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wiki編集,修正スレ

85 ◆k7RtnnRnf2:2020/06/13(土) 17:48:58 ID:joiqRQdY0

「奴は俺の戦闘スタイルを把握しているから、一筋縄ではいかない……まさか、キサマがそんな弱音を見せるようになったとはな」
「なっ……お前は、何を言っているんだ……!?」
「フン、ほんの少し見てない間にここまで弱くなっていたとはな。所詮、キサマは”絆”の力とやらがなければ何もできない弱者だったということか」
「……違う!」

 嘲りに激高しながら突貫し、俺はダークリパルサーを振るうが避けられた。

(しまった! あいつは……)
「『あいつは先読み能力を持っていた』……知っていながら、わざわざ飛びかかってきたとはな!」

 素早く俺の真横に回り込んだフォルテから、がら空きになった脇腹をめがけてハイキックを叩きこまれてしまう。その衝撃で俺は容易く吹き飛び、地面に叩き込まれた。
 激痛で悶え、せき込みながらも俺は考えていた。フォルテは先読みだけでなく、俺の思考そのものを把握していて、俺の僅かな挙動すらも読み取った上で戦っている。
 だが、ピンクの能力はそこまで高性能ではなかったはず。仮に持っていたとしても、彼女一人では相応の反動が襲いかかるはずだ。
 なのに、何故フォルテは悠然と立ったままでいられるのか?


 キリトは知らないが、今のフォルテが有する未来予測の能力は格段に強化されている。
 ピンクの持つ先読み能力をベースに、『THE MATRIX』の世界で機械に反旗を翻す人類を導いた『運命の預言者』オラクルの予言が加わっていた。オラクルの予言は世界の運命自体を変革する程に凄まじく、またネオやエージェント・スミスの来訪すらも簡単に予知している。
 そして今のフォルテは心意と救世主の力を獲得しており、従来のシステムを上書き(オーバーライド)することを可能とした。フォルテは自らの予知能力を応用し、他者の行動だけでなく思考の予測すらも成功した結果、キリトの心すらも読み取っている。
 もちろん、フォルテは日本エリアでの戦いにおいて、過剰に未来予測を行えば相応の反動が襲いかかるデメリットも把握している。故に、思考予測を数秒間のみに留めることで、情報処理による負荷を軽減した。
 例え僅かな情報でも、思考を読み取られたというプレッシャーを与えれば平常心を崩すことは可能であり、またキリトはフォルテの未来予測のデメリットを知らない。故に、自らの思考が読み取られるという、致命的な不利を背負わされてしまった。



「さあ、次はどうするつもりだ? まさか、こんな所で終わりな訳がないだろうな?」

 俺の焦燥すらも見抜いているのか、フォルテは尚も嘲笑してくる。
 悔しいが、今のフォルテに対抗する術がまるで思いつかない。いや、仮に策が出てきたとしても、フォルテの予知能力の前では容易く破られてしまう。

「そんな訳……ないだろ!」

 それでも、俺はフォルテを目掛けてダークリパルサーを振るうが、オーラで弾き返された。ソードスキルですらなく、ただ勢いに任せた一閃などフォルテにとって何の脅威でもない。
 ただ、俺は諦められなかった。ここで倒れる訳にはいかないし、何よりもユイ達に約束をしたから。

「どうかな? キサマは今まで幾度となく俺と戦い、そして勝利を掴んだが……キサマ一人だけで俺に届いたことはなかったはずだが?」
「そ、それは……違う!」

 嘲りに心が揺らぎ、そのまま鍔迫り合いに負けてしまう。倒れることだけは避けたが、俺の心は平静を保てなくなった。
 口では否定したものの、フォルテの言葉は事実だ。これまでの戦いでは確かにフォルテを打ち倒したが、それは力を貸してくれる恋人や仲間がいたからで、俺一人では確実に負けている。
 アスナやシルバー・クロウとの”絆”の力があったが、今は隣に誰もいない。俺自らが黒雪達を逃がすため、殿を務めてしまったのだから。キシナミやレオ達もそれぞれのミッションがあり、助けなど期待できなかった。

「この期に及んで、まだ見苦しい言い訳を続けるのか……まぁ、どうでもいいが。
 キサマは結局、あの女……アスナを見殺しにしたのだからな」
「ッ! ア、アスナは……!」
「キサマ達人間がどれだけ”絆”の力を掲げようとも、所詮はすぐに失ってしまう程度のもろさに過ぎない!」
ーーキサマはあの人間を守ろうとしているようだが、守れていない……そして、今まで忘れていたのではないのか?

 目の前に立つフォルテと、悪夢の中で見たフォルテの言葉が重なってしまう。
 あの悪夢のように、俺は誰も守ることはできなかった。アスナとサチを失い、心を通わせた仲間達はみんないなくなっている。俺を信じてくれたシルバー・クロウだって、オーヴァンによってPKされた。
 それでも、守るべき娘であるユイがいるから、俺は戦わないといけなかった。キシナミや黒雪たちだって戦っているから、俺も力を尽くさないといけなかった。その想いがあるから、俺は剣を握って戦うことができた。


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