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澪「昔書いた歌詞が恥ずかしすぎて死にたい」
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律「えっ 今さら?」
澪「えっ」
律「いや、いっつも自信満々でとてつもない世界観を披露してくるから」
澪「……書いてる時はいいんだよ、深夜でテンション上がってるし、
ちょっと変かな?って思うとこがあっても、まあいいかって」
律「ちょっと…?」
澪「みんなに見せた時もまだ書き上げた時の高揚感を引きずってて
自己満足に浸っていられるんだけどさ」
律「唯もムギも基本的に褒めるばかりだからな」
澪「梓は思うところがあっても文句言えないだろうし」
律「まあちょっとアレな歌詞を面と向かって否定できるのは私くらいだよな」
澪「そうなんだよ、悪いところを言ってもらえないから勘違いしちゃって」
澪「ちょっとアレってなんだよ!!」
律「自分で言い出したんだろ!」
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「なんだかんだ言ってライブも好評だったし、別にいいだろ」
澪「でもしょせんクラス内とか学校内とか、身内だけの盛り上がりだから」
律「ライブハウスでもそこそこウケてたし」
澪「いや、プロ志向のバンドに混じって浮いてたよ」
律「ロンドンでも一応盛り上がったし」
澪「あいつら外人だし、どうせ私の歌詞なんて理解できてないよ」
律「日本人でも理解に苦しむ時があるんだけど」
澪「願い事も悩み事もホッチキスで綴じちゃおうってどういう比喩表現なんだよ」
律「知るか」
澪「中辛のカレーが大人味ってどういう事なんだよ!!」
律「こっちが聞きたいんだよ!!
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澪「そういえば律に歌詞を褒められた事ってなかったよな」
律「澪を傷つけたくなかったし、自分にウソをつきたくなかったんだ」
澪「いったい何が言いたいんだ」 ミエナイキコエナイ
律「うわべだけの薄っぺらい褒め言葉なんていらないだろ?」
澪「いや、私はただ……」
律「マフラー巻いたムギの後ろ姿が男性の卑猥な部分に見えるとか
そんな事ばっかり書いてたらそりゃ却下するよ」
澪「書いてないよそんな事!」
律「あと『後輩の髪がよく見ると長すぎて怖い』とか
『生徒会長の奇妙なメガネフレーム』とか」
澪「もはやただの陰口だ」
律「正直、スランプの時に歌詞を見せられるのは生き地獄だったよ」
澪「どんな歌詞だったんだよ……」
律「もう思い出したくない」
澪「忘れてくれ」
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澪「お前らはいいんだよ、どうせムギが作った曲を演奏してるだけだしさ、
恥ずかしい歌詞は自分が書いたわけじゃないって顔して」
律「恥ずかしいってわかってるなら途中で思いとどまってくれ」
澪「お前や梓は人が作った曲や歌詞にやいのやいの言うだけだよ」
澪「お前らはあれか、胸だけじゃなくて心まで貧しいのか」
律「やかましい」
澪「大体ふでペンってなんなんだよ、そんなの使ったことないんだよ」
律「それは知らないけど」
澪「それでバンド名が ぴゅあぴゅあ☆ とかだったら痛すぎるだろ」
律「だから却下しただろ」
澪「ちやほやされるのは唯の書いたやつばっかりだよ」
律「いや、澪のもそんな恥ずかしいわけじゃないだろ」
律「でも『大切なあなたにカラメルソース』だけはちょっと」
澪「あれはムギが凄いな」
律「認めちゃった」
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澪「いいんだ、どうせ私は黒歴史ノートとか電波なブログに
痛いポエムを書き連ねて引きこもってるのがお似合いなんだ」
律「しっくりくるな」
澪「否定してくれよ」
律「あのな、お前が自分の歌詞をどんなに恥ずかしく思っててもな、
お前が書いた歌詞は放課後ティータイムの歌詞なんだよ」
澪「私たちの?」
律「みんなで持ち寄った歌詞の中から、みんながお前の歌詞を選んで、
ムギが作った曲を私たち全員で演奏して、唯やお前が歌うんだ」
澪「でも私は……」
律「ギターがいて、ベースがいて、ドラムがいて、ボーカルがいて、
曲を作ってくれる奴がいて、歌詞を書いてくれる奴がいて、
私たちができる事を一つに合わせてさ」
律「その中のどれが欠けてもダメなんだよ、それがバンドだろ!」
澪「律……」
律「お前が書いた歌詞があったからこそ、今までのライブがあったんだろ?
ムギが作った曲に合わせて練習して、それを聞いてくれたみんながいて、
それでもお前は今まで書いてきた歌詞が恥ずかしいと思うのか!」
澪「私は……」
ただ、律に気付いて欲しかっただけなんだ。
いつも真っ先に見せた歌詞に、想いを込めて。
大切な言葉を、歌声に隠して。
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律「澪が歌詞を書く時ってさ」
澪「ん?」
律「ちょっと遠回し過ぎたり、例えが難解すぎたりする時があるけどさ」
澪「なんだよ、また作詞批判か」
どんなに寒くてもぼくは幸せ
白い吐息弾ませて駆けてくキミを見てると
律「片思いの歌詞が多いだろ?」
澪「……そうかも」
律「ああいう恋に憧れてるのかなって」
切り揃えた髪がとても似合ってる
でも前髪をおろしたキミの姿も見てみたい
澪「あ、雪降ってきた」
律「ごまかすな」
何から話せばいいのかな 『好き』から始めていいかな
舞う雪 踊った気持ちみたい なんかうれしいね
澪「なんだよ、歌詞について改めて聞かれるのって恥ずかしいんだよ」
律「前からちょっと聞いてみたかったんだ」
澪「……何を?」
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律「誰かをイメージして書いてるのかなーって思ってさ」
澪「何を言わせたいんだよ……」 ボソッ
律「え?」
澪「なんでもないっ」
こんなに鮮やかな白く光る街
キミとぼくで歩きたい 手を繋いでならいいのにな
澪「どうせ私の歌詞は夢見がちで、メルヘンすぎて子供っぽいよ」
律「すねるなよ」
澪「歌詞を褒められるどころか新しい歌詞の感想聞いただけで
なぜか急に首を絞められたこともあっただろ」
律「へ!? あ、あー……あれな…冬の……」
澪「なんだったんだ、あれ」
いたずらな笑顔がとても似合ってる
でも頬を赤くして照れてるキミも見てみたい
律「だってお前、差出人も何も書かないでポストに入れられてたらさ」
澪「もしかして、私がポストに入れといた歌詞を何かと勘違いしたとか?」
律「いやあの」
どうして言葉が出てこないのかな 辞書でも引いてみようかな
降る雪 止まない気持ちみたい ちょっと切ないね
澪「例えば……」
律「雪、ずいぶん降ってきたなー」
澪「おい、ごまかすな」
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律「でも、私はあのストレートな歌詞が好きだよ」
澪「……本当?」
律「唯のボーカルもいいけどさ、本当は澪に歌って欲しかった…かな」
こころの奥で 大きく息をしよう
胸が痛むことも増えた気がするけど
でもその分キミのこと想ってるって気づいたよ
やっぱりね
澪「いま、褒めた?」
律「熱でもあるのか?」
澪「……初めて褒められた」
律「そんな事ないだろ……たぶん」
明日もいつもの場所に行くよ 駆けてくるキミを待つよ
初雪 待つような気持ちがほら もっと弾んで
律「澪」
澪「ん?」
律「私、好きだぞ」
澪「えっ!?」
何から話せばいいのかな 『好き』から始めていいかな
舞う雪 踊った気持ちみたい なんかうれしいね
律「澪の……」
澪「あ、あの……」
律「歌詞が」
澪「かっ………」
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紬「……そのクリスマスの夜、彼女たちは少女から大人にな
律「待て、何の話だ」
紬「えっ、みんなで歌詞を書いてこようって……」
澪「だからなんでお前は小説風に歌詞を書いてくるんだよ!?」
梓「歌詞だったんですね、今の……」
紬「ノンフィクションの」
律「デタラメ言うな」
唯「後は曲をつけるだけだね、ボーカルはやっぱり澪ちゃんで……」
澪「ムチャ言うな」
律「冗談ばっか言ってないで、真面目に歌詞作ろうぜ」
紬「でも冬の日を澪ちゃんに歌って欲しかったのは本当でしょ?」
律「なんで知ってるんだよ!?」
唯「えっ」
律「うっさい、何でもないっ」
梓「リア充爆発すればいいのに」
律「中野っ!」
おわれ
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昔書いたSSって恥ずかしいよね、って話にしたかったのに
どうしてこうなった
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まあまあいいじゃない
"
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