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梓「唯先輩の背中には羽がある」
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白くてキレイだけど、飛ぶにはちょっとちっちゃすぎる天使のような羽。
よくわからないけど子供の頃からずっと生えてるらしい。
唯「ムギちゃん、このケーキすっごくおいしいよ♪」パタパタパタ!
紬「そう?良かったぁ♪」
嬉しい時は元気にパタパタ動きます。
唯先輩が歩くと羽も動く。
テクテク パタパタ
唯先輩が走ると羽はもっと速く動く。
タッタッタッタッ パタパタパタパタパタパタパタパタ
どうやら足の動きと連動しているらしい。
唯「スー・・・スー・・・」
唯先輩が机に突っ伏して居眠りしている。
唯先輩が寝てる時は羽も動きません。
力が抜けたように垂れ下がっています。
唯「・・・・・・ムニャ」バサッ!
でも時々びっくりしたように跳ね上がります。
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"
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唯「スー・・・スー・・・」パタ・・・パタ・・・
なにか夢を見ているんでしょうか?
唯先輩の羽は甘い匂いがします。
パタパタ
唯先輩が羽を動かすとその風に乗って辺りに香りが広がります。
クンクン
私はこの匂いが好きです。
梓「そういえば唯先輩の制服って穴あけてるんですか?」
というか制服どころか持ってる服全部に
穴をあけないといけないんじゃ……
唯「んーん?穴なんてあけてないよー」
梓「え?じゃあその羽どうやって……」
唯「服着たら勝手に服の上に出てくるんだよ」
梓「………………」
唯「ひょこって」パタパタ
………深く考えないようにしよう。
紬「今日もすべすべのモフモフねー♪」サワサワ
律「ホントこの手ざわりはクセになるよなー」モフモフ
唯「えへへー♪」
律先輩とムギ先輩はよく唯先輩の羽をさわります。
私も前にさわらせて貰ったことがあるので
その手ざわりのよさはよく知っています。
澪「………………」
梓「………………」
-
でも私と澪先輩は我慢します。
私達がしっかりしないと軽音部は
『唯先輩の羽を愛でる部』になってしまい
練習することがなくなってしまうでしょう。
澪「おい律、ムギ、そろそろ……」
そうですね。練習を始める時間です。
澪「私に代われよ。ずるいぞお前らばっかり!」
!!!
裏切り者!!
ガチャッ
梓「こんにちは」
唯「あ、あずにゃんおいすー」パタパタパタパタパタパタパタパタ!!
梓「練習中ですか?久しぶりですね」
唯「うん、そろそろいけるんじゃないかって思ってね!」パタパタパタパタパタパタパタパタ!!
唯先輩は子供の頃からたまに空を飛ぶ練習をしているそうです。
せっかく羽があるんだから一度は飛んでみたいって。
でもあのちっちゃな羽ではたぶん飛べないと思います。
唯「んーーー!」パタパタパタパタパタパタパタパタ!!
梓「唯先輩の席って窓際の一番後ろでしたよね」
唯「うん。でもホントは後ろから二番目だったんだよ」
梓「そうなんですか?」
唯「一番後ろは和ちゃんだったんだー」
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梓「なんで代わったんですか?」
唯「和ちゃんが羽ばっかり見ちゃって授業に集中できないから代わってって」
ああ、わかります和先輩。
梓「この羽根、唯先輩のじゃないですか?廊下に落ちてましたけど」
唯「あ、多分そうだねぇ」
唯先輩の羽根は時々何本か抜けて落ちてます。
そのうち全部抜けて無くなっちゃうんじゃないかと心配しましたが
髪の毛と同じようなものですぐに生えてくるそうです。
梓「これ、また貰っちゃってもいいですか?」
唯「うん。いいよー」パタパタ
抜けた唯先輩の羽根はいつも私が貰っている。
いっぱい集めていつか羽毛布団を作るのが私の夢です。
唯「あーずにゃん♪」ムギュウ
今日も唯先輩は抱きついてくる。
最初の頃は恥ずかしくって抵抗していた私ですがもう慣れました。
唯「えへへー♪」パタパタパタ
抱きつかれていると肩越しに唯先輩の羽がよく見えます。
喜んでる時の元気な動きだ。
紬「唯ちゃーん。今日はモンブランよ〜♪」
唯「えっ?ホント!?」パタタタタタタタタタタタタタ!!
梓「……………………」ムスッ
唯先輩の羽は真っ白なので汚れたら目立ちます。
体育のあとなんかは羽のお手入れが大変なんだそうです。
私も時々お手伝いします。
ある時、
唯「あっ!羽を黒く染めたら汚れが目立たなくていいかも」
なんてことを言い出したのでお説教しました。
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なにをバカなことを考えてるんですか、と。
怒られてしょんぼりすると羽もだらりと下がり、
あんまり動かなくなります。
それはそれで可愛いのですがやっぱり元気にパタパタ
動いてるほうが好きです。
しょうがないのでケーキを半分あげました。
パタパタパタパタパタパタパタパタパタパタパタパタパタ
唯「あずにゃん、私、飛べるようになったよ!!」
梓「えぇっ!?ホ、ホントですか!?」
唯「うん!今から見せてあげる!ついて来て!」
部室前の階段の一番上から飛んで踊り場に着地するとのこと。
唯「じゃあそこで見ててねー♪」
梓「ゆ、唯先輩。やっぱりやめましょう。危ないですって!」
踊り場から階段上の唯先輩を見上げて言う。
唯「むっ、信じてないんだね、あずにゃん。ホントに飛べるんだから!」
梓「せめてマット敷くとか………」
唯「だいじょうぶだいじょうぶ!いくよー………………とうっ!」ピョン
梓「ちょっ!ゆ、唯先輩!!」
パタパタパタパタパタパタパタパタパタパタパタパタパタパタパタパタパタパタ
梓「………………………」
唯先輩はふわふわゆっくりと踊り場に降りてきた。
………………これは飛んだと言えるのでしょうか?
"
"
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落下速度はたしかに遅いけれど一度も上昇はしていない。
フワリ
無事着地。
唯「どう?あずにゃん!飛んだでしょ!?」
梓「………………そうですね。飛んでました」
唯「もっと練習して遠くまで飛べるようになったらタダで色んなとこに行けるねぇ♪」
梓「………………!」
ギュッ
唯「へっ?あ、あずにゃん……どうしたの?//////」パタパタパタ
気がつけば唯先輩に抱きついていた。
なんだか急に不安になったんだ。
この人は本当にいつかどこか遠くへ飛んで行ってしまうんじゃないかって。
羽のない私を置いて。
梓「唯先輩一人だと不安です………どこに飛んでいくかわかったもんじゃないです………」
唯「もちろん一人じゃいかないよぉ。あずにゃんも一緒に来てくれなきゃ!」
梓「私は飛べませんよ?」
唯「いっぱい練習してあずにゃんを抱っこして飛べるようになります!」
梓「……私、邪魔になりませんか?」
唯「そんなことないよー。私一人じゃ目的地も決められないし、
どうやって行ったらいいかもわからないからね!」
唯先輩がそう言ってくれるなら一緒に行こう。
私には羽はないけどきっと出来ることがあるはずだ。
この人がどこまで行くのかはわからないけどついて行けるところまで。
唯「よし!そうと決まれば練習練習!」タッタッタッ
唯先輩は階段を駆け上がり、また一番上からジャンプした。
唯「とうっ!」ピョン
パタパタパタパタパタパタパタパタパタパタパタパタパタパタパタパタパタパタ
フワリフワリ
………まあどこかに飛んで行くにしてもまだまだ先の話でしょうけど。
おしまい
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これ良いわ
こういうの大好き
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