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オリロワFOREVER

40睡魔には勝てない ◆mfnif6ghpc:2019/02/02(土) 22:32:00 ID:2qy2PKOM0
緋色喜一は完璧な人間であった。
容姿端麗、頭脳明晰、文武両道。
綺麗に三拍子そろっている上に、学校では生徒会長を務め、
さらに実家はあのジャパン・ガーディアン・ヒーローズの出資社に名を連ねる緋色財閥という、
生まれまでパーフェクトである完璧超人であった。

もはや彼を知る誰もが、緋色財閥の次期当主は喜一をおいてほかにないと、心から思っていた。


「まさか、ここに来て梯子を外されるとはね…」


病室で喜一はそうつぶやいた。

次期当主と目されていた喜一は、当然その出資先であるジャパン・ガーディアン・ヒーローズの面々と顔を合わせることも多々あった。
それなりに良い友好関係を築けていたと思っていたのだが、まさか殺し合いに参加させられてしまうとは夢にも思わなかった。

(いや、俺の目的を知っていたら、そうでもないかな)

喜一はそう思考する。

確かに喜一は完璧な人間であった。

次期当主にふさわしい人間になるべく、現状に満足せず、努力し続けてきた。
だがそれは決して彼自身が善良な人間であることを示さない。

むしろ彼自身は人の嘆きにこそ悦を見出す悪であった
次期当主にふさわしい人間になろうとしたのも、当主となった後で財閥面々の見る眼のなさを指摘してやりたいがためにすぎない。
そうして自分たちの愚かさ、財閥の終焉を嘆く姿が見たいがために頑張ってきたというのに。


「ついてねえなぁ…伊達にヒーローを名乗ってないってことかねぇ」

はぁ、とため息を吐きながら、喜一はどう行動するのがこの場における最善か思考する。

喜一自身に戦闘能力はない。
そりゃ一般人レベルで考えるならば、そこそこやれるほうだろうという自負はある。
だがヒーローはここに集っているのは「悪」とされるものだと言っていた。
ヒーローの視点で言う「悪」とはすなわち「怪人」や「怪物」総じてヴィランと呼ばれる者らだ。
つまりこの会場にはそういった「悪」がいることが容易に想像できるわけで、それと比べると喜一など相手にならないわけだ。

(まぁ俺が巻き込まれていることを考えると「悪」の基準も割とあいまいなようだが)

ともあれ、戦闘能力がない以上、喜一は他者との接触には慎重にならねばならない。
考えなしに接触して、命を落としてしまうのでは洒落にならないからだ。
理想は信用できる相手を見つけて、協力してもらう展開に持っていければベストだ。

「…まずはともあれ、誰かしらと接触しなきゃならないわけで、つまりベッドで寝ている暇はない
 ………ないんだけどなぁ」

この結論には実は殺し合いが始まった時点からたどり着いていた。
いたのだが、すでに殺し合いが始まって1時間。彼は未だに一番初めに配置された場所にいた。
それは以下の要因が絡み合ってしまったがためであった。

ひとつ。彼の生き甲斐がなくなってしまったこと。
主催者がJGHである以上、当然出資社である財閥も喜一が殺し合いに参加する事に気づいている筈である。
つまり彼は次期当主としての資格を剥奪されてしまったのだ。
例え自分が死んでも財閥の面々は嘆かないだろうし、人々もむしろせいせいしたと思う事だろう。
彼が命を賭してもかまわないと思っていた事柄が全てなくなってしまったのだ。
結果現在の彼は割と何に対してもやる気がおきない状態であった。


ふたつ。
彼の開始位置はベッドの備え付けられた病室であった。
そして殺し合いの開始時刻は深夜0時である。

ここまで言えばわかるであろう。


「ふぁ…もう無理……頭回んないわ…明日起きてから考えよう」


結論から述べる。
彼は精神的に無気力なうえ普通に眠たいので、ベッドから出たくないというだけの話であった。
彼は深い眠りへとついていった。


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