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澪「誕生日のお祝いともう一つのお祝い」
-
コンコン
澪「はーい」
カチャ
梓「どうもです、澪先輩」
澪「梓、どうかした?」
梓「は、はい……今日はちょっと晩ごはん遅くなるようなのでそれを伝えに」
澪「そっか、分かった」
梓「それと、あとは特に用事はないんですけど……」
澪「?」
梓「ええっと……その」
澪「単に私の部屋に遊びに来たって所かな?」
梓「そ、そうですね…///」
澪「ふふっ、とりあえず入りなよ」
梓「お、お邪魔します」
パタン
梓「澪先輩は今何を?」
澪「ああ、今度提出するレポートを纏めてる所だよ」
梓「あ……すいません、本当にお邪魔ですね私」
澪「もうそろそろ終わるから構わないよ、それまで暇だろうけどゆっくりしてて」
梓「ありがとうございます、邪魔にならないようにしますから」
澪「いやいや、ゆっくりしていっていいよ」
――
澪「文体はこれで問題なし……後は誤字脱字ないか確認して、と……」
梓「…………」
梓(やっぱり何事にも集中している時の澪先輩、かっこいいな……)
梓(昔、ギターやり始めの頃しばらくは弦をまともに交換出来なくってお母さんに弦を交換してもらってたけど)
梓(あの時のテーブルの椅子に座って、弦を変えてくれているお母さんの後ろ姿を見るのが好きだったな……なんだか安心するっていうか)
梓(今こうして後ろから澪先輩の姿を見ていると、あの時と同じようになんだか安心して……ほっとする)
梓(ん……ちょっと、眠く…なって……)
"
"
-
――
澪「んーっ……これで今度提出するレポートは完成だ」ノビ-
澪「梓お待たせ、なんか二人で……?」クルッ
梓「すー……」
澪(寝ちゃってる……)
梓「ん……くー……」
澪(もう、人のベッドで丸くなって寝て……まるで小猫だな)ツンツン
梓「んっ、うーん……」
澪(梓、大学に入って髪下ろすようになったから長い髪がベッドに広がって……可愛いけどなんだか扇情的だ)
梓「ん……すー……」
澪(そういえば前にも似たようなことがあったっけ……)
―――――――――――――――――
――
〜一年前!
澪「よし、じゃあ一旦休憩しよっか」
梓「はい、流石にちょっと疲れました……うーんっ」ノビ-
澪「ふふ、猫が伸びをしてるみたいだ」
梓「か、からかわないでください///」
澪「ごめんごめん」
梓「けどすいません、こうして受験勉強の手伝いに来ていただいて……」
澪「ううん、梓がN女子大を受けるって決めたならちゃんと合格出来るよう私も全力で協力したいからさ」
澪「私が梓に出来ることといったらこうして勉強を教えることぐらいだし…」
梓「そんなことありません! 私は澪先輩が傍にいてくれるだけで……」
澪「え…?」
梓「! い、いえとにかく、勉強以外でも澪先輩には助けていただいてますから」
澪「あ…う、うん///」
梓「……///」
-
澪「…あ、ああそうだ、私何かあったかい飲み物でも持ってくるよ、台所借りるね」
梓「…は、はいっ、ではコーヒーでお願いします」
澪「わかった、じゃあちょっと待ってて」カチャ
梓「はい」
パタン
梓「はあ……」ポスン
梓(私、やっぱり澪先輩のことが好きだ……ずっと傍にいてほしい)
梓(澪先輩も私のこと決して嫌いじゃないよね、嫌いな子にこうして受験勉強の手伝いになんて来ないし)
梓(でも澪先輩はあくまで私のこと、好きだとしても一人の後輩としてだろうし……)
梓(やっぱり、私の気持ちはずっと隠しておくしかないのかな……)
梓(ん……ちょっと、疲れ…て……)
――
澪「梓お待たせ、砂糖とミルクはお好みで…?」カチャ
梓「すー……」
澪(寝ちゃってる……とりあえずコーヒーはこっちに置いて、と)コト
梓「くー……」
澪(やっぱり疲れてるんだな、もう少し勉強してキリのいい所で今日はおしまいにした方がいいかな……)
澪(…………)
梓「すー……」
澪(梓、この一年ずっと頑張ってきたんだよな……新しい軽音部の部長として、そして今は受験生として)
澪(梓にはいつも大変な思いばかりさせてるよな…)
梓「んー…むにゃ…」
澪(無事に合格出来たら、もう離れたくない。ずっと傍にいて守ってあげたい)
澪(梓……)スッ
チュ
澪(ん……ほっぺなら大丈夫だよな)
-
梓「み、澪先輩? 今……///」パチリ
澪「! あ、梓っ、今のはえっと、なんていうか///」
梓「あっ、いえ……別に嫌だった訳ではなくて」
澪「え?」
梓「その……嬉しかったので、大丈夫ですよ///」
澪「梓……///」
梓「えへへ……なんか元気出てきました」
澪「……よしっ、じゃあコーヒー飲み終わったらもうひと頑張りするか」
梓「はい!」
――
―――――――――――――――――
梓「くー……」
澪(あの後、梓が無事に大学に合格して……その後ではっきりと梓から好きだって告白されて)
澪(晴れて恋人同士になれて……)
澪(今こうして大学で、寮にいる間はあまり込み入ったことは出来ないけど……)
梓「んー……」
澪(梓……好きだよ。ずっと一緒にいような)スッ
チュ
梓「んっ……ほっぺたくすぐったいです」パチリ
澪「あ、起きた?」
梓「もう……澪先輩ったら、私が寝ている時はぜったい口にはキスしないんですから」
澪「いや、それはなんていうか……寝ている恋人の唇を奪うのはフェアじゃない気がして」
梓「じゃあ、起きていれば問題ないんですか?」
澪「ま、まあ……そうなのかな」
梓「なら……んっ」ズイッ
澪「あーずさ、その突き出した唇はなに?」
梓「もう、澪先輩ったら分かってるくせに」
-
澪「しょうがないな……目、閉じてくれる?」
梓「はいっ」
澪「じゃあ……」スッ
コンコン
晶「澪、いるかー?」
梓「!!」ビクッ
澪「! あ、ああいるよ、今出る!」パタパタ
ガチャ
晶「別にそんな慌てて出てくる必要ないって」
澪「う、うん……それでどうかした?」
晶「ああ、まずはこないだ借りたCD返しにな。さんきゅ」サッ
澪「あ、ああどういたしまして」
晶「梓、ごくろうさん」チラッ
梓「ど、どうもです晶先輩」
澪「? ごくろうさんって何が?」
晶「ん、ああいや……にしても梓は澪の部屋にいる方が見慣れてるな、いっそ来年から一緒の相部屋にしたらどうだ?」
澪「そ、そうだな、梓がいいって言うなら」
梓「そ、そうですね、澪先輩がいいって言うなら」
晶「っ、全くお前ら…」
菖「姉妹のようで、それでいて初々しさがあっていいよね!」ササッ
晶「うおっ菖!? いきなり出てくるなって」
幸「わ、私は二人を応援してるけど」スッ
晶「幸も……って、何の応援だよ」
梓「菖先輩と幸先輩ったら…///」
澪「は、はは…///」
晶「それと、もうすぐ夕飯だから食堂に来いよ二人とも」
澪「う、うん分かった」
梓「了解です」
パタン
澪「……ふー、ちょっと焦ったな」
梓「びっくりして心臓跳ね上がりました……///」
澪「うん、私も……じゃあ改めて」
梓「はい……んっ」
チュッ
"
"
-
――
澪「さてと、少し遅くなったし早く食堂に行かないと」
梓「はい、でも割りとちょうどいい時間かもです」
澪「ん、どうして?」
梓「い、いえその……」
澪「? まあいいか、皆お待たせ……」
パンパンパ-ン!
澪「うわああっ!?」
梓「にゃああっ!?」
唯律紬憂純晶菖幸「澪(ちゃん・さん・先輩)、二十歳の誕生日おめでとうー!」
梓(私までクラッカーに驚いちゃった…)
澪「え、ええっ!? 誕生日って……あっ今日って私の?」
律「やっぱり忘れてたんだな澪ー、けどおかげでやりやすかったぜ」
唯「ふっふっふ、今日の澪ちゃんの誕生日のためにひそかに計画していたんだよっ」
紬「うん、今日晩ごはんが少し遅れたのもそのためだったの」
澪「そうだったんだ……いや驚かされたよ」
憂「それで、梓ちゃんには澪さんに今日の晩ごはんは遅れるって伝えるように頼んで……」
純「誕生日会の準備中に澪先輩が来ないよう、しばらく部屋に留めておくようにも頼んでおいたのです」
澪「それでなんかちょっと梓が挙動不審なように見えたんだな」
梓「も、申し訳ないです」
純「梓は割りと隠し事出来ない子ですからねえ、それがちょっと心配でした」
梓「じゅ〜ん〜!」
純「おおっと失礼ー」
澪「いや、大丈夫だよ。おかげで梓と貴重な時間を過ごせたしさ」
梓「澪先輩…///」
律「おっと二人ともラブシーンはもうちょっと後にしてもらうぜ! さあ座った座った」
澪「ラ、ラブシーンって///」
梓「律先輩ったらもう…///」
-
――
唯律紬梓憂純晶菖幸「ハッピーバースデートゥーユー!」
澪「あ、改めてありがとうみんな///」
純「さっ、澪先輩どうぞローソクの火を」
澪「ふぅーっ」
律「おっ、昔のファミコンカセットを吹くのと同じ吹き方だな」
澪「多分違うぞ」
律「はは、ともあれおめでとさん」
晶「しかしまあ、誕生日祝いとはいえこのケーキでかいな……いったい何号あるんだ?」
菖「誕生日のケーキがガトーショコラっていうのも変わってるけど、すごく美味しそうだね」
幸「澪ちゃんの好きなケーキということで、憂ちゃんが食堂の台所を借り切って作ったみたい」
憂「はい、人数も多いのでちょっと頑張っちゃいました」
唯「私も手伝ったよー!」
梓「わ、私もです!」
晶「ああわかったわかった」
澪「なんか恐れ多いな……じゃあ切り分けてみんなに」
紬「澪ちゃんストーップ! 大事なこと忘れてるわ!」ズイッ
澪「わ、忘れてるって何が?」
律「ケーキカットだぞケーキカット! なら最初の一刀は……ほれ、こいつで」スッ
澪「な、なんだこのナイフ? 大きすぎるだろ」
梓「!///」
純「もー澪先輩! これを梓と一緒に持って最初の一刀を入れるってことですよっ」
澪「え……あ///」
梓「……///」
菖「! まさかっ、この誕生日会は澪ちゃんと梓ちゃんの結婚式も兼ねてるの?」
澪「け、結婚……///」
梓「式……///」
純「結婚式かどうかは分かりませんが、去年のだいたいこの季節に梓が澪先輩に告発いたしまして……」
梓「告発じゃないよ! 告白!」
純「とまあ、そういうわけで二人が恋人になってからだいたい一周年近い記念でもあるのでそれのお祝いも兼ねてです」
梓「うっ……///」
菖「おーっ」
晶「だいたいってまたアバウトだな…」
律「まあその辺りは気にしない方向でな」
-
澪「まあ…私の方から先に告白出来なかったのは、我ながら情けなかったけどさ」
純「でも澪先輩からOKもらった直後、梓ったら感極まって泣き出しちゃって」
純「それで澪先輩はびーびー泣く梓の唇を黙って……」
梓「じゅ、純! まるで見てたふうに言わないでよ!///」
澪「鈴木さん……半分ほど捏造しないでくれ///」
純「えへへ、すいませんです」
紬(半分は本当なのね、グゥレイト!)
幸「泣いちゃったのもずっと離れてて想いが募ってて、やっと想いが通じたから……だろうね」
晶「けど良かったじゃないか、長年のなんていうか……恋が実った瞬間だったんだろ?」
梓「は、はい……初恋が実りました///」
菖「初恋は実らないって言われるけど、さすが梓ちゃん! そんなの関係ないねっ」
幸「うん、二人ともお似合いだと思うし改めて祝福するよ」
晶「まあ、二人がそういう仲だっていうのは私もOKと思うしな」
純「ふつつか者の梓ですが、この純に免じて澪先輩、改めて……」
澪「うん、任されました」
梓「ちょっと純、何が純に免じて、よもう……///」
律「ちょっとちょっと、そろそろケーキカット頼むぜお二人さん?」
唯「ムギちゃんがケーキカットの瞬間を撮ろうとうずうずして待ってるよー」
紬「澪ちゃん梓ちゃん、さあ、力みなぎる、私が撮る準備は出来てるわ!」REC
晶「お前は少し自重しろ」コン
紬「うふふ、晶ちゃんからツッコミ頂きました〜」
澪「はは……じゃあその、一緒にやろっか梓?」
梓「よ、よろしくお願いします…///」
-
澪「じゃあ、せーので」
梓「はい///」
澪梓「せー……のっ」
ストン
唯「おーっ、やっぱり澪ちゃんとあずにゃんのケーキカットは絵になるね!」
紬「ええ……私には、今日まで生きている意味があったわ!」REC
律「まったく澪もほんと可愛い後輩をお相手に見つけたもんだぜ」
憂「梓ちゃん、おめでとう!」
純「澪先輩を大事にしなかったら私が承知しないぞー!」
晶「まああれだ、二人ともこれからも仲良くな」
菖「二人ともお似合いだよ!」
幸「うん、二人の幸せを祈るよ私も」
澪「……なんかもう私の誕生日会というより私達の結婚式みたいになってるな///」
梓「わ、私もう恥ずかしくて死にそうです……///」
澪「私もだよ……でも、さ」
梓「?」
澪「これからもその……えっと、よろしくなずっと///」
梓「……はい///」
おしまい!
"
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