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王家の巫男

1名無しさん:2014/08/25(月) 22:51:56 HOST:s896136.xgsspn.imtp.tachikawa.spmode.ne.jp

目が覚めたら知らない草原に寝ていた。
俺は朱雀(すざく)20歳。大学の寮にいたはずだが。
俺は起き上がり、近くに街かなにかないか辺りを見回し歩き出した。
その時遠くから動物園で見たことがある虎の二回りくらい大きい虎が現れたけど俺は何も持ってないし、持ってても闘えるわけがない!
俺は走って逃げた。
少しずつ距離を詰められもうダメだと思った瞬間、前から白馬に乗った少女が現れ、剣で虎を一斬りでやっつけた。
「大丈夫か?」
「あぁ。助けてくれてありがとうな。」
少女は馬から降りて俺に聞いた。
少女は14、15歳くらいで金の糸のようなロングのブロンドの髪にグリーンの瞳で凄い美少女だ。
「私はセキレイと申す。貴殿は?」
「俺は朱雀だ。」
「朱雀はもしかして巫皇か?」
「巫皇?なんだそれ?」
「王家は代々王家の血を絶やさぬよう王に即位した年に発情期が起こり、女体化し、子を宿し王自ら民衆の前で子を産み出すのだ。そうすれば、王家の血筋だと一目でわかるからな。でその相手を別次元から呼び出して呼びされたつがいを巫皇と呼ぶのだ。
恐らく貴殿は私のつがいとして呼び出されたのだ。」
てことは、この美少女が皇子?
「てことは、男?」
「いや、男児を産むまでは完璧な女の体だ。とりあえず詳しいことは城へ帰ってから。」
俺はセキレイに馬にのせてもらった。

9名無しさん:2014/08/29(金) 18:10:45 HOST:s1135036.xgsspn.imtp.tachikawa.spmode.ne.jp

「当たり前だ!
私はまだ一昨日即位したばかり、言い換えれば一昨日女になったばかりだ!」
セキレイは顔を赤くしながら言ってちょっと可愛いかも。
「それに即位した皇は巫皇と以外は禁じられているし、私も好んでやりたいとは思わん!」
なんか、この世界の王って大変なんだな。
「わかった、わかった。」
取りあえず、起き上がったけど何か着てほしい。。。
今度は俺の顔が赤くなるのがわかる。

10名無しさん:2014/08/30(土) 18:34:12 HOST:s644147.xgsspn.imtp.tachikawa.spmode.ne.jp

なんとかセックスから話題を反らしてこの国やセキレイのことを聞き出した。
セキレイの母親も元王様で姉がいるらしく、その子供が先程のリュークでリュークは25歳で従兄にあたるらしい。
セキレイには姉が3人もいるらしく、4人姉弟の末っ子らしい。
で3か月前に王様が急死して一昨日セキレイが王位をついでその儀式で女になったらしい。
先前の王がいなくなり、隣国が攻める準備をしているということらしい。
だから早く男の体に戻りたいらしい。
「そろそろ食事の時間だ。姉達もいるはずだから挨拶するよ。」
セキレイに案内され、食堂に向かった。

11名無しさん:2014/08/30(土) 20:51:14 ID:???
一方そのころ隣国では…
「龍一郎…隣国の皇子が巫皇を連れてきたそうだな。」
妖艶でロングヘアー、左眼には傷があり片目の女性が龍一郎と呼ばれた男性に語りかける。
「はい、ダヴィン皇女。どうやら本当のようです。」
ショートヘアでモノクルの男性、龍一郎がダヴィン皇女と呼ぶ女性。
彼女こそセキレイが敵視する隣国の長だ。
数年前に龍一郎を巫皇にとって以来、夫婦かつ龍一郎を軍師として用いていた。
「ということは今彼は…いや、彼女なのか。」
「えぇ。王位を継いだときに女性化したとか…」
「フフフ…私の時と同じだな。私は女性のままでいることを選んだが、ヤツは男性に戻ろうとするだろう。それ以前が勝負だな。」
「ダヴィン様…一番良いのはセキレイの臨月を狙うことかと。」
「流石はわが巫皇…かつ軍師だな。私と同じ考えをしている。
臨月ではセキレイは出てこれないだろうし、万が一出てきたら戦場で出産することになる。
それはそれで面白いからな。」
「ということは…」
「隣国を攻める時期…早めるかもしれんな」
ニヤリとダヴィンが笑う。
それにつられて龍一郎も笑っていた。


「さて、軍議も終わった…龍一郎。今日も激しく愛し合うぞ。」
玉座から降りたダヴィンが龍太郎の首に手をかける。
「全く…皇子が産まれたばかりというのにまた子作りですか。」
苦笑いしながらも龍一郎は優しくキスをしていた。

12名無しさん:2014/08/30(土) 20:55:26 ID:???
(最後だけ変換し忘れました。隣国の巫皇は龍一郎でお願いします。)

13名無しさん:2014/08/30(土) 21:02:04 HOST:s644147.xgsspn.imtp.tachikawa.spmode.ne.jp

「セキちゃ〜ん。」
わぁ!めっちゃ綺麗な女の人が近づいてきた。
「姉さん、人の前で。」
「いいじゃない。あらあなたは?」
「朱雀って言います。」
「じゃああなたが朱雀の巫皇?可愛らしいわ。私は朱雀の一番上の姉のセリーヌ。よろしく。」
「あ、はい!よろしくお願いします。」
「姉さんはこう見えてももうすぐ子供が産まれるんだ。
他の姉さんたちもみんな同じ時期に。
これもこの国では当たり前で王位即位を他の姉達が祝うためらしい。」

14無能:2014/09/01(月) 23:07:26 ID:???

「元は先代の王の即位20年目を祝うためのものだったのに。父が亡くなったから、代わりに私の即位の祝いになったんだ。」
何か式典の度に祝いで出産って変わってる世界だよな。
「ここが食堂だ。」
食堂の前にいた使用人がドアを開けてくれると長い机の周りに綺麗な女の人が2人座ってその隣にはそれぞれ男性がいるけどあの人達の旦那さん?かな。
「紹介しよう。右から次女のセリナ姉さん、隣がその旦那のルイ兄さん、で左は三女のセラ姉、隣がその旦那のリカル兄。こちらが私の巫皇の朱雀殿だ。」
王族の人たちって凄いルックスなんだな。
「おぉー、おまたせ。」
「遅いわよ、リューク。」
あれは確かセキレイの従兄?
「リュークはセリーヌ姉さんの旦那なんだ。」
へえー。
それぞれの席につくと食事が運ばれてくる。

15名無しさん:2014/09/04(木) 01:46:29 ID:???
食事会は和やかなムードのまま終わり、朱雀とセキレイはセキレイの部屋に戻る。
部屋に戻ると否応がなく性行為のことを考えさせられる。
正直、セキレイの身体は華奢だが筋肉質で、ボーイッシュな娘が好きな朱雀には魅力的すぎる。
本当は押し倒したくて堪らなかったが、なんとか我慢して過ごしていた。
そんななか、セキレイがポツリと語りだした。

16名無しさん:2014/09/04(木) 05:08:35 HOST:124x36x120x118.ap124.ftth.ucom.ne.jp

「この国は元々王家の式たりを守ってきた。
もちろん私の巫皇殿との結婚、姉たちの出産は全て神が導くと言われている。
しかし、隣国の王、ダヴインはそれに反発しているのだ。
ダヴインは元は私の父ととリュークの母の姉、つまり私の叔母のむすこだったが、自身が王になれないと知って自分で
新たな国を作ると行って出て行ったのだ。
叔母は自ら責任を感じて牢にいっているんだ。」

ということは今争っている国の王とは従兄弟なんだ。
「王家出身なのに国民を欺き、自分の勝手で争いを起こそうとする
ダヴインを私は許さない!」
「だからこの手で争いを止めたいのだ!
巫皇殿、早く子供を作りましょう!」

17名無しさん:2014/09/04(木) 12:31:33 HOST:KD182249241074.au-net.ne.jp
セキレイから感じるダヴィンへの対抗意識。
それをひしひしと感じた朱雀は覚悟を決める。
「本当に良いんだな、セキレイ…」
ベッドに押し倒し、語りかける朱雀。
「ああ。覚悟は出来ている!」
力強く返答するセキレイ。
だが、朱雀は気付いてしまった。
セキレイの体が震えている事に。
朱雀は優しく抱き締めて、精一杯の知識で性行為を始める準備をし出した。

18名無しさん:2014/09/04(木) 18:09:40 HOST:s1598050.xgsspn.imtp.tachikawa.spmode.ne.jp

それから毎日時間があると2人は体を重ねていたこと、セキレイの思いが通じたのか妊娠するのにそう時間はかからなかった。
「セキレイさま、恐らく着床されてるようです。」
毎日いつ着床してもいいように巫女のもとに通っていた。
巫女は神殿に住み、神からのお告げをうけとる役割を持っている。
この国の王族は妊娠を神からのお告げとしているため、着床したときから巫女が知ることができるらしい。
王族は流産はないらしく、予定日も神からお告げをもらい、この国ができてから1度も狂ったことがないらしい。
セキレイの姉達も明後日出産予定日だとお告げをもらっていると言っていた。
セキレイは妊娠しても出産日までは妊娠したことを身近な人物にか告げないと言っている。
まーダヴィンがそれを狙ってきたら太刀打ちできないしな。

19名無しさん:2014/09/04(木) 18:48:06 HOST:221.133.73.229
一方同じ頃、隣国では…

「ダヴィン様。よい知らせと悪い知らせがございます」
「なんだ、龍一郎。改まって…まず良い知らせとやらを聞かせろ。」
「間者の知らせによりますと、セキレイの着床が巫女から知らされたそうにございます。」
「ほぅ…それは確かか。」
ダヴィンの目が細くなる。
「おそらく…生理周期でも確かかと。」
「では狙う時期もおおよそ掴めるな。で、悪い知らせは?」
「我が国の巫女からの知らせで、ダヴィン様の着床も確認されたそうにございます…」
「なるほど、セキレイと同時期に出産か…面白い。私が先に産むかセキレイが先に産むかで状況は大きく変わるな」
ニヤリ、とダヴィン皇女が笑う。
「…どうなさいますか。」
「知れたこと。時期がほぼ同じなら私もボテ腹を晒して戦いに向かうまでだ。」
「…良いのですか?万が一ダヴィン様が先に出産することになれば…」
「うむ。我が軍は負けるだろうな。それはそれでよい。負けたなら次勝てば良いだけのこと。…それより龍一郎。祝いの性行為だ。」
そう言うとおもむろに玉座から降りてディープキスをする。
「全く…ダヴィン様の好色にはほとほと困りますね…」
龍一郎は苦笑いしながらお姫様抱っこでダヴィン皇女をベッドに運んでいた。

20名無しさん:2014/09/04(木) 19:23:55 HOST:s1598050.xgsspn.imtp.tachikawa.spmode.ne.jp

「では、国民や部下には内密にということでよろしいでしょうか。」
「あぁ。どこに密告者がいるかわからないからな。」
セキレイは信頼できるラルク、レンビには妊娠したことを話した。
「「如意。ご懐妊おめでとうございます。」」
「あぁ。ありがとう。」
予定通り妊娠できたセキレイは嬉しそうだ。

21名無しさん:2014/09/04(木) 21:07:01 HOST:ubr01-c40-229.spacelan.ne.jp
セキレイの妊娠がダヴィンに知られているとも知らず、セキレイは妊娠期間を送ろうとしていた。

一方ダヴィンの方は公式に国民に妊娠を知らせていた。
これはセキレイを油断させる策でもあり、ダヴィンの趣味でも有った。

自ら妊娠を知らせる事で国民に情事が有ったことを知らせる意味がある。
つまりは一種の露出狂である。
ダヴィン自身は戦場で自らの部隊に出産を見せるのは苦ではなかった。

22名無しさん:2014/09/04(木) 22:12:06 HOST:s1313078.xgsspn.imtp.tachikawa.spmode.ne.jp

「セキレイさま!」
「なんだ?」
「今、密偵が戻ってきたのですが、どうやらダヴィンはセキレイ様と同じ期間に妊娠されているようなんです!」
ラルクは頭を抱えるようにいった。
「なに!?いったいダヴィンは何を考えているのだ。」
セキレイの機嫌がどんどん悪くなっていく。

23名無しさん:2014/09/05(金) 00:24:43 HOST:ubr01-c40-229.spacelan.ne.jp
「油断させに来てるのかもしれないな。」
何気なく朱雀は呟く。
「なに?朱雀、その話詳しく教えてくれ。」
「え?あ、いや、思い違いかもしれないから…」
食いついてきたセキレイに戸惑う朱雀。

「よい。朱雀は私の巫皇だ。対等の関係になりたいんだ。話してくれ。」
「じ、じゃあ。俺が思うに、ダヴィンの狙いはセキレイの油断だと思う。油断させ、準備がしない間に襲うこともあるんじゃないかな。」
「つまり、私の妊娠がダヴィンに知られていて…油断させて、出産時期に戦争をする…前倒しの可能性があるということか…」

セキレイが考える格好をする。
その姿は美しく、改めて朱雀はセキレイに惚れていた。

「…うむ、ダヴィンのやることだ。可能性はあるな。妊娠が知られているのは信じたくないが…おい、朱雀。」
「な、なんだよ?」
「その頭脳、使わないのは惜しい。私の軍師になってくれ。」
「え、ええっ!?いや、やりたくないとは言わないけど…」
「よし!決まりだな!これからもなにか意見が有ったらどんどん言ってくれ!」
明るい笑顔で話すセキレイ。
奇しくも、違う国で同じ巫皇という立場の人物が軍師を勤める事になった。

24名無しさん:2014/09/05(金) 04:40:33 HOST:s1313078.xgsspn.imtp.tachikawa.spmode.ne.jp

「ふむ。朱雀の世界ではそんな戦術に詳しいのか。」
俺はこの世界にくるまで結構幅広いゲームをしてきたからそれがよかったのか、セキレイは俺が考えていたことに結構関心をもってくれた。
「朱雀、街を案内したい。まだここにきてから外に出ていないだろ。」
そういえばここに来てから数日城からでたことないな。
「せっかくだから案内したい。レンビ、ラルクを呼んできてくれ。」
「如意。」
ラルクと数人の護衛がつき、町へ出掛けることになった。

25六道:2014/09/05(金) 16:27:27 HOST:ubr01-c40-229.spacelan.ne.jp
まず始めに一行は市場に向かう。
街の市場には屋台や屋外の鮮魚店、青果店、カフェテリアなどが並んでいた。
(へぇ。文明的には中世ヨーロッパって感じの世界だな。)
朱雀はそんなことを考える。

「安いよ安いよー!お、セキレイ様!魚、安くするよ!」
「うむ、旨そうな魚だな。ラルク、城に運べ。」
「御意。」
セキレイがラルクに命令し、それに答えるラルク。
「よく来るのか、この市場。」
「うむ。世界中の情報が集まるからな。それに国民の意見を聞くにはここが一番だからな。」
朱雀の質問にセキレイが答える。
朱雀は関心をしていた。

「焼きそばだよー!上手いよー」
それから暫く歩くと屋台が集まる場所についた。
ソースの匂いや甘い匂いが一帯に充満する。
「うぷっ…」
セキレイが青ざめた顔で唇を押さえる。
そのまま路上で嘔吐してしまっていた。

26名無しさん:2014/09/05(金) 18:07:35 HOST:s1156150.xgsspn.imtp.tachikawa.spmode.ne.jp

「セキレイ!?」
「セキレイさま、大丈夫ですか?」
俺とレンビが慌てて駆け寄った。
「はぁ、はぁ、大丈夫だ。」
「本日の視察はこの辺りで城へ戻りましょう。」
「ぁぁ。そうしてくれ。」
「如意。」
レンビがセキレイを抱え、急ぎ足で城に帰ってきた。

27六道:2014/09/05(金) 22:55:03 HOST:ubr01-c40-229.spacelan.ne.jp
そのまま寝室のベッドにセキレイを寝かせるレンビ
朱雀は横でそれを見ていた。
「済まぬ、朱雀…折角の街案内だったのに…」
「良いんだ、体調の良いときに行こう。今、セキレイの身体は大事な時だからな」
「あ、ああ…」
優しい言葉に、ドキリとするセキレイ。
一瞬、そのまま男子に戻らなくてもいいなどと思ってしまう。
それを振り払うように、ブンブンと頭を振っていたセキレイだった。

28名無しさん:2014/09/06(土) 00:13:21 HOST:s903028.xgsspn.imtp.tachikawa.spmode.ne.jp

「セキレイさま、朱雀殿、それでは。」
「あぁ。レンビ、助かった。」
「失礼しました。」
レンビは部屋から出ていって2人っきりになった。
「セキレイ、少し眠ったら?」
本調子じゃないし、寝れば少しはらくになるよね?

29六道:2014/09/06(土) 00:53:31 HOST:ubr01-c40-229.spacelan.ne.jp
「うむ…そうさせてもらう…」
セキレイはそう呟くとすぐに眠りについた。
「やっぱりかわいいな…セキレイ…」
朱雀は横で眺めながら一夜を過ごしていた。

数日後。
体調の回復したセキレイは、レンビと護衛を連れて朱雀を隣国との国境へと連れて行っていた。

30名無しさん:2014/09/06(土) 01:12:18 HOST:s903028.xgsspn.imtp.tachikawa.spmode.ne.jp

「セキレイさま、わざわざ遠いところからありがとうございます。」
「みな、ご苦労だな。」
国境の近くには何人もの見張りがいるようで兵の中で交代で就いているらしい。
「あそこに見えるのがダヴィンたちの街だ。」
国境の門の上に登り、セキレイが街を指差した。

31六道:2014/09/06(土) 01:45:45 HOST:ubr01-c40-229.spacelan.ne.jp
「…大きいな、俺たちの国の街より。」
朱雀が率直な感想をいう。
「ああ。短期間であれだけの国を作る…正直、恐ろしいやつだ、ダヴィンは。それとヤツの巫皇兼軍師の龍一郎はな…」
セキレイが何気なく話す言葉に、
「龍一郎!?龍一郎って…あの龍一郎か…?」
「知ってるのか、朱雀?」
「ああ。1年前に行方不明になった俺の親友だ…そうか、この世界にダヴィンの巫皇として召還されたのか…」
朱雀は龍一郎のことを思い出していた。

学校の成績は龍一郎が一番で、朱雀は二番だった。
その代わり、シミュレーションゲームなどゲームの腕は朱雀の方が上。
二人は親友かつライバルだったのだ。

「…そうか。では、戦場に立つのは止めるか?相手が親友では戦いにくいだろう…」
セキレイが寂しそうにいう。
「いや、俺は気にしない。むしろアイツとの決着をつけられて嬉しいくらいだ。」
朱雀はニコリ、と笑う。
その顔に思わずドキリとしてしまうセキレイ。
「そ、そうか。…う…」
真っ赤になった顔が青ざめる。そのまま後ろに倒れそうになるセキレイ。
「おっと!大丈夫か、セキレイ」
それを優しく抱き止めるのは朱雀だ。
「う、うむ…貧血のようだ。やはり、妊娠して体調がすぐれないのだな…」
「無理すんなよ。歩けるか?」
「うむ…」
そう言うとセキレイは朱雀に支えられながら門から降りていく。

32名無しさん:2014/09/06(土) 01:55:13 HOST:s903028.xgsspn.imtp.tachikawa.spmode.ne.jp

セキレイの体を考慮して今日は近くの小さい街に泊まることにした。
「美味しい!」
「うん。美味だな。」
宿の食事は美味しかった。
セキレイもなんとか全て平らげていた。
「早いけどねるか。」
「そうしよう。」
外とドアの前には護衛が警備し、中にはレンビもいる。
忘れることもあるけどやっぱりセキレイは王子様なんだな。

33六道:2014/09/06(土) 02:14:52 HOST:ubr01-c40-229.spacelan.ne.jp
一方、同じ頃、隣国にて…
「セキレイの巫皇の素性が分かったそうだな。龍一郎。」
ダヴィンと龍一郎は久しぶりの軍議をしていた。
「はい、朱雀と申します。軍師になっているという噂も有りますね」
「…浮かぬ顔だな、龍一郎。知り合いか?」
「えぇ。私のもといた世界での親友でライバルです。」
「ほう…という事は能力は互角か?」
「ええ…むしろ、勉強以外の能力は上だったので、軍師としては私より優秀かと…」
「ふむ…私の妊娠に、セキレイの軍師…逆風だな。だが、私は今までもそれを乗り越えてきた。これからも、だろうな」
ダヴィンが自信強く話す。
「はい。私も精一杯サポートします。」
一瞬自信が弱くなった龍一郎だが、ダヴィンの言葉に元に戻ったようだ。
「さぁ…そんなことより…セックスだ…」
ダヴィンが玉座から降りて、三度ディープキスをする。
「全く…本当に好色ですね、ダヴィン様は…」
苦笑いしながらベッドに運ぶ龍一郎。
だが、その頭脳には朱雀のことが張り付いていた。

34名無しさん:2014/09/06(土) 06:58:35 HOST:s903028.xgsspn.imtp.tachikawa.spmode.ne.jp


「お世話になったな。」
「いえいえ、セキレイさま、我が宿をご利用していただいてありがとうございました。」
朝、身支度を終え、宿をあとにした。
今日のセキレイは顔色も良さそうでよかった。

35六道:2014/09/06(土) 16:23:17 HOST:ubr01-c40-229.spacelan.ne.jp
一行は国境近くの湖へと向かう。
護衛とレンビは少し離れ、セキレイと朱雀、二人きりの時間を作って貰った。
「に、似合うか、朱雀…」
セキレイの言葉に振り返ると、ビキニ姿のセキレイがいた。
「ああ。よく似合ってるぞ。」
妊娠して、より女性らしくなった身体。
ふくよかで、美しくみえた。
「そ、そうか。しかし、おなごはよくこの様な布地が少ない服を着れるな…」
セキレイはモジモジと恥ずかしがっている。
それがより魅力的で、思わず朱雀はセキレイを抱き締めていた。

36名無しさん:2014/09/06(土) 18:03:22 HOST:s903028.xgsspn.imtp.tachikawa.spmode.ne.jp

一通り遊び、夕日が沈む頃2人は湖をみて座った。
「私が男児を産んで男に戻っても共に闘ってくれるか。」
「もちろん。セキレイが男に戻ってもセキレイだし、俺はずっと傍にいるよ。」
俺はセキレイの頬にキスをして微笑んだ。

37六道:2014/09/06(土) 22:46:55 HOST:221.133.73.229
数日後。改めて一行は街を散策する。
今回は宿屋や武器屋が集まる外国人街を歩いていた。
「違う国の情報はここで聞けるからな。私もお忍びで来ることがある。」
セキレイが歩きながら朱雀に話す。
「なるほど、たしかに活気があるな。」
街の道路は人でごった返している。
「危ないから手を繋ぐぞ、セキレイ」
「う、うむ」
セキレイは真っ赤になるが、朱雀は注意を他に向けて気付いていなかった。

38名無しさん:2014/09/06(土) 23:54:52 HOST:s903028.xgsspn.imtp.tachikawa.spmode.ne.jp

「いやぁ〜セキレイさまもいい巫皇どのが見つかったもんだ。」
レンビはセキレイや朱雀と距離をおきながら部下たちと少し会話しながら警護している。

39六道:2014/09/07(日) 01:54:58 HOST:ubr01-c40-229.spacelan.ne.jp
特に何事もなく、一行は進んでいた。
セキレイは、耳を済ませ街の旅人から情報を得ているようだ。
「ふむ…やはり、隣国で戦闘訓練が増えているようだ。朱雀のいう通り、私の出産にあわせて攻めてくるかもしれん」
「だけど、それってチャンスでもあるよな」
「どういうことだ、朱雀?」
「ダヴィンも同時期に妊娠してる。という事は、出産もほぼ同時期だから…」
「なるほど、先にダヴィンの陣痛が始まれば…停戦や、上手く行けば勝てるやも知れぬな」
セキレイの顔が久々に明るくなる。
朱雀はそれを見て笑顔でうなずいた。

40名無しさん:2014/09/07(日) 07:31:50 HOST:s903028.xgsspn.imtp.tachikawa.spmode.ne.jp


「あとはダヴィンの予定日がわかればいいんですけどね。」
こちらは妊娠していることを国民には黙っているから予定日はバレないけど、ダヴィンは人に妊娠報告を悠々と言えるくらい問題ないようだ。

「セキレイさま、そろそろお時間です。」
そして一通り聞き込みが終わり、城へ戻ることになった。

41六道:2014/09/07(日) 22:53:11 HOST:221.133.73.229
「セキレイ様、お伝えしたい事が…」
城に戻るとすぐにラルクがやってくる。
「なんだ、ラルク…私は疲れている、手短に話せ」
セキレイがげんなりとした顔で話す。
「ダヴィン皇女が、予定日を発表したそうです」
「なんだと!?して、何時だ?」
げんなりとした顔が一気に驚いた顔になる。
「はっ、龍の月、7日だそうです」
「龍の月、7日…私と同じ予定日ではないか」
「そうなのか、セキレイ?」
予定日を聞いてさらに驚くセキレイに、朱雀が訊ねる。
「うむ。ひょっとしたら、ヤツは戦場で産むことも考えているやもしれぬ…」
改めて思考を回転させるセキレイ。
朱雀もなにか手助け出来ないか考えていた。

42名無しさん:2014/09/07(日) 23:26:06 HOST:s903028.xgsspn.imtp.tachikawa.spmode.ne.jp

「とりあえずお伝えしたいことはそれだけですので、本日はごゆっくりしてください。それでは。」
ラルクはお辞儀をして戻っていったけど、気になってゆっくり休憩できないな。
案の定部屋に帰ってからもセキレイは険しい表情をして考え込んでいた。

43六道:2014/09/09(火) 00:23:11 HOST:ubr01-c40-229.spacelan.ne.jp
「うむ、決めた!ダヴィンが戦場で産むつもりなら私も戦場で産むまで!
どちらが先に産むかが戦況を変えるかもしれぬ…
万が一、私が先に陣痛が来たら、サポートを頼むぞ!」
セキレイが覚悟を決めた晴れ晴れとした顔で宣言する。
朱雀は黙って頷くだけだった。

44名無しさん:2014/09/09(火) 19:42:45 HOST:s822230.xgsspn.imtp.tachikawa.spmode.ne.jp

「あぁ。でもダメだ。」
「どうしたの?」
セキレイはなにかを思い出し、俯いた。 
「この国は伝統で出産は広場にある王座で出産する掟なのだ。だからもし戦場で子を産んでも王家の子とは認められず、遠い国へ里子にだされるのだ。」
ほんとに王家って大変なんだな。

45六道:2014/09/10(水) 01:52:57 HOST:ubr01-c40-229.spacelan.ne.jp
「じゃあ…戦場で産んだら、ダヴィンの元に送れば良いんじゃないか?」
何気なく呟く朱雀。

「い、いやだ!なぜダヴィンの名前が出るのだ!理由を言え!」
「いや、どうせ遠くに送ってしまうなら、和平の人質みたいな感じにするのも良いかと思って…
相手も同時期に出産なら、必ず何処かで引き上げなきゃいけないからな。
世継ぎなら次産めば良いし…」

セキレイの剣幕に思わず怯みながらも説明をする朱雀。

「ふむ…朱雀の意見は分かった。だが、私はあまり気乗りがしない…少し、考えさせてくれ。」

そう言ってベッドに横たわるセキレイ。
朱雀も今日はねることにした。

46名無しさん:2014/09/10(水) 04:23:28 HOST:s866129.xgsspn.imtp.tachikawa.spmode.ne.jp

「セキレイ様、こちらにもサインをお願いします。」
「あぁ。わかってる。
他に直近の作業があればそこにおいておいてくれ。」
視察に帰ってきてからはセキレイは書類に囲まれていた。
ラルクは逃げないように付きっきりでぴりぴりしていた。

47六道:2014/09/10(水) 22:10:04 HOST:ubr01-c40-229.spacelan.ne.jp
「なんだったら手伝うぜ、セキレイ」
朱雀が何気なく書類を手に取る。
「触るな!」
セキレイが一喝する。
「す、すまん…」
素直に元に戻す朱雀。
「悪いが、極秘の資料もある。勝手に見られれば巫皇とはいえ首をはねるしかなくなる…」
「わ、悪かったよ、ごめん…」
「よい。次からは気を付けてくれ。そうだ、暇なら城内を案内させよう。
ラルク、案内してやってくれ。私の見張りにはレンビで十分だろう」
「は、セキレイ様の命令とあれば…」
「という訳だ、折角だから軍師として城の意見を聞いてみたいな。帰ってきたら話してくれ。」
レンビが来たのをきっかけに、朱雀とラルクは城を回ることにした。

48名無しさん:2014/09/10(水) 22:51:51 HOST:s866129.xgsspn.imtp.tachikawa.spmode.ne.jp

「セキレイ、凄い剣幕だったな。」
「今はどこから極秘事項がもれるかぴりぴりしているだけで、もっと穏やかだったんですがね。」
ラルクも苦笑いを浮かべて頭をかいている。
まぁ王になったばかりだし気が抜けないんだな。

49六道:2014/09/10(水) 23:43:27 HOST:ubr01-c40-229.spacelan.ne.jp
朱雀とラルク、二人は軍の訓練所に向かう。
「そこ!隊列が乱れているぞ!立て直せ!」
そこでは鎧の女将軍が命令を下していた。

「似ている…」
朱雀が小さく呟く。彼女はセキレイと瓜二つだった。
「…やめーっ!一時休憩!……おお、ラルク。久しぶりですね。…それと、そちらは?」
「彼がセキレイの巫皇、そして軍師になった朱雀です。
朱雀、彼女はサディス。セキレイ様の影武者で、私の妻。セキレイ様と同じ時期に妊娠しております。」
ラルクが丁寧に朱雀に説明をする。
「へえ…鎧の上からじゃわからないな。俺は朱雀。よろしくな、サディス。」
「はい、よろしくお願いいたします、朱雀殿。」
「では私たちは城の案内がありますので…」
「えぇ。私も暫く休憩したらまた訓練を始めますね」
「よろしく頼みますよ、ハニー」
「こら、公の場でハニーは止めなさい」
コツン、と頭を叩くサディス。
そんな感じでサディスと二人は別れ、城壁の方へ向かった。

50名無しさん:2014/09/11(木) 00:14:39 HOST:124x36x120x118.ap124.ftth.ucom.ne.jp

「あら、朱雀くん。」
城の中庭にはセキレイの姉、三女のセラさんがいた。
「お腹大きいですね。」
「えぇ。明日陣痛が始まると巫女に言われていますわ。」
「ほんとにもうすぐなんですね。」
「セキレイさまのお姉様方が同じ日に全員が出産し終わりますと
街中でお祭り騒ぎですぞ。」
ラルクはそちらのほうがワクワクしているようだ。

51六道:2014/09/11(木) 23:00:38 HOST:ubr01-c40-229.spacelan.ne.jp
「たしか長女がセリーヌさん、次女がセリナさん、三女が貴女でしたね」
朱雀が記憶の中から思い出していた。
「そうよ、朱雀くん、よく覚えてくれたわね」
「全員が明日陣痛を迎えるんですか?」
「いいえ、私とセリナ姉さんだけね。セリーヌ姉さんは今日来るらしいわ。
セリーヌ姉さんの侍女は忙しくしてるわね。」
「へぇ、そうなんですか…後で寄ってみようかな」
「そうしてくれると助かるわ、男手も必要かもしれないからね。」
セラがそう話をする。
取り合えず3人は話を切り上げ、改めて城壁へむかう。

「…ところどころボロボロですね、これでは攻められたらキツいかもしれないですね」
朱雀が一目見たなりにラルクに話しかける。
「ええ…ですが、修繕するにも費用が…」
「ではせめて、壕かなにかを作った方がいいかな。相手を足止めするような…」
「壕、ですか。誰かに命令して急ピッチで仕上げさせましょう。」
「うん、よろしく頼む。…さて、セリーヌさんの所へ行こうか」
朱雀は話を切り上げ、ラルクの案内でセリーヌの部屋へと向かった。

52名無しさん:2014/09/11(木) 23:42:00 HOST:s1312220.xgsspn.imtp.tachikawa.spmode.ne.jp

トントン
「はぁ〜ぃ。」
返事がして中に入るとセリーヌさんが、ニコニコして出迎えてくれた。
「あら、朱雀くん、いらっしゃい。もしかして誰かから聞きました?」
「はい。セラさんから聞きました。」
「あらそう。ふふっら、でも残念。まだ陣痛はないのよ。」
ガチャ
「これは朱雀どの。いかがなさった?」
「リューク、またサボってきたの?まだ陣痛は始まっていないからもういいわよ。」
なんども来てるんだな。

53六道:2014/09/13(土) 00:27:25 HOST:ubr01-c40-229.spacelan.ne.jp
「しかし…不安であるからして…」
「全く、仕事をサボって頻繁に来られてもこま…うぅ…」
苦笑いしていたセリーヌの顔が歪む。
「ど、どうしたセリーヌ!?」
「は、始まったみたい…」
「陣痛がか!?ど、どうすればよい!?」
「取り合えず産婆さんを呼んできて…」
「り、了解した!」
リュークは慌てて走り出した。

54名無しさん:2014/09/13(土) 09:58:06 HOST:s1344207.xgsspn.imtp.tachikawa.spmode.ne.jp

「だ、大丈夫ですか?」
リュークも行っちゃったし、俺はどうすれば。
「今は大丈夫みたい。
驚かせちゃったわね。」
「いいえ。」
「陣痛が始まったことセキレイに伝えてきてくれる?」
「わかりました。」
俺は部屋を出てセキレイの仕事部屋にいく。
とんとん
「はいっていいぞ。」
「セキレイ、セリーヌさん、陣痛が始まったみたいだよ。」
「そうか。わかった。レンビ、すぐに広間の用意を。」
「如意。」
レンビは出ていった。
確か王族の出産は民衆の前で行うんだったからか。

55六道:2014/09/14(日) 22:29:30 HOST:ubr01-c40-229.spacelan.ne.jp
広間には分娩台がおかれ、その前に見物席がおかれている。
分娩台は三人が同時に出産する可能性を考え3つがそろって置いてあった。
その中の真ん中に、セリーヌが横になる。
産婆さんから説明を受け、陣痛に耐えているようだった。

56名無しさん:2014/09/14(日) 23:26:17 ID:???

広間には城からの公報によって少しずつ見物人が集まりつつある。
「わあー。すごい人が集まってるな。」
中学の頃、保険の授業で出産シーンってみたけどあんなグロテスクなものをよく民衆はみるよな。
「まぁ王族の出産は民衆にとって従える象徴でそれをみんなで迎えると言うことで祝いだからな。」
「そうなんだぁ。」

57名無しさん:2023/12/19(火) 13:18:38
それからセリーヌさんは、弱い陣痛が定期的にくるようで30分に1回ほどの頻度で顔をしかめている。
日が変わってすぐ、セラさんの陣痛が始まった。
空は真っ暗にも関わらず、広間だけは明々と光が灯っており特に分娩台がある場所はライトが照らされている。

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