したらばTOP ■掲示板に戻る■ 全部 1-100 最新50 | |

OP投下スレ

1名無しさん:2012/04/28(土) 01:55:10
OP投下スレダナ

2 ◆8df.ES8h7.:2012/05/12(土) 22:07:00 ID:Z66M/7qA
投下しマウス

3 ◆8df.ES8h7.:2012/05/12(土) 22:29:44 ID:Z66M/7qA

 恋って、とっても素敵だと思う。
 その人のことを想うとギュッと胸が痛くなって、でも無限に力が湧いてくる。照れ臭くって顔も見られなくなったりするけど、それでもその人と会えて心はジンジンと熱を放つんだ。もし笑いあえたりしてしまえば、それはもうどこまでも飛んでいけそうな程に想いが弾んだりね。

 もちろんいい事ばかりじゃない。気になるあの人が他の子と仲良くしてる姿を見るとモヤモヤしたり、訳もなく混乱して何だか話しかけ辛くなったりもする。ずっと隣に居たいはずなのに本末転倒だなあ、なんて。
 でも、それら全てを引っ括めて、それこそが恋なんだ。

 恋なんて幻想? だからなに?
 恋に恋してるだけ? おおいに結構!

 恋は心のガソリンなんだ。……なんだかロマンチックさに欠ける言い方だけど、いい。
 人は何かに恋してる生きる。例えばそれは人相手に限定される話じゃなく、物だったり概念だったりもするけどおんなじことだ。
 何かが欲しいと思うからお仕事を頑張ったり、何かをしたいと思うからそのために頑張ったり。
 麻雀で勝ちたいと勝利に恋するから練習して、空に恋した誰かがいたから人が大空を舞って世界を救う。
 そしてあの人の笑顔が見たいから、今日を頑張り明日も生きていける。

 ――ね、素敵でしょう?

 恋は全ての始まりにあって、全てを支える大切なもの。何かを生み出し未来を形作る唯一無二の気持ち。
 これが無ければ私も、それにあの人もいなかった、私たち人間の心の拠り所。
 これ以上に素敵なものなんてそうそうありはしないだろう。
 それが恋なんだ。

 だけど。
 けれども、だ。
 もしその「恋」が何も生み出さなかったのなら?
 もしその「恋」が世の摂理に反していて、どこにも続かない道を伸ばしていたら?
 もしその「恋」が絶望に直結していたら?

 もし女の私が、同性のあの人に「恋」していたら?

 これはその、ちょっとした幻想にまつわる儚くて残酷な、でもほんの少しだけ美しい。
 そんな、恋の物語――。



《恋と、その行く末についての話》

4 ◆8df.ES8h7.:2012/05/12(土) 22:32:17 ID:Z66M/7qA

 女児と最も縁遠い職の一つであろう軍務に就いているとはいえ彼、トレヴァー・マロニーはその特異な世界情勢ゆえ、日頃から年頃の少女を目にすることが少なくない。
 鉄の軍靴のエンジン音も高らかに、世のため人のためと大空を舞う現代の戦乙女。マロニー自身の彼女らへの思うところはさておくとして、彼は自らが立つ教壇からの風景に彼女らにまつわるとある風景を思い出していた。

「まるで新兵相手の教導だな」

 黒板、後方の人間を慮り一段高くなった教員のお立ち台と教卓、そしていくつも並ぶ一人掛けの机と椅子のセット。この部屋を覗いて「教室だ」という以外の答えを連想するものはそう多くないだろう。

 ――そして、その机で眠りに耽る、年代も国籍も様々な幾人もの少女たち――。

 軍事教導を新兵に施すにあたっては大概このような拵えの教室で行うため、彼も多くの人間と同じく、この位置に立つ己の姿に教師役士官のそれを重ねていたのだった。

 そんなマロニーの独り言に応じる者があった。やはり彼と同じように高みに立つその少女は、幼い東洋人の外見に反してそこそこ流暢な、だが感情を滲ませない平坦なブリタニア語で言う。

「あなた方の軍隊の新兵はみな教導の最中、こんな風に寝こけているのかネ? だとしたら、それはそれは素晴らしい軍隊だったに違いないヨ」
「不要な挑発はやめたまえ、超鈴音君。我々は仲良くあるべきだ。そう、“仲良く”、な」

 凪いだ声に似合わず、くつくつと笑うような表情の少女の名は超鈴音。彼女を横目に捉えながら、マロニーはひとつ場違いな感想を覚える。
 階級が役に立たない相手というのも久しぶりだ。そこそこの付き合いになる彼女だが、未だに捉えどころが掴めない。実に面倒だ、と。そんな感想だ。

 やらねばならぬ事の気の重さも手伝って、ため息を挟んで彼はどこか投げやりに言葉を続けた。その返事の発音がひどくよかったのは、ブリタニア語に訛りの残る超に対するせめてもの当てつけだろう。

「だいたい彼女らの眠りは君の管轄だ。君の発明品による昏睡……それを我がブリタニア軍と混同されるのは心外だね」
 超は肩をすくめる。そして、自身と同い年も多いであろう少女らを見回し、
「全くその通りネ。命の危機と隣り合わせの軍人と、ただ恋するだけの彼女ら……授業態度なんて、比べるまでもないヨ」
 と言った。

「授業、ね」
 日常を象徴するかのようなその言葉と現状のあまりにも皮肉な乖離に、マロニーは再び漏れるため息を留める術を持たない。部下の前では決して見せられないため息を気軽に漏らせることが、今の彼にはたまらなく不愉快だった。

「そう、授業」
 マロニーの憂鬱を楽しむように若干声色を明るくして、超。
「あなた方と我々、その利害が完全に一致した結果のこの催し。それを生徒にやらせるための授業に、我々教師ヨ」
「……その通りだな」

 マロニーにはそれ以上会話を続ける気力が残っていなかった。わざとらしく超から目を反らし、“生徒たち”を睥睨する。
 鼻息と共に見渡す教室はひどく重苦しい空気に押し包まれていた。マロニーの感じる重量は、彼の気のせいなどでは、おそらくない。
 先のない恋が行き詰ってそこに滞留しているのだ、きっと。

5 ◆8df.ES8h7.:2012/05/12(土) 22:33:21 ID:Z66M/7qA

「おはよう、諸君」
 開口一番、マロニーは軍隊調の高圧的な口調でそう言った。教壇から見下ろす生徒に最早居眠りをする不届きものはいない。全員の覚醒と睡眠を正確無比に操る、超の魔法と科学が融合したという触れ込みの技術力に、内心改めて舌を巻く。この力があったからこそマロニーは己の世界の絶望に一筋の光明を得、そして年端のいかない少女たちを死地に送り込むハメになる。死を覚悟する兵士も、そうでない者も一緒くたに――。
 渦巻く心を胸の奥に秘め、彼は続けた。

「私の名前はトレヴァー・マロニー。ブリタニア空軍……イギリス、と言ったほうが通りがいい場合もあるようだがな。その空軍で大将だなどという大仰な職をやらせてもらっている者だ。
 ……ああ、混乱する気持ちもわかるがどうか落ちついてほしい。諸君が立ちあがれないこと、喋れないことについては申し訳ないがこちらの仕業だ。我々の話を落ちついて聞いてほしいからね」

 動かせる首をひねり己のおかれた状況を必死に把握しようとする少女たち。重たげなその動作と衣擦れの音しかない静寂にマロニーは眉をひそめた。なんて悪趣味な光景だ。
 咳払いを一つ。軍章が鈍く光る帽子を揺らして、彼はその言葉を口にした。

「君たちにしてもらいたいことがある」
「…………」

 腕組みしたままマロニーから一歩引いて立つ超は何も言わない。同じ制服を纏う少女が“生徒”として座っている光景を、彼女はいったい何を思って見つめているのだろう?

「――殺し合いだ」



 たとえ声が発せなくとも雰囲気は伝播するもので、マロニーの一言に対する反応は実に劇的に教室全体へと広がった。
 身じろぎするもの、目を見開くもの、親の敵を見るような目でマロニーを睨みつけるもの、様々な反応を見てマロニーは小さく頷く。
 たかが小娘と、もしも娘がいたら同世代程度であろう彼女らを侮るべきではない。様々な反応を目にしたマロニーの脳裏を、とある少女ら――ウィッチーズとの苦い思い出が過り、そうして彼は場違いな感心を得る。視線に込められた感情の色は様々でも、そこには確かな意思と可能性が存在する。彼女らはきっと、我々の予想をはるかに上回る命のドラマを見せつけてくれるのだろう、と。

「理由は話せないし、もちろん話すつもりもない。納得されるとも思わんからな。だから君たちには、我々に従ってもらうためそれをつけさせてもらった」

 とんとん、と彼は己の首を叩くジェスチャーをしてみせた。それに倣いおずおずと少女たちの指が触れた先には冷たい金属の感触。見渡せば左右に座る、様々な年代の少女たちの首にもつけられていた首輪が、そこに同じように確かな戒めとして存在している。教室を煌々と照らす電灯が、ジジジ、と鳴いて、見知らぬ誰かの首に嵌められたそれのぼんやりとしたにび色の光沢が、彼女らの視界に瞬いた。

「それは爆弾だ」

 殺し合い、と言われた時に似通った衝撃が“生徒”の中を走り抜ける。反応が鈍い者は恐怖に固まっているのか、それとも鈍感なだけか。

「基本的なルールとして後で説明を行うが、これは24時間以内に殺し合いによる死者がでなかった場合、全員のものが一斉に起爆する仕組みになっている。
 思い当たる者は少ないだろうが、なにか“特殊な方法”で爆発から逃れようとしても無駄だ。それらの対策も万全だからな。そしてもうひとつ、6時間ごとに――」

 ポケットに潜めていた、少女らに嵌められた枷と同型の首輪を弄びながらマロニーは滔々と説明を続けた。教卓を見下ろし少女らを視界にもいれず、ただただ語る男。
 そんなマロニーの声を止めたのは、わずらわしい沈黙に支配されていた教室に響く、割れるようなガシャンという音だった。
 す、と彼女らの方へ視線を戻す。そこにあったのは、

「……ずいぶんと、つまらないことをしてくれるじゃないか。ええ? ブリタニア人……!」

 怒気のこもったカールスラント語を吐きすて、肩を怒らせ震える足で、しかししっかりと大地を踏みしめるアフリカの星。マロニーが空軍大将として幅を利かせるその世界において最も著名な魔女の一人、ハンナ・ユスティーナ・マルセイユの姿だった。

6 ◆8df.ES8h7.:2012/05/12(土) 22:35:14 ID:Z66M/7qA
「……驚いたな、立ちあがれる上に喋れるとは」
「そうでもないヨ。身体の自由を奪うカラクリ自体は単純な暗示だからネ」
 それに通訳のおまけも付けただけの代物で、強すぎる意志力をぶつけられれば破られる懸念もあったものだ。そうあっけらかんと言ってのける超に、マロニーはやれやれと嘆息する。やはりこの娘は、私が理解できる存在ではない。

 そんな茶番を繰り広げられ怒り狂うのは、まるで忘れ去られた形になるマルセイユだ。ふざけるなよ、そう吐き捨てて、一歩一歩マロニーへと近づいていく。未だに超の得体の知れない暗示と戦っているのか、時折膝を折り歩みを止めるがその進捗は確実だ。机の間を歩き、まるで彼女の花道となったかのようなそこの沿道に座る少女からの視線を一身に受け、最強の魔女が一人、アフリカの星は彼女をコケにした軍人とお団子頭の娘に向かって確かに進みゆく。

 ――誇り高い孤高の翼は、死へと確かに進みゆく。

 丁度いい、とマロニーは呟いた。

「首輪の威力と、これがこけ脅しではないことを証明する実にいいチャンスだ」

 マルセイユの洋服の裾を幾人かの少女が掴んで引きとめようとする。マロニーの言葉の意味を理解してしまったから、彼女らにはそうするより他がなかったのだ。
 だがその無言の訴えをマルセイユは跳ねのける。無論彼女とてマロニーの言わんとするところが察せなかった訳ではない。それでも、気高い鷲は許せなかったのだ、どうしても。彼女を地に縛りつけようとする暴虐に、なんとしても抗わねばならなかったのだ。

「マルセイユ君、実に残念だ。君のような人材をここで失うことは我が世界にとって大きな痛手だが――」

 人知の及ばぬ遥かな高み、空。それを孤独に飛び続ける彼女は震える足を引きずって進む。己が空を、その手で取り戻すために。

「――さようならだ」

 もしもたかが、すべてをみおろしあたたかくつつむ“たいよう”にであってさえいれば――。
 彼女の結末は、また違ったものになっていたのだろうか。


 どかん、とも。あるいは、ポン、とも。何かが炸裂する音が教室に響いて、血が飛び散った。


「…………!!」
 そこかしこで、悲鳴にならない息を呑む音がする。どさりと、孤高の鷹だったモノはその場に崩れ落ちた。

「……二階級特進だ、マルセイユ大尉……いや、今は中尉かな」
 帽子を目深にかぶりなおし、マロニーは呟いた。
 一拍おき、改めて教室を見回す。混乱を憎悪の視線に変えるものもいればただ泣き腫らすだけの者もいるそこを視界に納めて、再びマロニーは口を開いた。

「お分かりいただけただろうな? 我々は本気だ」
 そうして、「絶望」を示教する悪夢のような授業が、非日常へと放り出された少女たちに向けて始まった。

「では、これよりルールを説明させてもらう」



ルールⅠ:殺し合いは6キロ四方の島、「木間氏島」(以下エリアと称する)で、「生存者が最後のひとりになるまで」行う。「殺し合いが終了するまで、この島からは出ることができない」。

ルールⅡ:エリアは縦:横=6:6の比率で区分けされる。区分けはそれぞれ縦をAからF、横を1から6とする。

ルールⅢ:区分けされたエリアは6時間ごとに3つ選ばれ「禁止エリア」という、「立ち入れば首輪が爆発するエリア」に設定される。このルールにより、「殺し合いのタイムリミットは3日」となる。

ルールⅣ:「24時間以内に殺し合いによる死者が発生しなかった場合、全参加者の首輪は一斉に爆破される」。

ルールⅤ:禁止エリアの告知は「6時間ごとの放送」によって行われる。その際、その放送の直前までの「死者と生存者、それぞれの名前が読み上げられる」。
       禁止エリアについては一度しか言わないので、聞き逃すことのないようにすること。

ルールⅥ:参加者には「支給品」が与えられる。内容はランダム。与えられた品を使い、効果的に殺し合いを進めること。

7 ◆8df.ES8h7.:2012/05/12(土) 22:36:42 ID:Z66M/7qA

「……なあに、特別難しいことではない」
 マルセイユの死の余韻も過ぎ去り、時が止まったように誰もが動きを忘れた教室。悪意の権化の“教師”による教導は、そうして締めくくられた。

「ただ君たちは何も考えず殺し合いをしてくれればいい」
「最後のひとりのはちょっとしたご褒美も用意してあるネ。富も、用意に少し時間はかかるだろうが権利も名声も」
「…………」

「欲しいものを何でもひとつ、あげるヨ――あるいは、それが誰かの気持ちや、失われた命であったとしても、ネ」


「……話はこれでおしまいだ。次に君たちが目覚めるころには、木間氏島のあらゆるところに散らばっていることだろう」

 一様にマロニーたちへ視線を注ぐ彼女らをもう一度見渡す。その瞳たちから注がれる暗い光を意識の外に追い放って、彼は最後の言葉を放った。

「それでは、ここにバトル・ロワイヤルの開幕を宣言する」


 ――明かりだけが降り注ぐ教室にひとつだけ残る人影はマロニーのそれだ。もはや物言わぬ屍と化した少女に言い聞かせるように、彼は呟いた。

「……これは、世界のためなのだ」

 応じる声はもちろんなく、その響きは光の中に霧散していく。男が教壇を降り部屋を後にすれば、そこには何も残っていない。夢も希望も命も恋も、そして未来さえも――。



 恋する乙女は無敵だ。

 でも、その強さは、いったいどこまで絶望に立ち向かえるんだろう?

 ――そうして殺し合いは始まった。



【ハンナ・ユスティーナ・マルセイユ@ストライクウィッチーズ 死亡】

8 ◆8df.ES8h7.:2012/05/12(土) 22:47:19 ID:Z66M/7qA
終わりでヤンス

9 ◆2TIcBhEgoU:2012/05/13(日) 02:35:10 ID:8hE32nYs
オープニングを投下します。

10 ◆2TIcBhEgoU:2012/05/13(日) 02:35:41 ID:8hE32nYs
「君達にはバトル・ロワイアルというゲームをしてもらう」

私、長谷川千雨が目を覚まし、告げられた言葉はまさに困惑としかいい様がなかった。
記憶している限りでは、確かいつもどおりに学校に行って、かったるい授業を受けて、寮へと帰って……?
それ以上は『なぜか』思い出せない。頭の中に靄がかかったかのようだ。

「ゲームのルールは簡単だ、どんな手を使ってでも最後まで生き残れ、手段は問わない」

困惑している私を無視して、説明は続く。
それにしても、ここはどこなのだろう。周りを見渡しても真っ暗で、人の気配すら感じない。
声にしても、コンピューターで加工された合成音声である。誰がしゃべっているのかすらわからない。

「生き残れといってもだ、何も『原作』みたく首輪をつけたり、最後の一人になるまで生き残れといったことではない。
 そうだな、これは私からのサービスとでもしよう。
 今から君達に参加してもらうゲームは、最後の一人ではなく……二人にでもしようか。愛する友人、恋人共々生き残るチャンスをくれようじゃないか。
 参加者が二人にならない限り、ゲームは『永遠』に続くから注意したまえ。
 詳しいことはルールをまとめた本を君達に与えるので各自呼んでおくように」

バトル・ロワイアル。最後の一人になるまで、生き残りをかけたサバイバル・ゲーム。
私の知っている知識で言えばこんなことぐらいだ。
それに、私はまだこの事態が現実だと信じられない。
いきなり最後まで生き残れと言われてもよ。どうしたらいいのかがわかんねーし。
麻帆良学園のドッキリイベントじゃねーのかって印象しかないっての。

「まあ、言葉だけを伝えても信じることは出来ないだろう……それもまた一つの反応だ。
 最も、何人かはこれが真実であると気づいているかもしれないがね。
 だがな、いつまでも真実からは逃れることは出来ない。そうして悩んでいる間にも、世界は徐々に削られていくぞ?」

瞬間、世界に光が灯る。ざっと見た感じ、ここは小さな部屋のようだ。
私が住んでいる寮の部屋を少し小さくした感じだ。
ふと、前に目を向けると小さなドアがポツンとついている。
そして、ドアの前には小さなリュックサックが置いてあった。
この中にさっき言ってたルールブック的なやつがあるのだろう。

「準備ができたら開けるがいい。その先はもう戦場だ、一刻も早く愛する友を、恋人を捜すことだ。死んでしまう前にな……」

いやいやいやいや、準備も何も訳がわからねえよ。
死んでしまう前にな(キリッ)とかよ……脅しにしても物騒すぎるだろうが。お前はどこの黒幕さんですか。
つーか、私はもう厄介事に巻き込まれるのはゴメンなんだよ。
平穏にブログ更新をさせろよ、マジで。こんなくだんねーのに巻き込まれたせいで連続更新が途絶えたじゃねーかよ!
それ以前にだ! 私に友達も恋人もいねーよ! ぼっちナメんな、この糞野郎。戦場だとか知ったことか。
ああ、畜生。何だか腹が立ってきた。さっさと、この声の主でも捜して元の居場所に帰せって抗議しねぇと。
かったりぃ、こういうのは私じゃなくて、他の奴等の方が適任だろうがよ。

「本当、知らねーよ、バトル・ロワイアルなんかよ……」



【主催者】:不明


【ルールブック】
 :最後の二人になるまでゲームは『永遠』に続く。
 :バトル・ロワイアルの舞台である木間氏島は36マスに区切られている。一定時間毎にランダムに世界は『削られていく』。  
 :最中は開始より6時間毎に放送を流し、そこで先の6時間で死亡した者の名前を読み上げる。
 :参加者にはそれぞれ支給品が与えられる。内容は以下の通り。

【リュックサック】
普通のリュックサックではあるが容量無限。
中身は『支給品一式』。武器や日常品、用途様々な物が入っている。
個数については参加者の中で差があるかもしれない。

11 ◆2TIcBhEgoU:2012/05/13(日) 02:36:40 ID:8hE32nYs
できるだけ簡略化かつ主催者を不明にしたらこうなった。
投下終了ダナ

12名無しさん:2012/05/13(日) 10:56:32 ID:Q/4nBtBM
投下します。
クッソ長いのでご注意ください。

13 ◆wKs3a28q6Q:2012/05/13(日) 10:58:25 ID:Q/4nBtBM

「って!」

駆ける。駆ける。
仲間の待つ控え室へ。
労いの言葉すらない仲間達に、ツッコミを入れるために。

「誰も迎えに来ーへんのかい!」

バンと勢い良く扉を開ける。
まず目に飛び込むは巨大スクリーン。
そしてソファ。
それからパーティ用の人気ゲーム機。
そしてお菓子の置かれたテーブル。

「って部屋間違えたァァーーーーー!?」

どう見ても、それは彼女――愛宕洋榎の向かっていた全国高等学校麻雀選手権大会控え室ではなかった。
ケーキやゲームは控え室には不釣り合いな程あるし、それらのものがミスマッチなほど部屋自体は小ざっぱりとしていた。
具体的には装飾が欠片もない。
まるでスクリーンとゲームとお菓子、あとお菓子の乗ったテーブルだけを、駆りたてで何もないアパートに放り込んだような、そんな不思議な光景。

「……ふえ?」

洋榎の叫び声に反応して、ソファに座ってた少女が顔を上げる。
涙目のままの少女に、洋榎は心当たりがあった。

「なんや、ここ、あんたらの控え室やったんか?」

佐々野いちご。
今さっき、自分が役満をぶち当てて地獄の底に叩き込んだ少女だ。
その少女が、鼻水を啜りながらこっちを見ている。

14 ◆wKs3a28q6Q:2012/05/13(日) 11:00:07 ID:Q/4nBtBM

「偉い殺風景な控え室で――――って、んんん?」

額に手をやり無遠慮にきょろきょろし、そして意外な人物を目撃した。
ソファの傍らで蹲っている姿には見覚えがある。

「恭子やん。何してるんこんなとこで」
「あ、主将……」

末原恭子。
洋榎と同じ姫松高校の選手。
彼女が、ソファの前に腰を下ろしていたのだ。
幽霊の「うらめしや〜」のような手つきは、まるで何かを探している最中のようだ。
――彼女の前には、何一つないというのに。

「ここ、鹿老渡の控え室やろ?」
「えっ……そうなんですか……?」
「そうなんですかって……知らんでそんな位置取りしとったんかい!」

不安そうにあたりを見回す恭子に対し、いつものノリで洋榎がツッコミを入れる。
そこに割って入ったのは、涙を拭ったいちごだった。

「違う……ここ、ちゃちゃのん達の控え室じゃない……」
「は?」
「控え室に戻って、先輩に後任せて、座って、泣いて――そしたら、いつの間にかここにおったんよ」

すんすんと鼻を啜り、いちごは告げる。
それは、ファンタジー全開な台詞だった。
なにそれこわい、役満食らって頭おかしくなっちゃったの?

「私も――漫ちゃんの額に文字入れよ思てしゃがんだら、いつの間にかここに居ました」

しかしそれに乗っかるように、恭子が言葉を紡ぐ。
ギャグに乗っかってるのだとしたら、自分も乗っかるべきだろうか。
そう考えてから、ふと気が付いた。

「家老渡のメンバーおらへんな……」

控え室ならば、家老渡のメンバーが他にもいなくてはいけないはずだ。
モニターにも、どこかの試合――まあ、自分達の命運がかかった試合だろうが――が映っていてもいいのではないだろうか。

15 ◆wKs3a28q6Q:2012/05/13(日) 11:02:36 ID:Q/4nBtBM

「ここにおるのは、うちと……」
「私らだけだよー」

わっ、と背中をどんと押され、思わず前につんのめる。
ちょっと焦るも、洋榎はなんとかヘッドスライディングは回避した。
振り返ると、声の通り幼い二人の少女の姿が。

「亜美でーす」
「真美でーす」
「二人合わせて亜美真美だっちゅーの」
「自分らロリババァか。ネタが古い」

腕で無い胸を強調するのは、幼い瓜二つの少女。
まあ、胸については、洋榎も人のこと言えないけど。

「失礼なー。どこにでもいる健全なアイドルだよー」
「そうそう。来週CD出すからよろしくねっ」
「ノンキやな自分ら」

思わず洋榎がツッコミに回らされる双子のパワー。
それに押され、洋榎はまだ気が付かない。
“漫の額にはとっくに文字が入っていたのに、恭子が漫の額に文字を書こうとしていた異常事態”に。

「まぁよく分かんないけど、バラエティのお仕事あるって聞いてたし」
「ドッキリか何かかなって」
「えっ、ちゅーことはうち女優デビュー? カメラどこやろ」
「ちゅーか、それは思っても口にしたらアカンのと違うかなぁプロとして」
「……それ以前に、ドッキリにしては犯罪行為すぎるような……」

暗くなっても解決しない。
そんな思考から、洋榎は双子の明るさに乗っかることに。
恭子もまだ不安そうだが、ツッコミを入れる余裕くらいはあるらしい。
多分、放っておいたら参謀に相応しい頭脳で何かしら閃いてくれるのではないだろうか。

それがきっと恭子の役目。
だとしたら、自分の役目は何か。
それは主将として、そして大阪生まれの人間として、場の空気を“いいもの”にすることだと洋榎は思った。
だから、唯一声のトーンが落ち込んでいるいちごに明るく声をかける。

16 ◆wKs3a28q6Q:2012/05/13(日) 11:04:08 ID:Q/4nBtBM

「――確かに、これ仕掛けた奴は犯罪行為犯しとるなあ」

いちごの座るソファにどすんと腰を下ろす。
傍若無人に背もたれへと腕を回し、大きな声でおちゃらけて見せた。

「ここで問題や。これの仕掛け人ととき、ドカ食い後ととく。そのこころは?」

いちごに対して謎かけを振ったものの、当のいちごは顔を僅かに歪ませるだけで考える気配はない。
アカンわこいつ、ノリ悪い。
あーだこーだ後ろで言ってる双子――なのか洋榎に確証はないが、まあ、どう見ても双子だろう――を見習ったらどうだろうか。

「分かった! どちらもヨウジを求めてます、だ!」
「自分、一応幼児な外見してる自覚はあんのね」

幼児を求めると、楊枝を求める。
亜美だか真美だか洋榎はもう覚えちゃいないが、双子の片割れが言ったのもありに思えた。

「まぁでも不正解ー! 割と感心はしたけどな。
 大体恭子とか幼児じゃない奴もおるし、不完全な答えと言えよう」

ふっふっふと笑みを浮かべ、次いで満面のドヤ顔。
おののけ、大正義洋榎の考えた答えにッ!

「答えは、どちらもチョウエキヒッシです、でしたー」
「なにそれ意味わかんない」
「えっ」

おおっ、という感嘆の声を期待したのに、返ってきたのは冷たい目。
慌てて洋榎は解説に入る。

「今のはやな、懲役何年〜の懲役と、小腸の液の腸液を引っ掛けててやな……
 ついでに言うと必ず至るの必至と、必死こいて頑張るの必死が引っかかってて……」
「うっわ〜自分で解説始めちゃったよ」
「大体食べた後の内蔵なら胃液の方がしっくりくるじゃん〜」
「うっ!」
「擁護不可能ですよ主将」

恭子にまで梯子を外された。
もういちごに縋るしかない。
そう思い、勢いに任せていちごもドタバタに巻き込もうといちごの方を振り返り、

「何か言うたって……って、どしたん?」

驚愕に目を見開くいちごの姿が目に入った。
目線を追って首を動かす。
そこには、いつの間にか設置されていた冷蔵庫と、

「漫!?」

チームメイトの、上重漫の姿が。なんでやねん。

17 ◆wKs3a28q6Q:2012/05/13(日) 11:05:19 ID:Q/4nBtBM

「あ、あれっ? ここ、控え室じゃ……」

挙動不審にあたりを一通り見て、漫は恭子に話しかける。
漫ちゃん、主将、うちやねんけど、何でそこで恭子に縋るん?

「れ、れいぞ、冷蔵庫から……」

冷蔵庫。
言われてみれば、扉が開けられている。
卵を置く場所には、漫の手が添えられていた。

「え、なに、つまり漫は、冷蔵庫からコンニチハしたっちゅーんか」
「ええっ!? いや、私はただ、控え室に戻ろうとしただけですよ!?」

異常事態はより大きな異常事態にかき消される。
控え室で待っていたはずの漫が控え室に戻ろうとしたということに、洋榎も恭子も意識がいかない。
それ以上に、突如現れた漫の存在が異常すぎる。

「わわっ! 何か書き置きも増えてるッ!」
「うわっほんとだっ」

気が付いたら、お菓子の横に、ルーズリーフが置いてあった。
そこには、『ジュース忘れてたから冷蔵庫を用意した。菓子食ってゲームでもして待ってろ』との文字が。

「……待ってろってことは……後から何かをやらせるつもりってことですよね」
「せやろなぁ……ロクでもない気しかせーへんけど」
「え? え? 末原先輩、どないなってるんです?」
「知らんがな。今はわからないことが多すぎるわ……」

突如現れた冷蔵庫といい、気付いたらここに居たことといい、洋榎達の常識を大きく覆している。
一体、何が起きてるのか……

「とりあえず漫ちゃん、冷蔵庫に戻ってみよか」
「ええっ!? い、嫌ですよ! ていうか今キンッキンに冷えたジュースやビールでいっぱいですし!
 人なんかどう頑張っても入れませんて!!」
「このメンツに酒提供って、随分倫理観欠如しとんなぁ……お酒はハタチになってからやで」
「誰に言うてはるんですか主将」

冷蔵庫を改めて見ると、そこにはペットボトルのジュースと缶ビールが山のように配置されていた。
なお、ジュースは二種類、お酒もビールが一種類しかない模様。
もうちょっと、品揃えとか気を使ってくれたってよくはないだろうか。

「とりあえず、お菓子食べてみたら?」
「正気かガキ。こんな怪しさ満点なモン食えるかい」
「まぁ、何か入ってそうですしねえ……」
「ていうかこのお菓子の山、ラインナップがおかしくないですか……ねるねるねるねとか、児童向けのやつばっか……」
「やっぱり集めたかったのは幼児であってるんじゃないのー?」

わいわいがやがや。
呆れ半分に眺めているだけのいちごを除き、皆が言葉を発する。
黙っていると不安になるから、というのは否定できないことだった。

18 ◆wKs3a28q6Q:2012/05/13(日) 11:07:10 ID:Q/4nBtBM

「とりあえず、ねるねるねってみたよー」
「おわっ何か禍々しい色ッ! こないに禍々しかったっけ……?」
「ここ水道ないからさー。とりあえずビールで代用してみたんだー」
「一番やったらいけないチョイスッ!」

何かぶくぶく泡だってるし。
黒いし。臭いし。ていうか児童向け菓子にビールって。

「文句なら亜美に言ってよー。飲み物の中でビール選んだの亜美なんだから」
「えー、Bにビール割り振ったのそっちじゃんかー」
「だってビールの頭文字ってBじゃんー」
「そんなノリでんな禍々しいもん作ったんか……」
「今時の子供は食べ物で遊ぶなって教わらないんですかねぇ……」

良い子は絶対にお菓子で遊ばないでね。
もし遊んでも、責任をもって完食してね!

「大阪弁の目付きの悪いおねーちゃんの! ちょっといいとこみてみたい!」
「それイッキ! イッキ!」
「できるかッ! そないに軽いノリで口に出来るレベルの危険物と違うで!」

ビールで作っただけならともかく、得体のしれない用意されたお菓子というのが不安である。
正直、口などつけたくもない。

「いやいや、これイッキしたらカッコいいし何よりすごく美味しいよ」
「そうそう、さっきから暗い顔したあのおねーちゃんだって、笑ってくれるよ」
「え? いや〜そーは言うてもな〜〜〜〜〜」
「なんでちょっとぐらついてるんですか主将ッ」

食べるのはさすがにどうかと思っているが、恭子としてはお菓子やビールを開けることには賛成だった。
じっとしていても進展はない。
考えるにも材料がない。
ならば、ここにあるものを調べるしかないだろう。
……もっとも、こんな軽いノリでなく、もっと慎重に開けるべきだろうとは思うのだけど。

「……どないしたんです?」

そんな時、俯いていたいちごが挙動不審にあたりを見ているのに気がつく。
恭子は、食べる食べないで騒いでいる洋榎達を一時放置し、いちごへと歩み寄った。

「……いや、あの、ここ、出口ないなぁって」
「そうなんですよねぇ……」

この部屋には、扉というモノがない。
窓すらなく、外に出ることはおろか、外を見ることすらできない。
これが拉致だとしたら、現在地を知られぬため、窓を塞ぐのは当たり前と言えるのだが――

「塞がれてる、とかならともかく、無いっちゅーのは……」
「空気の心配はいらんみたいじゃけど……」

ひゅんひゅんと回転する換気扇。
止めるスイッチがない以上あそこから出ることは叶わないが、一応窒息の心配はいらないらしい。

「よーし、じゃあ人生ゲームで勝負だー!」
「ええやろう、負けたらちゃんと食ってもらうで!」
「負けないよー!」
「えええ……マジですか……」

洋榎達が、モニターの前に移動する。
どうやらWiiに手を出すようだ。
若干軽率な気もするが、Wiiのプレイが危険に直結するというのもなかなか考えられないので、恭子はそれを静観する。

19 ◆wKs3a28q6Q:2012/05/13(日) 11:08:46 ID:Q/4nBtBM

「……辛そうやけど、ほんまに大丈夫なん?」

ちらりと横目でいちごを見る。
股間に手をやり太ももをすり合わせるその姿は、大丈夫とは言いがたかった。
それでもいちごは黙って首を縦に振る。
思春期少女の強がりだ。素直に「そうか」と答えておくのが礼儀か。

(何とかあそこから出られないものか……)

換気扇の回り続ける扇を見る。
ビールの缶でも放り込んだら止まらないか――
そんなことを考えていると、不意に、視界に違うものが写った。
黒色の、ぴっちりとした、まあ所謂ひとつのスパッツ。
恭子でも知っている履物だ。

「ノオオオオオオオオオオ!」

ズガン。
すごい音を立て、恭子は頭部の前と後ろに衝撃を受ける。
まず間違いなく前はスパッツを履いた何かがぶつかった衝撃で、後ろはその勢いで後頭部から転倒した衝撃だろう。
ざわざわとした声が周りに近付いてきたことから、皆が結局ゲームをやらずに群がってきたのであろうことが恭子にも想像できる。

「何や、まーた増えたんか」
「ま、また? ていうかどこだここは!? 私は穴に落ちたんじゃ……」
「どうやらホンマに気付いたらここに居ました、な流れっぽいな」

落ちてきた少女を、漫と洋榎が腕を引いて立たせる。
恭子はけほっと咳き込んでから立ち上がった。
鼻を拭う。手の甲に赤い線が引かれていた。
ティッシュの類も置いていないようだったので、とりあえず恭子は再び換気扇を見上げ、鼻血を喉へと流しこむことにした。

「ていうか、誰だお前ら? 私みたいな没キャラか?」
「何言ってるのこの子?」
「さぁ〜。この子もアイドルか何かで、オーディションにでも落ちたのかな?」
「アイドル……? 新キャラか……?」

話が相変わらず見えない。
そう思い、洋榎はふと気が付いた。
最初に来た時恭子といちごという知り合いがいたせいで、すっかり忘れていたこと。

「そーいや自己紹介してへんな」
「そういえばそうですね。知らない人増えましたし、やっておいた方がいいかもしれません」

まだ換気扇を眺めながら、恭子が洋榎に同調する。
換気扇は、依然動き続けている。
漫が冷蔵庫から出てきた時と同じで、変わらず人など出入りできない状況。
もういっそ、これが夢だと思った方が辻褄が合うレベルだった。

20 ◆wKs3a28q6Q:2012/05/13(日) 11:10:39 ID:Q/4nBtBM

「亜美でーす」
「真美でーす」
「ああ、自分らはさっき聞いたわ」
「私は初耳ですよ」

初耳という漫に対し、双子が自分のアイドルとしての業績を語る。
しかし漫も、換気扇から降ってきた少女も、亜美と真美を知らなかった。
不機嫌になった双子に対し、洋榎が言う。

「アイドルっちゅーんなら、この関西最強の女と名高い愛宕洋榎も負けへんでー!」
「いや主将そんなにアイドル的な人気はないですよね」
「そういう意味じゃ荒川憩の方が注目度も高いですよね……」
「自分らもうちょい主将ってもんを労ってもええんやで!?」

一応、洋榎は関西では有数の実力者ではあるし、後輩からも信頼はされてるのだが……
そのキャラ故に、扱い自体はいまいちよくないのが現状である。

「アイドル言うたら、そこの佐々野さんもそうですよね」
「せやなー。佐々野いちご。広島でアイドル的人気を博しとったけど、清老頭の洋榎に対して手も足も出なかったっていう」

ふふんと無い胸を張る洋榎。
いちごは特にツッコミを入れることもなく、ただ黙って会釈をした。

「何やさっきから、便所でも行きたいんか」
「主将ほんとデリカシーとかないですよね」

本当に、トイレに相当行きたいんだろう。
そんなことを思いながら、恭子も軽く自己紹介をした。
いちごの膀胱のためにも自己紹介が終わったらさっさとここを抜け出さねば。
そんなことを思いながら、ついでに漫も紹介する。

「んで、あとは自分だけやな」
「うっ……わ、私は……」

皆の視線が、降ってきた少女に集まる。
少し躊躇ってから、逆ギレをするかのように少女は叫んだ。

「名前なんて無いッ! 私は……私は没キャラなんだ!!」

目をつぶり、一気にまくしたてた少女こと没キャラ。
特に何の返事もないので恐る恐る目を開けると、そこには「うわぁ」と言わんばかりに冷めた目をした皆の姿が!

「な、何だよその目は!」
「いやぁ、なんちゅーか、電波すぎて付いてける気せーへんなと」
「主将、歯が真っ裸です。少しくらい衣を着せる努力をするのも大事かと思いますけど」

実際ちょっと意味分からない、などと双子が口にしたことで、没キャラが段々涙目になっていく。
野性味あふれる外見に反し、彼女は案外繊細なのだ。
鳥よけで泣いたり、騎馬戦に混ざれず落ち込むような、普通の女の子なのだ!

「大体何やねん没キャラって……」
「私だって好きで没キャラなわけじゃないやい!
 他の連中が濃すぎるからいけないんだ!」
「いや、結構貴方も個性的な外見してますよね……?」
「没キャラとかいうキャラ付けまでしてくるしな」

漫と洋榎の言葉を無視し、没キャラは感情のままにシャウトする。

「どいつもこいつも羨ましい程濃ゆい個性しやがってー!
 私の個性を奪い去ったアイツ然り!
 金髪ツインテールの殺し屋とかいう属性過多なアイツ然り!
 あのよくわからない忍者然りィィ〜〜〜〜〜ッ!」
「拙者は忍者ではないでござるよーーーー!」
「ほぎゃーーーーーーーー!?」

ウィーンという間抜けな音とともにゲームハードのディスク取り出し口が開き、そこから細目の長身少女が出てきた。
それはもう普通の鞄にエスパー伊東するのですら無理じゃねえのってくらい大きなサイズの女の子が、ゲームハードから出てきた。

21 ◆wKs3a28q6Q:2012/05/13(日) 11:13:03 ID:Q/4nBtBM

「ななななななんでそんなところから!?」
「それはこのゲームが外への出口となっているからでござる」
「そうなの!? じゃあ早速皆でこれ通って帰ろうよ!」
「今までの流れでようそんなこと信じられるな!? ていうか物理的にそんなとこに入るの無理やろ!」
「大丈夫大丈夫、やってみなきゃわからないって」
「そうそう、だから、ほら、レッツゴー!」
「って人に先に行かせる気かいッ!」

双子相手に洋榎が戯れ、もじもじするいちごにはとりあえず漫が心配そうに声をかける。
手の空いた恭子が、口をぱくぱくさせて驚く没キャラを押しのけて、長身少女に話しかけた。

「本当は、どこから来たんですか?」
「お主達と同じで、気付いたらここに居たんでござるよ……
 あ、拙者は長瀬楓。どこにでもいる女子中学生であって、決して忍者ではないでござるよ。ニンニン」
「にんにんて」
「ていうか、それで私より歳下なのか……」

高い位置にある頭頂部を見て、それから没キャラは楓の胸を凝視する。
これで女子中学生。アンビリーバボー。

「……気が付いたらここに居た、という話は貴女が来てからはしてなかったと思いますけど?」
「む、それは迂闊でござった」

その言葉を聞き、まずは洋榎が動きを止めて楓を注視。
次いで洋榎のリアクションがなくなったことで動きを止めた双子が楓に注意を向ける。
全く聞いていなかった漫といちごも、打って変わった静けさに何かを感じ、楓へと視線を向けた。

「安心するでござる。拙者は別に拉致メンバーではないでござるよ。
 ただ、一番乗りでここに居て、隠れていただけでござる」
「隠れる場所なんてなかったと思いますけど?」
「それは……」

もしかすると、ようやく掴んだ手がかりかも。
その思いが、恭子の心を奮い立たせる。
得体のしれない相手ではあったが、引くことなく言葉を紡ぐことができた。

「その先は、私が説明しよう」
「うおっまた増えたッ」
「この短時間で人が急に増えることに何の違和感も持てなくなってきましたね……」

漫が言う通り、少女が突然現れたのに、それ自体に驚いているのは“新参”である没キャラのみ。
他は割りと冷静に、現れた少女を観察している。
説明、という単語を出したことで、少女はその場の人間の心を一気に惹きつけていた。

「金髪でツインテール……没キャラの知り合いか?」
「ち、違うっ! あいつは、殺し屋だけど、なんっていうか……」

没キャラが、おどおどと言葉を紡ぐ。
没になったとはいえ、ボケキャラ予定だったとはいえ、元は殺し屋設定ではあったのだ。
“ヤバさ”への嗅覚なら、洋榎達より遥かに優れている。
だから今のこの様子も、別に急に話を振られてなったというわけではない。

「ここまで……嫌な感じはしないッ……こんな、得体のしれない殺気みたいな気配は、あいつにはしない……!」

――少女の“ヤバさ”が、そうさせるのだ。

22 ◆wKs3a28q6Q:2012/05/13(日) 11:14:29 ID:Q/4nBtBM

「まずひとつ、言っておこう。世界には、魔法がある」

魔法という単語に、洋榎達は様々な反応を示す。
洋榎は露骨に「はぁ?」と言わんばかりに顔を歪めるし、双子は「え〜っ」と歓声にも似た声を上げていた。
恭子は今までの異常事態から「あってもおかしくはない」と思い話の続きを待っていたし、漫はよくわからずに事態を見守るだけだった。
そして、楓は。

「知ってる者もいるようだし、気付いている者もいるだろうが……
 その魔法でお前達を拉致したのは私達だ」
「んなっ……!」
「ひっどーい! なんでそんなことー!」

非難と、驚愕。それが大半の反応だった。
少女の言う“知っている者”である楓だけは、黙って少女の動きを注視している。
楓と、それと恭子だけが、少女の言った『達』という言葉の意味を考えいてた。

「方法までは知る必要がない。
 説明は端折るが、そこの忍者が隠れていたのも魔法の効果のようなものだ」
「拙者は忍者ではないでござるよ!」
「そう言いはるならせめて忍装束を脱げ」

そう言うと、少女はテーブルへと目をやる。
禍々しい色をした手付かずのねるねるねるねを見て、言った。

「なんだ、食べなかったのか。
 腐ってもゲストだというから、始まるまでの時間潰しとして菓子と飲み物を提供してやったというのに」
「趣味が悪い」
「もっといいのなかったのー?」
「乙女心がわかってないよねー」
「………………」
「あ、落ち込んだ」

少しうつむいて、少女が落ち込む。
しかしすぐに切り替えるように顔を上げた。

「人が折角面倒だと言うのに旧世界の菓子を調達してやったというのに……!」
「よく分からんけど欲しいものを提供しなきゃまともなサービスとは言えへんで」
「……態度のでかい連中だ。わざわざこんなにサービスしなくてもよかったな」

露骨にむくれ、少女はくるりと洋榎に背中を向ける。
そして、テーブルの上のリモコンを取り、今までずっと消されていたモニターの電源を入れる。
黒い画面の上部に、『ゲーム』と緑の文字が表示されている。
モニターをつけたらすぐにゲームが出来るよう配慮してあったということか。

「なんや、ゲームで対決でもするんか?」
「勝ったら帰してくれる〜的な?」
「関西最強雀士として、ジャンラインとかやったら負ける気せーへんのやけど」
「もういい。ツッコまないで本題に入るぞ」

背を向けているのに、少女が苛ついてるのが分かる。
いちごも恭子も、「まぁこのメンツをまともに相手にしてられんわな」と思うも口には出さなかった。

少女がリモコンを操作し、画面の入力を切り替える。
すると画面が何分割かにされた。
そのひとつひとつにどこかの部屋が映し出される。
まるで、防犯カメラの映像を一括管理しているかのようだった。

23 ◆wKs3a28q6Q:2012/05/13(日) 11:18:23 ID:Q/4nBtBM

「何やねん、この番組」
「これか? これはカメラのライブ中継だ」

にやりと笑い、少女が振り返る。
その手には、いつの間にかカメラが握られていた。

「部屋に隠したカメラと、私達『ナビゲーター』の持つカメラの映像が、ここに映し出されている。
 ここと似たような状況の部屋がいくつもあって、他の部屋の様子をこれで見られるというわけだ」
「いえーい! ピースピース!」
「店長見てるぅー?」
「真面目に聞けぇぇ〜〜〜〜〜っ!」

カメラにググっと近寄ってピースをかます双子と洋榎を蹴っ飛ばして少女が叫ぶ。

「いったーい。暴力反対ー」
「ていうか隠しカメラとか趣味悪いでー。言うてくれたらカメラにくらいなんぼでも映るのに」

その蹴りも、鼻血を吹いたりするレベルの蹴りではない。
あくまで距離を取るための手加減したものであったこともあり、洋榎達は一層調子づいていた。

「ふむ、ならあそことかどうでござるか、多分一番高いカメラでござるよ」
「マジ? ピースピース」
「あ、テレビに映ってるー」
「よう分かりますね、カメラの位置とか」
「何者かの気配がして、こっそり探ったでござるからな」
「お前らもう少し拉致犯人に関心持たんかッ!」

懐から取り出した別のリモコンを操作して、モニターからこの部屋の映像を消す。
洋榎と双子の抗議を無視し、少女は咳払いをひとつ。
話を続けようとして――今度は没キャラに遮られる。

「あれ? これ、ソーニャ?」

画面を見ていた没キャラの呟きを聞き、恭子達もモニターへと視線を移す。
自分達の部屋以外の映像を、マジマジと見るのはそれが初めてだった
すると、知った顔が散見された。

「ん? こいつ、去年大暴れしてた龍門渕の……」
「あれ? はるるん?」
「こっちの画面にはミキミキもいるよ!」
「これ、確か清澄の部長じゃありませんでしたっけ?」
「……どうやら、皆それぞれ知り合いがいるようでござるな」

楓の視線は、モニターに向いていなかった。
まるで不審な動きをしたらすぐに対処できるよう見張っているかのように、その目は少女を捉え続ける。
よくよく見ると、その細い目がほんの僅かに開いていた。

「こんなに知り合いを集めて、何をする気でござるか?
 ……まさかパーティというわけでもあるまい」
「……パーティさ、ある意味。我ながら吐き気を催すようなやつだが」

チラリとモニターを見て、少女は笑みを浮かべる。
それは邪悪なものではなく、自嘲めいたものに見えた。

「ふむ。よく分からぬが、今からやろうとしていることに素直に賛同できぬのならば、今の内に手を引くべきではござらんか?」
「余計なお世話だ。やり方が苛烈になっても、目指すべき世界は一緒。
 理想のために多くの犠牲を生み出して、泥をすする覚悟がいるなら、喜んで道を踏み外してやる」
「何やよーわからんけど、ここにいるメンバー以外もしこたま拉致られたっちゅーことか?」

今にも殴り合いそうな二人に割って、洋榎が言う。
少女は自分を『ナビゲーター』だと表した。
つまりそれは、この事態について尋ねれば答えが返ってくる可能性が高いことを意味している。

「ああ……少なく見積もっても50は拉致しているはずだ。
 厄介なことに、そのくらいの数の人間――それも旧世界人が、必要とされたからな」
「一体何が始まるんです?」
「それは……いや、少し待て。まだ他の部屋にはナビゲーターすら来てない所もあるようだ」

恭子の言葉を受けて、少女は返事をしようとする。
しかしモニターに映る他の部屋を見て、言葉を切った。
どうやら他の部屋にもナビゲーターが行く手はずとなっているが、まだナビゲーターとやらがついていない部屋もあるらしい。
誰がナビゲーターとやらか、洋榎達には判別がつかないのだけど。

24 ◆wKs3a28q6Q:2012/05/13(日) 11:20:11 ID:Q/4nBtBM

「ていうか……なんでちゃちゃのん達なんじゃ……?」

意外にも、今度はいちごが口を挟む。
ここに居ないといけない特別な理由がない限り、一旦トイレで席を立たせてもらおうという魂胆だ。
あまりのトイレへの渇望が、この質問を投げかけさせた。

「……さぁな。深い意味などないかもしれぬし、何か強い意図を持って選びぬかれたのかもしれん。
 所詮は手足。詳しいことなどは分からない」

肝心要の部分の進行さえしなければよいのだろうか。
少女はいちごの疑問に答えを返した。
結局、何の参考にもならない答えだったけど。

「ちなみに部屋の分配に深い意味はない」
「え、そーなん?」
「まあ、ドラフトとか、会議とか、花いちもんめとか、アミダとか、じゃんけんとか、気まぐれとかで適当に割り振ってるからな」
「順調に分配作業に飽きてるやないか」
「ちなみに多分まだ終わってない」
「おい」

どうやら部屋にいるメンツに特に何かがあるわけではないらしい。
勿論それがブラフである可能性は否めないけど。

「ち、ちなみにドラ1は誰なん?」
「えー私だよー」
「いやいやー私かもしれないよー」

ドラフト、という単語に反応したのは、洋榎と双子の3人だった。
アイドルという常に選ばれる立場の人間と、プロ注目の雀士である洋榎だからこそ、気になってしまったのかもしれない

「そこの忍者がドラ1で、後はもう面倒だから適当にセットで引き取っただけだぞ」
「うわー知りたくなかったー……」
「辛いです……」

選ばれない苦しさの分かる没キャラが、ポンポンと洋榎の肩を優しく叩き慰める。
其の間に、少女は何やら神妙な顔つきになり黙りこくった。

「ふむ……念話の結果、ここに更に双子が増えることになった。
 双子は面倒というイメージが今さっき付いたばかりだが、この部屋は割りと広いし仕方あるまい」
「あれ、今遠まわしにディスられた?」
「遠まわしどころかスーパーダイレクトやったで」

するとここで、どさどさっと何かが落下する音がする。
洋榎達が振り返ると、いちごの膝に小学生くらいの双子が鎮座ましましていた。

「風香! 史伽!」
「か、かえで姉!?」
「どこですかここー!?」

冷静沈着に見えた楓が、ここにきて露骨に動揺を見せる。
風香・史伽と呼ばれた二人に駆け寄り、怪我はないかと全身を触診し出した。

「あー、自分も大丈夫か?」

漫が口を鯉のようにパクつかせている。
他者に気を使えるほどの心の余裕はないのだろう。
そう思い、洋榎はいちごに歩み寄ると声をかけた。

「……い、今の衝撃でちょっと漏れ……」
「ん?」
「な、なんでもない……っ」
「そうか……? ならええんやけど……」

スカートをぎゅっと伸ばし股間を隠す姿に疑問を覚えるも、洋榎はすぐに追求をやめる。
今は、増えたメンバーが気になる。

「しっかしまた、えらいそっくりなのが来たな」
「おんなじ顔してごめんねー。双子の私はど〜っち?」
「あぶぶー! お姉ちゃん、そんなことしてる場合じゃないです〜〜!」

先ほどのリアクションから、二人が楓の知り合いであるということは洋榎達にはよく分かっていた。
それも、あの狼狽えぶりからして、かなり親しい間柄なのだろう。

「わかるかなー? この髪型とつり目がポイント!」
「お姉ちゃんが鳴滝風香、私が鳴滝史伽です〜」

事態は把握してないようだが、初対面の人間が多いことだけは理解したらしい。
愛らしい見た目の妹が、軽く会釈をしてきた。

「髪型でしか区別つかないなんて、ややこしい双子だよ〜」
「だよね〜」
「え、自分らがそれ言っちゃうん?」

亜美真美姉妹への洋榎のツッコミを聞き流し、ナビゲーターの少女はモニターの上にビデオカメラを置いた。
どうやらナビゲーターとやらは全ての部屋に無事現れ終えたらしく、一つ咳払いをした。

25 ◆wKs3a28q6Q:2012/05/13(日) 11:21:40 ID:Q/4nBtBM

「それではこれより、説明に入る」
「そうだよー。誰だか知らないけど、お姉さん達よりはボク達の方が区別つきやすいって。目付きが違うし」
「なーなー、自分ら幽体離脱とか出来るん?」
「そんなのもう古いよー。これからの時代、もっと新しい双子芸を開発しなくちゃ」
「話を聞けっちゅーに!」

ゴン、と音がして、缶ビールが洋榎の頭に直撃する。
咄嗟に割って入ろうとした楓だが、飛来するのが缶ビールと分かると止めに入るのをやめていた。

「な、なあ、なんで代表して1人だけ缶ビールでどつかれたん……」
「最年長だからじゃないですか?」
「えー……なんやそれ」
「それ以上雑談するなら今度はナイフでも投げるぞ」
「あ、はい、すんません黙ります」

ナイフをチラつかせたことで、ようやく洋榎が口を閉じる。
騒がしかった二組の双子も、まあいいかといった風に口を閉じた。

「今日拉致させてもらったのは他でもない。
 ここにいるメンバーと、そしてモニターに映っている全ての人間で――――」

ようやく来た沈黙を打ち破り、少女は堂々宣言する。
悪夢の宴の開幕を。

「――――殺し合いを、してもらう」

沈黙。
顔を険しくさせた楓を除き、全員がぽかんと間抜けに口を開けていた。

「……は?」
「ルールは簡単。今からお前達には首輪を付けてある島で殺し合いをしてもらう。
 生死はこの首輪が管理しており、こっちにまで情報が飛んでくる。
 その首輪にはラジオ機能みたいなものもついていて、6時間ごとにこちらから一斉通信を行う。
 そこで死んだ者の名前と、進入禁止エリアの通達を行う」
「いやいやいやいや…………え? マジで?」
「マジだ」

頭が上手くついていかない。
だがしかし、今の状況は『ありえない』ことで固められている。
それならば、殺し合いというありえないことが目的でも、そこまでおかしな話しではないのかもしれない。

「進入禁止エリアだが……その名の通り、進入してはいけないエリアのことだ。
 最初は2時間に1つの割合で指定していく。
 通達は6時間に1回の通信の際にまとめて3回分行う。
 そこに入ったらどうなるかだが――首輪が、爆発する」

誰かが、うっとうめいた。
首輪の爆発――それはつまり、命が奪われることを意味していた。

「他にも無理やり首輪を外そうとしても、首輪は爆破されるから注意だ。
 魔法でガッチガチにコーティングしてあるから、水没しても壊れないからな」

情報は、大事だ。
だから皆、基本的には黙って説明を聞く。

「ちなみにこれが首輪だ」
「ダンボール箱に乱雑に放り込まれとる……」

テーブルに置かれたダンボールに、一同の視線が集中する。
その際に、恭子はこっそりと楓に耳打ちをした。
機がきたら合図をするから、今は飛びかかるなと。
今にも殴りかかりそうだった楓を、とりあえずは落ち着かせる。

26 ◆wKs3a28q6Q:2012/05/13(日) 11:25:29 ID:Q/4nBtBM

「誰が死んだかメモもいるだろうし、最初の通信が終わったら、名簿を配ってやる。
 筆記具と、地図は最初から配ってやるから、他に何かメモに残すことがあったら適当に地図の裏でも使え」

一番後ろに陣取っており、たまたまそれを聞いていた漫は、機を見て少女を取り押さえる作戦なのだと勘違いをする。
いや、まあ、それはあながち間違いでもないのだが、楓に任せきる予定だった恭子の予定を、漫は狂わせることになる。
洋榎にこっそり、取り押さえる旨を伝えたことで。

「ああ、あと、コンパスもいるな。そのあたりはまとめてバッグに入れておいた。
 ここからワープさせて殺し合いが始まるが、その際にバッグをひとつくれてやる。
 中にはさっき言ったようなものと、殺し合いに使える武器が入っている」

漫が洋榎に近付くのに、それほど苦労はいらなかった。
少女が支給する道具の見本を一々机に広げてくれていたので、それを見にいく体裁を取れば前方には行けたから。
あとは洋榎の背中に文字をこっそり書いて、誤った趣旨を伝えるだけ。

「基本的には1つだが、適当に2つのやつも用意しておいた。
 更に武器には運の要素も混ぜるためにアタリとハズレが存在する」

漫からの伝言を受け、洋榎はにやりと笑んだ。
ようしならば自分が取り押さえてやろうと。

「アタリにはこちらが総力を上げて手に入れたレアな魔法アイテムや、重火器が該当する。
 ハズレはさっき5秒で作った折り鶴すら該当する」
「ちょっとどころでなく運の要素強くないかそれ」
「ていうか折り鶴って武器でもなんでもないじゃん……」

大真面目に、少女が折り鶴を見せる。
こんなもので、重火器に勝てるわけがない。

「まあ、頭脳と体力次第では武器の有利不利くらい覆せるかもしれないし、逆に運のおかげで生き延びられる例もある。
 精々足掻いて生き残りを狙うがいい」
「生き残りって言われても……史伽やかえで姉を残して1人で帰るわけにも……」
「ああ――殺し合いだが、生き残れるのは1人ではない。2人だ」
「へ?」

殺し合い、といったら勝者は1人だけというイメージだ。
だからこそ、予想外の人数に間抜けな声を漏らす者が数人出る。

「よく分からぬが……今回の目的である魔法には、アダムとイブというか、全てを乗り越えた愛というか……
 とにかくペアとなるような強力な魂が必要とされるんだ。
 だから、勝ち残るのは2人だ」
「え……てことは、生き残った2人はラブラブカップルってこと!?」
「えええ〜〜!? 困るですよーそんなのー!」
「……この状況でそんなことが言える度胸は褒めてやる」

呆れたように、少女が溜息を吐く。
ナイフが飛ばなかったことを、楓は内心安堵していた。

「せやけど、見た限りモニターには女しかおらんかったような……」
「そういう世界もあるんだって、パルが言ってたよー」
「でもさー、亜美と真美みたいに姉妹で生き残っちゃったらどうなるのかなー?」
「女同士で近親相姦? ちょっとやだなー」
「ちょっとなんですか……」
「お前らホント緊張感ってものがないな」

そればっかりは少女に同意せざるを得ない。
そんなことを考えながら、恭子も口を挟むことにした。

「……その説明だと、生き残っても何らかの魔法に利用されちゃって家に帰れなさそうなんですが」
「心配しなくていい。魔法を発動させたら家に帰してやる。
 目的のために如何なる犠牲も厭わないつもりでいるが、無益な殺生を好むわけではないからな」

27 ◆wKs3a28q6Q:2012/05/13(日) 11:27:05 ID:Q/4nBtBM

折り鶴を始め広げたものをしまいながら、少女が問う。

「……他に何か質問はあるか」

殺し合いをさせておいて、説得力のない台詞だ。
そんなことを思いながら、恭子がすっと手を挙げる。
顎で促され、恭子は質問を改めて開始した。

「その、戦いの場になる島って、どんなとこですか」

それによっては、今いる位置の参考になるかもしれない。
そう思って、尋ねてみた。

「ここは、木間氏島と名付けられた人工島だ。今回のために作られた、な。
 家屋を壊そうが誰にも迷惑はかからんから安心していい」
「キマシ島って、なんでまたそんな名前を……」
「鬼に魔族に死ぬって最初は書こうと思っていたらしいが、あんまりにもあんまりなため変更になってな……」
「ああ……名前って大事だもんな……」

没キャラのどうでもいい質問を挟み、恭子が再び質問をした。

「もう一ついいですか。
 ……何で私達が選ばれたんですか?」
「聞いてなかったのか? 意味など無いかもしれないし」
「何か重大な意味があってのメンツかもしれない、ですか?」
「……分かってるじゃないか」

ちらりと恭子が楓に目配せをする。
合図を送られるまでもなく、楓はいつでも飛び出せる体勢だった。

「ということは……“私達が”殺し合うことに意味がある、という可能性は否定できないと」
「……だったらどうした?」
「いえ、ただ――――それだったら、貴女は私達を殺しちゃ困るんじゃないかなと思ったんで」

勢いよく腕を振り上げ、恭子が合図を送る。
弾丸のように飛び出した楓が、ナビゲーターの少女の体を地面へと押し付ける。
そこに、ノリノリで洋榎が加わり、次いでよくわからぬままに亜美と真美が加わった。
やや遅れて、とてとてと風香と史伽が駆け寄っていく。

「や、やりましたね!」
「まあ、拉致の際に首輪を付けられとらんかったから出来ることやで。
 多分、勝手に首輪弄って死なれでもしたら困るからそうしたんやろうけど、裏目に出たな」

後は、どう帰るのか吐かせるだけだ。
その後拉致られ返したり、口を割らない可能性もあるけれど、恭子はそこまで絶望視していなかった。
何せこちらには、ナビゲーターの少女と同じく“魔法”について知っているらしい楓がいる。
彼女がいれば、ある程度は何とかなるだろうと思ってのことだ。

28 ◆wKs3a28q6Q:2012/05/13(日) 11:29:57 ID:Q/4nBtBM

「……バカだな。お前らは。本当にバカだ」

モニターを、少女が見る。
それから、少し悲しそうに、言った。

「一番乗りだ。他はどこも、ナビゲーターに手を上げていない」
「亜美達、もしかして大金星?」
「そうじゃない。あったんだよ、隠れた指示が。
 お前達のように殺し合いを信じないだろう連中に、殺し合いを信じさせるため必要な命令が」

モニターから、少女が視線を戻す。
その顔は、どこか悲しそうだった。

「――――危ないッ!」
「うわあああああああああッ!?」

嫌な気配を察し、楓が少女から飛び退く。
その際、両の腕で風香と史伽を抱えるのが、楓に出来る精一杯のことだった。
次の瞬間、突如炎が燃え盛る。
――双海亜美の、上半身で。

「あ、亜美ィ!」
「うわっ!? うわあっ!?」

一瞬にして、少女の位置が移動する。
今はもう、恭子と漫の目前まで移動していた。
その手には鈍色の首輪が握られており、そして――

「あがッ!」

後頭部から地面に叩きつけられる際、漫の首にすっぽりとはめられた。

「みせしめは、いる。殺し合いを実感させるためにも、首輪の威力の証明のためにも」
「ちょっ、そんな……話が違いますやん末原セン」

パンッ。
炸裂音が辺りに響く。
首輪を引きぬいた少女の腕。
炸裂した銀の首輪。

宙を舞った、漫の首。

「あ……あああああああああああああッ!」
「……なんでわざわざ、数人単位で部屋を分けたか。聞かなかったが、冥土の土産に教えてやる」

絶望と恐怖と嘆きと悲しみと。
様々な感情を爆発させた恭子の顔を、少女が掌で覆う。

「恐怖を植え付けるために、虐殺の必要があったからだ。
 ……誰一人生き残らない、そんな凄惨な場所をどこか作る必要があったからだ」

目。鼻。口。耳。
その他穴という穴から、恭子は炎を吹き出した。
悲鳴はすぐに聞こえなくなり、ただの燃え盛る肉の塊へと化す。

「真っ先にナビゲーターに手を出さなければ、こんなことにはならなかったんだ。
 素直に首輪をはめていたら、こんなことにはならなかったんだ。
 ……恨むのなら、愚かな自分達を恨め」

まるで気を紛らわすように言葉を紡ぎ続けながら、背後から襲い来る楓の攻撃を受け流す。
それでも攻撃の手は緩めず、楓は何度も少女目掛けて拳を繰り出し続けた。
拳の雨をやませてしまうと、死者が増えてしまうかのようで。
拳を止めるわけにはいかなかったのだ。

「音声がないがライブ中継だ。
 モニターも今やこの部屋しか映していない。
 ……思う存分目立つがいい」
「亜美! 亜美ィ!」

拳を交える楓と少女から離れた位置で、亜美の命が燃え尽きる。
その亡骸に縋る真美に、洋榎は何も言うことが出来なかった。

「チックショー! 主人公に絡めないまま死んでたまるかー!」

没キャラが吼え、拳撃の嵐の中へと突っ込んでいく。
拳法使いの殺し屋設定だっただけあり、没キャラもなんとか動きについていくことができた。
援護が加わることにより、楓達が押し始める。

29 ◆wKs3a28q6Q:2012/05/13(日) 11:31:03 ID:Q/4nBtBM

「くそっ! くそっ!」

泣きじゃくる真美を引きずり、洋榎はソファの後ろへと避難する。
僅かな時間で、いくつもの命が奪われてしまった。
その内2つは、自分の愛する人のもの。
悔しさと悲しさで、どうにかなってしまいそうだった。

「うう……かえで姉、勝てそうですか……?」
「勝つとは思うけど……でもちょっとヤバいかも……何か全然決まらないし……」

ソファの端から顔を出し、風香と史伽が戦闘経過を見守る。
素人の2人に、じわじわと楓が押していることなど分からない。
むしろ圧勝する所しか見たことがない2人には、楓が異常に苦戦しているように見えた。

「こっちに注意を向けさせれたら、その隙に倒せるかも……」
「はァ!? おいおい、まさか突っ込む気じゃないやろな」

風香の呟きに、思わず洋榎がツッコミを入れる。
素人目に見ても楓達の戦いは異次元であり、とてもではないが首を突っ込める代物などではなかった。

「だからって……黙って見ているなんて出来るわけないじゃないかっ!」

風香の耳に届くのは、双子の姉妹を失った真美の泣き声。
自分が史伽を失ったら、どれほど辛いだろうか。
楓をこのまま死なせたら、どれほど辛い想いをするか。

「どうせ後悔するなら、立ち向かって後悔したい……!」

そう言うと、風香はソファを飛び出した。
テーブルを通り過ぎる際、お菓子用のフォークを手に取る。
殺傷力などたかが知れてるが、手ぶらでいくよりマシだろうという判断だ。

「ボクらも行くよッ!」
「ああっ! 待ってよぉ!」

風香と史伽にしたら、単なる囮のつもりだった。
注意を引いて、楓に決定打をもたらす、ただそれだけのつもりだった。

彼女達が不幸だったのは、亜美が燃え上がる瞬間を見ていないことだった。
亜美の消火活動に夢中で、恭子の死を見ていなかったことだった。
一番最後に呼び出されたため、摩訶不思議をあまり経験しなかったということもある。
そして何より、魔法があるという宣言時、ここにいなかったことだ。

30 ◆wKs3a28q6Q:2012/05/13(日) 11:32:41 ID:Q/4nBtBM

「来るなッ! 風香! 史伽ッ!」

風香達の常識では、焼死させるには何らかの武器と動作がいるものである。
その前に楓が有効打を入れ、攻撃されずに済む公算の高いものである。

「――――――え?」

だがしかし、現実は――否。ファンタジーは非情である。
少女の炎は見つめるだけで発生する類のものだ。
風香と史伽への攻撃を完全に防げるような有効打を入れる余裕、とてもではないが存在しない。

「か……」

本当なら、風香か史伽を犠牲に、ここで少女を倒すのが正解だろう。
そうすれば、少なくとも1人は助かる。

だがしかし、楓にはそれができなかった。
妹同然の2人を前に、体が自然と動いてしまった。

「かえで姉ェェーーーーーーーーー!!」

単純なこと。
少女と風香・史伽の間に割り込めば、一回は死を防げる。
パワーやスピードが高水準で求められる『有効打を叩きこむ』という動作と違い、スピードだけで達成できる目標だ。
割って入ることくらい、楓にはなんてことない。
少女の炎は、楓にとってなんてことないとは、とてもではないが言えなかったけど。

「すま、ない……2人とも……麻帆良に、帰、して……」

楓の背中は、炭と化していた。
ボロボロと忍装束が崩れ落ち、同時に背中の皮膚までもが崩壊していく。
そして、楓の意識も、急速に落ちていった。

「……嫌な仕事だ。無関係な旧世界人を直接虐殺するなんてのは」

楓の死により、拮抗は崩れ去る。
没キャラの鳩尾には、少女の拳がめり込んでいた。
崩れ去る没キャラの首に、手刀が叩き込まれる。
文字通り刀のような鋭い一撃で、没キャラの頭部は体と離れ離れとなった。

「ましてや……他の部屋に見せしめとしてもっていくため、五体をバラさねばならないというのだ」

楓と没キャラ亡き今、少女についてこられる人間はいない。
強い人物が固まりすぎないように、ドラフトできちんと分けた成果があったというものだ。
ナビゲーターを倒せたとしても大切な人を守り抜けないだろうメンツでグループは固めてあるため、
他の部屋にこの惨状を見せつければそう易々と反乱は起きまい。

「この部屋が、みせしめでよかったよ」

声を発することもなく、風香の首がねじ切られる。
お姉ちゃん、と叫ぼうとした時には、史伽の首は宙を舞っていた。

「おかげで一番嫌な仕事が、私の担当で済んだ。
 ……栞達に、この任務は重すぎる」

言いながら、少女はソファへと歩みを進める。
残る獲物は3人。
いずれも、ソファの裏に隠れている連中だ。

31 ◆wKs3a28q6Q:2012/05/13(日) 11:33:54 ID:Q/4nBtBM

(アカン。アカンて。死ぬ。死んでまう……!)

ソファの裏にいる洋榎は、今にも泣き出しそうだった。
怖かった。辛かった。悲しかった。
何が何だかわからなくて、とにかく泣いて全てに当たり散らしたかった。

「嫌……嫌ァ……助けてぇ……」

床に触れていた掌に、液体が付着する。
付着というより、水没と言った方がいいか。
そのくらい派手に、掌は液体に浸かっていた。
視線を移すと、水たまりの中心で、いちごが震え上がっていた。

「こんなんっ……こんなん考慮しとらんよぉ……」

客観的に見て、いちごの姿は無様だろう。
情けないだろう。カッコ悪いだろう。
しかし洋榎にはいちごをとやかく言う資格なんてないように思われた。
きっとさっきまでの自分も、こんな風に怯えるだけだったのだろうから。

(ああっ! クソッ! わぁっとるわ!)

自分の役目は、何だったか。

いちごのように怯えるだけの人間を、
真美のように嘆き悲しみに暮れている人間を、
救い、笑わせ、笑顔にし、前を向かせる。

それが、自分の仕事なんじゃなかったのか。
洋榎はヤケにも近い吹っ切れ方をする。
そしてポケットに入れていたままのWiiリモコンを握り、言った。

「自分ら。前向き。とりあえず、考えるのは無事に生き延びてからにしよ」

真美はまだすんすんと泣いているが、いちごの方は顔を上げた。
まだその目は恐怖に濁っている。

「時間稼いだる。フーカ達と大して変わらんやろうけど、その間にどーにかして、こっから逃げぇ」

無茶を言っていることはわかっている。
けれども生き延びるには、もうそれしか可能性が残ってないのだ。

「でも……」
「諦めんな。没キャラのような運動神経もないし、楓のようにマホーも使えん。
 でもな、だからって考えることを放棄したら、そこでしまいや」

虐殺っぷりの演出か、少女は余裕たっぷりに歩いてきている。
まだ、カッコつけて自分を奮いたたせるだけの時間はある。

「凡人はな、考えることで怪物だって食えるもんやで。
 ――思考停止したら、そこでホンマの凡人や」
「…………」
「だから考えて、生き延び。んで、笑え。折角かわええんやから」

無理矢理に、笑顔を作る。
いびつじゃなく、ちゃんと笑えていただろうか。
それだけが、洋榎の最後の気がかりだった。

「ほんじゃな。あ、でも高校麻雀界のアイドルの座は、譲ったわけと違うからな!」

そうとだけ告げ、ソファを飛び出す。
肉体的にはどこにでもいる女子高生。
掲げる武器はWiiリモコン。
勝てる見込みのない戦い。

「うらああああああああああ!!」

稼げる見込みのない時間。
逃がせるわけのない仲間。

それでも洋榎は立ち向かう。
ほんの僅かな時間に、意地とプライトを見せて。

せめて自分が生きた証を、モニターを見る人々に刻みつけたくて。
この抵抗に賭けた想いが、モニターを見る誰かに伝染すると願って。

32 ◆wKs3a28q6Q:2012/05/13(日) 11:35:19 ID:Q/4nBtBM






 ☆  ★  ☆  ★  ☆






「手間取らせおって……」

少女――焔は、部屋に戻るなりベッドへとダイブした。

どっと疲れた。

旧世界人を虐殺し、殺し合わせる非道行為に打って出たのだ。
疲れないわけがない。

(大丈夫、やれる――――)

今までと、方針が少々異なっているが、目的さえ見失わねば、大のための小さな犠牲と考えられる。
誰もが笑える世界のための、小さな犠牲と割り切れる。

「……何にせよ、賽は投げられた」

ばらした死体を各部屋に配布して、嘘ではないと強調した。
あとは皆が上手く参加者をテレポーテーションさせているだろう。
自分の仕事は、少し休んだら雑務と監視を行うくらいだ。

「バトル・ロワイアル、開幕だ」

後戻りが出来ないことを噛み締めるためにつぶやいて、ベッドから飛び起きると、仲間の様子を見に行こうと荷物を置いて早々に部屋を後にした。



【愛宕洋榎@咲-saki- 死亡】
【佐々野いちご@咲-saki- 死亡】
【末原恭子@咲-saki- 死亡】
【双海亜美@THE IDOLM@STER 死亡】
【双海真美@THE IDOLM@STER 死亡】
【上重漫@咲-saki- 死亡】
【没キャラ@キルミーベイベー 死亡】
【長瀬楓@魔法先生ネギま! 死亡】
【鳴滝風香@魔法先生ネギま! 死亡】
【鳴滝史伽@魔法先生ネギま! 死亡】



【バトル・ロワイアル 開幕】

33 ◆wKs3a28q6Q:2012/05/13(日) 11:37:30 ID:Q/4nBtBM
以上で投下終了です。
>>25-26の本題部分だけでよかったんじゃねーのと我ながら思うし、OPとしては読み返しやすく単純な方が秀逸だろうなとわかっちゃいるものの、
「書きたいものを好き放題に書く」というのを全員が出来るロワになったらええなぁと思い、本当に好き放題やってみました。
一応ギャグ削ったりで軽量化出来るだけしたつもりではあるんですよ、うん。


新着レスの表示


名前: E-mail(省略可)

※書き込む際の注意事項はこちら

※画像アップローダーはこちら

(画像を表示できるのは「画像リンクのサムネイル表示」がオンの掲示板に限ります)

掲示板管理者へ連絡 無料レンタル掲示板