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修正SS投下スレ

185壊れゆく常識(修正版) ◆LuuKRM2PEg:2014/04/22(火) 21:45:27 ID:r9Nmo5jM0
『……地球の、未来を信じる者に』

 フリーマンという男が残したメッセージが告げられて、そこで止まった。
 沖と孤門は何も言えなかった。相羽の名字を持つ参加者達がそんな壮絶な運命を背負っていたなんて、夢にも思わない。身体を弄られてしまい、そして自分の意志を奪われたまま殺戮を強いられてしまう……ドグマやジンドクマの悪行を聞いているようになってしまい、ラダムに対する憤りが湧きあがった。

「……なんということだ」

 今の沖には、胸に湧き上がる感情を言葉に込めることしかできない。
 相羽家の人間達に対する同情をしても、彼らはもうこの世にいなかった。だから、もう彼らを救うことだってできない。もう少し早く知っていたら、彼らのことも助けられたはず……そんな可能性が芽生えてしまい、今度は無念の苛立ちが広がってしまう。
 だが、今となってはどうにもできなかった。相羽家の人間がどこでどんな風に死んだのかもわからない以上、弔うことすらできない。せめて、仮面ライダーとして人間をラダムから守りたかった。

「俺は、彼らの為に何かをすることもできないのか……」
「沖さん……」
「孤門。確か、美希ちゃんはマイクロレコーダーを持っていたね。それは、相羽シンヤのだったな」
「はい……子どもの頃に、シンヤが残したのだと思います。その頃はまだ、二人は普通の人間だったのでしょう」
「……くそっ」

 表情を曇らせている孤門の言葉を聞いて、沖の中で遣り切れない気持ちが更に強くなる。
 きっと、相羽タカヤと相羽シンヤは仲のいい兄弟だったはずだ。ミユキも含めて、家族全員で幸せに暮らしていたはずなのに、ラダムによってぶち壊されている。
 変わり果てた家族と戦わされてしまい、そして妹の死を目前で見せられてしまったタカヤの心境を考えただけでも、胸が張り裂けそうになってしまう。


「孤門。この話は、子ども達には内緒にしておこう……彼女達が知ってしまったら、きっと相羽タカヤ達の世界に行って、戦いに向かうはずだ。ラダム達と戦うのは、仮面ライダーの仕事だからな。翔太郎君にも、後で話しておかないとな」
「……わかりました。でも、その時は僕も一緒に行きます。僕だって、タカヤさん達が生きた世界の人々を守りたいですから」
「そうか……なら、その時は頼むぞ」
「はい!」


 孤門が頷くのを目にした後、沖はカードをケースの中に戻した。
 こんな残酷な話は未来ある子ども達が知る必要はない。これからを頑張ろうとしている少女達に、余計な絶望を植えつける訳にはいかなかった。残酷な現実を知らなければいけない時は確かにあるだろうが、それは今ではない。
 仮にタカヤ達のことを教えるにしても、殺し合いを終わらせてからだ。それまでは、このファイルのことは秘匿にして、信頼できる大人達の間に留めるべきだった。
 例え、タカヤが自分の世界のことを翔太郎や杏子に教えたとしても、このファイルの内容は限られた大人だけにした方がいいかもしれない。どうか、詳しい所まで話していないことを願う。
 首輪の解析などもしたいが、今は仲間の元に戻ってこれからのことを話し合うのが最優先だ。






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