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8
:
あるゴブリンたちの結末
◆IRWq076pt2
:2018/11/17(土) 22:06:34 ID:xMtXQBIM0
獲物だ。
男を見定めたゴブリン達は結論付けた。
その男は鞄を背負ってはいるが武器は携えていない。
同行者もおらず、こちらに背を向けている様は完全に隙だらけだ。
対して、こちらは5匹で棍棒も携えている。
どう考えても負ける筈はない。殺して荷物を奪い取ってしまう。
早速ゴブリン達は行動に移った。
声を殺し、物陰から棍棒を振りかぶって飛び出す。
五人がかりで叩き殺してやるのだ。
男との距離はどんどん縮まっていく。
5m。
4m。
…なにか違和感がある。
3m。
…2mまで来たところで気が付いた。
くさい。
この男、とてつもなく臭いのだ。
普段から清潔とは言い難い場所に生息するゴブリンでも思わず一瞬立ちすくんでしまうほどに。
それが命取りになった。
「クゥーン…」
その瞬間、男の身体から突然蒸気が吹き出した。
なんだ!?とゴブリン達が思った時にはそこに人間だった男の姿はなく、代わりに犬を人間の頭身に合わせたかのような不気味な怪物がいた。
超くさい。
その怪物は、臭かった。
「行きますよーイクイク」
鮮血が吹きあがった。
気付いた時には怪物はゴブリンの内一匹を押し倒しており、喉笛にその鋭い牙を深々と突き刺していた。
潰れた断末魔が口から漏れ、そのゴブリンは生命活動を停止した。
残り4匹。
「ヌッ!」
次の行動もゴブリン達より怪物の方が速かった。
五匹中一匹を絶命せしめた怪物は即座に跳躍すると、また一匹のゴブリンの背後に着地した。
振り向こうと思った時にはもう遅く、怪物は両手でゴブリンの頭部を挟み込み、力を加え始めた。
グシャ
と、音が一面に響き、ゴブリンの頭は見るも無残に破裂したものに変わり果てていた。
残り3匹。
ゴンッ、と今度は怪物の後頭部から音が上がる。
残ったゴブリンの内の一匹が、頭割りに集中している怪物の隙を付いて棍棒で殴りつけたからだ。
「アーイキソ」
だが、怪物にまるでダメージは無い。
殴りつけたゴブリンはとても後悔をした。
何故、俺がこの魔物を殴る役目を買ってしまったのか。
あの二人の内どちらかがやればよかったじゃないか。
そんな自分本位な恨みを同胞に抱きながら、そのゴブリンは怪物に頭を掴まれ、そのまま持ち上げられた。
手足をバタバタと振るが、当然空を切るだけで何の効果もあろうはずがない。
「見とけよ見とけよ〜」
その哀れなゴブリンの腹部目掛け、怪物は渾身の正拳突きを見舞った。
想像を絶する激痛と、強烈な吐き気が自分を襲ったのをゴブリンは感じとった。
口から血泡が出てくるが、怪物はそんな事で手を止める事は無かった。
一発、二発、三発。次々に正拳突きを打ち込んでくる。
内蔵はもう破裂しているだろう。
怪物は息も絶え絶えになったゴブリンをその場に放った。
「オォン!」
そして、サッカーボールをシュートするかの如く、ゴブリンの頭を蹴り上げる。
とてつもない脚力を見舞われた首の付け根がブチブチと音を立てて引き千切れ、結果、首が中途半端にもげた無残な屍が一つ出来上がった。
残り2匹。
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