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平成仮面ライダーバトルロワイアルスレ5

113第四回放送 ◆JOKER/0r3g:2020/02/11(火) 12:25:21 ID:UFvFTXtk0

だがその力を宿す者は一人残らず死してしまった。
それにその力を内包しうる世界の破壊者もまた、アギトの力の継承には至っていない。
言ってしまえばライダーズギアと違ってその個人個人に由来するのだろうアギトの力は、既に失われてしまったと言うことだ。

少なくとも、この会場の中においては。

(アギトは、人間の進化の可能性……と言ったか。それが首領に対する切り札になり得る上、もう滅びてしまったとは……皮肉なものだ)

思わず悲観に暮れて、彼方を見上げ溜息をつく。
ともかく、アギトに関しては考えるだけ無駄だ。
今は無い物ねだりではなく、それに代替しうるような首領への対抗手段を講じなければ。

そんな風に思考を切り替えつつ、また歩みを進めようとした花形の足を止めたのは、闇の中から降りかかった一つの声だった。

「待ちな、そこのアンタ」

背後からの声に、花形はゆっくりと振り返る。
いつでも反撃できるようオルフェノクへの変身体勢は整えながら振り返ったその瞳が映したのは、毛皮で出来た上着を羽織る時代錯誤な格好の男の姿。
何故か自身を前に口角を上げる彼の姿に、しかし敵意は見受けられない。

どうやら言葉もなしに襲うという訳ではないらしいと、花形もまた歩き始める対話の意思を見せるために彼の呼びかけに応えた。

「……君は?」

「俺はカブキ。アンタと同じ、大ショッカーの幹部だ」

時代錯誤な風体の男は、カブキと名乗った。
言われてみればその口調もどこか時代劇風というか、どことなく歌舞伎者のように気取っているように聞こえる。
だが大真面目なその様子を見ると、或いは彼はそっくりそのまま遙か昔から呼び出されてきた存在なのかも知れない。

まぁ彼の素性がどうであれそれを突き詰める暇もないと、花形は様々な疑問を飲み込んでカブキに向き直る。

「それで、私に何の用だ」

「いや、そんな大した用じゃねぇさ。さっきの放送の労いついでに、ちょっとアンタと話そうと思ってよ」

「……私と?」

大ショッカー内部において、幹部の中でもあまり存在感を放っていないはずの自分と、わざわざ話したいとは。
様々な可能性に思考を巡らせ怪訝な表情を浮かべた花形に、カブキはしかしハンと笑って見せた。

「アンタ、何でも聞くところによれば、孤児院って奴をやってるらしいじゃねぇか。身寄りのないガキ共を集めて、保護してるって」

「……それがどうした」

思いがけぬ角度から始まった会話に、花形は警戒を緩めることはしない。
かつて花形がオルフェノクの王の依り代を探すために開いた孤児院、流星塾。
懐かしくもあり、花形自身の逃れ得ぬ罪を自覚させる存在でもあるそれを想起させるカブキの語り口に、花形はあまりいい顔はしなかった。

だがまともに取り合おうとしない花形を前にしてもなお、カブキの調子が崩れることはない。
再び調子良く鼻で笑って、花形に背を向けるようにくるりと翻った。

「……俺は、人間が嫌いだ」

拳を握りしめたカブキの声は、それまでの気風からは幾らか違っていた。
どこか心中に後ろ暗いものを匂わせる、底知れぬ声音。
花形からはカブキの表情を見ることは出来なかったが、それでも彼の顔が明るくないことは背中越しでも見て取れた。


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