窓付きの支配を逃れ離反。
| その片割れがクロトワであり、もうひとりが。
| 
| アリー・アル・サーシェス。
| 
|「……クロトワ先生ではないのでないかしら?」
|「アタシもそう思う」「どっちだよやんねえ香」
| 
| 考え込むやんねえ香、知恵熱を心配する少年執事
| 珍しく発言し、自説を同意されたマーガレットが、自分のメイドを見る。
| 
| …………十六夜咲夜である。
| 
|「ああ、お嬢様。『襲撃者』が言っておりましたね……『コイツはディオっていうのか』って」
| 
| 『やらない夫の集会』でディオに襲われたマーガレットと咲夜も、『夢の塔』攻略に参加していた。
| 同じく、はやぶさとタカオも。
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235死夢見 ◆XDD/DkyjV6:2022/05/15(日) 13:32:32 ID:qhowCgsIMM



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                i : : |くヽ `フフ′ ',: | : : : : ∨/: :.:.|\_}/゚.。:.:.|
                |: ̄爺f//_辷_ '、|: : : : : :|⌒',ノ,′: :|   |: :|
                l : : |_彡   爺.ノ ̄|: : : : :.:.|ー; |イ: : : :|  │::|       ……てことは?
                |: :.│〈          |: : : : :.:.|_,ノ│: : :.|  │: !       ディオさんを知らない人?
                |: :.∧        │: : : : :.|: : :.:| : : │  |: :.′
                |: : :l∧ Tヽ      |: : : : :.:.|: : :.:| : : │  | : :′     でも、『襲撃者』って現実側じゃないの?
                | : : |: : :.、 ’   .   个: : : : ::|: : :│ : : |  │: :',
                | : : | : : :.:`=ァf"    |: : : : :.:八: :人 : : |  │: :.′
                ,:| : : |` ー‐f":: \__|: : : :.:∧斗…― ミ_   |: : : ,
                 / | : : |   `r――‐tー|: : : :.:|/ー      ゚.。 } : : : ,
.                / :| : : |   └―=彡'∧: : : :八.       ∨: :;!: : :,
               /  | : : |      / / |: : : :,′      ,     ゚。ノ{ : : ',
.              /   :| : : |nxnxn'^~^~^~|: : :.,'^~^'nxnx/´ ,xnv‐vv;: : :.:′
           rxWxnxnx| : : |彡==(∴f〜ー| : : |ーf∵)==={wx' z_z_z_z_| : : : ',
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         }γー‐'^し、 ^ │|人 :::::::::{ /ニ≦==、     r―--ミ|      ゚。: : :.:',
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        .′   _ ノ _仁>''゚7;   ′/        `:::‐::..、` -   ;} ̄ ̄⌒' ゚。 : : ',
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|「ジョニィの死体を操ってた奴と、集会の『襲撃者』、そして『先行者』が別々だと考えるのは難しいね」
| 
| だが、二人いない。
| 
| 球磨川禊と、朝霧アサギはここにいない。
| 昨夜、『やらない夫の集会』当日の夢で彼らは過酷な現実を目の当たりにした。
| 
| 『やらない夫の集会』の負傷者五名とはやぶさは、伊藤誠に拐かされて現在警察病院に軟禁されている。
| というか、アサギと球磨川は死亡。
| 
| マーガレット、咲夜、タカオは集中治療室で未だに生死の境をさまよっている
| さまよっているが、未だ存命。
| 
| ペルソナ使いたちは、『死んでなければ攻略参加可能』というルールを知った。
| 言い換えると、『死んだら夢にも出てこない』。
| 
| その上、意識不明の間は『夢の塔』探索し放題。
| マーガレット、咲夜、タカオの三人はとりあえずで塔を登りつめて、予定を大いに縮めていた。
| 
| ……そしてそれは、一つの喜ばしい可能性をペルソナ使いたちに想起させた。
| 死んでいないのに夢の塔攻略にも参加していない人物がいるならば。
| 
| それこそが……。
|_________________________________________________
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236死夢見 ◆XDD/DkyjV6:2022/05/15(日) 13:32:57 ID:qhowCgsIMM



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      Y::::::::::::::,ヘ>乂ノヽ、::!::::::::::/リ从<イ:::::::::::::ト、!
       }::::::::::::::ト、Y瓦ト`ミト}}乂::::/ィ(ソ) ノ从::::::::::{         ナイスな展開と聞いて!!
      ,'、ト、iヽ、ゝ`ニニ´    ヽ′゙ー‐' イ::::::::::::乂__
     八:.:.:.:.:.:`ト.、        i    /\ト、从   ヽ、,r','⌒ヽー
      /  \::.:.:/:::::i         _ 〉ゝ  /::.:.:.:.>:.:...    >"´ ̄
    / ノヽ: `Yヽ:::ノ 、. __  _ ´   / . . :. :.>fニ二 ̄_
  /: : :/: : :i    {     二´ ..イ´:::::::::::::/´ ̄ ̄ヽ、 : ::..`ヽ、
.:. : : : :     iハ .   ヾTト、   /__x'´ ̄r'´ ̄` ー― .::\: : : :.:.:\
: : : :  . : : :j i    r‐‐一≠´ゝ--'⌒`ニ´`       ヽ____ヽ、
    . : : : :'  :    `こ´.....イ¨`ヽ  ー:::::::、      ...:<:.:.:.:.:.:イ/
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| 彼らが期待したのはふたり。
| 
| まずは『学園封鎖』で藤木をかばい、ジョニィの爪弾を受けてそれ以降意識の戻らない早瀬浩一。
| 医者の説明では、異様に衰弱しているらしく、生命維持装置が必要なほどだというが。
| 
| よもや、浩一が『先行者』なのではあるまいか?
| 
| あるいは、持病の悪化で集中治療室から出られない『破滅願望者』のひとり。
| 島津由乃もまた、『先行者』として塔を進んでいるのでは?
| 
| 塔を先に登る何者かが、その二人であるならば、そんな甘い期待をしていた。
| ……だが。
| 
|「サーシェスが死んでなかって可能性は?」
|「…………頭吹き飛ばしたんだろ?」
| 
| 信じがたい様子の委員長。
| 
|「いや、有り得る」
| 
| 刹那が即答。誰もが眉に唾を付ける。
| 彼はサーシェスを神格化しているのでは?
| 
| 驚異的な能力を持つ怪人を、無敵の超人と勘違いしているのではあるまいか?
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237死夢見 ◆XDD/DkyjV6:2022/05/15(日) 13:33:10 ID:qhowCgsIMM



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       l:{ ゝ::::::::{代fjヘ:{/´ 弋チ, }::::メテ:≦≠-
       `ゝ ヽ::l:::≧= }`    ̄ ノィ/´::l/
           j/ヽlヘ  丶       彳!:/           十六夜、『襲撃者』は
          ´  l´ ヽ、' ⌒  /ノィk1           『エリシュ・ノーン』を使っていると言っていたんだな?
               />‐ 彡 ´ ̄  〉
              {:.: ̄ ̄   .:.:.:.:.:└-、_
              _/>:.:.:.:.:..:.:_:.:-‐:.:.:. ´.:└┐
          __/.:./ ./:. :.:.:.: ̄:.:.:.-‐ .:. _ -‐'^`ア ヽ
.          /l/.:.  人:.    .:.:.:.:. _、-‐    /   ∧
         {/ .:  /  \___ -‐ ´             ∧
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|「はい、だからペルソナでは治せないとも」
|「あれ? 『エリシュ・ノーン』って、窓っちのお母さんのだよね?」
| 
| 元ゲームマスター、現オペレーターの窓付き。彼女は頭を振った。
| 
|「…………二人ともいない」
| 
| 両親は行方不明。ペルソナ使いたちの家を転々としている窓付きも家には戻らない。
| マンションの一室は、いまや廃墟で。逆に何らかの侵入者を待ち受ける罠として、麻呂が結界を張っていた。
| 
|「殺して奪ったか」
|「藤木、言い方」
|「いい…………気にしないで」
| 
| 中学時代のいじめが原因で引きこもった窓付きと、娘が不登校になったことを受け入れずに暴力やヒステリーで糾弾した両親。
| 仲は冷え切っていた。
| 
|「サーシェスならば、他人の能力を奪う事が可能だと?」
|「可能っつうか……その」
| 
| やんねえ香が珍しく口ごもった。窓付きをチラ見。言いにくいなにか。
| 窓付きは構わないとばかりにうなずいた。
| 
|「真紅さんの見立てだと、窓付きの親父さんはかなり早い段階からサーシェスだったみたいなんだよ」
| 
| 言いづらい事を代弁したのは委員長だった。
| だが、窓付きは無関心に頷いた。
| 
|「ああ……だから」
| 
| 思い当たる節があるのだ。急に優しくなったとか。
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238死夢見 ◆XDD/DkyjV6:2022/05/15(日) 13:33:28 ID:qhowCgsIMM



                         Nl\、             ,. -─‐_フ                /二二
                        _l lト, ヾミ、_,         / ,ィ´ ̄                 / 二二
                     ィヾ/ L\ \乂ノlノヽ、_,、,,/ ∠人 ,. -──‐_フ         | 二二
               __,ノ /   | `i  丶      / / ,/  , '´ ̄ ̄              | 二二
                    ̄> r''    ヽ,人  `ー‐''"´ イ /  /乂_                  | 二二
   、 戈_ ‐-ミ     _,ノ  l     \_,\ .,、     `´  / -‐<⌒             | 二二
__ゝ -ミ `ヽ、 `` ─-ミ三彡    /|_ノ `ト| `ス,∧    /彡ミ、  _ソ            | 二二
───-ミ ` 、 ``_ォ‐-ミ        ∥  _ 心ハノ,炒' _ ',  ,'".::::::厂`ヾ、\r‐-ミ           | 二二
       `ヽ、``''─-ミト、      |/´ll`ト、l | l 'i´lN/.:::::::::`ミヘ\  `::: : : `` .、、      l 二二
            \                从ヾ、`¨´,,''/ ヘj.::::::::/ヾ``ー-ミ_:::: ::: : : : : : : :\     / 二二
         ,.イ ̄ ̄``ミ廴_      / ヽ_ ゙i^i"/  l| ::::/∧ ∨ __  \::: :::.ヾ\_ヽ:: `丶  i 二二
.          ⌒ソハノノ彡/.::::::`丶、  〈 :::::::∧  l    l ::/, 'l∧ ∨ l|   `ヽ__ `>'.:: : : :_、\| 二二
           /''"´ソレ/.::::::::::::::::::l    ∨::::::∧_∧ _/ ,'   |  マ  l|       \::: ::: /\\〉二二
          /´i|,,ノ.:: : :ヘ::::ヽ:::`≧s。.,ゝミ、::::::/.:> ' / /│   Vl |         ヽ::::,ヘ` 、\ 二二
          /.: : ヽ/: : : : И 〉:::,へ 二二>:: ∠_/ , ' /}    / |          \ \\_`フ 二
.         /.: :: ::: : : / >'"〈 〈/ へ \二>:: ∠__/ / ノ    7/          _,ノ\ \__ 二二
        /.: :: ::: : : : :,∠   }   / ミ \,〉二フ <__,,イ r‐'─- /\        \ {``─-`- 二
.       /.: : :: ::: : : : : /    |l / \三二フ.:::::<二,/.: : : : / : : : :.ヽ           ` 、\_ 二二
.     /.: : . /} : : : /     `´ 又¨ヽミ、≧:::::::://.:〈 : : : : : : : : | : :l}           ∧\_`フ二
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´i   }::: ::{   メ:/:/       /.: : : : : :::::::::i ::::::::: ヽ::::::::::: : : : : : : : | : l|         /二二二二二
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.二/  ソ´/ マ :: l_    /.: : : : : : : : : : : \丶:::::::::_〈 :::: / ト、 : : : : : :/\        /二二二二二
 // 二/ _〉ヽノ   /.: : : : : : : : : : : : : : レ`ー' ̄   `¨´ 人:::\: : : ノ.: :∧      ∥二二二二二
 二二 // 二`i   /.: : : : : : : : : : : : : : /               〉:::::. : : _: : :|│     i 二二二二二
二二ニニニニ∧  /.: : : : : : : : : : : : : : /               〈 ::::::::::/ ヽ:::│     |二二二二二
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| ともあれ、窓付きが『父親』に与えていた『法務官 ヴォリンクレックス』は『他者を食って能力を奪う』。
| サーシェスがその能力を使って『法務官』をコレクションしているのかもしれない。
| 
|「ねえ《ストレンジカメレオン》で答え合わせできないの?」
|「アイツ、出てこねェンだ」
| 
| やんねえ香に寄生する『世界の敵の敵』である全知存在、《ストレンジカメレオン》。
| 前回の『夢世界』ではやんねえ香のペルソナのフリをしていた。
| 
| だが、実態は『夢世界』というひび割れからこの世界に侵入する『滅ぼすもの』を水際で破壊するための存在である。
| そして、『夢の塔』には世界の危機が存在しない。
| 
| 残念ながら『ビスケットハンマー』は世界内部、人類の普遍的無意識野から発生した危機。
| 《ストレンジカメレオン》とは管轄が違うのだ。
| 
| で、何が言いたいかというと、《ストレンジカメレオン》に答え合わせを頼みたくてもこの場にいない。
| 朝起きてからだと記憶に曖昧さが発生してすべて聞けるわけではないという不便さとなっている。
| 
|「…………俺はこの後の探索は不参加だ」
|「不許可だ。刹那がいないと戦力的に厳しい」
| 
| 考え込んでいた刹那。ナイフの輝きを秘めた鉄色の瞳がギラリと光る。
| 
|「睨んでもダメだ」
|「マリナ・イスマイールがここ数日、付け回されているような気がすると言っていた」
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239死夢見 ◆XDD/DkyjV6:2022/05/15(日) 13:33:43 ID:qhowCgsIMM



           _,....‐::‐::-r::‐:::-..、
         ./::::_;::::::::::::::'、::::::::::::`ヽ.
        .//::::/::::;::::/:/:::::ヘ:::、::ヽ::::::ヽ
       //_;:/ェ=l=-lェレ‐:::ヽ-.t-::〉、i::〉i
       f/l:ー1:::::l!:::::|!::|::::::::l:|::::l:::`:i.トl、ィ'i
       |!::|!:::|!::l:l::::/l!:ハ:::::::ili|::::ハ:::::l|:l|:!:l.l
       !:|!:::|!:/tlr_‐t{ リ!::/|rj:ァ‐リ::リl|:l::il|        学校があんなだけれど、
       l:||:::::lVT:i:Yヾ゙ ノ ''T:iYV:/:l:::/リ        むしろあんな事があったから
        ヾ::::| ヾ¨´    l   `´ノi::::;、{´         やらなきゃいけないことが多いのよ。
          V:::!      |     ,l!:;リ `
         !:::lヘ   _`__    イ!' |           だけど夜に、
         |l:::ト:ゝ     ,.イ.|::!l l           ふと誰かの視線を
          !:、|:iく!_` - ´_レ! .|:/リ           感じるような気がするの……。
         /!:::〈!  `ヽ l´  ト、!::i|
       _,. ' 7:::::ヘゝ、 V .. イ V:/ト .._
 , - ‐  ´   /|!::∧´ ̄|冂| ̄`//::|!  ` ‐- 、
 !  、       ! |l::|| ゝ、ノiTヘ、 ー'||:i|.l     ,  !
 |  ヽ    | .|N |、/ / l ヽヽノ!!リ l    /  j
 |    ヽ   | !:| .l  / .:  ヽ .||| | .i  /  l
  !    V   ! .l:| |、_/  i  ヽイリ  |  !./   l
  }     |   .l l|  !       リ  .j  {   |
  |    .{    、 ヽ l    |   /  /   }   |
  l    l    ヽ  ヽ`ー-‐ ' /  /   l    !

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|「………………」
|「窓付き、可能なら今すぐ起床したい」
|「そうして」
| 
| 『敵』がアリー・アル・サーシェスならば、すでに四つの『法務官』を集めていることになる。
| 残る一つ、マリナ・イスマイールの『シェオルドレッド』。
| 
|「でも、いま真夜中だぞ?」
|「合鍵がある。今晩からマリナ・イスマイールを護衛する」
| 
| 合鍵、若く美しい女教師と、お気に入りの生徒。思春期の少年少女たちには刺激の強い燃料だ。
| 
|「寝ずの番は刹那が潰れる。明日麻呂さんに応援を要請してみよう」
|「助かる」
| 
| 冷静な雨宮夕日。彼は参謀会議に参加している。
| ……だが、と夕日はひとりごちる。
| 
| やらない夫、ジャギ、蒼星石、やる夫。そして天龍とシグ。
| 『やらない夫の集会』とその直前の『間桐屋敷襲撃』で六人が失われていた。
| 
| 頼める人手など限られている。
| 
|「待って、不可解な点があるでアフロ。
| バートンか委員長。イスマイール先生を尾行するとして、気付かれると思うでアフロ?」
| 
|「あんなぼんやりした人に?」
|「言い方ぁ……だが確かに、プロなら気取らせやしないだろうな」
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240死夢見 ◆XDD/DkyjV6:2022/05/15(日) 13:33:55 ID:qhowCgsIMM



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         ∨/Nク ー.-.=ニ二.三.二ニ:=::-‐::≦i;;;;;,'
             <X|: : kry: :::7 ll:ハ:::::ァ_ュ;::::::::::l厶<
         ィニ彡ゝ!、  ` ´ / !.i::ハ::::::::::::::::::;::リ7!i!lヤ      罠だな。
            〈从!i !.ハ      , -: 、:':. : : ::::/:/∧州i      そして狙いは間違いなく聖詠だ。
         K州入i .ハ     '´‐ `'  、  .:/::l :!;liミi_、      お前が気付いて先生の護衛に行く
         ∧从乂..ハ  、_. -‐===人 ':::/斗;∧'       そのタイミング待ちだろう。
            Y从川ャ、!   ̄二ニ、´:.  .!:/|;从;∨
          ∨ソトl! ヽ,       ::::::::::. //:::lリi ⌒`'
           `' |  ,:. 、     .::::::;::':::':::::| `
              !   ,\`:::-:=:=:::':;::':::::::::|
            _. -r==ニ二7;ハ-ハ二ニ==‐- ._
         , =ニ二二二二ニ7;;;;;;V,;;;;、三三三三三ニ= _
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|「青葉ならどうする?」
|「聖詠に屈辱と敗北感を与えたいなら、強さを見せつけて拘束して、目の前で先生を……」
| 
| 真面目な顔で考察しながら、貞山青葉は周囲の女子の刺々しい視線に気が付いた。
| 
|「ふひっ、これは考察であって! 決して僕の個人的嗜好ではないでござるよ……!」
|「いや、大いにありえる」
| 
| アリー・アル・サーシェスは執念深いサディストだ。
| レイプや拷問、マリナに刃物を渡して刹那を刺させるとかもしそう。
|
|「冷静になった。どうすればいい? だからといってマリナ・イスマイールを放置はできない」
|「聖詠ではない誰かが行くのは?」
| 
| 青葉が頭を振る。
| 
|「勘付かれたなら、その誰かを拷問して殺して先生を拉致。手紙を残すだろうな」
|「積みじゃん。相手は『隠れしウラヴラスク』なんでしょ?」
| 
| アリーの『法務官』は魔法でも機械でも看破できない絶対的な隠密能力を有する。
| 本気の彼ならば、何者も奇襲を避けられない。のだが。
| 
|「…………『見えない悪魔』」
|「なんだよそれ」
|「『学園封鎖』中に俺とマリナ・イスマイールを攻撃した悪魔がいた」
|_________________________________________________
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241死夢見 ◆XDD/DkyjV6:2022/05/15(日) 13:34:11 ID:qhowCgsIMM



              /: : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : :、: : : : :\
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             /: : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : |: : : :ヽ: : : : ヽ: :、: :ヽ  ヽ、 \
             , ': : : : : : : : : | : : : : : : : : : : / : ;| :|: : ヽ: : : :丶 ヽ: ∧    ‐ \
        __/: /: : : : : : : :|: : /: : : : / /:/:/ V |: |: : : \: : : \l: l:∧     `ヽ
     ヽー `ニ=‐:´: : : : : : _ : : | : l : : : : レ: :ィ l/\Ⅵ: !:|:| : V : >: __ 丶、 i
      丶、: : : : :‐=ニ/: : ィ:| l | : : /ィ: :/ f=ミヽト、l |:|: : |: /: : / : ┬ `=-
        ≧=―: : :´: : : :ィ:_|:ヘ|: : |: : l|: :|  、 fィふミヾ|: : |/: /: :l : |: : l
          ` ¬¬ =:彡く |: :l: : :l: :ハ: |   `弋(  /: :ィケ7: /: /: / : : ',
            ヽ l、: :´: :\ V:l: : :|: l ヽl      //{リツ /: /l / \ : '、
              `l ヽ : : : : >Ⅵ: : ト l          ノ´  ヾ:ノ/ ノ'    \ \
                 V: :l N `lヽ |           _  >        ` ‐ヽ
                    |:l: l/    `l       ,.、__  ,r f´
               __,|ル'               ̄__`ンヽ:l      俺には違和感すらなかったが
              |‐┴-、_  l     、      /l | `
              |     ``丶、   > _   /l |/        夢宮アリカは
              /        ヽ / ̄/` Ti l'′        『そこだけなにもない』と言った。
          _,,.. ‐l         l l   {  `l
__,,.. -‐  ¨´   K 、        | ノ    }-、            あれもアリーだった可能性がある。
              l ヽ` ‐-、_    j′  ∧ ` ー- 、__


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|「ごめん、何言ってるかわかんない」
|「……『血族』の夢宮か」
|「知ってるのか藤木くん」
|「会ったことはござらん、虎眼先生に化物と言わしめるる傑物だとしか」
| 
| アリカならばあるいは。
| 
|「夢宮さんは『間桐屋敷襲撃』組と休息中らしい」
|「最悪、マリナ・イスマイールはそちらに保護してもらう」
| 
| 自分勝手な言い分だが、誰も文句を言わない。
| あのお人好しの女教師が、怪物の魔の手にかかるのは見たくなかった。
| 
|「こちらから手勢は?」
|「不要だ。本当にアリーならばペルソナ使いは足手まといになる」
|「わかった。幸運を」
| 
| 窓付きの誘導で現実に戻る刹那。
| 残された高校生たちは顔を見合わせる。
| 
|「さて『先行者』だけれど」
|「……その前に、『先行者』が一組じゃねえ可能性は?」
| 
| 委員長の言葉に、藤木が唸る。
| 剣の弟子である島津由乃と、自分を庇って負傷した早瀬浩一。ふたりを案じる気持ちは強い。
| 
|「ねえ窓付き、上にメッセージとか送れない?」
|「…………たとえば?」
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242死夢見 ◆XDD/DkyjV6:2022/05/15(日) 13:35:38 ID:qhowCgsIMM

















                       『現状はナイスな展開とは言えない、
                        このまま進めば体がチェスト関ヶ原』






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|「……壁になんか書いてあるですね、意味不明なのが」
|「ふうむ……」「日本語か?」
| 
|「これ、メッセージなんじゃない? 早瀬と島津への」
|「どこから? 上から?」
| 
|「窓付きからかもよ、あの子ゲームマスターだったし」
|「あり得るけど、警告と来た」
| 
|「警告ですか?」
|「チェスト関ヶ原……『ブッ殺す』を意味する島津の言い回しよ」
| 
|「ほう」「なんだそりゃ、ブッ殺し返すしかねえな」
|「面白くなって来やがったてすね」
| 
|「誤用かもよ」
|「は? なんでよ。『これ以上進んだら殺す』でしょ?」
| 
|「いや、もしかしてさ」
|「なんだよ」
| 
|「夢の中の戦いで、現実にダメージ受けてんのかなって……」
|「…………」「…………」
| 
|「ナイスな展開だな」
| 
|「早瀬?」「その程度で尻込みしてちゃヒーローにはなれない。だろ?」
|「そうね、ここで行かなきゃ女がすたるってもんよ」
| 
|「やれやれ、馬鹿ばっかですぅ」
|「リアルと同じさ、サバイバルだろ?」
|「愛ゆえに戦わねばならん時もあるということだ」
|
| ペルソナ使いたちよりも遥かに先をゆく五人は、そこで議論を打ち切った。
| 肉体に強烈な負荷がある。そう言われても足踏みするような者は、ここにはいない。
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243死夢見 ◆XDD/DkyjV6:2022/05/15(日) 13:35:52 ID:qhowCgsIMM


☆ 次回予告

 『スケアクロウ』。

 直訳すれば『カラスを脅かすもの』。
 すなわちカカシ。ボロをかぶったもの。

 カカシ。

 害獣を追い散らし、農作物を守るためのはりぼて。
 案山子。あるいは鹿驚。

 カラスとの親和性や、時に農具を持たされる姿から、西洋ではしばしば死神のイメージを持たされる。

 麦穂を刈るように首を狩る。
 それもまた。

次回、最終幕九十三話『襤褸纏いの怪物』
 果てに見るのは破滅か死か。

244令和もどこかの名無しさん:2022/05/15(日) 16:15:29 ID:7rZsB2MQ00
乙です

245令和もどこかの名無しさん:2022/05/15(日) 16:38:05 ID:XoBuFfC2MM

夢の中でも現実でも厄介だが現実の方がまだ分があるか?

246令和もどこかの名無しさん:2022/05/15(日) 17:32:51 ID:6TbzYCs200

サーシェス、元ネタの00でも大概しつこいが
こちらでもゴキブリ並みにしつこい
また髪の色がゴキブリ色してるから余計嫌なんだよアイツ

247令和もどこかの名無しさん:2022/05/16(月) 12:29:43 ID:YeNsfoo2Sa
乙です
そうか、先行者このスレの10歳年上なのか……

248死夢見 ◆XDD/DkyjV6:2022/05/22(日) 19:06:48 ID:nJp9DpWoMM



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| 紙袋をかぶった汚れたコートの男が、冬の冷たい雨の中、穴だらけのビニール傘を片手に歩いていた。
| 草木も眠る丑三つ時の東京、残業続きのブラック企業社畜以外は夢の中。
| 
| ふらふらと、麻薬中毒者か泥酔者のように頼りなく歩く。
| その行く手に、立ちふさがる影。
| 
| ……瞬間、雨がやんだ。
| 
| 奇跡的な雲の切れ間、スポットライトのような光条が影を照らす。
| 百円の安物のビニール傘を片手に、子供のような背丈。
| 
| しかし、その金糸のような巻毛は、寒さに赤らんだふっくらした頬は。
| 憂いを孕んだ青い瞳は、悲しげに震える長いまつ毛は。
| 
| 息を呑むほどに美しい。
| それこそ、人知を超えた美の化身であるかのように。
| 
| コートの男は言葉をなくし、手にした傘を取り落とした。
| 美の顕現はしゃがみ込んで傘を拾い、怪人に差し出す。
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249死夢見 ◆XDD/DkyjV6:2022/05/22(日) 19:07:04 ID:nJp9DpWoMM



     _   ノ ≧:::::::.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:ヾ::::::::::::::::::::::::::::::::: ノ:.:.:.:.:.::::::::::,'´_
     /::.::.`ーy、_:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:>' ´  ̄ ̄ ̄ ` - 、::::::ー=───')
   /::::::::::::r─':::::::::.:.:.:.:.:, - '´     /      ` 、:::.:.:.:.:.:.::::::::レ、
    ></´{:::::::/:.:.:.:.:./   /    il  、      ヽ:.:.:.:.:.-=、:.:.:}
  {::::::::::i />:.:.:.:.:.::.:.:./    /     il   il        V:.:.:.:.:.:.::ソ-、
   ヾ:::::::|./i:::::::::.:.:.:.:./    /     il   .il         Vヽ:.:.:.:ゝ、 `,
   彡r手イ >:./:.:.:/     il      il   .il         .V:.:`ーっキ .|
  //  | 小:.:./:.:.V      il      il   il  、        V、:.:.:.:.:)Xゝ
..  |.|  ソ人ミ>/:.:| il    小   il  .il   升 il         iミ、:.:< フ}
  |.| .// V イ:.:.:.| ト  il -升弋-、 il  i ヽ  /│ .ハ   il    |ハ:.:.ノ  小
  |.| //i  ト V-、ヽト、 .il、 ≧ァ=-、ハ,、 ヾ  /-ナ‐升- 、 .il    ir'´ソ/  ハi
  |V/ |  .ハヽ 廴::::|ゝ川 ワ示芯゜ `',v/  ≧=ナ_ /.il    リ::ハ   | ||
.  //  .|  .| ll  弋.{ .|ト、ゞ─'´      {辻り >/ノiハ  i /リ|::| i   | ||      その格好、
 / ハ  .|  .|  i}   >/ .|ヽ`'、     ,    ゞ-ィ / イノハ/レ .|::| /   | ||      危ないわよ。
.//廴| .|  .|  |}  /ハ |∧ ヽ   _       ./i l .|/    |::||   | .||
./    |  |  |}   / .| Vr> )   `     .イ/ .| .|    .V/i  .:| .||
}      |  | .|} /  小 V/>/>   , -=-≦ |   | .|    人 >  | .il
|       |  V/」 / <::::::|ヽ ヽ/:::::::r'=ミ入:::::/:::::`-イ  小.|     | | |   |/
ヽ    /   v i レヽ::::>、  X:::.::ィ{rj}ソ::::::ヽ::::::::/  .| ヽ   │| |   |
  \ ./   川 .人:::/廴∧ /  V::ィ:示::ヾ::::::::.:.::./   /ノ  \   | | |   |

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|「えあっ、はいっ、ええと……あ! あー、スケアクロウです!」
| 
| 怪人は慌てふためいて意味不明の言葉を返した。
| その声はまだ若い、大学生か新社会人か。
| 
| 美しい女は興味なさそうに傘を手渡すと、何事もなかったかのように立ち去った。
| 残された怪人は再び降り出した雨に濡れるがままに、呆然と見送る。
| 
| まるでおばけや幽霊でも見たかのように。
| そう、このスケアクロウを名乗った怪人は、『スケアクロウ』ではない。
| 
| …………『スケアクロウ』。
| 逃亡中のやらない夫がやっつけで行った変装だ。だが、いつの間にかそれが都市伝説のように広がっていた。
| 
| 『やらない夫の集会』からまだ二日。
| ネットではジャミングされて不鮮明なやらない夫の写真や、『集会』の惨劇の映像が飛び交っていた。
| 
| 中でも抜群の再生回数を誇るのは、『やらない夫の最期』と銘打たれた動画だ。
| 投稿者は不明、麻呂に確認したところ、『血族』が用意した可能性が高い。
| 
| とはいえ、頼りのダルはやらない夫死後に意気消沈して抜け殻状態のジャンヌの側に行ってしまった。
|_________________________________________________
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251死夢見 ◆XDD/DkyjV6:2022/05/22(日) 19:07:58 ID:nJp9DpWoMM



              -‐  ≦´`≧
          ≦ ´   く           `
         |ヘ      ` メ______ ` 、
         |   >                  ̄ ク
         |     `             _.  イく
         |        ` Y , イ ´       タ
         |          |/           .}
         |          |      /   !
         |〃`i       |      /    !
         |乂 ノ         |     .i    !
         |          |     .i    !
         |          |     .i    !
         |          |     :i    》
            \          .|       ',  /ト 、
             \        .リ      '/.: : : :./¨\
             ゝ 、   /   _ イ´.: : : :./   `\
               >‐-‐ ´: : : : : : : : : /       >‐,r -‐- 、
             / /´ |//《 : : : : : : : : :./       ./ ./::::::::::::::::::ヽ
          _/ ./: : ∧//\: : : : : : :/       ./.  {::::::::::::::::::::::::ト、
        /::::/  /: : ///////: : : : :._/       ./   ゝ::::::::::::::::::::リ .|
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        i ノ    |: : /////./.: : : :. :./           |           |
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| それが『スケアクロウ』。
| 
| 異様に背が高く、針金のような手足の紙袋をかぶった怪人。
| 蜘蛛のように動き、夜中にひとり歩きの誰かの前に現れる。
| 
| すでに都市伝説として語られ始めていたのを、不人気は調べてある。
| どこから仕入れたのか、あの頭の悪そうな喋り方や『スケアクロウ』という名前、挨拶なども同じだった。
| 
| 人間をさらう。ひとり歩きの女に挨拶して忠告する。
| 犯罪者を殺して埋める。迷子を食べる。
| 
| 見た目同様に善悪の区別のつきにくい、狂った怪異の類。
| その正体がやらない夫だと知られると同時に、爆発的に流行した。
| 
| 悪人を殺す。怯える弱者に忠告し、従ったものは助かる。
| そういうタイプの妖怪かヒーローのような描写が量産され、そして何よりも。
| 
| 容易なコスプレからか、真似する若者が続出。
| 夜の街はスケアクロウで溢れかえった。
| 
| 恐るべきはインターネット。
| お祭り騒ぎにはしゃぐ若者やネットサーファーの大半は、流行っているから波に乗る。
| 
| その源流、元ネタには興味がない。
| 今ある高波に乗り遅れてはならないとばかりに押し寄せて、波をさらに高くするのだ。
| 
| 刹那的に。
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252死夢見 ◆XDD/DkyjV6:2022/05/22(日) 19:08:11 ID:nJp9DpWoMM



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    / ノ:::::::ヽ( ;:;:)
    | ( ;:;:;)::::(ー) |  
.    |  (__人;;:_).:|        さすがのオレもドン引きだろ……。
     | # `|⌒´;:.i
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      .ヽ;;;;;;;; #.人
 .. ..//|\/ /_ノ.l⌒l
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  ヽ、//////)./ . |.イ
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____.,/  )--- ヽ

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|「貴様本人よりも人気があるのではないか?
| 見よ、女体化エロ画像でおじゃ。保存いいねリツイート、マジシコと書き込みもしておくでおじゃる」
| 
| そしてこちら、主人であるダルがいなくなった後も、やらない夫たちのアジトになっているメイド喫茶。
| 片足の老人がデュアルモニタを前に書き込みしながら情報収集。
| 
|「趣味悪いだろ」
|「愚か者め、女体化エロまで来たからにはもう勢いは止まらぬ! 
| あとはクッパ姫のように一瞬で衰退せぬように、一般への周知を広げる……貴様は、第二のアマビエになるでおじゃ……!」
|「えー……」
| 
| 血走った目で唾を飛ばす蘆屋道満麻呂。彼の隣には包帯ぐるぐる巻のやらない夫。
| そう、やらない夫である。
| 
| ジャギ以上に瀕死の重傷ではあるが、彼は普通に生きていた。
| その腹の上に乗るニャンコ先生。鼻ちょうちんを膨らませている。
| 
| 『やらない夫の集会』の被害は、想定を遥かに越えていた。
| ジャギが捕虜になり『血族』に潜入し、『間桐屋敷襲撃』で捕虜になったやる夫と蒼星石のフォローに回るのは予定通り。
| 
| しかし、天龍とシグがロビンに負けて『教会』の捕虜になり。
| 球磨川とアサギが死亡、マーガレット、咲夜、タカオ、はやぶさの四人が誠に攫われたのは大きい。
| 
| 『夢の塔』を攻略中のペルソナ使いは目覚めると疲労で役に立てない。
| つまり、残ったのは麻呂ミスト四ツ目鹿島、そしてアリカだけ。
| 
| なお、『血族』側に潜伏するロストスキルと黄泉は数に含んでいない。
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253死夢見 ◆XDD/DkyjV6:2022/05/22(日) 19:08:23 ID:nJp9DpWoMM



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       |   ,'    |   |  :|  :|    |  |  :|   | l /
       }       |   |  斗-‐┼   ト-ミ  j  | l〃
      八  j    |   l:. / i/ 八   :/l/ ヽ l  |  {
        V :,'   八  ヤう斥ミ  \_/ィf斥芍.} ./ 八
        ∨ ,'  :l∧ '.弋r'::ツ    弋シ ,' ./  '  \       え?
        / /  :|  \j、、´、、    ,   、、、//' /(    ヽ     私も戦力に含まれるんですか……?
        / ./  :人.  ∧          ,' ./ ,'  )    )
      〃.'   .:/  ) ) 个    r っ  イ ./ (  /   /
     } ',  .:/斗≦(/ ,' }  ヘ > ≦ / .八  V   / `ヽ
     八 丶 :(_i_i_i_i∨  :/--、j }__ ./   / \ l (___ノノ
       \ ヽ :)l_l_l_l_{  :/::::::::(ニ(::::::`ー、_/((__ノ.ノ>ー‐''´
     ((___) ノ-=≠人 (─<⌒\:::::::::::::\  }_i_i_i_i_i≧、
        ̄ ´ }  / ∧ `   \___>=─‐‐` }_l_l_l_l_l_l_lハ
         j/ /  \     \ `丶   `¨>≠=ー}
         /  'o   i`¨ 7─ 、_\   \   ′      |
.         /  /     i: /     o/    ∨      ./
         ′  i      :/     /     i      /
.       j: : .     ‐==‐-    '      :}ヽ    .イ
      八: : . i    =‐-     ′   . . : 八 .i  /|
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|「頼りにしてるでおじゃるよ『有明の女王』」
|「なんだそれ?」
| 
|「知らんでおじゃるか? 自衛隊が有明で演習を行った際に……」
|「わー! わー! わー!」
| 
| ここに、半死人のやらない夫は含まれない。
| 半死人というか、意識があるのが不思議な重傷。手足の欠損はないが、両腕でと片足を骨折し、肋もバラバラ。
| 
| 背骨も粉砕されて内蔵も穴だらけ。
| その上、全身の三割近くにひどい火傷を負っていた。
| 
| 死んでいないのは、ニャンコ先生の必死の介護と『エクスカリバー』による『守護神』の治癒能力のおかげ。
| そして、あの状況で生き残ったのも『エクスカリバー』のおかげである。
| 
|「あんな真似は二度とごめんだろ」
|「まだ動けるようになるつもりでおじゃるか……?」
| 
| 北斗神拳で全身の気脈をバラバラに寸断されながら、魔力を暴走させられて爆死したのだ。
| 正確には、爆死の瞬間に前もって麻呂が用意していた式神を起動、代わりに肉片となって飛び散ってもらった。
| 
| やらない夫がどれほど楽天的でも、あそこまでの移動で球磨川がやらない夫を見失っていないとは思わなかった。
| 自力で死ぬつもりだった。
| 
| その方法。謎のヒロインXが水銀燈を消し飛ばしたのと同じ原理。
| 地球の重力を一瞬だけオフにして、遠心力に放り出してもらったのである。
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254死夢見 ◆XDD/DkyjV6:2022/05/22(日) 19:08:35 ID:nJp9DpWoMM



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      /;:;:;:;;;:;  (_ _人 __)      ニャンコ先生がいなければ死んでたけどな。
    .///ヾ     .`┃ノ
   / /| ヽ/ / ∧ |
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| ジャンヌとケンシロウとの死闘は熾烈を極めた。
| すべての攻撃はジャンヌの防御に防がれ、ケンシロウの打撃は何もかもが即死技だった。
| 
| 時折炎を放つジャンヌ。炎は常に撹乱であり、気を取られたらケンシロウにやられるタイミングだった。
| そのため、炎甘んじて受けるしかなかった。お陰で全身大火傷。左手なんて炭化している。
| 
| とにかく十全に抵抗し、必死に戦い、その果てにやらない夫はケンシロウの突きを受けた。
| 全身が膨張して爆発、肉片しか残らないその技をこれ幸いに、やらない夫は死を偽装した。
| 
| そして受けたダメージの大きさから、空中で失神。
| 日本海にの藻屑になりかけた。
| 
| ケンシロウの一撃も、『エクスカリバー』を併用した気脈操作で八割は排出した。
| 残りニ割でごらんの有様なのだが、そこは諦めが肝心。
| 
| やらない夫はどれほど障害が残るのか想像もできないが、命があるだけありがたいと感じていた。
| 
|「あと一回はなんとかしたいだろ」
|「死ぬでおじゃる」
|「だって、『冥王ニビル』の迎撃はオレの役割なんだろう?」
| 
| 麻呂は弟子を睨みつけた。普通ならば何度も死ぬほどの傷。
| 痛みで気が狂うほどの重傷ばかり。なのに昏睡もせず、口調はしっかりしていた。
| 
| 空元気で、平然を装っていた。
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255死夢見 ◆XDD/DkyjV6:2022/05/22(日) 19:09:05 ID:nJp9DpWoMM



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             ム;:''"´ ̄__;:;|;:;_~`丶、!
             ,{__, ィ''"´ r‐っ  ̄ r-、丶、;:;l
            ,'ミミ:::::ゝ , .  ̄:.    ``′,}:`i!
           ,'ミミ:::/ ,. -‐- 、:.   , - 、ヾ:::l
           lミ:::::' ,:' ,ィ戓ニ>,:' : ィ戓ゝ、゙i::l      戦いで死んだもの。
          〃ヘ:::j :.  ‐ '" ,. ヽ` ニ   !:l      傷ついたもの。
          {に}ハ::, :.:.:.:..   (r:、 ,、〉    l:ハ
          ヽいjl::', :ヽ    ,' ; ヽ  ノlノ}      その全ての責任を負って死ぬ気でおじゃるな?
           丶-ltツ .:.: l:.:  ,r'ニ=ニ、 ゙i,   i_ノ
             l  、:.:.l:.:  ` ''―''" 、 /
             ト、、ヽ丶、:.:..   ノ:/
            ,(ニヽミミ=、、::.::.::.::''"/
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   ___,,r―'‐-- 、、:.:\\:.:.:.   l、
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|「なにしろオレはデマゴーグなようで」
|「たわけーーッッッ!!!」
| 
| ぶん殴る訳にもいかず、麻呂は手にした笏をへし折った。
| 
|「貴様が責任を取らねばならんのは、そ奴らでは無かろうが!
| 調子に乗って危険に近寄った阿呆は言わずもがな!
| 
| 高校生のガキどもも、決意と覚悟もなく戦場に立った訳ではあるまい!
| 背負うなとは言わぬ、されど押し潰されては本末転倒!」
| 
| 地団駄を踏まんばかりの麻呂、やらない夫は感情なくそれを見つめる。
| 
|「だが、オレはオレのしでかした物事の責任を取らにゃならんだろ?」
|「生きて取れ」
「どうやって?」
|「自分で考えよ」
| 
| 突き放す麻呂、やらない夫は押し黙った。
| 彼の足元には怨念の影がある。彼の背後には死者の道がある。
| 
|「ジャンヌもケンシロウも最もだと思うだろ」
|「何を言われた?」
|「『偽救世主』、無意識過剰、人々を奈落に先導する、戦火を広げた」
| 
| 並べ立てるやらない夫。
| ディオの姿をした『襲撃者』への答えは、今ならすぐに出る。
| 
| 生まれ変わってやり直したい。こんなはずではなかった。
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256死夢見 ◆XDD/DkyjV6:2022/05/22(日) 19:09:19 ID:nJp9DpWoMM



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     |三三ニ ̄ ̄`゙゙゙'''''''ー‐'-一''''''""´´ ̄ ̄フ三三ヽ
      |ミ三三、、  ィ三ヲ   :   (三ニ;    ノ三彡彡ヘ
     |ミミミツ″        .:  .        ゙ヾ彡彡彡l
     rミミソ  ,. _,,-‐ 、 __ :, -‐‐_,,,..,_ 、   ヾ彡彡l,_
.     { ミミ   .,ィ"で;)ヽ、 )  (: ,ィ"で;)`ゝ.    彡彡r、i
      ! lミミ   :: . ` ̄"´^ :  l::.、 `.. ̄"´. ::     彡'リi i}
     ',ヾミ,            :  l:::.          ..彡ツ )/
      i 、ミ ::..     , . :  : ヽ.       .::::彡i.ノ/      前の三つは完全に同意でおじゃる。
      !、_ミ: :::..     /ヽ =、__,.ィ= ノ::.     ..::::::彡i ノ
       ミ : : ::..  /     : :    ヽ.  ..::: : : :彡‐´       やらない夫よ。
       ヾ,: : : : :.  ,ィニニ=ニニ=、_  ', . : :: : :〃ゞ        貴様は人々を霧の迷路に誘い込んだ。
        ヽ: : : : :. /、^'^^T^^``ー、  i : :; : ://、
          ヽ: : : : | ト、_  .!  _,,ィiヲ′,': :,' : /ト:||ヽ、
          ヽ: : : ヾTエェェェエエン′ ,' :/: / 〉′i::\
           ゝ: :  `ー-----‐´ ノ /:/  /  /::::::::ヽ-、
         ィ‐':| |.\          /´ / /:::::::::::::::ヽヽ、
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  ,. -‐''"´/  /:::::ヽヽ           / /::::::::::::::::::::/  ノ `ー、

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|「『敵』という嘘、陰謀論という嘘、悪魔も『血族』も『教会』も隠し通して。
| その上で辻褄を合わせてまとめ上げ、何もかも霧の中。上出来でおじゃろう」
| 
|「そのせいで名も知らぬ誰かを危険に合わせていたとしても?」
|「東京で内戦が起きればあの程度では済まぬでおじゃろう」
| 
| ムスカがクーデターを起こしていたならば。
| シロッコが、『十字軍』が平和を踏みにじっていたならば。
| 
| 平行線だ。麻呂は死人より死にかけのやらない夫を見つめる。
| やらない夫は罰が欲しいのだ。
|
| 敵の言葉に心を引き裂かれ、付いてきた仲間を失い、名もしれぬ誰かが死傷した罪に苛まれているのだ。
| 
| 翠星石の名前を出して、生きろと言うのは容易い。
| しかし、大事な娘をニンジンのようにぶら下げることはプライドが許さなかった。
| 
|「もう一度言うでおじゃる。責任は生きて取れ」
|「…………」
|
|「この戦いが終わった時に、まだ貴様の命があるのならば、東京の平和を守る組織に入るでおじゃる」
|「…………『血族』ではなく?」
| 
| 麻呂は鼻で笑った。
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257死夢見 ◆XDD/DkyjV6:2022/05/22(日) 19:09:30 ID:nJp9DpWoMM



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         _ノ  ヽ、   \
       (○)(;;;;;..)   |         …………ああ。
         (__人__)   u  .|         『血族』がないかもしれないのか。
         ヽ⌒┃      |
        {        /
          丶     /
          ゝ     \
         ノ        ヽ

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|「警察か、場合によっては『結社』か。場所はどこでも良い。そこで償うでおじゃる」
|「…………」
| 
| やらない夫は沈黙した。
| 何を考えているのか、麻呂にも分からない。
| 
| その時、この面倒くさいやり取りに終わりを告げるノックが鳴り響いた。
| 
|「おっはよー、麻呂さん。やらない夫さん。おじじ連れてきたよ」
|「連れて来らレマシた」
| 
| 久方ぶりの登場、魔匠マイケル小原である。
| 『蒼天の青玉』をこっそり持ち出したことはこってり絞られ済み。アリカはあくびを噛み殺しながらも元気なもの。
| 
| 彼女は昨晩深夜に叩き起こされてマリナ・イスマイールを保護していた。
| 今、マリナは遠坂の家で瀕死の面々の看病中だ。
| 
|「……話にハ聞いてマシたが、ヨク生きてマスネ」
|「主人公補正だろ」
| 
| マイケルは背負っていた風呂敷を置く、異様に重い音。中身は工具。
| 
|「マズはネウロから伝言デース『なぜ降りて来ちゃったんデスか』」
|「ん?」
| 
| この穏やかな老人は、弟子の罵詈雑言をフィルタリングし、要点だけを掻い摘んだのだろう。
| では、その要点とは? なぜ降りてきた。どこから?
| 
|「あ……ああ!」
| 
| やらない夫は、師の言葉の意味に気づき額を叩こうとして悶絶した。
| その腕は今は折れている。
|_________________________________________________
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258死夢見 ◆XDD/DkyjV6:2022/05/22(日) 19:09:42 ID:nJp9DpWoMM



        l           l          r┘
  ...    イ            {       .. .. ,ニ
::::::::::::::::::::::7/_、    ヽ l   ,、{ |:::.................:::::::<
::::::::::::::f^V{ヽ‐ ミz- 、」_jレ-彡‐ミィ‐i:::::::::::::::::::::≧´       オーウ、無理してはいけマセーン。
::::::::::::::|,ヘ トl -━ニ i-|ニ´━- ノイ }::::::::::::::::::ン、 _      やらない夫サンは肉体も気脈もボロボロなのデース。
::::::::::::::ヽ (| ` ‐――'′}`――'' |ノ/::::::::::::::さ"    >― 、
"レイ,;;;__〉-|ヽ,   ,_  !_、   lレ/`ヽヾゞ、    '"´     ヽ
  ´  /`'| ! -‐'"¨‐¨‐ヽ、  !}┘    ノ  __
       l  | f' "´二,``l |  }      、 / }
\     ヽ、,ノ .! `l |  | ヽノ       /  |  |  }
  `` ‐ 、  ,'  ヽ、j :{ ノ  :|  , -‐ '"    |  |  |
       ソ    ´  `   |'"         |  |  !
   、_、、 彳         '、    _ ,ィ   |  ヽ、 ヽ
ヽ'`゛¨  `V::::           }イ"'¨´∠  _ム-'"´ヽ
__ヽ:::::::::::...イ::::::::..:::::.  i: ...:::::. .....::}::   r¬'´   ノ  〉
 ゛`:::::::::::::::!::::::::|:::::::.::::!:::::::::::::::::::{:    {_ ノ}, -‐'´  ,  }
ゞ::::::::::::::::::::|::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::}:::::::::::::::ヽヘ_ -‐'´  }

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| 言いながら、マイケルはカミソリを取り出した。
| キラリと輝く、よく切れそうなそれを無造作に振るう。
| 
|「ギョエエエ!? なんじゃあ!!?」
| 
| 飛び起きたのは、ひげを切られたニャンコ先生。
| 猫のヒゲはセンサーでありアンテナ、重要な感覚器官である。良い子は真似してはいけない。
| 
|「フゥーム、噂通り良質の魔力電導体デスね」
|「この外道! なにをするか!?」
| 
|「ちょっと……静かにしてほしいだろ」
|「まっすぐ歩けなくなったどうする!!?」
|「ホイ」
| 
| もう一振り。反対のヒゲもまとめて収穫。
| 唖然とするニャンコ先生。マイケルは切り取ったヒゲを丁寧に並べる。
| 
|「やれるでおじゃるか?」
|「かなり危険な術式になりマース」
|「やってくれ」
|「なにをするの?」
| 
| 危険と聞いて、かわいい眉根を寄せるアリカ。
| やらない夫は心配ないとばかりに首をふる。
| 
|「一昨日の戦いでぐちゃぐちゃになったオレの身体に、ニャンコ先生のヒゲを移植して補強する」
|「待て、待て。聞いておらんが」
| 
| ニャンコ先生が治療疲れで熟睡中にやらない夫が言い出したことである。
|_________________________________________________
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259死夢見 ◆XDD/DkyjV6:2022/05/22(日) 19:09:57 ID:nJp9DpWoMM



         ゝ    /. : : : : .:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:/
        ) (     ' : : : : .:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:/
       /{ ⌒     ヽ、_.:.:.:.:.:.:.__.  '       ,
        ん` ,ィ:::‐ 、       ̄   ,ィ'  ¨丁`ヽ  ´_
      ′ /._ !:::::::lヽ         / !::::::::: |   ヽ       寸断された気脈の代わりに
     ; ヽ.  `ヽ:::! }      { _.⊥ -‐┴…-   `     ヒゲを移植して魔術伝導力を上げるとか、
     ! ヽ`    ``              ___ノ
     '                          ____ノ     そういう意味不明の論理を使う気じゃな?
      '、       (  _ゝノ     )
      ヽ      `T´  ヽ.___. ィ´

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|「外側を補強してたものを内側に入れるだけだろ」
|「……やめておけ、死ぬぞ」
| 
| ニャンコ先生の忠告を、やらない夫は鼻で笑った。
| 
|「ならばこのまま、体が動かないままで指をくわえて成り行きを見ていろと?」
|「そんな悪魔人間一直線の頭悪い方法以外にも選択肢は……」
| 
| ニャンコ先生は言い淀んだ。
| ない。
| 
| 背骨や神経、気脈をやられ、やらない夫はもはや動けない。
| 『エクスカリバー』での治療でも、どこまで対処できるのか分からない。
|
| そも、この異様な魔剣の魔力蓄積量も不明だ。頼りすぎてはいずれ尽きる。
| 
|「全身の神経とヒゲを繋ぎマース」
|「いたそう」
|
| マイケルは柔和に微笑んで拷問器具みたいな道具とピンセットを鳴らした。
|
|「文字通り神経をワシ掴みにスルのでスゴク痛いデース」
|「あの……本当にやるんですか?」
| 
| この場にいる最後の良心は鹿島だった。
| 心配そうな顔で、目を背けたくなるようなやらない夫の傷とヒゲを見比べる。
| 
| だが、麻呂もマイケルもやらない夫も。
| そしてアリカですら止めようとしない。
| 
|「本当に悪魔人間になっちまうなら、その前に子供作っとけば良かっただろ」
|_________________________________________________
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260死夢見 ◆XDD/DkyjV6:2022/05/22(日) 19:10:11 ID:nJp9DpWoMM



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.            /  ̄i  /      |     :|      '.   |  i    :   '
           /     | ./   l     |     l | | :l  :i  :|   i     .:     |
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.           |      :|   |  |/| .人    .| | 八j \j   }  ,| :,'  .l     |
.          人    |   | ´ i .八j   \  .|ノ x行示ミz ,′/| /  ..:,′ ,' |
.           ヽ    i  八  ,ィf云ミ  \.j  {{_::゚:_ツアノ.イ .i/  .:/  .:/  |    あ、私でよかったら……。
.            ∨ 八  r‐、ィ灯心       :::::::::ー(`ヽ`ヾハ. :/  .:/  . |
.             | i   ヽ.レ iゞ_:_゚/) _ .:;i     r ‐─ \ ヽヽi:/  .:/   .:/    いつでも受け入れオッケーです。
.             | i        !  / /´_ノ       `=¬  ヽ. i |〉  :/   .:人
.            / i...   |  | / / ./    __ _,  /'′  .} | |   :{  .:( :.\
          / ,′   |  У  /  ー< _,ノ /        丿.  :|  :...\ :.\
.           / /   (.. 〈 ヾ   `丶、 ゝ-゚ '/       / l    ',ヽ   :..ヽ  :.ヽ
.         / /    .ィ⌒.゙\       \ _ }    `ヽ/   乂  ∨\  :..∨ ) )
.       〃./   ) /  ! {...\      ゙ }  人      ∨...ヽ  Y  }  丶  }( (
.        i/ 〃 /  {  _‘,   / \      }   \    \゙7) 人 ( __ノ) .) ノ \ヽ__
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.       人   .乂-/ヽ_....   ∨     /  \   |  \    \ >ー'´ .} `⌒)

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| 頬を染めて立候補する鹿島。アリカが頭を振った。
| 
|「翠星石さんとって意味だよ」
|「あぁ……そうですよねー…………」
| 
| アリカの見立てでは、やらない夫の隣に立ちたい女は片手では足りない。
| だが、残念ながら彼女らはスタート地点にすら立てない。
| 
| そこは翠星石とやる夫とニャンコ先生で満席だ。
| 
|「このタイミングでジャギも蒼星石もおらんとは……激痛でショック死しそうじゃぞ?」
|「ニャンコ先生の感覚は切っておくから安心するだろ」
|「安心できんわい」
| 
| 軽口を叩くやらない夫を、鹿島は今更ながら恐ろしく感じた。
| 一方で、急にやる気に満ちたやらない夫を麻呂が怪訝な目で見つめる。
| 
| さっきまでの鬱々としたやらない夫はどこへ消えた?
| 
|「『上』でやることがあるって、師父が言ってたろ?」
|「…………そうでおじゃるか」
| 
| 頼られて、俄然やる気が湧いて来たのだ。その人に必要とされると張り切る癖をなんとかしないと、いつか死ぬ。
| そう忠告しようとして、麻呂は口を閉じた。ニャンコ先生と目が合う。
| 
| その忠告は、もう遅かろう。
| 
|「他にやり残しは?」
| 
| 遺言を聞くようにニャンコ先生。至って気楽な顔のやらない夫と、周囲の心境は逆である。
|_________________________________________________
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261死夢見 ◆XDD/DkyjV6:2022/05/22(日) 19:10:23 ID:nJp9DpWoMM



                         _
                   ,. -'"´   `¨ー 、
                    /;;;;#;;;;  "     \
                /             ;;; ',
                |              i
                |           #     |
                |  \         /# |
                |   \_i ,; i_,/ .  |
                | `ー―'   `ー―'  .|        ケンシロウさんだな。
                   ',   l   人   l   /
                 _ >ー、 `ー´_`ー'   く _
                /         ┃         `ヽ
            /                       l
            |           _. ⌒\ }      |
                !    く,ィ´ ̄     ∨     j
               `、              ノ      /
                ヽ        _, ≦´     /
                  ∧   _.z≦_         /
                ゝイ´     `>=ー -イ
                |           |
                |           |

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|「ケンシロウ?」
| 
| やらない夫を『殺した』男。
| 彼とのやり取りを麻呂は聞いていた。何か思い詰めているとは思うが。
| 
|「やる夫ではなく?」
|「やる夫は誠さんに任せてある」
| 
| 全幅の信頼。やる夫の『兄』のような怪人へ。
| 
|「だが、奴は……」
|「『木星』の手が足りてないんだろ。だからはやぶさちゃんと十六夜さんだ。
| 二人の『滅ぼすもの』ならば宇宙に行ける」
| 
| そして、やらない夫もネウロにそれを求められた訳だ。
| だがまあ、こちらにはこちらの都合がある。
| 
| 勝手に人員を五人も引き抜いていったのだ。やらない夫くらいいなくてもよかろう。
| 
|「前回も今回も、お茶を濁して逃げたからな。次は最後までやる」
| 
| 鹿島が寒気に震えて肩を抱いた。アリカが不敵に笑う。
| やらない夫の闘志にあてられたのだ。
| 
|「次はちゃんと、彼を見る」
| 
| 生きて戻ってこれたなら。
|_________________________________________________
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262死夢見 ◆XDD/DkyjV6:2022/05/22(日) 19:10:52 ID:nJp9DpWoMM









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            |::::::::::::: 「イ三三≧x、{/{/八ハ::: /
            |:::/{::::::/  < ̄弐{¨¨` x≦三{|: /
            |: | ∨{    ̄三=  { 坏)「Ⅳ
          八乂V!:         _|   ′        やらない夫を殺しても、何も終わらない。
           /:::::::/`l|        ̄`  /
.          /::::/ 八     ∠二ア  /
         /::厂   { \     ヾ  /           俺は、間違えていたのか?
     -=イ⌒{ /   {  \      /
.  /ニ\ニニニ\     {    \ __/|\
/ニニニニ_\ニニニ\  {       /{   |ニ=\
 ̄}ニニニニニ=丶ニニニ\八     //{  八ニニニ≧=- ___ ィ7
  } ニニニニニニニニニニニ\\   /八   \ニニニニニニニニニニニ7

|lニニニニ三三三三三三三三三三三三三三三三三三三三三三三三三三三三三三三三三三三三三三三三三三ニニニニ
|三三三三三三三三三三三/ /_. / / ̄ / ,ィ |  7 /ン ) / /_. / / ̄ 7 /ン ). // 〉 〉  // // / /三三三三三三三三三
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| 一方、『緊急事態対策班』長の部屋で座禅を組み、瞑想しながらケンシロウは己に問いかける。
| 
| やらない夫との戦いは一方的だった。期待外れだとも言えた。
| いや、ジャンヌとケンシロウの達人二人相手に、やらない夫は善戦したのかもしれない。
| 
| しかし、不完全燃焼だった。
| 胸の奥の、焦がれるような炎は。
| 
| まだだと告げる。
| 
|「この東京の平和を脅かす者……次はパプテマス・シロッコだ」
| 
| ギラリと燃える双眸。焚べられる感情は怒りあるいは……喜び。
| 
| ケンシロウの瞳が燃える。
| 隠しきれない喜悦に燃える。
| 
| 光の彼方。ケンシロウの脳裏に微笑が揺れる。
| 足音だけを残して闇に消えるシルエット。
| 
| おお、今日より明日より、愛が欲しい。
| 夢より愛する君が欲しい。
| 
| ケンシロウが曖昧に浮かべる影は。
| 案山子のようにボロをまとった姿をしていた。
|_________________________________________________
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263死夢見 ◆XDD/DkyjV6:2022/05/22(日) 19:12:58 ID:nJp9DpWoMM









               __        _
            ´       ̄` ヽ ri:「:i:iト,
      /j! イ           ` ヾi:i:i:i:i:i:i:|!
     /i:i:i:iY 7        i  、 ヽ. ヽ Y:i:i:_jー- 、
    j:i:i:i:ilij / j!  |   !  | イ! ̄l }  マi:T:i7    {
    マ:i:i:i:ili! ! Tト |! 」_⊥三二二T  !:i:i:/   _ j
   .人i:i:i:i:| | 」 三≦z     =t=T7|!  |⌒マK ̄<
  r_八_j! ーヘr〒て「     |´じリ j  j|:i:i:i:i!   7      うわーマジか。
  「    j:i:iト. ハ! マ tjl!     マ_ソ /ィノ }:i:i:i:iト、_/
  マ  _ z-|:i:i:{ヽ {  ゞ-′      u イ__ノ:i:iト、:i|  )       野郎『代行者』と『騎手』の両方かよ……。
  ∨彡⌒j:i:i:ゝ 个    / \      ノ´j:iレ<|アヾ!メ        どっちかならなんとかなるが、
   〈   ノ!:i:i:i:|:≧ト .    ゚ ー'    イ  !/  `>./        両方は無理じゃねえかなやらない夫よお。
   `ー< レ^lX|\!  ̄ T =彡! ̄  _   ヽ{
     7人_     / }    」!.     }ヽ   ′
     ー―ァ/  ,イ   「`   ´ !    j_}、
        ´   ハ      |  Y   !     !ヽ ̄〈
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| 玉のような汗をぼたぼた垂らしながら、一人の女が『血族』本部内を注意深く進む。
| 見咎める者はなし、それどころか、誰の目にも止まらない。
| 
| だが、女は注意深く、しかし少なからず焦った様子で歩く。
| その足取りは疲弊しきっていた。。
| 
|「バッカお前、時間がねーぞ畜生め。やる夫はどこだやる夫は……」
|「今、『やる夫』と言ったか?」
| 
| 女の汗がスッと引く、顔面蒼白。その目に浮かぶ躊躇いと恐怖。
| その行く手を遮るように、黒ずくめの男が壁に手をついた。
| 
|「私こそが『やる夫』ということになっているんだが……貴様、見ない顔だな」
| 
| その優しげな声にも、心を鷲掴みにする静かな視線にも惑わされない。
| 女は踵を返して走った。『やる夫』は追わない。
| 
| ただの不審者ならば、他の『血族』がなんとかする。
| ……いや、待て。
| 
| 『やる夫』はすぐに思い直した。
| 今のやつ、やる夫を探していた……?
| 
| やる夫と蒼星石が捕虜になり、この『血族』本部にいることは、混乱を招くために秘密となっていた。
| 当事者である先代、呂布、『狂死』。そして大首領藤堂志摩子のみ。
| 
| 『やる夫』は、知らされていない。
|_________________________________________________
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264死夢見 ◆XDD/DkyjV6:2022/05/22(日) 19:13:39 ID:nJp9DpWoMM








                        -ュf´ ̄ `ヽー、
                     /    ヾュ、   \ヽ
                 . -ー<        ヾ\__  ) \
                /: :-:、: :ヽ        〉: :ヽ {:ヽ
                 /: :イ三ニj: : :j   __   /: ; : ハ : :ヽ  \
              {: : リ´rシ: : :ヾ  /: ヽ/:_;_:´: : : :i |: : :}   ハ
              i: : : : {: : : : : | |´j:!: ; : :r: \ヽ_:「_j: : :|    }!
              ヽ: :_; : : : : : :| | 7/:、:zヽ: :ハ __」: : : : : !    |!
               j`7 : : : : : :j |/ : : ゞ!他トミ、| |: : : : : : :|   」|
              /:/: : : : ://: : : :: ヘ、_´ リ!| |: :ィ: : : └=ー7
             ノ:/: : : //: : : : : : : : zュ:_;入L!:j): : ィ__: ://
          _ィ!: : ト-:' /: : : : : : : : : : : : ̄: : 、`: : j r┘「7/
          |「|: : : :ハ  /: : : : : : : : : : : : : : /: : : XュK、: ̄ソ
            ム マ: : : :∨: : : : : : : : : : : : r: : : ⌒八`¨ゝ:/
            jニ! マ: : : ム: : : : : : ュ ヽー、:`_:_:_:_/: : ~y´          居るのか……?
           /ニ 、: : : :ム: : : : : :ム ヾ{└- 、: : ィア            やる夫が、この『血族』本部に……?
        イ|ニニヽ\: : :、: : : : : : :ヽ_ニ: イ
        人|マニニ\ヽ: :7ゝ_: : : :-: : :ィ彡ニL
      イニニ| マニニニ≧ュ>ニ≧=彡ニjヾニーュ、
    /ニニニム マニニニニニニニアニ{ Y_ノニニニ≧ュ _
   /ニニニニニ マニニ!     j| /イ !ニニニニニニニニ≧=
 /ニニニニニニニュ\ニ|      リ/ニゝノニニニニニニニニニニニ
 ニニニニニニニニニ ヾー ___j/_ イニニニニニニニニニニニニ
 ニニニニニニニニニ>、`}=r―イrニニニニニニニニニニニニニニ
 ニニニニニニニニ」 |ニ] j   | }ニニニニニニニニニニニニニニ
 ニニニニニニニニ]__[ニ7 /  zイ {ニニニニニニニニニニニニニニ

265死夢見 ◆XDD/DkyjV6:2022/05/22(日) 19:14:05 ID:nJp9DpWoMM


☆ 次回予告

 最強の剣が振り下ろされるとき、最後の粛清が幕を上げる。

 狙われた男、襲い掛かる最強。
 戦士たちが臨む戦場は通過点か、あるいは末路か。

 その場所で『血族』を待つものは何か。
 髪をしめらす血の霧か。
 それとも呪いの吠え声か。

 今、仕置きという名の宴がはじまる。

次回、最終幕九十四話『最強の脆弱性』
 果てに見るのは破滅か死か。

266令和もどこかの名無しさん:2022/05/22(日) 20:05:56 ID:jjGdkmcA00
乙です

267令和もどこかの名無しさん:2022/05/22(日) 20:31:23 ID:aSZCXyKAMM

ケンシロウ、お前もまた救世主に焦がれるのか

268令和もどこかの名無しさん:2022/05/23(月) 00:45:05 ID:H3czWgDo00
乙 汗だくの女はなぜだろう、胸が豊満であろうという幻覚がした

269令和もどこかの名無しさん:2022/05/23(月) 11:42:07 ID:pRvzZvmISa


世に滅亡の種は尽きぬ喃

270死夢見 ◆XDD/DkyjV6:2022/05/29(日) 13:07:47 ID:STNUjxU6MM



                                 _ _ _
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                          /           _..,,ノ   |
                           /          (● )   ノ
ヽ                        /           /   |ヽ
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_, ‐、:::::: ̄ )           | ̄ ̄ ‐ '─ !_               ノ ´
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| 12月16日。
| 『やらない夫の集会』から二日。その未明。
| 
| 『教会』本部のある市国は早朝。
| 朝一番の電話が『血族』本部に鳴り響く。
| 
| もちろん、極東のど田舎の時刻などお構いなし。
| 居丈高に傲慢に、必要以上に威圧感を持って、そのがらんどうの権威を隠すようにぶっきらぼうに。
| 
|『パプテマス・シロッコの処遇は貴様らに任せる。我々『教会』はあの男と無関係である』
|「承りました。公明正大にして迅速ななる判断力に感服しましてございます」
| 
| 志摩子の皮肉は額面通りに受け止められた。
| 彼女の持つ異能、『菊理媛』の生まれ変わりとしての交渉能力の悪用である。
| 
| パプテマス・シロッコは日本を、『血族』を、藤堂志摩子を甘く見ていた。
| この地に銃弾と血の雨を降らせ、望むままに実験や試運転を繰り返すつもりだったのだろう。
| 
| シロッコはこどもだ。
| 大好きなおもちゃで遊ぶためにならどんな犠牲も厭わない。
| 
| もちろん、その犠牲の中にシロッコ自身は含まれない。
| そんな利己的な無邪気さの到達点。それがこの東京、新宿衛生病院。
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271死夢見 ◆XDD/DkyjV6:2022/05/29(日) 13:08:01 ID:STNUjxU6MM



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TTTTT◯TTTTTTTTTTT。TTTToTTTTTTTTiヽ、:::○::::。゚:::::::::::::::
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二○二二二|o::|l二二二二。二二二二二二二o!:::::::::::|::::::::::::::。::::
冂冂:::冂冂O :::||:::冂冂::::冂冂::::冂冂o:冂冂:::: |:::::::::::|:::::◯::::::o:
二二二二二l:::: |l二二o二二二二二二二二。二!:::::::::::|:::::::::::::::::o
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二二二◯二|:::::O二二二二二二。二二二二二!:::::::::::|○::::::::::。::
冂ο:::冂冂。l::。||:::冂冂::::冂冂::::冂冂::::冂O:::::::|:::::: o|:::::::。:::::::*
O二二二二○::o二二0二二o二二。二二二.。0:: ○:|:::::。::::::○::

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| ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
| シロッコは、高みを目指して屍を積み上げてきた。
| 敵の、味方の、そして時には友と呼んだ相手の。
| 
| 屍の山の頂に立ち、下界を見下ろして嗤う。
| 犠牲者を踏みしだきながら、省みもせずに。
| 
| しかしながら久々に、パプテマス・シロッコは安堵していた。
| 殺した、敵の命を奪った。目の上のたんこぶを排除した。
| 
| これでようやく、安心して計画を進められるというものだ。
| 『やらない夫の集会』の夜、シロッコは祝杯をあげた。やらない夫を排除したことが、それほどに嬉しかったのだ。
| 
| 『集会』の戦果については、二の次だった。
| 調子に乗った『血族』など、容易く蹴散らせる。計画も準備もあった。
| 
| レイ・ザ・バレルが捕虜にされたのは、ある意味幸運だった。
| ロビンとレイ。この二人で『血族』を焼き払う。
| 
| シロッコはデュランダル殺しの罪を『血族』になすりつける用意をしてきた。
| デュランダルを殺傷した弾丸は、『四ツ目』の銃から放たれたものである。
| 
| その『四ツ目』を、『血族』は匿っている。とんだ言いがかりだが、『集会』でボムビーが交戦した。
| あとはどうとでもできる。
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272死夢見 ◆XDD/DkyjV6:2022/05/29(日) 13:08:13 ID:STNUjxU6MM



              ,, -- ー-- 、
           ,, "´  ,,、、     ヽ
          /  /  '',      ゙、
         /ィ ,,/    /,,ィ  rー、 ゙、
         イ ゙" ./  __,;;::  '',,l イ、} ミ
          ! l  l_,ィ_ソ    ´! 〉{  ミ
         ! ,>ィr-ゝ-ー三ヽ   、_ノl シ
         `lーシ三三,ニ=='    ヾ{
            ∨ソ_..::;          /  ヽ
          ` !  __    /:: :. ,,,ゝ-ー 、
           ヽ ´ __  `  /;; ,;イ   ', {
             ヽ ,,i''ー-、、イ  ', ' ,   ', ヽ
              `フ、´  ',  ' ,  ' ,_ -ーゝ、
               ィ  ' ,  ',  ,, - ´.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:’-、
             <´o ' ,  ' , /.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:ヽ
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| シロッコにとって四つ目は、掃除そこなったゴミだ。
| 床にこびりついたガムのカスのようなもの。目障りだが、手ずから時間をかける価値もない。
| 
| ミスト・レックスは少し違う。
| 彼は逃げ出した実験体だ。彼の脳内チップは有用なデータで山盛りだ。
| 
| 機械の体に人間の脳を移植した『義脳体兵器』、そのプロトタイプである『レヴリアス』。
| 同型機の中で唯一発狂しなかった『レヴリアス』との完全同調、その状態での数年間の稼働実績。
| 
| 『カトル・カール』によるハッキングで『レヴリアス』そのものは入手できた。
| であるならば、当然セットとなるミスト・レックスも欲しくなるもの。
| 
| 四ツ目とミストはコンビと聞く。
| シロッコは、『血族』への攻撃時に四ツ目を呼び出す手筈も整えていた。
| 
| 無論、彼の計画はそれだけではない。
| 四ツ目とミスト、二人と大きく関わる男。あの邪魔なゴキブリ男への報復も考えている。
| 
| それを考えると胸が躍る。
| あの余裕綽々な老人の顔を苦痛で歪めてやる。
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273死夢見 ◆XDD/DkyjV6:2022/05/29(日) 13:08:28 ID:STNUjxU6MM



          lヘ                   /  l
           l ∧        ',ヽ.           _,'   l
           l .∧      l ヽ.    ,.ィ´ ̄  i    l
           l   ∧_     ,'   ヽ.,.ィ´     '   l
           l ヘ.  ∧  /     l      ,'    l
           l  ヽ/ ヽ、/    /i    __//    l
∧        ',ヽ  l    ヽ   /  l /  _/     ,'
l iヘ        ∨ヽl   r、 } ', l、 ,.└─ァ´.lイノl   ,ィ、
l_ヽ.       ヽ, ヘ   l  ハ l l   /  l  l  /∧_
.\ へ          ', l i`ヽ } .〉 /ヘ__/ l    /  /  l!  l!
  \_へ.        ヽ, l  ` /  ノ ノ_ノ_  ,.ィ'  /  l!   l
.   \ _へ      \',  l ,イヘリ ア_ノ_ l 0 l   ll二二     ゴキブリ……
.    `丶__`ヽ、 __< ヽiィ リ-‐-、ア /,,>''"/   〈〈
      `ヽ   `>  ゝ  }   __ノ ,.ィ ,.ィ´.〈 〈〉l∧ _ ,.,     それは呂布違いなのでは?
        `丶、_ ヽ.ーoヘ ヘ、 / ,.ィ:::::l ∧  ∧ 〈〉l 〉〉,.,-
           `'ャヘ  ハ´ ̄` ';::::::::::l ∧ィ´ィ〉 //∧
              ∨`ーヘー-.、 ';::::::::l.ィ´.ィ´ ∧.//  ∧
                   ヽ.ミミヽ  ヽ. ;::;ィ.ィ.∧  .∧'    ∧
                ヽ.ミミヽヘ,.ィ´ィ´  ∧  .∧   ∧
                 `ー、_.〈 〈 ∧  .∧  .∧   _,.!
                      フl ∨.∧  .∧   >''"
                        /∧ ∨.∧  .∧,ィ´/  /
                       ,イ、 /',  ∨.∧  ,ィ´ム \/
                   / , '  ∧  ∨ ,ィ´l三三l  \/
                    / /   ∧ヘ  l   l三三l.、O/

|lニニニニ三三三三三三三三三三三三三三三三三三三三三三三三三三三三三三三三三三三三三三三三三三ニニニニ
|三三三三三三三三三三三/ /_. / / ̄ / ,ィ |  7 /ン ) / /_. / / ̄ 7 /ン ). // 〉 〉  // // / /三三三三三三三三三
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| そう、呂布である。
| 
| 元はと言えば四ツ目を取り逃がしたのもミストとレヴリアスが生き延びたのも呂布のせいだ。
| ヤザンでも倒しきれないあの狂人、戦闘能力だけなら夢宮すら凌ぐ化物。
| 
| 奴には孫をぶつけてやる。
| ロビンは正しく評価されず、ゴミのような扱いを受けてきた。
| 
| 『血族』でありながらのけもの以下のゴミクソ。最低の家庭環境の虐待児だっピ。
| シロッコはロビンの記憶をそんなふうに書き換えていた。
| 
| ありもしない復讐。『血族』を殺す超人となり、その黒光りするボディを血で濡らすために存在する。
| 
| シロッコはこどもだ。
| わがままで、傲慢で、全能感にあふれて、つまらない禍根に拘泥する。
| 
| そして、気まぐれ。
| シロッコの厄介さはそこにある。
| 
| よりよいひらめき、よりよい作戦。
| 自分以外への執着の薄さから、突然何もかもを捨てされる。
| 
| 豹変できる君子。
| 人からはそう評価されている。
| 
| その、真価が問われる時が来た。
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274死夢見 ◆XDD/DkyjV6:2022/05/29(日) 13:08:41 ID:STNUjxU6MM



  \      /
   へ/⌒X             ハ
      |  |             ⊥|_|⊥
    イVへ          /ヘ|_|イヘ
     | |          トvへ  ̄ へ }
     | |          V.|└} {┘ハ
     | |            | |イ{二}ト |ノ
     | |           イヘ{_}_}厂|
     | |         へ| |  /二二二フ ̄ ̄ ̄\
     /ニXイ      // // //   .| |/  三トへ∧_
      | --}|    厂 // // /      | |  へvvへVへ}
      | --}7  /   // // /       / ∧ | |      \
      レ| |ハ 厶/ヘ| | | |. /      / / ヘ| トx      L_
.      | |\\     | | | |厶へ__ / /⌒へ厂へフ    /   }

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| 市国からの電話より一時間。
| 決定が覆ることも、内通者の警告も、それどころか『教会』内部に知れ渡るより早く。
| 
| 電撃の速さで志摩子は、殲滅を命じた。
| 『結社』撃滅作戦から三ヶ月。あの日同様、まずは軍神 上杉謙信による一撃。
| 
| 毘沙門天による雷火が新宿衛生病院を焼き尽くす。
|
| 東京の結界守護者であり、最強の名をほしいままにする上杉謙信。
| 彼女の攻撃は、魔力もスケールも違いすぎる。それ故に小回りが利かないという欠点もあるが。
| 
| それでも、最強の名は伊達ではない。
| 
| 新宿衛生病院を覆う結界も、地上の廃病院部分はもちろん、地下施設も魔力と電力に致命的なダメージを受ける。
| この攻撃を耐えきれる者は少ない。凡百の異能者では壁や床に人型の焦げを残して死ぬ。
| 
| これは藤堂志摩子の怒りであり、パプテマス・シロッコを絶対に許さないという決意の表れ。
| であると同時に、東京を守るためならばどんな犠牲も厭わぬ『やる夫』の立案した作戦である。
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275死夢見 ◆XDD/DkyjV6:2022/05/29(日) 13:08:54 ID:STNUjxU6MM



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                    _,, --―´: : : ヽ          _ -{ ´'_
              , - ´  ̄ ̄: : : ; - ー- 、: : : l r'ヾ-,、ィ、_,, ィ: :´: : :jー‐'
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           /: : : : : : : : : : : : ; ゝ__ -ー- '  <:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;イ、: : : : /
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             `ー、: : ; - ´  /: : : : : : : : : } ヾ:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;r'`ヾ
            7    /: : : : : : : : : : : ノ 彡:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;〈   ヽ
          , ィ7    丶_: : : :_, -´rイ:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:ソ     ヽ
         {  / ,-、       ̄ 、_r'´:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;、'゙       ',
    、     ヽ_!/: : i  ィ      }`:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;r,-´゙         ',
   ゞ、ヽ       |!: : : ! `ヽー, _ノー`:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;_ミ         __ -- ヾ
  `ー-、`ー―--l: : : : l   `イ'':;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:ゝ     _ ,, -- ´: : : : : :彡
      ヽ: : : : :、丶__ノr''`-'`:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;_、!   _ ィ´: : : : : : : : : : : : : ;''
       丶: : _ノ:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:_、ー  ィ´: : : : : : : : : : : : : : : : /
        ` >:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;r-ー'    ィ´: : : : : : : : : : : : : : : : : : ;´
          ´ソ_;;:;:;:;:;:;:;:;_;-、{`    , ィ´: : : : : : : : : : : : : : : : : : :,、゙
             ヽ`゙`ヾ    ,, ィ´: : : : : : : : : : : : : : :ー-- __/
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| だが、突然振り下ろされた破壊の業火に、完璧なはずの奇襲に対処した存在あり。
| 
| 体長2メートル。横幅も2メートルの巨体をパッツンパツンの軍服に押し込めたパンダである。
| その背中には天使のような純白の鷲羽根。三対六枚。
| 
| 大天使『リトルボーイ』。
| シロッコに改造されたウィリアム・ヤーボの成れの果てである。
| 
|「ティムよ。星を見るのも悪くないなぁ」
|「ほげぇ〜」
| 
| その横、縞々ニーソで上半身裸の少年。機械のバイザーに金属義手。そして背中には同じく翼。
| ジャギとの戦いで植物状態だった所を、シロッコに素材にされた少年ティム。
| 
| 今の名を、大天使『ファットマン』。
| 天使となり、睡眠の必要がなくなった二人は、毎晩屋上で星を眺めていた。
| 
| 理由があってのことではない。
| ただ、有り余る時間があり、ヒトとしての欲望や執着をすべて失った『リトルボーイ』が、
| 唯一心惹かれるのが天体観測だっただけである。
| 
| 無論、下らないセンチメンタリズムや、宗教観的なものではない。
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276死夢見 ◆XDD/DkyjV6:2022/05/29(日) 13:09:13 ID:STNUjxU6MM




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| 遠い木星の月の上。
| もう戻れない、帰り道もない。
| 
| 死ぬまで聞かせる、逃げても追いかける。
| それが暴虐のからくり人形楽団。
| 
| 上杉謙信の毘沙門天は、一瞬だけ実体化した。
| 
| 体長20メートルもある巨人が振り下ろす三叉鉾。
| 炎と光の奔流を、即座に飛び上がった『リトルボーイ』が防御。
| 
| 毛皮が焼け焦げ、直撃した右腕が沸騰して弾け飛ぶ。
| しかし『リトルボーイ』は怯まず、左手から放った黒い稲妻で反撃。
| 
| これには毘沙門天がたたらを踏む。
| 
|「グフフ!!」
| 
| 凶悪な牙を剥き出しに笑う『リトルボーイ』。
| 六枚の翼でプロペラのように回転。竜巻のような勢いで毘沙門天の攻撃を弾き飛ばす。
| 
|『つ……強い!』
| 
| 生まれて始めて『強敵』に遭遇した上杉謙信は、直後の行動を誤った。
| 彼女の弱点は強すぎたこと。本気の一撃で倒せない敵はいない。最強ゆえの失態。
| 
| 何でもできる。いつでも余裕がある。雑な攻撃で勝てる。
| それ故に。
|_________________________________________________
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277死夢見 ◆XDD/DkyjV6:2022/05/29(日) 13:09:56 ID:STNUjxU6MM



             /             ∧
              //ム              ∧
          / iニ/             ∧
        ,‐- _ノ レ′   >-==―──-、_
      i    `ヽ、 >:::::::::::::::::::::/ ヽ::::::::::::::::`ヽ≧== 、
      /      /:::::::::::::::::::::::::::i   ',::',::::::::::::::::::\:::::::::::〉
      しイ=、   ,':::::::::::::::::::::::::::::'   ',::i、:::::::::::::::::::::',:::::/
      /  `ヽ./::,:::::::::::::i:::::::::::::::'   ',ハ::::::::::::::::::::::',:::〉
    /  ___/::::|::::i::::::::i、::',::::::::ム ,‐-リ _∨:::::::::::::::::::Y
   /≦三三三/::::::i:::::',乍う㍉ヽ__j xュ=ェ、 i:::::::::::::::::::/
  ヽ.三三三三/::::::::ト.リム辷ツ    , 圦ソノ .,':::::::::::::/ヽ
    \ニニニ|:::::::::ハ、  ',      i     /'ヽ´`'´ヽ三.〉           しまった!
     >≦、 i::::::/:::i≧、 ',       '   u /_ノ:::::::::::::::\<__          民家に……!
     ヽヽノ ,'::::/:::从::::: ヽ,   ‐=‐    イ:::::::::::::::::::::::::::ヽ ̄
     /,ク/:::/:::::::::::ヽ:::::ヽ> 、_  イ::::::::|:::::::::::::::::::::::::::::::::\
    <イ/_/::::,':::::::::::::::::',:::::::ヽ.ニニ´ ム::::::::',:::::::::::::::::::::::::::::::::::::\
       ノ>-‐―i ̄ ヽ:::::::::\  /ト、:::::::∨:::::::::::::::::::::::::::::≧z、\
   > ´        |    Ⅴ::::::ハ ' |. \::::',::::::::::::::≧≦三三ニi:::::ヽ
> ´ /\   >  ̄|     ',:::::::::∧__i   ',≧zx≦三三三三三ム
   >< > ´    |      i::::::::::ム |    i::::::::::::\三三三三三ム
、  > ´          |    ,'::::::::::::ハ___ト、:::::::::::::\ニニニニニム
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i|              |  V:::::::/::::::::::::::::,'  ',     フ::::/ハ:::::\ニニ
i|              |/:::::::::ハ::::::::::::::/   i     ヽ_,イ  i::::::::::\
i|              |ヽ:::::::://::::::::::::/    .' 、      '  ,'::::::::::::',
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| 弾かれた自分攻撃が周辺に与える被害に注意をそらされた。
| 圧倒的強者ゆえに、周囲を守る結界を張るなんてお茶の子さいさいだ。
| 
| が、彼女の現身の前にあるのは、戦争の申し子。
| それは致命的な隙であった。
| 
|「よそ見はいかんな」
| 
| 焼け焦げた後ろ回し蹴りが毘沙門天の鼻面に直撃。へし折る。
| 宝塔による防御は間に合わない。喝と開かれたまなこに左フック、顔面にヒビ。
| 
| 無視できないダメージ、振り回される巨大な手。柳のように避ける『リトルボーイ』。
| 善国寺はパニックに陥った。上杉謙信がダメージを受けたのを誰も見たことがなかったのだ。
| 
| 鼻と頬骨を折られ、愕然と鼻血をこぼす上杉謙信。
| 悲鳴と怒号が交錯する、謙信本人よりも周囲の混乱が激しい。
| 
| それでも、謙信が振り下ろした拳が『リトルボーイ』を捉えた。
| おもちゃみたいに吹き飛ぶ球体パンダ。
| 
|「ぐっ……!?」
| 
| 打撃と同時に何をされたのか、へし折れた指の痛みに耐えながら、上杉謙信は毘沙門天の具現を解除した。
| 奇襲は……失敗した!
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278死夢見 ◆XDD/DkyjV6:2022/05/29(日) 13:10:14 ID:STNUjxU6MM



     /: : , 、: : : : :/>ミ、: : : : : : />x: : : : :i: :
    /`ヽ: :i: :\ : /: : : : : > 、 : : : : : : : >.、:.!:
   ,: : : : : !: : : :`": : : : : : : : : : \: : : : : : : : : :ヽ!:
   .,: : : : : :!: : : : : i 、ヽ: : : : : : : :ハ: : : : : : :\: :\
   i : : : : : V: : : :ト ! \ヽ、: : : : : : ハ\ 、 : : ム: : :
  .i: : : : : : :V: : : iヽ、  \ヽ <: : : :∧ :ヽヽ: : :ハ: :
  .!ハ: : : : : ハ : : ム ヽ   ヾ、 ` >x:ムヽ!ノノヽ:ム:
  .!! .V: : : :{ rミ、:.ハ   、   ,>",__ z-┐!ヽ ( `i !
  .i  .ヽ: : ハ V):ヽxヽ  ゝ '  〃:示  ./ヽ    ノ!        マジかよ……。
      \ ム ヽ::::}      .弋::::::::!    .rイヽヽ       あの上杉謙信さンが……ッ。
       `ゝミ、¨        ゝ- '    /!///ヽ
         ヽ    '     _  ''''   /' i!////
        , -≧ 、  V  `'ヽ  , イ"/, イ////
      , <      .i>. .二¨¨<-" ヽV/--- ミ
    /          ! i"///>--- ,"/!`>、 i
   /           .! !//////////i八::::::::i .//
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  ヽ         ___ ! i///////////,¨ム//ヽ¨
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|「チャンスだ! 行こうぜ!」| 
| 
| 裏口側から、杏子の透明化で密かに侵入を図っていた杏子班。五名と一匹。
| 奇襲の失敗と、上杉謙信が何者かと痛み分けた衝撃に青ざめる杏子とヴァイジャヤ。
|
| そして無表情ながら言葉を失うキュウべぇ。
| 
| 彼らの背中を音を立てて張ったのは横島だ。
| 
|「どこがだよッ」
|「大天使の片方は撃墜した。もうひとりは自我がないから命令がないと動かないんだろ?」
|「…………そうだ」
| 
| 尋ねた相手は、誰であろうレイ・ザ・バレル。
| 『血族』の捕虜になっている少年、ギルバート・デュランダルの忘れ形見。
| 
| 彼らは、戦闘ではなく侵入工作チームだ。
| 『血族』の中で誰よりも、四ツ目とシロッコの因縁を知る人物の命令。
| 
| ギルバート・デュランダル殺害は、冤罪だ。証拠を探せ、シロッコの悪行を暴け。
| レイはそんな説得を受けた。必死に頼み込む少女の目は、シロッコよりも遥かに信用できた。
| 
| まるで、大首領なんて立場には見えない、怯えた女子高生にしか見えない藤堂志摩子。
| そんな訳で五分で篭絡され、レイは杏子班の客将となっていた。
|_________________________________________________
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279死夢見 ◆XDD/DkyjV6:2022/05/29(日) 13:10:25 ID:STNUjxU6MM



      /          /  /!  |      ヽ
     /          //  / l  l      ヽ '、
     /   /  /    〃//  !| l,    l !', !
     l  ,ィ  !     lィ<_     ! l ハ  !  | lヽ !
     !  (l   ! l  l |r=テミ、  l l/ l l l   ! l ! |
    l   l   l l  l!l ヾビ`ヾヽ l/ _,l l l  l l! ! l
    /   l   l,!l ハ!   `   ′イテl ll l|/l ll !l
.   /   |l   トヽ ',      ::::::: 、 `゙l ll|! / / .リ
. //  | !   ! ヾ'、         リj! !//
 / /  l' ,!   lヽ、     ____ -''´、イ/ /´
 / ,ィ  l l ハ ! ヽ'ト-ヽ、   、`"´ィ´、ノィ´            行くぞ、遅れるな。
 l { ヽ  ヽ',l '、 ', ヽ'、 r、 ヽ、__,ィ ´   !|
. ``ヽヽ、ヾ',! ヽ'、 ヾ` r  ///、 ヽ  ト,'、
  \ \`ヾヽ、 ヾヽ ヾ゙ //ハ ',ヽヽヾ',ヾ'、
   \ \ `ヾト、 ト,ヽ、ヾ-rr'` ヾ、r、ヽヽヽ、
     ヽ  >、  `} ヽ `` !`ヽ  ヽ` ヾ、r'、

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| シロッコとデュランダルの関係を、レイは見てきたつもりだった。
| 信頼できる友人だと、紹介された記憶もある。
| 
| だが、シロッコへの疑念は一度抱けば二度と晴れない。
| 酷白で、冷淡で、自分のこと以外への関心が薄すぎる。
| 
| 他人を、とくに女性を魅了する甘いマスクと心地よい声で、なんとなく許されているだけ。
| レイは以前から、親友であるはずのシロッコからデュランダルへの理解の浅さが気になっていた。
| 
| 今、その答えが得られる時が来た。
| レイはそう考える。
| 
|「研究所の電子的な守りと監視は、ブッティが一人で行っている。
| 彼は狂人だが、その能力は本物だ。『電波汚染』を行いながら、監視カメラと各種トラップのチェックまでできる」
| 
|「……アタシの幻術で大丈夫かよ?」
|「『カトル・カール』の初期メンバーはただの軍人だ。魔力感知は得意ではない」
| 
| 超能力と魔術を併用できるレイとは違う。
| いや、そのレイでも馬岱の隠身を見破ることはできなかったのだが。
| 
|「なら問題はロビンとヤザンか」
|「一般『武僧』を侮るな」
| 
| 杏子とヴァイジャヤは巡音ルカの戦闘力を、横島はツンと起立したおっぱいを思い出して唸った。
| ……なお、ルカやジェリドは『武僧』の若手でトップを競う実力者。ミカサとライナーみたいなものなのだが。
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280死夢見 ◆XDD/DkyjV6:2022/05/29(日) 13:10:37 ID:STNUjxU6MM



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      /ィ:::::N: : ..辷リ `: : : : : : : : -='芹カミ、〜ミ___ノ
      }::::ノ: : : : : : : : : : : : : : : : : : . 辷リ. :/イ:::::::::,、{
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    /イ Λ: : : : : : : : : : : ; : : : : : : : : : : /く/イ           生きて帰れっかな……。
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| 彼らの目的は大まかに二つ。
|
| 『カトル・カール』の情報官ブッティ・スケアクロウの無力化と。
| シロッコの悪行の証拠を見つけること。
| 
| 『モーリアンビル攻防』と『やらない夫の集会』のどちらでも、電子線においてはブッティの独壇場だった。
| 『グレン団』が誇る(正確には華琳の部下の)電子戦のプロである走り鳰。
| スーパーハカーのダル。警察の情報官ダリダの三人がかりで互角。
| 
| ニンジャによる情報戦で『やらない夫の集会』では一矢報いたものの、電波汚染は相変わらず脅威。
| ならばと、物理ハックで無力化を図る。
| 
| ブッティを無力化できれば、鳰がハッキングし放題。
| シロッコがデータで保管している悪行は白日にさらされる。
| 
| データ化していなかった場合は?
| そのためにこの侵入工作班が編成されたのだ。
| 
| 新宿衛生病院に詳しいレイ、彼と何故か親しげな横島、幻術で身を隠せる京子と、ブーストできるヴァイジャヤ。
| そして、これまで一度も発言していないし、そもそも存在感がまるでない馬岱。
| 
| レイは馬岱の存在感に背筋が凍る思いだった。いると分かっていてもつい忘れるほどに影が薄い。
| 馬岱はこのチームの隠し玉で、同時にレイが裏切った場合に備えた安全弁である。
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281死夢見 ◆XDD/DkyjV6:2022/05/29(日) 13:10:49 ID:STNUjxU6MM



          x,          x,
           } 、\___// }     /
           厶- }      {‐ く    〈{_____
        / /         \ \   \     \
        _/   i{ (C)    (C) }i  '.  _  7^     丶     ここに侵入するのも不思議な気持ちだよ。
      〃7   八   、_,_,   八   V^)) /         '     キミはどうだい、佐倉杏子。
  _/{{   /  ` ァ    r '   {{、  〃'く__      }
 (__.:.:゚。:.ヾ=彡     .′     '.    ゞ=彡.:.:.:.。゚-く       ′
  ーt__゚/      /{      ト,     \゚_r'′    /
            .' } ト ┐ l f⌒丶,_/⌒'      /
             {  } l   | { }               /
             丶 し'  し' 厂 ̄  ー----=彡
         / ̄「 ̄ ̄ ̄j ̄}\
         |ヽ : :|: : : : :/ ̄〉: :i|
         |: : \〉_/: : / : :i|
          |: : : 厂: ̄l/\: : : :i|

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|「あの時のゴキブリどもの通った道だって?」
| 
| 三ヶ月前、まだ生きていた頃のキュウべぇと杏子は、やらない夫たちとともにこの新宿衛生病院を防衛した。
| 今度は逆の立場となる。
| 
| これから、四方向から攻め手が進む。
| 地上からはケンシロウ率いる『緊急事態対策班』。と『グレン団』。
| 
| どことも知れぬ侵入経路からは黄泉と『九鬼』のニンジャたち。
| そして地下下水道からは華琳と星、『邪悪帝国』。
|
| さらに詳細は秘されているがもう一チームあるという。
| シロッコを確実に屠るための布陣。
| 
| もちろん『血族』本部も手薄にしていない。
| ……例えば、このタイミングで攻めてくるような連中がいるかもしれない。
| 
| そう、やらない夫の残党とか。
| 
| そのために、志摩子は『血族』本部を腹心で固めている。
| キオ、『狂死』、『やる夫』……。
| 
| しかし、蒼星石とやる夫が『血族』本部に居ることは、ほんの一握りの人間しか知らない。
| その中には、キュウべぇもケンシロウも含まれていない。
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282死夢見 ◆XDD/DkyjV6:2022/05/29(日) 13:11:08 ID:STNUjxU6MM



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    l:.:.:.:ヽ:.:.:.:.":.:.:.:.:.`¨´:.:.:.:.:.:.`¨´:.:.:_:.:.:.:.:.:.`¨:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.`ヽ丶、.:ヘ
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   __/:.:.:.:.:.:.:.:.:./_,,..-i::.:/ ̄フ:.:_.,=_,,-/ヽ: }:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.}
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 >: : : : :{:.:.:.:.:.:.:ヘ (´{         l;;l     ム/ } l/l:.:.:.:.∧:.:.: /
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: : : : : : : /:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.ゝ,             ゝ、, /   レ´   ∨     英語じゃない、ドイツ語か?
'=ー-一=i:./i:.:.:.:.:.:.:.:.:.:i              ´ ' ' }
     ,レ ヘ:.,:.:.:.:.:.:./ ヽ         _    /             『この落書きを見て振り返った時お前たちは』
        ヾ:.:.:.:./   ` 、      '= '  /
       /~``''=ー-、..,,_  丶、    ,.. ´
        /         フ  /`ー、´
. _,,.-一='''"~´`丶、      /  /   >
=ー-、..,,_  _,..-ー'''=-、.,,_/_  \ ,/
      丶、   ~``''= \  ̄ 、}\ヽ
        `ヽ       \ ハ / ハ

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|「適当を言うな。フランス語だ』
| 
| ため息をつくレイ。落書きではない。
| デュランダルが地下施設の入り口に書き記したのだ。
| 
|「『死すべき運命の者らよ、足を止めよ。こは死者の王国なり』ギルバート・デュランダルのシュミだね」
| 
| ひとり納得した様子で頷くキュウべぇ、レイは目を細める。
| 
|「シュミ悪ィな」
|「フランスのカタコンベの銘文だよ」
| 
| 押し黙る一同。死者の王国。地下共同墓地の墓碑銘。
| 
|「ギルは世界に静けさを求めていた」
|「生きてる奴のいない世界? じゃァねェよな」
| 
| 杏子がポケットから取り出したプロテインバーを銜えた。
| 食べかすが落ちるのも気にしない。
| 
|「誰もが存在意義を持つ世界。なんのために生きているかを知っている世界だ」
|「ふーん」
| 
| 興味なさそうな杏子。世の人々がどれほど存在意義を欲しがっているものか。
| レイは彼女を哀れんだ。
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283死夢見 ◆XDD/DkyjV6:2022/05/29(日) 13:11:28 ID:STNUjxU6MM



                            _ , ─. . 、─-、
                          ,- 'フ‐‐ニ ̄、ヽ:ヽ  ヽ
                         i..、_- x---.ニヾ、 i: i:l .|) _,. --、
                         乂:`.-...、二>: : ヽ: :},イ_二 ̄ヽヽ
                         .ヽ::::::::::::::::>.-.、:).-ヽ: : : : ` 、ヾ.、
                          _{:::::>≠'─‐. . 、ヘ:厂`._: : : : ヽ!}、
                         ,.ゝ.': : : {: : : : : : : : : i人!::::::ヽ: : : : ij ヽ
                      ,__/: ヽ: : : ;ヘ、: : : : : : /': : |::::::::∨: : : : : :ヽ
                     /: ' : : / i: : : : :\: : : : : : : : :}_::::∨: : : : : : :i
                   ,イ: : i: : :/: /|: : : : :,: : : ----ヘ/: : : ヽ:┤ : : : : ト::|
               ヽ--‐.'フ: /!: :/1/ ,イ: : : ;イ: : : : : : : : ト: : : : :i:::ヽ: : : : :|V
                  ./ / : |:乂 |' ノ |: : //lヽ: : : : : : : : : : /├‐┘: : : :!
   イ               i / ;-ハ{x__ヽ  |/__|:ハ :i: : : : : // /: : : : : :ト:/
   il               ∨' l: |.rj `   ,__  /' V: : : : :/:_ : / : : : : : 从i
  .ヾ、               ヽ |: |      i 行-ァ /: : :/'‐.} ' : : : : : /
   ヾ.、              ,. .' : :《 '     ` -' / _/,‐}/: : : ,イイ'
    ヽ`. . 、     __,. -': : : : : : :.ゝ   、    ̄ ̄,. . ヘ' : : : ; ' ノ '
     `  - ニ=====,-: : : : : : : : : : : : : : : :>,ェ---- ≦'!: : : : : : /       それってすごく楽そうだけどサ
         ,. -. ': : : ; -= ': : : : : : : : : ; ‐' /V  ̄ ̄//: : : :/        その分誰かがワリを食うンじゃねェの?
      ,.-.': : : : : : : : : : : : : : : : : : : :/ ,ィ./ >.'-- // X : : /
___./: : : : : : : : : : : : : : : : : : : ; ゥ/, ' .レ'{'./ λ /: / , ' ヽ ,'
  / ; - フ : : : : : : : : : : : : ;n_0 '__|/: : : /i__),--' ': / /   .ヽ
/; '  / : : : : : : : : : : : ;イ!.iノゝ-┤: : , '  /ヘ-/;イ'  i     .ヽ
. '  / : : : : : : : : ; - ',  ' W '/  人 ;イ   。 /' |'  .|     ∨
  / : : : : : : : ; -  ,  , . ' : 〉、, '  ヽ.ヽ  。       ゝヽ    ∨

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|「神による管理社会だよ佐倉杏子。神は間違えず、流されず、休まない。
| 誰も苦しみも悲しみもしない」
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|「神も間違えンだろ」
|「ボクらの神ならね。ギルバート・デュランダルは唯一神の信徒だ」
| 
| レイは二人のに言葉を失った。
| 絶対者は誤らない。そして、シロッコはレイを『それ』にしようと企んでいる。
| 
| こんなにも間違いだらけの、失敗と失態を上塗りするばかりのレイに。
| 何をさせるつもりなのだ。何にするつもりなのだ。
| 
|「話は終わりだ。行くぜ」
| 
| 横島が一同を促した。レイは歩き慣れた、横島は二度目の道行。
| 非常灯で照らされた、薄暗い廊下。見た目は病院そのもの。
| 
| 本来ならばすべての電子機器に接続権を持つレイだ。
| しかし、脳内チップによる無線接続でも痕跡は残る。隠密行動のために控えねばならない。
| 
| だが、歩き慣れた道である。
| シロッコに占拠される前から。
| 
| ここ新宿衛生病院は、かつてレイとデュランダルの聖域だった。
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284死夢見 ◆XDD/DkyjV6:2022/05/29(日) 13:11:48 ID:STNUjxU6MM


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          /  ,.i           ヾ      `;:,,,   i
         /  ,.rii           ヾ      ~`;::,,i
         /  i,i ii       _,,,,:=-- .ヾ::       ヾ_
        ,/   i;i  ,,i     _,,.;'ゝ.-.-;;'  ヾ:::::....     ヾ
       .r  yii, =;,.. -;"  ,"~/'-'"ニ;'"   .ヾ ,.:"^;.    ヾ
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      l :::::: ::::::::'.    `      __.,,     .i!  /.::::::::::::::::::::::|       この私に楯突く気か『血族』め。
      ,l ::::::::.::::::::::{     -==二..ソ      =":::::::::::::::::::::::::|       理解に苦しむ愚かさだな。
       l :::::::::::::::::::ヘ      "`::.,       l::::::: i::::l:::::::::::::|
       ,l :::::::::::::::::::::::ヘ          ::::/  j::::::: l::::ll:::::::::::i
        ,l .::::::::::::::::::::::::::ヘ        :::::/   "";'ノj丿|:::::::::l
         ` ,,,,,::::::::::::::::::::::::ヽ      .::::/        ,j:::::ノ
            ~`=-;,:::::::.___;;i,m;,:::_::;.;:`_;,,/  _-==;""l ""
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|「で?」
|
| シロッコの執務室には三人の男がいた。いずれも『武僧』。いずれも手練。
| まずはあくびを噛み殺すヤザン・ゲーブル。
| 
| 一昨日の『やらない夫の集会』で呂布相手に負傷し、今の今まで高いびきだった。
| まだ寝たりない面をしているが、傷はふさがり気力は充実していた。
| 
|「おおかたバスク辺りに泣きついて金を積んだのだ。私を殺す許可をよこせと。
| ……つまり、『血族』が躍起になって張り巡らせた向こう側の電波妨害を突破すれば、我々の勝ちだ」
| 
| 丸め込まれた誰かを粛清してもらい、『血族』こそ反逆者にすればいい。
| 二人目の男、パプテマス・シロッコ。徹夜続きで血走った目をしているが、その頭脳は冴え渡る。
| 
|「奴らの切り札は『リトルボーイ』が防いだ。
| そしてこちらには、奴らの知らぬ切り札がある。運命の女神に愛されているな、私は!」
|
|「どこの売女か知らんが、そいつとは付き合いを考えておけ」
| 
| ここで三人目、つまらなさそうにメガネを上げる壮年の男。
| 干し草色の髪、顔に刻まれた無数のしわ。しかし生命力に溢れた目つき。年齢不詳。
|_________________________________________________
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285死夢見 ◆XDD/DkyjV6:2022/05/29(日) 13:12:17 ID:STNUjxU6MM



  フ彡三ニ==-ミミミミミミWミW杉彡彡三ニ==彡W彡イN
 彡彳ニ彡''´ ̄ ̄ ̄¨`ー=≠=─''¨ ̄ ̄ ̄¨`'''ァ>ヾミシ
 Σ彡 イ ::::::::     、  i li           Zミミ三ミ
  彡 彳リ ::::::::   \  ヾ {;! } z= ,ィ  ,    ヾ彡 ,Zノ
  ゞ  /! -==ミ ー- ヽ } i!  //  /,ィ==-  }ィ ./
  Y⌒}! '':::::::>'' ̄ ̄`ヾ\|..i!../ ,z三≦─ 、   .レ⌒!    『集会』での貴様らの動きを詰問に来たはずが、
   ! }ト|\__{{弋 ̄t__ァ-z}ハ;;;;;;;;;;Y x t__ァ ̄フ}}__/! il リ    まさかこんな展開とはな。
   ! i! i ::::人 `ー ==以 ノ ̄ {! ミ== ─''´ ノ   |! {!
   ヽⅵ :::::: ゝ ___ /::    ト\ ___ /   | ノ     あいにく俺はまだ貴様を殺す指示を受けていない。
    ヾ! ::::::    ̄ ̄.::::::::i    ! ヽ  ̄ ̄     ,;/´
    ,从;;,,:::::     ...:::i . : |    ! ::..      .;∧
  /:::::ハ;;,, ::........::::::::::::ヽ::::i   .ィ..::        ,,;;;i::::::\

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|「ならばこちら側の一人として戦っていただく」
|「…………忌々しいが、それも主のお導きかもしれんな」
| 
| 三人目の男、アレクサンドル・アンデルセン。
| 彼は遠くの音に耳を澄ますようにかすかに顎を上げ、剣士をむき出しにして剣呑に笑った。
| 
|「相手は好きに選ばせてもらう」
|「地上の奴らは『カトル・カール』でやる。それ以外は好きにすればいい」
| 
| 返事もせずに退室するアンデルセン。
| 残されたヤザンが首を鳴らす。
| 
|「ヤザン、君ほど頼りになる男はいない」
|「おべんちゃらはいらねーよ」
| 
|「忍者が来るはずだ。排除しろ」
|「よし来た」
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286死夢見 ◆XDD/DkyjV6:2022/05/29(日) 13:12:31 ID:STNUjxU6MM

☆ 次回予告

 虚飾。虚飾だった。

 言葉も、体も、仕草もすべて。
 他人をだまし意のままに操るためのものだった。

 だが。だけれども。

 あなたには、あなたにだけは見てほしい。
 飾らない、本当の私。

 嘘ではない、偽物ではない私。
 心を開いて、余すところなく理解してほしかった。

 それだけの願いが、ただ遠い。

次回、最終幕九十四話『名称変更』
 果てに見るのは破滅か死か。

287令和もどこかの名無しさん:2022/05/29(日) 13:26:08 ID:w9CwLQ76MM

謙信ちゃんの美しいお顔がっ

288令和もどこかの名無しさん:2022/05/29(日) 19:19:53 ID:C0a/9ykoSa


アンデルセン来ちゃった

289令和もどこかの名無しさん:2022/05/30(月) 02:03:04 ID:VjnrKwuQ00
乙です

290死夢見 ◆XDD/DkyjV6:2022/06/05(日) 13:23:00 ID:mk9otnwUMM



                    _ 。 -‐ ‐ュ,
                ,.。 '":::::::::::::::::::::::::::::`丶
             .イ:::::::::::::::、::::::::::::::::ヽ,:::::::::::\
            .ィ:::::::::::::::‐- 。.ヽ,::::::::::::::',::::::::::::::ヘ
          /:::::::i:::::::ヽ,_:::::::::::'ーx、:::::::::i::::::::::::::::::ム
       ,'イ:::::ソ\:::::ヘ ア>=ャ, ヘ:::::リ::::::::::::::::::::ハ        納得いきませんよ志摩子さん。
       }:::::::リ  `'<ヘ仏ハラ′ `ヘ::::::::::::::::::::::::i!       僕の能力ならば隠してあるものや敵を探すのに最適です。
       V ム'¨>、   ヾ ソ     Ⅵ.ィ:`Ⅵ::::リ
          ヽハ代リ            〉ヘ.i ヘ l        なんで僕は杏子さんたちと潜入ではなく
          `i  ヽ 、         .イ ソ:::::::::::`ヽ,      本部待機なんですか?
           i     __         l{`´::::::::::::::::::::::l
           ' .  ゙   `      .ィ {:::::::::::::::::::::::::::i
            /ヽ.      . '" イア ノヘ. ヘ ノ`
             ∨i:::ヽ. _  .イ .ィ´  ヘノ >'ー‐──一ュ、
             ∨ヽ,ィ¨  〉 jハ    /   >'´  ̄  ̄`丶,
               ハ />' ヽ.  /   /          ム

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| 『シロッコ粛清』が始まった深夜、『血族』の主だった面々は攻勢に参加していた。
| しかし、キオやフリット、『狂死』に先代といった、志摩子に近しい戦力が護衛として残っている。
| 
| キオはその戦力が過剰だと考えていた。
| やる夫と蒼星石が捕虜になっていることを知らないのだ。
| 
| 呂布は出撃前に志摩子に忠告した。
| 最悪、脳噛ネウロが来る。警戒は怠るな。
| 
| 志摩子は二人の捕虜の話をキオにしていない罪悪感に胸を痛めた。
| キオの超能力ならば、確かに探索は楽になるかもしれない。
| 
| しかし、強敵の襲撃を受けた際に、最も頼りになる人物にそばに居てほしいのも事実。
| であるのだが。
| 
|「そーは言うがよ、残って正解だったンじゃァねーか?」
| 
| コートにサングラスという怪しい風体の女。志摩子は彼女が気に入らない。
| コートの下は全裸のクセに、キオの保護者面して高説を垂れる。
| 
|「『教会』側の戦力を見誤ってた訳だ。向こうにゃもう一匹パチモンがいやがンだろ?」
| 
| 女、『十二の封印像』の悪魔の一柱『蛇身』ことイナミは大天使『リトルボーイ』をパチモンと呼んだ。
| 彼女は本物なのだ。アラブの邪霊とは即ち、主に反逆したイヴリースの配下。
| 
| いわゆる堕天使と近似した存在なのである。
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291死夢見 ◆XDD/DkyjV6:2022/06/05(日) 13:23:13 ID:mk9otnwUMM



                                _
                                _)ュ、_
                               /::::;:::::::::ヽ`ミ::、
                              _j:::ィ:::::::::::::::::::)::、::ヽ
                              /::::::::::::::::::::::/::::人:::ヽ.
                              | ̄ 三ニ≠ー―= ´!
                              |!   ニ=
                              t、_ニ=__    _j        『逃げるを攻めるは難く
                              [ j マ ̄ ̄ 7「 ̄ ̄ T!        追うを攻めるは易し』だ。
                             j:::ミム    ヾリ     j!
                            __{⌒ヾ::ト  `ー=ーァ  ,イ⌒       すぐに来るぜ。
    r、ヽ、  r,                 /_ム  j ≧。  ¨  /人_ j
   r、ヾ、}ト、」/                ィ _ア  ゝ彡    --イ (::ヽ_
    `ヾ>//ハ              r‐’⌒   マ、:j        r::{  ≧、
   ー=/////!                    l::j7、_rvュ ィ、⌒j::::) ニ_j!
      L///7⌒j           j       j 个人7 j l T 、ハ_ハ`\_ ノ
        {レ_イヽ         /    、   |  !  ^ jハトー'    l! 〈
         ヾ////\           八  i!  !           i! ハ
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| 肉厚の唇を皮肉に歪ませるイナミ。
| キオはそれでも不満そうに唇を尖らせる。
| 
|「それは結果論でしょう?」
|「グダグダ抜かすな。大首領サンを守ってやんな」
| 
| ひらひらと手を振り、気怠い足取りで出口に向かうイナミ。
| キオはもの言いたげに、あるいは置いていかれた子供のような顔でその背中を見送った。
| 
| なぜ、そんな目をするのか。志摩子は、そんな言葉をグッと飲み込んだ。
| 
|「キオ、頼みがあります」
|「……僕にできることなら」
| 
| 苛立ちを隠さずにキオ。志摩子は彼の手を両手で掴む。
| 魔術や加護の力で彼の心を篭絡するのは、ひどく抵抗がある。だから、なんでもないただの懇願。
| 
|「上杉謙信が押し負けたのは完全に想定外でした。
| 我々はより強固な結界を、迅速に用意せねばなりません」
| 
| 視線の高さを合わせる。志摩子は、己を弱く儚い乙女に見せかけることに馴れていた。
| 篭絡の第一段階で相手の庇護欲をそそり、あるいは無力な相手と油断させる。
| 
| そういった技術や計算が染み付い所作が歯がゆい。
| 誠実さを余すことなく伝える力が欲しかった。
|_________________________________________________
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292死夢見 ◆XDD/DkyjV6:2022/06/05(日) 13:24:20 ID:mk9otnwUMM



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             \::ヽ,:::::::{ォアキ,ヽ::::{ヽ,::::!:::::::::::::/::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::}
              ヾリ ヽ’,例  〉 `’ ヘj:::::::::/::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::リ
                _ ,.。 '    j夕 .″   ノ::>j’::::.ィニャ:::::::::::::::::::::::::::::::::::::/
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                }  、                 レ' 〈  i  i::::::::::::::::::::::::i::::/
            l              u.     .。ィ ソ ノ:::::::::::::::::::::::::i/
                ; r- 、             レ' ”. < i::::::::::::::::::::::ム      強固な結界ですか?
            ',  ̄            ヘァイ    j::::::::::::::::::::::::ハ     その……こう言ってはなんですけれど、
                 .            . ィ  /    /:::::::::::::::::::::::::::ヽ,
             i          '"    i     /:::::::::::::::::::::::::::::::::::}    僕は。
             `'ー=ニ __¨      ,.。・'ヘ:   /::::::::::::::::::::j:::::::ソレ'
                    ヽ,  ,.。 '"     ヽ∧::::,ィ::_.>イレ'´
                   r'¨’ 〉く         . >=ハ
                  リハ  i 1     .>'"      ',
                  /  _」 :i  ,.ィ'’            ハ
                    〈__ /  .イ! /     - ─ - .    ハ
                  /  /  ` .。 '´        `丶 ハ

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| 超能力者だ。念動による装甲は作れても、結界には疎い。
| 志摩子は、もちろん理解している。そしてその上でキオならできることがある。
| 
| 『絶対防御結界』。
| 
| でっていうが持ち込んだ世界の破滅から一人を守るためだけの無敵の盾。
| 弱点はコスト。維持に必要な魔力が尋常のそれではない。
| 
| 現に間桐臓硯は、『絶対防御結界』の上からアリカに息付く暇なく殴られ続けて魔力が枯渇した。
| 強力無比であるが、実用的ではない結界。
| 
| でっていうはそのために地下の邪念を集めて魔力に変換していた。
| 臓硯と『やる夫』は、期を見て『邪悪帝国』と華琳を生贄にするつもりだ。
| 
| 志摩子は、別の手段を模索していた。
| もっと平和的で、確実性があり、何より誰も犠牲にしないような。
| 
| 即ち。
| 
| 九番目。
| 
| 
| 
| 虚言の戒めを破りて現る破滅の化身。
|
|
|
| その名は『人類■□□  』……。
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293死夢見 ◆XDD/DkyjV6:2022/06/05(日) 13:24:35 ID:mk9otnwUMM






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 l/:/ /-‐      〈tfシノ::!::!′
 K ,.ィテテ'ヽ    `´1://
 ::::', V弋ソノ    、  l::::|        開き直って話しますが
 ::::::', ¨¨´       / /::::|        この東京にいくつもの危機が迫っています。
 ::::ト、ヽ、     _  ,.イ::::ハ!
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 :::::i  ``ー┬一'´  |::/
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 \|__ _ ユ_==ァァ
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          \
            \__
      . .: .: :/ ̄,.-、入
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   .: .:. :. / ヽ_ソ.::::::::::::::::::::.ヽ

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|「支配、戦争、クーデター……いくつかは先の『集会』で防げました」
|「はい、しかし僕らはもっと大規模な破滅の預言を受けました」
| 
| 志摩子は、昨日のことを思い出す。
| 軟禁されている身でありながらも凜と。単刀直入に、挨拶も謝罪もなくそんなことを言い出した蒼星石。
| 
| 狂気も洗脳もない。鷹野三四のお墨付きだ。
| 信じがたいことに。
| 
|「例えばどんな?」
|「泉こなたと仲間たちが対処している『木星』。
| 伊藤誠や脳噛ネウロが警戒する『冥王ニビル』。
| 翠星石によって召喚されてしまった『クトゥグア』の到来」
| 
| にわかには信じがたいが、それらしい報告もある。
| ありえない訳ではない破滅の羅列。
| 
|「志麻子さんは『第二の夢』を見ましたか?」
|「神の雷火による滅びを予言した『品川大聖堂の夢』ではなく、『第二の夢』ですか?」
| 
| どちらも見た。どちらも天からの炎が世界を滅ぼす示唆をした。
| それが『ニビル』か、『クトゥグア』か、他の何かまでは分からないけれど。
| 
|「人々の夢を普遍的無意識から繋げて作られた『塔』は、その先にあるものは見えましたか?」
|「…………」
| 
| 見えていた。志摩子は『夢の塔』を見た。
| その先に浮かぶ木星を。そして……。
|_________________________________________________
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294死夢見 ◆XDD/DkyjV6:2022/06/05(日) 13:24:46 ID:mk9otnwUMM



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:.:.〃:.:.:.:.:.|:.:.:、:.:.:.ヽ、ト、       , - '´        巨大なハンマーですか?
/:.:.:.:.:.:.:|:.:.:.:.ト、:.:.:.:.:!:|     、フ´
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       `!  ノ:.:./ノノ  ヽ:.:ヽ

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|「『ビスケットハンマー』といいます。普遍的無意識野から出現した、この世界の人々の想像する破滅の体現。
| 核戦争でも、隕石でも、宇宙人の侵略でも霧でも眠りでもなく……巨大な鈍器による地球破壊」
| 
| 志摩子は頭を振った。
| こんな世界壊れてしまえなんて、誰もが一度は考えた事があるだろう。
| 
| だが、よりにもよってハンマー? 意味がわからない。
| わからないが……志摩子は身震いした。
| 
| 地球破壊パンチで世界が吹き飛んだなら、どれほど楽になるだろうななんて。
| 考えたことが無いとは言えない。
| 
|「これで四つ」
|「…………」
| 
| 世界の破滅から少女を守るために遣わされたと言い張る悪魔、でっていうを思い出す。
| 『絶対防御結界』でそれらすべてを防ぎ切るには、どれほどの魔力が必要になるのだろう。
| 
|「あと四つ」
|「八つもあるのですか……?」
| 
| 蒼星石は静かに頷いた。その目の奥の疲労は隠せない。
| 志摩子は蒼星石を信頼してきた。今回の出来事も彼女なりの考えがあると信じてきた。
| 
| しかし、にわかには信じがたいのは確かで……。
| 何よりも、『集会』でいくつかの破滅の芽を摘んだのなら、破滅の数は両手では納まらないほどだったのでは?
| 
|「蒼星石、信じがたい話ですが最後までお願いします」
|「聞いていただけるだけでも、十分です」
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295死夢見 ◆XDD/DkyjV6:2022/06/05(日) 13:25:06 ID:mk9otnwUMM



''"´ニニニニニニニニニニニニニニニニニ/
ニニニニニニニニニニニニ_ニニニニニ/
ニニニニニニ_,.. - ''': ´ ̄ : : : : : : : : : : : \
ヽニニニ: '"´: : : !:. : : : : : : : i: : : : :`ヽ : : : : ヽ
  >'´: : : : : : : : .|: : l : : i: : : '; : : : : : : ヽ.: : : : ヘ
 , : : : : : : .!: : : :ハ : :!: : '; : : : \ : : : : : '; : : ヽ : !
 |: : : : : : :i: : :./.ハ:.ヽ: : ヽ : :___lヽ.: : : : !: :i : :|!:.|
 | : : : : : / : :/  _,.ヽ ト、 .l\: : ヽ \ ̄「: |: : l !:|
 '; : ; : :./: : / ̄    ヾ:.\ヽ. >    ァ|: l: :/ リ
  V : :/: ;.イ          `` 、_,,  〉! ./;/
  l:/イ: 、ヽ ゞ=="          ̄  //ノ: :!:ヽ
.   |∧: ' : :ヘ.`           i     ,.イ ´: :|.|:.:.\    虎穴に入らずんば虎子を得ずの気持ちでしたからね。
   ,.ヘ : : : : ヽ、     ー -  ./| |/!: :ハ |:.:.:./
-、/.  ヽ: : : :l l >t- .,,_,. イ:.  )! | / .レ:/
ヽ、⌒l   \: : | : . . >ァt<ヾヽ ( ト'´:.:,.イ
<´ヘ.`ーt  ヽ:| // //ト、ヽ! |  )!.).イ:. |
:.:.:じr.l :.ヽ    ヾ ー'/ | | ー' .( .ト、:.:.:.: |

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|「…………『血族』は、虎穴ですか?」
|「残念ながら」
| 
| 蒼星石の言い草に苛立つ。
| フリットから取り返したこの『血族』の、どこにそんな危険がある?
| 
| …………いや。
| 
| 蒼星石はやる夫と行動していた。
| 『血族』で働く『やる夫』とは別の。
| 
|「残りの名を『第四の万魔』『哀しみのからくり人形楽団』『第二次関東大震災』そして『人類補完計画』といいます。
| どれかに心当たりはありませんか?」
| 
|「『第四の万魔』は……あの『万魔』で違いありませんか?」
|「はい。昨晩アリカと『弓兵』さんたちが対処したはずです」
| 
| その邪魔をさせないに、蒼星石とやる夫は捕虜になった。
| 結果は不明だが、少なくとも間桐臓硯との連絡はつかなくなっていた。
| 
| 志摩子はあの自分の利益にのみ固執する老人を、戦力として期待していた。
| しかし、倒されてしまったのならば仕方あるまいとも思う。臓硯が纏う怨嗟は計り知れない。
|
| いずれはこうなると思っていた。
| 
|「臓硯を殺したのですか?」
|「恐らくは、結果的に」
| 
| あの時、呂布との戦いの最中、突然輝いた『蒼天の青玉』。
| 呼ばれていると言い出したアリカを、焦った様子のやる夫が押し出した。
| 
|「今なら『第四の万魔』を防げるお!!」
| 
| その先を、蒼星石は知らない。
| 
|「『第四の万魔』が解決したかどうかはやる夫に聞くのが確実でしょう。彼こそが預言者です」
|_________________________________________________
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296死夢見 ◆XDD/DkyjV6:2022/06/05(日) 13:25:22 ID:mk9otnwUMM



                イ        ミイ     ヽ
             / /  イ  ´    个 、     、 \
                / / /  /     / ハ
            / / /  /      /j !  ',
            ! ′/ ィ      //{   .
              | ! リ / |   /   ィノ!∧ j |
             iハ| j/ァ、!/ /,ィ /j/  V  i     !
             jハ个キュ_/zフ⌒> 、  | ト、    l  !
              〉Lソ   ´斤yr‐、_  | | 彡⌒} ! j|
             イj l /    ゞ:;ソ ^´ | |  八 j | イ!      …………『そちらの彼』も予言者なのですか?
            / j八 ヽ       ̄~   j | ィ_ イ ハ八
            ( r7 jアヽ、__        , /「    j  ! \`ー 、
             } リ / /⌒゚ `      イ  !   / 人  `ヽ  ハ
          イ / /  ⌒  ーr 彡´  | j !   /`ー  ´ ̄ >、 j
         /⌒7/≧=ュ、    ヽ    |/ |  {         ムヽ
          /ニ7/ニュ、 ヾ┬   ハ     ヾ、ハ   ヽ         ムニム
          {ニ7/ニニニュ、「{    トヾ、_   X、ヽ  :.     イニニニj
        マニ {ニニニニj! ゝー┴ 八 `  ハ } j  }   ィニニニニリ
         マムiニニニフ{_     j!ハ   / ,リ/  ノ_ ィニニニニニニト
         マヽ、ニニ「ニ≧、  ィハ ハ jノイ  /ニニニニニニニニ! ヽ
         ハニム、ニjニニ≧≠ニニ!≧y´イ7 /ニニニニニニニニ|  }
        / ハニニ Vニニニニニニ7≠((_⌒ヽ {ニニニニニニニニニ|! リ
         { / |ニリ /ニニニニニニ   rlヽ  ヾ!ニニニニニニニニ|‐´
        ヾ  |ニ7 /ニニニニニニ′ {Lムj/   !マニニニニムニニニニ|
          . j/ /ニニニニニニ7  `ー个、__ノ jニニニムニ7ニニニ、
      ィ    } 个ァニニニニニ7|   ムニ ヽ_ノjニニニjニ/ニニニ|! \
     /(  ノ j/ /ニニニニニニ!ム ノニム    /ニニィニニニニニ|! リ
     {  ̄   /ニニニニニニニjニニニニニニニ>´ ̄ミヾニニュ、ニ! (
     `ー  ´|ニニア⌒ ̄ ̄~~`ヽ ̄ ̄≧「ニニニニニニニニニニヾ|、 ーイ
          V´ィ         }!    }ニニニニニニニニニニニj  ̄

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| 預言者と予言者。発音を同じくするせいでしばしば混同される。
| しかし、実際にはその性質は大いに異なる。
| 
| 預言とは、神の言葉を預かること。
| 偉大なる存在からの啓示を人々に伝えるものが預言者である。
| 
| 対して予言とは、予知能力として言葉を得ることである。
| 元来のやる夫は死を夢に見る、つまりは視覚的に予知能力を発現する予見者であった。
| 
| すそして予言者は、詩や単語による予知を行う。
| 意味深な言葉や、四行詩で未来予知を行うものが予言者なのである……が。
| 
| それは異能の世界の話。一般的には未来を予知するのではなく、予測するものも予言者として扱われる。
| 予測を言葉にする者という訳だ。
| 
| 具体的には占い師や易者などである。
| 
|「やる夫は、『世界管理者』から破滅の予定を預かっています」
|「神ではなくですか?」
|「はい、いわゆる上次元存在。ニャルラトホテプのごとき存在からです」
| 
| 見学会いく夫。
| モーセが唯一神から十戒を授かったように、やる夫はいく夫から『十壊』を授かった。
| 
| その過程か、はたまた別のタイミングかは不明だが、やる夫は自己の箍を失った。
| 戻ってきた当初こそ気付かなかったが、今ではやる夫が曖昧モコモコな存在であるのは確定的に明らかだ。
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297死夢見 ◆XDD/DkyjV6:2022/06/05(日) 13:25:40 ID:mk9otnwUMM



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           |.:..:..!:.!:.:|.i:.:.lヽ:レァ十‐rヽ/ノ /', -テr〈  |:./ノ!ノ
           |:..:..!:.:|.:.|:ヽ:.',. { {f::ぅ:ー'}      ´{::ぅー}. } ,ノ//
           |.:..;'.:.:.|.:|.:.|\!  ヾニソ      辷;ソ イ./
            |..:,':.:.:.:|i:|.:.|  ヽ  ̄ ̄´     、   ̄´ ,':|!
            !/.:.:.:.:.:|.:|.:.ト、           /     /:.i:|
         /':.:.:.:.::ノ|:.:|:.:|:.iヽ、      r‐┐   /:.l:i|:ヽ       そんなものを信用しているのですか?
      ,. -‐'ノ:.:.:_/:.:.i.:.:.!: !.:!  丶、     ニ'"  /ハ:.:ノヽ:.:.:`ヽ、
      /, ‐''":, '´ .:.:.:/.:.:.::i !:|、   `丶 .., へr''"、l!:{.:.:|!:.:.:li.:ヽ:.:.:.}
    /:.:.i .:./ :. .:.:;:ノ.:.:.:.:.ハ ', `ー──/. ,.へ`) \:|:l:.i:.:.|,ノ:,:ノ
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    ヽ:.:ヽ.:.i: (:.:.:.:|_;.ノ-‐''ノ. ヽヽ    | |.     -‐ヘ  l \ヾ'丶、
     \:}:.Y>‐フ //  ヽ、.}:.:}  |. l     ,... ノ、 |  ',:.ヽ‐-`ヽ、
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   ,.,.,.,/-‐ 、/   ヽ:ヽr:'"-‐''        !      |   _,ノ:,ノ  !.  i
 /:/:f    `ヽ、 \`{.:.{ゝ      r‐;.=|      |   {:r''"´   | |  |
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|「耳が痛いですね」
| 
| 寂しそうに嗤う蒼星石。彼女とて、本意ではないという表情。
| 志摩子は追求をやめた。
| 
|「やる夫の話によれば、『哀しみのからくり人形楽団』は『教会』系列。『第二次関東大震災』は不明。
| そして、『人類補完計画』は…………」
| 
|「そんな訳のわからないものが、『血族』から出るとでも仰るのですか?」
|「はい」
| 
| 大首領の権威と怒りを、言葉に生えたトゲを、蒼星石は即答によって黙殺。
| 
|「テレパスなどの超能力。精神を繋ぐ計画。人類を守る最終手段……心当たりは?」
|「あ……ありません」
| 
| 志摩子は嘘をついた。
| 心当たり? 大いにあった。
| 
| 最悪、無辜の民草の魂だけでも集めて守るという計画を、志摩子はフリットに相談していた。
| その計画を、志摩子は、ここで…………。
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298死夢見 ◆XDD/DkyjV6:2022/06/05(日) 13:27:41 ID:mk9otnwUMM














         ____ て
        /― ― \ そ
      /(●)  (●) \
     /   (__人__)     \     『ゲシュタルト結界陣』???
      |    ` ⌒´      |     …………『人類補完計画』から名前が変わったかお?
      \           /
        /         \
       |   ・    ・     )
.     |  |         /  /
       |   |       /  / |
       |  |      /  /  |
      (YYYヾ  Y (YYYヽ |
     (___ノ-'-('___)_ノ

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| こちら、少し離れた監獄。
| 蒼星石が入れられた座敷牢のような部屋とは違い、牢獄そのもの。
| 
| 薄暗く湿った部屋、金属の重い扉、部屋の隅の小汚い和式便器と、カビ臭い布団しかない四畳半。
| その真ん中に座り込む、やる夫。
| 
| 自己を演じる必要もなく、しかし時間だけはいくらでもある。
| 
|「流石は『虚言』の『十壊』って所かお。上手くやったな蒼星石」
| 
| 事前の打ち合わせをする暇はなかった。
| だが、蒼星石が無闇にあれこれ吹聴するとは思えない。
| 
| 容疑者だ。
| 一番可能性の高い相手を予測し、そいつに上手く危機感を植え付けた。
| 
| …………まではいいが。
| 『名前が変わった』。
| 
| つまり、容疑者は蒼星石の言葉を信じてはいない。
| あるいは、己が世界を滅ぼすようなミスはしないと思いこんでいる。
| 
| それは大いなる誤解で、馬鹿馬鹿しいほどの視野狭窄に過ぎない。
| 『やらねばならない』という思い込みこそが、世界の破滅を招くのだ。
|_________________________________________________
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299死夢見 ◆XDD/DkyjV6:2022/06/05(日) 13:27:58 ID:mk9otnwUMM






<コンコン

                             ___
                           /   ヽ、_ \
                          /(● ) (● ) \
                        /:::⌒(__人__)⌒::::: \     …………お?
                        |  l^l^lnー'´       |
                        \ヽ   L        /
                           ゝ  ノ
                         /   /


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| ノックの音に、やる夫は顔を上げた。
| ここは監獄だ。誰がなぜ? ノックなどするというのだ?
| 
| ガチャガチャと、鍵を開ける音。
| そしてゆっくりと細く鉄扉が開き……入ってきたのは見知らぬ女。
| 
| そいつは音が立たぬようにゆっくりと、後ろ手で鉄扉を閉める。
| 死んだマグロみたいな目をして見つめるやる夫、目が合う。
| 
|「探したぜ」
|「誰だお」
|「あ? この乳を見忘れたか?」
| 
| バスト111のLカップ。頭のおかしい数字の胸を張る女。やる夫は眼前で手を振った。
| 
|「知らねーお」
|「ですよねー」
| 
| 女は肩をすくめた。つまり初対面。
| しかし異様なまでに馴れ馴れしい。
| 
|「母親関連のヒトかお?」
|「いや、読者側だ。あたしゃ『nyaRlaTh』。ファン代表さ」
| 
| 中位化身? やる夫は警戒心も露わに身構えた。
| 世界の外側から興味本位でこちらを覗く輩が何の用だ。
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300死夢見 ◆XDD/DkyjV6:2022/06/05(日) 13:28:33 ID:mk9otnwUMM



   |                    ヽ- 、
   |    /       ヽ   ヽ  ヽ   ヽ  \
   |   /    } }    }    i:   }:  i i   \
   |   ::|     | |:   |::   |::  |::  }: |   人
   |   :||    }} }:    }}:::  }::  }::  } }   /  ヽ
   |   :||   ハリ:   ハ;;_ハ;;_ノ};;___ノレ'  / ::/ }
   | ̄ ̄  ̄ ̄   ̄ ̄   _,.--‐‐、./::ノハノ / ノ
   | ̄ ̄ ̄`゙ ー- 、    / _,,,,ィ /;;//  i   ノ
   |_ニェ=--、ー-、  `    rシ;イヾ彡ノレ;;;:____} ;乂
   |ィ{:;;(フ;;:::}``ーミヽ    r'イ;ノ,_, /::::   ,;:-''::::;ハ
   |\;;;;;;;;厶-‐         ̄ ̄ /i:;;;;;;, -'":::::::/  }
  / ノ          ヽ、  u./ ノ;;;;;;;;;::, -'"   _/     こちとらおっとり刀で駆けつけたから活動時間が短い。
  (_/ )          / / };;:::::::::......  _,,; イ     単刀直入に言うぜ。
  / ,.-〈    ヒー---ァ'  /、  ゙入ェ;-;-;''==ソ
 (/ __)\    ̄ ̄   /   フ>、{::::::..      {
 (_,ィ'" )  > 、_   /    // /\;;;;;;;;;____,,,ィ'
  / ,ィ'  / }   ̄     // ノ   Y:;  ノ
 'ー'イ    /        // ./    };;;;'' イ
   |\  /        //  /    /ヽ;: {


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|「『十壊』に惑わされんな」
|「…………どういう意味だお?」
| 
| 『十壊』はいく夫から押し付けられた情報だ。奴はこの世界の管理者、偽情報ではないことも『やる夫の中の入即貸本』を通して確認済である。
| 
|「問題は十個だけじゃねえって事だ。『ホワイトスネイク』との対決が分かりやすいか?」
|「……ニャル公のハンドルかお?」
|「そうだ」
| 
| 奴とは決着ゥを付けねばなるまい。
| その果てにこの世界から『やる夫』が消えても、ニャルラトホテプには報いを与えねばならぬ。
| 
|「いい知らせと悪い知らせと、もっといい知らせもっと悪い知らせがある」
|「なんでそれをやる夫に教えんだお?」
| 
| 根本的な疑問。この女は信用できない。そも、なんでこんな扇情的な姿なのだ?
| 
|「あたしにも子供がいてな、ちょうどあのバカ娘と同年代なんだわ」
|「どのバカ娘だお?」
|「お前のために命張ろうとしてるバカだよ」
| 
| 蒼星石? アリカ? いや、それならそう言うだろう。
| 
|「あたしの目的は、この世界の存続。そのために死んでくれ」
|「条件によるお」
| 
| やる夫の気のない返事に女はニヤリと嗤う。
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301死夢見 ◆XDD/DkyjV6:2022/06/05(日) 13:28:50 ID:mk9otnwUMM



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                                   /: : : ハ
                       , ー   ̄ ̄ `  、  /: : : : : :l!
                   イ    、   \    Y: : : : : : : {_, ィ
                  /     、      ヽ    V: : : : : : :j ̄ ̄ミ 、
          r--- 、  イ /  j     |!  ',   : ハ  v´ ̄: j:/      ≧ 。
          リ: : : : : : Y  , ′ i!   ハ>‐'== 亠- i  Y: : : :リ          }
          |!: : : : : : :i l !  _j L -‐'   r ,zェ=ニvx,i   !: : :/_  ァュ、_     /
          V: : : : : : | i v´/ ̄´     イ ' ィ秘y.ア!  ト: :イ-ーミォ イ  ミヾノ   では悪い知らせです。
          Yr‐-、: : !  7   ,x=ニz、   ー 宀'^´~`jイ j l: :ト≧ア     /    
           ゝ: : : :ヾ、  ハ ,Y iイ沙='             レリ: : :|!ヽ ̄`ー=ニ___    『十壊』以外にも東京を滅ぼしかねない
         / `≧=ハ 、 ヽヘ ー゚´   `  _ イj    j/!: : :li ハ         `ヽ  イベントが複数ある。 
        イ -‐  ̄ ̄`|イヽ\{       ィ ´  ノ   /7|: : : :|!: ゝ。.____  j
       〈          |ハ  ハ    ゚ー‐  ´    , / !: : : : :i: : : Y_ ィ彡  )ソ  その代表こそが『魔人 レッドライダー』。
         Y彡´⌒_   l: :ゝ._-ヘ       -‐´   イノ l: : : : : i!: :トz- ニ_イ__
           ー'ア´  `) j|: : : : :lT: ≧ 。__     イ l  |: ; --、:レ'V_      ノ  聞き覚えは?
          r≦=-、=ミ<l: : : : :i: : : : i ヾY  ー’    !、_´       ーァ=彡 ´
        Vミ      `!: : : : :|!: : : :l  〉,       }  ー-- __ | /
            }z=≠ー-vミ、!: ;、_:_:_:! : : j/ i!        ノ         `__>。
         `ヾ _  <´    フ´   リ       /       ,ィ´ _>'  ̄ヽ
              ̄`ヽ ノ    '     人   イフ′       / / /´⌒ ̄{
                )イ7´      /  `   /      / / /     ハ
                /  {       /     イ     , イ / ィ´  _   ⌒l
            ノ´    ト. _ ィ  /    /    zイ  , <ミヾjィ´       |!
              /       } ハ    /   / ,, ィ彡'  <    ヾ        j !
                    人 `ミ=ュ、! /ィ’≦彡 -― ´        ゚;        l !
           /    イ   `ーァイVォzァ゚´ ̄                ハ       j  '.
           イ  , ゚       イ ヘノ ハ                  .    ヽ i  i

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|「『十二の封印像』の悪魔『騎兵』かお? 九月に合衆国大使館で倒されたって聞いたお」
|「倒されたよ。だが、近付く軍歌の足音に目覚めちまった」
| 
| 『魔人 レッドライダー』はヨハネの黙示録に登場するフォー・ホースメンの一柱。
| 黙示録の四騎士と呼ばれる彼らは地上に死をばらまく死神のごとき存在だ。
| 
|「『レッドライダー』ら四騎士は、戦争・飢饉・疫病・獣によって人々を殺す。
| 彼らは地上の四分の一をそれぞれが支配する……いいか? 『四分の一』だ」
| 
|「待てお、『レッドライダー』が倒された頃にはまだシロッコは来てねーお」
|「野郎はカーネル・サンダース・トールマンから譲り受けた」
| 
| 『四分の一』つまりは『カトル・カール』。
| 戦争の死神のための死にぞこない兵士たち。
| 
|「……魔力とかそう言うのじゃねー、サイボーグって聞いてるお」
|「そりゃそうだ。『レッドライダー』は藤木源之助用の戦略義手『アガートラーム』に入ってるからな」
| 
| だが、その源之助は『カトル・カール』を辞した。
| では代わりにその武器を与えられたのは?
| 
|「…………ロビンかお?」
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302死夢見 ◆XDD/DkyjV6:2022/06/05(日) 13:29:29 ID:mk9otnwUMM



               ___ ,ィ{
           ___/  /  〈 」ヽ
           ` マ   /    / \
             / \ 〈     /   >
             〈   / > /_ 人
              \//⌒) /   У \
                >ミ人/___/  ̄ ̄
                / 7        /{
              ,〈 ./        / |
            r-〈_7         / |         ィ7
            /{ УyY ̄ ̄ト、 ィ{ /  レ<⌒ヽ   イ/
            メノ/_人   {>/ {7  { ヽ > ´ /
           7 Y    ̄ 7  {__/   `ー ´   /
           〉>'      { __/           }\_
           ´       ヽ\7ィ=、    /]  \ ヽ.
                    `Y/  Oヽ. 人/ゝ 彡  r┐ _
                     {≧==レ┴┤      _ノー/  \  /7
                   __>ー<ニニム     ノ ̄\  /ニ⌒Y
                   `マ/ム {   マニニ>r―彡    \{ yー、 V
                     」ュニ、 `ー― アニ人      // 〉彡′
                   ィ__」}7 /ニニニニ/  \    「 /_」
            __  。cーィ   \ニニィ⌒}ニフ ̄ ̄   ノ/(
            \<ィ< ̄ ̄!    ` ー<ヽ. 「    / ̄/ /´
              7人 > 」         }ーY   /  /  /
              {L_>、入      ノ フ  ./ー ´  /
                   \{`ーrー彡 ´ ./     /
                        ̄ ̄ ̄  /    彡 ´
                            ̄ ̄ ̄
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|「そうだ。だが、『レッドライダー』はそこだけじゃねえ」
| 
| 女が胸の下で腕を組む。無駄に揺れる、目を奪われ……ない。
| やる夫の下半身は華琳の死の夢を見て以来不能なのだから。
| 
|「『レッドライダー』を倒した二人は、戦争に呪われた。
| そいつらは無意識に戦火を広げようと動くぞ」
| 
| やる夫は慄然とした。
| ひとりの男がやらない夫に固執している話は聞いていた。
| 
|「嘘吐くんじゃあねぇお! ケンシロウは、兄弟想いで真面目で、頼りになる奴で!!」
|「怒る『フリ』はしなくていいぜ、時間の無駄だ」
| 
| やる夫は深呼吸した。嫌な女だ。
| 
|「もう一人は、『リトルボーイ』かお?」
|「ご明察。その三人をなんとかしねーと、『十壊』どころじゃあねーぞ」
| 
| どうにか? やる夫は困惑した。
| リトルボーイはともかく、ケンシロウとロビンだ。しかも、説得やらで何とかなるのか?
| 
|「もっと悪い知らせですが、その三人は『満足の行く戦争の果てに死ぬ』必要がある。
| でないと、『レッドライダー』の憑依先が変わるだけだ」
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303死夢見 ◆XDD/DkyjV6:2022/06/05(日) 13:29:58 ID:mk9otnwUMM



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|「…………」
|「ここでいい知らせです」
| 
| やる夫は眉に唾を付けた。全く信用ならない。
| いい知らせの皮を被った悪い知らせに違いない。
| 
|「『クトゥグア』は三人の『代行者』を選別して、そいつらにニャル殲滅をさせる」
|「どこがいい知らせなのかまるで分かんねーお」
| 
| 『クトゥグア』が来るのは『見て』いる。
| つまり、『代行者』とやらと『クトゥグア』の両方に対処せねばならぬということ。
| 
|「うまくやりゃあ『ホワイトスネイク』をそいつらが狩ってくれるってこった。
| もちろん、見つかったらやる夫も狩りの対象だけどな」
| 
|「そいつらの目星は?」
|「北斗ケンシロウ以外はまだだ」
| 
| やる夫は頭を押さえた。
| 何一ついい知らせではない。
| 
|「最後に、もっといい知らせを伝えておく」
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304死夢見 ◆XDD/DkyjV6:2022/06/05(日) 13:30:35 ID:mk9otnwUMM



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     /⌒ヽ   ー‐    ィヽ
    /      ,⊆ニ_ヽ、  |
   /    / r─--⊃、  |
   | ヽ,.イ   `二ニニうヽ. |

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| やる夫は、鉄扉をゆっくり押した。
| 時計はない。携帯電話も腕時計も押収されている。
| 
| 性欲はもちろんだが、食欲も睡眠欲も減退気味のやる夫だ。
| 今が深夜でも問題なく行動できる。
| 
| 鉄扉の前の暗がりに、黒い服の男が溶け込むように立っていた。
| やる夫は、彼と目を合わせた。怒りも、親愛も、憎悪も、何も浮かばない。
| 
|「あの女は消えたか?」
|「やる夫の貴重な弾丸になったお」
| 
| それは比喩ではない。女はやる夫に魔力結晶体を押し付けて消滅した。
| いわく、滞在ビザが切れたようなもんだそうで。
| 
|「かぶれ」
|「…………はは、笑えねーお」
| 
| 差し出された紙袋、『スケアクロウ』。やらない夫の模倣を、やる夫がするのだ。
| 
|「私はこんな場所でくたばる気はない。気に食わんがせいぜい利用させてもらうぞ」
|「お互い様だ。命懸けで世界を守れお」
| 
| やる夫は『やる夫』の後について歩き出す。
| ちょうどついさっき、新宿衛生病院への攻撃が始まったという。
| 
| まずは蒼星石と合流し、『人類補完計画』の犯人を突き止める。
| そしてその間に。
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|「ニャル公、てめえにゃ『哀しみのからくり人形楽団』退治をしてもらうお」
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305死夢見 ◆XDD/DkyjV6:2022/06/05(日) 13:31:03 ID:mk9otnwUMM


☆ 次回予告

 闇の中で始まる、頂上決戦。
 今宵、この新宿衛生病院が熱き戦いの舞台となる!

 赤コーナー!
 『血族』の『緊急事態対策班』がやってきた!

 班長代行ケンシロウ! 北斗神拳継承者にして『四天王』、いつまでも期待の新人ではない!
 いまや『血族』を背負う大英雄だ!!

 彼に従うも名だたる戦士!
 『寿命と忠誠がMAXというバグ』呂布奉先!
 『いるだけで淫語が流れがち』巡音ルカ!
 『加護の強さだけで四天王』カミナ!
 
 迎え撃つは青コーナー!
 『カトルカール』と『核天使』!


次回、最終幕九十六話『大攻勢』
 果てに見るのは破滅か死か。

306 ◆BLUEpl1Jp.:2022/06/05(日) 14:07:17 ID:iPud.DfgMM

今夜は俺とお前でダブルやる夫だからな

307令和もどこかの名無しさん:2022/06/05(日) 14:16:07 ID:3rKS4oR.00

まさかの共闘

308令和もどこかの名無しさん:2022/06/05(日) 16:22:51 ID:B9IZDd6k00
乙です

309令和もどこかの名無しさん:2022/06/06(月) 00:02:44 ID:MeHvSW7o00
これはヒトづ・マ―


310令和もどこかの名無しさん:2022/06/06(月) 06:05:45 ID:JXudnptUSa
乙 破滅てんこ盛り、敵の敵は……

311 ◆Emjcf.lfLU:2022/06/06(月) 08:23:58 ID:1rCjSk3kSa

世界の破滅が多すぎる

312死夢見 ◆XDD/DkyjV6:2022/06/12(日) 11:20:02 ID:AlnKEuEsMM



 .:.:.:.:.:.:.:.:..    :..:⌒;       "         __,、
ヽ:_:.:.:.:.:.:. :. .: .:.:.:.:..:.ノ:::: ::: :: :        ,rヽ'⌒ `^j   ヽ ..:
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   :::: ::                  ヽ,  ....... ... .... . . .. .⌒ヽ
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     |新宿衛生病院 | \
     |             |  |     o
TTTTTTTTTTTTTTTTTTTTTTTTTTTTネTTTiヽ、
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冂冂 冂冂 |  || 冂冂 冂冂 冂冂 冂冂  .|  \
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| パプテマス・シロッコの排斥。
| この一連の戦いの目的はそれだ。故に今後はこの戦いを『シロッコ排斥』と呼称する。
| 
| 十二月十六日未明、上杉謙信による毘沙門天の一撃が新宿衛生病院に叩きつけられた。
| しかし、必殺のはずの一打は『大天使 リトルボーイ』によって防がれた。
| 
| 無論『血族』側の誰も、それで決着が付くとは思ってはいない。
| ケンシロウ率いる『緊急事態対策班』と『グレン団』が正門からなだれ込む。
| 
| まずは、上杉謙信の攻撃を防ぎながらも負傷、墜落した『リトルボーイ』。
| 
|「とどめを刺すべきよ」
|「同意見だ」
| 
| 『学園封鎖』で『リトルボーイ』と対決し、必要以上の恥辱を味合わされた巡音ルカ。
| 彼女の提案をケンシロウは即座に受け入れた。
| 
| ルカはジャギ班で唯一『シロッコ排斥』に参戦している。
| 元『武僧』で、それどころかシロッコの部下であったルカの参戦を危ぶむ声もあった。
| 
| しかし、ケンシロウとロストスキルが一蹴した。
| 
| ルカが魔王マーラと同化して戦い抜いた『歌舞伎町胎界』における、『武僧』の生存者はルカひとり。
| 司令官であるはずのシロッコは現場指揮を取らず、あまつさえ部下が全滅したことで尻尾を巻いて国外に逃亡した。
| 
| 生き残ったルカを、『堕ちた』と最初に表現したのもシロッコだ。
| ジャギの庇護がなければルカはあの時粛清されていただろう。
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313死夢見 ◆XDD/DkyjV6:2022/06/12(日) 11:20:21 ID:AlnKEuEsMM



         /: : : : : : : : : : : : : : : : : :`マヘ : : ヽ
.         , : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : :マヘ : : : .
        / : : : : :{ : / : : : : : : : : /ハ:. : : : :マハ : : :
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        ;: : : : : :ァ-弌 : : : : : : /'´  |: : : : : :|_| : : |
      i{: : : : : :{   、: : : : /,斗ら拆: : : : : |_| : :|
.      八 : : : :孑う弌、ヽV/〃 トじリ}イ: : : : ||: : |
         \ : 圦 トじリ    丶ゝ-ノ |: : : : , _| : : |
          }トl个 ー ' 、       |: : : / |_| : : |     奴の部隊の女は、誰もがあの男に熱を上げていたわ。
          |i: : :.           ノ: : /{L}ノ : : |     今思うと、何らかの魔術や異能で誘引していたのでしょうね。
        八 :人         __彡 / : : : : : :|
          ヽ(t\   ´ `    ,厶イ : : : : : : 八
           ハ└ヮ`ト  _,.....::::::::::/ : : : : : , ': : :\
            ,: :j : : | ノ`マ=云x=彡/ : : : : : /: : : : : : \
         厶 { : :N´ニニⅥしリア/ : : : : : /ト . : : : : : : :\
         , :´::::八 : |ニニrュ弋彡'_/ : : : : : /ニ| {::::` : .、: : : : :ヽ
      /::::::::::::/ハNニ7r=777=/ : : : : : /ニニ! }::::::::::::::::ヽ : : : :.
      ,:::::::::::::/厶ニニ{ U斗匕/. : : : : :〃ニニ| {::::::::::::::::::::}: : : : ;
     ,':::::::::≠ニ=‐-ニ辷瓜.U′: : : : /:i‐-ミj }::::::::::::::::::::; : : : .:i
.     ,::::::/ ニニニニニニ777_i : : : : : ;_i:lニニニヽ::::::::::::::::::,′: : :|
.    .::::, ー=ニニニニニニ7/,二|i : : : : :i_|:|ニニニニ,:::::::::::::/ : : : : : |
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| そして、そこから離れてしまうと熱は急激に冷める。
| あとに残るのは利己的で臆病な指揮官に使い潰されたという事実と怨嗟。
| 
|「呂布殿は周囲の警戒を頼む。カミナさんは内部へ!」
|「心得た!」「合点承知の助よ!」
| 
| ケンシロウたち地上班は、囮である。
| 本命は黄泉率いる『九鬼』の忍者軍団と杏子班。
| 
| 地上で大攻勢をかけ『内部に浸透していない』かのように錯覚させるのが目的。
| 予想される敵は、『リトルボーイ』と『ファットマン』の二大天使。ヤザン・ゲーブル。
| 
| そして、『モーリアンビル攻防』で水銀燈を斃した正体不明の女剣士と。
| 
| 『カトルカール』のロビン。
| 
|「『カトルカール』だ!」
| 
| 病院内に突入した『グレン団』の誰かが警告を叫ぶ。横殴りの弾丸の雨。
| たまらず飛び出す『グレン団』。
| 
| 一人残ったカミナが突撃、全身に弾丸を浴びながら、巻き戻しめいた再生能力で押し切る。
| 
|「喉が喉が喉が! 乾く乾く乾く!」
|「テメエの血で潤してやンよ!!」
| 
| 戦車すらひっくり返すカミナの拳。
| 機銃掃射をしていた戦車男、左手の盾でガード。一見無謀。
| 
|「ンがッ!!?」
| 
| 盾から打ち出される衝撃の壁。想定外の攻撃に吹き飛ぶカミナ。
| そこに打ち込まれる弾丸の雨霰。
| 
| ダダダダダダダダダダダダダダダ!
|「ご奉仕させていただきますわー!」
| 
| 戦車男男とアゲハチョウの十字砲火。
|_________________________________________________
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314死夢見 ◆XDD/DkyjV6:2022/06/12(日) 11:20:37 ID:AlnKEuEsMM



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                              ,.ィ'´>‐-‐ュ   l l / !  ,.<´   ,.ィ'´/ 〈
                           l /'´ ,.ィ‐-ヘー、ィ} {  /ヽ'  ヘ,.ィ´ / ヘ /      魂ィィィィー!!
                           ∨`'・ャ , '"  >、ヾ } 〈  `イ´   /   ヽ
                                 \ l !,       ! ヘ}ィア≦ リィ' >    丿、
                             >、ヽ、     .ノ`ァj.y'´イ /` ∨、  >'´  `ヽ<ノヽ.
                             ,>、ゞ、 <ー''".i二@j≧ェ ェir@ア、 _.ィ´ヽ.    /  ̄
                            //`'´`ヽj   〉二ュ三三三>´   \ ヽ、 ,.ィ
                          //   ,   /`>ヾ、`ニニイヘ     ゝ,.ィ`丶
                ,、        //   l〉iヘ  r〈  l ヒ ヨl iィi ヘ`ヽ、  //`ヽヾ ,'
                l ヽ、    ./ヾ'"     }   l.ィ }∧ / 〉ーーィ > !  l,  i, `   `´
                l   ゝ ,/〉 /      j./ / } ∧ ; i iリイヽ lュ   ヘ  {
                L  `.ソ ィ´_     ヽ〉>イ.__l  〉ァ'´`ヽ、  ∨`iヘ l  }
                 トーイ  ソ´, '      l,.へ!.ィi 〈/    〉 lヘ'´` ヘヽ}
                ,/ヽ   //        /ヘ //ヽ/,  l ./  ̄ヘヘ!.l`ヽリ
               / / ̄l /            / ヘ , 'i  l l   i /  ,' l 〈 l  i
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| 巨大な馬イクの前輪が窓ガラスと窓枠を粉砕しながら突入。
| 黄金の鎧に身を包んだ小柄な老人が、馬鹿でかい矛槍を振り回す。
|
| 回転する矛槍に防がれる弾丸の嵐、再生しながら立ち上がるカミナ。
| 
|「すまねえ旦那」
|「構わん構わん!」
| 
| 弾丸を撒き散らしながら後退する『カトルカール』。
| アゲハチョウが脚部からロケット弾を発射、それを置土産に通路の向こうへ。
| 
| 爆発、震える病棟。吹き飛ぶ入口エントランスホール。
| 瓦礫の山を押し上げて、全く無事のカミナと呂布。
| 
|「カリカリガリガリ! カリカリガリガリ!」
|「しゃぶってやるぜ! しゃぶってやるぜ!」
| 
| そこに襲いかかる二人の遊撃手。方天画戟の内側に入り込み、火花を散らす呂布の鎧。
| 食い千切られるカミナの手首。
| 
|「小癪!」
|「だが捕まえたぜお嬢ちゃん!」
| 
| 左手を犠牲に、バレリーナの喉頸を鷲掴みにしたカミナ。暴れるバレリーナ。
| 次の瞬間、カミナはバレリーナを放してバク転回避。
| 
| キラリとした何かがカミナのいた空間に走る。見えない敵。違う、カミナが恐れたのはそれではない!
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315死夢見 ◆XDD/DkyjV6:2022/06/12(日) 11:22:04 ID:AlnKEuEsMM




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                   ム マ
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         ≧c。  ` <_ /__ノ     マ
            ≧c。     ::.....  ..:   マ
              ≧c。:..           マ__
              マニヽ ::...         .マ/         オ爺様……。
               〉ニニ、 ::::....     .::  マ
          __ イニニニ 〉    :::.....:: / ̄ヽ
          \>  ̄ ̄ `マニ人ヽ     /〇  リ
           /        > ィニ\    {_ ィ/
          /         ̄マニニ>   {_彡´
          {           }ニニ/7` ┘ ̄
          八  _       /ニ彡 /
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| カミナに叩きつけられる鉄球、粉砕される肉体。
| 無限に近い魔力と再生能力でも、痛いものは痛いし、過剰なダメージを受けると再生に時間がかかる。
| 
| 冷酷なもう一撃。意識を失うカミナ。
| 具足による蹴り技でノミ脚の顎を蹴り砕きながら、呂布が再生まで守る位置に。
| 
|「久しいなあ愛する孫よ!」
|「申シ訳アリマセン」
| 
|「何を謝る。立派に成長しおって! 貴様は我が魂を震わす強者よ!」
|「イエ、ソレガ」
| 
| 六本脚、鉄球と段平の腕、うねる尻尾。
| 撤退する『カトルカール』三人。呂布という暴力の竜巻に巻き込まれてはごめんだとばかりに。
| 
| 会話の途中だが振り下ろされる方天画戟。エントランスホールは吹き抜けだ。
| つまり、長物を振り回せるのはここだけ、この奥では困難。
| 
|「策ヲ練ラセテイタダキマシタ」
| 
| ノミ脚に変わるロビンの脚部、尻尾から火炎放射で目くらまし。
| 切り払う呂布、馬イクに拍車をかける。突っ切って、逃さない。
| 
|「たまし…ッ!?」
| 
| 雄叫びを上げた瞬間、天井から飛びかかってきたロビンの体当たり。
| 赤熱する鉄球が突き出され、小柄な身体に直撃。落馬イクする呂布、黄金の鎧が無惨にへこむ。
| 
|「ふはっ!」
| 
| 苦しげに、しかし同時に楽しげに笑いながら鉄球を掴む呂布。
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316死夢見 ◆XDD/DkyjV6:2022/06/12(日) 11:22:15 ID:AlnKEuEsMM



   V      / /  .|   \     |ヽ > |   /  | |.  / / / /
   . V    / /   ト――‐\  V/   | /    Vヘ. / / / /
    ト/ニ / /   八.     \|      ソ     / |/ / / /            魂イイイィィィィッッッ!!!
      厶へ._ノ  \――― \   ト、 ト、  /| イ / / /
      V∧  |  | | \ト、_,ヘ  ̄<⌒| V  V / / /
      {ニLr ̄ Y _ノ |   |\ {__} } ト--{{\ \/ / /V     ┌――――v   /
      {三ミ}.  | l_八  ト  \ 〈 ̄ \ゝ=ヘ.__ノ / / ___厶―――― レイ
       V∧ ⊥  |  \へ\| V |\  \  |. / / | _/  ̄ ̄| ̄ ̄ ̄ V{___}
        V∧ ̄lニl  ̄  /へ|    ̄/ 、 \_|/ ∧ | |       |     |  /
        V∧      ∧ | \   / \\_ |/ | | |       |     〈/
         V∧     /  V\ \|ヘ  /|_/| V/ | L /二二二二二二V
         V∧    ヘ V ∧ \   \/ ̄|/  | ゝ_ノ   |  |_∠_\\
          V∧      ヘV  \   ̄ ̄ ̄ 厂 ̄ /―――┬ |  | O  /  |ノ
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| 左手が焼け焦げる。だが離さない。引き寄せて格闘戦に。
| 
| その強烈な戦意を孫は熟知していた。
| 腕の途中で外れる鉄球、よろめく呂布、飛びずさるロビン。
| 
|「ソレデハ、失礼サセテ頂キマス」
| 
| 閃光、爆音。火炎と破片を撒き散らしながら爆発する鉄球、もはや枠組み以外は面影をなくしたエントランスホール。
| 爆炎の中で、呂布は己の焼け焦げた左手を見つめた。
| 
| 魔力、火力。共に違和感があった。
| 呂布のよく知る神道系の魔力ではない。そして、通常兵器の火力ではない。
| 
|「…………だん、な」
| 
| 呂布が盾となることで、爆風からは守られたカミナが覚醒し、しわがれた声を出す。
| 
|「誰も来ねえ……攻撃されてる、かもだ」
|「慧眼だなカミナ」
| 
| 吹き飛んだ入口自動ドア。舞い立つ粉塵。
| その向こう、病院正面はすでに修羅の巷であった。
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317死夢見 ◆XDD/DkyjV6:2022/06/12(日) 11:22:28 ID:AlnKEuEsMM




                _
             ´ ̄    ミ 、
         /            ヽ
         / j」=-――  7⌒ヾ ヽ Y⌒
      ⌒>' / rェェ==={{   ィト、!  ト、
       / {!__´...-――--≧彡 /!  :. \
         人´    `    `ミニj{   i
      /   ム   r‐ 、   ミイ!   |
      /    j ト 、 ` ̄j{  /j |!   |       ほげえ〜〜。
          |! | }≧rーァュィ// |!   i
       /  i!  ! 7`ー≠⌒ヽ! j!   八
     / /   !  ! /       }!川     ヽ
    .: /   ハ j!/      i  i リ    {
    j /    ハ!/      }!  i八    |
    川    / VL      /!  | ヽ}   i!
    / リ八 / {/)「´     / |  j!  {   i
   / } ハ  / ヾ{     イ トイ{、  !  {
     /{!  人  `ヽ     j マニリ  ハ 川
        /:_/`ー=-- 彡  }ニト、  ヽ{
       /: /: : : : : : : : :ヾム  }ニ{ リ
       /: : : : : :_L: : : : : : ム  }ニ{´
       /: : : : イ/⌒}ニヽ: : : ム |ニム
      〈: : : : : :/  ニニ: : : : : ムjニニミヽ.
       `T=r′  ニニ: : : : ィ/ヾ}〉`ソ
        |  |    ニニ`T イ
        ニニ     ニニ ト、 」

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| 屋上から飛び降りてきた『ファットマン』の奇襲、最初に気付いたのは石田であった。
| 上空で右腕の液体金属義手が有刺鉄線状に変形、からみ合い不規則に枝分かれして跳ねる。
| 
| カオスの投網による文字通り一網打尽。
| 不可視の障壁で仲間を守る石田、生物のように蠢く有刺鉄線が空中で火花を散らす。
| 
| 即座に反応したのは龍田。両肩のエンジンを吹かし、その勢いでハイジャンプ。
| 左フックで有刺鉄線を引き千切って突破。
| 
| 空中でエンジンを吹いて姿勢制御、『ファットマン』に突撃。
| それを見たルカが追従、お玉みたいな形になった肉襞色の頭髪でケンシロウを投擲。
| 
| 続いて自分も飛び上がる。
| 
|「あらぁ〜?」
|「ギーキギーギーギー、ギーキギーギーギー」
| 
| 錆びついて軋むような声を上げて、戦闘機型『カトルカール』が龍田に突進。
| 空中で逃げ場なし、アームで生身部分を守るも、跳ね飛ばされて落下。
| 
| 素早く動いた石田が両手でキャッチ、お姫様抱っこ。
| 路上に蜘蛛の巣状のクレーターが発生。
|_________________________________________________
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318死夢見 ◆XDD/DkyjV6:2022/06/12(日) 11:22:40 ID:AlnKEuEsMM



          _  _
      , ィ≦三三三ニニヽ、
    ィ三三三三三三三三三 、
   /三三三三三三三三三三三\
  /三三三三三三三三三三三|三≧
 ィ三三三三三ニニ三三三三三|三三ヘ
 |l三三ニ>三三ニ''\ニ>ミニ三l三三ハ         ちょ、ちょっと石田クン……。
 ハ、/ニ=、l´ \|  ヽ  |  Yソ三三ソ         そんな恥ずかしいこと言わないでよぉ。
/三|、Yヘ  ヽ    l   _l_メ_ノ/x≦彡
i三三\ \>― ´ ̄   ィ/i、/ヽ三イ
ヽ、三 /、`≦z _    ,z≦ミ l/ |三ヘ、
  `   ヽl i> ≧≦<  ilリ  ヽ三三ヽ
       ,|、: : i: : : : i: : ': :/: \   〉三/
     , ヘ: : `:ー:=:ニ:彡く: : :/  ヽ、l三ニゝ -‐=ニ
    / 、: : : : : : : : ゝ-〈: : :l    /l   _, -
    / /: : : : : : /´  ノ: : l   l /<´ 、 z

|lニニニニ三三三三三三三三三三三三三三三三三三三三三三三三三三三三三三三三三三三三三三三三三三ニニニニ
|三三三三三三三三三三三/ /_. / / ̄ / ,ィ |  7 /ン ) / /_. / / ̄ 7 /ン ). // 〉 〉  // // / /三三三三三三三三三
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| 空中で姿勢制御のできないケンシロウ。
| だが、川を流れる木の葉に立つかのように、羽毛のように体重を感じさせぬ動きで有刺鉄線の網を駆ける。
| 
| そこに錐揉み突撃する戦闘機、ピンクの触手がケンシロウを守る。ルカの頭髪。
| ケンシロウとルカ、二人が同時に屋上を見た。
| 
| 真っ赤に塗られた煙突か土管か、そんな異様な物体が浮いていた。
| レールガン……! 超超音速の弾丸が衝撃波を撒き散らしながら飛来。
|
| 気付くのが一瞬遅れていたら肉片になっていた。
| 
|「ケンさん!」
|「任せます!」
| 
| 触手が皮膜に変わり、ルカが深夜の廃病院を飛ぶ。
| ケンシロウは『ファットマン』に肉薄、その表情を感じさせぬLEDサングラスに拳を叩きつけた。
| 
|「へぶっ!?」
| 
| 吹き飛ぶ『ファットマン』、三階の窓ガラスを突き破って院内へ。
| 落下するケンシロウ、空中で身をひねり、衝撃は地面に逃がす。こちらもクレーター。本人は無傷。
| 
|「もう直したのぉ? 勤勉ね」
| 
| 石田に首ったけのまま、龍田が甘い声で不満を呟く。
| レールガンも戦闘機も、一昨日の『やらない夫の集会』でノックアウトした。
| 
| たったの二日で再起するとは予想外。
| 
| なお、この修理速度には秘密があった。
| これまでシロッコが一人で修理していた『カトルカール』だが、ひとりの男が修理工として参加したのだ。
| 
| 彼はいかなる破壊と殺戮にも対処できる恐るべき可変形兵器を、工具に変えて利用した。
| 合計九本の手足を駆使して、恐るべき速度で部下たちを修理、不足したパーツには液体金属で補強をした。
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319死夢見 ◆XDD/DkyjV6:2022/06/12(日) 11:22:53 ID:AlnKEuEsMM



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              ,ィニニニニム      "''<
            /´     マニ|        "''<
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           イ/    `ヽ     マニニム        >=─ " ̄ ̄
            l 、{  \  ≧=- ヽマニニム        ー‐、───''" ̄`
.          {、ヽヽ \.>ミ、ヽ  ∨.ヽニ〉        _ `"''<___
            |ハ ゙ゝ/、,ィ=ァ ',}、. '〈_: }'   \    `'< ̄"''''─、─
          lヘヽト、爻 'lリ ハ__ノ|', ハ/.ノヾ    "''<     "''<   ヾ''
         ', ヽ. ゝノ '''`>‐、} ', } ハ′ ヽ      "''‐- _    "''ー     助かりましたわ。
          ヽ  ヽ     }! ',}イ ハ \             `ヽ       器用ですのね。
               ', -‐   ! ....::::::::: ',       \
               ヽ  ....::::::::::::::_ >、ヽ       ヽ     > 、
               ゝ┬、''>‐''"   , -ヽ ミ     >、___,,,
                 | { ハ   ≠_ ─''"⌒ヽ "''<    ヽ "''<´
                 { }'{マ /イ  /.      ',\.  ヽ ーミト、  `
                  /ムマイ /イ  /\      }  `ヽ  ヽ
               ,イ_/ニ/ィ''"   ヽ{   }    } \`ヽ\ ',> 、
            >''" ,イア /     ',  ,'    { \ ヽ  ヽ ',__
          > ´.  ,イア ./      ',__}   ハ l/{ ヽ>''" ', ',
         /.     ,'ニ'.           } ,、 /  V ./ /     ',',
.        {       {=ム  !       / { `'_zzzzxイ.         ヽ
          ',.      {ニム  ',      ,イ\{ィニニニニマ 、__/         >、
         ヘ.    マニニヽ_',_,.。s升  〉〉ヽニニニニニト、      _ イ
          >=- イニマニニヘ マニム 〈〈 ,イ}ニニニニマ─、─ <ヽ ゝ''‐、
            {ニニマニニム }ニニム/ニ/}ニニニニムヽ \   ヽ  `'' 、ヽ

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|「自分ノ体ハ自分デ直セルヨウニシテキマシタノデ」
| 
| そして、今のロビンのボディは『カトルカール』全部乗せ。
| 部下たちの設計図と構造も熟知して、ようやく自分自身のカタログスペックを出せるとロビンは考えていた。
| 
| 同時に、彼は『カトルカール』をシロッコ以上に上手く扱った。
| 遊撃と要撃。これこそが『カトルカール』。
| 
| 機動力で敵を振り回し、こちらの主力をフォローする。
| 先程カミナと呂布を撹乱したように。そして今また。
|
| ダダダダダダダダダダダダダダダダダ!!!
|「ご奉仕させていただきますわーッ!!!」
| 
| 飛行能力でぐるっと回って来たアゲハチョウ、背面から重機関銃の弾幕が『血族』を襲う。
| その間に戦闘機と大筒が退避、代わりに飛び出してくる『ファットマン』。
| 
|「後ろは任せてくださいな〜」
|「コーホー」
| 
| 銃撃を止める石田、龍田は突撃。そこに現れる小柄な影。
| 完全無糖のブラックコーヒーみたいな黒髪、猟犬のしなやかさ。鉄腕。
|
|「拳を握れ! 拳を握れ!」
|
| 両手につけた雷撃器、まるで小型化した龍田。
| バストサイズも腕のサイズも。
| 
| 機械化されていない唇から吸いかけのタバコを吐き捨てて、龍田の懐に入り込む。
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320死夢見 ◆XDD/DkyjV6:2022/06/12(日) 11:23:04 ID:AlnKEuEsMM



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            : ,i´    |  l゙       .|  l  |  │  /⌒ヽ
            .l゙     |  .|        |  │ |  |  /  /
            |:   : :   |  | : _,,,,,,,,,,,,_...|  l |  |  /  /  ____
              | ,,-,,,, ゙゙̄''イ  ゙l゙,,,,,,-、,,,,`''.|  l .l  l /  //  _,ノ
              |l"",,,-ニニニ--''゙,―ー-,," .|  l」  `´     /
          .,i´| .j|`   `| : |`    .i゙l: .,.|           {     コホー
          │ .゙l:|゙'-,,,,,,,,,ri,l゙"'トrii,,,,,-,彡",l゙:|            |
         │  ゙li"二,,,,,,,,,,|/ii;|,,---ヽ,,,‐,i´..|            }\
         │   'lレ、  ,,/,|,,,,゙l゙lヽ、、 ,l゙,/._ノ           ∧ ヽ
         :|    .゙レ゙l, , |i|'|| ||.|'|._, ゝ─'´         , -─'´ }  }
         l、    .`ミ||r},|,|,|,.(´       _    _ノ    /    ヽ    グォン
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| 龍田が中空を蹴って跳躍、念動の踏み台。
| 空を切るジャブ、歯ぎしりする鉄腕を愛の力で飛び越える。
| 
| エンジンに火を入れる。大型車の衝突じみたタックル。
| 重火器を撃ちまくりながら、ひらりと避けるアゲハチョウ。随一の回避能力を持つ蝶の羽根の性能。
| 
|「当てづらそうね」
| 
| そこに飛来する拳銃弾十五発、ベレッタを撃ち尽くしたルカ、弾倉が排出される。
| 完全に計算された『ガン・カタ』による弾丸、四発が羽根に命中。
| 
| しかし、空いた穴は魔力による皮膜で即座に塞がる。飛行に遅滞なし。
| 飛んで逃げるアゲハチョウ、追う鉄腕。深追いを避ける龍田とルカ。
| 
| 何しろ背後には、高速で復帰した『ファットマン』が迫っている。
| 病院三階から顔を出し、ケンシロウにロックオン。サイバーサングラスのモノアイが発光。
| 
| まず光、次に熱と音。
| 
|「ふん!」
| 
| 戦艦の主砲並、シロッコ脅威のビーム兵器を気合で防ぐケンシロウ。
| ジャケットが一瞬で燃え尽きるも、その鋼の肉体には傷一つなし。
| 
| 無論、『ファットマン』もビームで倒せる相手とは思っていない様子。
| 壁にクレーターを作って下向き跳躍。
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321死夢見 ◆XDD/DkyjV6:2022/06/12(日) 11:23:15 ID:AlnKEuEsMM



                        ,r、、、) ̄ヽr"(ー 、、、
                     ,ノヽY"("r"iiit;;;t、 从ヽ`)'"ヽ
                 、 ,r("' "、、、 "''"t;;;ヽ匁、、ー、、))〉;;;;;;;;三彡"
                _ソ"从 了ミミi ,,`ヽ、;;;;ヽ、、、、ーヽ;;、''''-、ノt,,,,,
               it(  (;;ノ (;;;;|、t シヽ;;;;ヽ、、)、 ヽ;;;;;;;jjj'|ii、"""ノ
              、,,t,`レ 从ii|ヽ、ー''"iii、ヽ;;;;;リ|;;;;从i 、、、从、、t;;;;ヽ'ー、ヽ   
              メ''""/;;;;;从,,、、 、 i;i||j;;;;r"t;;;( ソ、t;;;;ヽ |;;;;;tヽミ 、),   
             、ゝイ |;;;;ij|从;;;;ヽ|;;i |、",,,,iiii、,,,,、i、ソi t;;;;|ヽ;;;;;ヽ、 ヽ''''"  
             t、,女 t(ツ||i;;;;;;;;;;;;;;;i;;;;";;;;;;;;;;;;;;;;;;;|ツ;;;i、、、i;、~'-、;;;;;、))   
             、、ノ(iツM;;;;|;;;;;;;;;;;;ii;;;;|i;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;、;;;;;;;|;;;i |;;;t'ヽ三彡     来い、外道!
              // り";;;;;;;;;;;;;iヽ;;;;;;;;tiii;;;;;;;;i|;||;;;;ii;;;;itソ;;;;リ;;;;"ヽ;;;;;ir'"      相手をしてやる!!
              ヽツキ;;;;;;;;;;;;;;;;;;ミ人、、、ミ;;;;;;;;tヽ、;;ヽ二リ;-、t;;;;;;;レ;;;;|''"
              ー7;;i|、;;;;;;r、ミr'";;;;;;;;;;;;;;;~~' リヽ|i";;;;;;;;;;;;;;;シi;;;;;;、i|)
               リ;;;;||t;;;;〈 ミ 彡=モ丐ァ、r;;; "リ、zモチテzー' リ;;;;ii|j
              (;;|;;;ヽ、;;;;i    `~ '''' ":::  |~::''- ̄ー  リ; イ
                フ;;;;;ヽ;;;i,     ""    |      ,'r';;;i
  ,r''ヽ           `(;;;;;;;;i~t       ,,,,, j ,,     /"彡|、
.  ii  i             t;|;;;;;i ::t      ヽ:::`"     / {{ヽt ヽ            ,,, 、 --ー '
.  i  リ             't;;;;i :ヽ     ,,、-_~-,,   /::  j ノ ;;リ''ヽ、    ,, 、- '' "~:::::::::::::::::::::
  i  '"|  r'~ヽ,         ヽ、i  ::ヽ    "''ニニ"   ,'::  y"  "ノノ フンゝ'":::::::::::::::::::::::::"""""
 リ   i ,,/   i''''"" ̄ ̄ ̄>'''"~t |i ::ヽ,  ''~~~""" /:::::、-'"  ,r"/zr'":::::::::::::::::"""" "
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| ケンシロウの挑発に応えるように、『ファットマン』の右腕が円錐状に変化。
| ランス、ドリル、衝角……なんでもよい。突進の威力を切っ先に集める武器だ。
| 
| 破裂音、『ファットマン』の突進が音速を越えたために発生した衝撃波。
| だが、ケンシロウはその一撃を紙一重で交わし、クロスカウンターを決め……られない。
| 
| レールガンの狙撃! 己がスコープの中心にいることをひしひしと感じ取るケンシロウ。
| 無理な姿勢で突進を回避、打ち砕けるアスファルト。土煙の中で再び『ファットマン』のモノアイが集光。
| 
|「はにゃ〜ん」
| 
| 横薙ぎのビーム。手頃な『グレン団』員をまとめて押し倒すルカ。触れ合う体、男の臭いにクラクラ。
| 慌てて身を屈めた石田と、彼の念動で押しつぶされる龍田。愛の重さ。
| 
| 耐えるケンシロウ、両腕に火傷。
| 耐えきれない病棟、爆発、火災。
| 
| そこに飛来するレールガン。直撃を避けるケンシロウ、病棟のガラスが全滅、衝撃波になぎ倒される電柱と外灯。
| 破片と土砂が吹きすさぶ、跳ね飛ばされる『ファットマン』。
| 
|「建物に入ろう!」
| 
| ゴーグルを下げて叫ぶのはシモン、上空から好き放に題狙撃されるのはあまりにも分が悪い。
|_________________________________________________
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322死夢見 ◆XDD/DkyjV6:2022/06/12(日) 11:23:26 ID:AlnKEuEsMM



                        _,,.. -ー-..、、
                      /, ;====、、\、_
                     /.:;ノ :   : .:| ̄\ :..ニ ー、
                    /,./  .:|  : .:i :|、入 .ヽ_:\` 、`.、       『リトルボーイ』どころじゃないわね!
               ー==ニ:;/ .:// .:/! ::| :/_ヽ| :',} :.\ \\
                   |/.:  ::|ー:/ | ::|/ ,ィチ心}〉! :.',) ::..`、 \\
                  / .:/|  ::|,ィチ心、/  弋)ソ,':ノ ::.',  :::..`、、_ \`ヽ
                  | :/∥、 ::{ 弋)ソ  ,     j : ト、  :::..\ー | :::i
                 /.:r' {| :.\`、    ,-‐、 /:/::|:.\  ::::..\,' ..:::|..ー――-- 、、 __
                /.:   ヽ :..\ゝ、_  ー ' ィ  イ  :..\  ::::..\:ノー---、、_
               ,. '´//  .: レ\ ::.`、_. i ̄ ´ イ :::|   :::::...   :::..\        ̄` ー 、、
          ,. '´ ;:: '´/  .:/     ̄ ̄´:|゙≡ii≡´| ::::ト、  :::::...  、ー 、\
       ,. '´ ;: '´ /   .:   .:/  .:/  ,:ヘ;;r=、i;;;ヘ ::.',:.ヽ   :::....'、ニ`、ヽ::`ー――--、
    ,. '´ ;:: '´  , 'フ-ッ  .:   .:/ _,,::,,-;;´;;;;;;;;;|!_゚リ;;;;;;へ :.\ー-,,、 ∠二、ヾ ヽ,.:1\ _::..\
 ,. '´ ;:: '´    // / .:   ..: ,< ;;;;;;;;;;〈三===三´);,ヽ ::..\;/ ヽ_,::;⊥、 `、〉 :..\ \:..\
´ ;: '´    / ,´   ̄`ニ、' ..: / ヽ;;;;;;;;;;;ヽ_彡1川ミニノ;;;;;;;,ヽ :. :.\ |` 'ー┐   i :..ヽ :...   ::...ヽ
; '´     /., ,'   アー-^' .: /   y;;;;;;;;;;;;;;L=uUu=、」;;;;;;;;;;;;;〉 :\ :..ヽ、  ヽ   |  ::...\:..\  ::...〉
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  / ..::/  / ゝ一´,;;ヽ. ..::    !__;;ヽ ;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;|||;;;;;;;;;;;;;/..:/,;ノ' .::/,;;;;|  ./  /\ :::..\/ //
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| シモンと二人で殿を務めるべく身構えるルカ、『カトルカール』を警戒。
| 土煙の向こうでエンジン音、龍田? 違う。だが、聞き覚えのある音。
| 
| 轟音とともに突っ込んできた真っ赤な戦車。『グレン団』の一人がひき肉に変わる。
| 巨大な重機のアームが振り回される。龍田が殴り合うもパワー負け、よろけた所に火炎放射。
| 
|「レヴリアス……ッ」
| 
| 呻くケンシロウ、ミスト・レックスが奪われた自走戦車の成れの果て。
| 銃座に備え付けられた機関銃が重低音と共に火を吹いた。
|
| ゴム弾ではなく人間などかすっただけでオーバーキルの大弾頭。石田が念動の盾で斜めに逸らす。
| 
|「こいつ!」
|「駄目だ!」
| 
| 突撃しようとするシモンを、ケンシロウは止めていた。
| 放置できる相手ではないのに。シモンの内部破壊攻撃ならば容易いはずなのに。
|
| レヴリアスには、ミストの恋人の脳が使われていると知っているから。
| 
| その逡巡が命取り、レヴリアスの巨大なアームがケンシロウとシモンをまとめてなぎ倒す。
| ベキバキと耳を塞ぎたくなるような破砕音、そこに飛んできた『ファットマン』。
|_________________________________________________
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323死夢見 ◆XDD/DkyjV6:2022/06/12(日) 11:23:37 ID:AlnKEuEsMM





              ー--  _/ ̄`ヽ
         ´ ̄           ミ
   /                       、
 /          \              ヽ
        \     \
       ´7⌒ヽ、    \        、
   /   {!    \   ム        \
  /    ィ八 _ 彡`ー  ム         \
 ´   ,ィ/´ ゝー== ≦   ̄ム
   ,ィ/     -―   __ ム
 ィ/     ´   ´ ̄ ̄    ム     ',             たいしゃー?
    /, ィ ´            :.      ',
   //     __        :.     ',
 ∠ィム     /  、r`        ム     ',
   Vム     ̄  ヽ) o     イム     ',
    V \       \、  __r’ハ ム
    V  ≧r。 __ )}- 、=-――Vム
     V  ヽ   マア へ/      Vム
     V   \  ァ 「_ィ/       Vム
      V      ( V´ /          Vム


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| ケンシロウにミサイルのような飛び蹴り、三叉に分かれた義手と両足、しっぽみたいなコード束も合わせた強烈な乱打。
| だが、ラッシュの速さ比べならばケンシロウに分があった。
| 
|「アータタタタタタタッッッ!!!」
| 
| 北斗百裂拳!! 合計六本の四肢で攻撃する『ファットマン』に、手数で劣らぬ、むしろ押し勝っていた。
| 正面衝突ではケンシロウが勝るのだ。モノアイに光を集める『ファットマン』。
| 
| その顎に強烈な一撃、さらに胸に三発。
| 
|「浅いか……ッ!」
| 
| 唇を濡らす血を拭い、ケンシロウはシモンを担ぐ。
| 強力な魔力防御でミートソースは免れたが、腕と肋骨がへし折れて悶絶の体。
| 
| 北斗神拳で秘孔を突かれた『ファットマン』。
| 全身がブクブクと膨れ、背中と脇腹、右腕から破裂。いや、内側で膨張した液体金属が吹き出すと同時に硬質化。
| 
| 全身の血液と骨格を液体金属に置き換え操作するバケモノに、北斗神拳は効果が薄い様子。
| 
|「ん、あー?」
| 
| 破れた背中から吹き出した液体金属が、有刺鉄線の束になって伸びる。
| 枝分かれし、絡み合い、最終的には三対の翼のような形で固定。
| 
| 大天使らしくなってきた。
|_________________________________________________
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324死夢見 ◆XDD/DkyjV6:2022/06/12(日) 11:23:49 ID:AlnKEuEsMM




               ∨  ∧               /    /      //     /   /
                   ∨  ∧`丶、         /    /,.ィハ    //       ,'  /
                 ∨  ∧  `ヽ ,    /  /  弋ソ   //  O   .l  ,'
                    ∨  ∧   .l ヘ/  /  /ヽ,   il // ____ l  l
                  ∨ .∧  l  l. ,.ィ´   ./  ハ、  l!/∧  O    l  l
                      ∨ /\/  l/    /../  l /∨∧ ___  l  l!     奇っ怪な!
                    ∨ /  ./l ,.へ '`´ ./  ./.l  .∨∧  O  l!   l
                    l / 〆l‐〈 l   、,.ィヽ,  / .l   ∨∧ ___.l  l
                         ∨ l } ! .l  /lゝェソ / l    ∨∧  O l  ト、
                        l ルヽリィ 、l/三i}  ,.イ  l     ∨∧ ─ハ ,'  \
                      \ /   〉三≡≧,.,-‐''        ∨∧  ,ィヽ
                       `、   ,' 三三<_          ∨ `'.〈   \
                        \ l/´ __≧, l> .,        `'ー ∨    \
                           `    ̄`ヽヽ.l   `l> .,          ∨  /
                                ヽ l、   l   `.>、        `>'´
                                ヽ、ヘ ィ'    l  ヽー、    /
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|「旦那、強敵だが魂はいいのかよ」
|「魂を持たぬ木偶人形に震える魂の持ち合わせは無い!」
| 
| ボロボロのカミナと、所々焦げた呂布が病棟内から戻ってきた。
| 振り回される矛槍、羽ばたいて空中に退避する『ファットマン』。
| 
|「シモン……」
|「へへ、アニキ……俺なりに頑張ったんだけどサ……」
| 
| カミナの両目が憤怒に燃える。
| 空中の『ファットマン』に跳躍して肉薄、カットに入ろうとしたレヴリアスを、ルカが頭髪で捕まえ、龍田が脚部に一撃。
| 
| 足を失えばただの固定砲台。さらにひっくり返して無力化を図るも、土煙を掻き分けて再び鉄腕。
| 
|「あらあらあららぁ〜♪」
| 
| 迎え撃つ龍田。鋼の拳のボクシング。
| フットワークを踏む鉄腕、火力は控えめだが小回りがきき、あまりに巨大な腕を持つ龍田が不利。
| 
| 数合のジャブの後、するりと懐に入り込む鉄腕、迷いも恐れもない動き。手練。
| 
|「プッ」
| 
| 次の瞬間、鉄腕の喉頸に長く太い針が突き立った。
| よろめく鉄腕。いや、不屈のガッツで持ちこたえる。咄嗟に振るった拳、爆雷付。
| 
| 空振り、両腕を支点にした龍田のドロップキックが直撃。ボクシングする気は皆無。
| 龍田らしい圧勝。
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325死夢見 ◆XDD/DkyjV6:2022/06/12(日) 11:24:03 ID:AlnKEuEsMM



                      ,,,;;;;;;;;彡彡;;之 ヽ
        ,,,,,,,,,,,,,;;;;;ll;;;;;;;;;;;;;;| l;;;;;;;リ)リ;;;;;;|l;;;;(ミ彡/、 Z
l|ヽ= 从;;l |l|;;ll;;;;;l|;;;;;l;;;イl;;;;;;;;;;;;;| l|;;;;;;-〈、|;;;;;;;;;;;;;;,,三∠ノ フ  
ヽミ三从;;从|;(;;;;|l;;;;l|;;;((;;;;;(ヽ乂;;;;;;/ノ人、从;;;;;;;;ヽ ∠ |  
ミ二ミミ从 ; ;;;;;;゙;;;;゙;;;;;L{{ミ|Y;;";;;;;rテ'';''i゙''ミ゙   イ;;;;{ミヽ∠ノ   
゙ヽ乏゙゙从゙ ;;ヽ、、_;;;;;;;;;;;;;{≧Y;ノノ=-゙'''"´彡   ';;;;;;ヾ,,', ヽ    呂布殿、カミナ!
 <彡l|;;;;;;;l、;}:/;r't;;;)>| 彡 ̄""´         |;;;;;;〈 |.| }    制空権と狙撃手をどうにかしないと負けるぞ!
  ノノイ;;;;;;之"゙"''"´  |、  _,,、:::::        |;;;;;ノノリ;∠  
   イ彡l|;;;;ヽ ゙::::::::   j _,、 -)゙ヽ::...       |;;/- /;;/ミヽ 
   l|//l|;;;l~、'、 ::::   ゙''::ヽ,/          |(,,ノ;;;ヽ〉ミ/
    リノイ;ヽヽ'、     `゙'、l__,,、、、,,_,,     / l||;;;;;;;;|∠_
    "´ノ|;;;;`'-;',     (t -'''ヘヘ)}}    リ  リ;;;;;;;/从ミ | / ̄\/\/ ̄\
      |/l|;;;;;;;;ヽ    レ- '''""´     /:::" {;;;从;;;;;;;;)"
      l|l||;;l|;;;;;;;;'、   ,,、;;''";; ̄::   ,/:::::"  ヽl|リ;;;r''、リ
       ヽl |;;;;;;;;;\    "  `゙   /::::::"    レ',、-ー゙''""゙''ー、    ,,、- ''
        //|;;;;;;;', \  〈     / :::::::   ,、 '´        ゙'> ''"
          (从l|;;', ヽ, ヽ:::ノ/   :::::: ,、 '´        ,、 '´
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|「キルがいれば助かるのに」
| 
| ロストスキルは本部待機だ。そして他の忍者はすでに地下に侵入しているはず。
| ここでロビンと『ファットマン』を引き付けるのは、彼らへの援護になるのだが……全滅してしまっては元も子もない。
| 
|「ケンシロウよ。傷は?」
|「肋と腕にヒビが入っている」
| 
| 気功で痛みを消しているが、レヴリアスは強敵だった。
| 呂布は焼け焦げた左手を一瞥、呪符で治療したが万全ではない。
| 
|「コーホー」「あら〜過保護なんだからぁ」
|「石田、頼めるのか?」
| 
| 念動防御がなければ、死傷者はもっと多かったろう。
| 石田に空中戦を任せたら、彼を頼れなくなる。しかし、ここにはケンシロウも呂布もカミナもいる。
| 
|「一人で死んだら許さないからね〜」「コーホー」
|「とりあえず、主力が『ファットマン』を叩いて、私は奇襲してくる『カトルカール』を各個撃破でいいかしら?」
| 
| 泥で汚れてもなお美しい、男にもっと汚したいという願望を抱かせるルカ。
| 片手にロザリオ、主への信仰でよからぬ気持ちを抑制。
| 
|「三人で『ファットマン』を確実に倒す」
|「あまり魂が乗らんな」「シモンを可愛がってくれた礼をしなきゃな」
| 
| 高速作戦会議は終了、まず石田が超能力の足場を駆け上がり屋上へ。
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326死夢見 ◆XDD/DkyjV6:2022/06/12(日) 11:24:15 ID:AlnKEuEsMM



              「l ̄!i|  |! i! |
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                         !         |i! |                ̄
                         '         |::i i!|
                         iヽ   _ _ノ从メ#ヾ'人ヾ:;:ー- ...、
              \     ヽ  __ノ;;;ヾ=二三 :;:;: :;:;:;;・  ,`゙ヾ:;:;:;:;::;:;:ヾ
               `丶     》:;:;;#ノ彡三二三 」── 二=≡≡=ヾ:;:;:.,ゝ ── ─ i!二二二`7
                 \丶 ヾ,:;'゙´'人i从'※'iミ彡∠゙´       `ヾ:;:; ;:;:レ'         /7∠/
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                   川//`                           ゙!|i!i|ヾゝi!二二二`7
          ─ = 二  て:.》                             |i:;:#i!`i'|!i /7∠/
                 !i゙´i!|                 \'    人゙-─∠ ゙`    〈_/
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| ブービートラップ発動、吹き飛ぶ屋上。唖然とする一同。読まれていた!
| その衝撃に乗じて攻撃してきた敵。反応したのは呂布とルカ。
| 
|「魂イイイィィィィッッッ!!!」
| 
| 雄叫びと同時に振り下ろされた矛槍、軍服を破り毛皮を引き裂く、しかしその下の脂肪で止まる。
| 煙の中からのそりと現れた球体のパンダ。直径2メートル。頭にはベレー帽。
| 
|「グフフ」
|「『リトルボーイ』!!」
| 
| 逆側から飛び出してきた『ファットマン』の攻撃を避け、刀を叩き込みながらルカの目が燃える。
| お前のせいで大変な目にあったんだぞ。
| 
|「ケン! 旦那! 任せる!」
|「応とも!」
| 
| カミナがルカに並ぶ、ただ殺すためだけの正確な動きで攻めるルカ。逆に、我流で無茶苦茶で荒唐無稽なカミナ。
| 防戦に回る『ファットマン』。
| 
| 一方、『リトルボーイ』に北斗神拳は効果が高い。ジャギからの情報に従い乱打を打ち込むケンシロウ。
| 回避に徹する『リトルボーイ』。
| 
| 突然の形勢有利。
| 逆に言えば、『カトルカール』こそが現状の難敵。
| 
| 故に龍田は、周囲への警戒を密にした。
| そして予想通り。
| 
| 土煙の向こうに揺れる影、龍田はエンジンを吹かした。
| 一発で決める。
|_________________________________________________
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327死夢見 ◆XDD/DkyjV6:2022/06/12(日) 11:24:26 ID:AlnKEuEsMM



         ∧                        ,’.、
       ゝく ̄ヽて__                 /  :!
       弋   ゞ ;!ノ  〈_ `ヽ_              /   .:!
        |:/\l ̄ ̄弋>ー!ノ.  ,.イ    __ /,    |
               弋_:|  /∠、,,.:´ ./ ,   ,′
          _ _ ,,´  ̄ ` / //、/   . /  ,   .,.'
           ` 、   ,,―//、/  ,,イ   ,     /
                ’,/ / 弋>'  ., |\ _ ,,'   ./
              /.</       ./__|  i      ./      来ルト思ッテマシタ。
               |  //.:`。、 ../  / /      ./
      l:\  __ 弋_;l弋::::,,/イ` 、 ./ /      ./
     i`|:.. `〈` :、 \戈_/ ̄ .:|  ./ ,:’    /
     ヾ!_.ノ   .r   .\\,,イ/  /    /
     ∨     弋_ノ,,<_ _/ ./   /
       マ_   .Y´ :.:// | _ ,, '   ,, ´
    ,,<_ ノ.  |l 三,l弋_!__,, ´
    .i __/ .` .、 廴二〉___./    ,/` :.、
     ’,__〉、   `ー―‐< \   ./   ヽ
      \/\ _ __ _ ` -r<リ三三三三!=l>
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| 重機のような一撃をいなして、そいつは龍田に尾を向けた。
| オイルにぬめる八本のワイヤーが龍田に絡みつく。
| 
|「あ、あら?……ぴにゃ!! んあッ!? くゥゥんッ!!?」
| 
| 電撃。しかも三連続。
| 全身から煙を上げて失神する龍田。
| 
| その体を優しく抱きとめ横たえて。
| ロビンは乱戦に視線を向けた。
| 
|「そうか!」
| 
| 『リトルボーイ』の腹を蹴り、その弾力で飛びかかる影。
| 振り回される方天画戟。
| 
|「倒サセテイタダキマス!」
| 
| 『血族』随一の使い手の一人、呂布奉先。
| 怪物のような手足を変化させながら、ロビンは祖父に挑みかかった。
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328死夢見 ◆XDD/DkyjV6:2022/06/12(日) 11:24:41 ID:AlnKEuEsMM


☆ 次回予告!

 気に入らない。
 気に入らない。

 この国に来て以来、気に入らないことばかりだった。
 何もかもが上手くいかなかった。

 願いは断たれ。
 祈りは届かず。

 縋れる藁すら存在しない。

 そんな中に見えた、かすかな希望。

 どんな言葉より。
 どんな光より。

 救ってくれた。
 お前を殺す。

次回、最終幕九十七話『妄執の末路』
 果てに見るのは破滅か死か。

329令和もどこかの名無しさん:2022/06/12(日) 13:02:33 ID:um67vwVwMM

祖父と孫の心温まる灼熱の交流

330令和もどこかの名無しさん:2022/06/12(日) 17:03:25 ID:eCNGX12E00
乙です

331令和もどこかの名無しさん:2022/06/12(日) 22:49:10 ID:BFG7nwck00

大帝錨待ってます

332令和もどこかの名無しさん:2022/06/13(月) 14:36:58 ID:lxoCOasUSa
拳での語り合い乙

333死夢見 ◆XDD/DkyjV6:2022/06/19(日) 10:35:36 ID:f.FD/ylsMM




.             、 ィ -=ニ -=ミ 、ヾ  、    、 ヽi{ ,
          _ ≧=- ニ=-  -=ミj{ハミ   \   \ Ⅵ }!
.         ー=ミ=-- , -=ミ三三辷=- 、` ̄`^´\ 寸'/__
         ノニニ/, ヽ  } 、㌻´ ̄    __  、 ヽル'⌒ `
.     __∠二二! ′_}   \    ´  ̄ ̄\ }! |/⌒
     ヽ∠二二二| マ_/       \        _ ヾ! |
.      ∧``````` ', ^/       \   ,ィ ==ミ_}}! l
.     /∧      `7_,          \_i{i{ rッ 仟‐'
       /∧      /‐==ニ _      `尨´ 〃 「ノ
       //∧     ,i{-=== /ィニ=-    找少   |           気に入らねえよ。
     '///∧  /∧-‐=='  ,ィニニヾ `く    |           気に入らねえよなあ。
     /////l   //∧-‐==  i{辷=- 、\__ヽ__ 」
     /////|   //∧-‐==  ヽ  ̄\_ィ-′             そうだろう?
     ∨///|     / / 、-‐==='     `フ
.    ‘, ∨//|____/_/込-‐==‐ '  /
       ',∨/辷=' イ   マム` -==‐' /
       ',∨ ////|!   マ,ム   ̄
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|「いえ、そんなことは……」
| 
| 新宿衛生病院は総合病院だ。
| 深夜とはいえ周辺の街灯は煌々と照り、夜の闇にその巨大な姿を浮かび上がらせている。
| 
| 主要道路に面しているが、周辺には住宅もある。
| そんな場所で爆発だなんだとやっていては騒ぎにならないほうがおかしいというもの。
| 
| なので、今現在はまさに異常事態。
| 
| 二ヶ月前にヴィヴィアンに攻撃され局所洪水に巻き込まれた教訓を経て、新宿衛生病院は非認知の結界をかけられた。
| 一般人からの興味を奪うその結界の効果は覿面で、肝試しも廃墟ツアーも来なくなった。
| 
| 同様に、正面玄関側でおこなわれる、『血族』との苛烈な戦闘も、一般人は興味を持てない。
| 深夜の爆音に目をさました子供がいても、理由も分からず戸惑うだけ。
| 
| 職員通用口の階段に座り込む、枯れ草色の髪の神父も。
| 彼に侍る二人の若い男も。一般人には認識できない。
| 
| 避難口の非常灯の緑色の光が、彼らをぼんやりと照らす。
| 三人共に黒衣、神父服であるため半ば闇に溶け込んでいた。
|_________________________________________________
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334死夢見 ◆XDD/DkyjV6:2022/06/19(日) 10:35:49 ID:f.FD/ylsMM




  フ彡三ニ==-ミミミミミミWミW杉彡彡三ニ==彡W彡イN
 彡彳ニ彡''´ ̄ ̄ ̄¨`ー=≠=─''¨ ̄ ̄ ̄¨`'''ァ>ヾミシ
 Σ彡 イ ::::::::     、  i li           Zミミ三ミ
  彡 彳リ ::::::::   \  ヾ {;! } z= ,ィ  ,    ヾ彡 ,Zノ
  ゞ  /! -==ミ ー- ヽ } i!  //  /,ィ==-  }ィ ./
  Y⌒}! '':::::::>'' ̄ ̄`ヾ\|..i!../ ,z三≦─ 、   .レ⌒!
   ! }ト|\__{{弋 ̄t__ァ-z}ハ;;;;;;;;;;Y x t__ァ ̄フ}}__/! il リ     シロッコのやり方が気に入らねえ。
   ! i! i ::::人 `ー ==以 ノ ̄ {! ミ== ─''´ ノ   |! {!     シロッコの性格が気に入らねえ。
   ヽⅵ :::::: ゝ ___ /::    ト\ ___ /   | ノ      シロッコに言いなりの連中が気に入らねえ。
    ヾ! ::::::    ̄ ̄.::::::::i    ! ヽ  ̄ ̄     ,;/´
    ,从;;,,:::::     ...:::i . : |    ! ::..      .;∧
  /:::::ハ;;,, ::........::::::::::::ヽ::::i   .ィ..::        ,,;;;i::::::\

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|「俺たちはなんだ? 『教会』の飼い犬か?」
|「違うんですかい?」
| 
| 答えたのは生え際に危機感のある男。
| カクリコン・カクーラー。
| 
| 彼らは『武僧』。『教会』最強の殺し屋集団。
| その中でも最強と呼ばれる男が、アレクサンドル・アンデルセン。
| 
| 『教会』の命じるがままに人間や悪魔を殺す。
| 彼らはそういう存在のはずだ。
| 
|「違うね。大いに違う。狼と豚ほどの違いがある。
| 俺たちは飼い犬ではない。神罰代行者だ。神の正義の執行人だ。
| 
| 分かっているだろう? 結果的に『教会』という組織の一部として働いているに過ぎん。
| 俺たちを動かすのは神の意思だ。人の欲望ではない」
| 
| それは、理想論だ。結局『武僧』は殺し屋だ。
| 命令をするのは神ではない。人間だ。
| 
| やあやあ我こそは神罰代行者。神の代理人。長い手の先端。邪悪と悪魔を悉く滅ぼすもの。
| 鏖殺の雄叫びを上げて、慈悲という名の狭量で、神の威光に背を向ける愚か者の喉頸に刃を沈ませるもの。
| 
| そんなふうに嘯いても、結局現実はただの殺し屋。
| 上官の命令には逆らえない玩具の兵隊にすぎない。
| 
| だから。
|_________________________________________________
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335死夢見 ◆XDD/DkyjV6:2022/06/19(日) 10:36:02 ID:f.FD/ylsMM



                         __
                       _ノ´   `ヽ、
                    厂           `>、 _
                       ノ´             `> 、
                 .,.イ                   `ヽ
                 / /                        \
                   〈 {                         ',
                   ∨ヽ、   ⌒ヽ、                   l
                 }  `     .,ヘ     }   __       l
                  {         / ゞ    ノ ノ´  ` ,:      l
                    ゝ、      /  {〃イ , - '"     ∨:    j
                  ミ    /   ヽ !リ           ∨:  ,'
                  ∨   ,'      {             ミ:  ,'
                      ∨ l <≧-.、,,_   {_,,、-≦千> j: ,'
                    ∨lj  ー tァー ヽ ヾ"¬tァ ー  lヘ,'
                    !K:!    ̄´   l     ̄´   j_)}       口では何とでも言えますがね。
                    l(l:!       j        |)/
                    ∨j        ヾ;>         j イ
                      ヾ、      ______       /|:リ
                      リヘ    ´  ,,,  `  r‐<j、ノ,,,____
                  ____| l|\          |:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.〉
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| ジェリド・メサは口答えをした。
| 理想を語る上司に、現実の問題を突きつける。
| 
| どうしょうもない。どうしょうもないのだ。
| ジェリドもカクリコンも同じだ。気に食わない。気に入らないのだけれど。
| 
|「ならば……行動で示すか」
|「は?」
| 
| 大義そうに立ち上がり、バキボキと首を鳴らすアンデルセン。
| ジェリドの態度は良くなかった。明日以降、訓練という地獄が想像できる位に。
| 
|「だが、やはり対話だ。主は傲慢なる我々の言葉を分割したが、それは互いにより深く理解し合うために必要なことだ」
|「はあ」
| 
|「ジェリドよ、貴様は主の声を聞いたことはあるか?」
|「……そいつは」
| 
| 言い淀むジェリド、息を呑むカクリコン。主の声。誰も聞いたことがない。
| いや、『聖処女』ジャンヌのように特別な一部にしか聞こえない。
| 
| そして、その声が真実主の御言葉であらせられるのか。
| 証明するすべもない。
| 
|「どれほど信仰が深くとも、この世に悪魔や邪教の神が蔓延ろうとも、我らが偉大なる主の御言葉は我々に届かない。 
| どれほどに祈ろうとも、縋ろうとも、願おうとも、救いの手は差し伸べられず、慈悲の言葉は届かない。
| 
| などとは考えたことはあるまいな」
|「そいつは不信心ですぜ?」
| 
| 問答は、危険な領域に踏み込んでいた。不用意な返答をすれば首を飛ばされかねない。
| カクリコンは冷や汗混じりに答える。
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336死夢見 ◆XDD/DkyjV6:2022/06/19(日) 10:37:29 ID:f.FD/ylsMM




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                jI斗fセ///////////~"''〜、、
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         ミ/!      _ ィ....二つ }    ⌒ヾ//__///////
        八  ‐'''"´__          彡/  |////厶      主は既に言葉を尽くしておられる。
           ∧    ´             彡./   .|/////      足りぬならばその都度預言者を寄越してくださった。
           ハ               __/    |///       それで十分なのでは?
              ∧        _,,.、丶´         |⌒_
            ≧=‐---‐=≦___,,.. -‐ '' "´三三三}
           _,,.、丶´三三三三三三三三三三三三三:}
          {三三{三{三三}三三三三三三三三三三ニ{
          }--!ニ:}三}三三}三三[二〈〉二]三三三三三}
          〈!二三}三}三三}三三三三三三三三三三ニ\
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|「主は全能で万能、その手は世界よりも広く、その愛は無限であるはずでは?」
|「そうだとしても、いやだからこそ。全部に応えないのは理由があるってもんでしょうよ」
|「俺もそう思う」
| 
| ジェリドの言葉に、突然今まで広げた疑念のすべてを畳むアンデルセン。
| 弟子二人は虚を突かれる。
| 
|「俺はな、ジェリド、カクリコン。我らが偉大なる主は言葉を尽くしておられると思っているよ。
| 今も、世界中で、愛し子たちだけでなく異教徒どもの心にも訴えていると思っているよ」
| 
| 二人は胸に手を当てた。アンデルセンの言いたいことを理解したのだ。
| 心の声、己の良心。それこそが主の声なのだというアンデルセン。
| 
| 主は世界中を見守り、声をかけている。
| 従うか、無視をするかは各自の判断であろう。
| 
|「実は俺は『第二の夢』も気に食わん」
| 
| 世界を滅ぼすというレミエルの脅し。四割の『正しいもの』になれ。
| この東京に五百万人の『正しいもの』がおらぬならば、ソド ムとゴ モラと同じ末路を辿らせる。
| 
|「何か臭い、だがやらない夫の言うことには賛同できる」
|「『良心』に従えってんですかい?」
|「そうだ」
| 
| ジェリドはしばし考え込み、正面玄関側から聞こえる破壊と爆発の戦闘音に耳を澄ませた。
| そして小さく舌を打ち、顔をあげる。
| 
| その表情からは、少し前までの鬱屈が払拭されていた。
| 
|「アンデルセン神父、野暮用があるんで抜けさして頂きます!」
|「駄目だ。理由を述べるか有給を申請しろ」
| 
| 狼狽えるジェリド、この流れで拒否されるとは思ってもみなかった。
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337死夢見 ◆XDD/DkyjV6:2022/06/19(日) 10:38:32 ID:f.FD/ylsMM




                       /                        ヽ
                      /             从        从
                    /              ミ  |  〃       ハ
                /         ィヽ、__,   |  >、      ヽ
                  イ         /   /イrミー<  ∨      }
               i        f     ({  リ  )      ∨    /
                   ',  ,ベ´ヽ                 ∨  /
               }/ヽ ノ /                   ∨ j
                /   j ,イ =≠彡ミ≧、.   _,,z≦⌒ミヽj /
                  /   ///    そいア:::::::. :: イ いラ   | |        馬鹿を助けに
              /   /// ',             |::..        | rt        …………いいや
                /   イ//_从          |:::::....     | | j
            /   j / イ `},           r ム:::.       ;イ l
          /     '小 .{   | ',                イ_ノ
            /      |  ハ.  | ',       -─ -ー-   /リ           待たせてる女を迎えに行きます。
.          /     │ /   j  |ヘ        ..::::...    / ,}
        ,'       |     ハv,| \          / |ソ
        ,'       |   /  |   \         ∧┴ - 、_
         l         |   /´ ̄:|    >ー─---イイ }      ヽ
.   /⌒ヌ.j        l   ∧V  |  /⌒ヽー--、____.//:| |      ',
   /   ヽ        丿 ノ | } 小/`′::イ   / .// | |       ',
.  /     \    イ j } { { / {::j /    イ: .//  .| |        }
 /        `< ヽ. //: :.| |〃 .{ '   /:.ノ: ://   | |       弋_
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|「そうか、行け」
|「はいッ」
| 
| 大慌てで装備を整え、おっとり刀で飛び出していくジェリド。
| カクリコンはその背中を見送って肩をすくめた。
| 
|「ダチの背中を守ってきます。アンデルセン神父はいかがされるので?」
|「次にここに来たモノを殴り、帰って寝る」
| 
|「ご武運を」
|「お互い、主の導きに従おう」
| 
| ジェリドを追いかけるカクリコン。
| アンデルセンはその背中を見送り、眼鏡を直した。
| 
| 底光りする双眸が闇を見つめる。正確には、闇の中でもなお暗い場所を。
| 
|「ジェリドはまだ手が届く。奴は幸せものだ。手の届かない相手を追いかけるのは虚しいもんだ。
| カクリコンは帰る場所がある。待っている女がいる。だから死ねん。執念がある。
| 
| だが、俺はもう駄目だ。執念しかない。届かぬ女に手を伸ばせども、そこには何もない。
| あいつは死んだ。あいつは死んだ。分かっているが諦めきれん。諦めきれんのだ」
| 
| アンデルセンが『銃剣』を抜く、指の間に挟んだ鉤爪のような無数の刃。
| 一本一本が銘刀。すべてマイケル小原の手作りだ。
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338死夢見 ◆XDD/DkyjV6:2022/06/19(日) 10:38:45 ID:f.FD/ylsMM




             }: : :キキミ杉   : : : : `WNィ,,彡::::::::::::::::::::::::::::::::::::
             }:/: :Ⅵミミ{  . : : : : : : : : ::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::
           ,.<: ::::/ {!Ⅶ__. : : : : {!: : : :.::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::
        ,.'´: : : : ::::/{:::|! /: ̄ヾム:ヽ: {!: : :....:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::       夢宮は死んだ。
      /: : : : :....:::::::::||:::リY! xzzムメx:.:.{!: : ..:::::::::::;;;;;;:::::::::::::::::::::::::::::::       死んじまった。
      /: : : . .:::::::::::::::::::||:/ ム!〃 (・) マ爪{!: :.::::xィ丕天ミ:::::::::::::::::::::::::::
.   /: : : : ::::::::::::::::::::::::::||:{Ⅵ兀ミ==ヲ=zzzzY  ⌒ヽ::::::::::::::zィ7::::::::::::       奴の代わりは誰もいない。
 /: : : : : : :::::::::::::::::::::::::::||八i  ゝ==彳:::i |::::{{=    }}__;/ .//::::::::::::::       分かっている。分かっちゃいるんだ。
ム-===zx :::::::::::::::::::::::::::||:::::{ ´, : : : : /j j:::::ゝ _____.人zz{ :://:::::::::::::::::
: : : : : : : : : :\ ::::::::::::::::::::||::::::l;;.{ト   ヽソ l:::::::::::::::::::::::::::::; ) ./::::::::::::::::::::       だが、だがなぁ。
: : : : : : : : : : : :\ : ::::::::::::リヽ:::l;;,{>z__./  ム:::::: : : :,,ィ }::::::/ 人::\::::::::::::
: : : : : : : : : : : : : :\: >.、: : : \ハ-十-+zzzzzzz=イノ:::::::/:::::::::::::::: \::::::
: : : : : : : : : : : : : : : :\: : :\: : : \ミ=十十十十十:::::::::::::::::::::::::::::::::::::ヽ:
: : : : : : : : : : : : : : : : : :ヽ: : : :\: : :\ー=-  ̄  ̄::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::
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|「『来な』って、ばっちゃなら言うよ」
|「だよなぁ!」
| 
| 闇の中から、潜んでいた少女が気配を現す。
| ジェリドとカクリコンには気付かせなかった隠身の冴えに、アンデルセンは喜悦の笑みを漏らす。
| 
|「今だ。今だけだ。今が最初で最後だ! 夢宮アリカ! お前はまだ夢宮には及ばんが、心根だけなら負けちゃいない!
| 俺は俺であるために、これからも正しく神罰代行者であり続けるために、夢宮への妄執を断たにゃあならん!!」
| 
| 犬歯を剥き出しにして、血走った両目が眼鏡の奥で火花を散らす。
| 狂乱したかのようなアンデルセン、対するアリカは慈母の笑みで両手を差し出す。抱きしめるように、受け入れるように。
| 
|「行くぞ!」
|「駄目だ」
| 
| だが、闇の中からもうひとり。水を差す男の声。
| どうやって潜んでいたのか、真っ赤なコート、浅黒い肌、総白髪の男。
| 
|「夢宮の代わりが欲しいなら、アリンコひとりじゃ役者不足だ。
| しかし幸運だったなアレクサンドル・アンデルセン。ここに立つ夢宮はひとりじゃない」
| 
| 二刀を抜く、静かに構える。その男、名前を捨てた傭兵。
| 遠坂凛の元夫、今はただの『弓兵』……のはずが。
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339死夢見 ◆XDD/DkyjV6:2022/06/19(日) 10:38:56 ID:f.FD/ylsMM



                          ___ノ{
                          ハ/    ̄ ̄く
                      _/ }      _ - `、__
                          ),  :: _ -=     ア
                       从,,、、´   ,癶~^ =- 「
                       i{__  ,ィtッ  ~^丶 `、         夢宮士郎、推して参る。
                           八tぅ      __ノ、「
                        人 `__   八{
                         \    ィ-==-===ミ、
                          >-=ニ「:/: : : : : : :_,: :≧s。_
                         __「。s<: :.{: : : : :/: : : : : : : :>s。_
                       /「ニニ/∩}: :{:_,、+´: : : : : : : : : :_jI斗: : >s。_
                      n/_-=ニニ{:.了: :≧s。_: : : : : : : : : 〃: : : : : : : : : }}
                       アニi{二ニ八i」: : : : : : : :ニ=-: : __{{: : : : : : : : : : :}}
                     /ニ_八ニニニ=\: : : : : : : : : : :.厂 i|: : : : : : : : : : :从
                    _j{ニ/ニニニ==二卜_: : : : : : : :/   j{: : : : : : :.__/
                       厂Yニ{ニニニニニニニニニ>s。: :.:/ 仏s<ニ=-、: : 厂
                   /: : :}ニ「ニニニニニニ_jI斗―==ミs。{  V .V .V V_⌒Y
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          /: : : : : : / j{[=-----弌: : : : : :_jI斗=ミ_八
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   _jI斗=- ,j{. >-=ニニニニY: :j{        V: : : : : : : : : : .V
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ニニニニニ,,,,,____ア亡ノイ    j{: :/    `才「    ヽ: : : : : : : : : :.V
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                  j{:.:/: {[          .|V   _  -=\: : : : : :.`ミ、
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|「そうか士郎、ようやくその気になったか。
| これで夢宮の技と夢宮の心が揃ったか。いいぞ、貴様ら。まとめてかかってこい。
| 二人まとめて相手をしてやる。夢宮の代わりだ。それくらいで丁度いい」
| 
| アンデルセンの笑みに滲む狂気に変化なし。
| だが、乱入者に不満がある者がここに一人。
| 
|「え? エミヤさん。今更それを言うの?? もしかして、桜お姉さんを助けたから?」
|「…………アリンコ、大して驚いていないな?」
| 
| アンデルセンに背中を向けて、アリカが屈託なく問いかける。
| いや、違う。まったくもって屈託だらけだ。言葉の端々から生える棘を隠さない。
| 
|「いつ言うのかな、ずっと言わないつもりかなって思ってたよ」
|「いや、それはだね……」
| 
|「格好つけて言うタイミングを測ってるだけだっておかーさん……ああ、凜さんね、言ってたけど。もしかしてエミヤさん」
|「待って待って、なんで凜がおかーさんで」
| 
| 詰め寄るアリカ、後ずさる『弓兵』改め士郎。
| 図星を突かれ、さらには実の父親である自分がエミヤさんで凜が母親呼ばわりという状況に困惑する。
| 
|「ねえ、エミヤさん。『推して参る』ってどういう意味? いわゆる『推し』と関係あるの?」
|「ま、招かれざる客であるが、押しかけて申し訳ないというか……」
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340死夢見 ◆XDD/DkyjV6:2022/06/19(日) 10:39:06 ID:f.FD/ylsMM



                                         _
                                  ,. -f一'
                                    ,.イ一′
                                 _/:ノ
                                 /.:!´
                               j、ノ   ,.--、r‐
                               f:.:/  ,. ‐!ー'´ ̄
                   ,.-====、、     ノ!′ ,.イ‐'´
               /       |l __     {:.} _f_ノ
               /        __,r‐'.:.:.:`ヾ⌒丶f:ノ
             /      ,r/.:.:.:.、:.:.、:.:.:.:.:ヽ:.:.:.:\、
               /       //.:.:./.:.|:.:ヽ:.:ヽ、:.:.:.!:.:.:ヽ:.ヽ\
           /       //:/.:ハ.:.:.!\l\|__ヽ:|\:.:.|:.:.:l:.:|',
             i       |:|:.ト、:|-ヽ|    ´,r==、` ヽ|:.:.:|:.:!ハ
             |        |:.!:|´ ,r=、     fハ ヽ }:.:./:/:/|
           \     ヽN / fハ       ヒリ   /,.ィ=rく/l           うん、呼んでないよ?
                  ハ.  ヒリ         , , ´// .ノ }/
                 ,.-‐{‐! , ,   、       /l:| └/
               / /ハ{      r‐┐    ! ヾ/ ,、
                 {  |:|  \    ゙ー'       ,.イヽ /: :ヽ
               ヽ ヾ=-  `   、    ,. '´ |=彳: /: ̄`
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| これがとどめとなった。
| 
| 士郎……いや、もう『弓兵』でいいや。彼は死んだ。
| 
|「さて、邪魔者は排除したよ」
|「…………夢宮アリカ、貴様ごときが一人で俺の相手をするつもりだと?」
|「そうだけど?」
| 
| 不思議そうに小首をかしげるアリカ、私服姿。
| 『蒼天の青玉』もなければ『ガンダム』もない。生身で普通の女子高生。
| 
|「当たり前だよ、アンデルセンさん。もしかして忘れちゃった?
| あなたは、あたしにとって師にあたります。
|
| 戦士としての在り方、心の守り方、信仰の大切さを教えてくれたのはアンデルセンさんです。
| 師匠に力を見せるのに、あまり接点のない父親の手を借りるとかないよ。あたしは嫌だな」
| 
| 死体への追撃に余念のないアリカ。
| 
|「ぐふっ」
|「クハハッ」
| 
| 明るく笑うアンデルセン、その表情に先程までの狂気はない。
| すべての毒気が抜けていた。
| 
|「そうか……夢宮アリカ。お前は、俺の……」
|「はい」
| 
| 出会ったときから、この時を待っていた。夢宮が死んだなら、この執念に決着を着けねばと思っていた。
| だが、もうどうでもよくなった。
| 
|「主よ、導きに感謝いたします」
| 
| これを最後に正しくあろう?
| 違う。違う違う。
|_________________________________________________
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341死夢見 ◆XDD/DkyjV6:2022/06/19(日) 10:39:20 ID:f.FD/ylsMM



 、 、 、 、     ,  ,,  ,   , ,, ,
. ゙ミz\,ヾ',ゞ `',/ 〃/ ,, /z彡'´            
 ミヾゞ  \ヾl| /〃´/ / ー=ミ彡‐-----‐‐"'''- .._
、ミ、ヾミzヾ、`',l!l|i!ll/,ソ//',r,;/''ニミミ        \\:: 
ミミ    ゙ミヾ、ミ、l|/〃´  `゙ミミミ≧          ヽ_ヽ:
彡                ミミミ      _,..-' ',.
シ                 ミミ‐、 _,,..-'''"    ',.
.         ',   .l       ミ`',.',        l:'
, ─------、  ',', ,  l l   _,.. .l|| .l l,       /
,.r" ̄ ̄ ̄ ヽ . l l l .// ,..-'''ヽ .l||// ',     / 
',  、-、__,ミ、 ∨// |/ x t_ア .》 l|l/|| |    /    
',',. γ=== .ゝ     .|γ `===''、 l||:::|| |   /      この瞬間から、私は正しく在りましょう。
;:','={{     }}==='{{   ',ヽ  }}="::::|| |   l
;:;:. .丶 __ 人.   |丶_', ヽ.ノ;:;l::::::|| |   l       わが不詳の弟子どもに誇れるように。
;:;:;:.   ̄ ̄ ヽ'    |ヽ ̄ ̄ ',:;:;'::::::|| |  <      正しい姿を見せられるように。
';:;:;::;:.   /       |:::〉  :;', /:::::::||  |',  l     
;;';;:;:;:;:;:.   "'- 、_ .|/     :;l/,':::::::||  | l  ∧     夢宮のクソババアにはできなかったことを、
;;;∧;:; ( r==----  --‐一 :;/,', ::::::||  / l    \   やってやりましょう。
ヽ::∧;:;:. ー -- ─ - ─' :;:/:,',':::::::|| . / l     \ 

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|「じゃあ行きます」
|「おい貴様、ローブは要らんのか?」
| 
| 私服姿で身構えるアリカに、アンデルセンは意地悪く尋ねた。
| それで全力と言うつもりか? 無様を晒すぞ?
| 
|「もっちろん。だって『蒼天の青玉』使ったら、悪魔殺しの結界や剣が効きそうだし」
|「いい判断だ……アンデルセンの結界内部では『蒼天の青玉』の出力は五割以上ダウンするだろう」
| 
|「死人が喋るな」
|「その状態ではすべての性能が下がるどころか、重しとなって足を引っ張りかねない」
|「エミヤさん、静かに」
|「先輩……もはや解説するしか己を保てないのですね……」
| 
| 闇の中から現れたさらに一人二人、間桐桜が『弓兵』を安全地帯まで引きずる。
| 重傷の凜と慎二はお休みだが、桜はこの作戦に参加していた。
| 
|「ほっときなさいよ、自業自得よ」
| 
| 冷たく言い放つのはルイズ。彼女も『血族』の捕虜であったはずだ。
| だが、開放された。
| 
| 同じく囚われの蒼星石が志摩子に進言したのである。
| 間桐臓硯を討ち果たし、もはや因縁の解消した『弓兵』らに協力を指示せよと。
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342死夢見 ◆XDD/DkyjV6:2022/06/19(日) 10:39:39 ID:f.FD/ylsMM





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           ∨‐' ´ ̄ ̄二二ユ_
       r==ニ二ニ三三三三三二≧
          `ヽ三斗‐〒:: ̄`::.:‐<三/
.          /::.::/::;:: |l::.::.ヽ.::.::.ヽ::.::ヽ
         l::.::;':://:八::ト、::\::.::.}::.::.|
          |::.::レ':∠ -ヘ:ヽ`≦ニ|::.::.|          間桐臓硯が討たれたのは自業自得です。
          ∨::.l:代j歹 \ 它フj::.}:/          だが、彼を失う損失を埋める穴が必要でしょう。
         }:l::.|:ゝ       /:/:,'_ ,.‐ 、       遠坂凛と『弓兵』への接触を図り、彼らに協力をさせてはいかがです?
          /人:ドヽ、_ r¬ 彡l::リl !   rf:ヽ
        ′ `ヽ _r┴ミ_T´レ' |/ |. ヽ,. ナ/ /
          rt<   /ニ7弌ー、 ㌦ .!/ /
         / :.`ヾ、 く〈 //|ト、〉〉ハ 'ミヾ! ィ、
          /:.:/:.:.:.{ } ヽ/| |}{∨ |l:{|`~~~´ i
.         /:.:/:.:.:.:.:.{ }   | |}{| L |}{| 。   |
        /:.:/:.:.:.:.:.:.:.{ 〉   | lXト 〉|Y 。  /

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| という訳での参戦だ。
| 東京を守るという目的が合一するならば、やる夫たちが『血族』と事を構える理由がない。
| 
| ニャルラトホテプと『人類補完計画』という問題もあるにはあるが、
| どちらも組織としての『血族』が全面支持している訳ではない。
| 
| だが、『弓兵』たちは間桐臓硯を殺した。
| その落とし前は。
| 
|「僕が告発する。爺さんは百年以上生きている悪魔で、いくつかの反吐が出そうな計画を立てていて、
| そして雁夜おじさんと桜はその犠牲になった」
| 
| 瀕死ながらやせ我慢して宣言した慎二。
| それを補強するかのように資料を集めて提出してきた間桐子飼いの忍者たち。
| 
| 彼らの言と証拠の数々から、フリットと志摩子は黙らざるを得なかった。
| そして、もうどうにでもなれとばかりにこの『シロッコ排斥』に投入された次第である。
| 
| 『弓兵』、桜、ルイズに『三日月』。
| 正面玄関側で戦う本隊並かそれ以上の大戦力である。
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343死夢見 ◆XDD/DkyjV6:2022/06/19(日) 10:41:14 ID:f.FD/ylsMM






                ィ ィ、 ノ|ィ   ,,,ィ
    ,、-ー '''' ー 、/|(イ(-'"ノノ''''"イ"''''"´"レ,、-ー ''''''''
   /  死 き ヽ"(ヽツツイ,ーイ},,从ッレッッ/ 選. 早
  /   ぬ さ  ',)))ヽ)ツ;;(从Lミミミ〉〉;/  べ く
  ,'   べ ま   lリヅ从ミミ从`' 、;;));;ll|  // 死
  l    き は.  |;;;;ィノイミ从从ヽヽ"l|||  ・・  に
  l    男     l;;;イ从从从゙l|||从从l l;|     場
  ',.   だ    /|;;;|、ノ从从;;;;从从;;从ヽ    所
  ヽ  //    /l|ノ)从从l| l|l||;;l|イイ从从ヽ   を
   ゙' 、・・   /;;;イノノノノノl||l;;;;ツ从;;/;;;从从`゙)ノ― ''
    ノ>―''ヽ;;;;l|;;;|彡ノノイl|;;|;;;;l;;;;;|;;;;/从;;;;)从从之
    之三;;彡;;;、l|;;|;;;lイ/从ノ;八;|llYイノイ/;;从从ニ<
    /イ/t=;;;;;ミィ;;;;;;;;;;;`ミ;;人ィ''彡二二ミ゙'、j;;jj;;ュ;;;、)
    ((/;;|lヽ;;|、'''ィ,t;;ッ=、;;;j人;;;ィ:;ミッ;ラニ' イ;;;/ l|;;lト
     ゙之;;;'、l|;;゙, ::、` ̄´´":|"ン:::::::::'''イ:.. リ;イ),r';;之ー
     {彡;;;ヽ;;;',::::::...   ::::|: リ::::  ゙  イ;/ノ;;;;゙l|
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      ノノ;;;;;;|:l|:', :::: : :::`゙'ー '´"    ,':::l|/;从`' 、
  ,, 、-ーz''"イリ|l|::|l:'、 : ::::::: ,;}、     / :: ゙l、从l|',::ヽ
''" ,、 '":/   /|::}}:::ヽ ::::::r'二゙゙'ヽ   , '::: :: ::l|彡 ',从
 /イ::/:: ::::/::l| }}:::::ヽ :::::..'""''   , ':::::: :: ::}::l|彡::: ll||
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イ:/::  ::::リ'ー、,,   ヽ  \::::',彡  /彡   ::/::::彡  l}{
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| その大戦力が囮だなどと、誰が知ろうか。
| 
| ケンシロウたちが正面玄関周辺での戦闘を激化し。
| アリカとアンデルセンが睨み合う下。
| 
| 新宿衛生病院地下施設、元はデュランダルの研究機関。
| 今現在はシロッコの城、彼を僭主と見るか、正統後継者と見るか。
| 
| 本人は盟友であるデュランダルから引き継いだと言い張るだろう。
| だが……レイ・ザ・バレルは考える。
| 
| シロッコは、『モーリアンC.O.』に何をした?
| 首脳部を皆殺しにして、技術だけを奪った。
| 
| 未だ再稼働には至っていないが、いずれは『モーリアンC.O.』の直営工場はシロッコの兵器工場として動き出すだろう。
| サイボーグ兵士を量産するための部品工場として、だ。
| 
| シロッコに邪悪があるならばそこであり、しかし、使えるものは何でも使うのは美点でもあった。
| 少なくともレイはこれまで、才能と資産に溢れながらも、
| 誰からも必要とされなくなった類の何かから輝くものを作り出すのを才能だと思ってきた。
| 
| しかし、実際の所はどうなのだろう?
| 
| シロッコのそれは天賦の才なのか。
| それとも、簒奪者の邪法なのか。
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344死夢見 ◆XDD/DkyjV6:2022/06/19(日) 10:41:26 ID:f.FD/ylsMM





                            _ , ─. . 、─-、
                          ,- 'フ‐‐ニ ̄、ヽ:ヽ  ヽ
                         i..、_- x---.ニヾ、 i: i:l .|) _,. --、
                         乂:`.-...、二>: : ヽ: :},イ_二 ̄ヽヽ
                         .ヽ::::::::::::::::>.-.、:).-ヽ: : : : ` 、ヾ.、
                          _{:::::>≠'─‐. . 、ヘ:厂`._: : : : ヽ!}、
                         ,.ゝ.': : : {: : : : : : : : : i人!::::::ヽ: : : : ij ヽ
                      ,__/: ヽ: : : ;ヘ、: : : : : : /': : |::::::::∨: : : : : :ヽ
                     /: ' : : / i: : : : :\: : : : : : : : :}_::::∨: : : : : : :i
                   ,イ: : i: : :/: /|: : : : :,: : : ----ヘ/: : : ヽ:┤ : : : : ト::|
               ヽ--‐.'フ: /!: :/1/ ,イ: : : ;イ: : : : : : : : ト: : : : :i:::ヽ: : : : :|V
                  ./ / : |:乂 |' ノ |: : //lヽ: : : : : : : : : : /├‐┘: : : :!
   イ               i / ;-ハ{x__ヽ  |/__|:ハ :i: : : : : // /: : : : : :ト:/
   il               ∨' l: |.rj `   ,__  /' V: : : : :/:_ : / : : : : : 从i
  .ヾ、               ヽ |: |      i 行-ァ /: : :/'‐.} ' : : : : : /
   ヾ.、              ,. .' : :《 '     ` -' / _/,‐}/: : : ,イイ'
    ヽ`. . 、     __,. -': : : : : : :.ゝ   、    ̄ ̄,. . ヘ' : : : ; ' ノ '
     `  - ニ=====,-: : : : : : : : : : : : : : : :>,ェ---- ≦'!: : : : : : /       上は上手くやってンみたいだなァ。
         ,. -. ': : : ; -= ': : : : : : : : : ; ‐' /V  ̄ ̄//: : : :/
      ,.-.': : : : : : : : : : : : : : : : : : : :/ ,ィ./ >.'-- // X : : /
___./: : : : : : : : : : : : : : : : : : : ; ゥ/, ' .レ'{'./ λ /: / , ' ヽ ,'
  / ; - フ : : : : : : : : : : : : ;n_0 '__|/: : : /i__),--' ': / /   .ヽ
/; '  / : : : : : : : : : : : ;イ!.iノゝ-┤: : , '  /ヘ-/;イ'  i     .ヽ
. '  / : : : : : : : : ; - ',  ' W '/  人 ;イ   。 /' |'  .|     ∨
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|「さっきからドタバタしてるのは研究員ばっかしだな」
|「戦える奴らがいなくて助かるよ」
| 
| 地下に潜入した杏子班+レイの五人。
| 攻撃されるなんて夢にも思わなかったし、対処も訓練もしていないのだろう。
| パニック状態で行ったり来たりする女性研究員を横目に進む。
| 
| 彼らが求めるシロッコの研究資料だが、果たして一般研究員が閲覧できるセキュリティレベルなのだろうか。
| なのだとしたら、ちょっと追いかけて捻り潰して拷問の一つもかけるのだけれど。
| 
|「美人の研究員捕まえて尋問しようぜ」
|「なんで美人に限定なンだよ」
| 
|「美人しか見当たらないからな……」
|「正直意味不明なんだけど」
| 
| 全てはシロッコが女好き……というか、「男性より女性が優秀」という偏見の仕業と言うことになっている。
| 実際には、シロッコの有する1/fゆらぎが女性に効果的だからである。
| 
| シロッコの『ゆらぎ』は極めて強力で女性はメロメロ。絶対裏切らない愛人兼下僕を作り出せる。
| 無論彼以上の『ゆらぎ』があればその限りではない。ないが、シロッコは『教会』内部では最強だった。
| 
| つまり、世界最強ということ。
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345死夢見 ◆XDD/DkyjV6:2022/06/19(日) 10:41:36 ID:f.FD/ylsMM



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                     ,. --- 、     /   / /       ミ\
                     , イ/⌒ヽヽ  / // /  /   / ハ `ヽ
         /二二ヽ、   / // ((⌒ ノノ /// / / //   /   /ハ    !
        / /___\\ | | |  `ー‐ ' // / // / /  /    /∧ l | |
          |/  ____  \\.| ヽ____/l/ | //,イ l┼/-// _.  '"// l | | |
      /  /    `ヽ、`丶、         l/ハ{」 l | / //  `メ、  | | / /
     / //        丶、  `ー─‐ '´  川  l `==       //┤/
    ///! / __     , --‐ ''"´ ̄ ∩  ///  } ""    `== _//ノ{ {
   // / | | ⌒))   / __. --/⌒ヽ_| ///   ∧  、'__  ="/イ/ハヽ
   { { l ヽニニノ   // / / l レ'^ヽヘ-┬─‐ '´  |ヽ ` 〃 ,. イ /{   \\
   トヽ  ̄ ノ     / { // /  |  / )! ヽ|     r┘ ` ll'"//  /  \   ヽ )
       ̄ 〃   | ∨/ /  /ハ /.ィ1  |、    ヽ     jj !!  {\┬、\ レ′
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| にはならない。
| 
| 少なくとも同等の1/fゆらぎを有する藤堂志摩子。
| 遥かに高みから武器として使用してくるニャルラトホt……『やる夫』。
| 
| この二人の存在こそシロッコの不幸、天敵、目の上のたんこぶ。
| 篭絡できないからこそ、シロッコは『血族』を滅ぼさねばならない。
| 
|「彼女らは一般人だ。手荒なことはするなよ」
|「アイアイ」
| 
| ファイルの束を抱えてよたよた歩く30絡みの女研究員、白衣の下は露出度の高いワンピース。
| ヴァイジャヤはポーチから出した小瓶をハンカチに染み込ませ、女の口と鼻を塞ぐようにかぶせた。
| 
| 白目を剥き、昏倒する女。その尻を横島が支えた。こっそりおっぱいに触れる。
| 
|「聞こえるか?」
|「ぅ…………聞こ、ぇます」
| 
| うわ言めいた返答。ヴァイジャヤの薬物は魔力のない一般人なら抵抗できない。
| 
|「シロッコの研究資料はどこにある?」
|「しら……ない……あの方、は。命令する、だけ……」
| 
| 予想通りの答え。落胆すらない。
| 横島が女を壁に寄りかからせる。そのまま放置の予定。
| 
|「お前は何を命じられていた?」
|「捕虜……の治療、と……洗脳」
| 
| 念の為確認したヴァイジャヤ、横島が硬直する。捕虜? どこの誰だ?
| 
|「ヴァイジャヤ」
|「捕虜はどこの誰だ? 知らないなら容貌を言え」
| 
|「眼帯の女と、赤い手の子供……『集会』で……」
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346死夢見 ◆XDD/DkyjV6:2022/06/19(日) 10:41:46 ID:f.FD/ylsMM



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