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平成仮面ライダーバトルロワイアルスレ5

169加速せよ、魂のトルネード ◆JOKER/0r3g:2020/09/06(日) 16:31:30 ID:6c9iHJDY0





カブトへと到達せんとしていた風の矢を、黒い壁が切り伏せる。
ガッ、と鈍い音を立て地に落ちる両断された矢を、誰もが驚愕の目で見やる。
何故なら今カブトの前に立ったその戦士の登場を予想していたものは、この場に誰一人としていなかったのだから。

「始……!?」

未だ膝をついたままのカブトが、思わず彼の名前を呼ぶ。
歓喜ではなく驚愕を含んだその声に、しかし張本人であるカリスが振り返ることはない。
ただ真正面から風のエルに敵意の眼差しを向けながら、しかし彼の心中には先ほどまでとは違う総司への感情が芽生えつつあった。

(ジョーカーの男がああまで庇う理由はある……か)

先ほど剣崎を殺したワームとして総司を殺そうとした自分を必死に止めた、ジョーカーの男こと左翔太郎。
彼もまた仮面ライダーであり、剣崎からその志を受け継いだ一人なのだという彼の言葉を、始は正直信じてなどいなかった。
それでもその言葉を無視しブレイバックルを破壊させるのも寝覚めが悪いと、一度はその矛を収めたのだ。

その言葉の真偽を確かめる機会、それを大ショッカーとの次なる戦い……すなわちこのエルロードとの戦いに求める形で、ではあったが。
では果たしてこの戦いで総司の姿は始の目にどう映ったかと問われれば、その答えはただ一つ。
剣崎を殺し、笑顔で逝ったあの男と同じ姿をした男は、始をしても一点の疑いなく仮面ライダーの一人だった……そう認めざるを得ないものだった。

(この地にはお前と並ぶだけの仮面ライダーが多くいる、か。俺にその名を名乗る資格はないが……この男は、違うのかもしれないな)

そうしなければ生まれ変わることは出来ぬと、笑顔で死んだあの男。
彼が残したその最後の言葉が指す存在の一人に、今自身が背に庇う新たなカブトも含まれているのだろうか。
既に確かめようもないそんな感慨を拭うように、カリスは懐から一枚のカードを取り出す。

ハートスートのK、パラドキサアンデッドを封じたそれを眼前に構えて、彼は勢いよくそれをバックルへと滑らせた。

――EVOLUTION

進化を意味する英単語が、カリスの身体を赤く染めていく。
全てを滅ぼす最悪の死神でありながら人の血を思わせるその体色は、まさしく“相川始”だからこそ辿り着いた一つの最終形。
仮面ライダーワイルドカリスへの変身を果たした彼は刹那、両手に鎌状の双剣を携え風のエル目掛け飛び掛かる。

飛び交う矢など意に介する必要もない。
今までにも増してあっさりと切り伏せながら、カリスはワイルドスラッシャーを振るう。
息つく隙すら見せぬ彼の連撃に、風のエルはあっさりとその身を刻まれ吹き飛んでいく。

「総司、大丈夫か!?」

カリスの圧倒的な強さに息を呑むカブトに対し、ダブルが駆け寄る。
ダメージこそ負ったが、少し休めば戦えるようになるだろう。
自分たちの不手際でカブトが致命傷を負わなかったことを、彼らは心から安堵した。

「僕は大丈夫だよ、それよりも始を手伝って。僕も、すぐ行くから」

「総司……お前」

複雑な感情を抱いて問うた翔太郎の声に、カブトはただ頷く。
仮面に隠れその表情を伺うことは出来ないが、それでも彼が決して渋々始を助けようとしている訳ではないことは明らかだった。
自身を仇として殺意を向けてきた相手すら許容し共に歩もうとするその意志は、翔太郎からしても眩しいほどの仮面ライダーの資質とすら言える。

或いはそれすら彼が剣崎の死に対して抱いている大きすぎる自責の念が生む覚悟なのかもしれないが、それでも。
ダブルはカブトの意を受けて、ゆっくりと立ち上がった。

「行くぜフィリップ、あいつだけに良い格好させらんねぇ」

「あぁ、エクストリームで勝負だ」

風のエルを切りつけるワイルドカリスの姿を目の当たりにしながら、しかしダブルも当然見ているだけで終わるつもりはない。
慣れた手つきでメモリをサイクロンへ換装したその瞬間に、フィリップのデイパックより飛来した鳥を模した自立型メモリが気絶する彼の身体をその身に吸収する。
思いがけぬ光景に困惑するカブトを尻目にそのメモリがドライバーへと装填されたその瞬間、エクストリームは独りでに己が身を開いていた。


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