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新年も爆発するカフェと魔法検定試験

1トーム(^ω^ ):2017/01/07(土) 22:20:20 ID:J5ZUlMko0
・荒らしはスルー
・他キャラの向こう側には自キャラと同じようにプレイヤーが居ます、思いやりの心を忘れずに
・自分の不快感は分身である自キャラの不快感、嫌だと思ったらキャラクターの行動として出してみよう
・一人じゃ出来ないと思ったら他のプレイヤーに助力を求めてみよう
・長いイベント、遅いレスは他PCを長期間拘束している事を知っておきましょう、イベントを幾つかに区切るのがお勧めです
・上記のイベント、レスは長期化すればするほどグダグダになりやすいので覚えておきましょう
・カップル成立等キャラ同士の恋愛は禁止していませんが、利用規約の範囲内で、節度を持って行動しましょう
・キャラ、組織は成長します。発生しないことが一番ですが、もし矛盾が生じた場合、後付けの設定を優先します
・疑問に思ったらその時に空気を気にせず聞きましょう。聞かずに禍根を残したり他スレへ行って争う方が空気を悪くしています

まとめwiki:ttp://www40.atwiki.jp/mahoken/
うpろだ:ttp://www6.uploader.jp/home/mahoken/

ttp://jbbs.shitaraba.net/bbs/read.cgi/otaku/15943/1440852946/

2黒髪の女の燃えかす:2017/01/07(土) 22:23:45 ID:eRkB3tXk0
>>1乙!


ヒャッハー!汚ぇ花火だぜっ!

3トーム:2017/01/07(土) 22:29:14 ID:J5ZUlMko0
            ようこそ青空カフェへ
              このルートビアは私のオゴリだ
       ( ^ω^)  シュッ
      (つ   と彡 ./ 
          /  ./
         /   ./
       ///  /
      / 旦  /
     /      /

4再生する黒髪:2017/01/07(土) 22:33:11 ID:eRkB3tXk0
>>3
「相変わらず強烈なにおいだな……」
のみたくねー!って顔で目の前のグラスをにらんでいる

5トーム:2017/01/07(土) 22:36:16 ID:J5ZUlMko0
>>4
「慣れるとこの湿布薬みたいな匂いが癖になるんだな、これが」
目の前でルートビアを一気に呷る呷る。しかし、黒髪の前のグラスには手をつけない。

6黒髪の女:2017/01/07(土) 22:46:10 ID:eRkB3tXk0
>>5
「はっ」

「蓼食う虫も好き好き、か?」
在り続ける。それは飲む誰かがいることではあるな。と。浮き立つ泡を見つめ嗤った

7トーム:2017/01/07(土) 22:50:02 ID:J5ZUlMko0
>>6
「ま、誰にでも受け入れられるような味じゃねえから特別感は増すってもんだろうがな」
くつくつと喉を鳴らし、悪戯っ子のような笑みを浮かべた男は、さっと掻っ攫うようにして黒髪の前のグラスも呷る。
冗談のつもりだったのだろう。

8黒髪の女:2017/01/07(土) 22:54:38 ID:eRkB3tXk0
>>7
「違いねぇ」

「食べ物に関して云うならば。選り好みしない自由な舌の方が便利だと思うが、な」
折角の奢りをこうやって逃してしまうのだからな、と。楽しそうな顔は共犯者かのようで

9トーム:2017/01/07(土) 23:01:02 ID:J5ZUlMko0
>>8
「便利が楽しいとは限らねぇさ。嫌いがあるから好きもある、ってな」
 気付けば、魔法のようにして黒髪の前にはホットなコーヒーが湯気を立てていた。

「限られた自由の中でこそ、楽しめるものもあるってことだ」
 それは先程の冗談のお詫びも兼ねていた。元から頼んでおいたのだろう。
気付けば、奥で恭しく一礼をするマスターが目に映る。コーヒー自体はどうやら彼が淹れてくれたもののようだ。

10黒髪の女:2017/01/07(土) 23:37:11 ID:eRkB3tXk0
>>9
限りなく黒に近い珈琲。
無難であり、またこれも好き好きであり、そして女には……

「然り」
「だが、もし空腹時に見つけた食物。それが苦手なもの……極端な話、拒絶反応がでるものより難なく食えるもののほうが生き延びれる、そういうこともある」

「生きると嗜好を並べるのは大袈裟だが、な」

11トーム:2017/01/07(土) 23:44:31 ID:J5ZUlMko0
>>10
「そうかい?俺にとっちゃ、等しく大事なことだ」

「ま、お前さんはココアの方が好みかもしれねぇがな」
 知った上でまた注文をしたのだろうか、この男は

12ベルン:2017/01/09(月) 22:17:21 ID:GNKS9DAY0
>>トーム

「……上等、遠慮をする気も出し惜しむ気も元々無かったが――文字通り全霊で往く、越えられるなら越えてみろ!」

互いに全力を繰り出す準備は万端、なら出し惜しむ必要も情けも――“殺してしまうかも”なんて不安ももう要らないだろう。
正直に言えばどちらの最大が勝るかなんて解らないが、勝敗の結果は兎も角、全力で挑んでも奴は凌いでくれる、なんて奇妙な感覚が有ったから。

だから、安心して全霊で挑める、全力を躊躇い無く叩き込める――。

白骨の津波が軋み不快な音を奏でる、延々と膨らみ続ける自身に耐えきれない、と訴えるように。
それでも男は魔力を注ぐ事を止めない、この程度では奴には届かない、と。
それはトームの術式が完成する直前まで続くだろう、そして、トームの攻撃が行われるその瞬間、白い津波のような骨壁は、怒濤の瀑布となってトームを飲み込まんと迫るだろう。

13クオン ◆YJMWmO4ZS6:2017/01/14(土) 20:24:25 ID:T0YCDSjI0
【カフェ】
 鏡開きを過ぎ、今カフェでは餅類が安い。

「ですが既に若干飽きているところでもあります」

 期間限定メニューを見つめながら悩んでいる。平和な悩みだ。

14黒髪の女:2017/01/14(土) 21:43:54 ID:eRkB3tXk0
【カフェ】

「話は聞かせてもらった!」

「そんなときには刻んでパンケーキにいれると……もちもち……ふかあ…… 」

食べすぎてカロリー制限中です

15クオン ◆YJMWmO4ZS6:2017/01/14(土) 21:53:42 ID:T0YCDSjI0
>>14
「刻む、そういった方向性ですか。単純に食管を足すためだけに使う、アリかもしれません」

 意外と感心している。ダイエットとは無縁なのだろうか。
確かに自己修復はカロリーを使いそうだ。本当にカロリーを使っているなら全体再生などした瞬間に餓死するだろうが。

「でもふかふかになりますか? 結構歯ごたえ出ちゃいそうですけど」


(「すみません、タイミング悪くお風呂入れと言われたので席をはずします……なるべく早く帰ってきますので!」)

16黒髪の女:2017/01/14(土) 22:05:23 ID:eRkB3tXk0
>>15
「生地が膨らんだ後しぼまない、らしいぞ」
もっちもっち。

(はーい!自分もまったりしてるので時間空いたらごめんなさい!)

17ヨギリ ◆NEKO/v5qmw:2017/01/14(土) 22:27:42 ID:A0KLHhB60
「もち入りパンケーキと聞いて」
(カフェのカウンター下からなんかニョキィと生えてきた)

18黒髪の女:2017/01/14(土) 22:29:50 ID:eRkB3tXk0
>>17
「今のポップ……さながら膨らむ餅の如し!!」

19ヨギリ ◆NEKO/v5qmw:2017/01/14(土) 22:39:39 ID:A0KLHhB60
>>18
「ぷわー」
(/・_・)/←こういうポーズで膨らむ餅を表現しようとしている

20黒髪の女:2017/01/14(土) 22:42:12 ID:eRkB3tXk0
>>19
女はいつの間にか当然のように出されていたコーヒーカップをとりながらくつくつと笑った
「そんなに膨れては割れるぞ」

「しかし、初めて見る顔、だな?」

21クオン ◆YJMWmO4ZS6:2017/01/14(土) 22:46:09 ID:T0YCDSjI0
>>16
(「ただいま戻りました〜本当にごめんなさい」)

「なるほど、複数枚焼いていると冷めちゃったりしますからそれは大きいですね」

 餡子以外の餅の甘味の可能性に関心を寄せているらしい。
そして自分で焼いたときの失敗談を仄めかせる。


>>18
「こんにちは〜」

 マイペースに挨拶。

「でも下側から膨らんだりすると網にくっついたり……
上に醤油をたらすといい、というのを試しましたが、それでも失敗したのですよね〜」

 呪いか何かだろうか。

22ヨギリ ◆NEKO/v5qmw:2017/01/14(土) 22:48:48 ID:A0KLHhB60
>>20
「……。」
(っ・_・)っ ←腕の上げ方をちょっと控えめにしてみた
 
「……。もうしおくれました。ちょっと前に……この街に来ました」
「ヨギリです」
(パッと見はイケメンな顔立ちの男は名乗り、ぺこーと頭を下げた)

23黒髪の女:2017/01/14(土) 22:53:56 ID:eRkB3tXk0
>>21
「……解るぞ」
そう、自作すると積んでる間に冷めるのはよくわかる……!
「一枚辺りがボリュームを持つことになる故小腹程度なら一枚焼いてすぐに食べられる」

>>22
「ヨギリ、か」

「ヨギリは大分素直なようだな。精々化かされないよう気を付けるべきかもな?」

にやりと細めたサングラス越しの瞳は、青年をじっと眺めている

24トーム:2017/01/14(土) 22:55:54 ID:J5ZUlMko0
>>12
「 『―――深緑の風、其は滅びを招く者。悠久の終りを告げる者。賢者の慟哭とて聴かぬ者。』」
 詠唱は淀みなく、風に乗るようにして紡がれた。嵐の前触れのような静けさにも似た、息の詰まりそうな程の重苦しい空気の中で
その男の声はやけに透き通るようにして響いたものだった。
 集束したマナが魔術という形を作り、術式を構成していく様がベルンの目に映った訳ではないが、それを示すようにして今ひとたび豪と風が吹く。
「『汝を縛る理は無く、彼方の声、我が声を道標として、此処に招かれよ』」
 それが術式の完成をほどなく告げるものであったことは、ベルンにも伝わったことだろうか。 あとただの一押しでそれが発動するものであるということも。
 しかし、もう一つのものはきっと風に巻き上げられる砂塵によって見えなかったことだろう。その最後の一押しをする男の、狂喜にも似た笑みを。
 

「――――『シルフィード・ブレイク』ッッッ!!!!!」

 声に合わせ轟然と唸るそれは、ベルンへと挑みかかる。
 それはまさしく、嵐そのものを体現していた。

25クオン ◆YJMWmO4ZS6:2017/01/14(土) 22:59:27 ID:T0YCDSjI0
>>23
「ん〜でもホットケーキミックスとか使うと一度に使う量の計測が面倒で一袋使っちゃったりしますからね〜」

 魔法薬専攻の錬金術師ならそのくらいの手間を惜しんではいけない。

「あと焼いた後シロップがないことに気付いたときとか困ります」

 それも確認しないのはただの間抜けだ。その時はバターで食べたらしい。

26ヨギリ ◆NEKO/v5qmw:2017/01/14(土) 23:01:44 ID:A0KLHhB60
>>23
「……。そう?」
(素直、と言われて小首を傾げた)
 
「……おねいさんは……それは、あれですか。」
(サングラスを指差し)
「……最近出たっていう、新型ゲーム機の……ぶ、ぶい…あーる…」
(なんか世界線がめちゃくちゃなことを言い出している)

27ヨギリ ◆NEKO/v5qmw:2017/01/14(土) 23:05:26 ID:A0KLHhB60
>>21
(アッすいません>>18はもしかして自分宛てでしたか…ッ!)
 
「どうもこんにちは」
(こちらも下から這い出ておきながら、ナチュラルに挨拶)
「……、……もちを入れたパンケーキにすれば、おそらくだいじょうぶです。作りましょう。パンケーキにしましょう。」
(パンケーキ推しが強い)

28黒髪の女:2017/01/14(土) 23:06:46 ID:eRkB3tXk0
>>25
「……」
「最近は小分けされているものも在ると聞く」
「値段は割り増しだが便利だぞ」

「……そも。マスターに作らせれば良いのでは?ソースの心配もせずに済むぞ」
しかも選び放題だよ!

>>26
「VRナントカだな」
さらっとノらないの

「こいつはすごいぞ。目の前の物が立体的に見える上に触れるときた」
嘘はついて……いない!

29クオン ◆YJMWmO4ZS6:2017/01/14(土) 23:10:47 ID:T0YCDSjI0
>>26-27
(「すみません。安価ミスしてました。そのとおりです……」)

「VRっぽいのならカフェにありますよ? 基本は戦闘シミュレーターですけど」

 意外と最近でもなく普通にVRのあるカフェ。世界観むちゃくちゃなのは元からだった。
しかも一応ゲームもあるらしい。何故か恋愛シミュレーションだったが。

「電脳空間だと自己修復持ちとか不死の方以外でも気兼ねなく戦えますからね〜」

 パンケーキ推しに対する模擬戦推し。女としてそれでいいのだろうか。そして紅茶を注文している。


>>28
「マスターに注文すると普通のパンケーキでも全部冷めずに出てきますからね〜」

 そしてソースのバリエーションが多すぎる。リンゴジャムか生クリームかで悩んでいる。

30ヨギリ ◆NEKO/v5qmw:2017/01/14(土) 23:13:33 ID:A0KLHhB60
>>28
「おお、そうそう それ」
(ぽん、と拳を打った。通じちゃったァ!)

「まじすか ぱない」
「ちょっと…ちょっとだけ…お貸し願えませんか」
(そわそわしながら目を輝かせてしまっている…)

31ヨギリ ◆NEKO/v5qmw:2017/01/14(土) 23:19:17 ID:A0KLHhB60
>>29
「なんと」
(カフェ半端ない。)
「戦闘……ほう……。……、あ、でも食べ物は…食べても、やっぱり味しないのかな…」
(ブレないパンケーキ推し)
「……。……あなたは、バトルガール?」
(意訳:あなたはなにか戦闘能力があるのですか?)

32黒髪の女:2017/01/14(土) 23:19:52 ID:eRkB3tXk0
>>29
「待つ手間もいらぬ。腹が減ったら直ぐカフェだな」
キャッチーに言ってもだめですよ。いやいけそう。すぐカフェ。

「林檎ジャムときたか。果物系なら苺類が定番だが其も旨そうだな」

>>30
「高くつくぞ?」
なんてにやつきながらも外してはヨギリに差し出す。
繰り返すがこれはレンズにグラデーションがかかってるだけのただのサングラスだ!
そしてヨギリが着けている間にそっとソーサーをヨギリの前に動かしている!卑劣!

「さあ、皿が見えるだろう?」

33クオン ◆YJMWmO4ZS6:2017/01/14(土) 23:26:47 ID:T0YCDSjI0
>>31
「巨大回転寿司のステージがありましたけど、スイカはちゃんと味を感じたらしいですよ。
というよりも味がないと味覚干渉系の幻覚魔法とか再現できないですからね〜」

 明らかに謎のオーバーテクノロジー。

「私ですか? そこそこ強いほうのガールだと思いますよ。流石に神様レベルの方には手も足も出ないですけど」


>>32
「淡い甘さの生地に爽やかな甘さのジャムというのがいいのですよね」

 意外とこだわりを見せている。そしてドッキリもどきには目を瞑っている。
むしろ反応に少し期待している。結構いい性格しているかもしれない。

34ヨギリ(装備:サングラス) ◆NEKO/v5qmw:2017/01/14(土) 23:28:02 ID:A0KLHhB60
>>32
「出しましょう、袖の下」
(出しちゃうの)
 
(VRと固く信じているサングラスを両手で受取り、ドキドキわくわくしながらスチャ…と装着)
 
(そろそろ目の前を見る。視界に入るのは……)
 
「…………皿だ!」
(>>そりゃそうだ<<)

35ヨギリ(装備:サングラス) ◆NEKO/v5qmw:2017/01/14(土) 23:30:48 ID:A0KLHhB60
>>33
「えっ 味するの?ほんとに?するの?パンケーキパーティできる?」
(味覚まで再現可能と知って、一気にテンションが上がったらしい)
(そろそろパンケーキから離れてほしい)
 
「ほう……、そこそこ強い……。俺もね、バトルボーイです」
「どのような戦法をお持ちですか」

36クオン ◆YJMWmO4ZS6:2017/01/14(土) 23:37:02 ID:T0YCDSjI0
>>35
「できますけど、検定以外でするのなら有料ですよ? カフェですから」

 データ上で食べるだけなのでカロリーを気にしなくてすむ。そんなメニューがあるらしい。

「基本は自己修復と砂のオートガードで攻撃に耐えながら銃や魔法で攻撃します」

 あっさり答える。「皿だ!」の場面で目を逸らす。笑いをこらえているようだ。

37黒髪の女:2017/01/14(土) 23:41:31 ID:eRkB3tXk0
>>33
「くたくたに煮たとはいえ食感もあるからな……嗚呼、話せば」

ことん
もちふかパンケーキ(林檎ジャム添え)があらわれた!
「食いたくなる、な」

ヨギリへの悪戯の成り行きを見守っているクオンに、にやにやと笑った。


>>34
「カフェらしく皿だ」

「触ってみるといい。完全に陶器のそれだ」

さっそく化かされてるよヨギリくん!
サングラスを外してあらわになった冬空色が笑っている。

38クオン ◆YJMWmO4ZS6:2017/01/14(土) 23:48:20 ID:T0YCDSjI0
>>37
「食感が強めだとフルーツ感が増して贅沢感が生まれるんですよね〜」

 爽やかな甘さだとマスカットなどもあるが、あれは食感が柔らかい。
それなら素直に生クリームにフルーツをトッピングしたほうがいいという思考に至ったらしい。
自分で焼くときには適当だというのに注文するときは細かい。

39ヨギリ(装備:サングラス) ◆NEKO/v5qmw:2017/01/14(土) 23:49:05 ID:A0KLHhB60
>>36
「……すごいカフェだ……」
(今更ながら)
「じこしゅうふく……、と、砂ですか。おめずらしい」
(あまり今まで聞いたことのないスタイルだったので、興味深そうに頷きながら聞いている)
 
>>36 >>37
(そろそろ両手を差し出し、VR(と思っている)ソーサーに手を伸ばす)
(さわ…さわ…)
「はあ……、これは……、ほう……、スゴい……」
「ここまでリアルとは……、これ、取ったらなくなるの……?」
(ここでサングラスを外して確認してみようと、メガネ縁に手を掛けた!ヤバい!)

40クオン ◆YJMWmO4ZS6:2017/01/14(土) 23:57:00 ID:T0YCDSjI0
>>39
「動いて避けたほうが消耗は少ない、というのは理解しているのですけどね。
身体強化は行うのですけど、体術のセンスというものが欠けているみたいなので」

 だから砲台とか戦車のような戦闘になってしまう、とのこと。
随分多才ではあるものの、適正がかなり偏っているようだ。

 そしてバレそうになる。クオンにも若干の緊張が走る。が表情には出ない。ニコニコしている。

41黒髪の女:2017/01/14(土) 23:59:28 ID:eRkB3tXk0
>>38
「解っておるな」
「食感の違うものを組み合わせることで得られる満足感よ」

>>39
堂々とにやにやと見守っている
勿論お皿は消 え な い ぞ !!!!!

42ヨギリ ◆NEKO/v5qmw:2017/01/15(日) 00:08:13 ID:A0KLHhB60
>>40
「でも……こう、俺なんかはね、逆に動いて避ける系なんだけど……、
 追跡攻撃とか、そういうのきたとき、こまっちゃうんだよね」
「防御型だと、そういうとき強いよね」
(ごく自然に戦闘トークしている)
 
>>40,41
「……。」
(サングラス、キャスト…オフ…!)
「……。」
「……。」
 
 
「ん?」
「??」
(サングラスを掛けたり外したりを、何べんもくり返している!)
「消えない…。」

43黒髪の女:2017/01/15(日) 00:10:19 ID:eRkB3tXk0
>>42
「……」
「……くくっ」
「くはっ!かかかかかかかかかっ!!!!」
お腹を抱えて笑い始めた。つぼにはまってしまったのかもしれない

44クオン ◆YJMWmO4ZS6:2017/01/15(日) 00:11:16 ID:T0YCDSjI0
>>41
「ただミカンは、なんだか違うのですよね〜あれは冷たい甘味に合わせたいですね」

 味の美味さ、食感の美味さ、そして温度の美味さ。
そしてちょっとしたイタズラ。今日も紅茶が美味しい。ニッコニコしている。


>>42
「防御型は防御型で貫通攻撃が苦手ですから」

 ニッコニッコしながらマイペースに答えている。そして普通にお皿を手にとって見せる。
明らかに本物のお皿です。本当にありがとうございました。

45黒髪の女:2017/01/15(日) 00:16:08 ID:eRkB3tXk0
>>44
「俺は缶詰め蜜柑がどうも合わなくてな……寒天だののシロップ漬けなら食えるのだが」

「嗚呼、桃。桃も良いな」

ネタばらしに一役買ってくれたクオンに、またかかと笑った

46ヨギリ ◆NEKO/v5qmw:2017/01/15(日) 00:22:58 ID:A0KLHhB60
>>43 >>44
「???」
(頭上に?マークを多数浮かべている!)
 
(が、クオンが満面の笑みで皿を手に取ったのを見て)
「…………。」
 
 
「……騙されてしまった……。」
(やっと気がついた。ドッキリ大成功!)
(こんな顔をしている:ttp://zokusei.skr.jp/zokusei/joyful/img/365.jpg)

47クオン ◆YJMWmO4ZS6:2017/01/15(日) 00:25:34 ID:T0YCDSjI0
>>45
「あ〜缶詰のフルーツといえば練乳たっぷりのフルーツサラダが美味しかったです。
サラダというより練乳のプールにフルーツが沈められてる、みたいな代物でしたけど」

 物凄く甘そうだ。フィリピンのデザートらしい。


>>46
「嘘はついていないですよ? 騙す気満々でしたけど」

 より性質が悪い。

48黒髪の女:2017/01/15(日) 00:28:58 ID:eRkB3tXk0
>>46
「云っただろう、化かされると、な 」

笑いすぎてぜいぜいと荒い呼吸をしながら、指をならす。
ヨギリの前にパンケーキ(マーマレードジャム添え)が置かれた。

「まあなんだ、詫びみたいなものだ」

49黒髪の女:2017/01/15(日) 00:30:44 ID:eRkB3tXk0
>>47
「練乳……?」
べた甘そうだ、と言いたげに眉が寄った。
実在するんだ……

50クオン ◆YJMWmO4ZS6:2017/01/15(日) 00:36:08 ID:T0YCDSjI0
>>49
「私が食べたものはミカンと桃、アプリコットにナタデココ、そして寒天が具だった、と思います」

 ナタデココが異様に練乳と相性がよかったという記憶があるようだ。
ミカン以外は角切りにされていたとか。実際ベタ甘だったらしい。

51ヨギリ ◆NEKO/v5qmw:2017/01/15(日) 00:36:38 ID:A0KLHhB60
>>47
「むごい世界だ……」
(どっちかというと信じやす過ぎる方がアレな気がする)
「女の子はこわい」
(性別も今回特に関係ない気がする)
 
>>48
「ひどいおねえさんだ」
(爆笑を終えた黒髪の女を、ぺしょ…とした顔で見つめている)
(が)
 
「!」 
(パンケーキを目にすると、途端にキラキラオーラを発揮した!)
「えっ えっ いいの? 食べていいの? これはバーチャルですみたいなやつじゃない?」
(アッ流石にちょっとだけ疑うことを知った様だ!)

52黒髪の女:2017/01/15(日) 00:43:11 ID:eRkB3tXk0
>>50
「ふむ……また果物も甘いもの揃いだな」
「寒天が無糖で多ければ白米の如く……?」
それはそれで食べづらいぞ。たぶん。

>>51
わかりやすくしぼみ、復活する様はなんだか人というよりも仔犬みたいで。
穏やかな顔で笑いかけた。
「嗚呼。冷める前に喰うことだな」

「……それとも。俺が喰って『消しても』良いが?」

53クオン ◆YJMWmO4ZS6:2017/01/15(日) 00:48:14 ID:T0YCDSjI0
>>51
「あっ、でもカフェだと女の子に騙されるよりも爆発に巻き込まれる頻度のほうが多いと思いますよ?」

 世界そのものがむごい。というよりカフェがおかしい。

>>52
「別に寒天が多いわけでもなかったですね。凄く甘いのでお椀一杯でその日は甘味いらずです」

 相当甘かったらしい。それでも美味しかったという。明らかにバランスの悪い甘味だが現地で愛される理由があったということだろう。

54ヨギリ ◆NEKO/v5qmw:2017/01/15(日) 00:51:55 ID:A0KLHhB60
>>52
(仔犬、という印象はおよそ間違いないだろう)
(もし尻尾があったら今、たぶんめちゃくちゃ振ってるとこだろう)
 
「いやダメです消さないで下さいほんとに食べます今頂きますごちそうさまでした。」
(なんかゆったり口調だったのに突如、猛スピード口調になる男)
(どんだけパンケーキの存在大きいんだ?)
 
(そして一瞬にしてマーマレードジャム添えパンケーキを平らげた。)
(マスターが計測したストップウォッチの数値は0.2秒だ。はっやい。)

55ヨギリ ◆NEKO/v5qmw:2017/01/15(日) 00:55:56 ID:A0KLHhB60
>>53
「爆発……、爆発するときがあるの、ここ……、けふっ」
(マジでか…という表情をしながら、お腹をぽんぽんとさすっている)
「うむ、パンケーキも頂けたので……、そろそろ、寝ようかな……」
(時計の針を見て、ぼちぼち帰る(仮眠室に寝に行く)つもりのようだ)

56クオン ◆YJMWmO4ZS6:2017/01/15(日) 01:02:37 ID:T0YCDSjI0
>>55
「早食いの後寝ちゃうのは体によくなさそうですね」

 もう爆発することに疑問すら抱いていない様子だ。話題が自然に変わる。

「あっ、でもカフェの仮眠室なら意外と大丈夫……?」

 ゲームの宿屋効果でもあるのだろうか。

「まあでも切りがいいところで解散としましょうか」

57黒髪の女:2017/01/15(日) 01:06:05 ID:eRkB3tXk0
>>53 >>54
戦闘の話はさりげなく聞いていた。
いて避ける。そのために必要な速さを垣間見たような気がした。

「応。寝るなら歯磨くの忘れるな、よ」


「甘ったるそうだな……それこそパンケーキにかけるか?」
最後の一切れにジャムをたっぷりのせて口へ。
俺も帰るか、と立ち上がりマスターに支払う額は少し多目。
クオンの紅茶代だ。片棒を担いでくれたならこのくらいはすべきだろう。
……黒髪の女が誰かに奢る。それは突き詰めれば気まぐれなのだが。

「じゃ、縁が在ればまた」

58黒髪の女:2017/01/15(日) 01:06:52 ID:eRkB3tXk0
(変なとこ消えてる!「いて避ける」→「動いて避ける」です)

59クオン ◆YJMWmO4ZS6:2017/01/15(日) 01:11:13 ID:T0YCDSjI0
>>57
「では、またいずれ」

 片棒を担ぐといっても軽く便乗し見守った程度だ。そう考えているのか少し苦笑いを浮かべる。

「今度、パンケーキと合わせて食べてみますか?」

 そう、イタズラっぽく笑って見送る。クオンはもう少し、のんびりしてから帰るのだろう。

60ヨギリ ◆NEKO/v5qmw:2017/01/15(日) 01:18:21 ID:A0KLHhB60
>>56
「でもさ……お腹いっぱいになると……とても眠くなるよね……」
(もう既に、半目になりながら会話している。子どもか?)
 
「こんど、模擬戦でも……できたらいいね……。またね……」
 
>>57
(意図せずして、パンケーキ0.2秒食いで速度を証明していた男であった)
(が、既にその面影(?)も無く元のぼやんとしたペースに戻っている) 
「うん…‥。忘れなければ……」
 
「またね……、そうね……、ご縁があれば……縁から、きずなになるといいね」
「おやすみ……」
(目元をこすりながら、仮眠室へと向かいました)

61クオン ◆YJMWmO4ZS6:2017/01/15(日) 01:25:28 ID:T0YCDSjI0
>>60
「そうですね、私はあまり機会には恵まれませんが、その時はよろしくお願いします」

 少し苦笑い、それもすぐに微笑みに戻ってしまったが。
二人を見送った後、ゆっくりと過ごしてから転移魔導具で帰ったそうな。

62クオン ◆YJMWmO4ZS6:2017/01/21(土) 20:26:05 ID:T0YCDSjI0
【カフェ】
 カフェの入り口の床に何やら怪しげなものが仕掛けられている。
防犯用の砂利のようなものだ。踏むと何かしら大きな音が鳴るのだろう。
どうやら先週のイタズラに触発されたらしい。本人は入り口を観察できる席に座って本を読んでいる。

63サクラ ◆Cs/SCyFmEg:2017/01/21(土) 22:53:17 ID:cDOfPoYM0
>>62
入り口のベルを鳴らして、パーカーにアカデミー制服の少年が入ってくる――のだが。

ジャリジャリジャリッ!!

一歩を踏み出したところで異音に捕まった。
少年が辛うじて思考を追いつけた結論は、なんでこんなとこに猫のトイレが、だった。

「・・・」

少年は足元の状態を確かめるように、二度三度靴の裏でジャリジャリ言わせてみると先ずマスターに視線を向けた。
マスターは視線を合わせようともせずにグラスを磨いている。

64クオン ◆YJMWmO4ZS6:2017/01/21(土) 22:59:03 ID:T0YCDSjI0
>>63
 何やらシャッター音が小さく響く。見覚えのある誰かがデジカメを構えている。
上手く撮れているか確認して満足そうだ。完全に肖像権を無視している。

65サクラ ◆Cs/SCyFmEg:2017/01/21(土) 23:04:18 ID:cDOfPoYM0
>>64
「ボクは今、この珍事に関して猛烈に説明を欲しているんだ」

特に身体的な苦痛があるわけでもない。
それと同時に精神的な苦痛も少年は感じていなかった。
ただただ理解が追いつかない。

「クオン」

だけど、その姿を見て無性に腹が立つのは何故だろう。

「感想は?」

66クオン ◆YJMWmO4ZS6:2017/01/21(土) 23:06:04 ID:T0YCDSjI0
>>65
「イタズラに成功して満足です」

 普通に白状した。そしてふんぞり返っている。

「わりと面白かったです」

67サクラ ◆Cs/SCyFmEg:2017/01/21(土) 23:11:25 ID:cDOfPoYM0
>>66
「子供か!」

なかなかにキレの良いツッコミを披露する。
どこに面白要素があるんだ、とぶつぶつ言いながら、カウンター席に腰を据える。

「ブレンド、ブラックで」

若干むくれつつドリンクを注文する。

68クオン ◆YJMWmO4ZS6:2017/01/21(土) 23:24:39 ID:T0YCDSjI0
>>67
「いえ、でも以前考えた方法以外を考えるのとっても大変だったんですよ?
息抜きに普段しないことをしてもそこそこまでなら許される気がします」

 そう言って鞄からメモを取り出す。
そこには箇条書きでアイディアが書かれている。
・現在の人格を過去のイグニスさんに送り歴史を改変する形でイグニスさんが死んでいなかったことにする。
 ×過去のイグニスさんが他の人格を受け入れることが可能か不明。
・過去のイグニスさんを現在に召喚する。
 ×歴史の修正力で今現在の人格を保持することが不可能となる可能性がある。
・過去のイグニスさんにアクセスする。
 ×個人の資質に頼りすぎるため再現性がない。
・現在のサクラさんを過去に送り別人として定着させた上でイグニスさんを助けさせる。
 △過去に体ごと送る手段の確保が難しいため保留。
・いっそイグニスさんを神術系の転生術式で新しい命として転生させる。
 △どのような形での転生になるかわからないため保留。

 そこそこいろいろ考えていたらしい。だからといってイタズラのレベルが低すぎる気はするが。

69サクラ ◆Cs/SCyFmEg:2017/01/21(土) 23:31:03 ID:cDOfPoYM0
>>68
少年は一通りメモを眺めると、そっとクオンに突き返した。

「ボクだったから筋は通ったけど、違う人が引っかかってたらどうしてたのさ」

呆れ顔。

「それに、こんな面倒くさい手段を取らなくてもボクらが繋がれる方法はあるでしょ、もっと簡単な方法が」

聞き様によってはいかがわしい。

70クオン ◆YJMWmO4ZS6:2017/01/21(土) 23:33:45 ID:T0YCDSjI0
>>69
「このカフェならノリで許してくれます。窓割ってもそこそこの罰しかないですし」

 さすがにそこまで被害のあるイタズラならマスターがとめていただろう。

「ふむ? 何か見落としていたでしょうか……」

 思考が凝り固まっているのか全然ピンときていない様子。

71サクラ ◆Cs/SCyFmEg:2017/01/21(土) 23:39:35 ID:cDOfPoYM0
>>70
少年は無言で、自分の前髪に触れる。
そこにはオレンジのヘアピン。
男には不釣り合いだが、どことなく中性的な少年にはある意味似合っているとも言えた。

「何のための呪術ラインだよ」
「“キミが繋いだんだろう?”」

イグニスとサクラの関係を詳しく知らないクオンには気が付かなかった事なのかも知れない。

72クオン ◆YJMWmO4ZS6:2017/01/21(土) 23:43:05 ID:T0YCDSjI0
>>71
「……」

 なんとなくではあるが、少し不機嫌になった気がする。

「とりあえず私と繋げることはできます。で、具体的にどんなプランを考えているんですか?」

73サクラ ◆Cs/SCyFmEg:2017/01/21(土) 23:47:56 ID:cDOfPoYM0
>>72
「ボクの精神を経由して、イグニスの深層世界へ行って貰う」

既に用意していたかのように、少年はさらりと告げた。

「深層世界でイグニスを見つけることが出来たら、引きずってでも“現実(こっち)”に連れてくればいい」

74クオン ◆YJMWmO4ZS6:2017/01/21(土) 23:52:05 ID:T0YCDSjI0
>>73
「ふむ、ちなみにその場合のあなたの人格についてはどうなりますか?」

 とりあえずリスクの確認から入る。

「あと連れ戻す際の注意点ですね。深層世界で暴れて大丈夫なのか、怪我させても問題ないか、障害になりえるものはないか」

75サクラ ◆Cs/SCyFmEg:2017/01/22(日) 00:01:47 ID:cDOfPoYM0
>>74
「どうもしないさ」

サクラは、目を合わせなかった。

「“元通りになるだけだよ”」

そう言って少年はクオンに向き直る。

「深層世界は“イグニスに都合のいい世界”だ」
「そもそもクオンに暴れるだけの権限が与えられるかどうか分からない」
「イグニスがクオンを敵だと判断したなら、全てが障害に成り得るだろうね」

正直、ボクにも分からないんだ、と少年は溜息をついた。

76クオン ◆YJMWmO4ZS6:2017/01/22(日) 00:06:54 ID:T0YCDSjI0
>>75
「ふむ、ちなみにその案はその体にあなたがいないと実行不可能ですか?」

 カフェのロッカーを指差してみせる。

「別に使い魔として出力するのはイグニスさんでなくあなたでも構わないと思うんですよ。
体を丸ごと取り替えるようなものだからリスクは高いですけどね〜」

 笑顔で追加のアイディアを出してくる。クオンは、頑固なようだ。

77サクラ ◆Cs/SCyFmEg:2017/01/22(日) 00:19:02 ID:cDOfPoYM0
>>76
「不可能だ」

キッパリと少年は言う。

「ボクを“サクラたらしめているもの”は肉体という器も含まれている」
「それはイグニスにも同じことさ」

少年は目を細めてクオンを見た。

「今更、何に拘る必要があるのさ」
「ボクらを助けてくれるんだろう?」

少し意地悪な言い方だ、と少年は思った。

78クオン ◆YJMWmO4ZS6:2017/01/22(日) 00:30:46 ID:T0YCDSjI0
>>77
「正直ひとつの人格を犠牲にしてって形で蘇らせたくないんですよね〜
考え方によっては蘇らせるために人一人殺したという事実を強制的に背負わせる、という形になりますから。
選り好みできるならケチつける部分のない案を採用したいんですよ」

 随分とマッドな手段を提示してくる割には理想論を語る。

「ちなみに条件を満たす肉体さえ用意できればいけちゃったりしません?
呪術ラインで自己修復共有して体を切り刻めば正規の肉体を複製できたりとか」

 鞄からノコギリを取り出してみせる。先ほどまで理想論語っていた人物とは思えない。

79サクラ ◆Cs/SCyFmEg:2017/01/22(日) 00:42:53 ID:cDOfPoYM0
>>78
「犠牲って、勝手に殺さないでくれるかな」

少年は口の端を吊り上げた。

「ボクはそもそもイグニスの影だ、それが本来の役割に戻るだけの話」
「死ぬだとか、消えるだとか勝手に解釈しているようだけど――」

「ボクはイグニスで、イグニスはボクなんだ」
「こんなに我儘で自分勝手で、生意気で頭脳明晰で眉目秀麗で完璧な人間なんて二人も要らないよ」

冗談か本気か分からない自画自賛が沢山くっついてきた。

「クオン、キミなら分かってる筈なんだ」
「ボクらは“君たちとは違う”」
「ボクらはクーとクオンには成れないんだ」

80クオン ◆YJMWmO4ZS6:2017/01/22(日) 00:58:09 ID:T0YCDSjI0
>>79
「外から見たら、という部分もですよ? 例えば封印状態とか関われない側からすれば死と同じでしょう? 死んでいなくても。
そもそも本当に何も問題がないなら詳しく話しますよね? ちゃんと人格は残るし表にも出てこれるよ〜って」

 一呼吸。

「そして本当に二人も要らない、なんて思っているならもっと開き直ってると思うんですよね。
そうすればボクはさっさと消えることができる、とかですね。そういった話し方の節々が気になるんですよ」

 研究者としての、考えすぎという気質もあるのかもしれない。だが、どこか納得いっていないのは事実のようだ。

「違うんだ、の一言で済ませず成れないんだ、と付け足すあたりもなんだか胡散臭いです。
……まあ無理だと言われると何かしら考えたくなるのも研究者の性かもしれないですけどね〜」

 何故か、笑顔が嫌な笑みに見えてくる。おかしい。明らかに不必要なほどに細かい言葉に過剰に反応している。
それにどこか、人格を表に残すということに拘っている気がする。それこそ何か、クオン自身のトラウマを避けるように。

81サクラ ◆Cs/SCyFmEg:2017/01/22(日) 01:10:03 ID:cDOfPoYM0
>>80
「今日はこの辺にしておこう、多分このままじゃ何時まで経っても平行線だ」

少年はそんなクオンから逃げるように距離を置いた。

「クオンがそこまで言うなら、気が済むまで考えるといい」
「世の中には、キミがいくら足掻いたって変えれない事があるんだって事を知ればいい」

―溜息。

「今のクオンを見ているのが辛いよ、どうしてかな」

パーカーのフードを目深に被ると、少年は席を立った。

82クオン ◆YJMWmO4ZS6:2017/01/22(日) 01:23:46 ID:T0YCDSjI0
>>81
「……さて、許可も貰ったことですし足掻きますか」

 表情は変わらず笑顔。そして不思議そうな表情を浮かべる。

「直前まで足掻かずに、なんで変えられないって決め付けているんですかね? 何か判断に足る根拠でもあったのかもしれませんね。
もっと情報がほしいですね〜、情報源になりそうなのは、あの微妙に信用ならないメタノイア、という術式でしたっけ? アレですかね。聞けるか怪しいですけど」

 何故だろう、クオンはどこか相手を見ていない。いや、何かフィルターを通して事態を見ているように見える。

「今までの案を無理だと断定した根拠も、実際に試したのでしょうか。ん〜……わからないことだらけですね。もっと沢山色々話してくれればいいのに……」

 考え事をしながら、クオンはテーブルに頬杖をついた。またしばらく、カフェに居座るつもりらしい。

83サクラ ◆Cs/SCyFmEg:2017/01/22(日) 01:38:26 ID:cDOfPoYM0
>>82
「イグニス・・・・」

カフェを出た後、感じるはずもない寒さから守るようにポケットに手を突っ込む。

「どうしてあの人は“ああ”なんだろう」
「ボクらが現実を受け入れ過ぎているだけなんだろうか」
「もっと必死に、ならなくちゃ駄目なのかな?」

返ってくるはずもない答えを待ち続ける。
仰いだ空に、雪。

「・・・・・・」

84メアリー ◆YJMWmO4ZS6:2017/01/28(土) 20:06:29 ID:T0YCDSjI0
【カフェ】
 あまり見かけることもなくなった雪妖精が入店する。
過去の彼女とは似ても似つかないほどに覇気がない。意思が希薄。

 それでも少しずつ、再び世界を見ている。少しずつ学んでいく。
もっともその環境としてカフェが適切かはまた別の話だろうが。

85黒髪の女:2017/01/28(土) 20:54:05 ID:2GowRSx.0
【カフェ】
「くっ……プリンセス級でSランクがとれない……」

なにやら通信端末をいじりながら入店
カウンターに座るとチョコレートの盛り合わせがだされた。

86メアリー ◆YJMWmO4ZS6:2017/01/28(土) 21:06:58 ID:T0YCDSjI0
>>85
 今日のカフェは随分と静かだ。それに暖房が効いているはずなのに少し冷える。
見ると小さな雪妖精が先客として座っていた。冬だからだろうか。
特に何をするでもなくぼんやりと佇んでいる。検定に参加する予定だったのだろうか。

87黒髪の女:2017/01/28(土) 21:18:39 ID:2GowRSx.0
>>86
「此れは……クール特化の気配……」
と呟いて、いかんいかんと首を振った。
端末の表示を切って店内へと目を向ける。

「よぉ」
「『今宵は一段と冷える』な?」

88メアリー ◆YJMWmO4ZS6:2017/01/28(土) 21:24:53 ID:T0YCDSjI0
>>87
「……冷え、る?」

 言葉に反応して首を傾げる。種族的なものなのか寒さに対しての実感というものが薄いのかもしれない。
クールというよりは、不思議そうな表情ばかりだ。まるで何も知らない子供のような表情。

「……暖めますか?」

 コンビニの決まり文句のようなイントネーション。

89黒髪の女:2017/01/28(土) 21:33:56 ID:2GowRSx.0
>>88
「ふむ」
じ、と薄茶のレンズ越しに見つめる。

「寒暖の操作ができるのか?」
質問には、このままでよいと答えてから、問うた。

90メアリー ◆YJMWmO4ZS6:2017/01/28(土) 21:39:05 ID:T0YCDSjI0
>>89
「今は、冷やすだけ……」

 できないらしい。何故訊いたのだろう。深い意味はなかったのだろうか。
あるいはエアコンの温度設定でも変えてきてくれるつもりだったのだろうか。

 しかし、今は、という言葉には以前ならできたというニュアンスが含まれている気もした。

91黒髪の女:2017/01/28(土) 21:54:26 ID:2GowRSx.0
>>90
『今は』

「理由有り、か」

92メアリー ◆YJMWmO4ZS6:2017/01/28(土) 21:59:23 ID:T0YCDSjI0
>>91
「使っちゃダメって、それで杖、ないから」

 あまり要領を得ない返答ではあるが、特に話したくないとは思っていないらしい。
だがあまり明るい事情ではないようだ。

93黒髪の女:2017/01/28(土) 22:09:13 ID:2GowRSx.0
>>92
ふむ。
二、三度瞬きする時間を経て、女はチョコの皿とコーヒーの入ったカップを持って席を立つ。
断られなければ、同じテーブル、あるいはカウンターのひとつ空けて隣に座るだろう。
ーー妖精がたじろぎをするなら、また適当な距離をおいて座るだけだが。


「……不便か?」

94メアリー ◆YJMWmO4ZS6:2017/01/28(土) 22:11:55 ID:T0YCDSjI0
>>93
 少し考えるようにするが、首を横に振る。全体的に反応は薄いが、一応主張することはできている、かもしれない。

「杖、二回しか使ったことないから」

 むしろできないでいた時間のほうが長かった。そう言いたいらしい。

95黒髪の女:2017/01/28(土) 22:19:43 ID:2GowRSx.0
>>94
「成る程」

「危険なのは……己か?周囲か?」
「制御、ということもあるな」

96メアリー ◆YJMWmO4ZS6:2017/01/28(土) 22:26:24 ID:T0YCDSjI0
>>95
 少し首をかしげ、

「……どっちも?」

 使っちゃダメ、は妥当な処分だったらしい。

97黒髪の女:2017/01/28(土) 22:32:18 ID:2GowRSx.0
>>96
「諸刃の剣、か」

そっとチョコの乗った皿を押し出してみる

98メアリー ◆YJMWmO4ZS6:2017/01/28(土) 22:36:36 ID:T0YCDSjI0
>>97
「?」

 不思議そうに見つめる。どうやら意味がわかっていない様子。
近くにいれば弱い暖房がかかっていてもチョコが融けません。

99黒髪の女:2017/01/28(土) 22:47:58 ID:2GowRSx.0
>>98
「……」

「……」

「……ものは喰わないのか?」
適当に一つつまんで食べる。
なんということでしょう。指がべとつきません!

100メアリー ◆YJMWmO4ZS6:2017/01/28(土) 22:52:10 ID:T0YCDSjI0
>>99
「食べます、よ?」

 普通に食べるらしい。単に人との関わりの上でのアクションが鈍いだけなのだろう。
奢る、というよりも餌付けするという感覚に近くなるかもしれない。

101黒髪の女:2017/01/28(土) 22:59:52 ID:2GowRSx.0
>>100
「喰うのか」

「……好きなものを喰って良いぞ。寧ろ喰え」
命令形にしないと多分食べないな?と思ったようだ

102メアリー ◆YJMWmO4ZS6:2017/01/28(土) 23:04:34 ID:T0YCDSjI0
>>101
 少し固まる。その後言われたとおりにチョコをひとつ持った。妖精には随分と大きなチョコだ。
アストラルサイドの要素が大きい分見た目よりかなり食べることができるのだろうが、大きい。

 ひと齧り、味はわかるのだろうか。あまり表情は変わらない。しかし普通に食事はできている。

103くろかみ ◆DUSK/kzn02:2017/01/28(土) 23:34:31 ID:eRkB3tXk0
>>102
「……喰いきれるか?」

無表情で大きいもの食べてると流石に不安になったようだ

104メアリー ◆YJMWmO4ZS6:2017/01/28(土) 23:38:01 ID:T0YCDSjI0
>>103
「、一個なら?」

 思っているよりは食べることができるらしい。
人間サイズに直すと一個でも大盛り系に突入しているだろうが、問題はないらしい。

105??? ◆Cs/SCyFmEg:2017/01/28(土) 23:40:52 ID:nDuPxX0A0
【カフェ】

そんなやり取りに耳を傾けながら、カウンターの向こうでグラスを磨く男がいた。
ギャルソンエプロンを身に着けた40半ばの男は、黙々と仕事をこなしている。

「ふむ」

作業に満足がいったのか、言い聞かせるように呟くとグラスを並べる。

106メアリー ◆YJMWmO4ZS6:2017/01/28(土) 23:48:13 ID:T0YCDSjI0
>>105
 もくもくとチョコを食べている。味に飽きないのだろうか。
エネルギーを得たからか、少し冷気が強まった気もする。

107くろかみ ◆DUSK/kzn02:2017/01/28(土) 23:53:08 ID:eRkB3tXk0
>>104
「……」
明らかに見た目の容量と一致しないが、まあよくある話だ。
とは言い聞かせるものも、ふむ、とか、ほう?とか言いながら目を丸くした。なぜあげた。

>>105
リンリーン

「お代わり」

108??? ◆Cs/SCyFmEg:2017/01/28(土) 23:57:15 ID:nDuPxX0A0
>>106>>107
男は二人に視線を移し、口の端をニイッと釣り上げた。
そのまま背を向け、一端奥へ引っ込むとコーヒーカップをトレーに乗せて戻ってくる。

カップから湯気と香りを発する褐色。
男は慣れた手つきでそれぞれの目の前にカップを置く。

「これは奢りだ、口に合うかは分からんが」

カップの中身は珈琲。
酸味を抑え、苦味を少し強めにしたオリジナルのブレンド。

109メアリー ◆YJMWmO4ZS6:2017/01/29(日) 00:01:19 ID:T0YCDSjI0
>>107
 半分ほど食べ終わる。結構スムーズに食べている。
見られていてもあまり気にはしていない様子だ。というよりもやはり反応が鈍い。

>>108
「……」

 少し躊躇する。がとりあえず味を見てみることに。
流石にサイズ的に全部飲むのは無理だろうが、やはりチョコの味に飽きてきていたのだろうか。
しかしあまり表情が動かない。餌付けのし甲斐がない、かもしれない。
スプーンでコーヒーを飲む姿はサイズもあって随分一生懸命には見えるが。

110くろかみ ◆DUSK/kzn02:2017/01/29(日) 00:02:40 ID:eRkB3tXk0
>>108
「おっ」

「ついてるな、頂くぞ」

一杯目とは違う香りに、眉が楽しそうにはねた。

111??? ◆Cs/SCyFmEg:2017/01/29(日) 00:10:12 ID:nDuPxX0A0
>>109>>110

「珈琲は人生のようなものだ」

男は再びカウンターに入り、グラスを磨く。

「自分の裁量でいくらでも甘く出来るが、苦味の中に楽しみを見つけられたなら――もっと珈琲が好きになる」
「そうすると色んな香り、風味を探し出すようになる」

男は身を細めた。

「自分にとっての一番を見つけるのは難しい」
「その過程も、また珈琲を楽しむ事の一つだ」

112くろかみ ◆DUSK/kzn02:2017/01/29(日) 00:12:55 ID:eRkB3tXk0
>>109
スプーンの新しい使い方に感心しつつ自分もカップを口元に運んだ。
一口。
飲み下し肺に入った空気を鼻に通す。

「――ほう」

「旨い、な」

113メアリー ◆YJMWmO4ZS6:2017/01/29(日) 00:16:07 ID:T0YCDSjI0
>>111
「……?」

 不思議そうな表情からさらに眉が歪む。難しくてわからない、そう表情が語っていた。
ただ、悪いものの中にもいいものが見つけられるかもしれない。でもそれは難しい。
その程度には理解することができた、かもしれない。

>>112
 スプーンを普通に持ち上げているあたり、見た目よりは力があるのかもしれない。
表情は大きくは変わらないが、チョコと一緒に頻繁にコーヒーを啜っている。

114くろかみ ◆DUSK/kzn02:2017/01/29(日) 00:22:53 ID:eRkB3tXk0
>>111 >>113
「人生、……人生、か」

「『何れも』俺にはまだ足りていない様だな」

与えられたものをそのまま享受している。
してきた。
『自分好み』は、見つかるのだろうか。

ただ、

「―― 一度いれたものは除けない」

其れだけは、知っている。

115??? ◆Cs/SCyFmEg:2017/01/29(日) 00:27:39 ID:nDuPxX0A0
>>113
「今はそれでいい」

男はゆっくりと言った。

「分からずとも、いつか思い出してくれれば――充分だ」

少し早かったかも知れないが“約束”は果たしたぞ
と、男は笑った。

あの雪の日に。

>>114
「それもまた真」
「年寄りの戯言だ、無理に自分に当て嵌める必要はない」

男は黒髪を見た。

「自身を客観的に捉えることが出来ているなら、それは素晴らしい事だと私は思う」

116メアリー ◆YJMWmO4ZS6:2017/01/29(日) 00:33:05 ID:T0YCDSjI0
>>114
「……」

 ふと、何か考えるようにすると、スプーンに砂糖を山盛りにしてコーヒーに沈めた。
そしてすぐに引き上げる。スプーンにはまだ砂糖が残っていた。コーヒーまみれではあったが。

 沢山入れても、全部は溶けないよ。入れてすぐなら、溶けきらないよ。
そう言っているかのようだった。無論現実はそう単純でもないのだろうが。

>>115
 まだ、この小さな体以上に未熟な精神では理解しきれないだろう。
それでも、皆に教えられ少しずつ、新しいものが心の中に増える。きっと笑顔になる。時間はかかっても。

117??? ◆Cs/SCyFmEg:2017/01/29(日) 00:40:43 ID:nDuPxX0A0
>>116
「珈琲が飲みたくなったら、また言うといい」
「珈琲を振る舞って、こうしておしゃべりするのが最近の楽しみでな」

与えるだけでなく、得るものもあると男は言う。
それがとても楽しいのだ、と。

118メアリー ◆YJMWmO4ZS6:2017/01/29(日) 00:49:57 ID:T0YCDSjI0
>>117
 しばらく目を合わせるように見つめていたが、素直に頷いた。
今のところあまり出歩くこともないようだが、少しずつ、学んでいくことだろう。

119??? ◆Cs/SCyFmEg:2017/01/29(日) 00:56:10 ID:nDuPxX0A0
>>118
男は満足そうに頷くと、カウンターの奥へと下がっていった。
明日の仕込みがあるのだという。

中:このへんで失礼しやすー

120くろかみ ◆DUSK/kzn02:2017/01/29(日) 00:58:20 ID:eRkB3tXk0
>>115 >>116
くく、
かかか

「これだから、此処に来るのは辞められないんだよな」

121メアリー ◆YJMWmO4ZS6:2017/01/29(日) 01:01:39 ID:T0YCDSjI0
>>119
 しばらく無言でその姿を見送ると、チョコを再び食べ始めた。
既にチョコはほとんどなくなっていた。

(「お相手ありがとうございました〜」)


>>120
 もうそろそろ、チョコを食べ終わりそうだ。
本人は心が未熟であるが故のマイペースなのだろう。

 コーヒーは、四分の一ほどが飲まれていた。

122くろかみ ◆DUSK/kzn02:2017/01/29(日) 01:11:04 ID:eRkB3tXk0
>>119
(中:ありがとうございました!おやすみん!)

>>121
皿の上のチョコを取る。
同じ一つ。しかし、持つ者によって、取る者によって、比重もペースも異なる。
もしかすると同じように見えて中に違うものが入っているかもしれない。
それでも、共通するものはきっとあるだろう。
ある、だろう

123メアリー ◆YJMWmO4ZS6:2017/01/29(日) 01:14:14 ID:T0YCDSjI0
>>122
 そしてチョコを食べ終えた。表情はあまり変わらないが、お腹は随分と満たされたようだ。
体が違う。それだけで見える世界も違うのだろう。感じる世界が違うのだろう。

「……ごちそうさま、でした」

 少なくとも、挨拶は共通だった。

124ベルン:2017/02/01(水) 14:14:27 ID:asIqYmFE0
>>24

魔力を感じる事は出来ても顔を伺う事は叶わない、トームの表情など解る訳もない。
けれどその笑みは確かに伝わった――伝わらない訳がない。

自らの命を失うような事をした過去が有る、だからこそ培ってきた力に対する思いが有る。
そして、それを遠慮せず全力で叩き込める好敵手が其処に居る。
これが楽しくない訳がない。

(……あれには未だに劣るが、それでもこれは“死霊王”として出した技だ、ちょっとだけ名前を借りる、悪く思わないでくれよ)
「呑み込み、砕き、押し潰す――『白花葬・潮津波』ッ!!」

狂喜する嵐と、憎悪する骨の津波、両者が真正面から衝突すると同時に闘技場を爆音と衝撃が包み込む。
二つの力の衝突が収まるまで暫くの時間が掛かるだろう、そして、それが収まった時其処には。
“聖人が奇跡を起こした”かのように真っ二つに割けた津波だったもの、が其処にあって。

125トーム:2017/02/04(土) 01:01:06 ID:J5ZUlMko0
>>124
 風は止み、津波は割れ、闘技場にはただ二人の男だけが残されてしまって。
 最前の打ち合いが嘘のようにして、静謐とも言える一瞬がその場を支配していた。
 一方で、戦争の憂き目にでも遭ったかのような爪痕を残す地面を境にして、ただお互いの姿を認識する。
死霊王と、それと相対する風使いの視線が交錯した瞬間。
 先に駆け出したのは、風使いだった。

「ベルンッッッッ!!!!」

 魔力も無ェ、武器も無ェ、体力も無ェ、の三拍子で歌える程の酷くバッドなコンディション。そんな中で、冷えた空気に割り行った。
 互いの全力を尽くした攻防は快い物であった事は確かだ。だが、戦いである以上、どちらかが倒れるまで続くものであると男は考えていた。
 ならばとこの最後に残った拳で、突き崩す。確固たる信念を携えて、男は挑みかかる。恐らく、これが最後の一手となると思いながらに。

126クオン ◆YJMWmO4ZS6:2017/02/04(土) 20:06:20 ID:T0YCDSjI0
【カフェ】
 昨日の節分により本日きな粉フェア。と書かれたメニューを眺めている。

「……ゴーレムの運用術って術者が動けること前提で組まれてるのばかりですね。
既存のものでは役に立ちそうにないですね」

 メニュー見ながら全く別のことを考えていたらしい。

127 ◆YJMWmO4ZS6:2017/02/11(土) 20:26:52 ID:T0YCDSjI0
【カフェのスクリーン】
本日の検定内容_
‘宝箱の醍醐味’
〔ジャンル〕
逆発掘
〔推薦適性値〕
感知C〜A-
探索B+
運搬C+
〔開催地〕

〔概要〕
ダンジョンといえば宝箱。宝箱の中身は楽しみなものです。
ですが一度探索して空箱となった宝箱にも今一度目を向けてみましょう。

皆さんには空箱のみのダンジョンに宝物をもって挑んでいただきます。
是非空箱を見つけて宝物を収めてください。

〔ヒント、その他〕
ダンジョンには罠が残っています。
評価はより見つけにくい宝箱により価値のある宝物を入れると高くなります。
逆に簡単な宝箱に価値のある物、難しい宝箱にガラクタを入れるなど、
難易度に見合わない宝物を宝箱に収めると減点対象です。

宝物はこちらである程度用意しますが持参しても構いません。
宝物の運搬手段は参加者側で何とかしてください。
なおこちらで用意した宝物は持ち帰ることはできません。

〔失格行為〕
・ダンジョン内での破壊行為、ダンジョンの魔物との戦闘もできる限り避けましょう。
・宝箱自体の破壊行為、ダンジョンの存在理由をなくしてはいけません。
・参加者との戦闘行為、ダンジョンの挑戦者との戦闘は許可します。

〔BOSS〕
・マタンゴシャーマンロード
薬草や霊を扱うシャーマン系魔法を使うマタンゴ系のモンスターです。
このダンジョンに出るモンスターは基本的にこのボスの配下です。討伐は非推奨です。

《PRESENT》
☆空箱製造機(使用回数十回)☆
分類:魔導具
材料を入れるとその材料を使い中身のない宝箱を制作してくれるホームベーカリーのような装置。
参加賞として参加者全員に与えられます。

☆プチマタンゴシャーマン☆
分類:使い魔
小型の薬草を育てるのに向いた使い魔です。希望者全員に与えられます。

《検定開始時刻》
>>20:30
《終了予定時刻》
>>0:30

128黒髪の女:2017/02/11(土) 20:39:45 ID:eRkB3tXk0
スクリーンに表示された内容に目を通し、転送装置へ。
何をいれるかも大事だがまずは箱を見つけられるかどうかだ。上等!

129リゼッタ ◆YJMWmO4ZS6:2017/02/11(土) 20:48:43 ID:T0YCDSjI0
>>127
「あっ、平和そうな検定」

 四肢もなく、首の後ろからもうひとつの頭部が垂れ下がる異形の少女。
移動手段も合金トランクから前半身だけ出し這うアンデット犬に自分自身を蔓で縛り付けている。

 幼く、さらに異形。そんな彼女だからこそ平和な検定に惹かれるのかもしれない。
それか、物を作ることが好きだからなのだろうか。検定に参加するようだ。


>>128
【霊薬マタンゴの洞窟】
 そこは洞窟。しかし意外と日のあたる場所が多く、広い空間も多めであるようだ。
空気は淀んで湿っぽい。草と菌が共生できる、まるで汽水域のような環境。そんなダンジョンであった。

130リゼッタ ◆YJMWmO4ZS6:2017/02/11(土) 21:20:07 ID:T0YCDSjI0
 リゼッタもダンジョンにきた。だが洞窟内は足場が少し悪い。這うだけの犬任せでは移動に時間がかかる。
移動の補助として死人蔓も増やしながら洞窟を進む。洞窟という場所自体が珍しいのかキョロキョロとあたりを見回している。

 入り口付近の空間に置いてある宝箱。既に開いていて空箱であるというのがわかる。
偵察用の蝶を使い中身をのぞいてみると、中には土があり薬草が育っていた。
マタンゴが植木鉢として使用していたのだろうか。これは、既に空箱とはいえない。

「不思議な場所」

 か細い声だが、このダンジョンを楽しんでいるというのがわかる声色だった。

131黒髪の女:2017/02/11(土) 21:29:41 ID:eRkB3tXk0
>>129
「……ほう」

悪くない場所だ。そう思った。
こうして『宝箱』の『管理』がされていることを考えると、依頼用か、試験場か、共生か。とにかく人の目が届くらしい。
なんというか、『滞っていない、流れている』場所だ、と。

光を目を細めて眺めていると、転送装置が作動し、異形の少女が送られてきた。

「……ほう?」

132リゼッタ ◆YJMWmO4ZS6:2017/02/11(土) 21:41:34 ID:T0YCDSjI0
>>131
 少しの間ダンジョンに夢中になっていたが、こちらに気付くと死人蔓の一本を振って挨拶してきた。
洞窟内にしてはあまり反響しないが、それでもか細い声のわりには聞き取りやすい。

「もう少し奥の宝箱見つけないとダメみたい、です」

 日当たりのいい場所の宝箱はどれもこれも植木鉢になっているかもしれない。

133黒髪の女:2017/02/11(土) 21:49:30 ID:eRkB3tXk0
>>132
操られる植物と、その主。
何度かまばたきをする時間を挟んで、気がついた。
ここにあるのは、命だ。
植物、探せばいるであろう虫、それからダンジョンの生き物。

そこに使いとして遣ってくるのが悪魔と死の臭い拭えぬ少女とは、すこし笑える話。


「そうか。しかし外ればかりだと引き返しそうだと思う、が、な?」

支給品の中から、薬草を探す。
種を見つけると自然と人工の末の植木鉢に埋めた。

134リゼッタ ◆YJMWmO4ZS6:2017/02/11(土) 21:57:07 ID:T0YCDSjI0
>>133
「そうかな? こんなに不思議で綺麗な場所なのに、もっと見たいって思わないのかなぁ」

 不思議そうに、しかし異様に細い首はあまり傾げることができない。
精一杯目を動かし、洞窟を満喫している。

「でも、支給品は植物の苗とか、草刈鎌とか、薬とか、そんなのばかりだし、きっと植物が好きな人が来る所なんだと、思います」

 戦う場所という意識が薄い、というより抜け落ちている。洞窟に夢中になりすぎているのかもしれない。

135黒髪の女:2017/02/11(土) 22:10:18 ID:eRkB3tXk0
>>134
「あのなぁ」

「『検定者』(おれたち)は今回此処の生き物と闘うなと言われているが、普段此処に用がある者はつまり、戦わなければ進めないと云うことだ」
「そんな場所、長居したくはない……筈だ」

「好きずきは自由だが、深めようと思えば障害を薙ぐ力も必要になってくる」
ぐろい見た目の割にお花畑モードな少女に、黒髪はどうすれば伝わるかと頭を抱えた!

136リゼッタ ◆YJMWmO4ZS6:2017/02/11(土) 22:18:57 ID:T0YCDSjI0
>>135
「……そっか」

 少し寂しそうな表情。元は戦い何かを得る場所であるということを思い出したのかもしれない。
次にみつけた宝箱。日陰にある空の箱。そこに支給品の中から煙球を一袋いれて、蓋を閉じた。
命を守るために逃げる。その尊さが感じられる気がした。

「次、どこに宝箱あるかな」

 洞窟を眺めるのではなく、宝箱を探すという目的がしっかり頭の中に戻ってきたようだ。

137黒髪の女:2017/02/11(土) 22:25:39 ID:eRkB3tXk0
>>136
「……」

「……まあ、」
「此処なら用を終えて入り口に戻った時、安堵と心地よさも大きいだろう」
フォローが分かりにくい!

138リゼッタ ◆YJMWmO4ZS6:2017/02/11(土) 22:29:24 ID:T0YCDSjI0
>>137
「?」

 案の定子供なので全然わかっていない。キョトンとした表情だ。

奇数でモンスターと遭遇、数字が多いほど数が多い。
偶数で空箱発見。0なら植木鉢化している。

139黒髪の女:2017/02/11(土) 22:37:47 ID:eRkB3tXk0
>>138
「〜〜……」
もどかしさに顔が歪む
私的な会話はまだまだうまくいかないようだ……

「ん、」
進む先に宝箱
蓋が閉まっていたので植木鉢になっていないようだ。あけたらしめる、おやくそく。
「入れるか?」

140リゼッタ ◆YJMWmO4ZS6:2017/02/11(土) 22:43:26 ID:T0YCDSjI0
>>139
 頷く。そして一悩み。

「何を入れましょうか?」

 支給品の中にも色々あるが、生産職としてリゼッタも色々持ってきているようだ。
トランクの中から食用蛆虫チョコレート味やら何かの心臓を利用した生体水鉄砲やらも取り出して悩んでいる。
本人の雰囲気は明るいのに見た目や物が一々グロテスクだ。

141黒髪の女:2017/02/11(土) 22:51:16 ID:eRkB3tXk0
>>140
「」

「……ふむ。俺は見誤っていたようだな」
さっきの言葉を使うならお花畑はお花畑でも死人花かもしれない。

「食料を入れておきたいところだが……」
蛆虫が食用だと気付いていない。気づけない!

142リゼッタ ◆YJMWmO4ZS6:2017/02/11(土) 22:59:37 ID:T0YCDSjI0
>>141
「食料ならこれですね」

 そういって自然に瓶詰めの茶色い蛆虫を死人蔓で持ち上げてみせる。
物凄く自然に提示しているが、物が自然じゃない。

「きっと甘い物とか欲しくなると思うし、丁度いいかも」

 本人はそれが食料に見えないということに気付いていない。

143黒髪の女:2017/02/11(土) 23:11:24 ID:eRkB3tXk0
>>142
サングラスを外して目頭を揉む。
一時。
そしてピックアップされた瓶を見直して……

「食、糧」
呻いた

「……は?甘……?」
いや蜜蟻等存じている応おう。追撃が重い。

「……」
どうしたものか。先程へこませてしまったので変に否定できない。
食文化ならなおさらだ。

5か0なら一つ食べてもいいかと聞く

144リゼッタ ◆YJMWmO4ZS6:2017/02/11(土) 23:17:42 ID:T0YCDSjI0
>>143
 ひとつ瓶を宝箱に収めた後、また少し悩む。

「……パーティとか組んだりするなら、もう一瓶くらい入れておいたほうがいいかな。イチゴ味とか」

 赤い蛆虫の瓶まで取り出し始めた。SAN値チェック?

145黒髪の女:2017/02/11(土) 23:32:06 ID:eRkB3tXk0
>>144
「イチゴぁ!?」
声が裏返った!

「娘、少し待て、娘……」
「甘い、と云ったな?」
先に置かれたチョコレートの瓶を取る。
「此も菓子みたいな味がするのか?」

うわあイチゴ蛆虫赤いよお……

146リゼッタ ◆YJMWmO4ZS6:2017/02/11(土) 23:41:37 ID:T0YCDSjI0
>>145
「チョコ味です。イチゴと、あと一応チーズ味も作ったんです」

 でも売り上げが伸びなくて、と少し落ち込む。売り上げ、つまり売っているということ。
しかも最初はチョコ味だけで残りのふたつは増やしたバリエーションなのだとか。

 子供が商売しているのも、少し珍しいがそれ以上に商品が色々おかしい。
ダンジョンの挑戦者たちはどう思うのだろうか。この蛆の詰まった瓶を見て。

147黒髪の女:2017/02/11(土) 23:49:46 ID:eRkB3tXk0
>>146
ただいま動揺しています暫くお待ち下さい

チョコ……チョコレート……チーズ味もある……?虫が?色が?ストロベリー!
売れない、ではなく伸び悩むと云うことは一定は売れている?これが?

悶々

「ーー」

〜〜まだまだ元気に混乱しています〜〜

「……バレンタイン商法」

148リゼッタ ◆YJMWmO4ZS6:2017/02/11(土) 23:56:26 ID:T0YCDSjI0
>>147
「バレンタインにはいつもより売れました。でも、今時は男の人の方がチョコを用意するんだなぁって」

 男性が友人への嫌がらせ用に買っていったっぽい証言。
それ以外は虫食文化圏の人とかが買っているのかもしれない。

「……宣伝にならないかなぁ、次の宝箱にも商品入れてみようかな」

149黒髪の女:2017/02/12(日) 00:06:18 ID:eRkB3tXk0
>>148
「友チョコだな……友蛆虫…… ……?」

植物と虫は切っても切れない気がするからここにくる人は少しは耐性があるといいなあ と おもいました。

「その、自前の商品?……一番のオススメとかあるのか?」

150リゼッタ ◆YJMWmO4ZS6:2017/02/12(日) 00:16:20 ID:T0YCDSjI0
>>149
「オススメは、サメの歯の組織で作ったまな板! 使ってて傷がついても剥がせばいつでも綺麗」

 か細い声で、笑顔で商品を紹介する異形の少女。死霊術の平和利用ここにあり。
一応専門は魔物の素材から作る武具なのだろうが、あまり売れていないからか方向性が迷走しているのだろうか。

151黒髪の女:2017/02/12(日) 00:29:51 ID:eRkB3tXk0
>>150
「ほう!」
言葉に覇気が戻る。
寧ろ俺が欲しい……などと呟いて、洞窟の奥を見透かすように目を細めた。

実際には耳、肌、別の五感を使っているわけだが、水がほどよく流れ、留まっている、それこそ調理ができそうな場所を探すつもりのようだ。

152リゼッタ ◆YJMWmO4ZS6:2017/02/12(日) 00:35:57 ID:T0YCDSjI0
>>151
「機会があればお店に来てください。色んなものがありますから」

 ただし売れ行きの影響で在庫はあまり抱えられないようだが。

 進んでいくと、洞窟の湿り気の理由であろう水源が見えてきた。
ただし、滝だった。しかも流れる先も通路といえず水路という状態だ。
マタンゴたちが飛沫を浴び、そして去っていく。笠の部分に水を蓄え、薬草栽培のために運んでいるらしい。

 リゼッタも思わずポカンとした表情を浮かべている。

153黒髪の女:2017/02/12(日) 00:49:37 ID:eRkB3tXk0
>>152
「応」
えぐいものの中に先のまな板のような、意外な品があるかもしれない。それは女にとっておもしろそうなことだった。
もっとも、資源の入手が限られるダンジョンでなければ少女の作るものは楽しめた可能性のほうが高いのだ、が。

まず捉えたのは、耳。
ごうごうと、力強い音。
それを頼りに進んでみれば、マタンゴたちがなにかをしている。
はじめは女にも何をしているのかわからかったが、どうやら水を運んでいるらしい。
その事を少女に耳打ちし、感心の声をあげた。

「かっ。成る程、成る程なあ?」
「此処が採集場に選ばれる訳だ」

可能ならマタンゴたちを避けながら滝の裏を覗くだろう。

154リゼッタ ◆YJMWmO4ZS6:2017/02/12(日) 01:06:54 ID:T0YCDSjI0
>>153
 滝の裏には確かに宝箱があった。だが、どうにもおかしい。中に、何かが入っている。
どうやら未発見の宝箱を見つけてしまったようだ。下手をすれば地下水脈に流される危険な場所だから探索されていなかったのだろう。
特に、危険度の少ないこのダンジョンに挑戦するような者たちにとっては、調べたくても調べられない場所だったのかもしれない。

 中に入っていたのは、白地に大小の桃色の水玉模様という少女趣味な1mほどの棒だった。
魔導武器なのだろう。魔力を紐状に伸ばし、くっつけた物を念力のように動かす力があるようだ。
ただ紐の伸びる範囲は短く、1mしか伸びないらしい。

「宝箱ありました?」

 リゼッタは泳げないので近づけない。だがこの武器をどうするか。
これは支給品ではない。故に戦利品として持ち帰ってもかまわない。
いやそれよりもこんな場所にある宝箱自体をどうするべきか。
このまま武器を戻すとしても、新しい物を入れるとしても、この場所では挑戦者たちが手に入れることはできないだろう。

155黒髪の女:2017/02/12(日) 01:25:35 ID:eRkB3tXk0
>>154
踏み外さなくとも水に触れてしまえば巻き込まれるかもしれない。そんな場所へ女は躊躇いなく足を進めた。
だが、難易度とリスクを考えない「いのちしらず」はそういないようで。
少女の元に戻ってきたトモリはファンシーな棒を手にしていて、それで滝を指した。

「奥に宝箱があった、が」
「此が入っていた」
「つまり」
「短くても前回の補充以来、誰も彼処に行けていないと見ていいだろうな」

「此処は管理されている。開かれない宝箱に意味はあると思うか?」

みよーん。先からなにかでた

156リゼッタ ◆YJMWmO4ZS6:2017/02/12(日) 01:36:41 ID:T0YCDSjI0
>>155
「……なら、意味のある宝箱にしてあげましょう。このままだと可愛そうだから」

 とは言うものの、どうするべきか。滝の裏を示す、少し安全なルートを作るか。
それか宝箱自体を移動させてしまうかだ。

 ちなみに棒から出てくる魔力の糸は使う人により異なる色になるらしい。紐は一本だけだが自在に動く。

157黒髪の女:2017/02/12(日) 01:45:56 ID:eRkB3tXk0
>>156
「とは言うがな……」
ムチだろうか?トモリの瞳のような、突き抜けた空色を手慰みに振ってみて……ぺにょりと足元の石に当たる。
叩音が聞こえなかったので不思議に思って持ち上げると、くっついている。

「うおっ」

やばい、取れろ!と思ったのか、石はふっと落ちた。

ふむ、と口許に空いた手をやり考え込む、が。
杖に念じると空色がふわりとうねる。

「これで箱を動かせる、か?」
もう一度、今度は狙って石を拾い、魔力の紐だけで遠くへ投げた。

158リゼッタ ◆YJMWmO4ZS6:2017/02/12(日) 01:52:06 ID:T0YCDSjI0
>>157
 石は普通に投げるよりは勢いよく飛んだ。

「……投石杖?」

 遠心力を利用し石を投げる投石紐をつけた杖。その魔導武器なのだろうか。
本気で遠心力を利用すればあるいは拳銃よりも威力が高くなるかもしれない。

「箱、動かせそうですか?」

 紐が持ち上げられる重さは使用者の魔力に依存するようだが。

159黒髪の女:2017/02/12(日) 02:16:28 ID:eRkB3tXk0
>>158
「やってみるしかない、か」

滝壺のほうへと消えていくもわずか、女より先に重そうな宝箱が顔をだした。

「此……投げないで保つこともできるが少々負荷がある」

問題の新しい置き場は……
滝の裏へいく道。滝の際ではあるが落ちることはないだろう。
なにより、目につく。

「此処は、どうだろうか」

目星をつけたところにふよふよと浮かばせている。

160リゼッタ ◆YJMWmO4ZS6:2017/02/12(日) 02:22:40 ID:T0YCDSjI0
>>159
「ついでに内側から杭で壁に打ち付けちゃいます?」

 そういいながら牙の加工品らしき杭を宝箱の内側に。
叩きづらそうだが死人蔓に金槌を持たせて打ち付けて固定する。
ただし、浮かせた状態でやったものだから少し位置が高く中身が取り出しづらそうだ。

「……簡単にしすぎちゃうのもダメですよね」

 自分の失敗を誤魔化した。そして中身はどうするかと話を摩り替えてくる。
元通りに武器を戻すか、あるいは他のものを入れるか。他のものならそこそこ釣り合いの取れた物を入れたいが。

「……! 検定時間結構すぎちゃってます。この宝箱が最後、どうしましょう?」

161ベルン:2017/02/16(木) 20:14:46 ID:bSb/Xb4o0
>>125

放った一撃はトームの魔術による相殺が無かったならば、この闘技場すら破壊しかねない規模のもの、宣言通り比喩抜きで“全身全霊”を込めた渾身の一撃だった。
体力も魔力も限界、幾ら動く気力を振り絞ろうとも体が追い付いてくれない――そう、思っていたのだが。

「……うるさい、しっかり聞こえてるッ!」

どうも、この体は想像以上に単純に出来ていたようだった、倒すべき強敵の存在を認知した瞬間に、もう少しだけ前へと進む為の力と熱が沸き上がる。
一歩、二歩、足を踏み出し歩み始める。
三歩、四歩、ふらつきながらも足を早め。
五歩目からその歩みは、酷く不格好な“走り”へと変わる。

「――――トームッ!!」

やるべき事はいたって単純、進んで殴る、それで全てだ、体力、魔力、気力、どれもとっくに底を尽きていながらも、それでも力を絞り出した。
“次”の行動なんて存在しないしさせない、此処で全てを出し切る以外、勝利への道は何処にも存在していないだろうから。

だから、今、全力で――拳を振り上げる。

162トーム:2017/02/18(土) 12:44:03 ID:J5ZUlMko0
>>161
 たかだか、数秒にも満たない間。
 互いが全力を賭した最後の殴り合いは、ただの一打で決着を迎えていた。

「………ッッ!!」
 トームの振るう拳は相手の顔面を捉えていた。
 だが、ベルンの振るう拳もまた、確実にトームの顔面を捉えていた。

 確実なノックアウトを決めた事を、ベルンの拳はひたと感じたことだろう。
 一拍遅れて、ぐらりと体を傾いでは、流れに身を任せるようにして男は倒れ伏す。
ただただ、その顔だけは相変わらず笑ったように歪んでいて。「やるじゃねぇか」と語っているようだった。
 
 風が止み、夜が更け、荒れに荒れた土の冷たさを背中に感じ。トームはこの激闘が終わったことを少し遅れて悟った。

163エリン ◆NEKO/v5qmw:2017/02/19(日) 20:49:28 ID:A0KLHhB60
【カフェ】
 
(図書館で借りた本を読みながら、マシュマロ入りホットチョコをちみちみと飲んでいる)

164エリン ◆NEKO/v5qmw:2017/02/19(日) 21:52:46 ID:A0KLHhB60
「……。」
 
(静かな店内に、マスターがグラスを磨く音と、本のページを捲る音だけが響く)
 
(青銅色の表紙に不思議な文様が刻まれた、古い本だった)

165エリン ◆NEKO/v5qmw:2017/02/19(日) 22:50:31 ID:A0KLHhB60
(更に時間経過)
 
 
「…………。」
(小さい頭が静かに、沈んだり浮かんだりしている)
(こっくりこっくりし始めたのを見て、マスターがちょんちょん肩を突いてくれた)

166エリン ◆NEKO/v5qmw:2017/02/19(日) 23:10:17 ID:A0KLHhB60
(マスターに小突かれたものの、起きない)
(沈んだ頭はそのまま持ち上がらず、どうやら起こされるより先に眠ってしまったらしい) 
 
(マスターはすこし考えたあと、厚めのブランケットを持ってきて肩に掛け、開いたままの本をそっと脇に置いた)
 
 
(冬の夜の出来事)

167 ◆YJMWmO4ZS6:2017/02/25(土) 20:08:46 ID:T0YCDSjI0
【カフェのスクリーン】
本日の検定内容_
‘妖精と巨人の橋渡し妖精編’
〔ジャンル〕
調査
〔推薦適性値〕
対大型A-
〔開催地〕
果物の森美術区域

〔概要〕
説明しよう。果物の森美術区域とは巨人の植林と妖精の力が組み合わさり生まれた観光名所である。
しかしながら実際には巨人と妖精には力を合わせたという意識があまりなかった。何故か?
それは互いのサイズ差があまりにも激しすぎて強い関心を抱ける対象になりえなかったからである。
実のところ奇跡的バランスでこの果物の森美術区域は成り立っていた。

だがそんな状態がいつまでも続くとは思えない。現に問題が起こってしまった。
それも妖精側にも、巨人側にも同時に問題が起こってしまった。
まずは片方ずつ、妖精側から解決していただきたい。今度は妖精側も解決していただきたい。

皆さんには妖精の大きさとなって花妖精の里で問題を解決していただきます。
現場が混乱していてどんな問題が起こっているのか詳細がわかっていません。気をつけましょう。

〔ヒント、その他〕
妖精のサイズとなるため障害のサイズも相対的に巨大化したりします。

〔失格行為〕
・里や森を大規模に破壊する行為、基本的に器物損壊や建造物損壊の罪となります。
・里や森での窃盗行為や密漁行為、希少な環境ですのでそれを壊す行為はやめましょう。
・森への外来種の持ち込み、環境保護のためこれは厳守してください。
・現地住民への過剰な迷惑行為や他の参加者の殺害、当然認められていません。
・里同士の関係を決裂へ導く行為、今現在の環境が限界だとしても良い方向への変化を望みます。
・検定に関係のない犯罪行為全般、常識の範囲で行動しましょう。

〔BOSS〕
・?
起きている問題の詳細が不明である以上ボスが存在するかも不明です。
ですが仮に外敵がいた場合、それは花妖精では対応の難しい存在である可能性が高いです。

《PRESENT》
☆黒ネモフィラのチョーカー☆
分類:装飾品
2月21日ネモフィラの天才妖精が作った妖精用のチョーカー。人間なら指に身につけられる。
光魔法を増幅してくれる力があり本来光魔法が苦手な花妖精のために作られた。
生産が難しいので問題解決で二つだけ参加者達に与えられます。分け前は話し合ってください。

☆炎マナ結晶☆
分類:素材
花妖精の通貨としての高品質な炎マナ結晶です。換金すればまあまあの額になります。
問題が解決すれば全員にそれなりの量が与えられます。個人的に買い付けても構いません。

《検定開始時刻》
>>20:30
《終了予定時刻》
>>0:30

168メアリー ◆YJMWmO4ZS6:2017/02/25(土) 20:33:42 ID:T0YCDSjI0
>>167
 少しずつ育った心が、急に熱せられた氷のように音を立てる。
検定に興味を示す。それでも雪妖精の表情はいつもの不思議を見るものではない。
明確に、傷ついたような表情だ。それでも、無意識に導かれるように転送装置へと飛んでいった。

 元から妖精ならば、サイズ補正は働かない。普段のカフェメンバーと同じような大きさで、力をあわせることもできるだろうか。

169メアリー ◆YJMWmO4ZS6:2017/02/25(土) 20:57:39 ID:T0YCDSjI0
>>168
【果物の森美術区域】

 森の中は多くの樹木が果実を実らせていた。季節も関係ないほどに実り、この季節でも地域そのものが暖かい。
葉は茂り、花は咲き、果実は実り、芽が芽吹く。不思議で歪で、でも美しい。そんな光景が広がっている。

 案内人の人は最初にきた参加者がサイズ補正の必要がない、妖精であることに少し驚きを見せる。
マップにより花妖精の里の場所が示されると、鈍い反応のままお辞儀してメアリーは飛び去る。

 花妖精。その昔メアリーが滅ぼしてしまった木行竜と同じ植物の属性を持つ、同族。
無論今は犠牲の杖など手元にはない。だが、今でもきっと滅ぼすことができる。
カフェメンバーならば何ら不思議なことではない。しかも失格行為だ。それでも、淡い恐怖が消えない。
誰かを殺しえる力。メアリーはまだ自分自身に怯えている。

170メアリー ◆YJMWmO4ZS6:2017/02/25(土) 21:28:33 ID:T0YCDSjI0
>>169
【花妖精の里】

 そこは今までの森の中に比べても色とりどりの花が咲き乱れている場所だった。
メアリーの記憶の中の雪妖精の里の光景とも、木行竜の里の光景とも重ならない。
雪景色とも、大木の立ち並ぶ森とも違う。妖精というイメージを具現化したような里の光景だった。

「? だぁれ?」

 住民の花妖精のひとりがメアリーに気付いた。赤いサルビアの髪飾り。
悲壮感などは感じないが、同じ妖精としての仲間意識もあまり感じない。
何か別のことで手一杯であるような、そんな雰囲気だ。

171メアリー ◆YJMWmO4ZS6:2017/02/25(土) 21:55:12 ID:T0YCDSjI0
>>170
「私はシータ。あなたは?」

「メアリー、検定者……」

 どうにも検定という物についての知識があまりないのか反応は微妙だ。
あくまでも検定の依頼者は人間なのだろう。だが問題解決のためにきたということは伝わったらしい。

「怪我して眠ったままの子が増えて、きっと森に変な魔物が湧いたんだと思うの。
今はオフィーリアさんとかが見回りをしているけど、皆で力を合わせて倒さないと」

 まだ確定しているわけでもない情報なのだが、シータは魔物の仕業だと決め付けているらしい。
メアリーも経験が少ないからか、そんなものなのだろうかとしか思わなかったらしい。

「私も、手伝う」

「手伝うって、あなた武器は持ってるの? というよりも戦えるの?」

 メアリーは、迷いながらも頷いた。

172メアリー ◆YJMWmO4ZS6:2017/02/25(土) 22:30:33 ID:T0YCDSjI0
>>171
 微妙に疑われながらも魔物探しに同行することになったメアリー。
花妖精の里の建物は土壁だ。ただ使用している植物繊維は藁ではないようでより滑らかで丈夫そうだ。

「とりあえず戦闘要員は少しだけ集まっているわ。今日のところはこのメンバーで自主警備よ」

 建物の中にいた妖精は、三人。一人はアサガオ、一人はシロツメクサ、一人はカモミール、それぞれ異なる髪飾り。

「紹介するわ。アサガオの妖精、グリム。シロツメクサの妖精、ニック。カモミールの妖精、ミレイユ」

 それぞれ順に毒性魔法、光魔法、回復魔法が得意であるらしい。
それと多くの花妖精は木製の拳銃を腰に下げている。この里では一般的な武器であるらしい。

「、よろしく、です……」

 対してメアリーは防御用の鉄扇。完全に魔法型だ。そして、前衛がいない。前途は多難だ。

173メアリー ◆YJMWmO4ZS6:2017/02/25(土) 22:56:02 ID:T0YCDSjI0
>>172
 毒性魔法の使い手、グリムは前衛から中衛。光魔法の使い手、ニックは前衛。
回復魔法の使い手、ミレイユは後衛。そしてメアリーは中衛に位置付く。
ニックは範囲攻撃の使い手だが狙いが絞れないので味方を巻き込まないように前に出るらしい。

「……」

 メアリーも本来は広範囲攻撃の使い手なのだが、記憶がある。狙いを絞った攻撃の記憶が。
あの日から戦いなどほとんどしていない。でも、できる気がしたのだ。

「じゃあ出発するわよ」

 ちなみに、シータは非戦闘員だがミレイユの護衛として後衛にいるらしい。一行は森へと向かう。

174メアリー ◆YJMWmO4ZS6:2017/02/25(土) 23:20:46 ID:T0YCDSjI0
>>173
 人間には小さな果物でも妖精にとっては十分食料になる。
むしろ巨人の食料になるような果物は妖精では消費しきれない。
つまり、この食物豊富な森ならば確かに魔物はスクスクと育つだろう。雑食ならば、の話だが。

「ここ、ここで眠っちゃった子が発見されたんだよ」

 どうやら問題の地点に到達したらしい。そしてそこには明確に何かがいた痕跡があった。
転がる何かに潰された植物、地面に残る跡、そして足跡。これは間違いなく魔物の痕跡だ。
花妖精たちが明確な答えを出せなかった理由は、おそらく今まで外敵がほとんどなかったため脅威に対する知識が少ないのだろう。

175ニュモ鶏 ◆fJNTk09.gI:2017/02/25(土) 23:32:51 ID:NPSP4wok0
「ギュァアアアアァァ!!!」

「........」ザックザックザック

・・・その足跡の土をほじくり返している、羽毛の無い鶏・・・のような奇妙な生き物。
何となく魔物じみたものを放つそれが陣取っていた。
習性なのか、まあ餌でも探しているのだろう。証拠を荒らす前に何かで気を引いてやらねば。
明らかに妖精サイズの代物なのでさほど脅威には見えない。少なくとも目当ての魔物ではないだろう。

最も、カフェによく来る者は時々うろついているこいつを見たことがあるかもしれない。
恐らくは迷い込んだものと思われる。

176メアリー ◆YJMWmO4ZS6:2017/02/25(土) 23:39:08 ID:T0YCDSjI0
>>175
「あれ怪しい!」

「えっ? でも地面の跡とちがくない?」

 何やら花妖精たちがボソボソと相談している。
唯一メアリーだけがカフェ特有の雰囲気を感じ取りよってきた。

「……一緒にきませんか?」

 珍しい自己主張。そして大きな何かが転がった跡を指差す。
どうやら相手が動物っぽいからか、少しだけ積極的に話しかけることができているようだ。

177 ◆fJNTk09.gI:2017/02/25(土) 23:51:45 ID:NPSP4wok0
「!」

その眼光は鋭く、小さいとはいえこちらも同サイズなので気迫が伝わらないと言えば嘘になる。
が、少なくとも捕食対象とは見なしていないようで、何かの幼虫を咥えながらテケテケと近寄ってきた。
この不整地でも中々の足の速さなのが見て取れる。騎乗しても使えそうだ。

「........」

妖精化が甘かったのか、近くに寄ってみると少し大きめである。
メアリーが跡を指差すと、そちらの方に眼光を向けてじっとしている。
知能は未知数だが、この感じなら簡単な指示程度なら効くかもしれない。

178メアリー ◆YJMWmO4ZS6:2017/02/26(日) 00:00:36 ID:T0YCDSjI0
>>177
「……」

 通じているのか通じていないのか判断が付かないようだ。だが、少なくとも直ちに敵対するわけではないとはわかったらしい。
妖精は飛べるので騎乗する必要はないが、怪我人を運ぶ用意と考えれば戦闘リソースの増加として考えることができる。

 とりあえず後衛のミレイユを乗せてみることにした。一時的に回復役の護衛からシータが外れ遊撃に回る。

 何かの転がった跡を進む。岩、というよりは何か人工物のような、戦車などの無限軌道の跡のような印象だ。
仮にこれが魔物の跡だというのならば、妖精サイズだと随分大きな外敵ということになる。
このまま辿れば戦闘になるだろう。そんな独特の臭いを感じ取れるかもしれない。

179 ◆fJNTk09.gI:2017/02/26(日) 00:15:32 ID:NPSP4wok0
特に暴れる素振りも見せず、呼ぶと首をかしげながらも着いてくる。
野生にしては人に慣れすぎている。恐らくは誰か飼い主がいるのかもしれない。
背中に妖精を乗せても尚身のこなしは軽く、飛ぶ妖精たちにしっかり追いついている。

不自然な足跡・・・というより何か板状のものが連なった妙な跡。
一応ヤスデとかその辺ならこういう足跡もあるかもしれないが、やはり人工感がぬぐえない。

それまでそよ風だった周囲に風が唸り、森をざわざわと奮い立たせる。
次の瞬間、何かの飛翔物とその光線が一向を先導するように追い抜いていった。

「ケァーッ」

・・・どうやらこの鶏の仕業らしい。

180メアリー ◆YJMWmO4ZS6:2017/02/26(日) 00:25:14 ID:T0YCDSjI0
>>179
 何か硬質な音と、光線の一部が反射され木々が薙ぎ倒される異様な光景が瞬時に形成された。
妖精というサイズの影響か、音に比べ振動の大きい、巨大な何かの足音。

 森の奥から現れたのは、体表面が鏡のように変質した巨大アルマジロ。

「えぇ!? あっ、あれじゃボクの光魔法なんて通じないよ!」

 ニックが瞬時に自分の不利を悟り前衛から後ろに下がる。
あの硬い外殻が相手だと、妖精サイズの拳銃も通用しないだろう。

「……降る降るふるるっ、雪降る空に降る尻尾、白い尻尾の降る軌跡――」

 メアリーの歌による詠唱が始まる。効率の悪い古代魔法、その詠唱力場が周囲に氷のマナを撒き散らす。

181 ◆fJNTk09.gI:2017/02/26(日) 00:44:18 ID:NPSP4wok0
「......」

明確な敵が現れたと見るや否や、ニュモ鶏は足を止める。
先ほどの光線などを使う辺り、遠距離系の光属性なのだろうか。

「シュウウウウウウウウ」

ニュモ鶏はそのまま動かない。尻尾の蛇のような部分が威嚇音を上げる。
殺気を漂わせながら、何か敵の方に魔力を向けている。
反射物は余り無いようだが、その木漏れ日は光属性の恩恵を受けられるには十分だ。
最も、敵であるあのアルマジロがその光属性を跳ね返してしまうようなのだが。

このまま立ち往生しても仕方ないので、回復役の妖精は鶏を降りて空中へ―――

向かった次の瞬間、妖精たちのサイズでは見たことも無いエネルギー量の光砲が放たれる。
それは豪快に地面の土を抉りながらアルマジロを光で包んでいく。

182メアリー ◆YJMWmO4ZS6:2017/02/26(日) 00:55:49 ID:T0YCDSjI0
>>181
 地面を溶かしガラス質にすらするほどの高出力の砲撃。
それは一部跳ね返されるもののその余波だけでも通常の生物の耐えられるところではなかった。

 まるで恐竜映画のような叫び声。アルマジロの手足に溶けた地面がへばり付き、反射率を奪い光に消し去られていく。
怒り狂い蛇のようにのたうつアルマジロ。そのまま体を丸め転がり始めた。

 転がる先にはも未だ詠唱中のメアリー。純粋な後衛だからか、碌に反応もできていない。

183 ◆fJNTk09.gI:2017/02/26(日) 01:11:10 ID:NPSP4wok0
「!!」

さすがの鳥頭も自分の攻撃が跳ね返された事は自覚したらしい。
この鶏は遠距離が不利と見るや、光の翼を生やして露骨に肉弾戦に向かった。なんとも勇敢なチキンである。

ガラスの装甲にガリガリと翼爪を立てる。
が、如何せんエネルギーソードなので反射率が高く中々致命傷たりえない。
それどころか自分に光が跳ね返ってきてやりづらくて仕方無い。
そしてやはりこの体格差は如何ともし難く、転がる巨体を止める術を見つけるには至らない。

そこで、未だ詠唱中のメアリーを咥えて思い切り跳ね上がる。
跳ね上がった先の枝を掴み、そこでメアリーを振り払う。

「ギャース!!!」

そのまま遠心力で自身は再びアルマジロへ跳び蹴りを食らわせに行った。

184メアリー ◆YJMWmO4ZS6:2017/02/26(日) 01:29:17 ID:T0YCDSjI0
>>183
 回転と質量、そのふたつを併せ持つアルマジロはその肉体だけで単純に脅威となる。
体格差という物は覆せる。だがその手段は何も弱者だけの優位ではない。
強者と強者の闘いの中でお互いが工夫をするとき、そこに優位の逆転が約束されるということはなくなる。

 方や地上、方や空中。競り負けるのはある程度予想はできた。
だが、その勢いだけは負けていない。押されながらもアルマジロを押さえ込む。
そして、その時間で全ては完成した。

「凍える風を吐息が溶かす、溶けても溶けても尽きぬ白――魔冬季(舞う雪)」

 アルマジロの後方の景色が揺らぐ。砂漠の蜃気楼のように。
ガラス質に固まった地面が、霜柱に覆われていく。それは広がりアルマジロを飲み込もうとする。
そしてその空間がアルマジロに触れた瞬間、アルマジロの回転速度が上がり、パワーが落ちる。
表面が凍りつき摩擦が得られなくなったため踏ん張りが利かず、その場で回転するだけの存在に成り果ててしまった。
ギリギリ、こちらは全員巻き込まれないように範囲は微調整されているようだが、威力は桁違いに大きい。

 そうしてそのまま、アルマジロは生命活動すら停止した。内側の体液が凍り、膨張してガラスの表面が内側から砕け散る。

「……」

 メアリーが降りてくる。その様子を花妖精たちが、少し恐ろしそうに見ていた。
だが我に返るととにかく帰ろうと手を引いてくれる。これで帰れば検定はクリアといっていいだろう。

 帰ったのであれば報酬の黒ネモフィラのチョーカーは、一応検定参加者が二人……? ということで全員にいきわたる。
そして炎のマナの結晶も手渡される。この里での通貨であるらしい。

185 ◆fJNTk09.gI:2017/02/26(日) 01:42:52 ID:NPSP4wok0
「クェックェックェ」ザックザックザック

山積みになったガラスと氷の瓦礫を死体蹴りする凶暴なチキン。
自身の光属性が効かなかったのがそんなに不満だったのだろうか?

・・・いや、単にガラスの割れるそれが面白いだけのようにも見える。
最もアルマジロの肉も少々拝借されたようだ。
これも自然の摂理。添え膳食わぬは・・・っていうかお前肉食うのかよ。

ともかく報酬が渡される訳だが――それが何なのかまでは理解できないだろう。
正直、豚に真珠、鶏に貨幣である。

186メアリー ◆YJMWmO4ZS6:2017/02/26(日) 01:56:17 ID:T0YCDSjI0
>>185
 アルマジロの肉を食べたのであれば、アルマジロは突然変異で生まれたものだとわかる、かもしれない。
少なくとも完全な自然発生ではなく、何かしら手を加えた何か、それを取り込んで変異した、とわかるかもしれない。
火により加工された何かの形跡、これは人為的なものだったのだろうか。

「……さっき、ありがとう」

 伝わるかはわからない。それでも雪妖精はお礼を口にした。

187ベルン:2017/03/01(水) 17:55:30 ID:JsRd/2VA0
>>162

死闘の果てに強敵を打ち倒した。
とはこの結果では言えないだろう、あの拳は満身創痍の体から無理矢理力を絞り出して放ったもの、平行して回避や防御なんて出来る訳もない。
当然、トームの拳は自分に直撃するし、死力を尽くしたこの体にそれを耐える余力などある訳もない。

結果として、トームの体が揺らぐのとほぼ同時のタイミングで自分も立つことが叶わなくなり――気付けば地に伏している訳で。

188サクラ ◆Cs/SCyFmEg:2017/03/04(土) 19:11:10 ID:7/sJ7koU0
【カフェ】

椅子の背もたれに寄りかかって、ぼうっとしている。
カップの中身は継ぎ足されること無く、僅かな湿り気を残してゆっくりと冷めていった。

189 ◆YJMWmO4ZS6:2017/03/04(土) 19:30:10 ID:T0YCDSjI0
【カフェのスクリーン】
本日の検定内容_
‘妖精と巨人の橋渡し巨人編’
〔ジャンル〕
調査
〔推薦適性値〕
対大型A-
〔開催地〕
果物の森美術区域

〔概要〕
説明しよう。果物の森美術区域とは巨人の植林と妖精の力が組み合わさり生まれた観光名所である。
しかしながら実際には巨人と妖精には力を合わせたという意識があまりなかった。何故か?
それは互いのサイズ差があまりにも激しすぎて強い関心を抱ける対象になりえなかったからである。
実のところ奇跡的バランスでこの果物の森美術区域は成り立っていた。

だがそんな状態がいつまでも続くとは思えない。現に問題が起こってしまった。
それも妖精側にも、巨人側にも同時に問題が起こってしまった。
今度は巨人側も解決していただきたい。

皆さんには炎巨人の里で問題を解決していただきます。
現場が混乱していてどんな問題が起こっているのか詳細がわかっていません。気をつけましょう。

〔ヒント、その他〕
炎巨人の里は通常のサイズでは何もかもが大きな場所です。障害もその分大きいでしょう。

〔失格行為〕
・里や森を大規模に破壊する行為、基本的に器物損壊や建造物損壊の罪となります。
・里や森での窃盗行為や密漁行為、希少な環境ですのでそれを壊す行為はやめましょう。
・森への外来種の持ち込み、環境保護のためこれは厳守してください。
・現地住民への過剰な迷惑行為や他の参加者の殺害、当然認められていません。
・里同士の関係を決裂へ導く行為、今現在の環境が限界だとしても良い方向への変化を望みます。
・検定に関係のない犯罪行為全般、常識の範囲で行動しましょう

〔BOSS〕
・?
起きている問題の詳細が不明である以上ボスが存在するかも不明です。
ですが仮に外敵がいた場合、それは炎巨人では対応の難しい存在である可能性が高いです。

《PRESENT》
☆聖火の鉄☆
分類:素材
炎巨人が森で炎の力を抑えるために作り出された吸火鉄鋼製のヘアピン。
炎巨人の力を長く受けた吸火鉄鋼は聖火の力を宿し、日の光をあてるとその力は特に強まる。
生産が難しいので問題解決で二つだけ参加者達に与えられます。分け前は話し合ってください。

☆象牙の指輪☆
分類:装飾品
炎巨人の飼育している巨大な象に似た魔物の牙から作られる指輪。人間なら冠としてどうぞ。
問題が解決すれば全員に一つずつ与えられます。個人的に複数買い付けても構いません。

《検定開始時刻》
>>20:00
《終了予定時刻》
>>0:00

190サクラ ◆Cs/SCyFmEg:2017/03/04(土) 19:39:56 ID:7/sJ7koU0
>>189
「そういや最近行ってなかったな・・・」

どことなく気怠げに視線をスクリーンに移す。
暫く黙って思案していたが、思い立った様子で腰を上げた。

191クオン ◆YJMWmO4ZS6:2017/03/04(土) 19:47:30 ID:T0YCDSjI0
>>190
【果物の森美術区域】
 木々は季節外れの果実すら実らせ、暖かい空間の広がる森の中。
土は栄養豊富で、仮に芋などを植えたら葉ばかり成長して商品にならないだろうというほどに良質な土だ。
木々の成長も早いのか、挿し木された切り株らしきものも見かけるが、既に人の背丈すら越える育ち方をしている。

 案内人は人だ。妖精でも巨人でもない。

「今回は巨人のサイズに合わせることはできないので、潰されないように気をつけてください」

 そう言って巨人の里への道を教えてくれた。

 後ろから転送装置の稼動音が聞こえる。新たな参加者のようだ。

「こんにちは〜」

 見慣れた姿だ。

192サクラ ◆Cs/SCyFmEg:2017/03/04(土) 19:58:36 ID:7/sJ7koU0
>>191
【果物の森美術区域】

近くに生えている果樹を観察してみる。
サイズは規格外だったが、品種は内陸のものと大差ないように思えた。

「問題は土壌か」

地面に手を当ててみると、少し温度が高い気がした。
ガイドに軽く会釈をして、振り返る。

「キミか」

その声はいつもよりも低いトーンだ。

193クオン ◆YJMWmO4ZS6:2017/03/04(土) 20:05:38 ID:T0YCDSjI0
>>192
「? 機嫌悪かったりします?」

 親身になって心配するということと他人事のように言うということを両立したような何か。

「甘いもの食べると心が安らぎま、あっ、密漁禁止でしたっけ」

 平然と横並びに巨人族の里へと向かい始める。

194サクラ ◆Cs/SCyFmEg:2017/03/04(土) 20:13:00 ID:7/sJ7koU0
>>193
「いや、別に?」

そうは言うが、機嫌が良いようには聞こえない声が続ける。

「猫を被るのを止めただけ」

そのまま視線を前方へ。

「許可を貰えばいいんじゃない」

規格外の料理が並ぶ様子を想像して胸焼け。

「何しに来たのさ」

歩幅は少し大きめだった。

195クオン ◆YJMWmO4ZS6:2017/03/04(土) 20:20:40 ID:T0YCDSjI0
>>194
「猫被ってたんですか。気付きませんでした」

 買い付け交渉は巨人の里についてから行うようだ。

「何しにって、これ検定ですよ?」

 さも不思議そうに聞き返す。どうにも会話がすれ違っているような徒労感ばかりが募る。
この雰囲気の中でもマイペースを保つ、それが異様としか言えない。


【炎巨人の里】
 規格外に大きな巨人たちの里。レンガ造りで家畜も飼っているらしい。
大きな巨人はグリーブを身に付けて足を保護している。それ以外にもスコップのように湾曲した盾を背負っている。
服装は巨大な魔物の皮を加工して作っているのだろう。

 巨人たちはこちらのことには全く気付いていないようだ。

196サクラ ◆Cs/SCyFmEg:2017/03/04(土) 20:48:10 ID:7/sJ7koU0
>>195
「そりゃ奇遇」

サクラもマイペースで返す。
少年も徒労を感じているのだろうか。
どうもそうは見えない気がする。

前回別れたあと、サクラの心境に変化があったのだろう。

【炎巨人の里】

「参ったな、何も考えてなかった」

腕組みして足を止める。
声を張り上げるのは疲れるから嫌だ。

197クオン ◆YJMWmO4ZS6:2017/03/04(土) 20:54:14 ID:T0YCDSjI0
>>196
「元々人間のほうが勝手に依頼を出した、いわばお節介検定ですからね〜」

 流石に拡声器を常備しているわけではない。だが音を出すだけなら何とかなりそうだ。
鞄からホイッスルを取り出して吹いてみる。だが巨人は気付かない。高い音は巨人の可聴領域から外れているようだ。

「……低い音のでる楽器持ってません?」

 鞄を覗き込みながら問いかけてくる。いよいよ最終手段なのかスタングレネードまで取り出し始めた。

198サクラ ◆Cs/SCyFmEg:2017/03/04(土) 21:07:18 ID:7/sJ7koU0
>>197
「ガイドをここまで連れてくればよかったかな」

後ろを振り返るも、随分歩いてきてしまった。
いずれにしても勝手気ままにやるだけだ。

「・・・・持ってないよ」

横目でクオンを見つつ、拳を握る。

「もしかして、それ使う気?」

そういうサクラもデバイスを展開しかけている訳だが。

199クオン ◆YJMWmO4ZS6:2017/03/04(土) 21:12:12 ID:T0YCDSjI0
>>198
「巨人相手ならそんなに酷いことにはならないと思うので」

 そんなわけで使用に踏み切る。目を庇い口を開け耳を軽く塞ぐ。
そして轟く短い叫び声。何が起こったのかと巨人が周囲を見回している。アピールして気付いてもらう。

「何だ! 人間がいきなり何のようだ!」

 低く大きな音で聞き取りづらいが、巨人に気付いてもらえたようだ。

200サクラ ◆Cs/SCyFmEg:2017/03/04(土) 21:22:00 ID:7/sJ7koU0
>>199
「あー、隣の無作法者がどうもすみません」
「ボクに攻撃の意志はありません、隣のは分かりませんけど」

両手を上げて主張する。
本人に至ってはまったく悪びれてない。

「何かお困りごとがあると伺ったのですが、よろしければお話を聞かせて頂けないでしょうか」

クオンが型破りなアプローチを仕掛け、サクラが丸め込む。
そういうスタイルが確立されつつある。

201クオン ◆YJMWmO4ZS6:2017/03/04(土) 21:26:56 ID:T0YCDSjI0
>>200
「私だってちゃんと検定でここにきているんですよ?」

 しかしクオンの声は巨人に届かない。

「困ったこと? あぁ害獣が出たんだよ。小さくてすばしっこくて食い物を盗んでいくから困ってるんだ」

 巨人にとっての小さいがどの程度か、しかし問題はシンプルであるらしい。

「害獣駆除、ということなら特に何も問題はなさそうですが……前回の妖精の里のトラブルと関係あるのでしょうか?」

 前回の検定のログは調べていたらしい。

202サクラ ◆Cs/SCyFmEg:2017/03/04(土) 21:53:16 ID:7/sJ7koU0
>>201
「妖精の里の方は分からないけど、どんな内容だったの?」

クオンに尋ねてみる。
巨人の言う“小さくて素早い”というキーワードに嫌な予感がする。

「まさか・・・ね」

腕組みして巨人にも尋ねた。

「それで、何かそちらの方で対策を講じていたりはするんでしょうか」

203クオン ◆YJMWmO4ZS6:2017/03/04(土) 21:58:02 ID:T0YCDSjI0
>>202
「どうやら妖精の攻撃手段では撃退不能な鏡張りのアルマジロが出没していたみたいです」

「アルマジロ? それならとっ捕まえて食っちまえばいいんだがな」

 顔を寄せて耳を澄ましてくれている巨人が語る。

「あいつら少しの隙間も体を変形させて通り抜けてきやがるし、食えるところがねぇ」

「変形? ……スライムか何かでしょうか。関係なかったのですかね?」

 一応食料庫を改修したり見張りを付けたり自分たちなりに駆除はしているようだが、未だ解決しないようだ。

204サクラ ◆Cs/SCyFmEg:2017/03/04(土) 22:09:24 ID:7/sJ7koU0
>>203
「どうでしょう、ボク等を雇ってみませんか?」

少年は考えた末、巨人に商談を持ち込んだ。
要は用心棒として、二人を雇わないかという相談だ。

「自分の目で見てみるのが一番てっとり早いだろ」

クオンの耳元で呟いて、一応了承を得ることにする。
ここで別行動を取ることになったとしても、サクラは一人でこの依頼を受けるつもりでいた。

205クオン ◆YJMWmO4ZS6:2017/03/04(土) 22:15:52 ID:T0YCDSjI0
>>204
「了解ですよ。でも一度食料庫の隙間を塞ぎに行ってからでいいですか?
巨人では塞げないような部分でも私が地属性魔法を使えば普通に塞げるでしょうし」

 スライム相手にどの程度対応できるかはわからないが少なくとも今よりは随分マシになるだろう。

「もちろんこっちとしてはかまわないが、こっちは小人と違って器用に物を作るのが苦手だからな。
対価は家畜くらいしか払えないんだよ。現に協会から鉄を買うときも物々交換だしな」

 ……協会と交流があるようだ。

206サクラ ◆Cs/SCyFmEg:2017/03/04(土) 22:37:42 ID:7/sJ7koU0
>>205
「じゃあ、そっちは任せた」
「巨人との交渉はボクが受け持つよ、段取りはそちらで組んでもらって構わない」

サクラはクオンのプランを承諾した。
やるからには確実性を重視したい。その点に於いてはサクラもクオン寄りの思考だ。

「そうですね・・・報酬は腕利きの職人を紹介していただくという事でいかがでしょうか?」
「ボク等は職業柄、魔導体や呪物を得ることも少なくありません、ですが加工まで自分でやるとなると話は別です」
「巨人族の方には鍛冶や宝飾に秀でた人材が多いと聞きいています」
「そのパイプを、報酬として頂けないでしょうか」

207クオン ◆YJMWmO4ZS6:2017/03/04(土) 22:48:48 ID:T0YCDSjI0
>>206
「じゃあ行ってきますね〜食料庫の場所は勝手に見当を付けてきます。
警備を強めている場所があったらたぶんそこだと思いますし」

 クオンが一時離脱した。

「あ〜いや、確かに職人はいるが、小人サイズの物が作れるとしたら少ないな。
俺はしがない家畜番、エリート職人様にゃ繋ぎはとれねぇ、いや里全体のことだから別に俺が紹介しなくていいのか? ん?」

 何か勝手に混乱し始めたが、了解ということでいいようだ。
何か質問があれば答えてくれるだろう。そして今回の件で一時同行してくれるらしい。

208サクラ ◆Cs/SCyFmEg:2017/03/04(土) 23:02:21 ID:7/sJ7koU0
>>207
「その辺りは依頼が成功してからということで、口添えしていただくだけでも助かります」

一先ずは交渉成立のようだ。
元は、家畜なんか貰っても処理に困るからと考えついた代案だが、うまく転べばいい収穫になるかもしれない。
クオンを見送り、早速だが巨人に質問を投げかけてみる

「妖精族と具体的な交流はあるんですか?」
「仲が悪いわけでは無さそうですが、ここでは姿を見かけないと思いまして」

209 ◆YJMWmO4ZS6:2017/03/04(土) 23:10:36 ID:T0YCDSjI0
>>208
「妖精? ……あぁ、なんか最近あんまり見ないな。
前は勝手に俺らの糞を持っていくのを毎日のように見たけど」

 巨人にとってはアリの観察的な感覚しかなかったらしい。
交流を持とうにもサイズの問題で人間との交流以上の障害があるのだろう。
お互いが勝手に共生しているという感覚が近いようだ。

 クオンはまだ合流しない。食料庫も巨人サイズで補修に手間取っているのかもしれない。

「一応肥溜めから糞が減ってたりするから今でも持っていってるんだろうけどな」

 妖精は巨人の排泄物を肥料として利用していたのだろうか。
ただ肥料として使うだけなら家畜の糞でもよさそうなものだが、どうやら巨人の糞ばかりを持っていくらしい。

 鋭い勘が働いたのならば、今の話題に何かこの森の問題の原因の一端がありそうだとわかる。

210サクラ ◆Cs/SCyFmEg:2017/03/04(土) 23:21:33 ID:7/sJ7koU0
>>209
「何に使うんでしょうね」

自分でも思考をしながら巨人にも振ってみる。
何かが引っかかるが、いまいち繋がらない。これはクオンが戻って来たら聞かせてみよう。

そろそろ彼女も戻る頃だろうか。

「なんだ・・・普通に会話出来てるじゃないか、ボク達」

少し肩の力を抜こうと、少しだけ歩み寄ってみようと、理解してみようと、そう思った結果だ。

211 ◆YJMWmO4ZS6:2017/03/04(土) 23:28:14 ID:T0YCDSjI0
>>210
「ん? あぁ、元は俺たちに言葉を教えたのは小人だからな」

 そういった意味で言ったのではないのだが、新事実発覚。

「何に使うかはわかんねぇな。俺らの糞は長いこと放置しないと火のマナが抜けないから肥料にもなりにくいんだけどなぁ」

 ますますわからない。とここでクオンが戻ってきたようだ。
食糧番の巨人に協力を仰げたらしい。その巨人の身なりは多少家畜番の巨人よりも綺麗だ。

「補修済ませてきましたよ〜」

212サクラ ◆Cs/SCyFmEg:2017/03/04(土) 23:43:20 ID:7/sJ7koU0
>>211
「ええ?そうなんですか?」

持ちつ持たれつの関係は随分前から始まっていたようだ。

「(と、言うことは原因が仲違いってわけじゃ無さそうだな)」

サクラは正直その線を疑っていた。
考えてみればWINWINの関係をどちらかが一方的に崩すとは考えづらい。

「戻ってきたみたいです、早速ですが移動しましょう」

サクラは会話を一端切ると、クオンが目星をつけた現場へ赴くことにした。

「クオン、ちょっといいかな」
「さっき興味深話を聞いたんだけど――」

サクラはクオンに先程巨人と会話した内容を伝える。

213クオン ◆YJMWmO4ZS6:2017/03/04(土) 23:52:16 ID:T0YCDSjI0
>>212
「……?」

 クオンが何かを考え込んでいる。

「前回の検定の報酬、火のマナの結晶が出たんですよね。
妖精は巨人の排泄物からマナを取り出す手段を持っているのだと思います。
そしてそれが妖精の里の通貨になっている。つまりは火のマナ結晶は妖精が働いたという証、ということ……?」

 クオンが何やら考察している。

「……これ以上はちょっとわからないですね。害獣の現物が見られればもう少しわかるかもしれませんが」

「へぇ、妖精も同じようなことをしているのか。うちの里の通貨も本人の努力の証、つまりレンガだ」

214サクラ ◆Cs/SCyFmEg:2017/03/05(日) 14:46:36 ID:7/sJ7koU0
>>213
「(通貨、うんこかよ・・・)」

厳密にはそのものでは無いのだろうが、先入観は中々消えてくれない。
本来なら、この素晴らしいサイクルに賞賛を送るべきなのだろうが。

「うんこの事はクオンに任せた」←うんこって言いたいだけ
「ボクにはそちら方面には疎いけど、クオンはうんこの事詳しそうだし」←うんこって言いたい

突然思考レベルが小学生になってしまったサクラ。
だが、安心して欲しい。その言動はクオンにだけ向けられている。

「努力の証とレンガにどういう関係が?」

ふと疑問に思ったことを巨人に尋ねてみる。
レンガというとあの煉瓦だろうか?
サクラが想像する煉瓦の使用法は主に建築だ。

215トーム:2017/03/05(日) 21:03:21 ID:J5ZUlMko0
>>187
「模擬戦……って割には、ぼろぼろだな」
 しんと静まり返った闘技場。男の疲れ切った声だけが、やけに響いてきたもので。
「…今回ばかしは、引き分けって事にしといてやってもいいぜ?」
 大の字に転がったトームは、どうやら身体も動かせるような状態ではないらしい。だが、軽口を叩く気力だけは十二分にある様子で。

「………んで? 何か掴めるもんはあったかよ」

216クオン ◆YJMWmO4ZS6:2017/03/05(日) 23:19:25 ID:T0YCDSjI0
>>214
「私の専攻は魔法薬ですよ?」

 少し物言いに不満があるらしい。

「調べてみたい、っていうのでしたら肥溜めで妖精を待ち伏せして話を聞いてきますけど……
待ち伏せする分の時間がもったいない気もします」

 クオンとしては害獣の方に興味が向いているらしい。


「炎巨人は職人が多い。靴職人、盾職人、短剣職人、製油職人、槍職人、火ばさみ職人、炭職人。
その多くで炉は使われる。炉のレンガは使っていれば熱でダメになる。だからレンガはしっかり焼かないといけない」

「ご先祖様の中で炉の修理が一番上手かった方が今の長老のご先祖様なんだ」

「職人としての腕が悪いと家畜番に回されるがな」

「うるせぇ食糧番」

 この里ではレンガは消耗品。職人としての腕を錆び付かせたくなければレンガは絶やしてはいけない。
巨人のサイズで良質な耐火レンガを焼くならば、丁寧に丁寧に作る必要があるのだろう。
あと二人のやり取りを聞いているとどうにも家畜番などは地位が低く見られがちであるらしい。

217サクラ ◆Cs/SCyFmEg:2017/03/06(月) 10:29:12 ID:zO3ZgCSs0
>>216
「“知ってる”よ」
「褒めているんだ、もっと自信持ちなって」

サクラはクオンに向けて口の端をニイッと釣り上げてみせる。
“理解した上でからかっている”そういう表情だった。

「それにはボクも少し興味があるけど、今は食料庫の様子がどんな感じだったか聞きたいな」
「しかし、こうして歩くと巨人族との体格差が改めて実感できるよ」

巨人の足では大した距離ではないのだろうが、随分と歩いている気がする。
正直歩くのにうんざりしていたサクラは、巨人の話を聞くと顔色が変わった。

「ああ、それでレンガか!成る程・・・このシステムは実に理に適ってる!」

凄いよクオン!と目を輝かせて喜ぶサクラ。
疲労はどこかに飛んでいってしまったようだ。

「労働に優劣はありませんよ」
「能力に関しては残念ながらそうとは言い切れませんが、適材適所という言葉もあります」
「現にボク等はあなた方の知識を必要としている訳ですし」

地雷を踏んでしまったかどうかは兎も角、フォローを入れるサクラ。

「(ああ・・・マジで面倒くさいな・・・そのヒエラルキーが一体どの程度のものなのか理解すらしていない癖に)」

自分の上と下しか見えない連中に何を言っても無駄だろうと、内心毒づきながらも表情を殺して歩いた。

218ベルン:2017/03/06(月) 11:08:05 ID:hdxLRRYQ0
>>215

「まだ終わってない、引き分けなんて……と言いたいが、流石に無理だ、今はこれが限界だ」
「正直、決着どころか帰宅できる自信がない」

突っ伏すように倒れたまま、返事だけはする。
生身だったら呼吸が乱れてこれだけの事すら出来なかっただろう、今ばかりは死んでいて良かったと思う。

「ん、何となくだがね」
「理屈で言うなら今の自分の限界を理解出来たのは大きい、感情で言うなら、少し吹っ切れる事が出来た気がする……どっちにしても、何か掴めたよ」

219キルシュヴァッサー ◆Cs/SCyFmEg:2017/03/06(月) 14:57:11 ID:zO3ZgCSs0
>>215>>218
【闘技場】

機を見計らうかのようにベルンの周囲の空間が歪む。
その歪みから、腕が、足が、胸が、顔が、そうしてヒトのカタチが――ゆっくりと姿を現す。
それは少女の姿をしていた。僧衣を纏った褐色の少女。
王の針子、王に傅(かしず)く者。

「我が王、なんてお姿でしょう」

ソレは表情を変えずに鈴のような声で鳴いた。
膝を付き頭を垂れ、その名の通りベルンの側に傅く。

「お戻りが遅いと思い来てみれば――我が王、なんてお姿でしょう」

そのまま口を閉ざすと立ち上がり、今度はトームに向かって一礼する。

「無粋なれどお許しを、私は居ないものとお考え下さい」

少女は両の手を腹のあたりで重ね姿勢を正すと、ベルンの後ろにちょこんと立った。
どうやら話が終われば、ベルンを引きずって連れて帰るらしい。

220トーム:2017/03/06(月) 22:25:30 ID:J5ZUlMko0
>>218
「俺もだよ、馬鹿。意地とかでも立ち上がれるようなダメージじゃねぇだろうよ、お互いに」
 笑う声は力がなかったが、何がおかしいかくつくつと喉を鳴らしていた。それはベルンの折れぬ闘志に対するものか、はたまた
同じようにまだ闘いたいとする自分の気持ちにか。
 ここまでの無理が通せたのは、互いが死人ならではという条件が付いてこそだ。人の身のままであれば、
ここまでの立ち回りを演じることさえもできなかったに違いない。もっとも、死人だからとは言えここまでする必要性などないだろうが。
「……それなら、勝負は継続……決着は次回へ持ち越しってところか」

「まぁ掴めたもんがあんなら、そいつぁ重畳」
 頷く声は確かに満足気で。

>>219
「あ、お嬢さん。俺とお付き合いを前提に結婚してくれませんか」
 いないものと考えろと言われたばかりだと言うに。

 しかし普段ならば、速攻で歩み寄ってもおかしくはなかったのだがやはり動かないことを見るにこの男も正真正銘の限界らしい。

221クオン ◆YJMWmO4ZS6:2017/03/06(月) 22:52:04 ID:T0YCDSjI0
>>217
「食料庫ですが、中には魔物の肉と植物油、それと炭や木材がありましたね。
肉はともかく植物油も炭も木材も、全て少しずつ魔物に手を出されているようでした」

「肉も美味いが炭も美味い」

「あと意外と隙間は大きくて複数ありましたね。低い位置の物ばかり食べられていたので害獣に飛行能力はないと思います」

 どうやら害獣の食性は炎巨人の物と近いらしい。

「レンガ作りだけは廃れてはいけないから技術を分散させる必要があったというのもあるのでしょうね〜」


「そりゃ向いてない奴が物作ったって碌なことにならねぇけどな」

「最近は食糧番もできねぇのかってどやされて……」

 落ち込んだように槍を手に持って俯く。槍は突くためだけの、ゴールデンダックとよばれる簡易槍。
注視してみるとよくわかる。槍は何度も欠けては叩き磨き形を整えている。
害獣退治で地面に向けて突くから欠けやすいのだろう。

「そろそろ警備隊の詰め所につくぞ。隊長は女だがすげぇおっかねぇんだ」

222サクラ ◆Cs/SCyFmEg:2017/03/07(火) 18:31:46 ID:KLoN0D660
>>221
「節操ないな。消化出来さえすればなんでもいいのか・・・」

巨人の話と照らし合わせて、害獣は不定形の軟体生物と予測している。
隙間が複数ということは群れで行動している可能性も高い。

「・・・巨人族のごちそうなら害獣も満足でしょう」

皮肉か擁護かよく分からないフォローを入れつつ、気がつけば目指す食料庫が見えてきた。

「ボク等は警備隊の指示に従います。ある程度戦闘もこなせますので足手まといにはなりませんよ」

組織立って行動する巨人も居るのか、とサクラは感心しているようだ。
基礎能力の高さから、集団での戦闘行動は非効率的だと無意識に決めつけていたらしい。

223クオン ◆YJMWmO4ZS6:2017/03/07(火) 21:38:42 ID:T0YCDSjI0
>>222
「そりゃいいんだが、小人の戦い方なんて俺ら知らねぇしどう指揮したもんか」

「指揮すんのはお前じゃなくてアミリーナだろうが」

 巨体であるため生活範囲が広い。そして場所が広いならその分小さな生物が入り込んでくる。
毒も罠も使わずにアパートからネズミを排除する、と考えれば確かに連携がとれなければ無理というものだろう。


「コルーゼにトマーク? お前ら持ち場を離れて何をやっているんだい!」

「ヒィッ」

 しどろもどろになりながらも害獣駆除のために協力するということを伝え終わる。
害獣駆除が順調でないことを考えてか、警備隊のほうで正式に協力することになった。

「害獣を見つけ次第駆除するよ。炎はあんまり効かないし森が火事になるから使うんじゃないよ?
けど突くだけでも効かないから一時エンチャントで攻撃するんだ。いいね?」

「炎が効かない……?」

 炎属性のスライムなのだろうか。あるいは有効な火力を求めると巨人の匙加減では山火事になってしまうからだろうか。
とにかく警備が始まった。

224サクラ ◆Cs/SCyFmEg:2017/03/07(火) 22:30:58 ID:KLoN0D660
>>223
「デバイス起動・・・って・・・炎が効かないだって?」

紅蓮の燐光と火のマナを纏って召喚されたデバイス。
異形のガントレットとして召喚された力に言い渡された突然の戦力外通知。

「ブレード展開」

サクラは一瞬迷った後、内蔵式の煌燐鋼ブレードを展開させた。
本来ならば蓄熱させて使用するヒートブレードなのだが、素の状態ではただの実体剣。
炎が使えないとなると、攻撃手段がかなり制限される。

「状況は把握しました。いつでもいけます」
「クオン、害獣の分析頼めるかな?」

サクラはクオンだけに聴こえる程度の声量で伝える。

「炎が効かないってところも含めて、弱点とか分かったら文句ないんだけど」

225クオン ◆YJMWmO4ZS6:2017/03/08(水) 01:33:13 ID:T0YCDSjI0
>>224
「炎は効かない、物理も効かない、エンチャントで対応……あぁ、なんとなく予想はできました。
実物を見るまでは確定じゃないですけど」

「ん? 何か動いた……奴らだ! 構えろ!」

 クオンが同じく小声で返すと、タイミングよく害獣がやってきたらしい。
見渡す範囲が広すぎて一瞬どの場所に現れたのかはわからなかった。だがすぐにわかる。
赤い軟体が草の大地をうごめいている。しかもタコのように八本の足を生やして。
その素早い動きはタコというよりも昆虫、アレに近いものだったが。

「――」

 クオンが物凄く妙な表情をしているのを尻目に巨人たちは槍に火を灯して地面に突き刺す。
だがタコスライムはするする逃げ回り食料庫の壁に取り付こうとする。
壁に張り付くと槍で突いて壁を崩すわけにもいかないからグリーブに火を灯し踏みつけにかかる。
当然槍より遅いその攻撃をあざ笑うようにタコスライムは逃げていく。

「……」

 クオンがサブマシンガンをフルオートで放つが、効果は薄いようだ。
サブマシンガンの宝玉に触れて水と氷の魔弾に変更して撃ってみるとスライムは簡単に弾ける。
その場に残されているのは、火のマナ結晶だけだ。

「これは効いて、こっちは?」

 今度は砂の鞭を振るう勢いで石の刃を飛ばす。これもタコスライムに効果があった。少し反応は遅かったが。
次に鞄から水の入ったペットボトルを取り出して蓋を開けて投げてみるが、こちらは効果なし。
ただ水をかければいいのなら巨人たちももっとうまくやっているだろう。

「ん〜純粋な火の魔法と物理的な火、それとただの物理攻撃だけが効かない、って感じですかね。
魔力の宿った物理攻撃なら効果がある。魔力ダメージに弱いタイプですかね」

 極端な話魔法の武器で切りつけるか、火以外の属性の魔法が弱点なのだろう。

226ベルン:2017/03/08(水) 20:50:57 ID:SAnyi2/k0
>>219

「あ……ええと、うん、無茶をして悪かった」
「けれど、これは多分俺にとって"必要な事"だったんだ、迷惑を掛けるのは悪いと思っているけど、止める訳にはいかなかった――赦してくれ」

「……駄目だこれ、この絵面じゃあ、何言っても説得力が微塵も無い」

地面に頭から倒れ込んだままのみっともない状態で、綺麗に話を纏めようと頑張ってみる。
が、本人も無駄な努力だと察したのだろう、諦めるように溜め息を吐いて。

>>220
「今戦いを続けても、見苦しいだけだろうからなあ……よちよち歩きの赤ん坊に代役を任せた方が幾分か見れる試合になりそうだ」
「だから、惜しいがここまでにしておこう、次回はしっかりと決着を付けてやるさ」

ふ、と笑ってやりたいがそれすら面倒で仕方がない、こんな状況になるまで付き合ってくれたトームには、今は感謝せざるを得ない。

227キルシュヴァッサー ◆Cs/SCyFmEg:2017/03/08(水) 23:42:59 ID:Hh5XCQWU0
>>220
「私の身体は細胞の一片まで、全て我が王の所有物」

リンと鈴のような声。
表情を変えず器用に口だけを動かし続ける。

「残念ながら、貴方様の要求にお応えする訳には参りません――それに」

少女は一拍置くと、じつとトームを見る。
まるで見透かされるような琥珀の瞳。

「貴方様の心の中には、既に別のお方がいらっしゃるのではありませんか?」
「既に充足を尽くした生を得ておりますが、まだまだ畜生に蹴られて死ぬわけには参りません」

少女なりの冗談のつもりなのだろう。

>>226
「ベルン様」

僅かに叱責を含むような強い声音だった。

「ベルン様は、ただ一言・・・こうおっしゃれば良いのです」
「“任せる”――と」

王に傅くものとして、王の言葉は絶対。
その言葉に説得力など必要なかった。
言葉そのものが力。献身を超えた隷属、信頼を超えた盟約。

「おめでとうございますベルン様、また一つ王に相応しきご活躍を成されました」
「我らが機織りを代表して、ここに礼賛を」

再び膝を付き、恭しく頭を垂れた。

228サクラ ◆Cs/SCyFmEg:2017/03/09(木) 00:11:58 ID:Hh5XCQWU0
>>225
「――ッ!」

サクラはブレードを展開したガントレットを構えた。
ガサガサと生理的嫌悪を抱かせる歩みで這いずってくるソレに、一撃を叩き込む――が

「・・・手応えが、ない?」

グニュリとすり抜けるような感触。
衝撃で吹き飛ばしたものの、直ぐ様体勢を立て直して動き出すタコスライム。

「クオン!ごめん!抜けたっ」

慌ててクオンの方へ視線を移すと、先程逃したタコスライムが結晶に変わる所だった。
クオンは、この短時間で対処法を導き出したらしい。
場数は向こうのほうが踏んでいるのだろう、こういう機転は流石と言うべきだ。

「火が駄目、物理が駄目・・・か」

サクラは炎特化の術士だ。
唯一の攻撃手段とも思われた実体剣も効果がないときた。
では少年はただの足手まといか?否。

「でかしたクオン。それだけ判れば――充分だ」

口元に笑みを浮かべ犬歯を覗かせる。
サクラは拳に炎を纏わせると吼えた。

「焔よ!来たれ十二神将!」

紅蓮の拳が、三節の術式を砕く。
破棄された術式から飛び出すのは12の光点。天穹十二神将。

「単騎十二将、天御剣!」

光点はガントレットの刀身を包むように展開。点は結びつき面と成る。
サクラの持つ唯一の光属性術式。
本来ならば我が身を守る盾を形成する術式であるが、応用することで光の剣を纏わせたのだ。

「擬似的なエンチャントだね。これなら――」

一回り大きく展開した光の剣を迫ってくるタコスライムに叩きつける。
“斬る”のではなく“叩き潰す”強固な盾は、同時に強固な武器だった。

「どうだッ!」

其処には物言わぬ結晶が一つ、転がっているだけだった。

229クオン ◆YJMWmO4ZS6:2017/03/09(木) 23:15:26 ID:T0YCDSjI0
>>228
 巨人たちが少しずつ狙いを付けてタコスライムを駆除している間に二人は恐ろしい活躍をした。
遠ければ石の刃が貫き、食料庫に取り付かれれば光の刃が閃く。
反応速度にリソースを割り振っているからか戦局的判断能力が低いらしく、タコスライムは次々に押し寄せ、駆除されていく。

「スゲェ、小人強ぇ」

 警備隊の下っ端らしき巨人が呆然とカフェメンバーの無双ぶりを見下ろす。
強さというよりは適正なスケールの仕事をしているというだけ、巨人が弱いわけではない。
しかし巨人たちが苦戦した害獣は程なくして姿を見せなくなった。火のマナ結晶だけがその場に残る。

「……この近くに火山とかあります?」

「え? いや、ないけど」

 近くに火山などはない。火のマナ結晶が自然発生するような環境ではない。これは妖精の生み出したマナ結晶だ。
だが、妖精と巨人は元々薄い共生関係でしかない。妖精が巨人に敵対する理由はない。
そもそもあのサイズのタコスライムを妖精が運用するのには無理がある。特に花妖精という属性と、知性の低い火のスライムとでは。

「……? 結晶は自然発生じゃなくて、でもスライムは妖精が作ったとは思えない……」

 クオンはますます理解できないと難しい顔で考え込んでいる。
検定自体はこれでクリアといっていいだろう。だが、まだ謎は残っている。


 検定内容を協会に報告し、追加検定『妖精と巨人の橋渡し解決編』を提唱しますか?
提唱する場合連続検定となります。提唱しない場合でもカフェの検定とは別で協会が事態解決に動きます。

230トーム:2017/03/09(木) 23:31:22 ID:J5ZUlMko0
>>227
「え…?」
意表を突かれたか、きょとんと、それはもう鳩が豆鉄砲を食ったような顔になってしまった。
心当たりがない訳でもないのか、若干の間を空けて答えを導き出した。

「別の方……。ま、まさか……ベルン…?」( ω//)
ないない。それはない。
冗談の返しにしても、どうにも精彩を欠いたそれは、トームの疲労っぷりを表しているという事なのだろう。

>>226
「はは……そりゃ、良い。次が楽しみだ」
 応じる男の声はテンポを落としつつ、そのトーンも沈んでいった。

「お前になら……任せられるかもなぁ……」
 ぽつりと漏らされた言葉は、思わず考えたことが突いて出てしまったのかのようなものだったのか。
零れた言葉が、最後に”後始末を”と綴ると、それを発した男はと言えばそれはもう、遊び疲れた童子の様に寝こけてしまっていた。
続く言葉の代わりに、ただただいびきだけが、静まり返った闘技場に響いていた。

231ベルン:2017/03/10(金) 01:07:08 ID:SAnyi2/k0
>>227

「――ああ、そうだったな」
「手間を掛けさせて悪いが“任せる”よ、俺もそうだが、まずはトームを……そうだな、カフェで良いか、取り敢えず運んでやってくれ」

王と言われるのはまだ慣れない、元々そんな柄ではないし実力も未だに足りていないと思う。
ただ……その恩恵をこうして貰っている以上、無責任ではいられないだろう。

「……ん、ちょっと待ってくれ、褒められるのは嫌いではないけれど、賛辞を貰うような事をやった覚えはないぞ?」

>>230

「一度見た技は俺には通用しない……なんて事はないけれど、しっかりと対策はさせて貰う」
「次の戦いまでに互いに手札を増やして、質も上げて、万全の状態で決着、といきたいなあ」

徐々にトーンが落ちるトームの声を聞き、改めて今夜の馬鹿騒ぎの終わりを感じる。
疲労し磨耗し散々な状態になりはしたけれど……やはり、こういう競い合いは純粋に楽しい。
だからこそ、次を求めずにはいられなくて。

「……『後始末は自分でしろ』なんて事を言う気はないさ、長い付き合いではないけれど、お前が無責任な男じゃない事は知っているんだ」
「そんな奴が後始末の一つすら出来ない状態なら……うん、誰かがやってやらなきゃいけないだろうしな」

232サクラ ◆Cs/SCyFmEg:2017/03/10(金) 02:10:23 ID:1yBvfX4U0
>>229
「一先ず報告かな」

何か気になる様子のクオンを横目に、結晶の一つを拾い上げる。

透かすようにそれを眺め、クオンに問う。

「これの純度ってさ、妖精の時の報酬と同じくらい?」
「二つの事件に何か繋がりがあるとしたら――」

サクラは結論を口にしなかった。
あくまで可能性。

「まだ、ボク達にはやるべき事が残っているんじゃないのか?」

サクラとクオンは話し合った結果、新たな検定を提唱する事になった。
先に待つ真実とは、一体どんなものなのだろうか。

233クオン ◆YJMWmO4ZS6:2017/03/11(土) 00:25:05 ID:T0YCDSjI0
>>232
 一度協会に報告するということで巨人たちと別れた。
協会に戻ると検定クリアとなり報酬が渡される。巨人サイズの象牙の指輪に巨人サイズのヘアピン。

「これ人間からみたら冠と刃のない剣ですよね」

 これはもう装備というよりも素材だ。報酬である小物のサイズが妖精よりも大きい。

「……最後の最後まで、これは研究者の性ですよね」

 あの二つの里に何が起こっているのか。真実を求めて。

234キルシュヴァッサー ◆Cs/SCyFmEg:2017/03/12(日) 13:32:17 ID:JG6Y9f5w0
>>230>>231

「かしこまりました」

むんず、とトームの襟首を掴む。
引きずって行くらしい。

「今のベルン様の相手が勤まる御仁はそうそう居ないでしょう」
「バベル様も、ベルン様と対峙しておられる時はとても愉しそうでした」

無表情の琥珀の瞳がベルンを見つめる。

「今ならば、理解できるような気がします」
「貴方が孤独でなくて、私は嬉しい」

最後の言葉は、明らかに王に対してではなくベルンという青年に対しての言葉だった。

235ベルン:2017/03/17(金) 23:30:01 ID:SAnyi2/k0
>>234

「ありがとう、けれどトームも一応怪我人だから……それなりに丁重にな?」

彼女はバブイルの従者だった訳だし、きっと相応の存在の筈、首が絞まって悶絶して起きる、なんて可哀想な展開を引き起こす事は無いと信じたい。

「そうか……言われてみれば、最低限のやり取りくらいはしたが、それだけだったな」
「俺と戦っている時に愉しそうだったのは、当事者だし流石に解っていたが、普段どうしていたのか、どんな感じだったのか……今まで全然知らないままだった」

「……そうだな、自分で言うのもおかしな話だが、本当に良かった、恵まれていると今なら思える」
「無くしたものが無いわけじゃない、痛みが無いと言えば嘘になる、けれど未だに俺には父のような師がいて、馬鹿騒ぎに付き合ってくれる友がいて、突然湧いて出た慇懃無礼な憎めない弟分もいる」
「ああ、それに引き継いだお節介な従者も、だな、本当に――こういう時間が有ってくれる事が嬉しいよ」

過去の光を捨てる気は無い、抱えて進むと誓ったのも嘘ではない、けれど、今がそれと同じくらい愛おしい時間になってくれるのならば、それは、きっととても幸せな事なのだと素直に思える。

236キルシュヴァッサー ◆Cs/SCyFmEg:2017/03/18(土) 07:21:06 ID:dW9XepYQ0
>>235
「心得ております」

先程の砕けた様子はどこかへ、再び慇懃に会釈する。
よくよく目を凝らしてみると襟首を掴んだ手には力が入っておらず、僧衣の袖から何か薄っすらと輝くものが無数、トームの身体に巻きついていた。
その輝くものの正体は“霊糸”
霊糸アリアスと呼ばれる細く強靭な霊力の糸はトームの身体を傷つけること無く“地面から僅かに浮かして支えているのだ”それも片腕で。
王の針子という二つ名は伊達ではないようだ。

「私達“機織り(キルシュヴァッサー)”は元々、水子の魂」
「生まれることすら許されなかった私達に、バベル様は器と役目を与えて下さいました」

淡々と語る口調はまるで他人事の様。

「歪んだ救済、と言われれば否定は出来ません」
「それでも私達は、王に感謝しています。私達を造った先王と、私達を従える役目を継いだ貴方を」

それでは、と再び一礼し踵を返す。
そうして音も無く、カフェの方角へと遠ざかって行くのだった。

237 ◆YJMWmO4ZS6:2017/03/18(土) 20:03:03 ID:T0YCDSjI0
【カフェのスクリーン】
本日の検定内容_
‘妖精と巨人の橋渡し解決編’
〔ジャンル〕
調査
〔推薦適性値〕
不明
〔開催地〕
果物の森美術区域

〔概要〕
説明しよう。果物の森美術区域とは巨人の植林と妖精の力が組み合わさり生まれた観光名所である。
しかしながら実際には巨人と妖精には力を合わせたという意識があまりなかった。何故か?
それは互いのサイズ差があまりにも激しすぎて強い関心を抱ける対象になりえなかったからである。
実のところ奇跡的バランスでこの果物の森美術区域は成り立っていた。

だがそんな状態がいつまでも続くとは思えない。現に問題が起こってしまった。
それも妖精側にも、巨人側にも同時に問題が起こってしまった。
二つの里は両方害獣に悩まされていることが判明した。そしていくつかの謎が残った。

さあ真実を解き明かし二つの里に平和をもたらしましょう。

〔ヒント、その他〕
二つの里を自由に行き来して真相を解き明かしましょう。

〔失格行為〕
・里や森を大規模に破壊する行為、基本的に器物損壊や建造物損壊の罪となります。
・里や森での窃盗行為や密漁行為、希少な環境ですのでそれを壊す行為はやめましょう。
・森への外来種の持ち込み、環境保護のためこれは厳守してください。
・現地住民への過剰な迷惑行為や他の参加者の殺害、当然認められていません。
・里同士の関係を決裂へ導く行為、今現在の環境が限界だとしても良い方向への変化を望みます。
・検定に関係のない犯罪行為全般、常識の範囲で行動しましょう

〔BOSS〕
・真実

《PRESENT》
☆火の果実☆
分類:食品
食べると血の代わりに火が体を廻るようになるという伝説を持つ果実。
実際は特殊能力や魔力や適正、火に関する何を得るか個人差もあり全く不明という代物。
真実を突き止め問題を解決した場合にひとつだけ与えられます。

《検定開始時刻》
>>20:30
《終了予定時刻》
>>0:30

238クオン ◆YJMWmO4ZS6:2017/03/18(土) 20:43:29 ID:T0YCDSjI0
>>237
 転送装置が動いているというのに過去の検定ログを見つめている。
小型の液晶モニターが貸し出され妖精の里での検定の映像と巨人の里での検定の映像を確認する。

「……どちらの検定でもピンポイントにお互いの種族で対応しづらい害獣に悩まされていて、
少なくともタコスライムは自然発生というには無理があって、ミラーアルマジロも、自然発生とは思えないですね……」

 コアがその森で自然発生しない火のマナ結晶だったタコスライム。
そして花妖精以外に光魔法を使う存在がいないのに光魔法に対応した変異の確認されたアルマジロ。
どちらもただの自然発生というには不自然だ。

「、確認しに行くしかないですね」

 ようやく席を立ち、転送装置で検定会場へと向かっていく。

239クオン ◆YJMWmO4ZS6:2017/03/18(土) 21:05:30 ID:T0YCDSjI0
>>238
 妖精の里と巨人の里を自由に行き来できるように妖精サイズになる魔導具が放置してあった。
早速妖精の里を確認しに行くため使用する。

「お〜サイズが違うと景色が別物っぽいですね」

 砂に乗りふよふよと浮かびながら妖精の里、をスルーして害獣との戦闘跡地へ直行する。
そしてさらに奥へと進んでいく。何かの痕跡はないかと目を配りながら。

「……? 変な穴が開いてますね」

 地面に間隔をあけて無数に開いた随分大き目の穴。
綺麗に円錐の形に開いているがその奥、円錐の頂点の部分は別の何かで掘られたように乱れている。

「方向的には、こっちに進むと巨人の里の近くですけど」

 首をかしげながら悩む。

240クオン ◆YJMWmO4ZS6:2017/03/18(土) 21:30:40 ID:T0YCDSjI0
>>239
 無数に開く穴を調べ続ける。呪術検査では火属性の残渣が感知された。

「火属性、この森でその残渣が出せるとしたら巨人か妖精かタコスライムですよね。
何かしら今回の件に関わっている穴、ってことですかね」

 しばらく調べていると巨大な草を掻き分けて赤く透き通る巨大な触手が現れた。
タコスライムだ。妖精サイズで見ると恐ろしく大きい。だが、タコスライムは遠隔攻撃手段を持っていない。
高度を保ちつつ水と氷の魔弾でバースト射撃を繰り返す。それだけで単体のスライムを狩るのは簡単にできた。

「ふむむ、タコスライムの活動圏内なんですね。二つの里の害獣の活動圏が重なっているんですか」

241クオン ◆YJMWmO4ZS6:2017/03/18(土) 21:59:58 ID:T0YCDSjI0
>>240
 一度転送装置にまで戻ると元のサイズに戻る。そして先ほどまでいた場所を、今度は人間サイズで調べる。

「、この足跡、巨人のものですね」

 妖精サイズでは気付かないスケールの足跡に改めて気付く。
人間の体で探し回ると妖精サイズでは気付かないものが見えてくる。
少なくとも無数に開く穴はただ動物が巣穴にするために掘ったものではない物だということ。

 色々調べまわっているとアルマジロを見かける。鏡張りではない普通のアルマジロだ。

「ふむ、」

 何か考え込む。少しずつ真実に近づいている感覚。答えは既に自分の中にある。ただ結びついていない。
アルマジロを捕まえて観察してみる。艶のある綺麗なアルマジロだ。完全に丸まっている。

242クオン ◆YJMWmO4ZS6:2017/03/18(土) 22:30:12 ID:T0YCDSjI0
>>241
 しばらくアルマジロを観察することにした。人間サイズなら気をつけていれば襲われることもない。
アルマジロは地面を転がりながら移動していく。通常のアルマジロとは異なる生態であるらしい。
穴に落ちた後は四足歩行で這い出てくる。落ちたところを覗いてみると穴の奥を少し掘ってから這い出る。

「……?」

 何度か穴に落ちた後、穴の奥から何か硬質なものを砕く音が聞こえる。そしてアルマジロが這い出てくる。

 何かを考える。鞄から巨大なヘアピンを取り出すと砂で削り一部を切断した。
その聖火の鉄の欠片をアルマジロに差し出すと、アルマジロはそれを食べる。

「なるほど」

 クオンは何かに気付いたようだ。

243クオン ◆YJMWmO4ZS6:2017/03/18(土) 23:33:09 ID:T0YCDSjI0
>>242
「さて、森の管理人さん。今回の件の解決策はとりあえず考えてきましたよ」

 クオンは真実よりも先に解決策を報告する。

「まず各害獣への対処なんですけど、これお互いの種族的に対応しづらいだけなんですよね。
だから火以外の魔力ダメージに弱くて飛べないタコスライムは花妖精が光魔法で対処する。
ミラーアルマジロは金属食べるみたいなので巨人が餌付けと躾して家畜にしてしまえばいいです」

 妖精と巨人の薄い共生を一歩進める。それだけで害獣問題自体は解決する。
だが、それは謎の解決ではない。害獣発生の謎が解けていないのに解決策は単純。
仮に人為的に害をなそうとした事件であったのならば、間が抜けている。
仮に種族間を取り持とうとした一手であったのならば、乱暴がすぎる。

「この検定の真実、本当は知っていたんですよね? 管理人さん」

 森の管理人、この森を一番よく知る人間。彼と向き合う。

244クオン ◆YJMWmO4ZS6:2017/03/19(日) 00:17:49 ID:T0YCDSjI0
>>243
「あのタコスライムは火のマナ結晶をコアにして生まれています。コアは妖精が作っているみたいですけど、運用は別。
あのタコスライムは妖精の手から離れたマナ結晶から自然発生するものなんですよね? それも、本当ならそんなに大きくないタコスライムが」

 おそらくは普通のスライムがマナ結晶を取り込むなどのルートで昔から少しは存在していたはずだ。
火のマナ結晶を消費することなく通貨として使い、火のマナ結晶を作り続ける妖精。それなら魔物が発生しないほうがおかしい。

「ただ、今回は大きなタコスライムが大量発生します。その理由は、あのミラーアルマジロ。
あれに襲われて普段持ち歩いているマナ結晶が森に放置されることが多くなってタコスライムが大量発生した」

「そして、タコスライムの駆除の為に巨人が槍で地面を突くと、槍が欠けて金属片が残される。
それをアルマジロが食べてミラーアルマジロに変異する、という悪循環」

 巨人たちの槍は、たしかに欠けた物を何度も修繕した跡があった。
どうしても地面ごと突くから仕方のないことなのだろう。だが害獣駆除が増えればその分金属片は多く残る。

「今まで問題にならなかったのは管理人さんが処置をしていたから。
今回こんなに急激に問題が激化したのは、管理人さんがそうなるように仕向けたから」

「いえ普通に処置できないレベルの大きさになったからですけど」

「……あれ? えっ、じゃあなんで真実を始めから話さなかったんですか?」

「怒られるのが怖くて……」

 乾いた風が吹いた。

245クオン ◆YJMWmO4ZS6:2017/03/19(日) 00:38:41 ID:T0YCDSjI0
>>244
 真実を突き止め解決策を提示したクオン。その手には報酬である火の果実。
だがクオンは完全に気が抜けている。

「……私は火とあまり相性よくないですし、というより食べてうっかり人間止めちゃったりするかもしれませんし……」

 自分で食べる気はないようだ。

246クー ◆YJMWmO4ZS6:2017/03/25(土) 20:29:41 ID:T0YCDSjI0
【カフェ】
 自分自身に流れる吸血鬼の血を殺してから血を飲む必要がなくなった。
昔はお世話になっていた飲み物欄の輸血パック。それを懐かしそうに眺める。

 あの時隣にいた家族を取り戻すために今は力を磨いている。
様々な形で力をつけるのに検定も活用している。今も検定でも出ないかと休みながらスクリーンを眺めている。
本当はもっと必死に自分を追い詰めて努力するべきなのかもしれない。
だがいつ本番を迎えるかわからない中、練習で力を使い果たすわけにはいかない。

 理屈で納得していながらも、感情はついてこない。思考が宙に浮く感覚ばかりが頭を支配する。

「……何もしないのって、暇ですね」

 クオンのように本を持ち歩いていたりすることはない。ただ、体を休めながら待っていた。

247ベルン:2017/03/27(月) 23:09:31 ID:X9t73pWE0
>>236

「別に歪んでいるとは思わないさ、それに、お前の境遇を否定するのは俺自身を否定するのと大差無いからな……思いたくもない」

そう、他ならぬ自分も幻影みたいなものだ、彼女達が日の光の下に出れなかった存在ならば、自分はかつて日の光の下に居た男の影のようなもの。
もう一度会いたい、一緒に居たい、離れたくない、消えたくない、強すぎた想いを――未練を抱えていた故にこの世界に“焼き付いた”過去の幻像のようなものだ。
そして、そんな情けない存在でも先に進む事が出来るのは自分が誰よりも知っている、だからこそ自分の否定など絶対にしない、誰にもさせない。

「礼を言うのはこっちなんだがなあ、手を貸してくれてありがとう、それと、今までおっさんを支えてくれてありがとう」

248タート ◆YJMWmO4ZS6:2017/04/01(土) 20:32:25 ID:T0YCDSjI0
 カフェにいた。そして検定を待っていた。ところがいつの間にか転送装置が動いていた。
スクリーンの故障だろうかと思いマスターに確認するも、マスターは時が止まったかのように微動だにしない。
転送先で話を聞くしかない。そう思い転送装置に飛び込んだ。

 今の主人に拾われる前、過ごした町はゾンビに飲まれ死の町と化した。
己の過ごした日常が壊れるのを、一度体験していた。一度起きたことが二度起きないとは限らないというのに、それを考えなかった。

 その罰だろうか。転送装置の光は消えた。周囲を見ても転送装置はない。唐突に人気のない場所に放り出された。
タヌキであるこの身では利用することがなかったであろう、知らない施設。人の手が入った場所だ。だが、人がいない。
異様な雰囲気すら感じる。ここは、どこだろうか――?

249 ◆fJNTk09.gI:2017/04/01(土) 20:52:08 ID:NPSP4wok0
【謎の施設】

ふと、向こう側から強い光が見えた。目が潰れるかと思うほどの強い光だ。
けたたましい金属音を響かせ、巨大な細長い構造物が、独りでにこちらに向かってくる。
それはゆっくりと速度を落とし、この謎の施設のすぐ脇に隙間なくぴたりと停止した。

「きさらぎ、 きさらぎでご...いま.....お忘れ物の無いよう....」

窓の多い構造物だ。全て明かりがついていて、中は椅子と輪っかのような物がぶら下がっている。
窓から見える中には、誰も居ない。

見慣れない開き方をする一番奥の扉から、一人の少年...?が降りてきた。
狐のような尖った耳。その先端は仄かに燃えている。

「・・・・・?」

少年はタートに気づいた様子だったが、特に話しかけるわけでもなく階段を下りていこうとする。

250タート ◆YJMWmO4ZS6:2017/04/01(土) 21:06:02 ID:T0YCDSjI0
>>249
 飛行機、船は経験と知識があるものの鉄道に関しては無知なタヌキ。
だが乗り物という概念は知っている。おそらくはこの乗り物を運用するための場所だろうとは理解できた。

 少し急いで少年に追いつこうとする。声帯が異なるため声で引き止めることはできない。
幻術で文字を出すことによる筆談。それがタートのコミュニケーションツールだ。

可能なら「少し尋ねたいことがあるのだが、時間よろしいだろうか?」と訊ねるだろう。。

251油々火狐 ◆fJNTk09.gI:2017/04/01(土) 21:21:43 ID:NPSP4wok0
<<ドアが閉ま...ま...>>

酷くかすれた声で扉が閉まる。「電車」はまたゆっくりと速度を上げ、闇の向こうへと消えていった。

再び訪れる静寂。不気味なほど周囲には音が無い。
ボロボロの木の壁、やけに古びた張り物。コンクリートは所々ひび割れススキを生やしている。
駅舎にぶら下がった看板には「きさらぎ」とあり、その下には、「やみ」「かたす」という文字がある。

「なんとオメ珍しいもん使うでねか?」

どうやら文字には気づいてくれたらしい。

「化け狸?んだども化けてもねし、なんとしたんだ?オェも暇でねど?」

・・・かなり強烈な訛りだ。辛うじて聞き取れるレベルだろう。
少し長めの黒髪を持つ少年。狐目で狐の耳(燃えてる?)を持ち、黒い着物を着ている。

252タート ◆YJMWmO4ZS6:2017/04/01(土) 21:27:37 ID:T0YCDSjI0
>>251
 筆談のため文字はある程度習熟していた。読むことはできる。

「恥ずかしながら魔獣にも妖怪にもなりきれていないしがないタヌキだ。
転送事故か何かで突然ここに放り出されたものでな。ここがどこかもわからずにいる」

 まずはこの場所がどこか、そして帰る方法。これを確認しないことには自由行動も悪手だ。
カフェメンバーとして相手がどんな容姿でも話が通じるのならば偏見を持たないようにする。対話は力なり。

253油々火狐 ◆fJNTk09.gI:2017/04/01(土) 21:49:28 ID:NPSP4wok0
「てんそー?だか何だがわがねども・・・あー、んだばオメ、あえだべな」

狐は術を解くと、黒い狐になってタートと目線を合わせる。
黒いと言っても、目は炎のように赤く、耳と尻尾は燃えている。

「此処きさらぎっつんだどもよ、此処よ、ヒトの来るとごでねのに最近ヒトがくんだ。」
「さっきオェ電車さ乗って歩ってきたべ?電車が外のヒト連れでくんのよ、オメももしかして電車さ乗ってきたが?」

どうやら狐の言うことには、事態はあまり芳しくない。
この辺りに来れるのは基本的に「黄泉」や「冥土」を行き来する者だと言う。
ましてや、迷い込んだ人間が何処に言ったかなど知る由もないとの事だ。

「オェは”根”さ用事があるんだども、オメ何とすんだ?根さきたっで帰れねど?」
「まぁ畜生のよしみで付き合うどもよ、この辺の山だばまだ”この世の内”だから何となるかもしぇねど」

254タート ◆YJMWmO4ZS6:2017/04/01(土) 21:57:52 ID:T0YCDSjI0
>>253
「……電車、いや……」

 十全に現在の状況や話を理解できたわけではない。だが、彼岸というものは知っている。
死ならばそれを傍から見た。それも大切な人の死を。

「……帰れる範疇で、故人と会うことはできるだろうか? 会いたい人がいるのだ」

255油々火狐 ◆fJNTk09.gI:2017/04/01(土) 22:12:18 ID:NPSP4wok0
「なんと、随分ヒトに慣れたタヌキだでゃ」

「根さは・・・ちょっと無理だな、オェみてに・・・こう」

狐の上半身が黒い液体になって溶け、それは形を取ると、先ほどの黒髪の少年に戻る。

彼は「油々火狐(ユユヒコ)」という、人間が言うところの稲荷神の一種であるそうだ。
曰く、「根」に行くには実体と寄り代を分離し、地面に溶けていくほどに魂を変えなければならないらしい。

「まぁ、ヨモツヒラサカまでだば行けるから・・・ヒト居るかはわがねども、行ぐか?」

線路を降りた隣のトンネルに、その場所があるという。
どっちにしろ、きさらぎ周辺には何もないとの事だ。

256タート ◆YJMWmO4ZS6:2017/04/01(土) 22:19:14 ID:T0YCDSjI0
>>255
「そうか」

 無論未だタヌキの範疇であるタートにそこまでのことはできない。

「そうだな、元より無理は承知の言葉。帰れる範疇でなら行ける所まで行こうと思う」

 たまには愚かな冒険もいいだろう。そう、決めた。これはある種試練であり、機会でもあると。

257油々火狐 ◆fJNTk09.gI:2017/04/01(土) 22:34:20 ID:NPSP4wok0
「んだが。あべ、あっこだ」

そう言って、二匹の獣がプラットフォームを降りた―――ー

――――トンネルはやけに長く、獣二匹の足音だけが小さく響く。

<<おーい>>

途中、声が聞こえた。

「(・・・返事すでねど)」

狐も、テレパシーじみた物を使っている。

<<おーい、線路の上歩いちゃあぶないよ>>

それは老いた男の声だったが、後ろから聞こえてくるというのに一向に遠ざかる気配がない。
その男には片足が無い。

「(良くね奴だ、関わるこたねぇ)」

声はどんどん近づき・・・気づいたときには、片足の男がすぐ隣に迫っていた。
こちらを、じーーーーーっと見つめている。

258タート ◆YJMWmO4ZS6:2017/04/01(土) 22:41:14 ID:T0YCDSjI0
>>257
 飼われタヌキとなった今、野生は随分と擦り切れている。
それでもなんとなく、それが振り向くことすら危うい存在であると理解できた。

 目を見れば相手が嫌な考えをしているかわかったりするものだというが、目を合わせることができない。
本能がそれを拒否している。今までにない経験に困惑するが、無理にその本能に逆らおうとも思わない。

 ただひたすらに歩く。

259油々火狐 ◆fJNTk09.gI:2017/04/01(土) 23:05:22 ID:NPSP4wok0
片足の老人を隣にくっつけたまま、トンネルを抜ける。
出口に近づくと、男はそれ以上追ってはこなかった。

トンネルを抜けても周囲は闇に包まれている。特に狐や狸は夜目が効くので苦ではないが、それにしたって暗い。

抜けてきたトンネルには「伊佐貫」とある。

「この先に外のヒトが迷い込んだばもう駄目だな」
「ま、オメはヒトでねから何とでもなんだども」

線路を外れると、林の中に民家が点々とする場所があった。
周囲には、道祖神のような石象も所々にある。途中に落ちていた新聞には、昭和○○年、とある。

太鼓と鈴のような音が、どこかから聞こえる。別の方角からはお経のようなものも聞こえる。
林の間から、潰れた顔面の女の顔のような物がこちらを見て笑っている。

「・・・一応聞いとくけどよ、最低限身ぃ守れる事はできるべ」

顔は、何かを食っていた。それが何なのかは、正直想像はしたくない。
そのおぞましい雰囲気から目を背けたとたん、顔のいた方角から何かが音を立ててこちらへ向かってくるのが聞こえるだろう。

260タート ◆YJMWmO4ZS6:2017/04/01(土) 23:10:44 ID:T0YCDSjI0
>>259
「一応確認するが、雷は有効であろうか?」

 流石に異様な雰囲気が強まったことはわかるらしい。
多くの見慣れぬ物に物凄い勢いで悪印象が植えつけられてしまっている。
そして、ただの動物である自身に霊的な因子が芽生え始めたのを自覚する。

 音のする方向へ大雑把に視線を向ける。またあの老人のような何かが近づいてきているのだろうか。

261油々火狐 ◆fJNTk09.gI:2017/04/01(土) 23:21:23 ID:NPSP4wok0
「なんもだ、此処のは何でも効く、細けぇこた何もね」

直後、潰れた顔の四つんばいの化け物が茂みから飛び出し、油々火狐に噛み付く。
油々火狐は再び黒い液体となって、化物の手と歯からするりと逃れると、地面に染み込んで距離を取る。

潰れ、歪んでいるその顔は見るに耐えない。唇の無い歯からは涎と血がだらだらと垂れている。

小さな目がその視線を、今度は狸に向けてくる。

262タート ◆YJMWmO4ZS6:2017/04/01(土) 23:29:22 ID:T0YCDSjI0
>>261
「なんでも、か」

 細かいことは何もない、何でも効く。その言葉通りならば対応できるだろう。
尻尾が膨らみ電気を溜め込む。いつでも放てるように。そして同時に、幻術の矢を放った。
攻撃の意思を乗せて殺傷力のない幻影による攻撃を行う。普通ならば牽制以上の意味はないが……?

263油々火狐 ◆fJNTk09.gI:2017/04/01(土) 23:39:58 ID:NPSP4wok0
<<い゛い゛い゛い゛いい゛いい゛いい゛い>>

幻影の矢が当たると同時に、顔は狸に飛び掛ってきた。
一切の躊躇を持たないそれは、獣の思考ですらない。
何か、強い意思を持った動きだ。

「あや、よいでねな」

しかし、その突進は狸までは届かない。
細長い化物の手足を、黒い液体が絡め取り、もがけばもがくほどその体を地面に沈めていく。

「・・・ほれ、ビシッといけビシッと」

(狸に攻撃を促している)

264タート ◆YJMWmO4ZS6:2017/04/01(土) 23:46:36 ID:T0YCDSjI0
>>263
「なるほど」

 電磁加速により化け物の上へと飛び、尻尾より落雷を起こす。
そして同じ軌道で電磁加速し元の場所に着地する。

「……幻術でも効いて、いたのだろうか」

 さすがに物理的にダメージを与えていたようには見えなかったが、命中に反応していた。
この場では精神への攻撃がデフォルトとなっているのだろうか。あるいは、ただのタヌキから外れてきているのだろうか。

265油々火狐 ◆fJNTk09.gI:2017/04/02(日) 00:21:30 ID:NPSP4wok0
狐は、痙攣している化物に牙を立て、容赦なく首を食いちぎる。
そうして、完全に動かなくなった化物は、黒い液体に包まれて沈んでいった。

狐が再び元の姿に戻ると、先ほどより火の勢いが増している。

「ヒトん体を乗っ取った怨霊だべな、たぶんな。こういうのは燃してしまった方がいい」

「・・・こっちゃさけ」

狐は、そのままお経の方へ進む。
木々はより深くなり、森の向こうに大きな寺が広がっていた。
お経はかなり大きい。というか、うるさい。声がかき消されてしまいそうだ。

「あの寺は...入っても何もいい事ねども、丁度あっこの裏にな...」

「あった」

それは、かなり大粒の数珠。狸には首輪にしたほうが丁度よさそうだ。

「これはよ、外の空気が入れてあんだ。こいつを持って・・・んだな」
「・・・やみ駅までいけば「あの世」の連中と会える、線路を伝っていけばいい」

鈴と太鼓の音も、段々大きくなってきている。

「もうだいぶ太鼓もでっけくなってるっけ、あンまし・・・こさ居るとあぶね」

266タート ◆YJMWmO4ZS6:2017/04/02(日) 00:31:15 ID:T0YCDSjI0
>>265
 筆談とテレパシーにはあまり影響はないだろうが、その音量は純粋に耳が痛くなるほどだった。
導かれるままに歩くが、顔をしかめるのは避けられなかった。

「やみえき、どちらの方向だろうか? 何にせよ、色々感謝する」

 かなり大きく成長しているタヌキが大きな数珠を首にかけていると、いかにも人を化かしそうな見た目になった。

267油々火狐 ◆fJNTk09.gI:2017/04/02(日) 00:40:43 ID:NPSP4wok0
「こっちゃさ」

森を下り、再び線路に下りる。
段々と両脇の傾斜がきつくなっていき、山が深くなっているのがわかる。

かなり時間が経った気がするが、一向に辺りが明るくなる様子はない。
歩いていると、線路は大きな谷を挟んで鉄橋に繋がっていた。向こう側に、駅らしき明かりがみえる。

「・・・オェは此処までだ、其処を渡るんだば数珠が要る」
「待っててやっから、行ってこい」

268タート ◆YJMWmO4ZS6:2017/04/02(日) 00:46:30 ID:T0YCDSjI0
>>267
 山を歩くことなど久しくないことだった。だが動物の体は山を楽に移動できるようにできているらしい。

「わかった。行ってくる」

 ここまできたのだから信じて進もう。今の生活に不満などない。だが、ただ一言あの老人に、前の主人に会いたい。
別れを告げ、今が幸せであると伝えたい。既に転生してしまっているのかもしれない。だがそうでないなら、伝えたい。
それがタヌキとしての己のケジメだと思うのだ。それまでは、ただのタヌキをやめることもできない。そんな気がした。

 鉄橋を渡る。より世界から死の気配が強く感じられるようになってくる。

269油々火狐 ◆fJNTk09.gI:2017/04/02(日) 00:58:06 ID:NPSP4wok0
やみ駅は、やはり同じようにボロで、同じように薄暗い
しかし、きさらぎ駅とは打って変わって、大勢の人間がいた。

・・・いや、彼らは人間「だった」と言うべきか。
その姿は人間でこそあれど、とても希薄な存在に見えた。恐らく、普通の人間には見えない代物だ。

大勢が、身じろぎひとつせずプラットフォームの上で静かに電車を待っている。
もしかするとこの中に「居る」のかもしれない。

皆、足元は透けており、人混みでありながらぶつかる事はなかった。人を探すのは楽だろう。

270タート ◆YJMWmO4ZS6:2017/04/02(日) 01:11:24 ID:T0YCDSjI0
>>269
 透けた足に邪魔されることのない低い視線。それが今はありがたかった。
無言で身じろぎすらしない彼ら。あの落ち着いた声は、もうはっきりとは思い出せない。

 声をかけて探すこともできない。動物の身では、それどころか筆談も成立するか怪しい。
彼らはこちらを認識できているのだろうか。反応するのだろうか。
自然を切り開く、文明を己に教えてくれた人。自然では生きられなかった自分を救ってくれた人。
不安を抱きながらも探し続ける。ゾンビに成り果てる前の姿も思い出しながら、懸命に年老いた男性だけを探し続ける。

271油々火狐 ◆fJNTk09.gI:2017/04/02(日) 01:22:01 ID:NPSP4wok0
<<プァン!!>>

電車の音が静寂の駅に響いた。

「やみ やみ 忘れ物にご注意ください」

そのドアが開くと同時に、ぽつぽつと人が降りてくる。
とは言っても、やはり足は透けている。

プラットフォームの人々が続々と乗り込んでいく。声をかけるには間に合わない。

しかし、乗り込んだ電車のドアからは、乗客の顔がよく見えている。

272タート ◆YJMWmO4ZS6:2017/04/02(日) 01:29:54 ID:T0YCDSjI0
>>271
 一列に並んだ顔。端から端まで走りながら全てに目を通す。
それでも、あの顔を見ることはできなかった。もう何年も前のこと、そして彼も大した未練などなかった。
タヌキを拾ったのも寂しさからの手慰みのようなもの。いつまでもこんな場所に留まる理由などない。

「……」

 きっと、天国か転生か、どちらかの道へ逝ったのだろう。今となっては確かめようがないが。
心のどこかで、こんな場所に爺様がいなくてよかった、と思う部分を自覚した。

 帰ろう。いつの間にか、尻尾から風の音が聞こえるようになっていた。
元きた鉄橋を渡る。その間にも霊の力というのだろうか、冥界、異界の力がその身に馴染むのを感じる。

「今、戻った。会うことはできなかったが……満足した。世話になったな」

273油々火狐 ◆fJNTk09.gI:2017/04/02(日) 01:44:37 ID:NPSP4wok0
先ほどと同じ場所に、かがり火のように仄かに燈る狐が座っていた。

「―――んだが」

狐は納得した様子だった。

「さっと、オメんとこどごさ帰・・・」

バギャン!!!

「ひゃー!」

唐突に、転送装置の光が線路に空いた。
というより、固く閉じられていたものが突然開いたという表現が似合う開き方だった。
まるで、何かから許しを得たように。

「いんやびっくらこいた、なんだなんだ」

274タート ◆YJMWmO4ZS6:2017/04/02(日) 01:51:00 ID:T0YCDSjI0
>>273
「、あぁ、帰り道ができたようだ」

 光の手前まで進む。そして数珠を返そうとしながら文字を浮かべる。

「次に会えたときは、恩を返そう。本当に世話になった」

275 ◆fJNTk09.gI:2017/04/02(日) 01:58:43 ID:NPSP4wok0
「なんもなんも、持ってけ、それくれぇ幾らでもこさえる」
「数珠はな、ホントに役目果たしたら勝手に消えるもんなんだ」

「今消えねかったって事はまだ何かあんだでゃ、それまで取ってけれ」

「へば、まんず」

狐はそう言うと、火を揺らしながら森の向こうへと消えていく。
鈴と太鼓の音は、かなり近くまで来ていた。

276タート ◆YJMWmO4ZS6:2017/04/02(日) 02:06:44 ID:T0YCDSjI0
>>275
「そうか、わかった。何から何まで本当にありがとう。感謝する」

 背を向け消え行くその姿を見ながら、今ならできる気がした。

「感謝するっ!!」

 幻術による聴覚干渉、テレパシーもどき。タートは幻の上ではあるが、声を手に入れた。
再び数珠を首にかけ、鈴と太鼓の音に背を向け転送装置の光へ飛び込んだ。
大きな音の中に三味線の音まで混じったように聞こえたが、次の瞬間にはカフェに放り出されていた。


 勢いよくカフェの床に叩きつけられる。痛みが、先ほどまでのことを夢ではないと訴えかけていた。
尻尾は雷と風を纏う。自分の中に魔力ではない異質な力が目覚めているのを感じ取る。そして、数珠が首にかかっている。

「……不可解な体験だった。だが、きっと必然だった」

277 ◆fJNTk09.gI:2017/04/02(日) 02:29:39 ID:NPSP4wok0
【根の国の数珠】
火狐の油(黒い液体)を幾重にも固めて大ぶりの数珠にしたもの。
行き倒れた人間たちに僅かに残った「外の気」を封じ込めてある。
これがあるといわゆる「あの世」に極めて近い場所でも安定して活動できる。

数珠は霊的なものであり、「本当の役目」を終えると持ち主の前から消えると言われている。

278 ◆YJMWmO4ZS6:2017/04/08(土) 21:33:00 ID:T0YCDSjI0
【カフェのスクリーン】
本日の検定内容_
‘はなみ’
〔ジャンル〕
裏方
〔推薦適性値〕
高高度耐性B
熱干渉B
広域魔法A+
〔開催地〕
カフェ提供特設花見会場

〔概要〕
花見がしたいけど雨が降っている。そんなことありませんか?
桜の木の根にダメージを与える花見などするなと天が告げているかのようです。
ならば、当然神へ反逆の狼煙を上げる。それが人という物。
桜は植物魔法で保護し、雲は火により蹴散らして、自然を切り開き花見をしよう。
諸君、私は花見が好きだ! 好きで好きで堪らない! 神への反逆の次に花見が好きだ!
(以下テンションの高い文章が羅列されている)

〔ヒント、その他〕
雲を散らす方法は自由です。風でも火でも水でもなんでもかまいません。
桜の保護係の方は桜を外敵から守ることも仕事のうちです。流れ弾に注意しましょう。

〔失格行為〕
・故意に桜を傷つける行為、また環境の大規模破壊も失格行為となります。
・それ以外の全ては不問となります、が、犯罪とならないよう常識の範疇で動きましょう。

〔BOSS〕
・大規模低気圧
強い雨と風が桜を襲うかもしれません。なんとか対処しましょう。

《PRESENT》
☆桜餅☆
分類:食品
参加賞です。カフェのマスター特製のおいしい桜餅です。

☆桜吹雪の組紐☆
分類:魔導具
桜の花びらを大量に飛ばす目晦まし用の魔導具です。低燃費です。

《検定開始時刻》
>>21:45
《終了予定時刻》
>>1:30

279黒髪の女 ◆DUSK/kzn02:2017/04/08(土) 21:49:07 ID:eRkB3tXk0
スクリーンを粗方読み終えると、桜賛美の言葉で頭がくらくらした。さくらくらくら。
少しのクールダウンを置いて、さて自分には何ができるかと考えた女は、一度カフェを後にする。

(数分後)

断ち切ったばかりの白い布、使い古しのウェス、とにかく布を両手に、背中でドアを押して戻ってきた。

280メアリー ◆YJMWmO4ZS6:2017/04/08(土) 21:56:00 ID:T0YCDSjI0
>>279
 何やら転送装置前に小さな妖精が浮かんでいる。参加するらしい、が大した用意をしているようには見えない。
いや、妖精サイズで何を持ち込めるのかと言われれば何も言い返せないのだろうが。
そして注意力散漫なのか大量に布を抱えて近づいても気付かない。転送装置の前で浮いている。サイズは小さいが少し邪魔だ。

281黒髪の女 ◆DUSK/kzn02:2017/04/08(土) 22:01:25 ID:eRkB3tXk0
>>280
女は抱えた荷物で視界が危うい。
布がとにかく積み重なっており、ぶつかれば痛くはないもののうわべが崩れ白い波頭が襲うだろう

282メアリー ◆YJMWmO4ZS6:2017/04/08(土) 22:11:33 ID:T0YCDSjI0
>>281
 衝突、埋もれる。しかし妖精は軽いのでそのまま運ばれてしまった。

【花見特設会場】

 ドシャ降りだった。テントの下ではあるが物凄い音を立てている。そして普通に水が跳ねてくる。
風が吹いたら完全に水浸しになるだろう。当然花見客など一人もいない。桜はもう散りそうだ。

 そして雪妖精が近くにいるので随分冷える。

283黒髪の女 ◆DUSK/kzn02:2017/04/08(土) 22:26:22 ID:eRkB3tXk0
>>282
「これ桜雨なんてもんじゃないだろおい」
ぼやく声も雨音にかき消されていく。
そして妙に肌寒い。雨で冷えているのだろうか

テントの下の長机に布を置く。動けば見つけられるかもしれない。

284メアリー ◆YJMWmO4ZS6:2017/04/08(土) 22:32:02 ID:T0YCDSjI0
>>283
 一応もぞもぞと動いてみる。このまま水で布が濡れると氷付けになり出られなくなると思ったのかもしれない。
布の端のほうへ端のほうへ動き、何とか脱出する。振り返り状況を確認、目が合った。

「……」

 ジッと見ている。特に何か感情が見えるわけでもない。周囲はテントだ。
隣のテントには高高度突入のための、人間大砲らしき物が置いてある。大きく「安全」と書かれている。

285黒髪の女 ◆DUSK/kzn02:2017/04/08(土) 22:35:14 ID:eRkB3tXk0
>>284
(じっ

じー

じーー

「応」

白い布に線を引こうとチャコを用意しながらも、目を離さない。ちょっと怖い。

286メアリー ◆YJMWmO4ZS6:2017/04/08(土) 22:39:44 ID:T0YCDSjI0
>>285
「……?」

 てるてる坊主を作る工程が珍しいのか寄ってきた。
本来なら高高度で広域魔法を使い雲を散らしにかかるべきなのだろうが、こちらに夢中になっている。
不思議そうな表情にしか見えないが、一応関心は向いている、のだろう。

287黒髪の女 ◆DUSK/kzn02:2017/04/08(土) 22:52:25 ID:eRkB3tXk0
>>286
「遠い国の原始魔術だ」
妖精の視線の先が自分の手元に移ると、にやりと笑う。

裾をきれいにするために丸く切るようだ

288メアリー ◆YJMWmO4ZS6:2017/04/08(土) 23:01:24 ID:T0YCDSjI0
>>287
「、川ノ音消エ寝、寒空ガ降リ、」

 短い歌唱詠唱。氷の鋏が妖精の手に生じる。
が、冷気により空気中の水分が付着し凍り、どんどん不恰好な形になっていく。これでは切れない。
諦めたのか鋏を消してしまう。ただ見ていることにしたらしい。

289黒髪の女 ◆DUSK/kzn02:2017/04/08(土) 23:07:09 ID:eRkB3tXk0
>>288
女は妖精の奮闘を横目でとらえていた。
夏以外は生きるのが大変そうだ……

冷気に冷えながらも普通の裁ちばさみを滑らせ、ウェスを丸めて載せていく。
ぷつんと抜いたばかりの髪の毛も巻き込み包み、麻ひもでくくれば一丁上がりだ。
だが、材料はまだまだ残っている。何体か作るようだ

290メアリー ◆YJMWmO4ZS6:2017/04/08(土) 23:15:50 ID:T0YCDSjI0
>>289
 作る工程を一通り見て、とりあえず切れ端で妖精サイズのものを作ってみることにしたらしい。
裁ちバサミの代わりに糸きり鋏を使って切れ端を切っていく。チャコは芯だけ削って使ってみるらしい。
同じように作っていくが、雪妖精の髪を使って作ると呪物になって雪になる気もする。本人は気にしていないようだが。

291黒髪の女 ◆DUSK/kzn02:2017/04/08(土) 23:30:46 ID:eRkB3tXk0
>>290
そうして、大小のてるてる坊主が出来たのであった。

出来たてるてるたちを片手に向かうは砲台。使い方を確かめながらメアリーに声をかけた。
飛ぶか、と

292メアリー ◆YJMWmO4ZS6:2017/04/08(土) 23:37:50 ID:T0YCDSjI0
>>291
 単身で飛べるが、高高度に達するならばこれを使うしかないだろう。
質量の軽い妖精単身で射出されても高高度には届かないだろうが。

 何も言わずにしがみつき、てるてる坊主と離れないように一部分だけ自分の手ごと凍らせた。
準備はできた。砲台が起動し上空を向く。そして背中にパラシュートが具現化された。
高度が上がってから一定以上に下がると自動でパラシュートが開く仕掛けらしい。あとは発射だけだ。
それだけであの雲の上へと、到達する。

293黒髪の女 ◆DUSK/kzn02:2017/04/08(土) 23:41:27 ID:eRkB3tXk0
>>292
「さ、て、と。これで雲の上から月が見えれば雪月花だな」

などと笑う声もざぁざぁと上塗りされる中、

どごん!

と地面が揺れるもかくや。二人は空の其の彼方。
ただ、澄んだ青と太陽があった

294メアリー ◆YJMWmO4ZS6:2017/04/08(土) 23:47:02 ID:T0YCDSjI0
>>293
 妖精の飛行能力もあり、よほどの強風がなければ落ちることもないだろう。
青々と澄んだ寒空の、それほど登ってもまだ遠い太陽。遥か遠くには、少し暗い空すらも見える。

「綺麗……」

 心の幼い妖精にも、何か感じるものがあったらしい。
少しの間、検定のことも忘れ空を見上げた。

295黒髪の女 ◆DUSK/kzn02:2017/04/08(土) 23:51:57 ID:eRkB3tXk0
>>294
耳に静寂が染みる中、女のサングラスので同じ色が煌めいて。
ふわ、と浮上が終われば落ち始める。
重力にとらわれるのはこの星に生きている証だ、と女は笑った。

ば、と腕を広げれば7つの坊主が散らばった!

296メアリー ◆YJMWmO4ZS6:2017/04/08(土) 23:59:29 ID:T0YCDSjI0
>>295
 七つのてるてる坊主を集めし者の前に竜が現れ何でもひとつ願いを(修正)

 てるてる坊主が散らばるのと同時にメアリーも詠唱を開始する。

「命の、届かぬ空から冬の帳が下りる――足を止める、白い風が背中を追い越し目を瞑る……」

 毎回毎回即興で歌う、効率の悪い古代術式。だが、それで丁度いいと言わんばかりの高出力の魔力。
詠唱力場が、空中に足場を作るほどの大魔術。

297黒髪の女 ◆DUSK/kzn02:2017/04/09(日) 00:14:31 ID:eRkB3tXk0
>>296
「アマツカミ――」
「――クニツカミ」
「ヤオヨロズノカミタチ――」

遠い国の憑代、遠い時代の詞、

「――トモニキコシメセト――」

霜のような妖精の声に、朗々たる言葉が重なり……

「――カシコミカシコミモウス!」

柏手が、鳴った。

298メアリー ◆YJMWmO4ZS6:2017/04/09(日) 00:23:51 ID:T0YCDSjI0
>>297
「――落ちる、落ちる。混ざる、混ざる。寒空の繭解け日が差す空へ――まだ目覚めはいらない」

 雲の下の空気が、上空以上に冷やされる。異様な空気の流れが生まれ、雨と雪が混ざりミゾレとヒョウが入り乱れる。
下降気流と、地表からの上昇気流がぶつかり雲を押し広げていく。
てるてる坊主の囲む円を中心に、雲に穴が開いていく。地表に日の光が差し込むのが、遥か上空から見えた。

299黒髪の女 ◆DUSK/kzn02:2017/04/09(日) 00:32:37 ID:eRkB3tXk0
>>298

「かっかっかっかっか!」

これだけあければ検定地帯も入っているだろう。
そんな曖昧な自信で、足場から穴へ飛び出した。
笑いながら、落ちていく――

300メアリー ◆YJMWmO4ZS6:2017/04/09(日) 00:39:34 ID:T0YCDSjI0
>>299
 パラシュートを開くタイミングで自動的にパラシュートが開いて落下にブレーキがかかる。
そして、寒い。確実に桜の寿命に喧嘩を売るような寒さだ。氷属性で雲を散らしたのだから仕方がない。

 だが、少なくとも空は晴れていた。濡れた地面をある程度乾かせば余波により暖かくなるだろう。おそらく。

「……お花見」

 花妖精の里を思い出す。そして、故郷を思い出す。今は雪で閉ざされている故郷。

 今回の検定、余裕を持ってクリア! 報酬が二人に渡される。

301黒髪の女 ◆DUSK/kzn02:2017/04/09(日) 00:57:57 ID:eRkB3tXk0
>>300
「さっくらーもち!さっくらーもち!」

嬉々として受け取り、出店にお茶がないか探しに行った

302メアリー ◆YJMWmO4ZS6:2017/04/09(日) 01:02:47 ID:T0YCDSjI0
>>301
 出店があった。というかマスターだった。晴れてすぐに出店したのだろう。
というよりも上空からの降下より速く出店を出店したというのだろうか。
お茶とお酒とおつまみなどが置いてある。さらには上等な湯のみまで置いてあった。高い。

303 ◆Cs/SCyFmEg:2017/04/10(月) 00:44:44 ID:2CFmDysw0
【サクラ咲ク彼ノ地】

「此の花は、ボクと同じ名前だ」

此の花はボクと同じ名前だ。由来は違う。
それでも此の花を美しいと、物悲しいと想うのは、きっと因果の端が繋がっている所為だろう。
不思議だ。実に不思議だ。
手のひらに迷い込んだ淡い花弁が、こうも我が胸を射とうとは。

宵。
さらに一際、美しく。

「此の花は、ボクと同じ名前だ」

世にサクラは数あれど、我が身は一つ。
此処に存在する意味。此処で咲く意味。そして散る意味。
一度でも惜しいと、思ってしまった。迷ってしまった。
だから――

だから此の花はボクと同じ名前だ。

304 ◆fJNTk09.gI:2017/04/24(月) 00:49:51 ID:uOQMW8A.0
「久しぶりだなぁ、ニュモ」
「・・・・」

寒風吹きすさぶ時計塔の屋上に座り込む、尻尾の生えた人ならざる少年。
そして、その目線の先で宙に浮くもう一人の少年。
髪は砂漠のように滑らかな砂色。顔立ちは美しく、まるで作り物のようだ。

「殺したはずなんだが」
「生きててよかったよ」

「はぁ・・・今までやって来たことが全部無駄になっていく・・・」
「なあニュモ、"終わりの笛" はもう鳴らした、連邦は滅んだ。ボクたちもう戦う必要はないだろ?」

その少年は、大きな角笛を振りながら、時計塔の先端にしゅたり、と降り立つ。

「・・・まあ、少なくとも今はスポンサーが違うからな」

「スクナビコナも、トゥリグァフも、ジャバリですらまだあの時のままだった。・・・ニュモもそうなんだね」
「皆で仲良くしたいってか?散々殺しあった相手にお友達にでもなりにきたのか?」
「・・・叶うならそうしたいよ」
「マジでサイコ野郎だなお前」

ニュモの背中には闇属性が滲み出し、禍々しい翼の姿を模る。
それに呼応するように、少年の纏う布もまた、羽のように広がる。

「ただお互い許しあいたいだけなんだ、ナイフを向け合うような挨拶なんてボクには無理だよ」

「お前は存在そのものがナイフの切っ先なんだよ」
「・・・フフ、君も大概だよ」

305タート ◆YJMWmO4ZS6:2017/04/24(月) 01:45:51 ID:T0YCDSjI0
【路地裏】
 あの日から、目に映る景色が変わった。異界の風が鼻をくすぐる。
どうやら霊獣というものになりかけているらしい。人や物と関わる妖獣とは異なり、死後の存在と関わる獣。

 地面の下へ向かう坂、虚空へ延びる階段、壁もなく佇む扉、天井にのぞく巨大な口、途中で途絶える足跡。
自然界でも文明社会でも嗅ぎなれない悪臭や、ふと安心するような香りまで感じる。
だが、それらを調べても何もない。元ある地面、虚空。まだこの身はただのタヌキだ。

 この町は平和だ。異質で醜悪な怨念は自然界より多い。それでも死は圧倒的に少ない。
無論死は大量に満ちている。だが自然界に必要な死とは比べ物にならない。


「……汚い、な」


 自覚はなかった。だが世界の醜さがひとつの形として目に映るのだ。
そしてそれこそが平和を生み出している。これは善し悪しではない。これが人の自然。


「人の醜さ尊さ、知ってどの道を選ぶか、」


 この身は未だタヌキ。飼われ狸。その領分から出るつもりはない。
ただ、死に関わるならば、生まれ変わったであろう魂の死に目に会えるだろうか。そんなことに何の意味もないが。


「……後に回そう。手遅れになればそれも宿命というもの」


 今は強くなることだ。人の言葉を手に入れた今、必要なのは強さだ。
強くなれば、あの老人のように誰かに手を差し伸べられる。未練ではないが、あの老人の気持ちが知りたかった。


「老いるならば老いろ。死ぬならば死ね。それまで生き足掻かねばきっとわからない」

306ポニーテールの少女 ◆DUSK/kzn02:2017/04/29(土) 21:10:03 ID:eRkB3tXk0
【カフェ】

「ふふーん、僕ならここにきても大丈夫……なきがする!」

307クオン ◆YJMWmO4ZS6:2017/04/29(土) 21:23:13 ID:T0YCDSjI0
>>306
「ドラゴンと聞くと洋風ですけどグノームと聞くとピンと来ないですよね」

 何の話をしているのだろうか。

「? こんにちは〜」

308ポニーテールの少女 ◆DUSK/kzn02:2017/04/29(土) 21:42:38 ID:eRkB3tXk0
>>307
カフェには話し込んでいる先客がいたようだ
声をかけられて思わず少女は固まった

「こっ」

声が裏返っている

「こん、に、ちは!」

「ぐのーむ……?愚ノーム?」

309クオン ◆YJMWmO4ZS6:2017/04/29(土) 21:50:50 ID:T0YCDSjI0
>>308
「たぶん鬼とかを英訳したらそんな感じの単語ですよ」

 何やら鬼武者の説明書を読んでいる。本体はないようだ。

「VRでバイオハザード系とかファンタジーとか聞きますけど和風ファンタジーのVRって聞きませんよね〜」

310ポニーテールの少女 ◆DUSK/kzn02:2017/04/29(土) 21:53:46 ID:eRkB3tXk0
>>309
「オニ?」

「えーっと、えーっと…oni、oni……鬼か」

「少し昔のファンタジーだとミニゴブリンが近いイメージだな、僕は」
「待てば出るんじゃない?海外物の和風舞台だってあるんだからさ」

311クオン ◆YJMWmO4ZS6:2017/04/29(土) 21:59:59 ID:T0YCDSjI0
>>310
「なんとなくSIRENとか鬼武者とか心引かれるのですよね〜」

 そんなことを言う割には本人はローブ姿に武器もサブマシンガン。

「ゴブリンもゲームとかの影響で悪いイメージばかりつきましたよね。
ゴブリンが和風世界で鬼と間違われて、とか面白そうですけど」

312ポニーテールの少女 ◆DUSK/kzn02:2017/04/29(土) 22:06:34 ID:eRkB3tXk0
>>311
「国産国内向け和風は和室が無いのが当たり前になったころに作られそう」

目に鮮やかな橙のコートの少女は一件武器を持っているようには見えない。

「大体序盤のモンスターだもんね
「後はあれじゃないかな、『ゴブリンの洞窟』」
「今は転生してゴブリンとか探せばありそうじゃない?」

313クオン ◆YJMWmO4ZS6:2017/04/29(土) 22:13:45 ID:T0YCDSjI0
>>312
「この町は異文化混ざりまくっていて和室が一般的かもわからないですけど。
たまに凄い変な建物とかありますし。建物全面畳張りとか、家具まで畳とか」

 和風……?

「鬼って表記するとそこそこ強いイメージなんですけどね〜
魔物転生はいろんなのがありますからね、もうほぼ作りつくされてますよね。妖怪は少し少ないですが」

314ポニーテールの少女 ◆DUSK/kzn02:2017/04/29(土) 22:21:19 ID:eRkB3tXk0
>>313
「全面ってそれ3地区の角の?」
ぷひゃ、噴出した。
「噂で聞いた!」

それWAHUだ!

「イグサか近いのが生えてたらどこでも似たようなもの作るんだなとは思ったよ」

「多分、近年文学にでてこないか、出ても舞台がもっと昔で、いにしえのもの、みたいな空気のせいかな」
「タイトルだけみたやつだけど無機物もありだよね。空気にでもなるしかない?」

315クオン ◆YJMWmO4ZS6:2017/04/29(土) 22:29:54 ID:T0YCDSjI0
>>314
「はい、あのテスト住宅区域のです。爆発したらしいんですけど何故か直っていたとか。誰も住んでいないのに」

 いよいよ建物のおかしさも凄いことになっているこの町。

「近年で妖怪というと、ハートフルかラブコメ?」

「星そのものになって、とか……ストーリーが思いつきません」

316ポニーテールの少女 ◆DUSK/kzn02:2017/04/29(土) 22:38:46 ID:eRkB3tXk0
>>315
「へえ、トビでずっと隠れてるの、そういうワケだったんだ」
町内会とか団結したら怖そうですね

「主人公があらゆる種族からモテるって漫画ちょっと前に始まってた気がする」
「ヒロインがキューピッドでかわいいんだよね」

「規模でかいって!」
くすくす

317クオン ◆YJMWmO4ZS6:2017/04/29(土) 22:48:16 ID:T0YCDSjI0
>>316
「一応格安で買えるらしいですよ? テスト地域の住宅は。
掘り出し物とか見つかるかもですね〜買い物とか安全面が少し不安ですけど」

 少しで済むかはわからない。

「でも実際は種族が違えば染色体も違うものですし、子供ができても遺伝子異常とか出ないか心配です」

 気にする場所がおかしい。

「ほどほどのスケールが一番ですね〜」

318ポニーテールの少女 ◆DUSK/kzn02:2017/04/29(土) 22:53:06 ID:eRkB3tXk0
>>317
「別荘に……。……。いやー、僕はいいかな、姉さんの家あるから」
爆発に巻き込まれたくないし、とぼやくがそちらの方が主な理由だろう。

「ほら、ご都合ナントカ。きっと主人公のがどの種族にも対応できる新型とか?」

「何か別の生き物、くらいでいいね。命一つ。それ以上でも以下でもないんじゃないかな」

319クオン ◆YJMWmO4ZS6:2017/04/29(土) 23:00:31 ID:T0YCDSjI0
>>318
「いざとなればカフェの仮眠室借りればいいですし、優先順位は低いですよね。
だからあのあたり一部がゴーストタウンみたいなんですよね〜」

「……メタモン?」

 それだと性別すら超越してしまう。

「あ、でも集合体に転生っていうの見たことあるかもしれません。
ダイレクトコントロール指揮能力があると命ひとつ、という表記に違和感が出たり……人間って業が深いですよね」

320ポニーテールの少女 ◆DUSK/kzn02:2017/04/29(土) 23:18:06 ID:eRkB3tXk0
>>319
「ここだと屋根と食べ物同時に抑えられるのはいいね」
「衣食住足りて、ってかーなーり!大事なんだ……」
「やっぱりいつ何が起こるかわからないねぐらはいやかな。いやここも爆発するけど」

「男からも狙われるじゃん、やばい」

「平民になってもなんだかんだで目立つし……難しいなあ」

321クオン ◆YJMWmO4ZS6:2017/04/29(土) 23:21:35 ID:T0YCDSjI0
>>320
「最近はあまり爆発しませんよ? 爆発しても元に戻りますし。
何より検定で収入が得られるかもしれないのが大きいと思います」

 とはいっても収入は安定しないが。

「狙う側かもしれませんよ?」

 どちらにしろヤバイ。バイだけに。

322ポニーテールの少女 ◆DUSK/kzn02:2017/04/29(土) 23:28:06 ID:eRkB3tXk0
>>321
「この間久しぶりに爆発したって回覧板に載ってたけど」
「うん、そうだね。検定の報酬はそれだけで食べていけるって聞いて、ね」

開催されても毎回報酬を得られる腕があるかどうかではある。

「えっ……」
「……うーん、そこはもう好みかな……?」

323クオン ◆YJMWmO4ZS6:2017/04/29(土) 23:37:27 ID:T0YCDSjI0
>>322
「もしかしたらリクエストしたら検定が追加されるかもですね〜
私は公的資格が欲しいです。魔法の教導資格とかあれば働いたとき報酬の他に支援金貰えますし」

 有用な資格はハードルが高い。

「そういえばミュウが全てのポケモンの遺伝子を持っているって、なんだかおかしいですよね?
ポケモンの祖先だというなら、他のポケモンはミュウの持っていた遺伝子を失っている。つまり退化しているわけです。
進化が基本となっているポケモンの環境適応の仕方にしては、違和感があります」

 完全に話題が迷子になっている。マイペースの暴走だ。
何やらミュウ後発説を提唱し始めている。

324ポニーテールの少女 ◆DUSK/kzn02:2017/04/30(日) 00:08:44 ID:eRkB3tXk0
>>323
「僕も!」
「僕もさ、公的なやつほしいんだ!」
だから時々ここに来るようにする、と少女は瞳に光を湛える

「レッセイイデンシ……?」

325クオン ◆YJMWmO4ZS6:2017/04/30(日) 00:20:36 ID:T0YCDSjI0
>>324
「魔法薬系は専攻なのでいずれとりますけど、魔法と銃器の教導資格は欲しいですね。次点で儀式系とか」

 検定試験なのだから、己を磨くためにもそれは存在している。
これからは資格所得系の検定が少しずつ増えるかもしれない。

「伝説系、というよりもメタモンと交配できないポケモンは全て劣性遺伝子なのでしょうね。
そもそもメタモンの存在が謎にも思えますけど」

 最初のポケモンはメタモンだったのではないか、とか言い始める。
そうしてふと時計を見ると随分と話し込んでいたようだ。

「あっ、そろそろ私は帰ります。検定でご一緒する機会がありましたら、その時はよろしくお願いしますね」

 そういうと席を立つ。

326ポニーテールの少女 ◆DUSK/kzn02:2017/04/30(日) 00:30:35 ID:eRkB3tXk0
>>325
「メタモンは規格外じゃないかな」
「たとえるならアレルゲンみたいな、意図せぬ一致みたいなやつ」

「えっ、あ。もうこんな時間」
「僕はリアテア。ねえ、また逢えたら君の魔法薬の話、聞きたいな!」

327クオン ◆YJMWmO4ZS6:2017/04/30(日) 00:34:19 ID:T0YCDSjI0
>>326
「アルセウスが劣性遺伝を改善するために生み出した、とか……?」

 新説。

「私はクオン。興味がありましたら是非!」

 最後に自己紹介をして、分かれる。始めに自己紹介をしなくても、まるで旧友のようだった。

328モニュカ&グレンチュア:2017/05/06(土) 20:34:13 ID:uOQMW8A.0
【カフェ】

弟「ブラックで」
姉「ベンティノンティーマンゴーパッションティーフラペチーノアドホワイトモカシロップアドホイップクリーム」

弟「(・・・呪文?)」
姉「あとブラックもうひとつ」
    _, ._
弟「(; ゚ д ゚)...???」

いつぞやの姉弟だ。例の件も一段落したのだろうかカフェでくつろいでいる。

329ウェイデン ◆YJMWmO4ZS6:2017/05/06(土) 20:43:14 ID:T0YCDSjI0
>>328
「カフェ・コレット。コアントローで」

 何やら格好つけてコーヒーを注文している青年がいた。
そして出てきたコーヒーを一口。

「……アルコールじゃん」

 コーヒーカクテルの欄を知らずに頼んでしまったらしい。
オレンジの香りと甘さ、それらが絶妙にコーヒーとマッチしていて最適な味となっている。

330モニュカ&グレンチュア ◆fJNTk09.gI:2017/05/06(土) 21:00:50 ID:uOQMW8A.0
>>329
姉「今日は検定無いのかしら」

目の前に出てきたマンゴー色のよくわからない物体を食べながらブラックを啜る姉。
ちょっと退屈そうだ。

弟「・・・まあもう少し待とうよ(あの人昼間から酒飲んでる・・・)」

・・・とウェイデンに白い視線を向けながらやはりブラックを啜る弟。

姉「私別にスタバでマックみたいな事しに来たわけじゃないんだけどー」ズズズ
弟「姉ちゃんそれ僕のコーヒー・・・」

331ウェイデン ◆YJMWmO4ZS6:2017/05/06(土) 21:05:22 ID:T0YCDSjI0
>>330
「リキュールとか普段飲まないんだけどこんな甘いの?」

 青年は、随分鍛えられているようであり槍を背負っている。
検定に参加する者なのだろう。複数の参加者がいなければ出ない検定もある。
それを考えると人がいるほうが検定の開催に期待が持てる、のかもしれない。

 酔っ払いに背中を預けられるなら、の話だが。

332 ◆YJMWmO4ZS6:2017/05/06(土) 21:44:06 ID:T0YCDSjI0
【カフェのスクリーン】
本日の検定内容_
‘挑んだり挑まれたり’
〔ジャンル〕
逆発掘
〔推薦適性値〕
設置B
指揮C
〔開催地〕
カフェの電脳

〔概要〕
ダンジョン、それは冒険者の花道。
ですがリアルのダンジョンはどんどん攻略されていきます。
今の時代、何度も挑める電脳ダンジョンがブーム。

ですが、当然人の作るものにはマンネリ化がつき物です。
皆さんもたまには作る側に回ってみてはいかがでしょう。

〔ヒント、その他〕
他の方のダンジョンに遊びに行き参考にすることができます。
基本操作は罠の配置、配下の配置、自分自身の戦闘です。

〔失格行為〕
・とくになし、電脳世界でやりたい放題しましょう。

〔BOSS〕
参加者の皆様がボスです。

《PRESENT》
☆ダンジョンマップ☆
分類:アプリケーション
協会の提供するダンジョンでオートマッピングしてくれるソフトです。
参加者全員に与えられます。

☆[電脳]マグナムバタフライ☆
分類:武器データ
電脳世界でのみ使用できる武器です。自在に飛ばすことのできる爆薬の生成能力に近いです。
ダンジョンでの人気投票一位獲得でもらえます。

《検定開始時刻》
>>今
《終了予定時刻》
>>1:00〜

333モニュカ&グレンチュア ◆fJNTk09.gI:2017/05/06(土) 21:51:08 ID:uOQMW8A.0
>>331 >>332

「・・・・」ムッスー

転送装置の前で体育座りしだす姉。

>「リキュールとか普段飲まないんだけどこんな甘いの?」

「(未成年なので分かりようがないです・・・)」シャッシャッ

弟も得物の刀を研いで待機している。
小一時間の沈黙のあと、ようやくモニターが付いた。

姉「随分アバウトな検定ね・・・まあ無いよりマシだわ」

転送装置を蹴破って勇み足で入っていく姉。

姉「モタモタしない!」
弟「待って...待って...」

刀の手入れも存外面倒である。
最近はとんと使う機会が無くなってしまっているが。

334ウェイデン ◆YJMWmO4ZS6:2017/05/06(土) 21:57:28 ID:T0YCDSjI0
>>333
 ダンジョンのエディタ画面が表示される。
デフォルトでは与えられたダンジョンはただの石畳の広い空間でしかないようだ。
罠の設置に壁や扉という物があり、これでエディトしていくのだろう。

「早く作れ〜こちとら客だぞぉ」

 酔っ払いが早速ダンジョンに挑みにきている。まだダンジョン作ってないのに。

335モニュカ&グレンチュア ◆fJNTk09.gI:2017/05/06(土) 22:24:19 ID:uOQMW8A.0
>>334

姉「できた」
弟「えぇ・・・」

廊下状に洞窟が形成され、大量のゾンビを召還。
瞬く間に洞窟はうめき声で一杯になる。

姉「実際ダンジョンってこんなもんでしょ?」
弟「さぁ・・・そもそも僕らあんまりアカデミーから出ないし・・・」

弟「・・・で、これどうするの?」
姉「倒すんじゃないの?」
弟「一つ聞くけど、何匹出した?」
姉「適当にパネル連打しただけよ」

【ゾンビ集団があまりの密度にガリガリ音を立てながらコリジョンによる位置ズレを起こして向かってくる】

336ウェイデン ◆YJMWmO4ZS6:2017/05/06(土) 22:28:26 ID:T0YCDSjI0
>>335
「待った! もっとこう挑戦者に優しく! これ走れないだろっ!」

 流石に一本道にゾンビが大量だと走ることもできないのか物凄く文句言っている。
槍でゾンビを振り払い、氷の刃と爆発で器用に倒しているが全然進めていない。

「おいこら! いい加減にしないと天井走るぞ!」

 若干涙目になっている。ちなみに壁は走れるが天井は難しい。

337モニュカ&グレンチュア ◆fJNTk09.gI:2017/05/06(土) 22:56:03 ID:uOQMW8A.0
>>336

弟「疾走感のあるダンジョンが欲しい、との要望です」
姉「しょうがないにゃあ・・・」

洪水魔法でゾンビを押し流すと、あまりの衝突判定に電脳処理が落ちてしまった。
取りあえずこのダンジョンはボツだ。

姉「疾走感のあるダンジョンってなんだよ(哲学)」
弟「うーん・・・ソ○ック的なやつなのな」

巨大な工場のようなステージが形成される。
床壁足場天井あらゆる場所に電磁加速レールが張り巡らされ、中央に大型ロボットのBOSSを配置している。

姉「ふふん、結構雰囲気いいでしょ」
弟「はぇーすっご・・・あっぶね!」

BOSSのミサイル攻撃で足場が減っていく仕様のようだ・・・

338ウェイデン ◆YJMWmO4ZS6:2017/05/06(土) 23:01:47 ID:T0YCDSjI0
>>337
 洪水に巻き込まれボロボロになったランナーが再びチャレンジ。
自分の足に自信を持っている彼にとってこのステージはアリかナシか。

「割と好み、だけど最初にここに挑戦したかった」

 既にボロボロ。それでも挑戦するらしい。
ボロボロだがそれでも走ることは本能といわんばかりに走り出す。
体力を温存するためかなるべく電磁加速レールを利用するコースで走っている。
走りに関しては言うだけのことはあるのか、このままなら問題なくボスの下にたどり着くだろう。

339モニュカ&グレンチュア ◆fJNTk09.gI:2017/05/06(土) 23:20:30 ID:uOQMW8A.0
>>338

中央のBOSSはキャタピラ駆動で動くガンタンクめいた構造をしている。
ミサイルポッドから雨の様にミサイルが飛び出し、工場を縦横無尽に駆け抜け爆破していく。

電磁加速があるとはいえ長期戦は許されないようだ。

途中に幾つかレールの分岐レバーがあり、上手く使えばBOSSの真上へ飛べそうな分岐もある。

340ウェイデン ◆YJMWmO4ZS6:2017/05/06(土) 23:26:02 ID:T0YCDSjI0
>>339
 ミサイルによりどんどん足場が減っていくのをみて思いつく。
これ、ミサイル掴んで投げ返せばそこそこ有効なのでは? と。

「よっしゃこい!」

 ミサイルを捕まえようとする。捕まえたらミサイルに乗りながら電磁加速レールで突っ込むつもりだ。
仕留め切れなかったときのために一気に飛び込み近距離戦闘に持ち込むつもりらしい。
既に体力の温存など頭にない。前のめり過ぎる姿勢だ。

341モニュカ&グレンチュア ◆fJNTk09.gI:2017/05/06(土) 23:39:04 ID:uOQMW8A.0
>>340
既にミサイル弾自体は撃ちつくしているのか、BOSS自体は砲撃に切り替えてきている。
しかしホーミングを続けているミサイルの一機が手に触れた。
そのまま電磁加速とミサイルの航行で突っ込めそうだ。

手前に見えるレールは砲撃の爆散で大きく曲がり、切断されたレールの先端がBOSSの方に向いている。
うまく行けば追っ手のミサイルごとBOSSに突っ込めるかもしれない。

342ウェイデン ◆YJMWmO4ZS6:2017/05/06(土) 23:46:39 ID:T0YCDSjI0
>>341
「実際のミサイルだと熱源感知か魔力感知か電波誘導かわからないが、ここは電脳世界だもんな!」

 走りながら磨かれた状況判断力により即断即決。
ミサイルの先端部分に氷のスパイクまでオマケして、突っ込む直前にミサイルから跳び、ボスを通り越す。
そのスタントマンも真っ青なアクションを、実現させてしまった。

 どの程度効いているだろうか、ボロボロの体がそのまま床を転がる。
結果によっては、追撃しなければならない。槍を杖に立ち上がろうとする。

343モニュカ&グレンチュア ◆fJNTk09.gI:2017/05/07(日) 00:03:28 ID:uOQMW8A.0
>>342

ミサイルは轟音をたてて中央のBOSSに直撃する。
もうもうと上がった黒煙が張れると、メインカメラ以外全てやられているロボットが残っていた。
セルフ誘導弾は成功したようだ。ダンジョンクリア。

BOSSは爆発四散してステージを吹っ飛ばし、電脳空間は元のデフォルト状態に戻った。

「はひー疲れた、下手なゲームより難しいわこれ」
「ファンネルみたいなのもあると良かったかな」
「ムリムリ・・・操縦も作る側が全部やるとは思わなかったし」

また、ダンジョンクリアの報酬として製作側からは電磁加速器が贈呈された。
いまいち使途に困るが・・・まあクラウチングスタートとかには使えるだろう。

344ウェイデン ◆YJMWmO4ZS6:2017/05/07(日) 00:11:03 ID:T0YCDSjI0
>>343
「俺、マラソンランナーなんだけどなぁ」

 微妙そうな表情だ。でも一応売らずに貰っておくらしい。
電脳空間での電磁加速が気に入ったようだ。

「俺もダンジョン作るか。なんかこう、走らないと間に合わない自動ドアの罠とか配置してよ。
滑る油とかの罠も用意して、エネミーは後ろから迫ってくるタイプ」

 微妙に性格の悪いダンジョンについて語り始める。

345モニュカ&グレンチュア ◆fJNTk09.gI:2017/05/07(日) 00:30:25 ID:uOQMW8A.0
>344
「滑る油って・・・たけし城じみてるなぁ」

とりあえず今回のマップをワークショップに登録しておく。
地味に指揮系の検定は少ないので後で使うかもしれない。
スポーツマンにはSASUKEっぽいダンジョンの方が楽しめそうだ。
ともあれ時間的に検定終了。

姉「んー頭使って疲れた、わたし戻ってシャワー浴びるから」
姉「グレン、ショートアイスチョコレートオランジュモカノンモカエクストラホイップエクストラソース頼んどいて」
弟「えっショートアイス・・・何だって?待って!せめてメモに書いて!」

【我睡魔に抗えず、ロールおしめり】

346ウェイデン ◆YJMWmO4ZS6:2017/05/07(日) 00:35:08 ID:T0YCDSjI0
>>345
「お疲れー」

 結局酔っていたのか酔ってないのかわからない男はダンジョン作らなかった。
何しにきたのかはわからないが、優勝商品は自動的に手に入ることになるのだろう。
何せ、他にダンジョンを作っていた者がいないのだから。

 そしてカフェに静寂が戻る。

347 ◆YJMWmO4ZS6:2017/05/27(土) 22:19:10 ID:T0YCDSjI0
【カフェのスクリーン】
本日の検定内容_
‘ソロモン72のスタンドをぶっ潰せ!’
〔ジャンル〕
戦闘
〔推薦適性値〕
戦闘A
対応力A
〔開催地〕
町全域

〔概要〕
しまっちゃうフリーザ様の手により町にスタンド使い達が現れた。
それぞれソロモン72柱をモチーフにしたスタンド使い。
彼らに課せられた使命は検定で戦うこと、それのみ。
故に参加者諸君に与えられる使命もただ一つ。
戦え! 戦え! 戦え! 守りたくば戦え。葬りたくば戦え。戦え!

〔ヒント、その他〕
このスタンドバトルによる死者はリタイア機能で自動的に転送されます。
ただし行先はカフェの冷蔵庫です。スタンド使いの場合敗北しただけで冷蔵庫行きです。
スタンドはスタンド使い以外にも見えるとか見えないとか、干渉できるとかできないとか。
なお敗北しても挑戦権が失われることはありません。冷蔵庫からはなんとか脱出しましょう。

スタンドを得たい場合は冷凍庫の中の矢を使いましょう。使い終わったら元の場所に戻しましょう。
失格者は全員冷凍庫にぶち込まれますが、気が向いたら犯罪者以外はついでに助けてあげましょう。
またこの方法でスタンドを得た場合、一度も戦闘しないと冷凍庫にぶち込まれます。
(※スタンドは自分で考えた物かあらかじめ用意されているものの中から選べます。
 またこの矢により能力を得たスタンド使いは一度でも戦えばスタンドを手放すことができます)

〔失格行為〕
・街での過剰または不必要な破壊行為や窃盗行為、当然警察に追われます。
・無関係な者の殺害や後遺症の残る暴力行為、当然認められません。
・その他基本的に不必要な犯罪行為、常識の範疇での行動を心がけましょう。
・カフェ内での戦闘行為、カフェ内はセイフティエリアです。

〔BOSS〕
・ソロモンズ
君はこのスタンド使い達に打ち勝てるかッ!

《PRESENT》
☆七つの星の茶葉☆
分類:食品
この茶葉を七種類集めて全て混ぜたお茶を飲むと任意の魔法適正一つが一段階上昇します。
スタンド使い一名を倒すごとに希望の銘柄一つが貰えます。味は何故かどれも乳製品に近いです。

☆覚醒の弾丸☆
分類:?
スタンドに撃ち込むことでスタンドを強制進化させる弾丸。ただし進化に失敗すれば死亡します。
全ての敵対スタンドを倒すことで一つだけ貰えます。所有権は要相談です。

《検定開始時刻》
>>今
《終了予定時刻》
>>ほどほど

348クー ◆YJMWmO4ZS6:2017/05/27(土) 22:34:23 ID:T0YCDSjI0
>>347
 現在攻略フラグの立っているスタンド使いは、七位「アモン」、十二位「シトリー」、
十四位「レラジェ」、四十五位「ヴィネ」の四人。未だソロモンズの数は多勢!

 そして今、新たにスタンド使いへ挑む少女が転送装置をくぐる。転送装置に入力した数値は、六十六。

【闘技場】

 闘技場、そこに踏み入れた瞬間に嫌な予感というものを感じた。
咄嗟の判断が強く求められる剣士でもあるが故の直感とでも言うべきか。
あるいは観察眼か。少女の目の前には、迷路のような水路が張り巡らされていた。

 対峙する者は、船乗り風の大男。そして傍らには、ワニと馬の合いの仔のような何かに跨った騎士型スタンド。

「一人で、このキマリスと戦おうというのか?」

 慢心すら感じる、不敵な声。大男には、絶対の自信があった。既にこのフィールドは、男のためのフィールドだった。

349クー ◆YJMWmO4ZS6:2017/05/27(土) 22:54:22 ID:T0YCDSjI0
>>348
 少女は弓と矢に選ばれなかった。スタンドの適性はない。
世界法則の違いによりスタンド使い以外にもスタンドは見え、干渉可能だ。だが、油断はできない。
精霊術師の少女は知っている。手数の増える優位と、特殊な能力による爆発力。それは勝負を決する力すらある、と。

 そう、油断はなかった。だからこそ反応できた。

「セヤァアッ!」

 目を離してはいなかった。ただ歩いているだけの大男は、それでも一瞬でその姿が掻き消える。

 そこは水路であるというのに、当たり前のように踏み出した瞬間だった。姿が掻き消え、後ろから声が聞こえてきたのは。

 咄嗟に身を捩り、その場で転がる。だが騎士の持つ馬上鈍器は、直撃せずともその猛威を振るう。
肩に衝撃が走り予想以上に地面を転がる。目を白黒させるしかない、が、それでも戦闘の中では目の前の相手を見なければ負ける。

「……水を媒体にした空間移動、ですか?」

「否! キマリスは水を渡る。一瞬で、だが――水上に居続ければ、その一瞬は永遠に続く!」

 それは、事実上水路に足を踏み入れた瞬間敗北することを意味していた。
即座に判明したキマリスの能力。それは、水の上での時間停止ッ!

350クー ◆YJMWmO4ZS6:2017/05/27(土) 23:15:16 ID:T0YCDSjI0
>>349
 既に闘技場の設定が変えられ、水路ばかりとなっているこの状況。
そこに四方八方から馬上槌が襲い掛かる!
直撃を食らえば、水路に触れるまで弾き飛ばされるだろう。それは敗北を意味していた。

「くっ」

 苦し紛れに刀を振るう。が、その刀身は鞘に収まったままだ。
左肩を痛めた今、抜刀すらできずにいた。元より刃のない刀ではあったが、鞘ごと振るうようにはできていない。
ましてや近距離攻撃で馬上の相手に有効打を与えるのは、万全な状況であっても難しい。

「剣は、捨てるしかないですか……ッ」

「諦めるつもりか? だが、キマリスに追われて逃げられると思うか?」

「……」

 この状況下を打破するならば、魔法しかない。だが今、少女の契約精霊の片方はいない。
杖となる刀は、片手で振るわなければならない。勝負の始まる前から、今に至るまで状況は悪化しかしていない!

 だが、ここで諦めるようであれば、家族を連れ戻すことなど、不可能ッ!

351クー ◆YJMWmO4ZS6:2017/05/27(土) 23:44:00 ID:T0YCDSjI0
>>350
「嫉み嫉んで呪った全てが、私の光を奪い去る――堕ちた心を置き去りに、重い足音響かせて……」

「大型詠唱か? させん!」

 大男は、射程の外からの攻撃を可能とする魔法を警戒していた。
特に、水路全体を攻撃できるような広範囲の攻撃を。故にその素振りを見せたら無理にでも叩きに行く。
始めからそう決めていた大男に迷いはない。即座に反応し、キマリスに馬上槌を振るわせる。
それも今までのような一撃離脱ではなく、無理にでも水路に押し込もうとするラッシュだ。

「セヤセヤセヤセヤセヤァ〜ーーーッッ!!」

「うぐっ、!」

 詠唱を中断せざるを得ない。だが、違和感が生まれた。何故、まだ勝負が続いている?
人外の筋力、という感じではない。大男の肉体に比例したかのように力強いスタンドだが、人の範疇だ。
それでも、片腕の使えない少女を何故追い込めない? その重量とパワーは十分それを可能とするはずなのに。

 そもそも何故今までラッシュを仕掛けてこず、一撃離脱を繰り返していた? 確かにそれが一番リスクが少ない。
だが慢心すらしているこの男は、何故慎重な策を選んだのだろうか。性格を鑑みれば最初から無理を通してきそうだというのに。

「……っ!」

 クーは無理な体勢で刀を振るう。それは馬上槌を持つ右ではなく、左。それを大男は大げさに避ける。
受け止める、ではなく避けた。受け止めることも十分できたであろうに。クーに、戦いの目が生まれた。

352クー ◆YJMWmO4ZS6:2017/05/28(日) 00:10:42 ID:T0YCDSjI0
>>351
「その左手、使えないんですよね? スタンドの方も」

「……」

 スタンドと共に突撃してきたときも、最初に傍らにスタンドを置いていたときも、左手はスタンドに触れていた。
正確には、スタンドの手と繋がれていた。最初は右手と左手、突撃時には左手と左手。
おそらくは時間停止の解除時、一番初めの突撃時に一度スタンドを消し、再出現させていたのだろう。

「そのスタンドの射程距離は、ゼロッ! 常に本体と手をつないでいなければ消えてしまう。
だから、攻撃をスタンドだけに任せるのではなく、自分もスタンドの後ろに騎乗し、突撃を繰り返していた!」

「――なるほど、目は悪くないらしいな。だが、船に女は縁起が悪い」

 キマリスが、大上段に馬上槌を構える。弱点が相手に割れたとしても、行うことには関係ない。
海が荒れていようとも船で突き進む、無謀すぎる船乗りの精神。
見習うべきではない。海は危険だ。慎重になる者こそ真の海の男だ。それは事実。
だが、異端でも彼は己が海の男を曲げない。

「目だけで渡れるほど、この大海は甘くないぞッ!」

「ならば、腕もみせましょうっ!」

 今、再び二人は向かい合う。

353クー ◆YJMWmO4ZS6:2017/05/28(日) 00:35:23 ID:T0YCDSjI0
>>352
 キマリスが突進する。それをクーは避ける。そのはずだった。現にそうなった。
だが、クーは後ろに倒れる。後ろには、水路があるというのに!

「血迷ったかッ!?」

「さて、どうでしょう?」

 水路に、クーの腕がかかった。それを確認し、キマリスは水路に突入する。
そして、時が止まる。止まった世界で動き回れるのは、同じ時間干渉能力を持つものだけ。しかし――

「なっ、ナニィ!?」

 大男は、止めをさせなかった。周囲は暗く、黒に包まれていた!
いくら時が止まっていても、何も見えないのでは何もしようがない。
今、ここがどこであったかもわからない。時間の止まる感覚を頼りに、今水路にいるか否か、それだけしか分からない。

「チィ!」

「時間停止中でも、暗闇でできることは限られているようですねー」

 水路の外に足を踏み出し、時間停止が解除された中で舌打ちが響く。
暗闇の中、聞こえてきた声を頼りにキマリスを突撃させるが、あたらない。
クーのこの闇は、感知魔法! 内部の様子は、何度も読み返した間違い探しの本の答えの如くハッキリとわかる!

「嫉み嫉んで呪った全てが私の光を奪い去る。堕ちた心を置き去りに重い足音響かせて」

 詠唱が、完成する。

「流れる世界を追いきれず、後日談を彷徨い歩き、鏡の自分に手を伸ばす」

「糞ッ、どこだ! どこにいるぅ!?」

「その手を掴め――アクセスッ!」

 瞬間、闇が夜空のように煌いた。光があるというのに、内側は何も見えない。
遠くに光が瞬く場所の手前に、地面がある。目を開けているだけで距離感を錯覚しそうな状態。

 詠唱は完成した。大規模攻撃がくる。そう考えまずは全力で移動に専念する。闇から出るために。
だが、出ない。そのまま走ると、大男に衝撃が走る! 全力で壁に突進してしまったのだ。そして――

「勝負あり、ですよね?」

 馬上から引き摺り下ろされていた。いや、持ち上げられていた。
クーにつかまれたまま空を飛ぶ。そのまま上空に上がっていく。ダメだ。キマリスは飛べない。

「近距離パワー型を、なめるな!」

 無理矢理に振りほどき、無様ながらもなんとか着地する。まだ、戦いは終わっていない。

354クー ◆YJMWmO4ZS6:2017/05/28(日) 00:59:38 ID:T0YCDSjI0
>>353
 地面を転がりながら、必死に水路を探す。時間を停止しなければ追撃を受ける。
明らかに少女は空を飛んでいた。見えはしないが、持ち上げられたのだ。わかる。
空を飛ぶ相手に近距離型スタンドは、不利。能力や投擲などで攻撃しなければならない。
だが、その相手も闇の中で見えない。いくら時間を停止しても、攻撃が当たらないなら意味がない。

「だが! まだ負けたわけではない。水路を慎重に辿り、闇の外に出る!
先ほどは時間が動いていた。だから追跡され闇から抜けることができなかった。
時を止めている今なら、水路を伝えばどこかしら闇の外に出る! まずはそれからだ!」

 既に大男から油断は消えていた。必死に水路を探す。が、その手が何かに触れる。段差だ。

「闘技場に段差など、設定していないはず……! 違う、これは段差などではない!」

 段差は、さらに高いところで段差にあたる。またその先も段差だ。

「これは、階段! ここは観客席かッ!! 俺は観客席に落とされた!」

 急いで大男は闘技場に飛び降りる。そして水路を探す、が、時間は停止しない。

「どこだ、どこに水路が、」

 瞬間、闇が晴れた。大男の目の前には、一番最初に見た闘技場の光景があった。
そう。設定を弄り水路ばかりにする前の、障害物もない平らな闘技場!

「まさか! 戦いの最中に、設定端末を弄りに行ったのか!!」

「はい。事前に設定を変えるのがアリなら、途中で変えてもいいですよね?」

 水路がなければ、ただ片手の使えない近距離パワー型スタンド。
そして、その素のスペックは、パワー型スタンドというには力不足なものだった。
もう一度闇で闘技場を覆われれば、もうなす術はない。あの瞬間、戦いは終わらずとも勝負は決まっていた。

「俺が、負けたのか……? 馬鹿な、糞がァ……!」

355ベルン:2017/05/28(日) 01:21:49 ID:gKmW8um20
>>347

「……面白そうだな」

市街地に被害を出してはならないが、対象者の殺害は許される、加減が効きにくい自分の戦闘でもこの検定に支障はない――何より、相手も相応の強敵らしい。
丁度良い練習相手が欲しかった、躊躇い無く入力される番号は、最も強力な悪魔と称されるアモンのそれで。

356クー ◆YJMWmO4ZS6:2017/05/28(日) 01:29:37 ID:T0YCDSjI0
>>354
 完全に勝敗が決した。そう思われても男は、ただ、諦めたくなかった。
今は闇が晴れている。そして壁際だ。壁を砕き、その破片を馬上槌で打ち飛ばす。
それをあてれば、まだ勝敗を覆せる。勝負は一瞬、諦めない。海の男は生を模索する!

「俺は、俺は! オレはぁあああっ!! 負けないッ!」

 壁を砕く。その瞬間にクーは闇を再展開するが、場所は目に焼き付けている。
移動するよりも早く、そこに瓦礫を叩き込む。手に入れた瓦礫を放り、そこ目掛けて馬上槌が振るわれる!

 空を裂く音が聞こえた――

「空、振り……? 馬鹿な、今の集中力で外すわけが」

 闇が晴れる。瓦礫は、闇の刃に串刺しにされ壁に張り付いていた。
大男の喉下に闇の刃が突きつけられる。いつの間にか、クーは抜刀していた。

「勝負アリ、です」

 男は、敗北した。


>>355
「私も七つの星の茶葉、ゲットです!」

 転送装置から少女が出てきた。既に勝っている人物がいるらしい。
早速自分もと思い転送装置に行くが、七位アモンは既に敗北済みと出た。
他にも十二位シトリー、十四位レラジェ、四十五位ヴィネ、六十六位キマリスが選択不能となっていた。
あと何故か最後のほうに「しまっちゃうフリーザ様」の名前が。いきなりコレとも戦えるようだ。

357ベルン:2017/05/28(日) 01:36:16 ID:gKmW8um20
>>356

「勝った先客か、おめでとう、俺も後に続く……と言いたかったんだが、大体が潰されてるな」
「……しまっちゃうフリーザ様は後回しにするとして、他に良さげなのは……」

強敵とは違う何だか嫌な気配をフリーザ様から感じ取り敬遠、関わっちゃならない気配がする。

358 ◆YJMWmO4ZS6:2017/05/28(日) 01:43:57 ID:T0YCDSjI0
>>357
 ソロモン72柱、より取り見取りかと思えば、意外と戦闘に関係のない悪魔も混じっている。
戦闘に関する悪魔以外でも強敵の予感のする番号はいくつかある。
序列一位バアルなどは番号から重圧すら感じる。だが、ピンきりだ。
二位と三位は何故かセットで選ばれるようになっている。二十二位イポスなどは、重圧の種類が違う。
三十二位アスモデウスなど、何故か数字が愛らしい色合いに変化する。重圧は微塵も感じない。むしろリア充の香りがする。

359ベルン:2017/05/28(日) 01:54:46 ID:gKmW8um20
>>358

アスモデウスを血祭りにあげたい衝動に駆られるも、折角の機会をそんな事に使いたくはない……と自分に言い聞かせる。

「……バアル、か、ベルゼブブの語源だったか?」
「まあ、それっぽい能力者ってだけだから考察してもそこまで意味は無い、か」

1、とだけ数値を入力して転送装置を起動する。

360 ◆YJMWmO4ZS6:2017/05/28(日) 02:04:11 ID:T0YCDSjI0
>>359
【闘技場】
 そこには、一見老人にすら見える少年がいた。艶のない白髪で、隈が酷い。
体も痩せ細っている。だが、最低限運動できるだけの筋力はある。スタンドの姿は見えない。

「ッ!」

 問答すらなく、突然石を投げてきた! スタンド攻撃ではない、ただの投石!

361ベルン:2017/05/28(日) 21:16:46 ID:FdAWmiPc0
>>360

攻撃は不意討ちを含めて想定の範囲内、潰し合いには王道も外道も存在しない、勝利したいのなら最善を尽くして当たり前だ。
故に、此方も手は抜かない、一手目から全力で殺すつもりで行動する。

(――まさか、たかが石ころで殺せるなんて思っていないだろう、防げて当たり前の隙だらけの無駄な行為……をする相手ならこんな場所にはいないだろうし)

念には念を入れて行動する、石の軌道上に数本、少年の足下に一本、鋭利な骨の杭を生成し攻撃に対処する。
雑な攻撃にも見えるが、今まで幾度となく使った馴染みきった魔術、起動の速度と精度は尋常なものではなく、油断すれば即座に串刺しになるだろう。

362 ◆YJMWmO4ZS6:2017/05/28(日) 21:55:04 ID:T0YCDSjI0
>>361
「、」

 小さく舌打ちが響く。その舌打ちは、どうにも反撃よりも投石への対応へ向けられているように思えた。
そして、攻撃に反応して避けようと重心を後ろに移し、そのまま骨に足を貫かれる!

 避けることはできたはずだ。重心移動は完璧だった。だが、少年は避けるのを止めたのだ。
防御でもなく回避でもなく、貫かれ足から血を流す。しかも、その場に縫い止められたまま! スタンドすら出さない!
勝負を諦めた? いや、そんな目には見えない。

363ベルン:2017/05/28(日) 22:32:25 ID:FdAWmiPc0
>>362

舌打ち、素直に解釈するなら相手にとって不都合な行動を自分が取ったと思うべきだろう。
もっとも、その行為そのものが単なる演技の可能性も有る以上深く考察しようとは思わないが。

寧ろ、気にかかるのは回避を敢えて止めたこと、咄嗟に思考を巡らせて得た可能性は二つ。
一つは、負傷が少年にとって利益を生むこと、血を媒介とした魔術を使えたり、負傷を相手に押し付ける術が使えるのならばその行為も無意味ではないだろう。
そしてもう一つは、何かから意識を逸らすための演出であること、例えばあの石ころそのものが彼の能力――スタンドである場合などだ。
避けなかった少年に自分が疑問を持ち、警戒している隙にそれに不意討ちをさせる、そんな作戦が有るならこの行為も理解出来る。

(……つまり、視野を広く持て、って事だ)
(予め地中にスタンドを待機させるなり、奇襲の手段は山ほど有る、有利を取った以上攻撃を続けるが、それ一辺倒になるのは宜しくない)

思い至ったのなら行動あるのみだ、少年との距離は詰めず離れずを維持しながら、横方向に移動し同じ位置には留まらない。
その回避動作と平行して骨杭を追加する、足を穿つ杭に迅速に対処し追撃を回避しなければ、次は両腕を大地から生える骨の杭が貫くだろう。

364 ◆YJMWmO4ZS6:2017/05/28(日) 22:53:43 ID:T0YCDSjI0
>>363
「、微妙」

 微妙、と一言呟く。そして、骨杭を素手で叩き折る! 魔力の波動、身体強化魔法だ!
スタンドを出現させる。ハエのような小ぶりの翅が生え、猫の顔を持った人型のスタンド。

 少年が突進する。追随するスタンド。近距離型だろうか。
だが、スタンドなど関係ないとばかりに少年は殴りかかってくる!

365ベルン:2017/05/28(日) 23:23:26 ID:FdAWmiPc0
>>364

単純な突進に見える攻撃、それが本当にその程度のものなら試合はここで決着だろう。
殴り掛かる数歩手前でベルンの足下から小さな波のように、無数の骨杭が前方に突き出すからだ。
そして、それと同時に、いつの間にか、本人の手には紫炎を纏う一振りの剣が握りしめられていて――。

366 ◆YJMWmO4ZS6:2017/05/28(日) 23:33:55 ID:T0YCDSjI0
>>365
 スタンドにより自分の体を掴み、急停止。そしてそのまま、腕を振るう!
砂だ。単純かつ古典的目晦まし! 何故だろうか、少年は有効な攻撃、というものを避けているように思える。
何故だろうか。勝負を捨てているようには見えない。なのに何故か、まともな攻撃をしてこない。

 スタンドすら、攻撃にまわさない。軽い体とはいえ少年を急停止させた。パワーのないスタンドではないはずなのに。
まるで、意表をつくことそのものが目的となっているように――
意表をつく、それは勝負を有利にするためのもの。だが、優位を捨ててまで、意表をつこうとしている……?

367ベルン:2017/05/29(月) 22:08:28 ID:FdAWmiPc0
>>366

攻撃を誘って隙を作った、この攻防のみを見るなら少年の行動はおかしくはない。
しかし、少年の行動はあまりにもそれに徹底し過ぎている、となると嫌でも考えてしまう。

――何か、秘策がコイツには有るのだ。

と、それはきっとごく自然な判断で……だからこそ何よりも選びたくない選択肢だった。
秘策が有るにしても時間経過で発動するものかもしれない、可能性なんて幾らでも挙げられる。
視界を狭めてはならない、様々な可能性を考慮する、可能な限りの対応策を練る、それも必要な事ではあるが、今は――この流れは切らない、押し潰す。

「――吼えろ、ストラトキャスター……!」

砂掛けだろうが石投げだろうが気にしない、相手が力の弱い札を切る以上“ごり押し”で攻めるのも立派な戦術だ。
無造作に、力強く、紫炎剣を横一文字に振り抜かれた剣先から放たれるのは紫色の剣風、それは、砂を吹き飛ばし霧散させながら少年を両断するのには十分なもので。

368 ◆YJMWmO4ZS6:2017/05/29(月) 22:41:18 ID:T0YCDSjI0
>>367
 その一撃は、あっけなく少年の体を両断する。そう、両断した。
確実に致命傷だ。秘策も何もなしに、少年は、倒れる。

「……この、勝負……ボクは、何度、予想を覆した……?」

 力なく、そう呻く。強者としての雰囲気は間違いなくある。だというのに、あっけなすぎる。
――答えよう。何度、少年は予想を覆した? 予想を、超えた? いい意味でも、悪い意味でも――

369ベルン:2017/05/29(月) 23:39:15 ID:FdAWmiPc0
>>368

「……あのな、勝負の場では予測なんて……いや、言い方を改めようか、行動の選択肢なんて幾らでも、それこそ数え切れないくらいあるものなんだ」
「拳で殴る攻撃一つにせよ、両手両足の何処でどう防ぐか、それとも前後左右どちらに避けるのか、或いは相討ち覚悟で反撃を狙ってくるのか、狙うなら何処を狙うのか、ってな具合にな」
「……だから、残酷なようだがこれが答えだ、お前は俺の予測と違う行動を幾度となく取ったが……それだけだ、同時に、お前は俺の予測をただの一度も覆さなかった」
「完全に俺の予測を覆したかったのなら、珍妙な行動を取るんじゃなくて『コイツはこれだけの事が出来るのか』と思わせるべきだった、俺の上を行かないといけなかったんだ」

倒れ伏した少年に向けて、言葉を紡ぐ。
ただの一つの遠慮もないが、ただの一つの偽りもない言葉、これをどう受け取るかは少年次第だ。

370 ◆YJMWmO4ZS6:2017/05/29(月) 23:56:44 ID:T0YCDSjI0
>>369
 少年は確信した。この男の予想を覆すことは無理だ。全てで自分を上回っている。
そして、上から見るならば全ての仕掛けは丸見え。マジックショーに意味などなくなる。

 命が、尽きる。今ここで自分は死ぬ。ならば――

 少年のスタンドが少年の腰から拳銃を取り出し、自分自身に弾を撃ち込んだ!
検定の報酬にあった、強制スタンド進化バレット。どうせ死ぬならばと、少年は覚悟を決めた。
今のままでは勝てない。だが、可能性がある限り、諦めない。

「こいつに、勝ちたい――!」

 バアルの頭部に冠が現れる。そこには、悪魔には似つかわしくない綺麗な宝石があしらわれていた。
そして、今まで漂っていた強者の雰囲気。それが今ハッキリと強者の威圧に変貌する!

 新たなスタンドが少年に触れると、致命傷が時間を巻き戻すように癒えていく……!
少年の新たなスタンド! その名はッ!

「バアル・ラ・ファイル!」

 今度こそ、少年は! 正面から、敵を打ち倒す決意を固めた。

371ベルン:2017/05/30(火) 00:17:49 ID:FdAWmiPc0
>>370

「ああ、そうだ、予想を覆したいのならそれが正解だ、わざと攻撃を受けるのでも、攻撃を唐突に止めてみるのでもない」
「“輝きを見せる事”――俺がお前を軽んじていたと意図せず思ってしまうような、そんな何かを行動で示す事、それが予想を覆すって事だろう」


少年なら男の僅かな変化に気が付くだろう、今まで剣を握っていただけの筈の手が変化している。
紫炎を纏う魔刃はそのまま、だが、赤い脈のような紋様が走る黒手袋がいつの間にかその手に付けられていて。

「……お前が最後の意地を見せてくれたんだ、俺も相応の形で応えてやる――往くぞッ!」

再び、戦いの幕が上がる。

372 ◆YJMWmO4ZS6:2017/05/30(火) 00:30:40 ID:T0YCDSjI0
>>371
 今までとは違い少年は一気に距離をつめてくる。
身体強化魔法、スタンド、両方を使った力技の高速移動だ。
そして銃を構え、放り投げる! 投擲、と見せかけてのさらに急加速!
少年には、意表をつく動きが染み付いている。意味がなくても、それは癖として現れる。
この瞬間は、投げた銃をさらに殴りつけ加速して打ち出す! 完全に力技の、変則直線攻撃!

 明らかに、動きが違う。コンセプトは同じでも、その切れ味が突然に跳ね上がっている!

373ベルン:2017/05/30(火) 00:45:08 ID:FdAWmiPc0
>>372

銃そのものを弾丸のように放つ不意の攻撃、それに対する反応は、最初の投石に対するものとまるで同じ、地面から生える骨の杭が、銃の軌道に現れ攻撃を阻む。
だが、異なる点が幾つか存在していた、一つ目はその骨杭がより丈夫そうで太い、見るからに強力そうなものに変化していた事。
そしてもう一点は、ベルン自身がそれと同時に前方に駆け出していた事……受けて応じるだけの勝負ではなく、自らが戦局を変えねば勝てないと、そう思わせる事に成功したのだ。
最初からそれが出来ていればそれが「予想を覆した」事になるのだろうが……今更、互いにそんな事に拘ってはいないのだろう。

374 ◆YJMWmO4ZS6:2017/05/30(火) 00:51:10 ID:T0YCDSjI0
>>373
「バアル・ラ・ファイルッ!」

 骨の杭が銃を阻む、が、それに追いつき拳銃を、さらに殴りつける!
もはやまともに撃てる代物ではない。完全に銃身が曲がっている。

「ゼヤァ!」

 スタンドの右腕で殴り飛ばした銃。そしてさらに前に進むスタンドの繰り出す左腕の拳。
さらには少年の取り出した予備の銃による銃撃! みっつの攻撃が同時に襲い掛かる!
自らを両断した剣? その使い手? そんなことは、知らない! ただ勝ちたい。その一心で前のめりに攻撃を飽和させていく――!

375ベルン:2017/05/31(水) 23:17:42 ID:FdAWmiPc0
>>374

「勢いが大事なのは間違いないだろうが、それだけで勝てると思うなよ――!」

言葉を口にしたあと、内心で苦笑いをする。
少し前までの自分はそれ以上に勢い任せの人間だったのに、何を偉そうに言っているのか、と。

三方からの攻撃、全てを防ぐにも避けるにも相応の動きはしなければならない、少し前の少年が相手ならそれでも良かったのかもしれない。
だが、今の少年相手にそんな隙を晒す気はまるで起きなかった、戦い方が勢い任せのものだと感じたのは事実だが、それ故に何をされるか解らない『怖さ』がある。

(――けれど、易々と攻撃を許す気は無い、その勢いを見せてくれたからこそ、加減は一切無しだ)

「もう一度だ、ストラトキャスター……!」

三方からの攻撃を前に足を止め、紫炎剣を振り抜く構えに入る、肉を切らせて骨を断つ……という訳では当然無い。
術式を再度起動、自身の足下、文字通り完全な足の下から自分自身を打ち上げるように、地面を砕き骨の杭――ではなく骨の柱が現れる。
包囲されていた筈の男は、その一瞬で空に舞う、そして、その手には再び斬撃波を放つ準備が整った魔刃が握られている訳で。

一瞬の間を空けた後、少年に向けて空から紫色の斬撃が“落ちてくる”だろう。
それは断頭台の刃のように、重々しいながらも、正確かつ迅速に命を奪いに掛かってくる。

(お前が何を思って意地を張ったのかなんてまるで解らないけれどね、それでも――これで終わらない事くらいは解ってるつもりだ)

376 ◆YJMWmO4ZS6:2017/06/01(木) 01:11:10 ID:T0YCDSjI0
>>375
 その一撃は容易く命を奪い得る。それは少年にも分かっていた。
元よりカフェのメンバーは一般人に納まらない者たちばかり。スタンド使いになったとはいえ、少年は一般人。
センスも、スペックも、経験から装備まで、何から何まで足りない。

 だが、だがッ! 少年の新たな力はその不利を覆す!

 紫色の一閃に首を跳ね飛ばされる。致命傷だ。自然治癒どころかそのまま死ぬ、そんな傷だ。
それが、再び覆される! バアル・ラ・ファイルが触れた瞬間、少年の傷は時間を巻き戻したように癒えるッ!

「本能でわかる。ボクの新たな力! まだ、使いこなせてないけど、『ボクに致命傷は効かないッ!』」

 スタンドの進化の際に見せたその現象。ハッタリかはわからないが、こんな力が無制限に使えるのであれば、確かに同じ攻撃は効かないだろう。

 少年は骨の柱を登り追いつこうという素振りを見せ、やめた。相手の出した足場を信用する気にはなれない。
しかし、それでも柱を攻撃する! 砕いて叩き折れれば相手に重圧を与えられるかもしれない。
少しでも砕ければ、投げつける破片が手に入るかもしれない。あるいは、折れた柱を投げ付けることすらできるかもしれない。
手に入れたばかりの付け焼刃の力。それを持て余すのは当然だ。だが、持て余しながらも、全力だ!

377黒髪の女 ◆DUSK/kzn02:2017/06/01(木) 22:24:23 ID:eRkB3tXk0
【カフェ】

ことことと煮立つ手鍋をかき混ぜるマスターを見ている。
人が何かをしているところを見るのは嫌いじゃない。

378クー ◆YJMWmO4ZS6:2017/06/01(木) 22:35:06 ID:T0YCDSjI0
>>377
 後ろから忍び寄る。カフェの扉を開けたとき音が鳴ったからバレバレだ!
何かしら驚かそうとしているようだが、手にはカチューシャが。
カチューシャの頂点からはバネが伸び、その先に「あだ名募集中」の小さなプレートが揺れている。

379黒髪の女 ◆DUSK/kzn02:2017/06/01(木) 22:46:33 ID:eRkB3tXk0
>>378
ドアベルが鳴る、も静かだ
女は気づかないふりを選んだ、選んだが。


「そこ!」

クーがカチューシャをつけようと伸ばした手をつかもうとした!

380クー ◆YJMWmO4ZS6:2017/06/01(木) 22:52:11 ID:T0YCDSjI0
>>379
 咄嗟に手を引っ込める。だが、遅い。カチューシャを掴まれてしまう。言い訳はできない。

「……あっ、コレいります?」

 さすがにその返しは苦しい。

381黒髪の女 ◆DUSK/kzn02:2017/06/01(木) 22:58:30 ID:eRkB3tXk0
>>380
がっしー
勢いで『あだな募集中』がびよんびよん揺れているのを見てサングラス越しでもわかる苦々しげな顔になる。

「……そうだな、貰うか」

もう片手でカチューシャをとり、返す手でクーの頭にのせる――つもりだ

382クー ◆YJMWmO4ZS6:2017/06/01(木) 23:03:49 ID:T0YCDSjI0
>>381
 カチューシャが頭に乗った、瞬間――

「引っかかりましたね!」

 静電気が走る! ついでに自分も痛かったのか耳を押さえている。

383ベルン:2017/06/01(木) 23:06:51 ID:FdAWmiPc0
>>376

過程は兎も角、柱に接触した事は“正解”だ。
魔術を使える少年なら理解出来るだろう、骨の柱の中に蠢く魔力と、今まで散々男が行使してきた術式に近く、それでいて大きな気配が存在している事に。

上空からの攻撃は囮、わざと機敏に行動できない空中に自身の身を置き少年が反撃する好機を作る事、そして本命の攻撃を放つ為の重要な布石を“ただの足場”に見せかける事。
その二つを同時に行いつつ、現状で最も効果的な反撃をしたと思わせるのが一連の行動の真意だったのだ。

(……触れられたなら誤魔化しは効かないだろうなあ、間に合うか怪しいが――)

「ボーングレイブ――"八重紅枝垂"ッ!」

例え骨の柱がへし折られようと、術式の発動に支障は無い、男の声に応えるように、骨の柱から無数の骨杭が四方八方に飛び出し、その全てから真下に向かい更なる骨の杭が飛び出す。
骨の柱の中心に近ければ近いほどその攻撃の密度は高く、回避が困難になっているようだが、迅速に回避動作をとれたのなら、或いは柱を破壊動かす等、何らかの方法で攻撃の方向を操作出来たのなら、この攻撃を凌ぐのはそれほど困難ではないだろう。

384 ◆YJMWmO4ZS6:2017/06/01(木) 23:16:33 ID:T0YCDSjI0
>>383
 触れた瞬間に少年は理解する。これは、間に合わない。
殴りつけた反動で少しでも後ろに下がろうとし、それでも間に合わない。

「ガァアアッ!?」

 体を無数の骨で貫かれる。一部は体の内部で屈折し体内を長く貫通している。

「ぐっ……! ラ・ファイルッ」

 自らのスタンドに体を貫く骨を砕かせ、抜き取っている。どうやら、体内に異物がある状態で傷を癒すことはできないようだ。
痛みがスタンドにも影響しているのか、その動きは手早いものの、少し鈍い。

「……なあ、」

 あからさまな時間稼ぎのタイミング。精神攻撃でもなんでもとにかく試すつもりだ。

「この検定死者も想定してるが今まで全員空気読んで殺してないらしいぞ。あんたどれだけ空気読めないんだ?」

 先ほどまで致命傷は効かないと豪語しておきながらのこの言い草。生き汚い。

385黒髪の女 ◆DUSK/kzn02:2017/06/01(木) 23:22:56 ID:eRkB3tXk0
>>382
「あでっ!!」

「畜生……全ては貴様の手の上か……!」
じんじん

386クー ◆YJMWmO4ZS6:2017/06/01(木) 23:29:02 ID:T0YCDSjI0
>>385
「ちょっと改良が必要ですね」

 逆ドッキリ用カチューシャ。仕掛け人も痛いので改良行き。

「クオンさんに頼めばイタズラグッズ作ってもらえるので、貰ってきました」

 魔法薬専攻のくせに何を作っているのか。妙に子供っぽいことを。

387黒髪の女 ◆DUSK/kzn02:2017/06/01(木) 23:33:15 ID:eRkB3tXk0
>>386
「クオン作か」
マスターが出来上がった皿を出す。
ベリーを砂糖で煮たものにホイップクリーム。激甘メニューだ。

「俺も何か悪戯道具がほしいぞ!」

がうがうと唸っていたが料理が来ると隣の椅子を軽く引き座るかどうか窺った

388クー ◆YJMWmO4ZS6:2017/06/01(木) 23:40:51 ID:T0YCDSjI0
>>387
「とりあえず袋に入れて適当に貰ってきたのですが、見ます?」

 隣に座りテーブルに中身を広げる。
出てきたのは、目薬っぽい何か。「ふんどし一丁」とプリントされたTシャツ。
水晶っぽい飾りのついたボールペン。ぶーぶークッションらしき小物。合計よっつ。

「それ、甘そうですね」

 こちらは普通のバニラアイスにウエハース。追加オーダーで何故か枝豆。そして紅茶。

389黒髪の女 ◆DUSK/kzn02:2017/06/01(木) 23:48:47 ID:eRkB3tXk0
>>388
「見るみる。がっつり見……おお」

甘いものの合間に枝豆とは通ですな。
此方のドリンクはブラックコーヒーで。

「ふんどし」
「一丁」

まあまずそれが目に入りますよね

「どれもこれも先のようなギミックがあるのか?」

390 ◆YJMWmO4ZS6:2017/06/01(木) 23:56:44 ID:T0YCDSjI0
>>389
「たぶん、説明書ありますし」

 ふんどし一丁Tシャツ。これを誰かに投げ付けると、自分がこのTシャツ姿になる逆トラップ。
目薬のほうは料理にかけると一口目だけ納豆の味になるという地味なもの。

「……うわぁ」

391黒髪の女 ◆DUSK/kzn02:2017/06/02(金) 00:08:33 ID:eRkB3tXk0
>>390
「うわ」
「うわあ……」

逆ギミックマジ罠すぎませんか。
というかここに来る人って嬉々としてこういうの着そうだしなんならふんどしすら着そうだ

「納豆」
「どれどれ……」

なんで試そうと思った。いいぞもっとやれ

偶数なら目が納豆くさくなる

392クー ◆YJMWmO4ZS6:2017/06/02(金) 00:17:30 ID:T0YCDSjI0
>>391
「こう、地味なのはどうやって考えているんですかね?」

 頭の中にきっとキメラを飼っている。

 そして試した結果、味は納豆、香りはスイーツ。香りまでは変わらないらしい。
違和感が物凄い。副作用はないようだが。

「これは、一応魔法薬ですね」

 ちなみに他ふたつも、ノックしたら「なぁ、すけべしようやぁ〜」と声の流れるボールペン。
座ると体重が読み上げられるクッション。と書かれている。地味だ。

393黒髪の女 ◆DUSK/kzn02:2017/06/02(金) 00:23:29 ID:eRkB3tXk0
>>392
「……あみだくじ?」

「うっわまじで納豆の味だ……納豆として普通に旨い……甘味を食べていたはずなのに……」
「目から口に作用するとはなんとも奇妙な魔術よ……」

同じく体験してほしいのか、ふたを開けた目薬を差し出す。

「前言撤回。多分思考回路がとんでるぞ、クオン」
中の人が変な笑いで死にました

394クー ◆YJMWmO4ZS6:2017/06/02(金) 00:30:11 ID:T0YCDSjI0
>>393
「これ料理にかけるって書いてあるのですけど、目薬としてさしちゃったのですか?」

 容器が紛らわしい。そして、自分はウエハースにかけてみる。

「……さくさく食感の、納豆」

 枝豆にかけたほうがよかったかもしれない。
イタズラグッズ、きっと思いつきで作って放置しているのだろう。たぶん売れない。

395黒髪の女 ◆DUSK/kzn02:2017/06/02(金) 00:45:11 ID:eRkB3tXk0
>>394
(あーっ勘違いしてた!!!!)(なんか都合好い感じに補修してやってください!!!!)(どげね)

「サクサクの……納豆」
知ってる!それ納豆乾燥させたお菓子!(実在したぞ!)
ジョークのラインナップがはりーっ○ったーめいてて俺は好きだ!!!

396クー ◆YJMWmO4ZS6:2017/06/02(金) 00:50:33 ID:T0YCDSjI0
>>395
「どうします? 誰かに使ってみます?」

 扱いが物凄く適当なジョークグッズ。たぶん某魔法使いの国のグッズもこんなノリで扱われているのだろう。

397黒髪の女 ◆DUSK/kzn02:2017/06/02(金) 00:56:05 ID:eRkB3tXk0
>>396
「そうだな…」
「薬とクッションを買おう」

398クー ◆YJMWmO4ZS6:2017/06/02(金) 00:57:25 ID:T0YCDSjI0
>>397
「ほう、ターゲットは決まっているのですか?」

 魔法薬とクッションを別の袋に分けて差し出す。乗り気だ。

399黒髪の女 ◆DUSK/kzn02:2017/06/02(金) 00:58:12 ID:eRkB3tXk0
>>398
「無差別」
いつ誰が来るかわからんからな、と財布を取り出しながら笑う

400クー ◆YJMWmO4ZS6:2017/06/02(金) 01:07:21 ID:T0YCDSjI0
>>399
「無差別ですか」

 ちょっと面白そうなので任せてみることにしたらしい。
アイスも食べ切り、枝豆が少量。紅茶は飲みきった。支払いは口座からの引き落とし。

「……カフェの監視カメラもお借りできれば面白い映像が撮れる、かも?」

401黒髪の女 ◆DUSK/kzn02:2017/06/02(金) 01:13:37 ID:eRkB3tXk0
>>400
「監視カメラは(いたずらされた時が怖いので)少々やりすぎかもしれぬ」
「せめて持ち込み……え、だめ?」
マスターからストップかかりました

「まあ何よ、悪いようにはせんさ」

飲食代をマスターに、いくらかのお札と小銭をクーに渡して席を立った。

402ベルン:2017/06/02(金) 02:12:00 ID:FdAWmiPc0
>>384

「勝ちだけを求めているならもっと遠慮無くやっているし、何より今こうして雑談にも付き合っている……空気が読めないとは酷い物言いじゃないかと思うんだけれどな?」

着地した後、追撃を加える事無く治療する少年の姿を眺める、勝ちたいだけならこのような時間を与えるような真似は絶対にしない。

「それと、だ、折角だから勘違いを訂正ついでに紹介しておこうか、本当は此処で使う気は無かったけれど……本当に潰す気ならどうなっていたのか教えてやりたくなったし……」
「……何よりも、その強力な異能は使えば使うほど大事なことを忘れてしまうだろうからね、こいつの感覚を覚えておいた方が良いだろうから」

言葉を紡ぎながら、手にする剣を構え直し、少年と真正面から向かい合うように相対し――その瞬間に“世界が変わった”事に少年は気付けるだろうか。
視覚的には何も変化は無いだろう、だが、空気が、気配が、周囲一帯の雰囲気が先程までとはまるで別の、酷く息苦しく冷たいものになっている。
それは、正気の人間ならば根源的な部分で恐怖や嫌悪を覚え敬遠してしまうものであり、同時に誰もがいつの日か辿り着いてしまうもの。
人としての、一つの生命体としての終わり――つまりは“死”という概念そのもの、その忌まわしい気配が、僅か一瞬の間に周囲一帯に飽和する。
その気配の出所は――言うまでもなく、少年の前に立つ男と、その手にした魔刃から。

403 ◆YJMWmO4ZS6:2017/06/02(金) 22:25:17 ID:T0YCDSjI0
>>402
 無意識に、一歩下がる。その動作から分かる。少年のスタンドは、傷を経由しない死を避けることはできない。
咄嗟に急所ではなく、指を握り足が曲がる。観察眼があるならば、無意識に軽症を避ける動きだとわかる、かもしれない。

 足が後ろに下がったのを認識して、少年は咄嗟に自分に刺さっていた無数の骨をスタンドに殴り飛ばさせ、即席の弾丸にする!

「(手札の全てが通じない。負ける……?)」

 少年の新たな力。それは傷の進行速度を操る。致命傷の進行速度をマイナスにすれば、癒える。
逆に簡単に癒える軽症は進行速度をマイナスにすれば、重症化する。破格の力だ。だが、その全てが通じない。攻撃が届かない。
戦闘中の進化も、実力差を埋める戦い方も、素のスペックが引き上げられたスタンドすらも、全てだ。全てが通じない。

「――だからどうした。存在自体空気読めてないってだけだろッ!」

 もしも、これほど強大な壁が立ちふさがらなかったら、少年はきっと腐ってしまっただろう。
上を見ればキリがない。だというのに自分はどこまでいっても平凡。それが急に力を得た。
――たとえ、今死んだとしても、腐ったまま生きるよりはいい。心の中に感謝が満ちる。だが、決して口には出さない。

「お前がボクを覚えとけッ! 覚え方忘れたってんならボクが教えてやるよ!!」

 一歩引いてしまった。スタンドは闘争心の具現化。一歩でも引いてしまえばもう、きっと勝てない。
しかし、それでもッ! 二歩目は引かない! 最後は、最後だけは嫌悪した自分でありたくない。

 スタンドと自分の足、両方を用いた高速移動。乱雑な軌道で接近する。
既に拳銃の弾は使い切った。近距離型のスタンドは近づかなければ真価を発揮しない。
接近は今までで何度も潰された。それでも、少年には他の手段などない。これが、最高の選択だと信じ突き進む!

404ベルン:2017/06/02(金) 23:23:35 ID:KTr.Hk1I0
>>403

「……ぐ、本当に遠慮無く言ってくれるな!空気読めてない自覚は有るけれどさあ!」

言われて言い返す言葉がないのが悲しい所だ、確かに自分はかなり空気が読めない部類の人間だ、精神的にもその在り方も、少年の言葉は間違ってはいない。

「……まあいい、そもそもこんな場面で使う気はないんだ、こんな札も有るんだぞ、とお前に見せたかっただけ」
「猪突猛進な俺からしても、お前の攻撃は“酷すぎる”んだよ、破壊力も勢いも有るが、狂った獣のように突進をひたすら繰り返すだけ」
「もしも俺の魔術に再生を阻害できるようなものが有ったならどうするつもりだったのか、体内に突き刺した骨を爆破するような、一撃で治癒が追い付かないような傷を生む技が有ったらどうするつもりなのか――ええい、面倒だ!」

何かを語ろうとしていたが、我慢しきれなくなった、という様子で言葉を自ら止め、苛立ちに身を任せるように死炎を纏う刃を振り抜く。
狙いは自身に向け飛来する骨の弾丸、それらは剣気に呑まれた瞬間に風化し、自らの飛ぶ勢いに耐えきれず自壊する。
その一撃を最後に、周囲に立ち込めていた死の気配は霧散して消えるが――

「つまり、俺を馬鹿にするのも程々にしておけって事だ、お前は俺に勝ちたいから挑んできたんじゃないのか?勝てないと認めたから自らの殻を破り進化する事を選んだんじゃないのか?」
「なのに、何なんだよそれは、搦め手にすらなっていない道化の真似事を漸く止めたかと思えば、今度は能力任せのど真ん中一直線の直球勝負しか仕掛けてこない、それで勝てると“予想を覆せる”と本当に思っているのか?」

――しかし、男から感じる気配のみ、それとは真逆、霧散するどころか逆に膨れ上がっていく。

「俺はあの子達やおっさんのように優しくはない、先に進む意思は尊ぶが、その意思を貫く為に何をするべきか考えられないようならそれまで、この戦いも此処で幕引きだ」
「……俺なんかにこうまで言われて不愉快だろう?だが撤回はしない、不満が有るのなら、今此処で、俺の予測を覆してみろッ!」

小細工抜き、迫る少年に向けて放つのは、今までに二度少年の命を奪いかけた紫色の剣撃。
今までとの違いが有るとするならば、それはその攻撃の規模だろう、負の感情を糧に力を放つ紫炎剣の特性と、真っ向から全力を放つと決めた男の意思の二つにより強化されたそれは、今までより数段その威力を増していて――!

405 ◆YJMWmO4ZS6:2017/06/03(土) 00:33:14 ID:T0YCDSjI0
>>404
「誰もが手前らカフェメンバーのように強くもなけりゃ引き出しだって多いわけじゃねぇよ!」

 同じ、近接攻撃を主体とするものなら、まだあの時の人魚のほうが何倍もましだった。
少年は、中途半端な搦め手ばかり考え、それすらも捨てた。完全に考えなしだが、同じ考えなしでもあの人魚に劣る。

「どうせ何やっても涼しい顔してんだろうが! 予想を覆す? とっくに諦めたぜ! バーカッ! 何度だって馬鹿にしてやるよッ!!」

 近づいた瞬間、いや、骨が自壊した場所に到達した瞬間に、『骨が再びその空間に浮かぶ』そしてそれらを再び殴り飛ばす!
飛ぶ勢いにより自壊した、ならばそれは骨の弾丸にとっての致命傷だったのだ。その進行時間を、マイナスに進め、骨を修復した。

 当然その骨の弾幕は紫色の剣撃に飲まれる。大した意味どころかなんの意味もなさない。
だが、細かい攻撃範囲は目視できた。どこまでなら命中しない範囲となるか。その範囲を見極め、地を転がるように、ギリギリ避けて、前進する。

 届かない。もう、少年は救えない。救うには、少年は傷つきすぎた。傷を司るスタンドに目覚めるほどに、今の自らを否定するスタンドに目覚めるほどに。
今、少年は持ちえる全てを使い、自分を否定し、自殺している。手札はスタンド、弾のない銃、身体強化魔法。

「持てる者の理屈での説教は楽しいか? 糞野郎ッ(ありがとう)!」

 スタンドに、自らの背中を蹴らせて更に加速する。身体強化でその衝撃に耐え、なお前進!
涙は、悔し涙だろうか、嬉し涙だろうか。ただの痛みによる反射だろうか。

406黒髪の女 ◆DUSK/kzn02:2017/06/03(土) 21:29:24 ID:eRkB3tXk0
【カフェ】
「高めの麺買ってスープを適当に調合したら安価な既製品と同じ味になってなんとなく損した気分になった話でもするか?もうした今した」

407モニュカ ◆fJNTk09.gI:2017/06/10(土) 21:21:26 ID:uOQMW8A.0
【街】

人通りの多い市場の通りでうろうろするいつぞやの姉弟(姉)。
一応今日は休みなのだが、アカデミーの基礎試験とやらのため、街に出て材料素材の買出しである。

「えっと、コブシサボテンの実はOK、あと龍月草・・・ってこれは薬草屋かなぁ?白夜水ってのも必要ね・・・」
「はぁー、こういう細かい調合とか全部グレンに押し付けたいわー」

普段の姉弟関係が容易に想像できる。

「ええっと、とりあえずこの本に書いてある順番で・・・おっとっとっと!?」

懐から取り出す分厚い調合教本だが、重さに手を滑らせて落としそうになる。

408クオン ◆YJMWmO4ZS6:2017/06/10(土) 21:33:34 ID:T0YCDSjI0
>>407
「?」

 偶然通りがかった。とりあえず砂で支えようとしてみる。
こちらも買い物なのか、あるいは納品なのかダンボールを抱えている。

409モニュカ ◆fJNTk09.gI:2017/06/10(土) 21:43:07 ID:uOQMW8A.0
>>408

ぽふり。上手い具合に伸びた砂山にはまってナイスキャッチ。

「おっとっと・・・す、砂山?あっ、ありがとうございます」

突然沸いて出た砂山に困惑しつつも。

「・・・ってあれ?あなた何処かで見かけ・・・」ズガンッ!!!

後ろから集団飛行箒の追突!こうかは抜群だ!

「ぼへぶっ」

<あっすいませーん!

<ギャハハハ

こんどは顔からコケたが、丁度目の前の砂山に頭を突っ込んで怪我はせずに済んだ。

「くぉらぁぁー!クソガキどもー!」

叫んだ頃には既に箒の姿は無く。

410クオン ◆YJMWmO4ZS6:2017/06/10(土) 21:48:15 ID:T0YCDSjI0
>>409
「大丈夫ですか?」

 再び砂にうまる姿を見て声をかけてきた。
砂の山は意外なことにクッションのような弾力を感じる。
中を空洞にして砂の風船のような形で操作しているのだろう。

「んと、」

 砂にダンボールを持たせてから手を差し出す。

411モニュカ ◆fJNTk09.gI:2017/06/10(土) 21:59:17 ID:uOQMW8A.0
>>410

「た、助かります・・・」

顔やら髪やらを砂まみれにしながら、何とか手を取り立ち上がる。
「ああっと・・・よかった、袋は無事だ・・・」

髪の下に見え隠れする、どこかで見たような赤く透き通る肉垂。

「すいません、重い荷物運んでらっしゃるのに・・・お礼と言っちゃなんですけど手伝いましょうか?」
「・・・カフェで会いましたっけ?」

兄弟も何度もカフェには行っているので、何度かすれ違ってはいるかもしれない。

412クオン ◆YJMWmO4ZS6:2017/06/10(土) 22:06:59 ID:T0YCDSjI0
>>411
「カフェなら、かもしれませんね〜では改めまして、クオンです」

 そう言って胸を張る。別に胸を張って自己紹介する必要はない。

「別に重くないですよ? かさ張るだけで」

 ダンボールを振ると軽いコトコトという音が鳴る。

413モニュカ ◆fJNTk09.gI:2017/06/10(土) 22:17:07 ID:uOQMW8A.0
>>412

「モニュカです、たぶん弟のグレンも会ってると思うんですよ」

胸はあまりない。ぺたんこという程でもないがいまいち迫力に欠ける。

「いえいえ、お陰で怪我も無かったですし!・・・模型か何かですか?」

ダンボールを抱えクオンと一緒に歩く。暇といえば暇なので気前良く付き合うモニュカ。

「この辺で龍月草・・・っていうのと、あと白夜水っていうのを探してるんですけどなかなか無くて。」
「街にいけばあると思ったんですけど・・・」

414クオン ◆YJMWmO4ZS6:2017/06/10(土) 22:25:47 ID:T0YCDSjI0
>>413
 一方のこちらは、普通といった所だろうか。ローブ姿でわかりづらいが。

「薬瓶です。樹脂製なので落としても大丈夫ですしそのまま運んでたんですよ〜」

 一応魔法薬専攻。

「弟さん、ほほう。……会ってますかね?」

 覚えていない、かもしれない。

「ん〜……? 小売だと見つからないかもですね。
一般開放されている教育教材の問屋さんの方が確実に見つかると思いますよ〜」

415モニュカ ◆fJNTk09.gI:2017/06/10(土) 22:36:28 ID:uOQMW8A.0
>>414

「あっ教材・・・そうか、初等アイテムってよくそういう所にまとめてるよね・・・」

おっちょこちょいである。割と天然?

「薬瓶・・・ってもしかして薬屋さんですか?もしかして本職?」
「いやー、実はアカデミーの試験で〜・・・水専攻って独特の調合試験するんですよね・・・」

「なんかこう、混ぜるものいちいち液体にされてて・・・どれがどれだかわかんなくて・・・」

属性専攻によってそういった試験にも多様性が出るようだ。まあカンニング防止なのだろうが。

416クオン ◆YJMWmO4ZS6:2017/06/10(土) 22:46:44 ID:T0YCDSjI0
>>415
「一応錬金術師ですよ?」

 しかし専攻以外のことに脱線しまくる。しかもたまに発想がマッド。たまに。

「飲み薬系の材料ならカフェで注文すればでてきますよ? 食材扱いで」

 カフェとは一体。王水すら出てくるのだから、それに比べればまだ常識的なラインナップの範疇かもしれないが。

「なら自分で液体に加工してみればいいかもしれませんね。
歴史も読むより書いて声に出したほうが覚えやすいって言いますし、実際やってみたほうが覚えるものですよ。脳科学的にも」

417モニュカ ◆fJNTk09.gI:2017/06/10(土) 22:55:41 ID:uOQMW8A.0
>>416

「あっ本職!いい人捕まえちゃった」
「っていう事はこれ売り物だったりするんですか?それとも研究用?」

そういえば何処に向かっているのだろうか。

「いやー流石にそれは卑怯かなって・・・あっでも白夜水はカフェでも貰えそう」

「やーそうなんですけど、私めっちゃ不器用で、この前なんか竜の鱗の粉末を爆発させちゃって」

初等素材でそこまで出来るのはある意味才能かもしれない。

418クオン ◆YJMWmO4ZS6:2017/06/10(土) 23:03:20 ID:T0YCDSjI0
>>417
「売り物ですね。間違えて魔導腐食液いれて薬瓶溶かしちゃったって人から注文がありまして。
こんなとき地属性適正が高いと魔法薬学では得です。地属性の人は機工学にばかり進みますから」

 魔法適正で少し得した体験談。

「とりあえず問屋さん知ってますし案内しますよ? これ届け終わってからでよければ」

 届け先は近くだからあまり時間はかからないそうだが。

「自分が不器用なら知識だけ覚えて作業は使い魔に任せるとか、どうです?」

 それはそれでどうなのだろうか。

419モニュカ ◆fJNTk09.gI:2017/06/10(土) 23:18:47 ID:uOQMW8A.0
>>418

「へぇ地属性なんですねー、薬瓶から作れるなんて羨ましいです」

そう考えると連金から魔導機工にまで広がる地属性というのは地味に幅が広い。
一方水属性だが扱うものは液体物ばかりなのでモノは単調である。一応基礎魔術全般に強いのでやれることは広いのだが。

「わぁ、ありがとうございますー、私も後でお礼しますね!」

「使い魔・・・いや、まあ弟という便利な道具があるので・・・ふへへ」

居るといえば居る。いやそれでいいのか疑問だが。

420クオン ◆YJMWmO4ZS6:2017/06/10(土) 23:32:40 ID:T0YCDSjI0
>>419
「丁寧に扱うからそんなに頻繁には必要にならないですけど、あると助かります」

 仮に頻繁に壊すなら、大活躍なのだろうが。
そんなこんなで届け先に到着。普通の一軒家っぽい。呼び鈴を鳴らすが、出ない。
少し沈黙すると、ショートソードっぽい魔導具で空間を切り裂き、扉の向こうにダンボールを放り込んだ。

「いきましょう」

 開いた空間が戻る。いいのだろうか。

「他には人工の管制人格を作って作業を任せるという方法もありますよ。自分の体でできます」

 発想がマッドの方に傾いてきました。

421モニュカ ◆fJNTk09.gI:2017/06/10(土) 23:48:48 ID:uOQMW8A.0
>>420

「逆に頻繁に壊させるとしたら・・・あっ火炎瓶とか売れば儲かりそうですね!」

唐突な武器商人提案。暴動でも起こすつもりか。

「お留守みたいですね・・・ほあっ!?」

クオンにダンボールを渡しつつ、空間を切り裂いた光景にビビる。

「便利ですねそれ・・・じゃあ行きますか」

「管制ってははは・・・いやまてよ、グレンを操r」

割といけない方向性で大真面目に検討し出した

422クオン ◆YJMWmO4ZS6:2017/06/10(土) 23:55:50 ID:T0YCDSjI0
>>421
「よくわかりましたね、火炎瓶。正しくは自分で消費するから売れないですが」

 手札のひとつです。

「適正が必要ですし動作も安定しなくて制限ありますけど、便利です。
物を作る仕事なのですから色々興味があれば首を突っ込む。それが一歩で集まって千里を歩きます」

 ザ・研究者。

「犯罪にならない程度に色々試すのがいいですよ。できる限りは迷惑少なめで」

 一応モラルがないわけではないようだが。現在も問屋へ案内しているのもある。

423モニュカ ◆fJNTk09.gI:2017/06/11(日) 00:12:35 ID:uOQMW8A.0
>>422

「ということは・・・もしかして革命系の方ですか?ふふふ」
どういう人物を想像しているのか。モニュカの中のクオン像は滅茶苦茶である。

「ですよねぇ、私ももっと弟を乱暴に扱ってみようと思います!まずは催眠薬から試すか・・・」
不穏なガールズトークを続けていると、それらしき店に行き着く。

「あっ、ここですね問屋。・・・あっ!?セットで売ってる!コブシサボテン買う意味無かった!」
教材屋というのはそういう所抜け目ないものだ。結局セット一つ買って、店を後にした。

「・・・というわけで、これ良かったら食べてください〜」

コブシサボテンの実。旬なのだろう、かなり大ぶりだ。

「すいません、助かりました!またカフェで!」

というわけで流れ解散。
相変わらず人でごった返す土曜日。その人混みに、モニュカも流れるように消えていった。

424クオン ◆YJMWmO4ZS6:2017/06/11(日) 00:17:51 ID:T0YCDSjI0
>>423
「普通に戦闘訓練で対戦車用火炎瓶も消費、これ、一般的じゃないのかな……」

 それはそれで印象が混沌としそうな証言。

「ほどほどに、ですよ?」

 フィストピタヤーとかいいながら受け取った実を鞄にしまって見送る。
検定があれば、また会うこともあるだろう。

425ベルン:2017/06/13(火) 00:15:03 ID:FdAWmiPc0
>>405

「ああ、お前の言う事は間違ってない、自分で言うのも何だが、少なくとも俺は他の人より遥かに恵まれた人生を過ごしてきた、それは事実だ」
「ああ、間違いない事実だがな――で、それがどうしたんだ?」

構えていた紫炎剣を投げ捨てる、両手に嵌めていた黒い手袋も消え失せる、突進する少年に対して応じるのに、こんなものは必要ないとばかりに。

「運の巡りが悪かった、天賦の才を持ち合わせていなかった、それは大変だったな、だけれど、それだけの話じゃないか」
「そう思った後にお前は何をしたって言うんだ、何を努力したって言うんだ、一つだけでもいい、何か一つでも自分を変えようとしたのかよ」
「最初に俺は言った筈だ、戦闘の方法なんて無数に有ると、お前はその一つでも努力したと言えるのか、何か一つでも自分を強く変えたのか」
「魔術が並以下なら剣を学ぶ、剣も並以下なら弓を学ぶ、全部駄目なら出来る範囲でどう組み合わせて戦うか頭を使う、一つもやり通していないんだろう――ふざけるなッ!」
「俺は強くない、なんて言葉に逃げて何もしなかったから、本気を出したくても何も出来ないんだろうが!俺が強かろうが弱かろうがお前の強さが変わる訳じゃない――相手が誰だろうとお前は“その程度”なんだよ!」

狙うは一つだけ、限界ギリギリまで引き付けての拳によるカウンター。
紫炎剣も死霊術も関係無い、場数を踏んで、文字通り自分を削って手に入れた反射神経と身体捌き、これで少年に痛みを与える事に、きっと意味はあると信じて、拳を突き出して。

426 ◆YJMWmO4ZS6:2017/06/14(水) 00:20:37 ID:T0YCDSjI0
>>425
「(知ってるよ。何度も言われた事だ)」

 少年の中では、努力はした。体格に恵まれないから、強化魔法。
剣や槍の才がないから、体術。攻撃魔法が使えないから、投擲と銃。
真正面からでは敵わないから、セオリーを外す動き。新たに力を得ればそれを生かせるように。
結局はそのどれもが中途半端に終わっている以上、やり通したものはない。

 それでも、自分の中では精一杯努力したのだ。だが、無意味だ。
何度も言われた。「努力しろ、努力が足りない」と。少年の努力は、努力ではない。
努力とは結果だ。結果を出せなければ努力に何の意味もない。結果を出せないお前は、無意味だ。

「(そんなものは努力でもなんでもない、そうなんだろ?)」

 意味などない。全くの無意味。少年の全ては、無意味。戦力も、思考も、人生も、無意味。

 拳を掴もうとして、それも叶わない。拳は少年の額にあたる。硬い頭蓋で受けたというのに脳が揺れる。
脳に衝撃を通された。これでは致命傷か否かが判別できない。傷の操作が行えない。体に力が入らない。

 それでも、スタンドによりその腕を掴む。ようやく捕まえた。捕まえたが、どうする? 何の意味もない。
既に体は動かない。両腕で掴んでいるが、相手はその状態からでも問題なく攻撃できる。何の意味もない。敗北だ。
攻撃の一発も命中させることができずに、ただただ無意味に敗北したのだ。

「……」

 敗北を認めたからだろう。スタンドの力強さが明らかに弱まる。だが、掴んだ腕を放さない。
少年は『死ぬまで放さない』絶対に。救いようのない少年の、最期の覚悟。ただの迷惑な自殺。

「よくわかって――るじゃねぇか。その程度だって。そ――の程度の相――手に何わかりきったこと説教してん――の?」

 既に、攻撃もできない。それでも死ぬまで放さない。救いようがない、少年は自分でも理解している。
少年は今まで周囲の期待を裏切り落ちこぼれ続けてきた。正論も痛みも、今更、無意味だった。

427ベルン:2017/06/14(水) 03:18:56 ID:j5Af8DSg0
>>426

「救えないな、此処まで来てまだ逃げるのか」
「いや、気持ちだけなら解らなくはない、人の声に応えるっていうのは相当な苦痛を伴うもの、自分の身を削る事なんだから当然だ」
「でも、無能でいれば声に応える必要は無いんだからな、それどころか周りが何とかしてくれる……良いじゃないか、最高に恵まれた人生だ」
「誰に何を言われても“俺はこの程度”と自分に語り続けてきた、何も省みようとしなかった、自分だけを見てきた努力が実ったんだ、幸せだろう?」

ここまで認めないならば、もう応援する必要も無いだろう、頑張るなんていうのは“当たり前”の事、他人に認められるには成果を出すしかない。
それを頑なに拒むなら、それはただの逃げでしかない、皆は試験で百点満点、自分は三十点だが努力はしたので認めてくれ、なんて我が儘は絶対に何処にも通らない。
他人に追い付くだけの努力は疲れるからこの程度で勘弁してくれ、と言っているのと同じなのだ。

「……手を離してくれないか、悪いがもうお前に関わっている時間は無いんだ」

苛立ちこそ混じっていたが、何処か少年を案じていたような男の声はもう無い。
少年に投げ掛ける声は、感情が籠らない退屈そうなもの、殺意さえ向ける価値はない、そう、暗に語っているようで。

428 ◆YJMWmO4ZS6:2017/06/14(水) 23:44:58 ID:T0YCDSjI0
>>427
「気持ちは分かる、か。安心だよ。お前も同じ立場なら同じダメ人間になってたってことだろ?」
「努、力を完全否定されて結果も出せなくても腐らないドMだ、なんて言われたら、どうしようかと、思ったぜ」

 劣るものは、淘汰される。弱者救済など建前。強者の論だが正論。
だが、淘汰される弱者も無抵抗ではない。無抵抗に等しい無意味なものでも、抵抗する。害として。

「――説教で自己満足できなくて残念だったな。で? お前ストーカー、にも同じこというの? こっち、にゃ用あるんだよ」
「弱者に不可能叩きつけて、思い通りの、反応得られなきゃ価値がないと見限って、殺す価値もないって? 強者、の特権ってのは羨ましいぜ」

 スタンドの手に、力が入る。負けを認めても、最期に決めたそれだけは絶対に通す。
仮に応援する気持ちからの問答だったのだとすれば、死ぬ勇気もなかった少年の中の迷惑な覚悟の背中を押す結果になった、ということだろう。

「(お前が、教えてくれたんだぜ? 新しい力を得ても、結局ボクは中途半端。ボクの努力は努力じゃない。その程度。無意味。
死んだほうがマシ、死ぬべき屑だって。だから、それを突きつけたお前が終わらせないと無責任って物だ。強者にも責任はある、だろ?)」

 少年は救えない。有害とすらいっていい。

「生きてる限り、付きまとう。お前の手加減は重傷にしてやる。お前の有効打を無意味にしてやる。隙あらばお前に近づく全てを害してやる――」
「――ボクは弱者だ。強者(お前)の都合なんか、知るかッ!!」

 頭突きをかます。脳にダメージがあるというのに、頭突き。命中したとしても自分に被害がくるような悪手。
自らが救えないのだと自覚した少年は、既に死を受け入れている。仮に少年が勝っても、少年は自ら死を選ぶだろう。だから、死ぬまで止まらない。
今即座に自殺しないのも、できることなら最期は大嫌いな自分を完全否定したこの人物に殺されたい、その程度でしかない。
だが、今の少年に残された全てだ。それだけが全てだ。だからこそそこだけは、曲がらない。どんなに迷惑でも――

429黒髪の女 ◆DUSK/kzn02:2017/06/17(土) 23:05:19 ID:eRkB3tXk0
【カフェ】

ひゃっはー!レアのハンバーグだ!!!!!

430リゼッタ ◆YJMWmO4ZS6:2017/06/17(土) 23:16:24 ID:T0YCDSjI0
>>429
「こちら、死霊術による即死魔法により寄生虫のリスクを排除したサバです。
また同様に細菌を排除したカキもどうぞ」

 四肢がなく、異様に細い首の後ろからもうひとつの頭部が垂れる異形の少女。セールス中。

431黒髪の女 ◆DUSK/kzn02:2017/06/17(土) 23:19:54 ID:eRkB3tXk0
>>430
「!!!」
「こんな世の中になってしまったからもう食えないかと思っていたぞ!」

さっそくマスターにごまだれとポン酢やレモンなどを出してもらっている
網と炭火まで出てきた!

432リゼッタ ◆YJMWmO4ZS6:2017/06/17(土) 23:26:22 ID:T0YCDSjI0
>>431
「焼いても美味しいですが、生で食べてもまず食中毒にならない。それがセールスポイントです。
生で食べて美味しいものが焼いても美味しい。それを楽しむメニューとなっています」

 ※カフェの店員ではありません。

「また、サバは薄切りにしてしゃぶしゃぶで頂いてもおいしいかと思われますので是非お試しを」

 死霊術の平和利用が明後日の方向に向かいすぎて食が充実し始めた。

433黒髪の女 ◆DUSK/kzn02:2017/06/17(土) 23:30:14 ID:eRkB3tXk0
>>432
「牡蠣は焼いてもあたるときは当たるものだと」
まずは生ガキをてゅるる。海の香り!

「ん〜〜〜〜〜〜!」

しあわせ。


「鯖の胡麻和えは知る人ぞ知る生鯖の喰い方よ。娘、喰うか?」

434リゼッタ ◆YJMWmO4ZS6:2017/06/17(土) 23:35:15 ID:T0YCDSjI0
>>433
「ゴマ?」

 知らなかった様子で興味津々。一口頂くようだ。

「、浅葱よりもゴマの方が合うんですね」

 マスター曰く寿司の握りでもサバにゴマを合わせたりするらしい。

435黒髪の女 ◆DUSK/kzn02:2017/06/17(土) 23:39:33 ID:eRkB3tXk0
>>434
「俺は料理人でないからゴマとショーユを使うことしかわからんが、これでどんぶり2杯は行ける」
いつのまにやらでていた日本酒のお猪口を傾けている

「ネギか。悪くはないな。ネギとしょうがはいつもいい仕事をする」
気に入ってくれたのをだろうだろうと満足げに眺めている

「ゴマめしか……・」
(じゅるる

436 ◆YJMWmO4ZS6:2017/06/17(土) 23:44:07 ID:T0YCDSjI0
>>435
「そんなに食べて大丈夫ですか?」

 喉が物理的に細いので固形物食べるのが大変。
というよりもあまり味見もできないのに何故食品を扱おうとしているのか。
実際に扱うのは殺菌殺虫の術式の入った水槽かなにかだろうが。

 そもそもカフェで食材の宣伝をしていいのだろうか。いいらしい。

437黒髪の女 ◆DUSK/kzn02:2017/06/17(土) 23:51:58 ID:eRkB3tXk0
>>436
「旨いものはな、いくら食っても平気なもんさ」
よいこはまねしないでね!
おっと牡蠣がふつふつといい音を立てている!軍手をつけてなんかあの……ひらたいあれ……あれを差し込んでぱかっと
醤油を一たらししてするりといこう

「〜〜〜」
「うむ。これは売れる。魔術が生活の役に立つ歴史的瞬間だ」

438リゼッタ ◆YJMWmO4ZS6:2017/06/17(土) 23:55:38 ID:T0YCDSjI0
>>437
「そうですか? 売れるといいなぁ」

 しかしリゼッタは知らない。水槽は大きすぎて家庭用には向かないため小売は絶望的だということを。
そして食の業界に売り込むにはコネが足りないということを。こうして不良在庫がまたひとつ……

「沢山食べて沢山成長できるといいですね、事故に負けないくらい」

 重い。

439黒髪の女 ◆DUSK/kzn02:2017/06/18(日) 00:05:32 ID:eRkB3tXk0
>>438
店相手なら意外と行けるかもしれない……!!!
コネ?マスター。

「くくく、俺がこれ以上成長してもどうなんだ、ってところではあるな」
「地獄飯(クソメシ)に対応できるくらいにはなりたいが、な」

440リゼッタ ◆YJMWmO4ZS6:2017/06/18(日) 00:10:06 ID:T0YCDSjI0
>>439
 しかしマスターなら最初から安全な食材を提供できそうである。
少しずつでも別の町に売れると、いいね。売れて欲しいな。

「……ぽいずんくっきんぐ?」

 メシマズの恐怖。

441黒髪の女 ◆DUSK/kzn02:2017/06/18(日) 00:15:30 ID:eRkB3tXk0
>>440
卸しを継続できるならポニーテールの少女あたりが商店街(というか一般の人向けの店)に強いので紹介とかしてくれるかもしれない
小さなことからこつこつと。

「――」
「久々に聞いたな……聞くだけでも胃が冷えるな……

442リゼッタ ◆YJMWmO4ZS6:2017/06/18(日) 00:19:20 ID:T0YCDSjI0
>>441
 動力の魔石は市販のものでいけるらしく、そもそも継続収入に向かない、家電に似たものらしい。
そして四肢のない身では作るのに時間がかかる。本当にコツコツととかできないらしい。

「あるんだ、リアルに」

 なんとなく恐ろしげに神妙な顔。

443黒髪の女 ◆DUSK/kzn02:2017/06/18(日) 00:27:57 ID:eRkB3tXk0
>>442
助手として雇っても……ええんやで……

「『俺』はうわさに聞いた程度だがな」
「聞きたいなら、」
とマスターに視線を遣るとやんわりと首を横に振られた

「……」

「……タラスパソーダなんかは無難なぽいずんくっキングじゃないか?」
無難なくそ飯とは

444リゼッタ ◆YJMWmO4ZS6:2017/06/18(日) 00:35:30 ID:T0YCDSjI0
>>443
 しかし今はまだ、夢見る年頃なのだろう。親公認の家出中というのもある。
ゆっくり売れるものを模索していくらしい。誰かと縁を結ぶこともまた、喜ばしいとは思うようだが。

「喉が細いのでやめておきます」

 辞退。圧倒的辞退。心なしか後ろの頭部もいやそうな表情だ。

445黒髪の女 ◆DUSK/kzn02:2017/06/18(日) 00:44:11 ID:eRkB3tXk0
>>444
一歩一歩、自分の道をすすんでいこう

「まあ俺も勧められたら却下するからな。賢明な判断だ」
残ってたお酒をくいっと。
料金はマスターとリゼッタにそれぞれ払った。

446リゼッタ ◆YJMWmO4ZS6:2017/06/18(日) 00:52:19 ID:T0YCDSjI0
>>445
 実は道具の宣伝だけやってたようで食材自体はカフェ提供。
相談の結果リゼッタは多少黒字になった程度。宣伝費相殺以上なので十分だが。

「いつか誰でも美味しいものが作れる死霊術を」

 無理だ。

447ベルン:2017/06/21(水) 04:13:57 ID:j5Af8DSg0
>>428

「ああ、気持ちは解るさ、頑張っても結果が出ない、努力したのにそうでない人間に劣る、自分が費やした時間が、自分が無意味に思えて仕方なくなる……苦しくて仕方がないよな」
「けれど、俺とお前が一緒なのはそこまでだ、止めたくて仕方が無かった、何をするにも虚無感と無力感が付いて回ったが、ここで終われないと思い続けた、痛くても足を止めなかった」
「弱者のまま終わりたくないと思ったから、出来る限りの事をやったんだ、だからこそ、俺はお前が心底気に入らない」

放たれる頭突きは最早避けようともしない、額にその攻撃は難なく命中し……ひんやりとした熱の無い感触を少年は経験するだろう。

「当然だろう、鍛えればその分しっかりと力が付く若い身体を持っている、スタンドなんていう自分だけの誰も真似出来ない最高の武器を持っている、そして何よりも、まだ生きている」
「俺みたいな亡者からしてみれば、可能性が幾らでも創造できるお前は羨ましくて仕方がないんだ、それを自覚せずに“その程度”で留まり続けているんだから尚更腹が立つ、だから言ったんだ、お前に俺が掛けてやれる言葉なんて何もないと」

「……ここまで聞いて、それでも自分に価値がないと言うなら無価値なまま終わらせてやる、お前は、それで良いんだな?」

448 ◆YJMWmO4ZS6:2017/06/22(木) 02:29:27 ID:T0YCDSjI0
>>447
「一緒なのはそこまで? 違うな。同じだよ糞野郎。弱者のままで終わりたくない? できる限りのこと? 『当然だろ』」
「当然やったさ。だが、お前から見ればボクはそれをなしていない。ボクから見れば『お前が違うと思っているだけ』だ。ボクとお前の違う部分はそこじゃない」
「『結果を出せたか出せなかったか』ボクとお前の違いはそれだけだ。心の中は同じ糞野郎だ」

 頭突きのダメージは、むしろ少年に襲い掛かる。元よりまともに攻撃できる状態ではない。当然の結果だ。
動きが止まる。動けない。それでも不思議と口は勝手に動く。そんな余裕などないはずなのに。

「鍛えれば力が身につく? そうか、お前はどんどん身についたんだな。スタンドという武器? そうか、お前は『最近与えられた武器を十全に使いこなせた』んだな」
「可能性? そうか、生きていたお前には凄い可能性があったんだな。そうかそうか――その可能性を満足いくまで生かせずに亡者になったと。そうかそうか」

 スタンドの腕に力が入る。まともに体は動かないのに、スタンドが駆け出す。
一度の頭突きでダメなら、何度でも衝撃を叩き込む。向かう先は、闘技場の壁。何度だって叩きつける。
掴んだ腕を放さず、近距離パワー型の力で何度だって壁に叩きつける。その為に、スタンドの力だけで、精神力だけで駆け出す。

「お前、言ってること支離滅裂だよ。結果を出せないボクを否定したのはお前だろ? 価値は自分じゃなく他人が決めるものだって理解しているんだろう?」
「そうじゃないなら、何ボクの価値を勝手に決めて、見下してるの? 何いきなりボクの自己評価の話に摩り替えてるの?」

 確かに自分に自信はない。コンプレックスすら抱いている。否定され続け、死にたいとも思っている。
だが、身につかなかったとしても、自分なりの努力は続けた。周囲から見て結果を出せず、努力に値しなかったとしても、少年なりの努力の姿勢は少年に染み付いている。
もう死んでしまいたい。既に負けている。それでも戦い続ける。

「――お前の価値はッ! その力だけだ! お前の否定したボクとお前の違いはそこにしかないッ! お前はお前自身の、力以外の全てを、否定したんだッ! そうだろっ!? お前もボクも心は同じだ!」
「お前はッ! ボクのことなんて見てない! ボクを通して自分の失った可能性を見ているだけだッ!! 結局、お前の言葉はただの自己嫌悪なんだよッッ!!!」

 心が折れない? そんなことはない。心折れても立ち直れる? そんなことはない。でも、慣れている。
心が折れても、折れたままに戦い続ける、そんな卑屈な精神。それが、負けを認めてもスタンドを使い続ける原動力。

「ボクもお前が、心底気に食わないッ!」

 自分の全てを否定した。自分を終わらせる切欠となるだろう存在。それは、自分自身だ。目の前の存在は、結果を出せる自分だ。
だからこそ、心の中では感謝したのだろう。醜い自分を本当の意味で理解し、否定できる。そして、『殺人を犯させても、心が痛まない』から。
少年は、今ようやく何故自分が心の中で感謝していたのかを自覚した。ただの身勝手な感謝だが、少年の中ではそれが真実だった。

「お前がボクを無価値というなら、ボクはお前の心を無価値だと否定してやるッ!」

449ベルン:2017/06/22(木) 04:55:10 ID:j5Af8DSg0
>>448

「……何を当たり前の事を言っているんだよ、俺はお前の父でも兄でも友人でもない偶々此処で出逢って戦っただけの男なんだぞ?」
「力だけしか見ないなんてのは当たり前、ただこれも何かの縁だからと、気持ちだけでも理解してやろうと、力を手に入れる可能性が有るなら斬るのは惜しいと、そんな風に思っている時点で入れ込み過ぎているくらいなんだ」

「まあ、お話はこの程度でいいだろう、可能性を見たから会話をしてみたが、劣等感のあまり何もかも歪んだ受け取られ方をするんじゃ会話も成り立たない」

駆け寄ってくるスタンドを一瞥し、忌々しいと言わんばかりに腕を振り抜く。
その動作に連動し、大地を突き破りスタンドの足下から現れるのは見慣れた骨の杭――ではない。
否、一応、骨の杭ではあるのだが、それは先程までと違い、紫色の炎を纏っている。
紫炎剣と呼ばれた剣が纏う炎と同質の炎を纏うそれの直撃を受けたなら、その傷口は死炎に焼かれ、そう簡単に治癒は出来ないだろう。

「……手を差し伸べようとした俺が間違っていたよ、悪いことは言わないから此処で死んでおけ、その思考が変わらないなら、どう生きてもこれから先に幸せは無いだろうから」

450 ◆YJMWmO4ZS6:2017/06/22(木) 23:01:01 ID:T0YCDSjI0
>>449
 スタンドの右足が貫かれる。その傷は本体にも反映され、血が飛び散り傷口が焼かれる。
傷を巻き戻すが、スタンドは貫かれたままだ。傷が反映され続け、焼かれ続ける。
異常な痛みに体を硬直させながらも、スタンドの左足で骨杭を蹴り砕く。それでも傷は癒えず、左足すら軽く焼かれる。
刺さった骨を抜こうにも、スタンドが掴む腕を放すわけにはいかない。頭突きすらできるこの距離は、絶対に失えない。

「当たり前? 本当に力だけ見てる奴は、相手を否定したりしない。ただ戦うだけさ」
「人の事勝手に羨ましいだの言った舌の根も乾かぬ内に力しか見ないことを当たり前とか、よく言えたな」

 激痛に顔を歪めながらも、少年はさらに進み、押し込む。
腕を振りぬかれようが、絶対にスタンドの腕を放させない。痙攣する左足を杖代わりに、スタンドの左足で地を蹴る。

「会話? 手を差し伸べる? お前の言うそれは圧倒的力で相手を捻じ伏せて、相手の全てを否定することを言うのか?」
「お前はッ! 外宇宙から一方的に銀河系単位の攻撃受けて、相手に『努力しないから外宇宙に届かないんだ』って言われて、それを『手を差し伸べた』って言うのか?」
「お前のやってることはそれと同じだって、本気でわかってないのかよ? なんだ、お前ボク以上の屑じゃんか」

 壁に叩きつけていては、無理だ。その間に削り殺される。もっと別の攻撃手段が必要だ。

「(魔法の才がなくても使える道具、その勉強も少しはしたが、ここか――)」

 向かうのは、壁ではない。カフェと闘技場をつなぐ転送装置! 無論協会の設計により転送時の安全面は考慮されている。
安全装置を破壊したら動作しなくなる。だが、転送の瞬間に安全装置を壊した場合はどうだろう。

「このままギロチンにお前の首を突き出してやるよッ!!」
「歪んだ受け取り方? 歪んでいるのはお前の人間性だ馬鹿野郎! どこの世界に罵倒を会話と言い切る馬鹿がいるんだ!? お前だよッ!!」

 このまま転送装置に首だけ差し込んで、転送時に安全装置の部分だけピンポイントで破壊し、首を切断する。その一撃に、賭ける。

「ボクとお前の心は変わらないっていったよな? 今、ボクは幸せだぞ。何せボク以上の屑が目の前にいるんだからな!」
「自分より下の奴がいてご満悦って奴か? 随分気分がいいものだな、これは! 初めて知ったよ!」
「どれだけ力を持っても、どれだけ自分の非を認めず正当化してもっ! お前のその心は『その程度』だ! 死んだほうがいい屑は、お前のほうだッ!!」

 感謝と自己との同一視、そして嫌悪と諦め、全てがない交ぜの中、少年は叫び続ける。
目の前の男と自分を同一視し始めた少年にとって、自己嫌悪すらも敵意のように外を向く。それは、憎悪といっていい。
――死にたいという思いは、殺したいという思いと混ざり合っていく。既に思考は激痛に塗りつぶされている。だから、どんなに酷い内容であっても、これは少年の魂の叫びだ。

「ボクよりこんなに力に恵まれてるのに、そんなに心が醜いなんて、お前今まで綺麗な心を養う努力をしてこなかったな? だからボク程度に説教されるんだよ!」
「悪いことだろうが何度でも言ってやる。お前が死ねッ!! その思考が変わらないなら、この先お前に関わる奴は幸せになれないだろうよッ!!」

451ベルン:2017/06/23(金) 00:37:38 ID:j5Af8DSg0
>>450

「……俺も結構極端な考え方をする方だがな、お前のそれは異常だよ、一つの事しか見えていないにも限度が有る」
「可能性が羨ましい、だからこそ生かそうとしないお前が憎らしい、前者が有るから後者の意見が有る、至極普通の事だろう」
「まあ、俺の失敗が有った事も認めるさ、普通に会話するだけではきっとお前は解らない、上から偉そうに言うなと言われて終わるだけ、ならば同じ土俵で感情をぶつければ理解を得られるんじゃないか……と思った結果がこれな訳だからな」

徐々に押される身体、何を意図しているかは知らないが、素直にやらせる道理は無い。
足先から地面に魔力を通し術式を起動、背中のすぐ後ろ、背負うように複数の骨の柱を生成、骨の壁を作り出し進路を物理的に塞ぐ。
それに若干遅れ、スタンドの足元から再度、死炎を纏う骨の杭が幾つも生成されるだろう。

「綺麗な心ねえ……頑張ったよね、もうそれで諦めていいんだ、それでも君は君なんだから――なんて言葉を吐いて欲しいのか?」
「なら諦めろ、俺の性格が良くてもそんな事は言わないし、多分親も恋人もそうは言ってくれない、というか、心の隙間に入りたい詐欺師以外そんな事言う奴はいないからな?」

まともに取り合うのもそろそろ馬鹿らしくなってきた、少年の意見は自分の定規で計った世界に不満を撒き散らすだけの、一人で完結しているもの、介入のしようが無い。
彼にとって都合が悪ければ拒み、都合が良ければ受け入れる、それだけなのだろう。

452 ◆YJMWmO4ZS6:2017/06/23(金) 01:38:28 ID:T0YCDSjI0
>>451
 骨の壁を突き抜けられるほどの力は、もうない。ぶつかった衝撃でバランスを崩す。
そして残った左足も貫かれる。骨杭を蹴り折る足はもうない。その場に繋ぎ止められ、足を焼かれる。右足も、再び。

「――ひとつのことしか見えてない? お前は、力しか見ないのは当然だって言ったばかりだろ」
「お前は力しか見ないのか? ならお前の会話はただ相手を否定する言葉だ。手を差し伸べてなんかいない」
「お前は力以外も見るのか? なら何故ボクなりの努力の結果を否定する? 何故ボクに可能性があるって言える? え? この結果を見て」

 あらゆる行動が、潰されていく。敗北を認めた後も足掻き続ける行動が、全て。

「お前、その言葉が綺麗な言葉だって本気で思えるのか? 嘘だろ? 本気だっていうなら、軽蔑物だ――それ、お前が言って欲しい言葉か?」

 足も、銃も、もう使えない。頭突きも有効ではなかった。残された手札は、

「言葉なんて要らなかったんだよ――肯定しろなんて言ってないだろ。ただ、誰かの頑張りを否定するなって言ってるんだよ」
「ボクの頑張りは頑張りじゃないのかもしれない。認める。けど、お前ボク以外の奴の頑張りにも同じ事言うだろ。頑張る奴の気持ちに唾吐き捨てるようによぉ」

 少年は、既に諦めている。だから、足掻くのをやめる理由がない。既に諦めながら足掻いているのだから。
救えない。悪足掻きを死ぬまで続ける。だから、掴んだ腕を離さない。腕を切り落とされてもいないのに、離せるわけがない。

「お前、心底救えないな――」

 自分と同一視する相手に向ける、自己嫌悪。それは自分にかけた言葉でもあり、同時に目の前の男を完全否定する言葉。
少年の勝手な思い込みだが、きっと少年も力があれば同じように人を見下しただろう。そう自覚するが故の、ifの自己嫌悪。

「性格悪いって自覚してるんだろ? 同じ土俵ってどこがだよ、理解を得るためにぶつけるのは感情じゃなくて誠意だろうが」
「お前は、自分の都合に都合のいい部分しか認めない奴だよ。勝手に人に可能性があるって決め付けて、勝手に自分の価値観でそいつなりの努力を否定する」

 質の悪い鏡のように、今少年に対して思ったそのままのことを、少年は言い放つ。

「ひとつのこと所か、お前自分に都合のいいこと以外、何も見ようとしてないんだよッ!!!」

 最後に残った手札。もう、スタンドしか残されていない。傷の時間の操作。それだけ。
なら、それを武器にするしかない。相手に『古傷』があるなら、その時間を巻き戻す。
相手の過去の傷に依存する、しかもやったことがなくどこまで可能かすらわからない不確実な攻撃。
だが、手札がなくなっても死ぬまで足掻き続ける少年は、実行するッ!

453ベルン:2017/06/23(金) 02:42:52 ID:j5Af8DSg0
>>452

「……本当に解っていないんだな、お前は俺という敵を前にして、一度殺されかけて、それでも痛みを覚悟して前に進む事を“やった”んだよ、立ち上がって前に進むって結果を出したんだ」
「その勇気か意地かは認めた、実力は酷いものだったけれど、その精神が有るなら他に実力を埋める手段を見付ける事も、今は駄目でも近い未来にもっと良い勝負をする事も出来ただろう」
「だから俺は言ったんだ、その程度なのか、俺を嘗めるなよ、と……勢い任せのうえ手に入れたばかりの力で突っ込むだけの付け焼き刃で、そんな方法で勝てるような雑魚だと俺の事を思っているのか、とな」

術式を続けて起動、動きを封じた少年を囲んで貫くように、四方から包み込むようにした骨杭の生成、二本の腕で凌げない物量を叩き付け、無慈悲に命を奪う為だけの攻撃。

「……終始お前は人を嘗めすぎだ、努力なんて結果を出して初めて認められるものなんだ、結果を伴わない程度の努力なんて無価値でしかない」
「医師が『患者は救えなかったけれど手術頑張りました!それだけは認めてください!』と言うのが許される世界なんて、有って良い訳が無いんだよ、そんな理屈は自己満足でしかない、否定されるべきなんだ」

最早言い返すのすら面倒臭い、嫌なものを見たくないならこんな面倒な事になる前に殺している。
構って貰えて当たり前だと思っている時点で傲慢が過ぎるというものだ、自分にだって相手を選ぶ権利は有る。

「……成る程、時間の逆行か、それは確かに俺への打撃にはなるが……こればかりは運が悪いと言わざるを得ないな、本当は使う気はなかったんだが」

びしり、陶器に深い傷を入れたような音が鳴り、男の腕に亀裂が走り砕け散る。
が、砕け散った後、代わりに其処に存在していたのは、煌々と燃え上がる死炎の腕。
肉体という枷で抑えていた必殺の“奥の手”が解き放たれる事になったのは、少年にとって不運以外の何物でもないだろう。

454 ◆YJMWmO4ZS6:2017/06/23(金) 03:39:10 ID:T0YCDSjI0
>>453
 腕で防ぐなんて、できようもない。スタンドの腕は、掴んだまま離せない。肉体の腕は、もう力が入らない。
四方からの骨杭に抵抗できずに貫かれる。傷口に異物がある状態では傷の時間を巻き戻しても傷つき続けるだけだ。
既に骨杭を排除する手立てもない。命が失われることが、確定した。

「――な、んだ、お前、馬鹿、かよ? できた、だろう、だって? お前、この、戦いで、何、見てた、んだよ。」
「無理、だろ。全部、お前、潰した、だろうが。限界、以上、の物も、全部……」
「皆が、皆、お前の、水準に、届くって、本気で、信じ、てるのか、よ。屑で、馬鹿、か」

 スタンドも体も穴だらけ。もうまともに喋れる状態でもないのに、スタンドの口を使ってでも話し続ける。

「過程を認めず切り捨てて、より優れた者だけの世界になっても、お前はまたその中で優劣をつけるよ。断言する」
「そしてまた劣るものを切り捨て、どんどん求める結果のハードルを上げて、劣る者を排除し続ける――最後の一人になるか、自分が切り捨てられるまで」

 死炎の腕に焼かれる。それでもスタンドの腕を離さない。見る見るうちに炭化し、死が体を侵食していく。

「喜べよ、無能。お前の会話の努力は、ボク一人を変える結果すら生まなかった。いや、お前は努力なんてしてないな。結果が伴わなかったんだから――」
「本気で手を差し伸べて人一人救う結果出せないなら、お前無能だから死んだほうがいいよ。本気で手を差し伸べなかったなら、お前屑だから死んだほうがいいよ……」

 そうして肉体は、心臓の鼓動を止める。死が確定しても、まだ炎はその肉体を焼き続ける。

「――お前か、お前の愛する者が不幸になる(こっちにくる)のを祈って(待って)るよ――」

 努力しても報われない、努力といえない努力。それは決してなくならない。人は平等ではありえないから。真の平等など、健全ではないから。
だが、それは同時に自分が、自分の愛する誰かがその底辺に属するかもしれないということだ。
本当にそれが正しいと思うなら、それを貫かなければならない。優れたものしか愛さないという形か、排除するという形か……

 スタンドが、燃え尽きる。少年は、目の前に立ちふさがる自分自身を殺すことができないままに、死ぬ――そして全てが消えた。

455ベルン:2017/06/23(金) 22:50:06 ID:j5Af8DSg0
>>454

「前提から何もかも間違っているんだよ、さっきも言ったがお前は所詮“他人”なんだ」
「愛しい人が相手なら、この仮初めの命を投げ出してでも救ってやる、親友が相手なら殴られようが手を伸ばし続けてやる」
「お前はその対応を他人の俺に求めた、自分が無価値だと言いながら価値有るものと同等の対応を求めた」
「他人に何かを求めるなら自分の価値を示さなければならない、友情や愛情だってその一部だ、それを示していたなら、自然と助けて貰えるものなんだよ」

きっと、こんな事を言っても無駄なのだろう。
少年はあの世で待っているとか言っていたが、そもそも彼岸(そちらがわ)は自分の領分だ。
とっくに自分は死んでいると言った筈なのに、自分の意見を吐き出す事に夢中で何も聞いていなかったのが見てとれる。

「……無力なら愛されるように努力をする、なんて発想は無いんだろうな、誰かに愛されるっていうのも、また結果なんだぞ?」

自分で何でも出来る人間なら協調性が無くても許され……はしないが生きてはいける、そうでないなら個を殺して集団に生きる“努力”を……愛される努力をしなければならない。
少年は自分の我を押し通した、それは決して悪では無かったが、その道が実力しか評価されない茨の道だと知らねばならなかった。

456 ◆YJMWmO4ZS6:2017/06/23(金) 23:26:02 ID:T0YCDSjI0
>>455
 勝利条件を満たしたためカフェに自動帰還する。
報酬である七つの星の茶葉が渡されるだろう。希望の銘柄を伝えれば受け取れる。

457黒髪の女 ◆DUSK/kzn02:2017/06/24(土) 22:53:45 ID:eRkB3tXk0
【カフェ】

コーヒーを飲みながらマスターと雑談をしている
お供はオールドファッション抹茶味。

458トーム:2017/06/24(土) 23:17:37 ID:J5ZUlMko0
>>457
【カフェ】
「単品だと?男は黙ってドーナツポップ24個入り、これに限る」( )^ω^( )
むっしゃむっしゃとドーナツボールを頬張る男の姿がここにあった

459黒髪の女 ◆DUSK/kzn02:2017/06/24(土) 23:29:50 ID:eRkB3tXk0
>>458
「Dポップはベストアルバムみたいなものだ」
「とっておきに食うんだよ」

とはいえ見ていると食べたくなったようだ。ポン○リングを追加で頼む

460トーム:2017/06/24(土) 23:39:36 ID:J5ZUlMko0
>>459
 複数の味をちゃんと理解できているのかも分からぬが、たいそう美味しそうな様子で咀嚼していた男はそこから一息にコーヒーを流し込む。
空いた口から、次に紡ぎ出されるのは憎まれ口にも似た、笑い混じりの言葉だった。
「正論を言われちまうと、否定できねぇじゃねぇの」
 とは言え、美味いものはどんな時に食おうが美味いのだ。実際、美味い。

461黒髪の女 ◆DUSK/kzn02:2017/06/24(土) 23:44:04 ID:eRkB3tXk0
>>460
「だがこう考えることもできる」
「なんでもない日をDポップにより特別な日にすることがな!」

(頬袋でもあるのかな……)

462トーム:2017/06/24(土) 23:53:32 ID:J5ZUlMko0
>>461
「なるほどな、発想が天才のソレじゃねーか」
 頷く男は素直な感心の様子を見せていた。
 そしてごくりと頬のポップを飲み込んで……

「………」(^ω^ )
 詰まりやがった

463黒髪の女 ◆DUSK/kzn02:2017/06/24(土) 23:55:10 ID:eRkB3tXk0
>>462
「トーム……?」


「とぉおおおおっむ!!!!!」
背中をべしべし

464トーム:2017/06/24(土) 23:58:58 ID:J5ZUlMko0
>>462
「うべしっ!」(ω )
 声が出た、と言うことはどうにか詰まりは解消されたらしい。

「別の意味で特別な日になりそうだった」
 と、後の彼は語っていた。

465黒髪の女 ◆DUSK/kzn02:2017/06/25(日) 00:13:42 ID:eRkB3tXk0
>>464
「墓石に刻まれるにはまだ早いだろ」
いやそれに早いも襲いもないぞ

466トーム:2017/06/25(日) 00:23:24 ID:J5ZUlMko0
>>465
「なぁに、俺の名前が刻まれるのは先の先よ…」
 ※だから早いも遅いもないと(ry
「この俺が、喉を詰まらせたくらいで死ぬもんかよ…」
 ※死にます

467黒髪の女 ◆DUSK/kzn02:2017/06/25(日) 00:27:04 ID:eRkB3tXk0
>>466
「トームは功績を刻んだ巨石の元に眠るんだろう?」

468トーム:2017/06/25(日) 00:30:32 ID:J5ZUlMko0
>>467
「俺はそんな所に眠りたかねぇな。最後くらいは、ゆっくりと…せめて誰もいねぇ所で寝ていたいもんさな」
 あらいやだ、意外と真面目に考えている

469黒髪の女 ◆DUSK/kzn02:2017/06/25(日) 00:44:00 ID:eRkB3tXk0
>>468
「おっと、」
「そう思うのは自由だがな、お前を看取りたいってやつはいるだろうよ」

470トーム:2017/06/25(日) 00:55:05 ID:J5ZUlMko0
>>469
「そんな事してくれる奴がいるのか」
 冗談めかして笑う顔だった。
「いてくれるんなら、嬉しいよなあ」
 頷くその声は自分にも聞かせるような、どことなく祈りにも似た呟きに思えた

「……てか、なんで俺はDポップで生き死についてシリアスに考えてんだろうな?」
 そこに気付くとどうにも締まらないもので
「さて」


     ( \/ / ̄\   <./|   /|       /\___
      ヽ/ /^o^/⌒ヽ  / .| / /     /    //
      / /\/ ,ヘ  i   ̄ > \_/   /____//
      し' \_/    i  />      ̄ ̄ ̄ ̄
         i⌒ヽ  ./   ̄>__         .|| |::  
     /⌒ヽ i  i  \(    .|/  / /\    .|| |::
     i    | /ヽ   ヽ  ∠__/   ̄       .|| |::  こんな空気で会話が続けられるか!
     ヽ ヽ| |、 \_ノ  >   <>       || |::    俺は帰るぞ!!
       \|  )  ̄  ./V       ___    ..|| |::     (直後に追跡者と化したマスターによって
____  .ノ ./⌒)∧ /  ...____[__||__]___||___     トームは■■■されました)
     / し'.ヽ ( .∨    /\________|__|
    //    し'  / /\   ̄::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::

(無理矢理に締めたところで本スレからは撤退撤退)

471ポニーテイルの少女 ◆DUSK/kzn02:2017/06/25(日) 22:46:33 ID:eRkB3tXk0
【闘技場】
「きゅーひゃくきゅーく……せん」

噛みながら棍の素振りをしている、というかしていた。

「次、横なぎ!」

472旅行者風の男:2017/06/25(日) 22:58:37 ID:j5Af8DSg0
>>471

「いや、お見事、ただのお転婆な女の子かと思っていたら平然と素振り千本振っているし、しかもそれだけやって型が乱れないなんて……噂通りこの街の人は色々とレベルが高いようだ」

ぱちぱち、と観客席から拍手の音。

473ポニーテイルの少女 ◆DUSK/kzn02:2017/06/25(日) 23:11:06 ID:eRkB3tXk0
>>472
「わっ!?」

びくりと小さく飛び上がる。

「いや、ぼくはその」
「この街じゃ本当にまだまだなんで……って」
「どこかから来たんですか?」

474旅行者風の男:2017/06/25(日) 23:35:22 ID:j5Af8DSg0
>>473

「……おっと、驚かせてしまったみたいで申し訳ない」

観客席でぺこりと頭を下げ謝罪。

「かもしれませんね、噂に聞く魔境の街です、強者が幾らいるかなんて検討もつきませんし、貴女自身が言うのならそうなのでしょう」
「けれど、全ての言葉を撤回するつもりはありませんよ、まだまだ可能性を残した年齢でそれだけの基礎が出来上がっている事は称賛に値する」
「今はまだ非力かもしれませんがね、貴女は絶対に強くなる――そう思います」

「……北の方から、ですかね、実は彼方此方をふらついて生きている情けない人間でして、何処から、とは言えないのですよ」

475ポニーテイルの少女 ◆DUSK/kzn02:2017/06/26(月) 00:00:12 ID:eRkB3tXk0
>>474
「謝らないでください……!気づかなかったぼくが悪いんです!」

慌てて顔を上げるよう続けたが、男の言葉にばっと顔が赤くなる。

「えっなんか褒められてる!?あ、ありがとうございます!!」
「魔境の街、かあ」

苦笑しながら、否定できないなあとぼやく。

「ネナシグサ、って言うんですっけそういうの。で、貴方は『魔境の街』にどうしてきたんですか?」

くりっとした瞳の奥で、猛禽類の爪が光る

476旅行者風の男:2017/06/26(月) 00:18:36 ID:j5Af8DSg0
>>475

「ええ、褒めていますよ、それだけの価値はあるものですからね、久し振りに初心を思い出しましたし、礼を言いたいのは私の方です」

「はは、当然聞かれますよね、まあ困る質問ではないですし構いませんけれど」
「端的に言いますが、私の魔術は“物を使う魔術”なのですよ、どんな物でも魔術の供物にはなりますが……当然良質な物や何らかの力を秘めた物、長い歴史を経た物を使った方が効果は大きくなる」
「この魔境ならば、そういった掘り出し物も沢山有るだろうと、そういう企みで此処に足を運んだのですよ」

猛禽のような眼光に晒されても、穏やかな笑顔を崩さないまま男は語る。

477ポニーテイルの少女 ◆DUSK/kzn02:2017/06/27(火) 00:12:16 ID:eRkB3tXk0
>>476
「あ〜〜〜、ぼく褒められるのダメなんです……そんなすごくないです……」
武器を杖のように使いもたれかかる。ふにゃふにゃ

「魔道具つかい、とは違うんですか?」
みてみたいです、と少女は興味津々だ。

「確かにこの街にはいろいろあるけど……手に入れるのは大変かもしれませんよ?」

478旅行者風の男:2017/06/27(火) 03:18:02 ID:j5Af8DSg0
>>477

「謙遜は良くない……と言いたいですけれど、今はそう思うくらいで良いのかもしれませんね」

「ある意味似てはいますが、それとはまた異なる魔術だと思いますよ、興味が有るのなら……おっと、少しそちらに寄らせて頂きますね」
「流石に観客席からでは、解るようにお見せするのは難しいので……」

旅行鞄を手に取り、観客席から闘技場の舞台に移動をする、術の生む結果を見せるだけなら此処からでも何の問題も無いのだが……それだけでは何が普通の魔術と違うのか説明に困る。

「大変なのは覚悟の上ですよ、良い供物になる物は歴史的か魔術的か金銭的か……取り敢えず、何らかの価値を持っている事が多いですから」
「例外も当然有りはしますけれどね」

479ポニーテイルの少女 ◆DUSK/kzn02:2017/06/27(火) 23:03:50 ID:eRkB3tXk0
>>478
「ケンソンじゃなくてまじで褒められるの恥ずかしいんですよおー」

「わ、見せてくれるの?やった!」
「魔道具というより『アンティーク』に近いんですか?」

「一時期はもっとすごかったらしいんですけどね。ぼくが来た時にはそんなにカフェも爆発しなく……いやしてますわ」

少女も男の方へ歩みを進める。

480旅行者風の男:2017/06/28(水) 00:57:19 ID:j5Af8DSg0
>>479

「どちらかと言えばイメージは“邪悪な生け贄の儀式”に近いかもしれません」
「まあ、こうして初対面の人間に見せられる程度なので、そんなに大したものでもないですけれどね……では、簡単な治癒の術を実演してみますね」

懐から小さな布の袋を取り出し、中身を少女に見せる、その中に入っているのは植物の葉を束ねたもの。
少女が世間知らずなお嬢様などではないのならば、この葉が一般的な回復用の魔法薬や軟膏などを作る際によく用いられる、有名かつ安価な薬草の一種だと知っているだろう。

それを見せた後、青年は自分の爪で自分の腕を軽く引っ掻き傷を作る、そして、反対の手で薬草を握り、一言二言呪文を唱え――気が付けば傷口はあっという間に元通り。
その代わりに、握られただけの薬草が茶色に変色し、枯れ落ちているのが解るだろう。

「……どうです?何となく“生け贄の儀式”と言ったのが解るでしょう?」
「薬草を犠牲にする事で、それが秘めていた癒しの力を引き出し術として行使する、それが私の魔術です」

「爆発が、頻発しているのですか……?」
流石に困惑した様子。

481ポニーテイルの少女 ◆DUSK/kzn02:2017/06/28(水) 21:37:39 ID:eRkB3tXk0
>>480
「あ、薬草」

男は自分を傷つけ――薬草の生命力と引き換えにそれを癒した。

「……へええ」
枯れ朽ちた薬草と傷跡のない肌を交互に見て唸る。

「『検定』が提示されるカフェは、爆発するよ」


「ねえねえ、これは攻撃にも使えるの?戦えるの?」

482旅行者風の男:2017/06/28(水) 23:04:54 ID:KsUPWg/20
>>481

一瞬、この子はちょっと頭がアレな子なのかと思ってしまうが、自分が言った事を思い返し内心で納得する……成る程、確かに魔境だ、と。

「ええと、巻き込まれないように善処します?」

「当然ですが戦闘にも使えますよ、魔石や魔獣の体の一部などを用いればそういう術も扱えます」
「私は貧乏性なので、こういう戦い方の方が好みなのですが、ね」

そう言いながら、旅行鞄を開いてみせる、何らかの魔術的な加工が施されているのだろう、その内部は明らかに外見より広く見える。
大雑把に詰め込まれた何かの素材や道具と一緒に仕舞われているのは、装飾が施された一振りの長剣、鞘の先端と剣の柄に宝石が埋め込まれたそれは、見る人が見れば魔術を付与し戦う為に調整された剣……俗に言う“魔法剣”というものなのが解るだろう。

483ポニーテイルの少女 ◆DUSK/kzn02:2017/06/29(木) 03:07:29 ID:eRkB3tXk0
>>482
男の納得いかないような顔をにやりとしてみていた。
ここはそういう街だ。体験してみるまではわからない。

「まあ巻き込まれても死なないらしいですよ」

男が鞄を開ければほうと覗き込む。
『宝石』が付いた剣を男が選べば、少女は目を細める。

「……なるほど、『石』が活かされているね」

「『その子』の強さが見てみたいな。ちょっと軽く手合せしてみない?」

484旅行者風の男:2017/06/29(木) 21:05:56 ID:j5Af8DSg0
>>483

「成る程、魔境との噂は本当なようですね、どうしようもなく理不尽で適当で……面白い」

「私にとってこの剣は自慢の相方です、その力を見たいと言われるのなら断る理由は何処にも無い」
「……と言うのは半分建前でしてね、何よりも、私自身久々に剣を振るってみたかった、相手が腕に覚えの有る人間なら尚更です」
「その手合わせお受けします、ですが多少は覚悟して下さいね、軽くとはいえど手合わせで魔術を行使する以上、絶対は有りませんから」

485ポニーテイルの少女 ◆DUSK/kzn02:2017/06/29(木) 21:24:32 ID:eRkB3tXk0
>>484
「――決まりだね」

にいっと笑うと誘うように闘技場の真ん中へと歩いていく
お互いに『程よい距離』がとれれば、棍を腕や背中にくるくると回すことでウォーミングアップとする。

486旅行者風の男:2017/06/30(金) 23:37:09 ID:j5Af8DSg0
>>485

「ですね、お手柔らかに」

適度な距離を開け後を追う。
少女が足を止めれば男も足を止め、剣を鞘からゆっくりと抜き、数度手応えを確かめるように振るうだろう。

「……さて、では、始めましょうか」

言葉と同時に懐から取り出される青色の魔石。
それを男が握り締めれば、剣が仄かな青い光と冷気を放つ。

487ポニーテイルの少女 ◆DUSK/kzn02:2017/07/01(土) 00:04:46 ID:eRkB3tXk0
>>486
「――っふ!」

少女の背より高い棍の中ほどをつかみ、駆け出すとともに振りかぶる。
青い光。さっそく何かを仕掛けるつもりか。
近づけばそれに巻き込まれる可能性は上がる、が、

「(それより疾く、叩けばいい!)」

脳筋、よく言えばパワーファイターなのだ。

488トーム:2017/07/01(土) 22:11:29 ID:J5ZUlMko0
【カフェ】
特に理由のない爆発がカフェを襲う!!

          ,,-'  _,,-''"      "''- ,,_   ̄"''-,,__  ''--,,__
           ,,-''"  ,, --''"ニ_―- _  ''-,,_    ゞ    "-
          て   / ,,-",-''i|   ̄|i''-、  ヾ   {
         ("  ./   i {;;;;;;;i|    .|i;;;;;;) ,ノ    ii
     ,,       (    l, `'-i|    |i;;-'     ,,-'"   _,,-"
     "'-,,     `-,,,,-'--''::: ̄:::::::''ニ;;-==,_____ '"  _,,--''"
         ̄"''-- _-'':::::" ̄::::::::::::::::;;;;----;;;;;;;;::::`::"''::---,,_  __,,-''"
        ._,,-'ニ-''ニ--''" ̄.i| ̄   |i-----,, ̄`"''-;;::''-`-,,
      ,,-''::::二-''"     .--i|     .|i          "- ;;:::`、
    ._,-"::::/    ̄"''---  i|     |i            ヽ::::i
    .(:::::{:(i(____         i|     .|i          _,,-':/:::}
     `''-,_ヽ:::::''- ,,__,,,, _______i|      .|i--__,,----..--'''":::::ノ,,-'
       "--;;;;;;;;;;;;;;;;;""''--;;i|      .|i二;;;;;::---;;;;;;;::--''"~
               ̄ ̄"..i|       .|i
                 .i|        |i
                 i|        |i
                 .i|          .|i
                .i|           |i
               .i|      ,,-、 、  |i
               i|      ノ::::i:::トiヽ、_.|i
           _,,  i|/"ヽ/:iヽ!::::::::ノ:::::Λ::::ヽ|i__n、ト、
     ,,/^ヽ,-''":::i/::::::::/:::::|i/;;;;;;/::::;;;;ノ⌒ヽノ::::::::::::ヽ,_Λ
     ;;;;;;:::::;;;;;;;;;;:::::;;;;;;;;:::/;;;;;;:::::::::;;;;;;/;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;:::::::::::;;:;;;;:::ヽ

489くろかみ ◆DUSK/kzn02:2017/07/01(土) 22:23:39 ID:eRkB3tXk0

アフロ

490トーム:2017/07/01(土) 22:26:55 ID:J5ZUlMko0

            _. -‐ー-- 、
         _..-‐'":.:.::.:..:.: : : .`^‐ 、
       .-'":.:.:.:.:.::.:.:.:..::.:.:.:.: : : : :.__`-、
      ノ´:.:.:.:.:.::.:.:..::.:.::.:.:.:.:.:.:.:.:: : : : : __`、
     r.:..:.:.:.:.::.:.:.:.:.:::.:.:.:.:.:.:.:.:.::.:.:.:: : : : : ._〈    あ…ありのまま 今 アフロ…
     {.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:..:.:.:.:.:.:.:.::.:.:.:.:.:.:..: : : : : j
      `、.:.::.:.:.:..:___-.---、__::.:.:.:.:.:.:.:..: : : : }     雑談スレで爆発したと思ったら、本スレでも爆発した…
       )、.:.:.:|:!ヾ、_ノ/ u {:}//ヘ:;:;:;:;:;:;ソ      なにを言っているかわからねーと思うが(ry
        ヽ:.リ u' }  ,ノ _,!V,ハ |:;:;:;:;:;メ       
         /´fト、_{ル{,ィ'eラ , タ人;:;;r'       
       /'   ヾ|宀| {´,)⌒`/ |<ヽトiゝ
      ,゙  / )ヽ iLレ  u' | | ヾlトハ〉
       |/_/  ハ !ニ⊇ '/:}  V:::::ヽ
      // 二二二7'T'' /u' __ /:::::::/`ヽ
     /'´r ー---ァ‐゙T´ '"´ /::::/-‐  \ 
     / //   广¨´  /'   /:::::/´ ̄`ヽ ⌒ヽ
    ノ ' /  ノ:::::`ー-、___/::::://       ヽ  }
  _/`丶 /:::::::::::::::::::::::::: ̄`ー-{:::...       イ

491トーム:2017/07/07(金) 22:50:08 ID:J5ZUlMko0
【カフェ】
    |ii||iii;;;i;;;;ii;iill|
    |ii||iiii;;i;;;;ii;iill|.
    |iii||iiii;;i;;;;ii;ill( ^q^)<流石はカフェだ。こんなビッグな笹が置いてあったぜ
    |iii||ii;;i;;((Ol||/⌒ヽ<_ 願い事を吊るし放題だな
    |ii||iii;;;i;;;iiYil/ / ハ ヽ
    c-、ii__i;i/ /   イ )
   ヾ.__,、____,,/   /'"
    |ii||iii;;;;;;ii_/   〈
 r'" ̄ ̄ ̄ ̄    ,  i
 i  ー--....,,,,___,,ノ、,,ノ
 \ |ii||iiii;;i;;;;ii;iill|| /
   ヽ|ii||ii;;i;;;;ii;iill|||'"
    |iii||iiii;;i;i;;ii;iill|
    |iii||iii;;i;;;;ii;;lill|
    |iii||iiii;;i;i;;ii;iill|
    |iii||iii;;i;;;;ii;;lill|

492クオン ◆YJMWmO4ZS6:2017/07/07(金) 23:13:23 ID:T0YCDSjI0
>>491
「騙されてはいけません! それは笹かまぼこです!」

 唐突に現れて何か言い出した。そして短冊を手裏剣のように投げようとして失敗。

493 ◆YJMWmO4ZS6:2017/07/08(土) 19:39:36 ID:T0YCDSjI0
【カフェのスクリーン】
本日の検定内容_
‘災害救助’
〔ジャンル〕
救助活動
〔推薦適性値〕
消火B
回復魔法C+
移動魔法C
〔開催地〕
ノイジービル

〔概要〕
台風による河川の氾濫、土砂崩れに土石流、災害と隣り合わせ。
この世から災害はなくならない。そして災害への対応は失われるべきではない。
そんな時にこそ魔法は役立てられるべきです。というわけで訓練です。
今回の舞台は高層ビルの火災現場。多くの救助対象を救助しましょう。

〔ヒント、その他〕
高層ビルは高さ200mの50階建てとなっており、出火元は10階前後のどこかです。出火原因は不明。
内部階段は煙の通り道となっていて非常階段は爆発で20階から寸断されています。
梯子車の届く高さも同じく20階。屋上にヘリをつけることもできません。
最上階には魔導式ポンプによる貯水槽がありますが何故か消火に水が使われていないようです。

救助対象は各階に多く配置されており、転移マーカーを渡すことで救出となります。
が、今回は要治療患者は転移を使用できないとしますので連れての脱出か回復を行いましょう。

〔失格行為〕
・ビルを倒壊させるレベルでの破壊活動、救助のための破壊活動も安全が最優先です。
・要救助者の殺害、使い魔により再現された人々なので無理な人を見捨てることは許可されます。

〔BOSS〕
・?
その他障害となる存在は非公開です。

《PRESENT》
☆吸火器☆
分類:魔導武器
要救助者を五名救出した時点で検定途中でも受け取ることのできる報酬です。
誰かの制御下に置かれていない火を吸引する消火器型の魔導武器です。吸収した火は放出できます。

☆都市部災害救助活動指揮二級または準一級☆
分類:資格
要救助者を二十名以上救助した上でクリアした者全員に与えられます。
都市部災害地での支援行動を一定水準以上で遂行できるということを証明する資格です。
準一級からは協会活動圏内でなら国家資格として扱われます。

《検定開始時刻》
>>20:00
《終了予定時刻》
>>0:00

494ニュモ ◆fJNTk09.gI:2017/07/08(土) 19:53:47 ID:NPSP4wok0
「・・・資格かぁ、転職の足しにしようかな......」

正直なところ夏場はあまり働きたくなかった。
死体処理業者のニュモは夏場になると夥しい蛆蝿の除去や溶けた死肉の処理までしなくてはいけない。
当然これに遺品整理も面倒くさい役場関係の書類も付いてくる。
暑苦しいし、臭いし汚いしでいくら給金がマシとはいえ連日続くと流石に飽きてくる。

「オイラ水属性だし、ぶっちゃけイケるでしょこれ」

その水は闇属性で酷く汚染されているということは完全に失念している様子だが。
とりあえずぬぶぶぶとゲートに入っていく。

495 ◆YJMWmO4ZS6:2017/07/08(土) 20:00:54 ID:T0YCDSjI0
>>494
【ノイジービル】
 そこは高層ビルの火災現場を絵に描いたような状況だった。
ビルの八階ほどから窓が割れており火がのぞいている。
はしご車も間に合っていないのか二台ほどしか到着していない。
十階から下の要救助者は既に避難済みらしい。

 割れる窓の落下が危険だからか既に野次馬もまばらでカメラマンと消防士ばかりみつかる。
要救助者の搬送のためもうひとつ転送装置が頑丈な即席ハウスに置かれており治療班が待機している。

496ニュモ ◆fJNTk09.gI:2017/07/08(土) 20:12:34 ID:NPSP4wok0
「・・・最近の訓練はよく出来てるなぁ」

ぐぐぐ、とちからをためた後一気に4階まで跳び上がる。
ベランダから一気に室内を通って廊下を走りぬけると迷わず内部階段へ直行。
一気に火の出ている8階まで上ると、煙と炎を目の当たりにしながら要救助者を探す。

「げほっげほ、ほんとリアルだなこれ・・・」
体から水分を分泌しながら姿勢を低く、エクソシストか何かみたいな格好で移動する。

「転移マーカー装填!射撃対象検索中」
尻尾の穴にマーカーを装填。いつでも発射できる態勢だ。

497 ◆YJMWmO4ZS6:2017/07/08(土) 20:18:39 ID:T0YCDSjI0
>>496
 内部階段には死体役なのかリアルな人形がいくらか放置されていた。
腕が曲がっていたり胸部が歪にへこんでいるのをみると、避難中踏み潰された人ということなのだろう。
四階付近ということはこの周辺に生き残りはいない。
階段は崩れていなく、普通に上下階に移動できるらしい。
上層階がどうなっているかは、分からないが。

 煙は今のところ上に流れている。エレベーターは完全に止まっているようだ。

498ニュモ ◆fJNTk09.gI:2017/07/08(土) 20:27:53 ID:NPSP4wok0
「よっこいしょ、よっこいしょ、あっちあち」

ベランダ伝いによじ上り、11〜15階ほどまでは窓から探索を試みる。
なにぶん高層火災というのは火の手から逃れようとして飛び降りようとする者が多い。
窓からよじ登った方が救助者を見つけやすい、と考えたのだ。

「おるかー!?」

499 ◆YJMWmO4ZS6:2017/07/08(土) 20:32:45 ID:T0YCDSjI0
>>498
 二台のはしご車により二十階から下は救助が進んでいるが、間に合っていない。
まだまだ救助されなそうな要救助者がいくらかしがみついている。
パッと見回すだけでも救助に時間がかかりそうな要救助者は十四人。
それぞれ家族設定なのか四塊に密集している。今のところ重傷者はいないようだ。

500ニュモ ◆fJNTk09.gI:2017/07/08(土) 20:42:29 ID:NPSP4wok0
「お、あれなら撃ちやすい」

四家族のうちの1家族に近づくと、尻尾をぶんぶん回してスリングショット風に転移マーカーを投げつける。
下手に水圧でマーカーを撃つと高濃度の闇属性に塗れた水で負傷させかねない。
とりあえず1家族救助。とにかく転移魔法さえ当たればよいのだ。魔法はフルに生かさねば。
「つってもあんまり魔術とか分からないしなぁ・・・」

闇のエキスで壁を削りながら足場を作り、2家族目、3家族目にもスナイピングショットを続ける。
5人以上に達したので吸火器も贈呈される。
「foo↑これで7人・・・おっ、支給品か!待ってました、後はあそこか、今行くぞー!」

501クオン ◆YJMWmO4ZS6:2017/07/08(土) 20:49:23 ID:T0YCDSjI0
>>500
 目に見える要救助者は全員転送した。とここで二十五階の窓が開け放たれる。

「暑いどころか、熱い……」

 ぐったりしたクオンが煙と共に顔を出す。速攻で二十階から上に突入していたらしい。
吸火器はもっていないので少なくとも救助者はまだ五人助けていないらしい。

「あっ、どうも」

 要救助者を背負い砂で壁伝いに降りていく。重傷者を中心に救助しているようだ。

502ニュモ ◆fJNTk09.gI:2017/07/08(土) 21:01:29 ID:NPSP4wok0
「あっ、クオン氏〜乙でござる〜」

無邪気に手を振る。

「ええとひいふうみい・・・今20階か、窓に残ってた連中は大体片付けましたよぉ」
「ここより上はまだ大勢居そうです?」
ずいぶん高所が平気らしい。下から階を数え、クオンと情報交換。

「重症者がお好き?結構結構。ではますます好きになりますよ。さあさどうぞ。支給品の吸火器です」

と、クオンに吸火器を差し出す。
まぁ手当たり次第に効率優先でマーカーを投げているニュモよりは役立つかもしれないが。
後で受け取ってダブるのもあれなので受け取るかどうかは自由だ。

503クオン ◆YJMWmO4ZS6:2017/07/08(土) 21:12:11 ID:T0YCDSjI0
>>502
「流石にトリアージレッドとかを先に救助しないとだめですよね。
まだ三十階とかはいけてないですけど、四十五階から上が一番人が多いみたいですね。
避難で上った人たちなので基本トリアージブルーからグリーンの人達だと思いますよ〜」

 魔法薬などの技術による治療の影響でトリアージが五段階に分かれているらしい。
ブルーが自力移動の可能な軽症者、グリーンが治療の必要はあるが待機可能な者、
イエローは緊急治療が必要な者、レッドは魔導治療などでない限り死亡する者、ブラックが治療不可。

「転送が可能なのはグリーンまでですね。内部はブラックの人も三人みつけました」

 吸火器はありがたく一時借り受けるらしい。五人救助したら返すという。

「あと、屋上にも数人は人がいるみたいです。今は後回しにしてますけど」

504ニュモ ◆fJNTk09.gI:2017/07/08(土) 21:20:59 ID:NPSP4wok0
「まぁ上るよなあ・・・救助ヘリが来れないって事も知らずに」

「むむ・・・オイラは自分の治療は得意なんだけど・・・」

というか彼の細胞で下手に人間を治療しようとするとヤバいかもしれない。
もしくはニュモの眷属を増やしてでもなら出来なくはないかもしれないが。

「人の治し方はあんまりよくわからんのだよなぁ、やはり軽症優先でいくか」
とりあえず21階から上は非常階段が使える。内部に入ってドタドタと救助できそうな人間を探し回る。

「あっつ!うわあっつ!ジャバリの炎のがマシだぞこれ!おるかー!おるな!今行くわ!」

当然体に水を纏いながら。訓練(物理)は大変である。

505クオン ◆YJMWmO4ZS6:2017/07/08(土) 21:32:44 ID:T0YCDSjI0
>>504
 非常階段を見ると、寸断された部位は大体四階分ほどだった。
梯子でもかければ非常階段も繋がるかもしれない。

 内部では熱による変形や瓦礫により開けられなくなったドアが随分と多く見られる。
その内のいくつかには生存者が閉じ込められているかもしれない。
一部はクオンが救助のため破壊したのかドアのない部屋もある。

 あとエレベーターシャフトは完全に石で固められている。
内部は火の通り道となっていたのか未だに石が高温だ。

 とりあえずは軽症者もみあたらない。二十五階まではクオンが何とかしたのだろう。
しかし二十六階からは、また様子が違った。天井の一部が崩落している。重傷者も多そうだ。
やはり軽症者は上の階に集まっているのだろう。それでも階段近くで気絶している軽症者が一人いたので確実ではないだろうが。

506ニュモ ◆fJNTk09.gI:2017/07/08(土) 21:45:39 ID:NPSP4wok0
「あらよっと」
ぺしゃ、と近場の軽症者にマーカーを付ける・・・
と、軽症者がマーカーを避けてしまった。

「あっおい!テメーふざくんなよコラ・・・ジャバリ!?」
「なっ・・・ニュモグヂュア!?!?く、くるな寄るな大量破壊兵器!殺すんね!殺してやるんね!」
「何で羅刹餓鬼がこんな所おんねん、とりあえず一緒に来い」
「うるさいうるさい!お前なんか私が触れば火達磨なんね!あっでもお前水属性だから消されるんね(絶望)」

・・・中々因縁深い連中が逢ってしまったようである。上に上りながら転送できそうな軽症者を中心に投げていく。

「よしっ、これなら上の連中を助けられれば20人なんか余裕だな・・・」
「・・・石?コンクリートが溶けるほど高温なのか?それとも難易度設定?」

507クオン ◆YJMWmO4ZS6:2017/07/08(土) 21:53:53 ID:T0YCDSjI0
>>506
「どうしたんですか?」

 合流してきた。吸火器を返却しにきたらしい。
そしてお礼なのか治療用の魔法薬を五つ渡してきた。

「とりあえず内部階段に設置して避難経路を確保してきました。
トリアージブルーの人は自力避難ができます」

 ということで重傷患者中心の治療の方向性は続行するらしい。

「あとエレベーターは私が入り口固めました。火と煙の通り道になってたので最優先で固めました」

 出遅れた理由と、火がまだ二十階まで上がってない理由ということらしい。

508ニュモ ◆fJNTk09.gI:2017/07/08(土) 22:08:30 ID:NPSP4wok0
「う、うう・・・準備中のタワーに野宿してたら出れなくなったなんて言えないんね」
「(お前は殺すんね、あとで絶対殺すんね、バルザヴの因縁は忘れてないんね)」

「本音と発言が逆転してるぞジャバリ」
「あっ魔法薬サンキュー。これはどの位の怪我まで使えるんだい?」

奴は薬とか生まれてこの方ドーピングにしか使ったことがない。
とりあえずぶっかければいいと思っている。

「なるほど、じゃあオイラもどうにか治療ってもんをしないとな・・・吸収してしまうか」

やはり眷属にしようという算段だ。とりあえず30階より上を目指して上がっていく。

509クオン ◆YJMWmO4ZS6:2017/07/08(土) 22:18:52 ID:T0YCDSjI0
>>508
「トリアージレッドまでは一応大丈夫なはずです。
流石に心臓潰れて数時間とか脳損傷から十数分とかは無理です」

 随分と上等な物らしい。といっても即座に動けるほどには回復しないようだが。
緊急用なのでかけるだけで使えるらしい。

「たぶん、トリアージレッドとかを救うためなら許されるかもしれませんけど……
なるべくなら運んであげて欲しいですね。なるべくならですけど」

 クオンは三十階前後で重傷者治療のために動くらしく、分かれる。

 三十階前後はまだ重症患者ゾーンだったが、三十五階から上は軽症者が数人見え始めた。
そして煙の位置が低い。どうやら煙が上の階にたまってきているらしい。

510ニュモ ◆fJNTk09.gI:2017/07/08(土) 22:31:35 ID:NPSP4wok0
「地味にすごいなそれ、後で妹に教えてやってくんない?」

人間の知恵ってすごい。そう異型のニュモは感じたのだった。

「さて、と。なあジャバリ、お前人治せたりしないの」
「餓鬼のウチが人間を治せるわけないんよ、焼き殺すなら出来るんよ」
「焼き殺しちゃ駄目なんだってば・・・しゃーない、火傷に肉でも塗ってやるか」

ニュモも観念したのか中傷くらいの患者に手を入れつつ助けている。

「ちょっと染みますよー、侵食しちゃうかもしれないけどまぁ支障はないです、たぶん」

そんな感じで患者から悲鳴を上げられながらとりあえず20人以上には達した。
ジャバリは軽症患者を見つけてマーカーを投げつつ、炎への耐性を生かして崩れた場所を片付けている。

511クオン ◆YJMWmO4ZS6:2017/07/08(土) 22:41:52 ID:T0YCDSjI0
>>510
「だって私の専攻ですよ? カフェで一部の材料が安く買えるのと自家栽培で、ようやく個人用のストックが作れる程度です。
ちゃんと学んでいれば身につきますから、別に誰が教えても大丈夫ですよ。きっと」

 技術を教えるのはいいが何も考えずに運用するには高くつく薬、とのこと。


 さて、変形したドアの中にもまだ逃げ遅れている人がいるようだが、恐らくは気絶中だろう。
避難してきた人やらを助けて、そこそこ広い空間は確保した。
この調子で行けば大体ここから上のトリアージイエローくらいまでは問題なく、問題なく? 救出できるだろう。
トリアージレッドも五人までは魔法薬で治療できそうだ。

512ニュモ ◆fJNTk09.gI:2017/07/08(土) 22:52:04 ID:NPSP4wok0
「自家栽培・・・?ストック・・・?うん、よく分からんが高い薬だというのはわかる」

金銭に関してはニュモも無尽蔵というわけにはいかなかった。ましてや学生には厳しそうだ。

「こいつはまだ息があるな、こいつも・・・げほっげほ、一酸化炭素は俺でもきついな」
「はっ・・・思い出した!ニュモは毒に弱いんよ!覚悟ー!あべしっ」

軽く尻尾であしらわれる。その上高濃度の闇液でお仕置きされる。
「お尻熱いんよおおおおおおびええええええん」

「これで4つ使った、最後の一個は取っておくかな」
「さてと次は・・・40階。随分上まで来たな、そろそろ検定クリアか?」

513 ◆YJMWmO4ZS6:2017/07/08(土) 22:56:33 ID:T0YCDSjI0
>>512
 四十階から上は避難者同士である程度救助活動が行われたのかドアの多くは破壊されていた。
トリアージブルーからイエローまでが十数人。四十五階から上は避難者がいない。
煙が多すぎて屋上意外は既に人がいれる状態ではないのだろう。

 とりあえずトリアージブルーの救助者はクオンが安全確保した内部階段で自力避難できるだろう。
のこりは重症患者と屋上にいる者程度だろう。

514ニュモ ◆fJNTk09.gI:2017/07/08(土) 23:17:06 ID:NPSP4wok0
「うう・・・頭がクラクラする・・・あっそうだガスマスク」

そういえば何時も死体処理用に常備していた。これでいくらかマシになるだろう。
とはいえ簡易的な物なのであまり長くは持たないだろうが。

「グヂュア、もうだいぶ人が減ったんね」

地味にジャバリも20人に達しそうだ。検定は大成功といったところである。
・・・このまま無事に終われば。

「仕方無いから重症患者は取り込んでしまおう・・・すまんな、殺しはしないさ」

ズブブブ、と取り込まれ、ニュモじみた生物になって吐き出されていった。

「ジャバリ、ちょっと屋上見てきてくんない」
「命令するなぁ!お前の命令なんて虫唾が走っあっごめんなんよゆるしてなんよああああ」

ジャバリは屋上に向かうようだ。

515クオン ◆YJMWmO4ZS6:2017/07/08(土) 23:23:05 ID:T0YCDSjI0
>>514
 屋上に避難した要救助者も同じように問題なく救助できる。
十分に二人とも二十人の救助に届くだろう。

「もう屋上ですか、素早い対応ですね」

 クオンも合流してきた。

奇数なら一人足りない。
偶数ならクオンもギリギリ二十人救助済み。


「さて、ここからはただの提案なのですけど、ついでに火元特定して消火しません?
全員吸火器はゲットしているわけですし」

516ニュモ ◆fJNTk09.gI:2017/07/08(土) 23:41:27 ID:NPSP4wok0
「賛成」
「なんよ」

「ええと、一応階段は繋げたから降りられるな」
「ジャバリが一番乗りするんよ!見てるんよ!ぶいいいいいいいん!」

ジャバリ、びっくりするほど足が速かった。全速力で階段を降り、火元に近づいていく。

「あっ、待て、降りるなら吸火器・・・遅かった」
「・・・とりあえず降りようか」

517クオン ◆YJMWmO4ZS6:2017/07/08(土) 23:47:27 ID:T0YCDSjI0
>>516
 火は十三階から七階までを飲み込んでいる。中々に燃え広がっているらしい。
ただ十二階以上と八階以下は火元ではないだろう。明らかに燃え広がった階層だ。
吸火器で火を吸えばその階は、熱いが問題なく火は消えるだろう。

 火元とみられるのは、九階〜十一階のどこか。

「とりあえず私は十一階から調べますけど、どうします? また分かれて行動します?」

518ニュモ ◆fJNTk09.gI:2017/07/08(土) 23:55:10 ID:NPSP4wok0
「じゃあオイラは9階かな、10階で落ち合おう」
「ジャバリは火に強いから、あいつはたぶん3階ずつ調べられるだろ」

そう言って消防の助けも借りながら、窓から9階に入り吸火器で9階を探索していく。

そして当のジャバリは10階に居た。
「びえええええん、火で何も見えないんよおおおお」
「でもここまで熱があると瓦礫も脆いんよ、このっこのっ」

溶けかけたドアを一つ一つ蹴破り、瓦礫を折る。
あまりやるとビルが崩れてしまいそうだがジャバリはそこまで腕力が無い。

519クオン ◆YJMWmO4ZS6:2017/07/09(日) 00:04:59 ID:T0YCDSjI0
>>518
【十一階】
147なら何もない階
258なら火元ではないけど重傷者一名
369なら火元の階で重傷者一名
0なら爆発、探索不能

なお火元は一箇所とは限らないので九階と十階でも同じダイスでどうぞ。

520ニュモ ◆fJNTk09.gI:2017/07/09(日) 00:15:06 ID:NPSP4wok0
〜10階〜
「だいぶ探し回ったけど何も見つからないぞ」
「なかったんよ」

火を吸い取りつつもやはり煙が燻っている。

「となると11か・・・?訓練とはいえ吸火器様様だな」
「訓練でこんな火事起こされるのたまったもんじゃないんよ・・・」

ジャバリは雨風凌げる場所が欲しいようだ。かつての棲家もうっかり燃やしてしまったらしい。

521クオン ◆YJMWmO4ZS6:2017/07/09(日) 00:19:22 ID:T0YCDSjI0
>>520
 どうやら十一階が火元であったらしい。水槽の水がレンズとなり座布団などに引火したようだ。
もっとも座布団の残骸を座布団だと判断できるほどの観察力は、クオンにはなかったが。
そして水槽は熱で変形しすでに水は蒸発していた。クオンも、ここが火元だと確信は持てなかっただろう。

「かなり損壊の酷い階でしたけど、火元だったのですかね?」

 そして逃げ遅れていた、トリアージレッドの重症患者を治療し転送し、ギリギリ二十人の救助に成功。
これで全員、最低でも二級の資格を得られるだろう。救助内容が評価されれば準一級資格が貰えるはずだ。

 これにて今回の検定は、完全クリア。

522ニュモ ◆fJNTk09.gI:2017/07/09(日) 00:24:43 ID:NPSP4wok0
資格、ついでに吸火器とかいう便利グッズもゲット。

「ヤッター!これでおまんま食える!」
「ヤッター!これでおまんまん食えるんよ!」

ニュモはともかくジャバリはまず労働ができるのか微妙である。

ともかく、今回のミッションは大成功のうちに終わった。

523クオン ◆YJMWmO4ZS6:2017/07/09(日) 00:30:31 ID:T0YCDSjI0
>>522
「これ便利ですよね〜メイン武器にもできそうです。私は銃がありますけど」

 さて、肝心の結果は?

147なら全員二級
258なら重症患者の治療が評価されクオンだけ準一級
369なら数多くの救助をこなしたニュモだけ準一級
0なら耐火性を考慮されたのか、火災現場限定ではあるがジャバリも含めて全員準一級

524タート ◆YJMWmO4ZS6:2017/07/11(火) 01:26:05 ID:T0YCDSjI0
【???】

 どこともつかない暗い道。ただ己を思い返す。曰く、
「種族変性? その通り、獣が妖怪になるのも、霊獣になるのも一応その範疇さね」
「異界へのアクセス? ……よく気付いたね。クーと小松菜の影響? でも、特殊なアクセスにはアクセスキーがいる」

 ただひたすら歩く。どうせ深い異界には足を運べない。浅い異界なら、問題なく歩ける。だから、深く思い返す。曰く、
「クオンは儀式魔法の派生だから、小松菜は半ば種族特性だから、クーは近距離で戦う精霊術師だから、詠唱は馴染みないかもね」
「思い出してみな。タートはただの狸。伸び悩んだのは『詠唱できない』から、『無詠唱を通すしかなかった』からだよ?」

 幻術の声は手に入れた。しかし、見える異界に繋がる詠唱が、わからない。曰く、
「獣の魔法体系なら話は別だけど、タートはそれを選ばなかったし選べなかった。なら、必要な詠唱はどう提示すればいい?」
「答え? ……驚いた。私にそれを訊けるんだ? いいよ、答えてあげる。君は飼われ狸、ならば飼う者もまた存在する。それがタート、君だ」

 足を止め、つぶやく。

「……この身に許される異界へのアクセス、その鍵となる詠唱は、『代理詠唱』なのか……」

 未だ霊獣になりきれず、その身はただの飼われ狸。しかし、それはもはや己の本質。
力を得れば、多くを知れば、守る側になれると思っていた。救う側になれると思っていた。実際その全てが否定されるわけではない。
ただ、上を見れば天井知らず。理解していたはずのその事実すら目に入らなくなるほど、人の世は異質だ。
自然界に比べて、死が多すぎる。そして、それ以外も多すぎる。何もかもが多すぎる。情報が多すぎて、狸の身には、重すぎる。

「人や物と関わる妖怪とは別、死者や異界と関わる霊獣。それが異界と深く繋がるためには、人が必要になる、か」

 皮肉なものだが、きっと恐ろしく珍しい例なのだろう。元より異界は人が積極的に関わるべき場所ではない。
だが、多くの矛盾を抱えるなど、狸の頭では知ったことではない。自然は、あるがままにある。実現すれば現実。

「誰かの手を借りてもいい。狸一匹を救うよりも成し難い救いをもたらせばいい。どうせみせる爺様もいない。自己満足ができればいいのだ」

525ウェイデン ◆YJMWmO4ZS6:2017/07/15(土) 23:31:32 ID:T0YCDSjI0
【闘技場】

 検定として再提示される時以外でも自由に挑戦できる検定でもあるアレ。
その検定に一人のランナーが乱入する。入力した数字は63。アンドラスの名を持つスタンド使い。

「よし、かかって」

 スタンドが出現し、即座に攻撃が開始される。スタンド使いと思われる女性に。
そして、女性は思い切り走って近づいてきた。スタンドもその後を追いかける。

 ウェイデンは直感した。あのスタンド、絶対に制御きいていない。つまり。

「敵味方関係なく暴れる自立スタンドかよ!?」

「こうなりゃ道連れじゃあああっ!!」

 二人は走る。闘技場とか関係なしに一目散に逃げ出す。これはもう勝負でもなんでもない。
判定、引き分け。

526旅行者風の男:2017/07/16(日) 22:13:51 ID:A6eeg1aQ0
>>487

「準備の前に殴り倒す、単純極まる回答と言わざるを得ませんね」
「けれど、ええ、貴方のその答えは“大正解”だ……!」

複雑な手が正答とは限らない、最短最速で殴り付けるだけで十分な結果を出せる事も多々有る。
今回は後者だ、剣術の心得は並以上には有るが、自分の本領は多種多様な攻撃で相手に主導権を握らせずに戦うことに有る。
中距離以遠ならまだ手は有るが、媒介を用意せねば術を使えない以上、一瞬の硬直も許されない戦闘をさせられる近距離戦は尤も不得意な戦闘だ。

続けて術を行使しようと思っていたが予定を変更し、魔力を纏った刃を振るい、魔力の刃を刀身から打ち出す。
まずはどうにかして戦闘の流れを向ける事から始めなければならない。

527ポニーテイルの少女 ◆DUSK/kzn02:2017/07/22(土) 21:53:56 ID:eRkB3tXk0
>>526
「へへ、どうも」
「っと!」

襲い来る刃と打ち合い足が止まる。
ざり、せりあい

奇数なら押し負けた!

528黒髪の女 ◆DUSK/kzn02:2017/07/22(土) 21:56:17 ID:eRkB3tXk0
【カフェ】

かき氷うんまい

「夏は氷菓が多いところはいいな……」

529旅行者風の男:2017/07/28(金) 21:40:41 ID:A6eeg1aQ0
>>527

「当然防がれますよね、ですが……」

時間は作った、と言わんばかりに堂々と、懐に手を伸ばし布袋を取り出す、袋は見るからに色々な物が詰め込まれているようで……これを開けさせてしまえば、男の手札は一気に増え、流れを持っていける可能性が大いに増すだろう。
だが、それは同時に確実な隙を生む、準備が整う前に畳み掛けることが出来たなら、逆に少女に流れは向かうだろう。

(――さて、釣られてくれるでしょうか?)

懐から袋を取り出す大きな動作、それに紛れて男の袖から“何か”が転がり出て手に収まった動作を少女は認識出来ただろうか。
慌てて袋を引き抜いたのはただの囮、今更こんな事をやっても間に合わないのは百も承知、本来の目的はこちら――敢えて隙を晒し真っ向から少女不意打つ事だ。

530ポニーテイルの少女 ◆DUSK/kzn02:2017/07/29(土) 21:17:28 ID:eRkB3tXk0
>>529
――少女にとっては残念なことに、男にとっては幸運か?――その素早さは、目が追い付いてこそ意味がある
そして目と脳が追い付いても、体が動かなければまた意味はなく。
だからこそ、少女は鍛錬を怠らず、その中身は速さに重きを置いていた。

止まった足をさらに踏み出し、槍のように突き出した棍が狙ったのは――袋だった

531 ◆YJMWmO4ZS6:2017/07/29(土) 22:21:02 ID:T0YCDSjI0
【カフェのスクリーン】
本日の検定内容_
‘加速する流しそうめんを追え’
〔ジャンル〕
レース
〔推薦適性値〕
流水移動C
動体視力B-
大食いC
捕獲B
〔開催地〕
シーラビリンス公国㈱

〔概要〕
夏に向け大量生産されたそうめんが逃げ出しました。
逃亡先は特大ウォータースライダーのあるシーラビリンス公国。
一般客の避難はできません。が一般客の方々だけでは食べ切ることはできません。
皆さんも突入しそうめんをより多く食べ、より多く捕獲してください。
食べた量×2+捕獲した量がポイントになります。グラム単位です。

〔ヒント、その他〕
ウォータースライダーは無数に分岐し滑る人の意思により変形します。
ウォータースライダーにのり逃げるそうめんを追う以外に待ち伏せや罠も可能です。
皆さんには開始時にザルと箸とめんつゆと捕獲用亜空間水筒のセットが配られます。

〔失格行為〕
・一般客へ危害を加える行為、評判に関わるので禁止です。
・炎魔法や氷魔法、そうめんが伸びたり変質するので禁止です。
・異物混入、食品には気を使いましょう。

〔BOSS〕
・色つきそうめん
他のそうめんの三倍の速度で流れます。

《PRESENT》
☆色つきなべ☆
分類:調理器具
コレでそうめんを茹でると全て色つきのそうめんになります。
20㎏ポイントを獲得した方全員に差し上げます。

☆滝登りボード☆
分類:移動用魔導具
水の流れに逆らって移動するサーフボードです。
50㎏ポイントを獲得した方全員に差し上げます。

《検定開始時刻》
>>今
《終了予定時刻》
>>ほどほど

532黒髪の女 ◆DUSK/kzn02:2017/07/29(土) 22:27:55 ID:eRkB3tXk0
「まてまてまてまて、そうめんが逃げるとは」

「しかしこうなれば」

「喰 う し か な い だ ろ」

533クー ◆YJMWmO4ZS6:2017/07/29(土) 22:34:58 ID:T0YCDSjI0
>>532
「お供しましょう!」

 クーが仲間に加わった。転送装置は輝いている。
暑い日差しの中、そうめんの駆け抜けるウォータースライダーの国へと、続く転送装置。
きっとその先は一般客もそうめんをすするラビリンスとなっているだろう。

534黒髪の女 ◆DUSK/kzn02:2017/07/29(土) 22:39:52 ID:eRkB3tXk0
>>533
「夏だ!水辺だ!」「そうめんだ!」
きゃっきゃ。 場所を加味して水着なのはサービスだ

さて、どうしようか……まずは

奇数:麺つゆと箸をかまえた!喰うぞ!
偶数:ざるとそうめんを構えた。お腹いっぱいになる前に捕獲しよう!

535クー ◆YJMWmO4ZS6:2017/07/29(土) 22:45:04 ID:T0YCDSjI0
>>534
「捕獲優先ですか。ウォータースライダーの端に待機してそこを持ち上げるように変形させれば即席エレベーターです。
さあ! 滑りましょう! そうめんに追いつきザルですくい上げるのです!」

 こちらは水着ではなく服のままいくらしい。やる気は十分なようだが。

536黒髪の女 ◆DUSK/kzn02:2017/07/29(土) 22:57:46 ID:eRkB3tXk0
>>535
「おお、便利だな……さすがだ」

「足の速い(?)そうめんに並ぶためには加速できる体勢が大事と見た」
「ここはウォータースライダー伝統ファラオのポーズで……!」

腕を体の前で交差させて足から滑るあれです。
さあレッツスライド!ついてこい!

537クー ◆YJMWmO4ZS6:2017/07/29(土) 23:03:07 ID:T0YCDSjI0
>>536
「……ウォータースライダーとか滑ったことないのですけど」

 こちらは一般的な滑り方とか全く知らない。ので力技。
ほぼ直角に曲げて垂直落下、その加速を横に変える、実行して、その速さに目を回している。

「そうめんどころじゃ」

 体勢を崩しヘッドスライディング状態に。顔面に水がかかって前が見えない。
そうめんにあざ笑われている気がする。クーをあざ笑いにきたのかそうめんが寄ってきた。

538黒髪の女 ◆DUSK/kzn02:2017/07/29(土) 23:13:05 ID:eRkB3tXk0
>>537
「クーーーーーー!!!!!」

「あっそうめんきてる、来てるぞ!ざるを突き出せ!!!」

539クー ◆YJMWmO4ZS6:2017/07/29(土) 23:17:57 ID:T0YCDSjI0
>>538
「ほあーーーっ!?」

 ザルをぶんぶんと振り回す。まさにラーメンの湯きり。

147なら失敗
258なら5キロほど捕獲
369なら5キロ捕獲して残りはそちらに逃げる
0ならアイキャンフライ

540黒髪の女 ◆DUSK/kzn02:2017/07/29(土) 23:23:46 ID:eRkB3tXk0
>>539
「嗚呼、惜しい!」

こっちのレーンもそうめんに近づいてきた!

偶数なら秒1桁kg掬える
5なら1キロ喰った

541クー ◆YJMWmO4ZS6:2017/07/29(土) 23:30:04 ID:T0YCDSjI0
>>540
 なんとか体勢を立て直す。

「先制点は許しましたか。ですが私も負けてられません!」

 いつの間にか対戦?

素数なら一桁㎏ゲット
0なら色つきそうめん出現

542黒髪の女 ◆DUSK/kzn02:2017/07/29(土) 23:34:42 ID:eRkB3tXk0
>>541
「取ったぁ!」

「ふふふ、張り合うか。それもまた一興!」
次のレーンにいそいそと移動

543クー ◆YJMWmO4ZS6:2017/07/29(土) 23:43:53 ID:T0YCDSjI0
>>542
「甘いです!」

 レーンを変形させて別のレーンに飛び乗った。よい子はまねしないでください。
割とレーンは使いこなしているが、滑り方は相変わらず拙い。というかまだそうめん捕まえてない。

「勝負!」

奇数なら失敗
偶数なら一桁秒キロゲット
5なら何故かエビフライゲット
0なら色つき出現

544黒髪の女 ◆DUSK/kzn02:2017/07/29(土) 23:58:30 ID:eRkB3tXk0
>>543
「そんな力技ありかよ!」

追いつかれてたまるかとざるをふるう
偶数なら一桁秒分掬う

545クー ◆YJMWmO4ZS6:2017/07/30(日) 00:01:56 ID:T0YCDSjI0
>>544
「ぷぎゃー」

 笑っているが、こちらは一回たりとも掬えてない。

素数以外なら一桁秒キロゲット
0なら色つき
5なら爆発

546くろかみ:2017/07/30(日) 00:16:55 ID:eRkB3tXk0
>>545
「くかか、俺と戦おうなど早かったか?」
「あっ以外と多い」

547クオン ◆YJMWmO4ZS6:2017/07/30(日) 00:23:31 ID:T0YCDSjI0
>>546
「やっと入手しました! ここから私の快進撃が!」

 落ちた。気を取られすぎて落ちた。レーンの変形でまた戻ってくるが、そうめんははるか前方に。

「……!」

 そうめんの流れるレーンに直接飛び移り水筒を構える。
ザルどころか直接水筒で捕獲するつもりらしい。近距離戦闘型の考え方だ。

548くろかみ:2017/07/30(日) 00:27:40 ID:eRkB3tXk0
>>547
「ああっ」
「せめて掬わんか!張り合え!」

こうだ、こう!と言わんばかりにざるを振るう

549クー ◆YJMWmO4ZS6:2017/07/30(日) 00:37:50 ID:T0YCDSjI0
>>548
「もちろん張り合いますよ、水筒はここに置いたままで!」

 罠とザルの二手に分かれる作戦。

「追いついて見せます!」

 というわけでここからダイスが加速。
素数以外で末尾×2㎏
0で色つき

550くろかみ:2017/07/30(日) 00:43:23 ID:eRkB3tXk0
>>549
「疾いのがいったぞ!!」
ざ、とレーンを移る。
すぐさまざるを振るった

偶数なら一桁×2kg
0は10として扱う

551クー ◆YJMWmO4ZS6:2017/07/30(日) 00:48:54 ID:T0YCDSjI0
>>550
「きましたか! 上等です! 何ポイントかは知りませんが掬ってやります!」

 完全に色つきに狙いを絞ったらしい。
5か0なら捕獲
それ以外なら失敗

552くろかみ:2017/07/30(日) 00:56:35 ID:eRkB3tXk0
>>551
「くっ!速すぎる!」

ざざざざ、あとをおう

553クー ◆YJMWmO4ZS6:2017/07/30(日) 00:59:16 ID:T0YCDSjI0
>>552
「きっとポイントも三倍じゃきかないほど高いですよ!」

 ※表記されてません
完全に狙いを色つきに絞っている。他のそうめんには目もくれていない。

5か0なら捕獲

554くろかみ:2017/07/30(日) 01:13:51 ID:eRkB3tXk0
>>553
「おっっっっっらぁ!」
クーに続いてざるを振るう。二段構えだ

5か0なら捕獲
それ以外ならツルッと滑って頭をうつ

555くろかみ:2017/07/30(日) 01:14:31 ID:eRkB3tXk0
つるっ

すてーん

ごーん!!!

屍が流れていった……

556クー ◆YJMWmO4ZS6:2017/07/30(日) 01:16:34 ID:T0YCDSjI0
>>555
「……溺れる!?」

 救助に向かった。二人ともリタイア、検定は失敗に終わった。

557旅行者風の男:2017/08/11(金) 23:22:34 ID:3Ve8Cb4.0
>>530

袋が棒に穿たれ吹き飛び中身を闘技場の床に撒き散らす、それとほぼ同じタイミングで、男の持つ剣が赤く光り、炎を纏う。
そしてその炎は自らの意思を持っているかのように膨らみ、より強く燃え上がり、少女に向けて火球を吐き出すだろう。

558ホレイト ◆puI.Wc0cUg:2017/08/13(日) 19:28:04 ID:icMR1dxk0
【カフェ】
「やっぱり何時まで経っても変わらないな、ここは」

空いた時間にふらりと立ち寄ってみた場所は、相変わらずの佇まいで青年を迎えてくれた。

「だけどやっぱり、賑やかな方がここらしいって思ってしまうよ。マスター」

検定を映し出すスクリーンと、仮ち眠室に繋がる扉と、最後にマスターを微笑みながら見渡して。カウンター席にて、マスターの淹れてくれたコーヒー(微糖)とえびせんで落ち着いた時間を、過ごした

559ニュモ ◆fJNTk09.gI:2017/08/19(土) 20:57:37 ID:JPhm8tDg0
【カフェ】

「zzzzzz......」

夜更けのカフェは人入りも少なく静かにジャズが流れている。
酒に酔って眠りこけるニュモの尻尾は宙を泳ぐように揺れ、呼吸と共にその先端の穴が開いたり閉じたりしている。

ふと、一匹の蚊がその先端を横切ったかと思うと、尻尾はものすごい勢いで蚊を捉え、高濃度の闇属性液でジュッと溶かしてしまった。

「Zzzzzz……」

別に本人が起きているわけではないらしい。この尻尾、独立しているのか。

560リゼッタ ◆YJMWmO4ZS6:2017/08/19(土) 21:16:19 ID:T0YCDSjI0
>>559
「……」

その様子を見ていた四肢のない幼女。虫に反応するのかと思いながら尻尾付近に食用蛆虫を落としてみる。
死人蔓の蔦を使って瓶から少しずつ落としているので、一匹ずつではなく少し塊で落ちバラける形。ちなみにイチゴ味。

561ニュモ ◆fJNTk09.gI:2017/08/19(土) 21:41:56 ID:NPSP4wok0
>>560

尻尾は瓶を開ける間、その先端を幼女に向けじーっと眺めているようだった。
いくつか塊が落とされると、尻尾はうにーっと伸びてきてイチゴ味のそれを暫く弄んでいたが、やがてもそもそと呑み込んでいった。

「♡」

そのエサが気に入ったのか、リゼッタの頬にすりすりしてくる尻尾。ぷにぷにしていてほのかに暖かく闇属性の液が脈動しているのが伝わる。

「zzzzz……zzzzz………」
当の本人は寝息を立てて起きる様子はない。やっぱりこの尻尾だけ自立しているらしかった。

562リゼッタ ◆YJMWmO4ZS6:2017/08/19(土) 21:49:48 ID:T0YCDSjI0
>>561
「おぉ? おぉ、かわいい、かも」

四肢がなく首がふたつある異形の身。そして死霊術の使い手。
人間にないパーツにも慣れているからか全然抵抗なく餌付けを続ける。

イチゴ味以外にもチョコ味やチーズ味メイプル味、そして新商品のマンゴー味など色々与えてみる。

563ニュモ ◆fJNTk09.gI:2017/08/19(土) 22:12:37 ID:NPSP4wok0
>>562

「!」モソモソ
器用に一つずつ味見を楽しむと、落とされたエサも一呑みにしてしまうしっぽ。

「………」ウネウネ

暫くすると、尻尾は伸びたり膨らんだりしながらその内部で何やら生成し出す。
やがて、尻尾の穴からぬろろろーボトッっと何かが産み出された。

……腕だ。蛆の肉で作られているので不完全ではあるが。
付けろということだろうか?リゼッタの見た目も分かるらしい。

564リゼッタ ◆YJMWmO4ZS6:2017/08/19(土) 22:17:30 ID:T0YCDSjI0
>>563
「?」

 生み出された腕をしげしげと見つめる。しかしリゼッタには自分につけるという発想がない。
フレッシュゴーレムの術式で動かそうとしてみる。

565ニュモ ◆fJNTk09.gI:2017/08/20(日) 07:11:55 ID:NPSP4wok0
腕は徐々に形を整えていき普通の人間の腕と謙遜ない姿になる。
術式で腕を動かすと、使用者の術式が腕と繋がり、ある程度動かせるようになる。
四肢のないリゼッタに「手でモノを掴む」という感覚が少しは伝わるかもしれない。

その仮の腕で尻尾と握手。薄桃色でニュモニュモした皮膚は心地よい感触だが、中ではグヂュグヂュしたどす黒い何かが犇めき蠢いている。

「んむむ……ふわぁーぁ、椅子で寝ちゃったよ、これだから酒って苦手なんだよなぁ……」
「……?おや君、尻尾くんと遊んでたのかい、すまんね」

566リゼッタ ◆YJMWmO4ZS6:2017/08/20(日) 20:19:22 ID:T0YCDSjI0
>>565
 フレッシュゴーレムではなく生体義体として作られた代物だからか、感覚が宿る。
脆いようだが修繕も可能で、器用に動かせて感覚もある。かつてあった懐かしい手の感覚。

「わぁ、凄い。凄いの貰った!」

 年相応の明るさが先行して話が飛んでいる。それだけ嬉しかったのだろう。
四肢を取り戻すほどに死霊術を磨くまで、手足の感覚を思い出すなどまだまだ先だと思っていた。
それが、より生命に近い技術で覆された。

567 ◆YJMWmO4ZS6:2017/09/02(土) 20:41:11 ID:T0YCDSjI0
【カフェのスクリーン】
本日の検定内容_
‘色彩のない世界で’
〔ジャンル〕
対戦
〔推薦適性値〕
感知魔法B+
戦闘B
〔開催地〕
カフェの電脳

〔概要〕
魔法戦闘においてとても重要なものが距離感。ですが距離感は容易く操作することができます。
それに惑わされないように戦う手段、それは感知魔法です。
距離感の重要性を再確認するため、原色の白と黒しかない世界で戦いましょう。
白と黒しかなく灰色も存在しない空間は視覚での距離感を大いに狂わせます。

〔ヒント、その他〕
フィールドは障害物がなく、床は黒、人物も黒、何もない場所が白として認識されます。

〔失格行為〕
・特になし、遠慮せず存分に戦ってください。

〔BOSS〕
・翼の蕾
大量の翼が花の蕾のように固まっている何かです。飛びます。対戦相手がいない場合に現れます。

《PRESENT》
☆ガイディングファイバーナイフ習得スクロール☆
分類:魔導書
感知魔法を内包した実体のない糸に繋がった、魔力刃を操作する無属性魔術の習得スクロールです。
誰か一人にでも勝利し、検定終了時まで脱落しなかった人全員に与えられます。使い捨てです。

《検定開始時刻》
>>今
《終了予定時刻》
>>ほどほど

568スクナビコナ ◆fJNTk09.gI:2017/09/02(土) 21:01:24 ID:NPSP4wok0
「「何ここ」」

白黒の世界に立つ、ツインテの影。普段は2色に分かれている髪の毛も、白黒の影では判別が付かない。
知らぬ間にカフェの電脳に迷い込んでしまった哀れな子羊である。

「「なんか殺風景な場所に出ちゃった、出口どこだろ……」」
少女の声は妙な響き方をしている。まるで2人が同時に発言しているような、そんな声。

「「レディキラー」」
そう呟くと床に異常な濃度の魔力が集中し、直後、爆音と共に黒い床から黒い破片が飛び散った。

「「……あ、これ塗ってるわけじゃないのね、物体は全部黒……ってとこかしら」」

569クオン ◆YJMWmO4ZS6:2017/09/02(土) 21:08:49 ID:T0YCDSjI0
>>568
「最近全然戦ってない気がしますけど、私そこそこですよね? ね?」

 黒一色だが何やら焦った声が聞こえてくる人影。
シルエットは随分ゆったりしていて、手には銃器らしきシルエット。対戦相手だ。

570スクナビコナ ◆fJNTk09.gI:2017/09/02(土) 21:26:08 ID:NPSP4wok0
>>569

「「はい?戦うゥ?」」
戦闘を匂わす発言を聞いた瞬間、彼女……いや、彼?
声色が変わる、というより、一瞬だけ声のハモりが歪む。少年のような、少女のような、曖昧な声。

「「ふぅーん……何のつもりか知らないけど」」
「「そのちゃっちいオモチャで……遊びたいわけ?」」

既に、距離感の狂いは始まっていた。ふっ、とそのツインテが視界から消える。
直後、クオンのうなじにつつーっ、と舌を這わせるような感触が走る。
「「ねぇ、どっちがいい?」」

「ビリビリ痺れるか…」
「ゾクゾク震えるか!」

571クオン ◆YJMWmO4ZS6:2017/09/02(土) 21:35:50 ID:T0YCDSjI0
>>570
「どちらかというと雷相手の方が戦いやすいですかね〜」

 瞬間的に嫌悪感を抱いたのか、首筋に感触が走るのと同時に皮膚に纏う薄い砂を炸裂させる。
そして鞄らしき物から何かが大量にあふれ出す。音で判断するならば、砂だ。
砂はまるで身を守る盾のように、それでいて動きはスライムのように柔軟。詠唱は、ない。

「銃をオモチャ扱いできる、と。一応ハッタリじゃないか確かめておきましょう」

 そのままくるりとその場で回るように、銃を撃つ。フルオートでばら撒かれる弾丸。
ライフル弾よりは軽いようだが、火薬は増量してあるのか拳銃弾にしては多少威力は高い。

572スクナビコナ ◆fJNTk09.gI:2017/09/02(土) 22:01:18 ID:NPSP4wok0
>>571

「「ふーん、砂使い、ってとこかしら?」」

ツインテはクオンの後方に飛ぶと、余裕綽々で砂を払う。

「「くふふ、では、ウチは意地悪なのでぇ……ゾクゾクの方をさせちゃいまーす」」

そしてツインテは再びクオンの元へ・・・いや、違う、二人いる!

「はぁ?鉛弾とかナメてんの?」

地平を白黒で分断するこの空間は、必然的に床と物体が同化する下方向からの攻撃が格段に有利になる。
銃が当たると同時にツインテは双子の影へと変わり、一方は霧のように霧散。
その霧を眺める間もなく、足元の砂が凍り始める。異常な冷気が地面から這い上がってくる。

「オレたち2対1でも容赦しないもんね!嬲るって漢字を考えた人神だと思わない?」

573クオン ◆YJMWmO4ZS6:2017/09/02(土) 22:16:22 ID:T0YCDSjI0
>>572
「環境攻撃は苦手なんですけどね」

自分の足に鉛弾を撃ち込んで強引に凍結から脱出して砂で浮かび上がる。
魔力ダメージも入っていたからか再生に少し魔力を使ったが、問題はない。

「嫐るって漢字を考えた人も天才なのですかね?」

砂の防御と自己再生に任せ、その場をあまり動かずに魔法で攻撃する。
それこそが本来の戦闘スタイル。の割には意外と地中を移動したりするようだが、今回は空中に浮かぶだけ。

「サンドバインドッ!」

詠唱というよりは短縮の起動音声。オートガードの砂の一部が鞭のように振るわれる。
高速で蠢いており触れた場所を削り切るような、砂の刃。

574スクナビコナ ◆fJNTk09.gI:2017/09/02(土) 22:42:09 ID:NPSP4wok0
>>573

「雷の方が戦い安いんだって?」
浮かび上がったクオンの目の前で、飛び散った砂が集まり始める。
霧に囚われた砂は球体になって蠢き、高速で摩擦し出すと、雷雲の如き膨大な電荷を帯びて、再び人影の形を取った。
「じゃ、お望み通りの大放電と行こうか」

「そっちの漢字はご褒美っぽいね」「その漢字むしろご褒美だと思うね」
ちなみに嫐というのは先妻と後妻の意味があるそうです。

「「キッス・イン・ザ・ダーク」。」
もう一人は再び床の暗闇に溶け込むが、クオンの砂の刃が地面を削り飛ばす。
すると、その破片を伝うように黒い塊が空中を駆け上がり、すさまじい冷気を帯びた塊がこれまた人の形を取った。
その拳に、おそらくは氷塊と思しき物体を生成しながら。
「回りくどいのが嫌なら、体が欲しいって事だなー!?」

575クオン ◆YJMWmO4ZS6:2017/09/02(土) 22:52:04 ID:T0YCDSjI0
(「最後寝る前にこれだけ返しておきます」)

>>574
「……ん〜どうにも決め手に欠けますね」

地属性魔法は非実体系や不定形相手だと決め手に欠けることも多い。
しかも目の前に人影。中遠距離型であるのに容易く距離をつめられてしまう。

「よし、この方法で行きましょう」

鞄の中から何か瓶らしきものを取り出し、それが即座に爆発する! 対戦車火炎瓶だ。
それも呪物を仕込んであるのか呪詛的攻撃能力まで付加してある。
ご丁寧に、その呪詛対象から自分を外した上で使用している。

大胆に自爆したが、魔力ダメージがなければ灰からも低燃費で蘇れる自己修復。

「痛い、けど、何、でも試してみましょう」

そして再び鞄から火炎瓶を取り出し投擲、爆発。自分も巻き込まれながらの大雑把過ぎる攻撃。
正直正気だと思えない戦法だが本人は大真面目である。

576スクナビコナ ◆fJNTk09.gI:2017/09/09(土) 20:55:56 ID:NPSP4wok0
>>575

「アバーッ!」

ルパンダイブでクオンに突入しようとしていたビコナが炎に包まれ爆発四散!
炎が氷をイリュージョンスパイラルし電脳モノクロワールドのフィルタを通してモザイクめいた光景に変わる!

「……あ、なるほど、そういうゲームなわけね」

術式から成るスクナビコナは、その呪詛に干渉されると電脳空間だからなのか微小なノイズを発している。
魔術的な干渉はそこそこグッドな相性判定のようだ。
霧状化しているスクナはクオンの砂を掠め取り、砂の摩擦で静電気的な発光を無数に纏いながら宙を待っている。その姿、さながらカミナリサマ。

「ヒヒヒ、この電気何ボルトあるのかなーッ!!!」

ビコナは接近戦を好んでいたが、スクナは中遠距離タイプだ。その有り余る電気が磁気センサーとなって上手い具合にクオンとの距離感を掴んでいる。
自然発火が起きるほどの高圧電撃が一閃、また一閃。火炎瓶も相まって赤熱した砂を少しずつ溶けたキャラメルめいた物体へ変えていく。
じめんタイプはでんきタイプに強いとはいえ、電熱攻撃は着実にクオンの鎧を剥いでくるだろう。さてどうする?

577クオン ◆YJMWmO4ZS6:2017/09/09(土) 21:07:57 ID:T0YCDSjI0
>>576
黒いカリフラワーのような爆発が続く中を電撃が走る。
爆発の熱とジュール熱とでガラス質に変質した砂がオードガードの制御から外れて地面に落ちていく。
といってもパッと見黒い地面に黒いガラス粒では全然目立たないのだが。

「、? もう爆発の効果範囲にいないのですかね?」

持ち込んだ分の砂の範疇でしか探知魔法が働かないのだろうか。
ようやく火炎瓶による自爆を停止する。が、取り出した砂は半分近く変質してしまっていた。

「むむっ、導線を用意しようにも」

鞄からワイヤーを取り出し電撃のアースにしようにも、導線は溶けてすぐに役に立たなくなる。
砂をガラスにする温度の高さは加工のしやすい金属の融点よりも上だ。

「……本当は前衛ありきでの魔法なのですが、折角ですし試してみましょうか」

残された時間を用いて何かするようだ。傍目には黒くてわからないが、目を瞑る。
鞄から残りの砂を全て取り出して、儀式用のダガーを取り出した。

578スクナビコナ ◆fJNTk09.gI:2017/09/09(土) 21:43:02 ID:NPSP4wok0
>>577

「……砂が溶けるとガラス……か」
「あっ、いーこと考えた☆」

ご存知の通り砂やガラスはあらゆる物質の中でもトップクラスに電気を通さない代物……しかしそれは固形での話。
溶融点に近いガラスは急激に電気抵抗が下がるのだ。その時だけ、金属と同じカテゴリに入る。

スクナはガラス粒を掴むと、電熱で溶かして大量のイオンを含有させていく。
そうして棒筒状になったガラスが、スクナの周囲で展開していく。

「んーこれいいね、向こうでもちょくちょく使ってみるかぁ……ヒヒヒヒ」

直撃すれば高圧電流がガラスを溶かして駆け巡る。そんな傍目には黒い槍にしか見えない電撃爆弾の先端が、クオンをロックオンする。

「ギギギ……スクナ待てやコラ……」
「ゲームにはルールってもんがあるのさビコナー、もうやっちゃう」
「よっと」

――――――槍の雨が、降り注ぐ。

579クオン ◆YJMWmO4ZS6:2017/09/09(土) 21:59:37 ID:T0YCDSjI0
>>578
流石にガラスを溶かすほどの電流で準備していれば警戒する時間もある。
警戒は出来る。だが、超高温で強い電荷を帯びた代物が無数に降り注ぐとして、どのように対応できる?

「、いえ、それは融けているのですよね」

思いついた。この少女もまた、多少の荒事は乗り越えている。

「我に仇なす全てのものを拒絶せよ!」

短い詠唱。それにより地面がせり上がり壁となる。薄い壁だ。
しかし融けて強度のないガラスを受け止めるのには十分ではないだろうか。
地属性魔法の長所。それは他の魔法に比べての物理的強度と質量。

そしてついでに視界を遮ったので地中に潜ってみる。
これで気付かれたのならば地中への探知手段があると分かるだろう。
どうやらとことん受身に回るようだ。慎重なのか臆病なのか、余裕なのか。

580スクナビコナ ◆fJNTk09.gI:2017/09/09(土) 22:44:37 ID:NPSP4wok0
>>579

「やっちめぇー!」

――――電撃が溶融ガラスを伝い、モノクロの世界で黒い稲妻を描いて駆け巡る。
高濃縮されたイオンは鼓膜を破るかと思うほどの雷鳴を轟かせ、壁に容赦なく打ち付けていった。
猛撃が暫く続き、ようやく止む。黒いからまだマシだが、これに色が付いていれば辺りは地獄絵図だろう。
そこらじゅうに溶けたガラスが撒き散らされ、強い熱を放っている。
げし、と脆くなった壁を蹴ると、そこにクオンの姿は無く。
さすがに磁気センサーも地下までは届かないようだ。

「・・・・・・」
「やーい、逃げられてやんの」
「チッ!面白くねえ・・・・・・てめーもいつまでノビてんだよ!」
「痛い痛い!髪引っ張んな!てめーの半身だぞ!」
どうもこの双子あまり仲がよくない。しばらく取っ組み合い、やがて先ほどのツインテに戻る。

「「確かグヂュアの知り合いよね・・・・・・ま、そこまで重要目標でもないか。」」
「「今度また、そのかわいいお下げ弄らせてよね?」」

黒い地面に溶け込むように消えると、赤熱したガラスの海を残し、ツインテは姿を消してしまった。
・・・・・・というわけでスクナビコナの撤退によりとりあえず検定終了。最も彼ら、最後までルールを理解しているのか怪しかったが。

検定が終わった後、クオンのうなじに小さな欠片が付いているのがわかるかもしれない。
それぞれ黄色と、水色の透き通った石のかけらだ。指輪にはちょうどいいサイズかもしれない。

581クオン ◆YJMWmO4ZS6:2017/09/09(土) 22:54:03 ID:T0YCDSjI0
>>580
「……あれ?」

対戦相手がいない。これは勝ったということにしていいのだろうか。
いやどちらかが逃げたというのは勝ちではないようにも思える。

地中からの攻撃準備をしていたのだが、完全に無駄となった。

「……たぶん、これ検定失敗?」

指輪に気付く。電脳上のデータでしかないが、固定されているユニークデータのようだ。

「電脳上での戦利品、? 効果はよくわかりませんけど」

次にログインした時に指輪があったのなら戦利品ということでいいのかもしれない。

582ジャバリ ◆fJNTk09.gI:2017/09/23(土) 22:20:17 ID:NPSP4wok0
街に程近いそれなりの幅を持つ川。
この時期、其処の堤防には一面に真紅の花が咲き乱れていた。
一般的にこの花、彼岸花は球根の毒を用いた鼠避けとして知られている。その毒は鼠1500匹を一度に殺せる程だとか。
しかし、川を隔てて広がる花畑は正に「彼岸」を体現するように思える、切ない光景であった。

そして花畑の茂みの中でその球根を掘り返している不届き者が一人。
「むふふ、ウチにも許された貴重な食いもんなんよ、頂いていくんよ」

583小松菜 ◆YJMWmO4ZS6:2017/09/23(土) 22:29:18 ID:T0YCDSjI0
>>582
「花畑のは食うなよッ! 野生の食えよ!」

球根の下から青年が勢いよく飛び出す。何故埋まっていた。
ともかく彼は木属性のドラゴン、木行竜。この世界では絶滅しているはずだがなんやかんやで居ついている。

「そもそも何でわざわざこれ選ぶよ。毒抜きしてもただのデンプンだぞ?」

毒抜きの手間については魔法で納得しよう。というか納得した。
平行世界では魔法技術が少し遅れているからか、その世界出身の小松菜はこの世界の魔法に妙な先入観を抱いている。
そして自身も種族特性とはいえ毒抜きができる為、疑問は何故デンプンを欲するのかに落ち着いたのだ。

584ジャバリ ◆fJNTk09.gI:2017/09/23(土) 22:45:58 ID:1Vx9cn/M0
「んぎっ!?死体を掘り当てたんよ!?誰なんよここに人なんか埋めたんわ!」

ボサボサとしか言いようのない伸ばし放題の髪を逆立て、その体に炎気を纏わす。
服はボロボロで真っ黒。背は老婆のように曲がり、浮浪者か何かにしか見えない少女。
が、火属性持ちであることは確かなようだ。

「渡さないんよ!餓鬼にゆるされた糧食なんよ!毒抜きなんかしたら食えないんよ!」

彼女曰く、別に毒抜きをしなくても食えるらしい。耐性があるのだろうか?
土のついたままのそれを剥いてボリボリ噛み砕くと、口から火の粉が散っている。

585小松菜 ◆YJMWmO4ZS6:2017/09/23(土) 22:51:01 ID:T0YCDSjI0
>>584
「なんだ毒が必要って類の種族なのか。あんま聞いたことないけど」

納得したように頷く。

「それならワルナスビとかどうだ? 食っても怒られないしむしろ駆除すりゃ金が貰えるくらいだ」

しかし花壇は荒らしてほしくないらしい。それとなく別の植物に誘導する。

586ジャバリ ◆fJNTk09.gI:2017/09/23(土) 23:05:02 ID:1Vx9cn/M0
>>585

「どっ、毒のないもの食べられるなら食べたいんよ!死ねないだけで痛いし苦しいんよ!」

餓鬼というのはその罪を精算して暮らさなければならず、主にそれは食物の制約に多く出るらしい。
人間に望ましい食物というのは餓鬼の口に入ると燃えてしまったり、煙に変わってしまうのだ。
有毒植物や毒虫、腐肉や汚物などが餓鬼に許される数少ない食べ物なのである。

「うう……あれの生える場所は縄張りがあるんよ、ウチはここらへん来たばっかでとても横入りできないんよ……」

どうやら餓鬼にも派閥があるらしい。

587小松菜 ◆YJMWmO4ZS6:2017/09/23(土) 23:22:16 ID:T0YCDSjI0
>>586
「えぇ……」

種族特性で植物育てられる、そして光合成可能な木行竜には及びつかない領域。
そしてあの悪名高きワルナスビがまさか需要不足に陥るとは夢にも思っていなかった。

「……あまり贔屓するのは、どうなのか分からんが」

植物操作でサトウキビからの砂糖精製に彼岸花の毒抜き、そして水大砲の水でお湯を沸かす。
この材料で出来るもの。そう、べこもち。

「彼岸花毒抜きして、あとは甘いものあればこんな感じで作れるからよ。でも花壇食い尽くさないでくれよ?」

588ジャバリ ◆fJNTk09.gI:2017/09/23(土) 23:44:22 ID:1Vx9cn/M0
>>587
「くっ、くれぇーーーっ!」モッモッ

べこもちを見るやいなや語尾も失い獣のように飛び付きガンギマリの顔で頬張るジャバリ。
しかしこれは人間の食物。口に入れた側からもちは勢いよく燃え上がり灰となるが、ジャバリは頬張るのをやめない。
どうやら餓鬼道に落ちる前に好みだった食べ物のようだ。

物凄い炎がジャバリを包んでおり、近くにいると思わず火傷しそうになる。
彼岸花が燃えてしまうので目にも止まらぬ速さで川に突っ込んでいったが、ジャバリの落ちた川はそこだけぐつぐつと煮えたぎっていた。
餓鬼道に落ちるというのは難儀な物である。一体人間だった頃に何をしたというのか。

結局びしょ濡れになった体を堤防で乾かす。
「彼岸花……綺麗だけど、もうウチの知り合いはみんな向こう岸に行っちゃったんよ、世知辛いんよ」

589小松菜 ◆YJMWmO4ZS6:2017/09/23(土) 23:55:31 ID:T0YCDSjI0
>>588
「うぉ!? なっ、なんだぁ……?」

木行竜で、しかも種族変性で金行も加わった為物凄く火に弱い。無意識に引いてしまう。
食べ物が灰になるなど、有機物を食べる必要があるのかすら疑問に思うような光景に、押されてしまう。

「……まっ、生まれ変わりとか死に損ないとかあるんだ。これからの知り合いと長く付き合えばいいんじゃね?
たまに果物とか奢ってやるよ。俺も寿命長いし、死に損なうことが確定しているみたいだしな」

食べ物については制限があり、そもそもあまり食べずともいい種族。だからその苦しみを完全に理解してやることはできない。
それでも想像する。そして時と死が人を分かつこと、その辛さは理解しているつもりだ。

590ジャバリ ◆fJNTk09.gI:2017/09/24(日) 00:32:24 ID:1Vx9cn/M0
>>589

「……たぶん灰になるんよ、カビでも生えてれば多少は燃えないかもなんよ……」
常に飢え渇き続け、満たされず死ぬこともできないのが餓鬼だ。
その罪を精算するためとはいえ、傍目から見れば気の毒なものでしかない。
いつの間にか、煮えたぎった水も全て蒸発してしまっていた。

「でもありがたいんね、お前さんなら餓鬼道に堕ちる事はないんよ、きっと浄土で暮らせるんよ」
「ウチ、ジャバリ言うんよ、昔は人間の名前があったんだけどもう忘れたんよ……今は「闍婆隷」って書いてジャバリなんよ、たぶん当分はジャバリなんよ」

「燃えちゃったけど、お餅おいしかったんよ、ありがとなんよ」

591小松菜 ◆YJMWmO4ZS6:2017/09/24(日) 00:58:59 ID:T0YCDSjI0
>>590
「食用じゃない実だってそこそこあるさ。果物じゃないがヒョウタンとかの一部な。
本当はきのこが一番かもなぁ、食菌でも生は基本毒だし。能力の管轄外だけど」

どんな罪なのか、知らない。勝手な同情なのだろう。
でもその同情ができる限り、そんな道には堕ちないというのなら、いいのかもしれない。

「俺は、まあ、小松菜って名乗ってる。こっちじゃ本名知ってる奴ほぼゼロだしそれでいい」

思い返すのは、精霊となり行方不明となっている、妹。
妹を止めるために力を得たのに、火の精霊と化した妹に対しより火に弱くなった自分。
妹は、呪われた運命のようにその身を火と化した時、何を考えていたのだろう。

「きっと、満たされたっていいさ。お前がそれを探しちゃいけないなら俺が探してやるよ。片手間でいいならな。
余計なお節介かもしれないけどな」

罪には罰が必要だ。しかもどんな罪なのかも知らない。本来その罰に手を出すべきではないのだろう。
だが罰を受け続ける者の、呪いと化した罰に、同情をしてもいけないのだろうか。ただの一人でさえも。
答えはわからないが、なんとなく償い方も罰もひとつに限らなくていいと思ったのだ。

「なぁ、その名前、気に入ってるか? もしも、その当分って奴が過ぎたら、どんな名前を名乗るんだ?」

自分もまた、本当の名を名乗らなかったというのに。名乗る名があるのに、名乗らなかったというのに。

「、いや、忘れてくれ。まあどうせカフェの住人だろ? 検定でもあれば一緒になることもあるだろうさ。その時はよろしく」

592ジャバリ ◆fJNTk09.gI:2017/09/24(日) 17:05:03 ID:NPSP4wok0
>>591

「ま、そんなに心配しなくても大丈夫ねコマツナ、お腹がすくのを我慢するのは慣れっこなんよ・・・・・・」
「でも気持ちは助かるんよ、ウチら餓鬼は不浄の生き物なんよ、普通の人は近寄ろうとも思わないんよ」
餓鬼に施しを与える事は基本的に善行だ。ホームレスに炊き出しするのと同じである。
尤も、ジャバリのように人間の食物を手に取ると燃えてしまうほど重い呪いの場合は少々「工夫」が必要なようだが。

「あっあのねあのね・・・・・・お供え物にじゅもんを唱えてくれれば燃えないんよ、「さんばらさんばら」だか何だか言うんよ・・・・・・」
「うう、腹が減ってると思い出せないんよ」
帝国図書館で調べればその程度の呪文は分かるかもしれない。暇があれば調べてあげてもいいだろう。

「とても助かるんよ・・・・・・でも、"地獄の力を盗んだ罪"はそう簡単に償えないんね」
「そうね・・・・・・今のウチにはピッタリの名前なんよ・・・・・・
・・・・・・償い終わる時にお前さんが生きてるなら、その時は新しい名前、一緒に考えてほしいんよ」

「よろしくなんよ、部屋が燃えちゃうからカフェには住めないんね、でもカフェで会ったら、よろしくなんよ・・・・・・」

そう言うと、僅かばかりの球根を抱えて、トボトボと浮浪の少女は堤防の向こうに消えていった。

593黒髪の女 ◆DUSK/kzn02:2017/10/07(土) 21:44:55 ID:eRkB3tXk0
>>557
「(――!)」

まんまと喰わされてしまったと少女が気づくのは、炎が生まれてからだった。
突きの勢いで下ろうにも下れない。

少女は、前へ飛ぶ。
肩から入り転がる様に……人はそれを捨て身と呼ぶかもしれない……飛び込んだ

594黒髪の女 ◆DUSK/kzn02:2017/10/07(土) 22:36:41 ID:eRkB3tXk0
【カフェ】
今日のおやつはカボチャのクレームブリュレキャラメルアイスのせ
秋の香り。

「ふむ」
「ランタンに加工しやすく中身も使えるくらいには美味いカボチャ、か」
「無駄の少ない好い案だが、ジャックオーランタンの中身となるといささか供給が多すぎないか?」
「……成程、喰えと」
「わかりやすい」
「しかし俺だけでは少々余るぞ?」

595クオン ◆YJMWmO4ZS6:2017/10/07(土) 22:43:37 ID:T0YCDSjI0
>>594
「きっと食べきれない分は転送装置経由で恵まれない地域への寄付となりますし、気負わなくていいと思いますよ〜」

入店。丁度満天青空レストランで放映されたバルサミコ酢入りカボチャポタージュを飲みにきたらしい。タイムリーだ。

596黒髪の女 ◆DUSK/kzn02:2017/10/07(土) 22:52:36 ID:eRkB3tXk0
>>595
「ふむ。それで食にありつける者らがいるかもしれないと考えると寧ろ流した方がいいのか……?」
店内に暖かく優しい香りが加わる。暖かいご飯は鼻からおいしい。

「スープか」
「……」

「……」

「……栗ごはんサツマイモご飯はよく聞くがカボチャごはんとやらは見たことがないな」
くそ飯の気配!

597クオン ◆YJMWmO4ZS6:2017/10/07(土) 22:59:18 ID:T0YCDSjI0
>>596
「貧困地域の場合はただ食事を与えるだけでは根本の解決にはならないのですけどね。
被災地、となるとまた話は別ですし、根本の解決にならなくても死を遠ざける意味はありますけど」

このあたりは道徳倫理と政治経済の兼ね合いに技術が加わり始めて解決に向かう。

「カボチャの煮付けは聞きますがサツマイモの煮付けは聞きませんね」

逆パターン。おいしいのかもしれないが……

598黒髪の女 ◆DUSK/kzn02:2017/10/07(土) 23:04:35 ID:eRkB3tXk0
>>597
「今日を生きながらえたら明日何かが変わることもあるかもしれない」
「……あまりにも博打すぎて駄目な考えだが、な」
「ただ、腹が膨れりゃ考えられなかったことが思いつくかも知れないな」

「レモン煮や昆布と煮るのは聞いたことあるが煮つけ、と言われると醤油がでてくるな。甘い系のカボチャを煮付けられるならサツマイモも合わなくはない……のか……?」
マスターがどっちも作ってみようか?みたいな目をしている

599クオン ◆YJMWmO4ZS6:2017/10/07(土) 23:09:27 ID:T0YCDSjI0
>>598
「一人が思いついて現状を打破すればそれに続ける、かもしれないですけどね」

「味の探求も挑戦の繰り返しですよね。ただ、マスターが作ると大抵美味しくできちゃいそうですよね」

ある種定められたチート存在。

600黒髪の女 ◆DUSK/kzn02:2017/10/07(土) 23:19:49 ID:eRkB3tXk0
>>599
「まるで革命だな」

「ここで味をしめてよそで喰ったら死ぬと見た」
確定旨いなら喰うよ

601クオン ◆YJMWmO4ZS6:2017/10/07(土) 23:24:14 ID:T0YCDSjI0
>>600
「何かが広まる、というのはそういった側面が必ず存在するのでしょうね〜」

「ごはん、の方なら元々味を濃くしませんし痛い目は見ないかもしれませんよ?」

農家さんなら色々試しているだろうから意見を聞けるのだろうが。

602黒髪の女 ◆DUSK/kzn02:2017/10/08(日) 23:40:21 ID:eRkB3tXk0
>>601
「それもそうだな……」

「取材というか下調べありの料理勝というのも面白そうだな?」

603クオン ◆YJMWmO4ZS6:2017/10/08(日) 23:50:26 ID:T0YCDSjI0
>>602
「必ずしもいい方向に向かうとは限らないのですよ?
イギリス料理とかフランスの技術全てを破棄したせいで酷いことになったと聞きます」

革命は革命。革命自体にいいも悪いもないが結果に良し悪しはある。

「さて、本当に料理勝負いきます? 仲良くお料理教室ではなく?」

604黒髪の女 ◆DUSK/kzn02:2017/10/09(月) 00:09:38 ID:eRkB3tXk0
>>603
「ほお。そんな背景があったのか」
「難儀なものだ」

「俺は構わんぞ。得意かと問われると疑問ではあるがな!」

605クオン ◆YJMWmO4ZS6:2017/10/09(月) 00:15:57 ID:T0YCDSjI0
>>604
「美味しく作る為に積み上げられた技術を全否定したらそりゃ未熟な料理が生まれますよね。
それだけが原因というわけでもないようなのですけど」

「では条件はカボチャと、他に何か決めます? たとえば、カブとか?」

本来のランタンの材料とのコラボレーション。

606黒髪の女 ◆DUSK/kzn02:2017/10/09(月) 21:24:06 ID:eRkB3tXk0
>>605
「かといって半端に残しては革命にならん、か」
「ほう?」

「如何にもおとぎ話のような組み合わせだな。悪くない」
「悪く無い、が」

0・5:「はんぺん」
奇数:「にんじん」
偶数:「くだもの」

「などどうだろうか」

607クオン ◆YJMWmO4ZS6:2017/10/09(月) 22:01:17 ID:T0YCDSjI0
>>606
「革命の目的にもよると思いますけどね。よりよくするための革命で悪い方向に向かうなら意味はありません」

「実を言うとイギリス料理でも美味しいものは美味しいらしいのですよね。
今までの技術全て捨て去っても新しい技術が必ずしも美味しくないわけでもないですから。
美味しくない料理になるのは素材が問題なだけ、という側面もあるそうです」

ルゥタイプのカレーなどは原型の原型はインドだが原型はイギリスなのだとか。


「カボチャと果物。なるほど……よし、折角ですしイギリス料理のアレンジをベースにカボチャと果物で」

クオンが暴走を始めた。

608黒髪の女 ◆DUSK/kzn02:2017/10/09(月) 22:41:33 ID:eRkB3tXk0
>>607
「事が悪くなると思いながら起こす革命とはそうあるものなのか?」

「素材と見た目……かな……」
スターゲイザーパイ。

「言いだしておいて俺はどうしようか」
アイディアを求めて外に出るようだ。

609クオン ◆YJMWmO4ZS6:2017/10/09(月) 22:53:43 ID:T0YCDSjI0
>>608
「大体が戦争がらみの文化革命ですね、そういった悪い革命の大半は……
だってそうでなければ悪い手段と分かった段階で広がらないですし」

「一時期はそうとう危ない食事情だったらしいですからね〜……海産物は悪くないはずなのですが」

例:店売り食品のサンプルを2400集めて調査→ほとんど混ぜ物、残りはそもそも本物入ってないという結果に。


「ではお供しましょう。具体的な料理も決めたいですし」

パッと考えただけではスコーンと共に紅茶のお茶請けになりそうだった。

610黒髪の女 ◆DUSK/kzn02:2017/10/09(月) 23:20:24 ID:eRkB3tXk0
>>609
「……成程」

「喰えるだけまし、なのだろうか」
戦時中の米かよ

「果物を見れば案外何か湧きそうだと思うんだ」
くるならこいこい。

611クオン ◆YJMWmO4ZS6:2017/10/09(月) 23:29:23 ID:T0YCDSjI0
>>610
「言い忘れてましたが、混ぜ物といってもパンに漂白剤だの牛乳にホウ酸だのだったとか」

現在のイギリスはそういった背景から急速に料理を学び料理文化が発展しつつあります。あくまでも料理暗黒期の話です。


「すみません。アボカドください」

早速アボカドに目をつけた。果物がお題でアボカドを使うのはズルイような……

「アボカドでクリームソース作ってタラと合わせましょう。その上にポテトの代わりにカボチャをマッシュして乗せて〜」

シェファーズパイのアレンジらしきレシピを引っ張り出してきた。

612黒髪の女 ◆DUSK/kzn02:2017/10/09(月) 23:55:41 ID:eRkB3tXk0
>>611
 _,
( ゜д゜)「喰えねえ!」
よく生き延びたなあ……

「あっ何それうまそう」
パンやパスタに合いそう。PLの胃袋にダメージ!!

「これは手強いな」
手に取ったのは――

1.4.7:ぶどう
2.5.8:柑橘類
3.6.9:りんご
0:マンゴー

613クオン ◆YJMWmO4ZS6:2017/10/10(火) 00:15:04 ID:T0YCDSjI0
>>612
「牛乳に至っては五割水で薄めた上でホウ酸とかもあったとか。粘土入りのお肉とか糞尿に漬け込んだチーズとか」

むしろ正規品より手間と金がかかってそうなゲテモノすらある恐怖。
食の劣悪文化を生き延びた歴史はまるで魔法である。もっともイギリスだけがそうとは言わないが。


「ぶどう……なるほど、バルサミコ酢ですか。やりますね」

そういえばクオンもカフェでバルサミコ酢入りのカボチャポタージュを注文していた。
既にカボチャと果物の合わせ技は披露した後だったのだ。そしてバルサミコ酢は調味料。アレンジが利きやすい。

「それにワインに合うというのはポイント高いですね。飲み物も考慮するのはいい感じです」

614トーム:2017/10/14(土) 21:14:57 ID:J5ZUlMko0
【カフェ】
                               ..|| |::
                               ..|| |::
                               .|| |::
.                               || |::
                    ( \/ / ̄\  ..|| |::
                     ヽ/ /^o^/⌒ヽ..|| |::  窓を割ってカフェにアクセスしたという
                      / /\/ ,ヘ  i..|| |::   過程を消し飛ばした…
                      し' \_/   ..|| |::  
____.__________ i⌒ヽ  ./  ||_   今ここにいる俺は、
____________/⌒ヽ i  i  \  |__|   『窓を割る』という過程を飛ばして
:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::  i    | /ヽ   ヽ      『カフェに入店した』という結果だけを残した
:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::      ヽ ヽ| |、 \_ノ     トームなのだ。
:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::  \|  )
:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::: .ノ ./⌒)
:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::: し'.ヽ

よく分からないことをのたまいながら、変態がその姿を現した!

615クー ◆YJMWmO4ZS6:2017/10/14(土) 21:24:28 ID:T0YCDSjI0
>>614
「『入店』の間に挟まった過程の内『ドアを開ける』『窓を割る』『天井を突き破る』『床を掘り抜ける』などを同時に吹き飛ばしたとき、
結果がひとつに収束せず偏在するなら複数人の自分をも偏在させることがスヤァ……」

自分で言っていて面倒になったのは眠りに落ちる。しまったッ! ここはギャグ時空だ!

616トーム:2017/10/14(土) 21:29:01 ID:J5ZUlMko0
>>615
「お前さん、さては天才だな?言っていることがなにひとつ分からねぇ」(^ω^ )ズズズ
 男は既にコーヒータイムを迎えている。今回は窓を割らなかったので、すんなりコーヒーを出してもらえているようだ。

617クー ◆YJMWmO4ZS6:2017/10/14(土) 21:33:40 ID:T0YCDSjI0
>>616
「甜菜?」

砂糖大根。

「暇すぎて自分でも何を言ってるかよくわかってないですねー」

何も注文せずにだらけている。何かあれば喜んで首を突っ込みそうだ。

618トーム:2017/10/14(土) 21:41:32 ID:J5ZUlMko0
>>617
「カフェに来たのならせめて何か飲むといいぜ?たまには俺様が奢ってやろう」(^ω^ )9m
指をぱちりと鳴らして、運ばれて来たのは、ジョッキになみなみと注がれたルートビア。
奢ると言っては、人にルートビアとコーヒーのどちらか提供という部分は変わっていないようだ。
相変わらずらしい彼の性格を感じる。

619クー ◆YJMWmO4ZS6:2017/10/14(土) 21:47:27 ID:T0YCDSjI0
>>618
「これがあの、って薬! 薬臭い通り越して薬ですよこれっ!」

といいながら飲む。一応薬師だからなれているのだろうか。いや、なんだか駄目そうだ。目が泳いでいる。

620???:2017/10/14(土) 21:47:49 ID:H6MA15nI0
「ここが強力なゾンビのいるという、よく爆発するカフェですわね…」

シスター風の女はカフェの前でそう呟いた

621 ◆YJMWmO4ZS6:2017/10/14(土) 21:50:30 ID:T0YCDSjI0
>>620
カフェの中からは客がいるのだろう、何やら騒がしい声が聞こえる。
今のところは爆発する気配はない。気配もなしに爆発するかもしれないが……

622トーム:2017/10/14(土) 21:51:26 ID:J5ZUlMko0
>>619
「湿布みたいな匂いが癖になるだろう?ん?ならないか」(^ω^ )
 人を選ぶ匂いと甘さであることは確かだ。
「仕方ねぇな。嫌がるもんを飲ませる訳にもいかねぇしな……マスター、ドクターペッパーを頼むわ」
 どっちも同じようなもんだろう。というツッコミが入る前にはなみなみと注がれたジョッキがクーの目の前に突き出されていることだろう

623トーム:2017/10/14(土) 21:54:47 ID:J5ZUlMko0
>>620-621
............... ..ヽ . ;: . / .⌒ _,,..__ ヽ  ) ;. :ノ......... .........
:::::::::::::::::::::::::::ゞ (.   (::.! l,;::) .ノ ノ ./::::::::::::::.......:::::
        ._ゝ,,. .-ー;''""~ ';;; - .._´,
       ._-" ,.-:''ー''l"~:|'''ーヾ  ヾ
      ::( ( .     |:  !     )  ) まさに呟きが現実になる瞬間が訪れる
        ヾ、 ⌒〜'"|   |'⌒〜'"´ ノ
          ""'''ー-┤. :|--〜''""
              :|   |
              j   i
            ノ ,. , 、:, i,-、 ,..、
      _,,  ,. -/:ヽ::::::::ノ::::Λ::::ヽ::::-- 、ト、
,,/^ヽ,-''"::::\::::::/:::::|i/;;;;;;/::::;;;;ノ⌒ヽノ:::::::::ヽ,_Λ

   ̄ヽ、   _ノ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
     `'ー '´
                  ○
                  ο
                  o
                  (^ω^ ) と、未来を夢想するトームであった

624???:2017/10/14(土) 22:01:46 ID:H6MA15nI0
「今のところ、爆発はしないようですわね…? では」

 女は中の様子を注意深くうかがい
、安全であると見るや扉を開き、カフェの中に足を踏み入れた。
 そして適当な席に着いてコーヒーを注文する。
しばらくコーヒーをちびちび飲んでいた女だったが、ある時から何かに気付いたようで、ある男たちをじっと見つめていた。トームとクーを、じっと観察するように観ている。

625クー ◆YJMWmO4ZS6:2017/10/14(土) 22:05:54 ID:T0YCDSjI0
>>622
「ドクペ……うーん、うーん……」

何やら形容しようとしているらしい。先ほどよりは顔色は悪くないが、難しそうな表情だ。
そもそもプレーンの炭酸水とか飲んだりでまともな炭酸飲料飲むことが少ないゆえに美味しいのかどうか判断がついていないようだ。
飲み慣れない味なのか合わない味なのかの判別がついていない。

「オロナミンCとか、あれも言われれば薬っぽい感じですよね。飲めますけど。系統は違いますが炭酸飲料ってそんな印象?」

何やら変な偏見が植えつけられた気がする。


>>624
「? こんにちはー」

気付いた。まずは挨拶。何故見られているのだろう、特に思い当たるものはないので首をかしげる。

626トーム:2017/10/14(土) 22:13:49 ID:J5ZUlMko0
>>624
        ( ^ω^) シュッ  シュッ やあお嬢さん。ここは初めてかい?
        (つ と彡 / シュッ    そんなに見つめなくたって、コーヒーくらいは奢ってやるぜ?
         /// /
        /c□ /
      /旦  /
     //c□ ./
   /旦 Y  /
   | |   旦 |
   |旦  ガシャーン
     ガシャーン
   ガシャーン  ガシャーン

一方で観察されている男は、それに気づいたのかあなたにコーヒーを際限なく提供し始めていた。
最早、嫌がらせにしか見えないが、これが彼なりの好意の表れだと気づくのは後のことだろう。
徐々に足元で範囲を広げつつある黒い水たまりが目に映る

>>625
「別物……だろうなあ。完璧に畑違いだと思うぜ、俺は?」(^ω^ )
オロナミンCはあくまで薬っぽい炭酸飲料だという印象だった

627???:2017/10/14(土) 22:15:31 ID:H6MA15nI0
>>625
「あら、ごきげんよう。親切な人ですわね。流れ者の不審な私(わたくし)にまで挨拶してくださるなんて」

 女は立ち上がり、クーの前まで歩んでくる。十字架を背負い、小さな柩を持つその女は、言う。

「親切ついでに教えて下さる? あなたはそこの死者だかゾンビだかよくわからない男のお友達ですの?」

 トームを指で示しながら。

628クー ◆YJMWmO4ZS6:2017/10/14(土) 22:20:23 ID:T0YCDSjI0
>>626
「とりあえずコーラ系は苦手かも?」

コーラ系でひとまとめにされてしまった。まだ見ぬビッグネームな炭酸飲料よどんまい。


>>627
「?」

物凄く不思議そうな表情。そして悩む。

「んと、カフェメンバーは友達と言っていいのですかね? とりあえず仲間であることには違いないとは思いますけど」

629???:2017/10/14(土) 22:28:53 ID:H6MA15nI0
>>626
「あら、ありがとうございますわ。ですが…大半が零れてしまってますわ。勿体ない」
 女は両手でそれぞれ一つずつカップを受け取ったが、それでもトームの提供するコーヒーの数は尋常ではない。
大半が床に落ち、割れ、中身を飛び散らせた。
「こちらの方はみんな親切なのかしら? そんな風に歓迎されると、なんだか躊躇ってしまいますわね」
 女はカップの中身とトームとを交互に見ながら、笑った。
「一応聞いておきますけれど、あなた死者でお間違いないかしら。臭い死人の匂いがしますの。
そしてもし死人でお間違いないのでしたら、私のコレクションになって頂けますこと?
私、死霊術に嗜んでおりまして、強い死霊やゾンビを収集するのが趣味なのです」

630???:2017/10/14(土) 22:32:53 ID:H6MA15nI0
>>628
「仲間…。となると困りましたわね。
私がこの男を無理矢理にどこかへ連れていこうとした場合、貴方は私を止めますわよね?」
 女は困ったような笑みを浮かべ、問うた。

631トーム:2017/10/14(土) 22:36:42 ID:J5ZUlMko0
>>628
「ぐぬぬ…いずれお前さんにはみっちりと炭酸飲料の良さを教えてやる必要が…」(^ω^;)

「え、友達じゃなかったん?」(^ω^ )
 いや、仲間と友達は…うーん…?と悩むが。足りない脳では深く考えてもわからないのだ。

>>627>>629
「なぁに。俺がここまで親切にするのは良い女が来た時か、からかい甲斐のある奴が来た時くらいなもんさ」

「……しっかし、俺を死人と見抜くとはよ。そのシスター服、伊達じゃない…ってとこか?」
見る目が変わった。とはこのようなものを言うのだろう。だがそれが警戒の色でないことは見てとれた。
興味の色が濃いように思えるが、それは果たして無警戒なだけなのかまでは分からなかった。

「面白い話だが、恋人って言うコレクションなら歓迎するが人形的な意味でなら勘弁だな」
返す言葉も、気が抜けていて真面目さの欠片も感じられない

632クー ◆YJMWmO4ZS6:2017/10/14(土) 22:40:37 ID:T0YCDSjI0
>>630
「本人の自由意志を尊重するならなるべく止めないと思いますけど……
悪いことをしたとかでないなら本人の意思を尊重してあげてください」

先ほどまでのギャグ的雰囲気が霧散し芯のある声で答える。

「まあそれはそれとして悪いことをしたら無理矢理も仕方ないですよねー
例えば家族を放って復讐に走ってる家出娘とか捕まえられても仕方ないです」

物凄く個人的なジャッジ。


>>631
「えっ? んーじゃあ今から友達ということで」

物凄く適当だ。共闘までしたというのに。関係性を考える必要のないほど距離が近かった、という証拠かもしれない。

633トーム:2017/10/14(土) 22:51:35 ID:J5ZUlMko0
>>632
「え?あ、うん…ありがとな」(^ω^ )
急きょ認められた友達という立場に、どう判断していいかわかりかねるトームだったが素直に礼を言うことを選択したようだった。

「しかし悪いことと言われると身に覚えがありすぎて困る」(^ω^ )
それはそうだろう。先程大量のコーヒーをぶちまけたのだから。

634クー ◆YJMWmO4ZS6:2017/10/14(土) 22:56:13 ID:T0YCDSjI0
>>633
「身に覚えがあるのですか。ふむ……」

「人のために時間を使ってみるのもいいかもしれませんね!」

風向きが怪しくなってきた。

「世の中助け合いです。沢山助けましょう。で私も助けましょう。私も助けますから」

ややこしい。

635???:2017/10/14(土) 22:58:45 ID:H6MA15nI0
>>632
「ええと、この方が悪いことをしたのか、なんという名前でどのような性格かも私は知りません。
ただ私の収集癖が強い死人を欲しているだけですから……まぁ! 止められてしまいますわね!」
 とんでもないことに気づいたかのようなわざとらしい顔を作って、女は言う。
「2対1というのも面白そうですが、今日はそういう気分ではありませんから、やめておきますわね」
 小さな柩に繋がれた鎖をじゃらりと鳴らし、不敵な顔を見せる。柩からは死者の声が聞こえる。

>>631
「それはシスターですから。伊達や酔狂、コスプレではありませんわ」
 右手のカップに入ったコーヒーを飲み干す。
「ちなみに、お人形的な意味でしてよ。今日のところは引き上げますが、可愛がってあげますから是非ともお考え下さいな」
 もう片方のカップも同様に飲み干し。「コーヒー、ご馳走さまでした」
 とん、とカップをテーブルに置く。

636トーム:2017/10/14(土) 22:59:21 ID:J5ZUlMko0
>>634
「ああ、助けることや人のためって事に関しては良いとは思うがよ……具体的になにすりゃいいんだ?」

「………」(^ω^ )
--熟考--

「コーヒー奢るとか?」(^ω^ )
歴史は繰り返される。

637クー ◆YJMWmO4ZS6:2017/10/14(土) 23:05:44 ID:T0YCDSjI0
>>635
「……私は死者じゃないんですね」

自分の中の吸血鬼の血を殺した。種族変性。新たな種族として今までの人生の延長を生きている。
死者というには遠い。だが健常者といえるかは微妙。少しだけ、それに心が引っかかったのかもしれない。


>>636
「ふむ……迷惑に思うほどに助ける……! これが、お節介!!」

638トーム:2017/10/14(土) 23:06:07 ID:J5ZUlMko0
>>635
「お考えもなにも、どこをどう可愛がるかを教えて下さらんと考えることすらできねぇ」( ^ω^)=3

「もし可愛がり方を教えてくれのなら……あるいは…?」
考えてしまうのか

639トーム:2017/10/14(土) 23:08:00 ID:J5ZUlMko0
>>637
「それだな!」(^ω^ )
とりあえずルートビアを煽って誤魔化した。

640クー ◆YJMWmO4ZS6:2017/10/14(土) 23:09:50 ID:T0YCDSjI0
>>639
「今度の依頼系の検定ではお節介レベルで頑張る。これですね」

あぁ無関係な人にも飛び火していく。

641旅行者風の男:2017/10/14(土) 23:21:14 ID:5xAxy0hQ0
>>593

もう止まれないから進むしかない、単純な力押しと言えばそれまでなのだろうが……このように一貫してそう振る舞われると逆に厄介だ。
幾ら小細工を重ねても一向に間を広げる事が出来ない、この瞬間は此方が優位かもしれないが、主導権がいつまで経っても握れない。

「――っ、く、爆ぜろ!」

剣先に灯した火球が、言葉を切っ掛けに炸裂する、それは、熱と爆風による強烈にして最後の拒絶の壁。
これを耐えれたのならば……少女に、反撃の機会は訪れるだろう。

642???:2017/10/14(土) 23:23:34 ID:H6MA15nI0
>>637
「吸血鬼は私たちにとって、滅ぼすべき化け物であって、死がないというだけであって、死者とは違う扱いなのです」
 女は言う。
「僅かに吸血鬼の気配もするのですね。魂でしょうか? その匂い」

>>638
「化け物を倒すときには前線に立って頂き、手足がもげてバラバラになるまで使い倒しますわ。
その後修復して、また再び前線に。私が死ぬまで永遠に、命じられるままに戦いを続ける…という感じでしょうか」
 どちらかといえば男の子が人形を壊れるまでぶつけあわせるような可愛がりかただった。
「今日は諦めますが、いずれコレクションにしたいものですわね」



「では、私この辺りで失礼させて頂きますわね。ごきげんよう」
 コーヒー代を払うと、女は不穏な笑みを浮かべ、店を出ていってしまった。

643クー ◆YJMWmO4ZS6:2017/10/14(土) 23:28:04 ID:T0YCDSjI0
>>642
「生まれは吸血鬼とエルフのハーフだったんですけどねーしかも人為的に作られたクチの。
今は種族変性で変わったのですけど……臭いが残ってるのですかね?」

魂の臭いや気配を感知する適正は低いのかもしれない。精霊使いのくせに。

「さようならー検定でご一緒するときはよろしくお願いしますねー」

644トーム:2017/10/14(土) 23:28:47 ID:J5ZUlMko0
>>640
「ああ!頑張る!」(^ω^ )
頑張っちゃいけないやつではないだろうか。

>>642
         _、_
      .(;^ω^)\
      | \ / \√|  さすがの俺もそれは引くわ
      ( ヽ√| ` ̄
      ノ>ノ  ̄
      レレ   ((

「……まあ、今度適当に流してもらうとすっか。悪い人じゃあなさそうだからな、うん」
気楽に考えることとした。

645黒髪の女 ◆DUSK/kzn02:2017/10/16(月) 23:19:46 ID:eRkB3tXk0
>>613
「よく食い物と言い張れたな」

「ばるさみこす……酢?レーズンや刻みキャベツあたりと合わせてサラダとかにすれば食えるだろうか」
ブドウにブドウを重ねていくスタイル。軽いおつまみみたいなものができそうだ

646クオン ◆YJMWmO4ZS6:2017/10/20(金) 02:26:22 ID:T0YCDSjI0
>>645
「情報の正確性という概念がまだ低いレベルの時代でしたから、
分野が違えばほとんどの国は昔、信じられない悪文化というものを生み出していると思いますよ」

今回はその場所と時代の悪文化が料理であったという話。一概に悪と言ってしまうのも主観でしかないが……


「ん〜……アボカドと合わせてレモンも使いましょう。あとニンニクとバジルとパセリ。イギリスでソースといえばパセリです」

偏見。

「とりあえずそのあたりを全部ミキサーに。マッシュしたカボチャは牛乳で滑らかにするだけで〜」

手抜き?

「あとはグラタン用のカップにタラ、アボカドソース、マッシュパンプキン、チーズの順に重ねて焼くだけです」

適当アレンジのフィッシュパイもどき。そのレシピが完成した。果物とカボチャを合わせた、と言い張るには少し寂しいが。
下調べにレシピサイト少し回った程度ならこれが限界かもしれない。というか聞き込みをしてもイギリス料理に詳しい人とか(略)

647黒髪の女 ◆DUSK/kzn02:2017/10/21(土) 22:39:28 ID:eRkB3tXk0
>>646
「……最近話題になっている昔の新聞記事がある」
「巫女だの犬神だの」
「空想話の大昔話みたいな話だ」
「だが、実は其れはほんの数十年前の話。なにしろ新聞記事になったのだから」
「……新聞記事で確かに信じられること、それは月日の表記だけだともいわれるがな」
「今のゴシップやデマみたいなものか」


「パセリは農家曰く栄養素が高いらしい。旬の者に合わせるにはベターだな」

「……なあ」
「大分惣菜感あるな」
「確かに果物としか俺は括っていない。その点では貴様の発想はある意味既に勝に近い」

「問題は」

「『どちらが旨いか』 だ」

黒髪の女からすれば薬味の配合にカボチャのふかし具合とゆるさは料理人の腕次第でどうにでもなるもの。
理論上めーっちゃおいしそうでも其処の具合では勝負はわからない――!


>自分もキャベツ使ってんじゃないか<

648クオン ◆YJMWmO4ZS6:2017/10/21(土) 23:00:50 ID:T0YCDSjI0
>>647
「情勢とか国のスタンスによっても異なるとは思いますが……まあ、日付間違えた新聞社の話を聞いた記憶が……」

人間ってどれだけ集まっても完璧にはならない。そんな話、かもしれない。


「……方向性の違う料理になりましたけど、これお互いの料理を合わせてセットメニューにしたほうが満足感が出るのでは」

勝負という土俵を壊しにかかった? 放っておくとどんどん明後日の方向に話を進めるかもしれない。
何やら「前菜とサラダ、それに〜」だの「ソルベにはグレープフルーツとか」だの言い出し始めている。

649黒髪の女 ◆DUSK/kzn02:2017/10/21(土) 23:10:18 ID:eRkB3tXk0
>>648
「戦後、先進国によってあらたな文化がもたらされた国と時代の絵巻物のような話さ」


「……」
「はっ」
「ははっ」

「ウマい卓になりそうだ!」

はは、ははははは!
天を仰ぎ額を手に当て女は嗤う。
くじけぬ戦意を叩きつけた直後に手を伸ばされるとは!

ああ、ああ。嗚呼!認めよう!
いや、もはや貴女には勝ち負けなんて見えてないのかもしれない
それでも

『俺の 負け だ』

「さあさあさあ此れからが大変だな!」
「カボチャと秋のフルコースだからな!!」



「――最後は紅茶か?」

650クオン ◆YJMWmO4ZS6:2017/10/21(土) 23:23:25 ID:T0YCDSjI0
>>649
「時代の変化って思ったよりも強烈なんですよね……
だからこそジェネレーションギャップというのが起きるのでしょうね」


「いいえ、打倒マスターです。共にゆきましょう」

無謀! 手を差し伸べたのではなくて闘争心が明後日の方向に向いているだけだった。

「イギリスといえば紅茶、いえでもチコリ入りコーヒーというのも試してみたいのですよね〜」

食後のお茶をどうしようかと真剣に悩み始める。くるくると、自分の思うことを素直に、思うままに話す。
気まぐれにも見える。興味に忠実にも見える。

「ハロウィンは忙しいですね〜」

忙しく表情を変え、笑った。

651黒髪の女 ◆DUSK/kzn02:2017/10/22(日) 11:14:47 ID:eRkB3tXk0
>>650
笑いが止まる。サングラス越しの瞳は丸く小さい。
何度か瞬きをしてから、女はにいいいと口を曲げた。
再度こみ上げるものを漏らしながらクオンの後ろ肩を叩く手は少し力強いかもしれない。

「はんっ」
「今なら、貴様となら、マスターともだって張り合えそうだ!」

たのしい、楽しいと。愉快でたまらないと全身が叫んでいる。
血を見ない勝負の中であふれる感情があるとは。
ああ、だから俺は――
俺は――――


「チコリ、ハーブか?確か苦味の強いものだと聞いているが……苦味と苦味の組み合わせか。興味深い」

652クオン ◆YJMWmO4ZS6:2017/10/23(月) 19:37:40 ID:T0YCDSjI0
>>651
「チコリはコーヒーよりはマイルドな苦味で幾分スッキリとした印象になるとか?
爽健○茶にも含まれてますし苦味といってもお茶やコーヒーの範疇の苦味ですよ〜きっと〜」

人によって得意な苦味と苦手な苦味があるようだが、マイルドになる分はより万人受けに近づくのかもしれない。
この国でメジャーになっていないのは恐らくは単純な知名度不足なのだろう。たぶん。

「行きましょう。私たちはまだ登り始めたばかりなんですからね、この料理坂を――!」

打ち切り?

653 ◆YJMWmO4ZS6:2017/10/28(土) 20:51:29 ID:T0YCDSjI0
【カフェのスクリーン】
本日の検定内容_
‘護衛&指示’
〔ジャンル〕
限定戦闘
〔推薦適性値〕
使役B
護衛B
〔開催地〕
闘技場空き地風カスタマイズ

〔概要〕
一人でも様々な出来事を解決できる皆さんに物申す。世の中チームワークも大事だよ。
今回は制限をふたつ背負った状態で戦ってもらいます。
ひとつ、本人は魔法や攻撃禁止、攻撃は配布される使い魔を用いなければならない。
ひとつ、本人のリタイア以外の敗北条件、護衛対象として渡される使い魔が被弾しても敗北。
普段の自分の持ち味のほとんどを封印されてなお、勝利を掴める人であれ。

〔ヒント、その他〕
与えられる使い魔は選べます。
・「歩兵スライム」スペックは平均的に低いですが倒されてもすぐに呼び出せます。
・「香車ボア」移動が速く力強いですが小回りが利かず遠距離攻撃を持ちません。
・「桂馬ゴースト」魔法攻撃が得意で短距離テレポートが可能ですが防御不能です。
・「金銀ゴブリン」二対で現れるため防御が得意ですが移動が遅いです。
・「王将ピクシー」護衛対象の使い魔です。特に強くありませんが強制で押し付けられます。

〔失格行為〕
・本人の魔法駆使および直接攻撃、ルールですので失格です。
・王将ピクシーの被弾、ルールです。
・その他あまりにも常識を逸脱する犯罪行為、さすがにやめましょう。

〔BOSS〕
・「角馬ユニコーン」「飛竜ワイバーン」
対戦相手がいてもいなくてもお邪魔してきますので頑張ってください。

《PRESENT》
☆玉座の扇☆
分類:魔導具&使い魔
今回の検定で選択できる使い魔を全種類自由に切り替えて使役できる扇です。
誰かを打ち倒し、最後まで生き残った人全員に与えられます。

☆奔鷲☆
分類:魔導具
自らの魔法ひとつを、使役する限り永遠に使用不能にすることで生み出される使い魔です。
角馬ユニコーンと飛竜ワイバーンを打ち倒した人全員に与えられます。

《検定開始時刻》
>>今
《終了予定時刻》
>>その場のノリ

654グレンチュア ◆fJNTk09.gI:2017/10/28(土) 21:00:37 ID:dUNDYfKM0
>>653

「……ユニーク。まるで将棋だな」

スクリーンに映し出されたは何やらボードゲーム風の検定。
髪で目が隠れた中性的な大人しい雰囲気の少年がコーヒーを飲み終わり読んでいた本を閉じると、ちょっと息抜きとでもばかりにゲートへ潜っていく。

「どっちかというとタワーディフェンス……?まあ将棋もタワーディフェンスと言えなくもないか……」

655ウェイデン ◆YJMWmO4ZS6:2017/10/28(土) 21:06:43 ID:T0YCDSjI0
>>654
「タワーディフェンスとはいうが、別にこちらから攻めてもいいわけだ」

無駄に燃えてる雰囲気が暑苦しい青年。

「この検定の目指すところはふたつ。参加者同士で戦うか、協力して指定ボスを討伐するか!」

協力する振りをして裏切る、協力した後裏切る、協力した後改めて勝負するという道もあるが……

「さあどうする! 参加するんだろう? するよな。よしするぞ!」

656 ◆YJMWmO4ZS6:2017/10/28(土) 21:13:19 ID:T0YCDSjI0
【闘技場】

検定用にカスタマイズされていて広い空き地のようである。
土管が配置してあったり鉄骨が壁のように積んであったり草が生えてたり土がむき出しだったりする地面もある。
雨が降った後という設定なのかぬかるんでいる場所もあり平坦に見えて油断ならないフィールドだ。

スタート位置はどうやら四方の角。それぞれ東西南北で与えられる使い魔が異なるようだ。
つまり、同じ使い魔を選んだ人物とは同じ地点からスタートすることになる。
ユニコーンやワイバーンはそれぞれ地上と空中を自由に移動しているようだ。

657グレンチュア ◆fJNTk09.gI:2017/10/28(土) 21:17:40 ID:dUNDYfKM0
「お、お手柔らかにお願いします……」

闘技場の端に立ち、とりあえず使い魔を渡される。

「さてと……金なし将棋に詰め手無しとはよく言ったものだし……ゴブリンかな」

658ウェイデン ◆YJMWmO4ZS6:2017/10/28(土) 21:25:55 ID:T0YCDSjI0
>>657
周囲に青年の姿はない。どうやら別の使い魔を選んだようだ。

さて、これから先は来るものを待ち構えてもいい、他の参加者を探すもいい、指定ボスを探すもいい。

与えられたゴブリンはデフォルメされていて鎧兜を着用している。ひこ○ゃん?
どうやら盾を持っていて防御魔法も使えてと防御が得意なのは本当らしい。攻撃魔法も使えるようで隙は少なそうだ。
ただし鎧が重いのか走ることはできないようで歩幅も小さく移動速度は本当に遅そうだ。

659グレンチュア ◆fJNTk09.gI:2017/10/28(土) 21:40:48 ID:dUNDYfKM0
>>658

「あれ、ゴブリンって言うからもっとゴツいもんかと……なんかかわいい」

とりあえずデフォルメゴブリンをぷにぷに弄る。

「でも想像以上におっそ……うーん、この子ら抱えて持てないかな……」
「……ふぎぎぎぎ……おっ重いっ……」

しかし空中からの襲撃も考えると機動性の無いこの使い魔はあまり開けた場所には置けない。
この辺では一番障害物の多い土管エリアに向かうことにした。

660 ◆YJMWmO4ZS6:2017/10/28(土) 21:48:13 ID:T0YCDSjI0
>>659
土管が積まれていたりで視界が多少遮られるエリア。
土管のほとんどはそれほど高くは積まれていないが、それでも十分障害物になりそうだ。

何よりも土管の中で王将ピクシーに待機してもらえばパッと見どこにいるか分からないかもしれない。
当然横倒しの土管ならば空からの攻撃も防ぐことができるだろう。下手に空中に避難させるよりも安全かもしれない。

147なら指定ボス登場
257なら今のところ何もなし
369ならウェイデンを発見(こちらには気付いていない)
0ならウェイデンと指定ボスの戦いを目撃

661グレンチュア ◆fJNTk09.gI:2017/10/28(土) 22:03:07 ID:dUNDYfKM0
>>660

「。。。(とにかく飛竜角馬が面倒なんだよな……何か対抗馬は……あの人がゴーストあたりなら協力しやすいんだけど)」

とりあえずボスを倒す方針で進めるようだ。
果たしてウェイデンは乗ってくるか?

「とりあえずこの横倒しの土管にピクシーを隠して……これでよし、と」

「……どうもどうも、そちらは竜馬見つけました?」

念のため、金のゴブにゃんはピクシーと一緒に隠れてもらい銀のゴブにゃんに盾を構えさせつつウェイデンに近づく。

662グレンチュア ◆fJNTk09.gI:2017/10/28(土) 22:05:39 ID:dUNDYfKM0
(奇数ならボス登場、偶数なら何もなし)

663ウェイデン ◆YJMWmO4ZS6:2017/10/28(土) 22:11:03 ID:T0YCDSjI0
>>661>>662
ウェイデンの使い魔は?
147なら歩兵
258なら香車
369なら桂馬
0ならまさかの王将二枚の縛りプレイ。マゾい。

「ん? 馬はみつけていない。が、竜は飛んでいるからな。ここからだとよく見えるぞ」

土管の上で仁王立ち。その視線の先には飛竜が羽ばたいていた。こちらへと向かってくる!

664グレンチュア ◆fJNTk09.gI:2017/10/29(日) 00:05:47 ID:dUNDYfKM0
>>663

「来たかっ」

龍の襲来に思わず剣に手が伸びるが、この検定は本人が攻撃はできない。
それよりもウェイデンの使い魔が桂馬である事を確認する。

「桂馬ゴースト!しめた!」
「竜はこちらが引き付けます!死角から一撃を!」

ゴブにゃんがガキン!と竜と衝突し、持ち前の耐久力で邂逅の衝突に悠々と耐えてみせる。

665ウェイデン ◆YJMWmO4ZS6:2017/10/29(日) 00:26:44 ID:T0YCDSjI0
>>664
突進をごぶにゃんが二人がかりで防御する。盾と防御魔法の併用による四重障壁は飛竜を受け止めて見せた。
だが飛竜もそれだけでは終わらない。そのまま顎を開き火を灯す。そしてブレスとして吐き出される――

「了解したぁああっ!!」

ゴーストが顎の下から攻撃魔法を放ち無理矢理顎を閉じさせる。
短距離テレポートの応用で飛竜の顔面に泥を転送して軽く目潰しまでしてのけた。
ブレスの中断と突然の泥。すぐに振り払い混乱から回復するだろうが、今、明確な隙ができた。

「っ!」

飛竜に悟られないよう声を出さずに親指を立てる。同時攻撃のチャンスだ、と言いたい様だが伝わるだろうか。

666グレンチュア ◆fJNTk09.gI:2017/10/29(日) 20:31:02 ID:NPSP4wok0
「よし、乗ってきた!」

上手いことウェイデンが立ち回ってくれたお陰で飛竜に大きな隙ができる。

「!」

ウェイデンのサインに切磋にうなずき、銀のごぶにゃんに攻撃魔法を指示。
竜の腹下に潜り込み、金のゴブにゃんに反動軽減とマナシフトをしてもらいながらの連続攻撃を行う。

「いけぇーっ!」

二人のゴブにゃんが息を合わせ、トドメの二重魔法をなぎ払った。

667ウェイデン ◆YJMWmO4ZS6:2017/10/29(日) 20:48:30 ID:T0YCDSjI0
>>666
最高のタイミングで叩き込まれた同時攻撃魔法が飛竜に致命的なダメージを与える。
本来ならば相当に苦戦する相手だったのだろう。だが合計三体分の火力を一度に叩き込まれれば致命傷を負うのに十分だった。

5か0で角馬乱入。連戦だ!
それ以外で無事飛竜撃破!

668グレンチュア ◆fJNTk09.gI:2017/10/29(日) 21:18:54 ID:NPSP4wok0
>>667

「やったか・・・・・・なっ!?」

しかしアレの神様はそんなに容易く事を終わらせてくれない。
ズバァン!と倒れた飛竜を押しのけてユニコーンが走り抜けてくる。

「くっ・・・・・・!新手か!」

移動されたままでは容易に追いつけない。
ゴブにゃん二人組を呼び戻して体制を建て直し、土管地帯からカウンターのチャンスを伺う。

「どうするか・・・・・・やはりあのスピードは殺さないと」

669ウェイデン ◆YJMWmO4ZS6:2017/10/29(日) 21:32:54 ID:T0YCDSjI0
>>668
地上しか移動できないユニコーンだが、ここにはワイバーンの残骸と土管が積まれている。
平地ほどの速度は得られないだろうがその分立体的な軌道で動くことができるだろう。

飛竜と異なりその武器は角と足。強力な脚力を大地というグリップのある場所で突進力に変える。
無論蹴りも無視できない威力になるが、突進だけは防御に長けたごぶにゃんすらも貫きかねない。

「くっ、あの足は、速いぞ」

ランナーの感性によりその危険性を感じているらしいウェイデン。

147ならウェイデンの王将ピクシーが狙われる。
258ならごぶにゃん目掛けて突進してくる。
369なら意外と魔法で遠距離攻撃しかけてきた。
0なら何故かウェイデンが角馬に突っ込んでいく! 何か考えがあるのだろうか。

670グレンチュア ◆fJNTk09.gI:2017/10/29(日) 22:35:08 ID:NPSP4wok0
>>669

「そっちに向かってるぞ!」

ウェイデンのピクシーに狙いを定め突進してくる角馬。

しかし移動速度の遅い金銀ごぶにゃんを動かしても角馬には追いつけない。
どうにか動きを止めているところを襲撃できればいいのだが・・・・・・

「くそ、間に合わない・・・・・・これで何とか!」

ゴブにゃんが攻撃魔法で甲殻の破片をユニコーンへ投げつける。
ワイバーンの残骸を飛び道具的に投げてユニコーンの進行を遅らせる作戦だ。

奇数なら当たらない。現実は非常である
偶数なら当たる。ついでにこっち側に向かってくる
0なら当たるついでに突進阻止。

671ウェイデン ◆YJMWmO4ZS6:2017/10/29(日) 22:51:33 ID:T0YCDSjI0
>>670
「グッ、」

ピクシーを抱え逃げ回る。足に自信があるから実体がなく防御不能な桂馬ゴーストを選んだのだろう。
だが種族差はそう簡単には埋まらない。魔法ありきでならば覆せるかもしれないが、今は魔法の使用ができない。

追いつかれる、そう思ったときに角馬の首筋を飛竜の牙が掠めた。
発声能力がない角馬は無言で驚きその場を離脱する。だがある程度の感情や自己判断力が設定されているのだろう。
攻撃の向かってきた方向を見据え、突進してきた。

672グレンチュア ◆fJNTk09.gI:2017/10/29(日) 23:09:07 ID:NPSP4wok0
>>671

「・・・・・・当たった!」
まさかこの距離から当たるとは思っていなかったが、飛竜の牙がユニコーンを掠める。
おかげでユニコーンがこっちに目標を変更してきた。

「来るか・・・・・・望むところだ、元々受けだけの詰め将棋なんだからな」
それぞれ盾を構える金銀ゴブにゃん。防御魔法を展開し土管の束を背にして備える。
カウンターを狙っているのだ。もしくは受け流して土管を砕いている隙に攻撃に転ずる。
果たして上手くいくのか・・・・・・少なくともウェイデンには反撃のチャンスが来るはずだ。

147ならカウンター成功!角馬は大きくひるむ
258なら土管に角が突き刺さる。攻撃のチャンス!
3690なら土管ごと砕いてスルーされる

673ウェイデン ◆YJMWmO4ZS6:2017/10/29(日) 23:20:36 ID:T0YCDSjI0
>>672
真っ直ぐに突進してくる角馬、それを迎え撃つごぶにゃんコンビ。
両者が衝突するその瞬間、ごぶにゃんはお互いの間を通すように突進を受け流す。
後ろの土管を角が砕くが、その瞬間は角馬の勢いが緩んだ。
その隙を見てごぶにゃんコンビは、両側から挟みこむように攻撃魔法を放つ!

声のない絶叫と共に角馬は悶え苦しむ。そして動きが止まったところに、桂馬ゴーストが短距離転移で現れる。
実体のないゴーストは、ただ暴れているだけの馬が相手ならダメージを受けない。
そのまま取り付くようにして攻撃魔法を放ち続ける!

「今度の追撃役は貰ったァアッ!」

供給魔力の続く限りの攻撃魔法にさらされ、角馬はついに倒れた。
指定ボス二体の討伐に成功した!

674グレンチュア ◆fJNTk09.gI:2017/10/29(日) 23:38:23 ID:NPSP4wok0
>>673

「やった!」

見事に決まったカウンターに力無く倒れる角馬。
これで邪魔者は消え失せボス報酬がもらえる。
残るは参加者同士の戦いだ。

「さてたしか……最後に残った人間がどうって話でしたっけ……」

「ならばこちらは穴熊と行かせて頂きますかね」

金銀ゴブにゃんは指示でぱっと姿を消す。
ピクシー共々土管に隠れて時間まで籠城するつもりなのだ。動けない分を障害物でカバーするゴブにゃん好みの作戦だ。

675ウェイデン ◆YJMWmO4ZS6:2017/10/29(日) 23:51:17 ID:T0YCDSjI0
>>674
これにより二人とも奔鷲を手に入れることはできる。それが約束された。
だが、ここから先はもうひとつの報酬。それをかけた戦いだ。

「なるほど、このままの報酬で満足と。だが、消極的ながらも闘争心も感じられる」

篭城。それはある種戦うという表明でもある。
無論相手を打ち倒さなければ最後まで残っても報酬はかわらない。
だが、隙あらば打ち倒してやるという意思表示。そう、受け取ったのだ。

「なら正々堂々、それを打ち破る! 忘れたか! 桂馬ゴーストには実体がない!」

障害物をすり抜けて行動できるゴーストが土管のど真ん中をすり抜ける。
完全に遮蔽状態となっていてウェイデンが追加で指示を出すことはできないが、圧倒的閉所。
予め与えた単純な攻撃指令だけでも、避け難い!

676黒髪の女 ◆DUSK/kzn02:2017/10/30(月) 00:09:29 ID:eRkB3tXk0
「ふむ」

「ふむふむふむふむ?」

「宜しい」
「善かろう諸君」


「な ら ば 乱 入 だ!」

147なら歩兵
258なら香車
369なら桂馬
0ならまさかの王将二枚。おまえ人のダイス流用せやな

677グレンチュア ◆fJNTk09.gI:2017/10/30(月) 00:10:54 ID:NPSP4wok0
>>675

「ゴブ!」
「ゴブブ」

狭い土管の中で鉢合わせるゴブリンとゴースト。
ピクシーはすぐに金ゴブの背中へ逃げ込む。

「「ゴブブー!」」

ピクシーに狙いを定めているゴーストを両側から攻撃魔法が襲う!

奇数ならピクシー被弾
偶数ならゴースト被弾

678ウェイデン ◆YJMWmO4ZS6:2017/10/30(月) 00:25:24 ID:T0YCDSjI0
>>676
短距離テレポートのできる桂馬ゴースト。どうやらテレポートは物も多少飛ばすことができるようだ。
カフェのスクリーン中継では参加者は土管エリアで戦闘を行っていた。開始地点からそう遠くはないらしい。


>>677
ゴースト被弾。どうやら被弾したらすぐに離脱するように命令してあったのだろう。
しかし両側から攻撃を受けたためかなりのダメージを負っているようだ。
一度消して再出現させれば回復するだろうが、歩兵でないため回復は検定終了に間に合わないだろう。

ところでウェイデンは何をしていた?
奇数なら金ごぶにゃんの方に先回りしていた。攻撃ではなく王将の確保を試みる!
偶数なら銀ごぶにゃんの方に先回りしていた。当てが外れた。

679グレンチュア ◆fJNTk09.gI:2017/10/30(月) 00:37:48 ID:NPSP4wok0
>>678

「参加者……?これは対戦時間が伸びそうだなあ」

ゴーストに反撃を食らわせた金銀ゴブにゃんの元に新たな侵略者。
というかウェイデン本人である。
「ゴブニャー!」

銀ゴブにゃんがすかさず攻撃体制に移る。プレイヤーへのダイレクトアタックっていいのか!?

680ウェイデン ◆YJMWmO4ZS6:2017/10/30(月) 00:43:07 ID:T0YCDSjI0
>>679
「ちっ、こっちじゃなかったか」

攻撃はできないので王将を抱えて逃げる。
なんとか金ごぶにゃんの方に行きたいが、その頃にはまた土管の中に篭城されてしまうだろう。

「……ッ」

それでも金ごぶにゃんの方へと走っていく。

147なら背後から撃たれる
それ以外ならなんとか避けながら走る

681グレンチュア ◆fJNTk09.gI:2017/10/30(月) 00:54:12 ID:NPSP4wok0
>>680

背後から思いっきり使い魔に撃たれてたんこぶを作ってノビている人物が一人。

「……何してるんだろうこの人」

銀のゴブにゃんが残ったピクシーをあっさり確保。
将棋で言えば詰み。チェスで言うチェックメイトである。

「と、とりあえずありがとうございました」

正座して将棋風にお辞儀。勝利が確定すればカフェへと戻るだろう。

682ウェイデン ◆YJMWmO4ZS6:2017/10/30(月) 01:06:27 ID:T0YCDSjI0
>>681
【カフェ】
検定終了。ウェイデンには奔鷲が、グレンチュアには奔鷲と王座の扇が与えられた。

「負けたか、悔しいな……次は負けん!」

恐らくウェイデンの最適解は土管の端のほうをゴーストにすり抜けさせてごぶにゃんを奇襲攻撃して即座に離脱を繰り返すことだったのだろう。
戦術を間違え運にも見放されれば負けるのも必然だ。だが、負けたものは悔しい。
次は負けないと宣戦布告し、次の対戦検定で戦う日を思い描き始めた。

683黒髪の女 ◆DUSK/kzn02:2017/10/31(火) 22:12:34 ID:eRkB3tXk0
【カフェ】

「とりとり!とりとり!!」

先日の料理を何品かキッチンで再現したらしいl。

684黒髪の女 ◆DUSK/kzn02:2017/11/01(水) 00:17:06 ID:eRkB3tXk0
……

秒針の揺れる時計をみやる。

口にせずとも汲み取ったマスターが甘い香りのするカップを置いた。
それはカウンターの空席に。


あまいあまい、キャラメルココア

685 ◆YJMWmO4ZS6:2017/11/04(土) 20:07:30 ID:T0YCDSjI0
【カフェのスクリーン】
本日の検定内容_
‘U(浮いて)F(不幸をもたらす)O(大きな)貝’
〔ジャンル〕
討伐
〔推薦適性値〕
対空攻撃B-
爆撃防御C
〔開催地〕
空タコの高原

〔概要〕
反重力により空を泳ぐタコ、空タコが多く生息する高原。
しかし本来そのタコの餌となるはずの貝が突然変異を起こしました。
UFOのように飛び、岩を持ち上げ落としてくるその貝は空タコを逆に捕食しています。
そして素材採取に来た人間も攻撃されています。なので討伐してください。

〔ヒント、その他〕
素材の採取は自由です。

〔失格行為〕
・空タコを大規模に傷つける行為、囮に使う程度はいいですが一応絶滅しないようにしましょう。
・高原の環境を大きく破壊する行為、素材採取場所としての価値を損なわないようにしましょう。
・その他常識の範疇でどうぞ。

〔BOSS〕
・UFO貝
UFO貝には取り巻きが三匹いて、その全ての貝を倒すと本体の防御魔法が消失します。

《PRESENT》
☆炭酸貝☆
分類:素材
UFO貝の元となった浮かぶ貝です。身は炭酸を含んでいて珍味です。貝殻は低級の素材です。
こちらは自由に採取してかまいません。ただ空タコの餌を残す程度に自重しましょう。

☆UFO貝☆
分類:BOSS
テイムするなり素材を取るなり好きにしていいそうです。

《検定開始時刻》
>>今
《終了予定時刻》
>>切りのいいところまで

686小松菜 ◆YJMWmO4ZS6:2017/11/04(土) 20:22:32 ID:T0YCDSjI0
>>685
「ふむ。飛べるなら最低限何もできなくなることはないだろうし、行くか」

ドラゴン参入。空爆を防御するのではなくドッグファイトするつもりらしい。
どの道遠距離では火力が足りないため岩でも投げるしかなくなるから当然といえば当然かもしれない。
スタスタと転送装置を潜る。

687小松菜 ◆YJMWmO4ZS6:2017/11/04(土) 20:48:06 ID:T0YCDSjI0
>>686
【空タコの高原】

標高が高く、転送装置による転移だとよりその気圧の変化を感じ取れる。
どうやらあちこちで冷たい炭酸泉が点在していて、そこに炭酸貝が生息しているようだ。

狙う獲物が動かない貝だからこそ、そして反重力により浮かぶからこそ、筋力を必要としない空タコは動きが遅く代謝が緩やか。
代謝が緩やかだからこそ空タコは食も緩やか。代謝が緩やかで寿命が長いからこそ生殖活動も積極的ではなく数が爆発的に増えることもない。
様々な要因が重なり合って作り出されている絶妙な生態系が、この高原には広がっていた。

「凄いな、けど……」

天敵のいない空タコを捕食するUFO貝が空を飛んでいた。
取り巻きのチビUFO貝が空タコを挟みUFO貝へと運んでいく。取り巻き貝は使い魔のようなものなのだろうか。

688小松菜 ◆YJMWmO4ZS6:2017/11/04(土) 21:11:08 ID:T0YCDSjI0
>>687
「あれを討伐、あるいは捕獲するわけか。それにしても、外敵への抵抗力には随分過剰だなぁ」

ここまで巨大化しなくても空タコに食べられたくないならそこそこの飛行能力だけで十分だ。
何しろ空タコの動きはクラゲのように遅いのだから。

「てかこの貝雑食なのか? あいつだけ特別?」

そこはどうでもいい。

「、まっ、俺はテイムとか無理だしさっさと討伐するか」

背中から翼を生やし、さらに高い空へと舞い上がる。UFO貝と同じフィールドでの戦いだ。

689小松菜 ◆YJMWmO4ZS6:2017/11/04(土) 21:38:28 ID:T0YCDSjI0
>>688
まずは水大砲を撃ってみるが、UFO貝の防御魔法に阻まれる。
外敵だと判断したのか取り巻き貝を回転させながら飛ばし攻撃してくる。
貝殻のふちは空タコを逃がさない為か、ギザギザしていて命中すれば痛そうだ。

直線軌道の射撃攻撃ではなく自由に飛びまわりながらの体当たりは、その数が複数というだけでも厄介だ。
それでも元々竜は空を飛ぶ生き物。空を飛ぶ先輩として簡単には負けられない。

「鈍い相手ばかり相手にしてる奴には早々負けないさ!」

だが、こちらの攻撃もあたらない。相手の的が小さい為なかなか狙いがつかない。
確実に命中するだろう巨体はこの三匹を倒さなければ防御魔法に覆われたままだ。

「……これ、制限時間内に終わるのか?」

UFO貝からの攻撃魔法も混ざり始めた。中身に高圧の空気を仕込んだ水の砲弾らしい。
着弾すると膨張時の冷却により表面の水が凍りそのまま弾丸として射出される、いわば氷のグレネードのような魔法だ。
なんとか回避に専念しているが、思わぬ攻撃の激しさに攻め時を完全に失っていた。

690小松菜 ◆YJMWmO4ZS6:2017/11/04(土) 22:06:47 ID:T0YCDSjI0
>>689
小松菜は戦場を地上付近に移した。四方八方から攻撃を受けるよりも少しでも下方向からの攻撃を減らすほうが戦いやすい。
それぞれの取り巻き貝の動きをよく見て、タイミングを計り、今度は回避ではなく防御を選択する。

「そりゃ!」

水大砲を撃たなくても周囲には水が沢山ある。飛びながら種をまくだけで植物魔法は簡単に使える。
急成長で密度がスカスカになった大木に取り巻き貝たちがめり込む。あとは植物油を吐き、火をつける。
それだけで水分より空気を多く含む木材は燃え始め、中の貝を焼き殺した。

取り巻き貝は全滅した。それによりUFO貝の防御魔法も消える。ここからは、

「タイマン勝負だテメェッ! 外側からボンボン爆撃しやがって!!」

相当フラストレーションがたまっていたらしい。貝相手に恫喝している。

691小松菜 ◆YJMWmO4ZS6:2017/11/04(土) 22:27:25 ID:T0YCDSjI0
>>690
取り巻きが倒されたことにより焦り始めたのか本格的な爆撃を開始するUFO貝。
周辺の環境など一切考えてなさそうな攻撃に慌てて高度を上げる。

「外来種以上に環境荒らしてるじゃねーか!」

UFO貝の上をとる。おそらく飛行暦の短いこの貝は上をとられる経験もそうないはずだ。
そうでなくても上方向に攻撃が行くならば被害範囲も少しは押さえられる、気もする。

「しっかし、あの分厚い殻をどうやって突破するか」

殻を閉じたまま魔法で砲撃してくるUFO貝。小松菜の手札でこの防御を突破するならば、切り札しかない。

「……最近、これに頼りきりだな……『錆びた鉛が歩みを止める。水底に光が差そうとも鉛に空は見えず空を忘れる』――」

692小松菜 ◆YJMWmO4ZS6:2017/11/04(土) 22:51:18 ID:T0YCDSjI0
>>691
「『故に黄金に輝く錆びた空は鉛だけが知る世界。立ち止まった水底はこんなにも美しい』」

死後の自分にアクセスする、特別な詠唱が空に響き渡る。

「『世界よ、輝け! アクセスッ!』」

水大砲を投げ捨て、プラチナ製の鹿の角らしき物を構える。
すると淡い紫色の炎が体を包みこむ。終焉属性のひとつ、錆の魔力を身に纏い、急降下していく。

「(相変わらず、体のあちこちがイテェ、)」

振り下ろされた角は無骨な剣の形となってUFO貝に接触し、触れた部分を風化させながら削り切る!
巨体に対してダメージを与えたのは一部分だけだが、攻撃が通った。

693小松菜 ◆YJMWmO4ZS6:2017/11/04(土) 23:22:52 ID:T0YCDSjI0
>>692
「うぅ、少しは、慣れたか?」

何故か体への負担が異様に大きいアクセスも少しずつ使いこなせるようになってきているのだろうか。
体の痛みが少し軽く感じる。痛みに慣れただけなのかもしれないが。
だがそのおかげで、不恰好ながらも飛びながら攻撃ができている。問題は、

「あっ、ぶねっ」

痛みとアクセスの維持により集中力が乱れ、回避が拙くなっている。
被弾はしていないが、アクセス中は再生力がさらに落ちる。翼に被弾すれば直撃でなくとも危ない。
UFO貝も必死の抵抗で砲撃を繰り返すが、既に殻は穴だらけだ。
これならば通常の攻撃でも狙えば十分内部にダメージを与えられるだろう。だが……

「アクセスやめたら体動かなくなる……!」

既に引くに引けない。UFO貝と小松菜、耐久力が勝つかの勝負だ。

694小松菜 ◆YJMWmO4ZS6:2017/11/04(土) 23:52:50 ID:T0YCDSjI0
>>693
少しずつ、氷の榴弾が掠めるようになる。その代わりに貝殻の一部を大きく削り取る。
どちらも満身創痍。この切り札は毎回小松菜を満身創痍に追い込む。

「だが、ここまで大きく削り取れたなら」

プラチナの剣を構え今まで以上の速度で突撃する。
榴弾の弾幕を、錆の魔力を高めることで水を腐らせながら強引に突っ切る。

「俺の勝ちだッ!」

巨大なUFO貝の中身を突き抜け、そこから錆の魔力がその身を腐らせ虫を集らせる。
完全に致命傷だ。貝殻も蜘蛛の巣状に風化しながらバラバラに落下していく。

UFO貝、討伐成功!

695小松菜 ◆YJMWmO4ZS6:2017/11/05(日) 00:17:19 ID:T0YCDSjI0
>>694
検定はクリアした。だが、素材は終焉属性の影響でボロボロ、採取はしていない。つまるところ……

「無報酬だこれ……」

旨みのない検定というのも確かに存在するということなのだろう。人によっては、の話だが。

696ポニーテイルの少女 ◆DUSK/kzn02:2017/12/02(土) 21:25:58 ID:eRkB3tXk0
【カフェ】
「さむいっ、さむいーー!」

白い息を吐きながら転がり込むように入店。鼻が真っ赤だ

697リゼッタ ◆YJMWmO4ZS6:2017/12/02(土) 21:41:31 ID:T0YCDSjI0
>>696
「?」

四肢のない達磨少女が毛布に包まりながら蔦で椅子に縛り付けられている。
目の前のテーブルには何故か巨大な蹄鉄。そして虫の幼虫のような質感の腕が一本。その他魔物の残骸らしき廃材数点。加工用の水槽らしきもの。

「こんにちは」

声がか細い。

698ポニーテイルの少女 ◆DUSK/kzn02:2017/12/02(土) 22:05:25 ID:eRkB3tXk0
>>697
「うわあ、僕より重症!」
「き、緊縛大脱出?大丈夫?」

恐る恐る声をかけるも机の上のものものの放つインパクトに押されているようだ

「それ、何?こんな寒いのにそんな冷たそうなもの、えー?」

699リゼッタ ◆YJMWmO4ZS6:2017/12/02(土) 22:13:01 ID:T0YCDSjI0
>>698
「手足がないから寒いのに弱くて」

ただし手足の冷え性には悩まされない。一番冷えるのはほぼ骨と皮だけの首。
しかも首がふたつある。将来は肩こりに悩まされるのだろうか。腕もないのに。

「廃棄予定の素材を安く譲ってもらえたので加工してます。どんなのにしようか迷ってて」

この巨大蹄鉄は何かしらの武器にするのだろうか。

700ポニーテイルの少女 ◆DUSK/kzn02:2017/12/02(土) 22:27:06 ID:eRkB3tXk0
>>699
「手足が…」
「……末端がない分冷えにくそうだと思ったんだけど、ああそっか、筋肉量が減るから?」

だが、続く説明には興味を持ったようで今度はためらいなく近づいてくる。

「へえー、リデュース?リサイクル?エコだね」
「一番目立つのはそのヒヅメっぽい、馬蹄?モンスター蹄?」
「何かの形の土台になりそうだし、馬蹄と言えばラッキーチャームだけど……実用性がないとつけるのが大変そうな大きさだなあ」

701リゼッタ ◆YJMWmO4ZS6:2017/12/02(土) 22:39:21 ID:T0YCDSjI0
>>700
「筋肉も少なくて体積自体も少ないから……」

すぐに温まりすぐに冷える。変温動物でなくても小動物には温度変化に弱いものがいるがそんな感じなのだろう。

「死霊術なんてほとんど全部エコです」

暴論。

「凄く大きなモンスター用の蹄鉄だったのですけどテイムに失敗したとかで、安くなってて、一緒にそのモンスターの残骸も」

とんでもなく巨大なので現在は一部を骨素材に置き換えて軽量化している最中のようだ。

「折角なので何かしらの武器にします。日用品以外だって作れるんだから」

目玉新商品は食用蛆虫餡子味。

702ポニーテイルの少女 ◆DUSK/kzn02:2017/12/02(土) 23:05:07 ID:eRkB3tXk0
>>701
「増やしようがなさそうだし……」
成程小動物。お嬢ちゃんナッツ食べるかい

「い、いますごい押し切られた!?」
「エコだけど失敗した時のリスクがヤバそう」

「そうかあ、扱えるならそうした方が強いかあ」

し、視線を遣らないようにしていたのに!推すのか!推すのか!やっぱり見た目はきつい!!!!

703リゼッタ ◆YJMWmO4ZS6:2017/12/02(土) 23:18:37 ID:T0YCDSjI0
>>702
「増やす……ん〜無理矢理増やしても食が細いからエネルギー足りないかも?」

食道とかは拡張された脊柱を通っている。食が細い(物理)。

「精神方向とか独立方向に拡張しなければリスクは凄く小さいもん」

パーツ単位で運用。むしろリスク管理が徹底しすぎて変な商品が……

「まともな武器にしたら私使えないけど、売り物だから、問題ない」

武器などは作った本人が試せないので日用品に比べて品質がバラつく。
16なら湾曲部をグリップにした二本の刃を持つ蹄鉄剣
27なら湾曲部をグリップにして両端が肘に向く蹄鉄の格闘武器。
38なら湾曲部に長い柄をつける蹄鉄斧。
49なら投げて使う蹄鉄ブーメラン。
50なら変形してロボになる。どうしてこうなった。

704ポニーテイルの少女 ◆DUSK/kzn02:2017/12/02(土) 23:26:23 ID:eRkB3tXk0
>>703
「寒いのもひもじいのもどっちもつらいなあ」
「どっかで諦めなきゃだめかあ……」
質!質!

「うーん、そういわれると確かに、って思うけど」
「……出来そうならやってみたくならない?」

「食べ物としては動物性蛋白質だしいいんだよね、だよねとわかっていても、うん」

許可が下りればひづめを抱えたり握ったり、リゼッタの代わりに色んな動きを試してみるだろう。
左右対称だから真ん中を使うのがいいかもしれない、とどちらともなく気づくかも知れない

705リゼッタ ◆YJMWmO4ZS6:2017/12/02(土) 23:38:52 ID:T0YCDSjI0
>>704
「筋肉少ないから食細くても大丈夫だったとは……我ながらバランス取れていたのですね」

「? それで暴走したら死ぬかもしれないのに、やってみたいの?」

移動能力に乏しく危機回避力が低いからか、それを選択肢とすら捉えていないようだ。

「次回は海老の味のムカデとか作ってみようかなと」

すると格闘武器を作ると決めたのか、加工を始めていく。
真ん中の湾曲部を拡張し内側にグリップを作る。ナックルとトンファーの中間のような武器だろうか。
どちらかというと防御に向いた格闘武器に仕上がっていく。むろん好きに使ってもらって使い心地を観察していく。

706ポニーテイルの少女 ◆DUSK/kzn02:2017/12/03(日) 00:39:14 ID:eRkB3tXk0
>>705
「……世の中って不思議でよくできてるもんなんだね」

「そうしなきゃ守れないものがあるなら、」
当然じゃないか、と言いたげに丸い瞳が貴方を捉える。
「ボクは迷わないよ」

「う。うう」
「殻が固いとかそういうの考えたら難しくはなさそうだけど……ムカデって食べられるの……?」

動き出したリゼッタを見ると、それだけで今日ここに来た甲斐はあったようだ。
なにか思うところがあるのか、加工する腕を見る目も、手が加わるたびに振るう体も、楽しそうである。

707リゼッタ ◆YJMWmO4ZS6:2017/12/03(日) 00:50:22 ID:T0YCDSjI0
>>706
「ただの商品開発で?」

リゼッタは子供です。時に残酷なほどに空気が読めません。

「あそこの本棚の漫画で食べてました」

願い事の叶う竜の球を集める漫画。よい子は真似しないでね。

最終的にできた蹄鉄の性能は?
147なら「大蹄鉄拳」普通の出来栄え。
258なら「大蹄鉄双拳」中抜きした素材でもう片方も作った。
369なら「大蹄鉄拳+壱」中抜きした素材で盾を展開できるようにした。これもう盾じゃない?
0なら「大蹄鉄拳×SF」何故かエネルギーナックルと化した。

708ポニーテイルの少女 ◆DUSK/kzn02:2017/12/03(日) 01:15:10 ID:eRkB3tXk0
>>707
「ああ、ごめん、ちょっと別の話も交じってたかも」
見た目の割には経験を積んでいるのか、対するラヴは意識の相違に気付くと自分の顎に手をやって口をつぐんだ。
「でもその時ボクにしか作れないものだったら作ってみたくはなるかな」

「フィクション!!!!!」
仙豆をですね

「すごい、一揃いできちゃった」
「これは、うん、とっつきやすいし慣れればもっと伸びそう」
「いい値がつくんじゃないかな」

709リゼッタ ◆YJMWmO4ZS6:2017/12/03(日) 01:22:24 ID:T0YCDSjI0
>>708
「そんなものかな」

助けられる何かがあるなら、どんな形であれ助けようと思うというのは分かるかもしれない。
事実この異形の体は父親からの愛の証なのだから。

「なんだフィクションかぁ」

素直に諦めた。こうして売れるか分からないキワモノ食材は闇に葬られた。

「やった、よしじゃあ……どれくらいの値段にしよう……」

自分で使えない武器の相場なんて勉強してなかった。何故作ったし。

710ポニーテイルの少女 ◆DUSK/kzn02:2017/12/03(日) 01:46:51 ID:eRkB3tXk0
>>709
「……少なくとも、ボクはね」
「でも僕に何かあると、立ち直れるからわからないくらい悲しむ人がいるのは、知ってるから」
「それこそあの人たちのためとかじゃないと、そんな賭けには乗れないかな」
彼女もまた、いとしい家族がいるから。もしそのさわりだけを聞くなら理解を示すだろう。

「否定してばっかりもなんだから何か提案したいけど……うーん……何ならいけるかな……カエル……いやカエルはふつうにいけるらしい……?うーん……」
「……クモ?」

「武器ならちょっと強気にでるくらいのほうがいいんじゃないかな」
これは戦うものの直感だ。

711リゼッタ ◆YJMWmO4ZS6:2017/12/03(日) 02:05:12 ID:T0YCDSjI0
>>710
「じゃあ必要になったら言ってください。私も手伝う」

善意からなのだろうが、縁起でもない。

「クモはチョコ味の蛆虫と人気の奪い合いになるからダメ」

!?

「強気、強気、じゃあ普通に仕入れたときの材料費も考えると、これくらい。決定っ!」

大体市販される良質なトンファーセットの三倍程度? 本人は満足気だ。

712ポニーテイルの少女 ◆DUSK/kzn02:2017/12/04(月) 01:19:02 ID:eRkB3tXk0
>>711
「いやいやいや巻き込むわけにはいかないからね!?」
不思議な子だなぁ、とラヴは困ったように笑う。

「駄目だった!?」
この界隈が全然わからない!!

「ふむー」
普通のトンファーーではないことを考えると、まあそのくらいの方がいいかもしれない。

と、

「……ふぁぁ」
時計を見れば日付が変わっていて。
「それじゃあ、ボクはこの辺で帰ろうかな」
「風邪、引かないようにね」

「またね!」

713クオン ◆YJMWmO4ZS6:2017/12/17(日) 23:18:16 ID:T0YCDSjI0
【カフェ】

 焦げた髪や肉の残骸が散らばる中に倒れている無傷の誰か。誰かというかクオン。
自己修復で回復したようだが魔力を使い切り、周囲には砂も散乱している。オートガードも機能してないようだ。
しばらくするとムクリと起き上がり転送装置の電源を切る。

「まだ早かったようですね。というより私との相性が極端に悪いですね」

 カフェスクリーンには「ソロモン72のスタンドをぶっ潰せ!」の検定。
そして転送装置に表示されていた文字は、「しまっちゃうフリーザ様」だった。挑戦して負けたらしい。

714牙噛由比 ◆Cs/SCyFmEg:2017/12/30(土) 23:28:26 ID:LFyuslQY0
【カフェ】
コートを羽織った女が入店。
トレードマークの白衣は置いて来た。流石にこの場には相応しく無いと思ったらしい。
白衣の有用性は長くなるので割愛する。

「おかしいわね時間、間違えたかしら」

腕時計(アナログ)と端末(デジタル)を確認。
“寸分のズレも無い”

「ふん」

それを満足そうに見て目を細める。
牙噛由比という女は“そういう人間だ”

715牙噛由比 ◆Cs/SCyFmEg:2017/12/31(日) 00:13:46 ID:LFyuslQY0
その席は以前誰かの特等席だったらしい。
こんな奥まった日の当たらない席に座るような人間は――

「私みたいなロクでなし」

頬杖をついて注文すると、透明な液体が注がれたグラスが来た。
大吟醸のオーガ殺し。良いじゃないか、仕事は終わったのだ。
立場上ここへ足を運ぶことを避けてはいたが、禁止されて居るわけではない。
“相応しく無い”ただそれだけの理由を“外”と“内”から半ば強制的に付けられていただけ。
“今回は偶々、立場が彼等側に寄った”そう解釈して貰えると有り難い。

私は本来“毒”だ。
だからこそ不相応のレッテルも貼られるし、要らぬ監視も付く。
その毒が不覚にも母性を抱いてしまった。
あろうことか“あんな化物”を“我が娘として愛してしまった”

だからこれは――

研究者として、女として、母としての闘いなのだ。
そう決めた。
私が、決めた。

716ポニーテイルの少女 ◆DUSK/kzn02:2018/01/07(日) 21:57:38 ID:eRkB3tXk0
【カフェ】
金髪の青年と共に小ぶりの土鍋をつついている。ほかほか。

717タート ◆YJMWmO4ZS6:2018/01/07(日) 22:01:25 ID:T0YCDSjI0
>>716
「タヌキ年!」

大きくて数珠を首にかけてるタヌキが何か言ってる。イヌ科だが……タヌキだ。

718ポニーテイルの少女 ◆DUSK/kzn02:2018/01/07(日) 22:06:40 ID:eRkB3tXk0
>>717
「たぬき?」
目を点にする少女に青年が耳打ちをする。
「じゃあ今年は歳神様じゃん。拝んだらご利益ありますか?」

「お供え物はこの七草粥しかないけど……あついかなあ」
と言いつつ小皿に粥を取り分けはじめた!

719タート ◆YJMWmO4ZS6:2018/01/07(日) 22:12:44 ID:T0YCDSjI0
>>718
「イヌ科故にな、半分くらいご利益がある、はず」

微妙に普通のタヌキから外れて何かになりかけてるから本当にご利益があるかも……?
とはいってもこの世ならざる何かとの縁ができてしまうかもしれないが。

「冷ませば大丈夫だろう。この季節は料理もすぐ冷める。ありがたく食べさせてもらおう」

よく見ると口が動いていない。幻術で話をしているようだ。

720ポニーテイルの少女 ◆DUSK/kzn02:2018/01/07(日) 22:22:02 ID:eRkB3tXk0
>>719
「それじゃあ拝もう拝もう。頼れる縁は作っておくだけ作る派なんだよ」
「半分くらい、ならもう半分くらいはレクが多分何とかしてくれるよ。だよね、レク?」

均一に冷めるように取り分けた粥を混ぜながら青年に笑いかける。
レクと呼ばれた男は適当な返事をしながらタートになにかを感じ取ったのか、若葉色の瞳を向けている

721タート ◆YJMWmO4ZS6:2018/01/07(日) 22:27:20 ID:T0YCDSjI0
>>720
霊獣になりかけているからか、妙な気配ではある。
あと魔力もあるようで、しかも割と若くはない。そんなタヌキ。

「ここの住人なら、たしかに運命を切り開けるだろうな」

納得してる。

722ポニーテイルの少女 ◆DUSK/kzn02:2018/01/07(日) 22:38:18 ID:eRkB3tXk0
>>721
「(長く、生きているのだろうか)」
青年がタートをはかるように、タートにもわかるかもしれない。
この青年もまたまた人ではなく、イヌ科に近い生き物の気であり、異なる理のもとに生きているようだ。

「うんうん。肝心なのは『僕がどうするか』。切り開くけるか、なんだよね」

723タート ◆YJMWmO4ZS6:2018/01/07(日) 22:44:59 ID:T0YCDSjI0
>>722
「ふむ?」

何か異なる理を感じ取ったようだが、割と反応が大人しい。

「世界は残酷故、何もしなくても運命が勝手に切り倒されることもあるようだが」

イベントに乗り込んでくる人次第というメタな発言?

724ポニーテイルの少女 ◆DUSK/kzn02:2018/01/07(日) 22:55:03 ID:eRkB3tXk0
>>723
青年の方も、タートの口が動いていないことに気が付いているようだが、そういうこともあるのかとあえて口にせず。(少女は素で気が付いていないのは別の話)
特段互いに触れはしないというかたちも、一つのコミュニケーションの成立ともいえよう。

「うーん、うん。歩いている石橋が崩れないなんてこと、ないもんなあ」
真顔で頷いたが、にやりと顔を上げる
「……だからこそ、面白い、とも僕は思うけどね」

725タート ◆YJMWmO4ZS6:2018/01/07(日) 23:01:43 ID:T0YCDSjI0
>>724
「いやよくあることだが毎回はおかしい」

梯子外し。

「無駄に苦しまないのはいいが、危機を楽しむようでは、あれだ、被虐趣味という奴だぞ」

タヌキが何か言ってる。このタヌキ、天然だろうか。

726ポニーテイルの少女 ◆DUSK/kzn02:2018/01/07(日) 23:15:21 ID:eRkB3tXk0
>>725
はずされた……

「あっちこっち、そう、あっちこっち。自分の常識が文化も言葉も通じないところから、何回か這いあがるなら楽しめないとやっていけないっすよ狸さん」
思わず言葉がぶれるくらいには。
「マゾじゃないけどマッスルなら好き!」

727タート ◆YJMWmO4ZS6:2018/01/07(日) 23:19:13 ID:T0YCDSjI0
>>726
「そうか……世の中は修羅。なんと惨い」

タヌキに絶望が。

「筋肉ならば見よ! ランニングマシンで鍛えたこの脚線美!」

728ポニーテイルの少女 ◆DUSK/kzn02:2018/01/07(日) 23:25:41 ID:eRkB3tXk0
>>727
「まあちょっと今の話盛ったけんだけどね!」
てへー

「鍛え方が近代的だ……」
むきぃ。
「ああ……膨らむところは膨らみそこからしゅっと関節にかけてのすぼみかた……美しい……」
じゅるじゅる

729タート ◆YJMWmO4ZS6:2018/01/07(日) 23:32:24 ID:T0YCDSjI0
>>728
「よかった。被虐趣味最強説なんてなかったのだ」

それは微妙に真実かもしれない。

「……何やら純粋に邪な視線が?」

730ポニーテイルの少女 ◆DUSK/kzn02:2018/01/07(日) 23:38:06 ID:eRkB3tXk0
>>729
「今こうやって笑ってるなら多分これからもがんばれるよ」
姉さんはいるしレクもいるしここに来ればおいしいご飯もある、と少女は笑う。

話題にあげられた青年からは

「……ごめんなさい。こいつよこしまな気持ちなくHENTAIじみてるんです」

などと言われているのだが!

731タート ◆YJMWmO4ZS6:2018/01/07(日) 23:45:13 ID:T0YCDSjI0
>>730
「……うむ、あれだ。食べよう」

七草粥を食べ始める。話を逸らした。

「これでもこの世ならざる者あいてなら少しは役立てるだろう。
魔法も使える故な。何かあったらその時は共しよう」

732ポニーテイルの少女 ◆DUSK/kzn02:2018/01/08(月) 00:37:54 ID:eRkB3tXk0
>>731
「冷めた?食べられそうです?」
そこでさらっとそれた先にのせられるところがリアテアのちょろいところである

「タヌキさんって魔法使えるんだ」
「……変化とか?」

733タート ◆YJMWmO4ZS6:2018/01/08(月) 00:45:49 ID:T0YCDSjI0
>>732
「問題ない。丁度いい温かさだ。表面を除けば」

「いや。雷と風だな。そんなに大規模なものは使えないが」

タヌキ……?

734ポニーテイルの少女 ◆DUSK/kzn02:2018/01/08(月) 01:02:16 ID:eRkB3tXk0
>>733
「やっぱり外っかわは冷えちゃうかー、うーん」

「か、雷様だ……」

735タート ◆YJMWmO4ZS6:2018/01/08(月) 01:06:25 ID:T0YCDSjI0
>>734
「だが、うまい。塩気も問題ない程度だ」

動物なので塩分には気を使う。ただしラクダを除く。

「いや、神獣じゃない。普通のタヌキの範疇だ」

普通とは一体。

736ポニーテイルの少女 ◆DUSK/kzn02:2018/01/08(月) 01:13:53 ID:eRkB3tXk0
>>735
「そこはマスターの本領発揮!って感じだよね」
うまうま。そろそろ空になりそうだ・

「「いや(普通の)タヌキ(は)喋らない(から)」」
流石に突っ込んだ!

737タート ◆YJMWmO4ZS6:2018/01/08(月) 01:18:50 ID:T0YCDSjI0
>>736
「昔は話せなかった。さらに昔となると魔法も使えなかった。
話すことに関しては何年も勉強し、成長した結果だ。無論味覚も磨いた」

一応ただのタヌキの範疇……? いや霊獣になりかけてる時点でおかしい。

「世の中には角が生えて喋る馬もいるし、巨大な喋るニワトリもいる。タヌキが喋って何が悪い!
このカフェのマスターに比べればまだ常識的だと言えよう!」

738ポニーテイルの少女 ◆DUSK/kzn02:2018/01/08(月) 01:36:01 ID:eRkB3tXk0
>>737
努力した、という言葉に二人は沈黙する。
暫しの後そっと顔を見合わせては、遠く、何かを思っているようだ。

「……そう、だよね」

きっかけや目的は解らないが、何かを会得することはたやすく無く、またそこに至るまでに継続できるかなども関わってくる。
今や未来に笑った少女も、『其処に至るまで』があるからだと、     。


「もぐもぐもぐ」
「ぺふ」

「僕も何か始めてみようかなー!」

739タート ◆YJMWmO4ZS6:2018/01/08(月) 01:40:08 ID:T0YCDSjI0
>>738
「今年の目標、というやつだな」

タヌキの身では、近いうちに寿命が訪れるだろう。
それまでに本当の霊獣になるか、あるいは死して他の何かになるのか。

「どちらが目標を達するか競うのも悪くないかもしれぬ」

740ポニーテイルの少女 ◆DUSK/kzn02:2018/01/08(月) 01:45:11 ID:eRkB3tXk0
>>739
「まだ新年も一週間たったばっかりだし間に合うよね!」

「……ト「叶えられそうなものにしないと折れるよ」

「……」

741タート ◆YJMWmO4ZS6:2018/01/08(月) 01:54:44 ID:T0YCDSjI0
>>740
「半分の加護でいいなら、力を貸すからな」

そんなことを言って丸くなる。しばらくここに居るつもりのようだ。
あるいは今回はここで眠るのかもしれない。

742ポニーテイルの少女:2018/01/08(月) 02:15:39 ID:eRkB3tXk0
>>741
「鍛練するもこうやって縁を結ぶのも、ひとつの方法だし、いいよね、うん、うん」
「どーしても、勝ちたい……勝ってみたい人がいるんだ」

「そうと決まれば作戦会議、の前に僕とレクができることをまとめたほうがいいよね!プレゼンってやつ!」

「またここで会えるかな?よろしくお願いします」
「た、タヌキさん……でいいの?僕はリアテアで、こっちがイレクスっていうんですけど」

743タート ◆YJMWmO4ZS6:2018/01/08(月) 02:20:48 ID:T0YCDSjI0
>>742
「勝利を求めるのは自然なことだからな。それもまた一般的といえる」

「名乗るのが遅れたな、タートという。またいずれ、会えるさ。このカフェは運命が交差するからな。
運命を切り開くものもまたここに集まる。切り開くべき運命が集まるのだから」

ポエミー。

744ポニーテイルの少女:2018/01/08(月) 03:23:24 ID:eRkB3tXk0
>>743
「タートさん、タートさん。よし」

「切り開くものたちが集まる、うん、かっこいい!」
「僕もすぱばーんと!ね!」

イレクスが自身の分を食べ終わり手を合わせたところで帰り支度を始めた。彼女たちの一年は長そうだ

745不完全な存在 ◆Cs/SCyFmEg:2018/01/23(火) 11:51:33 ID:2lWNTtZw0
長い机、真っ白なテーブルクロス、冷たい部屋。
アタシの向かいには父と兄。その距離が、酷く遠い。

「アカデミーの成績は先ず先ずのようだな」

重たく静かな父の声が響く。

「今後も、――の名に恥じない振る舞いに務めることだ」

はい、と答える。目の前に置かれていた前菜が、手も付けられぬまま下げられていく。
アタシはただ、父にこう言ってもらいたいだけなのだ。
よくやった。次も頑張れ。お前は私の誇りだ愛しい娘。
自分が未熟なのは分かっている、だが――

「親父、――も疲れているんだ、折角親子が揃ったんだしさ・・・外の話はこれくらいで」

兄がアタシの顔色を伺いながら、そう父に告げる。
兄は優秀だ。いつもアタシを気に掛け、こうして時折助け舟を出す。
勇気を振り絞り、父に進言しようとした口を固く結ぶ。
兄の中でアタシはずっと子供のままだ。歳が離れている所為もあって、アタシのアカデミー入学が決まったときも心配そうな顔をしていた。
それは優しさではなく憐憫。アタシの向かう先が見えているからこそ憐れに思っているのだろう。

結局、父も兄もアタシを認めてはくれない。
メインディッシュが運ばれてくる。子牛の肉のロースト。赤を煮詰めたソース。

「――――」

給仕の女がアタシに何か耳打ちする。
ああ、そうか。
アタシは、アタシの居場所さえも奪われようとしているのか。
目覚めなければ。
早く、早く、こんなくだらない夢から覚めて、あのこを。

“あのこを――さなきゃ”

746ベルン:2018/01/23(火) 22:47:48 ID:B2J8sAtc0
【闘技場】

「ああ――他ならぬ自分が望んでやった事とはいえ、定期的にこうしなければならないというのは……正直手間だな」

眼前に広がるのは普段の闘技場とは似ても似つかぬ死色の世界、暗い輝きを放つ紫炎が闘技場の中央から燃え上がり空を焼いている、ただそれだけで闘技場は異界と化していた。
それを引き起こした当事者である男は、その光景を瞳に映しながら忌々しげに自らの両腕に視線を落とす。
そこには人間のそれは存在せず、代わりに、闘技場の死炎と同質のものが腕の形を成している。
ただひとつ違う点を挙げるならば、闘技場のそれは徐々に勢いを失いそう遠くないうちに消えそうなのに対し、男の腕のそれは勢いを衰えさせる様子がまるでない事。
まるで燃料を絶え間無く送り込まれているかのように、煌々と燃え盛り続けているのだ。

「……まあいいさ、暫くはこれでどうにかなる」
「後は、こいつが落ち着くまで、物好きな馬鹿が寄らないように見るだけだ」

747牙噛由比 ◆Cs/SCyFmEg:2018/01/23(火) 23:02:20 ID:2lWNTtZw0
>>746
「こんばんは、お邪魔だったかしら?」

青年の目の前にいつの間にか女が居た。
漆黒の髪を長く垂らし、タイトなフォーマルスーツに――場違いな白衣。
口調と身に纏う雰囲気は落ち着いていても、外見は20後半か30半ばと言った所。
その妙齢の女は、少しの気遣いもなく青年に話しかける。

「良かったら“お姉さん”とお話、しない?」

748ベルン:2018/01/24(水) 01:31:46 ID:B2J8sAtc0
>>747

「いや、とんでもない、暴れる為の場所とはいえ公共の場でこんな事をしているんだ、邪魔をしているのは俺の方だからな」

尤も――邪魔以前に“排熱”の為に死炎を解き放ったこの場所に訪れる事の出来る人間など限られるのだが。
死の雰囲気に呑まれないほど場馴れした人間か、そもそも死の雰囲気を感じ取れないほど争いから遠い人間かの二択、彼女は、恐らく前者なのだろう。

そんな思考を巡らせつつ即興の死霊術で内側から爆ぜた両手を外見だけ再生させながら、男は女性に返答をする。

「良かったら、か、つまり良くなかったなら断っても構わないと、俺に選択の権利が有ると思ってよいんだな?」
「……悪い、意地の悪い冗談だ、俺も今の此処にわざわざ足を運ぶ物好きがいるなら話したいと思っていた、そうでなくても女性の誘いは蔑ろに出来ないしな」

749牙噛由比 ◆Cs/SCyFmEg:2018/01/24(水) 01:48:58 ID:2lWNTtZw0
>>748
「あら、意外と謙虚なのね“王”というのだからもっと踏ん反り返ってるものだと思ってた」

肩口に垂らした三つ編みを弄びながら、女は目を細める。
女の口から飛び出した“王”という言葉。確かに、かの青年は異様な雰囲気を帯びては居る。
だが、それをいきなり王と形容する者が居るだろうか。

「“彼”の口ぶりじゃ女の扱いは“まだまだ”だと聞いていたけれど・・・うん、歳取ったら化けるかも」

目を細める女。
間違いなく、彼女は青年が何者であるかを“知っている”

「“はじめまして”私の名前は牙噛由比(キバガミ・ユイ)」
「会えて光栄よ――“死霊王(ネクロード)”」

750ベルン:2018/01/24(水) 03:03:55 ID:B2J8sAtc0
>>749

「偉そうな振る舞いをして得られるものが有るのならそれも一興なんだけれどな、残念ながら今の俺はそこまでの器じゃない」
「なら、答えは一つだ、血筋も何も無い肩書きばかりの王位だろうが、これは引き継いだもの――その王の名を『身の程を弁えずふんぞり返る馬鹿野郎』って意味にする訳にもいかないだろう?」

自分の事を王と呼ぶのはあの従者くらいのもの、そして、彼女が他人に自分の事を語るとは思えない、百歩譲って語ったとしても何かしらの言葉くらいは自分に寄越すだろう。
先代に命を掬われた彼女の死霊王への忠誠心は間違いないものであり、その後を継ぐ自分に害が及ぶ可能性が有ることをするとは思えない、仮に自分を認めていなくとも、その行為は自分に椅子を譲った先代の方針に反するのだから。

(……となると、ほぼ絞られてくるな)

「上っ面だけならな、紳士的な振る舞いやエスコートには期待しないでくれると嬉しい」
「牙噛由比……ああ、しっかりと覚えておく、こっちの名乗りは要らないだろうが一応礼儀として……ベルン=ベルク、先にそちらが言ったように当代の死霊王だ」

751牙噛由比 ◆Cs/SCyFmEg:2018/01/24(水) 04:11:48 ID:2lWNTtZw0
>>750
「・・・ふぅん」

言葉と心の両方で、女は感嘆した。
彼女が何故、青年の事を知っていたかが語られるのはもう少し先の話なのだが、その性格までもを把握していた訳では無いのだということを明確にしておきたいと思う。

「まあ、そう身構えないで頂戴」

恐らく、青年の思考は物凄い速さで答えに辿り着こうとしている筈だ。
そして答えに辿り着く以前に、彼は本能とも言える“二択”を用意している。
即ち――

“敵”か“味方”か――

前者だと彼が判断したならば、ここは間違いなく本来の“闘技場(あるべきすがた)”へと変わるだろう。
答えを与えるのは容易い、でもそれじゃ“愉しくない”

「御免なさい、謙虚云々のくだりは無礼が過ぎたわ。試したつもりではないの、これは本心」
「だから尚の事驚いちゃった」

舌を出して微笑む。

「さて、ここで問題です」
「私は、貴方の“何”でしょう?」

だから、一つゲームをしよう。
きっとこの出会いは運命と呼べるものだ。
だから、そんな安い“運命(シナリオ)”はゲームに変えよう。

これはバブイルと未だ見ぬ妹との縁。
バブイルは“父(おう)”として息子に未来を託した。
同様に妹も、“誰かに何かを託されていたのではないか”
その相手が仮に女性だとしたら。
その女性が妹の“母”だとしたら。

752ベルン:2018/01/24(水) 11:36:56 ID:p4SiLEuc0
>>751

「身構える、か、そうだな……目の前に現れた牙噛と名乗る女性がどんな思考をしているのか、どんな人間性なのか、真意は何なのか、探っていないと言えば大嘘になる」
「ただ、それはお互いに同じ事だろう?」

そう――これはお互い様だ。
一方的に此方の情報を握る優位な立場にありながら、わざわざ直接足を運び接触を図ってきた彼女の行動こそ、此方の様子を伺っている、身構えていると評するべきだろう。

「いや、構わない、寧ろ試されて然るべきなんだ、というか……ぽっと出の自称王様を疑うな試すな無条件で信じろ、なんてそれこそ無理な話だろう?」

少なくとも自分には出来ない、なら他人のそれに怒りを感じるのはただの理不尽だろう。

「……“何”と言われてもな、“何でもない”としか返すことは出来ない」
「出身、環境、その他諸々が関係を築く下地になる事は否定しないが、どういう関係になるのか、牙噛由比という女性が俺にとっての“何”になるのかは、これから先も関わり続けてそこで初めて決まることだ」
「有り得ないifの話をするのは好きじゃないが……仮に血縁関係が有る実の母や姉だったとしても、今の俺にとっては“何でもない”他人でしかない」

「……だからこそ、そろそろ本題を切り出して貰おうか、言葉遊びは嫌いじゃないが、それだけが全てじゃないだろう」
「俺にとって牙噛由比が“何”なのか、見定める為にも、舞台に上がってくれ」

753牙噛由比 ◆Cs/SCyFmEg:2018/01/25(木) 00:27:45 ID:ZIZ8NDZE0
>>752
「やっぱり似てるわ、貴方達」

誰と誰が、とは敢えて言わない。
“何でもない”という返答は聴き様によっては思考の放棄とも取れる。
だが、彼は限ってはそうではないだろう。
他人に与えられる情報でなく、自らで得た経験で物事を理解する。
奇しくも、それは彼女があの娘に最初に教えた事。

「今はそれで十分」
「但し――自分で言った事には責任を持ちなさいよ?」

ピン、と垂らした三つ編みを後ろに弾くと、重力に従うそれを無駄のない手つきで纏め上げた。
片手で髪を押さえつつ、もう一つは胸元へ。彼女が両手を離したその後には銀の髪留め(バレッタ)が残る。

「そう語るのは誰でも出来る、でもね実行できるのは力ある強者のみ」
「ずっと考えていたの、私が貴方に与えられるものは何だろうって」
「で、考えて考えた結果が“これ”」

スッ、と拳を前に突き出す。

「“術式(てじな)”や“理論(ハッタリ)”は、あの人・・・随分と得意そうだったけど」
「“戦技(けんか)”はそれ程でもないみたいだし」
「本題は、そうねえ・・・鍛えてあげようかなって――」

女の目が細められる。口元は笑っていた。

「どう?貴方にその“覚悟”がある?」

754ベルン:2018/01/25(木) 01:34:43 ID:B2J8sAtc0
>>753

「当然だ、多少なりとも似ていなかったら、俺が今この状態で此処に居る事は無いだろう」

固有名詞こそ無くとも、ここまで情報を重ねられれば見当は嫌でも付いてしまう。
けれど、今はそんな事は割とどうでもよい、会話を続けるうちに朧気ながら見えるものが有った。

「言われなくとも、だ、責任の放棄を、他ならぬ自分自身への裏切りを進んで行う気は無い……最後に苦しむのも自身なんだからな」

護ると誓っても護れなかった、というのが尤も解りやすい事例だろう、人間は裏切りたくなくても裏切ってしまう生き物だ。
だからこそ意図して裏切るような真似はしない、この言葉の責任と重さは抱えていかないといけない、初めから――ずっと、そのつもりだ。

「覚悟、か、それを問われたのはあの時以来だな、本当に懐かしい……無論、出来ているさ」
「苦しい道に耐えかねて痛みに震えるかもしれない、離別の恐怖に潰されるかもしれない、そんな事を重ねるうちに先に進むことそのものが嫌になるかもしれない」
「それでも、失敗も成功も、喜びも悲しみも、出会いも別れも、胸に残るこの思いも痛みも、重ねた過去の全てを背負って進むとあの日に誓った」
「その覚悟は――何が有ろうが今更消えやしないんだ」

755牙噛由比 ◆Cs/SCyFmEg:2018/01/26(金) 02:12:09 ID:NfV.eSr.0
>>754
「問うだけ野暮だったみたいね」

青年の覚悟は決まっている。
では、次に考えるべきは何だ?
“覚悟”の意味。
それはどのような覚悟なのだろうか。
青年が口にしたのは、主に“自らに降りかかる状況”だ。
その覚悟も無論必要だろう。外から内に対して自らを律するということは、揺るぎない歩みを可能とする。
その一歩は、何かを得るかも知れないし、誰かを救うかも知れない。

「それじゃ、来なさい」
「口だけでは無い所を、その力で、その覚悟で――」

だが――
女が臨む覚悟は“そうでは無い”
何かを奪う覚悟、誰かを殺す覚悟、内から外へ――
与え、与え、奪い、殺す。

「証明してみせろ」

756ベルン:2018/01/26(金) 20:52:06 ID:B2J8sAtc0
>>755

何故この男が自らの行為に対する覚悟について語らなかったのか、答えは単純明快だ。
その覚悟は既に終わって“しまった”からだ。
可愛い妹分を困らせたから“念の為”友人の思い人を殺した、敵対する可能性が有るからと幾度も見掛けた少女を“一応”殺した。

元々、他人の命を仲間の命の為に――否、自身の平穏の為に奪う事を躊躇うような人間ではなかったからだ。
そして、多少節度を弁えたといえその根幹はそう簡単には変わらない、必要なら他人の命も矜持も全て使い潰し己の糧にする。

「証明か――今更だが構わないさ、だがそう言われた以上は、殺す気がない喧嘩なんて中途半端なものを見せる気は無い」

びしり、と闘技場――男の足下に小さな亀裂が走ると同時にその姿は掻き消える。
制限の壊れた筋力を活用しての大跳躍、牙噛ならば問題はないだろうが、並の人間ならその初動を追うことも困難だろう。

数秒の間を空けて、適度に離れた距離に男は着地する、いつの間にかその手に握られるのは、暗く燃える紫の炎を宿した魔刃――紫炎剣ストラトキャスター。

「開幕の号砲代わりだ、この程度の子供騙しに巻き込まれてくれるなよ……!」

紫炎剣を一閃させると同時に、男の目の前の大地から乱立する骨杭、自ら放った斬撃波は自ら作ったそれを次々に破砕し薙ぎ倒す。
これ見よがしな“仕込み”をしつつの一撃、どう対応するかをこの初手で見るつもりなのは間違いないだろう。

757牙噛由比 ◆Cs/SCyFmEg:2018/01/27(土) 00:02:17 ID:6lrrWvCI0
>>756
「デバイス起動」
「来なさい――“マーナガルム”」

青白い燐光を纏った現界。女の肩から腕を覆うように現れる“腕鎧(ヴァンブレイス)”型の装甲。
試作零式戦術魔導デバイス“マーナガルム”
白と銀の外装に所々に露出した配線。継ぎ接ぎで補強された外観は、お世辞にも美麗とは言い難い。
だからこそ、見え隠れする醜悪さに人は恐怖を感じるのだ。

コレは紛れもなく“凶器”だ、と。

「尽きよ」

女の声が術式を紡ぐ。周囲に展開される魔法陣。
幾重にも重なった術式が唸りを上げる。

「万象凍結」

そのヴァンブレイスの由来は氷、意義は停滞、術は全てを止める事。
彼女の周囲のほんの僅かが、たかだか数フレームの間だけ凍結する。
一秒にも満たない刹那だが、彼女には“それで十分”だった。
身に迫る脅威は、おおそよ三つ。剣からの衝撃波と骨杭、飛散する破片。
軸足に体重を掛け、“蹴り払う”
迫る衝撃波と“ほぼ同等の威力の衝撃で波を殺し”
今度は払った足を軸に“回し蹴りで骨杭を殺到する破片ごと砕く”
それは刹那に捩じ込まれた神速の二段蹴り。

758ベルン:2018/01/27(土) 01:05:09 ID:B2J8sAtc0
>>757

僅かな時間の事象停止と、短時間に効率良く行動可能な戦闘技術に一瞬で状況を判断し最適解を見つけ出す観察眼、その能力が驚異ではないと言えば嘘になる。

「少しばかり先代の真似事だ、残念な事に、俺の力量では竜巻のような規模には出来ないのだけれど……それでも有効な事に変わりはない」

蹴撃や斬撃波で砕かれた骨片の半分ほどが震えたと思うと、意思を持ったかのように空に舞い上がった。
大きな破片はそのままに、細かな破片は結合し短刀のような大きさに、人の命を奪うのに十分な殺傷力を維持させたそれらを天に、無数の骨杭を大地に潜ませ、常に全方位を警戒せざるを得ない状況を作り上げる。
そして――再度闘技場に響くびしりという音、男の渾身の踏み込みによって生まれたその音と同時に、その身体は弾丸のように前方に打ち出される、実力を把握した上で、敢えて近接戦を挑むつもりなのだろう。

759牙噛由比 ◆Cs/SCyFmEg:2018/01/28(日) 13:56:11 ID:nS/Tw6i.0
>>758
「悪く無いわね」

ニィッと口の端を歪める笑い。
ああ、どうしてだろう“この因果に連なる者達は”一様に、この笑みを浮かべなければならない決まりでもあるのだろうか。

「一つ、今の状況下で“私に近接戦を挑もうとしているという事”」

彼の判断はユイが今日一番嬉しかった誤算になった。
“どうやって引きずり出してやろうか”その手間が省けたからだ。
ユイは微動だにせず、青年を視ている。

「二つ、さっきの“返し”貴方は問わなかったわね“何をしたんだ?”って」
「貴方、“視えてたでしょ”だから近接でもいけるんじゃないかって考えた」
「いや、近接じゃないと“勝てない”そう感じたんじゃないかしら」

先程のユイの行動、仮に“視えていなかった”としよう。
衝撃波と骨杭、無数の破片が飛来しつつも“その場を一歩も動かず”
何故か奇妙なことに彼女にそれらが命中した瞬間、それらの事象は消滅していた。
ディスペル能力か、はたまた空間の湾曲か。残念ながらどれも違う。
“数フレームの事象停止(イナーシャルキャンセル)”と“その数フレームに割り込む驚異的な身体能力(アペイルアクセル)”
確かに出鱈目な話だが、“その速さに追いつくことが出来れば対処は可能だ”

「“真似事”ね、確かに有効だし、良く模倣していると思うわ」
「思い出して、バブイル・アマティーの戦い方は一対多を想定したものなの」

乱立する骨杭、大規模喚起、それは拒絶と言う名の戦い。相手を近づけさせず、自らも近づかない。
たった一人で、誰の頼りも得ず、全てと戦うための技。

「それだけじゃ“私には勝てない”」
「だから、私から学びなさい“タイマンで相手を圧倒する技を”」

760ベルン:2018/01/29(月) 00:28:45 ID:B2J8sAtc0
>>759

「ああ、その推察通りだ、この距離での戦闘では勝利は難しい……少なくとも力を示すなんてのは不可能だと思わざるを得なかった」
「放った骨杭の破片は弾丸であると同時に、俺にとっての手足の延長線上の物体でもある、それに干渉した“力”はしっかりと伝わってきたからな」

故に、白兵戦を選択せざるを得なかった。
存在の根元に死炎を宿し、死の概念に焼かれ続ける状態にある自分ならば、存在に対する一定の事象や概念の押し付けへの耐性が期待出来たから。
そして、それでも力及ばず此方の行動を停止させられた場合、その上で牙噛に有効な打撃を与えるには、一定以上の攻撃の“厚さ”が必要となる、それを実現するためにも、ある程度距離を詰める必要が有ったからだ。

「そうだな、大規模な攻撃は相手の行動を制限出来る反面、取り回しの悪さも相応だ」
「想定外の方法で突破された場合、状況を立て直すのにも一手間掛かるうえ、その規模ゆえにどうしても“薄い”部分が出てきてしまう」

語りながら、次の一歩を更に強く踏み込み、その加速をより増しながら、術式を起動する。
天に舞う骨剣への攻撃指示、地に眠る骨杭への喚起命令、そして――その大規模の術式に隠すように、小さな術式を起動する。

試合が動くのはその数瞬後、全力の加速を乗せた紫炎剣の斬撃と、天地からの骨杭による襲撃、それらが同時のタイミングで牙噛に襲いかかる――その筈だ。

761牙噛由比 ◆Cs/SCyFmEg:2018/01/30(火) 02:01:33 ID:7ITYPKwg0
>>760
ユイは、僅かに目を細めると青年の手元に視線を移す。
青年は舞台に上がれ、と言った。ならば、期待に応えよう。
“青年が得意とする獲物で、力を示そう”

「――デバイス起動」
「来なさい、“アイゼン”」

鈍色のガンメタル、どこか機械的な片刃の長剣がユイの手に握られる。
汎用第六世代――戦術魔導デバイスの最新鋭。
実験機と最新機、二つのデバイスを携えたユイは、地を蹴った。
そのデバイスは、青年の斬撃を受け止めるつもりらしい。

「“貴方の妹(イグニス)”は私から一撃を奪うのに、丸一年掛かったわ」

“尽きよ”とその唇がなぞる。
周囲には目もくれず、獣の眼光は青年だけを捉えていた。
口元には笑み。術式が唸りを上げる。後は引鉄を引くだけ。

「貴方はどうかしら、“お兄ちゃん(ベルン)”?」

アイゼンを逆手に握り直したユイが迫る。

762ベルン:2018/02/04(日) 23:03:21 ID:B2J8sAtc0
>>761

「決まっている、『今日この場で』だ、それ以外の解答なんて有り得ない」
「俺の言葉を受け取り同じ舞台に上がってきてくれたんだ、なら相応の礼儀と敬意は示す、その姿勢と時間を無駄にさせはしない――当然だろう?」

天を舞う剣が殺意と共に無数に舞い降りる。
地に潜む杭が憎悪と共に無数に起き上がる。
紫炎は決意を秘めて最高速で振り抜かれる。

以上の三つの動作が結果を生むとは思っていない、これらの攻撃はあくまでも“囮”だ。
剣を振り抜いた直後の一撃――腕に宿した紫炎を活性化させ、自信の身体そのものを偽りの紫炎剣として放つ一撃、負の情念を剣波ではなく爆発的な衝撃として放つ、我流の魔拳『ヴァイオレット』こそが。

(――それこそが“本当の囮”だ)

濃密な死の気配を放つそれは、本命の存在を隠蔽する為に放たれるだけ。
本命は今までに幾度も見せた“ボーングレイブ”、それを男は“自身の数歩後”に“起動済”なのだ。
ただ、その骨杭の起動を自身の術で敢えて押さえ込んでいる、故に、男の迎撃に牙噛が“成功”してしまった場合、男の身体により生まれた死角である後方から、抑えから解き放たれた白亜の刺突が牙噛に襲い掛かるだろう。

そう、これは不利を理解したが故に生まれた策。
自分が幾ら努力しようが、この試合中の僅かな時間で“それ”を行使する為に鍛練を重ねてきたであろう牙噛の技量を上回る急成長をする事は出来ない。
故に白兵戦での敗北を前提に、尚且つ最終的な勝利を奪うための手段として選んだのが、この一手だ。

763牙噛由比 ◆Cs/SCyFmEg:2018/02/05(月) 23:43:08 ID:p3s8CuAA0
>>762
ベルンとユイの距離が縮まる。
ユイの視界に、それらの脅威はしっかりと刻まれている。
だが――彼女の動きは止まらない。

「様子見ではない本物の殺気・・・でもね“それはさっきも見たわ”」
「侮られてるなんて思いたくないけど、結果として“そこまで”ならガッカリね」

ベルンの奥の手を知ってか知らずか、やや落胆した口調。
搦手(からめて)が悪いとは思わない。実戦に於いては勝利こそ全て。
例えどのような道筋を辿ろうとも、最後に立っていた者が正道となる。
しかし、ユイは知っていた。知ってしまった。
どんな理屈や技術よりも――
力こそが勝る、と。

「“共振(ユニゾン)”」

異なる二つのデバイスを仮想パスで接続。
マーナガルムは言わずもがな、アイゼンには主だった能力は付与されていない。
アイゼンは器。術式を伝達する為の魔導触媒として組んである。
ユイが紡いだ術式はマーナガルムを伝い、アイゼンへと流れ込む。

「あっは!命を賭けたチキンレースなんて久しぶり!」
「避けてもいいわよ?受けるのは・・・自由だけど“どうなっても責任持たないから”」

イナーシャルキャンセルで凌いだ先程の攻防をなぞらえば、結果は容易に視える。
それでも、ユイはその選択をしない。
圧倒的な力で、その策ごとぶち抜く。
ユイの笑みを見て青年は感じるだろう。
“この女も同じく、狂っているのだ”

逆手に握ったアイゼンから耳障りな金属悲鳴が聴こえる。
刀身が負荷に耐えられず叫び声を上げる。
ユイがやろうとしているのは魔術の暴走。
それを意図的に、ある程度の指向性を持たせ“己ごと巻き込んで発動させようとしている”

あれは五年前、ユイがあの男と初めて出会った日――
ベルンの事はその時に聞いた。

『あれは捻くれているが曲がらん、私も随分手を焼かされた』
『お前の道理を突きつけるのは勝手だが、精々油断せぬ事だ』

『随分と高く評価されているのですね。情に流されて耄碌(もうろく)でもしましたか』

『当たり前だ、自慢の息子だぞ。我が子が一番だと盲信せぬ親が何処にいる』

その男はなんの躊躇いもなくそう言い放った。
あの時、同じ事を自分も迷わず言えていたならば――
その償いを今ここでやろうとしているのだろうか。

「“狂ヒ咲キ(ストラトリシュラ)”――」

何れにせよ、全てはこの先に。
この一撃の向こう側に。

「“氷月華(フロストヴェイン)”!!!」

青く染まった刃を“解き放つ”
殺意も憎悪も決意も――そして己自身も凍らせる暴力。

764ベルン:2018/02/06(火) 02:09:02 ID:B2J8sAtc0
>>763

「何を間が抜けた事を言っているんだ、痴呆にはまだ早すぎる歳だろうに……自分で言った筈だろう『証明してみせろ』と」

初めから目的はそれ一つのみ、勝利も生死も関係などしない、それを示せるか否かだけがこの試合の根元だった筈だ。
故に――初めから“超える事”以外見ていない、それが何よりも解りやすく絶対的な“証明”だから。

天から降り注ぐ白亜の刃は、青い暴力に呑まれて静止する、地から芽吹く筈の無数の骨杭も大地ごと凍結する。
振り抜く筈の刃は凍り付きこそしないものの、圧倒的な暴威によって射程圏に牙噛の姿を捉える事すら叶わない、魔拳から放たれる死の爆風も青い暴力を打ち消す程の力は到底持ち合わせない。

「……制御、解放――」

しかしその程度で手が尽きたと思って貰っては困る、僅か一手の打ち合いで牙噛の手札を把握したと思い上がりはしていない。
こうした純粋な力で押し潰すケースも十二分に有ると想定していた、だからこそ此処に自分が立つ必要が有った。

自身の内側の“鍵”を解く、自らの内側の紫炎は命の欠片すら残さず自身の身と魂を喰らおうと燃え上がる。
敵味方の区別無く死を振り撒く“紫炎の燭台”と化した男の背後で骨杭が起動し“その胴体を貫いて”牙噛を――放つ暴威もろとも纏めて貫かんとするだろう。
元々、ただの骨杭で止められる相手だと思っていない、故にこうする他無かった、死炎そのものと化した自身の血と肉と魂を纏わせる事で、刹那の間疑似的な概炎礼装と成ったそれを至近距離から起動直後の最高速度を維持したままに叩き込む。

「――ボーングレイブ“死界蝋燭花”ッ!!」

青の暴力に向け、放たれる死色の一閃。
天地を凍てつかせる暴威と、万象に幕引きを与える終わりの魔槍。
異なる形の“停滞”を与える概念、その衝突の結果は――――。

765牙噛由比 ◆Cs/SCyFmEg:2018/02/06(火) 19:06:15 ID:bhI0olNQ0
>>764
「―――これが」

結末は実にあっけないものだった。

「“これが今の貴方の答え・・・そう捉えて良いのね”」

その声は“ベルンの背後から背中越しに投げかけられた”
右手には刀身半ばから砕けったデバイス。身体の各所には軽微な裂傷。
前者はユイの術式に耐えられなかった故の損壊。後者は“自らの放った術式を強引に突き進んだ結果”
そして、ユイの左肩は“デバイスごと魔槍に深々と貫かれていた”


少し時を巻き戻そう。
ユイの術式が発動し、ベルンの魔槍が起動する。双方が激突するその刹那。
ユイはイナーシャルキャンセルで離脱を試みようとした。元より自分の身を犠牲にする心算は無かったのだ。
相手を圧倒したとしても、それが代償と引き換えでは意味がない。ユイには無傷で、青年に現実を突きつける使命があった。
だが・・・その数フレームの最中、ユイは視てしまった。青年の思惑。起死回生の一手が、文字通り代償の上に成立しようとしているのを。

「このッ――大馬鹿者ッ!!」

ユイは犬歯を剥き出して叫ぶ。どのような結末もユイは受け入れる心算だった。
青年が言うように、自分から一本を取るのはこの瞬間かも知れないと、半ば確信めいたものを感じていた。
だが、この結末だけは認めない。許せない。
自らが解き放った狂乱に突っ込み、四肢を暴力に晒しながらベルンの背後に回り込む。
それは一撃を与える為ではなく。ただ庇う為。

“我が子を魔槍の脅威から守る為”


時は進み――現在。
ユイは肩からの出血で左腕を濡らし、それでも両の足で立っている。

「答えなさい、ベルン」
「“俺にとって痛みなど些細な事だ”なんて言ってみなさい。ブン殴るわよ」

766ベルン:2018/02/06(火) 20:48:49 ID:B2J8sAtc0
>>765

「……アンタこそ……何を、やっているんだよ」
「先代には及ばないかもしれないが、俺も死霊術士だ……“死体”を――自分自身を操る事も、その構造を組み換える事も出来るんだ」
「身体を貫かれようと、その位置さえ予め解っているのなら……痛みも傷も限界まで抑えられる、だからこそこの手を選んだんだ!」

ここにきて、初めて動揺の色を男は浮かべる。
困惑と、罪悪感と、そして……怒りを交えたそれを浮かべたまま、男は言葉を紡ぐ。

「……その前に、俺の質問に答えてくれ」
「庇ってくれた思いは嬉しいが、それでも言わなければならない言葉だ」
「牙噛由比、あんたは……俺をそんなに“信じられなかった”のか?」

証明する、と誓った。
その証明がこんな自爆めいたものだと彼女は本当に思ったのか、その一瞬の為に命を危険に晒すような愚行を本気で行うと思われていたのか。

だとするなら――それは何よりの冒涜だ。
ここで一瞬の輝きの為に投げ捨てられるような、そんな程度のものしか自分は得ていないと、その程度の人生だったのだと、そう言われるに等しいのだから。

767牙噛由比 ◆Cs/SCyFmEg:2018/02/06(火) 21:47:55 ID:bhI0olNQ0
>>766
「“何をって”見て分からない?」
「肩に槍がブッ刺さってんの。なにこれ滅茶苦茶痛いじゃない」

毒吐きながら半壊したデバイスを放り投げると、右手で槍を“握り潰す”
メシメシと音を立ててヒビを走らせる表面は次第に凍りついてく。
右手から伝達する冷気が槍を伝い、傷口を凍らせているのだ。

「はぁ・・・パンスト裂けてるし、どうしてくれるのよ」
「後、さっき人の事を痴呆呼ばわりしたわね。覚悟しときなさい」

青年とは対象的に冷めた表情でユイは答える。

「“信じられる訳ないでしょう”」

あっさりと、ユイは青年を否定した。
どちらかと言えば、信じる信じない以前の問題だった。

「貴方ね、あのまま放っておいてみなさい」
「“私は、貴方の腹から突き出た槍で傷を負わされたかも知れないのよ?”」
「ドン引きだわ、そんな悪趣味な攻撃」

それに槍を受けてみて分かったことがある。それはごく当たり前の事だ。

「痛くないわけないじゃない」
「怖くないわけないじゃない」
「それが普通。確かに、貴方はヒトではないのかも知れない」
「じゃあ・・・ヒトであった心や思考は、もう要らなくなった?」

ユイは告げる。

「自分の痛みに気付けない存在が“他人の痛みに気付いてあげられるの?”」

768ベルン:2018/02/06(火) 22:17:30 ID:B2J8sAtc0
>>767

(あ、ヤバい、暴言もしっかり覚えられてた)

そんな感情が一瞬思考を横切るけれど、それもすぐに流される。
痛み、当然それは感じている、肉を裂く痛みも骨が砕ける痛みも、消えて無くなりはしない。

けれど。
それの本来の意味を自分は覚えていただろうか。
身体の破損具合を示す、ただの信号として受け取っていたのではないだろうか。

「……そうか、そうだな」
「痛いのも苦しいのも“当たり前”の事、結果を出すなら相応の対価が必要、ならそれが有るのは必然だ……そう、思っていた」
「そんな俺が他人の痛みに気付ける訳もない、物を買うのに金銭を払うように、結果の為に苦痛を生む、それが俺の“当たり前”なんだから」

■■■■を助ける戦いで、腕を一本使い捨てた。
かつての死霊王に覚悟と意思を示す際に、もう一本も使い捨てた。
気が付けば今も、自身の身体に手を加えてまで己を使い潰そうとしていた。

「……確かに、これは信用に値しないな」

769牙噛由比 ◆Cs/SCyFmEg:2018/02/07(水) 22:36:46 ID:U8PRyDTM0
>>768
「それは、“本当にどうしようもない時”に取っておきなさい」
「仮にも“代償”という名目の行為なら、安売りすべきではないわ」

肩の応急手当が終わったのか、ユイは振り返ってベルンと相対する。

「とは言っても、一本は一本」
「安心なさい。ノーカンだなんてケチ臭いことは言わないから」

パチパチ、と手のひらを打ち合わせる。肩の傷が無ければ、もう少し盛大だったろう。

「お見事。貴方はその言葉を違えなかった」
「“自らが口にした事には責任を持つ男”、それに関しては信じましょう」

ニッコリとユイは笑う。

「頑張ったわね、ベルン」

770ベルン:2018/02/07(水) 22:57:52 ID:B2J8sAtc0
>>769

「ありがとう……贅沢だとは自分でも思うが、どうせなら胸を張れる方法で一撃見舞いたかったのが心残りだ」
「……けれどまあ、この結果はそれはそれで悪くないな、次にどんな方法を試してみようか、考える楽しみも増えた」

自身の未熟は認めるしかない、けれど、それは決して不快な事でない、今まではその未熟さが何処に有ったのかすら理解できていなかったのだから。
だから、これも立派な“進歩”だ、それは自分にとって何よりも嬉しい事であるし、故に感謝の言葉が出せたのだろう。

「こいつの使い方も、幾らか考え直しておく事にしようと思う」
「未練が無いように過ごすつもりではあるが、早々とこの身体と魂を朽ちさせたいとは思わない……他ならぬ自分の為だ、使い処は考えるよ」

771牙噛由比 ◆Cs/SCyFmEg:2018/02/10(土) 00:15:52 ID:Z4PlNkWQ0
>>770
「それじゃ、次を楽しみにしておくわ」

含みのある笑みを浮かべつつ、そうだ――と思い出したように口を開く。

「なんだかんだで私が“何者か”答えてなかったわね」
「“魔法協会特別医療分室(カドケウス)”室長――牙噛由比」

表向きは回路系術式医療の最先端。
その実態はデバイス開発とその運用。それを扱う“兵隊”の調整。

「そして“貴方の妹(イグニス)”の保護者」
「貴方とバブイルの関係と似たようなものと考えて貰っていいわ」
「尤も、こちらは一から“躾け直して”いる分、殆ど我が子同然よ」

ベルンがバブイルを模倣したように、イグニスもまたユイを模倣した。
ユイは因果を捻じ曲げる概炎を“立派な脳筋”へと育て上げたのだ。

「で、貴方と私の関係だけど・・・因果を辿れば“母子(おやこ)”になるわね」

772ベルン:2018/02/14(水) 03:03:29 ID:B2J8sAtc0
>>771

「魔法協会か……難癖を付ける気はないが、あんまり良い印象が無いところだな」

正直、一戦交える前に聞いていたらもっと警戒していたかもしれない、偏見は良くないなんて事は百も承知だが、それでもその感情は拭えない。

「……あの子の保護者か、成る程な」
「もっとも、俺は“イグニスとは”一度も会っていないんだけれどな、それでも……少し安心した」

一人じゃない、戻る場所がある。
それだけで人は“人”らしく生きられる。
その環境に居られているのなら……それはきっと幸せだったのだろう。

「……親子、か、血縁が無くてもそういう関係を築く事は出来るんだろうが、正直言えば初対面の相手だ、嫌な相手で無いことは理解出来たが……受け入れ難いっていうのが本音だな」

773牙噛由比 ◆Cs/SCyFmEg:2018/02/14(水) 21:14:06 ID:EXqpIm5A0
>>772
「それに関しては否定しないわ」
「街丸ごと・・・これだけ大きなテストケースだもの、皆躍起になるのは当然でしょう」

尋ねられれば答えただろう。それで結果が変わったとも思えないが。
協会での顔については然程興味がない。
必要なのは環境であり、それを自由に扱える権限のみ。他は勝手に付いてくるオマケだ。

「怪物の腹の中だって考えれば、下手に避けるより飛び込んだほうがいい場合だってある」
「無神論者か多神教徒か・・・原理主義者かどうかの見極めくらいはやっておいて損は無いわよ」

ユイは協会を怪物と揶揄した。
存在を否定するのか、一つの形として受け入れるのか。それとも“それ以外を認めない”のか。
その道のいずれかの先にユイは立っているのだろうか。

「安心?」

ユイは眉を顰めた。会いもしないのに、どこからそんな感情が湧いて出たのか。
因果の端が繋がっていることが、そうさせるのだろうか――などと思案する。

「どうかしらね」

様々な思いが混ざった呟き。

「私もね、よく分からないの」
「貴方に会って、拳を交えて、口に出して伝えてみたら何か見えてくるかと思ったけど――」

目を細めて口を歪ませる。

「まだ、そういう時じゃないのかも知れないわ」

774ベルン:2018/02/16(金) 22:29:18 ID:KsUPWg/20
>>773

「既に怪物に食われた後なのに逃げ回るのもおかしな話だからな、内側から腹を裂くのか吐かせるのか糞と一緒に出るのかは兎も角、飛び込んで模索するのは悪くはなさそうだ」
「もしかしたら、一般的な言葉で語れないような……もっとおぞましい何かが有るのかもしれない訳だからな、どのみち何時か出逢うのなら、今踏み込んでも困ることは無いだろう」

当然、踏み込み方にも配慮は必要かもしれないが、やる理由とその価値は探せば幾らでも有るだろう。

「安心、だ、間違いなくそう言ったよ」
「俺は彼女を知らないが、彼女が人である事を望んだことは知っている」
「そんな彼女が人として生きる事の意味をしっかりと解っている人に保護されているのなら、俺にとってそれは安心するのに十分過ぎる理由だ」

戻るべき場所が大切なのは言わずもがな、そこがしっかりと生きる事を学べる場所だというのなら尚更だ。
直接授業として習わなくとも、人の生き様は他人に少なくない影響を与えるもの、だからこそ、彼女が保護しているのなら安心出来る。

「けれど、それでよいんだろうな」
「関係なんて無理して作るものでもない、気が付いたらそうなっているものだ、今はいまいち実感が湧かないなら、それが今の俺達の真実なんだと思ってる、少なくとも俺はそう思う」

775牙噛由比 ◆Cs/SCyFmEg:2018/02/22(木) 23:44:33 ID:lln4G8cA0
>>774
そうね、と呟いてユイは踵を返す。
そう、これが因果。

“こんなカタチでアンタと再開する羽目になるなんてね”

自嘲気味に歪めた唇は、笑みを作っていた。
――と出会わなかった世界線
―――が死ななかった世界線

たったそれだけでこんなにも変わってしまうものだろうか。

「“ベルン”」

そうだ、アタシはいつの間にかアンタの年齢を“追い越してしまった”

「次は、もう少し厳しく行くわよ?」

三つ編みを解く。
僅かなノイズが奔る。
“漆黒の髪は栗色に変わり、緩やかなウェーブが風に靡く”

一瞬振り返った横顔は、口を三日月に歪めて嗤っていた。

「じゃ、またね」

776ベルン:2018/02/23(金) 01:10:34 ID:prb03T320
>>775

「ああ、望むところだ」

今も色褪せない記憶に残る姿が、僅かなノイズが疾る姿と重なる、それに驚きを覚えないと言えば大嘘になる。
けれど――だからこそ納得がいった、なぜわざわざ人に稽古を付けるような真似をしてきたのか、自身の身体を張ってまで自傷を伴う攻撃を止めたのか、それなら理解が出来る。

もし、初めから他人ではなかったのなら。
ずっと昔に知り合っていた――因果が紡がれていたのなら、その行為に感じていた違和感も消える。

「ああ、それじゃあ……またな」

別れの言葉を紡ぎだし、背を向け闘技場から歩き出す、その間際にふと零れ虚空に溶けた名前は。

「――“    ”」

777ポニーテイルの少女と金髪の青年 ◆DUSK/kzn02:2018/03/10(土) 22:13:00 ID:eRkB3tXk0
【カフェ】

「魔法少女、憧れるよね」

「……具合悪い?」

778テレビ番組 ◆YJMWmO4ZS6:2018/03/10(土) 22:34:45 ID:T0YCDSjI0
>>777
「今巷では邪道系魔法少女が人気!」

丁度番組で何か特集している。何やら魔法少女(ショタ)同士のBLだの自宅から超長距離狙撃する引きこもり系だのが紹介されている。

779ポニーテイルの少女と金髪の青年 ◆DUSK/kzn02:2018/03/10(土) 22:40:54 ID:eRkB3tXk0
>>778
「こういうのになりたいの?」

「いやぼくはこう……ぱぱっとかわいく変身したいだけで……っていうかこれは魔法少年じゃないの?」
「ボーイズ……?」

「うんうんうんうんリアにはちょっと早いかな」

「子ども扱いしないでほしいんだけど」

「(ううん……)」
「あ、今の狙撃かっこよくない?」

「かっこいい!」

やんややんや。飾りっ気がない少女も時にはプリティに憧れるらしい。

780特番に出演するトーム:2018/03/10(土) 22:49:01 ID:J5ZUlMko0

 | 三_二 / ト⊥-((`⌒)、_i  | |
 〉─_,. -‐='\ '‐<'´\/´、ヲ _/、 |
 |,.ノ_, '´,.-ニ三-_\ヽ 川 〉レ'>/ ノ   【ショタと聞いて我慢できずに駆けつけた
〈´//´| `'t-t_ゥ=、i |:: :::,.-‐'''ノヘ|     住所不定無職 トーム】
. r´`ヽ /   `"""`j/ | |くゞ'フ/i/
. |〈:ヽ, Y      ::::: ,. ┴:〉:  |/       魔法少年はよい
. \ヾ( l        ヾ::::ノ  |、       ポロリもあると、尚よし
 j .>,、l      _,-ニ-ニ、,  |))       
 ! >ニ<:|      、;;;;;;;;;;;;;,. /|       ___,. -、  
 |  |  !、           .| |       ( ヽ-ゝ _i,.>-t--、
ヽ|  |  ヽ\    _,..:::::::. / .|       `''''フく _,. -ゝ┴-r-、
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ヽ  ヽ\   \:::::::::::::::::::::::::::::::::::::/      /   ゝニ--‐、‐   |
 l   ヽヽ   \:::::::::::::::::::::::::::::::/           /‐<_  ヽ  |ヽ

781 ◆YJMWmO4ZS6:2018/03/10(土) 22:50:22 ID:T0YCDSjI0
>>779
「ですが、邪道系魔法少女の王道といえば格闘戦タイプ! 今や国民的ジャンルと化した存在ですねー」

日曜日の朝に出てくるような愛らしい衣装の魔法少女が巨大な敵を投げ飛ばしている。
そして裏方系魔法少女が戦闘で破壊された町を修復して回っているところがワイプで表示されたりしている。
この番組はどこに向けて作られた特集なのだろうか。

782ポニーテイルの少女と金髪の青年 ◆DUSK/kzn02:2018/03/10(土) 23:02:21 ID:eRkB3tXk0
「マスター、このチャンネル教育によくないから変えちゃ……だめですか、はい」

「ショタのポロリって何!?」

「いやさすがに俺もわからない……身バレ?」

「変身物の正体バレは激熱じゃん!」


「……」
「……魔法少女も大変なんだなあ」
「噂っていうか過去話だけどこの街も大概だったって聞くよ」
「居合わせたかったn「勘弁して」

783ポリス系魔法少女 ◆YJMWmO4ZS6:2018/03/10(土) 23:07:18 ID:T0YCDSjI0
>>780>>782
「スタジオ裏、な?」

青を基調とした警察っぽいデザインの魔法少女が出演者の肩を叩く。
番組はこれでいいのだろうか。プロデューサーもきっとノリで生きているのだろう。

784ポニーテイルの少女と金髪の青年 ◆DUSK/kzn02:2018/03/10(土) 23:11:15 ID:eRkB3tXk0
>>780
>>783
「回収されていった……」

785トーム:2018/03/10(土) 23:19:25 ID:J5ZUlMko0
>>782
「念のために言っておくが、ポロリは首がポロリ的な意味じゃなくt」

>>783
「――えっ、急にスタジオ裏になんて……大胆かつ、せっかちなんだな…」(^ω^*)ドキドキ
彼は後に待つ運命を知らなかった。

786 ◆YJMWmO4ZS6:2018/03/10(土) 23:22:23 ID:T0YCDSjI0
>>784>>785
普通にカフェメンバー御用達な警察の方々が待機していた。
犬のおまわりさんに連行されるクマ吉の如き手際のよさで手筈が整えられていた。

「いや〜自分で逮捕せずに警察を呼んでくる魔法少女。これもまた邪道系ですねー」

そんな落ち。

787ポニーテイルの少女と金髪の青年 ◆DUSK/kzn02:2018/03/10(土) 23:30:44 ID:eRkB3tXk0
>>785
「マミさん!」
「まってリアそういう知識は深めなくていいから」

>>786
「社会的にやっつける魔法少女だ……」
「真似するならこういう魔法少女になってね」
「えー」

「まああれだよね、ぼく」
「「  だね」」

788トーム:2018/03/10(土) 23:41:46 ID:J5ZUlMko0
【某月某日】
          | ̄l\     .| ̄l\
        |  | | ̄ ̄ ̄ ̄|  |  \
    TTTTT.|  | | [*][*]   |  | TTTTTTTTTTTTTTTTTTTTTTTTlヽ
   [二二二|  | |        |  | [二二二二二二二二二二二二二二]\lヽ
   `l []l[] .|  | | 日日日 |  | | 皿皿 皿皿 皿皿 皿皿 皿皿 |   \l
   [二二二|  | |        |  | [二二二二二二二二二二二二二二]   |i-i-i-i-i、
   `l []l[]. |  | | 日日日 |  | | 皿 <しまった!!やられた!目を放した隙に・・]\
   [二二二|  | |        |  | [二二二二二二二二二二二二二二]   |皿皿  |  |
   `l []l[]. |  | l| ̄| ̄|ニl .|  | | 皿皿| ̄| ̄| 皿皿 皿皿 皿皿 l.    l二二二]  |
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄|  |  ||_|_|_|_|_|_|_|_|_|_|_||  | ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
              |  |  ||_|_|_|_人.|_|_|_|_|_|!! ||刑|
              |  |  ||_|_|_く  て_|_|_|_||. .||務|
    /\___/ヽ|! ||_|_|_|_`v´.|_|_|_|_||. .||所|
   /''''''   '''''':::::::\/.         |_|_________________

 ((;;;;゜;;:::(;;:      '';:;;;):;:::))゜))  ::)))
 (((; ;;:: ;:::;;⊂( ^ω^)   ;:;;;,,))...)))))) ::::)
  ((;;;:;;;:,,,." ヽ ⊂ ) ;:;;))):...,),)):;:::::))))
   ("((;:;;;  (⌒) |どどどどど・・・・・
         三 `J

789 ◆YJMWmO4ZS6:2018/03/18(日) 20:46:59 ID:T0YCDSjI0
【カフェのスクリーン】
本日の検定内容_
‘天井の低いダンジョンは好きですか?’
〔ジャンル〕
探索
〔推薦適性値〕
閉所戦闘B
〔開催地〕
勇者殺し第十一試作ダンジョン

〔概要〕
ダンジョン攻略のスペシャリストである勇者。
しかしダンジョンマスターにとって攻略不可能ダンジョンは夢。
とにかく低コスト高難易度のダンジョンを、その一心で作られたダンジョン。
それが勇者殺し試作ダンジョン群。

今回挑戦するのはこちら、天井が低くしゃがみ歩き、四つん這い、匍匐前進、
それらを駆使しなければ進めないほど狭いという異色のダンジョン。
腕自慢のカフェメンバーはこのダンジョンを攻略できるか!

〔ヒント、その他〕
今回はヒントなしです。

〔失格行為〕
・ダンジョンでの大規模破壊行為、検定のコンセプトが台無しなので。
・一般の挑戦者への重い妨害好意、普段一般挑戦者はいませんが万が一であったら配慮しましょう。

〔BOSS〕
・クレイスライム
粘土で構成されたスライムです。攻撃してきませんがゴールを塞いでますので掘り進みましょう。

《PRESENT》
☆ラバーカップ☆
分類:清掃用具
はずれ。

☆抜け穴のめがね☆
分類:魔導具
狭い通り道を見ると自分がそこを通り抜けられるかが分かるムシメガネ。
ゴールにたどり着いた方全員に差し上げます。

《検定開始時刻》
>>21:00
《終了予定時刻》
>>1:00

790タート ◆YJMWmO4ZS6:2018/03/18(日) 20:57:07 ID:T0YCDSjI0
>>789
「賞品にハズレが混じっている検定があるとは」

最初から四速歩行の獣がやってきた。これはダンジョンのコンセプト的にいいのだろうか?
どうせ試作ダンジョンだから、と言われればそれまでかもしれないが。

791タート ◆YJMWmO4ZS6:2018/03/18(日) 21:04:43 ID:T0YCDSjI0
>>790
【勇者殺し第十一試作ダンジョン】
転送装置の先は、普通に街中だった。試作ダンジョンだからだろうか。
ダンジョンは地下に作られており、入り口が既に狭かった。
天上の高い場所などほぼないらしく、普通の成人なら快適な探索は望めないだろう。

「確かに嫌がられそうだな」

792タート ◆YJMWmO4ZS6:2018/03/18(日) 21:12:45 ID:T0YCDSjI0
>>791
入り口はまだしゃがみ歩きができる程度の高さではあるらしい。
横幅はそこそこあるらしく、一応横向きになら小さな武器を振るうことができそうだ。

そして出てくるエネミーはネズミ系の小型の魔物が多いようだが。

「普通に魔法で一網打尽にできる程度か」

まだ入り口であるからか、簡単に突破できるようになっているらしい。
この先はどうなっているかわからないが、タヌキが挑むことを想定していないだろうと考えると……

793タート ◆YJMWmO4ZS6:2018/03/18(日) 21:31:27 ID:T0YCDSjI0
>>792
基本的にエネミーは弱く、単純に戦いづらい場所で多数の小さな魔物が出てくるというコンセプトのようだ。
ただ、それだけに獣相手には普通のダンジョンでしかなかった。

「次は地下二階か」

地下一階の途中からは四つん這いで進むレベルでの天井の低さになっていた。
だが地下二階からは本格的に匍匐前進が必要になる天井の低さだった。

「しかし、こうもいきなり低くなると、狭い分最深部もそう遠くなさそうだな」

794タート ◆YJMWmO4ZS6:2018/03/18(日) 22:15:29 ID:T0YCDSjI0
>>793
地下二階に入ると仕掛けも本格化。匍匐前進でなければ進めないのに天井に穴が開いていたりする。
その穴の奥のスイッチを押さなければ扉が開かない仕掛け。
他にも匍匐前進しながらそこそこ重いオブジェを特定の場所まで押さなければならない仕掛け。
スイッチを押したら制限時間以内に扉を潜らないと扉が再び閉まってしまう仕掛けなど。

王道ながらに多彩な仕掛けが、天井が低いという一点だけでかなりの高難易度になっていた。

「獣の身ではいくつかできない仕掛けがあるが……」

天井の穴のスイッチは届かない。重いオブジェは押せない。
複数のルートがあるようだが、この分では随分遠回りさせられるだろう。

795タート ◆YJMWmO4ZS6:2018/03/18(日) 22:40:58 ID:T0YCDSjI0
>>794
「うむ?」

それでも進んでいくと、今度は蠢く粘土が道を塞ぎ始める。
そしてエネミーが次から次に湧いてくる。どうやらエネミーを倒しながら粘土のスライムをどかさないといけないようだ。

「土ならともかく、粘土か。道具を器用に使えない身では、厳しい」

エネミーは相変わらず弱いようだが、クレイスライムはそこそこ耐久力がある。
そして倒しても素材の粘土は残るようで、道を塞いだままだ。
地属性に適正があれば道具無しで簡単に掘り進めるかもしれないが、このタヌキは雷と風属性だ。

「引き返すべきか?」

奇数ならこのまま
偶数なら別の道を探す

796タート ◆YJMWmO4ZS6:2018/03/18(日) 22:53:12 ID:T0YCDSjI0
>>795
「引き返そう。ここがダンジョンであるというならばあるはずだ、隠し通路が!」

既にあらかたのルートは回ったがどこも突破が難しそうだった。
ならばたとえなかったとしても探すしかない。隠し通路や隠し部屋などの要素を。

0か5なら何か発見。

797タート ◆YJMWmO4ZS6:2018/03/18(日) 23:04:59 ID:T0YCDSjI0
>>796
「ネズミの臭いで他の臭いがあまりわからないな」

ネズミ用の通路はあるのだが、妖精でもないとこの狭さを行くのは無理だろう。
その臭いが強いので隠し通路などを嗅覚で探すことが難しいようだ。
あるいはクレイスライムで隙間が埋められているのかもしれない。

「視覚で探すより他ないか」

0か5なら何か発見

798タート ◆YJMWmO4ZS6:2018/03/18(日) 23:23:14 ID:T0YCDSjI0
>>797
「ダメだ、何もない」

探す為のノウハウもなく、嗅覚も当てにならない以上隠し通路探しは完全に手詰まりとなった。
エネミーは簡単に倒せるが、頻繁に襲ってくるのも探索の邪魔になる。

「諦めるしかないのだろうか」

799タート ◆YJMWmO4ZS6:2018/03/19(月) 00:11:44 ID:T0YCDSjI0
>>798
ふと、風の流れを感じた。このダンジョンに似つかわしくない臭いを運ぶ。
それは仕掛け扉の横だ。そこには何もないはずだ。仕掛けをそこに作る意味もない。
それでもそこから、機械油の臭いが流れてくる。

「……」

見るとそこには暖簾がかかっている。その先は壁だ。
当然来た時にはそんな暖簾などなかった。こんな臭いもしなかった。
タートにはわかる。これは異界だ。
そしてタートはまだ異界を自由に行き来する力を持っていない。
この異界がダンジョンの奥に繋がっている保証もない。それでもタートは暖簾に近づき――

0か5以外なら何も起こらない

800タート ◆YJMWmO4ZS6:2018/03/19(月) 00:17:30 ID:T0YCDSjI0
>>799
何も起こらない。暖簾に触れても、いや、そこにあるのは壁だ。

「……無理、か」

このダンジョンをクリアするには力不足だったのだろう。
万策尽きた。そういっていい。既に入り口近くまで戻ってきていた。
もう脱出してしまおう。諦めも肝心。そう言い聞かせ、足を進めた。

801《鹿撃ち帽》 ◆iG.8/BousI:2018/06/09(土) 20:59:36 ID:SG3eWK.20
 ―=【闘技場】=―

夜が更ける。

月明かりは遮られ、月明かり無くとも輝き続ける闘技場内部。

人は無い。
                             ・ ・ ・ ・
外界と隔絶された世界で、風も無いのに―――殺意だけでマントは閃く。

【―――人喰いは今日も居ない】

鹿撃ち帽の男は独りごちる。
                 ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・
既にこの街にいないのは、人喰いだけではないのに
無風を寸刻感じてから、今日もこの場所を彼は後にするのだろう
帰る場所も、無いというのに

夜が更ける。

802《鹿撃ち帽》 ◆iG.8/BousI:2018/06/09(土) 22:16:05 ID:SG3eWK.20

炊煙がまばらに現れる暮相。されど彼に粗餐は要らない。
窓の光が寝静まる真夜中。されど彼に惰眠は無用。

唯、街を歩く。
聖火のように絶えることのない殺意が、彼からただ吹き荒ぶ。

音無き暴風。光無き稲妻。足元の花は散ることもなくただ戸惑う。

それを見咎める者は誰も居ない。彼も応える者など求めない。

街の中心部に聳え立つ時計塔を見上げる。
それとなく入り、螺旋階段を登り、街を見下ろす。
虚に向かって問いかけたのは、この街が現(うつつ)か否か。

市街の炊煙は幻で無かったと言えるのか?
窓の光は迷夢で無かったと張れるのか?

―――この世界には、誰が居るのか?

現より産まれる事の叶わなかった彼は、答えを求めるかのように、頂上から闇へと身を投げ―――
再び歩き出し、また闇に消える。

803タート ◆YJMWmO4ZS6:2018/06/12(火) 02:16:31 ID:T0YCDSjI0
>>802
「ふむ?」

異様な臭いを感じ取る。物理的な臭いではなく、霊的な、異界的な臭いを。
嗅ぎなれない臭いな気もして、嗅ぎなれた臭いの気もする。

夕方と明け方は特にこれらの臭いが強くなる気がした。
この身はまだタヌキ。ただ、道を探すタヌキ。

804《鹿撃ち帽》 ◆iG.8/BousI:2018/06/12(火) 22:22:23 ID:SG3eWK.20

 ―=【時計塔周辺の街路】=―

犬科の嗅覚は人間の約100万倍〜1億倍と謂われている。
夜行性であり、視覚がやや弱いタヌキはその中でも優れた嗅覚を持つだろう。

ただし、タートが彼を感知する器官は、鼻ではなく、それ以上に―――弥立った身の毛だろう。
樹木程の大きさの梟に狙われているかのような殺意。
その残滓が彼の足跡には染み付いている。
―――ああ、所詮は残滓だ。仮令、震えを覚えたとしても、刹那で収まる。

また、タートの魔法適正は、《主》が微弱な雷を纏いながら歩いていた事も感じているだろう。


 そしてタートは段々と近づく。

 徐々に発信源との距離が狭まるのを感じる。

 来たぞ。すぐ、そこだ。



                                   ・ ・ ・ ・ ・
「―――ほう、カラスしか居ないと思っていたぞ。この街には。
 魂らしい魂を久々に感じられたぞ、獣。」

彼は殺意を発し続ける。
全方位に。ハンドルが壊れた蛇口が水を放つ様に―――否、この量を比喩するならば、もはや滝か?
そして、何より特筆すべき事がある。

似ている。
―――あれは何時ぞやの話であっただろうか?
日用魔導具博覧会会場へコンビを組んで潜入した、あの赤い野球帽の男にそっくりの相貌なのだ。
そして、タートが彼の事を思い出せたのならば、"それらしい"臭いはするものの、別人である事も悟るだろう。
付け加えるならば、トレードマークであった帽子も違う。
彼は鹿撃ち帽を被り、静電気が纏わりついた黒マントを着用している。

《主》はタートをじっと見た。しばしの沈黙が流れる。
彼の殺意は収まらないが、先程の口調から判断すれば、敵意は無い。

「――――もしかして、『己』の事を知っているのか?」

その質問はまるで、自身が『己』を知らぬ赤子である事を暗示しているかの様で、
気迫の割には何処か間が抜けているものであった。

805タート ◆YJMWmO4ZS6:2018/06/16(土) 19:41:00 ID:T0YCDSjI0
>>804
「随分と奇妙な、いや、人間らしいといえば人間らしいのかもしれんな」

なんとなく、あの明るさが滲み出る男に似ている。そう思った。
獣としての自分は、似ている臭いでも違う。そう告げている。

「知っているかもしれない男に会ったことがある、ということなのだろうか」

獣の常識であれば必要なかったであろう判断を迫られる。

「似ている男に、会ったことがある」

獣の常識から外れた領域、そして人の常識からも外れた領域。
それを知ってもなお、この殺意には身の毛が弥立つ。未だ、獣を逸脱できない。
だが、それだけではいけない。獣の自分も、いずれ逸脱する自分も、どちらも捨ててはいけない。

「その男に会えるかもしれない場所に案内しようか?」

殺気だけで、この者を拒絶してはいけないのだ。

806《鹿撃ち帽》 ◆iG.8/BousI:2018/06/17(日) 00:14:57 ID:SG3eWK.20
>>805

「ほう―――幻術で文字を陳ずるか」

戯れに話しかけた獣から返答が返ってくるとは思いもよらなかったのだろう。
少し琴線に触れたのか、目が笑った。
会話という行為に懐かしさを感じずにはいられない事も、付け加えておかねばなるまいが。

「何?そいつの居所を、獣の貴様が示す…だと―――?これはこれは……」

殺気は依然放たれ続ける。

ただし、興味の対象を持ったとはいえ、その空気は指向性を持つことは無い。
流動し続けているようでもあり、停滞しているようでもある。
周囲を不快にこそすれど、彼自身に妙な気を起こす気は、無いと見ていいだろう。

「虚辞と切り捨てるのは容易いが、己は生来より無聊を持て余す身よ。狸の八化けを味わうというのも小気味よい」

信用したというよりも、騙されるのも一興という風な態度を取ってから―――


「どれ?何処だ?己に似た男と謂うのは?興味は無かったが、興味を覚えたぞ」

まるで、《己》に似た男ではなく、《己》を探し求めんとするかの如く。
タートの歩む方向に身を乗り出すだろう。

807タート ◆YJMWmO4ZS6:2018/06/17(日) 20:36:45 ID:T0YCDSjI0
>>806
「最近は姿を見ないが、カフェと呼ばれる場所だ」

歩く中でその説明をしていく。

「検定と呼ばれる、依頼や試験の混ざった物に挑戦し報酬を得る者達が集う場所」

とはいえ、今や検定も減り、平和なものだが。

808《鹿撃ち帽》 ◆iG.8/BousI:2018/06/18(月) 22:08:05 ID:SG3eWK.20

「何かと思えば…《喫茶店》―――だと?よもや化かした木の葉でも茶菓子に出すつもりではあるまいな?
 それとも金が欲しいのか?確かに大金は持ち合わせているが、己の舌に合う料理であれば、巻き上げられてやるのも吝かでは無いぞ、クク。

 何……?その店の主菜は《検定》、だと?……フン、気にはなるな。」

楽観的な悪態をつきながらも大人しくタートに追従した先には、何の変哲も無いカフェが一軒。
知る人ぞ知る、されど知る人には世評に高い"あの"喫茶店。
店を一瞥した瞬間、彼は―――


「―――おい、狸…貴様………俺の《目》は誤魔化せないぞ」


瞬間、彼が全方位へ放っていた殺気は、

                                  ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・
まるでダム穴へと吸い込まれる湖の様に―――総てタートへと向けられる。


「悪寒が―――止まらない…!この己が…!初めて恐怖という感情を覚えたぞ…!

 己の《目》は魔力を全て見通すが―――"アレ"は何だ!?お前は何に遭わせようとしている!?
 ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・   ・ ・
 あの建物に居る規格外の魔力を持つ"アレ"は、何なのだ!?

 よもや"アレ"が…こんな場末の喫茶店の店主だとでも言うつもりか?言い訳してみろ!!」

まくし立てる彼の顔は青白くなり、霧吹きでもかけられたかの様に汗まみれだ。
先程までの大物ぶった態度は何処へ飛んでいったのか、今は見る影も無く。
彼を包む雷が見るからに激しさを増してゆく。完全に臨戦態勢へと入っている。

この変貌ぶりを端的に説明するならば―――外から店内の人間の魔力を正確に認識できる能力を持ち、
『マスター』に潜在する前代未聞、計測不能の戦闘力に対して、心底怯えているのだ。
そして、その人間が居る建物へと連れ込もうとしているタートを警戒しているという事である。

――此奴は、己の臓物や魂を親玉に食らわせんと謀っているに違いない。
そう言わんばかりに、彼は獣を睨みつける。

809タート ◆YJMWmO4ZS6:2018/06/19(火) 23:11:43 ID:T0YCDSjI0
>>808
唐突に向けられた殺気に、思わず飛びのく。
ところが、このタヌキからしてみればその言い分は意味不明なものでしかなかった。

「ッ、何を言っている! 喫茶店の店主ならばともかくカフェのマスターだぞ!?」

「規格外でなければカフェが爆発したとき危ないだろう!」

動物の狭い範囲での常識は色々歪んでいた。カフェ=爆発するとか当然の認識。
これ爆発するような場所に案内したと言っているような物なのだが、当然自覚はない。

810《鹿撃ち帽》 ◆iG.8/BousI:2018/06/20(水) 00:41:23 ID:SG3eWK.20
「人語は解せぬか?畜生」

最初から期待はしていなかったが、
理解の範疇を超えた返答はますます火に油を注いた様だ。

「―――だが、確かに…"あの"存在も己を計る手づるにはなるやも知れぬ…!」

怒髪が天を衝いているのは傍目にも見て取れるが―――
                             ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・
タートへ向けられていたプレッシャーは、次の瞬間に霧散する。
彼は、持てる全ての殺意を自分ではなくマスターへ向けたのだと、タートが理解したのと同時であろうか?

彼の姿も、傍から消失した。

「―――殺れるうちに…殺ッ―√ ̄ ̄ ̄ ……―――すッ…!!」


 ―――それは、雷であった。

 神速であった。高熱であった。爆音であった。閃光であった。

 刹那で長距離を一閃するように移動し、店の外壁を突貫しながら進撃した彼は―――まさに《神鳴》の如く

 【PKサンダーΣ】

 グラスを拭いているマスターの目前へと、一瞬で迫り、バチバチと唸る拳を眉間に―――


 《轟音が轟く》


「ぐっ――――はッ――――――!?」

煙を上げながら床に倒れ伏していたのは、《鹿撃ち帽》の方であった。
マスターはにっこりと微笑みながら次の皿を拭いている。

「―――馬鹿な…!?」

―――視認(み)えなかった。
理解は拒んだが、実感はあった。
迅速な決断と、疾速の突撃と、雷速纏う拳速を更に上回る速度で、『奴』は己を迎撃したのだ。

「店主よ。」

一撃で仕留められるとは端から思ってはいなかった。撃ち合う過程で己の何かを掴めると考えていた。
だが、ここまでの格を見せつけられてしまえば戦意が残る道理も無く。

「………コーヒーでも貰おうか。」

マスターは口角を少しつり上げて、注文を承り、丁寧にコーヒーを淹れ始めた。
尚、その動作は視認できる速度であった。

811タート ◆YJMWmO4ZS6:2018/06/23(土) 20:30:12 ID:T0YCDSjI0
>>810
「なんという危ないことをするのだ、このカフェ内で殺人行為を行うと植物人間となる呪いがあるというのに」

タヌキが隣の席の椅子に登る。

「あと不用意に攻撃を行ったりするとカフェが爆発するかもしれん。窓を割るくらいにしておくのが無難だ」

動物なので表情が分かりづらいが、一応本気でその常識を信じて伝えようとしている。
椅子の上で自然体に、でも相手を見ながら文章を並べる。

「カフェにようこそ」

812トーム:2018/06/23(土) 21:01:54 ID:J5ZUlMko0
【カフェ@窓】

.|| |::       
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.|| |::      ヽ/ /ω^/⌒ヽ     .|| |::うおおおおおお!!アクセー―――
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.|| |::     ∑し' \_/    i      .|| |::   ガンッ!!!!
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813タート ◆YJMWmO4ZS6:2018/06/23(土) 21:08:56 ID:T0YCDSjI0
>>812
「あのように対策されることもあるが」

窓際によってきた。タヌキなので窓は開けられません。

814トーム:2018/06/23(土) 21:20:12 ID:J5ZUlMko0
【カフェ@窓】                ア ク セ ス
           (^ω^) 装甲が厚過ぎて窓割りができないか…だが……
         /   ヽ   
        | |   | |
        | |   | |        
        ||   ||
        し|  i |J
          .|  ||
_____.__________[__||__]___||___
       ________________|__|
::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::




「どんな分厚い装甲だろうが質量と速さを一転に集中させれば……ッッッ!!!」

      ────────=i〒i=────────
              ∠ニエニヽ◎ニ⊃、 三 <./|   /|       /\___
.             / .      | )ニニニ=ー-. 三三=    /|/ .| / /     /    //
            / (^ω^ ) |  r‐ュ r‐ュ `ー--、/ .| ̄ > \_/   /____//
          / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄  |「「| |「「|  /ニニニニコ/>   三三   ̄ ̄ ̄ ̄
.         (  ⊆ ○ ⊇    ノ__ノノ__ノ ,___,,ノ.|/ .|| |:三三三:
          \_______:::::::―''''"( () .|| |::  
              (;;()   (;;()       バリバリバリバリ
     / し'.ヽ ( .∨    /\________|__|
    //    し'  / /\   ̄::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::


※トームの窓割りにかけた情熱は、突貫したヘリコプター諸共、マスターに処理されました。

815タート ◆YJMWmO4ZS6:2018/06/23(土) 21:35:32 ID:T0YCDSjI0
>>814
「おぉ、窓割りしたヘリの窓がさらに割られている」

平然としている。このタヌキも色々毒されている。

816???:2018/06/24(日) 00:25:10 ID:ZTw0fxOA0
【闘技場】

闘技場に“それ”は居た。
馬のような巨大な身体、月明かりを反射する湖面のような銀色の毛並みに、鋭く全てを見据える蒼い眼光を持つ、魔狼。
蒼い大きなスカーフを首元に巻いていることで辛うじて完全な野生の生き物ではない事を主張しているが……その威圧感の前では、人に与える影響など誤差のようなものだろう。

817 ◆YJMWmO4ZS6:2018/06/24(日) 00:34:10 ID:T0YCDSjI0
>>816
「ここがあの女のいるっていう町」

キョロキョロと田舎者のように周囲を見回しながら闘技場に入ってきた。

「……の、闘技場。ホテルはどこよっ!!」

残念ながらこの町の協会支部はカフェです。

「……ハッ」

この人、犬は狼から進化したので狼より偉いとか内心思ってる獣人の方です。
しかも獣人の癖に威圧感とか感じる感覚が鈍い。それでも普通に大きさで普通の狼じゃないってわかりそうなものだけど。

818???:2018/06/24(日) 00:45:16 ID:ZTw0fxOA0
>>817

「なんだ……臭うと思えば獣人<デキソコナイ>かあ……まあいいか」
「ホテルなら駅や馬車の周りを探してみたら?人が集まる所に宿も有る、需要が有れば供給も有る、って考え方が“人間”の商売の基本でしょ?」

銀色の巨狼の口元が動き、そこから漏れ出た声は……一般的な人間の想像を裏切る、高い声。
声だけで想像するのなら、それは少女の声のような可愛らしさすら感じさせるもの。
けれど、その声の発生源は、禍々しさすら感じさせる巨大な狼で……そこには違和感しか感じさせないだろう。

819 ◆YJMWmO4ZS6:2018/06/24(日) 00:51:45 ID:T0YCDSjI0
>>818
「なんかあからさまに残念そうに言わなかった?」

先に失礼な態度で鼻で笑ったのだから仕方ないです。むしろ凄く丁寧に対応されてます。

「私が探してるのは協会支部のホテルよ。ほら、協会支部だと転送装置あるじゃない。
だから駅とかにはないんじゃないかって思ったわけよ」

自信満々に解説しているけどこの町の支部はホテルではなくカフェです。
ところで随分堂々としているが、案外動物との意思疎通スキルがあるのか、それとも同じような存在に慣れているのか。
あるいは単に鈍いだけなのか。

820???:2018/06/24(日) 00:59:23 ID:ZTw0fxOA0
>>819

「あ、気付くんだ……思ってたより賢いね?」

現在進行形でめっちゃ馬鹿にしてます。

「……ふむふむ、協会かあ、なるほどなるほど……私も詳しくはないけれどね?多分それホテルじゃないよ?」

821 ◆YJMWmO4ZS6:2018/06/24(日) 01:03:18 ID:T0YCDSjI0
>>820
「そりゃ犬の獣人だから? そりゃあ? 賢いのも? 当然よねぇ?」

説得力皆無。ダメな方向に嫌味が通じてない。

「……ん? えっ、じゃあ検定する人どこに泊まるのよ」

カフェに泊まります。

822???:2018/06/24(日) 01:11:35 ID:ZTw0fxOA0
>>821

「その前向きさは武器だねえ……」

ここまでいくと一周回って好感すら持てそう。

「さあ?私は野宿でも平気だから興味ないから知らないねえ、人型で過ごすとちょーっと問題かもしれないけれど……そんな事する理由がまず無いし?」

823 ◆YJMWmO4ZS6:2018/06/24(日) 01:15:37 ID:T0YCDSjI0
>>822
「人型になれるんならなっといたほうが人間の町は過ごしやすいわよ」

ちなみにこの人べつに獣の姿になれるわけではありません。
獣の姿での過ごしやすさとか知るはずありません。なのに堂々とこんなこと言ってます。

「もしかして隣にホテルがあるから支部はホテルにしなかったとか?」

色々想像してますが、自分の常識に囚われているせいで正解にたどり着かない。

824???:2018/06/24(日) 01:27:06 ID:ZTw0fxOA0
>>823

「めんどい」

四文字で否定。

「人は面倒臭いんだよ、服を着てないだけで大問題になるし、弱く見られて雑魚どもに喧嘩を売られるし……返り討ちにして怪我させても殺しても問題になるし」
「なら私はこのままでいい、怪我や殺しが問題になるのは変わらなくても、そもそも喧嘩を売られることがないからね!」

後ろ足で耳の後ろを掻きながら、堂々とそう言い放つ。

825 ◆YJMWmO4ZS6:2018/06/24(日) 01:30:17 ID:T0YCDSjI0
>>824
「ふ〜ん」

なんとなく、ここって治安悪い? 的な感想を抱いたらしい。

「まっ、いい女ってのは自分を安売りしないもんだし、いいんじゃない?」

分かっているのか分かっていないのか微妙な受け答え。

826???:2018/06/24(日) 01:40:52 ID:ZTw0fxOA0
>>825

「そーいうこと」
「……といってもこの姿は目立ち過ぎるから、街中を移動するときには使わざるを得ない事も沢山有るんだけれどねー」

文化が剣と魔法の世界寄りの人間は兎も角、科学の世界よりの人間には凄まじい嫌悪感や恐怖を与えてしまう、それくらいは自分でも解っている。
不本意だが人間の世界に足を踏み込んだ以上、人間の価値観に多少は合わせなければいけない事もある。

だからこそ、選択の出来る場所では望む姿でいたい。

827 ◆YJMWmO4ZS6:2018/06/24(日) 01:48:28 ID:T0YCDSjI0
>>826
「目立つと大変ねー」

親身なのか他人事なのか。

「でもそれだけ大きいとシャンプー大変じゃない?」

気になるところはそこなのか。

828???:2018/06/24(日) 01:59:27 ID:ZTw0fxOA0
>>827

「そもそも洗剤は毛がごわごわになっても滅多に使わないけれどねー、あ、でも水浴びはしたいなあ」
「何回か人型になってシャワーを使った事も有るんだけれど……あんなのじゃ物足りないんだよ、綺麗な川や泉が恋しいよー」

不満そうに唸ってる。

「……よし決めたよ、ちょっと郊外までひとっ走り行ってくるね、水浴びしたい!」

829 ◆YJMWmO4ZS6:2018/06/24(日) 02:06:34 ID:T0YCDSjI0
>>828
「何この近く綺麗な川ないの? 水不味いの嫌なんだけど」

こっちもなんとなく嫌そうな表情。共感できること……?

「あっそう? いってらっしゃい。私はもうちょっと探しておくわ」

830《鹿撃ち帽》 ◆iG.8/BousI:2018/06/24(日) 08:01:14 ID:SG3eWK.20
>>811

「…そんな呪いがあるのか。それにかかれば―――己の殺意も休まるのだろうか。」

コーヒーを啜りながら冷静になる《鹿撃ち帽》。
表情こそやや穏やかになったが、殺意は依然全方位に向けられている。

「―――これは体質なのだ。気にするな…。」

この発言の意図は、隣で殺意を浴びているタートに対しての自責というよりは、
遥かに格上の相手であるマスターに対して殺意を発している事への情けない弁解というニュアンスの方が的確であろう。
よく見るとまだ顔が仄かに青い。魔力を否応なしに見据える彼の《眼》では、居心地の悪い場所なのだろう。

その筈なのだが。

「己は…何か不思議な落ち着きをこの場所で覚えている。まるで何回も、何十回も通った行きつけの店のように…。何故だ?」

半分ほどにまで減ったコーヒーの湯気を顔で浴びながら、
合点のいかないような、それでいて何かの確信は得たような表情をしている。

「店主よ、とぼけても無駄だ。俺の顔に見覚えがあるのだろう?」

マスターは曖昧な表情で沈黙している。
全てを知りながら、自分で捜せと試練を与えているかのようであった。

「フ……客あしらいの厳しい店主め。…ところで狸よ。」

トーム(ヘリコプターにRide on状態)を眺めて

「己の様な常識知らずは、案外珍しくないみたいだな?この店は」

831タート ◆YJMWmO4ZS6:2018/06/24(日) 22:14:37 ID:T0YCDSjI0
>>830
「うむ、思うに、常識がそもそも違うだけで常識がないわけではないのやもしれん」

タヌキが隣に戻ってきた。

「利用者も様々だからな、問題を抱えていればその解決の糸口を知る者と出会うこともある、かもな。自分に似た者にも、な」

832《鹿撃ち帽》 ◆iG.8/BousI:2018/06/25(月) 02:22:57 ID:SG3eWK.20
>>831

「確かに、この場所であれば貴様の言う通りやもしれんな
―――まさかこんな場所に集っていたとはな……『人間』が。」

幻に思えた街の人影、それを映し出す焔は未だ、確かにこの街で揺らいでいた。
《鹿撃ち帽》はコーヒーを飲み干し、席を立つ。

「代金だ。釣り銭はチップ代わりに受け取るがいい」

タートへの挨拶もなしに店を出るかと思いきや、店の隅に歩み寄り、"それ"を見上げた。

「検定…ボード…?か。ここに『試練』が張り出されるという訳か?」

833カフェの掲示板 ◆YJMWmO4ZS6:2018/06/26(火) 01:28:15 ID:T0YCDSjI0
>>832
【検定予告】と表示された。近いうちに検定があるのかもしれない。

834トーム:2018/06/26(火) 22:06:12 ID:J5ZUlMko0
【カフェの外@処理されたトームの緊急搬送中】

医者A「俺たちにたどり着く場所はいらねぇ」
 三           三三
      /;:"ゝ  三三  f;:二iュ 医者B「ただ進み続けるだけでいい」
三   _ゞ::.ニ!    ,..'´ ̄`ヽノン
    /.;: .:}^(     <;:::::i:::::::.::: :}:}  三三
  〈::::.´ .:;.へに)二/.::i :::::::,.イ ト ヽ__
  ,へ;:ヾ-、ll__/.:::::、:::::f=ー'==、`ー-="⌒ヽ .。。(病院まで止まるんじゃねぇぞ…?)
. 〈::ミ/;;;iー゙ii====|:::::::.` Y ̄ ̄ ̄,.シ'=llー一'";;;ド'
  };;;};;;;;! ̄ll ̄ ̄|:::::::::.ヽ\-‐'"´ ̄ ̄ll

※例のBGM

835《鹿撃ち帽》 ◆iG.8/BousI:2018/06/27(水) 21:29:31 ID:SG3eWK.20
>>833

魔法が使えないのに『魔法検定』を受験するとは笑えるが、面白そうな人間が集まりそうなのは確かだろう。
今は何も張り出されていないことを確認すると、扉の方へと歩を進めた。

「邪魔したな店主よ、それに獣よ。
      ディアストーカー
己の名は《鹿撃ち帽》だ。忘れていいぞ」

彼らに振り向きもせずに挨拶を済ませた後―――《鹿撃ち帽》は再び闇へと消えていった。

何故か外で流れているフリージアをスルーしながら。

836 ◆YJMWmO4ZS6:2018/06/30(土) 20:00:33 ID:T0YCDSjI0
【カフェのスクリーン】
本日の検定内容_
‘獣の国の宗教戦争’
〔ジャンル〕
潜入工作
〔推薦適性値〕
情報収集B〜A
潜入B
工作A
戦闘B
暗殺C
変装C
〔開催地〕
ハーマ連邦イヨの町

〔概要〕
ハーマ連邦はその昔2つの人間の国が行った戦争を平定した獣人の国。
それから北西の国ホーンドと南西の国リブールの仲を取り持っています。
ところがハーマがハーマ連邦となる前の住民の多くは人間を見下す価値観を抱えていた。
今は違法奴隷の摘発が進んでいますが、それでも人間を見下す価値観はまだ根強く残っています。

ところがイヨの町では少々事情が異なります。この町での被差別対象は亀の獣人でした。
この地方の獣人に伝わる神話の中の逸話で兎の獣人は亀の獣人を見下していました。
ところが亀の獣人は宗教より科学に興味を持ち全く取り合いません。
兎と亀、どちらの獣人も比較的気性が荒く対立は深まりました。

イヨの町に住む人間からの情報によりますと、どうやら戦争の準備が始まっているようです。
内乱など起きては誰も得しないので速やかに戦争回避のための潜入工作を行ってください。

〔ヒント、その他〕
多少人間への偏見はあるので人間の参加者は獣人などに変装するといいかもしれません。
ちなみに依頼主はハーマ連邦と技術組合の一部の人間からです。

〔失格行為〕
・町を大規模に破壊する行為、多少の破壊行為は黙認しますが目的は戦争回避です。
・住人を大量に殺害する行為、多少の過剰防衛は黙認しますが目的は戦争回避です。
・他の参加者や現地協力者の殺害、これは基本的に認められていません。
・開戦誘発行為、戦争回避が目的です。
・その他基本的に不必要な犯罪行為、特に窃盗を過剰に行う場合等は処罰対象となります。

〔BOSS〕
・宗教戦争
今回は戦争の回避が目的です。戦争さえ回避できればそのアプローチはある程度自由です。
ただしあまりにも被害が大きい手段は本末転倒なので避けましょう。

《PRESENT》
☆月のスフェーン☆
分類:魔宝石
月齢により黄緑色の部分と暗褐色の部分の比率が変わる特殊な宝石。金剛石より輝きが強い。
魔法の媒体としてはかなり優秀です。小さい物ですが戦争回避で参加者全員に差し上げます。

★獣の邪水★
分類:素材
イヨとハミの共通の敵であり、流した血が海の元となったと言われる邪神レイワの血を再現した物。
二柱の神により祝福を受けた海の水は、赤で汚すことで邪神の力を宿すと信じられてきた。
独特の神話が元となった素材ですが、検定開始時に希望すれば差し上げます。

《検定開始時刻》
>>参加者来なければ日曜夜
《終了予定時刻》
>>ほんのりいい感じになれば

837ティアラ ◆iG.8/BousI:2018/06/30(土) 21:46:53 ID:SG3eWK.20
【カフェ】

やあ!僕、ティアラ。
かっこいい名前ついてるけど、人間じゃないよ。しがないゴールデンリトリバーってやつだよ。
今更だけどカフェに犬が入ってきて、マスターにワンワン鳴いてリンゴジュース頼んで、行儀良く席に座った犬がストローで飲んでるってシュールな光景だよねえ
でも、今日の僕はただのお客様じゃあないんだ

「"獣人の国"…への潜入調査かあ。久しぶりに検定いってみよっかな?」
うーん、僕は人間じゃあないんだけど、ヒトガタですらないペットだから逆に難易度高いかな?
まあいいや、僕にしかできないこともきっとある筈だよね


よし!前回と同じ文章を使いまわして229文字も稼いだぞ!
だってシチュエーションが同じだから仕方ないんだよ!
という訳で久々のハーマ連邦旅行だけれども…正確に言うと、赴く町は前回と違うし、目的も違う


「試験官さん、潜入工作って言っても何をすればいいのか検討がつかないや…」

試験官さんにも検討がつかなかったら行って考えることにしますよ。
……現地に行っても思いつかなかったら、僕がするのは現状調査にとどめておくよ

838 ◆YJMWmO4ZS6:2018/06/30(土) 22:01:39 ID:T0YCDSjI0
>>837
「へいらっしゃい」

アルビノっぽい青年。おそらくバイト。

「ありていに言うと、内紛の原因になる物をなんとかすればそれでオッケー。
主導者暗殺し続けて心折ろうが、そもそも物理的に原因となる種族を丸々転居させようが、
新しい宗教を根付かせて内紛どころじゃなくそうが、アプローチは自由。
ただし、自由だからといってどんなアプローチでも解決するわけじゃないんだろうな」

アドバイス……?

「誰か相談役がいるだけでも違うかもな。見る目が増えて考える頭が増えるのは大きいし。
まずは現地協力者を探したり、あとは参加者同士で協力してもいいわけだしな」

839《鹿撃ち帽》 ◆iG.8/BousI:2018/06/30(土) 22:04:15 ID:SG3eWK.20
【カフェ】

「そろそろ"検定"とやらが貼り出される刻限だったかな?店主よ」

――――まるで、沸騰した水泡が扉を開けて入店した様だった。
不気味な笑いが帽子の下に見え隠れする、黒マントの不気味な男。

『―――ッッ……!?』

ジュースを飲んでいたティアラが席から飛び退き、恐る恐る前傾姿勢で警戒する。
『静』が支配していた店内での明らかな『動』は、《鹿撃ち帽》の視線をぎょろりと動かした。

「ほう…!狸の次は犬の客か!店主よ、妙に獣と縁があるなァ」

再び静寂がしばし戻る。
それを再び破ったのは―――ティアラの方だった。

『………なんだか、君から懐かしい匂いがする。そうだ……帽子の匂いだ。人の顔は区別がよくつかないけど……よく見れば顔も似ているかも』
「……ほう?…『帽子』…とは誰だ?狸が会ったのもそいつなのか?だとすれば、その男もまた…妙に獣と縁があるようだな。クハハ」

まあ、流石にここで荒事を起こす気もあるまい。ティアラはそう判断し、臨戦態勢を解除した。

『……君も検定に来たの?その殺気で?』
「体質、なのだよ。悪気は無いのだ。さあ、案内しろ。"君も"と言ったという事は、貴様もそうなのだろう?帽子とやらの話は後で聞いてやろう」

強引な奴だ…とは思ったが、この緊迫した地域でこいつを野放しにしておくほうが大変な事になりそうだ…そう思ったティアラは、しぶしぶと彼と共に転送装置へと入った。

840トーム:2018/06/30(土) 22:08:26 ID:J5ZUlMko0
【カフェ】
 一度あれば二度三度起きたところで何の問題があろうか。
 それであればと、男は悠々然としてケモノの耳を模したヘッドセットを装着する。

        ∧∧ ←イヌミミ
      ヘ(^o^)ヘ<天丼って知ってるかい?
        |∧
        /

 いざやイヨの町へ。男の意気に応じるように転送装置は起動した。

841 ◆YJMWmO4ZS6:2018/06/30(土) 22:13:42 ID:T0YCDSjI0
>>839

【イヨの町】

転送装置の先は、随分と淀んだ殺気がひしめいていた。
無駄に誰かを見下さずにはいられない者の苛立ち、自信の興味のあることにだけ没頭する者の苛立ち、
共通するのは、望まぬ何かを押し付けられた、そのことに対する殺気だ。
行き場はあるのに発散できない殺気が淀んで、実に居心地の悪そうな町となっている。
だというのに、表面上は普通の町のように振舞っているのだ。

「おや、協会の方からの観光の方ですかな?」

近くにいた豚系の獣人の人が話しかけてくる。

「いえ、その雰囲気ですと、傭兵の方ですかな? 流石に鼻が利くようですが、内紛などそうそう起きるものではないですよ?」

遠まわしに、何かを伝えようとしている。おそらくは協力者ということなのだろう。

842 ◆YJMWmO4ZS6:2018/06/30(土) 22:22:42 ID:T0YCDSjI0
>>840
明るい雰囲気で意気揚々と乗り込んだが、どうやら町の様子が暗い。
ギスギスした殺気が沈んでいるような感覚がカフェとの落差でより重く感じる。

「よう。イヨの町にようこそ! あんたも装備を買いにきたのかい?」

大鉈を腰に下げた、中性的な声のトカゲっぽい獣人が話しかけてくる。

「最近亀の奴らは苛立ってるから、機嫌損ねないように頼むといいよ」

843ティアラと《鹿撃ち帽》 ◆iG.8/BousI:2018/06/30(土) 22:24:18 ID:SG3eWK.20
(キャパオーバーしそうなので豚さんは一旦スルーします。場合によってはトームと一緒にトカゲさんとそのまま絡みます)

>>840

【イヨの町】

『……なんだこの…下品な耳と尻尾は?己の趣味では無いぞ!』
「……『獣耳形成髪飾り&獣尻尾形成ベルト』をつけて、犬人間化させたんだよ。…お気に召さないのは分かるけど、獣人の国なんだ。
怪しまれないようにしてくれ。あと殺気も消せ!」
『これは体質だと言ったであろうたわけが!己の殺気は…己の意志に関わらず、己の意志が紡ぎ出してしまうのだ。
だが…怪しまれない様にする方法ならば確かにある。』

『鹿撃ち帽』はニヤリとしたかと思うと―――僕は強烈な殺気に包まれた。
本当に、攻撃されるかと錯覚した。
あやうくここでチビってマーキングを行ってしまうところだった。

『己の全ての殺気をお前に対して一点集中させた…!これで望み通り怪しまれる事はないさ、この町の住民にはな…!』
「クッ……慣れるのに膨大な時間を要すことは免れないな…これは…。いや、僕がついてきて良かったかも…本当に」

こいつに『殺意』を垂れ流されたまま闊歩されてはたまったものではない。
『鹿撃ち帽』も、こんな体質なだけで悪気は無いと言っていたし…呪うならこいつではなく、たまたま同行する事になった己の不幸を呪うべきだ。


>>840

「(U^ω^)トーム!トームじゃないか!」
転送装置を超えた先には、前回この連邦国で同行した犬っころと……

『己も此奴には見覚えがある。確かカフェの窓に激突していた訳の分からん男だ』
鹿撃ち帽を被った、赤髪の獣人が傍らに居た。
間違いなく、検定者と見ていいだろう。

844トーム:2018/06/30(土) 22:34:28 ID:J5ZUlMko0
>>843
「ああ、ようこそされに来たぜ」
 応じる声は軽薄であり、それは観光目的で来たんじゃないかと思える軽やかさだ。

「装備?ここいらで何かあったのかい。俺ぁ前にもここに来たことがあるんだが、そん時はもう少しまともだった筈なんだが…」
 検定内容のことも、漂う殺気も分からぬ訳でもあるまいに。
 ただ、とぼけているというよりは、トカゲの獣人の口から直接町の内情を聞きたいと言ったものだろう。

845トーム:2018/06/30(土) 22:35:01 ID:J5ZUlMko0
すまん。安価ミスだ>>842

846トーム:2018/06/30(土) 22:38:52 ID:J5ZUlMko0
>>843
「そういうお前はパト…ッ………ティアラ!!」(^ω^*)
 途中でわざとらしいにも程がある詰まりを見せた男だったが、一拍置いてようやく名前が出てきた。
「そして遠くからでも殺気を感じた誰かさん!!」(^ω^ )

847 ◆YJMWmO4ZS6:2018/06/30(土) 22:40:57 ID:T0YCDSjI0
>>843
「ん? 知り合い? 積もる話があるなら大通り沿いの店に入るのは止めておいた方がいいよ。
ちょっと、最近はそのあたりの店は色々騒がしいからね」

少し顔をしかめながらそんな忠告を。

>>844
「何かっていうか、まあ……ほら、亀の奴らは鍛冶が上手いだろ?
でも未だに兎が、前にきたならわかるだろ? あれが最近急にギスギスし始めて……」

少し言葉を区切って。

「あと、なんか人間の奴隷達の様子もおかしいい気も。
最近は違法奴隷とかは摘発されてるはずなんだけど、人間もギスギスしててな〜」

これは情報ゲット、なのだろうか?

848ティアラと《鹿撃ち帽》 ◆iG.8/BousI:2018/06/30(土) 22:54:17 ID:SG3eWK.20
>>846

「やっほー!覚えてくれてたんd……フラン〇ースの犬じゃねえよ!」

『―――まあ、気づいたか。己の殺気には。しかし貴様も動じている様子は無くヘリコプターに乗り込んでいたな。

……"修羅場"は潜ってきたタイプと見たぞ』

犬のノリツッコミはともかく、帽子を被った赤髪の男は興味を覚えた風な笑いを浮かべた。

『己の名は《鹿撃ち帽》(ディアストーカー)だ。本名かは分からないが…便宜上そう呼んで貰おうか。
円滑なコミュニケーションが出来ないのは不便であろう。…何、我々はこれから協力するのだろう?』

>>847

『いや、分からん。ちゃんと話せ。それが親切に国際問題を解決しに来た客人への態度か?
己達は貴様らと違って部外者なのだ。亀人間が鍛冶が上手いから何だ?兎人間がそこに来たらどうなる?
この犬と、そこの窓大好きな緑髪の知能でも分かるように話せ』

「す…すみません…失礼な奴で…」

トームとトカゲの話に割り込んだ《鹿撃ち帽》の横で、犬が申し訳なさそうにしている。

849ティアラと《鹿撃ち帽》 ◆iG.8/BousI:2018/06/30(土) 23:03:32 ID:SG3eWK.20
中:(あっ、待って、このトカゲさんって豚さんと違って一般人っぽいよね?部外者だと堂々と言ったのはマズかったかな?)

850 ◆YJMWmO4ZS6:2018/06/30(土) 23:04:22 ID:T0YCDSjI0
>>848
「ちょっ!? ダメだってそんな堂々と!?」

思わず慌て始める。

「、こっち! きて!」

逃げた。場所を移すつもりらしい。周囲はそんなに過剰に反応していたようには見えないが。
追いかけていくなら大通りからすこし外れた、酒の臭いの漂う路地まで走ることになるだろう。

851トーム:2018/06/30(土) 23:05:37 ID:J5ZUlMko0
>>847
「はて…?」
 兎と亀。以前来た時には、そんな話はとんと聞かなかったような気もしたが。
 その時は奴隷問題解決に奔走していたこともあり、気が付かなかった……という可能性もあるだろうか。

(さっぱりわかんねぇわー…)(^ω^ )

 早々と諦観の相がちらと覗き始めたところで、男は一旦切り替えるように次の話題を繰り出した。
「人間の奴隷までとは穏やかじゃねぇなあ……まぁいいか。
折角だから、質の良い装備を揃えているところを教えてくれねぇか?来たからには見てみたくてよ」

>>848
「うるせぇ!俺の記憶力は自慢じゃないが、筆記試験に――回も落ちるほどなんだぞ!!」(^ω^ )
 間違えそうになったことを悪びれもせず、自身の記憶力の悪さを露呈した上で逆切れをかますスタイルをするトーム。

「――ん?修羅場ねぇ。まぁ、それなりだわな」
 そんな笑いを流すようにして、肩を竦め
「ああ、よろしく帽子……鹿撃ち帽さん。知ってるかもしらんが、俺はトーム。ただの風使いだ」

852 ◆YJMWmO4ZS6:2018/06/30(土) 23:10:08 ID:T0YCDSjI0
>>851
「あんたもこっち!」

とにかく場所を移したいらしい。大声で呼ぶ。この態度から見て協力者と思って間違いないかもしれない。
付いていくならば、そこはよどんだ空気に少しは流れが生まれているように思える雰囲気の路地にたどり着くだろう。
周囲の店では、暗い眼をした人間が空元気に騒ぎながら酒を飲んでいるように見える。

853トーム:2018/06/30(土) 23:20:16 ID:J5ZUlMko0
>>852
「この展開は詳細を聞かせてくれる……って流れで良いのかい?
それとも叱責の一つでも貰いそうな流れだったり?」
 声に導かれて裏路地へと足を踏み入れた男は、自分たちを招いた仮協力者に問いかける。

854ティアラと《鹿撃ち帽》 ◆iG.8/BousI:2018/06/30(土) 23:20:37 ID:SG3eWK.20
>>850

『あ"…?何をそんなに慌てて…』

「……殺気の事もそうだけど、やっぱり周囲の人に感づかれるのはマズいみたいだね。」

しまった…これは僕の監督責任か?
―――ってなんで僕が人間の保護者をしているんだろう…(我に帰った目)
あ、こいつどうやら検定への参加は初めてらしいから、多少破綻してても大目に見てあげてね、トーム…。
キミモマトモダト、ボクハタスカルヨ

という訳で場所を移すトカゲさんの後ろを一匹と二人で追う。
恐らくこういう話をしても問題ない店―――酒場、か?―――へと移動する事になるのだろうか。
トームが切り出そうとした装備店の話は、そこで聞くことになるだろう

『―――まあ、己も奴に聞きたいことはある。先程試験官が口走ったが…"戦争を煽っている奴"がいるらしいな?この国には。そいつについてだ』

>>851

(―――"ただの"、か。己の魔力を見通す目は、この男の高すぎる風属性魔力を見抜いているが…己もこいつと同じく猫を被っておくか)

「まあ、前来たときは聞かなかったね。確かに…。同じ国だけど、前回とは違う町だかんねぇ。」

で、人間の奴隷がいるとこだけは前回と一緒なんだよなぁ
―――また変えられないのではないだろうか。…いや、そういう事を考えるのはよそう。

855リゼッタ ◆YJMWmO4ZS6:2018/06/30(土) 23:33:54 ID:T0YCDSjI0
>>853>>854
「あの、耳と尻尾」

「いやお譲ちゃん、流石にその姿は目立つって……」

とある店に裏口から入店すると、何やら四肢がなく首の後ろからもうひとつの頭部が垂れ下がった少女が引きとめられていた。
耳と尻尾がどうとか言っているあたり、検定参加者なのだろう。が、確かにこの姿では色々問題がありそうだ。

「悪目立ちするタイプは一度こっちに集められるんだよ」

トカゲの人がそう説明してくれる。

「ただ、こっちはこっちで色々利点があるんだよ。一度変装したでしょ? つまり、ここで人間に戻れば?」

仮にこちらを探っている者がいたとしても、それは獣人を探しているはずだ。
ならばここで人間に戻れば捜査をかく乱できる。ということなのだろう。

「ただし、人間として潜入することになるんだから相応の場所に潜入することになるんじゃないかな。
あるいは奴隷として、あるいは……もしいるなら、奴隷達の扇動者へ接触しにいくか」

856トーム:2018/06/30(土) 23:34:48 ID:J5ZUlMko0
>>854
「こんなギスギスした空気じゃな。外部からの……なんて余計な火種もいいところだろ」
 あ、今回はマトモなトームかもしれない。 

「違う町ってのもあるけどよ。もしくはそん時は大して表面化してなかったのかもしれねぇな」
 奴隷問題の方が大きかった所為で見えなかった、という考え方も出来るが。

「――あん時は、奴隷主をぶん殴るが関の山だったが……はてさて、どうなるかねぇ?」
 頭を使うことはとんと苦手なのだが、暴力だけで解決できるような問題ならば、とっくに解決していたことだろう。
 どうやら筆記試験に――回と落ちた頭をフル活動する必要がありそうだ。

857リゼッタ ◆YJMWmO4ZS6:2018/06/30(土) 23:44:55 ID:T0YCDSjI0
>>856
「さてと、装備品の店でお薦めが知りたいんだって? なら紹介するとしよう」

簡易的な地図を広げ、一角を指差す。

「ここが、最も人間の奴隷を多く働かせてる鍛冶工房だよ。新入り奴隷として潜入するかい?」

どんな紹介方法だとつっこみを入れたくなるかもしれない。


「あの、私死霊術で装備品作れたり」

「だからお譲ちゃんは目立つから、ここにいよう? な?」

異形の少女がライオンっぽい獣人にたしなめられている。

858トーム:2018/06/30(土) 23:53:02 ID:J5ZUlMko0
>>855>>857
「あ、リゼっちゃん」
 この空気。駄目なトームかもしれない。
 会ったのは恐らく1回きりで、カフェで顔を軽く突き合わせた程度だった筈だが、その特徴的な見た目は男の脳内に留まっていたらしい。
「お兄さんを覚えているかい?みんなの変態、トームだよ」(^ω^+)ハァ…ハァ…
 更に記憶を掘り返したとすれば分かるだろうが、あの時、この男は彼女に名乗ってすらいない。ほぼ通りすがりにも近い男が少女ににじり寄る様は
獣人でなくとも差別意識を覚えて仕方がないかもしれない。
 そこで獣人が紹介を始めなければ男は更なる歩みを見せたことだったろう。

「――鍛冶ねぇ。具体的になにすりゃいいんだ?俺ぁ門外漢ってやつでこの手のことはド素人だ」
 新入り奴隷として侵入することに関してはツッコミはないらしい。出来得る限りの手を考えなしに打つのはこの男の得意技とも言える。

859ティアラと《鹿撃ち帽》 ◆iG.8/BousI:2018/06/30(土) 23:53:48 ID:SG3eWK.20
>>855>>856

そんでもって入店した訳だけど

『何だ―――あの少女は?四肢のないダルマだが…樹属性と死霊術適性があるな。自分で動けるタイプか』

「カフェメンバーだよね、あの人。僕みたいなのもいるんだし、立てなくったって誤差だよ誤差」

尚、《鹿撃ち帽》とよく似た『帽子』という男にはリゼッタは二度程検定で会っているが…彼女が覚えているかどうかは不明

で、姿をもう一度変えて出直せば良いという提案に対し

「僕元々この姿だから人間に戻れないよ―――!?」

これは……あの四肢の無い子とお留守番コースかな…?
いや、尾行が無ければこのままでも問題ないのか。臭いを思い出せ…尾行されてた気配は…

偶数 されてた
奇数 されてなかった


>>857

「トカゲさんがオススメするコースは、奴隷という体で侵入して、雇い主をボコ倒すって話かい?」

『待て、それは今回の依頼の趣旨とどう合致する?戦争を食い止めるのだろう?奴隷は関係あるのか?』

…そうだけど、それが難しい場合は前回の依頼の延長上っていう事で、奴隷を解放する方向でも良いかもしれない。
―――ただ、奴隷だって職を持っているんだ。それを僕達が無責任に解放するのは、心情が許しても、実情は許すべきでは無い。ハッキリ言って良くない。
前回解放したのは、その雇い主が違法労働をさせていたからだ。奴隷自体は問題視されていないのだ。
それはどうなんだ…って話は、この際置いておく。


『オイオイ、戦争を止めるんだろう?何だったかな?試験官から提示された方法は…。
"主導者を探して皆殺しにする"、"どちらか一方の種族を全て排斥する"
クハハ!面白い!実に己好みの方法では無いか!己は己の事をよく知らんが、それだけは分かるぞ!
しかも"新しい宗教を作る"プランもあるらしいぞ!あのダルマでも担ぎ上げるか…いや無理があるな。
兎に角だ、戦う者が居なくなったのであれば、戦争など起こりえない!では早速戦争を手引きしている主導者とやらを滅しに行こう!何処だ?』

赤髪の《鹿撃ち帽》は高らかに嗤う。

「いや、穏便に済ませるから。あのバイトは極端な例を挙げたんだよ…正しいけど無責任な解答だ。
清々しいほど100点だけれど、魔法検定っていうのは、そんなものを鵜呑みにする事じゃないと思うよ。」

『――ふむ、そうなのか?』

「…差別だの奴隷制だのといった国民的な問題は、僕達の手には負えないかもしれないと思う。
ましてや一朝一夕でやろうとしても、部外者の僕達には軽微な影響しか起こせない。ただの徒労だ。

―――という訳で僕達に出来る事と言えば……そうだね。
確かに戦争を手引きしている奴がいるとするなら…扇動は明らかな悪だし、
殺すまでとはいかなくても、そいつは僕達が懲らしめて然るべきだ。

そして焚きつけている人間が兎側にも亀側にも居るなら、手分けしてそれぞれ叩いてもいいし。
殴り込めそうなのが一人ならみんなで倒そう。
それ以外の問題は下手に刺激せず、やれることだけやるとしようよ。」

『ふむ……しかしその口ぶり通りだと、問題解決としては100点どころか20点程度なのではないか?』

「うーん…検定ってそういうものだから。自分たちに出来ることを試す場所なんだよ。ここは。」

『そういうものか。』

そういう事だと僕は思うよ。
トーム、どう思う?

860リゼッタ ◆YJMWmO4ZS6:2018/07/01(日) 00:03:37 ID:T0YCDSjI0
「あ、こんにち、え、変態?」

きょとん。後ろの方の頭部は胡散臭そうな表情で見てる。


「鍛冶なんて新人は単純な下働きしかさせて貰えないだろうし、素人でも変わらないって」

若干楽観視するような感じだが大丈夫だろうか。


>>859

どうやら尾行されていたらしい。

「いや、それがね……奴隷が誘導して兎と亀の内紛を煽ってるんじゃないかっていう可能性が出てきたんだ。
どうも奴隷達の様子も変なようでね。だから確認のために潜入する、って話さ」

ただ、あの時点で話を聞いていたものが尾行してきたというのなら。その者は少なくとも誰かに命じられたのだろう。
こちらから打って出て捕まえて尋問すれば、誰が尾行を命じたのか、少なくとももの上の者は吐かせることができるかもしれない。
提案してみるべきだろうか?

861ティアラと《鹿撃ち帽》 ◆iG.8/BousI:2018/07/01(日) 00:12:50 ID:SG3eWK.20
>>860

「………そういえば変な臭いの奴が僕をつけてきていた様な…」

犬だから分かる。分かってしまう。
犬なのにこの後の展開も分かっちゃう。

『ああ―――そういえば妙な気配を感じたが、今思えば鼠だったという訳か。
そこの緑髪の魔力に比べてあまりにも矮小な気配だったから気にも留めなかったがな』

僕がこいつと別行動すると…抑える役が…ツッコミ役が居なくなってしまう…
具体的に言うとトームが胃痛を覚える…!

『捕まえてくるから少し待っていろ風使い。貴様も下手に出て怪しまれると面倒だ。往くぞ犬。お前にとっては最後の仕事だ』

「ハハ……ちょっと行ってくるね」
まあ、一人と一匹いればすぐ片付くでしょ。

862トーム:2018/07/01(日) 00:13:57 ID:J5ZUlMko0
>>859
「戦争を止めるだけなら、きっとぶっ潰すのが手っ取り早いんだろうな」
 呵々と笑う声を隠そうともせずに、鹿撃ち帽の物騒な提案を受け入れかねない様子を見せた。
「確かに俺らに出来ることと言ったら、その誰かを潰すことくらいだろうが、本当に戦争をなくすならこの国の連中全員を片付けなきゃならねぇしな」
 だが、ティアラの言い分にも納得の意を示したうえで、やんわりと鹿撃ち帽の提案をやんわりと否定していた。
「ティアラの言う今やれることだけをする――ってのが最善だろうな」

「……それでも、そうだな」
 それから自分でもどう言ったものかと考えるように
「ただ筆記試験には教科書通りの答えがあるが、実技に関しては教科書なんざアテにならなかった」

「この試験に正答なんざない。今やれる以上のことをやる必要があるかもしれねぇ」
 それがどう思うか、という事に対する男なりの返答だったのかもしれない。

863トーム:2018/07/01(日) 00:23:49 ID:J5ZUlMko0
>>860
「ふーん……」(^ω^ )
 とは言え、内情を知る為には人間の奴隷に近づくのが一番手っ取り早い。
 その楽観視に危うさを感じ取らない訳でもなかったが、乗っかるのが良いだろう。

>>861
「任せた」
 簡素な一言ではあったが、それは短いながらも信頼している、ということを示していた。
 犬――ティアラの実力ならば、この男もよく知っているからこそだ。
 その上であの≪鹿撃ち帽≫がいるのならば、問題ないと。

864リゼッタ ◆YJMWmO4ZS6:2018/07/01(日) 00:27:06 ID:T0YCDSjI0
>>861
「あっ、いっちゃった……」

「ゑ? そんな即断即決!?」

外に出て臭いを追跡すると、どうやら尾行していた者は人間である様子。
魔力が矮小、というよりすぐに逃げようとしたのだが、どうあっても逃げられるほどの練度はない。
少し身体能力に優れていれば魔法もなしに簡単に捕まえることが出来るだろう。


>>862>>863

「あ、でも、なんだか全部の兎さんが戦おうって思ってるわけじゃないみたいで、」

リゼッタが何やらノートパソコン風の端末を合金トランクから出す。
録画された映像には、「何故亀などに構う必要がある? 今更が過ぎる」と愚痴ってる兎の獣人の様子が映る。録画だろう。

「悪口は言ってても、戦おうとまでは思ってない兎さんもいるみたいで」

「あぁ、そいつはフタタバ教原理主義の奴だな。……この状況下でもあいつらの態度だけは変わらないんだよなぁ」

865トーム:2018/07/01(日) 00:34:12 ID:J5ZUlMko0
>>864
「潜入するにしたって、幾つか情報が欲しいとこだな」

「よけりゃ、そのフタタバ教……いや、それだけじゃなく、
どんな宗派があるのかも教えてくれねぇか? そう言う部分も全く聞かされてねぇんだわ」

866ティアラと《鹿撃ち帽》 ◆iG.8/BousI:2018/07/01(日) 00:36:40 ID:SG3eWK.20
>>862-864


「いやー、魔力を使うまでもなかったよ。」
『嗚呼…。超能力を使うまでもなかった。』

捕まった側も、まさかここまで素早く位置を掴まれるとは思っていなかったのだろう。
犬と歩く魔力探知機相手では流石に分が悪かった。

『さて……震えている様だな?これは民間療法なのだがな…親指を握ると緊張が和らぐという話を聞いたことがあるかな?
ポケットに親指を入れたことがあるだろう?どれ、己が震えを止めてやろう』

《鹿撃ち帽》は親指を握り、折るぞ感満載で尋問を始めた。

867リゼッタ ◆YJMWmO4ZS6:2018/07/01(日) 00:44:48 ID:T0YCDSjI0
>>865
「……俺もそんなに詳しいわけじゃないんだが、」

そうしてライオンの人が話し始める。
フタタバという神がイヨという神とハミという神に分かれたこと。
イヨが作った種族が兎獣人であり、ハミが作った種族が亀獣人であること。
神話の中での戦争では、亀獣人が負けたということ。

「つまり原理主義にとって、もう既に戦争に勝った相手だから亀の奴らを相手にする必要はない、って考えなはずなんだが……
亀の奴らはみんな滅ぶべきだ〜なんて言ってる過激派の連中が増えてきてる、ってこと……なんだよな?」

ライオンの人がトカゲの人に確認を取ってる。溜息付いてるけど大体あってるらしい。


>>866
「ひっ、ま、まま、まっ、まって……」

完全に根性無しの態度だ。とりあえず店に引きずり込めばそれで色々話してくれそうだ。
尋問するならば、雇い主を吐くだろう。雇い主は、人間だと。
そして店に引きずり込んだのならば、その男のつけている首輪が奴隷の首輪ではなくただの擬装用だとトカゲの人が見抜くだろう。

868ティアラと《鹿撃ち帽》 ◆iG.8/BousI:2018/07/01(日) 00:52:41 ID:SG3eWK.20
>>867


『差別とは最も簡単なヒエラルキーの作り方であり、階級は秩序を生み出す。
先程犬がこの国の"歪み"に小言を言っていたが…それも"均衡"だったと謂う訳か。己には興味を持てん概念だが。』

《鹿撃ち帽》は尾行していた男に殺気を丸ごと向けながら隣の話に耳を傾けている。

『で、コイツの雇い主は割れたぞ。次は其奴が内紛を煽っているか聞こうか』
その一言さえ聞けば、《鹿撃ち帽》はトームを連れてさっさと現地へ急ぐだろう。

869リゼッタ ◆YJMWmO4ZS6:2018/07/01(日) 01:01:14 ID:T0YCDSjI0
>>868
「うっ、……だ、だけど、あの方達を潰しても、もう関係ないからな!
どの道過激派の兎どもは暴発する!」

怯えながらも、兎の獣人への憎悪が目から怯えをすこしだけ押しのける。
臆病で根性なしの男の怯えを少しでも押しのけるほどならば、その憎悪は本物なのだろう。
殺気に怯えに怯え、雇い主の居場所を吐かされても、それでも兎獣人への憎悪は消えなかった。

870トーム:2018/07/01(日) 01:07:01 ID:J5ZUlMko0
>>867
「なるほどねぇ」
 古くからの因縁が、内乱の原因である。という事実に対して、トームは顔を歪めたものだった。

「煽ってる奴もいるんだろうが、何か裏でもあんのかねぇ……?」
 渋い顔で考えてみようとするが、そういう読み取れる知能がある訳でもなしに、早々に諦めモードに入りかけていたが…。


>>868>>866>>869
「――ってことはあれか?人間が、奴隷という立場を利用して獣人の共倒れを狙ってるってやつか?」
 と……捕まえた男の話を聞きながら、一応の結論を自分の中で組み立てたらしい。これでも必死に。

「あー……しっかし、それだとやっぱ根が深そうだなー……。この問題」
 盛大な溜息に加えて、頭痛でもしそうな頭を押さえる仕草。恐らく以前の奴隷問題も大なり小なり関わっているだろう。

「だがひとまずは……案内してもらわねぇとな。その煽っている奴の下へ」
 兎どもが暴発する、という単語に引っかかりを覚えない訳でもないが、それでもまずはと手近の問題を片付けることに専念した。

871リゼッタ ◆YJMWmO4ZS6:2018/07/01(日) 01:15:29 ID:T0YCDSjI0
>>870
「……あれ、でもあの首輪は偽物で……」

「あぁ、しかも、奴隷達が恨むなら、こき使ってる亀の連中のはずなんだが……?」

リゼッタとライオンの人も首を傾げてる。
リゼッタは首の稼動域の問題であまり傾げることが出来てないが。

「……人間の奴隷達と、この人間達は、別口? 共倒れ……」

だが、何にしろ内戦を煽るような者は止めなければならない。
男の吐いた場所に乗り込む必要があるだろう。

872ティアラと《鹿撃ち帽》 ◆iG.8/BousI:2018/07/01(日) 01:17:54 ID:SG3eWK.20
>>869-871
「―――待って、君と君の雇い主って亀派なの?」

共倒れを狙っているというより…僕はこいつが、兎側を恨んでいるように見えて仕方が無い。
それが、彼なりの正義なのだとしたら…
えーと、ていう事は…こいつらの親分は亀派の過激派なのか。
それで亀派を止めても兎派の過激派は健在な訳で…。

『両方潰せば良かろう。簡単な事ではないか。単純ではないか。よって明快ではないか。』

殺気は向けたままだが、《鹿撃ち帽》の興味はこの男から失せたらしく、余計に痛めつける事もなく立ち上がった。
もはや殺意の指向性を犬一匹に絞る必要など皆無。
ここからはただ正面から殴り込み、突破するのみ。

『では往くか風使い。己にも検定の楽しみ方とやらが分かってきた。
何、奴隷のフリをして潜入だと?己が、己達が何故隷従者の真似事などせねばならない?
己は、例え均衡の中だとしても、安寧に浸るとしても、屈辱を噛みしめる役割など御免被ろう!
ヒエラルキー最下層の番犬はここで待っているが良い』

「いや―――僕も動くよ。ただし、別行動で。僕はこの町にもう少し残って、兎側の過激派を探って、止めてみせる。
多分君たちより帰りは遅くなるだろうけど…僕に出来ることを、僕はまだ出来ていない。…そんな気がしただけ」

だから、ここでお別れだ。《鹿撃ち帽》、そしてトーム。

873トーム:2018/07/01(日) 01:26:33 ID:J5ZUlMko0
>>872>>871
「……考えがあるみてぇだな。オッケー、任せた」
 にっ、と歯を見せて笑う様は男の快闊さを表していた。
「俺は俺でいつも通り動くさ。やっぱり、考えんのは苦手だしな。
煽った奴のところに乗り込んでくらぁな」

「じゃあなティアラ。ちょっとしか話せなかったが、会えて楽しかったぜ?」
 そうして≪鹿撃ち帽≫に応じるようにして、トームは尾行男の吐いた場所へと――


                -=≡  ( ^ω^)
           -=≡ /⌒⌒ヽ/⌒ヽ/\
    -=≡ ./⌒ヽ,  /     ̄   \\ ヽ/⌒ヽ,
   -=≡  /   |_/__i.ノ ,へ _    _/ \\/   | /ii
   -=≡ ノ⌒二__ノ__ノ  ̄ ̄     \ヽ  |./ |i   
  -=≡ ()二二)― ||二)        ()二 し二) ― ||二)    
  -=≡ し|  | \.||             .|   .|\ ||  
   -=≡  i  .|  ii               i  |  .ii     
    -=≡ ゙、_ ノ               .゙、 _ノ      

 ―――突貫した。

874リゼッタ ◆YJMWmO4ZS6:2018/07/01(日) 01:28:02 ID:T0YCDSjI0
>>872
「亀派? ……あぁ、そんなかんじ」

どことなく態度がおかしいが、身柄は押さえたのだ。
ならば細かい尋問は後にも出来る。まずはこの男の親玉を抑えるべきだろう。

「……わんちゃん、大丈夫?」

異形の少女が心配そうな表情を向けている。


>>873
さて、男が話した拠点は、どうやらフタタバ教の教会近くにある園芸用品店。
兎獣人が家庭菜園のために種やプランターを買いに来る店だというのだが。
珍しいことに人間が経営している店であるらしい。

875ティアラと《鹿撃ち帽》 ◆iG.8/BousI:2018/07/01(日) 01:37:03 ID:SG3eWK.20
>>873

『おい犬、己が知っているカフェの客は全員二本脚で歩こうとしないのだが、偶然か?それとも全員こうか?』

……恐ろしく偶然が重なったみたいだね。{タート(狸)、ティアラ(犬)、リゼッタ(四肢がない)、トーム(変態)}

>>874

トームは恐らく感じている。変態車輪に併走する《鹿撃ち帽》から、あの日の殺気を。
彼は殺気に指向性を持たせなければ、全方位に放ち続けるのだ。

「今回の敵は首から上が畜生では無いのか―――丁度良い、見飽きていた所だ、それもまた一興か。
先に行かせてもらおうか、"風使い"ッ!」

【PKサンダーΣ】

園芸用品店への道へ差し掛かった途端、店の外壁への道を雷光の如く疾走し―――突貫した。
店内で視界に入った人間、あるいは妙な魔力反応……どちらでも良い。
見つけた瞬間に雷を叩き込んでやろう。

876 ◆YJMWmO4ZS6:2018/07/01(日) 01:43:48 ID:T0YCDSjI0
>>875
「ぬぅおぁああああああッ!!??」

複数の者の悲鳴と共に壁の一部が崩れ去る。土壁だったようだが。
客として入っていた兎獣人、従業員の人間、その多くが倒れる。
ところが二名だけ、女性の二人組が障壁を張って生き残っていた。
その手には名月石という、月の魔力を蓄え増幅する性質のある鉱物が握られていた。

二人組は真っ先に裏口から逃げようとする。

877トーム:2018/07/01(日) 01:45:45 ID:J5ZUlMko0
>>874-875
「……やれやれ。いきなりが過ぎるだろうよ」
 とは言え、それを知っていた上で止めなかったのであれば自分もどうかとは思うのだが。
 それを踏まえた上での苦笑は、誰に見られる訳でもなく。
「やるにしても、何人かは残してもらわねぇと困るんだが」
 飄々とした態度に対して殺気は柳に風という言葉が当てはまるように、男を揺るがすことはなかった。

「――って、それを止めるとしたら俺の役割か」
 一方で、合点がいったと言わんばかりの表情を浮かべる。
 ティアラがいない以上は、殺気の塊である彼をどうにかするのは自分の役目、なのだろう。

878トーム:2018/07/01(日) 01:49:18 ID:J5ZUlMko0
>>876
【裏口】
    |┃三    ,ィ, (fー--─‐- 、、
    |┃.    ,イ/〃        ヾ= 、
    |┃   N {                \
    |┃  ト.l ヽ               l
 ガラッ.|┃ 、ゝ丶         ,..ィ从    |
    |┃  \`.、_    _,. _彡'ノリ__,.ゝ、  |     / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
    |┃三 `ゞf‐>n;ハ二r^ァnj< y=レヽ    <  どこへ行こうと言うのかね?
    |┃.    |fjl、 ` ̄リj^ヾ)  ̄´ ノ レ リ     |   
    |┃三  ヾl.`ー- べl,- ` ー-‐'  ,ン       \____________
    |┃      l     r─‐-、   /:|
    |┃三     ト、  `二¨´  ,.イ |
    |┃     _亅::ヽ、    ./ i :ト、
    |┃  -‐''「 F′::  `:ー '´  ,.'  フ >ー、
    |┃    ト、ヾ;、..__     , '_,./ /l

 まわりこまれてしまった!!

879 ◆YJMWmO4ZS6:2018/07/01(日) 01:52:16 ID:T0YCDSjI0
>>877>>878
増援がきたことにより、多少は応戦しないと逃げられないと悟ったのか裏口付近に設置魔法を仕掛けていく二人組の女性。
属性はそれぞれ風と雷。どことなく偶然ではないような、偶然であるような何かを感じる。

「、あんた達、人間じゃないの!? だったらなんでこんなこと!!」

二人組の内一人が物凄い剣幕で叫び始める。

880《鹿撃ち帽》 ◆iG.8/BousI:2018/07/01(日) 01:56:17 ID:SG3eWK.20
>>876>>877


魔力反応を持った鉱物と、その障壁を一瞬で感知し、雷撃を放つ《鹿撃ち帽》

「……防いだか。少々加減してしまった様だな。あの爪を隠した風使いに毒されて…己も猫かぶりが板についてしまったか?」

裏口から逃げる女性二人組を、まるで狐でも追う狩人の様にのそのそと歩いて追った。
前門のトーム、後門の《鹿撃ち帽》。
四面楚歌より恐ろしい八方塞がりが二人を襲う。

「これはこれは…お誂え向きに一人ずつ倒せそうではないか?―――風使いィィィッッ!!」

《鹿撃ち帽》から見て左側の女に向けて舌なめずりをし、一瞬で距離を詰める。

【シールドオフΣ】

障壁を貫通する性質を付与された拳撃で、敵を穿つ。

881《鹿撃ち帽》 ◆iG.8/BousI:2018/07/01(日) 02:00:07 ID:SG3eWK.20
>>879

「ムッ―――!!」

距離を詰めて拳撃を繰り出そうとした矢先、風属性の設置魔法が《鹿撃ち帽》を吹き上げ、竜巻の風が切り裂いた。

「小癪な真似を」

感知は容易かったが、設置された瞬間に踏み込んでしまったのが仇となったようだ。
打たれ弱いのか、素人目にも効いているのが目に取れる。

「―――で、一芸が終わったならもう一度『砕く』が?」

だが、彼の芯を、精神を、傷つける事は叶わない。
左の女にもう一度踏み込んで殴る。ただそれだけだった。

882 ◆YJMWmO4ZS6:2018/07/01(日) 02:05:16 ID:T0YCDSjI0
>>880>>881
「っ、」

無口であるのか、障壁の維持で手一杯だったのか、声のない叫び。
障壁が簡単に貫通し、綺麗に貫通してしまった。その貫通力の高さがあだになり、周囲の障壁はまだ残っている。

「やあっ!」

そのまま障壁を上にずらし、腕ごと拳を上に逸らせる。それでも掠ってしまい、軽い電気ショックが女性を襲い、膝を突く。
障壁はそのまま割れてしまったが、何とか残る魔力で反撃しようと近距離用の魔法だろう魔法がチャージされる。見るからに風属性だ。
決意はかなりの物であるらしいが、その立ち振る舞いはどうにも戦闘に慣れている者には見えない。

883トーム:2018/07/01(日) 02:05:32 ID:J5ZUlMko0
>>879
「人間である前に俺は変態だッッ!!」
 論点が著しくズレを見せている。

「――さて、あいつが気を引いてくれたおかげで周り込めた訳だが……それはそれとして」

「即席コンビとは言え、風雷相手に逃げられるとは思わねぇだろ?
その魔法を解除するんだ。そうすりゃ、命は取らない」
 元々命まで取る予定はない。だが、相手がどのような行動に出るかまでは読めない。
もし自爆狙いの魔法でも仕掛けられてしまえば、全てがパーなのである。

>>880>>881
「ついでにあいつは俺より短気だ。あんたらを殺すかもしれない」
 迫る鹿撃ち帽を見て

「信じてもらえるかも分からねぇが、俺たちは兎でも亀の味方でもねぇ」

「――だが、それでも戦うってんなら容赦はしねぇ。あいつと同じように、『砕かせて』もらう」

884《鹿撃ち帽》 ◆iG.8/BousI:2018/07/01(日) 02:15:56 ID:SG3eWK.20
>>882

「ほう!己のPSIは解除力より貫通力を強めた攻撃特化だが…利用されたか!」

障壁を上にずらして拳を逸らすアイデアに本気で感服したらしく、この戦いにおいて初めて嬉しそうな顔を見せる。

「だが、それがなんだ?」

その表情は、一瞬で落胆へと変わるのだが。
掠った瞬間に指先からとっさに軽い電撃を放つと、相手の女性はすぐに膝をついた。

これからお披露目される近距離魔法のチャージですら、彼の『目』からは筒抜けだ。
マジックの種が透けて見えるように、彼の見る光景はつまらないものだった。

885 ◆YJMWmO4ZS6:2018/07/01(日) 02:20:10 ID:T0YCDSjI0
>>883
「……変態? ……あんたが変態ならあの兎どもは虫よ」

後ろで一瞬の内に障壁が割られた。

「、命だけ保障されても、意味ないのよ! 男と違ってね!!」

雷属性の魔力をスコップの形に固める。スコップといっても柄は短く刃の部分が長い歪な形状だったが。


>>884
キッと、見下すような視線を受けてか強い目線で睨み返す。
先ほど隣を歩いていた男に比べても随分とお粗末だと確信できる「風」だ。
それでもその砲弾を思い切り投げつける。
途中で風の砲弾は解けて周囲の物を強く押し出すだろう。

886《鹿撃ち帽》 ◆iG.8/BousI:2018/07/01(日) 02:34:35 ID:SG3eWK.20
>>885

「"投げやすそう"な弾だな」

放たれた砲弾は、男の鼻の先で念力に包み込まれ―――

「この国において尚その隷属を拒む貴様の姿は、まさしく戦士だったと認めてやろう」

くるくるとダンスした後に、砲弾は女の頭上から叩きつけられた。

「まあ、死にはしないだろうよ。その魔法の弱さに助けられたな」

887 ◆YJMWmO4ZS6:2018/07/01(日) 02:40:34 ID:T0YCDSjI0
>>886
「ぇ」

咄嗟に名月石による再吸収を行おうとするも、念力に阻まれて失敗する。
そのまま思い切り地面に叩きつけられ、失神した。
名月石も真っ二つに割れてしまい、起きてももはや更に弱い魔法しか使えないだろう。

888トーム:2018/07/01(日) 02:44:24 ID:J5ZUlMko0
>>885
「説得は無意味か。残念だ!!」
 瞬きする間に肉薄する男は、常人であれば瞬間移動したかと見違える程だ。
「会い方が違えば、連絡先の1つでも尋ねたかったところなんだがな……」
 既に女の間合いの内側へと入った男は、振り上げたその手でそのスコップを掴んだかと思えば。 

「魔力の練りが甘いぜ、あんた?」
 決して離さない、そんな意思さえも感じさせる程の力で。
「だからこうして……」

「――俺みたいな奴にも、奪われる」
 瞬間、スコップは二人の手の中から消失した。観る者が見れば、それは、魔法を解除したということはすぐに分かることだろう。
 魔法を構成する式そのものを分解する荒業。自身の持つ魔力を無理やり相手に結合させ、その魔法自体を書き換えるというものらしい。
勿論実力差が生じていなければ出来ることでもないだろうが……そんな荒業を実戦でやるメリットなど殆どない。
それよりもそれに使用した魔力で倒す方がはるかに楽だろう。
 それでも尚、それを実行に移したのはトームの意地というやつだろう。
 砕くという言葉に虚偽はない。だがそれは女性を傷つけるという事と同義でもない。戦うという手段を砕く。男が取ったのはその一手である。
「諦めてくれねぇか。これ以上は無意味だ」

889 ◆YJMWmO4ZS6:2018/07/01(日) 02:50:16 ID:T0YCDSjI0
>>888
その光景に、信じられないと目を見開く女性。解けた魔法は、魔力を注いでも全く反応しない。
いや、そもそも、懐に入られるまで全く反応できなかった。フィジカルでも、マジカルでも、遠く及ばない領域なのだと叩きつけられる。

「……好きにしなさい」

後ろで、パートナーが地面に叩きつけられる音が響いた。
諦めるしかないのだと悟り、名月石のお守りを投げ渡して手を上げた。

首謀者、捕縛。

890《鹿撃ち帽》 ◆iG.8/BousI:2018/07/01(日) 02:51:44 ID:SG3eWK.20
>>887->>889

「存外に甘い奴だな、風使い。―――ああ、諦めが悪ければこうなると約束しよう」

ひれ伏した女を指差しながら、もう一人の女にそう言った。

女性を手に掛ける事に何のためらいも無かった《鹿撃ち帽》は、
トームとは人間としての根のような部分でわかり合えない男なのだろう。
そう感じさせる無感情な呟きだった。


「――――さて、捕縛したはいいが。己には此奴らの処遇をどうしていいのか皆目見当がつかん。興味も失せた」

この国の警察機関に委ねた方が良いだろう、《鹿撃ち帽》は不器用なりにそう判断したようだ。

891トーム:2018/07/01(日) 02:58:35 ID:J5ZUlMko0
>>889
「ありがとう」
 心からの素直な礼であった。
 それは、己が行動が欺瞞から来るものであったとしても。それに自身が気づいていたとしても。

>>890
「よく言われるよ」
 確かに、その男の行動はトームと分かり合えるものではなかったのだろう。
 トームは、≪鹿撃ち帽≫のように割り切らない。いや、割り切れない。

「警察ね……確かにそうすりゃ表向きは解決かもしれねぇが……」
 煮え切らない様子で頷いては見せるものの
「俺たちの目的は戦争を止めること。それなら、もうとっくに成立したんじゃあねえか?」
 未だに躊躇いを見せるのは、回りの悪い頭を無理やり働かせているからか。
 暗に警察に突き出す必要はないのでは?と考え始めていた。

892 ◆YJMWmO4ZS6:2018/07/01(日) 03:04:56 ID:T0YCDSjI0
>>890>>891
電撃的なカチコミに周囲が騒がしくなったが、協力者が対応にあたったのか誰かが乗り込んできたりはしない。
しばらくすると、鳥の獣人が飛んできて事情を聞いてきた。
ある程度事情を説明すると、協力者だったのだろう。少なくとも女性達に事情聴取はしたいと言い出す。
頼めば人権を尊重した取調べを約束してくれるだろう。少し渋い顔はされるが。

893《鹿撃ち帽》 ◆iG.8/BousI:2018/07/01(日) 03:08:14 ID:SG3eWK.20
>>891>>892

「―――同情か?信念か?」

《鹿撃ち帽》の視線は真剣だった。考えてみれば初めて見せる態度の様な気もする。

彼には、どちらも無いのだ。
だから質問したのだろう。
彼女らの処遇に議論の余地はあるだろうが、
しばらくすると鳥人が駆けつけて来たので、とにかく大人しく引き渡すことにした。
彼は何も言わなかった。『その女達に優しくしてやれ』だの、『公安に引き渡すな』という感情は無く、そういった注文はトームの役目であった。

「三下だが、まだ犬も嗅ぎ回っている事も教えてやろう。これからは大人しくするんだな

貴様らであれば抑圧と戦う方法はまだあるだろう。もう一度考え直すといい。己は常に考えている。

己は―――それを止めはしない。」

点数をつけるなら10点未満の捨て台詞だが、それが検定なのだろう。
そう言いたげな別れ方であった。

894トーム:2018/07/01(日) 03:13:40 ID:J5ZUlMko0
>>892>>893
「さて? 俺は思うままにやってる、ってだけさ」
 求めた解はない。簡単に口に出すつもりはない、と暗に言っているのか。
 この男が実際どう考えているのかは≪鹿撃ち帽≫から読み取れることはなかった。

「渋い顔はされたが、ま、あの態度だと何とかしてくれるだろうよ。
あとはあいつらに任せて、退散するとするかね…」

895 ◆YJMWmO4ZS6:2018/07/01(日) 03:16:10 ID:T0YCDSjI0
>>893>>984
「……嫌な男だよ、それでも、あいつらよりはマシか……」

自嘲するように口元を歪ませると、転送装置まで連れられる。
どうやら取り調べは協会とハーマ連邦両者の監視の下行われるらしい。

残る兎の過激派は、何かしら問題を起こしたら取り締まる。それしかないだろう。
幸い、ここまで派手に暴れれば、その噂から、内乱を起こせば協会が出張るという圧力になるだろう。

全ての火種を取り除いたわけではないが、及第点というには上等な部類の結末だろう。

896トーム:2018/07/01(日) 03:20:15 ID:J5ZUlMko0

「ふぅ……色々残ってはいるがひとまず俺の仕事は済んだか……」(^ω^ )


  _,ヘ:::::ヽノ//,.イ ト、ヽ_::::// ト'¨/ィ'´   ̄二>  i ハ // __ == .ハ
. / j`ヽ<//,.イ::::::i ヽハ i  l / ./  ,.イ〉 ,.-‐ヽヽ 、 ,.-、 ! イ f,.、ヘ、   ヽ__.、
└l‐-、リ//i::/、`、'  ソ⌒マ / /  /::::ヽ..i  ,  、  ソ  iヽテ、 l.ヒ ', }、  \ 、 _\  ,.. -
 └─ヽi . ,';'tア  ヽ {  ノ / .〈::::::/ ハ i  ¨゙ r 'リノ /,ィ ヾ ,リ.ノ \ヽト、ヽ\\>'::::::::
     ヽシ^'ー、ヘィiヘf⌒ヽi   l::/  ./:::::\!i i. !、i._,./ィiソ   ヽヘ、  >'´::\:'´::::::::::::::::
      `',     ', i  ノj   ド  /:,.-、::::::ヽ  几ミ ^'´     V゙’/:::::::/:::;.::-─::、::::
.        ヒフ_ ,ォ   >'⌒ヽ.  ! i.l';::-ツ'::::::::l リ八 l _   ,.  V;、::::/;.ィ´:::::::::::::::::::\
         ヽ-'"  i    }  ヽィ `¨¨ヽ:::::i  {i:::::. ヒ´イ_,.イ    / 〉,. -‐ニ¨ ̄¨゙ヽ:::::
           `ー‐'/ヽ、__ノ   ハ,.‐-' _ノ人  \::.  `ヽ'"  ,.イ::>''´::::::::::::::::::::::::::::::)
           // /  `}     `ー ' `¨ヽー--、ヽ  人.ノ'´`!::::::::::::::::::::::::::::::::::: :. .
          / └、ゝ.._ノ\          \  リ       i:::::::::::::::::::::::::::::::::.:.: : :.
         i   -=i  `i__l ヽ                   l:::::::::::::::::::::::::::::::.:.:.: : : :
        / ̄  _..人._ノ    \.                 l::::::::::::::::::::::::::/,.、
      /                               i::::::::::::::::::::::// /





   : 終    ア テ . リ
   : わ    ヴ ィ  ゼ
     っ.     ド. ア   ッ
   .  た      ゥ ラ  ち
   .  よ.     ル !  ゃ
          !    ん
               !
        Fネ!     /ス!
       _上コ..__ /¨´ニ{,...、
      f´ヽ   i l }i:::::l::::f:::::l
      Kヽ、i__.⊥ィ'^i:::::ト:::〉::ク、
     ,人テ -i‐.i^l゙i }::::::::::ヽ:::::',
    ./ ノ l`¨ニi_,ィ ヒヒ!:::::::::::`ト、入
   └'/  // /:゙┘::::::// ヽ'

897《鹿撃ち帽》 ◆iG.8/BousI:2018/07/01(日) 03:21:00 ID:SG3eWK.20
>>894>>895

「………フン、まあまあ実りのある経験であったな、検定というものは。」

魔力量もさる事ながら、『トーム』という風使いは
一度も風を吹かせぬまま、ひたすらに底知れぬ男であった。
振り向かず、挨拶もせずにその場を去った《鹿撃ち帽》は、そんな事を考えていた。


「―――あれ程の人物であれば……間違いない。






ヘリコプターでカフェへ突っ込んだ後に搬送されていた事についても、真に深い理由があるのであろうな――――」

それは絶対ねえよ


                                                            おしまい。

898 ◆YJMWmO4ZS6:2018/08/12(日) 01:30:44 ID:T0YCDSjI0
【カフェのスクリーン】
本日の検定内容_
‘立てた者勝ち死亡フラグ合戦’
〔ジャンル〕
即興劇
〔推薦適性値〕
演技C
戦闘C
創作知識B
アドリブB
〔開催地〕
自由(!?)

〔概要〕
死亡フラグ、それは様々な物語における死のテンプレート。
しかし近年死亡フラグは過剰に乱立させることで折るという対抗手段が編み出された!
奇運に魅入られた皆さんもこれを期に死亡フラグに積極的に立ち向かいましょう。
最も多く死亡フラグを立てた人が優勝です。

〔ヒント、その他〕
妨害可能です。ただし殺害は禁止です。
なので死亡フラグを台無しにしたり死亡以外の形で死亡フラグを成立させたりしましょう。
無論妨害せずに自分の死亡フラグを建てることに集中しても構いません。

〔失格行為〕
・殺害行為、自分以外の参加者全てを物理的に排除する形でのクリアを防ぐルールです。

〔BOSS〕
・頭文字D
某勇者パーティのヒーラーDさんです。死亡フラグを台無しにする蘇生のスペシャリストです。

《PRESENT》
☆威嚇用トング☆
分類:ファッション装備
カチカチ鳴らすと少し楽しい大き目のトング。登録した武器ひとつと一体化します。参加賞です。
カチカチ鳴らしてから振ると一体化した武器の方の姿になります。トングに戻すのは一瞬です。

☆トライト・トング☆
分類:杖?
サンライトメタル・ムーンライトメタル・スターライトメタルの合金で作られた装飾トングです。
この合金の特性はまだ不明であり、杖に使えるとしか分かっていません。優勝者に与えられます。

《検定開始時刻》
>>今から
《終了予定時刻》
>>二週間後の現在の時刻

899クオン ◆YJMWmO4ZS6:2018/08/13(月) 00:29:49 ID:T0YCDSjI0
>>898
カフェのスクリーンを眺める。そして一言。

「はちみつ海苔コーヒー下さい」

死亡フラグというには弱い。でもゲテモノ。良い子は食べ物で遊んではいけません。

900帽子 ◆iG.8/BousI:2018/08/18(土) 04:25:45 ID:zNiPsmP20
【カフェ】


―――俺さ、実は数年前、怪しげな薄汚い占い師に言われたんだ…。俺が死ぬ日付の予言なんだけどな。それが今日って訳。(死亡フラグ1)
ま……まぁそんな予言信じてないけどな?だって当たるわけ無いし?(死亡フラグ2)
病気の可能性も考えて先日知り合いの医者に見てもらったが問題なかった。「悪いとこなんか一つも無いくらい健康」だってさ(笑)(死亡フラグ3)
その日からその医者が妙に俺に優しくしてくれるのが気になるが…(死亡フラグ4)
おっと、話が逸れた。そんな俺はこれからどうするかと言うとだな………。

―――田んぼに行こうと思うんだ。(死亡フラグ5)

そう、台風絶賛直撃中、街外れにあるあの田んぼにな。(死亡フラグ6)
なぁに、様子を見るだけだ。すぐ戻る。(死亡フラグ7)
え?カフェ以上に安全な場所は無いのに…だって?(死亡フラグ8)あぁ…そうなんだが、ホラ、ここには凶悪な魔術師とか、殺人鬼とかいっぱい居るじゃん?
―――まぁ、俺はあいつらの扱い方はよく分かってるから俺が危害を被る可能性は万が一にも無いんですけど?(死亡フラグ9)
でもやっぱ居心地悪い。俺はこんな店に居たくない。殺人鬼と一緒の店に居られるか。俺は田んぼに帰らせてもらうぞ。(死亡フラグ10)

ちなみに田んぼの見回りが終わったら港の船の様子を見に行くぞ。(死亡フラグ11)
あの海域には不気味な魔物が出没するっていう話だが…どうせただの噂だろう。遭遇する訳が無いからこの件は置いておく(死亡フラグ12)
この件は置いておくが……もしも遭遇してしまった場合、倒しても構わんのだろう?(死亡フラグ13)
その後裏山の様子もついでに見てくる(死亡フラグ14)
昔じっちゃんが「あの裏山は呪詛が渦巻いている霊脈だから絶対に近づくな」って言ってたけど、呪いなんてどうせ古い迷信だろうし、無視しても良いだろう。(死亡フラグ15)

そういう訳でな……いや無事に今日一日を過ごせると思うけどね?(死亡フラグ16)
俺、子供の頃から悪運だけは強いからさ…命だけはツイてるんだ。(死亡フラグ17)
でも万が一死んだ時の為に……秘密だぞ?本来口外できない秘密なんだけど……冥土の土産にお前に教えてやろう(死亡フラグ18)
実は神々の委員会から流出した重要書類を手に入れたんだ。(死亡フラグ19)
ここでは語るに恐ろしい陰謀についてだったのだが…家の金庫に隠してあるが、俺が死んだら俺の代わりにしかるべき機関に届けてくれ…(死亡フラグ20)
……なんか「貴方は知りすぎた」って手紙が最近ポストに入ってたが……ま、関係ねぇか。(死亡フラグ21)

それからな…俺が無事に明日を迎えることができて、またカフェの玄関を潜ったその時には……アツアツのピッツァが食いてえ。(死亡フラグ22)
もちろんナラの木の薪で焼いた故郷の本物のマルガリータだ。ボルチーニ茸ものっけてもらおう。(死亡フラグ23)

それと故郷に恋人も残してる。―――あぁ、お察しのとおりだ。俺達、この一日が終わったら、結婚する予定なんだ。(死亡フラグ24)(死亡フラグ25)(死亡フラグ26)
丁度明日、恋人の誕生日でな…とびっきりのサプライズができそうだ(死亡フラグ27)
見てくれよ、このペンダント…。写真入りなんだけどな、美人だろ?こいつを故郷に残して死ねる訳無いだろ?(死亡フラグ28)
―――連絡先を教えておく、俺が戻らなかったら…「愛している」と伝えてくれ。(死亡フラグ29)

そんじゃ行くわ。まぁ心配するな。何かあったらすぐ連絡するからさ(死亡フラグ30)
最後に一言――――イケメンは死なない。(死亡フラグ31)

それだけ言い残して帽子は飛び去っていった。
空中だと北斗七星がよく見える…その隣にある小さな星さえも…な。(死亡フラグ32)



「ふぅ…32回か。こんだけ立てれば誰も記録を越えられんだろ」(敗北フラグ1)

901ウェイデン ◆YJMWmO4ZS6:2018/08/21(火) 23:52:57 ID:T0YCDSjI0
【ゲームショップ】

「……」

一人のマラソンランナーがひとつのゲームを手に取る。タイトルは、「マスタープリンセスふるこ〜す」

「コレしかない、もう、32回というあの大記録を超えるにはコレしかないんだぁあああ!!!」

社会的死亡フラグ?

902《鹿撃ち帽》 ◆iG.8/BousI:2018/08/24(金) 21:49:37 ID:zNiPsmP20
【カフェ】

「"死亡フラグ"という概念が今一解せぬが…要は死にかければ良いのであろう?」

コーヒーを啜りながら寡黙な店主へ語りかける。
ところで、なぁ、店主よ。己はあの日初めてこの店を訪れて以来、幾度か"検定"に参加し、敵と相見えた。

感想は―――実に、実に退屈だったよ。
最初に赴いた獣の国での戦いが最たる例だ。
期待した先に待っていた敵は何だったと思う?か弱い女二人だった。同行者の1/100程度の脆弱さだったよ。
彼らとの出会いは興味を惹かれる価値があったよ。彼女らの叛逆の意志には賛同もできよう。
しかし、だね。
己の無聊の話とはまた別なのだ。

――――倦んでいたよ……己は。この検定が貼り出されるまでは。

《鹿撃ち帽》は、コップを静かに机に置いたかと思えば
目前の店主の襟を、カウンター越しにまるで堅いクルミでも握り潰すかのように力強く掴んだ。

「さぁ、己を死の淵まで連れて行くがいい―――!嗚呼、理解っているとも。戦う気が無いのだろう?
だがな店主よ……己に黄泉を刹那でも見せる事ができる戦士は矢張り、嗚於矢張り!貴様しか居ないッッ!!」

次にマスターの袖を掴んだかと思えば、《鹿撃ち帽》は素早い後ろ回り捌きで180度向きを変える。
柔道の立ち双手背負いの構え。
このまま店主をブチ転が――――せない!?
まるで……まるで星と一体化した杭を背負っているかのようにびくともしない。
意地になった《鹿撃ち帽》の脚によって店の床が高圧のエネルギーで踏み抜かれようと、店主の身体は動かない。

「チィ」

《鹿撃ち帽》は裏拳を決めて飛び退いた。これも筋肉の全て抜け落ちた腕で鋼鉄を殴っているような感触。見えなかったがガードされた様子だ。
亜音速の飛行で空気が弾け飛ぶ音がした。蜻蛉返りで再び間合いを詰めた。致死の連撃を徒手空拳でお見舞いする。
鈎突き、地獄突き、左フック、正拳突き、エルボー、ぶちかまし、ハイキック、ボディブロー、
全てに全霊の雷撃を込める。防がれる度に雷の閃光が弾け飛ぶ。
0.1秒のうちに繰り返される衝撃は、音だけで《鹿撃ち帽》が飲んでいたコーヒーのコップを崩れさせるには十分だった。
ドロップキックの反動で店の壁へと取り付き、もう一度壁を蹴って接近しインファイトを行う。
水面蹴り、アッパーカット、踵落とし、脳天割り、飛び膝蹴り、拳、拳、拳、これも、これも、これも――――これも全て往なされているだと!?

「ッッ!?!?!?」

一瞬、ほんの瞬くに値しない刹那の出来事だったが、反撃の意志を見せなかったマスターから攻撃に転ずる殺気の様なものを感じて全速力で店の隅まで退避する。
そこから《鹿撃ち帽》は遠距離攻撃に切り替えた。

903《鹿撃ち帽》 ◆iG.8/BousI:2018/08/24(金) 21:50:15 ID:zNiPsmP20
この時来店していた片平恒夫巡査(34)は当時の様子をこう語っている。


 鹿撃ち帽の男がマスターに遠距離攻撃を仕掛けるまでの時間ですか?いや…もう、ホント開戦から4秒かそこいらで…ええ。
 ですからその前に行われた数々の攻防も……その4秒で行われたということになります。

 ハイ、マスターに向けて隕石が降ってきました。いえ、一気にです。こう……一気にゴロンて感じで……


「フハハハハ!本当に甘い!確かに貴様の戦闘力は膨大!強大!無限大と言っても良いのだろう!
だが接近戦の時に己を倒していればこの規模の攻撃を繰り出させずにッ!店を破壊されずに済んだものを!」

 念力場を作ったんですよ。客や店内の破片が少したりとも動けなくなる規模の。
 ただしこんなものは余波に過ぎなくて、全て中心のマスターに向けて圧がかけられているんですわ。
 しかしそれをビームと隕石を撃ちながらやるんですからねェ………スゴい音がしましたよ。
 バチッっていうか、[削除済み]っていうんですか ハハ。


 ――――え?殺されると思ったか?って…マスターがですか?



 ……ん〜〜



 やっぱりあなた達はワカってない、マスターという人物を…

 そりゃアンタ、ああなっちまうとふつうは勝負ありだわ、ふつうはね。
 だけどこれはマスターのハナシでしょ。全部撃たせんたですよ。超能力の攻撃を。もうムチャクチャですわ。
 これほどの攻撃を繰り出されながらカフェには殆ど損傷がないんですわ。そう。マスターが全て衝撃を握り潰していたんです。守護神みたいに。

「バ……バカな…!?何故無傷でッ何故動け――――」

 鹿撃ち帽も多少の健闘はしてたみたいですけどまぁ後は酷いもんですわ。店に被害が出ないからこそ店への被害を考えない攻撃、今度は自分がやられるわけです。

 客やってるワケだからカフェのマスターの伝説は当然認識はしています。しかし、見ると聞くとではねェ。鬼気迫るっていうか……。
 単純にスゴいって……世界最強ってスゴいことだと思ってしまいましたね。警察官やっててもそこはホラ……男の本能っていうか……ハハ

 量より一回の質、それが真の死亡フラグなんですねェ……。

904 ◆YJMWmO4ZS6:2018/09/08(土) 23:15:23 ID:T0YCDSjI0
【カフェのスクリーン】
「前回の優勝者、ならびに参加者の皆さんに賞品が配送されます。」と表示されている。

ちなみに優勝者である鹿撃ち帽様宛ての小包には、優勝賞品と参加賞の他に優勝理由の書かれた手紙が入っていた。
曰く、「ストレートに死亡フラグを建て、回収した一連の流れに減点材料がなかったため」ということらしい。
どうやら死亡フラグを回収しなければ死亡フラグを建てても減点材料になっていたようだ。

905《鹿撃ち帽》 ◆iG.8/BousI:2018/09/09(日) 23:37:41 ID:jhVHpPxA0
【カフェ】

「たった一度の挑戦で優勝するとは…芸術点でも入ったか」
傷が癒えてから初の入店である

「売ればいいのか…それとも何かに使い道を見出すまでが検定だったりするのか?
トライト・トングや獣の邪水といった素材は集めれば自己強化に使えるとは思うのだがな、
これだけはその……どう使えと謂うのか…?」
威嚇用トングをカチカチと鳴らす。
武器も所持していなければ、トングカチカチに楽しみを見いだせるタチでもなく。
先日のお詫びという訳ではないが、カフェの備品にして貰うことにした。

906 ◆YJMWmO4ZS6:2018/10/20(土) 21:27:20 ID:T0YCDSjI0
【???】

「しかしそれでは地上に迷惑がかかるのでは」

「大丈夫、迷惑な魔物しかいない土地があるから」

「それでもこの爆弾は長くその地に毒をもたらすはず。いや、もしかしたらもっと広範囲に――」

「大丈夫、そこは光に干渉する結界があるから。設定を弄れば放射線も通さないはずよ」

「むぅ、そういう物なのだろうか? 万が一にでもこの遺跡が危ない物だと思われ攻撃されたら……」

「本当に大丈夫よ。そもそも私はその土地の持ち主みたいなものだから」

「……」

「いつまでもこんな物、置いておくわけにもいかないでしょ? 私は月まで運ぶなんて無理よ?」

「……人がいないのであれば、壊さず、そこに捨てるだけ、というのは」

「無関係な人が偶然居合わせたタイミングで魔物が弄って爆発させたらどうするの。猿の魔物いるんだけど」

「なる、ほど。その場所を封鎖できる立場にあるから、ということか……」

「どう?」

「……少し、決意するまでの時間が欲しい」

907 ◆YJMWmO4ZS6:2018/10/28(日) 00:42:10 ID:T0YCDSjI0
【???】

「本当に、これでボクも飛べるの?」

「人間が飛ぶために作ったんだろうし飛べるんじゃない?」

「人間かぁ……ボクに動かせるかな?」

「動かせそうなのがあったら儲け物程度に考えればいいんじゃない?」

「そっか、ボク……飛べるかもしれないんだ」

「……私がやってもよかったのに、本当にいいの? 私は、あの森が消せればそれでいいんだけど」

「悪いことかもしれないけど、でも、このままじゃ皆が危ないかもしれないんでしょ?」

「えぇ」

「なら、ボクは悪い子でいいや。やっと、皆の役に立てるんだもん」

908 ◆YJMWmO4ZS6:2018/10/28(日) 22:39:47 ID:T0YCDSjI0
最近検定がまた減ったカフェ。スクリーンにはテレビ番組が流れたりする。
ところが、番組が途切れなにやら文字の欠落した文章が明滅するようになった。

【カフェのスクリーン】
本日の検定内容_
‘errorの――る、――error翼’
〔ジャンル〕
運――error
〔推薦適性値〕
――
〔――〕
天空都市――error森

〔概要〕
error

〔ヒント、――〕
error――鬼に敗――した――

〔失格行為〕
――error月への道を用いてゲートを安定させている為設定を変更した場合ゲートが閉じる可能性があります。

〔BOSS〕
――

《PRESENT》


転送装置に暗い光がともる。意外なことにその光は安定してどこかに繋がっているようだ。

909帽子 ◆iG.8/BousI:2018/10/29(月) 07:54:45 ID:jhVHpPxA0
>>908
「マスター、あれ、故障か?」
老紳士は何も答えない。質問に答えてくれた事なんて無いけどな。

「アレも故障―――なのかな」
白髪交じりの黒髪の中年。トレードマークは赤い野球帽。
筋肉質な身体の上に黒いローブとジーパンを身に纏った彼は、席を立ち転送装置の前へと歩み寄る。

「行ってみるか、久々に」
ああ―――冒険だなんて何年振りだろう。俺。

910 ◆YJMWmO4ZS6:2018/10/29(月) 23:16:18 ID:T0YCDSjI0
>>909
【天空都市】

天に浮かぶ雲の上の古代遺跡。今は空を飛ぶ鳥達が暮らす場所。
大型の獣ほどはある大きさの鶏のような種族たちが暮らしているようだ。
のどかな風景だが、妙な不安感が住人達の表情から窺い知れる。

言葉は通じるようだ。話しかければさほど警戒心も抱かれずに会話ができそうに思える。

911帽子 ◆iG.8/BousI:2018/10/30(火) 06:55:08 ID:jhVHpPxA0
>>910

昔、とある所にドードーという鳥が居たらしい。
捕食者の居ない島に住んでいた彼らは果たして、図体ばかりが大きくて飛ぶことが出来なかったそうだが。

「少し散策してみたが、大きな鳥ばかりだ…。それも飛んでいる。一昔前までは他の動物も住んでいたという事だろうか。」
彼らはどうやら人間との意思疎通が可能らしい。



―――え!?喋れるの!?鳥が?マジで?
「こんにちは。俺はとある手段でここへやってきた旅人だ。いきなり不躾で悪いが…時間があるならばここがどういう場所なのか案内を頼めないか」
まぁただの鳥だったとしてテレパシーで喋れない事もないんだが。
言葉が通じるならお言葉に甘えようではないか。

912 ◆YJMWmO4ZS6:2018/10/31(水) 00:31:54 ID:T0YCDSjI0
>>911
「えっ、どういう場所って、……俺は生まれたときからただ住んでるだけだからなぁ」

普通に言葉は通じるが、どうにもただ住んでるだけという者が多いようだ。

「ただ、ここは昔の人間が作った、戦争の為の寝床だった、らしいんだよな……
俺はそういうの全然わかんないんだけど、なんか、危ない爆弾があるみたいだし」

なにやら表情が少し暗い気がする。

「会いたいやつがいるなら寝床の場所くらいなら案内できるぞ?
変なのとかはカラスマのヤツが詳しいんだけど、今はなんか爆弾のことで悩んでて全然でてこないし……」

913帽子 ◆iG.8/BousI:2018/10/31(水) 01:16:45 ID:jhVHpPxA0
>>912
「……分かった。カラスマとやらに合わせてくれないか?」

―――多分教えてくれるだろうから彼に会ってどうするつもりかを述べると、
まずここに来た経緯を述べよう。
故障じみた掲示板の表示と、転送装置が突如ここへ繋がった事は偶然では無い筈だ。
何か知っているかもしれないし、俺に何かが出来るかもしれない。

914くろかみ:2018/10/31(水) 22:55:02 ID:SAa/VzMY0
>>908

「かかっ」
「こういったイレギュラーも久しいな」

「怖くないのか?誰に聞いている。この俺だぜ?」

「血が騒ぐってもんだろ、なあ?」



「月……の直前のカスレが気になるが。かか、それもまた一興」

黒髪の女が転送装置に足を踏み入れた。


「ああ、店主。角の席にキャラメルココアを一杯」

915それは合縁奇縁をもって:2018/10/31(水) 22:59:48 ID:SAa/VzMY0
(これは夜半の話)

いつの間にか、角の席には女が座っている。
淡い緑の髪は光の当たり方でオーロラのように揺らめいている。
真鍮のような深い金の瞳、それに合わせたような服は異国の情緒を取り入れて。

何かを断ち切ったようなおかっぱを揺らして、少女と大人の間の体を得た娘はキャラメルココアに口をつける。


「うん、美味しい」

「これだけでも帰ってきた甲斐があるや」


異世界での不思議な物語を経て、きずなは此処に再度結ばれる。

916 ◆YJMWmO4ZS6:2018/11/01(木) 01:50:34 ID:T0YCDSjI0
>>913
「あぁ、確か、あっちの一番奥の、こっちだな」

案内について遺跡内に入っていくと、ウコッケイのような見事な黒に染まった巨大な鶏がいた。
案内してくれた鶏に比べるとカラスを思わせるスマートさを併せ持っていて、おそらく鳥の世界では美形なのだろうと感じさせる。

「カラスマ、客人だぞ」

声をかけられたカラスマは、全然反応しない。マーブル模様の液体の入った筒の前で動かない。

「……あっ、こいつ悩んだまま居眠りしてら。またか」

怪しい液体の入った巨大な筒と、それに繋がる大型コンピューターの前で居眠りする鶏(常習犯)。を訪問する一羽と一人。


>>914
【天空都市】

空に浮ぶ天空の古代遺跡。今は空飛ぶ大きな鶏たちが住まうだけの場所。
それだけだったはずの場所は、不安な事態に直面してもその平和ボケした気質がどうしても表れてしまう。
スクリーンに表示された不穏な雰囲気とは裏腹に、住人の鶏たちは不安そうな表情で、それでもいつも通り暮らしていた。

言葉はどうやら通じるらしい。よそ者を排他するような気質も見受けられないだろう。
ただし、どうにも地上の者との距離感を測りかねているような、そんな雰囲気は感じられるかもしれない。

917帽子 ◆iG.8/BousI:2018/11/02(金) 05:49:41 ID:jhVHpPxA0
>>916
「……起こすのも悪いな。」
何か悩み事で根を詰めたせいなのだろう。
あと何時間眠るのかは知らないが、付近を散策して暇つぶしするか。

「この辺りには何がある?例えば…宿泊施設とか、食事とか。」

918 ◆YJMWmO4ZS6:2018/11/02(金) 23:16:52 ID:T0YCDSjI0
>>917
「宿泊? ……寝床は沢山あるから使ってないとこっぽかったらそこで寝ればいいんじゃない?」

鶏にとっては大体の部屋が雨風をしのげる寝床。

「食い物も飛んで狩って食べるもんだし……あっ、いや。そうだ。食べられる場所あるや」

「一人だけ、飛べないヤツがいてさ。皆でそいつの食い物を持ち帰ったりしてんだよ。
事情を話せば一緒に食っていいんじゃね? 翼怪我したヤツもそうしてた気がするし」

宿泊施設も飲食店もないようだが、食事だけなら何とかなりそうだ。
あと探せば人間用の宿泊部屋が遺跡内に見つかるかもしれない。既に他の鶏に使われているかもしれないが。

919黒髪の女:2018/11/03(土) 00:19:59 ID:mVSj8MP.0
>>918
「鳥」
鳥である。
天空と言うからには飛べるものがいてもおかしくない、というか道理だろう。
目の前の彼らが飛べそうかと聞かれると困るが……祖先としては間違っていない。

女は近くにいた鳥に声をかけるだろう
「何か起きたと聞くが……最近変わったことは?」

920帽子 ◆iG.8/BousI:2018/11/03(土) 00:47:07 ID:jhVHpPxA0
>>918
「……そうか。アドバイス感謝する。」

しまったな……マスターに頼んで弁当の一つでも持って来れば良かったか。
この人(?)達は本当に鳥なので、食い物が虫しかないとかそういうパターンもありそうだ…。
仮令まともな食事が『飛べないやつ』のそばでありつけたとして、それは彼のために用意されたものなのだろう。
この種族は大らかだからよそ者の俺にも気前よくすべてを分け与えてしまうのだろうが、それはそれで心が痛むというか。

「分かった。じゃあ、獲物の見つけ方或いは狩場を教えてくれないか。俺も飛んで、探して、狩る。」

921 ◆YJMWmO4ZS6:2018/11/03(土) 21:30:33 ID:T0YCDSjI0
>>919
「えっ、変わったこと? ……今かな。こんなに連続で地上の人がお客さんになるのは珍しいし」

どうやら最近来客が多いらしい。

「あなたもあの変な爆弾について話に来たの? ……やっぱりあれそんなに危ないやつなんだ……」

変な爆弾とやらが噂になっているらしい。そして以前に来た客人もその爆弾についての話で来た、ということだろう。


>>920
「よし、狩りのことならこのタカマチに任せとけ! 魚だろうが獣だろうが狩り方をバッチリ教えられるから!」

バサバサと意気込んでその場で羽ばたいてる。

「小さな物を狩るときはまず籠を取りにいくんだ。水浴び場の横に沢山積んであるから適当に使ってないやつ使っていいからさ。
それから小さな鳥が沢山飛んでるとこを探せば魚は簡単に取れる。でも沢山捕まえるのは大変だからな。
地上の人が使ってる船ってのが沢山あるとこだと大きな魚が取れたりするぞ! 一匹で籠一杯になるでかいやつ!」

どうやら人の漁に便乗する形で魚を得たりもしているらしい。
逆に獣を狩る場合は人のいない山で崖を登っている草食動物を狙うのだとか。

「あと狩りが苦手なら町から沖の方の船に野菜を運ぶと何かが貰えたりするぞ」

922黒髪の女:2018/11/03(土) 21:37:45 ID:McFlrOl60
>>921
「ふむ。先に誰か来たのか……」

「ここに異変がある、としか俺は知らなくてな」
素直に自分の現状を話す。異種族コミュニケーションは体当たりだ!

「おそらくその爆弾をどうにかするために呼ばれたのだと思うが……」
「何故それを爆弾と言い切る?すでに同種の何かか爆発したのか?」

サングラスを外し胸元にひっかける。空と同じ色の瞳を見せたのは誠意のつもりなのだろう。

923 ◆YJMWmO4ZS6:2018/11/03(土) 21:43:55 ID:T0YCDSjI0
>>922
「えっ、だって、カラスマが爆弾だって言ってたし、客人も危ない爆弾だって……あれ、爆弾じゃないの?」

実際に爆発を見たというわけではないらしい。物凄く戸惑っている。

「爆発しないように壊すだけでも危ないって話だったんだけど……」

おそらくは鶏の大半は全然詳しくは知らない状態で噂だけ先立ってしまったらしい。
平和ボケなのか、危ないと聞かされてもどう危ないのか、本当に危ないのかは確認してないようだ。

924黒髪の女:2018/11/03(土) 22:29:49 ID:McFlrOl60
>>923
「いや、不審物があれば無暗に刺激しないのは正しい策だろうよ」
んむ。と顎に手を添えながらうなり思考する。

「その客人か、カラスマとやらに会う必要があるみたいだが……居場所はわかるか?」
解るほうで構わん、と女は問いかける。

925 ◆YJMWmO4ZS6:2018/11/03(土) 22:40:01 ID:T0YCDSjI0
>>924
「客人は、そういえば、いない……あれ? どこ行ったんだろう」

どうやら彼女の知る客人の行方は分からないらしい。

「カラスマは爆弾の前でずっと悩んでるよ。本当に地上で爆弾を壊していいのか、
誰か地上の人が困ったりしないか、ここが危ない場所だって思われたりしないか、って、ずっと悩んでる。
あっちのとこから爆弾のある一番奥にいけるよ」

翼で最深部に続く扉を指し示す。

926黒髪の女:2018/11/03(土) 22:59:24 ID:McFlrOl60
>>925
「はは!」
笑った。

「落とす心算だったのか。成程空だからできる処理だな、俺はそれも悪くないと思うな」
「だが爆発しなくとも空から落ちてくる物体は地上では危険でな」
「そのカラスマとやらに会いに行く方が善さそうだな」

「感謝する」

「(それにしても、地上から来たとわかってて地上に落とすと話すとは……大胆だな……)」
「かかっ」

「それじゃあそのお悩み相談と行こうか」
言い方に止める様子もなさそうな鳥にまた笑い、止められなければ「じゃあな」と扉に向かって歩きはじめるつもりだ。

927 ◆YJMWmO4ZS6:2018/11/03(土) 23:13:15 ID:T0YCDSjI0
>>926
「えっと、落とすんじゃなくて、なにか……」

何かあったらしいが、うまく説明できない様子でそのまま止める声をかけられない。
カラスマのいる最深部には簡単に到着できるだろうが、カラスマは居眠りしているだろう。

928黒髪の女:2018/11/03(土) 23:23:41 ID:McFlrOl60
>>927
女の勘違い――!
訂正しようとする声むなしく、女は上機嫌で扉へ手をかけた。

「……ほう、本当に居たか」
先の言葉の信憑性が深まる。
「さて、どうするか」
独り言は居眠りを覚ますに足りるか、カラスマの気配を伺いながら『爆弾』に視線を遣る。

929 ◆YJMWmO4ZS6:2018/11/03(土) 23:36:34 ID:T0YCDSjI0
>>928
ドアの開閉ボタンは普通に押せば開く物だった。
室内のカラスマの目の前にはマーブル模様の液体で満たされた巨大な筒があり、コンピューターに繋がっている。
コンピューターの電源ボタンも物理的に押せば起動するが、そこから先の操作はタッチパネル式だ。
異国の言語で何か表示されるが、大きく核のマークが表示されるだろう。
タッチパネルはどうにも人の手に近い構造でないと反応しないようになっているようだが。

ちなみに、ここまで操作してもカラスマは起きない。野生を失ってる寝顔だ。

930帽子 ◆iG.8/BousI:2018/11/03(土) 23:38:42 ID:jhVHpPxA0
>>921
「―――十分だ、恩に着る。」
魚取りか…。やった事はないが、念力で捕獲すれば俺なら何とかなるだろう。

 ・ ・ ・ ・ ・

言われた通りに籠を借り、水場へと赴いて鳥の群れを探す。
無難に小一時間かけて籠を魚で満たしたのだが、省略。

 ・ ・ ・ ・ ・

「さて、ご機嫌取りに焼き魚でもごちそうしてみるか。そろそろ目覚めたかもしれない。」
カラスマさんの家へ戻ってきました

931 ◆YJMWmO4ZS6:2018/11/04(日) 00:03:14 ID:T0YCDSjI0
>>930
帰ってもまだカラスマは寝ているようだ。起こさないと中々起きないのかもしれない。
あと、なにやら他にもカラスマに用事のある者が来客中のようだ。
検定参加者特有の気配を感じる気がするが。

ちなみに焼いて調理することに関しては意外とできるらしい。
軍事施設っぽい内装だというのにキッチンは大型で、ガスタイプの調理台は動かないが、
魔導タイプの小型コンロがあり、彼らは気まぐれに魚や獣を焼いて味の変化を楽しんでいるらしい。

932黒髪の女:2018/11/04(日) 00:10:19 ID:McFlrOl60
>>929
「禍々しいな……こうわかりやすく危険物もないな」
勝手に触っていいものか。いや触るね。なぜならトモリだから。

「――」

「――これは」

「地上に持ち込まれても困る、」
「が」
「空で処理するものでもないな……」

埋めればいいのだったか、と独り言ちつつ無防備なカラスマの肩(鳥の肩……)に手をかけるだろう

933 ◆YJMWmO4ZS6:2018/11/04(日) 00:14:25 ID:T0YCDSjI0
>>932
「むっ? 何奴! あっ名を〜名乗れーっ!!」

触れたら流石に起きた。しかも妙なノリだ。カラスマのつつくこうげき!

934帽子 ◆iG.8/BousI:2018/11/04(日) 02:07:52 ID:jhVHpPxA0
>>931
「……なんだ、よく見ればコンロ類も普通にあるじゃあないか」
チェッ、パイロキネシスで未知の味覚をごちそうしてやろうと思ったんだが…まあいい

扉を開けようとするが――――

「……!?中から荒事の気配!?」

扉を勢いよく開けて叫ぶ
「どうした!?」
――――あれ、トモリ!?

935黒髪の女:2018/11/04(日) 14:28:51 ID:RMZclZzo0
>>933

妙なやつを起こしてしまった気がする――!!

「てやんでい!あんたが空のカラスマかぁ〜っ?」
ワンフレーズだけノッた後真顔に戻ってさらりと続ける

「トモリだ、『地上からきた』」

936黒髪の女:2018/11/04(日) 14:30:39 ID:RMZclZzo0
>>934
「おう」

「なんだ、先客は貴様だったか、帽子の」

カラスマと話す女の背後は>>929参照だ!

937 ◆YJMWmO4ZS6:2018/11/05(月) 19:03:19 ID:T0YCDSjI0
>>934
確認をすれば、基本的に焼くくらいで煮込んだり蒸したりという調理法はあまり行われていない様子。
汁物はクチバシであるため食べづらいのだろうが、一部蒸し料理でなら人気を掻っ攫えるかもしれない?

>>935>>936
「……おぉ! そうか、うむ、カラスマで間違いない……が、時間を貰ったはいいが、まだ悩んでいる、と彼女に伝えて欲しい」

何やら誰かの使いとして認識されたようだ。

938黒髪の女:2018/11/05(月) 23:34:47 ID:pHFrwDnw0
>>937
「彼女?」
「ふむ、猶予をもらっていたのか。俺たち地上側としても助かるが……これが『何』なのか、解っているのか?」

939黒髪の女:2018/11/05(月) 23:36:42 ID:pHFrwDnw0
>>937
「彼女?」
「誰かから猶予を得ているのか……地上側としても助かる、のだが」
「これが『何』なのか、解っているのか?」

「……いや、そもそも之は如何してこんなところに在るんだ?」

940黒髪の女:2018/11/05(月) 23:37:42 ID:pHFrwDnw0
あっ消えたから消えたと思ってた……!>>939でお願いします……!

941ヨギリ:2018/11/06(火) 00:14:35 ID:XLhME9OM0
>>915

(ーーいつの間にか。眼前に、なんか白くてふわっふわしたものが置かれている)
 
 
(その正体はーー……、小さなガラス容器にこんもりと盛られた、マシュマロだった)
 
(マスターが静かに、「あちらのお客様からです」的な感じで視線を送る)
(視線の先には、マシュマロを頬張りながらサムズアップしてる長身男子が見える)

(ーー新手のナンパ?)
(ーー否、断じて否。)
(これは、「キャラメルココアと一緒にマシュマロ食べたらおいしいと思う」という、ただそれだけの想いーー)

(つまり一言で言うと、お菓子を勧めてきた見知らぬお兄さんが現れた。)

942淡緑の少女:2018/11/06(火) 00:37:46 ID:pHFrwDnw0
>>941
「……?」
(気が付けば白いカップの横に白い山が出されていた)

好きなものを誰かに勧める。そんな些細なことがとても懐かしく思えて、じんと目頭が熱くなる
マスターの視線にそって視線を遣れば、見知らぬ青年がいる

「ありがとう!」
一つマシュマロを持ち上げて会釈をすれば、キャラメルココアの香りが抜けないうちにと口に運んだ

もしゅ

甘い。甘さにキャラメルの香ばしさが絡んで新しい味になる。

「ん〜、美味しい!」

「これは合う。シナジーがある。マリアージュだね!」
「きぃの連れったら頼むだけ頼んで検定……大分バグってるなあ。あれは検定でいいのかな?」
「……検定に行っちゃって。やっぱり飲み物にはおやつあってこそだよ」

「見ない顔だけど……キミはここの味に惹かれて?それとも普段は?」

あっち?と、不穏な表示を映すスクリーンを指さした

943帽子 ◆iG.8/BousI:2018/11/06(火) 07:46:37 ID:jhVHpPxA0
>>936
「あぁ、お前もバグった掲示板と転送装置が気になったのか?……なんだ、その物騒な画面は」
タッチパネルをチラと見る
―――『爆弾』って、まさか……。

「"カラスマ"も起きたみたいだな」
とりあえず話は始まったばかりみたいだな
トモリもタッチパネルに表示されたマークを見て困惑していると言った現状か。

「カラスマさんよ、俺もこいつのツレだ。まぁ……旅人だな。
何かアンタ達の助けになれるか知りたくて勝手にやってきただけで、事情は何にも知らないのよ。
―――まずはお近づきの印にお土産だ。あんたの分まで採ってきたぜ、魚。」
魚で満たされたカゴを見せる

>>937
生憎だが、帽子に料理スキルはない。
燃やして食うしか能がないと言い換えるべきだろうか。
火が使えるというアドバンテージを失った時点で鳥に敗北しているのであった。

(こいつら器用だなぁ…鳥なのに)

944ヨギリ:2018/11/06(火) 21:26:50 ID:XLhME9OM0
>>942
(おいしい!という声と、白いふわふわを味わう姿を見て、マシュマロお兄さんはとても満足そうな様子であった)
(甘くておいしいものを、誰かと一緒に食べることーーそれはとっておきの、幸せのおまじない)
 
 
「んむ?」
(淡緑の少女が指を差すと、甘味を口に頬張ったまま、つられる様に頭を動かした)
(字面が崩壊れたスクリーンを、暫し静かに眺めてーー、でも口だけはもっしゅもっしゅと動いていた)
 
(いやちょっとあの、食い過ぎじゃないカナー、この人)
 
 
「…………」
「……けふっ。んー……、
 ……ここでやってる検定には、出たことあるよ。でも、お茶したり、おかし食べてるときもあるの」
 
「つまり……、ふぃふてーふぃふてー、というやつです。……きみは?」
 
(答えながら、今度はそちらの方を静かに眺めだした。じいー。)

945 ◆YJMWmO4ZS6:2018/11/06(火) 23:47:10 ID:T0YCDSjI0
>>939>>943
「む、そ、そうか。別口であったか……」

安心したような悩みが増えたような、そんな声色で少し引いてみせる。
そして爆弾について、そして助けが必要かについての話題になると、少しずつ内容を整理しながら語り始める。

「この爆弾は、昔からこの場所にあった、のだろう。少なくとも今の世代が生まれた頃には既にここにあった。
最初は誰もこれについては知らなかったが……恥ずかしながら、狩りが苦手なものでな。
地上では物を運んで食べ物を貰っていたのだ。その分多少地上の文化に触れる機会が多くてな。この爆弾が危険だと気付いたのだ」

鶏が暮らすことが前提の設計でない以上、この遺跡は古代人が作った軍事施設、と見るのが妥当だろう。

「破棄するにも、理屈はわからぬが破壊すれば長年その土地が毒に汚染されるというではないか。
だから月へと運び破壊しようとしたのだが……この体では操作できない装置が多かった」

「そうしている間に、地上からの使者がきた。魔物ばかりが住む森を所有するという者だ。
彼女の話では、毒を外に漏らさない結界が準備でき、比較的安全に破壊できるとのことだ。
月への道は、異空の魔物に邪魔されるが故に、安全な森での処分を持ちかけられた」

「だが、不安なのだ。このような爆弾があったというだけで、地上の人がここを危険視しないかと。
快い協力があって、破壊は上手くいくだろう。だが、元より地上の人には関係のないことでもある。
理屈では、任せるべきだとは理解しているのだが……」

『先客の彼女』とやらは随分と話を進めているようだ。話ができすぎていて胡散臭く感じるほどに。


「それはそれとして美味そうな魚だ。わざわざすまないな。食事にしようか」

緊張感が一気に霧散した。ここまで平和ボケが酷いとは。

946トーム In 天空都市:2018/11/07(水) 19:50:56 ID:J5ZUlMko0
               ゚・ 。  ・。
               。・゚・⌒)
  -=≡       o━ヽニニフ ))
 -=≡   ( ^ω^)彡。・゚。・⌒)
-=≡   ⊂   o━ヽニニフ ))
 -=≡   ( ⌒) 「食事だって!? OK、炒飯を作るよ!!」
  -=≡  c し'

平和ボケ以上に酷いのが来てしまった。あなたには、彼を蹴り飛ばす権利があるだろう。

947帽子 ◆iG.8/BousI:2018/11/07(水) 22:26:22 ID:jhVHpPxA0
>>945

「なんだい、美味しそうな話に飛びつきたがるのか、思慮深いのか、どっちなんだ」
とはいえ腹が減った時の考え休むに似たりと言うではないか……言わない?
飯でも食いながら考えよう。俺の魚は100%善意だから良いんだ。人間の優しさに触れてみてね☆

>>946
「とりあえず目下の方針としては『地上からの使者』とやらの素性を調査するとか…かな?」
チャーハンもぐもぐ
うめぇ!誰が作ったんだこれ?俺は魚しか持ってきてないz………

お……お前は……!?

―――いつぞやの《鹿撃ち帽》とほぼ同じ顔の、野球帽のオッサン。
彼はトームの顔を見て何かを思案し、数秒後目を見開いて

「……思い出した、確か変態神王とかいうGOD!?」
実は面識はある!トームくんには自己紹介もしたんだ!変な名前と言われたよ!
検定で一緒に戦っただけなんで別に知人という程でも無いですけど

948トーム In 天空都市:2018/11/08(木) 20:30:29 ID:J5ZUlMko0
>>947 
「あんたは鹿撃ちの……? じゃあ、ねぇよなぁ」
 帽子の顔を見るや否や、男の顔は微かに強張り、それが困惑にも似た表情を覗かせた。
それもその筈、最近出会った奴にそっくりなのだから。
「……なるほど、そっちの俺を知ってる方の《帽子》か」
 合点が言ったという様子で勝手に頷く様は、いっそ傍から見れば奇妙にも映るが。

「この場合は久し振り、になるのかねぇ?
いや、何にしてもかつての変態代名詞だった俺を覚えててくれるたぁ、嬉しいがよ」
 旧友……という訳でもなく、旧知と言える程の間柄でもないが。それでも自身を知る人間が居るというのは彼にとって少しは喜ばしいことだったのだろう。
 その口元からして、嬉しさを素直に表していた。

949淡緑の少女:2018/11/08(木) 20:50:59 ID:dqgQQg3c0
>>944
「晩御飯なのかな……」
「あ、むせた。食べてるときに話しかけてごめんね?」

すっとマスターがお水を置いた。

「ああ、なるほど」
「きぃはねー、出戻りで……ここにいた時は出てたよ」
「でもご飯も食べてるからキミと同じでふぃふてぃふぃふてぃかな?」

「今日みたいな『何か起きてる』日は迷うんだけど……今日は心強い連れが行ってるから任せてみようかなって」

深い金の瞳は笑って細められている。

「キミはどういう戦い方をするの?それとも頭脳派?」

950黒髪の女:2018/11/08(木) 21:03:55 ID:dqgQQg3c0
>>945 >>946 >>947
「……ふむ。『元からあった』のか」
「作ったのは、そう、人間か――とにかく地上の文化の者だろう。押し付ける形になっていたのだな」
かすかに眉が下がる。地上代表として詫びているつもりだ。

「確かに、それは爆発すればその地には長らく草も生えぬといわれている」

相槌を打ちながら話を聞いている……

「ふむ。その『彼女』は随分と自信があるようだが……カラスマ、貴様が躊躇うのも解らんではない」
「が、」

おおっとここで食事タイムだ!!!!

「そうだな、空腹時の思考は穴が多いという。眠くならない程度に喰うのもまた策よ」
「というわけで最高のチャーハンを頼む」

と言いつつもう喰っている!うめえ!
もごもごと帽子氏の魚を興味深げに眺めている――

「俺もその女が気になるな……」
「おっとトーム、俺のことも喜んでいいぞ」
the 尊 大 トモリイズム!

951 ◆YJMWmO4ZS6:2018/11/08(木) 21:19:51 ID:T0YCDSjI0
>>946
「む?」

見覚えがあるらしく首を傾げている。じっと見ている。

>>947>>948
「なんだ、知り合いか? 久しぶりの再会とはめでたいな。ゆっくり再会を祝うといい」

核爆弾の目の前でチャーハン&焼き魚。和気藹々?
事の危険性やらに対してどうしても平和ボケが抜けないのだろう。
つまりは随分長いこと、あるいは今まで一度も戦争を経験していない世代なのだろう。

「……何、変態? ……神?」

こうした、危ういこと以外の話題に対してなら表情がよく変わるように思える。
逆に言えばだからこそ持ちかけられた話に即答せず悩むことができたのかもしれない。

>>950
「いや何、昔の物で既に使われていないとはいえ勝手に住み着いた身だ。
押し付けられたなどと責められた所で困るであろう? この状況自体には誰の責任もない、と考えている」

基本的に住んでいる鶏達はそれくらい大らかに考えていそうだ。あるいは過去の事情などそもそも知らないか。
カラスマ以外の鶏は過去のことより今のご飯の美味しさが優先されるのかもしれない。もしかしたらカラスマも。

952トーム In 天空都市:2018/11/08(木) 21:30:44 ID:J5ZUlMko0
>>950
      グルグルグル  
 
 。・。・。 (ω^ ≡^ω=; ^ω) =。・。「 風こそが火力を生みッッ
ヽニニフ━oc三 ─ ニフ  三 ニフ     火力こそが炒飯の命となるッッッ!
       ゙ミ 三  =- 彡    〃    風使いの名にかけて最高の炒飯を提供してやろうッッッッ!!」
         - ≡三彡
               
               「ん?喜んでいいって?
 ( ^ω^)  。・゚・⌒)   黒髪のとは何度も会ってるんで別に…」
 /   o━ヽニニフ))
 しー-J

 男は空気を読まない!!

>>951
「いよう、カラスマさん。飯作りのついでに、ほっぽり出してた面倒ごとを片付けに来たぜ」(^ω^ )

953 ◆YJMWmO4ZS6:2018/11/08(木) 21:41:48 ID:T0YCDSjI0
>>952
「うむ、しかし……どうやら月への道には魔物が襲ってくるようでな。
別の使者から代替案を示されて、だが地上に迷惑をかけないか、ここが危険視されないか、心配なんだ」

ちなみに、月への道を核爆弾を守りながら走破する実力はカラスマたちにはないだろう。
もっと言うなら、月への道の設定を変更してしまえばその時点でゲートが閉じ強制リタイアしてしまうかもしれない。
以前の時に比べると状況が悪化しているのか好転しているのか。

「しかしこの炒飯とは美味いものだな。穀物の旨味が何倍にも膨れ上がっている」

954帽子 ◆iG.8/BousI:2018/11/09(金) 04:28:05 ID:jhVHpPxA0
>>948
「……生まれてこの方鹿など撃った事はないが」
まぁ人違い何だろうが…気味の悪い事を言わないでくれ
まるで俺が二人居るみたいじゃあないか

「ああ、失礼ながら俺と同じ臭い(変態的な意味で)だった事とそこそこ強い事しか覚えてないがな。―――あとはその時Fレイとかいう炎使いも一緒に居たっけか。そいつは元気か?」
―――今更だけど変態「神王」って何だ…?神であり王なのか…?こいつ?
確かに突如チャーハンを調理し振る舞い始める姿はまごうことなきHENTAIではあるが…

「まぁ…久しぶり」
思い出は無いがまた会えたのは地味に嬉しいよ、俺も

>>950>>951>>953

「ああ、俺もよく知らないんだが…その"ブツ"とやらは一度起動すると魔法でも解呪だか解毒が難しいってのは聞いた」
結界の中で爆発させるってのも十分やばいよなぁ
領域内の解毒が終わるまでずっと結界を維持するつもりなんだろうか、そんな事出来るのかな?

ん?なんだ魚が気になるのか
いいぜ、量はあるから全員で食おう。―――って既に食卓に並んでいる!?トームの奴、焼き魚まで…!?

「って知り合いなのか…お前ら。しかも何度も会ってただなんて」
世界の狭さを感じるが、そのカフェメンバーというコミュニティの中でトームとの遭遇経験が全く無かった俺はモグリなのかもしれない…

「月に行くだなんて……可能なのか?宇宙って確か空気とか無いんだっけ、エーテルで満ちてるんだっけ、どうだっけ」
学が無さすぎるこの男

「まあ……月へ行って破壊できるなんて事が可能ならばそのルートも良いんじゃあないか?道中の魔物さえ蹴散らせば良いんだろ?
だって…ほら…こいつ居るじゃん?(トモリが座っている方向をチョンチョン指差す)」
トームの実力はあまり知らんけど
トモリの実力は知っているからコイツが居ればどうにでもなるんじゃないかと正直思ってますよ僕
それに宇宙旅行だなんて興味湧いてくるじゃあないか

955黒髪の女:2018/11/09(金) 13:56:18 ID:dqgQQg3c0
>>952
アーッチャーハン散らばっちゃう移動するチャーハン熱っ

「おいおい、連れねえなあ。泣いちゃうぜ?俺」

>>953 >>954
「黒板や窓ガラスなんて何のその、『破りのトーム』だからな」
今名付けました。

「月へは既にルートがある、但し魔物が出る」

「なるほど?そう来たら俺達の出番ってもんだろ」
「空の民には力が足りぬかもしれん。が、此方は戦闘に関しては無駄に場数を踏んでないもの揃いだぜ、なぁ?」

完全にあてにしてくる帽子くんのツケでカフェで何か頼もうと思う黒髪であった。

「俺に目をつけるのは悪くない、が、当然貴様も数に入れているからな?」

にこー

「トームはやるときはやる男だ。保証しよう」

956トーム In 天空都市:2018/11/09(金) 21:21:12 ID:J5ZUlMko0
>>953
「使者ねぇ。俺が前来た時にはなかった話だったよな? 穏便に済ませられるなら、それに越したことはねぇが……」
 問題解決に際して、頭を働かせるのは得意分野ではないことは重々承知の助。男が頭を働かせたところで、良案が浮かぶことはないだろう。
男が出来ることと言えば、単純明快に敵をぶっ飛ばすことぐらいなのだ。

「……俺は月に向かうことに賛成だな。魔物に関してなら俺がどうにか出来る」
 選択は当然の帰結だった。それ以外にないし、何より、男が活躍できるとすれば其処しかないということを自身で理解しているのだろう。
 思案してからものの数秒だが、男にしては長考した部類だ。

「ん? 炒飯を食うのは初めてかい? そりゃ人生損してるな。いや、鳥生?
まっ、なんにせよ地上にゃそれ以外にもラーメン、餃子とより取り見取りだ。一度行くことをお勧めするね」

「落としてから危険だなんだと言われちまったら、そんな地上にも行けなくなっちまうかもしれねぇだろ? そいつは惜しい」

>>954
「なに、人違いって奴だ。気にすんな」

「大佐……ああいや、Fレイか。さてねぇ、今頃どこに居るのやら……」
 遠くを見据えるように目を細めて、頭上を仰ぐ。腕を組みながら、しばし追憶に気をやったかに見えたが

「まぁ、どこかで元気でやってるだろうぜ。なにせ、俺が尊敬するに値する人物の一人だからな」(^ω^ )
 うんうんと一人でに頷いて、すっと視点を元に戻した時には、いつもの表情になっている。
 発言には明らかに信頼の色が見えていた。余程にFレイという人物の腕を買っているらしい。

「っと、俺が以前に聞いた話だと、月への道は確か亜空間だったよな? カラスマさんよ。
そうだとするなら直接生身で宇宙旅行って訳にはいかないらしいぜ、《帽子》の?」


「……にしてもやっぱり、魚は焼いてシンプルに塩に限るぜ」(^ω^(* )モッギュモギュ
 人の魚を躊躇わずに焼くところといい、ほんとにこの男は遠慮がない。

>>955
「泣くようなタマかよ、お前が」(^ω^ )
 呵々と笑っては軽く流し、出来立て炒飯を突きつける。

「保証してくれるのは嬉しいね。でも、やる時じゃなくてもやれる男だよ、俺は?」
 と、茶目ッ気を交えて訂正する。それでも、男にとっては冗談のつもりもなく、本気でそう思っている節がある。
その自信過剰とも言える部分が不安要素と言えばそうなのだが。

957 ◆YJMWmO4ZS6:2018/11/09(金) 21:30:31 ID:T0YCDSjI0
>>954>>955>>956
「月まで運んで破壊できるというのならそれが一番なのだろうな」

当初の計画通りであり、迷惑する者が少なく、地上へ圧力を与えない手段だ。

「月へと運ぶなら、コレを使う」

収納スペースのような場所を開き、中から小型ミサイルのような物を取り出す。

「これが爆弾を転送する為のマーカーとなるらしい。
一気に送ることはできない故何度か中間地点で転送しなければならないだろうが。
これを月への道に走らせるか、あるいは誰かが運ぶかして月までたどり着ければ完璧だ」

心配事が解決したとばかりに元気になったカラスマ。早速行こうとばかりに皆を急かす。

958ヨギリ:2018/11/09(金) 21:37:18 ID:XLhME9OM0
>>949
「おう……かたじけない」
(マスターがくれたお水をくぴくぴ飲んだ。のどの調子がもどった!▼)
 
「ほう。なんと。つまりは……センパイ?ははー(こうべを垂れる)」
「連れ……。……。……ともだち?」
(……言葉選びはやや幼稚なものの、純粋に”連れ”の存在が気になった様だ)
 
   (ーー世界線を渡る度に、記憶と知人を失くしてきた彼にとって)
   (信頼に足る誰かを想いながら笑う、この少女が、金の瞳が)
   (夕日みたいに眩しくて、儚くてーーきれいで、羨ましかった)
 
「うん?……俺の戦い方?んっとね……。……これ使う」
(はっ、としたような表情を一瞬してから、問われた内容の答え方をすこし考え)
(”これ”と指差されたのは、青年の膝から下ーー無骨な金属で覆われた、一組の義足だった)
(表面は金属プレートで覆われてはいるが、隙間から魔法工学チックな歯車やら滑車やらが見える)

959帽子 ◆iG.8/BousI:2018/11/10(土) 01:52:21 ID:jhVHpPxA0
>>955>>057
「破りのトーム…!?」
すげぇ!こいつどんだけ異名あるんだ!?俺も何か考えてあげよっかな…(純粋)

今回はFレイとやらが居ないのは残念だがよ、
トモリさんなら一人で…それにトームもトモリが保証するくらいだしアッハイ俺も頭数なんですね
まぁ……"アクセス"くらいは出来るようになりましたけど。適性無いから窓割りで。

>>956
で、中間地点を幾つも作ってリレー方式で月まで運ぶって方式で良いのかな?
「亜空間とは言うが……肝心の月への道って具体的にどんな感じなんだ?なんか護衛しながら進めていくみたいな話だったけど、それ俺たちも同伴できるの?
つーかアンタ、カラスマとも知り合いみたいだしやけに内情に詳しいな。以前ここで何か検定でもあったのか?」
こいつ妙に顔広いな…Fレイさんも元気な事を俺も祈ってるぜ
こっちにも再会したいな、またいつか

960トーム In 天空都市:2018/11/10(土) 20:31:55 ID:J5ZUlMko0
>>957
「急かすのは構わねぇんだがよ」
 その前に亜空間やマーカーの詳しい説明だけでなく、彼が持っている全ての情報についても開示して貰わなければなるまい。
 考えなしのトームであれども無視できない点であった。

>>959
「正確には半亜空間だったか。とは言え、俺も聞いただけでよくは知らん。空気と重力があること。そんぐらいだ」
 元々この男もそういった知識には疎い方だ。大した答えを持っていないであろうことは、会って間もない《帽子》にも直感で理解できるだろう。

「検定がやってたかだって? ああ、やってたぜ」
 ほぼ全くの同じ内容で、という注釈付きだ。実にシンプルな返しである。
「それでも情報についてはもう全部話したようなもんだ。こっから先は俺も知らん。何せ、一度フイにした検定だからな」

「……今回俺は前回の尻拭いに来たってところだな。お前さん達の手を煩わせるのも、少しは申し訳なく思ってるんだぜ?」
 おどけて言うところに反省の様子は見えないが、恐らく、本心からの言葉であろう。

961黒髪の女:2018/11/10(土) 20:56:14 ID:xozIYm9I0
>>956
「はンッ、云ってくれるじゃないか」
パラパラチャーハン一丁!はむっはふはふ! んまあい!

手と口をせわしなく動かしつつ訂正を受け入れていたが、ごくりと飲み下すとにぃと笑う。

「やらなくていい時に力を出すのは空回りって云わないか?」
「……否、その位漲っている方が貴様らしいか。特に今回は戦闘は避けて通れなさそうだからな。心強いともいえる」
かかっ。

>>957 >>959 >>960

「空気があるならいきなり破裂することはないか」

「魔物からマーカーを守りつつ月まで行く、でいいのか?」

急かされても女はチャーハンを食べている。トームの指摘への反応をうかがっているようだ。

「何しおらしいことを。そのくらいの貸し借りなんぞ指を折るまでもない、だろ?」

962淡緑の少女:2018/11/10(土) 21:04:33 ID:xozIYm9I0
>>958
「落ち着いた?マシュマロって結構もしゅもしゅしてるもんねえ」

「そう、せんぱいであーる!……っていうほど偉くもないから頭上げてあげて」
「うーん……なんて言えばいいかなー、半身?」
「感動の再会はまだだから、これからどうなるか、ってとこかな」

語るには長く奇妙な憑き憑かれ。
この街に住んでいたわけでもなさそうな青年は、どういう旅路を経てここに至ったのだろう。
思い馳せる彼もまた、長い道を歩んできたのだろう。

「――おお、ええっと、義足?」
「蹴るの?弾が出るの?」

>思考が物理<

963 ◆YJMWmO4ZS6:2018/11/10(土) 21:44:13 ID:T0YCDSjI0
>>959>>960>>961
「うむ、といってもおそらくそれが可能であろう、それが安全であろうということ以外は知らないのだがな。
地上の人のような体でなければ操作できない機械が多すぎてな……」

月への道を作る装置は、もとは地上とを行き来する為の亜空間通路展開装置。
そういった事柄に関しても「目的地までの一直線な道を作る機械」程度の認識。
マーカーと転送装置も巨大な核爆弾を破壊されづらいように目標地点へ撃ちこむ為のミサイル兵器。
コレに関しても「爆弾を運ぶ手段がある」程度の認識。

「月への道を作る装置も操作できない機械のひとつだったものだからな」

詳しく聞くと、現在カフェと繋がっているゲートの現れた部屋の装置であるということが分かるだろう。

964帽子 ◆iG.8/BousI:2018/11/10(土) 23:19:40 ID:jhVHpPxA0
>>960>>961>>963
「ふーん」
別に申し訳なく思う必要はないと思うんだがな
トームがやってダメだったものをトーム+その他で取り組めば良いだけの話
前回よりイージーモードって事よ

そうと決まれば"月への道"についての説明をカラスマさんからも聞くか……
ああ、そうか。故障かと思っていたがカフェの転送装置が急に起動したのもソレの仕業だったのか。

……ん?転送装置と掲示板といえば……あそこでも「月への道」という単語を見たような……?

 ■カフェでの記憶が蘇る■

【カフェのスクリーン】
本日の検定内容_
‘errorの――る、――error翼’
〔ジャンル〕
運――error
〔推薦適性値〕
――
〔――〕
天空都市――error森

〔概要〕
error

〔ヒント、――〕
error――鬼に敗――した――
↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓
〔失格行為〕
――error月への道を用いてゲートを安定させている為設定を変更した場合ゲートが閉じる可能性があります。←
↑↑↑↑↑↑↑↑↑↑↑↑↑↑↑↑↑↑↑

〔BOSS〕
――

《PRESENT》



(; ̄Д ̄)

何かを思い出した帽子が一言

「この作戦ダメじゃん!!!!!!!!」
この作戦ダメじゃん!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!

「………思い出した。掲示板がバグってて情報量が殆ど無かったけど、これだけは書いてあったぞ。『"月への道"を使用すれば失格』だと」

……じゃ、結界の話持ちかけて来た奴の所行くか(切り替えていく)

965ヨギリ:2018/11/11(日) 10:41:54 ID:XLhME9OM0
>>962
「あざす、ぱいせん(顔age)」
「はんしん……。……? しばらく会ってなかったの?」
 
「はい、そうですぱいせん」
(その呼び方続けるんですか)
「蹴るです。……おう、弾は思いつかなかった。そっかあ、やればできそうな気がする……」
(本人には思わぬアイデアだった様だ)
(ちょっとわくわくしながら、前向きに実装を検討しようとしている……)
 
「……ちなみにぱいせんは、バトるんです?」
(前は検定に出ていた、と言っていたことから、何らかの力があるのだろうか?と思い至った様だ)

966トーム In 天空都市:2018/11/11(日) 17:50:39 ID:J5ZUlMko0
>>961>>963>>964
「空回りなら、いつもの事だっての」
 笑って応じる男の笑みは不敵なものであった。
「にしても言ってくれるじゃねぇか。それなら遠慮なく、力を振るってもらうぜ? トモ……」
 それから聞こえた《帽子》の一言は、

「―――ンンッ、早速の空回りッッッ!!!」
 思わず叫ぶ程の衝撃を与えてくれた。

「何? 前回と同じ検定なら、失格内容も同じではないのか!?」←内容は同じだろうと掲示板をよく見なかった人
 受け入れ難い事実……と言う程でもない筈なのだが、如何せんやる気の方向が一点に集束していたが為に、
どう対応すればいいかに困っているのだろう。慌てふためく様は先程の余裕な態度から想像もできない程だ。

「――――しゃーねぇ……よなぁ。ン、気を取り直して話を聞きに行くとすっかぁ」( ^ω^)=3
 持ち直したのは、盛大な溜息を吐きながらのことだった。

「……ところで、俺たち以外に参加者はいねぇよな?
万が一にでも、誰かが装置に触れりゃそれだけで強制失格もあり得るんじゃねぇか」

967 ◆YJMWmO4ZS6:2018/11/12(月) 20:52:23 ID:T0YCDSjI0
>>964>>966
「な、何? 失格、? 制限があったのか……」

期待していた分物凄く残念そう。しゅんとしている。

「……そういえば、先客の彼女はいったい何処に」

どうやらカラスマも先客の現在の居場所を把握していない様子。その先客とやらの怪しさが増した。
少なくとも先客はこの天空遺跡にくるための移動手段はあるのだろうが。今この遺跡内にいるのだろうか?

いや、仮に何か目的あってカラスマに話を持ちかけたというのなら、簡単に遠くへ行くだろうか?
少なくとも、目的を達する為に動くというのなら、カラスマや他の鶏たちを説得する為に動く気がする。

968帽子 ◆iG.8/BousI:2018/11/16(金) 00:14:00 ID:jhVHpPxA0
>>966>>967

うむ、切り替えが速いは良いことなのだ。
俺も喉元を通った火の熱さを瞬時に忘れるのは得意だゾ

「他の参加者が触る…か。
流石にそこは俺たち以外に掲示板をよく読んでないボンクラが居ない事を信じたいな…」
検定者ではない第三者が"月への道"の設定をいじる可能性はあるけど……そっちも一応予防しておくか


「カラスマさんよ、張り紙貰ってもいいか?それと"月への道"がある場所を教えてくれ。
装置に【一時的に使用禁止】と書いて貼っておけばここの住民であれば素直に従ってくれるだろう。」
―――あるいは検定者への妨害を目論んで装置を使用する人間が出てくるという可能性もあるが…
そこまでは対策できん。だが…そんな事をする奴はいないんじゃあないか?
俺達が魔法検定というルールを介して転送装置からやってきた事を熟知している妨害者が居るとは思えん。居たらヤバイ。
神経質になり過ぎても仕方がない。対策はこの程度で十分だろう。

「…で、肝心の"地上からの使者"さんは…居所不明?どういう事だ。これでは承諾するにも話がつけられないだろうに。
………仕方ない。俺が"月への道"へ向かっている間に…二人は"地上からの使者"の目撃証言を聞き込みしてくれないか。
もしかしたらまだこの地域に滞在しているかもしれない。」
一度根城に帰って、決断を待ってからまた来訪するという行動パターンの可能性が高いと思うが…。もしこの近くに居るなら話は速い。
収穫が無かったらその時に考えれば良いのだ。

969 ◆YJMWmO4ZS6:2018/11/17(土) 00:24:50 ID:T0YCDSjI0
>>968
「うむ、かまわないが……元々月への道は地上の人でなければ操作できない。そこは安心するといい」

とりあえず人と同じような手の構造を持っていて、わざと設定を変えようとするものがいない限りは大丈夫になりそうだ。
ちなみに月への道については、カフェへのゲートの光が浮んでいる部屋へと案内された。


さて、目撃情報について聞き込みをするのならば、奇妙なことが分かるだろう。それもあっさりと。
ここの住人のほとんどが、先客の彼女とやらを目撃している。だが、それでも今いる場所を知らないというのだ。
実際に興味からか不安からか、先客の彼女を捜して回ってみたという鶏もごく少数ながらいたが、それでも現在位置は不明。
たぶん飛んでここまで来たのだろうから飛んで帰ったのだろうか、とも話しているが、

『誰も、先客の彼女とやらが帰るために飛んでいるところを目撃していない』という。

970黒髪の女:2018/11/17(土) 18:28:33 ID:PmhM9Nck0
>>966 >>968 >>969


         ナ ゝ   ナ ゝ /    十_"    ー;=‐         |! |!
          cト    cト /^、_ノ  | 、.__ つ  (.__    ̄ ̄ ̄ ̄   ・ ・
ミミ:::;,!      u       `゙"~´   ヾ彡::l/VvVw、 ,yvヾNヽ  ゞヾ  ,. ,. ,. 、、ヾゝヽr=ヾ
ミ::::;/   ゙̄`ー-.、     u  ;,,;   j   ヾk'! ' l / 'レ ^ヽヘ\   ,r゙ゞ゙-"、ノ / l! !ヽ 、、 |
ミ/    J   ゙`ー、   " ;, ;;; ,;; ゙  u ヾi    ,,./ , ,、ヾヾ   | '-- 、..,,ヽ  j  ! | Nヾ|
'"       _,,.. -─ゝ.、   ;, " ;;   _,,..._ゞイ__//〃 i.! ilヾゞヽ  | 、  .r. ヾ-、;;ノ,.:-一'"i
  j    /   ,.- 、  ヾヽ、 ;; ;; _,-<  //_,,\' "' !| :l ゙i !_,,ヽ.l `ー─--  エィ' (. 7 /
      :    ' ・丿   ̄≠Ξイ´,-、 ヽ /イ´ r. `ー-'メ ,.-´、  i     u  ヾ``ー' イ
       \_    _,,......::   ´゙i、 `¨ / i ヽ.__,,... '  u ゙l´.i・j.冫,イ゙l  / ``-、..- ノ :u l
   u      ̄ ̄  彡"   、ヾ ̄``ミ::.l  u   j  i、`ー' .i / /、._    `'y   /
              u      `ヽ  ゙:l   ,.::- 、,, ,. ノ ゙ u ! /_   ̄ ー/ u /
           _,,..,,_    ,.ィ、  /   |  /__   ``- 、_    l l  ``ーt、_ /  /
  ゙   u  ,./´ "  ``- 、_J r'´  u 丿 .l,... `ー一''/   ノ  ト 、,,_____ ゙/ /
        ./__        ー7    /、 l   '゙ ヽ/  ,. '"  \`ー--- ",.::く、
       /;;;''"  ̄ ̄ ───/  ゙  ,::'  \ヾニ==='"/ `- 、   ゙ー┬ '´ / \..,,__
、      .i:⌒`─-、_,....    l   /     `ー┬一'      ヽ    :l  /  , ' `ソヽ
ヾヽ     l      `  `ヽ、 l  ./  ヽ      l         )  ,; /   ,'    '^i



どこかのほほんとした鳥たちに黒髪はペースを乱されつつ聞き取りに励むようだ。


「……消えてんじゃねえか」

空を仰いだ。天空から見上げるそれは地上より薄い青。
人……鳥気のない場所に隠れてはいないかと探索することにした。

971淡緑の少女:2018/11/17(土) 18:40:57 ID:PmhM9Nck0
>>965
「うむうむ、よいよい」
パイセンムーヴ

「魂がすり減っちゃったから中で眠らせてもらってた、ってのがほんとのところ。寄生きせいパラサイト!」

「ちなみにパイセンはキズナパイセンだよ!」
「蹴る。それで蹴ったら痛そうだねー、だから武器なんだろうけど!」
「文字通り隠しだまだね!」
「つま先やかかとに仕込み刃も鉄板のもしも武器かな?」

「バトるよー、っていうかバトッてた、かな?」
「ここに来るまで生き残るために何でも使えるものは使ったけど、ずっと持ってるのは刀二本と銃だよ」
「どっちも半端に、だからキミみたいな近接系にはなかなか勝てないかな、へへ」

(照れくさそうに笑っている)

「まあだからどうやって生きてきたかっていうと……ヒールだね。逃げて逃げて自己回復」
「だから先輩っていうほど立派なものでもないかなー?」

972 ◆YJMWmO4ZS6:2018/11/17(土) 21:18:29 ID:T0YCDSjI0
>>970
探索中、何やら誰かを探している鶏を見かけた。
近くの部屋をのぞいて見ると、そこにはいくらかの食糧が蓄えられていた。

「なああんた、カンバミの奴を知らないか? どこを探しても居ないんだよ」

捜し者をしている鶏から尋ねられる。詳しく聞くとカンバミとやらは飛べないらしく、すぐに見つかるはずなのに見つからないのだという。
丁度、先客の彼女とやらと同じように、どこを捜しても見当たらない。先客の彼女とやらと一緒なのだろうか。

仮に、先客の彼女とやらがカンバミを外に運んだというわけでないのなら、居場所は限られるだろう。
核や月への道の制御装置と同じように、人と同じような手でしか開けられない部屋。おそらくはそこに居るのだろう。
つまりはこの方向性で捜していればいずれ見つかるだろうと思える。

鶏では開けられない扉について尋ねてみると、いくつか候補を教えてもらえた。
ひとつは遺跡の下の方、月への道とは反対方向にある暗い一角。
ひとつはそこから対角線上に近い位置にある、少し豪華で頑丈な扉。
ひとつは遺跡の端、遺跡の外側から見ると特に頑丈そうに見える一角。
見事に方向がバラバラだが、さてどこから調べるべきだろうか。

973トーム In 天空都市:2018/11/17(土) 21:23:14 ID:J5ZUlMko0
>>967-970
「このままだと先手を打たれるのは間違いねぇよな(^ω^ )」とはトームの談。

 一概に敵とは言えないだろうが、味方とも言い難い。そんな相手が見つからないとは、いよいよもって警戒する必要が出て来た訳だが……。
「……地道に探すか」(^ω^ )
 それでも、良案がある訳でもなしに。男はひたすらに、黒髪と同様に鳥気のない場所をただ捜索するだけの作業に従事していた。

974トーム In 天空都市:2018/11/17(土) 21:27:11 ID:J5ZUlMko0
>>972
    ( ^ω^) ≡=-   <せっかくだから俺はこの赤の扉を選ぶぜ!
    と´_,ノ゙ヾ.≡=-
      (´ ヽ、 \≡=-
       `ー' \__)≡=-

男は別に赤くもない、豪華で頑丈そうな扉を躊躇いなく選択していった。
恐らく理由は特にあった訳でもなく、直感的な判断なのだろう。

975 ◆YJMWmO4ZS6:2018/11/17(土) 21:38:58 ID:T0YCDSjI0
>>973>>974
タッチパネル式、というよりは指紋認証のような機械で管理されている扉があった。
試しに自分の指で認証を試してみると、驚いたことにゲスト扱いで認証が通ってしまった。
放置された時間が長すぎると登録者が居なくなり操作できなくなることを想定し、全ての指紋をゲストとして認証する設定になっていたのだろうか。

中の様子は、例えるなら司令室という言葉が似合いそうな機材が多くある部屋だった。
ここの機材も人の手でなければ操作できないようで、パソコン内部を確認すると施設内の管理画面が立ち上がる。
残念ながら操作できるのは一部のシャッターのみのようだが、重要な機材が正常に作動しているかはモニター可能であるらしい。

976黒髪の女:2018/11/17(土) 23:18:33 ID:PmhM9Nck0
>>972 >>973

「さてさて、飛べない鳥はカカポかキウイかペンギンか」

「翼さえもないかもな?」


「何か見つかれば呼べ。方法?幾らでもあるだろう、なあ?」

目覚めたトームは走り出した未来をつかむため。
離れしていない以上ばらけたほうが得策か?女は暗い一角を探すことにした。

977 ◆YJMWmO4ZS6:2018/11/17(土) 23:37:41 ID:T0YCDSjI0
>>976
暗い一角。ここはタッチパネルでの開閉管理がされているらしい。
どうやら内部の部屋の開錠管理もここで行うらしい。
部屋の数、開錠管理画面。それらから受ける印象は、牢獄。

内側に入るとどうやら全然使われることはなかったのか、他の場所より無機質に思える。
中には誰も居ないようだったが、一番奥の部屋を調べると奇妙な物を見つけた。
色こそ暗く、赤いものの、それはこの遺跡にきた時に見かけたもの。

カフェの転送装置に繋がっているゲート。それと同じ物がそこにあった。
触れてみても反応しないところをみると、カフェの転送装置と干渉を起こしているのか別口だからなのか。
だが、間違いなくそのゲートは、カフェのあるあの世界に繋がっていると確信できる。

978トーム In 天空都市:2018/11/18(日) 00:05:48 ID:J5ZUlMko0
>>975-976
 さて、機械の扱いには明るい方ではないが、成せば成る精神が功を成したか、幸運に恵まれたと言うべきか。
管理画面の起動に成功した男は、思いの外スムーズに進んだ現状を喜んだ。
「それはそれとして、どうするかねぇ」(^ω^ )

 重要な機材と言っても、素人目にはどのような品か分かる筈もなく。施設が稼働していることから、電源か何かか?と頭を捻る。とんと分からぬ。
シャッターの操作に関してもだが、何にしてもこれだけでは黒髪に伝えたところで大して意味はないだろう。
 ひとまずシャッターがどの場所に繋がっているかなどが分かれば良いのだが……と、適当にモニタを弄るばかりであった。

979ヨギリ ◆NEKO/eHcAw:2018/11/18(日) 17:15:05 ID:XLhME9OM0
>>972
(ふむふむと、頷きながら話を聞いていたマシュマロお兄さんだったが)
(「魂がすり減っちゃったから」の辺りで、頷く頭が一瞬止まり。「パラサイト!」の辺りで、ちょっと動揺した様に椅子をガタッとさせた。)

(これは、一先ず彼女の復活をお祝いするのが、適切なんだろうか)
(いやどうなんだろう。わかんない。口調は明るいんだけど。めっちゃ悩む。) 
「……おめ?いや……おかえ……?んん……ーーーーあ、きずな……キズナぱいせんっていうの?」
(などと一人悶々としている間に、名前を聞くと。急いでポケットから、小さなメモ帳を取り出した)
「き、ず、な、ぱ、い、せ、ん。と……」
 
「…………。」
(辿々しく名前をメモりながら、ちょっと謙遜する様子を見せる少女の話を聞いたあと)
「……さようですか、ふむう。いのちだいじに、ってやつです?」
「でも、戦わないで済むなら、それがいちばんいいと思うなあ。生きててなんぼ、ってマスターが……え?言ってない?」
「ーー……言ってないみたいだけど、やっぱり、生きててなんぼですよ」

980帽子 ◆iG.8/BousI:2018/11/18(日) 20:52:14 ID:jhVHpPxA0
>>969-978

「む、誰もいじる可能性は無いのか……じゃあ張り紙はいいかな」
一応"月への道"を見学した後は俺も聞き込みに混ざることにした。

―――皆は別行動で各々の場所を探しているらしい。
帽子は適当にぶらついた先にあった遺跡の端でとある扉を発見する。

「……翼では使えない扉、か。」
この中に誰も居ないのは明白だが、お目当てのヤツが居る可能性も微レ存だ。
恐らくタッチパネル式の扉だと思うが、素直に起動させてその先へ征く。

981 ◆YJMWmO4ZS6:2018/11/18(日) 21:47:46 ID:T0YCDSjI0
>>978
管理画面を注意深く観察すると、シャッターには防火シャッターと隔離シャッターの二種類があるらしい。
防火シャッターは階段やダクト周りを中心に広く満遍なく配置されている。
しかし隔離シャッターは一部の箇所にしか配置されていないようだ。

隔離シャッターで隔離できる区域は、まずこの司令室、その他鶏に教えてもらった二箇所。
そして予備電源とメイン動力炉らしき区域の計五箇所が隔離可能な場所となっていた。

いや、正確にはその内で鶏に教えてもらった二箇所とメイン動力炉の計三箇所は隔離できないようシャッターがロックされている。
メイン動力炉に関してはパスワードが要求される。しかし、その他の二箇所はエラーが検出された。

それ以上のことは流石に専門的な知識かマニュアルが必要だろう。
それでも鶏に教えてもらった内の二箇所の隔離シャッター、そしてその付近の防火シャッターもエラーで動かせないことがわかった。


>>980
タッチパネルにより開いたその扉の先は、この遺跡が軍事施設だったということを改めて突きつけるような光景が広がっていた。

立ち並ぶ、戦闘機らしき兵器の数々。この広い空間は、武器庫であり格納庫であったらしい。
眺めてみれば、長距離飛行よりホバリングを重視したであろう、ヘリやドローンの変形のような形状の機体が多い。
そして、眼下に空の広がる出撃用の一角の前に、一人の人影と大きな鶏がいた。

「……っ、どうやらあんまり時間はなくなったみたいね」

左手に持ったランタン、安っぽい化学繊維の服に大きめのコート。紫色の長髪。
仮面こそつけていないが、その姿は間違いなく以前共に検定に参加した仮面の少女の姿だった。

982帽子 ◆iG.8/BousI:2018/11/18(日) 23:12:21 ID:jhVHpPxA0
>>981
―――別に武器庫に何も思う事はない
過去に殺し合いに使われた、それだけだ
それすらも遠い昔の話で
もう思い出される事が無い筈だと願うだけだ

「……お前は…ホノカか。久しぶりだな。ここで何してんの?」
意外だな、意外な面子とばかり会うなここは。

983 ◆YJMWmO4ZS6:2018/11/18(日) 23:38:53 ID:T0YCDSjI0
>>982
「私? 個人的な害虫駆除と、下準備と、ちょっとのお節介」

緊急脱出用のパラシュートをひとつ、隣の鶏の片足に握らせ紐をもう片方の足に掴ませる。

「急いで撃ち込みに行きなさい!」

「、ありがとう」

鶏は幼い少女のような声で感謝するとそのまま真っ逆さまに飛び降りた。

984帽子 ◆iG.8/BousI:2018/11/18(日) 23:44:52 ID:jhVHpPxA0
>>983
「―――アイツに何をさせる気だ?具体的に説明してもらおうか。」
俺もここには遊びに来た訳じゃあない。キナ臭い事が起きている事は知っている。
邪推されたくなかったら一切合切を話してくれ

「――――待てよ、核兵器を結界の森で処分する話をカラスマに持ちかけてきたヤツって言うのはホノカの事じゃあるまいな?」

985淡緑の少女:2018/11/19(月) 19:28:36 ID:Rj52.0sY0
>>979
「――うーん、やっぱり反応に困るか。だよねー」

「色んな意味で出戻りって考えてもらって大丈夫だいじょうぶ」
「……うん、メモ?」

「うん。いのちだいじに、だね、まさに」

小ボケを挟む青年にくすくすと笑うが、口を開けばその目は真剣。

「うん、生きてこそ、だったね。生きているから思える、できる、残せる――」
「繋げられる、からね」

「ありがとう」

986黒髪の女:2018/11/19(月) 20:17:56 ID:Rj52.0sY0
>>977
「……この天空都市自体何のために作られたのか――」
「察せもしないものを探っても無為か?」

「――」
「転送装置」

起動しないのを確認すると周囲の埃による足跡を改める。
装置の周り、入り口に戻りながらの通路。

「……消えたのが本当ならばここから転送されたと考えるのが筋だが……なぜ稼働を止めた?」

自分以外の足跡があれば報告案件だろう。

987トーム In 天空都市:2018/11/19(月) 22:59:31 ID:J5ZUlMko0
>>981
「しっかしこういう場所なら、他の部屋とかモニターとかできないもんかねぇ」(^ω^ )カチカチカチ
 早々のエラー連発でお手上げ状態になった男の切り替えは早い。操作できるのが、シャッター程度という事は何となく理解しているが、
駄目元で内部に居る者をカメラで覗けたりしないか、施設のMAPが出たりしないか考えているらしい。
 その操作と言えばエラーを起こさない範囲で出鱈目な操作をしているに過ぎないのだが……。

偶数なら作動可能なシャッターを全て閉じてしまった
奇数なら特に何も起こらず、シャッターはそのままである
0なら おおっと爆発

988 ◆YJMWmO4ZS6:2018/11/21(水) 21:07:49 ID:T0YCDSjI0
>>984
「……随分と白々しいことをいうじゃない。その話を持ちかけてきた奴を捜していたのなら、普通容姿くらい訊いたんでしょ?」

「仮に訊かなかったって言うのなら、余計白々しいわ。だって、訊くまでもなく怪しいのがいたらそれが犯人だってわかるからこそ訊かなかったんでしょ?
何せ自分以外に人の姿してるのがいるなら、それが話を持ちかけてきた奴だろうって予測できるから」

※現在彼女は他の参加者についての情報を知らないので一人で探索していると思っています。
勘違いはともかく、態度からして彼女が爆弾処理の話を持ちかけたことは間違いないようだ。


>>986
足跡はしっかり残っていた。それと、どうやら機材を運び込んだような痕跡も。
ただ、その機材もどうやらこの遺跡に元からあったもの、それも月への道と同じような部品。恐らくは予備部品。
しかもガワだけ組み立てたような状況であり、決してこのようにゲートを維持できる状態ではない。

あるいは、この転送装置もどきはゲートの発生の後に置かれた印象すらある。
ここが牢獄というのであればそこに脱獄を可能にするような転送装置を置く理由などないだろうから。
これは現在カフェの転送装置に繋がっている月への道のように、ただゲートを安定させる為の触媒でしかないのかもしれない。


>>987
特に何も起こらず、シャッターは閉じたまま。ただ、何をどう触ったのか、エラー内容の詳細が表示された。
どうやら、命令をシャッターに送っても物理的にシャッターが破損しているか、何かに引っ掛かっているかで閉じられなくなっているらしい。
それ以外ではシャッター操作用の大雑把なマップが表示される程度の操作が限界なようだ。

989帽子 ◆iG.8/BousI:2018/11/21(水) 21:36:00 ID:jhVHpPxA0
>>988
「まあ、その通りだな。」
そうだ。俺が"彼女"の容姿をカラスマに聞いたりしなかったのは、
この場所にうろついている検定者以外の人間というだけで調査対象であり、怪しい人間だからだ。
"彼女"の髪型、服装、肌の色はさしたる問題ではない。

「いや、まさかよりにもよって探している相手が知り合いだとは……思わなかっただけだ。
もしも俺が"そいつ"の容姿を聞いていたら、その時点でお前の事が脳裏を過ったかもしれないが、多分信じなかっただろう。

とはいえ別に俺は指名手配されている悪者を探している訳じゃあない。ただ事が事だからな。
善良すぎる鳥達が万が一にも騙されないように仲介する、ただのおせっかいなお兄さんだよ。」
容姿はオッサンだが、まあそこは良いだろう。

「で、話す気はないんだな?


――――じゃああっちに聞くから。」

帽子が駆ける。否、スタートダッシュというよりも瞬間移動に近い縮地(ステップ)。
ホノカの脇を通り抜けて、そのまま飛び降りて鶏を捕まえる算段なのだろう。

990 ◆YJMWmO4ZS6:2018/11/21(水) 21:46:04 ID:T0YCDSjI0
>>989
「……隠すつもりはないけど、積極的に話したいことでもないから」

基本後衛なので咄嗟に距離をとるように反応。狙い通り飛び降りることが出来るだろう。
眼下の雲を突き抜けると森が広がっていて、少し遠くには人が住むであろう町も小さく見える。
そして風に流されたのか、風下側に着陸しそうなパラシュートもはっきり確認できた。

991トーム In 天空都市:2018/11/21(水) 22:24:40 ID:J5ZUlMko0
>>988
「……」(^ω^ )
 自身の知識ではこれ以上、ここで有用な情報を引き出す事も難しい。ならば、行動あるのみというのがこの男の考え方である。

「まずは直接見にいくのが基本だよな、うん」(^ω^ )
 運よく大雑把とは言えどもマップを手に入れた訳なので、その閉じていない箇所を確認してみるという方針で動くこととしたのだ。
 シャッターが閉じてあるエリアであれば、そもそも出入りがないと考えて良いだろう。そう信じたいという希望的観測が混じっていない訳ではないが。
 気を取り直すようにして動いた足が向かう所は、先程のエラーが検出されたエリアである。

992 ◆YJMWmO4ZS6:2018/11/21(水) 22:35:59 ID:T0YCDSjI0
>>991
上を確認しながら捜せばエラーが検出されたシャッターを見つけるのは簡単だった。
そしてエラーの原因もすぐにわかった。

シャッターの端のガイドレール部分が、完全に埋められていた。
恐らくは補修用のコンクリートを使用したのだろう。
そしてその細かい作業は少なくとも鶏が行うには難しそうな作業に思えた。

コレを行った人物にとって、このシャッターが閉じることは都合が悪かったのだろうことが伺える。

993トーム In 天空都市:2018/11/21(水) 23:10:35 ID:J5ZUlMko0
>>992
「こりゃ閉じねぇ訳だ」
 納得の原因だ。非常に単純な手ではあるが、これなら確かに閉じることは物理的不可能になる。
 ただし、何故? 誰が? という疑問がついてくるものではあったが。

「閉じたら困る理由……か」
 その意図が読める程に頭が回る訳でもない。そんな男の見据える先は閉じぬシャッターの向こう側。
その答えとやらが、見て分かる物なら嬉しいのだが。

994 ◆YJMWmO4ZS6:2018/11/21(水) 23:26:00 ID:T0YCDSjI0
>>993
潰されているシャッターは、どうやら一本の道のようになっているらしい。
防火シャッターも道を確保するように丁寧に潰されている。
潰されたシャッターによる道は、開閉に人の手が必要だとされる場所。
司令室以外で鶏から教えてもらった二箇所を繋ぐようにシャッターが潰されていた。

つまり、これを行った物はこの二箇所を行き来できないと困るのだろう。
牢屋から格納庫までの道を確保する理由は、他の参加者の持つ情報と照らし合わせれば分かるかもしれない。

995帽子 ◆iG.8/BousI:2018/11/22(木) 01:20:55 ID:jhVHpPxA0
>>990

その言葉を聞いて、帽子は飛び降りる寸前で足を止めた。

「―――俺を攻撃して止めればよかったのに。」
踵を返し、"彼女"の方へ歩く。まるで追跡を諦めたかの如く。

「やっぱやめた。話したくないなら、話せるところまで話してくれればいい。
何か考えがあるのならそれを尊重する。俺の頭で分かり合えるかどうかまで保証しないが―――とにかく俺はトモリを信じるよ」

仮に攻撃を躊躇した理由が、友情でも何でも無く、力の差であったとしても構わない。
そんな相手に力で言うことを聞かせているようじゃ、"あの兵器"を処分しようとしている身として―――なんというか、違うんだ。
そういう行いはきっと遠い昔の話で、もう思い出される事が無い筈だと願いたい。それだけだ。

996帽子 ◆iG.8/BousI:2018/11/22(木) 01:21:37 ID:jhVHpPxA0
中:トモリじゃない!!!!!!!!!!!ホノカです!!!!!!!!!!!!!!!バカ!!!!死にたい!!!!!!!!!!!!!!!!!

997ヨギリ ◆NEKO/eHcAw:2018/11/22(木) 19:34:52 ID:XLhME9OM0
>>985
「おうけい」
(ストゥン……と静かに椅子に座り直しながら、とりあえずは把握した意を伝えるお兄さんであった)
 
(そのあと)
(微かな笑い声と、「繋げられる」という言葉を聞いて、お兄さんは再び満足気に大きく頷いた)
「うん。あれですよ、今日こうやってお話できたのも、ぱいせんが戦ったり逃げたりして、生きてたからですよ」
 
「おう、お礼なんてー、とんでもない。今日は、ぱいせんが今日も生きてた記念日ですぞー」
「あと、キャラメルココアマシュマロ記念日」
(長い。)
(勝手に記念日を2つばかし樹立させたところで)
 
 
「うん?……あ、うん……ぱいせんの名前、メモりました」
「……俺、ちょっと、いろいろ忘れっぽくて……。あの、会った人の名前は、忘れないように、書いておくことにしてるの」
 
「……、……書かれるの、いや?」
 
(見かけは、青年の方がずっと年上なのに)
(ふわふわした感じから一転、おずおず様子を伺う様に尋ねる姿は、まるで小さな子どもみたいだった)

998 ◆YJMWmO4ZS6:2018/11/23(金) 01:56:52 ID:T0YCDSjI0
>>995
「信じる? ……勘違いしないで。私は最悪『物』を回収できれば爆弾なんてどうでもいいの。
爆弾どうこうというのは、ただのおまけ。その程度に考えているから止めなかっただけ」

何から話せばいいのかがわからないという表情ながら、話し方はどうにも自分のしていることが制止されるようなことだと自覚しているように思える。

「とりあえず嘘は言ってないんだけど、そうね……最初から話すなら、そう。この世界は平行世界なんだけど、『どんな平行世界』かはわかる?
……この質問は微妙ね。訂正するわ。この世界が私にとってどういった並行世界かというのをまず話すから」

話が随分と散らばっているようだが、一応質問すれば答える程度のことはしてくれるようだ。
ただし、事前情報のない誰かに説明するには色々複雑な様子で随分説明に苦戦している様子。

「私のいた世界は、雪妖精が絶滅した世界。あんたの世界は木行竜が絶滅した世界。
そしてこの世界は、雪妖精も木行竜もエルフも、あの森で吸血鬼に負けてしまった世界……って言っても、何も知らないとチンプンカンプンだし……」

999帽子 ◆iG.8/BousI:2018/11/23(金) 20:27:15 ID:jhVHpPxA0
>>998

「……そうだな、何も解らないから一つ一つ教えて貰おう。『物』とは何だ?何を回収するんだ?別に協力してもいいんだぞ」

まぁ、それはまだ良いんだが…何だ?平行世界だと?
そんなものが実在するのか?マジで?

「しかもお前、『私のいた世界』『あんたの世界』『この世界』って事は……。世界が三つあるのか?――ホノカは別の平行世界の住民だったのか。
そして……今俺たちや鳥人間が居るこの場所はあのカフェがあった世界と別の世界って事か。」
いや、まあ信じるが……ややこしいな。
木行竜が絶滅した世界とやらを"カフェ世界"、雪妖精が絶滅した世界とやらが"ホノカの世界"、
雪妖精も木行竜もエルフも、あの森で吸血鬼に負けてしまった世界とやらが…"天空都市世界"って呼び方でいいか?
あぁそうだ、"あの森"っていうのは結局何なのかも教えてくれないか。

1000黒髪の女:2018/11/24(土) 20:01:53 ID:XpBD78jU0
1000ならちょっとあったかい冬支度完了しようになーれ




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