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第二次二次キャラ聖杯戦争 part4

68if - a fool of loneliness ◆WRYYYsmO4Y:2019/06/11(火) 00:49:28 ID:KEpQfa860

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 まさか、二度目の生でも首を刎ねられるとは思わなかった。
 忍者刀が振り下ろされるその瞬間、鏡子は過去を振り返って自嘲した。
 一度目の死の時は知覚する時間さえなかったのだから、それよりかはまだマシなのだろうが。

 「死の瞬間は周囲の景色がスローモーションになる」という噂を聞いたが、あれはどうやら本当らしい。
 事実として、自分の首元に迫る日本刀の速度が酷くゆっくりに感じられるのだ。
 最期にこれまでを振り返る位は許してやろうという、神様の傍迷惑な思いやりなのかもしれない。

 後悔があると言えば、それはもう山ほどある。
 何しろほとんどセックスをし足りないのだ、欲求不満が全く解消されていない。
 "本番"は最初のランサー戦だけで後は前戯だけとは。"魔人"の名も涙を流すというものだ。

 けれど、中でも一番の後悔は。
 狭間偉出雄という少年を、あの世界に独りにさせてしまう事だった。

 本当の彼は孤独を恐れていて、誰よりも愛を求めていて。
 それなのに、恐怖から愛を遠ざけてしまっていて、そのせいで誰も近寄る事ができなくて。
 追いすがる誰かがいないと、きっと彼は本当に独りになってしまう。
 この聖杯戦争の舞台で、それが出来るのはきっと自分だけだったのに。

(ごめんなさい、マスター――――)

 無意識の内に、残された方の腕を伸ばす。性を貪る為でなく、孤独の皇の手を掴むために。
 一人だけではセックスはできない。"つがい"でなければ不可能な愛の証明だ。
 だから、孤独なあの手を掴んであげたくて、愛してあげたくて、

(――――抱いて、あげたかったのに)

 首元に冷たい感触が刺さり、そこで視界は暗転する。
 宙に伸ばした腕は、空を切るだけに終わる。


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