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オリロワ2014 part3

58HERO ◆H3bky6/SCY:2018/06/08(金) 01:18:09 ID:CdEWYDVs0
「ああ、あたしの力の源がなんなのかお前には言ってなかったか。
 いや、誰にも言ったことはなかったっけ、あれ、りんご飴の奴に寝物語で語ったことがあったっけか。まあどうでもいいか。
 ともかく、あたしの力は生まれつき持ってたもんじゃなくて、師匠から受け継いだ力でな。
 この師匠がこりゃまた強ぇ女でな、それなりに名の知れたヒーローだったんだが知ってるか?
 ま、師匠がくたばっちまったのはお前が改造されちまう前の話だからなぁ、知らねぇか」

少しだけ寂しげに昔を懐かしむように遠く空を見る。
珠美はあまり自らを語るような性格ではない。
同じ組織で戦ってきたが、珠美の身の上話はリクも初めて聞く。
それはそれで興味深くはあるが今はそんな話をしている場合じゃない。

「その辺の事情は後で聞かせてもらう、いろいろを含めてな」

湖の水に赤色が混じっていることに気付く。
電撃による衝撃か、激しい戦闘により傷が開いたのか、殺し屋によって喪われた腕の傷から大量の血液が流れだしていた。
湖が赤く染まって行き、それに比例して珠美の顔が青白くなっていく。
水中での大量出血は傷口が凝固せず出血多量による死につながる。
すぐに止血する必要があった。

「…………待ってろ、川岸まで引き上げてやる」

漏電の中心にいたシルバースレイヤーも巻き込まれていたが、ボンバーガールに耐爆性能がある様に、シルバースレイヤーにも改造人間としての耐電性能がある。
電撃によるダメージは比較的少なく、痺れによって動けないという事もない。
ゆっくりながら泳ぐことくらいはできる。
引っ張って岸まで泳いでいく必要がある。

「まあ、待て。聞けよリク」

だがそれを要救助者が制する。

「これはりんご飴にも言ってない、正真正銘、誰にも言ってない話なんだが。
 この力は実のところ花火を作る能力とそれに火をつける能力は別物なんだよ。
 可燃物を生成する力と種火を産み出す力、二つあるってことだ。
 可燃物がなんになるかは継承者によって変わるらしい。花火となるのはあたしの特性だな。師匠はダイナマイトだった。亦紅も…………きっとあいつも生きてりゃ自分の炎の形を見つけてたんだろうな」

聖火の如く引き継がれてきた力。
それは一つではなく二つの力だった。
継承者以外知ることのない門外不出の事実。
それはそれで驚きなのだが、何故それを今語る必要があるのか。

「そして種火の元となるのは自分自身さ、自分自身を炎にするって力だ。それは肉体に限らず感情であり魂だったり寿命だったりする。
 全身を炎と化して、物理攻撃を無効化した奴もいたらしい。ま、使うたび肉体を消耗していったらしいが。
 あたしは殊更感情を燃やすのに長けてたらしくてな、要するにあたしが萎えない限りは戦い続けられるって代物で、大したもんだと師匠も褒めてくれたよ」

珠美の話は続く。
その間にも湖の赤は徐々に広がって行き、リクの服を汚し始めた。
放っておけば出血多量で死にかねない。これ以上、無駄話をしている暇はない。

「おい、いい加減に、」

話を止める気配のない珠美をリクは強引に引っ張っていこうと近づく。

「使い手によって呼ばれ方は色々と変わっていたようだが、最初にこの力を覚醒させた能力者にちなんであたしら継承者はこう呼んでいる」

それを無視して爆炎の継承者は続ける。
その力の名を。


「――――――――――『爆血』と」


瞬間。リクの全身が発火した。
水中にいるにもかかわらず炎が全身に纏わりつく。
水中に混じった血液が燃えている。


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