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聖母戦士マタニア

1無明:2012/08/28(火) 02:17:01
登場人物(現段階)
聖子(26) 突如、異世界に召喚された妊婦。聖母戦士マタニアとして戦う運命を背負う。
マリアン(14くらい?) 聖子を召喚した少女。豊かで平和な国、ビルスの王女にして巫女。
バアル・ムゥ マリアンたちの住む異世界を滅ぼそうと企む魔王。恐るべき力を持つという。

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「はぁ、坂道を登るのも大変ねぇ」
夕暮れ時。スーパーからの帰り道。夕飯の材料が入った買い物袋と立派に大きなお腹を抱えて聖子は坂道を登っていた。
この坂道を登りきれば、自分の住むマンションまでもうすぐである。聖子は夕飯のメニューを考えながら一歩一歩進んでいた。
その時である。
「(ついに見つけたわ・・・!)」
「え・・・?」
ふと誰かに呼ばれたような気がし、あたりを見回す聖子。しかし聖子以外に誰もいない。
「気のせいかしら・・・?」
首を傾げ、坂道を登ろうとする聖子。
「(見つけたわ、マタニアの戦士・・・!)」
今度ははっきりと聞こえた。響くように頭の中で直接聞こえた。
「誰、誰なの・・・?」
再びあたりを見回す聖子。すると周りの景色が一変し、急に足元に穴が出来たかのように聖子は落っこちた。
「いや!!」
とっさにお腹を庇う聖子。ぐらぐらと回転しながら、落ちて行く。気がつくと一糸纏わぬ姿になり、乳房も尻もお腹をぶるんぶるん震わせながら落下してゆく。
そして何か水中に落っこちた。がぼがぼと慌てながら水面にあがる聖子。なにやら広々としたプールに彼女は落ちてしまったみたいだ。急いでプールサイドまで泳ぎ、水からあがった。
げほげほと咳き込む聖子。ふと目の前に人の気配がし、見上げた。
そこには少女がいた。派手な冠と杖を持ち、白いローブを着たあどけない少女だった。そして少女は嬉しそうに口を開いた。
「ようこそ!マタニアの聖なる戦士よ!あなた様こそ、世界を救う救世主です!」

2無明:2012/08/28(火) 02:18:09
「ま、マタニア・・・?何なのよそれ・・・?だいたいあなた誰なの?」
突然の出来事に混乱している聖子。
「あ、すみません。自己紹介がまだでしたね。私はマリアン、このビルス国の王女です。それと同時に巫女でもあります。」
深々と丁寧にお辞儀をする少女。ただただお腹を抱えて呆気にとられる聖子。
「あぁ、どうも・・・じゃなくて、マタニアって何なの?!」
思わず大声をだす聖子。しかしマリアンはにっこりほほえみ悪びれる様子はない。
「マタニアは予言書に記された聖なる戦士です。その聖なる母の力で悪しき魔王、バアウ・ムゥから世界を救ってくれる救世主なのです」
一息つくマリアン。相変わらず納得のいかない聖子。
「戦士?だからってなんであたしなの?ただの主婦なのよ。しかも臨月に近い妊婦なのに・・・!」
なんとか立ち上がり、マリアンの目の前にお腹を突きつける聖子。
「予言書によれば聖戦士マタニアは異世界から来る妊婦だと記されてました。ほら、あのレリーフの中央にいるのがマタニアです」
マリアンが指差す方向に振り向く聖子。
そこには巨大なレリーフがあり、中央には髪をなびかせた女性が彫られていた。
なにやら昔のゲームやアニメの女の子が着ていたような露出の高いビキニみたいな鎧を身に付けて、宝剣を天高く突き上げている女性だった。宝剣の先から放射状の光が放たれていた。
しかしその女性のお腹は臍が突き出て、丸く大きく膨らみ、レリーフから浮かび上がっていた。
威風堂々と孕み腹を見せつけているようだった。
  
「バアウ・ムゥは死を司る力が、邪悪なものの手で自我を持った存在と言われています。それを打ち倒すことが出来るのは、最も『生きる』という意志の強い存在、つまり生まれる直前の子を宿した母親だと言われているのです」
「ちょっと待って。私、戦えなんて言われても戦い方を知らないのよ?」
マリアンの言葉に、異を唱える聖子。
だがマリアンに、意に介した様子は欠片もない。
「安心してください。聖戦士の剣が、戦い方を教えてくれますから。さあ、こちらへ」
そう言って、マリアンは聖子の手を引いてどこかへ連れて行った。

その先は、大きな岩が横たわっているだけの場所だった。
そして、その岩の中央には、不思議な金色の輝きを放つ、剣が刺さっていた。

3無明:2012/08/28(火) 02:18:46
「あれが・・・聖戦士の剣?」
「そうです、あれこそがマタニアの宝剣です。選ばれし者にしか抜けません」
聖子は岩に刺さった剣をまじまじと見つめている。
「でも、なんであたしが選ばれた訳なの?妊婦なんてあたし以外にもいるのに・・・!」
ぷんすかと怒る聖子。だがマリアンの顔は真面目である。
「いいえ、あなた以外の妊婦には扱えません。実際に試してみましたが誰にも抜けなかったのです」
「そんな・・・」
「それに私は天啓を受けたのです。私が神にお祈りを捧げている時にあなたの姿が見えたのです。だから私はあなた、聖子を召喚したのです」
「・・・・・・」
ショックのあまり黙りこむ聖子。よくよく考えれば全裸である。そんな自分が滑稽に思えて余計に落ち込んだ。落ち込んでいても元気に動く胎児が救いだった。
「マタニアは戦士でもあり、豊穣をもたらす大地母神なのです。その豊満な乳房とお尻は偉大なる山と谷と川、豊かに実る陰毛は人々の糧となる木々や植物、大きなお腹は命を育む海と大地をあらわすのです。そう、まさに今のあなたは大地母神のように逞しく美しいのです」
「そ、そんな・・・。あたしこんなに腹ぼてだし、乳首も乳輪も真っ黒けだし・・・」
「そんなことはありません!あぁ、私もあなたみたいに強く、美しくなりたい・・・・・・!」
うっとりとしながら聖子を羨望の眼差しで見つめるマリアンは聖子の孕み腹に抱きついて、頬擦りし始めた。
なんだか聖子は恥ずかしくとも嬉しかった。
中学の頃から体の発育が良かったため、男子から下心丸出しで見つめられ、女子からは影口を叩かれていた為、自分の発育のよい、むちむちの体が嫌いだった。だがそれを夫以外に素敵だと言ってくれた、ましてや身重の体の今・・・。
なんだか彼女の願いを無下に断りたくなくなった。
「わ、わかったわ・・・とにかく剣を抜けばいいんでしょ・・・」
「はい、御願いします!あなたの手であの宝剣を抜いてください!」
マリアンを優しく引き剥がし、巨大な岩にお腹をぶつけないように気をつかいながらなんとかよじ登り、宝剣の柄を握った。
「・・・本当に抜いていいのね?いい、いくわよ・・・!」
「急いでください、バアウ・ムゥからの魔の手から、少しでも早く世界を救い為に・・・・・・!」
聖子は覚悟を決めて、柄を強く握りしめた。
そして勢いよく岩から剣を抜いた!

4無明:2012/08/28(火) 02:19:22
聖子は驚愕した。
宝剣は、まるでそこに存在しないかのように重さを感じさせず、あっさりと引きぬかれた。
黄金の輝きを放つ宝剣。
その光を見た瞬間、聖子は、一瞬にして膨大な知識を得た。
剣の振り方、身の守り方。
そして、胎児に対する加護。
彼女がこの世界で戦うために、全て必要なものであった。

「次に、何をすればいいのかしら?」
剣を抜き、正式にマリアンの手によって叙任された聖子は、用意された服に着替えるとマリアンに問うた。
「それが、バアル・ムゥとその眷属は神出鬼没、どこに居るかも、わからないのです………」

5<削除>:<削除>
<削除>

6無明:2012/08/28(火) 02:22:58
5はミスです。削除お願いします。


結局、バアル・ムゥ一味の動きが無いまま、一ヶ月が過ぎた。
異世界とは言え、そろそろビルス国での身の振り方も慣れてしまった聖子。
現人神のように崇められるのも、慣れてしまえばそう恥ずかしくは無い。
「・・・はぁ〜」
平凡の主婦では到底体験できない、この天国のような生活。
しかし、至福のはずの聖子はため息をしていた。楽しくはなかった。
心の病の原因はホームシック、元の世界に戻りたいからである。

7 :名無しさん:2012/08/25(土) 02:38:43
「元の世界はどうなってるのかしら・・・あの人も心配してるに違いないわ。一月もいないんですもの・・・」
またため息をつく聖子。一回り大きくなったお腹をなでる。
帰りたい。だが、一月前に語ったマリアンの言葉を思いだす。


「・・・バアル・ムゥは死を司る魔王です。やつはこの世界に呪いをかけたのです。人々に新しい命が宿らず、産めなくったのです。つまりこの世界の人々は妊娠できなくなったのです・・・」
「・・・それだけではありません。やつはこの世界を征服した後、軍団を率いてさらに異世界に攻めこむつもりなのです。ひょっとしたら聖子の住まう世界も標的にされるのかもしれません・・・」
「そんな・・・!?」
「さらにバアル・ムゥは多くの人々を拐ったのです。男は奴隷として・・・女は慰みものとして・・・女が妊婦だったら腹を切り裂かれ赤子共々殺され・・・。拐われた人々の中には、私の・・・フィアンセも・・・・・・」
耐えきれずにマリアンはポロポロと涙を流した。
「多くの人々がバアル・ムゥに戦いを挑みました、でも誰も帰ってこなかった・・・・・・だから、だから、あなたが最後の希望なのです!聖なる戦士マタニアが・・・!」
嗚咽をあげ、泣き崩れるマリアン。
聖子は彼女を優しく抱きしめ、頭を撫でた。泣き叫ぶ我が子をあやす母のように・・・・・・。


帰りたい・・・だが帰るわけにはいかない。マタニアの宿命を我が子ともども背負ってしまったのだから。
頭をふるい、ホームシックをふるい落とした。この世界の為に。そして元の世界の為に。そしてお腹の中にいる我が子の為に。
お腹をなで、聖子は意識を改めた。

その時である。やにわに空が暗くなり、雷鳴が轟き、けたたましい鳴き声が聞こえだした。
そして、マリアンが焦るように部屋へと入ってきた。
「来ました!バアル・ムゥの軍勢が!」
聖子はうなずき、服を勢いよく脱いだ。服の下には、白銀のビキニアーマーを身に付けていた。豊満な体と大きな孕み腹をこれでもかと見せつけるように威風堂々とした姿だった。
宝剣を握りしめ、聖子は外へと向かい走った・・・・・・。

7無明:2012/08/28(火) 02:23:55
身重の体ながら全速で走る聖子。しかしマタニアの宝剣のおかげで胎児はけっして流れることはない。例え腹部に大ダメージを負っても胎児は無事である。さらにマタニアの加護のおかげで聖子は激しく体を動かすことができるのだ。

聖子は城下町へとたどり着いた。
「バアル・ムゥの軍勢・・・!」
空には竜のような生物が飛び回っている。
そして目の前には逃げ惑う人々に追撃をかける黒い甲冑に身を包み、黒い馬を駆る騎士たちだった。
「私が相手よ!」
騎士たちの目の前に立ち、剣を構える聖子。
騎士の一人が聖子に目をつけ、槍を構え襲いかかってきた。槍で聖子のお腹を串刺そうと突撃した。
だが聖子は身重の体で軽々と飛び、同時に勢いよく宝剣を振るい、騎士の首を切り落とした。騎士はそのまま崩れ落ち、黒い砂塵となって消えた。
「・・・こいつらバアル・ムゥの魔力で造られた兵士なのね、なら気にすることはないわ・・・!」
聖子は宝剣を構え直し、黒騎士たちを睨む。
「私は聖戦士マタニア!このお腹に槍を突き立てられるもんなら、かかってきなさい!」

8名無しさん:2012/08/28(火) 17:45:04
(リレー小説で御願いします。自分みたいに連続して書いても構いません)


次々に襲いかかる黒騎士たち。しかし聖子は易々と黒騎士たちの攻撃を避けて、輝く宝剣と孕み腹を振るい次々と返り討ちにしてゆく。妊婦戦士の猛攻にたじろぎ、黒騎士たちが動揺しだした。
「凄い・・・あの黒騎士たちが押されてる!!」
「さすがは聖戦士マタニアだ!!」
「頑張って、戦士さま!!」
「やっちまえ~、マタニアー!」
「おねーさん、がんばれー!」
人々から応援の声があがる。その声に励まされ、俄然とやる気を出す聖子。
すると派手な羽飾りを着けた隊長らしき黒騎士が首から下げていた角笛を吹いた。
やがて、黒い翼竜が鳴き声をあげ、空から舞い降りた。翼竜に黒騎士がまたがっている。
「今度は竜騎士ってとこかしら・・・少し手強そうね・・・!」

9無能:2012/08/28(火) 23:15:55

「マタニア様なら大丈夫ですわ。頑張ってくださいませ。」
マリアンは、聖子にこえをかける。
「わかってるわ!いくわよ竜騎士!いややーーーーー!」
聖子は一息いれると、剣を構え、竜騎士へ向かっていった。

10名無しさん:2012/08/29(水) 00:50:50
竜騎士に立ち向かう聖子。
しかし翼竜の尻尾による振り払い、噛みつきなどに苦戦し、聖子は防戦一方である。
「くぅ、うがぁ!?」
尻尾の攻撃をもろに腹に受け、ぶっ飛ばされ、聖子は壁に叩きつけられる。
「マタニアさま!」
「がぼ・・・あ、赤ちゃん・・・が!」
胃液を腹の上にぶちまけ、腹を抱えて苦しむ聖子。いくらマタニアの加護があるとはいえ、胎児は無事でも聖子自身にはダメージがあった。
「マタニアさま、大丈夫ですか!?」
マリアンは聖子の身重の体を心配する。
「だ、大丈夫よ、凄く痛いけど赤ちゃんは無事だわ・・・破水もしてない・・・これがマタニアの力」
聖子はなんとか立ち上がろとしたが、翼竜の噛みつき攻撃が襲いかかる。それをごろごろとお腹を気にせず地面に押し付けつつ寝転びながら避ける。
大きいお腹が少し邪魔そうである。が、ついに壁にぶつかり逃げ道がなくなる。翼竜は聖子に噛みつこうと口を開け、首を降り下ろした。
「戦士さま!」
マリアンは思わず目を瞑った。孕み腹を牙で貫かれ死ぬ聖子の姿を見たくなかったからだ。
「今だわ!」
聖子は剣を空に突きつけた。勢いよく首を降ろしたせいで、翼竜は自ら口の中に剣を突き刺してしまった。
「グギャアアア!」
苦しみ悶え、首をあげる翼竜。その勢いで空高く放りあげられる聖子。
「てやぁぁぁぁぁぁあ!!!」
空中で剣を構え直し、落下する。そして翼竜の頭を切り落とし、見事に着地した!
頭を失い、じたばたと暴れる翼竜。竜騎士を降り落とし、翼竜は地面に墜落し、動かなくなった。
「危なかったわ・・・でもなんとかなるものね!」
荒い呼吸をして、腹をふいごのように膨らましたりへこましたりしている聖子。しかしその顔には、にこりと笑みを浮かべていた。

11名無しさん:2012/08/29(水) 19:30:42

「戦士様、お怪我はありませんか?」
心配したマリアンが聖子のもとに駆け寄ってきた。
「ん、なんとか大丈夫みたい。」
聖子は一応お腹に異常がないかさわって確かめているがどこにも異常はなく、ホッとしているようだ。

12無明:2012/08/30(木) 00:00:15
「ですが、この程度はまだ斥候に過ぎません。やつらは、魔力で大きな鎧を作って、襲い掛かってくるのです」
「大きな鎧?」
「ええ、家を縦に3つ積み重ねたほどはあろうかという、鎧の巨人です」
その戦いぶりに皆が歓喜の声をあげる中、マリアンは聖子に釘を刺す。
相手は小手調べでしかなく、戦力はまだまだあるのだと。

そして、その翌日からというもの、領内のいたるところでバアル・ムゥの一味が現れた、とマリアンに伝えられるようになった。
どうやら、一味は聖子が戦い慣れする前に倒そうという魂胆なのか、戦力を集め始めたのだ。

13無能:2012/08/30(木) 00:27:29

「ふぅー今日もなんとか終わったー。」
聖子は用意されたマリアンの宮殿の一角の自分の部屋のベットにゴロンと寝転がって一息ついていた。
「お疲れさまです。」
マリアンは王女でありながら自身で聖子の身の回りのお世話をしてくれている。
「仲間は戦士以外にいないの?」
ここ数日、聖子は気になっていたことを聞いてみた。聖子の中で自分の世界のテレビゲームのイメージで戦士がいるなら魔法使いや格闘家などもいるのではとおもったのだ。

14名無しさん:2012/08/30(木) 01:47:00
「予言によると、道行く先で戦士様を助けてくれる妊婦たちがいるそうです」
「本当なの、それ?バアル・ムゥも楽勝ね!」
「はい、ですが仲間たちがどこにいるかはわかりません。それにバアル・ムゥにとどめをさせるのは聖戦士マタニアだけだと書かれてました」
「そうか、あくまでサポートなわけね。結局はあたしがやらないとダメなのね」
残念そうに肩を落とす聖子。
そんな聖子を励ますように口を開くマリアン。
「戦士様、これからは更に激しい戦いが予想されます。宝剣の力だけでは苦戦するでしょう・・・」
「そうね・・・もっと強力なやつらがでてくるでしょうね。正直言って不安だわ」
「そこでです。戦士様が更なる力を得る為に、三種の神器を手に入れる必要があります」
「三種の神器?」
聖子は目を丸くして聞き返した。
「太陽神の盾、海神の宝珠、母神の鎧・・・。この3つの神器を手に入れればバアル・ムゥを倒すことも容易くなるでしょう・・・!それに戦士様を助けてくれる仲間も見つかるかもしれません!」
「成る程、一石二鳥ね!」
「ですが、敵の妨害は激しくなるでしょう」
「構わないわ。返り討ちにしてでも手に入れる価値があるわね。それはどこにあるの、マリアン?」
「残念ですが私はわかりません。しかし占い師のパメーリャならわかるでしょう」


城下町の外れにテントが建っていた。マリアンと聖子はその中に入った。
「よく来たわね、王女様に戦士様。お待ちしておりましたわ」
パメーリャの姿にあっと驚く聖子。
顔を薄手のベールで覆い隠している女性だった。ベールの向こうから覗く顔は若く整っていおり、妖しく艶やかであった。
豊満な裸体を透け透けの下着で包み、そのお腹は大きく膨らんでいた。双子が入ってるかと思わんばかりの孕み腹であった。
「パメーリャは自身のお腹に探し物を映し出すのです」
「つまり、彼女のお腹が水晶みたいなものなのね」
「彼女はいつからここにいるのかわからないのです。聞いた話だと彼女は遥か昔からこの妊娠した姿だったとか・・・」
「え、昔っから臨月なの。いったい何者なのよ?」
こそこそと話す二人に、パメーリャはクスリと笑う。
「ふふ、そんなことはどうでもいいじゃないですか。それより三種の神器の在りかと仲間の場所を聞きにきたのでしょう?」

なにやら呪文を言いながら、パメーリャはお腹をなで回し始めた。すると彼女のお腹にぼんやりと映像が映し出された。
「先ずは・・・太陽神の盾・・・。ふむ、樹々が深々と生い茂る南方の密林地帯のようね・・・。その密林の奥深くに眠る神殿がみえますわ・・・。どうやらこの中にあるみたいですね。そういえば風の噂によると、女だけの部族、アマゾネスたちの集落があるそうな・・・」

15無能:2012/08/30(木) 01:57:10

「アマゾネスは、裸の民族なのでその場所へは前を隠すための神聖な葉っぱしか身に纏えないのです。さっそく支度をしなくてはなりませんね。」
マリアンは、アマゾネスの民族の風習を思い出して呟いた。
「あとわたくしの世話係にアマゾネス出身のものがみえるので案内させますわ。」
マリアンは着々と支度を始めていた。

16名無しさん:2012/08/30(木) 19:36:45

日がのぼらぬうちに出発し、なんとかバアル・ムゥの軍勢の目を掻い潜り、聖子は密林地帯へとたどり着いた。

日光が届かぬほど暗く、樹々が生い茂るジャングル。道なき道を歩く聖子。その姿は葉っぱで作った腰巻きだけを身に付け、ほぼ裸体だ。邪魔な植物を剣で切りながら、進んでゆく。
「戦士様、足下には気を付けてください。猛毒を持った蛇や蜘蛛がいますので」
聖子を先導してるのはヤナという女性だった。マリアンの言っていたアマゾネス族出身の世話係だ。
「アマゾネス族には女しか産まれません。だから余所の男たちとまぐわって子孫を残すのです。」
「まぐわった後、男はどうするの?殺すの?」
「いえいえ、用がすんだらさっさと追い出してしまいます。産まれてくる子どもは部族のみんなで育児をするのです」
アマゾネス族の説明を聞く聖子。ふと後ろからガサガサと草が擦れる音がしたので、音がしたほうに振り向いた。

そこには一人の少女が立っていた。15から16くらいだろうか。彼女もまた、葉っぱの腰巻きを着けただけでほぼ全裸だった。短めの髪に鳥の羽根を飾っている。
発達途中の小振りの胸とあどけなさが残る少女だった。だが少女のお腹はぽっこりと大きく膨らんでいる。少女が妊娠しているのは明らかだった。
「あ、あの・・・!」
聖子が声をかけようとしたが、少女は逃げるように密林の中へと消えた。
「いったい、なんだったのかしら・・・」
呆気にとられる聖子。ヤナは冷静に説明した。
「さっきの人は・・・族長の3番目の娘のフィピ様ですね」

17無能:2012/08/30(木) 21:37:18

「何で逃げたのかしら?」
聖子は見慣れない自分がいるため逃げてしまったのかと思い不思議そうにしていた。
「違います。多分仲間に伝えにいったんだと思いますよ。もうここを抜けたらすぐですから。」

ヤナは道を進みながら説明する。
「でもフィピさま?は、妊娠してたのかしら?お腹が大きかったし。」

18名無しさん:2012/08/30(木) 22:15:31
「確かに妊娠してたわ。この目で見たわ、お腹が大きかったもの。でもまだ幼いのに妊娠してるだなんて・・・」
聖子の驚いてる様子に、ヤナはおかしそうに笑った。
「私たちの部族は、若いうちから子どもを産みます。だからフィピ様のように若い母親は珍しくないのですよ」
「そうなんだ・・・あたしの住んでた世界ではいろいろと大変なことなのに・・・」
十代での妊娠は当たり前。世界が違えば価値観も違う。そのことに聖子は改めて感心した。
「ヤナにも子どもはいるの?」
「えぇ、町のほうに住んでますよ。私にとって、子どもは生き甲斐ですもの・・・!」
ヤナの笑顔を見て、聖子は胸をうたれた。
自分もヤナみたいな母親になりたいと思い、聖子は自分のお腹をなでた。

19無能:2012/08/30(木) 22:23:09

「もうここで終わりですよ!」
最後の草を掻き分けると平原が広がっており、百メートルくらい先に部落がみえる。
「んーーーー!あそこがアマゾネスの村ね。」
日差しを全面に浴び、聖子は伸びをしながらいった。

20無明:2012/08/31(金) 00:15:04
そこは、住民たちの見た目とは裏腹に、驚くほどしっかりとした、木と土壁が「編みこまれた」かのような建造物があった。
大小様々なものが立ち並び、人々が暮らしている。
建物の種類も様々で、家だけではなかった。
そう、ここは大きな街なのだ。
「私たちは、大地と、空と、水とともに、その力を借りて一つとなって暮らしているのです」
ヤナが語る。
彼女たちの部族は、この世界に満ちる、精霊の力を扱うことに長けているのだという。
精霊たちは人工物を嫌うため、その精霊と触れ合うためにアマゾネスたちはこのような姿であるとも言っている。
色々と説明されるうちに、一際大きく、立派な建物が見えてきた。
「ここが、族長の居処です。きっと、フィピ様が伝えて下さったのでしょう。門が開いています」
すると、門の奥から人影がいくらか見えた。
先ほどのフィピと呼ばれた少女ではないらしい。
歳の頃は聖子よりいくらか年上だろうか。
しかし、そうでありながら若々しさすら感じる美貌。
女性である聖子でさえ眼を見張るほどの豊満なバスト。
そして、それよりも目立つ巨大なお腹。
ヤナがさっと跪いていたのを見て、聖子は目の前の人物のことを理解した。
ああ、この人が族長なんだ、と。

「久しいな、ヤナ」
「ええ、ベレニア様もお変わりなく」
跪いたまま、言葉をかわすヤナと族長。
ちらりと聖子の方を見ると、今度はそちらに話しかける。
「それに………そなたが?」
「あ、はい………聖子、っていいます」
「セイコか………覚えておこう。二人共、立ち話も何だ、こちらに来るがいい」
聖子の返答を聞くと、族長はそのまま二人を奥に案内し始めた。

21無能:2012/08/31(金) 00:43:13

「なにもないが。」
べれニアは、側近にお茶を出させ、聖子とヤナを座らせた。
「あの?ひとつお聞きしていいですか?」
「なんだ?」
聖子は、街に入ってきてからの違和感を先に聞いてみることにした。

「この世界では妊娠できないって聞いたのですが、この街の人たちはみんな妊婦さんのようなのですが。」
そうこの街にはなぜか大人は妊婦さんしかいないのだ。

22名無しさん:2012/08/31(金) 17:57:10
「村は二つある。妊婦だけが住む村とそうでないものが住む村だ。両方を行き来しながら生活してるんだ。それに村の場所も一定じゃない。この密林の中、あちこちと移動している」
ベレニアは片手で三歳くらいの幼子を抱き、もう片方で赤子を抱き乳房をくわえさせながら説明した。妊娠しているが母乳がでるらしい。
「とくにここは妊婦だけが住んでいるからな守りが厳重なんだ。だがもう妊娠はできない。だからこの妊婦の村が襲撃されたらアマゾネスたちはもう滅亡する、バアル・ムゥの呪いが効いている今の世界ではな・・・」
ベレニアの話を聞いて、聖子は表情を険しくした。
(この人たちの為に、少しでも早くバアル・ムゥを倒さなければ・・・!)
自分のお腹をなで、聖子はバアル・ムゥ討伐への思いをさらに強くした。

「そういえば・・・」
ふいにヤナが口を開いた。
「ベレニア様、長女のバマラ様と次女のピュラハ様が見かけないのですが、どちらに居られるのでしょうか・・・?」
ヤナの質問を聞くとベレニアの表情が暗くなった。
「・・・バマラとピュラハは・・・バアル・ムゥの魔物に襲われ、殺された・・・川で水浴びしている時に狙われたんだ・・・」
ベレニアの言葉に聖子とヤナは絶句した。ベレニアの言葉は続く。
「・・・二人とも妊娠していた。ピュラハは首を切り裂かれていた、だが腹の子は無事だった。だからピュラハの腹を切り裂いて赤子を助けたんだ、この子を・・・」
ベレニアの乳房をくわえる赤子。その子はピュラハの子どもだった。
「バマラと腹の子は・・・どうしようもなかった・・・。バマラの腹に・・・何本もの矢が刺さっていたからだ・・・。私が抱いてる子は・・・バマラの子だ。可哀想に・・・この子は自分の母親と妹を殺されたんだ・・・」
ベレニアが抱いている幼子。それはバマラが遺した子どもだった。
「娘が二人も殺された・・・私に残されたのは・・・フィピと腹の子だけだ・・・・・・!」

23無能:2012/08/31(金) 20:18:16

「そうなんですか。」

「是非、この村を救ってください!」
「も、もちろんです。」
聖子はアマゾネスの長のベレニアに頭を下げられ、恐縮する。
「ありがとうございます。あと、こちらに来てください。」
ベレニアは、一度外に出てある場所に案内する。

24無明:2012/08/31(金) 23:37:46
しばらく黙りこんだあと、ベレニアは再び口を開く。
「ヤナ、そしてセイコ。この村に来たということは、太陽神の盾を求めているのだろう?」
「ベレニア様!」
その言葉に、身を乗り出すヤナ。
聖子は、最初こそ状況がわかっていなかったものの、ベレニアの話を聞いて決心がついたのか、深く頷いた。
「あの神殿は精霊の加護を受けている。私のように、精霊と触れ合えるものがいなくては、太陽神の盾を持ち帰ることはできまい」
そう言って、ベレニアは二人を神殿へと連れて行った。

25名無しさん:2012/08/31(金) 23:58:11
「神殿は聖域だ。だからそこへ至る道は険しい。足下に気を付けるんだセイコ・・・!」

孕み腹と乳房を揺らしてベレニアは進みだした。聖子も孕み腹と乳房を揺らして後に続く。

26無能:2012/09/01(土) 00:29:00

「あっ!?」
「危ない!!」
「ありがとう。」
なれない道で何度も躓きそうになるセイコをヤナが補助しながらも少しずつ進んでくると人工的に作られたような真っ白な神殿が見えてきた。

27名無しさん:2012/09/01(土) 01:08:44
(無能さん、もう少し状況とかを詳しく書いたり、膨らませてくれないでしょうか。描写がセリフだけだとちょっとシンプルすぎると思います)


「あれが神殿・・・」
豪華な造りに思わず聖子は疲れと虫刺されを忘れたら感動した。
「あの中に太陽神の盾がある。バアル・ムゥのやつらに会わなければ・・・?」ふいに後ろから足音がして後ろを振り向く三人。
そこにはフィピが立っていた。汗まみれになって息もとぎれとぎれである。
「フィピ様・・・!?」
「フィピ、どうしてあなたがここに!?」
フィピはベレニアに抱きついた。
「母さん、大変なの!あ、あたしバアル・ムゥの軍勢を見たの!それにもうひとつの村のほうから煙と火の手が上がってたの・・・!」
「な、なんですって!?」
聖子はフィピに近寄った。無意識に宝剣の柄を握りしめていた。
「あ、あたし、怖くなって・・・母さんに知らせないといけないと思って・・・!」
「フィピ、妊婦たちの村には知らせたのか!?」
「うん、知らせたわ。バアル・ムゥがのやつらが来たって・・・!」
パニックになっているフィピを抱きしめ、頭を優しくなでるベレニア。
妊婦とはいえ少女はまだ幼いのだ。彼女を慰める妊婦の母親。新しい命を宿していても母と娘の関係は変わらない。
そんな二人のやりとりを見とれている聖子。その時である。
「フィピ様ベレニア様!あぶない!!」
ふいにフィピとベレニアを庇うヤナ。突然ヤナの背中に三本の矢が突き刺さった!

28無能:2012/09/01(土) 01:16:50

(気を付けます。)
「「ヤナ!?」」
矢が刺さったヤナにフィピとベレニアが叫んで、ヤナの怪我の状態を見る。
ヤナの刺さった矢の傷は急所は外れているが傷が深いようだ。
「ヤナさんを連れて神殿の中へ!早く!!」
聖子は尚も勢いを止めずに飛んでくる矢を剣で払いおとしながら叫んだ。
「わかりました。ヤナ、しっかりして!」
フィピとベレニアが辛うじてまだ意識のあるヤナの左右の肩を支えて、神殿に入っていった。

29無明:2012/09/01(土) 01:43:46
神殿へ逃げ込もうとする聖子達。
逃げ切ったか、と思ったその時、辺りに声が響く。
「ふむ、バアル・ムゥ様に従わない者共の首魁が揃いも揃ってこのようなところに。悪いがまとめて頂く!」
そんな台詞とともに、ボウガンを持った男がゆらりと現れた。
頭のてっぺんからつま先まで、すべてが白い。
その長身痩躯の体と相まって、どこか骸骨を想起させる男だった。
「私はエノブ。まあ、お前らが知ったところで、記憶する必要はないからな………」
そう言って、再びボウガンを構える。
狙いは聖子の眉間!
だが、放たれた矢は聖子に命中することはなかった。
瞬時のうちに5本の矢が撃ち込まれるも、4本は宝剣の加護の前に命中叶わず。
最後の一本は、なんと一瞬の間に聖子の前方に踊りでた、ヤナが片手で受け止めていた。
見れば、背中に命中した矢も、傷も消え失せている。
「ほう、面白い体をしているのだな、お前は」
エノブは、ボウガンを構えたままニヤリと嗤う。
対するヤナは聖子を催促すると、エノブを睨みつけて語りはじめた。
「マタニア様、早く太陽神の盾を。………私達の部族は村を出るならば、その時に一人一つ、固有の精霊と契約する」
聖子とベレニア、フィピが神殿の奥へ向かったのを見て、ヤナは更に言葉を続けた。
「私が契約した精霊は、不死。私は、何がどうなろうと、身体が灰すら残らずとも、絶対に死なない。いや………死ねないんだ!」
ヤナはどこかに隠し持っていた短剣を振りかざすと、エノブに立ち向かった!

30無能:2012/09/01(土) 01:54:23

「ヤナ、ここはお願い。すぐに戻るから。」
聖子は、ヤナ一人でも大丈夫だということを確認してから、お腹を支え、ベレニアとフィピの後を追いかけていった。
聖子がベレニアとフィピに追い付く頃には神殿の太陽神の盾がある噴水のところまで来ていた。

31名無しさん:2012/09/01(土) 18:01:27

噴水の中央に太陽神の盾はあった。
黄金に輝く円形の盾。その真ん中に豊満な乳房と膨らんだ腹をもつ女神が彫られ、女神から放射線上の光が放たれている。
「あれが太陽神の盾、なんて綺麗なの・・・!」
眩しく輝く黄金の盾に聖子は見惚れる。
「太陽神の盾を取り外せるのは私だけだ。セイコはここで待っててくれ。フィピ、あなたはセイコのそばにいなさい、いいわね?」
「うん、わかったわ、母さん」
聖子はフィピの肩を優しく抱いた。フィピの怯える姿に将来産まれてくるであろう、子どもの未来の姿を重ねた。
「フィピ、あたしが絶対守るわ・・・離れてはダメよ」
「はい、セイコ様・・・!」
フィピは二人の孕み腹がくっつくほど聖子を強く抱きしめる。
ベレニアが噴水のプールに足をつけた。
その時、突如上から何かが降ってきて、三人を囲んだ。
どこかの部族がつけるような木製の仮面をつけ、片手に曲刀を持ち、腰巻きをつけた男たちだった。だが男たちに生気が感じられず、威嚇するような耳障りな声をあげている。

「やつらの仲間ね!」
聖子はフィピを強く抱き、宝剣を振りかざした。

32無明:2012/09/02(日) 00:34:37
「待て」
それを止めたのはベレニア。
「私だ。分かるだろう精霊よ」
ベレニアがそう言うと、突然男たちはおとなしくなり、すっと立ち尽くしていた。
その中の一人が口を開く。
「そうか、お前が今代の使者か」
聖子はここで、男たちに生気が感じられない理由を理解した。
精霊には生死の概念がないと、ヤナは言っていた。
目の前の男たちは精霊なのだ。
精霊の、別の一人が聖子を見て、尋ねた。
「お前が、聖母戦士なのか」
「え、ええ………」
「ここに来るということは、盾を要しているのだろう。だが、おいそれとは渡せぬ。試練を、受けてもらおうか」

33名無しさん:2012/09/02(日) 00:59:40
「試練、どんな内容なの?」
聖子はフィピをやさしく離し、精霊に向かった。聖子はやる気満々だ。
精霊は言う。
「単純なことだ。我らと戦うこと。見事打ち倒せば太陽神の盾をやろう。ただし聖母戦士とはゆえ容赦はせぬぞ。しくじればお前も腹の子どもも死ぬぞ」
「いいわ・・・どうせ逃げ道はないもの。この世界を救うためなら、なんてことないわ」
腹をなでながら、宝剣の切っ先を精霊たちに向ける。
「セイコ様・・・」
フィピは心配そうな顔をする。
「大丈夫よフィピ、だってあたしは聖母戦士マタニアだもの」
聖子はフィピにウィンクをした。
「セイコ、油断するなよ・・・」
「ありがとう、ベレニア。太陽神の盾を手に入れてみせるわ」
聖子は宝剣を構えた。
「ではゆくぞ、マタニアよ・・・!」
そう言うと、精霊たちは姿を消した。

34名無しさん:2012/09/02(日) 17:45:42
「き、消えた・・・?」
突然消えた精霊たちに驚きを隠せない聖子。
すると神殿の奥からずるずると何かを引きずる音がした。
「なにかが来る!」
神殿の奥で蠢くモノはこちらにやって来る。やがてそれは姿を現した。

黄金に煌めく鱗、金色の瞳。とてつもなく巨大な大蛇だった。さながら蠢く金塊だった。大蛇は舌をチロチロと出しながら聖子に近づいてくる。
「精霊が姿を変えたんだ、気をつけろセイコ!」
「で、でかい・・・でもやるしかないわ!いくわよ精霊!」
聖子は黄金の大蛇に向かった。

35名無しさん:2012/09/04(火) 22:39:18
勢いよく跳び、大蛇に剣を振り下ろす聖子。しかし、聖子の剣撃は黄金の鱗で弾かれた。虚しく金属音が響く。
「か、硬い・・・!」
弾かれた衝撃がジィインと聖子の手にも響く。
大蛇はその隙を付き鎌首をあげ、口から毒液を吐きつけた。
「セイコ、危ない!」

36りりー:2012/09/05(水) 08:37:18

「くっ!」
聖子はフィピの声でなんとか毒液からは逃れた。
毒液は猛毒らしく、毒液がかかった地面は、ジワジワと湯気を出して変色し溶け出している。
焦っている聖子は大蛇によって放たれる毒液を避けながらも、神殿の壁に追い詰められてしまった。

37無明:2012/09/05(水) 12:44:59
(こうなったら………!!)
毒液を食らってしまえば一巻の終わり。
だが、この程度で怯えていてはバアル・ムゥを倒すことなど、できやしないと聖子は考えた。
「えええーーーーーーーーーーーいっ!!」
叫びとともに、宝剣を構え走りだす聖子。
振りかざした剣は、大蛇の腹に突き刺さった。
その際に何か手応えを感じ、ゆっくりと宝剣を引きぬく。
すると大蛇の刺し傷から光が漏れ、黄金に煌めく盾がその姿を表した。

38名無しさん:2012/09/05(水) 17:31:22
「よくぞやった、聖母戦士よ。お前の力ならばバアル・ムゥを倒すことができるかもしれぬ・・・。さぁ、太陽神の盾をくれてやろう」
大蛇の身体はぐずぐずと崩れ、金粉の山と化した。その山に盾が埋もれていた。
「これが太陽神の盾・・・!」
聖子は金粉に埋もれた盾を手に取った。
「「聖母戦士よ、頼んだぞ。世界を救ってくれ・・・」」
精霊の声は消え、風が吹いた。金粉の山は風で飛ばされ神殿の奥へと運ばれていった。
「セイコ様、やりましたね!」
フィピが嬉しそうに聖子の胸と腹に抱きついた。
「ありがとう、フィピ。それにしても精霊は・・・」
神殿の奥を見つめる聖子。にっこり微笑みながらベレニアは言う。
「大丈夫だ、精霊は死なない。少しの間、寝るだけだ」
ベレニアの言葉に聖子はほっとした。

39名無しさん:2012/09/06(木) 02:28:18

「フィピ様、ベレニア様、セイコ様、ご無事ですか!」
ヤナがどうやら外は退治してきたのか走ってやってきた。
「ヤナ、怪我はない?」
聖子は、大量の敵と闘ってきたヤナが怪我をしていないか心配そうにヤナを見た。
「私はこの通り、大丈夫です。それより太陽神の盾をてに入れることができたのですね?」
ヤナは聖子が持つ光輝いている盾をみて聞いた。

40名無しさん:2012/09/06(木) 17:01:59
「ええ、この通り手に入れたわ」
改めて盾を見つめる聖子。あまりの輝きに目が眩みそうだ。
防御だけでなく、これを敵に向ければその輝きで敵の目を眩ますことが出来るのだと聖子は直感的に理解した。
「これならもうバアル・ムゥも倒せるわね、母さん!」
フィピは嬉しそうにベレニアに顔を向けた。だが聖子は首を振るった。
「いや、太陽神の盾だけではまだ勝てないわ。急いで残りの神器を見つけないとバアル・ムゥを倒せないわ。私が妊娠してる内にね…」
聖子の言葉を聞いて少し落ち込むフィピ。彼女を励ますように優しく抱きしめるベレニア。
「盾は手に入れた。急いで村に戻らないとな、セイコ。仲間たちが心配だ…!」
聖子は強く頷いた。

41無能:2012/09/06(木) 17:52:10

聖子とフィピ、ヤナ、ベレニアの四人は走って村に戻る途中、村人の悲鳴が聞こえ、焦り更に足を早めた。
「ベレニア様!!」

村人の妊婦の女性がお腹を支え、走って逃げてきた。

42名無しさん:2012/09/06(木) 23:39:07
よく見ると妊婦は怪我をしていた。
「バ、バアル・ムゥの軍勢が・・・!村の者たちで迎撃しましたが、怪我をした者や死んでしまった者が・・・」
「糞・・・!」
ベレニアは舌打ちをした。
「フィピ、あなたは彼女の手当てをしてちょうだい!ヤナはフィピと彼女の護衛を頼む!セイコ、一緒に来てくれ!」
ベレニアはフィピとヤナを残し、聖子と一緒に村の広場まで走った。

広場は死屍累々だった。腹から臓物と共に胎児がこぼれ死んだ者。血まみれになって死んだ者。様々な死体があった。
そして広場には、斧を振り回す重装備の黒い鎧の歩兵達がいた。
「貴様らぁ!!!」
聖子とベレニアは怒りの声をあげ、重装歩兵たちに飛びかかった!

43マタニティスイミングを更新していただけるとありがたいです。:2012/09/07(金) 00:03:21

その間にヤナは、死んでしまった仲間からはみ出していたり、亡骸になった仲間のお腹を捌きだした赤ん坊の生存を確認しながら、手当てが終わって戻ってきたフィピと二人でまだ生きている赤ん坊の保護をすることにした。
その時、ヤナは呻き声が聞こえ、崩れかけた建物の近くにいった。
そこには重症を負いつつも出産しようとしているアマゾネスがいた。

44無明:2012/09/07(金) 03:37:08
重装歩兵たちを打ち倒していく聖子とベレニア。
だが、その前に巨大な影が立ちはだかる。
赤と黒に彩られた、虫の羽の生えた巨人だ。
(あれが………マリアンの言っていた!)
アレにどうやって立ち向かえばいいのか。
そう考えているうちに、巨人は右手から焔を吹き出した。
とっさに掲げた太陽神の盾は、その焔を打ち消す。
だが、こちらも友効な手を見つけられないため、迂闊に近づけなかった。

45無明さま、更新ありがとうございます:2012/09/07(金) 06:38:26

「セイコ、巨人の急所はあの頭に光る赤い玉だ。あれを壊せれば巨人は死ぬ。」
ベレニアは、息を整えつつ聖子にいった。
「頭か。」
聖子は相手の攻撃をよけつつ巨人の頭の玉を割るには何かいい手段はないかと考える。

46名無しさん:2012/09/07(金) 18:33:24
(そうだ、盾を使えば……!)
聖子は巨人を惹きつけながら攻撃を避ける。やがて巨人に追い詰められる。
「セイコ!くっ…!」
ベレニアは聖子を助けようとするが重装歩兵に邪魔され助けに行くことができない。
巨人が腕を振り上げる。
「今だ!」
太陽神の盾を掲げる。すると盾から激しい光が放たれた。その激しい光で目が眩み、巨人の動きが一瞬止まる。
「えぇーーーーい!!」
隙をついて聖子は宝剣を巨人の急所に向かって投げつけた。宝剣が急所に深々と突き刺さり、赤い玉が砕け散った。

47無能:2012/09/07(金) 19:56:31

「ぐはっーーーー!」
叫び声と共に巨人が崩れ落ち、砂となって消えたかとおもうと歩兵も消えてしまった。
「ベレニア、大丈夫?」
「あぁ。セイコはさすがだな。」
ベレニアは、セイコの闘いっぷりに感心している。

「ヤナとフィピが生存している赤ん坊を保護している。手伝っとくれるか?」
「もちろん。」

48名無しさん:2012/09/08(土) 11:00:30
ヤナとフィピの元へ向かうと声が聞こえてきた。
「頑張って、もう少しよ・・・!頭はもう出てるわ」
フィピは怪我をしている妊婦たちや助かった赤ん坊の処置を。ヤナは重症を負った妊婦の出産の手伝いをしていた。
怪我の手当をしてもらった妊婦たちも、生き残った赤ん坊たちに乳を飲ませたりしている。
「うぐぅ・・・ぐはぁっ!」
妊婦の股間から、羊水を散らし赤ん坊がずるりと出てきた。赤ん坊の泣き声が響く。
「よくやったわね・・・!」
ヤナは妊婦を励ましながら、赤ん坊を抱かせ乳房をくわえさせる。
「はぁ・・・はぁ・・・あ、あたしの・・・赤ちゃ・・・ん・・・」
妊婦は弱々しく微笑み、そしてゆっくりと事切れた。

49無能:2012/09/08(土) 13:26:45

「よく頑張ったわ。ゆっくり休んで。」
ベレニアは、彼女から赤ん坊を抱き上げ、ヤナが彼女に布をかけた。
「残っていた孤児の数は?」
「この子を合わせて3人です。もしかするとまだいるかも。」
ここにいる赤ん坊の世話と妊婦の手当てをフィピとヤナに任せ、セイコとベレニアは他にも怪我人がいないか探す。

50マタスイをよろしくお願いいたします。:2012/09/09(日) 01:51:06

「セイコ、そっちはどうだ?」
「こっちに亡くなっている妊婦さんがいます!」
聖子は、首を切られ死んでいる妊婦を見つけたが、胎児の生存まではわからない。
「まだかすかに心音がある。」
ベレニアは、胎児の心音がわかる能力をもっているため、妊婦の腹に耳を当てて確認した。そして胎児を取り出すためのナイフを取り出した。

51名無しさん:2012/09/09(日) 17:55:15
生存している妊婦と胎児を助け続ける二人。
「この子はもう死んでいる…可哀想に……」
最後の妊婦の遺体を見つけ、胎児の生存を確認し終えた。
「ベレニア様ー!」
向こうから一人の妊婦がやってくる。ベレニアの側近だった。幼子を両脇に抱いている。バマラとピュラハの子供だった。
「おぉ、お前が保護してくれてたのか……!あぁ、二人とも……!」
ベレニアは涙を浮かべ、二人の幼子を抱きしめた。
「ベレニア様、もうほかに生存者は見当たりませんでした。向こうの村にも甚大な被害が出たようです………」
「そうか……。報告をしてくれてありがとう。向こうでフィピとヤナが手当てをしている。お前も手当てを受けるんだ」
「わかりました……」
側近は二人の元から去った。ベレニアは幼子に乳を与えながら聖子に言った。
「セイコ、ありがとう。お前のおかげでバアル・ムゥの軍勢から救われた」
「そんな……あたしは…………それにこんなに被害が…………」
「いや、お前がいなければ私たちは皆殺しにされていた。だけどわずかながらも生き延びることができた。これも聖母戦士マタニアのご加護なのかもしれないな……」
ベレニアは優しく微笑んだ。

52名無しさん:2012/09/09(日) 18:09:58

「私たちもフィピたちのところに戻るか。」

セイコとベレニアは、フィピたちのもとにもどると最後の側近の手当てを終わったところだった。

53名無しさん:2012/09/09(日) 20:00:37

しばらく身体を休める聖子とアマゾネスたち。
「うぐぅ・・・・・・!」
「・・・?どうしたのベレニア?」
ベレニアの横顔を見る聖子。ベレニアの額に脂汗が浮かんでいた。
「ど、どうやら・・・無茶をしすぎたようだな・・・双子の孕み腹では・・・がはぁ!」
急に孕み腹を抱え苦しみだすベレニア。するとベレニアの股間から羊水が流れた。
「ベレニア!?」
「ベレニア様!!!」
「母さん!?」
聖子とフィピとヤナ、他のアマゾネスたちが駆け寄った。
「はぁ、はぁ、だ、大丈夫だ・・・!私は娘を三人も産んだんだぞ。ふ、二人一緒に産むくらいなんてことはない・・・・・!」
ニッコリ笑い、気丈に振舞うベレニア。
「母さん、大丈夫?」
「フィピ。いい機会だ・・・。これから双子が産まれる様子を観察するのよ。いつかあんたも双子を産む機会があるかもしれないからね・・・!」
涙ぐむフィピの頭を優しく撫でるベレニア。どんな時でも母は母であった。
「でもベレニア・・・・・・」
「大丈夫だセイコ、私のことは気にするな・・・。それよりお前は次の神器を探しに行ってくれ。この世界を少しでも早く救う為に・・・・・・!」
「・・・・・・わかったわ。あたしはこれからビルスに戻る。そして次の神器を探しに行くわ。ベレニア、元気な赤ちゃんを産んでね。またいつか会いましょう・・・!」
聖子は決意を決め、ゆっくりと立ち上がった。
「ヤナ、あたしは先に戻るわ。ベレニアの助産、お願いね・・・」
「はい、戦士様・・・」
「フィピ、お母さんと妹さんを頼んだわ。それとお腹の赤ちゃんを大事にね・・・」
「セイコ様、ありがとうございました・・・」

54マタスイをよろしくお願いいたします:2012/09/09(日) 20:16:48

聖子は早速行きと同じ茂みの中を歩き、ビルスに戻った。
「セイコ様、おかえりなさいませ。」
「ただいま。」
マリアンが城の入り口で出迎えてくれた。

「そちらが盾ですね。」
マリアンが金色に光る盾をみて嬉しそうにいった。

55無明:2012/09/10(月) 01:25:10
「ええ。後は宝珠と鎧だったかしら?」
「その通りです。パメーリャ様は、宝珠は海の底、おそらくマーメイたちの国にあるはずだと」
「マーメイ?」
聞きなれない言葉に、首を傾げる聖子。
「ええ、下半身が魚のようになった、我々と近くて遠い種。人魚です」
マリアンはそう言って、更に話を続けた。
いわく、人類とマーメイは仲はいいが、普段はお互い不干渉を貫いていて、今回は世界の危機であるため連絡を徹底してるとのこと。
そのため、ある海岸まで行けばマーメイの国にはいけるということの2つだった。

56マタスイをよろしくお願いいたします:2012/09/10(月) 01:37:39

早速マーメイの国に向かうため、マーメイと落ち合う海岸にマリアンとやってきた。

「あそこに苦しんでる人魚がいる!」
セイコが岩を掴んで苦しそうなまだ幼さを残している人魚を見つけた。
「ミラ、どうしたの?」
「はぁ、はぁ、戦士さんを、迎えにきたんだけど、産まれそう!!」
ミラという人魚は、セイコを迎えに来たが、たまたま産気づいてしまったのだ。よくミラを見ると頭ではなく尾びれが見えかくれしている。

57無能:2012/09/10(月) 02:15:10

「確かマーメイも頭から出てくるはずよね?」
「は、はぃ。私の、お腹、三つ子、なんですぅーーー!」
ミラは、尾びれを動かし赤ん坊を出そうと必死だった。

「セイコ、手伝ってくれる?」
マリアンは、海に入りミラの出産の介助をすることにしたのだ。

58無明:2012/09/12(水) 05:23:00
それから数十分。
ミラの介助をしているのはいいが。一向に進む気配がない。
苦しみながらミラが伝えた情報もあって、とりあえずマーメイの国に戻って出産させることにした。
マーメイのちからによって、渦潮を通りマーメイの国には直ぐにたどり着いた。
海底にそびえ立つ、古代ギリシャの神殿のような建物がいくつもある。
何より地上と違うのは、住民がみな、人魚であることだった。

59マタスイを更新していただけると嬉しいです:2012/09/12(水) 06:52:47

「ミラさま!」
1人の慌てた真面目そうな人魚が聖子たちに気づき、やってきた。
「ミラ、さま?」
「はぁ、はぁ、はぃ、実は、私は、マーメイの、長です。」
「え〜〜!」
聖子は只の案内役だと思っていたため、とても驚いている。

60名無しさん:2012/09/13(木) 23:59:26

「だからあれほど私たちが迎えにいくといったのですよ。」
「はぁ、はぁ、私の、付き人で、セキ、といいます。」
近くにやってきた頭の固そうな人はミラの付き人らしい人は、セキと言うらしい。

「ここよりは、神殿のほうがいいと思うので、皆様も神殿の中へおはいりください。」
ミラを抱えてセキが神殿に入っていくため、ついていく。

61:2012/11/20(火) 14:14:54
神殿に運ばれたミラは、水深の浅いプールの中に入れられた。
大きなお腹が、水面にぽっこりと出ている。
「はぁはぁ、うぅーーーん!!」
プールの縁にもたれて、必死に息む彼女の尾びれの穴からは、まるまる太った胎児の尾びれが半分ほど飛び出していた。
「ミラさまはいつからこのような状態で?」
「私たちを迎えに来た時に産気づいたみたい。みんなで手伝ったんだけど、あれ以上出て来ないの」
セキの問いかけに、セイコが答える。

62名無しさん:2019/09/15(日) 00:08:19
それに続けてマリアンが答える。
「それで、私達だけではもう、それ以上はどうしようも出来なくなったので、皆様の手を借りようと思って、ミラをこの国に戻すことにしたのです。」

それに対して、セキが、
「そうですか・・・・・・・・・・・・。」
と答え、そして、こう続けた。


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