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恐怖の病

1 : くさにんげん :2017/05/28(日) 08:40:43
とある病気が流行り始めた。妊婦病と名付けられたそれは、10〜15歳までが感染し、感染した患者を妊娠させるという、恐ろしいものだったのである。しかも中絶したり帝王切開したら患者はショック死する。自然分娩させるしかないのだ。しかもこの病気、タチの悪いことに「その人が産める限界のサイズ」まで胎児を育てさせてしまい、よって患者は難産になってしまうのだ...
これは、そんな病気にかかってしまった3姉妹のお話

長女:波岡由紀16歳 胸 E
次女:波岡彩香13歳 胸 A
三女波岡あみ11歳 胸 絶壁
胸のサイズなどは変えないでください。なお、この話は長女視点で書きます。


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2 : 名無しさん :2017/06/01(木) 02:58:20
原因不明のこの病気で出生率は上がったが、同時に女性の死亡率も少なからず上がってしまった。
予防の徹底を図るべく政府や自治体が動いているが、対策はどうしても後手後手に回っているのが現状だ。
「……って書き出したのはいいけど、ここからどうしようかなあ……」
私、波岡由紀は首都医療養成スクールに通う16歳。
中間テスト代わりのレポートとして、私が今気になっている病気である「妊婦病」正しくは「突発性妊娠」について書こうとしていた。
何の前触れもない(とされている)健康な15歳前後までの女性が突然、妊娠する。
何らかの作用により、中絶や帝王切開は母体の死を招く。
胎児は大きくなる傾向があり、母体が将来的に出産できうる限界の大きさに近いという。
不思議な話としか言えないし、もしもを考えたら恐ろしい。
私の家族は、身長が両極端だ。
お父さんは社会人バスケットボールの元選手で2m近いし、お母さんはお母さんでかなり小さい。身長は私より下なくらいだ。
それでも私たち三人を産んでいるからたいしたものなんだけれど、問題はそこ。
お母さんが私たちを産んだのは、十分に身体が作られた大人になってから。
私たちも、素質的にはお母さんに近いところがあるだろう。
同年代より大きい私はまだいいし、上の妹の彩香も、まあ何とかなるだろう。バレーボールやってるし。
下の妹、あみが危険だ。
まだ11歳だし、体格的には多分お母さんに一番似てる。
もし、そんなあみが妊婦病にかかったら……?
仮定とはいえ、私に対処の必要がある。
そう思ってレポートを書き進めていたそんなある日のこと。



私を含めて姉妹三人、皆妊婦病にかかってしまったのだった。


3 : くさにんげん :2017/06/01(木) 21:27:25
妊婦病に感染したという結果が出たとき、私たち三姉妹は思いっきり泣いてしまった。これから10ヶ月後に、死ぬかもわからない激痛と戦わなければならないのだ。でも現実は残酷だ...診断結果は変わらない。この後に私たちの体格から臨月の時の胎児の重さが推測され、その結果が返ってきた。

波岡由紀 10kgほど
波岡彩香 8kgほど
波岡あみ 5kgほど
こんな重さの胎児、産める気がしない...でも私たちは現実を受け入れ、これから先の10ヶ月間を生きることにした。


4 : 名無しさん :2017/06/01(木) 21:46:29
同時に、私はあるアイデアを思いついた。
レポートだ。
妊婦病になった本人の視点からのものなんて、他にあるだろうか。
決めた。
私は10ヶ月かけて、このレポートをより良いものにする。
正直、そういうことでもッ考えてなきゃ、不安で仕方がない。
私と彩香はまだましな方で、問題はあみだ。
性格こそ大人っぽいけど、体格は一番子供。
そんな状態で妊婦病になってしまったのだから、どんな反応をするかなんて言うまでもなかった。


5 : くさにんげん :2017/06/01(木) 22:30:44
あみはその知らせを聞いたときからほぼ毎日泣いてしまっている。まあそれもそうだ、いくら大人っぽいとはいえ、まだ小学生だもんね...学校はお腹が同級生に隠しきれるまで行くらしい。あみはどうやら自分のお腹が大きくなる姿をあまり見せたくないようだ。


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6 : 名無しさん :2017/06/01(木) 22:54:07
あみ本人は学校へ行きたかったそうだが、残念なことに出席停止という形になってしまった。
妊婦病の原因が分からないため、もしほかの生徒に感染してしまったら、ということらしい。
医療養成スクールの学生として、それを危惧するのはよくわかる。
かく言う私もそんな感じで、登校は安定期に入ってからの方がいいと言われている。
もっとも不思議なのは彩香で、どうやら学校からは特に何も言われていないらしかった。


7 : くさにんげん :2017/06/01(木) 23:02:23
彩香はどうやらバレー部の期待の星として学校が手放すのを惜しんだらしい。妊婦病の特徴として、流産になる確率が異様に低いこともあり、彩香は学校に行き、普通にバレーの練習をしていた。これから先、お腹が大きくなっていく過程でいつかバレーもできなくなるだろうけど...まあ、好きにやらせることにしておいた。


8 : 名無しさん :2017/06/01(木) 23:41:19
「お姉ちゃんただいまー」
早速部活に参加してきたらしい彩香が帰ってきた。
様子を見るに、本当に何ともないみたいだ。
「おかえり、あみだったら寝てるよ」
「そっかー、まあ無理もないよね……」
たわいもない話をしながら、食事の準備を始める。
つわりはまだだけど、これからは考えておかないと……。


9 : くさにんげん :2017/06/01(木) 23:52:18
あみを起こし、夕食をとる。いつもより食べるのは胎児のせいなのだろうか...この食卓を囲む命が3人ではなく6人ということを不思議に感じながら、食事を終えた。3人とも今はお腹は目立たないけど、これから大きくなっていくんだ...
不安をかき消すかのように、私はレポートを書き出していった。


10 : 名無しさん :2017/06/02(金) 18:18:20
毎日、とまでは行かないが、初めて気づいたことも多いので、想像以上に筆が走る。
提出するには十分すぎるくらい、色々と書けそうだ……。

検診の日。
妊婦病の場合は特殊なので、普通の妊婦さんとは分けられて検診を受けることになる。
一体何なのかというと、ある時期までは成長が早く、育ちきってから生まれるまでが長いというのだ……。


11 : くさにんげん :2017/06/02(金) 19:02:27
簡単にいうと、最初の2ヶ月間で胎児は大体推定のー2kgぐらいまで育ち、後の8ヶ月はゆっくりと育つ。だから私たちのお腹は、まだ一週間ほどしか経ってないのに、少しぽこっとしていた。

波岡さーん、診察室へどうぞ

私たちが呼ばれた。とうとう初めての診察だ。


12 : 名無しさん :2017/06/02(金) 19:24:40
1週間目にして、私のお腹の中にいる子は900g前後。
普通で言うともっとあとだが、推定体重からすると妊娠五ヶ月くらいまで一気に育っているという。
早速、、担当の先生に念を押される。
「特に健康面などで注意することはないようですが……突発性妊娠の場合、本当に胎児が急成長します。何かあったらすぐに連絡を」
母子手帳への記入が終わると、入れ替わるように彩香が呼ばれた。


13 : くさにんげん :2017/06/02(金) 20:24:03
彩香の現在の胎児の重さは700g、あみは300gほどらしい。異様なスピードで成長する胎児に、2人とも驚きを隠せないらしい。現に私もびっくりした。まさかこんなに成長が早いなんて...帰り道、少し重くなった体で歩く私たち。
「あみお腹すいた!」
「私も、お腹減ったぁぁ〜」
「はいはい、今日はたくさん食べよう!」
妊婦病を除けば平和な日常。随分と呑気な会話を繰り広げながら私は帰った。


14 : 名無しさん :2017/06/02(金) 21:21:20
自分で実感できるほど、空腹感が激しいし、驚くほど食欲が湧く。
そして、その正体は当然……。
「だよ、ねえ……」
翌朝目を覚ますと、昨日より大きくなっているようにさえ錯覚するお腹。
彩香もそんな感じのようだし、あみにいたっては間違いなく大きくなっている。
どうなるんだろう、私達……。

そして、それから2週間ほどの内に私達のお腹はすっかり大きくなった。
私のあかちゃんは、もう3000g近い体重だ。


15 : くさにんげん :2017/06/02(金) 21:28:29
診察の時には、最初のうちだけなので大丈夫ですよと言われたけど、やっぱり不安だ。刻一刻と重く、大きくなるお腹はその不安感を煽っていく。そしてとうとう1ヶ月がたち、私の胎児は4000g、彩香の胎児は3000g、あみの胎児は1500gまで成長していた。


16 : 名無しさん :2017/06/02(金) 21:40:40
あみはともかく、私と彩香は今すぐ生まれてもおかしくない、いや当然というくらいの大きさだ。
それでも、これからまだまだ大きくなる。
まだ、これからなんだ……。

どんどん成長していくお腹。
それに合わせて、身体も変化していく。
とうとう、お腹の入る服がなくなってしまった……。


17 : くさにんげん :2017/06/02(金) 21:47:57
そこで役に立つのが妊婦病専用服だ。あみも彩香も私も、その服を着始めた。お腹周りが伸びるようにできた服は、急激に胎児が成長してもいいようになっている。便利な世の中だけど、このお腹はどうにもならないからなぁ...


18 : 名無しさん :2017/06/02(金) 21:53:33
実を言うと、あんまり着たくない……。
機能性優先だから、お世辞にも普段着られるような感じじゃない。
病院に入院するならともかく、普普段着がそういうのなのはなあ……。

さて、それはおいといて……最近はいよいよ体の不調を感じる。
腰がとにかく痛くなるし、おしっこかと思ったら一滴も出ない、なんてことも。
大きすぎるお腹が、本格的に私たちに負担をかけ始めたのだ。


19 : くさにんげん :2017/06/02(金) 22:16:24
だけれど、その症状は一旦胎児の成長が穏やかになれば軽くなるらしい。これも妊婦病の謎の一つだ。そういう話を聞いたあみは、ホッとしたのか今まで以上に食べるようになった。あと一週間ほどで終わる2ヶ月目。あみが食べ過ぎしたせいで、あみの臨月の際の推定の重さが6000〜6500gまで増えてしまった。


20 : 名無しさん :2017/06/02(金) 22:29:32
うちでは家族みんなで食事をする。
あみの食べる量が増えたというのはつまり、私たちの分も増えてしまうことになる。
するとどうなるかなんて、決まってる。
あみに少し遅れて、私も彩香も注意を受けた。
あみがよく食べると思っていたが、一番まずかったのが私らしい。
推定なんと14kgと言われ、生まれたらギネス記録間違いなしだそうだ……。

そう聞いてしまったからかなんなのか、なんだかおなかが急に大きくなってきた気がする……。
そんな不安に駆られているうちに、私は復学の時期を迎えることになった。


21 : くさにんげん :2017/06/02(金) 22:38:34
学校でも、同級生とは違う部屋での授業だ。まあここら辺は当たり前だし、レポートに力を入れられるこの空間は正直に言ってありがたかった。


22 : くさにんげん :2017/06/02(金) 22:39:44
>>21書き途中で間違えて投稿してしまいました


23 : くさにんげん :2017/06/02(金) 22:43:57
取り敢えず食べる量が胎児の重さに比例すること、初期の症状はかなり辛いことなど...内容はかなり濃ゆい。この大きなお腹は通常の臨月のサイズを超えていた。


24 : 名無しさん :2017/06/02(金) 23:05:21
推定体重からすると、三つ子か四つ子が入っているくらいになるんだろうか。
とてつもなく大きいお腹で、妊婦服でも納まりきらない。
今は暖かいからお腹を出していられるが、寒くなったらどうしよう……。

勉強を終えて暇なので、私は体育館で練習しているバレーボール部の様子を見に行った。
今日は他校と対戦って聞いてたな……。
そして、私は早速驚くべき物を見た。
綾香が、なんとあの大きなお腹で試合に出ていたからだ。


25 : くさにんげん :2017/06/02(金) 23:18:00
後で聞くと、この試合は彩香のために開かれたものらしく、しばらく来れなくなる彩香への贈り物らしかった。運動もしすぎるとよく食べてしまう分胎児が大きくなるので、ちょっと注意をしておいた。


ようやく2ヶ月目が終わった。
今のところ私が12000g、彩香が8000g、あみが4000gだ。これから+2kgはふえるから...恐怖に体が震えた。


26 : 名無しさん :2017/06/02(金) 23:33:58
今更怖がっても何ともならないとは言え……それでもだ。

3ヶ月め。
授業で妊娠について取り上げると言うことで、私は普段受けない授業に出席することになった。
特殊な状態とはいえ、妊娠していることには変わりないかららしい。


27 : くさにんげん :2017/06/02(金) 23:46:17
授業内容としては、胎児の成長についてで大して関係ない話ではあったんだけどね。
そういえば、3ヶ月目に入ると確かに胎児の成長が緩やかになった。食欲も元どおりだ。若干安心しつつ、レポートを書き進める。


28 : くさにんげん :2017/06/02(金) 23:50:18
>>27 3〜8ヶ月目までは特に何も起こらない予定なので、軽く流すもしくは飛ばすなどしていただいても構いません。


29 : 無明 :2017/06/03(土) 17:42:27
それからは順調に成長していったのだが、トラブルも少なからずあった。
やっぱりここまで大きくなると、何から何までしんどい。
苦しいのに眠れてしまうくらいだ。
そしてとうとう、8ヶ月目を迎えた。
何をするにも苦しい、動きづらい。
一番は言うまでもなくあみだが、私だって相当だ……。
どうも、羊水がやや多いらしいと診断されたのだけれでど、そのせいで子宮に内蔵が圧迫されてしまっているそうだ。


30 : くさにんげん :2017/06/03(土) 20:00:54
だから食もあまり進まない...体の限界を感じる。唯一、彩香は鍛えていた分まだ動けていたし、そこそこご飯も食べられていた。だが、それが原因で胎児の重さが少し増えてしまった...どうやら妊婦病は、食べ過ぎたぶんは胎児に回り、より胎児を大きくするらしい。


31 : くさにんげん :2017/06/03(土) 20:04:31
>>30 出産を書くとき、なるだけ詳しく書きたいので1人ずつ産ませたいです。
順番は、彩香が一番先、あみか由紀どっちが先かは自由みたいな感じで。


32 : 名無しさん :2017/06/03(土) 20:34:10
それは虚しいことに、私やあみも同じだった。
一度の食が進まないせいで、どうしても時間をかけて食べることになってしまったのだ。
その結果、特にあみは地獄を強いられていた。
体格的に小さいのもあって、お腹がとにかく目立つ。
本当に出産なんて、出来るのだろうか……。


33 : くさにんげん :2017/06/03(土) 20:50:02
わたしと彩香は、お腹こそ大きいが、体格の問題かお腹だけが膨れるくらいで済んでる。だけどあみは...まるで体全体が膨らんでいるかのような形になっていた。これだけ見ても痛々しいのだが、まだあと2ヶ月はお腹に胎児がいるのだ。そして私が恐れていること、それは、12歳以下の妊婦病患者に稀に現れる、突発性胎児成長だった。これは、妊娠9ヶ月あたりで胎児の重さを2〜5kg増やしてしまう恐ろしいものだ。もちろん対策はない。それがあみに現れないことを願いつつ、私は自分の、続いて彩香の、そしてあみのお腹を撫でた。9ヶ月まであと二週間弱...


34 : くさにんげん :2017/06/03(土) 20:50:45
>>31あみが一番最後がいいですね


35 : 名無しさん :2017/06/03(土) 21:00:45
突発性胎児成長の何が一番怖いか。
それは、自然分娩が不可能なほどに成長してしまうこと。
そのせいで、今までの例では胎児を優先して帝王切開を行い、母体が死ぬというのがほとんど。
ほんの僅かに生き残った例はあるのだけれど、それも相当残酷な話だった。
全身麻酔の後に骨盤を破壊して、なんとか出産させることが出来たという話で、当然母体は車椅子生活。
しかも恐ろしいことに、妊婦病が治らなくなってしまったのだという……。


36 : くさにんげん :2017/06/03(土) 21:09:15
妊婦病が治らなくなった原因は、全身麻酔によるショックらしい。あみの場合、2〜4kgの増加なら、あみは死ぬほど辛い思いをするが自然分娩はできるらしい。だが5kgの増加をした場合、もう帝王切開しか道はないそうだ...全身麻酔はあみがショック死してしまうらしい。あみはどうなってしまうのか...運命の9ヶ月目まで、もう3日ほどだった。


37 : 名無しさん :2017/06/03(土) 21:22:55
そして運命の日……。
やはり、あみは病院に担ぎ込まれることになった。
突発性胎児成長が起こってしまったからだ。
今のあみでは全身麻酔は出来ないが、計測したところだと胎児の体重増加は4.9kg、ぎりぎり自然分娩が不可能になってしまっている。
悲しみに暮れる私たちに対して、お医者さんははっきりと言った。
「局所麻酔を使うという手もあります、が……おそらく、あみさんは慢性的な妊婦病に罹患することになります」
国内では初の例なので国から援助も出るでしょう、という。
そして、こんどはあみが口を開いた。
「私、産むし生きるよ。たとえずっと妊娠しててもいいから、このあかちゃんを無事に産ませてください」


38 : くさにんげん :2017/06/03(土) 21:29:23
あみもできれば自然分娩させたいです


39 : くさにんげん :2017/06/03(土) 21:35:58
あみの精密検査が行われる。その際に朗報と悲報がやって来た。
朗報は、胎児の重さは4.8kgの増加、つまりギリギリ自然分娩可能だったこと。
悲報は...あみには、麻酔自体に過敏に反応し、ショック死してしまうこと、あと、慢性的な妊婦病は避けられないこと...
そのことをあみに伝えると、
「わかった、わたし、頑張ってこの子を産む!」
と笑顔で返事してくれた。


40 : 名無しさん :2017/06/03(土) 21:47:43
年下のあみがそこまでの決意をしているのだから、私達も嘆いてなんかいられない。
もう一度だけ決心して、最後の一ヶ月を過ごすことにした。
だが、彩香を除いてその1ヶ月が地獄だった。
胎児の成長は収まったけれども、あみの負担は言うまでもない。
それに、私のお腹はどんどん大きくなっていく。
羊水が多めなまま、ここまで来てしまったのだ。
幸い、赤ちゃんに何の危険もないものの、苦しさは増すばかり……


41 : くさにんげん :2017/06/03(土) 22:11:59
ついにあと4週間ほどで正産期、そこまでいくと陣痛がいつ始まってもおかしくなくなる。この残りわずかを思えばこんなお腹を抱える苦労など気にしてられない。ただ...どれだけ苦しいお産になるかに関しては、あまり考えたくなくなっていた。


42 : 名無しさん :2017/06/03(土) 22:22:30
苦しさも何も変わらず、時間は過ぎゆく。
考えたくないと私が思っているからなのか。
それとも、何かあるのか。
正産期に入ったのに、私たちの身体に出産の兆候は見られなかった。
もう、お腹が限界だ……早く生みたい……。


───────────────────────

今思いついたのですが、あみは最初から最後まで出産しているというのはどうでしょうか?
最初に陣痛が始まるも、産むのは姉二人が出産を終えてからという感じの難産で。


43 : くさにんげん :2017/06/03(土) 22:23:49
>>42うーん、私の文才では難しいですね...


44 : 名無しさん :2017/06/03(土) 22:28:19
了解です。では気にしないで下さい。、


45 : くさにんげん :2017/06/03(土) 22:36:13
今のところ、私の胎児は14kg、彩香の胎児は9kg、そしてあみは...11.3kg
あみの身体は極限状態といってよかった。立ち上がることすらままならない。
そんな中、最初に産気づいたのは彩香だった。

ーーーーーーーーーーーー
彩香は難産気味くらいにしときましょう


46 : 名無しさん :2017/06/03(土) 22:59:02
一秒でも早く、あみに出産させてあげたいのに……。
彩香はそんなことを言っていたが、始まった物は仕方ない……。
私とあみは彩香の安産を祈りながら、また検診を受けることになった。
苦しいから、早く終わらせて欲しい……。


47 : くさにんげん :2017/06/03(土) 23:09:20
検診で言われたことは、私の陣痛があと1週間以内には始まる可能性が高いことと、あみの方はまだ生まれては来ないということだった。それを聞いた私は、若干絶望しつつ彩香の元へ帰った。するとそこには...
「あっ..いたぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!」
腰を抑え、絶叫する彩香がいた。


48 : 名無しさん :2017/06/03(土) 23:21:28
まだ意識ははっきりしているから、彩香はいろんなことを伝えてくれた。
間違いなく、コレは陣痛だ。
お医者さんがこっちに向かってくれるそうだけど、それまでは私達でなんとかしないと……。
覚悟を決め、私はまず彩香をベッドの上で横にした。


49 : くさにんげん :2017/06/03(土) 23:25:15
妊婦病は、陣痛が最初一気に進むことがある。彩香はそれだったらしく、陣痛は5分間隔まであっという間に縮んだ。
「いたい!、痛いぁぁぁ!!!!」
苦しむ彩香、私たちにできるのはせいぜい腰を揉むくらいだ。


50 : 名無しさん :2017/06/03(土) 23:30:59
痛がってはいるが。幸いなこともある。
一番体力があるのもあって、いきむぶんの体力は残っていそうなことだ。
せめて、お医者さんがくるまでは励ましてあげよう……。
私達も、どうせそのうちこうなるんだから。


51 : くさにんげん :2017/06/03(土) 23:37:42
「ああ...はあ...いたい...はあ、ふぅ....」
多少は痛みに慣れたらしい。でも陣痛は進んでいく。巨大な胎児は、少しずつ、産まれようとしているらしい。体格のいい彩香のことだから、きっと凄まじい難産にはならないだろうけど、これから先何が起こるか姉として心配だ...


52 : 名無しさん :2017/06/03(土) 23:57:01
しかし、破水はまだか……。
時間がかかるのは間違いない、今のうちに用意しないと……。
とりあえず、タオルをとってこなければ。
不安だが、私は彩香の隣を一旦離れることにした。


53 : くさにんげん :2017/06/04(日) 00:01:28
えーっとタオルは...確かここに...
「お姉ちゃん大変!!彩香姉ちゃんからお水がドバーッて出て来た!」
うそ、もう破水⁉︎早すぎる...そう思いながら彩香の元へ戻ると、またの近くに水たまりを作りながら、真っ赤になって痛みに耐える彩香がいた。


54 : 名無しさん :2017/06/04(日) 00:25:48
これ以上はいくら養成スクールの学生って言っても、素人の私じゃ……!
そう思ったその時、丁度お医者さんがきてくれた。
良かった……。
「こっちです!」
声をかけつつ、私は安堵した。
これで、任せることが出来る……。


55 : くさにんげん :2017/06/04(日) 00:32:32
救急車に乗せられ、病院へと向かった彩香。私、あみの2人も乗せてもらい、病院へと急ぐ。その時だった。
「ああああああああぁぁぁ!痛っあああああ!!」
どうやら胎児が下がり始めたようだ...


56 : 名無しさん :2017/06/04(日) 12:31:35
「ここで産ませるしかないかもしれない」
救急隊員がそんなことを言う。
どうやら、私たちが思ってた以上に早い内から彩香の陣痛が始まっていたらしい。
道はそこまで混んでいないのだけれど、病院までがとおい。
それに、彩香のいきみはもう止められそうにない。
時間との勝負だ。


57 : くさにんげん :2017/06/04(日) 12:50:45
一応救急車内にもそれなりの設備はあるらしい。そう聞いた彩香は、痛みの合間にここで産むことを宣言した。
明らかに大きすぎるお腹。胎児が少しでも動くたびに、彩香は痛みに悶え、生き身も長く続かなかった...


58 : 名無しさん :2017/06/04(日) 13:17:12
1時間、2時間。
病院の前まではたどり着いたが、彩香はとても救急車から降ろせる状態ではない。
お医者さんをこっちまで呼んでなんとかするらしい。
そして私たちは、お医者さんの邪魔にならないようにと降りることになる。
さらに、今すぐ検査した上で出産のために入院することになるという。


59 : くさにんげん :2017/06/04(日) 13:26:46
それから30分後...医者から救急車に入る許可をもらった。そこには...
「あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛!!!いだいいだいいだい!!」
痛みのあまり悶絶しながら必死にいきむ彩香の姿があった。どうやらもう少しで排臨までいくようだけど、発露はまだまだ先らしい...


60 : 名無しさん :2017/06/04(日) 17:42:27
それからだいぶ遅れて、お母さんも病院に来た。
時間は結構経っているけど、今ようやく排臨になったくらい。
まだまだ時間はかかる。
体の負担が大きいあみは先に病室に行くことになったが、私はまだ彩香の様子を見続けていた。


61 : くさにんげん :2017/06/04(日) 18:13:45
彩香は普段滅多に痛みで騒いだりはしない。その彩香が...
「ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛、イダイ゛イ゛イ゛イ゛イ゛イ゛!!!」
理性を失っていきんでいる。どれだけの痛みなのか想像もつかないけど、もうこの世の終わりのごとき痛みなんだろう。涙を流しながら歯をくいしばる彩香に、胎児が大きいぶんここからが長丁場だなんて言えなかった。


62 : 名無しさん :2017/06/05(月) 18:33:23
流石にもう見てはいられない。
でも、普段あげない声を上げ続けるというだけで、彩香の悲惨さは手に取るようにわかる。
「うぅゔゔゔゔぁあ゛あ゛あ゛あ゛あ゛ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー!!!!!」
私とお母さんは、思わず耳をふさいでしまった。
さらに、お医者さんの言葉が続く。
「コレはマズい……はやく、手術室へはこぶんだ!」


63 : くさにんげん :2017/06/05(月) 18:42:22
死ネタ、手術は無しの方向でお願いします
______________________________________
どうやら医者は普通の妊婦と勘違いしたらしい。こんなバカ医者が勤める病院で彩香が子供を産むと思うと嫌になってくる。その医者を半分追い出すような体で外に出しながら、私はある決心をした。こんな医者のいるとこで産むくらいなら...私もあみも自宅で産んでやるわ!どうせ医者に処置はできないんだし...
その意見にはあみも同意した。そんなことをしているうちに...
「ア゛、グア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛!!」
この世の終わりのような声が聞こえてきた。彩香が発露したのだ...


64 : 名無しさん :2017/06/05(月) 18:53:47
死ネタ、手術と言うわけではなく介助のため、というのもダメでしょうか?

───────────────────────────

また、お医者さんが入ってくる。
何か道具を持ってきているけど、一体……。
すると、ポンプ状の道具になにか透明な液体を詰めていく。
私が睨む。
「グリセリンだよ。ここまで大きいとなると母体単独では厳しい時もある。心配なのはわかるけど任せてくれ」


65 : くさにんげん :2017/06/05(月) 18:56:28
>>64それは全然構いません、失礼しました...あと、あみだけは自宅出産させたいですね...


66 : 名無しさん :2017/06/05(月) 19:22:41
了解です。
あみは「病院に向かうのすら難しい」というような状態でいいでしょうか?

────────────────────────────

お医者さんはポンプの先を当てると、彩香の股にグリセリンを注ぐ。
これで、少し滑りが良くなるらしい。
「つかえているのが原因だろうから、痛みも少しだけマシになるよ、安心して」
そして、彩香にそう語りかける。
私はお医者さんのする事を、ただただ見守っていた。


67 : くさにんげん :2017/06/05(月) 19:43:02
ですね...それでやむなく自宅出産といった感じで
______________________________________

「アグアアアア!!いやあああああ!!」
滑りが良くなり、胎児が下がってきているせいなのだろう。今まで以上に彩香は苦しんだ。
「イダイ、イダイイダイイダイイダイイダイイダイ!」
涙を流しながらいきむ彩香、その苦しみ方は凄まじかった。


68 : 名無しさん :2017/06/05(月) 21:21:24
でも、お医者さんの処置のおかげだろう。
痛がってはいるが、順調に進んできているらしい。
そしてお医者さんの反応を見るにいよいよ頭が出るそうだ。
がんばれ、彩香……!


69 : くさにんげん :2017/06/05(月) 21:31:07
でも、現実は甘くない。なんだかんだで彩香も相当な巨大児だ。それ故に当然のごとく...肩が詰まる。腰に肩が当たるのが激痛なのだろう、彩香のいきみは叫び声と化していた。


70 : 名無しさん :2017/06/06(火) 00:15:53
「彩香!」
思わず名前を呼ぶ。
さらに応援で二人のお医者さんが来て、とうとう彩香は運び出される。
「もう児頭が出ています。分娩室まで連れて行くのは難しいかと」
「なら、今すぐ周囲の清掃を。救急車はさすがに狭すぎる」


71 : くさにんげん :2017/06/06(火) 00:26:03
恐ろしいほどの速度で清掃が進む。それとは逆に、彩香のお産は進まない...
「イッ、う゛う゛っ...グオ゛オ゛オ゛オ゛オ゛オ゛オ゛オ゛!!あがっ、ギャアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛!」
苦しみの絶頂と言われる状態のままで胎児が止まっているぶん、その痛みは計り知れない。彩香の子宮が胎児を出そうと必死に収縮するせいで、お腹は変形していっていた...


72 : 名無しさん :2017/06/06(火) 00:57:04
みしり、と音がした。
開いている彩香の骨盤が更に開こうとしている。
「ア゛ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー!!!!!!」
耳をつんざくような絶叫。
「よし、肩が……出るぞ!」


73 : くさにんげん :2017/06/06(火) 01:03:48
すこしづつ出てくる肩、激痛を伴うのか、その叫び声は凄まじかった。
「ギャアアアア、イダイイダイイダイイダイイダイ、死ぬ、しんじゃぁぁぁぁぁ!」
これ以上の苦しみ方なんて想像できない。そんな状況が、延々と続いているような気がした。そしてついに...肩が出て、そこから一気に足まで出てきた。


74 : 名無しさん :2017/06/06(火) 01:30:36
そうして、ようやく彩香の出産は終わった……。
当の本人は、出産を終えると同時に気絶してしまったらしい。
そこまで、苦しみに耐え続けたってことなんだろうか。
私は少し不安を覚えながら、運ばれていく彩香を見送った……。

当然だけど、彩香はこの後入院することになり、骨折などはないもののかなり腰を痛めてしまったため1ヶ月は帰宅できないそうだ。
私とあみの二人になったはいいけれど、ここで更に新しい問題が発生。
大きくなりすぎた子宮に神経が圧迫されてしまったらしく、あみがとうとう立てなくなってしまった。
脚を動かそうとすると、腰に激しい痛みが走るらしい。
出産を終えて療養すればそれは治るらしいので、少しの我慢だとは言うが……


75 : くさにんげん :2017/06/06(火) 20:37:41
彩香の出産から数日が経ったある日、私は軽いお腹の痛みを覚え、病院へ向かう。医者によると、どうやら前駆陣痛らしく、これから2日もしないうちに本陣痛が来るとのこと。私は、入院することになった。ついに来るのか...と思う。やはり不安だ、こんな重さの胎児を産むなんて...
医者に、本陣痛に入ってからどれくらいで赤ちゃんが生まれるのか聞いてみる。
「そうですねぇ...少なくとも2日といったところでしょうね...あとですね、あみさんのことでお話があります。あのあと、検査の結果が完全に出て来たのですが、驚きました...あみさんは、どうやらもう薬品などでの医療的措置が効かないんですよね...というか、どうやらそれをした瞬間ショック死らしいんです。なので、あみさんは自宅で出産させて上げたほうがいいかもしれません。自宅だとリラックスできますしね...」
私は、私自身のお産が2日は絶対にかかるということより、あみに医療的措置が取れないことに衝撃を受けた。


76 : 名無しさん :2017/06/06(火) 22:03:46
「そんな……」
「薬品を使わないような介助は可能だと思いますが……今のところ確実性の高いやり方も、負担が大きいんです」
だとしても、何ができるのかは知りたい。
できる限り、助けてやりたい。
「お願いします。教えてください」
お医者さんはため息をつくと、言った。
「単純なのですが……出産を遅らせ、骨盤が適した具合に広がるのを待つんです。ただ、当然ながら無理やり遅らせるため微弱陣痛に加えて母体の負担も大きいですし、母体はその間陣痛に耐え続けることになります」


77 : くさにんげん :2017/06/06(火) 22:39:53
「でも...それだと抑えてる間も胎児が育つ可能性があります。突発性胎児成長は1回だけしか起こらないという確証はないんです。つまり...どちらも、リスクは同じ...いや、あみさんのお腹が破裂する可能性を考えると、遅らせるのは得策ではないし、でも現状のままあみさんに子供を産ませると、あみさんは最低1週間はかかる難産になるでしょう...」
最低1週間、その言葉が私を絶望へと叩き落とす。だからもう一つの選択肢を取りたくなってしまうが...あみに聞こう。あみの意向が何より大事だ。医者から許可をもらって電話をかける。
「あみ、ちょっと大事な話があるの...」
母さんに受話器をあみの近くへ運んでもらって、あみに今の話を何一つ隠さず話した。すると...
「あみ、遅らせるのは嫌。だってもうお腹が大きすぎて辛いんだもの。これ以上このお腹は無理!だから私、この子産む!」
そんな返事が返って来た。それを医者に伝えると、
「わかりました。出産の際にはあみちゃんのそばにいて上げてください...おそらくあみさんの胎児は、あと2週間は陣痛も起こさずにお腹にいるでしょう...あなたも彩香さんも、その時には価値という形ですが退院はできます。こちらとしても最善を尽くしますので、何かあったらすぐ連絡をお願いします。」
と言われた。
取り敢えず、あみのことも心配だが、今は私のお産に集中しよう...


78 : くさにんげん :2017/06/06(火) 22:42:05
>>76設定には惹かれるのですが、私の文才で書ききれる気がいたしません...
申し訳ないです


79 : 名無しさん :2017/06/06(火) 22:53:12
>>78
見た目に何か変化があるとか、骨折とかではないので心配しなくて大丈夫ですよ。
いきんではいけない時間が極端に長い、というように考えてます。


80 : くさにんげん :2017/06/06(火) 23:01:44
>>79なるほど、でも、それでは病院で産まなければならないのでは...?家に医者が来るわけにもいかないでしょうし、やるにしてもそれでは自宅出産の意義がありませんしね...


81 : 名無しさん :2017/06/06(火) 23:05:48
>>80
お医者さんは電話越しの助言、というつもりですね。
あみ本人は動けないし、由紀も回復しきってなくて無理ができないということで。


82 : くさにんげん :2017/06/06(火) 23:10:59
>>81なるほど、ありがとうございます


83 : 名無しさん :2017/06/07(水) 00:03:24
そんなある日、お医者さんが家に来た。
理由は当然、あみの検診だ。
一通りのことを終えて、難しい顔をしながらお医者さんは言う。
「やはり、先日お伝えした介助の必要がありそうです……」
「えっ、どういうこと?」
「単純な話ですが、あみさんの骨盤が狭いため、十分に開ききらない限りは出産は難しすぎるのです」
そのために、骨盤が開ききるまで耐えなければならないらしい。
ただし、突発性胎児成長が起きた場合は中断して出産を強行する、とのことだった。


84 : くさにんげん :2017/06/07(水) 00:07:40
開ききるまでにかかる時間としては、最低でも3日、長くなると1週間以上かかるらしい。でも、それしか方法がないのなら...!
「処置をお願いできますか?先生」
「わかりました。」
__________________________________________
処置の方法がわからないです...


85 : 名無しさん :2017/06/07(水) 00:40:10
するとお医者さんは、カバンからラミネートパウチに入った何かを取り出した。
「これをあみさんの股に貼ります。まずはフタをするんです」
「貼るって……」
「大丈夫、接着剤とかではなくて、吸盤のような作用で皮膚に張り付くので、薬品は使いません」
「良かった……そ、それで次は」
「これだけです。あとは陣痛が来ても、これが剥がれるまでいきんではダメというだけですね。」
お医者さんが言うには、これはそのタイミング計測と破水を抑えるものらしい。
あみには辛いだろうけど、やってもらうしかない……。

そして、お医者さんは手際よくあみに処置を終えた。


86 : くさにんげん :2017/06/07(水) 00:45:48
お医者さん曰く、あみのお腹を見るに陣痛はまだあと2週間は来ないとのこと。そう聞いて安心して、私は忘れてしまっていた。自分の出産が近いことを...
3日後のことだった。
「イタタタタタタ...」
どうもお腹が張り始めて来た。それも定期的に、徐々に痛みを強くして....
陣痛だと悟った私は、すぐさま病院へと駆け込んだ。


87 : 名無しさん :2017/06/07(水) 01:00:43
「陣痛の具合がよくないですね……2日、いや最低でも3日はかかると思います」
3日、か……。
「また触診も行いましたが、子宮口がかなり緊張していて伸びが悪い状態です。覚悟してください」
もう答える気力もない……。
どうやら私は、超がつく難産確定のようだ……。


88 : くさにんげん :2017/06/07(水) 17:45:32
ううっ、痛い...それから1時間、どうにも痛みは強くなって来ている。でも、こんな痛みは序盤も序盤、まだ10分間隔にも至っていない...どうにも子宮の収縮は、今のところはしっかりしているらしい。


89 : 名無しさん :2017/06/07(水) 18:12:15
でも、まだまだ先だ……。
時間がかかるのはお医者さんも把握しているようで、直接的な影響は少ないにしろいろんな準備が始まる。
私の寝るベッド、それがある部屋の空調が動き始める。
暑すぎても寒すぎても体力は減りやすい。
それを避けるためだろう。
ついで、今度は何か持ち出されてくる。
(カテーテル……あぁ、そういう……)
これを挿して、導尿する。
恥ずかしいけど、溜め込み過ぎると陣痛の付き具合にまで影響があるとか。
これも、仕方ない……。
それに、たぶん出産の直前とかしんどくてしてられる場合じゃないだろうしね……。
私は恥ずかしさから、目を瞑った。


90 : くさにんげん :2017/06/07(水) 18:30:43
それからしばらくして、お医者さんは一度私の元を離れる。お父さん、お母さんはともに仕事だし、あみと彩香は言わずもがな。そう、要するにここからは1人での戦いなのだ...


91 : 名無しさん :2017/06/07(水) 19:14:17
とはいえ、すぐに生まれるわけじゃないし、どうしても耐えられないのならナースコールで人を呼んでもいいと聞いている。
そうだ、あんまり怖がらなくていい。
落ち着け、落ち着くんだ私……。
私は深呼吸して、眠れたらいいなと目を瞑った。

なんとか少し寝て、起きたら食事の時間。
看護師さんが食事を持ってきてくれている。
「食べ終わったら回収しますので、どうぞごゆっくり……」
食事に手を付けながら、私は看護師さんと世間話をすることにした。


92 : くさにんげん :2017/06/07(水) 19:46:57
どうやらこの看護婦さん、13歳くらいで妊婦病になっていたらしい。
そのせいか、話は弾む。
「お腹大きいわねぇ、胎児は何キロあるの?」
「14kgですね...それに羊水が多いので、こんなお腹抱えての生活はきつくて...」
「わかるわぁ〜、私も似たようなもんだったもの」
陣痛を間に挟みながら、結構な時間を話していた。


93 : 名無しさん :2017/06/07(水) 22:19:17
おしゃべりだけでなく、陣痛のせいで時間がかかってしまった。
なんとか食べ終われたが、かなり痛みは増している。
「次の食事はスープだけにしておくわね」
「お願いします……」
食器を片づけ、部屋を後にする看護婦さん。
また一人か……。


94 : くさにんげん :2017/06/08(木) 19:10:15
アイタタタタ...まだ声を出すほどの痛みではないが、中々痛みは強くなっている。しゃべる余裕がなくなる程度には進んだだろう。でもまだ10分間隔には後少し足りない。本陣痛はいったいどれほどの痛みなのだろうか...そんな恐怖に駆られた。


95 : 名無しさん :2017/06/08(木) 22:31:59
すっかり日も暮れて、夜。
陣痛はなかなか強くならない。
とうとう二食目、夕食の時間が来てしまった。
さすがにため息をつく私の前に、夕食が運ばれてくる。
どうやら、コーンポタージュのようだ……。、


96 : くさにんげん :2017/06/09(金) 18:23:42
それを少しずつ胃へと流し込んでいく。胃が膨らむことで子宮が押されて辛い...大きすぎる胎児は、未だに内臓を上へと追いやっている。
「はぁっ、ふう..うう...」
それに重なる少し痛みを増した陣痛。ここからは、食事も取れるかわからないししっかり食べておこう...


97 : 名無しさん :2017/06/10(土) 21:14:58
あっ、ダメだ……食べれるのに、食べると辛い。
吐きそうじゃないけど、ひたすら苦しい……。
出された分はなんとか食べきって、ついでぬるま湯を飲む。
水よりこの方が、身体を冷やさずいいらしい。
食器を片づけてもらったが、動ける余裕があまりない。
寝よう、寝てしまおう……。


98 : 名無しさん :2017/06/10(土) 21:39:37
それから私はとても深く眠った。陣痛なんて気にしないくらい、深く深く...
そこから目がさめるまで、私は私はある夢を見ていた。
私が妊婦病の治療法を発見する夢だ。いつか実現できればいいなぁ...
そのあと...目が覚めた時には陣痛は思わず顔をしかめるくらいに強くなっていた。


99 : 名無しさん :2017/06/10(土) 22:11:26
何が辛いって、まだ一日目ってことだろうか……まだ序の口なんだから、たまったもんじゃない。
しかし目が覚めた時間はちょうどいい。
もうすぐ朝の回診がある頃だ。
お医者さんも、何か対処してくれるだろう……。

「陣痛の付き具合は良好ですね。それでは導尿しますので脚を開いてください」
昨日と同じような処置を終えて、今度はお腹に何か巻かれる。
陣痛計だ。
「あまりに辛いようでしたらナースコールを。すぐに向かいます」


100 : くさにんげん :2017/06/10(土) 22:20:01
陣痛系をお腹に巻く時、特注品なのだろうか、相当長い帯のものが使われていた。
なんだかそれが面白くて少し笑ってしまう。でもその笑いも、
「うっ、くっ、ううう...」
陣痛でかき消されてしまう。つらい、でもまだまだ序盤も序盤なんだよな..


101 : 名無しさん :2017/06/10(土) 22:38:18
うとうととしては陣痛に起こされる、そんな時間が続く。
陣痛計のグラフを見るに、進んではいるみたいだ……。
食事も、さらに軽くなってなんと重湯に。
でも、何が辛いって胃が悪かったり食欲が無い訳じゃ、ないことなんだよね……。


102 : くさにんげん :2017/06/10(土) 22:41:22
でも、食べ過ぎると胎児に胃を蹴られて戻してしまう...胃が膨らんで胎児が押され、腰に少し無理がかかる感覚を覚えながら、私は少しずつ重湯をすすった。


103 : 名無しさん :2017/06/10(土) 22:48:39
いいことがあるとしたら、子宮が押されたのもあってか陣痛がより強くなったことか。
かなり辛いし、いよいよ腰にも来始めた。
タオルを咥えて耐えながら、ついに私はナースコールを握り込む。
ダメだ、もう辛い!


104 : くさにんげん :2017/06/10(土) 22:57:34
「ああぁ〜、はぁぁぁぁぁ、いたいーーーー」
看護師さんがようやくやってくる。
「子宮口見てみようか」
陣痛も進んでいるのだ。多少開いてるはず..
「まだ開いてませんね...胎児が大きすぎて陣痛だけ強くなってるのかしら...?」
うそ...私はなんだか深い沼にはまった気がした。陣痛地獄という沼に...


105 : 名無しさん :2017/06/10(土) 23:19:39
ただ事ではないと、ここから看護師だけでなく医師が私につくことになった。
付きっきりというわけではなく、定期的に来るのは変わらないが、もし可能ならそのまま出産になるからとのこと。
つまり、進んではいる。
後少し、後少し耐えよう……。


106 : くさにんげん :2017/06/10(土) 23:32:20
「あぐっ、いっぅぅぅぅぅぅ!」
痛い。ただそれだけしか考えられない。胎児の大きな頭が、全く開かない子宮口越しに骨盤を押してくる。腰が、砕けそうだ。痛い痛い痛い痛い...お産はまだまだ序盤、あと2日はかかるのに、今からこんなに痛いのでは、これから先が怖い。


107 : 名無しさん :2017/06/10(土) 23:48:17
二日目。
正直なところ、意識が飛んでるかもしれない。
痛い。ただただ痛い。
それだけじゃない。
いきみたい。
すごくいきみたい。
全力でいきみたい。
とにかく、出したい。
そして私は、ついにいきんでしまった。


108 : くさにんげん :2017/06/10(土) 23:54:09
「ふぐっ、いぎいいいいい、ギャアアアアアアアア!」
子宮口が圧迫される。骨盤が子宮口越しに恐ろしい力で押される....
「あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛いだいいいいいいいいいいい!」
その激痛に耐えるだけで、私の体は壊れそうだった。


109 : くさにんげん :2017/06/10(土) 23:55:25
>>108その代わり、あみのお産は苦しむ描写もしっかり書きつつ長くしたいですね


110 : 名無しさん :2017/06/11(日) 00:00:02
痛い、壊れる、危ない。
なのに、止まらない、止められない。
「うぎぃぃぃぃぃーーーーーーー」
骨盤の穴に、子宮口が張り付いているかのよう。
「ぃぃぃいいいいいいいい!!!」
大きな塊が子宮口を押しつぶす。
子宮口が下がってきて、産道に食い込むかのよう。
それでも、私は息み続けていた。


111 : くさにんげん :2017/06/11(日) 00:08:06
「あ゛あ゛っ、あ゛あ゛っ、ギャアアアアアアアアア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛!」
「いだいいだいいだいいだぁああああああああああ!!」
早く、早く子宮口を開けて!痛い、痛すぎるの、いきむしかないの〜!!!!
腰に伝わる子宮収縮の衝撃。その度に腰が跳ねてしまう。終わりの見えない痛み、どこまで続くの...?


112 : 名無しさん :2017/06/11(日) 00:38:47
ダメだ、やっぱり止まらない。
一度入った力を抜くなんて出来ない。
力がこもっていく、増していく。
ひたすら増していく。
いきむことへのブレーキがない。
なんとしても出さなきゃダメになるって、体が言ってしまってる。
「いゔあぁぁぁぁぁ!!」


113 : くさにんげん :2017/06/11(日) 00:45:50
その時、私の中で、ググッという感覚が激痛とともに訪れた。
「ギャアアアアアアアア!嫌ぁぁぁぁぁぁぁぁぁっぁぁぁぁぁぁ!!!がっ...がっあ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛」
子宮口が少しずつ開いてきたのだ。


114 : 名無しさん :2017/06/11(日) 00:58:39
その悲鳴を聞いて、お医者さんたちが駆けつけてきたようだ。
「子宮口が開き始めてる!」
「聞こえますか?いきんじゃだめですよ!」
ダメ、?
無茶を言わないで欲しい。
もう止められないんだ。
まだまだ、まだまだ私はいきむ。
我慢なんてしてたら、壊れてしまう。


115 : くさにんげん :2017/06/11(日) 16:05:37
「やめなさい!息めばいきむほどあなたの苦痛が増すだけよ!」
ああ、さっきの看護婦さんだ...えっちょっと待って、これ以上の苦痛?イヤダイヤダイヤダイヤダイヤダイヤダ!!!
その思考が私にブレーキをかける。
「ギアッ、グギエエエエエエエエ!イギャアァァァァァァァアッ!」
凄まじい叫び声をあげながら、私はかろうじていきみを止めることができた。


116 : 名無しさん :2017/06/11(日) 16:32:44
それから言われるままにこらえて、こらえ続けてはいたんだけど……。
「まずいな……子宮口が開ききらなくなっている……」
なにか看護師さんに耳打ちしてる……?
「大丈夫?申し訳ないけれど、またいきんで。貴方の赤ちゃんが大きすぎて、そうしないと出てこれないみたいなの」


117 : くさにんげん :2017/06/11(日) 19:50:49
「ふう゛う゛う゛う゛う゛う゛う゛う゛う゛う゛う゛う゛う゛!」
そう聞いた私は、力の限りにいきみ始める。頭の中は痛いの文字しか浮かばない。子宮口が産道、骨盤に押し付けられ、それがまた激痛を呼んでいるのだ...さらに、そのせいで骨盤にも無理がかかる。
「イギャアァァァァァァァ!!!」
理性なんてとっくに飛んでる。脳みそがショートしそうだ。


118 : 名無しさん :2017/06/11(日) 20:48:10
そして、何回目かのいきみの最中。
本当に脳みそがショートしてしまったんじゃないだろうか。
はっきり言うと、そこから記憶も何もない。
腰をハンマーで思い切り叩かれたような激痛に気づくと、もう出産は終わっていて、私の隣には赤ちゃん用の籠からはみ出しかけるほど大きな赤ちゃんが眠っていたのだ。
あとからお医者さんに教えてもらったのだけど、完全に言うことを効かなくなって無茶苦茶にいきみ続けていたらしい。
私は彩香と似たような状態らしく、当分入院のようだ。
ああ、あみが心配だなぁ……。


119 : くさにんげん :2017/06/11(日) 21:04:38
それからしばらくして、私と彩香は同じ日に退院した。家に帰ると、横になっているあみ。その上には10kg越えの胎児が入ったお腹があみに覆いかぶさるように出っ張っている。見るだけでも痛々しい...


120 : 名無しさん :2017/06/12(月) 17:02:20
「はぁ、はぁ……っぅ、はぁ……」
呼吸1つでも苦しそうだ……。
お母さんが聞いてきたところによると、子宮が大きくなりすぎて肺を圧迫してしまっているが、姿勢を変えても全く意味が無いような状態らしい。
腰の痛みはさらに増しているようで、ちょっとでも動こうとするととんでもなく痛いという。
あみ、どうなってしまうんだろう……。


121 : くさにんげん :2017/06/12(月) 17:22:15
どうやら息を吸ったり、ものを食べたりすると子宮が押され、あみには苦痛となるらしい。お医者さんからはあと数日で陣痛が起きると聞いている。早く出てきて、赤ちゃん!もう神頼みしかない。


122 : 名無しさん :2017/06/12(月) 18:18:09
お母さんが手伝ってなんとか日常生活はさせているようだけど、厳しい。
歩こうとすると腰に激痛が走って出来ず、そのせいで他にも支障が出ている。
お母さんから効く限りでは、椅子に座るような姿勢も難しいそうだ……。
早く、なんとかしてあげたい。

その日の晩は私達の退院祝いで、久しぶりに家族皆での夕食になった…


123 : くさにんげん :2017/06/12(月) 18:27:11
あみはスープを寝ながら飲んでいる。
「私お行儀悪いでしょ!」
無邪気にそう言っているが、胃袋が子宮を押すことによって起きる痛みとあみは戦っている最中なのだ。本当に限界の状態のあみ。本当にこの子は赤ちゃんを生めるのだろうか...


124 : 名無しさん :2017/06/12(月) 22:21:03
辛いのがよくわかる。
体を少しでも起こすと痛むらしく、すぐに横になるあみ。
入る服もないので、むき出しになっているおなかが一層痛々しく見える。
余りに心配なので、私はその日の晩、あみと一緒に寝ることにした。


125 : くさにんげん :2017/06/12(月) 22:33:44
「お姉ちゃんたちあったかいなぁ...」
私と彩香の手を握り、頬に当てながらあみは言う。私たちはもう片方の手であみの頭とお腹を撫でながら祈った。どうか苦しまずに生まれてきますように...その願いは届くのだろうか。


126 : 名無しさん :2017/06/12(月) 22:58:14
「私ね、最近良く夢見るんだ」
そう言ってあみは語りだした。
「夢の中の私もお腹が大きいんだけどね……うん、たくさん子供たちに囲まれてるの」
その夢を見たら、悪くないかなって思った。
あみはそんなことを言っていた。


127 : くさにんげん :2017/06/12(月) 23:08:58
「そう...よかったわね」
それしか言えない。本当はこれから、私たちが赤ちゃんを産んだ話を恐怖感を持たせない程度に聞かせようとしてたんだけど、その必要はないようだ。あみはしっかり覚悟を決めてる。


128 : . :2017/06/13(火) 17:45:29
コレなら安心だ……。
私はそう思って、眠った。

問題はそこからだった。
2日、3日、4日。
いくら経っても生まれる気配がない。
往診に来たお医者さんも、苦い顔をしながら言う。
「まだ、のようです……こうなると、あみさんの限界ギリギリまでは、生まれてこないかもしれません」


129 : くさにんげん :2017/06/13(火) 18:09:08
「先生、あみの限界ってどのくらいなんですか...?」
「12kg、これがあみさんの限界でしょう...恐らく、お産は気が遠くなるなんて言葉では表せないほど長くなるでしょう...」
私は泣いてしまった。あのあみが私が経験した以上の痛みと私よりも長く戦わなきゃいけないのだ。泣かないほうがおかしい。


130 : 名無しさん :2017/06/13(火) 18:44:00
お医者さんも、コレ以上は出来ることがないというのがとても悔しいような、そんな顔をしている。
唯一元気なのはあみだけ。
あの子ときたら、まだ冗談を言う余裕があるほどだ。
今の私には、それが救いと言えた……。

でも、現実はそううまくは行かない。
結局陣痛が始まったのは、あみから冗談を言う余裕すら失われかけてきた10日後。
しかも、陣痛なのかそうじゃないのか、弱すぎてわからないほど。
子宮が大きくなりすぎてしまって、陣痛がつきにくくなっているのだった。


131 : くさにんげん :2017/06/13(火) 18:47:23
「お姉ちゃん...なんかお腹痛い...」
あまりに弱い痛みに違和感を覚えるのか、あみは?を5個ほど浮かべた様な顔でそう言う。私はそのことをお医者さんに伝える。彩香は仕事を休めない両親に連絡をする。そんな役回りが決まり、あみのお産が始まる。


132 : 名無しさん :2017/06/13(火) 19:06:25
「陣痛なのか、負担から来る疲労なのかちょっと現状ではわかりませんね……とりあえずいつも通りにして、何かあったらまた連絡をください」
一旦電話を切る。
そして、部屋に戻る。
「お姉ちゃん」
「お医者さんもまだわからないから、いつも通りにしてって……」
「うん……」
もう入る服もなくなり、皮膚が伸び切って光沢を持っているほどのあみのお腹が嫌でも目に入る。
そして、そんなお腹が大きくうねる。
胎動が、まだまだ激しいのだ。


133 : 名無しさん :2017/06/13(火) 19:18:06
そして、胎動があるたびに...
「ううっ、いたたたた...」
あみには負担がかかり、痛みがやってくるのだ。
「お姉ちゃん、この子早く出たいって」
「そうね、早く出てきてほしいわね...」
そんな状況のあみに、私は返す言葉もロクになかった。


134 : くさにんげん :2017/06/13(火) 20:22:39
>>133くさにんげんが書きました


135 : 名無しさん :2017/06/13(火) 22:06:22
「お風呂、入ろうか?」
「うん、その前にトイレ」
忘れていた。
自力で歩くことも難しい今のあみは、そう言った行動でも一苦労。
だから、誰かが連れていかないとならない。


136 : くさにんげん :2017/06/13(火) 22:22:26
「ううっ、痛い...」
私があみを抱えて歩くたびに、あみは苦しげな声を出す。胎児が歩く衝撃で揺れるらしい。極力あみを揺らさない様にしながら、わたしはあみをトイレに連れてきた。
「やっぱりうんち出ない...」
妊娠の影響か、あみは便秘になっている。胎児が下がってきたときにどうしても出したくなるだろうけど、わたしにはどうしようもできない。


137 : 名無しさん :2017/06/13(火) 22:30:51
妊娠すると内臓の働きが変わってそうなるというが、あみの場合は他の理由もある。
腸も大分、圧迫されてしまっているのだそうだ。
おかげで、物理的に便秘になってしまっている。
何もできないかもしれないけれど、放っておくのもイヤだ。
私はトイレの隣の棚から、お母さんの常備している浣腸を頂戴した。
「あみ、ちょっとこっちにお尻向けて」
「ん……お姉ちゃん、ごめん」
なんとかこっちにお尻を向けるあみ。
当然、腰もお尻も私より小さい。
ここから、大きな赤ん坊が出てくるというのか……。


138 : くさにんげん :2017/06/13(火) 22:38:59
3つある穴のうちの一つ、肛門に浣腸をする。
「んっ...」
「しばらくお尻に力入れて我慢してね」
そう言ってしばらくすると...
「お姉ちゃんお腹が暴れてる!苦しいよ!!」
まあ案の定のリアクションが返ってくる。「もう少し我慢してね。」
なるだけたくさん出してもらわなければ...


139 : 名無しさん :2017/06/13(火) 22:46:18
「うううう………んっっ」
ちょっとして、大分固そうな音がする。
ため込んでたのは間違いないだろう……。
そして……。
「あっ、やっと出たっ、ふぅ……」
長い水音。
圧迫されてトイレが近いはずなのだけれど、かなり長い。
「ねえ、あみ」
「腰痛くなってから、なかなかおしっこ出来なくなってて……お母さんに手伝ってもらってた」
そこまで……。
なんとしても、早く産ませないと。
改めて覚悟して、そのままあみを抱きかかえお風呂に連れて行った。


140 : くさにんげん :2017/06/13(火) 22:54:30
かなり広く作られたお風呂に、大きな山が一つ。あみのお腹だ。その体を洗いながら、あみは
「飼育員さんになったみたいでしょ!」
と冗談を言っていた。それにしてもやっぱり大きい。それをあんなに小さなお尻から出そうなんて...


141 : 名無しさん :2017/06/13(火) 23:13:28
やたらと風呂の時間が長い。
まあ、それもそうだろう。
あみ曰く、一番ラクなんだとか。
無事に出産できたら、あみを徹底的に労ってあげないと……。

風呂の時間はまだまだ続く。
あみを見ていると心配事はますます増えるが、仕方ない。
あんな薄い胸て、ちゃんと母乳あげられるのかしら……。


142 : 出産好きの名無し :2017/06/13(火) 23:17:29
そのことをあみに言うと、ふくれっ面をされてしまった。まあ当たり前よね...
お風呂から上がった私たちは、もう寝ることにした。明日になったら陣痛が進んでるといいんだけど...


143 : 名無しさん :2017/06/14(水) 16:40:04
「んんっ……」
「どうしたのあみ、お腹痛いの?」
「お腹はずっとじんわりするけど……そうじゃなくて寢らんない」
寝苦しそうにあみは言う。
これほどお腹が大きくなると仰向けにはなれず、かといって横向きも苦しそうだ。
本当に辛そう……。


144 : くさにんげん :2017/06/14(水) 17:26:09
ようやく寝たあみは、苦しそうな呼吸を繰り返している。そんなあみを見ながら、私も眠りの世界へと落ちる。

どうやらここは夢の中らしい。暗い世界が広がっている。ん、誰かいるな...そう思っていると、その誰か、が話しかけてきた。
「あなたはあみのお姉ちゃん?」
「そうよ」
誰なんだろうこの子...
「僕はあみの胎児だよ」
なるほど、だったら頼まなきゃ...
「出来る限り、あみを苦しめないで産まれてね。」
「嫌だね、僕はお母さんが苦しんでもがく姿をたっぷり見たいんだ、ゆっくり、お母さんに出来る限りの苦痛を与えて産まれてくるよ」
そこで私は目が覚めた。寝てからまだ30分しか経っていない。嫌な予感を覚えながら、私はまた寝ることにした。


145 : 名無しさん :2017/06/14(水) 18:19:33
それにしても嫌な夢だった。
私が怖がってるのが反映されたような……。
いや、そんなことを考えても無駄か。
とにかく、とっとと寝ないと。
私たちの赤ちゃんの様子も病院に見に行かないといけないはずだし……。

翌朝、私はあみに起こされた。
何かあったのかと思ったけど、そうじゃない。
あみがどうしても、一番早く起きてしまうだけだった。
「あみ、痛くなったりは……?」
「んー、まだじんわりするだけかなぁ……早く出てきて欲しいなぁ」


146 : くさにんげん :2017/06/14(水) 18:29:17
お医者さんに症状を伝えても、まだ陣痛かわからないらしい。とりあえず、今日はあみの様子見で終わりそうだ...


147 : くさにんげん :2017/06/14(水) 18:30:08
お医者さんに症状を伝えても、まだ陣痛かわからないらしい。とりあえず、今日はあみの様子見で終わりそうだ...


148 : くさにんげん :2017/06/14(水) 18:32:47
>>147ラグで連投してしまいました...すいません


149 : 名無しさん :2017/06/14(水) 21:26:58
「そうだ、いいこと思いついた」
突然そう口走ったのは彩香。
「なによ突然?」
「いやさあ、私が姉さんの赤ちゃんも様子聞いてきたらいいかなって。あみから離れてるうちになんかあったら怖いし。姉さんはあみの世話しててよ」


150 : くさにんげん :2017/06/14(水) 21:31:29
確かに、彩香が私たちの赤ちゃんの世話をしてくれるのはありがたい。
「お願いしようかしら...」
こうして、私はあみの、彩香は赤ちゃんのの面倒をみることになった。


151 : 名無しさん :2017/06/14(水) 21:47:35
彩香が病院へ向かうのを見送って、私はあみのところに戻る。
「どう、どんな感じ?」
「んー、やっぱり朝と変わんないかな……」
お腹をなでながら、あみは困り気味に答える。
変化なし、って感じだろうか……。


152 : くさにんげん :2017/06/14(水) 22:02:17
「でも、痛いのはなんだか定期的になってきた。」
その言葉を聞いて、私はすぐお医者さんに連絡を取る。すると...
「間違いない、それは陣痛ですね...」
という返答が帰ってきた。


153 : 名無しさん :2017/06/15(木) 10:57:44
あみにもう一度、詳しく話を聞く。
「ずーっとじんわりしてるんだけど、こう、たまにちょっと痛くなってきてる、ような……?」
情報が少なすぎる。
お医者さんに診断してもらえれば、少しはわかるかもしれないけれど……。
「あみ、お医者さん呼ぼうか?」
「んー……どう、なのかなぁ……?」


154 : くさにんげん :2017/06/15(木) 17:09:16
「呼ばなくていいかも、まだ全然痛くないし。」
あみがそういうなら従おう。今この状況であみの言葉は絶対的だ。


155 : 名無しさん :2017/06/15(木) 17:47:12
張ってもらったカバーも特に変化はない。
今はまだ、大丈夫なんだろうな……。

しばらく時間がたっても、あみは「そんな気がする」といった具合のまま。
お腹に触ってみても、特に変化は感じられない。


156 : くさにんげん :2017/06/15(木) 17:51:15
それから何事もなく時間だけが過ぎていく。そろそろお昼ご飯を作らねばと私は台所に立った。あみでも食べられるような流動食を作らねば...


157 : 名無しさん :2017/06/16(金) 21:37:51
とりあえずお昼はありもののスープを用意。
晩は流動食気味で、単調じゃないものということで、スープカレーを作ることにした。
彩香が帰ってきたら、入れ替わりで買い物に出よう……。


158 : くさにんげん :2017/06/16(金) 21:46:27
「ただいまー」
彩香が帰ってくる。
「私は買い物行ってくるからあみを宜しく!」
片道30分のスーパーへの道を私は急いだ。


159 : 名無しさん :2017/06/16(金) 21:59:10
極力早く、食材を決めて。
今から突貫工事で帰ってお昼と一緒に作れば、晩にはちょうどいい頃合いだろう。
とにかく私は急いで、スーパーへと向かった。

30分かけてようやく帰宅。
さて、何も連絡なかったから大丈夫だとは思うけど……。


160 : くさにんげん :2017/06/16(金) 22:07:30
まあ予想通り、あみに変化はなかったわけで、強いて言うなれば、あみの胎動が少し活発になったくらいだ。あみにはそれが痛いらしく、時折顔をしかめている。


161 : 名無しさん :2017/06/16(金) 22:18:56
そしてお昼を食べているとき、彩香がふと話を切りだした。
「そうだそうだ。あみのことなんだけどさ、ちょっといいこと思い付いた」
えっ、と思いつつも、彩香の話を聞く。
「単純だよ?あみにはちょっと無理してお腹一杯食べてもらうの。そうしたらさ、刺激されて陣痛になると思わない?」


162 : くさにんげん :2017/06/16(金) 22:26:58
「うーん、まずはお医者さんに聞いてみようか。」
私は早速連絡を取り始める。さて、返答はどんなものか...


163 : 名無しさん :2017/06/16(金) 22:46:08
食べ過ぎは嘔吐の危険があるが、長引く以上ちゃんと食べておく必要がある。
そんな返事だったので、私たちは考え込んだ。
リスクはあるが、正直あみはどこまで保つかわからない。
悩んで悩んで、私はようやく結論を出した。
そして、あみにも聞く。


164 : くさにんげん :2017/06/16(金) 22:49:47
「ねえあみ、少し無理してでも...ちゃんと量を食べない?体力もだし...陣痛も進むかもだし」
「うーん...わかった!」
これで今日のお昼ご飯は決まりだ。


165 : 名無しさん :2017/06/16(金) 22:54:50
まずは少し多めに取り分けて、あみに慣れさせる。
本番は夜のスープカレーだから、今は多少軽めに。
とにかく、結果が出ることを望もう……。

お昼が終わったが、あみは少し苦しそう。無理もない。
でも、明らかに食が細くなってることに対しても、なんとかしないと……。


166 : くさにんげん :2017/06/16(金) 23:05:00
「ウゥ〜、なんか赤ちゃんが押されてる〜〜」
あみが感じる違和感は私たちに想像できるようなもんじゃないと思う。赤ちゃんが下がり、内臓が下がり、わずかながらに骨盤に負荷がかかる...そんな感覚わかるわけがない。


167 : 名無しさん :2017/06/16(金) 23:19:55
それ以降は、いつも以上にゴロゴロとし続けるあみ。
今はそれしかできないし、やらないだろう。
私としては、せめて食べやすいものを作るしか……。


168 : くさにんげん :2017/06/16(金) 23:22:03
それからあっという間に夜になる。ついに夕飯の準備だ...あみには本格的に無理をしてもらわなきゃいけない。それが苦痛となっても、やってもらわなければ進まないのだ。


169 : 名無しさん :2017/06/16(金) 23:27:50
少しでも食べやすいように、殆どの具材の形がなくなるまで煮込んだ。
かなりサラサラで、私達もスッと飲めるんじゃないかってくらいだ。
だから、辛いなりに量は詰め込めるはず……。
それに、あみも少しは楽しみにしているみたい。
辛気くさくなっててもダメだ。
食事は楽しまないと!


170 : くさにんげん :2017/06/16(金) 23:32:11
あみが予想以上に食べて、夕食は終わった。今のあみは、
「お腹が〜、赤ちゃんが〜、違和感しかないよー...」
と言っている。そのままその違和感が陣痛になってくれれば...!


171 : 名無しさん :2017/06/16(金) 23:38:41
「うー……赤ちゃんが胃を蹴ってくるよ………ずーんってくる……」
それにしても、かなり多めに作ったのに3/4はあみが食べてるような……。
よく食べるなぁ……。

時間が経ってもあみは相変わらず。
時間はかかりそうだが、待つしかない。
「うー……」


172 : くさにんげん :2017/06/16(金) 23:47:44
「あみの赤ちゃん、なんか降りてこようとしてるよー、腰がなんか変。」
これは...何かの兆候なのだろうか。早速お医者さんにそのことを伝える。


173 : 名無しさん :2017/06/17(土) 18:54:46
「現状で断言は出来ませんが、陣痛につながる可能性はあります。様子を見ていてください」
お医者さんからはそんな返事。
まあ、予想通りではあるかな……。
流石に苦しそうなので、介抱してやらないと。
電話を終えて、私はまたあみのところに戻った。


174 : くさにんげん :2017/06/17(土) 20:02:10
微妙な違和感に不快感しかないといった感じのあみ、だがこれが陣痛へつながるかもしれないのだ。あみが苦しむ姿は見たくないけど、産まれてこなきゃどうしようもない。そんな思考を廻らせつつ、今日もまたあみとお風呂に入る。


175 : 名無しさん :2017/06/19(月) 18:25:52
結局お風呂の間も何もなく、特に進捗はなさそうだ。
寝ずの番をするわけにも行かないし、寝ないと……。

翌朝、私は早速悔やむことになった。
あみが明らかに痛がっているのだ。
どれくらいかというと、私を揺すって起こすほど。
ついに、始まってしまったのだ。


176 : くさにんげん :2017/06/19(月) 18:37:36
「お姉ちゃん...お腹、いたい...」
「えっ!?!?」
突然の事態に驚く私。一通り慌ててから、あみのどんな感じか聞く。どうやらまだ痛みは不定期らしい...これからどんな感じで進むのだろうか。


177 : 名無しさん :2017/06/24(土) 22:18:44
病院に電話したけど、初期だと何もできないという。
また、か……。
ため息をこらえ、私は彩香を起こすことにした。
二人がかりでなら、準備できるはず……。


178 : くさにんげん :2017/06/24(土) 23:33:59
寝起きの悪い彩香に蹴られながらもなんとか起こすことに成功。
「もう...なにぃ?」
「あみに陣痛が来たの!」
「うっそ、マジか準備準備!!」
話が早くて助かる。


179 : 名無しさん :2017/06/26(月) 18:40:32
それから準備して、もう一度お医者さんに連絡をして。
色々やってる内に、結構時間がたった。
でも、それだけ時間が経っていてもだ。
陣痛に変化がある様子はないし、あみも苦しがるばかり。
ほんとうに大丈夫なんだろうか。
このまま、あみが死にやしないか。
私は、急に不安になってきた。


180 : くさにんげん :2017/06/26(月) 19:43:59
そういうことはなるべく考えないようにしておこう...怖くなった私は、自分にそう言い聞かせた。それよりも、、、
「ううっん、ふぅぅぅぅ....痛いなぁ...」
あみの面倒をしっかり見なきゃ...


181 : 正和 :2017/07/15(土) 15:09:01
陣痛の影響かあみのお腹はぼこぼこと蠢いていた。
それはまるでお腹にいるのは赤ちゃんではなくエイリアンではないのかと思わせる程に・・・・・・
そうしている内にようやくお医者さんがやってきた。


182 : 名無しさん :2017/07/15(土) 19:19:23
聴診器くらいかと思ってたけど、それどころじゃなかった。
なんと、心電図を見る機械とか、エコー検査の機械とか、聴音機とか本当に大掛かりな機械を幾つか持ち込んできたのだ。
「我々でも、今回ばかりは予測不可能だと思います。覚悟していてください」
機械を繋いだり、いろいろな準備をしている間、私達とお母さんはお医者さんから説明を受けた。
最善を尽くすが、結果の保証は出来ないということ。
最善を尽くしても、あみが慢性的な妊婦病になってしまうのは避けられないということ。
それほどまでに、お医者さんにとっても難しいことだというのだ……。


183 : 正和 :2017/07/15(土) 20:35:34
「痛い・・・・・痛い・・・・・・」
あみは痛いと嘆くのみになっていた。
医者があみの子宮口を確認する。
「後少しで全開ですね、息むのはもう少し我慢してください。」
医者がそう言う。


184 : 名無しさん :2017/07/15(土) 21:00:38
「では……準備を」
「はい」
そして、お医者さんたちは次々と何かを用意し始める。
あみの胸に何かを貼り付け、お腹にはジェル。
そして、もってきた機械のスイッチを入れた。
「あの、一体何を……?」
「自力のみでの出産は極めて難しいだろう、という診断がなされています。なので、我々が可能な限り援助する他ありません」
それって、まさか……。
そのことを尋ねると、お医者さんは頷いて答える。
「ええ、あみさんのお腹を押し、かつ逐一エコーで状態を見ながら出産させます」


185 : くさにんげん :2017/07/15(土) 21:18:11
あの、大変申し訳ないのですが、医者自身が家を訪ねるというのは事前の設定と異なりませんでしょうか...?


186 : 名無しさん :2017/07/15(土) 21:37:46
>>185
だいぶまえに「呼ぶ」というのが選択肢として出ていた以上大丈夫かと。
それに、ここまで来て自力だけだといくら何でも不自然になりすぎのような気もしますし。


187 : くさにんげん :2017/07/15(土) 21:43:15
>>186 ですね...ただ、極力医師の介入は避けたいですね


188 : 名無しさん :2017/07/15(土) 22:06:41
>>187
様子を見てお腹を押したていどで安産になるとは思えませんし、そこは大丈夫かと。


189 : 正和 :2017/07/17(月) 23:40:14
医者が心電図とかエコーを確認していると異変が起こった。
アミのあそこからたくさんの水が出てきたのだ。
それは私も経験したことあるものだった
「子宮口が開ききる前に破水したか。」
そうあみは破水したのだ。


190 : ちづの :2017/08/01(火) 09:06:26
もちろん全開になっていないので息んではいけない。
しかしあみは息みたがっている
「あみ、息んじゃだめよ
今息んだらあみが苦しいだけだからね」


191 : 正和 :2017/08/06(日) 20:30:12
しかしあみの口からは痛みを訴える言葉が出てきた。
「お・・・・・、お姉ちゃん痛い、痛い!!赤ちゃんが無理矢理出ようと・・・・・・・」
あみのお腹の中の赤ちゃんは今すぐ産まれたいのか、開ききっていない子宮口を進もうとしているらしい。
「い・・・いだい!!赤ちゃんの頭が!!!出口を!!!痛い!!!アソコが痛い!!!」
あみは痛さのあまり喚きだした。


192 : nemesis :2017/10/17(火) 23:55:34
「あみ落ち着いて!!」
私は喚くあみをおとなしくさせようとするがあみは大人しくなる気配がなかった。
「お医者さんどうにか出来ないんですか!?」
「どうにかと言われても妊婦の上に幼いから鎮痛剤は駄目だよ。」
お医者さんも困ったかのようにそう言った。


193 : mm :2018/04/29(日) 17:13:04
あみはまだ喚いていたが、どうやら子宮口が出産可能な大きさまで開いたようだ。
「もういきんでいいですよ」
待っていたとばかりにいきむ。
巨大児だからかあまり進まないが、確実に出てきている。
あみ、頑張れ


194 : mm :2018/04/29(日) 17:21:20
すいません、ミスりました。

________________________
「あみ、頑張れ!」
姉が応援する。
数時間の格闘の末、あみは無事に出産することが出来た。
あみの病は治らないが、今日も三姉妹元気に暮らしている。
〜その後〜


195 : 名無しさん :2018/04/30(月) 17:27:30
そう、治っていない。
由宇と名付けられた赤ちゃんを生んで少ししてから、またあみは妊婦病で妊娠した。
妊婦病の性質を考えるに、今度も由宇と同じくらいか、それ以上に大きい赤ちゃんになってしまうという。
幸いなことと言えば、あみがまだ小さいのもあって由宇はあみのことをお姉さんだって思ってて、あまり手がかからないことだろうか。
正直、私達は私達のぶんだけで手一杯だから。


196 : nemesis :2018/09/22(土) 23:20:56
そして臨月あみのお腹は針を刺したら破裂してしまうのではと思えるほどに大きくなっていた。
そのお腹を大きくしているのが一人の胎児なのだから信じられないことである。
多分殆どの人が初見だと多胎妊娠だと思うだろう。
そしてあみの陣痛が始まった。


197 : 名無しさん :2018/09/23(日) 02:23:16
「うぅぅ……」
大きくなり過ぎたあみのお腹では、陣痛はなかなか強くならない。
しかも、あみは動きたくても動けない。
地獄としか言いようがなかった。


198 : nemesis :2018/09/23(日) 17:55:48
「お腹を押すわよ彩香。」
「うんわかったおねえちゃん。」
私と彩香のお腹を押して出産を助けることにした。


199 : 正和 :2018/09/24(月) 11:42:29
「頑張ってあみ!!!」
「うぐっ、あぐっ!!!えぐっ!!!」
お腹を押す度にあみは痛そうな顔をして声を上げた。
苦しそうだが、あみが自力で動けない以上こうするしかなかった。
さっきお腹を押す前に子宮口を確認したら既に全開だった。
あとは赤ちゃんが出てくるのみ・・・・


200 : nemesis :2018/10/01(月) 00:11:18
私と彩香であみのお腹を押すが中々胎児が進まない。
それでも私たちはあみのお腹を押し続けた。
「うぎぃ!!えぎっ!!!あがっ!!!」
あみはお腹を押される度に断末魔のような叫び声をあげた。
私達はその度に心が痛んだが、あみの為にも私達は心を鬼にしてお腹を押し続けた。


201 : 正和 :2018/10/17(水) 19:54:05
「うぐっ!あぐっ!えぎぃっ!!」
お腹を押し続けて40分、胎児が出てくる様子はなくあみが奇声を上げるだけだった。
「ねえ、おねえちゃん全然出てくる様子ないんだけど・・・・・・」
「彩香諦めちゃだめ!!!」
「で、でも。」
「まだ駄目だと決まったわけじゃない、?」
そう彩香を励ましている途中であみからパチンッという音がした。
「えっ!?なに?嘘・・・・もしかしてあみのお腹破裂・・・・・」
「まって彩香これは・・・・・・・」
そう言い私はあみのあそこを見た。
あみのあそこから水が沢山出てきていた。
同じ光景を前にも見たことがある私はすぐに破水だと気がついた。


202 : nemesis :2018/10/17(水) 23:37:05
「彩香、あみが破水したわ、ここからが踏ん張りどころよ。」
「わかった。」
あみが破水した。
状況が進んだのか、瀬戸際になったのか意見が分かれる所だ。
このまま2時間も経ったら、胎児の命が危ないからだ。
そのため私と彩香はさっきよりも強くあみのお腹を押した。


203 : 正和 :2018/10/27(土) 22:24:46
そうしてお腹をさらに押し続けて1時間が経った頃だと思う。
あみの出産のため来ていた医者があみの子宮口を確認したところやっと出産可能な大きさまで開いたらしい。
「彩香、お医者さんがあみの子宮口が全開になったって。」
「やっとね、もうすぐだよあみ頑張って。」
そう言い私と彩香はあみのお腹を押し続けた。
胎児が大きくなりすぎてあみ一人で息むのが難しいからだ。


204 : nemesis :2018/10/28(日) 19:07:05
さらにあみのお腹を押すこと30分・・・・・
「頭が見えてきましたもう少しです。」
あみの容態を診ていた医者がそう伝えてきた。
「彩香、聞いた?」
「うん、後もう少しだよあみ頑張って。」
頭が見えてきたのだ。
そして15分経った頃ついに・・・・・・


205 : 正和 :2018/10/30(火) 23:50:16
ジュッポンッ!!!
おぎゃあ!!!おぎゃあ!!!
何かが抜けるような音がしたかと思うと、産声が部屋中に響いた。
「おめでとうございます女の子ですよ。」
医者が産まれたあみの赤ん坊を取り上げる。
「あみ頑張ったね産まれたよ。」
「う・・・うん・・・。」
声を掛けてくる彩香にあみが出産の疲労で声が絶え絶えに鳴りながらも振り絞って返事をした。
こうしてあみの出産は終わった。
それと同時に妊婦病もついに治った。
医者によると再発の可能性は捨てきれないものの、とりあえずしばらくは一安心とのことだ。
とは言え私たち3姉妹合わせて4人の子供が出来てしまったので、育児が大変だ。
当分の間落ちかない日々が続くだろう。
まあ両親も育児を手伝ったくれるみたいだし、家族皆で頑張れば乗り越えていける気がした。
少なくともあの難産を経験した後なら・・・・・

  END


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