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憂「一年後の誕生日」
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――桜高、正門前――
梓「あ、憂!」
憂「梓ちゃん!」
梓「久しぶり、憂。ここで会うのはほぼ一年ぶりだね」
憂「ここでは、ね。何かと理由をつけてみんなで遊んでるから、あまり久しぶりって感じはしないけど」
梓「そうだねぇ。別々の大学に行っても、普通にしょっちゅう遊んでるよね、私達」
憂「でもこの格好はほぼ一年ぶりだよ」
梓「そ、そうだね、制服はね、卒業したら着ないよね・・・」
憂「梓ちゃんはお姉ちゃん達と一緒に制服着てバンドしてるんだよね」
梓「・・・うん」
憂「楽しい?」
梓「・・・うん」
憂「なら良かった」
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純「おーい、二人ともー」
憂「あ、純ちゃん」
梓「純おそーい」
純「時間ちょうどじゃん!」
梓「まあ確かに、遅刻しなかっただけマシか」
純「でしょでしょ」
梓「忘れ物は?」
純「大丈夫。誕プレもちゃんと持ってきてるからね、憂」
憂「ありがと、楽しみにしてるね。梓ちゃんも」
梓「う、うん」
純「しかし梓は変わらないなぁ。制服も違和感ないし」
梓「二人だってそんなに変わってないでしょ」
純「私は身長伸びたみたいで、ちょっと袖の所が短く感じたよ」
憂「私も・・・なんというか、ブレザーがちょっと・・・」
純「胸か」
憂「・・・たぶん///」
梓「」
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純「さて、そろそろ・・・」
さわ子「ごめんねー、待った?」
梓「先生!」
憂「お久しぶりです」
さわ子「三人とも久しぶり。元気そうね」
純「ご無沙汰してます」
憂「急に連絡貰った時はびっくりしました。私のお誕生日会を部室で開いてくれるだなんて」
さわ子「ふふ、菫ちゃんと直ちゃんが祝いたがってたし、私も会いたかったしね」
梓「でも大丈夫なんですか? 今となっては私達部外者ですし」
純「だーいじょーぶだって、許可取ってるって話だし。ですよね?」
さわ子「・・・」
憂「・・・?」
梓「・・・あの」
純「もしかして」
さわ子「一階のトイレの窓から進入する手筈になってるわ。ついてきなさい。静かにね」
憂「えっ」
梓「・・・その為の制服だったのか」
純「なんかテンションあがってきたよ私」
梓「下げてなさい」
純「まぁOGなのは事実だし、さわ子先生も一緒にいるしそこまで大事にはならないと思うけど・・・」
梓「もし見つかった時は先生を盾にしつつ私も謝って時間稼ぐから、純は憂を連れて逃げてね」
純「合点承知」
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菫「先輩!先生!こっちです!」
憂「スミーレちゃん!直ちゃん!」
直「お久しぶりです、平沢先輩。さあ手を」
憂「う、うん」
さわ子「ほら、みんな早く入って!」
梓「ちゃんと踏み台まで準備してある・・・」
純「よいしょ、っと」
さわ子「・・・よし、全員いるわね。誰にも見られてないわね」
菫「た、たぶん大丈夫です」
純「二人とも久しぶりー。軽音部はどう?」
菫「えっと・・・」
梓「あ、うん、私が聞いてる範囲は教えてあるから。新入部員として一年の子が二人入ってくれて、片方は経験者なんだよね?」
菫「はい。ギターの子が経験者で、もう一人の子はベースを始めてくれて。いっぱいいっぱいですけど楽しいです」
憂「よかったねぇ」
直「はい。今年の学園祭の映像もありますよ、見ますか?」
憂「もちろん!」
直「では後で部室で。私のパソコンに入ってますので」
憂「やった、楽しみ〜」
純「ふむ。まあ何か困った事があったらいつでも先輩に相談してくれていいからね!」
梓「急に先輩風吹かせてる」
菫「あっ、そうだ、そういう事なら・・・純先輩に一つ相談があるんですが」
純「えっ、いきなり?何?」
菫「えっとですね、あの・・・純先輩って、前の軽音部に憧れの先輩がいたんですよね?」
純「うん、澪先輩だね。その影響でベース始めたようなもんだし」
菫「そのですね・・・新しく入ってくれたベースの子なんですけど、どうも、その・・・」
純「その?」
菫「・・・わ、私に憧れて?入部してくれた?らしくて?」
直「菫、クエスチョンマークが多いよ」
梓「まぁ菫は綺麗な子だからね、憧れる子が居てもおかしくはないね」
憂「かわいいしね」
菫「わ、私どうすればいいんでしょう・・・?」
純「ど、どうすればって・・・今は上手くやってるんでしょ?」
菫「で、でもでもですね・・・」
直「菫は頑張ってますよ。部長や先輩としては。ただ、憧れられる人としてどうすればいいのか悩んでるんです。そういうのは私もわからなくて・・・先輩方、教えてくれませんか」
純「あー、なるほど・・・でも私は遠くから眺めて憧れるタイプだからアドバイス出来そうにないなぁ」
菫「そ、そうですか・・・」
純「でも多分、梓や憂なら答えられると思うよ」
梓「・・・そうだね。えっと、部の仲間として近くにいる以上、イメージとは違う面っていうのは自然と見えてきちゃうんだよ、菫。先輩も、もしかしたら先輩から見た後輩も」
菫「は、はぁ・・・」
憂「・・・でも、近くにいる人を嫌いになることなんてないよ。なにがあっても、絶対に」
梓「だから変に意識して空回りしちゃうほうがもったいないよ。一緒にお菓子食べてお茶しておしゃべりしてれば案外なんとかなるものだよ」
さわ子「・・・」
菫「・・・そう、ですね。そういうものなのかもしれませんね。ありがとうございます、少し気が楽になりました」
憂「いえいえ」
梓「がんばって、菫」
菫「はい!」
純「・・・ところでさ」
直「・・・そうですね」
さわ子「そろそろ移動しましょうか。ガールズトークにはもっと相応しい場所があるはずよ」
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――校舎内、階段――
さわ子「ストップ!教頭先生がいるわ。少し様子を見ましょう」
梓「・・・ああ、なんでこんなコソコソする羽目に・・・」
憂「放課後でよかったねぇ」
直「っていうか私達は堂々としてていいのでは」
菫「まあまあ・・・」
純「私は楽しいけどなあ」
堀込(・・・何やっとるんだあいつらは)
さわ子「背を向けた瞬間に行くわよ・・・今だ!」
全員「わ、わあ〜〜」コソコソ
さわ子「さあ上の階へ!目的地はすぐそこよ!」
教頭「おや?今のは・・・」
堀込「教頭先生、どうかされましたか?」
教頭「ああ堀込先生。今、山中先生とその教え子達が通りませんでしたか?」
堀込「通りましたね。コソコソしてましたな」
教頭「何をコソコソする必要があるのか・・・先週の時点で許可は出したはずですが」
堀込「山中先生なりに、皆を楽しませたいと思っとるんじゃないでしょうか」
教頭「大人ならもう少し良いやり方があるでしょうに・・・」
堀込「ははは、違いない。あいつはいつまで経ってもどこか子供だ」
教頭「・・・それが良い所なのかもしれませんがね」
堀込「かもしれませんな」
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――軽音部部室――
梓「よ、ようやく辿り着いた・・・」
純「なかなかスリル満点だったね」
菫「それはそうですけど・・・」
直「腰が・・・」
憂「あはは・・・でも、うん、ドキドキして面白かったかも?」
梓「憂まで・・・」
さわ子「ふふふ、これからが本番よ。はいでは皆さん、ご一緒に・・・」
「「「「お誕生日おめでとう!」」」」
憂「えへへ・・・うん、ありがと、みんな」
梓「はい憂、これ」
純「私達からの」
直「プレゼント」
さわ子「です!」
菫「ケーキもありますよー。夜はお嬢様達と約束があると聞きましたのであまり大きくない物にしました」
憂「ありがと・・・幸せ者だなぁ、私。じゃあ、ケーキはさっそくみんなで食べよ?」
菫「はい、では切り分けますね。少々お待ちを」
憂「・・・あれ?みんなといえば、新入部員の子達はいないの?」
直「今日は休みって伝えてあります」
純「まあ確かに、初対面が誕生日ってのは難易度高そうだしね。憂は会ってみたかったんだろうけど」
菫「それに・・・憂先輩は『私達の』先輩ですから」
純「まあっ」
憂「そ、そう言われるとなんか照れちゃうね。ね、梓ちゃん?」
梓「なんで私に振るの!?」
純「どうなんですか梓部長!」
憂「部長!」
梓「もう部長じゃないし!」
直「」カタカタ
菫「待って直ちゃん!多分それ私にもダメージ大きいやつだから記録しないで!」
さわ子「・・・青春ねぇ」
ワイワイ
ガヤガヤ
さわ子「・・・軽音部との付き合いは長いけど、どの代もちゃんと楽しんでるのは良い事よね」
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おしまい
憂ちゃん誕生日おめでとう
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ありがとう
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卒業後の進学先が違うってのもいいもの。
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