したらばTOP ■掲示板に戻る■ 全部 1-100 最新50 | |

平成仮面ライダーバトルロワイアルスレ5

164加速せよ、魂のトルネード ◆JOKER/0r3g:2020/09/06(日) 16:30:00 ID:6c9iHJDY0

(申し訳ありません照井警視正、自分は貴方と違い、何も守ることが出来ませんでした――!)

家族を殺した仇を討つために照井が得たという、仮面ライダーアクセルの力。
だがそれがどんな理由による始まりだったとしても、照井が自分や京介を守りその思いを託してくれたことは、紛れもない事実だった。
だというのに結局自分は、彼の望み通り戦い続ける事が、出来なかった。

どころか今やこうして庇護されるだけの一般人として、守りたかった笑顔を闇に染めることすら止めてやれない体たらく。
これを照井が見れば何というのかなど、考えたくもなかった。

「薫」

沈黙した一条に向けて、再び士の声が届く。
もう時間がないと、そう告げているのだろう。
ふと見れば、水のエルを相手に戦い続けるクウガは徐々に押され始め、遂にはその身体を地に倒れ込ませていた。

やり切れぬ無念に拳を握りしめ、一条は士に向けて手を伸ばす。
その手を取り、この場から離れて最悪の事態だけは……もう二度と小野寺ユウスケから笑顔を奪うなどという悪夢だけは、避けるために。

――『お前は警察官だろう!ならば、命に代えても一般市民を守るのが使命のはずだ!』

ふと、伸びかけていた手が止まる。
たった今脳裏を過ったその声は、照井の今際の言葉だ。
質問を許さないなどという不可思議なことを述べながら、それでも職務には誰よりも熱く忠実だった、素晴らしい男の声。

記憶中枢に焼き付いたそれは未だその瞬間の光景や匂いすら伴って、まるで一条にその決断をやめろと訴えるように響き続ける。

――『警察官として……仮面ライダーとして、このふざけた戦いにゴールを迎えさせろ!一条薫、行けぇぇぇぇぇぇ!』

自分が最後に耳にした、照井の願い。
そして同時、ふと気づく。
彼は決して仮面ライダーとしての使命だけを自分に託したわけではない。

アクセルという力も託したがそれ以上に、警察官としての矜持さえも、自分に託したのだ。
あの短い時間で、他に選択肢こそない状況だったと言えど、それでも。
彼は警察官としての自分に、残された無念の全てを託したのである。

グググ、と冷え切っていた一条の身体の芯に、炎が再び灯される。
アクセルに変身できないからなんだというのだ。
照井は決して、仮面ライダーでなくなったことに全てを絶望したわけではない。

例え力が奪われようと、敵に敵う道理などなかろうと、それでも残された警察官としての思いで以て、あの恐ろしい未確認を相手に立ち向かって見せたではないか。
なれば、ここで自分が諦めて良いはずがない。
クウガが闇に堕ちるなどとそんな認めたくない未来のビジョンを、何もせず受け止めていいはずがないではないか。

「薫……どうかしたのか?」

自身の手を取らぬ一条に不審を感じた士が、問う。
正直に言って、自身の今からやろうとしていることが正しいかは分からない。
或いは彼に言えば、真っ向から反対されることすら容易に想像できた。

だがそんな時なんと言えばいいのか、その答えすらも、一条は照井から既に学んでいた。


新着レスの表示


名前: E-mail(省略可)

※書き込む際の注意事項はこちら

※画像アップローダーはこちら

(画像を表示できるのは「画像リンクのサムネイル表示」がオンの掲示板に限ります)

掲示板管理者へ連絡 無料レンタル掲示板