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梓「私と唯先輩が付き合ってるとするじゃないですか」
-
唯「えっ」
梓「付き合い始めて一年くらい経つのに何もないってどうなんですか」
唯「付き合ってないけど」
梓「例えばの話ですよ」
唯「例えないでよ」
梓「出会ってから一年くらい経つのは事実ですよね」
唯「うん」
梓「いろいろありましたよね、軽音部に入ってから」
唯「うん」
梓「しょうもない部に後輩が入ってきて嬉しかったですよね?」
唯「あの時はね」
梓「合宿したり、演奏したり、いろんなとこに出かけたり」
唯「いろいろあったよね」
梓「もう付き合ってるようなものですよね」
唯「無理があるよ」
梓「でも今後の可能性も考えておかないと」
梓「私たちの未来にはどんな可能性だってあるわけじゃないですか」
唯「付き合わないからね?」
"
"
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梓「付き合い始めて一年も経ってたらキスくらい済ませてるもんじゃないですか」
唯「そうかもね」
唯「まず付き合ってないんだけどね」
梓「キスどころかその先までしちゃっててもいい頃合いじゃないですか」
梓「後輩に何を言わせてるんですか、もうっ」 キャッ
唯「何を言ってるのか聞きたいのは私のほうだよ」
梓「じゃあ唯先輩の中で『付き合う』ってどういうことですか?」
唯「うーんと、付き合ったことないからよくわかんないけど」
梓「じゃあ私とも付き合ってるかもしれないですよね?」
唯「まずお互いの気持ちが大切だと思うんだよね」
梓「そこは何も問題ないじゃないですか」
唯「そこが一番の問題なんだよ」
梓「放課後には毎日顔を合わせてますし」
唯「部活でね」
梓「海辺の別荘で外泊したことだってありますし」
唯「部活でね」
梓「もう付き合い始めのカップルと何が違うって言うんですか」
唯「何もかもだよ」
唯「2人きりならまだしも、軽音部の中での話だよね」
梓「私は2人きりのつもりでいますから大丈夫ですよ」
梓「四捨五入したら2人も5人も同じじゃないですか」
唯「もうむちゃくちゃだ」
-
梓「じゃあ百歩譲って、仮に付き合ってたとしますよね」
唯「それはちょっと」
梓「たとえ話なのにさっきから何イライラしてるんですか?生理ですか?」
梓「生理なんですか?」
唯「そういうとこだよ、イライラされてる原因」
梓「いいですか、私たちはかれこれ二年近く一緒にいるわけですよ」
唯「放課後の数時間くらいだけどね」
梓「もはや付き合ってるようなもんじゃないですか」
唯「それじゃ私はクラスメイト全員と付き合ってる事になっちゃうよ」
梓「女子高だし、周りもそういうのを受け入れてくれると思いますよ」
唯「そういう心配してるんじゃないんだけどなぁ」
梓「ほら、律先輩と澪先輩なんて公認のカップルみたいに扱われてるじゃないですか」
梓「私たちみたいに」
唯「私たちは断じて違うけどね」
-
梓「私だってああいう風に周りから公認扱いされたいんですよ」
唯「あの二人は本当に付き合ってるけどね」
梓「えっ?」
唯「えっ?」
梓「あの人たち、本当に付き合ってるんですか?」
唯「隠しきれてないよね」
梓「ガチで?」
唯「たぶん」
梓「聞いてなかったんですけど」
唯「なんで見てて気づかないの」
梓「ムギ先輩も知ってるんですか?」
唯「鼻血がすごかった」
梓「いつからですか?」
唯「だいぶ前から」
梓「私と唯先輩が付き合い始める前から?」
唯「まず私たちは付き合ってないけどね」
-
梓「唯先輩」
唯「あずにゃん後輩」
梓「交配」
唯「私そろそろ帰っていい?」
梓「じゃあそろそろセックスします?」
唯「ド直球だね」
唯「なんなの?」
梓「下手な小細工より効果的ですからね」
梓「軸のブレないバックスピンはストレートという名の変化球と言われていて」
唯「だが断る」
梓「じゃあもし私が何かの病気で長くないとしたらどうします?」
梓「恋人の最期の願いだったとしても断るんですか?」
梓「どうしてもセックスしてくれないんですか?」
梓「セッションはできてもセックスはできないって言うんですか!?」
唯「先が短い人はそんな必死にがっついてこないと思うよ」
梓「なんたって不治の病ですからね」
唯「頭の?」
梓「心臓とかの」
唯「心が病んでるってこと?」
梓「例えばの話ですよ」
唯「すでに気がふれてるように見えるけど……」
梓「まあ恋という病なんですけどね」
唯「うわあ」
梓「そういう目で見ないで下さい」
唯「私が言いたいよ」
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梓「じゃあ唯先輩は誰かを好きになったことないんですか」
梓「付き合いたいとか、キスしたいとか思える人がいなかったんですか」
梓「初恋はいつだったんですか」
梓「初潮は?初めて買った下着のサイズは?」
梓「スリーサイズは?初体験はまだですよね?」
梓「どうも怪しいなぁ」
梓「ちょっと調べさせてもらいまぶっ
ゴッ
梓「……ちょっとそのギター、そっちに置いといてもらえませんか」
唯「せっかく練習しようと思ったのに」 ジャラン
梓「ギターは人を傷つける道具じゃないんですよ」
唯「攻撃は最大の防御っていうから」
梓「覆い被さろうとしたとき危ないじゃないですか」
唯「そんな宣言されたらなおさら手放せないじゃないですか」
梓「そういえばギターのくびれっておっぱい乗せるのにちょうどよさそうですよね」
唯「くびれもおっぱいもない人には関係ないから気にしなくていいよ」 ジャガジャン
梓「………」
-
梓「唯先輩はときどき蝶のように舞って蜂のように刺してきますよね」
梓「さては下の口もキツキツなんですか?」
唯「私もう帰っていいかな」
梓「なんでさっきから早く帰りたがるんですか!?」
唯「残っててもロクなことがないし」
梓「そこまではっきり言わなくても」
唯「よく考えたら残ってる理由もないし」
梓「早く帰ったってどうせロクな事しないじゃないですか」
梓「愛しい後輩と過ごしたほうが楽しいですよ絶対」
唯「いいかげん勉強しておかないと」
梓「初夜の?」
唯「受験の」
梓「こんな時間までだべってた人に受験勉強とか言われても説得力がないんですよ」
唯「誰のせいでこんな時間になったと思ってんの」
-
唯「部室で現実逃避しようと思ったらこの始末だよ」
梓「じゃあこうしましょう」
梓「この参考書の中から出題しますから、不正解だったら服を一枚ずつ
唯「じゃあ戸締りはお願いね」
梓「ちょっ、もし正解したら私が脱ぎますから!」
唯「なんでその条件で引き止められると思ったの」
梓「ご褒美を与えればやる気になってくれると思って」
梓「いろんな意味で」
唯「憂が買ってくれた護身術の本、どこにやったかな……」 ガサゴソ
梓「数学のノートの下に入ってましたよ」
唯「勝手にカバンの中あさらないでって何回言えばいいの?」
梓「怒った顔が見たかったんです」
唯「荷物を物色されてる時の対処法とかもあったかな……」
梓「それは護身術というよりストーカー対策では」
唯「まったくだ」
唯「あれ、本がなくなってる」
梓「さっきゴミ箱の中に置いておきましたよ」
唯「なに捨ててくれてんの」
梓「妙な技を覚えられたら手こずりそうじゃないですか」
唯「………」
梓「まあ手でこするという意味では結果的に同じで
梓「ちょっ、なに勝手に帰ろうとしてるんですか」 ガシッ
唯「もうトンちゃんと話してなよ……」
-
梓「ある研究者の話だと、女は男の6倍えろいって言うじゃないですか」
唯「何を研究してる人なの、それ」
梓「女性は恋をするとキレイになるって言いますけど、
性行為によって女性ホルモンの分泌があれこれしてキレイになれるんですよ」
梓「一回くらい試してみたらいいじゃないですか」
唯「そういえば私の妹なんだけどさ」
梓「私の話聞いてました?」
唯「憂っていうんだけど」
梓「知ってますよ、いま妹の話はいいんですよ」
唯「うちの親がね、となりに『人』がきたとき『優しく』なれるようにって付けた名前なんだけどさ」
梓「何回か聞いたことあります」
唯「あれ、ガセらしいよ」
梓「だったらどうだって言うんですか」
梓「関係ない話はいいんですよ」
唯「私ね、実は憂なんだよ」
梓「もう騙されませんよ」
唯「ちょっと騙された振りしてよ」
梓「斬新ですね」
唯「梓ちゃん、お姉ちゃんに下ネタばっかり言ってると嫌われるよ」 メッ
梓「クオリティがひどい」
唯「憂だよ」
梓「本物の憂は自分のことを 憂だよ なんて言わないんですよ」
唯「本物の憂だよ」
梓「唯先輩」
梓「頭いい子がアホの子のフリをするのは簡単だと思うんですけど、
その逆はとても難しいとおも痛い痛い痛い痛い痛い痛いっ」 ギチギチギチ
唯「嬉しそうに痛がるのやめてよ……」
-
梓「唯先輩、将来の事とかちゃんと考えてるんですか?」
唯「急に現実を突きつけてこないでよ」
梓「天然ぶってヘラヘラしてても可愛くて許されるのは10代までですよ」
唯「そういえば軽音部に入る前もそんなこと考えてたなぁ」
唯「やりたいことを見つけたくて」
梓「ヤりたい子」
唯「何かしなきゃって思いながら」
唯「何をすればいいんだろうって思いながら」
梓「ナニを」
唯「このまま大人になっちゃうのかなって思いながら」
梓「大人に」
唯「そこで軽音部に入ろうと思って
唯「人の話聞いてる?」
梓「それで、そのヤりたい子とやらは見つかったんですか?」
梓「私ですか?」
唯「なに考えて生きてるのか問いただしたいのは私のほうだよ」
梓「そりゃ唯先輩のことを考えて生きてますよ」
唯「うわぁ」
梓「いや、本気で心配してるんですからね!?」
唯「うーん、まあ大学で何か見つけるよ」
梓「大学とかそういう話じゃなくて、私との将来をどう考えてるのかって話ですよ」
唯「私はあずにゃんの将来のほうが心配だよ」
-
梓「ちょっと恋人の振りしてみてくれませんか」
唯「ちょっと恋人いたことないからわかんない」
梓「恋人気分をシミュレートしてみましょうよ」
唯「今まで楽しかったよ、あずにゃん」
梓「別れ話のシミュレートはいいんですよ」
唯「別れ話ならさわちゃんのほうが詳しいと思うよ」
梓「誰が別れ話の相談をしたんですか」
唯「大人だし」
梓「思い出浸る大人のような甘美な贅沢はまだちょっと遠慮したいんですよ」
唯「No Thank you なのはこっちのほうだよ」
梓「でも放課後に2人きりで残ってるなんて珍しいですよね」
唯「たまたまみんな帰っちゃったからね」
梓「誰もいない部室で2人きりなんて、まるで恋人のようですね」
唯「だから付き合ってないんだってば」
唯「まだ」
梓「だから例えばの話だって……」
梓「……え?」
おわれ
-
乙
いつも通りのガチにゃんだな
"
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