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【妄想爆発】チラシの裏【大上等】

1名無しさん:2012/07/23(月) 20:55:39 ID:FfmC0Dnw
勝手にスレを立てさせて頂きました。

薄汚い妄想だろうが職人のSSにも満たない話など、何でも良いから書きたい事は此処に書け!

Q、何か書きたいけど投下する勇気が持てない…
A、恐れるな! 勇気と誇りを持って書きこもう! 我々はアブノーマル! どんな話(餌)にも食いつくのだからぁッ!

2名無しさん:2012/07/24(火) 01:09:58 ID:/MSTzSmY
まずはじめにキャラを提供してくださった◆ESugOJ36Aさんに感謝ですっ!本当にありがとうございました!
そして遅れて申し訳ございません。まだ未完成でございますorz

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とある荒れた山道。一匹のポケモンが骨を擦らせる音を発しながらその荒れた道を淡々と登ってゆく。
骨を加工して作られた防具を纏った彼の名はジルギィ。生まれつき、というか種族がらかぶっている同じ種族のものであろう顔面骨によってその表情はうまくは読み取れない。少し暗みを帯びた彼は黙りこみさらに上を目指す。彼は別段目的があってこの山を登っているわけではない。まだ見ぬ世界を知ろうとたった一人で旅を続けている。その体にまとう骨には多くの傷が付いている。防具の間から見える地肌にもいくつかの傷跡も残っている。それは多くの修羅場をくぐりぬけてきたものの姿であった。

ふと、ジルギィは足を止め腰の辺りから骨を削り、作られた苦無を取り出す。そして枯れた木々の間目がけて投げつける。空気抵抗を極限までに減らしたその形とジルギィのまっすぐとした投げ方により狙った場所へと苦無は吸い込まれてゆく。苦無いが刺さった音がする前にポケモンの悲鳴が聞こえた。
「きゃぁぁああぁぁぁぁっ!!」
隠れるように木々の間に潜んでいたのは一匹のシャワーズだった。慌てて山道まで飛び出してきたシャワーズは荒い息を整えようとしている。ジルギィは一瞬どうしてやろうかと迷ったが先ほど感じた敵意は確かにこのポケモンから発せられていた。小さな悪意がどれだけ大きな殺意に変わるか。それを彼は知っていた。ジルギィは骨の小手に保護されている左手でシャワーズの首元を掴み右手に骨の大太刀を構える。シャワーズがひぃっと声をあげてみるみるちに目を潤ませる。その表情に一瞬ひるんだ。同年代、雌。流石にいきなり斬るのはかわいそうではないかと自分の良心に語りかける。
「ここで何をしていた。何故俺を敵視している」
骨をかぶっていることにより声は籠りより暗く聞こえる。これは敵を威嚇するのにも丁度いい。ジルギィはそれを知っていた。シャワーズが泣き出しそうな顔をしながら俯き言った。
「その……このあたりに山賊が出るようになって……あなたがそうじゃないかって思って…。それで、その……。
 よ、よく考えたら山賊の方が一人でいるわけないのに……ごめんなさい」
「……そうか」
ジルギィはそれだけ聞くとシャワーズの首から手を離しジルギィはシャワーズの前に立ち左手に更に苦無を出し右手の大太刀を構え直す。枯れた木の間を睨むとシャワーズに向け静かに言った。
「余計なことはするなよ……」
シャワーズの時とは比べ物にならない悪意を感じ取り利き手でない左手から5本の苦無を投げつける。その恐るべき速さによりどこに飛んでいったのか分からない程だった。苦無が当たった音と同時に数匹のポケモンの叫び声が上がる。どさりと何かが倒れる音に引き続き7匹のポケモンが飛び出してきた。全員布で口元を隠しいかにもそれらしい雰囲気を漂わせていた。

3猛反省している者:2012/07/24(火) 01:11:34 ID:/MSTzSmY
「まさかあたいらが先に見つかっちまうなんてねぇ……。倒れた仲間の分、あんたの命をもらおうかねぇ…」
一歩前に出て言ったマニューラはそう言うと他の山賊に合図を出す。飛び出してきたポケモンたちをジルギィは軽くあしらう。グラエナの牙を左手に瞬時に構えた盾で防ぎ剥き出しになった腹部に重い大太刀の峰をぶつけ後ろへ吹き飛ばす。他の者たちも余裕綽々と言った様子で峰打ちをくらわされすっかり伸び切った仲間たちが山道に倒れ込む。
「ちぃっ、ならこれでどうだい!」
マニューラはジルギィに向けて冷凍ビームを放つ。しかし、あらゆる修練を積んできたジルギィにとってのそれは避けることは全く苦にならないものでしかなかった。あっさりと避けられたと思い慌てるマニューラに向けて急接近するジルギィ。振りかぶった太刀はまたしても峰であった。しかし、その重い刀身を頭に受けて立っていられわけもなく。ばたりと後ろへ倒れ込むマニューラ。大太刀を鞘におさめ盾を背中に背負い直す。
そして悠々と山道を登ろうと歩み始めるジルギィ。先ほどの圧倒的な戦いに呆気にとられていたシャワーズはあわててジルギィの元に駆け寄る。
「あのっ、ありがとうございます!こんなにお強い方だっただなんて……。
 もしよかったら名前を教えてくださいっ。私は&ruby(しずく){滴};っていいま……」
「黙れ……粉砕するぞ」
ジルギィは鞘にしまわれた大太刀柄を右手で軽く握ってそう言った。彼自身もちろんそんなことをするつもりはなかった。長いこと他人と接することのない人生を送って来た彼にとって初対面で馴れ馴れしくされるのは不愉快だった。確かにわずかな照れくささも感じての発言だったのだが、シャワーズの滴はそんなことを読み取ることができなかった。
「ひっ!」
彼の右手から大太刀が振り下ろされるのかと本当に思ったのか震え上がる。少し悪い事でもしたのかとジルギィは思うと滴はしゅんと俯き黙りこくってしまった。ジルギィは特に気にもしなかったが重い空気が2匹の間に漂っていた。
何回も滴が話しかけようとしながらもやはり先ほどのこともあり口を開くことができなかった。道中に転がる山賊により殺されたであろうポケモンの骨を拾ってはジルギィが鋼タイプの体からとれた金属を使い器用に加工していくのをただ黙って見ていることしかできなかった。何の躊躇もなく骨に触れるということ自体に若干の恐怖を滴は感じていたのかもしれなかった。


*上で名前をつけ忘れましたorz

4猛反省している者:2012/07/24(火) 01:12:11 ID:/MSTzSmY
しばらくすると山の頂上のあたりにポケモンの集落があった。山道と集落を結ぶ場所には壊れた門がある。訝しげな顔をしてジルギィがそれを見ていると門の影からポケモンが出てくる。あれは確かブラッキーか、と相手の体つきを観察するジルギィ。相手にもならないと判断したジルギィは警戒をやめる。
「ん、滴か。  隣の方は?」
「ジルギィだ」
そう短く答える。その態度に若干不信感を持ったのかブラッキーが首を傾げてジルギィを見る。このままだと門前払いを食らいかねないと思った滴はブラッキーに言う。
「この方……ジルギィさんが私を山賊から助けてくれたんです。集落に入れてやってください」
滴が慌てて言うのを聞いてブラッキーが目を丸くした。どうやらジルギィを賊か何かかと思っていたのか驚いた表情の後に優しい声で言った。
「そうか。ありがとうな……」
「………」
ジルギィは特に何も言わずに門を通った。それに滴はついてゆく。集落はこざっぱりとしておりちらほらとポケモンの住処が見える程度であった。きょろきょろとあたりを見回した後ジルギィが後ろの滴に声をかけた。
「…宿はどこだ?」
「宿…ですか? そこの角を曲がって奥の方に一軒……。
 でも、助けてもらったお礼をしていませんっ。今日はせめて私の住処に泊まっていってくださいっ!」
「余計なお世話だ。
 だいたい、お前を助けた覚えなんかない。暴れたかったから暴れただけだ」
言ってからジルギィはだいぶ後悔した。これでは自分が戦闘狂のようではないか。まあいい、心優しい者と思われるよりかは幾分ましだ。そう思い直すと宿に向けて歩を進める。
心優しいと思われようがジルギィはきっとそのポケモンを信じることはできないのかもしれない。それは彼の子供のころの経験故なのだがそれはまた別の物語で話すとしよう。
ジルギィは自分の心の中に存在する良心と言うものを嫌う。孤立することを渇望するにもかかわらず他の者に優しくしてしまおうとするこの心を憎んでやまない。そのせいで今まさに自分を苦しめている。他人との関わり方を知らないのにもかかわらずこうして他人がよってくる。こいつらをなにも思わず斬れるほど冷酷になれればいいものを。そうジルギィ自身が思うほどであった

5猛反省している者:2012/07/24(火) 01:13:07 ID:/MSTzSmY
宿へと歩を進めていることにやっと気が付いた滴は急いでジルギィの前に立ちふさがる。
「ジルギィさん!
 私がただで止めてあげるって言ってるんですけど〜……」
「……余計な世話を焼くな。  誰にも頼らない……頼る必要なんてない」
自身に暗示をかけるようにしてはいたその言葉を聞いて滴が頬を膨らませる。
「そうやって何でも一人でやってて辛くならないの?」
そう言って顔面骨の中にあるジルギィの目をまっすぐと滴は見つめた。流石にこれには呆れることしかできなかった。ここまでのお人よしも珍しいものだと。はぁ、とため息を吐くと言った。
「…わかった。今日だけだ」
「はいっ。じゃあこっちね」
そう言うと滴はジルギィの手を引いてゆく。いきなり引かれたためにか少しよろけながらあとをついてゆく。
着いたのは集落の隅にある木で造られた小屋のような場所。中に入ってみると住み心地がよさそうだと辺りを見回すジルギィ。
「少し散らかってるけど……」
そう言ってせっせと小屋の中に置かれていたものをまとめ始める。ジルギィは首を傾げ本当にこれで散らかっていると言える状況なのかを考えた。きっと感性が俺の中とは違うのだという結論で収まったのだが。
滴が片付けているうちにジルギィは小屋の中を確認する。本棚には数冊の本が収められており木製のテーブルが小屋の真ん中に置かれている。ベッドもあるところを見ると本当に恵まれているものだとジルギィはため息をつく。しかしジルギィがベッドを所持しようとも各地を転々とする根なし草には全く必要もないものだ。換金するのが落ちだろう。
滴が床に散らばっていたリボンやら読みかけの本を元に戻し終えるとジルギィに言った。
「よしっ、じゃあご飯にしよっか!」
「ぅ?……あぁ…」
ここまで馴れ馴れしいやつも珍しいな、と内心呆れるジルギィ。馴れ馴れしいポケモンと根気強いポケモンと言うものはジルギィの最も苦手な分類に属する。この2つを併せ持つ滴は強敵であると再認識したジルギィはなるべく素っ気なく返事をする。雌と言うのもあって下手をすると優しくしてしまいそうだ。それだけは何としても避ける。そう心に決めるとテーブルの前の床に座る。小手を外し背中にかけてある盾と弓を外し腰の大太刀を床へと置く。他にも色々と取っ払ってしまいたかったものの別に我慢できる程度の違和感だったしこういうのは慣れている。
小屋の奥にしまわれていた木の実をいくつか持ってきてそれをテーブルの上へと置く。いっぺんに置かれた木の実の量はジルギィにとっては二等分してもまだあまりあるほど多かった。野宿の多いジルギィは毎日の食事量も決して多いものではない。ジルギィが食べない分を滴が食べるということはあるのだろうか。少し不安げに木の実に手をつける。
大きめの顔面骨の下から木の実を入れ骨に隠れている口の中に木の実を入れる。その様子を不思議に思った滴が首を傾げてジルギィを見る。
「被ってる骨を取った方が食べやすいんじゃないの〜?」
「…………」
「あ……ごめんっ…」
ジルギィは骨の中からぎろりと滴を睨みつける。それにすっかり縮こまってしまった滴は首をすくめて木の実をかじりだす。こうして無言のままで食事を終える。結局ジルギィが滴の想像以上に小食であったために余った時の実を小屋の奥に戻したのだった。

6猛反省している者:2012/07/24(火) 01:14:01 ID:/MSTzSmY
ジルギィが滴の小屋の本を読み漁っている。辺りはそろそろ暗くなりそうな時間である。滴が本を読んでいるジルギィの隣で急いで片付けた時のままでぐちゃぐちゃになっている装飾用のリボンをくるくると巻いている。一通りの作業を滴は終えるとジルギィの尾をくいっと引いた。ジルギィが気だるそうに本から視線を上げると滴の方に振りかえる。
「あ、いや……。そろそろ水浴びに行かないと暗くなっちゃいそうでさ…いこ?」
「…あぁ」
そう答えると本に詩織を挿みさっと立ちあがる。滴に連れられて小屋の外の水辺へといく。すでに辺りは赤みを帯びた陽に照らされてあらゆるものを映えさせている。そんな中光を受けてきれいに輝く水辺についたときにはジルギィも少しだけ目を輝かせる。今まで泥水の様な場所での水浴びをしてきておりすっかりそれに慣れてしまってこんな場所で水浴びできるとなると嬉しくなってしまうのだった。
水辺に急いで寄るジルギィ。さっと濁りのない水をすくい上げる。ジルギィはササっと体に装備している武具を取り払い一か所にまとめて置く。滴はすでに水の中に入っており水の中を悠々と泳いでいる。たまに水面に顔を出して手招きをする姿にジルギィはため息をつかずにはいられなかった。本来のカラカラの姿に戻ったジルギィは水の中へと静かに入ってゆく。
地面タイプのジルギィだったが攻撃的な水でなければダメージには成りえない。流石に、ゴローニャ等が水の中に落ちれば大変なことになるのだがジルギィは気にしなくとも平気な体のつくりをしていた。

ジルギィがなるべく深くない場所に座り込む。そこに、滴がすいすいと泳いでやってきた。ジルギィが水タイプは羨ましいな、などと考えていると滴が水面に顔を出した。ジルギィの目の前、危うく顔面骨と滴の顔が当たりそうだ。
滴の瞳とジルギィの目が合う。ジルギィは頬が熱くなるのを感じてふいと横を向く。滴は頭の上に疑問符を浮かべている。
やはり苦手だ。こういうタイプのポケモンは苦手だ。そう頭の中で悪態をつくジルギィ。先ほどまでなら追い返せていたものの、今となるとそれをするのにも若干戸惑ってしまう。ジルギィも決して滴の善意を感じていないわけではなかった。余計な御世話だとわかっていながらも喜んでしまう。そんなことを感じずに生きていけたらどれだけ楽なのかと横目で滴を見ながらため息をつく。
しばらく冷たい水で体を落ち着けるとジルギィは外に出る。それを見て滴も後に続く。びしょぬれの体を震わせるとジルギィは水を飛ばす。骨で作られた武具に水気はあまり良くない。ジルギィは体の水があらかた飛んだのを確認して軽い武具だけを着て滴の家へと歩き出す。滴はジルギィが飛ばした水を体に受けても何食わぬ顔をしてジルギィの後をついてゆく。

7猛反省している者:2012/07/24(火) 01:17:04 ID:/MSTzSmY
とりあえずここまでです。
すでにwikiにあげるにしては時効気味かな……と思いコチラにあげさせていただきました。
この続きが気になる方、いましたら教えていただければ幸いです。
自ら書くと名乗りを上げたものの途中で放棄し、他の方の後押しを求めたことをお許しくださいませ。

最後に◆ESugOJ36Aさん。改めて申し訳ございませんでした。

8名無しさん:2012/07/28(土) 18:02:58 ID:tPIJDi9w
このスレでの初投稿乙です。
続きが気になります…

しかし此処を見てる人って、そんなに少ないんでしょうか…

9名無しさん:2012/07/29(日) 11:53:51 ID:5S/VXZqY
どうでしょうね。
でも避難所にあったチラ裏スレが見かけないから、ここにできただけでもありがたいな。

10 ◆ESugOJ36A.:2012/07/29(日) 16:51:09 ID:gGkUKS.U
お、ようやくジルギィ君が登場したw いやぁなかなかいいキャラにしてくれて有難うございます。
遅くなったとしても、別に構いませんよ。どうしたって全く書けないことなんてありますしね。出来れば自分も、続きを書いてくれることを願っております。

気兼ねなく、ウィキの方にも上げてくれるとうれしいです。

11鋼牙姫:2012/07/30(月) 16:43:06 ID:n6IU.692
久しぶりにきてみたら、閉鎖かぁ。
うーん、最近忙しくて、何かと放置気味だぁ。

12変態博士の人:2012/07/30(月) 19:40:04 ID:06tT/acg
ごめんなさいごめんなさい!

タダでさえポケモンでやる意味あるのか疑問な内容なのに、雨パの編成に手間取り、物凄い鈍亀進行です…
(バトルをしない自分が勉強不足なだけですが…)

13変態博士の人:2012/08/03(金) 19:46:59 ID:Vqn4a8QY
とりあえず何も書かないのもあれなので、保守がてらに…

〇〇様へ
貴方が強いトレーナーと見込んで、この様なメールを送らせて頂きました。
我々は新設コロシアムの経営者であり、客引きの為に強いトレーナーに集まって貰えれば、客も増えると考えています。

戦いに参加して頂ければ、勝敗に関係無くある企業で作られた新型のポケモン用の栄養ドリンクが進呈され、勝てた場合には莫大なファイトマネー及び役立つ道具が進呈されます。
尚、当コロシアムでは普通のバトルの他にも、ギミック満載のバトルフィールドでのバトルや、乱戦といった特別な状況のバトルも可能なので、普通のバトルに飽きてしまったトレーナーにも退屈はさせません。

参加志望の方は、メールに返信をしてください。
コロシアムの移動には場所さえ指定して頂ければ、こちらの係の者が迎えにあがりますのでご安心を。
我々は、貴方の参加を心待ちにしています。

(気を付けろ! でかい釣り針だ!)

14変態博士の実戦テスト:2012/08/10(金) 20:07:50 ID:S.cMAl4A
旧ひなひなが潰れてしまっている為、話の状況がわからないと思うので粗筋みたいのを…

廃人トレーナーにひどい目に遭わされたキモピザトレーナーからの依頼で、当事者の廃人を葬り去って欲しいと言われた変態博士があれこれする話であり、後味も何も最低の駄文です。

また、まだ完成していない中途半端な状況での投下をお許し下さい…

↓以下数レスを借ります

15変態博士の実戦テスト:2012/08/10(金) 20:12:08 ID:S.cMAl4A
さて、ターゲットを確保しなければならないが…表沙汰になると厄介だ。

だが、自称廃人とは戦闘狂、戦う事しか能の無い奴であれば、強者の集まる場所があると言えば簡単に食いつく…危険な場所とも知らずに…
まるで見た目ではわからない毒餌を見せられた飢えた暴食者達(ハングリーグラトンズ)の様に群がる様はあまりにも滑稽だ。


「ウィル、ウィスプ、ターゲットを調査し、何時ものメールを送れ。」


「ハイハイ任せて〜♪」
「了解(ヤー)!」


ロトム(ウィスプ)の(不正)アクセス能力+メタグロス(ウィル)の情報処理能力+スカベンジャー上層部(私)の発言力…
これが揃っている状況では、個人情報を入手するのは児戯に等しい事だった。
最も、依頼を遂行する時ぐらいにしか使う事は無いし、そもそも他人の個人情報など興味は無い。


「メールの送信、完了しましった!」


「後は返事を待つだけだ。 返事が来たらすぐに知らせろ。 いいな?」


「了解(ヤー)!」


メールの返事を待つ間、私はターゲットの戦闘スタイルを見定めておく。
「使用頻度としては…雨を降らして有利な状況を作り出すスタイルが多いか…」
「雨天下では火力の底上げだけではなく、雷の命中強化、機動力強化が得られる…か。」

16変態博士の実戦テスト:2012/08/10(金) 20:33:54 ID:S.cMAl4A
相手の戦い方がどうであれ、ACSがポケモンに敗れてしまうようでは、ACSの存在意義は消えてしまう。
故に、テストは十分にしなければならない。 徹底的に、完璧である為に…
私の望む理想と真実の未来の為に。

そんな事を考えている間にウィルがやってきて…

「ターゲットから承諾のメールが届きました。 現在、社員がターゲットの元へと向かっているとの事です。」
「マスターも準備をし、落園(アンダーヘブン)へ向かった方が宜しいかと…」

「よし…私の部下は皆優秀で助かる…どこぞの無能共とは大違いだ。」
私はすぐにACSを装備し、自宅兼研究所の奥の入念に偽装された入り口から落園へと降りていく。

ACSの細かい説明が欲しければ、私のキノガッサにでも聞いてほしい。
説明が長すぎても眠くなってしまうだろう?

地下行きのエレベーターが落園へと到着し、今回のターゲットの対戦相手となるべくコロシアムへと向かった。

「後はターゲットを待ち、データ収集を兼ねて排除する…イージーオペレーション(茶番)だ。」

さて…此処から先は地下の裏コロシアム…スプラッターな物が見たくなければ、此処で引き返す事をお勧めする。
何せ表と違い命なんて保証もされないし、観客達は過激な殺し合い(ショー)を求めているからだ。

コロシアムの待合室で待っていた私の耳に、アナウンス聞こえてきた。

「〇〇とノーブル・マギウスの両名はフィールドへ出てください!」

「精々…足掻いて貰おうか…」

フィールドに出た私の目に移ったのは、少年トレーナー…だが、周りの表とは全く違う異質な空気にも怯える様子は全く見せていない。 それどころか…

「そんなので俺達に勝てるつもり? バカな大人っているんだな!」

………どうやら恐れを知らない様だな…本当なら此処からでもすぐに殺せるのだが、観客からのブーイングは避けられないだろう…正直そちらの方が面倒だ…

17変態博士の人:2012/08/10(金) 20:40:21 ID:S.cMAl4A
本当にすみません! まだ此処までなんです…

文章力もそうですが、もっと早く書ける様に努力したいです…

18名無しさん:2012/08/12(日) 00:13:45 ID:381cSuDk
頑張れ博士!応援してるぞ!!

19変態博士の人:2012/08/12(日) 17:31:53 ID:UMo4dGTI
>>18
応援してくれてありがとうございます!

現在必死こいて続きを書いてます…
というか本当にクソな駄文に付き物な専門用語が多過ぎですね…
説明も何も丸投げですみません…

20名無しさん:2012/08/13(月) 03:19:11 ID:kSiR/Pt2
モット(妄想の)チカラヲー!

(この場所に)アカルイミライヲー!

21名無しさん:2012/08/15(水) 18:17:06 ID:nIsLDEOM
エロ要素が無ければ書けば良い…

不味い! エロ要素が書けない!

22猛反省してる人:2012/08/15(水) 20:09:32 ID:hQIsQkag
不味い!エロ要素が書けない!(迫真

23名無しさん:2012/08/15(水) 21:35:31 ID:nIsLDEOM
落ち着け! とりあえず…
プラチナのフライゴンはなぜあんなポーズ(浮遊しながら大股開き)なのかを考えよう…

1 見せ付けたいから
2 後輩がアレ過ぎて身体を差し出さないと見向きもされないから
3 ただの淫乱

さぁどれだ!

24名無しさん:2012/08/16(木) 10:43:22 ID:evexqpUA
>>21
その発想はなかった。2番に1票入れておきますわw

25名無しさん:2012/08/16(木) 19:10:38 ID:ThIyJpFc
SSが一本書けそうだね。

ナックラーとその妹のフカマルと…

そして成長した時、悲劇が訪れる…

26変態博士の人:2012/08/18(土) 20:43:51 ID:sPDAIqoQ
もっと気軽に書き込みがあっても良い気がするのに、書き込み無し…切ない話だ…

雨パならみんな大好きシャワーズがいるだろうとか考えたが、
変態博士のやり口を考えると戦闘中にもかかわらず、バイ(オ)ブ(ラスター)責め…

寧ろ出さない方が良かもしれない…これは確実にブイズスキーな人達の反感を買ってしまう…!

27名無しさん:2012/08/19(日) 19:35:23 ID:XPBbQML6
ブイズ色んな意味で『大好物』なので極一部のグロ描写以外は大抵いけます。

28名無しさん:2012/08/20(月) 14:02:02 ID:GJQSa5H2
チラシの裏だから気にしなくてもいいのよ

29変態に(ryキノガッサ ◆k1FxHqBfLE:2012/08/20(月) 15:10:58 ID:fkjYNt1.
はい…全く解説も何も無しでは不味いと思ったのでほんの少しだけ解説を…

「バイオブラスター」
所謂化学兵器の一つで、タイプや特性の影響で毒が効かないポケモンに対して、有効な毒を作り出すという名目で作られた。
………というのは建前で…
実際は毒よりも遥かに危険な医療用ナノマシンを魔改造した物を含んだ液体を“ぶっかけ”対象を汚染するという代物で、その効果は口にするのも躊躇われる程の影響が出ます。

………私の口から言えるのは、一度汚染の対象とされれば、ハートフルボッコだとかなんとかで知られる“ハピツリ”(検索してはいけない言葉)の結末よりも惨い結末が待っています。

魔改造ナノマシンの持つ危険性により、現状ではナノマシンそのものを唯一コントロール出来る博士専用の兵器となっていますが…
博士曰わく、故意に暴走因子を組み込んだこれを散布した場合、制御不能になったナノマシンが瞬時にアウトブレイクを起こし、人知を超えた存在が奇跡でも起こさない限りは、ごく一部の生命体以外は皆死滅してしまう程だそうです…

最も、私達も博士もそんな未来を望んでいる訳では無いので、バイオテロなんか起こす事は無いでしょう。

………こんな有り様なので、バイオブラスターを使う描写を盛り込むかどうかで、審議中となっています…


………なんだか私達だけが此処(チラシの裏)を制圧している様な気がするけど…大丈夫…なのでしょうか…?

30名無しさん:2012/08/21(火) 12:18:47 ID:rlctSYWU
殺してしまうより、瀕死(本当の意味で)⇔強制治療をいったり来たりさせてたっぷり苦しむ姿を観察とかのほうが好きだな…
もちろん精神崩壊なんかさせてやらず(科学パワーか何かで阻止)に延々と嬲り続けるのがいい

31名無しさん:2012/08/21(火) 20:27:05 ID:/IcL5yVg
>>28さんの言う通り、チラ裏なんだから気にしなくてもいいはず、なのだが。
今の利用者の中には、同性同士がちょっと性的な絡みした程度の描写でも「ホモ(レズ)ネタならもっとわかりやすく注意書きしろよ」だの何だの喚き立てるのが居るくらいだからねえ。
変態博士の人さんが慎重になってしまうのもわかるよ。

…が。個人的にはノンケ共の顔色なぞ伺わずに全力で書いて見せて欲しかったりする。なぜなら私もまたド変態だからです。

32名無しさん:2012/08/21(火) 22:26:49 ID:xhatTteI
チラシの裏スレってことでカタいことは無しになるんだと思う。
本場がカタいならなおさらね。そのためのチラシの裏でもあるはずなんだし。

ただ、読み手を選ぶのには注意書きは欲しいな。アイアム変態は免罪符ではないから

33名無しさん:2012/08/21(火) 23:47:31 ID:FIG.d4DA
ああ、グロとか特殊すぎるのの場合はトラブル回避の為しっかり注意書きなのは同意です。
まあ今回は今までのレスの流れでどんな話になりそうかは十分予測つくだろうし、って意味も含めてました。言い訳ですが

34変態博士の人:2012/08/24(金) 21:58:18 ID:dCi/LXWo
1時頃に少し投下します。

シャワーズはまだ出て来ません…

35変態博士の実戦テスト:2012/08/25(土) 02:01:40 ID:KPaT335w
「恐れていないなら自慢のポケモンぐらい出したらどうだ? 強気な発言だけの奴は嫌いでね…」
敢えて挑発する様な発言をすると、相手の少年はボールを取り出し、フィールドに投げ込んだ。

「カイリュー! ニョロトノ! そいつを生意気な野生みたく潰すんだ!」

おおよそ図鑑を貰って冒険が出来る様になったばかりの年齢に見える少年とはかけ離れた発言だが、教養のなってない子供に分からせなければならないだろう…現実という物を。

そしてボールが開き、中から光が溢れ出す。

「死んだな」

観客の一人が呟いた時には、私は光点の小さい方に狙いを定め、背部ブースト全開で接近しながら、ショットガンを呼び出す。

「やってや…」

光から肉体を構成された直後のニョロトノは酷く驚いていただろう。
なにせ敵である私が既に目の前まで接近していて、得体のしれない何かを構えていては…

「こんにちは、そして…死ねぇ!」

私は一片の躊躇いも無く、至近距離でショットガンのトリガーを引いた。

ドォン! と大きな銃声と共に、ACSに赤い液体が飛び散ってきたのだ。
………細かい状況は伏せるが、誰からどう見ても、即死していると言わざるを得ない。
その時観客席から歓声が聞こえてくる。
やはりコイツらも血に飢えたサイコパスという事か…

「ひぃぃっ?!」

私の側面から怯えた様な声が聞こえて来た、今殺したニョロトノのパートナーのカイリューだ。
………当然の反応だ、一緒に出て来た筈なのに、信頼していたパートナーが一瞬で肉塊にされてしまったのだから…

「汚いぞ! そんな道具を使うなんて! それに…殺す事は無かったじゃないか!」

私は直ぐに言い返した。

「それは君も同じ事が言えるだろう? ボールという道具を使って、簡単に一対多の状況を作り出せる。」
「だが弱点に気付けていないミスをしたのはどっちだ? ボールの性質上、投げてポケモンが出て来るまでには致命的なタイムラグが存在している。」
「普通に考えたらそのタイムラグは些細な物でしかないが…本気で殺す気ならば、一瞬であっても致命的だ。」
「これは試合じゃない、ゲームだ。 弱き者を虐殺されて行われる、勝ちに拘るゲームでしかないのだよ!」

36変態博士の実戦テスト:2012/08/25(土) 02:06:04 ID:KPaT335w
「ふざけるな! 殺しをしたのはお前じゃないか!」

益々声を荒げる少年の言葉を遮る様に、私も反論した。
「ふざけた事を言う…貴様の“手持ち”になるまでに、どれだけの幼い命を奪ってきた?! 言えるのか? 言える筈が無いだろうッ!」
「戦いで勝つ為に、幾百、幾千…沢山の命が生み落とされ…そしてその生まれたばかりの幼い命が貴様達にとって弱い、使えないと認定された瞬間…その命は役目を終え、ゴミとして処分(逃がす)される。」
「ましてや、貴様以外にも厳選とやらを行っている現状で、無数のポケモンが野に放たれて環境に影響が出ないとでも思ったか?」

「そんなの関係ないだろ! このポケモン殺し! お前達! みんなであいつを倒すんだ!」

怒りに燃える少年は次のボールを投げ込んで来る。 どうやらルールなんて飾りである事を理解したらしい。

「うおぉぉぉッ!」

今まで恐慌状態だったカイリューが平常心を取り戻した様だ。
私は咄嗟にバックステップし、カイリューのドラゴンクローを回避した。

「カイリュー、相手は一人です。 相手に攻撃を与える隙を与えず、此方のペースに持ち込むのです。 場も此方が有利です。」

淡々とした喋り方をするキングドラが現れる、こいつも出待ちしても良かったが、テストにならないのでせいぜい足掻いて貰わねば…
そんな事を思った矢先、地下にもかかわらず、雨が降り始めた。

「不測の事態に備えて、雨を降らす事が出来る奴を仕込んでいたか…そうでなくてはな。」
私は敵がアクションを起こす前に、頭上にジャミング装置を射出しておく。

「その余裕が命取りですよ? 自惚れ屋さん?」

私の後ろからキングドラの声が聞こえる…雨の効果で動きが早くなり、私の背後を取るに至った様だ。

「生憎、自惚れを抱いた事など1度も無いのでね。」
振り向く事もせず、私はその場でジャンプし、キングドラのハイドロポンプによる攻撃を回避する。

「カイリュー! 今です!」

「もう許さない! ニョロトノの仇!」

37名無しさん:2012/08/30(木) 00:47:57 ID:pL413i8w
風の流れが…止まった…

38変態博士の人:2012/09/02(日) 16:12:59 ID:1aWHZaPY
また少しだけですが、書けた物を投下させて頂きます。

またしても酷い文体とグロ描写があるので、苦手な人は“変態博士の実戦テスト”をNGにぶち込んで下さい。

何度も言わせて貰いますが、自分は決してポケモンが嫌いな訳ではありません。
今は語れませんが、博士の凶行は自分の持つポケモンへの価値観を反映させたが故の行動です。

39変態博士の実戦テスト:2012/09/02(日) 16:23:44 ID:1aWHZaPY
カイリューは随分と怒り心頭な様子だが、恐れる必要も無い。
私の視界が稲光でホワイトアウトするが、私に直撃する筈だった雷は、何も無い地面に落ちるだけだった。

「ッ?! なん…で…?!」

何時もなら何ら問題の無く強大な一撃(雷)が敵に刺さり、刺さった奴は大抵その威力で潰れるか、感電による影響で動く事が困難な状態になる筈なのに、私は平然と動けている上、必ず当たる筈の一撃は刺さってすらいない。
今までに無い状況に動揺している様だが、私はその“隙”を見逃さなかった。

「高い精神力があれば、こんな隙を曝す事もなかったのだろうに!」

跳躍の勢いのまま、カイリューの背後を取り、肩部の大型グレネードランチャーを呼び出すと、無防備な背中に向けてグレネードを発射した。

「そんな攻撃で…いい気になるなぁッ!」

あえて回避するつもりは無いらしく、鱗(スケイル)に覆われた背中で攻撃を受けるつもりの様だが…
発射されたグレネード(擲弾)はカイリューの背中に刺さるが…ガキン、と鈍い音を立てるだけだった。
普通ならこんな音がする時点で深く刺さっておらず、ろくなダメージになっていない事になるが、それが私の狙いである。

マルチスケイルとは使い捨ての装甲の様な物で、攻撃による衝撃に反応して鱗の特殊な防御作用が働く。
斬、打、突、に分類される打撃はおろか、念力や熱、冷気までも軽減してしまう。

しかし一度攻撃を軽減すると、回復を行うまでその機能は使えなくなる、つまり…

「ご自慢の装甲も、二段構えの攻撃には意味が無いだろう?」

「黙れ! 直ぐに殺してやる!」

凄い剣幕で振り返り、地上に降りた私を竜の力を持った爪で急降下しながら抉ろうとするが…
グレネードがそこで爆発を起こし、辺り一帯が激しい冷気に包まれたのだ。

「ぐああああっ!?」

悲鳴を上げ、カイリューが勢いを殺せぬまま、地面に墜ちてきた。
その背中は“木の実”で冷気によるダメージを軽減出来ていたにもかかわらず、酷い有り様となっていた。
少なくとも、翼は使い物にならないだろう。

40変態博士の実戦テスト:2012/09/02(日) 16:26:55 ID:1aWHZaPY
流石に竜の生命力があったとしても、高い位置から地面に向かって勢いよく叩きつけられれば、死にはしなくても大きなダメージは確実である。
カイリューはあまりの痛みに呻き声を上げている、そのあまりにも痛々しい姿を見て、相手トレーナーの少年は急いでボールにカイリューを戻そうとする、が…

「戻れ! …戻れよ!」

「そうはさせんよ、此処では逃げ道なんて最初から有りはしないのでね… どうしても助けたければ、私を殺してボールの機能の阻害を無理矢理解除するしか無いぞ?」

ボールの機能を制限しているのは、私の頭の上のジャミング装置なのだが、こう言っておけば狙いは私に集中する。

「外道がッ! 心底腐っている様ですねッ!!」

青白い波動が集まり、その波動を私に向けて放つつもりの様だが、致命的なミスに気付けていない様なので、敢えてミスに気付かせてやろう。

「自分の心配をしたらどうだ? お前は既に“冷静”で無くなっている。」

「ハッ?! しまっ…」

キングドラの尾には鎖が絡まっており、鎖は地面に設置してある円形の機械から伸びている。
「すいすいにより機動力が上がる、だが機動力を生かした戦闘とは敵に捉えられる前に激しく動き、死角を取ってからの攻撃が基本だ。」
「だが、激しく動く敵が相手なら、機動力を殺す為の手段…即ち“移動する者に反応し、動きを阻害する罠”を仕掛ければいい。」

「卑怯者が…! 罠を使わなければ戦えないのですか?!」

私の言葉に罵声を浴びせて来るが、私は自分語りを止めるつもりはなかった。

「私はただ単に自分に有利な状況を選んでいるだけだ、それが罠だったとしても卑怯でも何でもない…ただの弱点だという事だ。 弱点を突かれて動揺するのは、ただの対策不足…」
「それに、何か勘違いをしている様だが…最初にそのニョロトノが挽き肉になってしまった時の事を忘れてしまったのか?」

私がその事を口にした途端、キングドラの目が怯えを感じている物へと変わる。

「攻撃力…機動力…そして豊富な攻撃手段…そんな物を持っていたとしても…!」

「そして今、満足に動く事も出来ない…つまり…既に詰んでいるという事だ!」

両腕部のエネルギーウィップを展開し、左右に何度も打ち付けた。

41変態博士の実戦テスト:2012/09/02(日) 16:34:18 ID:1aWHZaPY
「うぐっ…! がぁ…ッ!」

身動きがろくに取れないキングドラに鞭を打ち付け、鞭による攻撃により傷口から血が飛び散る度に、会場の熱気は更に上がる。

「解体だ! バラバラにしちまえ!」

「殺せ! 殺せ! 殺せ!」

観客席から過激な言葉が飛び交う程に会場は盛り上がっている。
こいつは依頼のターゲットの対象外なので、そろそろ苦痛から解き放ってやろう。

………さっきから潜んでいるもう一匹は私の隙を伺う訳でもなく、傍観に徹するつもりの様だ。

「仲間が殺されるかもしれない中で、怯えた様子もなくだんまりを決め込むとは…大した趣味だな。」

「シャワーズ?! 出てるならアイツを止めろよ! このままじゃキングドラが…!」

「………」

黙って雨水から姿を構成するシャワーズ、だが、現れたシャワーズの口から出た言葉は…半泣きの幼い少年には現状と合わさり、余りにも残酷な物だった。

「………嫌よ。」

「ッ?!」

少年、そしてキングドラの僅かな希望が断たれた瞬間であった。

「地獄で“出来損ない”達が待っているぞ… だから…安心して…」

「や…止めなさい…! い…嫌だ…! 死にたくない! シャワーズ…! 何をしているのですかッ?!」

しかし、シャワーズは一向に動く気配を見せない…
そして私も、その命乞いが気に食わなかったので…鞭のエネルギーの流れを組み替え、大型のナイフへと変化させて文字通りバラす事にした。

「汚い臓物をぶちまけなぁッ!」

私は一片の慈悲も無くナイフを振るい、土手っ腹を切り開いた。

「いぎッ…?!!」

切り裂かれた部分から大量の血と臓物をぶちまけ、キングドラは絶望と苦しみの表情を浮かべたまま、絶命した。

「また一匹ヤりやがった! 良いぞ! コイツ等全員殺しちまえッ!」

また会場から野次が飛ぶが、私には聞こえない…というより聞く気が無い。

「さて…そろそろ喋って貰おうか…何故仲間を見殺しにした?」

仲間の死にも動じないシャワーズ、そしてその口から思わぬ発言が飛び出した。

「マスターは私の物よ。 マスターの命令とはいえ、ライバルを助けたりするのは凄く嫌だったわ…」
「コイツ等さえ居なければ、マスターは私だけを見てくれる。 だから助けなかった。」

「歪んだ愛情を持っていたという訳か…」

42変態博士の人:2012/09/02(日) 16:41:30 ID:1aWHZaPY
今回は此処までです。

相変わらず見苦しい話ですが、まだまだ続きます。

43変態博士の人:2012/09/03(月) 18:30:04 ID:WaRvNf7A
………まだ途中の作品とはいえ、コメントも何も無いのはなんか精神にクる物がありますね…

読んでくれている人が居るなら嬉しい限りなのですが、コメントも何も無いと、本当に読んでくれている人がいるのか…と、ちょっと不安になってしまい、モチベーションが…
本当にROM専って人もいるのかもしれませんが… 自分の様な尻の青い物書きもどきがこんな事を言うのはおこがましい限りではありますが、やっぱりコメントが無いという状態は、はっきり言わせて貰いますと…本当に不安です…

つまらないならつまらない、と言って頂ければ、失敗から学ぶという言葉通り、次回作を書く機会に大きな反省点としと見る事が出来ますし…

面白いと言って頂ければ、純粋にもっと書こうって気になれますので…
出来れば…何かコメントが欲しいです…

44名無しさん:2012/09/04(火) 00:47:20 ID:k7SIF4OQ
その気持ちはわかるがこの掲示板で言えることではないと思う。
私は評価能力が乏しいので申し訳ないが作品についてはなんとも言えない。

45名無しさん:2012/09/04(火) 02:28:37 ID:OSHQd38k
いよいよ次はシャワーズを××するのか…!ってワクワクしつつ静観しちょりました。
感想書くのもそれはそれで途中で書き込んだりして流れぶった切れたりしたらどうしよう、とかって不安はあったりするんよ。

コメントついでにリクエストすると、この調子でそのうち他のブイズも虐める話とか書いて欲しい

46名無しさん:2012/09/04(火) 12:08:23 ID:sQozwvxM
やっぱ人でもポケモンでも外見より中身だね。
基本的にシャワーズ含めブイズスキーだけどこのシャワーズはどうなってもいいわw

47名無しさん:2012/09/04(火) 17:24:50 ID:/3jMn5Bk
>>43
コメントのために書いてるんだったらやめたら?
書きたいことを書く場所なんだし、コメントのために書くこと自体間違ってると思うなぁ

コメントを要求するような書き込みをしてもらったコメントなんてうれしくないと思う
コメントがこないのが嫌だったらもっと色々勉強して、コメントをもらえるようになっていけばいいだけの話

48名無しさん:2012/09/04(火) 17:27:06 ID:/3jMn5Bk
それにリアルタイムじゃないんだから、更新してたった一日でコメントがこないこないって悩むのはちょっと短気すぎるかも

49名無しさん:2012/09/04(火) 18:05:56 ID:OSHQd38k
一番左下にひっそりとカウンター付いてるから、その数字の増え方でどのくらいの人が見てる可能性あるかわかるんじゃないか?
ちなみにこの書き込みしてる時点だと00002371になってる

50変態博士の人:2012/09/05(水) 22:22:10 ID:Qs4lprbs
沢山のコメントありがとうございます。

>>44
中途半端な状態にも関わらず、読んで頂けた様でとても嬉しいです。
今回の事については、自分なりの思いがあった為、乞食の様な真似をしてしまいました。


>>45
連投規制に引っ掛からない様に区切りを入れる様にしているのですが…
…期待に添える事が出来るかはわかりませんが、完結を目指して書いていきます。

>>46
人だって歪めるなら、ポケモンだって歪んだ想いを持っていてもおかしくないと思った結果が…こうなりました。

>>47
申し訳ありませんが…少し言わせて頂きたい事があります。
見るだけでは限界があり、やはり書かなければ本格的な勉強となっているとは言えない気がするのです…
確かに見ただけで自己の解釈をし、物事を理解出来る人もいるでしょうが…自分の様に問題点を言われないと、要領の何処が良くて悪いのかロクに理解出来ない奴もいます。
コメントが欲しければ上手くなれ…この言葉で片付けられては、自分の様な奴は完全に下手なままで停滞してしまう(リアルでそんな状態だった奴)のです…

コメント乞食はするべきではないという意識はありました。
ですが、書き物にコメントをしてくれる人がいれば、自分以外にも何かを書いてみようと踏み出せる人が出て来てくれると思い、こんな物でも、書く気になった上でコメント乞食に走ってしまいました。
限りなく自己中心的かつ傲慢な考えでありますが、自分は何と言われようと、物書きを止めるつもりはありません。

>>48
たった1日…投下終了した事を言わなかった自分が悪いのですが、前回は1週間何の流れもなかったので…神経質になっていました。
空気を悪くした事、本当に申し訳ありません…

>>49
携帯からの投稿だったので、そんな機能がある事を知りませんでした…

51名無しさん:2012/09/07(金) 12:18:02 ID:4QHVtKyY
続きマダー?(チンチン

…さ、催促じゃないよ。ちゃんと読んでますアピールだよ!(何

52トランス:2012/09/07(金) 19:43:57 ID:6gSMcB66
>>50
まず、あなたに物書きをやめろなんてことを言うつもりは一切ない。書きたければ書けばいいんだし、やめろだとか続けろだとか、はっきりとやかくいう筋合いなんてないもんね。
あなたが気に食わないからあんな事を言ったわけでは当然ないわけで。
ただ、そういう思考で書いてるんだったらやめてもいいんじゃないか、と感じただけ。

書かなきゃ何も始まらないのは事実。指摘はすごくありがたいことだと思うことも理解できる。
でも指摘がほしいなら、くるような書き方(言い方が悪いけど)が出来るよう自分から努力することだってできるじゃない?
「自分には見るだけじゃ分からない…下手だから無理だ」なんて決め付けてたら余計に分からなくなるんじゃないかな。もっと自分に、自分の作品に自信を持つべき。

wikiにあれだけの作品があるのだから、それを読んで参考にするのは絶対いいことだと思う。
人それぞれ違った作風を持っているから参考にならないなんて事はない筈だから。

自分以外に書く人が出てきて欲しいって気持ちも分かる。でも、それは他人が自分で決めること。
作品自体に惹かれて、とかなら兎も角、コメントを残す残さないは関係のないことじゃないか。
コメント要求はどうかと思ったけど、読んでいる人はちゃんといたってのは分かったはずでしょ?それだけであなたの思いは達成できてるってことじゃないの?

書きたいものを書くところだから自己満足は極普通の感情なんじゃないか。
逆に色々な人に読んでもらいたいとか、他の人がはじめて欲しいだとか、そういう考えは無駄になる事の方が多いのかもしれない。
こういうスレなんだから、それは仕方がないことだと理解して書く必要もあるかもしれないね。

とにもかくにも、あなたが書くにせよ書かないにせよ、僕は気にはしないということだけ言わせていただく事にする。

53トランス ◆TRANS/3sbw:2012/09/07(金) 21:24:15 ID:6gSMcB66
避難所の雑談スレに詳細を書かせて頂きましたが、ただいま戻りました。唐突にすみませんが、皆様にお詫びしなければならない事があります。

PCが使用出来なかったのは外出していたからなのですが…帰宅した際、私の弟がPCを使用していました。それも、ひなひなのページを開いた状態で。
問い詰めたところ、私の目を盗んで此方に書き込みをしていたようです。>>47の書き込みをしており、それに対しての変態博士の人様の返信を確認し、返信を返したのだとか。
我が家にはPCが1つしかない為に共同で使っているので、恐らく私が此方を利用している事も知っていたのだと思います。

以前も、某サイトで他の利用者様方に対して批判的な書き込みをしたことがあり、注意を受けたことがあったので警戒はしていたのですが…こんなことになってしまって申し訳ない限りです。
家庭事情で皆様にご迷惑をお掛けしてしまい、本当にすみませんでした。


<変態博士の人様
肉親が多大なご迷惑をお掛けした事を、どうかお許し下さい。PCは今後一切の利用を禁止しておきましたので恐らく今後は大丈夫だと思います…。
作品を否定するような書き込みばかりですね…責任は私の注意不足にあります。誠に申し訳ありませんでした。
こんな事を申す立場ではありませんが…今後のご活動も応援しております。失礼致しました。

54名無しさん:2012/09/07(金) 23:08:36 ID:LYdi4Omc
成りすましは良いこととはいえないけど>>52の言ってる事も一理ある件

55名無しさん:2012/09/09(日) 14:06:25 ID:80Ui2KyQ
前回の書き込みに使った名前とE-MAILが自動入力されるから、きっとそれを消さずにそのまま書いちゃったんだろうね。
身内が勝手に書き込みを…って昔から良く使われる言い訳だけど、本当な場合もあるんだなあ。


>>トランス氏
事情もわかったし、荒らしたわけでもないので迷惑ってほどの事でもなかったかと。あまりお気になさらずに。

56適当:2012/09/10(月) 11:34:09 ID:gclJeLYk
初めまして!
>>1に小説載せてもいいとあったのですが、かなり長いがおそらくニュータイプの妄想小説なのですが、こちらに書き込みしてもよろしいでしょうか?

推定字数は10000〜15000?くらいになってるかもです(汗)

57名無しさん:2012/09/10(月) 12:24:10 ID:a6aBOxB6
>>56
断り入れなくても大丈夫ですよ。投稿お待ちしてます♪

58適当:2012/09/10(月) 21:13:44 ID:gclJeLYk
>>58さんありがとうございます_(._.)_

では、後程投下致しますのでしばしお待ちを。

あと、アンカってどうやってつけるのですか?

59名無しさん:2012/09/10(月) 21:51:32 ID:DQ5KEk2c
全て半角で>>373のように書けばOK、なはず

60適当:2012/09/11(火) 08:09:04 ID:Iezo9s2A
今から語る世界は、人、ポケモン、動物という3つで構成された世界である。強さは 人>ポケモン>動物というようになっていた。
この順にあるのは、人はトレーナーになることが出来、ポケモンは技を繰り出すことが出来る。何も出来ない動物達は次第に繁殖も衰え、新しい動物達に住居を奪われつつあった。
だが、そんな中でも必死に抵抗する獣達の姿があった。これは、その動物達に関する物語である。

何年かはわからない、現在に近いかもわからない、未知の世界……
元の縄張りを張っていたオオカミ達の森は、悪タイプのオオカミポケモングラエナの群れによって徐々に侵略されていった。群れを作らず一匹で孤高の狩りをするオオカミ達だが、この緊急事態に秘密の隠れ家へと集結し、対抗策を練っていた。

「またやられた……今度はメスだ!!淫乱な化け物め…」
「ああ、まったくだ。奴らのせいでメス達も恐怖で外へ出られなくなっている。繁殖行動も出来やしない……。」
「なにかいい方法はないか?このままでは我々は滅びてしまうぞ!!」

仲間の雄のリーダーを筆頭に、野生のオオカミ達は次々と状況と意見を共有しあっていた。皆が頭を悩ませる中、リーダーは再度口を開く。

「そうだ、奇襲だ!!今いる全員で奴らを囲めば殺すことができる!!」
「喉元に食いつくにはいい策だ!!さすがリーダー頭が冴えてますね。」

リーダーの名案を機に全員が洞窟内で吠え始める。賛同が集まり共鳴しあう遠吠えのようだ。
だが、一匹だけその名案に不満なのか、浮かない顔をしたオオカミがいた。彼の名はレオ。この物語の主人公である。
レオはリーダーに向かって口を開いた。

「あのう…」
「なんだ?レオ?」

不安気な顔をしてレオはリーダーに訊ねる。リーダーが向くと同時に他の雄達もレオに振り向く。レオには、一斉に視線が集められた。

「やめましょうよ。奇襲なんて……。」「なぜだ?俺が気にくわんのか?」

レオはぼそりと呟くように発言した。リーダーはそれを聞いて思わず顔をしかめる。

「どう考えても、あの化け物達はそんなことでは倒せないと思うんです。奇襲をしても喉元をくいつく前にやられてしまいますよ。何せ体格に違いが…」

パンッ

リーダーがレオの頬を前足で思いっきり叩いた。

61適当:2012/09/11(火) 08:36:00 ID:Iezo9s2A
「お前は、そんな弱音を吐きやがって…現にどんな状況に陥っているのかわかっているのか!?我々の生存の危機なのだぞ?大きさがなんだ、強力な技がなんだ、力がなんだ!!ああ?やるやらないじゃない…やるしか道は残されていないんだ!!よそ者に縄張りをやるなんて、お前それでも誇り高き狼の雄か!?」
「うう…すみませんでした。」

リーダーの発言が終わると同時に、レオは全員のバッシングを浴びる。レオは体を縮こませ全員に向かって土下座をした。

「レオ、怖いならこなくていい。お前に何を言われようと俺達は戦う。今日の会議はこれまでだ!全員解散!!作戦は、後日奴らの姿が見え次第決行だ!!」
「おおーー!!」

リーダーに続いて雄達は再度鼓舞の遠吠えを発する。リーダーに続き雄達は次々と洞穴から出ていく中、レオに冷たい視線と暴言をあびせた。

「お前それでも雄か?ヘタレめ!!」
「なんでお前みたいなのがオオカミなんだろうな!!」
「一緒にいる俺達までアホらしくなってくる…」

雄達が洞穴の中から出てレオは一匹そこへ取り残された。レオは不安気な表情を浮かべ独り言を呟く。

「無理だ…勝てるわけがない…筋力もあっちが上だし、一匹対4・5匹でも勝てないのに、あっちが群れで来たらどうするつもりなんだ……。」

レオは打ちひしがれながらもその洞穴を後にした。
ちなみに、オオカミ達の体長は1m〜1.5m弱だが、走る為の筋力しかなくとても戦闘向きとは言い難いものであった。
かみつくはおろか前足での打撃も後足での蹴り上げでもはるかにオオカミ達の力を上回っていた。


後日…奇襲作戦決行の時がやってきた。

「フフフ…さて今日はどんなメスを犯してやろうかな?」
「ああ、同種の雌もいいがこっちの方が弱々しくていじめがいがあるしな…」
「その内奴らの縄張り全部荒らしてやろうか?それとも皆殺しにして奴らの雌達を一生の性奴隷にしてやろうかな?」

3匹のグラエナがオオカミ達のナワバリへと足を歩み入れる。3匹は完全に悪タイプにふさわしき目をしており、不敵な表情を浮かべている。

アオーーーン

1匹のオオカミが鳴くと同時にオオカミの雄達はリーダーを中心にグラエナ達を囲んだ。
数はグラエナ3に対しレオ以外の雄達10である。レオはその様子を蔭からみている。

「ガウーウー(観念しろ、今日でお前達の悪行もここまでだ。)」
「ガウッガウッ(お前達を殺す)」

62適当:2012/09/11(火) 09:01:49 ID:Iezo9s2A
「ガウーガウガウ(この森の屍となれ!!)」

10匹の雄達はグラエナ達を穴があくほど睨みつける。一方グラエナ達は平然としており不敵な笑みを浮かべている。

「ザコが集まった所で何が出来る?四・五匹でも俺達に勝てないのになぁ」
「ガウーウー(今までとは違う…)」

嘲笑するグラエナをリーダーは冷静に見つめる。
レオは、“無理だ…もうやめてくれ!!”と思いながら見ていた。

「ガウウー(かかれー!!)」

リーダーを筆頭に雄達はグラエナ達に飛びかかる。グラエナはせまってくる雄に対し攻撃を避けては前足でなぐり飛ばし、首筋をかみちぎり後足で蹴り飛ばした。雄達は瞬く間に中心に追いつめられる。
“うっ…ひどい…”レオはその有り様を恐怖感と絶望感を抱きながら見ていた。

「ガウガウガウ(ひるむなー!!」
「ガウッガウッーガウ(攻撃の手をゆるめるなー!!)」
「うるせーハエ共だ。一気に叩くか」

向かってくる雄達にグラエナは心臓に向かって突進する。次々に雄達は倒れていった。また、マウントをとっては顔の原型がわからなくなるぐらいにひたすらなぐり命を奪う者もいた。
“ああ、やられてしまった!!”レオは死んでいった仲間に目をやり恐怖で頭をいっぱいにしていた。

「ウウーウウー(くそ…こんなハズじゃ…)」

残すはリーダーだけとなり、グラエナ達の視線が集まる。

「残念だったな。奇襲を使っても俺達に勝てないのか」
「こいつどうするか?跡形もなく殴ってやろうか?」

一匹のグラエナがリーダーを倒しマウントポジションをとり始める。リーダーに跨ると、右前足・左前足と交互に強烈な一撃を加えていく。

ガッ ガッ ガッ ガッ

「アウ、キャウ、アウーン(がはっ、ぐはっ、ごはぁ!!)」
“やめてくれ!!もうやめてくれ!!あんまり過ぎる!!”
レオの目は次第に涙で溢れかえっていた。
そしてグラエナはついに、リーダーの首をつかみ思いっきりひねる。

ゴキッ…バキッ…

鈍い音とともにリーダーの首はあらぬ方向へと曲がった。顔のかたちは面影を残さず血で塗られていた。死んだリーダーを見ている一匹のグラエナが呟いた。

「別の匂いがする…まだ仲間がいるな」

するとレオの隠れていた場所へと目線を移動させる。グラエナ達は、徐々にその場所へと近づいていた。

「ああ…見つかってしまった…」

レオは恐怖で体を震わせ身動きが思うようにとれなかった。

63適当:2012/09/11(火) 09:27:39 ID:Iezo9s2A
「は…はやく…はやく逃げなきゃ…」

涙声になりながらも、懸命に立ち上がり走り去ろうとしたその時、一匹のグラエナが道を阻んだ。

「みぃつけたー」

グラエナはレオに詰め寄り不敵な笑みを浮かべる。レオは恐怖でその場に尻餅をついてしまった。

「クックックッ…見ろよ、お前の仲間全員死んだぞ?」

グラエナは前足を先程の戦地へと指す。そこには、雄達の無惨な死体が転がっていた。後の2匹も合流しレオを囲む。

「お前が仲間に呼びかけないせいで、俺達に怪我させやがったんだぜ?」
「どう責任取ってくれるよ?」

レオの顔は青ざめて涙で顔をくしゃくしゃにぬらしていた。グラエナはあごに手を添え仲間の方へと視線を移す。

「ん〜雌もいねぇし、こいつで性処理ってのは?」
「陵辱プレイか?いいね〜。こいつよく見たら案外かわいいし、雌がわりになるんじゃね?」

レオは首を横に振り涙声で“いやだ、いやだ”と拒否する。

「いやだじゃねぇよ。お前の見た目がかわいすぎるのと、泣いているせいで興奮してきたんだよ。ほら、くわえろよ。」

グラエナはレオの目の前に反り立つ肉棒を近づける。レオは激しく首を横に振り、弱々しい声で“お願いです…許してください…助けて下さい…”と言った。

「イライラするな…おい!おとなしくしてろ!!」

激しく頭を振るレオの頭を掴もうとしたその時、後ろから雌の声がかかる。

「そこまでだ!!そいつを離せ!!卑怯な真似にも程があるぞ!!」

グラエナ達が振り返るとそこには1匹のアブソルがいた。アブソルはグラエナ達を睨みつけている。

「ああん?お前このザコに加担する気か?」
「黙ってねーと、お前も犯すぞ?」

イラついたグラエナが声を張り上げる。アブソルはひるまず続ける。

「なぜにその動物達を殺す?いじめる?」
「楽しいからに決まってんだろうが!!ブっ殺すぞクソアマ!!」
「楽しい?ハハ…下衆だな。あのオオカミ達は力は弱いが、心は強い。その証拠に団結して貴様らのような悪党と懸命に闘ったんだからな。その上お前達は心が弱すぎる……どっちがクズだと思う?お前達の方がクズだ!!」

アブソルは口元を少し吊り上げグラエナ達に向かって言い放った。しかし、目は笑っていない。むしろ怒りの表情を見せている。

「頭きた…おいテメーらこのオオカミは後だ。まずはあのアマを叩くぞ」
「お前らが私に勝てるのか?身の程知らずもいいとこだ。」

64適当:2012/09/11(火) 09:54:18 ID:Iezo9s2A
アブソルはあざけるような声で笑い前足でグラエナに“かかってこい”と手招きする。それと同時にグラエナ達がアブソルに向かって一斉に襲いかかって来た。

「うらぁ!!くらえやクソアマが!!」
「調子にのってんじゃねぇぞコラァ!!」

グラエナ達は怒りに任せアブソルに向かって殴り付ける。が、アブソルは余裕の表情で全てをかわし、後ろ蹴りを一発ずつ腹に決め込んだ。

「う…くそ…ぶっ殺す!!絶対に殺す!!」

グラエナは噛みつこうとするが、あっさりかわされアブソルのかまいたちが炸裂する。グラエナは遠くへ吹き飛び気を失った。

「ああ!!やられた!!おい!!大丈夫か!?」
仲間のグラエナが気絶したグラエナの元へとよる。

「さ、今の内に逃げるぞ。おいで」
「アウッ(へっ?)」

アブソルはグラエナの気がそれている隙に、恐怖で震えていたレオをくわえ森の奥へと走り出した。

「まっ…待ちやがれこのアマ!!」

グラエナは立ち上がって追いかけようとしたが、二匹の姿はとっくに森の奥へと吸い込まれ姿を消していた。



森の奥の洞穴へとたどり着いたアブソルは、息を切らしながらレオをその場に下ろし、尻餅をついた。彼女の額には大量の汗が噴き出ていた。

「はぁ…はぁ…ここまでくれば大丈…夫だ。はぁ…」

彼女は、レオに微笑みながら言った。が、未だに息は整っておらず咳こんでいる。

「あの…よくわからないけどありがとうございます。」

レオは息を整えている最中の彼女に、深々とお辞儀をした。言葉で書いてあるが鳴き声で会話しているのである。彼女は、ようやく呼吸を落ち着けレオの頭を撫でる。

「はは、君は行儀が良くおりこうさんだな。君みたいな動物を見たのは、これが初めてだ。」
「ありがとうございます…ってあれ?俺の言葉…わかるんですか?」
「ああ、わかるとも。」
「ええーー!!」

レオは驚きのあまり、その場に尻餅をつく。そう、通常は人は人、ポケモンはポケモン、動物は動物と言語が通じる相手が決まっているのだ。人が犬や猫の言葉を理解するには、機械に頼らなくてはならない。ましてや、ポケモンが犬や猫の言葉を理解するなど到底有り得ないのである。ポケモンは動物達と違い思考が深くできるため、人の言語は覚えようと思えば覚えられる…。それは、ある程度文法や規則性が存在するからである。
が、動物の鳴き声はそのような物はない。このアブソルはかなりの特別なようだ。

65適当:2012/09/11(火) 10:22:12 ID:Iezo9s2A
「そんなに驚くことか?この森の動物達と一緒に過ごしている内に、慣れてしまうのは当たり前のことだろう?」
「え…でも、普通はありえないですよ!!俺達ですら、森の動物達と全部会話できるのは難しいんですから。」

アブソルはレオの発言に笑い首を傾げる。まるで“そうかな?”と意見するように。レオの言うことは必然の理と言ってもおかしくはなかった。現にグラエナ達は数々の動物達を苦しめてきたが、わかっているのはハッキリとしたジェスチャーであり、未だに動物達が何を言っているのかは理解出来ていない。

「それより、まずは自己紹介からだ。私はソル。君は?」
「俺はレオ…あ!ダジャレとかじゃなくて本名ですよ?いちおう…」

レオはアブソルに続き声をどぎまぎさせながら返す。アブソルはそれを聞いて笑い声をあげた。

「あっはっはっ!!…おもしろいな。君はジョークも言えるのか?」
「よく初めてあうオオカミにそう言ったら、“ふざけてんのか?”って言われますので。」

彼女が笑っている姿を見て、安心したのかレオもつられて笑い出した。レオの返事を聞いてさらに彼女は笑っている。しかし、悪意は全く感じられない。彼女の純粋無垢な笑顔を見ている内に、レオは徐々に気分が高揚していく妙な安心感を覚える。
“なぜだろう…このポケモンといると落ち着く…それに何より楽しい”
「それは、そうと…」

レオがそう思っていると、ソルは真剣な表情に戻し話の方向を半回転させる。軽く咳払いをして彼女は続ける。

「あのグラエナ達は、君を必死に探し復讐するだろう。直にこっちへやってくる。今から、君を仲間の雌達の方へ案内したいと思っている。」
「え…でも…う〜ん…」
「どうした?いやか?」
「いやではないです。でも…」

レオは深く考えた。自分は仲間の雄達に加わらず、ただ見守っていただけ。自分が、もしもあの時新たに加勢していたらあのグラエナ達を倒すことができたかもしれない…
そして徐々に、あのグラエナ達の残虐な光景を思い出し怒り…憤怒の情が湧き上がる。“殺したい…仇をとりたい…復讐したい…”
そして、ようやくレオは口を開いた。

「お願いというか、わがままなんですけど聞いてもらえますか?」

レオは上目使いでソルを見る。彼女は小さく笑いゆっくりと首を縦に振る。

66適当:2012/09/11(火) 10:47:21 ID:Iezo9s2A
「俺は…あのグラエナ達に復讐がしたいです!!ソルさんの戦いを見て、もしかしたらソルさんから直接習えば対抗できるかもしれない…と思っています!!俺を…俺を強くして下さい!!お願いします!!」

レオは声を張り上げ、ソルに両前足をあわせつつ深々と頭を下げた。彼は、決して仲間に恩を着せようとしたのではない。今の純粋な彼女に対する憧れと信頼を抱いていた。
ソルは、少し困惑した表情を見せしばらくあごに前足を添えた。その後も沈黙は続いたが、ようやく彼女が口を開き始める。

「いいよ。ただし、ポケモンでない君は相当の努力が必要だ。戦い方をあまり知らないポケモンでも、相当の訓練が必要なんだ。君は、体の筋肉から鍛えなきゃいけないから並大抵の努力では駄目だよ?私は、厳しく君に教えるつもりだ。途中で投げ出したりせずに、最後まで頑張れる覚悟があるかな?」

ソルは、レオに真剣な眼差しを送る。レオの答えは1つだった。もはや迷う様子も見せずに返事した。



その日から洞穴を仮の宿とし、ソルによるレオの厳しい訓練が始まった。切り株を相手に渾身の力をこめてたいあたりを放ったり、前足だけを使って相手を殴る練習をしたり、後足を使って相手をけり上げる練習など…戦いの基本を叩き込まれる。

「違う!!もっと力を前足へ込めるんだ!!こんなんじゃ相手にはダメージを与えられないぞ!!」
「はい!!すみません!!」
「蹴り上げは後足をバネのように使う!!何回言ったらわかる!?」
「はい!!すみません!!」
「脚力が足りてない!!この森の外側に出て一周まわってこい!!」
「わかりました!!」

ソルは初めてレオに向けた笑顔を一切見せず、厳しい表情でレオに一喝する。レオは何一つ反抗的な態度も弱音をはくこともせず、日々厳しい訓練に耐えていた。
それから数ヶ月後

バキッ…バキッバキッ…

「やった!!ついに折れましたよ師匠!!」

レオの体つきは以前とは違う弱々しいものではなく、襲ってきたグラエナに匹敵するぐらいになっていた。レオの渾身の放ったたいあたりは切り株を真っ二つにした。

「よくやった!!長い間頑張ったな!!」

厳しい表情ばかりだったソルは、成長したレオの姿を見て満面の笑みを見せ、レオの頭を優しく撫でた。
その夜…二匹は洞穴内に戻り厳しい訓練の後の夕食を仲良くとっていた。

67適当:2012/09/11(火) 11:14:21 ID:Iezo9s2A
「師匠、俺は強くなれましたか?」

狩った獲物の肉を頬張りながら、レオは真剣な眼差しでソルへと訊ねる。

「ああ、自信を持て。はるかに前より強くなってきてるぞ。今ならトレーナーのポケモンにも太刀打ちできるんじゃないか?」

ソルは木の実を口にしながら、レオへと顔をほころばせる。二匹は別の物を食べているが、これはすべてレオの役目である。アブソルが食べる物を手に入れる場所とレオが食べる物を手に入れる場所は、全く逆の方向である。ソルは、レオの食物には“野生のポケモンは狩ってきてはいけない”という制約をつけている。激しいトレーニングの後の食糧調達もある為、体力はほとんど残らないのである。
食事をし終えるとソルは、レオを抱き寄せ頭を撫で始める。

「疲れてないか?私が獣の肉を口にできない為に…いつもすまないな。」
「疲れてはないです。もう慣れました。これくらいがいいんですよ。今までの生活がぬるま湯だっただけです。」

レオは笑いながら“自分は大丈夫だ、これくらいなんて事もない”と言いかけるように返事した。ソルは笑い声を上げながら小さく“たくましいなお前は”とレオに囁いた。

「師匠、俺はまだ師匠の技を全て教えてもらっていません…あの時のグラエナを気絶させたアレを教えてほしいんです。」
「え?かまいたちのことか?」

突然のレオの発言にソルは声のトーンを上げる。“何を言ってんだ?”とばかりに…。レオはそれに遠慮することなく続ける。

「お願いです…今の師匠に教えてもらった技を全て繰り出してもいづれは負けます。単調な攻撃ばかり続けていては、またあの出来事の二の舞です。」
「レオ、無茶言わないでくれ。君にはかまいたちのベースとなる鎌もないしタイプもない。習得できる要素が何1つないんだ…。」


ソルはレオの頼みを優しく否定した。レオは表情をくもらせるが再度口を開く。

「やり方だけでも…見せてはもらえませんか?どうやって斬撃につなげるかは自分で考えます。」
「う〜ん。わかった、一応私が普段やるやり方だけでもお見せしよう。ただし、できるという前提で見ないこと!!約束できるか?」

レオはソルの目を見ながら小さくうなずく。ソルは、それを見て微笑みレオを洞穴の外へと連れ出し、切り株の前で止まった。

「はぁ!!」

ソルは目の前の切り株に鎌の斬撃を当てる。切り株は当然のごとく真っ二つに切断された。

68適当:2012/09/11(火) 11:45:16 ID:Iezo9s2A
「すごい…」

レオはその光景に口を開けて絶句している。あの時見たものよりも威力があるのではなかろうか。という考えも頭によぎらせていた。

「こんなもんでいいか?言っとくけどコレは、出来る前提で見ちゃだめだからな。」
「はい!!十分です、ありがとうございました!!」

レオはソルに満面の笑みを向ける。ソルはそれを見て微笑んだ。
その後に、2匹は洞穴内へと戻りそれぞれ眠りについた。



月も頂点に登る頃森の中のふくろうが鳴き始める。レオはその晩はあの光景を思い出して興奮してなかなか寝つけないでいた。

「すごかったな…俺もあんな風になれたらな…」

レオは一人呟き、今までの厳しい修行や初めて会ったソルの勇敢な姿を思い出していた。

「寝れないや、今日ぐらいは師匠に甘えようかな」

レオは立ち上がり洞穴入り口付近へと歩き始める。

ピチャピチャピチャ…

レオが近づくにつれて異様な水温が聞こえてくる。レオは一瞬雨漏りだろうか。とも考えたが、雨がふった日はそんな事は一度もなかったので再び考えを巡らせながら歩いていると…徐々に、激しい呼吸音と時折喘ぎ声が聞こえ始める。

「ハァ…ハァ…ハァ…レオ…レオ…」

“師匠が自分の名前を呼んでいる?”疑問に思ったレオはソルの姿が見えるまで歩を進めた。そこでレオは衝撃の光景を目の当たりにし口を閉じられずにいていた。
“師匠が…師匠が自慰行為をしている…しかも、自分には気づいていない…”
レオは好奇心にかられその様子をじっと見つめていた。やがてソルは、レオにも聞かせたことのない可愛らしい嬌声を上げながら潮を噴いた。ソルが激しい息遣いの中、ふと横をみる。レオに見られていたとわかり慌てふためき始める。

「レオ!?いたのか!?いつか…ら?」

ソルは顔を赤らめながらレオに問いかけるが、目はレオを見れていない。

「ずっとです。」
「え?あ…ああどうしよう…見られていたなんて…」

ソルは恥ずかしさと驚きのあまり地面に顔を伏せ両前足で顔をおおった。レオは、ソルの元へと徐々に近寄り彼女の背中に前足を置いた。

「うれしいです。自分の名前を呼んでもらえて。こんなに師匠に思ってもらえて、俺は…生きていて一番幸せです。」
「ご…ごめんな…がっかりさせて…。こんな師匠で…お前にどう顔を向けていいやら…」

69適当:2012/09/11(火) 12:13:53 ID:Iezo9s2A
レオは微笑みソルへ話しかける。一方ソルは返事はしたものの未だに耳を赤くし地面に顔をふせている。レオは、やさしく“顔を上げてください”と呟いた。

「がっかりなんてしてません…ただ、どうしてもっと早く言ってくれなかったんですか?」
「そ…それは…恥ずかしいからだ…ああ…」

レオは涙目になっているソルに優しく語りかける。

「俺は…師匠に満たされてばかりなのに…何一つ師匠に恩返ししてやれない…。今が、その時だと分かりました。師匠こうすればいいですか?」

レオはソルの股へと顔をうずめ、秘所の割れ目をなぞり始めた。

「ちょ…何して…はああ!」

ピチャピチャと卑猥な水音が鳴り響き洞穴内に響きわたる。ソルは舌のなぞられる感覚に喘ぎ声を上げ、先程とは比べ物にならないぐらいの潮を噴いた。

「ああ!!ご…ごめん!!汚いよな?」
「汚くないですよ。師匠の…おいしいです。いつも食べてるお肉よりも…」

レオは、顔にかかった愛液を前足で拭い口に含んだ。その後に優しくソルへと微笑みかける。

「そ…そうか…ありが…とう」

ソルはレオから視線をそらし目を泳がせている。赤くなった頬は更に赤みをましており、白い毛におおい隠されていた耳は赤く目立っている。

「これだけじゃ足りませんよね?今までお世話になった分ご奉仕します。」

レオは再びソルの股へと顔をうずめ、膣内に舌を忍ばせる。

「は…はあぁん。いいぞ…レオ…」

ソルは更に高い喘ぎ声を上げ腰をくねらせる。ソルはレオの頭に前足を置き、もう片方は背中へと添えた。レオは息遣いを乱すことなく、速度を上げる事なく優しく秘所をなで回す。

「あ…もうイきそう…」
「気持ちいいですか?そう思っていただけてうれしいです。スピードを上げますね。」

レオはさらに舌を奥へと進入させ、徐々に動かす速度を上げ始める。舌を動かす度にソルは喘ぎ声をあげ、ついに3度目の絶頂を迎えた。ソルの目は涙で潤んでおり、恍惚に満ちた表情を浮かべている。彼女は息を切らしながらも口を開く。

「君は…オオカミなのに私を無理矢理押し倒そうとはしないな…」
「そんなことしませんよ。恩人に向かって、そんな失礼な態度はとらないです。」
「そうか…なんか体が熱い…君のをくれないか?」
「えっ…俺の…ってうわぁ!!」

今度は、ソルがレオの肉棒をくわえ始めた。レオの沈んでいた肉棒は、次第に堅くなり脈を打ち始める。

70適当:2012/09/11(火) 12:43:14 ID:Iezo9s2A
「し…師匠ダメですって!!俺のは汚な…うわぁ!!」

ソルは口を上下に動かし、レオのモノの先端を舌でなぞっている。レオは徐々に息遣いが荒くなり、あまりの快感に絶頂へと達してしまった。ソルの口内は白色の粘液で満たされており、入りきらなかった液体は外へとこぼれる。

「あ…すみません!!汚いですからすぐに出して下さい!!」
「ん?汚くないぞ?おいしい…雄のはこんな味がするのだな…」

ソルはうれしそうにレオの精液を飲み干し、口についた精液も前足で拭い口に含んだ。

「雄のは…って、師匠ってもしかして…」
「ああ、処女だ。私は誰からも嫌われ者だからな」
「そんな…どうして?師匠みたいな方が…」

レオが困惑の表情を浮かべると、ソルは優しく頭に前足を添えなで始める。

「私は…私は災いをもたらすんだ。一緒にいるだけで不幸になってしまう。その為か、ポケモン達を救っても一向に感謝されない…そればかりか逃げるように去ってしまう。いや、私がいたからこそもしかしたら、そのポケモン達は不幸な目にあったかもしれないな。」

ソルは悲しみに満ちた表情で地面を見つめ話した。レオはソルの頭を撫でて、あやすように言葉をかける。

「不幸なんて…ありません。むしろ幸福ですよ。もしも、あなたが言うように災いをもたらすのなら、それは不幸中の幸いです。と言っても不幸なんてほんのわずかで…うわぁ!!」

レオが話している途中にソルはレオの胸へと顔をうずめた

「ありがとう……そう言ってもらえてうれしいよ。君と出会えて本当に良かった。」

ソルは涙声で感謝し、レオの胸の中で大声で泣き出した。レオの胸には彼女の温もりと涙でぬれる感触があった。

「し…師匠泣かないで下さい。俺は本当の事を言ったまでです。その…俺で良ければ初体験…お相手しますよ。」

レオは胸に顔をうずめるソルのかたに前足を置き、ソルの顔を見つめる。ソルは小さく首を縦に振ってみずから仰向け状態となった。

「レオ…いちおう初めてだから…やさしくな?」

ソルは甘えるような目線をレオに送り懇願する。レオは、それを承諾しうなずくと自ずの肉棒を秘所の中へと挿れ始める。

「い…いったい!!うぅ…」
「だ…だいじょうぶですか?やっぱり…」

ソルは激痛のあまり涙を流し悲痛の声を上げる。レオは心配そうに目線を送るが、ソルは激しく首を横に振り続行を申し出た。

71適当:2012/09/11(火) 13:16:16 ID:Iezo9s2A
レオはソルに合図を送り、徐々に腰を動かし始める。ソルは初め悲痛の声を上げながらも、次第に快感の波にかわり前戯と同じ喘ぎ声を上げ始めた。

「ど…どうですか…師匠?痛くないですか?」
「いい…すごく…気もちぃぃ!気持ちぃぃよぉぉぉ!!」

ソルは次第に自ら腰を動かし始め、レオの背中へと両前足でしがみついた。目は潤んでおり、快感のあまり表情を崩している。

「う…師匠の中締め付けがすごく温かいです…もう…もう…出そうです」
「そ…そうか……私ももうじき…一緒に…」

レオの顔もソルと同じく快感に満ちた表情を浮かべており、自然に腰を打ちつける速度も上がっていく。レオが腰を打ちつけるにつれてソルの喘ぎ声が増していく。

「う…あああ!!師匠もう限界です!!」
「あ…はん!!出し…て私…の中に…」
「わ…わかりました…うわぁぁぁぁ!!師匠好きだあー!!」
「うれしいレオ!!…あっ…ああん!!」

二匹は同時に絶頂を迎えた。白色の液がソルの膣内へと進入し、入りきらなかった液体は愛液と血が混じって外へとこぼれ出した。

「師匠…幸せです」「わ…わたしも」

二匹は今宵最後の言葉をかわし抱き合って眠りの世界へと旅立った。



こうしてオオカミのレオとアブソルのソルは、さびしさを分かち合う者同士、愛し合い幸せを手に入れることができた。これが理想である。だが、運命にそんな甘い選択は無かったのである。レオとソルは、翌日川へ体を洗い流しに言っている時に事件に巻き込まれた。

バシャ…バシャ…バシャ
チャプ…チャプ…チャプ…

レオとソルは森の洞穴より少し離れた小川で昨日の夜の汚れを流していた。

「師匠…なかなか落ちません。べっとりと染み着いちゃって…。」
「わ…わたしもだ。どうしよう…。」
「これだけ俺達の営みが激しかったってことですよね?」
「そ…そうだな。いや、レオやめてくれ恥ずかしいじゃないか…。」
「あ〜!!師匠赤くなってる!!赤くなってるぅ〜!!」
「あ…赤くなどなってはいない!!」

レオはソルが恥ずかしさのあまり顔を赤らめていることを指摘し、くすくすと笑っていた。ソルはレオに向かって怒鳴りながらも笑っていた。

「ようやく見つけたぜ…お二人さんよぉ」
「!?」

二匹が同時に声のする方へ振り向くと10匹のグラエナが不適な笑みを浮かべにらみつけていた。

72適当:2012/09/11(火) 13:48:14 ID:Iezo9s2A
「あ…なんてことだ…、レオ…すまない。」

ソルは、絶望的状況におちいるまでレオとの戯れを続けており、意識を向けることなど皆無に等しかったのである。ソルは不安気な表情を浮かべる。レオは、10匹のグラエナ達を睨みつける。再び彼女の方へ向き前足を取ってこう告げる。

「逃げて下さい……。」
「あ…レオ!!しかし…」

突然レオの孤軍発言にソルは戸惑っている。しかし、彼女を安心させるように頭を撫で、背中を撫で再度口を開く。

「俺は…俺はあの時…あの絶望に陥っている時あなたに助けられました。今度は俺の番です。あなたを…もう大切なパートナーを失いたくない…。」
「レオ!!落ち着け!!二匹で叩けばなんとかなる!!できなければ、私のかまいたちで…」
「行って下さい…お願いです。」
「う…レオ…」
「ぐずぐずするな!!行けぇ!!」

レオはソルにも見せたことのない剣幕な表情で叫び逃げるように説得した。ソルは小さくうなずき“必ず戻って来いよ!!”と言いながらその場を走り去った。

「くくく…ははははは!!」
「何がおかしい?」

グラエナ達はレオの無謀とも言える選択肢に腹がよじれる勢いで笑っていた。

「お前、弱いくせに…格好つけるのだけは一人前だな。」
「まったく…こんなバカは生まれて初めて…いやヒーローが出てくる物語でもねぇぞ…くくく…」

グラエナ達はレオを嘲笑するが、レオは真剣な表情で睨みつけている。レオは再度口を開く。

「お前達は…俺の仲間を殺した。絶対に許さない。覚悟しろ」
「はっ!!お前に何が出来るってんだ!!偉そうな事は勝ってからにしろよ!!」

グラエナの一匹がレオに向かって急速に突進し、急所めがけて噛みつこうとするがレオは瞬時にかわし、グラエナの腹部に強烈な打撃を加え気絶させた。

「な…なんだコイツ…あの時とはまるで…」
「どうなってやがる…」

グラエナ達はその光景に口を開いたままだった。レオはそれを無視するように、こう言い放つ。

「おい、さっさとかかってこいよ。俺は本気だ。恨みで怒りがこみ上がっているからな。お前達を許すつもりはない…全員殺す」
「なんだと?一匹やったぐらいで調子にのんじゃねぇー!!」

グラエナが一斉にレオに襲ってきた。レオはその瞬間に、目を鋭く光らせる。その様子は生きる為に獲物を狩る野生のオオカミではなく、修羅に満ちた殺し屋のようであった。激戦長くにわかって繰り広げられた。

73適当:2012/09/11(火) 14:15:56 ID:Iezo9s2A
一方ソルはレオのいた洞穴に戻っていた。彼が自分を逃して一匹で戦っている。ソルは天にただただ祈りを捧げていた。
“お願いだレオ…帰ってきてくれ…どうか…”
するとソルの願いが通じたのか、向こう側から一匹の狼の姿が現れた。ソルは無我夢中で走ってかけ寄った。彼は全身血だらけ、傷だらけであった。

「レオ!!大丈夫か!!しっかりしろ!!」
「う…師匠、勝ちましたよ…でも…大丈夫そうにないや…」

レオは弱々しい声を吐きソルを見つめる。ソルはレオの頭を抱え涙を浮かべている。

「くそ…あいつら…ちくしょう…」

ソルの心の中には強い憎悪が生まれだしていた。“絶対に許さない!!レオの復讐をしてやる!!”
だが、ソルの思惑を読み取るようにレオは続ける。

「だ…だめですよ…師匠。俺は、もう役目を果たしました。他のグラエナ達には罪はないんです…悪いのはアイツら…。」
「で…でも!!」

ソルはレオの抑止を否定するが、レオは小さく首を横に振り話を続ける。

「そんなに悲しまないで下さい。憎しまないで下さい…。憎しみから憎しみしか生まれない。同じ過ちを……アイツらと同じことを繰り返してはいけません…」
「くっ…うぅ…レオ…すまない…なぜ、お前を置いて逃げたのか…」

ソルは、あの時自分だけ逃げたことを後悔していた。彼の言う事を信じすぎたあまりに…本当は、自分を傷つけたくないが為の強がりだったと言うことに…
ソルが後悔の念にかられている最中、レオはソルの頬に前足で優しく触れた。

「師匠、最後の弟子の頼み聞いてくれますか?」
「ああ!!なんでも言ってみろ!!」

レオはソルの強い返答に安心し優しい表情を浮かべ、彼女の背中を撫でて続ける。

「俺が死んでも…俺のように困っている動物…師匠のような生き物を助けてやって下さい…。たとえ、あなたが誰に嫌われようと蔑まれようと俺だけは…俺だけは、いつも遠くで見守っています。」
「ああ…わかった…」
「そう…よか…った」
「レオ…?おい!!起きてくれ!!私を…独りにしないでくれ!!そんな…レオォォォォォ!!」

レオはソルに最後の言葉を伝えると彼女の腕の中で静かに眠りについた。ソルはレオの胸に顔をうずめ大声で泣きじゃくった。

74適当:2012/09/11(火) 14:25:28 ID:Iezo9s2A
ソルはレオが別の世界に逝ってしまった後、彼の亡骸をくわえ洞穴近くの土へ埋葬した。

「レオ…私は嬉しかったんだ…お前がそばに居てくれて…。ずっと言えなかったな。すまない…。約束だぞ?私が生きている間は…ずっと、ずっと見守っていてくれよ。」

ソルが墓に向かって呟くとどこからか風が吹き、ソルの頬をそっと撫でた。その感触はレオが自分にしてくれたことと同じであった。

「ありがとう」

ソルは小さく呟くとレオの墓を後にした。今現在も彼女はこの森の秩序を乱す悪と戦っている。もちろん、自分に初めて好意をよせてくれた一匹の勇敢なオオカミを想いながら…(終わり)


あと書き
いかがでしたでしょうか?感動シーンで泣いていただけたら幸いです。

こういう妄想もありですよね?

75名無しさん:2012/09/11(火) 17:20:59 ID:RXNyuG3o
うーん、動物が登場するのはまあ、別段問題ないかもしれないけど…動物が主人公っていうのは流石にちょっとなぁ。
ポケモン小説wikiに通ずる場所なわけだし、主役はやっぱりポケモンの方がよかったと思いました。

でもwikiで人間視点で進められている作品は幾つかありますし、個人的に動物はあれだと感じただけなのでここで書く作品としては問題はないでしょうけどね。
とりあえず、投稿お疲れ様でした。

76適当:2012/09/11(火) 20:06:33 ID:Iezo9s2A
>>75
ギリギリOKってレベルですね(汗)

まぁ、タイトルは読み手にお任せします。主人公というのは本当は死んではいけないというルールにのっとれば、途中から彼女(ソル)に移っているという考え方もありです(笑)


主人公変わる小説って…どうなんだ…(汗)

77名無しさん:2012/09/11(火) 20:18:34 ID:N2/NWZHU
投稿乙です。
リアル動物…今まで全くなかった解釈での話ですね…
力関係により淘汰されてしまう動物の悲哀と現実…

78名無しさん:2012/09/12(水) 01:38:01 ID:btkpGgMs
途中グラエナと会話が成立してしまってように見えますがレオはポケモンと話すことができないのでは?

79適当:2012/09/12(水) 06:44:44 ID:4oBeYbjc
いいところに気がつきましたね。グラエナと話せているのは、ソルから鳴き声で会話するやり方を習ったからです。

レオはグラエナ達に復讐したい。言葉も通じあわさなければ言いたいことも何もわかってもらえず、ただ暴れてるだけになってしまうからです。

ソルから習う下りを入れれば良かったですね…すみません_(._.)_


それと、IDを見てもらえばおわかりになって頂けると思いますが、足跡=適当です。

このスレに書かないで新たにスレッドをたてたのには理由があります。レス1に書いたように、選択式小説が成立しにくくなるからです。

もしも、このスレに投稿してしまったら制限(足跡トピのレス1を参照)をつけられず他の人の感想や意見が指定アンカの間に入ってきてしまいややこしくなってしまいます。

以上、上記の理由で誠に勝手ながらトピ作成致しました。

私、適当(足跡)自身がこのトピに投稿するのは、完結型SSだけにさせていただきます。【MARTER BALL's SLAVE】は長編ストーリーです。

80名無しさん:2012/09/12(水) 21:09:20 ID:qnejG94w
>>79
>>78の質問に対して、グラエナと話せている理由があるのなら、作中でそれが分かるようにしたほうがいいのでは。
このように、作者に確認しなければ分からない部分があると、読んでいる最中、読者側からすればそれがひっかかり読みにくくなってしまう気がします。
小説は漫画とは違い、文章だけで場面もキャラの感情も、すべての事を表さなければなりませんからね。分かりやすい描写は第一ではないかと思われます。

81名無しぃぇ:2012/09/12(水) 22:18:50 ID:646R8/AE
ここはチラシの裏ですし、「ここがこうだったら…」「あれがこれがったら…」っていうのはなしにしませんか?
文字通りチラシの裏の殴り書きをみんなで見るような場所ですし、アドバイスを求めている作品にだけアドバイスを付けてはいかがでしょうか。
だれしも最高の作品を作りにここにいるわけではありません。かくいう僕もwikiに来た当初は上達なんて考えずに自己満足のままに小説を書いておりました。
>>79さんがテキトーに書いているとは言いませんし、自己満足の小説だと決めつけることはできないのです。>>79さんは小説完結時にアドバイスを求めているわけではありませんので、そこまでいろいろ指摘するのはちょっと…。
妄想爆発は大上等のはずですから銃器を使おうが世界が滅ぼされようがチラシの裏に書かれていることですし、そこまで技術的な面を指摘するのはどうかと思いますよ。
アドバイスを求めた人だけにアドバイスを。  そうでない小説はチラ裏作品として盛り上げていくことを考えてコメントしてみてはどうでしょう。
そうでないと、wikiとあまりここの空気が変わらなくなってしまいwikiと比べての敷居の低さ(笑)になってしまうのも時間の問題かと思われたので書かせていただきました。
どうか、チラ裏を盛り上げ、かつ誰でも気軽に書き込める場にするためによろしくお願いします。

82名無しさん:2012/09/12(水) 23:04:52 ID:XxkpSNXg
そして肝心のアドバイス求めてる人はコメント乞食だの何だの言われるんだよねえ。

83名無しぃぇ:2012/09/12(水) 23:18:10 ID:646R8/AE
要はめいっぱい叩きたいだけにしか見えないのですよねぇ(苦笑  いや、皮肉でも批判でも悪口でもなくホントのホントに。
……このままだと環境のせいで、古参は離れ、新人は潰れる…とか本当にありえそうで危機感感じているのですよ〜。とは言ったものの僕らが打破できる問題ではないですし。
以前のチラシの裏に批判的なコメントは珍しかったのですが、ここも時の流れと風潮には逆らえないのでしょうかね。
どんな文章も受け入れる。それがチラシの裏のはず。  そこに書かれた内容を批評するなんて、チラシの裏らしくもないですよね。

これ以上は雑談になりそうなので、僕はこの辺で控えさせていただきますね。どうするかは、僕が決めることではありませんし大衆が場の雰囲気を形成するのですから、どうこうしようとも考えておりませんね。

84適当:2012/09/12(水) 23:30:28 ID:4oBeYbjc
まぁ、皆さんの言うとおりですよ。逆に指摘していただいてありがたく思っております。

私自身も書き上げた時に感傷に浸ってしまい(←ダメな例)ソルとレオの親密なところも書き足せば良かったなぁと思っています(笑)

ストーリー作るのって難しいですね。今銃器を使わずに某ゲームのステルスアクション(戦闘中心ではなくあくまで隠れる)を考えているのですが……まぁ〜かなり無理矢理の展開になってしまい、現実味が全く感じられないようになってしまいます。(爆)


勝手にトピ立てした件は、本当にすみませんでした。m(__)m
新しいポケモンの技はあまりわからないので、ファイヤーレッド・リーフグリーンまでのポケモンで何とか構成したいと思っています(笑)

後日公開するかもですが、選択式小説はさすがに断念せざるを得ないと思います。(汗)

プラチナから新しく出た作品はほとんどわからないんですよね…実は(汗)

さすがに、「じゃあポケモン図鑑買えば良いじゃないか」という意見はご控え下さいm(__)m

そこまでしてまで、小説にするくらいなら私自身は書かない方がマシだと思っておりますので……

あっ、ポケモンに対する愛情が無いわけではないですよ?ポケモンは好きです。愛らしい動物モデルタッチですし……

85名無しさん:2012/09/13(木) 00:05:05 ID:6vjFphzI
とりあえず>>83は落ち着いた方がいいと思う。
今のところ意図的にかつ本心から悪意をもって作品を叩いてる人はこの場にいないはず。
wikiの方もそうだがいちいち神経質になり過ぎだ。
そもそも他人からの反応を見たくなければこんな場所に作品を投稿する必要もないはず。
ましてや作品に対して感想や意見がつくのは自然なことでそれらに対して批判をするのはどうかと思うな。

86名無しさん:2012/09/13(木) 12:31:01 ID:laHoVAhA
私は>>81の意見に同意。
上を目指すための練習の場として書いてる人には指摘でもアドバイスでもしてやれば良いけど、垂れ流した妄想にまで難癖つけるなって思うよ。

内心、意見イラネって思ってても言ったら叩かれるしスルーしても叩かれるから仕方なく「指摘ありがとうございます」って言ってる人も中にはいるんだよ。少しは察してくれ。

87名無しさん:2012/09/13(木) 20:37:24 ID:YjdzTMI.
>>86
恐らく>>80のことについて言っているんだろうが、妄想に難癖つけてるような文は見当たらないけどな。

いくらいらないからってスルーするのはよくない。読んでくれた上に指摘してくれたんだから、ちゃんと返事をするべきでしょ。
それが嫌なら伝えなきゃ。ネットなんだからそういう感情は書き込まなきゃ読者には分からないんだし、
今まで「意見はいらない」といって叩かれた人なんていた?仮に叩かれたにしても、ちゃんと説明すればいいじゃない。
それでも分からない人はどうしようもないけどさ。
…とはいえ、思ったことをほいほい口に出すのもどうかとは思うけどね(汗)

自分は>>85の意見に同意。
チラ裏はイレギュラーともいうべき作品も投稿OKという場所であって、意見などがくるのは極普通のこと。
その点だと>>80はチラ裏の作品なのに言いすぎなところもあるけど、
>>1にもあるように「書きたいけど投下する勇気がない」作品なら、今後の作品への参考として少し厳しい多少あってもいいと思うんだ。
それで自信を持てるようになって、wikiの一作者になったりする人が出れば、この場所の評判もよくなっていいと思うんだけどな。

それに、作品的に見れば読者に分かるように書くのは基本中の基本といえることだと思う。
作者は自分の考えた作品だから当然頭の中で皆分かっている。でも読者には作者の文がなければ細かい情報は読み取れないんだから。

逆に>>81の方が過剰反応しているように見える。
>>80は別に>>79が適当に書いているなんて言ってないし、「ここがこうだったら云々」じゃなくて、
単に「分かるように書いた方がいいんじゃないか」って助言してるだけでしょ?
上に書いたように、「作者が理解していても読者には分からない」なんてことがあると、作者側にとっても気持ちよくないと思うんだ。
自分の作品をより理解してもらえた方がそりゃ嬉しいってもんでしょ。

そういう目でみりゃ、>>80の指摘って普通なんじゃないの?ということを少しだけ。

88名無しさん:2012/09/13(木) 20:41:35 ID:YjdzTMI.
言葉が抜けている部分がありました(汗)
・少し厳しい多少あっても〜→少し厳しい<意見が>多少あっても〜

89名無しさん:2012/09/14(金) 02:37:14 ID:7XAonnyg
>>86
人からなにか言われるのが嫌ならあらかじめ断りを入れておけば問題ないと思う。
そこで内心だけに留めておいたら誰にもわからないだろうし。

90適当:2012/09/14(金) 15:57:27 ID:XQSv2wqg
新作出来ました。今から投稿しますので温かい目で見守って下さい(笑)

91適当:2012/09/14(金) 16:00:32 ID:XQSv2wqg
題:こっくりさん


【こっくりさん】という遊びをご存知だろうか。【五十音】と【はい】と【いいえ】と【鳥居】が書かれた紙に10円玉を置き、最低3人以上で例の呪文を唱え霊を呼びよせる不思議な遊びである。こっくりさんは一説には、本当に狐の霊が出てくるとされているが、多くの場合は死んだ者の魂をランダムにあの世(霊界)から呼び寄せている。それ故、どんな霊魂が来るかはこっくりさんを行う者もわからない。最悪の場合は全く帰りたがらない霊が来てしまうので、当たりハズレが大きい呪い(まじない)遊びともいえるだろう。
だが、時には死んだ者の魂ではなく本当に狐の霊が来てしまうこともある。これは、その狐の霊を呼び寄せてしまったある3匹の中学生の物語である。


これは、本当にあった事なんだけどね。僕達はある日こっくりさんをやってしまい、本当に実体の狐を呼び出しちゃったんだ。こっくりさんをやったのは、僕達の学校で異常にはやっていたからなんだ。みんなも学生時代に経験してるよね?子供というのは、本当に好奇心旺盛で何でもかんでも確かめたくなっちゃうんだ。僕達が実行するきっかけになったのは、ある日の給食時間が原因だったんだ。


広々とした教室の一室にポケモン達は食事をトレーに盛り付け、机をテーブルにし椅子に座って楽しく給食を取っていた。ある場所に雄3匹雌3匹と向かいあって座り食事を取りながらお互いに会話していた。

「わたし達ね、昨日こっくりさんやったの〜!!」
「それでね、ヒノちゃんが見つからなかった物を試しに“どこにあるの?”って聞いたら、10円玉を動かして答えてくれてね。」
「言われた通りに、その場所を探したら…本当に見つかったの!!長い間ずっと探して見つからなかったのに、すごくない?」
「すごい…」
「すげぇな…」

初めに会話を切り出したのは、僕の真っ正面にいるヒノアラシのヒノちゃんだった。後々続いたのが、ヒトカゲのあかねちゃん、アチャモのあきちゃんだった。僕達は二匹して感嘆の声を上げてしまった。もう一匹は、まだ黙々と給食食べているから聞いてなかったんだと思うけど…。あっ、僕はゼニガメの太郎って言うんだ。隣に座っているのがワニノコの次郎君とミズゴロウの三郎君だよ。僕達はその話を聞いて、女の子達からやり方を聞いたんだ。あんなすごい事を言われたら誰だってやりたくなるものでしょ?それに、僕達中学生とまだまだ子供だったしね。

92適当:2012/09/14(金) 16:06:18 ID:XQSv2wqg
僕達は放課後教室に残ってこっくりさんをやる事になった。


放課後
「よし、校内には誰もいないよな?」

教室の外を確認し、教室内へと戻ってきて次郎は言った。

「うん。みんな帰ったよ。今日は部活動はみんな休みだし、テスト期間だしね。」
「というか、テスト期間に残ってるのってマズくないか?見つかったら何言われるかたまったもんじゃねぇぜ?」
「いいんだよ。こっくりさんに明日のテストの答えでも教えて貰えりゃ、儲けモン何だからな。」
「というか、次郎君ってそれが目的でこっくりさんやろうとしたの?」
「う…、それを言うなよ。」

太郎に図星を見事につかれた次郎は少しばかりたじろぐ。

「まぁ、いいじゃねぇか太郎。俺達も説得するんだし…」
「そうだね。」
「んじゃ、ちゃっちゃと終わらせちゃおうぜ。先公がくる前に。」
「先公っ…てお前それいつの時代だよ?今を生きろバカ。」
「うっせーな。漫画で覚えたに決まってんだろうが。タコ」
「あ〜、あ〜二人ともケンカはよして。先生きちゃったらもうやるチャンスないよ?」
「それも、そうだな。」

次郎と三郎が言い合いお互いの雰囲気が悪くなり始めた瞬間に、太郎は二匹の仲裁に入った。二匹はやむを得ずに承諾する。三匹時計を見て、急いで生徒達の机を前方の席を1つだけを残し机をすべて後方へ寄せる。その後、すぐに専用の紙を取り出し机の上へと置いた。机の上に置いた用紙の鳥居のマークに10円玉を置き例の呪文を三匹は一斉に唱え始める。

『こっくりさんこっくりさん、どうぞいらして下さい。いらっしゃいましたら、【はい】へお進み下さい』
“おい…”

三匹は例の呪文を唱えたが、10円玉は微動だにしなかった。その代わり何やらどこからか奇妙な声が聞こえてきた。

「ん?ねぇ、今何か聞こえなかった?」
「はぁ?何言ってんだお前。聞こえるわけねぇだろ。真面目にやれ。」

太郎は奇妙な声に耳を疑い二匹に訊ねるが、次郎は即座に否定した。太郎は少し首を傾げながらも、二匹に続き呪文を唱える。

『こっくりさんこっくりさん、どうぞいらして下さい。いらっしゃいましたら【はい】へお進み下さい。』
“おい!!”

再度唱えるが、一回目と変わらず10円玉は動かない。しかし、どこからか聞こえる奇妙な声は次第に大きさを増していく。

93適当:2012/09/14(金) 16:13:07 ID:XQSv2wqg
「ほら!!ねぇ、今の聞いた?誰かいるよ、絶対いるって!!」
「だ〜から、お前何言ってんだよ?そんなヤツいるわけねぇだろ?」
「先生も職員室だしな…」

太郎は奇妙な声が大きくなっていることに気づき、二匹に注意を呼びかけるが、二匹は怪訝そうな表情で“何を言ってるかわからない”とばかしに首を傾げている。太郎は二匹の態度に“自分はどこかおかしいんだな”と心の中で納得させ再び例の呪文を二匹に加わって唱える。

『こっくりさん、こっくりさん。どうぞいらして下さい。いらっしゃいましたら【はい】へお進み下…」
「おい!!」
『うわぁ!!』
“あっ…10円玉から指離しちゃった…”

三匹は後方から聞こえる怒鳴り声に思わず腰を抜かす。腰を抜かした為か、三匹とも10円玉から指が離れてしまった。それと同時に声の主は、怒りの表情を苦痛の表情に変え頭を抱えて苦しみだす。

「ぐわぁぁぁ!!頭が割れるように痛い…貴様ら10円玉から指を離しおったな!!早く指を置けぇー!!」
「バ、バカ!!早く10円玉に指を戻せ!!」

三郎は三匹が10円玉から指を離していることに気が付き、元の位置に指を戻すように素早く催促した。二匹は指摘され、慌てて同様に指を元の位置へ戻した。途端に、苦しんでいた声の主からは苦痛の叫びと苦痛の表情が消え、胸をなでおろしため息をついている。

「まったく、貴様ら10円玉から指を離すとは…私にケンカをうってるのか!?こっくりさんでは、10円玉をいかなる時でも、絶対に離すなと教えられなかったのかたわけが!!」

声の主は、10円玉を離してしまった三匹を見て、怒鳴り睨みつける。太郎はひるみながらも、相手の身の上を訊ねる。

「あの…すみませんが、どちら様でしょうか?」
「私か?私はこっくりだが?」
『ええー!!』

太郎が訊ねた質問の答えが、よっぽど予想外だったのか三匹は一斉に教室中に声を鳴り響かせる。奇妙な声の主の正体は、白い巫女服を身にまとい、りんとした表情と突き刺すような鋭い声を持った一匹のキュウコンであった。こっくりと名乗るキュウコンは、三匹の反応に顔をしかめ話し始める。

94適当:2012/09/14(金) 16:21:31 ID:XQSv2wqg
「まったく、返事しているのに振り向かないわ、10円玉から手を離すわ…おまけに、私の存在も知らないだと?バカにするのもいい加減にしろよ。」
「え…いや、だって本当に狐が出てくると思ってなかったもので…」
「思ってなかった!?はぁ…」

三匹に説教し始めるこっくりさんに三郎は正体が気がつかなかった理由を話すが、こっくりさんは深くため息をつき眉をつり上げる。

「こっくりさんが、狐だと言う説は“一番”有力なんだがな。そもそも遊びに名前に狐という漢字が含まれておるだろうが!!」
「こっくりさんに狐の漢字ですか!?どの辺に書いてあるんですか!?」
「自分で調べろ。私に頼るんじゃない。常識だぞ?恥ずかしくないのか!?」
「えー、マジですか、それはすいませんした。」
「お前言葉遣いがおかしいぞ?マジって何だ?“すみません”だろ!!」

次郎はこっくりさんに理由を言っても、常識だと言われあっさり却下された。そればかりか、自分自身の言葉遣いのあやまちのせいでこっくりさんに5分程説教されるのであった。
ちなみにこっくりとは漢字で“狐狗狸”と書く。もちろん国語辞典では全く見つからず、広辞苑ぐらいからしか出てこないような言葉である。どこが常識なんだと本人に問いつめたいところだが、何をされるかわからないのでやめておこうと思う。
こっくりさんは説教が終わるとしばらく三匹をじっと睨みつけている。太郎は10円玉に指を置きながら、この場から立ち去るように要求する。

「あの…こっくりさん、次郎君の件とか僕達が無知すぎるのはすみませんでした。謝りますから、もう帰って頂けませんか?」
「帰る?ほ〜う、お前いい度胸してるな。連日のこっくりさんに散々働かされ、ようやく休みがとれて、お昼から夕方まで気持ちよ〜く寝るつもりだった私を叩き起こし、迷惑をかけたあげくに、私をただ怒らして帰すと言うのか?お前一度私の怒りの鬼火でもくらってみるか?それとも呪い殺してやろうか?」
「えー、お言葉ですが、水タイプの僕にはあまりやめた方が…」
「お前何を勘違いしておる?地上の似たような生き物と一緒にしてないか?私の鬼火は完全にゴーストだ。魂を吸い取る技だぞ?燃やす技ではないわ。たわけが。」
「え…そうだったん…そうだったのですか…それはすみません。」
「うむ。わかればよろしい。」

95適当:2012/09/14(金) 16:27:17 ID:XQSv2wqg
未知の情報を突きつけられて困惑する太郎へ全く配慮せず、こっくりさんは“当然だ”と言わんばかりに態度を崩さない。太郎は、次郎が言葉遣いに注意を受けたので慣れないながらも、なんとか訂正し返事を返した。こっくりさんはさらに話を続ける。

「さて…どうしてくれようか。こんなに私に迷惑をかけたんだからな。」
「すみません…どうすれば、帰っていただけますか?」

ため息をつき、怒りの表情を少し和らげたこっくりさんは三匹に冷ややかな視線を送りながら言い放つ。太郎は上目遣いでこっくりさんへ訊ねた。こっくりさんは考える間もなく即答する。

「そうだな…私にご奉仕して貰おうか。」
「ご…ご奉仕…ですか?」
「そうだ、お前達三匹が全力を尽くして私を満足させるんだ。要求は私から出す。」
「え…?ちょっと待って下さい。」
「なんだお前?私にこんな口が聞けると思っているのか?呪い殺されたいか?」
「いえいえ滅相もないです!!なんでも言いつけて下さいまし。」

“今、次郎君の話し方がおかしかったけど気のせいかな?”
太郎は、次郎がこっくりさんの脅しに対し必死に首を振り、従う意志を見せる言葉を聞いて少し首を傾げる。

「よし。私を満足させれば、今日のあやまちは見逃してやろう。特別だぞ?本来はすぐさま鬼火で魂を吸い取るか、呪殺するかのどっちなんだが。お前達はまだ子供だ。さすがの私もこんな年もいかない地上の者は殺せん。」
『はい、ありがとうございます!!』
「うむ。お前達の良い所は素直さがある所だな。」

“あれ?今何か笑ったような…いやいや!!笑ってない!!僕の目がおかしいんだ!!
予想外の優しさを見せるこっくりさんに三匹は同時に感謝の意を伝えた。太郎は笑っているように見えたこっくりさんを否定し、心の中で首を振った。
太郎ばかりに聞いてもらうのも申し分ないと思い、三郎は率先してこっくりさんの要求を訊ねる。

96適当:2012/09/14(金) 16:32:42 ID:XQSv2wqg
「まずは、何をすればいいですか?」
「そうだな。私がそこへ寝そべるから、マッサージをしてもらおうか。」
「マッサージですか?どこを中心にやればよろしいですか?」
「それは寝てから私がお前達に指示する。来い。」

こっくりさんは指を鳴らし机の上の紙と10円玉を消した。三匹はそれを見て驚いて目を丸くしていたが、こっくりさんがその様子も察さずに“早く来い”と催促する。三匹はこっくりさんの言われるがままに、こっくりさんが元いた位置より、更に後方へ移動すると三匹もそれについて行く。こっくりさんは歩を止めるとその場で寝そべり三匹に続々と指示を出していく。

「お前は肩、お前は腰、最後のお前は…ふくらはぎを揉め」

私(作者)ばかり語っていては、冒頭で太郎君が言っているように体験談ではなくなってしまう為、ここからは彼にまかせることにする。


僕は肩、次郎君は腰、三郎君はふくらはぎという位置になった。僕達は、こっくりさんの指示を受けてひたすらもみほぐした、よっぽど疲れがたまっていたのかな。こっくりさんの肩はすごい硬くて、あんなすらっとした体型の持ち主とは言えないものだった。僕達が一生懸命揉みほぐしていると、こっくりさんが“あ〜気持ちいい”とか“ふぅ〜疲れがとれるわぁ”とか独り言で僕達に感想をぶつけてくる。僕達は特に返さず心の中で“そうですか”というようにしか思ってなかった。だって、自ら進んでやったわけじゃないしね。でも、“これっていつ終わるのかな…そろそろ手が疲れて来たんだけど…”僕がそう思った矢先に次郎君は口を開いたんだ。

「あのう、こっくりさん。そろそろ手を休ませてくれませんか。長時間揉みっぱなしの俺達は限界が…」
「ふ〜ん、あっそうか。じゃあ、止めるがいい。ただし、止めたらそこでお前達は私に殺されるがな。」
「す…すみませんでした!!」
「わかったらちゃんとやれ。」

97適当:2012/09/14(金) 16:38:42 ID:XQSv2wqg
僕達三匹共こっくりさんの言葉を聞いて顔が青冷めた。気持ちよさそうに目を閉じながら脅してくるんだから…。でもなぜか声は最初に怒らした時よりは、穏やかにだった。気持ちいい時間を少しでも味わっていたかったかもしれない。それにしても、あの怒ってたこっくりさんが、あんなに表情変えるんだからよっぽど気持ちいいのかな?僕は“部活で疲れてるでしょ?”と試しに姉にもまれたことあるけど、ただくすぐったいだけだったな。大人にならないとこっくりさんが感じている様な、気持ち良さって味わえないのかな。僕がずっとそんなこと考えながらやっていると、僕達にこっくりさんは話し出した。

「よし、もういいぞ。すっかり疲れが取れた。」
「は…はぁ、お気に召して何よりです。」
「あのう、満足して頂けたようですし、帰って頂けたら嬉しいなぁ…なんて…」
三郎君がこっくりさんに帰って下さいと言った時に、こっくりさんの耳がピクピク動き始めた。こっくりさんは穏やかな表情を一気に元の怒った顔に戻し、こんな風に返したんだ。

「帰る?私はまだ満足したとは一言も言っておらぬが?」
「え…」

“まだ何かやらせるの!?正直マッサージ以外に気持ちよくなる方法なんてもう無いし……。え?まさか僕達の顔を一発ずつ殴らせろとか!?冗談じゃない!!”僕がこの言葉に対して悪い方向に考えている間に、こっくりさんは次の要望を口にした。

「次は、性感マッサージをやってもらおうか」
「は?何…何ですかそれ?」
「そうか、知らないのか。まぁ簡単に言うとだな…」

こっくりさんは性感マッサージが何であるかを僕達に語りながら服を脱ぎだした。“普通みず知らずの子供の前で服なんて脱ぐ!?あなたの方が常識が無いんじゃないの!?”僕達は慌てて目を瞑ったり、後ろを向いたりしてこっくりさんの方から目線を背けた。

「どうした?はやく正面を向かんか」

僕達はゆっくりとこっくりさんの裸に目をやった僕達はみんな顔を赤くしていた。“あたり前のことだけど、女の子の裸(からだ)なんて見たことないからね!?ましてや大人の女性なんて…”と考えながらも僕はチラチラと、こっくりさんに気づかれない様に全体を見た。こっくりさんの胸は結構大きく、僕を驚かせるには充分だった。“女の子って成長したらあぁなるんだ…どうゆう仕組みであんなに胸が大きくなるのかな?服を着ている姉の胸元を見たことあるけど、あんなに膨らんでいない。

98適当:2012/09/14(金) 16:44:50 ID:XQSv2wqg
いや、別に僕はそんなに体見てないからわかんないんだけど…”僕がまたこんなことを考えていると、こっくりさんは指示を出した。

「お前は胸、お前は股、お前は…私の口だ。」

次のこっくりさんの指示は僕が口で、三郎君が胸、そして次郎君は…なんとこっくりさんのおしっこをする所だった。僕は唖然とした。時々“こっくりさん頭おかしいんじゃないの!?そこが何する所かわかっているのかな…。”と思っていた時に、次郎君もさすがに嫌そうな顔してこっくりさんに訊ねた。

「こっくりさん、あの…ここっておしっこ出す所ですよね?」
「ああ、そうだ」
「いくらなんでもそこは……」
「ああそうか、ならば私はもう帰るとしよう。この悪行をしっかりと脳裏に焼き付けて、帰ってすぐに呪殺の儀式でも始めるとしようか。お前達にはとっても“残酷な死”を与えてやる。そうだな…両親の意識をのっとって殺してもらうか。」
「ああ〜!!すみませんでした!!生意気言ってすみませんでした!!」
「ふっ、やはりまだ死にたくないだろう?だったらやれ。」

嫌がる次郎君をこっくりさんは当たり前のように脅してきた。“なんでこんな女性(雌)がこっくりさんなんてやっているんだろう…殺人鬼の間違いじゃないの?しかも、なんか呪い殺すから呪殺ってまで略してきてるし…。こっくりさんが次郎君を脅す時はなんか笑っていた気がする。”僕達はそれぞれ指示通りの場所につき、次郎君と三郎君から始めさせた。次郎君は“ここを舐めろ”と言われていたから、こっくりさんのおしっこ出す所に近づくたびに、嫌そうな顔をして泣きそうになっていた。よっぽどおしっこ臭かったのかな。次郎君は、そんなになりながらも舌をゆっくりとこっくりさんの…につけて舐め始めた。三郎君は相変わらず一生懸命やっていた。思えばこれって三郎君だけが当たりじゃない?僕は二匹がやっている様子をじっと見ていると、こっくりさんから指示がかかる。

「お前、来い。」
「は…はい。」
「ふふふ、喜べ。お前は私から初めての接吻をもらえるのだ。私は、軽くそんなことをするような女ではないぞ。」
「あの…接吻って何ですか?」
「お前達の世界でいう“キス”という物だ。」
「キ…キス!?」
「口と言ったらこれぐらいしかやることがないだろ?そんなこともわからないのか、たわけが。ほら来い。」
「ちょ…まっ…うっぷぅ!!」

99適当:2012/09/14(金) 16:50:35 ID:XQSv2wqg
僕は突然のこっくりさんの要求に対して、抵抗しようとするも、こっくりさんが両前足で僕を掴んで、僕の口を自分の口へと無理矢理近づけた。こっくりさんはなぜか僕の口の中に舌を入れて来た。本当は嫌だったけど、断ったらまた“呪い殺す”とか言い出しかねないから、僕はこっくりさんの舌を受け入れた。“こっくりさんは舌を僕の舌に絡ませて来たんだけど…これってキスなの!?キスってお互いの唇同士を軽く触れさせるやつじゃないの!?”僕がキスとは何であるか懸命に考えている間に、こっくりさんは口を話した。離した時よだれがこっくりさんの首にポトリと落ちた。その後こっくりさんは何かわからないけど、表情を次第に苦しそうにして叫び声を上げた始めた。“苦しいんだったら止めればいいのに…”僕がそんな事を思っていると、次郎君の方から何やら不思議な透明の水が噴き出した。勢いがついていたこともあって次郎君の顔にべっとりとそれがついた。次郎君は突然飛んで来た液体に目を瞑り、こっくりさんに訊ねた。

「うわ!!こっくりさん…これって…」
「心配する…な。決し…て汚いものじゃ…ない。簡単に言えば、私の愛の印だ。受け取っておけ。」

次郎君が謎の液体について質問すると、こっくりさんは息を切らしながらとんでもないことを言った。“愛の印!?どう考えても違うよね!?おしっこする所から出たんだから、汚い以外何でもないでしょ!?しかも叫びながら愛の印出すって…苦汁の間違いなんじゃないの!?”僕と次郎君はこっくりさんの訳がわからない発言に目を丸くしていたけど、こっくりさんは遠慮こちらの事なんか遠慮せずに、再度次郎君に指示を出した。

「ん…なんかまだ出そうなんだ。もうちょっと舐めてくれぬか?」
「は…はぁわかりました…」

次郎君はもう慣れたのか、それともあきらめたのか、こっくりさんの指示通りに再びこっくりさんの…に近づけ舌で撫で始めた。それと同時にこっくりさんが何やら言葉を発しているかどうかもわからないような叫び声を上げ、色がついた液体が勢いよく飛び出した。あたり前だけど、顔を近づけてる次郎君は避けようがないんだよね…。次郎君はまた目を瞑り、嫌そうな顔をしてこっくりさんに訊ねた。

100適当:2012/09/14(金) 16:55:49 ID:XQSv2wqg
「うわぁ!!これってまさか…ひっくび…ど…い゛でずよごっぐりざん。」
「はっはっは!!何か出るとは思っていたが案の定だな。ああ…気持ちいい。放尿による快感がここまですばらしいものとは…。」

次郎君は大きな目に大粒の涙を浮かべて泣いていた。次郎君って他のポケモンに簡単に涙を見せる男の子じゃないんだ。だからさすがに、“これはかわいそうだなぁ”と深く同情した。笑ったこっくりさんを少し睨みつけてやった。“何が可笑しいの!?”と思いながら。でもすぐにこっくりさんが僕の方を向いたので、元の表情に戻した。こっくりさんは僕に指示を出した。

「興奮してくるな。私だけ気持ちよくなるのは、申し分ないものだ。おい、お前。陰茎を出せ。」
「陰茎って何ですか?」
「“おちんちん”のことだ。」
「お…ってそれはいくらなんでも!!」
「はやく持って来いほら!!」
「うわぁ!!ちょ…まっ…」

するとこっくりさんは、おもむろに僕の制服を脱がし僕のモノを口に含む。僕のモノは次第に固くなり脈を打っていた。それに、さっきまで嫌だったこっくりさんのご奉仕が、そうでもないように思えてきた。“僕って変態なのかな…?”僕はこっくりさんの舌で、モノの先を撫でられながらもそんな事を考えてたけど、だんだん気持ち良くなってきて、僕の呼吸は激しくなり、頭では何も考えられなくなった。

「こっくりさん…な…んか出ま…す。口をどけて下さい。」
「ん?ほうか。だひてもいいぞ。」
「え…ちょ…うわぁ!!もう限界だぁー!!」

僕のモノから出た何やらわけのわからないものは、こっくりさんの口の中に勢い良く発射された。こっくりさんは嫌な顔せずに、それを舌ですくい飲んでいた。僕にはそれが全く理解できずにおもむろにこっくりさんに訊いてみた。

「あのぅ…嫌じゃないんですか?おしっこする所から出た物だから…きっと汚いですよそれ。」
「ん?そうか?汚いはないと思うぞ?それに何やら心地良い味がした。こんな味は霊界に存在しないな。」

“心地いい!?それってまさかここから出た液体が、“おいしい”とかでも言うの!?僕も舐めてみようかな……はっ!!バカバカ何で舐めようとしているんだ僕は!!おいしいわけないじゃないかこんな物!!”こっくりさんは意味不明な感想を言った後、次に次郎君を呼び寄せた。

101適当:2012/09/14(金) 17:00:49 ID:XQSv2wqg
「次はお前だ。その前に顔をかせ」
「えっ…はい」

次郎君は涙目になりながらもこっくりさんの言う通りにしたがって顔を近づけた。次郎君が顔を近付けるとこっくりさんは汚い液体がついている顔いきなりなめ始めた。次郎君は急に舐められたから、びっくりして目を開けていた。こっくりさんが次郎君の顔を舐め終えた後に、味の感想を言い出した。

「まずいな…それに臭い。それは、嫌がるのめ無理はない。」
「うっ…はぁはぁ…こっくりさんなんか体が熱く…何をしたんですか?」
「うっ…はぁはぁ…こっくりさんなんか体が熱く…何をしたんですか?」
「ほう、顔を舐められて興奮したか。どれ、お前の“おちんちんも出してみろ。」

するとこっくりさんは次郎君のズボンを脱がした。次郎君のモノも立派になっていて子供が持ってるとは思えないくらいの大きさになっていた。こっくりさんはあらわになった次郎君のモノを集中にしゃぶり出した。次第に次郎君がなんか苦しそうな表情をして息を荒くして、顔を真っ赤にしていた。

「うわぁー!!こっくりさん、俺もう出そうです!!」
「そほか、なら出せ。」
「う…うわぁー!!」

次郎君は叫び声を上げて僕と同じようにこっくりさんの口の中にめいいっぱい出した。入り切らなかった、白い液体はこっくりさんの口からこぼれでていた。こっくりさんは、目を上に向けて口に含んで、しばらく味わってから飲み込んでいた。“本当にこの女性は何やってるんだろう…全く意味がわからない。”喉をごくりと鳴らすとこっくりさんは味の感想を言った。

「うむ。かすかにだが、微妙に味が違うな…という事はお前も違うのか?」

こっくりさんは残った三郎君を手招きして近くに寄せて僕達と同じ事をした。三郎君も息を荒げて、こっくりさんの口の中に白い液体を出した。次郎君のときにもう見えちゃったから、何色だったかはすぐにわかった。

こっくりさんは次郎君の時と同じように三郎君のモノから口を離し、口を閉じて目線を上にしてしばらく味わっていた。僕達三匹はその行動に口を開いたまま唖然として見ていた。ようやく飲み込むとこっくりさんは味の感想を言った。

「やっぱり違うな。これが遺伝子の差異ってヤツなのか?」

102適当:2012/09/14(金) 17:05:26 ID:XQSv2wqg
“いや、汚い液体を含んで味のソムリエみたいに言われても…。”そう言いたかったけど、こっくりさんがせっかく気分を良くしているので言うのを止めた。ここまで機嫌を良くする為に、僕達はかなりの労力を使ったから台無しにしたくなかった。次郎君と三郎君はまだちょっと息が上がっていたから、かわりに僕がこっくりさんに帰るように催促した。

「満足していただけましたか。ではお帰…」
「お前何を言っておる?今までやったのはほんの戯れ(たわむれ)だぞ?これからが本番じゃないか。私はもう興奮し過ぎて、何か知らないが股から液体が溢れてきているしな。」

こっくりさんが前足で自分の股へと指差す。僕達三匹は言われるがままに見てみると、また目を丸くして口が開いたままふさがらなかった。“何でこんなに出ているんだろう…トイレに行き忘れたのかな?出てくる意味がわからない…しかも本番って……どこをどうするの?もうやる場所がないんじゃ……。”僕がそんなことを考えているとこっくりさんは指示を出した。

「今度はお前の“おちんちん”を私の股に入れるんだ。」
「は?入るわけありませんよ。だってそこっておしっこする所ですよね?」
「はぁ…お前は何も知らないんだな。じゃあ、お前はどうやって地上に生まれて来た?お前は母親のここから生まれたんだぞ?」
「えー!!」
「お前は全く…幸せのコウノトリとかいう送り鳥(デリバード)が運んで来たとでも思っておるのか。」
「はい、すみません思っておりました…。」
「たわけ。そんな訳なかろう。まぁ、そんなことは自分で調べろ。私はそんな事を教えに来たんじゃないからな。」

こっくりさんは、やれやれと言った表情話を無理矢理終わらして、僕のモノを再びくわえた。沈んでいた僕のモノは再び固さを取り戻した。それを見るとこっくりさんは、僕のモノを自分の股の開いている所に入れるように指示した。僕は何の為にそんな事をするのかわからなかったので、思わず口にしてみた。

「ここに入れるんですか?」
「ああ、そうだ。」
「入るんですか?」
「それは、わからん。やってみなければ。わからぬわ」
「じゃあ、入れますよ?」

103適当:2012/09/14(金) 17:10:38 ID:XQSv2wqg
僕はこっくりさんに了解の承諾をもらうと、固くなった僕のモノをこっくりさんの股へ入れた。“けど、何か変な感じがする。こっくりさんが炎タイプだからか知らなかったけど、やけに中が熱い。それに締め付けられて苦しい。”僕がそんな事を思いながら全部入れようとすると、何かにあたって入らなかった。僕は疑問に思いこっくりさんに訊ねた。

「あの…こっくりさん。なんか壁みたいな物があって、これ以上進めないんですけど…。」
「ん?そうか、破って良いぞ。完全に奥まで入れるんだ。」
「そうですか、じゃあ。」

僕はゆっくりやっても破れそうになかったので、思いっきりこっくりさんの壁を破った途端に、こっくりさんは叫び出した。

「痛ったい!!貴様優しくやれよ!!呪い殺すぞ!!」
「え!?ああ、すみませんでした。で、この後どうすればいいですか?」
「いたたた…ちょっと待て、私が指示するまで何もするな。」

こっくりさんはこれまでの態度からは、想像出来ない程目から涙を流し痛みを訴えた。“あんなに勢いづいて僕達にどんどん指示していたこっくりさんが、中断を申し出るなんてよっぽど痛かったのかな…。”痛がっているこっくりさんを見て“何だか悪いことしたな”と思っていた。ようやくこっくりさんは痛みがひいたのか、再び僕に指示を出した。

「よし、動け。私を突くような感じでだ。」
「突くですか。わかりました。」

僕は、徐々にこっくりさんのナカをつき始める。突く度にこっくりさんは、叫び苦しそうな表情を浮かべている。“やっぱりまだ痛むのかな…大丈夫かな。あれ?何でさっきから僕はこっくりさんの心配ばかりしているんだ?こっくりさんよりも呪い殺される状況下にある、僕達の心配をするべきじゃないか!!自分の心配をしろ!!自分の!!”僕は独りでに考えツ独りでにツッコむけど、突く度にだんだんと気持ちよくなって、次第に何も考えられなくなる。“こっくりさんって本当に気持ちいいのかな?でも、苦しいだけだったら僕達に強要しないよね?”僕が快感の中で必死に働かない頭を動かしていたら、次第に僕のモノは限界を訴え始めた。

「こっくり…さん…はぁ…もう…出そ…う…です。」
「あっはぁ!そ…そうか、出…しぃ…ても…はぁ…」

僕は特に叫び声を上げることなくこっくりさんの中へ出した。

104適当:2012/09/14(金) 17:16:57 ID:XQSv2wqg
さっき話してた内容からすると、もしかしてこれが?こっくりさんは苦しそうな表情が一気に和らぎ優しい…というか何かの気持ちに浸っているような表情を見せた。

「はぁ…すごいぞ。こんな感覚は始めてだ。お前の精子が私の膣(なか)に入ってくる。」
「はぁ…はぁ…こっくりさん、1つ訊いてもいいですか?」
「ん?なんだ?」
「僕は気持ちいいですけど…こっくりさんは気持ちいいんですか?」
「あたりまえだろう。何を言っておる?気持ち良くならなければ、する意味がないだろうが。たわけが」

僕はそれを聞いて心の中で“やっぱりそうか”と思いつつもまだ心の中に残っていた罪悪感が一気に吹き飛んだ。“こっくりさんも気持ちいいならもう遠慮しないで、自分が助かることだけを考えよう”と僕は密かに思い直していた。

「よし、次、ワニのお前、この亀の子と同じ事をするんだ。」
「わかりました。」

こっくりさんは次に次郎君を指名した。次郎君のモノは、こっくりさんがわざわざ口に含まなくてもすでに固かった。“あれ?次郎君素直になった…ってことはやりたかったのかな?こっくりさんも僕達のことただお前とか貴様とかだけじゃなくて、特徴も入れてくれた。ってことはこっくりさんも相当機嫌良くなっているんじゃ…。”僕が二匹の会話から推測している内に、二匹はすでに行為を始めていた。次郎君も僕と同じく気持ち良さそうに叫んでいる。次郎君も僕と同じく、突く度に息が上がっていた。こっくりさんも僕の時と同じように、気持ち良さそうに叫んでいる。

「っはぁ!!…ああん!!ん…んはぁ…」
「こっ…くりさ…んの…中すごいです…ね。」
「んっはぁ!!…そ…そうか?」

次郎君がこっくりさんのナカの感想を言っていたけど、こっくりさんはもう声がかすれて返せなくなっている。次郎君はこっくりさんの指示を無視してだんだん速く動いていたけど、こっくりは特に怒る様子もなかった。“それどころかさらに表情を緩めているような気がする…。”二匹の行為を見ながらずっとそんな事を考えていると次郎君が叫び声を上げ始めた。

「あっ!!こっく…りさ!!ん。俺もう…限界…です。」
「そ…う…か…出せ。」
「うっ…うわぁぁぁぁ!!」
「ひっ…ひゃあああ!!」

105適当:2012/09/14(金) 17:22:19 ID:XQSv2wqg
こっくりさんはもう気持ち良くて叫んでいるのか、怖くて叫んでいるのかわけもわからない叫び声を上げた。“これって悲鳴だよね?”悲鳴を上げたこっくりさんは、息を切らしながらも行為の感想を語り出した。

「はぁ…はぁ、中出し状態での性行為がこんなに気持ちいいとはな。」
「こっくりさん、大丈夫ですか?もうやめた方が…。」
「はぁ…うむ。まぁ、そうしたい所だが、二匹の精子が入っている状態でやると、どこまで気持ちいいのかが知りたくなってきたな。」
「えっ…ってことは俺も」
「当然だ。私は、大丈夫だ。さぁ、来い。」

三郎君は免れるかと思ったけど、やっぱりだめだったみたい。三郎君のモノも沈んでいたので、こっくりさんが口に含んですぐに大きくした。こっくりさんの指示を受け三郎君は股へと移動するわけだけど、そこで三郎君は目を丸くして呆然としていた。

「こっ…くりさん。すでに中から溢れてきてますけど…これって入れても大丈夫なんですか?」
「大丈夫だ。さぁ、来い。」
「わ…わかりました。」

三郎君は念入りに確認するけど、こっくりさんは当たり前のようにOKサインを出した。三郎君が指摘した場所を見たら、僕達のモノから出た白い液が、こっくりさんの股の間から流れて白い水溜まりを作っていた。三郎君もさんざん僕達が意見をすればどうなるか知っていたからすぐに腰を動かし始めていた。

「うっ…なんか…すげぇ…ヌルヌルしてる…」
「あっ!!…すごい…こんな感覚は一度も味わったことがない!!くせになりそうだ!!」

三郎君は顔をしかめて気持ち悪そうにしてたけど、こっくりさんは今までにないテンションで叫んでいた。“僕達二匹はナカの締め付けを感じて気持ち良かったけど…さすがに三郎君はそれすら感じられなかったのかな。”三郎君は嫌々ながらも腰を打ちつけていた。こっくりさんは苦しそうな嬉しそうな表情をして気持ち良く叫んでいた。やがて三郎君も息を荒げてこっくりさんに限界を訴えだした。

106適当:2012/09/14(金) 17:25:59 ID:XQSv2wqg
「こっくり…さん。もう…出しても…いいですか?」
「いい…ぞ…出せ。」

三郎君は特に何も言わずに、こっくりさんのナカへ出した。こっくりさんは当然入って来る感覚に驚きながらも表情を緩めていた。

「はぁ…はぁ…いいぞ。やっぱり感覚が全く違う。やってよかったな。」
「はぁ…はぁ…こっくりさん。まだ…やりま…すか?」
「いや、私はもう満足した。霊界へ帰ることにする。」
「え…やったぁ…はは…」

僕達は待ちに待ったこっくりさんの“帰る宣言”に疲れた体を忘れ夢中で喜んだ。“なんだかんだ言って結局嫌だったんだなぁ…”と思っていると、こっくりさんが優しい表情のままで僕達に最後の指示を出した。

「体が汚れ過ぎてしまったな…これでは霊界に帰れん。そうだ、お前達はよく考えたら水タイプだな。よし、私の体をきれいにしてくれ。」『はい!!』
「ん?なんだやけに素直になったな。まぁいい頼むぞ。」

これが最後…しかも得意分野だった僕達は心良く引き受けて、こっくりさんの体にみずでっぽうを出しっぱなしにして当てた。こっくりさんは僕達の水で、両前足を使ってゴシゴシと洗っていた。体がきれいになるとこっくりさんは体を震わせて水気を払って、白い服を着た。その後こっくりさんは何やら呪文を唱えると、教室に不思議な空間が出来た。

「いいか、今度やる時は絶対に10円玉から手を離すなよ。あと、私が呼びかけたら一回で聞けよ?出ないと、今度やったらただじゃおかないからな。」

こっくりさんは僕達にそう告げると、不思議な空間に入り姿を消した。

「はぁ〜やっと終わった。」
「全くだ…こんなことになるなら始めからやらなきゃ良かった。」
「結局こき使われるだけだったな。はぁ〜」

僕達は恐怖と苦痛が去ってほっとして全員尻餅をついた。濡れた感触であたりを見渡すといろんな液体が教室を汚していた。

「これ…僕達が片付けるんだよな…」

三郎君がその光景を見て深くため息をつく。僕達もその欲にため息をつき、しぶしぶ教室を綺麗にし、机を元に戻して学校を後にした。

107適当:2012/09/14(金) 17:34:21 ID:XQSv2wqg
次の日
僕達は給食時間の時ヒノちゃん達に話しかけられても特に何も答えることなく、黙々と食事をしていた。

「ねぇ?どうしたの?昨日のこっくりさんのこと話してよ。」
「どんなだった?おもしろかった?」
「ねぇねぇ聞かせて聞かせて!どんな事を聞いたの?」

“やっぱり気になるよね…。”話したくもないけど他の次郎君も三郎君もずっと黙っていたから僕が話した。

「もういい…こっくりさんはこりごりだよ。」
「え?どうして?」
「それは訊かないでほしいな。言いたくないんだ。」

僕が沈んでいる気持ちで何とか話したけど、ヒノちゃん達はみんな首を傾げて“どうしたのかしら?”と僕達に向かって言っていた。僕達は、こっくりさんの恐ろしさを知ってからは、もうやろうという気持ちも全く起きなかった。僕は今でもずっと“こっくりさんなんて二度とやらない”って思ってる。完




あとがき
いかがでしたでしょうか。ギャグ要素もまぁまぁ入れたので、楽しんでいただけたら幸いです(笑)

言わなくてもわかると思いますが、今回のテーマは処女だけど淫乱なこっくりさんと、性処理&初体験処理を強要されてしまう、性行為に関して何も知らない童貞君達の物語です。

こっくりさんがこれだったら嫌ですね…(苦笑)
以上妄想物語【こっくりさん】でした。

108名無しさん:2012/09/14(金) 17:41:16 ID:7YO6Fu3A
以前の猛反省している者さんや、変態博士の人さんの作品と比べると、一レスに載せる文の量が結構少ない気がしました。
その分レスの消費もかなり激しいので、一レス分に書く量をもう少し増やしてはいかがでしょう。

他の方も書かれる場所ですし、レスは節約するにこしたことはないですからね。

スペースや改行を減らせばその分沢山書けますから、何度も分けずに一気に書くことも出来ますし。
理由があるのでしたらしかたないと思いますが。

109名無しさん:2012/09/14(金) 19:03:49 ID:zv7Brcwg
>>108
小説のレスなら多少増えたところで別段構わないのではないでしょうか。
意図してレス消費しようとしているわけでもないでしょうし、改行の仕方くらい個々の書き方に任せましょうよ。

110適当:2012/09/14(金) 19:45:29 ID:XQSv2wqg
すみません_(._.)_

auなのでこれ以上書き込みができないのです(汗)

auだから1レスに1024文字しか入れられません(泣)

だからパソコンとかで見ている人には文量すくねぇな!って思われるかもしれません。

改行し過ぎですか…やはりauからではこれの書き方が不快なものかどうかがわかりませんので…

ちなみにpcサイトビュアー使っても同じなので、もう投稿するなみたいな意見はお控え下さいますようお願い申し上げます_(._.)_

111適当:2012/09/14(金) 20:12:00 ID:XQSv2wqg
>>108
見やすいようにしているだけなんですけど、まだ開けすぎですか?

じゃあいくつかパターンを表示しますのでお選び下さい。
1――――――――――――――――――――――――――
「―――――――」
2――――――――――――――――――――――――――「―――――――」
3――――――――――――――――――――――――――

「―――――――」

私は、皆さんの意見の通りに投稿したいと思っています。見ていて頂けているのですからね。

112変態博士の人:2012/09/14(金) 20:19:35 ID:S3f32QKw
はい、自分の発言で色々と議論を巻き起こしてしまったにもかかわらず、全く姿を見せなくて申し訳ないです…

駄文の方は…書き上げる→なんか違和感を感じる→手直しする→別の部分に歪みが発生…という悪徳リフォームの様な悪循環となってしまい、未だに上げられる状況では無いので、見てくれている方々…ごめんなさい!

そして新たな書き手が現れて、自分大感激!

尚、自分ももしもしからの投稿となっているので、文字制限ギリギリ(最もメモ帳を使ってるので、ある意味ちょうど良い)の投下となっています…
作中での意味不明な固有名詞が多いのは…ある意味仕様です。

113名無しさん:2012/09/14(金) 20:20:57 ID:8yVa6B8.
auだと1024文字までって制約あったのか、知らなかった。
>>108の人も最後に書いてるけど、そういった理由があるなら仕方ないよね。

ひとまず投稿おつかれさまでした。

114108:2012/09/14(金) 20:49:15 ID:7YO6Fu3A
なるほど。それなら仕方がないですね。
私もちょっとした思いで書き込ませていただいたので気になさらないでください。

見辛いと感じたわけではないので>>109さんも指摘してくださったようにお好きなように。
作品を作り上げるのは足跡さんであって、読者が改行の位置なんかを決めるなんて出来ませんから。

それから引っかかったので言わせてもらいますが、
「もう投稿するなみたいな意見はお控え下さいますようお願い申し上げます」
というようにわざわざ書く必要はないと思います。

こういった書き込みを見て面白がってわざと書き込んでくるような人も過去に数人いましたし。
新作前のごたごたの事を警戒してのお言葉なのでしょうけど、別に「投稿するな」なんて書いていなかったでしょう?
書き方が少々きつかったとしても、指摘してくれた人は足跡さんのためを思って書いた筈ですし、そんな言い方をされてはそれは不快ではありませんか?

ネットでは書かないと伝わらないというのは勿論ですが…相手のことを考えて、あえて書かなかったり言葉を選んだりすることも大切な事ですからね。

投稿おつかれさまでした。

115適当:2012/09/14(金) 23:50:05 ID:XQSv2wqg
>>113
そうですね。これは、シークレット要素で体験しなければ絶対にわからない要素です。理由は、携帯で作者ページはお控えて下さいとは書いてありますが、auは特に何をどうこうしようが、絶対に作品を作者ページに載せることは、制限文字数関係上できません。とは書いてありませんので、知り得ないのは仕方ないと思います(汗)

ああ…文字数制限なんてなければ今頃は自分自身の作者ページに作品掲載していたのに…(泣)

>>114
ありがとうございます。なんか返す言葉が、私時々おかしいですね…気をつけます。トピ皆さんとは仲良くやっていただきたいと思いますので今後とも、どうぞよろしくお願い致します_(._.)_

116適当:2012/09/15(土) 00:00:36 ID:1bFkw64g
>>112
はじめまして(笑)ですよね…?
作品読ませて頂きました。すごい独創性あふれ現実味があるのではないでしょうか?

私の作品もそうですが、もしもポケモンが武器を使用するなら、ただ武器ばっか使うのではなく技も組み合わせて戦闘面をより強化するとパーフェクトだと思いますね(笑)

実は、自分はポケモンをやっている時は変態博士さんの作品に出ている登場人物と同じ思考だったりします。だって、普通に考えたらダブルバトル・トリプルバトルというお約束事がない時は、全部出して囲んでしまえば良くないですか?(汗)

1-1なんてそんな都合の良いことがあるとは思えないんですよね…あっ、これを見て「そこが醍醐味でしょうが!!」って思われた方申し訳ないです。心よりお詫び申し上げます_(._.)_
あと、私はポケモンのゲーム自体は否定していません。

117変態博士の人:2012/09/15(土) 03:45:56 ID:w8BfHWrI
ようやく書き上がりました。

しばらく駄文が続く上、以前の投下分よりも更に酷いグロ描写(被害者はシャワーズ)があるので…
危険を察知したら戻る推奨です。

118変態博士の実戦テスト:2012/09/15(土) 04:07:21 ID:w8BfHWrI
「私は歪んでなんかいないわ。 私はマスターに選ばれた…だから愛し、愛される権限があるの! 悪いけど貴方も消えて貰うわ!」

シャワーズは突然押し殺していた殺気を開放し、私に襲い掛かって来た。

「これが避けられるかしら?」

シャワーズの口から無数の泡が機銃の如く発射され、回避を行おうとするも、広範囲を攻撃する技はACSの性能を持ってしても回避は困難である。
その結果、何発か被弾してしまい、損傷は殆ど無いに等しいが、泡がACSに張り付き機動力が低下させられてしまった。

「警告! ACSの機動に支障発生! 100%の機動が不可能です!」

ACSのシステムボイスがACSに発生している問題を警告するが、無視する。

「この程度では…私は倒せんぞ…?」

私は機能障害の起きていない左手にライフルを呼び出し、すかさずシャワーズに向けて発砲する。 が…

「無駄よ…水を殺す事が出来る訳ないわ!」

放たれた弾丸はシャワーズを捉えた筈だが、当のシャワーズはダメージを受けている様子すらなかったのだ。

「チッ…水浸しの状況では融解されて回避されてしまうか…!」

「そうよ、貴方の武器じゃ、私を倒せない! 大人しく倒されなさい!」

突如床の水位が上がったかと思えば、激しい津波が押し寄せて来た。
動きを鈍くされてしまった状態では、回避は不可能であり、流されてしまわない様に防御姿勢を取り、流れに耐えようとする。
「残念。 波は囮…本命はこっちよ!」

波に飲まれた状態でシャワーズの声が聞こえたかと思えば、私の腹部に激しい衝撃が走る。

「グッ…! アクアテールか…!」

波の勢いと、波に紛れた状態からのアクアテールによる衝撃で私は不覚にも吹っ飛ばされてしまう。
咄嗟に受け身を取ったものの、今のダメージは思ったよりも大きく、これ以上のダメージはACSの機能に関わる可能性があった。

「さっきまでの威勢はどうしたのかしら? でも、このまま終わってくれればありがたいんだけど。」

トドメを刺そうとしたのか、加虐的な笑みを浮かべた状態で私の近くにシャワーズが現れる。

「データは十分…お前の役目は…終わったッ!」

私はACS内部にチャージされていた余剰エネルギーを一気に開放した。

119変態博士の実戦テスト:2012/09/15(土) 04:20:20 ID:w8BfHWrI
「くっ?!」

異変を感じたシャワーズは、光り始めたACSから離れようとしたが、時既に遅しだ。
周囲に激しい光と電磁波が発生し、近くの物を焦がし、水分を蒸発させていった。

「か…身体が…! 動かない…!」

電磁波の範囲からは逃げられなかった様で、身体を痙攣させていた。

「よくもまぁ…私をコケにしてくれたものだ…しかし迂闊だったな…波乗りの時の残り水に錯覚を起こし、既に雨が止んでいる事に気付けなかったとは…」
「有利な地形に慣れた者は、地形のアドバンテージを消し去ってしまえばこんなものだ…」

私はこの歪みきったシャワーズを簡単に殺す気が起きず…私が開発した兵器の中でも最悪の兵器“バイオブラスター”を呼び出し、躊躇う事無く発射した。

「………何を…したの…!?」

身体が動かない中、若干ベタつく液体をいきなりぶっかけられ、殺気の籠もった声を上げるが…私からすれば最早虚勢を張る子供の様にしか見えない。

一方、トレーナーの少年の方は…

「………………」

ライフルを向けても何の反応も示さない、どうやら恐怖で壊れてしまった様だ。

「どうして…どうしてこんなに酷い事を…出来るの…?!」

どうやらバイオブラスターの浸食が始まったらしく、身体に変調が現れ始めた様だ。
「此処まで来て被害者ヅラとは笑わせる…精々狂う事だ…絶望により今までした事の贖罪をさせてやる。」

私はACSに仕込んだナノマシン制御システム“コマンダー”に指令を出し、浸食されたシャワーズの記憶を狂わし、愛する主人と交尾の真っ最中であると認識させ、身体の状況もナノマシンの操作により、擬似的に再現を行う。

「ま…ますた…ぁ……ますたーの…おっきい…!」

急に痴態を晒し始めたシャワーズに、観客席は爆笑の渦に飲まれる。

まるで透明な何かに犯されてる様な反応をしているが、目視での視認が困難なナノマシンの群体に犯されてるので、透明に見えるのは当然である。
内側から広げられた秘部からはとめどなく愛液が溢れ出ており、激しく興奮している事が伺える。
しかし、私の目的はただ痴態を晒させる事ではない…本当の狙いは…

「Fertilization.complete(受精完了)」

“コマンダー”は淡々と、現状を伝えてくる。

120変態博士の実戦テスト:2012/09/15(土) 04:21:48 ID:w8BfHWrI
ポケモンの繁殖力についてはご存知の通り…交尾、受精、産卵の流れが非常に早く、特定の施設に預けたポケモンは凄い勢いで増えてしまう。

「あっ…?! お腹が…痛…い…!」

受精してから僅か1分足らず…シャワーズの腹は膨らみ、産卵が可能な状態となっていた。

「んっ…く…ふぅ…っ! はぁっ…んっ…!」

息を荒げ、産みの苦しみを堪えながら必死に腹の中の命の入った“それ”を産み落とそうとするシャワーズ。
そのテの人間が見たら感動するか勃起するかの二択なその光景を、私は冷ややかに見ていた。

そしてついに…

「ふにゃ…あぁぁぁっ!」

ゴトッ、と重たい音を立てて新たな命の入ったタマゴを産み落としたのだ。

「マスターと…私の…子供ぉ…」

恍惚とした表情を浮かべ、タマゴを見ているシャワーズ…しかし…

「Fertilization.complete」
「Fertilization.complete」
「Fertilization.complete」

これだけで終わる筈が無いのである。
これだけで終わらせるのは、純粋にポケモンの子供を欲しがるごく普通のトレーナーだけなのだから。

ひたすら産卵を続けさせた結果…10分後には、床に10個ものタマゴが転がっていた。

「わぁ…い…マスターと私のタマゴがいっぱい…」

喜びを感じている様だが、そろそろ現実を知って貰わねばならない。
何故、我々の様な人間としての塵以下のクズである“スカベンジャー”(掃除屋)が存在しているかを…

「使えないな。」

私はそう呟き、シャワーズの目の前に置かれたタマゴを…踏み潰した。
グシャッ! と嫌な音を立てて内容物をぶちまけながら潰れるタマゴ、それを目の当たりにしたシャワーズは激しく慟哭した。
「嫌あぁぁぁぁッ! 私と…マスターのタマゴがぁぁぁぁぁッ!?」

「これが現実って奴だ。 寧ろまだ幸せだと思うがな。 何せ好きでもない奴と一緒にされて主人の求める物が手には入るまで延々交尾させられる事すらあり得るのだから。」

シャワーズは状況をロクに理解出来ていない様だ。

「なんでよ…! どうしてそんな事が出来るの!? この悪魔ッ!!」

「なんとでも言うがいい、その発言はお前の主人に返って行くのだから。」

121変態博士の実戦テスト:2012/09/15(土) 04:25:57 ID:w8BfHWrI
「意味が分からない! マスターはお前の様な悪魔でも鬼畜でもないわ!!」

「では、これを見てそう言えるのか? 暇だから調べさせて貰ったよ。」

コロシアムの大型スクリーンの画面が変わり、無数の文字と特定の数字の羅列が標示される。

「お前の主人の名前、ID、逃がされたという表向きの名目、しかし実際は裏で1匹残らず殺処分された記録のイーブイ…これ以上はもはや言う必要も無いだろう。」

「嘘…有り得ない…!」

精神的に不安定になりつつあるのか、シャワーズの目の焦点がブレつつある。

「つまり、お前の主人がそんな事をしていたから、そのツケが回ってきたという訳だ… これは自然の摂理から離れた人間のエゴで生み出され、愛される事もなく、なかった事にされた者達の怨念なんだよ。」

「もう止めてッ! お願いだからぁ!」

「知った事か! ならば私を殺してでも止めてみろッ!」
叫ぶ事は出来ても、消耗して動けなくなったシャワーズを余所に、私は残ったタマゴを一つ一つ破壊していく。

「酷い…酷いよ…」

全てのタマゴを破壊され、啜り泣くシャワーズ…そして辺りは死体とタマゴだった物の残りカスが散らばる、無惨な光景が広がっていた。

「そろそろ仕上げるとしようか。 あの世でみんな待ってるぞ…」
私も性根の腐りきったこいつの相手をするのに飽きた…なので、ナノマシンの怖さを皆に知って貰おう。
コマンダーに指令を出し、破壊機能と再構築機能のみを故意に暴走状態と仕立て上げた。

「うぐっ…?! 気持ち…悪…」

突然吐きそうになった動物特有の動きを始めたシャワーズ、そして…

「う…ぼぉ…っ!」

口から胃の内容物…どころかうねうねと蠢く触手の様な物が生えた胃袋を吐き出したのを皮切りに、全身に見て分かる異変が起こり始めたのだ。
顔の輪郭が歪み、下半身がドロドロに溶け始め、背中からはこの世の生物の物とは思えない器官が生え、激しく動いている。
そのまま異質な淘汰と進化を繰り返し、肥大化していくシャワーズだった物………私自身、これ以上見苦しい物を見る趣味も無いので…
「eliminate(消去)」

122変態博士の実戦テスト:2012/09/15(土) 04:36:30 ID:w8BfHWrI
私が消去命令をコマンダーに出すと…シャワーズだった肉塊は粒子へと分解され、跡形も無く消え去った。
そして残ったのは私と、死体と、あえて殺さなかったカイリュー、そして壊れてしまったコイツ等の主人だけだった。

この時点で私の勝利が確定し、コロシアムに歓声が降り注ぐ。
「何時もの事だが、とんだ茶番だな。」

この後、生かしておいたカイリューに治療を施し、ポケスプリング(ポケモンを欲望のままに犯す事の出来る売春施設)へと放り込み、調教をするのだが…どうにも長くなってしまうので、申し訳ないが割愛させてもらう…

もし、私の話に耳を傾けてくれた物好きがいたのなら、アンダーヘブンにあるポケスプリングへ訪れてみると良いだろう。
堕ちる所まで堕ちた淫乱カイリューで遊ぶ事が出来るぞ!

今回の戦闘データは、私のACS制作及び改良においても良いデータとなった。
今回のACSのテストは此処までだが、このままテストを続けていけば…私の悲願もいずれ達成出来るだろう。

………最後に…人とポケモンの関係…これはゲームでも仮想でもない。
私達人間が、命があるという事と同じ様に、彼等にも命がある…
つまり、命と命の関係であるという事を…忘れないで欲しい。


何故私はこの様な虐殺及び殺戮を行えるか…これは…大切な物を無くしてしまった人類への警鐘でもあるのだから…

123適当:2012/09/15(土) 08:26:08 ID:1bFkw64g
変態博士さん読ませて頂きました。ナノマシンにウィルス寄生をさせ体内コントロールは、私には思いつきませんでした。
某アクションホラーゲームのかなり怖いやつみたいですね(笑)

某アクションホラーゲームを知らなかったらすみませんが、私の中では適当に妄想してそのゲーム登場人物の一部をポケモンに代えて書くかもです(笑)

今の所、サングラスかけたボスはルカリオでそれに雇われる女性はコジョンドですね(爆)

もし、これを投稿するようなことがあれば適当に流すか、温かい目で見守って下さい。

投稿お疲れ様でした_(._.)_

124変態博士の人:2012/09/15(土) 22:48:04 ID:w8BfHWrI
色々あって遅れてしまいましたが、自分の話はこれで終わりです。

あからさまにいろんな人を敵に回す内容となってしまいましたが、自分の感情を爆発させたらこうなりました。

博士のゲスっぷりは、許される事は絶対に無いという事を理解しているが故に、罪を重ねてでもしなければならない事(人類のエゴによる自壊の阻止)を優先している為であり、全てが終わった後ならばその罪から成される罰を受ける決意と覚悟の裏返しとなっています。

好きだから勝たせてあげたい? そのエゴの為に嫁だのなんだの言っている種族を、どれだけゴミとして破棄してきましたか?
力の足りない野生のポケモンは淘汰されてしまうのは自然の摂理である。
ですが、自然から離れた人間がポケモンを故意に増やしてはゴミとして破棄していくのは、あまりにも悲しい事だと思いませんか?

仮にも、生まれたばかりのポケモンは“親”しか信じる物が無いのにも関わらず、そんな親の横暴な判断で捨てられては怖い連中に殺処分されてしまう。

確かに考え方は人それぞれですし、他人の考えを否定する権利なんて自分にはありません…が。
自分には理解できないのです…

そんなに…他者を押しのけてのし上がる事が大切ですか?

125適当:2012/09/17(月) 12:32:56 ID:P.l0XHTU
新作出来ました。LSです。全9話です。今回は第一話です。
温かい目で見守っていて下さい。

126適当:2012/09/17(月) 12:34:20 ID:P.l0XHTU
題:【九つの試練】

……目が覚めると俺は、真っ白い空間にいた。辺りを見回すと誰もおらず、部屋の中はしんとしている。俺はPIA(アメリカのポケモンによる諜報機関)のスカウトを受け、成田空港へ移動する途中、突然何者かに襲われ、監禁されて現在に至る。“はぁ…”と深いため息が出るもなってしまった現実(モノ)は仕方ない。唯一の救いは、手足が動かせ体の自由がきくということだけだった。俺はだるい体を起こし、前方を見ると9つの扉がある。1番左端の扉よりももう少し視線をずらした先に、扉があり【EXIT】と書かれている。

「やった…出口だ。」

俺はあっさり出口を見つけた事にはしゃぎ、二足から四足へと切り替えて走りだした。扉の前につくと取ってを取り、押したり引いたりする…が俺の期待もむなしくその扉は開かない。“はぁ…”とため息が出るも、よくよく考えたら監禁しているのだから当たり前のことだ。いつまでも出られない扉に対して試行錯誤するわけにはいかないので、部屋の中をじっくり見回ることにした。
俺はまず9つの扉に視線を移した。扉には、業火・氾濫・雷神・光・闇・若葉・零下・伝説・幻想と書かれている。ご丁寧にもすべて日本語表記だった。とすると俺をさらった連中は、“日本出身である可能性が高い”と勝手に推測した。俺は試しに出口の一番近くにある業火の扉に手をかけ、ノブを回そうとした。が、何故か開かず代わりに後ろから機械音が鳴り響いた。何事かと思い後ろを振り返ると、中央に赤い布と後ろの壁に何やら液晶画面が設置されている。液晶画面を見ると日本語表記でこう書かれていた。

【君は我々に監禁されている。この部屋から出たければ9つの課題をクリアせよ。君の推定レベルは30、だが相手は50レベル以上だ。この難題を、知・心・技・体を使って乗り越えよ。】

「はぁ…何を言ってんだか。」

俺は両手を肩の高さまで持ってきて、小さく首を横に振り“やれやれ”というポーズを取る。説明文は尚も続く。

【君にはできるだけ強さのハンデがなくなるように、武器を支給して置いた。高周波ブレードと不死のハチマキだ。更に各ステージには、各番人勝つための箱が用意されている。箱の種類は4つの種類がある。
【赤:武器 青:補助 緑 回復・医療品 金特殊】
これらの箱は各ステージにいくつか設置されている。設置している場所は教えられないが、一度見つけた設置場所は以降変わらない。

127適当:2012/09/17(月) 12:40:02 ID:P.l0XHTU
“なるほど…”俺は独り言を小さく呟き中央のケースへと目を向けた。距離が遠くて何が入っているかはわからないので、とりあえずケースまで近づくことにした。

「日本刀…か?それにこれは…?」

ケースの中身は、鞘に入れられた“素戔嗚尊(スサノオ)”と入った黒い刀と赤い“喝”という文字が入ったハチマキだった。それぞれには説明書らしき紙がついていた。

【支給武器 八紋刀(暴神 スサノオ)】
八つの波紋を刀身に纏い、通常の木刀の八倍の打撃を与えることが出来る。使用方法は使用者が鞘から刀を抜くと自動的に八つの波紋を刀身に纏う。
【支給補助 不死之鉢巻】
これは必ず装備することを推奨する。このハチマキを頭に巻くだけでどんな痛撃でも必ず体力10%以下にはならない。この10%は君がどんなに攻撃を受けてこの部屋へ帰って来ても、最低限の行動が出来る程の体力でしかないので注意すること。装備しなくても構わないが、戦闘中に瀕死もしくは死亡しても我々は一切の保障はしない。ここには、病院のように治療室がない為必ず身につけること。

「……………」

俺は言葉が出なかった。刀には驚いたが、もう一つの赤い布を見て自分の置かれている状況を深く理解したからだ。“死亡”その言葉が脳裏に引っかかる。“俺には死闘が要求されている…。最悪の場合生きてここから出られないかもしれない。”戦闘を強いられるモルモットのように扱われている事をようやく理解した。悲観的になるのも嫌だったので、俺は刀を手に取り鞘から抜いた。

シャン…ブーン

“通常の日本刀と変わらない金属音、僅かな機械音…なるほどこれが高周波ブレードというヤツか…。”俺はそう思い1つの刀身に寄り添うように短く間隔を開けて左・右に直線状の青白い波紋を纏っている刀を見つめた。
波紋…それで一つ思い出した事があった。生物が身に纏っている波紋を読み取り、青白い波動を駆使して闘う“ルカリオ”という格闘に特化した不思議な生き物がいる。俺は接近戦闘に自信があったため、そいつと一度は闘って見たかった。だが、それもかなわず、訳のわからない白い箱のような部屋に閉じ込められ、生死に関わる戦闘を強いられるハメになってしまった。俺の推定レベルが連中に知られたという事は、眠っている合間に測定されたんだろう。

128適当:2012/09/17(月) 12:44:42 ID:P.l0XHTU
俺は強さは実際に戦闘しなければ測れないとばかり思っていた。“なぜ、測定している間に目が覚めなかったのか”後悔するがもう遅い。俺は連中の思い通りに動かされている。ここでいくら後悔しても意味が無いので、とりあえず首に巻いている赤いスカーフを空中に投げ、両手で刀を握りしめた。

「たぁ!!」

俺はひらひらと落ちてくるスカーフを横に一閃した。まだ宙に浮いているスカーフの表面に八つの細長い窪みが出来ている。どうやら同時に複数の木刀を扇状に構えて切ったようにダメージを与えられるらしい。地面に落ちたスカーフを拾い再び首へ巻きつける。
余談だが、この赤いスカーフをいつでも首に巻いている事には理由がある。このスカーフは俺の彼女の綾というミュウが、俺の誕生日に初めて贈ってくれたものだ。“いつでも彼女がそばに居てくれる”ことを願って俺は首へ巻き付けている。さて、余談はこれくらいにして再び現実に戻る事にする。
俺は八紋刀を背中にくくりつけ胸の位置に紐を縛り付けた。しかし、“妙だ…なんだか落ち着かない。”いや、そんなことより私服を着ている状態ではあまりにもおかしい…。”俺は部屋に私服以外にかわりになる服にないかと部屋中を探し回る。立方体の形をした白い部屋を前後左右と調べていると意外にも、一匹の生き物が生活できるような施設は整っていた。便所に風呂、食事をする場所に洗濯乾燥機まで置かれている。

「随分と親切な誘拐犯だな。」

俺は連中に皮肉を言うように少し大きな声で呟くが、寂しく部屋に響き渡る程度だ。“しかし…風呂に壁がなくシャワーと湯船だけ設置されているのはどうなんだ?誰もいない、見ている者もいないと解っていても入りずらい。日本は恥の文化だ。恥ずかしい事を隠すのが最も優先事項なハズなのに。それを分かっていないのか?まさか、連中は日本の文化を完全に知らないのか?あるいは連中は日本出身ではないのか?それとも……。”様々な疑問が浮かび上がるが考えても全くの無意味、無駄なのでもうやめることにした。これらはすべて中央から右へ並んで設置されている。食事をする場所に移動すると、電子レンジのような機械が壁に設置されているだけだ。“今は、腹が減っていないから気にしないが、昼飯、夕飯っていつ出てくるんだ?特に後ろには何も書かれていない。

129適当:2012/09/17(月) 12:52:14 ID:P.l0XHTU
“書き忘れか…気まぐれか…頭を使えってことなんだろうか…。”電子レンジのような機械を眺めているのも退屈なのでとりあえず前方へ移動することにした。9つの扉の他に奇妙な装置がある。

「何だこれは…?」

装置には9つの窪みがありくぼみの上には、扉に対応した言葉が書かれたプレートがある。くぼみの下にはこう書かれている。

【各番人が守りし、9つの紋章を集めよ。すべて集まりし時、そなたの道は開かれん。】

“何なんだコイツらは?日本の古語を使って日本出身だとでも言いたいのか?とすると、風呂の件はただのはずかしめか?仮に奴らがはずかしめの為に壁を取っているとすれば、どこかにカメラがあるはず。”俺は天井の角の四カ所を見つめるが何もない。“じゃあ、ただ面倒くさかっただけか…。”と勝手に思い直した時装置の横に一着の白いスーツがかかっている事を目にする。

【戦闘用スーツ吸汗性抜群!動きやすい!以上】

“バカにしてるのか!?何だか腹がたってきた…。”連中を殴りたくなる気持ちを抑えスーツを手に取る。スーツは全身に身につけるタイプで俺のサイズにぴったり。おまけに尻尾を通す穴までついている。“しかし、まさかゴムじゃないよな?俺の技は電気頼りなんだが…。”そう言えば俺がどんな奴であるかを言うことを忘れてたな。俺は“仁”という名を持つピカチュウだ。ピカチュウと言えば“カワイイ”と言われているが、俺は違う。自賛だが、“カッコイイ”方だと思っている。その証拠に目は通常のようにクリッとした目ではなく若干鋭い。まぁ、見ようよっちゃ“イカツイ”に当てはまるんだが、彼女の綾も“カッコイイ”方だと言ってくれたので見た目に関しては保障する。さて、自己紹介も兼ねて俺の特徴を語ったところで話を戻す。俺は、腹を立てた文章の説明がついたスーツを着た。“うん。確かに、ピッタリだ。”柔道着はあまり好きじゃなかった。暑いし、汗がしみ込むとかなりキツイ臭いがする。鼻が効くねずみに族するので“これはたまったものじゃない。ん?そう言えば…今何時だ?”俺はそう思い腕時計を見た。が、そこには普段つけているやつではなく、金属製で黒がベースで所々に赤い線が入っている腕時計がついていた。しかも、何やらボタンは赤いボタン1つしかない…。時間を合わせるダイヤルもない。だが、きちんと時間と日付が表示されているデジタル時計だった。

130適当:2012/09/17(月) 12:58:50 ID:P.l0XHTU
そして、何やら日付表示の下に【day1】と英語表記で一日目と書かれていた。

「一日目?これは一体なんだ?」

この奇妙な時計に独り言を呟き考えるが、“何かの一日目なんだろう”と勝手に解釈して9つの扉に目線を移動させた。9つの扉のノブの下には【LOCK】か【OPEN】と言うプレートがはまっていた。今【OPEN】となっている扉は、業火・氾濫・雷神・光・若葉・零下と書かれている扉だ。そして各扉のの表記には、どんなステージで闘うかも書いてあった。

【業火→火山、氾濫→湖、雷神→荒地、光→草原1、闇→森、若葉→草原2、零下→雪原、伝説→森2 幻想→?】

「なぜ幻想だけが?」

“幻想だけどこか教えない…という事はもしかすると、この世ではなくあの世か、作り出した空間か…それとも単なる脅しか?”公開しないということにはそれなりの理由が考えられるが、開かない扉の事を考えても仕方ないので9つの扉が見渡せる中央まで歩を進め、前へ振り返って見つめる。後ろに書かれていた内容は【20レベル以上の差があるという事】・【アイテムが入った色付きの箱があること】。これらを踏まえ俺は顎に手を添えて考える。

「ステージが湖の方がやりやすそうだ。湖という事は水タイプかもしれんな…。」

俺はそう呟き、急いで私服のそばに置いてある刀を背に結びその扉へ入った。ガチャ…キィィィ…
「あっ!?これは…どうなっている!?」

扉の向こうには巨大な湖が広がっていた。“扉の感覚がお互い狭い為にどこかに瞬間移動をしたとしか考えられない。テレポートとはエスパータイプの技だ。だが、まさか扉を介して実現するとは…。”俺が驚いていると向こう側から声が聞こえた。

「あら?私の相手はあなた?可愛い坊やね。」

声の主の方向を見ると青色の軍服を着た一匹のシャワーズがいた。声から推測するに女(雌)の軍人が…。彼女は優しい表情を浮かべて前足を添え優雅に笑っていた。彼女は話を続ける。

「ルールはわかる?あなたが私を気絶させるか、闘えなくなるまで体力を奪うかのどちらかで勝ちよ。逆にあなたは私に戦闘不能の状態にさせられるか腕についた時計の赤いリタイアボタンを押せば負けとなるわ。戦闘開始は、スピーカーから【レディーゴー】という声が聞こえるから、聞こえ次第戦闘開始よ。」
「説明どうも。」
「どういたしまして。」

131適当:2012/09/17(月) 13:02:55 ID:P.l0XHTU
俺がお礼を返すとにっこりと微笑み彼女は返した。俺は背中の刀に手を伸ばし口にくわえ、すぐに行動できる構えをとった。その数秒後スピーカーから合図がかかる。

『READY…GO!!』

俺と彼女はその合図を聞くと二匹共走り出した。しかし、俺はあくまで【アイテム】を探す為、彼女から必死に逃げている。彼女は俺は追いつくには、走りでは分が悪いと察したのか、湖に飛び込んだ。中央に湖が陣取ってある為、俺がどこへ行動しても彼女はすぐ近くの位置に移動出来る。俺は追いつかれないように高速移動でスピードを高め、夢中で突っ走った。入って来た位置から100m地点で何か光っている物を発見した。

「やった…金色の箱だ!!これはツイてる…。」

俺は心踊らせ箱のフタに手をかけた。中にはどんなものが…とワクワクしながら開けるとかなり期待ハズレのものだった。【塩 NaCl 500g】と書かれた小袋とシェイカーがあっただけだった。

「塩!?塩なんて何に使うんだ…バカにしている…。」
「やっと追いついたわ。」
「う…もう追い…つかれたか…。」

俺が金色の箱の中身に落胆している時に、彼女に背後を取られた。俺は手に持っていたアイテムをすぐに離し、口にくわえていた刀を手に持ち替えて、湖へ飛び込んだ。俺は潜って必死に泳いで逃げようとすると、後方から彼女の声がかかるな。

「おもしろいわね。私相手に水の中で戦闘を挑むとはね。」

“ふっ…かかったな。俺が何も考えなしに飛び込むと思うが?俺は優雅に笑い続ける彼女に不敵な笑みで返し、電気を一気に放出させる。

「くらえ!!十万ボルトォォォォォ!!」
バチ バチ バチ バチ…

電気は俺の体から水中へと流れている。しかし、彼女は何の苦しみを見せることなくクスクスと笑っていた。

「は?なぜだ!?意味がわからん…。」
「坊や、もういいかしら?」
「な!?」

彼女はスピードをつけて俺へ突撃してくる。俺は急いで刀で防御しようとするが、水中で刀は使えない。胸元に持ってくる動きがかなり遅くなる中、彼女は自分自身に周りに強烈な水流をまとわせ、なみのりを繰り出す。
バシン
「ぐわぁ!!」
バシャアン

俺はなすすべなく腹に攻撃が当たり地上へと放り出された。背中を強く強打したため、なかなか立ち上がる事が出来ない。なんとか力を絞って立ち上がろうとするが、時既に遅し。彼女が俺の前方にいた。

132適当:2012/09/17(月) 13:08:08 ID:P.l0XHTU
「もう、おしまいのようね。」
「く…くそぉ…」

彼女はゆっくりと俺へ歩みを進める。“やはり水の中での水流のアッパーカットはダメージが大きすぎたか…。”俺はいまだに上半身しか起こせていない。彼女は俺の近くまで来ると、起き上がりかけていた俺を乱暴に押し倒し、前足を胸に乗せて身動きが取れないようにする。俺は電気で反撃しようとするが、想像以上のダメージに全く放出することが出来ない。彼女は片目を開け、眉間にシワを寄せて苦しみの表情を浮かべる俺を覗きこんで口を開いた。

「坊や…いいこと教えてあげる。真水は電気を通さないのよ?」
「え?」
「電気を通すには電解質が溶けていないといけないのよ。学校で習わなかった?」
「は……」

俺はそれを言われて目を丸くして驚いた。彼女は目をつむりクスクスと笑って口を開いた。

「かわいい坊や。また明日ね。」
バコォォン
「ぐお!!」

彼女は俺の胸に乗っけていた前足で俺のあごを殴り飛ばす。俺は空中で一回転して地面に強打しうつぶせ状態のままで目の前の景色が見えなくなった。


気がつくと俺は元の真っ白い部屋で倒れていた。体に激痛が走り、疲労が一気に俺を襲った。俺はすぐに起き上がれそうになかったので、うつぶせから仰向け状態に体勢を変え、真っ白な天井を眺める。

「電解質…そうか!!忘れていた…。」

俺は瞬時に学生時代の科学の授業を思い出した。“真水に電気を通しても酸素と水素に分解する作業にしかならず、水全体に電流は行き渡らない。電気を通すにはイオンと呼ばれる電解質を介さなければならない。イオンには+イオンと−イオンとあり、イオン結合して単体となる時に初めて電流が流れる。あの金色の箱の場合は食塩 別名塩化ナトリウム…。つまりNaClで構成されており、食塩をあの専用シェイカーに入れ水と一緒にかき混ぜてNaOHとHClに組み換えなければならない。組み替える際に電流を流すと、Na+、H2O(水)、Cl2と分かれ違う形に結合する。この時にしか水に電流は流れない。

「ああ…という事はあれを水に溶かして、あの女(雌)の体にかけてダメージを倍増させろという事か…。」

133適当:2012/09/17(月) 13:12:58 ID:P.l0XHTU
その後すぐに、もう一つの違う事実を思い出した。“あの箱の中身が硫酸であれば、あの女の体にかけるだけで、体の水分を一気に蒸発させ倒すことができた。彼女は水タイプの為、脱水作用がとてつもない液体をかければ、体の水分が奪われたちまちが溶けてしまうだろう。だが、いくら強いとはいえ、生物の体が液体のようにドロドロ溶ける様は見たくない。しかも、雌だ。いくらなんでもその殺し方は残酷過ぎる。”俺が様々な事を思い出している間に体の疲れも大分マシになり立ち上がる事が出来た。

「腹が減ったな…。」

激戦によりスタミナを削りすぎたのか、俺の体が何かを口に入れろとせかしてきた。俺はよろよろと歩き出すと何やらいい匂いがしてきた。鼻をくんくん動かして元をたどってみると電子レンジもどきの機械から食事が盛りつけられているトレーが出ていた。量はまぁまぁあり、腹八分目くらいにはなるだろう。時計を見ると、デジタル表記で【20:30】と表示され下の方には小さく【YOU LOSE】と表示されていた。“なるほど…この時計は勝ちか負けかも知ることが出来るのか…。”“負け”という表記を見て先刻の彼女との対戦を思い出した。

「水に飛び込んだのは自殺行為だったな。」

俺は1日目は簡単に負けすぎた。彼女の技の情報はなみのりしかない。1つの技を水中でくらいダウンを奪われ、技でも何でもない前足のアッパーカットをくらって気絶したのだから。その日20以上のレベルの差を思い知らされた。作戦を練り、周囲を常に警戒するように心がけた。充分に反省した所でトレーに乗っている食事に手をかける。今日のメニューは牛肉ステーキと野菜サラダ…主食はパンで飲み物はわけのわからない。青い色をした物だった。俺はフォークとナイフを取り夢中でそれらはを口に運んだ。“こんなに腹が減ったのは日本ではなかった。とすると俺の今までの闘いはかなりぬるかったという事か。”やがて最後の一切れの肉を口に入れかみしめのどを通らせると空腹を満たされる快感に思わずため息が出る。食べ物を食べると異様にのどが渇くことに気づく。目の前を見ると青色の液体が入ったグラスしか残ってない。スープが付いていれば、飲まなくても良かったかもしれないが、それもない為のどを潤すことを優先した。

134適当:2012/09/17(月) 13:22:27 ID:P.l0XHTU
ゴク…
「うぇ…まずい…なんだこりゃ?」

俺は液体の味のまずさに絶句した。“コレをジュースにしたのか?お茶だったらまだ飲めるが…青色の液体の味はものすごく渋い。“渋柿の比ではないとでも言っておくか…いや柿自体そんなに渋くないか…。”しかし、俺は妙な感覚に陥る。

「なんだ…さっきまでの疲れが少し取れた気がする。」

俺は我慢してもう一口、もう一口と液体をのどに入れていった。すると同様の感覚が得られた。どうやらこの飲み物は、疲労回復効果があるらしい。疲れていては闘えない。俺は、目をつむりその飲み物をのどへ流し込んだ。さっき食べた食事の美味さの余韻がウソのようにすべて無くなり、口の中をマズい味が支配した。

「回復する事はしたが、飲まなきゃよかった…。」

俺は顔をしかめて、空になったグラスをトレーに置いた。食事を済ませた俺は風呂へ入ることにした。食事場所から右へ進むと真っ白のシャワーに、真っ白の湯船がある。俺はスーツに手をかけるが、辺りをキョロキョロと見回してしまう。

「本当に…誰も見てないよな?」

部屋の中には当然誰もおらず、こんな心配する必要はない。だが、普段は裸を他の誰かに見せる事はない。見せた事があるのは、性交をする時に“綾”に見せたぐらいだ。しかし、いくら確認しても誰もいないし、監視カメラらしき物も全く見当たらない。俺は安心してスーツを脱ぎ、シャワーで軽く体を洗い体を震わせて水気を飛ばした。人間みたいに喋ったりするが、体は動物に近いのでタオルで拭いたりせずこの程度で充分だ。再びスーツを着て風呂場から離れて中央までとぼとぼと歩いて行った。

「ふわぁ…なんか眠いな…。」

俺は一瞬“部屋の明かりを消さずに本当に寝ることが出来るのか!?”と思ったがその心配は無用だった。激しい睡魔に襲われて、気絶するようにその日は眠った。

135適当:2012/09/17(月) 13:26:27 ID:P.l0XHTU
Day2
俺が目を覚ましても相変わらず昨日のままだ。前方には9つの扉と小さなくぼみがある装置。右には食事をする所、風呂場、洗濯乾燥機…全くもってつまらない。“後ろの液晶画面には変わったことが表記されているだろうか。”と思い後ろを振り返っても、昨日と同じ文章が表示されているだけだった。時計を見ると正午前だった。“どんだけ疲れていたんだ!?”と思い急いで飛び起きた。

「くっ…時間を無駄にした。早く行かねば。」

俺は食事場所へ行き、用意されていた朝食を済ませ、額に巻きつけたハチマキを気合いを入れるようにキツくしめて、昨日と同じ戦場へと歩を進めた。


昨日と同じ風景だが、昨日とは意識が違う。向こう側の扉から青色の軍服を身につけた雌のシャワーズがやって来た。

「坊や、“おはよう”。じゃなくて、“こんにちわ”かしら?」

彼女は俺に優しい表情を見せ前足を口元に当て、くすくすと優雅に笑っている。“バカにしやがって…。”俺はそう思い彼女に言い返した。

「俺は、“坊や”じゃない。俺は成人男性(雄)だ。」
「あら?ごめんなさい。見た目がかわいくってよ。」
「俺は、かわいいとは思わないんだがな。」
「そう?」

俺は鋭い目つきで睨みつけるが、彼女は相変わらず優雅に笑っていた。態度はムカついてくるが、どこか気高く優美な雰囲気を纏っているのは否めない。

「さぁ、構えなさい。私から、存分に逃げないとね。」
「言われなくてもやってやるさ。」

彼女は嘲るように言うが、俺は冷静に言い返した。冷静さを見失って、20もの差がある相手に直接立ち向かっていくのは避けたい。最初から俺に勝ち目は無いため設置された箱の中身を頼るしかなかった。

『READY…GO!!』

俺は昨日と同じ合図を聞くと、正面から左へ向かって全速力で走りだした。“昨日のように刀をくわえてからでは遅い…走ることに集中しなければ、彼女は湖を介して簡単に追いついて来る。俺が100m走った先には運良く赤色の箱が設置されていた。昨日のように、箱を見つけては…という感じではたちまち追いつかれてしまう。急いで箱を開け中をくまなく調べる。説明書と【SMORK・G】と表記された3つの白煙手榴弾を発見した。手榴弾なんて使い方はわかっている。父が軍出身の為に、一度疑似体験をやった事があるからだ。俺は3つのスモークグレーネードを腰に着け、再び走り出す。

136適当:2012/09/17(月) 13:31:50 ID:P.l0XHTU
走り出した先には緑の箱があった。背後を見るが彼女はまだいない。緑色の箱を開けると混乱防止薬があった。

「混乱?“みずのはどう”か?」
「見つけたわよ。」
「!?」

俺が振り返ると彼女の姿が見える。彼女は俺の姿を見つけて口元を吊り上げている。俺はすぐさま戦闘体勢に切り替え、刀を口にくわえ両手を握りしめた。

「いい顔ね。らしくなってきたじゃない?」
「それはどうも」

彼女は目を瞑り笑い始めた。俺はスモークグレーネードを手に持ち、栓を抜いて転がすように投げた。

パン…パシュウウウ…
「ゴホゴホ…何?けむり?どこから?」

“今だ、彼女は煙を払っている。俺は彼女に向かって走り電磁波を拳を通じてあてた。

バン…バチ…
「…体が動かない。そう、そういうことね。」

俺は彼女の目の前に現れ、くわえていた刀を両手で握りしめ、彼女の前足へと連続で叩き込む。

バシン、バシン、バシン、バシン
「うおぉぉぉぉ!!」
「痛!…なかなか痛いわねコレ。だけどね。」
ガシッ…
「!?」
「もうあなたの麻痺は、とっくに切れてるわよ?」
ガン
「ぐわぁ!!」

俺は彼女に刀をつかまれ、前足で思いっきり空中へ上げられた。しかし、昨日のように背中から強打するという事を逃れる為に、空中後転で地面に足を着き体勢を整えた。

「なかなか…上出来ね。昨日の負け姿がウソみたい。」
「そんなに余裕があるのか?では、今度は感電するがいい。」

俺は殴られたあごをさすり、再び刀を口へくわえ電気を溜める。

「出すのが遅いわね。終わらせてあげるわ。」

すると彼女は口から強烈な水の弾丸を放った。“ハイドロポンプか…ならギリギリ持ちこたえられるかも知れない……。”そう思った矢先にあたり金属音が鳴り響く。

ガキン…シュルルル…サク

俺は両手に持っていた刀を水によって弾かれた。“なぜだ…ハイドロポンプの原理を突いて刀を降ったつもりだが…。”俺が刀を飛ばされたことに驚いていると、彼女は高らかと笑い出した。

「あっはっはっ!!あなた本当に面白いわね。私のハイドロカノンを真っ正面から受けるなんて…。」
「はぁ!?なんだ…それは…。」
「知らないの?だったら教えてあげる。」
パシュン、パシュン、パシュン
「うぉ!? くっ!! うわぁ!!」

137適当:2012/09/17(月) 13:37:28 ID:P.l0XHTU
彼女は先程放った水の弾丸を俺に向かって連射してきた。俺は落ちている刀を拾いに行けずかわすので精一杯だった。命中した場所はすべて穴が開いており、すさまじい威力を物語っている。

「はぁ…はぁ…はぁ…うっ。」
「もう限界のようね。トドメをさしてあげる。」
ポワーン ピシュン
「ぐわぁ!!」

俺は彼女の攻撃をよけ過ぎて動けなくなっていた。彼女は俺は体をめがけて輪状の水弾を放つ。みずのはどうが当たった俺に、更なる悲劇が襲いかかった。

「くっ…あ…頭が…うはぁ…。」
「混乱したようね。もういいかしら。」

俺は強烈な水の打撃により、めまいに襲われ平衡感覚を失い仰向けに倒れて、こめかみを押さえ出す。彼女は仰向け状態の俺に接近し、昨日と同じように胸に前足を乗せた。彼女が強めに体重を乗せてきたので、その反動で目が覚めた。

「ぐっ…はぁ…はぁ…。」
「さぁ、終わりね。まずは、その腰についてある煙玉を外しなさい。」
「さぁな…はぁ…はぁ…そんな物は持っていない。」

俺は彼女に対してシラを切ると、彼女の前足が再び上がり俺へ押しつけられた。

「ぐわぁぁぁぁ!!」
「聞こえなかったの?持ち帰りなんてさせないからね。それとも、気絶して取ってもらう?」
「くっ…わかった。お前の言う通りにする。」

俺は先程の水の弾丸の威力が、どれほどか知っているので素直に要求を呑み、腰についてある2つのスモークグレーネードを外した。彼女は地面に置いたスモークグレーネードを押さえていない前足で自分の元へ手繰り寄せ、2つ共口にくわえ首を90度振って、湖へと投げ入れた。スモークグレーネードを捨て再び俺の顔を覗き込みながら口元を吊り上げ、ささやくように言い放った。

「ハイドロカノンはね、ハイドロポンプと全く威力が違うのよ。くらえば一撃、あなたはその顔の布で助かるけど、それが無しだったら死亡するわよ?」
「ハ…ハイドロカノンだと!?なぜあんな威力のある技が撃てる?お前の体格からして撃てるハズがないだろう?」
「さぁね…。うふふ…私は特別なのよ。すんなりじゃないけど、ハイドロポンプをかなり強く回転させて撃ったら出来たわ。」
「そ…そんなバカな!?」
「現実にあるから、ありえなくはないでしょ?それにしてもよく避けたわね?私あれだけ一気に撃った事って実はないのよ。うふふふふ…。」

138適当:2012/09/17(月) 13:44:16 ID:P.l0XHTU
“どうりで避けるのに精一杯だったはずだ。ハイドロポンプよりもスピードは速かった…。むしろ、3発も避けられて運が良かったと言う事か…。”俺は彼女の目から目線をずらし、先程の戦闘について思考し始めようとした時、彼女が再び口を開いた。

「さて、どうされたい?黙ってリタイアするか。それとも私ともっと遊ぶか…。」
「いや、いい。リタイアさせてもらう。」

そして俺が赤いボタンを押そうとしたその時、彼女が前足で俺の手を弾いた。俺は驚き、怒り混じりの声で反論した。

「な…何をする!?」
「うふふ…やっぱりただでは返してあげない。」
「なんだと!?」
「あなたの顔があまりにもカワイイからね。犯したくなっちゃった。」
「はぁ!?」
「言っとくけど、その為にトドメは“ハイドロカノン”ではなく“みずのはどう”にしたから。」
「もう勝負は終わ…とうぷっ!!」

彼女は俺に意味不明な発言をして、いきなり俺の口をむさぼり始めた。彼女は俺の口内へ舌を侵入させてこようとするので、俺は歯を食いしばり懸命に侵入を阻止した。すると彼女は静かに口を離した。

「そう…抵抗するのね。」
ドコッ…
「ぐはぁ!!うぷぅ!!」

俺が抵抗すると彼女は俺の腹を前足で殴り、俺の口が開いた所に口を近づけ無理矢理舌を進入させた。“今の腹からの激痛のせいでこれ以上抵抗できない…。”俺はなすすべなく口の中を弄られる。彼女は俺の口の中を舐め回し、俺の頭を両前足でつかみ出す。やがて満足したのか、俺の口から離れた。“クソ…水タイプなんだから知らんが、舌が異常にヌルヌルしていた…気持ち悪い。”俺は顔をしかめ睨みつけると彼女が不敵な笑みを浮かべる。

「おめでとう。私のファーストキスになれて。」
「はぁ…なんだ?お嬢様のつもりか?お前なんかのキスなど気持ち悪いだけだ!!」
「ふ〜ん。そう。」
ドコッ…
「ぐほぁ!!」
「あなたまだ、私に逆らう気があるようね。思う存分もて遊んであげるわ。」
「……………」

俺はもう言い返す体力すら残っていない。俺はもう彼女に抱かれスーツを脱がされていた。スーツを脱がした彼女は、俺の下半身にあるモノをずっと見つめていた。

139適当:2012/09/17(月) 13:51:35 ID:P.l0XHTU
「立派ね。いじめがいがあるわ…。」
「な…なにを…して…うおっ!!」

彼女は独り言をつぶやくと、いきなり自らの口に俺のモノを含ませた。俺は抵抗しようにも、手足すら動かせない。動かせるのは口だけだ。“みずのはどう”の時にリタイアしてれば、5分程の休憩で立ち上がれただろう。だが、腹に入れてくるパンチが強烈過ぎる為に激痛が走り、上半身を起こせずひるんでいた。彼女が舌で先端を弄ってくる為、俺には体感したくもない快感が襲ってきた。“コイツの舌は気持ちが悪い…だが、的確に俺の弱い所をついて来やがる。コイツファーストキスなんてウソだろう!?”俺には徐々に射精の意が込み上げて来た。

「どう?私のは気持ちいいでしょ?興奮しない?」
「興奮なん…ざするか。気持…ち悪いだけだ。」
「そう?でもそろそろ限界じゃない。」
「くっ……ぜ…た…いに…出すものか!!お前には…。」
ドン…
「ぐはぁ!!…うはぁ!! ちっ…くそ…。」

俺は必死に耐えていたが腹に3度目の強打、しかも今度は前足で殴るのではなく後ろ足を使って踏みつぶしてきた。俺は快感から痛みをこらえることに必死で、やむを得ず射精(だ)すハメになった。

「たっくさん出るわね。欲求不満だったんじゃないの?」
「だ…だま…れ!!お前なんぞ頼らなくても、性交(す)る相手ぐらいはいる!!」
「ふ〜ん。まぁいいけどね。おいしいから。あなたの子種を奪えて、し・あ・わ・せ。」
「くっ…下衆な雌だな。」
ドンッ…
「がはぁ!!はぁ…はぁ…はぁ…。」
「減らず口を叩くのもいい加減にしなさい。あなただけ気持ち良くなるのはズルいわ。」
「は…まさ…か?」

彼女は妖しげな笑みを俺に向け、自らの股間を俺に見せつけた。“さすがに気取るだけはあるな。綾に負けないぐらいの桃色に染まっている。彼女は俺に目線を落とし、口の動きだけで“な・め・て”と要求する。俺は苦しみながらも必死に抵抗する。

「だ…れ…が…貴様のなんぞ…貴様の淫乱な穴なん…」
ゴスッ
「がああ!!」
「じゃあ、あなた手動かせる?動かせないわよね?動かせたらとっくにリタイアボタン押せてるものねぇ〜。」
「くっ…そっ…」

俺は残る体力で手足を動かそうとするが…残念ながら指しか動かせなかった。彼女は妖しい笑みで続ける。

140適当:2012/09/17(月) 13:58:56 ID:P.l0XHTU
「ね?出来ないでしょ?だったら出来る所は1つしかないわよね?」
「う…はぁ…こと…わ」
「これ以上逆らったらみぞおちにハイドロカノン撃つわよ?さすがのハチマキも効果切れて死ぬんじゃない?」
「くそっ…わかった。来い。」
「いい子ねずみちゃんね。ほら、どうぞ。」

正直“綾”以外の割れ目を舌でなぞるなどしたくなかった。だが、もし逆らえばもう永遠に愛しい雌に会えなくなる。“俺は死にに来たんじゃない。生きるために闘っているんだ!!”そう自分に言い聞かせ、目の前の下衆の割れ目を震える舌でなぞっていく。彼女はなぞる度に感想や喘ぎ声を漏らすが“こんなの興奮したら負けだ。”と念じ目を閉じ、舌先だけに神経を集中させる。先程“どうぞ”とか俺が欲しがっている様な言い方をしているが、“俺はお前のなんかこれっぽちも欲しくはない。お前の滴り汁なんて気持ちが悪い。”

「あっはぁ!!はぁ!!んっ…いいわ…もう少…し。」
「ピチャ、ピチャ、ピチャ、ピチャ…くそっ。」
「あっ…ははん!!ああああああ!!」
「うっ…はねた…ちくしょう…。」

彼女は歓喜の声を上げ、透明な液体を勢いよく噴き出した。当然、顔を近づけていた俺は避けようがない。汚水は俺の顔を濡らしていった。“手で拭うこともできないし、なめたくもない…。”これ以上に屈辱な事があるだろうか?”と思える程の感情が込み上げて来た。汚水で濡れた顔を彼女はまじまじと見つめ妖しい笑みを浮かべた。

「おいしいでしょ?雄って雌の愛液が好きなんでしょ?」

訊かれても無視した。というかもう質問に答えたくもなかった。俺のぴんと立っていた黄色と黒の耳は、完全にやる気を無くして垂れている。俺は深くため息をつくが、彼女は続けた。

141適当:2012/09/17(月) 14:03:54 ID:P.l0XHTU
「今のあなた最高よ。鏡があったら見せてあげたいくらいに、耳も垂れてかわいい。」
「はぁ…はぁ…もう帰してくれ。俺の体力はとっくに戦闘不能のハズだ。実は君が操作しているんだろう?」
「お前から君に変えたわね。別にお前とか汚い言葉を投げかけてもいいのよ?そのかわり“殴る”けどね。」
「はぁ…質問に答えてくれないか。俺はもう昨日よりも疲弊している。戻れない事があり得ないんだ。」
「よく気づいたわね。そうよ、私が操作しているのよ。私が特別ルールを悪用しているのよ。」
「特別ルール!?」
「そ、だってあなたまだ“10%”体力が残っているでしょう?ポケモンによっちゃその“10%”でも、強大な一撃が放てる。しかも体力は減らないから攻撃し放題ってわけ。あなたが退けないのは、私が本部に危険信号を送っているから。まだ“戦闘可能、撃退せよ”って命令が出ているの。おわかり?」
「な…なんだって!?俺は…どう考えても闘える状態じゃ…。」
「だ・か・ら、悪用って言ったでしょ?軍の中にはあなたみたいな可愛くて素敵な雄(ひと)なんていないもの。」
「くっ…どうゆう言い訳だ。俺なんかより業火の扉とか雷神とかいろいろあるだろう。」

俺が彼女が俺を欲しい理由について激しく反発するが、彼女は落胆の表情を浮かべ“はぁ〜あ”と声を漏らし、話し始める。

「そっか。あなたやっぱり来たばっかりでわかんないわよね?【闇の番人】ブラッド少尉と【伝説の番人】ジョーン中尉と【幻想の番人】カオス少佐以外は、全員メスよ?」
「な…なんだって!?おい…冗談はよせ!!」
「事実よ。雌とセックスなんてしたくもないし、ブラッド少尉は好きじゃない。ジョーン中尉はおじいさんだし、カオス少佐は会ったこともない。私は、レズビアンなんてカスだと思っているから!!」
「カ…カス?」
「そう。だってよく考えなさい。なんで同性同士がセックスするの?同性になんで興味が湧くの?完全に頭がおかしいわよね?」

俺は迫真に抗議をする彼女の質問に何も答えなかった。“考えたこともないし…俺が言ったって何の意味が…。”というかコイツに決して賛同したくなかった。俺が黙っているのを見ると彼女が元の妖しい表情へと戻した。

142適当:2012/09/17(月) 14:09:10 ID:P.l0XHTU
「だから、ね?楽しみましょ。私、欲求不満なの。あなたにさっき言ったけど、本当は私自身がそうなの。軍隊ってつらいわよね。というか構成がおかしいと思うんだけどね。」
「楽しくないって言ったら怒るか?」
「怒る。けど、たぶん殴ったりはしない。もう別にあなたは私から逃げられる体力もないんですもの。」
「はぁ〜あ。もうわかった来い。好きにしろ。」

俺はもう心を折られた。なぐらないと言っているが、それはあり得ない。2発目あたりを腹に入れた時から完全不可抗力だったのだから。“はぁ…ごめん綾俺は最低な雄だ。君以外の雌と性交(す)るなんて…。”俺は打ちひしがれて目線を落とした。そんな俺に気を遣わず、彼女は子供のようにはしゃぎ出す。急に体力が回復すればぶん殴ったかもしれないが、あいにくそれは出来ない。彼女は妖しい表情を変え、優しい表情へと変える。

「君は本当にいい子ね。」
「子供じゃない。成人男性だと言っただろう。」
「子供のようなかわいい表情を持っているから、それでいいの。」
「だったら、軍をやめて雄のピカチュウを探して来たらどうだ?」
「いいえ、あなたじゃないと満足できない。それにお礼もするから…ね?」
「ふっ…ウソだろう?だって君は唯一の雄の心を掴めないんだ。だからブラッドとかというヤツと性交(や)れないんだろう?」
「う…ひどい。それは言い過ぎじゃない…。」

彼女は俺の言葉を聞いて泣き出す。だが、俺はあやすつもりなんぞ、これっぽちも無い。俺は事実を突きつけた。

「どっちがひどいんだ?不可抗力のヤツに性行為を強要して、さらに殴って、無理矢理従順させている君の方が…。」
「そうしないと性交(や)ってくれないでしょ!!ここの挑戦者はムサい雄ばっかり…あなたのような本当に素敵な男性(雄)は初めてなのよ…うぅ……。」
「どれだけ飢えているんだ…。」
「しょうがないじゃない!!発情期なんだから!!本能が理性に打ち勝ってしまっているのよ…もう止めることは出来ない。」
「まさか君…それが狙いで軍隊に?」
「そうよ!!もう言うわ…そうです!!職場恋愛の方が会う時間も多いし、雄もたくさんいて選択の余地があるじゃない!!」「わかった、わかった。少し時間をくれ。」

143適当:2012/09/17(月) 14:14:57 ID:P.l0XHTU
俺はグチのはけ口じゃない。とりあえず興奮している彼女を黙らせる為に、しょうがなく言い分を受け入れることにした。“愛のない性交にしよう。俺が心から愛しているのは綾君だけだから、俺の愚行を許してくれ。コイツをとりあえず黙らせる為に。”そして決心が固まった俺は再度口を開く。

「一度だけだぞ。」
「本当に?」
「ああ、もうこれっきりだ。明日からはちゃんとリタイアさせてくれ。」

彼女は俺の目を見てゆっくりとうなずいた。俺はそれを確認すると、首を少し横に振り“さっさとやれ”という合図を送った。彼女は俺の合図を受け取るとゆっくりと俺のモノを自分の股にあてがった。

「俺はもう動けん。自分で動いてくれ。」
「うん。わかってる。」
「もしかして、処女か?」
「そうよ。」
「何で処女なのに…こんなに淫乱なんだ?」
「処女だから淫乱になるんでしょ?」
「知らない。さっさとやってくれ。」

俺は彼女に訊かれてもすぐに拒否した。彼女は相手にしてもらえず不満気な表情を浮かべるが、俺は無視して空を見上げる。“思えば、青カンなんてした事ないな…いや待て、ここは外なのか?”俺がボーっと眺め続けていると、彼女が勝手に腰を動かし始めた。喘ぎ声で勝手にはしゃいでいるが、俺はずうっとボーっとして空を眺めている。時折“綾との性交なんだ”と思い込もうとしたが、全く違う。事実なんだからしょうがない。ずっとそんな事を想っていたが、徐々に快感に襲われ息が上がり始める。だが、“これは俺が興奮しているんじゃない。下半身だけ勝手に興奮して上半身は巻き添えを食ってるだけだ。”彼女は派手に叫んで絶頂したが、俺は一言も喋らずに彼女の膣(ナカ)に出した。“出すなとせがんで来るハズがない。挑戦者に性交を求めるようなヤツが、こんなことを言うハズはない。俺のモノから出た精子と、彼女の…液が混ざり俺の股間を湿らせるが、そんなことはどうでも良く、“帰ったら風呂に入らないとな”とだけ思っていた。彼女は満足し俺の股間から自らの股の穴を外し、再び俺の顔を覗き込んで言った。

144適当:2012/09/17(月) 14:20:21 ID:P.l0XHTU
「ありがとう。私のわがままに付き合ってくれて。」
「…君が突き合わせたんじゃないか…。」
「そうね。ごめんなさい。これ…。」

彼女はそう言って軍服の胸に輝いている“β”の文字が書かれたバッチを俺の手へ握らせた。言う事がかなり遅れたが、彼女は上半身だけ軍服を身にまとい、下半身は野生と同じだ。理由は四足歩行の生き物(ポケモン)は下を履くことが出来ず、上を通すことしか出来ない。俺は、意外にも本当にお礼をしてくれたので驚いた声で言い返した。

「いいのか?俺は君を倒していない。」
「うん。いいの。システムを悪用したから。それに、あなたにも随分と酷い目にあわせちゃったし。」
「そうか。では遠慮なくいただく。ついでにリタイアボタンを押してくれないか?」
「その必要はないわ。危険信号を解除したから、もう元に戻ると思うわ。」

彼女の最後の言葉と聞き、俺の体は“氾濫”のステージから消え、元の白い空間へと戻った。


「………」
相変わらず白い天井…だが、それが俺を安心させてくれる。“終わったんだ…ようやく地獄から解放された。それでいて安堵の表情を浮かべため息をついた。しかし、俺はある事を思い出した。

「あっ!!スーツと刀を忘れてしまった!!」

俺は一瞬焦り立ち上がろうとするが、手も足も動かせないので、立てるハズも無かった。俺があきらめかけて横を向くと…。

「ああ!!ある!!どういうことだ…?」

その光景を見た俺は、目を丸くして一般の可愛いピカチュウみたいになっていたに違いない。しかし、そうなる事に無理はなかった。後ろの壁にも、前にも何も書いてないのである。

「ひょっとすると…彼女が!?」

俺は再びあの無理強いさせたシャワーズの顔を思い出した。いや、本当は思いだしたくも無かったが、彼女には予想外の優しい一面があるという事に驚いた。ステージクリアの証である小さなバッチをくれたのもそうだが、彼女は本当はスゴく良く女性(雌)だったかもしれない。俺は思わず、しかめていた顔をほころばせた。

「ふっ…いい所あるじゃないか。」

その後、体力もようやく回復し動けるようになり、夕飯を済ませ入浴を済ませ、スーツは洗濯乾燥機に任せ、倒れるように寝て二日目が終了した。もちろん手には彼女がくれた“意外な優しさ”を握りしめながら。

【試練1 氾濫 完】

145適当:2012/09/17(月) 14:26:55 ID:P.l0XHTU
試練1後書き
最初に試練1…以下入れるの忘れましたね。すみません_(._.)_

化学に関して(特に電気分解:イオン結合について)は間違えていたらすみません_(._.)_

次回もマッタリと載せて行きます。どうか最後までお付き合い下さいませ(笑)

補足
この物語のボスの覚えている技は実際のゲームと異なります。これは、番人の強さを象徴するためのものです。
後、主人公と敵とは20もの差があります。ゲームの世界ではレベル30対50以上は案外いい勝負するかもしれませんが、この世界ではほとんど通用しない為、主人公は技と武器を屈しして闘います。

146適当:2012/09/20(木) 11:33:17 ID:dg4gH9GE
9つの試練 第2話 投下いたします。温かい目で見守っていて下さい(笑)

147適当:2012/09/20(木) 11:34:15 ID:dg4gH9GE
【試練2 光】

Day3
俺は目を覚ました。起き上がり辺りを見回すと、1日目・2日目と部屋に備え付けられている物は同じだ。相変わらずつまらなかったが、そんなことはどうでもいい。“俺の周りの景色…俺が見たい景色へ辿りつく為には、9つの扉を全てクリアしなければならない。敵にやられることを恐れずに、敵と立ち向かい【情報】を得ながら道具と技と…そしてこの刀、スサノオを駆使して敵を倒すしか道は開かれない。”俺は、自分にそのことを言い聞かせ、ハチマキを締め直した。“締め直していざ戦場へ…。”と思ったが、自分が裸でいたことに気がついた。

「そうか、昨日あの女に…裸で寝てしまったな。」

俺は昨日の出来事を脳裏に垣間見せず、自分の横にある刀を手に取り、洗濯乾燥機の所まで歩を進め、乾かしていたスーツを取り出し着た。動いたせいなのか、刀を背中に縛り付けた途端に、自分自身の腹が鳴りだした。時計を見ると、【8:15】と表示されている。昨日は疲れていたとは言え、正午前に起きて1日の半分を無駄にするという大暴挙をおかしてしまった為、時間の表示を見て思わず顔がほころんだ。洗濯乾燥機の左からから漂ってくるいい匂いを嗅ぎながら、食事ルーム…区切りが無く部屋にすらなっていなかったが、俺はもう、そう思うことにした。“囲いがないなら、自分の脳内で作ればいい。”そう思い自分が部屋と呼んでいることを納得させ、トレーに盛りつけられている今日のメニューに目をやった。

「パンにグラタンにサラダか。スープは付いていないな。うん?この黄色い飲み物は何だ?」

トレーの右上の角に置いてある、黄色い液体が入ったグラスを手にとり、じっくりと眺めた。青色のジュースよりは、サラサラしている。次に、グラスに鼻を近づけ液体の匂いを嗅いだ。青色のジュースは僅かながら柑橘系の匂いがしたが、これは“ラ・フランス”という洋梨に匂いが似ていた。しかし、黄色いラ・フランスなんて見たこともないし、食べた事もない。

148適当:2012/09/20(木) 11:39:25 ID:dg4gH9GE
「変な味がしそうだから、後に回そう。」

俺は青色のジュースの件があったので、飲み物に関しては慎重に手をつけることにしていた。これを最初に飲んでしまって、もしも“かなりマズイものであれば、せっかくのおいしそうなパンやグラタンやサラダ…どれに手をつけても、一口目がまずい味と混ざりわけの分からない味へ変化を遂げてしまう。故に、これだけは絶対に避けなければならない。”俺はそう結論付け、パンにグラタンを付けて食べ始めた。パンはほんのりバターの香りを放ち、グラタンとの相性も抜群だった。食べる度に思わず、“うまい”口にしてしまう程に。俺はこの2品を合わせ技(技と呼べる程でもないが…)を使ってあっという間に平らげ、サラダに手を付け始めた。1日目・2日目と同じく、レタスにキュウリにトマトという感じだったが、不満は無かった。なぜかと言うと、かけてあるドレッシングが毎日違うからだ。ケチャップとマヨネーズのアメリカンドレッシングやオリーブの香りを放つフレンチドレッシングなど。ただ和風ドレッシングがないことを見ると、“やっぱり日本出身じゃないな…。”と思わされた。“いや、しかし出てくるメニューは日本でも親しまれている。食事だけで判断するのは、間違えてるな。やめておこう。”と俺自身の推測にいい加減さを覚えながら、サラダも平らげた。

「残るは、この…液体か…。」

俺は最後にメニューに残った、グラスに入っている黄色い液体に一瞬だけ目をやり床へ手をつけ、後ろに少し上半身を倒して休憩の姿勢をとった。すぐに飲まないのは、美味かった食事の余韻を楽しみたいからだ。ねずみである俺は口の中に入れた時に、鼻に感じる風味を強く感られる為、しばらく何も入れない事で、充分に味の余韻を充分に楽しめる。味を完全に堪能した俺は、グラスを手に取り一口だけ口に含ませる。

「う〜ん?まぁまぁなんだが…よく分からないな…。」

味は少しラ・フランスに似ているかと思ったが、全く異なる表現出来ない味だった。美味いと感じるヤツは“美味い!!”と言うと思うが、俺はそんなに美味いとは思わなかった。強いて感想を述べるなら、“まぁまぁ”という事に尽きる。

149適当:2012/09/20(木) 11:44:16 ID:dg4gH9GE
ふと考えたんだが…この【まぁまぁ】って表現って結構便利なんじゃないか?【普通】とほぼ同じなんだが、言葉の持つ独特な雰囲気とでも言うのだろうか…【普通】よりは柔らかく優れているという印象を与える。綾に手料理を振る舞われた事があるが、初めての手料理の時はうれしいハズなのに、素直に言葉が出なかった。その代わりつい「普通」と口にしてしまい、「普通なんて感想ありません〜。」と言われ、怒られて頬を指で疲れた事があった。可愛らしい反応が帰ってきて嬉しかったが、以後は気をつけて「まぁまぁだな。」という言葉に変えたら、「そっか、じゃあ次はもっと頑張るから。」と優しく微笑んで返してくれた。綾は恐らく、普通≒まぁまぁという関係に気づいてないんだろう。だが、反応を良くしてくれたので“これが正解か。”と俺は思った。かなり無駄かつ思い出に浸ってしまった俺だが、後から全身がどこかで感じた感覚に見まわれた。

「あ!!これもか!!青い色の液体と同じだ。しかも、青い色の液体の比じゃない。」

それは、体の疲れが一気に取れる感覚だった。青色の液体の数倍それを感じ、さらに力がみなぎってくる。しかも青色と違ってまずくはないし、色もいい。俺は液体の真実を突き止め、一気にその液体を飲み干した。すると、全身の細胞1つ1つからエネルギーが湧き出ていくらでも闘えそうに感じた。俺は湧きたつエネルギーを感じながら食事ルームを離れ扉を選ぼうと中央へ向かった際に、そこに何か青く光っている小さな物を発見した。

「あ…そうか、昨日は手元に置いたまま寝たのか。」

“β”と書かれた小さなバッチを手に取り、俺は独り言を小さく呟いた。これが“クリアの証”である事を思い出した俺は、小走りで9つのくぼみがついた装置へと走り出した。装置の元へたどり着くと、9つのくぼみとその上に書かれている文字に目をやった。

「氾濫は…これか。この2番目に嵌めればいいんだな。」

業火の隣の小さなプレート付きのくぼみを見ると微かに、“β”をかたどったような痕(あと)が見えた。“もしかして、他もそうなのか?”と思い1つ1つのくぼみをよく見ると、業火から順に“α”“β”“γ”“θ”“λ”“μ”“π”“χ”“ω”と形とられていた。“θ”から以降はよく覚えてないが、自分の脳内の都合が良すぎるのか、“μ”という文字がミュウ(ミュー)と読む事がわかっていた。

150適当:2012/09/20(木) 11:49:48 ID:dg4gH9GE
「ミュウ…と言えば…。」

その時、当然の如く綾の事が思い出される。“今頃何してるだろうか”と呟こうとしたが、言ってしまえば、また全く関係ない寂しさを紛らわせる行為になってしまい時間をどんどん無駄にしてしまうので“だめだ、だめだ”と否定するように首を強く左右へ振り、“β”のバッチを“氾濫”と書かれた文字の下の小さなくぼみへと嵌めた。その数秒後どこかからかブザー音が鳴り、“氾濫”の扉の文字が“達成”と変わり、カシャとカギをかけた音が聞こえた。

「おお!?なんだ?」

俺は、音源である“氾濫”の扉へと歩を進めた。【OPEN】となっていたプレートの表記が【CLOSE】と変わっていた。俺は、試しに“氾濫”の扉を開けようとするが、全くノブも回らない状態になっていた。

「そうか、なるほど。対応したバッチを嵌めると“達成”と表示され、扉が開かなくなるんだな。」

俺は顎に手を添えて、開かない扉を見つめて呟いた。納得した俺はステージ選択の為、全ての扉の表記が見えるように中央へ歩を進め、前へ振り返った。扉の表記は【業火・達成・雷神・光・闇・若葉・零下・伝説・幻想】となっている。

「光…か。ステージは原っぱで今開いている。光ってどんなヤツが出てくるんだろうな。」

俺は心の奥でワクワクしていた。“【闇】は悪いヤツが出てくるという事は想像出来る。だが、逆の【光】というのはどんなヤツが出てくるかは想像出来ない。”俺の中で【光】という言葉は“聖なるもの”として捉えていた。“聖なるもの…というと天使か、神の使いか。いや、後者は無いな。神が自分の家来を、弱い者となどわざわざ闘わせるハズがない。とすると、天使の方か。”俺は“聖なるもの”から天使へと想像を移した。“天使か…という事は、少女みたいな雌が出てくるのか。俺は子供の雌は嫌いじゃない。純粋な心を持つ可愛らしい生き物だと思っている。どんな顔なんだろうな。”俺は期待に胸を踊らせ、【光】の扉へと歩を進めた。

151適当:2012/09/20(木) 11:54:17 ID:dg4gH9GE
扉を開けると緑一色の広大な草原が広がっていた。太陽が地上の植物を優しく照らしており、時折心地の良い風が俺の頬を撫でた。その場に留まって景色を眺めていると、向こう側の方から対戦相手の姿が現れた。

「はじめまして、ようこそ【光】の間へ。貴方が対戦相手ですね?」
「そうだ。」
「お会いできて光栄ですわ。えっ…とルールは…」
「いや、いい。俺はいつでも良いぞ。」

俺の目の前に現れたのは、高貴な雰囲気をまとい、上品な態度で丁寧に接してくれる、紫色の軍服を着た一匹のエーフィだった。彼女は少女ではなかったが、セレブとでも言うのだろうか。軍隊にはふさわしくないどこか有名企業の社長令嬢と呼ぶにふさわしきお嬢様に見えた。彼女は軽く会釈した後にルールを説明しようとしたが、俺はちょっと格好をつけて“君に任せる”という意志で返した。

「ふふ、わかりました。では、始めましょう。お手柔らかにお願いしますね。」
「ああ、こちらこそお手柔らかに。」

彼女は上品な笑顔で品の良い態度で前足を上げて自分自身へ向けて払い“上品なお辞儀”をした。俺は少し顔をほころばせて、同じ言葉を返し走り出す構えをとった。沈黙が続いたが、数秒後に【氾濫】のステージと同じ開始の合図がかかる。

『READY…GO!!』

俺は、まずはアイテムを取らずに自力で出来る所までやってみようという考えになった。というのも、相手がお嬢様であり自分の得意な接近戦に対して弱いエーフィだったからだ。エスパータイプは特殊技に頼るが故に、技があたる範囲内で距離を取らなければならない。俺は高速移動で速度を底上げして、エーフィへ走って接近する。エーフィは突撃してくる俺に対し、距離を取る為に走って接近する。エーフィは突撃してくる俺に対し、距離を取るために走って逃げていた。“だが、所詮はお嬢様で軍隊にふさわしくない上品な走りをしている為、彼女は俺にあっという間に追いつかれた。

「やん。お速いですこと。追いつかれましたわ。」
「ふふ、お嬢さん。悪いが一気に決めさせてもらう。」

彼女は俺を褒めて手加減してくれるように上品な笑みをこぼすが、俺はここから出たい為に手加減するつもりはない。軽く紳士的な笑みを向け刀を手に持ち帰え彼女に向けて電光石火を放った。

152適当:2012/09/20(木) 11:58:51 ID:dg4gH9GE
「でも負けないですわよ。」
クリッ ビュイーン ビュン
「あ!?しまった!!」

彼女は前足を突撃してくる俺に対し輪状の光線を連射する“サイケこうせん”を放った。彼女に近づきすぎた俺は、範囲の大きいこの光線を避けられず、そのまま直撃してしまった。

「ぐわぁ!!」

俺は光線を体にモロにくらった為、後ろへ跳ね飛ばされた。背中への強打は空中後転で避けたが、さらなる追加効果が俺を苦しめた。

「あ…頭が…ぐうぅぅぅぅ…。」
「ごめんなさいね。こちらに指導権を渡して貰いますよ?」
「ううっ…まだだ…。」

俺は彼女の更なる攻撃を喰らうまいとこめかみを拳で数回強く叩き、無理矢理目を醒ました。彼女は驚いた表情で俺へ言い返した。

「すごいですね…。うふふ、お強いですこと。」
「はぁ…はぁ…油断し過ぎたな。」
「次、行きますわよ?」
「え?…うぉ!!しま…った!!意識…が。」

立ち上がった俺を見て彼女は微笑みながら“さいみんじゅつ”を繰り出して来た。俺はお嬢様とは言え迂闊過ぎたと、相手の動きを警戒していたが、それが落とし穴となり彼女の放つ“さいみんじゅつ”を体に受けてしまった。

「う…く…そ…。」
バタッ
「ZZZ…ZZZ…」
「うふふ、眠ったわね。じゃあ準備にかかるとしましょう。」

俺はなすすべなくその場で意識を失い、強制的にその場へ倒され眠らされてしまった。


トントン トントン
「起きて、ねぇ起きて。」
「うぅ…んん?」
「朝ですよ、子ねずみちゃん。」
「子ねずみ?ん?」

俺が目を開けると、優しい笑みで先程闘ったエーフィが俺の顔を覗きこんでいた。俺は何かひっかかる言葉を聞き上体を起こそうと、上半身に力を入れた。

「ああ!!なぜだ…動けない!!」

俺が動けない原因は、俺の手足をあのお嬢様が抑えていたからだった。彼女は不敵な笑みを浮かべて俺へ言い放った。

「うふふ、いい子だからじっとしてなさい。」
「くそ!!ふざけるな!!この!!」

俺は一気に怒りの表情に変え、彼女の拘束に必死で抵抗しようと、手を彼女ごと持ち上げようとした。が、すぐに体全体が何かとてつもない力によって、地面へ押さえつけられた。

153適当:2012/09/20(木) 12:03:44 ID:dg4gH9GE
「何のつもりだ!?俺を眠らせるだけで勝負はついたんじゃないのか!?」
「も〜う。いいからじっとする!!悪い子だね!!」

俺は彼女が突然“なぜ自分の体を縛る必要があるんだ!?”と思い怒りの表情で、叫ぶように問いかけた。彼女は、少し怒った表情で子供をしかるように俺の額を前足でコツンと軽く突いた。俺は額を小突かれて一瞬目を瞑るが、再び元の表情へ戻し睨みつけた。

「なんでこんな事をする!?」
「なんでって、決まってるじゃない。今からあなたで遊ぶのよ。かわいい子ねずみちゃん。」
「はぁ!?ふざけるのもいい加減にしろよ!!」
「そんな事言っちゃダメでしょう!!悪い子にはおしおきよ。」
「おしおき…?ぐっ…がああああああ!!」

彼女は自分自身の“サイコキネシス”で俺の肩を縮め始めた。俺の肩にはかなりの激痛が走り、俺は思わず叫び声を上げた。しばらく締め付けると、強力な圧力が消え俺は息を切らしていた。彼女は、子供をあやすような笑みで俺へ話し始める。

「痛かったでしょ?でも、ちゃ〜んと私の言う事を聞いてくれたら、何もしないで褒めてあげるから。」
「はぁ…はぁ…はぁ…。はぁ!?何を言っている?俺をどうする気だ!?早く俺を解放しろ!!」
「だ〜め。まずは、私からね。」
「私から…?」

彼女は俺に意味不明な発言をして、俺の顔面へ突然自らの股を近づけ、俺の呼吸を防ぐように鼻と口へを自らの股でおおった。俺は呼吸が出来ずパニックに陥り、叫び声を上げた。それから数秒後彼女は俺の顔から股を離し、俺の呼吸を許し、俺に子供に言い聞かせるように要求した。

「ぷはぁ…はぁ…はぁ…。なんだいきなり!?苦しいじゃないか!!」
「うふふ、いい子だから私のここをな・め・て。」
「ちっ…何を言っている?全く意味がわからん。」
「愛撫しないと、また息が吸えなくなるよ?」
「はぁ!?何だって!?おい、冗談だろう!?」
「ううん。本当よ。私からあなたの口で気持ち良くして。」
「くっ…うう…。断る。」
「ふぅ〜ん。断るのねぇ〜。じゃあふさいじゃおうかしら。」
トン
「ぶっ…ぶっほお!!ん゛ん゛ん゛ん゛ん゛!!」

彼女は妖しい笑みに切り替え俺を脅すが、俺はそれに屈せずすぐさま拒否した。彼女は要求が俺に通らなかったことがわかると、再び俺の呼吸源をふさいだ。俺は息が出来ず再度パニックに陥ったが、数秒後にまた彼女が呼吸源を解放し、少し怒った表情で俺に続けた。

154適当:2012/09/20(木) 12:09:29 ID:dg4gH9GE
「だ・か・ら、言ってるでしょう?今度は窒息死するわよ?」
「はぁ…はぁ…それは勘弁してくれ。」
「うふ、わかった。じゃあ近づけるからな・め・て・ね?」
「くっ…わかった。持って来い。」
「いい子ね。ほら、お願いね?」

死ぬことだけは避けたいが、またしてもこんな仕打ちを受けていると思うと、自分が情けなくなってくる。俺はやむを得ず彼女の要求を呑んだ。彼女は俺が了解したことを見計らって、自らの股の割れ目を俺の口元へ近づけた。彼女の股間を嗅いでみると、小便臭く思わず顔をしかめた。“なんでメスなのに、一番重要なここは汚いままなんだ!?どういう神経してんだコイツは!?”よく見ると割れ目の周りを覆う紫色の毛も黄ばんでいる。要するにコイツは小便を済ませた後にきちんとケアしておらずいい加減にやっている。“紫色に包まれた割れ目の清潔さは、綾やあのシャワーズとは比べる必要もないな。いや、他の雌よりも劣るかもしれん。小便臭い割れ目なんて全く舐めたくはなかったが、汚い股で鼻を塞がれ、呼吸困難で死亡とかいう屈辱的な死に方だけは避けたい。”俺は腐った汚い割れ目をゆっくりとなぞり始めた。ねずみの俺に、臭い股を押しつけるのはただの拷問だ。鼻があまり効かない生き物(ポケモン)でもキツいとうのに、鼻が効く俺にとっては頭が痛くなる程キツい。俺が舌でなぞる度に彼女は喘ぎ声を出し始める。

「はぁ!!ああ!!んっ…はぁ、いい子…ね…じょう…ず…よ」
「チロ、チロ、チロ、ビチャ、ビチャ、ビチャ」

“うっ…徐々にコイツの汚い股から汚い液がたれ始めた。小便と混ざって強烈だな。俺を興奮させる要素なんて皆無だな!!”と心の中でコイツに対して批評し、事が終わるまで集中して舐める。もちろん、コイツの喘ぎ声など全く耳に入れてはいなかった。

「んっ…はぁ!!いい…わ、イキ…そう。あ…はああああん!!」
「はぁ…あ〜あ、ちくしょう…気持ち悪い。」

彼女は絶頂を向かえ汚い股から汚水、を俺の顔を目掛けて噴射した。俺は避ける術(すべ)がなく、顔にほとんどかかってしまった。俺は彼女に聞こえないように、侮辱の言葉を呟いた。彼女は俺の顔から股を遠ざけ、俺の顔を覗き込んで頭を撫でた。

155適当:2012/09/20(木) 12:16:15 ID:dg4gH9GE
「気持ち良かったわ。最高よ。どう?おいしかった?」
「く…この…“クサレマンコ”!!」

俺は頭を撫でて笑いかける彼女に憤怒の感情が芽生え、彼女の大事な部分に罵声を浴びせた。途端に彼女が妖しい笑みから無表情へと変え、俺の前で前足を横に“くいっ”とスライドさせた。その瞬間に俺の片方の腕が強力な圧力を受け、押しつぶされそうな感覚が俺を襲った。

ミシ…ミシ…
「ぐああああああああ!!」
クイッ…フッ…
「っはぁ!! はぁ…はぁ…。腕が…腕が…。」

俺は思わず悲痛の叫びを上げ、激痛を訴えた。あまりの激痛に俺自身の額から大量の汗が噴き出していた。彼女はしばらく俺の腕を圧迫させた後、前足をまたくいっと横に振り“念”を送ることをやめ、無表情を少し怒った表情に変え、前足に少し力を込めて俺の額を叩いた。俺が目をつむって思わず“あイタッ”というと彼女は俺を叱り始めた。

「もう!!だめでしょ?こんな悪い言葉使っちゃ!!めっ!!」
「めっ…って、俺は赤ちゃんじゃないぞ…はぁ〜あ。」
「言うこと聞かないとまたお仕置きするからね?あっ、ちょっと待ってね?」
「はぁ…もう、一体何なんだ…全く…。」

彼女が俺を子供扱いし、しつけようとする事に関して“お前は何がしたいんだ?他でやってくれ…。”と呆れた感情を込めた声で返した。彼女は軍服の胸ポケットから赤い小さなあめ玉のような物を取り出し、それを俺の口へ持ってきた。

「はい、あ〜ん。」
「くっ…何だそれは!?」
「は〜や〜くぅ〜、口を開けて。」
「ふざけるなよ。貴様の手渡す物など口に含んでたまるか!!」

俺は彼女の手渡す物など、決して口にしたくなかった。“コイツが手渡すんだから、食わない方がいいに決まってる。”俺はそう考え反論した。

「あっ、ま〜たそんなことを言うの〜?じゃあ、おしおきね。」
スッ…クイッ
「ぐああああああ!!た…頼むからあああああ!!この力をや゛めろ゛おおおお!!」フッ…

俺はあまりの腕にかかる激痛に思わず彼女へ懇願した。彼女は前足を振り俺の腕に“念”を送ることをやめ、俺の額を小突いた。

156適当:2012/09/20(木) 12:20:37 ID:dg4gH9GE
「はぁ…はぁ…くそ、あんまりだ…。」
「悪い子におしおきねするのは、当たり前ですぅ〜。」
「悪い子…ってもう完全に子供扱いじゃないか。最初に見せたあの姿は何だったんだ…。」
「ああ、あれ?あれは、貴方を騙す為の話術よ。お嬢さんとか貴方言ってたからうまくだ・ま・せ・たわねぇ〜。」
「ちくしょう…演技だったが…。なんてヤツだ。」
「そんなことはどうでもいいの〜。ほら、あ〜んして?」
「はぁ…何なんだそれは?」
「貴方が言うこと聞くように、お薬あげますからね。」
「お薬?それはことわ…。」
「あら?まだ言うこと聞かないわねぇ〜。このハチマキとって首を絞めちゃおっかなぁ〜?」
「はぁ!?それはやめてくれ!!」
「じゃあ黙ってお口開ける!!ほら、あ〜ん。」
「くっ…。」

俺は彼女の言われた通りに謎の赤い小さな丸い玉を口に含んだ。“妙な味がする…イチゴでもないし、ラズベリーでもない。梅のような味もしない。”俺が噛まずに慎重に味わっていた所、彼女が再び要求してきた。

「舐めないで、噛みなさい。」
「かむ?舐めるだけではダメなのか?」
「だ〜め。ほら、早く噛んで食べちゃって!!」
「はぁ〜あ。」

俺は仕方なく小さな赤く染まった丸い玉を舌で転がすのをやめて、思いっきり歯で噛んだ。俺が口を動かして食べる様子を彼女は見張っていた。やがて、俺はそれを飲み込んだ。

「ちゃんと食べた?口開けて。」
カパッ
「あっ、ちゃんと食べたねぇ〜。いい子、いい子。」

彼女は俺に口を開けさせ口の中が何も入ってない事を確認し、妖しい表情へ戻して俺の頭を撫でた。頭を撫でられても嬉しくはない。ただムカついてきた俺は、眉間にシワをよせた。

「なぁ、これは一体何なんだ?」
「これは、び・や・くというお薬よ。」
「はぁ!?何だって!? うっ…体が…熱い…。」

俺は彼女が食べさせた物に驚き怒って反論しようとしたが、どこからか湧いてくる体の熱に苦しめられた。次第に息が上がっていき、体全体がサウナに入ったように火照ってきた。意識も次第に失いかけて、本能が“コイツは雌だ。犯せ!!”という言葉で俺の脳内を支配し始めた。

157適当:2012/09/20(木) 12:25:42 ID:dg4gH9GE
「うわぁぁぁぁ!!熱い…熱い…はぁ…はぁ…。」
「大丈夫よ。いい子だから気持ち良くしてあげますからね〜。」

彼女は体の異常な熱を訴える俺を安心させるように頭を撫で、俺の体を抱きかかえてスーツを脱がし始めた。ただスーツを脱がしているだけなのに、敏感に体が反応してしまい、俺には似つかない“ひゃん”という雌のような声を上げていた。俺の下半身も異常な熱に支配され、俺のモノは興奮して瞬く間に肥大していった。

「あっ、もうこんなに大きくなってる〜♪。」
「はぁ…はぁ…ち…ちくしょう…くそったれ!!」
「はいはい、大丈夫だからね。今気持ち良くしてあげるから。」
「はぁ…く…くわえる…なぁ!? ひゃん!! うっはぁ!!」

彼女は俺の意見を無視して、俺のモノを自らの口へと含んだ。俺は敏感に感じてしまい、普段綾と性交(す)るときにはあげない、可愛らしい嬌声を上げていた。雄特有の喘ぎ声はその間にしか挟めなかった。“くっ…あなどれん。こんなに感じてしまうフェラチオは、未だに経験したことがない…。しかも、コイツ雄の弱い所を完全に知り尽くしてやがる!!ここばっかり攻めるなぁぁぁぁ!!舌先を使うなぁぁぁぁ!!感じてしまうからやめろおおおお!!”俺は現実でも叫び、脳内でも叫ぶハメになっていた。

「はぁ…んっ…うっひゃあ!!ちょ…ちょっと…待って…出…。」
「見た目もカワイイけど意外とそんな可愛い声もあげるのねぇ〜。限界なら出してもいいわよ?」
「ひゃあ!!だ…誰が射精(だ)すものかバカ猫おおおお!!」
「ふ〜ん。じゃあ、スピード上げるからね?」
チュプチュプチュプチュプ…
「ひゃあ!!うおっ!!くっくそお!!くそったれがあああああ!!」

俺は彼女のフェラチオがあまりにも快感な為、彼女に罵声を浴びせつつも自分の精子(モノ)を、彼女の口内へ勢いよく噴射させられた。俺はようやく苦痛とも言える快感から逃れられて、肩でゆっくりと息をしていた。彼女は俺のモノから口を離し、顔全体も耳も赤らめている俺を俺の頭を撫でながら妖しい笑みで覗き込んでいた。

158適当:2012/09/20(木) 12:31:12 ID:dg4gH9GE
「いっぱい出したね〜。いい子、いい子。」
「はぁ…はぁ…ああ!!くっそ!!」
「そんなに気持ち良かったのぉ〜?もっとやってあげましょうか?」
「もうやる…な。頭がおかしく…なりそうだ。」
「ふ〜ん。じゃあ、やっちゃお。」
クルッ…パクッ
「お…おい!!待てって!!くわえ…ひゃあ!!」
チュプチュプチュプチュプ
「ふはぁ!!うっはぁ!!はぁ…ふっ!!」
チュプチュプチュプチュプ
「や…やめて…た…頼むからあああああ!!」
ビュク…ビュルルルル…ドクドク

一度感じ射精の快感が残っていた俺は、すぐに射精(だ)してしまった。“全く俺のどこにこんなに精力があるのだろうか…。”と疑いたくなるような量を彼女の口内へ噴射していた。彼女は口を離し、全て飲み干して俺へ振り返り、疲弊している俺の表情をあやしい笑みを向けながら覗き込んでいた。彼女は汗だらけの俺の額を自分自身の舌で、拭き取り俺の頭を撫で始めた。

「二回目なのに、いっぱい出したねぇ〜。よく出来ました。褒めてあげるわ。」
「はぁ…はぁ…はぁ…。ぶん殴ってやりたい。」
「こ〜ら、殴るとか言わないの。今度は私の膣(ナカ)に出してね?」
「ちょ…ちょっと待ってくれ。そ…そんな何発も連続で…射精(で)るわけ無いじゃないか!!」
「い〜え。貴方は出来る子だから。ほら、行くわよ?」
「おい!!俺の…話し…聞…けぇぇぇ!!」

彼女は、俺の懇願も無視して自らの股に俺のモノを当てがった。俺のモノは俺の頼みもむなしく、元気にまだ物欲しそうにそり立っている。さらに悪いことに、感じ過ぎてこの下衆な汚い割れ目の中へ入れるだけで、声を上げてしまいそうになる。手が使えたら必死で口を抑えるが、それも叶わず、俺の閉ざしている口は決壊寸前だった。

「ふっはぁ…気…気持ち…いやいや!!そんなわけあるかこのやろおおお!!」
「うふっ、もう限界みたいね。我慢しないで出したら?我慢は体に良くないわよ?かわいい子ねずみちゃん。」
「はぁ!!ふうっ…俺は…成人男性(雄)だ。ガキじゃないんだよ淫乱な雌猫がああああ!!」
「強がっちゃって…本当カワイイわね。ちょっと締め付けちゃお。」
ムギュ…ギュウウウウ
「はぁ…ひゃあ!!おいおい!!俺の股間から離れろおおお!!」
「だ〜め。貴方の愛撫だけじゃ満足してないの!!じゃあ、動くからね?」
「ええ!?ちょ…ちょっと待っ…休ま…せろおおお!!」

159適当:2012/09/20(木) 12:37:00 ID:dg4gH9GE
俺の要求(というか立場が完全に下なのでお願いにあたるんだが…。)を無視して妖しい表情で徐々にスピードを上げていく。“さすがに淫乱なだけはあるな…処女膜はない。”俺は快感がこみ上げ頭がおかしくなりそうになりながらも、必死になり勝手に分析した。俺は声を押し殺せずに喘いでいるが、彼女は声をこらえて動きながらもその様を見下ろしていた。“今俺の顔は綾…というか誰にも見せられない程目がとろけよだれを垂らしていた。よだれを止めようと口を閉じようとしても、喘ぎ声が優先されてしまいそれは叶わない。彼女も次第に声を上げ、彼女と俺は絶頂を向かえ各々(おのおの)の持ち場でぐったりしていた。

「んっ。はぁ…はぁ…気持ちいい…最高よ…あなたのお・ち・ん・こ。」
「はぁ…はぁ…下品な…雌だな。」
「ん〜、そんな事言って気持ち良かったんでしょ?私のお・ま・ん・こは。」
「……………。否定はしない。だが、肯定もしない。」
「じゃあ、“YES”って言わせてあげるね。もう一回。」
「は…はぁ!?ちょ…待っひゃうん!!」
「本当かわいい子。すぐにイかせてあげますからねぇ〜。」
「はぁ!!ひゃ!!お…おい…動く…な…。」

彼女は俺の息が整ってない内に、訳のわからない発言をして再び腰を上下に動かし始めた。俺は喘ぎ声とよだれを抑え切れず、雌のような声で叫び続けている。想定内だが、予想外の快感にある異変を感じとった。“うっ…まずい!!もう俺の中の精子(モノ)は残っていない…残っているのは…水分だけだ!!くそっ…出すわけにはいかない!!それだけは…それだけは!!”俺は快感で頭が真っ白になる中“恥はかきたくない”とばかりに残った力を振り絞って必死に逃げようともがいた。

「んっ…はぁ!! はぁん!! はぁ…。」
「ひゃ!!うはぁ…はぁん!!」

“くっそ〜まずい、動けぇ〜!!俺の右手動いてくれ〜!!”その時俺の思いが通じたのか。右手が勢いよく動き上に乗っている彼女を突き飛ばした。俺は素速く立ち上がり脱がされたスーツと刀を持ち、高速移動を使いながらリタイヤボタンを押した。

「ああん!!待ってぇ〜まだ終わってないわよ!!」

彼女は急いで俺の後を追ってくるが、俺の体は既に【光】のステージから抜け出していた。

160適当:2012/09/20(木) 12:41:49 ID:dg4gH9GE
「はぁ…はぁ…危なかった。…助かったぁ〜!!」

真っ白い部屋へと戻って来た俺は、特に嬉しいこともないのに両手を上げ、歓喜の声を部屋中に響かせていた。その時、下腹部からとてつもない放尿の意志がこみ上げて来た。

「うっ…まずい…出る!!」

俺は高速移動+前転を使って、距離を縮め右側の食事ルームよりは、少し距離を取りバスルームに近い真っ白いトイレへとすべり込むように着地した。すぐに立ち上がり、便器の中に向けて俺のモノを向けた。

チョロ…チョロチョロ…ジョオオオオ…
「はぁ…はぁ…うっ…はぁ〜。」

“危なかった…もう少しでいい年して、【おもらし】してしまうという恥を書く所だった…。”と俺は、尿を便器へ放ちながら安心していた。“もしも、あのまま続けていたら…ああ〜いやだ!!考えたくもない!!”俺は口に出さずに、頭の中でその言葉を響かせた。やっと放尿の勢いが止まり、完全に出なくなった。

「よし。免れたな。うわ…こんなに溜まって…しかも疲労からか…かなり黄色い…。」

俺は用を足し終えた便器の水の位置が、3cm程上がっている事に顔を引きつった。“真っ白いタンパク尿だったら、彼女の鼻が効かなければ、股から出た汚水と間違えるかもしれない…。だが、こうも色がついては彼女には放尿の意志がないため、俺が漏らしてしまったものだと簡単にバレてしまう。ただでさえ俺の事を子供扱い…時折赤子扱いするのに、こんな事があってはもう完全に舐められる…。”俺は恥をかかなかった自分が、いかに運が良かったかを深く考え、レバーをひねり大量の尿を流した。流れる様子を確認すると、バスルームへ歩を進めシャワーを軽くひねった。

キュッ…シャアアア…
「ふう。全く、どいつもコイツも淫乱な雌ばっかりだ。」

俺はこの軍隊の雌達が“なぜ自分ばっかり求めてくるのか”という愚痴を壁に向かって言い放ちながら、頭を洗い、体を洗った。体を洗う時に、まだ薬の効果が残っているせいか嬌声を上げてしまいそうになったが、“俺は男(雄)だ。みっともない真似はするな!!”と強く自分に言い聞かせ、歯を食いしばり絶えた。

161適当:2012/09/20(木) 12:46:39 ID:dg4gH9GE
風呂に入っていた時の嬌声と言えば…一度綾と俺の自宅で混浴した事を思い出した。あまりに恥ずかしくまた、行為以外では裸体を見せたくなかったので、「…一匹で入ればいいじゃないか。」と言ったが、「さみしいから一緒に入ろ?」と涙目で訴えて来たので、やむを得ず一緒に風呂場へ入った。雄と雌が一緒に風呂に入る目的と言えば、“一緒に湯船に浸かりたい”ということもありうる。だが、主な目的はお互いの体を洗う“洗いっこ”というカップルならではの遊びである。俺は雄なので、前後どっちを洗っても普段通りでいられるが、綾は雌なので後ろは大丈夫だが、前の部分はほとんどどこを洗っても喘ぎ声を上げた。俺は「もっと我慢出来ないのか?」と問うたが、「だって気持ちいいんだもん。感じちゃう。」とか訳のわからない言い分で返答してきた。その訳のわからない言い分も今なら理解できた。薬のせいで、俺の体は敏感に反応し、普段の雌とほぼ同じ感覚になっていた。俺は同時に、“じゃあ雌に薬を投与したら一体どうなるんだ?まさか…気絶するのか!?という考えも持っていた。一瞬“雌が羨ましい…。”と思いそうになったが、別の声で“そんなワケあるか!!羨ましがるんじゃない!!”と自分に“喝”を入れシャワーを止めた。水気を体を震わせて飛ばし、中央にあるスーツを着て食事ルームへ歩を進めた。

「うおっ、いい匂いだな。やっぱり心の支えはコイツだけか。」

俺は目の前に用意されている食事を見て思わず笑みがこぼれた。長い間【光】の間で拷問を受けていたので、夕食が用意されていた。夕食のメニューはビーフシチューに野菜サラダ、主食は米が欲しかったが願いも空しくパンだった。ドリンクは紫色で芳醇な香りを放っている液体だった。しかもグラスには気泡がついていた。

「今日も美味そうだな。」

俺は独り言を言っている事を気にせず、少し大きめの声で意見を述べた。パンを手に取りビーフシチューにつけて口へ頬張る。噛んでいる最中に、“そういえば、ビーフシチューって米でしか食ったことないな…。”としみじみと感じていた。短い経験した事の回想を終え、黙々と手を進めていき、数分後すべてのメニューを平らげた。メインが水分を含むので、ドリンクは飲む必要がなかったが、青色の液体や黄色の液体には何らかの効果があったので、“飲むと得する”と結論を出しドリンクを手に取った。

162適当:2012/09/20(木) 12:52:11 ID:dg4gH9GE
「青と黄色のヤツよりサラサラしている…。しかも、これは炭酸じゃないか!!」

俺は、監禁されて変な飲み物を無理矢理飲まされ続けると予想していたので、あまりの嬉しさにはしゃいでしまった。ジュースを一口、口へ含み風味と味の両方を堪能した。味は葡萄と何かが混ざったような味で、俺の舌とほどを唸らせた。予想外の美味さにあっという間に飲み干してしまい、空にしたグラスを“ビール”を一気飲みしたかの如く、勢いづけて置いてしまった。“あっ…しまった”と思ってグラスを見るが、見た目よりも結構頑丈な作りで割れることは無かった。飲み干すと切れていた精力がいとも簡単に戻って来た。

「うおっ…すごい。まだ性交(や)れそ…イカンイカン。」

ものすごい効き目だったので、“他の雌と性交(や)りたい”とつい口走ってしまいそうになり、慌てて口をふさいだ。“綾以外と性交(や)るなんて自分から言い出してはいけない。それでは、俺はただの最低な男(雄)になってしまう。“俺は激しく頭を振り自分に戒めの言葉を言い聞かせ、中央へと戻り、そのまま眠りの世界へと旅立った。

Day4
「ふわぁ〜、すごい頭がスッキリする。よく寝たな。」

朝日なんか浴びれない真っ白い蛍光灯の光しか浴びれないにも関わらず、満足気に俺は目覚めていた。昨日のドリンクのおかげでパワーがみなぎってくる。俺は時計を見ると【9:00】と若干寝坊してしまったが、顎に手を添えてある事を考えた。

「待てよ…早く行きすぎたから、あんな長時間犯されたんじゃないのか?もしかしてワザと遅く行けば、もしも拷問まで持ち込まれた時に短くて済むな。俺は寝起きにも関わらず頭がさえていた。この事に気付いた俺は、正午以降に【光】の間へ行こうと決心し、その間はイメージトレーニングに没頭することにした。食事ルームから漂ってくる朝食の匂いをたどり、朝食を済ませて中央へ自分自身の体を戻した。俺は刀を抜いて両手に握り締め、その場で構えた。

ブン ブン ブン ブン ブン
「はぁ!!たぁ!!はっ!!」
シュッ シュッ シャッ
「たぁ!!おりやぁぁ!!」

俺は一心不乱になって刀をその場で振っていた。振り方も両手から片手へ変えたり、技を繰り出しながら片手に持ち替えて追撃を加える動きなどを実践していた。息が切れ、立ち止まって時計を見ると正午前を指していた。

163適当:2012/09/20(木) 12:57:17 ID:dg4gH9GE
「はぁ…はぁ…よし!!これで簡単に負けないハズ…後はアイテムの確保だな。」

俺は息を落ち着かせて、刀を鞘へ収めて、背中へ縛りつけた。戦闘準備が整ったので、昨日と同じ【光】の扉へと歩を進めた。


さわやかな風、昨日と同じ風景、自分が闘った場所…様々な事をステージの景色を眺めていると、上品な雰囲気をまとわせた紫色の軍服を着たエーフィが向こう側から姿を現した。

「こんにちわ。今日もお手柔らか…」
「ふざけるな。猫を被っても無駄だぞ。」
「あら?なんのことですの?私が何かしましたか?」
「ちっ…とぼけるのもいい加減にしろよ。貴様の話術は、もう俺には通用しない。」

昨日と全く同じ態度で接してくる彼女を即座に否定し、俺は冷静に相手を見据えた。彼女はすぐに口調を変え、言い返した。

「ふふ…、今日もいっぱい遊んであげますからね?かわいい子ねずみちゃん。」
「ふっ…悪いがやられるつもりはない。貴様をぶっ倒す。」
「楽しみですこと。」

俺は彼女を睨みつけ、すぐに行動できる構えをとった。“彼女は近づきすぎても駄目だし、遠すぎても駄目。逆にスピードで翻弄できる分俺に分がある。”俺はその事を頭にたたき込み、しばらく黙って睨みつけていると例の開始合図が聞こえた。

『READY…GO!!』

俺はまず左の方へと走った。彼女から小走りで俺に接近して来ていた。100m程走った所で赤色の箱を見つける。

「よし、武器だ。まだ…大丈夫だな。えっと…中身は…。」

赤い箱を開けると見た事ない【S・C・G】と書かれた白い手榴弾が2つに、説明書が入っていた。俺はまだ彼女が追いついて来ていない事を確認し、重要な所だけを目で負った。説明書には、図付きでこうこう示されていた。

【スーパーチャフグレーネード(念波・電子機器妨害手榴弾)】
使用すると中から特殊な金と銀のチップを散布し、エスパータイプの技と電子機器、電気タイプの技の発動方向を妨害する。一定時間しか効果は続かないので、充分に注意すること。

“やった!!と喜んでいる暇はないな。急いで行動しなければ追いつかれてしまう。”俺は腰にスーパーチャフグレーネードを装着し、反転して今度は中央から右方向へと目指し走り出した。彼女は、追いつけずに“逃げてばっかりいないで私と遊ぼうよぉ〜”とか追いつけない言い訳を言ってくるが、俺はそれを完全無視して、一心不乱に右方向へ直進した。

164適当:2012/09/20(木) 13:02:31 ID:dg4gH9GE
「おっ…あれは…?」

俺の視界には徐々に箱が見え始めた。“どうやら俺は、この手のことに関して運が良いらしい。”俺が見つけたのは、金色の箱だった。興奮したい気持ちを抑え、箱を素速く開けると中には目に“ばつ印”がついたプレートのようなシールが入っていた。俺はそれに対して一々問うことなく、すぐに説明書を手に取り彼女との距離を確認した。いまだに随分と離れているので、説明書へと目を向けた。

【催眠波反射シール】
催眠術を無効化し、相手へ効果を跳ね返す。体の一部につけるだけで、効果を発揮する。

「おっ…いいじゃないか!!アイツの“さいみんじゅつ”はやっかいだからな…。」

“しかし…どこへ付けようか。あまりに目立ち過ぎると気づかれる…そうだ!!俺の尻尾の付け根につけよう。死界に入っている為、全く見えないハズだ。”俺は、必死に追いつこうとしている彼女の姿を見計らい、彼女の方へ顔を向け、片手でこっそりと尻尾の付け根へピタリと貼り付けた。彼女はようやく追いつき息を切らしながらも、俺へ話しかけた。

「はぁ…はぁ…やっと追いついたわよ。…ちょっと逃げすぎじゃない?」
「ふっ…待たせたな。ウォーミングアップにランニングをしていたんだ。」
「あら?そう?じゃあちょっと待っててね。」

俺は自分の行動を抑止する彼女に対して首を傾げ、怪訝そうな表情で彼女を見つめた。突然彼女の体が光出し、彼女の荒げていた息は元に戻り、疲れの表情が元の余裕のある表情へと戻った。俺はその光景に驚愕して目を丸くしていた。

「うっふふ、私もお待たせ。これで五分かしら?」
「体が光って…回復か…。」
「そういうこと。残念だけど、あなたの方が体力が少ないんじゃない?」
「ふっ、そうか。なら俺がプレゼントしてやる。」
「プレゼント?」

俺は右手でスーパーチャフグレーネードを持ち栓を抜き、高く上空へと放り投げた。パンッとそれははじけて、俺と彼女の間に金と銀の紙切れをばらまいている。彼女はその光景に驚いて、口が開いたまま口元に前足をあてていた。

「くすだま?私、今日誕生日でもないんだけど。」
「そうか、なら俺が祝ってやる。今日は記念日だ。」
「え?何の?」

彼女は俺の意味不明な発言に戸惑いを見せるが、俺はお構いなしに昨日と同じように彼女に対して突撃している。彼女は昨日と同じ行動する俺を見て、妖しい笑みを見せた。

165適当:2012/09/20(木) 13:07:51 ID:dg4gH9GE
「学習能力のない子ねずみちゃんね。これでしつけてあげるわ。」
「ふっ…やってみろ。」

彼女は俺の挑発的な態度に口元を吊り上げ逆に嘲笑するように、前足をかざし輪状の光線を出す。が、方向が上へ行ったり、下へ行ったりでバラバラになり俺への攻撃は当たらなかった。

「え!?何で!?」
シュッ…ズザザザザ
「すきだらけだ。」
バシンッ バシンッ
「うわぁ!!…うっ…。」

俺は慌てふためく彼女の腹部を、背中を地面に滑らせ刀を当てた。彼女は防御することも忘れていた為、腹部を押さえ怯み出した。俺はひるんでうずくまっている彼女を、お姫様抱っこで抱きかかえ不敵な笑みをこぼした。

「え!?ちょっと…何してるの?」
「ははは…喜べ、今日が貴様の“敗北記念日”だ。」

俺は彼女を宙へ高く放り投げ、彼女の前に刀を構えて姿を現わし、彼女の腹部へめがけて狙いを定めた。

「くらえ!!れ・ん・ぞ・く・十字切り!!」
バシンバシンバシンバシンバシンバシンバシンバシン
「きゃあああああ!!」
「トドメだ!!」
ドン
「うわぁ!!」

俺は宙に浮いた彼女の腹にめがけて、刀の連撃を何度も十字を描くように浴びせ、最後に頭部を叩き、彼女を思いっきり地面へと落とした。俺は地面へ着地し、彼女の方へ目線をやった。

「はぁ…はぁ…やったか?」
「うう…なかなかやるわね…ごほぉ!!」
「くっ…まだ駄目か!!」
「でもね、私にはそんなの効かないのよ。」
パアアアア…

彼女はよろよろと立ち上がり血を吐いたが、自分自身の体を光に包み、体に受けた傷を回復させた。

「また回復か…。」
「あなたも疲れたでしょう?さぁ、おねんねの時間ですよ。子ねずみちゃん。」

彼女は苦しい表情が消え妖しい笑みを俺へと向け、“さいみんじゅつ”を放った。だが、俺は平然としてその場を動かずに、その様子をじっと見ていた。俺が全く眠る様子を見せない為、彼女は驚愕の表情を浮かべた。

「なんで!?なんで、眠らないの!?」
「ふっ…何でだと思う?」
「どうし…あれ?何で急に…私が眠くなって…き…た。」
バタン
「すー、すー」
「眠ったか。」

166適当:2012/09/20(木) 13:12:23 ID:dg4gH9GE
俺は彼女が自分の“さいみんじゅつ”を受けて眠ったのを見計らって、紫色の軍服の胸についてある、“θ”のバッチを見つけ手を伸ばしバッチを掴んだ瞬間、俺の脳内で悪魔の囁きが聞こえ始める。“このままでいいのか?やられたのに、やり返さないのか!?”

「それも、そうだな。」

俺は囁いた悪魔に賛同し、ほくそ笑んで早速準備に取りかかった。眠っている彼女の両前足、両後足に強い電流を流し込んだ。局部に当てているだけなので、強制的に寝かされている彼女は、未だに寝息を立てて“すーすー”と寝ている。俺は次に彼女ね軍服の胸ポケットを漁り、赤い媚薬を見つけ手へ握り、寝ている彼女を起こす為に体を叩き始める。

トントン トントン
「起きろ、起きろ」
「ん?ふわぁ…あれ?あなた何でいるの?」
「お前に昨日の復讐をしてやる。」
「え?ちょっと何言って…体が…動かない!!」

彼女は俺の恐ろしい発言に抵抗する為、急いで体を起こそうとするが、俺が彼女の手足に電流を送った為に、彼女の体が痙攣し麻痺をおこしている。その為、体を起こすことが出来ず、地面へ固定されている。俺は彼女の口元に赤い小さな玉を持っていき、それを口に入れるように要求する。

「おい、抵抗するなよ。黙ってコレを口に入れて食べろ。」
「い…いやよ!!あなたこんなコトしてただですむと思ってるの!?」
「ほう、抵抗するか。じゃあ、お仕置きだな。」
「え…おしおき?」

彼女は俺の意味不明な発言にきょとんとしているが、俺はそれを無視して彼女の汚い股に手を当てた。

「ちょっと…どこ触ってるのよ!!このヘ…。」
バチバチバチバチ
「あああああああ!!」
フッ…
「はぁ…はぁ…何するのよ!!」
「逆らえば、一番敏感なここに電流を流し込むぞ?気持ち良すぎて、失禁してしまうかもな?」
「はぁ!?何言ってんのよ!!そんなわけ…。」
バチバチバチバチ
「きゃあああああ!!やめてえええええ!!」
フッ…
「はぁ…はぁ…。」
「どうだ、従う気になったか?早くコイツを口へ含め、そして食え!!」
「う…いや…お願い…許して。」

彼女は涙を流し、俺へ許しをこうが到底許すつもりはない。俺は呆れた表情で“やれやれ”と言うポーズを見せた。

「はぁ〜あ、困った娘だなぁ〜。じゃあ流そうか…。」
「いやあああ!!それは、やめて!!本当に出ちゃうから!!」
「だったら、逆らうな。ほら、口を開けろ。」
「うう…。」

167適当:2012/09/20(木) 13:18:18 ID:dg4gH9GE
彼女は俺が差し出していた赤い小さな玉を、嫌々ながら口へ含む。俺は“噛め”と言い放ち、彼女の体へ無理矢理流し込ませた。彼女の顔と耳は紫がかった赤色に染まり、彼女がだんだん息を荒げてきた。

「あ…あつい…あついよぉぉぉ…。」
「お〜そうか。で、どうして欲しい?体が疼くんじゃないのか?」
「き…気持ち良くして下さい。出来れば口で。」
「そうか。俺も鬼じゃないからな。お前、何か体を拭くものを持っていないか?」
「どう…して…?そのまますれば良いじゃない。」
「そうだな。じゃあ俺が、大丈夫かどうか臭いを嗅いでやる。」
「えっ!?ちょ…待って!!」

俺は彼女の股へ鼻を近づけ、鼻を動す。案の定強烈なアンモニア臭を漂わせていた。俺は鼻をつまみながら、顔をしかめて意地悪気に彼女へ感想を述べた。

「は…恥ずかしいからやめて!!嗅がないで!!」
「すんすん、くっさいおまんこだなぁ〜。お前、雌なのにこんな大事な部分もケアしてないのか?お前、雄とセックスなんてした事ないだろう?」
「うう…そんなことないわ!!あるもん!!」
「そうか、ではその雄は頭がおかしいな。誰がどう嗅いでも、これは耐えられない。」
「ひどい!!そんなわけ…。」
「あるね。悪いが口でやって欲しければ、体を拭くシャワーシートを俺によこせ。汚い股をキレイにしてやる。」
「うう…ひどい…あんまりだわ。」
「どうした?やって欲しくないのか?じゃあ俺は帰るとするか。」

俺は涙を流し、必死に抗議してくる彼女を突き放すように告げて、その場を立ち去ろうとリタイアボタンを押そうとすると、彼女が俺へ懇願してきた。

「待って!!私の軍服の右ポケットに入っているから…。だからお願い。」
「はは、結局やって欲しいんじゃないか。淫乱な子猫ちゃんだな。」

俺は不敵な笑みを浮かべ、彼女を蔑み、彼女の言うとおりに彼女が着ている軍服の右ポケットを探り、その中からシャワーシートを取り出した。“体だけは清潔に保つんだな”と思いながら、俺は彼女の汚い股を1枚のシャワーシートを使って拭き始めた。

168適当:2012/09/20(木) 13:24:24 ID:dg4gH9GE
「はぁ!!…ひゃん!!…はぅん!!」
「いちいち騒ぐな。せっかくキレイにしてやってるのに。」
「だって…ひゃう!!」
「あ〜あ、雌の赤ん坊のここを拭くときでも、こんなに騒がないけどな。」
「しょうが…ひゃん!!ない…じゃない。」
「わかってると思うが、もらすなよ?もらしたら、俺は帰るからな。」
「ええ…そんな…。無理よ…体が感じ過ぎちゃって…。」
「はぁ!?お前はいい年してまだ“おもらし”するのか!?恥ずかしいと思わないのか!?」
「うう…しません。ごめんなさい…。」
「よし、じゃあ始めるぞ。ちゃんと耐えろよ?」

俺は、彼女の汚い股を拭いたシャワーシートに一瞬目を移した。白い布地が黄ばんでおり、見ているだけで吐き気を催した。俺は、そのシャワーシートを捨てると、今度は彼女の股へと視線を移した。黄色がかっていた紫色の毛は、元のきれいな紫色へと姿を変えていた。俺はこれを見て“どんだけ汚かったんだ…。”と心の中で呆れた声を上げていた。その後、俺は清潔になった彼女の割れ目に顔を近づけ舌を這わせた。

ピチャ ピチャ ピチャ ピチャ
「はぁ!!んっ…はぁ!!ひゃあん!!」
「おいおい、もうこんなに濡れてるぞ?もっと耐えられないのか?」
「ひゃあ!!んっ…そんな…こと…ない。」
「足りないか、じゃあスピードを上げるか。」
「えっ!?ちょっとな…。」
ピチャピチャピチャピチャピチャピチャ
「はぁん!!ふぁ!!ひゃあ!!お願い…優しく…して。出ちゃう…から。」
「俺は優しくする義理なんて持ち合わせていないんでな。」
ビチャビチャビチャビチャビチャビチャビチャ
「ひゃあ!!イっちゃう…もう…だめええええ!!」

彼女は限界を訴えたので、俺は舌の動きをストップさせた。彼女は絶頂の瞬間が訪れずれない為か、俺へ懇願してきた。

「どうして…どうしてやめるの。」
「かかりたくないからだ。」
「そんな…ここまでしておいて…。」

彼女は“絶頂を迎えさせず生殺しにするなんてあんまりだ。”と俺へ訴えて来たので俺はため息をついて仕方ないな”という表情へ変えた。

169適当:2012/09/20(木) 13:30:53 ID:dg4gH9GE
「そうだな。それは悪かったと思っている。だから、かかってもいいように手に変える。しかも、電流を流してな。」
「ちょ…待ってぇ!!それは、あんまりよ!!」
「言っただろ?これは復讐だ。お前を気持ち良くさせる魂胆なんて、全くもち合わせていない。ほら、いくぞ。」
クチュ クチュ クチュ クチュ ビリッ ビリッ
「きゃあ!!ひゃあああ!!や…やめてぇ!!」
「このまま“もらして”恥をかいてしまえ。」
「い、いやあああ!!やめてえええ!!止めてえ…止め…はぁ…。」
プッシャアアア…ジョロロロロ…

彼女は急に喘ぐことを止め、何かから解放されたかのように苦しい表情から恍惚の表情に変わった。彼女の割れ目からは、…液と黄色い水が流れ出ている。彼女は、赤くなった顔をさらに赤らめて激しく目を閉じていた。

「いやぁ…もらしちゃった…恥ずかしい…。」
「あ〜あ、やっちゃったな。じゃあ、俺は帰るぞ。」
「待って!!おもらしして…ごめんなさい。」
「謝って済むと思っているのか?残念ながら俺は鼻が利くんでな。もうこんな臭い所にはいたくはない。」
「ひどい!!あなたがやったんじゃない!!不可抗力よ!!」
「そうだな。だから何だと言うんだ?俺には関係ない。俺を苦しめた罰だ。もう少し薬の効果は続くだろう。そして、お前を縛っている麻痺ももう少し効果が持続する。満たされない性欲にもがき苦しめ。」

俺は、大粒の涙を浮かべて懸命に抗議する彼女に残酷な現実をつきつけ、彼女の軍服の胸についている“θ”のバッチを手で掴み取った。

「これは、貰ってくぞ。じゃあな。」
「ま…待ちなさい!!お願い…待っ…て。もっと…気持ち…良…くしてええええ!!」

彼女に別れのセリフを吐き捨て、リタイアボタンを押して俺は【光】のステージから姿を消した。仰向け状態のまま彼女は、必死に呼び止めるが関係ない。これは復讐だったのだから。

170適当:2012/09/20(木) 13:35:01 ID:dg4gH9GE
俺は【光】のステージから白い部屋へと戻って来た。“θ”のバッチは、彼女自身を象徴するように紫色に輝いている。俺は下腹部にずっと違和感を感じていたので、試しにスーツを脱いでみると、俺のモノは興奮して肥大化し先走り汁が出ていた。

「はは…俺も耐えるのに必死だった。危なかった。」

情けない話だが、俺自身も彼女が苦しみ、恥をかき顔を赤くしする様をかなり楽しんでいたのだ。“ああ…綾。もしかしたら、俺はかなりの変態かもしれない。君の元へ帰って来たら、これをやってしまうかもしれない…。しかし、これは俺の愛情表現の1つなんだ。もしもやってしまった場合は、俺をどうか許して欲しい。”と勝手に言い訳の一つや二つを心の中で呟いた。その後は、綾のことを考えながら夕食と入浴を済ませ、“どうか夢精だけはしませんように”と天に向かって懇願して、その日は眠りについた。
【試練2 光 完】


試練2後書き
エーフィファンの皆様へお詫びを申し上げます。主人公に過激な陵辱プレイをさせて申し訳ありませんでした_(._.)_

次回もマッタリと載せていきます。ではさようなら(笑)

171名無しさん:2012/09/27(木) 03:02:17 ID:IlnELF3M
やっぱり此処を安易に使える練習場所として使える様にしないと…

このままでは誰も寄りつかなくなってしまう…

172名無しさん:2012/09/27(木) 16:59:41 ID:MY9KxlOk
でも、だからと言って書いてる人がいても逆に遠慮して書けなくなりそうですよね…。
連動して利用するとなるとごちゃごちゃになるでしょうし…

173名無しさん:2012/09/27(木) 18:15:45 ID:jvXEqoGc
作品書き込む時に名前を『HN@作品名』みたいにしてみるのはどう?
これなら少しは判別しやすくならないかな

174名無しさん:2012/09/27(木) 19:06:35 ID:MY9KxlOk
>>173さん
それは名案ですね。更にページ数として「作品名:3」というようにすれば順番もわかりやすいと思います。

ただ、以前適当さんがやっていたようなゲーム感覚の作風は人数の上だとやはり封じられてしまいますね…

うーん、とりあえずここでの議論は場違いですからこちらにも議論スレを立てた方がいいかもしれません。
それとも、このまま避難所の議論スレに持っていきましょうか。

175適当:2012/09/28(金) 21:40:24 ID:CZFu5lTI
皆様お久しぶりでございます。適当です(笑)

今、かなり自己満の小説(9つの試練のアフターストーリー)を執筆で、第3話投下にはもう少し時間がかかります(泣)

順序が逆な気がしますがご了承下さい。_(._.)_

176名無しさん:2012/10/06(土) 11:05:45 ID:b.7f2/.M
ポケモン・・・・・・

177名無しさん:2012/10/06(土) 11:44:53 ID:6T/JYOKA
随分と寂しくなってしまったな…

178名無しさん:2012/11/04(日) 00:18:10 ID:LUV7./y2
なんとなくage

179名無しさん:2012/11/04(日) 01:15:18 ID:SArSVl0Y
(自分もそうだが今後なくすためにいわせてもらうと)
作品とか感想とか以外で呟いたり上げんのやめようよ、スレ消費するだけだから

180名無しさん:2012/11/07(水) 01:12:07 ID:aMOMLifI
1ヶ月近くもスレが止まってたわけだし、そこまで目くじら立てなくても良いと思うけどなー。
まあ確かに今はもうスレッド表示数拡張されて現状全てのスレが表示されてるわけだし、ageる意味は無いかも知れないけどね。

181適当:2012/11/23(金) 11:03:53 ID:z4YPwsi.
皆さんお久しぶりです_(._.)_

長編SS 2ヶ月放置すみませんでした_(._.)_

今から、第3話投稿致します_(._.)_

温かい目で見守っていてください(;^_^A

182適当:2012/11/23(金) 11:06:00 ID:z4YPwsi.
試練3 若葉

DAY5
俺が、朝目を覚ますと…もう言う必要はないだろうか。そう、わかっている通り何一つ部屋に備え付けられているものは変わっていない。毎日、確実に変化するのは、食事ルームから漂ってくる匂いだけだ。それともう1つ寝起きで変わった事は、手元に置いてあるバッチが青色の“β”から紫色の“θ”になった事ぐらいである。俺は、紫色の“θ”のバッチを手に握るも、もう一つ重要な事(雌には気にする必要はない、雄特有の事である。)を確認する為、自分の寝ていた場所と下腹部の粘り気を確認した。

「ふう…。何とか夢精(だ)してはいないな。」

別に夢精(だ)してしまっても悪い事ではない。発情期を向かえている男(雄)なら誰しも経験した事はないだろうか。異性の事に興味を持ち始めると、たとえ好きな女性(雌)はいなかったとしても、成長過程で得た性的な知識や、興味本位でパソコンや携帯電話でこっそりとみた“そっち系”の動画を見ることにより、寝ている内に自然に雌と性交(し)ている(もしくは、前戯)夢を見てしまい、現実に目を覚ますと、つい“あちゃ”と呟いてしまう程、下腹部が取り返しのつかない事になっていたという経験だ。俺が言うのも何だが、“そっち系”の妄想をしてしまっても、女性(雌)のように下腹部が簡単に濡れずに、真正面からの見た目を隠せばいいから、男(雄)の方が楽だ!!と思って油断してはいけない。俺も学生時代の頃は、その意識を持って過ごしていた。だが、高校3年の春に“綾”と出会ってデートを重ねていく内に、度々朝起きたら“やっちゃったな…”とか“あっ!!はぁ…”とため息がつく程下腹部を汚した事があった。思春期を迎えた雄に“異性とのいやらしい行為を想像せずに日常生活を過ごせ!!”と言われてもほぼ不可能な話だ。雄は生殖機能が発達すると、“子孫を残したい”と本能に基づいた意識が、理性を押しのけて脳内を支配し始める。世の中でよく言われる“できちゃった婚”とあるが、それは雌と付き合う雄が本能に抗えずに…言い方は悪いが、犯してしまったと言えるだろう。本能に抗え、理性を保ちやすいという点では、実は雌の方が優れていると言えるのではないだろうか。俺と闘った淫乱な雌達の事はまず忘れて欲しい。雌は必ずしも雄に興味を持たない為、性欲を満たさなくても食欲と睡眠欲を満たすだけで、ある程度やっていけるからだ。

183適当:2012/11/23(金) 11:11:02 ID:z4YPwsi.
おっと、こんな性に関してのくだらない話はもうやめにして現実に話を戻す事にする。スーツを脱ぎ下腹部に粘り気がないのを確認し、安心して“ほっ”と一息ついた所に、腹が“そんなくだらない事考えてないでさっさと何か口に入れろ”と言いかけるように腹が鳴ったので、食事ルームから漂ってくるいい匂いを辿り食事ルームへと歩を進めた。

「今日は…トーストにスクランブルエッグにベーコンにサラダ…そしてドリンクは…何か白いが…牛乳でいいんだよな?」

食事のトレーに盛りつけられていたのは、バターの香りを放つ食パンのトースト2枚(2切れ)に卵焼きを砕いたようなスクランブルエッグに“普段この長さでは焼いて食べないだろう”と思える程のベーコン2切れに、ドリンクはほぼ無臭の牛乳のような液体だった。俺が“牛乳”と決めつけてしまったのは、“何の飲み物かはわからない”というままでは、怖くてなかなか口に含めない。なぜなら、監禁されている上での食事だからである。俺は絶対にこんな所で死ぬわけにはいかない。“綾”にも会いたいし、何よりも長年憧れだった父と同じような現場で働けるからだ。と言っても、PIA(アメリカのポケモンによる諜報機関)にスカウトされたので、エージェントになるか、特殊部隊に配属されるかはまだわからなかった。他にもいろんな部門があるが、俺は工学の知識技術は持っていないし、医療技術もさほどのものではない。その為、俺にはこの2種類のどれかに配属される事はわかっている。俺の希望をあげるなら、エージェントというスパイ活動に配属される事だ。父のように“戦前”に立ちたくないという訳ではなく、一人で敵地に潜入し、緊迫される状況の中で任務を無事遂行させた時の達成感を味わってみたいからだ。エージェントは特殊部隊よりも遥かに知識が多く武器の扱いも長けていなければならない。故に、特殊部隊よりもエージェントの方が難易度が難しいと言えるだろう。俺は、“毒殺されるかもしれない”という事から“死にたくない理由(ワケ)”を振り返りながらあっと言う間に食事を終了させた。残るは謎の白い液体だけとなり、俺はしばらく飲む事を躊躇していた。

184適当:2012/11/23(金) 11:17:36 ID:z4YPwsi.
「毒ではないよな…?」

そう呟き白い液体の入ったグラスを鼻に近づけても何の臭いも感じ取れない。目を閉じ神経を集中させて嗅ぐが、やはり何の臭いもない。俺は“情報”が全く得られない事に不審感を抱き、しだいに脳内が恐怖に支配されていった。

「くっ…ギャンブルか。くそっ…。」

俺は深呼吸をして、今度は液体の粘度と浮遊物がなんであるかを調べる為、にグラスを覗き込み、グラスを傾けた。が、そこからも何も“情報”は得られない。俺は死の縁のギャンブルをやらされるハメとなってしまった。

「殺されるとすれば、俺がこの施設を知りすぎた時だ。落ち着け…。」

俺はトレーにグラスを置き1日前からの記憶を辿っていた。青色の軍服を着たシャワーズとの戦闘、紫色の軍服を着たエーフィとの戦闘。入手したアイテム、入手した軍の情報、使われた技、勝因など全てを思い出した。すると、卑猥な事で次第に恐怖にかられた。俺は二匹とも性交(俺が望んだわけではないが)をし二匹とも膣(ナカ)に俺の子種を植え付けている。もしも、この2匹が自らの性欲を満たすというのは全くのデタラメで、俺の遺伝子だけを取ってこいと命じられているだけだとすればどうであろうか。さらに、俺を見ると他の雌達も性交を求める可能性があり、雌達をこれ以上はらませない為に俺を始末し、遺伝子採取を終わらせるという事もあり得る。だが、これはあくまで俺の行き過ぎた妄想であり事実ではないかもしれない。故に、そう言える根拠が見付からない。もう俺の頭に残っている“情報”を絞り尽くしたので考えることを止め、ついに俺はグラスに手をかけた。

「飲まないという選択肢もあるが、ここ以外では水分を摂取する方法はない。」

俺は意を決して震える手で口に一口液体を含んだ。味は、牛乳の味は全くせず金属と酸味のある味がした。“しまった…毒だったかもしれない…。”後悔してももう遅い。俺の脳内は絶望、死という二つの言葉に支配されその他には何も考えられなかった。

185適当:2012/11/23(金) 11:23:09 ID:z4YPwsi.
「ここで死ぬのか…くそっ…。」

気が付くと俺の頬には涙が伝っていた。せっかく愛する雌を手に入れ、憧れの職業に就けるというのに、その旅の途中に監禁され、無理矢理死闘を強いられ、挙げ句の果てには“邪魔になったから殺す。”運命の理不尽さと神を深く恨んだ。“俺が一体何をしたと言うんだ!!何故こうも残酷な運命を突きつける!?”と神に向かって問いかけていたその時、俺は体にある異変を感じた。

「あれ?死なない…。それどころか…体の筋肉が変化している気がする…。」

“やった!!助かった!!殺さないでくれてありがとう!!”と思いつつも効果がわかったので、その液体を一気に飲み干した。すると、同様の変化が倍となって返って来た。俺はある可能性があることに辿り着いた。

「新しい技が撃てそうな気がする。しかも、かなり強力な技が。」

関係ない話だが、実は白い液体を飲んでいる最中に綾との性交でのある一部分を思い出していた。俺は自分の自宅のベッドで裸になり綾が俺へのフェラチオを終わった時に、「見てこんなに出たよ。」とか言って口を開けて俺が出した白いドロドロの液体を見せつけてきた事があった。俺は顔をしかめて「気持ち悪いから、早くそいつを吐き出すかどうにかしてくれ。」と要求すると綾は「仁君のはおいしいから出さないよ。」とか言い返して来て、綾自ら俺の精子(モノ)を全て飲み干した。ここまでは、普通のあり得る性行為の光景だ。だが、問題はこの後だ。その後に綾は「ねぇ、キスしよう?」と問いかけてくるのだ。俺は、それが嫌になり思わず「どうして?」と非常識かつかなりムードをぶち壊す返答をしてしまった。彼女は涙ぐんで、「愛し合っているのに理由なんかいるの?」とせがんで来たので、俺は仕方なく「わかったから泣くな。」と言って嫌々ながらもディープキスを行った。気づく男(雄)は気づいたかもしれないが、俺がキスをすると嫌でも自分のモノから出た精子(モノ)の味を体感しなくてはいけなくなるからだ。よく雌は、「おいしいから大丈夫だよ。」というような内容で返答して勘違いをしている。よく考えて欲しい、自分の汚い所から出した精子(モノ)なんて味わいたいと思う雄がいるだろうか?同性愛者の雄以外は全員が全員ハッキリと“いやだ”と答えるハズだ。それを分かっていない雌達は、ディープキスの前にうっかりとフェラチオを優先してくる。

186適当:2012/11/23(金) 11:28:53 ID:z4YPwsi.
“順序が逆じゃないのか?”と怒って問いかけたかった所だが、綾は普段から可愛らしく、涙ぐんでいる姿に鉄槌はおろせないので、もうこっち(俺)が折れる(受け入れる)しかない。雄は、雌の涙に弱い。さらに、可愛らしい見た目が加わっているので、これは交渉の材料としてはかなり反則…いやイカサマとも言えるのかもしれない。さて、【死→最低な話題についての俺の意見→可愛い雌+涙=イカサマ】論を繰り広げた所で話を現実に戻すことにする。俺は体に感じる新しい感覚から一つの可能性を試す為に中央へ行き、特に強化されたと感じた部分を思いっきり振った。

シャン…シャン…シャン…
「あ!!これはいつも尻尾を振る時の音じゃない…。何か尻尾に刃物をつけて思いっきり振ったみたいだ…。」

振る度になる金属音に俺は感動していた。今までこんな経験はなく尻尾は武器にはならないとばかり思っていた。だが、この刃物の重低音を聞くと新しい武器を手に入れたという喜びが湧き上がって来た。

シャン…シャン…シャン…シャン…
「すごい…。何回振っても同じ音だ。完全に、思いっきり振った時の音が変化している。」

数回振った所で満足したので、この尻尾を使った攻撃技に名前を付けることにした。いいネーミングはないかと必死に頭を振り絞ったがなかなか出てこない。

「う〜ん。金属、もしくは刃物のような尻尾…そうだな、ブレードテイルにしよう。アイアンでは安直過ぎるからな。」

金属というと、一般的には鉄だ。金や銀や銅という選択肢もあるが、俺はそこまでお金持ちじゃないし、そんな物が尻尾を強化するハズはない。体を構成している主な金属は【ナトリウム・カリウム・亜鉛・鉄】だ。技名を選ぶとしたらこれらから文字って付ける訳だが、仮に【ナトリウムテイル】や【カリウムテイル】などと名付けた場合、何かすごくダサく感じないだろうか。それに【ナトリウム】も【カリウム】もそんなに強い金属ではない。次に亜鉛だが、これはもう技名として使うのはおかしい。最後に残った鉄=アイアンが必然的に最終候補にあげられる訳だが、俺はどうも納得がいかなかった。

187適当:2012/11/23(金) 11:49:44 ID:z4YPwsi.
「我ながらいいネーミング…。いいセンスだ。」

誰もその事をほめてくれる訳でもないのに、俺は一匹でにはしゃぎ、一匹でに口元を吊り上げていた。こうして、俺は2本の刀を手に入れる事となった。しかも、最大の利点は前からの攻撃を空中後転でかわしても相手にダメージを与えられることだ。距離はかなり近くないと成立しないが、接近戦闘に長けている俺にはこれはありがたい。さらに、スサノオを振ってかわされても、さらに尻尾で逆から挟み撃ちに出来る。これも相当な技術が必要だが、俺にはそこまで出来るという自信に満ちた“確信”というものが溢れていた。俺は、昨日と同じく中央で刀を振っていた。もちろん今度は1本じゃない。2本の刀を駆使出来るようにする為、刀を一心不乱に振っていた。

ブン…ブン…シャン…シャン…
「はっ!!たぁっ!!ふっ!!ふっ!!」
シャン…シャン…シャン…ヒュ…
「はっ!!はっ!!は!!おりぃやぁ!!」

昨日と同じく体が汗だくになった所でふと腕時計を見た。【12:30】と30分オーバーしてしまったが、丁度いいくらいだ。俺は荒げる息を落ち着かせ、刀をしまい、中央に立ったまま前を向き9つの扉を選ぼうとした時、重大な事に気付いた。

「あ…、そういえば“θ”のバッチを嵌めていなかったな。」

俺は二刀流を使いこなす事に必死だった為、時間も忘れ、ステージを選ぶ前にまずしなければならない事を忘れていた。急いで、“θ”のバッチを【光】と書かれたプレートの下にはめ込むと、【氾濫】の時と同じく、どこからかブザー音が鳴り、【光】という文字が【達成】へと変わり、ドアノブの下のプレートの表記が、【OPEN】から【CLOSE】という表示へ変わり、カシャと鍵をかける音が鳴り響いた。音のした【光】の扉の前へ行き扉を開けようとノブを回すが、全く回らなかった。【氾濫】の時と扉の仕組みが全く同じだったので、“バッチをはめると、それに対応した文字の扉は開かない”という事を完全に掌握して、ステージ選択の為に中央へ歩を進め、9つの扉を見つめた。扉は順に、【業火、達成、雷神、達成、闇、若葉、零下、伝説、幻想】となっている。俺は2つのステージ選択と同様にあごに手を添え考え始めた。

188適当:2012/11/23(金) 11:54:12 ID:z4YPwsi.
「ステージ選択は、いきなり違うステージにはしない方がいい。【光】が草原だったから、草原2の【若葉】を選んだ方がいいな。」

“似ているステージを選び、頭が混乱する事を避ける。”これが、俺が考えた“9つの扉”をクリアする為の最善の策だった。類似しているステージを選ぶことは、前のステージと同じ作戦、同じ戦法あるいは近い作戦、近い戦法を使うことが出来る。つまり、【光】のステージで使った戦法・作戦が、【若葉】のステージでも使うことが出来るという訳だ。同様に、ステージが森の【闇】と【伝説】も草原のステージと同じ事が言えるだろう。この瞬間俺の中で、9つの扉を行く順序がある程度決まった。光→若葉、闇→伝説という組み合わせだけは崩さないことを心がけた。体力が毎回完全に回復はしないので、体力の消耗が激しいステージを先にしてしまうとかなりの日数を有するだろう。俺は、【若葉】のステージへ行く扉のノブを捻ろうとした時に小さく独り言を呟いた。

「そういえば…若葉って誰と相手をするんだ?」

“若葉…。”俺がここから思い浮かべるのは、草タイプだろうって事以外は全くなかった。それ以外の事が当てはまらないかとなんとか頭を捻り出しても、“青々と茂っている→かなり若い年齢の相手”としか思い付かなかった。

「イメージは薄いが、考えていても仕方がない。」

前に考えた内容から、相手の姿・形を想像することを止め、俺は【若葉】と書かれた扉を開き歩を進めた。

189適当:2012/11/23(金) 11:58:09 ID:z4YPwsi.
爽やかな風、心地良く照りつける太陽、青々と茂る草、ここまでは【光】のステージと同じだった。【若葉】のステージを目を凝らして見ると、4か所に森が設置してある。その4か所は右端、左端の上と下に位置する。中央が広い原っぱで角は森という構成のステージだった。ステージを見渡していると向こう側から対戦相手の姿が見えた。

「こんにちわ。君が対戦相手?」
「あ!!なんなんだ…あの姿は…?」

対戦相手の姿は、黄緑色の軍服を着て耳と尻尾が葉のような形をしていて、体の色は黄緑…いやレモン色だろうか。瞳が、琥珀色をしたあどけない顔立ちの四足歩行の生き物(ポケモン)だった。俺は、初めて見る姿で名前はわからない。ただ、身に纏っている雰囲気で判断するなら、目の形、体の形がシャワーズやエーフィに似ている。“もしかして、これもイーブイ進化系なのか!?それとも似た他の生き物(ポケモン)なのか!?考えても仕方がない。俺は少女の質問に返答する事にした。

「そうだ。」
「はじめまして、お手柔らかによろしくね。」

“お手柔らかに…?”その言葉が妙に引っかかる。まさか、コイツも演技か?あどけない少女のフリをして、俺を油断させようって魂胆か…。”俺は、少女の言葉に首を傾げ聞き返した。

「君は未成年か。」
「うん、よくわかったね。やっぱりそう見える?」
「いや、俺は鼻が利くんでな。君からは大人特有の匂いよりも、まだ若い十代後半の匂いしかしないからな。」
「すごいね。私にはよくわかんない。」
「というか、さっきからタメ口だな。」
「え?…ごめんなさい。」

俺が年上に対しての口調がおかしい点を指摘すると、少女は目線を落としてしゅんとしていた。

「いや、特に気にしてはいない。ところで気になることがある。」
「なに?」
「お前は演技か?」
「どうして私が演技って思うの?」

俺が少女を見つめて“お前は本当の姿でいるのか”と訊いたが、彼女は平然として返してきた。ますます怪しい…。俺は再度訪ねた。

190適当:2012/11/23(金) 12:05:32 ID:z4YPwsi.
「俺を油断させようとしているだろう?残念ながらその手には乗らんぞ。」
「え…ええ!?ち…ちがうよ!!そんな…ダマすなんて滅相もないよ!!」
「は?いや、油断ならない。現に俺は同じような仮面を被った“エーフィ”に騙された。アイツはお前達の仲間だろう?」
「わ…私はそんなことしないよ!!フィがそうだったからってなんで私までって思うの!?」
「本当か?」
「本当だよ!!信じてよ!!」

俺は、自分の思い込みで少女を責めて化けの皮を剥がそうとしたが、どうやら違うようだ。彼女は懸命な瞳で俺へ訴えかけてきた。“ふざけてるとは思えない。言葉は少し途切れ途切れだが…。”さすがに、あんなあどけない顔の少女にそこまでは言い過ぎたと反省し、俺は口を開いた。

「わかった。疑ってすまない。」
「こっちこそ誤解させてごめんなさい。話し変えるけど、いつ始めたらいい?」
「君に任せる。」
「わかった。じゃあ…いくよ?」

俺は少女の合図を見て小さく頷いた。俺と彼女がしばらくお互いを見つめあっていると開始の合図が聞こえた。

『READY…GO!!』

“少女の特徴も知らない。姿も始めて見る。どんな技を使うかもわからないのに、いきなりアイテムなんか取ったってどうにもならない。”そう考えた俺は、少女に高速移動を使って急接近した。“草タイプならこの距離ではつるのムチは使えない。とすると葉っぱカッターを使ってくるハズ。”俺の思惑通りに少女は、葉っぱカッターを連射して来た。

ヒュン ヒュン ヒュン ヒュン
「ふっ!!はっ!!ふっ!!はっ!!」
キン キン キン キン
「私の葉っぱカッターを刀で撃ち落とすんだね。」
「軌道が読めるからな。」
「じゃあ、これは?」

少女はまた、葉っぱカッターを放ってきた。“なんだ同じじゃないか…。この距離だと普通はつるのムチなんだが、どうしても俺に当てたいのか?”俺は勝手にそう決めつけて、刀を構えた。近くまで葉の刃が飛んできた時撃ち落とそうと構えたが、ここで奇妙な光景を目の当たりにした。

191適当:2012/11/23(金) 12:11:34 ID:z4YPwsi.
ヒュン ヒュン ヒュン…シュン…
「き…消えた!?どこへ行ったんだ?」
パッ…ヒュン ヒュン ヒュン
「な!?なに!?」
ザクッ ザクッ ザクッ
「ぐはぁ!!」

“目の前に急に葉っぱカッターが現れて来た…一体何なんだ!?”俺は急に目の前に現れた3枚の葉の刃に対応出来ず、体へ直撃させてしまった。一時的に地面にヒザをついてしまったが、痛みをこらえ、刺さった葉を体から抜くと…目の前に誰もいない。俺は慌てて辺りを見回した。

「は!?どこだ…どこへ行ったんだ…。」
トントン
「うわぁ!!い、いつの間に…。」

俺は後ろから肩を叩かれ振り返ると、そこには少女の姿があった。俺は意表をつかれて思わず腰を抜かしてその場に尻餅をついてしまった。後ろへ回り込んだ少女は楽しそうに俺に笑いをかける。

「ふふ、ビックリしたでしょ?これが私の特技なの。」
「特…技?」
「ふふふ、そうだよ。晴れの日は、私はこれが大得意になるの。」
「どういう意味だ?」

俺は少女の言っている事がわからず首を傾げて訪ねた。少女は俺にニコッと微笑み話しを続けた。

「“夢特性”って知ってる?」
「なんだそれは?」
「あはは、知らないんだ〜♪」
「特性は“1つ”しかないんじゃないのか?」
「ううん。それがね、私には特性と夢特性っていう“2つ”の特性があるの。」
「はぁ!?」

俺は少女の言っている事が理解出来ずに思わず驚いて目を丸くした。彼女はその様子を見てくすくすと笑っているが、特に悪いはなく純粋に楽しんでいるという感じだった。

「君の特性は?」
「“充電”だ。同じタイプの技を受けたらある程度スタミナを回復出来る。」
「私は、“リーフガード”と“葉緑素”って“2つ”の特性があるの〜。いいでしょ〜?」
「それは羨ましいな。」
「でしょでしょ〜?」

俺が素直な感想を述べると少女は自慢気に自分の二つの特性について語り出した。俺はじっとその場を動かずに、ただ耳を傾けていた。

192適当:2012/11/23(金) 12:16:29 ID:z4YPwsi.
「私はね、お日様が出ている時は状態異常にもならないし、更に体の動きがぐ〜んと上がるの。」
「状態異常にもならないのか!?って事は…はぁ…。」
「くすくすくす。羨ましいでしょ?私には、でんじははオススメしないよ〜♪」
「なる程。これは、いい情報を得た。」
「え?いい情報って…?」

俺は口元を吊り上げ少女に聞こえやすいように故意に大きな声で独り言を呟いた。彼女は、楽しそうな表情から一気にきょとんとした表情へと変わった。俺はその様子を見て腹をかかえて笑いそうだったが、彼女に敬意を表した態度で接し続けた。

「君は…敵に自分の事を喋り過ぎだ。」
「あ…ああ!!」
「あっはっはっは。おっちょこちょいだなぁ〜。」
「うう…どうしよ…。」
「さて、明日が楽しみだな。」
「ええ!?ごめん!!今のは忘れて!!お願い…。」

少女は俺を涙ぐんだ表情で見つめ、俺の手を取り懇願した。あどけない可愛らしい顔が涙によって際立ち、さらに可愛さが一層増している。俺はそれを見て娘もいないのに、まるで娘におねだりされているような感覚を覚えた。俺は立ち上がり、彼女の頭を軽く2回叩き、優しい表情で返答した。

「敵に自分の事を教えるのは、軍隊に入っている者らしくないな。」
「あ…明日負けちゃうかな私…。」
「いや、それはない。君と俺ではハナから差がありすぎる。それに、君の言っていた特性を知った所で俺がそれに対応出来るとは限らない。それに…」
「それに?」
「君のそういう所は、カワイイな。」
「ええ!?そ…そんな事…。」

俺は少女に自分自身が思っている偽りのない感想を伝えた。彼女は照れて顔を赤く染め、俺の目から目をそらし、下を俯いていた。俺はまた少女の頭を軽く2回叩いて、優しい表情で話しかけた。

「そんな事は無い。初めて君を見た時は驚いた。こんなに幼い顔立ちをした少女が、なぜ軍隊にいるのかとな。」
「むぅ〜子供じゃないもん!!高校卒業したもん!!」
「ほう、それは悪かった。という事は18か。若いな。」
「君と同じくらいだよ。そうでしょ?」

少女は俺へ“同世代なんだろう?”と問いかけてきた。“こんな幼い少女にも子供に見られるって…俺は一体どうなっているんだ!?”俺はこの少女がどういう反応を見せてくれるかを知りたくて、ため息をつき意地悪気に言い返した。

193適当:2012/11/23(金) 12:27:04 ID:z4YPwsi.
「はぁ〜あ、君も間違えるのか。俺はこう見えても“22”なんだけどな。童顔で悪かったな。」
「あ…ええ!?ご…ごめんなさい!!てっきり私と同い年って…勘違いしてた。」

少女に“お前の見る目は間違っている”と言うと彼女は目を泳がせてあわてていた。更に追い討ちをかけたらどうなるのだろうかと思い俺は真剣な表情で言い返した。

「まったくだ。もうお兄さんはすっごく傷付いたぞ。」
「ごごごめんなさい!!謝りますから許して下さい!!」
「どうしよっかなぁ〜?」
「うう…。」

俺は口元を吊り上げて少女へ意地悪気に言い返した。彼女は俺がかなり怒っていると勘違いしていたのか、上目遣いで唇をかみ今にも泣きそうになっていた。その表情に思わず心を打たれ、良心が甦ってきた俺は、“さすがにやりすぎたか。”と思い彼女の頭を優しく撫でて言った。

「あっはっは。そんなカワイイ顔されたら許さないわけにはいかないな。」
「も〜う!!お兄さんのいじわるぅ〜!!」
「すまなかった。君に敬語は似合わない。俺とは敵だが、普段通り喋ってくれて構わない。」
「ありがとう。」
「ところで…もう1つだけ頼みがあるんだ。」
「な〜に?」
「君の…名前、いや名前はいい。俺は君のような生き物(ポケモン)を見た事がないんだ。種族名を教えて欲しい。」

今までは、彼女が上目遣いだったが、今度は俺が上目遣いで彼女に懇願してみた。後々、“雄が上目遣いって気持ち悪いな…。”と思いながらも彼女を見つめたが、意外な答えが返ってきた。

「お兄さん意地悪したからもう教えな〜い。」
「それは、すまなかった。そう言わずに教えてくれないか。頼む。」

俺は片目を激しく瞑り両手を顔の位置へ持って来て再度懇願した。“彼女が同世代と間違えるのなら、俺の事は彼女から見ても愛くるしく見えるハズ…。なんか、俺って気持ち悪いな…。”と考えつつも片目で彼女を見つめた。

「お兄さんなんかカワイイね。わかった、特別だよ?私は“リーフィア”っていって、イーブイ進化系にあたるの。私にはお姉さんもいて、お姉さんは“グレイシア”っていって私と同じくイーブイ進化系にあたるの。」

“お姉さん…?姉も軍隊にいるのか?”俺はそのことが気になったが、今は関係ないだろうと思い、質問する事はやめ、少女にお礼を言って、リタイアボタンで【若葉】のステージから脱出した。

194適当:2012/11/23(金) 12:30:31 ID:z4YPwsi.
俺は真っ白い味気ない部屋へと戻ってきた。普通なら真っ白い空間ばかりが続きおもしろくないハズだが、今日のあどけない少女との会話で頭をいっぱいにしていた。

「お姉さん…。グレイシア…。一体どんな姿なんだ?」

俺は眉間にシワを寄せ、あごに手を添えて9つの扉の内【零下】と示された扉へと目を向けた。“氷タイプなのか…?見た目はあの少女と同じなのか…?いや、しかしリーフィアと名乗る少女のお姉さんが軍隊にいるとは限らない…。という事はこの零下の番人は別のヤツだな。”これ以上想像、思考するのも大変なので、用意された夕食を取りシャワーを浴びて眠りについた。

Day6

もう俺は起きた状態なんてもう言う必要はないと思っている。そんな事よりも、昨日少女がうっかり口を滑らせてしまって“棚からぼた餅”的な情報の得かたをした、少女が持つ2つの特性の対策について考えた。

「やっかいだ…。状態異常が効かないなら、動きは止められない。更に、スピードが倍になるのはかなりやっかいだ…。俺の高速移動+電光石火でも追いつけないかもしれない。」

“少女とは普通に1対1で闘っても勝ち目はない。アイテム…それなんだが、何が有効かもわからない。技に関しては葉っぱカッターの見えないヤツもある。1日闘っただけだが、確実に言える。あの少女に勝つには、俺はかなり頭を使わなければならない。”俺は、ここでとりあえず対策を練るのを止めて、用意された朝食を取った。朝食の飲み物はまたあの青い液体だった。だが、既に効果が何であるかわかっていたので、ためらわずに飲んだ。すると昨日受けた3つの消える葉っぱカッターを受けた傷がみるみる内に塞がっていった。俺はその事に何も思わず昨日と同じ【若葉】の扉へと歩を進めた。

195適当:2012/11/23(金) 12:35:50 ID:z4YPwsi.
俺が昨日の少女と闘ったステージ辿り着くと、逆の方にある扉から少女がやって来て俺が見える位置まで近づき、笑顔を向けて俺へ言い放った。

「こんにちは。今日はもう少し頑張ってよ?」
「ああ、努力はする。」

“あの少女は強い。だから、少女は俺との闘いがつまらないかもしれない。”少女に言われて、すぐに頭の中でそう描けた俺は、特に何の感情の変化もさせず冷静に少女を見つめていた。しばらくお互いの沈黙が続き、開始の合図が鳴り響いた。

『READY…GO!!』

俺は真っ先に高速移動+電光石火を使い右へ走り出した。“少女の姿など確認している暇はない。すぐに追いつかれる。”そう思った俺はアイテムが入っている箱を目指して一心不乱に走った。

「はぁ…はぁ…。よし、あった。」

俺が200m先まで進んだ所で見つけたのは青色の箱だった。中を確認し、説明書…というかいらないな。中身が耳栓だっため、説明書よりもこれを一体何に使うのだろうか。と考えながらも次のアイテムを探す為に右下の森へと足を速めた。

「意外にここは広いな…。入ってきた場所がもう見えなくなっている。」

右下の森へと足を踏み入れた俺は、歩きながらも箱がないかと見回した。しばらく辺りを見回しながら歩いていると、再び青色の箱を発見した。俺は、何も喋らずに箱を開け中身を確認した。中には、錠剤が2、3粒入った小瓶と説明書が入っていた。説明書の内容は以下の通りである。

【動体視力底上げサプリメント】
スロットで目押しが出来ない?速い球が打てない?そんなアナタにこれ!!動体視力底上げサプリメントをご提供します!!これを飲み干すだけで、見えなかった球もスロットのラインの柄も見えるようになりますよ!!

“ムカつくな…これを書いたヤツを思いっきりぶん殴ってやりたい…。”俺はそんな事を考えながらサプリメントを一錠口へ運び飲み込んだ。錠剤が小さい為水無しで飲めた。サプリメントを飲み終え、ふと後ろを振り返った。

「よし、まだきてないな…。」

俺がそうつぶやきまた森を探索しようとした瞬間に、背中に少し強い衝撃が走った。

「わっ!!」
「うわぁ!!い…いつの間に?」

少女は俺を後ろから脅かしてきた。俺は“いるハズのない少女がなぜ後ろにいるんだ?”と驚きと疑問を持ちながら、少女との距離を急いで取った。

196適当:2012/11/23(金) 12:39:56 ID:z4YPwsi.
「いつからそこにいた?」
「今さっき。お兄さんが後ろを振り返るちょうど前かな?」
「え!?」
「くすくすくす、お兄さんが驚いている時の顔ってカワイイ。」

少女は驚きを隠せない俺を見て、口に前足をあてて口を閉じたまま笑っている。俺はその時地面に生えている草を見て、少女が使った魔法がなんであるかようやく理解した。“カモフラージュか。確かに、少女は肌の色と軍服の色で草木に近い色を出している。対して俺は、白いスーツに黄色い姿とかなり目立っている。なるほど…木の幹に隠れながら行動をしなければ、少女に簡単に見つかってしまうという事か。”俺は驚いた表情を止め冷静をよそった。

「君は魔法も使えるのだな。」
「ふふ、すごいでしょ?」
「だが、今日はやられるわけにはいかない。」

俺は少女に投稿はしないという意志を見せ、刀を抜き両手で握った。俺は少女の攻撃を避けてから反撃する為に、後足で徐々に距離を取った。だが、少女は何も攻撃を仕掛けず俺へくすっと笑いかけ、尻尾を口元へ持ってきて音を奏で始めた。

トゥートゥ トゥルートゥートゥートゥー
「なんだ?リコーダーか?」

少女の突然の行動を俺は黙って様子をうかがっていた。少女の音楽は草で吹いているとは思えない程の綺麗な音だった。しばらく音を聞いていると俺の身にある変化が起きた。

トゥー トゥー トゥー トゥールートゥ トゥ…
「あ…なんだ…急に…眠気が…。」
トゥートゥ トゥルー トゥートゥートゥー
「な…ぜ…だ…。」
バタン
「ZZZ…ZZZ…。」

俺は少女の歌を聞いて、急激に眠気に襲われその場で意識を失った。

197適当:2012/11/23(金) 12:43:49 ID:z4YPwsi.
俺は目を覚ますと真っ白い空間へと戻っていた。俺の記憶は少女の奏でる音を聞いた後に途絶えている。スーツのポケットを探ってみると、耳栓と2錠の錠剤が入った小瓶があった。

「あの歌は…そうか、催眠作用があるのか!!」

“してやられた。少女は、自分が攻撃を仕掛けてこないと俺は攻撃を仕掛けてこないという俺の意図を完全に読み切っていた。俺は先生攻撃を仕掛けない事が落とし穴となり、少女の歌によって眠らされてしまった。優れた戦闘センス…あの少女は天才だ。”俺は少女の完璧な対応に関心させられていた。

「しかし…なぜ眠くなるんだ?音がなんとなく心地良いとは感じたが。」

俺は次にあの歌がなぜ催眠作用を起こすのかを考えた。“リラクゼーションというヤツか?草タイプだからあり得る。あの音は…神経を休ませ体の興奮を抑えるアルファ波に近い音波なのか?いや、アルファ、ベータどちらが有効だったかは忘れたが、恐らくそんな所だろう。とすると耳栓はその為のものか。意外にも早く結論に辿り着いた俺は、腹が減ったので、用意されている食事を摂る為、食事ルームへと歩を進めた。今夜のメニューは、カレーライスに鮭のムニエルに野菜サラダ、そして赤色の液体だった。この3つは、腹が空いていたのであっという間に平らげたが、問題はこの液体である。

「うん…一般的なフルーツではないが、若干の青臭さがある。それが何なのかはわからないが、毒というわけではなさそうだ。」

俺は液体を嗅いで、“毒ではないが、今まで通り何か効果がある。”という事を期待して、我慢して一気に飲み干した。“得体の知れない安全なドリンクは結局一気飲みか…。”俺が数日間食事ルームで飲み続けて出した結論だ。“得体の知れない飲み物はだいたいがマズイ。”その事を知った俺は、一口含んで一気に飲み干すという二度のまずさを味わう事を止めた。一気に飲み干すと、意外にもまずくはなく野菜ジュースを飲み干したという感じが口の中に残っていた。その後、体には…特に変化は無かった。

「今日は何も感じないな…。まぁ、いい。疲れたから寝るか。」

“ドリンクの効果を考えていても仕方がない。いくら考えた所で答えなんか見つかりはしない…。”俺は食事を終えた後自分自身で結論を出し、この日は眠りについた。

198適当:2012/11/23(金) 12:48:02 ID:z4YPwsi.
Day7

俺は目を覚まし、いつもと全く変わらぬ光景を一瞬目に入れ起き上がり、用意された食事を摂って昨日と同じ、【若葉】と示された扉へ歩を進めた。

俺が【若葉】のステージへと足を踏み入れると、昨日と同様に反対側の扉から少女がやって来て、俺へ笑顔を向け軽く会釈をしある言葉だけを強調するかのように言い放った。

「おはよう、“ピッカチュウ〜”のお・に・いさん。」

“なぜ、俺の種族名だけ、変な言い方をしたんだ?何か…気分が悪いな。”少女の発見に疑問と少女の嫌悪感を抱き始めた俺は、彼女へおもむろに訪ねた。

「なぜ、そこだけこんな言い方をするんだ?」
「だって、お兄さん弱いんだもん。」
「弱い?」
「くすす、そうだよぉ〜。私に訊かなくても自分でわかっているでしょ?」

“確かに。だが、そんなにハッキリ言わなくてもいいじゃないか…。それは、自分の心の中でだけで言ってくれ。”俺は、少女の返答を聞いて少し気分が沈んでしまったので、彼女へ“自分に気を遣って欲しい”と懇願した。

「はぁ…。朝から、君はヒドイな。君はもしかして見た目とは違って、空気も読めない“サゲマン”なのか?“もう少し”気を遣って欲しいな。」
「あはは。お兄さんは“もう少し”頑張って欲しいなぁ〜。あれ?ひょっとして私無理させるような事言っちゃった?だったら、ごめ〜ん。謝るからゆるしてね?てへ。」
ペロ

“コイツ言わせておけば!!”俺は、少女から嘲け笑うように言われ、謝罪され、前言撤回すると言わんばかりの態度を見せつけられたが、彼女の挑発には乗らず、彼女を睨みつけて静かに言い放った。

「今日は勝たせてもらう。減らず口もここまでだ。」
「あはは、そうだと嬉しい〜。私の技をちゃんと見切ってよ?」
「見切るも何も、今日で君とは“オサラバ”だ。」
「くすっ、じゃあいっくよ〜。」

“絶対に勝たなければ!!”四足が二足に接近戦闘で勝てるワケがない。だから、催眠に頼ったり遠距離攻撃に頼らなければならないんだからな。”俺は少女へ言い返した後に彼女の合図を受け、少女を睨みつけたまま思考を張り巡らせた。数秒後、恒例の戦闘開始の合図が俺の耳へと入り始めた。

199適当:2012/11/23(金) 12:55:26 ID:z4YPwsi.
プン…
『READY…GO!!』
ゴロン
「は?」
スリスリ

“コイツ何をやっている?”目の前の少女は合図を聞くと、その場で寝転がり地面に生えている草々を愛しく思うように、自分の頬を草々へすり付けていた。俺が、首を傾げて彼女の様子を観察していると彼女は、故意と思われる満面の笑みを浮かべて俺へ言い放った。

「お日さまが気持ち…。あれ?くすっ、お兄さんハンデあげるよ。」
「ハンデだと!?」
「うん。だって、もう私の夢特性“葉緑素”は発動しているよ?言っとくけど私、お兄さんに追いつくまでに二十秒もかからないよ?」
「二十秒…だと!?ウソをつくな。」

“いくら早いとは言え、俺も脚力には自信があるし、何せここまでで200m近くある。そんな事が…あり得るハズはない。”俺は、少女の自信に満ちた返答に疑問を抱き少女へ言い放つと、少女は嘲け笑っているのか、それとも単純に俺の発言が面白かったのか、大声で笑い声をあげて俺へ言い放った。

「あはははは!!ウソじゃないよぉ〜。だって私100走、お日さまが出ている時は7秒台だもん。」
「7秒!?」
「うん。だ・か・ら、お兄さん今の内に隠れて来て。木の上にでも上ればいいと思うよ。そこから“きっしゅ〜”な〜んちゃって。てへ。」
ペロ

“木の上からコイツを奇襲する?だが…、あんな事を言われては…。やむを得ないな。脚力ではほぼ勝ち目がない事がわかってしまったからな。態度はムカついてくるが…怒るな!!冷静になれ。やはり俺は…アイテムに頼るしか道はないからな。”少女は、相変わらずの挑発する態度を取っていたが、俺は彼女の発言を信じ、思考を巡らせ、結論を出し、彼女へ言い放ち左下の森へと駆け出した。

「そうか。ならお言葉に甘えさせてもらう。」
タタタタタ…

“あれ?いつもより…体が軽い…。まるで…宙に浮いているみたいだ!!凄いぞ!!これは…これは脚力が数段に上がっている!!”俺は少女から一瞬で距離を離せている事に驚き、目的地へ向かいながら、いつの間にか笑みを浮かべてしまっていたが、自分の予想が外れた彼女は、俺を見て驚き声を上げて俺を急いで追いかけ始めた。

200適当:2012/11/23(金) 13:01:23 ID:z4YPwsi.
「ええ!?やっぱな〜し!!逃がさないよ〜だ!!」
シュン タタタ…
「くっ!!一旦怯ませるしか無い!!」
クルッ タタタ…

俺は、少女が体勢を元に戻して自分にとてつも無い速さで接近し始めている彼女へ目を向け、彼女の方へ走り出すと彼女は、またも予想が外れたと言わんばかりに驚き、再び声を上げ始めた。

「ええ!?ど…どっちなの!?逃げるんじゃな…。」
ズザザザザ…
「おりぃやぁ!!」
ドコッ
「うふぅ!!お…お腹が…。」

“この程度じゃダメだ!!コイツの葉緑素はもっと何か効果があるかもしれない!!”俺は滑り込み少女の腹をけり上げたが、懸念が出てきた為更に攻撃を続けた。

シャン
「ふっ!!」
バシン
「痛ぁ!!」
「はっ!!」
バシン
「ったぁい!!もう!!許さな…」
ドコン
「きゃあ!!」
ドサ

“はぁ…はぁ…。これだけやればすぐには追ってこられまい…。”俺は、少女の両前足を刀で打撃を与えて動きを封じ、彼女の頭を思いっきり蹴り上げた。

ムクッ…ヨロヨロ
「も〜う、許してあげない!!リーフブレード!!」
シュイーン
「な…何!?」
「くらえぇぇい!!」
フォン
「くっ!!これは無理だ!!」
スチャン
シュバッ…タン
ヒュンヒュンヒュン フッ…

“何だ今のは!?あれが…あれは本当に葉っぱカッターの類なのか!?”少女は、俺に対して巨大な葉を額の葉から作り出し、思いっきり首を振って投げつけた。俺は、彼女の放った巨大な葉を見て驚いていたが、刀を収め空中後転を行い、彼女の放った渾身と思われる技を避けた。俺は、地面へ着地し彼女の方へ再び目を向けると、彼女は表情を保ったまま次の攻撃を仕掛けてきた。

「よけても無駄だよぉ〜!!拡散マジカルリーフ!!」
シュイーン
「終わりだね。お・に・い・さん。」
シュ シュ シュ シュ…シュン
「か…拡散で見えないだと!?くっ…こうなったら!!」
クルッ タタタタタ…
「あっ!!ズル〜い!!待…待てぇ…って足が…。」

少女は再び額の葉から数枚の葉を作り出し、俺に向けて解き放った。彼女の出した葉は、放った直後に消えたので、俺は避けるのは無理であると判断し、彼女へ背を向けて左下の森へと足を速めた。

201適当:2012/11/23(金) 13:07:44 ID:z4YPwsi.
チラッ
「はぁ…はぁ…。よし、前足にダメージを与えたのが効いたようだな。」

俺は左下の森へと足を踏み入れ走る事を止めて、息を切らしつつ独り言をつぶやき、自分の背後を確認した。昨日のように、少女の姿はそこには無かったので俺は息を落ち着かせてため息をつき周囲の捜索を始めた。

サク サク サク
キョロ キョロ キョロ
「おかしい…。この森の中には何も無い?」
サク サク サク
キョロ キョロ キョロ

“本当に何もないな…。くっ…ハズレを引いてしまったか…。”俺は森の中を捜索したが、一向に何も見つからなかったので、小さく独り言をつぶやいた。

「やはり…何もない。仕方ない、この錠剤を飲んで再戦…。」
タッタッタ…ガサッ
「何!?もう追いつかれてしまったか!!」
ピョン…ガシッ
サササササ…
ピョン…スタ

“回復が早いな…。おそらく…光合成を使ったんだろう。”俺は、背後の物音に気づきとっさに近くにあった木の上へと上った。木の幹に降り立ち、木へしがみついて下を覗き込むと、少女が辺りを見回して俺の姿を探し始めていた。しばらく彼女の様子を見つめていると、彼女はため息をついて隠れている俺を脅迫するように大声で独り言をつぶやき始めた。

「あ〜あ、こんなに探しても見つからないなぁ〜?おかしいなぁ〜?」
スッ…
「もうめんどくさいから寝かしちゃお〜っと。」

“何!?またあの笛か!!くっ…万が一ここで聞いてしまったら、下に落下して間違いなく死亡してしまう!!”俺は少女が尻尾に生えている草を使って音を奏でようとしている様子を見て、焦りながらも急いでスーツのポケットから耳栓を取り出し、自分の耳へと着用した。彼女は、大きく息を吸って自分の尻尾に生えている葉を口に当てて目を閉じ音を奏でていると思われる行動を行い始めた。俺は、彼女の演奏の様子を心の中で独り言をつぶやきながら見ていた。

トゥー トゥー トゥルー トゥー トゥーン…
“吹いているよな?音が全く聞こえないからわからないな。”
トゥー トゥー トゥー トゥールートゥ トゥ…
“同じ長さか?それとも長くするか?”
トゥートゥ トゥルー トゥー トゥー トゥー

“少女は演奏をし終えて口元から尻尾を離し、口に前足を添えて、歯を見せてほくそ笑み独り言を言い放った。俺は彼女の演奏終了を見計らい、耳栓を外し、スーツに収め彼女の声へと耳を傾けた。

202適当:2012/11/23(金) 13:22:00 ID:z4YPwsi.
スッ…
「きしししし…。これで“ピッカチュウ〜”のお兄ちゃんはぐっすり眠っちゃったハズ〜♪」
キョロキョロ
「って聞いちゃったんだから、起きてるワケないよね〜。じゃあ、探しちゃお〜っと。」
スタスタスタ
「う〜ん、見つけたらどうしよっかなぁ〜?隣で添い寝も…いいかも♪きしししし…。」

“俺を完全に眠らせたと思っているな…。しかも、挙げ句の果てには添い寝!?コイツ…バカにしやがって…。だが…何か可愛かったな…。上手く行った!!って思っている時の顔も…はっ!!イカンイカン!!そんな事はどうでもいい!!早く…アイツが去った後に別の場所へ行かなくては!!俺は、少女が独り言をつぶやいた後にその場から立ち去ったのを見計らって、様々な思いを巡らせながら、ふと横を見ると、俺が乗っている木の幹に何やら金色の箱が設置されていた。“こんな所にあったのか!!”俺は心の中で叫び、箱へと近づき始めた。

ソロリ…ソロリ…
「よく折れないな…。まぁ、どうでもいいか。」
ソロリ…ソロリ…ピタ
「これだな。」

俺は独り言をつぶやき、金色の箱を開けると何やら奇妙な色の物体が入っていた袋を発見した。袋の下にあった説明書に目を通すと俺は一瞬で顔を青ざめさせてしまった。説明書の内容は以下の通りである。

【神経ガス装置】
円を描くように八方に仕掛け、相手をその中に入れて、神経ガスを吸わせて気絶させる事が出来る。仕掛け終わったら、付属のリモコンを使って赤外線センサーを作動させること。

“お…俺に、あの少女を毒で冒せと言うのか!?くっ…神経ガス…。最悪死に至る危険性がある危険な兵器…。くそっ!!どうすれば…。”俺はこの時苦渋の選択に迫られていた。あどけない少女を殺してでも助かる道とこの兵器を使わず少女へ勝利し助かる道。俺が二つの選択肢に迫られていると、再び少女が俺の真下に現れ、独り言をつぶやき始めた。

タッタッタ…スタスタ ピタ
「おっかし〜なぁ〜。何でどこにもいないんだろ…。」
スクッ
ピト
「う〜ん、さっき私…何って言ったっけ?」

203適当:2012/11/23(金) 13:29:29 ID:z4YPwsi.
“マズい!!コイツがあのセリフを思い出してしまったら、すぐに見付かってしまう!!ここは…俺はこんなあどけない少女を殺す事なんて出来ない!!今は…森の中…。よし!!奇襲を仕掛けて怯ませ、隙を与えずに…決めてしまおう!!”少女がつぶやき終わり、首を傾げている様子を見計らって、俺は金色の箱に説明書を戻し、刀を抜いて彼女目掛けて下へ飛び降り、奇襲をかけた。

「確か…木にのぼ…」
シャン
ピョン
「ればいい…。」
「うりやぁぁぁ!!垂直切りぃぃぃ!!」
「へ?へぇ!?ウソぉ!!ちょっと待っ…」
バシン
「ったぁい!!」
ペタン
俺が、少女へ言い放つと少女は俺の方へ向いて、驚き慌てふためき始めた。俺は、彼女の背中へ刀を強く当てると、彼女は苦痛の声を上げてその場にうつぶせとなった。俺は、次の攻撃の準備に取りかかり彼女を高く蹴り上げて彼女が宙に浮いている間、刀の先端部分を当て始めた。

ドコン
「きゃあ!!」
「うぉぉぉ!!連続突きぃぃぃ!!」
シュシュシュシュシュシュシュ…
「きゃあああああ!!」

“結構なダメージだと思うが、まだダメだ!!”俺は少女の苦痛の声を聞くが、懸念を払拭する為まだ地面に倒れている彼女へ、追い討ちをかけた。

ドサ
「追撃ブレードテイル!!」
「いたた…ブレードってな…えへぇ!?」
ヒュン…ドゴォ
「きゃはあ!!」
ドサ

“はぁ…はぁ…やったか?いや…息をしている!!こうなったら!!”俺は、うつぶせになっている少女へ向けて高速で空中後転を行い、追い討ちをかけた。だが、彼女は仰向け状態になり苦痛の表情を浮かべながらも、激しく呼吸をしていたので、俺は倒れている彼女へ近づき、彼女の体を持ち上げて宙へ浮かせて、とびあがり更なる追い討ちをかけた。

タッタッタ
「うぅ…。」
ガシッ
「う…へ?な…何?」
ヒョイ
「え?そ…そらを…飛んで…。」
シュッ
「れ・ん・ぞ・く十字切りぃぃぃ!!」
バシンバシンバシンバシンバシンバシンバシンバシン
「きゃあああああああ!!」
ドサ
「追撃ブレードテイ…」
ガクッ
「はぁ…はぁ…、ダメだ。連続した…動作を…行い過ぎた…。」

204適当:2012/11/23(金) 13:32:49 ID:z4YPwsi.
俺は少女の腹部を数回もの十字を描くようにして刀で叩きつけ、彼女が地面へ仰向けになったところに更なる追い討ちをかけようとしたが、体が思った以上に疲弊しており、刀を杖替わりにして立ち、息を切らしながら彼女の方へと目をやった。彼女は、何とか起き上がろうしながら、強く睨みつけて途切れ途切れの発言を行った。

グググ…
「うぅ…。ゆ…油断したぁ…。」
「はぁ…はぁ…。ウソだろ…。コイツ…まだ闘(や)る気な…のか?」
グググ…
「はぁ…はぁ…。お…お兄ちゃ…はん、絶対に…許さな…はぁ…い。許さな…」
ドサッ

“ふぅ…。やったようだな。ほ…本当に…やった(倒した)よな?”俺は目の前で、少女が倒れている様子を見ながらも、疑問を抱いておそるおそる彼女へ接近し、彼女の体をゆすり、叩き始めた。

ソロ ソロ ソロ…
「すーすー。」
ユサユサ
「すーすー。」
トントン
「すーすー。」

“完全に気絶しているな。よし、勝った。不可能と思われた勝負に勝った!!だが…、こんな少女相手にやり過ぎた。傷もヒドいな。連れて行けるかどうかはわからないが、看病してやろう。”俺は、うつぶせのまま目を閉じて静かに息をしている少女の胸についていた、琥珀色の“π”のバッチを手に取り、もう片方の手を彼女の体に接触させた。数秒後、俺と彼女は姿を消して【若葉】のステージを後にした。

205適当:2012/11/23(金) 13:38:28 ID:z4YPwsi.
俺は、気絶した少女と共に、元の白い部屋へと姿を戻した。なぜ、少女に触れるだけで共にこの部屋へ移動出来たかは、考えずに彼女をその場に置いていき、自分の衣服がある白いスーツを手に入れた場所へと足を速めた。白いスーツを手に入れた場所に掛けられていた自分の白いシャツを手に取り、シャワールームへ直行シャツを濡らして彼女の元へと戻った。

スタスタスタ
チラッ
「すーすー。」

“うっ…かなり傷だらけ、血だらけだ…。俺は…なんて事をしてしまったんだ…。”

スッ…ピトッ
「すー、んっ…。」
ビクッ

“起きてしまったか!?”俺は、少女の声に驚きながらも彼女の体のところどころについている赤い液体を拭っていった。拭い終わり自分の白いシャツを見ると、薄い赤色で染められた箇所が出来ていたが、特に何も気にせず、シャワールームの近くの洗濯機の中へ自分のシャツを放り込み洗濯機を起動させた。その後に食事ルームから漂って来る匂いをたどり用意されていた食事がある場所へと歩を進め、静かに食事を摂り始めた。

スタスタスタ
チラッ
「スパゲティにサラダに…またあの黄色い飲み物か…。」
カチャ…
クルクルクル…パク…
カチャン

“これは、あの少女へと飲ませたい…。飲ませれば、傷も完治しやすくなるだろう。だが…体力を回復したら回復したで、俺へ攻撃してこないだろうか?いや…大丈夫だ。確かな根拠なんて何1つ無いが、あの少女は…攻撃はしてこない。”俺は、食事をし終えて静かに食器を置き様々な思考を巡らせ結論づけて、気絶している少女の元へ黄色の飲み物を持ち寄り、彼女を起こし始めた。

パシッ
スタスタスタ
「すーすー。」
トントン
「起きろ、起きろ。」
パチッ

俺が黄色の飲み物を持ったまま少女の体を叩くと、彼女は目を覚ましたので彼女へ真剣な表情を向けて声を掛け、持っている物を差し出した。

「目が覚めたな。すまないが、これを黙って口に入れてくれないか?」
ムクッ…チラ
「ん?な〜にこれ?そして…何で私はここに?」
「説明は後だ。黙ってこいつを口へ入れろ。君の体力が回復する飲み物だ。」
「え?うん、わかった。」

れろ。君の体力が回復する飲み物だ。」
「え?うん、わかった。」

206適当:2012/11/23(金) 13:44:08 ID:z4YPwsi.
俺が少女の質問答えず強く言い放つと、彼女は俺は指示に素直に従い、俺から黄色のを受け取り自らの口へと運んだ。彼女が飲み干したのを見計らい、彼女から空のグラスを受け取ると、彼女が何かを思い出したように小さく呟いた。
スッ…パシッ
「んぐっ…。ぷはぁ〜。あっ、これ…“オボンの実”だ。」
「オボンの実?」
「お兄ちゃん知らないの?」
「知らないな。そんな物は口にした事は無かったからな。」
「そうなんだ。ふ〜ん。」

“お兄ちゃん?俺は、お兄さんとは言ったが、何故勝手に身内を呼ぶような呼び方に変えているんだ?”俺は、少女の発言に含まれていたある言葉に首を傾げて彼女へ訪ねた。

“お兄ちゃん?俺は、お兄さんとは言ったが、何故勝手に身内を呼ぶような呼び方に変えているんだ?”俺は、少女の発言に含まれていたある言葉に首を傾げて彼女へ訪ねた。

「君…なぜ俺をそう呼んでいる?俺は君の“お兄さん”ではないのだが…。」
「くすっ、なんでだど思う?」
「さぁ?なぜなんだ?」
「教えないよ。」
「はぁ?」

“何故秘密にする必要があるんだ?”俺は、少女の返答を聞いてますます困惑し、首を傾げた。彼女は、俺の様子を見てあくびをし、俺の理由を述べた。

「ふぁ〜あ。だって私、眠いんだもん。」
「眠いからって…。」
「お兄ちゃんごめん。寝てもいい?」
「は?あ…ああ、別に構わないが俺が怖くないのか?俺を敵とは思わないのか?」
「ふぁ…。おもほわぁな…いよ。じゃ、お休み〜。」
ゴロン
「すーすー。」

“敵とは見なしてないという事か。何故だ?俺にはそういう風に思わせる強いオーラが…。ふぁ…イカン。俺も…もう限界だ。”少女は、俺に許可を申し出て俺から承諾を受け取ると、あくびをしながら俺へ合図を送り、一匹で眠りの世界へと旅立ってしまっていた。俺は彼女があまりにも無防備な気構えしていたので、疑問を抱き始め原因を追求しようとしたが、自分の睡魔とつかれに負けた彼女と同様に眠りの世界へと旅立っていた。

207適当:2012/11/23(金) 13:49:25 ID:z4YPwsi.
トントン トントン
「起きて、ねぇ起きてピカチュウのお兄ちゃん。」
「ん?ああ…。」
ムクッ…

俺は寝ている途中に少女に体をたたかれて声を掛けられたので、目を覚まし彼女の方へと目を向けた。目を向けると、彼女が下唇を噛んで何かを訴えるかのような苦しそうな表情を浮かべて俺へ、言い放ち訪ねてきた。

キュッ
「私…おしっこしたいの。」
「おしっこ?」
「トイレ…どこにあるの?」
「ああ、それならシャワー浴びる所と洗濯機の間…。ほら、あそこだ。」
ピッ

俺は少女の訴えを耳に入れると、彼女へ彼女自身の目的の場所へと指を差し返答した。すると、彼女は俺の指差した方向へと目を向け、驚き俺へ訪ねて来た。

「あっち?」
チラッ
「ええ!?ウソ…あれって…。」
「壁がない。仕切りがない。かなり恥ずかしい便所だな。」
「ホ…ホントにあそこでしてるの?」
「ああ、そうだが?嫌なら、ここで漏らすか?」

俺は、少女の質問に答え愚問であるとばかりに聞き返すと、彼女は俺の表情を見て、自分の目的の場所へと掛けだし、すぐ目の前まで接近して俺に不安気な表情を向けて要求した。

「あぅ…。」
タッタッタッ…ピタ
「ぜ〜ったい見ちゃダメだよ?いい?」
「ああ、わかったわかった。さっさと放尿(し)てこい。」
クルッ

俺は、少女の要求を受け入れ要求通りに後ろを向いて彼女から目を背けた。すると背後から小さな水温が聞こえ始めた。“結構距離があるのに、何で聞こえてしまうんだ?この部屋は、音が響く仕様なのか?”俺は首を傾げ黙ってしばらく何もない空間を見つめていると、後ろから足音が聞こえ始め、肩をたたかれて終了の合図を出された。

スタスタスタ
トントン
「終わったよ。」
クルッ

俺が少女の方へ振り向くと、彼女は元のあどけない可愛らしい表情を浮かべていた。俺は彼女の表情を見て安心し、ふと腕時計を見ると【18:00】となっていた。“そんなに長い間眠っていたのか。”俺が時計の表示時刻を見終わって彼女の方へ目を向けると、彼女が俺に訪ねて来た。

チラッ…スッ
「ねぇ、今何時だったの?」
「6時だ。」
「6…もしかして…朝?」
「いや、夕方の6時だ。」
「なぁ〜んだ、よかったぁ〜。」

少女は、俺から真の答えを聞き安堵の息を漏らした。食事ルームからは、いまだに匂いが漂ってこないので、俺は彼女にはぐらかされた質問を訊ねた。

208適当:2012/11/23(金) 13:55:06 ID:z4YPwsi.
「君、どうして俺を“お兄ちゃん”と呼んでいるんだ?」
「え?その方が呼びやすいからだよ。」
「俺にあんなにヒドイ事をされたのに、やたら警戒心が薄いな。」
「だって、お兄ちゃんがそういう事をする為に私を連れて来たんじゃないってわかるもん。何っていうのかなぁ〜?その…雰囲気が優しくて、落ち着く感じ。」

“確かに、その為に連れて来てはいない。オーラがないというワケではなかったようだな。何か…“綾”と初めて会った時に言われたセリフと似ているな。コイツもそれを感じ取っているのか?”俺は、少女の心を試すように質問を投げかけた。

「君が俺といて落ち着くと言うのなら、君の事を教えてくれないか?」
「私の事?」
「ああ。とりあえず…名前とかだな。年は…言わなくてもいい。」
「私は“フィア”って言うの。」

“フィアか。名字を明かさないのは何故だ?まぁ、どうでもいい。”俺は、少女の答えを受け取り次の質問を投げかけた。

「そうか。じゃあ君は、軍隊のどの位置にいる?」
「え?う〜ん、ブラッド少尉の…すぐ下。」
「下?」
「うん。何匹か兵士を連れているよ。えっと…10匹だったっけ?」

“なかなかすごいな。という事は、俺が戦っているのは、全て隊長格って事か?”俺は、3つ目の質問を投げかけた。

「すごいな。そこにある扉のバッチに、“α〜ω”とあった。それらは全て君と同じもしくは、それ以上の位なのか?」
「そうだよ。“α〜μ”までが私と同じ位?あ、でも“λ”だけは違うかな。この中での位は、一番がω(オメガ)、二番目がχ(カイ)、三番目が…ラム…ダ?だったっけ?うん、だと思うよ。」

“随分喋ってくれるな。これは、もしかして…もしかするとコイツを味方に出来るんじゃないか?”俺は少女に自分が必要な情報に関しての質問を投げかけた。

「そうか。じゃあ、それぞれの扉の番人の“種族”を教えてくれないか?」
「しゅ…ぞく?」
「ああ。ダメだったら、言わなくてもいい。」
「くふっ、そんな事ないよ。じゃあ、言うね。」
「ああ、頼む。」

俺が少女へ返事を返すと、彼女は呪文を唱えるように次々と言い放った。

209適当:2012/11/23(金) 14:03:01 ID:z4YPwsi.
「“α”スターって名前のブースター。“β”シャーズって名前のシャワーズ。“γ”サンって名前のサンダース。“θ”フィって名前のエーフィ。“λ”ブラッド少尉って名前のブラッキー。“π”は…言わなくてもいいよね?だって、おしっこしている時胸にバッチが無いのを見ちゃったもん。」
「あっ…すまない。」
「あはは、いいよ。だって私負けちゃったし。続けるね?」
「ああ。」
「“μ”は私のお姉ちゃん。シーアって名前のグレイシア。“χ”はショーン中尉って名前のジュカイン。そして最後に“ω”は…、カオス少佐って名前のゾロアーク?」

“なぜ最後だけ疑問形なんだ?”俺は、少女におもむろに訊ね返した。

「どうして最後だけ、自信が無いんだ?」
「だって、会った事無いんだもん。“ショーンおじいさん”から聞いただけで。」
「そうか。ん?おじいさん?って事は、ジュカインだけ…。」
「うん、年が65歳のおじいさんだよ。」

“65だと!?な…なぜ、若いヤツらよりも結構位が上なんだ?マズイな…、という事は相当の実力者だハズ…。というか、二匹を除けばかなり強者揃いじゃないか!!”俺は、少女の話を聞き終えた後、さまざまな思考を行い結論を出して、彼女へ反応を示した。

「中尉の下が、イーブイ進化系って…。はぁ…。大変な闘いになりそうだな。」
「くすっ、そうだね。」
「笑い事じゃない。俺はここへ誘拐され、監禁され、レベルの差がある闘いを無理矢理やらされているんだからな。」
「知ってるよ。だって会議で言ってたもん。」
「会議だと?何と?」

俺は少女の不可解な発言を訊いて思わず訊ねた。すると彼女は、ためらいを見せずに俺の質問へと答え始めた。

「レベル30の“ピッカチュウ〜”の実験データを取るからって…。」
「はぁ!?実験だと?」
「あっ…これ言って良かったのかな…。」

“実験されている!?俺を一体どうするんだ気なんだ?だが…もう喋ってくれそうにないな。”俺は、少女の更なる不可解な発言に関して質問をぶつけたくなる気持ちを抑え、彼女が不安気な表情を浮かべている事に気を遣って、彼女を安心させ始めた。

210適当:2012/11/23(金) 14:09:13 ID:z4YPwsi.
「実験体か…。ありがとう。これで謎は解けたな。」
「え?もういいの?」
「喋りすぎると、君まで命が危ない。俺は、君を殺す為にここへ来たんじゃない。治療とする為に連れて来たんだからな。君からの情報は、単なるオマケだ。

「ふ〜ん、じゃあもういい?」
「ああ。もうこれ以上喋るな。君を“裏切り者”としたくないから。」

俺が少女へ情報の暴露を抑止するように呼びかけると、彼女は耳を動かして、俺の発言のある言葉に関して、不安気な表情を浮かべて独り言をつぶやき始めた。

「そうなんだ…。私ってもう裏切っちゃったんだね…。みんなを…。」
「は?いや、それはわからないだろう?たかが、これだけで裏切りとは思えないんだが…。」
「ううん、ショーンおじいさんが言ってた。“あのピカチュウ君なかなかの腕前じゃぞ?って。」

“は?なぜ別の部屋の情報がわかるんだ?って事は…まさか!!俺は、少女の発言に不審感を抱き彼女へおもむろに訊ねた。

「待て!!君は、俺の闘った様子をどこまで聞いている?」
「う〜ん、シャーズを倒してフィを倒したって所まで。」
「なんだって!?これじゃあ、まるで…まるで俺の闘い方が筒抜けじゃないか!!」
「え?そうなるの?」

“コイツ鈍感だな…。って事は、この部屋も…まさか監視されている!?”俺は半ば呆れ始めたがすぐに強くなり、少女へおもむろに訊ねた。

「そのおじいさんからは他の事を聞いたが?」
「そうだね。部屋にいる間は、刀を振ったりして頑張ってるって。」
ガクッ
「はぁ〜。何てこった…。全部…見られていたなんて…。」

俺が少女の返答を聞いて、その場で膝をついて頭を抱えて落胆し始めると、彼女は俺を気を遣ってか、俺に激励の言葉を掛けた。

「くすっ、元気出してピカチュウのお・に・いちゃん。」
「ああ、そうだな。もういい。当然だ。“実験体”にされているワケだからな。」
「はぁ…、自由気ままでいいな君は。」
「だって、しょうがないじゃん。私、オボンの実のジュース飲んだだけで、お昼ご飯食べて無いんだし。」

211適当:2012/11/23(金) 14:13:07 ID:z4YPwsi.
“それも、そうだな。俺は動いていないから、食べなくてもいいな。”俺は、少女に告げられて腕時計を見ると【7:00】となっていた。“そろそろではないだれうか?”俺は推測し鼻を動かすと、自分の予想通りに、食事ルームの方から匂いが漂って来ていた。俺は、少女を誘導し食事ルームへと歩を進めると、食事を盛りつけてある皿には、ビーフシチューと思われる物と、サラダと青い飲み物が置かれていた。“どうしてだ?フィアの話によると、監視しているなら傷も何も負っている事を知っているハズ…。それなのに、この体力を回復させようとする魂胆は一体何なんだ?まさか…、フィアの裏切りを承知しているのか?いや…そんなハズは…。”俺が食事のメニューに関して不審感を抱いていると、彼女は待ちきれなかったのか食事を摂り始めていた。“どうする?フィアにあの青い飲み物を与えるか?それとも…。”俺が更に思考を続けていた矢先、彼女が驚くべき行動を取り始めた。

カチャ…スクッ
パク
モグモグモグ
ゴックン
カチャ…パシッ
ゴク…
「あ!!」
「え?どうかした?」
「いや…。何でも…ない。気にせず食べてくれ。」
「ふ〜ん、わかった。」

“しまった!!飲ませてしまった!!頼む…どうか、どうか毒だけは入っていないでくれ!!俺は、少女が食事を進めていく様子を心配そうな表情を浮かべて見守っていると、彼女は奇妙な行動わ取り始めた。彼女は、なぜだかそれぞれの皿に盛りつけられた物を半分だけ残すという行為を行っていた。俺は、彼女が特に苦しみ出す様子も無かったので、安心しつつも首を傾げて彼女へ訊ねた。

「君、どうして半分だけ残しているんだ?俺に気を遣っているのか?」
「うん。」
「だったら、遣わなくていい。全部食べろ。君は昼食を抜いているのだからな。」
「ダメだよぉ〜。お兄ちゃんも食べなきゃ〜。」
「君は昼食を抜いているんだぞ!?だから君が食べ…。」
「あっ、それとも変な事考えてる?私と“間接キッス”するからっ…て。」

“間接キスだと!?キ…今フィアに従えば…。はっ!!イカンイカン!!何を考えているんだ俺は!!だが…せっかくわざわざ俺に気を遣ってくれたんだ。その考え抜きで食べるか。そうしよう。”俺は少女の指示を従って残りの食事を平らげ、食器を置くと、彼女がいたずら気に微笑み俺へ訊ねて来た。

212適当:2012/11/23(金) 14:22:42 ID:z4YPwsi.
パク…カチャ
「くすっ、お兄ちゃんどう?今の気分は?」
モグモグモグ
ゴックン
「はぁ…。何がだ?」
「何って…。私と“チュー”したじゃん。」
「していない。これはキスの類に入らない。君は何を言っている。」

俺は、少女の質問に対し“何も知らない。何も感じない”という風に返答すると、彼女は俺を試すかのように質問を投げかけて来た。

「ふ〜ん、どぼけているの?」
「は?」
「ねぇ、お兄ちゃん。私は“チュー”して貰ってないんだけどなぁ〜?」
「はぁ!?君…どうしたんだ!?青いヤツを全て飲んでしまっておかしくなってしまったのか!?」

俺は少女の発言に驚き、彼女へ“正気に戻れ”と言わんばかりに言い放つが、彼女は俺を誘惑するかのように可愛らしく笑い、俺へ許可を求めて来た。

「ふふぅん。おかしくなってないよぉ〜。ただ、お兄ちゃんと“チュー”してみたいだけ。だから…接吻(し)てもいい?」
「は?いや待て、君はおかし…。」
ドン…バタン
「ぐわぁ!!」
「おかしくない〜。じゃあ、いただきま〜す。」

俺が少女へ反論しようとすると、彼女は俺をいきなり押し倒して自分の意見を通し自分の唇を俺の唇へと接触させた。その後すぐに彼女は、俺の口内を自らの舌で貪り始めた。俺は、彼女の舌を彼女の思うがままに受けて消極的な態度を取っていると、彼女が俺から口を離して、少し怒った表情を浮かべて俺へ言い放って来た。

スッ…
「ぷはぁ!!はぁ…はぁ…。ねぇ、何でお兄ちゃんのお口の中で、私の“ベロ”を撫でてくれないの?」
「はぁ…はぁ…。え?」
「私と“チュー”するのがイヤなの?」
「いや…そうゆうワケじゃ…。」
「じゃあ、ちゃんとしてね?もう一回行くよ?」
「は?あ…ああ。」

少女は俺に条件を突きつけて、俺に合図を送り先程と同じ行為を続けだした。俺は彼女の舌の感触を味わいながらも、彼女の条件を呑むことを、半ば躊躇していたが、ついに吹っ切れて彼女の条件を呑み、彼女の舌へ自分の舌を絡ませ、彼女の舌を押し込み、逆に彼女の口内を貪り始めた。俺は行為を続けている内に、いつの間にか彼女の後頭部へと手を回して、まるで“自分の物だ”と示すように行為を行っていた。やがて、長いような短いような俺と彼女の行為は終了を告げ、彼女は俺から自分の口を離し、息を切らしつつも、俺へ感想を述べた。

213適当:2012/11/23(金) 14:27:51 ID:z4YPwsi.
「はぁ…はぁ…。お…お兄ちゃん激しすぎ。け…結局自分から…接吻(し)てるじゃん。」
「はぁ…はぁ…。な…なんだ?嫌だっ…たのか?」
「そ…そんな事…ないよ。」
「だ…だったら…いいじゃ…ないか。」

俺が少女へ返答したが、彼女は呼吸を整える事に集中しており、俺へ返答をしてこなかった。俺も彼女と同様に、呼吸を整える事に集中し始めた。しばらくしてお互いの呼吸が整った時、俺はどこからか本能に直接訴えかけるような匂いが存在している事に気付いた。俺はその匂いが何であるかは大方予想がついたので、彼女へ次の行為を行うかどうか訪ねようとした時、彼女自らその行為を求め始めた。

「ねぇ、お兄ちゃん。私さっきの“チュー”のせいで、お股が濡れて気持ち悪いの。」
「ふっ、そうか。で?どうして欲しい?敵の俺に“クンニリグス”を求めるのか?」
「ふふっ。うん、そうだよ。」
スクッ…ゴロン
スッ…
「お願いしま〜す。」

俺は意地悪気に少女へ訪ねると、彼女は肯定の意を示し床に仰向けとなって、自らの最も恥ずかしい部分を俺に晒し始めた。俺は彼女の要求通りに、彼女の下腹部に顔をうずめ彼女の割れ目を舌でなぞり始めた。

ググッ…ピチャ
「ひぁ…。」
ピチャピチャピチャ
「ひぅ…。んっ…。き…気持ち良いよぉ…。」
ピチャピチャピチャ
「ひはぁ…。はうっ…。お…お兄ちゃん…上手い。」

“上手いか…。俺は任意では“綾”にしか愛撫(や)った事はないんだがな。”少女は、俺に行為を受けている最中に感想を漏らし始めた。“こんな事やってていいのだろうか?”俺は疑問が思い浮かぶも、彼女へ行為を続けた。

ピチャピチャピチャ「ふぁっ…。はふぅ…。お…お兄ちゃん…何か出そう…。」
ピチャピチャピチャ
「ひふぅ…。はへぇ…。ご…ごめん。もう限…界。」
プッシャアアア
「はぁ…はぁ…。きゃあ〜出しちゃったぁ〜。恥ずかちぃよぉ…。」

“遅く愛撫(や)ったつもりだが、結構な量だな。もしかして…コイツ相当溜まってたんじゃないか?”少女は快感に飲まれ、自らの割れ目から大量の透明な液体を俺の顔目掛けて噴射した。俺は彼女の発言から彼女の真意を読み取れたので、顔についた液体を拭って口へ含み、いたずら気に微笑み彼女へ意地悪気に訊ねた。

214適当:2012/11/23(金) 14:33:45 ID:z4YPwsi.
ススッ…パク
「あっ…私のエッチな…お汁…。」
「おいしいぞ。とっても。」
「ええ!?そ…そんな…。」
「フィア、で?次はどうする?もう終わるか?」
「ううん。お兄ちゃんのが欲しい。」

少女に訊ねると、彼女は首を左右に振って否定の意を示し、すかさず俺へ別の要求を言い放った。俺は口元を吊り上げて彼女へ言い放った。

「敵のを求めるのか?全く…君は、あのエーフィと似て“淫乱”だな。」
「ああぅ、そんな事言わないでよぉ〜。私は、フィよりエッチじゃな〜いもん。」
「監視カメラで見られているかもしれないぞ?それでもいいのか?」
「うん、いいよもう。おしっこしている所も、お兄ちゃんにお股舐められている所も写ったと思うし。それに、私も…。」
「セックスしたいのか?」
「あはっ、わかっているじゃん。じゃあは〜や〜くぅ〜ぬ〜い〜で。私に“おちんちん”ちょ〜らい。」

“もういいか。俺ももう限界だ。“綾”すまない。俺は、最低の雄だ。これは、俺の自己意志。きっと…フィアが求めなくても、最後までやってしまっていると思う。だが、君を愛している気持ちは変わらない。俺の愚行を…どうか許してくれ。”俺は少女の強い要求を聞き入れ、心の中で精一杯の謝罪を行い、自ら服を全て脱ぎ彼女の目の前に立って自分の反りたつモノをさらけ出した。彼女は、“待ってました”と言わんばかりに積極的に俺のモノをくわえ、ぎこちない舌使いで、俺のモノをほふり始めた。

チュプチュプチュプ
「あっはっは。どこを舐めている?それで、俺のを得るつもりか?」
チュプチュプチュプ
「あ〜あ、完全に貞操だなフィアは。君、彼氏いないだろう?すぐにわかるぞ。」

俺が少女の行為について批判をとばすと、彼女は一旦俺への行為を止めて、俺に“方法”を訊ねて来た。

チュパハァ
「はぁ…はぁ…。じゃあ、どうすればいいの?お兄ちゃんの言うとおり、私エッチした事ないもん。」
「さぁな、自分で考えろ。」
「イジワルぅ〜教えてよぉ〜。」
「ダメだ。甘えるな。」
「うぅ〜、絶対にお兄ちゃんのをゲットしてやるぅ〜。」

215適当:2012/11/23(金) 14:41:09 ID:z4YPwsi.
“さぁて、どう出るか。”俺は少女の返答を聞き、彼女の反撃を楽しみにしていると、彼女はよっぽど悔しかったのか、それとも躍起になってしまったのだろうか、俺が予想もしていなかった行為を行い出した。

パクッ
チュプチュプチュプ
「あっはっは。何度愛撫(や)っても無…」
シュコシュコシュコ
「だはぁ!!は…はぁ!?ちょっと待て!!君、それは無…」
シュコシュコシュコ
「いい!!だはぁ!!ろほぉ!!い…一度に二つも技をやるなぁぁぁ!!」
チュプチュプチュプ
「うっ…はぁ!!くっ…もう限界だぁぁぁ!!」
ビュク ビュルルルル…

俺は少女に自分のモノをしごかれるという行為を付け足されて、快感に飲まれて長い時間にわたって、彼女の口内へ自分の精子(モノ)を射精(だ)してしまっていた。俺は息を切らして、彼女へ目を向けると、彼女は満面の笑みを浮かべて感想を述べた。

「はぁ…はぁ…。」
チラッ
ゴックン
「くふふ、お兄ちゃんのおいしい〜。いっぱい射精(だ)してくれてありがとぉ〜。」
「はぁ…はぁ…。君、“手コキ”と“フェラチオ”は流石に“ズルイ”じゃないか。」
「だって、私下手くそだも〜ん。しょうがないじゃん、欲しかったんだし。」
「だ…だからって…。」
「お兄ちゃんが悪いんだよぉ〜?あっ、そうだね〜。だってお兄ちゃんは、私のおまんまん“ペロペロ”しながら指で“いじいじ”出来ないもんね〜。だったら謝るね。ごめんちゃい。てへっ。」
ペロ

“おまんまん?雌の性器をおちんちんみたいに呼ぶ感じか?まぁ、いいか。俺も満足させてもらえたんだし。そろそろ終わった方がいいな。フィアを…裏切り者としたくはないからな。声が聞こえなければ、俺に強要された様に写ったハズ。”俺は少女の舌を出して可愛らしい仕草を見届け、彼女へ笑みを向けて終了の合図を送った。

「ふっ、君は本当にカワイイな。」
「えへ?そ〜お?」
「ああ。よし、もう終わろう。傷は完全に回復したな?今日はもう遅い。君は部屋へ帰る事が出来ないから、シャワーを浴びるなりして寝てくれ。俺も明日の闘いに備えて寝…」
「う〜ん、イヤだ。まだ寝たくないもん。」

“眠く無いではなく、寝たくない?って事は…、当然最後までって事か…。”俺は少女が不満気な表情を浮かべて発言した事に対して、呆れた表情を浮かべて彼女を説得し始めた。

216適当:2012/11/23(金) 14:47:16 ID:z4YPwsi.
「はぁ…。フィア、いい加減にしてくれ。君と俺はレベルが違うんだ。監視カメラに君と俺がセックスしているのが、写ってしまったら、君は敵の子を宿した者と見なされて、裏切り者扱いされてしまうぞ?」
「いいよ、それでも。」
「はぁ!?君、何を言って…。」
「それとも、私とエッチするのはイヤ?」
「いや…嫌ではないが…。」
「くすっ、じゃあ決まりね。私の初めて…奪って下さい!!」
スクッ…ゴロン
パカ

“くそ、どうすればいいんだ?ここでフィアとセックスしてしまったら、フィアを殺してしまうようなものだ。俺は…こんな年端もいかない娘なんか殺したくはない!!”俺は少女が何かを期待して目を輝かせて仰向けになっている様子を見るが、真剣な表情を浮かべて彼女に諭し始めた。

「フィア、俺は君に裏切り者になって欲しくないんだ。だから止めよう。君は、俺と性交(す)るべきじゃ…あっ。」
「ぐっす…ひっく…。」
「フィア…どうして泣いているんだ?」
「だって…お兄ちゃんの事が大好きなんだもん!!」
「俺の…事が?」

少女は大粒の涙を浮かべて俺に強く訴えてきた。俺が自分を指差し彼女へ訊ねると、彼女は涙を流しながら俺へ真実を述べた。

「ぐっす…。もう正直にいうね。私が…お兄ちゃんって呼んでいるのは、呼びやすいから…ってだけじゃないよ。ピカチュウのお兄ちゃん格好良くて、強くて、素敵だった。それに、私は闘ってて楽しかったんだよ?」
「強い?弱いって言っていたじゃないか。」
「ううん。ごめんね。私はレベル50台でお兄ちゃんはレベル30台。負けて当たり前だよ。それでもお兄ちゃんは、私に勝つ方法を考えて私に挑んできてくれていた。私ね…あんなに強い雄と闘ったのなんて、お兄ちゃんが初めてだったんだよ?」
「俺が…初めて?」

俺は少女の発言に驚き彼女へおもむろにに訊ねた。彼女は何の躊躇いもなく俺の質問に答えた。

217適当:2012/11/23(金) 14:51:17 ID:z4YPwsi.
「ぐっす…。ぞうだよぉ。“草笛”を使った後に、お兄ちゃんが草むらの中で寝ていない事に私ビックリしちゃったもん。それに、私をひるませたのはお兄ちゃんが初めて。」
「あれは、催眠効果があるってわかっていたからな。君の草笛の音を聞いて、すぐに耳を塞いだんだ。」
「そうだったんだ…。あれ?でも、どうして森の中にもお外にもいなかったの?それに…私の演奏が終わるっていつわかったの?」

“あっ…確かにな。もう正直に言おう。フィアは、対戦相手で唯一俺に優しくしてくれたんだからな。”俺は、少女の涙を自分の手で拭ってあげ、彼女の質問へ答えた。

スタ スタ
スクッ…ススッ…
「え?お兄…ちゃん?」
「あっはっは。すまないな。俺は、君の真上にいたんだ。君が入って来る音を聞いて、すぐに木の上に上って、君が立ち去るのをずっと待っていたんだ。
「へぇぇ!?」
「でなきゃ、奇襲はおかしいと思わないか?“何で自分に見つからずに、木の上からとび下りて、いきなり刀を当てられたんだろう?”ってな。」

俺は少女に真実を話し、真実とは異なった行動を行った場合の矛盾点を指摘すると、彼女は俺の話に納得したのか、はっとした表情を浮かべて、俺へ相槌を打って来た。

「あっ…あー!!確かにそうだよ!!私の演奏が終わる瞬間をずっと見ていたんだったら、音を聞くタイミングも間違えないから…。」
「当然、森の中で寝ているワケないよな?」
「あぅぅ…。悔しい〜!!お兄ちゃんに一本取られたぁ〜!!」
「君の“アドバイス”のおかげだ。“おっちょこちょい”のフィ〜ア?」
「ああ〜!!もう、言わなければ良かったぁ〜!!私のバカぁ〜!!」

“何かカワイイな…。何か、俺もフィアとセックスしたくなってきたな。”俺は少女が悔しがる表情を浮かべて声を上げている様子に心を動かされ、彼女の頭を優しく撫でて、優しく笑みを向けて、彼女の望みを“叶えてやる”と言い放った。

218適当:2012/11/23(金) 14:56:09 ID:z4YPwsi.
ポン ナデナデ
「あっはっは。このカワイイヤツめ。俺は、バッチを手に入れた。今更返す気はない。その代わり、君の願いを1つだけ叶えてやる。何がいいんだ?」
「バッチ返さないんだったら、私とエッチして。」
「よし、わかった。だが始めに言っておくが、処女膜を破られたらかなり痛いぞ?それは、わかっているよな?」
「うん。高校生の時お友達から聞いた。とって〜もイタイって。でも私頑張る。だけど、泣いちゃったらごめんね?」
「そうか。覚悟があるなら、俺のモノを君の膣(ナカ)へ挿(い)れてやる。行くぞ?」

俺は少女の返答を聞いて彼女へ合図を送り、彼女の秘所へ自分のモノをうずめ始めた。俺はついに彼女の初めての証へぶつかったので、彼女へ合図を送り彼女の初めての証を一気に突き破った。彼女は意外にも表情を崩さないどころか、ますます口元をゆるませていたので、俺は疑問を抱き、彼女へおもむろに訊ねた。

ジュブブ…ピリッ
「あはっ、お兄ちゃんが挿入(はい)ってくるぅ〜。」
「あれ?フィア、痛くないのか?」
「うん。なんか…おまんまんの膣(ナカ)に、大きなセロテープが貼って会ったような感じ。」
「セロテープ!?」
「もう、いいじゃ〜ん。は〜や〜くぅ動いてよぉ〜。あれ?それとも、もう無いの?お兄ちゃんのミ・ル・ク。きゃはっ、だったらごめんね?謝るから許してね?てへ。」
ペロ

“コイツなめやがって…。貞操のくせに、経験者を挑発するとはいい度胸だな!!”少女は舌を出して可愛らしい表情で俺を嘲け笑って来たので、俺は彼女へいたずらに微笑みかけ、彼女を脅迫し、彼女の合図を待たずに自ら腰を動かし始めた。

「ほ〜う。君、俺を挑発してただで済むと思うなよ?」
「きゃはっ、私をめちゃくちゃにするつ…」
ジュブジュブジュブ
「もほぉ!?りひぃ!!なの…、って合図くらいして!!いきなりはズ…。」
ジュブジュブジュブ
「ルふぅ!!いひぃ!!よほぉ…。お兄ちゃん!!私、初めてだよ!!もっと手加…減してよ!!」

“気持ち良さでうろたえているな。よし、コイツを壊してやろう。”俺は完全にスイッチが入り、少女の訴えを無視してとんでもない返答と行動を取り始めた。

219適当:2012/11/23(金) 15:00:50 ID:z4YPwsi.
「何?もっと速く動いて欲しい?しょうかないなぁ〜。お望み通り速く動いてやる。ほれ、行くぞ?」
「へぇ!?私、そんな事言ってな…」
ジュブジュブジュブジュブジュブ
「はぁぁ!?いい!?よぉ!!は…速すぎるよぉ〜!!い…絶頂(い)っちゃうから止めて〜!!」

少女は予想も出来なかった俺の激しい行為に、喘ぎ混じりの声で、俺へ抑止をかけた。俺は、自分で速く動いてしまっているので、当然の如く快感に襲われるが、彼女へ勝利の笑みを浮かべて言い放った。

「ふはぁ!!はぁ!!た…たいした事ないな。もう終わりか?トドメを刺してやる。」
ジュブジュブジュブジュブジュブジュブ
「はへぇ!?ひゃう!!ひゃあ!!んへぇ!!こ…こうなったらお兄ちゃんも道ぢゅれだぁ〜!!」
「はぁ…はぁ…。道連れ?一体何をする気…。」
キュウウウ…
「だはぁ!!う…うわぁ〜!!ち…ちくしょうがぁぁぁぁ!!」
ビュク ビュルルルルル…

俺が少女だけ絶頂を味わせて何とか射精をこらえていると、彼女が大声で叫び、俺のモノを膣壁で強く締め上げたので、俺は耐えきれずに叫び声を上げ、彼女の膣(ナカ)へ自らの精子(モノ)を射精(だ)してしまっていた。俺が悔しそうな表情を浮かべて彼女と反対方向に仰向けになって息を整えていると、どこにそんな体力があったかは知らないが、彼女が起き上がって息を整えながらも、俺の顔を覗き込んで嬉しそうにはしゃぎ出した。

220適当:2012/11/23(金) 15:03:26 ID:z4YPwsi.
バタン
「はぁ…はぁ…。くそっ…。」
ムクッ
「はぁ…はぁ…。あはは、お兄ちゃんも道連れだぁ〜!!」
「はぁ…はぁ…。くそっ、こんなにキツく締めやがって…。反則だぞ、君は。」
「え…へへ。う…うるさはぁ…い。お兄ちゃんだって…速くした…。」
クラッ…バタン
「うほぉ!!お…おい!!フィア、大丈夫か?」
「ご…ごめん…。私もう…限…か…い。お兄ちゃんの上で…寝かせ…」
カクッ
「すーすー。」

少女は俺に反論する途中で体勢を崩し、俺に体を預けた。俺は彼女の体を受け止められずに、彼女の顔が自分の腹部へと直撃してしまったので、少しの痛みに耐えつつ、彼女へ声を掛けた。彼女は弱々しく、うつろな目をして小さな声で俺に謝罪し、俺の腹部に顔を伏せたまま静かに寝息を立て始めた。俺は彼女がやむを得ずに取ってしまった体勢だと推測し、彼女を両手で持ち上げて自分の胸元に彼女の頭を持ってくるように移動させた。その後、俺は彼女を寝かしつけるように、優しく頭を撫でながら、彼女の可愛らしい寝顔を堪能していたが、自分も次第に眠気に襲われてしまったので、彼女を抱きながら、彼女に続いて眠りの世界へと旅立った。

221適当:2012/11/23(金) 15:09:29 ID:z4YPwsi.
トントン トントン
「起きて、ねぇ起きて。」
パチッ…
「…ん?」
「朝だよぉ〜。お・は・よ。」
「あ、ああ…。」

俺は少女に声を掛けられ体を叩かれて目を覚ますと、彼女は俺に抱かれたままの姿勢のまま、前足を俺のほほに添えて微笑みを向けていた。俺は起きても尚、自分の上に乗り続けている彼女を見つめて彼女へ理由を訊ねた。

ジー
「君、何でどかないんだ?起きているなら、普通どくだろう?」
「くすっ、何でだと思う?」
「さぁ?知らないな。どいてくれないか。」
ギュウウウ…
「うわぁ!!って君…。」
「や〜だもん。お兄ちゃん暖かくて気持ちいいから、どかな〜い。」

“はぁ…、カワイイが厄介だな。敵である俺にこんなに甘えてくるとはな…。”俺は少女の要望を聞き入れふと腕時計を見ると、【6:30】と表示されていた。“そうか、まだ朝食は出てこないな…。”俺はただ朝食を待っているのも退屈なので、彼女の頭を優しく撫でながら彼女へ質問をぶつけた。

ポン ナデナデ
「ふわぁ…、気持ちいい…。また眠っちゃおっかなぁ…。」
「寝るな。君、どうして敵の俺にこんなに甘えてくるんだ?処罰が怖くないのか?」
「“裏切り”のって事?」
「ああ。もうこれはどう考えても、どう見ても君から求めてきている。軍の連中は、君をただじゃおかないハズだ。」

俺が心地良さそうな表情を浮かべている少女に、厳しい現実を告げると彼女はそのままの表情を保ちつつ、俺に相槌を打ち、俺から離れて何かを叫び出し、後ろ足を曲げて頭を下げ出した。

「くすっ、そうだね。じゃあ、保険でも打っておこうかなぁ〜。」
「保険?」
ピョン
スタ スタ スタ
「元帥様ぁ〜!!聞こえますかぁ〜?私は、ピカチュウのお兄ちゃんの味方になったワケじゃありませ〜ん!!私の愚行を…どうか許して下さぁ〜い!!もう二度と、こんな事はしませんからぁ〜!!」
スクッ ペタン
ググ…ペタン

“あっ…土下座をして許しを得ている…。そうか、やっぱりフィアも怖いんだな。軍のボスからの処罰を受けるのが…。しかし…どうしてこんなにも必死なんだ?訓練が多くなるとかその程度ではすまされないのか?”俺は少女が不安気な表情を浮かべて懸命に過去の行いを謝罪している様子に、同情しつつ疑問が湧き出てきたので少女へ訊ねた。

222適当:2012/11/23(金) 16:50:49 ID:z4YPwsi.
「フィア、どうしてそんなにも必死なんだ?そんなに怖いのか?」
「…。」
「どうした?聞いちゃいけなかったか?」
コクリ

“よっぽどの事なんだな…。うん、これはもう訊くのは止めた方がいいな。フィアは味方に出来ない。俺の味方になってしまえば生きる道なんて保障されない。あんなに…必死に謝ったんだから、きっと…許してもらえるハズだ。俺は少女が表情を暗くして黙ってうなずく様子を見て決断し、少女へ別れを促した。

「フィア、それならもう戻った方がいい。君は…俺の事が大好きなんだろうが、早めに別れないと俺と手を組んでいると勘違いされてしまうからな。」
「そうだね。くすっ、お兄ちゃんありがとう。私、お兄ちゃんに会えて良かった。」
「ふっ、俺もだ。さぁ、もう戻るんだ。そこの…【若葉】の扉からな。」
「うん、わかった。でも1つだけ…。1つだけお願いがあるの。」
「お願い?」

俺は少女の頼みを聞こうと少女へ訊ねた。少女は笑みを浮かべて自分の要求を言い放った。

「“サン”っていうサンダースはお友達なの。だから、優しくしてあげてね?」
「友達?わかった約束する。」
「それから…お姉ちゃんには厳しくしてもいいよ。」
「は?どうして?」

“友達には優しく…だけど、何故姉には冷たいんだ?”俺は少女の性格に似合わぬ発言に首を傾げ、おもむろに訊ねた。すると、彼女はいたずら気に微笑み【若葉】と示された扉へ駆け出し、俺の方へ振り向いて理由を述べ、別れの言葉を告げた。

タッタッタ
「は?おい、フィア待て。俺の質も…」
クルッ
「だって、お姉ちゃん私を子供扱いするからキライなんだもん!!」
「子供…扱い?」
「くすっ、そうだよ!!だから、う〜んと痛めつけてね?じゃあ、お兄ちゃんバイバイ!!生きてたらまた…ぐっす…また会おうね!!」
ガチャ…バタン

“生きていたらだと!?”この時俺は少女の言葉を聞いてその場にひざをつき愕然としてしまった。途端に自然に涙が頬を伝っていくのを感じた。そう、俺は彼女の発言・表情で全てを理解してしまったのだ。“逆らえば…殺される”という事を。俺はしばらく涙を流しながら彼女が去っていった【若葉】と示された扉を見つめ続けていた。

試練3 【若葉】 完

223適当:2012/11/23(金) 16:58:54 ID:z4YPwsi.
試練3 若葉 後書き
はい、これでとりあえず3話目投稿終了致しましたが、“嘲笑う”という言葉が本編にはありましたね?

本来は“嘲笑う”と書きますが、私作者の独断で敢えて嘲け笑うと書いております。理由は本来の書き方では、なんとなく嫌な雰囲気を感じてしまったからです。

私の小説での“嘲笑う”という言葉は、ちょっと相手を小馬鹿にするような感じです。ですから、本来の書き方では“完全にイジメている”“本気でからかっている”というような印象を出さないために、嘲け笑うと書いております。

その他の誤字脱字は私のミスです。

224適当:2012/11/23(金) 17:02:10 ID:z4YPwsi.
連レス申し訳ありません_(._.)_

最後にもう一言だけ言わせてもらいます。2ヶ月間放置して本当に申し訳ありませんでしたm(__)m

四話からは、出来るだけ早めに投稿致します。

225適当:2012/11/24(土) 05:25:51 ID:MjSil672
言い忘れてました(__;)
この物語は、主人公であるピカチュウの身長の方がブイズよりも大きいです。

ブイズ 45〜70
ピカチュウ(仁)80cm

ちなみに一番大きい70cmはブラッド君になります。三話に出てきました、フィアちゃんの身長は45cmです。だから主人公の上で寝ることが出来たのです。

言い忘れてすみませんでしたm(__)m

226名無しさん:2012/12/02(日) 13:33:40 ID:bKlBNm86
はじめまして。ここって…自分が考えた小説を好きに投稿していいんですよね?最近私はポケモン小説が書きたくて仕方ないのです。ただ、
・小説書くのは全くの初心者
・訳あって端末機しか使えない
・コメントを返すのが苦手
という始末です…
大丈夫でしょうか?

227どっかの星:2012/12/02(日) 14:43:45 ID:xc.RESIA
初めは誰だって初心者なのです。気になさらなくて平気なように作られたのがこのチラシの裏なのですよ〜。
wikiでの端末機器使用はあまりお勧めされていませんが、ここでは制限もないのでいいかと。コメントを返すのが苦手でも、感謝の気持ちがあればきっと伝わるので平気ですー。

チラシの裏なのですから、何の気兼ねなく小説投稿をしてくださいまし♪
新人さんは大歓迎です♪

それでは、執筆頑張ってくださいまし。

228226:2012/12/02(日) 15:24:59 ID:2JCOyvGo
では…書かせてもらいます。いきなり不安です。
多分短編になります。ギャグが多めの官能小説です。

これからは「フィッチ」と名乗りますのでよろしくお願いします。

229フィッチ:2012/12/02(日) 16:05:18 ID:2JCOyvGo
「性行為?何それおいしいの?」

ボクがその言葉を言った瞬間、親友のオノノクス君は固まったんだ。
「え…じ、じゃあ…お前精液とかクリトリスとか知らないのかよ!?」
「え、何それ、新製品のお菓子?どこで売ってるの?どんな味?」

「うがあああああああああ!!」
「オ…オノノクス君、構内で『げきりん』はダメだよ!」
ここはとある大学。ボクはここで日々この大学でオノノクス君と毎日スクールライフを楽しんでるんだ♪まあ入学して1ヶ月も経ってないけどね!
「ちょ、お前もう19だろ!?今までこの19年間何やってきたんだよ!!」
ん?19年間やってきたこと…
「えーと、食べることと勉強と食べることと…」
「おいいいいい!!」
だって…ボクが大学に来るまで大変だったんだよ?小さい頃目が見えなかったから勉強できなくて食べることしかやることなくて、やっと進化したーと思ったらやっぱり変わらない…
で、もう1進化してやっと目が見えるようになったわけ。もう大変だったよ。テストが赤点だらけで「アイツは大学行けねーな」って言われ続けたけど死ぬ気で勉強してやっとこの大学に入ったんだ。偏差値は全国的に低いみたいだけど…。
まあ進化しても食べることしか最初は頭になかったよ。むしろ食欲は増加したかな?目に見えたもの…教科書や消しゴムを食べた事もあったっけ。あんまり美味しくなかったな…。クラスメイトも食べ物に見えて食べかけたことも…というか今でもお腹が好きすぎるとポケモンが食べ物に見えてくるんだ。はあ…。食べ物じゃないと理解するのに時間かかって勉強が更に

「おいサザンドラ、誰と話してんだよ。」
あ、ごめん…長くなったね。そう、ボクはサザンドラ。常に食べることしか考えていない大学生さ!

230フィッチ:2012/12/02(日) 17:00:59 ID:2JCOyvGo
「いいかサザンドラ、確かに食べることと勉強することは生きる上で大切だ。だが…俺達はオス。ある事を忘れている。それはエロい事を考え、実現するのを目指していく事!その頂点に立つもの…、それが性行為だ!!」
いや…そう言われても分からないよ。初めて聞く言葉だし。
「その…性行為って何?」
するとオノノクス君は得意そうに、
「では教えてやろう…性行為とは人生の1大イベントなのだ(嘘です)!!」
「イベント…スポーツ大会みたいなもの?」
「そうとも言えるな。性行為には様々な力が必要だ(もちろん嘘です)。(やりきるための)体力、(素早く次の挿入に移るためのアレの)瞬発力、(自我を保つための)精神力、(誘うための)魅力が大事とされる一種の祭典だ!!」
「へー、面白そう!!オノノクス君は性行為をした事あるの?」

………………あれ、オノノクス君急に黙っちゃった。ボク変な事聞いてないよね?
「ぬがああああああああっ!!」
…ってうわああっ!オノノクス君いきなりどうしたの!「げきりん」しちゃったよ!
「俺はまだやってねーんだ畜生!やりてぇのに、何故どの女子も俺の魅力に気付いてくれねーんだぁ!!」
「ちょっと落ち着いてっ!みんな見てるよ!昼休みもうすぐ終わるよ!」
オノノクス君は勢いで回りの椅子やら机やらどんどん弾き飛ばしていく…。ダメだ、止まらない!回りも避難してる。このままじゃ…

ガラガラガラ…
あ、ドアが開いた。教授来ちゃった?これでオノノクス君は終わり…

「えーと…、この有り様をみる限りまだ講義始まっていないですよね?」

ピタッ…オノノクス君の動きが止まった。そして、
「いや全然大丈夫!時間は充分にあるから!あ、ごめん今片付けるから、さあさあ隣に座って!!」
ん?オノノクス君どうしたの急に。すると他のオスポケモンが
「ざけんなオノノクス!ミミロップちゃんは俺の隣だ!!」
「はあ、何言ってんの?俺の隣に座るって言うことはずっと昔から決まってたんだよ!!」
次々に言い争いが始まった…。それより机を…。
「あの、それよりこの状況何とかしませんか?」ミミロップさんは言ったこの一言で…。
「はいっ!!じゃあ一番片付けた奴の隣に座るってことで!」
「よし!それなら俺だ!」「いーや俺だ!急ぐぜ!」「絶対負けねぇ!うおおおお!」
ど…どういうこと?

…教室は教授が来た2分前に元の状態に戻った。肝心のミミロップさんは、
「っしゃー俺だぁ!俺が一番片付けたぜ!!さあ隣に!」
「は…はい。では失礼します。」
何故か荒らした張本人、オノノクスくんの隣に。右からミミロップさん、オノノクス君、ボクの順番になったよ。
辺りからオス達がボク達を凄い目で見てる。いや、見てるのはミミロップさんだけかな?
なんでミミロップさんが人気なのか、ボクには分からないや…。

231フィッチ:2012/12/02(日) 17:06:52 ID:2JCOyvGo
ふう…小説って難しいですね。
補足しますがオノノクスはサザンドラと大学で知り合った設定です。
あとタイトル未定です。まだまだ続きます。
感想と問題点お願いします。

232フィッチ:2012/12/03(月) 02:45:17 ID:vdsn241c
眠れないので話を進めます。…もっと上手く書かなければ。
スレ名通り妄想が爆発するかもしれません。あと官能表現は多目に見てください。全て私の独断による考えです。


「えー、では次にこの問題をオノノクス、君に答えてもらおう。他のみんなもちゃんと答えを出すんだぞ。では3分後だ。」
オノノクス君、運が悪いね。この問題は明らかに難しいって。ボクがわからない問題が答えられる訳が…
「オノノクスさん、この問題はこの計算式をこうして、こう…。そうです、これが正解です。」
「いやー、助かったよ。ありがとな。」
あ、オノノクス君他人に答え教えてもらっちゃった。まったくもう…。ん?何か周りからヒソヒソ声が…。
「アイツ…、ミミロップちゃんに答えを教えてもらうとは何様だよ」
「うらやましいぜ畜生…」
みんなミミロップさんに答えを教えてもらったことに怒ってる?それより普通に答えを教えてもらったことに問題が…。

キーンコーンカーンコーン……

「いやー、今日は助かったぜ!そうだミミロップちゃん、このあと俺暇なんだ。だから」
「あ、すみません…。このあとすぐに次の講義がありますので。では。」
「うん、じゃあミミロップさん、また明日!」
タタタタタッ…速いなぁ。もう見えなくなった。このあとも講義があるんだ。熱心だねぇ。あれ、オノノクス君、なぜか落ち込んでる。
「どうしたの?このあと講義無いんでしょ?普通喜ぶんじゃ…。」
「クッ、また誘うのに失敗した。おのれ講義め…。」
え?何で講義を恨んでるの?生物じゃ無いんだよ?そういえば誘うって確か…
「もしかしてオノノクス君、ミミロップさんと性行為を」
ドカァァァン!その瞬間「ドラゴンテール」で吹っ飛ばされた。イタタ…
「いきなり何するの!?」
「言わせんな恥ずかしいだろ!!いいか…ミミロップちゃんはこの大学内全オスポケモンの憧れなんだ!みんな彼女とのプレイを望んでるんだ!!」

233フィッチ:2012/12/03(月) 03:30:15 ID:vdsn241c
いや…いきなり語られてもボクは性行為が面白い事っていうことしか知らないし。それより、
「オノノクス君、性行為ってメスのポケモンとするものなの?」
「ああそうだ。だが誰とでもっていうわけじゃない。年頃の、そう、ミミロップちゃんのような可愛いコとするものなんだ(普通の考えです)!」
へぇー。ミミロップさんのような。でも…
「そういえば、なんでミミロップさんだけあんな人気なの?」

あ、また固まっちゃった。それから何かブツブツ言い始めた…。
「アイツ…本当に何も目覚めてないのかよ…よく19年間生きてきたな…ここで覚醒したら…ライバルになるかも……」

もしもーし、ちょっと、どうしたのー?
「…あ、すまねぇ。えーと、ミミロップが人気な訳…、まず可愛いことだな。」
可愛い?うーん、ボクが今まで可愛いと思ったのはお菓子のひ○こ位かな?
「それに頭もいい。さらにバトルも強い。そして恵まれた才能を自慢することなく、誰とでも優しく接してくる!これはもう…、恋心が芽生えるに決まってるだろ?」
恋心…?芽生える…新種の果物の種?
「じゃあ実がなったらどうなるの?」
「…恐らく分かってないな。ただ言えることは、実がなったらそれこそが性行為だ!!」

……え?ダメだ頭が混乱してきた…。
「お前も恋心が芽生える事がある…いや、もう成長しているだろう。お前がそれに気付かないだけかもしれないな。サザンドラ、ミミロップちゃんを見て普段と違うものを感じたことはないか?」
え、感じたこと?ええと…
「心に何か熱いものが沸き上がってくる!それが恋心だっ(多分)!」
「あっ!そういえば!!」
「おおっ!!」
「お腹がものすごく空いた時ミミロップちゃんを見たら、熱ーいスープで彼女を煮込んだら美味しそうだなって感じたことg」


あ、ボク飛んでる…。いや、翼使ってないよ。オノノクス君の「りゅうのはどう」で吹っ飛んだだけ。ってこのままじゃ地面に叩きつけられちゃう!よいしょっ!
ふう…。翼を羽ばたかせて無事生還。
「心配しただけ無駄だったようだな。たく…。そうだ、この本貸してやるから異性について一から勉強しろよ。」
そう言ってオノノクス君は一冊の本を渡してくれた。えーと題名は、「正しい異性との付き合い方及び初めての性行為の仕方」変な題名。しかもこの本ぶ厚い。
「じゃあ俺は帰る。お前は確かバイトだっけ。」
「うん!一人暮らしだからね!」
こうしてボクはオノノクス君と別れたんだ。さて、バイトまで時間はたっぷりあるし、図書館で料理の本でも見ようかな?

234フィッチ:2012/12/03(月) 19:56:16 ID:MmJygYrI
今回から文章の細かいミス改善します。
あとタイトルは「食欲だけで生きてきたから」に決まりました。ストーリーも展開が進んで行きます。


 はあ……なんて美味しそうな料理だろう。眺めるだけでヨダレが出てきちゃう。だけど所詮本だからなぁ……
 昔図書室で食べちゃった事があったっけ。でも味は本の味だったよ。先生にもひどく怒られたし。
 お腹すいたなぁ……。よし! バイト行く前に何か食べよっと!
 ボクは図書館を出た。その時、
「何度言われても嫌です……!」
「おいおい、金はたっぷり出すって言っただろ? 一緒に俺達と遊ぼうぜ?」
 あれは……、ミミロップさん! それに2匹のポケモン、ゴーリキーとズルズキンかな? 何してるんだろう……。いい雰囲気には見えないし。むしろ彼女嫌がってる様に見えるし。
「私は……、犯されたくなんかありません!」
「ふーん、知ってるのか。で、またいつものようにバトルで追っ払うのか? 昨日までは1匹で来たが今日は2匹だぞ?」
「ううっ……」
 確かに、1対2じゃ不利だよ。それに相手はかくとうタイプ……ミミロップさんの敗北しか見えない。こうなったら……!

「ちょっと待ったあっ! ボクが相手だよ!」
「げ、お前はサザンドラ、なんでここに!?」
「サザンドラってあの、第一回構内バトル大会の優勝者!? ヤバイ、俺達じゃ勝てねぇ!!」
 あ、相手はタイプ差考えないでびびってる! ちなみに第一回構内バトル大会っていうのはその名通りの大会だよ! ボクは頑張って優勝したんだ! 単に賞品のたくさんの木の実が目当てだったんだけどね。
「クソッ、逃げるぞ! 今日こそミミロップを犯れると思ったのに……!」
「こうなったらアニキに頼むしかねぇ! ミミロップ、次会ったときは楽しみにしてろよ!」
 2匹は逃げていった……。よかったぁ! まさか木の実目当てで出た大会がここで役立つとは!

「ミミロップさん、大丈夫?」
「はい、サザンドラさん、ありがとうございます! おかげでなんとか助かりました」
「あの人達……、確か昨日まではっていってたけど、一体どんな関係なの?」
「はい……、さっきの人達ですが実は私が入学してから後をつけまわっているんです」
「へーっ! やっぱりミミロップさんって人気なんだね!」
「あの……さっきの対応見てましたよね?私はあの人達が嫌なんです。ずっとついてきて、お金差し出して遊ぼうぜって何回も……」
「お金貰えるならいいじゃん! 遊べば? ボクならすぐ行くよっ!」
「あの……、貴方はオスですし、食べる事以外が何にも興味がないって聞きましたから、この気持ちが分からないですよね。とにかく嫌なんです! あの人達の目的は私を犯す事なんです!」
 ん……?犯す? なんだろうそれ?
 おっと、そろそろ食べとかないとバイトに間に合わない!
「分かった。じゃあ気を付けてね! これからボクはバイトなんだ!」
「はい、バイト頑張ってくださいね! さようなら!」
 あ、ミミロップさん笑ってる……。あれ? 彼女の笑顔見てると何か熱いものが……、えーとこれは……

 ま、いいや! それより……お腹すいたあああっ!!

235フィッチ:2012/12/04(火) 03:51:39 ID:MwC8YoFU
「あー寒い……。おいズルズキン、本当にこの時間で合ってるのかよ?」
「心配するなゴーリキー。ミミロップは午後8時……、あと2分位だな。この十字路を通るんだ。毎日つけてたから間違いないぜ」
「よし……、お前ら準備は出来てるか?」
「おう!」「可愛いコが犯せるって聞いたから失敗しないぜ!」
「まあコイツら飢えてるからな。大声は出すなよ。しかしアニキがこんなに協力してくれるとは……。」
「おい、来たぞ!」
「よし……、俺が合図をするまで動くなよ。タイミングを見計らって彼女を捕らえるんだ」

……………………
「今だ」


 バイト終わった〜♪お金ゲット〜♪
 今日も疲れたなぁ! よし、家でがっつり食べよう! 今日はこれで最後かな? 後は寝るだけ!
 ……え? 音楽聞いたりゲームしたりネットサーフィン? しないよ、むしろほとんどの単語初めて聞いたんだけど……。

 ん、なんだこの匂い……、ハンバーガー? ボク食べ物の匂いに関しては敏感なんだよ。新しくできたのかな? よし行ってみよう! こっちかな?よし、この角でもうすぐ……、

「や、やめてっ! 放してください!」
「うるせーな、おい、布もってこい。あとロープも」
「はいよ、しかしマジで可愛いな!」
「俺が変な女に惚れると思ったか? アジトに帰ったら犯るぞ。お、車来たな」
「おいズルック、なにハンバーガー食ってんだよ?」
「すいませんズルズキンさん。夕飯まだだったもので」
 あれは……、昼間の2匹!? 仲間も数匹いる。ボクには気付いてないみたい。ミミロップさん、布で口塞がれて両手がロープで縛られてる……。
「んーー、んーーーっ!!」
「くくく……、俺達のアジトでたっぷり可愛がってやるぜ?」

 まずい……、まずいよこの状況! 敵の数も多いしかくとうタイプだし、ボクの力じゃとても……。こういうときは警察に電話だっけ? いや、オノノクス君に来てもらおう! 彼なら強いからあいつらをすぐぶっ飛ばせる! よーし!

 だけど無理だったんだ。公衆電話が近くに無いから。携帯電話? 何それ?
バタン! ブロロロロロ……
 あ、車が動き始めた! 中にミミロップさんが! 助けないと!

 ボクは空から必死に車を追いかけたよ。この暗さに黒い車は見づらくて……。うーん、このままいくとボク一匹であいつらを倒さないといけない気がするなぁ。多分あの中に「アニキ」とかいうポケモンもいないみたいだし。どうしよう。不安だよ……。

 15分位経ったかな? 車はとある大きな建物の前で止まった。あいつらがその中に入っていく。あれがアジトか!
 見張りとかいないみたい。もうこうなったら行くしかないよ! 突入だぁ!

 その前に、バトルでお腹空くから夜食買ってこよう。え、ダメ?

236フィッチ:2012/12/04(火) 16:25:47 ID:V3NRam72
※厨二感しかない官能表現があります。前にも言いましたが多目に見てください。あとヤクザみたいなのが出てきますが言葉使いは変に思ってもスルーでお願いします。



「ククク……。可愛ええコやないか」
「でしょうアニキ! こいつは売れますぜ! 今から調教しますがアニキもどうですか?」
「よし、ワシが最初に挿れるで」

 ボクは物陰からミミロップさん達をずっと見てるんだけど……。怖くて出て行けないよ……。アニキって言われてるポケモンはローブシン。それにゴーリキー、ズルズキン達手下が5匹……。無理かなぁ……。チャンスを待とう。でも全く来なくて逆に見つかったら……! こうなるんだったら帰って寝てれば良かっ……いや嘘だよ!!

「んんっ! んんんっ!!」
「ククク……、ワシ達は『唸る筋肉』という売春組織でな。可愛いコを見つけたらここにさらって調教して、裏の奴らどもに高く売りつけるんや。お前ら、早速調教開始や! 安心せい、終わる頃には自分から求めるようになるからの!」

 調教?一体何するつもりなんだろう?あ、ゴーリキーの手がミミロップさんの体の少し膨らんでる所に。あ、揉み始めた。
「ーーーーっ!! んっ!んんっ!」
「おお、気持ちいいぜ! 予想通りの柔らかさだ!」
「あ、俺も揉ませて!」
「うるせーズルック! 時間はたっぷりあるんだから焦んなって! 下の方でも舐めてろ!」
「ふん、俺がもうペロペロしてるぞ」
 ズルズキン、いつの間にか彼女の股の部分を舐めてる! アイツら何やってるの?
「んんんーーー!!」
 ミミロップさん、顔を赤らめて何か言おうとしてる……。でも彼女は縛られてるから抵抗できないみたい。あの恥ずかしがってる顔、なんか可愛いかも……。って何考えてんのボク!
「ワシも胸揉ませてくれ」
「へい、アニキ、たっぷりとどうぞ!」
 ローブシンは勢いよく彼女の胸を揉み始めた。
「おお、ええ揉み心地やないか! 最近のコでは一番や!」
「胸の刺激は大丈夫だな。ほらほら、股を擦られるの気持ちいいだろ? 早く白いの出せって!」
 ふと見るとズルズキンが股を擦ってる。面白いのかな?
「ん……んん………っ」

 10分後……、
「お、見ろよオメーラ! 彼女やっと感じてきたぜ!」
 ミミロップさんの股が濡れてる……。なんで?
「やっとか……。我慢しなくて良かったんだぜ?」
「んんっ……んん……」
 ミミロップさんの顔を見ると顔を赤らめながら泣いてる……。可哀想だよ! メスを泣かせるなんて! ……て思ったけど……、あれ、なんだろうこの気持ち。ドキドキする……。ミミロップさん、可愛い……。あれ、ボクの下についてるモノが……、起ってきた? な、なんで?
「はあ……はあ……、なあ、俺もうギンギンで出そうなんだが」
「ミミロップの体にぶっかけとけ。俺もそうするから」
 ん……? ぶっかけとけ? アイツらの変な行動といい変な用語……。そうだ、全く分からないといえば!
 ボクはガブリアス君に借りた本をカバンから取り出した。えーと、索引で調べた方が早いかな?あ、あった。ページに移動してっと。

「メスポケモンの体に精子をかけることをぶっかけと言います。主に中出しをしたくない時に有効です。」
 精子? なんだろう……? だけどぶっかけが載ってるってことはこれが性行為なのかな?
「よし、出すぜ!」「おおっ!」
ドピュピューッ!!(早いって言わないでください。今出したポケモン達はまだ未経験です)
「んんっ……」
 子分みたいなズルッグたちが白い液体をミミロップさんにかけた! ……あの白いカ○ピスみたいな白い液体なんだろう? 出た場所は股に付いた突起物……。あ、ボクにもある。ボクも出るのかな?
「おいおい、お前らもう出したのかよ? 早すぎだろ。俺はまだ全然だぜ?」
「それはゴーリキーさんが何回も経験あるからで……」
「何しとんじゃオメーラ! ワシの手にもかかったわぁ!」
「す、すいません! まだ揉んでたんですか?」
「ああ、あまりにも気持ちよくてな。さて、エエ感じに起ってきたし、そろそろ入れるか。ズルズキン、どきぃ」
「はいよアニキ! あ、コイツ処女だぜ!」
「楽しみやな……ククク……」

237フィッチ:2012/12/04(火) 18:11:39 ID:V3NRam72
「精子…………自慰をすると出る液体です。性行為ではこれが必要となります。」
「胸…………メスポケモンの弱い箇所の1つです。揉んだり先に付いている乳首に刺激を与えるとメスは感じていきます。」
 へー、性行為って奥が深そうだね! ……いや、そんなこと言ってる場合じゃないよ。ところで何この臭い……とも言えるような匂い。発生源は……ミミロップさん? いや、彼女にいっぱいかかってる精子だ。美味しくなさそうだなぁ。
 あ、そうだ。あと挿れるっていうのも調べよう! これからする事みたいだし。
「んん、んんんっ!」
「ククク……。口が塞がれてて良く分からんなぁ。それとも挿れて欲しいんか?」
 ローブシンの下のとっても大きい突起物がミミロップさんの股の間に。あのあとどうなるのかなぁ……。あ、「挿れる」ページがあった。えーと、
「アニキー、そのままいっちゃってください!」
「おう! 挿れた時のコイツの表情が楽しみや!」
「挿れる…………オスの突起物をメスの股の間の穴に入れることです。メスの処女を失わせると共にそのオスとメスは永遠の愛を誓い合い結婚します(この本は初心者向けの本でありいろいろと触れていません。)

「け……結婚……だってええええええ!?」
「な、何だぁ!?」
「誰か隠れてやがった! 誰や!?」

 し、しまった……! つい大声で……。もう行くしかない!
「キミ達もうやめてよ!! ミミロップちゃんと無理矢理結婚なんてかわいそうだよ!!」
「アイツ何言って……、ってサザンドラ!? テメーなんでここに!?」
「ん? ゴーリキー知っとるのか?」
「アニキ、こいつ凄く強いんだ!」
「ククク……強い……か。だがお前、見る限り1匹で来たみたいやな。こっちは極道の世界を生き抜いてきたかくとうタイプが5匹。あくタイプのお前が勝つのは無理や!」
 確かに……。敵は名前の出た4匹に加えてドッコラーとワンリキー。進化前がいるとはいえ6匹相手に勝つのは……。でも……。
「んんんっ!! んんっ! んんーーっ!!」
 捕まってるミミロップさんを助け出すためにはバトルするしかない!
「バトルだっ!! 勝ったらミミロップさんは返してもらうよっ!!」
「ほう……不利な状況に自ら挑むとはエエ度胸やな。だがな……、ここでお前は終わりやぁ!!」

 よーし、くらえ「りゅうのはどう」! カッ!! やった、ワンリキーにヒット! 倒したよ!
「うおおおおお、ばくれつパンチ受けてみろおおおっ!!」
 ワンリキーの「ばくれつパンチ」が…………外れた。特性は「こんじょう」だったんだ。もう一発ドーン! はい、ワンリキー戦闘不能!
「とびひざげりーーーっ!!」
 おっと、危ない危ない。ヒョイっと。動き遅いねー。あ、反動で痛がってる。じゃあ「だいもんじ」で。ズルッグ、お疲れ様!

「な、何! もう3匹もやられただと!?」
「フン、所詮アイツらは雑魚。監察とか取引位しかしてへんからな。やけど、ゴーリキーとズルズキン、お前らは違うやろ?」
「その通りだぜアニキ! あっという間にアイツを潰してくるぜ!」
「いくぜ! うおおおおおおおっ!!」
 ズルズキン……気合いを込め始めた! あれは……「きあいパンチ」だね。
 今のうちに波動ドーン。技失敗した所をもう一発ドーン。はい終わり。
「くらえ、ばくれつパンチ!!」
やばい……ゴーリキーの特性ノーガード!? …………外れた。「だいもんじ」2連発。終了。

「あのさぁローブシンのおじさん。強いとか言ってたけど……、本当なの?」
「おじさんやと!? ワシはまだ39や! おのれ青二才め、ワイが相手や!」


「ガハッ……、強い……」
 ふう、あっけなかったね。さて、縛られてるミミロップさんを……。
「ち、ちょっと待ちぃ!」
「ん、まだやるの?」
「違うわ、なあ、その強さに惚れたで。ウチの組に入ってくれんか?」
 ……いきなり変なこと言い出したよ。ボクは組とかそういうのに興味なんか……。
「金はいくらでも出すで!そうすりゃ、何でも買える……、高くて美味しいものも毎日食い放題や!!」

 高くて美味しいもの。高くて美味しいもの。高くて美味しいもの…………


ミミロップさん<<<<<高くて美味しいもの


「うん、ボク入るよ! 美味しいもの食べたいもん! わーい! で、何するのー?」

238フィッチ:2012/12/05(水) 16:27:47 ID:aX8UwV1M
「サザンドラさん、馬鹿じゃないですか!? もう少しで貴方は犯罪者になるところだったんですよ!」
「ご、ごめん! つい美味しいものって聞くとそれしか考えられなくなるから……」
 えーと、今ボクはミミロップさんに怒られてる。近くに伸びてるローブシン。説明すると、ボクが例の事を言ってローブシンが呆れてる間に彼女の「とびげり」が決まったんだ。彼女両手しか縛られてなかったから。
「まあ、次は気を付けるから!」
「もうあんなことされたくありませんっ!」
「そう? ……ところでミミロップさん、何か臭いんだけど……」
 ミミロップさんには精子が体中に付いていた。気付いたミミロップさんは、
「あ、どうしよう……。これじゃ帰れないです……」
「とりあえず、ボクの家に行く? もう遅いし、今日は泊まってきなよ! お風呂も使っていいよ!」
「いいんですか? では……。」

 というわけでボクの家。
「湯加減はどう?」
「あ、大丈夫です。すぐ上がりますから」
「いいよ、ゆっくりはいってて! そうだ、お腹すいたでしょ、ご飯作るね!」
 ミミロップさん……、何食べるんだろう? とりあえずシチューでいいや! 野菜とか切って鍋に入れて……。

 さて、後は煮込むだけ! 時間あるしどうしようかな? そうだ、あの本読もうっと!
 しばらくして、ミミロップさんがリビングに来た。
「あ、すぐ出来るから待っててね!」
「はい……。ところでこの部屋随分殺風景ですね……」
 そうかなぁ? ボクの家にあるものはえーと、食べ物と調理器具に食器、食べるためのテーブルに料理の本……。みんなの家もそうだよね?
「テレビとか見てないんですか?」
「えーと、あ、あの箱? 家に無いんだもん。第一面白いの?」
「………………」
 ミミロップさん喋らなくなっちゃった。そろそろシチューできたかな?

「いっただっきまーす♪」
「では、頂きます!」
 シチューがやっとできたー♪ぱくっ! いやー、バトル後に食べる料理は最高だね! 
「ミミロップさん、味はどう?」
「と……とっても美味しいです!」
 え、他が理解できない味になると思った? ボクが19年間何やってきたと思う? たくさんの料理を作ったから、味はプロ級だよ! この間オノノクス君にも言われたし。
「ところで貴方のシチュー凄い量ですね……。これ、5人前位あるのでは……」
「たっぷり食べないと寝られないからね。今日はバトルもしたからね!」

 ごちそーさまっ♪美味しかったー♪さーて、寝ようっと!
「あの……私、どこで寝ればいいんですか?」
 あ、忘れてた……。どうしよう、ベッドは1つしか無いし……。
「……じゃあ……」
 ん? もしかして帰るのかな? でも夜中だし危ないよ?

「一緒に……、寝て……、良いですか?」

 え……?
 そういえばさっき本の中に、
「メスポケモンと同じベッドで寝ることは性行為を表します。」
って……。
「はっきり言います! 私を……、犯してくださいっ!!」

 えええええええええええっ!?
 ちょ……、ダメだよっ!! だって、ボクと結婚する事になるんだよっ!!
「いいんです……。私、貴方が好きなんです。貴方とするなら、大丈夫です。かくとうタイプ6匹の不利な状況でも私を助ける為にバトルを挑んだ……、その時胸がドキドキして……。それが恋って気付いたんです」

………………
「ボク、性行為ってどうやるか知らないんだけど」
「私もです」

 ミミロップさんがいいって言ってるなら……、やるしかないっ! 本を持ってベッドにレッツゴー! 初めての性行為……頑張るぞっ!

239フィッチ:2012/12/05(水) 17:39:27 ID:aX8UwV1M
「じ……じゃあ……、始めるよ?」
「お願いします……」
 えーと、本の手順だと、
「まずは相手とキスをしましょう。ディープキスと言って、長い時間キスをするのです。」
 じゃあ……。ボクは彼女の口に顔を近づけ、口を重ねた。
「ん……、んっ……」
 舌を絡め合わせる。うん。味しないね。数分後口を離した。
 えーと、次は
「挿入をする前に、胸や股等メスの感じる部分に刺激を与えます。」
 ゴーリキーたちはミミロップさんの胸を揉んでたなぁ。でもボクは手じゃ無くて顔……、待てよ?確か乳首とか言うのを吸ってもいいんだよね?
 ボクは腕の顔を彼女の胸の突起物に近づけ、吸わせ始めた。
「ひゃっ……、あん、ダメっ!」
 感じてる……よね? この声可愛い……。えーとあと股だっけ? ボクは間を舐め始めた。
「ひゃああああ!! ああん……」
 しばらくすると変な液体がさっきの様に出てきた。うーん、美味しいとは言えないかな……。

 そろそろいいかな?ボクの下のモノも起ってきたし。
「サザンドラ君、来て……良いですよ」
………………。
「本当に、後悔しない?」
「うん、貴方も私の事好きですよね?」
 え、好き?そう言えば助けた時からミミロップさんの事が頭から離れない……。これって……。
「好き……でしょ?」「う……うん」

 好きって事でいいんだよね!明日オノノクス君に確認取ろうっと! 
「じゃあいくよ!」
「はい……」 
 えいっ!!ズブッ……
「きゃ……、痛いっ! ああん!」
 あ……、ミミロップさんの中、温かい。このまま進め……ん?何かに当たってる。えーと本をっと。
「処女膜…………初体験のメスポケモンに付いている膜です。これを破れば処女は失われ、性行為をした証となります。」
 …………なるほど。この膜を破れば……。
「いくよっ!」
「はいっ!」
 えいっ!!ボクは一気にモノを挿れたっ!!
「痛い!! あああああっ!!」
 破れた……。これで性行為は出来たかな?じゃあ引き抜こう……ってあれ、何か、出そう……
「だ、出していい?」
「何を……ですか!?あっ……ああっ!!」
 もう限界っ!! 出すよっ!!


 ……………………あれ、もう朝?
何か、あれから覚えてないなぁ……。
 隣にはミミロップさん。う、またあの臭いが……。
 でも、何だろうこの清々しい気持ち。とっても美味しいものを食べきった時とはまた違う……。性行為って確かに面白かったね! さーてもう一眠り…………

 あ、今日は平日だぁ!! しかも一限目から講義!! って、ミミロップさんは!?
「起きてミミロップさん、朝だよ!!」
「うーん……。えっ……朝ですか?…………た、大変、遅刻しちゃいます!!」
 あわわ……急げぇ!!


 ハァハァ……。体を洗って急いで食べて全速力でここまで飛んで……、昨日の性行為の疲れと共にきたよ……。遅刻はギリギリセーフだったけど。講義中疲れて死にそうだった……。
 講義後、オノノクス君が話しかけてきた。
「おうサザンドラ!! 遅かったなっ!」
「うん……。ふう……。そうだ、この本返すね」
「何だ? 相当疲れてるな……。さてはこの本読みすぎて一晩中妄想してたな?」
「いや、実践したんだ。気持ち良かったよ。でも疲れて、性行為って本当にスポーツみたいだね……」

「え? 今なんて」
「あ、サザンドラくん、私次空いてるんです、一緒に勉強しませんか?」
「いいけど……ミミロップさん……、大丈夫だった? 昨日ので疲れてるでしょ?」
「少し寝そうでした……。次が休みの日に、するものですね」
「じゃあ今度の週末にもう一回する?」
「はい……良いですね!」


「おい、サザンドラお前……」
「そうだオノノクス君、昨日ミミロップさんと性行為してる時私が好きかって聞かれたけど、頭に彼女の事g」

 本気に近い「げきりん」……死ぬかと思ったよ。この後ボクのスクールライフは変わったんだ。オスポケモンに注目されるようになったりバトルを挑まれたり……。いつもみんな殺意ある目か悔しがってる目で見てるんだよね。
 何でもサザンドラを知らないオスポケモンは構内に一匹もいないとか。ボク人気出てきたのかな?
 ボクは毎日ミミロップさんと行き帰りは一緒だよ。前みたいに襲われないようにね。でも最近俺が送ってやるからってオノノクス君がうるさいんだよね。というかミミロップさんにボクの親友だからってまとわりついてる。一回パンチ食らってたよ。
 ところで……、オノノクス君「げきりん」前にこんなこと言ってたけど、どういう意味だろう?

「この裏切りものがあああああああ!!リア充爆発しろおおおおおおおっ!!」

End

240フィッチ:2012/12/05(水) 17:51:43 ID:aX8UwV1M
後書きです。
まず言わせてもらいますと、頑張って書いた結果この小説はどう見ても駄作です本当にありがとうございました。
端末機で書いた結果がこれですよ…。やはり充分な確認ができませんね。文章ミスがたくさん…。さて、妹に占領されたPC奪還してきます。
あと官能表現駄目でした(泣)。すいません。勉強し直してきます。
次もこのチラ裏で何か書こうと思っています。ただ寂しいので他の方が書いた話の後に書くことにします。

241変態博士の人 ◆k1FxHqBfLE:2012/12/05(水) 22:52:55 ID:H8sHV/x.
一通り読ませて頂きましたが…

巷で人気の学園物の悪い点が出ている事が気になりました。
学園物なら、長くて短い学校生活を起点とした話にするのが基本(良く言えば王道、悪く言えばありきたり)だと思いますが…
正直学園物で短編にして、そこに官能的な表現を盛り込むと…
どうしても展開を早くせざるを得ませんが、このお話を見た感じだと…

学園生活における主人公とヒロインとの接点は殆ど無く、主人公はヒロインにほぼ無関心だった。
ギャグ要素を強める為に、主人公は天然な性格で食欲にしか関心を持たないという考えの持ち主である…

しかしそこで違和感を感じてしまいました…
ボロクソに言う様で申し訳ないのですが、これ本当に大学生なのか? と思わされる描写が多く、そういうキャラだからでは済まされない非常識っぷりは、学校がある程に文明を築いている事が前提となっている世界観では、この非常識っぷりは大学生である事自体がおかしいという有り様にすら感じられてしまいます。


後、悪漢にあれこれされてる所を助けて、すぐ官能シーンというのも…短編とはいえ学園物としては展開が早すぎる気がします…

要するに、何が言いたいかというと…大学生である事が死に設定になってしまっているのです。


ですので、次はシチュエーションを良く考えてみてはどうでしょうか?
自分の様な原作レイパーが言えた立場では無いのはわかっていますが…

242名無しさん:2012/12/06(木) 00:11:26 ID:W5hMOu5I
上の人の言うこともありますが個人的には面白いと感じたものでした
これぐらいしか言えませんがこれからも書く際は頑張ってください

243フィッチ:2012/12/06(木) 01:02:28 ID:/e6kXGos
>>241
実は「とりあえずこんなキャラの短編小説が書きたい」という気持ちが強すぎてあまりシチュエーションを考えていませんでした。主人公を大学生にしたのは今の私と同じであり書きやすく年齢的に官能表現が何の心配も無く入れられると思ったからです。
確かに現代で考えると食欲にしか関心がない大学生というキャラ設定がこの世界観に合っていないですね…。次からは主人公のキャラと合う世界観の構成を考えます。
後半の話の展開は急ぎ足で書いてしまいました。長引きすぎると他のしっかりした小説を書く方に何か悪いと感じたからです。あとこんな駄文、早く終わらせたいという気持ちも…。このような気持ちになるならばもっと話を考えてから書けば良かっただろという事になりますね。すみません…。

ボロクソ言われる覚悟はしていたので落ち込みはしていません(軽くきましたが)。参考になったと共にこれを教訓として次からは更に良い小説を書こうと思いました。
変態博士の人さん、ご指摘ありがとうございました。

244フィッチ:2012/12/06(木) 02:34:55 ID:/e6kXGos
>>242
面白かったですか!ありがとうございます、とても嬉しいです。
これからも頑張らせて頂きます!

245フィッチ:2012/12/09(日) 06:17:50 ID:KYWqgMJQ
上の小説ですが…
実はシチュエーションやキャラの細かい設定をほぼ一から練り直して本wikiに出そうとPCで執筆しています(タイトルも変更しますが主要キャラと学園物になることは変わりません)。勝手な判断ですがすみません。

246242:2012/12/09(日) 21:57:34 ID:w80VH9zE
おお 本wikiに出す事になったんですか シチュエーション等の設定を直してだすと 待ち遠しいです待ってますので頑張ってください
応援してます

247適当:2012/12/21(金) 22:08:34 ID:MetLiZGE
裏の裏の掲示板の皆さん、お久しぶりです。適当です。早めに投稿すると言ったにも関わらず約1ヶ月もかかってすみません_(._.)_

今から、第4話投稿致します。温かい目で見守っていて下さい(笑)

248適当:2012/12/21(金) 22:11:36 ID:MetLiZGE
試練4 零下

Day8
少女が去った後、俺の頭の中では、少女の言葉が繰り返されていた。“生きていたら、また会おうね。”と何度も俺の頭の中に響いて来た。少女が別れの際に言い放ったこの言葉を、頭の中で…いや、心の中で復唱して自分に言い聞かせる度に、俺の頭の中には“後悔”という二文字が浮かび上がって来ていた。“なぜ、少女を助けてしまったのだろう。なぜ、あの時すぐに元の部屋に帰さなかったのだろう。なぜ、少女のワガママを聞いて少女とつながってしまったんだろう。”これらの事を俺が少女に行ってしまった為に、少女は軍隊の裏切り者となってしまったのだ。“微かな息を聞いて、【若葉】のステージに気を失ったまま放置をして置けば、いずれ少女自身が目を覚まし、自分の技を使って、俺に頼らずとも自分自身で回復が出来たハズだ。”俺は少女が去って行った扉を見つめて独り言を呟いていた。

「すまない…フィア。俺のせいで…俺のせいで…。君を…殺させてしまった…。俺が…俺が、助けなければ…。俺が…甘えてくる君を良く思わなかったなら…。君が死ぬ事なんて…無かったのに…。」

その後俺は、謝罪の言葉を少女が去って行ってしまった扉へ何度も呟いていた。しばらく、少女に対する謝罪の言葉を述べていると、もう一匹の俺が何かを語りかけてきた。

249適当:2012/12/21(金) 22:15:04 ID:MetLiZGE
『いつまで悔やんでいる?いつまで謝っている?本当にお前が悪いのか?お前は助ける目的で連れて来たのだろう?少女と営んでしまったのは、お前が悪い訳じゃない。少女が勝手に望み、お前と営み自分で“裏切り”を選択したのだ。お前に罪なんて無い。だから安心しろ。それよりも、まずここから脱出することが先決だ。なぜ敵の事をここまで気に掛ける?それは果たして意味がある事なのか?』
“偽善者とでも言いたいのか?それとも、恩を売っておけば少女が俺を脱出させてくれるとでも思っていたのだろう?とでも言いたいのか。違う、俺は偽善者なんかじゃない。俺は、番人からバッチを獲得してここから出たいだけなんだ。番人の死なんて望んじゃいない。あのシャワーズやエーフィに対してもそう思っている。”
『ウソだな。素直になれ。殺してでも、ここから一刻も早く脱出したいと。バッチを奪えさえすればいいんだからな。勝てないのなら道具を使え!!勝てないのなら、隙をついて無抵抗にし脅せ!!何の為にその刀を持っている?これは、脅す為にでもあるんじゃないのか?』
“違う。刀は殺す為に使うんじゃない。脅す為に使うんじゃない。敵を怯ませる為に…敵を気絶させる為に使うんだ。”
『そうか、なら好きにしろ。俺からの助言はここまでだ。これで、どこまでいけるかやってみるがいい。まぁ、脱出は出来ないだろうがな。』
“うるさい。さっさと消えろ。お前のアドバイスなんかハナから求めていない。”

250適当:2012/12/21(金) 22:20:46 ID:MetLiZGE
俺はもう一匹の自分と心の中で対話していた。もう一匹の自分に言い放つと、もう一匹の自分は何も言い返しては来ずに消え去った。なぜ、もう一匹の自分が存在していたかはわからない。もしかしたら、俺は本音と対話していたのかもしれない。俺の“悪”の心と“善”の心の対話だったのかもしれない。“だが、アイツにあそこまで言われたんじゃ、いつまでも泣いて立ち止まってはいられない。必ず…必ず、俺は俺のやり方で脱出してみせる!!”俺は決心を固め、涙を拭い、スーツを着て刀を強く背中に縛りつけた。頭に巻いているハチマキも一旦外し、再び自分の首に巻き付けた。“必ず脱出してやる。”という意思を込めて巻きつけた。その後、腕時計に目を通そうとしたが、近くから漂って来たいい匂いを鼻で感じる事が出来たので、腕時計を見る事を止めて食事を摂った。

スッ…パシ
サクッ モグモグ
ゴックン
「うん。また、あの青い液体か…。」

251適当:2012/12/21(金) 22:23:13 ID:MetLiZGE
“体力が回復する飲み物を支給しているという事は、少女の裏切りも少しは…いや、そんなハズはないな。困難が何もない時は、必ず体力回復用の飲み物が支給されるのだろうな。裏切りを…受け入れてくれるハズがない。これは実験なのだから、フィアに裏切られた時点でこの実験は失敗するからな。”俺は食事のトレーの上に乗っている青い液体を一目見て、頭の中で様々な推測を出し結論付けて食事を終わらせた。食事を一通り終えると、スーツのポケットを探り、ポケットの中身を取り出し目を向けた。ポケットの中身は、2錠入った小さな小瓶と、少女に勝利して手に入れた“π”と描かれた琥珀色のバッチだった。俺は前者を床へ置き、後者を手に握りしめ【幻想】と示された扉の近くにあった9つの窪みがある装置へ歩を進めた。9つの窪みがある装置には、【氾濫】と【光】と示されたプレートの下にそれぞれ1つずつ、バッチがはめられていた。俺は、その2つのバッチにならい“π”と描かれた琥珀色のバッチを【若葉】と示されたプレートの下の“π”という文字をかたどったような窪みへはめた。すると、“β”、“θ”のバッチをはめた時と同様に、どこからかブザー音が鳴り【光】と示された扉は、【達成】と示された扉へと変わった。俺はその様子を見届けると、ステージ選択の為に中央へ…は行かず、すぐに【零下】と示された扉へと歩を進め、扉の前で足を止めた。

「フィアとの約束が優先だ。サンという名のサンダースを先に相手するのもいいが、まずはフィアの姉に会っておかなくてはな。フィアに…裏切らせるような真似をさせてすまないと…ちゃんと謝ろう。子供扱いを…フィアを自分の子供であるかのように、フィアの面倒を見てあげているのだから、少なくとも、妹の事を優先的に想っているハズだからな。」

俺は自分に言い聞かせるように、長々と独り言をつぶやき【零下】と示された扉のノブを捻り、【零下】のステージへと歩を進めた。

252適当:2012/12/21(金) 22:29:06 ID:MetLiZGE
周りは見渡す限りの雪景色、空からは少しの粉雪、そして両サイドには、雪をかぶった木々が群れをなしていた。俺は【零下】のステージ、雪原がどんな所であるかを確かめて正面を向いた。前方には、額に氷を象徴するような結晶を身につけ、体は雪原の銀世界へ溶け込むような灰色をしており、尻尾もまた氷を象徴するような結晶で作られた、水色の軍服を身につけた一匹の四足型の生き物が姿を現した。“これが、グレイシアか。雪原というステージにいるあたり、体を見る限り、当然氷タイプなんだろうな。”俺は前方にいる生き物へ向けて口を開こうとすると、前方の者が先に口を開き始めた。

「ようこそ、零下の間へ。私が、このステージの番人よ。」
「そうか。まず、君へ謝らなければならない事がある。」
「いえ、私の方こそアナタへお礼を言わなくちゃならないわ。」
「そうか。なら、君が先でいい。内容によっては、俺の言葉の必要性が無くなるかもしれないからな。」

俺が前方の者へ“先に伝えたい事を伝えろ”と促すと、前方の者は俺の返事を受け取り再び口を聞いた。

「フィアを助けてくれてありがとう。彼女から話は聞いたわ。“アナタに助けてもらった”ってね。姉として、まずはお礼を言わせて貰うわ。」

“う〜ん、コイツの名前確か『シーア』って言うんだったよな?フィアと同じ面もあるのだろうか?”俺は少女の姉へ何の意図もない笑みを向けて返事を返した。

「ふっ、どういたしまして。フィアには対した事はして…」
「だけど…」
キッ
「“手加減”はしないからね?フィアを助けた事と、私との勝負は“関係がない”。」

253適当:2012/12/21(金) 22:31:52 ID:MetLiZGE
“氷タイプらしく冷静沈着、相手に対して冷たいという事か。”少女の姉は俺の言葉をさえぎり、逆説を用いて俺へ言い放ち、俺を威嚇するように睨みつけた。俺は彼女の意見を受け入れ、少し口元を緩ませて彼女へ承諾を出した。

「ふっ、そのつもりだ。君の言う通り、フィアを助けた事と君との勝負は関係がない。君に恩を売るつもりで助けたんじゃない。俺が勝手に罪悪感を感じ、勝手に助けたんだからな。」
「ふふっ、まだ“ヘラヘラ”しているようね。じゃあ、言わせてもらうわ。“小僧”全力でかかって来い。フィアを倒したからって、私に勝てると思うなよ?」

“相変わらず冷たいな。”俺は愛想笑いにも見えない笑いを行って辛辣な言葉を放って来た少女の姉を見て、彼女の性格を再度認識し、彼女の言葉とほぼ同じ意味の言葉を言い放った。

「こちらこそよろしく。グレイシアの“お嬢さん”。」
「言い返しだわ。じゃあ、行くわよ?幸い肝はすわっているようね。寒いステージだから早めに終わらせるわよ?いい?」
「お気遣いどうも。じゃあ、始めてくれ。」

“確かにコイツの言うとおり、このステージは気温が低く寒い。早く体を動かして、体温を上げなければ、闘うどころの話じゃないからな。”俺は少女の姉の意見に賛同し、彼女へ返事と感謝の言葉を返すと、数秒後に開始の合図が聞こえ始めた。

254適当:2012/12/21(金) 22:36:41 ID:MetLiZGE
プンッ…
『READY…GO!!』

俺は開始の合図を聞くと、前方へ走り出した。“まずは、コイツがどんな技を使ってくるかを知っておかなくてはな。”俺はそう考えつつも、彼女の元へ辿りつくと彼女へ先制攻撃をしかけた。

タッタッタ…
スチャ…
ブン ブン
ヒュン ヒュン
「避けた所をこうだ。」
ドゴン
「うわぁ!!」

“よし、チャンスだ。これで決まるかもしれないな。”俺は、少女の姉を蹴り上げ宙へと浮いた所を狙って追加攻撃をしかけた。

「連続突きぃぃぃ!!」
シュシュシュシュシュシュシュシュ
「うわぁぁぁぁぁ!!」
ドサッ

“勝ったな。なんだあっけなかったな。いや、俺のスピードが速すぎて、アイツがついてくる事が出来なかったんだ。後は、もう一回上に上げてアレを当てれば勝ちだな。”少女の姉は、俺に自分の腹部を刀で突かれて叫び声を上げ、雪の上へ仰向け状態で落ちた。俺は、次の攻撃を仕掛ける為に彼女へ接近したが、彼女はそれを待っていたかのように、素速く起き上がり、反撃を仕掛けてきた。

タッタッタ…
ムクッ…スタ
「何!?」
「なかなかやるわね。でも…甘いわよ!!」
パカッ…フィィィン
「冷凍ビームか!?くっ…。」
ヒュン…
「遅い。」
フィィィン…
「し…しまったぁ!!」
パシュウ…ピキン
「ぐはぁ!!」
ガクッ…ドサッ

“な…何でコイツはこんなにケロッとしているんだ!?腹に…腹に当てたのに全く効いていないじゃないか!!しかも…くそっ、腹に氷を受けてしまった…。さ…寒い…。体温が…ここから徐々に奪われていく…。”俺は少女の姉の口から出す水色の光線を一度はかわすが、彼女の二度目の光線を腹部に受けてしまい、あまりの冷たさに叫び声を上げて、その場にうずくまり始めていた。少女の姉は、ひるんでいる俺に近づいてすかさず追撃を仕掛けてきた。

タッタッタ…
「これで終わりよ!!アイアンテール!!」
ビュン…バシン
「ぐはぁ!!」
ヒュ…ドサ

“くそっ…もう動けそうにない…。コイツ…冷凍ビームと尻尾だけで俺をダウンに追いやるとは…。”俺は少女の姉の硬質化した尻尾を額に受けて、とばされて仰向け状態にされてしまっていた。彼女は俺の苦痛の表情へ目を向けて、俺に勝利宣言を行い、俺へ敗北宣言を促してきた。

255適当:2012/12/21(金) 22:41:28 ID:MetLiZGE
「ふん。勝負あったな。おい小僧、降参しろ。お前はもう動くことは出来ないハズだ。そんな薄い防寒効果も何もない服を着て、私の氷を受けたんだ。」
「くっ…くそぉ…。なぜだ!!なぜお前は、こんなにスムーズに動けるんだ!!ひるませたハズだろう?効いてないとは…言わせんぞ!!」
「ふっ…あはははは!!バカかお前?」
「バカ?」
“一体どう言う事なんだ!?”俺は少女の姉の高笑いを耳にした後に、彼女へ聞き返すと、彼女は俺を見下すように見下ろし、俺へ理由を言い放った。

「どうせお前は対策のしようが無いからな、教えてやる。私は、雪原地帯では常に体力を回復し続ける事が出来る。」
「なんだと!?」
「あはははは!!わかったか。まぁ、お前の素速さは認めてやろう。もう一つの特性で私の動きは素速くなるのだが、お前の剣術は速すぎて見切るのが精一杯だったな。その後の蹴り上げは負けを認めてやろう。あれは、私も防御が出来なかったからな。」

“体力を回復し続け、さらに速さもあがるだと!?くそっ…ってことは、持久戦に持ち込まれれば、こちらが負けてしまうじゃないか!!”俺は少女の姉の豪語を耳に入れてしまった事で、いつの間にか悔しそうな表情を浮かべていた。彼女は俺の反応を強めるかのように更に言い放った。

「それと、明日からは防寒着を探せ。話にならない。電気を帯電させ、体温を維持させながら闘っているのか?今のお前では、100%の力を出し切る事は出来ない。何でかは聞くなよ?私はお前の“お母さん”じゃないからな。」
「くっ…、言いたい放題言いやがって…。そんな事はわかっている。そうだな、今日は降参させてもらう。これ以上闘って勝てるとは…思…えない…からな。」
ガチガチ…
「ふん。寒いクセに強がりやがって。さっさと帰れ。体調を崩してしまわない内にな。」

俺は少女の姉の言うことに従い、腕時計についているリタイアボタンを押して【零下】のステージから姿を消した。

256適当:2012/12/21(金) 22:45:49 ID:MetLiZGE
俺は、少女の姉との戦闘を終えて真っ白い空間へと戻ると、すぐさまシャワールームへ足を速めた。“体が寒い!!寒すぎる!!急いで…急いでなんとかしなければ…。”俺はおもむろにお湯を出し、温度調節もせずに、冷え切った体へとスーツの上から当て始めた。

キュッ…ジャアアア…
ピチャン ピチャン
「はぁ…はぁ…。ふぅ〜、危なかった…。もう少しで凍…あっ、熱い!!今度は火傷してしまう!!」
キュッ
ピチョン ピチョン

腹部に受けた氷が完全に溶けたので、俺は体に急激な熱さを感じ、急いでシャワーから出るお湯を止めた。“そういえば、服を着たまま風呂に入浴(はい)っていたな…。”お湯を止めた後に、体の大部分から濡れていない感覚に気づき、自分の体に目を向けてスーツを脱いだ。“昨日も入浴(はい)ってないし、今の内に入浴(はい)るか…。”考えた矢先、突如俺に悲劇が訪れた。

ススッ…ススッ…
ガシッ…ヒュッ
ビチャ
「あっはっは。濡れているから当ぜ…ぐっ!!何だ!!は…腹が!!」

俺を襲った悲劇とは、急激な体温低下による腹痛だった。“くっ!!ガマン出来ん!!”俺はシャワールームから出て、シャワールームの隣のトイレへ足を速め、便座に飛び乗るようにしてまたがった。

ブッ…ビチャビチャビチャ…
「くっ、やっぱり下痢か…。くそっ…。朝食べた物が全く無意味になってしまった…。」
クルッ…パシッ
シュルシュルシュル…パリッ
ススッ…ススッ

不快な音を聞きつつも用を足した俺は、後ろに振り返り、貯水タンクの上へ置かれていたトイレットペーパーを手に取って、用を足した為に汚してしまった部分を拭き始めた。数回同じ動作を行った後、ようやく用を足す場所が綺麗に拭われた感覚を感じられるようになったので、トイレットペーパーを元あった場所へ戻し、作業を止めて俺は独り言を呟き始めた。

「ふぅ〜、なんてこった…。あんな寒い場所で、氷タイプと防寒効果もない服を着て闘うなんて無茶過ぎた…。俺は、そんなに毛深い方でもないのにな。」
プ〜ン
「うっ…ヒドイ臭いだ。言っている場合じゃないな。」
クイッ…ジャアアア…
「これで絶対に風呂に入浴(はい)らないといけなくなったな。まぁ、どのみち入浴(はい)るんだがな。」

257適当:2012/12/21(金) 22:50:31 ID:MetLiZGE
充分に独り言を呟き終えた俺は、便座から離れ、再びシャワールームへと歩を進めた。シャワールームへたどり着き、シャワールームから出るお湯を用いて、二日分の汚れを洗い流し始めた。先程、用を足す際に用いた部分を念入り洗い終えた事で、体の全ての部分を洗い終えると、俺は真っ白い浴槽を眺めながら、あごに手を添えて自分自身に相談し始めた。

ゴシゴシ
キュッ…ピチョン ピチョン
チラッ
ジー
スッ…ピト
「さて、どうしようか。もう寒くはないが、体を温める為に入るかどうか。」
ジー
「よし、入ろう。いや、お湯に浸かった方が良いな。寒いステージで大分体をやられているからな。」

“また腹痛が起こるかもしれない、あるいは風邪か…。”俺は懸念を交えた独り言を呟き終え、シャワーを用いて浴槽にお湯を溜めていた。“どうして、防寒着も探さずにこんな寒い格好で闘ってしまったのだろうか。”過去の自分の行動に対して疑問を抱きつつも、空(から)だった浴槽に十分な量のお湯が溜まったので、お湯を止めシャワーを元の位置へと戻し、浴槽へ体を入れた。

クッ…チャプ チャプン
「ふぅ〜。やっぱり俺は日本出身なだけはあるな。湯船に浸かると…落ち着くな。」

俺は、【零下】のステージで感じた寒気が体から瞬時に消え、体が徐々に温まる感覚を覚えて、思わず独り言を呟いていた。独り言を呟いた後に、俺はある事を思い出し、更に独り言を続けていた。

「しかし…アイツ…。冷たいだけだと思ったが、案外気を遣ってくれていたな。」

258適当:2012/12/21(金) 22:55:06 ID:MetLiZGE
アイツというのは、もちろん【零下】のステージで闘った対戦相手のことである。【若葉】のステージで闘った“フィア”と名乗る年端もいかないリーフィアの少女。その姉である、少女とは全く異なる雰囲気を兼ね備えた灰色の体を持つグレイシア。俺は、初め少女の姉と会話を交わした内は、“雌らしさが見えない程の、相手の事をつき放すヤツ”だと思っていたが、彼女との対戦を終え、彼女が別れ際に言った言葉を思い出し、改めて彼女の事を思い直していた。“さっさと帰れ。体調を崩してしまわない内にな。”もし、本当に相手に対して冷たい性格ならば、ここで気を遣うような対戦相手を心配するようなセリフを口にするだろうか。いや、そんな事は絶対に有り得ない。”俺は少女の姉のさりげない優しさを思い返しながらも、もう一つの推測を口に出していた。

「ん?とすると…あれは…。俺をバカにするような言い方は、もしかして俺に手加減させずに本気で闘わせる為の…。」

“そうか、そういう事だったのか!!なんだ…案外優しいヤツじゃないか。だが、単に俺と本気で闘いたかっただけなのかもしれないな。あっ、いやそんな事はどうでもいいか。そろそろ…上がるとするか。昼食も用意されている事だしな。”俺は、しばらくの間ぼうっとして湯に浸かりながら結論を導き、新たな推測を立てつつも、一番左端の方から鼻をくすぐるようないい匂いを察知出来たので、浴槽から出て浴槽のお湯を流し、洗濯機の中に入っていた白いシャツを取り出し、脱いだスーツを洗濯機に入れて洗濯機を動かし、白いシャツを着て食事ルームへと歩を進めた。

スタ スタ スタ
スク…グッ…
「今日の昼飯も美味そうだな。ここでは、これが唯一の救いか。」

俺はトレーに乗せられていたビーフシチューの皿を見て独り言を呟いていた。“しかし、なぜこんなに美味い物が出てくるんだ?本当に連中は、俺を実験体として監禁したのだろうか。”俺はビーフシチューと主食であるパンを交互に口に運びながらも頭を回転させて、監禁された真意を追求し始めた。“そもそも、レベル30台の俺をレベル50台と闘わせる事に何か意味があるのだろうか。普通に考えても力の差が歴然で、まず勝てるハズがない。実験体として用いるなら、同じレベルの者同士競わせた方がいいのではないだろうか。”俺はメインとサブメニューのお皿を空っぽにし、手に持っていたフォークを置いてあごに手を当て、首を傾げ推測を口にし始めた。

259適当:2012/12/21(金) 23:00:45 ID:MetLiZGE
「う〜ん、一体何が目的なんだ?俺の…内に秘めた力でも見ようと言うのか?」
カチャ…
「んぐんぐ…。ぷはぁ〜。まぁ、戦闘を終えた後に体力を回復させてくれる事はありがたいが…。」

誰も答えてくれる者はいない。そんな事は理解していながらも、無意味な独り言を呟き終え、トレーの上にあった青色の液体の入ったグラスを手に取り、液体を体に流しこんだ。その後に、空になったグラスを置き腕時計を見やった。【14:00】という表示が出ていたので、もう一戦いけるのではないか?と感じて、洗濯機の方へと足を運んだ。だが、食事の時間<スーツの洗濯が終わる時間となっていたので、当然洗濯機の時間表示画面は、“0(ゼロ)”になってはおらず俺の意志を無視するかのように動作を続けていた。

ウィン ウィン…
「う〜ん、困ったな。やはりスーツごと入ったのはまずかったか…。そもそも、昨日も洗濯していないから脱水だけでは無理だがな。」

俺は、自分の意志を無視して動き続けている洗濯機の音と、時間表示画面を見て困惑の表情を浮かべていた。俺の場合、洗濯をした後に乾燥もいっぺんに行うので、どんなに食事をゆっくりと進めていても、自分の意志を通す事は出来ないのである。“待てよ…本当にスーツは一着だけしかないのか?一着だけなら、毎日洗濯しなきゃならないし、手間が掛かり過ぎやしないか?”俺は新たな疑問を思い浮かべ、洗濯機を離れ、スーツを手に入れたタンスへと足を運び始めた。足を運び終え、タンスを事細かく調べていると、同じスーツが一着だけたたまれた状態で、引き出しに入っている事に気がついた。

ガー
チラッ…ガシッ
「なんだ、もう一着あるじゃないか。こんな事にも気がつかなかったなんて、俺は一体何をやっているんだ?」

引き出しに入っていたもう一着のスーツを手に取り、安心したように言葉を漏らし、着ている白いシャツをハンガーに掛けて、もう一着のスーツを着始めた。“そうか、気がつかない程実は監禁されていた事に焦っていたのだな。”俺は、始めてこの部屋に連れて来させられた時の事を思い出しつつも、スーツを着終え、刀を取る為に中央へと歩を進めた。

260適当:2012/12/21(金) 23:03:31 ID:MetLiZGE
スタ スタ スタ
スクッ…ガシ
シュル シュル…クッ クッ
「よし、準備が出来たな。リベンジだ。アイツは雪原地帯ではスピードが上がる。体力を回復し続けると言っていたが、本当は思い込ませる為に言ったんじゃないか?ひるませられなかったのは、寒さにより俺のパフォーマンスが全力でなかったからだ。」

“そうだ考えても見ろ、雪の場所にいるだけでそんなスゴイ事が出来るハズがない。それが出来るなら、フィアだって草原地帯にいるだけで、二つの特性が発動する事になってしまうじゃないか!!氷タイプにとっては、雪原地帯がスタンダードな戦闘ステージなんだ。だったら、同じのハズ。きっと…何かもっと条件がそろわないとダメなはずだ。”俺は刀を背中に結び終え、【零下】と示された扉を見つめて、零下の番人が語り出した自分を絶望に追いやるような発言の矛盾点を見つけ、推測を立てた。“だが、もしそうであったとしても、あのステージにそのままの状態で行けばまた同じだ。体に電気を溜めて、一定時間保温状態にして行った方がいいな。”俺は懸念を抱いたので、その場に留まって目を閉じ意識を集中し始めた。

スッ…
パチ…パチパチパチ…
「よし、これでまぁ何とかなるだろう。と言っても、恐らく20分程度しか持たないだろうが。」

俺は、体に電気を蓄電し終え、零下の番人との再戦に挑む為、【零下】のステージへと歩を進めた。

261適当:2012/12/21(金) 23:07:42 ID:MetLiZGE
俺は【零下】のステージへとたどり着いた。初めて来た時とは違った感覚で、白銀の世界を眺めていると、前方から慌てて灰色の体を持ち、水色の軍服を着た少女の姉がやって来た。“モニターで俺の様子を告げられているはずなのに、なんでこんなに慌てているんだ?”俺は彼女が息を切らして俺の数十m先へたどり着いた様子を、首を傾げながら眺めていると、彼女が俺に“予想外だ!!”とばかりに言い放って来た。

タッタッタ…
「はぁ…はぁ…。こ…小僧…。どうなっている?」
「は?何がだ?」
「お前は一日に“二戦”もするようなヤツじゃなかっただろう!!私が何をしていたかも知らないで、のこのこと入室(で)て来やがって!!」

“別に多少遅れても構わないと思うのだが…。相手が雌で都合が悪い時?う〜ん、なんだろうな…。”俺は首を傾げて、少女の姉の質問に答えずに黙っていると、彼女が自ら俺へ告白して来た。

「ティータイム中に挑んで来るヤツがいるか!!馬鹿者が!!」
「は?ティータイム?いや、待て。君の都合なんて俺が知るワケないじゃないか。」
「黙れ!!私の妹の事を知っているのだろう?だとしたら、お前と出身国が違う事ぐらいわからないのか?“ジャパン”とは風習が違うんだ!!少しは考えろ!!」

“いや、俺に言われてもな…。だが、ティータイムとやらを邪魔されて随分とご立腹らしいな。ティータイムを大事にする国?う〜ん、どこだ?アメリカじゃないし、アジア圏でもない…。ヨーロッパのどこかと思うのだが、検討がつかないな…。”俺は少女の姉に従い、頭を少し働かせてみたが、何の答えも推測すらも立てる事は出来なかったので、興奮している彼女を落ち着かせる為に、説得を試み始めた。

262適当:2012/12/21(金) 23:11:12 ID:MetLiZGE
「なぜそんなに怒っている?いいじゃないか。多少遅れて来たって。雌が用事が長い事ぐらい十分に理解しているつもりだからな。」
「私は遅刻というモノが嫌いなんだ。一日に“二戦”だと?お前…私をナメているな。体力も“全回復”させずに、私に“再戦”を挑んでいるんだからな。」

“まぁ、ダメージがこれと言ってあったワケじゃないし、それに決着が早かったからな。…これは言わない方がいいな。そんな事より、コイツの特性をキチンと確かめる方法を考えなくては。”俺は彼女へ返答せずにしばらく黙って頭を働かせていると、彼女が更に苛立ち俺へ返答を求めて来た。

「………。」
「おい、何とか言ったらどうなんだ?私は壁と話しているのか?」
「あ…、すまない。いや、君が…。」
「君が?」
「その…、あまりにも可愛くってな。」

“あっ!!マズい!!これは、今のコイツに対する挑発じゃないか!!くそ…、余計に怒らせてしまった!!。”俺は雌が苛立った際に用いるいつもの返しで、つい彼女をなだめてしまったので、案の定彼女はまゆを吊り上げ、更に強い睨みを効かせて俺に言い放った。

「はぁ〜ん。やっぱりお前、私をナメているな?覚悟しろよ?二、三日は闘えないと思う事だな。」
「ち…違う!!決して君をバカにはしていない!!言い間違えたんだ!!」
「言い間違えた?あんなに黙りこんでいたのにか?ただ、ボーっとしていただけか?」
「あっ…。」
「もう許さん。おい、始めるぞ。体力“最低値”まで追い込んでやる…。」

“うわぁ…やってしまったな。これ、ますます悪化させてしまったじゃないか!!”俺は少女の姉へ必死の弁解をしたが、言葉の選択を誤ってしまい、彼女の神経を逆に撫でてしまう結果を招いてしまった。俺に刺激された彼女は、俺へ静かに言い放って来たが、目をますます鋭くし、俺の体に穴を開ける勢いで見つめていた。彼女が言い放った後に、恒例の戦闘開始の合図が鳴り響いた。

263適当:2012/12/21(金) 23:15:07 ID:MetLiZGE
プンッ…
『READY…GO!!』
「行くぞ小僧!!覚悟しろ!!」
タッタッタ…

“うわ…冷静さを失って、先制攻撃をしかけて来ている…。たいあたり…はまず無いよな?恐らく俺と同じブレードテイルを使って来るハズ…。ここは、一旦避けてカウンターだ!!”俺は刀を抜き、少女の姉の方を見やり、攻撃を見極め始めた。

「電光石火!!」
シュン シュン
「くっ…。」
バッ
「甘い!!氷の牙!!」
ピョン
ギラッ…
「くそっ…。」
バッ バッ
ガチン
「はぁ…はぁ…。この小僧!!体に穴を開けてやる!!」

“いっけんはかみつくに近いが、たぶん別物だ。だが…コイツは冷静さを失っている。もう二、三発避けて一旦あごを蹴り上げて飛ばそう。”俺は、少女の姉の接近攻撃をバック転を使って避けた。彼女はこめかみに血管を浮き出させて、息を切らしながらも俺へ強く宣言し、再度同じ技を繰り出して来た。

ピョン…ガチン
「ふっ!!」
ヒュン
「逃げられると思うな!!」
ピョン…

“今だ!!ここで蹴り上げて連続攻撃だ!!そろそろ防寒着を探さないと、蓄電での保温効果が切れてしまう!!”俺は少女の姉がとび上がって接近して来た所を見定めて、彼女のあごを蹴り上げ、ナナメ上に飛ばし必殺技を放った。

「たぁ!!」
「何!?しま…」
ドゴン
「ぐはぁ!!」
スッ…
「連続突きぃぃぃぃ!!」
シュシュシュシュシュシュシュシュ
「ぐわぁぁぁぁぁぁぁ!!」
シュン…
「空中一閃…はぁ!!」
バシン
「ぐはぁぁぁ!!」
ヒュー…ドサッ

“よし今だ!!アイツはもう当分立てない!!追撃はするな。初戦のように、ワザと攻撃を受けて俺自ら接近させ、冷凍ビーム…もしくはそれ以上に恐ろしい技を使うかもしれない。”俺は少女の姉の体を刀で連続して突いて、素速くナナメ上に電光石火を用いて飛び上がり、彼女へ接近して彼女の腹部へ攻撃を当てた。最後の一撃が見事に決まったので、彼女は数十m弧を描くようにして飛ばされ、背中から雪で覆われた地面へ落下した。俺はそれを見計らって、刀を収め右の林へかけ出し彼女の前から、一時姿を消した。

264適当:2012/12/21(金) 23:19:46 ID:MetLiZGE
タタタ…
「はぁ…はぁ…。よし、まいたようだな。フィアよりも体力がありそうで、あれだけで倒れるハズがない。一時の休戦だ。この間に防寒着を見つけなければな。さいわい、俺のスーツは白。カモフラージュ効果も十分に期待出来る。」

俺は右の林へと移動し終え、呼吸を整えて“時間の猶予はあまり無い”と自分に言い聞かせ、林の奥へと進み探索を開始した。

シャリ シャリ シャリ…
「雪を踏んだ音も結構でかいな。」
シャリ シャリ シャ…
ブルッ ブルブル

“うっ…寒くなって来た。くそっ…蓄電の効果が短すぎる!!予想通りの二十分位なんだが、三十分位はもって欲しかった…。”俺は林の奥へ奥へと進み、自分が奏でる足音を気にしていたが、【零下】のステージに来る前に行(おこな)った蓄電による保温効果が切れるのを感じ、体が震え始めたので、音を気にする事なく足を速め、首を左右に速く動かし箱を探し始めた。

シャ シャ シャ…
キョロキョロキョロ…ピタッ
「あっ!!あった!!これだろう!!防寒着は!!」

俺がしばらく探索を続けていると、金色の箱が数十m先へ設置されている事を発見し、足を止めて金色の箱がある方向へ走り出した。金色の箱へ近づき、金色の箱を開けると、厚く暖かそうな同じ色のスーツと説明書が入っていた。“説明書なんていらないのだが…。まぁ、一応目を通しておこう。”俺は、スーツを手に抱え説明書へと目を通した。

【防寒戦闘用スーツ 防寒効果がある戦闘用スーツ。脇腹と太腿側面付近に更に保温効果を高めるスイッチがあるが、支給した直後は電力が“0”となっており、すぐには機能しないので注意すること。保温効果を高めるスイッチを押せば、凍結も防ぐ事が出来る。電力は、着たまま電気を体外に放出すればスーツへ充電する事が可能。】

“すごいじゃないか!!凍結も防げるだと?って事は、アイツに限りなく接近できるじゃないか!!アイツは遠→近と攻撃を変えなければ接近戦闘は出来ない。四足だから接近戦闘は苦手のハズ。”俺は説明書のある一文を読んで一匹でにはしゃいでいた。後半の文章もしっかりと目を通したが、目的の物が予想外にも優れていたので、興奮を抑える事が出来ずにスーツをじっくりと眺めていた。

265適当:2012/12/21(金) 23:23:02 ID:MetLiZGE
ジー
「ほ〜う、これが凍り状態を防ぐスイッチか。俺の電気で充電出来る所がまたいいな。コンセントを使うとなると、時間が掛かるか…」
シャリ… シャリ…
ピョン…ピタッ

“もう来たか。やっぱり早いな。ひょっとすると、本当に体力を回復し続けているのだろうか?”俺は背後の足音を察知し、箱からすぐに離れて木に背を預けて、音のした方向へと目を向けた。

チラッ…
キョロキョロ
「くそっ…どこへ行ったあの生意気な小僧め。」
シャリ シャリ
「私は鼻が利かないからな。目だけが頼りだ…。くそっ…。」

“やっぱりすぐに起き上がって追跡(つ)けてたかもしれないな。ただ、俺の足が速くて追いつけなかったと言うことか。ん?あれは…そうかわかったぞ!!やっぱりアレはウソだ。あの傷は俺の刀のあと、そして口を切っている。よし、このスーツを着てたたみかければ俺の勝ちだ。”少女の姉は怒りの表情を浮かべて独り言を呟きながら、首を左右へ動かし目的の者を探していた。俺は目を凝らして彼女をみやると、彼女の体の至る所に刀を受けた傷を発見出来たので、不敵な笑みを浮かべて、手に入れたスーツを着る為、彼女に気づかれないように距離を取ろうとしたその時、俺に災難が降りかかり始めた。

“ここでは距離が短い。スーツを着る為一旦距…。”
「クシュン」
ピクッ ピクッ
「ん?何か音がしたな…。」

俺は突然の鼻のむずがゆさに我慢出来ずに、自然に音を漏らしてしまっていた。少女の姉は、立ち止まり耳を動かして首を傾げていた。俺はあわてて口を塞ごうとしたが、再度音を漏らしてしまっていた。

“待て!!何でこんな時に!!ふざけ…”
「ハックシュン」
ピクピク
「こっちか。」
シャリシャリ…
タッ…
“マズい、感づかれた!!もう急いで距離を…”
ピタッ
「ハックシュン!!」
「そこか!!」
フィィィィン…
「しまっ…。」
ピキン
「ぐわぁ!!」

俺は自らたてた音でスーツのカモフラージュ効果を台無しにして、少女の姉を感づかせてしまい、彼女から距離を取ろうとしていた所を水色の光線で狙い打ちにされて、尻尾を凍結させられてしまっていた。俺は、何とか痛みをこらえて彼女へ方へ向き、刀を抜いて構えたが、彼女は更なる追い討ちをかけ始めた。

266適当:2012/12/21(金) 23:30:12 ID:MetLiZGE
「小僧喰らうがいい。」
パカッ…
シャン…スチャ
「くっ…イチかバチか刀で…。」
ピシュン
「何!?はやす…」
パシュウ ピキン
「がはぁ!!」

“な…何だ今の技は!?冷凍ビームよりも短く、速すぎる!!しかも…体力が一気に減り始めている!!何なんだこの技は!!”少女の姉は、口を小さく開けて真っ白い氷の弾丸を飛ばし俺の腹部へと命中させた。俺はあまりの速さに驚いてしまったので、攻撃が当たる場所をずらすことが出来ずに攻撃を受けてしまい、あまりの激痛に襲われてその場にうずくまっていた。彼女は、俺が苦痛の表情を浮かべている様子を見て、勝利の笑みを浮かべて俺へ言い放った。

「あはははは!!どうだ、私の“絶対零度・スナイパー型”の味は?」
「うぐぐ…、す…スナイパー…だと?」
「おっと、喋っているヒマなんてない。お前に受けた傷を消さなければな。」
スッ…
「空気よ。凍れ。」
フゥゥゥゥ…ピキン ピキン

“あ…あれは…。見たことがある。あれは、霰(あられ)じゃないのか!?”俺は激痛に耐えながらも、彼女が上を向いて口から冷気を放っていた様子を眺めていた。数秒後、彼女の頭上から氷の塊が出現し、彼女へと降り注ぎ始めた。

パラ パラ パラ
ピタ ピタ ピタ
シュウウウ…
「いいぞ。体が癒されていく…。」

“き…傷が消えている!?やっぱりそうだったのか!!コイツは雪原地帯にいるだけでは、体力は回復出来ない。自分の周囲に霰(あられ)がないと、体力を回復出来ないんだ。今の俺には勝ち目はない。コイツは怒っている。せっかく手に入れたこのスーツも取り上げられるかもしれない。逃げるんだ…何とか隙を突いて…。”少女の姉は、頭上に出現させた氷の塊を体に受けて、目を閉じてわずかに心地の良い表情を浮かべていた。俺は彼女が氷の塊を受ける度に、彼女の口元の傷やほほの傷が消えていく様を見やりつつも、彼女に気づかれないように片手に雪を握りしめて、激痛に耐えつつも彼女へ話しかけた。

267適当:2012/12/21(金) 23:33:20 ID:MetLiZGE
「やっぱり雪だけでは…回復出来なかったんだな。」
「あはは。その通りだ。あれは、お前をダマす為の口実だ。まぁもっとも、私は自分で霰(あられ)を作り出せるから、防ぎようがないがな。お前の勝ちなどとうに無い。」
「そうか。なら…抵抗させて…もらう。」
ギリ…ギリギリ…

俺が激痛で顔を歪めて歯を食いしばりながら宣言した事を、彼女は不敵な笑みを浮かべて笑い飛ばし、俺へ訊ねてきた。

「あはははは!!それでどうやって抵抗する気なんだ?30%〜40%の体力で私の攻撃を避けられると思っているのか?」
「ふっ、こうやってな!!」
バッ…
「何!?」
バシュウ
「うわぁ!!この…小僧待…」
シュン シュン
カチッ…
シュイイイイン…
「逃がすか!!絶対零…。」
シュン
「度…。ちっ、逃げられたか。あの小僧め顔を狙いやがって…。私は雌だぞ?少しは考えて攻撃しろ。」

俺は彼女へ言い放った直後に片手で握りしめていた雪を投げつけて、彼女の顔に命中させ、手に入れたスーツをしっかり腕に抱えて、電光石火を用いて彼女から逃げ、リタイアボタンを押し【零下】のステージを抜け出した。

268適当:2012/12/21(金) 23:37:13 ID:MetLiZGE
俺は【零下】のステージを抜け、再び真っ白い空間へと戻って来た。戻って来た途端、【零下】のステージで感じた寒気から解放されたので、安堵のため息を漏らそうとした。だが、その直後に腹と尻尾からくる激しい痛みに襲われ、真っ白な空間に叫び声を響かせてしまっていた。

シュン…
「ふぅ…。よし、無事に逃げ…。」
ピシッ…ジーン
「ぐわぁぁぁぁぁ!!は…腹と…尻尾がぁぁぁぁ!!」

“くっ…このままでは、本当に10%まで体力を持っていかれてしまう!!”俺は、激痛をこらえて歯を食いしばりながら、片手に電流を集めて叫ぶような声の調子で技名を大きく宣言し、自らの腹部へ当てた。

グッ…パチパチ
「電…撃…」
パチパチ
「拳!!」
ドゴォ
バキバキ…バキン
「がぁぁぁ!!」
ドサ

腹部へ強打を加えるとたちまち腹部を覆っていた氷は割れて、俺を激痛から解放した。だがその反面、俺は硬い物質(もの)に自分の拳を当てて砕いてしまったので、強い反動を拳に受けて叫び声を上げてしまっていた。“はぁ…はぁ…。よし、何とか…一番厄介な所の氷は割ったぞ…。あとは…、そうだな。急がないと体力3割以下に低下(お)とされてしまう…。”俺は、拳と尻尾から来る痛みをこらえて立ち上がり、体中の電流を尻尾に集め、尻尾の氷を溶かし始めた。

「はぁ…はぁ…。」
スクッ…
「うぉぉぉぉぉ!!」
パチ…パチパチ
ダラ ダラダラ…
「うおりぃやぁぁぁ!!100万ボルトォォォォォ!!」
バチン バチン バチン
ダラダラダラ…ピキン
パラ パラパラ…
「はぁ…はぁ…。や…やっはぁったぞ…。何とか…溶かす事は出来た…な。」

269適当:2012/12/21(金) 23:39:11 ID:MetLiZGE
実際には、そんな高電圧までいっていたかは定かではないが。俺は叫びつつ尻尾に大量の電流を集め尻尾を覆っていた氷を徐々に溶かし、見事に氷を電気による摩擦熱で割る事に成功した。その後激しく呼吸が乱れ、俺はその場に仰向けになって倒れてしまった。

クラッ…
「うっ…。」
バタン
「はぁ…はぁ…。だ…ダメだ。電気を…使い過ぎた。」
カクッ…カクッ…
「少し…寝よう…。その方が…い…い…な…。」
シュルシュル…パシ
スッ…カクン
「ZZZ…。」

俺は疲労の為か、強烈な睡魔に襲われて目を自然に閉ざし始めていた。やむを得ず、休憩を取る事を決断し、背中に結びつけていた刀を解いて、刀を手へ移し握りしめた。あまりに強烈過ぎた睡魔だった為か、刀を手の平寝かせたまま俺は目を閉じ、眠りの世界へ旅立ってしまっていた。

270適当:2012/12/21(金) 23:42:26 ID:MetLiZGE
3時間後…

俺は長いような短いような眠りから目を覚まし、あくびをして起き上がった。“今、何時なんだ?”俺がふと時計を見ると、【19:00】と表示されていた。俺は、もう一度大きくあくびをし、目覚めの儀式を行い始めた。

ブンブンブン
パン パン
「よし、まぁまぁ動けるまでは回復したな。残念ながら電気はまだ出せそうにないが。」

俺は首を左右へ激しく振り、ほほを両手で少し強く叩いて意識をはっきりとさせ、【零下】のステージで手に入れたスーツの事を思い出し、首を動かして手に入れたスーツを探し始めた。自分のすぐ近くにあったので、手に入れたスーツを見て安心し、手に入れたスーツをじっくりと観察し始めた。

キョロキョロ
「よし、ちゃんと持ち帰る事が出来たな。」
パシッ…ヒョイ
ジー
「ほ〜う、これが凍結防止スイッチか。このスイッチもよく見ると、雪のステージに溶け込みやすい灰色に近い色をしているな。」

“意外と親切設計なスーツだな。スイッチってもっとこう派手な色じゃないのか?”俺は、スーツに目を通し、スーツ全体が敵に発見されにくく施してある事に気づいて、自然に笑みをこぼしつつも、わずかに疑問を抱いていた。“まぁいいか。それよりもメシだ。”食事ルームから漂ってくる空きっ腹を刺激するような香りに誘われたので考える事をやめ、手に入れたスーツをその場へ置き、俺は食事ルームへと足を運んだ。

スタスタスタ…ピタ
スクッ…トン
「くんくん、今日も美味そうだな。そういえばいつも思うが、なぜこんなに美味いものを食わせてくれるんだ?監禁しているのに…。無理矢理闘わせているのに、おかしな連中だな。」
カチャ
スク…ズズッ…
ゴックン
「うん、うまい。あっ、ひょっとして“俺”を軍隊に入れたいのか?PIAエージェント候補である“俺”を。だったら、入隊(はい)ってやらないことも無いのだがな。」

271適当:2012/12/21(金) 23:46:18 ID:MetLiZGE
“本当はただ早くここから抜け出したいだけなんだが…。”俺は監禁した連中に自信気に、自慢気に自分の事を押し上げて言い放った。その時俺は、“早く抜け出したい。抜け出させてくれ。”と甘えるような態度は一切顔に出さず、“軍隊に入隊(はい)ってやってもいい。お望みならば。”と監禁されているにもかかわらず、“しょうがないなぁ。”という表情を浮かべていた。“これで本当に解放(で)られたらいいのだが、まずそんな事はないな。俺は監禁した連中に言い放った後に、すぐに思い直し黙々と食事を進めた。メインのクリームシチューを隣にあった米と合わせて平らげ、副菜のサラダを平らげ、ついにはドリンクにさしかかろうとしていた。

パクッ…カチャ
ゴックン
「はぁ〜。今日は最高だな。ここで青色のヤツが出てきたら最悪だったが、この…」
パシッ…ヒョイ
「まぁまぁ美味い、しかも青色よりも体力が回復する黄色のヤツだからな。わかっているじゃないか。」

俺は誰も返事を返してくれるわけでもないのに、独り言を淡々と呟きながら、トレーの上にあった黄色の液体が入ったグラスに目を向けて、自然に笑みをこぼし黄色の液体を体へと流し込んだ。結果はわかっていたが、黄色の液体を体に流し込む度に、体にたまっていた疲れが消え去っていくのを感じた。“そういえば、これに使われている実(み)って“オボン”とか言うんだったよな?オボン…聞いた事がないな。日本にそんな不思議な木の実なんてあったのか?いや、そもそも日本にあるのか?”俺は黄色の液体を飲み干し、グラスをトレーに置いてあごに手を添えて、少女が口にした言葉を思い出し、考えあぐねていた。“オボンなのか?それともOBONでOなんとか、Bなんとか、Oなんとか、Nなんとかの略なのか? ……。ああー!!わからん!!というか、俺はさっきからなんてどうでもいい事を気にしているんだ!!こんなの…味がラ・フランスに似ているから、ラ・フランスもどきかラ・フランス(黄)でいいじゃないか!!そうだな、大体なんなんだオボンって。お盆…こっちと思ってしまうじゃないか!!俺は、ラ・フランスもどきでいい。よし、そうしよう。オボンなんて意味がわからん。”俺は長考の末に結論を強引に出し、自分の脳内(なか)で名前を決定付け、考える事をやめた。その後中央へと足を運んで食事ルームから離れ、再び手に入れたスーツを手に取り鑑賞し始めていた。

272適当:2012/12/21(金) 23:51:18 ID:MetLiZGE
スタスタスタ
パシッ
チラッ…
「同じような仕組みのスーツで使いやすそうだな。体は温まったが、着けてみるか。」
ジィィィ…
ススッ…ススッ…
ジィィィィィ
ブン ブン
「よし、動きやすい。それに暖かいな。これなら、あのステージで闘っても寒くないから、100%の力を出し切れるハズだ。」

俺は手に入れたスーツを試着し、着心地の良さ・使いやすさを実感し、笑みをこぼして自信のある表情を浮かべ始めていた。“だが、これだけでは足りない。せっかく凍結防止機能を備えてあるんだ。これをいかさない手はない。”俺は【零下】のステージで手に入れたスーツの説明書に記されていた内容を思い出し、スーツの補助機能を発動させる為のスイッチへと目を向け、位置を再確認し、意識を集中し始めた。

「ふぅ〜。よし…。」
キッ…
パチ…パチパチ…
パチパチパチ…
キュウウン キュウウン…
「これは、電気を充電している音か?」

俺がスーツへ電流を流しこむと、高温の機械音が徐々に聞こえ始めた。俺は、電流を流しこむ事をやめて、スイッチへと手を伸ばした。

カチッ
ブーン
ジワ…ジワジワ…
「おお!!こんなに熱くなるのか!!これなら、凍結を防ぐ事が出来そうだな。ただ、熱いからもうやめるか。今は寒くないし、汗なんてかきたくないからな。」
カチッ…フッ…
「充電は出来ているみたいだな。ただ…残量がわからんところがこのスーツの欠点だな。」

“う〜ん、いつ充電完了かどうかがわかるんだ?何か、ランプでも付いているのだろうか。”俺は、スーツの補助機能を十分に堪能した後、腰の辺りにあるスイッチを押して補助機能を停止させ、難しい表情を浮かべて、スーツに対する批評を行っていた。“もしかしたら、わかるかもしれない。”俺はそう思い、スーツにまんべんなく目を通したが、充電完了を知らせるランプらしき物は見当たらなかった。“じゃあ、なんなんだ?ひょっとして、充電完了したら変な機械音が止むのか?”俺は新たな推測を立てて実証へと行動を移した。

273適当:2012/12/21(金) 23:54:58 ID:MetLiZGE
キッ…
パチ…パチパチ…
キュウウン キュウウン
パチパチパチ…
キュウウン キュウウン
「う〜ん、さすがに凍り状態を無効するとなると大量の電気が必要か。それとも、抵抗がすごいのか?電気タイプが充電しても、電圧のオーバーで壊れないよ…」
キュウ… フッ…
「う…。あっ、止まったな。」

“やはり、そうみたいだな。ところで…これって何時間まで持つんだ?凍結を防ぐって事は、かなりのエネルギーを消費するんじゃないか?う〜ん、一体どれ位なんだろうか?”俺は、しばらく鳴り響いていた高温の機械音がやんだ事で、自らの推測を確信しつつも、新たな疑問を思い浮かべて、スーツをじっと眺めながら、再度考えあぐねていた。“説明書には、何も書かれていなかった。電気タイプで充電してもそこそこの時間が必要…。30分位か?氷タイプの氷は、氷点下の温度のハズだからな。マイナス30度とか50度とかその辺りだろう。0度のハズはない。その氷を溶かすには相当の熱が必要なハズ。とすると…やっぱりその位か。”俺は疑問に対しての推測を再度立てて、確信できる内容を折り混ぜ、三度(みたび)スーツの仕組みを確認し始めた。

キョロキョロ
カチャ パカッ…
カチャ パカッ…
「バッテリーパックらしき物はないな。あのスーツと同じ様に、これは物を入れるポケットだからな。」

スーツを隅々まで確認し、“これなのでは!!”と思う所を開けて確認したが、何も入っておらず、補助道具が入る位の大きさの空間が広がっていただけだった。“まぁいいか。もし仮に連続10分とか20分とかしか持たないなら、凍らされた瞬間にスイッチを押して溶かせばいいか。”俺は、スーツの仕組みを確認する作業と考える事をやめた。その代わり、万が一の事態に備えた使用法を思い浮かべて、その場で仰向けになり、手に入れたスーツを着たまま、眠りの世界へと旅立った。

274適当:2012/12/21(金) 23:58:30 ID:MetLiZGE
Day9

俺は目を覚まし真っ白な天井と、真っ白に光ったままの複数ある電球を視界に入れ、刀を背中へ結び戦闘の準備をし終えて、腕時計へと目を向けた。【10:30】と示されている表示画面を見て、“あのジュースを飲んでも、やはり疲れていたんだな。”と考察し、既に用意されていた冷めきった食事を口へ運び、【零下】と示された扉へ歩を進めた。

ビュオオオ…
チラッ…
「来たか、生意気なピカチュウの小僧。」

俺は【零下】のステージへとたどり着き、周りの景色に目を向けようとした時、前方に灰色の体をもち、水色の軍服を着ていた者が、左の林の方へ体を向けたまま、雪で覆われた地面へ腰を下ろしていた。彼女は、俺が【零下】のステージへ到着した事に気づき、横目を流して俺へ辛辣な言葉を言い放って来た。“普通は、まずあいさつからだろう。相当根に持っているらしいな。”俺は、彼女の心を試すように自然と思わせる笑みを作り出し、彼女へ軽く会釈を行った。

「おはよう、グレイシアのお嬢さん。今日は、やたらと早いな。」
「なんだその顔は。余裕とでも言いたいのか?」
「余裕?何の事だ。」
「あはは。わかっているくせに言わせるのか?だが言ってやろう。私に“勝つ”のは余裕とでも言いたいのか?」

“やっぱり怒っているな。笑っているのを変な意味に捉えている。”俺は、少女の姉の突き刺すような視線と、静かな怒りを強調するような作り笑いを見届け、彼女の質問に対して否定の意を示した。

「そんなワケないじゃないか。君の技はどれも強力で、まともに受けていられない。それに発動もなかなか速い。ある程度方向を予測しながらかわす事で精一杯だ。」
「私の攻撃を見切っているとでも言いたいのか?」
「見切っているワケじゃない。避(よ)けられるのは偶然、決して必然なんかじゃない。それに、君は広範囲の攻撃の“吹雪”を使わずに、スピードタイプの俺を倒しているじゃないか。俺は速さに自信があるつもりなんだが…。」
クルッ…
「それはお前が100%の動きが出来ていないからだ。βのシャワーズ攻撃を避(よ)けられるのだから、私の攻撃も避(よ)けられるだろう?」

俺は、少女の姉をなだめようと彼女を好評価し、自分の事を謙遜したが、彼女は表情を一切変えず、体を正面に向けて再度質問を行って来た。俺は、彼女の表情をやわらげるために、彼女の質問へ否定の意を示し、彼女へ悩みを訊くように、質問を行った。

275適当:2012/12/22(土) 00:03:11 ID:ciHwxcCE
「いや、あのシャワーズには勝ってはいない。避(よ)けられたのは偶然でしかない。というかなぜそんなに怒っているんだ?何かあったのか?」
「ああ、あったな。」
「言ってみろ。」
「お前に顔を殴られた。それが怒っている原因だ。雌の顔を攻撃するって、どうゆう神経をしているんだ、お前という小僧は。」

“顔?連続で突いた時に当ててしまったんだな。失明させてないだけで安心したが、何かと条件が多いな。”俺は少女の姉へ謝罪せずに、“お前の意識は甘過ぎる。”とばかりに言い放った。

「君と俺はケンカをしているんじゃない。死闘をしているんだ。顔を殴られて文句を言うのはおかしくないか?」
「お前の持っている刀で攻撃されたからだ。お前が素手でなら文句はない。失明したらどうするつもりなんだ馬鹿者が。」
「それはすまなかった。だが、だからと言って刀を使わないワケにはいかない。刀無しでは、君に与えられるダメージは無い。状態異常をマヒにする事しか出来ない。」
「あはははは!!当然だ。今のお前は40レベルにしか達していない。私は55レベルだ。お前のパンチでは、私の防御力を上回る事は出来ない。」

“55…すごいな。そして、俺は今40まで上がったのか。よっぽど、苦戦を強いられて来たんだな。”俺は、少女の姉が高笑いしてこぼした情報をしっかりと受け止め、質問を行った。

「君の妹のフィアという名前のリーフィアは結構強かった。フィアのレベルはどれ位なんだ?」
「教えられんな。私よりも下だ。あとは、自分で勝手に想像している事だな。」
「あっはっは。もしかして、君よりも強いんじゃないのか?」
「うるさい、黙れ。教えようが教えなかろうが、お前は私に倒される。それだけだ。」

276適当:2012/12/22(土) 00:05:59 ID:ciHwxcCE
“相変わらず冷たいが、反応はしてくれるみたいだな。無視してさっさと始めるかと思ったが。”俺が少女の姉に意地悪気に訊ねると、少女の姉は表情を一切変えなかったが、目上をピクリと動かして、俺へ言い返して来た。俺は首を傾げて、彼女へ質問を訊ねた。

「どうして?別に減るモノでもないし、俺を追い込むには打ってつけじゃないか。」
「βのシャワーズとθのエーフィと闘ったヤツが、そんな事ぐらいでひるむわけない。二匹ともお前を甘く見すぎていたんだ。だから負けた。」
「いや、シャワーズには勝っていないと言ったじゃないか。」
「そんな言葉に流されるとでも思っているのか?もういい、さっさと始めるぞ。お前をさっさと倒してここで涼んでいたいからな。ハッキリ言って“お前は邪魔だ”。」

“ワガママな対戦相手だな。だが、今日は負けない。”俺は少女の姉の突き刺すような言葉を耳にしたが、心情を変化させずに彼女を見据えていた。彼女は俺からの返答が無い事を見計らい、自分の軍服の右ポケットに前足を忍ばせた。彼女の動作の数秒後、恒例の戦闘開始の合図が吹いている雪の音と混じって聞こえ始めた。

277適当:2012/12/22(土) 00:13:58 ID:ciHwxcCE
ビュオオオ…
『READY…GO!!』
タッタッタ…
「行くぞ小僧!!昨日のようにはいかんぞ!!」
パカッ フィィィン…

開始の合図の直後に、少女の姉は俺へ水色の光線を放って来た。俺は彼女の速攻よりも速い攻撃に驚きながらも、素速く横に移動してかわし、彼女との距離を縮め始めた。

「ふっ!!」
シュッ
パシュウ
「これで終わりだと思うな!!」
パカ…フィィィン フィィィン フィィィン
「ふっ!!はっ!!たぁ!!」
シュッ…パシュウ
シュッ…パシュウ
シュッ…パシュウ
「まだまだ続くぞ!!」
パカ フィィィィィ…
“くっ!!なぎはらいだと!!これじゃあ、かわしようがない!!”俺は少女の姉の連続攻撃を全てかわしたものの、彼女に広範囲にわたる必殺技を放たれて、なすすべを無くしていた。“どうする…。上手く行くかはわからんが…やるしかない!!”俺は刀を抜き、彼女が出す水色の光線を刀の先端に当てるように素振りを行った。
フィィィィ…
タタタ…キキッ
「最終手段…おりぃやぁ!!」
ブン ブン
ピキン
「!!」

俺は少女の姉が放つ水色の光線に刀の先端を当て、刀の先端を凍らし、見事に彼女が出した光線の根元から刀の先端部まで直線を作り、彼女を捉えた。彼女は、俺の予想外の反撃に大きく目を見開いて驚き、突然の事態に動揺して身動きが取れなくなっていた。“よし!!上手く行った!!”俺は飛び上がって刀を大きく上に向かって上げ、彼女を刀で持ち上げて、強く地面に叩きつけた。

バッ…
「くらえ!!ブレードフリーズ…」
ググッ フワッ…
「な…何ひぃ!?」
「カウンター!!」
ブン ドゴォ
「ぐはぁ!!」
ミシ…ミシシ…

278適当:2012/12/22(土) 00:17:11 ID:ciHwxcCE
俺は少女の姉を雪で覆われた地面に強く叩きつけたが、彼女が放った水色の光線は割れずに、凍ったままの状態を保っていた。“そうだ!!コイツの顔をなぐって氷を割って、コイツをつかんで遠くに投げてしまおう!!”俺は刀を地面に置き、彼女へ急接近して考案した攻撃を行った。

カチャ
タッタッタ…
「うふぅ…。ううう…。」
チラッ
「何ひぃぃぃ!?接ひぃんひてひただとぉ!?」
「うりぃやぁぁぁ!!」
ドコン ドコン
「ぐほぉ!!ぐはぁ!!」
ミシ…ミシシ…
パリン

“よし、氷が割れた!!”俺は少女の姉の両ほほを強くなぐり、彼女と刀をつなぐ氷の橋を破壊して、彼女の背後へ回り、次なる攻撃を仕掛けた。

シュ シュ
「くっ…、おのれ!!私の大事な顔を二度もなぐっ…。って、いない!!どこへ行…」
ガシッ…フワッ
「たはぁ!?」
グルン グルン グルン…
「う…わぁぁぁぁぁ!!」
「うぉぉぉぉ!!ふっとべぇぇぇぇ!!」
バッ
ヒュウウウウ
「うわぁぁぁぁぁ!!」
ヒュウウウウ
「ぁぁぁ…」

少女の姉は、俺にほほを殴られた事に対して怒号を上げたが、俺に背後を取られ、自分の後足をつかまれ、任意の無い逆立ちをさせられていた。俺は彼女の後足を持ち、その場で自分に強い回転を加えて彼女をワケもわからない方向へ思いっきり投げ飛ばした。その直後、彼女は叫び声を上げて宙をまいつつ、俺の視界から姿を消してしまっていた。彼女の叫び声が徐々に小さくなりやがて聞こえなくなったので、俺は彼女を捜(さが)さずに、刀を拾っておさめ、左の林へと駆け出した。

279適当:2012/12/22(土) 00:20:37 ID:ciHwxcCE
タッタッタ…キキッ
「はぁ…はぁ…。よし、なんとか成功した。この近くに飛ばされてなければいいが…。」

俺は左の林へとたどり着き、息を切らしながらも自分の考案した作戦が上手く行った事を喜びつつも、新たな懸念を抱き始めていた。“どこへ行ったかはわからないのが、ジャイアントスイングの欠点だな…。まぁ、いいか。それよりも、アイツを確実に倒せるアイテムを見つけないといけないな。”俺は少女の姉の行方を気にする事をやめ、林の奥へと進み探索を開始した。

シャリ シャリ シャリ
「アイツに勝つには、炎系の武器でなければならない…。火炎放射器が…あればいいのだが…。」
シャリ シャリ シャリ
「いや、それはまずないだろう…。とすると…何があるん…」
シャリ シャ…
ガン
「だはぁ!!いったぁ!!」
チラッ…
「いたた…。こんな所にアイテムがあったのか!!いや、俺の注意力が散漫過ぎただけだな。」

俺は独り言を呟きながら、ただ単に林の奥へ歩を進めていただけだったので、歩を進めていく途中で足が何かにぶつかり、片方の足に痛みが走った。俺は、痛みを作った原因が何なのかを調べる為に下方へ目を向けると、雪が被さっていながらも、白の隙間から赤色をのぞかせた物が存在していた。俺は赤色の箱を見て一匹でに驚き、一匹で先程の不注意の反省を行って、赤色の箱をおおう白い塊をどかし、赤色の箱を開けた。

ザザッ ザザッ
パカ
「あっ!!こ…これは!!やったぁ!!これって…アレじゃないか!?」

俺は赤色の箱の中身を見て驚き、喜びを隠せないでいた。赤色の箱の中身は、側面に【B.G】と示されていた引き金がついた長筒状の道具だった。俺は予想しつつも説明書へ目を通そうと、説明書を取り出すと、同じ文字・形・仕組みをともなった道具が2つ入っていた。“3つも!?これがもしそうなら…。”俺は興奮しつつも、耳を澄まして少女の姉の足音が聞こえてこないかを確認し始めた。

ピクッ ピクッ
ビュオオオ…
シーン
「よし、アイツはまだ来ていない…。というか、たぶん探すのに手間取っているんだろうな。」

耳を澄ますと、林の外で雪が吹雪いている音以外は何も耳に入らなかったので、独り言を呟き、説明書へと目を通し始めた。

280適当:2012/12/22(土) 00:24:11 ID:ciHwxcCE
【焼夷手榴弾 BARN GRANEDE。 使用方法は、引き金を引いて対象物に投げる。この手榴弾は引き金を引くと、衝撃が加わっただけで爆発してしまうので取り扱いには十分注意する事。】

“やっぱりそうだ!!やったぞ!!しかし…ただ投げるだけじゃ避(よ)けられるか、凍らされて無効化されてしまうな…。う〜ん、どうしようか…。”俺は説明書を読み終え、赤色の箱の中身が明らかになった事ではしゃいでいたが、すぐに懸念を抱き、その場に座り込み頭を悩ませていた。

スクッ…シャリン
「う〜ん、どうしようか…。何かいい方法は…。」
チラッ
「あっ!!そうか!!俺の着ているスーツは白。カモフラージュを使っての奇襲があるじゃないか!!しかも、この荒れた天気、さらには冷たい環境…。犬に近い生き物でも鼻は利かないハズ…。だが、俺はねずみだ。アイツの匂いは覚えている。アイツは、俺を探す事は出来ないが、俺はアイツを捜(さが)せる!!よし、これで行こう!!」

俺は自分なりの名案を思いつき、林の奥で一匹でに笑い声を上げ、赤色の箱の中身を取り出した。“同じグレーネードなんだから、引っ掛けられるフックがあるハズ。”俺は、赤色の箱の中身を細かく調べ、小さな鉤(かぎ)を見つけることが出来たので、小さな鉤(かぎ)を利用し、赤色の箱の中身を全て腰に引っさげ、その場を後にし、少女の姉の姿を探索し始めた。

カチャ
スクッ
スタ スタ スタ…
“しかし…アイツも雪にとけ込むような色をしているからな。匂いを察知出来ても、ハッキリといる場所が特定しずらいな…。”
スタ スタ スタ…
「くんくん…。これは…こっちの方か。」
スタスタスタ…ピタッ
「いた…。アイツだ。」

俺は少女の姉が放つ体臭を捜(さが)す為に、林の中を歩いていた。林の中を抜け外へと出た瞬間、嗅ぎ覚えのある匂いが俺の鼻を刺激し始めた。俺は、自分の鼻を刺激した匂いを頼りに歩を進めて行くと、数十m先に見覚えのある姿が目に入った。“まだ気づいてない…。よし、チャンスだな。”俺はホフク体制を取り、自分のいる場所とは全く異なる方向へ目を向けていた彼女へ、背後から襲いかかる準備を行い始めた。

281適当:2012/12/22(土) 00:28:18 ID:ciHwxcCE
スクッ…シャリ…
グッ…グッ…
“よしよし、まだ気づいていない。焼夷手榴弾なんか使わなくても勝…”
ピクッ ピクッ
“え!?耳を動かしている!?こんな荒れた天気の中で…まさか…。”
ピクッ ピクッ
「うん?今、後ろから何か音が…したような…。私の気のせいか?」

“なぜわかるんだ!!吹雪の音でわかるハズはない…。鼻も利かないから、俺の場所も把握出来ないハズだろう!?”俺が背後から徐々に少女の姉へと気づかれないように距離を縮めると、その度に彼女はこちらへは見向きはしていなかったが、耳を小さく小刻みに動かしては首を傾げ、自問自答を行っていた。俺は彼女が、なぜ自分がたてる極わずかな音で気づくことが出来るのかを、驚きつつも必死で考えていた。すると、俺の中に一つの答えのような物が浮かんできた。“そうだ!!そういえば…イーブイって犬と兎(うさぎ)のハーフみたいなモノ(生き物)じゃなかったか?だとすると、鼻が利くか、耳が利くかのどちらかになる。コイツは…耳を動かして、背後の様子をうかがっている…。という事は、コイツは兎(うさぎ)の遺伝子が強くでている!!兎(うさぎ)は耳が敏感だ。そうか、それで…。”俺は過去に得た情報から、彼女がなぜ自分が立てる極わずかな音に気づくことが出来たかを結論づけ、自分の疑問を解決へと導いた。“だが、どうすればいい?だと、するともうこれ以上は近づけない…。何か方法は…。”俺は彼女へ近づく事をやめて、その場でうつぶせの体勢を保ったまま頭を働かせていると、一つの名案が思い浮かんだ。“そうだ!!オトリだ!!3つある内の1つをオトリとして使おう!!いや、オトリじゃなくて気を引く為に…だな。ここを逃したらもうチャンスは無い!!コイツは…コイツはバカじゃない!!同じ手には二度と引っ掛かってくれない!!”俺は名案を実行する為にその場から後退し、腰へ手を伸ばして名案の実行へと行動を移した。

“気づかれないように…出来るだけ…物音を小さくするんだ。”
スッ…スッ…
「う〜ん、何も聞こえないな…。やっぱり私の勘違いか。」
“今だ!!”
スクッ…カチッ
ヒュッ
ドーン
「な…何だ!?空が…燃えているだと!?なぜ空が燃えて!?」

少女の姉は、俺が投げた赤い箱の中身が作り出した真っ赤な景色に驚き、その場で慌てふためき始めていた。“よし、今だ!!”俺は、彼女が上空へ気を取られている所を見計らって、一気に彼女へと襲いかかった。

282適当:2012/12/22(土) 00:32:17 ID:ciHwxcCE
タッタッタ…
「は!?何だ!!物音が急に大きく…。」
クルッ
タッタッタ…ピタッ
「し…しまったぁ!!」
「くらえ!!」
ドゴッ
「ぐわぁ!!」

俺は少女の姉へと奇襲を成功させ、彼女の腹部を大きく蹴り上げて、彼女を斜め上へと飛ばした。俺は彼女が宙へ浮いた様子を見計らって、刀を背中から抜き、彼女へ渾身の必殺技を放った。

ヒュッ…
カチャ
「連続突きぃぃぃぃぃぃ!!」
シュシュシュシュシュシュシュシュ…
ブシュブシュブシュブシュブシュブシュブシュブシュ…
「ぐわぁぁぁぁぁぁぁ!!」
ドサッ…
タッタッタ…
ジー バッ…
タッタッタ…

少女の姉は、俺に刀で腹部を何度も突かれて苦痛の声を上げて、俺の数m先へと仰向けになって地面へ落ちた。“さすがに服を燃やすのは可哀想だからな。”俺は敵と認識しつつも、彼女の身になって考え、彼女へ接近して彼女の軍服を脱がし、彼女と距離を取った。彼女は苦痛の表情を浮かべ、片目を激しくつむり、ゆっくりと起き上がろうとするが、突然の事態に見舞われ、先程と同じように再度慌てふためき始めた。

「いたた…。くそっ…、油断し…。何か胸がいつもより冷たいな。」
チラッ…
バッ…
「きゃっ!!服が…無い!!どこへ行ったんだ!!」
“これが本来の姿だな。やっと雌らしくなってきたが、お前にもう用はない。”
カチッ…
「終わりだ。」
ヒュッ
「小僧!!服をどこへ…」
コツン
「痛!!何だこ…」
ドーン
ぐわぁぁぁぁぁ!!あ…熱(あつ)ぃぃぃぃぃぃ!!」
ドサッ

283適当:2012/12/22(土) 00:36:14 ID:ciHwxcCE
少女の姉は、自ら感じる違和感を頼りに自分の胸元へ目線を下ろすと、急いで前足で胸部を覆い、俺と対峙していた時とは全く別の声を上げてしまっていた。俺は、彼女の本来の姿を見届け、心の中で彼女に非情な言葉を掛け彼女へ言い放ち、赤色の箱の中身を彼女目掛けて投げた。彼女は、怒りの表情を浮かべ俺へ怒号を飛ばし、“お前の仕業だろう?”とばかりに言い放って来たが、俺が投げた物が頭へ直撃し、小さな衝撃に疑問を抱いていた。彼女が疑問を抱きつつ、地面に落ちた物へ目線を落とした瞬間、地面に落ちた赤い箱の中身が爆発し、彼女の全身を炎で包み始めた。彼女は、赤色の箱の中身が作り出す炎に焼かれている間、激痛を訴えるように大きく叫び出していた。やがて、彼女自身を包む炎は消え、彼女はその場にうつぶせになって倒れた。俺は、彼女の軍服から“μ”と描かれた灰色のバッチを手に取り、スーツの右ポケットへとしまい、無造作に彼女へ軍服を投げ、勝利宣言を行った。

ピンッ
ヒュッ…
バサッ
「うぐぅ!!」
「勝負あったな。君の負けだ。悪いがバッチは頂戴(いただ)く。」
ブンッ
バサッ
「ふざけるな!!私は霰(あられ)で回復出来る!!それに意識もある!!バッチだけ取って、勝つなんて許さないぞ!!」

少女の姉は俺の勝利宣言を認めず、顔にかかった軍服を振り払い、俺に闘いの続行を申し出た。俺は彼女を脅すように、腰にあった最後の赤い箱の中身を取り出し、手元で遊ばせながら、彼女へ言い放った。

「そうか。負けを認めないというなら…」
カチャッ
ヒュン…パシ ヒュン…パシ
「コイツをもう一発くらうか?」
「うっ…。」
ヒュン…パシ ヒュン…パシ
「わ…わかった。私の…負けだ。そのバッチは…好きにしろ。」

284適当:2012/12/22(土) 00:40:26 ID:ciHwxcCE
“誰だって効果抜群の攻撃を二度も受けたくないから当然だな。”少女の姉は、俺が手元から宙に浮かせていた物へ目をやると、怒りの表情から瞬時に青ざめた表情へと変化させ、やむを得ずに俺の勝利宣言を認めた。“そういえば、コイツやたら俺の事を子供扱いしていたな。”俺は、彼女が目線を落として黙り込んでいる様子を気にかけずに、彼女へ仕返しと言わんばかりに辛辣な言葉を言い放った。

「君は、俺の事を子供だと思っているだろう?」
「ふんっ!!お前なんか…子供だろう?進化もしていないし、すぐにわか…」
「悪いが俺は22の成獣(ポケモンが20歳以上になること)した雄だ。進化は好き好んでしていない。見た目で決めつけるな。君は、雄を見る目が無いな。」
スクッ…
シャリ…
ススッ…ススッ
「ふぅ〜、服を脱がしやがって。何が言いたい?バッチ以外で私に何か用か?」「ああ、君が敗北を自ら認めろ。君がリタイアボタンを押すんだ。」
「何だと!?自分で…勝手に退出すればいいだろう!!それに…私は意識がまだあるし、回復も出来るんだ!!負けだと!?笑わせるな!!」

“まだ認めないか…。結構強情でプライドが高いな。”俺は少女の姉の怒号をかき消すように、彼女へ彼女が最も恐れている事を強調しながら言い放った。

285適当:2012/12/22(土) 00:42:32 ID:ciHwxcCE
「ほ〜う。ならば、“焼夷手榴弾”を…」
ピンッ
「“今すぐ”にでも投げていいんだぞ?」
「う…。いやだ!!それだけは…それだけはやめろ!!」
「だったら、認めろ。押せ。これは命令だ。霰(あられ)を使えると思うなよ?焼夷手榴弾が作り出す炎の温度は、ゆうに1000℃を越えるのだからな。君が作り出す氷なんかあっという間に溶けてしまうぞ?」
ギリッ…
「くそっ…。」
ソー
カチッ
「ちくしょおおおお!!」
ポイッ
ドーン
シュイーン…シュン
「はぁ…。ちくしょう…。シャーズやフィに続き…私までもが…。あんな…進化もしていないピカチュウの小僧に…。」

少女の姉は、俺に脅されて怒りの表情から再び青ざめた表情へ変化させ、更に俺へ行動をやめるように強く懇願して来た。俺は彼女の言い分を受け入れ、彼女へ再び要求し、更に彼女が完全に抵抗出来ないようにする為に、彼女を苦しめた物の特徴を言い放った。彼女は、俺の要求を呑んで軍服の右ポケットに前足を忍ばせ、悔しそうな表情を浮かべ叫び声を上げていた。彼女の叫び声を耳にした俺は、手に持っていた赤色の箱の中身を捨てて【零下】のステージから姿を消した。

286適当:2012/12/22(土) 00:45:01 ID:ciHwxcCE
シュン…
「ふぅ〜。何とか勝てたな。まぁ、武器を使って勝っただけだが…。」

俺は、【零下】のステージから真っ白い空間へと姿を戻すと、一息つき独り言を漏らしていた。“どんな手を使ってでも勝つ…。俺って結局そうなんじゃないか?”少女の姉との戦闘、少女との戦闘、あの淫乱なエーフィとの戦闘を思い浮かべ、俺はスーツから“μ”と描かれた灰色のバッチを見つめながら、いつの間にか、自問自答を行っていた。“矛盾しているな。結局もう一匹の自分の言っている事をやってしまっている。”俺は、昨日自分にもう一匹の自分が語りかけてきた言葉を思い出し、目線を落としてその場に立ち尽くしていた。“だが、俺は脅さないし、殺さない。相手も殺さないのなら、俺も殺さない。ここへ閉じ込められたうらみを対戦相手へはぶつけない。対戦相手も雇われている身だ。彼女達に…罪はない。命令で闘わされているだけだ。”しばらく自分自身を責めていたが、ようやく決意を改め、少女の姉との戦闘で勝利をもたらした道具へ感謝し、【零下】の扉へ向かって、“乱暴ですまなかった。卑怯な方法で勝ってすまなかった。”と謝罪し、その場に腰を下ろし体を休めていた。

試練4 【零下】完

287名無しさん:2012/12/22(土) 10:01:41 ID:LnxkrwB.
これってポケモンの話ですよね?
もう人間に置き換えてもいいってくらいにポケモンである意味がない気がしてきたんですけど…
もう少し技くらい使ってほしいと思いました。

何でもいいから書けってことだけど…「ポケモン」と定義すればほぼポケモンらしさなくなってもいいというのは違う気がするので。

288適当:2012/12/22(土) 10:01:45 ID:ciHwxcCE
試練4後書き

まずトピをご閲覧している方に謝らなければならないことがあります。
贅沢にレスを消費して申し訳ありませんでした_(._.)_
場面展開の為とはいえ、最大文字数1024と思えない文字数でのレスが目立ちますね(汗)
それから、ブイズが覚えられない技を覚えているのは強さの強調、主人公を苦境に追いやる為だとしても、主人公のピカチュウがかみなりパンチを使えるのは…ちょっとおかしいですね(汗)
まぁ、その辺は接近戦闘が得意な主人公だから出来るとでも考えていただけたら、嬉しい限りです。
では、また次回の投稿にてお会いしましょう。

289適当:2012/12/22(土) 13:42:44 ID:ciHwxcCE
》287さんへ
そうですか、わかりました。技の方は“出来る限り”入れたいと思います。
ですが、自分の描くポケモン小説の世界観は

人間≒ポケモン>動物(理性 知能 扱いが人間と同じ事を表す)
です。これは、アフターストーリーをのせれば明らかになりますが、のせられるかどうかも時間の都合上でわかりません。
上記に示した通りの世界観で描いていますので、かなり好き嫌いが別れると思います。なので、嫌悪感や違和感を抱いたのなら、私の小説を読む事をご遠慮なさったほうが宜しいかと思われます。
まぁ、主人公武器を使いすぎじゃない?っていうのは、紛れもない事実で反省点となっておりますが…。私の描くポケモンの世界観は、トレーナーはほとんど出てきません。(出現はあるが、莫大な資を持つ者のみ→ポケモンを携帯するには、契約金が必要だから。)
こうなる理由:ポケモンは人間のように、生活を営むことが可能で扱いも人間と同様の為。(人間に頼らずとも、文化的な暮らしが出来るから)

ご指摘ありがとうございました。

290適当:2012/12/22(土) 13:52:23 ID:ciHwxcCE
まぁ、いろいろウダウダ言葉を並べて言い訳しましたが、一番言いたい事は、この物語に出てくる主人公には、モデルになったキャラクターがいるという事です。(知ってる方は知ってるでしょうが、たぶんほとんどの方は文章のせいで気づかないでしょう。)
あるキャラクターが出てくる作品と、ポケモンが合わさったらいいな。って思いながら描いたのが、この物語(9つの試練)です。私自身の妄想はまぁ、こんな所です。

291フィッチ:2012/12/24(月) 18:17:43 ID:UBe8.1uQ
適当さん初めまして、フィッチです。
…私が訳の分からない文章をあなたの作品の間に入れてしまい、しかも作者として表にデビューしてしまいました。すみませんでした。
ただあまりにも酷すぎる文章だったため更新で最新表示スレから消し去ってくれて感謝しています。
長編小説は大変みたいですが頑張ってください。応援しています。

292適当:2012/12/24(月) 23:56:37 ID:ovnXggK.
フィッチさん初めまして、9つの試練の作者の適当です_(._.)_

フィッチさんのコメントに対して→いえいえ、あなたの作品の方がポケモンとして生き生きしている様が描かれていると思います(笑)

私の小説は、ゲームのポケモン好きにははぁ?って言う程、「これ、人間が着ぐるみ着て闘っているだけだろう?」って思える作品になっています(汗)

私の作品に疑問を感じている読者の皆さんに対して→でも、私あれから技一覧を見て思ったことがあるのです。ポケモンの技って特殊攻撃以外は人間が出来る技とほぼ一緒なんじゃないですか?
例 巴投げ→柔道
飛び膝蹴り
フェイント→相手の隙をつくために、仮の動きを見せつける。

で、それで改めて思った事があるのです。「やはり、ポケモンは動物をモチーフにした人間のもう1つの姿なのではないか。」と

まぁ、これは私の意見ですので…。読者の皆さんがポケモンがどういう生き物なのかをどう定義づけるかは自由です。あっ、だからと言って「技は使わない。武器ばかり用いる。」とは言ってませんよ?(__;)」

ただ、次の話は更にはぁ?と言いたくなるような話になってしまうかと思います。
理由:特殊攻撃型のサンダースが、物理攻撃(アクロバティック)に特化しているから。

最後に、フィッチさん本wikiでの小説執筆頑張って下さい!!陰ながら応援しています!!

293通りすがりのうろつき作者:2012/12/25(火) 07:53:34 ID:c1h/uwPs
大丈夫、ここのwikiにはとんでもないサンダースを主人公にしてるおバカさんも居るから!

それと、ポケモンらしさを増やすには技を増やすよりも『その物(状況)に対してそのポケモンならどう動くか』をイメージしてみるといいかもしれません。
見たところ容姿は変わってないようですし、主人公のピカチュウなら前足を手のように使える他、尻尾なんかもかなり器用に使えるように出来たりしますからね。

ポケモンの姿をイメージしてやると、やらせられるアクションを増やせる機会になったりしますし…道具を使わせるだけだとなんだか勿体無いなぁと感じたもので。
まぁ、その辺りは適当さんのさじ加減になりますからね。別にこのスレは無視してくださっても一向に構いません!
このスレを賑やかにしてくれている凄い方として応援しておりますので、ぜひこれからも頑張ってください!

294適当:2013/01/01(火) 14:20:11 ID:5FhSUy8c
通りすがりのうろつき作者さん、初めまして_(._.)_。なる程、主人公の尻尾アクションをもっともっと生かす事によって、ポケモンならではの良さが出せるのですね(笑)

アドバイスありがとうございます_(._.)_

さて、新年最初の投稿です。話の内容は、>>60>>74 のアブソルのソルと、狼のレオの続編です。ソルが、レオを闘いで失ってからのストーリーとなっております。要するにアレです。

【動物を主人公にしてしまった。でも、ポケモンも活躍するし、一応OKなのかな?】という、やらかしてしまった作品の続きです。

ちなみに、これが最初の投稿なんですけどね…(泣)

それでは、温かい目で見守っていて下さい_(._.)_

295適当:2013/01/01(火) 14:23:54 ID:5FhSUy8c
ソルは悲しみに暮れていた。なぜなら、あの日最愛の彼といる所を、多数のグラエナ達によって奇襲され、最愛の彼を失ってしまったからだ。彼女はあの日以降、雌らしい愛想を振る舞う笑顔が、誰に対しても作り出せなくなってしまっていた。そして、何に対しても…である。大好物の木の実を一口、口にしても“美味しい”とは感じず、“レオと一緒だったら…。”という叶うはずのない願いを口にしてしまう始末であり、森の悪達に襲われている、動物…ポケモン達を救っても、“レオと一緒だったら…私は、どんなに良かっただろうか…。”などと考える始末である。今日も森の動物を救助して、“どうもありがとう。森のスーパーヒーローさん。”などと言われても、しばらく黙り込み、やっと口を開いたかと思えば、“私なんか…そんなに凄い生き物ではない…。レオを…守れなかったのだから…。”とまるで、自分の悲しみを作り出す原因の相談を、全く関係がない動物に持ちかける事があったのだ。何も事情を知らない、彼女に救われた者達はせっかく助けられて嬉しい感情がこみ上げて、命を救ってくれた彼女に対して感謝の意でいっぱいに満たされるはずなのに、彼女に暗い顔をされて、こんな事を言われれば、“え?ええ!?どうしたんですか!?あなた…大丈夫ですか!?”と逆に彼女へ気を遣って、心配させられてしまう始末である。悲しき運命をたどり、悲しき森のスーパーヒーローとなってしまった彼女は、今日も木の実を取る為に、森の中を一歩、一歩歩いていた。

タッ… タッ… タッ…
「はぁ…。確か、この辺に…。」
ピタッ
「あっ、やっぱりあった…。私が埋めた…カゴの実がちゃんと育っているな。」

296適当:2013/01/01(火) 14:27:59 ID:5FhSUy8c
ソルは、たわわと実る赤い木の実をつけた一本の木を見つけ、足を止め独り言をつぶやいていた。ただし、それは嬉々として喋っているのではない。重く…重く浮かない表情で、赤い木の実をつけて立派に成長を成し遂げた、木に対して心にもないほめ言葉を述べていたのである。いや、“心にも無い”は少しばかり言い過ぎたかもしれない。だが、その表現が行き過ぎているとしても、彼女自身はもはや棒読みをする感覚で、成長した木をほめていた事には変わり無いのである。彼女が言う“カゴの実”は、実は彼女が好んで食べる木の実である。だが、彼女はその木の実を見ても、“食べたい。”という意志はわかず、“その赤色は…レオの…。”と全く解釈不能な想像を膨らましていたのである。故に、彼女は今“食べたい。”と思っているはずは確実に無いのである。

「2、3コでいいか…。」
スッ… ピタッ
「だけど…。はぁ…。なぜだろうな…。全く…あれから腹が空く感覚を…感じない。私は…一体どうしてしまったのだろう…。」

ソルは、命をつなぐ為にしょうがなく、赤くたわわに実る木の実を採集する為、顔を近づけた。しかし、彼女は木の実を口にくわえる事無く、近くでただ茫然として眺め、重苦しいため息を吐いて、自問自答を行うだけであった。

「今日も…いらな…。はっ!!いかんいかん!!ダメだ!!ダメだ!!レオの分まで…私は強く生きなければ!!」

ソルは、木の実を見つめ続け最初は、“食べたくない。”という意思表示を示したが、自分にムチを打ち“しっかりしろ!!”としかるように、首を激しく左右に振り、意思表示の変更を行った。“とはいったものの…。”彼女は、強く自分のわがままを否定したものの、木の実を口へくわえる事をせずに、その場に座り込み暗い表情を浮かべ始めた。そんな彼女に、背後から何者かから声が掛かる。

297適当:2013/01/01(火) 14:32:38 ID:5FhSUy8c
「あの…。もしかして、ソルさん…ですか?」
「ん?誰だ?私の名を…呼んだのは?」

自分の背後から掛かった声に気づき、ソルは声のする方へ顔を向けた。彼女へ声をかけたのは、一匹の雄のグラエナであった。彼女は、声の主の姿を目に入れた瞬間に、憎悪の感情が芽生え始めた。“私の…私のレオを殺したグラエナ!!許さない…絶対に許さない!!”彼女は、胸に溜めていた怒りの感情が爆発し、初対面である彼にあたり散らし始める。

「うう〜!!おまえらが…おまえらが私のレオを殺したんだ!!」
「え?」
「返せ!!私のレオを…返せ!!」

ソルは、威嚇を混(ま)じえて彼に怒号を放った。彼は、驚き目を丸くして彼女をなだめに掛かり、彼女に話を持ち込み始める。

「お…落ち着いて下さい。僕は…、僕はあなたにお話があって来たんです。」
「私を殺してこいとか?私を連れて来いとか?殺された仲間の復讐の為か!!」
「ち…違いますよ!!」
「違うものか!!レオは、多勢のグラエナ達に勝ったんだ。当然、レオにみんな殺されてしまっただろう。お前達が、黙って見過ごしているはずはないんだ!!殺(ら)れたから…殺(や)り返したいんだろう!!」

彼がなだめにかかり、話を持ち掛けようと

298適当 レス297カット:2013/01/01(火) 14:34:38 ID:5FhSUy8c
「あの…。もしかして、ソルさん…ですか?」
「ん?誰だ?私の名を…呼んだのは?」

自分の背後から掛かった声に気づき、ソルは声のする方へ顔を向けた。彼女へ声をかけたのは、一匹の雄のグラエナであった。彼女は、声の主の姿を目に入れた瞬間に、憎悪の感情が芽生え始めた。“私の…私のレオを殺したグラエナ!!許さない…絶対に許さない!!”彼女は、胸に溜めていた怒りの感情が爆発し、初対面である彼にあたり散らし始める。

「うう〜!!おまえらが…おまえらが私のレオを殺したんだ!!」
「え?」
「返せ!!私のレオを…返せ!!」

ソルは、威嚇を混(ま)じえて彼に怒号を放った。彼は、驚き目を丸くして彼女をなだめに掛かり、彼女に話を持ち込み始める。

「お…落ち着いて下さい。僕は…、僕はあなたにお話があって来たんです。」
「私を殺してこいとか?私を連れて来いとか?殺された仲間の復讐の為か!!」
「ち…違いますよ!!」
「違うものか!!レオは、多勢のグラエナ達に勝ったんだ。当然、レオにみんな殺されてしまっただろう。お前達が、黙って見過ごしているはずはないんだ!!殺(ら)れたから…殺(や)り返したいんだろう!!」

彼がなだめにかかり、話を持ち掛けようとしたものの、ソルは自分の中の怒り、恨みを頼りに、相手の思惑を勝手に決めつけ、彼に対して敵意をむき出していた。“本当は、コイツを殺してやりたい!!だけど…グラエナは群れで行動する。コイツはエサで、コイツを襲った所を囲い込んで私を殺すのかもしれない…。”彼女は、怒りの感情を少しずつ、少しずつ抑え、感情の意のままに行動を移さず、鋭い目線で彼を睨みつけ、様子をうかがっていた。彼女の思い込みを知らない彼は、再度、彼女に話を持ち掛け始める。

299適当:2013/01/01(火) 14:39:13 ID:5FhSUy8c
「ソルさん落ち着いて下さい。僕は、あなたにひどい事をする為にあなたに話かけたんじゃありません。ただ…僕の頭の中に何かしらあった記憶を聞いて欲しいんです。」
「は?お前は何を言っているんだ?」

彼は、ソルに“僕の話を聞いて欲しい”と頼み込むが、ソルは彼に送る目線を変えずに怒りを混ぜながら、静かに言い返した。彼は、どうしても聞いて欲しいのか、敵意をむき出しにしている彼女に、三度目にわたる同じ事を口にする。

「落ち着いて下さい。僕の頭の中に、どうしてかは知らないけど、アナタと一緒にいる光景が残っているんです。もしかしたら…もしかしたら、アナタと僕は!!」
「消えろ。」
「え?」

彼が、懸命にソルへ訴えかけようとした時、ソルは彼を突き放すように言い放ち、彼へ脅しをかける。

「聞こえなかったか?消えろと言ったんだ。私は、もうお前達グラエナという“野蛮”で、“狡猾(こうかつ)”で生き物の命をもて遊ぶヤツには会いたくもない。私の前から…消えろ!!さもなくば…お前をこの場で殺すぞ!!」
ザッ… ザッ…
「わかりました。アナタの言うとおり、僕はこの場から…立ち去ります。どうか…お元気で。」
タッタッタッ…
シーン
「ふぅ〜。邪悪な蛮犬め。ふざけた事を、吐(ぬ)かすものだな。」

彼は、ソルに強く脅されて、彼女の意志を尊重するかのように返事を返し、残念そうな、心残りがあるような表情を浮かべて彼女の前から走り去った。彼女は、彼が去っていく様子を見届け、彼に対して、辛辣(しんらつ)な言葉をつぶやいた。“そうだ…よく考えれば、体が弱っていてはいけない!!食べたくなくても食べるんだ!!そうしなければ…あの蛮犬共に襲われてしまう!!”走り去った彼との出会いにより、彼女はようやく決心を固めたわわに実っていた、赤い木の実を2、3コ…いや、4、5コもぎ取り、今まで食事もまともにとらなかった自分に、“何と愚かな。私は、そんな事も考えなかったのか!!”と何度も言い聞かせながら、その場で必死にくらいついていた。しかし、いくら数日食べてないとはいえ、彼女のもつ胃の大きさからして、こんなに多量の木の実を食べきれるはずは無かった。彼女は、3つ目を食べた所でお腹が膨れてしまったので、やむを得ずに、残り2つの赤い木の実を口にくわえ、その場を後にした。

300適当:2013/01/01(火) 14:42:58 ID:5FhSUy8c
その夜…

クチュクチュクチュ
「あん!!はっ!!」
クチュクチュクチュ
「んはぁ!!んっ…。」

ソルが木の実を運び終えて、巣へ自分の住みかへ帰ってきた頃には、すっかり日が落ち、月が雲の間から顔をのぞかせていた。彼女は、本来の自分の住みかには、最愛の彼との出会い後、帰ってはおらず、彼と過ごした彼の天敵から身を守る為に、仮の住みかにした小さな洞窟で過ごしていた。“レオはもうこの世にはいない。この洞窟にいても仕方が無い。”そう思いながらも、彼女は最愛の彼との思い出を噛みしめるように、この洞窟に身を置き毎日を過ごしていた。今宵は満月。狼が遠吠えを上げ、自分の存在を誇示する日であった。彼女は、一片もかけていない月を見て、彼が思わず遠吠えをしてしまう様を頭の中で思い描き、彼が月のおかげで興奮し、自分を責め続ける姿を思い描き、一匹自慰行為にいそしんでいた。

クチュクチュクチュクチュ
「あっ!!はぁ!!レオ…激しすぎるよぉ!!」
クチュクチュクチュクチュ
「あんっ!!レオ、ごめん!!もう…もう限界だぁぁぁぁ!!」
プッシャアアアア…

ソルは、目を激しくつむって、いるはずの無い、もうこの世には存在していない最愛の彼の名を叫びながら、自分の前足を自らの秘所に何度も出し入れするという行為を行っていた。彼女は、自分の前足を動かす速度を上げる度に、洞窟内に“敵に見つかってもいい。”という意志表示を兼ねた、彼女の普段の口調からは似つかわしくない程の、可愛らしい嬌声を響かせていた。その行為を繰り返す度に、彼女の中で快感の意が込み上げて来て、彼女は自分の全身から声を放ち、綺麗な桃色で染まっていた自らの割れ目から、水とは違う、少し粘り気のある液体を大量に噴き出した。彼女は、息を切らししつつも、この世に存在しない者の名を混ぜながら、独り言をつぶやく。

301適当:2013/01/01(火) 14:48:18 ID:5FhSUy8c
「はぁ…はぁ…。レオ…君、いつからそんな…。あはは…。やっぱり、月のせいか?」
チラッ…
「今日は…月が綺麗だな。レオ…君の事を祝福しているようだ…。」

ソルは、独り言をつぶやきながら空を見上げて、月へ目を向け静かに笑みを浮かべていた。“あはは。私は一体何をやっているんだ。レオがいないのに、レオがいるような感じで…一匹で慰めて。”彼女は月を見つめながら、先程の他者には到底理解出来ない、他者には絶対に見せることの出来ない行為を振り返りながら、心の中で自分を嘲(あざけ)笑っていた。自分を嘲(あざけ)笑った直後に、彼女の中で悲しみが突如浮かび上がり、彼女の目からは徐々に涙が流れ始める。

ポタッ…ポタッ…
「ぐっす…。全く…月ってヤツは…。君を暴走させる…。えっぐ…悪いヤツだな。」
ポタッ… ポタッ…
「どうして…どうして私は…。こんなに…ぐっす。泣いているんだ…。」

止めることが出来ない自分自身の涙に対し、ソルは自問自答を行い涙を止めようとしていた。だが、彼女の涙腺は彼女の思い通りにはならなかった。涙を止めようと、止めようとしている内に、徐々に、徐々に悲しみの感情が湧き出し、ついには彼女は大声で泣き叫び出す始末となってしまっていた。

「ぐっす…。うわ〜ん!!あん!!あん!!レオ…どうして私を置いて先へ行ってしまったんだぁ〜!!君が…君がいないから…私は、すごくさみしいじゃないかぁ〜!!」

ソルは、夜空に浮かぶ一片も欠けていない月を見つめながら、悲しみの感情を解き放ち、もうこの世には存在しない者である最愛の彼に対して訴えかけていた。彼女が目に涙を浮かべ、ほほに涙を伝わらせ、涙で地面を濡らしている中、彼女の横から聞き覚えのある声が聞こえ始める。

302適当:2013/01/01(火) 14:53:09 ID:5FhSUy8c
「ソルさん…?大丈夫…ですか?」
「ぐっす…。え?」
チラッ…
「うわぁ!!お…お前ぇ!!カゴの実の木の前で、私に話掛けたヤツ!!」

ソルは、声がする方へと目を向けた。そこにいたのは、彼女が敵意をむき出しにし、あしらった、彼女が昼間に出会った雄のグラエナである彼であった。彼女は悲しみよりも、驚きが勝ってしまったせいか、涙を止める事が出来た。彼女は涙を止めた直後、昼間彼と出会った際に沸き出た怒りの感情が再び込み上がったので、彼へ鋭い目線を送って、睨みつけ始めた。彼は、彼女をなだめようと笑顔を作り、彼女へ会釈を行う。

「あはは。こんばんは。」
「何しに来た?私をからかいに来たのか?」

ソルは、彼の笑顔が“善”ではなく“悪”であると決めつけ、彼へ敵意を示して訊き返した。彼は、真剣な表情に変え、彼女へ昼間に話せなかった事を持ち掛けた。

「日がある内に、話せなかった事を話そうと思いまして。あれから、考えたんです。僕と同じ姿をした生き物をこんなに深くうらんでいるなら、もう、あなたに会わないでおこうって。」
「会っているな?言葉が矛盾していないか?」
「はい。ですが…。」
「ですがじゃない、帰れ。殺されたいのか?蛮犬め。」

ソルは、彼の意図を無視して彼の発言を即座に否定し、彼を脅し、“うう〜”っと唸って彼を威嚇し始めた。彼女の目は、威嚇からついには殺意のある目へと変化を遂げていたが、彼は彼女の言葉にひるまず、彼女へ強く訴えかける。

「お願いです!!僕の話を聞いて下さい!!」
「聞きたくない。グラエナという蛮犬の姿はもう見たくないと言っただろう!!何で来た?」
「重要な事かもしれないからですよ!!アナタと…僕に関する…。」

彼は、ソルの怒号を浴びてもひるまず、彼女の怒号をかき消すかのように、彼女へ訴えかけた。“妙だ…。いたって真面目だ。話か…。”彼女は、彼のおびえない、崩さない真剣な姿勢を見て、ようやく彼に向けていた敵意をおさめ、彼と同様に真剣な表情に変え、彼に訊ねる。

303適当:2013/01/01(火) 15:01:09 ID:5FhSUy8c
「重要な事?」
「はい。確実に言えます。アナタも…聞いておいた方が良いかと思います。」
「ふん。随分と自信あり気だな?」
「自信というより、話さなくてはならないからですよ。」
「まぁ、待て。少し考える。」
「はい。どうしても嫌なら、話すのを止めて、アナタの前にはもう二度と現れません。」

“私に関する重要な事?聞くだけ聞いといてやるか。”彼の返事の後に、ソルはしばらく考え彼に告白の許可を与える。

「聞くだけならな。話したら即効で…立ち去れ。そして二度と私の前に現れるな。」
「はい。では、話します。」

ソルから許可をもらった彼は、大きく息を吸って吐き、彼女に向かって話し始める。

「僕の頭の中に残っている記憶です。僕は、群れの中の一員でした。リーダーがいるので、下っ端ってヤツです。その下っ端の僕は、勇気がなく臆病でした。」
「臆病なグラエナ?ふん、ウソだろう?私が言っても、来る程の“ずうずうしいヤツ”の間違いじゃないのか?」
「あはは…まいったな。いえいえ、とんでもありませんよ。」
「話は終わりか?」
「あっ、いえ続けますね。」

ソルは、彼の話を中断し、彼の発言を即座に否定して、彼へ辛辣(しんらつ)な言葉を話し掛けた。彼は、彼女に指摘されて苦笑を浮かべていたが、彼女から話しを続ける事を促されたので、彼は笑う事を止め、真剣な表情に戻し、話を続ける。

「リーダーが雌に襲ってくるグラエナ達を倒そうと提案しましたが、僕は勝てる自信も闘う勇気も無かったので、リーダーに真っ向して反対を出したんです。ですが、リーダーは僕の意見を受け入れずに、“闘う勇気が無いのなら、来なければいい。俺達は、グラエナ達を囲んで殺す。”と返して来たんです。」
「はぁ?何を言っているんださっきから。自分の仲間を殺すのか?」

ソルは、彼の話を再度中断し、彼へ矛盾点を指摘し、彼に嘲るような目線を送っていた。彼は、彼女の質問に対して、即座に否定する。

304適当:2013/01/01(火) 15:10:21 ID:5FhSUy8c
「違います。僕の話を最後まで聞いて下さい。今はわかりませんが、聞いていく内にわかると思います。」
「ふん。だったら続けろ。頭のおかしい蛮犬め。」
「頭…。はい、わかりました続けます。」

ソルは、彼に“今はわからない。後々(のちのち)わかる。”と言われ、彼に命令し、彼に辛辣(しんらつ)な言葉を吐いた。彼は、彼女の返答を聞いて苦い表情を浮かべ、すぐに真剣な表情に戻し、話を続ける。

「グラエナ達が再び僕達のなわばりに訪れた時、リーダー率いる僕を除く全員の雄達は、グラエナ達に一斉に飛びかかりました。ですが、結果は惨敗。僕以外の雄達は殺されてしまいました。」
「はぁ〜あ。もうたくさんだ。お前、頭が混乱してないか?“混乱”を治す木の実でも食べてこい。」
「僕は正常です。話を続けますよ?」
「はぁ…。勝手にしろ。」

“もう返すのは止めよう…。コイツに妄言、虚言を吐かせるだけ吐かせて帰ってもらえば済むことだ。”ソルは、彼の話を聞いて矛盾はおろか、“コイツは気が変だ。”と決めつけ、彼へこの場から立ち去るように指示を出した。彼は、彼女に言われた事には従わず、真剣な表情で彼女の発言を否定し、話を続ける。彼女は、呆れた表情を浮かべて彼の顔から目をそらし、夜空に浮かぶ一片も欠けていない月を見つめながら、彼の話へ耳を傾ける。

「リーダー達が殺されてしまった後、僕はグラエナ達に見つからないように、その場から逃げようとしました。ですが、運悪く発見されてしまい、リーダー達を殺したグラエナ達に性奴隷にされようとしていたのです。」
“同種族で雄同士交尾?コイツら…バカじゃないのか?”
「そこにアナタがやって来ました。」

ソルは、彼のとんでもない発言に対して冷静に否定する。

「はぁ…。やって来ていない。グラエナの気持ち悪い会になんか、飛び入り参加はした覚えはない。」
「だ・か・ら!!僕の話を最後まで聞いて下さいよ!!」
「ふん、バカが。妄言もたいがいにしろ。」

彼は、ソルに否定されると、彼女へ“こんな話をしようとしたんじゃない”とばかりに強く言い放ち、彼女へ自分の話が終わるまで何も言わずに黙って耳を傾けるように要求した。彼女は、彼に蔑(さけす)む目線を送り、彼へ辛辣(しんらつ)な言葉を言い放った。彼は、彼女の暴言を気にすることなく、話を続けた。

305適当:2013/01/01(火) 15:15:51 ID:5FhSUy8c
「アナタがグラエナ達に性奴隷されようとしていた僕を助けたんです。その時のセリフも覚えています。」
“は?私、何か言ったか?”
「“弱い者いじめをするのは、卑怯だ。彼らは誇り高く死んでいった。一方お前達はただの下衆(げす)だ。”と。」
“は…、待てよ。私…どこでこんなセリフを?”
「アナタに助けられた後は、アナタと一緒にこの場所で身をひそめながら今度グラエナ達に会っても負けないように、って修行したんです。」
“修行…。どこかで…やった覚えがある。でも、私がやったのはレオ一匹だけ。コイツはグラエナ。違う…。”ソルは、彼の話へ耳を傾けていく内に、自分の中で疑問点が浮かび上がったので、疑問を解決する為に、過去の記憶と彼の話の内容の照合を行っていた。彼女が静かに記憶をたどる中、彼は話を続ける。

「信じられないかもしれませんが、僕はアナタの自慰行為を目撃した事があるんです。」
「ああ、さっきのを“ず〜っと”見ていたのか。よし、そこに座れ。“かまいたち”で殺してやる。」
「先程のじゃありません。」
「は?じゃあ、いつの?」
「僕が…殺される前です。」

“殺されている!?バカな!?何を言っているんだ!?コイツは…コイツは今ここに生きているだろう!!”ソルは、彼の衝撃の発言を耳に入れた事で、彼に向けていた冷ややかな殺意のある表情を、瞬時に驚きの表情に変えて、彼におもむろに訊ねてしまうのだった。

「あ…、お前…生きているだろう?誰に…殺されたんだ?」
「アナタと一緒にいる時、川でアナタと体を洗いにいっている時にグラエナ達に囲まれて…。アナタを先に逃してしまった事で、殺されてしまいました。」
「グラエナ!?お前…グラエナじゃないのか!?」

ソルは、彼の発言を聞いて大きく声を上げて彼へ訊ねた。彼は、彼女の質問には答えず、真剣な表情を保ったまま、彼女へ言い放つ。

306適当:2013/01/01(火) 15:20:36 ID:5FhSUy8c
「信じられないかもしれませんが、アナタと交尾をした事もあるんです。アナタは、処女だった。アナタは災いをもたらす…。それが、原因で雄はおろか、雌にも近寄ってはもらえず、ずっと独りぼっちだった。」
「私の純潔を…。そして、私の過去を…。って事は…お前は…君は!!」
「ふふ。そうです。僕…いえ、俺ですよ。師匠。」

ソルは、彼の発言を聞いて頭の中で何かがはじけたように目を見開いて、彼へ本当の正体を訊ねた。彼は、生前彼女に向けた優しい笑みを向けて、彼女へ自分の本当の正体を明かした。彼の言葉を聞いた彼女は、徐々に涙が溢れ出し、彼の本当の名を呼び始める。

「レオ…。ぐっす…レオ…。」
「ただいま、ソル師匠。姿も声も違う。されど、まぎれもなくアナタの一番弟子の弱かった雄の狼。レオです。」

ソルの前にいた雄のグラエナの正体とは、彼女の最愛の彼である雄の狼のレオであった。グラエナの姿をした彼は、彼女に笑顔を向け、会釈し自分の正体を全て話した。彼の言葉を聞いた彼女は、彼の名を叫びながら、彼に向かってかけだす。

「レオ!!レオぉぉぉ!!」
タッタッタ…
ギュッ
「うわぁ!!あはは。師匠、そんなに泣かなくても。」
「バカぁ!!何であんなまわりくどい言い方をしたんだぁ!!はっきりと…ぐっす…。はっきりと、“僕はレオです”って言えば良かっただろう!!」

ソルは、レオの胸に顔をうずめ涙声で彼を責めたてた。彼は、彼女との体格差のせいで、生前することが出来なかった、彼女を優しく抱きしめ、彼女の頭をなでるという行為を行い始めた。しばらく彼女へ行為を続けると、彼女は徐々に泣き止み、彼の胸の中で、荒げる呼吸を落ち着かせていた。彼は、彼女がやっと落ち着いたのを感じ取り、彼女へ理由を話す。

307適当:2013/01/01(火) 15:24:50 ID:5FhSUy8c
「ごめんなさい。ですが、あの時俺が、“師匠覚えてますか?俺はレオです。”って言っても、余計に師匠を怒らせてしまうだけでしょう?だから、段階を踏む必要があったんです。とは言え…あんなに周りくどい言い方をしてすみませんでした。最初から…最初から“オオカミ”という言葉を入れれば良かったですね。」
スッ…
「ぐっす…。あはは、なんだそうゆう理由だったのか。そうだな、今のお前は私の敵となっているグラエナだ。そんな事を口走ろうもんなら、お前を殺していたかもしれない。」
チロ チロ
「あっ…レオ?」

レオから謝罪まじりの理由を聞いたソルは、涙で顔を濡らしながらも、嬉しく微笑み、泣き止ませてもらっているにもかかわらず、彼に恐ろしい言葉を言い放った。彼は、彼女の返事を聞き終えると、彼女の濡れたほほに舌を滑らせて涙を拭い、彼女を不安にさせるような言葉を、笑いながら言い放つ。

「あはは。そうですか、恐いですね。まだ死にたくないので、俺、もう帰ってもいいですか?」
「あ〜ん!!帰るなぁ〜!!また、ずっと一緒にいてくれよぉ〜!!」
ギュッ
「そこまで言われたら、もう帰ることは出来ませんね…。って、冗談ですよ。帰るわけないじゃないですか。俺も、あの時師匠を見つけて、言葉を介さずに“師匠〜!!”って呼び止めて駆けつけたかったんですから。」

ソルは、レオから突き放されるような言葉を耳に入れると、楽しみを奪われた子供のように、だだをこねるように彼へ懇願した。よっぽど、離れたくなかったのか、彼女は彼を逃がすまいとばかりに抱きしめ、彼の胸に再び顔をうずめた。彼女の甘えるような返事を聞いて、彼は最初に仕方ないという態度を示すような言葉を述べたが、その直後にすぐに否定し、自分の胸の内を明かした。彼女は、彼の胸の内を知って嬉しそうに微笑み、彼がこの世に再び戻る事が出来た理由を訊ねる。

「ふふ。結局、君も私と一緒にいたかったんだろう?私にもう一度甘えたかったんだろう?」
「いえ、俺はもう立派な雄の狼です。アナタをもう一度守りたいという思いで胸をいっぱいにしています。」
「そうか。嬉しい…。ところで、どうやって戻って来れたんだ?生まれ変わりは…普通は赤ちゃんからだろう?」
「そうですね、確かに信じられない不思議な話です。じゃあ、今夜の満月を見ながらお話致します。」

レオは、ソルの素直な感想と質問を耳に入れ、彼女の意見へ同意し、彼女へ話す。

308適当:2013/01/01(火) 15:32:33 ID:5FhSUy8c
「俺は、師匠に最後のお願いをした後、たどりついたのは、あの世の世界でした。花畑があって、間に川が流れている所です。」
「本当にあったのか…。」
「はい。川を渡ってしまうと、この世にはもう戻って来れなくなってしまいます。俺は渡ろうとしました。ですが、後ろから俺に殺されたグラエナ達に声をかけられたのです。」
「グラエナ達に?どうしてなんだ?」

ソルはレオの不可思議な発言を聞いて、おもむろに訊ねた。彼は、彼女にすぐに返答し、話を続ける。

「あはは。恥ずかしい話かもしれませんが、俺は早とちりをしてしまったのです。そこでグラエナ達に、“お〜い。お前、レオだよな?その川を渡る前に、閻魔大王様の所へ行って、天国へ行くか、地獄に落とされるか、転生するかを決められなくちゃならないんだぞ〜!!”って言われちゃいまして…。」
「もしかして君は、ルールを無視してすぐに天国の道へ行こうとしていたのか?」

ソルに意地悪気に訊ねられて、レオは苦笑して自分を嘲(あざけ)笑うように返答する。

「そうらしいです。この川は天国へ渡る者の道だって言われました。でも俺は、閻魔大王様の居場所がわかりません。なので、殺した相手に道案内をされてしまうという恥ずかしく、とても申し訳ない体験をしてしまいました。」
「君らしくないな。でも仕方がないな。わからなかったんだから。」
「わからないというのもおかしいですけどね。グラエナ達は、“あの世のルール”を知っていたワケですし…。」
「そうなのか?いや、ごめん。話を続けてくれ。」

ソルは、レオの返答を聞いて首を傾げて訊ねたが、本来自分が知りたい事とは違うと判断し、彼に話を続けるように要求した。彼は、彼女の要求に従っている訳ではなかったが、話を続ける。

309適当:2013/01/01(火) 15:38:33 ID:5FhSUy8c
「グラエナ達に道案内されて、俺は閻魔大王様の元へたどり着きました。他の死んでいった動物、師匠のような生き物も多数いて…。俺は、グラエナ達に“閻魔大王様に裁いてもらったのか?”と訊いたんです。そしたら、“ああ。予想は出来るかもしれないけど、全員地獄行き。当たり前だよな…。あんなに森の動物とポケモン達のなわばりを荒らしちゃあ。とは言え…まいったな。”って言われまして。」
「で?君は何て返したんだ?」
「そう。仕方ないよ。でも、俺も地獄に行くかもしれない。なぜなら、仲間と一緒に戦わずに一匹でのうのうと生き残ってしまったからって返しました。」
「あっはっは!!君は、考えすぎだ。それで地獄に落ちるわけが無いだろう?死んでいった君の仲間達には悪いが、君が一番優秀な選択をとったんだ。勝てるワケないだろう?動物とポケモンなんて…。結果が見えている。」

ソルは、レオの言葉を聞いて思わず吹き出し、彼の意見を即座に否定し、彼をほめ、彼の仲間に対しては“愚かだ”と言い放った。彼は、彼女と同じように笑いつつも、彼女に愚弄された自分の仲間達に対して、彼女に同情をしてもらうように言う。

「あはは。まぁ、そう言わないで下さい。“囲めば”勝てる。勝つしか、戦うしか生き残る術(すべ)が無かったんですから。」
「そんな訳ない。黙って開け渡せば良かったんだ。なわばりを…やむ無く変えてな。」
「そしたら調子に乗るでしょうが!!全くあなたってお方は…。」
「ふふっ、ごめんごめん。話はまだ終わりじゃないな?続けてくれ。」

ソルに自分の意見を即座に否定され、これが正しい選択が述べられると、レオは彼女へ怒号を飛ばした。彼女は、彼の表情の変化には驚かず、前足を口元に当てて普段の彼女には似つかわしくない可愛らしい笑みを見せ、彼へ話を続けるように要求した。彼は、彼女に軽くあしらわれたのが納得がいかなかったのか、少し怒った表情で話を続ける。

310適当:2013/01/01(火) 15:47:36 ID:5FhSUy8c
「そうですね、続けます。師匠の言うとおり、グラエナ達にも“お前が地獄になんか落ちるワケがないだろ?天国行きに決まってる。嫌われ者のアブソルと一緒にいてあげて、それでいて俺達に立ち向かったんだからな。しかも一匹で。あの時、勝てると思ったけど、負けちまったな。お前を見くびりすぎた。俺達よりも体が小さいのに、どの技も強力で…。つい死んでしまったよ。お前は勇気があって、強い。お前のようなヤツに殺されて良かった”って。」
「結局、私の言ってた通りだったな。随分とベタぼめだな。自分達を殺した相手をほめるのか、あの“野蛮”で“卑怯”な犬共は。」
「まぁ、そう言わないで下さい。俺は、彼らのおかげでこの世に戻る事が出来たんですから。」
「は?どういう事なんだ?」

ソルは、レオの言葉を聞いて思わず訊き返した。レオは、自分がこの世に戻って来れた理由(わけ)を話し、さらに話を続ける。

「実は、グラエナ達の魂を使ってグラエナの体に転生したんです。俺は狼ですから、そのままでは転生出来ない。体の型が合わないので、当然、魂の型(かたち)も合いません。」
「え?そんなルールがあったのか?魂は変幻自在だと思ったんだけどな。」
「そうでも無いらしいです。俺は転生するとすれば、狼の赤ちゃんか、狼の意識をのっとるかのどちらかしかありませんでした。」
「意識をのっとる…。随分と恐ろしい話だな。」
「え?て言っても、俺がそうですけど。」
「あ…。」

ソルは、レオの発言の後半部分を聞いて普段の彼女からは想像出来ない、体を震わせ、何かに怯(おび)えるような表情を浮かべた。彼は、彼女の様子を見てきょとんとした表情を浮かべて、彼女へ“じゃあ、目の前にいるヤツはなんなんだ?”とばかりに言い返した。彼女は、彼に指摘されてあっけにとられた表情へ変化させていた。彼は、彼女の表情の変化を見届け、微笑み話を続ける。

311適当:2013/01/01(火) 15:52:54 ID:5FhSUy8c
「ふふふ、話を続けますね。俺は、出来れば雄の狼に転生(意識をのっとる)したかったのですが、雄の狼はもうこの世には存在しません。次に、赤ちゃんという選択肢がありますが、仲間の雌達は誰も子供なんか身ごもっていませんでした。というか、赤ちゃんに転生できるって言われてもしませんけどね。」
「当然だ。君が成長する頃には、私は年をとり過ぎているからな。いや、君がいなくなってから最近“私も死ねば、レオに会えるだろうか。”とまで考えていた所だったな。」
「あ〜、そりゃあ大変ですね。今日、師匠に会えて良かったです。変なすれ違いになる所でしたね。」
「何だその、軽い言い方は。君、しまいには殴るぞ?」

ソルに胸の内を明かされたが、レオは特に気にかけず、自分の感想を優先して述べた。彼女は、彼があまりにも適当に返して来たので、彼を睨みつけて指摘し、彼へ言い放った。彼は、彼女とのやりとりが面白おかしく感じたのか、笑いながら話を続ける。

「なぐらないで下さい。話を続けます。グラエナ達に、“転生はしないのか?”と訊いたんです。ですが、“地獄行きは、転生の選択は無いんだよ。それに、こんなに多勢転生できるワケが無い。”って言われまして。」
「地獄行きは、裁きしか受けられないって事か。」
「はい。俺はとりあえず、“ご愁傷様。もしも、俺が天国行きなら、君達の事はかわいそうにって思いながら過ごすよ。”って返したら、“いや、俺達は地獄になんか行きたくは無い。そこで、お前に頼みがある”って言われましてね。」
「頼み?転生に関する事か?」
「はい。これこそが、話の結論と言っても過言では無いかと思います。」
「う〜ん。そうか、なら聞こう。」

ソルは、自分の質問、疑問が解消されるという事をレオから聞けたので、彼へ話の続きを要求した。彼は、彼女の返事を受け取った後、この世にこの姿で存在(い)られる理由(わけ)の結論を述べる。

312適当:2013/01/01(火) 15:57:56 ID:5FhSUy8c
「グラエナ達の頼みは、“俺達の魂とお前の魂を混ぜて、仲間の内の一匹の意識をのっとってくれ。”というものでした。俺は、彼達の頼みをを聞き入れ閻魔大王様のお言葉を聞きに行きました。」
「考えもせずに、即答か。」
「姿が似ていましたからね。それに、成長した雄がたくさんいますし。敵(かたき)とは言え、背に腹は変えられません。」
「…まぁ、いい。続けてくれ。」
「はい。わかっているとは思いますが、閻魔大王様の答えは“天国か転生かどちらかを選びなさい”というものでした。もちろん転生。そして俺は、閻魔大王様にグラエナ達の言い分を通すように説得しました。」
「閻魔大王様に“はぁ?”って顔をされただろう?」

ソルに笑いながら指摘されたレオは、“当てられてしまった。”と言うような表情を浮かべて、彼女へ苦笑を混ぜて質問に答える。

「はい。師匠の言うとおり、“仲間を殺し、お前を殺した相手と同じ種族に転生したいのか?”って言われました。俺は、“それでも構いません。グラエナ達の魂で、グラエナの体の型に合わせ、意識は俺の魂でコントロール出来るようにして欲しいんです。って言ったんです。」
「見事に通ったんだな?」
「はい。最初は、“雌の狼に転生しなさい。この者を地獄行きから救ってやる事なんてない。”と断られましたが、グラエナ達も必死に閻魔大王様に“お願いします!!地獄で罪を償い続けるよりも、レオの魂の一部となって現世で善い行いをして、罪を償いたいのです。”って頭を下げまして。閻魔大王様は、彼達の言い分を通す事にしたのです。」
「そして、意識をのとって今に至る…。」
ギュウ
「良かった、嬉しい。君が、天国に行くという選択じゃなくて、転生を選んでくれて。」

ソルは、レオからこの世にこの姿でいる理由を聞き終えると、口元をほころばせ、静かに呟き、彼を抱きしめて、彼に素直な感想を述べた。彼は、彼女の背中に前足を回して、彼女を抱きしめながら、彼女へ感謝の意を伝え、自分の強い意志を言い放つ。

313適当:2013/01/01(火) 16:03:21 ID:5FhSUy8c
「ありがとうございます。師匠にこんなに喜んでもらえるなんて、これ以上の幸せなんかありません。」
「ほめ過ぎだ。照れるじゃないか。」
「ふふふ。師匠とやっとこれからって時に死んでしまったんですよ?転生以外の選択肢なんて選びたくもありません。雄の狼か、この姿に転生出来ないなら、“魂を消して下さい。”って言った事でしょう。」
「そ…そこまでなのか!!」
「はい。これは別にお世辞とかじゃありませんよ。これが、俺の決断です。」

ソルは、レオの言葉を聞いて顔を赤く染めつつ、驚きながらも、彼の顔を見つめ“甘えさせて欲しい”と言わんばかりに彼に要求し、行動に移す。

「ふふ。そこまで言うなら、ちょっとそこへ仰向けになってくれ。」
「へ?わかりました。」
コロン
スクッ…ポフン
「うわぁ!!師匠…何してるんですか!!」

ソルの要求とは、“レオのお腹を枕がわりにして眠りたい”という要求だった。彼は、彼女が素直に見せた“甘えたい”という欲求を見て驚き、彼女へおもむろに訊ねた。彼女は、彼のお腹に頭を乗せて、彼の顔を見上げながら、彼の質問に対して“愚問である”とばかりに言い放つ。

「はぁ…、温かくて気持ちいい…。何って、君のお腹を枕替わりにしているだけだが?」
「ちょっと、重いですよ…。隣で寝てくれませんか?」
「ダメだ。君は、勝手に死んで私に随分と長い間をさみしい思いをさせたからな。私が、どれだけ絶望の淵(ふち)に追いやられたと思っているんだ。このバカ弟子め。」
「あはは。じゃあ、いいです。甘えさせてあげます。師匠って意外と甘えたがり屋さんだったんですね。」

レオに指摘されたソルは、顔を赤く染め上げながらも、照れを隠すように彼へ言い放つ。

「う…うるさい!!甘えているんじゃない!!これは、君への罰だ。」
「随分と優しい罰ですね。まぁ、いいです。それよりも、このグラエナが、生前どんな雄だったか知りたくありませんか?」
「ふふ、どうせ同じだろう?いい、聞きたくない。」
「ところが、そうでも無いんですよ。」
「え?」

ソルは、レオの質問に対して自分の考えを述べ、否定の意志を示した。だが、彼から返って来た答えは、“YES”ではなく“NO”のほうだった。彼女は、自分が予想していた答えが違うという事に知り、驚いて目を見開いた。彼は、彼女の反応を見届け、この姿の元の主の特徴を述べる。

314適当:2013/01/01(火) 16:12:16 ID:5FhSUy8c
「ふふふ。驚くと思いますが、群れで行動せずいつも一匹でいて、グラエナというよりも“狼”に近い生き物だったらしいです。」
「群れから外れるグラエナ!?」
「はい。それでいて、他のグラエナ達の言うことは聞かずいつも“ボーっと”している役立たずな雄だったらしいです。」
「グラエナ…じゃないなそれは。」

レオから話を聞いたソルは、驚き呆れた表情を浮かべた。彼女の反応を見届け、彼は話を続ける。

「あはは、そうですね。らしくないといえば、らしくないです。閻魔大王様に、“グラエナに転生したいのはわかった。だが、どのグラエナにするんだ?今、いるのはエル、ラージ、スール、サム、ラエド、グランだぞ?お前がグラエナ達を殺しすぎたせいか、今、成長した雄は6匹だけだ。”と言われまして。」
「はぁ、それで?」
「俺は正直、誰に転生していいのかわかりませんでした。下手をすれば、師匠に会いに行っただけで仲間のグラエナから仕打ちを受けるかもしれない。そこで俺は、グラエナ達に相談したんです。“師匠に会いたい。何か都合の良い雄はいるか?”と。そしたらグラエナ達は、“そうだな。俺達も再び死にたくはない。転生は二度も出来ない。今度は死んだら、確実に地獄へ行くしか道は残されていないから、教えてやる。”って、彼達に似つかわしくない事を言われまして。」
「いや、ただ地獄が嫌なだけだろう。“親切心”なんかじゃない。あくまでも、自分達中心に物事を考えたんだ。」
「それでも、俺は嬉しかったです。そしてグラエナ達は教えてくれました。“グランにしろ。グランは群れから外れて、何もせずに1日中ボーっとしている、生きた屍(しかばね)みたいなヤツだ。こんなヤツくれてやる。エルは次のリーダー候補になっているハズだ。エルは俺に、動物をいじめるのはやめろ。そんな事して何になる?と言って、俺達の悪事を止めようとしたこともあった。他の雄達も、エルの考えを支持するいいヤツらだ。”と。」
「あっはっは!!おかしな話だ!!悪いグループと善いグループに分かれていたワケか!!」

ソルは、レオから憎き敵の裏事情を知っておもわず吹き出した。彼は、彼女が腹を抱えて笑っている様子を見届けつつ、結論を述べる。

315適当:2013/01/01(火) 16:19:03 ID:5FhSUy8c
「おかしい話ですよね。でも俺は、その事には触れずにグラエナ達にお礼を言って、閻魔大王様に“グランにして下さい。”と言いました。そしたら、すぐに俺とグラエナ達の魂が合わさって、パッと閻魔大王様の前から消え去り、いきなり、俺の目にはどこなのかもわからない森のとある場所が写っていました。現在地がわからないので、俺は少しの間、知っている道を探す為に、あちこちさまよい続けました。そして、ようやく自分が元いたなわばりへと到着(つ)きました。」
「到着(つ)いてしまえば、君の物だな。」
「はい。でも、これで終わりじゃありません。今度は師匠を探さなくちゃならない。師匠の元いた住みかなんて全くわかりません。“もしも、師匠が元いた住みかに帰っていたらどうしよう…。”と思いながらも、ここを訪ねました。」

レオの話を聞いて、ソルは彼が自分を見つける為に努力をしていた事に感心しつつも、彼へ質問を行う。

「いつ?」
「そうですね、太陽が真上に登った時でしょうか。」
「あっはっは!!だったら、私はいないぞ。お昼ご飯を食べに出掛けているからな。」
「そうですね、太陽が真上に登った時でしょうか。」
「あっはっは!!だったら、私はいないぞ。お昼ご飯を食べに出掛けているからな。」
「そうですよね。だから俺は、いつも師匠が食べる木の実がある森へ行ったんです。そこで、師匠が歩いているのを見つけました。でも何かすっごい元気が無さそうでしたね。どうしてだったんですか?」
「君のせいだ。君がいなくなってから、“ずーっと”あの調子だったんだぞ。」

ソルはレオに質問されると、彼を軽くにらみつけ、彼を責め立てた。彼は、彼女の返答を聞いて申し訳なさそうな表情を浮かべ、彼女へ謝罪の言葉を伝え、話を続ける。

「そうだったんですか…。ごめんなさい。師匠の姿を無事見つけられて良かったです。師匠に気づかれないように、こっそり後をついていきました。」
「こっそりか…。くすくす、変態だな。」
「そうゆう目的でついてきたんじゃないですってば!!話し掛ける“機会”をずーっとうかがっていたんです!!」

レオは、ソルにからかわれたので、本当の理由を強調して伝えた。彼女は、彼の発言を聞き終えると、すぐに意見の訂正を行い、軽い脅しをかけた。

316適当:2013/01/01(火) 16:25:40 ID:5FhSUy8c
「冗談だ。君が、そんな気持ちの悪い事をするわけがないという事はわかっている。ありがとう、私を見つけてくれて。最初は“殺そうか”と思っていたが。」
「あはは。じゃあ、今は?
「そうだな。状況次第だな。君が調子に乗れば…な。」

レオはソルの返答を聞くと、彼女に意地悪気に言い放つ。

「あ〜、そうですか。それは恐いですねぇ〜。俺、まだ死にたく無いので帰ります。さようなら。」
「あ〜ん!!だから帰るなぁ〜!!君がいないと、頭がどうにかなってしまいそうなんだよぉ〜!!」
ギュッ
「いたい、いたい!!冗談ですって!!帰るわけないでしょう!!前足を離して下さいよぉぉぉぉ!!」
パッ
「いてて…。もういやだ、こんな甘えん坊でいじわるな師匠は。」

レオはソルに前足で腹部をつままれると、あまりの痛さに絶叫し、彼女へ行為を止めるように懇願した。彼女は、彼の言葉から安心を得る事が出来たので、彼の願い通りに、彼の腹部から前足を離した。その後に、彼は小さくつぶやき、彼女の行動を嫌がるような表情を見せた。彼女は、彼の言葉を聞いて、少し怒った表情を浮かべながら、先程の行動の意味を提示する。

「君が、“いじわる”するから“いじわる”されるんだぞ?私にいじわるされたくなければ、いじわるするな。」
「わかりました。じゃあ、“甘え”もしませんので甘えるのもやめて下さい。」

レオは、ソルに言われた事を応用して、彼女へ要求を出した。彼女は、顔を赤く染めつつも、彼へ強く言い返す。

「あ…甘えてなどいないって言っただろう!!これは、君への罰だ!!」
「罰という名の“甘え”ですか。」
「もう君は許さん。調子に乗りすぎだ。腹に“かまいたち”をきめてやる。」
トン
「嫌です!!もう、俺のお腹の上でいいから寝て下さい。俺、師匠を探すのにつかれて眠いんですから。」
「お腹の上でいいからじゃなくて、君に“決定権”なんてない。私も疲れたな、寝よう。」

レオは、ソルが立ち上がろうとするのを、前足で体を押さえて阻止し、彼女へ要求した。彼女は、彼の発言に訂正を加え、彼に合図をかけ静かに目を閉じた。彼は、彼女の返事を聞いて面白くないという表情を浮かべながら、寝ている彼女に対する愚痴を小さくこぼす。

317適当:2013/01/01(火) 16:28:58 ID:5FhSUy8c
「すーすー。」
「はぁ…。師匠ってこんなワガママだったかな…。なんか…面倒臭いや。」
コロン…
ピト
「すー。う〜ん、レオ…。」
「でも、どうしてだろう。こんな可愛い師匠なんて見たのは、これが初めてだ。寝ている姿が、こんなに可愛いなんて…。」
ナデ ナデ
「ふふ。気持ちいい…。」
「起きているのかな…。ふわぁ…。俺も寝ようっと…。」

ソルは、レオの腹部にほほを当て、自分の顔の近くに前足を置いた。彼女の見た事が無かった仕草を見届けた彼は、彼女の表情を見て素直な感想を述べ、彼女の頭を優しくなでた。すると、彼女は口元を緩ませて小さく微笑み、彼の行為に対する感想を、現実で述べたのか、夢の中で述べたのかの判断がつけにくい感じで、小さく漏らした。彼は、現実か夢か、どっちの事を言っているかがわからなかったので、初めは自分の中で疑問を抱き始めるが、抵抗出来ない程の睡魔に襲われて、やむを得ず静かに目を閉じ、眠りに落ちた。

318適当:2013/01/01(火) 16:34:17 ID:5FhSUy8c
次の朝…

トントン トントン
「師匠、師匠。」
「すーすー。」
「師匠、師匠ってばぁ〜。」
「う…、もう少し…寝かせてくれへぇ…。すーすー。」

ソルは、寝言でレオの行為に対し、自分の要求を小さく唱えた。彼は、何度も呼びかけ、何度も体を揺すったが、彼女がなかなか起きないので、自ら考えた最終手段へ行動を移す。

「起きないなぁ…。ちょっと、ひどいけど…。」

パン パン
「いったぁー!!」

“あ…、やば…。これ怒られないかなぁ…。”レオの頭の中には後々になって、後悔という二文字が浮かび上がって来た。彼の考え通り、彼女は、彼に打たれたほほをさすりながら、彼を静かににらみつける。

サス サス…
ジロ…
「あ…。あはは、師匠…おはよ…」
「こんな起こし方があるかぁー!!馬鹿者がぁー!!」
ゴン
「いったぁー!!ず…ずつきって!!」
「黙れ馬鹿弟子が。こんな起こし方、親にもされた事ないぞ?」

どうやらソルは、レオに手荒な起こし方をされて不機嫌らしい。彼は、彼女に額を勢いよくつかれて、あまりの痛さにその場に仰向けになり、悶(もだ)え始めた。しばらくたって、ようやく彼は立ち上がり、彼女へ反論を唱える。

スクッ…
「だからって…こんな強く頭突きは無いでしょうがぁー!!」
「しつけだ。雄ならともかく、私はこれでも雌。女の子なんだぞ?女の子にこんな起こし方をするのか?」
「え?師匠ってもう、お…」
「なんか言ったか?」
「言ってません。すみませんでした。」

ソルは、レオの意見を受け入れはせず、“お前への調教だ”と言い放ち、彼へ質問を行った。彼は、彼女の言い分に対して首を傾げ、彼女へ反論を行おうとしていたが、彼女に再びにらみつけられ、すぐに、意見の訂正を行った。彼が、反省したように下をうつむいていると、彼女の方から奇妙な音が聞こえる。

グゥゥゥ…
「はぁ…。君を叱ったせいで、腹が空いてしまった。レオ、罰だ。朝ごはんを用意するんだ。」
「ふふふ。」
「何がおかしい?また頭突かれたいのか?」
「いえ、もう既に終わっていますよ。」
「え!?」

レオは、余裕の笑みを浮かべて、ソルへ“朝食の用意は既に出来ている”と言い放った。彼女は、彼の言葉を聞いて、あまりに予想外だったのか、目を見開いて驚きの表情を浮かべていた。彼は、彼女に採ってきた木の実を見せる為に、その場で立ち上がり、洞窟の方へと彼女を案内する。

319適当:2013/01/01(火) 16:40:00 ID:5FhSUy8c
「ウソじゃありませんよ?こっちです。」
スタ スタ スタ…
ピタッ
「うわぁ!!す…すごいな!!」

ソルは、レオに案内されて見せられた、木の実の量と種類に驚きを隠せなかった。そこにあったのは、青色の木の実に、緑色の木の実、黄色の木の実…そして、彼女の大好物である、あの赤色の木の実であった。彼女が驚いたのは、ただ種類と量に驚いたワケではない。実は、これらの木の実がある場所は、洞窟からの距離も遠く、方向もバラバラ。つまり、彼は朝早く起きて、彼女を喜ばせる為だけに、相当の体力を消耗し、かなり距離がある洞窟まで、最大2〜3コという条件付きで運んだのである。彼女は、先程彼を叱った事も、彼を叱った表情も忘れ、顔をほころばせて、彼へ感謝の意を伝える。

「オレン、チーゴ、オボン…そして私の好きなカゴ…。レオ、ありがとう。ごめんな、さっきは頭突いたりして。」
「いえいえ、いいんですよ。俺は、師匠の言う事も聞かない悪い狼ですから。」
「狼じゃなくて、グラエナだ。私は、グラエナが死ぬ程嫌いだが、これしか呼び名がないから仕方が…」
「うっ…。ウサギの…死体か…。」

ソルは、レオが採ってきた木の実の内の、青色の木の実から少し離れた所にあった、茶色の毛皮をまとったウサギが、動かなくなっている様子を見て、喜びの表情から少し顔を引きつった表情へと変化させた。“そうだ、レオは木の実なんか食べれないんだ…。あれ?でもグラエナなのに、味覚は変わらないのか?”顔をひきつらせながらも、彼女は質問を行う。

「でも、レオ。」
「なんですか?」
「君は…今、私と同じような生き物になっている。ウサギの肉なんて…血生臭くて食べられないんじゃないのか?」
「俺は狼ですよ?そんなワケないじゃないですか。」
「って言われてもな…。わかった、じゃあ私の言う事を無視して食べてみろ。絶対に後悔するから。」

レオは、ソルに“食べない方がいい。”と注意を促されるが、自分の意見を押し通し、彼女の目の前でウサギの肉にくらいつく。

320適当:2013/01/01(火) 16:46:11 ID:5FhSUy8c
「じゃあ、お先にいただきま〜す。」
ガブ…
「うっ…。」
ペッ
ビチャッ
「うぇ〜!!何これ!!ま…まずい!!そんな…バカなぁ〜!!」

レオは、ウサギの肉を口に入れた瞬間に、今まで味わった事が無かった血生臭さと、言葉では言い表せないような、とてつもないまずさが口の中に広がり始めていた。彼は、それに耐えきれず、木の実を置いた場所とは逆の方向に吐き出し、舌をだして驚きつつも、ソルに味の感想を伝えてしまっていた。その様子を見ていた彼女は、“やれやれ”という表情を浮かべて、彼に意地悪気に言い放つ。

「あ〜あ、言わんこっちゃない。だから、言っただろう?絶対に後悔するって…な。」
「うう…。」
「レオ、食べられないのに、そのウサギの命を奪ってしまったな?」
「すみません…。食べられると…これしか食べられないと思ったもので…。」

レオは、ソルに指摘されて、下をうつむいてしゅんとした表情を見せていた。 彼女は、彼が雄らしくもない、少し可愛気のある困惑した表情を見て、おもわず吹き出し、彼をなぐさめ、共に食事をする事を呼びかける。

「あっはっは!!知らなかったのなら、しょうがないな。私は、こんなにたくさんの木の実なんて食べられない。レオ、私と一緒の食事をしないか?」
「え…。いいんですか?」
「いいも何も、これ、君が採って来たものだろう?それに、私の夢がようやく叶ったんだ。」
「師匠…。」
「さぁ、さっさとその気味の悪いウサギを片付けろ。そして、ここへ戻って来い。私は、その間食べずに、君が来るのを待ち続けているから。」

ソルは、嬉しそうにレオへ自分の胸の内を話した。彼は、彼女の指示を受けて、食べることの出来ない、茶色の毛皮をまとい動かなくなったウサギをくわえて、洞窟を抜けだした。しばらくして、彼が彼女の元へと帰って来ると、彼女は自分と向き合うような位置に座るように、彼に指示した。彼は、彼女に従い、彼女と向き合うように座り、彼女へ合図を出す。

スクッ…
「師匠いいですか?」
「ああ。」
『いただきま〜す。』

ソルとレオは、同時に食事開始の合図を唱えた。彼女は、あらかじめ食べる順序を決めていたようで、迷うことなく木の実を食べ始めたが、彼は、初めての経験に戸惑っている様子だった。彼の悩んでいる様子を見かねた彼女が、彼へ助言…というよりも指示を出す。

321適当:2013/01/01(火) 16:52:32 ID:5FhSUy8c
「う〜ん。」
「レオ、オレンから食べてみろ。」
「オレン?」
「その青色のヤツだ。」
「わかりました。」

レオはソルに従い、緑色の隣にあった青色の木の実を、試しに口へ含み始める。

カプッ…
キシュッ
ジュワァァァ…
「!!」
モグ モグ…
ゴックン
「お…美味しいです!!果物が…こんなに美味しかったなんて!!」

レオは、口に広がる甘酸っぱい濃厚な味に驚き、ソルへおもわず感想をぶつけてしまっていた。彼女は、赤色の木の実を食べ終え、彼に相槌を求める。

ゴックン…
「はぁ〜、美味しい…。な、言った通りだろう?君は、もう木の実しか食べられなくなってしまったんだ。」
「その通りのようですね。この緑色もなかなか美味しいです。」
「チーゴが好きって…君、変わっているな。」
「不人気なんですか?」
「不人気も何も、オレンの美味しさを味わった後に、こんな苦い実を食べたくはないな。食べるなら、オボンの実を食べた後か、モモンの実を食べた後か…。」

ソルは、レオが緑色の木の実を好んで食べている光景を、首を傾げて見つめていた。彼は、彼女から本来の食べ方を聞くが、木の実に関しては全くの無知であったので、彼女におもむろに訊ねる。

「オボン…。モモン…。って何ですか?」
「そこにある黄色いヤツがオボン。モモンは残念ながら、君は採ってきてはいない。」
「どんな色をしているんですか?」
「桃色だ。」
「うん?あっ!!」
「え!?どうかしたのか?」

ソルから木の実に関しての情報を得たレオは、何かを思い出したかのように声を上げた。彼女は、後の様子を見て驚き、彼へ訊ねた。彼は、興奮して彼女の質問に答える。

「俺見ましたよ!!その…確か北へずーっと行く途中に、沼の近くにあった木に実(な)っていました。」
「え!?本当か!?」
「はい。って、どうしたんですか?」

レオは、ソルがあまりにも驚いていたので、彼女へ理由を訊ねた。彼は、木の実に関してからっきしだからわからないが、その桃色の実がある木が見つかった事自体が珍しいのである。なぜなら、その桃色の実はポケモン達に最も人気があり、実をつけた直後に、なくなってしまう程の人気がある木の実であるからだ。その事を知っている彼女は、しめしめと笑い、彼へ真実を話す。

322適当:2013/01/01(火) 16:58:44 ID:5FhSUy8c
「くっくっく…。穴場だな。」
「えへぇ。どうしたんですか?こんなにニヤニヤして。」
「レオよく聞け。モモンはな、“めった”に見る事が出来ない程の人気がある木の実なんだ。実をつけた瞬間に、“無くなってしまう”程のな。」
「ええ!?ご…ごめんなさい!!採ってこれば…良かったですか?」
「いや、いい。 はは、すごいラッキーだな。この事は、誰も知らない事を祈ろう。私も、1、2回しか食べた事はないからな。」

レオは、ソルから真実を聞いて驚き、彼女へ申し訳なさそうな表情を浮かべて、小さくつぶやいた。彼は、彼女のつぶやいた言葉を聞いて驚き、興奮して彼女に訊ねる。

「師匠もですか!?そんなに美味しいんですか?」
「ああ。甘くて、“とっても”美味しいぞ〜。私が、大好物にしているカゴの実が、仕方なく大好物にしているって思える程にな。」
「うわぁ〜!!食べてみたいですねぇ〜!!あっ、採って来ましょうか?」
「採って来るな。私は、もうお腹いっぱいだ。木の実も一応生き物の一種なんだ。食べきれないのに採るのは、君が食べられないのに殺したウサギと同じ事だ。」

ソルは、レオの行動を抑止して命を頂く事に関して説いた。しかし、彼はよほど味が気になるのか、彼女へ自分の意志を強く伝える。

「でも食べたいですよぉ〜!!」
「だったら、まだ残っているそこの木の実を食べろ。」
「あっ、いえ、腹八分目位が丁度いいので。」

“腹八分目がいいって言っているのに、ふざけているな…。”ソルは、レオの意見を聞いて軽い脅しをかける。

「はぁ〜ん。君、ふざけているな?お腹を満たさなくてもいいって言っているのに、モモンは別腹か。かまいたちをぶつけるぞ?このバカ弟子め。」
「じょ…冗談ですって!!わかりましたよぉ〜!!言うこと聞けばいいんでしょ!!聞けばぁ〜!!」
「ふん、それでいい。尊い命を粗末にするヤツは、たとえ弟子と言えど容赦はしない。君が意識を乗っ取っている蛮犬が、たくさん技を持っていると思うなよ?かみつくと頭突きとほえるがメインの“野蛮”な生き物だからな。私には逆らわない方がいい。」
「あはは、わかっていますよ。あっ、技の方じゃなくて師匠が強いって事ですよ?」

“私が強いってわかっていたのに、あの時無茶をしたのか…。コイツ、どうしてくれようかな。”ソルは、レオから胸の内を聞き出せたので、彼へ意地悪気に訊ねる。

323適当:2013/01/01(火) 17:03:23 ID:5FhSUy8c
「“私”が強いってわかっていたのに、“私”を逃がして、“一匹”で無茶をして死んだのか。」
「ぎくっ…。」
「ちょっとそこに仰向けになれ。」
「え?はい。」
コロン…
スタ スタ…
フシュ
「いったぁー!!ちょっとぉー!!どこ攻撃しているんですかぁぁぁぁぁぁ!!」

ソルは、レオに仰向けになるように指示を出し、彼が言われるがままに仰向けになった所を、後ろ足を使って、彼の雄の象徴を踏みつけた。彼はあまりの痛さに後ろ足で股を閉じて、前足で自分の股間を押さえ、悶絶しながらも彼女へ怒号を放った。彼女は、彼が痛がる様子をみても“当然だ”とばかりに彼への仕置きの理由を述べる。

「君は、大事な所を攻撃されても文句を言う資格はない。必然だろう?一匹の雌に、ずーっと寂しい思い所か、“絶望”におとしいれるような事をしたんだからな。反省しろ。このバカ弟子め。」
「いてて…。師匠には死んで欲しくなかったんです…。」
「二匹で力を合わせれば楽に勝てただろう?現に、君一匹でかったしな。」
「あ…。」
「はぁ…。もう、いい。それよりも生きたい所がある。着いて来い、バカ犬。」
「もう弟子すら言ってくれなくなったよ…。わかりました、どこまでも着いて行きます。」

レオは、ソルに理由を述べたが、彼女に矛盾点をつかれてあっけにとられていた。彼女は、彼の考え無しに無謀な作戦をとってしまったという事を知って、呆れた表情を浮かべ、彼へ呼びかけた。彼は、目線を落として落ち込んだ様子で小さくつぶやき、彼女の指示に従う意志を見せた。彼女は、彼の返事を聞くと、彼の前を歩いて、彼に、とある場所へと道案内をおこなった。

324適当:2013/01/01(火) 17:08:03 ID:5FhSUy8c
南の森の奥地…

スタスタ…
ピタッ
「着いたぞ。」
「うわぁ〜!!すごい所ですねぇ〜!!」

レオが、ソルに道案内された場所とは、洞窟から南へ数km離れた、森のとある場所であった。そこには、大きな川があり、周りには見た事もないような木の実をつけた木々がたくさん群れをなしていた。彼が、この広大で雄大な景色に驚き、はしゃいでいると、彼女は、彼の気持ちを理解していながらも、本来の目的を成し遂げる為に、彼へ声を掛けた。

「あはは。はしゃぐな。私は、ここに二つの目的があって来た。」
「え?体を洗うだけじゃないんですか?」
「ああ。まぁ、とりあえず体を洗うか。私からが先な。」
「ふふ、いいですよ。女の子ですからね。」
「そういう事だ。…って、言わせるな!!さっさと洗え!!」
スクッ
「はいはい、わかりました。」

ソルは、レオにつられて同意をしてしまい、自分から恥ずかしさを感じるハメとなってしまっていた。彼は、彼女の少し赤く染まった顔を見るも、彼女から指示を受けて返事を返し、前足に水をつけては、彼女の体を洗うという行動を取り始めた。彼が、体を洗い進めていく内に、2つの問題点が生じた。彼は、彼女の背中を洗い終えると、彼女へ問題点に関して訊ねる。

ゴシ ゴシ…
「ふぅ〜、背中は終わりです。師匠、前は…自分で洗ってもらえませんか?」
「断る。洗いっこに、“中途半端”なんて言葉は存在しないからな。」
「えぇ〜!!俺、嫌ですよぉ〜!!」
「なんでだ?」

レオは、ソルに向かって何かを強調するように、拒否の意を示した。彼女は、以前として態度を崩さず、彼へ理由を訊ねた。彼は、“わかっているくせに…。”とばかりに、彼女をにらみつけて言い放つ。

「だって、師匠、大事な所を洗ったら、“絶対”変な声出しますもん!!」
「出さん。ふざけるな。」
「いやいや!!ふざけてるとかじゃな…」
「洗え。命令だ。弟子なのに、師匠の言う事が聞けんのか?」
「はぁ…。わかりましたよ!!洗えば、いいんでしょ!!洗えば!!」
「そう言う事だ。もしも、私が“変な声”を出したら、私を殴れ。」

ソルが、自信あり気に返答してきたので、レオは、嫌々ながらも小さくうなずいた。彼の返事を受け取ると、彼女は、川の中で仰向けになり、前足、後ろ足を大きく広げて、彼が洗いやすくする為の姿勢を取った。彼は、彼女の胸に前足を当て、ゆっくりと彼女の体をこすり始める。

325適当:2013/01/01(火) 17:14:36 ID:5FhSUy8c
ピチャ…
ゴシゴシ…
「あっ…。」
「あれ?師匠、もうですか?」
「出していない。さっさとしろ。」
ピチャ…
ゴシゴシ…
「あっ…あん…。」

“絶対出してるよ…。”ソルは、レオに胸をこすられる度に、先程の公言を疑わせるような、可愛らしい声を小さく漏らしていた。彼は、彼女が我慢出来ていない事を知りつつも、返って来る返事は1つだろうと考え、彼女へは何も言い返さずに、そのまま洗い続けた。やがて、腹部まで洗い終え、彼は第2の問題点にさしかかる。

「ふわ…、レオ、洗うの上手いな。」
「ふ〜ん、そうですか。じゃあ次、ここいきますよ?絶対、“変な声”出さないで下さいね?」
「ああ。来い。」
ピトッ…
「はぅ…。」
ゴシゴシ
「あん…はぁう!!」
ゴシゴシ
「気持ち良い…。レオ、気持ち良いよぉ…。」

“全然約束守れてないよ…。何か腹が立って来たな…。”レオは、自分がソルの桃色に染められた大事な部分を洗う度に、彼女に本心を全てさらけ出されたので、約束を全く守れてないと感じ、彼女をにらみつけて言い放つ。

ジロ…
「へぇ〜、気持ち良いんですかぁ〜。」
「う…うん。」
「じゃあ、なぐりますよ?いいんですね?」

レオに先程の約束が守れてないと指摘されたソルは、焦って必死の弁解を行う。

「いや、待て!!わ…私は声なんて出していないし、き…君が洗うのが上手だなぁって思っただけだ。」
「敏感な所を触っても、声なんて出していない…。あ〜、それじゃあ、あれって“何の声”だったんですか?」
「あ…あれは、鳥の声だ!!君の…後ろにでもいたんだろうな…。」

“何を言っているんだ、このお方は…。”レオは、ソルの言い訳を聞いて、呆れた表情を浮かべながらも、一度、彼女の意見に従い、彼女へ質問を行う。

「え?俺って、そんなに恐がられないんですか?」
「ああ。全く恐くない。君に、オーラなんてあるワケないだろう。」
「ウサギは、俺に見つかるとすぐに逃げたのにですか?」
「あ…。」

ソルは、レオに矛盾点を指摘されて言葉をつまらせてしまった。彼は、彼女に冷たい視線を送り、彼女へ脅しをかける。

326適当:2013/01/01(火) 17:20:09 ID:5FhSUy8c
「はぁ…。師匠、俺、ムカついてきたので、なぐってもいいですか?」
「なぐるなぁー!!」
「“なぐっていい”って言ったじゃないですか。なぐりますよ?いいですね?」
スッ…
「待て待て!!君は、女の子の顔をなぐる程の“悪いヤツ”じゃなかっただろう!!」
「俺は、約束を守る“いい狼”です。だから、なぐります。約束通りに。」
「こんなのいい狼なワケないだろう〜!!私が、悪かった!!謝るから、許してくれよぉ〜!!」

ソルは、レオの行動を抑止しようと、彼を説くように必死に言い訳をした。彼は、彼女の意見には同意せず、自らの意見を言い放ち、彼女の顔をはたこうと前足を構えた。彼女は彼に、よっぽどはたかれたくは、なかったのか、涙目で彼へ素直に謝り、自らの公言を放棄した。彼は、彼女の表情を見て、仕方なく彼女を許し、彼女へ条件を言い放つ。

「ぐっす…、えぐっ…。」
「はぁ…。わかりました。じゃあその代わり、俺の股間をけらないと約束して下さい。」
「わ…わかった。しかる時は…頭にする。」
「それから、俺の体も優しく洗って下さいね?」
「うん。」

ソルは、レオから許してもらう条件を聞くと、全ての条件を呑み、立ち上がって、前足に水をつけては、彼の背中をこするという作業を行い始めた。彼は、彼女を泣かせてしまって、さすがに悪かったと感じたのか、彼女が背中を洗っている最中に、彼女へ申し訳なさそうに謝罪する。

ゴシゴシ
「あはは。師匠、泣かせてしまってごめんなさい。いくら強いとは言え、女の子ですからね。」
「うん。謝ってくれるんだな…。嬉しい…。」
「気は完全に許したワケじゃないですけどね。」
ゴシゴ…
「もう一回泣いてもいいか?」

レオは、ソルが普段見せない弱気な態度を取っている事に驚き、即座に前言の撤回を行う。

「じょ…冗談ですよぉ〜!!やだなぁ〜、どうして本気にするんですかぁ〜。」
「君がいじわるだからだ。」
「師匠だって俺に…」
ガバッ
「うぅ…。レオがいじわるするよぉ…。」

ソルは、レオに指摘されようとすると、彼の言葉から逃げるように、彼の背中に顔を押しつけ、すすり泣きながら、彼へ訴えかけた。彼は、背中が濡れる感覚を感じ“しょうがないなぁ…”と言うように、彼女をなぐさめる。

327適当:2013/01/01(火) 17:27:01 ID:5FhSUy8c
「はぁ〜あ、師匠って、こんなに“甘えたがり屋さん”だったんですね。」
「ぐっす…。うるさい…。女の子なんだから、いいだろう甘えたって。」
「あはは、認めてくれてうれしいです。生意気ですが、師匠へのごほうびに、師匠の言う事なんでも聞きます。」
「すん…。言ったな?」
「はい。苦でもありませんよ。師匠からの命令は、全て強くなる為の物ですし、何より師匠…可愛いですからね。」

ソルは、レオから好条件の返事を貰うと、甘えるような声から、普段の声の調子に戻し、彼へ再確認を取った。彼は、彼女に笑顔を向け、胸の内を告白した。彼の返事を受け取った彼女は、嬉しそうに微笑み、彼へ要求する。

「ふふふ。じゃあ、前を洗わせてくれ。」
「大事な所を除けば…いいですよ」
「いや、大事な所も含めてだ。」

レオは、ソルの要求を条件付きで呑むが、彼女がその条件を否定して、とんでもない事を口走ったので、彼は、黙って彼女へ遠慮の意を伝える。

「は?いや、いいですって!!こんな汚い物に触れる必要なんか…」
「矛盾しているな?何でもじゃなくなっているぞ?」
「う…。」
「ほら、そこへ寝ろ。体を綺麗にしてやるから。」
「わ…わかりましたよぉ〜!!洗わせればいいんでしょ!!洗わせれば!!」
パシャ
「あっはっは。よしよし、いい弟子だ。ごほうびに“とって”も体を綺麗にしてやろう。」

“全然嬉しくない…。絶対、さっきの仕返しがしたいだけだよ…。”ソルは、レオが素直に自分の指示に従ったので、嬉しそうに微笑み、かれの頭をなでた。彼は、頭をなでられながらも、不安を抱き、ため息をついていた。彼女は、彼の頭をなで終わると、前足を濡らして彼の体を洗い始めた。彼は、最初は不安で胸をいっぱいにしていたが、自分の思っていた展開には進まず、彼女が優しく丁寧に体を洗っていたので、徐々に顔をほころばせ、彼女へ感想を漏らす。

「はふぅ…。師匠、こんなに優しく洗ってくれてありがとうございます。とっても…とっても気持ち良いです…。」
「君は、私が乱暴に洗うとでも思ったのか?」
ピチャ…
ゴシゴシ
「はい。さっきの仕返しをしてくるのかと…。」
「失礼なヤツだな。」
「ごめんなさい。師匠を信頼しない悪い弟子で…。」

レオは、ソルに自分が考えていた事は全く違うと言われると、申し訳なさそうな表情を浮かべて、彼女へ謝罪した。彼女は、彼の様子を見ていたずら気に微笑み、彼へ合図を出す。

328適当:2013/01/01(火) 17:37:37 ID:5FhSUy8c
「ふふふ。可愛いヤツだな。」
「師匠、雄に可愛いなんてただの侮辱ですよ?」
「可愛いんだから仕方が無い。次、ここいくぞ?」
トントン
「あぅ!!変な洗い方しないで下さいよ?」

レオは、ソルに自分の一番大事な部分である、雄の象徴を前足で触れられると、声を上げるも、彼女に、洗い方の条件を出した。彼女は、彼を不安にさせるような、本来の悪タイプにふさわしい邪悪な笑みを浮かべて、彼へ同意し、とんでもない事を言い放つ。

「あっはっは。まかせろ、一番優しい方法だからな。」
「一番優しい…ですか?」
「ああ。“くち”でやるんだ。」
「くちでぇ!?」
「一番優しいだろう?」

“確かに優しいけど…。”ソルの恐ろしい発言を聞いたレオは、彼女の意見は間違ってないと思いつつも、彼女へ反論を行う。

「……。師匠、それはもう洗う…じゃなくなってますよね?」
「あっはっは!!」
「いや、あははじゃなくて…。」
「構わん、行くぞ。」
パクッ
「えぇー!!ちょっ…ちょっと待っ…。」
チュプ チュプ チュプ
「うっ…はぁう!!」

“ついに、無視して始めちゃったよ…。これで、射精(だ)しても…怒らないよね?”レオは、ソルに意見を唱えるが、見事に無視され、自分の雄の象徴を彼女の口に含まれるハメとなってしまっていた。彼は、不安を抱きながらも、一応雄として、行為が行われている嬉しさもあった。“だけど、こんな真っ昼間からは…。誰かが見てると思うし…はしたないよね?”今の所、彼は不安が勝ってしまったので、彼女へ反論を唱えるのであった。

チュプチュプチュプ
「うわっ!!はっ…。し…師匠…止めて下さい…。」
「ん?」
「いや、“ん?”じゃなくて…誰かに見られてますって…。」
レロレロレロ
「うう!!あはぁ!!って!!そうゆう意味じゃありませんてばぁぁぁ!!」

“ああ…。もう、どうでもいいかな…。師匠みたいな生き物以外ならいいや…。見ているのは、ウサギか鳥さんでありますように…。”レオは、ソルに雄の象徴をほふられ続ける事によって、もはや“どうにでもなれ!!”とまで思い始めていた。彼は、雄であるが故に、雌である彼女に、雄の象徴をほふられる事が何より嬉しく感じていたのである。やがて、彼の中の不安は完全に消え、彼女との行為が楽しいとだけ感じ、彼は、快感がこみ上げて来て、彼女の口内に自分の子種を注ぎ込む。

329適当:2013/01/01(火) 17:45:19 ID:5FhSUy8c
レロレロレロ
「うう〜!!ああ!!もう、限界だぁぁぁぁ!!」
ビュク ビュルルルル…
「んん!!」
ドク…ドク…
「はぁ…はぁ…。もう、師匠のバカ…。変態…。」

“そういいながら、気持ちいいって思ってる俺も、かなりの変態だよね…。”ソルは、レオの雄の象徴から水とは違う、粘り気のある白濁色の液体が噴射された事に、一瞬目を見開いて驚いていたが、“この感覚は久しぶりだ…。嬉しい…。”と感じ、彼の子種を全て体の中に入れていた。彼は、彼女に暴言を静かに吐いたが、自分に対しても“実は、そうなんじゃないか?”という違和感を抱き始めていた。彼の子種を全て飲み干し終えた彼女は、彼に満足気といたずら気の半々の笑みを浮かべ、彼へ感想を訊ねる。

スッ…
「ぷはぁ!!」
「ぷはぁ…って…。」
「あっはっは!!私が変態?とか言って、君もこうされたかったんだろう?気持ち良かったか?バカ弟子。」
「あはははは!!いいえ、全く。」
「あ〜、そうか。なら、もっと続けるか?君が力つき…。」
「ウソです、ごめんなさい。すっごく気持ち良かったです。」

レオは、初めはソルを嘲け笑うように彼女の質問に対し、否定の意を示したが、彼女にさりげなく脅され、すぐに前言を撤回し、正直に胸の内を打ち明けた。彼女は、彼がすぐに投降した事を素直と感じたのか、彼に微笑みかけ、彼の頭を優しくなで、彼をほめる。

ナデ ナデ
「ふふ。よしよし、素直でいい弟子だ。いっぱい射精(だ)してくれて私も嬉しいぞ。君は、とってもいい狼(こ)だ。」
「いい子って…。俺は、もう子供じゃありませんよ…。」
「誰が子供と言った?狼で“こ”と言ったんだぞ?」

“どうゆう読み方!?何か、おかしいよね!?”レオは、ソルの答えに対し、激しく疑問を抱きつつも、彼女に意見しても無駄だと判断し、彼女へ、悪意のある行為の奉公をしようと企み、彼女へ要求する。

330適当:2013/01/01(火) 17:51:30 ID:5FhSUy8c
「師匠だけ俺のを味してずるいです。俺も愛撫(し)たいですよ。」
「というと?」
「今度は、俺の番です。そこへ寝て下さい。」
「い…いや、私は…。」
ムクッ
ドン
「うわぁ!!」
パシャ

“ええ!?レオって…こんなに積極的なヤツだったか!?”ソルは、レオに指示を受けるも、遠慮の意を伝え、彼の要求を拒否した。だが、彼はどうしても“同じ目に遭わせてやりたい!!”と思っていたせいか、彼女の返事を無視し、彼女を押し倒した。“やった!!ちゃんと返してくれるんだぁ!!”彼と違い、彼女は、嬉しさだけが胸にこみ上げて来ていたので、彼の悪意ある奉公を断ろうとはせず、彼の行為を楽しんでいた。彼女は、彼に、自分の大事な部分を舌でほふられる度に、普段の振る舞いからは想像出来ない、可愛気のある嬌声を森へ響かせる。

ピチャ ピチャ ピチャ
「あっ…あん!!」
ピチャ ピチャ ピチャ
「はぁう!!はぁ…。」
「師匠、気持ち良いですか?」

“ここでウソをついたらどうなるんだ?”ソルは、快感がこみ上げて来ていたが、試しと言わんばかりに、彼へ虚言を吐き捨てる。

「はぁ…はぁ…。あっはっは!!全く。君は、下手くそだな!!」
ジロッ…
「へぇ〜、あ〜そうなんですかぁ〜。」
「ああ。“どこ”をなめている?このバカ弟子め。」
「なんか…ムカついてきました。覚悟して下さいね?絶対に、“大恥”をかかせてやりますから。」

レオは、ソルに暴言を吐かれたので、彼女を静かに見下ろし、彼女へ、もう一度意見の再確認を行った。だが、彼女は意見を変えようとはせず、更に強調して、彼に暴言をぶつけた。彼は、彼女の言葉に刺激されて彼女へ予告し、彼女の桃色に染められた縦筋に、自らの舌を挿入し始める。

331適当:2013/01/01(火) 17:56:50 ID:5FhSUy8c
「覚悟?君のなんて全然大した事な…」
ジュププ…
「いひぃ!!待…待て!!それはおかしいだ…」
ジュプジュプジュプ
「ろほぉ!!あん!!あっ!!はぁ!!」
ジュプジュプジュプ
「ああ!!あはぁ!!んっ…。こ…この卑怯者ぉぉぉぉ!!」
プッシャアアア…
ヒク…ヒク…
「はぁ…はぁ…。君…いつからそんなに積極…的に?」

ソルは、レオに予想もしなかった行為に変更されて驚き、彼へうろたえた。彼は、彼女の意見を無視して、自分の行為に専念していた。故に、彼女の中では、徐々に、徐々に、快感が大きくなり、ついには、限界に達して、森中に、自分には似つかわしくない嬌声を響かせながら、自らの桃色に染められた縦筋の間から、透明な液体を勢いよく噴射してしまった。彼女は、息を切らしつつも、彼へ質問を行うと、彼は顔を拭って嬉しそうに彼女の体液を味わいながらも、彼女に返答する。

グッ…グッ…
パクッ
「ふふふ。どうしてですかね?自分でもわからないんです。生前とは全く違う感覚を感じています。」
「はぁ…はぁ…。それは…どういった感じだ?」
「なんですかね…。師匠を見ると、いじめたくなっちゃうような…。不思議な感覚です。すみません。」

“ノーマルから悪タイプになってしまったせいか?”ソルは、一つの推測を浮かべ、レオへ告げる。

「う〜ん。たぶん、悪タイプになってしまったから…だな。」
「悪!?」
「ああ。」
「何か…嫌ですね…。俺、別に悪い事をしようと思ってませんよ。」

“ストレートに言っても伝わらないよな…。もう話すのはやめるか。”ソルは、レオに先程口走った事を取り消す。

「いや、なんでもない。ごめん、変な事言って。」
「あはは。いいんですよ。それより、さっきのなめあいっこ楽しかったです。ありがとうございます。」
ペコ
「そ…そんな、頭を下げる程の事でも無いぞ!!」
「今日の目的ってこの2つだったんですか?」

“残念ながら、そんなワケない。”ソルは、レオの質問に対して否定の意を示し、本当の目的を成し遂げる為、彼を再び案内しようと呼び掛ける。

332適当:2013/01/01(火) 18:02:15 ID:5FhSUy8c
「レオ、そんなワケないだろう。公衆の面前で、こんな恥ずかしい事…誰がやるか!!」
「え?じゃあ何なんですか?もう1つの目的って。」
「着いて来い。私の弟子なら…」
ガサッ
「見つけたぞ。」
『!!』

ソルが、レオの質問には答えず、再び彼の前に立ち、彼を目的の場所へ案内しようとしたが、後ろから何者かの声がかかったので、声の聞こえた方向へ振り返った。彼女と彼が見た声の主とは、彼と同じ姿をした者であった。声の主の左右には、同じ姿をした者達が存在していた。声の主の仲間達は、彼と彼女をにらみつけながら、それぞれ言い放つ。

「最近、群れの中を探してもいないと思ったら。」
「こんな所にいやがったぜ。」
「ふざけやがって…。」

仲間達が言い終えるのを聞き計らい、声の主は、レオへ真剣な表情を向け、質問をぶつける。

「グラン、ここで何をしている?」
「グラン…。レオ、コイツの元の名前だったよな?」

ソルの質問に対し、レオは静かに返事を返した。声の主は、彼がすぐに質問に答えなかったので、声を荒げて再度質問を行う。

「………。」
「質問に答えろ!!我ら怨敵の“アブソル”と何をしていると聞いているんだ!!」
「怨敵…。そうか、私もか。」
「俺は…俺はお前達の仲間じゃない。何の事かさっぱりわからんな。」
「ふぅ〜。リーダーどうします?コイツ、すっとぼけてますぜ?」

“リーダー?って事は、このグラエナがエル?”レオは、あの世から得た情報を頼りに、声の主へと質問を行う。

「お前がエルか?」
「グラン、我が種族の名も知らぬようになったか!!」
「もう一度言う。俺は、グランじゃない。俺は、俺の名前はレオ。エル、何か勘違いしていないか?」

レオは、声の主に質問を行ったが、声の主は質問には答えず、静かに脅しをかけた。

333適当:2013/01/01(火) 18:07:18 ID:5FhSUy8c
「グラン、何もせずに一匹でのうのうと過ごすだけならまだいい。だが、我ら怨敵の“アブソル”と共に過ごす事は、断じて許さん。グラン、こっちへ来い。今なら、許してやる。」
「ふっ、逆らうと言ったら?」
「お前をこのアブソルと共に…ここで屍(しかばね)にする。裏切り者を…生かしておくわけにはいかない。大勢の仲間を殺した怨敵と…共に過ごしているヤツを見過ごすワケにはいかん!!」

声の主が言い終えると、仲間達はソルとレオを取り逃がすまいと一斉に囲み始めた。彼と彼女は、お互い背中を合わせて、声の主の仲間達に目線を送りつつ、相談をし始める。

タッタッタ…
「ふふふ。これで…二度目ですね。」
「ああ。」
「逃げて下さい。」「断る。ふざけるな。」
「ふっ、そう言うと思いましたよ。援護…お願いします。」
「援護?笑わせるな。私の前方にいる敵、全て片付けてやる。君こそ…私の足を引っ張るなよ?」
「あはは。なめられたものですね…。」

ソルとレオのやり取りを聞いていた声の主達は、彼が自分達の所には戻って来る気はないと判断し、声の主の合図を待ち始めた。声の主は、怒りに満ちた表情で彼と彼女をにらみつけ、仲間達へ合図を送っていいかどうかを判断する為、再度彼へ質問をぶつける。

「ふぅ…。グラン、もう一度訊く。“我ら”を裏切るのか?」
「ふふふ。かかって来い。俺を…殺して見ろ。」
「ラージ、スール、サム、ラエド…殺れ。この世に…肉片を残すな!!」
『おおー!!』

声の主の質問に対し、レオは、不敵な笑みを浮かべて、宣戦布告を行った。声の主は、殺意のある目線へと変え、彼をにらみつけたまま、仲間達へ合図を出した。声の主の合図を聞いた仲間達は、雄叫びを上げ、一斉に彼達へ襲いかかった。彼達はそれぞれ、声の主の仲間達を向かえ討ち始める。

334適当:2013/01/01(火) 18:11:43 ID:5FhSUy8c
タッタッタ…
「来たか…。かまいたち!!」
ブーン
ヒュン
ヒョイ
「効かんわ!!」
「避けられたか。電光石火!!」
シュッ シュッ
ドン
「ぐふぅ!!」
「とどめ…」
「くらえ!!怨敵め!!」
グシュッ…
「うわぁ!!」
ヒュッ…パシャ

ソルは、声の主の仲間達に対し、三日月状の白い刃物を、額についている黒い鎌から飛ばした。彼女の攻撃は外れたが、彼女自ら、刃物を飛ばした相手に高速で近付き、声の主の仲間の脇腹を前足で強く殴った。彼女の攻撃を受けた、声の主の仲間は、その場に崩れ、うつぶせとなってしまった。彼女は、うつぶせとなった者にとどめを刺そうと、前足を高く上げたが、真横から声の主の仲間に体をぶつけられ、跳ね飛ばされてしまった。彼女は、やっと立ち上がり、ひるみが効かなくなった声の主の仲間が立ち上がる姿と、先程攻撃された相手の動きを警戒する中、彼も後ろで行動を開始する。

タッタッタ…
「死ねぇー!!裏切り者ぉぉぉぉ!!」
ヒュン
「あはは。単純過ぎる。このバカが!!」
「何だとぉー!!このぉー!!」
ガチン ガチン
ヒュン ヒュン
「くそったれがぁぁぁ!!」
クルッ…
キッ…
「そこだ。」
タッタッタ…
「う…しまったぁぁぁぁ!!」
ドゴーン
「ぐおほぉ!!」
ヒュー…ドン
カクッ…

レオは、声の主の仲間達のかみつく攻撃をあっさり避け、相手を挑発した。彼の作戦にはまってしまった、彼に攻撃を避けられた者は憤慨し、彼をかみつこうと何度も歯を合わせた。だが、彼へは一向に攻撃を当てきれなかったので、攻撃を当てきれない仲間を見兼ねた者が、彼を目掛けて駆けだしてきた。彼は、いきなり向きを変えて、自分の元へ駆け出して来た者目掛けて、全速力を出して接近し、不意打ち混じりの頭突きをくらわせた。頭突きを受けた者は、大きく一直線に飛ばされて、川から出た所に生えている一本の木へ体を衝突させ、気を失った。その様子を見ていた声の主の仲間達と声の主は、あまりの衝撃の光景に驚き、それぞれ口を開く。

「頭突き一発で、何って威力なんだ!!」
「コイツ…本当に、あのグランかぁ!?」
「し…信じられん…。」

レオに気を取られている声の主の仲間達を見計らい、ソルは、赤い波紋をまとわせ、力を溜め始める。

335適当:2013/01/01(火) 18:16:36 ID:5FhSUy8c
メラメラ メラ…
「はぁぁぁぁぁぁ!!」
『は!!』
チラッ
「こ…この赤いオーラは…。まさか!!」
「くたばれぇぇぇぇ!!大斬波!!」
ブゥゥゥゥン…
シュバ シュバ
ビュン
『し…しまったぁぁぁぁ!!』
バシン バシン
『ぐわぁぁぁぁ!!』
ヒュッ…バチャ

ソルが力を溜めている様子を見た声の主の仲間達は、追いつめられた表情を浮かべて、言葉を漏らした。彼女は、赤い波紋を全身にまとった状態で、頭についている黒い鎌から、先程とは比べ物にならない大きさで、赤と白を織り交ぜた三日月状の光線を、目の前の二匹に放った。完全に隙を突かれた声の主の仲間達は、彼女の攻撃をまともに受けてしまい、跳ね飛ばされて、うつぶせ状態となって倒れた。その様子を見兼ねた声の主は、彼女の前に立ち、ほえ始める。

ザッ ザッ…
「グルルル…。ガァァァァァァァァ!!」
ビリビリ
「うっ…、く…くそ…。」
「殺してやる…。殺してやるぞぉぉぉぉ!!」
「黙れ。」
「貴様から死に…う…うわぁー!!な…何だコイツはぁぁぁ!!」

声の主は、気迫で彼女をひるませ、彼女へ殺意のある目線を更に強めて言い放った。その後に、彼女以外の声が、命令するように声を掛けて来たので、声の主は、声がする方へと目を向け、怒号を放とうとした。だが、声がする方へ目をやると、自分の何倍の気迫をまとった者が立っており、声の主は怒りの感情も忘れ、うろたえ始めた。声の主が、体を震わせる中、声の主に声を掛けた者は、口を開いた。

『聞こえなかったか。黙れと言ったんだ。この子犬めが。』
「ひっ…。」
『俺と戯(たわむ)れるか?弱き者よ…。弱者よ!!』
「ひぃぃぃ!!」
『わかったら、さっさと消えろ。俺とソルの前から…な!!』

声の主は、自分が裏切り者と吐き捨てた相手の変わりようを見て、恐怖で顔をひきつらせていた。この姿を見た者は、声の主だけではない。声の主の仲間が同様の反応を示しつつも、声の主に撤退を申し出る。

336適当:2013/01/01(火) 18:21:15 ID:5FhSUy8c
「ひぃ!!リ…リーダー!!コ…コイツ、グランじゃありませんぜ!!」
「な…なんだコイツはぁ!!リ…リーダー逃げましょう!!勝てるワケありませんよ!!」
「そ…そそそうだな…。コイツは…コイツはただの鬼だぁぁぁぁ!!」
タタタ…
「あっ!!リーダー、待って下さいよぉ〜!!」
タタタ…

声の主は、仲間達に撤退許可を出すも、裏切り者と吐き捨てた相手におびえ、仲間達を置いて逃げ去って行った。声の主の仲間達もそれに続いて、ソルとレオの前から逃げ去って行った。彼は、彼女に普段従う声の調子ではなく、声の主達と闘った時の調子で、声の主を嘲笑う。

「ククク…。どこが、勇気があるんだ?臆病者の間違いじゃないのか。」
チラッ
「とは、言えやり過ぎたか…。あっ、そうだ!!師匠、大丈夫ですか!!おケガ…」
チョン チョン
「あ…あは…。ははは…。」

レオの気迫をまとった姿を見た者は、当然逃げ去った者達だけではない。ソルは、川に尻もちを着いて、顔をひきつらせ、下腹部を黄色く染めてしまっていた。彼女の様子を見て、彼はきょとんとした表情を浮かべて、不思議そうに彼女へ訊ねる。

「どうしたんです?おもらしなんかしちゃって…。」
「え?」
チラッ
バッ…
ソルは、レオに指摘されて、自分の下腹部へと目を向けた。その直後に、とんでもない失態をおかしてしまった事に気づき、前足で、失態を作り出してしまった原因となる部分を隠し、必死の弁解をし始める。

「う…うわぁー!!こ…これは違うからな!!これは…」
「これは?」
「我慢出来なくて放尿(し)てしまっただけだ!!」
「それは、おもらしですよね?」
「違う!!私は、いつもこの体勢で放尿(す)るんだ!!決して、おもらしなんかじゃない!!」

“しまった、意味がわからない事を言ってしまった!!頼む…私を責めないでくれぇぇぇ!!”ソルは、レオの質問に対し、前と後の発言で意味が通らない事を口にしてしまった。彼女は、彼に答えた直後に、自分の言葉の内容が前と後で矛盾している事に気づき、焦り始め、“気づくな!!気づくな!!”とまで願い始めていた。彼は、悪タイプにふさわしき笑いを向けつつも、彼女に気をつかった答えを言い放つ。

337適当:2013/01/01(火) 18:25:08 ID:5FhSUy8c
「ふふふ。わかりました。随分と変わった、おしっこの仕方ですね。」
「そ…そうだろう?め…雌は皆こうやって放尿(す)るんだ。」
「大胆ですね。」
「そうだ…な。君は、雄だから出来ないな。」
「そうですねぇ〜。お腹にかかっちゃいますもんねぇ〜。というか、そんなやり方、俺が雌でもやりたくありませんよ。」

“うわ…。これは、また責めてくるパターンだな…。”レオが、どこか楽しげに自分に返答してくる様子を見計らって、ソルは彼へ返事を返さず、汚れた部分を前足で急いで洗い流し、話題の転換を計る。

パシャパシャ
ゴシゴシ…
「ふぅ〜。さて、邪悪な蛮犬共もいなくなったし、レオ、着いて来い。今からが、2つ目の目的だ。」
「ふふん。はい、どこまで〜も着いて行きますよ。師・匠。」
ジロッ
「なんださっきからニヤニヤして…。気持ち悪いから止めろ。“かまいたち”をぶつけるぞ?」
「あはは、ごめんなさい。いやぁ〜、師匠が可愛く感じましてねぇ〜。」
スタスタ…
「ふん、バカ弟子が。こっちだ。」

レオは、ソルが焦って、この場を切り抜けようとしていた魂胆を見抜いていた為か、彼女の失態については触れずとも、表情で“やっちゃいましたね”と訴えかけるような邪悪な笑みを、彼女へ向けていた。彼女は、初めは彼をにらみつけ、彼に脅しを混(ま)じえて、邪悪な笑みをやめるように言い放ったが、彼は一向にやめなかった。しかし、彼女は二度目の発言はせず、本来の目的を優先し、彼の前に立ち、再び目的の場所へ道案内を始めるのであった。

338適当:2013/01/01(火) 18:29:29 ID:5FhSUy8c
ペイントの実(白)の木の前…

スタスタ…
ピタッ
「着いたぞ。」
「え?」
チラッ…
「うわ!!何か…すごい白い物が…いっぱい…。」

レオが、ソルに案内された場所とは、上流へ向けて数百mを進んだ先にあった、ある木の目の前であった。彼と彼女の前に立っていた木とは、真っ白な木の実を数え切れないくらい、枝に飾った木であった。彼は、初めて見る雄大な光景に驚き、声を漏らした。彼女は、彼の反応を満足気に見つめ、真っ白な木の実目掛けて、風を切り裂く光線を放つ。

ジリッ…
「かまいたち!!」
ヒュン ヒュン
スパ スパ
ボトン
「うわぁ〜!!師匠!!さすがです…。」

“これ、今から食べるのかな…。”ソルの見事な狙い打ちに驚きながらも、レオは彼女に、自分の思考を元に質問を訊ねる。

「あの…。」
「ふぅ…。なんだ?」
「これ、食べるんですか?」
「はぁ?あっはっはっは!!」

“何で笑われたんだろう?”ソルは、この木の実の使用目的を知っていたので、レオの質問を受けて、あまりのおかしさに腹を抱えて笑い出した。一方彼は、木の実に関する事はまだ無知である。彼女が笑う原因がわからない彼は、質問を重ねる。

「食べるんじゃないんですか?」
「あは…おかし…。ああ、ごめんな。これは、“ペイントの実”って言って、色を塗る木の実なんだ。」
「ぺ…ペイントの…実?」
「ああ。君の体の色を変えようと思ってな。」

“どうして変えるんだろう?”ソルの目的の意図がわからないレオは、おもむろに訊ねる。

「どうしてなんですか?」
「私は、グラエナが嫌いだ。グラエナと過ごしていると思うと、自分に腹が立って来る。」
「はぁ…。」
「そこで、君の体の色を灰色と白だけにして、君が生きてた頃に近い状態にするんだ。わかったか?」

“いいけど、でもこれじゃあ、狼に生まれ変わるから、グラエナ達の思いを踏みにじってしまう…。”レオは、自分は良かったが、自分をこの姿に生まれ変わらせてくれた者達の意志を考慮し、ソルへ拒否の意を示す。

339適当:2013/01/01(火) 18:33:27 ID:5FhSUy8c
「師匠…。やっぱりダメです。」
「ん?どうしてなんだ?」
「狼に生まれ変わってしまったら、グラエナ達の気持ちを無視する事になってしまうからです。」
スタ スタ…
「え?師匠、ちょっと!!近いで…」
チュッ…
「す…って…。」

レオから自分に従えない理由を聞いたソルは、何も言い返さず、彼に近づき、彼のほほにそっと唇を当てた。彼が一瞬、何がなんだかわからず混乱して固まってしまう中、彼女は、彼を見つめ静かに口を開いた。

「レオ、私は君が好きなんだ。君とこれから一生を過ごそうと思っている。」
「俺と…一生?」
「ああ。わかるな?君を私の“愛する雄”として正式に認めたいんだ。私は、グラエナなんか愛する雄にはしたくはない。私が愛したのは、私の初めての友であり、弟子であり、誇り高き“狼”の君なんだから。」

ソルは、レオに胸の内を全て伝えた。彼は、彼女が微笑みを向けているも、目は真剣であると感じ取り、彼女へ微笑みを向け、感謝し、彼女の行為を受け入れる。

「ふふ。ありがとうございます。わかりました。俺を…もう一度、狼に生まれ変わらせて下さい!!」
「よし!!よく言った!!ぐっす…あれ?私は…何で泣いているんだ?」
チロ チロ
「は…。」
「師匠、もう泣かないで下さい。もう、俺はどこ(あの世)にも行きませんよ。あなたと…今生をずっと一緒(とも)にします。師匠が泣いたら…俺まで悲しくなってしまいます。」
「レオ…。」

レオは、ソルの涙を舌で拭い、彼女へ言葉を紡いだ。彼女が、彼の名を呼ぶと、彼は、彼女に満面の笑みを向け、彼女の激励を行う。

「笑いましょう!!師匠、今は悲しい時ですか?つらい時ですか?」
「レオ…。すんっ…ごめん。そうだな!!泣くなんて…私らしくもない。」
「そうです!!それですよ!!俺は、師匠の泣いている姿を見る為に転生したんじゃありません!!あなたを守り…あなたのそ…」
「うるさい。さっさと来い。」

レオが、ソルへ次の言葉を紡ごうとした時、彼女は既に泣き止んでいた。彼女のあまりの変わりように、彼は驚き、声を上げる。

340適当:2013/01/01(火) 18:38:34 ID:5FhSUy8c
「って…ええー!!いやいやいや!!泣き止むの早過ぎでしょうがぁぁぁ」
「黙れ。かまいたちをぶつけられたいか?このバカ弟子め。」
「わ…わかりましたよ!!もう!!師匠なんて嫌いだぁ!!」
「あっはっは!!私は、君の事が好きだ。さぁ、君をもう一度“狼”に生まれ変わらせてやる。」
「はぁ…。もう好きにして下さい。」

レオは、ソルの自由奔放な振る舞いに、ため息を小さく吐き、彼女へ身を任せた。彼の返事を受けとった彼女は、落とした真っ白の木の実の所まで彼を誘導した。真っ白の木の実の元に、彼と彼女でたどり着くと、彼女は、真っ白の木の実を前足で割り、前足に木の実の中に入っていた、真っ白の液体をつけ、彼の顔へ塗り始める。

スッ…
グシャ
ヌチャッ…
「うぁ…。なんか…すごいドロドロしてますね…。」
スッ… グッ グッ
「うぇぇ!!き…気持ち悪いです!!」
「我慢だ。君の“悪”の部分を“善”へと変える。」

ソルに、白い粘り気のある液体を塗られ、レオは、思わず彼女へ訴えかけた。彼女は、彼に全く理解不能な返答を行い、行為を続ける。彼は、彼女の発言の意味がわからず、彼女へ訊ねる。

ヌチャッ…
グッ グッ
「うぇ…。っていうか、悪の部分を善に変えるって…。意味がわからないんですけど。どうゆう意味ですか?」
ヌチャッ…
グッ グッ
「何って、決まっているだろう?」
「はぁ…。何ですか?」
「自分で考えろ。簡単だから、わかるハズだ。」

“自分でって…。もうアレしかないよね?”レオは、考えられる事は一つだと判断し、ソルへ返答する。

「それって、“黒”を“白”に変えるってだけじゃ…。」
「あっはっは!!正解だ。バカ弟子にしてはよく出来たな?」
「周りくどぉ!!師匠こそ周りくどいじゃないですかぁ!!」
「黙れ、やかましい。静かにしろ、騒ぐな。バカ犬。」
「何回言うんですか…。しかも、もう弟子すら言ってませんよ…。」

ソルは、レオが声を上げて必死に反論するも、にらみつけて、辛辣(しんらつ)な言葉を連続して彼に言い放った。彼は、彼女の言葉を聞いて、呆れ、小さく彼女へ訴えかけた。この後、彼は、彼女が前足の動きをやめるまで、一言も喋らず、ただ黙り込むだけであった。しばらくして、彼女が前足をとめ、彼女から終了の合図がかかる。

341適当:2013/01/01(火) 18:41:57 ID:5FhSUy8c
グッ…
ピタ
「よし。レオ、いいぞ。」
「はぁ、どんな風になってます?」
「立派な誇り高き“狼”だ。」
「え?本当ですか!?」
「ああ。水面に写る自分を見て来い。」

レオは、ソルの指示に従い、駆け足で川へ走りだす。

タッタッタ…
スッ…
「うわぁ!!す…すごい!!すごいですよ、師匠ぉ!!」
スタ スタ スタ…
ピタッ
「すごいだろう?私に感謝する事だな。」
スタスタスタ
「え?ええ!?レオ、近いぞ!!ちょっと離れ…」
チュ
「ろ…。」

レオは、水面に写る自分を見て、喜びはしゃぎだした。ソルは、喜ぶ彼を追い、彼に微笑みを向けた。彼は、彼女へすぐには返答せず、彼女へ近付き、彼女のほほへ唇をそっと当てた。彼女は、彼の急な行動に驚いていたが、彼は、彼女の顔を見つめ、感謝の意と胸の内を告白する

「師匠、ありがとうございます。さっきは、嫌いとか言いましたけど、ウソですからね。本気にしないで下さいよ?」
「という事は?」
「大好きです師匠。もう…あなたの傍から離れたくありません。ずっと…ずっと一緒にいて下さいね?」
「ああ!!もちろんだ!!私こそ、よろしくな!!」
「はい!!もちろんです!!」

こうしてソルとレオは、無事に再会を果たし、共に一生を過ごす事を誓ったのである。生まれ変わった狼のレオと、嫌われ者の正義の心を持つアブソルのソルの愛は、この時から始まり、永遠に続いた…。

342適当:2013/01/01(火) 18:45:54 ID:5FhSUy8c
そして数日後…

タッタッタ…
「はぁ!!はぁ!!はぁ!!」
タッタッタ…
キキッ…
「うっ…。」

茶色と白の体を持つとある兎の少女は、何者かに追われていた。兎の少女は彼達から必死に逃げるが、行き止まりに出会ってしまい、何者かに追いつめられた。兎の少女を追いつめた者達は、邪悪な笑みを浮かべ少女へ言い放つ。

「ククク…追いつめたぜ?ミミロルのお嬢さん。」
「うぅ…。」
「こんなに手間かけさせやがって…ただじゃおけねぇなぁ…。」
「誰か…誰か助けてぇぇぇ!!」
「助けなんか来…」
「そこまでだ!!」
「なんだぁ?」

兎の少女を追いつめた者達の前に立ちはだかったのは、黒い鎌を頭につけ、白い体を持つソルと、灰色と白の体色を持つレオであった。悪党達に向かって、彼と彼女は前足を差してそれぞれ言い放つ。

「森にはびこる悪は!!」
「俺達がつぶす!!」
「覚悟しろ!!変態リザード、カメール、フシギソウ!!」
「俺達が来て、好き勝手できると思うなよ?悪は滅ぼすのみ。」

レオとソルにさんざん言われた悪党達は、怒り、彼と彼女へ言葉を返す。

「あぁ?おい、ザード、シギ。こいつら…殺すか?」
「そうだな。森のスーパーヒーローを名乗って、調子に乗っているみたいだしな。」
「ふふふ。かかって来い雑魚共。」
「今のは聞き捨てならねぇ…やっちまぇー!!」

レオが悪党達を挑発すると、悪党達は一斉に襲いかかって来た。悪党達が、徐々に距離を詰める中、彼達は、敵を見据えながら相談する。

タッタッタ…
「レオ、来たな。」
「ですね。」
「足を引っ張るなよ?“勝てませんでしたぁ〜!!”って泣きつくようなマネはするんじゃないぞ?」
「ククク…。なめられたものですね…。師匠こそ…、震えて“おもらし”なんかしないで下さいよ。」
「ふん、バカ弟子が…。行くぞ!!」
タッタッタ…

彼達は、悪を倒す“漆黒の鎌と純白の牙”と呼ばれ、今日も森の悪を成敗するのであった。

終わり

343適当:2013/01/01(火) 18:58:11 ID:5FhSUy8c
続編後書き

史上最多の50近くの47レス消費しましたね…。9つの試練よりなんで長くなっちてしまったんだろう…って今思い始めています(汗)

今回は、ちょっと休憩を入れまして、ポケモンらしい描写を入れた作品を載せました。

ポケモン…らしくなってますかね…。一応、9つの試練では性交と書くところを、“交尾”って表現したり、技を取り入れたり、動物をモチーフにしたキャラならではの、可愛さ?を表現したりもしたのですが…。

ところで、嘲け笑うと嘲笑うの2つが出てきましたね。前者が、前に述べた【少しコバカにする感じ】で、後者が、【お前馬鹿だろう?頭がおかしいのか?】というキツイ意味となっています。

では、アドバイスをして下さった方へ感謝しつつ、アドバイスを参考にして、次回からは第5話を載せたいと思います(笑)

それでは、さようなら【ノシ】。後、言い遅れましたが、あけましておめでとうございます_(._.)_

今年も、後少ししかこのトピに居ら(作品を掲載すること)れないかもしれませんが、トピ閲覧の皆様方、よろしくお願い致します_(._.)_。

344名無しさん:2013/01/01(火) 19:55:59 ID:8gIPqz4k
適当さん、明けましておめでとうございます。
後書きの最後の一文なのですが、それはつまり9つの試練が完結したら執筆活動を辞めるいう事でしょうか?
それともチラ裏から本wikiにデビューする事なのでしょうか?
回答お願いします。そして今年も頑張ってください。

345適当:2013/01/01(火) 22:58:35 ID:5FhSUy8c
>>344さんへ
残念ながら、前述と言うことになります_(._.)_

というのも、これからの予定がぎっしりにならなかったら、また戻ってくるかもです(笑)
今はまだ、忙しくなるだろうと踏んでいるだけで、来れないとは…決まったワケではないです。

というか、先に言っておきますが、9つの試練の続編は某人気沸騰済み ホラーアクションゲームのパクリですけどね(泣)
続編を見たら…ポケモンが大好きな方はどう思うかな…(汗)
時間があれば、しっかり続編も載せたいと思います!!
あぁ、時間が無限にあればいいのに…(呟き)

346チャボ ◆KY5ZOqdY8k:2013/01/05(土) 01:13:35 ID:aSYqS2wE
注:これはWikiで近々投稿する作品のストーリーの前のお話です。
  そのため、このページには続きは投稿されません。
  また、キャラ紹介も行なわないため、正直設定などが明かされない部分が多くあります。
  また、舞台がドーブルパーク時代の板のため、使用する用語が大変不親切な場合がございます。
  以上のことを注意したうえで、お読みください。
  また、作者がわかっても、特定しないでください。

         〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

 館、僕らはその建物のことをそう呼んでいた。

 僕の名前はケイ、種族はケーシィだ。

「私たちはどうすればいいのでしょうね……」

 となりに浮かぶのは、僕と同じように彼に仕えていたポケモン。
 ……いや、ポケモンと言うには、少し変わっていた。

「そうだね、ナナ。
 まずは君のご飯があるところに行かないと……」

「そのことでしたら、ご心配なく。
 体内充電率は96%、システム20%以下の稼働状況のこのままでしたら
 2週間はもちますから」

 彼、いや、目の前のナナと呼んでいるポリゴンZは、生身のポケモンではないし
 もはや生き物ですら無い。

 それは、完全にロボットと呼ばれる、人の作り出したカラクリである。

「じゃあ、いなくなったマスターでもさがす?」
「それしか方法はないでしょう、彼はこの館が何かの力で入れなくなったことを知らないでしょうし……」

 そして、目の前の建物、館と呼ばれていたポケモンの売買所であり
 また、その生態を映像に収め、それすらも販売していたところである。

 しかし、それは普通ではなかった。

 売られるのはあくまで性奴隷、そして、まぐわいを収めた映像ばかり
 捉えられたものたちは、人生を変えられていったのだ。

 ……といっても、ここの生活に適応し、その性活を楽しんだポケモンもいるみたいだけど。

「……みんなはどうしたんだろ」
「わかりません、気づいたら外に出されてましたし……」
「……考えてても仕方ないね、行こっか」
「……はい」

 僕は目の前のナナよりも、外の知識がある分がんばらなきゃ
 そうして、僕は自慢のデバイズ、「バイザー」をかけ直して、歩き出した。

「売り物だった皆さんも、元気で暮らしてくれたらいいですが……」
「そう……だね……。」

 暗い森に囲まれた館を遠ざかるにつれて、そんな言葉を呟いた。

 彼らに比べて、僕らはきっと恵まれていた。
 それはマスターがいたからだ。

 調教師と呼ばれる人たち、彼らは名のとおり、ポケモンたちを調教し、
 売り物としてのポケモンを作るのが仕事。

 そして僕も、マスターに仕え、それを手助けするのが仕事
 ……もっとも、マスターはほとんどそんなことしなかったけど。

「……ねぇ、ナナ
 もうそろそろ、館の結界から出るよね」
「はい、あと30……20……10……突破しました」
「よし、じゃあテレポートするよ……
 ついたら、僕は一休みしないと……」
「分かりました、では
 ケイ、よろしくおねがいします」
「……うん」

 僕は最後に、はるか後ろにそびえ立つ館を見て、ナナとともにテレポートをした。

 またみんなに会えるよね、そんな言葉を口にだしながら




     〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

以上です、Wikiではこんなストーリー関係無しに本編が始まりますが、気にしないでくださいね(汗)

347チャボ ◆KY5ZOqdY8k:2013/01/05(土) 01:14:48 ID:aSYqS2wE
って、作者ばらしてもーた!!

まぁいいや!!

クラム・キャロンのゴージャスボール Ver2013 頑張って制作中!!

348関東のどこかに住む作家:2013/01/14(月) 15:24:54 ID:dm29eReA
「雪だーーーーーー!!」
あたり一面に積もった雪を見て大はしゃぎするガーディ。
「子供ね……」
その様子を家の中、こたつから眺めるチョロネコ。
「ロッコ! 一緒に外であそぼーよ!」
窓を開けてガーディはロッコもといチョロネコに呼びかける。
「やーよ。昔からの童謡にもあるじゃない。猫はこたつで丸くなるって」
「えーー!! いいから遊ぼうよ!!」
「やだ。ガンバ一人で駆け回ってなさい。はら、早く閉めてよ。寒いんだから」
ガンバはしょんぼりし、興奮から振り続けていた尻尾を垂れ下げた。しかし彼にある考えが浮かんだ。
「そうだ!! ねぇ、雪合戦で勝負しようよ! ロッコが勝ったら前から欲しがってた金の玉をあげるよ! でも僕が勝ったら言う事なんでも一つ聞いてもらうよ!」
「え……本当? それならやってもいいわよ」
欲しい物の言葉につられロッコは外に出る。
「さ、寒いわね……」
「いっくよー!!」
(フン……、4足歩行の彼が素早く雪玉を作れるのかしら? 私は2足歩行ができるし、金の玉はもらったわね)
自信満々のロッコ。
「じゃあさっそく始め「えーい!!!」
ロッコが雪玉を作ろうとしたその時、どこからか雪の大玉が転がってきた。ごろごろとロッコめがけて迫り、ついに直撃した。
「きゃああああ!!!」
「やったーー!! 作戦成功!」
いつの間にかガンバは周りより少し高い所にいた。どうやら既に大玉の準備はできていたらしい。それでロッコを欲しがっているもので誘い、雪合戦で指定しぶつける……。
正直雪合戦と呼べないものだが一応ガンバの作戦勝ちである。
しばらくして、崩れた雪の大玉の中からロッコが顔を出した。
「ひ、卑怯じゃないの! うう……寒い……」
ロッコは雪の中から出て体を震わせた。
「まあ勝負だし! それより約束聞いてもらえるよね?」
「な、何なのよ?」
「まあ寒いし家の中に入ろうか!」
二匹は家に入った。

「だ、ダメよ私たち姉弟なんだから……」
「今日はパパもママも帰ってこないから大丈夫! ほら、何でもいうこと聞かないといけないの! それにもう4回もしてるでしょ?」
「わ、分かったわよ……」
しぶしぶ布団の上に仰向けで転がるロッコ。
「じゃあ、僕の金の玉をプレゼントするよ! 受け取ってね!」
勢いよくロッコに飛び乗るガンバ。
とある雪の日の小さな出来事である……。


最後まで読んでくださった方に
今日私の住む地域が大雪なのでなんとなく作ってみました。雪って普段降らないとテンション上がりますよね?2匹のこの後は想像にお任せします。
さて、早く作品作らなければ…。

349適当:2013/01/17(木) 03:00:18 ID:myYBVV8w
トピの皆さん、お久しぶりです。適当です。今から、第5話投稿します。温かい目で見守っていて下さい(笑)

350適当:2013/01/17(木) 03:02:15 ID:myYBVV8w
試練5 【雷神】

Day9 【16:00】

俺は、少女の姉との戦闘の疲れを、一時の休憩によって回復させ、その場から立ち上がった。食事ルームには、既に昼食が用意されていたらしく、食事ルームがある方向からは、俺の鼻をくすぐるようないい匂いが漂って来た。“食事を取る前に、まずはバッチをはめてからだな。”俺は、自分の計画通りに事を運ぼうと、第一の目的地へと歩を進めた。

スタ スタ スタ
「零下…、μ(ミュー)…。これだな。」
カチャリ
ブー ブー
カッシャン…

俺は、幻想のすぐ近くにある9つのくぼみがある装置へとたどり着くと、手に握っていた“μ(ミュー)”と描かれた灰色のバッチを、【零下】と示されたプレートの下のくぼみへとはめ込んだ。するとすぐに、…もう言わなくてもいいだろうか…。【氾濫】の扉、【光】の扉、【若葉】の扉の時と同様に、大きなブザー音が何も面白みもない真っ白な部屋に響き渡り、【零下】と示された文字が【達成】へと変化し、同じ方向から、鍵をかけるような音が鳴り響いた。“確認しなくてもわかる。同じ事だ…。”俺は、【零下】の扉のノブの下のプレートの表示が【OPEN】から【CLOSE】に変わった様を見届けずに、9つのくぼみがある装置から離れ、先程、自分の花をくすぐり、自分を“こっちへ来い”と誘うような、いい匂いを放つ方向へと歩を進めた。

スタ スタ スタ…
ピタッ
「あ!!こ…これは!?」

俺は、食事ルームへたどり着き、用意された食事へと目を向けると、驚いて声を上げてしまった。トレーに乗せられていた、大きな皿に盛りつけられていた料理は、黄色く染まった米を下にしき、その上に細長い貝やら、真っ赤なエビやら、真っ白なイカやらの魚貝類が乗っていた、日本ではそこそこなじみのある料理かつ自分も見覚えのある料理であった。俺は、大きな皿の中身を見て混乱を表すかのように、頭を抱えて小さく独り言を呟いた。

351適当:2013/01/17(木) 03:07:00 ID:myYBVV8w
「あっ…。パエリアか…。今まで出て来た食事からは、ある程度“ここは実は、アメリカなんじゃないかと思っていたが…。これが出て来たとなると…。くそっ!!ここはどこなんだ!!ますます検討がつかなくなったじゃないか!!」

“俺を料理で混乱させようとしているのか!?”俺は、自分の現在地を推測しにくい状況に、陥れられた事で、焦燥感に駆られ、通常の独り言の言い方よりも、異常な独り言の言い方を行っていた。“くそ…。扉とくぼみの表記は“漢字”…日本。パエリアが出てきたって事は…。ここは、アメリカじゃないのか!?すると…まさかの日本!?”俺は、焦燥に駆られながらも、自らの落ち着きを取り戻そうと、冷静に物事を考え始めた。考えている最中でも、驚きを隠せない様子でいたが、もう1つの、ここがどこであるかを推測するのに重要な要素を含む事を思い出し、自分に言い聞かせ、更に頭を働かせていた。

「大丈夫だ…。まだ…兵士の名前から推測する方法がある…。」
スゥー フゥ…
「兵士の名前は確か、スター、シャーズ、サン、フィ、ブラッド、フィア、シーア、ショーン…カオス…。最初は恐らく、アメリカのはず。次は良くわからない。その次も、アメリカだ。次は…次もわからないな…。次もアメリカ。フィアとシーアもどこだかわからない。その次は…あれ?ショーンって…何なんだ?そして次も…カオスって英語じゃないよな?そもそも本名なのか!?」

シーン
ドン
「結局、何も解決出来てないじゃないか!!何だこれは…。ほとんど、アメリカ出身だろうってしか思いつかないじゃないかぁ!!」

352適当:2013/01/17(木) 03:10:53 ID:myYBVV8w
兵士の名前から、自分の現在地を推測する事は、失敗に終わった。それを物語るように、俺は床に拳を叩きつけ、自分の叫び声を部屋中に響き渡らせていた。“カオスって何なんだ!?これは、本当に名前なのか!?そもそも、何語なんだ!?”俺は、特に幻想の番人の名前によって、自分がいる現在地の推測を停止させられ、苦しめられていた。俺は、しばらく何も考えずに、食事が盛りつけられた皿が乗っているトレーの前で、何も悪い事をした覚えは無いにもかかわらず、いつの間にか、ひざまずいて座っていた。謝罪をしている訳では無かったが、反省の姿勢を取りながら、頭を抱えて、地面に額をつけていた。“はぁ…。もうダメだな。現在地を割り出す事はあきらめよう。そんな事をしても、ここから脱出(で)られるきっかけを作る事にもならないし、第一、時間の無駄だ。”ようやく自分の中で“あきらめる”という文字が浮かび上がって来たので、俺は考える事をやめ、目の前に存在している食事へ目を向け、トレーの上にあったスプーンを取り、純粋に食事を楽しむ事を行っていた。

スッ…パシ
カチャ…
パク
モグモグ
ゴックン
「うん、美味いな。なんか食事(これ)に…救われている気がする。食事(これ)が、嫌な事やつらい事や腹を立てた事を忘れさせている気がするな。」

大きな皿に盛りつけられていた黄色く染められた米と、魚貝類をすくっては口に入れ、すくっては口に入れ…。同じ行動を繰り返し、口の中をメインの食事の味でいっぱいにしていく内に、徐々に徐々に、先程頭を悩ませていた原因が消えていくのを感じ取り、俺はメインの食事に対して、感謝の気持ちを込めた感想を呟いていた。メインの食事を口へ口へ何度も運ぶという動作を繰り返している内に、ついにメインの食事が俺の体の中へ入っていった。最後の一口を口へ運び、噛みしめ、体の中へ入れると、スプーンを置き、この料理に関する過去の記憶を思い出していた。

モグモグ
ゴックン
スッ…カチャ
「ふぅ…。そういえば、パエリアを初めて食べた時は、いつだったか。俺が…高校2年生の時だったような…。」

353適当:2013/01/17(木) 03:15:44 ID:myYBVV8w
俺が、パエリアをたべたかつスペイン料理を口にしたのは、独り言で呟いた通りの年頃である。食べるきっかけとなったのは、休日の日に二匹の友達と街中を歩いていたら、俺を含め全員が腹を空かせたので、目の前にあった、スペイン専門料理店に入ってみるかというものだった。店の中へ入ってみると、日本はともかく、アメリカや欧州諸国のどの雰囲気にも当てはまらない、独特の落ち着いた空間が広がっていた。「これが、スペインなのか?」と友達に聞いたが、彼は笑って、「知らね。俺、スペインなんかわかんねーし、第一、イタリアですらわかんねぇ。」と返して来た。俺は、「じゃあ、お前も初めてなのか?」と訊くと、「いや、食べた事はある。料理位は。」と予想外の答えを返されてしまった。相槌を求めるつもりで口にした言葉だったので、彼の発言に驚き、思わず「知っているじゃないか!!」と勢いをつけて返した。すると彼は、「さわりならな。お母さんが一回、作った事あるんだけど、微妙でさ。“本格的”なのは、これが初めてだ。だから、仁ちゃんと一緒。だろ?」と意味不明で全く理解しがたい発言を行って来た。“同じ事じゃないか…。”と彼の発言を受けて、心の中で呟きつつも、席へ座り、注文しようとメニューへ目を向けた。だが、俺はスペインに関する事も、スペイン料理も全くと言っていい程無知であったので、何を頼んでいいかわからず、つい“さわりだけ体験した。”と話した彼に、「一番美味しいのは、この中でどれなんだ?」と訊ねてしまっていた。俺のもう一匹の友達も、スペイン料理を食べるのは初めてだったようで、“さわりだけ体験した。”と話した彼へ俺と同じ事を訊ねると、質問の答えは、“まぁ、よくわからんけど、メインで一番無難なのはパエリア。スープはガスパチョ、ソパ・デ・アホ、ソパ・デ・ケソか?うん、たぶんその辺がいいだろうな。これが、金が無駄にならない一番の安全策だぜ。”というものだった。“コイツ、結構知っているな。知らないとか言ってた割には、ペラペラと…。ぶんなぐってやろうか…。”

354適当:2013/01/17(木) 03:21:45 ID:myYBVV8w
俺は、どこか自慢気に話した、“さわりだけ体験した”と話した彼に、少しばかりの怒りの感情が芽生え始めていたが、ウソをついた彼に制裁を加える事よりも、彼が話した内容に出て来た、料理の味が気になったので、「その4つはどんな味がするんだ?」と訊ねた。すると彼は、「パエリアは、魚貝料理。後は、頼んでみてからのお楽しみ。ほら、今言っちゃうとつまんないだろ?だから、俺は“あ・え・て”言わないんだよ。」とどこか楽しげに、俺を含むスペイン料理の事なんか全く無知の二匹へと言い放った。もう一方の彼もそうであったとは思うが、俺は彼の答えを聞いて、“やっぱり、さっき言っていた事はまるっきりのウソだな。店から出たら、コイツをぶんなぐってやろう。”と静かに殺意に近い怒りの感情を抱きつつも、彼の話す内容からは、味の検討もつかないので、“どんな料理が出てくるんだろう”と不意にも胸を踊らせ、謎に包まれた、メインのパエリアを含む3つのスープの注文を行った。数分して、注文した料理が、俺を含む3匹が座るテーブルへと運ばれた。俺ともう一匹のスペイン料理に関して無知だった者達は、運ばれた料理へと目をやると、赤色に染まったスープが入った器、若干黄色に近いスープが入った器、黄色の中に唐辛子がのっていたスープが入った器…そして、彼が唯一どんな料理か教えてくれた、パエリアという名前を持つ、黄色く染まった米の上に、エビやら、貝やら、イカやら、白身の魚やら、中には、魚貝類ではない黒い小さな実まで乗せられていた料理が並んでいた。スペイン料理は、わからなかったが、イタリア料理に関しては、そこそこ知識があった為か、黒い実がオリーブという名前を持つ木の実だと言う事は、熟知していた。3つの謎のスープからは、それぞれ個性を強調するかのように、別々の匂いを放っていた。赤く染まったスープからは、それぞれ個性を強調するかのように、別々の匂いを放っていた。

355適当 レス354ミス:2013/01/17(木) 03:24:53 ID:myYBVV8w
俺は、どこか自慢気に話した、“さわりだけ体験した”と話した彼に、少しばかりの怒りの感情が芽生え始めていたが、ウソをついた彼に制裁を加える事よりも、彼が話した内容に出て来た、料理の味が気になったので、「その4つはどんな味がするんだ?」と訊ねた。すると彼は、「パエリアは、魚貝料理。後は、頼んでみてからのお楽しみ。ほら、今言っちゃうとつまんないだろ?だから、俺は“あ・え・て”言わないんだよ。」とどこか楽しげに、俺を含むスペイン料理の事なんか全く無知の二匹へと言い放った。もう一方の彼もそうであったとは思うが、俺は彼の答えを聞いて、“やっぱり、さっき言っていた事はまるっきりのウソだな。店から出たら、コイツをぶんなぐってやろう。”と静かに殺意に近い怒りの感情を抱きつつも、彼の話す内容からは、味の検討もつかないので、“どんな料理が出てくるんだろう”と不意にも胸を踊らせ、謎に包まれた、メインのパエリアを含む3つのスープの注文を行った。数分して、注文した料理が、俺を含む3匹が座るテーブルへと運ばれた。俺ともう一匹のスペイン料理に関して無知だった者達は、運ばれた料理へと目をやると、赤色に染まったスープが入った器、若干黄色に近いスープが入った器、黄色の中に唐辛子がのっていたスープが入った器…そして、彼が唯一どんな料理か教えてくれた、パエリアという名前を持つ、黄色く染まった米の上に、エビやら、貝やら、イカやら、白身の魚やら、中には、魚貝類ではない黒い小さな実まで乗せられていた料理が並んでいた。スペイン料理は、わからなかったが、イタリア料理に関しては、そこそこ知識があった為か、黒い実がオリーブという名前を持つ木の実だと言う事は、熟知していた。3つの謎のスープからは、それぞれ個性を強調するかのように、別々の匂いを放っていた。

356適当:2013/01/17(木) 03:29:15 ID:myYBVV8w
赤く染まったスープからは、それぞれ個性を強調するかのように、別々の匂いを放っていた。赤く染まったスープは、トマトの香りを漂わせ、若干黄色に近いスープは、パンに似た匂いとにんにくの香りを漂わせ、黄色の中に唐辛子がのっていたスープからは、二番目と同じくにんにくの香り、そしてチーズの独特な匂いを漂わせていた。三番目のスープに関しては、俺とスペイン料理を知らないとウソをついた彼以外のもう一匹も、だいたいどんな味かは、予想する事が出来ただろうが、二番目に関しては、鼻が利かない限り判断が出来ない匂いも混ざっていたので、もう一匹だけは、どんな味がするのかは、予想がつかなかったハズだ。運ばれた料理に関しては、メイン以外は全て異なっていたので、俺は、「3種類の違う味のスープが出て来たが、どうするんだ?好きな味を一匹、一匹取るのか?」とおもむろに訊ねた。彼は、俺の質問に対し「いやいや、それじゃあ3つをシークレットにした意味がない。パエリアは、普通に食べていいぜ。でも、スープは全員が全部味を出来るようにしようぜ。そしたら、いっぺんに3倍も得するだろ?」と返答してきたので、彼の言うことも一理あると納得した俺ともう一匹は、彼の提案に従い、メインを口へ運びつつ、初めに飲むと決めていたスープをそれぞれ取り、口へ運んだ。3つのスープの味は、どれも美味しく、また個性的でもあった。俺が初めに口に運んだスープは、赤い色に染まったスープで、トマト独特の青臭さは無く、みずみずしいトマト本来の美味さが口の中に広がった。次に口に運んだスープは、若干黄色に染まったスープで、にんにくベースのオニオンスープの中に、パンと似た味が口の中へ広がった。俺は、予想していた味よりもずっと、ずうっと美味しく感じたので、二番目に飲んだスープの味に驚き、おもわず目を見開いてしまっていた。俺の驚いた表情が、一般のピカチュウと同じ…もしくはかなり近い、丸いくりっとした目になっていたせいで、俺には似つかわしくない、意外な可愛さを自ら醸(かもし)し出していたからか、味を既に熟知している、スペイン料理に関しては無知だとウソをついた彼に「ははっ、仁ちゃん何て顔してるんだよ。何か、すっげえ雌みたいだな。」とからかわれてしまった。

357適当:2013/01/17(木) 03:34:45 ID:myYBVV8w
“コイツには、見せたくなかったな。”と思い、彼に言われた直後に、少し恥ずかしいと思ってしまったが、最後のスープの味が気になっていたので、彼の発言に対する感情も忘れ、最後のスープを口へと運んだ。最後に放っていたスープは、もちろん黄色く染まった中に唐辛子が入っていたスープであり、口にした途端、強い辛みのある味が広がっていった。“当たり前だが、結構辛いな…。”と思いつつも、同時に広がるチーズの濃厚な味と、チーズの味を際立たせるにんにくの何とも言い難いすばらしい味が混ざり合い、俺に、とてつもない満足感を与えていた。“一匹で飲んでしまいたい”と思う程、最後に残ったスープは美味く、また自分の好みの味をかもし出していたが、彼の提案に従い、後悔にも似たような感情を浮かび上がらせながら、他の者へと手渡した。注文したスペイン料理を全て食べ終え、会計を済ませ、俺と彼ともう一匹が店を出ると、彼は「やっぱり本場は違うな。俺のお母さんはこれの5分の1を満たすかどうか位の微妙な味だったぜ?料理は、お母さんのを食べているから、知っているんだけど、本格的なヤツは知らなかった。ああ、今日来て良かったぜ。と満足気に語り出した。俺は、スペイン料理を口にする前は、“コイツ、なぐってやろうか?”と少しの怒りの感情を思い浮かべていたが、スペイン料理を口にした後は、彼に対してどんな感情を抱いていたのかも忘れ、彼の発言に、心の中で相槌を打っていた。一方、もう一匹は、彼の発言を耳にすると、「お前、結局しってたんじゃねぇかよ!!すっとぼけやがって!!」と彼の頭を強くはたいた。こうゆう懐かしい思い出を、生きて脱出(で)られるかもわからない施設へ放り込まれ不安を抱く中で、思いだす事が出来るのも、今食べ終えたメインの食事のおかげだろう。長々と思い出に浸った俺は、食事のトレーにのっていたサラダもたいらげ、ついにはドリンクにさしかかっていた。

358適当:2013/01/17(木) 03:39:07 ID:myYBVV8w
シャキ…
パクッ
モグモグ
ゴックン…
「ふぅ〜。パエリアの美味さについあの事を思い出してしまった。これがまずかったら…どうだっただろうな。」
チラッ…
「うん?この泡は…。この泡は、もしかして炭酸か!!」

俺は、独り言を呟き、自問自答を行い、過去のなつかしい思い出に浸り終えると、トレーに乗せられているグラスへと目を向けた。グラスの中身は、紫色の小さな気泡を含む液体が入っていた。俺は、自分の大好物を目の前にして、これが何であるかも確認せず、興奮してつい口へ運んでしまっていた。

パシッ…
ゴク…ゴク…
トン
「ぷはぁ〜!!美味い!!美味すぎる!!な…何なんだこれは!?」

俺は、紫色の小さな気泡を含む液体が入ったグラスを強くつかみ、一気に飲み干して、あまりの美味さに部屋中に感想を響き渡らせていた。紫色の小さな気泡を含む液体は、自分の予想した通りの炭酸飲料で、葡萄の芳醇な香りと味の中に、レモンの酸味が加わった非常に美味な飲み物であった。“何で、こんなに美味い物を飲ませてくれるんだ!?俺は、本当に監禁されているのか!?”俺が、満足と興奮を感じ始めた途端、俺に予想もしなかった事が起こり始めた。

「まるで、監禁されていないみたいだ。監禁されているのに、それを全く感じさせない程の…。」
クラッ…
「うっ…。」
ユラァ…
「うっ…。くそっ…、これは、アルコールか!!」

俺を襲ったのは、意識を飛ばされるような、強烈な酔いであった。“しまった!!炭酸に興奮して、安全かどうかの確認をするのを忘れていた!!”まるで何者かに、自分の中から意識という形の無い物を形があるように、つかみ取られ、取り上げらられていく感覚に陥っていた。

クラッ…クラッ…
「く…そぉ…。は…め…られた…。これじゃあ…もう闘えない…。」
バタン
「はぁ…はぁ…。ダメだ…。もう…限…界…だ。」
スゥ…
「ZZZ…。ZZZ…。」

俺は、監禁した連中の悪意に侵され、意識が朦朧(もうろう)とし、全く抵抗が出来ない、強烈よりも更に強い。言い表せない程の睡魔に襲われ、自分の意志とは関係無しに、強引に眠りの世界へと旅立たされてしまった。

359適当:2013/01/17(木) 03:43:00 ID:myYBVV8w
Day10

監禁した連中の悪意が消え去り、俺はいつもとは違う場所で目を覚ました。いつもは、真っ白い天井が視界へ入った後、起き上がると、次に視界に入るのは、【業火】から【幻想】と示された9つの扉である。俺は、ゆっくりと体を起こし、まだ意識が完全に回復していない中で、昨日の自分の不注意さを独り反省していた。

パチッ…
ムクッ
「ふぁ〜あ…。ああ…くそっ…。よくも確認せずに…。今度からは、そういう事はしてはいけない。今日は死ななかったからいいものの、次は殺されるかもしれないからな。」
ズキッ…
「いたた…。あっはは…。刀を背中に結んだまま寝る始末…。だらしないな、俺は。」

意識がはっきりしてくると、背中に鈍い痛みが走った。俺は、背中の痛みから“いつもとは違う場所で、いつもとは違う寝方…。非常にだらしない睡眠の取り方だな。”と感じ、自分を嘲笑っていた。目の前からは、既に用意されていたのか定かではない朝食が用意されていた。“こういう点に関しては、歩かなくて済むからここで寝るのもアリか?”と用意されていた朝食を口に入れつつ、最初は、今回の事を行った時の利点が良いと感じていたが、“やっぱりダメだな。だらしなさ過ぎる。そんな…努力も怠(おこた)るような事を考えてしまうなんて。これが、今からPIAに務めるヤツの考えか?”と、すぐに自問自答を行って自分に言い聞かせた。朝食も食べ終わり、反省も十分にしきった俺は、いつもとは違う、狂ったリズムを正常へと戻すように、中央へと歩を進めた。9つに並んだ扉をそれぞれ見据えた。

360適当:2013/01/17(木) 03:47:07 ID:myYBVV8w
スタ スタ スタ…
ピタッ
チラッ
「業火、達成、雷神、達成、闇、達成、達成、伝説、幻想…。ふっ、後5つか。いや、第一段階は、あと2つ…。もう少しだ。」

“本当によくここまで来れたな。こんなにクリア出来るとは、思わなかった…。”俺は、9つの扉に示されていた文字を左から順番に目に入れ、読み上げて小さく笑みをこぼし、ほんの僅(わず)かだけ自分自身をほめたたえ、自分自身を鼓舞した。自分自身を心の中でほめたたえ、また自分が秘めていた力に、少し驚きつつも、【雷神】と示された扉へ目を向け、少女との約束を暗唱した。

チラッ…
“フィアとの最後の約束。雷神という扉にいるサンという名前のサンダースは、友達だから優しくしろ…か。”
スッ…ピトッ
“ふっ、いいだろう。サンダースには、電気技なんて使えないが、あちらも使えない。サンダースは接近戦闘がニガテだからな。優しく、ノックアウトへ追い込んでやるか。”

“だが、こんな調子でいいのだろうか。あのエーフィと闘った時は、自分が接近に弱いという事を利用して、俺に接近させ催眠術をかけた。サンダースも…サンってヤツもこれ位わかっているんじゃないのか?”俺は、あごに手を添えて、目的の扉の向こうの相手へ“勝つのは余裕だ”と思いつつも、すぐに懸念が俺の頭の中に押し寄せて来たので、自分の自信に疑問を抱き始めた。“まぁ、大丈夫だ。四足は基本接近がニガテ。サンダースは、足が速いから俺が逃げる事はほぼ無理だろう。だが、俺にはPIAに認められた接近戦闘とこの刀…。八紋刀、スサノオがある。負けはしない。体力値もあまり無いハズ…。”俺は、冷静に相手の特徴を分析し、対抗策が思いついたので、自分の立てた作戦が上手く行くとも限らないにもかかわらず、作戦が成功したようにほくそ笑み、姿の見えない目的の扉の番人に向かって言い放った。

「ふっ、所詮は雌。体力も技術も知れてる。悪いが、一発で決めさせてもらう。こっちは、一生が掛かっているんでな。」

俺は、姿の見えない目的の扉の番人に向かって勝利宣言を行った後、【雷神】という文字が示された扉へ歩を進め、【雷神】のステージへ足を踏み入れた。

361適当:2013/01/17(木) 03:54:55 ID:myYBVV8w
俺は、【雷神】のステージへ足を踏み入れると、目の前には衝撃の光景が広がっていた。

キョロ キョロ
「あっ!!何だ…ここは!!アイテムが入っている箱も、まる見えのステージか!!」

俺の目に飛び込んで来た光景とは、地面にヒビが入り、草も一本も生えていないが、枯れた木は所々に存在している乾いた大地と、“ここに、ありますよ。とってください。”と言わんばかりに、数十、数百mの四方、八方に設置された赤や青や緑の箱であった。“金がないのが、残念だが、まぁ、これだったらすぐに見つかるだろう。それにしても驚いたな。高速移動で、足の速さが格段に上がる俺にとっては、ボーナスステージだな!!”俺は、自らの存在を主張する色が付いた物達の位置を確認して、あまりの予想外の光景に驚きつつも、“これは勝ったも当然だな。”と先に起こる未来を予想してはしゃいでいると、目の前に対戦相手が現れた。

キョロ キョロ
「赤が、右ナナメ上に1つ、青が左ナナメ上に2つ。緑が…」
クルッ…
「俺の下方向に3つか…。ふっ、負けるワケがない。フィアの特性に匹敵する程の足の速さを持つ俺に…。」
スタ スタ
ピタッ
「こんにちは。」
「ん?」
クルッ
「うわぁ!!び…びっくりした…。」

俺は、色の付いた箱を確認し、自分の持てる速度で“どう回収しようか。”と緑色の箱を見つめながら、考えていると、背後から何者かの声が耳に入って来た。声に気づいて、後ろを振り返ると、先程まで居なかった対戦相手が、存在していたので、俺は思わず驚き、声を上げてしまっていた。俺に声をかけた対戦相手は、黄色の軍服を身にまとい、軍服の胸ポケットに“γ(ガンマ)”と描かれた黄色と白で構成されたバッチを身につけた、自分でも始めて見るような、体の小さなサンダースであった。

362適当:2013/01/17(木) 04:00:38 ID:myYBVV8w
“あんな可愛いサンダースがいたなんて…。”俺が、後ろに立つ対戦相手を見て、そう思う事に無理はなかった。なぜなら、イーブイ進化系のクラスメートを見る事が出来るのは、成獣(人間でいう20歳以上になる事)をむかえた、大学からであったからだ。俺はクラスメートでは、雄の体の大きなサンダースしか見た事が無かったので、“こんな小さなサンダースも存在(いる)んだな…。”と無意識の内にそう感じていた。彼女は、雌なので体が小さいのはあたり前の事であったが、初めて見る光景に、俺は驚きを隠せないでいた。俺が驚いたままの表情を保ち、何も言い返せないでいると、【雷神】の間の番人が、輝いた笑顔を向けて訊ねて来た。

「………。」
シーン
「あはは。ピカチュウ君、もしかして緊張してる?」
「え?」
「あれ?君、もう4匹も倒したんだよ?まだ、緊張するの?」

“緊張はしていないがな。”【雷神】の間の番人の質問に対し、俺は即、否定の意を示し、無言を貫いた理由を告げた。

「いや、そうじゃない。君みたいな、小さくて可愛いサンダースを見たのは初めてだからな。」
「あはっ、ありがとう。君は、とってもカッコイイよ。」
「カ…カッコイイ!?」
「うん。ピカチュウって普通は男の子でも“クリクリ”っとしたお目めで可愛くみえるけど、君はなんだか違う。目が“キリッ”としてて…。僕、こんなカッコイイピカチュウを見たのは初めてだなぁ〜。」

“うお!?コイツは、俺の魅力に気づい…。イカンイカン!!ここで照れたら、相手の思うつぼだ!!油断するな!!誘って来るつもりかもしれないんだ!!”俺は、【雷神】の間の番人からほめちぎられて、嬉しくてはしゃぎつつ、また、照れも感じるも、自分に強く言い聞かせ、照れを隠すように、彼女へ小さく呟くように感謝の意を伝えた。

「そ…それは、どうも。」
「あはは。照れてるでしょ?」
「は?」
「顔に、書いてあるよ。“ほめられて照れてま〜す”って。」

“コイツ、言わせておけば…。”俺は、【雷神】の間の番人にいたずら気に微笑まれ、自分の心の核心をつくような質問を訊ねられた。彼女は、挑発しているつもりでは無かったであろうが、彼女の発言を挑発とみなし、俺は彼女へ愛想をふりまく事もせず、彼女の質問に対し否定した。

363適当:2013/01/17(木) 04:05:59 ID:myYBVV8w
「照れる?何を言っている?この程度で、照れるワケがないだろう。敵にほめられても嬉しくも何とも思っていないからな。」
「ふ〜ん、そうなんだ。まっ、どうでもいいや。」
「は?」
「だって僕、早く闘いたいんだもん。じゃあ、僕のステージで闘う上でのルールを説明するよ。」

“随分あっさりしているな…。ルール!?それは一体…。”俺は、【雷神】の間の番人が、すぐに話題を変換して来た事に対して、あっけにとられながらも、彼女の発言の一部が気になったので、彼女へおもむろに訊ねた。

「ルール?今更か?」
「うん。まず、お互い電気技は使っちゃダメぇ〜。理由は…」
「バカにしているのか?サンダースの特性を俺が、“知らない”とでも思っているのか?」
「そこまで言うなら、僕の特性当ててごらん。」

“コイツ俺をなめているな。”俺は、【雷神】の間の番人の質問に対し、“愚問である”とばかりに即答した。

「相手の電気を体力に変える事が出来るんだろう?君を含め、サンダースの特性は“蓄電”とよばれる、電気技を受けると体の特殊な構造により、自らの体力を回復させる事が出来る。こんな事が何で出来るかも説明してやろうか?」
「え?」
「サンダースは電気を受けると、細胞が活性化し、まるで“自己再生”を使った時と同じように、細胞分裂が急速に進み、傷の修復を素早く行う事が出来るからだ。どうだ、これで満足か?」

俺は、【雷神】の間の番人の質問の補足を発言する事を彼女へ言い放つと、彼女は俺を試すような表情から、一瞬で驚きの表情へと変化させた。俺は、彼女の反応を強めるように、彼女の質問の補足を詰まる事なく言い放った。わかってはいたが、彼女は俺の発言の内容を初めて聞いたのか、驚いて目を丸くし、自ら可愛気のある顔立ちを更に可愛くしてしまっていた。

364適当:2013/01/17(木) 04:13:28 ID:myYBVV8w
「へぇ〜。す…すごい…。初めて聞いた…。」
「あっはっは。君こそ知らなかったんだな?ちなみに、これも驚くかもしれないが、俺は普通の技でやる所を特性で持っている。俺の特性は“充電”だ。君が、電気技を使えば使う程スタミナが回復し…。」
「すっご〜い!!めずらしいね。さっ、ルールの続きを説明するよぉ〜。」
「は…はぁ!?少しは、俺の話を聞けぇ!!」

“何だコイツは、随分とあっさりし過ぎじゃないか!!くそ…なんか、こっちのペースが崩されてしまう…。”【雷神】の間の番人は、俺の返答を聞いて初めは驚いていたが、俺の返答をまるで無かった事にするように流し、俺へ呼びかけた。俺は、彼女があまりにも予想外な反応を見たので、彼女に逆に驚かされ、彼女へ要求してしまっていた。だが…というよりは案の定、彼女は俺の要求を無視して話し出した。

「ううん、ダメ。続けるよ?」
「くそ…。ああ、頼む。」
「その2、武器やアイテムは“一切”使っちゃダメぇ〜!!」
ピシッ

“ぶ…武器を使うなだとぉ!?こ…コイツ、何を言っている!?”【雷神】の間の番人は、その場に座り込み、言い放った後前足で禁止を示す“×”印を作って俺へ勢いをつけて提示した。俺は、彼女の発言を聞いて、“不公平だ!!”とばかりに言い返した。

「は…はぁ!?ちょっと待ってくれ!!ふざけるな!!」
「え?どうして?」
「だって、俺はまだ40レベル台しか無いんだぞ?君は、50レベル台だろう!!」
「だから?」

“だ…だから…って…。はぁ…。”俺は、自分の質問が【雷神】の番人に、“愚問である”とばかりに返答されたので、心の中でやるせない思いを抱き、ため息をつくも、彼女へ“どこまでが許容範囲なのか”という事を訊ねた。

「君…。ま、まさかと思うが当然刀も…。」
「うん、ダメだよ。立派な“武器”だからね。」
「……。断ると言ったら、どうなるんだ?」
「僕も使うよ。って言っても…これ投げられちゃったら、お終いだけどねぇ〜。」

“は?使われたら、俺が負けてしまう武器?”俺は、【雷神】の間の番人が得意気に返答して来た様に、目を向けつつ、彼女へおもむろに訊ねた。

365適当:2013/01/17(木) 04:20:17 ID:myYBVV8w
「何をする気なんだ?」
「えっへっへ〜。なんだと思う?」
「知らない、さっさと教えろ。」
カチッ…
ピッ
「これだよ。」

【雷神】の間の番人は、得意気な笑みを浮かべ、腰に前足を伸ばし、俺に奇妙な丸い塊を提示して来た。彼女が手にしていたのは、全体に茶色が塗られており、真ん中に、T字のような郵便のマークのような記号が、横向に示されていた。“何なんだこれは…。”俺は、初めて見る物だったので、首を傾げて、彼女が手に持つ物の正体を訊ねた。

「何だそれは?」
「アースグレーネードだよ。」
「アース…グレーネード?」
「口で言ってもわかんないと思うから…。」
スポッ…ペタ
オリ オリ…
「は?」
「行くよ?それっ!!」
ヒュッ…
ヒュー パサ

【雷神】の間の番人は、俺に二度訊ねられると、“この方が手っ取り早い”とばからに宣言し、軍服の胸ポケットから一枚の紙を取り出し、地面に広げて置いた。その後彼女は、前足を使って器用に“紙飛行機”を作り、俺へ合図をだして、俺の元へ投げつけた。飛行を邪魔する風も無かったので、彼女が飛ばした紙飛行機は、空中を直線上に進み、俺の元へゆっくりと下降してたどり着いた。俺は、彼女が送った紙を拾い、紙に記されている内容へと目を向けた。

【吸収放電手榴弾 EARTH GRANADE。
衝撃が加わると爆発し、中の粘着性のある特殊なチップが散布し対象物へ張りつく。このチップは、体内に持つ電流を極限まで吸い取り、空気中へ放出する。電気タイプに特殊なチップが張りつくと、一瞬で命を落としてしまう程の吸収力なので、使用者が電気タイプの際は、対象物から十分に離れて使用する事。】

“は…はぁ!?何だこれは!!こ…こんな物を使われたら、何も出来ずに終わってしまうじゃないか!!”俺は、【雷神】の間の番人が送りつけた、彼女が今、手に持っている茶色の奇妙な丸い塊に関する説明書に目を通し、驚いて目を見開いてしまっていた。俺の驚く表情は、普段の俺からは想像も出来ない程の可愛気があったせいか、彼女は笑って俺へ指摘した。

366適当:2013/01/17(木) 04:27:48 ID:myYBVV8w
「あはははは。ピカチュウ君の“ええ!?”って時の顔…。すっごいカワイイ〜!!」
「いや、“あはは”じゃないだろう!!何なんだこれは!!完全に、殺戮(さつりく)兵器じゃないか!!」
「そうだよ。そこでピカチュウ君に問題。君に、投げたらどうなるでしょおぅ〜か?」

“どうなるも何も…。死…確定だな。ハチマキがあっても死ぬかもしれない。”俺は、ため息をつき、意地悪気に訊ねてきた【雷神】の間の番人へ、“お前の条件を呑んでやる”と言い放ち、刀を背中から外し、真横へ放り投げた。

「はぁ…。わかった、君の言うとおりにする。」
シュル シュル…
パシッ
ヒュッ…カチャン
「これでいいんだろう?」

“くそっ…。思っていた展開と全く違う!!”俺は、刀を放り投げた後、【雷神】の間の番人へ確認を取ると、彼女は満面の笑みを浮かべて、俺へ感謝の意を伝えて来た。

「あはは。そうだよぉ〜。ありがとう、ピカチュウ君。君、優しいんだね。」
「君は“鬼”だな。もう、君が悪魔にしか見えて来ないんだが。」
「気のせいだよ。僕は、やんちゃで可愛い女の子のサンダースなんだから。」

“気のせいなものか…。しかも、自分で言うな!!まぁ、俺もそう思うが…。”俺は、【雷神】の間の番人へ強く言い放つと、彼女から自画自賛するような返答が返って来たので、複雑な思いにかられていたが、彼女へ“自分も”と言わんばわりに要求を行った。

「その代わり、条件がある。」
「条件?」
「ああ。君は、“ミサイル針”禁止だ。」
「どうして?」

俺は、【雷神】の番人が首を傾げて訊ねて来たので、彼女へ理由を告げた。

「どうしてもこうしてもないだろう。ミサイル針は、君の体から出せる“マシンガン”みたいなものだ。」
「ま…マシンガン?」
「ああ。マシンガンは立派な武器だろう?違うか?」
「う、う〜ん…。」
「条件が呑めないなら、俺は遠慮無く武器もアイテムも使わせてもらう。今、考えたんだが、君の要求を呑む必要なんか無い。“避(よ)けられる”からな。衝撃を加えないと爆発しない“オモチャ”なんかで、ここまで勝ち上がって来た俺を倒せると思うなよ?」

367適当:2013/01/17(木) 04:33:30 ID:myYBVV8w
“そうだ、よくよく考えたら、衝撃式爆弾(そんなもの)避(よ)けれるじゃないか。コイツの条件を呑む必要なんか、これっぽっちも無い!!皆無だ!!さぁ、どうする?”俺は、【雷神】の間の番人が出す無理難題の条件を鏡に写したように返すと、彼女は少しばかり頭を悩ませ始めた。彼女が必ず要求を受けるように、更に脅しをかけて自分の要求を強めると、彼女は微笑んで俺に肯定の意を示した。

「うん、いいよ。確かに、ピカチュウ君の言うとおりだからね。」
「よし、いい娘だ。」
「いい子って…。君、僕より年下でしょ?」
「違う。」
「え?」

“やっぱり見た目で判断されたか…。”俺は、【雷神】の間の番人を年下を愛でるが如くほめた。すると彼女は、“お前の方が年下だろう?”と返答し首を傾げたので、俺はすかさず彼女に否定の意を示した。彼女は、俺の答えを聞いてきょとんとした表情を浮かべ始めた。俺は、彼女に“見た目で判断するな!!”と言わんばかりに、この姿でいる理由を言い放った。

「君、見た目で判断するのは良くないぞ?」
「だって、ピカチュウがライチュウに進化出来るのは“20歳以上”からでしょ?」
「そうだ。だが、俺はこの姿が気に入ってて“ワザ”と進化していないんだ。」
「えへぇ?ウッソだぁ〜。変なの〜。ありえないでしょ?」
「“信じる”か信じない”かは君次第だがな。」

俺が、【雷神】の間の番人へ理由を言い放つと、彼女は“信じられない”とばかりに笑って、俺の理由を否定して来た。俺は、彼女に自分の意見を否定されても動じずに、YES or NO の選択肢を彼女へ与えたが、彼女は頭を悩ます様子を見せず、自己のペースを貫くとばかりに話題の転換を行って来た。

「ま、どうでもいいや。そのさ〜ん。」
「その3って、まだあるのか?」
「うん。でも、これはピカチュウ君にとっても良いルールだと思うよ?」
「そうか。期待はしないが、まぁ、聞こう。」

俺は、【雷神】の間の番人に発言の許可を与えると、彼女は今まで見せた事のない優しい笑みを浮かべて、俺へ最後の重要事項を伝えた。

368適当:2013/01/17(木) 04:39:29 ID:myYBVV8w
「お腹、あるいは、背中がついたら負け。」
「随分と変なルールだな。これじゃあ、死闘でもなんでもない。」
「あはは。でも聞いて。僕は、あまり君を傷つけたくないんだ。」
「傷つけたくない…か。」
「うん。ね?いいでしょ?お願い!!ピカチュウ君!!」
パン
パチッ

【雷神】の間の番人は、自分が言い出したルールを押し通す為に、前足を合わせて、片目をつむって俺へ懇願して来た。“なんか、コイツ可愛いな。俺にとってもいい条件だし、迷う余地はない。”俺は、彼女の条件を呑むと返答した。

「あっはっは。そこまでされちゃあ、断るに断れないなぁ〜。」
「ホントに!?」
「ああ。」
「ありがとう、ピカチュウ君。ルールは、これだけ。僕が負けたらバッチをあげるよ。その代わり…」
「その代わり?」

俺が、【雷神】の間の番人へ肯定の意を伝えると、【雷神】の間の番人は、俺へ感謝の意を伝え、俺へ勝利報酬の取り引きを申し込んで来た。俺は、彼女へ訊き返すと、彼女は何かを企むような怪しい笑みを浮かべて、俺へ言い放った。

「ふふふ…。僕が勝ったら、君は僕の言う事を“なんでも”聞いてね。」
「ふっ、わかった。まぁ、負けないがな。」
「あはは。言ったね?じゃあ、始めるよぉ〜。」
「ああ、来い。」

“負けるワケがない。お前は、ルール1で自分で自爆したようなものだ!!しかも、ミサイル針も禁止したからな。お前が、勝てる要素は0(ゼロ)だ!!”俺は、【雷神】の間の番人の条件を呑みつつも、自信に満ちた笑みを向けて、彼女へ勝利を宣告した。彼女は、先程と同じ笑み強めて、俺へ合図を送った。俺が、彼女へ了解の意を伝えると、彼女は軍服の右ポケットに前足を忍ばせた。彼女が前足を忍ばせた数分後、恒例の戦闘開始の合図が鳴り響いた。

369適当:2013/01/17(木) 04:45:58 ID:myYBVV8w
プンッ…
『READY…GO!!』
「さ〜て。ピカチュウ君、行っくよ〜!!」
タッタッタ…

“接近戦闘で俺に勝てるワケがない。”【雷神】の間の番人は、戦闘開始の合図を聞き入れると、俺へ合図を送りながら、俺の元へ接近し始めた。俺も、彼女には負けるハズがない、“一瞬で終わらせてやる”とばかりに彼女へ急接近し、彼女を狙い打つように急停止し、彼女へ向けて第一の必殺技を放った。

タッタッタ…
キキッ
「自爆しろ。ブレード…」
タッタッタ…
「テイル!!」
ブン
「おっと。」
シュルン シュルン…
「え?」
タン

俺が、彼女へ向けて硬質化した尻尾を当てようと、体を回転させて思いっきり尻尾を振ると、彼女は突然飛び上がり、空中前転を使って俺の真上を超え、俺の背後へと着地した。俺が彼女の予想外の動きに呆気にとられていると、彼女が反撃を行って来た。

「逆立ち、連続二度蹴りぃ〜!!」
スッ…
「は?」
バン バン
「ぐわぁ!!」
バン バン
「ぐふぅ!!」
バン バン
「ぐほぉ!!」

“な…なんだコイツは!?接近戦闘が…得意だっただとぉ〜!?”【雷神】の間の番人は技名言い放ち、その場で逆立ちをして、俺の頭を狙って、両方の後足を素速く、素速く、交互に動かし始めた。俺は、彼女が予想もする事ができなかった動きに驚いてしまった為、彼女の攻撃をまともに何発も受けてしまっていた。“こ…このままじゃ、マズい!!”俺は、彼女の攻撃を急いで両手を使って防ぎ、徐々に後ずさりを始めた。

「あははぁ〜!!まだまだぁ〜!!」
フッ…
ガン ガン
ザッ… ザッ…
「おっとぉ〜!!逃がさないよ〜!!」
サッ サッ
「な…何ぃ!?コ…コイツ!!」
ザッ ザッ ザッ
「あはは〜!!待て待てぇ〜!!」
サッ サッ サッ
ガン ガン

“し…しつこすぎる!!”【雷神】の間の番人は、俺が後足を行っている感触を後足でつかんだのか、逆立ちの状態を保ったまま、俺を追跡し連続攻撃を当て続けた。“こ…このままでは、マズい!!”くそっ!!離れろ!!”俺は後退を続けても、彼女はペースを崩さずに連続攻撃を当ててくるので、俺は勢いをつけて思いっ切り後ろへ飛び下がった。

370適当:2013/01/17(木) 04:52:04 ID:myYBVV8w
「くっ…。たぁ!!」
ピョン
ズザザ…
「くそっ…。腕が…。」
クルッ
タッタッタ…

“こ…今度は何をする気なんだ!?”俺は、【雷神】の間の番人の攻撃を何度も何度も自分の腕を使って防いでいたので、腕の痛みを強く感じながらも、彼女の動きを見計ろうとしたが、彼女は俺に隙を与えず、更に驚く攻撃を仕掛けてきた。

「まだまだ終わらないよ〜!!」
「な…何にぃ!?」
ピョン
「空中前方二度蹴りぃ〜!!」
バシ バシン
「ぐわぁ!!」
フワ…
「い…いかん!!はぁ!!」
クルン
タン

“はぁ…はぁ…。くっそ、コイツ強い!!簡単に勝てる相手じゃなかった!!”【雷神】の間の番人は、俺を目掛けて飛び上がり、普通は後ろを向いて放つ技を、正面を向いたまま放つという驚くべき技を放って来た。俺は、突然来る予想外の攻撃に対応出来ず、彼女の攻撃を顔面に、まともに受けてしまっていた。彼女から攻撃を受けた直後、自分の体が宙に浮くのを感じ取り、空中後転を行い、急いで体勢を整え、敗北条件を満たさずに両足で着地した。“だ…ダメージを受けすぎた…。もう尻尾中心でやるしかない!!”俺は、息を切らしつつも反撃に出ようと構えたが、彼女がほくそ笑み、掟(おきて)破りの行動に出た。

「隙ありぃ!!ミサイル針!!」
ピシュン ピシュン ピシュン
「は…はぁ!?くそっ…、間にあ…」
ザク ザク ザク
「ぐはぁぁぁぁ!!」
バタン

【雷神】の間の番人は、俺から距離が離れている事をいい事に、頭を小さく下げて、自ら針のような白い体毛を、俺目掛けて飛ばして来た。俺は、彼女の掟(おきて)破りの行動に驚いて目を見開くも、彼女の攻撃を避ける為に、電光石火を用いようとしたが、彼女の攻撃が速く、自分の体に彼女の攻撃をまともに受けてしまっていた。彼女からの攻撃を受けて、俺は、彼女が提案した敗北条件を満たすように正面からその場に倒れた。彼女は、俺に勝利した事が嬉しかったのか、喜んではしゃぎ、その場に座って、両前足を上げるという勝利のポーズを取り始めた。

371適当:2013/01/17(木) 04:58:33 ID:myYBVV8w
「あはぁ!!やったやった勝ったぁ〜!!」
スクッ
バッ バッ
「ちょっと…。ちょっと待てぇ〜!!」
ピタ
「え?何?」
「“何?”じゃないだろう!!何で、ミサイル針を使ったんだ!!」

俺は、【雷神】の間の番人の歓喜の声を阻止するように彼女へ呼びかけ、彼女へ抗議を行った。すると、彼女は首を傾げて“何を言っているんだ?”とばかりに、俺へ返答して来た。

「だって、ミサイル針は技じゃん。武器じゃないじゃんか。」
「確かに技だ、じゃあ許そう。ってそんなワケないじゃないかぁぁぁ!!」
「あはは。今のちょっと面白かったよ、ピカチュウ君。」
「面白いとかじゃないだろう!!今日の勝負は無しだ!!君は、反則したんだからな。」
「ええ〜!!イヤだ!!イヤだ!!だって、ピカチュウ君、今お腹ついて負けたじゃんかぁ〜!!」
ピッ

“これが負け?反則を使って、コイツ何を言っている!!”俺は、【雷神】の間の番人へ勝負の取り消しを言い放つと、彼女は、俺の今の状態を指摘するように、前足を差して俺の抗議を拒否して来た。俺は、彼女が“せっかく勝ったのに”と思わせるような不満気な表情を見るも、彼女の言い分は受けず、彼女へ厳しく言い放った。

「ふざけるなよ?君は、俺に勝ってなんかいない。俺は、帰らせてもらう。」
カチッ…
シーン
「あれ?」
カチッ カチッ
シーン
「あれ?おかしいな。いつもなら、体が消えて元の部屋に戻るハズなんだが…。」

“故障か?いや、違うよな…。う〜ん、これをどっかで経験したような記憶が…。”俺は、腕時計についているリタイアボタンを押したが、起こるはずの現象が起こらなかったので、首を傾げてあごに手を添えて、機能が働かない原因を探っていると、【雷神】の間の番人は、不敵な笑みを浮かべて、俺へ言い放った。

「あははぁ〜。帰りたきゃ、帰ってもいいよ。でも、帰れないけど…ねぇ〜。」
「は?どうゆう事だ?」
「ピカチュウ君、緊急警報装置って知ってる?」
「緊急警報…。どこかで聞いた事あるような…。」

俺は、【雷神】の間の番人の質問を受けて監禁初日から、今に至るまでの記憶を探り始めていると、彼女は俺の記憶を掘り起こすように言い放った。

372適当:2013/01/17(木) 05:05:03 ID:myYBVV8w
「今、危険信号が出ているんだよ。って言っても、僕が“ワザ”と出しているんだけどね。」
「危険…信号…。」
「これを出すと、戦闘続行のままになっちゃうんだよ。」
「戦闘続こ…。あ…ああ!!」
「何かわかったみたいだね。」

“くっそ!!思い出した…。β(ベータ)のシャワーズの時にされたアレか!!”俺は、【雷神】の間の番人の発言により、二日目の記憶が鮮明に自分の脳内によみがえって来た。彼女は、不敵な笑みを浮かべて言い放った。俺は、今自分が“どうゆう状態に陥っているか”を理解出来たので、怒りの表情を浮かべて、彼女へ怒号を飛ばした。

「ふざけるな!!何が、戦闘続行だ。もう闘いは終わっている。今日は、どちらの勝ちでもない。さっさと解除しろ。」
「やだ。ピカチュウ君、負けたんだから僕の言う事を聞いてくれるまで、“絶対”に帰さないよ?」
「だから、君は勝ってないと言っただろう!!ミサイル針は武器じゃない。だが、約束したじゃないか!!“ミサイル針は使わない”って。」

俺は、【雷神】の間の番人の質問に対して再び強く抗議をぶつけると、彼女は不満気な表情を浮かべて、俺を説くように言い聞かせた。

「う〜ん。でもさ、やっぱりミサイル針は武器じゃなくて技だし、それに、僕は“女の子”だよ?」
「女…の子…。」
「そうだよ。フィアから聞いたよ。“ピカチュウ君はとっても優しい雄だよ”って。」
「優しい…。そういわれても…な。」
「だから、ね?お願い!!僕は、女の子で力も無くて、インチキしないと勝てないから、勝った事にしてくれないかな?」
スクッ…
パン
パチ

“はぁ…。そんな顔をするな!!反則だ!!断りにくいじゃないか!!”というか、フィア喋るな!!もう、コイツに優しくしないといけなくなったじゃないか!!”【雷神】の間の番人は、その場に座って両前足を合わせて、片目を瞑(つむ)り、可愛らしい表情を向けて、俺へ甘えるように懇願して来た。俺は、彼女が懇願する様を見て、複雑な思いを抱きながらも、ため息をついて彼女の要求を聞き入れた。

373適当:2013/01/17(木) 05:09:42 ID:myYBVV8w
「はぁ…。わかった。今回だけだぞ。」
「ホント!?やったぁ〜!!」
「ただし、明日からはちゃんと約束は守ってくれ。」
「うん、わかった。ミサイル針は使わないよ。約束する。」
「よし。で?君が俺に命令する事はなんなんだ?」

“約束か。期待は出来ないが、するだけしておこう。”【雷神】の間の番人は、俺に自分の要求を聞き入れてもらえたので、満面の笑みを浮かべて喜びの感情を表していた。俺は、彼女とあまり期待出来ない約束を交わし、彼女へ要求を訊ねた。すると彼女は、いたずら気に微笑み、とんでもない事を俺へ要求した。

「にひひひひ…。」
「何だ君は。気持ち悪いな。」
「だって、ようやく叶うとなると嬉しくて。」
「そうか。で?気持ち悪いサンダースの君は、何が望みなんだ?」
「気持ち悪いは余計だよ。ピカチュウ君と、ちょっとエッチな事したいなぁ〜。な〜んて。」

“はぁ…。また、あのパターンか。何で隊長達(こいつら)こんなにも…。”俺は、【雷神】の間の番人の要求を耳に入れると、今までの経験から大方の未来予想図が浮かび上がって来たので、彼女へ“お前もか”と言い放った。

「はぁ…。なる程、君もか。」
「僕も?ど…どうゆう事?」
「シャワーズやエーフィ、そして、リーフィアに続き、君もか。」
「ええ!?こ…こんなに大勢の女の子とエッチしたの!?」

俺が、【雷神】の間の番人へ監禁されてから、今まで闘った相手との出来事の真実を並べて述べ、再び彼女へ指摘すると、彼女は驚いて“予想もしていなかった!!”とばかりに俺へ思わず訊き返して来た。俺は、彼女の質問に対し、軽く肯定の意を示し、彼女が考えていると思われる卑猥な内容を突きつけた。

「ああ、そうだ。で、君も俺とセックスしたいんだろう?ちょっととかじゃなくて、本格的なヤツをな。」
「あはっ…。バレちゃったかぁ〜。」
「質問に答えろ。性交(し)たいのか?性交(し)たくないのか?どっちなんだ?」

“まぁ、前者だと思うがな。”【雷神】の間の番人は、俺に指摘されると少し照れ笑いを浮かべて俺へ小さく返答した。普通に見れば彼女の仕草は、雌らしく可愛らしく思えるだろうが、俺は彼女の仕草を見ても何とも思わず、彼女へ再び同じ質問を訊ねた。すると、彼女は予想外の事を口にし、俺に近づき、自らが望む行為の準備の催促をはかって来た。

374適当:2013/01/17(木) 05:15:45 ID:myYBVV8w
「うん、YESだよ。でも、今日はそこまではしないんだよねぇ〜。」
「は?」
「ピカチュウ君、今日は僕となめあいっこしようよ。」
「なめあいっこ?たったこれだけでいいのか?」
「あれ?もっと何かしたいの?」
「いや。助かった。君が、これだけで。」
「じゃあ、こっちに来て。それから、下も自分で脱いでねぇ〜。ほら、僕がやるとな〜んか、ピカチュウ君が僕に強制されてるみたいじゃんか?僕は、それが嫌だから。ピカチュウ君、自分で。頼むよ?」

“強制されてるんだがな…。”俺は、【雷神】の間の番人の発言に半ば呆れつつも、彼女の指示に従い、彼女へ近づき、スーツを脱いで、彼女へ生まれた状態を提示した。

スタ スタ スタ
ジー ジー
スル スル
パサッ
「これでいいんだろう?さて、どっちからが先なんだ?“淫乱”なサンダースちゃん。」
「淫乱は余計だよ。ひどいなぁ〜、ピカチュウ君。全然優しくないじゃんか。」
「フィアから聞いたんだろうが、フィアはそんな娘じゃなかった。だが、君は違う。“積極的過ぎる”。だから淫乱だ。」

“ちょっとひどいが、これくらい言ってもいいだろう。”俺は、【雷神】の間の番人へ相手が不快に思うと思われる単語を強調して訊ねると、彼女は少し怒った表情を浮かべて俺へ言い放って来た。俺は、彼女から指摘されたが、何とも思わず、彼女へ理由を述べて言い返した。だが、彼女は悲しい表情を浮かべるどこれか、俺へほおずりを行い、笑顔を向けて、俺へ訊ねた。

スタ スタ
スリ スリ…
「うわぁ!!君、いきなり何して…」
「いいじゃんか、別に。女の子だって、男の子と同じようにエッチしたいんだよ?」
「いや、だからって自分に正直過ぎるのは、どうかと思うんだがな。対戦相手にセックスを求めるのは、“おかしい”と俺は思うんだがな。」
「う〜ん、でもしょうがないじゃんか。“我慢は体に毒”って言うでしょ?」
「と言われてもな。」
「それとも、僕とエッチするのは嫌?」

“うわ…。近くで見ると、結構可愛いな…。”俺は、【雷神】の間の番人の質問に対して、“自粛(じしゅく)しろ、自粛しろ”とばかりに何度も言い放った。彼女は、二度目の質問も俺に相槌をもらえず不安に思ったのか、俺に真剣、されど、どこか可愛気のある上目づかいで、俺の本心を探るように質問をぶつけて来た。俺は、彼女の表情を見て断り切れず、言葉を詰まらせてしまっていた。

375適当:2013/01/17(木) 05:22:07 ID:myYBVV8w
ジー
「いや…。そんな事は…」
「ないんだよね?やったぁ〜!!じゃあ、ピカチュウ君。そこへ寝て下さい!!」
「わかった。負けたから君の言う事を聞かないとな。」
「そう言う事ぉ〜。やっぱり、ピカチュウ君ってやっさしぃ〜。」
スクッ…
ザリッ…
「ルールに、則(のっと)ってるだけだ。君に、優しくなんかしていない。」
「ふ〜ん、まぁいいや。じゃあ、僕の…」
クッ…トン
「“いっちば〜ん”エッチな所をなめてね。」

“ついに、始まったか…。ああ、俺は一体何匹の雌と性交(こんなこと)をしているんだ!!初日に綾に対して謝っていた事が、まるっきりのウソじゃないか!!もう、最低な雄だな俺は…。”俺は、【雷神】の間の番人の指示に従い、水分が抜けて乾いた為にヒビが入った土の絨毯(じゅうたん)へ頭をつけて、仰向けの体勢を取った。彼女は、俺が指示に従った事が嬉しかったのか、俺に喜びの表情を向けて、俺をほめたたえた。俺は、彼女からほめたたえられても特に何とも思わず、彼女へ自分が従う理由を言い放ち、彼女の発言を否定した。彼女は、俺に自分の言葉を否定されたが、彼女の持ち味でもある、話を引きずらずに軽く流すという話術を使い、俺の顔に自らの割れ目を提示して俺へ要求を行った。“もういいか。フィアにいたっては、俺からセックスしたようなものだ。コイツとのセックスは別に嫌じゃないし、素直に楽しむとしよう。”俺は心の中で、初めは自分を責めに責めきる叱責を行っていたが、ふっきれて前言撤回を行い、まともらしい理由をつけて、彼女の指示にすすんで従った。

376適当:2013/01/17(木) 05:27:06 ID:myYBVV8w
「ふっ、わかった。手加減はしないからな?俺と、気持ち良くセックス出来ると思うなよ?」
「あはっ、勝負する?いいよ、僕はそれでも。ピカチュウ君は、僕と勝負した時弱かったからねぇ〜。」
「言ったな?愛撫(ここ)で俺に勝てると思うなよ?」
「あはは。愛撫(ここ)しか勝つチャンスは無いと思うんだけど。」

“コイツ、なめやがって…。”俺は、【雷神】の間の番人へ軽い脅しをかけたが、彼女は俺の発言にひるまず、俺へ宣戦布告を行って来た。彼女の発言を受けて、俺は再び彼女へ軽い脅しをかけたが、彼女は再度ひるまず、俺の闘争心をかきたてるように挑発を行って来た。“対戦相手にセックスを求めて来るヤツは、たぶん経験した事がないヤツだろう。ここで、反則技を使ってコイツに雄とのセックスの恐怖を味わわせてやる!!”俺は、彼女の挑発をまともに受け、彼女の割れ目に舌を進入させ、反則技を行う為に、舌を上方へと動かし始めた。

ジュププ…
「あふぅ!!いきなり使うの?卑怯だ…」
ツー
「なはぁ…。って、何してる…」
ピタ
「のほぉ!?え?ええ!?何ここ?なんか…すごい気持ち良かった…。」

“クリトリスを知らない処女が!!思い知るがいい!!”【雷神】の間の番人は、俺に未知の世界に引きずり込まれ、驚いて喘ぎ混じりで声を上げていたが、俺は、彼女に落ち着く暇を与えずに、舌を素速く動かし始めた。

ピチャピチャピチャピチャ
「あっ!!あふぅ!!あうん!!」
ピチャピチャピチャピチャ
「あひゃあ!!あふぇ!!ちょ…ちょっと待って!!ピカチュウ君!!はや…速過ぎるよ…」
ピチャピチャピチャピチャ
「おほぉ!!やぁ!!ばはぁ!!いひぃ!!ま…負けるかぁ〜!!」

“ククク…。もう、お前の負けのようなものだがな。それにしても…クククって気持ち悪いな俺は。”俺は、【雷神】の間の番人が、自分の激しい行為により、喘ぐだけの何も出来ない様である事を見て勝利を確信していた。だが、彼女は耐え難い場所で耐えつつ反撃に出るという予想外な行動を行って来た。

377適当:2013/01/17(木) 05:31:55 ID:myYBVV8w
パクッ
チュプチュプチュプ
「うっ…。」
チュプチュプチュプチュプ
「うはぁ!!うぁ!!ああ!!くっそ…。コイツ…。」
チュプチュプチュプチュプ
「うふぅ!!だはぁ!!ああ!!くそったれがぁぁぁ!!」

“な!?クリトリスを責められているのに、なんて耐久力だ!!”【雷神】の間の番人は、愛撫を行っている内に興奮してそり立った俺のモノを口へくわえ、舌を当てつつ、頭を素速く上下に動かすという反撃を行って来たので、俺は驚きつつも、声を上げてしまっていた。だが、すぐに俺は喘ぎ声を止め、彼女の割れ目に舌を進入させ、再び、先程と同じ攻撃を彼女へぶつけた。

ジュプププ…
スー ピト
「あう!!」
ピチャピチャピチャピチャ
「あへぇ!!あっ!!あうん!!ピ…ピカチュウ君に…愛撫(こうげき)なんかさせるかぁぁ〜!!」
レロレロレロレロレロ
“ぐふぅ!!ぐわ!!コイツ…まだやるか!!しかも…なかなか的確な所を責めて来やがる…。”
レロレロレロレロレロレロ
“うほぉ!!ま…まずい!!反則技使って、コイツより先に負けられるかぁぁぁ!!”
ピチャピチャピチャピチャ
「あうう!!あへぇぇ!!も…もう無理…。こうなったら道連れだぁぁ!!」
レロレロレロレロレロレロ
「ぐおぉ!!ああ!!く…そったれがぁぁぁ!!」
プッシャアアア…
ビュルルルル…

俺と【雷神】の間の番人は、卑猥な激しい激闘の末、お互いの力と速さが拮抗していたのか、二匹同時に絶頂を向かえるというハメになってしまっていた。俺は顔に、透明で雄を興奮させるような液体を受け、彼女は口内に俺の精子(モノ)を受けるという事態になっていた。“クリトリスを責められながら、俺に射精(だ)させるとはな…。”俺は、快感を味わいつつも、彼女の予想外の奮闘に感心していると、彼女が突然咳き込み苦しみ始めた。

378適当:2013/01/17(木) 05:36:41 ID:myYBVV8w
「んぐぅ!?ごっほ!!ごっほ!!」
「は!!君、大丈夫か!!」
ムクッ…
パン パン
「しっかりしろ!!」
「ごっほ!!ご…ぶへぇ!!」
ビチャ…

“良かった、吐き出してくれたな。”俺は、【雷神】の間の番人が苦しんでいる様子を見てすぐに起き上がり、彼女の背中を強くたたいた。すると彼女は、自分に苦しめられていた原因を吐き出し、咳き込むのをやめて激しく呼吸し始めた。俺は、彼女が無事に自分の精子(モノ)を吐き出し、一命を取り留めた様を見て、安堵のため息を漏らし、彼女へ彼女が苦しんだ理由と謝罪の言葉を告げた。

「ふぅ…。声をだしながら、俺の精子(モノ)を受けたんだ。それは、咳き込むだろうな。本当に…すまない。」
「はぁ…はぁ…。い…いいよ、全然。僕が“勝負する?”なんて言わなければ、こんな事にならなかったんだよ。ピカチュウ君は、悪くないよ。僕は…自業自得になっただけ。」
「そうか。というか、君さっきから一人称が“僕”だな。雌なのに…おかしくないか?」
「え?そう?別にいいじゃん。なんか、“私”って言いにくいし…。それに…」
「それに?」
「似合ってるでしょ?僕の方が、似合ってるじゃんか。」

“まぁ、言われて見れば。”俺が、【雷神】の間の番人へ指摘すると、彼女は首を傾げて、自分の意見を主張し、俺に相槌を求めて来た。俺は、彼女の意見に特に疑問も抱かなかったので、彼女へ相槌を行った。

379適当:2013/01/17(木) 05:40:08 ID:myYBVV8w
「そうだな。確かに、君は“僕”の方が似合ってる感じがする。声質といい、姿といい。」
「あはっ、物分かり良くて助かるよ。“ぴかちゅうくぅ〜ん。”」
「変な声を出すな。気持ち悪い。さて、俺はもう帰らせてもらうぞ?いいよな?」
「うん、いいよ。ちょっと待ってね。」
ゴソッ…カチ
「はい、オッケー。どうぞ、帰るなり残るなり好きにすれば?」

“後者は全くない。いても意味がない。早く風呂に入りたいからな。”俺が【雷神】の間の番人へ相槌を行うと、彼女は俺へ感謝し彼女の声質とはかけ離れた、甘えるような声で俺の種族名を故意に呼び出した。俺は、“なかなかどうして…。”と思っていたが、“ほめると調子に乗るな”と考え、彼女へ辛辣(しんらつ)な言葉を吐き、要求を出した。彼女は、俺の要求を聞き入れ、軍服の右ポケットに前足を忍ばせ、中にあるであろう、俺を元いた部屋に戻せないようにしたスイッチを押し、俺へ合図混じりの自由な選択肢をぶつけてき。俺は、彼女に“一つの選択肢しか選ばない”とばかりに言い放った。

「帰る。当然だ。」
「あはは。だよね。じゃ、また明日。明日は“もぉ〜ちょっと”頑張って欲しいなぁ〜。」
「ああ、そのつもりだ。」
スクッ パシッ
スタ スタ スタ…
カチャ
ピッ
「覚悟しとけよ?明日は、必ず君を負かしてやるからな?」
「あはっ、あはははは!!気合入ってるね。じゃあ、さようなら。バイバイ、ピカチュウ君。」

“何が、バイバイだ。なめやがって…。”【雷神】の間の番人は、俺からの返答を聞いて、ほんの少しさびし気な表情を浮かべるも、すぐに元のいたずら気に微笑むという彼女らしい笑みを向けて、俺を再び挑発してきた。俺は、彼女の挑発には乗らず、一言だけ言い放ち、刀とスーツを回収し、彼女へ指を差して、確実でない、自信からしか出て来ない勝利宣言を行った。彼女は、俺が格好をつけて勝利宣言を行った事がおもしろく感じたのか、大声で笑って俺に別れのあいさつを言った。俺は彼女の笑顔を見るも、その前の彼女の挑発する言葉が気に入らなかったので、彼女には微笑み返さず、彼女に負けた悔しさを胸に抱きながら、腕時計についているリタイアボタンを押し、【雷神】のステージから姿を消した。

380適当:2013/01/17(木) 05:45:45 ID:myYBVV8w
シュン…
「ふぅ…。」
フーン…
ポタッ ポタッ
グッ グッ
「そうか、アイツのが顔にかかってしまったんだな。」

俺は、【雷神】のステージから抜け出し、元の真っ白な部屋へと姿を戻した。【雷神】の間の番人との闘いでの疲れからか、ついため息のような、なんとも言えない息を吐いてしまっていた。息を吐いた直後、俺はもう疲れていて、更には精も使っていたので興奮はしなかったが、彼女が放った、雌独特の個性的な雄を誘惑する匂いが、俺のすぐ近くから感じられた。普段通りならば、ここで興奮して自分のモノを勢いよくそり立てたかもしれない。だが、何度も言うように、俺は既に体力も消費し、精力も尽きてしまった。故に、興奮を呼び起こす原因があっても、興奮なんかしないのである。同じ事を二度と言って何が言いたかったかと言うと、ダメージをあれだけ受けた後に、あんなに激しい前戯をするとかなり疲れるという事だ。彼女が、快感の限度に達して噴射(だ)してしまった透明な液体が、顔を濡らしている事に気づき、独り言を呟いて刀をその場に置き、俺はシャワールームへと歩を進めた。

スタ スタ スタ…
スル スル…
パサッ
スタ スタ
キュッ
ジャアアア…
ピチャン ピチャン
「ふぅ…。よし、これ位だな。」

お湯をただ出しただけでは、とても体に浴びせられる温度では無かったので、俺は手でお湯を触りながら、水を出して温度調節を行い、自分で自分へ合図を送り、体を洗い始めた。

ヌッ…
パチャ パチャ
ゴシ ゴシ…
「ふぅ…。終わったな。ひとまず綺麗にはなったが…。」
チラッ
「さて、どうしようか…。浸かるか浸からないか…。」

俺は体を洗い終えると、温度調節を行ったお湯を出しっぱなしにして、空の浴槽を見つめ考え始めた。“考えるまでもないな。部屋に帰って来た時から、ため息ばかりついている…。”俺は、数分前の記憶を思い出し、現在の自分の状態から、即、判断する事が出来たので、お湯を出しっぱなしにしたシャワーを手に取り、空の浴槽へお湯をため始めた。

ジャアアア…
パシッ…
スー
ピタッ
ジャアアア…
キュッ
チャプン チャプン

お湯で空になった浴槽を十分に満たしたので、俺は自分の体を浴槽へと入れた。

381適当:2013/01/17(木) 05:51:22 ID:myYBVV8w
クッ…
チャプ チャプン
スクッ…
「ふぅ…。くそ、ため息か。いや、これはため息なんかじゃないぞ。ため息じゃない。これは、安心した…ため息?」

“結局ため息じゃないか!!と、まぁそんな事はどうでもいいな。それよりも、アイツに勝つ方法を考えなければ…。”俺は、お湯に浸かりながら、自分で自分の矛盾点を指摘するも、すぐに思考の対象を変え、頭の中だけで策を練り始めた。

チャプン…
“さて、意外にも接近戦闘で渡っていけるサンダースだったわけだが、どう闘っていくか…。”
チャプ…
“う〜ん…。ブレードテイルを、あんなにあっさりかわされたのは痛い…。痛すぎる…。”
チャプン…
“よし、わかった。カウンターを狙っても当たらないのなら、アイツより素速く動き、素速く技をしかけるしかない。”
ザブン…
バシャ バシャ

“四足はこれは対応出来ないはず…。ふふふ、俺は日本に相応(ふさわ)しい技を持っているじゃないか。巴投げだ。これなら、背中をつける事が出来る。よし、これだ。勝ったな!!”俺は、浴槽の中で頭を働かせて、【雷神】の間の番人の対抗策を練っている内に、勝利する為の秘策を思いつき、いつの間にか不敵な笑みを浮かべていた。策が思いつき勝利を確信してしまった為か、俺は浴槽の中で勢いよく立ち上がり、周りにお湯を零(こぼ)してしまっていた。だが、俺の頭の中は既に“勝利”という二文字しか浮かんで来なかったので、自分が立ち上がった為に零(こぼ)したお湯の音など耳には入らなかった。“作戦を練る上では、湯船の中は最適の場所だな!!”俺は、勝つ為の秘策の他に新たな発見をし、一匹で静かにはしゃぎながら、汚れたスーツを洗濯機の中に入れ、代わりに昨日洗濯済みのスーツを着て、食事ルームへと歩を進めた。

382適当:2013/01/17(木) 05:57:23 ID:myYBVV8w
スタ スタ
ガチャ…
パシッ
ヒュッ
パサッ
ガチャ
ピッ ピッ…
ジャアアア…
バタン
スタ スタ スタ
ピタッ
スクッ…

匂いがして来たから、食事ルームへ移動したのは言うまでもないだろう。“俺とは違って、鼻が利かないヤツは、メシが出てくる瞬間がわからないだろうな。”俺は、改めて自分が鼻が利くねずみに属する事に感謝し、鼻が利かない生き物達が、この部屋に入れられてしまった事で、自分の意志で、出来上がったばかりの温かい食事を摂る事が出来ない事を、一匹あわれんでいた。”はは…。何を言っているんだ俺は…。こんな所に閉じ込められるのなんか、俺ぐらいに決まっているじゃないか。”他者をあわれんでいたが、俺は思い直し、“自分が一番かわいそうだ”と言う事を他者を、あわれんでしまっていた為に痛感させられてしまっていた。しばらく落ち込んでしまうと思ったが、近くから漂って来るいい匂いに助けられ、食事を摂る事に意識を集中させる事が出来た。頭の中から自分をあわれみる事を忘れられたので、俺は用意されている食事へと目を向けた。

チラッ…
「ピ…ピザ!?しかも…。」
チラァァ…
「結構本格的な…ピザだ。」

ここで余談だが、ピザには実は二種類のタイプが存在する。生地が厚いボリュームうけを狙った、アメリカンタイプと、生地が薄くボリュームは少ない、されどピザ本来の美味(うまみ)を十分に味わう事が出来るイタリアンタイプの二種類だ。俺がここで驚いたのも無理は無かった。ここに用意されていたものはなんと、後述のイタリアンタイプだったのである。“うぅ…。これで、ますますここがどこだか、わからなくなって来た…。本格的なピザを食べられるのは、一応日本でも有る事は有る。だが、アメリカはそうじゃない。昨日はスペイン、次はイタリア…。ど…どこなんだ!!ここは!!”昨日の上で、自分の現在いる場所なんて特定しても仕方がないと結論を出しておきながらも、俺の中ではここがどこなのかが気になり始めていた。“ああ、なんでこんな無駄な事ばかり気にするのだろうか。素直に、楽しめばいいじゃないか!!”俺は、いまだに意味の無い、考える必要の無い疑問を抱きつつも、ふっきれて目の前に用意された食事を舌で堪能し始めた。

383適当:2013/01/17(木) 06:02:16 ID:myYBVV8w
ミチ ミチ…
トロォォ…
ハム ハム
モグ モグ モグ
ゴックン…
「美味い!!美味過ぎる!!」

“本格的…どころじゃないな…。”とろけたチーズ、丁度良く、しつこく無く、程良い味と厚さのハム、二つの下を支えるように塗られたトマトベース、これら3つを調和させるように添えられたバジル、そして…全体をまとめるほんの少し焦げ目がついた、薄くやわらかい生地…。俺は、用意された本格的の度を超えたメインの食事の味に舌を唸らされ、思わず声を上げてしまっていた。“フィアの話では、ここって…見られているんだよな…。”メインの食事の美味さを堪能しつつも、ほんの少しだけ冷静に考えてしまったせいか、少女から得た情報を思い出して、先程の自分がつい声を上げてしまった事に恥じらいを覚えていた。“でも、まぁ美味いんだから仕方がない。発声(で)てしまうものは、発声(で)てしまう。言われると、恥ずかしくて気絶してしまうと思うがな。”俺は、見られたり聞かれたりはされているとわかっていながらも、誰も指摘する事が無い事をいい事に、勝手に“自分は正常だ。条件反射で声を出しているんだ。”と思いこみつつ、食事を次々と平らげていった。

モグ モグ
ゴックン…
カチャ…
「ふぅ…。」
パチッ…
パン
「ごちそうさま。」

用意された食事が美味しすぎたせいか、初日から昨日まで食事を摂った後に口にしなかった、食へ感謝する言葉をいつの間にか目を閉じ、手を合わせ、この日初めて口にしていた。“やっぱり、美味過ぎる物を食べた後は、自然にやってしまうんだな。”俺は、いつの間にか行っていた行動に対して、しみじみと納得していながらも、トレーから、メイン、サブの他に、何か奇妙な臭いが漂って来ていた事に気づき、食事のトレーに目を向けた。

プァァン…
「は?なんだ?」
チラッ…
「うわっ!!な…なんだこの液体は!!」

俺が漂って来た臭いを元に、臭いを放っていた方向へと目を向けると、トレーの上に何やら真っ黒のような、真っ青のような液体が入ったグラスが、“俺もここにいるぞ?”とばかりに、俺に睨みを利かせていた。俺は、自分の存在を強く主張する色と臭いを放っていたグラスを見て、グラスを手に取り、嫌悪の表情を浮かべて怪訝(けげん)そうに眺め、どのような臭いなのかを詳しく調べ始めた。

384適当:2013/01/17(木) 06:07:33 ID:myYBVV8w
カチャ…
スー
「くんくん…。ん?これは…、海藻…か?」
フイ…
「う〜ん…。飲めるのか…これは?」

“毒みたいなわけのわからない臭いはしない…。されど…怪しい。怪しすぎる!!”俺は、グラスに鼻を近づけ、グラスに入っている謎に包まれた真っ黒のような、真っ青のような液体の成分を分析し、半々の意見を抱いていた。“でも、飲み物はこれしかないし、飲むしか…無いよな?”俺は、疑いつつも“俺も体に入れろ”と訴えかけてくるような謎の液体を、深呼吸し、仕方なく一気に体の中へと入れた。

スゥー
フゥ…
「よし…。いくぞ。」
グイッ
ゴクッゴクッゴクッ…
トン
「ぷはぁぁ!!はぁ…、はぁ…。なぁんだこれ?すっごい…ワケのわからん味だな…。」

“ハッキリ言うとマズいんだが、これを言うと嫌がらせのように毎日出してくるかもしれない。他国の料理を次々出して、現在地を不特定にするくらいだからこれ位はしてくるハズ。”俺は、謎の液体を口へ含まずに、出来るだけ感触が残らないように胃の中へと入れた。だが、さらりとは流れてくれたものの、海苔(のり)を砕いたような食感と、形容し難い海藻独特の臭さと味に襲われ、声にハッキリとは出さなかったが、つい顔に出してしまっていた。“はぁ…。せっかくの美味かった夕食だったのに…。飲まなければ…良かったな。”俺は、謎の液体を舌で味してしまった事に後悔の感情が生まれ、いつの間にか落ち込んでいた。“また、ため息ばかりつくのか…。”俺が、嫌な想像を抱こうとし始めた時、俺の体に、嫌とは言わせない程のすばらしい反応が起こり始めた。

グン…グングン
「おお!!」
グググ…
「すごい…。体力と精力が一気に回復した!!」

俺の体に起きた反応とは、体に溜まっていた疲れと【雷神】の間の番人に奪われた精が戻る反応であった。黄色い液体に匹敵する回復力と紫色の炭酸の液体(と言っても、昨日の悪魔のドリンクではない。)に匹敵する精の回復力を実感して驚き、思わず声を上げてしまっていた。“すごすぎる…。マズいはマズいが、こんなすごいドリンクを作る元の材料があったとは…。”あまりにも想像も出来ない現象であったので、俺はとんでもない事を口走った。

385適当:2013/01/17(木) 06:11:00 ID:myYBVV8w
グン グン
「すごいな…。この湧き上がるような力。そして…」
グググ…
「綾にはすまないが、まだ性交(や)れそうだ!!」
グググ…
「そうだ…。ワザと負けてアイツと性交(こっち)で勝負して、気絶させた隙にバッチを取ろう…。ククク…。それが確実だな。」

“クククって気持ち悪いな…。”俺は、本来自分の彼女には聞かせる事が出来ない、本来口にしてはいけない禁句を勢いよく発した後、まるで自分の中に悪魔が乗り移ったかのような笑みを浮かべて反則に匹敵する闘い方を口にしていた。確実に勝てる方法だと思い過ぎてしまった為か、先程取った食事がどんな時間帯の食事であったかも忘れ、刀は持たずに【雷神】のステージへ移動する扉へ歩を進めた。

スタ スタ スタ…
「ククク…。覚悟しろ…。淫乱なサンダ…」
ガチャガチャ
「あ、あれ?」
チラッ
「あ…あ〜!!そうか、俺はさっき夕(ゆう)メシを食べたんだった!!」

“そうだ、扉には、ルールがあったのを忘れていた!!夜は、基本闘う事は出来ない。はしゃぎ過ぎたな…。”【雷神】と示された扉のノブを捻るが、ノブは回らなかった。疑問に思い、自分の腕時計を見ると、【20:00】と表記されていた。腕時計を見て、俺はおもわず声を上げ、“忘れていた!!”とばかりに、後頭部に手を回して、先程の食事を摂った事を思い出した。“入れないんじゃ、闘えないんじゃ仕方が無い。”鍵を無理矢理にでも開けて中へ入る事を希望していたが、俺には当然そんな技術も無く、ましてそんな道具も持っていない。“そもそも、ピッキング知識があって、道具があっても、鍵穴が無いから意味が無いんだがな…。”どうする事も出来ないので、俺は潔(いさぎよ)く諦めて中央へ歩を進め、置いてあった刀の横で仰向けになり、目を閉じて眠りの世界へと旅立った。

386適当:2013/01/17(木) 06:14:26 ID:myYBVV8w
Day11

俺は、眠りの世界から現実の世界へと目を覚ました。不思議と今日の目覚めは、監禁されて以来ではなかなか調子の良いものだった。理由は、起きた直後に、昨日練りに練った(実際は、途中で卑猥な作戦を使おうと考えた事もあったワケだが…)作戦が蘇(よみがえ)って来たので、寝起きながらも、俺はありえない興奮をしていた。

「よし、昨日の作戦でいけば、絶対に負けない。」

“だが、俺の作戦は、俺がアイツより速く動かなければ、実行に移す事は出来ない。”素速く動く事には自信があったが、昨日練った作戦を確実に成功させる為に、俺は、食事ルームへと向かい、朝食を取り、中央へ戻って、自分自身を鍛え始めた。

モグ モグ…
ゴク…ゴク…
カチャ…
スタ スタ スタ…
スゥ…
「たぁ!!」
シュッ
「たぁ!!はぁ!!たぁ!!たぁ!!」
シュッ シュッ シュッ シュッ

俺が行っていたのは、自分の持てる瞬発力を極限まで高めるトレーニングであった。電光石火と高速移動を同時に使うという非常にハードなトレーニングである。どちらも相手が見切りにくい、更に先制攻撃へシフトチェンジ出来る優れた技だ。だが、それが出来るのは普通の“自分より速さが無い”相手のみである。“相手は、あのサンダースだ。アイツは速い、いとも簡単に技が避けられてしまう。更には、サンダースが通常出来ない高度なアクロバティックを使ってくる…。油断しては、勝つ事は出来ない!!”俺は、更にトレーニングを続けた。すると、偶然か必然かはわからない不思議な現象が起こり始めた。

シュッ シュッ
「たぁ!!たぁ!!」
シ…
「しまった!!遅れ…」
バヒュン
「たはぁ!?な…何だ…これは!!」

“今、一瞬何が起きたんだ!?電光石火+高速移動のタイミングがズレたら、自分の体が空中を…。”俺の体に起きた不思議な現象とは、本来同時に行うハズの二つの技の発動がずれてしまった事により、突然、自分の体が一直線に低空飛行をするというものだった。“今の…もう一回出来ないか?”俺は、偶然に起きたと思われる不思議な現象にすがるように、もう一度先程と同じ失敗を試みた。

387適当:2013/01/17(木) 06:18:10 ID:myYBVV8w
シュッ シュッ
「たぁ!!たぁ!!」
シ…
「よし、ここだ!!」
グッ…
バヒュン
「うぉぉぉ!!」
バタン
「いたっ!!や…やったぁー!!出来たぞ!!」

“先程と同じ失敗を使えば、偶然を必然に変えられるのではないか?”そう考えた俺は、もう一度、二つの技の発動をワザと遅らし、先程と同じ状況を作り出した。すると、先程と同じく、突然自分の体が一直線に低空飛行をし、狙いを定めた目的地へと、例え方はおかしいかもしれないが、まるで、鳥のように風を受けて移動していた。俺は、自分が偶然を必然に変えた奇妙な鳥になる事が出来る技が、過去に得た記憶に一致するかを確認し始めた。

「この技…。いや、これと似たような技を…。どこかで見た事がある…。」
スッ…
ピトッ
「う〜ん…。はっ!!わかったぞ!!これは…おそらくだが。ロケット頭突きじゃないか?」

“そうだ!!思い出した!!この技をやられて一瞬あせった事がある…。”俺は、学生だった頃を思い出し、あごに添えていた手を一瞬にして離し、思わず大きな声を響かせてしまっていた。俺が経験したのは、学生の頃の戦闘授業の時である。俺が、人間だったならばこんな授業は無い。もしくは、人間が行く学校と言うべきか…。だが、俺はもちろん自分と同じような生き物が通う学校へ通学していたので、クラスの全員は技を使う事が出来る。しかし、技を使う事が出来ても、闇雲に適当に技を行ったのでは、相手に攻撃する事すら出来ず、闘いに有利な生き物のハズなのに、ある程度武術を会得した人間にさえ負けてしまうという事態を引き起こしかねないのである。そこで、まぁおそらく全部の学校に採用はされているとは思うが、人間の学校には無い(いや、俺がただ知らないだけなのかもしれないが…。)戦闘授業という特殊な授業が存在する。俺は、父親から直伝の強力な接近戦闘を教え込まれたので、一般の学生のピカチュウよりも接近戦を仕掛け、本来のタイプとは異なるタイプの技ばかりを行う、クラスでも異例の生徒となっていた。クラスで一目置かれる存在であったが、同じく俺と同じ、やたら接近技を仕掛けるというクラスメートがもう一匹存在していた。

388適当:2013/01/17(木) 06:22:13 ID:myYBVV8w
もう一匹目のクラスメートの種族はサンド。俺と同じ二足であるが故に油断は出来なかった。だが、俺は、特殊技を使う生徒に、特殊技すら使わせない程の異常な速さを持っていたので、対戦相手と対峙(たいじ)するも自信があった。そしてついに、もう一匹のクラスメートと組み手を取るとなった日に、俺は衝撃の光景を目の当たりにした。数m離れている相手が、戦闘開始の合図の直後に自分にダメージを与えていたのだ。とはいえ、対戦相手よりも俺の方が体力もスタミナも多く負けなかったワケだが、俺が何よりも驚いたのは、対戦相手が雌…つまり女の子だった事である。“ああ、雌でも油断出来ないなぁ。”と痛感していながらも、もう一匹のクラスメートから技名を教えてもらったのである。「どうやってやるんだ?」と訊ねたら、「ひみつぅ〜。」と可愛気のある表情で断られてしまったワケだが…。まぁ、そんな事はさておき、偶然を必然に変え、一つの記憶から正式な技名を思い出したが、俺は冷静に頭を働かせ、技名の批評を勝手に行い始めた。

「ロケット…頭突きって何かダサくないか?」
スッ…
ピトッ…
「う〜ん…。何かいい技名は無いか…。」
パッ
「そうだ!!そう言えば、人間の扱う武器には、ロケットランチャーという凄(すさ)まじい破壊力を持つ武器があったな!!同時にミサイルランチャーという武器もあった…。そうだ!!二つに共通する名前を取り入れよう!!」

正式な技名を批評し終え、技名に嫌悪感を抱いた俺は、自分の記憶を頼りに新たな技名の一部を取り入れた。“しかし、前半はランチャーでいいとして、後半はどうする?”俺は、一度は離した、あごに添えた手を再びあごにくっつけ、新たに考えた。しばらく考えると“頭突き”を英語にしてはどうかという名案が浮かび上がって来た。“よし、決めた。ランチャーヘッドバッドだな。しかも、これは移動手段にも使える。ただ、かなり疲れるから連発は出来ないが。”新たな技名を決めた俺は、【雷神】と示された扉を見つめ、不敵な笑みを浮かべて、指を差して言い放った。

ピッ…
「覚悟しろ。今日こそは、お前に勝ってやる。お前より速く動いてな!!」

【雷神】のステージでは武器を使う事が許されていないので、俺は刀を中央へ置いたまま、【雷神】の扉へ歩を進めた。

389適当:2013/01/17(木) 06:25:20 ID:myYBVV8w
荒れた大地、枯れた木々、風で運ばれる土…。俺が、【雷神】の間のステージへたどり着くと、昨日と全く同じ光景が広がっていた。昨日と違う所を上げるとすれば、自分自身の“アイテムは使わない”という意識に基づいた、自分の周囲に置かれていた色のついた箱には目もくれず、ただ対戦相手を待ち続けるという態度を取っていた所であった。数分後、俺が目を向けていた方向から、黄色い姿が見え始め、正面に現れた者が俺へ近づき始めた。

シュン…
スタ スタ スタ…
「こんにちわ、ピカチュウ君。」

正面に現れた者とは、昨日と同じ姿をしたサンダース。【雷神】の間の番人であった。彼女は、俺に微笑みかけ軽く会釈して来た。俺は、彼女へ挨拶をせず、勝利宣言を行った。

「今日は、君に負けるつもりは無い。今日こそは勝たせてもらう。」
「あはは。気合十分じゃんか。じゃあ、始めてもいいかな?」
「ああ。始めてくれ。」

【雷神】の間の番人は俺の宣告を耳に入れると、笑って俺へ合図を送って来た。俺が、彼女の合図を受け入れた数秒後、恒例の戦闘開始の合図が鳴り響いた。

390適当:2013/01/17(木) 06:28:52 ID:myYBVV8w
『READY…GO!!』
スッ…
シッ…
グッ
「ランチャー…」
「へ?何してるの?」

“気づくわけない。俺が、今から何をしようとしているのかを…。”俺は開始の合図を聞き入れ、すぐに、新たな必殺技を放つ構えを取った。一方、【雷神】の間の番人は、俺が突然取った、体勢を低くするという奇妙な動作を見て、きょとんととした表情を浮かべていた。“力を溜めて、電光石火と高速移動のタイミングをずらせば、もっと勢い良く飛ぶハズだ。”俺は、彼女に目を向け、力を溜めた状態で技を放つと強力になるという経験から、“この技も同じなのではないか”と推測し、力を溜め続けた。彼女は、俺が特に何もしてこないのを見計らって、俺へ勢い良く向かって来た。

シーン
「じゃあ、僕から行っくよ〜!!」
タッタッタ…
グッ…ググ…
ピキッ
タッタッタ…
「ヘッドバッドォォォ!!」
ドヒュン

向かってくる【雷神】の間の番人に、俺は力を溜めた状態で、電光石火と高速移動のタイミングをずらし、新たな必殺技を放った。彼女は、俺が、突然一直線に自分の元へと飛んで来たので、驚いて声を上げ、とっさに俺の攻撃をかわした。

ビュゥゥゥ…
「え?ええ!?」
ピョン
ビュン
タン
「はぁ…。はぁ…。なんで、ロケット頭突きなんてピカチュウ君が使えるのぉ!?」
ビュゥゥゥ…
「あれ?どこまで…行くんだろ?追っかけてみよーっと。」

“しまった!!力を溜めすぎた!!”俺は、【雷神】の間の番人へ攻撃を当てられず、そのまま彼女からどんどん距離を離して、叫びつつもかなり無関係な位置に、うつぶせで着地してしまうという、乱暴な着地法を取ってしまっていた。

ビュゥゥゥ…
「うぉぉ!!と…止まれぇぇぇ!!」
ズザザザザ…
「ぐおっ!!」
ムクッ…
「いたた…。溜め過ぎた…。もっと練習しない…」
ピョン
パシッ
「うぉ!!は?」

“今…何かが上に乗ったような…。”俺は乱暴な着地を取り、あごにわずかな傷を作りながらも立ち上がったが、突然、上から何かが乗って来たような奇妙な重みを感じた。突然自分に起こった事だったので、驚きつつも、何が乗って来たのかを確かめようとした時、上から来る重みが自ら正体を明かすように、俺へ言い放った。

391適当:2013/01/17(木) 06:33:21 ID:myYBVV8w
「あっははぁ〜!!追っかけて来てよかったぁ〜!!」
「は…はぁ!?」
「肩車ぁ〜!!からのぉ…地球投げぇぇ!!」
「ち…地球ぅ!?さ…させるかぁ!!コイツ、離れろ!!」
ブン ブン
ピョン
タン
「おっとと。あはは。これ位は、見切るんだねぇ〜。」

“というか…俺よりも小さいのに、まず俺を足だけで持ち上げられるのか!?なんてヤツだ…。今度やられたら、投げられて負けてしまう…。”【雷神】の間の番人は、俺の肩へ乗って来たが、俺が体を激しく揺らして必死にもがいたので、素早く離れ、俺を挑発し出した。“よし、今に見てろ。”俺は、彼女の挑発を受けて、洗練された動きで素速く接近し、彼女の肩を掴んで彼女を持ち上げ、彼女へ技名を言い放った。

タタタ…
ガシッ
「え?」
「覚悟しろ。必殺…」
フワッ…
「わわ!!」
「巴投げぇぇ!!」
ブン…

“よし、勝ったな。”俺が、【雷神】の間の番人を浮かせて勝利を確信し始めた時、彼女が俺の首を両前足で挟み、予想も出来ない反撃に出た。

ガシン
「は?」
「させないよぉぉ!!地獄車ぁぁ!!」
グルングルン
「くるくるくる…」
グルングルン
「うぉぉぉ!!」
「ぽ〜ん!!」
ヒュッ
ビタン
「ぐわぁ!!」

俺は逆に、【雷神】の間の番人に、一緒に回転させられながら放り投げられてしまうというハメになってしまっていた。“コ…コイツ、地獄車も使えるか…。俺の攻撃を逆手に取るとはな…。完敗だ。”俺は、彼女に投げられた後背中に痛みを感じつつも、彼女に投げられたままの姿勢で、彼女に心の中で敗北宣言を行っていた。彼女は、俺が背中をついて倒れるという敗北条件を満たしている姿を見て、昨日のように喜びはしゃぎ出した。

「わーい!!勝った!!勝ったぁ!!」
ムクッ…
「くそっ…。結局、また負けてしまったな…。それにしても、俺の巴投げを逆手に取るとは、君はスゴイな。」
「でしょ、でしょぉ?来ると思わなかったでしょ?」
「ああ。全く、予想が出来なかった。」

俺は、【雷神】の間の番人が喜んでいる姿を見て、悔しそうな表情を浮かべて彼女をほめたたえた。彼女は、自分で自分の事をほめ、俺に再度相槌を打つように呼びかけてきた。俺は、心の中では、もう彼女には“完敗”の二文字を掲げて見せていたので、彼女へ再び相槌を打った。すると彼女は、俺が相槌を打ったばかりか、昨日のように俺をからかい始めた。

392適当:2013/01/17(木) 06:38:02 ID:myYBVV8w
「あはは。ありがとう〜。それにしてもピカチュウ君…。ぷっ、弱いね。」
「は?」
「結局さぁ、僕はミサイル針を使わなくても買ったじゃんか。」
「な…なんだと…。」
ギリギッ…
「あっと、ダメだよぴかちゅうく〜ん。もう勝負は終わり。僕の勝ち。僕の言う事はな〜んでも聞かなくっちゃねぇ〜?」

“コイツ…調子に乗りやがって!!”俺は、【雷神】の間の番人が吹き出し、昨日の抗議の対象である“反則技”に関して、“使わなくても勝てる程弱い。”と言われた事により、先程までの必死なトレーニングと新しい技を全否定されたように感じたので、彼女を強く睨みつけた。彼女は、俺が怒りの表情を浮かべたのを見計らって“勝負は終わった。言う事を聞け。”という意味を込めた言葉を意地悪気に訊ねるという方式で言い放って来た。自分の名前がかなり変な声(冷静に聞いたら、雄を誘惑する可愛らしい声だが。)を用いて呼ばれた事に対して、更に怒りの感情を抱こうとしたが、“落ち着け。落ち着け。コイツの思うつぼだぞ。”と言い聞かせて怒りを抑(おさ)め、逆に言い返してやろうとばかりに彼女へ言い放った。

393適当:2013/01/17(木) 06:42:14 ID:myYBVV8w
「ああ、そうだな。で?淫乱なサンダースちゃん。今日は、俺と何をする気なんだ?ま、する事は1つしか無いと思うがな。」
「あはっ、わかってるじゃんか。って、“淫乱”言うなぁ〜!!昨日言ったじゃんか。女の子もエ…」
「ああ、わかったわかった。脱ぐのも自分でやるから、もう黙っててくれないか。」
「わかってくれたんだね。じゃあ、待ってるよぉ〜。」
パッ

“全然わかっていないんだがな。というか、何で隊員達(こいつら)こんな真っ昼間からセックスする事ばかり考えているんだ?しかも…何で目隠しをしているんだ!!今から、俺のモノを自分の穴に挿入(い)れるんだろう!!やめろ!!腹が立ってくる!!”俺を再び説こうと、【雷神】の間の番人は自分の意見を話し出したが、俺は彼女の話の途中に了解の意を伝え、彼女へ静かに待機するように呼びかけた。彼女は、俺の発言を受けて微笑み、俺の指示へ従うと伝え、自分の目を前足で覆(おお)い隠すという意味が無い行動を取り始めた。彼女の矛盾した行動が原因で、収まっていたはずの怒りの感情が再び芽生えだしたが、“落ち着け。落ち着け。”と、先程自分の怒りを抑(おさ)めた言葉と同じ言葉を自分に言い聞かせ、怒りを抑(おさ)め、自分のスーツを脱ぎ捨てた。彼女は目を覆(おお)っているので、俺が準備出来た事に気がつかなかった。俺は、仕方なく彼女へ呼びかけた。

394適当:2013/01/17(木) 06:46:00 ID:myYBVV8w
スル スル…
パサッ
「………。もう、いいぞ。意味が無い事して、そんなに楽しいか?」
スッ…
「意味は無くはないよ。その方が、女の子っぽいじゃん。男の子が目の前でぬ…」
「ああ、うるさいうるさい。さっさと来い。」
「来い?“来い”ってなんで“命令”してるのかなぁ〜?」
「うっ…。」
「あはは、準備が出来たみたいだねピカチュウ君。じゃあ、僕の所に来て。」

“そうだ。何を命令している…。俺は、敗者なんだ。勝者に命令する事なんて出来ない…。”俺は、【雷神】の間の番人の言葉を煩(わずら)わしく思い、つい彼女へ“黙れ”と言わんばかりの命令を行ってしまっていた。本意を表す言葉は、表には出していなかったが、彼女への命令口調は表に出してしまっていた。彼女は、俺の言葉を聞いて、少し怒った表情を浮かべて、俺へ“命令するな”と言わんばかりに指摘して来た。俺が、彼女へ指摘を受け言葉を詰まらせると、彼女は俺の態度の変化が面白かったのか、俺が意外にも素直に自分の言う事を聞き入れてくれたのを嬉しく思ったのか、笑って俺に指示を出した。俺は彼女の指示に従い、彼女の元に近づき、彼女へ本格的な行為をする前の重要な質問を訊ねた。

スタスタスタ…
「はい、OKだよぉ。ちゃんと言う事聞いてくれるんだね。」
「負けたからな。それより、君に聞きたい事がある。君は処女か?」
「“うん”って言ったら?」
「ま…まぁ、挿入(い)れる時は気をつけろ。」

“何でハッキリ言わなかったんだ…。もしかして、俺はコイツに苦しんで欲しいのか?”【雷神】の間の番人が俺へ訊き返すと、俺は心の迷いからか、それとも先程の挑発を受けての怒りが残っていたからか、彼女へつい曖昧な返事を行っていた。彼女は、首を傾げてきょとんとした表情を浮かべるも、俺へ第一の命令を出した。

「気をつけろ? ……。まぁ、いいや。ピカチュウ君、今日は本番だよ。」
「わかっている。」
「じゃあ、最初にする事はわかっているよね?」
「キ…キスか…。」
「そう!!わかっているじゃん。じゃあ、早速…」
パチッ
「よろしくね。」

【雷神】の間の番人は、俺へ命令を伝えると目を閉じ、俺の唇が自分の唇に当たる瞬間を待ち始めた。“ここでふざけたらどうなるんだ?いや、コイツはふざけているから俺もふざけてやろう。”俺は、目を閉じて“今か、今か”と待ち続ける彼女に、自分の唇を彼女の思い違いの場所へと当てた。

395適当:2013/01/17(木) 06:49:01 ID:myYBVV8w
スッ…
チュッ
「え?ど…どうゆう事?」
「俺の出身国。日本ではこうするんだ。決して、口になんかしない。」
「え、えへぇ?おでこにチューするのが、ジャパニーズスタイルなの?」
「そうだ。」

【雷神】の間の番人は、俺に自分の唇ではなく額に唇をつけられた事に、少し驚き、俺へ質問を行った。俺は、彼女の質問に全くデタラメな答えを言い放った。彼女は笑って、再び俺に質問を行うが、俺はふざけているので、当然肯定の意を伝えた。すると、彼女は我慢しきれなくなったのか、吹き出して大声で笑い出し、俺から聞いた嘘の事実に対して批評し始めた。

「ぷっ…。あはははは!!あーはっはっは!!お…おでこにチューって…。へ…へんなぉ〜!!」
「そうだろう?だが、これが普通なんだ。すまないが、俺はこの形式しか慣れていない。君が望むやり方でやると、恥ずかしくて気絶してしまうからな。」
「あはは…そ、そうなんだ。でも、面白いね。あはっ!!あはは!!」
「あっはっはっは!!」
「あはははは!!」

“ククク…、コイツ見事に騙されやがって…。オデコにキスだと?そんなバカなセックスがあるワケないだろう!!というか、何回クククって言うんだ…。気持ち悪いな俺は…。”【雷神】の間の番人が、“おかしい”と指摘をするように返答して来たので、 俺は彼女の意見を受け入れつつも、全くデタラメの返答を行った。彼女は、俺の発言を真実であると取ったのか、俺に意見を言い、再び大声を出して笑っていた。俺も彼女に合わせて大声で笑い、彼女もまた大声で笑い続けていた。俺は、彼女が、自分の発言が全くのデタラメであるという事に気づいていないと感じ、心の中でほくそ笑んでいた。だが、彼女は俺の心の中を読み取ったように笑いをいきなり止めて、俺へ無表情を向けて言い放った。

396適当:2013/01/17(木) 06:52:13 ID:myYBVV8w
ピタッ…
「へぇ〜、ピカチュウ君ふざけるんだぁ〜?」
「は?ふざける?何を言っている?」
「僕が、フィアから君と過ごした時間の全部を聞いてないとでも思ったのかなぁ〜?」
「俺との時か…。まさか!!」
ドン
「ぐわぁ!!」
バタン
「やっぱり、“ウソ”だったんだね。このバカピカチュウ!!僕は、もう許さない!!」

“フィア、喋り過ぎだろう!!普通、敵とセックスしたなんて味方に伝えるか!?友達だからとはいえ、いくらなんでもおかし過ぎるじゃないか!!”俺は、【雷神】の間の番人の質問に対し、初めはしらばっくれていたが、次の質問を訊ねられ、驚き“さっき言った事はウソです。”と示す態度を取ってしまっていた。彼女は、俺の発言と態度から、見事にウソである事を見破り、俺を押し倒して、怒りの表情を浮かべて俺へ怒号を飛ばした。俺は、いきなり押し倒されたので背中に痛みが走っていた。背中の痛みを感じつつも、あの少女に対して、心の中だけで叱責を行っていたが、目の前の彼女の怒りを収める事を優先し、彼女へ行動の抑止をかけた。

スタスタ
クッ…
「ま…待て!!君は、処女なんだろう?いきなり挿入(い)れたら、かなり痛…」
「これもウソでしょ!!しかも、僕に命令するなぁ!!」
「いや違う!!これは、本当…」
ズブブブ…
ブチン
「事だ…」

【雷神】の間の番人は、俺にウソをつかれた事に相当腹を立て、俺の抑止を無視し、俺に怒号を飛ばし、自らの割れ目に俺のモノを勢いよく差し込んだ。“ああ、やってしまったな…。”案の定、彼女は必然に来る破瓜(はか)の痛みを味わい、目に涙を浮かべて小さく声を漏らした。

ウル… ウル…
「いっ…いた…。いたい…。」
「だから言ったじゃないか。しょうがない、君は痛みが引くまでじっとしていろ。そうすれば…」
「か…関係あるかぁ〜!!」
ジュボ ジュボ ジュボ
「な…何ぃぃぃ!?このまま動くだとぉぉ!?」

“コイツ、無茶過ぎる!!”俺は、【雷神】の間の番人が今まで経験した事の無い、破瓜(はか)から来る、強烈な痛みを無視して強引に腰を動かすという、経験を味わわせた事により、驚いて声を上げた。彼女は、痛みを訴えながらも、怒りの表情は崩さずに、激しく腰を動かし続けた。

397適当:2013/01/17(木) 06:56:15 ID:myYBVV8w
ジュボジュボジュボジュボ
「いったぁ!!いったぁい!!」
ジュボジュボジュボジュボ
「わぁぁぁ!!いったいよぉ〜!!」
「うはぁ!!うはっ!!き…君、やめろ!!セックスが恐くなるぞ!!」
ジュボジュボジュボジュボ
「いたぁ!!ぼ…僕に命令するなぁぁぁ!!」

“うぉっ!!ま…マズイ…。コイツの膣(なか)に射精(だ)してもいいのか?”俺は、【雷神】の間の番人へ再度抑止をかけたが、彼女は無視して痛みを訴えながらも、俺に怒号を飛ばして来た。俺は、彼女が激しく上下に動いているせいで、快感の意が強くなり始め、疑問と焦りを感じ始めた。俺は、彼女の行動を抑止する事はせずに、彼女へ重要事項を訊ねた。

ジュボジュボジュボ
「うはぁ!!き…君!!膣(ナカ)に射精(だ)してもいいのか!?」
「いったぁ…。痛い!!気持ち良いよぉぉぉ!!」
「は?気持ち良い?」
ジュボジュボジュボ
「うっ…うぉ!?うわぁぁぁ!!」
ビュク ビュルルルルル…

“何ってこった!!相手の意見も聞かずに、膣(ナカ)に射精(だ)してしまった!!”俺は、【雷神】の間の番人へ質問をぶつけたが、彼女からは返答は返って来なかった。その代わり、痛みを訴えながらも、恍惚(こうこつ)の表情を浮かべて、無理矢理続けている行為が心地良いという異例の返事が帰って来たので、俺はきょとんとして彼女へ質問を行った。下半身にこめる力を一瞬緩めてしまったせいか、彼女の発言に気を取られてしまった直後に、強い快感と強い射精の意に隙をつかれ、抵抗が出来ないまま、彼女の膣(ナカ)へ自分の精子(モノ)を射精(だ)してしまっていた。俺は、とんでもない事態を引き起こしてしまった事で、強い後悔と罪悪感に襲われていた。彼女は、自分から激しく動き過ぎてしまったせいか、疲れて俺に重なるように倒れ出した。

398適当:2013/01/17(木) 07:00:13 ID:myYBVV8w
「はぁ…はぁ…。」
クラッ
ドン
「ぐふぅ!!君…大丈夫か?」
「はぁ…、はぁ…。ははは…。ごめんピカチュウ君。ちょっと、疲れちゃった。こうしてていい?」
「命令ならば、俺は動かない。」
「はぁ…、はぁ…。あはっ、じゃあ命令するよ。僕が動けるまで、僕をずっと抱っこしててね。」

“まぁ、しょうがないな。調子に乗っている時はムカつくヤツだが、性交(これ)にいたっては仕方が無い。”俺は、【雷神】の間の番人が、激しく呼吸をして疲弊(ひへい)した表情を見て、彼女の指示に従い、彼女を自分の体の上へ乗せ続けた。彼女をうつぶせのまま乗せ続けるも、俺は彼女へ申し訳なさそうな表情を向けて、謝罪の言葉を聞かせた。

「すまない。君の膣(ナカ)に射精(だ)してしまった。君の答えも聞かずに…。」
「あはは…。いいよ、全然。射精(だ)されても妊娠(でき)ないし、それに“ピカチュウ君のミルクが入って来るぅ〜!!”って時が、すっごい気持ち良かったから。」
「そうか。で、一つ訊きたいんだが、“痛い、気持ち良い”というのはなんなんだ?処女膜が破れて、すぐ動いたせいで来る痛みが気持ち良かったのか?それとも、痛みが引いて俺のモノを膣(ナカ)に挿入(い)れた事が気持ち良かったのか?どっちなんだ?」

“コイツ、もしかしたらMなのかもしれない…。”【雷神】の間の番人は、俺の発言に対して行為の感想と、俺へ“構わない。”と言って来たので、俺は安心しつつも、彼女へ一番気になる疑問をぶつけた。俺は彼女が満足したので、どちらでも良いとはおもっていたが、彼女は、先程の行為での不可思議な発言は前者であると俺に言い放って来た。

「あはは…。僕って変態なのかなぁ…。最初の方だよ。痛いのとピカチュウ君のモノが挿入(はい)った時の感覚が…ものすごい気持ち良かった。」
「あっはっは。君は、Mか。俺に命令するくせに、俺を何回も蹴るくせに、実はやられたいのか。」
「勝負では絶対に負けたくない。でも、エッチなら…。そうなのかなぁ?」
「そうだとしたら残念だったな。もう君に処女膜はない。破瓜(はか)の痛みはもう体験出来ない。残念だったな。」

俺が、笑って【雷神】の間の番人へ本心をつくように言い放つと、彼女は一部を否定し、一部を半ば認めるという返事を行って来た。俺は、彼女の表情を崩す為に彼女へ言い放ったが、彼女の表情を崩す事はかなわず、代わりに彼女から挑発の言葉が返って来た。

399適当:2013/01/17(木) 07:03:40 ID:myYBVV8w
「あっははぁ〜。いいよ、別に。それより、ピカチュウ君。明日は、どんなエッチする?」
「は?」
「どうせ、ピカチュウ君は僕に負けるんだしさぁ〜。ね、ピカチュウ君どんなエッチがいい?君に指導権を握らせてもいいよ?」

“コイツ…言わせておけば…。”俺は、【雷神】の間の番人が余裕を持ち始めたのを見計らって、彼女を自分の体の上から退(ど)かし、脱ぎ捨てたスーツを着て、彼女を睨みつけて言い放った。

パシッ
「うわわ!!」
トン
ムクッ
スル スル…
ジー
「覚悟しろよ?次こそは必ず勝ってやるからな?」

俺が勝利宣告を行うと、【雷神】の間の番人はいたずら気に微笑み、再び俺を挑発し始めた。

「どうやって勝つの?投げ技もダメ、じっとしてても、僕にカウンターも出来ない。もう、エッチで僕を“最高”に満足させてくれたら、バッチあげるルールにする?」
「うるさい。そう何度もセックスさせるか。君のデータ(戦術)は取れた。今回は、ランチャーヘッドバッドが“不発”したから負けてしまったんだ。次が君の敗北記念日だ。」
「あはは。ランチャーヘッドバッドってロケット頭突きの事?ふ〜ん、まぁいいや。じゃあ、また明日ね。」

“コイツ、どこまでもなめやがって…。”俺は、【雷神】の間の番人から挑発を受けると、彼女を睨みつけたまま、負けてしまった理由を言い放ち、彼女へ再び勝利宣告を行った。俺の勝利宣告と負けてしまった理由を聞き入れるも、一つの事柄には全くふれず、俺の言葉を無かった事にするかのように、軽く流し、俺へ別れの言葉を言い放った。俺は、彼女の言葉を受け取った後に、腕時計についているリタイアボタンを押し、【雷神】のステージから姿を消した。

400適当:2013/01/17(木) 07:06:54 ID:myYBVV8w
俺は、【雷神】のステージから寝食を共にする部屋へと戻って来た。実際には、こんな何の飾りも無い殺風景な真っ白い部屋でなど寝食なんて共にしたくは無いが、各ステージからの疲れわや空(す)きっ腹、体力の回復、更には技の会得まで出来るのは、今の所この部屋だけである。技を得られるから“まだマシだ”と思うだけで、技の会得が出来なければ、自分のお気に入りの部屋で、寝食を共にした方がマシだと思う程の部屋である。なぜ、こんなに俺はこの部屋に対しての愚痴を叩いているのだろうか。後で気付いたが、先程闘ったステージでステージの番人に挑発されて、(彼女の前では理由があって表に出さなかったが)相当頭に来ていたという事だ。俺は、中央の床を拳で殴り叫び声を上げていた。

ドン ドン
「ああ!!くっそ!!アイツめ!!どこまでも、俺をコケにしやがってぇぇぇ!!」

“何か声を出したらスッキリした気がする…。”心の不満を部屋に響かせると心の中の何かしらわからない霧のような物が晴れ、心地良くなっていくのを感じたので、俺は続けて叫び声を上げた。

「いい気になるなよ…。もう、二度と俺とセックスなんてさせるかぁぁ!!次だ。次は必ず、撃ちのめしてやる。」

“今日は、新技の不発のせいでリズムが崩れた。更には、アイツが予想外の投げ技返しもして来た事で負けてしまっただけだ。おっ、なんか冷静になって来たな…。”再び心の叫びを表に出すと、俺を怒らせる原因が完全に姿を消した。代わりに、俺の頭へ入って来たのは、“冷静に物事を考える”というものであった。“そうだ…。ヘッドバッドを完璧にしなければ!!まずはそれからだ。もう勝ちは見えている…。”俺は、自分の一番やるべき事を考え出し、自分へ予定を言い聞かせた。

「今日は、ダメージが少ない…。今の時間は…。」
チラッ
「昼の2時…。腹は空いていない。体力の補給も必要無い。よし、行ける!!1時間、2時間で技を完璧にして、もう一度…。」
グゥゥゥ…
「………。」

“結局、腹は空いているな…。”俺は、いざとばかりに移動を移そうとすると、前言撤回を求めるように“ウソをつくな!!”と自分の空きっ腹に言い放たれた。“仕方ない…。食べてからだな。”俺は、やむを得ず食事ルームへと歩を進め、用意されていた食事を摂った。

401適当:2013/01/17(木) 07:10:03 ID:myYBVV8w
モグモグ
ゴクゴク…
カチャ
「はぁ!!よし、今度こそ大丈夫だ。」

用意されていた食事の内容は、別に言う必要はない。ただ、俺自身の意見があるので、飲み物に関しては言っておこうと思う。用意されていた飲み物は、赤色の液体で飲むと奇妙な味かつ、何かしら酸味のある味がするも、【雷神】のステージで抜かれた精力だけが元に戻って来た。勝つ事しか考えていない俺には、下半身に熱がこもり始めるのを感じるも、“まぁ、ダメージはほとんど受けていないから、こうゆうドリンクを飲まされるだけだな。当然と言えば、当然なんだが…。それにしても、ここってこんな飲み物結構多くないか?なんでこんな飲み物ばかりあるんだ…。”食事の際に出された飲み物の効果を体で感じつつも、あまり快(こころよ)くない飲み物を出す連中に対して呆れていた。食事を摂り終え、監禁した連中に十分呆れた俺は、中央へと戻り再びトレーニングへと精を出し始めた。

スタスタスタ…
スゥ…
グッ…
「ランチャー…」
ググ…
「ヘッドバッド!!」
バヒュン
ドン
「いたっ!!くそっ!!」
クル
スゥ…
グッ…
「ランチャー…」
ググ…
「ヘッドバッド!!」バヒュン
ドン
「くっそ!!もう一度ランチャー…」

新しい技を完璧にする為に、どれ程放っただろうか。気がつけば、俺は数え切れない程この技を放ち、練習していた。といっても、この技しか練習する必要は無いんだが…。何度も放ったおかげで、俺自身に、新しい展開が訪れた。

402適当:2013/01/17(木) 07:12:59 ID:myYBVV8w
スゥ…
グッ…
「ランチャー…」
ググッ
「ヘッドバッド!!」
バヒュン
「そこだ!!」
シュタン

“よし…出来た!!倒れずに、着地出来たぞ!!”俺が必死の練習を兼ねたおかげで、訪れた新しい展開とは、新しい技を放ち、普通攻撃が外れるならば体勢を整えるのが難しい所を、攻撃対象が無くても、見事に着地する事が出来るというものであった。なぜ、この技をここで完璧にしたからには、(二つ目の理由には、後で気付いたが)理由が二つあった。一つは、【雷神】の間の番人に勝つ為。相手も俺と同じく素速さと接近技中心なので、新しい技を完璧にする事により、無駄なく相手よりも速く動けるからだ。二つ目…これが、後で気付いた理由なのだが、電光石火よりも高速移動よりも、数倍速いスピードを出して動く事ができ、かなり有効な移動手段にも使えるという事であった。新技を無事完璧にした俺は、荒げる呼吸を落ち着けながら腕時計へと目を遣(や)った。

「はぁ…はぁ…。」
チラッ
「3時半…。よし、10分、20分休憩してから出発だ。」

“だが…。大変な事になったな。やり過ぎたせいで、もう後3回使えるか、使えないかだな…。”俺は、疲れた体を休めながらも、足に強い疲労を感じ、推測混じりの懸念を抱いていた。呼吸がだんだん落ち着いて来て、先程の激しいトレーニングにより熱を帯びてた体が冷え、通常の体温を感じ始めたので、腕時計へと目を遣(や)った。【15:55】という表示が示されていたので、“やり過ぎたせいで5分オーバーしてしまったな。”と密かに反省をし、休めていた体を起こし、【雷神】の間の番人が待ち受けるステージの入り口へと歩を進めた。

403適当:2013/01/17(木) 07:15:46 ID:myYBVV8w
俺は、【雷神】のステージへとたどり着いた。3度、このステージを訪れた事になるが、相変わらず、荒れた大地、枯れた木々、微かに漂う土の臭いは変わらず、変わるのは俺の意識だけであった。“ランチャーヘッドバッドを完璧にした。もう負けは無い。”寝食を仕方なく共にする部屋で完全に会得した技を待っている事により、不思議とは言わせない確信たる自信しか沸いて来なかった。俺は心の中を、自信・勝利という二つの言葉で満たしながら、静かに対戦相手を待った。数分後、前方から憎き敵(かたき)である【雷神】の間の番人が現れた。

スタ スタ スタ
「こんにちわ〜、ピカチュウく〜ん。」
「気の抜けた返事だな。バカに出来るのもここまでだぞ?」

【雷神】の間の番人は、俺の前に立つといたずら気に微笑み相手を愚弄するような、奇妙な声で俺の名前を呼んだ。俺は、彼女へ脅しをかねた質問をぶつけたが、彼女はひるまず、ワザときょとんとした表情を浮かべて俺へ訊き返した。

「え?エッチしに来たんでしょ?」
「ふざけるな。俺は君に“勝ち”、バッチを“奪い”に来たんだ。君とセックスなんか二度とするか。」
「えぇ〜。どうせ負けるのに?ルール変更してもいいよ?」
「いい。そんなのは必要無い。」

【雷神】の間の番人へ訊ねられると、俺は二つの単語を強調して勝利宣言を行った。彼女は、俺の言葉を間に受けず、“初めから結果は見えている”とばかりに言い放ち、俺にルール改正の選択肢を与えた。もちろん俺は、卑猥な事をする為に来たのでは無く、彼女へ勝ちに来ているので、彼女へ拒否の意を示した。すると彼女は、俺を更に挑発しようといたずら気に微笑み、言い放った。

「あっははぁ〜。僕は幸せだよ。一日に二回も遊べて、二回もエッチ出来るなんてさぁ〜。」
「そうか、幸せか。今に見てろ、君の幸せをぶち壊して屈辱を味わわせてやる。」
「あはは。じゃあ、始めるよぉ〜。ま、負けると思うけどねぇ〜。」
「うるさい。さっさと押せ。」

【雷神】の間の番人の挑発に対し、俺は彼女へ脅しをかけた。彼女は俺の脅し文句を耳に入れ、俺へ挑発込みの開始の合図を送って来た。俺は、彼女へ一言“黙れ”とだけ言い放ち、彼女よりも先に接近戦を仕掛けられるように身構えた。俺の返事の数秒後、恒例の戦闘開始の合図が鳴り響いた。

404適当:2013/01/17(木) 07:19:13 ID:myYBVV8w
プンッ…
『READY…GO!!』
スゥ…
グッ…
「ランチャー…」
「あっははぁ〜!!そう何度もさせないよぉ!!」
タッタッタ…
ピョン
「空中二度蹴りぃ〜!!」

“今だ!!コイツの攻撃を空振らせて、僅かな隙を作ろう!!”俺は、開始の合図と同時に新技を放とうと、腰を下げ特有の姿勢を取った。【雷神】の間の番人は、“技を出さすまい”と俺に急接近し、俺の目の前を飛び上がり、俺の顔めがけて自分の必殺技の一部を放とうとした。俺は、彼女の動きを見計らって、大きく後ろへ後退した。

シュッ
タン
「あ…あれぇ?」
タン
「あはは。やるじゃん。そうこなくっちゃ、面白くないよね。」

“バカめ。油断したな!!俺は、練習を重ね、溜めなくても使えるようになったんだ!!この距離なら避けられない!!”俺が見事に【雷神】の間の番人の攻撃をかわすと、彼女は俺が急に自分の目の前から遠ざかり、技を当てられなくなった事にほんの少し驚き、やむを得ずその場に着地した。俺は、彼女が着地した直後を見計らって、彼女が予想も出来ない攻撃を素速く仕掛けた。

グッ
「ランチャーヘッドバッド!!」
バヒュン
「え?ええ!?ちょ…ちょっと待って!!」
ピ…
ガツン
「うぐぅ!!」
シュタン

“よし、ここで決める!!喜べ、最初はお前の望み通りの事に近いサービスだ!!”【雷神】の間の番人は、俺があまりにも早く通常では出来ない事をし出したので、驚いてあわてて飛び上がろうとしたが、俺の攻撃が早かったので、額に俺の新技を受けて、その場に座り前足で痛みが生じる場所を抑えていた。俺は、彼女へ心の中を現実世界で似たような事を言い放ち、通常ではありえない、信じられない攻撃を放った。

「そんなに気持ち良くなりたいなら、気持ち良くしてやる!!」
「いてて…。え?ど…どうゆう事?」
シュッ
ジュボッ
「あうぅ!!」
「スカイアッパァァァ!!」

“何にしても…最低だな、俺は。”俺が【雷神】の間の番人へ放った、信じられない技とは、彼女の割れ目目掛けて、上方に指で突くように放った、真剣に死闘を繰り広げている者とは、思えない技であった。彼女は宙に浮かせられながら、前足で自分の一番大事な部分を抑えて、何かを訴えるような目で俺へうろたえ始めた。

405適当:2013/01/17(木) 07:23:22 ID:myYBVV8w
フワッ…
「ピ…ピカチュウ君…。そこは…反則だよ…。焦るじゃんか。」
「なら、もっと焦らせてやる。」
パシッ タン
グン
「うわぁ!!ちょ…ちょっと…何!?」
「ブレードテイル、たたき落とし!!」
グルン
ドン
「うわぁぁぁ!!」
ヒュー
ウダァァン
「いったぁぁ!!うぅ…、頭が…痛い。」

俺は、【雷神】の間の番人の発言に適した返答をし、彼女の肩を使って、更に上上がり、彼女の頭目掛けて、硬質化した尻尾を使って懇親の力でなぐり、彼女をそのまま下へ落下させた。彼女は、俺が急に自分の肩へ手をついて、自分より上に上がったので、驚いてとまどっていたが、俺の最後の必殺技を頭に受けて、悲痛の声と下の地面が迫ってくる事に焦り出した声が混ざったような声を上げて、そのまま俺と共に下へ落下した。地面に衝突すると彼女は、俺に最後の攻撃をされた所を口に出して、痛みを訴えていた。俺は、彼女の上から退(ど)いて、うつぶせになって倒れている様を見て彼女へ敗北を突きつけた。

「勝負あったな。君の負けだ。」
「うぅ…。あはは…。負けちゃった…。」
「さぁ、約束通りバッチを渡してもらおうか。」

【雷神】の間の番人は、うつぶせ状態で自ら敗北宣言を行った。俺は、彼女へ“勝負で賭けていたものを手渡せ”と言い放ったが、目的の物はすぐには手渡されず、彼女に疑わしく思わされるようなほめ言葉を掛けられた。

「はぁ…。いてて…。ピカチュウ君、強いね。」
「どうせウソなんだろう。君は、“今油断したせいで負けただけだ”とか思っているんだろう?」
「ううん。違うよ。このルール…僕が考えた物じゃないんだ。」
「は?どうゆう事だ?」

“コイツが考えたルールじゃない?”俺は、彼女の言葉が本当であるとは思えなかったので、彼女へ突き放すように言い放つと、彼女は否定し、何を思ったのか知らないが、俺に真実の一部を話し出した。俺は、訳がわからず彼女へおもむろに訊ねると、彼女はそのままの状態で語り出した。

406適当:2013/01/17(木) 07:27:26 ID:myYBVV8w
「これ、ショーン中尉の助言なんだ。」
「助言?」
「うん。僕は、“刀やアイテムを使われると勝てないよ。どうしようぉ〜。”って相談したら、“だったらサンちゃん、君が操ればいい。ルールを変えるのじゃ。これを使って脅してのう。”って言われて…。」
「それで手渡されたのが、アースグレーネード…。」
「うん。ごめんね、勝手にルール変更なんかしちゃって…。」

【雷神】の間の番人は俺の返答を聞くと、申し訳なさそうな表情を浮かべて、俺へ謝罪の言葉を言い聞かせた。俺は、彼女が完全に降参の意志を示した事がわかったので、彼女へ微笑みを向け言葉を紡いだ。

「あっはっは。いいさ。俺も、最近思っていたんだ。刀やアイテムのおかげで勝ててるとな。ここへ来て…あまり自分自身の成長を感じていなかった。毎日、感じるのは正々堂々と闘っていない卑怯な自分。どんな手を使ってでも勝つ…。いくら、早くここから脱出(で)たいとは言え、これはダメだな。」
「あはは、そうなんた。そんな事、考えていたんだね。でも、ピカチュウ君はやっぱり強いよ。闘ってて、そう思った。楽しかった。こんなに、闘いが楽しく感じたのはここへ来て始めてかな…。」
「そうか。話は終わりか?」
「うん。でも、1つだけ…。最後に、お願いを聞いてくれないかな?」

“お願い?う〜ん、どうしようか。コイツには、散々バカにされて来たからな…。”【雷神】の間の番人は、俺の返事を受け取ると笑顔を向けて、再度俺をほめたたえ、嬉しそうに俺へ胸の内と思われる事を呟いた。俺は、彼女へ訊ねると彼女は甘えるような声も態度も示さずに、素のままの自分で俺へ懇願して来た。俺は、彼女の頼みを聞き入れるかどうかと迷ったが、“サンっていう名前のサンダースは私のお友達だから、優しくしてあげてね。”という少女との約束を思い出し、彼女へいたずら気に微笑み、彼女へ訊ねた。

407適当:2013/01/17(木) 07:30:23 ID:myYBVV8w
「ふっ、俺に何をして欲しいんだ。」
「ピカチュウ君も、そんな顔するんだね。」
「やっと、君の上に立てるからな。君には、悪いが最高の気分だ。」
「あはは。エッチの時に、おでこにしたじゃんか。今、ちゃんとチューしてくれないかな?」
「わかった。」
ガシッ
「うわぁ!!ちょっ…いきなり何…」
チュッ
「にぃ…?」

俺は、【雷神】の間の番人の頼みを耳に入れると、彼女を持ち上げ、彼女の唇に自分の唇を触れさせた。彼女は、俺が急に抱き上げたので驚いて声を上げていたが、俺の唇を受け取った後は、ほんの少し顔を赤く染めて小さく呟いた。俺は、彼女を抱きしめ、彼女へ感謝の言葉を紡いだ。

ギュッ
「ありがとう。君のおかげで、成長出来た気がする。君が、俺を怒らせてくれたおかげで、新しい技も出来るようになったんだ。」
「くすっ、じゃあ僕のおかげで勝ったようなものじゃんか。僕に感謝してよ?」
「うるさい。さっさとバッチをよこせ。もう、君とはオサラバだ。」
「あはは。ごめんごめん。じゃあ、これ…。」
ピンッ
パシッ
「ふっ、素直に渡してくれるだな。」
「当たり前じゃん。ピカチュウ君、さようなら。君なら、ここから脱出(ぬ)けられるよ。絶対、生きてここから脱出してね。」
「ああ。」

【雷神】の間の番人は、俺に抱かれつつも、俺に恩着せがましい言葉を言い放った。俺は彼女から離れ、彼女へ目的の物を要求すると、彼女は楽しげに笑って、自分の軍服の胸についていた、黄と白をベースにした“γ(ガンマ)”と描かれたバッチを俺に手渡した。俺は、彼女からバッチを受け取り彼女へ言い放つと、彼女は“愚問である”とばかりに即答し、俺に別れを告げ、俺の生還を望むような言葉を告げた。俺は、彼女の返事を受け取ると、彼女へ了解の意を伝え、腕時計についているリタイヤボタンを押し、【雷神】のステージから姿を消した。

408適当:2013/01/17(木) 07:33:13 ID:myYBVV8w
シュン
タン
「よし、勝ったぞ!!」
シュバッ

俺は、【雷神】のステージから元の真っ白い部屋へと姿を戻した。姿を戻した直後に、自然と声を部屋中に響かせ、誰がどう見ても“コイツは喜んでいるな”と思わせる、両手を高く上げ、勝利を表に出すという動作を行っていた。俺は、勝ち取った、黄と白がベースの“γ(ガンマ)”と描かれたバッチを見つめて、心の中では勝利の雄叫びを上げ、現実世界では【若葉】と示された扉に向かって、報告を行っていた。

チラッ…
「フィア、約束は守ったぞ。ま、最後だけしか優しくしない中途半端な…優しさだったがな。」

“とは言え、武器もアイテムも使わずに、レベル40台の俺がアイツに勝ったんだ!!俺は…やれば出来るんだ!!アイテムなんか使わなくても、刀なんか使わなくとも、隊員達(こいつら)に勝てるんだ!!”俺は、【若葉】と示された扉へ報告とは言い難い独り言を呟き、再び自分の予想外の成長と強さに喜びはしゃいでいた。そのままの気分を保ちつつ、勝ち取ったバッチを中央へと置き、洗濯機に向かい洗濯済みのスーツを取り出し、汚れたスーツを脱いで洗濯機に入れて洗濯機を起動させ、洗濯済みのスーツを持ったまま、シャワールームへと歩を進めた。

スタ スタ スタ
ジャアアア…
ゴシ ゴシ
キュッ
「ふぅ〜。さて、今日は悩みも何も考える事は無い。浸かる必要は無いな。」

俺は、シャワールームで体を洗い終え、勝利の心地良い気分を高めるように、自分に言い聞かせ、体を震わせて、水気を飛ばしてスーツを着用し、食事ルームへと歩を進め、食事を摂った。用意されていた食事を摂りつつも、俺は心の中で不敵な笑みを浮かべて、過去に出会った者へ何かを伝え始めた。

409適当:2013/01/17(木) 07:35:23 ID:myYBVV8w
カチャ…
モグモグ…
“ふふ。愛梨(あいり)、君がなぜ俺にロケット頭突きを教えなかったかわかったぞ。”
カチャ…
モグモグ…
“それは、教えてしまったら、俺にクラスで一番強い生徒の座を簡単に奪われてしまうからだろう?”
パシッ
ゴクゴクッ…
トン
プハァ
“だが、残念だったな。今、君はサンドパンに進化し、更に腕に磨きをかけているだろうが、俺はもう君には、技一つさせない自信がある。”

“まぁ、愛梨(あいり)が今でも空手をやっているかどうかはわからないが…。”俺は食事を摂る最中、1から10までずっと心の中で独り言を呟いていた。独り言を呟いている内に、不敵な笑みが表に現れてしまう始末であった。“そういえば、愛梨(あいり)の将来の夢は、空手家になる事だったハズ…。もしも空手家になっていたら、一度勝負したいな。俺の父さん直伝の“CQC”とどちらが上か比べようじゃないか!!”食事を終えてからも、勢いよく心の中で独り言を呟いた俺は、当然とばかりに満足し、中央へ歩を進めた。

スタ スタ スタ…
チラッ
「あと、4つ…。綾、待っててくれ。すぐに、ここから脱出して君を俺の元に…。」

【業火】、【闇】、【伝説】、【幻想】とそれぞれ示された扉を見つめて、自分の愛する雌へ向けて言葉を紡ぎ、勝利の象徴であるバッチの隣に刀を置き、俺、バッチ、刀と奇妙な川の字を描き、俺は眠りの世界へと旅立っていった。

試練5 【雷神】 完

410適当:2013/01/17(木) 08:04:05 ID:myYBVV8w
試練5 【雷神】後書き&おまけ

言っておかなくてはいけないことがあるので言います。まず、文中に【収める】と【抑める】がありましたが、前語が感情を表に出す予定は今の所ない。後語が、とりあえず表に感情を出しはしないが、今にも出そう。(ギリギリで耐え、感情を抑えている)という意味です。

後、主人公はぶん殴ってやろうか?とかよく使ってますが、別に短気なワケじゃないですよ。そうですよね?瀬戸内愛梨さん。

愛梨「せやで。別に仁ちゃんは短気やあらへん。なかなか、本気で怒らへんよぉ〜。」

だ、そうです。で、本人(仁)は、ロケット頭突きを教えてと言ったら、秘密と答えられたと言っていました。そして、後に本人(仁)は、ロケット頭突きを教えなかったのは、アナタが技すら使えずに、勝てなくなってしまうから。と解釈しています。愛梨さん、本当の理由(ところ)はどうなんですか?

愛梨「せやなぁ〜。仁ちゃんが言うてるのは、あってはいる。」
あってはいる?
愛梨「でも、ホントのホンットぉ〜の理由は、絶対に使えへん技だったからや。ほら、出来ないのに教えてもかわいそうやろ?それに、仁ちゃん“ロケット頭突き”も知らんかったしなぁ〜。」

そうですか、ですが本人(仁)はもう使えるらしいですよ?
愛梨「………。は?ちょっと待て。アンタ今何て言うた?」
だから使えると…
愛梨「はぁぁぁ!?う…ウソやん!!アンタ、何言うてんねん!!アホちゃうか!!」
じゃあ、こちらの映像でも見せましょうか?
愛梨「あるん!?見せぇや!!」

適当は、愛梨(サンドパン)に映像(主人公が、トレーニングしている)を見せる。

『ランチャーヘッドバッド!!』
バヒュン

愛梨「………。え…えええええ!!う…ウソや…。これ、紛れも無くロケット頭突きやん!!しかも…なんかウチより上手いんやけど!!」
驚きましたね。まぁ、そんなリアクションを取るだろうと思ってました。

愛梨は、適当を睨みつけて言い放つ。

愛梨「アンタ…殴ったろうか?リアクション予想出来たって何やねん!!腹立つわぁ〜!!しばいたろか?しばき倒したろか?」
やめて下さい。落ち着いて下さい。じゃあ、最後にアナタは仁君(主人公)の事をどう思ってますか?

続く…

411適当:2013/01/17(木) 08:27:05 ID:myYBVV8w
おまけ続き

愛梨「ずっと、隠してたけどな…。」
はい。

愛梨は顔を赤く染め、恥ずかしそうに言い放つ。

愛梨「ウチ、仁ちゃんの事今でも好きやねん。仁ちゃんには、ずっと言えへんかった…。恥ずかしくて、言えるワケないやんか!!」
ここで、言いましたね。
愛梨「あっ…。もぅ〜、アンタのせいでカミングアウトしてもうたやんかぁ〜♪しばき倒したろかぁ〜♪」
ツンツン

適当は、愛梨に指で疲れて苦笑いを浮かべる。

ははっ…やめて下さい。(何だ、このサンドパン…。気持ち悪いな…。)
愛梨「今、仁ちゃん彼女おるんかなぁ〜?いなかったら、ウチにもチャンスが…」
います。
愛梨「は?もう一回言うて。」
います。仁君(主人公)には既に彼女がいます。
愛梨「はぁぁぁぁぁ!?誰なん?誰が彼女なん?」

愛梨は驚きのあまり適当に詰め寄る(顔のすぐ近くまで)

ち…近いです。仁君(主人公)の彼女は、寺田 綾という名前の…
愛梨「さっさと言えや!!しばかれたいんか!!」
殴らないで下さい。寺田 綾という名前のミュウです。

愛梨は適当から真実を告げられて、目線を落とし落ち込み始める。

愛梨「ミュウ…か…。はぁ…、そりゃあ、めっちゃカワイイやんなぁ。絶対に別れへんやろ、仁ちゃんは。というか、大概の雄は別れへんやろ。」
まぁ、気を落とさないで下さい。アナタにもチャンスはありますよ。
愛梨「え?ホンマか!?」

愛梨は、適当に何かを期待するような目を向ける。適当は、愛梨へ仁(主人公)の実態を話した。

彼は今、心が揺れ動いてます。かつ、大の性行為好きです。
愛梨「ええ!?エッチ好きなん!?」
はい。プライバシー(主人公以外)に関わるので、映像は見せられませんが、彼は、彼女の綾さん除く、4匹の雌と性行為をしました。
愛梨「よ…4ひきぃ!?多すぎやろ!!」
しかも、彼は完全なるSです。この点は、いかがですか?

続く

412適当:2013/01/17(木) 08:51:09 ID:myYBVV8w
おまけ続き

適当から意中の雄の現状と真実を聞いた愛梨は、目を輝かせて、話相手から目をそらし、両手を合わせながら、上方を見て呟く。

パン
愛梨「ホンマかぁ〜。ウチMやねん。しかも、まだバージンなんや…。ウチのも奪って欲しいわぁぁ…。」
え?処女なんですか?しかも…M?
愛梨「空手強い女(雌)がMだったら悪いんか!!」
いえ…別に…。いいんじゃないでしょうか…。

適当に対して、初めは怒りの表情を浮かべるも、適当に意見を通せた愛梨は、元の目を輝かせる表情に戻し、再度呟く。

愛梨「エッチが好きかぁ〜。くふっ。くふふふ…」
どうしたんですか?(コイツ、気持ち悪いな…。)
愛梨「なぁ、兄さん。」
に…兄さん!?

愛梨は適当に甘えるような声で懇願する
愛梨「ウチを仁君に会わせてくれへんか?」
う〜ん…と言われましてもね。
愛梨「仁君がエッチ好きなら、ウチは会っただけでエッチ出来るかもしれないやん♪なぁ、頼むで。」
ジッ…
まぁ、今は無理ですが後々…合わせましょう。
愛梨「ホンマ!?って別に今でもいいや…」
却下。調子に乗らないで下さい。

適当に一蹴されたので、愛梨はだだをこねるように懇願する。

愛梨「そんな事言わんと!!なぁ、頼むわぁ〜。」
グイグイ
引っ張っても、ダメなものはダメです。
愛梨「えぇ〜、今どこにおるん?」
とある場所で監禁されています。
愛梨「監禁んんん!?」
彼は、そこから脱出(で)る為に死に物狂いで闘っています。

すると愛梨は、何かを企むように笑い、適当へ提案する。

愛梨「あっ!!せや!!こんなのは、どう?」
なんでしょう?
愛梨「ウチが助け…」
却下。では、皆さんまたじか…
愛梨「ちょっと待てぇぇ!!まだ、質問があるんや!!」
あっ、私も質問があります。
愛梨「は?アンタも…?」

続く

413適当:2013/01/17(木) 09:08:12 ID:myYBVV8w
適当の本当の目的は、自分の質問の答えを相手に吐かせて相手が自分質問を行う事を忘れさせる事であった。適当の策を知らない愛梨は、適当の質問へ耳を傾ける。

イーブイは何歳から進化系出来るのですか?
愛梨「ああ、それは18歳からやで。」
仁(主人公)君は、イーブイ進化系は20歳以上からだと思っていますが。
愛梨「あはは。それは、ちゃう。確かに法律では、20歳からと定められてる。せやけど、体の仕組み…いや、成熟言うんか。18からは十分に進化出来るんや。」
あっ、そうだったんですかぁ〜。それで、18歳のリーフィアの娘(こ)がいるんですね。
愛梨「せやで、多分ソイツ外国出身やろ?日本は20歳以上で進化しないと、未成熟獣・強技法違反で(銃等法違反みたいなもの)で捕まるで?」
そんな、法律が!!なるほど、なるほど〜。では、皆さんまた次回。さようなら ノシ
愛梨「さようならなワケあるかぁぁぁ!!ちゃんとウチのも答えろや!!」
どうせ、変な事ですよね?
愛梨「うっ…。」
女の子なのに、こんなはしたない事ばかり訊いてはいけませんよ?それでは改めて、皆さんまた次回。さようなら!! ノシ
愛梨「さよう…なら。はぁ…見抜かれていたかぁ…。」
ガックシ

長い独り言お付き合いありがとうございました!!後、こんなにレス消費してすみません!!それでは、また次回!!さようなら!!

414名無しさん:2013/01/19(土) 17:03:56 ID:FSxQGKlw
適当さんはなぜ表に作者ページを作らないのですか?表に出してもいい位面白いですよ。長編はここだと読みづらいですし。

415適当:2013/01/19(土) 21:48:44 ID:4hF9kA3A
>>414
この端末では作者ページを作る事に適していないからです。(文字数限界も1024と短い。) パソコンも持っていませんし、携帯電話からの投稿するのに適している所が、ここだからです。

今度から、読みやすいように、全てのレスにアンカつけます(汗)
読んでいただき光栄です(笑)
それと、私の作品はエロの度が過ぎているのと、グロテスク過ぎるので表には…適していないと思います(笑)
ほとんどの話に放尿表現が入るって…どんな物語なんだ…(汗)

それと、物語に出てくるポケモンが人間に近すぎる点もありますしね(苦笑)

まぁ、パソコンを購入したら作者ページを作るでしょう。その時は、何卒よろしくお願い致します_(._.)_

416適当:2013/01/20(日) 05:49:41 ID:L0OSCkG6
読みやすくします。
9つの試練
第1話
>>126 >>127 >>128 >>129 >>130 >>131 >>132 >>133 >>134 >>135 >>136 >>137 >>138 >>139 >>140 >>141 >>142 >>143 >>144 全17レス 短

第2話
>>147 >>148 >>149 >>150 >>151 >>152 >>153 >>154 >>155 >>156 >>157 >>158 >>159 >>160 >>161 >>162 >>163 >>164 >>165 >>166 >>167 >>168 >>169 >>170 全24レス やや短

第3話
>>182 >>183 >>184 >>185 >>186 >>187 >>188 >>189 >>190 >>191 >>192 >>193 >>194 >>195 >>196 >>196 >>197 >>198 >>199 >>200 >>201 >>202 >>203 >>204 >>205 >>206 >>207 >>208 >>209 >>210 >>211 >>212 >>213 >>214 >>215 >>216 >>217 >>218 >>219 >>220 >>221 >>222 全41レス 長い?
重要な後書き
>>223 >>225

第4話
>>248 >>249 >>250 >>251 >>252 >>253 >>254 >>255 >>256 >>257 >>258 >>259 >>260 >>261 >>262 >>263 >>264 >>265 >>266 >>267 >>268 >>269 >>270 >>271 >>272 >>273 >>274 >>275 >>276 >>277 >>278 >>279 >>280 >>281 >>282 >>283 >>284 >>285 >>286 全39レス 長

417適当:2013/01/20(日) 05:56:19 ID:L0OSCkG6
第5話
>>350 >>351 >>352 >>353 >>354 >>355 >>356 >>357 >>358 >>359 >>360 >>361 >>362 >>363 >>364 >>365 >>366 >>367 >>368 >>369 >>370 >>371 >>372 >>373 >>374 >>375 >>376 >>377 >>378 >>379 >>380 >>381 >>382 >>383 >>384 >>385 >>386 >>387 >>388 >>389 >>390 >>391 >>392 >>393 >>394 >>395 >>396 >>397 >>398 >>400 >>401 >>402 >>403 >>404 >>405 >>406 >>407 >>408 >>409 全59レス 長い
重要な後書き&おまけ
>>410 >>411 >>412 >>413

これで、たぶん読みやすくなったと思います。(戻るとアンカを交互に用いればの話ですが…)

418名無しさん:2013/01/20(日) 16:26:29 ID:7gHgkvIU
この方が参照しやすいかと


9つの試練
第1話
>>126-144 全17レス 短

第2話
>>147-170 全24レス やや短

第3話
>>182-222 全41レス 長い?
重要な後書き
>>223-225

第4話
>>248-286 全39レス 長

第5話
>>350-409 全59レス 長い
重要な後書き&おまけ
>>410-413

419適当:2013/01/20(日) 20:55:20 ID:L0OSCkG6
そんなアンカの付け方出来たんですか!!
知らなかったです…。ありがとうございます_(._.)_

420:2013/01/21(月) 00:29:00 ID:ReCXdT6c
〜1〜

退屈だ。
課題、テスト勉強も終わり、テストは明後日。
退屈だ。
友達は、ずっと受験勉強ばかりしている。
退屈……

『いい加減にしろーー!!』
「うわぁっ!……って、レードか。なんだよいきなり、モノローグに入って来るなよ」

退く……

『だーかーらー!ダラダラいちいちモノローグで退屈退屈言ってんじゃないわよ!こっちが退屈だ!』
「わかったって、だからテレパシーで大声だすのやめてくれる?」
『全く、いくら勉強が出来て勉強の知識は凄くても、常識はなってないわね』
「うるさい。……ん?メールだ」

----
アイ
Re:何処かへ
----
おお、ディ君。予定が決まったよ。
明日、午前9時に駅前集合。
持ち物は金とかその他……
あ、あとあの子も連れてきてね!

P.S
あの子って誰だか解ってるよね?
----
俺は神永杉太。ニックネームはディ。
何故ディと呼ばれているか。それは俺が勉強がデキることから、『スタディ』⇒『ディ』になった。
まったく、誰がつけたんだか。
予定とは、今度男二人、女二人で出かけることになった。
合コンみたいだがな。
『ねぇ、あの子って誰?アンタは解ってるの?』
…こいつはエルレイドのレード。テレパシーをしょっちゅう使う。ちなみに俺の考えてることやモノローグまで読み取る。
こいつだけはディと呼ばないでアンタと呼ぶ。嬉しいような悲しいような…。
『無視してんじゃないわよ!』
「たく、うるさいな。その内解るさ。」
『ん……誰だか頭に浮かび上がらせてよ』
「やだね」

俺は頭に浮かび上がらせないのは、こいつと毎日過ごしているから得意だ。そう簡単に教えてたまるか。

『……ま、いいわ。でも今日中に教えなさい』

断るね。
……俺は勉強がデキるので、受験勉強も課題もテス勉強も終わっている。
だから退屈だ。
そしてそのまま一晩経ち、出かける日がやってきた。

421:2013/01/21(月) 17:48:37 ID:ReCXdT6c
『…ってそんな訳ないでしょうが!』
「ちっ、ばれたか」
『モノローグの展開が早すぎよ!いきなり翌日を迎えるなんて…』

やれやれ、うるさい奴だ。
俺はベッドに仰向けになり寝る。

『こっちがやれやれよ』
「しつけーな、だったら退屈凌ぎの方法でも教えてくれ」
『えーと、私とSEXとか?』
「…あ、そうだ。いい方法がある。出てこい、ミカゲ!」

俺はベッドから起き上がり一つのボールのボタンを押す。

「おんみょ〜ん」
『ええ!?ミカゲ!?何をするの?』
「フフフ、ミカゲ!シャドーボール!」
「おんみょ〜ん」
『ちょっ、ま、み、見切り!……いきなり何すんのよ!』
「退屈凌ぎ(害虫駆除)だって(何がSEXだよ。ふざけやがって)」
『心の声駄々漏れなんだけど!』
「ミカゲ、やれ」
「おんみょ〜ん」
『いや、じ、冗談だってば!だから……きゃああああああ!!』



俺は夕食のカップラーメンを食べ、ベッド……ではなく、床に強いた布団に入った。
何故ベッドじゃないかって?それはレードがいるからさ。
シャドーボールをスレスレに打ったら気絶してしまったから、ベッドに寝かせてる。
ま、寝るか。
明日出掛ける所は、カラオケ店だ。
男友人Aと女友人Bが歌いたいって言うもんだからな。
女友人Cは勉強教えて欲しいっていうから個室にしたが。
何か嫌な予感がする。明日何も起こらなければいいが…。

422:2013/01/21(月) 19:34:00 ID:ReCXdT6c
〜2〜

「あ、ディ来た!」

俺は遅れないよう、40分前に駅前に来たのだが、女友人Cが既に待っていた。どんだけ真面目なんだか。って、俺が言えることじゃないか。

「お前、早いな」
「まあね〜、これでも時間には厳しいんだよ」
『ちょっとアンタ!「あの子」って結局誰なのよー!』

うるさい、俺は話し中だ。テレパシーを送るな、気が散る。
お前は俺のモノローグを読み取ってくれるからいいものの、そうでなければずっと頭にテレパシーが響いてたんだぞ!

「どうかしたの?」
「…いや、課題まだ終わってないかもってな」
「それはないだろ!ディの癖に」

ムッ、何奴!!曲者か!曲者なのか!この某が成敗してくれよう!

『ふざけてんの?』

もちろんさ☆
俺はふざけているのさ★

『………』
「何だ、男友人A。俺は今女友人Cと話し中だったんだぞ」
「AとかCって何だよ!俺達にはちゃんと名前があるんだぞ!俺はシロオだ!」
「私はアイ♪メールでもそうなってたでしょ」
「ちなみにアタシはクレナだけどね」
「わ、女友人B。お前ら凄ぇ速ぇな。ま、揃ったし、出発!」
『何一つ聞いてないじゃない』

うるさい。黙れ。余計な口を挟むな。ミカゲの催眠術浴びせるぞ!

『うっ…それは…』
「クレナ、何歌う?俺はもちろん……」
「誰もシロオのは聞いてないわよ。そうねぇ。アタシは…」



「ありったけの!!ゆーめうぉォォォ!!かきあっつめ!!」
「シロオ、もう少し声下げてくれる?」
「機械で調節できるだろB。……で、何を教えて欲しいんだ?」
「えっと…色々な図形や立体の面積体積を求める公式…」
『ホントに高校生なのコイツ!?』
「ほらよ」

そう言って俺はリストを取り出した。そのくらい けいさんずみ ですとも!

「すごい!流石ディ!メモメモ…。……じゃあ、5W1Hの……」
『コイツ高校生じゃないでしょ…』
「ほらよ」

そう言って俺はリストを取り出した。そのくらい けいさんずみ ですとも!

「凄い!凄すぎ!なんか興奮してきたよ!」
『いい加減にしてくれる……!?』
「まあまあ、落ち着けって」
「会いたかった♪yes!君にいいいいいいいい!!!!!!」
「お前も声下げろよ……」

[まあまあ、落ち着けって]
この言葉、Cとレードのどちらにもしっくりくる言葉だ。
我ながら、素晴らしい!
まあ、俺も歌おうかな……。

423:2013/01/25(金) 22:42:59 ID:BB3WBJJw
「見渡せば全てが♪道だった♪見っ上げたらっ♪そーらは果てしなくて♪」
『アンタ、歌も上手いのね』
「私も歌うからねっ!」



「そうだ。ディ、『あの子』いるよね?」
『結局教えてくれなかったでしょアンタ』
「ああ。いるぜ、ここに」

俺は耳障りなテレパシーも無視シー、一つのボールのボタンを押した。
中から出てきたのは勿論……

「ありがとう!レードちゃん連れてきてくれて!」
『え……?アタシ……?』
「まあまあ。で、何のつもりだアイ」
「えへへ。私エルレイド好きだから!」

誤魔化しているつもりだろうが、俺には丸わかりだ。
少々口に出すのは恥ずかしいな。
このモノローグは幸い、レードには聞かれてないな。よし……

「出てこい、ミカゲ」
「おんみょ〜ん!」
『……え!?何をするの!?』
「眠れ〜〜よい子よ〜〜♪催眠術!」
「おんみょ〜ん」
「……あの、ディどうしたの?」
「ああ。こいつを眠らせた。あと……」
「……?」

俺は声を細めて言った。

「お前、ポケモナー兼同性愛者だろ?」

次の瞬間、真っ赤な血渋きが俺の目の前に………
…ではなく、真っ赤な顔をしたアイが目の前にいた。

424適当:2013/02/13(水) 16:44:18 ID:5w8OanAg
焔さんのレスがしばらく無いので、第6話投下致します。焔さんが続きが書けるように、投下し終えたら3レスにアンカをつけておきます。

では、トピ閲覧の皆さん温かい目で見守っていて下さい_(._.)_

425適当:2013/02/13(水) 16:48:40 ID:5w8OanAg
試練6 【業火】

Day12

俺は、いつもと変わらぬ部屋で目を覚ました。俺のすぐ右隣には、昨日の死闘(ルールが様々に設定されていた為、そんな大げさなものではないが…。)の勝利を象徴する“γ(ガンマ)”と描かれた、白と黄がベースのバッチがあり、その右隣には、昨日はルール改正の為に使用を禁じられていた、白い鞘(さや)に収められた、死闘の勝利にはかかせない刀が置いてあった。昨日は、この何も無く、全く味気の無い部屋に対して自然と愚痴(実際に声に出して言ったワケじゃないが。)をこぼしていたが、今日、朝目が覚めると“ああ、この部屋に一週間以上もいるのか。もうすぐで二週間目となるが、いろいろあったな。”とだけ思う事が出来たからだ。俺が知る限り、【雷神】の間の番人を務める、あのサンダースしかり、全サンダースしかり、本来は接近技をあまり得意とせず、遠〜中距離攻撃を主とし、素早さを生かして、自分の丁度良い射程距離を保ち続ける、“ヒットアンドアウェイ”戦法を用いる種族である。だが、【雷神】の間の番人を務める、あの“サン”という名を持つサンダースは、一味も二味も違っていた。彼女が持ち味にしている、高度なアクロバティックは、サンダースに族する(といっても、四足が接近技を得意としている時点で珍しいが…。)者は、通常行う事は出来ない。彼女が俺に見せつけた技は、通常のサンダースはどれも行う事が出来ない。………。いや、俺が世界を知らなかっただけだったのだろうか、過去に得た情報を当てにし過ぎていたせいだろうか。よくよく考えれば、苦手な技でも懸命に努力、もしくは、生まれた頃からの天才肌の持ち主であれば、不可能ではない。俺は、彼女との戦闘中はこの理屈が思い浮かばなかったので、“ありえない!!ありえない!!”と彼女が技を行う度に頭の中で連呼していた。彼女は、どちらに族するのだろうか。まぁ、どちらでもいいか。彼女とはもう闘う必要は無いので、この点については考えない事にした。俺は、右隣にある“γ(ガンマ)”のバッチを手に取り、まず初めにやるべき事を行った。

426適当:2013/02/13(水) 16:52:41 ID:5w8OanAg
スタ スタ スタ…
ピタッ
チラッ
「雷神…。これだな。」
カチャリ
ブーブー
カッシャン
「よし、達成だな。」

“まぁ、言わなくても表示されているからわかるが…。”俺は、自分が寝ていた中央から、【幻想】と示された扉の右隣にある、9つの窪み(実際には、既に4つはまっていたので、正確には、5つだが…。)がある装置まで歩を進め、自分が持っているバッチをはめるのに適当な場所へとはめ込んだ。適当な場所とは、もちろん【雷神】と示されたプレートの下の“γ(ガンマ)”の窪みがある場所である。自分が手に持つバッチを【雷神】と示されたプレートの下のくぼみへはめると、金属とプラスチックがこすれるような音を【雷神】と示されたプレートの下のくぼみが奏でた。直後に、これまでの【番人】を撃破(一つの間だけは、おかしな方法で獲得したが…。)した際に得られるバッチをはめ込んだ時と同じように、部屋中にブザー音が鳴り響き、【雷神】という文字が【達成】という文字へ変化し、左奥の方から鍵をかけるような音が小さく鳴った。“見る必要なんて無い。どうせ、同じ事だ。”俺は、部屋に突然現れた二つの音を耳にしても、特に気にかけず、9つのくぼみを誇らし気に眺めていた。

ジー
ズラァァ…
「ふっ、よくここまで勝てたもんだ。これも、日頃トレーニングに付き合ってくれた父さんのおかげだな。」

“まぁ、付き合ってくれたと言っても、無理矢理付き合わされたのだが…。”俺は、9つのくぼみがある装置から少し離れ、両サイドの腰に手を当て誇らし気に立つという仁王立ちをして、初日から今日までの日で勝ち取った5つのバッチが(繰り返し言うが、1つは番人に勝って得たワケじゃない。むしろ、同情してもらっただけだと言えるだろう。)それぞれ適した場所へはめられている様に、自然な笑みを浮かべて目を向けていた。既にはめ込まれている5つのバッチを左から順番に眺めた後、自分をここまで強くしてくれた父親に感謝の意を伝えていた。俺は、父親へ感謝をし終えた後、ある疑問を思い浮かべた。“バッチをはめると、扉の表示が変わり、扉がロックされる。じゃあ、逆もあり得るのか?”俺は、確かめる必要も無い真相を確かめようと、【氾濫】と示されたプレートの下にはめ込まれている、水色の“β(ベータ)”と描かれたバッチを取り外した。

427適当:2013/02/13(水) 16:57:14 ID:5w8OanAg
スー
パシッ
カキ
「おっ、取れたな。さて、変化はあ…」
ブーブー
カッシャン
「るな…。うん。文字も変わってるな。」

俺が監禁された初日と次の日に闘った【氾濫】の間の番人から同情を受けて獲得した、誇るどころか、むしろ恥を表すバッチを、“試し”と言わんばかりにくぼみから外すと、先程の扉に起きた現象とは、逆の現象が起きた。ブザー音は変化は無かったが、既に【達成】と示された扉が、再び【氾濫】という文字に変化した扉へ姿を変え、左奥の方から鍵を開けたような音が鳴った。“元の文字に戻って、音は聞こえたがちゃんと開いたのか?”俺は、真相を突き止める行動を起こした為に、開いてしまった扉を確認する為、音を響かせた扉へと歩を進めた。

スタ スタ スタ
「おっ。え?まさか!!」
タッタッタ…
ピタッ
チラッ
【OPEN】
「おお!!回せるのか…?」
カッチャ…
「ま…回せる!!す…すごいな!!」

“本当に開いた…。まさか、開くとまでは思わなかったな。”9つのくぼみからバッチを外した為に、音を奏でてしまった扉に近づくと、扉のノブの下のプレート表示がわずかに見え始めた。プレートの表示は4文字となっていたので、俺は驚きつつも、無意味な真相をより遠く確かめたくなり自然とかけ出していた。扉へたどり着き、すぐに扉のノブの下のプレートへ目を向けると、開錠(かいじょう)を表す英語表記が再び存在していたので、俺は興奮し、ノブを握って捻った。すると、以前バッチをはめた為に絶対に回す事の出来なかった扉のノブが、いとも簡単に回せたので、俺はおもわず声を上げはしゃいでいた。“他の扉も出来るのか!?”俺は、新たな無意味な疑問を抱き始めたので、全速力で9つのくぼみがある装置へと足を速め、ここまで勝ち上がって来た証(あかし)を全て消去するように、残り4つのバッチに手を掛け、くぼみから外し始めた。

タタタ…
ピタッ
ガシッ
カキッ
ガシッ
カキッ
ガシッ
カキッ…
ブーブー ブーブー ブーブー ブーブー
「おお!!なんか、すごいな!!」
カッシャン カッシャン カッシャン カッシャン

428適当:2013/02/13(水) 17:03:33 ID:5w8OanAg
“うぉ!?音がすごい大きかったな…。もしかして、全部開いたのか!?”これまでの勝利を全て消し去ると、達成と示されていた扉が、部屋中に大きく響かせていたブザー音の後に、それぞれ【雷神】、【光】、【若葉】、【零下】という文字をを示す扉へ姿を戻し、左の方から鍵を開けるような音が鳴り響いた。俺は、全ての音が収まったのを聞き計らい、外したバッチを全てスーツの右ポケットへしまい、音を奏でた扉達を次々と確認し始めた。

タタタ…
【OPEN】
パシッ
カッチャ…
「おお!!次だ。」
タッタ…
【OPEN】
パシッ
カッチャ…
「おお!!次もか?」
タッタ…

表示を元の姿へと戻した扉達のノブのプレートに目を向けノブを捻ると、【氾濫】の扉と同様に、いとも簡単に回す事が出来たので、俺は成獣(ポケモンが20歳以上になる事)した者とは思えない程、興奮しはしゃいでいた。“子供みたいだな。自分じゃ、ガキじゃないと言ってるが、そうも言い切れないな…。”音を奏でた全ての扉達を確認し終えた後、9つのくぼみがある装置へ歩を進めながら、過去の自分の振るまいを指摘していた。“まぁ、いいか。すごい光景(もの)を見たら、スゴいと言ってしまうのと同じ事だ。”9つのくぼみがある装置へたどり着き、スーツへ手を忍ばせ、バッチを手に乗せて元の場所へ戻しながらも、“自分が子供に戻るのは仕方が無い事だ。”と勝手に結論づけていた。“γ(ガンマ)”と描かれたバッチを元の位置に戻し終え、ついに残す所あと一つとなった時、俺は手を止めて過去を振り返り始めた。

ブーブー
カッシャン
「よし、あと一つ…。」
チラッ
「待てよ…。俺は、よく考えたら、あのシャワーズには勝っていない。」
ジー
「うーん、なんか…。納得できないな。これだけ…あんな得かたをしたからな。」

“そうだ。これは、勝ち取った証(もの)じゃない。これは、アイツが俺にくれただけ。アイツが、嫌々ながらセックスさせられる俺に気を使って、お礼としてくれたんだ…。なんて、情けないんだ俺は…。”卑猥(ひわい)な行為を強要されたお陰で獲得したバッチをじっと見つめ、ただ1つの“恥”という観念に抱かれた俺は、再戦の決心を固める独り言をつぶやいた。

429適当:2013/02/13(水) 17:08:50 ID:5w8OanAg
「よし、闘おう。今なら、あのシャワーズに勝てるハズだ。最初闘った時は、アイツの一撃必殺技もかわす事が出来たんだ。今は、アイツの攻撃を全て避けられるハズ。負けはない。」
タッタッタ…
スクッ パシッ
シュルシュル
グッ
「よし!!負けてもいいように、バッチを置いて行く…」
グゥゥゥ…
「………。まずは…腹ごしらえか。」

“なんか、やる気がそがれるな…。メシを食べない俺も俺だが、腹よ、もう少しタイミングを考えてくれ!!起きた直後に鳴ればいいじゃないか!!”9つのくぼみがある装置の前で決心を固めた。俺は、中央へ駆け出し、勝利を導く刀を拾い上げ、背中へ結びつけた。準備を整えてすぐに“いざ、行かん!!”とばかりに【氾濫】と示された扉へ歩を進めようとしたが、昨日のように空腹を告げる音を聞かされ、“まぁ、待て。落ち着け。”と胃が語りかけてきたので、俺は、自分の胃の意見に仕方なく賛同し食事ルームへと歩を進めた。歩を進める途中で、自分の胃に対して叱責(しっせき)を行っていたが、目的地にたどり着き歩を進め終えると、用意されていた食事を摂る事に集中した。集中したおかげもあってか、もしくは普段からそこそこ短い時間で食べる事が出来たおかげか、はたまたただ腹が空いて“早くお腹を満たしたい!!”と思っていただけなのか、用意されていた食事をあっと言う間にたいらげ、最後の仕上げを口に運んだ。

モグ モグ…
カチャ
ゴク ゴク…
トン
「ぷはぁ!!よし、行くか。負けてもいいように、バッチは置こう。あのシャワーズは何をするかわからないからな。」

“負けたから、返せとか言って来そうだからな。返すワケにはいかない。”最後の仕上げ(といっても仕上げにはしたくない、青いヤツだったんだが…。)を体へ流し込み、青い液体が入っていたグラスをトレーに置き、自分に行動開始の合図を送った。合図の後、再戦を申し込む相手の性格を思い出し、懸念を抱いたので、俺は中央へ歩を進める、再戦を申し込む相手から獲得したバッチを床へ置き、【氾濫】と示された扉へ歩を進めた。

430適当:2013/02/13(水) 17:13:01 ID:5w8OanAg
中央には大きな池、池を取り囲むように生い茂る草々。池の周りには、複数の色のついた箱…。隠れる場所が無い難しいステージへ目を向け、俺は少しばかりなつかしんでいた。“なんで、最初にこんな難しいステージをクリアする事にこだわってしまったのだろう…。”俺は、初日の頃の強いとは言い難い自分が、このステージの手強い番人から逃げ回って、“頼れる物”を求めて闘っていた日々を周りの景色を見ながら振り返り、疑問を抱いていた。“うん…。やっぱり負けた隊員とは闘う事は出来ないのか…。”数分待機したものの、【氾濫】の番人である青色の軍服を着た彼女は一向に現れないので、俺があきらめて腕時計についているリタイヤボタンに手を掛けた時、目の前から勢いよく何者かが水しぶきをあげて現れた。

シーン…
「はぁ…。やはりダメか。仕方ないな。」
スッ…
バッシャン
「は?」
スタッ
ブルブルブル
ピシャピシャ
「はぁ〜。やっぱり朝のお池での“SWIMMING”は最高ね。さて、濡れた体をお日様に当てて乾かした後に、もうひと泳ぎ…」
チラッ
「あら?坊やじゃない!!久しぶりね。こんな所に何をしに来たの?」

“俺が聞きたい…。コイツ、仕事さぼって何悠々(ゆうゆう)と泳いでなんかいるんだ…。”俺の正面に水音と共に現れたのは、生まれたままの姿(と言っても軍服を脱いだだけなんだが。)を指摘する事が出来ない生き物達へ提示している、【氾濫】の番人であるシャワーズの彼女であった。俺は、彼女が目の前に現れた事に少し驚いていたが、彼女のあまりにも常識外れな行動と発言に半(なか)ば呆れていた。彼女は、体についた水滴を周りへ飛ばし、心地良いと示すように満面の笑みを浮かべて、周りの環境をほめ、今後の予定を言いかけた時、俺の存在に気づいて驚き、俺へおもむろに“ここにいる理由”を訊ねて来た。俺は、彼女が随分とのん気にしている様を一部始終見届けていたので、呆れた表情を浮かべるも彼女へ質問をぶつけた。

431適当:2013/02/13(水) 17:17:18 ID:5w8OanAg
「こっちが聞きたいな。君は、朝っぱらからこんな所にいて何をしている?」
「あら?見てわからないかしら?泳いでいるのよ。“It's SWIMMING. OK?”」
「何でさっきから英語で喋っているんだ…。」
「自然と言ってしまうのよ。そうね、私以外にも感情を表に出して同じように喋る娘はいるわよ?」
「は?」
「うふふ、そんな事はどうでもいいわ。それより、ピカチュウの坊やはここへ何をしに来たの?“You have to amswer me,Because I amswer you.(あなたも答えてね?私は答えたでしょう?)」

“強調…人間英語の多用か…。間違いなく、コイツは日本出身じゃない。だが、どこか発音がイマイチだ。”俺が質問を逆にぶつけると、彼女は“愚問である”とばかりに再度、俺を呆れさせた一言を言い放った。彼女は、俺のような生き物(ポケモン)が本来話をする語とは違う言語をやたら会話に混ぜていたので、俺は質問ではない疑問を彼女へ指摘すると、彼女は理由を述べ、“自分以外にもそう言う喋り方をする者はいる。”と答えた。俺は、訊いてはいないが、予想外の彼女の発言に一瞬耳を疑うが、彼女は初日と2日目に俺に見せた優雅で気品のある笑みを浮かべ、再度俺に先程と同じ“ここへ来た理由”を訊ねて来た。俺は、彼女の話す強調構文の発音が少しばかりおかしいと思ったので、彼女の出身国をある程度推測し、彼女の質問へ答えた。

「君と、もう一度闘いたい。」
「え?“Why? You don't have to fight me. What are you talking abaut?(なんで?闘う必要ないでしょう?何を言ってるの?)”」
「英語でやたら喋るな。普通に話せ。俺は、納得出来ないんだ。君から、あんな貰い方をしたとなるとな。」

俺は、彼女へ理由を告げると、彼女は怪訝そうな表情を浮かべて、俺へ強調構文を用いて言い放った。俺は、彼女が優雅で上品と思わせる見た目を自ら否定してしまうような、心地の悪い英語を聞いて不快に感じてしまったので、彼女へ強調構文を混ぜて話す事に抑止をかけ、彼女へ胸の内を明かした。“これで…何とか闘ってくれるだろうか…。”俺は、彼女へ本当の理由を伝えた後少しばかり不安の波に追いやられるが、彼女は“心配無用”と思わせるように、俺に了解の返事を行って来た。

432適当:2013/02/13(水) 17:22:17 ID:5w8OanAg
「うふふ、そういう事。いいわよ。だけど。」
「だけど?」
「賭ける物が無いわね。」
「賭ける…物か。」
「そう。そうしないと面白味が無いと思わないかしら。“本気の勝負”にならないわ。」

“賭ける物か…。う〜ん、バッチは持って来ていないし…。は!! 待てよ…。コイツ、そう言えば俺の事気に入っていたよな?しかも淫乱…。一度と言わず何度も本当は俺とセックスしたいと思っているハズ。だが、俺はアイツに何を賭けてもらおうか?”俺は、彼女の発言を耳に入れ、彼女が勝利した際に納得出来る条件を思い浮かべるも、自分が勝利した場合に得る物が思い付かなかったので、少しばかり困惑の表情を表に出してしまっていた。俺の表情を見かねたのか。彼女は、俺を納得させるような報酬を提示した。

「うふふ、難しい?坊や。」
「俺は坊やじゃないが、難しいな。」
「じゃあ、こういうのはどうかしら。坊やが勝てば、私は坊やに情報を与える。私が勝てば…」
「俺の体をもらう。いや、俺も君が勝った時に得る物は考えていたんだ。わかった。よし、それでいこう。俺は、自分の体をかける。俺が負けたら、君は今日一日、俺を縛るがいい。」
「わかったわ。ふふふ…私って何てラッキーなのかしら。坊や、手加減はしないわよ?それから、負けた時は、私の言う事を“ちゃ〜ん”と聞くのよ?わかるわよね?」

“ついに交渉成立か。よし、ここで極限まで自分の実力だけで闘ってみるか。負けてもいい。後悔はしない。第一段階最後の隊員(ヤツ)に一発で勝つためにも、ここで実力を知る必要があるからな。”俺が、彼女の提案を引き受けると、彼女は優雅な笑みとは裏腹の何かを企むようにほくそ笑み、俺へ了解の意を求めて来た。“う〜ん、完全実力であるからには相手からの情報ではダメだな。自分が訊く事を何でも喋ってもらうにするか。”俺は、初日、二日目と闘って彼女には全く歯が立たなかった事を考慮し、彼女へ承諾し、決意を固めた発言を、彼女に向かって気さくに話しかけようとした為に、本来は知り得ない事を口走ってしまっていた。

433適当:2013/02/13(水) 17:27:22 ID:5w8OanAg
「ああ。シャーズ…」
「え?待ちなさい。なんで、坊やが私の名前を? “Why do you know my name?(なんで、私の名前を知っているの?)”」
「だから、英語で喋るな。フィアが喋ったんだ。【若葉】の隊員(ヤツ)がな。」
「“Oh,Realy? Stupid, Why was she talking abaut me?(え?本当に?ああ、もう!!なんで、私の事喋ったのよ…。)」

“オール強調か。相当怒ってるな…。”彼女は、俺からありえない言葉を耳にして驚いて目を見開き、俺の“英語で喋るな。”という抑止を無視して、強調構文を用いて俺へ訊き返してしまっていた。俺は、彼女の“上手い”とも言えない発音を耳にして、当然の如く不快感が浮かび上がって来たので、彼女へ再度抑止をかけ、彼女へ真実を告げた。すると、彼女は、全て強調構文で話し、少し怒った表情を浮かべて、情報を明かした者に対して愚痴をこぼしていた。“知らなかったんだな…。このまま帰すとフィアがコイツにぶんなぐられるかもしれない。コイツは、見た目とは違って暴力的なヤツだからな。”俺は、彼女の本当の性格を知っているので情報を明かした者が、出来るだけ彼女に暴力を振るわれないようにする為、彼女をなだめ先程伝えたかった事を述べた。

「あっはっは。まぁ、そう怒るな。フィアは、“おっちょこちょい”なんだ。許してやれ。」
「はぁ…。わかったわ、所詮どこぞの“小娘”だものね。坊やと親しくなりたくて喋ったのでしょうから、許してあげるわ。」
「そう言う事だ。おっと、そんな事はどうでもいい。それより、君と勝負する上で、無理を承知でやってみたい事がある。」
「え?何、それは?」
シュル シュル…
「え!?ちょっと坊や!!まさか…。」
パシッ ヒュッ…
カチャン
「そのまさかだ。俺は、素手で君を倒す。武器もアイテムも使わない。正々堂々と…な。」

434適当:2013/02/13(水) 17:33:12 ID:5w8OanAg
“本当は、俺が喋らせたんだがな。あれ?そうだったか?まぁ、いいか。ふっ、やっぱり驚いているな。”怒り心頭の態度を示していた彼女は、俺になだめられると、“やれやれ、しょうがない。”といいたげな表情を浮かべて、情報を明かした者を許した。俺は、彼女が推測した理由多少疑問を感じていたが、特に気にかけず彼女へ相槌を打ち、彼女へ言い放った。すると彼女は、怒りの表情を作る事も忘れ、俺へ訊ねて来たので、俺は背中に結びつけていた刀を外し、刀を横へ放り投げて、彼女へ“歴然な力の差がある者と闘う者”とは思えない行動を提示し、発言を行った。彼女は、俺の突然の予想も出来ない行動に驚いて声を上げていたが、俺の強い決意を含めた勇気ある(自分で言うのもなんだが…。)発言を耳にして感銘を受けたのか、俺へ予期せぬ条件を言い放って来た。

「“Wow It's great….(すごいわね…。)” “OK,BLABE KIDS MALE. You own me.(わかったわ、勇気ある坊や、あなたに従うわ。)」
「はぁ…。“Anyway,Don't speak in Human's ENGLISH.(だから、英語で喋るな。)” Why don't you understand? You speak in bad Human's ENGLISH. Unless,You speak in Human's ENGLISH,I'm good condition.(なぜわからない?君は英語が下手なんだ。英語で喋るな、不快だ。)”」
「“VERY…Well….(とってもお上手…。)”あはは、ごめんなさい。刀無しで闘う勇気、更に英語がとってもお上手…。さすが、PIAに行くだけの坊やではあるわね。いいわ、じゃあルールを変えましょう。」
「ルールを変える?」
「ええ。坊やは、私に一度でも“ダウン”を奪えれば勝ちとするわ。私を一回でもひるませたら勝ちにしてあげる。」

435適当:2013/02/13(水) 17:39:54 ID:5w8OanAg
“随分とスゴいルールだな…。まぁ、これを断る理由は無いな。せっかく有利にしてくれたんだからな。”彼女は、俺の抑止を聞かずに自らの心の動きに従って、“上手い”とは言えないむしろ“下手寄り”の発音で強調構文を用いて俺に素直と思われる感想を言い放った。彼女は、何度指摘しても一向にやめようとしなかったので、俺は“これが手本だ!!”(自分で言うのもなんだが、俺は結構上手い方だと思っている。)とばかりに彼女へ強調構文を用いて、半(なか)ば自画自賛の流暢(りゅうちょう)な発音を聞かせつつ、彼女へ三度目の“英語で喋るな!!”と言い放った。すると彼女は、俺をなだめるような笑顔を見せて上品な気風を取り戻すような返しで、俺をほめたたえた。その時、彼女はどうしても感情を抑えきれなかったのか、小さく強調構文をつぶやいてしまっていたが、“さっきよりはマシだ。”と思える程、明確に俺の耳に届かないようにしていたので、俺は特に指摘せず、彼女の“ルール変更”という言葉を耳にして、彼女へ訊ねた。彼女は、俺にまるで“勝って下さい。”と言わんばかりに好勝利条件へと変更を行って来た。俺は、彼女の発言を聞いて静かに驚きつつも、あまりにも自分に有利な条件だったので、彼女へ感謝の意を示した。

「ありがとう。君は、結構俺に気を遣ってくれるんだな。」
「“YES,OF CORSE.”だって、坊やは私に全く歯が立たなかったでしょう?勇気ある坊やに感動しちゃったわ。」
「そこも気を遣え。それにしても、随分と自信あり気だな。そんなに俺は、君に素手で勝てないのか?」
「そうね。私のレベルは59。坊やでは、到底太刀打ち出来ないわ。」
「ご…59!?」
「そうよ。」
ペロッ
「ふふふ…。もう、後戻りは出来ないわよ。今日は存分に私の遊び相手、私の欲求発散相手になってもらうわ…。こんなチャンス、もう二度と無いものね。」

436適当:2013/02/13(水) 17:43:35 ID:5w8OanAg
彼女は、俺の言葉を耳に入れると四度(よたび)俺の抑止を無視して、自分の胸の内と思われる事を強調構文を混ぜて言い放った。俺は、四度目の指摘をしつつ彼女へおもむろに訊ねると、彼女は、静かな怪しい笑みを見せて俺へ真実を突きつけた。俺は、彼女から真実を耳にして驚いて目を見開いていたが、彼女は舌をはわせて上唇(うわくちびり)を舌で撫でて小さく自分の舌を見せつけ、優雅な気風をまとっていた者とは思えない程の恐ろしい笑みを浮かべて、俺へ静かに言い放った。“この調子じゃ、すぐに始められてしまう!!”俺は、彼女の次の行動を予測し、彼女の次の行動を阻止しようと彼女へ勢いよく言い放った。

「ま…待て!!」
「どうしたの?怖(お)じ気づいちゃったのかしら?」
「違う。そんなに差があり過ぎるなら、君が賭ける物を変えろ。」
「私が賭ける物ね。何に変えるのかしら?」
「俺が質問する事全てに答えろ。どんな質問もだ。つまり、君は負けたら“フィア”になってもらう。」
「フィアに…。ちょっと時間をくれる?」

“無理もない。万が一俺に負けたら、裏切りものとして殺されてしまうからな。まぁ、力がコイツの方が上だから、コイツからもらう情報に期待は出来ないが、コイツはまぁまぁプライドが高そうだからな。”俺は、彼女に勝利報酬を、彼女が極限まで追いつめられる物への変更を申し込むと、彼女はあごに手をそえて、俺から目をそらして下へ目を向け始めた。意外にも、彼女の長考が長かったので、俺は彼女へ先程言われた事を鏡に写すように返した。

437適当:2013/02/13(水) 17:46:21 ID:5w8OanAg
シーン…
「ふっ、君こそ怖(お)じ気づいたんじゃないのか?」
「黙りなさい。そんな簡単に決められないわ。」
「す…すまない。じっくり考えてくれ。」
スッ…
ニヤァァ…
「ふふふ、いいわ。腹をくくったわ。坊やに負けたら、坊やになんでも喋って殺されてもいいわ。その代わり、負けたら坊やが想像も出来ない事してあ・げ・る。もちろん、私が許可(ゆる)してあげるまで絶対に帰さないわよ。」
「………。いいだろう。俺も腹をくくった。負けたら、君の奴隷になってやる。始めてくれ。俺は、全力で君を倒す!!」
グギュッ…
「いい心構えね。気に入ったわ!!それで、勝負しましょう!!」

“負けたら、陵辱(りょうじょく)プレイか…。59…。いや、勝てる!!要するに、コイツをマヒにしてCQCをかければいいんだ!!それまで…ひたすらかわしての辛抱(しんぼう)だな。”俺は挑発を混じえて彼女へ言い放ったが、彼女は俺の顔を見ずに“静かにしろ。気が散る。”とだけ言い放った。俺は、彼女の声質が少し怒りを含んでいるものと判断出来たので、彼女へ素直に謝り、彼女の長考を許した。しばらくして、彼女はようやく顔を上げ、笑った音が耳に入って来そうな程の恐ろしい笑みを浮かべて、俺へ絶望に陥(おちい)ってしまう未来を突きつけた。俺は、彼女程では無いが少々黙り、自分の中で決心を固め、彼女へ開始の合図を出すように呼びかけ、“これでもか!!”と思う程強く拳を握り、戦闘態勢を取った。彼女は、俺の真剣な表情気合いの入った構えを見て、静かに俺をほめ、勢いよく俺へ合図を出した。彼女の合図の数秒後、恒例の戦闘開始の合図が鳴り響いた。

438適当:2013/02/13(水) 17:52:40 ID:5w8OanAg
『READY…GO!!』
“あまり近すぎないように、ある程度距離を置きながら、隙を突いて闘うんだ…。”
タッタッタ…
キキッ
“よし、この位の距離ならアイツの攻撃を見切れ…。”
「ふふふ、坊や慎重ね。でも、その慎重さが…」
ニィヤァァ…
「あだとなるわ。」

開始の合図を耳にしても、俺は以前彼女と闘った時のように簡単には接近せず、ある程度距離を置いて彼女の攻撃を待ち続けた。相手は、いくら強い【氾濫】の番人とは言え、接近戦闘はやはり俺が上なのである。故(ゆえ)に、彼女の攻撃を避(よ)けた後に近づく…。これを繰り返し、自分の技の射程距離まで持ち込む事。これが、俺の作戦であった。だが、彼女は俺に不気味な笑みを向け俺に一言言い放ち、前足を俺の方向にかざして、何かをつぶやき始めた。

「あだと…なる?」
スッ…
「フォーエバー、ウォーターウェーブリング(永久水の波動)。」
「は?フォーエ…」
ポワーン ピシュン ピシュン ピシュン
「うわぁ!?はっ!!うぉ!?」
バッ バッ バッ
ピシュン ピシュン ピシュン ピシュン
「くっ!!はっ!!たぁ!!」
バッ バッ バッ

“なんだこれは!?なんで、こんな連続で水の波動が打てるんだ!?コイツ、何者なんだ!?”俺は、彼女が謎の言葉を放した事に疑問を感じていたが、直後に彼女が、かざした前足に大量の水をまとわせ、波打った輪っか状の水を、“休む暇なんで与えるまい”とばかりに連射していた。俺は、彼女の予想外の必殺技に驚きつつも、高速移動を用いて彼女の攻撃の全てを必死でかわしていた。“くっ…ダメだ。俺の高速移動にも限界がある…。”俺は、彼女に“とどめを刺して下さい”と示してしまうような様を披露してしまっていた。

ピシュン ピシュン ピシュン ピシュン
「ふっ!!たぁ!!はぁ…。」
バッ バッ バッ…
カクッ…
「はぁ…はぁ…。くそっ…。」
「ふふふ、私の作戦に“まんま”と引っ掛かったわね。」
「くっ…くそぉ…。」
「“Can not escape WATERMISAILE.”」

439適当:2013/02/13(水) 17:56:44 ID:5w8OanAg
“ま…また、下手な英語を喋りやがって。避(よ)けられない水の…ミサイル?”彼女の連続攻撃を次々と避(よ)けてしまった俺は、足腰から来る疲労と息切れでその場でひざをついてしまっていた。彼女は俺の表情と姿を見て、口元を吊り上げて言い放ち、流暢(りゅうちょう)とは遥かに遠い発音で強調構文を用いた謎の呪文のような言葉をつぶやいた。俺は、彼女が口にした呪文を耳にして少々不快になるも、彼女がつぶやいた呪文を直訳し彼女を警戒し始めた。直後に彼女は、先程よりも遥かに悪意のある笑みを向けて、俺の常識をくつがえすような攻撃を俺へ行って来た。

ニタァァ…
「う…。何をする気だ…。」
ドッ…バッシャアアア…
「ハイドロポンプか!!はぁ!!」
シュッ タン
バッシャアアア…
「は…はぁ!?なぎ払いだとぉ!?」
バッシャアアア…

彼女が行って来た常識をくつがえす攻撃とは、強い左の水を通常ではありえない。出し続けながら池の方向へ俺を追いつめるという攻撃であった。彼女は、強い水位の水を移動させながら“逃がすまい”とばかりにゆっくりと俺を池の方向へと追いやった。俺は、やむを得ずに最終手段をとり始めた。

「くそっ!!間にあえ!!ランチャーヘッドバッド!!」
グッ…
バッシャアア…
バヒュン…パチャッ
ピタッ
「ふふ、逃げられたわね。でも、坊や。そこは地獄よ。」
タッタッタ…
ヒュ…パチャッ

440適当:2013/02/13(水) 18:01:11 ID:5w8OanAg
“くっ…、一時は撤退だ。高速移動が使えるようにならないと、アイツに接近出来ないからな。”俺は、彼女の攻撃に追われる中、足腰に力を込めて、高速移動と電光石火のタイミングを素速くずらし、中央の大きな池に向かって、自分の体を飛ばした。俺は、彼女の攻撃が当たらず、無事に一時の休戦を得る事が出来た。“アイツは、水の中では更に有利だ…。何か方法はないか。”俺は、池の中を泳ぎながら頭を働かせていた。頭を働かせると言っても、俺は水タイプでは無いので、5分…いや、3分位か。3分位しか水の中にいる事は出来ない。数秒頭を働かせると、俺の頭で名案が浮かんだ。恐ろしい程短時間であったが、俺の思い浮かんだ名案は単純かつ、今の対戦相手に勝つ事が出来る可能性を秘めた物であった。“アイツがあの時の事を覚えていれば、俺をバカにしようと一瞬動きを止めてくれるハズ。バカにした後は当然なみのりだ。そこを上手くかわして、地上に上げてブレードテイルで反撃。そしてすぐに、アイツにランチャーヘッドバッド。そしてマヒにして、CQCをかける。よし、これだな!!”俺は、名案を軸にして向こう岸にたどり着くように、高速で泳ぎ始めた。“よし、これ位だな。”しばらく泳ぐと、池の縁(ふち)を伝える壁が見え始めたので、動きを止めて自分が泳いで来た方向へと目を向けた。俺が目を向けている方向から、勝利を確信した彼女が優雅な泳ぎで俺に近づき、俺に敗北を突きつけた。

スィィィ…
ピタッ
「ふふふ、坊や自滅したわね。これで、私の体の中の水分(みず)も回復したわ。もう、坊やの負けよ。」
「ふっ、悪いが引っ掛かったのはそっちだ。」
“まぁ、やる事はわかっているわ。ワザと驚いてあげましょう。”
「な…なんですって!?」
「後悔するがいい!!十万ボルトォォォ!!」
バチ バチ バチ

441適当:2013/02/13(水) 18:07:51 ID:5w8OanAg
“まぁ、真水だから通さないのは当たり前なんだがな。だが、勝つ為にこれは必要だ。最初に闘った時は、する必要はなかったが、今はかかせない。一種の賭けだが…。頼む!!一度止まって俺をバカにしてくれ!!”俺は、彼女から“負けを認めろ”と言わんばかりに言い放たれたが、彼女へ逆に“負けたのはお前だ。”とばかりに言い返した。すると彼女は、驚いた表情を浮かべて声を上げた。“アイツもワザとなんだろうな。リアクションが自然じゃない。”俺は、彼女の表情が故意ではないかと推測しつつも、彼女から嘲(あざけ)笑われる為の行動を起こした。行動を起こしつつ、俺は彼女に対して自分の頭に描いた反応を取ってもらえるように必死に懇願していた。すると彼女は、俺と初日に闘った時のように俺を嘲(あざけ)笑い始めた。

「くっくっく…。」
「は?なぜだ…。意味がわからん…。」
「あーはっはっは!!バカな坊や。全然成長しないわね?さて、もういいかしら?」
“よし、いいぞ。思っていた展開だ。”
「は?」
ギュン…
“来たな…。”
「うわぁ!!」
バシャ バシャ バシャ

俺は、頭の中に思い描いていた通りに事が運んだので、現実では俺の作戦がわからないように、彼女の罠に引っ掛かったような反応を示し、心の中では、“よしよし、いいぞ”と想像していた展開に進んでいた事を嬉しく思った事を嬉しく思っていた。“後は、アレだけだな。果たして成功するか…。”俺は、彼女の高笑い、自分を蔑(さけす)むような文句を耳に入れた後に、彼女の攻撃には当たらずに、次の作戦を成功させる為に集中し始めた。集中しつつも、現実世界では自分の作戦が相手に知られてしまわないように、故意で焦った表情を浮かべ、彼女が体の周りに波をまとわせるか否かのタイミングで、池の壁側に泳いで近づき、彼女を誘うように陸へ勢いよく上がった。

442適当:2013/02/13(水) 18:14:16 ID:5w8OanAg
「逃げても無駄よ!!坊やよりも私の方が速いんだから!!」
ドッギュウウウ…
バシャ バシャ
“ここだ…。”
ピョン スタッ
クルッ
バッシャアア…
「ふっ、な〜んてな。」
「はっ!!し…しまったぁ!!」
「フルスイング、ブレードテイル!!」
ブン…バシン
「うわぁ!!」
ヒュッ…バタン

俺は、彼女を誘って陸へ上がり、彼女が池の中から陸へ上がって来た所を見計らって、体に捻(ひね)りを加えて硬質化した尻尾を彼女へ当て、彼女を真横へ飛ばした。彼女は、俺が陸についた時のほくそ笑んだ表情と“掛かったな!!”という言葉を耳にした為か、驚き先程の自信かつ悪意のある笑みが消え去り、声を上げて俺の攻撃を脇腹にまともに受けてしまっていた。“隙は与えない。ここを逃したら、もう勝ち目は無い。”俺は、足腰に力を込めて、起き上がった彼女に次なる攻撃を当てた。

ムクッ…
「くそっ、私がはめられ…」
「ランチャーヘッドバッド!!」
バヒュン
「れてぇぇぇ!?なんで坊やがロケット頭突きを使…」
ガツン
「えへぇぇ!!くっ…頭が…。」

彼女は起き上がると、通常では有り得ないと思ったのか、俺がかなりの低空飛行で自分の元へと向かって来る事に声を上げ、俺の攻撃を額に受けてしまっていた。彼女は、俺に額を頭突かれたので、苦痛の表情を浮かべて前足でこめかみを押さえていた。俺は、彼女の動きが止まったのを見計らって彼女にとどめを刺しにかかった。

ガシッ
「電磁波!!」
バチン
「ぐはぁ!!か…体が動か…」
ガシッ フワッ…
「うわぁ!!な…何をする気!?」
「くらえ!!必殺背負い投げぇぇぇ!!」
グルン…ドン
「ぐはぁぁぁ!!」

“よし…勝ったな。なんとか…勝てた。一応、ダメ押しをしておくか”彼女は、俺の技を次々と受けついには、体を持ち上げられて投げられ、背中を勢いよく地面に叩きつけられていた。俺は、彼女が敗北条件を満たしている様を見るも、彼女の性格では、“素直に負けを認めてくれないかもしれない。”という事を想定して、彼女を肩を固定しながら持ち上げて、彼女の体に電流を流し始めた。

443適当:2013/02/13(水) 18:18:49 ID:5w8OanAg
タッタ…
「うう…。」
ガシッ…スタン
「う…。え?ええ!?ちょっと!!何してる…」
バチバチバチ
「のぉぉぉぉぉ!!や…やめてぇぇぇ!!私は、もう負けてるわよぉぉぉぉ!!」
フッ… パッ
ドサッ
「うふぅ!!はぁ…はぁ…。ひどいじゃないの…。とっくに負けてるのに攻撃するなんて…。」

俺が、彼女の苦痛の表情を浮かべている様を見ながら、彼女へ電流を流すと、彼女は、俺の追撃を予想していなかったのか、驚いて俺の行動に敗北宣言を交えて抑止をかけた。“うん。まぁ、これ位やったら認めるしかないよな。認めなければ、ずっと拘束(こうそく)+(プラス) 十万ボルトだからな。”俺は、彼女の敗北宣言を耳にして彼女を解放し、彼女へ攻撃を止めなかった理由を告げた。

「すまないな。君の性格が信用出来なかった。君が、“素直に負けを認めない”かと思ってな。」
「はぁ…はぁ…。な…なる程ね。一理あるわ。私の性格が悪かったのね。」
「君には悪いが、そう言う事だ。さぁ、存分に動けなくなった所で喋ってもらうぞ?君は、負けたんだからお喋り者の“フィア”になってもらう。」
「はぁ…はぁ…。そうね、約束は守るわ。“賭けた物は、自分が負けた相手に必ず与える。”それが、私のポリシー。で?何が…訊きたいの?」

“勝負に対してのプライドは高いようだな。負けたら素直に従うという所が、コイツの良い点か。”俺は、彼女に理由を告げると、彼女は、自分の“相手に信用されない性格”に納得し、自分を責めた。俺は、彼女に気を遣いながらも、彼女を責め、彼女に勝利報酬を要求した。彼女は意外にも、(まぁ、最初は負けた時でも欲を満たせたからという理由だけで、バッチをくれた程の優しいヤツだから、少しはそうなるだろうと思っていたが。)俺の要求に応えようと、俺に質問内容を訊ねて来た。俺は、今まで抱(いだ)いていた疑問を始めに彼女へぶつけた。

444適当:2013/02/13(水) 18:23:59 ID:5w8OanAg
「よし。まず、ここはどこなんだ?」
「この施設ね?ここはアメリカよ。」
「アメリカ!?アメリカにこんな大きな池がある所があったのか!?」
「いえ、ここは特設ステージよ。自然に出来た場所じゃないの。私が、有利になる為に作られたステージよ。」

“アメリカか。確かに、こんな巨大な謎の施設を建てるには適している。そして、戦闘ステージは特設か。【若葉】と【零下】のステージを体験したから、作っているとは思わなかったな。【光】もあながち、自然じゃなくない。”俺は、彼女から答えを耳にして少しばかり安心し、彼女の発言から生まれた疑問を訊ねた。

「全部のステージが特設なのか?」
「いえ、ここだけだと思うわ。他は、自然にある場所。だけど、坊やが決して出られないようにバリアーがはってあるわ。そうね、ここの一番端っこに行ってみるといいわ。何かにぶつかると思うから。」
「いや、いい。そしたら、君を逃がしてしまう。俺の質問はまだ終わりじゃない。」
「うふふ、これも信用されてないせいね…。いいわ、で?次の質問は?」

“バリアー…か。まぁ、監禁しているのだから当然だな。”彼女は、俺の質問に答え、俺へある程度予測はつくであろう事実を告げ、俺へ行動の催促をはかってきた。だが、俺は彼女の事を完全には信用していないので、彼女の催促を無視し、彼女へ“逃がしてたまるか。”とばかりに言い放った。彼女は、俺の発言を受けて“自分の性格が悪い”と自分に言い聞かせ、俺に次の質問内容を訊ねて来た。俺は、各ステージの番人を倒すにはかかせない情報を訊ねた。

「全ステージのレベルを教えろ。」
「ふぅ…。わかったわ。小娘はどうせ、みんなの名前を喋ったのでしょうから、名前で言うわね。」
「お見通しか。頼む。」
「うふふ。【業火】の番人、スター、レベル52。【氾濫】の番人、私、シャーズ、レベル59。【雷神】の番人、サン、レベル54。【光】の番人、フィ、レベル56。【闇】の番人、ブラッド少尉、レベル62。【若葉】の番人、フィア、レベル53。【零下】の番人、シーア、レベル55。【伝説】の番人、ショーン中尉、レベル70。【幻想】の番人カオス少佐……“UNKNOWN”…。」
「アン…ノウン?」
「未知。知らないの。カオス少佐には会った事無いって前に言ったでしょう?だから、当然レベルもわかるハズが無いの。」

445適当:2013/02/13(水) 18:30:11 ID:5w8OanAg
“随分とすごい構成だな。コイツの強さでも、ブラッドってヤツには3レベル及ばない。【伝説】の番人にいたっては、全く歯が立たないって事か。そして、【幻想】にいたってはコイツもわからないのか。”俺は、彼女の呪文のような長々とした答えを耳に入れ、彼女が、一部の情報を知らなかった事に対して静かに納得していた。俺は、彼女へ戦闘とは関係がない次なる質問を行った。

「メニューには他の国の料理が出るんだが、君の所もそうなのか?」
「う〜ん、わからないわね。昨日は、ラザニアだったし、おとついは、カレーライスだったわ。どう?同じ?」
「全然違うな。あっ、パエリアとかピザとかは出ないのか?」
「“What!? Did you eat these!? (ええ!?この2つが出たの!?)”」
「はぁ…。もういい、好きなだけ喋れ。ああ、そうだ。これで俺は、ここがどこだかわからな…」
「“Stupid. I want to take your position.(ああ、坊やがうらやましいわね。)」

“コイツの英語何回聞いても、下手だな。コイツ、どこの国の出身なんだ!?”彼女は、俺から意外な真実を耳にした為か、俺が何度も聞かせた忠告を破り、俺を不快にさせる強調構文を言い放った。俺は、呆れて彼女に忠告する事を止め、彼女へ“なぜこうもランダムに食事を出すのか?”という質問を訊ねようとしたが、彼女が俺の言葉をかき消すように(本人は、そうゆう風に言ったわけではないと思うが。)俺の発言を気にかけず、強調構文を言い放った。俺は、彼女が強調構文を声に出す度に首を傾げてしまったので、彼女へ気になる事を訊ねた。

「君…本当に発音が下手だな。出身国はどこなんだ?」
「“GERMANY”ドイツよ。」
「ドイツ…。どうりで…。じゃあ、ドイツ語を使えばいいじゃないか。」
「そしたら、坊やに通じないでしょう?“Guten morgen. Wie geht es Ihnen?(おはよう。ご機嫌いかが?)”」
「………。」
「ほ〜ら、やっぱり通じないじゃない。“You can't understand the language GERMANY. OK?(坊やには無理よ。わかった?)”」

446適当:2013/02/13(水) 18:35:48 ID:5w8OanAg
“うん…。確かに意味がわからないな。まぁ、悪口を言った訳では無いと思うが。発音が下手な英語を聞きたくはないが、しょうがないか。俺自身が、ドイツ語がわからないからな。”俺は、彼女から出身国を聞き出すと、彼女へ“出身国の言葉を使え”と提案を出した。彼女は、俺の提案を“相手に通じない”という理由で否定し、俺に出身国の言語が通じない事を証明した。俺は、彼女の案の定、彼女の出身国の強調構文なんて全くわからなかったので、彼女が自分の出身国の強調構文を話しても何も言い返せず、無言を貫いてしまった。彼女は、俺が全く理解できていない様子を見て、ほんの少し俺を嘲け笑い、聞き入れると不快になる強調構文で、俺に言い放った。俺は、彼女の言い分を聞き入れ、再び同様の質問を行った。

「他の隊員(ヤツ)の出身国はどこだ?」
「ふぅ…。それを訊いて何か意味があるの?」
「いいから答えろ。君は、今“フィア”だ。俺の質問には口答えせず答えろ。」
「あっはっは!!わかったわ、面白い坊やね。何を考えているか知らないけど、教えましょう。」
「ああ、頼む。」

“【零下】の隊員(ヤツ)が言った事を理解する為にも必要だからな。まぁ、半分は俺が気になっているだけなんだが。”俺の質問を耳に入れた彼女は、首を傾げて俺へ“何の意味があるんだ?”と訪ね返して来た。俺は、彼女の返答を気にせず“黙って答えろ”とだけ言い放つと、彼女は、無意味な質問に対して、俺の発言があまりにもおかしかったのか、大声で笑って承諾した。俺が彼女へ要求すると、彼女は呪文を唱えるように俺の質問に長々と答えた。

「ふぅ…。【業火】の番人、スター、オーストラリア。【氾濫】の番人、私、シャーズ、ドイツ。【雷神】の番人、サン、アメリカ。【光】の番人、フィ、イギリス。【闇】の番人、ブラッド少尉、アメリカ。お喋り小娘と小娘のお姉さんはフランス。」
「あっはっは。フィアを小娘ってよっぽど腹が立ったんだな。」
「うふふ、当たり前よ。お部屋に戻ったら一発なぐってやろうかしら。」
「それは、やめろ。あんな年端(としは)もいかない娘(こ)をなぐるな。ワザとじゃないんだ、かわいそうじゃないか。」
「わかったわ。続けるわよ?【伝説】の番人、ショーン中尉、カナダ。【幻想】の番人は…わからないわ。どうしてかは言わなくてもいいわよね?」

447適当:2013/02/13(水) 18:40:59 ID:5w8OanAg
“会った事無いから、わかるハズなんてない。それより…アイツはフランスだったのか。ティータイムとか言ってたが、そんなに重要なのか?”俺は、彼女から答えを聞き終えると、新たな疑問が浮かび上がって来たので、彼女に対して肯定の意を示し、彼女へおもむろに訊ねた。

「ああ。君に、一つ訊きたいんだが。フランスは、ティータイムを大事にする国なのか?」
「あ〜、うん、そうね。イギリスとフランスは特に大事にするわ。フィとシーアは、いつも楽しそうに紅茶を飲んでいるわね。あまりにも同じタイミングだから、私の中では“Why?”と思ってるけど。」
「ふっ、俺は“喋るな”と言っているのに、英語で喋る君に“Why?”だけどな。」
「も〜う、いいじゃない。クセよクセ。それより、もういいの?」

“いや、まだある。コイツよりもレベルが上のヤツのは訊いてもしょうがないな。第一段階の最後の隊員(ヤツ)の攻略法を聞いとかないとな。一発で勝つためにも、これはかかせない。”俺は、彼女から答えを聞いて静かに“【零下】の隊員(ヤツ)はどうりで、怒ったハズだ。”と納得し、彼女へ重要事項を訊ねた。

「スターの攻略法を教えろ。四足だから、まず接近はほぼ出来ない。近づく上で、何か注意した方が良いことはあるか?」
「う〜ん、そうね。彼女の主な技は、火炎放射、火炎車、突進、フレアドライブ…そしてブラストバーンよ。」
「フレアドライブ?そして…ブラストバーンというのはなんなんだ?」
「この二つの技は特に気をつけなさい。彼女は、火炎放射に関しては技の発動が遅く見切りやすい。でも、この二つは火炎放射よりも技の発動は遅いけど、かなりの広範囲の攻撃よ。フレアドライブは、突進に近い技だけど突進よりも何倍もの攻撃範囲を持っているわ。まぁ、坊やは足が速いから当たらないでしょうけど、ブラストバーンは特に気をつけなさい。さっきも言ったけど、ブラストバーンだけは絶対に当たってはダメよ。」

“ブラストバーンは当たるな…か。そんなに当たるとマズい技なのか?”俺は、彼女の話を聞き入れると、彼女が念入りに忠告していた事が気になって、彼女へ訊ねた。

448適当:2013/02/13(水) 18:44:35 ID:5w8OanAg
「その技はなんなんだ?」
「火炎放射よりも数十倍威力のある炎…。一撃必殺技よ。」
「一撃必殺だとぉ!?」
「ええ、そうよ。私のハイドロカノンと同じ。当たったら、一気に体力最低値まで追い込まれるわ。もしも、当たったら重度の火傷で何日間も苦しむかもしれない。」
「何日間も…。そうか、で?やたら使って来るのか?」
「いいえ。一撃必殺をしょっちゅう打っていたら、動けなくなって簡単に負けてしまうもの。そうね、たぶんだけど、怒らせたら使って来るんじゃないかしら?彼女のブラストバーンは、自慢される時に見せられただけで、普段使っている所は見た事ないわ。」

“また、一撃必殺か…。う〜ん、簡単にはいかないというワケか。ん?そういえば、フィアはやたらコイツらのボスに脅(おび)えていた。あんなに強いのに、逆らう事が出来ない。なぜ、なんだ?”俺は、彼女からの忠告と助言を頭の中にたたき込み、彼女へ最も危険と思われる質問を訊ねた。

「フィアは裏切りに関してかなり脅(おび)えていた。君のボスは誰なんだ?」
「あっ…。そ…それを聞くの?」
「すまないな。君が死んでしまうかもしれないのに。だが、答えてもらう。俺は、ソイツを許すワケにはいかない。ここから無事に脱出(で)られたら、PIA全協力の下(もと)、君のボスを叩き潰すからな。」
ブンブン
「む…無理よ!!だって、私達のボス…。元帥様は、伝説種族(伝説ポケモン)の“ビクティニ”よ!!」
「伝説…。ビクティニ?聞いた事無いな。」
「あの方は、異常。片手だけで、相手の首を跳ね飛ばすのよ。力じゃかなわないわ。誰も…勝てないのよ。考えても見なさい。だから、フィアちゃんはあんなに恐がったのよ。私も恐い。姿を見ただけで体中から血の気が引いてしまうわ。」

449適当:2013/02/13(水) 18:49:09 ID:5w8OanAg
“ビクティニ…。伝説種族…。ついに、コイツを裏切らせてしまったな。もう、コイツは助からない。俺が、せめてもの救いの手を差し伸べてやるか。コイツに…冥土(めいど)の土産をな。”彼女は、俺に最も危険な重要事項を訊ねられると、何かに脅(おび)えた表情を浮かべ俺へ訊き返した。俺は、彼女の様子が急激に変化し、彼女自身に完全に余裕が無くなった様を見届けたが、俺は、彼女へ遠慮せずに彼女へ質問に答えるように要求した。すると彼女は、俺に訴えかけるように勢いよく禁断事項を語った。俺へ全ての真実を明かした彼女は、俺の質問に答えた後、目に涙を浮かべていた。俺は、彼女から必死の訴えのようなものを聞き、彼女に対して良心が芽生えたので、彼女へ微笑みかけ、彼女の本望(ほんもう)であったかと思われる事を提案した。

「………。裏切ってしまったわ…。ぐっす、私ももう終わりね。あの小娘と同じく、殺されるのね。」
「シャーズ、君はもう助からない。なら、俺が最後に君の望みを聞いてやる。」
「えぐっ…。え?」
「君は、本当はもう一度俺とやりたかっただけなんだろう?闘いじゃなくて…もう1つの方をな。」
「え?そ…それって…。」
「俺は、別にどちらでも構わない。君が決めろ。俺とセックスするか?」

“意外に性交(これ)じゃなかったら、俺が欲求不満みたいに思われてすごい恥ずかしいな。”俺が、彼女の胸の内と思われる事を現実で行動に示すかと訊ねると、彼女は悲しみの表情を一気に喜びの表情へと変化させ、強調構文混じりの肯定の意思を示した。

「“Yes!! Yes!! OF CORSE!!(もちろん!!)”」
「ふっ、この欲求不満な暴力雌(おんな)め。何回同じ事を言うんだ。」
「うふふ、嬉しいわ。あっ、暴力雌(おんな)がじゃないわよ?そこは勘違いしないわよね?」
「わかっている。君と、最初にセックスした時の事を覚えているからな。」
「あはは、あの時は本当にごめんなさい。それにしても…坊やすごいわね。」
「何がだ?」

450適当:2013/02/13(水) 18:53:55 ID:5w8OanAg
彼女は、類義語を連発していたので、俺はいたずら気に微笑み彼女へ辛辣(しんらつ)な言葉を言い放った。彼女は、俺の言葉を気にせず、先程の自分の望みを叶えてくれるという事に、表情に出して嬉しさを表現していた。彼女は、俺に過去の記憶を言われると、俺へ謝罪し、俺をほめ始めた。俺は、彼女が何の事を言っているのか全く意味がわからなかったので、彼女へおもむろに訊ねると、彼女は先程の自分が死に際に立っている事も忘れさせるような、とんでもない事を言い放った。

「ふふ、だって私、一から十までずっと裸よ?私、おっぱいを露出(だ)しながらずっと闘っていたのよ?よく、おちんちんを勃(た)てなかったわね?」
「君と、セックスする気なんてまず起きなかったからな。すまないな、俺は自分に正直すぎる生き物なんだ。というか考えても見ろ。死闘をしているのに、そんな事を考える暇なんてあるのか?俺は、これでも君を敗北(ここ)まで誘導するのに精一杯だったんだぞ?」

俺が彼女へ“興奮しなかった理由”を告げると、彼女は笑って、俺が本来いるべき場所を混ぜて、再度俺をほめたたえた。

「うふふ。さすが、PIAに選ばれるだけはあるわね。こんな事考えてちゃあ、諜報機関(あそこ)なんか行けないわよね。」
「そう言う事だ。逆に、言いたいんだが、なんで朝っぱらずっと裸なんだ。ここは、見られてるぞ?恥ずかしくないのか?」
「え?そうなの?」

“危険信号を出して俺を縛ったくせに、こんな事も知らなかったのか…。”彼女は、俺から逆に訊ねられると、きょとんとした表情を浮かべていた。俺は、心の中で呆れつつも彼女へ真実を告げた。

「らしいな。フィアから聞いた。俺の行動範囲は全て監視されている…ってな。」
「ええ!?ここもずっとぉ!?」
バッ
「きゃっ!!もう!!早く言いなさいよ!!恥ずかしいじゃないの!!」

“これが、俺とここでセックスしたヤツの反応か…。コイツ、バカなのか?”彼女は、俺から衝撃の真実を耳にすると、驚いて目を見開き、前足で自分の胸を隠して、顔を赤く染めて俺へ怒号を放った。俺は、彼女が過去に更に恥じるべき行動を起こしていた事を思い出して、現在の彼女の反応に対して首を傾げて、彼女へ矛盾点を指摘した。

451適当:2013/02/13(水) 19:00:20 ID:5w8OanAg
「あっはっは。君、おかしくないか?君は、ここで俺ともっと恥ずかしい事をしたんだぞ?それなのに、胸を見られただけで恥ずかしいのか?」
「あっ…。あはははは!!それも、そうね。坊やとエッチしている所も見られていたのに、私は何を言っているのかしらね。」
「そう言う事だ。で?いつ始めるんだ?君のステージは午後“6:00まで”だぞ?当然夜まではいられない。」
「じゃあ、今すぐ始めましょう。というか、始めさせて頂戴(ちょうだい)!!私はもう、坊やとエッチ出来るって考えただけで、興奮が止まらないの。」
「わかった。で?俺は、下だけでいいのか?」
「いいえ、坊やも全部脱いで頂戴(ちょうだい)私と同じ条件じゃないと、割に合わないわ。」

“何を言っているかはさっぱりわからんが、本格的なセックスをしたいらしいな。”彼女は、俺に指摘されると自分のあまりにもおかしい発言に対して、大声で笑い俺の指摘を受け入れた。俺は、彼女が自分の意見を素直に聞き入れた事に、少々の嬉しさを感じ、彼女へ再び指摘を行った。すると彼女は、自分の胸の内を洗いざらい俺に伝えて来た。俺は、彼女の急かす言葉を耳にして、承諾を出し、彼女へ“不必要な場所は見せなくてもいいのか?”とばかりに訊ねた。だが、彼女は“そしたら自分と同じ条件にはならないから、不公平だ。”と示す返答をして来たので、俺は首を傾げつつも、彼女が自分に無意味な部分を露出させる目的を勝手に解釈し、彼女の要求に従い、彼女へ生まれたままの姿を提示した。

ジィィィ…
スルスル…
パサッ
「“Wow!! It's great!! You have a NICE BODY!! You are VERY COOL!!(わぁー!!すごいわぁ!!いい体ね、坊や格好いいわ。)」
「最初に俺の体を見ただろう?まぁ、いい。で?フルコースか?それとも、本番だけか?」
「もちろんフルコースよ。坊やこそ、フルコースの意味わかってるの? “Do you understand this mean?”」
「なめるなよ。君よりもわかっているつもりだ。俺は、自分で言うのもなんだが経験は多い方だからな。」
「“Oh,Really? I expect you.(本当?期待しているわ。)”」

452適当:2013/02/13(水) 19:08:50 ID:5w8OanAg
“普通に喋ってくれ…。雰囲気が台無しじゃないか。”俺が、彼女へ生まれたままの状態を提示すると、彼女は興奮して自分の発音が他の者には、決して聞かせられないものであるという事を忘れているかのように、勢いよく強調構文を言い放った。俺は、彼女へ“感想がおかしい”とばかりに言い放ち、彼女へ前戯を導入(い)れるかどうかを訊ねた。すると彼女は、“愚問である”とばかりに言い放ち、俺をからかうような笑みを見せ、逆に聞き返して来た。俺も、彼女へ“愚問である”とばかりに言い放ち、自慢しるワケでは無いが、彼女へこの日までの経験を言い放った。彼女は、俺の言葉を耳に入れると、再度強調構文を用いて、俺に“ワクワクしている”と伝えるような目で俺に告げて来た。俺は彼女の反応を見届け、彼女へ“お互いを興奮させあう順序”を訊ねた。

「さて、どっちからが先だ?君が、先に気持ち良くなるか?」
「ふふ、いいえ。坊やからが先よ。私は、気持ち良くなった後に、更に気持ち良くなりたいから。」
「わかった。口の中に射精(だ)してもいいのか?」
「むしろ、射精(だ)しなさい。」
ペロォォォ…
「雄の味を久しぶりに味わいたいの。」

“うわぁ…。コイツ中々エロイな。可愛さこそは無いが、エロさだけは他の奴の何倍もあるな。”彼女は意外にも俺の質問に対し、否定の意を示し、俺へ理由を述べた。俺は、彼女へ特に何も言わず重要事項と思われる事を訊ねた。彼女は俺の質問に対し、否定の意思を完全に消し去る程の肯定の意を伝え、雄を誘惑するようないやらしい笑みを浮かべて、上唇(うわくちびる)をゆっくりと舌で撫でた。俺は、最初に彼女に強要された時には気がつかなかった、彼女の魅力に気づき、心の中で小さく感想を呟きながらも、直立の姿勢を保ったまま、彼女へ自分のモノを提示した。彼女は、かがんで俺のモノを自分の口の中へ入れ、ほふり始めた。

スクッ…
「うふふ、大きなおちんちんね。食べがいがあるわぁ…。」
チョン チョン
「触ってないで早くしろ。そうしないと、俺は君を気絶させて帰るぞ。」
「あはは、ごめんなさい。」
カパァァ…パクッ
ピチャァ ピチャァ ピチャァ…

453適当:2013/02/13(水) 19:20:07 ID:5w8OanAg
“コイツ、いちいち行動がエロいな。まぁ、それがコイツの魅力なんだろうが。”俺は、彼女の自分のモノを前足でいじり、ゆっくりと口を開き、遅い速度で味わうように俺のモノをほふっていく様を見て、彼女に対していやらしさだけを感じていた。彼女は、俺のモノを遅い速度でほふっていくが、的確に俺の弱点を突いていたので、俺は先程の余裕のある態度を少しずつ崩され始めていた。

「うっ…。はぁ…。」
ピチャァ ピチャァ ピチャァ…
「うっはぁ…。君、上手いな。いつもこんな情報(こと)ばかり頭に入れているのか?」
ピチャァ ピチャァ ピチャァ
「うっ…、絶頂(い)かすまで…答える気無し…か。」
コクッ
チュプ… チュプ… チュプ…
「うっ…。」
ビュク ビュルルルル…

“かなり遅いが、絶頂(い)かされてしまうとは…。経験が少ないのに、まるで全雄とセックスした雌(ヤツ)みたいだな。”俺は、彼女の匠な舌遣いを自分のモノの先端で感じつつも、彼女へ質問を投げかけた。だが、彼女は俺の質問へは答えず俺のモノをほふる事に集中していた。俺は、自分のモノをじわじわと絶頂へ追いつめられながらも、彼女へ小さく語りかけると、彼女は声に出さずに首だけを動かして、肯定の意思を伝えた。ついに、自分のモノの耐久性が0(ゼロ)に近づいたので、彼女へ合図を送り、彼女がうなずいた所で自分の精子(モノ)を彼女の口内へ注ぎ込んだ。彼女は、俺に突発的に精子(モノ)を注ぎ込まれたが、タイミングがわかっていたのか、驚きもせずゆっくりと俺のモノを口の中から解放し、俺の精子(モノ)を飲み干し、雄を誘惑するような表情を強めて、俺へ感想をぶつけた。
ング… ング…
“飲み方もいやらしいな…。”
「ふ…はぁ…。美味しかったわぁ。最高よ、坊やのおちんちんから射精(で)るせ・い・しは。」
「そ…そうか。君、すごいな。君で初めて、“雌にもこんなエロいヤツがいるんだなぁ”と感じてしまった。」
「そう?それより、私の、“おちんちんをベロでなでなでしてあげる”のはどうだった?」
「や、やめてくれ。もう、そんな言い方をするな。俺が暴走してしまうじゃないか。」
「うふふ、ごめんなさい。さて、私はいやらしく絶頂(い)かせてあげたけど、坊やはどんな風にしてくれるの?」

454適当:2013/02/13(水) 19:24:19 ID:5w8OanAg
“それを考えてなかったな。う〜ん、どうしようか。激しくすると、下手な英語を聞かされて気分が悪くなるかもしれないからな…。”俺は、彼女の感想を聞き終えた後、彼女へ素直な感想を伝えると、彼女は俺に強調してくるかのように、雄を誘惑するような声で俺へ訊ねて来た。俺は、彼女の声を耳に入れるだけで自分を抑えている枷(かせ)が外れそうになったので、彼女へ抑止をかけた。彼女は、俺の言葉を受けて謝り、俺へ“お前は何をしてくれるんだ?”と訊ねて来た。俺は、しばらく頭を働かせ、一つの考えに辿り着いたので、彼女へ返答した。

「俺もゆっくり絶頂(い)かせてやる。」
「嫌。私は、激しいのが良いわ。」
「そしたら、下手な英語を聞かされるからな。雰囲気が壊れる。」
「発声(だ)さないわよ。素直に声を出すわ。」
「よし、わかった。なら、いっその事一番激しいヤツにしてやる。」
「一番…激しい?」

“これをやったら気絶してしまうかもな。舌は使わないが、十分だろう。”彼女は、俺の提案に拒否を出し、自らの願望を俺へぶつけて来た。俺は、彼女へ、自分の提案通りに行為を行う理由を告げると、彼女は即答で否定の意思を示した。俺は、彼女が約束を守る事を期待してはいなかったが、彼女へ承諾を出し、意中の雌でさえ、引いてしまうような悪意のある笑みを見せつけて、言い放った。彼女は、首を傾げて俺へ慎重に訊き返して来たので、俺は彼女へ恐ろしい発言を行った。

「ふっ、舌よりももっと激しい愛撫(ヤツ)…。電流指マンだ。」
「で…電流ですってぇぇ!?」
「大丈夫だ。手加減はする。君が、気絶しそうになったら止めてやる。」
「う〜ん…。わかったわ。信じるからね?止めなかったら、一生恨むわよ?」
「ああ、まかせろ。」

“水タイプに電気か。うん、よくよく考えなくても危険過ぎるな。俺は、何って事を言ってしまったんだろうな…。”俺は、彼女が自分の提案を耳にした後、驚愕の表情を浮かべてためらっている様を見て、自分の言動に指摘しつつも、彼女から許可が下りたので、彼女を仰向けにし、彼女の割れ目に指を入れ、微量の電流を流し始めた。

455適当:2013/02/13(水) 19:29:23 ID:5w8OanAg
スクッ…ゴロン
スー ピタ
「うう…。ちょっと恐いわ。」
「大丈夫だ。俺を信じろ。」
スクッ… クチュ…
「あっ!!は…はいったわ。」
ビリッ…
「ああ!!何これ…。」
ビリッ ビリッ
「あはぁ!!ああん!!こ…こんなの初めてよ…。」

“やめた方がいいか?”俺は、彼女の激しい喘ぎ声から懸念を抱き、彼女へ続行するか否かを訊ねた。

「シャーズ、やっぱり止めるか?苦しいだろう?」
ブンブンブンブン
「嫌!!続けて?すっごい気持ち良いわ。なんで耐えられるのかは、不思議だけど…。」
「………。わかった。行くぞ?」
ビリッ ビリッ ビビ…
「あん!!ああ!!あっ…。」
ビリッ ビリッ ビビ…
「あはぁん!!はぁ!!す…すごい!!坊や、上手よぉぉぉ!!」
ビリッ ビリッ ビビ…
「あっ…はぁ!!も…もうダメぇぇぇぇぇ!!」
プシュッ…シャアアアア…

“やっぱり、そうなるよな…。絶頂通り越して、そうなるか。何か…すごい悪い事したみたいだな…。”彼女は、俺の質問に対して首を左右へ激しく振り、続行する事を懇願した。俺は、彼女の意外な反応を受け取った後彼女へ静かに合図を送り、彼女が気を失ってしまわないように、極力加減して彼女の膣(ナカ)へ電流を流した。彼女は、俺が電流を流す度に激しく喘ぎ、自ら限界を訴えると共に、割れ目から勢いよく透明な液体を噴き出すという絶頂のサインを示していた。絶頂のサインの他にも、後から黄色い液体を流し出してしまうという、恥のサインも示してしまっていたので、俺は罪悪感に駆(か)られていた。俺は、心の中の彼女に対する申し訳ない気持ちを頼りに、彼女へ伝えるべき事を告げた。

「シャーズ…。すまない、今の君はかなり恥ずかしい姿だ。」
「はぁ…はぁ…、え?どうなっているの?」
「小便を漏らしている。」
「お…おしっこをぉぉ!?」
「あ…ああ。本当に、すまない。気が澄むまで俺をなぐってくれ。」

“コイツのパンチは相当痛いが、自分で蒔いた原因(たね)だ。”彼女は、俺に指摘されて驚き、急いで体を起こして自分の下腹部を確認し始めた。俺は、彼女へ“申し訳ない”と示す態度を取り、彼女へ自分の顔を提示した。だが、意外にも彼女は、俺に対して怒る事なく、顔と耳を赤く染めて、前足で自分の顔を覆(おお)い隠すという、これまでの彼女の振る舞いからは想像も出来ない仕草を行い始めた。

456適当:2013/02/13(水) 19:34:51 ID:5w8OanAg
パッ…
「きゃあ。恥ずかしい…。本当におもらししてる…。」
「シャーズ、何て言っていいのか俺にはわからない。怒っているだろう?俺をなぐれ。」
「坊や、私は怒ってなんかいないわ。」
「え?」
「坊やにならこんな事されてもいいって思う私がいるの。なんなのかしらね…。私は、自分でも“S”しかありえないと思ってだけど。」

“あれ?コイツも実はM?いや、訊かない方がいいな。なぐられないのは好都合だ。”彼女は、俺の言葉を耳に入れると、顔を覆(おお)っていた前足をどかして俺を見つめ、少し赤く染めた顔を提示しつつも、静かに呟いた。俺は、彼女の言葉を聞いて、新たに疑問が生じたが、彼女の機嫌を損ねないようにする為に、彼女へ質問を訊ねる事を止め、彼女を気遣い、行為の催促を行った。

「シャーズ、恥ずかしいだろう?早く気持ち良くなって、忘れた方がいいんじゃないのか?」
「うふふ、そうね。おっぱい見られて、おもらし見られて…。今日はさんざんね。」
「だが、それも俺とセックスする事で救われる。そうだろう?」
「あっはっは!!自分で言うのね。」

“何で上から目線なんだ…。事実じゃないか!!”彼女は、笑いながらも恥ずかし気に俺の意見に賛同したので、俺は、彼女へ優しい笑みを向けて、彼女へ告げた。すると彼女は、“自分で言うな。”とばかりに大声で笑って俺へ言い放って来たので、俺も仕返しと言わんばかりに彼女へ意地悪気に訊ねた。

「違うのか?なら、帰ってもいいのか?」
「帰らないで!!“Don't get out here!!”」
「“I see. I take the screw with you(わかった。セックスするか)”」
「“Yes,Thank you!!(ええ、ありがとう。)”」
ゴロン
「“Please come here!! Must not you wait me?(来て!!坊や、私を待たせないでね?)」

457適当:2013/02/13(水) 19:40:59 ID:5w8OanAg
“何度聞いても下手だな。はぁ…、俺がドイツ語を分かっていればな。”俺の質問を聞いた彼女は、勢いよく俺に“帰るな!!”と言い放った。俺は、彼女の発言を受けて彼女へ手本を示す訳では無かったが、強調構文で彼女との行為の続行を言い放った。すると彼女は、俺と張り合っているワケではないと思うが、全て強調構文で返答し、その場で仰向けになり、俺へ行動の催促を行って来た。俺は、彼女に肯定の意思を表示する“Yeah”とだけ伝え、彼女の割れ目に自分のモノをあてがった。俺のモノが自分の膣(ナカ)へ挿入(はい)ると、彼女俺に新たな要求を行って来た。

スクッ…
ズュププ…
「あん…。坊やが…入ってくるわ…。」
ズュププ… ピタッ
「あっ!!こ…これで全部ね?坊や、動きながら私とキスって出来る?」
「ああ。して欲しいのか?」
「“YES!! OF CORSE!!(もちろん!!お願い!!)”」

“随分と激しいセックスを好むな、コイツは。”俺は、彼女の要求を聞き入れ、自分の腰を動かしつつ、彼女の口へ自分の口を接触させた。

スッ… チュクッ
「んっ…。」
ジュポ ジュポ ジュポ
チュッ… チャ チャ
「んん!!ん…。」
ジュポ ジュポ ジュポ
チャ チャ チャ…
「んふぅ!!ん…ふぅ…。」
ジュポ ジュポ ジュポ
「ぷはぁ!!ああ!!んっ!!」
ジュポ ジュポ ジュポ
「あはぁん!!はぁ!!はぁあ!!坊や…絶頂(い)きそう…。」

“さっきの電流のせいで、耐久力がかなり落ちてるな…。俺は、もう少し余裕があるんだが。”彼女と俺は、行為を続けながら新たな行為を行い続けていたが、彼女があまりの快感に俺から口を離して、新たな行為を中断し、激しく喘ぎ声を出していた。やがて、彼女は自分自身の限界を俺に訴えて来たので、俺は彼女が絶頂を早く向かえてしまった原因を推測し、彼女へ行為を続行するか否かを訊ねた。

「うっ…はぁ…。シャ…シャーズ、俺はまだ射精(で)ないぞ…。もっと遅くするか?」
ジュポ ジュポ ジュポ
「ああん!!ああ!!そ…そのままでいいわ!!気絶させてでもいいから…早く私の膣(ナカ)に射精(だ)してぇぇぇ!!」
「わ…わかった。気絶したら、すまない!!」
ジュポ ジュポ ジュポ ジュポ ジュポ
「あっ…あああああ!!」
「うおおお!!俺も限界だぁぁぁぁ!!」
ビュク…ビュルルルル…

458適当:2013/02/13(水) 19:45:02 ID:5w8OanAg
彼女は俺の質問に対し、激しく喘ぎながらも拒否の意を示し、俺に行為の速度を速めるように要求して来た。彼女が喘ぎながらも必死に訴えて来たので、俺は彼女の要求を聞き入れ、腰を動かす速度を上げて、自分の中の快感を強めた。すると彼女は、俺と会話も出来ない程、目を激しくつむり、声を池の中でも聞こえる位まで、周囲に響かせていた。俺は、彼女程では無いが、彼女に絶頂のサインを伝えるように声を張り上げ、彼女の膣(ナカ)へ自分の精子(モノ)を勢いよく注ぎ込んだ。後で気付いたんだが…。気絶をすれば、雄の精子(モノ)が入って来る感覚なんて味わえないのではないだろうか。膣(ナカ)に射精(だ)す意味なんて…子供を受胎(つく)る意外に何も無いと思うのだが。この事に気付いたのは、彼女が落ち着き始めた頃だったので、俺は絶頂を迎えた直後には、頭を働かせられず、彼女が気を失ったかどうかを確認する事だけであった。

シーン
「シャーズ…、大丈夫か?」
パチッ…
「はぁ…はぁ…。え…ええ、なんとか。もう少しで…意識が無くなる所だったわ。」
「良かった。これで、満足したよな?」
「はぁ…はぁ…。ええ、ありがとう。でも、ちょっと待ってくれないかしら?」
「え?」

“まだ、何かしたいのか?もし、続けろとか言って来たら…。相当なタフなヤツだな。”彼女は、俺に声を掛けられて目をゆっくりと開き、静かに呼吸をして俺へ無事を伝えた。俺は、彼女が意識を失わなかった事に安心し、彼女へ“満足したか?”と確認を行った。彼女は、息を整えつつも、俺へ感謝の言葉を伝え、俺に次の行動の抑止をかけた。俺は、彼女の言葉を聞いて、驚きの表情を浮かべて彼女へ訊き返した。だが、彼女は俺との激しいを通りこした激しい行為から来る疲労の為か、俺へすぐに要求する事は出来なかった。しばらくして、彼女は息を整え、立ち上がり、俺を見つめて新たな要求を言い放って来た。

459適当:2013/02/13(水) 19:49:21 ID:5w8OanAg
ムクッ…
「はぁ…はぁ…。うふふ、坊や私とちょっとお喋りしない?」
パシッ
ジィィィ…
「ふぅ…。どうして?」
「あら?本当にフィアちゃんはビクビクしてたの?私はもう殺されるのよ?裏切り者でね。」
「あっ…。それも、そうだな。で?何を話すんだ?」
「うふふ、スターを倒せば、坊やはブラッド少尉を除く、全ブイズを撃破した事になるでしょう?私は、それまでの経緯が知りたいの。どうやって闘ったかをね。」

“冥土(めいど)の土産話を聞かせろという事か。もうすぐで…コイツは殺されてしまうんだ。それ位は、話してやるか。”俺は、脱いだスーツを着て、彼女へ無神経極まりない質問をぶつけてしまった。彼女は、俺の質問を受けて“お前が私を殺したんだろう?最期(さいご)の時位は、満足させろ。”と語りかけるように俺へ言い放って来た。俺は、彼女の返答を聞くと、彼女の言い分と自分の行いから、彼女が追いつめられている事を思い出し、彼女へ申し訳無さそうな表情を浮かべて、彼女の要求を聞き入れた。彼女は、俺の質問に対し、“これまでの死闘の内容を聞かせて欲しい。”と言って来たので、俺は彼女へ、最初に手に入れたバッチ以外のバッチを獲得するまでの経緯を話し始めた。

「まず君との闘いの話は無視するとして、【光】の隊員(ヤツ)だな。」
「フィとの闘いね?」
「ああ。アイツはなかなか手強(てごわ)かった。接近戦闘が苦手な事を利用して、俺に接近させ、サイケ光線や催眠術を使って来たんだ。」
「うふふ、手強(てごわ)いわね。それで?どうやって勝ったのかしら?」
「催眠波反射シールというのを使ったんだ。」
「反射シール?」

俺は彼女の質問に答え、新たな話題へと切り替え、彼女へ語った。

「催眠術を無効化にし、相手へそっくりそのまま返す事が出来る不思議なシールだ。」
「へぇ〜、そうなの。催眠術を誘って逆に寝かせたってワケね。」
「ああ、続けるぞ?【若葉】の番人のフィアもなかなか手強(てごわ)かった。“消える”葉っぱカッターを使って来たり、“デカイ”葉っぱカッターを使って来たりな。」
「マジカルリーフとリーフブレードの事ね?うふふ、おまけに二つの特性で状態異常も効かないし、素速さも上がるからね。」
「ああ、全くだ。フィアには、木の上から奇襲して勝ったんだ。」
「“Wow!! You had a radical view!!(すっごい、大胆ね。)”」

460適当:2013/02/13(水) 19:56:44 ID:5w8OanAg
“本当は俺が思いついた作戦じゃないんだがな…。まぁ、いいか。”俺は、彼女が笑いながらも驚いた表情を作った様を見届け、彼女に肯定の意思だけを示し、彼女へ話を続けた。

「そうだな。次は【零下】の番人。フィアの姉のシーアとの戦闘だ。」
「寒くて闘いにくかったでしょう?しかも、一撃必殺技を持っているし、特性もあるからね。どうやって勝ったの?」
“一撃必殺?まぁ、いいか。”
「かなりズルをしたな。今考えれば、これが最も反則な勝ち方だ。」
「へぇ?どうやって勝ったのかしら?」

俺は、彼女へいたずら気に微笑み、彼女の質問へ決して自慢出来ない事を自慢気に答えた。

「焼夷(しょうい)手榴弾を使ったんだ。」
「“What!? BERN GRENADE!? Did you use it!? Was this put there!?(ええ!?焼夷手榴弾ですって!?使ったの!?そんな物があったの!?)”」
「“Yeah. It's secret item. Snow's covered the item.(ああ。隠しアイテムだ。雪に隠れていた。)”」
「“Oh,Really? It's sounds great things that You could discover the item.(本当に?良かったわね。)”」

彼女は、俺から話を聞くとまるで自分の事のように、俺を喜んでくれた。俺は、彼女が親身になってくれた事を表す言葉を耳に入れるも、彼女へ意地悪気に言い放った。

「ふっ、“If you don't speak in HUMAN'S ENGLISH,I'm glad.(君が英語【人間英語】で話さなければ、もっといいんだがな。)”」
「もう、何回言うのよ。イジワルね。“クセ”って言ったでしょう?クセは治らないのよ?」
「わかった、わかった。最後は【雷神】の隊員(ヤツ)。アイツが、一番厄介だったな。」
「サンちゃんねぇ〜。どうして?彼女は、接近中心よ?刀を当てるチャンスはいっぱいあったでしょう?」

彼女は、俺から胸の内を告げられると少し“面白くない”と訴えるような表情を浮かべて、俺に言い返して来た。俺は、彼女の言い分を“しょうがないなぁ”と示すような態度で聞き入れ、話を最終段階へと突入させた。彼女は、首を傾げて俺に理由を訊ねて来たので、俺は彼女へ苦戦を強いられた理由を言い放った。

461適当:2013/02/13(水) 20:02:37 ID:5w8OanAg
「それがな、アイツは刀を禁じたんだ。使われたら、勝てないという理由でな。」
「無視は出来なかったの?」
「ああ。アースグレーネードって知ってるか?」
「ええ。電気タイプ抹殺用の手榴弾でしょう?」
「アレを見せられて脅されたんだ。」

俺が彼女へ真実を告げると、彼女は俺の頭の中にある記憶を読み取ったように、俺へ相槌を出させるような言葉を言い放った。

「“刀を使ったら、僕も武器を使ってやるぅ〜。”って言われたでしょう?」
「ああ。君が言うと、気持ち悪いな。」
「はぁ…。“Stupid. Enough of that,or I'm angried by you?(もう、いい加減にして。怒るわよ?)”」
「あっはっは。すまないな。アイツには、君が、さっき俺と闘っていた時に君が驚いた技を使った。」
「ロケット頭突きね?でも、おかしいわ。坊やは、使う事が出来ないハズでしょう?ピカチュウは、ロケット頭突きを使えなかったんじゃないかしら?」

“え?そうなのか?高速移動と電光石火のタイミングをずらしたら出来たんだが…。”俺がいたずら気に微笑み、彼女をからかうように彼女へ指摘すると、彼女はため息をついて“なぐるぞ?”とばかりに強調構文を用いて、静かに俺へ言い放った。俺は、笑いながらも彼女へ謝罪し、彼女へ話を続けた。彼女は、俺の話を聞いて首を傾げて、俺が耳にした事もない真実を告げて来た。俺は、彼女の話を聞いて疑問が生じたので、彼女へ否定の意を込めた自分の意見を言い放った。

「うん?そうか?高速移動と電光石火のタイミングをずらすと使えると思うがな。」
「ええ!?二つの技を同時に発動(だ)せるの!?」
「やるしか無かった。【雷神】の隊員(ヤツ)は、俺と同じ素速さ中心。俺がアイツよりも速く動けないと、勝ち目が無かったからな。」

彼女は、俺の意見を耳にして楽し気な表情から、一瞬にして驚きの表情へと変え、俺へ思わず訊ねてしまっていた。俺は、彼女の反応に何の感情も抱かず、彼女へ理由を告げた。俺から理由を耳にした彼女は、驚いた表情を保ったまま、小さくつぶやくように俺を褒め称えた。

462適当:2013/02/13(水) 20:19:48 ID:5w8OanAg
「“Wow…. You are genius…. I didn't know who you are so great male….(うわぁ…。坊や、天才ね。坊やがこんなにすごい雄だったなんて知らなかったわ…。)”」
“小声で話すと、下手では無いな。”
「“Thanks a lot. You admire me why I'm glad.(ありがとう。君にほめられてうれしいぞ。)”」
「うふふ、“You are welcome.(どういたしまして)”」
チラッ
「“Oh…The sky get more and more dark…. Do you permit the time being here yet?(ああ…暗くなって来たわね。坊や、時間は大丈夫?)”」
“時間?”
チラッ
「うわぁ!!もうこんな時間か…。すまないシャーズ。俺は、これで帰らせてもらう。」

“5時か…。喋り過ぎたな。というか、周りの変化にずっと気がつかない俺も俺なんだがな。”俺は、彼女からほめられたので、彼女へ素直に感謝の意を伝えた。彼女は、俺の感謝の言葉を受け、空を見上げて俺へ心配そうな表情を向けて訊ねて来た。俺は、彼女に指摘されて自分の腕時計へと目を向けると、【17:00】と表示されていたので、あわてて彼女へ別れを告げた。俺は、彼女へ別れを告げた後リタイアボタンを押そうと腕時計に手を掛けたが、彼女が俺へ行動を抑止し、俺に重大な事を伝えて来た。

スッ…
「待ちなさい!!坊や、刀を忘れてるわよ?」
「あっ…。」
「待っててね、今急いで取って来るから。」
「あ…ああ、頼む。」
タッタッタ…
ヒユッ パシャ…
スィィィ…
パシャ パクッ
パシャ
スィィィ…
パシャン
スタ スタ スタ
パッ…カチャン
「はい。これで大丈夫ね。」

“意外に優しいヤツだな。俺のせいで死ぬかもしれないのに、何でこんなに優しくしてくれるんだ?”彼女は、自分の意志で俺を気遣うような行動を見せたので、俺は、驚き彼女に対して疑問を抱き始めた。俺は、彼女が池の中から俺の刀をくわえて戻り、俺の前へ刀を落とした所を見計らって、刀を拾い、彼女へ理由を訊ねた。

「なんで、こんなに優しくしてくれるんだ?君は、俺に殺されたようなものだぞ?」
「うふふ、坊やの事が好きだからよ。」
スクッ パシッ
「俺の…事が?」
スッ… チュッ
「は?いきなり、何だ君は?」

463適当:2013/02/13(水) 20:23:03 ID:5w8OanAg
彼女は、理由を告げた後俺に合図を送る事なく、俺のほほへ唇を触れさせたので、俺は首を傾げて彼女へ訊ねた。彼女は、俺の質問を受けて優しく微笑み、俺へ抱きつき胸の内と思われる事を呟いた。

ギュッ…
「坊やに会えて本当に嬉しかった。“Dankesehr. Mir gefallen Sie.(ありがとう、好きよ坊や。)”」
「は?」
スッ…カチッ
「え?ちょっと待て!!今何ってい…」
「“GOOD BYE.”」
「ったんだ…。」
シュン
「ふぅ…、行っちゃったわね。もう、いいわ。この軍にはうんざりしてたし、坊やとあんな事が出来たら死んでも悔いは無い。」

俺は、彼女から口付けをもらった後、彼女に自分では到底理解出来ない発言を受けさせられたので、俺は、彼女へ言葉の意味について訊ねようとした。だが、彼女は俺が質問を行う前に俺の腕時計についているリタイアボタンを許可なく押し、俺へ別れを告げた。俺は、彼女から謎の言葉の意味を聞き出せぬまま、【氾濫】のステージから姿を消してしまっていた。

464適当:2013/02/13(水) 20:26:19 ID:5w8OanAg
俺は、広大な池と緑生い茂るステージから、無色の部屋へと姿を戻していた。自分が本来戻るべき部屋の色は確かに存在する。だが、俺が無色と言い切ったのは理由があった。俺がほぼ一日中過ごした場所は、池の水の色、池の周りに生い茂る草の色、そして、【氾濫】の間の番人である彼女がふと空を見上げた時に気付いた、橙色(だいだいいろ)を映(は)やす夕焼けの空と様々な色を奏でていた。周りの景色の色はこれだけと言った所だろう。俺と一日中共に過ごした彼女も様々な色を映(は)やしていた。始めは、俺との再会を幸運に思う喜(きいろ)、次に俺を自分の欲を満たす玩具(おもちゃ)とせんとする悪と対戦相手を恐怖に陥れる畏怖(くろ)、3番目に俺の策に見事にはまってしまい、驚愕し困惑(はい)を見せ、俺の連続攻撃を受けついには降参(しろ)を出してしまう、心の感情(いろ)の変化を見せていた。彼女が映(は)やした感情(いろ)はこれだけでは無かった。俺に質問攻めにされる内に、ついには仲間を裏切り、あげくの果てには、連中に殺されてしまうという恐怖(むらさき)を映(は)やし、俺の気遣いのおかげで再び心に余裕の灯(あかり)をともせ、最後には、俺に本当の思いを伝えるという、真っ直ぐな好意(あか)を映(は)やすという様々な感情の変化(いろ)を俺に披露した。彼女は、自分で映(は)やしたつもりではなかったであろうが、最後に謎(とうめい)を映(は)やす言葉も残していった。透明を色とするかどうかは、議論の余地があると思うが、俺が、この部屋を無色と言った理由は前述の通り、様々な色と感情(いろ)を目に入れたからである。俺は、この無色の部屋に戻った後、中央へあぐらをかいて座り、体を休めつつ、彼女が最後に映(は)やした感情(いろ)を表す謎(とうめい)の言葉について頭を働かせていた。

465適当:2013/02/13(水) 20:29:53 ID:5w8OanAg
スクッ…トスン
スッ…ピトッ
「う〜ん…、アイツは何って言ったんだ?」

俺が、あごに手を添えて真剣に考えていた内容とは、彼女が俺に許可なく抱きつき目一杯の愛情を表現した後に残した、“ダンケシェア,ミィー,ゲファレン,ズィー”という言葉だ。彼女が告げた内容は決して悪い意味では無いと予測は出来てはいたが、それでも、俺はどんな意味であったのか検討がつかなかった。ここに俺の愛する雌である“綾”がいたら彼女の言葉をどう解釈するであろうか。おそらく彼女は、“完全に”意味がわかっても、俺には教えてはくれないだろう。代わりに言われるのは、「あんな事もして、あんな嬉しそうな顔をしていたら、大体わかるよ。仁君、“うとい”なぁ〜。」といたずら気に半(なか)ば俺を下に見るようにからかう台詞(セリフ)だけであろう。俺は、自分では雌に対して“うとい”とは思わなかったが、しばらく考えても答えを出す事が出来なかったので、“うとい”に当てはまるかもしれない。頭をしばらく働かせても答えも推測も思いつかなかったので、【氾濫】の間の番人である彼女が最後…いや、彼女はもう殺されたかもしれないので最期がふさわしいか。最期に残したメッセージを考える事をやめ、もう二度会う予定は無いであろう彼女と過ごした【氾濫】の扉を再び封じる為に、中央に置いてあった“β(ベータ)”と描かれたバッチを拾い、【幻想】の扉の右隣にある9つのくぼみがある装置へと歩を進めた。

ヒョイ…パシ
スタ スタ スタ
ピタッ
“シャーズ…。これで、本当にお別れだ。君が生きていても…俺はもう君に会う事は無いだろう。俺にアドバイスをくれてありがとう…。”
チラッ
“これで…さよならだ!!”
カチャリ
ブーブー
カッシャン…

466適当:2013/02/13(水) 20:34:01 ID:5w8OanAg
彼女がアドバイスをくれたと心の中では呟いたが、正確には“くれた”ではなく、勝利報酬を使って“吐かせた”が正しいだろう。だが、俺は“吐かせた”というような、強制的に彼女に言わせたとは思いたくなかった。俺は、彼女が俺に自らの命を犠牲にしてまで、勝負に賭けていた誇りを優先し、俺に情報を与えてくれたと思っている。もし、俺が彼女の立場であったならどっちを優先するだろうか。愛する雌がいてもいなくても、“情報を出さず、相手よりも力がある事をいいことに、相手に反撃を与える。”を選んでしまうだろう。彼女を拘束し、俺の渾身の十万ボルトという強烈な電流を彼女に流したとは言え、彼女はまだ体力が残っていたワケだし、俺に拘束解放された所をすぐさま攻撃するという事も出来たのだ。掟(おきて)破りの行動であるが、俺が彼女ならば、間違いなく“隙を突いて反撃”を選ぶ。だが、彼女はそれをせずに掟(おきて)通りに、俺に敗北を宣言し、俺の要求を次々と呑んでいたのだ。彼女は賭けた物を相手に与えるのは自分が定めたルールと言っていたが、自分が生、死が掛かっている状況下に置かれるとしても、このルールに従う事はかなりの勇気があり、勝負に対して強い誇りがあると言えるだろう。姿の見えない、今後一切会う事でないと思われる彼女に対して、彼女の耳には届かない別れを告げ、激しい戦闘の汚れを洗い流す為、シャワールームへと歩を進めた。

スタ スタ スタ
ジィィィ…
パサ
スタ スタ
キュッ
ジャアアア…

シャワールームへたどり着くと、俺はスーツを脱ぎ、生まれたままの姿を監禁した連中へと提示し、お湯を出し、激闘の汚れを洗い流していった。体も無事綺麗になり、食事ルームからは鼻をくすぐるようないい匂いが漂って来ていたので、汚れたスーツを洗濯済みの新しいスーツと交換し、洗濯機を起動させ、食事ルームへと歩を進め始めようとした時、下腹部から妙な感覚を感じ始めた。

467適当:2013/02/13(水) 20:40:38 ID:5w8OanAg
ガチャン
スタス…
ピクン ピクン
ムギュウ…
「うっ…。小便がしたい。スーツは、着ていないがどうでもいいか。」
タッタッ…
ガチャン
ジョボボボ…
「ふぅ〜。」

俺が感じ始めた奇妙かつ我慢し難い感覚とは、放尿の意志であった。“どうせ監視(み)られてるんだ。”と考え、スーツは着ずに、生まれたままの姿を保って、体が指示するままに行動し、便器の中へ勢いよく、黄色の液体を放った。黄色の液体を体から解き放ち始めた時に起きるなんとも言えない心地良さを、ため息で表現しつつも、体の中の不必要な液体を全て出し終え、便器の中にたまった不必要な刺激臭を放つ液体を流し、俺はその場でスーツを着始めた。

ジィィィ…
スル スル
“そう言えば、もしもシャーズに負けていたらどんな事をされたんだろうな。”
ジィィィ…
スル スル
“もしかして、あのエーフィと同じプレイをさせられ…いやいや、それは無いか。アイツの性格を考えると、前みたいに暴力プレイだな。”

俺は、スーツを着ながら、彼女との戦闘でのもう一つの未来を想像していた。彼女の性格は、最初に彼女と闘った時にすぐにわかってしまった程の、暴力をふるう残虐な性格である。まぁ、その中には意外な一面もある優しさや、恥ずかしい時は“恥ずかしい”と口に出しながら、前足で自分の顔を覆(おお)い隠すという若干可愛気のある仕草も見せたりはしてくれたが、それは考えない事にする。彼女に負けていたら、相当のダメージ蓄積を味わいながら、彼女の欲を満たすようになっていた事だろう。彼女の性格は、誰がどう見ても“サディスティック”俗(ぞく)に言う“S”というヤツである。俺は、ここに監禁される前は、“S”でも“M”でもない、中間の“ニュートラル”かと思っていたが、【光】の間の番人のあのエーフィに仕返しをした時に、自分は完全なる“S”であった事が発覚してしまった。

468適当:2013/02/13(水) 20:45:16 ID:5w8OanAg
ここで余談だが、“S”が最も苦しむのは、“S”に無理矢理“M”のように仕立て上げられる事である。中には、【雷神】の間の番人のように責めているつもりが、責められている事を心地良く思う、“S”と思っていても実は“M”だった事に気付かずに、その時に自分で気付いてしまう“S”もいるであろうが、これも考えない事にする。俺は、完全な“S”だとわかっていたので、【氾濫】の間の番人から“S”を“M”に無理矢理変更させる程の陵辱(りょうじょく)プレイなんて、受けると考えただけで自分に腹が立ってくる。もし、彼女に負けて陵辱(りょうじょく)プレイを味わされていたら、俺は、数日間冷静でいられなくなるかもしれない。場合によっては、雄以外の対戦相手も徹底的に追い詰め、恐怖を与え、相手を泣かせてしまう事に愉悦(ゆえつ)を感じるかもしれない。それ程、“S”が“S”に陵辱(りょうじょく)プレイを強要されるのは屈辱なのである。さて、ちょっとしたきっかけから、今全く関係が無い、どうでもいい事を述べきった所で、現実世界に戻る事にする。俺は、今用もない所でしばらく頭を働かせ、様々な事を想像しきった後、食事ルームからの匂いに誘われるように、歩を進め、食事を摂り始めた。

スタ スタ スタ
ピタ
「おっ!!今日は、スパゲッティーか。」
スクッ
「俺を混乱させようとしたって、そうはいかないぞ?もう、アイツからここがどこだかを聞いたからな。」

用意されていた食事は、言わない事にする。メインだけ強いて言うなら、小切りにされたウィンナーに、ピーマンやらパプリカが、トマトベースのソースにのっていた事位だ。“これ…、確か正式名称があったよな?”俺は、メインの食事を口に運びながら過去の記憶から、答えに一致する事柄を探していた。だが、一向に見つからず、考えている内に残す所ドリンクだけとなってしまっていた。俺は、そんなに早く食事を次々と口へ入れて入った覚えは無かったが、考える事に集中し、無意識に食べ進めていたか、気が付くと目の前に用意さていた物が無くなっていたという所である。“なんで、俺はこんなどうでもいい事を考えているのだろう…。”俺は、自分でも不思議に思っていたが、メニューの最後の1つの青色の液体を口に運びつつ、更なる無意味な事に頭を働かせ始めた。

469適当:2013/02/13(水) 20:49:50 ID:5w8OanAg
パシッ
ゴクゴク
“そういえば、ここと隊員達(あいつら)が食べている食事って違うらしいな。”
ゴクゴク
“シャーズは、パエリアとピザと言ったらうらやましがっていたが…。”
トン
プハァ…
“ラザニアって…。そんなにマズいのか?”

“というか、ラザニアそのものを知らないんだが…。どんな料理なんだ?”俺は、ドリンクをとは言い難い味のドリンクを飲み干した後、再び考える必要も無い疑問について考えていた。空になったグラスをトレーに置き、しばらくその場で頭を働かせて、様々な想像を浮かべたが、“これじゃないだろう。これでも無いな…。なんか、料理名に合わない。”と自分で“却下”という判断を次々と出していたので、全く結論を導き出す事は出来なかった。出来なかったというよりは、自分で結論を出す事を拒否していたワケだが、俺は自分の矛盾した行動を気にせず、特にする事も無いので、何気になく中央へと歩を進めた。

スタ スタ スタ
スクッ…
“あっ!!刀は…。”
チラッ
“あるか…。さて、何をしようか…。する事も無いし…。寝るしか無いんだが、なんかまだ寝ない方がいいような気がする。”
スッ…ピト

470適当:2013/02/13(水) 20:53:29 ID:5w8OanAg
“う〜ん、今日の振り返りでもするか。”俺は、中央へと座り、あごに手を添えて、行く必要の無いステージで体験した事を次々と思い出し始めた。最初に俺が思い出したのは、彼女との再死闘だったが、用を足している時とバッチをはめた時に十分に、頭を働かせて考えたので、これは考えない事にした。次の次に思い出したのは、彼女への尋問であった。最後の尋問を行った時に、彼女の表情が、恐怖を表す表情へ一瞬にして変化した事を思い出した。“シャーズの話では、ボスはビクティニという伝説種族(伝説ポケモン)。聞いた事は無い。だが、片手で相手の首を跳ね飛ばす程の力の持ち主だと聞いた。「逆らったら殺す。」ともフィアが言っていた。俺には…何も出来ないのか?シャーズとフィアを…救ってやる事は出来ないのか?”俺は、彼女が提供してくれた軍の全貌(ぜんぼう)から、恐怖で縛られている者達を助ける方法は無いかと、あの少女と別れた後に出現した、もう1つの俺には“偽善者”と言われるかもしれないが、俺には“ただ救いたい”という思いしかなかった。俺を実験体として闘わせるとはいえ、隊員達は俺のように“絶対死なないハチマキ”をつけている訳では無い。相手がバッチを得たいがために、“降参させる”のでは無く、“殺し”にくる事だってある。俺がそのような思いに駆られていたならば、まず相手をマヒにし、首を締めて窒息死させる。それか、もっと残虐(ざんぎゃく)ならば、相手の首を折るといった所だろうか。まぁ、相手の方が強いので、俺は相手を持ち上げる事は出来ても、相手の骨を折るという事は、俺の力よりも、相手の肉体の硬さの方が勝(まさ)っていると思われるので到底出来ないだろう。であるならば、当然前述である。だが、俺は脱出に必要なバッチを獲得する事にこだわっているので、相手が降参してくれれば、もうそれ以上は相手に攻撃を加えない。もう一匹の俺は、果たしてそうするだろうか。ずっと頭を働かせている間、もう気が付くと、一匹の俺に対して“ 出てこないでくれ!!”と願う自分がいた。次を…と思ったが、頭を働かせ過ぎてしまったせいか、眠気を帯び始めているのを感じた。“ふぁ〜”と監禁されている者とは思えない程の気の抜けた欠伸(あくび)をし、俺は眠りの世界へと旅立っていった。

471適当:2013/02/13(水) 20:57:44 ID:5w8OanAg
Day13

パチッ…
ムクッ
「ふぁ〜あ…。」
ボー
「うん、なんか良く眠れている気がするな…。」

俺は、様々な事を考え過ぎてしまった為に(考えなくてもここで寝るのだが。)寝こんでしまった所で目を覚ました。その後、起き上がって昨日と同じような、気の抜けた全く緊張感の無い欠伸を1つつき、9つの扉がある方面とは逆の方面を見つめながら、独り言を呟いた。良く眠れていると言ったが、眠れていなくても“睡眠時間は…時間です。”とはどこにも記されてはいないので、眠気が無くなるまで寝てしまえばいいだけの事である。だが、そんな悠長な時間の過ごし方をしてしまうと、一日が無断となってしまう。朝早く起きれば、一日に最高二回まで戦闘を行える。初日から一日に二回戦闘を行いたかったが、その時はまだ力も無く、体力も技も一撃受けただけでもマズい程の体力しか無かったので、それを行う事は出来なかった。俺が一日に二回戦闘を行えるのは、【零下】の間の番人と闘った時や【雷神】の間の番人のように、決まってダメージが少ない時である。食事から体力の補給をさせてくれるドリンクも用意してくれているので、食事を摂った後は時間の許す限り再度、番人へ挑戦を挑む事が出来る。まぁ、【零下】の間の番人を務める彼女からは、“なめているのか?”と勘違いされ、【雷神】の間の番人からは“一日に二回も性交(さ)せてくれるの!?”と故意に驚いたリアクションをとられ、バカにされたわけだが。俺は、朝早く起きる利点について考え終え、食事ルームへと歩を進め、食事を摂った。“いつも考えるタイミングが同じだな…。”俺は、自分に指摘を加えながらも最後の“美味い”とは程遠いドリンクを口に運びつつ、今最も考えなければならない事に集中して考え始めた。

472適当:2013/02/13(水) 21:00:14 ID:5w8OanAg
ゴクゴク…
“【業火】の隊員(ヤツ)の主な技は、火炎放射、火炎車、突進と言っていたな…。”
ゴクゴク…
“その中には危険な技もあった…。”
トン
プハァ…
スッ…ピト
“フレアドライブという突進に似た技と、シャーズと同じ一撃必殺技のブラストバーンという技も持っていると聞いた。発動こそは遅いが、威力はとてつもなく高く…全身に火傷を負うという…。”

俺は、おそらく誰もが“マズい!!”と言うであろう、この世の飲み物とは思えない青色のドリンクを体に全て流し込み、グラスを置いて、あごに手を添えて考えた所で、今最も考えるべき事を考え終えた。“考える”というよりは、“確認する”の方が適した表現だったと思うが、俺は気にせず中央へ歩を進めた。

スタ スタ スタ
スクッ パシ
シュル シュル
グギュッ
シュッピッ
「一発で決めてやる。覚悟しろよ?」

中央へ歩を進め終えた俺は、中央に置いてある刀を背中に結びつけ、【達成】の左隣の【業火】と示された扉に向かって、指を差して伝わらない事を言い放つという無意味な事を行った。すべての準備が整い、“よし!!行くか!!”と自分自身に言い聞かせ、【業火】と示された扉へと歩を進めた。

473適当:2013/02/13(水) 21:05:26 ID:5w8OanAg
シュン…
スタン
「あっ…熱い…な。」
キョロキョロ
ゴォォォ…
「あっ!!す…すごいな…。」

俺が【業火】のステージへとたどり着くとまず初めに感じたのは、夏の暑い日にも劣らない程の異常な暑さだった。あまりの暑さに、“熱い”と呟いてしまった俺は、周りの景色へと目を向けた。俺が目を向けた先には、驚きの光景が待ち構えていた。ステージ全体の主役を表す火山からは、自分の存在を、ここにいる者全てに“ここにいるぞ!!”と叫ぶように、溶岩が流れる音を響かせ、火山の周囲には枯れた灰色の木が所々に点在していた。“火山を使えば、隠れられない事もないが…。でも、熱いだろうな。あの近くへはアイテムがあってもいかないようにしよう。”俺は、高温を体で感じていながらも冷静さを保ち続け、【業火】の間の番人と闘う戦略を頭の中で思い描き始めた。俺が、その場に立ち尽くして火山と周りの木々を見つめながら、戦略を思い描いていると、前方から勢いのある声が掛かった。

ゴォォォ…
ボー
「おい。」
ボー
「おい!!」
「うわぁ!!な…なんだ急に?」

俺が声を掛けられた方向を見ると、火山から噴き出るマグマに近い橙色をした体を持ち、首元には周りの暑さなど気に、むしろ“寒い”と訴えかけるような毛皮のマフラーを巻き、赤色の軍服を着ていた、第一段階最後の番人である、一匹のブースターが存在していた。俺は、彼女から急に大声で呼び掛けられたので、驚き、彼女へ“驚かすな!!”とばかりに静かに訴えた。彼女は、端正な顔立ちで笑顔を作ればなかなか可愛気があると思うが、その表情は絶対に見せないと言い放つように、俺を威嚇(いかく)するように睨みつけ、目をとがらせて俺へ言い放って来た。

「ガキのクセに、成獣(おとな)の言う事はシカトか?てめ…ぶっ殺されてぇんか?」
「すまない…。ん?ガキ?俺がか?」
「ああ、そうだよ。進化もしてねぇピカチュウなんか、高校卒業程度のガキじゃねぇかよ。」

“ガキ…。引っかかるな。”俺は、いかつい彼女の言い分を耳に入れるも彼女へ強く反論した。

「あ〜あ、君も俺の事をガキだと思っているのか?」
「あ?じゃあ、違うって証拠を見せて見ろよ?」
「しょ…しょうこ?それは…」
「無ぇんだろ?だったら、ガキじゃねぇか。黙って成獣(おとな)の俺の言う事を聞けよ。じゃなきゃ、今ここで殺すかんな?」

474適当:2013/02/13(水) 21:13:06 ID:5w8OanAg
“な…なんだこの全く可愛気のないブースターは!!こんなブースターが…世の中にいたのか!?”俺は、彼女から、証明出来無い物を“証明して見ろ”と言われたので、言葉を詰まらせてしまった。俺が、理由を言えないと判断した彼女は、俺へ反論の余地を無くし、“黙って従え!!”と主張して来た。俺は、“顔が良くて小さいのに、カワイイのカの字も出ないヤツだな!!”と思いつつも、彼女へ悪口を言う事を抑え、即座に浮かんだ疑問を訊ねた。

「君は、雌なのに“俺”って使うのか?」
「あ?てめ、今何っつったよ?」
「いや、だから“雌なのに俺って使うのか?”って…」

俺から質問をぶつけられたいかつい彼女は、怒った表情で(最初から怒っているような表情なのであまり変わらないが。)俺へ自分の意見をぶつけて来た。

「雌(おんな)だったら、“俺”って使っちゃダメなのかよ?」
「え?いや…」
「つーかてめ、当てずっぽうも大概にしろよ?俺が、雌なワケねぇじゃねぇか!!バカ!!」

“くんくん…。ウソだな。コイツには惹(ひ)かれる要素は無いが、若干、雄を惹(ひ)きつける匂いは持っている。というか、シャーズから聞いたしな。だが、口答えすると面倒臭そうだから受け入れてやるか。”俺は、彼女に勢い良く意見をぶつけられたので、鼻を動かして彼女の嘘を見破りつつも、彼女へ指摘はせず素直(というよりは演技なんだが。)に謝罪した。

「すまない。君を雌と適当に言ってしまって。この通りだ、謝る。」
ペコリ
「ちっ、まぁ許してやんよ。俺は、優しいお兄さんだかんな。」
“どこが優しいお兄さんだ!!やさしいのやの字も書こうという気すらも起きないじゃないか!!”
「そうか。で、君という呼び方もやめた方がいいか?」
「あ?てめーがガキだから当たり前だろ、んなモンは。さっきから気安く呼びやがって…。ぶっ殺されなかっただけでもありがたく思えよ?」

475適当:2013/02/13(水) 21:16:52 ID:5w8OanAg
“ちっ…コイツぅぅぅ!!”俺は、いかつい彼女に敬意を表して見ると、彼女はふんぞり返って“当たり前だ。”と言い放って来た。俺は、彼女には見せないように心の中で叫び、口を閉じて歯を強くかみしめて怒りを静かに放出(だ)しつつも、“冷静になれ。冷静になれ。”と自分に言い聞かせ、彼女へ敬意を表す演技を続けた。

「あ…ああ、ありがとう。お兄さんのタイミングで始めてくれ…。」
「言われなくてもやってやんよ。でも、ガキ。その前に、てめーに言う事があんだ。」
「え?」

“言いたい事?”俺は、いかつい彼女の発言が気になったので、彼女へおもむろに訪ねた。彼女は、小さく息をつき、先程よりはほんの少し(といってもほとんど変わらないが。)穏やかな表情を見せ、俺へ確認し始めた。

「ふぅ…。俺で最後らしいな?」
「第一ステージの番人の事か?」
「ああ。つー事は、【零下】のヤツもぶっ殺したワケだよな?」
「まぁ、そう…なるな。うん。」

俺が彼女へ肯定の意思を示すと、彼女は俺を強く睨みつけ(何度も言うが、さほど表情は変わっていない。雰囲気と言った所だろうか…。)俺を脅し始めた

「シーアぶっ殺しやがって…。覚悟しとけよ?ガキ。ガキだからって手加減はしねぇかんな。」
「それは、俺を焼き殺すという事か?」
「俺の“ぶっ殺す”は、本当に殺すワケじゃねぇよ!!痛みつけるって意味だよ!!そんくらいわかれ!!バカ!!」
“じゃあ、殺すなんて言わなければいいじゃないか…。”
「すまない。どうぞ、始めてくれ。ブースターのお兄…さん。」
「ああ、だな。じゃあ、始めっからな?」

“コイツ…絶対泣かせてやる!!いや、待て…。やっぱりダメだ。簡単に接近するな…。アイツが、一撃必殺を使ってこないとも限らない。慎重に…慎重にだ。”俺は、いかつい彼女にさんざん言われたので、心の中の叫びを現実のものとしようとしていたが、歯を食いしばって感情を出す事を抑え、相手よりも冷静さを保てるように心掛けた。彼女の合図の数秒後、恒例の戦闘開始の合図が鳴り響く。

476適当:2013/02/13(水) 21:21:00 ID:5w8OanAg
プンッ…
『READY…GO!!』
ボワッ…
「は!?」
メラメラ…

俺は、戦闘開始の合図を耳にした後、戦闘開始の合図を耳にする前の作戦を行おうとその場から離れようとした、だが、いかつい彼女が自ら自分の体を燃やし始めたので、“ブースターって…こんな事…出来たか!?”と目を疑い動きを止めてしまった。彼女は、自分の体を炎で包み上げた後、俺に“とどめを刺す”とばかりに言い放ち、彼女自身が巨大な炎の玉となって俺に向かって来た。

「行くぜ、ガキ。シーアの敵だ!!」
ギュウウウン…
「まさかあれが、フレアドライブか!?」
ギュウウウン…
「くっ、まともに相手してられん!!ここは、退避だ!!」
タタタ…
「あっ!!こら!!逃げんじゃねぇよ!!ガキがぁ!!」
フッ…
タッタッタ…

俺は、いかつい彼女の全身を包む炎を見て“攻撃する際は今の所無い。”と判断し、彼女と逆の方向へ勢いよく駆けだした。後ろから、彼女の声が小さく聞こえたが、俺は全速力を出して彼女から逃げているので、俺の耳には届かなかった。しばらく走り、俺は息を整えつつ、後ろを振り返って彼女を確認し始めた。

タタタ…
キキッ
「はぁ…はぁ…。」
チラッ
シーン
「よし、いないな。一発で勝つ為にも、まずはアイテムを探さないとな。」

俺が後ろを振り返ってもいかつい彼女の姿は無かった。“俺の方が足が速くて助かった…。”俺は、彼女が自分に追いつけていない事に、安心しつつ、自分が宣言した作戦を現実の物とする為、左の方向へ歩を進めた。

スタ スタ スタ…
「おっ!!」
タッタッタ…
「めずらしいな…緑か。」

“緑…。緑は確か回復アイテムだったハズ…。ふっ、これはラッキーだな。”左の方向へ二十歩歩いた所で、枯れた木の隣に、正方形を形取った物がぼんやり見え始めたので、俺は足を速めた。箱までたどりつくと、箱が放っていた色は、火山が放つ赤色に引けを取らない緑色であった。“序盤から、これは助かる!!”俺は、箱の中身を期待しつつ緑色の箱を開けた。だが、箱の中身を見ると、自分の期待を裏切るような物が入っていた。

477適当:2013/02/13(水) 21:25:47 ID:5w8OanAg
ソー パカッ
「よし!!あ…あれ?」
ガシッ ヒョイ
ジー
「こ…これって…まさか…。」

“なんで、ここにあんなマズいドリンクの元があるんだ!!”緑色の箱を開けると、中に入っていたのは、“ミカンに似ている”だけのいかにもまずそうな青色の木の実であった。俺は、木の実が放つ色を見て“絶対にあのドリンクの元だな!!こんな物を食べて回復するぐらいなら、食べない方がマシだ!!そもそも、生き物が食べる実(ヤツ)じゃないだろう…。”と思っていたが、中には木の実と共に収められていた説明書…というよりは、一枚の紙を拾い上げ目を通した。

【オレンの実 体力回復アイテム 体力がそこそこ回復する。】
「は?なんだそれは?そこそこって…こんなにマズいのに…。食べない方がマシじゃないか。」
スクッ…パシ
ジー
「これは、食べないで投擲(とうてき)武器として使うか。食べたくな…」
タッタッタ…
キキッ

“もう追いつかれたか。いや、長居し過ぎただけだな。”俺が一枚の紙に目を通し終え、“食べない。”と決心しきった時、後ろから足音が聞こえ始めた。足音のした方向へ目を向けると、いかつい彼女が息を切らして、俺にうろたえ始めた。

「はぁ…はぁ…。ったく…逃げんじゃねぇよ…。つかれんじゃね…」
チラ
「あっ、オレンの実じゃねぇか。ちぇ〜、んだよそれ。なんで、こんなアイテムが俺のステージにあんだよ…。」
「これか?」
「ああ、そうだよ。あっ、食べんなよ?メンドくせぇかんな。」

“食べるつもりは無い。”いかつい彼女は、息を整えた後俺が手に持つ青色の木の実を見て、“おもしろくない。”と訴えかけるような表情を作り出した。俺が、彼女へ質問すると、彼女は肯定の意思を示し、俺が手に持つ木の実の使用を禁じた。俺は、あらかじめ手に持つ木の実の使用予定が決まっていたので、首を傾げて彼女へ言い放った。

「これは、“食べる物”じゃなくて“投げる物”だろう?」
「はぁ?ははっ!!バッカじゃねぇの?こんな美味しくて、しかも体力も回復する木の実を投げんのかよ?」
「美味しい?あっはっはっはっは!!」
「あ?何がおかしいんだよ?」

俺は、いかつい彼女の言葉を聞いて、あまりにもおかしかったのか、腹を抱えて笑っていた。彼女は、俺を楽しそうに嘲け笑う表情から、一瞬で怒った表情に変え、俺へ質問をぶつけて来た。俺は、彼女に嘲け笑うような表情を向けて、彼女へ返答した。

478適当:2013/02/13(水) 21:31:32 ID:5w8OanAg
「こんなマズい物を美味いって言うのか。お兄さんひょっとして、これ以上に“おいしい物”を食べられない所に住んでいるのか?」
「あ?てめ、どうゆう意味だよ?それは?」
「わからないのか?野蛮だと言ったんだ。」
「あ?ちょっと、聞こえなかったな。もう一回言ってみろよ?」

“チャンスをくれるというワケか。だが、チャンスなんていらない。俺は、お前を恐れてなどはいない。”いかつい彼女は、俺の悪口を“聞こえなかった”と言い、取り消した。だが、俺は彼女を更に挑発した。

「お兄さんって、実は“ゴリラ”だろう?こんなマズい物を美味いって言う位だからな。都会に出て見ろ。もっと、美味い物がたくさんあるぞ?」
ピキッ…
「かっち〜ん。あったまっきた…。ガキ、てめーマジでぶっ殺してやんよ!!」
「“かっち〜ん”って古いな。野蛮だから言葉も知らないのか。あっはっは、傑作(けっさく)だな。そう思うだろう?“ゴリラ”のお兄さん。」

いかつい彼女は、俺の挑発を受け切って憤怒の表情(いままではあまり変わらないと言っていたが、この表情からは少し殺意も感じられる程。)を浮かべ俺へ脅しをかけ、自分の体を燃やしながら(といっても、気をつけなければいけない程大きくはない。炎の一層の層を作る程度)転がり、俺へ攻撃を仕掛けて来た。

「てめぇぇぇ!!ぶっ殺す!!」
ボウッ…
グルン グルン グルン
“きたな、火炎車。まぁ、フレアドライブは連発出来ないって事か。むしろ、好都合だな!!刀でカウンターしてやる!!”
シャンッ
グルン グルン グルン
“そこだ!!”
「アッパーブレード!!」
シュッ…
バシン
「いってぇぇぇ!!」
パタン

いかつい彼女が、自分の刀が当たる距離まで、転がって来た所を見計らい、俺は背中から刀を抜き、下方から上方に突き上げて彼女の背中に強い打撃を与えた。彼女は、俺の刀を受けると同時に動きを止め、仰向けになりながら苦痛の叫びを発声していた。俺は、彼女の体を足で抑えつけ、彼女を転がして枯れた木へ駆け出した。

479適当:2013/02/13(水) 21:39:18 ID:5w8OanAg
「丸まってろ。」
ガシッ ギュッ
フギュッ
「うわぁー!!ガキ、何してんだよ!!解放(はな)せ!!足を、置くんじゃねぇよ!!」
チャッ…ピト
タッタッタ
ゴロゴロゴロゴロ…
「うわぁぁぁぁぁ!!てめぇぇぇぇぇ!!何してんだよぉぉぉぉ!!」
「カウンター!!大車輪返し!!」
ドコーン
「いってぇぇぇぇ!!」
ズルルル…

いかつい彼女は、俺に体を固定され、刀を使って転がされて、枯れた木に衝突させられて苦痛の叫びを、火山から流れ出る溶岩の音に引けを取らない程響かせていた。“よし、屈辱的な負け方をさせてやる。仕返しだ!!”俺は、枯れた木を頭上にして仰向けに倒れている彼女を起こし、電気を用いて彼女の本来の振る舞いからは、想像もつかない姿勢で彼女を固定した。

ガシッ…
「いてて…、てめ…よくもやりやが…」
ムクッ…
「ああ!?今度は何する気…」
ギュッ ギュッ
「だはぁぁ!!てめ…いい加減にしねぇと…」
バチン
「おほぉ!?か…体が動かねぇ…。」

“いい気味だ。うん…なんか微妙に可愛いな。何も出来ない姿といい、このポーズといい。”俺は、いかつい彼女を起こした後、彼女の体勢を低くして両前足の全てがつくようにし、お尻を突き出させた所で、一瞬だけ強い電流を浴びせ、彼女を麻痺(まひ)状態にして身動きを取れなくした。俺は、本来の彼女の振る舞いからは、想像も出来ないような、雄を誘惑かつ若干の可愛気のある姿勢を彼女にとらせた事に満足し、彼女を嘲け笑った。

「あっはっは。お兄さん、4つんばいになって可愛いな。」
「よ…4つんばいぃ!?」
「ああ。おっと、お兄さんの胸についてる…」
スッ…ピンッ
「お…おい、てめ何すんだよ!!返せ!!これで勝ちなワケねぇじゃねぇか!!」

“ふっふっふ、この負け方は屈辱だな!!実に気持ちがいい。”俺は、いかつい彼女の胸ポケットについていた“α”と描かれた、彼女の放つ炎を象徴させるような赤色のバッチを彼女から取り上げ、少しの間、優越感に浸っていた。彼女は、俺へ“バッチを返せ!!”と怒号を放って来たが、俺は彼女の要求へは答えず、彼女へ勝利の笑みを見せつけて言い放った。

「お前を倒す必要なんかない。俺が必要なのは、“バッチ”だからな。」
「ちっ…。ああああ!!」
「おっ、どうしたんだ?動けなくて悔しいのか?」

480適当:2013/02/13(水) 21:43:32 ID:5w8OanAg
俺は、いかつい彼女が怒号を響かせているのを耳にして、よせばいいのに更に彼女を挑発してしまっていた。案の定(冷静に考えてみれば)彼女は、強調構文を言い放ち、俺へ渾身(こんしん)の炎を浴びせた。

「“Damn!! Son of a bitch!! What I'll crash you!!(ちくしょう!!このクソガキがぁ!!ぶっ殺してやろうかぁぁ!!)”」
「は?デェーン…。サノバ…ビッチ?ワライル…クラ…。」
ボゥ…
「“Go to HELL!!(くたばれ!!)”」
ボォォォォ
「ゴウトゥヘルぅぅ!?し…しまったぁ!!」
ボォウン
「ぐわぁぁぁぁ!!」
ジリジリ…
ドサッ

いかつい彼女から死刑宣告を受けた後、俺は彼女に焼かれてその場に仰向けとなって倒れた。彼女が放った炎を受けて、体のどこにも力が入れられない状態となってしまったからか、彼女からぼっしゅうした“α”と描かれた赤色のバッチを手から離してしまい、彼女へ返却する様を提示してしまっていた。俺は、苦痛の表情を浮かべてバッチを見つめていると、彼女の前足がバッチに触れて、バッチを俺の視界から消し去っている様子を見せられていた。“く…くそっ…。バッチが…。”彼女に取り上げられる様を目にして、俺は悔しさを感じていたが、彼女が俺に“一撃必殺技”と思われる技を放った理由を言い放った。

パシッ…
ピンッ パチッ
「てめーが“ズル(反則)”すっから、俺も“ズル(反則)”させてもらったかんな。」
「くっ…、これが、ブラスト…バーンか…。」
スタ スタ
ゲシッ
カチッ
「うっ…。リタイア…ボタンを…。」
「“Shut up!! Get out here!! Crazy kids male.(うっせーんだよ!!帰れ!!バカガキが。)”」
シュー
「く…くそぉ…。」
シュン

俺は、いかつい彼女に理由を言い放たれ、後足で腕時計についているリタイアボタンを蹴られた。リタイアボタンが作動した事に俺はうろたえていたが、彼女からは強調構文で罵(ののし)られ、何も言い返せないまま【業火】のステージから姿を消してしまっていた。

481適当:2013/02/13(水) 21:48:03 ID:5w8OanAg
俺は、【業火】のステージから、暑苦しく感じる事から解放してくれる唯一の戻り場所へと姿を戻していた。暑苦しさから解放されても、俺に一息つく余裕は無かった。なぜなら、先程のいかつい彼女との戦闘で想像絶するような一撃を受け、追加効果に苦しめられていたからだ。追加効果というのは、もちろん火傷の事である。全身を炎で包み込むような激しい痛みが俺を襲い始めたので、俺は部屋中に声を響かせてしまっていた。

ジュウ ジュウ ジュウ…
「ぐわぁぁぁぁ!!」
ゴロン
ジュウ ジュウ ジュウ…
「いたぃぃぃぃ!!く…くそったれがぁぁぁぁ!!」

俺は、真正面から、体を焼き尽くすような炎を受けてしまった後、うつぶせ状態を保っていた為か、想像も絶する激痛に襲われた。痛みを少しでもやわらげる為、立ち上がらずに、刀を背中から外して真横に置き、床に寝転がって仰けの姿勢を取ったが、仰向けの状態とさほど変わらない、想像も絶する激痛に襲われた。“うう…。水で冷やしたいが…。体力が最低値で動く事すら出来ない!!”しばらく、俺は部屋中に声を響かせながら、激痛を部屋そのものに訴え続け、立ち上がる事が出来るようになった所で、シャワールームへ徐々に、徐々に歩を進め始めた。

スタ… スタ… スタ…
「はぁ…はぁ…。」
スタ… スタ… スタ…
「よ…よし、着いた。」

俺は、体力最低値まで追い込まれてしまった為か、普段歩く速度よりもはるかに遅い速度で、一歩、一歩、歩を進めシャワールームへとたどりついた。シャワールームへたどり着いたので、俺はシャワーから勢いよく水を出し、炎で焼かれてしまった部分へ当てた。

キュ キュ
ジャアアアア…
ピチャン ピチャン ピチャン
「ふぅ〜。冷たい…。落ち着くな…。」

シャワーを炎で焼かれた部分へと当てて、炎で焼かれた部分を冷やし、俺は安心を表すため息をついた。しばらくシャワー当て続け、熱が逃げた所を感じ取り、シャワーを止めて、スーツを脱ぎ炎で焼かれた部分の確認を行った。

482適当:2013/02/13(水) 21:52:24 ID:5w8OanAg
キュッ…
ピチョン… ピチョン…
ジィィィ…
スル スル…
パサッ
「うわぁ…。なかなかヒドイな。」
ズキン
「いったぁ!!」
ジン ジン
「いたたた…。厄介だな…火傷は。」

スーツを脱いで、炎で焼かれた部分へ目をやると、スーツのおかげで軽減は出来たものの、俺の体色とは程遠い、少し赤みを帯びていた。赤みを帯びる中には、皮膚の表面が熱に耐えられずに溶けかけている様を見て、青ざめた表情を浮かべていたが、“痛みはまだ終わってないぞ?”とばかりに少々の痛みが再び俺を襲い始めた。痛みに対して、俺は小さく愚痴をこぼし、スーツの下も脱いで、洗濯機の中のスーツと交換し、洗濯機を起動させ、スーツは着ずに食事ルームへと歩を進めた。

スタ スタ
ガチャン ヒョイ
ヒュッ…パサ
ガチャン
ピッ ピッ
スタ スタ スタ
ピタッ
「メニューは、まぁまぁだ…」
チラッ
「がぁ!?な…なんだこれは!!」

俺は、一通りするべき事を終え、スーツは着ずに食事ルームへとたどり着いた。用意されていた食事は、自分の出身国でも極普通に食べられている物(日本食ではない)だったが、ドリンクへふと目を向けると、俺は衝撃の光景に驚き声を上げた。俺が見た光景とは、どんな草、葉にも引けを取らない程の緑と黄(黄緑ではない)を混ぜたような色を放つ液体が入ったグラスが、トレーの上に置かれている光景であった。“抹茶じゃないよな?似ているが…。”俺は、謎に包まれた緑と黄を混ぜた液体に鼻を近づけ、臭いを確認した。

ソー パシッ
ソー
「くんくん。うっ!!」
コトン
「なんなんだこれは!!ものすごく青臭い!!」

483適当:2013/02/13(水) 21:58:21 ID:5w8OanAg
“このドリンク…毒じゃないだろうが、飲まない方が得じゃないか?”俺は、見るからに怪しい液体が放つ臭いを嗅ぐと、想像も絶する(というか、こんなドリンクの元があるなんて想像もしたくはないが。)程の青臭さに直接脳を刺激された。このドリンク…液体は、寝ている時にそばに置かれたらすぐに目を覚ましてしまう程の臭さであった。鼻が利かない生き物は、そばに置かれただけではまだ大丈夫だろう。だが、俺は鼻が利く生き物に族しているので、直接嗅ぐより刺激は少ないものの、微量されど強烈な臭さを感じて飛び起きてしまうだろう。“うっ…、これを嗅いでからグラスを置いた後でも、若干この臭いを感じてしまう…。嗅がなければ良かった。知らなければ良かった!!”意識というものは不思議なものである。目の前にある物に意識を向けていなければ、意外にその存在に気づく事は出来ない。それは鼻もしかりである。俺がこの液体を嗅いでしまった後は、この液体から距離を置いても嫌でも臭いを感じてしまう。俺がこの液体の臭いの存在に気づいてしまったせいである。俺は、謎の液体の存在に気づいてしまった事に強い後悔をかんじつつも、謎の液体の臭いを意識しないようにし、食事を摂った。“くそ…液体(これ)のせいで、メシがあまり美味くない!!”意識しないようにといくら心掛けても鼻が利いてしまう俺にとっては、無理難題の事であった。心の中で、“このドリンクが無ければ良かったな!!”と何度も叫びながら食事を口に運び続け、やっとの思いで食事を摂り終えた。食事を無事摂り終えた所で、俺は謎の液体といつの間にかにらみ合っていた。

ジー
“これ…飲んだ方がいいのか?”
ジーー
“う〜ん。やめようか。やめた方がいいかもしれない。”
カハァ…
“うっ…。”
カラ

“の…喉が渇いた…。これしか…飲む物は無いよ…な?”俺は、謎の液体とにらみ合いながら決断を決めかねていると、自分の口が“飲め!!水分を入れろ!!”と急(せ)かして来るのを感じ取っていた。俺は、体に逆らう事は出来なかったので、謎の液体を手に取り、一気に体へ流し込んだ。

484適当:2013/02/13(水) 22:02:32 ID:5w8OanAg
パシッ
“一気に飲めば大丈夫だ!!”
グイッ
ゴクゴクゴクゴク…
トン
「はぁぁ!!ま…マズい!!マズすぎる!!」
俺は、謎の液体の味を出来るだけ感じないような飲み方を行っていたが、この方法でも謎の液体が醸(かも)し出す味は消す事は出来なかった。謎の液体の味は、色からも想像出来そうにない、脳を直接刺激する途徹もない苦い物であった。“これなら、青いヤツの方がまだマシだ!!”俺は飲み干した後、現実世界で感想を叫び、心の中で謎の液体に批評を出していると俺の体にある変化が訪れた。

シュ…ファァァァ…
「おっ!!」
ファァァァ… シュ
「おお!!痛みが…消えた?まさか…」
チラッ
「火傷が完治してる!!す…すごいな!!」

俺の体に訪れた変化とは、炎で焼かれた為に、少し赤みを帯びていた痛々しい皮膚が、徐々に元の黄色い肌へと戻っていく事であった。俺は直接この変化を見たワケでは無いが、痛みが消えた後に、火傷が消えていたのでそんな所だろう。俺は、火傷が完全に治った事に喜びはしゃぎ出しつつ、スーツを着始めた。

ジィィィ…
スル スル…
「おお!!スーツを着ても痛くない!!」
ジィィィ…
スル スル
ジィィィ…
「あっはっは。こいつはラッキーだな。」

“火傷が治ったから、当たり前の事なんだが…。”謎の液体を体に流し込む前は、炎で焼かれた部分から常に痛みが伝わり、スーツと肌がこすれるだけでも痛みを伴(ともな)っていたので、火傷の痛みが完全に消えた事を喜び、声に出して更に喜びを表現していた。“よし、また行くか。今度は油断しないように…。”体中の喜びを出し切った俺は、【業火】と示された扉へ歩を進めようとしたが、突如急激な疲労に襲われ、その場にうつぶせになって倒れた。

スタ スタ…
「今度は油断しない。必ずか…」
ガクン
「うっ…。」
バタン
「はぁ…はぁ…。はは…、無理は…するなって事か。」
クラ… クラ…
「ブラストバーンを受けたん…だ。あ…た…り前…か。」
カクン
「ZZZ…。」

俺は、抵抗が出来ぬまま、ひざから崩れるように仰向けになってしまい、また極度の疲労を感じ始めたので、自分に言い聞かせ、自分の体に従い【業火】と示された扉の3歩前で眠りの世界へと旅立っていった。

485適当:2013/02/13(水) 22:09:51 ID:5w8OanAg
Day13

俺は、普段とは異なる位置で目が覚めた。目が覚めてすぐに、“いくら体力が底をついていたからと言って、さすがにステージ移動の途中で眠ってしまうというのはどうなんだ?”と思い、その直後に“なんかカッコ悪いな。だらしないを通り越して…。”と自分の中で感じ、静かに苦笑していた。自分を嘲け笑い終えると、俺は食事ルームへと歩を進め、食事を摂った。

モグモグ…
ゴックン
カチャ
「よし、ひとまずは食べ終えた。後は…」
「今までの食事には無かった、水を飲むだけだな。」

“いや、これは本当に水なのか?”俺は、“食べる”物を一通り全て体に入れ、トレーの上に残された透明な液体に目を向け、少しの疑問を感じていた。疑問を解決しようと、透明の液体に鼻を近づけても、特に何も違和感も嫌悪感も抱く匂いは、放っていなかった。何も、匂いを感じないので首を傾げつつも、透明の液体を見ている内に、俺の中で不思議な感覚が生まれた。“これを飲むと、どうなるかはわからない。だが…液体(こいつ)からパワーを感じる。”以前、俺がブレードテイルを使えるきっかけを作った、体の肉質を硬質化する不思議なドリンクを飲む前のように、“毒かもしれない。”とは、今回の不思議なドリンクに対しては思えず、“パワーが貰えるかもしれない。”とだけ感じていた。俺は、自分の感覚を信じ、透明の液体を体の中へ入れた。すると、俺の体にある異変が起こり始めた。

486適当:2013/02/13(水) 22:12:51 ID:5w8OanAg
ゴク ゴク…
トン
「ぷ…はぁ。味は、特に無かったな…。毒では無い。だとしたら“水”だったのか?」
グゥゥン…
「は?」
グゥゥゥン グゥゥゥン…
「何だこの感覚は…。今までより強い電気が出せそうな気がする…。」

俺が体感したある異変とは、体に溜まる電流の限界値が上昇しているように思える感覚だった。その場でじっと何もせずにいると、体の至る所から自分の体に溜まっている電流が、“放出(だ)してくれ!!放出(だ)してくれ!!”と急(せ)かしてくるような感覚までたどり着いたので、俺は試しに、体の電気を勢いよく放出した。

パチン…パチン パチン
「はぁ!!」
バチバチバチ
「う…うぉぉ!?」
パーン ピシュシュイン
「あっ!!な…なんだこれは?」
バチ バチ バチ
ピッシュシュシュ…

電気を放出させると、初めは俺の体の表面で電気が途切れたが、直後に電気が再び俺の体の表面に集まり、方向が散っていた電気達が結束し、最後には俺の体全体を包み込んでいた。“初めて見る、これはバリアーの類か?”俺は、初めて見る光景に驚きつつも、推測を立て、“もし、そうだとしたら好都合だ。これで、アイツの炎は利かない。”と想定し、静かに喜びを感じていた。俺は、体に電気を放出させる事をやめ、中央へと歩を進めた。

スタ スタ スタ
スクッ…カチャン
シュル シュル
グギュ…
「よし、今度は負けない。お前にもう勝ち目は無い。」

中央へ歩を進め終え、置かれていた刀を背中に結び、近い未来の対戦相手に向かって勝利宣言をし、【業火】と示された扉へと歩を進めた。

487適当:2013/02/13(水) 22:17:03 ID:5w8OanAg
俺は【業火】のステージへとたどり着いた。【業火】のステージの象徴である火山は、周りに音を響かせ昨日と同じく自分の存在を誇示していた。そして、おそらく火山が作り出したであろう、強烈な熱気が俺を襲って来た。だが、俺は、昨日のように熱気に対してうろたえる事なく、前を見据えて対戦相手を待ち続けた。火山を無視して前を見続けた数分後、火山と同じく燃え盛るような体色と軍服を身にまとう、いかつい彼女が現れた。彼女は、俺を威嚇(いかく)するような目線を向け、静かに話し掛けて来た。

スタ スタ スタ
ピタ
「よう、ピカチュウのガキ。昨日は、何で俺にぶっ殺されたかわかるよな?」
「反則勝ちをしようとしたからだろう。」
「ああ、そうだよ。んだよ、わかってんじゃん。意外と物分かりのいいガキだな。あっ、誰にでも分かるな。俺が、ちゃんと理由を言ったかんな。」

いかつい彼女は、俺の答えを耳にするが、理由が分かったのは“自分のおかげ”だと主張して来た。俺は、彼女に“理由は違う。”と言わんばかりに訊ねた。

「ブースターのお兄さん、俺が反則勝ちをしようとしなかろうと、結局使ってきただろう?」
「使わねーし。使うワケねぇじゃねぇか。ガキ相手に、ブラストバーンとか成獣(おとな)気無さ過ぎんじゃねぇかよ。」
「ウソだな。面倒だからって理由でバンバン使って来る気がするがな。」
「あ〜あ、うっせーガキだな。てめーが悪りぃんじゃねぇか。つーか、てめー火傷治ってんな。どこでチーゴの実食べたよ?昨日は、オレンしか見つけて無かったろ?」

いかつい彼女は、俺が反論すると聞き手を貸さずに、話題をすり替えて俺に質問を行って来た。俺は、昨日の不思議な現象に見舞われた事を思い出しながら、彼女へ返答した。

そうなんだろ?」
「食べてはいない。飲み干しはしたがな。“チーゴ”ってヤツのドリンクをな。」

いかつい彼女は、俺の返答を受けて、自分で質問内容に用いられている物の料理名を口にし、自分で舌を出しておえつする様を見せ、俺に相槌を求めて来た。俺は、彼女の質問に正直に答え、自分の体を完治させた不思議な効力を持つ物が使われた飲み物を体に入れた事を告げた。すると彼女は、吹き出して大声で笑い、俺を嘲け笑い始めた。

488適当:2013/02/13(水) 22:21:14 ID:5w8OanAg
「ぷっ…ははははは!!チーゴのドリンク飲んだって…だっせぇー!!ガキ、ぷっ…ざまぁみやがれってんだ!!バーカ!!」
「ふっ、“Thanks,You attacked me your fire.(お前の攻撃を受けたおかげでな。)”」
「“Ha?HaHaHa!! You are fool!! You are crazy!! You are son of a bich kids male!!(はぁ?ははは!!バーカ!!バーカ!!クソガキがぁ!!)”」
ピッ

“コイツ、調子に乗りやがって。どの口が優しいお兄さんって言ったんだ?しかも、成獣とも思えない。”俺は、いかつい彼女に罵(ののし)られるも“英語圏(えいごけん)出身なら、面白いジョークを返してくるハズ。”と考え、彼女の悪口を変えるような返答を強調構文を用いて言い放った。だが、彼女は俺の期待を裏切り(というか、半分は期待していなかったんだが。)子供のようにはしゃいで、俺を罵(ののし)り、前足を指して腹を抱えて笑い出した。俺は、彼女の昨日の言動に首を傾げ、彼女へ皮肉を言うように質問を訊ねた。

489適当:2013/02/13(水) 22:23:41 ID:5w8OanAg
「お兄さん、それでも成獣(おとな)か?返しが全く面白く無く、子供っぽい解答なんだが?」
「ははは…。あ?ガキに成獣(おとな)のジョークが通じるワケねぇじゃねぇかよ。“You can't understand my joke forever,Becouse You are fool kids male or son of a bich kids!!(てめーがバカガキだから、俺の冗談なんて一生わかるわけねぇよ。)”ぷっ…ははははは!!あーおっかしー!!おかしすぎんだろ、これ!! “Wow…,It's genius joke. I'm genius BOUSTER,Don't you think my talking about?(すげー、天才だな。俺、天才じゃねぇか。なぁガキ、てめーもそう思うだろ?)”」
「………。“START the Battle.(始めろ。)”」
「はぁ?質問に答えろよ。」
「“Shut up!! Should START the Battle!! Harry up!! I have no time to talk you!!(うるさい。さっさと始めろ。お前とお喋りしている時間なんて無い。)」
「“Ah,haa….OK,OK. Let's start the game.(あ〜あ、わかったよ。じゃ、始めっか。)”」

“コイツは一言多過ぎる。うるさい。これ以上、喋らしてなるものか。”いかつい彼女は、自説を俺に言い聞かせ、自分自身をほめ、俺に相槌を打ってきた。俺は、彼女の質問を受けず、彼女へ“黙れ。早く始めろ。”と言い返すと、彼女は俺を見下すように笑いつつ、俺へ合図を送って来た。彼女の合図の数秒後、恒例の戦闘開始の合図が鳴り響いた。

490適当:2013/02/13(水) 22:29:26 ID:5w8OanAg
ゴォォォ…
プンッ
『READY…GO!!』

俺は、火山が奏でる轟音(ごうおん)が混ざった戦闘開始の合図を耳に入れ、体勢を低くして力を溜めながら彼女を見据えた。俺が何もして来ない様を見て、彼女は俺を再び嘲け笑い始めた。

スゥ…
グッ グググ…
「はぁ?“What are you doing now? Do you forget taking W.C?(何してんだよ?トイレに行くのを忘れたか?)”」
“このゴリラ雌(おんな)め…。目にものを見せてやる。”
「ははっ!!中止してもいいぜ?早く、ウンコして来いよ。あっ、部屋に帰ってからしろよ?ここでしたらぶっ殺すかんな?」
グググ…ピキッ

“よし、溜まった!!受けるがいい。受けた所でお前の負けだ!!ゴリラ雌(おんな)!!”俺は、いかつい彼女の挑発をここで返し、彼女へ戦闘機のように空中突進を放った。

「ランチャーヘッドバッド!!」
ドヒュン
「はぁ!?ロケット頭突きぃぃ!?」
ドヒュウウウ…

いかつい彼女は、俺がこの技を使えるとは知らなかったと思える反応を見せつつも、俺に言い放ち、炎を浴びせた。

「ちっ、くたばれクソガキが!!返り討ちにしてやんよ!!”
ボォォォォ
“今だ!!バリヤー!!”
バチ バチン
ピッシュシュシュシュ…
ボォォォォ…ボワッ ボワン
「はぁぁ!?み…ミラーコートぉぉぉ!?“W…Wait!! Give me a breaaaaak!!(冗談じゃねぇぇぇぇぇ!!)”」
ドグォン
「いってぇぇぇぇ!!マジ、頭痛ぇぇぇ!!」

“さぁ、終わりだ決めてやる。”俺は、いかつい彼女が炎を吹いてくる事を予想して、彼女の炎が自分の手前に来た時に、全身に力を入れて自分の体の表面に電流を放出し、電流を結束させた。彼女の炎の元までたどり着くと、彼女の炎を自分の結束した電流が横へ受け流し、無効化させた。彼女は、予想外の出来事に再び驚き、うろたえながらもとっさに横へ飛ぼうとしていた。だが、俺の攻撃が彼女の行動よりも速かったので、彼女は、俺の攻撃を額に受けて、前足で頭をおさえて悲痛の声を上げていた。俺は、彼女が一時動けなくなった様を見計らって、彼女の体をつかんで、電流を放出(だ)し、彼女の身動きを止めてとどめを刺した。

491適当:2013/02/13(水) 22:32:54 ID:5w8OanAg
ズキ…ズキ ズキ
「いててて…。マジいってぇよ…。」
ガシッ バチン
「うわぁ!?ヤっベぇ!!電磁波くらっちまったぁぁぁ!!」
「とどめだ!!フルスイングブレードテイル!!」
ブン バシン
「ってぇぇぇぇ!!」
ヒュッ…バタン

いかつい彼女の動きを止めた後、俺は体を回転させ硬質化した尻尾を彼女の体へ当てた。彼女は、俺の攻撃を受け仰向け状態となるも、体を起こそうとしながら、俺を睨み付けて返事を行おうとしていた。

「ちっ…。よくもやりや…」
シュッ フシュ
シャン…スチャ
「うっ…。か…刀…。」

“隙なんか与えるワケがない。”俺は、いかつい彼女が体を起こす前に電光石火を使って彼女へものの一秒で接近し、彼女の体を足でおさえて、背中から刀を抜き彼女ののど元に当てた。彼女は、俺に刀を突きつけられて青冷めた表情を浮かべ始めた。俺は、彼女へ刀を突きつけたまま彼女の胸へ手をのばし、勝利の証をつかみ取り、彼女へ言い放った。

スッ…パシッ
「うっ…。バ…バッチ…。俺の…バッチが…。」
「お前が雌だからこの程度にしといてやる。雌を痛みつけるのは、趣味じゃないんでな。」
「な…なんで、俺が雌(おんな)って分かったんだよ?普通…わかんねぇ…だろ?」

俺は、いかつい彼女から訊ねられるも、彼女の質問には答えず、強調構文を用いて彼女へ言い放った。

「“Don't ask me.Ask yourself this ploblem forever. I won't answer you this ploblem.(訊くな、自分で考えろ。俺は答えるつもりは無い。)”」
カチッ
シュイイイン…
「“Bye.As GORELA's female.(じゃあな。ゴリラ雌(おんな)”」
「はぁ!?“W…Wait!! Please answer me this que…(お…おい待てよ!!答えてく…)」
シュン
「ション…。“The reason? I will not be able to find out the answer…。(理由って…。わかんねぇよ…。)”」

俺は、いかつい彼女へ“答えない”と言い放った後、彼女へ捨て台詞(セリフ)を吐き、腕時計のリタイアボタンを押して【業火】のステージから姿を消した。

492適当:2013/02/13(水) 22:35:58 ID:5w8OanAg
シュン…
スタン
「ふぅ…。勝ったな。」

俺は、熱気帯びる間から冷気帯びる間へ姿を戻した。冷気を帯びると言っても、【零下】のステージのようにでは無く“涼しい”と感じる程度である。俺は、冷気帯びる間へたどり着いた後、小さく息をつき、静かに呟いた。その後、俺は先程の対戦相手が口にした言葉を思い出し、自分へ言い聞かせた。

「あれは…バリヤーじゃなくて、ミラーコートって言うのか。」

“うん、便利だな。鏡の鎧(よろい)と言った所…か。技名も変える必要は無いな。”自分へ言い聞かせた後、先程の対戦を思い出し、対戦相手の炎を受け流した事に対して、技名を納得し有利な技を会得出来た事に少々の嬉しさを感じ始め、しばらくたって先程の対戦相手に“一回で勝つ”という目標が達成出来なかった原因を思い出してしまい、極度の恥じらいを覚えていた。俺は、【氾濫】の扉を見つめて申し訳なさそうな表情を浮かべて、彼女に向けて強調構文を伝えた。
チラッ
「“I aplogize not hearing your advice. If you are died by your boss, That's the reason why I hope not to blame me. You permit me to say 【You are fool male.】(君のアドバイスを聞かなくてすまない。君が処刑されても、アドバイスを聞かなかった事で、俺を恨まないでくれ。【バカ】だとは言っていい。)”」

俺は、自分が殺してしまった相手に向かって、決して伝わらない謝罪を述べ、手に持っていた刀を背中に背負(しょ)っている鞘(さや)にしまい、その場に座り込み、“α”と描かれた【業火】の間の番人の炎を主張するような赤色のバッチをしばらく見つめながら、体を休めていた。

試練6 【業火】 完

493適当:2013/02/13(水) 22:47:10 ID:5w8OanAg
試練6 【業火】後書き

この話で使われている英文表現は、全てが正しいわけではありません。例えば、主人公がシャーズに言った、「Anyway,Don't speak in HUMAN's ENGLISH.」という英文がありましたね?この英文を直訳すると、「とにかく、お前は英語を話すな。」となりますが、「だから、英語で喋るな。」と状況と主人公の口調にあわせた形で訳しています。

あとは、まぁまぁ当てずっぽうです(汗)英語表現が間違えてると思った方は、英語を無視して読んで下さい_(._.)_

では、また次回。皆さんさようならノシ。


焔さんの小説アンカ
》421-423

第6話アンカ
》425-492

焔さん中断して申し訳ありませんでした!!続きをどうぞ!!

494適当:2013/02/13(水) 22:50:52 ID:5w8OanAg
アンカ間違えました(汗)

焔さんの小説アンカ>>421-423
第6話アンカ
>>425-492

495適当:2013/02/13(水) 22:52:38 ID:5w8OanAg
すみません(汗)
焔さんの小説アンカ>>420-423ですね。何度も失礼しました_(._.)_

496:2013/02/13(水) 23:33:59 ID:meZTeIUw
>>495
いえいえ。

〜3〜

「あ……は…………はあ……」

凄い顔の色だな。
幸い、アイとシロオは気づいてないし…。
レードも眠ってるからよしと。
さてと、まず。

「ポケモナーに関しては隠すことはないぜ。俺もそうだし。同性愛も……まあ」
「……だ…だってぇ……気付かれてるなんて思わなかったんだもん……」

取りあえず、泣き止ませよう。
俺は一つのモンスターボールに手を掛け、ポケモンを出した。

「でてこい、フィート」


「………え?何この子!?可〜愛い♪」
「ああ、こいつの種族名はニンフィア。珍しいだろ」

497:2013/02/13(水) 23:55:37 ID:meZTeIUw
あ、>>496の『アイ』は『クレナ』と脳内変換宜しくです


「うわ〜、こんなのいたんだ」
「取り敢えず、話を元に戻す。フィートを可愛いと思うだろ?」
「うん、思う」

フィートは親父が、俺が勉強ばっかりで疲れてるだろうからと言って連れてきたから、俺にもよくわからない。

「そりゃそうだ。俺もだ」
「え?」
「俺もポケモナーだからな。同性愛者ではないけどな。はは」

上手いこと言えてないような気がする。
しかも、レードが寝てるからボケが出来ないし……
まあいいか。

「隠し事はバレるからな、隠さなきゃいいさ。そっちの方が恥ずかしくない」
「う………うん、そうだよね!」
「追いかっけて〜ね♪捕まえってみて♪大きな♪夢&夢♪好きでしょ♪」
「クレナお疲れ〜♪……おい、アイと髪長すぎた!お前らも歌えよ」
「だれが髪長すぎただ。今行く」
「うん、行くよ〜」

おい、お前もいい加減起き上がれよ。
そんな所で這いつくばるとゴキブロスにたかられるぞ。

『……いつから?』

ミカゲを出した後から。

『……早いわね。やるじゃない』

まあな。伊達に勉強やって来た訳じゃないぞ。
まあ、お疲れ様。

『うん。今日は疲れたわ。ボールに戻して』

うん、それ無理。だって私は、本当にあなたに 苦 しんで欲しいんだもの。

『………』

まあ、そんな所がお前なんだけどな。
それぐらい解ってる。
後、思い付いたんだが、大学はポケモン関係の所に行きたいな。

「やっぱり、ポケモンっていいな」

end

498名無しさん:2013/02/14(木) 02:02:16 ID:L26oc5rY
なんでもアリなチラ裏ですが、長期利用されているということで前々から気になっていたことをひとつ。

適当さんの表現の中には効果音が多くでてきていますが、そこをもう少し詳しく、地の文で表してみるといいと思います。
地の文の方が表現に深みが増しますし状況把握(表情や場景など)がよりし易くなると思いますよ。

とくに切羽詰まっているというか、シリアスで真剣な部分ではとくに意識すると印象がガラッと変わると思います。

緊迫した場面でドカーンとかバキューンとか、そういうような効果音の表現は、雰囲気を破壊する上非常にシュールになってしまうので。

頑張って下さい

499適当:2013/02/14(木) 03:28:29 ID:yaB7t/Ek
>>498さんへ
恐らくそれは、自分には無理だと思います。なぜなら、敢えて効果音でも場況を伝えたいからです。
あと、某漫画家のような一般には思いもつかないような効果音を生み出し、小説に入れる事に魅力を感じているからです。

まぁ、前のようにいろいろウダウダ言いましたが、いきなりスタイルを変えると「コイツ(作者)の独特な表現はどこに行ったんだ?」と疑問を生じさせてしまうからです。

私の独特な表現が効果音なのですが…そうですか、では、少し効果音を減らして新たに書いてみたいと思います。

9つの試練が終わって他の長編をもしも書くとすれば、そうするでしょう。とりあえず、9つの試練は効果音アリで生きます。

なので、効果音と間の情景描写をあわせてイメージを膨らませて読んで下さい_(._.)_
でも、確かにバキューンとかドカーンとかは子供っぽいですね(汗)

500:2013/02/14(木) 07:05:26 ID:1J4xzJJk
>>420-423+>>497

501ぶんぶんまる:2013/02/14(木) 13:46:37 ID:1XLMlND6
>>499
漫画と小説は違います。漫画には絵があります。場景は絵が全て物語ってくれる。だから効果音が安心して使えるといえるでしょう。

迫力ある絵に更なるインパクトを持たせたい。そのために効果音を使っているのです。字体なども絵(場景)にあわせて変えていますし、「絵のために」効果音があるといっていいでしょう。
一般には思いつかないような効果音というのも、絵があるからこそ魅力がある。絵があってこそなせるワザといえます。

それに対し小説は文字だけで場景も感情もなにもかも表さなくてはなりません。あえてシュールにみせたいようなギャグものならともかく、ガチなバトルものなどに効果音は向かないと思います。
更に、適当氏のものは一般とは違う効果音を意識しているからなのか、何の音なのかさっぱりです。

たとえば↓

スッ…
「待ちなさい!!坊や、刀を忘れてるわよ?」
「あっ…。」
「待っててね、今急いで取って来るから。」
「あ…ああ、頼む。」
タッタッタ…
ヒユッ パシャ…
スィィィ…
パシャ パクッ
パシャ
スィィィ…
パシャン
スタ スタ スタ
パッ…カチャン
「はい。これで大丈夫ね。」

まったく何をしているのか分かりません。歩く音などは分かりますが、パシャンやスィィのところがどんなに考えても分かりませんでした。その歩く音も、統一性がないため本当か確証が持ちにくいですし。
イメージを膨らませて……といわれても、何の音なのかすら分からなければ想像しようがないです。効果音だけで状況を伝えたいということですが、出来ていないと思います。

wikiのほうのラノベ作法研究所のQ&Aにある「擬音語・擬態語は使ってはいけないのでしょうか?」というものの回答にも“使用するのは構わないが乱発は危険”という意見が多くあります。
↑の文も、これでは流石に地の文での情報が少なすぎてわけが分からないです。
擬音などを多用している小説家はプロですし、「タブー、これをやってはいけない!」でも“語彙もない素人が擬音を盲目的に使用するともう目も当てられない駄作になる”と専門家自身がそう書いています。

あなたが効果音を小説にくみこむことに憧れを抱いているのはわかります。しかし、妄想と現実は一致しないものです。
適当氏は作者ですから、効果音だらけの文章でも頭の中ではっきりと場面場面の光景を浮かびあがらせることが出来るでしょう。
しかし読者は文字を「読む」ことでしか情報をよみとることができません。「文字」ではない「音」を読んでも情報はほとんど入ってこないし、状況把握できない分かりにくい小説は正直いうとあまり面白くないです。

今のままでは効果音自体が作品のできを低下させるものでしかないように見えますので、もし独特な効果音を使っていきたいのならまず地の文の情報量を増やすことをおすすめします。
途中変更は逆に混乱を招くでしょうからそれは構いませんが……一応ラノベ作法研究所に目を通されるといいでしょう。
「」の」の前に読点をいれないなど、他にもためになる情報がいくつもありますので。
長文失礼しました

502ぶんぶんまる:2013/02/14(木) 14:49:58 ID:1XLMlND6
いろいろいっちゃったので私もかんたんなの何か書いてみますね↓

『バレンタインの甘い……』

 二月十四日。そう、今日はバレンタインデーだ。そして僕にはかわいいかわいい彼女がいる。リア充爆発しろなんていわないでくれよ?
 それに僕自身もちょっと不安なんだ。彼女とつき合いだしたのは最近だし、彼女はどちらかといえば“ツン”のほうだからね。恥かしがってチョコをくれないかもしれない。そう思うともう、不安で不安で仕方がない。

 どうしようもない気持ちをムリヤリおしつけて、夕食をとる。料理はからきしだから買ってあった木の実を食べるだけなんだけど。……昼頃に彼女からメールが来て、「今日はずっと家にいてほしい」と頼まれたから仕方なく一日を家で過ごしたけれど……夕食作ってくれるんじゃなかったみたいだな……残念。
 こうも時間が空くと、やっぱり不安になってくる。期待だけさせて何もないなんてことはないよね……?そんなことされっちゃったら僕は彼女に何をするか……。って何を考えているんだ僕は

503ぶんぶんまる:2013/02/14(木) 15:32:02 ID:1XLMlND6
※パソコンの不具合で途中書き込みになってしまいました

って何を考えているんだ僕は。こんなことじゃあ彼女に嫌われてしまう。
 僕がするべきことはただ彼女を待つことだけだ。何もせず、こうして座っていればいいんだ、うん。

 目を瞑って深く息を吐く。家のまわりは、何時もにぎわっている街から少し外れたところにあるから結構静かだ。遠くでヨルノズクが鳴く声も聞こえる。僕はその声に聞き入って気を紛らわすことにした。

 ……暫くして、ようやく気持ちが落ち着いてきた。ひとまず彼女と顔を合わせても、いつもの彼氏な自分でいられそうだ。ほっとした僕が閉じていた目を開いたそのとき、玄関のドアを叩く音が聞こえてきた。
 トントントン、と三回。その独特なリズムは彼女のものだった。こんなちょっとしたことにもクセがあるところがまたかわいいんだよね。リア充だなんていわないでくれよ?大事な事なので二回……あ、早くでないとね。

「やぁ、遅かったね。中々こないから、ちょっと退屈しちゃった……よ?」
 ガチャ、とドアを開けて満面の笑みで彼女を迎えた僕は、その姿を見て硬直してしまった。彼女の身体は、茶色くどろどろとした液体でまみれていたからだ。
 状況が分からなくなっている僕の頭の中が、甘ったるい香りで満たされる。そのお蔭で、彼女にかかっているものが何なのかは、すぐに理解する事ができた。

「……バレンタインのプレゼント、もってきたの」
「……え?」
 頭では少しずつ、その意味が理解できている。でも、まさか。彼女がそんなことをするなんて思ってもみなかったからなのか、僕はまだこの展開を認められずにいた。

 でも、彼女にはそんなことはもう関係ないみたいだ。
 彼女はどろどろの身体で、僕を押し倒してきた。甘い匂いが更に強くなって、僕の思考を鈍らせていく。

※用事があるので一旦区切ります、すみません

504適当:2013/02/14(木) 17:41:31 ID:yaB7t/Ek
>>501さんへ
効果音の件はわかりました。今日書いてハッキリとわかりました。では、確実に伝わる効果音だけお伝えしたいと思います。というか、最後に効果音解説いれた方がいいですね(汗)
効果音を抜くと自然と戦闘シーンがまぁまぁ、長くなりますね。逆に効果音を使っているから、なんか内容が薄いなぁ〜って感じていた所も気づかされました。それと、セリフに関して読点をいれてるのは敢えてです。セリフ話している最中に割り込みでセリフを言われる場面をわかりやすくする為なので。

効果音抜いたら、臨場感は出ますし、かなりレスも減りますし、コンパクトになるのでいいですね(笑)←結局お前はどっちなんだ(汗)

ただ、あんまり面白い表現はなくなるかもしれないです。ほとんど、言葉がワンパターンになるかもしれません。効果音無し描写にまだ慣れていないものでして(汗)…。

あっ、中断してすみませんでした!!続きをどうぞ!!

505ぶんぶんまる:2013/02/14(木) 23:42:17 ID:1XLMlND6
「……べて」
「……え?」
「……私を食べてよ」
 突然爆弾発言をする彼女。リア充爆破される前に、彼女のこの発言で僕はもう爆発してしまいそうだ。何がかは、聞かないでくれよ?
 誘うような色目を使って、彼女は僕をじっと見つめてくる。目と鼻の先の彼女の息はハァハァと荒く、顔からは液体──チョコレートがどろりと流れ落ちてきて、僕の顔や胸元を汚した。
 普段からは全く想像できない彼女の言動や姿に魅せられて、僕もその気になってしまいそうではあった。けれど、僕の良識はまだ残っているみたいだ。

「ちょ、ちょっとま……むぐっ」
 待ったをかけようとしてやっと言葉を出せたと思ったら、途中で彼女のお下げで口を塞がれた。グレイシア特有のひんやりとした感覚が顔に、口の中には甘い味が広がっていく。いたずらっぽく笑う彼女の顔は、暗くて分かりにくいけれど、赤くそまっているみたいだ。

 と、その時だ。僕は自分の身体に違和感を感じた。
 熱い。身体の奥底から熱が発せられているように熱い。息も自然と荒くなってきた。汗がふきでてきて、チョコで汚れた毛を更に汚していく。
 戸惑っている僕を見て、彼女は顔を近づけてきた。

「熱い? とりかえておいたから、この前」
「……?」
「この前、ブラッキーの家きたとき、きのみをとりかえておいたの。コレ」
 そういって彼女が目の前にかざしたのは、フィラの実だった。とりかえた……って、じゃあ、僕がさっき食べたのは……。僕は彼女がいっている言葉の意味を理解した。

「……最高のプレゼントなんだから」
 彼女の意外すぎる行動に混乱して、僕はまだどうしていいか分からないっていうのに……彼女は、自分でフィラの実を齧ると、何度か咀嚼して、僕に顔を近づけてきた。

 こんな積極的な彼女は初めてだった。ニセモノなんじゃないかと疑ってしまうくらいだ。一体何があったというんだ。

 ──きて

 僕の視界が彼女の顔でいっぱいになる。いつもツンとしている顔がだらしないくらい乱れた様は、すごく魅力的だった……。

 ──おきて

 ああ、もうこのまま彼女を本当に食べてしまおうか。彼女だってそれを望んでいるんだし、こんなチャンスはもう二度と来ないかもしれない。このまま、朝までたっぷり味わって……

「おきなさいっ、このバカッ!」
「いたっ」
 いきなり頭を叩かれて、僕ははっと我に帰った。目の前にいるのはやっぱり彼女だ。でも、何だかさっきと違う。それに、ここは……

「あ、あれ? 僕達、さっき玄関で……いたっ」
「いつまで寝ぼけてんのよ。何回もインターホン押したのに出てこないから、仕方なく窓から入ってきたのよ。まったく……誰かに見られたら勘違いされちゃうじゃない……! 第一ブラッキーのくせになんで夜寝てんのよ……」
 彼女はもう一度僕の頭を叩くと、ぶつぶついいながらおさげを揺らしてプイッとそっぽをむいてしまった。いつもの彼女だ。つまり、さっきの彼女は……

(夢かぁ……ちぇ)
 僕は小さく溜息を吐く。まぁ、彼女があんなことをするわけがないもんなぁ……。納得はしたけど……ちょっと残念。

「なによ、私がきたのが気に食わないの?」
 残念がる僕を見て、彼女は自分がきたことを不満がっていると勘違いしたみたいだ。
「違うって! で、こんな遅くまで待たせてどうし……むぐ」
 僕は慌ててそれを否定する。
そんな僕をみた彼女は

506ぶんぶんまる:2013/02/15(金) 00:54:25 ID:G1XUC6EU
僕は慌てて否定して、流れ的に本題に入ろうとした、ところでまたしても口を塞がれた。

「な、なんだよぉ……」
「こ、コレ渡しにきたのよ……」
 彼女の言葉を聞いて、えっ、と言いながら押しつけられているものを見る。それは、かわいいデコレーションもなく、箱詰めすらされていない、なんともいびつな……チョコレートだった。


 なるほど、そういうことか。
 彼女は料理が苦手だ。手作りなんて無縁だったとしてもおかしくはない。彼女の性格上、僕に必死で作っているところを見られたくなかったから、家で待っているよう頼んできたんだと思う。まったく……本当にかわいいんだから。

「でもせめて包装くらいは……」
「う、うっさいわね! あんたのために一日かけてつくってきてあげたんだからっ、文句言うんじゃないわよ! いらないんならあげないっ!」
「あ、あーッ! すみませんでしたっ、ありがたくいただかせてもらいますグレイシアさまぁっ!」
 顔を赤らめて目をそらす彼女。普段はツンツンしているけれど……だからこそこうしてデレたときがすごいんだよね。さっきみたいなデレデレな彼女もいいけれど……やっぱり、僕はこの彼女が一番、好きだ。

「ありがとう。グレイシアのあいじょうがこもった手作りチョコ、味わって食べさせてもらうよっ」
「あ、愛情なんてこめてないしっ! ……ま、まぁ、喜んだんならそれでいいけどね……!!」
 顔を赤らめて強がる彼女を観ながら手作りチョコが食べられるなんて、僕はなんて幸せなんだろう……。じゃあ早速……いっただっきまー…… あれ?チョコが、消えた?

「ぶっ、ぶらっきーのばかあぁぁッ!!」
「ふえぇぇぇええっ!?」
 彼女がチョコを持っていることに気がついた瞬間、僕は彼女の本気のふぶきをまともに受けていた。なんで? ただ普通に、チョコ食べようとしていただけなのに……気づかない内に何か悪いことしてたのかな?

 彼女はさっきよりも顔を真っ赤にさせて、ひっくり返って唖然としている僕を残して一目散に窓から出て行ってしまった。一体何が……

「あっ」

 そこで気づいた。
 彼女が出て行ったことで、正面の鏡に僕の姿が映っていた。その、ひっくり返った僕の股からは……パンパンにふくれたモノがしっかりと天井をむいてそびえていた……。

 あんな夢を見てしまったんだから仕方がないと言えばそうだけれど……今回ばかりは、僕は自分の愚かさをただただ悔やむばかりだった。


 翌日、あやまりにいった僕が、彼女に氷付けにされたのはいうまでもない。


おしまい

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パソコンを本気で殴ろうかと思った。書いた部分が不具合で一回全部消えました……。おかげでバレンタインすぎてしまいましたね。

ひどすぎる作品、しつれいしました。パソコンの不具合もあって余分にレスを消費してしまい、よみにくくしてしまってすみません。

いちおうですがアンカ貼っときますね。
>>502-503
>>505-506

507ぶんぶんまる:2013/02/15(金) 01:01:40 ID:G1XUC6EU
あら、“ 家のまわりは、何時もにぎわっている 街から少し外れたところにあるから”っておかしいですね;
それにドア叩いてたのがインターホンになってるし……急いでいたから確認していませんでした。

矛盾すみません。

508適当:2013/02/15(金) 22:01:39 ID:UJk5Qh6k
ぶんぶんまるさんへ
いえいえ、あなたの作品を読ませていただきましたが、面白かったですよ。主人公であるブラッキー君は、雄であるにもかかわらず、格好良さではなくて、可愛さが出てます(笑)

私が、これから血に飢えた狂った敵のブラッキーが出てくる話(第7話)を載せる事を考えると、敵の恐ろしさが緩和されていいと思います(笑)

頂いたアドバイスを取り入れて、戦闘シーンもかなり…なのかな?シリアスな展開に仕上げるつもりですので、可愛いブラッキー君と可愛いグレイシアちゃんのバレンタインストーリー載せて下さってありがとうございます_(._.)_

509ぶんぶんまる:2013/02/16(土) 02:35:47 ID:PQ/X.13E
素人が書くべきではないかなと思いましたがちょうどバレンタインでしたし、色々言ってしまったこともあるので“自分が考える限りの表現”で書いてみようと思いまして;
あんな作品を褒めていただけて恐縮です。

ひとつひとつ細かく書くことで、薄っぺらさはなくしていけると思います(細かくなりすぎても読みにくくなるということもありますが)
シリアス場面は淀んだ雰囲気をどう表現するかでいろいろと変わってくるでしょうし、適当氏独自の表現を追及されてみてもいいかもしれません。

お目汚ししつれいしました。今後の筆記も応援させていただきます……。それでは。

510:2013/02/21(木) 22:34:56 ID:rGKdN.gY
前の作品、中途半端でポケモンも活躍しないで終わったんですが、次の作品を出してもいいんですか?

511名無しさん:2013/02/22(金) 01:04:35 ID:lQ0xIzEo
完結してるなら問題ないかと…

512適当:2013/02/24(日) 10:29:02 ID:Dbksyv72
今から、第7話投下致します。温かいめで見守っていて下さい(笑)

513適当:2013/02/24(日) 10:31:39 ID:Dbksyv72
試練7 【闇】

Day13 【15:00】

【業火】の間の番人への勝利を象徴する、燃え盛るような赤色の“α(アルファー)”と描かれたバッチを見つめながらその場に腰を下ろしていると、先程の死闘での疲れが、いつの間にかやわらいでいる事を感じた。昨日は、【業火】の間の番人を挑発し過ぎてしまった為、相当な痛手を負ってしまったが、今日は、彼女と闘っても痛手を負うこと無く、無事に彼女に勝利する事が出来たので、この程度の休憩で、再び思いっきり闘う事が出来る。肉体は、確かに回復し切った。だが、精神は未だに回復はしていなかった。なぜなら、体を休め始める前の、【氾濫】の間の番人に対しての感情が未だに残っていたからだ。【氾濫】の間の番人は雌である。普通は、彼女に対しての感情と言えば、恋心もしくは、暴力とは正反対の意外な優しさに驚くかの二つ、強いて彼女に抱く感情をもう一つあげるなら、彼女に勝てて、陵辱されずにいられて“良かった。”と安心する感情である。だが、俺が未だに払拭(ふっしょく)しきれない感情は、今あげた感情にはどれも当てはまらなかった。恋心を抱いている場合などではない。驚いている場合ではない。はたまた、彼女の恐怖から解放されて“安心”している場合ではない。俺は、もう殺獣者(ポケモンを殺す事)に成り下がったような者であったからだ。俺が、彼女に情報を吐かせて裏切らせ、殺したと言っても過言では無いだろう。俺が、彼女に直接手を加えてないとしても、俺が彼女が殺される原因を作ってしまったので、その言葉以外は、当てはまらないのである。体を休め始める前彼女に対して心から謝罪しても、俺は罪悪感を拭いきる事は出来ないでいた。しまいには、“本当は、俺は負けた方が良かったのではないか?”という事まで思い始めてしまっていた。自分が彼女に負け、彼女から陵辱される事を選んだならば、自分自身にかなりの憤(いきどお)りを感じてしまうも、彼女が死ぬ事は無かったのである。俺は、【若葉】の間の番人である、あのあどけない少女の脅(おび)えた表情から、“敵に情報を流したら殺されてしまう。”という事を感じ取っていた。にもかかわらず、“自分がいち早くこの施設を脱出する為”とは言え【氾濫】の間の番人である彼女にも、同様の事を行わせたのである。情報を吐かせる事しか、彼女との死闘の勝利にふさわしい物は無かった。だからと言って、彼女を殺す事は果たして許される事なのだろうか。

514適当:2013/02/24(日) 10:35:07 ID:Dbksyv72
俺は、一昨日(かこ)に戻って自分の間違った行動を止めたかった。少女を助けた後の少女と過ごしている時間に戻って自分の間違った行動を止めたかった。だが、俺には一昨日(かこ)に戻る事も少女を助けた後の少女と過ごしている時間に戻る能力はない。であるが故(ゆえ)に、俺には過去の行動を訂正する事は不可能であった。“シャーズ、フィア本当にすまない。俺には、タイムスリップなんて事は出来ないんだ。時間を戻す事も出来ない。死んでしまっても…。俺のせいで殺されてしまっても、どうか俺を恨(うら)まないで欲しい。”俺は、もう一度間接して殺獣してしまった相手に心から詫びた。謝って許されるものではない。そんな事はわかりきっていた。だが、俺に出来る精一杯の事は謝罪(これ)だけであった。自分が時間を戻す事が出来たならどんなに良かっただろうか。自分が過去に瞬間移動出来たらどんなに良かっただろうか。自分にこの二つの能力が無いとしても、この二つのどちらかを可能にしてくれる不思議な生き物(可能だとすればおそらくポケモンだけであろう。)がここにいてくれたらどんなに良かったであろうか。時を操る生き物…。そんな科学でも、念学(エスパー学。主にエスパータイプが学ぶ。)でも実現する事が出来ない事を、いとも簡単にやってのける生き物なんているのだろうか。俺は、22年間生きて来てその情報(こと)を耳にした事は無い。俺でなくとも“時を操る生き物”なんて情報は耳にした事は無いはずである。もし、“時を操る生き物”がいたとするならば、間違いなく伝説種族(伝説ポケモン)に属するハズである。だが、まず時を操る生き物がいるという事は考えられない。いくらなんでも、“時間を操る”なんて事は不可能では無いだろうか。“時間を操る”と対比関係にある“空間を操る”事に関しては、無きにしも非ず(ないわけではない)と言える。念の力を持つ者は、超能力で相手を浮かせる事が出来るので、強大な念の力を持つ者は“空間を操る(と言っても、別空間に変えるという意味ではない。空間を制すと言った所であろうか。)”は不可能では無いハズである。“俺は、過去には戻れない。シャーズ、フィア俺を許してくれ。”俺は、叶わない願望を心の中でつぶやき、自分が殺してしまった相手には、決して伝わらない謝罪を行い、罪悪感に押しつぶされそうになる事を避ける為、何かを自分に言い聞かせた。

515適当:2013/02/24(日) 10:38:44 ID:Dbksyv72
「とりあえず、バッチをはめよう。少しは…気が楽になるハズだ。」

俺が自分に言い聞かせた事とは、勝利の証を手にした際に何度も行っていた“9つのくぼみにバッチをはめる”という事であった。俺は、【幻想】と示された扉のすぐ右隣にある9つのくぼみへ歩を進め、自分自身に語りかけた事を実行に移した。

スタ… スタ… スタ…
スッ…カチャリ
ブー ブー
ガッシャン

俺は、番人への勝利を表す証をはめ終えた後に聞こえる、一番左奥の方から鍵をかける音を静かに耳にしていた。9つのくぼみに、1つ1つ自分の勝利の証をはめる事は嬉しい事であるが、鍵をかける音を耳にしても、未だに、自分が殺してしまった彼女達に対する罪悪感にとりつかれていたので、自分自身の気分転換の為、【業火】の間の番人から奪った勝利の証が、【業火】と示されたプレートの下にはまっている様を見つめながら、心の中で何かをつぶやいた。

ジー
“そう言えば、あのスターって隊員(ヤツ)全く可愛気が無かったな。まるで、自分を雄のように思いこんでいる。”
ジー
“それにしても、アイツは口が悪すぎはしないか?初対面の時から、あんな言い方をしやがって…。常識外れもいいとこだ。”
ジー
“しかも、ジョークも面白くないしな。アイツの方がよっぽどガキじゃないか。”

俺は、【業火】の間の番人であるあのいかつい彼女に対して、勝手に批評を行っていた。彼女との会話を思い出すと、彼女が成獣(おとな)とは思えない振る舞いばかりをしていたので、“成獣(おとな)ぶっているだけなんじゃないか?”という結論を導き出した。いかつい彼女は本当は雌。だが、彼女の振る舞いは誰もが雄と言ってしまう程の悪い振る舞いであった。更に、雄、雌関係無く言える悪い点も上げられる。初対面の対戦相手に対して、やたら“ぶっ殺す”と言うのはどうだろうか。彼女を見て誰もがこう思うハズだ。“口が悪い。非常識だ。”と。彼女は、端正な顔立ちで笑顔を見せればなかなか可愛気があると思われる。しかし彼女は、自分で雄に嫌われるような(雌から見ても、アイツを好きになれないと思う。)振る舞いを行ってしまっているので、この利点を自分から台無しにしてしまっている。なぜこうも彼女は、可愛く振る舞わないのであろうか。

516適当:2013/02/24(日) 10:43:26 ID:Dbksyv72
俺が大学生の時に、同じ学科を専攻していた一匹の雌のブースターは、彼女よりは若干端正な顔立ちでは無かったが、彼女よりは何倍も可愛気があり、自分を可愛く振る舞う事に努力を惜しまないでいた。努力していたと決めつけたのは、俺が何も知らないだけであると思うが、彼女は見た目もかなりのオシャレ屋であった。オシャレと言っても、俺が通(かよ)っていたのは、軍隊養成大学なので、体の全部を着飾る事は出来ない。大学から支給される雌の可愛さを力強いイメージに変えてしまうような軍部でも、彼女は同じ学科を専攻する雄(もの)達を魅了(みりょう)していた。更に彼女は可愛さだけでは無く、面白さも兼ね備えていた。一度、冬の時期に彼女が、チェック柄の赤色のマフラーを巻いて大学に来ていたので、“炎タイプなのに、マフラーを着けるのか?”と彼女へ問うて見た所、「炎タイプだからって寒くないワケないじゃ〜ん。決めつけは良くないよぉ〜。」と笑顔で返してくれた。“ああ、なかなかカワイイ生徒(ヤツ)だな。”とは思いつつも、俺は冗談で“首に巻いているじゃないか。これは、マフラーだろう?”と返答した。すると彼女は、いたずら気に微笑み、「備えあれば、うれい無〜し!!そう思わない?」と明るい声で返してくれた。ここで考えて見て欲しい。炎タイプは、普通のどのタイプよりも標準時の体温は高い。この時点で冬に直面しても、あまり寒くは感じないハズである。俺は、冬に直面しても肌寒いとは感じるが、“寒い!!”とまでは感じなかった。電気タイプだから、標準時の体温がまぁまぁ高いというのもあるが、彼女はその上を行く体温を持っているハズである。更に彼女は、俺とは違い毛布のような毛が生えている。俺の毛は、彼女に比べると3分の1に満たない程の毛(と言っても、自分のモノは隠せる程の毛は持ち合わせてはいる。興奮したら、自分のモノが露出(で)てしまうので、相手にわかってしまうが…。)。この二つの条件を満たしているなら、少なくとも俺より“寒い!!”と感じる事は無いハズである。にもかかわらず、彼女は“寒い!!”と信じられない発言をし、十分に暖かいハズなのに、首にマフラーを巻いて防寒対策を行っていたのである。俺は、彼女の発言と彼女が最初から持ち合わせている防寒条件を照らしあわせて、あまりにもおかしいと感じたので、彼女の発言を聞いた直後に思わず笑ってしまった。

517適当:2013/02/24(日) 10:48:51 ID:Dbksyv72
笑いながらも、“マフラーを取られたら、どんな反応を見せてくれるのだろう?”という好奇心が湧いて来たので、話を終えた後、彼女が俺から離れようと後ろを向いた時を狙って、彼女の首に巻かれているマフラーをほどくというイタズラを行って見た。すると、彼女は可愛らしい悲鳴を上げ、俺に故意(おそらく故意であったと思われる。)に抱きつき、「も〜う、さ〜む〜い〜。仁君何してんのぉ〜?」と笑顔で俺に訊ねて来た。俺は彼女の問いに、“寒いなんてウソだろう?俺の方が君よりも寒い。君には、コイツ(マフラー)は必要ないハズだ。だから、コイツは俺がもらう。”と冗談で返したところ、彼女はいたずら気に微笑むような、俺に甘えるような微笑みを見せ、「じゃあ、もらっていいよ。あげる。その代わり、仁君のせいで寒くなったから、責任取ってね?」といかにも、俺のイタズラを待ち受けていたかのような発言を行って来た。俺は、彼女に笑顔を向け“ああ、いいぞ。”と彼女の望み(望みだったのだろうか。それとも、俺がただ受け入れ、彼女を抱き締めたかっただけだったのか…。)を叶える肯定の返事を行おうとしたが、周りの雄達(せいと)からの、“お前、そこで何をしているんだ?ソイツといちゃいちゃしている所を俺達に見せて、ケンカを売っているのか?”という体に穴が開くような目線に気づいてしまったので、彼女に黙ってマフラーを返し、彼女に一言“すまない。それは、出来ない。”と否定の返事で返してしまった。彼女は、急に畏(かしこ)まった俺の態度の変わり様(よう)を見て、首を傾げ、「なんで?抱擁(や)ってくれる流れだったじゃ〜ん。”と少し不満気な表情で俺に理由を訊ねて来た。俺は、彼女に理由を言葉で伝えず“周りを見ろ。”というサインだけ送った。彼女は、俺のサインを理解し、“え?”と言うような表情を見せ、周りを見渡し、周りの雄達(せいと)から俺がにらまれているのを見て仕方無く現実を受け入れた。

518適当:2013/02/24(日) 10:54:47 ID:Dbksyv72
今に思えば…。綾と出会うのは、高校3年次の時。俺が、語ったのは大学1年次の時。もしも、綾との出会いが無く、あそこで雄達の目を気にせずに、彼女の望みを受けていたら、俺は、面白い返しをしてくれるオシャレ屋のあの生徒と交際していたかもしれない。雌のブースターは嫌いでは無かったので、おそらくそうなっていただろう。“おっ、何だか気持ちが晴れて来たな。”俺は、過去の思い出に一匹でに浸った事により、先程の彼女達への罪悪感が薄れ、(俺に情報を与えて犠牲になってしまった彼女達には悪いが。)食事ルームから放たれる匂いが俺を誘惑し始めたので、俺は食事ルームへと歩を進めた。

スタ スタ スタ
ピタッ
「おっ!!今日もまた、違うメニューが…。」
ジー
「ひさしぶりだな。こいつを食べるのは…。」

食事ルームへと歩を進め終え、用意されていた食事へと目を向けると、トレーの中を少し大き目の皿が占領していた。トレーを占領していた皿に乗っていたのは、黄色の中にほんの少し白身が入った香ばしい香りを漂わせた絨毯(じゅうたん)が、何かを覆(おお)っていた。黄色の絨毯(じゅうたん)には赤い日常的な匂いを放つ液状のものが掛かっていたので、俺はこの料理が何であるか、そして黄色の絨毯(じゅうたん)の下には何が隠されているかを、すぐに理解する事が出来た。俺は、トレーを占領している皿を眺め終え、トレーの上に乗せられたスプーンを手に取り、自分が眺めていた料理を堪能し始めた。

スクッ
カチャ カチャ
スクッ…パク
モグモグ…
ゴックン
“うん。やっぱり美味いな。”
カチャカチャ…

519適当:2013/02/24(日) 10:58:17 ID:Dbksyv72
“久しぶりに食べたからとかじゃなくて、本当に美味い。美味いしかいいようがないな。”俺は、メインであるオムライスを口へ運びつつ、心の中で二度も同じ感想を言っていた。黄色の絨毯(じゅうたん)にスプーンを当てると、力を入れなくても黄色の絨毯(じゅうたん)が下を覆(おお)っている物と共に、切り分ける事が出来た。あまりにも軽い力で切り分けられたので、“これは、ものスゴイ本格的な料理(ヤツ)だな…。”と感じ、切り分けた部分をスプーンに乗せ、口へと運んだ。口へ運んだ途端に、3つの部分がそれぞれ味を主張し、やがて重なり合って来た。黄色の絨毯(じゅうたん)である卵は、焼いているハズなのに、焼き目が全く無く、また焼いたと思わせるような匂いも放ってはいない。悪い所を見せず、卵本来の美味さと焼いて作ったとは思えない程の柔らかい食感を持ち味とし、俺の舌を唸らせていた。黄色の絨毯(じゅうたん)の上に掛かる赤い液体も、自分が今まで口にした事のある味では無く、かなりの本格的な味をかもし出していた。赤い液体はもちろんケチャップという調味料である。ケチャップは、普通は色を付ける元となっている材料よりも、少し塩気と酸味を効かせた味を感じさせる。だが、黄色の絨毯(じゅうたん)である卵に掛かっていたケチャップはそうでは無かった。ケチャップにもかかわらず、トマトの味をベースとし、トマトの味を邪魔しないように、程良く塩気とトマト以外から放たれる酸味を効かせていた。俺が、味わったこのケチャップはおそらく誰も味わった事は無いのでは無いかと思える程の味を醸(かも)し出していた。卵とケチャップで十分に舌を唸(うな)らされていたが、更に自分の舌を唸(うな)らせる、卵に隠れていた赤色に染められた米が存在していた。赤色に染められていた米である“チキンライス”は、先程のケチャップとは違う味を表現しており、チキンライスの具である鶏肉やコーンやグリンピースに、細かく切られたにんじんが、チキンライスの色を作り出す元となるケチャップに味を強化され、全ての具が調和させられていた。この完璧なチキンライスを味した途端に、俺の頭の中は一つの事しか思い浮かばなくなっていた。卵、卵に掛かっているケチャップ、チキンライスが味を主張し終え、調和を始めた時にはもう“美味い。”という以外の言葉は見つけられなかった。

520適当:2013/02/24(日) 11:02:06 ID:Dbksyv72
俺は、食通という程の舌の持ち主では無いが、俺が今食べているオムライスは、食通でも味の表現が難しいと思われる。三つをそれぞれ別に食べるのなら味は言葉に表せると思うが、三つが一気に舌を唸らせるとなると、驚きのあまりに味を言葉に表せず、自然と“美味い”としか口に出来ないハズだ。“生まれて初めて、料理に感想をコントロールされたな…。”俺は、メインである言葉では表現しきれない味を持つオムライスをたいらげて、まるで自分が食事に操られているような感覚を覚えつつ、サラダを静かに口へ運んでいた。やがて、サラダもたいらげ残すは一つとなった時、俺の頭の中ではある命令だけが存在していた。“飲むな。後悔するぞ。”と。用意されていた飲み物は、言葉では表現したくも無い青色の液体であったので、俺は頭の中で放たれる指示に従い、この日、初めて飲み物を口にしないという行動を取った。俺は、頭の中の指示通りに動いた後、特に疑問も反論も出ず、“その通りだな。こいつを飲むとせっかくのいい気分が台無しだ。”と納得だけして、【業火】のステージの熱気により汗だらけになった体を洗う為にシャワールームへと歩を進めた。

スタ スタ ス…
「あれ?」
ピタッ
「何か、後ろに書かれている文字が変わっているような気がするな…。」
スタ スタ スタ
ジー
「おお!!変わっている!!ずっと…気が付かなかったな。」

“後ろに振り向きもしなかったせいか…。”シャワールームへ歩を進める途中、後ろの電光掲示板(モニター画面)へふと目を向けると、監禁された初日に読んだ文章の行数とは、明らかに異なっている事に気づいた。俺は、後ろの電光掲示板(モニター画面)の変化に気づいた後、シャワールームの方向とは異なった、中央へと歩を進めていた。中央から、電光掲示板の全体を見据(みす)えると、監禁された初日に読んだ文章とは明らかに異なる文章が示されていたので、俺は驚いた反応を見せ、電光掲示板に示されている内容へ目を向けた。

521適当:2013/02/24(日) 11:06:10 ID:Dbksyv72
【CONGRATULATIONS!!(おめでとう!!)君は、見事に第一関門を突破した。これより、第二関門へ突入する。第二関門ではクリア出来る部屋の順序が次のように定められている。【闇】→【伝説】→【幻想】。第二関門の最初のステージである【闇】の戦闘時刻は、21:00〜3:00。次のステージである【伝説】の戦闘時刻は、6:00〜18:00となっている。指示された時間以外は、ステージの扉にLOCKが掛かっているので注意する事。尚、【闇】のステージは、月の光だけの暗いステージとなっている、君が、戦闘用スーツを手に入れたタンスの右側に設置された装置にパスワードを打ち込んで欲しい。パスワードを打ち込むと君が刀とハチマキを手に入れた箱の底が開き、“暗視ゴーグル”が手に入る。パスワードは“α,β,θ,μ”だ。】

“夜中に闘うというワケか。”俺は、文章の中間に示されている指定戦闘許可時刻に目を通し終え、初めて闘う時間帯と、扉に示された文字と関連づけて納得した。その後の文章に目を通すと、今までよりも戦闘時間は長い事に驚きつつも(俺が毎朝早く起きている訳では無いので、本当は同じという事もあり得ると思うが…。)、戦闘開始時刻が明らかに早いと感じ、“フィアの話では、伝説の隊員(ヤツ)は年寄りと聞いた。本当に相当年齢が上なんだな。老獣(高齢のポケモンの事を指す)ならば当然だな。年寄りは、早起きだと聞くからな。”と戦闘開始時刻が明らかに早い理由に納得していた。その後、文章を読み進め、最後の文章に示された道具を手に入れる為の行動を開始した。

タッタッタ…
ピタッ
「タンスは…これだな。」
ヌッ
「ないな。左にはやはり無い。という事は、説明通り右か。」
ヌッ
「おっ!!なんか付いているな。」

522適当:2013/02/24(日) 11:12:00 ID:Dbksyv72
後ろの電光掲示板(モニター画面)を見終えた後に、俺が取った行動は、もちろん“文章中にある道具を手に入れる為、パスワードを打ち込みにタンスへ向かう事”である。足を速めたのは、一刻も早く真実を確かめたかったからだ。駆け足でタンスへとたどり着くと、俺はタンスの側面を両方確認した。確認を行うと、文章に示されていた通りの方向に、数字とは異なる9つの文字がそれぞれ示されたボタンが付いた入力装置を発見する事が出来た。“数字じゃない。アルファベットでもないのはめずらしいな。”俺は、一般には無いと思われる特殊な文字が示された、9つのボタンが付いた入力装置が“希少である”と思い込み、後ろの電光掲示板(モニター画面)に示された文字を順に入力した。

【α β γ
θ λ π
μ χ ω】
“よし、確かα、β、θ、μだったよな。”
ピッ ピッ ピッ ピッ
ピー
ガー

“向こうで音が鳴った。よし、行ってみるか。”指定された4つの文字を入力し終えると、中央付近から音が鳴り響いた。俺は、音を頼りに監禁初日に基礎装備を手に入れた箱の元へ掛け出した。

タッタッタ…
ピタ
チラッ
「あっ、開いてる。」
スクッ…パシ
ヒョイ
「これが…暗視ゴーグル…か。」

基礎装備を手に入れた箱の元へたどり着き、箱へ目を向けると、何やら黒いレンズが付いた機械が姿を現していた。俺は、突然姿を現した黒いレンズが付いた機械を手に取り、じっくりと観察した。“ON、OFF…。これで、起動させるのだろうな。まぁ、一応説明書も読んでおくか。説明書は、入っているハズ。”黒いレンズの機械を観察し終え、ある程度の推測をしつつも、“念の為”といわんばかりに、箱の底にある説明書を取り出し、目を向けた。

【暗視ゴーグル NIGHT VIGION GOGGLE。使用方法は、ONで作動 OFFで作動停止。バッテリーの残量は、使用中の画面に表示される。バッテリーは、【闇】のステージにある青い箱に入っているが、装着したまま電気を流しても充電が可能。】

523適当:2013/02/24(日) 11:16:41 ID:Dbksyv72
“うん。便利だな。こいつも俺の電気で充電出来るのか。”説明書を読み終え、俺は黒いレンズの機械が利便性があるとは思いつつも、“いつも思うが、なんで使用可能時間は書かれていないんだ?途中で、効果を切れさせて俺を混乱させる為か?”と機械の使用に関して“説明不足だ。何かの陰謀に違いない。”と勝手に思い込み、箱の中へと機械を戻した。“今は、必要無いからな。夜遅くの闘いという事は、当然寝とかなきゃならないからな。”黒いレンズの機械と説明書を戻し終え、食事を摂った後の自分のやるべき事を思い出し、シャワールームへと歩を進め、スーツを脱ぎ、体を洗い始めた。

ジィィィ… ジィィィ
スル スル…
パサッ
スタ… キュッ
ジャアアアア…
ゴシ ゴシ
キュッ

“うん、スッキリしたな。さて、水気を飛ばして、スーツを洗濯して寝るとするか。”体を洗い終えた俺は、体を震わせて水気を飛ばし、使用済のスーツを手に取り、洗濯機へと歩を進めた。洗濯機へたどり着くと洗濯機の中から洗濯済みのスーツを取り出し、洗濯済みのスーツを着て、使用済のスーツを洗濯機の中へ放り込み、洗濯機を起動させた。洗濯機を操作し終え、起動音を耳にした俺は、洗濯済みのスーツを着て、中央へと歩を進めた。

524適当:2013/02/24(日) 11:19:06 ID:Dbksyv72
スタ スタ スタ
ピタッ
“あっ、そういえばハチマキを外して寝た事は無いな。たまには、外してみるか。”
シュル シュル…
“おっ!!なんか…すごい涼しいな。”
スクッ… パサ

俺は、中央へたどり着き、普段行うべき寝る前に装備品を外すという事をこの日初めて行った。額を覆(おお)う“喝(かつ)”と示された赤いハチマキを外した途端に、かなりの開放感が感じられたので、現実には反応を見せなかったが、心の中では額に感じる涼しさに改めて驚いていた。“なんで俺は、今まで外さなかったのだろう…。”ハチマキを外し、ハチマキを刀と並べて床へ置いた後、今更の行動に関しての疑問を抱き、頭を働かせていた。ものの数分頭を働かせると、一つの結論にたどり着いた。“きっと、忘れないように。とかじゃなくて、不安だったんだろうな。コイツをつけてないと死ぬと思い込んで…。”俺は、監禁初日の自分の心理状態と今まで経験して来た死闘を振り返って、しみじみと感じていた。“さて、寝るか。闘っている途中にウトウトしたら大変だからな。”監禁初日の冷静を装(よそ)っていた中での不安を改めて実感し終え、俺は自分に懸念を言い聞かせ、ハチマキの横で仰向けになり、静かに目を閉じて眠りの世界へと旅立っていった。

525適当:2013/02/24(日) 11:23:45 ID:Dbksyv72
Day13 【21:30】

俺は、真っ白い空間で目を覚ました。目を覚まして最初に行った行動は、自分の腕時計へ目をやり、今の時間を確かめる事だった。腕時計を見ると、【21:30】と表記されていた。“慣れない時間帯に起きた割には、結構いい時間じゃないか。”と満足気な笑みを浮かべ自分の右隣にある、基礎装備達を身につけ始めた。

パシッ
クルッ…ギュ
シュル シュル…
グッ グッ

“闇か…。暗闇のステージ…。月の光だけと言っても、大した明るさにはならないハズ。フラッシュを使える事は使えるが、使いながらでは集中が続かない。” “喝”と描かれた文字を見せつけるように、額に赤いハチマキを巻き、背中に刀を結びつけ終えた俺は、次の最重要装備を身につけなければならないと考え、基礎装備を手に入れた箱へと歩を進めた。

スタ スタ スタ…
“暗視ゴーグル。よし。”
カチャ…
カッチャン
“サイズも俺にピッタリという事は、頭の大きさも計っていたんだな。”
「ふふ…。」

“レベルも計られ、体の隅々まで計測されて、俺の情報(こと)を知るのに、かなり長い時間が必要だった。それなのに、俺はぐぅぐぅと寝ていたのか…。”俺は、いつも睡眠を取る位置よりやや後ろにある箱へたどり着き、箱の中に入っている黒いレンズが付いた機械を持ち上げ、自分の目の位置に黒いレンズがくるように頭へ装着した。

526適当:2013/02/24(日) 11:25:47 ID:Dbksyv72
後頭部のベルトを締め終えた途端、自分の頭の大きさにあまりにも丁度にあってしまったので、俺は、自分の体の情報を知る為に要した時間を単純ではあるが計算し、算出して、自分が長い時間目が覚める事が出来なかった過去の自分を嘲笑っていた。自分を嘲笑うのは、心の中だけに留めておこうとはしたものの、あまりの馬鹿馬鹿しい過去の失態に、俺は自分に呆れ切り、現実世界にも“自分は愚かである。”と伝えるように小さく苦笑していた。“まぁ、いい。過ぎた事だ。そんな事を気にしてもしょうがないじゃないか。せっかくここまで来たんだ。次も…その次も…最後まで番人を倒し、ここから脱出するんだ。俺に、今出来る事は…。俺が、今自分の為に精一杯の努力が出来るとすれば、これだけだ。”自分を思う存分嘲笑い切った俺は、すぐに気持ちを切り換え、現実世界にも“自分をバカにするのはここまでだ。”といわんばかりの真剣な表情を見せつけ、【闇】と示された扉へ歩を進めた。

スタ スタ スタ
ピタッ
“俺は、今生きる為に闘っている。ここで死ぬのはゴメンだ!!”
ガチャ
キィィィ…
シュイーン シュン
キィィィ…バタン

扉の前へたどり着くと、心の中で自分に強く言い聞かせ、扉のノブを捻り、扉の中の世界へと歩を進めた。

527適当:2013/02/24(日) 11:29:37 ID:Dbksyv72
スタン
ボォウ… ボォウ…
リリリリリ…

俺は、【闇】のステージへとたどり着いた。たどり着くとすぐに、自分のような生き物以外の声が耳へと入り始めた。“フクロウと鈴虫か…。久しぶりに聴いたな。”俺は、森に響く二重奏を耳に入れて、“やっと俺以外の生き物の声が聞けたな。”と深くかんじ、【闇】のステージ全体へと目を向けた。

チラッ…
“うん、見えないな。さすがに、動物のネズミと同じ“暗視”は持ってないか。”
カチッ
ウィィン…
“よし、見えた。懐中電灯を照らした時と同じだな。これは、ありがたいな。”

【闇】のステージである自分が足を踏み入れた事もない森の景色を見る為に、頭に装着させた黒いレンズの機械を作動させた。作動させると、見えなかった景色(もの)が昼間のように、はっきりと見え始めたので、俺は黒いレンズの機械の性能を高く評価していた。【闇】のステージ全体へと目を向けると、先程の心地良い二重奏を奏でる主達は見つけられなかったものの、澄む空気を生み出すたくさんの木々や、木々の根元付近にびっしりと生える草々、所々に白い花が咲いている様が見受けられた。白い花がどんな名前を持つかはわからない。だが、今まで自分が闘ったステージよりも不思議と落ち着いていられるような場所だという事はわかった。なぜ、知らない暗い森の中で恐怖を抱かず、落ち着いていられたかは、きっとフクロウと鈴虫の心地良い二重奏を耳にしたからであろう。そうでなければ、今まで闘ったステージが緊張感を漂わせる所だったという事だ。“めずらしく相手が遅いな。”俺は、心地良い二重奏へ耳を傾けながら正面を見据えても未だに現れない対戦相手にそんな思いを抱いていたが、しばらく見据えても一向に現れなかった。“きっと、相手もまだ寝ているのだろうな。早過ぎたか。”俺が、待つ事をやめて、腕時計についているリタイアボタンに手をかけようとした時、自分の上方から何者かの声が聞こえた。

528適当:2013/02/24(日) 11:33:36 ID:Dbksyv72
「ふっ、起きれないという事か。なら、帰るか。」
スッ…
「クックック…。」
「は?なんだ…。」
「恐れて逃げるか。見えない所がそんなに怖いか?」
「だ…誰だ!!どこにいる!?」

上方から笑い声が聞こえたので、俺は首を傾げて辺りを見回した。俺は、辺りを見回しても誰も見つける事は出来なかったが、対戦相手の声はそのまま上方から聞こえていた。俺は、“姿を現せ!!”といわんばかりに、勢いよく姿の見えない敵へ言い放った。すると後ろから地面に下り立つような足音が聞こえた。

ガサッ… スタン
「う…後ろか!?」
クルッ
「クックック…。」

“コイツ…俺を奇襲しようとしていたのか!?”俺は、自分の後方からの足音を耳にし、一瞬で体を後ろへ振り向けた。俺が目を向けた先には、暗闇の森の中に溶け込むような黒い色で体を染められ、黒い軍服を着た、一匹の雄のブラッキーがいた。雄のブラッキーの頬には、“×”印のような傷跡も見受けられた。俺は、彼の邪悪な笑いに一つの推測を立てた。彼は、俺を不安にさせるような笑い声を上げ終え、俺に徐々にゆっくりと近づき、俺から数m離れた所で足を止めた。俺は、彼を睨みつけ、彼に、自分の正面から姿を現さなかった理由を訊ねた。

「お前は、なぜ俺に姿を見せなかった?」
「クックック…。バカが。」
「質問に答えろ。」

彼は、俺に質問をぶつけられると俺を邪悪な笑みで嘲笑い始めた。俺は、彼の挑発するような笑いを受けても冷静を保ち、彼に返答を促した。すると彼は、独自(といっても一般的には、想像がつく範囲ではあるが。)の意見を言い放って来た。

「相手が姿を見せると思っている時点で、小僧、貴様の負けだ。」
「小僧?俺は、成獣だ。見た目で判断している時点で、俺もお前の負けだと思うがな。」
「ククク…。まぁいい。貴様も、大体検討がついただろう。俺は、ずっと奇襲を狙っていた。とでも言っておくか。クハハハハ!!」

俺は、彼の意見を耳にし、森中に響かせる彼の不気味な笑い声を耳に入れるも、彼に臆する事なく、彼へ奇襲をかけなかった理由を訊ねた。

「なぜ、奇襲(それ)をやらない?やれば勝っていただろう?自分から、何で居場所を知らせる?」
「簡単な事だ。面白くないからだ。」
「面白くないだと?」

俺が彼へ訊き返すと、彼はまた独自の意見を俺へ言い放って来た。

529適当:2013/02/24(日) 11:37:43 ID:Dbksyv72
「レベル52のピカチュウの小僧を襲って勝つのは簡単過ぎる。それじゃあ、面白くない。」
「お前は、勝負に面白さを求めるのか。お前の言う面白さとはなんだ?」
「クックック…。小僧には、まだ理由を知るのは早過ぎたか。雄としても…な。クハハハハ!!」
「いいから、さっさと言え。」

“コイツ、なめやがって。”俺は、彼の嘲笑う発言を耳にして少しの怒りを感じるも、冷静さを保ち続け彼へ返答を促した。彼は、笑う事をやめて、俺を恐怖に陥(おとしい)れるような目を向けて静かに言い放った。

「雄は、闘う生き物。俺は、本能に背(そむ)かず俺の中の雄を満たす為だけに闘う。」
「ふっ、それが理由か。子供みたいな理由だな。どこぞの誰かに似ているな。自分の事を成獣、成獣と言うが、自分が一番子供(ガキ)だということに気づいてないんだ。」
「スターと俺が同じ。だとでも言っているのか?ククク…ハハハハハ!!」
「何がおかしい?言い返せないからって、笑って逃げているのか?」

俺は、彼の理由を耳にし、彼を嘲笑い返す発言を行った。彼は、俺の発言を受けても一向に態度を崩す事なく、森中の生き物が不快に感じる笑い声を響かせた。俺は、首を傾げて彼に訪ねると、彼は俺に理由を述べた。

「さっき、言った全てが俺の本当の目的だ。これ以外の理由なんてありはしない。スターは子供(ガキ)だが、俺はこの森の鬼だ。俺に逆らう者は全て消し去る。」
シャン…
ペロォォォ…
「この殺し道具でな。」

“四足なのにナイフ!?コイツ、ただ者じゃないな。”彼は、理由を述べた後、俺を脅かす為に胸元に付いている専用のホルダーから前足で刃物を抜き取り、刃の部分に舌を当てて俺へ言い放った。俺は、彼が使いこなしにくい武器を俺に見せつけている様を見て、俺は彼を警戒しつつ、彼へ彼の仲間とも思われる者から告げられた事を述べた。

「闘争本能が活発に出ているという事は、お前は雄の中の雄。だとしたら、当然雌も欲しくなるだろう?なぜ、同じ隊長格の雌(やつ)らの欲を満たしてやらない?シャーズは、お前の事が嫌い。だが、他は違うハズだ。」
「クックック。小僧、全ての雄が性行為(こんな)事を求めていると思っているのか?」
「は?」

530適当:2013/02/24(日) 11:41:37 ID:Dbksyv72
“本能剥(む)き出しなのに、雌が欲しくない?じゃあ、コイツは本当に闘いだけで欲を満たしているのか?”俺は、彼の不可思議な発言を耳に入れて、彼へ“意味がわからん”と示すような態度を見せつけていた。彼は、俺の反応を見届け、俺へ理由を述べた。

「俺は、血肉を求める生き物。相手を肉塊にする事だけが唯一の楽しみ。そして、俺が一番欲(ほっ)する事。」
ギリッ
「それだけが、理由か。腐っているな!!来い、お前の性根を叩き潰してやる。」

俺は、彼の理由を耳にして静かに怒りの炎を灯し、歯を食いしばり、拳を握りしめ、戦闘態勢へと入り彼へ言い放った。彼は、俺の怒りの表情を見るも、態度を崩さず余裕の笑みを浮かべて、俺へ怒りの理由を訊ねて来た。

「ヒーロー気取りか。子供らしくていいな。貴様に聞こう。怒っている理由(ワケ)を。」
「雄は、確かに闘う生き物だ。だが、それは守るべき者を守る為に闘うんだ。殺しを楽しむお前を許すワケにはいかない。」
「クックック…。あの雌(おんな)も大体俺と同じだがな。貴様は、一体今まで何を見て来た?」
「シャーズの事か?シャーズはそんな隊員(ヤツ)じゃない。あれは、雄を求める必死の求愛行動だ。アイツは、ただ不器用なだけだ。お前のように殺す為に闘っているんじゃない。性格は悪いが…」
「性根はイイ雌(おんな)か。ククク…。ハハハハハ!!」
スッ…カチッ
「では、始めるとしようか。宣言通り、貴様が俺を撃ちのめす事が出来ればいいがな。」

“始まったか。絶対に負けられない。コイツは、絶対に許さない!!”彼は、俺の反論を耳にして、俺の発言の途中で俺の次の言葉を予測してつなげ、森中に不気味な笑い声を響かせた。笑い声を響かせた後、彼は軍服の右ポケットに前足を忍ばせ、俺へ合図を送って来た。俺は、彼に強い敵対心を抱きつつ、戦闘態勢を保ちながら、彼を睨みつけた。数秒後、恒例の戦闘開始の合図が、心地良い二重奏を消すように鳴り響いた。

531適当:2013/02/24(日) 11:47:54 ID:Dbksyv72
ボォウ ボォウ
リリリリ…
『READY…GO!!』
「はぁ!!」

“10レベル差がある以上、相手よりもかなり素速く、先制攻撃をしかけなければならない。先手を取られては勝ち目は無い。”俺は、開始の合図を耳にし、今自分が持てる全速度を出し切って接近した。本当は、歴然の力があり、地形を把握していなかったからこそ冷静に行動に、接近してくる俺に対して素速くバック転を行い、俺を蹴り飛ばした。

「単純だな。経験が無い証拠だ。ハァッハァ!!」
「何!?ぐはぁ!!」

俺は、彼の反撃を受けて一気に数m跳ね飛ばされた。“アイツに攻撃の隙を与えてはダメだ!!”彼に蹴り飛ばされるも、すぐに体勢をたて直し、俺は自ら弾丸となって標的に突撃する技を行った。

ズザザザ…
「くっ!!ランチャーヘッドバッド!!」
「ん?ロケット頭突きか。」

彼は、俺が体勢を低くしている様子を見て一瞬で自分に訪れる次の未来を予測し、体を宙へ浮かせて後ろへ素速く後退し、俺の必殺技の射程距離外へと移動を行った。“読まれていたか!!”俺は、彼に攻撃を当てられず、彼の数歩目の前で両手両足を地面に着けてしまっていた。

「くそ…。当たらない。ランチャーヘッドバッドが使え…」
「隙だらけだ小僧!!」
「何!?くそっ!!」

彼は、俺が攻撃を外した後にやむを得ずに取ってしまう、俺の未来の体勢を見計らい、戦闘開始前に俺を脅す為に、見せつけた小さい刃物で切りつけかかって来た。俺は、彼の攻撃を向かえ打つ為に、素速く刀を抜き、彼の小さき刃物と刃を合わせ始めた。

ガキン ガキン…
「ハッハッハ!!小僧、八紋刀を持つ貴様がナイフの俺に負けるのか?」
「くっくそぉ…。なぜ、八つの刀に対抗出来るんだ。一本のナイフで…。」
「簡単な事だ。貴様が俺よりも数十倍弱いから…だ!!」

532適当:2013/02/24(日) 11:51:50 ID:Dbksyv72
彼とお互いの刃を打ち合わせて、しばらく暗闇の森の中にお互いの刃がぶつかり合う音を響かせていたが、彼の方が力も自分の持ち前の武器を生かす事に長(た)けていた為か、彼に刀を飛ばされてしまった。刀が地面にささる音を耳にするかしないかの一瞬の瞬間(とき)、彼が自前の刃物で俺を切りつけようと襲いかかった。

「刀無くしては貴様は無力だ、な!!」
パシッ
「くく…くっそぉ…。」

彼の構えの態勢からどの方向から攻撃が来るかを予測出来た俺は、彼の前足を両手で抑え、彼の攻撃を止めた。彼の刃物を受け止め、彼の力に対抗しつつも、俺は、彼がなぜ自分の八つの刃を持つ刀に、自前の小さい刃物で対抗出来たのかを考え出した。“ナイフ一本で闘っていたんじゃない。コイツは、ナイフ5本で闘っていたんだ。”彼にいとも簡単に自分の攻撃を受け止められた原因を探ろうと、彼が握る小さい刃物へと目を向けた。すると、俺の持つ刀と同じ青色の波紋が中心から扇を描くように、複数存在していた。青色の波紋は俺の持つ刀と異なり、波紋の数は下回っていたが、どの角度からも攻撃が受け止めやすい形状を保っていた。“どうりで、攻撃を止められたハズだ。”俺は、自分の攻撃が容易に受け止められた原因を見つけ出し、彼を強く後ろに押しのけて彼をよろめかせ、彼の額に自分の頭を勢いよく当てた。

「ふっ!!たぁ!!」
「うわぁ!!く…。頭突きは、なかなかの威力があるな。」

“やはり、この程度ではひるみもしないか。”俺は、彼に攻撃を加えた直後、素速く何度もバック転を行い彼から距離を取った。“刀はどこだ!!”俺は、彼に飛ばされた自分の持ち前の武器を探す為に、素早く首を左右へ動かし、刀の行方を探し始めた。右へ目を向けた瞬間、白い持ち手が付いた、夜空の月の光に反射して微(かすか)かに光る刃先を見つけ出し、俺は急いで刀の元へと駆けつけようとした。刀まで、後2mと距離を狭めた時、彼が俺に何かを言い放ち、前足に黒い光を灯して、俺に光の玉を連続で放って来た。

533適当:2013/02/24(日) 11:55:17 ID:Dbksyv72
「よし!!あそこだな!!」
「武器は、回収させんぞ?小僧ォォォ!!三連バーストシャドーボール!!」
「何!?はぁ!!」

“はぁ…はぁ…。なんとか避けられたな。まさか、あんなに一気にシャドーボールを打って来るヤツがいたとは…。”彼は、俺に向けて三つの黒い玉を放って来たが、俺は素早く空中前転を行いかろうじて、避(よ)けた。少しの息切れを感じるも、彼に先程と同様に“接近され小さい刃物で切りつけられてはマズイ!!”と考え、地面にささる刀を抜き、彼の方へと体を向け、刀を構えた。

“イチかバチかだが、もう一度アイツのシャドーボールを誘い、あの必殺技を当てる。アイツの三つの連続のシャドーボールは隙が大きい。俺なら、隙を突けるハズだ!!”
「ハッハッハ!!これで、終わりと思うな小僧ォォォ!!」

彼は、俺に言葉を言い放った後、再び先程と同じ複数の黒い玉を放って来た。“来たな…。やるしか無い!!ここでコイツに刀を当て続けなければ、当分勝ち目は無い!!”俺は、彼の放つ黒い玉を避けながら彼へ接近し、電光石火を放った。

「くっ、全て避けられたか!!」
「たぁ!!」
「ぐわぁ!!チッ…だが、俺に勝てると思うな!!」

彼は、俺の電光石火を避(よ)けられず体へ直撃してしまっていた。だが、彼と俺の力の差は歴然としているので、彼は俺の攻撃を受けてもひるまず、俺を“再起不能にする!!”とばかりに言い放ち、俺に向けて頭突きで反撃を行おうとしていた。俺は、彼の攻撃があと数cm程で届くという所で、彼の顎を蹴り上げ、彼が浮いた所に、彼の腹部に何度も十字を描くように、彼の体を斬りつけた。

「ぐはぁ!!」
「くらえ!!れ・ん・ぞ・く十字切りぃぃぃ!!」
「ぐわぁぁぁぁぁ!!」
「とどめだ!!」

534適当:2013/02/24(日) 11:58:41 ID:Dbksyv72
彼は、俺に自分の腹部を何度も斬りつけられ、苦痛の叫びを暗闇の森中に響きわたらせていた。彼の頭に刃を打ちつけ、彼を地面へ叩きつけた時、俺は目眩(めまい)に襲われる位の激しい息切れに襲われていた。普段は、この程度動いただけではこんなにも激しい息切れはしない。だが、対戦相手であり、一撃一撃が重い彼の攻撃を受けない為には、普段出せる速度を捨て、限界の速度で彼を出し抜かなければならない。“はぁ…はぁ…。やったか?”俺は肩で呼吸をしつつ、うつ伏せになった彼へと目を向けた。彼は、立ち上がるが俺の攻撃を受けた為か、血を吐いた。“よし、さすがにアレは効いたか…。次でコイツをマヒにすれば勝てる!!”俺が彼の限界が近い様子を見て、彼へとどめを刺そうと足を動かそうとした瞬間、彼が前足で口に付いた血を拭い、不屈の笑い声森中に響かせ、俺へ衝撃の一言を放った。

「ぐふぅ…。ククク…ハハハハハ!!」
「何がおかしい?ダメージを受け過ぎておかしくなってしまったか?」
「小僧なかなかやるな。さすが、α〜μの雌(おんな)共を倒しただけはある。まぁ、そんな事はどうだっていい。小僧、貴様に1つ問う。自分の技を受けた事はあるか?」

“自分の技…。ま…まさか!!”俺が彼の言葉に少しの動揺を隠しきれないでいる最中に、彼が、俺に急接近し、自ら体を浮かせて、俺を蹴り上げ宙へと浮かせた。

「ぐわっ!!ま…まさか…。この技は!!」「そのまさかだ。受け取るがいい、自分の技をな!!」

彼は、俺を宙へ浮かせた後腰元からもう一本の小さい刃物を取り出し、俺が刀の必殺技として最初に取得した技を俺に放って来た。

535適当:2013/02/24(日) 12:04:06 ID:Dbksyv72
「くたばれ。連・続十字切り!!」
「ぐっはぁぁぁぁ!!」
「とどめだ…。ハァ!!」
「ぐおっ!!」

俺は、彼に自前の小さい二本の刃物で腹部に何度も十字を描くように切りつけれ、頭上に彼の両前足から放たれる渾身の“たたきつける”を受け、地面へ勢いよく叩きつけられた。“くそ…。なんだ…。なんで、俺の技をコピー出来るんだ!?とても四足とは思えない…。これは刀でやる技だ…。二本のナイフだけでどうやって…。”俺は、うつ伏せ状態から必死に立ち上がろうと力を込めつつ、彼が自分の技を鏡に写すように行えた理由を突き止めようと、頭を働かせていた。彼は、立ち上がろうとする俺に向かって駆け出し、俺の元へ急接近して来た。俺は、彼の足音を耳にした途端素速く立ち上がろうとしたが、彼の足の方が速く、彼へ背中を踏みつけられた。彼に踏みつけられた際に出る苦痛の声を一声、彼へ聞かせ、彼に、うつ伏せ状態から仰向け状態にされ、彼に馬乗りにされてしまっていた。

「うぅ…。マウントを取られてしまったか。」
「ハッハッハ!!小僧なかなか、面白かった。“Thanks,I was excited a thing that I fighted you!!(感謝するぜ、貴様と闘っていて興奮した!!)”」
「“Shit…。Get …away me!!(くそっ…。離れろ!!)”」

彼は、俺に馬乗りを行った後、高らかと笑い強調構文を用いて、俺に感想をぶつけて来た。俺は、彼の言葉を受け、強調構文を用いて心の底から彼に“どけ!!”と言い放った。彼は、邪悪と勝利による愉悦(ゆえつ)を混ぜた笑みを浮かべ、俺に残酷な現実を突きつけた。

536適当:2013/02/24(日) 12:08:40 ID:Dbksyv72
「“I never give you side again,Because…HaHaHaHa!! I will be killing to you.(貴様を殺す、だから離れない。)”」
「はぁ!?“Kill me!? What…are you talking about!! Fighting with you is not a thing…that You Kill me or I Kill you!!(殺す!?何を言っている!!お前との闘いは殺し合い…じゃないじゃないか!!)”」
「“I will not talk you.Die come down!!(お喋りはここまでだ。死ね!!)”」
「くそっ!!ふっ!!」

俺は、彼に“これは殺し合いじゃない!!”と訴えるが、彼は俺に“黙れ。”と言い放ち、前足で握っていた小さい刃物を俺の首元に突きつけた。小さき刃物から出る波紋は、青色の波紋から赤色の波紋へと変化を遂げていた。“殺す…。だから、青の打撃の逆は斬撃に違いない!!殺(や)られてたまるものかぁぁ!!”俺は、彼の前足を両足でつかみ、彼の前足を必死に押し返そうとするが、力は彼の方がはるかに上であったので、徐々に、徐々に自分の首元へと赤色の波紋をまとった小さき刃物が迫り始めた。俺は、助けを求めるような叫び声を闇の森の中へと響かせつつ、彼の小さい刃物へ抵抗をし続けた。

「ああああああ!!殺されてなるものかぁぁぁ!!」
「ククク…。抵抗するな。貴様の方が、俺よりも力は数段に下回っているからな!!“I order you to give up. You should be died by me!!(あきらめて、俺に殺されろ!!)」
「だ…だまれ!!このくそったれがぁぁぁ!!」

俺は、彼の強調構文に屈する事なく、彼が握る赤色の波紋をまとった小さき刃物を、喉元(のどもと)から遠ざけようと抵抗し続けていた。だが、抵抗し続けている内に徐々に両腕に疲労が溜まり、彼の意志をはねのける力が弱まりつつあった。“俺はまだ死にたくない!!死ぬワケにはいかないんだぁ!!誰でもいい…誰か助けてくれ!!”俺が、最後の力を振り絞るように両目を激しくつむり、叶うハズのない願いを心の中で願っていると、彼が急に俺へ赤色の波紋をまとった小さい刃物を突きつける事をやめ、両耳を動かして辺りを警戒し始めた。

537適当:2013/02/24(日) 12:11:56 ID:Dbksyv72
「誰か、いるな。」“誰か…いる?誰もいないハズのステージに…。”
ガサッ… ガサッ
「“Damn…。Maybe…Fanction of Telepotation breakdown…(チッ、テレポート機能の故障か…。)”」
“故障?”
「“You are Lukky kids male!!(小僧、運が良かったな!!)”」

俺には聞こえなかったが、彼には聞こえたのだろう。それもそのはず、彼は兎の遺伝子が強くなった、赤い目に額には夜空を主張する月の模様、体を闇にとけ込ませたブラッキーに属するからである。彼は、自分にしか聞こえない何者かの足音を耳に入れた後、舌打ちをし、自分の推測を言い放った。俺は、彼の言葉を聞いて疑問を浮かべた瞬間、彼が俺から離れ、俺に“死に損(ぞこ)ないめ!!”と言い放ち、暗闇の森の中を走り去っていった。“はぁ…はぁ…。助かった。誰かはわからないが、感謝する。”彼が走り去った後、仰向けになりながら呼吸を落ち着かせて、自分を救ってくれた見えない者に感謝していると、背後から草を踏む音と何者かの声が聞こえ始めた。

ガサッ ガサッ
「師匠、今こっちから声が!!」
「ああ、レオ確かめに行こう。何が起きているか気になるからな。」
ガサッ ガサ
「く…そ…。新手か…。」

“今は、闘える状態じゃない。”俺は、背後からの音と耳に入れるとすぐに、“今度こそ、殺されるかもしれない。”という懸念を抱き、腕時計に着いているリタイアボタンに手をかけ、【闇】のステージから姿を消した。

「あれ?おっかしいな…。確かにここだったと…思うんですけど…。」
「私もそう思う。いん…、妙だ。足音も立てないで、その場を去る生き物なんているのか?」
「でも、無事だといいですね。さっきのは、声っていいましたけど、悲鳴だったと思いますし…。」
「ふふ、助かってるといいな。さぁ、もう行こう。」
「はい!!」

538適当 レス537ミス:2013/02/24(日) 12:16:44 ID:Dbksyv72
「誰か、いるな。」
“誰か…いる?誰もいないハズのステージに…。”
ガサッ… ガサッ
「“Damn…。Maybe…Fanction of Telepotation breakdown…(チッ、テレポート機能の故障か…。)”」
“故障?”
「“You are Lukky kids male!!(小僧、運が良かったな!!)”」

俺には聞こえなかったが、彼には聞こえたのだろう。それもそのはず、彼は兎の遺伝子が強くなった、赤い目に額には夜空を主張する月の模様、体を闇にとけ込ませたブラッキーに属するからである。彼は、自分にしか聞こえない何者かの足音を耳に入れた後、舌打ちをし、自分の推測を言い放った。俺は、彼の言葉を聞いて疑問を浮かべた瞬間、彼が俺から離れ、俺に“死に損(ぞこ)ないめ!!”と言い放ち、暗闇の森の中を走り去っていった。“はぁ…はぁ…。助かった。誰かはわからないが、感謝する。”彼が走り去った後、仰向けになりながら呼吸を落ち着かせて、自分を救ってくれた見えない者に感謝していると、背後から草を踏む音と何者かの声が聞こえ始めた。

ガサッ ガサッ
「師匠、今こっちから声が!!」
「ああ、レオ確かめに行こう。何が起きているか気になるからな。」
ガサッ ガサ
「く…そ…。新手か…。」

“今は、闘える状態じゃない。”俺は、背後からの音と耳に入れるとすぐに、“今度こそ、殺されるかもしれない。”という懸念を抱き、腕時計に着いているリタイアボタンに手をかけ、【闇】のステージから姿を消した。

「あれ?おっかしいな…。確かにここだったと…思うんですけど…。」
「私もそう思う。うん…、妙だ。足音も立てないで、その場を去る生き物なんているのか?」
「でも、無事だといいですね。さっきのは、声っていいましたけど、悲鳴だったと思いますし…。」
「ふふ、助かってるといいな。さぁ、もう行こう。」
「はい!!」

539適当:2013/02/24(日) 12:21:37 ID:Dbksyv72
俺は、暗闇の森から無事に元の部屋へ戻る事が出来た。俺は、この時初めて、この味気ない真っ白な監禁部屋に対し、唯一安らぐ事が出来る空間であったのだと気づかされた。それ程、先程の死闘から来る感情は強く印象に残るものだった。俺は、暗闇の死の世界から、無事生還出来た事への喜びを表すように、胸をなでおろしていた。

「はぁ…はぁ…。ふぅ、無事に戻ってこれた…。あのまま…殺されるかと思ったな。」

俺は、ため息をつき、更に安心感を感じ、目に装着している黒いレンズの機械を取り外し、自分の目に直接安らぎの空間の光景を入れていた。自分を襲う者の存在は無く、自分一匹だけしか部屋にいない事を確認し終え、俺はもう一度安堵(あんど)のため息をついた。自分に少し落ち着きを取り戻させると、俺は【闇】の間の番人であり、規則を無視して俺の息の根を止めようとしていた彼との闘いを振り返った。思い出してみると、いくつかの疑問点が思い浮かんだ。まず一つは、彼がどうして俺の刀での技を、鏡に写したように真似する事が出来たのか。という事である。“ブラッキーって、オウム返しが使えたか?いや、使えないハズだ。オウム返しじゃない…。だとすれば、一体あれは何なんだ?”通常相手の技を真似する技は、鳥獣(鳥ポケモン)に属する者達である。彼は、鳥ではなく兎に属する。この技を行う事は出来ないハズである。これは、万事(ばんじ)の掟(おきて)として決まっていて、努力あるいは、天才肌でどうにかなるものではない。だが、彼はこの技と同じ効果の別の技を俺へ仕掛けて来た。彼が仮に、鳥獣(鳥ポケモン)であったとして、オウム返しが使えると考えても、もう一つ矛盾点が生じる。それは、真似の対象となる技の威力があまりにも大き過ぎるという事である。俺は、彼よりも10もレベルが下。すなわち、彼との力の差は歴然である。俺の技を真似しても、俺にこんなにも大きなダメージを与える事は出来ない。当然だが、彼の方が俺よりも力はある。だが、彼がいくら力を出し切って俺を切りつけても、刀とナイフでは与えるダメージが違い過ぎるのである。

540適当:2013/02/24(日) 12:25:51 ID:Dbksyv72
俺が、武器として用いている刀は八つの波紋がついた、打撃のみではあるが、通常の木刀でダメージを与えるよりも“8倍”威力は上だ。そして、彼が武器として用いているナイフ(おそらく軍用ナイフだろう。)は一つのナイフに4つの波紋。俺の武器と同じ打撃(のみとは言えない。現に俺は、もう一つの色の波紋で殺されそうになった。)で、通常の木の小手刀…どちかというと十手(じって)と言う方が正しいだろうか。通常の十手(じって)でダメージを与えるよりも5倍威力は上だ。彼は、実は二刀流ナイフ使いであった事が発覚したので、10倍といった所か。倍数では確かに、俺の刀を上回る。だが、よく考えてみて欲しい。金属製の切れない刀と十手(じって)、どちらが威力が上だろうか。当然刀である。十手(じって)は、刀の数分の一の威力しか無く、リーチも短い。リーチが短い故(ゆえ)に、刀で行う技は、十手(じって)ではとてもとは言えないが、通常真似する事は出来ないハズである。いくら接近戦闘に長けているからといっても、二足の俺よりはやや接近戦闘力が劣ってしまう四足型。俺の技を真似しても、大きなダメージを与えられない。俺は、二足で刀を用いているので、対戦相手をダウンさせるぐらいは出来る。彼は、四足でナイフを用いている。四足に属する者は、銃は上手く扱えても、片手で握って相手を切りつけるような武器は上手く扱えない。並ならぬ訓練を重ねても、やはり与えられるダメージは知れているものである。四足は二足よりも、片手武器(片手で扱える拳銃は除く)を扱う事は難しい。その為、相手を強く切りつけ過ぎると、片手で握っている武器を落としてしまう。彼の握力がもの凄いとしても、長時間強力な攻撃を持続させる事は不可能に近い。四足はそもそも、手で握る事にあまり適してない生き物である。軽いフォークやスプーン程度なら長時間でも握る事は出来るだろう。だが、彼が扱っている武器は軍用ナイフ。軍用ナイフは、何度切りつけても折れないように、構造がしっかりしている為、最低でも400〜500gはある。フォークやスプーンは、ナイフの重さは遥かに下回る。故に、軍用ナイフを長時間装備し続けるには、二足の何倍もの、握る筋持久力が必要なのである。四足が二足よりも、握力を持続させる筋持久力があるとは思えない。

541適当:2013/02/24(日) 12:29:49 ID:Dbksyv72
更に、彼のナイフ攻撃の威力があり過ぎる矛盾点はもう一つある。それは、相手を蹴り上げた時、相手の体を切りつける高さまで飛び上がった時から、切りつけた後に地面に降りる時までの滞空時間が限られているという事である。極僅(わず)かな滞空時間で俺は、攻撃の対象へ、素速く、力強く何度も斬りつける。刀の技を行った後は、自分の両腕にかなりの疲労が溜まる。その為連発は出来ない。二足の俺ですら限られた滞空時間で相手を何度も斬りつける事が容易では無いにもかかわらず、彼はいとも簡単に、俺と同じ事を絶大な威力込みでやってのけたのである。俺に技を行った後、俺の倍以上の疲労が溜まっている前足で、ナイフを持ち俺の喉元(のどもと)へナイフを突きつけた。四足が激しい疲労を伴(ともな)う技の後に、ナイフを握り続けるのは、いくら訓練を重ねても無理だろう。しかも彼は、一本のナイフを両前足で持って行うのでは無く、二本のナイフを用いている。二本のナイフを握る事を持続させるには、相当の集中力と筋持久力を必要とする。重いナイフを一本、一本交互に動かし、攻撃対象の腹部に何度も十字を描くのも難しい。俺は、彼が自分の刀で行う技を真似し、威力も伴(ともな)わせた事の複数にわたる矛盾点を突き止め、刀の刃先に、天井から降り注ぐ真っ白い光が反射する様を眺めながら、首を傾げて自分の推測を呟(つぶや)いた。

「やはり、アイツは何かがおかしい…。異常過ぎる。力だけで、俺の連続十字切りの威力を上回る事は出来ない。これだけは…どうにもならない。」

“まぁ、アイツにとてつもない集中力が無かったとは言えないが、集中だけで発揮できる力の範囲はとうに超えている。”俺は、彼が自分の技よりも威力を上げて、自分の技を真似出来た事を、あごに手を添えて考え始めた。

542適当:2013/02/24(日) 12:34:00 ID:Dbksyv72
“うん…。威力か…。ありえない威力の技…。何か引っ掛かるな。”

頭を働かせてみると、彼とほぼ似たような現象を目の当たりにした事があるのではないかと考え、今日(こんにち)の死闘を除く、監禁された初日から今日までの各番人との死闘を思い出した。すると、彼女達も彼と同じように体の大きさからは通常出す事が出来ないであろう技が使えるという事に気が付いた。前々からおかしいとは思ってはいたが、“もしかしたら、ブラストバーンも、ハイドロカノンも、イーブイ進化系にあたるブースターやシャワーズは使えるのかもしれない。たとえ、威力が高すぎて体の割には合わないとしても…。”とも考え、彼女達が絶大な威力の技を放つ事が出来るのは、強さ、そして進化に長(た)けた特殊な種族によるものだと結論付け、おかしいとは思わなかった。だが、今回の死闘の対戦相手の彼の異常さを見て考えが反転した。“スターもシャーズも、軍のやつらに何か改造手術でもされたんじゃないか?だとすると、アイツの異常とシャーズとスターが一撃必殺技を使える事の異常さに合点(がってん)がいくな!!”俺は、結論付け直し、【氾濫】の間の番人から聞いた、最も危険な情報を思い出し、最も危険な情報に出てくる、最重要者の行いに、声には出さなかったが、驚きを隠せないでいた。

“なんてヤツだ…。隊員の体を改造するなんて…。”

心の中で唖然とした表情を浮かべ、俺は【氾濫】と示された扉へと目を向けた。現実世界でも心の中でも、扉の番人である彼女に向けては、何も言わず、しばらく【氾濫】と示された扉を見つめた。“シャーズ、君は改造されたんだな…。ボスの道具にされて…かわいそうにな。”扉から目を背けて、下をうつむき目を閉じて、心の中で【氾濫】の間の番人である彼女を憐(あわ)れんだ。“アイツは改造されていた。だから、アイツはありえない程の威力の十字切りが出来たんだ。”【氾濫】の間の番人である彼女を憐(あわ)れみ終えた後、【闇】の間の番人である彼が、ありえない現象を引き起こした事に納得し、俺は、次の疑問点に頭を働かせた。

543適当:2013/02/24(日) 12:44:18 ID:Dbksyv72
「俺の所へ向かって来ようとしていたのは、本当に敵だったのか?敵と決めつけて、確かめもせずここへ逃げて来たが…。」

俺が次に疑問を抱いたのは、彼が俺をやむを得ず拘束解除するきっかけとなった、謎の者の声と足音である。彼に拘束されていた時は、俺には足音すら聞く事は出来なかったが、彼は俺が後(のち)に耳にした、草々を踏みつける音を先に耳にした為、俺の拘束を解除し一匹で逃げ去って行ったのである。なぜ、彼が俺よりも遠い距離の者の足音を聞く事が出来たのかは、言うまでもないだろう。彼が、音に敏感なのは、【零下】の間の番人と同じ兎の遺伝子が強く出ているからである。兎というのは、俺のような生き物(ポケモン)の中の兎獣(とじゅう)を除いて草食動物である。まぁ、森の中に住む文化的な生活を営(いとな)んでいない者(野生のポケモン)は、草食なのかもしれないが、それは今考えない事とする。草食動物は、肉食動物に食べられてしまう。当然、肉食動物が密(ひそ)かに忍び寄る僅(わず)かな足音も聞き分けられなければならない。故に、兎のような草食動物全般の多くは聴覚(みみ)が優れている。彼も【零下】の間の番人である彼女も、文化的生活を営んでいて、肉食動物には食べられる事は無いので、耳が敏感になる必要は無いが、動物の兎と似たような姿をしている為、おそらく兎と同じ遺伝子も体の細胞の中には、組み込まれているのだろう。であるならば、当然聴覚(みみ)が優れる生き物となる。俺が、文化的生活を営んでいて、敵に食べられる事は無いが、動物のネズミと似たような姿をしている為、ネズミの遺伝子が体の細胞に組み込まれていて、嗅覚(はな)が優れる事と同じ事である。彼は、兎の遺伝子が体の中に組み込まれているおかげで、俺よりも先に何者かが自分の元へ忍び寄る足音を聞き分け、俺の元から去っていった。彼が走り去った後、俺にも彼が聞いたハズの足音。更に、足音立てているであろう者の声まで耳にする事が出来た。足音の主は、何人(なんぴと)…いやおそらく人では無いだろう。あんな暗い森の中を夜中に、ライトも照らさずに歩いているワケがないからである。だとすれば…動物か、俺のような生き物(ポケモン)か…。俺が人では無いと断定出来たのは、もう一つの事のおかげでもあった。

544適当:2013/02/24(日) 12:51:21 ID:Dbksyv72
それは、鼻。つまり、嗅覚である。俺を含めて、文化的な生活を営む者(ポケモン)達は、人間に雇われて生活している者もいれば、人間と同じ街に独立して住居を構え、生活している者もいる。俺は、後述の方である為、人間の匂いは頭の中で記憶している。俺が何者かの足音と声を耳にした時に感じた匂いは、人間では無かった。俺が感じた匂いは、犬系に属する生き物が放つ個性的な匂いである。俺は、姿を見たワケでは無いので、この位しか言い切る事は出来ない。“犬か犬獣(犬型のポケモン)か…。本当に悪いヤツだったのか…。”俺は、次に謎の者が敵か味方であるかを考えた。謎の者は、声質からして雄であろう(声がたとえ雌っぽくても、匂いですぐに分かるのだが。)。そして口にした台詞(セリフ)は、“師匠……。”である。謎の者が口にした台詞(セリフ)はよく覚えていない。印象に残る言葉しか覚える事は出来なかった。冷静に聞けば、全て覚える事が出来たかもしれない。だが、俺には、冷静さを保っている余裕は無かったのである。俺があの時いた場所は、“命を奪ってはいけない。”とルールが定められた街中では無い。自分が考えている常識など全く通用しない野生の中である。嗅いだ匂いが、猫とか猿だったならば、もう少しとどまっていたかもしれない。だが、俺が鼻で判断したのは、犬、もしくは犬獣(犬型のポケモン)。犬は、肉食動物。俺をエサと認識して、食す予定だったかもしれないのである。せっかく、彼の拘束から解放され命が助かったにもかかわらず、姿を見る為にあのままその場にとどまり、姿を見せた者に食い殺されては元も子も無いのである。謎の者が口にした台詞(セリフ)は、“師匠、今夜の晩ご飯を見つけました。”だったかもしれないのである。謎の者が呼びかけた“師匠”という名を持つ者の匂いは、ハッキリ言ってわからなかった。匂いの重点的な所だけあげるなら、まず犬、次に猫…。後は、わずかに猿のような匂い。これらが混ざり合い俺の鼻に感じさせたので、どんな生き物なのかは検討がつかない。もしかしたら、伝説種族(伝説ポケモン)に属する者だったかもしれない。犬と猫と猿が組み合わさったような生き物がいるとすれば、前述で述べた種族であってもおかしくはないだろう。俺は、謎の者と共にいる者(ヤツ)の姿を想像出来るかと言われたら、“無理だ”と答える。よく考えて欲しい。犬と猫ならまだまだ想像をつける事が出来るだろう。

545適当:2013/02/24(日) 12:58:08 ID:Dbksyv72
だが、そこに猿が混じってはもう想像のつけようも無い。そもそも、組み合わさる遺伝子がおかしいのである。今、冷静になった所で考えてみると、得体の知れない匂いと自分を食い殺す者の匂いを嗅ぎつけて、“これは敵に違いない!!”と決め、暗闇の森の中からすぐに抜け出したのだと思っている。俺は、鼻が利く鼠獣(そじゅう)【ネズミ型のポケモン】に属したおかげで助かったと、以上の事から思い直すも、自分の本当の願望を口にしてしまっていた。

「どんな姿だったんだろうな。イヌとネコにサルか…。」
スゥー ハァ…
「見たかったな…。きっと、すごいヤツだったんだろうな。」

俺は、深呼吸にも見える後悔のため息を一つ吐いて、命が助かる事とは反して、“死んでも良かったから見れば良かったか?”と自分に疑問もぶつけてしまっていた。命が助かる選択肢を、素早く的確に選択したはずなのに、俺は目線を落として後悔の念にかられていた。犬と猫と猿の遺伝子が混ざる生き物。そんな生き物は、一生の内で中々目にする事が出来ないだろう。“助かったのに、俺は何を考えているんだろうな。”自分が、なぜこんなにも強い後悔に駆られているのかがはっきりと理解出来ていたが、謎の者達の姿を見てしまったなら、自分が一番最優先しなければならない事が出来なくなっていたともう一度考え直し、“なんてバカな事を考えているんだ!!”と自分に強く叱責(しっせき)を行い、後悔の念を消そうとしていた。何度か、自分に叱責(しっせき)を行っている内に、“姿を見たい!!”という強い願望から生み出された、“見れば良かったな。”という後悔が、見事に消え去っていった。後悔の念を消せば、本望が強く見えてくるし、感じられる。俺は、【闇】と示された扉へと目を向け、自然と笑みをこぼし感謝の言葉を呟(つぶや)いた。

546適当:2013/02/24(日) 13:00:44 ID:Dbksyv72
「誰かは、知らないが君達のおかげで俺は、アイツに殺されずに済んだ。ありがとう、感謝する。」

俺が殺す者と思った、謎の者達に感謝したのは、謎の者達が彼に、彼を警戒させる足音を立ててくれたおかげで、自分自身の命が今時(こんとき)まで続いているからである。謎の者達が現れなければ、俺は彼に喉元(のどもと)を小さい刃物で切り裂かれ、とっくにこの世にいないだろう。俺が巻いているハチマキは、絶対に死なないと謳(うた)っているが、どれ程のものかは確証出来ないし、検討もつける事は出来ない。絶対に死なないハチマキがどうゆう仕組みになっているかを推測するとすれば、特殊攻撃を軽減すると言った所であろうか。骨が折れる、刃物で切りつけられた時の傷など、体に直接ダメージが伴(ともな)う攻撃は、軽減はおそらく無理であろう。と考えるなら、彼に拘束され、彼に突きつけられたナイフで喉元(のどもと)を切り裂かれるなら、俺は即死しただろうと考えられる。俺は、彼に力で勝つ事は出来ない。彼を押しのけて、自分で体勢を立て直すなどとうに不可能なのである。故(ゆえ)に、俺が今時(こんとき)まで生き続けるには、何者かによる、彼の行動を止めるきっかけがかかせない。“ふぁ…。眠いな。普段は慣れてないから仕方が無いか。”命からがら助かったにもかかわらず、呑気(のんき)に欠伸(あくび)をしている様を見た者は、誰であろうと、“気が抜けてるな。”と思うかもしれない。が、俺も生き物だ。食欲、性欲、睡眠欲。この3つのどれかが欠けていれば、体が自然に欲してくる。体が欲して来るので、俺にはこれらの欲に逆らう事は出来ない。まぁ、二つ目は自分の意志もあり、無理矢理もあって今の所、というか今後一切考えないだろう。これとは、別に自分の愛する雌のが今どうしているかは考えるが、瞼(まぶた)が重くなって来たので、それももう考えない事にする。俺は、背中に結んであったさやに刀をしまい、自分の横へと置き、体の思うがままに眠りの世界へと旅立っていった。

547適当:2013/02/24(日) 13:05:15 ID:Dbksyv72
Day14

パチッ…
「ふぁ〜あ。ああ…。」

俺は、唯一の生活空間である真っ白い部屋で目を覚ました。起き上がらずに、片方の目だけ閉じて大きく口を開けて欠伸(あくび)をし、小さくため息に近い声を上げた。目を覚ましてすぐに、ため息をついたのは、“小鳥でもさえずっていればな…。”と心の中で願っていたからである。監禁されていなければ、今頃毎朝の目覚めには、爽(さわ)やかな日の光が差し込み、日の光に負けるまいと小鳥達が合唱し、自分達の存在を知らしめる、二つがそれぞれ主張しあう様を見る事が出来るだろう。小鳥の声が聞こえる所に住むかどうかはわからないが、少なくとも日の光ぐらいは浴びる事が出来るはずである。各番人が待ち受けるステージの中で、お気に入りのステージがあればそこで代わりの生活空間を作りたいが、これらのステージには【18:00〜6:00】までは出入り不可能というルールがある為、それは叶わない。ルールを無視しても、必ずこの部屋に戻される事であろう。体力が闘えない状態まで低下すれば、自然にこの部屋へ戻されるのだから、当然ルールを破ってお気に入りのステージに居座り続ける事は出来ないだろう。お気に入りのステージをあげるとするなら、【若葉】の間の番人が待ち受ける草原2のステージである。木陰もあるし、月の光も浴びる事が出来る。雨が降ったなら、この部屋に再び戻って来ればいいだけである。環境もそうだが、ステージの番人も親しみやすい、あどけない表情を持つあの少女である。彼女は、純粋な可愛さに、純粋な性格を持っている為、見ていても、話していても飽きが来ない。今、俺に愛する雌である“綾”がいなければ、あの少女を彼女にしたいと思うであろう。現に、彼女から求められた性交も、気がつくと途中から自分の意志で行っていた。親しみやすかったと言わなかったのは、まだ生きていて欲しいと願っているからかもしれない。会いに行って、生きているかどうかを確かめに行く事は出来る。だが、行った所でこれから死ぬ運命をたどる…。死ぬ運命へ導いた者は、自分であるのに、あの少女にどんな言葉を掛けられようか。何も声は掛けられないであろう。俺に、“俺の命を使え”と示すような、彼女と中身を入れ替えるが出来る能力があれば、彼女へ会いに行く事が出来る。

548適当:2013/02/24(日) 13:11:39 ID:Dbksyv72
だが、俺にはそんな夢のような能力は無い。能力があったとしても、彼女が俺として生きる事を選ぶかどうかである。俺の立場は、監禁される立場である。“命が助かるが、自由の身とはなれない運命”を選ぶか、“殺されるが、少しは自由が利く運命”を選ぶか。俺の推測だが、あの少女なら“いやだ。”と舌を出して可愛らしい表情で拒否の意思を示しそうである。想像して楽しむのもいいが、想像した所で現状が変わる訳でもないので、全く無意味である。話が大分それてしまったので、理想の世界から現実に戻る事にしよう。俺は、“小鳥がさえずっている声が聞きたい”という叶わない願望を、心の中でほんの少し願いつつも、現在の時刻が気になり腕時計へと目を向けた。

チラッ…
【15:00】
「3時だとぉ!?」

俺は、腕時計に表示されている予想の域をはるかに超えた時間帯の表示を見て、現実世界で目を見開き、部屋中に声を響かせて驚いてしまっていた。“3時か…。なぜだ?”俺は、先程願っていたはずの叶わない願望を忘れ、想定外の時間帯に起きてしまった原因を考えた。冷静に考えてみると、一つだけ原因を見つける事が出来た。それは、【闇】の間の番人である彼から受けたダメージが、自分が思っていたよりもかなり大きかったという事である。彼からダメージをもらったとはいっても、彼から受けた技は、【バック転・けたぐり】と【コピー連続十字切り】である。これだけ(まぁ、連続十字切りは結構ダメージがあるが、彼は刀よりも数倍威力が劣る軍用ナイフを使っているので、普通の技と同等の扱いとする。)の技を受けただけで、半日以上も無駄にしなければならない程の休息が必要だったのである。“マズイな…。アイツからのダメージが大き過ぎる…。次に負けると本当に殺されるんじゃないか?アイツは、俺を殺したがっている。アイツは、今度は本気で向かってくるハズだ。”力の差を思い知らされるのは、非常に恐ろしい事である。俺は、食事ルームへと駆け出し、急いで食事を済ませた。食事の後、すぐに中央へ掛け出して戻り、そばに置いてあった刀を拾い、一心不乱に刀を振り始めた。

549適当:2013/02/24(日) 13:16:59 ID:Dbksyv72
ブン ブン…
「はぁ!!たぁ!!はぁ!!」

右へ左へと、刀を一閃(いっせん)させる攻撃を何度も行った。“連続十字切りは見切られた。新しい刀の連続技を考えなければ!!”俺は、先程よりも右へ左へと刀を一閃(いっせん)させる攻撃を速めた。

ブン ブン ブン ブン…
「はぁ!!たぁ!!はぁ!!はぁ!!はぁ!!…」

何度、左右交互に振っただろうか。気がつくと、俺は全身汗だくになっていた。スーツのすぐ下の自分の肌からは、かなりの熱を帯びている事が感じられた。“休んでいるヒマはない!!勝たなければ、殺されるんだ!!”俺は、極度の疲労にとりつかれつつも、自分にムチを打つように言い聞かせ、俺は刀を横へ向けて構え、体勢を低くして足腰に力を溜め始めた。

「はぁぁぁぁぁ!!」

“よし、たまった!!果たして上手くいくか?”俺は、部屋中に声を響かせながら、足腰に力を溜め終えたと感じ取り、新しい刀の連撃技の技名を叫び、足腰に溜めた力を解き放って、低空飛行で勢いよく前方へ進みながら、左、右へと刀を振った。

「空中十閃(くうちゅうじゅっせん)!!はぁ!!はぁ!!はぁ!!はぁ…」
ブン…スタン
「はぁ…はぁ…。よし、十じゃなくて八ぐらいだったがよしと…するか…。」

九回目横へ刀を振ろうとした時に、地面に近づいたので、俺は刀を振る事をやめて、地面を両手に着き無事に着地を成功させた。着地をし終えた後、激しく呼吸を行いつつも実際に空中に浮いている状態で、横に刀を振る事が出来た回数を言い聞かせ、自分を満足させていた。“これは、アイツもコピー出来るハズがない!!ブラッキーがランチャーヘッドバッドなんて使えるワケがない!!”肩で呼吸しつつも、俺は少しの希望を見出す事が出来たので、喜びの笑みを浮かべた。“一応、他の技も練習しておくか。練習して損という事は無いハズ。”呼吸を落ち着けた後、俺は刀を背中に背負(しょ)う鞘(さや)にしまい、硬質化させた尻尾を前方に進みながら、何度も振った。

550適当:2013/02/24(日) 13:21:32 ID:Dbksyv72
「エンドレスブレードテイル!!はぁ!!はぁ!!はぁ!!はぁ…」
ガクン
「うう!!はぁ…はぁ…。無理だな。疲れ過ぎた。」

先程の激しい動きが足に来てしまったのか、五回目を振りかぶった所で、膝が悲鳴を上げ、限界を訴えるように、俺の意志を無視して折れ曲がった。膝が折れ曲がり、俺は膝に地面をつけ、自分に“これ以上のトレーニングは無理だ。”と言い聞かせた。“まぁ、この二つがあれば、負けないだろう。ブラッキーがブレードテイルを使えるのなら、コピーされるかもしれないが、その前にアイツの体力を0(ゼロ)にしてしまえばいいだけの事だ。”歴然な力の差がある者の体力を無くす事は、容易ではないが、俺は、激しいトレーニングから来る満足感から豪語してしまっていた。“よし、風呂に入って寝るか。”俺は、呼吸を完全に落ち着かせ、静かに自分の体の熱を感じながら、シャワールームへと歩を進めた。シャワールームへとたどり着き、スーツを脱ぎ、シャワールームの中へと入り、先程の激しい特訓により、体から噴き出した汗を流し始めた。

キュッ
ジャアアア…
キュッ

俺は、体を洗い終えお湯の蛇口を片手で止め、シャワーの勢いを断った。“よし、スーツを着て寝るか。疲れたまま、アイツに挑んだら負けてしまうからな。”シャワールームから出て、俺は体を震わせて水気を飛ばした。“なんか、俺は犬みたいだな…。”俺は、毎回体を洗い終えると用意されているタオルは使わずに、体を勢いよく震わせ水気を飛ばしている。水気を飛ばす時の姿勢が、水に濡れた犬が水気を飛ばす様に似ていたので、俺は水気を飛ばし終えた後“野蛮だな。”と自分の行いを嘲け笑った。“まぁ、いいか。この方が早いからな。”俺は、汚れたスーツを手に持ち洗濯機が設置されている場所へ歩を進め、洗濯済みのスーツと汚れたスーツを交代して、汚れたスーツを洗濯機の中へと放り込んだ。“やる事も、終えたし寝るか。”洗濯機を作動させ、洗濯機の作動音へ耳を貸すことなく、中央へと歩を進め、スーツを着て仰向けになり、【闇】の間の番人である彼との戦闘までの、少し短い休息を取った。

551適当:2013/02/24(日) 13:25:23 ID:Dbksyv72
Day14【20:40】

俺は、短い休息を取り終えて目が覚めた。目が覚めると、夕方の時間帯に行った激しい特訓の疲れが、ウソのように消えていた。疲労の代わりに感じたのは、自分の腹の空きであった。俺は、起き上がって、この魔法のような感覚に驚いていながらも、不思議だとは思わなかった。なぜ、疲労が消えて腹が空くかは誰だって大方予想はつくし、俺は予想では無く完全に理解していた。休息を取ると、体の中の栄養分を、傷ついた細胞や疲労している筋肉に行き渡らせて体を修復する機能が存在する。この機能は、生き物が誰しも持っているものである。故に、俺の体は、昼食を摂った栄養分を使い、夕方の時間帯に行った激しい特訓の疲れを取り除いたという事になる。“当たり前とわかってはいるが、やはりすごいな。”世の中に起こる現象は、どうゆう仕組みで起きるのかを理論で説明する事は出来ても、理論通りに事が進み実感…。という事は、容易なものではない。理論はあくまで、現時点で考えられる“現実に現す事が出来る唯一の方法”としてでしか無く、必ずしも正解だとは限らない。理論を述べても、正解でない例の一つとして、エスパータイプが持つ、超能力がそれに当てはまる。エスパータイプが技に用いる“念”は、科学では証明する事は出来ない。念力の仕組みは、結果を見て“こうでは無いだろうか。”という予想しか出来ない。絶対に証明出来ない“念の力”による代表的な技として、“テレポート”があげられる。テレポート…つまり瞬間移動は、科学の世界では“宇宙の数十個分のエネルギーを必要とする”と述べられていたが、エスパータイプがこの現象を技として容易にこなした事で、“必ずしもそうではない。”と結論付けられたのだ。かの科学の天才の人間も言った。“証明不可能と思われた相対性理論は、完全に証明する事が出来ても、念の力は証明出来ない。念の力は、我々が不可能と思っていた現象を容易にこなしてしまう不思議な力として、我々は認めるべきではないだろうか。”と。天才科学者である彼の意見に反する者も当然の如く現れた。彼らは、彼の意見を覆してやろうと、必死に念の力の証明の研究を行った。だが、一向に証明出来ず、結局時間の無駄であったのだ。否定する者達は否定する者達の力により、唯一導き出せたのが、念という“形の表せないエネルギーが実在する”という事だけだ。

552適当:2013/02/24(日) 13:29:11 ID:Dbksyv72
だが、今となっては、否定する者達の研究の成果から導き出した理論も、“実は違うのではないか”という意見も出始めている。以上に述べた事が、理論を述べても正解には当てはまらない事例の一つである。話が大分それてしまった。そんな事はどうでもいい。話を現実に戻す事にしよう。俺は、過去に得た知識から“寝たら回復するのは、食事を摂ったから当然の理(ことわり)だ。”と判断し、体が今一番欲する事を行う場所へと歩を進めた。歩を進め終え、用意された食事を口へと運んだ。“負けたとすると、殺される…。これが、俺の一生の最期の食事になるのかもしれない。”という事が、頭の中にかすかに姿を見せていたので、俺は自分が定めた時間の許す限り、一口一口味わっていた。いつもよりも、数倍遅い速度で体の中に栄養を浸透させ終え、残す所、あまり口に入れたくは無い、恒例のあの青い液体であった。俺は、青い液体を飲みながら、自分自身の強い決意を固めた。

ゴク…ゴク…
“こんな、マズイ飲み物を最期には出来ないな。”
ゴク…

“いや、最期の飲み物にしてたまるか!!絶対に生きて帰って来てやる!!”俺は、言葉では形容もしたくはない液体を飲み終え、液体が入っていた容器を食事のトレーに置き終えて自分に強く言い聞かせた。“よし、行くか。絶対にアイツを倒してやる。もう誰も殺させやしない。”誰も殺させはしないとは、言っても彼が一体どの位の生き物を殺めて来たかはわからない。であるから、誰もというのは自分も当然の如く含まれる。いや、あんなに血に飢えているのなら、あんなに残虐(ざんぎゃく)な性格なら、彼は、自分が一番欲する事を何かに制限されて生きて来たかもしれない。だから、あんなにも俺を殺したがっているのではないだろうか。だとすると…。俺だけが“誰も”という言葉の対象となるだろう。俺は、彼に“絶対に殺されるものか!!”という思いだけを心の中に宿して中央に歩を進め、刀を背中へと結びつけた。黒いレンズの機械も目に設置し、すべての準備が整え終えたので、残虐(ざんぎゃく)な彼と闘おうと、【闇】と示された扉へ歩を進めた。だが、俺の足取りは決意を固め終えた後だとはとても思えない、重い足取りであった。

553適当:2013/02/24(日) 13:33:23 ID:Dbksyv72
スタン……
スタン……
スタン……

なぜ、こんなにも重い足取りなんだろうか。食事を摂り終えた後の強く固い決意はどこへ行ったのであろうか。俺は、軽快な足取りで向かえない自分に、原因を訊ねてみた。すると、一つの答えが浮かび上がった。“恐怖”という感情。“彼に殺されたくない”という強い拒否の意思。しまいには、“ここから脱出(で)られなくてもいいから、まだ生きたい!!闘わないでおこうか…。”という常軌を逸(いっ)した感情まで抱き始めていた。俺に、食事を摂った後の強い決意を台無しにするが如くの三つの感情を抱かせたのは、彼が行った行動と彼が放って来た言葉であった。「I never give you side again.」「I will not talk with you.Die come down!!」「お前と話すつもりはない。なぜなら、お前を今から殺すから。」彼が放った言葉は、その意味を持っていた。俺は、彼の言葉と彼の恐ろしい表情の光景にとりつかれ、一匹でに苦しみ始めた。

“うう…。くっそ!!なんで…。なんで…。なんで、扉が開けられないんだ!!”

俺は、【闇】と示された扉の前までは三つの思いに駆られた、重い足取りでもなんとかたどり着く事は出来た。だが、彼と闘うステージに移動する為の行動を起こす事は出来なかった。“死にたくない…。死にたくない…。”俺は、彼に抱く恐怖の感情を、心の中には留めておけず、ついには現実世界にまで出してしまっていた。“うぅ…。”扉のノブには手をかけられるものの、彼に抱く恐怖の感情が強すぎた為か、捻り回す事は出来ないでいた。“今闘うべきは、アイツじゃない。アイツを恐がっている自分…自身…。”俺は、自分が現時点で最優先すべき敵を見つけ、奮闘を始めた。

554適当:2013/02/24(日) 13:36:31 ID:Dbksyv72
“行ったら死ぬ…。お前は、まだ勝つ事は出来ないかもしれないぞ?”
「くっ…。」
“命が惜しいだろう?”
「うう…。くっそ…。」
“行かない方が…”
「うおおおお!!黙れ!!黙れぇぇぇ!!止まった所で何になる!?今行けなければ、もう一生行けないんだ!!」

“はぁ…はぁ…。くっそ!!ふざけやがって!!”俺は、現実世界で声を張り上げ自分の弱い意志を消し去った。もう一つの意志を消し去った後、気がつくと俺は少々の激しい息切れを起こしていた。しばらく、呼吸を整える事に集中し、自分の胸にそっと手を当て、自分自身に言い聞かせ始めた。

「大丈夫だ。勝てる。お前なら…俺ならやれる。だから、安心しろ。死にはしない。こんな所で、お前は死ぬようなヤツじゃない。そうだろう?」

“そうだ。俺は、こんな所では死なない!!俺は、死にに行くんじゃない…。生きる為に闘っているんだ!!”俺は、自分自身の安心させる言葉に、強い意志を込めた言葉で返し、意を決して、恐怖の対象である彼が待ち受ける【闇】の間へと歩を進めた。

555適当:2013/02/24(日) 13:40:06 ID:Dbksyv72
俺は、【闇】の間へとたどり着いた。“あれ?今日は、フクロウと鈴虫の鳴き声がしないな。”【闇】の間にたどり着くと、すぐさま昨日聞く事が出来た、二つのいやしの鳴き声が無い事に気がついたので、黒いレンズの機械を作動させ辺りを見回した。

「あっ…。ウソだ…。ここは、昨日俺が来た場所じゃない!!」

目の中に、黒いレンズの機械が映した光景が入った瞬間に、俺は驚き、声を上げた。俺が見た光景は、昨日の光景とは全く異なっていた。木々が支え合うように密集していた森が、まるで俺を取り囲むように円状の森へと姿を変えていた。耳を澄ましても、何の生き物の声も聴くことは無かった。鼻を動かしても、草木の匂い以外は何も感じられなかった。“初めて来たステージで、アイツともう一度…闘うのか…。”俺は、自分を睨みつける木々を順に目を向けていると、三本目に目を向けた所で、視界の隅に何やら黒い影が映り込んだ。“アイツか。”ここへ来る生き物など、相手である彼以外にはいない。俺が黒い影にすぐさま目を向けると、彼は、昨日と同様に、俺を不安にさせるような邪悪な笑みを浮かべ、満足気に辺りを見回しながら、俺へ言い放って来た。

「ククク…。コイツはいい。昨日の“うっとおしい鳥”の鳴き声も“うっとおしい虫”の鳴き声も聞こえない。しかも、中心が広くて闘いやすい。それに、貴様は俺から逃げられない。ククク…。」

“逃げる…か。”彼が言う“逃げる”とは、おそらく密集しあった木々に俺自身がのぼって、彼との戦闘を一旦中断する事であろう。俺は、彼が言い終えた後の邪悪な笑い声を耳に入れ、彼へ自分の強い意志を言い放った。

556適当:2013/02/24(日) 13:41:51 ID:Dbksyv72
「逃げるつもりはない。お前を倒しに来た。昨日のようにはいかない。」
「とっておきでもあるのか?」
「ああ。これで、お前を倒す。お前が攻撃出来る時は、もう存在しない。」

俺は、不敵な笑みを浮かべる彼へ、宣戦布告を行った。彼は、俺の言葉を聞いて高らかと笑い、俺に脅しをかけて来た。

「倒す?ハハハハハ!!いいだろう。その言葉だけは受け取ってやる。貴様は、今日俺に殺されるのだからな。俺の欲の糧(かて)となるがいい。」

“糧(かて)…。俺は、死にに来たんじゃない。”俺は、自分の思いを軸にして彼へ強く言い返した。

「お前には殺されない。殺しで満足するお前を“更正”させてやる。」
「更正?ククク…。ハハハハハ!!」
カチッ
「では、始めるとしようか。お前が俺に勝ち、宣言通りになればいいがな。」

彼は、俺の言葉に首を傾げて、俺の言葉を切り捨てるように笑い、黒い軍服の右ポケットに前足を忍ばせ、俺へ邪悪な笑みを向け、言い放って来た。俺の言葉の数秒後、静寂で奇妙な形の森に恒例の戦闘開始の合図が鳴り響いた。

557適当:2013/02/24(日) 13:45:48 ID:Dbksyv72
『READY…GO!!』
「行くぞ小僧!!殺してやる!!」

戦闘開始の合図を耳にした彼は、俺へ殺意をむき出しにした目線を送り、俺へ走って向かって来た。“ランチャーヘッドバッドは避(よ)けられる。なら、コイツはどうだ!!”俺は、彼へ駆け出し、彼が俺の元へたどり着く数歩手前で突然立ち止まり、硬質化した尻尾を勢いよく振った。

「返り討ちだ!!カウンターブレードテイル!!」
「この技が、当たると思っているのか?」

彼は、俺の攻撃を見極めて、飛び上がり俺の背後へと回って来た。“なに!?避(よ)けられた…。あんなに走って来ているのに、どうやって。”俺は、彼が自分の攻撃を避けた事に驚いていたが、彼は俺に何の感情も抱かせる隙を与えず、軍服の胸元の専用のホルダーから小さい刃物を取り出し、俺へ切りつけて来た。

シャン
「隙だらけだ!!くたばれ!!」
「当たってたまるかぁ!!」

俺は、素早くバック転を行い、彼の背後からの攻撃をかわし、背中から刀を抜き彼へ反撃に出た。

「一閃。はぁ!!」
「それも当たらんぞ!!」

彼は、俺の抜刀切りにも似た刀の一撃を前足に持つ小さき刃物で防いだ。“今だ!!さすがに、これはナイフで防げるワケが無い。”俺は、彼が攻撃を防いで満足気な表情を浮かべている所で、彼の体を何度も刀で突いた。

「連続突きぃぃぃぃ!!」
「ぐぉ!!ぐふぅ!!」

“よし、これは効いたハズだ。”彼は、俺の急な反撃に対応出来ず、刀の先端の打撃を肩や腹部に何度も受けてしまっていた。俺は、彼が体勢を崩すと予想し、彼を遠くへとばそうと硬質化した尻尾を振った。

「ブレードテイル!!」
ガキン

“は?ま…まさか、これでもひるんでいないのか!?”彼は、俺の硬質化した尻尾を小さい刃物で防ぎ、俺に不敵な笑みを向けて言い放った。

「クク…。小僧、今のは効いたぞ?なかなか痛かった。」
「な!?」
「受けるがいい。自分の技をな!!」
「くそっ!!はぁ!!」

彼は、腰元から別の小さい刃物を抜き、俺が刀を突く持ち方と同じ持ち方を行って来た。“まずい!!あれが来る!!”俺は、彼の次の攻撃を予測し彼が小さい刃物を構えると同時に、素早くバック転を行い距離を取った。彼から、刀が当たらない距離まで移動し終えた俺は、肩で呼吸しつつ、彼を警戒し始めた。彼は、俺が昨日とは違って慎重に攻めている様を、邪悪な微笑みで指摘した。

558適当:2013/02/24(日) 13:50:27 ID:Dbksyv72
「ククク…。そんなに恐いか?自分の技を受けるのが。」
「くそっ!!なんで、お前はアレを受けて平然とたっていられる?」
「簡単な事だ。貴様が、俺を倒す程の力は持っていないからだ。」

“違う!!本気で闘(や)っている…。なのに…なぜ!?なぜ効いていない!?”俺は、彼から距離を一定に保ちつつ、自分の攻撃が全く効いていない彼に、心の中でうろたえていた。彼は、俺が何も言い返して来ない様子を、まるで答えがわからないから言い返せないと決めつけるように、俺へ衝撃の言葉を告げた。

「では、言い方を変えよう。貴様は、俺に恐れるあまり俺を倒す程の力を“発揮”出来ていない。」
「はっ…き?」
「敵を殺す時は、気を抜くものじゃないぞ?」

“な!?くそぉ!!彼は、俺に指摘しつつ、口へ小さい刃物をくわえ俺に向けて飛び上がり距離を縮めて来た。俺は、彼の攻撃を受けるまいと、刀を彼へ振り下ろしたが、彼は小さい刃物を前足に持ち替えて、俺の攻撃を防ぎ腰元から小さい刃物を取り出し、俺に反撃を行って来た。俺は、彼の攻撃を刀で防ぎ、彼の持つ二つの小さい刃物と刃と刃を合わせ、彼を押しやろうと力を入れた。

「ぐぅぅぅぅ…。」
「ハッハッハ!!力でかなうワケがないだろう?いい加減あきらめたら、どうだ?」
「誰が、あきらめるか!!お前には、殺されない。はぁ!!」

俺は、彼には力でかなわないので、素速く後退し、彼の持つ小さい刃物が自分の刀の刃から離れた所を見計らって、彼へ横向きに刀を振った。だが、彼は一方の小さい刃物を口へくわえ、もう一方を腰元におさめ、高く飛び上がって俺の攻撃を避(よ)け、再び俺の背後を取った。俺が、驚いて彼へ振り向いた時、彼は、俺に自分の心を抉(えぐ)るような言葉を掛けてきた。

「小僧、いい事を教えてやろう。敵と闘う時は、“殺す”気持ちが無ければやられる。」
「な!?いつの間に…。」

彼は、俺に言葉を放ち終えた直後、口へくわえていた小さい刃物と腰元の小さい刃物を前足で握り、俺が最も恐れていた攻撃を行って来た。

559適当:2013/02/24(日) 13:55:43 ID:Dbksyv72
「小僧ォ!!隙なんて、与えると思うカァァ!?」
“くそっ。まだ、溜まってないがやるしかない!!”
「空中十閃!!はぁ!!はぁ!!…」

俺は、彼が自分に急接近して来たので、やむを得ず不完全な力の状態で、力を解き放ち低空飛行をしながら左、右と交互に刀を振った。だが、彼は走る事をやめて、小さい刃物を抜き、俺の攻撃を正面から受け止めた。

ガキン
「な!?」
「これは、避けられんぞ?三連バーストシャドーボール!!」
「なにぃぃ!?ぐわぁ!!」

俺は、自分の刀の刃と彼の小さい刃物が合わさる事で生じる金属音を耳にして、驚き目を見開いた。彼は、小さい刃物で俺の勢いを止め、俺が地面に体を着ける前に前足に、黒色の光を灯し、俺へ黒色の玉を連続で放って来た。俺は、彼の攻撃を防ぐ事が出来ず勢いよく後ろへ飛ばされ、背中を強打してしまっていた。“さ…逆手に取られた。くそっ…。”俺は、急いで立ち上がろうとするも、彼からのダメージを受けすぎたせいか、すぐには立ち上がる事は出来なかった。彼は、俺に目掛けて駆け出し、俺の体へ飛び乗り馬乗りを行って来た。俺は、彼に乗られた衝撃で声を上げ、彼の方へと目を向けた。彼は、今までとは違う欲を満たす事が出来る喜びを表す笑みを浮かべて、俺の喉元(のどもと)に小さい刃物を突きつけて、勝負の感想を告げた。

「ククク…。小僧、なかなか楽しかったぞ?空中十閃か。あれには、驚かされたな。」
「くそぉぉぉ!!離れろ!!この野郎ぉぉぉ!!」
「まぁ、落ち着け。俺は、貴様を殺したりはしない。いろいろ考えたが、貴様の言うとおりだ。やはり、殺すのはよくない。」

“ウソだ!!コイツは、俺を油断させて殺す気だ!!”俺は、彼の言葉を聞き入れても彼を体の上からどかそうと、彼の腕を押し返し始めた。彼は、俺に押し返されないように、前足に力を込めたまま、俺へ不可解な発言を行った。

560適当:2013/02/24(日) 14:00:19 ID:Dbksyv72
「がぁぁぁぁ!!この野郎ぉぉぉ!!」
「貴様は殺さない。今から、別の貴様を引き出してやる。」

“は?どうゆう…事だ?”俺は、彼の発言を耳にして彼に抵抗する事をやめ、彼が不可解な発言をした事に対して、頭の中を混乱させていた。彼は、俺に不可解な発言をし終えると、前足で握る小さい刃物を口へくわえ、軍服の胸ポケットから小型の注射器を取り出した。“な…なんだあれは!?俺を一体どうする気なんだ?”俺は、彼に前足に新たに握る不安要素の使用目的を問うた。

「何をする気だ?」
「ククク…。喜べ、貴様はもっと強くなれるぞ。この、リミットブレイク溶剤でな。」
「リミ…ット。ブレイ…」
「“See you again.(さらばだ、小僧。)”」
「な!?」

俺は、彼の新たな言葉を聞き入れて更に頭を混乱させていると、彼は俺を地獄に突き落とすような笑みを向けて、俺の首元へ小型の注射器の針を打ち込んだ。俺は、突然の彼の行動に驚いていたが、彼から受けた注射の中身が体へ入り、脈が速くなり、自分の意識が徐々になくなる事を感じ始めた。俺は、突然の事態に襲われるも、彼が油断した所を押しやって立ち上がり、自分の心臓を抑えて苦しみの声を上げ始めた。

「ああああああ!!」
ドクン…
「ぐわぁぁぁぁぁ!!」
ドクン…
「くっ…くそったれがぁぁぁ!!」

俺は、自分の意識が消え去り別の意識に支配されていた。意識が無くなると同時に、体中から自分が感じた事もない高圧の電流を周りへ解き放っていた。彼は、俺の変わり果てた姿を見て驚きつつも、興奮したように高らかと笑った。

「ハハハハハ!!ついに、来たか!!やはり、元帥様の言っていた通りだ!!」
フッ…
「終わったか。さぁ、俺を存分に楽しませろ。ククク…ハハハハハ!!」

561適当:2013/02/24(日) 14:05:22 ID:Dbksyv72
ふぅ…。久しぶりの下界よ。長き封印から、やっと自由の身になれたわ。黒き雷を体に纏(まと)う暴神・素戔嗚尊(スサノオ)とは我の事。いかなる理(ことわり)で、我が宿主(こやつ)の意識をのっとる事が出来たかは知らぬが、これはいい。ん?目の前に、見知らぬ者がうつけの如く(バカみたいに)笑っておるわ。一時(ひととき)、黙らせん(だまらせよう)。我は、目の前の愚か者へと問うた。

「童(わっぱ)、主か?我を目覚めさせた、うつけ(バカ)は?」
「わっぱ?まぁいい。ククク…。黒い雷のピカチュウなんて初めて見たぞ?貴様は、電気から悪に変わったようだな。」

“悪?こやつ何を言っておる?うつけ(バカ)の言うことは、やはりわからぬわ。神である我に畏(おそ)れ抱かぬ(いだかない)とは、肝(度胸)だけは認めてやろう。”と我が、 思っておったら、目前のうつけ(バカ)がまた何か吐(ぬ)かして来よったわ。

「喜べ、貴様とは本気で闘ってやる。貴様を見てると…殺したくなってくる。クハハハハハ!!」
「殺(あや)める?我を?」
「そうだ。それとも、まだ俺と闘うのが恐いか?」

神である我に、そのような口を聞くとは…。笑止千万(わらえない)。我は、目前の愚か者の吐(ぬ)かす事に、方腹痛し(腹が捻れる程笑った)。

「フハハハハハ!!」
「何がおかしい?勝てなくて笑うしかなくなったか?」
「この暴神・素戔嗚尊(スサノオ)と同格に争う事などありえぬわ。このうつけ童(わっぱ)【バカガキ】めが。目にものを見せてくれよう。」

さて、口うるさいこのうつけ(バカ)を殺(あや)めんとす(殺す)。」特別に、愚か者に我の神技を見せつけん(見せつける)。我が語るのも面倒だ。あの愚か者にでも語らせておけ。

562適当:2013/02/24(日) 14:10:04 ID:Dbksyv72
ブラッド視点

見れば、見る程小僧の力を感じる。コイツは、さっきの殺しに迷っていたピカチュウの小僧とは、一味も二味も違う。ククク…楽しみだ。黒雷のピカチュウとでも言っておくか。コイツが、神と言うのなら、俺がコイツを殺して新たな神となる。神になれば、元帥様の側近(そっきん)にもなれるからな!!目にものを見せてくれるか。お手並み拝見といくか。俺は、ヤツを前足で挑発する。

「新しい力を俺に打って来い。かかって来い。」
スッ…
「は?」

コイツ、何してんだ?右手を俺にかざして何をしようと…。俺が不思議そうに眺めていると、ヤツは黒く巨大な電気玉を、かざした右手から撃つ。

「朽(く)ちよ。雷撃破(らいげきは)。」
「なんだと!?うぉ!?」

俺は、ヤツが撃つ巨大な黒い電気玉を、横へ飛び込みかろうじてかわした。驚いた。これが、あの小僧なのか?そう思っていると、ヤツは瞬間移動を使う。俺は、ヤツの声を背後から聞く。

「はぁ…はぁ…。ハハハハハ!!凄い!!凄いぞ!!そうだ、もっと撃…」
「そのつもり…であるか。」
「な!?と、何度もさせんぞ!!」

俺は、後ろに急いで振り向いて、胸のホルダーから軍用ナイフを取り出しヤツに切りつけた。ヤツは、俺がそうすると読んでいたように刀を背中から抜き、当たり前のように俺と刃を合わせ始める。

ガキン キン…
「ほれ、どうした?さっきまでの威勢はどこへ行ったのだ?童(わっぱ)よ。」
「なかなか、やるな。だが、コイツはどうだ!!ハァッハァ!!」

ククク…。刃を合わせるだけが、闘いじゃねぇぜ!!小僧ォォォ!!俺は、ヤツにフルパワーの頭突きを打つ。しかし、ヤツは俺の攻撃を刀を持っていない左手で受け止め、俺を逆に頭突き返した。

「効かぬな。むん!!」
「がぁっはぁぁ!!」

うっ…。ちっ、威力が高過ぎる!!そう思っていた所を、俺は、ヤツからアイアンテールを打ち込まれた。俺は、ヤツの速過ぎる攻撃を防げず、遠くへ飛ばされる。

「刀尾撃(とうびげき)。」
「ぐっはぁぁ!!」

が…ああああ!!コイツ、絶対に殺してやる!!殺す!!殺す!!殺す!!俺様に本気を出させた事を後悔しろ!!俺は、ナイフを胸のホルダーにおさめ、両方の手に悪の力を溜め、三つのシャドーボールを打つ。

563適当:2013/02/24(日) 14:16:04 ID:Dbksyv72
「ハッハッハ!!貴様ァァァ!!もう、終わりだ!!三連バーストシャドーボールゥゥゥゥ!!」

さぁ、コイツはどうだ?おっと、避(よ)けられては意味がないから、誘わなければナァ!!俺は、ヤツを挑発する。

「逃げなければ、死ぬぞ?ヘタレピカチュウの小僧ォォォ!!」
「む?是非もなし(仕方ない)、我と童(わっぱ)の差を見せつけてくれよう。」

ハッハッハ!!バカめ!!成功した!!これで、ヤツのヒットポイントは…ゼロだぁ!!と思っていると、ヤツは何かを喋る。

「雷磁誘導(らいじゆうどう)。」
「雷…磁?何だそれは?」

電磁誘導なら聞いた事はあるが、雷磁?コイツ何を言ってやがる? 俺が不思議そうにしていると、ヤツは、俺の目の前で三つのシャドーボールを止めた。俺は、その様子を見て驚く。

「あ…あ…。う…ウソだろ?何で、磁力も無いのに…電気で止められるんだ…。」
「どうした、童(わっぱ)よ?足りぬな。もっと、打てばあたるやもしれぬぞ?(あたるかもしれない)」

シャ…シャドーボールが、ヤツの周りに浮いている!?消えずに…。俺は、ヤツが三つのシャドーボールをヤツの周りに浮かべている所を見て、目を疑った。いいだろう。どうやって、やっているかは知らんが、今度こそ死ね!! 俺は、ヤツの言葉に乗り再び三つのシャドーボールを打つ。

「では、望み通り…。死ねぇぇぇ!!」

さぁ、これはどうだ?俺の三つのシャドーボールは、ヤツの目の前にまで走った。俺は、ヤツに攻撃が届くと思ったが、結果はさっきと同じく、三つのシャドーボールを宙に浮かせ止めた。俺は、そのありえない様子を見て驚くも、ヤツを殺そうとヤケになり、同じ技を何度も打つ。

「くそぉ!!死ね!!死ねぇぇ!!」
「効かぬわ。」
「あ…。ああ…。“What the hell….Isn't it…false….(う…ウソだろ…。)” 」
「フハハハハハ!!ほれ、返してしんぜよう。受け取れ、うつけ童(わっぱ)【バカガキ】よ。」

返すだとぉぉぉぉ!?ぐっ…ぐわぁぁぁぁ!! 俺は、ヤツに止められた、十個のシャドーボールを避けられずに全て受けてしまった。ヤツのカウンターシャドーボールが速過ぎて、見切れなかった。俺は、血を吐きながら遠くへと飛ばされた。“あ…あいつにはもう打たない方がいい…な。”俺が、立ち上がろうとした時、ヤツは笑い何かを言う。

564適当:2013/02/24(日) 14:21:37 ID:Dbksyv72
「ぐっ…がっはぁ!!こ…小僧、よく…も…」
「神雷域(じんらいいき)、むん!!」
「“ゴ…God of thunder field!?Gu…Haaaaa!!(神雷域だとぉぉぉ!?ぐはぁぁぁ!!)”」

ヤツの次の攻撃は、俺が生きてきて一度も見たことの無い程の広範囲の黒い雷で取り囲む攻撃だった。俺は、ヤツの攻撃を避(よ)けられず、手痛い(どころじゃねぇな。)電流を浴び身動きを止められた。“こ…これは!?電磁波!?しまったぁぁ!!”俺は、焦りながらも、必死に体を動かそうとする。だが、一向に体は動かない。しかも、ヤツは俺を赤子同然に見ながら、どんどん距離を縮めて来る。

スタン…
スタン…
スタン…

あ…あ…。俺はコイツに殺されるのか…。俺は、必死にもがき動こうとする。ヤツは俺に迫って来る。ヤツしか、行動は成功せず、俺はヤツの黒い電流を受けたせいから来る、言葉では言えない程のマヒで体を縛られながら、頭の中に“死”という言葉が現れた。ついに、俺はマヒで完全に身動きを封じられたまま、ヤツを目の前にまで近づけさせてしまった。ヤツは、苦しんでいる俺を見て、俺を嘲(あざ)笑う。

「フ…ハハハハハ!!苦しいか?童(わっぱ)よ?」
「ぐ…ぐぅ!!」
「喜べ、我の真の姿を見せてやる…ぞ?」

真の姿!?って事は、コイツあれでも本気じゃなかった!? 俺は、ヤツの言葉を聞き終え、全身に衝撃が走った。次の瞬間、ヤツは俺の目の前でさらに力を増やし、ついには目の色まで変えた。こ…これが…コイツ。俺が見たのは…まだ力も出していない時だった…。ヤツのエメラルドグリーンに変わった目を見て、俺はその場に尻を着き、顔を青ざめて、恐怖に脅え、涙を流す。

565適当:2013/02/24(日) 14:27:11 ID:Dbksyv72
「うぅ…。あ…あ…。」
「そう悲観するな、童(わっぱ)よ。我は、真の姿を下界の者に見せた事は無い。主が、初めてよ。フ…ハハハハハ!!」
“ここここコイツ…何言ってやがる!?ししし…真の姿を見たのは俺が初めて!?”
「さて、飽きたし、終(しま)いにせん(終わりにしよう)。童(わっぱ)よ、宿主の記憶をたどると…。主は、我の血が欲しいと吐(ぬ)かしておったな?」
「えぐっ…。血?血肉を…」
「求めんとす(求める)、生き物。フハハハハハ!!我も、主と同じ血肉を求めんとす(もとめている)神。よって、主をここで殺(あや)める事をせん(殺す)。」

あ…あやめるって何なんだ!?でも…この状況から言ってコイツに、俺は殺される…って事だよ…な?俺の考えは、的中した。ヤツは、刀に自分の黒い電流を送り、無いはずの波紋を作り出した。俺は、ヤツが作り出したありえない波紋の色を見て、体を震わせ、股下から温かいものが流れている感触を、後足と尻で感じ始めた。うっ…漏らしてしまった…。と 恥ずかしがっている余裕は無かった。それ程、コイツに抱く恐怖心が今までに闘い殺して来た、実験対象のヤツらとは、一味も二味も違っているからだ。いや、いくら考えても、俺がビビったのはコイツだけだ。ショーン中尉は優しいし、カオス小佐もそれ程恐い獣(ポケモン)だとは思えない。カオス小佐は背は高いが、威嚇(いかく)しているイメージは無い。ただ、あの方は元帥様の言いなりになっているだけだ。俺が…今からカオス小佐を超えて元帥様の右腕となろうとしていた時に限って、コイツに!!こんな所で、こここ殺されるなんて…。ヤツは、恥を丸出しにした俺に笑いかけ、俺の股間から出た尿に手でふれ、俺をからかう。

「フハハハハハ!!どうした、こんなに濡(ぬ)らしおって。主は、それでも雄か?」
「うぅ…。た…頼む!!命だけは…命だけは助けてくれぇぇぇ!!」

も…もうなんでもいいから助かりたい!!殺されたくない!!俺は…どうしてあの小僧にあの注射なんかしたんだ? 俺は、強くここからの生還を願っていた。生還を願うと同時にある事を思い出した。

566適当:2013/02/24(日) 14:32:10 ID:Dbksyv72
“シャーズ、これが何だかわかるか?”
“それは何ですか?ブラッド小尉。”

あの雌(おんな)が俺に質問をぶつけると、俺は大声で笑った。

“ククク…ハハハハ!!”
“な…何がおかしいんです?”

あの雌(おんな)は、俺に驚きの顔を見せる。俺は、答えを言う。

“これは、限界突破の薬だ。”
“げ…限界突破ですってぇ!?”
“ああ。これを、あのピカチュウの小僧に打つ。ククク…楽しみだ。どれ程…強くなるかがな!!そして…強くなった所を殺す。ククク…ハハハハハ!!”

俺が、あの雌(おんな)に使用目的を言うと、あの雌(おんな)は生意気にも、俺に意見する。

“ブラッド小尉。あのピカチュウを甘く見てはいけません。あのピカチュウは、天才。いえ、言い方を変えます。やめなさい!!坊やを殺す事も!!坊やへの注射も!!”
うるさい雌(おんな)だ。黙らせてやるか。
“じゃあ、お前が今ここで俺を殺して止めたらどうだ?”
“うっ…。そ…それは…。”
“出来無い。ククク…ハハハハハ!!お前が弱いから、お気に入りのピカチュウの“坊や”とやらも、明日死ぬ…な!!ハハハハハ!!”
“ううっ…。ぐっす…。お願いです、ブラッド小尉。目的を忘れてはいけません。殺しては…ダメです。”

これだけ言ってもまだわからんか。しょうがない。触れたくはないが。俺は、あの雌(おんな)の顔を思いっきりはたき、あの雌(おんな)を仰向けにする。

バチン
“ああ!!ぶ…ブラッド小尉…。”
“黙れ、βのザコが。俺に逆らうな。裏切りをはたらいた所を生かしてやったのは、どこの誰だ?”“うぅ…。そ…それは、ブラッド小尉です。”
“そうだ。生かした本当の理由も教えてやろうか?”
“ほ…本当の理由?”

泣いても、胸に来ない。どんな雌(おんな)が泣こうと、俺は性欲なんぞないからな!! 俺は、泣いているあの雌(おんな)の目の前まで顔を近づけ、鼻をくっつけて脅す。

“俺が、処刑獣(処罰を下す担当のポケモン)だからだ。”
“うぅ!!あっ…そ…そんなぁぁ!!”
“このプログラムが終わり次第、あの小娘も、お前も…。あの世行きだ。”

567適当:2013/02/24(日) 14:37:04 ID:Dbksyv72
俺が言った瞬間、あの雌(おんな)は泣き崩れやがった。ハハハ。当たり前だろう。元帥様が裏切り者を生かすものか!!バカめが!!この、お楽しみは最後にとっておくという余裕さも今は無い。俺は、死ぬ。殺される。あの雌(おんな)の言っていた通りだ…。忠告を無視した為に…。ヤツは、俺の命乞いを無視して、手に付いた、俺の尿を蒸発させた。俺は、ヤツの起こした行動を見て泣き叫ぶ。

バチッ ジュウウウ…
「ひ…ひぃぃぃぃぃぃ!!」
「これ以上、主と闘っても詮無き事(甲斐がない)。去ねぇい(死ね)。我に、殺(あや)められる事、誇りとし、八蓮の上(あの世)に…。逝(ゆ)くが良い。」

ヤツは、俺にそう言った後、刀を大きく上にあげ、俺へ切りかかって来た。うわぁぁぁ!!殺される!!いやだ!!いやだぁぁぁ!! 俺はヤツに向けて、体の奥底から悲鳴を上げた。おれが、思いっきり目を閉じて、死を覚悟した瞬間、ヤツが刀を落とし、頭を抱えて苦しみ始める。

「が…。がぁぁぁぁ!!宿主(ぬし)か!!邪魔をするな!!寝ておれ!!」
“お前の好きにはさせない!!”
「黙れ!!我は、今からこのうつけ(バカ)を肉塊と化せん。我の愉(たの)しみを、奪う事赦(ゆる)さぬぞ!!」
“お前は、何か勘違いしている!!これは、殺し合いじゃないんだ!!”

や…ヤツは…一体どうなっているんだ?俺は、ヤツの苦しむ様子を、脅えながらも見ていた。ヤツは、俺を殺す事を見えない何かに叫ぶ。

「ぐがががぁ!!わ…我は、宿主(ぬし)と違って容赦などせぬ!!宿主(ぬし)は…甘過ぎるわ!!たわけ(バカ)がぁ!!」
“うるさい消えろ!!俺の体を好きにはさせないぞ!!”
「宿主(ぬし)が消えろ!!」
“消えろ!!”
「消えろ!!」
“消えろぉぉぉぉ!!”

568適当:2013/02/24(日) 14:41:18 ID:Dbksyv72
“はぁ…はぁ…。やっと、意識が戻った。突然、別の俺が出てきて…。”俺は、もう一匹の自分を消し、肩で呼吸をしていた。“あっ…これは…。”呼吸をしている途中に、頭の中に残る記憶を感じ取り、俺はすぐさま目の前の彼へ目を向けた。

「お前!!大丈夫か!!」
「あ…あ…。」

彼は、尻餅を着き、涙で顔をぬらし、体を震わせていた。彼の下腹部へ目を向けると大量の黄色の液体が目に受けられた。俺は、意識が無かった時の記憶を感じ取っていたので、彼が脅えている原因を理解し、彼の肩へ手を置いて彼を落ち着かせ始めた。

「すまない。お前を…こんなに痛めつけてしまって。」
「俺は、た…助かったのか?」
「ああ。もう、大丈夫だ。アイツはいない。」
「そうか…良かっ…た。」

俺が彼へ返事を返すと、彼は恐怖で脅えていた表情を安心した表情へと変え、そのまま気を失い、後ろへ倒れ込んだ。俺は、あわてて彼を抱きかかえ、彼に声を掛けた。

「お前!!しっかりしろ!!大丈夫か!!」
「すー。すー。」

“良かった、息はしているようだ。傷がひどい、手当てをしてやりたいが…。コイツも裏切らせてしまう事になる。それは、出来ない。すまないが、自力で起きて自力で帰ってくれ。”俺は、彼の呼吸音を聞いて安心し、彼の胸についている“λ(ラムダ)”と描かれた、藍色のバッチを手に取り、スーツのポケットへ収めた。“俺には、もうどうする事も出来ない。”俺は、彼が仰向けになり、安心した表情で目を閉じている様を見届け、そばに落ちた刀を拾い、奇妙な森から姿を消した。

569適当:2013/02/24(日) 14:45:43 ID:Dbksyv72
俺は、彼と死闘を繰り広げた奇妙な森から、全く別世界の平坦(へいたん)な部屋へと姿を戻した。“うん…。俺がアイツをあんなにしてしまったのか…。もう一匹の俺…。厄介だな。”姿を戻した後、俺は目線を落として、頭を悩ませていた。しばらく、もう一匹の自分をどうやって抑制しようかと考えていたが、何も答えは導き出す事は出来なかった。俺は、自分の胸に手を当て、自分自身に言い聞かせた。

“大丈夫だ。俺が、俺自身がもう一匹の俺を出て来れないようにする。俺なら、出来る。俺の体を好きにはさせやしない。”

俺は、強い決意を固め、黒いレンズの機械を取り外そうとした。だが、両手が空間を切り何も無い状態へとなっていた。“壊れた!?まさか、腕時計も!?”俺は、驚いて自分がいつも腕時計をはめている腕へと目を向けた。俺の、懸念通り腕時計の表示画面は割れ、時計として機能はしなくなっていた。“はぁ…。バカたれが…。”俺は、もう一匹が招いてしまった事態にため息をつき、途方(とほう)に暮れていた。途方に暮れていたのもつかの間。俺は、すぐに別の不安要素に襲われた。

570適当:2013/02/24(日) 14:48:00 ID:Dbksyv72
「はぁ…。時計が無ければ、この先どうしようも…」
ヒュッ…
「は?まさか!!」

俺は、額に妙な寒気を感じ取り、手を額へと触れさせた。手を触れてみると、いつも額に巻いていたハチマキの感覚が消えていた。“そ…そんなバカな!!俺は、一度に二つの欠かせない道具を失ったのか!?”死なないハチマキが消えている事を知らされ、俺は頭を抱えて現実から逃げたいと思っていた。“はぁ…。力が隠されてる事を知れたのはいいが…。この先どうすればいいんだ。”二つの重要な道具を失った俺への精神のダメージは、とてつも無く大きなものであった。しまいには、雄らしくも無いめそめそと泣き出してしまいそうにもなった。“泣くな。仕方無い。この先の闘いは、殺されないように、限界を感じたら逃げるしか無い。”俺は、自分を安心させ、気を紛らわす為にシャワールームへと歩を進め、スーツを脱ぎシャワーを浴び始めた。

ジャアアア…
「ぐっす…。ハチマキが…。」
キュッ
「泣くな!!お前は雄だ!!元々、死なない時点でおかしいんだ!!死なない事を普通だと思うな!!」

涙を止めるのは、やはり無理だったようである。俺は、シャワーの水の勢いを止め、自分に強く言い聞かせた。“そうだな…。もう、泣かない。綾に会う、嬉し涙までは!!”俺は、涙を拭って決心を固め、体を震わせて水気を飛ばし、スーツを着た。これ以上起きていると、情けなくわんわんと大声で泣いてしまいそうになったので、中央へと走り出した。

タッタッタ…
ピタッ
「この野郎!!ふざけるな!!お前のせいで、大事な物を失ってしまったじゃないか!!お前は二度と現れるな!!」

俺は、中央へとたどり着くと、部屋中に声を響かせ、自分では意識はしていないが、雄らしくも無いふて寝をし、今、抱く感情から逃げ去っていった。

試練7 【闇】 完

571適当:2013/02/24(日) 14:50:41 ID:Dbksyv72
効果音 解説
スタ スタ スタ→歩く音
ピタ→足を止める音
カチャリ→バッチをはめる音
ガッシャン→鍵が閉まる音
ジー→何かを眺めている
カチャカチャ→食器が容器にあたる音
ヌッ…→のぞきこむ音
ガー→隠し底が開く音
チラッ→目を向ける
スクッ→しゃがむ、すくう(食事か移動中かで変わる)
パシッ→手に取る
ヒョイ→持ち上げる
ジィィィィ…→スーツのチャックを開ける、閉める。(シャワーを浴びる前と後で変わる)
スルスル…→スーツを脱ぐ音
ゴシゴシ→体をこする音(洗う音)
キュッ→蛇口を止める
クルッ…ギュ→ハチマキを巻く音
シュル シュル…刀のひもを体に巻く音。ハチマキを額から外す(状況による)
グッ グッ→刀のひもを腹部に結ぶ音
カチャ…カッチャン→暗視ゴーグルをつける音
キィィィ…→ドアが開く音
シュイーン シュン→その場から消え去る(瞬間移動)
スタン→ステージにたどり着く、体勢を整える
ボォウ ボォウ→フクロウの鳴き声
リリリリリ…→鈴虫の鳴き声
カチッ→暗視ゴーグルにスイッチを入れる
ウィィィン…→暗視ゴーグルの作動音(機械の作動音)
クルッ→振り向く
シャン…→ナイフをホルダーから抜く音
ギリッ→歯をかみしめる
ニィヤァァァ…→相手を恐怖にさせる笑顔
スッ…カチッ→戦闘開始スイッチを押す(敵限定)
ズザザザ…→滑り込む
ガキン ガキン→刃と刃を打ち合わせる
スゥー ハァ…→ため息。セリフよりも重い
パチッ→目が覚める
ブン ブン→刀を振る。ブンの間隔が短いとスピードが上がっている事を差す
ブン…スタン→刀を左右へ連続で振り終えた後に着地する
ガクン→疲労でヒザが崩れる
ドクン…→心臓、脈の音(主人公限定)
ガキン キン…→刃を打ち合わせ続ける。(残虐主人公対敵)
バチン→頬を思いっきりはたく
バチッ ジュウウウ…→水分(尿)を電気で一瞬で蒸発させる
ヒュッ…→額に冷気を感じる。額に空気があたる

572適当:2013/02/24(日) 14:55:45 ID:Dbksyv72
残虐主人公 技解説(威力)
刀尾撃(とうびげき) 主人公が打つアイアンテールの百倍の威力
雷撃破 光弾状の黒い電撃波。主人公は、電撃波を使えない。威力は、ポケダンのレベル50のピカチュウが持つ電撃波の100倍の威力、10倍の大きさ。
神雷域 超広範囲の“かみなり”。当たれば、必ずマヒ。長時間マヒがとけない。
雷磁誘導 科学現象電磁誘導の改良技。磁力のない光弾の勢いを止め、全て無効化にする。後から出てくるが、同じ神属性を持つ者(ポケモン)の光弾を防げるのは、一発ずつ。主人公ば電磁誘導に近い技は使えない。

残虐主人公 見た目(本気)
黒い雷を体中にまとませ、エメラルドグリーンの目をしている。

特殊能力
神属性を持たない者(ポケモン)の、状態異常の攻撃を一切受けつけない

ブラッド 技解説(一つだけ)
相手の技をコピーし、そっくりそのまま相手へ返す技→イカサマの応用。普通は相手の攻撃力だけを盗んで攻撃するが、ブラッドの“イカサマ”は、技をコピーし、攻撃力を数倍に上げる。ただし、ノーマルタイプの技のみ。(アイアンテールは、尻尾がついている為、ノーマルタイプ以外でコピー出来る例外の技)

暗視ゴーグルが無いのに、主人公がブラッドの様子をはっきりと見る事が出来た理由

残虐主人公から意識を解除しても、体から放たれる強烈な電気の光はしばらく残る。主人公がその事に気がつかないのは、暗視ゴーグルで見えた景色だと思っているから。

ブラッド視点の表現について
記憶をたどる場面以外の“……”は、読者に伝えたい内容ではない。無意識にそう思い込んでしまっただけ
それ以外の文章は、読者に自分の体験を現在進行形で伝えている。
わかっているとは、思うがブラッドが読者に一番伝えたい事は、【生まれて初めての、想像を絶する恐怖体験】。なので、自分の恥ずかしい所も語っている。

573適当:2013/02/24(日) 15:05:16 ID:Dbksyv72
第7話 >>513→570
効果音解説>>571
その他の解説>>572

試練7 後書き
場面展開とはいえ、少しレスを消費し過ぎてしまいました(汗)
戦闘シーンと後半部分からアドバイスを参考にした部分となっています。前半のうっとおしい効果音表現を別の表現に変えなかったのは見逃して下さい(汗)
指摘されたのが、主人公とブラッド君との戦闘シーン前だったので…。(悪く言えば変更が面倒だっただけです。早く次の話を書きたいと思っているので…。)

まさに適当。名前の通りですね(笑)では皆さんまた次回お会いしましょうノシ

574適当:2013/02/24(日) 15:07:23 ID:Dbksyv72
すみません(汗)
第7話 >>513ー570ですね。申し訳ありませんでした_(._.)_

575適当:2013/02/24(日) 15:13:32 ID:Dbksyv72
あれ?間違ってますね…。
第7話 >>513-570 >>513ー570

うん…。難しいですね。アンカがつながってなかったらすみません_(._.)_

576名無しさん:2013/02/24(日) 18:52:51 ID:mR5Ahk0.
なんだろう。もはやポケモンである意味がないきがしてくる…。
オリジナルならともかく、普通に「ロケットずつき」とか「アイアンテール」の技をだすのに名称をかえている意味もよく分からないな。厨ニ?

あと、もうすこしかけ声のバリエふやしたほうがいいかも。
「はっ!」「ふっ!」「ほっ!」「やっ!」「よっ!」「せい!」「ふん!」「はいっ!」「たぁ!」「とぅ!」「てい!」「おらぁ!」「どりゃ!」
自分のなかでも、これくらいはあるのだが。

「はぁ!はぁ!はぁ!」って連続だと、高速で攻撃してるように感じない。というかそこまで速くいえないと思う(ためしたバカ)
一振り一振りゆっくりふっているみたいですごくシュール。
「はああぁぁぁぁぁ!」とか、連続のほうが雰囲気でると思う。

刀で闘ってる漫画やアニメとかをもっと研究したほうがいいんじゃない?と思った。

577適当:2013/02/24(日) 22:41:42 ID:Dbksyv72
刀を振るのが、連続感が無いのはわかりました。それは、参考にさせていただきます。
掛け声は、増やしません。なぜなら、この物語の主人公にはモデルがいるからです。そのモデルが言いそうな掛け声やセリフ回しを使っていますので
技名を変えるのは、物語に出てくる主人公のセリフを読んで下さい。
まぁ、読むのが面倒くさいと思いますので、主人公はロケット頭突きという技名は、インパクトに欠けるからダサいと言っています。だから技名を変えたんです。技名の由来は、ロケットランチャーとミサイルランチャーの後半部分と頭突きを英語に変換したものです。共通のランチャーを技名に取り入れたのは、とにかく威力がありそうな、ロケット頭突きにしたかったからです。

というか、最初に言っておきますが、こうゆう物語系を書いている人は、自分問わず中2臭いと思うのですが…。技名は変えても、わかるように表現はいれています。(敵キャラクターにもきちんと言わせてます。)

あと、最後に一言だけ、普通の技名が入っている物語を書いて面白いですか?
私は、面白いとは思いません。あっ、別に普通の技名を入れて作品を書いている人に文句を言っているワケじゃありませんよ。 まぁ、この作品がつまらないというのであれば大きな反省点ですが。

578名無しさん:2013/02/24(日) 23:21:00 ID:z8y3M9lY
効果音解説とか後付けでするぐらいなら、最初から効果音は要らない。

シリアスなバトルシーンなのに、読み手を萎えさせる要素となっている事を気付いた方が良いです。

579名無しさん:2013/02/25(月) 00:28:37 ID:akUKS4ls
ここってチラ裏なんだし、そこまで気にして書かなくてもいいんじゃないかなぁ? 読み手の事まで気にして書くなら本wikiと変わらないところになりそう。
書き手が書きたいものを書いていく、それがチラシの裏なんじゃないかな? それを読みたい人は読むし、読みたくない人は見なければいいんだし。

アドバイスはいいけど、これは要らないあれは要らない読み手を考えろって意見は書いている人のモチベーションを下げるだけ。その辺気を付けないとここでも何も書けなくなりますよ?
私は適当さんみたいに頑張ってる人の作品は好きですけどね。これからも頑張って下さいね〜

580名無しさん:2013/02/25(月) 00:30:17 ID:NAKaFJPQ
いくら技名をかえたところで「ロケットずつき」は「ロケットずつき」。
回転しながらロケットずつきするみたいに応用してるとかなら「ドリル〜」みたいなかんじで(安易な例だが)名称が変わっててもわかるけど、
特にそんな表現もない普通の技なのに名称を変えるのはおかしい。インパクトがでるどころか、ムリヤリ変えてるのが技の魅力を落としちゃってる気さえする。

ようは別にかっこよくないし、むしろカッコつけてるだけにみえてシュールなの。
主人公が厨ニ設定とかならネタとして楽しめるけどそうでもないから余計にね。

もとがあるのに嫌だからもと変えちゃうんじゃ、ポケモンの技じゃなくなっちゃうでしょ?
それってポケモンである意味あるのかなって。

それに名前をかえなくたって表現しだいでいくらでもインパクトは出せると思う。大事なのは名前じゃなくて描写。
技名をみればポケモンをしってる人ならだいたいはどんな技か分かる。でも、具体的な効果は人それぞれ違うはず。
「ねんりき」とかはとくに人によるんじゃないかな。技自体の力でダメージをうけるのか、アニメみたいに壁とかにぶつけられてダメージをうけるのか、みたいなね。

そこをどう描写するかで迫力のでかたもかわってくるんじゃないかな?
あえて技名だけにして、読者に想像させるという方法もあるが、迫力を持たせることが目的なら何かした方がいいよね。
技名をいうにしても、その後(前)の地の文でぜんぜん迫力が変わると思うぞ。
たとえば↓

「くらえ!アイアンテール!」
そいつは俺にむけてアイアンテールをふりおろしてきた!
「くそ!」
俺はそいつの攻撃をすんでのところでかわす。

ここの地の文をちょっと変えてみると↓

「くらえ!アイアンテール!」
そいつは疾風のごとく速さで俺の前までくるとその場で風をきるように宙返りし、いきおいを殺さないまま鋼鉄の尻尾をふり下ろしてきた!
「くそ!」
俺はそいつの攻撃をすんでのところでかわす。

(俺のひどい描写だが)印象変わらないかな?

技名を言わないとか。
地の文の表現次第で迫力はじゅうぶんひきだせるんじゃないかな?分かるか不安だったら、相手に「〜(技名)か」みたいにしてみるとか、技の地の文の最後に(※技名)とするとか。


それに文句をいっているわけがないって、どう考えても他の人の作品否定しているようにしか思えない。好き嫌いはそれぞれだけれど、そのいいかたはどうかと思うぞ。
wikiの作品いくつか読んでみて、それでも同じことがいえるのかためしてみるといい。

581580のバカ:2013/02/25(月) 01:13:11 ID:NAKaFJPQ
文の順番直してたら間違えて書き込んでしまった、もうしわけない
でも大体伝わる順番なので続きから書かせてもらいます

>>579の方
読みたい読みたくないは読んでみなくちゃわからない。
それに、どうもポケモンである意味に疑問を感じるから書かせてもらった。さすがにポケモンでないものを書くのはNGだと思うし。

書き手が自己満足で書くというのもあるけど、みんながみんなそうじゃない。
読んでほしいと思って書いている人だっていると思うんだ。(いってもらえなきゃどっちの人なのか分らない)
それにここは、イースタやドーブルパークのかわりというのもあるし、(どっちか分らないかぎりは)気になったところは指摘してあげるべきなんじゃないかな?

適当氏は機器の理由でwikiで書けないとも言っていたし、読んでほしい作品ならこれじゃ分りずらいってことは知らせた方が作者にも得だと思うし。


>>適当氏
効果音に関しては自己満足の作品ならそれでいいと思う。
だが読んでもらいたいと考えているなら、いちいち確認しながらじゃなきゃ分らないなんて>>578の方のいうように面倒で読む気を失わせる要因になると思う。

作中で分らないなんてすごくつまらないと思うんだ。頭のなかで物語を描いてるのにそれを中断して確認するなんてすごく面倒でしょ。
ふつうの小説にだって注釈とかはあるが、そのページのすみとかであってまとめて別書類になってるなんてまずない。

効果音のあとの地の文で説明すれば作品を読みながらでも理解できるようになるよね。
説明してるところもあったけど、ないところもあるから、そこもちゃんとカバーすればが分かるようになるはず。

武器とかをつかっているとかが気に入らないわけじゃない。それは作者の自由だし、好きでいいと思うよ。
ただ、↑で書いたようにもとの技の名前がダサいからって、普通にくりだすときに名称を変えているのはやっぱりおかしい。
技の名前はポケモンの開発者が設定した内容であって、それを気に入らないから変えちゃうっていうならポケモンとはよべないと思う。
そこだけは考えてほしいところ。

最後に、好みにうだうだ言いたくはないが俺はふつうに技がある作品でも、ムリヤリかっこつけているよりはずっと好きかな。
技がダサくっても、まわりを際立たせればぜったい気にならなくなると思うからね。

では、おそまつさまでした

582適当:2013/02/25(月) 02:40:30 ID:m.IXoKGo
参考にした方がいいですか…。う〜ん、参考って言い方を変えると『同じ事をしている』とも言えませんか?

他人と同じ事はやりたくないんですよね。だから小説の中に効果音を入れるとか、常用漢字を頻繁に特殊な読み方をさせたりしているワケです。

う〜ん、技名の件は言い間違えたかもしれないです。主人公がダサいって思っているだけで、私自身が本当に伝えたかったのは、『主人公って本当に何も知らないんだな。こんなに強く、戦闘センスに長けているのに…。なんで、技に関してはこんなに知らないんだろう。』という事なんですが、どうやらただ単に反感を買ってただけのようです。

効果音解説は、次回から無くせるように作品を作っていきます。ただこの表現は無くすことはできません。効果音を私自身の小説の特徴にしたいからです。

難しいのはわかります。自分の頭の中で描いた光景を全て読者に伝えるのは容易な事ではありません。ですが、私はこのまま効果音ありで書き続けます。

まだ、効果音を全て説明出来ていませんか…。かなり効果音を減らして説明も細かくしたつもりなんですけど…。

もう全て言います。この物語の主人公であるピカチュウ君のモデルは、メタルギアソリッド3に出てくる『ネイキッドスネーク』です。このゲームがわからない人は、タイトルはスルーしてください。知っている人は知っていますが、『ネイキッドスネーク』は戦闘センスには長けており、武器の知識も潜入に関する知識もある。でもどこか、気の抜けている部分がある。

主人公も同じです。(同じとは少し言いにくいかもしれませんが…。)主人公の設定は、ネイキッドスネークのように野生児。ネイキッドスネークと違うのは、生きる為に、敵を容赦なく殺すのでは無く、敵も生かしてあげる。悪は、絶対に許さない。となっております。

それと、アイアンテールをブレードテイルと主人公が名付けたのは、主人公がアイアンテールという技を知らないからです。第何話だったか忘れましたが、主人公は一度“アイアンテールなんじゃないか?”と、頭の中で予想しています。しかし、“こんな凄い技がアイアンテールって言うのは、ストレート過ぎないか?鉄状の鈍器のような尻尾というよりは、自分が持っている刀みたいに扱えそうだから、この金属のように硬くなった尻尾をもう一本の刀としよう。”と言っています。(書いてなかったらすみません。)

583適当:2013/02/25(月) 02:54:53 ID:m.IXoKGo
思い返してみると、私はこの長編を書いてから随分とアドバイス?というよりは、ポケモンである事をもっと表現しろ!!と言われていますね(汗)
この物語は、人間で書いた方がいいとも言われましたが、人間同士が闘うシーンはあまり書きたくありません。なぜなら、それを書いて満足したいと思っているなら、漫画を読んだ方が早いからです。
う〜ん、だんだん何を書いてるか自分でもわからなくなってしまいました。とにかく今一番言える事は、早くこの反感を買いやすい作品を完結させ、もし次も長編を書きたいと思っているなら、ポケモンらしさが出る作品を書かなければならない。という事ですね。

今思ったんですけど、チラ裏って結構な人が閲覧していますね…。もしかすると、反感を買わずに作品を載せつづける事は、作者ページで作品を載せ続けるよりも難しい事なのでは?と思っています。
長文失礼しました。

584名無しさん:2013/02/25(月) 05:03:33 ID:wy/jsJh2
つまり、適当さんは読んでもらいたい気はある、ということですかな。
その場合のみでいいのですが、今後のためにいわせてもらいます。

今更説明しても、読者からすればもう遅いことなんですよ。
こうして説明されれば納得できることもたくさんある。しかしそれって裏を返せば、あとで解説をいれなきゃ分からないくらい作中で説明不足だってことなんですよ。
それじゃ、作品を読んでいるときには楽しめないってことにもつながりますね。

効果音にしたって、同じ音で別の意味だなんて解説がなければ分からない人が大半だと思います。
扉を開ける音ひとつにしたって、開け方や扉の素材などで音ってぜんぜん違うでしょう?
そこの解説の少なさが混乱を生む原因のひとつではないかと。

効果音をつかっていくことに異論はないですが、効果音が多くても売れているのはプロのなせる業ともいえます(ラノベ研究所参照)
リアルの小説家を目指すわけでもない(プロ作品を基準としての)素人が扱うのはとてもむずかしく、自分が思っているよりはるかに伝わりにくいという考えをもつべきでしょうね。
効果音のせいで内容が読みとれなくなったら、せっかく素晴らしいシナリオであっても理解してもらえないことになりますし、それでもつかっていきたいと考えるなら「これくらい分かるだろう」という考えは捨てましょう。

効果音をつかった表現をするなら、効果音をなくしても分かるくらい他の描写に力をいれるものではないかと考えます。
音ひとつでも生み出される光景は人によって変わってしまうものです。
自分の想像した世界をすべて伝えたいのであれば、扉の特徴のような本当にささいなことでも書かないと完全に伝えるのは無理だと思いますよ。

ポケモンらしさの表現というよりは、ポケモンである意味を持たせてもらいたいところですね、ポケモンwikiにつうずる場所の作品としては。
説明していただいたので納得しましたが、今後はそれが作中で分かるくらいにしなければこの世界観で疑問がこない状況にはもちこめないのではないですかね。
人間がモデルなのだし、やはり人間っぽいところもかいまみえる、だから人間で書いた方がいいという意見がきたのではないですかね。
そこをどうポケモンたらしめるか。そうなれば、やはりポケモンらしさを高めるのは間違いではないのでは?

参考にするのが嫌なんていっていたらなにも進歩しなくなってしまいますよ。
人は成長の中でも親をまねて、人をまねて成長してきたのですから。
ラノベ研究所にも、いろいろな人の表現を盗めと書かれているように、他の人の表現をくみこんで、のちのち独自の表現をつくるほうがぜったいためになるでしょう。

自分で考えた表現は自分1人の観点からのものでしかないですが、そこに他の人の表現をまねれば、その人の観点でも見られるようになりますよね。おおぜいの考えをくみこんだ作品のほうが、熟成されたふかい作品になると思いますよ。

同じ内容ならともかく、同じ表現なんていったらもうそこら中にあるでしょうし、もっと広くものをみてみては?

それから最後に。反感、ではなく疑問がとんでくるのは分からないからだということを理解しましょう。
効果音の意味や技の名称だって、分かるようにしていればこなかったはずなんですからね。

それでは、これからもがんばってください。
(自己満足で書いているということなら、それを事前報告したほうがいいですよ。
よんでほしい思いで書いていると考えているから、そういうことにまで疑問がとぶのですから。)

585にんにく:2013/02/27(水) 18:38:58 ID:M7MDZ4Ng
>>582
参考(参照・照会とも)・・・何かをしようとするときに、他人の意見や他の事例・資料などを引き合わせてみて、自分の考えを決める手がかりにすること。またはその手がかりになるものを調べること。

同じことをするのとは違うのでは?

てがかりなんですから、そのまんまマネをするのとはわけが違うかと

他人のやったやり方を自分ならどうやって書けるか

自分の表現の知識の中に新しいネタをくみこむといった風でしょうか

そうして考えること、そう考えるための物を探すことを「参考」というんです

反感というのも意味がズレています

あなたの考えが分っていてそれを否定されたなら「反感」といえますが、ただ分らなかったからその矛盾をなんとかしてほしいだけだったということでは?

>>578>>580の発言を「反感」と捉えてしまうようでは自分の妄想を作品にくみこめているかも怪しくなってしまうのではないでしょうか

自分の作品に対しての発言がきたのなら、あいてが何をいっているか理解することが大切です

ストレートに聞いてくるのが一番ですが、大人ならもっと遠回しに言ってくることだってあるでしょう

そこを理解できるかできないかでも、表現の繊細さに違いがでてしまうかと

あなたは他人の発言を「反感」ととらえているがために作品をさっさと完成させようと焦っているようですが、
焦ってもいい加減な表現しかできなくなってしまいます

解説部分が不足して余計に読者の疑問をふやすことになってしまいがちです

まずはおちついて理解を深めてはどうでしょう

表現をするにあたっては、キャラクターの気持ちになるというのもいいと思います

キャラクター目線でもあるのなら、あいてにどんな感情をいだくか、どう攻撃するかなどの「心」を表現することが大切でしょう

五感から感じとれるものを書くだけでも、想像しやすくなり迫力もでてくるのではないかと思います

あとは、ひなひな(掲示板)のデメリットをカバーするためにあらすじを書くのもいいのではないでしょうか

レスが埋もれていくこともあり前の作品に目をとおしにくい、だから前に書いてあった設定に目をとおしていなかったということも多いのかと

なら一話書くたびに前話のアンカを貼り軽くあらすじをかけば分りやすさもぐっと高まる気がします

しかし前話で明かされた設定を指摘されるのはひなひなが掲示板である以上しかたないことともいえます

短編ならまだしも長編ならさらに見おとし部分も増えてくるでしょうし、これはもうひとつひとつ説明するほかないです

長々書きましたが、これからもみまもらせてもらいたいと思います

がんばって下さい

586名無しさん:2013/03/05(火) 03:57:14 ID:Zm/rYfHk
効果音を多様する手法の何がヤバいって、数年後ふと自分で書いた物の事を思い出して物凄く恥ずかしい思いをするっていう…
それこそ、死にたくなるレベルで恥ずかしい思いをする。

今は気にせずとも、物書きとして成長し、年齢が自分の様なオッサンと呼ばれる歳になれば、イヤでもわかるかと…

587名無しさん:2013/03/23(土) 14:05:45 ID:YsrJWht.
チラシの裏と銘打ってる以上どんなに読みにくかろうが痛かろうが厨二だろうが読者側が許容すべきだと思います。
評価や成長を求める作者、ガチ作品を求める読者のために別のスレ作った方がいいかもしれませんね。需要があるなら作ります。
スレチ失礼しました

588名無しさん:2013/03/23(土) 15:07:27 ID:xooAFJOU
わざわざ別スレ作らなくてもいいです。評価や成長を求めてる作者はその旨言えば良いだけだし、ガチ作品求めてる読者なんてのがいるならその人はもう一度>>1を読み返してこのスレの趣旨を良く理解して来るべき

589名無しさん:2013/03/23(土) 20:41:56 ID:xxJgAC62
とりあえず

・利用する作者は評価などがほしい場合は事前にそれを書く(ない場合は自己満足ととる
・読者は↑ととれる言葉がなければとくに口を出さないようにする(ポケモンに関係のないものを書いている場合の注意はもちろんOK

というように、互いに伝えるべきことは伝え、理解することは理解するように心がけましょうや

590名無しさん:2013/04/03(水) 19:02:47 ID:MX9ifeEs
嘘だろ……
まさか、こんなにあっさりとクイックフォースが? メンバーの中ではかなり親密そうだったのに……

591名無しさん:2013/04/07(日) 10:48:20 ID:l5eINODE
どこで発言したらいいのかわからんから、敢えてここで発言するが…
セクシャルな話題ありの雑談スレって無いの?

592名無しさん:2013/04/07(日) 17:27:13 ID:2R08lftI
>>591
避難所では基準があいまいだけどとりあえずNGだし、ひなひなでもまだないみたい。
でも、そういうスレ作ってもポケモンと関係ないような話になりかねないし……

だったらポケモンのキャライメージについて語らうスレとか、【ケモナー】ケモノ暦語り【越えられる壁】で話をもちかけてみては?
ポケモン小説経由の掲示板だから、少し工夫して使わなきゃね。

593適当:2013/04/19(金) 15:40:57 ID:g4r8f.Hg
皆さんお久しぶりです。適当です。
今から、第8話投稿いたします。

読者への注意
今更ですが、この小説はあくまで自己満足を得る為の小説です。読ませる為に作ったわけではありません。

「ポケモンが銃なんて使うか!!」という方は、読むと気分を悪くされると思います。

ただし、登場ポケモンに「銃ばっかり使わせるな!!」とか、「刀ばっかり使わせるな!!」とかの意見は受けつけます。

あと、文章に対して「何言ってるの?」や「ここの表現変えた方がいいんじゃない?」などの、小説を書いている人が理解しなければならない事項の意見も受けつけます。

セリフの「…。」は故意でやってます。言いかぶせる場面をリアルにする為です。

後、かなり長いです。投稿時間に数時間かかってしまいます。更に、かなりのレス数を消費するかと思います。

最初に、自己満足とはいえ、レス大量消費する事をお詫び申し上げます。

では、第8話 投稿致します。どうか、温かい目で見守っていて下さい。(笑)

594適当:2013/04/19(金) 15:42:15 ID:g4r8f.Hg
試練8 【伝説】


Day 15

俺は、昨日の激しい戦闘の後の、自分の意志以外での眠りから目を覚ました。昨日は、いつも通りに疲れたから眠ったとかではなく、今置かれた目も背けたくなる現状から逃げる為に、現実世界から、今自分が行くことが出来る一番簡単な別世界へ逃げただけである。“よし、よく眠れたな。今、何時だ?”俺は、朝起床の度に行う事を、無意識に行ってしまっていた。

「あれ?あっ…。ああ〜!!くっそ、そうだったな。アイツのせいで、腕時計もハチマキも、アイツのせいで壊れたんだ…。」

いつも腕時計を身につけている右手へと目を向けた。が、そこには機能しない、時刻表示画面が割れた、腕時計があるだけであった。自分の腕に機能しない腕時計が付いている事がわかると、昨日の思い出したくも無い、理解したくも無い、自分にとって一番かかせない道具が壊れたという現実を思い出し、すぐさま理解し、そのまま愕然とした。“時計が無ければ、今の時間が全くわからないじゃないか。はぁ…。”俺はその後すぐに、自分が突きつけられた、目も背けたくなるような現実に気づき、重いため息をついた。“なんとか、時間がわかる方法は無いか。”俺は、時計を身につけていない時に日常で頻繁に行うと思われる方法で、今の時間の推測を行い始めた。

“うん。俺は今、腹が空いているから…。えっと、大体昼前か?”

時計を身につけていない時に、時間を知る唯一の方法は、体に訊くという事である。俺は、意識を集中させ、この方法を用いた。すると、若干の腹の空きが感じられた。“いや、待て。もっと、慎重に計算してみるか。”俺は、再び意識を集中させ、現在の時刻の推測を続けた。

“アイツからは、結構なダメージをもらった。昨日のように、体が十分に体力を回復させたとすると、とっくに半日分の時間は過ぎている。昨日は、9時前に…、9時位にアイツの所へ行き、闘った。アイツとの闘いは、あまり長くは無かったハズ。とすると、おおよそ、夜中の1時前か、1時後かに帰って来た事になる…。”

595適当:2013/04/19(金) 15:45:34 ID:g4r8f.Hg
俺が、今度体に質問を行った場所は、手や足や腰の筋肉がある場所である。疲労を完全に回復したかどうかで、現在の時刻の推測を行った。“よし、という事は今は、昼の1時だ。それか2時だな。”ようやく、自分が現在いる時間を知る事が出来たと満足し、俺は空腹を満たす為に食事ルームへと歩を進め、食事を摂った。メインを平らげ、サラダを平らげ、残すはドリンクだけとなった。俺は、ドリンクへ目を向け、ため息をつき、愚痴をこぼし始めた。

「はぁ…。また、あのマズイ飲み物か。俺は、結構なダメージを受けたハズなのに、黄色いヤツが出ないのは、おかしいな。ひょっとして、これは俺への嫌がらせか?あえて、この体力回復はするがマズイ飲み物を飲ませて、やる気を無くさせようという。」

“俺は、何を言っているんだ?連中が、俺の事なんか気をつかうワケが無いじゃないか。”ドリンクへ目を向けると、見るだけでも嫌な気分を味わされる例の青い液体であった。愚痴をこぼし終えた後、俺は自分で自分を指摘し、青い液体が入ったグラスをつかみ、青い液体を体の中へ入れた。“うん。やっぱりマズいな。何回飲んでも、いくら喉が渇いている時にでも、コイツ(青い液体を飲んだって、全部そう感じてしまう。なんか、逆にすごいな。ここまで、マズイ飲み物を作り出す技術はとても真似出来るものじゃないな。”最後の一口分の青い液体を体の中へ流し込み終え、俺は静かにグラスを置き、心の中で青い液体の味を作り出した連中を絶賛した。連中を絶賛といっても、俺が連中をほめるワケなど無い。俺の言う、絶賛とは、全て皮肉である。“他にも、まだマシな味の体力回復する飲み物があるクセに、なんで、このマズイ青い液体ばっかり出すのかが、理解出来ないな。”この意味も込めた皮肉であった。だが、俺は絶賛という名の皮肉を、現実に口には出していないので、当然伝わるワケが無い。言った所で、自分の要求が通るワケが無い。ただ、自分がこの青い液体の味に苦しめられている事が連中に知れてしまうだけである。“ふぅ…。さて、食事も終わったし、今は、2時前だと思うし、さっさと闘いに行くか。俺は、心の中で絶賛とは真逆の絶賛をつぶやき終え、自分に推測した現在の時刻を言い聞かせ、自分が今一番やらなければならない行動促した。行動を侵された俺は、中央へと歩を進め、床に置いてある刀を背中に結びつ終え、【伝説】と示された扉へ目を向け、再度自分の行動を促した。

596適当:2013/04/19(金) 15:49:57 ID:g4r8f.Hg
「よし、時間もあまり無い。闘える時間は、後3〜4時間なんだ。シャーズから聞いた話では、【伝説】の隊員(ヤツ)のレベル70。短時間で勝てるワケが無いからな。」

自分に言い聞かせ、再認識をさせ終え、【伝説】と示された扉へ歩を進め始めた。

“よし、調子のいい時の足取り。悪くは無い。”中央から、【伝説】と示された扉まで歩を進み終えても、何の感情も抱かず、強い決意だけが自分の中で感じられたので、俺は安心した。だが、安心したのも束の間であった。【伝説】と示された扉のノブへ手をかけ、ノブを回そうとした時、何者かが俺の強い決意を、揺らがそうとし始めた。

“いいのか?絶対に死なないハチマキを付けていない状態で闘いに行っても。”
「うっ…。」
“昨日は、死ななかった。それは、まぁいいとして、今日こそは本当に殺されるかもしれないぞ?”
「それは…そうだが。」

俺は、何者かに自分が一番恐れている現実を突きつけられ、顔を青冷めさせ、【伝説】と示された扉のノブを開ける事が出来ないでいた。“くそっ…。また、アイツか。死ぬ事を恐れるもう一匹の弱い自分。ただ、助かりたいだけの自分。”俺は、突然語りかけて来た謎の者の正体が、残虐な性格を持つ【闇】の間の番人の彼と闘う前に現れた者だと信じ、謎の者へ向き合い始めた。謎の者は、向き合い始めた俺を見計らうように、俺に語り続けて来た。

“対戦相手は、ショーンと言ったか?”
「ああ。シャーズの話では、その名前の老獣(年老いたポケモン)らしい。」
“老獣だから、簡単に勝てると、まさか思っていないだろうな?”

謎の者へ質問をぶつけられると、俺は小さく首を振り、謎の者へ返答した。

「思っていない。相手は、レベル70。俺は、アイツに勝ったとしてもレベル50台しか無い。油断はしていない。」
“それは、いい心掛けだな。”
「ふっ、どうも。」

“これで、消えてくれるといいんだが…。”俺は、小さな笑みを向け、謎の者へ感謝しつつも、謎の者に対して一刻も早く自分の意識から消え去って欲しいと願っていた。謎の者は、俺の懇願(こんがん)に気付かず、俺に語りかけて来た。

“心掛けは良い。それは認めよう。だが、心掛けだけで果たして生きて帰って来られるか?”
「は?何が言いたい?」

俺が、首を傾げて謎の者へ訊き返すと、謎の者は俺が最も恐れている事を口にして来た。

597適当:2013/04/19(金) 15:54:37 ID:g4r8f.Hg
“次の対戦相手が、優しいとは限らないぞ?命をもて遊ぶ、老獣かもしれないぞ?”
「うっ…。ぶ…ブラッドみたいな隊員(ヤツ)かもしれないって事か?」

“そうだ。よく、お前が一番恐がっていた、“相手”の名前を口に出来たなぁ。くっくっくっくっ…。”

謎の者は、自分の意見を耳にした俺が、小さな笑みを消し、再び顔を青冷めさせた事に、気分を良くしたのか、不気味な笑い声を上げた。俺は、深呼吸をし、現実世界に少しの怒りの表情を向け、謎の者へ訊ね返した。

「何が、おかしい?笑う要素など、どこにも無いのだが?」
“お前が、なんで自分が殺されそうになった相手の名前を言えなかったか…。教えてやろう。”
「是非とも聞かせて欲しいな。さて、どんな理由なんだ?」

俺は、現実世界へ向ける表情をそのままに保ちつつ、謎の者へ“意見があるなら、言ってみろ!!”とばかりに質問を行った。すると、謎の者、俺の心を抉(えぐ)るような、決意を大きく揺らがせるような一言を俺へ放って来た。

“名前を言えなかったのは、お前がそいつを恐がっているからだ。未だに…な。”
「何を言っている?ブラッドとはもう闘う必要は…」
“ブラッドに勝てたのは…”
『お前のおかげじゃない。』

“うぅ!!た…確かにそうだ…。”俺は、謎の者の言葉を聞いて、三度顔を青冷めさせてしまっていた。謎の者の言い分を受け入れて、謎の者の言葉を理解していると、謎の者は、更に俺の決意を揺らがして来た。

“もう一匹のお前。神の力を持った、あのお前じゃないお前のおかげだ。”
「す…スサノオか。」
“ああ。お前は、お前じゃないお前のおかげで助かった。もし、あの時お前に力が無かったら、お前は今頃どうなっていただろうなぁ?くっくっく…。”

“お…俺は、今頃!?”謎の者へ核心に迫るような一言を言い放たれて、俺は頭の中にある事だけを思い浮かべるようになってしまっていた。それは、【闇】の間の番人である彼に、間違いなく殺され、もうこの世には存在しないという事だった。“死ぬ…。今度こそ殺される…。”俺は、謎の者の言葉を受けてしまった事で、【伝説】と示された扉のノブから手を離し、恐怖で体を震わせてしまった。謎の者は、現実世界に青冷めた表情を浮かべて、体を震わせている俺をからかうように慰め始めた。

598適当:2013/04/19(金) 15:58:47 ID:g4r8f.Hg
“大丈夫だ。きっと、ショーンというヤツは、ブラッドというヤツのように、お前を殺したりはしないさ。くっくっくっ…。”

謎の者の言葉を聞いて、俺は恐怖の感情をごまかすように、【伝説】と示された扉の中心部を強く殴り、怒りの感情を解き放った。

「くっ…。いい加減にしろ!!どうして、お前はいつも俺の邪魔ばかりする?何だ?何が言いたい?もう、ハッキリと言ったらどうだ?」
“お前は、何もわかっていないようだな。万が一、自分が助かるとでも?”
「死ぬワケ無いじゃないか。負けそうになったら、リタイヤボタンを使えばいい。リタイヤしてここへ戻って来れば、いいだけだろう?お前は、何を言っている?」

俺は、謎の者へ“言っている意味がわからん。”と言い放つと、謎の者は俺が考えもしなかった懸念を、俺に言い放って来た。

“腕時計が壊れている。って事は、リタイヤボタンとやらの逃げる選択肢。それは、選ぶことが出来るのか?”
「うっ…。腕時計が壊れたなら、リタイヤボタンも壊れたかもしれない…という事か?」
“く、はっはっは!!やっとわかったようだなぁ!!そうだ…、壊れるのが時計機能だけなワケが無い。そう、お前はもう勝つか、死ぬかの二つの選択肢しか残されていない。”

“か…勝つか、死ぬかだとぉ!?あ…あ…。”俺は、謎の者に残酷な現実を再認識させられてしまった事で、体の震えを止める事は出来なくなってしまった。“落ち着け、落ち着け”と何度も声を掛けるが、一向に震えは止まらず、自分が胸に抱いてしまった恐怖の感情に、自分自身が徐々侵略されていく感覚に陥った。“こ…恐い。もしも、ショーンという老獣(年老いたポケモン)が、ブラッドみたいな、血を求める相手だったとしたら…。くっ…。うぅ!!誰でもいい、誰かコイツを…もう一匹の弱い自分を消してくれ!!俺の震えを止めてくれぇぇぇ!!”俺は、激しく目を閉じ、謎の者の声を二度と聞くまいと耳を塞ぎながら、“なんとかしてくれ!!”と強く願っていると、予想もしなかった者が、突然現れ、俺は声を掛けて来た。

599適当:2013/04/19(金) 16:01:39 ID:g4r8f.Hg
“震えを止めよ、宿主(ぬし)よ。”
「あっ。その声は、もう一匹の俺、スサノオなのか?」

俺は、目を開け、耳から手を離して、突然現れた者の声へ、自分の耳を傾け、声を掛けた者の正体を訊ねた。声を掛けた者は、俺の質問に“愚問である”とばかりに返答した。

“当然であろう。脆弱(ぜいじゃく)な宿主(ぬし)の背を押す者、我以外に誰がいようか。いるはずも無かろう。”
「た…確かに、そうだな。お前以外はいない。ここには、相談する相手は、誰もいないからな。」
“フハハハハ!!我に頼るようでは、宿主(ぬし)はもうここまで…か。”

声を掛けた者は、俺が正直に今置かれた状況を話すと、高らかと笑い、俺へ指摘を行って来た。俺は、声を掛けた者へ返事を返す前に、すぐさま疑問を思い浮かべたので、声を掛けた者へ訊ねた。

「その前に、一つ訊きたい事がある。アイツはどこへ行ったんだ?」
“アイツ?脆弱(ぜいじゃく)な精神の宿主(ぬし)の事か?”
「そうだ。さっきまで、俺はアイツと話していた。お前の声がしてから、アイツの声はもう聞こえなくなった。お前なら、きっと知っているんじゃないかと思ってな。」

俺は、声を掛けた者へ先程自分が苦しめられていた者の行方を訪ねると、声を掛けた者は高らかと笑い、俺の質問を聞き流し、俺へ今一番起こさなければならない行動の催促を計って来た。

“フフ…ハハハハハ!!そんな事、どうでもよいわ。”
「ど…どうでもいいって…。」
“それより、早く行(ゆ)けい。我は、宿主(ぬし)が争わなければ、徒然なるぞ(退屈で仕方が無い)。我は、宿主(ぬし)が闘っている時の感覚を愉(たの)しみにしているのだ。意識は乗っ取れぬ。されど、争いを感じる事は出来るのだ。さぁ、早く行(ゆ)けい。我をこれ以上待たせるで無いわ。”

“待たせるな、か…。だが、俺は…。”俺は、声を掛けた者へ自分が最も恐れている事を告げた。

「スサノオ…。俺は、もう絶対に死なないワケじゃなくなったんだ。殺されるかもしれない。相手は、俺よりも数段力が上なんだ。それに、限界が来ても、相手が許さない限り、俺は、二度とこの部屋には、戻って来る事は出来ない。俺は…俺は、それが恐いんだ。笑うなら、笑うといい。雄らしくもない、勇気が無い俺を…。」

俺は、声を掛けた者へ正直に、自分が次の対戦相手に対して恐怖を抱いている事を告げると、声を掛けた者は、俺を安心させた。

600適当:2013/04/19(金) 16:06:43 ID:g4r8f.Hg
“心配するで無い。宿主(ぬし)には、神である我がついている。宿主(ぬし)が、争いに敗(やぶ)れ、去ぬ(死ぬ)ような事となっても、我が宿主(ぬし)を操りて、宿主(ぬし)の代わりに抗(あらが)ってやるわ。”
「俺の…代わりに?」

“なんで…コイツはこんなに俺の味方をしてくれるんだ?”俺は、声を掛けた者がなぜ、自分を助けてくれるのかに疑問を抱きつつも、声を掛けた者へ訊ね返した。すると声を掛けた者は、俺へ少々納得し難い理由をぶつけて来た。

“宿主(ぬし)を八蓮の上(あの世)に逝かせる訳にはいかぬ。我は、ようやくつまらない神界から出る事が出来たのだ。宿主(ぬし)を去なせては(死なせては)、せっかくの興が減るというもの。”
「興…。楽しみが減るか…。」
“宿主(ぬし)が八蓮の上(あの世)に逝く時、我の意識も消える。そして、宿主(ぬし)へ憑依(ひょうい)出来なくなった時、我は再びつまらぬ神界へ戻され、再び裁きを受けねばならん。我は、それが好かぬ。宿主(ぬし)を救う事は、我自身を救う事に値する。”

声を掛けた者の意見を耳に入れた俺は、現実世界で大きく笑い声を上げ、声を掛けた者へ納得した事を告げた。

「あっはっは!!なる程、そういう事か。確かに、俺が死んだらお前も消える。お前は、俺の中にいるからな。」
“フハハハハ!!そうであろう?さぁ、わかったらさっさと行(ゆ)けい!!宿主(ぬし)の心(なか)には、もう畏(おそ)れなどありはせぬわ。”
「え?」

俺は、声を掛けた者の言葉を耳にし、驚いて自分の手や足へ目を向けた。“本当だ。震えが止まっている。”自分の手や足へと目を向けると、声を掛けた者が現れる前に、恐怖を抱かされた事で震えていた手足の動きが完全に止まっていた。“そうか、お前が俺から恐怖を取り除いてくれたんだな。”俺は、自分の中から完全に恐怖が消え去っていた事を実感し、笑みをこぼして声を掛けた者へ感謝の意を伝えた。

601適当:2013/04/19(金) 16:09:01 ID:g4r8f.Hg
「ありがとう。スサノオ、お前のおかげだ。恐いという気持ちが、全く無くなった。」
“そうであるならば、早く行(ゆ)けい!!礼などいらぬわ。宿主(ぬし)が争えば、我も満足出来る。我を早く満足させよ!!早くせねば、我が宿主(ぬし)を操りて、代わりに滅(めっ)してくれようか。”
「ふざけるな。お前の出番などもう無い。おとなしく眠っていろ。」
“フフフ…口だけは達者よのう。楽しみにしているぞ?宿主(ぬし)よ。”

声を掛けた者は、俺に“調子に乗るな”と言われると、純粋な笑い声を聞かせ、俺の意識から姿を消した。“口だけか…。よし、今に見ていろ。口だけの弱い雄じゃない事を見せてやる!!”声を掛けた者が去った後、俺は、自分に強く言い聞かせ、【伝説】と示された扉のノブを握った。扉のノブを握り、俺は自分にハッキリと聞こえるように、現実世界でも自分に強く言い聞かせた。

「俺は、死にに行くんじゃない。ここから脱出(で)る為に、生きる為に闘っている。必ず、勝つ。勝つしか道は残されていない。」

強い決心を固め終え、“大丈夫だ。死にはしない。”と胸に手を当てて自分に告げ、俺は、【伝説】と示された扉のノブを捻(ひね)り、【伝説】と示された扉の中の世界へと歩を進めた。

602適当:2013/04/19(金) 16:12:44 ID:g4r8f.Hg
俺は、【伝説】のステージへとたどり着いた。【伝説】のステージへたどり着くと、自分以外の生き物の存在を感じる事が出来た。自分以外の生き物の存在といっても、木や葉や花などの植物の事では無い。耳を澄ませば、どこかの方角から小鳥が鳴く声が聞こえ、鼻を動かせば、様々な動物が放つ匂いを感じ取る事が出来た。俺のすぐ近くからは、枯れ葉や土に隠れる虫の匂い。俺の周りに散在している木々から、俺と似たような遺伝子を持つ、げっ歯(し)類に属するリス達の匂いが感じ取れた。“何かの…間違いじゃないのか?他に生き物がいていいはずはない。”俺は、自分以外の生き物達が発する、様々な匂いの存在に驚きつつも、自分がたどり着いたステージに違和感を覚え、首を傾げて“また、アイツが言ってた通り、テレポート機能の故障か…。”と決めつけていた。“ありえない場所へ移動してしまったな”と思いつつも、俺は対戦相手が現れるのを待った。しばらく待つと、最初に感じ取った匂いには、どれもあてはまらない、匂いを放つ者の存在を感じる事が出来た。“やっと、来たか。レベル70の…若い隊員(ヤツ)らを差し置いての、老獣(年老いたポケモン)兵士…。”俺は、正面を見つめ、目の前に現れた対戦相手を目に入れて、静かに心の中で呟いた。俺の前に姿を見せた対戦相手は、小さく微笑み話掛けて来た。

「ようこそ、【伝説】のステージへ。格好を見てわかるじゃろう?この老いぼれが相手じゃよ。ほっほっほ…。」

“うん…。思ってたよりは、悪い隊員(ヤツ)じゃなさそうだ。”目の前に現れた対戦相手とは、森に溶け込むような、溶け込まないような、黄緑色の体色を持ち、森に生えている草々の深緑色に溶け込む色の軍服を着た、一匹のジュカインであった。相手は、自分の事を蔑(さけす)むように、老いぼれと言ったが、相手が言わなくても、見た目でも相手が持つ匂いでも、相手の年齢を判断する事が出来た。対戦相手である、【伝説】の間の番人は、口のまわりと目のまわりにしわを浮かべ、あごには、“枯れた”と主張してしまうような、茶色のヒゲを生やしていた。相手が放つ匂いは、老獣独特の古い細胞の匂いであった。古い細胞の匂いといっても、相手はただ何かの動物に似ているワケでは無いので、枯れ葉の匂いも混じえていた。ハッキリと相手の見た目と相手が放つ匂いを言うならば、植物の遺伝子を組み込んだ年老いたトカゲと言うべきだろうか。

603適当:2013/04/19(金) 16:16:42 ID:g4r8f.Hg
俺は、目の前に現れた対戦相手である彼が、自分が懸念してた相手とは違って、温厚で優しい老獣であったので、安心し、彼へ返答した。

「アンタの声を聞いて安心した。アンタ、悪い隊員(ヤツ)じゃなさそうだ。この入り組んだ森で、俺を奇襲しようともせずに、正々堂々と姿を見せ、挨拶もしてくれるのだからな。」
「ほう、安心したとな?よっぽど、ひどい目にあわされたようじゃのう?」
「ふっ、アンタの一つ下の恐ろしいブラッキーにな。」

俺が、年老いた彼の質問へ“お前の部下のせいだ!!”と言わんばかりに、返答すると、彼は大声で笑い声を上げ、俺へ“少し頭を使ったらどうだ?”と告げるように、返事して来た。

「はっはっは!!ブラッド君にかのう?よく考えてみるのじゃ、10もレベルが下の相手に、あんな強い隊員の娘(こ)達の上に立つ者が、負けたりなんかしてみい。面子が立たんじゃろう?」
「なる程、最強のブイズの上に立つ最強のブラッキーを誇示する為に、ルールを破ってまで俺を“殺そう”としたのか。」

年老いた彼の言葉を聞き入れ、俺は彼へ闘う時に置いて、ありえない行動を、彼の一つ下の部下が起こした事を告げた。すると彼は、目を見開いて“はぁ!?”と言わんばかりに驚きの表情を浮かべた。

「なんじゃと!?お前さんは、ブラッド君に殺されそうになったのか!?」
「ああ。さて、どう責任を取ってくれるんだ?部下の失態は、上司が…。上官が責任を取るんだよなぁ?」

彼は、何も悪い事はしていない。彼を追い詰めるつもりはないが、俺は彼を追い詰めるように意見を提示した。彼は、俺の意見を聞き入れたのか、それとも俺の意見の中にある一般常識通りに行動を取ったのか、申し訳なさそうな表情を浮かべ、俺へ謝罪して来た。

「それは、すまなかったのう。ブラッド君には、忠告し忘れてたわ。なんせ、ブラッド君は“ショーン様の出番なんてありません。ショーン様は寝ててもいいですよ。俺が、絶対に勝たせませんから。”と言ってたのでな。まさか…」
「殺すつもり…。とは、思わなかったと言いたいんだな?」
「うん、そうじゃ。お前さんを殺して、ワシの出番を無くすという意味だとわからなかったんじゃ。ワシの部下のせいで、ひどい目にあわせて、本当にすまないのう。」

604適当:2013/04/19(金) 16:20:53 ID:g4r8f.Hg
“正直に謝ってくれるんだな。このじいさんは、悪い隊員(ヤツ)じゃない。殺気も感じられない。”俺は、彼がまゆをひそめて、少し目線を落とし、申し訳なさそうな表情を浮かべている様を見て、彼の言葉を信じ、彼へ自分がこの場所に来て、一番気になる事を訊ねた。

「わかった。で、一つアンタに聞きたいんだが。」
「なんじゃ?」
「ここは、本当にアンタと闘う場所か?」
「ん?どういう意味じゃ?」

俺の質問を受けて、年老いた者である彼は、首を傾げて俺へ訊き返した。俺は、彼へ自分が今いる場所がなぜ、ありえないのかの理由を告げた。

「鳥の声が聞こえる、嗅覚(はな)を使えば、他の生き物があっちこっちにいるって事がわかる。これは、おかしい。」
「はっは!!おかしくなんかないじゃろう?」

彼は、俺の意見を耳に入れると、吹き出すように笑い、俺へ“それじゃ、理由にはならない。”と告げて来た。俺は、彼へ更なる理由を述べた。

「確かに、番人と闘うステージを作る時、生き物を完全に取り除ける所もあれば出来ないところもある。だが、地上の生き物の匂いがここにはあり過ぎるんだ。アンタに訊く。ここは、俺が闘うステージじゃないだろう?」
「は?いや、ここはお前さんが闘うステージじゃよ。何を言っておる?どうして、違うと思うのじゃ?」

“うん…。特設ステージの特徴がわからないのか?しょうが無い、あの事を話すか。”俺は、彼へ一昨日(おとつい)に、残虐な彼から耳にした事を伝えた。

「俺以外の地上の生き物に、アンタの部下のブラッドって隊員(ヤツ)が気づいた時、“テレポート機能の故障か。”と言っていたんだ。それで、ここもそうなんじゃないかと思ってな。」

俺が理由を告げると、彼は首を二、三度うなずかせて、納得したと返答して来た。

「ほぅ、ほぅ。なる程のう。じゃが、お前さんの予想は外れじゃ。ここが、ワシと闘うステージじゃよ。」
「えぇ!?アンタ、何を言っているんだ!?ここって、どう考えても普通の森だろう!?」
「そうじゃよ。」
「はぁ…。わからない。なぜ俺と普通の森で闘うんだ?理由を…聞かせてくれないか。」

605適当:2013/04/19(金) 16:25:50 ID:g4r8f.Hg
彼は、俺に理由を訊ねられると、すぐには返答せずに軍服の胸ポケットから、キセルとライターを取り出し、キセルを口へくわえて火をつけた。“戦闘前に、タバコか…。俺に勝つのは余裕という事か。”俺は、彼の取った行動を見て“なめられてるな。”とだけ思い込んでいた。彼は、口に含んだ白煙を吹き出した後、俺に理由を告げた。

「ふっふっふ、今までは直接対決じゃったろう?」
「ああ。闘って、バッチを得てクリアという方式だな。」
「ワシとは、間接…つまり、拳を交えずに闘うのじゃよ。」

“間接?なぜ、直接手をくださない?”俺は、彼の言葉を受けて、意味がわからずに首を傾げていた。彼は、キセルを口へくわえて、キセルから取り入れた白煙を吐き出し、言葉を続けた。

「SVD…って知っておるかの?」
「S…V…D?聞いた事はある。俺の記憶が正しければ、そいつはスナイパーライフル。名称、ドラグノフ狙撃銃。」
「そうじゃ。さすが、PIAの子じゃのう。」
「アンタ達のせいで、俺は今ただ監禁された雄(ヤツ)だがな。監禁されてなければ、今頃エージェントとして世界中を股にかけ、活躍する雄になっていたかもしれないのだがな。」

俺は、彼が褒め称えた事に、少し怒った表情で“お前達のせいで、一生が滅茶苦茶だ!!”と言い放つと、年老いた彼は、3本指の内の2本でキセルをはさみつつ、両手で“まぁ、まぁ”という相手を落ち着かせる仕草を取り、話を続けた。

「で、話を続けるがのう。お前さんはSVD、ワシはH&K(ヘッケラーアンドコック)G3SGー1の麻酔銃に改良した銃(もの)を使う。」
「ヘッケラー…、ドイツ製のスナイパーライフルか。」
「そうじゃ、PIAの子だから銃の知識は…豊富じゃな。」

“豊富か…。まぁ、それ位わからなければ、PIA(あそこ)には入れないからな。”俺は、彼の言葉を受けても、何で、普通に闘いたがらないんだ。レベルはこのじいさんの方が上のハズなのに…。”俺は、疑問を抱き、彼へ訊ねた。

「じいさん、待て。アンタの方が、レベルは遥かに勝(まさ)っている。直接闘い続けた方が、良くないか?」

俺が、年老いた彼へ質問を訊ねると、彼は大声で笑い、俺へ理由を述べて来た。

606適当:2013/04/19(金) 16:31:08 ID:g4r8f.Hg
「はっはっは!!決まっておろう?」
「決まっている?」
「こうでもしなければ、互角の勝負にはならないからじゃよ。お前さんには悪いが、ワシには絶対に勝てん。どんな努力をしようと、どんなに刀を上手く使いこなしても、今のお前さんでは勝てる要素が見当たらん。」

“言ってくれるじゃないか…。”俺は、彼の言葉を受けても怒りの感情を抱かず、逆に彼を笑い返し、彼を挑発し始めた。

「ふふ…あっはっは!!じいさん、俺はまだ22だぞ?アンタ、いくつだ?」
「ワシか?ワシは、65じゃ。」
「ぷっ…はは!!じいさん、俺はスピード中心のピカチュウに属しているのだぞ?じいさん、ひょっとして俺の動きについて来れずに、攻撃を“全く”当てられないから、スナイパーライフル対決なんだろう?ふっ、よく考えてみれば俺は相手を倒す必要なんか無い。一時(いっとき)体を縛って、動けなくすればいいんだ。電磁波で確実にマヒにしてな。」

彼は、俺の嘲け笑う態度を見ても、おだやかな表情を貫いたまま、キセルを口へくわえて、白煙を吐き出し、俺へ言い放って来た。

「言ってくれるのう。では、本当かどうか試してみるか?」
「ふっ、受けるんだな?後悔しても知らないぞ?」
「後悔するのは、お前さんじゃ。小生意気なピカチュウの小僧。」

“よし、挑発に成功したな。相手は、老獣(年老いたポケモン)。素早さも俺の方が格段に上のハズ。ついて来れるワケが無い!!”彼の言葉を耳に入れた後、俺は両手の拳を握り、いつもの闘う前の態勢を取り、恒例の戦闘開始の合図を待った。だが、待ち続けても一向に合図が鳴らなかった。“あれ?”俺は、合図が耳に入らない事に、疑問を抱いていると、彼が笑って俺へ合図が鳴らない理由を告げた。

「ほっほ。ここは、スピーカーを設置しているようなステージでは無い。じゃから、攻めるも待つのも最初から自分でやるんじゃよ。」
「そうか、本当に何も手を加えていない普通の森なんだな。」
「そうじゃよ。」
「で?誰から攻めるんだ?もういいのか?」
「ほっほっほ。いつでも来い、小生意気なピカチュウの小僧。それとも、ワシに恐れて攻められぬか?」

607適当:2013/04/19(金) 16:35:51 ID:g4r8f.Hg
“そんなワケ無い。よし、このじいさんに後悔させてやる!!”俺は、彼の言葉を受けて心の中で彼へ言い放ち、彼に向かって勢い良く駆け出した。“さて、俺のスピードにどこまで付いて来れるか?”俺は、彼に到達するまでの距離が、あと3m付近といった所で、電光石火を用いて彼へ急接近した。“まずは、お手並み拝見だ。レベル70とやらの力を。”と考えつつも、俺は両手に電気を溜めて、彼へ攻撃を行った。

「行くぞじいさん。電磁波!!」

彼は、俺の攻撃の方向を読み、右へかわし、俺へ拘束を行う攻撃を仕掛けて来た。

「ほっほっほ、外れじゃ。ほれ、ワシの蔓(つる)を受けて見るかの?」
「ツルの鞭(むち)か。それは当たらない!!はぁ!!」

俺は、彼が左手から出した、草木特有の紐(ひも)を俺へぶつけて来た。が、俺は彼の攻撃を見切り硬質化した尻尾を彼へ放った。だが、彼は俺の次の攻撃をまるで“わかっていた。”とばかりに言い放った。

「じいさん、手痛いぞ?まずは、俺が一発。カウンター…」
「ブレードテイルという名のアイアンテールじゃな。」
「な!?」

俺は、彼へ次の技を読まれて、驚きの表情を浮かべるも、自分の攻撃の勢いを止められなかった。彼は、大きく後ろに飛んで後退し、左手から複数の草木の種を放って来た。

「ほれ、ワシのタネマシンガン受け取れい!!」
「ぐわぁぁ!!」

“うっ…。喰らってしまったか。だが、まだ行ける!!”俺は、背中に彼の攻撃を受けるも、倒れずにそのままの姿勢を保ち、足腰に力を溜め始めた。彼は、俺が急に動きを止めた所を指摘した。

「ほう、もう終わりかのう?ワシに攻撃か読まれて、慎重になったかのう?」

“よし、溜まった!!今に見てろ…。これなら、タネマシンガンも当たらない!!”俺は、溜めた力を解き放ち、彼へ低空飛行状態で向かいつつ、左右へ刀を何度も振った。

「くらえ!!空中十閃!!」
「ほう?面白い技をするものじゃのう?」
“余裕だな。だが、これはあっというまにたどり…”
「まぁ、ロケット頭突きも読んでおったわ。この距離が一番…じゃからな。」
「な!?」

彼は、またも俺の攻撃内容を予言し、五撃目、左へ刀を振る所を見計らって、飛び上がり、俺が刀を振る方向の逆の右へ素速く移動し、刀のような左手を俺の腹へ当てた。

608適当:2013/04/19(金) 16:39:59 ID:g4r8f.Hg
「右へ行って、いあいぎり!!とな。」
「ぐわぁ!!」

俺は、彼の攻撃を受けて彼から、3m離れた所へと飛ばされた。“くそっ!!ならば…ちょっと卑怯だが…。”俺は、素速く立ち上がり、すぐ近くの木へと昇った。彼は、俺が木に昇った所を笑い、右手に持つキセルを口へくわえて、白煙を吐き出し、俺へ“策が尽きたか。”とばかりに言い放って来た。

「ほっほっほ。地上が、ダメなら空中…。森ならではじゃな。」

彼が言葉を言い終えるのと同時に、俺は木の上へと昇り終えた。彼は、俺がいる方向も見ずに、再度キセルを口へくわえて、白煙を吐き出し、驚くべき事を口にした。

「すぅ〜ふぅ…。さて、ワシはここから動かないでおこうか。年も取った。木に昇れる事は昇れるが、疲れるんでのう。体力の節約じゃよ。」
“随分と余裕だな。”
「小僧の攻撃など、見なくても避(よ)けられるわ。小僧が今どこにいるか、大体わかるからのう。」

“俺のいる場所がわかるだと?なら、錯乱させてやる。”俺は、木々の間を連続で飛び移り、彼を惑わし始めた。彼は、俺が音を立てた方向へ目を向ける事なく、そのまま紫煙をくゆらせていた。“よし!!これだけ動けば、もう俺がどこにいるかはわかるハズは無い。”俺は、彼の右ナナメ後ろの木の枝に立ち、音を立てないように、静かに刀を抜いた。“これで、終わらせてやる。”俺は、右手に刀を左手には電流を持たせ、彼へ襲いかかった。だが、彼へは攻撃を当てる事は出来なかった。彼は、俺が木の枝から離れ、飛び降りて来る方向を予言し、俺を草木特有の紐(ひも)で捉えた。

「右ナナメ後ろの木から、奇襲かのう?」
「な!?」
「ほれ、ワシの蔓(つる)…受けい!!」「うわぁ!!うっ…。くそっ…。」

俺は、彼に首をつかまれ、左手に溜めていた電流が消え、右手に持っていた刀を地面へ落としてしまっていた。“くそっ…。急いで電磁波でカウンターしなければ!!”俺は、急いで彼の体を縛れる程の電気を溜め始めた。だが、彼は俺の次の攻撃も予言し、俺の次の攻撃を阻止する為、自らのツタから俺の体力を吸収し始めた。

609適当:2013/04/19(金) 16:45:17 ID:g4r8f.Hg
「電磁波なんか、させぬぞ?さて、小僧の若い力を…若返りの為の道具に使わせて貰おうかのう。」
「がっ!!がはっ!!こ…これは…ギガドレインか!?」
「そうじゃよ。ほれ、早く降参せい。あと、二、三分も経たない内に、お前さんは、戦闘不能じゃよ?」

“くっ…苦しい!!だが、もうちょっとで…。もうちょっとで電気が溜まるんだ!!彼に、自分の体力を吸われ、俺は、苦しいと訴えつつも、体に溜まる電気の量を感じ、彼へ降参の意を示さずに、彼の攻撃を耐え続けていた。彼は、俺が一向に降参をせずに必死に耐え続ける様をもて遊ぶように、恐ろしい言葉を放ち、自分の草木特有の紐(ひも)から吸い取る体力の量を増やし始めた。

「ぐっ…がががが!!」
「あっ、忘れておったわ。ワシが今使ってるのは、ギガドレインじゃなく、ただの“吸い取る”だったわ。」
「がっ…な!?」
「これじゃあ、効率が悪いのう。ギガドレインに変えるとしようかのう。」

“ぐふぅ!!ぐおっ!!”彼の宣言の後、俺は彼の草木特有の紐(ひも)から急激に体力を吸われている事に、もがき苦しみ始めた。彼は体力を吸い続ける事は無く、俺に降参と口走るチャンスを与えるように、ツタを動かして体力を吸い取っては、止(や)め、吸い取っては止(や)めという行動を繰り返していた。“はぁ…。くっそ…。溜めていた電気が…。”彼の宣言後、彼が3回目ツタを動かし、俺の首から体力を吸い取った時、体から電気が徐々に無くなっていった。彼が4回目ツタを動かし、体力を吸い取ろうとした時、もう一匹の自分が俺に語りかけて来た。

“宿主(ぬし)よ。もう限界だ。我が出る。”

“スサノオか!?コイツは、何をしでかすかはわからない!!このじいさんを殺すかもしれない!!”もう一匹の自分の声へ耳を傾けると、苛立ったもう一匹の自分の次の行動に懸念を抱き、もう一匹の自分へ抑止をかけた。

“待て!!待ってくれ!!”
“ん?宿主(ぬし)よ、容赦(ようしゃ)していては、己(おのれ)が滅ぶ。それは、あの時充分にわかったのでは無いか?”
“違うんだ!!聞いてくれ!!コイツは…このじいさんは悪い隊員(ヤツ)じゃない!!俺を殺そうとは、していないんだ。降参すれば…許してくれるハズだ!!”

610適当:2013/04/19(金) 16:51:26 ID:g4r8f.Hg
俺が懸命に、もう一匹の自分へ訴えると、もう一匹の自分は“わかった。宿主(ぬし)の好きにせい。”と納得し、俺の頭の中から声を消した。俺は、もう一匹の自分が消えた後、すぐに彼へ降参の意を伝えた。

「ぐぐ…。まいった…、俺の負け…だ。」

俺の声を聞くと、彼は草木特有の紐(ひも)をゆるめ、俺を解放した。彼は、解放した俺が、地面に仰向けになって倒れて、肩で呼吸をしている様子を見て笑い、俺へ優しい眼(まな)差しを向けて言い放った。

「がはっ!!はぁ…はぁ…。」
「ほっほっほ。最初から、そう言えばいいんじゃよ。吸われるがままに吸われおって。」
「はぁ…はぁ…、あともうちょっとで…」
「勝たさぬわ、バカ者が。」
「はぁ…はぁ…。え?」

俺は、彼の言葉を聞いて“なぜ?”とばかりに、驚いた表情を浮かべた。彼は、しゃがみ込み、俺の顔を見つめて、いたずら気に微笑み、俺へ理由を述べた。

「ふっふっふ、拘束したワシのツルを使って、電磁波なんて考えておったんじゃろう?」
「な!?な…なんでそれを?」
「お前さんなら、体力を吸われても電気を溜める程の集中力はあると思ったんじゃよ。だから、ワシは吸い取るでジワジワ攻めるよりも、手っ取り早くギガドレインへ変えたんじゃ。まぁ、最初から変えなかったのは、お前さんの“苦しい”と言う顔の中に、何かの企みがあると後で気付いたからじゃよ。」
「は?どういう意味だ?」

“苦しいと言う顔の中の企み?”俺は、彼の言葉を受けてもワケがわからず首を傾げていた。彼は、俺へ言葉を変えて説明を行って来た。

「わかりやすく言えば、お前さんの僅(わず)かな“殺気”を感じ取ったんじゃ。」
「殺気?」
「あ、いや。殺気は言い過ぎじゃな。相手を見透かす“気配”とでも言っておこうかのう。」

“気配?もしかして、俺はずっとこのじいさんに気配で攻撃を読まれていたのか?”俺は、彼の言葉を受けて、自分の中で一つの推測を立てつつも、彼へ質問をぶつけた。

「じいさん、アンタひょっとして俺の攻撃の“気配”がわかるのか?」
「そうじゃよ。ワシは、体力も素早さも無い。じゃから、相手の攻撃の気配を読み取り、攻撃を寸前でかわし、カウンターするしか勝つ方法は無いんじゃ。」

彼の答えを聞いた俺は、勝ち目が無いにもかかわらず、彼を倒そうとしていた自分を嘲笑った。

611適当:2013/04/19(金) 16:55:42 ID:g4r8f.Hg
「あっはっは。どうりで…。なる程、最初から俺に勝ち目は無かったんだな。」
「はっはっは!!じゃから、言ったじゃろう?“お前さんには悪いが、絶対にワシには勝てはせん”とな。素直に、ワシの条件を呑んでおったら、お前さんは体力を使わずに、ワシの話だけを聞いて帰れたんじゃ。ま、おかげで…」

彼は、いたずら気に微笑み、うつ伏せ状態の俺を見下ろして言い放った。

「お前さんの若い力を吸収する事が出来たがのう。お前さんのおかげで、明日は思いっ切り動き回れそうじゃわ。ありがとう、小生意気なピカチュウの小僧のお前さん。」

俺は、彼の発言を受けても、怒りの感情を抱かず、大声で笑い、彼に恩を着せるような一言を言い放った。」
「あっはっは!!ふっ、どういたしまして。」
「ほぅ、アメリカンジョークじゃな。小僧は、ジャパニーズじゃなかったかのう?」
「今から、PIA…。アメリカに行くのに、これ位わからなきゃノリの悪い雄(ヤツ)だと思われるじゃないか。」
「それも、そうじゃな。はっはっは!!」

彼は、俺から“皮肉を冗談で返す”理由を聞いて、納得し、大声で笑った。後で、思い返してみると一体このやり取りのどこが面白かったのかと訊きたくなる程、俺と彼はしばらく笑っていた。やがて、彼が笑いを止め、俺の右腕、左腕にそれぞれ目を向け、俺へ疑問をぶつけて来た。

「お前さん、何で腕時計をつけていないんじゃ?よっぽど、ワシにリタイヤさせるつもりだったのかのう?」

“う〜ん、どう言おうか…。やっぱり、あの事は隠してた方がいいよな…。”俺は、彼の質問に正直に答えず、曖昧(あいまい)な答えを告げた。

「いや、そうじゃない。何というかその…壊れたんだ。」
「ほぅ、壊れたとな?」
「ああ。何か、急に強い電気を使ったら、画面にヒビが入って。時計としても機能しなくなった。」
「ほ、ほう。じゃ、今何時かが知りたいんじゃないかのう?」
「ああ、頼む。俺は、今3時位じゃないかと思っているんだが。」

俺は、彼に今自分が必要でも知り得られない情報を、自分の推測を混(ま)じえて、要求した。彼は、吐き出すように笑い、俺の推測が全く間違っている事を告げた。

612適当:2013/04/19(金) 17:00:27 ID:g4r8f.Hg
「ふ…はっはっは!!お前さん、全然違うぞ?」
「え?じゃあ、何時なんだ?」
「今は、夕方の5時じゃ。」
「5時ぃぃ!?」
「ほっほっほ。驚いておるようじゃのう。」

“そりゃ、驚く。俺の予想よりも二時間もズレがあるとは…。”彼は、自分の答えを耳にした俺が、驚いて目を見開いている様子を笑って指摘した。“くっそ…体内時計は案外いい加減なものだな。”俺は、過去の自分の推測に、心の中で叱責(しっせき)し、彼へ自分が一番欲する物を懇願した。

「じいさん、何とかならないか?時計が壊れたんじゃ、アンタとはもう闘えないかもしれない。」
「ほっほっほ、心配ご無用じゃ。」
「心配…ご無用?」

彼は、俺に首を傾げられた後、左手で軍服の右ポケットから何かの道具を取り出した。俺は、立ち上がって、彼が左手で握る物へ目を向けた。彼が、左手で握っていた物は白色の腕時計のような物であった。“やったぁ!!腕時計が手に入った!!”俺は、成獣(ポケモンが20歳になること)した雄とは思えない程、喜びはしゃぎ出した。

「おぉ!!やったぁ!!」
「ふっふっふ、子供みたいじゃな。」

俺は、彼に指摘されて我に返り、彼から白い腕時計が貰えるかどうかを訊ねた。

「え?ああ、すまない。じいさん、いいのか?そいつを俺に…」
「もちろん。あげる為に、取り出したんじゃよ。いや、言い方を間違えたかのう。これは、ワシとお前さんの勝負に必要不可欠じゃ。」
「は?どういう意味だ。」

俺は、彼の言葉の意味がわからず首を傾げた。彼は、俺に白い腕時計を授けなければならない理由を述べた。

「この時計は特殊でな。まずは、時間とお前さんが監禁されてからの経過日数。変わった所は、このステージへのお前さんの存在とワシの存在との両方が出る事じゃ。」
「え?俺の存在とアンタの存在?」
「そうじゃ。ワシもお前さんと同じ機能が付いた腕時計を付けて勝負をする。ワシがこのステージからいなくなれば、今、お前さんの腕時計に出ている“A”という文字が消えるんじゃ。“A”という文字が出てるか確認してくれんかのう?」

613適当:2013/04/19(金) 17:04:33 ID:g4r8f.Hg
“A?”俺は、彼の指示に従い、彼から腕時計を受け取り、表示画面へと目を向けた。すると、彼の言うとおりに、【17:10】という表示の横に“A”という文字が示されていた。“うん。出ているな。だが、なぜお互いの存在を常に知る必要があるんだ?”俺は、彼の指示に従い終えた後、疑問を抱いたので彼へ訊ねた。

「じいさん、どうしてお互いこのステージにいるかどうかを常に知る必要が?」
「ほっほっほ、ではお答えするかの。」
「ああ、頼む。」

俺の返事を受けて、彼は俺に驚くべき理由を述べて来た。

「その腕時計には、リタイヤボタンは付いておらん。」
「なんだって!?」
「お前さんは、ワシを倒すまでここから帰る事は出来ん。ワシを倒せなければ、無理矢理この森でサバイバル生活をしなければならん。ワシの腕時計にしか、お前さんを部屋に戻す、リタイヤボタンは付いておらん。じゃから、お前さんはワシがこのステージに来ているかどうかを常に把握せねばならん。ワシは、【18:00】を過ぎればこの森からいなくなるんでな。」

“な…なんてこった!!た…倒すまで帰れないだとぉ!?”俺は、彼の理由を耳に入れて、目を見開いて開けたままの口を右手でおおう、“ウソだ!?ありえない!!”という仕草を行っていた。“じゃあ…まさか、今から?”俺は、不安に駆られ、彼の言葉の真意を訊ねた。

「じ…じいさん、まかと思うが。今から、じゃないよな?」
「はっはっは。そんなワケないじゃろうて。」
「そ…そうだよな?ああ…ビックリした。ふぅ…。」

俺は、彼の返事を聞いて安心し、胸に手を当ててため息をついた。彼は、微笑んで“今すぐに、俺をこのステージに縛らない理由”を告げた。

「今、お前さんをずっとここに居させたら、お前さんはワシにどうやっても勝てはせんよ。なんせ、お前さんがあの部屋に帰った後、SVDとサバイバルキットを手に入れられるようにしてあるからのう。」
「そうか。ふぅ…。まいったな。かなりの長期戦になるな。」
「いや、そうでも無い。」
「は?」

“どういう意味だ?”俺は、彼の否定の返事を受けて意味がわからず、彼へ訊き返した。彼は、優しい表情から笑ってはいるが、何かを悟ったような表情を浮かべ、俺へ衝撃の真実を告げた。

614適当:2013/04/19(金) 17:10:38 ID:g4r8f.Hg
「ふふ。小僧、単刀直入に言うぞ?」
「ああ、何だ?」
「ワシの命は、今日を除いて、後5日しか残されておらん。」
「はぁ!?なんだって!?」

“5日だとぉ!?65…じいさんは、まだ若い。なぜ?”俺は、彼に理由を告げられて、自分の耳を疑っていた。彼は、静かに微笑み、衝撃の理由を述べた。

「白血球腐敗病って知っておるかのう?」
「白血球…腐敗病?」
「お前さんみたいな、哺乳獣類(犬型や猫型などのポケモンの事を指す)の白血病と同じじゃよ。ワシは、爬虫類と植物に属するのでな。腐敗は植物から来ておる。」
「白血病か…。」

俺は、彼から理由を耳にして、目線を落とし、彼の早過ぎる死を哀れんでいた。彼は、俺が懸念すべき未来を告げた。

「小僧、5日以内にワシを倒さねば、ワシはこの森で死体になるじゃろう。お前さんは、この森のどこかからワシの死体を探さねばならない。ワシが、死んだか生きているかは、腕時計のベルト部分に表示される。」

“腕時計にそんな機能も?”俺は、彼の言葉を耳にして、時計表示画面の下方にある、ベルトへと目を向けた。そこには、【A FINE B FINE】とA、Bと上下に並んで表示されていた。“状態異常もわかるワケ…か。”俺は、確認し終え、再び彼の表情へ目を線を戻した。彼は、俺が確認し終えたのを見計らって、話を続けた。

「ワシが死ねば、【A DEAD】と表示される。ワシがこのステージからいなくなれば、Aの横には何も表示されない。逆に小僧、お前さんも死ねば【B DEAD】とワシの腕時計に表示されるぞ?」
「あ…ああ。」
「今のお前さんは、ハチマキを付けておらんからのう。当然、お前さんの体力がゼロになれば、お前さんもこの森で死ぬ事になる。ワシに…【B DEAD】だけは、見せてはいかんぞ?」

“俺が、死ぬ…か。”彼の言葉の意味を俺は静かに理解していた。彼は、俺が黙り、何も返事を返して来ない所に、自分の望みを告げた。

615適当:2013/04/19(金) 17:15:16 ID:g4r8f.Hg
「小僧、ワシとの勝負で表示されていいのは、【A BLEED】だけじゃ。」
「出…血?」
「そうじゃ。小僧、SVDでワシを撃ち抜くのじゃ。SVDは、威力が高い。ワシ程の体力なら、どこを撃たれても、動けなくなるじゃろう。さっきも言ったが、ワシは体力がとにかく無いからのう。まぁ、SVDで【A DEAD】にしてもよいが、それじゃ手間が掛かるじゃろう?ワシに勝てば、ワシが再び、お互いをここに集合させて、直々にバッチをくれてやるわ。」

“あっ…。このじいさんは、ひょっとして一生の最期を俺との闘いで終わる事を望んでいるのか?”俺は、彼の言葉を聞き終えた後、彼の強い意志に気づき、一瞬だけはっとした表情を浮かべた。何かに気づいたと示すような表情の後、俺は彼へ了解の意志を伝えた。

「まかせろ。アンタを死なせはしない。必ず、出血にしてアンタから直接バッチを奪ってやる。」
「はっはっは!!その意気じゃ!!さて、もう遅い。お前さんを部屋に帰す事にしよう。」
「ああ、頼む。」

彼は、俺の返事を受け取った後、軍服の左ポケットへと左手を入れた。彼が、左手を入れた後、俺は地面に落ちた刀を拾って、背中の鞘(さや)に収め、部屋に戻る瞬間を待ち始めた。だが、いつもステージから姿を消せる時間が経過しても、俺は姿を消せずにいたので、首を傾げた。彼は、俺が首を傾げて“なんで、リタイヤボタンを押さないんだ?”という事を言うような表情を見て、俺へ謝り、何かを言い放って来た。

「早く帰りたい所、すまないのう。いい忘れた事があってな。」
「いい忘れた事?」
「そうじゃ。なぜ、ワシが【伝説】と呼ばれておるか、知りたくはないかのう?」

“確かに、気になる。”彼に訊ねられると、俺は“教えてくれ”と返事を返した。彼は、俺の返事を受け取り、自分の正体を明かした。

616適当:2013/04/19(金) 17:17:33 ID:g4r8f.Hg
「ワシがなぜ、【伝説】と呼ばれておるか。冷戦があり、まだ戦争が続いていた頃、ワシはカナダ最強の狙撃手(スナイパー)と呼ばれておったからじゃ。」
「最強の…狙撃手(スナイパー)?」

彼は、俺の質問を受けると、いたずら気に微笑み、俺へ宣戦布告を行って来た。

「ふっふっふ、小僧にワシは見つけられるかのう?ワシは、一度も隠れている所を見つかった事は無い。だから、皆(みな)ワシに狙われるばかりで、ワシを撃つことなど出来なかったんじゃよ。ポケモンの兵士も、人間の兵士も、誰もワシを見つける事など出来んかった。小僧、お前さんは果たして、ワシをドラグノフ(SVD)で倒せるかのう?」

俺は、彼の挑発を受けて、彼を睨みつけて彼へ言葉を飛ばした。

「必ず、アンタを見つけて、アンタに血を流させてやる。アンタが、何を言おうが、俺はアンタをSVDで倒す。PIAのエージェント候補をなめるなよ?」

彼は、俺のいかつい視線と脅すような言葉に怯(ひる)みもせず、俺の言葉を笑い飛ばし、俺へ別れを告げた。

「はっはっは!!言ってくれるのう。さて、【17:30】ともう遅い。小僧、明日楽しみに待っておるぞ?」
「ああ。覚悟しとけよ?古株がいつまでも、最強を名乗れると思うな。」
「そうか、覚えておこう。では、さらばじゃ。」

彼の言葉を聞き終えた数秒後、俺の体は徐々に消え、俺は彼のリタイヤボタンにより、【伝説】のステージから姿を消した。

617適当:2013/04/19(金) 17:20:15 ID:g4r8f.Hg
俺は、活気あふれる森から全く活気が無い、真っ白い空間へと姿を戻した。“あのじいさんの話では、俺が部屋に戻った後に、SVDとサバイバルキットを手に入れられると言っていた。”俺は【伝説】の間の番人が提供する道具を探すため、中央に立ち前方、左、右、後方と順に目を向けた。後方へと目を向けた時、初期装備を手に入れた箱とは異なる、緑色の細長いトランクと銀色の小さな金属製の箱を確認する事が出来た。“もしかして、これか?”俺は、新たに用意された二つの箱の元へ歩を進めた。二つの箱の元へたどり着き、緑色の細長いトランクへと手を伸ばし、開けた。緑色の細長いトランクの中に入っていたのは、黒と茶色が決められた場所に塗られており、脇に挟みやすい仕様で、直立の姿勢でも攻撃しやすい、一丁の狙撃銃(スナイパーライフル)であった。“これが、SVDか…。”俺は、緑色の細長いトランクの中身を取り出し、床へうつぶせとなって構えの姿勢を取った。“うん、なかなかいい銃だな。使いやすい。狙撃銃にしては、古いが、悪くは無い。”構えている最中に、勝手に細長いトランクの中身を評価し、俺は床へ細長いトランクの中身を置いた。“さて、次はサバイバルキットか。”俺は、次に銀色の小さな金属製の箱を開けた。中に入っていたのは、持ち手部分が黒色に染められた、頑丈な構造(つく)りの小さな刃物と方位磁石、そして何故かはわからないが、一枚の紙切れを発見出来た。“方位磁石もサバイバルナイフも説明書なんていらない。これは、一体何なんだ?”俺は、一枚の紙切れへと目を向けた。すると、一枚の紙切れには、明日の決戦の舞台となる森の地図が描かれてあった。更に、森の地図の下の空白部分には、対戦相手を倒しやすくする為の道具のありかが示されていた。

618適当:2013/04/19(金) 17:23:10 ID:g4r8f.Hg
【西のどうくつ SVDの弾。
東の森の山小屋 指向性マイク
南の森の小川の近くの山小屋 動体探知機】

“指向性マイクに、動体探知機…。うん、厳しい闘いになりそうだな。”俺は、地図の下に日本語表記で示された文字を読み終え、明日の決戦に勝つ事は、容易な事では無いと思い直した。“西のどうくつにSVDの弾…。今、持ってる弾を全部使ったら、ワザワザそこまでいかないといけないのか?”俺は、疑問を抱き、明日の決戦で用いる武器を手に入れたトランクをすみずみまで調べた。すると、トランクの中の上の方に、白い紙が貼ってある事を確認した。俺は、白い紙に、記されている文章へ目を通した。

【FーSVDmini 遠距離型 小型ドラグノフ狙撃銃
有効射程距離 600m
装填数(そうてんすう)10発
本来のSVDminiは、300mまでしか届かない。それでは、君にとってはかなり不利だ。そこで、SVDminiの中の構造に改良を加え、本来のSVDと同じ距離を実現させた。FはFar(遠距離)を表している。SVDの下の開け底には、予備弾薬20発が入っている。】

“なんだ、ちゃんと用意してくれているじゃないか…。”俺は、説明書の後半部分の文章を読み終え、安心し、説明書に従い、緑色のトランクの開け底を開け、明日の決戦で用いる武器が置いてあった所の下を確認した。緑色のトランクの一番下の部分には、茶色に染められた専用の弾倉(だんそう)が二つ存在していた。“よし、まぁ西のどうくつへは行く必要は無いか。30発もあれば、5日の闘いはもつだろう。なんせ、どちらかが見つかった時点で勝負が決まるからな。”説明書の後半部分の道具が、自分の元にあるかどうかを確かめ終え、俺は腕時計へと目を向けた。

【18:30 】
“そろそろ、メシが来ると思うのだが。”
【18:32 】
“待っていてもしょうが無いな。とりあえず風呂にでも入ろう。”時計を見つめていても、食事ルームから自分の鼻をくすぐるいい匂いは、漂ってこなかったので、俺は予定を変更し、シャワールームへと歩を進めた。シャワールームへとたどり着き、俺はスーツを脱いでシャワーを浴び始めた。シャワーから出るお湯を用いて、体を洗い進めながら、俺は数時間前の記憶をたどった。

619適当:2013/04/19(金) 17:27:44 ID:g4r8f.Hg
“ワシの命は、あと5日しか無い。”
“なんだって!?”
“小僧、ワシを5日以内に倒せねば、ワシはこの森で死体となってしまう。”

彼が5日間で死ぬとされている病気。彼から聞いた話は、動物と似た遺伝子があり、赤ん坊の頃は授乳を必要とする生き物誰もが、患(わずら)う可能性のある病。白血病であった。彼は、白血病では無く白血球腐敗病と口にしていたが、腐敗が付いていても、白血病と同じような病であると告げていた。俺は、体を洗い終え、お湯の蛇口を止め、空になった浴槽を見つめながら、彼の話を頭に巡らせた。

“ワシが死ねば、【A DEAD】と表示される。お前さんが死ねば、【B DEAD】とワシの腕時計に表示される。【B DEAD】だけは見せてはいかんぞ?”

【B DEAD】…つまり、俺が死ぬという事。彼は、麻酔銃を使うので俺は彼に殺される事は無い。では、誰に殺されるのか。もちろん、野生の俺のような生き物(ポケモン)もしくは、凶暴な動物達であろう。俺の死は、彼は望んでいない。彼は、俺が死んだという報告を待っているワケでは無く、俺に撃たれ、俺に負ける事を望んでいる。俺が身につけている彼から授かった腕時計の表示で言うなら、【A BLEED B FINE】である。“じいさんとの闘いで死ぬつもりは無い。だが、俺が知る世界と、野生(むこう)は全く違う。ルールなんて無い。俺は殺されても、誰も哀れんでくれない。今が…最期の風呂なのかもしれないな。”俺は、彼との約束を“必ず守る”という強い決心の中に、少しばかりの“もしも殺されたら…。”という懸念を抱き、浴槽へお湯を溜め始めた。“よし、そろそろいいか。”浴槽へ自分が肩まで浸(つ)かる位の十分なお湯を溜め終え、俺は浴槽へ体を入れた。

「ふぅ…。」

体の全身でお湯の温かさを感じ、安らいでいる事を表すため息をつき終え、俺は彼の言葉を再び頭へ駆けめぐらせた。

“小僧ワシとの闘いで表示されていいのは、【A BLEED】だけじゃ。”
“出…血?”
“そうじゃ。小僧、ワシを撃ち抜くのじゃ。”
“まかせろ、アンタを死なせはしない。必ず血を流させて、アンタからバッチを奪ってやる。”

620適当:2013/04/19(金) 17:32:53 ID:g4r8f.Hg
彼は、重い病を患(わずら)っている。彼は、俺に倒される前に、自分が病死してしまう事を望んではいない。俺は、彼の強い意志をもう一度自分の心に浸透させ、静かに決意を表した。

「じいさん…。アンタを絶対に死なせはしない。俺が、アンタを倒し、伝説の称号をもらい受ける。俺とアンタの闘いに【A DEAD】も【B DEAD】も無い。アンタが血を流すか、俺がアンタに眠らされるか。そのどれかしか無い。」

自分の強い決意の他に、お互いが望む未来をつぶやき終え、俺は浴槽から体を出し、排水ボタンへ手をかけた。勢いよく水が、浴槽から出て行く様は、まるで俺の“対戦相手へ必ず勝つ”という強い意志を表しているようであった。いや、よく考えると、自分が浸かったお湯がそんな意志を示すハズは無い。俺は、自分の強い意志を理解出来ないハズの“水”という物質に、“意志を汲(く)み取ってくれたのだろうか。”と思う程、誰にもねじ曲げる事は出来ない程の強い意志を抱いていたかもしれない。“さて、体を洗い終えたし、メシにするか。”俺は、浴槽のお湯が最後まで流れ切る様子を見届け終え、体を震わせて水気を飛ばし、汚れたスーツを手に取って、洗濯機へと歩を進めた。洗濯機へたどり着き、洗濯済みのスーツと汚れたスーツを交換し終え、俺はスーツを着た。スーツを着終えた後、洗濯機を作動させ、洗濯機が奏でる機械音へは耳を傾ける事なく、食事ルームから放たれる鼻をくすぐるようないい匂いをたどり、食事ルームへと歩を進めた。食事ルームへ歩を進める途中、俺はある事を思い出し、声を上げた。

「ああ!!スーツに、バッチを入れっぱなしにしてしまった!!」

俺は、急いで洗濯機の元へ駆け出し、洗濯機のスイッチを止め、洗濯機能を停止させた。“うわぁ…、やっぱりビショビショに濡れているな…。”既に洗濯を始めていたらしく、スーツは、ポケットの中まで水で濡れていた。俺は、洗濯途中のスーツのポケットから“λ(ラムダ)”と描かれた、藍色のバッチを取り出し、今、自分が着ているスーツのポケットの中へと収めようとした時、俺は懸念を抱き、自分へ言い聞かせた。

621適当:2013/04/19(金) 17:36:33 ID:g4r8f.Hg
「いや、後に取っておくのはやめよう。また、忘れてポケットに入れっぱなしにしてしまうかもしれないからな。」

俺は、スーツのポケットに“λ(ラムダ)”と描かれた藍色のバッチを収める事をやめ、バッチを手にしたまま、【幻想】と示された扉の右隣にある9つのくぼみがある装置へと歩を進めた。9つのくぼみがある装置へとたどり着くと、俺は【闇】と示されたプレートの下にあるくぼみへ、手にしたバッチをはめ込んだ。すると、部屋中にブザー音が響き渡り、【幻想】と示された扉の左から2番目の扉から、鍵をかける音が鳴った。“よし、とりあえずやる事はやった。おっと、洗濯機を動かさないとな。”部屋に出現させた二つの音を耳に入れ終え、俺は洗濯機へ駆け出し、洗濯機能を再開させた。“ふぅ…。もう、後回しになんてしない方がいいな。”洗濯機の起動ボタンを押した後、洗濯機が作動している音を耳にしつつ、俺は一つため息をつき、小さく自分に言い聞かせた。“さて、大分遅くなってしまったが、メシにするか。”俺は今度こそ自分がやるべき事は全てやった。”と信じ、食事ルームへと歩を進めた。食事ルームへとたどり着き、俺は、その場に座って食事のトレーへと目を向け、小さくつぶやいた。

「今日は、カレーライスか…。」

カレーライスが別に嫌いというワケでは無い。俺がその時に思っていた事は、“これが、最期の晩餐(ばんさん)になるかもしれない。”という事であった。どんな料理が来ようが、俺は悟るように言葉を漏らしていたと思われる。俺は、自分へ言い聞かせるように、何かをつぶやき終えると、スプーンを手に取り、メインであるカレーライスを口に運んだ。“明日からは、こんな美味い料理なんて無い。サバイバル生活か…。”明日からの決戦においての最大のメリットは、“このつまらない、真っ白い監禁部屋で目を覚ます”のでは無く、“大自然の中で小鳥達がさえずっているのを耳にしながら起床出来る事”である。朝の起床だけでは無い。夜の就寝時にだって、いやしの声を耳にする機会がある。俺が、【闇】の間の番人である残虐な彼へ最初の死闘を挑んだ時に耳に入って来た、ふくろうと鈴虫の癒やしの二重奏である。明日からの決戦の舞台が、残虐な彼と最初に闘った森かどうかは、定かでは無い為、ふくろうと鈴虫のいやしの二重奏が聞けるとは限らない。だが、それに近い生き物の鳴き声を聞く事は、おそらく可能であろう。

622適当:2013/04/19(金) 17:39:42 ID:g4r8f.Hg
しかし、サバイバル生活において最大、いや、最悪のデメリットは、“自分が野生について行けず、野生に負けてしまう。”という事である。野生に負けてしまうというのは、“自分が野生動物もしくは、野生のポケモンに殺される”という事である。俺は、野生のポケモンに関しては詳しくない。もしかしたら、人間と一緒に文化的生活を営む者(ポケモン)と同じような、食事を摂ってるかもしれない。であるならば、俺は、寝込みを襲われたり、いつの間にか野生の者(ポケモン)に囲まれたりして捕食されるという事も考えられるのである。もちろん、捕食されれば、【伝説】の間の番人の年老いた彼の腕時計には、【B DEAD】と表示され、俺は彼を悲しませてしまうだろう。いや、もしかしたら“やっぱり、この程度か。”と鼻で笑われるかもしれない。まぁ、彼との約束を俺は必ず果たそうと強い決心を固めたので、彼の腕時計に、俺の死亡状態を告げる【B DEAD】という表示は、決してさせないつもりでいる。死ぬデメリットなんか気にする必要はない。今、自分考えている苦労は、朝、昼、晩に自分で食べる食料を確保しなければならないという事だ。が、それも“必ず出来る”と言える確証は無いが、俺自身は“必ず、食料を確保出来る”と考えているので、これも気にする必要は無い。話を現実に戻す事にしよう。俺は、咀嚼(そしゃく)する物を全て体に流し込み、トレーの上に残すは、ドリンクだけとなった。ここで、例の味も形容したく無い味を持つ青色の液体だったら、“最期の晩餐になるかもしれないのに、なんでこんなマズイ飲み物を出すんだ!!少しは、考えろ!!”と愚痴をこぼしていたかもしれない。だが、いざ、用意されたドリンクへ目を向けた途端、愚痴をこぼそうとする考えも起きなかった。なぜなら、俺が待ちに待った“まぁまぁ美味い。”黄色の液体であったからである。“やった!!久しぶりの…オボンの実のジュース?だったよな?”俺は、喜びつつも、自分の記憶を疑うという奇妙な感情を抱き、黄色の液体が入ったグラスを手に取り、黄色の液体を体へ流し始めた。

623適当:2013/04/19(金) 17:45:57 ID:g4r8f.Hg
「んぐ…、んぐ…。ぷはぁー!!ああ、何か久しぶりに飲んだら、すごく美味く感じるな。」

喉を鳴らして、黄色い液体を飲み干し、俺は自然な笑みを浮かべて感想をつぶやいた。黄色の液体…オボンの実を使ったジュースとやらは、“美味い!!”という程の飲み物では無い。では、なぜ自分が驚く程美味しいと不覚にも感じてしまったのか。その原因は、1つしか無いと思われる。よっぽど、あの青い悪魔の液体に苦しめられていたという事だ。青い液体は、別に毒では無い。むしろ、体力を回復させてくれるので、“ありがたい”と思いながら飲まなければならない。だが、この黄色の液体。オボンの実のジュースは、青い液体よりもはるかに味は優れており、青い液体と同じ効果を持つ。体力回復の効果は、青い液体の比ではない。味はまずい、体力回復する青い悪魔の液体よりも、味は良し、体力回復は青い液体の数倍ある、黄色の天使の液体を飲んだ方がはるかにマシである。天使は言い過ぎか、俺が青い液体と黄色の液体を悪魔と天使と表現してしまったのは、青い液体を飲むとまるで、地獄に連れて行かれたかのような気分になるからかもしれない。“だけど、何で急にオボンの実のジュースが出たんだ?”俺は、黄色の液体を飲んだ事による、体の疲れが一気に吹き飛ぶような感覚を味わいつつも、黄色の天使の液体が、今回の食事に出された理由を考え始めた。

624適当:2013/04/19(金) 17:49:10 ID:g4r8f.Hg
しばらく考えると、1つの推測(いや、もしかしたらこれが答えなのかもしれない。)を思い浮かべた。それは、【伝説】の間の番人から受けるダメージの量が大き過ぎるという事である。【氾濫】の間の番人である彼女から聞いた話では、彼は今の俺よりもはるかに強いという事だ。俺は、昨日10もレベルの差がある【闇】の間の番人である残虐(ざんぎゃく)な彼と闘ったが、【伝説】の間の番人である彼との力の差は、それよりも上だろう。俺は、今、自分がどれ位の強さなのかはわからないが、今の自分の強さは残虐(ざんぎゃく)な彼と死闘を繰り広げた時と同じであると考えている。なぜなら、俺が残虐(ざんぎゃく)な彼を倒していないからである。残虐(ざんぎゃく)な彼を倒したのは、俺に憑依(ひょうい)する、残虐(ざんぎゃく)なもう一匹の自分である。俺は、実力で残虐(ざんぎゃく)な彼に勝った訳では無く、残虐(ざんぎゃく)なもう一匹の自分に倒して貰ったので、当然強さなんて上がるハズは無い。まぁ、強さは上がらなくても、自分の体の中に、自分の力をはるかに超えた強い力があるという事を知り、強大な力を持つ憑依(ひょうい)体が、“殺されそうになったら、俺の意識を消してまで、俺を守ってやる。”といって来たので、結果的には強くなったが…。“あのじいさんと闘った後だから、オボンの実のジュースなんだな。きっと…。”俺は、黄色の天使の液体が突然食事に出された理由を理解し、中央へと歩を進めた。“今、何時だ?”中央へとたどり着き、俺は腕時計へと目を向けた。

【20:30 】
「おっ、ちょうどいい時間じゃないか。」
【20:32 】
「ふぁ…。」

“さて、明日に備えて寝るか。”もう一度腕時計へと目を向けた瞬間、小さな欠伸(あくび)が出たので、俺は仰向けになって目を閉じ、眠りの世界へと旅立った。

625適当:2013/04/19(金) 17:54:01 ID:g4r8f.Hg
Day 16
ショーン死亡まで残り5日

「ふぁ…。ああ…。」

俺は、自分以外の生き物の気配が全く無い部屋で目を覚ました。目を覚まして、起き上がり、小さな犬歯を見せて、呑気に欠伸を行っていた。“これから、どんな場所に行くか、お前は本当にわかっているのか!!”と叱責(しっせき)したくなるかもしれないが、その必要は無い。俺は、起きてすぐに昨日の強い決意を思い出し、強く首を振って、ぼやける意識をはっきりと鮮明にさせた。“よし、今日からだ。あのじいさんの命は、後5日しか残されていない。”意識をはっきりさせた後、決闘を繰り広げる相手の寿命について考えるも、現在の時刻が気になったので、腕時計に目を向けた。

【8:30 】
「8時30分か。うん、ちょうどいいんじゃないか。」

可も無く、不可も無くという時間では無かった。俺が今過ごす時間は、監禁されてから今までの、起床時間では割と良いと言えるものであった。“朝メシは、さすがに食べた方がいいからな。”これから決闘を繰り広げる相手に授かった、白い腕時計へ目を向け、現在の時刻を確認し終え、一匹でに納得した後、すぐに俺は、自分にとって一番良い(まぁ、朝食を食べるのは、極一般的で当たり前なのだが。)選択肢を選び、食事ルームへと歩を進めた。食事ルームへとゆっくり、ゆっくりと近寄りながら、俺は考え事を始めた。

“思えば、これがここでの最期の朝食になるかもしれないんだよな…。”

今から行う、この部屋で食事を摂(と)るという行動が、“最期になるかもしれない。”と自分の頭の中に染みつかせ、俺は食事ルームへとたどり着いた。俺は、年老いた者である彼との決闘中では、死ぬつもりは無いが、絶対死なないハチマキが無い不安からか、少しばかり懸念を抱いていた。“最期の食事は、ハムに卵にレタスを挟んだ家庭的なサンドイッチであった。レタスを挟んでいて、サラダが無かったので、“炭水化物もサラダも一緒に摂(と)らせる計算か。”とは考えるも、俺はこのサンドイッチにある思いを抱かされていた。今更、家庭的な料理が出てくる。それは、まるで“お前は、あの森から生きて帰る事は出来ない…。”と悪魔のつぶやきを聞いているようだった。俺は、今7匹の番人を倒し、残す所あと二匹のバッチでこの監禁部屋から脱出し、つまらない、自分が望んでいない監禁生活に、終止符を打つ事が出来るのである。

626適当:2013/04/19(金) 17:58:08 ID:g4r8f.Hg
サンドイッチが語って来た言葉の意味と、サンドイッチ自身がなぜ、今、俺に食べられてやっているのかという行動の意味は、“どうせ、あの森で殺され、この部屋から脱出する事は出来ない。脱出出来ないのだから、お前は二度と家庭の味を味わう事は出来ない。だから、ここで俺達が最期に家庭にいるような気分を味わわせてやろうか?”という事である。サンドイッチが、食べられる相手にとやかく何かを言ってくるハズは無い。だが、俺は、絶対にありえない声を耳にしている気分になり、“ははは…、言ってくれるじゃないか。”と現実世界では、見せなかったが、心の中の世界では苦笑していた。なぜ、俺は食事にすら“お前は死ぬ。”と言われていると思い違いしてしまう程の、まともな精神状態では無かったのだろうか。おそらく、いくら“絶対に死なない!!”と自分に言い聞かせ、強い決意を固めても、俺は“絶対に死なない道具”を失ってしまったので、これから向かう大自然の中で“無事生きて帰って来られるか…。”という不安をどこかで抱いていたのかもしれない。俺は、食事に“死ぬ事”を宣告されていたが、一つ不安から救ってくれる者が現れた。俺は、新たな救出者に気づき、驚きと喜びの二つを混ぜた感情を現実(おもて)に出してしまっていた。

「あっ…。おお!!今日も、オボンの実のジュースか!!やったぁ!!」

新たな救出者とは、黄色の天使の液体である、オボンの実のジュースであった。いつもなら、この飲み物の事を“コイツ”とか“これ”とかしか口に出さなかっただろう。正式名称を言ってしまう程、俺は新たな救出者が現れて嬉しかったのかもしれない。俺は、不安を拭って貰おうとすぐに黄色の天使の液体が入ったグラスを手に取り、新たな救出者の救いを受けた。

「んぐっ…。んぐっ…。ぷはぁ〜!!ああ、なんかすごいモヤモヤしたものが無くなってスッキリしたな。」

新たな救出者で喉を潤す度に、俺の心(なか)の不安は、徐々に消えて行くのを感じた。新たな救出者の救いを受け終えて、不安が完全に消えたので俺はあまりの気持ち良さに、食事ルームから部屋の中へ、声を行き渡らせる程の感想を言葉に出してしまっていた。

627適当:2013/04/19(金) 18:03:18 ID:g4r8f.Hg
“よし!!ついてるな。今日、昨日と連続でこの、まぁまぁ…。いや、美味い飲み物が出たという事は、俺は死なない!!まだ、死ぬ運命には無いんだ!!”黄色の天使の液体が、明日の夕飯時、今日の朝食時と二日連続で出たからと言って、自分が最高潮の運命の中にいるとは言えない。後で、冷静に考えた所、単に【伝説】の間の番人である彼から受けるダメージが、二日連続で黄色の天使の液体を出さなければいけない程大きいだろうと監禁した連中が考え、二日連続出しただけだったと言えた。俺は、黄色の天使の液体に“頑張れ!!死んじゃダメだ!!”と励まされているような気分を味わい終え、“よし、わかった。絶対に死なない。死んでたまるかぁ!!”と声には出さず、心の中で、黄色の天使の液体に応答し、黄色の天使の液体が入っていたグラスを食事のトレーに置き、決闘で用いる装備を手に入れる場所へと向かった。決闘で用いる装備を手に入れるばしょへたどり着き、床に置いてあった決闘にはかかせない、黒と茶で塗られた狙撃銃を持ち、もう一つの床に置いてあった、生きる為にはかかす事の出来ない、銀色の小さな箱に入った、黒色の頑丈な作りの小さい刃物と方位磁石をスーツの右ポケットの中へとしまい込んだ。“さて、弾は…。”森の地図と生きる為の二つの道具以外に、武器に用いる予備弾薬をスーツの左ポケットへとしまい込もうとしたが、予備弾薬が大きすぎて、スーツのポケットには入らなかった。“うん…困ったな…。何か、持つ方法は…。”予備弾薬を決闘の舞台へと持ち運ぶ為、俺は予備弾薬の外側を隅々まで調べた。すると、予備弾薬にはそれぞれフックのような鉤(かぎ)状の物がついていた。“なんだ。持っていけるじゃないか。ほっ…。”予備弾薬についている、鉤(かぎ)状の物を見つけ、俺は無事に決闘の舞台へ必要な道具を全て持ち運ぶ事が出来るとわかり、安心して一つため息をついた。ため息をつき終えた後、腰に予備弾薬を引っ掛け、決闘で用いる武器を手に、刀が置いてある場所へと向かった。刀を置いてある場所へと歩を進め終え、一旦床に決闘で用いる武器を置き、刀を拾い上げ、刀を背中へ結びつけた。

628適当:2013/04/19(金) 18:05:37 ID:g4r8f.Hg
“よし、準備が出来たな。”刀を結び終えた後、床に置いた決闘で用いる武器を拾い上げ、俺は、【伝説】と示された扉へ歩を進めた。歩を進める途中、俺は決闘の相手の言葉を頭の中で再生させていた。

“小僧、お前はワシを倒さない限り、あの部屋には戻れん。”

対戦相手に勝たねば、俺は再びこの真っ白い空間へ戻る事は出来ない。俺は、彼の言葉の再生を続けた。

“お前さんも死ねば、【B DEAD】とワシの腕時計に表示されるぞ?”

俺は、彼の言葉を頭の中で再生している内に、【伝説】と示された扉の前へたどり着いた。【伝説】と示された扉のノブへ手をかけた時、彼の言葉が強く頭の中で響いてきた。

『小僧、ワシとの勝負で表示されていいのは、【A BLEED】だけじゃ。』
「A…BLEED…。」

俺は、彼の言葉を思い出し終え、小さく、本来自分がお互いの腕時計に表示させなければならない事を、小さくつぶやいた。俺は、扉のノブを掴んだまま、扉の向こうの決闘相手へ言い放った。

「じいさん、安心しろ。俺が、ドラグノフ(狙撃銃)でアンタの体を撃ち抜いてやる。俺の銃弾が、アンタの冥土(めいど)の土産だ。」

“俺とアンタの勝負は、どちらかが死ぬなんて事は無い。眠るか、血を流すかのどちらかしか無い。”俺は、自分へも強く言い聞かせ、【伝説】と示された扉のノブをひねり、決闘の舞台へと歩を進めた。

629適当:2013/04/19(金) 18:21:42 ID:g4r8f.Hg
俺は、【伝説】の間の番人との決闘の舞台へとたどり着いた。たどり着くと、すぐに鼻で昨日感じ取った、虫や鳥達の匂いを感じ、俺は“もしかして…”と考え、辺りを見回した。“ここは、昨日あのじいさんと闘った場所…。ここにある匂いも昨日と同じ…。”辺りを見回すと、木々の配置や、木々の群れぐあい、俺の数m先には、木々を飛び移れる者が、様々な方向に飛びうつりやすいように、木々が隣あっていた。“ここは、昨日来た森だ。間違いない。あのじいさんは来ているのか?”俺は、自分の目に映る景色を信じ、腕時計へと目を向けた。

【9:00 A】
「あっ、来ているな。」

腕時計へ目を向けると、現在の時刻の表示と決闘の相手である【伝説】の間の番人が、俺と同じ森に存在している表示を確認する事が出来た。“来ている、という事は当然…。”俺は、腕時計の自分の手前側のベルト部分へと目を向けた。ベルト部分には、【A FINE】、そして自分の健康状態を表す、【B FINE】の文字が示されていた。“相変わらず、早起きだな。年寄りだからか…。”俺は、決闘の相手がなぜこんなにも早い時間に、俺より先に決闘の場所へいるのかという事を、彼の見た目で判断し、小さく笑い声をこぼした。“笑っている場合じゃないな、この森のどこかであのじいさんは、麻酔銃を構えて俺を狙っている。”俺と彼との闘いの内容は、狙撃対決である。見つけるか、見つけられて撃たれるかの二つの運命しか存在しない。

630適当:2013/04/19(金) 18:24:50 ID:g4r8f.Hg
俺は、自分の意志以外で、体に違和感を感じ、睡魔に襲われた時点で、彼との決闘は負けとなり、明日へ持ち越される訳である。狙撃対決なので、当然彼は、昨日のように俺の前には、姿を見せない。彼は、この森に自分の存在を溶け込ませ、今でも潜伏している。俺は、スーツの右ポケットから地図を取り出し、目を向けた。“じいさんは、説明していなかったが、最初のテレポート地点位は、書いて置いてくれてるハズ…。”俺は、地図に細かく目を通した。すると、地図の中心部に赤い文字で【You stay here(現在地)】という英語表記と赤い文字の下に赤い逆三角が記されていた。“よし、ここか。ここから指向性マイクを手に入れるには…。”俺は、今、現在地以外は、自分がどこにいるのか正確にはわからない。その為、俺はその場から一歩も動かず、指で現在地から、最初の目的地までをなぞった。“あった。山小屋か、わかりやすくていいな。”俺は、最初の目的地である東の森の山小屋の方角を確認し終え、地図を彼との決闘で用いる武器を持つ手に移動させ、スーツの右ポケットから方位磁石を取り出し、何も持っていないもう1つの手のひらへと載せた。くるくる…と、方位を差す針が回転し始めている様子を、じっと見つめ、方位を差す針が止まった所で、四方の方角を覚え、方位磁石をスーツのポケットにしまい、再び地図を開いて、自分の最初の目的地の方角と、方位磁石が示した4つの方角を頭の中で照らし合わせた。“よし、右上だな。北東か。”俺は、目的地の確認をし終え、地図をスーツの右ポケットに収めて、右を向き、自分の体を向けた方角へ駆け出した。

631適当:2013/04/19(金) 18:28:04 ID:g4r8f.Hg
東の森 山小屋付近

俺は、自分が定めた最初の目的地へ駆け出し続け、目的地である小さな山小屋が目視(もくし)出来る位置までたどり着いた。“はぁ…はぁ…。結構キツイな。”俺は、全速力に近い速度(といっても、狙撃銃をくわえて走っているワケでは無いので、本来出す事が出来る速度よりも遅い速度なのだが。)で、目的地まで駆け出して来たので、息を切らして“苦しい!!”と訴えるように、片目を激しく閉じていた。三、四分程、自分の呼吸を落ち着ける事に専念し、呼吸が落ち着いた所で前方に見える山小屋へと歩を進めた。

“よし、ついたな。おお、結構大きいじゃないか。”

山小屋の全体の大きさが感じ取れるまで、山小屋へ距離を詰め、俺は思っていた以上に大きいという事を実感していた。まぁ、人間にとっては、それが大きいかどうかはわからないが、俺にとっては十分に大きいと言えるものであった。“さて、指向性マイクを手に入れないとな。”山小屋を眺め終え、俺は、本来ここへ来た目的を思い浮かべ、山小屋の入り口へと歩を進めた。山小屋の入り口までたどり着き、山小屋の入り口の扉のノブを捻ろうとはしたものの、山小屋が人間用であった為、ノブへ手は届かなかった。“う〜ん、どうしようか。”俺は、その場であごに手を添え、山小屋の中へ入る方法を考えた。ものの、一、二分考えた所で、“窓から侵入出来ないか?”という事を思いつき、俺は山小屋の周りを歩き、山小屋の窓を探し始めた。数歩歩いた所で、自分が最初に山小屋を見ていた方面へたどり着き、一枚のガラスが、木枠によって、四つに区切られている窓を見つける事が出来た。“おっ、これはラッキーだな。開いているじゃないか。”四つに区切られたガラス窓は、スライド式で“俺をようこそ”と向かえるように左半分がスライドし、開いていた。窓が喋るワケは無いが、こういった森の中に建つ山小屋の窓は、錆び付いていて、最悪“開かない!!”という場合が多いので、俺は窓が自分を山小屋の中に快く招待していると感じ取ったのである。俺は、狙撃銃を窓の枠にかからないように、少しナナメ目上に上げて持ち、山小屋の中へと進入した。山小屋の床に降り立ち、俺は狙撃銃をその場に置き、中の探索を始めた。中を探索してみると、三つ部屋で構成されている事が確認出来た。

632適当:2013/04/19(金) 18:32:32 ID:g4r8f.Hg
一つは、殺風景、何も無い部屋。一つは、物であふれ返っている。そして最後は、木のベッドがある寝室となっていた。“おお!!ベッドがあるじゃないか!!”俺は、本来の目的も忘れ、木のベッドに飛び乗り、おもむろに木のベッドへと寝転がり、大きく伸びを行った。

「ん〜、はぁ…。いつぶりだろうな、ベッドで寝たのは。」

俺は、監禁される前…いや、アメリカに成田空港に向かう前夜に味わった、ベッドで寝るという久しぶりの感覚を味わい、あまりの心地よさに自然と笑みをこぼし、独り言をつぶやいた。木のベッドとは固い物である。俺が、いつも寝ているのはこれよりも柔らかい。普段なら、“固いな…”と感想をこぼすだけであろう。普段よりも、固い木のベッドでも俺が、こんなにも満足出来たのは、よっぽどベッドという寝具を用いて睡眠を取りたかったに違いないだろう。“ふっ、ふざけている場合じゃないな。指向性マイクを探さないとな。”俺は、木のベッドを発見した事により、【伝説】の間の番人である彼との決闘をしている事を忘れかけていたので、あまりのおかしさに、自分を鼻で笑い、木のベッドから降りた。一時の安らぎを中断し、本来の目的を達する為、俺は最初に寝室の探索を行った。“おっ、これじゃないか?探索を行うと木のベッドの下に一つだけ、小さな箱がある事を発見出来た。俺は、小さな箱をベッドの下から引っ張り出し、小さな箱を開いた。小さな箱の中身は、自分が扱いやすい大きさよりも小さめの、拳銃のような形を取り、引き金がついたマイクとイヤホン、そして説明書であった。“使い方はわかるが、一応読んでおくか。”俺は、小さな箱の中身の使用方法が既に頭の中に入っていたが、念の為と言わんばかりに、説明書へ目を向けた。

【超高性能小型マイク。専用の無線イヤホンを付け、聞き取りたい音の方向へマイクを向け、トリガー(引き金)を引く。有効射程距離は、800m】
「は、800m!?凄いじゃないか!!ふっふっふ、こいつは使える。」

633適当:2013/04/19(金) 18:35:45 ID:g4r8f.Hg
説明書を読み終え、俺は驚いて声を上げ、何かを企むような悪い笑みを浮かべていた。“SVDは、600m。こいつ(指向性マイク)は800m。SVDよりも、距離が遠いのが、またいい。200mの差は、大きいからな。”俺は、目的の道具の利点を発見し、“有利になったな。”と更に悪い笑みを浮かべるも、目的の道具の大きさを見て、ある可能性がないかと疑い、試しにスーツの左ポケットへ、目的の道具を入れ始めた。すると、じょじょに、じょじょに目的の道具が収まり、ついには、目的の道具の全身が完全に隠れる位までとなっていた。“すごい小さいな!!こいつは助かる…。”俺は、まさかと思っていた可能性があるとわかり、驚いて目を見開いていた。“さて、指向性マイクを手に入れた。ちょっとくつろぎたいが、俺はここへ遊びに来たワケじゃない。あのじいさんも俺を探している。いずれ、ここへも来るだろう。もうここに用は無い。”俺は、最後に無線のイヤホンをスーツの左ポケットへ収め、狙撃銃を置いた場所へ歩を進めた。狙撃銃の元へたどり着き、狙撃銃を拾い上げようとした時、俺の足元から“ぱすっ”と床に何かが当たるような音が耳に入った。“は?何だ?”俺は、気になり音がした方向へ目を向けた。すると何やら、小型の注射器のような物が刺さっていた。“これは…まさか…。”俺は、床に刺さっている注射器を拾い上げて、一つの推測を立てようとした。だが、俺が推測を立てる暇も無く、再度“ぱすっ、ぱすっ”と自分のすぐ近くで音が鳴った。

「しまった!!じいさんに狙われている!!」

俺は、音のした方向へと目を向け、音を立てた原因が同じものであった事を知り、俺は急いで狙撃銃を拾い上げようとすると、俺の腕に突然強い衝撃が走った。

「ぐわぁ!!」

俺は、急いで窓から離れて身を隠し、自分の左腕へと目を向けると、小型の注射器が刺さっていた。“くっ…、やられたか!!くそぉ!!”俺は、左腕に刺さる小型の注射器を素速く抜き取り、小型の注射器を放り投げて、その場に留まり、狙撃して来た相手を警戒し始めた。

634適当:2013/04/19(金) 18:39:10 ID:g4r8f.Hg
ショーン視点

ほっほっほ。小僧、お前さんは甘い。お前さんが、最初にここへ来る事を読んでおったよ。【伝説】の称号を持つワシが、お前さんに楽に指向性マイクを取らせると思ったかの?ほっほっほ。ワシが、今、小生意気なピカチュウの小僧を狙った場所は、どこだと思うておるかの?500m?600m?いやいや、そんな遠くじゃありやせんよ。ワシは、実は今、小僧から大体200mしか離れていない、小屋の敷地の前の密集している木の一つから狙っておる。小僧の腕に、麻酔針が命中したかどうかは、ワシの左腕に付けている、黒の腕時計の自分の手前側のベルト部分の表示でわかるんじゃ。そこには、こう表示されておる。【A FINE B CONCIOUS】とな。“CONCIOUS”というのは、意識が朦朧(もうろう)としている。つまり、眠るか眠らないかの寸前の状態じゃ。今頃、小僧は強烈な眠気に苦しんでおるんじゃないかの。まぁ、ワシが最初に小僧を撃ち逃してしまったのは、年で目がよく見えないからじゃよ。じゃが、森の空気を感じ取ればわかる。“小僧は、窓にいる”と。森に流れる神聖な空気が、ワシに教えてくれるじゃ。ワシは、小屋の窓へ銃口を向け続ける。

635適当:2013/04/19(金) 18:41:20 ID:g4r8f.Hg
「小僧、残念だったのぅ。その山小屋には2つの窓があるんじゃ。1つは、今ワシが銃口を向けている所、もう1つは、物がごちゃごちゃした部屋だったかのう。その部屋の窓に行けない事は無いが、物であふれかえっていて窓を見つけにくいじゃろう。指向性マイクをその部屋に置かずに、ワシの部下にベッドの下へ置かせたのは、サービスじゃ。じゃが、小僧、お前さんはワシからのサービスを手に入れる代わりに、ワシに眠らされてあげるというサービスを提供せねばならんのじゃよ。小僧との勝負、まずは、ワシが一勝かのう。麻酔薬(くすり)は直に、体中に回り、お前さんは眠らされてしまう。ま、ワシは【伝説】の称号を持つ最強の狙撃手(スナイパー)じゃ。小僧が、眠ったものと決めつけて、兵士待機ルームへ戻る。なんて事は、しないがの。ワシは、自分の判断を決して伝わらない、あの小僧へ告げる。

「小僧、隠れても無駄じゃよ。ワシには…」
【A FINE B CONCIOUS】
「これで、わかるんじゃからのう。お前さんが、麻酔薬(くすり)と闘ってて、まだ眠っていないのは、お見通しじゃよ。」

ワシは、腕時計の自分の手前側のベルト部分の表示を一目見て、小僧へ言い放った。ふっふっふ。小僧、ワシはお前さんが眠るまで、ここを動かんぞよ?いい加減あきらめて、素直に眠ったらどうじゃ?小屋の木のベッドでのぅ…。ワシは、小僧へ不敵な笑みを向け、“負けを認めなさい。”と心で言い放ち、その場を動かずに、山小屋の窓の方向へ銃口を向け続ける。銃口を向け続けながらも、ワシの頭の中には1つの記憶が駆け巡っておった。

636適当 635ミス:2013/04/19(金) 18:45:41 ID:g4r8f.Hg
「小僧、残念だったのぅ。その山小屋は人間用じゃ。お前さんは、窓しか小屋の行き来は出来ん。」

窓、窓といってもあの山小屋には2つの窓があるんじゃ。1つは、今ワシが銃口を向けている所、もう1つは、物がごちゃごちゃした部屋だったかのう。その部屋の窓に行けない事は無いが、物であふれかえっていて窓を見つけにくいじゃろう。指向性マイクをその部屋に置かずに、ワシの部下にベッドの下へ置かせたのは、サービスじゃ。じゃが、小僧、お前さんはワシからのサービスを手に入れる代わりに、ワシに眠らされてあげるというサービスを提供せねばならんのじゃよ。小僧との勝負、まずは、ワシが一勝かのう。麻酔薬(くすり)は直に、体中に回り、お前さんは眠らされてしまう。ま、ワシは【伝説】の称号を持つ最強の狙撃手(スナイパー)じゃ。小僧が、眠ったものと決めつけて、兵士待機ルームへ戻る。なんて事は、しないがの。ワシは、自分の判断を決して伝わらない、あの小僧へ告げる。

「小僧、隠れても無駄じゃよ。ワシには…」
【A FINE B CONCIOUS】
「これで、わかるんじゃからのう。お前さんが、麻酔薬(くすり)と闘ってて、まだ眠っていないのは、お見通しじゃよ。」

ワシは、腕時計の自分の手前側のベルト部分の表示を一目見て、小僧へ言い放った。ふっふっふ。小僧、ワシはお前さんが眠るまで、ここを動かんぞよ?いい加減あきらめて、素直に眠ったらどうじゃ?小屋の木のベッドでのぅ…。ワシは、小僧へ不敵な笑みを向け、“負けを認めなさい。”と心で言い放ち、その場を動かずに、山小屋の窓の方向へ銃口を向け続ける。銃口を向け続けながらも、ワシの頭の中には1つの記憶が駆け巡っておった。

637適当:2013/04/19(金) 18:49:03 ID:g4r8f.Hg
“ショーン・ジョージア様。”
“なんじゃ?”
“大変、申し訳にくい事があります。”

今、ワシの目の前には、白衣を来たネイティオがおる。医者というヤツじゃ。彼は、ワシに悲しげな顔を向け、ワシへ謝った。ワシは、彼に“なぜ、そんな悲しい顔をしているのか”を訊ねる。

“ネオ医師、そんな暗い顔をしてどうしたんじゃ?”
“実は…。”
“ほうほう。”

彼は、ワシに質問されて、重い顔で口を開いた。ワシが、うなずき彼の発言を許すと、彼はワシに予期せぬ事を告げた。

“私は、エスパータイプです。私共の種族、ネイティオは特に未来が見通せるのです。”
“ほ〜う、そうか。”
“私は、医者。医師としてのアナタを診(み)た結果でも、予言獣(ポケモン)としてアナタの未来見通しても言える事があります。あなたの余命は、残り1ヶ月です。”

ワシは、彼の言葉を聞いて、目線を下に落とし、ただ黙っているしか無かった。“余命、1ヶ月。白血球腐敗病によるものか…の。”ワシは、自分に許された時間が少ない原因を静かに理解していた。彼は、ワシが何も言い返して来ない事を気の毒に思っておったのか、ワシを気づかう。

“ショーン様、申し訳ありません。私共医師は、手を尽くしたのですが…。本当に力になれなくて申し訳ありません。”
“いいんじゃよ。ワシは気にしておらん。”

ワシがそう言っても、彼は重苦しい表情を和らげるどころか、涙を流し、涙声で頭を下げる。

“いえ!!これは、私共医師の力の無さが…現代医療の進歩の無さが、アナタ様を救えない原因です!!本当に、ぐっす…申し訳ありません!!アナタ様は、まだ若いのに、私共医師の力が無いせいで、あまりにも短過ぎる期間で死んでしまうなんて…。”
“顔を上げてくれんか。”
“ぐっす…はい。”

彼は、ワシの返事を受けて、頭を下げ、涙を流した顔をワシへ見せた。ワシは、彼の肩に手を置いて、彼へ微笑みかけ、彼をなだめ、自分の運命を悟る。

“ネオ医師、君は悪くない。最善を尽くしたんじゃ。ワシは、死ぬのは仕方が無いと思っておる。少し、ワシの話を聞いてくれんかの?
“すん…えっ?”
“そうすれば、君も、ワシが後1ヶ月後に死なねばならん事がわかるじゃろう。”

彼は、胸のポケットからハンカチを取り出し、涙を拭いて、静かにうなずいた。ワシは、彼へ過去を語る。

638適当:2013/04/19(金) 18:53:56 ID:g4r8f.Hg
“ワシはのう、アメリカとロシアの冷戦で、世界が緊迫していた頃、カナダの狙撃手を務めて追ったんじゃ。”
“カナダ…ですか?”
“そうじゃ。冷戦時中、ロシア軍は、アメリカに渡ろうとカナダを横断して来た事もあった。じゃが、カナダはアメリカと同盟を組んでおる。ようするに、ロシア軍兵士は、カナダの敵じゃ。”
“敵…ですか?”

この話を始めて良かったのう。彼は、すっかり涙を止めてワシの話を聞いておった。ワシは、彼へ話を続ける。

“ワシは、カナダ軍に雇われ、我が国を横断しようとする、ロシア軍兵士を“撃ち殺せ”と命令された。ワシは、命令通りに、北アラスカのアメリカとカナダの国境に待ち伏せ、カナダを横断しようとするロシア軍兵士を次々と撃ち殺したんじゃ。”
“ええ!?とても、そ…そんな方には”
“見えない。じゃな。”

ワシは、彼の次の言葉を予想し、彼へ言った。彼は、少し驚くも、すぐに真面目な表情へ戻し、静かにうなずき、なぜそう思ったのかの理由を告げる。

“はい。ショーン様は、温厚そうで、実際はいい方です。大量殺人、大量殺獣(数多くのポケモンを殺す事)者には…”
“はて?何で、ワシがポケモンも殺している事がわかったのかのう?”

彼は、ワシに質問されて急に焦り出す。

“へ?ええ!!い、いや…これは、ただの予想で…”
“予想でも当たっておる。ロシア軍は確か、ポケモン愛護国じゃった。ポケモンの兵士は、希望者以外は、徴兵(ちょうへい)される事は無い。ロシア軍出身のポケモンは数少ない。カナダを横断してくる者がいるかどうかがわからない程の数しか、おらんかったハズじゃ。ネオ君、君は過去も見通せるのじゃな。”
“い…いやぁ。って、照れる事じゃないですよね。”

彼は、ワシのほめ言葉を聞くと、遠慮しながらも、照れを隠す事なく、後頭部を撫でて照れのポーズを見せおった。ワシは、彼の態度に大声で笑い、彼をほめる。

“はっはっは!!ネオ君、こんなに正直に感情を現してくれるなんて、君はいい雄じゃな。”
“それ程でも無いですよ。って、何をいつまで照れてるんだ私は!!”

彼は、ワシにほめられて、嬉しそうに笑うも、自分を叱(しか)った。ワシは、彼の自分を叱(しか)る顔を見て笑い、彼へ話を続ける。

639適当:2013/04/19(金) 18:59:52 ID:g4r8f.Hg
“はっはっは!!ネオ君、こんなに正直に感情を現してくれるなんて、君はいい雄じゃな。”
“それ程でも無いですよ。って、何をいつまで照れてるんだ私は!!”

彼は、ワシにほめられて、嬉しそうに笑うも、自分を叱(しか)った。ワシは、彼の自分を叱(しか)る顔を見て笑い、彼へ話を続けた。

“はっはっは。さて、話を続けるとしようかのう。”
“はい。お願いします。”
“ロシアからカナダへ横断希望するポケモンのロシア軍の兵士達も、誰一匹も渡る事無く、ワシに心臓を撃ち抜かれた。”
“うわぁ…腕が良かったんですね。”
“ふっふっふ、腕が良かったから、今こんな目にあってるのじゃよ。”
“え?どういう意味ですか?”

ここからが、ワシが本当に彼に言いたかった事じゃ。ワシは、彼に訊き返されると、彼に訊き返される前の言葉の意味を彼へ語る。

“白血球腐敗病にかかったのは、殺された者達の報復なんじゃよ。人間然り、ポケモン然り。とな。”
“報復…。”
“そう、だから君は悪くない。どんなに、君達医者がワシに手を尽くそうと、現代医療が進歩しようと、ワシは助からない。ワシは、殺した者に呪われておる。殺した者に囁(ささや)かれておる。“お前も死ね。”とな。ほっほっほ。”
“わ…笑い事じゃありませんよ!!もっと、死ぬのを恐がって下さい!!ショーン様、アナタ変ですよ!!”

ワシは、彼の言葉を受け、首を傾げて訊き返す。

640適当:2013/04/19(金) 19:01:41 ID:g4r8f.Hg
“変?”
“そうですよ!!言い方は悪いですけど、アナタ今頃“何でこの若さで1ヶ月で死ぬんですかぁ〜!!”って泣きつく所ですよ!!”
“ネオ医師、それは違うぞ。”
“え?”

彼は、ワシの言葉の意味がわからず、ワシに意見を言って来た態度とは違う、きょとんとした態度を取っておった。ワシは、彼に微笑み彼へ言葉を諭(さと)す。

“つらいからこそ笑うんじゃ。逃げたくなるからこそ、笑うんじゃ。死ぬからこそ笑うんじゃ。今の生をかみしめてのう。”
“今、生きている事を?”
“そうじゃ。考えてみい。泣いたって、逃げたって、現状が変わるかのう?ワシ自身の寿命が延命(の)びるかのう?”

ワシの言葉を聞くと、彼は右羽を口に当て、小さく笑い、ワシの意見へ賛成する。

“ふふふ、そうですね。泣いたって、逃げたって、アナタの生の時間が延命(の)びる訳じゃありませんしね。”
“おや?医者が、患者の死を笑っていいのかのう?”

ワシが、意地悪く彼へ言うと、彼は笑顔を止め、あわててワシに弁解する。

“い、いや!!アナタの死を笑ってなんかいませんよ!!笑っていません!!アナタの人生観が面白いなぁって…。”
“ふっふっふ、君も患者の死を笑った報復をいずれ受けるんじゃないかのう。”
“ちょ…ちょっと!!止めて下さい!!私が、患者に呪われるみたいな言い方はぁ〜!!”

641適当:2013/04/19(金) 19:05:16 ID:g4r8f.Hg
あの医者に死を宣告されたのは、小僧が来る10日前。一週間とちょっとじゃのう。ふっふっふ、笑えるわ。自分が殺した兵士達の報復を受けるとはのう。じゃが、ワシはその報復を受ける前に、小僧の銃弾を浴びて死ぬ。小僧に撃たれに行きはせんが、これがワシの最期の望みじゃ。小僧、お前はピカチュウ。鼠(ねずみ)じゃ。じゃが、鼠(ねずみ)の技能に頼っていては、ワシを見つける事は出来んぞ?蛇のように潜み、鷹(たか)のように、ワシに狙いを定めて、撃つのじゃ。お前が手にする、スウェーデンが誇る狙撃銃(スナイパーライフル)でのう。と、長々と思い出に浸ったワケじゃが、小僧はまだ現れんのう…。どれ、ちょっと倍率を上げてみるかのう。ワシは、のぞき込むスコープの倍率を上げ、窓の方を見る。すると、驚く事が起こっておった。なんと、あの小僧が置いたハズの狙撃銃がきれいに消えておった。“なぬ?小僧め…やりおるわ。”小僧は、おそらくワシに撃たれないように、素速く電光石火を使って、窓の下の壁に張り付き、身をかがめて狙撃銃を回収したんじゃろう。早過ぎて見えんかった。いや、ワシが思い出に浸り過ぎて、ボーっとしてただけじゃな。一応、腕時計も見て見るかのう。ワシは、腕時計の手前のベルト部分を見る。

【A FINE B FINE】
「麻酔薬(くすり)に…耐えおったか。」

うむ、仕留められんかったのう。さて…もう昼の3時か。むぅ、歯がゆいが、あの小僧の方が機動力は上じゃ。ワシは、年も年。しかも、病(やまい)持ち。スタミナは続かん。今日は、見逃してやるわい。ワシは、軍服の右ポケットへ手を入れ、リタイアボタンを押す。ワシの体は、だんだんと消え、ワシは山小屋の前の木の上から、この森を立ち去った。

642適当:2013/04/19(金) 19:11:20 ID:g4r8f.Hg
「はぁ…はぁ…、くっそ!!狙われていたとは!!」

俺は、山小屋の物が散在している部屋の窓を開け、自分が山小屋を眺めていた方面とは、逆の方面から抜け出し、森の中を駆けだしていた。“電光石火なら、あのじいさんは見えないハズだ!!そこに賭けるしかない!!”今から数分前、俺は、寝室に隠れ、狙撃して来た相手を警戒しつつ、また襲ってくる睡魔に耐えながら、窓の下の壁へ一瞬で移動し、床に置いた決闘に用いる武器を抱え込みながら、物が散在している部屋へ飛び込むように、電光石火を用いて移動を行った。寝室には、窓は無い。最初に、侵入して来た窓からは、麻酔弾が飛んで来るので、最初に侵入して来た窓からは、山小屋から出る事は出来無い。山小屋は人間用なので、本来の山小屋のノブは、自分の背では回す事が出来ない。当然、そこからも出る事は出来無い。故(ゆえ)に、最後の部屋に窓がある事に賭け、俺は最後の部屋に電光石火を用いて、飛び込むように素速く移動し、最後の部屋の探索を行い、念願の脱出口(まど)を見つけ、俺は無事山小屋から脱出(で)る事が出来たのである。俺は、彼の麻酔弾を腕に受けた後、強烈な眠気に襲われた。俺が、なぜ強烈な眠気に襲われても、目を覚まし続けられたかは、俺の特殊技能(俗に言う特殊技)のおかげである。強烈な眠気は、麻酔薬に含まれる成分によって、神経が興奮状態から、沈静状態に変わる為、発生する。俺は、十万ボルトを用いて、体中の神経の電気量を急激に上げ、神経を一時的に常に興奮させる、一種の不眠状態を作り出した。その為、俺は彼からの麻酔弾を腕に受けても、眠らずにいられたのである。俺が、もしも電気タイプでなければ、当然、体内の神経の電位を急激に上げるなんて事は出来無いので、そのまま不本意の眠りについていただろう。自分の生まれ持つ電気タイプが幸いした訳である。俺は、決闘で用いる武器を抱きかかえつつ、しばらく駆け出し、“山小屋から十分に離れただろう”と思う所で足を止め、呼吸を落ち着けていた。“ふぅ…。かんとか、逃げられたな。”俺は、山小屋から離れた所にある木々の群れの内の一歩に、背を預け座り込み、“ほっ”と胸をなで下ろした。その後すぐに、安堵のため息を漏らし、俺は自分の推測を口にした。

643適当:2013/04/19(金) 19:16:43 ID:g4r8f.Hg
「あのじいさんは、俺が最初に、こいつ(指向性マイク)を手に入れる事を読み、俺にワザとこいつ(指向性マイク)を手に入れさせたんだ。でなければ、おかしい。」

俺が、彼に数時間前の行動を読まれたと言い切ったのは、理由がある。それは、俺が山小屋に入った後に、窓に銃口が突きつけられていた事である。彼が、行動を読むだけだったなら、俺が山小屋に入る前に、俺に麻酔弾を撃ち込み、俺が有利になる道具を手に入れる事を阻止するだけだろう。だが、彼はそうはしなかった。彼は、俺を山小屋の中に入れる事が、真の狙いだったのではないかと思われる。俺が外にいては、確実に狙いをつけるという事が難しく、麻酔弾(たま)が外れた時は、俺に警戒され、俺にすぐその場を立ち去られてしまう。それでは、待ち伏せした意味が無い。だから、彼は俺を山小屋に入れてから、俺が出入り出来るたった1つの出入り口に銃口を向け、俺が指向性マイクを手に入れ、窓から脱出しようとした所を狙い撃ち、俺を確実に、逃げる事が出来無い山小屋の中へ閉じ込めるという手段を取ったのである。あの山小屋の窓は、俺が出入り口にしていた窓(ヤツ)以外は、物が散在している部屋に存在していた為、見つけにくい。俺が、出入り口にしていた窓以外の窓を見つけられない事だってある。彼は、それも狙いだったのでは無いかとも考えられる。俺は、もう1つの窓を見つける事が出来なければ、山小屋から脱出できる所は、最初に山小屋に侵入した所しか無いので、俺はもう脱出はあきらめて、彼におとなしく撃たれるしか無い。最初の窓から、自分の持てる速度を出して、素速く脱出しようとしても、窓から脱出する為には、一旦窓のサッシに乗らねばならない。彼は、僅(わず)かな時間でも止まっている俺を見逃さずに、俺に麻酔弾を浴びせるだろう。この狙撃対決の考案者は、そもそも彼自身なので、窓のサッシに立ち、一瞬の隙を見せた俺を撃ち逃すなんて可能性は考えられない。彼は、俺が、万が一でも勝てる可能性のある勝負にする為、狙撃対決を提案して来た。ここで考えて欲しい。彼は、【伝説】の間の番人である。番人は、自分の敗北の証となるバッチを守らなければならない。俺がただ単に有利になる勝負なんて提案して来るだろうか。俺は、そんな事は決してありえないと思っている。接近戦では、俺と彼との力の差は激しく、俺が勝てる要素は限りなく少ない。

644適当:2013/04/19(金) 19:21:11 ID:g4r8f.Hg
狙撃対決にする事で、俺にも勝てる要素を持たせてあげる事が出来る。もちろん、自分が得意な狙撃対決に変更する事で。と彼が勝負内容を変更した理由が考えられるのである。彼の望みは、本気で闘って俺に負ける事。自分が苦手な勝負では、本気なんて出しても、勝負する意味が無い。なぜなら、彼の望みの中の本気とは、自分の力を出し切る事だからである。自分の力を出し切るには、自分が得意な勝負にしなければ、自分の望みなんてとうに叶わない。彼は、きっとこう考えているのだろう。“死ぬ前に、心踊るような面白い勝負がしたい。”と。接近戦では、俺が弱すぎるので自分が確実に勝ってしまう。当然、つまらない勝負にしかならない。だが、狙撃対決は見つけるか、見つけられるかという、力が無くても、頭を使えば、勝てる勝負なので、狙撃のプロの自分でも、相手を見つけられず、相手に見つかって、撃たれれば、負ける。確実には勝てない勝負になるので、いつ倒されるかわからないという面白さを彼は、実感しているのであろう。彼が、狙撃対決にしたのは、これだけが理由とは限らないし、これは、あくまで俺の考察であるからだ。話が大分それてしまったが、以上に述べた理由で彼が狙撃対決が得意だろうと考え、彼が隙を見せた俺を撃ち逃す程のしょっぱい腕を持つ者とは思えないと、俺は考えたのである。理由を説明した所で、話を現実に戻す事にしよう。俺は、彼に“まんまと乗せられてしまった”と考え、今後の作戦をたてる為に、決闘で用いる武器を肩にもたれさせ、地図を開いた。

「う〜ん、今は東の森か。南…へ向かって見るか?」

俺は、予測した現在地へ指を置き、左ナナメ下へ指をスライドさせるも、“本当に、取りに行っていいのだろうか。”という事を考えていた。この狙撃対決の提案者は、彼。地図を作ったのも、道具の配置も彼は既(すで)に知っている。であるならば、どういう事が言えるか。彼は、俺の移動時間まで計算に入れて、俺が大体どこにいるかを割り出して、俺の行く先で待ち伏せをする可能性が限りなく高いのである。この森を決闘場所に選ぶからには、当然彼はこの森を知り尽くしている。俺は、この森を知らない。この森を知らない者が、この森を知り尽くす者の作戦に踊らされ、喰われてしまうのは、当然の理とも言える。

645適当:2013/04/19(金) 19:27:03 ID:g4r8f.Hg
俺は、しばらく頭を抱えて悩みつつ、地図を睨(にら)んでいた。“う〜ん、ダメだな。道具を手に入れる事は読まれているハズ。道具を手に入れる道中で、あのじいさんに撃たれるのがオチだな。ここは、捻りを加えて、大回りをしてワザと逆方向へ向かってみるか。”俺は、地図をスーツの右ポケットへと収め、立ち上がり、決闘で用いる武器を持って、東から西にかけて弧(こ)を描くように、北へ歩を進め始めた。北へしばらく歩を進めた時、突然空腹を告げる音が俺の耳に入った。

「腹が…減ったな。」

空腹を告げる音を立てている原因は、自分自身しかいない。俺は、空腹を告げる音を耳にした後、監禁部屋から各番人が待ち受ける戦闘ステージに行き、闘い終えた後よりも、少し強い空腹に襲われた。“うっ…、食べる物を探さないとな。”今こそ、自分の特技を生かす時である、俺は鼻を動かし、食べられそうな物や、食べられそうな生き物の匂いが無いかを探った。

「くんくん、あっ、待てよ…。これってまさか…。」

俺は、嗅覚(はな)である生き物の匂いを感じ、匂いが感じられる方向へ歩を進めた。すると、遠くに茶色の毛皮をまとった、兎(うさぎ)がいる事を発見できた。俺は、兎(うさぎ)を見つめるが、兎は背後にいる俺に気づいておらず、前方を眺め続けていた。“兎(うさぎ)か、兎(うさぎ)って食べられるのか?”俺は、うつぶせになり、遠くにいる一匹の茶色の兎(うさぎ)を見つめながら、食糧にする事が出来るかどうかを考えていた。俺は、兎(うさぎ)を口にした事は無い。兎(うさぎ)が食べられるという情報(こと)も耳にした事は無いが、胃が“なんでもいいから、口に入れろ!!”と急(せ)かして来たので、俺はやむを得ず胃の指示に従い、決闘で用いる武器を構えた。決闘で用いる武器に、ついている高倍率スコープを覗き込み、スコープが映し出す、十字の中心部に兎の体の中心部をあわせた。胃は“さっさと撃て!!”と急(せ)かして来たが、俺はすぐに引き金を引かず、兎(うさぎ)が聞き取れないように、心の中で謝罪を行った。

「すまない。お前はまだ死にたくはないだろうが、俺はお前を食べなきゃ生きてはいけない。許してくれ…。」

646適当:2013/04/19(金) 19:32:55 ID:g4r8f.Hg
俺が初めて、“命を頂く”という事を強く実感出来たのはこの瞬間(とき)だろう。“頂く”は“殺す”事に価(あたい)する。俺は、標的への謝罪の後、ゆっくりと引き金を引いた。銃声が、辺りに響き渡ると同時に、茶色の毛皮をまとった彼女は倒れた。後で気づいたのだが、よく、先程嗅いだ匂いを思い返してみると、標的が僅(わず)かに雄を誘惑するような匂いを放っている事に気付いた。“雌だったのか。余計、心が痛むな…。”兎(うさぎ)が雌という事を知って、まず最初に思い出される事は、残虐な彼以外のこれまで闘って来た番人の顔である。“殺す…殺す、か…。”殺すという言葉からかつ、一番兎(うさぎ)に近い生き物で連想したのは、【若葉】の間の番人であるあの少女である。俺は、兎(うさぎ)が血を流して動かなくなった様を見届けている内に、あの少女が血を流して倒れている光景を頭の中で見てしまっていた。血を流した兎(うさぎ)が、俺に見せた光景は、“お前がフィアを殺した。”事を意味していた。俺は、あの少女に直接手を下した訳じゃない。俺があの少女を直接殺すなんて事はありえない。たとえ、今の空腹時で、目の前の兎(うさぎ)があの少女だったとしても、引き金は決して引かない。“兎(うさぎ)は動物だから引き金を引いた。兎獣(とじゅう)【兎型のポケモン】じゃないから引き金を引いた。空腹を満たしたくて、雌の兎(うさぎ)を殺した。”俺は、過去の記憶から兎の彼女を殺した罪悪感が強くなる事を、“別の理由で殺した。仕方が無かった。”と自分に言い聞かせ、冷たくなった彼女へ近寄った。“よし、食べるか。でも、どうやって火を起こそうか?”俺が、生きていく為に支給された道具の中に、ライターという、簡易的に火を起こす事が出来る現代の道具は無い。となれば、自分で火を起こすしか無い。生で食べるという手段を選ぶ事は出来ない。血生臭くて食えたものじゃないし、血の臭いを感じなくても、血をすすっている自分を想像しただけで気持ちが悪い。俺は、冷たくなった彼女を見つめつつ、火を起こす方法を考え始めた。ものの一、二分考えた所で、俺は火を起こす方法をひらめき、決闘で用いる武器を地面に置き、集囲に落ちている木の枝を拾い集めた。火の種が保つ程の木の枝を拾い集め、俺は指先に電流を集め、木の枝達に近づけ、指を鳴らした。

647適当:2013/04/19(金) 19:37:05 ID:g4r8f.Hg
“パチン、パチン”と指同士がこすれて音が小さく周りへ響き渡り、指先から出て電流同士がこすれあって、小さな火花が起きた。小さな火花は、木の枝達に飛び移り、徐々に木の枝達を燃やし始めた。俺は、自分が思いついた手段で火がついた事が、あまりにも嬉しかったのか、“よし!!付いたな。上手く行った。”という言葉をつい発してしまっていた。“次は、兎(うさぎ)か。さすがに、全部食べるワケにはいかないな。”周りへ自分の声を響かせ終えた後、俺はスーツの右ポケットから生きる為にはかかせない二つの道具の内の1つを取り出し、冷たくなった彼女の腹に切り込みを入れ、冷たくなった彼女の体内から、胃や肝臓などの臓器を取り出し、食べる事が出来るであろう、筋肉の部分と脂肪の部分だけを残し、取り除いた臓器を、自分から少し離れた場所へと退(ど)けた。命を頂く。その事を思い知らされた者が、頂く命の対象を全て食さないのはおかしいと指摘したくなるかもしれないが、その時の俺は、内臓器官は火に入れずに、自分の目に付かない場所へと移したのである。冷たくなった彼女の食べる事が出来る部分と食べる事が出来無い部分を分け終え、“さすがにそのまま火に入れては、マズイな。”と、焼き終えた時に取り出す際に火傷を負ってしまってはいけないと考え、俺は、冷たくなった彼女の体長を超えるくらいの長さの木の枝を探し歩き回った。火を中心として、半径20歩以内の範囲まで歩き回った所で、冷たくなった彼女をくし刺せるくらいの長さと、くし刺して持ち上げても折れない、丈夫な太さを持ち合わせた一本の木の枝を見つけ、俺はすぐに、冷たくなった彼女の元へ駆け寄り、冷たくなった彼女をくし刺しにした。火に入れる前の第一段階の作業をし終えた後、俺は、冷たくなった彼女をくし刺しにした木を持つ所を残して火の中へ入れ、冷たくなった彼女を焼き始めた。“さて、今は何時だ?”冷たくなった彼女の体の表面に徐々に、徐々に焼き目がつき始める様子を見届けるも、俺は今の時間が気になり、腕時計へと目を向けた。

648適当:2013/04/19(金) 19:40:00 ID:g4r8f.Hg
【18:00 】
「あっ、もう6時か…。」

俺は、時間を確認し終えた後、ふと空を見上げた。空は、あかね色に染まり、あかね色の空の中を、大勢のカラスが“カァ、カァ”と夕暮れ時を伝える合図を、地上の者達に聞かせるように、鳴き声を上げて、空を飛び渡っていた。カラス達が、合図を告げながら空を飛び渡っている様子を見て、“あぁ、俺は今自然の中にいるんだな。”としみじみと感じていた。もう少しカラス達が飛び渡っている様を見ていたかったが、自分のすぐ近くら少し強い焦げた匂いを感じ取り、俺は冷たくなった彼女をくし刺しにしている木の枝へ目を向けた。冷たくなった彼女の、体の表面全体が程良く焦げている様が確認出来たので、俺は、冷たくなった彼女をくし刺しにした木の枝を火から上げた。“兎(うさぎ)って、食べた事無いんだよな。見た感じマズそうでは無い。どんな味が、するんだろうな。”命を奪われた兎(うさぎ)の彼女には悪いが、彼女がこれから自分の口の中でどのような味を奏でてくれるのだろうと、俺は彼女を食べる事を楽しみにしていた。“さぁて、食べるか。頂きます。”焼き上がり、香ばしい匂いを放つ兎(うさぎ)の彼女が、犠牲になり、自分の命を延ばしてくれた感謝の気持ちを忘れたワケでは無い。俺は、心の中で兎(うさぎ)の彼女に感謝し、彼女の肉体の一部をかみちぎり彼女の味を確かめ始めた。“おぉ!!美味いじゃないか!!”兎(うさぎ)の彼女が、俺の口の中で奏でてくれた味は、俺を満足させるには十分であった。一口目を食べ終わり、二口目、三口目と兎(うさぎ)の彼女の肉体の一部をかみちぎり、口の中に入れ、噛み砕き、次々と自分の体に兎(うさぎ)の彼女を取り込んで行った。ついに、最後の一口を食べ終わり、俺は兎(うさぎ)の彼女をくし刺しにした木の枝を火の中に投げ入れ、両足を延ばして、両手を後ろに着いてもたれかかるという寛(くつろぎ)ぎ示す姿勢を取り、俺は笑みを浮かべ、静かに感想をつぶやいた。

649適当:2013/04/19(金) 19:45:27 ID:g4r8f.Hg
「兎(うさぎ)が、こんなに美味いものだったとはな…。」

兎(うさぎ)の彼女が、俺の口の中で奏でてくれた味は、どんな味なのかは、一概に言えない。ただ、これだけは言う事が出来る。牛肉よりも美味いという事だ。鶏肉(とりにく)よりは、少し味は劣っていたが、牛肉よりは味は勝っていた。牛肉が好きな者は、俺の感想は全くあてにはならないが、少なくとも俺はそう感じた。“よし、腹いっぱいだ。さて、血で汚れたサバイバルナイフを洗わないとな。”兎(うさぎ)の彼女の味を思い返すという、休息に近い行動を取り終え、俺はいまだに燃え盛る火を灯(あか)り代わりにし、スーツの右ポケットから地図を取り出して、地図を広げ、次の目的を達する事が出来るような場所が近くに無いかと、地図の上方へ目を向けた。

「えーっと…。おっ、あったな。なる程、そのまま西へ向かえばいいんだな。」

地図の上方へ目を向けると、【You stay here(現在地)】と示された場所の上かつ近くに、川を示すと思われる、青色の3本の線が左ナナメ下に沿って引かれているのを発見し、俺は方位磁石を取り出して、自分の手の平に置き、方角を確かめた。方位磁石が示す、“W”がどの方向指しているかを確認し終え、俺は地図と方位磁石をスーツの右ポケットへと収め、片手には、決闘で用いる武器、片手には、血で汚れた黒色の小さな刃物を持ち、燃え盛る火を残して、俺は左方向へと歩を進めた。

650適当:2013/04/19(金) 19:49:44 ID:g4r8f.Hg
北の森の川

しばらく左へ歩を進めると、自分の耳に微(かすか)かに“さら、さら”と水が流れている音が入った。俺は、耳に入った音を頼りに、音がする方向へと歩を進め続けた。すると、俺の視界にはじょじょに、じょじょに、広い範囲を流れている川が現れた。“ここが、地図にあった北にある川か。”俺は、目の前に写る景色から、目的地にたどり着いた事を判断し、広い範囲を流れている川へと歩を進めた。広い範囲を流れている所へとたどり着き、俺は砂利がしかれた。地面に決闘でいる武器を置き、黒色の小さな刃物を開き、刃についた血を川で洗い流した。“よし、綺麗になったな。”血で真っ赤に染まっていた刃先が、元の銀色に輝き出したので、俺は黒色の小さな刃物に付いた水気を払い、刃を収めて、スーツの右ポケットへと収めた。“喉が渇いたな。水は摂れる内に摂っておくか。”地図には、北方面にある川を示す青色の左ナナメ下に沿って引かれた3本線は、南方面以外には、存在しない。俺は、水筒(すいとう)を持っているワケではないので、ここで水を汲(く)み、喉が渇いた時に、後で飲む、なんて事は出来ない。今の俺は喉が渇いてなくても、ある程度の水分を摂取しなければならないのである。俺は、両手で川に流れる水を掬(すく)い、川の水で喉(のど)を潤(うるお)した。

「んぐっ…、ぷはぁー!!ああ、よし、これでひとまず大丈夫だ。」

川に流れる水は、監禁部屋で食事の際に出される液体よりも、美味たるものであった。黄色の天使の液体よりも、不思議と美味しく感じられた。気のせいだろうか、喉が渇いていたせいだろうか、いや、そうでないと考える。結局、自然が作り出した味が、一番美味いという事である。俺は、普段の日常生活を送っていたなら、自然が作り出した味よりも、自分が味わいたい味を選ぶと思うが、監禁されてからは、どんなに美味い飲み物が出されようが、自然が作り出した味が俺は、美味いと感じている。“さて、水を摂ったワケだが…、う〜ん、どうしようか。”自然の恵みを受け、喉の渇(かわ)きを潤(うるお)した後、俺が迷っていたのは、“川で体を綺麗に洗うか、どうか”であった。

651適当:2013/04/19(金) 19:54:08 ID:g4r8f.Hg
俺は、川の水が流れている様子…、いや、もう辺りが暗くなってそのままでは見えなかったので、“フラッシュ”と呼ばれる自分の体から光を発する技を使って、辺りを明るくしつつ再び川へ目を向け、川をじっと眺めながら、“入るか、入らない”かの選択肢を選び始めた。“うん、入ろう。汗で気持ち悪い。”どちらの選択肢を選択しようかと迷っている最中に、スーツと自分の肌が汗で濡れていて嫌気がさしたので、俺はスーツを脱ぎ、自然に生まれたままの姿を提示して、川の中へ入った。川の中へと入った途端、足元から急な冷たさを感じ取り、俺は思わず上げてしまった。

「冷たぁ!!かなり、冷たいな…。」

冷たいのは、当たり前である。この近くには、火山があるワケでは無いので、自然が作り出す水の温度に、温かさなど無い。俺は、当然の理を理解していながらも、普段感じる事は無いあまりの冷たさに驚いて、暗くなった辺りに、独り言を響かせてしまった。“うぅ、冷たいな。これで、本当に体を洗えるのか?”俺は、川の温度を足元から感じ尽くし、川の冷たさに怯(ひる)み始めた。“やっぱり、やめようか。”とも考えたが、俺は意を決し、“滝だ。滝に打たれる感覚でやればいいんだ!!”と自分に言い聞かせ、普段味わう事の無い自然が作り出した、自分を怯(ひる)ませる程の冷水に耐えつつ、体を洗い始めた。

「冷たぁ!!冷たぁ!!くっ…結構キツイな。」

自分の体に、冷水を浴びせる度に、俺は声を上げていた。終(しま)いには、“もう、やめようか。”と自分に言い聞かせるように、冷水を浴び続ける事への不安を口に出していた。冷水を浴びる事を一旦止めて、俺は自分を叱責(しっせき)した。

「俺は、雄だ!!こんな情けない声を発声(だ)すな!!」

俺は、自分へ言い聞かせ終えた後、冷たさをごまかすように“うぉぉぉ!!”と声を上げながら、冷水を体に浴びせ、体を洗い進めた。“はぁ…はぁ…。よし…やっと終わった。”体の全ての部分を洗い終え、俺は息を切らして、冷水を浴びなければならない(といっても、始めから体を洗わなければ、いい話なのだが…。)苦しみから解放され、安心して、ため息を一つ漏(も)らした。“さ、寒い!!”その後すぐに、俺は川から砂利の敷(し)かれた地面へ飛び込むように、川から出て、地面に両手に両足をつきながら、水気を払った。

652適当:2013/04/19(金) 19:59:06 ID:g4r8f.Hg
“はぁ…はぁ…、まだ寒いな。”水気を払っても、すぐには冷感は消えるハズは無い。これも、当然の理である。俺は、体の表面にまとわりつく、冷感を払い為、意識を集中させ、電気を溜め始めた。電気が溜め終わるのを感じ取り、俺は一気に体外へ電気を放出した。

「十万ボルトぉぉぉ!!」

電気同士がこすれあう“バチ、バチ”という音と、自分の体から光を放つ技よりも広範囲を照らす光を放ち、俺は体の表面を温めた。“ふぅ…。”体から無事に、冷感が消え去ったので、俺は本当の安心のため息を1つつき、脱いだスーツを着始めた。“お湯以外の風呂は、キツイな。”俺は、スーツを着終わり、先程自分が体を洗う度に苦しめられた、自然が作り出した冷水の感触を思い返し、ここ(森)で簡単には、風呂に入れないな。”と実感し、再び自分の体から光を放つ技を使って、必要最低限の範囲を照らし始めた。“すっかり、暗くなったが、今何時なんだ?”俺は、今の時刻が気になり、腕時計へと目を向けた。

【19:30 】
「ああ、7時30分か。なる程、随分と歩いたワケだな。」

腕時計へと目を向け、今の時刻を確認し終えるも、“ふぁ…。”と体の疲れを告げるような、欠伸(あくび)が出てしまったので、俺は、次の目的を達する為に、周りを見渡した。

「えーっと…おっ、あの木なんかいいんじゃないか?」

周りを見渡し、自分の後方の木々の内の一本の木に目を付けた。どの木でも良かったワケでは無い。俺は、木の上に昇る事が出来るので、夜中、恐暴な動物達に襲われない、木の上で寝る事が一番良いと考え、地面に置いた決闘で用いる武器を拾い上げ、自分が眠る事が出来る(といっても、仰向けでは無い。もたれて眠る事が出来る程度のものである。)程の広い枝を上方に兼ね備えた木へと歩を進めた。

653適当:2013/04/19(金) 20:02:26 ID:g4r8f.Hg
木へとたどり着いたのはいいものの、俺は1つの問題に差しかかった。

「どうやって、こいつ(SVD)を上に持っていこうか…。」

決闘で用いる武器を自分の手元から離すワケにはいかない。俺は、木の上方を見上げつつ、木の上に“なんとかして、昇る方法は無いか”と頭を働かせ始めた。四、五分程考えた後、俺は1つの名案を思いついた。俺は、思いついた名案を実行に移した。

「よし、何とか結べたな。後は昇るだけだ。」

俺が、思いついた名案とは、決闘で用いる武器を刀のヒモを使って、体に結びつける事であった。俺は刀のヒモをほどいて、決闘で用いる武器を体に密着させ、背中には刀、前には銃という風に体へ両方の武器を結びつけた。両方の武器を体に付け終えた後、木の上に昇り、自分が十分に寝ることが出来る位の広さを持つ枝にたどり着き、木の幹(みき)にもたれ掛かった。木の幹(みき)にもたれ掛かった後、自分のすぐ近くでフクロウと似たような声を持つ者の声が耳に入るが、俺は“ああ、フクロウが近くにいるんだな。フクロウの声を聞きながら、寝られるなんて最高じゃないか。”と鳴き声上げている物の正体を深く考えず、むしろ鳴き声を快く受け、自分から光を放つ技を止め、眠りの世界へと旅立った。

654適当:2013/04/19(金) 20:06:32 ID:g4r8f.Hg
Day17
ショーン死亡まで残り4日

「ぼ…う…。」
「ZZ…、ん?」
「ピ…チュウ…ぼ…く。」

俺は、突然の何かの声を聞いて、木の上で目が覚めた。“あれ?何か聞こえるな?”目を覚ました後、欠伸を1つ行い、下からの聞こえる声へ耳を傾けた。相手はどうやら“ピカチュウの僕”と言っているようである。“ピカチュウの僕?俺の事か?”俺は、首を傾げ、声がする下の方へ目を向けた。俺の顔を見た声を掛けた相手は、どこか信用出来無い笑みを浮かべて、手招きで俺を呼んだ。

「あっ、やっと目を覚ましたね。ピカチュウの僕、降りておいで。」

“降りる?”相手の言葉に疑問を抱き、俺は声を掛けた相手へ訊ねた。

「なぜだ?俺に何か用か?」
「いいから、降りておいで。すっご〜く、大事な話があるんだ。」

“大事な話?まぁ、聞くだけ聞いてやるか。”俺は、相手の要求を呑み、木の上から飛び降りた。俺は、地面へたどり着いた後、声を掛けて来た相手へ目を向けた。すると、声を掛けて来た相手1匹では無く、6匹、そして、困惑した表情を浮かべた1匹のヨルノズクがいた。“雄三匹に雌三匹。”俺は、相手がどんな生き物かを目に入れた後に、鼻を動かして、相手の素性の確認を行った。言い遅れたが、俺が見た雄三匹とは、リザード、カメール、フシギソウ。同じく雌三匹とは、ニューラ、何やら背中に大きな口を背負った不思議で見た事も無い生き物と、額に宝石のような赤い石をつけたペルシアンであった。“トカゲに、カメに、カエルもどき?猫二匹に、変なヤツ一匹。俺に何の用だ?”俺は、なぜこんなにも多勢相手しなければならないのか、という疑問を抱いていたが、声を掛けて来た黒猫の彼女に、自分を起こしてまで呼び掛けた理由を訊ねた。

「ニューラのお嬢さん、俺に何か用か?」
「ニューラのお嬢さん?アタイの事かい?」
「ああ。他に、誰がいるのか聞かせて欲しいな。」

俺は、黒猫の彼女に訊き返されると、彼女に肯定の意思を示した。彼女は、俺の返事を受け取った後、吹き出すように笑い出し、自分の仲間達と談笑し始めた。

「ぷっ…あははは!!あーはっはっは!!聞いたかい?ペール、チート?アタイの事お嬢さんだってさ!!ぷはははは!!」
「あはははは!!本当にねぇ〜。進化もしてないガキに言われたく無いね。」
「しかも、言い回しが、雌(おんな)たらしそのもの…。笑わせるよ、この坊やは。」

655適当:2013/04/19(金) 20:11:41 ID:g4r8f.Hg
“言いたい放題言いやがって。コイツ達も見た目で判断する雌達(ヤツら)か。”俺は、黒猫の彼女を必須に白猫の彼女に洗いで、大きな口を背負う彼女の言い分に、少しいらだちを覚え、表情で“黙れ。”といわんばかりに、怒りの表情を浮かべた。俺が、怒りを現実(おもて)に露(あら)わにするも、黒猫の彼女は俺を無視し、更に仲間内だけでの談笑を続けた。

「ザード、シギ気をつけなよ?お嬢さんとか言う雄(ヤツ)は、まず雌(おんな) たらしって思われるからな。」
「ははは!!ガキのくせに、経験が多いワケ…ってか?」
「経験が多いワケねぇだろ。コイツ、絶対、交尾が何かも知らねぇぜ。」

“ちっ、言いたい放題言いやがって、この野郎。”黒猫の彼女の言葉の後に、尻尾に火を灯した彼に次いで、大きなつぼみを背負った彼も、俺をからかい始めた。俺は、彼女達、彼達を睨みつけて、“黙れ”といわんばかりに威嚇(いかく)するような表情を作った。黒猫の彼女へ質問をぶつけた。

「俺を“ワザワザ”起こしてまで、呼ぶって事は、“よっぽど”大事な用なんだろうな?」
「あはは…。ああ、悪かった。僕が面白い冗談を言うからさ。」
「面白い冗談なんて言った覚えは無い。いいから答えろ。雌猫2匹に、変なヤツ1匹。トカゲにカエルもどきにカメが俺に何の用だ?」

俺は、黒猫の彼女の言い分を否定し、彼女へ即答を促した。彼女は、俺の表情、言葉を受けてもひるまず、悪い笑みを浮かべて、俺へ理由を述べて来た。

「口も悪いね。まぁ、いいか。ピカチュウの僕のせいでね、昨日、このヨルノズクちゃんがお家に帰れなかったんだって。」
「ヨルノズク?君か?」
「はい。」

俺は、黒猫の彼女から理由を受け取った後、フクロウに近い彼女の方を見やり、彼女へ訊ねた。彼女は、困惑した表情を浮かべつつ、困惑している理由を述べた。

「ヨルノズクちゃんが、“恐い雄が私の巣の近くにいて帰れないんですぅ〜!!”って、アタイ達に助けを求めて来てさ。」
「恐い…雄。」
「そう、ピカチュウの僕の事。でね、巣に帰れなかったから、“可愛い〜ホーホーちゃん達に、ごはんをあげられなかったんだって。」
「ホーホー?あっ!!」
「何か思い当たるようだね」

656適当:2013/04/19(金) 20:16:37 ID:g4r8f.Hg
俺は、黒猫の彼女から、フクロウに近い彼女が困惑している理由の細部を耳に入れた後、昨日の、木の上に昇り終えた後に耳にした声を思い出した。彼女は、俺のいかにも“思い出した”と表すような表情を見た彼女は、俺に“心当たりがあるんだな?”と確認を行って来た。俺は、彼女の返事を受けてゆっくりとうなずき、フクロウに近い彼女の方へ向け、謝罪を行った。

「すまない。昨日、聞いたのは君の子供の声だったんだな。君の巣が近くにあるとは知らずに、俺はここで寝てしまった。本当にすまない。」
「あっ、こんなに謝って下さるのなら私はもう十分です。気にしないで下さい。」

俺が、申し訳無さそうな表情を浮かべて謝罪を行った様を見届けた、フクロウに近い彼女は、翼で“もう十分だ。”と伝えるように、翼を前に突き出して、俺を許した。“ああ、助かった。とりあえず面倒な事には、ならないようだ。”俺は、彼女の返事を受け取り、表情には出さないが、安心していた。“何だ、こんなに簡単に許してくれるなら、全然大事(おおごと)じゃないじゃないか。なんで、こんなに大勢来ているんだ?”安心し終えた後、俺は黒猫の彼女に群がっている者達に“大した用事でも無いのに、なぜいるんだ?”と疑問を抱いていると、黒猫の彼女が、俺に要求を行って来た。

「ピカチュウの僕、それだけで許されると思っている?」
「は?どういう意味だ?」
「ふふふ…、本当に謝る気があるならね、みかじめ料よこしな。」

“みかじめ料?謝罪金みたいなヤツか?う〜ん、困ったな。そんな物は、1つも…。”俺は、黒猫の彼女の要求に“どうやって応えようか”と考え始めた。だが、“考える必要なんて無い!!”とばかりに、フクロウに近い彼女が、黒猫の彼女に要求の中止を求めた。

657適当:2013/04/19(金) 20:21:29 ID:g4r8f.Hg
「や、やめて下さい!!私は、全然そんなつもりじゃ…。」
「うるさいね。アンタは黙ってな。」

“は?なんか、おかしいな…。”俺は、彼女達のやりとりを耳にして首を傾げた。フクロウの彼女は、黒猫の彼女に怯(ひる)まず、俺が先程浮かべたような、怒った表情に変え、黒猫の彼女へ質問をぶつけた。

「まさか、私を利用したんですか?このピカチュウさんに、たかるために!!」
「あーはっはっは!!やっと、気づいたようだね。そうさ、何の罪もないヤツを襲ったら、そこらに住んでいるヤツらに非難されるだろう?」
「私は、非難しますけどね。私は、いいって言っているのに、ピカチュウさんにみかじめ料なんて…。私は、アナタ達を許しません!!私は、ピカチュウさんの身方です!!」

フクロウに近い彼女は黒猫の彼女から、俺に多勢で群がった理由を耳にして、彼女へ怒号を飛ばした。“そうか、それが狙いだったのか。”俺は、フクロウに近い彼女の言い分を耳にして彼女達を警戒し始めた。フクロウの彼女から怒号を飛ばされた黒猫の彼女は、舌打ちをし、彼女の雄達に声を掛けた。

「ちっ、うるさい鳥だね。ザード、シギ、メール、ちょっと言っておやりよ。」

黒猫の彼女から指示を受けた彼達は、怪しい笑みを向け、フクロウの彼女を脅した。

「ああ。おい、黙ってねーと俺達が、お前をボコボコにするぜ?」
「二度と飛べなくなるかもな。」
「シギのつるのムチでお前を縛って、ザードの火炎放射で焼かれちまうからな。さぞかし、翼は…。ああ、想像もしたくねぇ。可哀想に。」

フクロウの彼女は、彼達に脅(おど)され、“ひぃ!!”と悲鳴を上げ、恐怖で脅(おび)える表情を浮かべ始めた。“みかじめ料か。一体何が欲しいんだ?”俺は、黒猫の彼女に質問をぶつけた。

「俺の何が欲しい?」
「そうだね。とりあえず、その白いヤツと、背中にしょっているヤツと、お腹にある黒いヤツ。よこしな。」

“スーツと刀とSVDか。やるワケにはいかない。”俺は、黒猫の彼女へすぐに否定の意思を示した。

「ダメだ。それは、断る。俺は、ここに遊びに来たワケじゃない。お前達の相手なんか、しているヒマは無いんだ。」
「へぇ〜、遊びに来たワケじゃないねぇ〜。ザードとシギが、僕に言いたい事があるんだとさ。」

658適当:2013/04/19(金) 20:26:07 ID:g4r8f.Hg
“言いたい事?”黒猫の彼女は、俺の返事を受け取るも、俺の理由を受け入れず、俺に“自分以外の者も意見がある。”と言い放って来た。俺が、彼女の言葉を受けて“他に何かしたか?”と首を傾げていると、尻尾に火を灯した彼と、大きなつぼみを持った彼が順に、俺へ衝撃の真実を告げた。

「俺達見ちゃったんだよね〜。その“くっろ〜い”ヤツつかって、兎(うさぎ)を殺しているのを。」
「指で何かすると、“バーン!!”って音が鳴るよな?」

“尾行(つけ)られてた!?くっそ!!”俺は、彼達に真実を突きつけられ、“しまった…。”とほんの少し驚きの表情を浮かべた。“兎を殺した事を知っている。コイツ達…いつから尾行(つけ)ていたんだ?”俺は、証言を行った彼達が自分の背後を“いつから取っていたのか”という事を考え始めた。だが、俺に考える暇を与えまいと、甲羅(こうら)を背負った彼が言い放って来た。

「俺達の森のカワイイ動物達を、これ以上殺してもらっちゃあ困るんだよなぁ〜。あっ、みかじめ料って悪い言い方だけどな、お前に、動物達を殺させないように、その黒いヤツを回収するって意味でもあるんだぜ?」

“ウソだな。SVD(こいつ)が目的だな。悪いが、やるワケにはいかない。”俺は、甲羅(こうら)を背負った彼の言い分が、全くのデタラメであると考え、彼へ否定の意思を示した。

659適当:2013/04/19(金) 20:28:25 ID:g4r8f.Hg
「お前達に何を言われようが、SVD(こいつ)をやるワケにはいかない。さて、もういいか?いい加減俺を…」
「逃がすと思っているのかい?」

黒猫の彼女は、俺の発言を抑止するように、俺へ“逃がさない”と主張して来た。俺は、彼女に“もういいだろう?いい加減にしてくれ。君達と喋っているヒマなんて無い。”と告げ、その場を立ち去ろうとした。だが、俺が6歩程歩いた所で、彼女達と彼達の6匹に囲まれ、俺は、立ち去るという行動を阻止された。俺の行く手を阻んだ内の1匹である、尻尾に火を灯した彼が、口にしたを当て、口周りを小回りさせ、俺へ脅しをかけた。

「これでも、渡さねぇのか?」
「ああ。俺は、SVD(こいつ)がどうしても必要だからな。」
「じゃあ、“力づく”だな。悪いが、ガキ、テメェーには死んでもらうぜ!!」

彼は、俺に脅し文句を言い終えた後に、口から勢いよく火を吹いて来た。“火炎放射か。”俺は空中後転をして、彼の攻撃を避け、地面に着地をし終えたと同時に、背中から刀を抜き、構えた。俺は、刀を構えつつ、自分の行く手を阻んでいる者達が、火を放って来た彼と同じように、邪悪な笑みを浮かべている様を、1匹、1匹確認を行い、彼女達、彼達の動きを警戒しつつ、つぶやいた。

「戦闘は、避けられんか…。」

660適当:2013/04/19(金) 20:31:26 ID:g4r8f.Hg
レオ視点

今、俺はアブソルのソル師匠とお昼ご飯になる木の実を取りに来ている。木の実を取りに来ている場所は、北の森の大きくて、広〜い川沿いに立つ木の所。俺は、目の前にある青くて丸い、オレンの実を取っている。師匠は、俺の後ろのカゴの実の手入れをしている。なんで、師匠がカゴの実を手入れしているかって?う〜ん、元々この場所にはカゴの実なんて無いんだ。カゴの実は、確か南の森の小さな川の所?じゃなかったかな?う〜ん、ごめん。俺は、まだ木の実の場所(記憶)があやふやな所もあって、ハッキリと「ココ!!」って言えるワケじゃないんだ。あっ、別に覚えるのが苦手とかって言うワケじゃないよ?俺は、昔は“狼”だったから、師匠のような強〜い生き物(ポケモン)に出会ったら、ひとまず逃げるって選択肢しか取らなかったから、強〜い生き物(ポケモン)に関する事は、どこに誰が住んでいるのか以外は、あまり詳しく知る必要も覚える必要も無かった。けど、今の俺はグラエナ。師匠と同じ強〜い生き物(ポケモン)になっちゃったから、悪い強〜い生き物(ポケモン)にあったら、闘わなくちゃいけないんだ。だから、師匠に、「これでもか!!」って言う程、一気に強〜い生き物(ポケモン)の特徴や技について、教えて(というより、無理矢理つぎ込まれたって言った方が良いかな?)もらった。だから、木の実の位置を覚えても、忘れちゃったりしてると思う。覚える事が一杯ありすぎて。っと、オレンの実は、まぁ2つでいいか。別に、西の森に帰って食べるワケじゃないし、あっ、忘れずに師匠のも…っと。俺は、高い位置に実(な)っている2つのオレンの実に向かって飛び上がり、2つのオレンの実をくわえて、地面に着地した。うん、これってなかなか出来る事じゃないよね。今、俺の一番の自ま…え?誰でも出来るの?えぇ〜、じゃあいいや。もう自慢しない。これは、もう一生自慢しない。早く、師匠の所に言って、自慢した自分を忘れたい。恥ずかしい。後ろ向きな性格なワケじゃないよ?俺は、ただ遠慮しているだけ。何っていうかなぁ〜、謙遜(けんそん)?まぁ、いいや。俺は、2つのオレンの実をくわえた後、後ろのカゴの実を手入れしている師匠の元へと向かう…とした時、俺の耳に誰かの声が入る。

661適当:2013/04/19(金) 20:34:51 ID:g4r8f.Hg
「はぁ!!ふっ!!たぁ!!」

あれ?う〜ん、左かな?俺は、音のする方を見た。すると、7匹の強〜い生き物(ポケモン)が激しい闘いを繰り広げていた。闘っている相手は、リザード、フシギソウ、カメール…あ〜!!、またアイツらかぁ〜!!全く、もう!!あっ、続けるよ?ニューラ、ペルシアン、…なんだっけ?師匠に訊いたらわかるかな?俺は、自分の中の問いを解決する為、師匠のいる方へ向き、師匠へ訊く。

「師匠、あの背中に大きなくちを持っているのは、何でしたっけ?」
「ん?ああ、あれはクチートだ。さて、続き…」

師匠は、俺の方へ振り向いて答えると、また自分の作業をやりだした。さすが、頼りになる。それが、どうかしたのか?って言ってこなくて良かったぁ〜。だって、俺、真ん中で6匹に囲まれてるピカチュウさんの凄い闘いが見たいから。え?さっさと助けるべき?う〜ん、確かに、俺と師匠は森の警備隊みたいなものだけど、俺はあの雄(かた)がすぐに、やられそう…なんて思わないんだよねぇ〜。どうしてかなぁ〜、ピカチュウさんは弱くない…気がする。もしかしたら、倒しちゃうかも。…それは、無いか。でも、雄だったらある程度ピカチュウさんの気持ちが分かるんだ。「出来るだけ、自分一匹で闘(や)らせてくれ!!」って。俺も、狼の頃は、そういう風にも考えちゃって、一匹で無茶して、勝ったはいいけど力尽きてしまった。今、思い出せば、バカだなぁ〜って思うけど、雄ってそういう生き方だから仕方ない。それは、あのピカチュウさんも同じ。あれ?あれって本当にピカチュウなのかな?俺が、疑問を浮かべたのは、ピカチュウさんの体のほとんどが白色だったから。白…、ピカチュウって全部黄色で、ほっぺが赤色で、尻尾がギザギザじゃなかったっけ?俺は、自分の聞いた情報(もの)が、自分の記憶に合うかどうかを確かめようと、目をこらして、白色のピカチュウさんの顔と尻尾を見た。ちゃんと、ある…。色違い?それとも何か、俺が勘違いしてるのかな?と、俺が首を傾げる暇を与えないと、ニューラが、ピカチュウさんの背後を取り、ピカチュウさんを襲う。

662適当:2013/04/19(金) 20:40:33 ID:g4r8f.Hg
「ふふ、なかなかやるね。だけど、これで終わりだよ。だましうち!!」

あっ!!危ない!!避(よ)けて!!と、俺は心配しているけど、心配はいらなかった。ピカチュウさんは、それをわかってたみたいで…

「そうくると思っていた。」

と格好いい顔で言った後、ニューラに振り返り、アイアンテール?だったような…。アイアンテールを放つ。

「カウンターブレードテイル!!」
「なに?しま…うわぁ!!」

ニューラは、ピカチュウさんの尻尾を受けて、ピカチュウさんを囲む円の中から追い出された。うわぁ〜、カッコイイ〜。あっ、別にピカチュウさんが好きってワケじゃないよ?ただ…あるよね。憧れる事を、カッコイイって言う時が。そう、俺のはまさにそれ。女の子だったら、「好き!!」になるのかな?まぁ、師匠はちょっと雄っぽいから、俺と同じ意味で言うと思うけど。ニューラをまず一匹やっつけたピカチュウさんは、体勢を立て直し、自分からは攻撃せずに、じっとしている。しびれを切らしたリザードとカメールが、それぞれ火炎放射と水鉄砲をピカチュウさんに撃つ。

「ちっ、ユーラを倒したからって、いい気に乗んな!!くらえ!!」
「俺の水とザードの火、避(よ)けるれるかぁ!!」

どうするんだろ?俺だったら、横にかわすけど…あっ、無理か。リザードの火は前左よりから、カメールの水は前右よりからだから、難しい。助けた方がいいかな?悠長に、眺めている場合じゃないかな?俺は、「さすがにこれは無理。」と考え、師匠へ声をかけようとした。でも、その時ピカチュウさんは、“助けなんていらない!!”という風に、体から強烈な電気を発する。

「やむを得ない!!ミラーコートぉぉぉ!!」

え?ミラーコート?何それ?ピカチュウさんの叫んだ技名に、首を傾げていると、俺が驚く事が目の前で起きた。ピカチュウさんの電気が、リザードの火炎放射とカメールの水鉄砲を弾いて、無効にしたからだ。え…ええ!?何あの技?あんな技あったの!?俺は、自分の目の前で起こった事が、信じられなかった。でも、実際に起きている。信じる、信じないじゃなくて、もう事実になってしまったから、疑う意味なんてない。リザードとカメールは、自分の技を無効化にされて、“はぁ!?”って顔で驚いていたけど、

663適当:2013/04/19(金) 20:45:05 ID:g4r8f.Hg
「今だ!!電磁波!!」

と、両手に電気を発せさせながら、2匹に電光石火で急接近。2匹が、さっきの技であっけにとられている所に、電磁波でマヒ。そして、アイアンテールでリザードを飛ばし、ピカチュウさんを囲む円から追い出した。あれ?カメールには?と思っていると、ピカチュウさんは、右手に持つ見た事も無いような、細い棒で、カメールのお腹に当てる。

「一閃…はぁ!!」
「ぐおおおお!!」

ピカチュウさんにお腹を一撃決められた後、カメールははるか速くに飛ばされた。すごい…、もう3匹も倒しちゃった。あのピカチュウさん、一体何者!?と俺が、一匹でたんたんと倒していくのに、驚き、今度こそ自分の見た物を疑っていると、向き渡れたピカチュウさんを狙って、フシギソウがつるのムチを放つ。

「はっはっは!!隙ありだぁ!!」
「ぐっ…。」
「あははは!!いいね、シギ。そのまま、アタシ達の攻撃まで抑えておくんだよ!!」

ピカチュウさんは、フシギソウに後ろからつるのムチを受け、両手ごと体を縛られた。ペルシアンが、ピカチュウさんが動けないのをいい事に、笑って、ピカチュウさんに襲いかかろうと構えた。今度こそ、ダメだよね…。師匠ぉー!!って呼ぼうとした時、ピカチュウさんは、体から電気を放し、逆にフシギソウを追い始めた。

「カウンター電磁波!!」
「ぐぉっ!!ぐふっ!!しまった、策におぼれ過ぎちまったぁ!!」

ピカチュウさんの攻撃をくらった後、フシギソウはピカチュウさんを縛る力が弱くなり、ピカチュウさんを縛れなくなっていた。策におぼれたって言うより、確実に言える事がある。ピカチュウさんの方が、元々強かっただけ。ピカチュウさんは、動けなくなったフシギソウに近づき、けり上げ、高速で見た事も無い細い棒を、フシギソウのお腹へ当てる。

「連続、突きぃぃぃぃ!!」
「ぐわぁぁぁぁ!!こ、こんなガキにぃぃぃぃ!!」

す…すごい!!もう、助けなんていらないあのピカチュウさん一匹で片付けちゃうよ。ピカチュウさんの技を受けて、フシギソウは、ピカチュウさんに倒されたヤツらと同じように飛ばされて円の外へ。ピカチュウさんは背後を取られないように、すぐにペルシアンとクチートに振り向き、2匹の動きを見張る。

664適当:2013/04/19(金) 20:50:15 ID:g4r8f.Hg
「ぐぅぅぅ…。チート、こうなりゃ…」
「一気に襲いかかる!!ペール、ねこだましだよ!!」
「チートは、吐き出す!!ちゃんと、ためてあるんだろうね?」
「当たり前だよ!!さぁ、覚悟してもらおうかね!!」

うわぁ…。これ、また当たるとイタイ技だよ…。吐き出すってまさか、「オェー!!」ってやつじゃないよね?クチート見ても、何もしている様子はなかったけど、吐き出すって何だろう?師匠に聞いてみようかな?俺は、師匠に真っ先に思い浮かんだ、疑問を訊く。

「師匠。」
「ん?どうした?」
「吐き出すって何ですか?」
「ああ、あれは“蓄(たくわ)える”とセットになる技だ。“蓄(たくわ)える”は、力を溜めて、吐き出すは、蓄(たくわ)えただけの力を発揮する技だな。」

え?ええええ!!じゃあ、あのクチートは、何もしていないじゃなくて、ずっと力を溜めていたの!?それ、もう一撃必殺位の威力になってるんじゃ…。こうしちゃ、いられない!!もう、師匠なんかほっといて、俺が行かなくちゃ!!ピカチュウさん!!今、助けまーす!!と俺は、師匠の話を聞いた後に、ピカチュウさんの元へ駆け出そうとした。だけど、ピカチュウさんは、三度目、俺を驚かせる。

「空中十閃!!」

ピカチュウさんは技名を言った後に、突然宙へ浮き、勢いよく前に向かって、空中を渡った。“え!?あれって、一昨日(おととい)見たロケット頭突き!?一昨日(おととい)見たヤツより、ものすっごく速いんだけど!!ピカチュウさんは、ロケット頭突きを放った後、細い鉄の塊を握りしめ、ペルシアンとクチートにもの凄いスピードで飛んでいきながら、左、右へと交互に2匹へ攻撃を当てる。

「うぉぉぉぉぉぉぉ!!」
『うわぁぁぁぁぁ!!』

ペルシアンとクチートは、ピカチュウさんに8回程やられた所で、あまりのダメージに気絶した。すごい…倒しちゃった…。って、師匠は何で気づかないのかな?師匠ってもしかして、アホなのかな?と俺が、ピカチュウさんには、“凄い!!”、師匠には、“この師匠は…。”と思っていると、師匠は、俺の方を振り向かずに、笑って俺の見た物を否定し、別の物へ変える。

665適当:2013/04/19(金) 20:54:17 ID:g4r8f.Hg
「ふふふ、にぎやかだな。強い男の子に、挑むやんちゃな子供達か。声を聞くからに、全員あの男の子にやられたかもしれないな。」

いやいやいや!!遊びじゃないですから!!師匠、アナタおかしいでしょ!!遊びで、あんな激しい声なんて出すワケないでしょ!!全く!!この師匠といて、不安だな…。でも、無事に勝てたみたいだから良かった。俺は、ピカチュウさんが無事に危機をぬけた事に安心し、再び「やっぱり、カッコイイ!!」とピカチュウさんに憧れていると、ピカチュウさんは激しい闘いで息をつく暇も無かったと言うように、肩で呼吸をし、怒っているに近い真剣な表情で右を見る。

「はぁ…はぁ…。」
「ひぃ…きゃあああああ!!」

あれ?もう一匹いたの?俺は、ピカチュウさんが右を見た後に、悲鳴をあげてバサバサと、鳥か、何かが飛び去ったような音を聞いた。“あ…やばいかも。今のは、さすがに…。”俺が考えた通りに、師匠は俺の方へ急いで振り向き、俺に指示を出す。

「は!!今のは…、レオ、悲鳴だ!!助けに行くぞ!!」
「え?師匠!!ちょっとま…」
「待たん!!待っている時間なんて無い!!行くぞ!!来い、バカ弟子!!」

「ば…バカって…。アナタに言われたく無いですから!!」と俺は、思いつつも、急いで声がした方向へ駆け出した師匠を追う。師匠は、ピカチュウさんの周りに倒れている強〜い生き物(ポケモン)を見て、怒り、もの凄い勘違いを起こす。

「お前ぇぇぇ!!この森を荒らすなぁぁぁ!!」

「荒らしてないですって!!逆に、悪いヤツらを倒しただけですって!!」と俺は、師匠を呼び止めようとするけど、怒った師匠は聞き耳なんて貸さない。師匠の体からは、赤いオーラが次々と噴き出してした。つるぎの舞!?こうなったら…。俺は、ピカチュウさんに師匠が襲いかかる事を、叫んで伝える。

「ピカチュウさん、逃げて下さい!!」
「はぁ…はぁ…。は?」

ピカチュウさんは、俺に気づき、息を整えながらも、俺の方へ振り向いた。だけど、ピカチュウさんよりも師匠が早かったみたいで…

666適当:2013/04/19(金) 20:59:40 ID:g4r8f.Hg
「はぁぁぁぁ!!このバカ雄(やろう)がぁぁぁ!!電光石火ぁぁぁ!!」

とピカチュウさんに叫んで、赤いオーラをまとったフルパワーの状態で電光石火をピカチュウさんに放つ。ピカチュウさんは、「な!?」と声を上げ、師匠に急接近されていた。師匠の電光石火が、ピカチュウさんに「当たる!!」と見えた時に、突然俺の目の前に、強烈な光が現れる。

「うわぁ!!まぶしい…。し、師匠!!大丈夫ですか!?」

俺は、強烈な光がまぶしくて、光から目を背く、すぐに師匠の元へ向き直し、師匠へ声を掛けた瞬間、自分の目を疑うような光景を見た。ピカチュウさんの体からは、黒い電気が出ていて、ピカチュウさんの目は、チーゴの実のような色をしていた。そして、師匠は電光石火を見切られ、首をつかまれて、持ち上げられていた。師匠は、変わった姿のピカチュウさんに首をつかまれ、持ち上げられた事で、苦しみ出す。

「がっは…あ…ああ…。」
「さて、小娘よ。一つ問う。我を、襲った事を謝るか、それとも我に殺(あや)められるか。」

変わった姿のピカチュウさんは、声が恐ろしい声に変わっていた。だけど、師匠は、ピカチュウさんに訊かれても強気を見せる。

「が…かは!!離せ…このクソ雄(やろう)…。」
「我を侮辱(ぶじょく)するか、では…去ね。(死ね)」

変わった姿のピカチュウさんは、師匠にそう言った後、師匠の首を締めている腕に黒い電気をまとわせ、師匠の首へ、どんどん黒い電気を近づけた。師匠が危ない!!殺される!!俺は、体中の力を振り絞る。

「師匠を離せぇぇぇ!!」

俺は、変わった姿のピカチュウさんから師匠を救おうと、体中の力を使って、相手を気絶させるような威嚇をする。

『ガゥ!!グルルル…。』
「その力…、巳琴(ミコト)に似ておるわ。よかろう、見逃してやる。」

俺の威嚇の後、変わった姿のピカチュウさんは、俺の方を見て、訳がわからない事を言い、手を離して師匠を放した。よかった…、師匠はとりあえず殺されずに済んだ。俺は、師匠の命が助かった事に安心するも、師匠が地面に落ちる所に、駆け寄る。

「師匠、ケガはありませんか?」
「あっ…レオ。う…うう…。」

俺の顔を見て、師匠は目に涙を浮かべた。あれ?これって、ひょっとして泣く?俺が、そう思った次の瞬間、師匠は俺に抱きついて、大泣きをする。

667適当:2013/04/19(金) 21:04:16 ID:g4r8f.Hg
「ぐっす…うわーん!!あん!!あん!!レオぉ…恐かったよぉ〜!!」

恐い…師匠も、以外と恐いものがあるんだ。俺は、変わった姿のピカチュウさんは不思議と恐いって感じなかった。グラエナ達の魂がいくつも、体の中にあるからかな?俺は、自分が、師匠ようにピカチュウさんを恐がらない理由をそう思い、師匠の涙で濡れた顔を、舌で拭う。

「あっ…レオ?」
「大丈夫ですよ。ピカチュウさんは、悪い雄じゃありません。安心して下さい。」

絶対に大丈夫っては言えないけど、不思議とそんな感じがする。ピカチュウさんからは、悪いオーラを感じない。強いオーラは、嫌という程感じるけど。俺は、そんな考えで、ピカチュウさんを責めず、師匠を泣き止ませ続けた。師匠が泣き止み、泣いて荒くなった息を落ち着けてる時、ピカチュウさんが苦しそうな顔で、肩で息を整えながら、師匠を見て、師匠へ声を掛ける。

「はぁ…はぁ…。君、大丈夫か?スサノオが突然…」

ピカチュウさんが、師匠に声を掛けている途中に、師匠は俺から離れ、ピカチュウさんの頭を頭突いた。ピカチュウさんは「痛ぁ〜!!」と叫んで、おでこを抑えている。おでこを抱えている所に、師匠は「全部お前が悪い!!」という風に、勢いよく言う。

「大丈夫なワケないだろう!!このバカ雄(やろう)が!!」
「いたた…。ま、待ってくれ!!これには、理由が…」
「言い訳もするのか?最低な雄(やろう)だな!!ふん!!レオ、行くぞ。こんな雄(ヤツ)に、付き合うのはごめんだ。」

師匠は、ピカチュウさんの理由を“言い訳”と決めつけ、そっぽ向いて、俺に呼び掛けた。俺は、ピカチュウさんを悪い雄なんて思っていない。だから、俺は師匠を呼び止めた。

「待って下さい、師匠。」
「レオ、まさか、こんな雄(ヤツ)の味方をするんじゃないだろうな?」

師匠は、怒って俺にまでにらみを効かせた。俺は、師匠の鋭い目を見ても、師匠に自分の考えを言う。

「師匠、落ち着いて下さい。俺は、ピカチュウさんは悪い雄じゃないと思うんです。理由を言わせてあげて下さい。」
「レオ、君を見損なった。もう君とは…」
「じゃあ、師匠。俺の目を見て下さい。ウソをついているように見えますか?騙(だま)しているように見えますか?」

668適当:2013/04/19(金) 21:09:51 ID:g4r8f.Hg
俺は、師匠にそう言った後、真剣な顔で師匠の目を見つめた。師匠は、俺の言葉を聞き入れ、俺の顔をじっと見つめた。やがて、師匠はゆっくり二、三回頷き、「わかった。君の言うとおりにしてみる。」と言って、ピカチュウさんに体を向け、ピカチュウさんに理由を訊く。

「お前、理由は?」
「あ…ああ。」

師匠に訊かれた後、ピカチュウさんは返事を返し、一つ咳(せき)をして、話始める。

「信じられないかもしれないが、俺には二つの姿があるんだ。」
「二つ?なんだ、それは?」
“うわぁ…師匠の『コイツ何言ってるんだ?』って時の顔だ…。”
「一つは、今の俺。もう一つは、残虐な俺。」
「はぁ…、残虐(ざんぎゃく)な俺?お前は、元からそういう雄だろう?見ろ、お前の周りに倒れているのはなんだ?」

師匠は、ピカチュウさんの理由を聞いても、呆れた顔をして、首を使って「見てみろ」という風に、ピカチュウさんの周囲の状況を訊いた。ピカチュウさんは、師匠の言われた通りに周りを見て、師匠へ周りに倒れている強〜い生き物(ポケモン)を倒した理由を言う。

「正当防衛だ。俺は、ヤツらに身ぐるみをはがされそうになった。」
「正当防衛?ふふふ…あっはっはっは!!」
「は?何がおかしい?」

それは、そうなるよ…。襲って来たから、身を守ったって言っているのに…。師匠は、ピカチュウさんの理由を聞いて、大声で笑い出した。ピカチュウさんが、師匠の態度を見て「はぁ?」っていいたげな顔をすると、師匠は笑いを止め、ピカチュウさんに当たるか当たらないかの距離まで顔を近づけ、ピカチュウさんをにらみつけて言う。

「ウソをつくな。」
「はぁ!?本当だ!!信じてくれ!!俺は、無意味に闘ったり、殺したりする雄じゃ…」
「今謝れば、かまいたち1つで許してやるぞ?つるぎの舞状態だがな。」

か…かまいたち1つって…、しかもフルパワーって、全然許す気ないじゃないですかぁぁぁ!!ああ、もう、どうしよう…。これで味方したら、俺もかまいたち受けないかな…。

669適当:2013/04/19(金) 21:13:59 ID:g4r8f.Hg
ショーン視点

何やら騒がしいと思って、来てみれば、ワシの目の前に小僧と、この森のアブソルとグラエナがおるわ。おそらく、アブソルはソルちゃん。そして、グラエナはレオ君じゃろう。ワシは、この森に訪れたのは一度では無い。あの医師から余命を聞かされた時から、時たま通っていたからのう。ワシが、この森を訪れた理由は、死期が近いと知らされていたからじゃ。ワシが、草タイプだからか知らんが、文明の進んだ都会よりも、人工(獣工)的な要素は何も無い、自然の中にいる方が落ち着くのじゃ。この森にいると、自分のいるべき場所では無いか、と強く感じられるのう。ワシが、余命を聞かされて10日後の事。小僧が実験対象にされる前じゃったが、小僧に実験プログラムを行わせる、という計画はこの時すでに始まっておった。PIAのエージェント候補が誰かという情報は、簡単に知ることは出来んが、ワシ達の軍は非公式の情報も簡単にわかる程の、設備が整っておるからのう。更に、ワシ達の軍の開発チーム程の腕があれば、政府(PIA)から情報を盗む事なんてたやすい事。彼らが、この実験プログラム専用ステージ・テレポート機能を作ったんじゃからのう。念のエネルギーが何かは、証明出来ないと昔は言われておったが、ワシ達の軍の開発チームは、「テレポートとは、移動したい場所へ負のエネルギーを送り、移動したい場所から正のエネルギーを受け取り、両方が±0になった所で、一瞬にして移動出来る。」と証明しおったんじゃ。まぁ、この話は今は関係は無いのじゃが、小僧が各ステージに行く時、小僧は、瞬間移動させられているというワケじゃ。小僧は、その事をわかっておるかのう…。まぁ、よいわ。さて、話が大分ズレてしまったが、ワシがどうしてアブソルとグラエナが、ソルちゃんとレオ君と考えるのかを話そう。医師から余命宣告を受けて10日後、ワシはある二匹のポケモンが、森でポケモン達に襲われている動物を助けておる所を見かけた。ワシは、プロの狙撃手(スナイパー)じゃから、その時はあの二匹に見つからないように、二匹の勇姿を遠くの木の上から見ておった。狙撃手(スナイパー)は見知らぬ者に、絶対に顔を見せないという事じゃ。二匹は、襲われている動物達を助けた後に、お互いの名前を呼び合って、お互いの戦果をほめあっておった。その時、あの二匹の勇者が、アブソルのソルとグラエナのレオという事を知ったのじゃ。

670適当:2013/04/19(金) 21:17:21 ID:g4r8f.Hg
ワシは、“あのアブソルとグラエナは何者なんじゃ?”と思い、次の日も、次の日も、この森で起こる全ての事を知る為に、朝早くからこの森へ潜伏し、二匹の勇者の行動を見張った。すると、前に見た勇姿と同じ、森でポケモン達に襲われている、弱い生き物を救うという勇姿が見られたのじゃ。ワシは、この時確信した。彼達は、この森のヒーローなのだと。ワシが、あの二匹を知っている理由を話した所で、話を今へ戻そう。ワシの目の前には、ソルちゃんとレオ君、そしてあの小僧がおる。ソルちゃんと小僧は、何やらもめているみたいじゃの。遠くでも、ワシは森の空気を通じて、彼達の声を聞く事が出来るから、よ〜く話の内容がわかるわ。

“だから!!何度も言っているじゃないか!!俺は、この森の動物やこいつら(ポケモン達)を殺しに来たワケじゃ…”
“あ〜、まだ言い訳するか。私の怒りはどんどん溜まるぞ?”
“お、落ち着いて下さい師匠!!ピカチュウさんの話を信じてあげて下さい!!”
“レオ、君は何を理由にコイツを信用するんだ?”
“直勘ですよ。”
“直勘じゃあてにならんな。私は、簡単に君以外の雄を信用しない。”

小僧をかばっているのが、レオ君で小僧を痛みつけようとしているのが、ソルちゃんという所じゃな。小僧は、二匹の話のいきさつを不安そうに見ておるわ。レオ君の言うとおり、小僧は悪い雄(ヤツ)ではない。それは、当たっておる。じゃが、ソルちゃんをどうやって説得しようかが上手く出来ないみたいじゃの。さっきから、“信じて下さい!!”とか“俺は、師匠にウソなんかつきません!!”とか抽象的な理由しか言わんから、ソルちゃんはずっと首を右、左交互に振っておるわ。小僧は、レオ君が説得出来ないと思って、深く頭を下げ、ソルちゃんに謝る。

“すまない。君を恐がらせてしまって、本当に申し訳無いと思っている。俺は、森を荒らしに来たんじゃない。正当防衛とは言え、少しやり過ぎたという自覚はあるんだ。グラエナの付き獣(人)の君、許してくれないか。”

小僧の態度を見て、ソルちゃんは、小僧の言う事を信用し、小僧を脅した事を謝り、自己紹介を始める。

“正当防衛なら、仕方ないな。私の方こそごめん。私は、ソル。こっちは、レオだ。さて、君の名前を聞かせてもらおうか。”
“目的もか?”
“ああ。君は見た事が無いピカチュウになる。私の中でも、レオの中でも。よそ者の君が、ここへ何をしに来たか理由が知りたいんだ。”

671適当:2013/04/19(金) 21:23:44 ID:g4r8f.Hg
ソルちゃんの言葉通りに、小僧は自己紹介をし、この森へ来た目的を話す。

“俺は、仁。この森へは、とあるじいさんと闘う為に来たんだ。”
“おじいさんですか?”
“ああ。姿はジュカイン。ジュカインの肌の色よりも濃い緑の服を着けている。”
“そのおじいさんと闘っているですかぁ!!それは、大変ですねぇ〜。”
“ああ。常にどこにいるのかわからないからな。”そうだ、君、見かけなかったか?”

小僧の質問に、レオ君は首を右、左交互に振って、“そんな雄(かた)は見かけませんでした。”と答えおった。それは、そうじゃ。ワシは、森中の誰(ポケモン)にも気づかれないような行動を心掛けておるからのう。気づくのは、森の動物だけじゃ。ワシは、ポケモンが巣を作るような木もその近くの木も、移動手段には使わん。じゃが、ソルちゃんは、小僧の話を聞いて“もしや…”と思っておる顔をしておるのう。ソルちゃん秘密じゃぞ?ワシと約束したじゃろう?知ってるなんて言ってはいかんぞ?ワシとソルちゃんは、小僧がこの森に来る前に、一度会っておる。たしか、今から5日前位じゃったかのう。ワシは、その時、“ワシの事を知っていると、ここへ来る白い格好のピカチュウの小僧にも、レオ君にも聞かせるな。”と忠告し、伝えてはいけない理由も話したからのう。口の堅そうなソルちゃんを、ワシは信じておるぞ?とソルちゃんの口止めを願っておると、ソルちゃんはワシの願い通りに、知らないフリをする。

“いや、私もレオもそのおじいさんは、見た事が無い。”
“そうか。まぁ、当然だ。誰に、姿を見せるようなヤツじゃない。ヤツは、隠れる事にかけても天才だ。う〜ん、どうやって見つけたらいいか…。”

その後、小僧はあごに手を当てて、考え始めた。レオ君は、そんな小僧の困ったという様子を放っておけなかったんじゃろう。レオ君は、小僧に笑いかけ、小僧へ言う。

“だったら、僕達協力しましょうか?”
“え?いいのか?”
“もちろんですよ!!俺と師匠は、困っている生き物を放ってはおけないんです。ね?師匠。”

レオ君は、ソルちゃんへ訊くが、ソルちゃんはすぐにうなずかず、首を傾げて小僧を見続けている。小僧は、ソルちゃんを説得する。

672適当:2013/04/19(金) 21:29:06 ID:g4r8f.Hg
“君達が来てくれれば心強い。さっきのヤツらみたいなのに襲われた時、一匹で闘わなくて済む。俺は、なんとか、この倒れているヤツらを倒す事が出来ただけだ。次は、十匹位でくるかもしれない。ヤツらが簡単に、俺を見逃してくれるハズはない。”

小僧は、その後に、頭を下げて“頼む!!協力してくれ!!”とソルちゃんに頼みこんだ。うむ、小僧はレオ君やソルちゃんを当てにしているようじゃが、ワシを一緒にさがしてくれとは、言っていないのう。レオ君や、ソルちゃんには絶対に見つけられないと考えているからじゃろうか。とワシが、小僧の言い分が、その意味を持つと考えておると、レオ君はソルちゃんの意見を無視して、小僧へ“OKサイン”を送る。

“大丈夫ですよ。協力します。”
“な!?ちょ、ちょっとレオ、勝手に決めるな!!私は…”
“おっ、協力してくれるのか?優しいな君は。ありがとう、ソル。”
“だ、黙れ!!私は、そんな事思っていないぞ!!”

ソルちゃんは、慌(あわ)てて小僧の頼みを断ろうとしていた。ソルちゃんの顔はよくみると、赤くなっているようないないような…。もしかして、照れておるのかのう?おっと、もうそろそろいいじゃろう。さぁ、小僧眠れ!!今度こそ、お前の負けじゃ。ワシは、小僧へ銃口を向け、口元を上げ、静かに小僧へ言う。

「何を、戯(たわむ)れておる…。」

小僧へ言い終えた後、ワシは引き金を引いた。ワシの麻酔銃からは、麻酔弾が飛び出したと合図するように、辺りへ銃声を行き渡らせる。

673適当:2013/04/19(金) 21:33:35 ID:g4r8f.Hg
レオ視点

あれ?今何か、遠くから『バーン!!』って男と、近くから「ぷすっ」って音が聞こえたような…。俺は、顔をほんのり赤くして照れてる師匠に、ピカチュウさんと一緒に説得しながら、楽しんでいると聞き慣れない2つの音を聞いた。1つは、自分の近くから聞こえた音だから、音のした方を見た。すると、いつの間にか、ピカチュウさんの頭には、変わった形の針がついていた。「ええ!!ピカチュウさん何か刺さってますよ!?」と俺が、驚いてピカチュウさんにその事を言おうとしたけど、ピカチュウさんは“ウトウト”しだして、針を刺して来た相手がいると言う。

「くそ…、あのじいさんに…やられ…たか。」

ピカチュウさんはそう言った後、目を閉じてバタッと前に倒れた。ええ!!何で、急にどうしたの!?眠たかったの!?俺は、驚いているけど、師匠はそのまま落ち着いた態度で、俺が考えている事を言う。

「うん、眠たかったんだな。」
“本当にそうだったの!?”
「やれやれ、仕方無い。レオ、こいつを洞窟に連れて帰るぞ。」

あれ?師匠、ピカチュウさんの事、嫌いじゃなかったっけ?俺は、「おかしいなぁ」と首を傾げて、師匠に訊く。

「師匠、ピカチュウさんの事信用してなかったんじゃないんですか?」
「だとしても、ここにそのまま放っておくわけにはいかないだろう?直に、この連中も目を覚ます。そしたら、寝ているコイツが襲われる。それでは、大変だ。」

嫌だったら、どうなってもいいって考えるけど…師匠って優しい女の子なんだぁ。俺は、師匠に微笑み師匠に感謝する。

「ふふふ、師匠信じてくれてありがとうございます。」

俺の言葉を聞いても、師匠は笑わず、俺をにらみつけて言う。

「何だ、その顔は…。」
「ありがとう、って事ですよ。」
「その顔をやめろ、なんか腹が立つ。」

674適当:2013/04/19(金) 21:35:17 ID:g4r8f.Hg
腹が立つって、俺は正直にそう思っているのに…。俺は、師匠ににらまれても、笑い続け、師匠を少しからかう。

「あはは、師匠ってやっぱり照れ屋さんなんですね。」

師匠は、俺の言葉を聞いて、ため息をついて、もう一度俺をにらみつけて言う。

「はぁ…。レオ、いい加減にしろ。かまいたちをぶつけるぞ?」
「うへぇ!!すみません…。」
「わかったら、こいつをくわえて、私の背中に乗せろ。木の実を持って、帰るぞ。」
「はい、わかりました。」

俺は、師匠に返事した後、眠っているピカチュウさんの首の後ろをくわえて、師匠の背中に乗せた。師匠は、「何か、何かが当たって痛いな。」とか言っていたけど、ピカチュウさんを降ろさずに、そのままおぶって、俺と木の実を取っていた場所に行った。なんだかんだ言って、優しいんだな。師匠って。”と師匠の事をそう思って、師匠と同じようにオレンの実を2つくわえて、西の森にある洞窟を目指して歩き出す。

675適当:2013/04/19(金) 21:39:11 ID:g4r8f.Hg
本日はこれで、一旦投稿を切ります。残りは、明日投稿致します。

676適当:2013/04/20(土) 10:47:14 ID:eUXtx3Qk
こんにちは、残り投下致します_(._.)_

677適当:2013/04/20(土) 10:50:44 ID:eUXtx3Qk
西の森の小さな洞窟

俺は、自分の意志以外での強制された眠りから目を覚ました。俺が目が覚めた場所は、真っ暗だった。真っ暗い中に、ほんの少しだけ明るい空間が存在するように、月の光が差し込んでいた。“暗いな。ここは、どこなんだ?”俺は、自分の体から光を放つ技を行い、辺りを照らし、月の光が差し込む方向へと歩を進めた。“あっ、君は…。”歩を進め終えると、昼前に会った、真っ白な色をした犬獣(犬型のポケモン)と思われる彼がいた。彼は、俺の足音に気づき、俺の方へと振り返った。彼は、俺に笑顔を向け、俺の安否を確認した。

「あっ、ピカチュウさん気がつきましたか?」

“もしかして、コイツに助けられたんだよな…。”俺は、彼に返事を返し、感謝の言葉を告げた。

「ああ。君達に助けられたようだな。助けてくれてありがとう。感謝する。なんと、お礼をすればいいか…。」

俺の返事を受けると、彼は俺を安心させるような笑顔を保ち続け、謙虚(けんきょ)な態度を示した。

「お礼なんていいですよ。それより、俺の方がピカチュウさんにお礼したいくらいです。」
「お礼?俺は、君に何かした覚えは無いんだが…。」

俺は、彼の返事の意図(いと)が理解出来ず、首を傾げて彼へ“何もしていない。”と告げた。彼は、首を左右に振る否定の意思を見せ、笑顔を保ち続けて、俺へ自分の言葉の真意を伝えて来た。

「いいえ、しましたよ。俺に、あんなにスゴい闘いを見せてくれたじゃないですかぁ!!」
「すごい…闘い?」
「リザード達と闘った時の事です。あれは、スゴかったですよ!!あんな闘い方をするピカチュウは、初めて見ましたぁ!!」

俺が、彼に彼の告げる内容が何を指すかを訊ねると、彼は興奮した様子で、俺に返答を行って来た。“そうか、見ていたのか。でも、言われると何か照れるな…。”俺は、彼の言葉を受けて、後頭部に手を回し、嬉しそうな表情で返事を返した。

「あ…あっはっは。そうか、見られていたのか。」
「はい。どうして、あんなに強いんですか?俺、ピカチュウさんに憧れちゃいましたよ!!」
「いや、俺はただ自分の身を守ろうと必死に闘っただけだ。相手をなめちゃ、いけないからな。」
「うわぁ〜!!やっぱり、強い雄は違いますね!!何か…師匠に言われてるみたいで、すごい説得力があります。」

678適当:2013/04/20(土) 10:54:44 ID:eUXtx3Qk
“師匠?もしかして、あの隣にいたソルって名前の雌(ヤツ)か?”俺は、彼が嬉しげに語って来た内容に、疑問を抱きつつも、彼の正体が最初に気になり、彼へ正体を訊ねた。

「ふっ、そうか。ところで…君は、どんな種族なんだ?」

俺の質問を受けた彼は、いたずら気な微笑みに表情を変え、俺に訊き返した。

「あはは、どんな種族だと思います?」
「どんな種族か…。くんくん…。まぁ、君から感じられる匂いは、グラエナだからグラエナだと思うが。」

彼の質問を受けた後、俺は鼻を動かして、彼から感じ取った匂いから、過去の記憶をもとに、彼へ自分の推測を告げた。彼は、目を見開いて驚いた表情を浮かべて、興奮した様子で俺に、“正解である”と伝えた。

「すごいです!!あってますよ!!犬系のポケモンじゃないのに、どうしてわかるんですかぁ?」
「ネズミだからな。ネズミは、鼻が利いて当たり前じゃないか。」

俺が、彼の正体を的中させた理由を告げても、彼はそのままの態度よりも、更に驚く態度を強め、俺の理由を“それは、違う。”と否定するような返事を行って来た。

「ええ!?でも、俺と師匠は一度、女の子のピカチュウを助けた事があるんです。」
「そうか、それで?」
「そのピカチュウは、俺がどんな種族かまではわからなかったですよ!!」
「は?それは、ないだろう。」

“ネズミなのに、ありえないな。”俺は、彼の言葉を信じず、首を傾げて彼の言葉を否定したが、彼は、俺の意見を受け入れず、首を激しく左右へ振って、否定の意思を示した。

「いえいえ!!本当ですよ!!俺と師匠は、その女の子を助けた後、その女の子に、“ありがとう。アブソルさんと…えっと、誰?”って言われちゃいましたもん!!」
「え?」
「だから、ピカチュウさんはすごいです。強さだけじゃなくて鼻も利くんですね。」

“え?ええ!?そんなもの…なのか?”俺は、彼の語る内容が自分の知っている常識に当てはまらない事に、驚き、呆気にとられてしまった。呆気にとられつつも、俺は彼の意見を受け入れた。

「あっ…そうなのか…。ピカチュウって鼻が利くと思ったんだが…。」
「あはは、コラッタにはさすがに見破られちゃいました。“白いけど、グラエナだよね?”って。」

俺は、彼の返事を聞いて、うなずきつつ自分の既知(きち)の情報を改めた。

679適当:2013/04/20(土) 10:59:21 ID:eUXtx3Qk
「なる程。ネズミの遺伝子が弱かったら、鼻が効かないって事か。」
「いでんし?いでんしって何ですか?」
「え?ああ、いやなんでもない。」

“そうか、忘れていた。森に住んでいるコイツ達(ポケモン達)が、遺伝子なんてわかるわけ無かった!!”俺は、彼に首を傾げられて、質問をぶつけられると、慌(あわ)てて彼へ、“気にするな”と言い放った。彼は、俺の慌(あわ)てる様子見ても、特に何も言い返さず、うなずいて俺に待機の指示を出した。

「ふ〜ん、そうですかぁ〜。もうすぐで、師匠が帰って来ると思います。師匠が帰って来たら、ご飯にしましょう。それまで、待ってて下さいね?」
「ああ、わかった。」

“食事まで、摂らせてくれるのか。優しい雄(ヤツ)だな。”俺は、彼の返事を耳に入れると、彼に了解の意を伝えた後、彼の優しさを実感していた。彼の指示に従い、俺は、洞窟の右の方の壁へ背中をあずけ、彼と共に、彼に付き添う者を待った。彼と彼に付き添う者を待っている間、俺は腕時計に目を向けた。腕時計の時刻表示画面には、【19:10 】と示されていた。“ちくしょう、またあのじいさんに負けたのか。”決闘の対戦相手に負けたのは、実質は一度であるが、俺は決闘相手に撃たれるがままの状態が昨日、今日と続いてしまったので、俺は決闘相手に二度負けたと思っている。決闘相手との狙撃対決に関して、俺は見つけられた時点で負けだと考える。決闘相手に見つかって、決闘相手が放つ銃弾が当たらないのは、ただ運が良かっただけ。俺は、そう考える。俺が、腕時計を見終え、“また、1日無駄にしたな”と心の中で嘆いていると、彼が、俺の腕時計を見やり、俺へ質問を行って来た。

「それは、何ですか?」
「これか?これは、腕時計だ。」
「うで…どけい?」

“そうか、都会に住んでいないからわからないんだな。”俺は、彼が訊ねて来た質問に答えた。

「コイツで今の時間がわかる。」
「時間…。う〜ん…。」

“あれ?どうしたんだ?時間ってそんなに難しい言葉なのか?”彼は、俺の返答を耳に入れるが、首を傾げて難しい表情を作り出した。俺は、彼が“時間位は知っているだろう。”とは思いつつも、念の為と言わんばかりに彼へ質問を行った。

「君達は、時間で行動しないのか?」
「あっ、いえ、しますよ。」
「は?じゃあ、なんでそんな顔をしているんだ?」

680適当:2013/04/20(土) 11:05:01 ID:eUXtx3Qk
彼の次に首を傾げ質問を行った俺に、彼は、先程の表情を作り出した理由を述べた。

「俺を含む、森に住んでいる生き物は、太陽や月の位置で時間を知るんです。」
「太陽や月の位置で?」
「はい。」

彼はうなずき、洞窟から顔を出して、上を見上げ、俺に自分達の時間の認識法を伝えて来た。

「今ですと…大体、少し東よりって言います。」
「方位で表すのか。ここと都会では、大違いだな。」
「そうなんですかぁ〜。へぇ〜、じゃあピカチュウさんが住んでる所では、み〜んな、うでどけいでしたっけ?を持っているんですか?」
「え?あ、ああ持っているぞ。」

俺は、彼に訊き返されても、なるべく言葉を詰まらせないように、返答した。“あっ、まずいな。これは、緊張の汗だ。”彼の質問に答えた後、俺は彼の質問を受ける前には無かった、肌とスーツの間にほんの少し、湿り気をおび始めた事を感じた。彼が、自分と同じ鼻が利く種族に属しているので、“気づくな!!気づくな!!”と彼へ、自分自身が伝えた情報が、あいまいである事を悟られないように、懇願(こんがん)した。懇願(こんがん)のかいあってか、それとも彼がただ単に鈍感だったのか、俺の体から出る焦りを示す匂いの判別がつかなかったのか、彼は特に追及せず、“ふ〜ん。そうですかぁ〜。”とだけ答え、俺に納得した様子を見せた。“ふぅ、どうやら気づかれなかったようだな。さて、この空気をどうにかしないといけないな。”俺は、彼には見せずに心の中で、ため息を一つつき、彼が、先程俺自身が答えた情報に疑いを持ってしまう前にと、彼へ自分の頭の中にあった疑問を訊ねた。

「もう一匹いただろう?ソル、だったか?」
「はい。師匠が、どうかしたんですか?」
「俺は、ソルのような姿をした生き物(ポケモン)を見た事がない。ソルの種族が、知りたいんだ。」

よっぽど、俺の答えが珍しかったのか。彼は、俺の発言を耳に入れて、驚き、洞窟の隅々に行き渡らせる位の、大声を上げた。

「えええええ!?師匠の種族を知らないんですか!?」
「ああ。そんなに…驚く事なのか?」
「驚きますよ!!だって、森の動物やポケモン達、み〜んな知っているんですよ!?」

俺は、彼の返答を耳に入れると、自分の質問がいかに愚問であった事に驚き、彼よりはひかえめであるが、彼に続いて声を上げた。

681適当:2013/04/20(土) 11:10:49 ID:eUXtx3Qk
「ええ!?全員が知っているのか!?」
「当然ですよ!!でも、ピカチュウさんはここ(森)に住んでません。だから、知らないのもわかります。」

“都会では、ソルみたいなヤツは一回も見た事無いからなぁ…。”俺は、彼が驚きの表情から、おだやかな表情に戻して、俺がこの森の常識を知らない事を考慮した発言を行って来たので、彼に謝り、理由を述べた。

「すまない。俺が住む場所には、ソルと同じ種族はいないんだ。」
「そうなんですかぁ〜。へぇ〜。」
「あっはっは。君と同じヤツなら…いるんだがな。」

彼は、俺の理由を耳に入れると、うなずきながら俺の理由を受け入れた。彼は、自分に付き添う者事を言われて、落胆しているかもしれないと考え、俺は彼に、彼に付き添う者を知らない事を流すように、愛想笑いを浮かべて話題をすり変えた。すると、彼は俺の話術に引っかかってしまったのか、それともただ気になってしまったのか、素直に意見を受け入れる表情から、目を輝かせた期待の表情へ変え、俺へ質問を行って来た。

「ピカチュウさんの住んでいる所には、どんなグラエナがいるんですか?」

“よし、上手く行ったな。”彼の表情を見て、俺はどこかに安心感を覚えながらも、“ここで焦(じ)らしたらどうなるのだろうか。”という考えから、いたずら気に微笑み、即答せずに彼へ訊き返した。

「ふっ、どんな雄(ヤツ)がいると思う?」
「ええ〜、もったいぶらないで教えて下さいよぉ〜。」

彼は、俺に訊ねられると、“早く教えて欲しい”と俺に答えを急がせた。彼の懇願(こんがん)する様は、成獣した雄っぽさが垣間(かいま)見える、どこか可愛らしい雌っぽさがあった。“なんか、こいつ可愛いな…。”彼は、俺よりも体格は大きく、背(体高)も高いが、俺は、彼の自分へ懇願(こんがん)する態度を見て、“雄というよりは雌よりだな。”と感じ、彼へ指摘した。

「あっはっは。君、女の子みたいだな。」

俺の指摘が気にいらないと示すように、彼は表情を変化させ、少し怒った表情で言い放って来た。

682適当:2013/04/20(土) 11:14:34 ID:eUXtx3Qk
「むぅ〜、女の子は余計です。」
「気づかないのか?それが、雌っぽいって…」
「雌っぽくありません。いいから、教えて下さい。どんなグラエナがいるのかを。」

彼は、俺の意見を抑え込むように、否定の意思を示し、俺へ再度、先程と同じ質問を繰り返して来た。“やっぱり、雌っぽいが、もう言わないでおくか。”俺は、彼の意見を尊重し、彼の怒りを消し去るように、素直な笑みを浮かべ彼へ語った。

「おもしろいぞ〜。顔に、前足で鼻に人差し指、右と左のほっぺたには、親指と中指を当てて、“実に面白い。やってみよう。”とか言うヤツがいるんだ。こうやってな。」

俺は、彼へ語り終えた後、彼に語った、彼が気になる雄の仕草を彼に提示した。俺が、彼に見せた、彼が気になる雄の仕草とは、鼻の指を中心とした、フレミングの法則を用いた仕草である。当然、彼は知るはずもない。だが、彼は俺の行動に疑問を抱く事なく、目を輝かせて、俺へ感想をぶつけて来た。

「うわぁ〜、カッコイイですねぇ〜!!」
「じゃあ、君もやってみろ。俺に、雌っぽいとか言われて悔しいだろう?」
「悔しくなんか、ありませんけど、やってみます。こうですか?」

彼は、俺に反論を行い、俺が薦(すす)めた行動を聞き入れ、その場に腰を下ろし、俺が先程彼に見せた仕草を行った。“う〜ん、なんかイマイチだな…。コイツをもっと格好良く出来ないだろうか。”彼が自分の真似をして行った仕草に、ほんの少し不満を抱き、俺は彼に指摘した。

「もっと、カッコよく出来ないか?」
「もっと…ですか?」
「キリッとした感じでやってみてくれないか。今の君よりもはるかに、雄らしくなると思うんだが。」

彼は、俺の提案を受け入れ、眉間(みけん)を寄せて目を鋭くし、先程、俺が見せた仕草を行って来た。“うぉ!!コイツ…さっきとはまるで違うな。”彼の表情と彼の行った動作が調和し合い、彼が、俺が頭の中に残る記憶から取り出し、実践(じっせん)した仕草を行う時の、雄らしい雄の雰囲気をまとっている様を見て、俺は表情に驚きと、圧倒された事を示してしまっていた。彼は、俺の表情を見て、仕草を止め、得意気な表情で俺に感想を訊ねて来た。

「ふふん、どうですか?これでも、女の子っぽいですか?」
「俺の顔を見てわかるだろう?」
「わかりません。ちゃあ〜んと、言ってくれなくちゃダメですよ?」

683適当:2013/04/20(土) 11:18:57 ID:eUXtx3Qk
「わかった、言ってやる。カッコイイぞ。」

彼は、俺の感想を耳に入れた途端、素直に喜び、訊き返して来た。

「本当ですかぁ!?」
「そんなに嬉しいのか?」
「もちろんですよ!!雄ですから!!」
「あっはっは、そうか。これなら、ソルも君にメロメロじゃないか?」
「えええええ!?そんなに、ですかぁ!!ふふふ、わかりました。師匠が帰って来たらやってみます。」

俺は、彼から嬉しい表情を浮かべている理由を聞いて、笑って納得し、彼を喜ばせるような推測を言い放った。すると、彼は始めは驚き、後から何かを企むような、悪タイプらしい笑みを浮かべて、俺の言い分を受け入れた。“ふふ、コイツといると楽しいな。なんか、まるで監禁されて、闘わされているように思えないな。”俺は、彼と話す内に、監禁される以前の、誰かと会話し、誰かと行動を共にするという久しぶりの感覚を味わっていた。彼の言葉を聞き終えた後、俺は彼の後方から徐々に、不思議な匂いを持つ者の存在を感じ始めた。彼もまた、俺と同じ“鼻が利く”という技能を持っていたので、鼻を動かし匂いの方向へは、振りかえらずに、“あっ、師匠が帰って来ましたね。”と一言、俺に告げた。不思議な匂いを持つ者の姿が、俺と彼、両者に見えるようになった時、彼は不思議な匂いを持つ者である彼女へ、眉間にシワを寄せて、目を鋭くし、俺の先程の推測を試した。

「実に、おもしろい。やってみよう。」

彼の表情を見た、不思議な匂いを持つ者である彼女は、くわえていた二つの青色の木の実を落とし、その場に座り込んで、開けた口を前足でおおう、雌らしい仕草を見せ、おもむろに彼へ行動の理由を訊ねた。

「あっ…、レオ、どうしたんだ急に?」

彼は、彼女の表情を堪能(たんのう)し終え、元の優しい笑みを浮かべて、彼女へ感想を訊ねて来た。

「何でもないですよ。ただ、やってみただけです。どうですか?」
「…え?カ…カッコイイ…。」

彼女は、ぼそりとつぶやくように、彼へ感想を告げた。彼は、彼女の感想を耳に入れ、俺の方へ顔を向け、“やりましたね!!ピカチュウさんの言った通りです!!と喜び、嬉しそうな表情を浮かべた。彼の言葉を聞いた彼女は、恥ずかしさの為か、ほんの少し頬(ほほ)を赤く染めて、俺へ彼に見せた表情と彼に伝えた感想の内容を取り消すように言い放って来た。

684適当:2013/04/20(土) 11:23:48 ID:eUXtx3Qk
「わ…私は、何も言っていないぞ。言っていない。言っているハズがないんだ。」

“ふっ、カワイイところあるじゃないか。”俺は、彼女が素直にならない様を見届け、彼女の意見を尊重し、受け入れた。

「ああ、そうだな。ソルは、何も言っていない。」
「そ…、気安く私の名前を呼ぶな!!」

“は?ここは、照れる所じゃないだろう?”俺は、彼女が気にする必要の無い所を気にしている理由を、彼を手招き、耳打ちして訊ねた。

「レオ…だったよな?」
「はい。」
「何で、ソルは照れているんだ?ソルは、俺の事が嫌いなハズだろう。」

俺が理由を訊ねると、彼は耳打ちして俺に答えを告げた。

「きっと、ピカチュウさんにほれているんですよ。」
「俺に?」
「はい。悔(くや)しいですけど、ピカチュウさんの方が俺よりも雄っぽいと思います。師匠は、俺に雄らしくなって欲しいって思っているので、雄らしいピカチュウさんに…もしかしたら、ほれてるのかもしれませんよ?」

“気に入っているから…か。あっはっは、ツンデレというヤツか。”俺は、彼が告げた理由に納得し、彼へ“わかった。もういいぞ。”と告げ、彼に自分と距離を取らせた。彼に距離を取らせた後、俺は彼女を見て無意識に、何かを企むような悪い笑みを浮かべてしまっていたので、彼女は理由(ワケ)が分からず、“はぁ?”と俺に表情で言い放って来た。“笑うつもりは無かったが、笑っているのかもな。”俺は、彼女の表情を見て、偽りの咳(せき)をつき、表情を通常の状態へと戻した。俺の表情の変化を見た彼女も、俺と同じように偽りと思われる咳(せき)をつき、俺と彼へ取るべき行為を言い放ち、彼へ指示を出した。

「ゴホン…。さて、レオ、それからお前。ご飯にするぞ。レオ、隠してある木の実を持って来てくれるか?」
「はい、わかりました師匠。」

彼は、彼女の指示に従い、洞窟の奥へと歩を進め、彼女の指定した物をくわえて、俺と彼女が待つ場所へ持ち込み、また洞窟の奥へと歩を進め、彼女の指定した物をくわえて、俺と彼女が待つ場所へ持ち込む…という作業を繰り返した。最後の二つの赤い木の実をくわえて、俺と彼女が待つ場所へ持ち込み終えた後、彼は“どうぞ、食べて下さい。”と俺に笑顔を向け、食事の許可を出した。

685適当:2013/04/20(土) 11:28:48 ID:eUXtx3Qk
彼が持ち込んだ物は、青色のミカンのような木の実に、緑色のイチゴのような木の実、洋梨(ようなし)のような色をした、黄色の木の実に、前述の赤色の木の実であった。“うわ…、まさかこれは…。”青色の木の実と緑色の木の実に目を向けた途端、俺は監禁部屋である真っ白の空間で出された、形容し難い味の悪魔のドリンクを思い出し、俺は拒絶する表情を浮かべ、彼と彼女が先に木の実を食べている中、一匹木の実には手をつけずにいた。“はぁ…、もう狩猟(と)ってくるしかないか。”俺は口に入れる事が出来ない木の実がある事に、ため息をつき、その場で立ち上がり、洞窟から出て、自分の分を調達しようと行動を起こそうとした。だが、俺が立ち上がった時、彼女が不思議そうな表情を見せ、俺へ質問をぶつけて来た。

「おい、お前どこに行く?もう、遅いぞ。」
「どこって…、決まっているじゃないか。食べる物を探しに行くんだ。」

俺の理由を聞き入れた彼女は、俺を睨みつけ、怒った表情で俺に訊き返して来た。

「私の採って来た木の実が“食べられない。”とでも?」
「あ、ああ。すまないが、俺は君達と食べて来た物が違う。だから…」
「行くな。これが、今日の“私達”の夕食だ。私とレオと…お前の分だぞ?三匹分を二匹で食べられると思っているのか?」

“くっ…聞き分けのない雌(ヤツ)め。だが、俺はコイツに助けてもらったんだ。断れない。”彼女は、俺の行動に抑止をかけ、俺に“用意した分は、私達では食べきれない。”と言い放って来た。俺は、彼女の言葉を受けても、彼女を無視して行動を起こそうと考えたが、良心が芽生えて来たので、どうする事も出来ず、その場に腰を下ろし、青色と緑色の木の実を、嫌悪の表情で見つめていた。彼は、自分達が食事を進める中、俺の、自分達が取って来た木の実に、一向に手をつけない様を見て、俺に質問を行って来た。

「どうしたんですか?お腹空いてないんですか?」
「空いている。」
「じゃあ、食べましょうよぉ!!師匠の言うとおり、俺と師匠だけでは食べ切れません。採って来た木の実は、何日も持ちません。もったいないじゃないですかぁ!!」
「わかっている。木の実は、枝から離れると、冷やすしか保存状態を延ばす事は出来ない。ここで言うなら、冬でしかそんな事は出来ない。だが、俺にはどうしても食べられない理由があるんだ。」
「理由?何ですか?」

686適当:2013/04/20(土) 11:33:07 ID:eUXtx3Qk
彼に理由を訊ねられたので、俺は彼達が採って来た木の実が食べられない理由を話した。

「マズいからだ。」
「マズい?どれが、ですか?」
「青色のヤツと、緑色のヤツだ。」
「オレンの実もですか?」
「ああ。俺には、とても…。」

俺は、申し訳なさそうな表情を浮かべて、彼の質問に答え終えた。彼の質問に答え終えた途端、彼と彼女が、突然吹き出すように笑い出し、それぞれ俺の理由を否定して来た。

「ぷっ…あっはっはっは!!お前バカか?チーゴは、わかる。だけど、オレンがマズいワケないだろう?」
「そうですよぉ!!あっ…はっは。ごめんなさい。笑っちゃいけないと思いますが、ピカチュウさんがポケモンの常識を知らない…ってなると、なんだかおかしくなってしまって。」

は?はぁ!?俺は、何かおかしい事を言ったか!?“俺は、彼と彼女の言い分に、不快感を覚える前に、彼と彼女が示した反応を見て驚き、何が何だかわからず頭を混乱させられていた。俺が驚き、何も言い返せない様を気づかったのか、彼は笑いを止め、俺に提案して来た。

「あはは…。大丈夫ですよ。何で、オレンが美味しくないって思ったかは知りませんが、食べてみて下さい。」

彼の言葉を受け取った後、俺は青色の木の実を拾い、提示しながら彼へ訊き返した。

「コイツを?」
「はい。たぶん…、師匠はどうかわからないですけど、この中で一番美味しいと思います。」
「まぁ…そこまで言うなら、君の言うとおりにしよう。」

俺は、彼の言葉を信じ、彼と彼女が見守る(というよりは、彼女はどこかバカにしているようにも見えるが…。)中、青色の木の実を小さく一口かじった。“うっ…ここでもこんなマズい物を食べなきゃならないのか…。”と青色の木の実をかじった後は、すぐに嫌悪の感情が押し寄せるかと思ったが、意外にも、嫌悪の感情どころか、驚愕の感情が押し寄せて来た。嫌悪ではなく、驚愕の感情が押し寄せた理由(ワケ)は、青色の木の実が自分が考えている味よりも、はるかに美味であったからである。“え?ええ!?これ…こんなに美味かったのか!?”俺は、彼と彼女に心の中の言葉も伝えるように驚き、目を見開いて感想をつぶやいてしまっていた。

687適当:2013/04/20(土) 11:37:18 ID:eUXtx3Qk
「う…美味い…。」
「あっはっは!!だから、言った通りだろう?こんな当たり前の事もわからないお前は、本当にポケモンか?」
「当たり前…か。」
「そうだ。でも、一応訊いてやる。何で、オレンがマズいって思ったんだ?色か?」

“色…、確かにマズそうには見えるな。”俺は、彼女の質問を聞き入れた後、彼女の推測に“そうであるとも言える。”と納得しつつも、彼女へ理由を話した。

「コイツと似たような色の飲み物が、マズかったからだ。」
「オレンの色…青色の飲み物という事か?」
「ああ。」
「それで、オレンと味は似ていると?」

彼女の質問に対し、俺は静かに首を左右に振って、否定の意思を示した。

「いいや。似つかない。あれは、ただマズいだけだ。」
「ふ〜ん、木の実には効果があるのを知っているか?」
「オレンなら知っている。体力が回復するんだろう?」
「と言っても、ちょっとだけしか回復しないぞ。」

“ちょっと…、う〜んあの青色よりも下って事か?”俺は、彼女から青色の木の実の特徴を耳に入れるも、彼女へ青色の木の実を食べた際の効果の程を訊ねた。

「どれ位回復するんだ?」
「自分よりも少し下の強さのポケモンのたいあたり二つ分だ。」

俺は、彼女から真実を聞いて、驚き声を上げた。

「は…はぁ!?ウソだろう?それじゃあ、あまりにも少なすぎじゃないか!!」
「はぁ?オレンはそれ位だ。何だ、お前が飲む、青い飲み物はもっと回復するのか?」
「ああ。」
「ふ〜ん、どれ位だ?」

“どれ位?って言われてもな…。これで、わかるか?”俺は、彼女の質問に明確に答える為に、青色の悪魔のドリンクが出された初日を思い出し、彼女へ返答した。

「まぁ、言うならレベル30のヤツが、レベル50の水タイプの水の波動を受けたダメージくらいは、回復出来る。」
『えええええ!?』
「何だ二匹して。そんなに驚く事か?」

俺が語った真実を耳に入れた、彼と彼女は食べようと思っていた木の実を落とし、同時に声を上げた。俺が、首を傾げて彼と彼女の反応に疑問を抱いていると、彼と彼女は、“愚問である”とばかりに、それぞれ勢いよく俺へ反論を言い放って来た。

688適当:2013/04/20(土) 11:42:43 ID:eUXtx3Qk
「水の波動って、結構威力高いですよ!?そんなダメージも、回復出来ちゃうなんて、すごすぎじゃないですかぁ!!」
「お、お前!!自分が何を言っているのかわかっているのか!?」

彼と彼女が、そのままの表情を保ちつつ、言い放って来た内容から、俺はうなずきながら彼らには伝わらない、独り言をつぶやいてしまっていた。

「ああ、なる程。オレンの実の成分だけ濃縮するとマズくなってしまうのか。」
「え?オレンの実のせいぶんをのうしゅくするって…何ですか?」
「へ?ああ、いや。なんでもない。気にする必要はない。」

俺は、彼に質問されても、彼の質問を受け流したが、彼女は俺の言い分を許さず、俺へ彼の質問に答えるように要求して来た。

「お前、隠すな。レオが訊いた事は、私も気になっている。答えろ。」
「いや、いい。俺に構わず食事を続けてくれ。」
「ダメだ。気になって、食事なんか出来ない。私も、レオもな。」

“はぁ…、まいったな。これで、伝わるかどうか…。”彼女は、真剣のような脅すような表情を作り、俺の意見を否定して再び要求して来た。俺は、森に住む彼達に上手く伝える事が出来るかどうか不安になりつつも、彼達へ説明を行った。

「オレンの実の回復する部分だけを集める事だ。」
「回復する部分だけを集めるだとぉ!?」
「ああ。君達は知らないだろう。森の外の文化が持つ技術は、こんな事まで出来るんだ。俺が、頭に受けた麻酔針を撃つ武器も然りな、」

俺の返答を聞いた彼女は、最初は声を上げたが、俺の次の言葉を聞いて、首をうなずかせて、納得しつつ、俺にとんでもない質問をぶつけて来た。

「なる程。ふ〜ん、どうりであんなに回復するワケだ。あれ?お前、撃たれたって。」
「ああ。」
「あれは、ただ眠たかっただけだろう?」

俺は、彼女の質問に驚き、強く否定した。

「はぁ!?そんなワケないじゃないか!!君達と話している途中なんだ、寝るワケないじゃないか!!」
「ふ〜ん、じゃあ頭に刺さってた針が関係あると?」
「当たり前だ!!全く…。ソル、君は質問の内容がおかしい。」

“コイツ、鈍感過ぎるな。そんなヤツが、いるワケないじゃないか!!”俺は、彼女へ訊き返された後、彼女へ強く言い放ち、彼女のあまりにも失礼な発言に対して、少し怒り彼女へ指摘した。だが、彼女は何の悪びれる様子も無く、そのままの態度で俺が攻撃された理由を訊ねて来た。

689適当:2013/04/20(土) 11:47:24 ID:eUXtx3Qk
「お前は、なんで眠らされたんだ?」
「それが、あのじいさんの攻撃だからだ。」
「ジュカインの…おじいさんの?」
「ああ。ヤツは、どこかに隠れながら俺を探し、俺を見つけては眠らせる。これは、ジュカインの技じゃない。あのじいさんが、俺と似たような形の武器を使って、睡眠作用のある針を飛ばして、俺に命中させた。俺が、君達と話している途中で寝てしまったのは、そのせいだ。」
「で?その似たような形の武器っていうのは?」

彼女に訊ねられたので、俺は、刀のヒモを緩(ゆる)めて、決闘に用いる黒と茶がベースの狙撃銃を地面に置き、彼と彼女へ“こいつだ。”と提示した。彼と彼女は、俺の決闘に用いる武器をまじまじと観察していた。彼は、観察し続けていたが、彼女は俺の方へ顔を向け、俺が提示して来た物が何であるかを訊ねて来た。

「変な形をしているな。お前、これは何をする物なんだ?」
「言い方は悪いが、俺が持っているのは殺す武器だ。」
「殺す?どうやって?これが、岩のように固いとするなら、殴ってか?」
「いや、そんな使い方はしない。言うよりも、やってみた方が早いな。見ていろ。」

俺は、彼女の推測に否定の意思を示し、決闘で用いる武器を月の方へ向け、引き金を引いた。引き金を引いた途端、大きな銃声が、洞窟の内と外に響き渡った。彼と彼女は、銃声を聞くと、“うわぁ!!”と驚きを示す声を上げ、腰を抜かしてひっくり返ってしまっていた。“まぁ、無理もない。森で生きて来たレオ達は、こんな武器があるなんて知らないだろう。”彼と彼女があまりに驚き、腰を抜かした様を見ても、俺は笑いもせず、心の中で、彼と彼女が示した反応の理由を理解していた。彼と彼女は、俺が決闘で用いる武器を刀のヒモで前に結びつけると、立ち上がり、前者は興奮し、後者はただ驚くという反応を示し、俺へ感想をぶつけて来た。

690適当:2013/04/20(土) 11:51:31 ID:eUXtx3Qk
「す…すごいです!!ピカチュウさん、これって“バーン!!”って大きな音が出るんですね!!」
「お、驚いた…。こんな大きな音が出る物は、生まれて初めて見た…。」

彼女が、感想をつぶやき終えた後、彼は上を向いて何かを考える仕草を行い始めた。“どうしたんだ?”俺は、彼の行動に疑問が思い浮かび、彼へ訊ねた。

「レオ、どうしたんだ?」
「う〜ん…、何かどっかで聞いた音と、似ているんですよねぇ〜。」
「え?レオ、初めてではないのか?」

彼女は、彼の発言に少々驚き、彼へ訊き返した。彼はうなずき、俺には相槌を打たせるように、彼女には伝えるように話した。

「ピカチュウさん、あの時に聞こえた音と似ていませんか?ほら、ピカチュウさんと師匠が言い争っている時。」
「レオ、君は覚えていてくれたんだな?」
「はい。師匠は、もしかしたらピカチュウさんと言い争っていたので、音を聞き逃しちゃったんだと思います。師匠も、本当は聞いているハズなんです。結構大きな音ですから。」
「大きな音なら、私も聞いているハズだろう?なんで、そんな事が言える?私の警戒心の強さは、君も知っているはずだぞ?」
「へ?う〜ん…。どういえば、いいんですかねぇ…。」

“なる程、意識にあるかないか、か。”彼女の反論を受けて、彼は頭を悩ませ、困惑した表情を浮かべていた。俺は、彼の言いたい事を推測し、彼の代弁を引き受けた。

「ソル、どんなに警戒心が強いヤツでも、意識するか、しないかで大きく変わってくるんだ。」
「意識…するかしないか?」
「ああ。俺と言い争っている時は、脳…いや、君に体の動きを命令する部分は、俺の声だけに意識を集中するように、君の聴覚(みみ)に働きかけるんだ。と、わかりやすく言っても、俺はこれ位しか言えない。これで、わからなければすまない。」

“都会の言葉を使わずに、説明するのはなかなか難しいな。”俺は、途中言葉を詰まらせつつも、彼女へ説明し終え、“伝わらなければすまない。”と謝罪した。彼女は、意外にもあっさり理解し、うなずいて、俺に確認を取って来た。

691適当:2013/04/20(土) 11:56:02 ID:eUXtx3Qk
「ああ〜、わかった。お前は、私の耳が、レオとお前が聞いた音を、聞く事が出来ない状況にあったって言いたいんだな?」
「ああ。警戒が強いヤツでも、これだけはどうにもならない。だが、あのじいさんは、周囲の警戒を強めても発見出来ない程の強敵なんだ。レオ、それからソル。君達が俺に協力してくれるのは、本当に助かる。だが、俺と共に行動するなら、君達も撃たれるかもしれない。」
「私と、レオが?」
「ああ。協力者を減らす事が、自分が見つからない一番の手段でもあるからだ。」

俺は、彼女へ“自分以外も狙われる理由”を言い聞かせた。俺は、言い聞かせた後、彼と彼女が悩むだろうと思っていたが、意外にも、彼女は不敵な笑みを浮かべて、俺の言い分に否定の意思を示した。

「ふん。ありえないな。」
「は?ありえない?どういう事だ?」
「私は、災いを予知できる。自分、他のヤツらに降りかかる災いをな。」
「災いを予知できる!?君は、一体何者なんだ!?」

俺は、彼女から予想も出来ない事を告げられて驚き、自分の耳を疑いつつ、彼女へおもむろに訊ねた。彼女は、俺の驚いている様子を見て、“ふふふ”と不敵な笑い声をこぼし、俺へ得意気な表情で返答した。

「ふん、ありえないな。」
「は?ありえない?どういう事だ?」
「私は、災いを予知できる。自分、他のヤツらに降りかかる災いをな。」
「災いを予知できる!?君は、一体何者なんだ!?」

俺は、彼女から予想も出来ない事を告げられて、驚き自分の耳を疑いつつ、彼女へおもむろに訊ねた。彼女は、俺の驚いている様子を見て、“ふふふ。”と不敵な笑い声をこぼし、俺へ得意気な表情で返答した。

「災いを予知できる、悪タイプのおでこに鎌を持つ、白き獣である私と私を除く、アブソルという種族は、その特別な能力を使って、自分に降りかかる災いを確実に回避し、自分と行動を共にするヤツに降りかかる災いも確実に回避させる事が出来る、災い知らずのポケモンだ。」
「災い知らず…すごいな…。」
「ふふふ、そうだろう?しかし、私がお前に災いを“言うかどうか”は、別の話だけどな。」

“まぁ、ソルは俺が嫌いだからな。……。コイツ、本当に協力する気あるのか?”俺は、彼女が逆接を用いて、非協力的な発言をして来た事に首を傾げ、彼女の本心を疑っていた。すると、彼が俺に“そんな疑いはいらない”と思わせるような発言を、言い放った。

692適当:2013/04/20(土) 12:13:01 ID:eUXtx3Qk
「ちょ、ちょっと!!師匠!!協力してあげましょうよ!!ピカチュウさん、大丈夫ですよ。師匠は、こう見えて優しい方なんです。ただ、照れ屋さんなだけなんですから。」
「照れてなどいない。それに、私は協力しないなんて言ってないぞ?ただ、私は“自分の身は、自分で守れ”と言いたかったんだ。」
「そ、それはヒド過ぎでしょうがぁ!!師匠!!あなたって方は、思いやりがないんですか!?」
「ふ〜ん、私はコイツが“守って欲しい”と言っているようには、見えないけどな。レオ、君には悪いけど、コイツは雌に守られたいなんて思っている程、甘いヤツじゃないと思うぞ?」
「そんな事、あ・り・ま・せ・ん!!ね?ピカチュウさん。」

“雄としてのプライドが強い…ヤツか。”彼は、彼女の意見に否定の意思を示し、俺に相槌を求めて来た。俺は、彼の意見には賛同せず、彼女の意見を後押しした。

「いや、ソルの言うとおりだ。俺は、雌には頼りたくない。囲まれても、ソル、君だけはもしかしたら逃がすだろう。戦闘になった時は…」
「なめるな。私は、そんじょそこらにいる弱い“女の子”じゃない。」
「お…女の子?」
「その方がわかりやすいだろう?私が“弱くない”って事が。」

“うん…、コイツやっぱり雄っぽいな…。”俺は、自分の言い分を彼女に強くはねのけられて、彼女に対して、“雌とは思えない程、強気な雌だ。”と考えていた。俺は、“強がりを言っているだけだ。やっぱり、守らなくては。”と思い直そうとしたが、彼女は強い、何者にもひるまぬ瞳で俺を見つめていた為、俺は思い直す事もせず、うなずいて彼女の意見を尊重した。

「わかった。俺は、もう何も言わない。ソル、君の好きにしてくれ。」

俺の意見を聞き入れた彼女は、ほんの少し嬉しそうに微笑み、俺を批評して来た。

「ふふ、お前いい雄(ヤツ)だな。」
「それ程でも。君は、俺のプライドをわかってくれた。俺も君のプライドを理解しただけだ。」
「あっはっは!!おもしろい雄だなお前は。さぁ、早く食事の続きをしろ。オレンの実一かじりで、お腹いっぱいになるわけがないだろう?」
「あ…ああ、ありがとう。じゃあ、遠慮無く君達の気づかいを受け取る事にしよう。」
「ふふふ、どうぞお構いなく。」

693適当:2013/04/20(土) 12:16:14 ID:eUXtx3Qk
“ふっ、コイツなかなか面白い雌(ヤツ)だな。”俺は、彼女の返答を耳に入れた後、彼女が雄っぽく振る舞う中に垣間見せた、母性にのっとるような雌らしい振る舞いを見せた事に、面白味を実感していた。俺は、彼女に従い、彼女と彼が用意してくれたと思われる、一口だけかじった青い木の実を食べ進めた。俺が食べ進めている途中、彼が彼女に微笑み、彼女へ数時間前の自分の言い分が正しいと主張した。

「ね?だから言った通りだったじゃないですか。ピカチュウさんは、いい雄って。」
「ふふふ、レオ、確かに君の言う通りだった。でも、君の言う事はたま〜に、当てにならないからな。」
「なんでですかぁ〜!!ちょっとぉ〜!!」
「君は、所詮私の“弟子”だって事だ。師匠は、経験の少ない弟子の言う事なんて信用しないからな。」
「うぅ、ヒドい。もう、いいです!!俺は、もう先に寝ます!!ピカチュウさん、師匠、お休みなさい!!」

“ふっ、コイツは雌っぽいな。”彼は、彼女に言い放たれた後、ふてくされて、俺と彼女へ会釈し、洞窟の奥へと姿を消していった。俺は、食べ進める手を止め、彼と彼女のやり取りや表情を楽しみながら見ていたが、“何をニヤニヤしてある?さっさと食え。私も眠たいんだぞ?”と彼女ににらまれて、食事の手がいる事を指摘されたので、俺は彼女に従い、急いで食事を済ませた。無事に食事を済ませた後、俺は腕時計に目を向けた。【21:10 】と時刻表示画面に示されていたので、“喋りすぎたな…。”とは思いつつも、彼女が首を傾げて“それは、何だ?”と質問を行って来た。俺は、彼女の質問には答えず、いたずら気に微笑み、“これが、俺の災いを予知する道具だ。”とだけ告げた。彼女は、俺の返答を受けて“変な雄(ヤツ)だな…。”とだけ一言返し、彼と同じ方向へ消え去っていった。“一宿一飯の恩義だ。俺は、見張りをしながら寝るとするか。”彼、彼女、森に住む者といえども、ここ(森)には“生き物を襲って殺してはいけない。”という都会のルールは存在しない。彼達だって、襲われて殺される事だってあるのである。俺は、地面に置かれた狙撃銃を手に取り、彼達の表情と周囲の景色を見る為に放っていた、自らからの体の光を消し、洞窟の外へと出た。その後、洞窟の入り口の壁にもたれ、決闘で用いる武器を肩にかけ、月の光を受けながら、眠りの世界へと旅立っていった。

694適当:2013/04/20(土) 12:23:46 ID:eUXtx3Qk
夢の世界

俺は、真っ白い空間の中にいた。真っ白い空間といっても、俺が監禁されていたあの真っ白い空間ではなかった。辺りを見回しても、今は無い、ハチマキと刀を手に入れた箱は無い。四方に体を向けるが、あのそれぞれ文字が示された9つの扉はない。食事をする場所も、用を足す場所も、シャワールームだって存在しない。“ここは…夢の世界?俺は、今、夢見ているのか?”四方を確認し終えても、何も存在せず、現に俺は、睡眠の真っ只中(まっただなか)である。故(ゆえ)に、“ここは、現実世界ではない。”と判断した。“夢を見るなら、何か意味があるハズ…。”この夢には、どんな意味が…。”俺は、あごに手を添え、“自分がなぜ、この空間にいるのか”を考え始めようとした時、俺の後方からすすり泣く声が聞こえて来た。

「ぐっす…すん…。」

“は?誰だ?”俺は振り返り、声のする方へ体を向けた。声を立てていた主は、見覚えのある者であった。声をよく聞き分けると、声も聞き覚えのある声であった。俺の後方ですすり泣いていたのは、【若葉】の間の番人であり、フィアという名を持つ、緑色の軍服を着たリーフィアのあの少女であった。少女は、俺の顔を見ずに、その場に腰を下ろして、両前足で目を覆(おお)って、涙を見せまいとしていた。“フィア!!フィアじゃないか!!”俺は、すすり泣く少女の元へ掛けより、心配する表情を浮かべて、彼女の肩に手を置き、彼女へ声を掛けた。

「フィア、どうしたんだ?なぜ、泣いている?」

俺の声を耳に入れた彼女は、前足をゆっくりとどけ、俺の顔へ目を向けた。彼女の顔は、涙で濡れていた。彼女のあどけないこはく色の目からは、涙が流れ出して来ていた。彼女は、俺の存在を認知し、俺へ涙の理由を告げた。

「お兄ちゃんのせいだよ。」
「は?俺は、君に何もひどい事はしていない。」

俺は、彼女の言い分が全く理解出来ず、きょとんとした表情で彼女へ訊き返した。すると、突然彼女が憤怒の感情を露わにし、俺へ言い放って来た。

「とぼけないでよ!!私を殺したじゃん!!」

“殺した?殺しているハズはない。俺が、フィアを殺すハズは無い。”俺は、自分を抑え込むような彼女の表情と声にひるまず、彼女へ否定の意思を示した。

695名無しさん:2013/04/20(土) 12:25:55 ID:/mmx9Stw
適当さんの文章力は尊敬に値します

696適当:2013/04/20(土) 12:26:53 ID:eUXtx3Qk
「殺していない。フィア、君は…」
「お兄ちゃんが、私を助けなければ、私は殺されていない。お兄ちゃんが私と話をしなければ、私はまだ生きていたんだよ?」

“あっ…あの件か。”俺は、彼女の言い分から少女を監禁部屋に連れて来てしまった事を思い出させられた。確かに、あの時は俺が、彼女が所属する軍の情報(こと)を訊かなければ、死ぬ事はなかっただろう。こんな事を言うって事は、もう…。”俺は、自分の心で彼女の現状を推測しつつも、彼女の態度を尊重し、彼女へ生か死、どちらの運命をたどったかを訊ねた。

「フィア、君は処刑されてしまったのか?」
「当たり前だよ!!だから、悲しんでるんだよ!!」

“だが、あれは俺が喋らせたワケじゃ…。”自分が悪い。自分が少女を殺したようなものだ。とは、思いつつも、いざ本人に問われると、彼女の言い分を素直に受け入れられず、反論を返す自分がいた。俺は、彼女の言い分を否定し、彼女へ謝罪するどころか、全く異なる言葉をぶつけた。

「違う!!俺は殺していない。君が、勝手に俺にペラペラと喋ったんじゃないか!!」
「喋ってないよ!!喋らされたんだよ!!」
「勝手に喋ったんだから、自業自得じゃないか!!俺は、関係ない。俺は、第一君を殺しても何の得も得られない。だから、君を殺すように仕向けるハズがないじゃないか。」

俺は、気がつくと彼女に引けを取らない程の、憤怒の表情を表していた。憤怒の感情は、“自分には責任がない。なのに、なぜ俺に押しつける?なぜ俺のせいにする?”という強い疑問から、湧き上がって来たものであった。本当は、少女には、心を込めて謝罪をしなければならない。だが、この時俺は、少女を間接的に殺した責任を負う事よりも、少女の言い分をはねのけ、責任から逃れたいという思いしか頭に浮かばなくなっていた。俺は、少女に謝罪する事を思い浮かべず、どんなに反論されても、はねのけてやろうと思おうとしたが、少女は俺の心の芯を突くような、俺を怯(ひる)ませる一言を言い放った。

697適当:2013/04/20(土) 12:41:12 ID:eUXtx3Qk
「お兄ちゃんは、私がおっちょこちょいだって知ってるくせに!!知ってて、ワザと喋らせたんでしょ!!」
「あっ…、そ、それは…。」
「やっぱり、お兄ちゃんのせいだよ!!私を助けたのは、私から私が所属(い)る軍の事を聞き出す為!!私の性格を使って、お兄ちゃんは私に喋らせたんだよ!!」

俺は、彼女の強い、筋の通った反論に何も言い返せなくなっていた。彼女の反論を受けて、“違う…俺は、殺していない。”と首を左右に振り、言い返す事しか頭になくなっていた。俺は、頭の中にある言葉と行動を彼女へ示そうとした時、突然少女の横から、【零下】の間の番人であり、シーアという名を持つ、水色の軍服を着た、グレイシアが現れ、少女と同じように憤怒を表した表情を浮かべ、俺を強くにらみつけて、俺へ責任を問いかけた。

「よくも…。よくも、私のカワイイ妹を殺したわね!!」
「シーア!!こ…殺していない!!コイツが勝手に…」
「私に勝てたんだから、これ位のズル賢さは持ってるハズよ!!私の妹を…私のフィアを殺した事を謝って!!」
「殺してないって言ってるじゃないか!!お前達…調子に乗るなよ?俺が、何でもすぐ謝るなんて思うなよ?」

俺は本当は、少女の姉に責められた時に、素直に謝らなければならない。だが、俺の頭の中には“逃げる”という事しか、無くなっていたので、少女の姉に謝罪をするどころか、少女と少女の姉を突き放すような態度を取っていた。“何か言い返して来たら、構わず言い返してやろう。”俺は、彼女達が言い返して来る時に備えようとした時、俺の右方向から、新たに聞き覚えのある声が聞こえて来た。

「ピカチュウ君が、フィアを殺したの?」

俺は、振り返り新たに声のする方へと目を向けた。新たな声を放っていた主は、【雷神】の間の番人であり、サンという名前を持つ、黄色の軍服を着たサンダースであった。彼女は、少女の親友である。彼女は、少女を間接的に殺した俺を、恨んでいると思われるが、俺に話し掛けた時は、親友を殺された恨みの感情を出さずに、ただ悲しげな表情を浮かべていた。“コイツは、敵に出来ない。コイツは、引き込まなくては!!”俺は、新たに襲われた彼女の質問に、すぐさま否定の意思を示した。

698適当:2013/04/20(土) 12:45:32 ID:eUXtx3Qk
「殺してない。サン、君ならわかってくれるハズだ。俺は、そういう雄じゃないって事を、君はよく知っているだろう?」
「僕に、キスをしてくれたから?」
「それも然り、君の出した条件で勝負した事も然りだ。俺が、本当にヒドい雄なら…」
「サンちゃん、騙されちゃダメよ。」

“は!?まさか…”俺の左方から更に新たな声が耳に入った。左方から聞こえて来た声も聞き覚えのある声であったので、俺は急いで声のする方へ目を向けた。目を向けた先には、【氾濫】の間の番人でありシャーズという名を持つ、青色の軍服を着たシャワーズがいた。彼女は、俺を不安にさせるような悪意のある笑みを向け、彼女達の気持ちへ共感するように、怒りの表情を浮かべ、彼女達へ真実を暴き出した。

「サンちゃん、フィア、それからシーア。よく聞きなさい。この雄は、雌を手玉に取って、自分の有利に事を進める雄よ。現に、女の子のウサギも殺している。生きる為とはいえ、フィアやシーアに似ているウサギを殺す事にも躊躇(ちゅうちょ)しないわ。だったら、“フィアを殺す事に何も感じていない。”と言えるんじゃないかしら?フィアから情報を聞き出せて“良かった。”としか思ってないわ。」

“そんなワケ無い。ウサギは、生きていく為に仕方が無かった。殺す事に何も感じていないワケないじゃないか!!”俺は、彼女の言い分を強く否定した。

「シャーズ、君まで何を言っている!?どうしたら、そんな考えが思いつくんだ!!」
「ふふふ。坊や、あなたはこの施設に無理矢理閉じこめられたのよ?あなたは、こう考えたハズ。“早くここから脱出したい”と。ここから脱出(で)るには、各番人が持っているバッチが必要。そのバッチを一番効率良く得る為には、番人の情報が必要不可欠。フィアが、お喋りという性格を利用して、フィアを手玉に取ってフィアに喋らせた。」
「そんな事は考えていない!!」
「いいえ!!アナタは、私からも情報を聞き出した。喋ってはいけない情報も。アナタは、本当は“自分が有利になる為ならなんだってする。”そういう雄なのよ。優しさは、相手の信用を得る為。いいえ、言い間違えたわ。相手を“信用させる”為。」

699適当:2013/04/20(土) 12:48:26 ID:eUXtx3Qk
“コイツ…。”俺は、彼女の根も葉もない反論を聞いて、ついに堪忍袋(かんにんぶくろ)の緒(お)が切れ、自分に責任を求める彼女達へ怒号を言い放ち、どっちつかずの悲しげな表情を浮かべている彼女には、優しく“自分は悪くない”と言い聞かせた。

「ふざけるな!!シャーズ、君は俺と賭けをしていたんだ。そして、負けた。今さら負け惜しみか? フィアもシーアも考え方がわからないな!!どこまで妄想すれば気が済むんだ!!」
「妄想じゃないわ!!小僧、お前はそういう雄なんだろう!?私にナメた口を聞いたのも、私を挑発して怒り任せに攻撃させる為!!それが出来るなら…」
「それとこれとは関係が無い!!あれは戦法だ!!サン、君ならわかってくれるよな?俺は、そんな雄じゃないとコイツ達に言ってやってくれ!!」

“サン、君ならわかってくれるハズ。あんなに優しくしたのだから。”俺は、どっちつかずの彼女へ指示した後、彼女が、自分に味方するように懇願していた。すると、俺の考えを阻止しようと、再び【氾濫】の間の番人である彼女が、どっちつかずの彼女へ言い聞かせた。

「サン、アナタは坊やに何をされたの?」
「え?き…キスだけど。」
「それは罠よ。アナタを手玉に取る為の。アナタにほれさせて、自分の有利になる情報を喋らせる為のね。」
「そんなワケ無いじゃないか!!キスは、サンに求められたんだ!!俺は、彼女がいる。お前達をほれさせてまで、自分に有利な情報を得たいなんて考えていない!!サン、君は俺の言う事を信じているだろう?こっちへ来てくれ。シャーズがウソを言っているんだ。」

俺は、【氾濫】の間の番人である彼女の言い分を全て否定し、どっちつかずの彼女へ再び言い聞かせ、彼女へ歩み寄っていた。だが、彼女は俺が告げた真実を信用せず、同じ性別の【氾濫】の間の番人である彼女が告げた虚実(きょじつ)を信じ、俺から急いで距離を取って“来るなぁ!!”と言い放ち、“ウゥゥゥ…”と威嚇をして来た。“なんで…なんで皆、俺を信じないんだ…。”俺は、自分の味方もいない事を思い知らされ、言い返す気力を失っていた。“謝れば…気が済むのか?コイツ達の目的はなんなんだ。”俺は、憤怒の感情を消され、今抱かされた謝罪の気持ちを基(もと)にして、彼女達へ要求を訊ねた。

700適当:2013/04/20(土) 12:52:27 ID:eUXtx3Qk
「君達の目的は何だ?俺に何をして欲しい?謝れば、気が済むのか?」
「いいえ、坊や私達は、そんな事では許さないわ。」
「シャーズ…。何が、目的だ?」

俺は、【氾濫】の間の番人である彼女へ要求を訊ねた。すると彼女は、俺を不安に陥(おとしい)れる恐怖の笑みを浮かべて、俺へ恐ろしい要求を出して来た。

「ふふふ…あはははは!!坊や、私とフィアと同じ境遇(きょうぐう)にあってちょうだい。」
「同じ境遇!?まさか…。」
「そう…。“死ね”って事よ。死んで、私とフィアに“殺してごめんなさいって謝って貰おうかしら。その後に、私とフィアに精一杯の愛情をね。ふふふふふ…。」

“貴様…貴様ぁぁぁ!!”俺は、【氾濫】の間の番人である彼女の要求を耳に入れ終えた後、強い憤怒の感情が押し寄せて来た。気がつくと、自分自身の爪で手の平に傷を作る程拳を握りしめ、“コイツら、もう許さん。ここで、痛みつけて無理矢理従わせてやる…。”と、非道な考えにまで走っていた。俺が、自分の強い憤怒で彼女達に襲いかかろうとした時、突然、目の前にいる二匹の彼女達の目が赤く光り出した。“は!?ど…どうなっているんだ!?”俺は、突然の事態に驚き、左右へ急いで目を向けると、左右にいる彼女もそれぞれ目が赤く光り出していた。“ど、どうなっている!?”俺は、急に不安に襲われ、後ろに後ずさりをして彼女達から距離を取り始めていた。だが、彼女達は三方からそれぞれ、恐ろしい表情で俺に歩みよりつつ、俺へ斉唱(せいしょう)するように、全員一斉に、同じ言葉を繰り返し、言い放って来た。

『死んで謝れ。死んで謝れ。』
「な…ま…待て!!君達一体どうしたんだ!?」
『死んで謝れ。死んで謝れ。』

俺は、歩み寄る彼女達にそれぞれ目を向け、“落ち着け!!話せばわかる!!”と何度も言い放つが、彼女達は聞き耳を貸さず、何かに操られているように同じ言葉を繰り返しつつ、三方から俺に詰め寄って来た。“こ…このままでは殺される!!なんとかしなければ!!”俺は、後ずさりを繰り返しつつも、何とかこの状況を打開する方法を考えていた。“く…ど、どうする!?”打開する方法を一向に、思いつかずに後ずさりを続けている内に、背中に何かがぶつかった。

701適当:2013/04/20(土) 12:55:01 ID:eUXtx3Qk
“な、なんだ?”俺は、恐る恐る後ろへ振り返った。すると、昨日生きる為に殺した茶色の毛皮を持つ兎(うさぎ)である彼女がいた。彼女は、後ずさりで距離を取ろうとする俺の動きを止め、阻止した。“くっ…動けん!!これは…金縛りか!?”俺は、突然体が動かなくなった事に慌てふためき、体中の至る所に力を入れたが、全く動かす事は出来なかった。三方から詰め寄る彼女達は、動けなくなった俺を見て足を止め、それぞれ攻撃態勢を取った。【氾濫】の間の番人と【零下】の間の番人は口を開け、後者は白色の光を口の中に溜め、徐々に口からは冷気を漏らし始めた。“まさか、ハイドロカノンと絶対零度か!?”俺は、彼女達が今まさに行おうとしている攻撃に恐れを抱き、表情をこわばらせた。“うぅ…ど、どうする?”俺は、絶望を味わいつつも、自分に恨みを抱く他の二匹にも目を向けた。目を向けると、【若葉】の間の番人は、頭についている葉を光らせ、【雷神】の間の番人は、うつむいて頭の位置を少し下げていた。“これはリーフブレードとミサイル針!!くっ…くそ!!動け!!動けぇ!!”俺は、他の二匹の動きを見て、更に絶望に襲われ、渾身の力を振り絞って体を動かそうとしたが、一向に体は動かせないでいた。“や、やめてくれぇぇぇ!!殺さないでくれ!!”俺は、恐怖のあまりに彼女達の行動に抑止をかけられず、ただ首を左右に振り拒絶の意志を示す事しか出来なくなっていた。だが、彼女達は俺の意志を受け取る事なく、確実に俺を殺そうとそれぞれ力を溜めていた。そして最後に、俺を怯(おび)えさせる一言を、背後にとりつくウサギの彼女が、俺の耳元でささやいて来た。

『お前も、死ね…。』

ウサギの彼女の声が、発射の合図となってしまったのか、彼女が言い終えると、彼女達は溜めていた力を一斉に解き放ち、それぞれ、弾丸のような水、白色の冷気を帯びた弾丸、緑色の大きな刃物、機関銃を撃つように、鋭い針を飛ばして来た。徐々に、彼女達が放った攻撃が、俺の元に距離を詰めてくる様を見て、俺は思わず叫び出した。

「う…うわぁぁぁぁぁぁ!!」

702名無しさん:2013/04/20(土) 12:58:44 ID:/mmx9Stw
適当さんすげえええええええええ

703適当:2013/04/20(土) 12:59:45 ID:eUXtx3Qk
Day18 【1:30 】

「うわぁぁぁ!!はぁ…はぁ…。」

俺は、自分の過去の行いに恨みを持つ者の4つの殺意が、自分の体を襲う直前で目が覚めた。あまりにも恐ろしく受け入れ難(がた)い光景であったので、大声を上げて飛び起き、肩で呼吸をし始めた。肩で激しく呼吸をしつつも、体中からは恐怖を味わった為、汗が滝のごとく噴き出していた。恐怖のあまり、激しく呼吸をし続けるだろうと思ったが、優しく地上を照らす月の光が目に入り始めた事と、“リリリ…”と、いやしの呪文を唱えている鈴虫達の声を聞いて、“ああ、なんだ…。夢か…。”と、安心し、独り言を呟(つぶや)いた。落ち着きを取り戻した所で、“すごい、夢…だったな。”と思い返し、空から優しく降り注ぐ月の光により照らされた、自分を含む自分の周辺へ目を向けようとした時、数時間前に聞き覚えのある声が俺の耳に入った。

「お前…大丈夫か?」
「は?」

聞き覚えのある声は、俺のすぐ左から聞こえて来た。俺は、すぐさま自分以外の声を放つ者へと目を向けた。目を向けた先にいたのは、数時間前、白き獣であり、災い知らずと自ら主張していた彼女であった。彼女は、俺に心配そうな眼差(まなざ)しを向けていた。俺の声を受け取った彼女は、再び俺を気にかけている事を伝えて来た。

「随分とうなされていたようだった。お前が、とても苦しそうにしていたから。」
「あ…、心配してくれるのか?」

彼女の、数時間前にも、数十時間前にも決して見せなかった俺自身を心配するような目を見て、俺は彼女へ訊ねた。彼女は、本来、取る予定が無い行動を行った事を言われて照れてしまったのか、少し横を向いて、俺から目をそらし返答して来た。

「ふん、心配などしていないぞ。ただ、お前が“うー、うー”言うから、うるさくて寝られなかっただけだ。それで…、仕方無く様子を。な。」

自分から目線をそらした彼女の頬(ほほ)は、よく見るとほんのり赤く染まっていた。“なる程、照れているんだな。”彼女が俺に隠した感情が、彼女の表情に現れている様を見て、彼女の心情を見抜きつつも、彼女へ指摘はせず、微笑みを向け感謝の意を伝えた。

704適当:2013/04/20(土) 13:03:24 ID:eUXtx3Qk
「それでも、俺は嬉しい。ありがとう、ソル。君は、優しい女の子だな。」
「お、女の子とか言うな!!ふぅ…。全く、世話が焼ける雄だな。お前は。」

彼女は、どうやら素直になれない様子である。その証拠に、彼女は、俺の返事を受けて、更に顔を赤く染め上げても、俺の感謝の言葉を素直に受けず、自分の抱く“照れ”の感情を現実(おもて)へ出すまいとしていた。“ふっ、カワイイ雌(ヤツ)だな。”彼女が、素直に受けず、ため息をついて感情をごかしている様を見ても、俺は表情には出さず、彼女の仕草を見て楽しんでいた。その後、彼女は俺に、俺が何も言い返さず黙って自分の方を見続けている事を指摘せず、一度、地上を優しく照らす月へと目を向け、再び俺の方を見やり、彼女は俺へ“うなされていた理由”を訊ねて来た。

「ふぅ…。それで、なんでうなされていたんだ?」
「夢を見ていた。」
「夢?」
「ああ。食べる為に殺したウサギに殺される夢を。」

俺の返答を受けた彼女は、俺が予想も出来ない台詞を言って来た。

「仁、だろう?お前の名前は。」
「は?なぜ急に俺を名前で?」

“どういう事だ。コイツは俺が嫌いじゃなかったのか?”俺は、彼女から俺が予想も出来なかった、俺の名前の確認を行って来た事により、彼女の真意がわからず、彼女へおもむろに訊き返した。彼女は、未だに照れの感情が残っているのか、俺へ訊ねられた後、その場に座り込み、目を閉じて、前足を胸に当てて、自分の中の隠している“照れ”という感情を取り払うように、一息、息を吐いた。隠している感情を取り去った後、彼女は俺へ、彼がふてくされる前に見せた表情に似た、母性にのっとる優しい笑みを向けて、俺を名前で呼んだ理由を答えた。

「ふふ、その方が呼びやすいからだ。“お前”と言うのは なんだか気が引ける。」
「え?」
「お前はレオと同じ、私が信頼出来る二匹目の雄だ。それに、お前と喋っていて楽しい。」

“は?じゃあ、なぜ今更?”俺は、彼女から理由を告げられても、彼女の真意が理解できなかったので、彼女へ詳細を話す事を求めた。

705適当:2013/04/20(土) 13:07:08 ID:eUXtx3Qk
「じゃあ、なぜ最初から俺を名前で呼ばなかったんだ?」
「私は、お前と初めて会った時レオに“この雄は信用出来ない”と言ってしまったからな。信用出来ないと言ったのに、夜になって、いきなり名前で呼んだらおかしいだろう?」
「あ、ああ。まぁ、確かにその通りだが。」
「それに、レオには“照れてるから、この雄を突き放している。”と思われていたからな。レオは、調子に乗るんだ。私が、“照れてる”ってわかると。」

“なる程。コイツは、結局照れていたんだな。さて、どう返してくるか。”俺は、彼女から直接、俺にほめられた時に俺に抱く感情を聞き出せたので、いたずら気に微笑み、彼女の反応を楽しみにして、彼女へ確認を取った。

「照れていたから、俺を突き放したのか。」
「な!?て、照れてなんかいないぞ…。照れてなんか…。」

“ふっ、カワイイ雌(ヤツ)め。”彼女は、俺の質問を受けて驚き、下をうつむいて、俺に先程話した理由を否定した。俺は、彼女を責め立てるように、更に意地悪気に彼女の素性を評価した。

「あっはっは。俺が嫌いでも、俺に食事を与えたり、うなされている俺を心配してくれたりしている。君は、本当に優しい女の子だな。」

俺が笑いつつ謝罪すると、彼女は一言だけつぶやいてうなずき、黙り始めた。“ツンデレか、まぁ嫌いじゃないが。”と、俺は彼女の振る舞いが今、まさにそうである。と認識し、彼女にならって自分も黙り込み、彼女の次の言葉を待ち受けた。ものの一、二分をだろうか。俺と彼女の両者の沈黙の間、俺は、彼女の方へ目を向けて、彼女がつぶやく際に示した反応を楽しみ、彼女は下をうつむいて俺を見る事が出来ずにいたが、彼女は顔を上げて俺を見やり、優しい笑みを向け、俺を批評し、両者の沈黙の時間へ終わりを告げた。

「でも、レオみたいに“照れてる”って言って来ないお前は、本当にいい雄(ヤツ)だな。」
「ふっ、それ程でも。」
「ほめても調子に乗らない所が、またいい。」
「俺が、君の立場だったら、腹が立つからな。俺は、そう思ったから調子にはのらない。君は、俺とどこかと似ているからな。」
「あっはっは!!誰が、お前なんかに似るものか。」

俺は、彼女が笑って自分の意見を否定しても、特に何も言い返さず、“そうだな。”と相槌(あいづち)だけを打った。彼女は、俺の相槌(あいづち)を受けて、“くすくす”と口元に前足を添えて笑っていたが、笑いを止め、本題へ話を戻して来た。

706適当:2013/04/20(土) 13:15:24 ID:eUXtx3Qk
「仁、ウサギに殺される夢を見たって。」
「ああ。食べる為に殺したウサギへの罪悪感から…なのかもしれない。」
「罪悪感から?どうしてそう思うんだ?」

彼女の質問に俺は答えた。

「ソル、夢を見るのは、何か意味があるのを知っているか?」
「意味…が?」
「ああ。夢の多くは、記憶の整理だと言われている。だが、記憶の整理の最中、たまに自分の記憶と心情が混ざる事がある。」
「だから、ウサギを殺した罪の意識からだと?」

彼女の質問に俺は黙ってうなずいた。彼女は、俺に微笑みかけ自分自身の意見を主張して来た。

「仁、ウサギを殺して悪いと思っているお前は、正常だと思う。」
「え?」
「いくら食べる為に殺したと言っても、ウサギも、私やお前のように生きている。生き物の命を頂いて、私とお前は今を生きている。木の実を生やす植物も例外じゃない。私やお前と同じ生き物だ。」
「君と…俺と同じ生き物…。」

俺が彼女につぶやいて返答すると、彼女は真剣な表情に切り替え、言い放った。

「生きる為に殺して食べた。理由があるから、自分は悪くない。私は、そう思ってしまった時、本当に終わりだと思う。食べるから殺して当然と考える雄も雌も、私は嫌いだ。そういうヤツは許せない。」

“あっ…コイツ…。”俺は、彼女の演説に耳を傾け、心を打たれていた。俺は、確かに彼女の意見には賛成し、彼女と同じ事を考えていたが、食べ物に対しての感謝は、動物にとどまっていた。故に、植物に対しても感謝をしている彼女の考えを聞いて、改めて“食べる物は全て、元々自分と同じように生きていた”という事を思い知らされた。“そうか、俺は…。”俺は、彼女の演説のおかげで、今日(こんにち)まで自分の命をつないでくれた食べ物へ、目を閉じて心の中で深く感謝していた。彼女は、俺の様子を見届け、俺の肩へ前足を置き、俺へ微笑みを向け相槌(あいづち)を促(うなが)した。

707適当:2013/04/20(土) 13:18:11 ID:eUXtx3Qk
「ふふ。仁、そう思うだろう?」

俺は、目を開け、彼女に今の彼女の表情を返すような笑みを向け、彼女へ相槌(あいづち)を打った。

「ふっ、そうだな。君の言う通りだ。」
「うん。仁、お前もレオと同じ、信用出来るいい雄だ。」
「あっはっは。やっぱり、俺と君は似ているな。」
「くすくす、似るものか。調子に乗るな。」

俺が再び、彼女へ“自分と同じ考えを持つ生き物であると告げると、彼女は口元に前足をそえて、俺の言い分に、即、拒否の意思を示した。俺は、彼女の反応には、何も心は動かされなかったが、失望したようにため息を吐き、彼女へ指示した。

「はぁ…。あ〜あ、可愛くないな。もういい、寝ろ。君とは、もう喋りたくない。」
「本当にそうか?仁、私と喋っているお前は、何か楽しそうだった。もっと、喋ってあげてもいいぞ?」

“ふっ、調子に乗りやがって。”彼女は、俺の言い分を否定するように返答を行って来た。俺は、彼女の言葉に首を縦に振らずに、彼女へ再び指示した。

「うるさい。さっさと寝ろ。俺は、眠たいんだ。君と喋っている暇なんて無い。」
「あっはっは!!じゃあ、お言葉に甘えて。もう、うるさくするなよ?夢が恐くて眠れないなら、子守歌を歌って寝かせてあげてもいいぞ?」

彼女は、俺に言い放った後、いたずら気に微笑み出した。“ふっ、言ってくれるじゃないか。”俺は、彼女にからかい文句を告げられて、彼女の返答が面白いと感じつつも、“うるさい、余計なお世話だ。”と彼女へ言い返し、片手で“シッシッ”と彼女を洞窟の奥へと追いやった。彼女は、俺の動作を鼻で笑い、洞窟の奥へと姿を消した。“ふぅ…、さて寝直すか。また、見なければいいが…。”彼女が姿を消した後、俺は先程の、彼女との会話が嬉しかったのか、彼女との会話により、安心感を抱いたからか、ため息をついて自然な笑みを浮かべ、少しの懸念を抱きつつも、目を閉じ、再度眠りの世界へと旅立っていった。

708適当:2013/04/20(土) 13:22:39 ID:eUXtx3Qk
Day18
ショーン死亡まで残り3日

俺は、彼と彼女が住処(すみか)にしている洞窟の入り口付近で目を覚ました。目を覚まして、小鳥達の合唱が自分の耳に入るかと思ったが、意外にも入ることは無かった。その代わり、非力な小鳥達よりも力のある鳥獣(鳥型のポケモン)達が、朝を告げる鳴き声を発していた。声質の特徴から見るに、鳥獣(鳥型のポケモン)は、ポッポやスバメ、そしてオニスズメの進化体型であり、より凶暴化した、鋭いくちばしを持つオニドリルであった。彼達の声を聞いても、何を言っているのかわからず、前者はそれぞれ、スズメ、ツバメに近い鳴き声、後者は前者達を威嚇するような、自分の存在を周りの生き物達に知らしめる鳴き声を発していた。鳥獣(鳥型のポケモン)達は、どうやら他の獣(ポケモン)にわからない、自分達だけしか知る事が出来ない特殊な言語を持っているようである。そして、この事も言えるだろう。非力な小鳥達は、この辺一帯には一匹も住んでいない事を。“う〜ん、もしかしてこの森に生息ルールでもあるのか?”俺は、聞く事が出来る小鳥達の声が、全く聞こえて来ない事に疑問から一つの推測を立てた。“まぁ、いいか。ソル達に聞けばわかる。”推測を立てた後、一番手っ取り早く自分の疑問を解決する方法に気づいた所で、これ以上に考える事をやめ、腕時計へ目を向けた。

【7:30 A】
「おっ、7時30分か。6時間は寝たという事か。」

腕時計で時間を確認し終えると、俺は起床してから最初の欠伸(あくび)を出した。俺の欠伸(あくび)をする様子は、この森で決闘している者とは思えない程の気の抜けた欠伸(あくび)かつ、自分の口内に存在する小さな犬歯を垣間見せた、可愛らしい欠伸(あくび)だったと思われる。鏡を見ていないので、可愛らしいかどうかは不明瞭(ふめいりょう)であるが、俺と同じ見た目の者は、成長しても、多くの雄が愛らしい見た目を携える。ピカチュウという鼠獣(そじゅう ネズミ型のポケモン)に属しているので、そうであったのではないかと推測する。俺は、自分を全く可愛いなんて思った事は無いが、どこかで可愛らしい表情を見せてしまうのは、成長しても愛らしい獣(ポケモン)に属してしまった者の宿命である。以上に述べた事を真っ先に考えたので、俺は、欠伸(あくび)をし終えた後、周りに自分の垣間見せた表情を指摘する者がいないかどうかを、周りを見回してつい確認してしまっていた。

709適当:2013/04/20(土) 13:26:40 ID:eUXtx3Qk
幸い、洞窟の住民である彼と彼女は、俺の近くにはいなかった。もし、彼達のどちらかが俺の欠伸(あくび)を見ていたとしたら、彼は“ピカチュウさんも、可愛い所があるんですね。”と同じ内容の言葉を俺に言い、彼女は“お前らしくない。雌みたいだな。”と同じ内容をぶつけるだろう。“ソルがいなくて良かった。アイツは、何を言ってくるかわかったものじゃない…。”俺は、後者である彼女が、自分が垣間見せた表情を見ていない事に“ほっ”と胸をなで下ろして安心した。“そういえば、昨日風呂に入ってないな…。近くに川は無いか…。”安心し終えた後、俺は立ち上がり、スーツのポケットから地図と方位磁石を取り出した。一昨夜行った場所とは違う川が、どこかに無いかと地図に目を通すと、南の山小屋よりも自分の現在地に近い“南の小川”という日本語表記と日本語表記の下に左ナナメに引かれた3本の線があった。“よし、走れば1時間以内につくだろう。さて、方向は…。”俺は、片手で地図を広げたまま持ち、方位磁石をもう片方の手に乗せて、方向を確認した。“よし、右だな。”と自分の目的地の方角を確認し終えるも、俺はある疑問を思い浮かべた。俺が思い浮かべた疑問とは、地図に示されている西の洞窟という所が、自分の本当の現在地なのかどうかという事である。“地図に他に洞窟(どうくつ)という表記があるかもしれない”と考え、地図に満遍なく慎重に目を通すが、洞窟(どうくつ)という表記は西の洞窟1つであった。

710適当:2013/04/20(土) 13:28:02 ID:eUXtx3Qk
“俺がいる所は、西の洞窟(どうくつ)…で良いんだよな?”いくら地図に目を通しても、他に洞窟(どうくつ)の表記が存在しなかったので、困惑した表情を浮かべつつ、地図と方位磁石をスーツの右ポケットに収めて、行動するか否かの選択肢、どちらが良いのかを検討し始めた。“レオに訊いた方が早い。だが、レオは疲れているかもしれない。ソルは、昨日起こしてしまったからな。ソルも起こすワケにはいかない。”彼達が、俺を助けた後、食糧の調達をする事を行った事で、どれ程の疲労を抱えているかは知らないが、俺は彼達に恩を売られ、彼女に迷惑をかけてしまった。故に、寝ている所をワザワザ起こして、自分の現在地が“西の洞窟(どうくつ)”で合っているかどうかを訊ねるような、無礼な働きはこれ以上出来ないのである。“よし。たぶんここは西の洞窟(どうくつ)だ!!
もし間違えても、道中に印をつければ、ここへ戻る事が出来る。”俺は、サバイバル生活の基礎が頭の中に入っていたので、地図にある唯一の洞窟(どうくつ)の手前に、今、自分がいると信じ、右を向いて、この日最初の目的地へ駆け出した。

711適当:2013/04/20(土) 13:34:04 ID:eUXtx3Qk
南の森の小さな川


「はぁ…はぁ…。よし、着いた。」

俺は、彼と彼女が住処(すみか)とする洞窟(どうくつ)から、目的地まで駆け出し、途中、“木を見つけては印をつけ、木を見つけては印をつけ”という作業を繰り返しつつ、更に途中で水の流れる音を頼りに足を速めたおかげで、地図に示されていたもう1つの川へとたどり着いた。かなり短時間で目的地にたどり着くために、高速移動を途中で、二、三度用いて速度を速めて駆けていたせいか、激しい息切れに襲われていた。呼吸を落ち着けた所で、水の流れる音を放っている根源へと目を向けた。北の川とは違って、南の小川の両端には、砂利(じゃり)ではなく緑が生い茂っていた。両川岸の近くには、北の川と同じく木々が並んでいたが、川までの距離は、約10メートル程離れていた所に位置していた。“結構大きい川だな。小川と書いてあったが、本当にそうなのか?”俺は、目の前に広がる、自然が作り上げた雄大な景色のを見て、少し首を傾げるも、川へ歩を進めた。川の近くの川岸までたどり着き、俺は刀のヒモを緩めて、決闘で用いる武器と刀と腰に引っ掛けている二つの予備弾薬を川岸へ置いた。“誰も見ていないよな?”闘う為の武器を緑が生い茂る川へと置くと、都会で暮らしていた時の、“入浴する姿は、誰にも見られない事が当たり前だ。”という考え方からのくせか、それとも、誰かに生まれた時の姿を目撃される事が、単に恥ずかしいと思ってただけか、俺は周りを見回し、誰もいない事を確認してから、スーツを脱ぎ、自然にだけ自分の生まれた時の姿を提示した。“さて、入るか。”全ての準備を整え(といっても、ただ裸になっただけだが。)終えた俺は、ゆっくり歩を進め、川の中へ足を入れた。

「冷たぁ!!…やっぱり、朝でも冷たいか。」

川の中に足を入れた途端、一昨日(おととい)の夜に川で体を洗った時に感じた、冷たさに引けを取らない冷たさを感じ、俺は一昨日(おととい)と同じように声を上げてしまっていた。唯一、一昨日(おととい)の川で体を洗う事よりマシだと思った所は、風が無い事であった。一昨日(おととい)は、川の水に対して寒いと言ったが、よく考えたら風の影響もあったであろう。風が無ければ、体に水を当てる度に、“寒い!!寒い!!”とうろたえ無かったかもしれない。朝の川の水は、最初は冷たさに驚いて声を上げてしまうが、慣れれば心地の良いものであった。

712適当:2013/04/20(土) 13:37:02 ID:eUXtx3Qk
俺は、朝の川の水温に慣れた所で、頭、耳、首、腕…と徐々に体を洗い進めていた。洗い進めている途中、自分のすぐ近くから声が聞こえて来た。

「おっ、仁。早いな。」
「え?」

俺は、声が聞こえて来た方向に目を向けた。“何か聞いた事ある声だな…。”と思いつつも、声を掛けて来た相手の確認をして、俺は“うわぁぁぁ!!”と驚いて声を上げながら、川へ尻餅をついてしまった。俺が、驚いた様子がよほどおかしかったのか、彼女は川へ座り込み、腹を押さえて笑い出した。

「くくく…、あはは…あーはっはっは!!仁、そんなにビックリしたのか?」

笑う彼女と対象に、俺は怒号を彼女へ飛ばした。

「当たり前じゃないか!!だって俺は、はだ…」

俺は頭の中にある事を思い浮かべて、彼女へ驚いた理由を告げる事を途中で止めた。彼女は、この森に住んでいる生き物である。俺が考えている、服を脱いだ姿を見られる事が“恥ずかしい”という、文化的な生活を送っている者が誰しも感じる感情を彼女が知っているはずがない。森に住んでいる者にとって、裸を見られる事に“恥ずかしい”という概念など元々、存在していないのである。以上に述べた事が、彼女に怒号を飛ばしている途中に、思い浮かんだので、俺は、自然と口を閉ざし黙り込んでいた。俺の急過ぎる対応の変化に、彼女は訳が分からず、首を傾げて、俺へ訊ね返した。

「はだ?裸って言おうとしたのか?」
「いや、なんでもない。君が、気にする必要は無い。」
「ふ〜ん、変なヤツだな。」

俺が、質問に答えずにはぐらかしている事に、質問に答えるように追求せず、彼女は、俺に一言だけ告げ、体を洗い始めた。変なヤツと思われて構わない。裸の恥ずかしさの概念を持たない者に、裸がどんなに恥ずかしいかを説明出来るハズがないのである。説明した後も、“はぁ?”と首を傾げられるだけであろう。俺は、彼女へは説明しようが無いと判断し、彼女の質問を答える事を避けた。それから、しばらく彼女が、川の水温にうろたえずに、悠々(ゆうゆう)と体を洗っている様を見つめていた。俺は、川の水温にうろたえてしまったので、彼女へ川の水温について訊ねてしまっていた。

713適当:2013/04/20(土) 13:41:48 ID:eUXtx3Qk
「ソル、冷たくないのか?」
「冷たい?冷たくは無いだろう。」
「え?」
「今よりも冬の方がきついぞ?これは、気持ちいい位だ。」

“あ、ああなる程…。結局、俺が大げさ過ぎるだけか…。”彼女は、平然と俺の質問に否定の意思を示し、“今はまだマシである。”と断言して来た。俺は、彼女の意見を素直に受け入れ、彼女へは反論せず、再度彼女が体を洗う様子をじっと眺めていた。彼女は、ほんの一、二分は、俺の目線を無視して体を洗っていたが、川に入ったまま何もしない俺に横目を向け、俺へ質問と要求を出して来た。

「ふぅ…。仁、お前は体を洗い終わったのか?」
「え?」
「洗い終わったら、私の背中を洗ってくれないか?」

彼女は、自分が伝える範囲を全て洗い終わったと主張しているが、俺は未だに自分が洗える範囲を全て洗い終わってはいない。だが、俺は彼女の要求を耳に入れ、“洗ってないと言ったら、洗うまでずっと俺を見るかもしれない。それは、恥ずかし過ぎる。”と思い込んでしまったので、彼女の要求を受け入れ、彼女の背後に歩を進め、彼女の背中を洗い始めた。彼女の背中は、自分の彼女との“洗いっこ”と同じ要領、力加減で洗い進めた。すると、彼女は心地良さそうに、感想をつぶやいた。

「ああ…、気持ちいい…。」

“レオは、たぶんコイツの彼だな。レオに、洗ってもらった事は無いのか?”あんなに睦まじい彼と彼女の二匹が、“洗いっこ”という行為を行っていないハズは無い。が、俺は彼女へその質問を訊ねた。

「レオには洗ってもらった事は無いのか?」
「いや、あるぞ。ただ、レオは、ちょっと洗い方をわかっていない。」
「あっはっは。という事は、俺の方が気持ちいいって事だな?」

俺は、相槌(あいづち)を打たせるような質問を彼女へぶつけたが、彼女は笑いつつも、俺の質問へ否定の意思を示し、俺の行為を早める事を要求して来た。

「ふふ、調子に乗るな。早く洗え。」

彼女の期待外れの返答を受けて、俺は呆れ、彼女へ失望した事を伝えた。

「はぁ…。あ〜あ、可愛くない雌(ヤツ)だな。君って雌(ヤツ)は。」
「可愛くなくて構わん。私は、お前に気が無い。」
「なる程、レオにならもっと可愛くするという事か。」
「ふふ。黙れ、かまいたちをぶつけるぞ。」

714適当:2013/04/20(土) 13:47:48 ID:eUXtx3Qk
彼女は、嬉しそうに俺へ意見の抑制を図(はか)って来た。彼女の返事を受けた後、俺はため息をついて、“わかった。”と一言だけ伝え、彼女の背中を洗い進めた。ようやく彼女の背中を洗い終え、俺は腕時計へ目を向けた。腕時計の時刻表示画面には、【8:40 A】と示されていた。“あの洞窟(どうくつ)からは、そんなに時間が掛からなかったのか。”腕時計の時刻表示画面を確認し終えた後、俺は“意外と西の洞窟(どうくつ)から近い所に川があったな。”と密(ひそ)かに驚いていると、彼女が、俺が今、唯一身につけている物について訊ねた。

「仁、それは何だ?」
「ん?これか?」
「うん。昨日、お前は災いを予知する道具とか言ってたが…。それは本当か?」

“そうか、ソルにはキチンと説明していなかったな。”俺は、彼女の返事を受け取り、自分が今、唯一身につけている物の説明を行った。

「コイツは、本当は時間を知る道具なんだ。」
「時間?こんな小さい物で?」
「ああ。君達は、おそらく太陽や月の位置、影を見て今の時間を知ると思うが、俺はそんな事は出来ない。俺は、コイツを使って時間を知る。」
「それは、すごいな。」

彼女は特に驚く様子も無く、微笑みをむけ一言だけ受け取った。“ここで、調子に乗ったら、また、コイツに何か言われるな。黙っておくか。”彼女の返事を受け取った後、俺は“そうだな。”と彼女を相槌(あいづち)を打つ以上の言葉は発さなかった。俺の相槌(あいづち)を耳に入れた彼女は、俺が今、直面している問題について訊ねて来た。

「仁、お前は“ジュカインのおじいさんと闘う為にここへ来た。”と言ったよな?」
「ああ。」
「う〜ん、どうやっておじいさんがこの森にいるか、どうかを知る?どうやって、おじいさんのいる場所をつきとめる?」

“場所といるか、どうかか。いるのはわかるが、場所は、指向性マイクだけじゃ心細いな。”彼女の質問に全て答える事は、あまりにも早過ぎる判断であると、俺は、彼女へ腕時計を提示して、一部の質問に答えた。

「それも、コイツでわかる。一番右に何かがあるだろう?」
「え?あっ、この三角みたいな変な記号の事か?」
「ああ。これは、“エー”という名前の記号で、コイツが一番右に出ていたら、あのじいさんはいる。出ていなければ、あのじいさんはこの森にはいない。とわかる。」
「出ていない?出ない必要があるのか?」

715適当:2013/04/20(土) 13:53:22 ID:eUXtx3Qk
“そうか、ソルはあのじいさんがずっと森にいると思っているんだな。”俺は、彼女の質問に嘘の事実を混ぜて答えた。

「ああ。あのじいさんは、魔法使いなんだ。」
「魔法使い!?お前、そんなヤツと闘っていたのか!?」
「そうだ。だが、あのじいさんが使える魔法は、この森と外の世界への行き来だけだ。だから、腕時計(コイツ)に出ない必要があるんだ。あのじいさんは、サバイバル…。いや、自分で食べ物をとって食べるなんてしないからな。」

俺の発言を耳にした彼女は、口元に前足を添えて“くすくす”と笑い、俺が予想もしなかった話の捉え方で、俺へ言い放った。

「ふふ。仁、じゃあお前も魔法使いだ。」
「は?」
「考えたら、魔法を使っている相手の存在を知る道具を持っているお前も、魔法使いだと思うぞ?」

“え?ええ!?そ…そんな風に聞こえたのか…。ああ…、言い間違えた。”彼女に、話をどう捉えさせるかを操っていたのは自分である。彼女には、とんだ嘘を話してしまった。故に俺は、心の中では頭を抱え、彼女へは、嘘を隠すように、“あ、ああ。そうだな。”間を開けず言い返す事しか出来なかった。彼女は、彼女は、俺を魔法使いと完全に勘違いしてしまったのか、俺へ何かを期待するような眼差し(まなざし)を向け、とんでもない質問を行って来た。

「仁、お前が昨日見せた“バーン!!”って音が鳴る道具も、実は魔法が掛かっているんだろう?」
「違う。」
「え?」

彼女は、俺の否定の返事を受けると、きょとんとした表情を浮かべた。俺は、彼女へ語った事へ矛盾しないように、彼女へ真実を話した。

「君が、何を思っているかはわからないが、俺は魔法なんか使えない。腕についている道具以外は、魔力なんか掛かっていない。あのじいさんも、この森と外の世界への行き来以外は、魔法なんか使わない。そういう約束をして、勝負をしているんだ。」
「え?ええ!?そ、そうなの?」

彼女は、俺から真実を聞いて、普段の振る舞いとは違った雌らしい驚き方と口調で、俺へ訊き返してしまっていた。彼や、彼女を知る他の者が見たら、“意外”と思うかもしれないが、俺は彼女の反応に対して何も思わず、黙ってうなずいた。“魔法使いなのに、魔法を使わないで武器で攻撃するのは、さすがに驚くよな。”俺は、彼女が驚いたまま口を開けて、呆然としている様子に同感を覚えた。

716適当:2013/04/20(土) 13:55:46 ID:eUXtx3Qk
彼女は、俺へ反応を示し終えると、俺へ何かを言おうと、一旦口を閉じ、再度口を開こうとするが、彼女と俺の真横から、聞き覚えのある大きな声が聞こえて来た。

「あっ、師匠ぉー!!ピカチュウさ〜ん!!」
『は?』

俺と彼女は同時に発声し、同時に声のする方へ目を向けた。声を掛けていた主は、眠らされた俺を、彼女と一緒に洞窟の中へ運んでくれた彼であった。彼は、俺と彼女の顔を見ると、俺と彼女の元へ駆け出した。俺と彼女と同様に川へ足を踏み入れた。“レオにも、裸を見られたか。だが、ここではそれが普通なんだ。”彼が急接近して来ても、俺は“恥ずかしがって自分の股間を両手でおおう”という事はせず、平然とした態度を貫いた。彼は、俺と彼女へ話しかけ始めた。

「師匠、やっぱりここにいたんですね。ピカチュウさんも。」
「ああ。体を洗いたかったからな。」
「あれ?でも、ピカチュウさんこの森に住んでいないですよね?どうして、ここがわかったんですか?」
「あっ、確かにそうだ。じ…いや、お前、どうしてここがわかったんだ?」

“それも、そうだな。俺が、何も見ずにここへ来られたのはおかしい。だが、それをどう説明するか…。”彼と彼女に質問を受けても、俺はすぐに答える事はせず、“どう伝えようか。”とあごに手を添えて考え始めた。すると、彼は俺に期待の眼差し(まなざし)を向け、俺へ質問を行って来た。

「もしかして、勘でここに来れたんですか!?」
「は?いや…」
「そうですよね?いやぁ〜、ピカチュウさんはやっぱり凄いです。強いピカチュウの勘が、こんなに鋭いのもうなずけます。強い雄は、勘も冴(さ)えるんですねぇ〜。」

彼は、俺の否定の返事を押し切って、俺をほめちぎり、自分自身で納得していた。“そういうワケじゃないが、面倒臭いからそうしておこう。”と彼へ、真実を話す事を拒み、黙っていると、彼女がいたずら気に微笑み、彼には決して伝えてはいけない事を言い出した。

「ふふふ、ここを魔法で探し出したワケだな。」

“あっ…しまった!!”俺は、あわてて彼女の口を急いでふさぎ、彼女の次の言動を阻止したが、彼は驚いて嬉しそうにはしゃぎ、俺へ彼女の発言が本当かどうかを確かめ出した。

717適当:2013/04/20(土) 13:58:46 ID:eUXtx3Qk
「ええ!?ピカチュウさん、魔法使いだったんですかぁ!?」
「違う。落ち着け。ソルの言った事は、ウソだ。俺は、魔法使いなんかじゃ…」
「ああ〜!!だから、昨日の“バーン!!”って大きな音が出る道具を持っていたんですね?もしかして…、昨日から背中につけていた長い棒は杖ですか?」

“はぁ…。こ、コイツらぁぁぁ!!”彼もまた、彼女と同様の意見を言い、更にとんでもない質問を行って来た。俺は、自分が伝えた内容が全て否定され、勘違いされた事に腹を立て、彼へ怒号を放とうとしたが、彼がふざけているようには、見えない。彼は、自分の中の疑問を解決したくて、俺へ質問をしているだけであろう。俺は、一瞬で“もしも、自分が彼の立場だったら”という事を考え、彼へ怒号を放つ事をやめ、また、彼女もいるので、彼女に話した内容を嘘にせず、彼の質問に答えた。

「レオ、あれは刀といって、敵を倒す為の道具。杖なんかじゃない。」
「かたな…。敵を倒す為の道具…ですか?」
「へぇ〜!!凄いですねぇ〜!!ピカチュウさん、敵なしじゃないですかぁ!!」
「あ、ああ。そうだな。」

彼が素直に驚き、俺をほめたたえている事に、俺はうなずくしか出来なかった。本当は、遠い敵を“倒す”のでは無く、遠い敵を“殺す”が正しい。だが、俺が正直に、“昨日見せた武器は殺す道具だ”と言うと、彼は悲しんでしまうだろう。彼が、はしゃいでいる姿を崩す事など、俺には到底出来なかったのである。彼は、はしゃぎつつも俺に新たな要求を行って来た。

「あはは、ピカチュウさんちょっとお願いがあるんですけど…。」
「お願い?何だ、それは?」

俺が、彼へ訊き返すと彼は、よっぽど俺に聞き入れられて欲しかったのか、相手が雄であるにもかかわらず、俺に甘えるような目を向け、要求の内容を語った。

「背中を洗ってくれませんか?」
「え?君、そこにソルがいるのだから、ソルにやってもらえばいいじゃないか。」
「ピカチュウさんじゃなきゃダメなんです!!」
「は?」

“あれ?コイツ、もしかして同性愛者(ホモ)だったのか?”彼は、“俺でなくてもいいだろう。”と俺に反論されるも、俺に強く要求して来た。俺は、彼の意図がわからず、彼へ訊ね返し、自分の頭(なか)で彼の仮説を打ち立てた。彼女は、俺が抱く疑問を汲(く)み取ったかのように、彼へ好奇の目を向け、彼へ訊ねた。

718適当:2013/04/20(土) 14:02:54 ID:eUXtx3Qk
「レオ、君って雄も好きなのか?」

彼女の質問によっぽど不快感を感じてしまったのか、彼は怒りの表情を浮かべ、彼女へ強く、否定の意思と理由を示した。

「そんなワケないでしょうがぁぁぁ!!俺はただ、昔を思い出したいだけです。」
「あはぁ〜、仲間の雄に背中を洗ってもらった事を再現したいだけか。」

彼女は、彼の言い分に納得しているが、俺は彼達だけしか分からない事は当然わからなかったので、彼へおもむろに訊ねた。

「レオ、昔を思い出したいって何なんだ?」

彼は、俺の質問を受けて、一瞬“え?”と訊き返し、黙るが、俺が質問を行った理由をすぐに理解し、俺に背中を洗われる事を望む、真意を語り出した。

「俺は、最初からグラエナじゃないんです。」
「え?グラエナじゃない?」
「はい。俺は、一度死んでいます。俺は、元々群れの中の一匹の狼だったんです。」

彼が、俺に語った内容は、耳を疑いたくなるものであった。彼は、“自分は、狼からグラエナに生まれ変わった”と言って来たのである。“生まれ変わりがあるハズはない。”と、彼へ直接返答はしないが、表情で彼の言い分を否定していると、彼は、真剣な表情を浮かべ、俺の心の中を読みとったかのように言った。

「信じられないかもしれません。ですが、これは事実です。師匠にも話して、最初は疑われましたが、今は師匠も信じて俺と一緒にいてくれています。」
「え?じゃあ君は、狼の頃からソルに会っているのか?」
「はい。師匠、俺の体が真っ白な理由を話してくれませんか?」

彼の頼みを受けて、彼女はうなずき、俺へ彼の体が真っ白に染められている理由を告げた。

「私が、レオのグラエナの部分を無くしたのは、レオが狼だった事を自分にわからせる為だ。」
「どうして?」
「私は、グラエナが嫌いなんだ。だから、グラエナの型(かたち)で転生したレオをグラエナと認めたくは無い。レオが、前と似たような姿で生まれ変わったのは、私も嬉しい。だけど、ここは譲るわけにはいかない。レオを真っ白にしたのはその為だ。」

“なる程。”彼女は、“昔の彼の面影”を今も見ていたいと言いたかったのだろう。彼女は、彼の生まれ変わった姿が嫌いと言っているが、嫌いであろうが好きであろうが…あるいは、生まれ変わる姿にこだわらなかろうが、彼の体を真っ白にし、彼の昔の姿を今の彼へ投影するのではないかと思う。

719適当:2013/04/20(土) 14:06:32 ID:eUXtx3Qk
俺の納得の意は、彼女が語る理由を、ただ真っ直ぐに受け入れたのでは無く、自分自身の推測も混(ま)じえていた。だが、彼女は雄勝りな性格であり、反論される事を嫌うと俺は考え、特に何も言い返さず、彼女へ微笑みかけ“そうか。”と一言、納得の意を示した。俺が納得の意を彼女に示し終えると、彼は俺に背中を向けて川の中へ座り、“じゃあそんな理由(ワケ)で、お願いします。”と俺へ頼んだ。俺は、彼が自分に背中を洗ってもらいたい理由を理解し、彼へ“じゃあ、行くぞ?”と合図を送り、彼が返事を返した所で、彼の背中を洗い始めた。俺は、背中を洗っていても、彼がどんな心情を抱いているのかがわからないので、彼へ自分の行為の感想を訊ねた。

「レオ、どうだ?」
「最高です。なんか、仲間に洗われている気分です。」
「は?俺は、結構力を抜いてやっているつもりだが。」
「あはは、狼なんですから力は無いですよぉ。今のピカチュウさん位の力ぐらいです。」

“雄同士の洗いっこは、力を入れてるのが当たり前だと思っていたが、俺の加減した力程の、力しかなかったのなら仕方ないな。”俺は、自然と彼の背中を、彼女の背中を洗った時と同じ力加減で洗っていた。彼の驚くべき発言を受けるも、“狼は戦闘獣(ポケモン)じゃない。動物なんだ。それが当たり前だ。”と自分に言い聞かせ、彼へは、何も言い返さず、彼へは“そうか、意外だな。”とだけ返し、彼の背中を洗い進めた。俺は、彼の背中を洗い進めているので、彼の表情は確認出来ないが、行為に参加していない彼女は、彼の表情を見て、いたずら気に微笑み、彼へ意地悪気に質問を行った。

「ふふふ、レオ、私とこの雄とどっちが気持ち良い?」
「え〜、そりゃあもうピカチュウさんですよぉ〜。師匠も洗ってもらったらどうですか?とっても上手ですよ?」

彼の返事を受けた彼女は、突然、無表情を浮かべ彼の頭をはたいた。彼は、彼女に頭をはたかれて、“いったぁぁ!!もう、何するんですかぁ!!”と悲痛の声と彼女の行為が“間違えている”という風に言い放った。彼女は、少し怒りの表情を浮かべ、彼へ頭をはたいた理由を告げた。

720適当:2013/04/20(土) 14:09:37 ID:eUXtx3Qk
「“何するんですかぁ!!”じゃない!!そこは、私の方が気持ちいいと言う所だろう!!」
「いてて…。だって師匠、強くゴシゴシするんですもん!!」
「つ、強くとか言うな!!私が、乱暴にしているみたいだろう!!」
「だって、事実じゃないですかぁ!!」

彼女は乱暴者では無い。昨夜、彼女の優しさに触れた俺は、彼女が気にしている事を思ってはいない。彼女が、俺に乱暴者と思われたくない理由(ワケ)は、俺に素直さを見せ、また、俺を本当に仲間だと認識していた為であろう。彼女は、俺を名前で呼ぶ程俺を信頼しているので、彼女が俺に乱暴者と思われる事を気にしている事がうなずけるだろう。彼と彼女は、その後いがみあっていたが、俺は彼の背中を洗い終えたので、彼へ合図を送った。

「よし、終わったぞ。」
「じゃあ、普段から強くしなけ…、あっ、え?ありがとうございます。」
「さて、君達ケンカはまた今度にしてくれ。今、この森のどこかにあのじいさんがいる。」
「え?」
「レオ、君には、なんであのじいさんがいるかがわかるかを言わなかったが、わかるな?大きな声を立てると見つかりやすくなってしまう。ここは、広い。そして、俺と君達は川の中。隠れてすらいない。声で簡単に見つかって撃たれる。」

彼は、俺が真剣な表情で大きな声を立ててはいけない理由を語った事を耳にして、申し訳無さそうな表情を浮かべ、“すみません、ピカチュウさん。うかつでした。”と謝罪して来た。俺は、彼の表情を見て、彼へ微笑みかけ、“いいんだ、次から気をつけてくれれば。”と返答し、川から川岸へ歩を進め、スーツを着て、腰に2つの予備弾薬を引っ掛け、刀を背中に結びつけ、決闘で用いる武器を手に持った。全ての装備品を身につけた後、“腹が減ったな…。”とお腹を抑えながらつぶやくと、彼は“この先に、木の実が成熟(な)っている木があります、そこへ行きましょう。俺と師匠が案内します。”と言って来たので、俺は彼に従い、彼と彼女を先頭に、彼が案内する先へと歩を進めた。

721適当:2013/04/20(土) 14:13:10 ID:eUXtx3Qk
レオ視点
南の小川の川沿い

さぁて、ピカチュウさんを木の実がある所まで案内するぞぉ〜!!この先には、オレンにチーゴに、師匠の好きなカゴの実に、随分前に埋めたモモンが実っていると思う。モモンは、本当は北の川を超えた先にある沼みたいな池みないな、どっちかわからない所にあるけど、そこまで行くのはちょっと大変だから、せっかく採って来た2コのモモンの実を埋めて、育てて増やしていた。モモンの実を今食べるより、数を増やした方がいいって提案したのは、師匠。実は、モモンの実を運ぶ以外、俺は何もしていない。俺は、木の実の育て方なんてわからないから、師匠に頼むしかない。「木の実には、埋めて水をあげるだけで勝手に育つ木の実と、そうじゃなく、とても繊細な木の実があるらしい。モモンの実は、繊細の方に入るかもしれない。」と師匠は、モモンの実を埋めた後に断言し、俺がお願いしなくても、一生懸命、モモンの実のお世話をした。師匠の努力の結果があってか、モモンの実はたくさんの実をつけた。あっ、愛情も忘れたらダメだったね。師匠が頑張ったから、モモンの実はたくさんの実をつけ、俺をワクワクさせている。ところで、俺のワクワクの理由は、実は、これからおいしい木の実を食べられるからってだけじゃない。このピカチュウさんが、こんなにおいしい木の実を食べたら、どんな事を言って、どんな顔をするんだろう?とピカチュウさんの反応もすごく楽しみにしている。ピカチュウさんは、雄らしいけど、少し落ち着きがあるから、初めてモモンの実を食べた俺みたいに、「おいしい!!」って大きな声を出して喜ぶのか、それとも静かに「おいしい」って、おとなしい態度でいる、どちらのピカチュウさんが見られるのかは、俺には想像がつかない。だから、ピカチュウさんがモモンの実を食べた時の反応も楽しみにしている。師匠ももしかしたら、俺と同じ事を考えていたりして。師匠、ピカチュウさんを嫌いとか言っていたけど、本当に嫌いなら、あの時眠ったピカチュウさんを、洞窟(どうくつ)になんか連れて行ったりしないし、何気に、昨日は食事をしている時にピカチュウさんと楽しそうに喋ってた気がする。師匠は照れ屋さんだからなぁ。

722適当:2013/04/20(土) 14:16:12 ID:eUXtx3Qk
あっ、こんな事考えている内に、モモンの実まではあともうちょっとの所まで来た!!一応、ピカチュウさんに…。俺は、ピカチュウへモモンの実まで、もう少しという事を言おうとふと後ろを振り返ると、ピカチュウさんは俺と師匠のすぐ後ろにいないで、俺と師匠から離れた後ろで、どこかを見て立っていた。あれ?どうしたんだろう?ピカチュウさんがお腹の空きも忘れて、立ち止まる程の物は、「何かなぁ?」と思って、ピカチュウが見る方を見ると、緑色の木の実が成っていた。これ…、なんだか、前に師匠が俺の顔と体を白くした木の実と似ている気がする。そう思いながら、俺は師匠にピカチュウさんが見ている緑色の木の実の事を自分の予想を混ぜて訊ねる。

「師匠、あれってもしかして…」
「ああ。君を白くした木の実の緑色の木の実だ。中身は、白いヤツと同じくベトベトしていて、塗って乾かせば、水でもなかなか落ちない。」

ですよね。やっぱり、俺が思ってた通りだった。う〜ん、それにしても、ピカチュウさんはこれで何をするつもりなんだろう。これ、食べられないんだけど…。と俺が、緑色の木の実をじっと見つめるピカチュウさんを「不思議だなぁ。」って眺めていると、ピカチュウさんは小さな声で“使える。”と言って、緑色の木の実まで走り出す。え?使える?何に、使うんだろう…。とピカチュウさんが木まで走って、木に昇って、今から緑色の木の実を採ろうとしている所を、「なんでだろうなぁ。」って眺めていると、師匠が何かを企むような、嫌な顔で笑って、緑色の木の実がある所とは違う方へ向いて、俺に言う。

「ふふ。レオ、この辺に白いヤツがあるぞ。ついでに、君のを塗り直しておくか。」

師匠は、また俺の顔にベタベタした白い木の実を塗ると言って来たけど、俺の答えは、首を振って「いやです!!」の一択だけ。だって、あの白い汁気持ち悪いんだ。せっかく、ピカチュウと、これから楽しくご飯を食べに行こうとしているのに、こんな嫌な事はされたくない。師匠は、俺の返事を聞いて、「あはは、冗談だ。まだ、剥がれ落ちてないからな。」って笑って返してくれたけど、何か信用出来ない。ま、いいっか。師匠も、モモンの実を食べたら、俺が嫌な事…忘れるんじゃないかな?と俺は、考えて出来るだけ居たくないこの場所から離れようとピカチュウさんを呼びかけようとした時、ピカチュウさんは緑色の木の実を俺と師匠がいる所へ持って来た。

723適当:2013/04/20(土) 14:20:13 ID:eUXtx3Qk
採って来ちゃったよ…、これ、食べ物じゃないよ?俺は、ピカチュウさんがたぶんわかっていないだろうと思ってピカチュウさんに言う。

「あの…。それ、食べられませんよ?」
「ああ、わかっている。コイツは、食べようと思って持って来たんじゃない。」
「え?じゃあ、何の為に持って来たんですか?」

食べ物じゃないってわかってるのに、持って来た。これって色を塗る以外、使う目的が無いけど…。と俺が思おうとした時、ピカチュウさんは、緑色の木の実をいつの間にか手に持っていた、鋭く黒い小さい…剣(つるぎ)?あれって、師匠から教えてもらった剣(つるぎ)にちょっとだけ似ている気がする。剣(つるぎ)を使って、緑色の木の実を割り、鋭く黒い小さい剣(つるぎ)を、ピカチュウさんが身につけている白いののどこかに入れた。その後すぐに、ピカチュウさんは緑色の木の実の緑色の汁を掬(すく)って、手に取っていたから、もしかして、食べれないってわからないんじゃないかなぁ?と、ピカチュウさんが、「わかっている。」と前に言った事を疑って、ピカチュウさんへその事をもう一回言おうとした時、ピカチュウさんは驚く事をし出した。ピカチュウさんは、身につけている白いのの、ところどころに、緑色の汁を塗り始めた。俺は、驚いてあわててピカチュウさんを止める。

「ピカチュウさん!!何をしているんですか!!そんな事しちゃダメですよ!!」
「レオ、俺は興味本位でやっていない。着飾る為になるか、やっていない。勝つ為にやっているんだ。」

ピカチュウさんは、そう言って、俺を無視して、体に緑色を塗っている。手に、緑色の汁が無くなっては、緑色の汁を掬(すく)って、体に塗るという事を繰り返している。うわぁ…、何してるんだろう…。俺は、ピカチュウさんの言った事を考えようともせず、目の前で理解出来ない行動をするピカチュウさんに対して引いていた。師匠も、俺と同じ態度でピカチュウさんを見ていた。ピカチュウさんがついに顔にまで緑色の汁を塗ろうとした時、師匠は、嫌そうな顔をして、ピカチュウさんへ目的を訊ねる。

「お前…、何がしたいんだ?」

ですよね…。俺も同じです、師匠。俺は、師匠の言う事にうなずき、ピカチュウさんへ「止めた方がいいです。ピカチュウさんには、こんな事して欲しくありません。」とピカチュウさんの行動を止めさせようとした。だけど、ピカチュウさんは、俺の言葉を無視して、俺と師匠へ驚く事を言う。

724適当:2013/04/20(土) 14:24:57 ID:eUXtx3Qk
「君達、俺と同じようにコイツを体に塗れ。」
「え?ピカチュウさん、もう一回言っ…」
「わかった。何度でも言う。コイツを体に塗れ。」

は?え?えええええ!?な、何言ってるの?ちょっと!!ピカチュウさ〜ん!!ピカチュウさんの返事を聞いて、俺と師匠はそれぞれ、「ええ!?」「はぁ!?」って声を上げた。ピカチュウさんは、驚いている師匠と俺を気にする事なく、緑色を塗って欲しい理由を言う。

「俺に協力してくれるのは、ありがたい。だからこそ、俺の足手まといになって欲しくは無い。」
「あ、足手まといって!!ピカチュ…」
「レオ、よ〜く考えてみてくれ。緑が多い森の中を、白色のヤツが3匹固まっていたら、目立ってすぐにバレてしまうだろう?」
「え?」
「俺が言いたいのは、森の色を利用して、森に隠れあのじいさんに見つからないようにする。そういう事だ。」

あっ…ああー!!そういう事かぁ〜。なる程ねぇ〜。俺は、ピカチュウさんから、体に緑色を塗って欲しい理由を聞いて納得し、ピカチュウさんへ「そういう事なら、わかりました。」と言って、緑色の汁を前足で取ろうとした時、師匠が、俺を厳しい顔で俺を止める。

「レオ、やめろ。この雄に従う必要は無い。」
「え?でも…」
「命令だ。塗るな。」
「うぅ…、わかりました。」

そこまで言うなら、仕方無いよね。師匠が塗るなって言ってるし、俺も正直塗りたくない。でも、なんか師匠って非協力じゃないかなぁ〜?手伝うって言ったのに、これじゃあまるで手伝う気が無いと思うけど…。俺が言い終えると、ピカチュウさんは怒って、俺が心の中で思ってる事を師匠へ言う。

「ソル!!君、協力する気があるのか!!見つかると言っているじゃないか!!昨日、君に言ったよな?見つかった時点で負けると。」

師匠は、ピカチュウさんに起こられても、謝ろうとはせず、言い方は悪いけど…。ふてぶてしい態度で、ピカチュウさんの意見をはねのける。

「だから、何だ?私は、協力すると確かに言ったが、“お前に従う。”とは一言も言ってない。」

「こ、こんな事言っては、ダメじゃないですかぁ!!師匠ぉ!!」って、師匠の口を塞いで師匠を止めようとしたけど、師匠は、ピカチュウさんへ言ってはいけない事を言う。

725適当:2013/04/20(土) 14:29:49 ID:eUXtx3Qk
「大体、こんな気持ち悪い汁なんか塗りたく無い。お前、バカか?顔にまで塗ろうとして。それは、すぐに水で洗わないと落ちないぞ?」

あ…ああ!!師匠!!師匠のあまりにも失礼な言葉に、優しいピカチュウさんもさすがに本気で怒り、師匠の胸をつかんで、師匠の顔を見上げながら言う。

「お前、調子に乗るなよ。なら、俺へ協力するなんてなぜ言った?」
「とりあえず離せ。お前、私の胸を触って“ただで済む”と思うな。」
「それは、こっちのセリフだ。ソル、君にもう一度、スサノオを見せてやろうか?」

す…すさのおって、もしかして、師匠が恐がっていたあの黒い雷のピカチュウさんかな…。って、うわぁぁぁ!!ダメですよ、ピカチュウさん!!そんな事しちゃあ!!俺が謝ったら…師匠を許してくれるかな…。そう思って、にらみ合うピカチュウさんと師匠の間に割って入り、ピカチュウさんへ師匠の無礼を謝ろうとした時、師匠がピカチュウさんを見たまま、自分しかわかり得ない事を言う。

「あっ、感じる…。災いが起こる。」

師匠が災い探知をした…。どんな災いなのかな?首を傾げて、俺が師匠へ訊ねる前に、ピカチュウさんが災いの中身を訊ねる。

「どんな災いだ?」

ピカチュウさんは、今でも怒り続けている。だけど、師匠はピカチュウさんを見下して笑い、ピカチュウさんへ言う。

「ふん、それは言えんな。」
「なぜだ?」
「ふふ、気が変わった。お前が私に謝り、私がお前に指示出来るようにならない限り、私はお前に味方しない。私の方が、お前よりもこの森を知っている。勘でこの場所に行けたからって、調子に乗らない事だな。ふふふ…。」

師匠!!どうしてそんなに、挑発するんですかぁ!!師匠、ピカチュウさんを甘く見過ぎですよ!!師匠が言い終えた後、ピカチュウさんは拳を強く握り、師匠を殴ろうとしていた。う…うわぁぁぁ!!これは、もう止めなきゃ!!俺が、あわててピカチュウさんを止めようとした時、どこかからか、“バーン!!”って小さくこっちへ伝わってくるような音が聞こえた。「あっ…もしかして…。」そう思って、ピカチュウさんの頭を見ると、自分の予想通りに、ピカチュウさんの頭に昨日と同じ針が刺さっていた。ピカチュウさんは、目をウトウトし出して、怒った顔を崩して、師匠へ弱々しく言い返す。

726適当:2013/04/20(土) 14:33:16 ID:eUXtx3Qk
「く…そ、そういう事…か。」

そう言うと、ピカチュウさんは師匠の胸を放して、じめんにうつぶせで倒れた。早…こんなに、あっさり…。俺は、ピカチュウさんを見て、「ピカチュウさんの闘ってる相手ってこんなに強いんだ。」と思っていたけど、ピカチュウさんの「君達も撃たれるかもしれない。」という言葉をすぐに思い出し、辺りを警戒し始める。

「師匠、逃げましょう。ピカチュウさんは見つかったんです。」
「ふぅ…。私は逃げなくてもいいと思う。たぶん、だが。」
「たぶんって…。」

そんないい加減な!!俺は、師匠の言う事を全然理解出来ず、師匠へ理由を訊こうとした時、師匠がため息をついて、昨日のピカチュウさんの話を聞いていないと思わせる事をつぶやく。

「はぁ〜あ。やれやれ、よく寝る雄だな。全く、世話が焼ける。」
「え?ええ!!違いますよ!!師匠、これは攻撃されたんです!!話の途中で寝るワケないでしょうがぁぁぁ!!」
「いや、コイツはピカチュウだから、まだ幼いのかもしれない。寝る子は育つって言うだろう?」
「い…いや、意味が全く違うと思いますけど。」
「違わない。さぁ、レオ帰るぞ。私が、コイツを君の背中に乗せる。私が、コイツの、この変な形をした、大きな音が出るワケがわからない道具を持とう。」

全然意味が違いますよ!!師匠ぉぉぉ!!って師匠へ返そうとしたけど、師匠は、俺に指示した後、ピカチュウさんの首をくわえてピカチュウさんを持ち上げ、川でピカチュウさんに付いた緑色を落として、眠ったままのピカチュウさんを口にくわえて、俺の背中へ乗せた。その後に、ピカチュウさんが昨日見せた、“バーン!!”って大きな音が鳴る、黒と茶色の変な形をした道具を口にくわえて、洞窟(どうくつ)の方へ歩き出したので、俺もピカチュウさんを背中に乗せながら、師匠の後を追う。

727適当:2013/04/20(土) 14:36:07 ID:eUXtx3Qk
ソル視点
南の小川沿いから洞窟(どうくつ)への帰り道


仁、ごめん…。私は、お前の味方をしてはいけないんだ。私は、今、レオと一緒に南の森の小さな川から、洞窟(どうくつ)の帰り道を歩いている。歩きながら、眠っている彼に対し、心の中で謝っていた。彼は、私に対し激昂(げきこう)した。当たり前だ。協力すると言っておきながら、協力する気皆無の奴の意見を聞いて、怒らない奴なんていない。それに、馬鹿にした事もある。私も、彼の意見を聞いた時、“確かに。”と知らない内に彼へうなずき、彼を“よく、そんな事を思いついたな?”とほめようとしてしまう自分がいた。しかし、私は彼をほめない。彼へうなずかない。なぜなら、私は彼が闘っている敵を知っていて、また、彼の敵と約束を交わしたからだ。私は、レオと一緒に洞窟(どうくつ)を目指しながら、彼の敵と出会った時の事を思い出していた。

728適当:2013/04/20(土) 14:39:13 ID:eUXtx3Qk
森のとある場所

“ふぅ、まさか一匹の時に襲われるとは。ま、負けはしない。”

私は、今東の森の動物達の領域を荒らす、悪の集団と闘い終えた所だ。私を襲って来たのは、クチート、ニューラ、ペルシアンの3匹の雌。森の平和を守る私とレオが、目障(めざわ)りでうっとうしかったのだろう。私は、東の森の動物から“助けたお礼がしたいから”と言われ、東の森へ一匹で立ち寄ったのがいけなかった。しかし、私は突然囲まれても、簡単にやられはしない。この程度でやられるようでは、森の統治など出来はしないからだ。それに、それではレオに“師匠”と名乗れなくなってしまう。面子が立たないというワケだ。私は、あらかた片付けた3匹を悠々と眺めていると、私の背後から突然、声が聞こえる。

“ほっほっほ、さすがじゃのう。”
“さすが?は!!だ、誰だ!!”

私は、驚いて背後へ振り返った。私が見る先には、一本の木があり、太い枝に二本足で腕を組んで私を見ている、年老いたジュカインがいた。年老いたジュカインは、ジュカインの割りには、変わった格好をしていた。ジュカインの肌の色よりは近いが、深い緑色を上半身、下半身に身につけていたからである。彼の胸には、よく見ると何かが付いている。年老いたジュカインは、私に気づかれたからか、木の上から飛び降り、私の目の前に迫った。敵意は感じない。だけど、油断出来無い何かを持っている。それが何なのかはわからない。私の目の前へ移動し終えた彼は、口元を少し上げて笑い、私へ言う。

“見ておったぞ。お前さんの闘いを。”

彼は、私を引き込むように笑顔を作るが、私は、未だに彼を警戒し、彼を睨みつけて彼へ目的を訊ねる。

“ずっと私を見ていたのか。何が目的だ?”
“ほっほっほ。な〜に、武名高き、森の平和を守る白き牙と、黒き鎌の内の黒き鎌。ソルという名前のアブソルに、挨拶に来ただけじゃよ。

“な!?なぜ、私とレオを知っている!?このおじいさんは、この森に住んでいない。この森で強い雄、雌はそこそこいる。私とレオの評判が確実に高いのは、動物達だけのハズ。それも、南の森を中心に。このおじいさんは、どうやって私とレオの事を!?彼の返事を聞いて、私は驚いた顔を向け、彼へ思わず訊き返す。

“ど、どうやって私やレオの事を知ったんだ?”

私が訊ねると、彼は優しそうな笑顔を保ち続け、衝撃の一言を零(こぼ)す。

729適当:2013/04/20(土) 14:42:09 ID:eUXtx3Qk
“風に聞いたんじゃよ。”
“か、風!?”
“そうじゃ。風が教えてくれたんじゃ。『森の平和を守る、ソルという名前の強いアブソルと、レオという名前の強いグラエナがおると。』風が、言ったんじゃ。白き牙と黒き鎌が森の統治者であると。”

か…風だってぇ!?私は、最初彼の言葉が信じられなかった。しかし、彼から感じる何とも言えない力から、“そうなのかもしれない…。”と思い始め、彼が言った内容を細かく訊き出す。

“おじいさん。さっきのは、どういう意味だ?”
“言い方が悪かったのう。ソルちゃんが、ワシの事を信じるかどうかは自由じゃが。”
“それでも、言って欲しい。”
“わかった。信じられないかもしれんがのう。ワシは、気配を読む事が出来る。”
“け…気配!?”

これがもしかして、このおじいさんから感じた強い力なのか?私が、声が裏返る勢いで驚きを見せても、彼は何も指摘せず淡々と語る。

“相手の動き、技の種類、離れた相手の位置。などの気配をワシは読み取る事が出来る。”
“どうして、そんな事が出来る?”
“さぁ、わからんのぅ…。ワシの予想、なんじゃが。それでも…いいかのう?”

それでもいい。私には無くて、このおじいさんにはある能力。私も出来れば、この能力を備えたい。そうすれば、今日みたいに襲われなくて済む。私は、レオみたいに鼻が利かないから、敵の位置、いつ敵が近づいて来る事がわからない。足音が無い限り。私は、そう考え彼へうなずいた。すると、彼は私の要望に答える。”

“ワシには、もう体力が無い。じゃから、どんな攻撃も一撃たりとも喰らうワケにはいかんのじゃ。”
“それで、気配が読めるようになったと?”
“ふふふ。これは、神様がワシに与えて下さった賜物(たまもの)。ソルちゃんのように、災いを感知する能力もまた、神様がソルちゃんに与えて下さったのと同じ事じゃよ。”

天が与えた。つまり、私は気配を読む能力なんて身につけられないって事か…。私は、彼の話へ聞き耳を傾け終えた後、強くそう実感していた。気配を読む。このおじいさんと闘っても、私は簡単に負けてしまう。敵に回すワケにはいかない。だけど、このおじいさんからは不思議と敵意を感じられない。この森の外の雄なのに、どこか…、この森と同じ雰囲気を身にまとっている。だけど、油断は出来無い。と私が、彼を未だに警戒していると、彼は、先程の話を流し、私へ頼み込む。

730適当:2013/04/20(土) 14:46:08 ID:eUXtx3Qk
“そんな事は、どうでもいいんじゃ。”
“ど、どうでもいいって…。気配を読めるのが、凄い事じゃないワケが…”
“そんな事を言う為に、ソルちゃんに会いに来たんじゃない。一つ、お願いがあってのう。”

ついに、私は彼が私へ接触して来た目的を知る。私が訊き返すと、彼は私へ話す。

“もうすぐ、この森にある雄が来るんじゃ。”
“ある雄?”
“そうじゃ。ワシは、この森でその雄と不思議な針を撃ち込み合う道具を使って勝負する。その雄の名前は、仁。種族はピカチュウ。格好は白。そして、何より耳の黒く塗られておる所が、雷のようになっておる。”
“雷?”
“そうじゃ。ふふ、ちょっと、普通のピカチュウと変わっておるがのう。”

耳の黒い部分が雷をかた取っている。そんな話、聞いた事無い。この森には、ポケモン達が暮らす地域と動物達が暮らす地域がある。ポケモン達が暮らす地域は、北の森、西の森、南の森。その3つの森で、ピカチュウやピチューはよく見かける。だけど、誰一匹、そんな変わった耳を持つ雄も雌もいない。その変わった耳を持つ雄が、もうすぐ…ここ(森)へ来る。私は、彼の話を半分信じ、自分の頭へたたき込んだ。彼は、優しい笑顔を浮かべつつ、私へ“もし、ワシの事を訊かれても、喋らないように約束してくれんか?”と言った。もしも、彼を裏切ったらどうなるのだろう。私は、笑わず真剣な顔で彼へ訊ねる。

“おじいさん、もしも私が喋ったら?”
“ほっほっほ、その時はソルちゃん…”

彼は、初めて私に殺意のある目を向けて言う。

『覚悟してもらおうかのう。』

731適当:2013/04/20(土) 14:48:47 ID:eUXtx3Qk
うっ…。このおじいさん、絶対に敵にしてはいけない!!私はこの時、このおじいさんから放たれた殺気が、自分の体の至る所を埋め尽くす恐怖を味わった。私は、次第に顔を歪ませ、脅(おび)えた顔で彼を見ていた。彼は、再び優しい笑みを浮かべ、私へ裏切ってはいけない理由を語る。

“ワシは、その雄が救世主かどうかを見極めたいんじゃ。”
“きゅ、救世主か…どうか?”
“そうじゃ。ワシは、その雄との闘いに命をかけておる。じゃから、ソルちゃん。裏切ってはいかんぞ?”

救世主を探していると彼は語った。彼から、何に命を狙われているかを訊き出したかったが、私は、彼へは“もうこれ以上質問してはいけない。”と彼から恐怖を思い知らされた事で、私は自然と彼へ質問をする事を止めた。その後彼は、私に“名前を言い忘れておったな。ワシは、ショーン。ソルちゃん、会えて良かったわい。”と告げ、右手から蔓(つる)を出し、遠くの木へ捕まり、森の中へ消えていった。

732適当:2013/04/20(土) 14:52:18 ID:eUXtx3Qk
私は、あのおじいさんを知っている。彼を眠らせた敵が、誰で、どんな敵であるかを知っている。そして、北の川で寝かされた時も、今さっき寝かされた時も、私には、彼に降りかかる災い…。そう、あのおじいさんの攻撃が、彼を襲う事が見えていた。初めて彼と会った時は、彼からどことなく力を感じ取っていた。レオは気づいてないかもしれない。私は、きちんと彼が闘っている様子を、レオに秘密にしてこっそり見ていた。レオは、今でも一匹で自分だけしか、彼のすばらしい戦闘センスと力を見たんだと勘違いしているだろう。なぜなら、私はレオに“私も彼の闘いを見たんだぞ?”なんて一言も伝えていないからだ。あのおじいさんに口止めされた時に見せられた笑顔…。言い忘れていたが、私はあのおじいさんから、強い力とは別の、あのおじいさんに降りかかる災いも感じ取っていた。あのおじいさんらは、禍々(まがまが)しい不吉で、体を蝕(むしば)んでいくような邪悪なオーラを感じられた。彼は…おそらく病持ちではないかと思っている。と考えると、最後に私に見せた笑顔は、自分の死期が近い事を悟(さと)った笑顔とも言えるのではないだろうか。病持ちにもかかわらず、あのおじいさんは体を休めず、自らの体を犠牲にしてまで救世主を求めている。あのおじいさんが、なぜ救世主を求めているかは、私にはわからないが、病持ちでも命を賭(と)してまで見つけなければならない。だから、訊かなくても、事の重大さが私にもわかる。あの時は、あのおじいさんを恐れてしまって、おじいさんが抱える病気がどんなものなのかも、訊く事が出来なかった。しかし、冷静になった今となって、じっくりあの時の事を思い出し考えると、私は、あのおじいさんを絶対に裏切ってはいけないと本気で思い直した。だから、彼へは一切味方しない。彼が、嫌いなワケじゃない。正直に話すと、私は彼に、レオと同じ位、自分の背中を預けられる程、信頼出来る雄と思っている。初めて彼に出会い、襲った時は、あのおじいさんが言っていた通りの救世主であるかどうかを確かめる為と、私が、勝手にこの森の平和を荒らしに来たのだと勘違いして襲った事と二つの理由があった。そして私は、彼の隠されたとてつもない力を目撃して、彼に驚かされ、泣かされながらも確信した。“この雄が、あのおじいさんが言っていた通りの救世主である。”と。

733適当:2013/04/20(土) 14:55:10 ID:eUXtx3Qk
更に、彼が告げた、森の木の実を利用して、森に隠れ、勝利へと近付く方法。私は、彼の言葉を聞いて、確信の中の確信、何者の“この雄は救世主じゃない。”という意見には、心を左右されない、絶対的な確信へと変えた。見知らぬ地へ来ても、敵に襲われない程の力と、知識を備えた彼。こんな彼以外に、救世主なんていない。ああ…私はおじいさんとの約束を果たす為とは言え、彼を忌(い)み嫌い、彼の考えを見下してしまったのか。ああ…私は、本当に信頼出来て、出来ればもう少し一緒にいたいと思っている程の雄に、罵声(ばせい)を浴びせ、突き放してしまったのか。私は、洞窟(どうくつ)の帰り道、あのおじいさんとの約束と、彼を仲間に得る事が出来て嬉しい事の、果たさなければならない義務と正直な心情の間でもがき、未だにどうすればいいのかわからず、さまよっていた。あのおじいさんに出会っていなかったなら、私は眠っている彼には、レオと同じように親しく接したと思う。しかし、あのおじいさんに出会ってしまったからには、そうするワケにはいかない。彼が命を賭(と)してまで頼んだ、私への「彼の味方はするな。」という頼み。私は、あのおじいさんに出会った運命を恨まない。あのおじいさんの望みを叶えてあげる為に、私は天に選ばれた存在であり、彼へは味方してはいけないという義務を与えられたと思っている。私は、物思いに更(ふ)け過ぎていたせいか、気がつくと、レオの少し後ろを歩いていた。レオが足を止める。私も何も考えず、足を止める。その後は、彼の道具をくわえながら、ボーっと前を見つめている。そうしていると、レオから声が掛かる。

「師匠、師匠ってばぁ〜。」
「え?」
「着きましたよ。」

私は、レオに言われて辺りを見回した。レオの言うとおり、私の左には、私とレオが住処(すみか)とする洞窟(どうくつ)があった。私は、あまりにも茫然(ぼうぜん)としていたので、レオへ「ごめん。」と一言謝り、洞窟の中へ足を速め、眠っている彼が話していた、おじいさんと闘う為の道具を、口から離し、洞窟(どうくつ)の中の入り口付近の地面へ落とした。レオも、私に続いて、洞窟(どうくつ)の中へと入っていく。私は、レオの背中に乗っている、眠っている彼の背中を見て、もう一度「ごめん、仁。」と心の中で彼へ謝り、レオが私の元へ戻ってくる間、私は彼へ申し訳ないと告げる顔を浮かべる。

734適当:2013/04/20(土) 15:00:02 ID:eUXtx3Qk
Day 19 【12:00】
ショーン死亡まで残り2日


俺は今、西の洞窟(どうくつ)すみついている彼と彼女の元を離れ、一匹、南の小屋を目指し歩を進めていた。昨日のように、川沿いを歩くと簡単に見付かってしまうので、俺は、木々を利用して身を隠しつつ、目的地へ向かっていた。彼と彼女へは、午前9時頃に別れを告げた。そう、俺が別れを告げたのは今から3時間前の事であった。


【9:00】
“本当に、行っちゃうんですか?”

彼は、少し寂し気な表情を浮かべて、俺へ訊き返して来た。俺は、彼へうなずいて肯定の意思を示し、理由を告げた。

“ああ。どうやら君達が力になれる相手では無い事がわかった。それに、君達へはこれ以上迷惑はかけられない。”
“そ、そんな…迷惑だなんて。”
“俺は、あのじいさんに勝ちたいが為に、君達にも、体に緑色を塗れと強要してしまった。俺は、これ以上君達の元にいてはいけない。君達が、嫌がるような事も、無理矢理させてしまうかもしれないからな。”

俺が理由を告げると、彼は残念そうな表情を浮かべ、“そうですか。それなら、仕方が無いです。”と俺の意見を受け入れた。彼は、俺との別れを惜しむが、彼女は、昨日俺と争った時の表情を浮かべて俺を睨みつけ言い放った。

“せいせいするな。お前と別れられると思うと。”

彼女に、何をとやかく言われても、反論する権利など俺には無い。彼女に嫌われても仕方が無い事を、彼女に強要してしまったからである。俺は、彼女と彼へ頭を下げて謝罪した。

“本当にすまない。あんな事を言ってしまって。”
“いえ、いいんですよ。”
“ふん、全くだ。わかったらさっさとここから去れ。私は、もうお前の顔を見たく無い。”

彼は、俺に笑顔を向け、俺へ“気にするな”と言うが、彼女は相変わらず俺をにらみつけ、俺へ“出て行け。”と言い放って来た。彼と彼女の言葉を耳に入れた後、俺は“わかったソル。本当に、すまなかった。”と、もう一度、彼女に頭を下げて念入りに謝罪し、彼と彼女が住処(すみか)とする洞窟(どうくつ)から歩を進めた。“やっぱり、怒るよな。アイツは雌だ。どうして、俺はアイツに緑色を濡れなんて言ったんだろうな。”俺が、彼と彼女へフェイスペイント、ボディーペイントを行うように要求したのは、決闘相手に見つかりにくくする為である。彼と彼女は俺の協力者である為、いつでも俺のすぐ近くに存在を置く。

735適当:2013/04/20(土) 15:04:45 ID:eUXtx3Qk
であるが故に、自分だけ草木に溶け込むように身を隠しても、彼と彼女の体の色ですぐに見つかってしまう。決闘相手は、彼と彼女のすぐ近くにいるのは、俺であると既にわかっているだろう。なぜなら、俺は、彼と彼女と初めて会った時に、決闘相手の麻酔弾を頭に受けているからである。俺に麻酔弾を撃ち込む際には、当然、彼と彼女が俺と会話している光景を目撃している。故に決闘相手は、彼と彼女のすぐ近くに、もしかしたら、対戦相手がいるかもしれないと推測でき、俺を探さなくても、彼と彼女を探せば、俺を見つける事が出来る、というワケである。彼と彼女にも、自分と同様に隠れて行動してもらわなければ、こちらの都合が悪い。彼女からきっぱりボディーペイントとフェイスペイントを断られた時、俺が本気の怒りを彼女へ差し向けたのは、まるで決闘相手に協力するような彼女の言動に腹を立てたからである。いや、彼女を脅(おど)してまで、フェイスペイントとボディーペイントを強要したのは、決闘相手に見つかるという焦りが大きかったかもしれない。彼と彼女の元を離れ、次の道具を手に入れる為に南の森の小屋を目指し、歩を進め続けていると、後ろから足音が迫ってくる事を感じた。俺は、足音を立てている主を確認する為、後ろへ振り返った。すると、驚く光景が俺の目の前に現れた。俺の目の前にいるのは、先程俺をにらみつけ、忌(い)み嫌っていたあの彼女であった。彼女は、二つの予備弾薬を口にくわえ、俺を見つめていた。“もしかして、渡しに来てくれたのか?”俺は、彼女が突然、自分に気を回してくれた事に驚きつつも、彼女へ理由を訊ねた。

“ソル!!君…どうして…。”

彼女は、俺の質問に答えるべく、二つの予備弾薬を地面に落とし、俺へ申し訳無さそうな表情を浮かべて、謝罪して来た。

736適当:2013/04/20(土) 15:06:53 ID:eUXtx3Qk
“仁、ごめん。お前の言う事が正しかったのに、バカとか言って。”
“それは?”
“これは、私とレオの洞窟(どうくつ)にあったんだ。もしかしたら、お前の道具に使う物かもしれないと思って。”
“わざわざ、届けに来てくれたのか?”

俺は、彼女の真意を知る為、彼女へ“手間をかけてまで、なぜ?”と質問を行った。すると、彼女は微笑んでうなずき、俺へ言い放った。

“うん。なんだ、悪いか?私の気づかいを素直に受け取れないのか?”

俺は、彼女が善意で必要な道具を届けてくれたと知って嬉しくなり、彼女に微笑み返して、首を左右に振って否定の意思を示し、彼女へ感謝の意を伝えた。

“いや、ありがとうソル。君は、やっぱり優しい女の子だな。これからも、レオを支えてやってくれ。それと…昨日は本当にすまなかった。”
“気にしてない。って、優しい女の子とか言うな!!私からはここまでだ。仁、一匹だけでおじいさんを倒すのは難しいと思う。だけど、頑張って倒すんだぞ?私は、もう行かなくてはいけない。レオに、私とお前が親しい事がバレたくない。”

“なる程。”俺は、彼女から励ましを受けたが、いたずら気に微笑み彼女を嘲け笑った。

“ふっ、まだ隠すのか。気持ち悪いな、君は。”
“ふふふ、黙れ。さっさと行け。”
“わかった。ニヤニヤして、レオの所へ戻るなよ?”
“ふん、大きなお世話だ。それから、うぬぼれるな。バカ雄(もの)が。”

737適当:2013/04/20(土) 15:09:54 ID:eUXtx3Qk
“バカ…か。確かにそうなのかもしれない。雌に、見た目を崩させる事を強要する程の無神経な雄だからな。”俺は、3時間前の記憶に浸り、彼女に言われたセリフに深く同感していた。彼と彼女の元を離れ、彼女から二つの予備弾薬受けった後、ずっと歩を進め続けるが、一向に小屋の姿は見えなかった。“はぁ…、まだ歩かなくちゃならないのか…。”ただ歩を進めるだけではダメである。周りへの警戒と、決闘相手の位置を探索しなければならない。俺は、片手で決闘に用いる銃を持ち、片手には指向性マイクを持って、両耳で決闘相手の存在を探索しつつ歩き続けた。だが、一向に決闘相手の息音(そくおん)が拾えず、また、足にも限界が来始めていた。“はぁ…。もうダメかもしれない。じいさん、すまない。俺は、アンタとの約束を果たせそうにない。”足から来る疲労からか、それとも、決闘相手の位置を探し当てる事への諦めか、俺は歩を進める事を止め、地面へ決闘で用いる武器を置き、木にもたれかかって座り込み、途方に暮れていた。南の小屋へ向かう途中、途中でオレンの実と言う名の木の実と、桃色の桃に似た…桃だったのだろうか?木の実を見つけて食べ、口の中も腹も満足はさせたが、足から来る疲労を取り除く術は未だに見つから無い。オレンの実と桃色の木の実は、もしかしたら、彼が昨日案内しようとしていた場所に成っていた木の実なのかもしれない。だが、俺にはそんな事を考えている余裕など無かった。俺が諦めかけて木に背を預けていると、突然、自分の頭の中に声が響いて来た。

『宿主(ぬし)よ。まだ仕留められぬのか?』

声の主は、もう一匹の自分である。もう一匹の自分は、俺がこの森に来てからは、初めて彼と彼女と出会った時に、一度だけ姿を現している。姿を現した事を咎(とが)めるつもりはなかった。もう一匹の自分は、俺が危機的状況に陥ったから、あの時、俺を助ける為に姿を現したのである。“からかいに来たのか…。それとも、コイツなら何とかしてくれるのだろうか。”俺は、声の主に半ば不快感を感じつつも、自分の望みを叶えてくれると信じ、声の主へ訊ねた。

738適当:2013/04/20(土) 15:13:03 ID:eUXtx3Qk
“どうにか、出来るのか?”
『無論。そして、愚問。』
“はぁ〜あ、大した自信だな。”
『当然の事よ。我には、いつでも宿主(ぬし)の相手が見えておるわ。』

“え?あのじいさんの位置がわかる!?”声の主の言葉を耳に入れ、俺ははしゃいで喜び、地面に置いた決闘で用いる武器を持ち、いつの間にか立ち上がっていた。声の主は、俺の態度の急変ぶりがよほどおかしかったのか、大声で笑い出した。その後すぐに、笑いを収め、俺へ要求を行って来た。

“フッフッフ…まぁ、よい。宿主(ぬし)よ、これから我に少しだけ意識を貸してもらうぞ?”
「ああ。悪さをしなければいいぞ。」
“では、目を閉じよ。心を無心にせよ。”

俺は、声の主の指示を受けて、“わかった。”と返事を返し、声の主に従い目を閉じた。声の主は、俺が目を閉じると、俺の頭の中に“雷神眼(らいじんがん)!!”と声を響かせた。その後、俺に“目を開けよ。”と指示を行って来たので、声の主に従い目を開けた。すると、驚愕の光景が広がっていた。俺の目に映ったのは、大自然の風景では無く、生き物一匹、一匹が持つ、魂と力の大きさが具現化されたものであった。俺の近くには、とても小さな魂と弱い力を持つ…おそらく虫であろう。虫達が散在していた。そして、少し遠くには、虫よりも少し大きな魂と、虫よりも強い力を持つ者が群れをなしていた。これはおそらく川に住む魚であろう。この光景は、南の小川方面から感じ取る事が出来た。上を見回すと、大きな魂と強い力を持つ者を、複数確認する事が出来た。虫よりも、魚よりも大きな魂。虫よりも、魚よりも強い力。おそらく、木の上を住処(すみか)とする鳥獣(鳥型のポケモン)達であろう。“俺の近くには、こんなに生き物がいたのか…。”じっくり、それぞれの生き物が放つ匂いを感じ取れば位置まで特定出来たかもしれないが、声の主の能力のおかげで、多くの生き物の存在に気付いたという事は、匂いを感じ取る程の余裕なんて無かったのだろう。俺は、声の主の能力に、自分がどれほど焦っていたかを思い知らされていた。声の主は、笑って俺に感想を訊ねて来た。

739適当:2013/04/20(土) 15:15:52 ID:eUXtx3Qk
『フッフッフ、どうだ宿主(ぬし)よ?』
“すごいな…。”
『フハハハハ!!さて、宿主(ぬし)よ東を見よ。はるか東にある、大きな力を。』

“東?”俺は、声の主に従い右方向へ目を向けた。すると、声の主の言った通り、遠くに一番大きな魂と、一番大きな力を持つ者が、地面よりも高い位置に存在していた。“あっ!!あれが、じいさん。木の上から狙っていたのか!!”声の主は、俺に次の指示を出して来たが、俺は言われずとも、決闘で用いる武器から放たれる弾丸が確実に当たる場所まで距離を詰めた。慎重に、慎重に…。決闘相手に感ずかれたなら、先に撃たれるのは俺であろう。俺は、上に銃口を向けなければならないのに対し、決闘相手は木の上にいるので、そのまま俺の方へ銃口を向けただけで、俺よりも一早く銃弾を当てる事が出来る。故に、俺は駆け出して一気に距離を縮めず、距離を縮めては地面に伏せて体勢を低くし、また距離を縮めては地面に伏せて…。という作業を繰り返し、ついに先程よりも近い距離まで近寄る事が出来た。“じいさん、覚悟しろ。もう終わりだ。”終わらせると言っても、闘いを終わらせるだけで、決闘相手の命を奪うという事では無い。俺は、立ち上がって決闘で用いる武器についているスコープを覗き、一番大きな魂かつ力を持つ者の下方へ標準を合わせ、引き金を引いた。大きな銃声が森に響き渡り、俺の放った銃弾が当たったせいか、一番大きな魂かつ力を持つ者の魂が少し減っている事が確認出来た。俺は、決闘相手に本当に銃弾が当たったのかどうかを確認するべく、声の主へ“もういいぞ。この目を解除(と)いてくれないか?”と要求し、自分の目に映る光景が元に戻り始めた所で、腕時計のベルト部分へ目を向けた。

【A BLEED】
「や…やったぁー!!勝ったぞー!!」

ついに、長き闘いに終止符を打つ悲願のメッセージが、アルファベットとなって表示されているのを確認する事が出来て、俺は辺りの生き物に歓喜の声を聞かせ、両手を上げて、子供のように勝利した事の嬉しさを現実(おもて)に出してしまっていた。“やった…。勝った!!”と、もう一度現実に声を出そうとした時、俺は突然姿を消され、その場から離れた。

740適当:2013/04/20(土) 15:19:22 ID:eUXtx3Qk
森の中央(いこいの広場)


俺は、森の南方から、決闘相手である年老いた彼と、最初に戦闘を繰り広げた場所に姿を移された。“あっ、じいさん…。”場所を移動させ終えられた後、前方を見ると、体の体色に近いが、同じ色ではない濃い緑色の軍服を着た、年老いたジュカインがいた。そして、彼の右足からは、俺から銃弾を受けた為、血が流れている。血を流しながら、彼は自分の本望(ほんもう)が叶ったからか、嬉しそうに笑いつつも、激痛に襲われ、眉間にシワを寄せて歯を食いしばっていた。“じいさん…。俺は、本当に撃って良かったのか?”彼のつらそうな表情を見て、俺は、先程彼へ攻撃した事を少し後悔していた。だが、彼は俺に“そんな心配はいらない。”と思わせる、右手から蔓(つる)を出し、自分の隣にある木の枝に巻きつけ、木から…。おそらく生命力だろう。生命力を吸い取り、自分の右足の銃弾傷を完治させた。“こ、こんな事が…出来るのか。”俺は、彼が目の前で行った行動に驚き、彼を少し恐れ始めた。彼は、俺を完治した後、“やらなければ良かった。”と言いたげな、首をゆっくり左右に振って、独り言をつぶやいて来た。

「ふぅ…。簡単に、“ドラグノフで撃て。”なんて言うものじゃないのう。」

“やっぱり痛いよな…。”俺は、彼へ同感し、申し訳無さそうな表情を浮かべ謝罪した。

「じいさん…すまない。俺は、これだけしか言えないが。」

彼は、俺から謝罪を受けると、勝利した相手にふさわしくない態度を見せた俺がよほどおかしかったのか、大声で笑い、俺へ言い放って来た。

「はっはっは!!小僧、殺るか殺られるかの勝負で謝る必要などないわ。」
「え?」
「ほれ、もっと喜ばんか。カナダ一の伝説の狙撃手(スナイパー)に勝ったのじゃぞ?」

“と言われてもな…。”彼は、俺へ勝利した喜びを表現しろと言って来たが、俺はゆっくり首を左、右に振って、“それは出来ない。”と返し、否定の意思を示した。彼は、俺が態度を一向に変えない事を、不敵な笑みで指摘した。

「ほっほっほ。小僧、お前さんは謙虚じゃな。」
「違う。アンタが撃てと言ったからって、アンタを撃ってアンタに勝っても、素直に喜んでいいとは思えない。謙虚じゃない。礼儀のなんだ。これは、俺が思う礼儀の一つだ。」
「ふっふ、まぁよい。さて、約束の物を授けようかのう。」

741適当:2013/04/20(土) 15:22:43 ID:eUXtx3Qk
約束の物。彼が所持している“χ(カイ)”と描かれた勝利の証の事であろう。彼は、“手を出してくれんか?”と要求して来た。俺は彼に従い、決闘で用いた武器を所持していない左手を差し出すと、彼は俺の手の平に“χ(カイ)”と描かれた銀色のバッチを乗せた。その後、彼は俺と向き合う形で腰を下ろし、軍服の胸ポケットへ手を入れ、キセルを取り出し火をつけて煙を吹かし始めた。“またか。負けても勝っても、コイツは余裕なんだな。”彼が、目の前で起こしている行動に半ば驚き、半ば呆れていると、彼は、キセルから吸い出した煙を吐き出し、キセルを右手に持ち、俺へ質問を訊ねて来た。

「すぅ〜ふぅ…。ソルちゃんとレオ君に会ったようじゃな?」

“これは、隠してもしょうが無い。コイツがこの森を知っているなら、どこかでレオ達の事を聞いていても不思議じゃない。”俺は、彼に質問を受けて首をうなずかせた。彼は、自分が知り尽くしている森の中で、俺に勝負を持ちかけた。であるならば、年老いた彼が、グラエナである彼と不思議な能力を持つあの彼女を知っていてもおかしくは無いのである。だが、もしも彼と彼女の事を知らなくても、あの彼女と彼に会った事を指摘されると、首を左右へ振り、相手へ否定の意思で返す事は出来ない。なぜなら、俺は彼とあの彼女と一緒にいた所を狙撃されているので、年老いた彼は、彼と彼女と一緒にいる俺を目撃しているからだ。故に、俺は彼に“会っていない。”なんてシラを切る事は出来ないのである。俺は、彼へ包み隠さず肯定の意思を伝えた。彼は、俺の意思を確認し終えた後、俺へ奇妙な質問を訊ねて来た。

「お前さんは、ソルちゃんにも協力を求めたかのう?」
「ああ、そうだが。」
「彼女がお前さんに、あんまり協力しなかった事に、お前さん“ちょっとおかしい…。”って思わなかったかのう?」
「え?」

“は?どういう意味だ?”彼の質問を受けても、否定、肯定、どちらの意思も伝える事が出来ず、彼へ思わず訊ね返した。すると彼は、俺へ予想も出来ない衝撃の事実を語り出した。

「ソルちゃんがお前さんに非協力じゃったのは、ワシがそう仕向けたからじゃよ。」
「なんだって!?」
「ほっほっほ。ソルちゃんは初めから、ワシを知っていたんじゃ。」
「シラを切っていたのか!?」
「そうじゃ。どうじゃった、ソルちゃんの名演技は?」

742適当:2013/04/20(土) 15:28:14 ID:eUXtx3Qk
“わかるワケが無い。”俺は、彼の質問に首を左右に振って、悔しいと訴える表情で否定の意思を示した。

「はぁ…。いや、わからなかった。してやられたな。」
「はっはっは!!ワシの“口止めの約束”を果たしてくれたようじゃな。ソルちゃんに頼んで良かったわい。」
「ちっ、調子に乗りやがって。」
「ふっふっふ、勝ったのに負けた気分になるじゃろう?」
「ああ。全くだ。」

彼は、俺の悔しそうな表情と、勝利して本来ならば嬉しいにもかかわらず、逆に悔しんでいる、矛盾している感情を抱かされた俺がよっぽどおかしかったのか、俺の返事を耳に入れた後に大声で笑った。“ソルは、知っていたのか。”彼が笑う最中、俺はあの彼女が自分に表した表情と態度を全て思い出すが、違和感を感じた事は一度も無かったので、彼女の名演技に静かに驚いていた。“まぁ、いい。勝ちは勝ちだ。じいさんに言ってここから脱出(だ)してもらうか。”彼の嘲け笑うような態度が気にくわなかったが、俺は自分の勝利を言い聞かせ、彼へ、決闘の場所である森から、元の真っ白い監禁部屋へ帰してもらうように要求を行おうと口を開いた。だが、彼が一早く笑いを止め、先に話し始めた。

「ワシを倒したという事は、お前さんもワシと同じ事が出来るというワケじゃ。」
「ああ。アンタを、死ぬ前に倒せて良かった。」
「ふっふ。小僧、良く聞くのじゃ。」
「ああ。」

俺は、彼に首をうなずかせ真剣な表情を向けた。彼は、俺へすぐ話しださずに、右手に持っているキセルを口にくわえ、白煙を吸い込み吐き出した。一時(いっとき)の喫煙を終えた彼は、キセルを逆さにして中身を落とし、胸ポケットへとキセルを収めて、俺と同じように真剣な表情を浮かべ、俺へ衝撃の事実を言い放って来た。

「お前は、元帥様が探している強者の末裔(まつえい)…子孫なんじゃ。」
「強者の…子孫?」
「そうじゃ。ワシはカナダ出身じゃから、名前を聞いてもわからん。じゃが、お主なら、誰であるかわかるじゃろう。元帥様が言うには、お主は、タケダ・シンゲンという名のライコウの子孫らしいんじゃ。」
「なんだって!?ウソだろう!!」

俺は、彼の言う事があまりにも信じられず、思わず訊き返し否定した。だが、彼は首を左右へ振って、否定の意思を返し話しを続けた。

743適当:2013/04/20(土) 15:33:34 ID:eUXtx3Qk
「いいや。お前さんの“気配を読み取る力”がそれを裏付けておる。元帥様は、“このピカチュウが、もしもお前と同じ能力だったら、間違いなく、俺が探していた雄。タケダ・シンゲンの子孫だ。”と言っておった。」
「武田信玄の子孫…。そして、じいさんのボスが俺を探していた。何の為に?」
「無論、闘う為じゃよ。」

“闘う為だとぉ!?じゃ、じゃあ最後の番人はもしかすると…。”俺は、驚きのあまり、彼へ思わず最後の番人に関しての質問を行った。

「闘う為…。なら、最後の番人は!!」
「そうじゃ。わかったようじゃな。最後の相手は、元帥様じゃよ。」
「くっ…。くそぉ、何の為にじいさんのボスと闘わなければならない?」

俺は、彼の発言を耳に入れて、追い詰められたような表情を浮かべ始めた。すると、彼は俺に優しく微笑みかけ、俺を励まし望みを託した。

「いや、お前さんは元帥様と対等に勝負が出来る。元帥様もお前さんも、“神の力”を持っているからのう。」
「神の力?」
「そうじゃ。神炎と神雷、勝つのは神雷じゃろう。いや、言い間違えたわ。小僧、勝て!!勝つのじゃ!!勝って、元帥様を倒し、あの娘達とブラッド君と…カオス小佐を、恐怖統制から解放してやってくれ…。」
「じ…じいさん。だが、俺は…」
「頼む!!これが、ワシの…ワシの一生の頼みじゃ!!」

彼は、俺へ否定の意思を表示させまいと、土下座を行い俺へ懇願(こんがん)して来た。彼は、真剣な表情から一変させて泣きすがるように、申し訳無さそうな表情で土下座を行っていた。

744適当:2013/04/20(土) 15:35:36 ID:eUXtx3Qk
俺は、彼の強い意志を彼の表情から読み取り、彼へ自分の決意を伝えた。

「わかった。じいさん、俺がブイズとカオスって奴を、じいさんのボスから解放してやる。」
「ほ、本当かの!?」
「ああ。まかせろ。」

俺の返事を受け取ると、彼は何度も感謝し頭を下げて来た。“よっぽど、恐ろしいボスなんだな。”俺は、彼の行動から彼の真意を感じ取っていた。その後、彼は立ち上がり、嬉しそうな表情で俺へもう一度感謝の意を伝えて来た。

「お前さん、本当にありがとう。ワシの望みは託した。それから、ワシの望みを叶えてくれてありがとう。生涯の最後に、お前さんと勝負出来て楽しかったわ。ワシは、もうこれ以上何もいらぬわ。」
「じ、じいさん…。」
「お別れじゃ。小僧の事は、あの世で話す事にしようかのう。では、小僧さらばじゃ!!達者でのう!!」
「ああ!!じいさん、俺もアンタと勝負出来て良かった。さようなら、伝説の番人。」

俺は、彼へ自信に満ちた表情を見せ、彼へ別れを告げた。彼は、俺の表情を見届け、自分の右腕にはめている黒い腕時計へ手を伸ばし、どこかのボタンを押した。彼がボタンを押すと、俺の体は徐々に消え、俺は彼の優しい微笑みを見つつ、伝説の間のステージである森から姿を消した。

745適当:2013/04/20(土) 15:39:28 ID:eUXtx3Qk
カオス視点

ショ…ショーン中尉が負けた!?伝説の称号を持ち、冷戦時中誰一人、誰一匹姿を見る事が出来なかったと言われている、あのショーン・ジョージア中尉が負けた!?私は今、小尉以上の位の者しか入室を許可されていない監視室にいます。そこで、実験対象となっている武田 仁というPIAエージェント候補の雄のピカチュウの先刻の戦闘を見て、驚きを隠せませんでした。スピーカーは、中尉のステージに取りつけられてはいませんが、衛星を通して中尉と彼の戦闘をモニターを通して拝見が可能なのです。実験対象のピカチュウは確かに強いです。ブラッドとの戦闘では、二日目にブラッドが隠して所持していた、“リミットブレイク溶剤”を体に注入され、彼は突然黒い雷光を放ち、隠された力を放出しました。私の後方の、自分の体の大きさに合った椅子に鎮座している元帥様曰わく、「黒い雷を持ち、目がエメラルドグリーンになれば、あのピカチュウは、俺の探し求めていた雄だ。」との事です。探し求めている…この軍に参入させるつもりなのでしょうか。私には、元帥様の考える事がわかりません。元帥様は、一体何が目的なのでしょう。まぁそれはともかく、私が中尉が負けるはずがないと断言したのは、いくら強い力があり真っ直ぐ力をぶつけようとしても、中尉には全ての攻撃を見切る力があります。ですから、中尉の対戦相手は、中尉に攻撃を全てかわされ、中尉からカウンター攻撃の嵐をお見舞いされ、たちまち負けてしまうのです。だから中尉は、対戦相手に勝つチャンスを与えようと、狙撃対決を提案したのだと思います。ですが、狙撃対決でも中尉に勝つ事はほぼ不可能なのです。なぜ、不可能なのかと言いますと、まずどこに潜んでいるのかが、検討がつかないからです。中尉は、ただ身を隠して目の前に標的が現れたら撃つ、というスタイルではありません。中尉は、標的の次の行動、そしてまた次の行動を予測し、標的が通行するだろうと思う道を狙撃出来るポイントへ先回りをして、標的を待ち構えるのです。鼻が利く、目が利く、耳が利く。そのどれかを持つ者ならば中尉が立てる僅かな音、中尉が放つ僅かな匂い、そして、隠れながら遠くから狙っている中尉を見つける事が出来るだろうと思いがちですが、それも不可能です。中尉は、迷彩服を着ているので、目が利いても、遠くから狙う中尉はまず発見出来ないでしょう。

746適当:2013/04/20(土) 15:44:29 ID:eUXtx3Qk
次に、視覚以外の感覚を持つ場合ですが、中尉は体臭も放ちませんし、音も立てません。どのような生物であろうと、自分の体の匂いを隠す事は出来ませんし、音も完全に消す事も不可能でしょう。ですが、中尉はそれすらもやってのけてしまうのです。以上の理由で、中尉に狙撃対決で勝てる者などいる筈(はず)が無いのです。しかし、実験対象である彼は、中尉に見事に勝利しました。不可能と思われた事をやってのけた彼に、私が驚くのも無理はありません。気配を察知…。私は中尉が負けてしまった映像を見て、実験対象である彼にも、中尉が持つ能力と同じ能力が備わっているのではないかと考えました。やはり、あのピカチュウは、元帥様が求めていた雄なのかもしれない。私は、中尉と彼との戦闘を見終えて、改めて思い直しておりますと、元帥様が私に先刻の勝敗の行方を訊ねます。

「カオス。」
「はい、何でしょうか?」
「どっちが勝った?」

元帥様は、モニターをご覧になっていた筈(はず)。ですが、そのような口を元帥様に訊いてはいけません。黙って質問に答えなければ、死刑にされてしまいます。私は、後方へ体を向け、元帥様の目を見て質問に答えます。

「武田 仁です。」
「フフ…そうか。」

私が質問に答えると、元帥様はまるで、自分の望みが叶ったかのように少し嬉し気に微笑みました。ですが、元帥様には未だに恐怖を覚えます。元帥様が笑おうが、配下は恐怖を覚える事しか出来ません。なぜ、元帥様は笑っているのだろう。元帥様の目的とは一体…。私は、元帥様に畏(おそ)れ多くもその質問を訊ねます。

「元帥様、貴方様は、貴方様と同じ神の力を持つこの雄を、どうなさるおつもりですか?」
「クックック…、では言おう。」

うすら笑いを浮かべた後、元帥様は私の質問に答えます。

「俺は、この雄と過去の因縁(いんねん)の対決を挑む。」
「過去の因縁(いんねん)…ですか?」
「俺の先祖とこの雄の先祖は、大昔にある戦いをしている。その戦いは、決着がつかなかった。神炎を持つ上杉謙信という名のエンテイと、神雷を持つ武田信玄という名のライコウの戦いがな。」

元帥様に言われても私には、何の戦いを指しているのかが全くわかりませんでした。私が、黙って耳を傾けていますと、元帥様は私に、現在実行しているプログラムの目的を告げます。

747適当:2013/04/20(土) 15:48:39 ID:eUXtx3Qk
「これで、プログラムは終了だな。俺の目的は叶った。」
「目的とは…。」
「クックック…、この雄を殺す。俺、自らの手でな。」

殺す為!?自分で手を下す!?これが、元帥様の本当の目的…。元帥様の話からおそらく、この雄を探す為に、名字が武田のポケモン達を、配下に誘拐させ、実験プログラムと称した、隠された力を持つかどうかを確認する作業を行ったと考えられます。元帥様は私に告げた後、監視室に笑い声を響かせています。私は、元帥様が気分を良くしている所を崩す質問を行ってしまいます。

「元帥様。貴方様が出る必要はありません。あの雄は、偶然に力を発揮しただけ。私で、十分かと思います。」
「チッ…なら、カオス。お前が俺に“殺されるか?”」

そう言って、元帥様は私に、別空間から取り出した、十本の刃が円を描くように位置しており、その刃からそれぞれ赤色の波紋が出ている“アマテラス”という名称の刃物を私へ向けました。あっ…元帥様には、これ以上意見してはいけない。私は、複数の赤色の波紋を見て、恐怖に駆られ、顔を真っ青にして元帥様へ静かに、“わかりました。貴方様にお任せします。”と返事を返しました。すると、元帥様は私に円を描くように位置する十本の刃物を向ける事をやめ、決して安心出来無い、畏(おそ)ろしい笑みを浮かべ、私へ衝撃の予定を告げました。

748適当:2013/04/20(土) 15:52:10 ID:eUXtx3Qk
「俺が、この雄を殺した暁(あかつき)には、ブイズを処刑にする。」
「な、なんですって!?」
「使えない部下などいらん。まぁ、ブラッドは殺しはしない。ジジイはもうすぐで病死する。カオス、お前とブラッドがこれからは俺の側近だ。中佐、大佐のバカ共はもう処刑したからな。」

私は、元帥様に抱く恐怖から少し言葉を詰まらせながらも、元帥様へ強く反論を行います。

「い、いくらなんでもそれはひど過ぎます!!α〜μ(アルファからミュー)の遺伝子を取り入れた、“Tーイーブイ”も処刑なさるつもりですか!!」
「Tーイーブイは殺さない。7タイプを持つイーブイは俺が強化する。カオス、俺に意見するな。死にたいのか?お前の代わりにTーイーブイを俺の側近にするか?」

そう言って、元帥様はもう一度、私に円を描くように位置する十本の刃物を向けました。私は、もう抵抗出来無いと悟り、元帥様へ“わかりました。申し訳ございません。”と頭を深く下げて謝りました。元帥様からの「顔をあげろ」という指示を聞いて、私は顔を上げ、元帥様の表情を黙って見ていました。元帥様は、私の顔をご覧になった後、「これで、因縁の決着がつけられる。ハッハッハッハハ!!」と円を描くように位置する十本の刃物を下げ、監視室に笑い声を響かせました。私は、元帥様の笑い声を聞きながらも、一つの可能性に気づき絶望はしていませんでした。それは、武田 仁が上杉 凌(りょう)という名前の伝説種族(伝説ポケモン)のビクティニ兼(けん)元帥様を倒す事が出来るかもしれないと考えたからです。あの凄(すさ)まじい、元帥様に匹敵する程の強大な力を持つならば、互角どころか、もしかすると勝てるかもしれないと思ったからです。

749適当:2013/04/20(土) 15:54:04 ID:eUXtx3Qk
……。いえ、私は本当は、元帥様を倒して欲しいと思っていただけでしょう。元帥様を倒さなければ、α〜μ(アルファーからミュー)の隊長格を持つあの娘達を救う事は出来ないからです。私も、中尉も、いつもあの娘達の事をモニターを通して見守っていました。私は、あの娘達に会う事はありませんが、中尉はあの娘達と実際に対面し、話を聞いたり、経験談を話したりしていました。元帥様は、あの娘達を奴隷(どれい)としてしか扱っていません。軍で開発した、薬の投与実験対象としてしか見ていません。そして、実験プログラムにおいて、対戦相手に勝てないから処刑にする。この非道な行いを私は許す事は出来ませんが、私には元帥様と争う力を持ち合わせていません。ですから、私は、監禁部屋で息を落ちつかせている武田 仁を見て、ただ願う事しか出来ませんでした。“どうか、元帥様を倒して欲しい”と。

【試練8 伝説 完】

750適当:2013/04/20(土) 16:02:30 ID:eUXtx3Qk
第8話
読む上での注意とお詫び>>593
物語 >>594ー749
途中物語じゃない文も混ざっています。

お褒めの言葉を述べた方、大変感謝しております。_(._.)_

こんなに、長い文章が自己満って…なんか変ですね(苦笑)

残す所、後一話です。次の投稿はいつになるかわかりませんが、よろしくお願いします_(._.)_

では、また次回ノシ

751適当:2013/04/20(土) 16:04:52 ID:eUXtx3Qk
物語>>594ー749
>>594-749

どっちが連続アンカかわかりません…(汗)

752名無しさん:2013/04/21(日) 00:44:23 ID:rWXh0I9Y
>>751
PCからだと上は「ー」(半角長音※環境依存文字)になってますね。下はちゃんと半角ハイフンになってるので下が正しいです

754適当:2013/05/15(水) 02:45:44 ID:.KNEI7Qs
スマホテスト

755適当:2013/05/15(水) 02:50:50 ID:sF/VBJ3M
ちなみに教えて下さい 今、auのARROWS使ってます。何文字書けますか?

757名無しさん:2013/05/15(水) 23:49:18 ID:ON1XTgHU
>>755
auからですが2000文字はいけました

758適当:2013/05/16(木) 01:59:06 ID:KTnAqIqI
ありがとうございます。_(._.)_投稿までにもう少しかかります。まだ、スマホ慣れしていませんので(汗)

759管理人★:2013/05/16(木) 07:48:03 ID:???
>>757
質問に答えるために実際にこのスレッドで書き込みテストをするのはおやめください。
削除はしましたが、スレッドの>>1を見てもテストをする場ではないので。

>>755
質問をする場ではないので、ご注意ください。

760適当:2013/05/18(土) 02:41:01 ID:cL8oYaWU
今から、最終話投下します。温かい目で見守っていて下さい(笑)

761適当:2013/05/18(土) 02:55:59 ID:Mu.M8Qpo
最終試練 【幻想】


Day19 【16:00】

俺は、【伝説】の番人である年老いた彼と狙撃対決を行った森から、真っ白に染め上げられた監禁部屋へ姿を現した。姿を戻した後、年老いた彼との死闘(たたかい)の疲れを癒やす為に、姿を現した場所へそのまま腰を下ろした。“ふぅ…。無事に勝てたな…。彼の体に銃弾を当て勝利した時は、喜びが大きかったが、今となっては、喜びよりも、彼との闘いで無事勝利を収める事が出来た事への安心感が、俺の心の中で大きく広がりつつあった。俺は、自力で勝利したワケじゃない。恥ずかしい話だが、先程の勝利は俺自身の実力によるものでは無い。軍獣(軍隊員を目指すポケモン)養成大学へ通い、戦闘、潜入の知識や技術は会得した…。と言っても、経験が結果(もの)を言うという事であろうか。やはり、経験豊富な彼に、自力では勝利する事は実現出来なかった。いや、更に恥ずかしい事に、俺は、【闇】の番人へも自力で勝利したワケでは無かった。自分の中の隠された力が無ければ、俺は年老いた彼へ勝利はおろか、年老いた彼の顔を見る事さえ不可能であったのである。不可能の理由を述べる必要は無いのかもしれない。ここまで言えば、俺が、もし隠された力を備えていなかったのなら、今頃どんな運命をたどっていたかは、容易に想像がつくと思う。だが、一応述べておこう。早い話、俺は、【闇】の間の番人から、自前の小さな刃物を胸に受けて死亡…。である。すなわち、隠された力、スサノオと呼ばれる者の力が無ければ、俺は今頃、現実世界ではなく、あの世と呼ばれる死者が集まる世界へ身を置いていたという事である。俺は、年老いた彼との闘いで“勝利”という名の“未来”を創造した者へ感謝の言葉を述べた。

「ありがとう、スサノオ。お前のお陰で、あのじいさんに勝てた。ふふ。いや、お前がいなければ、とっくに俺は殺されていたな。」

俺は、感謝を理由付けにした独り言をつぶやいた。すると、理由付けした独り言を受け取る、もう一匹の自分返答して来た。

“感謝(れい)などいらぬ。感謝(れい)をする位なら、我に頼らずとも勝てる位の力を身につけよ。”

“確かに。”俺は、もう一匹の自分の返答を受けて笑い、彼へ同意した。

「あっはっは。はぁ…。全く、その通りだ。わかっている。わかっているが…」
“どんなに力を尽くしても、力は及ばずか。”
「ふっ。全く、俺の言いたい事は、全部お見通しか。」
“当然であろう?我は宿主(ぬし)であり、宿主(ぬし)は…。では無いな。とにかく、我が言いたいのはそれよ。”

もう一匹の自分が告げた事は、俺に憑依(ひょうい)しているから俺の心情を容易に読み取る事が出来ると言いたいのだろう。“そこまで言われたら、もう何も言い返せないな。”俺は、もう一匹の自分の言い分を理解し、静かに笑みを浮かべて、年老いた彼との闘いで用いた装備を外し、次々と床へ置いた。最後に、森の地図が描かれた、折り畳まれた一枚の紙を床へ置こうとした時、もう一匹の自分が、俺を焦らせるような一言を言い放った。

“フッフッフ。宿主(ぬし)よ。まさかと思うが、最後の争いでも我を当てにしているのではないか?”
「な、な!?ち、違うぞ!!当てになんか…」
“フン…。かわいげなる(可愛らしい)雄よ。宿主(ぬし)のその姿は、雄と思えぬ程、かわいげなるぞ(可愛いらしい)。”

“か、可愛いだとぉ!?ちっ、調子に乗りやがって。”もう一匹の自分は、俺に先程、“ここまで、無事にたどり着く事が出来たのは、お前のお陰だ。”と言われた事をいい事に、仮説を用いて、俺の本心を試す質問。という名の偽りの言葉を放った。俺がもう一匹の自分のからの質問を、偽りの言葉と判断した理由は、俺の答えに対する返答からである。雄を焦らせて、雄が隠している普段は見せない弱い部分を引き出して楽しむという事は、俺へ“自分を頼るな。”と指導しているのでは無く、からかって楽しんでいるだけだと考えられる。俺は、もう一匹の自分の言葉に対して、“自分が何も出来ない“悔しさ”を噛みしめつつも、地図を床に置き、自分が今、優先すべき行動を起こすために、【幻想】の扉の右隣の、9つのくぼみ(今は、既に7つはまっているので、本来は2つのくぼみである。)がある装置へ目を向けた。

762適当:2013/05/18(土) 03:02:42 ID:FyaQoDAw
9つのくぼみには、左から順に、それぞれ異なる色が、天井から降り注ぐ真っ白い光を反射して光っていた。【業火】と示されたプレートの下には、赤色の光を放つ“α(アルファー)”のバッチが。【氾濫】と示されたプレートの下には、青色の光を放つ“β(ベータ)”のバッチが。【雷神】と示されたプレートの下には、黄と白の光を放つ“γ(ガンマ)”のバッチが。【光】と示されたプレートの下には、紫色の光を放つ“θ(シータ)”のバッチが。【闇】と示されたプレートの下には、藍色の光を放つ“λ(ラムダ)”のバッチが。【若葉】と示されたプレートの下には、あの少女と同じ、リーフィアの目を表すような、琥珀色(こはくいろ)の光を放つ“π(パイ)”のバッチが。【零下】と示されたプレートの下には、水色の光を放つ“μ(ミュー)”のバッチが。【伝説】と示されたプレートと【幻想】と示されたプレートの下には、それぞれ“χ(カイ)”の文字型と“ω(オメガ)”の文字型のくぼみがあり、当然、光を反射する物は存在しない。だが、今から俺が、手に握っている“χ(カイ)”と描かれた銀色のバッチをはめ込むので、実質は、それぞれ異なった色を持つ8つの光が、もうじき俺の目の中へ入り込む事になる。“ようやく…ここまで来たな。”俺は、赤、青、黄と白、紫、藍の光を9つのくぼみから反射される光を7色(なないろ)から8色(やいろ)へと変化させた。8色(やいろ)へ変化させたと同時に、部屋のどこかからかブザー音が鳴り響き、ブザー音が止むと同時に、“カッシャン”と、左から鍵をかける音が聞こえた。“後一回…。いや、もうこの音を聞く事は無いかもしれないな。”なぜ、この、鍵をかける音をもう耳に入れる事は無いだろうと、俺が考えたのか。その理由の1つに、年老いた彼が別れ際に伝えて来た台詞にある。彼が言うには、“最後の番人は、本来の番人では無く、自分の最上級上官(ボス)である。”との事。あと1つのくぼみは、“ω(オメガ)”の文字を型取ったくぼみである。だが、“ω(オメガ)”のバッチを所持しているのは、本来の番人である。本来の番人では無い者と最後の闘いを行うので、勝利しても“ω(オメガ)”のバッチは俺へ手渡す事は出来ないだろう。…。いや、手渡す事が出来ても手渡すつもりなんか無いと考えを改める。なぜなら、年老いた彼は、“俺を探し、闘う為にこの実験を行い続けている。”とも語っていたからである。闘う為といっても、結局の所は殺すつもりなんだろう。この、真っ白い監禁部屋から、俺を脱出させる気など、連中をまとめる真の黒幕には到底無かったのである。鍵をかける音を【伝説】の間を封印し終えたともいえる音を聞き終えた後、年老いた彼との戦闘の疲れかつ汚れを落とす為、俺はシャワールームへ歩を進めようと、9つのくぼみへ背を向け、踏み出す為に足へ力を入れた。だが、俺が1歩前へ踏み出そうとした時、後ろから開錠(かいじょう)を合図する音が鳴り響いた。

カッ…シャン…。

“なる程。来いという事か。”開錠(かいじょう)の合図が意味するもの。それは、おそらく“かかって来い。”という事だけであろう。ルール上、8つのバッチをはめれば確かに【幻想】と示された、残す所1つの番人の間は開く仕掛けとなっている。待ち受ける番人は、かかって来いなんて思ってないのかもしれないが、思っていないかもしれないと別の推測が出来るのは、あくまで本来の番人の時だけである。だが、今は違う。今は、俺を殺そうとしている、俺を監禁した連中をまとめる長(おさ)であり、逆らう者を皆、処刑にする恐ろしい者。真の黒幕が、【幻想】の間の番人を務めているのである。いや、やはり最初に述べた通り、務めているのでは無く、自身の目的を達する為に、“今か今か”と俺を待ち受けているといった方が正しいだろう。俺は、開錠の音を聞き入れて、シャワーを浴びる事を頭の中から瞬時に消し去り、【幻想】と示された扉へ歩を進め始めた。歩を進めている途中、俺の頭の中にある記憶が次々と蘇(よみがえ)って来た。

763適当:2013/05/18(土) 03:07:54 ID:wKQR3IVc
『生きていたら…ぐっす…。また会おうね!!』

初めは、【若葉】の間の番人が、俺と別れる際に涙を流しながらも、無理矢理笑顔を作って俺へ伝えた台詞(セリフ)である。生きていたら…。この言葉を意味するのは、俺に向かって“無事に脱出出来るように願っている。”という事では無い。彼女は、裏切りを働いてしまった。故に、彼女の台詞(セリフ)は、“自分がもしも生きていたら、また会えるといいね。”という事である。彼女は俺に情報を与えた。彼女は、裏切り者となり処刑され、もう現世(このよ)にはいないのかもしれない。だからこそ、俺は彼女を処刑にした真の黒幕を絶対に倒さなければならない。俺は、自分へ強く言い聞かせつつも、【幻想】と示された扉へゆっくり近づいていく。近づく際に、記憶の中にしまい込んだ台詞(セリフ)が蘇(よみがえ)って来た。

『あはは。ピカチュウ君なら、必ず脱出(で)られるよ。』

次の台詞(セリフ)は、【雷神】の間の番人であり、【若葉】の間の番人であるあの少女の親友である彼女が告げた台詞(セリフ)である。思い出せば、彼女は天才であった。特殊攻撃を得意とするサンダースに属するにもかかわらず、特殊技は使わず、全て接近戦で俺の力を超えて見せた。いや、もしかしたら単に特殊技を発動(だ)す事が苦手だったから、接近技ばかり使って来たと言えるかもしれない。そんな天才肌を持つ彼女が、応援メッセージなのか何なのかは知らないが、俺に“必ず脱出出来る”と告げたのである。彼女を超えた力を脱出する為の糧(かて)とした。だが、最後で殺され結局脱出は叶わなかった。では、話にならないし、俺が殺された事を知ると、“あ〜あ。”と愕然(がくぜん)とするか、もしくは“期待外れだなぁ…。”と呆れた顔をされるかもしれない。俺は、死んだ後、あの世から地上の様子を見た時に、彼女が俺に対しての失望を告げる態度を取る所を、見たくは無いし、そういう言葉も聞きたくは無い。だからこそ、真の黒幕を倒し、彼女(彼女だけでは無いが…。)を恐怖統制から救い出し、彼女と無事再会した際には、“君は、雄の強さを見抜けるのだな。さすがだ。”と彼女をほめてあげたいと思っている。………。俺は、一体何を考えているのだろうか…。深刻とはいえ思えない程の、呑気(のんき)な気構えを行ってしまっていた俺であったが、次の記憶で呑気(のんき)な気構えは打ち破られた。

764適当:2013/05/18(土) 03:12:10 ID:pFdutbek
『無理よ!!元帥様は、伝説種族(伝説ポケモン)のビクティニよ!!坊やに勝てるハズが無いわ!!』

次に蘇(よみがえ)った記憶の中の台詞(セリフ)は、【氾濫】の間の番人である彼女であった。彼女は、俺が22年間生きた中で会って来たどの雌よりも恐ろしい雌であった。そんな彼女に勝利し、彼女に尋問(無理矢理行わせたワケでは無い。彼女との勝負での取り決めである。)を行った際に、彼女が涙を流しながら、俺の“お前達のボスを倒す。”という台詞(セリフ)に対して、返した台詞(セリフ)である。彼女は、この台詞(セリフ)を言い放った際には、恐怖で震えていたと思う。彼女は恐らく、今述べた通りの台詞(セリフ)を口にした後、そんな態度を取っていた事であろう。彼女に勝利したとは言え、尋問を行い、情報を吐かせ、あげくの果てには、危険な情報まで吐かせ、彼女も裏切り者に仕立て上げてしまったのは俺自身である。彼女も、あの少女と同様、処刑されてしまったのかもしれない。そして、俺は彼女に“絶対にお前達のボスを倒す”と豪語という名の約束を結んでしまった。だからこそ、俺は、彼女を処刑にした真の黒幕を倒さなければならない。彼女を裏切り者に仕立て上げてしまったのだから、当然、俺には真の黒幕を倒す義務がある。“まかせろ。シャーズ、君の敵は必ず取るからな。”自分の心へ響かせた後、俺は【幻想】と示された扉へとたどり着いた。“これが…、最後の闘い。”俺は、【幻想】と示された扉のノブを手で握った。握ると同時に、年老いた彼の台詞(セリフ)が頭の中に蘇(よみがえ)って来た。

『勝て!!勝つのじゃ!!勝って、元帥様を倒し、あの娘達とブラッド君と…カオス小佐を、恐怖統制から解放してやってくれ…。』

あの娘達とは、“λ(ラムダ)”除く、“α〜μ(アルファーからミュー)”のバッチの守護者である、イーブイ進化系に当たる雌の兵士の事であろう。カオスとは、【幻想】の間の本来の番人の事と思われる。俺は、彼にこの台詞(セリフ)を託された後、初めは、彼の最上級の上官を倒せる自信が無かったので断りを入れようとした。だが、彼は、“頼む!!これが、ワシの…ワシの一生の頼みじゃ!!”と必死に懇願(こんがん)して来た。ここに“断る”とか“出来るか、わからないがやってみる。”のような曖昧(あいまい)な返事を返す程、俺は彼が託した生涯の願いを軽く見てはいない。俺は、【幻想】と示された扉のノブを掴(つか)んでいない、右手の拳を強く握りしめて、自分に、そして年老いた彼へ言い聞かせるように、決意を込めた言葉を言い放った。

「まかせろ。アンタの望みは、俺の望みでもある。俺は、ブイズを恐怖統制で従わせたアンタのボスを許すワケにはいかない。必ず、倒してやる。」

俺の中にもう迷いは無い。“勝てなかったら…。”なんて、もう一切俺の頭の中には思い浮かんで来はしない。“殺されたくない。”なんて、逃げの感情も一切抱かない。救う。各番人達を恐怖統制から解放してやる為、そして脱出する為に、真の黒幕を倒す事だけしか、俺の頭の中には存在しない。俺は、現実世界へ決意を表明した後、【幻想】と示された扉のノブを捻(ひね)り、【幻想】のステージへと歩を進めた。

765適当:2013/05/18(土) 03:19:47 ID:pa7rLjqs
俺は、【幻想】のステージに姿を現した。【幻想】のステージに移動し終えた後、いつもより、呼吸に用いている空気が薄い事を感じ、最後の相手と闘う場所に、違和感を覚え周りへと目を向けた。

「あっ…。ここは、まさか…。」

俺は、周りを見渡して、驚きを隠せなかった。遠くを見つめると、雲が浮いており、背後へ目を向けると、雪で覆われた所と、覆われていない所に分かれている様を確認出来た。“この場所は、見覚えのある場所なのかもしれない…。”自分の周囲を取り巻く、薄い空気や所々に見える雲などの環境から、頭の中で1つの推測を立てて、俺は崖(がけ)と思われる場所へ駆け出した。ある程度の距離まで駆け出した所で、目の前に砂利石で造られた自然の道路が姿を消し、下を見下ろす事が出来る事を予測し、歩を進め続けた。砂利石で造られた自然の道路が、丁度途切れる位の直前の位置まで歩を進め、下を見下ろすと、大きな湖があり、辺りに立ち込める少々の霧によって、見えにくいものの、湖には1つの大きな山の絵が描かれていた。山の絵は、俺が推測した場所通りの、山全体に青と黒を混ぜたような色が降りかかっており、山の上方が白みかかっていた。“間違いない…。ここは、富士山だ。”湖に映し出された、自分の出身国を主張する山を見終え、最後の相手と闘う国、闘う場所がどこであるかを目の前の光景によって知り、驚きを隠せずにいた。“富士山。という事は、じいさんのボスは、日本出身か!!”俺は、真の黒幕の出身国を推測し、“自分の出身国の者が、隊員達を恐怖で従わせ、裏切った番人達を処刑したのかもしれない。”と仮定しつつ、自分の敵は、生まれた時からある意味、身近に存在していた事を痛感した。俺が痛感した直後、背後から強烈な熱気が存在している事に気付き、後ろへ振り返り、熱を放つ方向へと目を向けた。俺が目を向けた先には、体の色が赤と薄い黄色で構成されており、額からアルファベットの“V字”の形で、表面は橙色、内側は黒で染められた耳を持ち、大きな青色の瞳(いや、日本出身だからか、少し黒も混ざっている。)を持ち、小さな犬歯が下唇に乗っている、腰の後ろに羽を生やした者が立っていた。俺の背後に現れた者の手、足も橙色に染まっており、背は俺よりも低いが、およそ15cm〜20cm位しか離れていない。見た目は、とても地上にいる者とは思えず、大きな瞳と腰辺りに生える羽は、幻想的かつ可憐(かれん)であると思われるが、表情は悪そのもので、更に着ている軍服が、こちらを決して味方とは思わせない金色であった。俺の背後に現れた者が、素直さを見せるような丸い瞳を持っていたのなら、俺は“どうして、こんな雄(ヤツ)が黒幕なんだ!?”とその者が犯した悪事に驚きを隠せずにいただろう。だが、彼は違った。彼の瞳は、鋭さを持つ丸みのかかった大きな瞳であり、俺には邪悪な笑みを向けている。彼の胸には、本来の番人が守護している文字、“ω(オメガ)”では無く、白と橙ベースのφ(空集合記号)が、光輝いていた。彼は、山中に邪悪な笑い声を響かせ、俺へ言い放った。

「ハハハハハ!!よく、ここまで来れたな。」

“コイツが、ボスか。”俺は、彼の言葉を受けても口を閉ざしつつ、彼をにらみつけていた。彼は、俺の目線など気にせず、自分の正体を明かした。

「俺は、上杉 燎(りょう)。この“GOD TEXT”のリーダーだ。そして…、誇り高き武神 上杉謙信の末裔(まつえい)でもある。」

上杉謙信。古の武将。確かに、武神と呼ばれる程の戦の強い武将であったかもしれない。だが、これだけは言える。上杉謙信は僧(そう)であり、神の力を持とうが、史上最強の力を持とうが、無理矢理従わせ、逆らえば処刑するなどの非道な行いなど、決してないはずである。俺は、彼の台詞(セリフ)に怒りを覚え、彼へ反論を行った。

766名無しさん:2013/05/18(土) 07:45:22 ID:p90GImX2
適当氏。
いちおう注意されたのだからちゃんと理解したことを文字にして表すべきかと。

767適当:2013/05/18(土) 08:14:14 ID:FYuYzEiA
申し訳ありませんでした_(._.)_
管理人さんへ、了解です。以後気をつけます。
では、中断して申し訳ありません_(._.)_続き投下します。

768適当:2013/05/18(土) 08:20:18 ID:XjaelStQ
「ふざけるな。お前はただの大量殺獣者(多くのポケモンを殺した者)だ。神の文字を受ける権利も、神の文字を与える権利も、神の文字を従わせる権利も無い。」
「フン。ククク…ハハハハハ!!」
「何がおかしい?」

彼は、俺の質問を受けると、右手に炎を灯し、手の平に炎を乗せたまま、俺の周りを歩き始め呪文のような言葉を言い放って来た。

「知恵を灯し、α(アルファ)。富と力を潤し、β(ベータ)。天の裁きを下し、γ(ガンマ)。真実を見通し、神々に告げし、θ(シータ)。人の裏の誤りを正し、λ(ラムダ)争いを収め、争者の輪を造りし、π(パイ)。全事象の創造源を監(み)し、μ(ミュー)。古き教えで神々の思考を改めさせし、χ(カイ)。過去、現在、未来。3空間を守りし、ω(オメガ)。」

“くっ…。コイツ、何が言いたい?”俺は、彼の発する言葉が理解出来なかったワケでは無い。彼は、今から“自分の行いは正しい”と必ず宣言すると推測し、腹を立てたのである。俺は、自分の周囲を歩く彼をずっとにらみつけていた。彼は、やがて動きを止め、右手に灯していた炎を消し、右手の拳を握って、俺に体を向け言い放った。

「そして俺が、腐敗した世界を破壊し、新世界を創造する神!!“φ(ファイ)”の称号を持つ、“神の文字”の統率者!!上杉 燎(りょう)だ!!」

“腐敗しているのは、お前の方だ。”勢いよく、誇らしげに言い放つ彼に、更なる怒りを覚え、俺は静かに拳を握った。拳を握るも、彼に怒りはぶつけず、彼に過去の行いを問いかけた。

「なぜ、フィアとシャーズを殺した?」
「憎き信玄の子孫の仁。貴様、何か勘違いしているな。」
「………。どういう意味だ?」

俺が訪ねると、彼は再び邪悪な笑みを光らせ、俺へ衝撃の一言を放った。

「貴様が、フィアを助けようと、シャーズを裏切らせようと、俺は初めからブイズを処刑にするつもりだった。」
「何だと!?」
「目的を達した時、神の子は神に力を保持させる為、贄(にえ)にならなければならない。ククク…。」

“コイツ…。”俺は、彼の理由を間に受けず、彼へ再び問いだした。

「ふざけるな!!その為じゃないだろう!!」
「ほう。当たりだ。そんな理由など存在しない。使えない子兎、子狐、敵に媚(こ)びを売るような雌猫、子兎など神の下には置けん。ハハハハハ!!言い間違えたな。雑魚は、神の子などでは無い。神の側に存在する権利など、何一つ無い!!ククク…ハハハハハ!!ハーハッハッハッハ!!」

“ふざけやがって…。このクソ雄(やろう)がぁ!!”俺は、彼の一言と、彼の、何の悪びれる様子も無く、自分が強いた戦闘を行わせた者を嘲け笑っている様を見て、ついに堪忍袋(かんにんぶくろ)の緒が切れ、彼へ怒号を飛ばした。

「貴様…貴様ぁぁぁぁ!!」
「ハハハハハ!!さて、暴神 素戔嗚尊(スサノオ)、そして暴将 信玄の子孫よ…」

彼は、俺の怒号を笑い飛ばし、笑いを止めて俺をにらみつけて、橙色に染められた指を差し、俺へ言い放った。

「統治神 天照大神(アマテラス)が成敗してやる。天界の悪事を働いた者よ。悪事をかばいし暴将の子孫よ、俺の裁きの炎に焼かれろ。そして、この世に一片の肉片も残すな。」
「どっちが悪だ…。貴様の行いが悪そのものだ!!貴様は、絶対に許さん!!神の資格を二度と語れないようにしてやる!!」
「ハハハハハ!!自分が正しき神と信じる者は、勘違いをする。勝った方が正しいのさ!!」
「この腐れ野郎ぉぉぉ!!」

相手の力がいか程か計り知れない時だからこそ慎重にならなければならない。だが、俺は彼の言動を受けて、余裕を持って身構える事など不可能であった。彼の言葉を受けた後、俺は自分の奥底に眠る力を全て放ち、体に黒い雷をまとわせた。彼は、三度目の笑い声を響かせ、体中から純白の炎を放ち、目の色を金色と黄色が混合した色に染め、両手に炎を灯し言い放った。

769適当:2013/05/18(土) 08:27:27 ID:Y2u7a/VA
「ハーハッハッハ!!来たな、暴神 素戔嗚尊(スサノオ)。俺の裁きの炎、神炎で灰になれ!!プロミネンスブレス!!」
「くらうかぁ!!ミラーコートぉぉぉ!!」

彼は、5方向に分かれた火炎放射の炎に俺を襲わせた。彼に対して俺は、彼の攻撃が迫ってくる前に、体中から強い電流を放出し、体の表面を黒い雷で包み込んだ。表面にまとわせた黒い雷が、白い炎をはじき返してくれたので、俺は彼の攻撃を完全に防ぎ、彼の両手から炎が消えたのを見計らって、足にまとわせた黒い雷を強力なバネ代わりにし、これまでに無い速さの低空飛行での直進を行い、彼へ突撃した。だが、彼は後ろに大きく飛んでかわし、俺の勢いが弱まった所へ逆に急接近し、右手に炎をまとわせ、俺へ炎の拳を放って来た。

「貴様のロケット頭突きなどで神炎を崩せるかぁ!!」
「当たるかぁ!!はぁ!!」

彼の炎をまとわせた拳を受けるも、俺は素速く自分の両手に黒い雷をまとわせ、彼の拳を打ち砕かんと、彼の拳へ合わせた。だが、彼は一度ではひるまず、右手が俺の拳と相打ちになった事を判断すると、すぐさま左手にも白い炎をまとわせ、俺の顔面へ攻撃して来た。“くそっ!!”俺も彼と同様に、打ち合わせていない拳を使って、彼の新しい拳を防いだ。これを機に、彼は二度目とは異なる拳を、俺は二度目とは異なる拳で彼の攻撃を受ける、激しい拳のぶつけ合いの火蓋(ひぶた)が切られた。

「ハーハッハ!!天照大神(アマテラス)の拳(パンチ)を受け過ぎると、簡単に身が滅ぶぞ?」
「くっ…。黙れ!!貴様の炎は、神の力なんか宿っていない!!貴様は、神なんかじゃない!!」
「拳(パンチ)だけだと思うなよ?足が隙だらけだぁ!!」

彼は、右手に俺の拳がぶつかった瞬間を見計らって、俺の脚部(きゃくぶ)へ狙いを定め、左足を放って来た。“当たるかぁ!!”俺は、彼の左足を両手でつかみ、彼を前方へ投げ飛ばした。だが、彼は2、3m飛ばされた所で、後ろの羽を用い、一瞬だけ宙に浮いて態勢を立て直し、満足そうな笑みを零(こぼ)し、俺へ言い放った。

「少しは出来るようだな?俺と闘うだけはある。」
「闘いじゃない。俺は貴様をこの世から消し去る。」
「消えるのは、貴様の方だぁぁぁ!!」

彼は、俺へ言い返した後、腰元の羽に白い炎を灯し、凄まじい速度で俺へ急接近して来た。“よし、ここからカウンターブレードテイルだ!!”彼が俺の元にたどりつくまで後数cmという所で、俺は素速く体を回転させ、硬質化した尻尾を彼へ放った。だが、彼は自分のすぐ後ろの空間から、円状に十本の刃がついた、自前と思われる特殊な薙刀(なぎなた)を抜き取り、俺の硬質化した尻尾を受け止めた。受け止めるとすぐに、彼は俺の尻尾を払い、背中を斬りつけて来た。

「くっ…くそぉ!!」

間一髪、俺は背中の刀を瞬時に抜き取り、彼の攻撃を刀で防いだ。だが、彼は俺に息つく暇を与えまいと、合わさった相手の刃を払い、俺の胴部分に狙いを定めて斬りつけて来た。俺もまた、彼の刃を防ぎ彼の攻撃が自分の体に直撃する事を阻止した。すると、彼は三度目も、四度目も、俺に刀で受けられては流し、隙を付いて、首、腹、胸、胴など、俺の体の各部分を斬りつけにかかって来た。俺も彼の攻撃を防ぎ続けているので、辺りにはお互いの刃が激しくぶつかり合う金属音が鳴り響いていた。彼は、俺と刃を打ち合わせあいながら高笑いし、降参を促して来た。

「ハハハハハ!!どうした?動きが鈍くなってるぞ?いい加減俺に斬られろ!!」
「黙れ!!斬られてたまるかぁ!!貴様の思い通りにはさせん!!」
「暴神がこの世に存在する事は許されない。十紋薙刀(ともんなぎなた)、アマテラスの餌食(えじき)となるがいい!!」

“よし、今だ!!”彼も俺と何度も刃をぶつけ合っているので、彼の動きは初めに打ち合った時よりも僅かに速度が落ちていた。彼が初めよりも、2秒程遅れて、自前の武器を俺の胴目掛けて振りかぶった瞬間、俺は刀を片手に持ち替えて彼の攻撃を刀で受け止め、空いた方の掌(てのひら)に黒い電流を出現(あらわ)し、彼の腹部めがけて黒い電気の玉を放った。

770適当:2013/05/18(土) 08:32:46 ID:wvO8MW0g
「雷撃波ぁぁぁ!!」
「電撃波!?しまった!!ぐわぁぁぁ!!」

彼は、腹部に俺の黒い電気の玉を受けて、4、5m吹き飛ばされた。吹き飛ばされるも、再度腰元にある羽を用いて体勢を立て直し、宙へ浮かんだまま俺を強くにらみつけた。

「くっ…。電撃波をくらうとは、油断し過ぎたな。」
「はぁ…はぁ…。」
「とっておきを見せてやる。」
「とっておきだと?」

彼は、俺の言葉を耳に入れ終えると、“神炎テレポート”と言い放ち、自らの体に白い炎をまとわせ、俺の目の前から瞬時に姿を消した。“くっ!!テレポートだと!?どこへいった!?”俺は、彼の攻撃を受けまいと、右、左、後ろを確認した。だが、彼の姿は無かった。“どこへいったんだ…。”と姿の見えない彼を警戒し始めようとした時、自分の前方であり上方から白い光が降り注いで来た。俺は、光へ急いで目を向けた。すると、先程まで自分と同じ高さに足をついていた彼が、宙に浮いており、右手、左手には、彼の顔と同じ大きさの巨大な白い炎の玉が出現していた。彼は、空から地上に高笑いを降り注ぎ、2つの巨大な白い炎の玉を俺へ放って来た。

「ハハハ!!ハーハッハッハ!!統治神であり、伝説種族(伝説ポケモン)だけが許された秘技!!“聖なる炎”をくらうがいい!!くたばれぇぇぇ!!」

“こ、こんな大きな炎防げない!!どうすればいいんだ!!”彼の放った炎があまりにも巨大な炎であったので、俺はたじろぎどうする事も出来ずにいた。俺が対処法を取る事が出来ずにいると、もう一匹の自分が語りかけて来た。

“宿主(ぬし)よ!!神雷域(じんらいいき)を使えい!!”
「それで防げるのか!?」
“黙れい!!口答えするで無いわ!!天照大神(アマテラス)如きの白炎など、我の黒雷の敵では無いわ!!”
「わかった!!素戔嗚尊(スサノオ)信じるぞ!?神雷域(じんらいいき)ぃぃぃぃ!!」

後、2、3mの所でもう一匹の自分から強い指示が出されたので、俺はもう一匹の自分を信じ、体の中心から莫大な電気を解放し、自分を中心にして半径2m程の巨大な黒い雷の柱を立てた。“くっ…。頼む!!防いでくれぇぇぇぇ!!”黒い雷の柱の中心に位置しつつも、俺は目を激しくつむって、懇願(こんがん)した。黒い雷の柱と白い巨大な炎がぶつかったのか、俺が願って2、3秒後、爆発音に近い大きな音が耳に入り、また自分の周囲に取り巻いていた黒い雷が消えるのを感じ取り、俺は目を開けた。すると、上空から放たれた巨大な白い炎の玉は、目の前から姿を消していた。“ほっ…。”と無事に、彼の一撃必殺技とも思われる巨大な炎の玉を防ぎきって、俺は胸をなでおろし、乱れた呼吸を整え始めた。彼は、膨大な力を一度に消費してしまった事で、宙に浮く力が無くなり、地上へ足を着いて、俺と同様に呼吸を整えていた。呼吸を整えつつ彼は、歯をくいしばり、今まで俺に披露して来た余裕のある邪悪な笑みを浮かべず、憤怒の表情を浮かべ叫んで来た。

「はぁ…はぁ…。チッ…こしゃくなぁぁぁ!!俺の聖なる炎を防いだだとぉぉぉぉ!!」
「はぁ…はぁ…。」
「ならばぁ!!これならどうだぁ!!」

“こ、今度は何をする気だ!?”彼は、再び両手に白い炎の玉を出現させ、俺のはるかかなた後方へ、飛ばした。“後ろに!?何が目的なんだ!?疲れてミスをしたのか!?”俺は、彼がなぜ自分の後方へ炎を飛ばしたかが理解出来ず、“どこかから来るかもしれない!!”と右、左、そして彼へ目を向け、警戒を行った。警戒を行っている途中、もう一匹の自分が警告を発令(だ)して来た。

771適当:2013/05/18(土) 08:46:23 ID:tOkjc3po
“宿主(ぬし)よ!!そこではあらぬ!!”
「え?」
“後ろよ!!急ぎ、その場を離れい!!”

“後ろだと!?”俺は、もう一匹の自分の言葉を耳に入れて驚き、急いで背後の確認を行った。“こ…これは!!炎タイプの波乗りか!!”自分の背後へ目を向けると、巨大な白い炎の津波が、今にも自分を飲み込もうとしていた。俺は、電光石火を用いて、瞬時に前進し、背後から迫る彼の陰謀を回避した。間一髪、回避し終えた所で、再び彼へ目を向けると、彼は既に両手に次の炎をたくわえ終えており、両手を合わせて炎を大きくし、俺に目掛けて放って来た。

「フレアウェーブは、おとりだ!!くたばれぇぇ!!ブラストバーン!!」
「な!?しま…雷磁誘…導、ごほぁ!!」

俺は、目の前に迫って来ていた彼の第二の陰謀に対して、体の表面に強烈な黒い電流をまとわせた。だが、とっさに行った防御で、俺の回避時間を計算に入れ、既に仕留める炎を手の中に出現させていた彼の攻撃は、完全に防ぐ事が出来ず、絶大なダメージを受けてしまった。“ご…ごほぉ!!し…死ななかったのが、唯一の救いだな。”彼の炎を受けて、4、5m飛ばされるが、地面に足をつけ、なんとか体勢を立て直す事に成功しつつも、体が悲鳴を上げた為か、吐血してしまっていた。吐血したが、まだ自分の意識が保てている事を幸運に感じるも、体から徐々に電気が無くなりつつある事を実感し、“どうすれば…いいんだ…。”と、死闘相手に苦しいと訴える表情を向けていた。徐々に体から消え去っていく、彼に唯一対抗出来る力。そして、彼のあの強大なダメージと同じ、もしくはそれ以上のダメージを与える方法も思いつかない。そんな状況に陥る中、もう一匹の自分が、俺を勝利に導いた。

772適当:2013/05/18(土) 08:51:07 ID:jJB1/ZYA
“宿主(ぬし)よ。豪雷死滅斬を使え。”
「ご…豪雷…死滅…斬?」
“一か八かの賭けよ!!あの童(わっぱ)は、天照大神(アマテラス)だけの力と思うたが、そうでは無い。あの童(わっぱ)は、初めから宿主(ぬし)の力を大きく上回っておる。我の力と、天照大神(アマテラス)では我の方が上。だが、その差はさほど変わらぬ!!”
「す…スサノオ!!」
“さぁ、やれい!!我は、主の体で滅す事も、天照大神(アマテラス)に滅せられたくも無いわ!!豪雷死滅斬は、我の秘技よ!!主は、一時我に意識を借せば良い!!さすれば、我が宿主(ぬし)に力を与えん!!”

“わかった。信じる。お前を信じるぞ、スサノオ…。”俺は、もう一匹の自分の強い訴え、唯一の打開策を聞き入れ、目を閉じて力を抜き、もう一匹の自分に操られるのを待った。ものの2秒後、自分の体の奥底から今までに感じた事の無いかつ、あんなに絶大なダメージをうけて、どこにそんな力が残っていたのかと疑いたくなる程の凄まじい量の電流が湧き出た。“スサノオ…ありがとう。俺は、死ぬかもしれない。だが、コイツは倒せる!!”もう一匹の自分が口にした豪雷死滅斬。恐らく、自分の身を犠牲にする電気タイプの技…いや、雷使いであり、神である彼の最後であり最期の技なのだろう。俺は、神であり、もう一匹の自分である者に感謝し、悪意に満ちた、神の力を誤って用いようとしている彼へ目を向け、刀を横に構え、刀にも黒い電流を流し込み言い放った。

「豪雷死滅斬!!」
「バカな!?どこにそんな力が!?」
「朽ち果てろぉぉぉぉ!!」

足にもまとわせた黒い雷の力を用いて、今まで発動(だ)して来た低空飛行を行う技の数百倍の速度で悪意に満ちた彼に向かい、彼の腹部を斬りつけた。彼は、俺に斬られた後、“ぐわぁぁぁ!!”と悲痛の声を響かせ、腹部を抑えて大量に吐血し、技を放ち終えた俺に弱々しい瞳を向け、うろたえた。

「ごふぅ!!これは…ワイルド…ボルト?」
「………。」
「ぐふぅ!!上杉家は…武田家に負けるの…か…。この俺…がはぁ。負…け…るの…か。」

この言葉を最期に、彼は倒れた。彼が倒れる音を耳にして、俺は振り返った。彼は、悪意に満ちたオーラも、体の芯から解き放っていた神の炎も消え去り、意識を失っていた。いや、もしかしたら俺ともう一匹の俺の渾身の一撃で彼は死んだのかもしれない。俺は近寄って、倒れ込んだ彼の生死を確認しようとした時、突然体から莫大(ばくだい)な電気が消え、力を無くして彼と同様に倒れ込んだ。うつ伏せ状態になってしまった途端に、自分の愛する雌である“綾”が笑顔を見せた記憶が、走馬灯のように、自分の目の前を駆け抜けていった。“ああ…。俺は、死ぬんだな…。”体から生のエネルギーが徐々に薄れていく中で俺が弱気になり始め、死を悟り始めた時、もう一匹の自分が懇願(こんがん)して来た。

“勝手に死ぬで無い!!我をもう一度、あのつまらぬ神界へ戻すつもりか!?”
「生きれるなら…それで、いいじゃな…いか。」
“ならぬ!!我は、争いの運命に置かれた宿主(ぬし)の争いを、今生感じていたい!!”
「はは…うるさい…。争いの…闘いの運命になんか…置かれて…たまるか。」
『去ぬる(死ぬ)なぁぁぁ!!宿主(ぬし)よぉぉぉ!!』

俺の死は、神である彼の消失に直結している。神である彼は、最古の言葉文句を最後…いや、最期と言うべきか。古(いにしえ)の言葉文句を最期に、俺の中から完全に意識を取り除かれてしまった。神である彼の意識が自分の体の中から消え去る事が感じ取った時、自分の意識も弱まり、今にも生から死へと移りゆく様に陥ってしまう事を感じた。“もう、ダメだ…。俺は助からない…。”俺は、自分の魂が生から死後の世界へ切り離される事を実感しつつ、小さく微笑み、愛する雌(もの)へ、自分の生還を第一に待っている雌(もの)へ心の底から謝罪した。

『綾…すまない。俺は…生きて…君の元に…戻れなか…』

最期の台詞(セリフ)を口にした後、俺は手に握っていた刀を離し、その場に倒れた。

773適当:2013/05/18(土) 08:56:40 ID:pFdutbek
………。俺は、死後の世界に行ってしまったのだろうか…。だが、意識が無いわけでも、生を完全に感じられなくなった訳でも無い。俺は、目を開けた。俺の目に最初に飛び込んで来たのは、真っ白に染め上げられた天井であった。“ああ…、結局、夢を見ていたんだな。”真っ白に染め上げられた天井を見て半ば安心しつつも、なぜだか“あんなに激しく、しかも真の黒幕を倒したのに、夢でしかなかったのか…。”と落胆を感じていると、自分の周囲からいつも(ここで言ういつもとは、監禁されている身での話である。)とは違う状況の中に居る事に気づいた。頬(ほほ)には真っ白い監禁部屋で感じる事が出来無い、自分を優しくなでてくれるような心地の良い風。耳を澄ませば、遠くの方から鳥達がじゃれあっているような声が響き渡って来ている。自分のすぐ近くからは、“ピッ…ピッ…。”と何かが波打つような機械音が、耳に入ってくる。この機械音は、なぜだか聞き覚えのある音であった。“もしかして…。”俺は、自分の記憶の中にしまい込んである音と、何かが波打つような機械音が一致するかどうかを確認すべく、音のする方へ目を向けた。目を向けると、緑色の波形、波形の下方には心拍数が表示された画面を取り付けた機械が存在していた。“心電図?やっぱりここは病院か?”俺は、周りの状況を再度確かめるべく、体を起こし、左、右と目を向けた。左には、暖かな肌色の扉が存在し、右には、自分と同じような生き物(ポケモン)と思われる者が、俺を見て、安心したような嬉しいと訴えているような、優しい小さな笑みを零(こぼ)していた。右に存在する者は、俺へ声を掛けて来た。

「気が付きましたか?」
「あ、ああ。ここは?」
「ここは、病院です。意識が回復したようなので、安心しました。」

俺の右に存在する者は、顔の構成が赤と黒でなされており、赤色は頭の中央から、人間でいう長髪のように後ろへ流れていた。そして、見た目は犬獣(犬型のポケモン)で、赤と少し青みがかった色で、彼の目は構成されていた。また、彼から漂って来る匂いは、狐であった。“黒い狐…。シャーズから聞いた話からすると、コイツがもしかしたら…。”俺がこう推測した事には、理由がある。彼が着ていた軍服が黒と赤で構成されたものであり、赤色は両肩にそれぞれ位置していた。更に、彼の軍服の胸部分には“ω(オメガ)”と描かれた金色のバッチが光輝いていたからである。“本当は、彼が最後の番人だったのかもしれない。”俺は、彼へ正体を訊ねた。

「お前が、カオスか?」
「はい。私が、本当はアナタの最後の対戦相手でした。」

彼は、俺に告げ終えると、自己紹介を行い、俺へ握手を求めて来た。

「初めまして。【幻想】の番人を務めておりました、カオスと申します。種族は、ご存知でしょうか?」
「ゾロ…アークか?」
「はい。よく、ご存知で。では、改めましてよろしくお願いします。」
「あ、ああ…。よろしく。」

彼の腕は、思っていたよりも長かった。でも、彼の身長には丁度良かったのだろう。俺は、彼が差し出して来た手を、右手で取り、彼と握手を交わした。彼は握手をし終えると、何かを感じ取ったのか、腹部へと目を向け、微笑みを向けた。

774適当:2013/05/18(土) 09:02:00 ID:JhhDha.2
「あはは。起きてしまいましたね。」

“え?”彼は、腹部を見つめたまま、腹部へ左手を伸ばした。俺は、彼の腹部に何がいるのかを確かめる為に、彼の腹部へ目を落とした。すると、彼の礼儀正しく折り曲げられた膝(といっても、正座をしているのではなく、礼儀正しくイスに座っている。)の上には、小さくて茶色の毛皮をまとい、マフラーを巻いている者。彼の膝(ひざ)には、一匹の小さなイーブイが存在していた。赤ん坊だからか、小さなイーブイは、おしめをはいている。小さなイーブイからは、雌特有の匂いがほのかに香って来た。“女の子か…。”小さな彼女が、彼に頭をなでられて嬉しそうに笑っており、頭をなでる彼の指を小さな口でくわえたり、離したりという事を繰り返していた。彼は片手間で、膝(ひざ)におく彼女を遊ばせつつ、俺へ彼女を紹介した。

「私達の軍に所属しる、α〜μ(アルファーからミュー)の隊員達の遺伝子を取り入れた、私達の軍が作成したT-イーブイです。」
「T…イーブイ?」
「Transform-イーブイの事です。この子は、7つのタイプを持ち合わせています。」
「ええ!?7タイプ!?」
「はい。あっ、言い忘れました。T-イーブイは女の子です。7つのタイプを持ち合わせているので、成長すれば、炎、水、雷、念、悪、草、氷タイプそれぞれの技が使えます。ですが、遺伝子が初めから複合し過ぎているので、進化は出来ません。」
「すごいな…。」

“T…イーブイ…か。”俺は、彼の説明を受けて驚きを隠せずにいた。驚きの感情を軽減する為に、一言つぶやき、感情を外へ発散させるが、未だに驚きの感情を消す事は出来無い。それ程、彼から耳にした情報が聞き慣れる情報(もの)でも、ましてや耳に入れる機会が全く無いと考えていたからであろう。彼は、俺の驚きの表情を見ても遠慮せずに、感謝し、衝撃の頼み事を持ちかけて来た。

「私達を救っていただき、本当にありがとうございます。」
「お前達のボスを倒した事か?」
「はい。ですが、アナタにもう一つだけ頼み事が。アナタが、この娘を引き取って欲しいのです。」

“は…はぁ!?”俺は、急過ぎる彼の頼み事に更に驚き、目を見開き耳を疑った。“じょ、冗談だろう?意味がわからん…。”俺は、彼へ理由を訊ねた。

「カオス、何を考えている?君が育てればいいじゃないか。君達の軍で生み出した、イーブイだろう?」
「いえ、それは出来ません。」
「は?なぜだ?」

俺に訊ねられた彼は、理由を述べた。

「私達の悪事の元は、アナタが絶ったとはいえ、私も元帥様と同じ誘拐の共犯者です。私と共にいても、この娘は幸せになんかなれません。」
「そ、そうか…。」
「はい。ですから、私達の英雄、武田 仁さん。申し訳ありませんが、この娘をよろしくお願いします。」

俺は、彼に理由を聞かされ、再度懇願(こんがん)までされた事により、“ああ、わかった。”と肯定の意思の返事しか返す事が出来なくなっていた。子供を授かるのは、今の彼女の綾では到底出来無い。彼女と俺では、遺伝子の構成が異なるからである。俺は、彼の理由を真っ直ぐに受け取ったつもりで、彼の膝(ひざ)に乗る、小さな彼女を育てる事を承諾したつもりであるが、もしかしたら、将来的に子供が受胎(つく)れないからという心配もあり、また、小さな彼女があまりにも可愛過ぎた為、自分の所有物(モノ)にしたいと思っていたからかもしれない。いや、それでは彼女に失礼だ。彼女は所有物(モノ)では無い。彼女は、初対面の俺をすぐに親であるとは認めないだろう。それ程、彼女は優しく微笑む彼へなついていると、自分にも判断出来たから、俺は“俺はいいが、彼女は認めてくれないかもしれない…。”と懸念を抱き始めた。俺の懸念は的中した。彼が、小さな彼女を抱き上げ、俺の手(広げた両手の間)の中へ渡らせようとした時、彼女は驚いて声を上げ、“いやだ!!いやだ!!離れたくない!!”と訴えるように、彼女自身の言語(俗に言う、イーブイの鳴き声。赤ん坊の頃は、言葉が形にならず、鳴き声でしか喋る事は出来無い。)を用いて彼へ訴えかけて来た。彼は、彼女が嫌がり、また悲しみの為か今にも泣き出しそうな彼女を抱き上げて、自分の顔の高さまで上げ、彼女に優しい微笑みを送って、彼女を安心させた。

775適当:2013/05/18(土) 09:11:49 ID:Mu.M8Qpo
「大丈夫です。仁さんは、とっても優しくて、いい雄(かた)です。」
「ぐっす…。ブィ…。ブィ…イーブイぃ…。(離れたくないないよぉ。)」
「私を信じて下さい。大丈夫ですから。」

彼が、今にも泣き出しそうな(微かにないてはいる)彼女を説得すると、彼女は、彼の告げた事を確認するように、俺へ目を向けた。俺は、彼女に優しく微笑み、両手を広げて彼女を迎えた。

「おいで。」

すると、彼女はもう一度彼の顔を見た。彼は、彼女にもう一度優しく微笑み“さぁ、仁さんの元へ行って来なさい。”と彼女へ行動を促しつつも、彼女の意見を尊重するように、俺と彼の中央の位置へ彼女を下ろして、彼女へ選択肢を与えた。“来てくれるだろうか…。”と、俺は彼女が下す未来へ心配していると、彼女は再度俺の表情を確認し、俺へ“心配はいらない。”と語りかけるように、俺の元へ向かい、小さな歩を進めた。“やったぁ!!”と、彼女が俺の間近まで歩いて来た様を見て、俺は心の中で叫び、彼女を両手で持ち上げて、自分の頬と彼女の頬をくっつけて、目を閉じて彼女へ感謝の意を伝えた。

「来てくれて、ありがとう。俺は、君の親になれてとても嬉しいぞ。」
「ブィ?(本当?)」

小さな彼女は、俺に確認を行って来たのだろうか。俺は、彼女が“きっと本当かどうかを訊いているんだろう。”と推測し、彼女へ“ああ。たっぷり可愛がってやるぞ。”と自分の意志も込めた、肯定の意思を伝えた。すると、彼女は“嬉しい!!”と表現するように、俺の頬を小さな舌でなで始めた。俺は、彼女の舌のくすぐったさに耐えられず、思わず声を上げてしまうのだった。

「あっはっはっは。や、やめてくれ。くすぐったいじゃないか。」
「チロ。チロ…。ブィ!!ブィ、ブィ!!(もっと、もっとぉ!!)」
「あは…こいつめ!!」

俺は、彼女を顔から離し、彼女を、自分がかぶっている布団の上であり、膝(ひざ)の上でもある位置に仰向けにし、彼女の腹をくすぐった。すると、驚愕の真実が明らかになった。

「あは…あはははは!!く…くしゅぎゅったぃぃ!!」
「は…はぁ!?もう喋れるのか!?」

俺が驚くのも無理は無かった。俺が引き取った小さな彼女の身長は、俺の約4分の1程度。雌は、あまり成長しないが、この時点で、雄であろうが、雌であろうが言える事がある。彼女の身長から、年齢を推測するなら、まだ0歳児である。更に、鳴き声を駆使してしか会話が出来ないので、0歳児以外は当てはまるハズは無いのである。彼女は、驚きの表情を浮かべている俺を、純粋なきょとんした表情で、可愛気な視線を送りつつ、見つめていたが、彼は左手を口元に添えて、上品な笑いを見せ、小さな彼女が“なぜ、言葉を話したか”の理由を告げて来た。

「あはは。驚きましたか?なぜかはわかりませんが、10回程繰り返して言葉を言うと、その言葉を覚えてしまうのです。」
「えぇ!?」
「他にも、喋る事が出来ます。この娘は、お腹をくすぐるのが好きなので、“くすぐったい!!”って言葉と、ほんの少しですが、需要性の高い言葉を話す事が出来ます。」
「お前が、覚えさせたんだろう?」
「ふふ、バレてしまいましたか。まぁ、当たり前ですか。」

“他にも、話せるか…。う〜ん、やっぱり言わせたい言葉は、アレしか無いな。”俺は、彼へ自分が望む言葉を小さな彼女が話す事が可能かを訊ねた。

776適当:2013/05/18(土) 09:17:53 ID:i4g0Mkog
「じゃあ、例えば“お父さん。”って呼んでくれたりもするのか?」
「お安いご用です。」
「本当か?」

「疑うなら、今ここでやってみせます。」

“言ってくれたら、嬉しいが…。無理だろう。第一、カオスは親にならないんだ。覚えさせているワケが無い。”彼の返答を受けても、俺は未だに信じる事が出来ず、怪訝(けげん)そうな表情で彼を見つめていた。怪訝(けげん)そうな表情を浮かべる俺に対し、彼は微笑みを消して、無表情かつ自信に満ち溢れた表情を作り出し、彼女へ呼びかけ、優しい笑顔を向け指示を出した。

「イーブイさん、こっちを見て下さい。」
「ブィ?(え?)」
「仁さんの事を、“パパ”って呼んでみて下さい。」

彼は指示を与えた後、俺を指差して彼女に俺の名前が“仁”である事を認識させた。すると、彼女は俺の方を振り向き、彼の指示を実行した。

「ブィ…ぱ…パ?」

“あっ…。”俺は、嬉しさを通り越した驚きにより、彼女に対して微笑みかける事も、頭をなでてあげる事も出来ず、ただ呆気(あっけ)にとられていた。俺が呆気(あっけ)にとられていたので、彼は俺の名前を二、三度呼びかけた。

「仁さ〜ん。仁さぁ〜ん。」
「……。え?な、何だ?」
「名前は、もう決めたんですか?」

“な、名前か…。”彼は、やはり優しい雄である。彼は、呆気(あっけ)にとられた俺に対して、“ほら、見ろ!!”と言い返さず、俺の示した態度を流してくれていたからだ。俺は、彼から小さな彼女に一生に寄り添う、命名を訊ねられ、顎に手を添えて、しばらく思考を行った。思考し終えた後、俺の頭の中に1つの文字が浮かんで来た。俺は、小さく笑い彼の質問に答えた。

「ふっ。零だ。」
「れい…。No.0ですか?」
「ああ。」
「なぜ、そう名付けたんですか?」

“答えは、1つしか無い。”俺は、自信あり気に彼の質問へ答えた。

「決まっているじゃないか。」
「決まっている?」
「壱の上が零だろう?つまり、本当の一番最初だ。」
「はぁ。」
「この娘が一番可愛いからだ。だから、壱の上の零なんだ。それ以外に、どんな理由がある?」

俺が自信に満ちた笑顔で彼へ理由を告げると、彼は口元に右手を添えて吹き出すように笑い始めた。

「ぷっ…あはははは。仁さん、意外と親バカなんですね。」

“お、俺が親バカだとぉ!?”彼に指摘された俺は、急激に恥じらいを感じた。彼に、予想もしなかった新たな感情を抱かされるが、恥じらいを隠すように反論し、彼を羨(うらや)ましがせる一言を言い放った。

「う、うるさいな。あっ、カオス“零をやっぱり返してくれ”なんて言ったって、俺はもう返さないからな?」
「ふふ、喜んで頂けて光栄です。是非、この娘を立派に育てて下さるようお願いします。」

“ちっ、つまらない雄(ヤツ)だ。”愛くるしい愛娘(まなむすめ)の父親になる良さを、彼に垣間見せても、彼の考えは変わらないようである。彼は、俺の望む台詞(セリフ)とは異なる感謝の言葉を言い放ち、言い終えた後、丁寧で上品なお辞儀を行って来た。俺は、自分の願いが叶わなかった事で彼には納得がいかないと訴えるような、不満気な表情を見せ、心の中では舌打ちを行い、彼をにらみつけていた。“コイツに何か、言ってやりたいが…。”彼が、今後“父親になる俺が羨(うらや)ましい!!”と放ってしまうような言葉を誘う方法はないかと、彼に気付かれないように頭を働かせていると、彼が左方へ目を向け、小さくつぶやいた。

777適当:2013/05/18(土) 09:23:27 ID:i4g0Mkog
「おや?3時ですか…。」

彼の見つめている方向へ目をやると、そこは俺の正面に位置し、黒縁の丸い壁時計が掛けられていた。 時計の針は、彼の言葉通り、3時を示しており、彼は急用を思い出したかのように席を立ち上がった。俺は、彼にこれから起こそうとしている行動について訊ねた。

「カオス、どこへ行く?」
「すみません。私は、もう行かなくてなりません。」
「どうして?」

俺の質問を受け、彼は微笑み俺の元を離れなければならない理由を告げた。

「アナタを一番待っている雌(かた)がこの時間にここへ来るのです。」
「一番待って…いる?」
「アナタが、目覚めるのを私と同じく、ずっと待っていたのだと思います。もしかすると…アナタも一番会いたい雌(かた)なのではないでしょうか。」
「誰なんだ?」
「それは、会ってみてからのお楽しみです。」
「は?お、おい!!待て!!」

質問の答えを笑顔ではぐらかす彼を、俺はとっさに引き止めたが、彼はその場を立ち上がって病室の出入り口まで歩を進め、“アディオス、Our's HERO,Mr.JIN.”と言い残し、そのまま俺の病室を立ち去って行ってしまった。俺は、彼が立ち去った後、彼の言葉から推測する事ができる者が誰なのかを検討し始めた。“俺に…一番会いたい…ヤツ?俺が、一番会いたい…ヤツ?………。はっ!!まさか!!”彼の言葉を思い出し、俺が1つの答えへたどり着いた時、病室の入り口付近から駆け寄って来る音が聞こえた。“あっ…、綾!!”駆け寄って来た者が、俺の病室までたどり着き、ベッドの手前へ目線を向けて呼吸を整えている様を見て、俺は驚きを隠せなかった。“そうか!!カオスの言ってた事は…。”目の前で呼吸を落ち着けている者を見て、彼の言葉の意味を全て理解し始めた時、目の前に存在する者が、俺を見つめ、涙を流しつつ、俺の元へ駆け寄ってきた。

778適当:2013/05/18(土) 09:30:24 ID:q5/3bl26
「仁くん?」
「綾…。」
「仁くん…。仁く〜ん!!」

彼女は、悲願を成し遂げたと訴えるように、俺の名前を叫び、俺の胸へ自分の顔を飛び込ませた。彼女は、俺の胸へ涙を染み込ませつつ、衝撃の事実を口走って来た。

「ぐすっ…。もうダメかと思ったんだよ?だって、仁君、3ヶ月もずっと意識が戻らなくて…。私…ずっと心配していたんだよ?」
“さ…3ヶ月…だと!?”
「でも、無事に目を覚ましてくれて良かった…。えぐっ…、本当に良かったぁ…。」

“何て事だ…。俺は、愛する雌の綾に3ヶ月も心配をかけていたのか!!”彼女は“長い間ずっと俺を待ち続けていた”と告げた。そんな彼女に、俺が罪滅ぼしの為にしてやれる事は、たった1つであった。俺は、小さく“すまない。俺は、何て馬鹿雄(やろう)なんだ…。”と伝え、彼女の背中に両手を回し、彼女を抱き締めた。しばらく、彼女を慰めようと、彼女を長らく心配させた罪滅ぼしの為の、自分が唯一行う事が出来る行為をし、彼女を自分の胸から解放し、両手で彼女の涙を拭った。すると、彼女は嬉しそうに微笑み、もう一度、俺の体温を全身で感じるように抱きついた。俺は、抱きつく彼女へ再度両手を背中に回し、彼女を優しく包み込んだ。彼女が、俺の体温を感じる中、何の関係も無い、俺の膝(ひざ)の上へ乗る小さな彼女は、“ブィ?”と“何をしているかわからないよ。”と告げるように首を傾げ、俺と彼女の行為を不思議そうに眺めていた。小さな彼女の声に気づき、彼女は“え?”と声を上げ、声がした方を見やった。すると彼女は、涙ぐんでいた表情を一瞬で忘れ去り、満面の笑みを浮かべて、小さな彼女を抱きかかえた。

「わぁ〜!!可愛い〜!!」
「ぶ、ブィ!?ブィ、ブィぃぃ!!(え、ええ!?何するの!!)」

いきなり、相手の都合だけで持ち上げられ、目線の位置を胸へ持ってこさせられた小さな彼女は、驚いて声を上げ、小さな両前足と首を激しく動かし、もがき始めた。だが、彼女が“ビックリさせてごめんね。よ〜しよし。”と言葉を掛け、小さな彼女を落ち着かせるように背中を優しくなでたので、小さな彼女は安心し、動きを止めてそのまま彼女の愛情行為を受け取っていた。彼女は、小さな彼女へ行為を続けつつ、俺へなぜ小さな彼女が俺の元に身を置いているのかを訊ねた。

「くふふ。仁君、この娘って、もしかしてカオスさんが抱っこしてたイーブイ?」
「ああ。なぜ、知っている?」
「ずっと、仁君の病室まで通ってた時に、カオスさんと会って話をしたりしていたの。その時に、カオスさんは、いつもこの娘を抱っこしてたから。」
「そうか。カオスは、君の事を既に知っていたワケだな。」
「うん。仁君、それにしてもこの娘どうしたの?何で、カオスさんが仁君に預けているの?」

彼女は、更に推測を混じえて、俺へ質問を行って来た。俺は、彼女に笑顔を向け、彼女が知らないと思われる理由を告げた。

779適当:2013/05/18(土) 09:34:42 ID:GJ1dAPZc
「頼まれたんだ。」
「え?」
「この娘を育てて欲しいってな。命の恩獣(恩の借りがあるポケモンの事)のカオスの頼みなんて断れない。それに、こんな可愛い娘を貰ったんだ。断る理由なんか無いじゃないか。」
「ふ〜ん。くふふ、そうだね。」

彼女も小さな彼女を得られて嬉しいのだろう。俺が話す度に、笑顔を振りまいている。俺は、小さな彼女を見つめ、幸せそうな表情を浮かべている彼女を、自然な笑みで見守っていた。彼女が小さな彼女の首元を、猫をなでるようになでると、小さな彼女は笑いつつも、彼女の行為を阻止せんと、彼女の指を口へ運んだ。彼女は、小さな彼女がとっさに行った、回避行動に“可愛い。”と感想をつけ、小さな彼女の口から指を抜いては、首元をなでてまたくわえさせ、口から指を抜いては首元をなでてくわえさせ…。という行為を繰り返し、小さな彼女へ回避行動を何度も行わせた。小さな彼女は、彼女の行動を“からかっている”とは捉えずに、彼女に遊んで貰って嬉しいと表現しているかのように、彼女へ回避行動を積極的に行っていた。彼女も同様に、小さな彼女が積極的に行う回避行動を楽しんでいる。彼女は、小さな彼女を遊ばせつつ、俺へ名前を訊ねて来た。

「この娘の名前は決めたの?」
「ああ。」
「何って名前?」
「零だ。漢数字のゼロだ。」
「零?どうして?」

俺は、彼女へ命の恩獣(恩の借りがあるポケモン)である彼に笑われた理由を、自信に満ちた表情で告げた。

「本当の一番最初は、数字のゼロだ。この娘が、俺にとって誰よりも一番可愛い。そんな理由から、この娘に“零”と名付けた。」
「へぇ〜!!仁君、センスいい!!やるじゃん。」
「おお!!綾、やっぱり君はわかってくれるな!!」
「くふふ。当たり前だよ。仁君、頭良いもん。変で単純な理由で名前なんて付けない事位わかるよ。」

俺が小さな彼女へ与えた命名は、知的なものなのであろうか。いや、それについては今は考えない事にしよう。俺は、彼女のほめ言葉を素直に喜び、彼女が言った言葉については特に何も考えなかった。“ふっ、俺と綾はやはり気が合うな。”彼女にほめ言葉を受けた後、俺は“ありがとう。”と彼女に伝えようとした時、小さな彼女が突如、奇妙な行動を取った。

「ブィ…ブィ ブィぃぃ…。(お腹空いたよぉ。)」
「え?」

彼女は、小さな彼女が自分が唯一話す事が出来る言葉を口にしながら、起こした行動に気付き、小さな彼女の顔へ目を向けた。小さな彼女は、鼻先で彼女の胸を、一定の回数つついては、言葉を放ち、再度一定の回数つついては…。という行動を行っている。胸を何度も突かれた彼女は、一定の間隔で襲われる快感に、あわてふためき、小さな彼女の行動の抑止を図った。

780適当:2013/05/18(土) 09:47:03 ID:4dLi8bqo
「ちょ…。あん、やめて。零ちゃん。そんな所…、ツンツンしちゃダメぇ…。」
「ブィぃぃ。ブィ、ブィぃぃ。(お腹空いたぁ〜。おっぱいちょうだいよぉ。)」
「こ…こら!!零ちゃあん…いい子だから…。お願…い。」

“綾は、胸が感じやすかったが、まさか赤ん坊にまで感じられさせられるとはな…。”彼女が、小さな彼女の行動を止めさせる事に、苦労している様はなかなか面白味のあるものであった。面白いと感じつつも、小さな彼女の行動に抑止をかけたい彼女を気づかい、彼女へ自分の推測を話し、救済を出した。

「綾。」
「あっ…やめ…。え?何?」
「もしかして、零は君の“おっぱい”が欲しいんじゃないのか?」
「あっ…ああ〜!!そうだったんだぁ!!」

一般的に考えると、赤ん坊が胸を突きながら、何かを喋る事から、“空腹を満たしたい!!”と言っている事は想像がつくだろう。だが、突然小さな彼女から“空腹を満たしたい!!”と訴える行動を受けてしまった彼女は、それすらも考える余裕が無くなってしまう程、焦っていたようである。俺から、小さな彼女が取った奇妙な行動の正体を聞いた彼女は、小さな彼女から自分の胸を遠ざけ、笑顔半面、申し訳無さそうな表情を浮かべて、小さな彼女へ告げた。

「零ちゃん、ごめんね。私は、おっぱいが出ないんだ。」
「ぐっす…。ふぇ…ふぇ〜ん!!えん!!えん!!」

彼女の言葉と言動から全てを理解してしまったのか、小さな彼女は泣き出してしまった。小さな彼女が行った“泣きじゃくって、無理矢理相手に願いを聞き入れさせる”という第2の行動は、再び彼女をあわてふためかせるのは十分であった。彼女は、泣きじゃくる小さな彼女を、胸元に寄せて、頭をなでながら必死にあやしつつ、俺へ救済を求めて来た。

781適当:2013/05/18(土) 09:52:42 ID:pFdutbek
「よ〜しよし。零ちゃん、泣かないで。仁君…、どうしよう。」
「う〜ん…仕方無いな。ダメ元で使ってみるか。」

俺は、困惑した彼女を救う為、ベッドと心電図に挟まれた中央に位置する、橙色のナースコールと呼ばれる装置へ手を伸ばした。ナースコールを押してものの一分弱、看護婦の服を着た一匹のハピナスが、俺の病室へ入り、“どうなさいましたか?”と丁寧に、用件を訊ねて来た。俺は、看護婦に用件を伝えようとしたが、看護婦と似たような体色を持つ彼女が、俺より先に“ミルクが欲しい。”と伝えた。看護婦は、彼女から要求された後、誰が必要としているのかを把握する為に、彼女に抱かれている、先程泣きじゃくり、今、涙で顔を濡(ぬ)らしている彼女へ目を向けた。状況を瞬時に把握し終えた看護婦は、“わかりました。すぐに、持って来ます。お待ち下さい。”と丁寧かつ迅速(じんそく)に返答し、俺の病室から素速く廊下を駆け出して行った。看護婦が走り去った後、彼女は今にも再び泣き出しそうな、小さな彼女を泣かせまいと“大丈夫だよ。もうすぐ、ミルクが飲めるからね。”と笑顔で語りかけ、懸命にあやしていた。だが、小さな彼女はまだ0歳児。誕生(うまれ)たての赤ん坊である。当然、彼女の言う事に耳を貸し、我慢するという事が出来るハズが無い。小さな彼女は、看護婦が去ってものの一分で再び大きな声を上げて泣き出してしまった。彼女は、言葉を掛けても効果が無いと判断し、何も言わず、申し訳なさそうな表情を浮かべ、小さな彼女の背中をさすり、小さな彼女が背中をなでられる事で安心感を覚え、泣き止むという事に期待をかけ、小さな彼女へ行為を繰り返し始めた。二、三度さすっても、欲求が満たされない小さな彼女が泣き止む事は無かった。彼女は、既に困惑していたが、彼女の困惑が移ってしまったのか、俺自身も次第に不安を抱かされ、“どうすればいい…。”と、彼女が小さな彼女を懸命にあやしている姿を見て、真剣に悩んだ。“綾がダメなら…。”と、彼女の代わりに、小さな彼女をあやす事を、自分から打って出ようとした時、看護婦が勢いよく俺の病室へ駆け込み、右手に持つ白く希望された液体が入っているほ乳瓶を“遅れて、大変申し訳ありません!!”と謝罪し、彼女へ手渡した。彼女は、“ありがとう。”と返し、看護婦からほ乳瓶を受け取り、“ほら、ミルクだよ。”と泣きじゃくる小さな彼女の口元へと運んだ。小さな彼女は、目の前に現れた自分が唯一欲求を満たす事が出来る物を見ると、すぐに泣き止み小さな前足を両方使ってほ乳瓶をささえ、欲求を満たす事が出来る液体を飲み始めた。小さな彼女がようやく泣き止んだ事で、彼女は“ほっ…。”と胸をなで下ろし、小さな彼女が懸命に飲んでいる様を楽しんで眺めていた。彼女は、小さな彼女に夢中になっているので、彼女の代わりに“ありがとう、助かった。”と看護婦に感謝の言葉を述べた。看護婦は、俺の返事を受け取った後、もう一度“遅れて申し訳ありませんでした。用があれば、いつでもナースコールで呼んで下さいね?”と告げ、俺の病室を後にした。“ふぅ、一件落着だな。”小さな彼女がようやく泣き止み、静かに自分の欲求を満たす事に集中している隙を見て、俺は安心し、ため息をついた。ため息をつき終えた後、小さな彼女が作り出す表情を彼女と楽しみながら眺め始めた。彼女は、小さな彼女に微笑みかけ、感想を訊ねた。

782適当:2013/05/18(土) 09:59:31 ID:t6Ql17Og
「くふふ、おいしい?」
「ちゅう、ちゅう…んぐぅ、んぐぅ…。」

小さな彼女は、彼女に感想を訊ねられても、自分の欲求を満たす事に集中している。感想なんて返してもらわなくて構わない。なぜなら、感想を言う以上の可愛さ溢れる表情と生きようとしている懸命さが見えるからだ。俺と彼女は、それだけで満足出来た。これが、本当の親になるという事を実感した証拠なのだろう。だが、俺が見るだけで満足出来るハズは無かった。小さな彼女の可愛らしい表情を、彼女よりも遠くで見つめている内に、“俺も、零にミルクを飲ませてあげたい!!”という、新たな欲求に駆られ、じれったく感じ、彼女へ要求を行った。

「なぁ、綾。」
「うん?なぁ〜に?」
「俺も、零にミルクをあげたいんだが…。」

すると、彼女はいたずら気に微笑み、俺へ拒否の意思を示して来た。

「くふふ、だぁ〜め。」
「は?どうして?」
「だって仁君、私にずうっ〜と心配かけたんだよ?」
「くっ…。じゃあ、どうすればいい?」

彼女は、ほんの少し顔を赤く染めて、俺へ要求を行って来た。

「キス…してくれたらいいよ?」
「キス?ここは、病室だ。公衆の面前でキスなんか…」
「じゃあ、抱っこさせてあ〜げないっ。」

“くっ…。ちっ…。”彼女が愛して欲しいと欲求している事は、俺にも十分にわかる。だが、指導権を握られた俺は、心の中で舌打ちをし、悔しんでいた。悔しみの感情を抱かされつつも、小さな彼女を再び、自分の胸元まで引き寄せたかったので、仕方無く彼女の要求を呑み、“こっちへ来い。君の望み通りキスしてやる。”と言い放った。彼女は、小さな彼女を抱きながら、ほ乳瓶の中身を与えつつ、嬉しそうな表情を浮かべて、俺に近寄った。俺は、近寄った彼女の頬(ほほ)に両手を当て、彼女の唇と、自分の唇を接触させた。彼女は、満足したのか、俺の口付けを受けた後、俺へ感謝し、小さな彼女をほ乳瓶ごと手渡した。

「仁君、ありがとう。はい、どうぞ。」
「ああ、ありがとう。って、綾ぁぁ…。ミルクが無いじゃないか。」

俺は、空のほ乳瓶をくわえたままの小さな彼女を手渡され、自分だけ欲求を満たした彼女へ怒った表情を向けた。すると、彼女はいたずら気に微笑み、俺を更に腹立たせる一言を言い放った。

「くすくすくす。仁君、“こわいかお”なんて使えたっけ?」
「綾、ふざけるのもいい加減にしろよ?本気で怒るぞ?」
「ふふ、ごめんね。ほ乳瓶取ったら、可愛いい零ちゃんが見れるかもよ?」

“ふざけやがって…”心の中で、彼女へ怒りを露(あら)わにするが、彼女の提案をひとまず受け入れ、小さな彼女がくわえているほ乳瓶を抜き取った。すると、小さな彼女は俺を絶句させる声と表情を放った。

「ちゅ…ぷひやぁ」
「あ…。」
「わぁ〜!!零ちゃん、可愛い〜!!」

彼女は、感想を言い、俺から小さな彼女を取り上げる一方で、俺は小さな彼女が見せた、予想さえも出来無い言いようも無い可愛さに、心の芯を貫かれ、何も出来なくなってしまった。“か…可愛過ぎる…。俺は…零の何を見て来たんだ…。”小さな彼女へ呆然とした表情を向けて、小さな彼女と過ごした時間を1つ1つ振り返っていると、小さな彼女は、“くわぁ…。”と子犬のように欠伸をし、目をウトウトし始めた。“そうか、疲れたのか。”俺は、小さな彼女が今にも眠ってしまいそうな様子を見て、小さな彼女と過ごした時間を振り返る事を止め、彼女へ指示を出した。

「綾。君は、家に帰るんだ。零を寝かせてやってくれ。」
「うん。零ちゃんは、おねむだからね。」
「ああ。」

俺の返事を受けた後、彼女は“じゃあね。仁君、お大事に。”と優しい笑みを向けて俺を気遣う言葉をかけて、小さな彼女を連れて、病室を後にした。俺は、今幸せ者なのだろう。未知種族(未知のポケモン。特に、個体数が少ないポケモンを指す)のミュウの綾が、愛する雌であり、命の恩獣(恩を受けたポケモンを指す)である彼に救われ、彼から言葉では形容も出来無い程の可愛い雌のイーブイの赤ん坊を手に入れる事が出来たのだから。

783適当:2013/05/18(土) 10:05:18 ID:7dFcfRlE
本当の最後の番人である彼に助けてもらい、あの病院で3ヶ月の集中治療を行い、意識を戻した所で更に1ヶ月の療養期間を経て、俺は無事退院し、今はPIA(ポケモンのアメリカの諜報機関)に所属している。所属はしたものの、自分の希望する特殊工作員、エージェントにはならず、彼が立ち上げたPIAの裏特殊部隊のNo.2を務める事となった。ポケモンが住む州の大統領や政府の連中は、“あの【GOD TEXT】を壊滅させたのだから、君しかエージェントを務まる者はいない!!”と強く推して来たが、命の恩獣(恩の借りがあるポケモン)である“彼”に、恩返しがしたいという事で、エージェントを断り、彼の創設した部隊へ身を置いた。そして、今日が最初の裏特殊部隊メンバーへの顔合わせとなる。もちろん、俺が来る事は誰一匹としてわかっていない。だが、俺は彼から、誰がメンバーなのかを耳にしている為、メンバーと顔合わせをしても驚く事は無く、彼から耳にした時の驚きだけで済むハズであろう。俺は今、彼と廊下を歩いている。共に、裏特殊部隊 作戦会議室へと続く廊下を歩いている。共に、廊下を一歩、一歩進んでいる最中、彼は嬉しそうな表情で俺へ訊ねる。

「ふふ。それにしても、まさかアナタが私の元に来て下さるとは光栄です。どういう展開(かぜ)のいきさつですか?」

俺は、彼へ理由を答える。

「ふっ、恩返し…ってだけじゃダメか?」
「いえ、十分です。これが理由なら、喜ばしい限りです。」
「“雄は、二言語らない。”俺は、これ以外に理由は無い。誰がメンバーだろうと…な。」

“これ以外に理由は無い”と俺は、彼へ断言しまった。だが、果たしてそうであろうか。自分の死闘相手であり、彼の直属の部下である彼女達にもう一度、ただ会ってみたかっただけなのかもしれない。俺は、彼から誰々がメンバーである事を告げられた後に、エージェントの申し出を断ったので、自分では気付かない下心が、もしかするとあるのかもしれない。下心…。いやらしい言い方だ。下心では無く、彼女達の全員の無事を確認したいと言った方が正しい。と、俺は自分を信じているが、実際の所は、彼女達に会ってみなければわからない。彼は、俺が下らない事を気にする中、何かを企むようで、何も企んではいない、ほんの少しだけ悪タイプにふさわしい笑みを浮かべ、俺へ言う。

「“仁さんが来た!!”と知ったら、あの娘達はビックリするでしょう。」
「敵が仲間になるからな。」
「ふふふ、果たしてそれが理由でしょうか。」
「は?」

彼に返答を受けても、俺は意味がわからず首を傾げた。“自分が来ると驚く…。どうして?”と彼の言葉を考える間も無く、彼女達が味方として待ち受ける作戦会議室へいつの間にかたどり着き、彼に続いて足を踏み入れた。足を踏み入れ、誰がいるのかを把握しようと、周りを見渡した時、俺は驚いて目を見開く。

784適当:2013/05/18(土) 10:15:22 ID:vwGEorS6
「あっ…。全員…いる。」
「あはは、アナタのおかげです。あの娘達が、元帥様に処刑されずに済んだのも、あの娘達が笑っているのも。」

彼は、自分達を自由にしてくれた事へ感謝の言葉を述べて来たが、俺は未だに驚きを隠せない。彼からは、確かに“あの時闘った番人が仲間だ。”と言われたが、“全員が揃っている”とは一言も聞いてなかったのである。特に、今自分からさほど離れていない場所へ存在している、あの少女が生きている事には驚きを隠せない。奥には、【氾濫】の間の番人である彼女も存在していた。彼女が生きている事にも、驚きを隠せなかった。実は、この2匹がメンバーであるとは彼の告げた内容には含まれていなかった。俺は、彼が告げた内容が全てだと認識していたので、“やはり…間に合わなかったか。だが、他の隊員(ヤツ)を救えて良かった。”と彼の話を耳にした後に、思いこんでいた。俺自身は、本当に全員救えるとは、みじんも思っていなかったので、驚きを隠せず、つい現実に露(あら)わにしてしまうのは当然の理(ことわり)なのだろう。“信じられん…。”と驚き続けている俺に、あの少女と少女の親友が気づき、前者が目に涙を浮かべ、俺の名前を呼びつつ、駆け寄って来た。

「あっ…お兄…ちゃん?」
「フィア…。」
「お兄ちゃん。お兄いちゃあ〜ん!!」

少女が勢いよく駆けて来た所を、俺は受け止め、彼女の頭をなでて“また、君に会えて良かった。死なずにいてくれて、俺は嬉しい。”と彼女に故意ではない、素直な言葉をかけた。彼女は、嬉しさのあまり俺の胸に顔をうずめたまま、大声で泣くが、周りを気にしているのか、それとも短時間で体の涙を出し切ったのか、泣き止み“私も…。お兄ちゃんに会えて嬉しいよ。”と小さく尻尾をゆらしつつ、返答して来た。“尻尾か…、嬉しいと表現する上ではもっともわかりやすい伝え方だ。だが、尻尾を感情で振らなくなったのは、いつからだろう。中学卒業以来、嬉しさを体で表現する事が無くなったな。”俺は、少女が表情と尻尾を一致させている瞬間、瞬間に、“若いっていいな。”としみじみと感じていた。ものの、二分、三分程経った所で、少女を抱き締めるのは“もういいだろう。”と思い、彼女から離れようと考えたが、彼女がずっと抱きついているので、俺は身動きを取る事は出来無い。少女が俺の体温を感じている中、少女の親友が不満気な表情を浮かべて、彼女へ要求する。

「フィア、そろそろ離れてもいいじゃんか。僕も、ピカチュウ君とフィアと同じ事したいんだよ?」
「あっ…サン、ごめん…。」

親友に要求されて、少女は顔をほんの少し赤らめて、恥ずかしそうに俺の体から身を離した。少女が体から離れた所で、少女の親友はイスから降り、俺の元へ駆け寄り、彼女らしい軽い態度で、俺へ接して来た。

785適当:2013/05/18(土) 10:21:13 ID:FYuYzEiA
「やっほー。ピカチュウ君、また会えたね。」
「ああ。君達に会えるとは思わなかった。ここへ来て正解なのかもな。」
「僕もフィアもピカチュウ君に会えて嬉しい。だから、僕もハグして“いい子、いい子”して?」

“はぁ…。しょうが無いな。綾に見られたら、殺されそうだが、いないから問題は…無い。”少女の親友は、少女に与えた行為と同じ行為を求めて来た。ここで断る事も出来るが、それだと少女だけを贔屓(ひいき)していると指摘してくるだろう。また、彼女は本当に嬉しそうな表情を浮かべ、その中には、俺に甘えるような上目遣いを使っているので、そんな彼女を無慈悲に拒否するワケにはいかない。“ワケにはいかない”というより、“出来無い”と言った方が正しいだろう。俺は、心の中で“仕方無いなぁ”とつぶやき、少女の親友の要求を受け、彼女の首の周りに生える棘(とげ)のような鋭く、白色の毛に注意しつつ、彼女を抱き締め、頭を優しくなでた。彼女は、周りを気にしている様子は無く、自然な態度で俺の体温を感じていたが、自分の言葉に責任を持っていたのか、少女よりも短い時間だけ、俺の行為を受けて俺から身を離した。その後すぐに、嬉しいような、何かを企むような、いたずら気で彼女らしい笑みを浮かべている様を見て、“コイツ。”と彼女の額を指で小突きたかったが、遠くで落ち着いてはいるが、本当は自分にもやって欲しいと訴えるような、静かな笑みを浮かべつつ、タバコをくわえている【光】の間の番人であった彼女の目線を気にして、自分の思うままの行動は起こさなかった。少女の親友は“フィさんなら大丈夫だよ。たぶん…。”と言っているが、みじんたりとも大丈夫だとは思えない。【光】の間の番人であった彼女へ警戒を置いていたので、彼女の発言を根拠の無い発言だと感じ、少女と少女の親友の元を離れ、タバコを口へくわえている彼女の元へ駆け寄り、一言交わす。

「また会ったな、フィ。」

俺から声を掛けられると、彼女は口にくわえているタバコを前足にはさみ、口から離し、白煙を吐き出した所で、俺との会話に集中したいのか、タバコを目の前の灰皿に押しつけて火を断った。その後すぐに、俺と死闘を繰り広げた時のように、見るからに妖しい笑みを浮かべ、挨拶を返しつつも、相手を試すかのような質問をぶつけて来る。

「うふふ…。そうね、子ねずみちゃん。」
「子供じゃない。子供がこんな所に来れるワケが無いじゃないか。」
「そう?でも、私はアナタの事を“可愛い雄”と思っているから、そう呼ばせてもらうわ。」
「そうか。じゃあ、そうすればいい。」
「ところで…、やっぱり私よりも“サンちゃん”や“フィアちゃん”の方がよろしくて?」

“はぁ…どう言おうか。”彼女に質問を受けてもすぐには返答出来ず、俺は頭を悩ませた。数分…といっても5分程だろうか。5分程、考えても返答する事が出来無い俺の代弁をしようとしたのか、それとも他の意図があったのか、いつの間にか俺の後ろに付いて来ていた少女の親友が、彼女へ言い放つ。

786適当:2013/05/18(土) 10:27:12 ID:iYL/YwRQ
「フィさん、さっきのを見てわからないかなぁ?」
「うん?何か言った?サンちゃん。」
「僕とフィアみたいな娘が、ピカチュウ君は好きなんだよ。」
「そうかしら?子ねずみちゃん?どうなの?」

“いや…そんな風に訊かれてもな…。”俺は、少女の親友の助け舟、彼女の“まるで自分を選んで欲しい”と言うような発言を受けて、すぐに返答する事をさせられず、困惑していた。“やっぱり、どっちがなんて言うワケにはいかない。”俺は、彼女達が誰一匹、気分を害さないように質問の答えをはぐらかす。

「ん?あ、ああ…。まず、サンもフィアもフィも、雌(女性)のタイプが違うじゃないか。しゃべりも違うし、振る舞いも違うし…。それに…」
「種族も違う…って事かしら?」
「あ、ああ!!そうだ。なんだフィ、わかっているじゃないか。俺は、別に君達をどうこうしようとしているワケじゃない。まぁ、それぞれ個性的で…いいんじゃないか?」
「うん、それもそうだね。」

“本当に納得してくれたのか?”少女の親友から、笑顔で相づちを受けるも、彼女達が自分の答えた理由に納得しているような、表情を作っているようには見えなかったので、俺の心(なか)で不安が募(つの)り始めた。“サンちゃんの言う通りね。”と彼女は、“納得した”と俺へ伝えては来たが、俺は自然に申し訳無さそうな表情を作り出してしまっていたのか、彼女は怪訝(けげん)そうな表情を浮かべて、俺を安心させるような、俺の態度を単に疑うような質問を行う。

「どうしたの?私は、別に怒ってないわよ?」
「そ、そうか。」
「サンちゃんも怒ってないわよね?それから、今さっき来たフィアちゃんも。」
「うん、怒ってないよ。ねぇ〜フィア?」
「うん。誰を好きになろうと、それはお兄ちゃんの勝手。お兄ちゃんが、答えてくれなくても別にいいよ?」

“それなら、いいのだが。”いつの間にか自分の後ろにいた少女を含む、彼女達の返答を素直に受け取る事にし、彼女達の中で一番誰に好意を寄せているのか、そもそも彼女がいるのに、好意があるのかを自分自身に問う事を止め、彼女達の顔を見渡し、“ありがとう。”とだけ返し、彼女の元を離れ、彼女に行った時と同様に、会釈をかわそうと左へ目を向けた。左を見ると、【業火】の間の番人であった彼女と、【零下】の間の番人であった彼女が、何やら楽しそうに笑っており、前者の背中には、俺の娘と同様におしめをはいており、前者の背中で楽しそうにさはしゃいでいる一匹のピチューがいた。“あれ?誰の子なんだ?”俺は、彼女に疑問を訊ねる。

787適当:2013/05/18(土) 10:33:51 ID:eA20ZRR.
「フィ、あのピチューは誰の子なんだ?」
「うふふ、シャーズの子よ。」
「シャーズ。」
「ええ。ちょうど、2ヶ月前だったかしら?無事に、卵を産んで二週間前に誕生(かえ)ったんですって。」

“生後二週間か…。生まれたばかりだな。”彼女の言葉を耳にして、俺は【業火】の間の番人であった彼女の背中に乗って楽しそうにはしゃいでいる、生まれて間もない子を眺めていた。俺が眺めている途中、少女の親友が生まれて間もない子とじゃれている彼女達を批判する。

「うわ…よく、どこの誰かもわからない雄の子供可愛がれるよね。」
「可愛いじゃないか。君達も、触って来ればいいじゃないか。」
「えぇ〜いやだよ。ねぇ〜フィア?」
「うん。私もサンと同じ。フィさんも?」
「いいえ。私は、自分の子供以外愛を注がない主義なの。まぁ、今はいないけど、いずれそうなるかしら?」

“変わってるな…。雌にも、すぐに母性本能が働くヤツと、すぐには働かないヤツがいるのか。”俺は、彼女達の意見に首を傾げ、彼女達の発言から自分の既知の情報をあらため、彼女達が“興味が無い。触りたく無い。”と主張するも、俺自身は生まれて間もない子を気になっていたので、彼女達を置いて、生まれたての子の元へと歩を進めた。

「ピチュウ!!ピチュうぅぅ!!(楽しい〜!!)」
「ははっ!!コイツ、調子に乗るんじゃねぇよ。」
「ふふっ。スター、この子に罰を与えたら?」
「そうだな。くらえ!!このやろう!!」

生まれて間もない子は、【業火】の間の番人であった彼女の背中で、馬(馬獣 馬型のポケモン)を乗り回すように、上下に動いて、楽しそうに笑っていた。【業火】の間の番人であった彼女は、【零下】の間の番人であった彼女の提案を受け入れ、背中から生まれて間もない子を下ろし、腹部をくすぐっている。“スターとシーアは、子供が好きなんだな。”生まれて間もない子と、その子とじゃれあって楽しそうにしている彼女達の元に向かいつつ、様子を眺めていると、生まれて間もない子とじゃれあっている彼女達が俺の足音に気づき、俺を見て驚き声を上げた。

「ははっ!!他獣(他人)様の背中であばれ…は?はぁ!?」
「ふふふ、スターを怒らせると恐…え?ええ!?」

俺は、驚いて目の前の光景を疑っている彼女達に微笑みかけ、彼女達へ会釈(えしゃく)する。

788適当:2013/05/18(土) 10:41:19 ID:yJJ6SiaY
「やあ、久しぶりだな。スター、シーア?」
「てめぇ…。何でここにいるんだよ!!」
「そうよ!!小僧さん、理由を簡潔に述べなさい!!」

俺の会釈(えしゃく)をうけても、彼女達は俺を忌み嫌っていると訴えかけるように、俺に鋭い眼光を浴びせた。彼女達の内の一匹は、俺に“ここへ来た理由”を問うて来た。俺は、彼女達へ理由を答えた。

「俺は、カオスに助けられた。俺は、その恩返しをする為にここへ来た。それだけだ。」
「だからって、来るんじゃねぇよ!!別に恩なんか返さなくったっていいじゃねぇか!!」
「そうよ!!あれ?そう…なの?」

【零下】の間の番人であった彼女は、【業火】の間の番人であった彼女の意見に同意するも、途中で疑問を感じてしまった為か、怒りの表情の途中で、ほんの少しだけきょとんとした表情を浮かべている。すると、疑問を抱く彼女へ、命の恩獣(恩の借りがあるポケモン)である彼が、答えを明かす。

「私は、仁さんが来てくれてとても嬉しいです。スター、もう一度言ってみなさい。彼の命を救った私へ、彼は“恩返しをする必要は無いのですか?”」

彼は、厳しい目を向けて、【業火】の間の番人であった彼女へ訊ね返した。すると、彼女は急に焦りだし、強調構文を用いて、彼へ許しを請(こ)う。

「あ…ああー!!違いますよ!!“I wrong to choice talking message!!I aporogize to displeased you!!”(言い間違えました。変な気分にさせて、すみませんカオス様!!)」
「“Yes.You should keep your mind saying your message.”(わかりました。さっきの言葉を胸に刻んでおきなさい。)」
「“Yes Sir!!”(了解しました!!)」

“スターも、カオスには頭を上げられないんだな。まぁ、身長差があり過ぎるし、悪タイプだから何を考えているかわからないからな。”【業火】の間の番人であった彼女は、彼の強調構文を用いた忠告を受けて、前足の側面を額に当てて、彼へ忠義を示す敬礼を行った。俺は、彼女が急にあわて、自分の意見を撤回し、彼へ敬意を示した事を必然であると考え、彼女へ笑わずに質問を訊ねる。

「ところで…。スター、君は意外だな。」
「そ…あ?何でだよ?」

彼女は、話し相手が俺であると一瞬で把握すると、態度と表情を変え、俺へ訊き返した。俺は、彼女へからかいの意図は無い、いたずら気な微笑みを向け、理由を言い放つ。

「ふっ、子供と楽しそうに遊んでいるじゃないか。」
「ああ?遊んでちゃ悪りぃかよ?」
「違う。シーアならまだわかる。だが、君がそんな優しい娘だとは思わなかったな。」
「は…は?あ、ああ…そうかよ。つーか、シャーズと喋れよ。お前がいると、調子狂うんだよ。」
「あっはっは。じゃ、お言葉に甘えて。」

俺は、【業火】の間の番人であった彼女の“他の隊員(ヤツ)と会話しろ”という返事をもらうと、彼女へ笑みを向けて感謝し、生まれて間もない子とじゃれあっている彼女達を温かい目で見つめていた。数十秒見終えた後、【氾濫】の間の番人であった彼女へ歩み寄り、微笑み話しかける。

789適当:2013/05/18(土) 10:49:57 ID:qMSFR66I
「シャーズ。」
「坊や、アナタのお陰よ。アナタが私を救ってくれたの。だから、今生きてここにいられるのよ。」
「そうか。」
「ま、私だけじゃないわ。他も、それからカオス様も然(しか)りね。」

【氾濫】の間の番人であった彼女は、死闘を繰り広げた時に見せた悪意ある怪しい笑みの気配は見せず、ただ、ただ、優しい笑みを向けていた。彼女は、俺に深く感謝し、“他も俺に感謝している”と告げて来た。俺は、彼女を救った事を必然であると述べる。

「当然だ。俺は君を裏切らせてしまったんだ。救える時は、救うのが当たり前だ。」
「うふふ、カッコイイ事言ってくれるわね?だから、私はアナタの事が好きなのよ?」
「やめてくれ。照れるじゃないか。」

彼女へは“照れる”と言ったが、実際には、“照れの感情”を抱いてはいない。彼女へ、深く感謝するつもりで発言した、社交辞令のようなものと言った方がわかりやすいだろう。彼女は、俺の返答を嬉しそうに受け取り、優しい微笑みを浮かべて、質問を訊ねる。

「ところで、坊や。」
「何だ?」
「この子、誰の子だと思うかしら?」
「さぁ、わからない。でも、君の子なんだから…」
「驚くでしょうけど、アナタの子よ。」

“は?コイツ…今、何て言ったんだ…。”彼女が優しく微笑みながらも放った、耳を疑いたくなるような発言に、俺は背中から一瞬冷や汗がにじみ出た。彼女が唐突に打ち明けた真実は、俺だけが聞いたワケではない。先程まで、生まれて間もない子とじゃれあっていた彼女達も、耳を疑ってしまう真実を口にした彼女の方へ振り向き、その内の一匹が彼女へ訊き返す。

「は…。おい、シャーズ。今、何って言った…」
「くすくすくす。そのピチューは、“坊やの子供”って言ったの。」
「坊やって…まさか、ガキの?」
「アナタはそう呼ぶのね?そうよ。私の目の前にいる、す・て・き・な雄のピカチュウの子よ。」

“は…はぁぁぁ!?お…俺の子供だったのか!!”彼女が上品な笑いを浮かべた後に放った言葉は、会議室の隊員達を驚愕させた。無論、俺と生まれて間もない子とじゃれあっていた彼女達は、“はぁ!?”や“えぇ!?”という驚きの感情を発散させてしまい、俺と彼女達から距離を置いて、他の雄の子を可愛がるような目を向けた俺を、おそらく不思議そうに眺めていたと思われる。少女と、少女の親友も同時に“えぇぇぇ!?”と声を揃えて驚いた。少女と少女の親友の近くにいた彼女も、余裕の態度を崩される程、俺の目の前にいる彼女の告白は衝撃の一言であった。自分自身が驚きの感情を発散させつつ、自分とほぼ同時に驚きの感情を表へだしてしまっている彼女達の声を耳にした後、彼女は、全員が驚く事が“わかっていた”と言うように、全員の顔をそれぞれ見回し、俺に笑顔を向け、感謝の言葉を述べる。

「やっぱり、みんな知らなかったようね。くすくす、ありがとう坊や。アナタのおかげでこんな可愛い、男の子のピチューを授かる事が出来たわ。“Dankesehr Sie.”(ありがとう、坊や)」

“ありがとう”ともう一度言ったのだろうか。俺は、彼女の出身国で用いられる強調構文を耳にしつつも、一旦深呼吸をし、心を落ち着かせ、彼女へ生まれて間もない子の名前を問う。

790適当:2013/05/18(土) 10:54:47 ID:LmFxxJRg
「ふぅ…。シャーズ、この子の名前は?」
「ミッシェルよ。」
「ミッシェル…か。」
「いい名前でしょう?」

“悪くは無い。ミッシェル…何となくドイツっぽいな。”彼女の質問に対し、俺は首をうなずかせて肯定の意思を示し、生まれて間もない子が、俺がいる方へ頭を向け、床に敷かれた青い絨毯に仰向けになり、俺と俺のすぐ近くの彼女をじっと見つめている様を見た。“本当に俺の子…なのか?”生まれて間もない子が、仰向けになってまるで、俺を親と感じ取っているかのようにじっと見つめる中、俺は、彼が本当に自分の子なのかどうかを確認する為、自分の体の特徴が彼に存在するかどうかを探した。すると、彼の耳は、自分と似たような、黒で塗りつぶされる部分が雷の形を描いている耳となっていた。“あっ…この子は、本当に俺の子なんだ…。”何の感情を抱いた為かわからなかったが、俺は気がつくと、生まれて間もない子へ一歩、一歩向かっている。生まれて間もない子の元に、後、二、三歩でたどりつく時、先程まで生まれて間もない子とじゃれていた彼女達が、驚愕の真実を口にした彼女が話した真実を強く否定する。

「う…ウソだろ!!ありえねぇよ!!ガキ、ミッシェルに近寄んな!!こんな可愛いピチューがてめぇの子種から生まれるワケねぇじゃねぇか!!」
「そうよ!!シャーズさん、それから小僧さん。ふざけているの?ミッシェルは、アナタとシャーズさんの間で生まれた子なんかじゃない!!」

強く反論を飛ばす彼女達に、俺は小さく首を振って否定の意思を示し、彼女達へ“自分の子供である”と確信を持った理由を告げる。

「いや、俺も違うと思った。だが、シャーズの言う事は本当だ。俺の耳と、その子の耳が似ているんだ。君達もわかるだろう?俺のような、黒い部分が雷の形をしているピカチュウはそうそういない。ミッシェルは、その耳を持っている。それに…シャーズがウソをついているようには見えない。」
「あっ…そ、そんなぁぁ…。」

俺の理由を耳に入れすぐに、生まれて間もない子の耳を確認した、【零下】の間の番人であった彼女は、認めたくない真実が現実のものであると認識してしまい、愕然(がくぜん)とした。彼女と共に、反論していた彼女も、生まれて間もない子の耳へ目を向けた後、“ま…マジかよ…。”と目の前にある光景を疑いつつも、認めたくない真実を認めた。俺は、彼女達が自分の告げた理由を受け入れ、それぞれの反応を示している様を見て、“許可が下りた”と解釈し、再び歩を進めた。生まれて間もない子の頭上へたどり着くと、俺は無意識に、生まれて間もない子を抱き上げていた。生まれて間もない子は、いきなり抱き上げられても驚きはしなかったが、まるで俺を親と認識していたかのように、反論を飛ばした彼女達には見せなかった、安心した表情を浮かべ、甘えるような目でじっと俺を見つめる。俺は、生まれて間もない子の頭をなでて、彼が喜んだ所で、彼の母親である彼女へ体を向け、自然な笑みをこぼして感想をつぶやく。

791適当:2013/05/18(土) 11:01:40 ID:rMRHUrGs
「ふっ、可愛いな。」
「うふふ、そうでしょう?アナタに、似たのよ。耳だけじゃなくってね。」
「俺は、雄だ。可愛いなんて言うな。」
「お世辞じゃないから、しょうがないじゃない。“You are very cute him too.”(ミッシェルも坊やと同じくとても可愛い。)」
「はぁ…。いい加減しろ、なぐるぞ?」

彼女へは、暴言を吐いたが、彼女へ警告を飛ばしたワケではない。ただ単に、“調子に乗るな”と冗談を言っただけである。彼女も俺の放った暴言が冗談である理解し、“くすくす。暴力的なお父さんね。”と笑って、言い返して来た。“調子のいいヤツめ。”彼女が上品に笑う所に、額を小突いてやろうと考えたが、遠くにいた少女と少女の親友が嬉しそうに、俺へ確認を取る。

「えぇ!?本当にピカチュウ君の赤ちゃんなの?」
「ああ、そうらしい。」
「お兄いちゃん!!触ってもいい?」
「ああ。」

俺の肯定の返事を受け取ると、少女と少女の親友は我先にと、俺の元へ駆け出して来た。先にたどり着いたのは、少女であった。会議室の光が、彼女の素速さを上げる特性を引き出したのだろうか。少女は、俺の元へたどり着くと、急いで俺の前に着座し、“抱っこさせて!!”と要求して来た。俺は、もちろん断るつもりは無い。俺は、許可を出して、生まれて間もない子を少女に抱かせた。少女が、俺から生まれて間もない子を受け取った直後に、少女の親友が息を切らしてたどり着き、少女へうろたえる。

「はぁ…はぁ…。フィア、早過ぎだよ。」
「だって、お兄いちゃんの赤ちゃんなんだもん。早く抱っこしたいじゃん。」
「むぅぅ!!じゃんけんだぁ!!」
「だめだよぉ〜だ。サンは、私の次。」

彼女達は、小競り合いを繰り広げる程、俺の子でもある生まれて間もない子を一早く抱き上げ、可愛がりたいようである。少女の親友は、少女の言う事に納得出来ず、不満気な表情を貫いたまま、“だめ!!公平にじゃんけんだぁ!!”と異論を唱えるも、少女は、彼女を無視して“わぁ〜!!可愛いい!!”と一匹でにはしゃぎ、生まれて間もない子の頬(ほほ)を前足でつつき出した。生まれて間もない子は、つつかれては少し両目を激しく閉じるという動作を繰り返していたが、嫌悪を示す表情は一切浮かべず、次第に、現時点で話せる言語(俗に言う、ピチューの鳴き声)を放ちつつ、喜んでいる。“俺の子供ってわかった途端、こうなるのか。”と、少女が俺の子供とじゃれあい、少女の親友がうらめしそうな目で少女を見つめている様を見て、そう思いつつも、俺はすぐに頭を悩ませた。それは、生まれて間もない子を産んだ母親とどのような関係を築いていくかという事であった。“俺には、綾がいる。シャーズ…すまない。”俺は、生まれて間もない子の母親へ申し訳なさそうな表情を浮かべて、彼女へ謝罪する。

「シャーズ…。俺には、既に妻がいるんだ。君の夫にはなれない。本当にすまない。」
「坊や、いいのよ。私は、この子を授かっただけで幸せだから。アナタを夫に出来なくても、私がこの子をアナタのような、優しくて強い男の子に育てるわ。」
「そうか…。」

俺が心から謝罪する為に、彼女へ返答し終えた後、“本当に、すまない”と頭を下げようとすると、生まれて間もない子を可愛がっていた彼女達が、怒りの表情を浮かべ、俺へ怒号を飛ばす。

792適当:2013/05/18(土) 11:05:31 ID:qmnUb9Kw
「ガキ!!てめぇ、最低だな!!自分の子種をシャーズに植え付けといて、シャーズが生んだら、他に雌(おんな)がいるからだぁ?ふざけんのも大概にしろよ!!」
「スターの言い方は、悪いけどその通りよ!!小僧さん、アナタ本っ当に最低な雄ね!!“What you arestupid male!!Get out here!!”(この最低、雄(やろう)!!ここから出て行け!!)」
「“You are very son of a bitch male!!Fuck you!!”(クソ雄(やろう)が!!くたばれ!!)」

“うっ…ヒドい言われようだ…。”俺は、彼女達から強調構文を含む罵声を浴びても、何も言い返す事は出来無かった。彼女達へは、申し訳なさそうな表情を向け続けて、無理矢理理由を受け取ってくれるまで黙る事しか出来無かった。俺が、何も言い返せない中、少女と少女の親友が悲しげな表情で俺を説得する。

「お兄ちゃん、ミッシェルが嫌いなの?」
「嫌いじゃない。ただ…」
「シーアさんの言う通りだと思う。しょうがないって言いたいんだよね?でも、それじゃあミッシェル君が可哀想じゃんか。」
「可哀…想?」
「よく考えてピカチュウ君。この子が大きくなったら、シャーズさんは“実は、パパはいない。”って答えなくちゃならないんだよ?ピカチュウ君は、そんなヒドい雄なの?」
「お兄ちゃんは違うよね?そんな雄を、私も、サンも、好きになるハズないもん。」

“あっ…。そうか…。俺は…俺は!!”俺は、彼女達に“よく意味を考えろ”と言われ、重大な事をあまりにも無責任に扱っていた事に気づかされ、“放棄してはいけない。どんな理由があろうと、この子は俺の本当(じつ)の子。シャーズを妻にしないワケにはいかない!!”と改めて決心し、生まれて間もない子の母親に真剣な表情を向け、“責任を取る”と告げた。

「シャーズ、俺はどうかしていたようだ。」
「どうかしていた…って…」
「俺の妻になってくれないか?」
「えぇ!?坊や…何を言って…」
「冗談でも何でもない。これが、俺の答えだ。シャーズ、“Do you marry me?”(俺と結婚してくれないか?)“We create future for our child”(この子の未来を俺達で創ろう。)」

俺の決意を固めた告白を受けて、生まれて間もない子の母親である彼女は、歓喜の涙を流し、涙声ながらも、俺へ明確な肯定の意思を告げる。

「ぐっす…。“Yes of corse!!Is that things true?(もちろん!!本当に…結婚してくれるの?)」
「ああ。証拠を見せてやる。」
「証拠?えっ?うわぁ!!」

793適当:2013/05/18(土) 11:08:22 ID:qmnUb9Kw
俺は、自分が決意を告げた彼女を、強く抱き寄せた。彼女は、初めは驚くが、次第に俺の行為を素直に受け取り、俺の背中へ手を回し“ダンケシェア、ミィーア、ゲファレン、ズィー”と俺の耳元でささやいた。“ありがとう、愛している。”と言っているのだろうか。いや、そうに違いない。彼女は、俺から自分で離れようとはせず、俺が許す限り俺の体温を感じ取っている。俺が、彼女を抱き締めた俺の言葉が真実であると認識した周囲の隊員達は、それぞれの口調で“やったぁ!!”と歓声を上げた。周囲の彼女達の歓声を受けしばらく彼女を抱き締めると、俺は彼女は解放し、彼女へ言葉を紡ぐ。

「俺は、この子が成長した時に、君に“実は、お父さんはいない”なんて言わせたくない。俺も、この子に“父親はいない”と悲しませたくない。君だって、この子言えないだろう?“お父さんがいない”なんてな。」
「くすくす。その通りね。でも、坊や、ハッキリ言ってくれないかしら?私を愛しているの?愛していないの?」

決意を告げた彼女が涙で顔を濡らしつつも、上品な微笑みで、行って来た質問に対し、俺は、すぐには返答せずに、彼女の唇に自分の舌を接触させ、自然な笑みを向け、彼女へ明確な答えを告げる。

「ああ!!愛しているぞ。綾は、俺が説得する。きっと、綾も受け入れてくれるだろう。今日から、君は俺の妻だ。“I make you happy life”(俺が、君を幸せにしてやる。)“Don't you say me disagreement,follow me(黙って、俺について来い。)」

すると、彼女は自分から俺に抱きつき、俺だけに聞こえるように、小さな声で“Thank you my derin.I love you forever.(ありがとう、坊や。ずっと愛しているわ。)と告げたしばらく彼女から、行為を受けると思ったが、俺と俺の周囲に存在する彼女達が繰り広げた寸劇を見ていた、命の恩獣であり、全員をまとめる司令官である彼が、咳払いをし指示を出す。

「ゴホン…。シャーズ、良かったですね。さて、もうそろそろよろしいでしょうか?会議を始めますので、指定の席へお戻り下さい。」

彼の指示を受けて、彼女と俺は“はっ”とした表情を浮かべて、それぞれ急いで指定された席へと向かい、着席した。遠くから、俺と彼女の寸劇を見守っていた彼女以外の隊員達も、彼の指示を耳に入れた後、すぐに行動を開始した。生まれて間もない子を抱いていた少女は、俺の新しい妻である彼女に、彼を手渡し、自分の親友の後を追いかけて、急いで反対側へと回り着席した。全員席へ着席した所で、司令官である彼は、一番前方にある机に向かい、歩き出す。俺は、席へ着席した後、全員がどのような位置についているのかを確認した。俺の目の前には、【業火】の間の番人であった彼女が着座し、自分の新しい妻である彼女は、【零下】の間の番人であった彼女の左隣、ちょうど、先程俺に罵声を浴びせていた彼女達に挟まれる所に着座していた。【零下】の間の番人であった彼女の左隣には、【光】の間の番人であった彼女が着座し、俺の右隣には順に、少女と少女の親友が着座し、全隊員で楕円のテーブルを囲む形を取っていた。少女と少女の親友は、俺と目が合った所で、満面の笑みを浮かべ、少女の親友が“信じていたよ。ピカチュウ君。”と告げるが、司令官である彼から指摘させる。

「サン、フィアどこを見ているのですか?」
「え?あっ!!カオス様、すいません!!」
「ごめんなさい、カオス様ぁ!!」

少女と少女の親友は、司令官である彼から注意を受けて、彼の元に向き直ってそれぞれ、謝罪した。彼は、彼女達が指示に従った所で小さくうなずき、全員を見回して、笑顔を向け、全員へ会議開始の号令をかけた。

「全員揃いましたね?新入隊員、“χ(カイ)”の称号の武田 仁も私達のメンバーに加わった所で…。会議を始めます。」

終わり

794適当:2013/05/18(土) 11:44:33 ID:RIzcHvOI
最終話>>761-793
以上にて、長編小説 9つの試練は終了です。慣れないスマホを使っているからといって、質問の場ではないにもかかわらず、質問をしてしまってすみませんでした_(._.)_

気が向いたら、短編を投下しにくるかもしれません_(._.)_
現段階で作者ページも作成出来ると思いますが、作者ページは私は、今のところは作成いたしません。
チラシの裏の裏が投下しやすいです(笑)
それと、物語に出てきた技ですが、豪雷死滅斬とプロミネンスブレスに関しては、オリジナル技ととって下さい_(._.)_

豪雷死滅斬
体力の99%を消費して、相手を即死に追いやる技。刀と体に、10億ボルトの電気を帯びさせ、相手を斬る技。

プロミネンスブレス
5方向に、弱点神属性以外では、消すことが出来ない火炎放射を放つ技。相手を包みこみ大ダメージを与える。状態異常 一定時間の意志喪失(マインドコントロール効果)と重度の火傷。

最後にこの物語は、自己満足小説です。トピック閲覧の皆様方
ご了承下さい_(._.)_

795巨ポケスキーの人:2013/07/07(日) 17:09:32 ID:yuYNfOe6
 朝方から地上が騒がしい。
 耳を澄ますとばおうばおうと地鳴りのような声が聞こえてきて、カイオーガは溜息混じりでその声の方へと泳ぎ始めた。

「何の用だ、いきなり呼びつけおって」
「いや、別に用はないんだが……久し振りだな、カイオーガ」
「久し振りとも何とも思わん。用も無いのに呼ぶな馬鹿」
 相も変わらず散々の物言いだが、そんなことを一々気にしてなどいられないと、グラードンはもう遥か昔に学習していた。万年単位のつき合いなのだ。
「用という用ではないが、旨い木の実を持って来た。せっかくだから食っていけ」
「ふん」
 食べ物と聞いて、少し興味を引かれたのか、カイオーガが泳ぎ寄ってきた。
 波打ち際で顔を上げて待っている、多分自覚は無いのだろうが、まるでおねだりのようなその表情に、グラードンは思わずへにゃりと崩れそうな自分の顔面を何とか立て直した。
「ほれ」
 大きな口の中に木の実をいくつかまとめて放り投げてやる。
 地上のものは珍しいのか、もぐもぐと味わう顔は、無表情のようでいてどこか嬉しそうだ。決して行儀良いとは言えない、白波立てながら食べるその様子を眺めながら、グラードンはこの日一番の満足を感じていた。

「旨かったか」
「まあまあだな」
 思ったとおりのつれない返事。
 まあいいか、と苦笑したところで、カイオーガがふいと背を向けた。
「帰るのか」
「ああ」
「そうか、気を付けろよ」
 そう何気なく返すと、いきなり水が飛んできた。
「何をする」
「馬鹿が。何が気を付けろだ。他に何か言うことは無いのか」
「は?」
 何か言うこと? それならむしろお前の方が「ありがとう」とか「ごちそうさま」ぐらい言うべきじゃないのか? ───とグラードンは喉まで出かかったが、そう言ったところで墓穴を掘るだけだと分かっていたので黙っておいた。

「ちょっとこっちへ来い、馬鹿」
 浅瀬でカイオーガがばしゃばしゃと水を叩く。
 グラードンは嫌々ながら海へ足を踏み入れた。

 手を伸ばせば、届きそうな距離。
 触れたら怒るだろうか、グラードンがそう思った瞬間。

 カイオーガがいきなり頭突きをしてきた。
「ぶっ!」
 勢い余ってひっくり返る。
 塩水を頭から被って、グラードンは軽く混乱した。

 混乱しながら考えた。
 頭突きじゃなくて……今のは。

「本当に馬鹿だな。今日が何の日か知らぬ訳が無かろう」
 そう捨て台詞を吐いて、カイオーガは今度こそ本当に背を向けて泳ぎ始めてしまった。
 波間にぷかぷかと浮き沈みしながら遠ざかっていく背鰭を見送りながら、グラードンは呆然と動けずにいた。

 やがてとっぷりと暮れた宵の空に、見事な天の川が現れる。
「おおお……う」
 意味もなく、唸っていた。
 まだ頭の整理が出来ていない。そんな中で、何故か「逃した魚」という言葉が脳裏に浮かんで消えた。
 巨体を丸めて打ちひしがれる。

「俺の馬鹿……」
 せっかくの七夕なのに。
 一線を越えられなかった己の不甲斐なさに、グラードンはしくしく泣いた。

796暴焔:2013/07/14(日) 18:53:57 ID:tb4kpsnI
初投稿です。
駄文だけど失敗を恐れないィィ!

官能注意

小さい頃から僕は動物が好きだった。
特に犬や猫が大好きで、いつもペットショップでねだったものだ。
あの時は純粋に好きだったのだが、思春期を経て、20歳ともなるとやはり歪んだ愛情に変わって来る。
俗にいう性的倒錯ってやつだ。
ケモノとヤるというのは歴史上多くの同志の夢であった。
江戸時代の春画や、神話にも伝わる分、僕らの嗜好は並外れた様なものでもないし、結構身近と言えるだろう。
そう、自らの欲を達成するために人類は様々な発明を繰り返して来た。
自らが適応するのではなく、自然をねじ曲げて暮らして来た。
今回も例外では無い。
人工生命体アルフの誕生は我ら人類を大きく震撼させた。
生命体と言っても、ほとんどがロボットのようなもので、塩基配列決定技術を応用とした架空動物の体を作り、頭には人工知能を搭載するといった物だった。
始めは、兵器転用や、過酷な場所での労働用として発表されたが、第三次世界大戦の折りに民間へ技術が払い下げられ、一般に大きく普及した。
無限にある塩基配列で好きな容姿にして、人間そっくりな知能を持たせる。
民間にはロボット三原則が人工知能に当てはめられ、人間への反乱を防いでいる。
感情というものは複雑なプログラムが相互に作用して発生する物だ。
人間だって脳細胞の集まりが感情を持つだけなのだ。
だから彼らはほとんど人間に近い思考を持ちながらも人間に忠実という最高の形で生み出されている。


ここまで話せば、僕の思惑を大半の人は理解してくれているだろう。
幸いな事に第三次世界大戦の影響で日本はこの人工生命体の法整備が著しく遅れている。
つまり、今なら人工生命体相手に何をしてもいいのだ。
ただし、他人の人工生命体を壊すと器物損壊で捕まる点だけは注意しなければならないが。
僕は嫁であるブースターに童貞を捧げる事を決意し、早速、日本遺伝研究センターに向かった。
人工生命体の無秩序な普及のため、一匹作るのに12時間待ちという現象に陥ってる。
それも注文にかかる時間を含めれば丸二日掛かってしまう。
国も法整備のために委員会で協議を続けているようだ。
とにかく、ここばかりは待つしか無い。
僕は夜も眠れぬ毎日を送り、日本遺伝研究センターへ通った。
希望の遺伝情報を書き込み、ネットで他の同志の歓喜の悲鳴を聞いて楽しんでいた。
そして、遂にブースターがこの家にやってきた。
専用の搬送箱から、目を覚ましたブースターはぼーっとしている。
それもそのはず、初期化している状態で、人工知能と体が未だに馴染んでいないのだ。
軽く一日はこうなるという。
僕は人工知能にコードを繋いで溜め込んだ卑猥な情報を流し込み、せっせと洗脳に励む。
とにかくエッチな子にして、ご主人様に献身的な可愛いブースター。
恐らくこんなことは違法なのだが、日本では取り締まる法律が無い。
しかも後頭部を思いっきり殴れば初期化が始まって、こんな卑猥なデータと記憶が消える。
つまりは、やりまくって消すを繰り返せば、いつでも新品同様なのだ!
ゆっくり攻略というのもいいだろうけど、なんせ、今ちんたらしていては法が整ってしまう。
今週には人工生命体に関する保護と抑制の法律、通称人工生命体保護法が衆議院で採決されるようなのだ。
やれるもんならやっとくのが先決だろう。
「初期動作チェック完了....記憶の再確認......完了、起動を開始します....」
機械的なアナウンスが終わると、我が嫁は大きく欠伸をして、酸素を取り入れる。
そして、僕の事を見ると突然飛びついて来た。
「ご主人様!私はティアラです!これからどうぞよろしく!」
名前は日本遺伝研究所の書類で決める事が出来る。
今回は雌っぽい名前をつけてみたのだ。
さて、いよいよ本番だ。
僕はティアラを連れてベットへと飛び込んだ。

797暴焔:2013/07/14(日) 18:54:43 ID:tb4kpsnI



前回の続き




案の定、ティアラは甘えた声になって、僕の股間を弄って来る。
「ん....もう大きくなってる....」
ティアラの顔は紅潮し、それでも、積極的に奉仕してくれる。
さすが、最高の気分だぜ!
「ティアラ..悪いけど、時間がないんだ.....」
僕はティアラの秘部に手を伸ばし、ゆっくり愛撫する。
「んっ...」
小さく喘ぐティアラ、さすが塩基配列の力。反応も感度も良好だ。
「ああっ....ご主人様ぁ....もっとぉ、もっとぉ....」
「ティアラはエッチだなぁ」
そう言うと彼女は小さく首を振って違うと否定する。
しかし、体は正直で、腰がカクカク震えている。
「よし....舐めてくれ」
ティアラは頷くと、僕のブツを丁寧に舐め回し始めた。
ざらざらとした舌が僕のモノを包み込み、生暖かい。
「うぐっ...!出るよ!」
快楽というより、ブースターが僕にそんなことをしていることに興奮して、思いっきり出してしまった。
「わあ!ご主人様の精液.....」
愛おしそうに飲み干し、溢れてしまった精液も綺麗に舐めとって行く。
ティアラの下半身は愛液で濡れまくっている。
「はあ...はあ...」
俺はティアラの上に乗る様な形で、秘部に自らのブツを滑らす。
いわゆる素股という奴だ。
ティアラはぴくりと反応し、必死に声を堪えている。
ああ、なんて素晴らしいんだろう...
「ごしゅじ..んっ....もう..ひゃめ...」
突然、彼女の体が大きく痙攣した。
どうやらイッたようだ。
「うう、我慢できないよ!入れるよ!」
「ふぇ?ちょ、す、すこしタンマ..ってひゃあ!」
容赦なくブツをティアラに押し込む。
サイズ的にきつきつなので締め付けがなかなかだ。
卑猥な水音をたてながら一心に、腰を降り続ける。
彼女もさらなる快楽を求めて腰を振っている。
相思相愛。
最高だ。
「んっ、あっ、ひゃっ!」
強引に彼女を抱きしめると、深いディープキスを交わす。
なんと淫らなんだろう。
「も、もう出るっ!」
「私もっ...いっちゃうよぉ!!」
訪れる絶頂。
膣内で愛液と精液が溢れ出し、シーツを汚して行く。
「ふぅ....最高だ....」
俺はベットの上で倒れ込み、ぐんにゃりと元気を失っている息子を見た。
隣ではティアラがぐったりして俯いている。
「さぁ....これからも楽しく遊ぼうな...」
本当は初期化する予定だったけど、なかなか具合も良く、ほどよい様子なのでこのままにしとこう。
ああ、最高の一日だ。


本当に最高の一日だった。
これまで童貞を守って来た甲斐が有ったのだ。
ブースターの処女も手に入れたわけだし.....あれ?
不意に疑問が脳裏を過る。
「なぁ、ティアラ、処女膜は?」
「ふぇ?」
行為の直後という事も有って呂律が回っていないティアラはこちらを見つめる。
「処女膜はどこいったんだ!?」
すると、ティアラは至って冷静に答えた。
「ご主人様、処女膜というものは存在しないよ?」
「!?」
衝撃の事実。
それってどういうことだ...
「正しくは膣の表面を覆う粘膜のことで決して膣を塞いでるわけじゃないよ?」
「ファっ!?」
「ていうか塞いでたらむしろ病気だよ!処女膜閉鎖症ってのがあって...」
そ、そうだったのか....
「あと、別に処女膜があっても処女とは限らないよ....」
なんてこったい。
「く、詳しいな」
「ご主人様が童貞なだけですよ」
「ぐぬぬ」
それにしてもどこからこんな知識を?
僕の卑猥フォルダにはこんな事は一切入れてなかったし、初期段階の人工知能に処女膜についての記録が有る分けない。
あるとするなら、初期段階のあの時間....あの時間に俺はネットに彼女を繋いだ。
しばらく転送するために放置してたから、まさか.....
いや、そんなはずはない。
初期段階のロボットもとい人工生命体が勝手に動くなんてことはあり得ない。
ふと、僕のPCが付けっぱなしなことに気がついた。
消そうと思い、PCのカーソルをシャットダウンに持って行く。
そして....俺は履歴を確認した。
「.....?」
おかしい、履歴が一件も残ってない。
昼間まで卑猥画像や卑猥知識のために画像収集に奔走していたはずなのに。
だが、僕は深く考える事を止めた。
変な事に首を突っ込んで、せっかく手に入れた嫁と離れることになるなんて嫌だからだ。 
「...おやすみ」
僕はそういうとベットに入り、瞼を閉じた。

798名を伏せた駄文作家:2013/07/17(水) 00:22:10 ID:fFn/wTTI
いつも使っている機器が危機に陥ってしまったので携帯でチラ裏で小説を書きたくなった


[消えない炎の物語]
〜1〜 炎の暮らし

 最近、兄弟との仲も良くなっていていいと思う。両親は遠いところにいるらしく、三年くらい前からきょうだいだけで暮らしている。
 姉はブラッキー。僕より一つ上で、頼れるが料理はからっきしである。
 僕はブースター。三姉弟の真ん中だ。男らしくないということを自覚している。
 弟はグレイシア。姉弟で唯一料理ができる。姉と僕は弟の料理の材料調達係と言ったところか。
「ほらブースター、速く食べちゃってよ」
「兄さん、はやくバトルしようよ!」
 僕らは朝食を済ませるといつもバトルをする。でも食事の後だから脇腹が痛くなる……まぁ、僕が食べるのが遅いから仕方がないっちゃあ仕方がないか。
 とにかく、まず木の実パンを食べないといけない。なんとか口に入れれば後はなんとかなる。
「ぐっ、ぐふっ……」
「一番ブースターが早起きなのに食事が長いってどういうことなの……」
 料理を味わって食べてるからいつも遅くなっちゃうんだよなぁ……。
「ぐふっ……な、なんとか食べ終わったよ」
「よし兄さん、早速バトルしよう!」
「ちょっと待って……もう脇腹が痛く……」
 急いで食べると太るということを何処かで聞いたことがある。太るか否かは正直なところどうでもいいが、早食いは不健康だということだ。
「全く、いつまでもそんなんだと苦労するのに……兎に角急いでね!」
「わ、解ったよ……」
 はぁ……
 まあ、これは僕らの生活では日常茶飯事た。

799パルキアの良いところを考える会:2013/07/21(日) 22:05:53 ID:Q9.gBmwc
ディアルガ(以下D)「なあ、ギラティナ、父上…パルキアの良いところはなんだと思う?」

ギラティナ(以下G)「わざわざ呼び出しておいてこんな話とはな…あえて言ってやるが決まっているだろう、淫乱ピンクで柔らかい身体、滲み出るエロスに決まっているだろう!」

アルセウス(以下A)「ギラティナ…お前はいつからそんなに荒れてしまったのだ…パルキアの良いところと言えば、………」

D「父上…絶対にそんな反応をしないでくださいね? いくら脳天気なパルキアでも、確実に傷付きます…」
「私的には2足歩行が可能性であり、他人を抱き締めたり出来るという所が人間にとっても萌えポイントだろう。」

G「荒れたのはお前のせいだクソ親父! まぁ、あいつの股間を強調する体格もエロいしな、そして三本のラインのおかげで性器の場所もわかりやすいから、ポケフィリア共には格好の獲物だろう。」
「だが、映画やゲームの影響が強すぎて、雄! しかもバカキャラとしてのイメージが捨てられねぇ奴が多いのも事実だ…」

A「我等神族は、人のイメージによって形を変えていく…我等を崇拝する者が、心の中で何かを思った時は、我等はその姿へと形を変える…無論、性格もだ。」
「万物の父と呼ばれる私だが、私をもし雌とイメージする者がいれば、私は雌となり、そんな私を調教して奴隷としたいと望む者がいれば、この世界はご都合主義の塊となり、私はそれを甘んじて受け入れよう…」

D「ご都合主義展開を作るなら、今では人間の文明で作られた、ARサーチャーという夢から神を作り出せる道具が存在しているのも大きい。 何せ“夢”…つまり淫夢から現れし者とすれば…」

G「おい、パルキアが関係ない話にエリアオーバーしているぞ! 後は水ポケモン特有の気持ちのいいひんやり感、これも忘れちゃいけないだろう?」
「ついでに両肩のツインドライブシステムと、専用技の格好良さ!」

A「専用技(亜空切断)の格好良さは、本家ゲームでは見れないのが玉に傷だ…」

パルキア(以下P)「みんな…? 何を話してるの? 僕だけ仲間はずれなんて酷いよ…」
D「ッ!? これは…その…」

G「いつから居やがった…?!」

A「………怒らないから正直に話すんだ。」

P「え〜と…滲み出るエロスがなんとかって言ってた辺りで… やっぱり僕…もっと女の子らしくしないとダメなのかな…?」

一同「しっかり聞かれてたー! 望みがタタレター!」

800名無しさん:2013/07/24(水) 01:32:44 ID:ZhaaPGAU
パルくんかわいい(暗黒微笑

個人的にも好きだけど、結構マイナスイメージ強い気はするね

801名無しさん:2013/07/29(月) 23:09:10 ID:zcuGXi3w
リーフィアを水浸しにした後で吹雪ぶち込むSMプレイ‥という夢を見たので書き留めて置いてみる。
一見ひどい拷問に見えるもののダメージ比1/4になるっていう‥w
もし誰かネタ使いたかったらどうぞ。

‥あ、やどりぎのタネとか植えるのも良いかも←

802適当:2013/10/26(土) 18:53:23 ID:LzMEUb2w
トピックの皆様方お久しぶりです。適当です。今から、作品投下します。

タイトルは、未定です。読者様に任せます。

803適当:2013/10/26(土) 18:57:45 ID:LzMEUb2w
とある森に、一匹のブラッキーが住んでいた。そのブラッキーの名は、ラック。性別は雄である。彼は、森で一番の腕を持つとうわさされる程の実力者である。うわさ…なので、真実かどうかは疑わしい部分もある。ひょっとすれば、ある程度実力を備えた彼自身が、「俺は森で一番強いんだぞ!!」と言いふらしているのかもしれない。あるいは…たまたま自分と力が拮抗する者に出会えてないだけか…。

私の彼への疑念はこれぐらいにしておこう。さて、そんな彼でも唯一勝てない者が、森に存在していた。森に住む数多くのポケモン達の相手をして来た彼自身も気がつかなかったのだろうか、森に住む者達が「ひょっとしたら、アイツが一番なのかも…」とウワサしているのを耳にした彼は、ウワサされる者の居場所を訪ね、すぐさまそこへ直行する。「俺よりも強いヤツがいるのか。」とぼそりとつぶやきつつも、ウワサの真相を確かめに行動を起こす彼であったが、「まぁ、どんなヤツであろうと、俺の敵じゃねぇけど。」と心の中では、余裕の態度を取り、確実に〜“勝利する”という未来を頭の中で描いていた。彼は、時間をかけウワサされる者の元へたどり着いた。

「あっはっは!!バッカじゃねぇの?」

彼はなぜ嘲笑したのでだろうか。答えは簡単である。相手は人間。彼が見たウワサされる者とは、青色の鎧、両手には双刀を持ち合わせている、ひげの生やした三十〜四十代の男であった。「ぷっ…くくくく。」相手が人間であるだけに彼は吹き出すように笑う。「まぁ、強ぇかどうかはおいといて、ヒマつぶしにはなるかもな。」彼は、頭の中で“本気で闘う”と考える事を止め、“遊び相手”と認識し、男へ挑む。

「人間がポケモンに勝てるワケねぇ。背は高けぇ、腕も太てぇ。けど、勝てねぇんだよ!!」

彼は、男へ挨拶代わりにと、一番威力の弱い“たいあたり”を放つ。だが、男は避ける。

「へぇ、やるじゃねぇか。」

避けられても彼は、余裕の態度を崩さない。彼の態度を見抜いたのか、男は言う。

「本気でかかってこい。私を倒したければな。」

と。「はぁ〜あ、これだから人間は…。随分とツケあがるなぁ。」彼は、心の中で呆れるも、現実(おもて)では、「んじゃ、ちょっとだけ…な?」と男の要求を中途半端に応じる。

「面倒臭ぇけど、近づいてあやしいひかりで混乱…腹に一発で終わるか。」

彼は、最初に“たいあたり”を放った時の1.5倍のスピードを出し男へ駆けす。

「さぁ〜て、終わりだ。あ〜あつまんねぇな。」

男への距離が後2〜3mという所で、彼は勢いよく飛び上がり、男へ一気に差を詰め、額の黄色の月輪を光らせ、“あやしいひかり”を放つ。が、ウワサされる程の猛者と言うこともあってか、後ろへ大きく飛び上がり、射程外距離へ。

「この程度しか、力が無かったか。お主は、私に勝てない。怪我をしたくなければ、ここから立ち去れ。」

男は回避後、彼を挑発する。彼が本気ではないと、あっさり見抜いたからである。強者であれば冷静さはかかせない。が、彼は本当の強者と語るにもまだ早かったようで

「カッチ〜ン、アタマきた。人間如きがら、俺様に勝てると思うなよ!!」

と、簡単に強者の条件を崩し、男の挑発へと乗り出してしまう。本気の速度で男へ向かい、ずつき。男がこれも避けるだろうと思いすぐにひっかく…を放つが、男は双刀で両方を防ぎ、彼を蹴り上げ刀の刃の裏で彼の腹部を突き、彼をはるか遠くまで飛ばし気絶させる。すなわち、彼は人間である男にいとも簡単に負かされてしまったのである。

油断した…

次は絶対ぇ…負かす

と自分の心に、そして真紅の瞳に決意を固めてその後も男へ挑み続ける。が、彼は男へ勝つことはなかった。彼は、未だに男へ挑み勝とうとする事を止めない。それもそのはず、挑発に簡単に乗ってしまう彼にとって、“ポケモンが人間に負ける事”など耐えられないのである。彼は、男へ勝つ事ができるのだろうか。それとも、何度も重ねる敗北を味わい、諦めてしまったか…。

彼のその後を追う事にしよう。私自身が語っても、それは彼の心中の推測でしかない。彼自身に語ってもらうことにしよう。

804適当:2013/10/26(土) 18:59:45 ID:LzMEUb2w
また、負けた。

今、俺は森のどこかの気にもたれ、尻餅をついている。俺の今姿は、だらしないみっともない雄…。といったところか。何せ、木を枕代わりにして、尻餅どころか背中までついているんだからな。「あっ!!大事な部分(トコ)が見えるじゃねぇか!!」って言ってる場合じゃねぇんだよ!!何で何回も人間に負けるんだよ!!これで、5回目だぞ?おかしいじゃねぇか!!
まぁ、これでわかるよな?俺は真剣に落ち込んでいるっていうトコだ。時々、「やっぱ俺弱いのかな?」なんて考える始末。そんな俺に、一匹のポニータが声をかける。

「どうしたんだい?そんなに背中までつけちゃって。見えるよ?大事な部分(トコ)が。」


んな事はわかってんだよ!!こっちはそれどころじゃねぇ!!さっさとどっかいけよ…。今、俺に話しかけて来たのは、マタイという俺の友達だ。コイツは、進化前だがそこそこ強ぇ。油断したら、あっという間に追い抜かれてしまう。本当は、何か言い返して追っ払いたいところだが、今の俺にはそんな気力すらも残っちゃいねぇ。マタイに続き、マタイの逆サイドから一匹のツタージャが話かける。

「くすくす、ワザと見せても興奮する女の子なんかいないよ。ってか、小っちゃ。」

コイツ…マジでなぐりたい…。けど、今の俺には出来ねぇ。今、話かけてきた…つーかからかってきたのは、ターニャという俺の友達。いや、気持ちが回復したら、コイツぶっ殺して、友達から除外するか。こんな下品な雌(おんな)いらねえ。ターニャは、俺の大事な部分…もう面倒くせぇからアソコでいいか。俺のアソコをじろじろと見、時々先端を触ったり、下にある玉袋を触ったりしてる。ああ…コイツは今日殺そう。もう、いいや。コイツ、本当にいらね。今すぐ、コイツをぶっ殺してやりてぇが、俺にはそんな気力もねぇ。気持ちが、さっさと回復してくんねぇかな…。あっ、ただぶっ殺すのはやめた。マタイと一緒に、コイツを街に売り飛ばしてしまおう。邪魔者が消えるわ、コイツ売った金で美味いモン確保できるわ、いいことだらけだな。うん、そうしよう。と、今後の完璧な予定をたてていると、俺のアソコから股に代えたターニャが俺の現状を指摘する。

「ラックが落ち込んでるって、すごい珍しいね。」

落ち込んだらダメなのかよ。俺も生き物だから、そんな事1つや2つあるっつーんだよ…。

「お股の毛はサラサラなんだぁ〜。一度、ラックのお股でお昼寝してみようかな?」

昼寝じゃねぇよ。寝んな。サラサラじゃねぇよ。触んな。俺は、ターニャに対し、弱々しく「うっせぇ…触んな。」といい、ターニャの手を払う。俺の普段とは違う強気な態度、強気なオーラが、あまりにも出てこない事に心配したのか、マタイが俺の現状のワケを訊ねる。

「こんなに落ち込んでるって事は、きっとなにかあったんだねえ。」
あったよ。あったに決まってんだろ。意味も無く、アソコ見せるまで落ち込んだりするかよ。

「何があったんだい?僕達に相談してごらんよ。」
言いたくねぇよ。言っても何のメリットもねぇし、バカにされるだけだ…。俺は黙る。マタイは、「言った方がいいと思うけどねえ?」と再び、俺の口を割ろうとする。“ああ…面倒くせぇ…”俺は、マタイに理由を話す。

「言わねぇ。」
「なんでだい?」
「バカにすっから、てめーら。」

“ら”をつけた事を気に入らないと、ターニャが言い返す。

「“ら”って、なんで私も?」
「俺のアソコを触ったり、股で寝ようとしてるヤツが例外なワケねぇだろ。バーカ。」
「バカはラックじゃん。一匹で落ち込んじゃ・って・さ。」

雄のチンコ触るお前にバカって言われたくねぇよ!!けど…言った方が楽になるかもな。俺は、マタイの言い分を受ける。

「わーったよ。絶対にバカにすんなよ?」
『うん。』

返事は同時にしたが、やっぱまだ信用出来ねぇ。けど、ウダウダして話さねぇねの気持ち悪りぃし…。俺は、二匹に悩みを打ち明ける。

805適当:2013/10/26(土) 19:04:17 ID:LzMEUb2w
二時間前…


俺は、今はもうヤツの所へ顔を出した。ヤツは森の小道にたちふさがるように、立っている。その先に、何があるかわかんねぇ。ただ、挑み続けていく内に「もしかして、行かせらんねぇ理由があるんじゃねぇか?こんなチンケな所、通せんぼしたって何のいい事もねぇし…。」と考え始め、俺は三回目は負けた所で、物知りでウワサ好き…ほとんどのウワサを広めている“ミィ”ていう名前のチラーミィへ「青色の鎧つけた、がてぇオッサン知ってっか?」と訊ねた。

「知っています。」

さすが、ウワサ好き。知ってて当然か。つーか、何でこんな丁寧に喋るヤツが、ウワサ隙なんだ?と疑問に思うが、んな事はどうでもいい。俺は、「あのオッサンは何がしたいんだ?」とヤツの目的をしっているかどうかを訊ねる。すると、ミィは『あくまでウワサです。』と最初に答え詳細を語り出す。

「あの人間の名前は元。我流柳生族の現代の子孫です。あの方は、莫大な財宝を守っています。」

ざ…財宝ぉ!?俺は、飛び上がり木の小さな隙間に作ったミィの家の天井へ頭をぶつけてしまう。「だ…大丈夫ですか?」と冷静に心配してくれるミィに対し、俺は頭を少しさすって、『サンキュー。』と一言返し、ヤツの元へ直行。まぁ、四回目も負けたヤツだから、五回目の勝負をしに来てんだけどな。ヤツの周辺には、ほとんど森のポケモン達はこねぇせいか、俺の足音に気がつくヤツは俺へ目を向ける。

806適当:2013/10/26(土) 19:08:21 ID:Nt9mEhLk
「むっ?来おったな?」

ジジィくせぇ喋りにも聞き飽きたぜ。今日で終わらせる…。俺は、「ああ…。」とだけ返し、ヤツをにらみつける。今のは技だ。勝ちてぇからな。けど、ヤツに効くかどうかはわかんねぇ。弱ぇヤツなら、俺に睨みつけられたところで小便をちびっちまうが、果たして…ヤツはどうか。

『威嚇をしても、私は動かない。お主の実力は、とうに見切っている。』

は、はぁ〜ん。言ってくれるじゃねぇか。俺が、全部技使ったと思ってんのかよ?一撃で終わらせてやるぜ!!俺は、何度もヤツへ挑んだ。だから出来る技がある。イカサマだ。お前の攻撃力をお前自身が受けるんだよ!!俺は、前足に力を込めヤツへ駆け出す。ヤツの元へたどり着くと飛び上がり、力を込めた前足でヤツの顔面へ。ヤツは、背中の刀を抜き俺の攻撃を防ぐ。

「ぬぅ!!これは、初めての感触だ…。」

これだけで、勝てねぇつーことか、まぁ、当然だよな。けど、この攻撃を当たったら確実にオダブツだけどな!!俺は、最初とは逆の前足でヤツの喉元を狙う。

「一発だけじゃ…ねぇぜ!!」
「ぬん!!」

ヤツは、俺の攻撃を予想してたかのように、素早くナナメ下に刀をスライドさせ俺の攻撃を防ぐ。ちっ、これも防がれちまったか。けど…こっからの速攻は避けらんねぇだろ!!俺は、普段よりも数倍のスピードで、“あやしいひかり”を放つ。

「あやしいひかりか!!」

ヤツは、俺の光を受けまいと左腕で目をおおう。今だ!!今しかねぇ!!全力の…ずつき!!俺は、着地した後すぐに、ヤツの腹に向けて飛び、全身全霊の頭突きを放つ。が、ヤツは二つの刀を交差し、この攻撃も防ぐ。

807適当:2013/10/26(土) 19:10:43 ID:Nt9mEhLk
「な!?」
「甘いわ!!」
「ぐわぁぁ!!」

ヤツの反撃を受けて、俺は少し遠くへ飛ばされる。ぐ…ぐふぅ!!ば…バッカじゃねぇ…の?俺、カウンターされて…んじゃねぇか。ヤツは人間だが、人間じゃない。ヤツの一撃は重い。例えるなら、サイドンの“つのドリル”か?いや、そんなわけねぇか。けど、何か食べた後だったら全部吐いてしまうぐらいの強ぇ一撃っつーことだ。俺は、立ち上がり呼吸を整える。『あれしかねぇ。』5回息を整えれば十分だ。俺は、前足に力を込め黒い光を纏わせた。

「む!?あれは何だ!!」

ヤツは、俺の前足にまとわりつく黒い光を見て驚く。ナイトバースト…やっぱり初めて見るんだな。この技をジジィが知っているわけねぇじゃねぇか!!今まで借り…倍…いや、十倍にして返すぜ!!力を十分に溜め終えた所で、俺はヤツに“ナイトバースト”を放つ。

「ぬぬぬ!?ぬぉぉぉ!?」

悪りぃな。シャドーボールより厄介だぜ?何せ、少し長さが長ぇシャドーボールみてぇなもんだからな!!ヤツは、両腕に力を込め、胸の前で刀を交差させる。

「これしき…何のこれしき!!」

はぁ〜あ、終わったな。まぁ、悪く思うな。俺を本気にさせたてめぇが悪い。ヤツの目の前で黒い光がはじける。俺は、それを見てガッツポーズを決める。「しゃあ!!勝ったぜ!!さぁ〜て、お宝、お宝っと。勝ちてぇとかじゃなくて途中から別の目的になってんな。ま、いいか。ヤツは、俺の目の前に仰向けになって倒れている。

808適当:2013/10/26(土) 19:13:05 ID:Nt9mEhLk
「はぁ…はぁ…。ざ…ざまぁみやがれ…ってんだ。」

俺は、マジで悪タイプだな。ジジィは死んだんだぜ?もっと優しい言葉を掛けてあげろよ。けど、ちと疲れたな。ナイトバーストはナイトバーストでも、ほとんど“フルパワーのナイトバースト”だからな。さすがに体に応えるぜ。俺は、両方の前足を後ろに伸ばし、尻餅を着いて休憩をとった。

「はぁ…、やっぱ疲れたぜ。ちっと、寝るか。」

宝は後からでもいい。俺にかなうヤツは森にいない。俺が昼寝してても邪魔したり、寝込みを襲うバカはいねぇだろ。俺は、仰向けになり目を閉じて眠り始める。が、その時予想もしなかったことが起こる。


ふっふっふ…


はぁ?何か聞いたことある声だな。俺は、目を閉じながら声へ耳を傾ける。

「お主、私はまだ倒れておらぬぞ?」

809適当:2013/10/26(土) 19:17:33 ID:H935kV02
は…?な…なにぃぃ!?俺は、聞き覚えのある声を聞いて飛び起きた。目の前で不敵に笑うヤツを見て目を見開く。

「は…う、ウソだろ?に…人間じゃねぇ…。」

俺の言葉にヤツがつけあがる。

「はっはっは!!お主の実力は、その程度のようだな。」
「何にぃ!!」
『ならば、立ち去れ。二度とここへは来るな。お主は私に勝てん。永遠に…な。』

俺は、ヤツの言葉に憤る。

「あんだと…?。もう一回言ってみろ。」

今の俺にはもう体力が無ぇ。そをヤツは見抜いていたんだろうな。俺の強いにらみつけるを受けても、ヤツは余裕の笑みをこぼす。

『何度でも言おう…』


お主は私に勝てない。永遠にな。

死にたくなければ…。私の刀のサビになりたくなければ…


“ここから、立ち去れぃ!!”

『そして、二度と私の目の前に姿を現わすでないわ。』


カッチーン…。ヤツの言葉に、俺の堪忍袋の緒が切れる。

810適当:2013/10/26(土) 19:22:37 ID:OT1oaroo
「てめぇぇ!!調子乗んなぁああ!!」

つけあがった事を後悔させてやる。俺の目の前には、ヤツ以外もう写らない。俺は、怒りくるい、ヤツ目掛けて、イカサマ状態の“捨て身タックル”を放とうと、全速力でヤツへ疾走する。ぶっ殺してやらぁ!!捨て身タックルの射程距離へ入ると、俺はヤツに向けて飛び上がる。ヤツは、俺の冷静さを笑った所へカウンターを狙っていた。

『それが、甘いと言っておるのだぁ!!』


ヤツは、初めて俺と闘った時の技を放つ構えを取る。ヤツが中腰になった時には、もう遅かった。

「しまったぁぁ!!」

ヤツは、刀の刃部分とは逆の柄を俺へむけ、体を捻る。

「くらうがよい!!螺旋狼影拳!!」
「ぐふぁぁぁぁ!!」

ヤツの大技…つーか、必殺技じゃね?ヤツの必殺技をくらった俺は、情けねぇ声を上げ、初回の時と同じく、はるか遠くへ吹き飛ばされ背中を強打した。い…いてぇ…。俺は、仰向けになりつつ、弱々しい自分の瞳にヤツを映す。ヤツ既に背中に刀を納めていた。ヤツは、俺を見下ろし言い放つ。

『お主は、真の強さが何であるか熟知しておらん。』

真の…強さ?

「強さわかりし時、又参られよ。お主の挑戦は、いつでも受けよう。」

ぐふぅ…意味がわかんねぇ…。俺は、宝を見てヤツの言葉の意味を考え始める。が、考えている途中にヤツの顔が目先に現れる。は?今まで、自分から近づく事はなかったのに…。俺は、弱々しい瞳でヤツが近づいて来たことに疑問を持ち始めようとした時、ヤツがとんでもない事を言い放つ。

「されど、主には世の厳しさを教えねばならん…。」

世の厳しさ?

「眠れ。」

眠れって、もう疲れて眠いんだけど。ヤツの言葉の意味がわからない俺は、ヤツへそういい返そうとした。が、ヤツは刀切れない部分を俺の腹に当て、上へ持ち上げる。俺は、突然の状況をつきつけられて驚き、ヤツへ抗議する。

「待てぇへぇ!!眠れってそうゆうい…」
「無論」
「ぐふぁぁぁぁぁ!!」


とんだけ情けねぇ声だっだろうな。よっぽど、あのジジィの行動にビックリしたんだろうな。ヤツは、俺の腹に刀の切れない部分を振り下ろして当てた。俺は、あまりのダメージに気を失いその場に倒れた。

811適当:2013/10/26(土) 19:27:12 ID:OT1oaroo
『…………。』
「ってなワケだ…。」


コイツら真剣に聞いてたのか?俺が、事の経緯(いきさつ)を話終えると。マタイとターニャは、黙り込む。俺は、二匹が取った想定外の態度に驚く反面。嬉しい気持ちでいっぱいだ。けど、正直に「嬉しい」と言うとコイツらつけあがるからな。俺は、目を落としたまま小さく言葉をこぼす。

「だから、俺の事なんてほっと…」
「ぷっ…」

は?

「くくく…」

なんだコイツら?気ぃ回してくれたんじゃねぇのか!?さっきの、俺の感動を返して欲しい位、二匹はこっそりと吹き出すように笑う。最初は、ターニャで次はマタイだ。こらえきれなかったんだろうな。二匹は、徐々に声を上げ笑い出す。

「ぷくく…はははは!!」
「あはははは!!」

ちぃ…。やっぱりコイツらからかってんじゃねぇか!!

「マタイ、今の聞いた?」
「うん。しっかりとほぉ…ね。」

とほぉ…。って答えるんじゃねぇ!!笑いこらえながら、喋ってんのが見え見えなんだよ!!

「にぃ…ぷっ…人間に負けたんだってぇぇぇぇ!!」
「あはははは!!森で一番強いラックが?そりゃあー、落ち込むよねえ〜。」

二匹の態度に堪忍袋の緒が切れた俺は、思わず言い返す。

「ちょ…ちょっと待てぇぇぇ!!」
「あはははは…え?」
「え?じゃねぇ!!結局バカにしてんじゃねぇかぁぁぁ!!」

俺は、木にもたれかかる姿勢からすぐさま立ち上がり、前足に黒い光を灯す。

812適当:2013/10/26(土) 19:30:30 ID:mSQNyt2g
『えぇ!?』
「死ねやごらぁぁぁぁ!!」

渾身の力を込めてシャドーボールを放ち、二匹に怒りをぶつけた。二匹は、俺のシャドーボールをとっさにかわし、代わりにシャドーボールを受けた場所へ振り返る。

『うわ…。』

二匹が振り返った目線の先には、円形にくっきりと穴が空いている。二匹の後ろには、木があった。数メートル離れていたが、俺の技に打ち抜かれた。ったりめぇだ。怒り心頭の俺のシャドーボールを受けて無事なヤツなんかいるかよ。二匹は、口をあんぐりと開け、唖然としている。よし、チャンスだ。今度こそ…死ねやごらぁぁぁぁ!!俺は、二回目のシャドーボールを作り始める。けど、ターニャが俺に気づき…

「ちょ、ちょっと待ってよ!!冗談だよ!!」

って言い訳してきた。冗談?ウソ臭ぇな…。

「ラック僕達が悪かった!!だから、許しておくれぇぇ!!」

ちっ…しゃあねぇ。マタイも謝ってることだし、勘弁してやるか。流石(すが)に、進化前のポニータとツタージャなんて殺すのもあんまりだからな。

「ラック、本当にごめん!!」

はぁ…、わーったよやめてやんよ。ターニャの一言で俺は溜めていた力を抑え、黒い光を消した。その後、俺はため息をつき、聞く前の二匹の態度を徐々に理解する。

813適当:2013/10/26(土) 19:36:14 ID:snoZnHgc
「はぁ〜あ。ま、わからなくもねぇよお前達(ら)の事。ポケモンが人間に負けるなんざ…なぁ?」
「うう…。」

二匹を許しはしたが、二匹を睨みつけた。俺に睨みつけられたターニャはひるんでいる。別に“おどろかす”を使ったわけじゃねぇんだけど…。そんなターニャを救うように、マタイが俺に人間と闘う理由を訊ねる。

「でもさ、なんで人間と闘っているんだい?」
「どうしよっかなぁ〜、お前(ら)俺の事バカにするんだもん…なぁ〜。」

完全に許したワケじゃねぇよ。勘違いすんな。

「もったいぶらないで教えておくれよぉ〜。」
「ふん…。」

マタイのダメ押しを俺は軽く払いのけた。言ったって、さっきの二の舞、三の舞だ。絶対ぇ、言わねぇ!!と思っていた所に、ターニャが普段とは違う甘えるような上目づかいをする。

「教えて?」
「しつけぇ。どっか行け。」
「私達友達でしょ?さっきの事はホント悪いと思ってるから…お願い!!」

ターニャは、俺が納得するような一言を言い終え、片目をつむって両手を合わせポーズをとる。人間や、俺以外のポケモンが、“おぉ!!可愛いぃ!!教える!!教える!!”ってなるかもしれねぇが…。気持ち悪りぃ。いつまでもこうされているとウゼェから、教えてやるか。俺は二匹に理由を話す。

「ウワサ好きのミィ、知ってんだろ?」
『うん。』

二匹してうなずく。俺は、話を続ける。

「アイツがな、あの人間のオッサンが守っているのは財宝なんだと。」
『財宝ぉ!?』
「ああ。って信じねぇよな。」

814適当:2013/10/26(土) 19:55:22 ID:LqaligAw
信じられるワケねぇよ。いきなりこの森のどこかに宝があるって言われた。もしかしたら、信じてる俺がバカなのかもしれねぇからな。二匹は、俺の質問な答えず黙り込む。俺は、二匹を追い払う。

「わかったら、さっさとどっかいけ。しばらく一匹に…」
「信じるよ。」 
「は?」

ターニャの一言に俺は耳を疑い、ターニャの顔を見た。ターニャの顔は、さっきとは違う真剣なものだった。でも、未だに信じられねぇ…。ふざけてんのか、真面目なのかは。俺は、首を傾げターニャに訊き返す。

「何でだよ?急に信じるって言ったって、俺は信じらんねぇ。また、からかってんのか?信じたフリか?」
「違うよ!!」
「あ〜あ。お前は、森で一番ウソをつくのがうま…」
「ラックが意味も無く闘わない事ぐらい知ってるよ。」

あ…まぁ、そりゃ…そうだが。ターニャの言い訳が意外と正論だったので、俺はほんの少し驚いた。……。あっ、マタイとなら、あのオッサンを倒せるか?新しい可能性を導き出した俺の意図を汲み取るようにマタイが、俺に提案する。

「あのさ、なら三匹でまとめてかかれば倒せるんじゃないかい?」

三匹…、ターニャは役に立つか?頭を使って倒せる相手じゃねぇと思うけどな。

「そうだよ!!マタイ、頭いいね!!」
「えっへん!!いつもより、冴えてるねぇ〜僕。」

815適当:2013/10/26(土) 19:59:11 ID:H935kV02
その程度で冴えてるとか言うんじゃねぇ!!バカ!!馬鹿!!うましか、ウマシカウマシカ!!けど、一理あるな。ターニャは要らねぇから、とりあえず…

「ターニャは来んな。」
「ええー!!なんで、なんでぇ!?」
「邪魔だから。」
「邪魔じゃないよ!!」
「邪魔。」
「邪魔じゃない〜!!」

うるせぇな…。マタイ、黙らせろ。これ以上口出したら、焼くとか、焼くとか、焼くとか…。ターニャは頬を膨らまし、怒った顔を作る。俺は、ターニャを無視して、マタイを見てうつろな目で“なんとかしろ”とサインを送った。けど、マタイは俺の指示を無視し、邪魔者の意見を受け入れる。

「う〜ん、いや勝てないよ。ターニャ抜きでは絶対にね。」
は?なんで?
「考えてごらんよお。バカ二匹が、ウワサなる程の強い人間に勝てると思うかい?」
「バカって…お前と一緒にすんなぁぁぁ!!お前だけが、バカだ!!バカ!!バカ!!うましかぁぁぁ!!」
「僕は馬だよ。う〜ま。」

腹立つ…マジでうぜぇ!!ターニャはマタイの意見をいいことに俺を説得する。

「まかせて!!大きい人間だったら、私がおとりになる。」
「そして、僕達がひたすら攻撃。完璧ぃ〜!!いやぁ〜これで勝てるねえ。」
「チャンスがあれば、私も攻撃ぃ〜♪」
勝てねぇよ!!それで勝てたら苦労しねぇよ!!
「じゃ、ラック。そうゆうわけで、案内してくれないかい?」
意見収拾!?ウゼェのも連れて!?
「ほら、ラック。Let'sゴ〜♪」

ターニャは、マタイに続き、右拳を握り、空高く挙げ、出発のサインを出す。ああ…ウゼェ…。もういいや、負けてもまたターニャ抜きで闘えばいいことだしな。俺は、ターニャの合図を、見て割り切り二匹を連れて財宝な番人の元へ走りだした。

816適当:2013/10/26(土) 20:02:32 ID:H935kV02
財宝の番人の前…

今、俺は二匹を連れて財宝の番人が目に入る所にいる。財宝の番人…あのジジィは、森の奥へと続く小道に立ちはだかるかように、あぐらをかき目を閉じている。神経を研ぎ澄ますってヤツか?誰が来ても余裕って事か?ふざけてやがる…ムカつくぜ。

「ラック、あれがもしかして財宝の番人かい…?」

俺はマタイの質問にうなずき答える。

「ああ。ったく、見ろよ。あのジジィは、俺達の存在にとっくに気づいているハズなのに、律儀に銅像のフリなんかしてやがる…。」
「銅像…ねえ。」

マタイは、一言つぶやき財宝の番人へ目を向ける。マタイの口元が緩み、何か悪だくみを企む顔へ変化させた。は、おい…、まさか、お前…

「奇襲のチャンスだよお!!」

やっぱりか!!アホか!!そんなので勝てたら、とっくに奇襲してんだよ!!…って、おい!!待てって!!俺は、マタイの前に急いで立ちはだかる。

「待て!!落ち着け!!それで勝てるなら、俺だって…」
「ラックは機を逃してる!!この時点で負けだよお!!」
「え?おっ…おい!!バカ!!」

マタイは、軽く飛び上がり俺の上を通り、財宝の番人へと突進していった。あ〜あ…、バカ…。知らねぇぞ?らせん…何だっけ?何とかかんとかっていう変ちくりんな技をモロにくらっても。

817適当:2013/10/26(土) 20:06:04 ID:3Ci7IPGo
「ラック、これで勝ったね。イエーイ♪お宝頂き〜♪」

マタイの猛突進に、財宝の番人が倒れると見てターニャが笑い俺にハイタッチを要求して来た。勝てるワケねぇじゃねえかぁぁぁぁ!!勝てねぇっつてんだろ!!俺、50(Lv)マタイ38 お前16!!一番上の俺が奇襲しかけないのに、何でわからないの?バカなの?うましかなのか!!うましかなのかぁぁぁぁ!!俺は、ハイタッチを求めるターニャに冷たい目を向け、ため息をつく。

「勝てねぇよ。あんなので勝てるか。」
「仲間を信じようよ!!マタイの奇襲で終わっ…」
「甘い!!」

ターニャの言葉をかき消すように財宝の番人の声が周辺へ響く。ターニャは、予想外の事態に驚く。

「え…!?」

え!?じゃねぇって…。だからいったろ。ジジィが起きたみたいだな。しかも、マタイの攻撃を二本の刀でしっかりと防いだってとこか。

「僕の奇襲で倒れない。なかなか強い人間だねえ。」

マタイは、突進を二本の刀で防がれたままの状態で、財宝の番人へ言った。財宝の番人は、笑わずマタイを睨みつけ、押し返す。

「奇襲をするなど、言語道断!!」
「うぐぁ!!」

マタイは、財宝の番人に軽く飛ばされ、後ろへ追いやられ。マタイが見事に着地した所で、俺はターニャの額に自分の額をつけ、睨みつけて忠告する。

「いいか?邪魔すんなよ?」
「私に、考えが…」
「来んな。」

ターニャの提案を受けず、俺は一言だけ返しマタイの元へ合流した。今のマタイは、いつもの余裕のある顔じゃねぇ…。本気で勝つ事を考えている顔だ。

818適当:2013/10/26(土) 20:15:06 ID:OT1oaroo
「ラック、倒せなかった。すまないねえ。」
「はぁ…。いいって事よ。わかりきってた結果だしな。」

俺は、小さく笑いマタイを励ました。財宝の番人は、二本の刀を構え質問する。

「今日は、三匹で私を倒すつもりか?」

は?三匹?俺は、首を傾げ後ろへ振り返った。すると、そこに息を切らしたターニャの姿がある。来んなつったのに…。ターニャは、息を整え俺の背中に立ち、財宝の番人へ言い放つ。

「はぁ…はぁ…、そうだよ!!今日でアンタは負けるからね?」

おい!!背中に乗んな!!しかも、口を慎めよ!!っていうか、お前も参加する気かぁ!?

「ラック、私は邪魔しないよ。自分の強さ(レベル)をわかっているし、ラックが勝てなかった相手に歯が立たないのはわかってる。だから、私はラックとマタイを援護する。」

援護ねぇ…。俺は、ため息をつき、ターニャの提案を受け入れる。

「わーったよ。まず、降りろ。」
「降りない。」
「はっ?結局闘う気ねぇじゃねぇか!!邪魔だ降りろよ!!」
「降りないってば!!考えがあるから。」

考え?一応聞いてやるか。期待出来ねぇけど。俺は、右耳を後ろへ倒した。俺が耳を倒すと、ターニャは俺に小さな声で伝えた。

819適当:2013/10/26(土) 20:18:04 ID:lFXD3dtc
「とにかく走って。」
「はぁ?」
「あのオジさんの周りをぐるぐる回るようにして。」

意味あるかぁぁ!!俺は、お前の遊び道具じゃねぇぞ!!馬代わりか!!本物ならそこにいるだろ!!こんな意味ねぇ事してぇなら、マタイの背中に乗れ!!馬シカぁぁぁ!!俺は、すぐにターニャの作戦を断る。

「いやだ。バカかお前は。やっぱり降りろ。」
「そうしないと勝てないの!!」
「お前が決めるな。」
「いいから!!騙されたと思って言うとおりにして!!」

チッ、面倒臭ぇ…。一回で気が済むなら仕方ねぇな。ガキを遊ばせてるという気持ちでやるか。俺は、ターニャへ“わーった。一回だけな?”と返した。ターニャは、“うん。”と返事を返し、マタイを手招きする。

「マタイ、ちょっといい?」
「なんだい?」

マタイは、ターニャへ耳を近づける。アツイ…アツイ!!てめぇら、早く話せよな。

「私とラックがオジサンの隙を作る。そしたら、“ひのこ”で攻撃して?」
「うん。わかったよ。ターニャは頭が冴えてるねえ。」
「ふふふっ、ほめたって何も出さないよ?」

イチャイチャすんなお前ら!!背中が熱っちぃんだよ!!俺は、二匹を援護する為に口を開く。

「もういいだろ。さっそくやるぜ?」
「うん。頼んだよ。ラックが失敗したら、終わりだからねえ。」
…。本当にターニャの作戦で勝てると思ってんだな…。
『もうよいか?』

財宝の番人は、俺達三匹に勝負開始の確認を取る。だな、喋りに来たんじゃねぇ。てめぇを倒し、宝を手に入れに来たんだよ。マタイは、財宝の番人へ頷いて返す。

820適当:2013/10/26(土) 20:21:36 ID:smW3b0u6
「いいよ。打ち合わせの時間を与えるなんて、案外いい人間なんだねえ。」
「ふっ、奇襲をかける卑怯者に誉められても…」

財宝の番人の両手に力がこもる。来るな…。

「嬉しくなんかないわ!!」

財宝の番人は、俺達めがけて突進して来た。ターニャは、財宝の番人が動いた所で俺の頭をたたき、合図を出す。

「今だよ!!走って!!」

ってぇ!!たたかなくたっていいだろ!!言われなくてもやってやんよ!!俺は、即座に駆け出し、財宝の番人の周りを走り始める。

「む?こしゃくな。私の目を惑わせてまたあの黒い玉か!!」

シャドーボールって言いたいワケか。ちと、違うんだよな。ただつき合わされてるだけ。ターニャが、何かするらしいが…、まだその時じゃねぇか?
「ラック!!もっと、もっとスピードを上げて!!」

チッ…、面倒臭ぇな…。俺は、ターニャの指示に従い更に速くかける。こ…こんだけ走らせて、意味のねぇ事すんなよな?ターニャの指示を受けた、十秒後程に、ターニャが、財宝の番人に目掛けて叫ぶ。

「目くらまし!!」

ターニャが叫んだ後、俺の後ろから、ものすごい数の草、葉が飛び出した。なる程ね、グラスミキサーか。けど、“ひのこ”つかったら、台無しにならねぇか?

「ターニャ!!ナイスグラスミキサー!!あとは、僕にまかせて!!」

マタイが、どのタイミングで火を吹くかだな。財宝の番人は、突然現れた複数の、葉の嵐に巻き込まれ、左手で目を覆っう。

「うぐ!!こしゃくな…。」
おっ?効いてる効いてる。足止め効果は抜群だな。ただ、命中率を下げられたかどうかはわかんねぇけど…。
「だが…」


私には効かぬ!!

財宝の番人は、草、葉の嵐に慣れマタイ目掛けて猛突進を放つ。マタイは、草、葉の嵐に向かって火を吹く。

「残念だねえ。これが狙いだよお!!」

マタイの口から出た火は、散り舞う草、葉を燃やし、草、葉の嵐を炎の渦へと変化させた。炎の渦へと切り替わった瞬間、財宝の番人は再び顔をおおった。

「うぉぉお!?火計であったか!!」

821適当:2013/10/26(土) 20:26:45 ID:smW3b0u6
勝負あったな。あれだけの火に焼かれて生きてる人間なんかいねぇよ。ターニャにしては、役にたったな。俺は、炎の渦から離れて足を止め、財宝の番人が苦しむ声へ耳を傾ける。ターニャは、興奮しながらも俺に不満をぶつける。

「やったぁー!!大成功♪って、なんで止まってるの?」
「うっせぇ。これで、終わりだろ?財宝の場所までは、自分で歩け。」
「やだ。降りな…」
「降りろぉ!!」
「うわぁ!!」

俺は、体を激しく揺らし、ターニャを無理矢理降ろす。ターニャは、地面に軽く体をぶつけ、うつぶせになった。地面に体をつけた後、“いたぁ!!”と声を上げ、立ち上がり、俺を睨みつける。

「もう少し、優しく降ろせないの?」
「てめぇがさっさと降りねぇからだ。」
「私のおかげで勝ったんだよ?」
「てめぇじゃねぇよ。マタイだ。」

ターニャが再び、俺へ意見を唱えようとした時、財宝の番人の声が周囲に響き渡る。

「竜巻返しぃぃぃ!!」

財宝の番人が叫ぶと、炎の渦があっさり消し飛んだ。は…?待てよ…。そんな技…アリかよ?

「はぁ…はぁ…。油断した。力を感じぬ者に苦しめられるとはな。」

くっ!!こうなりゃあ、三匹で闘るしかねぇ!!俺は、ターニャとマタイに指示を出す。

「てめぇら!!あのジジィを囲め!!三匹で叩くぞ!!」

二匹は、俺に意見せずすぐに俺の指示に従い、財宝の番人を囲む。三匹なら勝てンだろ…。財宝の番人を囲んだものの、俺の中では必ず勝つという確信は無い。俺は、再び二匹に指示を出す。

822適当:2013/10/26(土) 20:30:12 ID:smW3b0u6
「一番強い技を使え!!ここで叩かなきゃ勝ち目はねぇ!!」
『うん…。』

俺の興奮、必死さを二匹は飲み込むように、うなずく。俺はシャドーボール、ターニャは葉っぱカッター、マタイは電光石火。マタイは、炎タイプだが、炎系の技は最近完成したばかりだ。燃えるモンも無けりゃ、まともに威力なんて発揮できねぇ。俺達三匹は、技を発動する構えに入る。ターニャは、ほんの少し体をひねり、マタイは、後ろ足で地面を数回はじいている。俺は、両前足に力を込め、黒い光を出現させた。

これで…倒れンだろ…。

けど、ヤツは違った。俺達三匹の位置をそれぞれ確認した後、二つの刀を構え、静かに宣言する。

止めて見せよう…。

お主らの攻撃を。

すべて…

受け止める!!

受け止めるだと?やれるもならやってみろ!!俺は、二匹に合図を出し、財宝の番人に向かって、挑戦状をたたきつける。

「ほざけ、ジジィがぁぁぁ!!」

俺のシャドーボール、ターニャの葉っぱカッターが、財宝の番人を目掛けて勢い良く飛び出す。マタイは、先に攻撃を仕掛けた俺達より、2、3秒遅れて相手を惑わすようにジグザグに素速く動き出す。財宝の番人は、何も動じずじっとしている。

823適当:2013/10/26(土) 20:35:31 ID:smW3b0u6
結局強がっただけじゃねぇか。勝ったな。

俺が、勝利を確信し始め、ほくそ笑もうとした時、財宝の番人が静かにつぶやく。

「秘技 狼影流し。」
は…?
『ぬぉぉぉぉぉ!!』

財宝の番人は、俺が目を疑うような光景を作り出した。俺のシャドーボールの中心を両方の刀で刺すように突いて消し、ターニャの葉っぱカッターを刀で遠くにはじき飛ばした。

ウソだろ…?こ…こんなんじゃ…なかった。このジジィが、こんなに強いなんて思ってなかった…。

俺は、目の前で起きた事にあいた口がふさがらない。シャドーボールと葉っぱカッターの来る向き、タイミング、速さを瞬時に計算する。さらには、シャドーボールをかき消す程の力…。悪の力が弱くなる中心を突いたとはいえ、普通の人間が俺のシャドーボールを消す事なんて出来るハズがない。

ターニャの方を見ても、俺と同じ状況を体感している。開いた口は塞がらず、目の前の光景に、ただただ驚いてばかりだ。

…は!!ヤベェ…。何か、ヤベェ!!
ターニャの顔を見た数秒後、俺は重大な事に気づき、我に返ってマタイに大声で伝える。

『マタイダメだ!!てめぇが事足りる相手じゃねぇ!!』

けど、俺の声もむなしく、得意の電光石火を当てようと、ジグザグに動き、相手の目くらましをしつつ、財宝の番人へと近づく。

「ヘイ!!ヘイ!!僕のスピードについてこられるかな?」

マタイは、財宝の番人の目前まで来る。

824適当:2013/10/26(土) 20:39:27 ID:snoZnHgc
バカ!!やめろ…!!
「こっちだよお!!電光石火ぁぁぁ!!」

マタイは、財宝の番人の左ナナメから電光石火を当てた。けど、俺の悪い予感が的中した。財宝の番人は、二つの刀でマタイの体を受け止める。マタイは、自分が思っていた感触とは違う事に目を見開く。

「え…?」

マタイが口を開いた直後、右手の刀がマタイの腹部をとらえる。

「が…!?」
「おとなしく眠ってもらおう。いい勝負だった…。」

財宝の番人はそう告げ、残った左手の刀でマタイを狙い打つ。

「がっはぁぁ!!」

マタイは、財宝の番人の攻撃で、5m飛ばされ、そのまま起き上がる事は無かった。

『マタイ!!』

ターニャと俺は、同時に叫びマタイへ駆け寄る。マタイの首からは、血が出ている。つまり、刀の刃の部分を打ちつけられたって事だ。

「ひどい……。」

ターニャは、目の前の光景に衝撃を受け、こらえていた涙が溢れ出し、マタイにすがりついて泣き出した。

「う…うわぁーん!!あん!!あん!!ひどいよぉ!!殺すなんて…ひどいよぉぉ!!」
ああ、腐ってやがるな…。これが勝負なのかよ…。俺達は…このジジィを殺すつもりなんて無かった…。

俺は、泣き出すターニャに何も言葉をかける事が出来ず、心の中で目の前の光景を否定しようとしていた。けど、財宝の番人は謝りもせず、俺達に冷徹な一言を浴びせる。

「これが、“真剣”というものよ。」
………あ?
「主達が奪おうとしていた物と命(それ)は、同等。然るべき、受けるべき運命(さだめ)よ。」

俺は、静かに怒り財宝の番人に殺意に満ちた視線を送る。

「てめ…。今何って言った?」

財宝の番人は、怖じ気づに返す。

「これが“真剣”と言ったのだ。聞こえなかったか…」


愚か者よ。

財宝の番人が浴びせた一言に、ついに俺の堪忍袋の緒が切れる。

825適当:2013/10/26(土) 20:42:58 ID:snoZnHgc
『このジジィがああああ!!』

俺は、財宝の番人へ駆け出し、怒りまかせに、電光石火を放つ。

『あああああああ!!』
「ふん!!甘いわぁ!!」

財宝の番人は、二つの刀で俺の攻撃を受け止め、マタイを仕留めた攻撃を繰り出す。俺は、怒りを維持しつつ、大きく後ろに飛んで下がり両前足に力を溜める。

『くたばれジジィがああああ!!』

俺は、両前足を合わせてシャドーボールを放つ。財宝の番人は、普段の二倍の大きさのシャドーボールに驚かず、先程俺達が目を疑ったあの竜巻を起こす。

「効かぬわぁぁ!!」

財宝の番人によって、俺のシャドーボールはかき消された。

これで終わりじゃねぇよ…。

俺は、高く飛び上がり、財宝の番人目掛けて非道の技 “あやしいひかり”を放つ。

『はぁぁぁ!!これでもくらってろぉぉぉ!!』
「ふふふ…。」
「…!?」

財宝の番人は、俺の技を瞬時に見切って上に飛び上がり、俺の真上へと移動する。

「終わりだ…。」
『な!?』

財宝の番人が、二つの刃の部分を俺の頭へ振り下ろして来た。


や…やられる…。俺も…マタイみたいに…。

826適当:2013/10/26(土) 20:45:47 ID:O1tO0jhQ
自分の頭へ向かってくる一瞬に俺の頭には、走馬灯が浮かんでくるように思えた。けど、俺の頭の中には違うものが流れていた。

不思議…じゃねぇ。ジジィの攻撃を…返せる気がする…。

そう思いこんだ瞬間、俺は自分の意志とは違う別の意志に乗っ取られ、両前足を交差させ、刀が振り下ろされる方にかざす。普段の俺なら絶対にやらねぇ防御策。自分の前足を信用してしか出来ねぇ防御。俺の右前足には、財宝の番人の両方の刃が刺さる。

「愚かな…。腕を犠牲にする…」
「バカはてめぇだ。」
「何?」
「倍返ししてやるよ。」

俺は、後ろ足が地面についた直後、財宝の番人に自分では感じた事無い力の頭突きを腹部に放つ。

「ぐっ…はぁ…。」

俺は、高く飛び上がり財宝の番人の頭の高さに自分の体を持ち上げ、両前足を合わせ振りかぶる。

「…?」
「くたばれ…」
「な!?」




ジジィが。


俺は、財宝の番人の頭へ両前足を振り下ろし、“たたきつける”を放った。財宝の番人はあっけにとられて何も出来ず、俺の攻撃を受け悲痛の叫び声を上げる。

『ぐはぁぁぁぁ!!』

悲痛の声を上げた後、財宝の番人はよろめき出す。よろめく様子を、俺は怒りを維持したまま見ている。

「ぐふっ…。」

財宝の番人は、血を吐いた所でよろめく事を止め、眉間にシワを寄せ俺へ視線を送る。

「見事…。」
何か見事だ…。それで、俺の怒りが収まると思ってんのかよ。
「主の仲間を殺めた事。わびよう。」
てめぇが謝ったって…マタイは返って来ね…
「これを授けよう。」


財宝の番人は、俺へ謝った後、鎧の隙間から手を入れ赤く光る石を取り出した。俺は、感情を保ったまま財宝の番人へ質問をする。

「何だよこれは?」
「主の…仲間を救う…最後の…」

財宝の番人は、俺に答えを明かす前に力尽き、その場にうつぶせになって倒れた。

827適当:2013/10/26(土) 20:50:00 ID:XyikfVgo
財宝の番人の左手からは、赤く光る石が転げ落ち、俺の前足へ静かにぶつかった。

何だ?この石は?

俺は、その場にしゃがみこみ赤く光る石へ目を落とす。赤く光る石の中をよく見ると、炎が勢いよく燃えている事がわかった。その炎が俺の考えを決定する。

これなら…マタイを救えるかもしれない。

俺は、赤く光る石を口にくわえ、二匹の元へと駆け出す。俺が向かって来る事を知ったターニャは、涙目のまま俺の方へ目を向けた。やがて、二匹の元にたどり着き、俺はターニャの前に赤く光る石を落とし、告げる。

「ターニャ。」
「ぐっす…。え?」
「助かるかもしれない。」
「助…かる?」

俺は、うなずき言葉を続ける。

「ああ。この石、さっきのジジィが持っていた石だ。」
「どうして…助かるなんて言い切れるの?」
「よく見ろ。」

俺が、ターニャへ指示すると、ターニャは赤く光る石を拾い上げ観察する。赤く光る石がよほどすごかったのか、ターニャは泣く事も忘れ石に見入る。

「すごぉぉい。燃える石なんて初めて見た。」
「だろ?これなら…」
「マタイは助かるかもしれないね!!」
「ああ。」

俺は、ターニャがほんの少しだけ希望を抱けたと知り、小さく微笑む。その直後俺の中にある疑問が浮かび上がる。

……。けど、どうやって使うんだ?

赤く光る石の使い方についてはターニャも同じだった。ターニャは、俺に訊ねる。

「どうやって使うの?」

ターニャの質問に答えることは出来ない。俺は、即答する。

828適当:2013/10/26(土) 20:53:15 ID:XyikfVgo
「知るかぁぁぁ!!こっちが聞きてぇよ!!」
「えええええ!!」

ターニャは、目を見開いて驚く。どうやら、俺が使い方を、わかっている上で“マタイは助かる”と言ったと思ったらしい。ちっ、ジジィめ。肝心な“使い方”を言わずにくたばりやがって!!こんなワケのわからない石の使い方なんか知ってるわきゃねぇだろ!!俺は、ターニャには思っている事を伝えず、自分の予想を言う。

「体に…くっつければいいんじゃねぇか?」
「体にくっつけるの?」
「たぶんな…。」

さすがに石を口の中に入れるとかは無いだろうからな。俺は、赤く光る石をマタイの額に当てた。額に当てると、効果が出るような気がしたからだ。現に、宝石を額につけているヤツ(ポケモン)だっている。ま、極端な予想だけどな。俺がマタイの額に赤く光る石をつけている横で、ターニャは首を傾げている。傾げてはいるが、俺の行動を止めようとはしていない。ターニャの中でも“もしかしたら、こうゆう使い方なのかも…。”というのがあるんだろうな。お互い何も言わず、俺はマタイの額に赤く光る石を当て続け、ターニャはそれを見守っていた。そして、俺がマタイの額に10秒程赤く光る石を当て続けた瞬間…。赤く光る石の中の炎がマタイの額に吸い込まれていった。

「何だ…!?今のは…。」

俺は、目の前で起きた事に驚き、思わず声を出す。声を出して、間もない内に、マタイの体が突然光り始める。

829適当:2013/10/26(土) 20:56:38 ID:XyikfVgo
「うわっ!!」
「ま…まぶしい…!!」

俺とターニャは、眩しさのあまり目を覆った。さっきの炎が中に入った事と何か関係しているのか?そう思った矢先、ターニャがマタイへ指差し俺を呼びかける。

「見て、ラック!!」

ターニャの指差す方向を見ると、首にあった傷、腹にあった傷が徐々に塞がり始め、やがて完全に傷痕は塞がった。

「す…すげぇ…。」
「傷が…無くなってる。」

俺とターニャは、目の前の光景に驚かずにはいられなかった。マタイを見て二匹してつぶやいた後、マタイは目をほんの少し激しくつむり声を出す。

「うう…。」
「気がついたか?」
「う…うん?」

マタイは、ゆっくりと目を開き俺の顔へ目を向ける。“やった!!生き返ったぁぁぁ!!”と俺がはしゃぐより先に、ターニャ大声で泣きながらマタイの顔へ顔を埋める。

「ぐすっ…。う…うわぁーん!!あん!!あん!!よがっだぁ〜!!戻って来てくれたぁー!!」
「え?え?」

マタイは、突然ターニャに抱きつかれ、胸を涙で濡らされてきょとんとしている。そりゃそうだ。起き上がってすぐ抱きつかれ、しかも泣かれるんだからな。俺はターニャが泣いている理由をマタイに話す。

「マタイ、お前は一度死んだんだ。」
「ええ!?僕がかい!?」
「ああ。信じられねぇかもしれねぇが、あのジジィに殺されたんだよ。」
「うん…?じゃあ、ターニャが泣いているのは…。」

830適当:2013/10/26(土) 21:01:11 ID:Id6mW7tg
マタイは、俺から理由を聞くとすぐに理解し、ターニャへ“心配かけてすまないねえ。”といつもの口調で詫びた。マタイの言葉からは、陽気な態度は感じられず“本当にゴメン…。”と言っているように感じた。まぁ、仲間を泣かせたんだから当然だよな。ふざける場面でも無ぇし、ここは陽気は無しってとこだ。ターニャは、マタイの声を聞くと一度胸から離れ、ほんの少し笑っているマタイの表情を確認し、その表情に応えるかのように笑いもう一度マタイへ抱きつく。

何度も抱きつくのはわかるんだけど、相手は炎タイプだぜ!?時分の体が火傷するとか…そうゆう恐怖心は無ぇのかよ!!と、まぁ今はそんな空気の読めねぇ雄じゃねぇ。俺も、ターニャが笑ったのを機に、少し安心を覚えつられて笑ってしまう。今は、仕方無ぇが普段なら気持ち悪くて想像もしたくねぇな。俺の笑顔なんざ想像もしたくねぇ。だから、時々マタイの笑っている顔を見ると、ちょっとうらやましくなる。それ程、俺は笑顔が似合わねぇ雄だ。今もマタイがうらやましいって感じている。十秒位、マタイに抱きついたターニャはマタイから離れ、マタイへ質問する。

「ふふふ。マタイ、どうして戻って来れたと思う?」
「さ…さぁ?」

マタイは、当たり前のように首を傾げる。まず、死んだヤツが生き返る方法なんて思いつくわけねぇだろ。答えてやるか。

「ジジィをな、倒した時にある石を手に入れたんだ。」
「石?」
「ああ。今は、お前の足元の前に落ちてる石だ。」

俺の言葉を聞くと、マタイは自分の足元にあるそこらじゅうにあるような小さな石へ目を向ける。体勢を低くして、その石を眺めながらマタイは俺の発言を聞き入れる。

「へぇ…。この石が僕をねえ〜。」
「ああ。ったく感謝しろよ?ジジィを倒した俺達を…」
「あはは!!ラック、だっさ〜い。こうゆうのは、“敵討ち”って言うんだよ?」

ターニャの訂正にすぐに反発せず、俺はターニャの言葉を考える。敵討ちか…、いや、俺がやったのは敵討ちなのか?前々から、ジジィにはむかついていたし、単に腹いせで本気出してぶっ飛ばしただけのような…。

「めずらしく素直だねえ。」
「本当だぁ〜!!ラックが私に対して何も言ってこなぁ〜い!!」

マタイとターニャは、何も言わず考え込んでいる最中の俺に驚いた。素直なんじゃなくて、混乱してるだけだ。俺は、二匹に向かって“うるせぇ”と口を開こうとした。けど、その時マタイが突然苦しみ出す。

831適当:2013/10/26(土) 21:04:37 ID:XyikfVgo
「ううう…!!」

突然苦しみを訴えるマタイに俺とターニャは驚き、声をかける。

「お…おい!!お前!!」
「マタイどうしたの!?」
「胸が…胸が苦しい!!」
石のせいか!?やっぱり、ジジィにやられた傷がまだ癒えてねぇって事か!?けど、石のせいだったらどうする?どうしようも無ぇ!!何とか出来ねぇよ!!
「ラック!!ミィなら治せるかも!!」
「ミィ…。確かに、いろんな事を知ってはいるけど、アイツは別に…」
「治すのがメインじゃなくても、他に望みなんか無いよ!!」

くっ…。万事休すか。四の五の言ってる場合じゃねぇな。俺はターニャに賛同し、すぐにミィの元へ向かおうとした。けど、マタイは俺達が考えられねぇ事を言い出す。

「いい…。対した事…じゃないよ。」
「んなワケねぇだろ!!待ってろ!!すぐにミィを…」
「う…。うわぁぁぁぁぁぁ!!」

俺がマタイの制止を振り切ろうとした時、マタイが更に苦しみだした。苦しむと同時に、マタイの体をマタイを生き返した時と同じように光が包む。

「ラック!!また光ってる!!」
「あああああ!!」

マタイが、苦しそうに叫んでいるけど、まさかバケモノになったりしねぇよな?と俺が、苦しそうに大声をあげているマタイを、“何が起こるんだ?”とワクワクする傍ら、“バケモノになるなよ!!”と必死に願おうとしたその時、マタイを包む光の色が、辺り一面を燃やし尽くすような真っ赤へ変化する。

「あ…あ…。マタイ!!一体どうなっちゃうの!?」

ターニャは、恐ろしい未来(こと)を拒むように、マタイを見守る。ターニャも俺と同じ事を考えてるに違いねぇ。絶対バケモノになんかなるなよ!!

832適当:2013/10/26(土) 21:08:24 ID:XyikfVgo
「う…ああ!!力が…みなぎる…ようだ。」

は?今…コイツ何って言ったんだ?マタイが叫びの途中で放った言葉に俺は、耳を疑う。力がみなぎる?パワーアップって事か?と、マタイの言葉の意味を、驚きながら考えていると、マタイが俺とターニャに“離れて!!”と指示を出した。俺とターニャは、マタイに、操られているかのようにすぐさまマタイの指示に従い、駆け足で距離を取った。中距離攻撃なら当たるという所まで移動した所で、ターニャがあせって、俺に訊ねる。

「まままさか、バケモノになんかならないよね!?」
「俺もそう思いてぇ!!けど、たぶんバケモノだ!!構えろ!!」
「ええ!?意識まで失っちゃうの!?」
「知らねぇよ!!でも、姿が変わっても味方って過信すんな!!」

あのジジィ…。とんでも無ぇ石(モン)を渡しやがった!!俺とターニャは、赤い光に包まれるマタイの動きに、備え闘う姿勢を作る。バケモノになったら…、俺はターニャを守りきれるか…?ジジィを倒した時みたいな力がまた、出せるか!?と、突然現れた、自分では到底かなわない敵に対し、逃げる事も考えて始めた時、マタイの体は光と共にだんだんと大きくなり出す。

「ラック!!大きくなってるよ!!」
「仕方無ぇ!!ターニャ、乗れ!!ミィの所まで逃げんぞ!!」

マタイは、俺よりレベルは下だが、あのジジィが持ってたんだ。今のバケモノ化したマタイは到底倒せねぇ。俺の指示でターニャは、すばやく俺の背中へまたがった。またがった途端、俺は全速力でミィの隠れ家に向けて駆け出そうと後ろへ振り返る。いざ逃げ出そうと、前足に、力を込めた時、聞き覚えのある声が俺の耳へ入る。

833適当:2013/10/26(土) 21:13:17 ID:XyikfVgo
「ちょっと待ってよ。どこへ行くんだい?」

どどど…どんなバケモノになっているんだ…?俺は、恐怖のあまり後ろへ振り返らず、マタイへ返事する。

「ににに逃がさねぇってか?」
「う〜ん。逃げられるかねえ。」

くそっ…、闘うしか無ぇのかよ!!俺は、覚悟を決めてマタイへと振り返ったが、マタイが想像を覆す姿になっていた事に驚く。

「うわぁぁぁ!!」
「きゃあああ!!」

ターニャも、想像とは違っていた安心感のある驚きを見せた。俺達の目の前にいたのは、バケモノなんかじゃなくポニータの次の形態のギャロップへ姿を変えたマタイだった。マタイは、安心しつつも驚いている俺達に満足気に笑みを向ける。

「すごいねえ!!ラックが小さく見えるよお〜!!」
「す…すげぇ…。進化しやがった…。」

マタイが姿を変えた事に、俺は驚きを隠せない。俺は、口を開けたままぼそりとつぶやいたがターニャは俺とは正反対の素直に喜ぶ驚きを見せる。

「きゃ〜!!ギャロップだぁ〜!!大きい〜!!」
「はははあ〜!!もう、ターニャを背中に乗せる事は出来ないねえ〜。」
「むぅぅぅ!!乗ってやるもん!!」

ターニャは、マタイ目掛けて駆け出し、背中に向かって高く跳び上がる。マタイは、聞き違えたターニャを慌てて抑止する。

「あわわわ!!違うよお!!高さ的な意味じゃなくて!!」
「え〜い、ジャ〜ンプ♪」
「ええ!?ちょっと無茶過ぎ…」

マタイが止めても無駄だったようだな。それ程ターニャは、気分がノっているらしい。………。つーか、大丈夫か?マタイの背中に乗ったら確実に焼…

「とうちゃ〜く♪」

死する…っておい!!ああ…ついに乗っちまいやがって!!ターニャがマタイの背中へ乗ると同時に、俺は“もうダメだ!!遅かった!!”とターニャから顔を背けた。マタイも俺と同じく“どうなっても知らねぇ…!!”と言いたげそうに激しく目をつむる。きっとマタイは、同時に耳から入る音も無視しようとしているかもな。そりゃそうだぜ。自分の背中の炎でターニャの体が燃える音なんて聞きたくねぇだろうし、俺だって聞きたくねぇ!!俺は目をそらす事に必死で耳を塞ぐことを忘れちまっただけだ…。俺は、ターニャが背中に乗った瞬間、“止めない俺も悪かった。けど、自業自得だ。”と考えつつも、ターニャが炎でもだえ始めた瞬間、ターニャを助ける準備も整える。

834適当:2013/10/26(土) 21:18:14 ID:XyikfVgo
「あははは!!」
え?
「マタイの背中から見る景色は最高だね!!前より、ず〜っと高ぁ〜い♪」

は?どういうこった…。俺とマタイが想像していた事故(こと)は起きず、ターニャはマタイの背中に乗るとはしゃぎだした。何で燃えねぇんだよ?あの火って飾りなのか?マタイも激しく閉じていた目をゆっくりと開き始める。

「それに、マタイの背中…すっごくあったか〜い!!」

いや、あったか〜いとかじゃなくて熱いの間違いだろ!!燃えてんだぞ!!
………。いや、実はヤセ我慢?いやいや、そんなワケねぇよな…。俺は気になりターニャへ訊ねようと口を開くより先に、マタイが、ターニャへ疑問をぶつける。

「ターニャ、熱くないのかい?」
「うん。むしろ、気持ちいいし最高だよ♪」

ターニャは、マタイの背中に頬ずりをしながら返事した。マタイは続けてターニャへ訊く。

「本当かい!?火傷は?」 
「ないよ。だいじょおぶ。」

や…火傷も無ぇのかよ…。ターニャとマタイが会話している最中俺は、目を見開き驚いた。自分が今見ている光景は幻と疑いたくなるような気分になった。ターニャを見ると、相変わらずいつもの楽しそうな笑顔を作るばかりで、苦しいと訴える様子は無い。何で?何でなんだ?マタイは、ターニャの笑い声を聞いて心配そうな表情から、楽しそうな笑顔へ切り換える。けど、俺はずっとターニャが燃えない理由を考えていた。

………。


ラチが明かねぇ…。俺は、自分の思考能力が限界を達したと感じ取り、盛り上がっているターニャとマタイを呼びかけ、財宝の番人が守っていた森の小道へと続く道へ駆け出す。

835適当:2013/10/26(土) 21:22:38 ID:JDcqScy6
洞窟の奥 (森の深部)…


「よっしゃ!!着いたぜ。」

財宝の番人が守っていた小道を進むとたどり着いたのは、木々に囲まれた小さな洞窟だった。目的地へとたどり着き、最初に喋った俺は続き、マタイとターニャの二匹は、洞窟の入口を見上げつつ口を開く。

「うわぁぁ…。全く、対した所だねえ。」
「ホント…。こんな場所に洞窟があったなんて…。」

この二匹と同じように、実は俺も落ち着いたそぶりを見せるが、驚いていた。森に住んでいるからと言って、すべてがすべて知っているワケじゃねぇって事がこの時身に染みた。案外、森にある池とか川とか洞窟とか…。その全てを知ってる気になってたんだな。俺を含む、森の連中(一匹は除くけど)は、意外と知ったかぶって生きているかもな。

「早速入ろうよ!!」
「ターニャの言うとおり!!なんか、お宝の匂いがしてきたよお〜♪」
ウソつけ!!宝の匂いなんてわかんねぇだろ!!お前は、犬型ポケモンじゃねぇんだからわかるワケねぇだろ!!つーか、犬でもわかんねぇよ!!宝の匂い嗅ぎ分けられるヤツなんていねぇ〜よ!!“かぎわける”でも無理だろ!!

「よ〜し!!マタイ、レッツごぉ〜♪」
「お宝が僕達を待っている〜♪ほら、ラック置いてっちゃうよお?」
「は?ま、待てよ!!置いていくなって!!」

俺は夜行性だから、夜も見える。けど、一匹で暗い場所は歩きたくねぇ。何ていうか、昼活動するめずらしいブラッキーだからな。マタイの呼びかけを耳に入れ、俺は二匹に続き洞窟の中へと入る。

836適当:2013/10/26(土) 21:29:34 ID:Nt9mEhLk
洞窟の中…

さて、洞窟の中へと入ったワケだが…。中は、異常に寒いな。今、
俺達は洞窟の中を探索中だ。俺は、寒さのあまりほんの少し体を震わせる。別に、怖がっているワケじゃねぇぞ?そこは、勘違…

「あはは。ラック、もしかして怖いの?」

俺の震えを見ていたらしい。ターニャが、からかうように質問し出した。俺は、体を震わせつつもすぐに否定する。

「ななな…なわきゃあるか!!怖くなんかねぇよ。」

最後に落ち着きを見せたから大丈夫だろ。けど、俺の考えは全く当たらずターニャは、更に俺をからかう。

「まるわかりじゃん。大丈夫だよぉ。私とマタイがいるから。ねぇ〜、マタイ?」
「そうだねえ。むしろ、ラックはこうゆう時ぐらいは俺達を頼って欲しいねえ。」
「頼るって泣きつくって意味かよ?」

俺は、言葉と同時にマタイを睨みつける。マタイもターニャほどではないけど、笑っている。時々、俺の事をからかっているようにも思えた。マタイは、首を振って言葉を続ける。

「まさか。ただ、怖がりのラックも見てみたいねえ。見れるなら、見ときたいねえ。」
「うんうん。」

マタイの言い分を主張するようにターニャは楽しそうにうなずいた。“うんうん”じゃねぇ!!てめぇら、俺の事をどうゆう風に思ってんだ!!お前達(ら)の遊び道具じゃねぇよ!!

「あっ、ラック後ろに…。」

ターニャが楽しそうな表情から怖がる表情へと切り換えた。ターニャは、指で俺を差しつつ何かを恐がっている。

「はぁ!?う、ウソ!?」

俺も気になって、すぐに後ろを振り返った。けど、そこには当然誰もいない。ターニャのいたずらって事だ。ターニャは、自分のいたずらを楽しそうに白状する。

「ウソだよぉ〜♪ラックってやっぱり…」
「怖がってなんかいねぇっつってんだろ!!あれはな、ちょっと背中がかゆ…」
「ふ〜ん、さっきよりブルブルしているよ?」
「違ぇ!!これは、さっきの闘いで疲れたからだ!!筋肉痛なんだよ!!後ろ足が痛てぇの!!」
「疲労痙攣(けいれん)ってやつかい?」
「あっ…ああ〜!!そうだ、マタイ!!そうだよ!!それそれ!!」

837適当:2013/10/26(土) 21:36:24 ID:5ZlUGfAM
俺は、マタイに助け舟にしがみつき、勢いのある口を閉め、ため息をつく。………。ななな…なんだよ?読者達(てめぇら)まで疑ってんのか?は、はは…あるワケねぇだろ?お、俺は悪タイプだぜ?一日中悪い事ばかり考えている悪タイプの森の猛者ラック様だぜ?ゴーストなんか、怖…怖くねぇ。ゴーストが、俺を怖が…

「あれ?もしかしてあれじゃない?」
え?
「ああ!!あれっぽいねえ。宝箱って炎に強かったよねえ?ちょっと、火でも飛ばして明るくして見ようか。」

マタイは、ターニャに訊かれ口から小さな炎を前へ吐き出した。マタイは、宝箱を燃やすような事を言っていたけど、燃やす気は無かったようで宝箱の目の前に炎を落とした。炎の明かりで前が照らされ、ターニャの予想が的中しているのがわかった。何か、いろいろ考えてた間にいつの間にか着いたみてぇだな。

「わぁぁぁ!!宝箱だぁ〜!!よし、マタイ発進ぃ〜ん♪」
「夢のようだねえ!!すぐに行くよお〜!!」

マタイは、言い終えるとすぐに宝箱へ駆け出す。

ウワサはマジだったって事か!?え?けど、中身が空って事も…

マタイが宝箱の前までたどり着くと、ターニャはテレポートをするように、一瞬で地面に下りた。それをバトルで使ぇぇぇぇ!!ってぐらい速かった。よっぽど宝を楽しみにしてたんだな。俺も二匹の元へ急いで駆け寄る。宝箱につくと、何やら二匹が俺を見ている。何かして欲しそうな目で。

838適当:2013/10/26(土) 21:42:20 ID:Id6mW7tg
「はやくぅ開けて!!私は小っさいからムリ!!」
「僕は、座って前足だけを動かすなんて出来ないからねえ。高さは満たしているけどねえ。」


二匹に頼まれて俺は宝箱へ目を向ける。なる程な。ターニャよりは2倍位の高さで、閉められている感じはしねぇ宝箱か。うっしし…さっそく開けるぜ!!何か気持ち悪かったけど気にすんな!!俺は宝箱へ前足(て)をかける。

「お…おお!!ついに、開くよお!!」
「ワクワクするぅ〜!!あけて!!あけてぇ!!」

俺は、じらすようにゆっくりと宝箱を開ける。何かこうゆうのって一気に開けたくねぇ〜んだよな。開けるのもまた一つの楽しみってヤツだ!!

ターニャっマタイから“そんな開け方しないで早く開けろ”みたいな言葉を受け流しても気にせず、宝箱をゆっくりと開け続けついに宝箱を開いた。

「おお!!」
「わぁ〜!!すごぉ〜い!!」
「こんなにあるんだねえ!!」

最初は、俺次にターニャ、最後にマタイとそれぞれの反応を見せる。宝箱を開けた途端、中の金、銀が大量に入っていたからか、マタイが作り出した宝箱の後ろの炎の光を反射してまぶしい程に輝いている。俺達森のポケモン達も想像出来無ぇような宝の山だった。俺達は、しばらく宝の量と金や銀に反射した光に見とれつつも、ターニャが全員の目を覚まさせるような質問をする。

「すごぉ〜い…。けど、どうやって持って帰るの?」
『あ…。』

ターニャの一言に俺とマタイは顔を見合わせる。確かに考えてなかった。こんなにたくさんどうやって持ち帰るんだ?

「むぅぅ。持って帰りたいなぁ…。」

ターニャはいつの間にか宝箱の上に乗り、丸い金を2つ手に取る。一回、人間の住む街に行った時に見た、食いもんを手に入れる何かに似ているな。っと…俺も持って帰りてぇんだけど、全部は持てねぇよ。

839適当:2013/10/26(土) 21:46:44 ID:mSQNyt2g
「ターニャ、全部は持って帰れないねえ。」
「何か、包む袋がないから?」
「違うよ。仮に、持っていたとしても僕達で持って帰るのは無理。だって、重たすぎるからねえ。」

マタイは首を振り、ターニャに諦めを促す。けど、ターニャはあきらめれきねぇのか、マタイを見て提案を出す。

「マタイなら持てそうだけど?」
「僕の背中かい?そりゃあ乗せられると思うよ?だけど、背中に乗せたまま運べると思うかい?」
「うん。」

ターニャは、マタイに期待しているのか、マタイに向けて目を輝かせ、マタイの考えを否定した。乗せられるワケねぇだろ。背中で安定させるように誰が結ぶんだよ。

「ラックが持って、マタイの背中に置けば…」
「できるかぁぁぁぁ!!」

俺はつい洞窟全体に声を行き渡らせてしまった。誰でも言いたくなるだろ、そんなありえねぇ事頼まれたら。その後も、ターニャは“やってみなくちゃわからない。”と口走ってきた、けど俺は当然のように断る。宝箱を持ってたとしても、マタイの背中にのせる事ができねぇ。人間の手のように、自分の手足をそううまくは使えねぇんだよ。ターニャは、俺とマタイで本当に持ち帰れると思ってたようで、俺が“できねぇよ!!”と返すと、残念そうにうつむく。俺だってそうしたいけど、無理なモンは無理なんだよなぁ。

840適当:2013/10/26(土) 21:51:53 ID:mSQNyt2g
「あのさ、少しずつ持って帰るっていうのはどうだい?」
「え?」

うつむいていたターニャが、マタイの声を聞くとハッとした表情に切り替わった。隠していたが、実は俺もターニャと同じだ。そうか!!その手があったな!!俺とターニャは、すぐにマタイの名案を受け入れ、持てるだけ丸い金や色の付いた光る石をくわえたり、手に持ったりして洞窟の入口へと歩き出す。名案っていうか、よく考えたら普通の事なんだけどな。

「さすが、マタイ〜!!今日は冴えてるぅ♪」
「僕もど〜うしても持って帰りたかったからねえ。人間の街にいって、これでおいしい物が食べられるかもしれないって思うと、いても立ってもいられないからねえ。」
だな。きっと価値はある。俺達でもピカピカ光る金、銀に感動するんだから、人間が感動しないワケがねぇ。何より、食べ物を手に入れる時に使ってた、似た色の小っさい丸っこいヤツに似ているしな。

「ミィのウワサって掘り出し物もあるんだね!!」
「普通お宝って、滅多に手に入らないけど、僕達はミィのおかげで贅沢できるわけだねえ。」

そうだ…宝を手に入れたのはミィのおかげだったんだ…。浮かれながら会話をしているのを聞くと、俺は大切な事を思い出した。ミィがいなかったら、俺達は宝なんて手に入れてねぇ。ミィがいなかったら、マタイは進化してねぇ。ミィがいなかったら…



ジジィに負け続けていた俺は、こんなに笑ってねぇ…。

「大事な事を忘れてだぜ。」
『え?』

俺が遠くを見つめながらつぶやくと、二匹の弾んでいた会話が止まった。俺は、遠くを見つめたままターニャとマタイに告げる。

「わりぃ…。先に帰ってろ。」
『え?』
「行かなきゃならねぇトコがあんだ。」

俺は、ターニャとマタイにそれを告げると、恩を売られた雌(
ヤツ)の元へ駆け出す。

「行かなきゃいけないトコって…って、待ってよ!!ドコに行くのぉぉぉ!?」

ターニャの声を遠く耳にしても俺は足を止めなかった。売られた恩は…売られた笑顔(おん)は、ちゃんと返すのが筋ってもんだ!!

841適当:2013/10/26(土) 21:53:28 ID:mSQNyt2g
ミィの家の前

はぁ…はぁ…。ついたぜ。宝をくわえ、首に掛けられる光る石をいくつか首に引っさげて、全速力で向かった先は、恩を売ったミィの家だ。ミィの住処の前につき、俺は立ち止まり、宝をくわえたまま、呼吸を整える。呼吸が落ち着いた所で、俺はミィの住処の扉をたたく。

「はい。」

扉を2回叩いた所でミィが扉に手をかける音が聞こえた。ミィは、扉を開けて俺を見るとすぐに驚き、俺に質問する。

「これは!?もしかして、あの財宝の守護者が守っていた宝ですか!?」
「ああ。」

俺は、自信に満ちた表情でうなづいた。ミィは、俺があのジジィに本当に勝てると思わなかったんだろ。ミィは、俺に信じられないと言いたげそうな表情をずっと向けている。俺は、ミィの心の内を訊ねる。

「ふふ。勝てると思ってなかっただろ?」
「え?そ…そういうワケでは…。」

図星だな。ミィは下をうつむき俺から目をそらし始めた。耳は下にだらんと垂れ、“ゴメン”と言っているように見えた。俺は、今のミィの態度を見ても全く怒りなんて沸いてこねぇ。それ程機嫌がいいし、何より俺を笑顔にしてくれたのはミィだからな。

「いいって、気にすんな。」

俺は笑ってミィを許し、口にくわえている宝と、首にひっさげている光る石をミィの目の前に落とした。“え?”ミィは、目の前落ちた宝を一目見て、再び俺に視線を返した。俺は、それを見計らってミィへお礼を言う。

「サンキューな。これ、やるよ。俺の気持ちだ。」
「え?ええ!?う…受け取れないですよ!!こんなに…。」

ミィは手を振って遠慮していた。けど、俺は前足で地面に落ちている宝を拾い。ミィの手に握らせた。

「あの…やっぱり。」

ミィが断る隙を与えないように、俺はミィの言葉を聞き流し、ミィの首へ光る石をかける。

「受け取れ。お前の取り分だ。」

ミィは、その後何も言わず、笑って“ありがとう”と告げてきた。その時のミィは、今まで生きてきた中で一番可愛いと思える表情だった。つっても、まだ対して生きてねぇ〜んだけどな。ミィの笑顔を見届け、ミィに別れを告げ、俺はターニャとマタイがいるだろうと想う場所へ駆け出した。ターニャとマタイは、俺を確認すると“あれ?宝は?”と訊ねてきた。その質問に俺はこう答えた。


筋を通して来ただけだ。



マタイは、俺の表情が、晴れている事を感じ取り、何も言わずに笑顔を向け、ターニャは言葉の意味がわからず首を傾げた。格好をつけ終えた後、腹が空いていると感じ、俺は二匹を誘い人間の街へ駆け出す。二匹は、俺と一緒に駆け出しながらも、“宝はどうするの?”というターニャの質問を、俺は“そんなモン後でいい。腹が空いてんだメシにしようぜ。”と返した。宝なんか、俺達とミィしか場所は知らねぇし、盗られたって構わねぇ。だって、俺はあのジジィとの闘いで宝よりも、大事な仲間(たから)と笑顔(たから)に気づいたんだからな。

終わり

842適当:2013/10/26(土) 21:59:50 ID:mSQNyt2g
後書き

誤字脱字が多いですね。あと、前半部読者が勘違いする部分がありますね。反省します。


マタイは、三國無双のは馬岱をイメージして喋らせました。なので、知ってる方は馬岱の声で脳内再生してみて下さい。あとは、お好きに。

では、また次回適当に投下します。さようなら(笑)

843適当:2013/10/26(土) 22:03:37 ID:mSQNyt2g
アンカ
803ー841

803-841

844適当:2013/10/26(土) 22:08:08 ID:mSQNyt2g
>>803-841

>>803ー841

であってますかね?

845:2014/01/26(日) 14:34:14 ID:vxwPRHc6
>>844
アンカーは不等号(>)を二つ(一つでも良かったような)置いてその後に数字、複数の時は+や-を数字の後に置いてその次の数字……って何言ってるんだ自分w

846リザードンとトロピウス:2014/09/15(月) 11:33:42 ID:OP/snhmM
 どこもかしこも痛い。
 体が動かないからどうなってるか分からないが、ひょっとしたら足首から先は無くなってるかもしれない。
 ああ、もう痛みも感じなくなってきた。目の前のものも見えない。
 死ぬのか、俺は。




 口の中に甘い味が広がって、夢中で飲み込んだ。もう一度それが来る気配がして口を開けてみたら、今度は驚くほどの辛みが入ってきて、一気に目が覚めた。
「あれ、もう気付いたの?」
 耳元に届いた穏やかな声に目を向けると、緑色の帽子のような額の下から、大きな目が俺を覗き込んで笑っていた。
「すごい怪我だったのに、回復早いなぁ。びっくりだよ」
 ゆったりとした口調。こんな話し方をする奴は今まで見たことない。
 誰だ? そして此処は何処だろう。
「お前が……助けてくれたのか?」
 だんだんと体に感覚が戻ってくる。と同時にあちこちの傷が疼き出した。
「助けたことになるのかなぁ。僕不器用だから何もしてないんだけどね。なんかボロボロだったから、とりあえず止血だけはしてみたけど……まだ痛いかな?」
「……いや、大した事はない」
 言われてみて気付いた。疼きはするが体が壊れるような痛みはもうほとんど残っていない。止血と……多分、口に入れてもらった木の実の効果だろう。
「君ってリザードン、だよね。僕初めて見たな」
「そうか。……お前は」
「トロピウス」
 目を細めて告げられたその名に覚えは無かった。互いに初対面なのは住む場所に全く共通点が無いせいだ。
 周囲をぐるりと見回してみる。普通の状態だったら、俺がこんな森の奥深くに入る筈はないだろうな。
「君、随分な目に遭ってたみたいだけど、理由は後で聞くことにするよ。まずは傷を治さなくちゃね」
「え……」
 見上げると、トロピウスは口に木の実をくわえていた。喰わせてくれるのかと思ったら、トロピウスはそれを自分で噛み始めた。
 なんだ、くれる訳じゃないのか───ぱりぽりと咀嚼する音を、ぼんやりと聞いていたら、ふっとトロピウスが顔を近づけてきた。
 何をするんだろう、と思う暇も無かった。
「う!?」
 トロピウスの顔が目の前にあった。口と口とが触れ合う感触。
「んー」
 ぐいぐいと口を押しつけてくる。訳が分からなくて口を開けば、細切れになった木の実が押し込まれた。ほんの少し甘みのある、でもあまり旨くもない木の実の味。
「おまっ……」
「ちゃんと食べてよ」
 口の中に木の実を入れたまま文句を言おうとしたが、ピシャリと遮られた。
 じっと見つめてくる真剣な目に気圧されて、反論も出来ないまま仕方なくそれを飲み込む。
「……お前な」
「もう一個」
「口移しはやめてくれ」
 何を考えているのか、当たり前のように木の実を口の中で噛み始めたので、前もってそう言った。
「今更恥ずかしがらなくていいよ。さっきから何度もやってるし」
「いや、自分で噛めるから」
「……あ、そっか」
 ようやく気付いたようにトロピウスが呟いた。天然か、こいつ。
「そういえばそうだよね、さっきは君が意識朦朧だったからそうしたんだ。ごめんごめん」
 はい、と言って、今度は丸ごと木の実を寄越してくれた。もちろん『手』なんて使えないから口でくわえて受け渡すのだが、噛み砕いたものをがっつり流し込まれるよりは余程マシだ。
 ああ、よく考えたらこれが俺のファーストキスなのか。
「念のため聞くが、お前雄だな」
「そうだよ?」
「そうか」
 ……一瞬でも『僕っ娘』を期待した俺が馬鹿だった。

────────

つづきません
2年前の日付で書きかけのまま放置されてた小話
プロット無しなので当時どんなストーリーを想定していたのか不明ですが自分の発想からして間違いなくホモネタと思われます

847某とある名無しの誰かさん:2015/01/28(水) 21:43:43 ID:hBazNR9s
とある夏の一日、二匹の仲は少し深まった。
これは、その二匹のポケモンのとある冬の一日のお話である……


「Before winter vacation」

848某とある名無しの誰かさん:2015/01/28(水) 21:54:19 ID:hBazNR9s
「ふう……快適快適〜」

 今俺は愛する自宅にて、充実した暖房器具の中ぬくぬくと暮らしている。実にいい気持ちだ。
 明日から、冬休み。その事実が、一層と上機嫌を後押しする。
 夏祭りの時、藁にもすがる思いで冷房器具よ、直れ!とお願いしてみたのだが。冷房器具どころかそれ以外の電化製品も治ってやがった。
 おいのりのちからってすげー!そう確信した俺は、元気100倍の性能へと様変わりした冷房器具で夏休みを過ごし、この冬までやってきた。
 今日はまさかの大雪である。しんしん降るかわいらしい雪とは大違い、バケツから雪を溢したような天気だ。余計わかりづらいか?
 こんな寒い日には絶対暖めるマンと化した暖房器具の中ゆっくり過ごすとするか。俺は炬燵へ入る。
 ……だがこんな真冬の季候。あいつがなにもしていないはずもなく。

「ザーングースぅぅ!!」

849某とある名無しの誰かさん:2015/01/28(水) 22:50:23 ID:hBazNR9s
「うおああっ!?」

 夏祭りの時の相棒、水色の塊……そう、グレイシアである。
 あの時は扉から飛び込んで来たが、なんと今までクローゼットの中に潜んでいたらしい。まあ、冬は寒い。玄関の扉なんぞ開けていなかった。だがどうやって、一体いつ侵入されていた?
 ところで、俺は炬燵に入る途中だったわけで。それにクローゼットには一番近いところである。そこへ中からグレイシアが飛び込んで来たわけだ。つまり、俺が仰向けで下敷きになり、グレイシアが俺の上になって覆い被さっている。
 またか……グレイシアの突然の登場にはもはや驚きを越え呆れて声もでない。……ちなみにさっきの俺の叫びは驚いたわけではない。決して。

「ザングース、ねえ話そ〜?」

「てて……ったく、お前一体いつからあん中に」
「さっきの買い物帰り」

「……ああ、なるほど」

 供述を聞くに、俺の買い出しの帰りに扉を開けた瞬間入り込んで、うまく見つからないように隠れたんだと。嫌らしい真似するね。

850某とある名無しの誰かさん:2015/01/28(水) 23:10:57 ID:hBazNR9s
「……って、寒い寒い!早く離れろぉ!」

「いーやーだー!ザングースといたいよー!」

 乱暴に引き剥がしてやった。まったくこいつは。うう寒……そそくさと炬燵イン。
 グレイシアはこたつの外で暫くむすっとしていた。仕方がないので隣に動いてやる。途端に表情が一変、歓喜の印だ。わかりやすいやつめ……
 ちなみに暖めた部屋の中にいて大丈夫なのかと訊いてみた。

「うん、なんとか大丈夫だけど炬燵は熱いよ」

 大丈夫と言っていたが少し暑そうだったのでエアコンをオフに。ちなみに炬燵から出るのが億劫にはならないんだ、俺は。



 それから数分、会話もなく俺はただぼーっとしていた。炬燵の魔力により夢に誘われることはなかったがな。

「何か冷たいもの要るか?あるもんなら出すぞ」

「……アイスココアー!」

 にぱー、という効果音がふさわし過ぎる程の満面の笑み。くっ、侮れん。まさかこんな可愛い顔を見せてくるとは。
 赤面しているように感じ、逃げるように台所へ。エアコンをオフにしたから少し寒くなってはいるが。



 俺もホットココアを淹れ、ほっと一息。……駄洒落のつもりはなかった。
 一口飲むと全身に広がる温もり。ああ、実に快い。
 そうしていると、扉から軽いノックの音。まったく、俺はココアの余韻に浸っていたいのに、誰だこの邪魔者は?
 俺はコートに袖を通し、耳に合わせたニット帽を被る。招かれざる客のお出迎えだ。まあグレイシアもだが。

851某とある名無しの誰かさん:2015/01/28(水) 23:29:16 ID:hBazNR9s
 俺は寒さと雪を覚悟し、扉を開ける。がちゃり。
 びゅうと風が吹き荒れ、家に多少の雪が入る。そしてまず目に入ったのが、その翡翠の躰。……緑?

「いやーザン、酷い暴風雪ッスね!この寒さでオレのカラダもカッチカチ〜」

「宗教の勧誘やセールスはお断りします」

「ちょ、ちょちょ、久しぶりの再開なのにそれはないッスよー!」

 おかしいな、つい悪戯心が。特性は違うのにな。
 旧友との再開についふざけたくなってしまってつい扉を閉めてしまった。反省はしていないし後悔もしていない。
 このままやつが扉をどんどんしてよそ様に迷惑がかかるのは良くない、扉をあけてやった。

「酷いッスよザン、そこは感動の涙とかしてくれたりとか……」

「あのなカッチ、カラダもカッチカチの下りは面白かったがとりあえず落ち着け。説明も欲しいし上がってくれよ」

 このままでは俺もマラカッチも寒いだけだ。やつには上がって、何故ここにいるのか説明してもらおう。
 そう思って上着から雪を落としていると、待ちかねたのかグレイシアが玄関へやってくる。

「ザングース、どうかし……あれ、カッちゃん!?」
「ぬおっ、グレ!?何故グレがザンの家にいるっ!?」

 俺はやつに聞こえるようになるべく大きな溜息を吐いた。はあ……
 ただでさえグレイシアの相手は疲れるのに、よりによってカッチか。これはひどい。
 俺はすっかり冷えてぬるくなってしまったホットココアを飲み干した。

852某とある名無しの誰かさん:2015/01/29(木) 21:19:54 ID:gyn5832c
「……で、カッチ。なんでお前がいんだよ」

 カッチを炬燵へ招き入れて、一息つく。やつは温もりに浸り幸せそうな顔を浮かべる。畜生、お前のせいでこっちは幸せを邪魔されたんだぞい。
 グレイシアは旧友との再会の嬉しさと突然の来訪の驚きが合わさった表情だ。これがもし何処の馬の骨とも知れないやつならだいぶむすっとしてたのだろう。
 不本意だがやつにホットココアを淹れ、状況説明の聞き出しを試みる。

「いやー、久しぶりにこの辺りに寄ってみたら突然大雪が降り始めて。それで慌ててザンのとこ探してやっとこさ辿り着いたってところッス」

「本当にびっくりだよ、まさかカッちゃんが戻ってきてるなんてね〜」

「そ、そうだけどもさあ……まずなんでこの辺りに寄ってみたんだ?」

 なるほど、雪宿りというわけですかそうですか。だがしかしいきなりは驚く。
 「ちょっと旅立ってみるッス!暫く会えないけど元気でやりい!」あの日、カッチが突然告げたこと。その後いきなりどこかへ消えてしまった。 俺達からすれば唐突すぎて言葉もでないままやつを止めなかった。否、止められなかった。
 そんで月日は流れて今。やつはまたしても唐突だった。
 ふらりといなくなってはふらりとやってくる。いつもの光景ではあるが、まだ慣れない。カッチはそういうやつだ。

「なんでって、旅はもう終わりッス」

「待て、待て……待て。一旦待て」

 カッチ唐突語録その3の誕生である。
 まさかの旅終了宣言。既に終わってたんならもっと早く言え。

「ごめ、忘れてたッスー」

「はぁ……まったく、お前もいつまでも変わらないな」

 ふと横を見るとグレイシアが笑顔のままフリーズしている。恐らくカッチの唐突語録に頭がついていかないのであろう、目が死んでやがる。
 このままだと危ない絵面になりかねないので、揺さぶって脳を起こしてやる。

「あれ、ザングース?私は1体何を……」

「キミハワレワレノジッケンタイデアル。タッタイママデワレワレニキオクヲシハイサレテイタノダ」

「やめんかぁ!」

 カッチの頭に軽くブレイククロー。脳天という急所に当たった!

853パルギア〜(^-^):2015/04/08(水) 21:46:45 ID:W.2gy1wo
 微かな細波が空間を渡っていく。
 それは音のようでもあり風のようでもあった。音であるならば、それは眠りを妨げないほどの静かで穏やかな、低い響きを伴った「何かの声」。

 それに気付いたパルキアは、応じるように一声かけて、この空間のはざまに通じる道を開いてやる。
 そうして現れたのは、鋼のきらめきを纏った「時の守護神」だった。

「しばらくぶりだな、ディアルガ」
 気易く声をかけてくるパルキアに、ディアルガは蔑むような視線を投げる。
「随分お楽しみのようだったからな。遠慮してやっていた」
 いきなり痛いところを突かれて、パルキアが返答に詰まる。
 そんな相方の様子を鼻で笑って、ディアルガはパルキアの腕に抱かれたそれを無遠慮に覗き見た。

「ほう、どれだけ欲深く穢れた面をしているかと思ったが、随分可憐で美しいではないか。これがどのような姿になってお前を誘っているのやら」
「……な、なんのことだ」
「私の居るところまで鳴き声が聞こえていたぞ。さぞかし激しく責めたのであろうな」
「いや、それは……」
 もごもごと口ごもるパルキアの様子は、ディアルガには端から想定内だったようで、それ以上無益な言葉虐めをすることもなく、眠っている白い生き物に顔を寄せた。
「魂の呼吸が滞っている。お前が眠らせたのか?」

 本来はディアルガに属している、時を操る力。そのささやかな真似事で、小さな対象物の時を止めるぐらいの力なら、パルキアにも使うことが出来た。そうして無理やり「眠らされた」者は、体だけでなく魂の呼吸までも不自然な形で動きを止めてしまう。

「……ああ、まぁ、な」
 ディアルガには何でもお見通しと悟って、パルキアは諦めたように頷いた。
「己の身が保たぬと怖れたか」
「ちげーよ! ……いや、ちょっとはそれもあるが」
「ふん」

 ディアルガの面白くなさそうな声に、パルキアは居心地悪くため息をついた。
「思ったより、手強くてな」


 誰も立ち入ることが出来ない筈のパルキアの領域で、漂っていたそれを見つけたのが始まりだった。
 「ルギア」と名乗ったその白い生き物を捕らえ、何かに駆られるかのように手篭めにした。
 拒絶も抵抗も何も無かった。
 ただ、熱く爛れて蕩けそうな性の快楽だけがあった。
 辱められ、犯されながら泣くルギアは、それでもパルキアに縋り付いて「もっと」と乞うた。けれどルギアの望みのとおりに責めれば責めるほど、ルギアはさらに餓えていくようだった。
 終わりが見えないほどひたすら溺れながら、互いの魂だけははっきりと醒めたままで。
 体を重ねるごとにその違和感は大きくなって、やっとパルキアは、捕らえられたのが自分の方だったのだと悟った。

 誰かの身代わりとして、ただ、ルギアの体の乾きを慰めるためだけに。

 ───このままでは、壊れる

 そんな焦燥の末、パルキアはルギアの「時」を止めたのだった。


「今更だろう。軽々しく手を出すからだ。自業自得と思え」
「……ごもっともです」
 らしくもなく殊勝に返すパルキアに、ディアルガはふと嫌な胸騒ぎを覚えた。
 形のない、暗く乾いた何かの気配。

「深みに……はまるなよ」
 その気配を消したくて、ディアルガはやや強く言いつけたが、パルキアは惑うように言葉を返せないでいた。
「パルキア」
「わ、かってる……」
 その声はまさに、判っていても過ちを犯してしまう者の悪あがき。
 もう既に、パルキアは深みにはまってしまっている。

「私が……始末してやろうか?」
 静かに言い放ったディアルガの言葉に、パルキアがはっと顔を上げる。
 鋼の刃のような鋭さと冷たさを帯びた視線が、そこにある。
「ディアルガ……」


泥沼の予感(´∀`*) ………つづきません

854名無しさん:2015/05/21(木) 18:27:30 ID:VatZMV/o
「痛い〜……ザン、流石に酷くねい?」

「お前が変なこと言うからだろうが」

 グレイシアを正気に戻したところで、俺達は炬燵に入ってのんびりと。
 カッチは俺が淹れたココアを飲む……って、こいつ猫舌か!

「あひゃ、あふいっ!?」

「だ、大丈夫!?待っててカッちゃん!それー!」

 やつを心配して近付くグレイシア。そしてカッチの舌に凍える風を放ち冷やそうと……こうかはばつぐんだ!

「ぎゃあああーっ!?」

 舌を押さえながら悶絶するカッチ。いやあ、なんというか愉快だな。俺達を邪魔した罪の贖罪と思え。
 そして何がなんだかわからずにおろおろするグレイシア。まるで皿を割ってしまった子供だ。
 俺は静かに、新たに淹れたホットココアを口にした。この苦味、たまらん!

「たく、お前はどうしてこうかな」

「い、今のは仕方ないじゃないッスかー」

「カッちゃん、ごめんなさい……」

 騒がしく声が響き渡る我が家。こんなに賑やかな冬も、まあ悪くないな。

855名無しさん:2015/05/24(日) 14:37:38 ID:pAq8R9mQ
「それで、なんで旅なんてしてたんだよ」

「えー?もちっと広い世界を見たかっただけッスよ」

 男のロマン、というやつか?まあ、俺には理解できないが。
 炬燵で充分暖まり、幸せな気分になる。

「明日から冬休みかあ……」

「あれ、そうなのん?」

「うん。今日までだったよ」

856名無しさん:2015/12/20(日) 22:05:55 ID:6dxwPNSM
「ザン、冬休みどうする〜?」

 カッチは炬燵の中での温もりを感じ、表情がとても柔らかくなっている。
 サボテンだし、寒いのは苦手なんだろうな……って俺だって苦手だわ!
 この中でグレイシアだけが炬燵の外で平気でニコニコしてやがる。ぐっ、羨ましくなんかない!

「そうさなあ……特に決めなくていいんじゃないか?」

「遊び倒そうよー!」

 目を爛々と輝かせ、グレイシアが突然猛スピードで俺達に寄ってきた。
 ……ふむ。近くにいるだけなら冷気は感じないんだな。ポケモンは奥深いものだぜ。

「おー、いい提案ッスねえ。わかってるじゃないか小娘ー」

「えへへ、それほどでも〜」

 おどけたカッチの発言に、グレイシアは照れる。おいそこのサボテン、そんなこと言うから調子に乗るんじゃないのか?
 溜め息の代わりに、俺はホットココアを飲み一息付いた。

「あ、折角だしトランプやらないッスか?今持ってる」

「なんで今持ってるんだよ!」

「ナイスツッコミッス、ザン!」

 怒りに任せて俺はカッチにブレイククローを繰り出した。


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