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修正SS投下スレ
187
:
壊れゆく常識(修正版)
◆LuuKRM2PEg
:2014/04/22(火) 21:49:16 ID:r9Nmo5jM0
ヴィヴィオはホッ、と溜息を吐く。
彼女としても、仲間が喧嘩をする光景など見たくないのだろう。こんな状況で内輪揉めなどされては、その瞬間に空気が悪くなってしまう。
だが、このままでは同じことが繰り返されてしまうかもしれないから、空気を変えなければならない。そう思った鋼牙は口を開こうとするが……
『……おい、お嬢ちゃん達。難しいのはわかるが、あんまりギスギスしていると俺様も悲しいぜ? 喧嘩をする程、仲がいいとは言うが限度がある』
指の中に収まっているザルバに先を越されてしまった。
『アンコは今までのことを反省している。そして、美希もアンコのことを理解している……これで充分じゃねえか。これ以上、不安にさせるなよ』
「はぁ? あたし達は……」
『喧嘩はしていないってか? お前達はそうかもしれないが、傍からはそう見えないぞ? 尤も、いがみ合っているようにも見えないがな』
「ザルバ……どっちなんだよ!?」
『それは、これからのお前達にかかっている。俺様は見守りはするが、必要以上に干渉はしない……お前達の関係は、お前達で作るものだからな』
そう語るザルバは、まるで教師のような態度だった。尤も、ザルバがそこまで面倒見がいいかは定かではないが。
鋼牙は喧嘩の仲裁などあまり経験がないし、ましてや思春期の少女のメンタルケアなど専門外だった。涼邑零やゴンザなら何とかなるかもしれないが、鋼牙にそこまでの能力はない。
冴島財閥のトップでもあるが、流石に女子中学生の面倒を見られるかと言われたら首を傾げるだろう。だが、逃げる訳にはいかない。
「杏子、そして美希……お前達が住む世界は違うだろう。そして、生きる道も違う。だが、それでも今は共に歩いている……それを忘れるな」
「鋼牙さん……?」
「つぼみは言っていた。最初はある少女と敵対していたが、それでも気持ちをぶつけあったことで友達になったと……俺が言えるのは、ここまでだ」
美希の疑問に答えるように、鋼牙は答えた。
なるべく暗くならないようにしたかったが、元々こういうのは得意な性格ではない。なので、もしかしたら余計に不穏になってしまう恐れもあった。
「気持ちをぶつけあう、ね……まあ、そういうのも悪くはないかな」
頭をポリポリと掻く杏子は、納得をしたかのように呟く。
「さっきは喧嘩をしたけど、あたしは別に美希のことが憎い訳じゃない……美希のことだって、知りたいと思っている」
「……杏子?」
「せつなからも頼まれた。あんたや、ラブって奴のことをお願いって……せつなは、最期まであんた達のことを考えていた」
「……」
「あんたの堅物さにはイラついたことはあった。でも、あんたのことは決して嫌いじゃない……これだけは本当だ」
杏子はどこかバツの悪そうな表情を浮かべながら、美希から視線を逸らしていた。
ザルバが言うには、この二人で何やら一悶着があったらしい。美希が警察署に戻る前、杏子の素行の悪さに怒ったようだ。彼女からすれば、ルールを破る杏子は許せないのだろう。
美希の気持ちは理解できるが、ザルバが言うように杏子は反省をしている。無論、反省をすれば全てが許されると言う訳ではないが、それでも変われるきっかけになるはずだった。
「杏子。あなたの気持ちはわかったわ……あたしも、昔のあなたの振舞いは許すことができない。誰かを助けられるはずの力で、誰かを不幸にしてきたのだから」
「わかってるよ……あたしだって」
「でも、杏子はせつなのことを守ってくれた。そして、せつなの想いを伝えてくれた。だから、あたしはあなたを信じることに決めたわ」
そう言いながら美希は前に出て、杏子の手を握り締める。
呆気にとられる一方で、美希は言葉を続けた。
「せつなのことを守ってくれて、ありがとう……ブッキーのリンクルンも守ってくれて、本当にありがとう……!」
「……どうしたしまして」
美希と杏子は笑っていた。ぎこちなかったが、そこには確かな絆があった。
そんな二人を見て、ヴィヴィオも表情を明るくする。ザルバも表情は動かないが、したり顔になっているはずだった。
どうやら、この二人はもう心配する必要はないだろう。無論、完全に仲が良くなった訳ではないだろうが、前進はしている。
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