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オリロワ2014 part3

184自己否定・進化とは枯れていくことなり ◆VJq6ZENwx6:2019/11/02(土) 23:49:35 ID:/TXTX7c60
「じゃあ、僕はこんなところで退散するよ。
 彼へのいい取材代となってくれてありがとう、創造主様。」

邪神が消えた後、背後から車輪が回る音が聞こえた。
振り返ると、そこには黒服に押される車椅子に座ったカイザルが居た。
コイツも大概おかしい。
悪党商会が公開したナノマシン技術を用いた遺伝子治療の論文、それが活発になったと知ったのはいつだったか。
海賊版ナノマシンを独自に服用した病人が、激痛のあまり発狂死、未だナノマシンによる遺伝子治療は遠いという新聞記事を見たのは最近だったはずだ。
目の前のカイザルを見る。
枯れ木のように細くなった手足、落ち窪んで漆黒を携えた目、闘病のためかもはや毛の類は一本も見当たらない。
外見でこれだ、中身はもっとひどいのだろう。
リヴェイラが上位存在たる邪神の力を持って行い、結果無様さに打ちひしがれるまでに至った死からの逃走を人の身で行っているようなものだ。

「話は終わったか?ジョン・スミス」

聞かれたところでこの喉から返事ができるはずもない。
返事は手に持ったこれでやる他はない。

(なんでこんな体になってまで生きているのか、だって?)

(だって僕は邪神<ラスボス>だからね、邪神<ラスボス>として負けるまで終われるはずがないさ)

邪神はそう答えた。
世界の破壊者、そう始まってしまったものはそうでしか終われない、終わりたくない。
子ども染みた返答だが、自分には何よりも頼れる返答だった。

自分が少年だったのはいつだったか。
ナイフの設定を変えて、遊んでいたのはいつだったか。
邪神を処分できる最強のナイフ、それを作ったのはいつだったか。
ナイフを持って英雄ごっこをしていた少年、それを見たのはいつだったか。
聖剣により永遠と紡がれる英雄、勇者システムを作ったのはいつだったか。
チェンジ・ザ・ワールドの劣化を、とうに幼年期は過ぎていると知ったのは、自分だったか。

純粋な作品である彼が、子どもじみているというのは喜ばしいことなのかもしれない。

自分<ワールドオーダー>が成功したのか失敗したのか、それにも関わらず続いている自分のような断章がある。
ならば、彼のように統合し、終わるまで続ける存在が必要なのだろう。

きっと自分も同じだ。
最後まで足掻き、この断章を物語に変え、完結させる必要がある。
そのために理由もない生存を続けている。

愛用のサバイバルナイフをカイザルに向けて構える。
カイザルも震える手でこちらに銃を向ける。

これでエンディングだ。


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