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バーチャルリアリティバトルロワイアル Log.04
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:
宵闇
◆k7RtnnRnf2
:2020/07/03(金) 20:01:30 ID:mqM5Fyzc0
「何かあったら、すぐに言ってくれよな?」
「わかっているよ」
少しでも気を紛らわすように声をかけるけど、全然心が落ち着かない。
どす黒い樹にぶら下がる人間はどう見ても死んでいて、呼吸をすると気分が悪くなってしまう。まるで毒ガスの中を歩いているように錯覚し、俺達はいつ倒れてもおかしくなかった。
一応、治癒の雨は一つだけ残っているけど、それが役に立つのか。そもそも俺達は本当にここから脱出できるのか。
前を進むたびに、俺の中で不安が湧き上がってきて、折れた心が更に折れそうになる。
(やっぱり本物の人間……だよな? でも、火傷してもこんなに黒くなるのか……?)
何よりも、ぶら下がっている人間の姿を見せつけられるだけで、また嘔吐しそうだ。
現実では到底ありえない光景だが、デウエスに関係するハッピースタジアムを経験し、その上でこのデスゲームに巻き込まれたから、絵空事とは切り捨てられない。
それでも、地獄のような光景がただの夢であってほしい、そんな希望を抱きながら進んでいると――――“彼”の姿を見つけてしまった。
「…………う、渦木さん!?」
ハッピースタジアムに捕らわれた開田君を救うため、現実と電脳世界の両方で力を合わせた刑事・ウズキが蓑虫のようにぶら下がっていた。
しかも、呪いのゲームではなく現実の刑事としての姿で。
「渦木さん! 俺です、ジローです! 目を開けてくださいッ!」
『どうしたんですか、ジローさん!? いったい何を見つけたんですか!?』
「渦木さんが! 俺の知り合いが、蓑虫みたいに木に吊るされてて……! くそっ、この!」
『ウズキ? その名前は、確か一回目のメールで……』
俺はウズキさんを救うため、叫びながらDG-0を取り出し、鳥かごに弾丸を放つ。
しかし、銃声が空しく響くだけで、弾丸はあっさりと弾き返されてしまった。
それでも、諦めずに黒く汚されたウズキさんを引っ張り出そうとするけど、びくともしない。
「……どうして!? 渦木さんが、ここに……!?」
「……に、ニコなのか!?」
「えっ!?」
俺の動揺を煽るような黒雪姫の叫びが聞こえて、反射的に振り向く。
すると、青ざめた顔で顔を上げている黒雪姫の姿が目に飛び込んできた。彼女の視界を追うように、俺も顔を上げた瞬間、絶句する。
何故なら、俺やカイトを守るためにオーヴァンと戦い、そして命を散らせた少女――――ニコが無惨な姿で囚われていたからだ。
「ニコ……っ! ニコッ! ニコォッ! 俺だ、ジローだ! 目を開けてくれよ、ニコッ!」
ニコを助けたくて、俺は必死に叫ぶ。もちろん、ニコは目を覚ましてくれない。
ニコも渦木さんも、二人とも死んだはずなのにどうしてこんな所にいるのか? まさか、二人とも実は生きていて、ここに逃げ出していたのか?
いいや、ありえない。渦木さんはわからないけど、ニコは死んだということを俺は確かに実感した。だから、実は生きていたという可能性に縋れるわけがないのだ。
だけど、それならどうして二人がこんな悪趣味な形で囚われているのか? 誰が、何のために二人にこんな仕打ちをしたのか?
「……あ、ああ、あ……!」
――――しかし、俺の思考は黒雪姫の震える声によって、またしても遮られた。
思わず、俺は振り向く。いつの間にか、黒雪姫はへたり込んでいた。
彼女が見上げている先には、小柄で小太りの少年が囚われていた。
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