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平成仮面ライダーバトルロワイアルスレ4

1 名無しさん :2018/01/27(土) 23:20:27 ID:fRys9cx60
当スレッドはTV放映された
平成仮面ライダーシリーズを題材とした、バトルロワイヤル企画スレです。
注意点として、バトルロワイアルという性質上
登場人物が死亡・敗北する、または残酷な描写が多数演出されます。
また、原作のネタバレも多く出ます。
閲覧の際は、その点をご理解の上でよろしくお願いします。


当ロワの信条は、初心者大歓迎。
執筆の条件は、仮面ライダーへの愛です。
荒らし・煽りは徹底的にスルー。

585 ◆.ji0E9MT9g :2018/08/16(木) 21:39:56 ID:mdfqo6.Y0
長らくお待たせいたしました。
これより予約分の投下を行います。

586 レクイエムD.C.僕がまだ知らない僕 ◆.ji0E9MT9g :2018/08/16(木) 21:41:00 ID:mdfqo6.Y0

 辺り一面闇が支配する焦土の中で、二人の男が戦っている。
 赤い筋骨隆々の戦士は仮面ライダークウガ、そしてもう一人、ステンドグラスの意匠を全身から感じさせる戦士は仮面ライダーサガ。
 両者共にこれまでの戦いで大きく疲弊し、傷ついているというのに、それを微塵にも感じさせない勢いで、彼らは互いの拳をぶつけ合っていた。

 「ヤアァァァ!」

 一歩間合いに踏み込んだクウガが、右の拳でアッパーを放つ。
 その威力は確かなものだったが、しかしサガもまた上体を反らすことでそれを躱し、その勢いをも利用してクウガに向けミドルキックを見舞う。
 それは不完全な体勢からとは言え両者の体力について考えればそのまま勝敗が決してもおかしくはない威力を誇っていたが、しかしサガの目論見と現実は大きく異なっていた。

 ドスッと鈍い音と共にクウガへと到達したサガの右足は、彼にダメージを与えることさえ叶わない。
 先ほどまで深紅の筋肉に包まれていたクウガの体表が、刹那の間に白銀の鎧に紫のラインが走る重厚な姿へと変身していたからだ。
 どころか足先に伝わる痺れ故にサガの動きが阻害されたその一瞬に、クウガは彼の首元を掴み一瞬でたぐり寄せていた。

 「なんで殺し合いに乗った!?加々美って人のことを殺してしまったからか?
 だから後戻り出来ないと思ってお前はーー!」

 しかし次の瞬間クウガから放たれたのは、反撃を許さぬ猛攻ではなく、叱咤にも似た疑問の言葉だった。
 そう言えばこの男の目的は自分を説得することだったか。
 全く無駄なことを、と心中では思いつつ、サガは体力回復の意も含めてクウガとの問答に暫し付き合うことにした。

 「違います、僕が殺し合いに乗ったのは僕の大事な人たちを守る為。
 そして何より、僕に王の座を譲り死んだ先代の王の言葉に従ってファンガイアの未来を守るためです」

 「ファンガイアの未来?それならお前の世界以外に住んでる人間はどうでもいいのか?
 お前はファンガイアと人間の共存を望んでたんじゃないのか!?」

 「知ったような口を利かないでください。それに、そんなもの僕には関係ありません。
 幾つも存在する世界の中で、僕にとって大事なのは僕の世界に生きている一握りの存在だけ。
 彼らが平和に過ごせるためなら、僕は他の世界を滅ぼしても構わない」

 渡はサガの鎧越しに、真っ直ぐにクウガを見据え言い放つ。
 その言葉が決して嘘ではないということは伝わったのか、クウガは一瞬目を泳がせるが、しかしすぐに頭を振った。

 「ふざけるな!その人たちは、お前がそうまでして世界を守ったと知ったところで、喜ぶような人じゃないだろ!」

 「関係ありません、全ての世界を滅ぼして、キバの世界が破滅から逃れた後に僕が願うのは僕という存在自体の消滅。
 僕なんかが生まれたことさえなかったことにすれば、皆は僕が消えたことに対して悲しむことさえなくなります」

 「自分が何を言ってるのか分かってるのか?
 お前がその人たちを大事に思うのと同じくらいに、その人たちだってお前のことを大事に思ってる!覚えていたいと思ってるに決まってるだろ!」

 瞬間、ユウスケの脳裏に過るは牙王に連れられダグバとの戦いに単身向かおうとしたあの時に一条に言われた言葉。
 『皆の笑顔の中に自分の笑顔も加えろ』。
 今自然に自分の口から出たその言葉に、かつての自分の行動がいかに愚かだったかを痛感しつつ、同時に浮かぶは自分にそれを指摘し間違いを気づかせてくれた一条たちへの感謝であった。

 彼らが自分に与えてくれた思いの分まで今目の前で悩める彼を助けなければ。
 使命感にも似た感情を抱いて、ユウスケは今一度サガを逃がさんとするその右手に強く力を込めた。
 同時、そのユウスケの言葉を聞いて、サガが見せたのは僅かばかりの動揺だった。

587 レクイエムD.C.僕がまだ知らない僕 ◆.ji0E9MT9g :2018/08/16(木) 21:41:49 ID:mdfqo6.Y0

 恵さん、静香ちゃん、健吾さん、嶋さん、マスター……彼らの顔と、そして育んできた記憶と友情と笑顔が、不意に脳裏を過ぎったのである。
 しかし、すぐに迷いは絶ち消える。
 既に自分が記憶を消した名護を、そして自分が存在するせいで死んでしまった深央を思えば、彼らの記憶にだって自分なんか最初からいなかった方が良いのは当然のことだった。

 「――黙って!僕はもう決めたんだ、人間とファンガイアが共存できる世界を作った後、それまでの罪を全部背負って、消えようって、だから――」

 「何言ってるんだ!人間とファンガイアのハーフ、二つの種族にとっての架け橋、共存の証明……そんなお前自身が消えたら、人間とファンガイアは永遠に分かり合えなくなる!」

 「そんなのでたらめだ!それに僕がいなくなったとしても、きっと太牙兄さんが上手くやって――!」

 「自分の責任から逃げようとするな!」

 思わずクウガから目を離し叫んだサガに対し、一方のクウガは一切彼から目を離さず真っ直ぐに言い放った。
 思いがけないその言葉に、意図せず息を呑んだサガに対し、しかしクウガは怒鳴ってしまった自分自身を宥めるように一つ息を吐いて、続けた。

 「……俺の知り合いにも一人、人間とファンガイアの二つの血を持った王がいる。
 『ファンガイアは人間を襲ってはならない』。その掟が存在する世界で、それでもそいつはただ一人自分が王には相応しくないと悩み続けてた。
 ……自分自身が、掟に背き人を襲いそうで怖かったからだ」

 言いながらユウスケは思い出す。
 自分がキバの世界で出会った仮面ライダー、ワタルのことを。
 彼は若いながらもその血故に王としての多大な期待を一身に受け、その責任の重さに潰されそうになっていた。

 だから自分は、親衛隊として彼の手伝いをする決意を決めた。
 人は誰だって一人ではやっていけない。自分自身が士との出会いで実感したことを、彼にも教えてあげたかったから。

 「途中でそいつは、王になることから逃げようとした。でもそれは出来なかった。
 何より信じていたからだ、掟を。いや、掟なんかなかったとしても、人間とファンガイアが共存できる世界を」

 何が起ころうと、ユウスケはワタルを支え続ける覚悟は出来ていた。
 王だから仕えるのではない、彼だからこそ、自分は仕えることにしたのだと、掟を信じ戦える彼だからこそ、王に相応しいと思ったから。
 キバの世界で起こった長いようで短いワタルとの交流を思い出しながら、ユウスケはその瞳にもう一人の“渡”を映す。

 「お前はどうだ渡。結局、全部中途半端にして逃げようとしてるだけじゃないのか?
 加々美さんを殺してしまったことを正当化するために他の世界の人間を切り捨てるなんて言って、その為にファンガイアのキングって立場を利用して」

 「……て」

 「向き合い続けていたらキングとしての自分でいられなくなると思ってキバットからも逃げて、最後には名護さんの記憶まで消してあの人と戦うことからも逃げて」

 「……めて」

 「結局お前はそれらしいことを言って全部から逃げてるだけだろ!
 紅渡としての人生からも、キングとしての責任からも、人間とファンガイアが共存できるっていう夢からも!」

 「やめて!」

 怒号と共に振り抜かれたサガの拳は、タイタンフォームの堅固な鎧さえ揺るがし、両者の距離を僅かに離した。
 その体躯故、クウガが二の手を次ぐのに遅れた瞬間、既にサガは得物であるジャコーダーを懐から取り出しクウガへと振るっていた。
 怒濤の勢いで……というより狙いを定める様子もなくただがむしゃらに振るわれるその攻撃に、まともな反撃さえ許されないクウガ。

 しかしタイタンフォームの防御力があれば少しの間、サガによる攻撃の勢いが収まるまではやりすごせるのでは。
 そんな甘い考えを抱いたしかし次の瞬間、彼の身体は大きく宙を舞っていた。
 サガがジャコーダーによる鞭打が有効的ではないと判断し、その鞭をクウガの足に巻き付けたのである。

588 レクイエムD.C.僕がまだ知らない僕 ◆.ji0E9MT9g :2018/08/16(木) 21:42:06 ID:mdfqo6.Y0

 ただでさえマイティフォームより幾分も重くバランスに劣るタイタンフォームだ、少し足下を引っ張ってしまえば、容易に体勢を崩す。
 そして後はクウガ自身の重さによって地上に頭から落ちるだけでも戦闘不能レベルのダメージを与えることが出来るということだ。

 「――くッ!超変身!」

 しかし、瞬間アークルは空中で光を放ち、クウガの身体を青く細身の姿へと作り替える。
 ドラゴンフォームとなり身軽になった影響で、先ほどまで不自由だった両手も自由になり、間一髪頭から落ちるところだった身体を逆立ちの姿勢で支える。

 「なッ……」

 「ハァッ!」

 変幻自在のクウガの技に驚愕を隠せなかったサガに対し、彼はそのまま勢いを利用してバク転の要領で思い切り立ち上がり、それと同時に足に絡みついたジャコーダーを思い切り引き寄せた。
 これには思わずといった様子で体勢を崩したサガは、しかしすぐに体勢を立て直し、今度は逆に力に劣るドラゴンフォームを振り回そうとジャコーダーを頭上へと手繰り寄せる。

 だが、ここでクウガはまたしてもサガの予想を上回った。
 自分を引き寄せるため手繰り寄せた鞭に対し、敢えてそれと同じタイミングで飛び込み自分の勢いに利用したのである。
 これはまずいとサガは対抗策を探るが、しかし全ては遅かった。

 「うおおりゃああああぁぁぁ!!!」

 空中で再度マイティフォームに変身したクウガの右足が燃え上がり、ジャコーダーを握った右手にその必殺の一撃を食らわせたからだ。
 放たれたマイティキックの勢いはジャコーダーをはたき落とすだけでは収まらず、そのままサガの胸にまで到達した。
 大きく吹き飛び変身を解除された渡は、そのまま地面を大きく転がっていく。

 ダメージの為にろくな受け身さえ許されず地に這いつくばる渡は、そのままクウガによる追撃を覚悟する。
 だが、彼の予想を裏切って、クウガもまた未だ制限を迎えていないだろうというのに自分からその生身を晒した。

 「なんで……変身を……」

 「言ったろ?俺はお前を倒す為にここにいるんじゃない。
 お前を救うためだって」

 思わず狼狽した渡に対し、生身となったユウスケはそのまま渡の横に座り込んだ。
 なんと愚かな男だろう。
 自分の決意は先ほどの問答を終えても何一つ変わってはいない。

 あぁ、先ほど取りこぼしてさえいなければジャコーダーで止めを刺す絶好のチャンスだというのに、と歯噛みした渡はしかし、視線の先でジャコーダーを回収しているサガークの姿を見つける。
 となれば先ほどのように体力回復の意も含めて彼に話を合わせ時間を稼ぐのも一つの手か。
 そう考えて、あくまで望むべき結果の為に取る無駄な行為という考えを崩さぬまま、渡は何とか起き上がりユウスケの横に並ぶ形で座り込んだ。
 
 それを見て、横に座った渡に何を感じたか、ユウスケはしかし薄く笑った。

 「さっき、お前のことを全部のことから逃げてるだけだって言ったよな。
 ……なぁ実は、士のことに関してもそうなんじゃないか?」

 だが、開口一番放たれたユウスケの意外な言葉に、渡は思わず目を見開く。
 世界の破壊者ディケイド、その存在に何故、自分が逃げているなどと言われねばならないのだ――!
 しかし渡の抱いた怒りを気に留めることもなく、ユウスケはそのまま続ける。

 「アポロガイストから世界の破壊者ディケイドの話を聞いたとき、お前は少し嬉しかったはずだ。
 キングとしても紅渡としても倒さなきゃいけない敵を見つけられたと思って。
 ……もしかしたらそんな奴を倒す為ならお前の親父さんや名護さんともまた一緒に戦えるかもしれない、そう思ったから。……そうだろ?」

589 レクイエムD.C.僕がまだ知らない僕 ◆.ji0E9MT9g :2018/08/16(木) 21:42:57 ID:mdfqo6.Y0

 ユウスケの言葉を即座に否定することは、渡には出来なかった。
 事実自分は名護と再会した時にディケイドとの戦いに関してだけは彼に賛同してくれるよう願った。
 その裏に戦力としてだけではなくもうわかり合えないはずの名護との共闘を望んでいた自分はいなかったとは、彼にも断言出来なかったのである。

 「だから、実際に士に出会って、あいつの言葉に触れたとき、お前は困惑したんだ。
 少なくとも紅渡としてのお前は、あいつの言葉を信じたいと思ったから」

 しかし続いた言葉は、先ほどのものより更に信じがたいものだった。
 自分が、あのディケイドの言葉を、夢について語ったあの言葉を、信じたいと思った、だと?
 そんなわけない、と即座に拒絶してもいいというのにこの身体が動かないのは、まさか自分の中に未だ残る甘い自分、“紅渡”がそれを拒絶するからだろうか。

 「それでも自分はキングだって自分自身に言い聞かせて。ディケイドを倒さなきゃ世界は滅びるなんて話を頭ごなしに信用して。
 そうでもしなきゃ、キングとしての自分を保てなくなりそうだったから」

 「そんなこと……それに、一刻も早くディケイドを倒さなければ、全ての世界が……」

 「渡」

 どこまでも渡が気付いていなかった”自分自身”に触れるようなユウスケの言葉にやっとの思いで反論を試みる渡。
 しかしその勢いは先ほどまでのディケイドに向ける憎悪を思えば実に可愛らしいものだった。
 そしてその渡の言葉を遮り名前を呼んだユウスケの瞳は、どこまでも真っ直ぐで、彼は再度言葉を失ってしまう。

 「もう気付いてるんだろ?アポロガイストのその言葉が、真実とは限らないって。
 それに、そうじゃないって信じたい自分にも」

 「僕は……」

 ――渡には、もう自分の感情がよくわからなかった。
 地の石を通じ自分の感情を垣間見たという彼の言葉は、決して出まかせではないだろう。
 事実、そうであれば確固たる自信でもって拒否できるはずだというのに、それが出来ない。

 だからこそユウスケの言葉が実際に自分が思っていることなのではないかと、そう思ってしまう。

 「渡……」

 そうして言葉を詰まらせ視線を泳がせた渡を前に、戦いに巻き込まれないよう逃げていたキバットが一人呟いていた。
 あそこまで頑なだった渡が、ユウスケの言葉を聞いて揺らいでいる。
 それは自分が見込んだ以上の偶然が起因するものとはいえ、あの渡にようやく言葉を届かせることができたのは、やはり自分の見込んだ通りユウスケの力であった。

 「ありがとよ……加賀美の兄ちゃん……」

 思わずといった様子で、キバットはこの殺し合いの場で初めて出会った他世界の男に感謝を述べていた。
 実際にはユウスケのもとに自分を導いたのは彼の持っていたガタックゼクターであったが、キバットにはそれに宿った加賀美という青年の思いをどうしても感じずにはいられなかったのである。

 「ん?」

 一人物思いに耽り渡を下手に刺激しないようにと後方より座り込む二人を見ていたキバットは、しかし瞬間誰にも気づかれぬまま暗闇の中から這いよる一つの影に気付いた。
 それは渡の忠実なしもべであるサガークが、ジャコーダーを今まさに渡の手に落とすその瞬間であった。

 「なッ、ユウス――ッ!」

 かつての相棒ではなく彼を救おうとしてくれた心優しい青年に声をかけようとしたキバットの言葉は、しかしそこで止まる。
 ジャコーダーを手にし本来ならそのままユウスケを貫くことができるはずの渡の手はしかし、未だ力なく垂れさがるだけだったからだ。

590 レクイエムD.C.僕がまだ知らない僕 ◆.ji0E9MT9g :2018/08/16(木) 21:43:13 ID:mdfqo6.Y0

 「渡……お前……」

 驚愕を隠し切れぬ様子で一人また小さくぼやいたキバットは、しかしそれで再度確信する。
 今目の前にいるのは許されざる悪ではなく、自分の唯一無二の相棒なのだと。
 ただそれだけの実感が抱けたというだけで、もう彼には十分であった。

 「――もし、本当に士が破壊者だったなら、その時は俺があいつを破壊する」

 何度目かわからない沈黙の後、ユウスケが切り出したのはしかし意外な言葉だった。

 「え?でもディケイドは貴方の仲間じゃ……」

 当然ともいえる渡の疑問に、ユウスケはいつものように朗らかな笑顔で煙に巻くこともせず、真剣な目で渡を見据えて答える。
 その脳裏に、いくつもの世界を共に歩んできた最高の仲間の顔を思い出しながら。

 「そうだ、士は俺に大事なことをたくさん教えてくれた仲間だ。
 でも、だからこそあいつが本当に世界を破壊する存在だったなら、俺にはあいつを倒す義務がある」

 「義務……?」

 ユウスケの言葉に、再度渡は疑問符を浮かべる。
 しかしユウスケはそれさえも受け止めて、ゆっくりと頷き、続けた。

 「あぁ。あいつは俺が全ての笑顔を守るなら、俺の笑顔を守ってくれると言った。
 だから俺は、あいつが全てを破壊する悪魔になった時は、あいつを破壊してやらなくちゃならない。あいつが、俺を笑顔にしてくれた分まで」

 それは、決して咄嗟に吐いた出任せの言葉ではなかった。
 以前からそういった思考が存在していたと言われても納得せざるを得ないような、確たる言葉であった。
 自分自身にも言い聞かせるように一言一言噛み締めるように呟いたユウスケは、今度こそ笑顔を浮かべ渡に向き直る。

 「だから渡は、自分が本当に信じたいものを信じろ。
 お前が信じたものが間違っていたときは、俺が責任を取ってやる。
 ……信じたいものを根拠なんてなくても信じ続けることが出来る、それが王の資格、らしいからな」

 士の言葉を引用するユウスケの顔はしかし、先ほどまでの殺伐とした言葉から考えれば和やかですらあった。
 それを見ればユウスケが士に何らの憎しみや嫉妬などを抱いていないのは明白で、それによって渡は一層混乱してしまう。
 話せば話すほど、門矢士という存在に対する彼の感情が見えなくなってくる。

 信頼はもちろん存在するだろう。
 だが同時に彼が多くの存在の笑顔を曇らせるなら自分が倒さなければならないという思いもまた確かなものだ。
 それはどこか、士自身も自分がそうなってしまったとき、彼に倒されるのを望んでいるだろうことさえ知っているような、そんな口調ですらあった。

 「何故そこまで僕の為に……?」

 「信じたいからさ。何より俺が、お前のことを」

 そして極めつけに、ユウスケはこれまでで一番の笑顔を浮かべた。
 それを見て、いよいよ渡には何もわからなくなってしまった。
 ディケイドへの憎しみ、他世界すべての参加者を犠牲にする覚悟、そして仲間たちから自分の記憶を消すことについても。

 何が自分にとって譲れないもので、何が自分にすら吐き続けている嘘なのか。

 「僕は……」

 ユウスケを受け入れるのか、それとも拒絶し今までと同じくディケイドを倒すために一人孤独に戦い続けるのか。
 そんな迷いに駆られ、どれだけの時間が沈黙と共に経過しただろうか。
 それに関する正確な感覚さえ失った渡がしかし、何か答えを紡ごうと口を開いたその瞬間、彼らは、火花に包まれた。

591 レクイエムD.C.僕がまだ知らない僕 ◆.ji0E9MT9g :2018/08/16(木) 21:43:40 ID:mdfqo6.Y0

 「――うわッ!?」

 その瞬間、ユウスケは素っ頓狂な叫びをあげ爆風の勢いのままにその身体を吹き飛ばされた。
 もう少しで渡の言葉が聞けそうだったというのに、このタイミングで横やりとは狙ったとしか思えなかった。

 「渡、大丈夫か!?」

 「えぇ、僕はなんとか……」

 同時に、横に座り込んでいたはずの渡の安否を確かめると、彼もまた苛立ちを隠せない様子で恐らくは攻撃を放ったのだろう第三者へと鋭く瞳を向けた。
 何らかの衝撃波と地面が接触し発生したのであろう煙が彼らの視界から消えると同時、そこに現れた男の顔に、二人は見覚えがあった。

 「やぁ、クウガ、それにキバ……いや、今はサガって呼ぶべきかな?
 それともこう呼んでほしい?“弱いほうのキング”って」

 「お前、大ショッカー幹部の――!」

 「そ、ご名答。僕の名前はキング。
 第一回放送前に死んじゃった名前だけ同じ雑魚や、そこにいるサガとは比べ物にならないくらい断トツで一番強いから、キング。
 あー、あと何でここにいるのかとかそういうつまんない質問は無しね、このエリアにいられる時間ももう残り少ないんだし、お互いそれよりもっとやりたいことあるでしょ?」

 自己紹介をしているだけのように見せかけながら、キングと名乗った青年は常に視界の端に渡を捕らえニヤニヤとした笑みを浮かべ続けていた。
 恐らくは渡がキングの名を受け継いだ先代について第一回放送に引き続き侮辱することで彼の平常心を奪い自分のペースに乗せようとしているのだろう。
 ただそれだけの下劣な手段だとわかっていてもなお、渡が見過ごせないように言葉を選びわざわざ気に障るような言い方をしているのだから、なるほど確かにこの男は相当に弁舌に長けるらしい。

 「先代の王への侮辱は許しません。
 あなたへの判決は、僕自身の手で下します」

 そして案の定というべきか、キングの挑発に従うように彼へ宣戦布告をし渡はデイパックへ手を伸ばす。
 だが鬼気迫るその表情は、一瞬の後に驚愕に変わっていた。

 「プッ、プッハハハハハハハ!!!」

 そしてそれを受けて、キングは待ってましたと言わんばかりに大声で彼を嘲る。
 あまりにも不快なその声に、その表情に、嫌悪感を隠そうともせず顔を歪めた渡に対し、キングはその反応さえ予想通りだと示すように自信げに自身の懐に手を伸ばしていた。

 「君が探してるのはこれだろ?サガ。
 悪いね、これは僕がもらったよ」

 「なッ――!」

 驚愕の声を上げたのは、渡ではなく、キバットとユウスケだった。
 そう、キングの手に収められていたそのバックルこそ、自分たちがこの殺し合いで今いる西側エリアに来て以来ずっと苦しめられ続けているといっても過言ではないアイテム、レンゲルバックルそのものだったのだから。


 ◆


 時は、少し前に遡る。
 ゾーンメモリの効果でE-4エリアからD-1エリアに移動してきたキングは、新たにD-1エリアの病院を標的として定め作戦を練っていた。
 まずは先ほど内紛を引き起こすのに成功したディケイドのように、面白い存在がそこにいるかであったが、これは十分すぎる存在がいる。

 あのブレイドを殺した、カブトに擬態したワームがなぁなぁで正義の味方ヅラしていることを指摘するのも面白そうだし、ジョーカーなんて大層な名前の仮面ライダーに変身するダブルの左側を殺して自分の知るジョーカー、相川始やダブルの右側の反応を見るのも面白そうだ。

592 レクイエムD.C.僕がまだ知らない僕 ◆.ji0E9MT9g :2018/08/16(木) 21:43:55 ID:mdfqo6.Y0
 他にも間宮麗奈の中に眠るウカワームもうまく利用できれば面白くなりそうだし……と続々と浮かぶアイデアに自分の手持ちのアイテムを重ね合わせどれが現実的に再現可能かを考えていく。
 とはいえどれも先ほどのディケイドとオーガの戦いに比べればあと一手物足りない、と珍しく熟考を重ねたキングは、しかし次の瞬間自身に接近してくる何らかの存在に気が付いた。

 参加者にしては小さすぎるそれに大方の目星をつけつつ振り返れば、なるほど思った通りというべきか、自身にも覚えがあるクローバーの意匠が刻まれた小さな箱が浮遊しているではないか。
 すかさず念力で捕らえてみると、元からそれが狙いだったかのようにその箱、レンゲルバックルはすんなりとキングの手に収まった。

 「やぁレンゲル。こんなところで出会うなんて奇遇だね。
 あれ、でも確か君は……」

 めぼしい参加者であればともかく、よほどの参加者の手に渡らない以上自分にとって害になりえないレンゲルバックルの動向について記憶が定かでなかったキングが思いを巡らせるのと同時、レンゲルバックルからキングに向けて秘められた記憶が流れ込んでくる。
 それは実際のところレンゲルバックルに封印されているスパイダーアンデッドの悪しき意思が見せるものだった。
 紅渡に拾われ、完全には意識を奪い取れないながらも彼の闘争意識を強くすることで名護からの和解の提案を決裂させる一因となる、かつての相棒であるキバットとの再会においても地の石というアイテムに強く意識を集中させることで、トラウマとすら言えるクウガを無力化し手元に置くと同時に表面上はごく自然に彼が後戻り出来ないような土台作りを演出していったのだ。

 だが、スパイダーアンデッドの目論見がうまくいったといえるのもここまでだった。
 地の石はそれより前に受けた傷により動作不良を起こしクウガを洗脳しきれず、結果としてそのまま戦闘に持ち込まれてしまう。
 この時点でスパイダーアンデッドにはあの黒いクウガの影がチラつき、破壊されるくらいならばと逃走を図ろうとした。

 つまり闘争本能を刺激され戦いを求めた渡がしかしサガを用いてもなおクウガに敗れ去った時、既に彼は新しい主を求め渡を見捨てていたのである。
 そして、レンゲルバックルが探した理想の相手、それがブレイドの世界崩壊に関して利害の一致により協力できるはずと考えた自分の世界のアンデッドだというのはもう述べられた通り。
 出来れば橘朔也ではなく相川始を、とあてもなく彷徨ってすぐのところで、存在を認識していなかったキング、つまりはスペードスートのカテゴリーキングを見つけそれに脅威を伝えるため接触したということである。

 これが、渡が名護やキバットとの会話でひたすらに頑なであったというのにユウスケとの会話では少々聞く耳をもった理由であり、同時にレンゲルバックルがここにいる理由であった。

 「ふぅん……、ま、どうでもいいや」

 レンゲルバックルの記憶や意思を一通り聞き終えて、しかしキングは一切の興味を示した様子すらなくそう吐き捨てた。
 スパイダーアンデッドにとって想定外だったのは、こうして新しく自分の主となったキングという男は、恐らくアンデッドの中で唯一と言っていいほど自分の種の存続というバトルファイトの報酬について無関心な男であったこと。
 そしてもう一つ、彼はどうあがいてもブレイドの世界存続に貢献できない主催者側の存在であったということだ。

 だが悔やんだところでもう彼にキングの手から逃れることは出来なかった。
 使用者として選ぶ存在がことごとく自分に不都合に動くという、もう何度目になるか分からない展開を覚悟した彼の不安は、的中していた。
 先ほどの渡と同じように、このキングもまたレンゲルバックルから得られた『クウガと戦うべきではない』という警告をただの情報と受け取ってそちらに自分から向かうような男だったのだから

 「まぁ取りあえず病院は後回しでこっちに行ってみようかな。
 誰がいるのかも分かってるし、調子に乗ってる身の程知らずな“キング”君に本物のキングが誰なのか教えてあげるいい機会だしね」

 そうレンゲルバックルに囁くように告げて、キングは一人病院に背を向けて荒廃したかつて市街地だった闇の中へ足を進めていく。
 もちろん後回しにしただけで、こっちにも戻って来るけどさ、と誰に告げるわけでもなく笑いながら。

593 レクイエムD.C.僕がまだ知らない僕 ◆.ji0E9MT9g :2018/08/16(木) 21:44:10 ID:mdfqo6.Y0


 ◆


 「どう?驚いた?自分の変身アイテム、まさか僕にとられるとは思ってなかったでしょ」

 レンゲルバックルを再度懐に戻しつつ、相変わらず人を馬鹿にするような笑いを浮かべながらゆっくりと歩み寄ってくるキングを前に、唯一存在していたはずの抵抗手段さえ奪われ思わず後ずさりする渡。
 それでも許される限りの抵抗を、とその手に握りしめたジャコーダーを振りかぶろうとしたその瞬間、二人の間に滑り込む影が一つ。

 「――待て」

 小野寺ユウスケ、その人である。
 強い意志でもって渡を庇う様に立った彼に対して、しかしキングは小ばかにするように鼻息を一つ鳴らすだけだった。

 「クウガ。なんでサガを庇おうとするの?そいつは君を操って人殺しの道具にしようとしたんだろ?」

 「そんなの関係ない。俺は俺の信じたいものを……俺が感じた渡の優しさを信じる」

 「笑える。そうやって信じた結果が、アビスや強鬼をその手で焼きつくすことなわけ?
 肝心なダグバはもっと強くなってピンピンしてるのにさ」

 ダグバがより強くなった、という言葉に少しばかりの引っ掛かりを覚えつつも、ユウスケはしかしそれでももう迷う素振りを見せず真っ直ぐにキングを見据えた。

 「確かに、それは俺が一生をかけて償わなきゃいけない罪だ。でも、それに囚われてうじうじしてるだけじゃ、結局誰も救えない。
 少なくとも今俺が手を伸ばせば死なずに済む人がいるなら、俺はそれを見捨てることなんて出来ない。例え不格好でも、うまくやりきれなくても、これが俺だ、俺のやりたいことだ!」

 そこまで言い切って、ユウスケは天に向け大きく右手を掲げる。
 瞬間空より降った青の一閃は、渡にも見覚えのあるものだ。
 やがて点と化したその高速の星をしっかりとその手で受け止めて、ユウスケは顔だけ渡に振り返った。

 「渡、よく見ておけ。これが加賀美さんが俺に繋いでくれた力。人を、お前を助けるために俺に託してくれた力だ!
 ――変身ッ!」

 ――HENSHIN

 掛け声とともに銀のベルトに叩き込まれたガタックゼクターから、ユウスケの全身を覆い隠すように青のヒヒイロノカネが形成される。
 重厚な鎧に二門のバルカン砲を肩に構えた移動要塞、仮面ライダーガタック、そのマスクドフォームと呼ばれる形態が、再び渡の前に姿を現した瞬間であった。
 変身の完了を示すように赤く闇夜に輝いたその瞳に全身を照らされながら、しかしキングは余裕の表情を崩さない。

 「へぇ、ガタックか。それじゃ僕はこれにしようかな。
 変身、っと」

 あたかも適当に選んだ、というような言い草でキングは懐から黒地に金のエンブレムが入ったデッキを取り出す。
 ガタックの鎧に反射したその姿に反応し現れたバックルにそれを装填すれば、キングの体はたちまち異形のものへと変貌した。
 オルタナティブ・ゼロ、先の戦いで野上良太郎から奪い取ったその戦利品を、今またしても悪のために戦うアンデッドが纏った姿だった。

 「さてそれじゃ、始めようか?」

 「うおおぉぉぉ!!!」

 オルタナティブのあくまで軽い言葉に、ガタックのどこまでも響くような咆哮。
 それを合図にして、今新たな戦いの火蓋が切って落とされようとしていた。

594 レクイエムD.C.僕がまだ知らない僕 ◆.ji0E9MT9g :2018/08/16(木) 21:44:37 ID:mdfqo6.Y0

 
 ◆


 戦いを始めたガタックとオルタナティブを前にして、紅渡は一人戦場から踵を返していた。
 戦えるだけの力がないためだ、制限のかかっていない力として見込んでいたレンゲルが敵の手に渡った以上、もう自分の手のうちに今使えるアイテムは存在しない。
 時計を見れば時間もすでに4時を回っている。

 もう少しで禁止エリアになるだろうここに執着するよりも、制限解除までをどこか別のところで休息するのが正しい選択ではないかと渡は感じたのだ。

 「――どこ行くつもりだよ、渡」

 乗ってきたバイクに向かってふらふらと歩いていた渡に、上方から降ってくる声が一つ。
 聞き覚えのあるその声を無視するべきか数舜考えてしまったその時点で、既に渡は彼から逃げるタイミングを失ってしまった。

 「キバット」

 仕方なく見上げれば、そこにはどこか怒りを込めたように目を細めるかつての相棒の姿があった。
 その失われた片目を見るたびに、渡はどうしようもなく胸を締め付けられる。
 自分があそこで彼をこんな戦場に一人投げ出してしまったから、こんな傷を負うはめになってしまった。

 自分と一緒にいても彼を利用してしまうだけだと決別したというのに、その結果として突き付けられたその痛ましい傷跡は、渡は嫌でもユウスケに言われた『逃げ』という言葉を痛感させる。
 もしかしたら自分がキバットから逃げなければ、こんな傷を彼が負うこともなかったのでは。
 そんな意味のない思考が、渡を捕らえて離さないのである。

 「……なぁ、渡」

 「キバット、僕のことは放っておいて。もう君と僕には、何の関係もない」

 どこまでも変わらないキバットの問いかけに、渡はあくまでも拒絶で答える。
 或いはそれが先ほどまでと同様キバットをしっかりと見据えたものであったなら彼もここでおとなしく引き下がったのかもしれないが、此度は違った。
 本来は無関係であるはずだというのに持ち前の優しさであそこまで渡を説得してくれたユウスケの思いを、渡の相棒であるはずの自分が受け継げなくてどうする。

 ここで彼をこのまま見送ることは、きっと誰も望んでいないことなのだ。
 そう自分に言い聞かせるようにして、キバットは一つ自分の中の躊躇を飲み込んだ。

 「――また逃げんのか?」

 ピタリ、と渡の足が止まる。
 彼が今の道を行ってしまったのはユウスケの指摘した彼の逃げについて、誰よりも近くで見ていながらそれを止めることをしなかった自分の責任でもあると、誰より強く自覚しながら。

 「違う、僕は逃げるんじゃない、王は敵を前にして無様に逃げたりしない!」

 「あぁそうだろうよ、お前が逃げんのはあのキングってヤローからじゃねぇ、ユウスケからだ!
 あいつと一緒にいると自分の中の何かが変わっちまいそうで怖いから、だから逃げるんだろ?名護の時と同じように!」

 キバットの必死の剣幕を前に、渡は少したじろいだ。
 長年彼と共に生きてきて、幾度となくケンカしたこともあった。
 だがその大半が下らない理由によるもので、しかも最後には大抵キバットが折れて終わっていた。

 だからこそ、だろうか。
 ここまで折れずに自分に反論するキバットを見て、今回はいつものように彼が折れて終わることはないのだろうと気付いた。
 少なくとも渡にそう思わせる程度にはキバットが必死の思いで止めなければならないことを、自分はやっているのだと、そう思った。

595 レクイエムD.C.僕がまだ知らない僕 ◆.ji0E9MT9g :2018/08/16(木) 21:44:54 ID:mdfqo6.Y0

 「そんなこと言ったって、結局今の僕には変身もできない。
 だから今の僕には退く以外に何も……」

 「……出来るじゃねぇか、変身なら」

 言って自分の胸(正確には口の下)を叩くキバット。
 しかしそれを見て、渡はどうしようもないほどの怒りが沸き上がるのを感じていた。

 「ふざけないで!言ったでしょ、僕は君をもう二度と利用したくないんだ。
 自分の都合で君を利用するなんて、もう二度と――」

 「勘違いすんじゃねぇ!」

 だが返ってきたのは、渡が今まで聞いたキバットの声の中で、最も大きな怒号だった。
 思いがけないその声量と、そこに込められているだろう感情に渡は思わず気圧されるのを感じていた。

 「いいか、渡。
 今はな、お前が俺を利用するんじゃねぇ、俺がお前を利用するんだ。
 ……ユウスケを助けるためにな」

 「キバットが、僕を利用する?」

 「そうだ、俺はこの通りボロボロだし、俺だけじゃ俺の我儘を聞いてくれた男一人助けてやることが出来ねぇ。
 でもお前がいれば、それが出来る。ついでに、あのムカつくヤローをぶっ潰すチャンスだってな」

 キバットの言葉は、渡にとって意外としか言いようがないものだった。
 キングの打倒、劣勢であるユウスケへの助力、そして渡との間に生まれた確執。
 それら全てを解決するために、キバットはきっと必死に考えたのだろう。

 自分なら、その提案を蹴れるはずがないとそう思って。

 「……だからよ、半分だけ力貸せよ、渡」

 そう言ってキバットはニヒルに笑った。
 きっとまだ自分を許し切ったわけではあるまい。
 だがそれでもこの瞬間、利害の一致したこの瞬間だけでも、自分を仮面ライダーとして戦わせたいのだろう。

 それに思い切り反抗することも出来なくはなかったが……今の渡には、それも意味のないことに思えた。
 そして何より、視界の先で青い仮面ライダーを蹂躙し嗤う黒い戦士を見たとき、それ以上の思考は渡にとって不要なものと化したのだ。
 黙って頷いた渡に、キバットもまた頷き返す。

 それだけで、二人にとってお互いの意思を確認しあうには十分だった。

 「っしゃあ、それじゃ久々に……キバって、行くぜええぇぇぇ!!!」

 ビュンビュンと渡に周囲を飛び回ったキバットが、渡の掲げた右手に収まる。
 そのまま慣れた手つきで渡の手にキバットが噛みつけば、溢れ出す魔皇力が彼の体を迸り、渡の全身にステンドグラスのような紋様を浮かび上がる。
 それと同時腰に巻き付いた真紅のベルトの中心にキバットを収めると、渡の全身は新たに生成された鎧に包まれた。

 仮面ライダーキバ。
 キバの世界を代表する仮面ライダーが、今本来の装着者を伴って再びこの場に姿を現したのである。
 その身に抱いた思いは違えども、為すべきことはただ一つ。

 低く構えたキバは、視線の先で火花を散らす両雄に向かい飛び込んでいった。


 ◆


 分かっていた話ではあるが、キングは強かった。
 マスクドフォームの防御力に頼っていても、疲労した現状ただ相手のいいように時間を浪費するだけだと早々にライダーフォームへと変じていたガタックは、しかし未だに苦戦を強いられていた。
 こうなった原因は、ライダーシステムそれぞれの優劣によるものではない。

596 レクイエムD.C.僕がまだ知らない僕 ◆.ji0E9MT9g :2018/08/16(木) 21:45:33 ID:mdfqo6.Y0

 ただ純粋に、ガタックに変身する自分の体力が今対峙しているキングに比べ思い切り劣る結果なのだと、ユウスケは分析していた。
 牙王との戦いの時にも似た状況、しかしあの時と違い一人でただ一条を背負い歩き続けたこの数時間が、あの時よりもユウスケから体力を奪っていたのだ。

 (今の体力的に、クロックアップできるのは精々あと1回か2回。
 今のままじゃ決めきれない、何か……何か奴の気が逸れるようなことがあれば……!)

 クロックアップは、ZECT製ライダーであれば標準装備されているというその手頃さ故勘違いされがちだが、実際のところ高速移動中に体にかかる負担は多大なものである。
 未だ能力の全貌を露わにしないオルタナティブを前に自身の切り札を切るには、何か彼を動揺させるだけの何かが足りないと、ガタックは勝負を決めきれずにいた。

 「……ん?」

 そんな時、両者の耳に飛び込んできたのは、勇ましい戦士の足音。
 断続的に聞こえてくる、鎖が金属に触れ合うような音はユウスケにも非常に聞き覚えのあるものだった。

 「渡、キバット!」

 「ハアァァァァ!!!」

 ガタックの喜色を帯びた呼び声に反応することなく、キバはその勢いのままに飛び上がりオルタナティブに拳を振りぬく。
 確かな威力を誇ったはずのそれを難なくその手に持った大剣の腹の部分で受け止めながら、オルタナティブは再び嘲るように鼻で笑いながら口を開いた。

 「やぁキバ。お友達の蝙蝠君と喧嘩してるっていうから楽しみにしてたのに、もう仲直りしちゃったの?つまんないなぁ」

 「勘違いすんじゃねぇ!俺たちは今てめぇをぶっ倒すためだけに協力してるだけだ。
 俺はまだ渡をキチンと許したわけじゃねぇ、ユウスケにやったこと謝るまで、俺はこいつを相棒とは認めねぇ!」

 「あっそ、てか最初から君には聞いてないし」

 ただ吐息だけでオルタナティブへの敵意をむき出しにする渡に、彼の代わりに応対するキバット。
 なるほどこれは最高の相棒だと、キングは心中で静かに嗤った。
 それと同時キバが繰り出したハイキックを今度は切り落とさんとするが、しかし右足を封印するカテナによって阻まれ甲高い金属音を生じさせるのみだった。

 「やる気になってくれたとこ悪いんだけど、君たちの相手は後ね。
 まずはクウガと遊びたいから――」

 ――ADVENT

 そしてそれにより数歩後退ったキバが再び自分に向けて殴りかかってくる寸前に、オルタナティブは自身のデッキよりカードをバイザーに読み込ませていた。
 ガタックの持つカリバーから質量を無視して飛び出したオルタナティブの契約モンスター、サイコローグは主の命じるままにキバに襲い掛からんと大きく両手を広げる。

 「させるかッ!」

 ――CLOCK UP

 しかしそこで、ガタックの切り札が発動する。
 契約モンスターを倒せば弱体化するという『龍騎の世界』の仮面ライダーの性質上、ここでキバと分断させられ変身時間を浪費するよりは、ここでクロックアップを使用し一気に勝負を決めようと考えたのである。
 そしてそのままガタックは両手に持ったカリバーを合わせ必殺の一撃を――。

 「そんなことくらい、僕が読んでないと思った?」

 後方より突如現れたオルタナティブの攻撃で阻止された。
 ダブルカリバーをカッティングモードから双剣の状態へと戻し、何とか二撃目以降を凌いだガタックは、ことここに至って自分の甘さを呪った。
 大ショッカー幹部が、自分の変身したガタックを見てわざわざ手持ちの中から選んだ姿だ、高速移動に準ずる能力やそれに抵抗できる手段くらい、持っていて当然だと警戒して然るべきだったはずだ。

597 レクイエムD.C.僕がまだ知らない僕 ◆.ji0E9MT9g :2018/08/16(木) 21:45:48 ID:mdfqo6.Y0

 自分の愚策を悔いる中、防戦一方のまま貴重なクロックアップの時間が終了する。
 同時にオルタナティブの契約モンスターがキバを闇の彼方へと強引に移動させ、残されたのはまたしても自分たち二人のみとなってしまった。
 もう助けも望めないだろうだだっ広いこの荒野、先ほどよりも消耗した体力が、頼みの綱である高速移動能力を拒絶する。

 どうしようもない危機的状況でしかし、ガタックはまだ何も諦めてはいなかった。
 大ショッカーの幹部を倒し、これ以上犠牲になる人を増やさないためにも、大ショッカーに反抗すると誓った自分の思いが嘘ではなかったと証明するためにも。
 ここで立ち止まることなど許されないと、ガタックは決意を新たにカリバーを大きく振りかぶった。


 ◆


 オルタナティブとガタックの戦いから少し離れたところで、今また新しい戦いが始まろうとしていた。
 キバとサイコローグ、向き合った両者。
 意思の存在しないモンスターを前に、しかしキバは一切の油断をすることはなかった。

 先代の王や自分自身も使用したゾルダという仮面ライダーの力、そのシステムの大体を理解した渡にとって、この契約モンスターという存在の有用性は痛いほどに分かっている。
 そして同時に、自分たち参加者が契約モンスターを現界させたときに発生する消滅までのタイムリミット。
 あのキングという幹部に首輪は存在しておらず、ゆえに変身制限が存在しないだろうことを思えば、もしかすればこうして現れた契約モンスターも制限なく彼が望む限り現実世界に存在できるのかもしれなかった。

 そして自分たちが倒すべきは目の前のモンスターではなくそれを操るキングであるという事情を鑑みれば、むしろ10分という明確な変身制限が存在する自分のほうがより不利だと言えるだろう。

 「ハァッ!」

 まどろっこしい思考のすべてを一旦無に帰すかのように、キバは勢いよくサイコローグに向け右拳を振るった。
 その拳は敵の防御に呆気なく受け止められるが、それで怯むキバではない。
 続けざまに左右の拳を連続で繰り出し、敵の防御を崩さんと神速の勢いで攻撃を重ねていく。

 そしていつしか生まれた一瞬の隙、右ストレートによって数歩後ずさったサイコローグに、続けざまに放たれたキバの鋭い蹴りが突き刺さっていた。
 無防備に吹き飛んだ敵に、続けて追い打ちを仕掛けるため駆け寄るキバ。
 しかしそれを前にして、サイコローグの身体は一瞬で人型からバイクへと変貌していた。

 「な、何ィ!?」

 思いがけない展開にキバットが驚愕の声を上げると同時、瞬きの間に最高時速まで加速したサイコローグがキバを目掛けて突貫してきていた。
 間一髪横に転がり攻撃をやり過ごすが、急旋回し猛スピードで繰り出された二度目の突進は躱し切れずキバは大きく吹き飛ばされた。
 地を転がり肩で呼吸するキバのもとに、間髪入れずにサイコローグが突撃してくる。

 「クソッ、ちょこまか動き回りやがって……。
 そっちがその気ならこっちだって――バッシャーマグナムッ!」

 キバットに導かれるようにホイッスルを彼に噛ませたキバのデイパックから、緑の彫像が飛び出してくる。
 何の変哲もないそれは魔皇力を受け一瞬で銃のような形状へと変形し、右手でそれを握りしめたキバの身体もまた深緑に染まった。
 仮面ライダーキバ、バッシャーフォーム。

 高い機動力と遠距離からの自在な攻撃を可能とする、キバとその従者が融合した姿だった。

 「さっさと決めるぜぇ、バッシャーバイトッ!」

 バッシャーフォームへと変身したキバがマグナムをキバットに噛ませると、彼の足元を起点としてアクアフィールドと呼ばれる亜空間を発生した。
 向かってくるサイコローグを水面を滑るように移動して難なく回避し、キバはそのまま銃口を彼へと向ける。
 しかし対峙する敵もまたそうした攻撃は読んでいたのか、キバを中心にするように円を描きながら徐々に距離を詰め、攪乱と攻撃を両立させる。

598 レクイエムD.C.僕がまだ知らない僕 ◆.ji0E9MT9g :2018/08/16(木) 21:46:04 ID:mdfqo6.Y0

 このままではまともに照準を定めることは出来ず、キバに待つのはただ行き止まり(DEAD END)のみである。
 そう、彼が持っているのがただのマグナムだったなら、それは避けられなかっただろう。

 「ハアァァァァ……」

 緩くゆっくりと息を吐きだしながら、キバはサイコローグが奏でる喧騒に気を取られることなく銃口を引き絞った。
 瞬間放たれた水の弾丸は、当然のように敵を直撃することなく彼方へと消えて……はいかない。
 一度行き過ぎたかに思えたそれは、次の瞬間凄まじいスピードで標的へ追跡を開始する。

 どんどん、どんどんとサイコローグが円の中心であるキバへ距離を縮めるたびに、キバの放った弾丸もまた彼へ肉薄していく。
 そしてまさにサイコローグがキバへと襲い掛からんとするのと同時、水の弾丸は彼へと着弾し、激しい爆発がキバを包み込んだ。


 ◆


 「ほらほらどうしたの?そんなもんじゃないでしょ?さぁ戦ってよ仮面ライダー」

 薄れかけた意識が、癇に障る高い男の声で覚醒する。
 こいつにだけは屈してはならない、何度目になるかわからないその覚悟で崩れかけた構えを何とか保つ。
 この戦いが始まってはや数分、未だにガタックはオルタナティブに対して有効な攻撃を浴びせることが出来ていなかった。

 もういつ変身制限が訪れてもおかしくはないと逸る気持ちが、より一層ガタックの消耗を加速させ彼から冷静さを奪っていく。
 その一部始終をすべて分かったうえで観察するのが面白くて堪らないとばかりに笑い続けるキングの声が、ひたすらに腹立たしかった。

 「お前は放送で、誰かを守るために戦った仮面ライダーの死を侮辱した。
 だから俺が、ここでお前を倒す。お前が馬鹿にした、その誰かを守るための力で!」

 「へぇ、誰かを守るために戦う仮面ライダーって、例えばもう一人のクウガ、とか?」

 「あぁそうだ!五代さんもあの石で操られていたとしても、本当は正義のために戦いたかったはずなんだ、それを――!」

 思わず語勢の強くなったガタックの耳に、ケタケタと笑い声が響く。
 あぁ全く、こいつの話にまじめに取り合うだけ時間の無駄だったかと肩を怒らせる彼に対し、しかしオルタナティブは軽薄に嗤うのをやめない。

 「いやごめん、ちょっとおかしくってさ。
 だって君が影響受けまくってるもう一人のクウガ、それを殺したのはほかでもない君の大事な仲間のディケイドなんだから」

 「……は?」

 キングのその言葉について、脳が理解を拒んでいるのが分かった。
 士が、五代さんを……一条さんにとって最高の友人で最も信頼のおける存在だと言っていたもう一人の仮面ライダークウガを、殺したと?
 地の石による誤解が生んだ結果かもしれない、そもそもキングの吐いた嘘、出まかせかもしれない。

 そんな甘い考えが脳を過るのと同じくらいに、もしかしたら士が破壊者として彼を破壊したのではという懸念が思考を占領していく。
 世界がどうとか関係なく、五代さんを破壊した破壊者として士と戦わなければいけないかもしれないという不安は、どうしようもないほどに強かった。
 どうしようもなく拭いきれないジレンマに陥りかけたガタックを、オルタナティブの放った横薙ぎの一撃が襲う。

 間一髪直撃は避けることに成功するが、ほんの数cm胸元を掠めたその衝撃だけで、ガタックの身体からは火花が散り、遂に彼は膝をついた。
 立ち上がろうとした瞬間自身の喉元に突き付けられたオルタナティブの大剣によって、ガタックはこの戦いの勝敗を察する。
 どうしようもない、一切の異論も認められないほどに、ユウスケの完敗、キングの完勝であった。

599 レクイエムD.C.僕がまだ知らない僕 ◆.ji0E9MT9g :2018/08/16(木) 21:46:22 ID:mdfqo6.Y0

 「ね?だから言ったでしょ?口先だけの正義の味方とか弱いだけだって。
 ルールも分かってないのに運だけで勝ち残っちゃった雑魚はさっさと退場してくれなきゃ」

 「運……だけ?」

 「そうだよ。僕の言ってること違うだのなんだのってうるさいくせに、誰一人僕より強い仮面ライダーなんていないんだ。
 つまり結局僕が言ってることが正しいってわけ。君たち仮面ライダーはみんな、間違ってるから弱いんだよ」

 ビュンと風を切り振り上げられた大剣がそのまま重力に従ってガタックの首に振り下ろされる。
 そのまま一切の抵抗さえ感じさせず地面に叩きつけられると思われたその剣はしかし、ガタックの頭上、彼が掲げた一対の双剣に阻まれていた。

 「なッ……!?」

 「間違ってるのは、お前だ。キング……!
 お前が今まで負けなかったとしたらそれはお前が、自分が有利になれる状況でしか戦おうとしない卑怯者だからだ!」

 ぴしゃりと言い切ったガタックに、オルタナティブは初めて僅かばかりの苛立ちを見せた。
 だがそれだけでガタックの言葉は止まりはしない。
 今まで良いように言われた分を取り返すかのように、彼はまた口を開いていた。

 「一瞬でもお前の言葉に揺らいだ自分が恥ずかしいよ……!
 けどもう俺は迷わない。人を守ることも、士のことも、俺は全部諦めない。
 もう二度と、悩んで立ち止まったりしない!」

 ――RIDER CUTTING

 新たな決意を叫んだガタックに呼応するかのように、ガタックの持つ二本のカリバーにタキオン粒子が流れ込んだ。
 ちょうどクワガタの鋏のような形でオルタナティブの大剣を挟み込んだダブルカリバーは、そのままじりじりと二人の間の力関係を逆転させていく。
 今まで膝をついていたガタックが徐々に立ち上がり、逆に今まで常に余裕を崩さなかったオルタナティブは徐々に呻き声をあげガタックの想定外の粘りに驚きを隠せないようだった。

 高まり切ったエネルギー、完全に形成を逆転させた両者の間僅かの間競り合っていた均衡は一瞬で砕け散った。
 オルタナティブの持つ大剣が、ガタックのライダーカッティングに耐え切れずその刀身を真ん中から二つに別ったのである。
 それにより大きく体勢を崩したオルタナティブは、しかしすぐに立て直そうと一歩後ろに飛びのこうとする。

 「ああぁぁぁぁぁぁッッッ!!!」

 だが、それを許さなかったのはガタックのタキオン粒子を帯びた右足だった。
 オルタナティブが仰け反ることさえ見越した間合いで放たれたその蹴りは見事に敵の胴体を捕らえ、彼方へと吹き飛ばす。
 それにより生じた爆発の中、制限により変身を解除され地に膝をつき肩で大きく呼吸をしながらも、ユウスケは大きく腕を空へと突き上げた。

 「――で、まさか今のが僕の本気、とか思ってないよね?勘違いしないでよ、これからが本番だから」

 だが次の瞬間、僅かな苛立ちを含ませながらも、未だ健在のキングが煙の中から現れる。
 先ほどまでと一つ違うことがあるとすれば、彼の姿がオルタナティブではなく軽薄な青年のものに戻っていることだ。
 今し方変身を強制的に解除されたというのに浮かべている軽薄な笑みを見れば、なるほどこれからが本番というのはあながち嘘ではないらしい。

 しかしそんなキングに対し、こちらにはもう変身手段どころかまともな抵抗を出来るだけの体力さえ残されてはいない。
 今度こそ万事休すか、そう思われたユウスケの瞳はキングの後方よりゆっくりと歩み寄ってくる、牙王やダグバにも遜色ないほどの威圧を誇る戦士を捕らえた。
 それは、今キバの持てる中で最高の形態、渡とキバット、そして彼に仕える三体の従者が一体化した姿。

600 レクイエムD.C.僕がまだ知らない僕 ◆.ji0E9MT9g :2018/08/16(木) 21:46:37 ID:mdfqo6.Y0

 仮面ライダーキバドガバキフォームがゆっくりと、しかし確実にキングに向け歩を進める姿だった。

 「今度は君が相手?キバ。なら僕だって……変身」

 しかしキバの威圧に一切怖じけぬまま懐から新しいデッキを取り出したキングは、東病院から持ち出してきた鏡の破片にそれを翳す。
 それによって装着されたVバックルにデッキを勢いよく叩き込んで、彼の姿は刹那のに青藍の騎士に変じた。

 「蝙蝠には蝙蝠……って奴?」

 仮面ライダーナイトサバイブと化したキングは、不敵な笑みを浮かべたまま剣を構えキバに突撃する。
 ガキン、と甲高い音を響かせてキバはダークバイザーツヴァイをユウスケのデイパックから呼び出したガルルセイバーの刃で、まんじりともせず受け止めていた。
 次の瞬間、生まれた拮抗に甘んじず、キバの引き絞ったバッシャーマグナムの引き金がナイトに向かって火を噴いた。

 弾丸の直撃を受け大きく吹き飛ばされたナイトは、しかし予想通りと言わんばかりにバイザーを弓状に変形させ無数の矢をキバに向けて放った。
 すんでのところでガルルセイバーを振るい、空気の矢を全て切り落とすが、しかし先の対処速度を見れば、単に情報量に頼り切っているだけではなくこのキングという男が――一番かはともかく――強いというのは満更嘘でもないようだった。

 「そういえばさ、キングっていう名前は、一番強いただ一人だけが名乗っていい名前なんだよね。
 君はあの“王様”より強いけど、僕より弱いんだからその名前使われるとムカつくんだよね」

 「ならやはりキングは僕だ。僕も……それにあの人も、お前より強い」

 「言ってくれるじゃん……!ならやってみなよ、無理だと思うけど!」

 その言葉を合図にするように、両者は互いに一斉の距離を詰めた。
 再度剣を構えキバを切りつけんとするナイトに、キバは出し惜しみは不可能だと悟ったか、ザンバットソードの名を持つ大剣とドッガハンマーの名を持つ槌を構える。
 ダークバイザーの刀身をザンバットで受け止めそのまま大きく振りかぶったドッガハンマーを思い切りスイングすれば、しかしそれはナイトの左腕に装着された盾状のバイザーに阻まれ本体には届かない。

 しかしその一撃のあまりの重さにナイトの動きが一瞬でも硬直すれば、それでキバには十分だった。
 片手のみで無理矢理に扱っていたドッガハンマーを乱暴に投げ捨てて、キバは両手でザンバットを振り下ろす。
 何とか己の得物でそれを凌ごうとナイトは藻掻くが、しかし先の一撃で生まれた身体の痺れによってまともな防御も叶わぬまま全身から火花を撒き散らした。

 呻きと共に後ずさり思いがけないキバの底力に意図せず圧されたナイトが顔を見上げた時には、既にそこに敵の姿はなかった。
 まさか。敵の狙いに気付きハッと空を見上げたときには、もうそれは完了していた。

 「――ウェイク、アアァァップッ!」

 勝利宣言にも聞こえるキバットの叫びが聞こえるのと同時、キバの身体は月まで飛び上がった。
 解放された右足のヘルゲートはそこにのみキバ本来の力が取り戻された証拠。
 ダークネスムーンブレイクの名を持つその最強の一撃を、歯噛みし見上げながら、ナイトは必死の思いで何とか盾を構える。

 必死に歯を食いしばり相手の一撃をただ享受せざるを得ないその姿には、最早先ほどまでの余裕は微塵も感じられなかった。

 「――キバれぇぇぇぇぇ!!!」

 キバットの絶叫に合わせて、キバの身体が急降下する。
 右足をナイトに向け真っ直ぐに伸ばし迫るその姿は、まさしく死神のようだった。
 ドン、と激しい音を響かせてキバの足とナイトの盾が接触し、その勢いのあまりそのままの体勢で彼の身体は大きく引きずられていく。

 しかしその拮抗も長くは続かない。
 キバの蹴りはナイトの盾をも超えてその一撃を敵へと届かせたからだ。
 盾により幾分か威力は死んだものの、しかしなおも並の怪人であれば容易に撃破できるだけのキバの蹴りを胸に受けて、ナイトの身体は大きく爆発を起こしたのだった。

601 レクイエムD.C.僕がまだ知らない僕 ◆.ji0E9MT9g :2018/08/16(木) 21:46:52 ID:mdfqo6.Y0


 ◆


 敵が包まれた爆炎の熱を鎧越しに感じながら、キバは無感動にゆっくりと得物を構え直した。
 先代の王、つまりはもう一人の“キング”との戦いにおいても、似たような状況が訪れ、そして彼が戦う気力を十分に残していたことを鮮明に覚えていたからだ。
 正直認めたくはないがあの時の王と同等程度の力を誇る、今自分と対峙するキングも、この程度の攻撃では敗北を認めないだろうとそう高をくくっていたのである。

 「ハハハ……、アハハハハハ……」

 そしてキバの読みは、的中する。
 キングが恐らくは真の姿であろう、金色の甲殻に身を包んだ怪人に変じながら、嗤いを絶やさず煙の中から現れたのである。
 その笑いは弱々しいが、しかし先ほど闇のキバの鎧を纏い戦ったダグバという狂人とはまたベクトルの違う狂気を孕んだものだった。

 ひたすらに戦うのが楽しくて堪らないといった様子だったあちらに比べれば、キングのそれは例えるなら悪戯を楽しむ悪ガキのようなものというべきだろうか。
 信念や決意など微塵も感じられない、ただ今を楽しめればそれでいいという思いが見え隠れするそれに葛藤の中で生きるキバは苛立ちを感じたが、しかしそれで取り乱すことはしなかった。
 だがそんなキングに対して感情を抑えきれなかったのは、少しばかりの間蚊帳の外に押しやられていたユウスケだった。

 「お前、何がそんなにおかしいんだよ……自分が死ぬかもしれないんだぞ……?」

 「だっておかしくってさ……、僕はまだ本気も出してないのに、そっちの王様気取りは全力なんだもん」

 その言葉に、鎧越しにも伝わるほどに膨れあがったキバの怒気。
 だがそれを受けても、なおキングは何がおかしいのかヘラヘラと呑気に構えるだけだった。

 「あれが僕の全力だったかどうか……試してみるか?」

 「いや、いいよ。だって――」

 言ってキングは突如その手に握ったオールオーバーから殺意を乗せた真空波を放った。
 しかし所詮は見え透いた攻撃、その程度今のキバであれば容易に対処出来る。
 ……はずだった。

 「――僕の勝ちだもん」

 「えっ?」

 思わず漏れた間抜けな声を、しかし渡は抑えることなど出来なかった。
 まだ数分残っていたはずのキバの変身制限が突然限界を迎え、その生身を晒したのだから。
 王の威厳を以て悠然と攻撃に対処するはずだった渡に、最早何の回避行動を取る時間さえありはしない。

 呆然と立ち尽くす渡、ユウスケの絶叫、キングの嘲笑。
 全てが重なった、永遠にも感じられるその一瞬が過ぎた後。
 紅渡は、天を仰ぎながら大きく横たわった。


 ◆


 「渡ッ!」

 思いがけない展開に、駆け寄りながら叫ぶのはユウスケだ。
 助けたかったはずの命がまた、自分の目の前で奪われてしまった。
 それを思うだけで彼の心に確かに存在していたはずの聖なる泉は二度と恵みをもたらさぬほどに枯れ果ててしまいそうになる。

602 レクイエムD.C.僕がまだ知らない僕 ◆.ji0E9MT9g :2018/08/16(木) 21:47:11 ID:mdfqo6.Y0

 困惑と敵への怒りと何より自分への不甲斐なさに、しかしもう溢れる涙さえ残されていなかったユウスケは、そのままキングに立ちはだかる。
 今しがた志し半ばに倒れてしまった渡と、そして――。

 「――キバット?」

 心中で呼んだその名前を、しかし実際に声に出したのは、ユウスケではなかった。
 それは自身が背に庇うように位置していた、致命傷を受けたはずの渡の、今すぐにでも消えてしまいそうなか細い絶望を秘めた声だった。
 その悲痛な声に、何が起きたかとキングのことさえ無視して勢いよく振り返ったユウスケの瞳に映ったのは、自分や仲間たちに分け隔てなく接し力を貸してくれた気の良い蝙蝠の身体が、左の羽の根元から消滅している痛ましい姿だった。


 ◆


 その時、渡には自分に何が起こったのか、皆目見当も付かなかった。
 何故正確に把握しているはずの変身制限が早く解除されるに至ったのか、何故攻撃を受けたはずの自分が生きているのか、そして何より、何故自分の親友であるキバットから片翼が失われているのか。
 何一つ理解の追いつかない状況の中で、ひたすらに積み重なっていく困惑がしかし自分に訴えかけてくるのは、『キバットの命が危ない』というただ一つの焦燥感だけだった。

 「――キバット?」

 思わず呼びかけた渡の声に、しかしキバットはただ漏れるような弱々しい呼吸を返すだけ。
 一体どうすればと頭が混乱した渡の耳に届いたのは、しかしこんな状況でも確かな存在感を有したキングの強い溜息だった。

 「ハァ、……驚いたよ。まさかそいつが君を庇っちゃうなんてさ、盛り下がるったらありゃしない」

 「何……?」

 緊張感の欠片も感じられないキングの声に思わず怒気を含み返した渡に対し、キングは変わらぬ調子で続けた。

 「気付かなかったの?君の変身が解けちゃった後、その蝙蝠くんは君を押し倒して自分だけで攻撃を受け止めたって訳。
 幾ら頑丈に出来てるって言っても、ダグバとの戦いで傷ついた今の身体に僕の攻撃を受けたら一溜まりもないことくらい分かるだろうに、馬鹿な奴」

 「馬鹿な奴……だと?」

 瞬間、渡より先にキングの声に怒りを露わにしたのは、ユウスケだった。
 渡の友として戦った彼のことも、別世界のワタルに仕える彼のことも、どのキバットも自分にとって友人であり、仲間だったのだ。
 そんな存在を侮辱されて黙っていることは、ユウスケには到底出来なかった。

 「あいつは、何をされたって親友を……渡を信じてたんだ!
 本当は他の世界を滅ぼすなんて望んでないって、渡は今も心優しい昔の渡のままなんだって……!ひたすらに信じてた!
 そんな風に信じられる相棒もいないお前が、あいつを馬鹿にするな!」

 「暑苦しいなぁ……、そういうのウザいって。それに、結局蝙蝠くんが馬鹿ってのは変わらないじゃん。
 キバが殺し合いに乗りたがってないなんて見当違いもいいところだし、信じる相手を間違った馬鹿だってのは、結局同じ事でしょ?」

 「――キングゥゥゥッ!!!」

 高まった怒りのままに、ユウスケはキングに向けて駆け寄り拳を振り抜いた。
 もしも今クウガへの変身に制限がかかっていなかったらアルティメットフォームになっていただろう。
 そう自分でも認めざるを得ないほどに怒りの衝動を込めて放たれたその一撃は、しかしソリッドシールドすらないというのにコーカサスの堅固な甲殻に傷一つつけることは叶わない。

603 レクイエムD.C.僕がまだ知らない僕 ◆.ji0E9MT9g :2018/08/16(木) 21:47:28 ID:mdfqo6.Y0

 一打、また一打と甲殻を強く叩きつける度血が滲んでいく拳は、今にも壊れてしまいそうだと悲鳴をあげているかのようだった。
 しかしそれでも、ユウスケは手を休めることはしない。
 ただそれが自分に出来る最大の仕事だとばかりに、ひたすらに拳を振るい続けていた。

 「……ウザい」

 だがユウスケの必死の連打も、付き合うのに飽きたキングの気怠げな一言と共に力なく振るわれた豪腕によって呆気なく終わりを告げる。
 彼からすれば別段殺傷を目的にしていないはずの何気ないただの一撃で、ユウスケの身体は容易く吹き飛ばされてしまった。
 一方、“キング“という称号によほど執心なのか、先に渡を殺そうと彼にゆっくり歩み寄っていくコーカサスアンデッド。

 呆然と座り尽くし両手に握ったキバット以外の全てが意識に入っていないだろう渡を見て、ユウスケの身体は再び自然と動き出していた。

 「ああああぁぁぁぁ!!!」

 「邪魔……!」

 絶叫と共に後ろからコーカサスの腰に抱きつくようにタックルをかましたユウスケは、桁外れのパワーに何度も引き剥がされそうになりながらも、懸命に言葉を紡ぐ。

 「渡!逃げろッ!」

 その言葉に、ゆっくりと顔をあげる渡。
 未だ目の焦点は合っていないような気はするが、しかし今はそれでもよかった。

 「キバットを連れて、ここから逃げるんだ!キバットがくれたものを、無駄にしないためにも!
 行け渡!行けええええぇぇぇ!!!」

 ユウスケが今、無力であってもキングの前に立ったのは、渡にキバットとの最後を少しでも長く静かに過ごして貰いたいという思い。
 自分と姐さんに許されなかったその時間を、彼には与えてやりたいという、強い信念によるものだった。
 しかしそんな思いも虚しく、絶叫を最後に遂にコーカサスに捉えられ彼は今度こそ真正面から一撃を食らってしまう。

 彼方へと飛ばされていくユウスケを眺めながら、しかし渡はことここに至ってようやく思考力を取り戻した。
 今の今まで上の空であったとしても、しかしそれも、当然だったかもしれない。
 先ほどまでの渡の胸を占めるのは、キバットに傷を負わせたキングの怒りなどという下らない感情よりも、幼少の頃より悠久にも思える時を二人で共に過ごした唯一無二の相棒の命が消え行こうとする現状への対処だったのだから。

 ……この手の中で、消え行くような呼吸を繰り返す相棒を、こんな喧噪の中で死なせたくない。
 どこか歪ながらも芽生えたその思いが、渡の瞳に消えかけた芯を取り戻させていた。

 ――STAND BY

 そんな渡の心境に呼応するように、機械仕掛けの紫色をしたサソリが突如どこからか現れた。
 初めて出会ったはずだというのにどこか知っているような気がするそのサソリは、そのままキングのデイパックへ飛び込みその中身を散乱させる。

 「こいつッ……!」

 珍しく苛立った様子のキングが自身のデイパックの中身を抑えるより早く、紫色のサソリ――サソードゼクター――は幾つかの彼の所有物と共に目当てのものをそこから掘り出し既にそこから脱出していた。
 丁度その手に収まるようにゼクターから渡に向けて投げ渡されたのは、自身を扱える資格者の証明とも言えるサソードヤイバーであった。
 片手のひらに未だキバットを抱えている関係か、それとも単に資格者の手を煩わさせないためか、サソードゼクターが自力でヤイバ-に収まれば、渡の姿は三度異形へと変わっていた。

604 レクイエムD.C.僕がまだ知らない僕 ◆.ji0E9MT9g :2018/08/16(木) 21:47:44 ID:mdfqo6.Y0

 ――CHANGE SCORPION

 闇に怪しく輝いた緑の複眼が表すのは、この会場で渡こそがサソードの資格者に相応しいと認められた証。
 彼が本来の世界の資格者である神代剣と同じく自分の死を以て完遂される望み故か、或いは死した最愛の女性の為に戦い続ける無私の愛故か。
 ともあれ重要なのは、彼はこの土壇場で新たな力を手に入れたというその事実だけだった。

 ――CLOCK UP

 そして次にサソードが選択したのは、キングとの更なる戦闘ではなく、友の安全を確保するための離脱であった。
 クロックアップを使用したそれに元から追いつくつもりもないのか、つまらなさそうに溜息を吐いたキングは残ったユウスケをいたぶってストレス解消でもしようかと彼に振り返る。
 しかしその瞳に映ったのは、自身のデイパックからこぼれ落ちた黒いデッキを拾い上げ鋭くこちらを睨む彼の姿だった。

 「変、身……!」

 息も絶え絶えに何とかデッキをVバックルに叩き込んだユウスケの姿は、先ほどキングも変じた仮面ライダーの姿へと変身する。
 とはいえ今の彼ではサバイブになったところで自分の相手ではあるまい。
 そう高をくくって破壊剣オールオーバーを構えたキングに、ナイトは勢いよくカードを引き抜いた。

 ――GUARD VENT

 しかし彼の用いた手札は、サバイブではなかった。
 先ほどドガバキフォームに変身したキバが強化変身による制限時間の短縮で予想外の展開を見せたことから、切り札を温存しようとしているのだろうか。
 どちらにしても結果は同じ、自分の勝ち以外にはあり得ないと威勢良くナイトが上段から振り下ろしたダークバイザーを、切り上げる。

 瞬間、ナイトが装着するマント、ウィングウォールに阻まれ一瞬視界を失ったキングが次に見たのは、空高く飛び自身に背を向けて彼方へと滑空していくナイトの姿だった。
 最初から渡を逃がして自分も逃げる算段だったのかと呆れながらも、手持ちの戦利品を一気に二つ失ったのもどうでもいいかのようにキングは笑った。
 どちらにせよ自分の本来の姿があれば十分にこの場を勝ち抜けるのだ、それ以外の変身アイテムなど能力で遊ぶためだけのもの。なくなろうが増えようが、正直どうでもよかった。

 「まぁでも、次はきっと面白くなるよ。……ねぇ、レンゲル?」

 故に、彼の関心は既にサソードヤイバーやナイトのデッキにはない。
 自分から飛び込んできた新しい遊具(おもちゃ)、レンゲルバックルを掲げて、キングは一人ニヤリと笑った。


【二日目 早朝】
【E-1 焦土】

【キング@仮面ライダー剣】
【時間軸】本編34話終了より後
【状態】疲労(大)、ダメージ(大)、ゾーンメモリの能力1時間使用不可
【装備】破壊剣オールオーバー@仮面ライダー剣、レンゲルバックル+ラウズカード(クラブA〜10、ハート7〜K、スペードK)@仮面ライダー剣、ベルデのデッキ@仮面ライダー龍騎、T2ゾーンメモリ@仮面ライダーW、グレイブバックル@仮面ライダー剣、
【道具】デンオウベルト&ライダーパス@仮面ライダー電王、カッシスワーム・クリペウスとの対決用の持ち込み支給品@不明、首輪(五代、海東)
【思考・状況】
基本行動方針:面白おかしくバトルロワイアルを楽しみ、世界を壊す。
0:さて……次は誰と遊ぼうかな……?
1:このデスゲームを楽しんだ末、全ての世界をメチャクチャにする。
2:カッシスワームの復活を警戒……まぁホントに復活してたら会ったとき倒せばいいや。
3:僕はまだ本気出してないから負けてないし!
【備考】
※参加者ではないため、首輪はしていません。そのため制限が架されておらず、基本的には封印されない限り活動可能です。
※カッシスワームが復活した場合に備え、彼との対決も想定していたようですが、詳細は後続の書き手さんにお任せします。
※ソリッドシールドが破壊されました。再生できるかは後続の書き手さんにお任せします。
※T2ゾーンメモリは会場内どこでも飛べますが、マキシマムドライブでの使用などの場合も含め2時間に一度しか能力を使用できません。
※この会場内の情報は第二回放送とその直後までのものしか知りません。彼の性格上面白くなりそうなこと優先で細かいことを覚えていない可能性もあります。

605 レクイエムD.C.僕がまだ知らない僕 ◆.ji0E9MT9g :2018/08/16(木) 21:48:26 ID:mdfqo6.Y0


 ◆


 F-1エリア、先ほど一条が自分を叱咤し病院に向けて出発した所謂スタート地点に辿り着いて、ユウスケはようやくその身体を地面に横たえた。
 本来であれば今すぐにでも一条が逃げた病院方向に向かいたかったが、キングのことを考えずとも、もう身体は体力の限界を訴えていて、かつもう中間地点であるE-1エリアは禁止エリアになってしまう時間だった。
 少なくとも放送までには到底合流が叶わない一条のことや、先ほどの死んだ目をした渡のこと、そして見るも無惨に打ちのめされたキバットのことなどが、次々に頭の中を過ぎっては消えていく。

 「結局俺は……全部中途半端だ……!」

 その末に導かれた自分の不甲斐なさを呪う声は、震えていた。
 一条のことを病院にまで送り届けるという使命も、渡を救うというキバットからの頼みも、キングを倒すという決意も、全てが満足に出来ていない。
 こんな中途半端で弱い自分をそれでも頼ってくれた人たちの思いに、何一つ自分は応えられていない。

 『君は君で良い』

 自己嫌悪に至りかけたユウスケの頭に刹那思い出されたのは、先ほどの一条の言葉。
 五代が持っていなかったという、自分と対等に語り合え悩みを打ち明け合える、門矢士という友の存在。
 それが自分と五代雄介とを分ける一つの違いなのだとすれば、彼がその五代を殺したかもしれないという懸念を、自分はどう一条に伝えればいいのだろうか。

 士が善意から五代を倒したのだとすれば、一条は彼を許すだろうか。
 もし悪意で以て士が五代を破壊していたとして、そもそも今の自分に彼を倒せるだけの力など残されているのだろうか。

 「姐さん、俺、どうすれば……」

 積み重なる不安に思わず助けを求めるかのように空に伸ばしたその腕は、しかし容赦なく迫り来る睡魔に負け、力なく大地に落ちた。


【二日目 早朝】
【F-1 平原】

【小野寺ユウスケ@仮面ライダーディケイド】
【時間軸】第30話 ライダー大戦の世界
【状態】疲労(極大)、ダメージ(極大)、精神疲労(大)、左脇及びに上半身中央、左肩から脇腹、左腕と下腹部に裂傷跡、アマダムに亀裂(進行)、ダグバ、キング@仮面ライダー剣への極めて強い怒りと憎しみ、仲間の死への深い悲しみ、究極の闇と化した自分自身への極めて強い絶望、仮面ライダークウガに1時間30分変身不能、仮面ライダーガタックに1時間40分変身不能、仮面ライダーナイトに1時間55分変身不能
【装備】アマダム@仮面ライダーディケイド 、ガタックゼクター+ライダーベルト(ガタック)@仮面ライダーカブト、ナイトのデッキ+サバイブ(疾風)@仮面ライダー龍騎
【道具】アタックライドカードセット@仮面ライダーディケイド、ガイアメモリ(スカル)@仮面ライダーW、変身音叉@仮面ライダー響鬼、トリガーメモリ@仮面ライダーW、ディスクアニマル(リョクオオザル)@仮面ライダー響鬼、士のカメラ@仮面ライダーディケイド、士が撮った写真アルバム@仮面ライダーディケイド、ユウスケの不明支給品(確認済み)×1、京介の不明支給品×0〜1、ゴオマの不明支給品0〜1、三原の不明支給品×0〜1、照井の不明支給品×0〜1
【思考・状況】
0:(気絶中)
1:一条さん、どうかご無事で――。
2:これ以上暴走して誰かを傷つけたくない……
3:……それでも、クウガがもう自分しか居ないなら、逃げることはできない。
4:渡……キバット……。
5:もし本当に士が五代さんを殺していたら、俺は……。
【備考】
※自分の不明支給品は確認しました。
※『Wの世界万能説』をまだ信じているかどうかは後続の書き手さんにお任せします。
※アルティメットフォームに変身出来るようになりました。
※クウガ、アギト、龍騎、響鬼、Wの世界について大まかに把握しました。
※変身に制限が掛けられていることを知りました。
※アマダムが損傷しました。地の石の支配から無理矢理抜け出した為により一層罅が広がっています。
自壊を始めるのか否か、クウガとしての変身機能に影響があるかなどは後続の書き手さんにお任せします。
※ガタックゼクターに認められています。
※地の石の損壊により、渡の感情がユウスケに流れ込みました。
キバットに語った彼と別れてからの出来事はほぼ全て感情を含め追体験しています。
※カードセットの中身はカメンライド ライオトルーパー、アタックライド インビジブル、イリュージョン、ギガントです
※ライオトルーパーとイリュージョンはディエンド用です。
※ギガントはディケイド用のカードですが激情態にならなければ使用できません。
※デイパックは音也のものに移し替えました。その際支給品の紛失についても確認しましたが、彼が覚えている限りの支給品はそのまま残っていました。

606 レクイエムD.C.僕がまだ知らない僕 ◆.ji0E9MT9g :2018/08/16(木) 21:48:52 ID:mdfqo6.Y0


 ◆


 D-2エリアに在する小さな民家の一つの中で、紅渡はただ友を救う手立てはないかと一人奮闘していた。
 自分だけではどうにも出来ないと自分より余程キバット族について詳しいだろうキバットバットⅡ世を頼ってみても、その答えは「助かる見込みはない」というだけだった。
 ただ冷静に事実と推測される結果だけを述べ後は黙って息子の最後を見届けようとする彼の暗い瞳には、既に諦めしか映っていない。

 それでも一握りの奇跡を求めて物言わぬサガークや胸像と化したガルルたちにさえ解決手段を聞いていくその渡の姿は、あまりにも痛々しかった。

 「キングよ、何を期待しても無駄だ。俺の息子は、もう――」

 「その名前で僕を呼ばないで!」

 見ていられないとばかりに思わず再び渡へ忠告を行ったキバットバットⅡ世は、しかしその渡の言葉に耳を疑った。
 まさか今この男は……キングと言う名前を否定したというのか?

 自分の口をついて出た咄嗟の言葉に驚愕を隠しきれなかったのは、渡も同じだった。
 紅渡であることを捨てキングとして世界を救う決意を固めたというのに、その名前で呼ばれることが、キバットをこんな目に合わせた男と同じ名前で呼ばれることが、どうしても我慢ならなかったのだ。

 「へっ……、ようやく、自分の名前が何なのか思い出したのかよ……。
 ったく遅いぜ……渡……」

 自分自身の感情にどうしようもなく困惑する渡に対し、突如降り注いだのは自分がどうしても聞きたかった友の声。
 キバットバットⅡ世ともよく似ている、しかし暖かみを感じる聞き慣れた声だった。
 だが友の意識が戻ったことを喜ぶより早く湧き出たのは、彼の言葉を否定しなければならないという強迫観念にも似た感情だった。

 「違うよキバット……僕はもう紅渡じゃない……。その名前を名乗る資格なんてもう僕には……!」

 「馬鹿言ってんじゃねぇよ、親がつけてくれた自分の名前名乗るのに資格なんてあるわけねぇ。
 キングなんていう何人もいるありきたりなしょうもねぇ名前じゃなく、親父さんから受け継いだ“紅”て名字に、お袋さんがつけてくれた“渡”って名前。
 それがお前の名前だろうが。この先一生、何があったって背負っていかなきゃならねぇ、お前の……」

 「キバット……」

 ハァハァと浅く乱雑に呼吸を繰り返すキバットの姿を見て、もう渡は彼から目を離すことはしなかった。
 一瞬でも瞳を閉じれば、それが永劫の別れになってしまう気がして、ただひたすらどんな些細な点さえもその姿を目に焼き付けようと必死だった。

 「なぁ渡……最後に一つだけ、お前に言いたいことがあるんだ、聞いてくれるか?」

 「……」

 渡は、キバットの問いかけに何も返さなかった。
 返事をすれば、そしてキバットがその言いたいこととやらを言い切ってしまったらもうそれで全てが終わる気がして、どうしようもなくそれを先延ばしにしてやりたかった。
 だがそんな渡の些細な運命への抵抗に気付いた上でか否か、キバットは独り言のように続けた。

607 レクイエムD.C.僕がまだ知らない僕 ◆.ji0E9MT9g :2018/08/16(木) 21:49:07 ID:mdfqo6.Y0

 「俺はな渡、お前の頑固なところが好きだったんだ。自分で決めたら真っ直ぐに突き進むことしか知らねぇお前のことを、俺が支えてやらなきゃって、そう思ってた。
 お前がキングになろうが何だろうが、お前が自分の気持ちに本当に素直に生きられるなら、俺はそれだって構いやしなかったんだ」

 遠い目をしてどこか記憶をたぐるように語りながら虚空を見つめていたキバットは、しかしそこで今にも閉じてしまいそうな右目を何とか渡に向けた。

 「……けどよ、今のお前は、ただ自分の気持ちに嘘ついてるだけじゃねぇか。
 キングだの世界を守るだのって理由ばっかこじつけて自分の本当にやりたいことから逃げてばっかのお前なんて、もう見てられねぇんだよ」

 「何それ……、そんなのずるいよ。僕が本当にやりたいことってなんなの?教えてよキバット……!」

 「俺に聞くまでもねぇよ、すぐに見つけられるさ、お前なら……」

 そう言われても、渡には自分の心が何を望んでいるのか訴える声は、一切聞こえなかった。
 その声をどうにか引き寄せようと藻掻く度、先ほどまでは鮮明だったはずのキングとしての使命も、どんどん霞んでいく。
 そんな靄の掛かった思考の中で、今鮮明に聞こえるのは、相棒が紡ごうとする最後の言葉だけだった。

 「だからよ渡、俺の言いてぇことってのは結局ただの一つだけだ」

 言って、キバットは大きく息を吸い込む。
 まさにそれに全ての魂をかけるかのように。

 「――俺は、今までお前と一緒にいられて、楽しかったぜ。わた……る……」

 それを満足げに言い切って、キバットの重い瞼は閉じた。
 深央に続いて、またも手の中で消えた掛け替えのない存在の命。
 自分が守りたい、生きていてほしいと願った者たちが、次々と死んでいく。

 キバットも深央も、自分が望みを叶え世界から存在を消せば幸せになれるのだろうかと夢想する一方で、それは先ほどユウスケに指摘された“逃げ”ではないかと心が叫ぶ。
 自分と一緒にいられて楽しかったという言葉を最後に残したキバットの思いを尊重するなら、彼の生きた世界から自分を消すということを、果たして彼は望むだろうか。
 だが今更彼の分まで生き続けるというには、既に自分に関する記憶を消してしまった名護を始めとして、“紅渡”に戻るには後戻りの出来ないことが多すぎるのではないか。

 誰にも邪魔されない、ただ一人の暗い部屋の中でキバットの遺体を抱き虚空を見つめ続ける渡の瞳が次に映すのは、全てをなかったことにするために犠牲を生み出す覚悟か、それとも世界を救わんとする優しさか。
 その選択を下すには、彼にはまだ時間が足りなかった。

608 レクイエムD.C.僕がまだ知らない僕 ◆.ji0E9MT9g :2018/08/16(木) 21:49:21 ID:mdfqo6.Y0


【二日目 黎明】
【D-2 民家】

【紅渡@仮面ライダーキバ】
【時間軸】第43話終了後
【状態】ダメージ(極大)、疲労(極大)、精神疲労(大)、地の石を得た充足感、キバットの死への動揺、相川始の裏切りへの静かな怒り、心に押し隠すべき悲しみ、仮面ライダーダークキバに15分変身不能、仮面ライダーサガに1時間変身不能、仮面ライダーキバに1時間10分変身不能、仮面ライダーサソードに1時間20分変身不能
【装備】サガーク+ジャコーダー@仮面ライダーキバ、ゼロノスベルト+ゼロノスカード(緑二枚、赤一枚)@仮面ライダー電王、キバットバットⅡ世@仮面ライダーキバ、ザンバットソード(ザンバットバット付属)@仮面ライダーキバ、サソードヤイバー@仮面ライダーカブト
【道具】支給品一式×3、GX-05 ケルベロス(弾丸未装填)@仮面ライダーアギト、アームズモンスター(ガルルセイバー+バッシャーマグナム+ドッガハンマー)@仮面ライダーキバ、北岡の不明支給品(0〜1)、ディスカリバー@仮面ライダーカブト
【思考・状況】
基本行動方針:王として、自らの世界を救う為に戦う。
1:キバット……。
2:何を犠牲にしても、大切な人達を守り抜く。
3:ディケイドの破壊は最低必須条件。次こそは逃がさない。
4:始の裏切りに関しては死を以て償わせる。
4:加賀美の死への強いトラウマ。
5:これからはキングと名乗る……?
6:今度会ったとき邪魔をするなら、名護さんも倒す……?
7:キング@仮面ライダー剣は次に会ったら倒す。
【備考】
※過去へ行く前からの参戦なので、音也と面識がありません。また、キング@キバを知りません。
※東京タワーから発せられた、亜樹子の放送を聞きました。
※ディケイドを世界の破壊者、滅びの原因として認識しました。
※相川始から剣の世界について簡単に知りました(バトルファイトのことは確実に知りましたが、ジョーカーが勝ち残ると剣の世界を滅ぼす存在であることは教えられていません)。
※レンゲルバックルからブレイドキングフォームとクウガアルティメットフォームの激闘の様子を知りました。またそれによってもう一人のクウガ(小野寺ユウスケ)の存在に気づきました。
※赤のゼロノスカードを使った事で、紅渡の記憶が一部の人間から消失しました。少なくとも名護啓介は渡の事を忘却しました。
※キバットバットⅡ世とは、まだ特に詳しい情報交換などはしていません。
※名護との時間軸の違いや、未来で名護と恵が結婚している事などについて聞きました。
※仮面ライダーレイに変身した総司にかつての自分を重ねて嫉妬とも苛立ちともつかない感情を抱いています。
※サソードゼクターに認められました。

【キバットバットⅢ世@仮面ライダーキバ 死亡】

609 ◆.ji0E9MT9g :2018/08/16(木) 21:50:15 ID:mdfqo6.Y0
以上で投下終了です。
毎度のお願いではありますが、ご意見ご感想ご指摘等ございましたらよろしくお願いいたします。

610 名無しさん :2018/08/16(木) 22:55:09 ID:bAxG/snU0
投下乙です!

ガタックを継いで、ワタルとの関わりがあるユウスケの言葉はこれまでにない重みを感じました。
そのおかげでようやく渡が戻ってこれそう……と思った矢先にキングゥゥゥ!!!
強力な変身手段を削ることはできたものの、その代償が余りにも大き過ぎる……果たして渡はこれからどうなるのか。

クウガ、ナイト、オルタナティブゼロなど多彩な能力の他、存在を忘れかけていたドガバキの登場などバトルも見所満載の力作をありがとうございました!

611 名無しさん :2018/08/16(木) 23:19:29 ID:2mz3T36c0
投下お疲れ様です!

キバットの願いを聞き入れ尚且つリマジ世界のキバと繫がりを持つユウスケが
渡にかけた言葉はとても熱いものがありクロスオーバーの醍醐味も感じられるものでした。

このままいけば渡も…ってところでキングが介入した事により悲劇が引き起こされるわけですが、
病院組にちょっかいをかけに行くとばかり思っていたので今回の展開は意表を突かれました。

VSユウスケパートだけでなくキングとの戦いの中でも盛り上がる要素はあって
キバへの再変身は渡とキバットのやり取りが相俟って最高でしたし、
登場の可能性を失念していたドガバキフォームには「おお!」となりました。
それだけに彼の死が胸にクるものがあります。

良太郎に続き二人目の犠牲なわけだけどキングの手によってあと何人増えていくんだろうか…

612 名無しさん :2018/08/16(木) 23:22:26 ID:2mz3T36c0
投下お疲れ様です!

キバットの願いを聞き入れ尚且つリマジ世界のキバと繫がりを持つユウスケが
渡にかけた言葉はとても熱いものがありクロスオーバーの醍醐味も感じられるものでした。

このままいけば渡も…ってところでキングが介入した事により悲劇が引き起こされるわけですが、
病院組にちょっかいをかけに行くとばかり思っていたので今回の展開は意表を突かれました。

VSユウスケパートだけでなくキングとの戦いの中でも盛り上がる要素はあって
キバへの再変身は渡とキバットのやり取りが相俟って最高でしたし、
登場の可能性を失念していたドガバキフォームには「おお!」となりました。
それだけにキバットの死が胸にクるものがあります。

良太郎に続き二人目の犠牲なわけだけどキングの手によってあと何人増えていくんだろうか…

613 名無しさん :2018/08/17(金) 05:53:12 ID:HGMY4KHw0
投下乙です!

キバットォォォォォォォォォォォォォォォォォッ!
ユウスケと渡の気持ちがぶつかり合って、渡とキバットがようやく共に手を取り合おうとした中で……まさかこんなことになるとは。
ドガバキフォームでキングを圧倒したり、ユウスケと渡が(結果的とはいえ)力を合わせたのはとても熱かっただけに、この結末は本当にショックです……
そしてユウスケと渡はまた一人だけになりましたが……彼らの行く先に光がありますように。

614 ◆.ji0E9MT9g :2018/08/30(木) 12:58:50 ID:c35IbBSY0
皆様数多くのご感想ありがとうございます。本当に励みになります。
そしてお待たせいたしました。ただいまより投下を開始いたします。

615 ◆.ji0E9MT9g :2018/08/30(木) 12:59:33 ID:c35IbBSY0

 視線の先で縦横無尽に交差する紫と白の異形。
 超高速の勢いでぶつかり合うそれらを見て、城戸真司はただ一つ息を呑んだ。
 ただの人間には到底追いつけないような領域で激しく火花を散らし合う彼らにしかし彼が感じたのは、感嘆ではなくただそれを傍観することしか出来ない自分の不甲斐なさだった。

 思えば先の浅倉との戦いにおいても、自分は大したことを出来たわけではない。
 本当は自分が、共に同行している仲間たちを守らなければならなかった。
 だが実際はどうだ、早々に変身能力を失い先ほども今も同じようにただ戦いを傍観するだけ。

 麗奈が幸運にも人間を守りたいという感情に目覚め浅倉と戦ってくれたからいいものの、それがなければ最悪全滅もあり得ただろう。
 人を守りたい。その純粋な思いの為に仮面ライダーになったというのに、自分はずっと彼女に……麗奈に守られっぱなしではないか。
 自分たちをもっと頼って欲しいと大口を叩いたというのに、何も彼女の為にしてやれない今の自分が、歯がゆくて仕方なかった。

 「――麗奈!」

 しかし、そんな真司の耳に、リュウタロスの切羽詰まったような声が響く。
 反射的に意識を浮上させ戦場に目を戻せば、そこにあったのは既にクロックアップが終了し、膝を着き肩を大きく上下させるウカワームの姿だった。
 逆に敵であるカッシスは満身創痍の彼女と対照的に、その姿を未だ健在のままに彼女を見下ろし彼女を嘲るかのように大きく鼻を鳴らす。

 彼らの戦いがここまで一方的な試合運びとなってしまったのは、皮肉にも麗奈が先刻手に入れた人間の心に起因するものだった。
 いやより正確に言えば、そうして抱いた人間の心に、先ほどの戦いで強制的に植え付けられた一つの感情の為というべきだろうか。
 生まれてこの方複雑な感情の起伏など存在しないワームとして生きていた彼女にとって、浅倉が変じたテラーによりもたらされた恐怖心はまさしく劇薬だったのである。

 表面上はほぼ問題ないほどに払拭されたその感情によって勝敗が決してしまうほどに両者の実力が拮抗していたとみるべきか、或いは浅倉という狂人が死に際に彼女に遺していった呪いだったのか。
 ともかく、この戦いは麗奈の敗北という形で終わりを迎えようとしていたのだった。

 「……悲しいね、間宮麗奈。君ほどの逸材が人間に染まった途端こうまで脆くなってしまうとは」

 「黙れ……、貴様には分からないだろうな。人の持つ感情の素晴らしさが、自由の素晴らしさが!」

 「あぁ分からないね。そして――分かりたくもない」

 瞬間、それ以上かける言葉もないとばかりにタキオン粒子迸る左手の剣をカッシスが振り抜けば、いとも容易くウカワームの身体は宙に弾き飛ばされていた。
 重い音を立て地面に直撃した彼女は数回そのまま地に全身を転がし、人間としての姿を晒す。
 満身創痍という言葉そのものの様子で立ち上がることもままならず呻く麗奈に対し、彼女の名前を叫びながら駆け寄ったのは真司だった。

 自分を庇うように立つ彼に対し、麗奈は地に這いずりながらも何とか声をあげる。

 「やめろ、城戸真司……。奴の狙いは私だ。お前まで、私の道連れになる必要はない、早く逃げろ……!」

 「嫌だ、前に言ったろ。『俺たちは皆が助かる為の迷惑ならどんどんかけて欲しいんだ』って。
 だから俺はここをどかない。目の前で誰かを見捨てるなんてこと、俺には出来ない!」

 「城戸、真司……」

 だが、部外者が乱入してきたところで対峙するカッシスの勢いは変わらない。一切の躊躇を感じさせず、一直線に麗奈に向けて進軍する。
 それはまるで、「その女を守るようなら君を一緒に殺しても構わないんだぞ」とその立ち居振る舞いだけで周囲に示すような堂々たる行進だった。
 だがそれを受けてもなお、真司は麗奈から離れようとはしない。どころか真司は、明確にカッシスに向けて彼女を庇うように構えをとっていた。

616 ◆.ji0E9MT9g :2018/08/30(木) 12:59:54 ID:c35IbBSY0

 そう言えばこの男は大がつくほどの馬鹿だったか、どことなく肩の力が抜けた麗奈の身体はしかし、思うように動いてはくれない。
 いや、というより……その意思に身体がついていくだけの時間を、カッシスは決して与えてくれはしない。

 「残念だよ、城戸真司くん。秋山蓮は君のことを気にかけていたようだったからね。こんな形でお別れとなってしまうとは」

 思いもしていないことをベラベラと軽薄に並べながら、カッシスは哀れみの籠もった瞳で彼女らを見下す。
 だがその左手の剣を彼女たちに向けて振り下ろそうとしたその瞬間響いたのは、二人分の首が地に落ちる鈍い音ではなく、カッシスが咄嗟に構えた右腕の盾に何かが接触した甲高い金属音であった。
 何事か。自分の悦楽の時間を邪魔されたことへの嫌悪感を露わにしたカッシスは、しかし攻撃を加えた対象を認識するより早く死角から飛んだハイキックに、大きく後退を余儀なくされた。

 苛立ちを隠そうともせず麗奈たちの前に立ちはだかった新たな自分の敵を見据えれば、果たしてそこにいたのは、自身と同じ紫の異形の姿であった。

 「リュウタ!」

 その怪人に向け声をあげたのは、真司や麗奈より遙か後方で一人所在なげに不安そうに立つ一人の青年であった。
 おおよそ変身手段が奪われた事で、どこから襲われるともしれないこの殺し合いに対する恐怖心をより強く感じているのだろう。
 だが、しかし今のところ自身による間宮麗奈殺害を邪魔しないのなら別段気にかける必要もないと、カッシスはすぐに男のことを思考から取り除いた。

 そう今重要なのは、自身に攻撃まで仕掛けてきたこのリュウタロスという怪人への対処。
 懐柔の可能な相手かどうか、海東大樹から得られた情報を元になるべくリスクの少ない解決方法を模索していたカッシスを前に、リュウタはしかし不敵にその指を真っ直ぐ彼に向けていた。

 「今の麗奈は前の麗奈より嫌いだけど、でもお前の方がもっと気にいらない!
 だから倒すけどいいよね?答えは聞かないけど!」

 そこまで言い切って、リュウタはダンスのステップを応用したような独特な足運びでカッシスの懐へと潜り込む。

 「ふざけるな!」

 その動きが遊んでいるようにしか見えなかったのか、苛立ちと共にカッシスが剣を振るうも、しかし単調なその一閃は彼には到底馴染みのない軽やかなステップで回避される。
 それに驚愕を隠しきれなかったカッシスが敵を認識するために振り返れば、瞬間その顔にリュウタの裏拳が炸裂していた。

 「ふざけてないよ、だって僕強いし!」

 「言うじゃないか、このガキが。……望み通り君から先に地獄へ送ってあげよう」

 改めて人差し指で真っ直ぐに自身を指さし宣戦布告するリュウタに、憤りを滲ませるカッシス。
 冷たく吐き捨てられた死刑宣告と共に、彼らの戦いは開始された。


 ◆


 視線の先、その体色故宵闇に消え入りそうになりながらも混じり合う二つの異形。
 彼らを必死に視線で追いながら、三原修二は荒く呼吸を繰り返した。
 ……怖い。彼の中を占める感情は、それに尽きる。

 リュウタを失ってしまうかもしれないことに対してか、それとも乃木怜治と呼ばれたあの男の強さにか。
 そのどちらにも多少は恐怖があるかもしれないが、しかし本質はそうではないことを、既に三原は自覚していた。
 彼の心を掴んで離さない恐怖の一番の理由、それは今の自分には変身手段がないということ。つまりは誰かがその気になれば自分なんて簡単に殺せてしまうということだった。

 壁に囲まれた病院と違いこんな開けっぴろげな草原の中心で、しかも自分は防護服にも成り得るデルタさえない。
 乃木でなくても、誰かが通りがかりに自分の命を奪おうとしたら、何の抵抗も出来ず守ってくれる仲間もいないまま、自分は死んでしまうではないか。
 先ほどの浅倉との戦いだって、熱に浮かされている内に戦いが終わったからいいものの、もしあの一撃で浅倉を倒しきれず冷静になっていたら、自分がどんな行動を取ったかなんてわかりはしない。

617 ◆.ji0E9MT9g :2018/08/30(木) 13:00:12 ID:c35IbBSY0

 戦う覚悟を決めたのではないのか、そう罵られようと、怖いものは怖い。
 むしろデルタという戦闘能力の有用性を実感した後にそれを奪われるという経験は、彼の恐怖心を強く刺激した。
 自分は結局オルフェノクなんかとは違う無力な人間に過ぎないのだ、こんな超常現象染みた戦いになんているべき存在ではないのだ。

 そんな感情が、三原を今再び戦いに恐怖する一人のどこにでもいる青年に戻してしまっていた。

 (死にたくない……俺は家に帰りたいだけなのに、どうしてこんな――)

 リュウタに見損なわれたまま終わりたくはない?それは事実だ。
 戦わなければ生き残れない?そんなことはもう分かっている。
 でも、戦ったからって生き残れるわけじゃない。事実頼れる仮面ライダーとして紹介された人物も含めてもう30人以上がこの場で死んでいるではないか。

 そんな中で自分がこうして生き残っているという自体が場違いで、奇跡的だと感じ……そして同時、これから先出会う参加者は運良くずっと建物に引き籠もっていられた自分とは違い修羅場を潜り抜けてきた猛者ばかりなのだと思うと、どうしても気が重くなる。
 ろくな戦闘経験もない自分がこんな状況をどうにか出来るはずなどないではないか。
 そうして自棄になりかけて、ただ安堵出来る家を求めて三原は再度どうしようもないこの現状に嗚咽を漏らした。

 「帰りたいよ俺……、家に帰りたい……」

 どうしようもなく漏れたその声は、誰に届くこともなく。
 ただ無力感に浸る青年は、その場に膝から崩れ落ちた。


 ◆


 カッシスとリュウタロス、二人の戦いは、実に当然の結果としてカッシスの優勢という形になっていた。
 両者を隔てる実力の差もかなりのものだが、それ以上に理由があるとすれば最早戦いにおいてカッシスに変身制限について急がねばらならいという意味での緊張感が存在しないことだ。
 10分という決して長くない時間のうちで何らかの効果的な行動をし次に繋がなければならないリュウタに対し、カッシスは消耗を避ける意味でも彼の殺害を急ぎ無駄なリスクを負う理由もない。

 そんな心的余裕を持っているカッシスを相手に銃さえ持たないリュウタが有効打を打てるはずもなく、戦いは硬直状態へと持ち込まれ、徐々に迫り来るタイムリミットにリュウタの焦りは表面化してきていた。

 「おいおいどうしたんだ?ご自慢のステップが今にも狂いそうだぞ?」

 「うるさい!」

 嘲るような声で指摘するカッシスに怒号で返しながら、しかしリュウタもまた早急に勝負を決める必要があることを理解していた。
 幾ら自分が強いと言っても、未だ全く底の見えないカッシスを相手に変身もせず単身で勝利するのは不可能だ。
 となれば今成すべきことは勝利ではなくそれに繋げる為の手段の奪還。

 つまりは奪われた自分たちのデイパックの回収である。

 (その為にはあいつの気を一瞬反らさなきゃなんだけど、どうすれば……)

 そこまで考えて、リュウタは頭を大きく振った。
 どちらにせよ考えるのは苦手だし、そんな急ごしらえでどうにかなるような相手とも思えない。
 それならいっそ、自分らしいやり方でやるべきだろう。つまり……。

 「戦いはノリと勢い、ってね!」

 「何?」

 勢いよく叫んだリュウタの言動にカッシスが戸惑ったその一瞬に、リュウタはステップをやめ思い切りカッシスに向けて駆け出していた。
 これには流石のカッシスも虚を突かれた思いだったが、しかしむしろ好機とみて剣を横凪に振り払う。
 リュウタロスが得意とするステップでは咄嗟に回避できるのは横方向だけだろうと読んだ上での行動だったが、しかしリュウタはその軌跡を“潜った”。

618 ◆.ji0E9MT9g :2018/08/30(木) 13:00:41 ID:c35IbBSY0

 つまりはスライディングの形で勢いよくカッシスの足の間を潜り抜け一瞬でカッシスの背後を取ったのである。
 そして背後を取ったと言うことは、彼が背中に負ぶっていたデイパックが今リュウタの目前に差し出された形となったということだ。
 となれば後は無防備なデイパックを思い切り弾き飛ばしてしまえば勝負は仕切り直しだ。

 麗奈に引き続き自分とも持久戦を行ったのだから、これで十分に勝機も見えたはず。
 戦いの結末に見えた一筋の希望、緊張からの解放、楽観的な戦況への理解。
 自分とカッシス、どちらがよりこの持久戦で消耗していたのかを彼が悟ったのは、それらに緩んだ自分の腕が掴んだのが確かにそこにあったはずのデイパックではなく虚空であったのを理解したその瞬間だった。

 「え?」

 間の抜けた声と、勝利の余韻に弛緩した全身が一瞬で強ばっていく。
 何が起きたのかと視線を落とした彼を出迎えたのは、先ほどまでと何ら変わらぬ嘲笑を浮かべこちら側に前身を向けているカッシスの姿だった。
 そこで、リュウタは気付く。今に至るまでの自分の行動全てが、彼の想定の範囲内だったということに。

 カッシスはステップを利用し変幻自在に回避を行う彼に対し、真面目に取り合うだけ体力の無駄だと早々に理解していた。
 そこで彼が思いついたのがリュウタロスがデイパックを狙ってくることを予期した上でそれを受け入れむしろ懐まで呼び込むことで確実に一撃で仕留める作戦だったのである。
 流石に他者の協力も得ずに単身で自分の背後を取ったのには驚愕しクロックアップまで使わされたのは少々想定外だったが、しかしそれまでだ。

 所詮は小手先三寸のお遊びに過ぎない。使用するだけで消耗は免れないクロックアップを乱用はしたくなかったというだけで、結局最初からリュウタロスに勝ちの目はなかったのであった。

 「どうした小僧。足が――止まっているぞ?」

 カッシスが述べる勝利宣言めいたそれを聞き終わるより早く、慌てて足を先ほどのように弾ませようとするリュウタ。
 だが恐怖故か焦り故か、その足はもう規則正しいリズムに乗ることはなかった。

 「消し飛べ」

 短く言い切ったカッシスの右手のひらより、一瞬で凝縮された多量の闇がリュウタロスを目がけて放たれた。
 
 「うわああぁぁぁぁ!!!」

 「リュウタ!」

 夜の闇より暗いそれに呑まれ火花を散らしつつ一瞬でカッシスから引き離されどんどんと自分たちの前にまで吹き飛ばされたリュウタを前に思わず叫ぶ面々。
 砂を撒き散らしながら俯せに倒れ伏したリュウタロスにはしかしもう目もくれず、闇を照射し終えたカッシスは仰々しくゆっくりと自身の本来の標的へと向き直った。

 「さて、次は君の番だ、間宮麗奈」

 見れば、そこにあったのは自身を庇うように立っていた真司を押しのけ一人で立ち上がろうと藻掻く麗奈の姿だった。
 未だ体力的には厳しいものがあるのか真司には懸命にそれを止められながらもどうにかして戦おうとする彼女の顔に浮かんでいるのは、自分の知る中では義憤と呼ばれるもののように見える。
 この場合に当てはめるなら、彼女の怒りの対象は自分を守ろうと戦ったリュウタロスを倒した自分に対するものだと見るべきなのだろうか。

 それなりに長い付き合いであったというのに初めて見る彼女の顔、彼女の感情に少しも興味が沸かないといえば嘘になるが、それよりも有能な同胞が落ちぶれてしまった事に対する失望の念が勝るというのが正直なところだ。
 となればやはり往生際の悪い彼女に下すべきは早急な死以外にない。
 極めて自分勝手な思考を纏めたカッシスは今度こそ彼女に引導を渡すべく歩を進めていく。

619 ◆.ji0E9MT9g :2018/08/30(木) 13:01:01 ID:c35IbBSY0

 ――カッシスに立ち向かうこの場の誰もが、ここにいない誰かに救いを求めていた。
 誰でも良い、せめて倒れた仲間を助け共に逃げるだけの時間稼ぎだけでもしてくれる誰か。
 そんな都合の良い存在の登場を縋り求める程度には、彼らに残された道は少なかった。

 だがしかし、気付いている。そんな救世主など到底現れるものではないと。
 このまま、芽生えた尊い感情の為に麗奈は悪に殺されてしまう。
 許しがたいそんな結末をしかし享受しなければならないのかと、誰しもが諦め始めた瞬間だった。

 彼らが抱いた絶望と等しく暗い夜の闇に、一筋の光が差した。
 どこまでも続く平原に突如差したその一条の光と、それに連なるように響くけたたましいエンジン音は徐々に大きくなっていく。
 まるでそのまま、麗奈たちが抱いた希望をそのまま象徴したかのように。

 「ちッ!」

 カッシスと麗奈たちとの間を縫うように、バイクが勢いよく通過していく。
 それにより否応なく後方への回避を余儀なくされたカッシスが舌打ちを鳴らす中、バイクに乗り現れた男は、ヘルメットを脱ぎ乗ってきたバイクのフロントをその長い足で跨いで地上に降り立った。
 どことなく尊大な雰囲気の漂う、勿体ぶったようなその男の動作は緩慢にも思えたが、しかし誰も彼を見くびることなど出来はしない。

 それが決して彼の虚勢ではなく、歴戦の経験から自然と滲み出る余裕が成させるものなのだとすぐに理解出来たのだから。

 「よぉ、久しぶりじゃないか、門矢士」

 そんな中、いの一番に彼に声をかけたのはカッシスだった。
 彼の警戒を解く狙いがあるのか、その姿を人間のものへ擬態させながらあたかも親しい間柄であるかのように軽妙な呼びかけをするその姿は、どことなく先ほどまでのギャップからか不気味に思えた。
 しかし、乃木の言葉の裏を察しているのか、それとも純粋にこの状況に対する警戒故か、話しかけられた男――門矢士というらしい――は表情を一切変えることはなかった。

 「あぁ、そうだな」

 「……妙な反応だね。自分で言うのも何だが、俺は放送で名前を呼ばれたんだろう?
 死人がそっくりそのまま目の前に現れたんだ。もう少し気の利いた返しをしてもよさそうなものだが」

 「悪いな、俺としてはもう死んだはずの怪人が蘇るなんて慣れっこなもんでな。
 普通に考えれば殺し合いで死者が蘇るなんてルール違反だが、まぁ大ショッカーならそのくらいしてもおかしくない」

 どうやら自分が蘇ったのは大ショッカーの手によるものだと勘違いしているらしい士に異議を申し立てるべきか悩んだその間に、士はそれよりも、と既に話題を切り替えていた。

 「乃木、お前は殺し合いに反対してたんじゃないのか。なんでこいつらと戦ってる」

 「門矢士、君には俺のこの殺し合いでのスタンスについて少し誤解があるようだ。俺は大ショッカーの諸君は許せないが、それは不殺の誓いじゃない。
 俺の流儀に反する者を殺すことを、俺は戸惑うつもりはないということだよ」

 「お前の流儀ってのは何だ」

 ――弱い者は俺の餌になる。
 そう真実を教えてやりたい気持ちもあったが、ここで大ショッカー打倒に有用だろう門矢士と完全に決裂するのは何とか避けたいのも事実。
 どうにか彼を納得させられるだけの言い分はないものかと逡巡してから、彼は再び口を開いた。

 「俺の流儀、それは擬態した人間の記憶と、自分自身の記憶を混同させてしまった哀れなワームをこの手で手厚く葬ってやることさ」

 「何?」

 乃木のその言葉に、士は怪訝そうな表情を浮かべる。
 それでいい、と心中で笑みを浮かべながら、乃木は続けた。

620 ◆.ji0E9MT9g :2018/08/30(木) 13:01:21 ID:c35IbBSY0

 「つまりこの場合は、あそこに倒れてる女が自分という存在の罪深さを絶望する前に終わらせてやるということさ。
 他の彼らについては命を奪うつもりなどさらさらない」

 傷だらけのまま倒れ伏すリュウタロスに目配せをし、『邪魔をすれば例外だが』とその場の全員に暗に示しながら、乃木は笑った。
 それを受けて、不遜な態度は崩さぬまま士は再度問いを投げる。

 「なんでお前はそんなにあの女を殺そうとする。ワームが人間の心を持って何がいけない」

 しかしその問いに対し、乃木はまるで士の問いが地雷を踏んだとでも言いたげにわざとらしく目を伏せ溜息を吐いた。
 全く以て、こうした素晴らしく人間くさい動作の一つ一つがワームによる人間の記憶に基づく模倣だと思うと吐き気がする限りである。

 「門矢士。結論から言えば、彼女のような人間の心を得てしまったワームにはもう、元の世界での居場所がどこにもないのだよ」

 「どういうことだ?」

 「様々な世界の情報に精通している君のことだ。ワームが擬態している人間、端的に言えばそのオリジナルがどうなるか、知らないわけではないだろう?」

 「……あぁ」

 暗い口調で肯定する士に、畳みかけるように乃木はなおも口を開いた。

 「そう、今何気ないように君たちが見ているその女の美しい顔。それは元々彼女がただ単に地球の侵略に効果的だと考えてオリジナルである間宮麗奈から奪ったものだ。
 そして同じ顔、同じ記憶を持つ存在は世界に二人も必要ない、ワームは擬態の後オリジナルを殺害する。“間宮麗奈”も例外でなく、彼女に殺害された。……そうだろう?」

 その問いかけに対し、未だ膝をつき疲労を回復することに集中していた麗奈が、乃木たちを見上げながら苦悶の表情を浮かべ俯いた。
 だがそれを気にする様子もなく、乃木の言葉は続く。

 「それに彼女は俺と同じく数多のワームを従える幹部の立場だった。
 彼女の指示で何人の善良な地球人が容姿と記憶を奪われ死を迎えたのか……俺でさえ数えるのが億劫に感じてしまうよ」

 ニヤリと口角を上げながら、乃木は笑う。
 その言葉に僅かばかり彼女を庇っていた真司も俯き悩んだような表情を浮かべたのを視認して、乃木の笑みはより深くなっていった。

 「……そんな殺戮の権化を人類が受け入れられるはずがない。
 オリジナルである間宮麗奈の未来を奪った張本人が彼女の振りをして毎日を悠々と過ごすなど、到底許されるはずがないだろう?」

 「……」

 乃木の問いかけに対し、士はしかし黙ったまま何を言うこともなかった。
 それが彼の言葉に聞き入っている証拠なのか、それともただ結論を聞き終えるまで口を挟む気がないという考えの表れなのか、それとも元より耳を貸す気もないのか。
 そのどれにせよ、ともかく口を回し続けることに意味があると、乃木は今一度乾いた口内を唾液で潤した。

 「何より肌の色、性別、美醜、そういった表面的な情報で他者を判断する君たちが、それらを変幻自在に擬態できるワームという存在を受け入れられるはずがない。
 そして、ワームの中にももう彼女の場所はない。侵略対象たる人間に心解きほぐされた彼女を受け入れないというのも確かだが……それ以上に彼女自身が、もう地球を侵略しようとする我々と決別する道を選ぶだろう」

 そこまで一息に言い切って、乃木は語調を整えるようにさて、と仕切り直す。

 「わかったか?つまりこの殺し合いを運良く生き残り元の世界に生還できたとして、彼女にはもうワームにも人間にも受け入れられることはない。人からはワームと罵られ、ワームからは人と罵られる!
 ……世界のどこにも居場所が存在しない絶望を抱いたまま、ただ一人孤独に誰にも気付かれぬよう生きていくか、或いは自害するしか道が残されていないのだよ」

621 ◆.ji0E9MT9g :2018/08/30(木) 13:02:10 ID:c35IbBSY0

 「――だから俺は彼女を今殺してやるのさ。人類の守護者として戦う彼女に、人類に敵対する侵略者として名誉の戦死を手向ける。それこそがかつての同胞として、俺から彼女にしてやれる最後の贈り物だからね」

 ご理解いただけたかな、と締めくくりながら、乃木はもう士の反論を待つこともなくその足を翻していた。
 この弁論で、士を言い負かすことが出来ただろうとそう確信したため。
 所謂正義の味方である仮面ライダー諸君は、こうした自分が理解出来ない種族による差異が生み出す価値観の違いに困惑を浮かべる。

 その生易しい慈悲の心が、むしろ人間の心を得てしまった異形を生かし続けるのが正しいのか否かという葛藤を生んでしまうのだ。
 乃木からすればちゃんちゃらおかしい限りだが、逆に言えば分かりやすくて実に助かる。
 ともあれ今の間宮麗奈が生きていても人類からもワームからも阻害されるのは目に見えているし、ここでそれを終わらせることについても正当性を完全には否定できないはずだ。

 正直に言えば麗奈の殺害に関して乃木の中にあるのは彼女に関する慈悲や手向けなどではなく脆弱な人間の心に飲まれた愚か者の粛正というだけなのだが、まぁそうした見方も出来るという提示だけで仮面ライダー諸君には何が正しいのか分からなくなってしまうことだろう。
 志村純一に海東大樹、そして今度は門矢士。それぞれ中々に口が回るらしい彼らをしかし自分は直接拳を交えることなく無力化し続けているという事実に、乃木が誰にも見られずほくそ笑んだ、その時だった。

 乃木と麗奈の間を隔てるように、士が立ちはだかったのは。

 「……話は終わりか?乃木」

 士が、静かな怒りを滾らせながら問う。
 そこに確かな敵意が含まれており彼が今の自分の話に少しも心揺らいでいないのが察せる時点で乃木は今にでも対話をやめ彼をズタズタに引き裂いてやりたかったが、何とかそれを抑え平静を取り繕いながら言葉を吐き出した。

 「そこを退いてくれないか、門矢。今しがた話したとおり、人の心を手にしてしまった時点で彼女に生きられる居場所などどこにもない。
 ここで一思いに殺しやることこそが、彼女に対する最大級の思いやりだと思うのだがね」

 「――違うな」

 「何?」

 思わず語気が荒くなるのを自覚しながらも、しかし乃木は抱いた苛立ちを抑えることが出来なかった。
 咄嗟に生み出した論説ではあったが、少なくともワームではない彼が即否定できるだけの矛盾はなかったはずだ。
 想像し得なかった速さで迷いなく吐き出された否定に怯んだ乃木に対し、士は言葉を紡ぐ。

 「確かにお前の言うとおり、この女にはもう、元の世界に居場所がないのかもしれない。人もワームもこいつを拒み迫害するというお前の推測を、俺に否定することは出来ない」

 「そうだろう、それなら――」

 「だが、そんな推測なんかよりよっぽど確かなことが、ここにある」

 言いながら、士は顔だけ後ろを振り返った。
 そこにあるのは、傷ついた女と、それ以上に身を削り気を失った紫の異形。
 彼女らに向け短く頷いた彼は、もう一度乃木に向き直る。

 「この女は、例え自分が傷ついても、仲間の為に戦える。そして傷ついたこいつの為に、自分の身を犠牲にしてでも戦った男がいる。……それなら少なくとも、ここはこいつの居場所だ。
 世界の誰もが自分を否定しようとも、仮面の下に表情を隠そうとも、互いを理解し、背中を預け合って共に戦える仲間がいる。それさえあれば、そこは誰にも否定できない、そいつの居場所だ。
 自分が何者でも関係ない。こいつにしかない居場所、こいつだから得られた仲間。人間だのワームだの、主語を大きくしてそれぞれ違うものを一括りにして考えるお前に、それを否定する資格はない!」

 語気は強く芯を持ち、それでいてその瞳は乃木を射貫かんとするほどに真っ直ぐに。
 言い放たれた士の言葉に、乃木はもう取り繕うこともせず不気味に笑い声を上げ……、しかしそれもすぐにやめゆっくりと彼を睨み付ける。
 敵対者として、邪魔者を排除する思考にのみ集中を重ねながら。

622 ◆.ji0E9MT9g :2018/08/30(木) 13:02:26 ID:c35IbBSY0

 「貴様……一体何者だ」

 「通りすがりの仮面ライダーだ。……覚えておけ!――変身!」

 ――KAMENRIDE……DECADE!

 戦いの意思を叫んだ士がドライバーにカードを叩き込めば、彼の身体の周囲に生じた無数の虚像が彼と一体化し実像を結ぶ。
 それと同時バックルから生み出された数枚のカードが彼の顔に突き刺さるようにして収まると、力を手にしたディケイドの身体はマゼンタに光り輝き変身の完了を知らしめた。
 それはまさしく、誰かの居場所を自分勝手な理屈で頭ごなしに否定する悪を倒さんと通りすがりの救世主が立ち上がった瞬間だった。

 「ん?」

 変身を完了し、戦いの準備の為にライドブッカーへ手を伸ばしたディケイドの手に、三枚のカードが飛来する。
 一体何事かとそれらを一度に手に取れば、9つの世界の一つに属する龍騎のカードが、力を取り戻した証拠として鮮やかに彩られる姿だった。
 何がどうなっているのだ、と思わず困惑するディケイドだが、しかし瞬間後方より肩に向けて響いた小さな衝撃に振り返る。

 「アンタ、良いこと言うな!士って言うんだっけ?よろしくな!」

 見れば、そこにはディケイドの肩を緩く揺さぶりながら場違いなほどに眩しい笑顔を浮かべ話しかけてきている青年がいた。
 あまりにも馴れ馴れしい彼の態度、そして今手にしているカード、状況判断的に揃った証拠から導き出される推測を、ディケイドはまさかとは思いつつも問うてみることにした。

 「……お前、まさか城戸真司か?」

 「え、なんで俺のこと知ってんの?」

 ――そのまさかだった。
 自分の知る龍騎であるシンジは過去の同僚であるレンに対しても随分と懐疑的な性格であったことから、龍騎の力がこんなにすんなり取り戻せるとは士も思ってもみなかったのである。
 自分は蓮から予め彼について聞いていたからともかく、先ほどの話だけで自分を信用するとは。それも、自分に向けられたわけでもない、麗奈の居場所についての話で。

 なるほどこれはあの秋山蓮も苦労するほどのお人好しだとどこか気が抜けたディケイドは、一つだけ溜息をついてカードを戻しライドブッカーをソードモードに構え直した。

 「その話は後だ、真司。今はあいつらを頼む」 

 「お、おう!任せろ!」

 真司に指示を飛ばし視線を乃木に戻せば、彼は先ほど変身を解除したばかりだというのに再びカッシスワームへと変身を遂げていた。
 なるほどどうやら一度死んで首輪が外れたらしい。ともあれ、厄介な敵であることには変わりはない。
 理性を感じさせないような、怒りのみを込めた雄叫びに空気が震えるのを感じながら、ディケイドはカッシスへと向かっていった。

 
 ◆


 「間宮さん、大丈夫か!?」 

 「あぁ、私はもう大丈夫だ、それよりもリュウタは?」

 「気は失ってるけど、多分、大丈夫だと思う」

 「そうか……」

 短い仲間たちの安否確認を終えて、麗奈は一つ大きな溜息をついた。
 変身時間に関する余裕の有無などで戦いに対する隙が自然多くなってしまっていたと自己擁護をすることは出来る。
 だが結局、結果だけを見れば自分はあの士という男が来なければ仲間もろとも危険に晒し死なせてしまうところだったではないか。

623 ◆.ji0E9MT9g :2018/08/30(木) 13:02:43 ID:c35IbBSY0

 初めて得た、心から尊いと感じることの出来る存在を、守ることも出来ぬままこの世を去るところだったのだ。
 自分の不甲斐なさに、そして今までは感じる事のなかった死に対する膨大な感覚に、麗奈は思わず押しつぶされそうになる。

 「間宮さん、大丈夫?顔色が悪いみたいだけど……」

 「あぁ、大丈夫だ、心配をかけてすまない」

 言いながら真司に、心配ならどんどんかけてくれよ!などと返されるかと予想していたが、しかし彼は今度は何も言わなかった。
 人間である間宮麗奈が彼に心配をかけたくないと言った時と違い、仲間に対する感謝を込めた言葉だということを、彼も理解してくれたのだろうか。
 そんな細やかな気遣いをも感じられるようになった自分に驚きながら、麗奈は、再度戦場へと目を戻す。

 「背中を預け合い共に戦う事が出来る仲間がいること、それこそが自分の居場所になる、か」

 麗奈は、先ほどの士の言葉を再度噛みしめるように呟く。
 もし彼の言うとおりなら、今までのワームだった自分に、背中を預けられるような存在はいなかった。
 全て合理性で判断して動き、必要ともあらば同族を見捨てることも厭わない、それこそがワームとして高みに立つために必要なことだったからだ。

 きっとそうして見捨ててきたワームたちは、決して自分を許しはしない。
 数多の同族を殺してきたこの自分の手は、今更何をしたところで穢れを捨て去ることなど出来はしないだろう。
 だが、それでいい。もしも生涯許されぬ命だったとしても、それでも今は、自分の心が命ずるままに、自分の心が望むことを。

 (私にも生きていていい理由があるとするのなら、許されぬ生涯に、それでも意味があるのなら、私は――)

 そうして彼女は、その命の意味を証明するために、もう一度立ち上がったのだった。


 ◆


 剣と剣がぶつかり合う度に、火花が散っていく。
 間宮麗奈からリュウタロス、そしてディケイドと三連戦の形となったカッシスの動きは、しかしそれでもなおやはり達人の域であった。
 されどディケイドも怯みはしない。9つのカードのうち6つを取り戻したことで、ディケイド自体の能力も向上している。

 例え他世界のライダーへ変身をしなくとも、今のカッシスであれば十分に単身で渡り合うことが出来るようになっていた。

 「門矢士、病院で金居から君を助けてやったというのに、これが命の恩人に対する態度かね?」

 「悪い、そんな前のことは忘れた」

 「貴様……ッ!」

 憤りに任せ大きく振るった大剣でディケイドを無理矢理に引き剥がしたカッシスは、瞬間クロックアップを行使する。
 常人には認識さえ出来ない領域へと高速化したカッシスはそのまま、すれ違いざまに何度もディケイドを切りつけ彼の身体から火花を飛び散らせた。
 一瞬で与えられた多大なダメージによって思わず地に這い滑ったディケイドに止めを刺さんと、カッシスは再度のクロックアップで勝負をつけようとする。

 「――ッ!?」

 だがそれを阻んだのは、突如として舞い降りた一匹の機械仕掛けのトンボによるカッシスへの体当たりだった。
 忌まわしいZECTのマークが示されたそれに思い切り嫌悪感を露わにしながらも何とかそれを引き剥がそうと藻掻くカッシスをよそに、取りあえずの目的は果たしたと見たかそれは真っ直ぐに主の元へと返っていく。
 ディケイドとカッシス、その両者が注目する中、そのトンボ……ドレイクゼクターが移動をやめ滞空した先にあったのは、主の証拠足るドレイクグリップを持ち仁王立ちする間宮麗奈の姿だった。

624 ◆.ji0E9MT9g :2018/08/30(木) 13:03:03 ID:c35IbBSY0

 「貴様!ZECTのライダーシステムにその身を託すなど……ワームとしての誇りを失ったか!」

 「ワームとしての誇りなど、そんなものはもう必要ない。
 ……私は私の心が信じるものの為に戦う。戦って、生きる!――変身!」

 ――HENSHIN

 彼女の言葉に呼応するようにグリップに収まったドレイクゼクターが、タキオン粒子を放出し麗奈の身体を一瞬で屈強な戦士の鎧に包み込む。
 仮面ライダードレイク、それは風のように自由を愛するものとして、麗奈がワームへの決別と共に手に入れた力だった。
 変身と同時にドレイクゼクターから吐き出された複数の銃弾がカッシスを怯ませ後退させた隙を狙って、ドレイクは膝をつくディケイドの横に並び立つ。

 「まだ立てるか」

 「当たり前だ。それよりお前こそ――」

 「――お前ではない。私の名前は、“間宮麗奈”だ」

 言ったドレイクの声音は、どこか嬉しそうでもあった。
 ディケイドは生憎あまり女心に鋭い方ではなかったが、しかしそれでも、彼女の中にもうその名前を名乗ることに戸惑いがないのはすぐ理解出来た。

 「そうか。なら麗奈、行くぞ」

 「あぁ」

 覚悟を固めたドレイクに合わせるように、ディケイドはライドブッカーから一枚のカードを抜き出した。
 それをディケイドライバーに装填すると同時、ドレイクもまたドレイクゼクターのスロットルを引いた。

 ――KAMENRIDE……RYUUKI!
 ――CAST OFF
 ――CHANGE DRAGONFLY

 電子音声と共に弾け飛ぶドレイクの装甲。ディケイドにオーバラップする影。
 それぞれの変身を終えた時、そこにいたのは二人の竜。
 仮面ライダードレイク(DRAGONFLY)と仮面ライダーディケイド龍騎(DRAGON KNIGHT)の姿だった。

 低くブッカーを構えるディケイド龍騎と、銃口を真っ直ぐにカッシスに向けるドレイク。
 一切戦意の衰えを見せないその瞳が、仮面越しにでも自分を射貫くような感覚をカッシスは覚えていた。

 「グオアアァァァァ!!!」

 雄叫びと共にドレイクに向けカッシスが振るった左手そのものである大剣を、ディケイド龍騎が受け止める。
 ならばとばかりに自由な右手で彼に打撃を見舞おうとするが、しかしそれはドレイクが放った正確な射撃により見当違いな方向へと向けられてしまう。
 思い通りにいかないもどかしさに思わずドレイクに気を取られたその瞬間、ディケイド龍騎は深くカッシスの腹を切りつけていた。

 呻きながら後退したカッシスに、再び斬りかかろうとするディケイド龍騎。
 しかしそれ以上の前身を黙って見ているほど、カッシスも甘くはなかった。

 「舐めるなっ!」

 怒号と共に右手に生じた闇を、苛立ちのままに二人に放つ。
 凄まじい威力が約束されている暗黒掌波動を前に、しかしライダーたちは冷静にそれぞれお左右に回避し次の手札を切っていた。

 ――ATTACK RIDE……STRIKE VENT!
 ――RIDER SHOOTING

625 ◆.ji0E9MT9g :2018/08/30(木) 13:03:21 ID:c35IbBSY0

 カッシスが闇を照射し終わる前に、鳴り響いた二つの電子音声。
 それによってダブルライダーから同時に放射されたのはそれぞれ赤と青のエネルギーを伴う光弾だった。
 このままではカッシスと言えど回避も防御もままならず消滅してしまう。

 「くっ……クロックアップッ!」

 だがそれは、何もしなかったときの話だ。
 勢いよく叫んだカッシスは、目の前にまで迫りつつあったディケイド達の攻撃が一気に速度を落としたのを見て安堵する。
 ワームとしての能力で、超高速空間に逃げ込んだのである。

 門矢士というイレギュラーが現れてしまった現状、このまま戦い続けるのは如何せん分が悪い。
 間宮麗奈を見逃すのに後ろ髪引かれる思いを感じながら、しかしそれでも大局のためその身体を翻しこの場を後にしようとする。

 「――逃がさん」

 だがそんな彼の瞳に映ったのは、怒りを滲ませながら佇むドレイクの姿だった。
 どうやら自分が逃げることまで読んだ上で、攻撃と同時クロックアップを発動していたらしい。
 なるほど自分を処刑する執行人気取りか。どういった心境かは知る由もないが堂々と立つドレイクに対し、しかしカッシスは高らかに笑い声を上げた。

 「詰め(チェック)をかけるつもりで墓穴を掘ったな、間宮麗奈。俺を追い詰めたつもりか?逆だよ。この空間では君のお仲間たちからの助けは期待出来ない。
 一対一では俺に敵わないことなど、先ほどの戦いで分かりきっているだろう?」

 「……それはどうかな」

 短く戦いの意思を告げたドレイクは、そのまま引き金を振り絞り弾丸を放つ。
 それを難なく右手の盾で受け止めつつ、カッシスは彼女を切り捨てんとする勢いで左手を大きく振るった。
 ドレイクは紙一重でそれを避けるが、しかしカッシスの猛攻は止まることを知らない。

 繰り返されていく剣の舞に、やがて彼女は吹き飛ばされてしまう。

 「終わりだ間宮麗奈。……その首、貰い受ける!」

 そして、勝利を確信したカッシスがそのまま彼女を見逃すはずもない。
 一瞬で距離を詰め、身動きの出来なくなった彼女の首を切り飛ばす勢いで横凪ぎに剣を振るった。
 だが、ドレイクの首と身体を分かつはずだったその一撃は、虚しく空を切る。

 いや、まだそれはいい。また彼女が回避できなくなるまで攻撃を続ければいいだけだ。
 それよりも、今最も大きな問題は――。

 「何、一体どこへ……!?」

 ドレイクの姿が、忽然と消え失せてしまったことだ。
 まさかドレイクの姿のままハイパークロックアップなどの特殊な能力を行使したとでもいうのか。
 有り得ない、と困惑するカッシスの元に、降り注ぐ声が一つ。

 「後ろだ」

 背筋が凍るような冷たい女の声が自身の後方より響いて、カッシスは思わず硬直する。
 だが、流石はワームの王。背中に突き付けられている銃口に臆することなく瞬間でも彼女の気を反らすため、彼は口を開いた。

 「貴様、一体どうやって俺の後ろに……?」

 「忘れたのか。私は真似をしただけだ。私の仲間がお前の背後を取った時の、な」

 ニヤリと笑いながら、ドレイクは告げる。
 そう、彼女はカッシスが剣を横に振り払い足下への視界が悪くなるその瞬間、リュウタロスが行ったのと同じように足の間を滑り抜けこうして後方を取ったのである。
 ウカワームの剛直な身体でも、クロックアップを持たないリュウタロスでも完遂出来なかったカッシスの攻略法。

 それが今、ドレイクを纏った麗奈の手によって、ようやく果たされたのであった。

626 ◆.ji0E9MT9g :2018/08/30(木) 13:03:40 ID:c35IbBSY0

 「グゥ、ウオオォォォ!!!」

 しかし当のカッシスは、この敗北を認めることなど出来はしない。
 獣のような雄叫びを上げて、銃口をも気にせず思い切りドレイクに向け振り返ろうとする。
 だがそれこそが、彼女の狙い。振り返りざまの彼に向け全力で引き金を引けば、そこは先ほどディケイドが切りつけた部分に丁度一致し、さしものカッシスも呻き声を上げた。

 そしてそれで済ませるドレイクではない。
 数歩後退したカッシスに渾身の後ろ回し蹴りを食らわせ仲間のデイパックを全て回収しつつ、ゼクターのグリップを引く。

 「ライダーシューティング!」

 ――RIDER SHOOTING

 ドレイクの絶叫と共に銃口に迸るタキオン粒子は、まさしく必殺の一撃。
 一瞬の緊張の後放たれたその高エネルギーの弾丸を、しかしカッシスは自身の盾で防いでいた。
 そしてその威力故に後方へと足を引きずられながらも、彼は高らかに笑う。

 「ハハハハッ、最後の最後、見誤ったな間宮麗奈!貴様は忘れているだろうが、俺はもうクロックアップの再使用に制限などない!
 この一撃を耐えきり貴様のクロックアップが制限にかかった瞬間こそが、貴様の最後だ!」

 「忘れてなどいないさ、乃木怜治。それから最後に貴様に、一つだけ忠告しておいてやろう。――後ろに気をつけろ」

 ――CLOCK OVER

 瞬間、ドレイクの高速移動能力の終わりを告げる電子音声が響く。
 これで自分の勝利は揺るぎない。この程度の一撃など、耐えてみせる。
 そう思い右手に一層意識を集中させようとして、気付く。この場所に見覚えがあることに。

 「後ろに気をつけろ、だと?――まさか!」

 ハッと一つの可能性に辿り着いたカッシスが振り向けば、既にそこには弾速を戻した二つの弾丸が、先ほどドレイクとディケイドが通常時間軸で放った一撃が迫っているのを視認する。
 つまりは、挟み撃ちだ。まさか、奴はここまで読んで先ほどの攻撃などで自分の位置を調整していたというのか。
 咄嗟に回避を試みるが、しかし敵わない。右手の盾で既に抑えている弾丸が、彼を拘束して離さないのだ。

 「グ、オォォォ!!!間宮、麗奈アァァァ!!!」

 断末魔の様に叫ぶと同時、カッシスの左手そのものである剣にタキオン粒子が禍々しく輝いて。
 辺りは、光と爆音で満たされた。


 ◆


 「……逃げた、か」

 凄まじい閃光と爆音が晴れた後、周囲に敵意が感じられず、また乃木が乗ってきていたらしいバイクが消えているのを見て、麗奈は変身を解除しながら呟いた。
 勝った。ワームの王とでも言える実力の持ち主に自分は、いや自分たちは勝ったのである。
 先ほどの浅倉との戦いよりも実感として自分が今のまま生きていていいのだという権利をも勝ち取ったような気持ちになって、麗奈は大きく深呼吸した。

 「大丈夫か、麗奈」

 「あぁ」

 ふと見れば、同じように変身を解除した士が、自分に向けて声をかけてきていた。
 彼がいなければどうなっていたことか。浮かんでしまった最悪の可能性は、しかしこの男がいなければ確実に訪れていたものだ。
 取りあえずは彼に感謝の言葉を。そう思い口を開こうと彼女は一歩足を進める。

627 ◆.ji0E9MT9g :2018/08/30(木) 13:04:03 ID:c35IbBSY0

 「ありが――」

 「――おいアンタ!なんでデッキもないのに龍騎に変身できんだよ!一体何がどうなってんだ!?」

 だがその一言は、間の抜けたような驚愕を含んだ真司の声によって、遮られてしまう。
 本来ならば怒っても良いはずだというのに、無性に微笑ましいのは、人間である彼女の元来より持つ朗らかな性格故だろうか。
 ともかく、何とも気が抜ける奴だ、と溜息一つだけを残して、士は一瞬麗奈と視線を交わしてから真司に振り返った。

 「悪いが詳しい話をしてやれる時間はない。だが、そうだな。お前らには幾つか伝えなきゃいけないことがある」

 そうして彼は語り出した。未だ知らぬ彼らの仲間の死とその詳細を。
 そして今の自分が、一体どこへ何故向かおうとしているのかを。

 
 ◆


 広い草原を、足を引きずりバイクに寄りかかりながら何とか歩いている男の影。
 その姿を先刻までの彼自身が見れば、嘲り馬鹿にしていただろう情けのない姿。
 しかしそれでも、彼は歩みをやめずただ一心に復讐のみを誓いながらその足を進めていた。

 「間宮麗奈……次に会ったときは、必ず、その命を……!」

 あの時、三つの弾丸に挟まれ絶体絶命となったカッシスは、ライダースラッシュによる斬撃で攻撃の威力を殺し、何とか九死に一生を得たのである。
 だが、乃木は、命が助かったと言うだけのことに喜ぶような小さな男ではなかった。
 目の前に愚かな裏切り者がいるというのにそれを見過ごさなければならないという屈辱。それを味合わせた間宮麗奈と門矢士への絶えない憎悪が、彼を支配していたのである。

 「だが……今の身体では奴らの相手どころかA-4エリアに向かうのも難しい……。
 ここは一旦もう一人の俺と合流し、体勢を立て直さなくては……」

 息も絶え絶えに今後の方針を固め、乃木は歩く。
 その先にも、もう一つの苛烈を極める戦いがあることなど、露程も知らずに。


【二日目 早朝】
【G-2 平原】

【乃木怜治@仮面ライダーカブト】
【時間軸】第44話 エリアZ進撃直前
【状態】ダメージ(大)、疲労(大)、屈辱、間宮麗奈、門矢士への憎しみ
【装備】なし
【道具】ブラックファング@仮面ライダー剣、
【思考・状況】
0:取りあえずG-1エリアに向かいもう一人の自分と合流する。
1:間宮麗奈は次に会ったときは絶対に殺す。
2:大ショッカーを潰すために戦力を集める。使えない奴は、餌にする。
3:状況次第では、ZECTのマスクドライダー資格者も利用する。
4:最終的には大ショッカーの技術を奪い、自分の世界を支配する。
5:志村純一を警戒。まったく信用していないため、証拠を掴めばすぐに始末したい。
6:もう一人の乃木にこれ以上無様な真似を見せないようにしなくては。だが、背に腹は代えられないか。
【備考】
※カッシスワーム・クリペウス(角なし)になりました。
※現在覚えている技は、ライダーキック(ガタック)、ライダースラッシュ、暗黒掌波動の三つです。 なお新しくはもう覚えられないようです。
※東京タワーから発せられた、亜樹子の放送を聞きました。
※村上と野上ではなく、志村があきらと冴子を殺したのではと疑っています。
※クロックアップに制限が架せられていること、フリーズ、必殺技吸収能力が使用できないことを把握しました。 なお、現在クロックアップに関しては連続使用に制限はないようです。
※第二回放送を聞いていませんでしたが、間宮麗奈より情報を得たので内容について知りました。
今のところは内容について別に気にしていません。

628 ◆.ji0E9MT9g :2018/08/30(木) 13:04:20 ID:c35IbBSY0


 ◆


 「――もう行くのか」

 「あぁ、悪いが通りすがりなんでな。そうゆっくりもしてられない」

 「キングって奴のこと、頼むな!あと翔一たちのこともよろしく」

 「分かってる」

 バイクに跨がりヘルメットとゴーグルをつける士に、麗奈と真司はそれぞれ言葉をかける。
 士からもたらされた情報は、非常に有益なものばかりだった。
 大ショッカーを一度潰したというディケイドの力、そして士自身について。

 何より西病院を襲うかもしれないキングという大ショッカー幹部の男については、少々議論が発生した。
 結局は、仲間達の危機なのだから自分もついていくとせがむ真司を、傷だらけの麗奈やリュウタ、そして戦闘要員として過度の期待は出来ない三原を守れるのはお前しかいないと説得しことは終わったのだが、それでもなお彼は不安が拭えないようだった。
 そしてそれは、士も同じだった。

 「真司、無茶だけはするなよ」

 「何だよいきなり。お前こそ気をつけろよな」
 
 「……そうだな」

 言ってから、真司にとっては唐突すぎたかと少し自省する。
 幾ら自分が力を取り戻したライダーがすぐに死んでしまうというのが統計的に立証されつつあるとはいえ、それは所詮仮説にすぎないのだ。
 どうにか彼には無事でいて欲しい。その為にこの場を離れるという理由も、なくはないのだから。

 「門矢士、私からも一つだけ聞いておきたいことがある」

 「何だ」

 と、そこで会話に加わったのは麗奈だった。
 傷ついた身体に処置を施し、一応移動にも支障はないらしい彼女は、どこか少し悪戯っぽい表情で士のすぐ近くにまで歩み寄った。
 
 「さっきお前が言った、仲間がいる場所が自分の居場所なのだという話。あれは、私にだけ向けた言葉ではないな?」

 麗奈のその言葉に、士はここに来て初めて言葉に詰まってしまう。
 そう、自分の世界がないということ、そして居場所がどこにもないということ、誰もが自分を拒絶し迫害するということ……。
 全て、士も経験したことだった。だから、同じ境遇になりつつある麗奈に対する乃木の言葉に、一切の葛藤もなしに反論することが出来たのだ。

 「あれは、もしやお前自身の――」

 「――さぁな」

 微笑を浮かべた麗奈に対し。見透かされたようでばつが悪かった士は下手な返しだけを残してエンジンをかけた。
 思い切りアクセルが振り絞られると同時、トライチェイサーは唸りを上げて北へと向かっていく。
 それを見送りながらどこかまた自然と笑みが浮かんでいる自分の顔を自覚して、麗奈は一人自由という状況を謳歌していた。


 ◆


 麗奈と真司から少し離れたところで、三原は一人リュウタの側で彼を見守りながら物思いに沈んでいた。
 乾巧と、野上良太郎が死んだ。
 士が話したその情報が、三原をより一層不安にさせる。

629 ◆.ji0E9MT9g :2018/08/30(木) 13:04:45 ID:c35IbBSY0

 流星塾の生き残りと協力し悪いオルフェノクを倒していたという乾巧。
 正直な話、信頼できるとは言えそれも伝聞で聞き及んだ話だし、面識もない相手が死んでしまったと言っても、三原の中に特別な感情は特に浮かばなかった。
 そう、だからそれ以上に――。

 「良太郎さんが死んだなんて、俺お前に何て言えばいいんだよリュウタ……」

 目の前で疲れ果て眠る紫の怪人が、最も信頼を寄せ強さを認めていた青年の死。
 それを自分は、なんと言えばいいのだろうか。
 いやどうせ、何を言ったところで「良太郎を倒した奴は僕が倒すから!」などと言って聞かないのだろうことは予想がつく。

 だがその下手人であるキングは、大ショッカーの幹部だし、あの士という男さえ一度は逃がしたという。
 そんな相手を前に、自分やリュウタが敵うわけないではないか。デルタが戻ってきたところで、自分は結局自分の身を守ることくらいしか出来ないのだ。
 逃げている最中に巻き込まれた戦闘ならまだしも、自分から戦闘が予想される場所に赴くなど、絶対にごめんだった。

 『世界の誰もが自分を否定しようとも、仮面の下に表情を隠そうとも、互いを理解し、背中を預け合って共に戦える仲間がいる。それさえあれば、そこは誰にも否定できない、そいつの居場所だ』

 そこまで考えて、三原の脳裏にふととある言葉が過ぎる。
 先ほどディケイドが、麗奈に向け放った言葉は、少し離れたところで一部始終を見届けていた三原の耳にも届いていたのだ。

 「背中を任せて戦えるとか……何なんだよ……!戦うのなんて怖いに決まってるだろ……!戦いたくない……俺は……!」

 共に戦える仲間がいることが一つの居場所の証明だとするのなら、自分の帰る場所はやはり元の世界に存在する自分の家以外にない。
 あの何の変哲もない日常に帰りたい。そう思う自分を、親切にしてくれた異世界の人々をこのまま見捨てて帰るわけにはいかないという自分が叱咤する。
 どうしようもない二律背反に三原はいつしかストレス性の胃痛を覚え……、やがてその苦しさから免れるためにこの何度目ともしれぬ思考を再び停止した。

【二日目 早朝】
【F-2 平原】

【門矢士@仮面ライダーディケイド】
【時間軸】MOVIE大戦終了後
【状態】ダメージ(中)、疲労(大)、決意、仮面ライダーディケイドに1時間45分変身不可
【装備】ディケイドライバー@仮面ライダーディケイド、ライダーカード一式@仮面ライダーディケイド、ディエンドライバー+ライダーカード(G3、王蛇、サイガ、歌舞鬼、コーカサス)+ディエンド用ケータッチ@仮面ライダーディケイド、トライチェイサー2000@仮面ライダークウガ
【道具】支給品一式×2、ケータッチ@仮面ライダーディケイド、キバーラ@仮面ライダーディケイド、 桜井の懐中時計@仮面ライダー電王 首輪探知機@オリジナル
【思考・状況】
基本行動方針:大ショッカーは、俺が潰す!
0:どんな状況だろうと、自分の信じる仮面ライダーとして戦う。
1:キングを探すため、西側の病院を目指す。
2:巧に託された夢を果たす。
3:友好的な仮面ライダーと協力する。
4:ユウスケを見つけたらとっちめる。
5:ダグバへの強い関心。
6:音也への借りがあるので、紅渡を元に戻す。
7:仲間との合流。
8:涼、ヒビキへの感謝。
9:黒いカブトに天道の夢を伝えるかどうかは……?
【備考】
※現在、ライダーカードはディケイド、クウガ、龍騎、ファイズ、ブレイド、響鬼、電王の力を使う事が出来ます。
※該当するライダーと出会い、互いに信頼を得ればカードは力を取り戻します。
※参戦時期のズレに気づきました。
※仮面ライダーキバーラへの変身は光夏海以外には出来ないようです。
※巧の遺した黒いカブトという存在に剣崎を殺した相手を同一と考えているかどうかは後続の書き手さんにお任せします。

630 ◆.ji0E9MT9g :2018/08/30(木) 13:05:02 ID:c35IbBSY0



【間宮麗奈@仮面ライダーカブト】
【時間軸】第40話終了後
【状態】意識統合、疲労(大)、ダメージ(大)、ウカワームに1時間30分変身不能、仮面ライダードレイクに1時間45分変身不能
【装備】ドレイクグリップ@仮面ライダーカブト
【道具】支給品一式、ゼクトバックル(パンチホッパー)@仮面ライダーカブト、
【思考・状況】
基本行動方針:自分の中に流れる心の音楽に耳を傾ける。
1:東の病院へ向かい士の仲間たちと合流する。(村上峡児への対処は保留)
2:皆は、私が守る。
3:仲間といられる場所こそが、私の居場所、か。
【備考】
※『仮面ライダー』の定義が世界ごとによって異なると、推測しています。
※人間としての人格とワームとしての人格が統合されました。表面的な性格はワーム時が濃厚ですが、内面には人間時の麗奈の一面もちゃんと存在しています。
※意識の統合によって、ワームとしての記憶と人間としての記憶、その両方をすべて保有しています。
※現状、人間時の私服+ワーム時のストレートヘアです。




【城戸真司@仮面ライダー龍騎】
【時間軸】劇場版、美穂とお好み焼を食べた後
【状態】強い決意、翔一、士への信頼、疲労(中)
【【装備】カードデッキ(龍騎)@仮面ライダー龍騎
【道具】支給品一式、優衣のてるてる坊主@仮面ライダー龍騎、カードデッキ(ファム・ブランク)@仮面ライダー龍騎、サバイブ「烈火」@仮面ライダー龍騎
【思考・状況】
基本行動方針:仮面ライダーとして、みんなの命を守る為に戦う。
1:東の病院へ向かい士の仲間たちと合流する。(村上峡児への対処は保留)
2:翔一たちが心配。
3:間宮さんはちゃんとワームの自分と和解出来たんだな……。
4:この近くで起こったらしい戦闘について詳しく知りたい。
5:黒い龍騎、それってもしかして……。
6:士の奴、何で俺の心配してたんだ……?
【備考】
※支給品のトランプを使えるライダーが居る事に気付きました。
※アビスこそが「現われていないライダー」だと誤解していますが、翔太郎からリュウガの話を聞き混乱しています。
※アギトの世界についての基本的な情報を知りました。
※強化形態は変身時間が短縮される事に気付きました。
※再変身までの時間制限を二時間と把握しました。
※天道総司の提案したE-5エリアでの再合流案を名護から伝えられました。
※美穂の形見として、ファムのブランクデッキを手に入れました。中に烈火のサバイブが入っていますが、真司はまだ気付いていません。

631 ◆.ji0E9MT9g :2018/08/30(木) 13:05:21 ID:c35IbBSY0




【三原修二@仮面ライダー555】
【時間軸】初めてデルタに変身する以前
【状態】強い恐怖心、疲労(中)
【装備】デルタドライバー、デルタフォン、デルタムーバー@仮面ライダー555、ランスバックル@劇場版仮面ライダー剣 MISSING ACE
【道具】草加雅人の描いた絵@仮面ライダー555
0:俺は……。
1:できることをやる。草加の分まで生きたいが……。
2:居場所とか仲間とか、何なんだよ……。
3:巨大な火柱、閃光と轟音を目撃し強い恐怖。逃げ出したい。
4:東病院へ向かうが、村上はどうすれば……。
5:リュウタに良太郎って人のこと何て言えば良いんだよ……。
6:オルフェノク等の中にも信用出来る者はいるのか?
7:戦いたくないが、とにかくやれるだけのことはやりたい。
8:リュウタロスの信頼を裏切ったままは嫌だ。
【備考】
※リュウタロスに憑依されていても変身カウントは三原自身のものです。
※同一世界の仲間達であっても異なる時間軸から連れて来られている可能性に気付きました。同時に後の時間軸において自分がデルタギアを使っている可能性に気付きました。
※三原修二は体質的に、デルタギアやテラーフィールドといった精神干渉に対する耐性を持っています。今抱いている恐怖心はテラーなど関係なく、ただの「普通の恐怖心」です。
※デルタギアを取り上げられたことで一層死の恐怖を感じたため、再度ヘタレています。



【リュウタロス@仮面ライダー電王】
【時間軸】本編終了後
【状態】疲労(大)、ダメージ(大)
【装備】デンオウベルト+ライダーパス@仮面ライダー電王、リュウボルバー@仮面ライダー電王
【道具】支給品一式、ファイズブラスター@仮面ライダー555、デンカメンソード@仮面ライダー電王、 ケータロス@仮面ライダー電王
(気絶中)
0:修二、強くなった……のかな?よくわかんない。
1:今の麗奈は人間なの?ワームなの?どっちでもないの?
2:良太郎に会いたい
3:大ショッカーは倒す。
4:モモタロスの分まで頑張る。
5:東側の病院へ向かい友好的な参加者と合流したい。
【備考】
※人間への憑依は可能ですが対象に拒否されると強制的に追い出されます。
※自身のイマジンとしての全力発揮も同様に制限されていることに何となく気づきました。
※麗奈が乃木との会話の中でついた嘘について理解出来ていません。そのため、今の麗奈がどういった存在なのか一層混乱していますが、それでも一応守りたいとは思っています。

632 ◆.ji0E9MT9g :2018/08/30(木) 13:08:21 ID:c35IbBSY0
以上で投下終了です。
今回のタイトルに関しては『居場所-プレイス-』でお願いします。
それでは毎度の事ながらご意見ご感想ご指摘などございましたら是非お願いいたします。

633 名無しさん :2018/08/30(木) 13:57:28 ID:KIrDddro0
投下乙です!
文字通り通りすがりの仮面ライダーな士、相変わらず彼の説教は心を動かすものがあります。
カッシスのクロックアップにもアクセルにフォームライドかな?と思いきや、ありきたりの対策ではなくて仲間との連携で魅せる戦闘シーンも見事でした。

ここでリタイアしない乃木さんも弱体化したとはいえ、中々にしぶとい……彼の巻き起こす波乱に今後も注目ですね

634 名無しさん :2018/08/30(木) 18:10:26 ID:HYvwC/vQ0
投下乙です!
カッシスの圧倒的な戦闘力を前に麗奈さんたちは絶体絶命のピンチに追い込まれましたが……士が通りすがってくれたおかげで、危機を乗り越えましたか!
士の説教が出てきた瞬間、例のBGMが脳裏で再生されましたし、真司と心を通わせたことも熱かったです!
見事にカッシスを打ち倒しましたが、流石にカッシスもしぶとい……でも、これから彼が向かおうとしている先では……


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