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平成仮面ライダーバトルロワイアルスレ5

167加速せよ、魂のトルネード ◆JOKER/0r3g:2020/09/06(日) 16:30:59 ID:6c9iHJDY0

木野薫、津上翔一、そして葦原涼の死によって遂に絶やされたと思われていたアギトの種がまたこうして予想外の形で発芽したことに、彼はどうしようもない動揺を示したのである。
故に彼の全知全能たる頭脳は、今この状況の解明にのみその全てを費やされていた。

「まさか……あの時、“彼”は既に他の世界の存在をも感知し、アギトの種を撒いていた……?」

果たして首領が導き出したのは、彼が考え得る最悪の可能性。
かつて人類に“火”を齎そうとした自身にも等しいもう一人の存在との、長きに渡る争い。
その結末として敗北した彼が撒いたアギトの種は、或いは一条薫の住む『クウガの世界』を始めとした他の世界にも撒かれていたというのか。

可能性としては、0ではない。
現に自分はこうして9つもの自身が創り出したわけではない世界を見つけ、一つにまとめ殺し合いを開いている。
たまたま自分が最近まで見つけられなかったというだけで“彼”はあの時にもう数多の世界を見つけ、そこに住む人類にも同様にいつかの切り札としてアギトを齎していた。

そう考えれば――無論、心底から悍ましいことに変わりはないが――この事象に一応の説明を齎すことも、出来なくはない。

「……フッ」

だが、そうして思考を巡らせる首領をあざ笑うように、バルバは一つ息を漏らす。
まるで答えを知っているかのようなその思わせぶりな態度に、さしもの首領とて怪訝な表情を浮かべることは免れなかった。

「何を笑うのです、ラ・バルバ・デ」

「……テオス、お前はやはり人間のこともアギトのことも、微塵も理解していないのだな」

「ならばラ・バルバ・デ。あなたは彼らについて何を知っているというのですか」

首領のその声には、僅かばかり苛立ちが含まれている。
だがそれを向けられた当のバルバはそれすらも汲み取ったうえで、なお涼しい顔を崩さない。

「テオス、アギトを新たに生み出せるのはお前と等しい力を持つ存在だけだと、お前はそう言ったな」

「えぇ。そして“彼”が滅んだ今、私以外にそんな存在などいるはずが――」

「――本当に、そう言い切れるか?」

首領の言葉を遮ったバルバの声には、確信が満ちている。
まるで自分の考えが、間違っているはずなどないと言わんばかりに。

「もし仮にアギトが無限に進化を続けるならば、それが最終的に辿り着くのは何か……お前は既に分かっているだろう、テオス」

「――まさか」

バルバの言葉の意味を理解した首領の身体が震えだす。
アギトが進化を続けた先に辿り着く、唯一無二の存在。
その答えは、ずっと恐れ続けていた悪夢そのもの。

自身に似せて創り上げた人間がアギトとなることで、いつしか起こり得る最悪の事象。
すなわちそれは、人間が自身と同じ神に等しいだけの力を持つこと。
それを妨げたい一心で、アギトになり得る可能性のあるとはいえ愛しい我が子らを眷属の手にかけてきたというのに。

それが全てこんな形で覆されるなど、彼からすれば最も受け入れがたい残酷な現実に違いなかった。

「だが、可能性はあるだろう。お前に初めて手を触れた人間であり、一度はお前の肉体をも滅ぼしたあのアギトならば、その死に際に他者の中にアギトの種そのものを与えることも或いは……」

バルバはただ、淡々と言葉を並べ続ける。
それは最早、ただの脚色や考察などと片付けられないほどに整然としたもので。


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