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平成仮面ライダーバトルロワイアルスレ5

106第四回放送 ◆JOKER/0r3g:2020/02/11(火) 12:04:22 ID:UFvFTXtk0

「あの車の中身だ」

短い返答。
だがそれに釣られるようにして視線を車へと向けた三島の腕からは既に、力が失せつつある。
まさか、その一言で納得したとでも言うのか。

三島の人間性からすれば全く以て信じがたい光景に乃木ですら目を見張る一方で、花形は続ける。

「あの中身を鍵もなしに見られては、この殺し合いの進行に不具合が起きる……お前もそれは避けたいはずだ」

「それは……」

三島の顔に、初めて迷いが生まれる。
まさしくサイボーグのような鉄仮面が、任務の失敗を前に不安を覚え揺らぎつつある。
その一幕だけで大ショッカーという組織内では彼もまた末端の存在に過ぎないのだと理解して、乃木は眉を顰めた。

「それに勿論、これは私の独断ではない。この事は既に、首領代行が承諾済みだ」

「首領代行が……!?」

続いて花形から放たれた固有の誰かを指し示すのだろう単語に、乃木は目敏く気付く。
首領代行。間宮麗奈から聞いた情報が確かなら、第二回放送の内容の中で現れた大ショッカーの幹部で、名前は確かラ・バルバ・デと言ったか。
代行というのが些か気になるところではあるが、ともかく三島にとっては雲の上の存在なのだろう。

こちらを見やり苦悶する三島の表情に、しかしもう妥協の色が滲んでいるのが、何よりの証拠。
ワームへの憎しみだけは人間だった頃から変わらず持ち続けているはずの三島ですら名前を聞いただけでその感情を押し込めるだけの存在が、確かに大ショッカーには存在している。
その確信を抱くと同時、成る程これは話を聞いてやるだけの価値はあるかと、乃木は改めて花形に向き直った。

「……もし仮に大ショッカーに加わったとして、俺に何の得がある?」

「首領は、この殺し合いが終わった暁には幹部の願いを全て叶えると言っている。恐らくは君の願いも、問題なく聞き届けることはずだ」

「……ほう」

言葉を紡ぐ花形の瞳を見つめながら、乃木は彼の中に底知れない感情が渦巻いているのに気付く。
彼はその張り詰めた表情の中に、何かを隠し持っている。
それが何なのかまでは正直読み取れないが、少なくとも言葉通りの大ショッカーに仕える忠臣でないらしいことは確かだ。

だがそれがそのまま彼という人間への不信感に繋がるかと問われれば、寧ろ逆だった。
彼が腹に一物を抱いているとみれば、この幹部への勧誘にもまた字面とは違う意図が見えてくる。
花形という男は、大ショッカーを打倒する意思を持っていた自分を表向きは幹部として抱き込むことで、組織内での地位を高めつつ何らかの野望を果たしたいのかも知れない。

その仔細や狙いなど正直どうでもいいが、ともかくこれが罠である可能性が低いと考えることが出来るなら、その誘いに乗るのも決してやぶさかではなかった。
無論、願いを事前に聞きもせず一律に叶えられるなどと大言壮語を吐いていることはあまりにも怪しい。
正直胡散臭さすら感じるが、言ってしまえばそれを当てにしなければいいだけのこと。

つまるところ言ってしまえば、戦う場所が変わっただけとみればいいのだ。
この会場で遅々として進まない仮面ライダー諸君の首輪解除を待ち、彼らに仲間として認識されながら大ショッカーの裏をかくよりも寧ろ、その懐に潜ってしまえば良い。
あちらにもそれなりの自信はあるのだろうが、それで自分を押さえ込めるなどと思うこと自体が間違っているのだ。

もしもそんな思考の全てを読んだ上で花形やバルバが自分の幹部入りを歓迎しているのだとしても、敢えて敵地に飛び込むことは決して無謀とは言い切れなかった。


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