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90's バトルロイヤル

1 名無しさん :2015/10/20(火) 00:14:42 ID:S/90BWeU0
こちらは90年代の漫画、アニメ、ゲーム、特撮、ドラマ、洋画を題材としたバトルロワイアルパロディ型リレーSS企画です。

90's バトルロイヤル @ wiki
ttp://www27.atwiki.jp/90sbr/

90's バトルロイヤル 専用掲示板
ttp://jbbs.shitaraba.net/otaku/17336/

地図
ttp://www27.atwiki.jp/90sbr/pages/13.html

5/5【金田一少年の事件簿@漫画】
 ○金田一一/○高遠遙一/○千家貴司/○和泉さくら/○小田切進(六星竜一)

5/5【GS美神 極楽大作戦!!@漫画】
 ○美神令子/○横島忠夫/○氷室キヌ/○ルシオラ/○メドーサ

5/5【ジョジョの奇妙な冒険 Part5 黄金の風@漫画】
 ○ジョルノ・ジョバァーナ/○ブローノ・ブチャラティ/○リゾット・ネエロ/○ディアボロ/○チョコラータ

5/5【ストリートファイターシリーズ@ゲーム】
 ○リュウ/○春麗/○春日野さくら/○ベガ/○豪鬼

5/5【鳥人戦隊ジェットマン@特撮】
 ○天堂竜/○結城凱/○ラディゲ/○グレイ/○女帝ジューザ

5/5【DRAGON QUEST -ダイの大冒険-@漫画】
 ○ダイ/○ポップ/○ハドラー/○バーン/○キルバーン(ピロロ)

5/5【幽☆遊☆白書@漫画】
 ○浦飯幽助/○南野秀一(蔵馬)/○幻海/○戸愚呂弟/○戸愚呂兄

5/5【らんま1/2@漫画】
 ○早乙女乱馬/○響良牙/○天道あかね/○シャンプー/○ムース

4/4【カードキャプターさくら@アニメ】
 ○木之本桜/○李小狼/○大道寺知世/○李苺鈴

4/4【機動武闘伝Gガンダム@アニメ】
 ○ドモン・カッシュ/○東方不敗マスター・アジア/○レイン・ミカムラ/○アレンビー・ビアズリー

4/4【サクラ大戦シリーズ@ゲーム】
 ○大神一郎/○真宮寺さくら/○イリス・シャトーブリアン/○李紅蘭

4/4【古畑任三郎@ドラマ】
 ○古畑任三郎/○今泉慎太郎/○林功夫/○日下光司

3/3【ケイゾク@ドラマ】
 ○柴田純/○真山徹/○野々村光太郎

3/3【ターミネーター2@映画】
 ○ジョン・コナー/○T-800/○T-1000

3/3【レオン@映画】
 ○レオン・モンタナ/○マチルダ・ランドー/○ノーマン・スタンスフィールド

2/2【ダイ・ハード2@映画】
 ○ジョン・マクレーン/○スチュアート

67/67

275 愛と憎しみのハジマリ ◆uuM9Au7XcM :2016/04/03(日) 12:39:23 ID:QiveXJTE0


まだ十分に制御できていないのか、あらぬ方向に飛んだ斬撃もあったため、ダメージを与えることはできなかった。
にも関わらず、警戒しているのかすぐに攻撃に移らずに、何かを考えるようにじっとさくらを見つめている。

これは好機とばかりに八房で斬りつけると、突然ラディゲの姿が欠き消えた。

「えっ?」

戸惑いの声をあげたのもつかの間、続けて背後からわき腹を蹴り上げられる。

「がふっ」

すかさず身体をずらし、ダメージを和らげながらその方向に斬りつける。
が、ふたたびその姿は消え、斬撃は辺りを破壊する。


「さすがに今のままでは、それを相手に無傷とはいかなそうだ。
 この勝負、預けておくぞ」

別の方向に現れたラディゲは、などと勝手なことを言いながら闇夜の中に姿を消していった。

「逃げた……の?」

緊張が解け、力が抜けたように座り込む。
さっきの戦闘で、精神肉体ともにだいぶ消耗してしまったようだ。

「でもすぐに移動しないと。音を聞いて、また危険な人が寄ってきちゃう」

「それに、早く大神一郎を殺さないといけないしね」

立ち上がるさくらの腰元のあたりには、見慣れないブローチが輝いていた。











(これは当たりだったようだな)

傍に潜み、気配を殺して様子を眺めていたラディゲは、満足そうに笑みを浮かべた。
見つけた参加者へ攻撃をしながら観察をしていた最中、誰かの名前を口走ったので支給品を試してみることにしたのである。
『反転宝珠』という、逆さまに付ければ愛情が憎悪に変わるブローチ。
あの言動から察するに、思惑通りにいったようだ。

(くくく、愛などという愚かな感情を持つから、己の身を亡ぼすことになるのだ。
私のために、せいぜい暴れてくれよ)

ラディゲといえども、ジェットマンやグレイ、そしてなぜか甦っている女帝ジューザ、奴らがいる以上たやすく優勝できるとは思っていない。
会場を混乱させる要素を作っておいた方が、人数も減りやすいだろう。

(とりあえずの問題はジューザか)

女帝ジューザは、ジェットマンたちとも協力して、ようやく倒せたほどの存在だ。

(誰かと手を組む必要があるな、まずは蒲生の屋敷とやらに行ってみるか)

方針を決めると、さくらが向かったのとは逆の方向へ向かって歩き出した。

276 愛と憎しみのハジマリ ◆uuM9Au7XcM :2016/04/03(日) 12:40:06 ID:QiveXJTE0



【D-2 月峰神社付近/1日目 深夜】




【真宮寺さくら@サクラ大戦シリーズ】
[状態]:疲労(大)、精神的疲労(大)、反転宝珠(逆向き)の影響下
[装備]:妖刀『八房』
[道具]:支給品一式、ランダム支給品1(確認済)
[思考]
基本行動方針:ノストラダムスを倒す
1:知り合い(アイリス、紅蘭)と合流する
2:大帝国劇場へ向かう
3:憎き大神一郎を殺す
[備考]
※八房の斬撃を当てると霊力を吸収できることは知りません
※反転宝珠(逆向き)が腰の後ろあたりにつけられています
※1本編終了後からの参戦
※まだ八房を使いこなせていません



【ラディゲ@鳥人戦隊ジェットマン】
[状態]:疲労(中)
[装備]:
[道具]:支給品一式、ランダム支給品0〜1
[思考]
基本行動方針:優勝する
1:手を組める参加者を探す(今のところグレイ最有力)
2:蒲生の屋敷へ向かう
3:ジェットマンとジューザはできるだけ早く始末したい
[備考]
※少なくとも女帝ジューザ戦以降からの参戦



【支給品説明】

【妖刀『八房』@GS美神 極楽大作戦!!】
真宮寺さくらに支給。
一振りで八つの斬撃を繰り出せる妖刀。斬った相手のエネルギーを取り込むことができる。
フェンリル狼の封印が、使用者にどう影響を与えるかは後の書き手さんにお任せします。


【反転宝珠@らんま1/2】
ラディゲに支給。
笑顔と苛立ちの表情が上下に描かれたブローチ。
正位置につけると愛は豊かになるが、逆につけると愛が憎悪に変化する。

277 ◆uuM9Au7XcM :2016/04/03(日) 12:40:44 ID:QiveXJTE0
投下終了です。

278 名無しさん :2016/04/03(日) 22:35:38 ID:tkzUwUfIO
乙です
まさかこういう流れになるとは大神さんやばす
限定的ながら厄介なステルスだあ
ラディゲの今後の立ち回りも楽しみな一幕でした

279 名無しさん :2016/04/24(日) 23:46:55 ID:aYZEDiNg0
投下乙です
さくらが…大神さん

280 名無しさん :2016/05/06(金) 17:25:10 ID:3yjNbx5gO
予約きた

281 ◆uuM9Au7XcM :2016/05/11(水) 22:03:07 ID:3QljqbYE0
投下します

282 咆哮 ◆uuM9Au7XcM :2016/05/11(水) 22:04:21 ID:3QljqbYE0
人類が宇宙へ新しい発見を求めて旅立ち、国家ですらもスペースコロニーへと移転した未来世紀の時代には、ガンダムファイトと呼ばれる世界のリーダーを決める代理戦争が行われてい

た。
ガンダムファイトは、コロニー国家間での全面戦争を防ぐためにと考案され、地球をリングとして『ガンダム』と呼ばれる兵器を用いて行われる。
アレンビーも国家の代表としてガンダムに乗り、闘っていた一人である。
まだ17歳の少女ながらも、新体操の動きを取り入れた軍隊式格闘術を駆使する凄腕のファイターだ。

今現在、彼女が置かれている状況はガンダムファイトと似たようなものではある。
ただ違うのは、ガンダムに乗って闘うのではなく生身の人間同士で競い合うということ。
そして、勝ち残った一人しか生き残れない殺し合いだということ――――――





(こんな子どもまで参加させられてるなんて……)

アレンビーは一人の少年と共に、広い草原を線路に沿って歩いている。
少年の名前はジョン・コナー。
10歳という幼さにも関わらず、取り乱した様子はない。
つい先ほどアレンビーと出会った時も、自分は殺し合いに乗っていないから協力しようという提案をしてきた。

話を聞いてみると、ターミネーターというロボットに命を狙われ、同じく別のターミネーターに守られていたという。
「襲ってくる奴の方が、規格外の化け物だったけどね」
とジョンは言っていたが、味方のターミネーターのことを語る表情から察するに、かなり頼りになる存在だったことが伺える。
これだけ落ち着いているのも、そのターミネーターが自分を見つけ出して守ってくれると信じているからなのだろうか。
殺し合いの場だというのに、弱音を吐かず歩みを進めている。

(まだ可愛い顔してるのに、ずいぶんとしっかりしてるのね)

それにしても、冷静過ぎのように思える。
アレンビーを先導するように目の前を歩くジョンへ視線を向けながら、心中感心しつつも訝しむ。

「あのさ……」
「うん?どうかした?」

そんなことを考えながら歩いていると、不意にジョンが立ち止まり、後ろを歩くアレンビーに話しかけてきた。

「あのノストラダムスってやつは何がしたいんだと思う?」
「何がって……道楽だって言ってたけど……」
「でも、あいつは答えることはできないって言ってた。
 遊びならそれが楽しいからで済むはずでしょ?」

283 咆哮 ◆uuM9Au7XcM :2016/05/11(水) 22:05:04 ID:3QljqbYE0

そう言われてみればそうである。だが改めて考えてみても、何が目的かなど見当がつかない。
ガンダムファイトのように大規模な戦争を防ぐための手段としてでもなく、こんな殺し合いに多数の人を無理やり参加させるなんて、普通の人間が考えるようなことではない。
見世物として金儲けをするか、本当に道楽だという方が納得できる。
金と変人の欲求というのは、常人が理解できない状況を生み出すものだ。
とにかく、推理するにはまだ情報が足りない。

「ジョンくんは何か心当たりでもあるの?」
「ううん。でもさ、相手の目的が分かれば何か弱点も分かるんじゃないかと思ったんだ……」

そう話すジョンの表情には、どこか不安げな感情が読み取れる。
こんな状況で初めて会った人間だ。おそらく、アレンビーがいくら殺し合いに乗っていないとわかったとしても、多少警戒したまま接していたのだろう。

「大丈夫だって。
 あいつが何をしようとしてるかはわかんないけどさ、私が守ってあげるから」

こう見えてもほんとに私強いんだよ、と元気づけるようにジョンへ向かって笑いかける。
これ以上続けても進展はないと思ったのか、ジョンも話題を切り上げて曖昧な笑みを浮かべた。

「ガンダムファイターだっけ?」
「うん、もう一人ドモンていう私よりも強いファイターも参加者にいるよ。
 でも絶対にこんなゲームに乗るような人じゃないから安心して」
「ドモン……あった、ドモン・カッシュ」

話を聞きながら名簿を確認してみると、たしかにその名が載っていた。
アレンビーは自分のことを話す時よりも、生き生きとドモン・カッシュのことをジョンに語る。
アレンビーがここまで熱弁するほどなのだからよほど屈強な人物のようだ。
そしてその話す様子から、彼に対する淡い想いを感じることができた。

「それにレインはガンダムのメカニックもしてたから、この首輪を外せるかも」
「首輪を――――うわ!?」

ジョンが持つ名簿を覗き込み、続けてレイン・ミカムラという名を指さす。
本当に外せるものなのかと思い、後ろから覗き込んできているアレンビーへ向くと、女性特有の甘い匂いと共にその顔が至近距離にあったことに驚く。

「ちょ、ちょっと!近いよ!!」

顔を赤らめながら、思わずアレンビーとの距離を取る。
ジョンもそういうことを意識してしまう年齢だ。年上の美女の顔がいきなり至近距離にあれば、狼狽するのは当然といえる。

「あはは。ごめんごめん、もしかして照れてる?」
「ち、違うよ。ちょっと驚いただけさ」
「………」
「……何?」
「ううん、ちょっと安心しただけ」
「??」

目の前であからさまに狼狽えている少年を見ながら、その年相応な反応にアレンビーはどこかほっとした気持ちになった。
いくら落ち着きのある行動を取れていたとしても、やはりまだ子どもなのだ。
これから先、どのようなことになるか予想できないが、自分が彼を守らなくてはとの思いを堅固にする。

284 咆哮 ◆uuM9Au7XcM :2016/05/11(水) 22:05:54 ID:3QljqbYE0



「あ、誰か来る」

そんなやり取りをしていた時、向かい合って話していたジョンが、視線の先を指さしながらアレンビーに告げる。
振り返って少年の緊張の眼差しの先を見てみると、たしかに一人の女性がこちらに向かって歩いて来ているのが見えた。
その足取りとただならぬ雰囲気から何かを察したのか、アレンビーは自然とジョンを庇うような位置を取っている。
近くまで来た女性は異様な格好をしており、まるでコミックから出てきたようなその様相は、この異常な状況においてより一層の不気味さを醸し出している。

「私たちは殺し合いをする気は―――」
「ジェットマン、ラディゲ、グレイ。こいつらの居場所に心当たりはあるか?」
「え?……知らない、ここであったのはあなたが二人目だから」
「そうか、ならば貴様らの首輪を貰うとしよう」
「な!!!?」

まずは対話を試みようとしたアレンビーを無視して、一方的に自分の要件を済ませる。
さらに聞き捨てならない言葉が発せられると、危険性を確信したアレンビーがすかさず攻撃に移ったが――――

「嘘……」
「この程度で私に抗うとはな」

思わず驚愕の声を漏らすアレンビーであったが、それも無理もない。
標的の頭部目がけて放たれた上段蹴りは、相手の不意をつくには十分な速さと威力を備えていたはずだった。
しかし、その攻撃が事も無げに受け止められ、そのまま足を掴み取られてしまったのである。
それもそのはず、彼女が攻撃を仕掛けた相手は裏次元を征服した武装集団、次元戦団バイラムの首領でありバイラムいちの実力者。
見た目は妙齢の女性だが、女帝ジューザといえば部下をもその存在を恐れる女傑なのだ。

「まだまだ!!」

一瞬面食らったアレンビーだったが、すぐさま足を掴まれた腕へ絡みつき関節技を試みる。

「ふん、小賢しいわ」
「がはっ」

ところが、そのままアレンビーもろとも腕を地面へ叩きつけるという荒業へ出る。
衝撃音が鳴り響き、地面に倒れ込み悶えるアレンビー。
すると今度は片手で首を掴み軽々と持ち上げると、満足気に微笑んだ。

「このまま絞め殺してやる」
「あ……ぐ……」

「アレンビーッ!!」

デイパックから取り出した銃を構えて援護しようとするも、ジョンの腕前ではアレンビーに当ててしまう可能性もあり、構えたまま立ち尽くしてしまう。
早くも勝負は決したかに見えたが、ここでこの場にいる誰もが予想していない事態が起こる。

285 咆哮 ◆uuM9Au7XcM :2016/05/11(水) 22:06:37 ID:3QljqbYE0

「なんだッ」

ジューザの立っている地面が、いきなり爆発したかのように弾けたのだ。
その際に見せた隙をついてアレンビーは拘束から脱出し、少し離れた場所から様子を窺っている。

「ここはどこだ……」

土煙の上がる地下から現れたのは、中華風の服を着て黄色いバンダナを頭に巻いた男。
まるで迷子のようにキョロキョロと辺りを見回している。
そしてジューザの姿を目にすると、ぎょっとしたような顔をして後ずさる。

「な、なんだてめえは!」
「私の邪魔をしておいて無礼な口まできくとは、そんなに殺してほしいのか?」
「殺すだと?まさかお前、こんな馬鹿げたゲームに乗ってやがるのか」
「ノストラダムスもお前たちも同じよ。私の邪魔をする者は殺す。
 お前のでも構わん、そのために首輪のサンプルを貰うぞ」
「うおっ」

ジューザから放たれる拳をなんとかガードするも、その凄まじい威力から、バンダナの男はさらに後ろへ押し出された。
そこへ背後からアレンビーが受け止める。
そして静かにバンダナの男へ向かって話しかける。

「す、すまん。助かった」
「いいえ、気にしないで。私はアレンビー、そっちにいる子はジョン君。
 二人とも殺し合いには乗ってない」
「俺は良牙、響良牙だ。俺も殺し合いには乗ってない」
「じゃあ、あいつをどうにかするの協力しない?
 正直言って、一人じゃとても敵いそうにないの」
「同感だ、あいつはヤバい」




響良牙とアレンビー・ビアズリー。
二人とも達人といってもいい格闘技術を持っている。
しかしながら、相手も常識破りの怪物だ。
最初のような一方的な展開にはならずとも、決定打を与えることができないまま疲労だけが蓄積していく。
その様子を悔しそうに見つめるジョンは、戦いに向かう際に良牙が投げ捨てたデイパックへ目を向けた。
その中に何か役に立つ支給品があるかもしれない。
そう思い立ち、中を探り始める。

(あった……)

運よく武器になりそうなものを探し当て、見つけた支給品をアレンビーへ渡そうと顔をあげる。

286 咆哮 ◆uuM9Au7XcM :2016/05/11(水) 22:07:16 ID:3QljqbYE0

「ぐあっ」
「きゃあっ」
「そろそろ煩わしくなってきたぞ。お前はもがき苦しみながら死ね」

吹き飛ばされた二人と、まだ余裕のありそうなジューザ。
そのジューザの額にある石が光り、アレンビーに向かって光線が発射される。

「あああああああああああっ」

なんと、光線を受け叫ぶアレンビーの腕からは結晶のようなものが生えてきているではないか。
心配して駆け寄ったジョンが見たものは、皮膚を破って血を滲ませながら結晶が生えてくる痛々しい姿だった。

「ちくしょおおおお」
「お前も終わりだ」

最後の力を振り絞るように突進していった良牙だったが、腹部を打ち据えられジューザの足元に倒れ伏す。
アレンビーは正体不明の光線を受け戦闘不能。良牙もジューザの力の前に屈してしまった。
今度こそ本当に終わりかと思われたその時、倒れていた良牙の手がジューザの足を掴む。

「なあ、俺はこのまま死ぬのか……」
「そうだ。だが私の役に立つのだ、誇り思って死ぬがいい」
「くそぉ…………」
「……ん、なんだ!?」

ジューザが良牙の異変に気付た。
突然、良牙の身体から凄まじい闘気が発せられたのだ。

「逃がさねえぞ」
「くっ!!」

離れようとするジューザを、掴んだ手に懸命の力を込めてその場に食い止める。

「ああ…憂鬱だ……獅子!!!咆哮弾ーーーーーーーー!!!」

良牙が叫び声をあげると、巨大な光の弾が頭上に現れ落下。
放たれた技の威力を物語るように、中心部にいた良牙の周辺はクレーターのように大きくへこんだ状態になっていた。
そこにはジューザの姿はなく、良牙が一人ゆっくりと立ち上がる姿だけが確認できた。

287 咆哮 ◆uuM9Au7XcM :2016/05/11(水) 22:07:55 ID:3QljqbYE0

「だ、大丈夫なの?」
「ああ、なんとかな。
 獅子咆哮弾の直撃を食らえばあいつだって―――」


振り返った良牙の誇らし気な顔に安心したのもつかの間。
その言葉が途切れる。
強大な敵を打倒したはずの男の口からは血が流れ、その胸を剣が刺し貫いている。

「ごふっ……」
「この剣を見ると思い出す。あの忌々しい裏切り者の顔をな」
「あ…かね…さん」

抉れた地面の下から現れ、良牙に致命傷を与えたジューザは、膝をついた彼の首をその剣で切り落とした。
さっきまでジューザと激闘を繰り広げていた男の首が、あっさりと体から離れ地面への落ちていく。


「さあ、小僧。次はお前だ」

「…………」

「安心しろ、手早く済ませてやる」

「…………」

「私はいいから……早く…逃げて…」

呆然と立ち尽くすジョンへ、アレンビーが逃げるように促す。
あそこまでの威力の攻撃を受けて生きているような相手に、銃だけで敵うわけがない。
だが今更逃げられるかと問われれば、それもNOだ。
乗り物も持ってない子どもが逃げ切れるとは到底思えない。
悩みぬいたジョンは、自身が生き残るために危険な賭けに出た。


「俺は役に立つよ」
「なに?」
「その首輪を調べるあてがないんなら、俺がやれる」
「ほう……」

ジョンの言葉を受け、歩み寄っていたジューザは足を止めて思考する。
はっきりいって首輪を解析する手段に心当たりはない。
だが、トランのような例があるにせよ、このような子どもがそれをできるなど信じがたいことだ。

「……いいだろう」
「!?」

しかしながら、ジューザは了承した。
嘘であったとしてもその時に殺せばいいことであり、この首輪がジューザにとっても最大の懸念事項であるからだ。

「ただし、裏切れば殺す。役立たずだと判断しても殺す」
「……わかった」
「よし、では行くぞ。
 その女は放っておいてもそのうち死ぬ」

この場を立ち去ると促すジューザに対して首肯すると、アレンビーの傍に置いていたデイパックを取りに戻っていく。

「おい、早くしろ」
「は、はい!!」

デイパックを取りに行く際の一瞬、苦しむアレンビーへ視線を向けるが、ジューザの呼びかけに応え後を追って走っていった。
嵐が去った後に残されたのは、悪に立ち向かった男の物言わぬ骸と得体のしれない現象に苦しみもがく女の叫び声。
そして、女のそばには一つの支給品が目立たぬように置かれていた。

288 咆哮 ◆uuM9Au7XcM :2016/05/11(水) 22:08:28 ID:3QljqbYE0




【響良牙@らんま1/2 死亡】




【D-3 1日目 深夜】





【女帝ジューザ@鳥人戦隊ジェットマン】
[状態]:疲労(大)
[装備]:秘剣ブラディゲート
[道具]:支給品一式、ランダム支給品0〜1、首輪(響良牙)
[思考]
基本行動方針:ノストラダムスを殺す
1:ジョンに首輪を解析させる
2:ジェットマンと裏切り者(ラディゲ、グレイ)は見つけ次第絶対に殺す
3:邪魔をする者、目障りな者は殺す
[備考]
※参戦時期はラディゲに殺された直後
※結晶化現象はジューザが一定の距離離れたら解除されますが、ジューザはまだ気付いていません


【アレンビー・ビアズリー@機動武闘伝Gガンダム】
[状態]:疲労(極大)、全身打撲、左腕に結晶化現象進行中
[装備]:
[道具]:支給品一式、ランダム支給品2〜3、
[思考]
基本行動方針:殺し合いから脱出する
1:ジョンを守る
2:知り合い(ドモン、レイン)と合流する
3:白いローブの女(女帝ジューザ)を警戒
4:東方不敗を警戒
[備考]
※同作参加者たちを知っている時期からの参戦
※ジョンからターミネーターの話を聞きました
※倒れているアレンビーの傍に支給品(魔甲拳)が置かれています
※響良牙のデイパックは戦闘した場所の周辺に落ちています


【ジョン・コナー@ターミネーター2】
[状態]:精神的疲労(大)、良牙・アレンビーへの強い罪悪感
[装備]:ベレッタM92F
[道具]:支給品一式、ランダム支給品2
[思考]
基本行動方針:母の元へ生きて帰る
1:逃げるチャンスが来るまでジューザに取り入って生き残る
2:T-800と合流したい
3:T-1000を警戒
4:アレンビーの知り合い(ドモン、レイン)と会ったらどうしよう……
5:天道あかねが良牙の知り合いなら良牙のことを伝えたい
[備考]
※T-800、サラと共に逃走中からの参戦
※アレンビーからガンダムファイター・ドモンたちの情報を聞きました




【支給品説明】


【秘剣ブラディゲート@鳥人戦隊ジェットマン】
女帝ジューザに支給。
次元をも切り裂くことができる裏次元伯爵ラディゲ愛用の剣。


【魔甲拳@DRAGON QUEST -ダイの大冒険-】
響良牙に支給。
魔界の名工ロン・ベルク作の武器。
利き腕と逆側に装着し「鎧化」の声に反応し手甲の一部が鎧に変わる。
鎧化後は呪文が効かないが金属のため雷系は防げない。


【ベレッタM92F@レオン】
ジョン・コナーに支給。
イタリアのベレッタ社が設計した自動拳銃。
マチルダがレオンから使用法を習っていた銃の一つ。

289 ◆uuM9Au7XcM :2016/05/11(水) 22:09:03 ID:3QljqbYE0
投下終了です

290 ◆uuM9Au7XcM :2016/08/21(日) 16:29:59 ID:5j7TAO9U0
投下します

291 誰がために我は行く ◆uuM9Au7XcM :2016/08/21(日) 16:30:59 ID:5j7TAO9U0
暗闇が支配する草原を猛スピードで駆け抜ける物体。
ヘッドライトが照らす僅かな範囲を視界に捉えながら、ルシオラはそのスピードを緩めることなく蒸気バイクを走らせ続けている。
背後にはすでに豪鬼の姿は見えず、追って来ているような気配も感じない。
だが、だからといってすぐに警戒を緩める気にはなれなかった。

それほどまでに豪鬼は異質な存在であった。
魔族である自分や、その主であったアシュタロスとも違う。あそこまでむき出しの殺気を平然と放っている相手に会ったのは初めてだ。
魔族には欲求のままに殺しを行い、それをなんとも思わない者は多い。
しかしあの男は、もっと純粋に意識することなく、感情に左右されずに殺気を放っている。
殺し合いを円滑に進めるため、しばらくは乗っている者たちと潰しあいをするつもりはないが、いずれは戦うことになるだろう。


「さすがに、あんなのがごろごろいるってのは勘弁してほしいわね」


初っ端から会ってしまった規格外の参加者のことを考えていると、つい愚痴が漏れてしまう。
強者相手でも死なない自信はあるが、なにしろ未知数な状況だ。
それに自分は絶対に失敗できない。


ヨコシマを―――愛する人を優勝させるという目的があるのだから。






「あれは…………死体?」


しばらくの間蒸気バイクを走らせていると、進行方向に人らしきものが倒れているのが見える。
怪我でもしているのか、あるいは寝ているだけなのかもしれないが、今この状況を考えればすぐに死体だと連想された。
ルシオラ自身もすでに戦闘を経験していて、他の参加者を殺そうともした。
別の場所で誰かが殺されているというのは十分にありえる。

何か情報を得られるだろうかと思い、バイクを減速させ死体とおぼしきものに近づいていく。
近くまでいくと、遠目では曖昧だった輪郭もよく見えてくる。
倒れていた人物は大柄な男のようだった。


(反応がないし息をしてる様子もない、やっぱり死体みたいね)

292 誰がために我は行く ◆uuM9Au7XcM :2016/08/21(日) 16:32:16 ID:5j7TAO9U0


しかし、ランタンの灯を照らしてみるとふと違和感に気付く。


「こんな大きな傷があるのに周りに血がない?」


おそらく死因であろう。腹部や胸に何かで貫かれたような傷を確認できたが、それほどの傷を負っているにも関わらず血が流れた痕跡がない。
吸血のような能力を持つものにでも殺されたのだろうかと考察しつつ、ランタンの灯を頭部にまで進める。


「え!?……ロボット?」


そこにあったのは皮膚が剥がれむき出しとなった機械の顔。
ロボットが参加者の中ににいるという事実に一瞬驚きの表情を見せたものの、すぐに落ち着きを取り戻す。
アシュタロスの部下であった時、直接の上司である土偶羅はロボットであったし、ヨコシマの仲間にも、人間の女性にそっくりなアンドロイドがいた。ありふれていたというほどではな

いにしても、ありえないことではないのだ。

わかったことは2つ。
バトルロイヤルにはロボットも参加していると言うこと。そして、その明らかに戦闘型と思われるロボットを倒しうる存在がいるということ。
先ほど出会った男といい、普通の人間に出会う方が稀なように思えてくる。


「これは……ちょっとやり方を考え直す必要がありそうね」


今まではヨコシマを優勝させることを最優先に、まずは参加者を積極的に減らすよう行動する方針だった。
けれども、想定していたより危険人物や得体の知れないものが多いようだ。
ヨコシマを優勝させるという方針に変わりはないが、ヨコシマが死んでしまっては本末転倒になってしまう。
ノストラダムスの言う、どんな願い事も叶えるという優勝賞品も本当かどうかは怪しい。


「ヨコシマは強い。けれど、絶対なんてないもの……」


そう呟き周囲の様子を確認すると、目の前に転がっている無機物の身体へゆっくりと手を伸ばしていった。

293 誰がために我は行く ◆uuM9Au7XcM :2016/08/21(日) 16:33:07 ID:5j7TAO9U0






                 ◇






「成功したみたいね」


機能停止の状態から再起動を果たしたT-800の前には、見降ろすようにボブカットの女が立っていた。
先ほど交戦した男はもうこの場にはいないようだ。


「申し訳ないけど、武器は預からせてもらってるわ」


T-800が何かを探す仕草をしたのを見て察したのだろう、女は手に持ったボウガンを掲げて見せる。
ボウガンをデイバッグに仕舞いながらさらに言葉を続けた。


「言葉は理解できる?それともまた眠りたいかしら?」
「……何が目的だ」
「話が早くて助かるわ。単刀直入に言うと、殺し合いに乗っているのなら手を組みましょうってこと」
「私が殺し合いに乗っておらず、そして断ったとしても破壊するということか」
「……そういうことになるわね。早く返答を聞かせてくれない?」


T-800が作られた理由は人類の殲滅および人類軍リーダーの抹殺。
故に、人間と協力するなどありえないことだ。
だがもし任務遂行の役に立つのなら、本来の目的を秘し利用するのも有効な手段だろう。


「殺し合いに乗ってはいる。だがその前に質問がある」


女は無言でその先を促す。


「見たところさほど時間が経っていないようだが、再起動にはまだ時間を要するはずだ。お前が処置をしたのか?」
「ええ、前にメカニックをやっていたことがあるの。
 とは言っても、あなたの身体はわからないことも多かったから成功するかどうかはイチかバチかだったけどね」
「他に質問は?」
「いやない。……わかった、そちらの提案を飲もう」

294 誰がために我は行く ◆uuM9Au7XcM :2016/08/21(日) 16:33:50 ID:5j7TAO9U0


T-800は女の提案に乗ることにした。
相手に機械についての知識があり、自身の身体に手を加えられたというのなら、提案に乗った方が無難だ。
戦力として役に立つのかは判断できないが、標的であるジョン・コナーを探すには人数が多い方がいいという利点もある。
未だ寝そべっていた身体を起こし、右手を差し出し握手を交わす。


「これで交渉成立ね。私の名前はルシオラ、短い付き合いになるでしょうけどよろしくね。
 あと、他の参加者を殺すうえで注意してほしいんだけど、ヨコシマタダオという参加者は殺さないようにお願い。
 そちらは何か要求はある?」
「T-800だ。
 ジョン・コナーという少年を探している。できれば私の手で確実に殺したいが、発見したならば優先的に殺してもらいたい」
「へぇ―――恨みでもあるのかしら」
「お前が知る必要はない」


一度愛する男を失ってしまった女は二度と同じ過ちを犯さぬために突き進み。
少年を守るためのターミネーターはバトルロイヤルという渦にその存在意義を歪められた。



本来ならば別の形で協力できたであろう二人の異端者が、凶行へ向かうべく手を結んだ。





【C-5 草原/1日目 深夜】
【ルシオラ@GS美神 極楽大作戦!!】
[状態]:疲労(小)、ダメージ(小)
[装備]:蒸気バイク@サクラ大戦シリーズ
[道具]:支給品一式、ランダム支給品0〜2、
[思考]
基本行動方針:ヨコシマを優勝させる。
1:参加者を見つけ次第殺す。
2:ヨコシマを殺す可能性のある危険人物とジョン・コナーを優先して殺す。
3:T-800と組む。
[備考]
※参戦時期は、原作34巻東京タワーでの死亡直後です。



【T-800@ターミネーター2】
[状態]:腹部・左胸部が大破、顔の皮が無い、プログラムに異常
[装備]:ボウガン、ボウガンの矢×4
[道具]:支給品一式、不明支給品0〜2、ボウガン@ケイゾク
[思考]
基本行動方針:人類、ならびに指導者のジョン・コナーを排除する。
1:ジョン・コナーを殺す。
2:ルシオラと組んで参加者(人類)を殺す。
[備考]
※参戦時期は少なくともジョンとハイタッチの遊びをした後です。
※ルシオラがT-800を再起動させましたが、チップの抜き差しは行わなかったため目的が人類の殲滅に変わりました。

295 ◆uuM9Au7XcM :2016/08/21(日) 16:35:14 ID:5j7TAO9U0
以上で投下終了です
ご指摘等あればよろしくお願いします

296 ◆uuM9Au7XcM :2016/12/03(土) 02:12:27 ID:pELL9T0I0
投下します

297 希望の道しるべ ◆uuM9Au7XcM :2016/12/03(土) 02:15:37 ID:pELL9T0I0



「くそッ!なんなんだこれ!!」


功夫は大声で毒づきながら手近にある人形を蹴り飛ばした。
おそらく、バトルロイヤルが開始されてからずっと暴れていたのだろう。博物館に飾られていた展示物の大半は、その価値を知るものが目を背けたくなるほどに無残な状態となっていた


それでも怒りが収まらないのか、持っていたデイパックまでをも床に叩きつける。

思い返せば、今日はずっと想定外のことばかり起こっている。
上手く観覧車に爆弾を設置できたまでは良かった。しかし、自転車のカギを落としたことがきっかけで、警備員に見つかってしまったのがケチのつきはじめ。
それから爆弾を仕掛けた自分が警察に呼ばれてしまうわ、そこにいた鬱陶しい刑事がしつこく自分を疑ってくるわでイライラが募るばかりの一日である。
本来なら、今頃はあの邪魔な観覧車を作ったやつらから3000万円を手に入れていい気分に浸っているはずだったのだ。
それがどうしたことか。殺し合いをしろと言われ、得体の知れない島に放り出される始末。


「……あいつのせいだ」


名簿には、あの古畑とかいう刑事が載っていた。
古畑の他に自分の知り合いが載っていないことから、あいつに関わったせいで巻き込まれた可能性が高い。
どうせ犯罪者の恨みでも買っているのだろう。
自らの古畑への印象を根拠に、功夫はそう結論付ける。


古畑のせいにすることによって、少しばかり心の平穏は得られたものの、自分が危険な催しに参加させられているという状況は変わらない。
優勝を目指すかという考えも浮かんできたが、1人や2人を隙を付いて殺せることはあっても、大人数での殺し合いを格闘技の経験もない自分が無事に勝ち抜けるとは思えない。
せっかく警察がいることが分かっているのだから、刑事である古畑に保護を求めるのが賢明であろう。
観覧車への爆弾設置の犯人だと疑われている身ではあるが、この非常事態だ。
大事の前の小事ということで自分に構っている暇はないはず。

古畑はどこにいるだろうかと、ふと見上げた窓の先に一際目立つ輝きが目に入った。













李紅蘭はその紫色の髪の隙間から瞳を覗かせ、目の前にそびえ立つ灯台を見上げた。
灯台へ来たのにそれほど深い意味はない。
大神たちと合流しようにもどこにいるのかわからないので、とりあえず自分がいる周辺を高い場所から見てみるかという程度であった。


「入るのなら早くしよう。殺しに乗ったやつが僕らと同じようにここへ来るかもしれない」
「せやな、目立つ場所やからさっさと済ませてしまおか」


隣に立つ白衣姿の男――――林功夫の提案に賛同する。
功夫とは数分前に出会った。
こんな状況だから仕方のないことではあるが、会った当初の功夫は紅蘭をひどく警戒していた。
自分が殺し合いに乗っておらず、ノストラダムスを打倒するよう動くつもりだと必死に訴え、どうにか信用されこうして同行しているというわけである。

298 希望の道しるべ ◆uuM9Au7XcM :2016/12/03(土) 02:18:54 ID:pELL9T0I0

また、ここまでの道中で簡単な自己紹介なども済ませている。
功夫によると、古畑という知り合いの警察官の名前も参加者名簿に載っていたらしい。
紅蘭も大神たち帝国華撃団の面々が殺し合いに乗ることはないと伝え、彼らとの合流を目指すことで一致した。


「なあ、林はん」
「……なに?」
「林はんて電子工学の専門家言うてたやろ。これ、どう思う?」


灯台の内部にある上部へ続く階段を登っている途中、前を歩く功夫に紅蘭は自身の首に嵌められている首輪を指さして言う。
『どう思う?』とは『解除できると思うか?』という意味なのだろう。
後ろへ振り返ったまま功夫がどう答えたものか返事に窮していると、返事を待たず紅蘭は続けた。


「いや、ウチもそこそこ機械には自信あるんやけどな。
 専門家なら林はんの意見もちょっと聞いときたいって思っただけなんや」
「下手に触って爆発したら元も子もない。サンプルを手に入れるまでなんとも言えないな」


気楽に気楽に―――と軽く質問しただけだと強調する紅蘭。
だがそう促されたことでかえって不快に思ったのか、功夫は声のトーンを落として応える。


「せやなぁ。でも誰かを殺して首輪を取るってわけにもいかへんやろし、死体見つけてそこから回収するしか方法あらへんかな」
「あんたはどうなんだよ。見たところ、外す自信があるみたいだけど」
「さっき林はんも言うたように、まだわからんよ」

紅蘭は功夫の指摘を静かに否定する。
しかし、
「ただな、システムや道具がどれだけ優れていても、使うてる人が完璧なんちゅうことはありえへん。
 絶対に綻びや付け入る隙があるはず。ウチはそう思ってるだけや」
「だから、林はんも諦めんと生き残るために一緒に頑張ろうや」


立ち止まっている功夫の位置まで歩み寄りながらそう告げると、ニコリと笑いかけた。
それで納得できたのか、あるいは到底共感できることではなかったのか。
功夫は道中口を開くことはなく、紅蘭もまた無理に話しかけようとはせず、しばらくは二人の階段を上る靴音だけが響いていた。





黙々と階段を登るっていると、踊場が設置してある部屋へ辿り着く。
二人して入口から顔を覗かせ別の参加者がいないかどうか中の様子を確認してみる。


「誰もおらへんみたいやな」
「…………」


紅蘭がふっと息を吐き緊張を緩めたのと同時に、近くにいる功夫も同じようにほっとした様子が伺えた。
だが奇妙なことに、部屋の中央には台座のようなものがあり、そこに電子レンジ程の大きさの箱が置いてあるのに気付く。
まるでお伽話で主人公が伝説の塔を踏破して、宝のある場所に辿り着いたかのようである。


「なんや、これ見よがしに取ってください言われてるみたいで怪しいな」
「……でもこのまま何もせず帰ったら、わざわざここまで来た意味がないでしょ」
「そりゃそうやろけど―――――って、ちょっ待ちいや!」


紅蘭はその様相を怪しむが、功夫は部屋に入り足早に台座まで進んでいく。

299 希望の道しるべ ◆uuM9Au7XcM :2016/12/03(土) 02:20:45 ID:pELL9T0I0
「もし生き残るために役に立つものがあったのなら、他の参加者に横取りされる前に手に入れないと」
「だから、そう思わせて焦らせること自体が罠かもしれん言うてるんやて!」


警戒する紅蘭は声を荒げ制止を試みる。
その声を意にも介さず、歩みのペースを落とすことなく功夫は台座の前まで到着し、四角い箱に手をかけた。
箱は木製で、ところどころ金具の意匠が施されており、どこか味わい深さを感じさせる。
意外なことにカギはかかっていないようで、フタの部分を持ち上げるようにするとゆっくりと開いていく。
完全に開いた状態になると、考え込んでいるのか功夫の動きが止まる。


「林はん、どうないしたんや。大丈夫なんか?」


何も反応を示さない功夫を不思議に思い、ゆっくりと近づきながら紅蘭が訝しげに尋ねる。
その言葉にハッとしたようにビクリと肩が動くのが見え、とりあえずの無事は確認することができた。
すると振り返りざまに、無言で一枚の紙を差し出してきた。
紅蘭は手を伸ばて受け取り、何事かと広げてみる。


「……導きの光により道標が現れるであろう?」
「そう……入ってたのはその紙だけ。なんのことかサッパリだ」
「これがノストラダムスの言うてたことなんやろか」
「言ってたこと?」
「ほら、おさげの男の子と黒ずくめのおっちゃんと話した後に…………
 あ!?そういやあのおっちゃん古畑て呼ばれとったな!林はんの知り合いてあのおっちゃんかい!」


紅蘭が今更な驚きに直面している横で、功夫はその時のノストラダムスの言葉を想い返す。

『最後に一つだけアドバイスだ。勝ち残るには、力や武器だけではない。知恵も必要となる。』

たしかにそう言っていた。
そうなるとこれは、知恵を絞って解いてみろということなのであろう。
こんな推理小説みたいなことまでせねばならぬのかと、功夫が頭を抱えたい気分になっていると―――


「ちょっと待っといてや」


一人で騒いでいた紅蘭だが、ツッコミがこないとわかると灯台の最上部へと続く梯子を登り始める。
紅蘭はチャイナドレスを着ているため、慌てて目を反らす功夫。
急に梯子を登り始めた紅蘭の行動の意図を図りかねていた功夫だったが、行こうとしている目的地に思い至るとすぐにその意図を理解する。


「導きの光というのは灯台のライトのことか!?」
「せやせや。そしてたぶん、道標が現れるということはこうしてっと。
 ほらな、これで正解や」


灯台の頂上部分に着いた紅蘭は、デイパックから地図を取り出すとそれを灯台のライトへ掲げ、一度確認すると功夫にも見るようにと渡してきた。
それによって現れた変化は微細なものであったが、明らかな変化であった。
地図上のいくつかの箇所に、星の形をした印が浮き出ていたのである。
数分の間、印の出た地図をしげしげと眺めていたが、降りてきた紅蘭へ向けて目線を上げ口を開く。

300 希望の道しるべ ◆uuM9Au7XcM :2016/12/03(土) 02:21:35 ID:pELL9T0I0


「これでとりあえずの目標ができたってことかな」
「そこへ行ったところで、いい事があるのかわらへんけどな」
「……いや、有利になる何かがあるはずだ」
「まぁ……元気が出てきたようで何よりや。
 ウチは上のライト調べときたいやけど、しばらく待っといてもらってええやろか?」
「……ああ、わかった」
「じゃあ、すんまへんけどここで待っといてや」


そう功夫に断り再び梯子を登っていく。
登っている最中、紅蘭は内心少し安心していた。
出会ってから同行していてずっと、功夫には自暴自棄にもなりそうな不安定さを感じていた。
さっきの一件によって生きて帰る希望が見えたのか、地図から顔を上げた時の功夫の表情は、気力が湧いてきているように見えた。
どんな絶望的な状況でも、諦めてはいけない。
紅蘭が華撃団の仲間と一緒に戦ってきて学べたことだ。
きっと、隊長である大神はもちろん、さくらやアイリスだってノストラダムスを倒すために―――
そして強引に殺し合いをさせられている参加者たちを助けようと、諦めず懸命に頑張っているに違いない。
絶望する力なき民衆へ希望を与えるのも、自分たち帝国華撃団の仕事であり使命なのだ。

再び回転するライトの前まで到着し、構造を調べるべく作業に取り掛かる。とはいっても必要な道具類もないので、簡単な確認作業となってしまう。
その結果、ライトに何か変わった仕掛けが発見できたなどということはなかった。
地図にも特殊なインク等が使われている形跡はなく、首輪解除の一助になるかと思い調べてみたものの、どのような仕組みで印が浮き出てきたのかは謎のまま。
数分頭を悩ませ、諦めて戻ろうかと思った時ふと思い浮かぶ。

『霊子甲冑のように、霊力あるいはそれに類するものを利用しているのではないか』


「林はん!!ちょっと気になることが……ありゃ?」


功夫にも意見を聞くべく、箱のあった部屋まで勢いよく下りた紅蘭を待っていたのは無人の空間。
ここで待っているはずの同行者はおらず、なぜか部屋の隅に彼の白衣が放り捨ててある。


「なんや、待ちくたびれて先に出てしもたんか。
 しゃあないな……。上着忘れていったみたいやしウチも急いで降りるか」


そう呟きながら白衣を拾い上げる紅蘭の顔が、呆れ顔から驚愕の色へと染まる。













時限装置付き爆弾。
メッセージの書かれた紙と一緒に、灯台内で発見した箱に入っていたものである。
紙はすぐさま紅蘭へ見せたものの、独り占めするため隙を見てこっそりと自らのデイパックへ入れることに成功した。
灯台の頂上部から中に入る姿は確認できたが、灯台の外へは出てきておらず、タイミング的に爆発の直撃を受けたものと見れる。


「ごめんな。最初は殺すつもりなんてなかったんだけど、生き残るための手段はできるだけ持っておきたいからさ」


「殺すつもりはなかった」その言葉に偽りはない。
正確には「危険を冒してまで殺し合いをするつもりはない」であるが、その根本的な考えが変わったわけでもない。
ではなぜ紅蘭を殺したのか。
やはりきっかけは、灯台内での新たな支給品の取得と地図の仕掛けの発見。
他の参加者よりも有利な情報はそれを知る人物が少ないだけ重要度が増し、邪魔者を簡単に始末できる道具も手に入れることができた。
この場所には生存者は彼一人で、目撃者もいない。


(諦めないで頑張ろう……か。おかげでちょっとは生き残る希望ってやつが見えてきたよ)


功夫へ希望をもたらした灯台は脆くも崩れ去り、そのきっかけを与えた女を飲み込んだ。
それを引き起こした張本人は、もはや一瞥もせずにその場を後にした。

301 希望の道しるべ ◆uuM9Au7XcM :2016/12/03(土) 02:22:20 ID:pELL9T0I0




【D-7 灯台付近/1日目 深夜】
※爆発により灯台が崩れました。


【林功夫@古畑任三郎】
[状態]:疲労(小)
[装備]:
[道具]:支給品一式、ランダム支給品2〜3、時限装置付き爆弾×4
[思考]
基本行動方針:生き残って元の生活へ戻る。
1:古畑と合流する。
2:地図に出た印のある場所へ行ってみる。
3:首輪解除の方法を探す。
4:生き残るために邪魔と判断した参加者はばれないように殺す。
5:紅蘭の知り合い(大神、さくら、アイリス)は信用できそう。
[備考]

※紅蘭の知り合いの情報を得ました。
※印の出た地図は持参しておらず、印の位置を記憶しています。
※地図に出た印のうちの一つはEー4です。


【李紅蘭@サクラ大戦シリーズ】
[状態]:???
[装備]:
[道具]:支給品一式、ランダム支給品2〜3
[思考]
基本行動方針:ノストラダムスを倒す。
1:知り合い(大神、さくら、アイリス)と合流する。
2:首輪解除の方法を探す。
[備考]
※功夫から古畑が刑事であるという情報を得ました。
※紅蘭がどうなったのかは後続の書き手さんにお任せします。



【支給品説明】

【時限装置付き爆弾@現実】
灯台内部にて取得。
時限装置が付いている爆弾。
デジタル式の時計が使用されており、時間は1分から1時間まで自由に設定できるようになっている。

302 ◆uuM9Au7XcM :2016/12/03(土) 02:22:58 ID:pELL9T0I0
以上で投下終了です

303 ◆uuM9Au7XcM :2017/01/11(水) 00:17:35 ID:ftIs30W60
投下します

304 竜は再び昇る ◆uuM9Au7XcM :2017/01/11(水) 00:19:06 ID:ftIs30W60
多くのひとが集い、夢や感動あるいは恐怖や悲しみを感じることを楽しむ場所。
本来、映画館とはそういう場所なのだろう。

しかし現在ここにいるのは自分ひとりだけ。
上映室の最後列の席から眺める景色はなんとも寂しげだ。
この薄暗い空間が今の俺には相応しい。
生きることに絶望し心を暗闇に染めてしまった俺には、暗い場所でひとり座り込んでいることしかできないのだから。

かつては地球のため人類のために、覚悟を持ち戦士として戦っていくのだと信じていた。


そのはずだったのだ。


だがそれは偽りの覚悟だった。
戦士としての俺は、リエを2度失ってしまったことで完全に死んでしまった。
2度もリエが目の前にいたのに助けることができなかった。

今はもう戦う気力も、戦うことに意味を見出すこともできない。
まるで自分の身体が鉛にでもなったかのように動こうとしないのである。
バトルロイヤルが始まり、近くに映画館を見つけてそこに入ってから支給品や名簿の確認すら行っていない。
ノストラダムスはこんな俺に何をさせたくて参加者として選んだのか。
このまま映画館があるエリアが危険エリアとなって、首輪が爆破されるという最期も悪くない。そうなれば、これ以上後悔や絶望に苛まれることもなくなるだろう。

そんなことを思い、無理やりにでも自分を納得させ安心を得ることに成功していた俺を現実に戻すように、不意に映画の上映が開始された。


「――――誰かいるのか!?」


俺は驚愕した。

その役割を果たすことはないと思っていた場所で、いきなり映画が上映されたことにではない。
生きることを諦め、死ぬことを是としていたはずの自分が、予想外の出来事に命の危険を感じ警戒したことをだ。
自ら戦士であれと生きてきた影響がまだ残っていたのだろうか。
それとも……俺はまだ生きようとしているのか……?

上映室には相変わらず人の気配はしない。
どうやら自動で上映される仕組みになっているようだ。
スクリーンのなかでは主人公とその恋人と思われる女性が映し出され、ふたりは仲睦まじく浜辺で語り合っている。
その様子を眺めているとリエとの楽しかった思い出が甦り、今はそれがどうしようもなく辛い。
リエを失った現実から逃げたように、リエとの思い出から逃げるためデイパックの中から名簿を取り出してみる。
だがそこには、更なる衝撃が待っていた。

305 竜は再び昇る ◆uuM9Au7XcM :2017/01/11(水) 00:19:41 ID:ftIs30W60

「女帝ジューザだと……あいつは俺たちが倒した……そう、たしかに死んだはず」


名簿の記入ミスか?
いや、殺し合いを催すような組織がそんなくだらないミスをするだろうか?
これがミスではないのだとしたら、ジューザが実は生きていたことになる。
もしくは――――


「生き返ったということなのか……?」


ノストラダムスは言っていた。
『このゲームの勝者には、商品としてどんな願いでも一つだけ叶えてやろう。不老不死、巨万の富、死者蘇生……あらゆる用意もある』と。


そして、
「『その証拠を持つ者とは、生きてさえいればいずれ証人に会えるだろう』とも言っていたな」


ジューザがノストラダムスの言う証拠を持つものなのかはわからない。
ただし、その可能性は高い。ということはリエを生き返らせることも可能であるということだ。

名簿を隣の席の上に置き、支給された食料であるパンをデイパックから取り出し豪快に噛り付く。
そのまま味わうこともなく咀嚼し、水で流し込んでいく。
腹が減っては戦はできぬというように、戦うためにはエネルギー補給が必要だ。
そう―――俺は再び戦うことに決めた。
リエを生き返らせることができるという確証はないが、希望を持つことはできる。彼女のためになら、俺は鬼にでもなってみせる。
考えるのはこれで終わりにしよう。
あとは無心にバトルロイヤルでの優勝を目指すのみ。

これから大罪を犯すことになるであろう自分は生きていくことは許されないが、リエを生き返らせることさえできるのならそれでも構わない。

参加者名簿には、ジェットマンとして共に戦った結城凱の名もあった。


「あいつは……きっと止めるだろうな」


凱ならば止めるどころか、俺が殺し合いに乗ったとわかると殴りかかってくるだろう。
普段クール振ってはいるが、その心は正義の炎で熱く燃えている男なのだ。
凱と自分が相対してしまった場合を想像すると苦笑してしまう。
好きな女のために戦士としての義務を放棄しようとする自分と、その行いを正そうと叱りつける凱――――


なんとも皮肉な話ではないか。
あれはジェットマンになってまだ間もない頃、俺たちふたりが喧嘩をしていた時と逆の立場になっているのだから。



【D-4 街/1日目 深夜】


【天堂竜@鳥人戦隊ジェットマン】
[状態]:健康、満腹
[装備]:クロスチェンジャー@鳥人戦隊ジェットマン
[道具]:支給品一式、ランダム支給品1〜2
[思考]
基本行動方針:優勝して藍リエを生き返らせる。
1:参加者を殺す。
2:女帝ジューザに会って生き返ったのか確認したい。
3:バトルロイヤル終了後、自害する。
[備考]
※参戦時期はラディゲによってマリア(リエ)が殺された後です。

306 ◆uuM9Au7XcM :2017/01/11(水) 00:23:49 ID:ftIs30W60
投下終了です。

申し訳ありません、場所を記載ミスしていました。
正しくは【A-7 映画館/1日目 深夜】です。

307 名無しさん :2017/02/01(水) 19:07:15 ID:9bcabzDA0
乙です。
林ナチュラルに悪党やなあ……猫箱の中の猫になった紅蘭のその後は如何に。
竜は……不安定な精神状態な時に連れてこられたから、仕方ないかな。
どちらも納得して楽しめる話でした。状態表の満腹にほっこり。

308 ◆uuM9Au7XcM :2017/03/20(月) 20:08:46 ID:ZufKuwkY0
投下します。

309 さくらとあぶない刑事さん ◆uuM9Au7XcM :2017/03/20(月) 20:10:03 ID:ZufKuwkY0
「バトルロイヤルねえ……。まったく……面倒なことに巻き込んでくれたもんだ」


暗闇に包まれた草原に座り込んでいるスーツ姿の男――――真山徹は面倒そうに、しかし苛立ちを含んだ物言いで呟いた。
その声はすでに疲労を感じさせ、息遣いも荒く肌には汗が滲んでいる。
すでに殺し合いに乗った者と戦闘をした後―――
というわけではなく、バトルロイヤルが始まる以前にある事情から警察に追われ、銃撃を受け負傷しているのである。


(殺し合い……もしかして……朝倉の仕業か?)


真山は刑事として数年間働いてきたが、数十人を拉致して殺し合いをさせることができる人物などそうそういるわけがない。
どこかの国のイカれた独裁者か、刺激を欲した金持ちの道楽か。
考えを巡らせても、そんなぼんやりとした可能性しか浮かばないなか、具体的な人物として思い至ったのが朝倉裕人。
真山徹の妹を同級生たちに輪姦させ自殺に追い込み。
大沢麻衣子を洗脳し自殺させ。
真山の同僚の谷口剛までも操って死に至らしめている。
真山徹が最も憎み、殺したいとさえ思っている凶悪犯罪者だ。

朝倉は何人もの人間を自分の都合のいいように操り、弄んできた男である。殺し合わせるなんてものを催したとしても不思議ではない。
だが、いくら朝倉でもここまで大規模なことをできるだろうか。
それに説明を受けた場所で死んだワニの化物はいったいなんなのか。
などといったいくつもの疑問点が湧き、朝倉の仕業だと想定したくとも確信できない現状に、思わず頭を掻き毟る。

しばらくそのような考えに頭を悩ませていた真山だったが、纏まらない考察は後回しにしようと決め、ランタンを草の茂った地面へ広げた名簿に掲げ視線を落とす。
そこにはよく知る名前が載っていた。
柴田純と野々村光太郎。

二人とも警視庁捜査一課弐係の同僚で、今年配属されたばかりの新人とどこか抜けている係長である。
殺し合わなくてはならない参加者の中に殺したい朝倉の名前はなく、知った顔がいるというのは真山の心情をさらに騒めかせる。
参加者に朝倉がいないということは、朝倉が主催している可能性も捨てきれない。


(ちっ……また朝倉か)
(朝倉朝倉朝倉朝倉朝倉朝倉朝倉朝倉朝倉朝倉朝倉朝倉朝倉朝倉朝倉朝倉朝倉朝倉朝倉朝倉朝倉朝倉朝倉――――
 くそっ!何をしていてもあいつの顔が浮かんできやがる……)


「朝倉ぁ!お前は絶対に俺の手で――――」

「ほえっ!?」


真山が朝倉裕人への恨み言を口から吐き出そうとすると、背後から驚いたような声が聞こえ、思わず出しかけていた言葉を止める。
後ろを振り向くと、小学生くらいの少女が怯えた表情で立ち尽くしていた。
真山は気付かなかったが、おそらく声をかけようと後ろから近づいていたところ、いきなり朝倉の名前を叫んだので驚いて反射的に声を出してしまったのだろう。
学校の制服と思われる服を身にまとい、栗色の髪をショートカットにした可愛らしい顔立ちの少女であった。

310 さくらとあぶない刑事さん ◆uuM9Au7XcM :2017/03/20(月) 20:11:07 ID:ZufKuwkY0

「おいッ!そこから動くなよ」

「は、はいっ!!」


真山はすかさず支給品のサブマシンガンを構え、少女に銃口を向けると、その場で静止するように警告する。


「あ、あの……わたし、木之本桜っていいます。
 ノストラダムスって人の言いなりになって、おじさんを殺すつもりなんてあ、ありませんからっ」
「……悪いけどな、初対面の人間をはいそうですかとすぐに信用できるようなお人よしじゃないんだわ、俺」
「そんな……」


拒絶する真山の返答に、桜と名乗った少女は残念そうに肩を落とす。
真山とて、目の前の少女が自分を害するために近づいてきたと決めつけているわけではない。
だが、同僚の谷口剛ですら豹変して襲ってきたのだ、年端もいかない少女とはいえ簡単に信用しろというのは無理な話である。
しかも出会ったのが殺し合いを強制されている場所だ。
人間というものは己が死ぬかもしれないとなったら何でもやるものだ。
たとえそれが人殺しとは無縁に見える子どもであったとしても。


「それでも、……桜ちゃんだっけ?君みたいな女の子殺すのも寝覚めが悪いからさ。
 さっさとどっか行ってくんない?」


信用できなくても殺すことは躊躇われる。
そう桜に告げ、この場から立ち去ることを促す。


「でも、おじさん腕を怪我してるみたいだし1人じゃ危ないですよ」


殺し合いをしろと放り出された場所で、酔狂にも銃を持った見ず知らずの男に手を差し伸べようとしてくる。
桜からすれば純粋な善意からくる行動であったのだが、真山はその善意を受け入れることができない。
心優しい少女を演じているのか、あるいは本当に心配しているのか。
今の自分はそれを正常に判断できる精神的な余裕がなく、もし危険人物だった場合に対処できる保証もないのだ。
だからこそ、殺すことはせずこの場から離れさせるという対処法を取ったのである。


「気にするな、早く立ち去ってくれる方が助かる」
「じゃあ!1つだけ質問がありますっ。
 李小狼、大道寺知世、李苺鈴って子たちに会っていませんか?」
「……いいや」
「そうですか……ありがとうございました……」


ようやく真山を説得することを諦めたのか、桜は真山に背を向け歩き出そうとする。
ところが、その小さな背中に向かって――――


「……ちょっと待て」


真山が銃口を向けたまま呼び止める。

311 さくらとあぶない刑事さん ◆uuM9Au7XcM :2017/03/20(月) 20:12:07 ID:ZufKuwkY0


「その子たちは友達か?」
「……ええ、そうです。
 とっても大切なお友達なんです。」


桜は少し驚いた表情に変わるが、振り返らずに一歩踏み出した体勢のまま止まる。


「……そうか、会えるといいな」


それだけを言うと、小さな声で「行け」と再び促すようにして言葉を締めくくった。
次に驚くのは真山の方であった。
真山から遠ざかるように歩き出すと思っていた桜が突如反転、しかも猛然と走ってきたのである。
予想外の事態に身体に力が入ったのか、左腕の傷が痛み、構えていたサブマシンガンを手放してしまう。
慌てて右手で拾い上げ顔をあげるも時すでに遅し、桜は至近距離まで迫っており、気が付くと草原に押し倒されていた。


「おい、何のつもりだよ」
(くそっ……信用しないとか言いながら油断してどうすんだよ……)


眼前には先ほどの怯えた表情と違い、意志の強さを感じさせる瞳。
押し倒されたドサクサで、真山が構えていたサブマシンガンも桜の手にある。
後悔を胸に抱きつつ、返答を期待せずに問いかけた。


「ハァ……ハァ…………やっぱりおじさんは……悪い人じゃないって……思ったから」
「大丈夫……わたしは絶対におじさんを殺そうなんて……しないから」


全力で走った影響で息切れしながらも、桜は必死に作ったような笑顔でそう応じた。
しかも、証拠とばかりにせっかく奪った武器を放り捨て、困惑顔の真山に向かって再度微笑んだ。


「…………わかった、降参だ」









「闇の力を秘めし鍵よ。
 真の姿を我の前に示せ。
 契約のもと桜が命じる。
 レリーズ!」

「……なんだこりゃ」

312 さくらとあぶない刑事さん ◆uuM9Au7XcM :2017/03/20(月) 20:13:03 ID:ZufKuwkY0
桜が病院へ行って真山の左腕を治療するべきと主張し、じゃあ歩いていくかと真山は応じた。
そして、その必要はないと桜が言い出したのが数分前。
歩いて行かなきゃどうするんだ、車でも出してくれるのかと馬鹿にした物言いで真山が吐き捨て、それに桜がムッとしたのが数十秒前。
桜がペンダントを取り出し、何やら呪文のようなものを唱えると急にピンク色の杖が出現。
それを見て、真山が狐に化かされたような顔になったのがつい先ほどである。

真山の混乱はまだ続く。
次に桜が取り出したのは1枚のカード。そこには鳥の絵が描かれているのがチラリと見えた。


「クロウの創りしカードよ。
 我が鍵に力を貸せ。
 カードに宿りし魔力を
 この鍵に移し我に力を!」


取り出したカードを宙に投げたかと思うと、桜がそのカードに向かって杖の先端部分を叩きつける。
すると叩きつけた杖に翼が生え、桜は当然のようにその杖に跨ると、ゆっくりと宙へ浮かび箒に乗った魔女のように真山の周りをくるりと華麗に1周してみせた。


「さあどうぞ!おじさんも後ろに乗ってください。
 これで一緒に病院へ行きましょう」

「……おじさんじゃない。真山さんと呼びなさい」


何が起こったのか理解できない真山は、とりあえずずっと気になっていたおじさん呼びを改めさせることにした。




 
【E-3 草原/1日目 深夜】


【真山徹@ケイゾク】
[状態]:左腕負傷
[装備]:H&K MP5K@ダイ・ハード2
[道具]:支給品一式、赤いテープの巻きついたマガジン(30/30)×3、ランダム支給品1〜2
[思考]
基本行動方針:殺し合いには乗らないが危険な参加者は殺す。
1:桜と共に大凶病院へ向かう。
2:柴田や野々村係長のことが少し心配。
[備考]
※参戦時期は谷口剛の死亡現場から逃げ出した直後です。
※朝倉裕人がバトルロイヤルを主催しているのではと考えています。
※木之本桜の知り合いの名前を知りました。
※MP5Kに現在装着されているマガジンには青いテープが巻きつけてあります。


【木之本桜@カードキャプターさくら】
[状態]:疲労(小)、魔力消費(小)
[装備]:封印の杖@カードキャプターさくら
[道具]:支給品一式、クロウカード(フライ他2枚)@カードキャプターさくら、ランダム支給品1〜2(確認済)
[思考]
基本行動方針:友達と一緒に殺し合いから脱出する。
1:真山さんを大凶病院へ連れていく。
2:知世ちゃんたちと早く合流したい。
3:ケロちゃんはいないのかな……。
[備考]
※まだ真山徹と情報交換をしていないので、彼の苗字が真山ということしか知りません。


【支給品説明】

【H&K MP5K@ダイ・ハード2】
 真山徹に支給。
 ドイツのヘッケラー&コッホ社が設計した短機関銃。 
 ダイ・ハード2ではテロリストらが使用していた。

【封印の杖@カードキャプターさくら】
 木之本桜に支給。
 クロウカードを封印・解除するアイテム。
 普段は鍵の形をしており、桜が紐をつけてペンダントのようにして持ち歩いている。

【クロウカード(フライ)@カードキャプターさくら】
 木之本桜に支給。
 封印の杖に翼を生やし飛行能力を付加する。

313 ◆uuM9Au7XcM :2017/03/20(月) 20:13:50 ID:ZufKuwkY0
以上で投下終了です。

314 ◆uuM9Au7XcM :2017/05/28(日) 01:13:17 ID:5M7EDqZ20
投下します。

315 それぞれの道 ◆uuM9Au7XcM :2017/05/28(日) 01:14:20 ID:5M7EDqZ20
バトルロイヤルが始まってすぐにムースが感じたのは、殺し合いを開いた主催者への怒りであった。
そして支給品や地図、名簿の確認を行っていく過程で、怒りは焦りと不安へ変わっていく。
眼鏡を没収されなかったのは不幸中の幸いであった。彼は視力が低く、眼鏡をかけていないと銅像と人間の区別もできないほど、対象の判別ができない状態になってしまう。
名簿にはムースの知人の名前が複数人記されており、その中には彼の想い人であるシャンプーの名前もあった。
それは即ち、シャンプーが殺し合いのゲームに参加させられ、命の危険にさらされていると言う事に他ならない。
もし眼鏡まで没収されていたのなら、名簿を読むことができずにシャンプーが参加していることに気付くことができなかった。
この状況に気付くことができただけでも、本当に不幸中の幸いだったといえる。


「ここにおればいいが……」


差し当たっての目的地と定めた風林館高校へと到着したムースは、違和感を感じつつもその馴染みのある建物を見上げ呟いた。
この場所へ来た目的は、知り合いと合流しシャンプーを捜索する助力を得ることである。
強制的に殺し合いをさせられている以上は、初対面の人間は信用できないため、知り合いが立ち寄るであろう彼らの母校の名と形をしたこの場所へ赴いたのだ。
乱馬、あかね、良牙の3名のことは好きではないが、このような催しに乗るような人間ではない。むしろ抗うのが容易に想像できる。
ただし、シャンプーはどうだろうか?
ムースにとっては心底口惜しい事実であるが、彼女は乱馬に好意を抱いている。熱情的で直情的な彼女ならば乱馬のために殺し合いに乗るのではないか?
ムースは想い人が殺し合いに乗り、その結果死んでしまうことが恐ろしくて堪らない。
そんなことを考えながら校内へ入っていくと、奇妙な光景を目にした。


「これは……寝ておる……のか?」


中学生か高校生か、つまりはムースと同い年か年下ということになるが、その程度に見える少年が校舎に背を預け座った状態で熟睡していた。
一瞬、既に殺された参加者の骸かとも思ったが、寝息によって上下する肩を見て寝ているのだと理解した。
余程疲れて眠っているのか、近付いたムースを意にも介さず気持ちよさそうに眠りこけている。


「なんとも。豪気と言うべきか、滅多におらん馬鹿なのか迷うところじゃのう」


殺し合いの舞台において、まさか始まって早々に寝ている参加者がいるとは予想していなかったムースは困惑する。
しばらく少年を見下ろしながら逡巡していたが、張り詰めた神経が背後から人の気配を察知すると、少年へ向けて手を伸ばした。






316 それぞれの道 ◆uuM9Au7XcM :2017/05/28(日) 01:15:42 ID:5M7EDqZ20


「人の気配がしたから来てみれば……なんだコイツは」


先ほどのムースと同じ場所に立ち、同じような反応をしているこの男の名はドモン・カッシュ。
ネオジャパン代表のガンダムファイターであり、世界の調停者『シャッフル同盟』の一員キング・オブ・ハートの紋章を受け継いだ青年である。
鋭い目つきにボサボサの黒髪には赤いハチマキをし、右頬に十字の古傷を付けたその姿はどこか近寄りがたい雰囲気を漂わせている。


「おい!こんなところで寝ていると危険だぞ起きろ!」


ドモンは眠っている少年に声をかけながら、軽くゆすって起こそうと試みるも、一向に起きる気配がない。
悠長に起こしている場合ではないと、今度は頬を叩いてでも起こそうと手を振り上げた。
すると、


「――――なんだとッ!!}


攻撃する相手に反撃してカウンターをいれるかのように、頬を叩こうとしたドモンへ向かって風を切るように少年が拳を繰り出してきたのだ。
腹部へ放たれた拳をドモンは咄嗟に左腕でガードしてみせるも、彼を警戒させるには十分な威力を持っていた。


「眠ったふりをして攻撃を仕掛けてくるとは卑怯な!!
 そのつもりならば相手になってやる!!さあ、かかってくるがいい!!!」


少年に敵意があると思ったドモンはすぐさま構えをとり、戦闘態勢に入り相手に出方を窺う。
しかし、もう寝たふりをする必要のなくなったはずの少年は未だ起きる気配がない。
ドモンがどういうことだと再び困惑していると、


「それは彼が本当に寝ているからですよ」


急に背後から声をかけられた。
それは女性のような柔らかさと凛々しさを併せ持ったような、中性的な声。


「はじめまして、オレの名前は蔵馬。
 名簿には南野秀一とありますが、蔵馬と呼んでください」
「……コードネームみたいなものか?」
「ちょっと違いますが、そのような認識でも構いません。
事情を説明すると長くなるので割愛させてください。貴方の名前を伺ってもいいですか?」
「ドモン・カッシュだ」


振り向いた先にいたのは、声からの想像通りの中性的な人物であった。赤く美しい長髪に女性と見紛う整った顔立ち、『オレ』という一人称を聞かなければ女性と勘違いしてしまってい

たであろう。
蔵馬と名乗ったその少年は、丁寧な口調でドモンに目の前の少年が寝ていることを説明した。
ということは、彼らは顔見知りと言う事になる。名前の説明にも引っかかったが、そちらは後回しにしてさらなる説明を求めることにした。

317 それぞれの道 ◆uuM9Au7XcM :2017/05/28(日) 01:16:48 ID:5M7EDqZ20


「寝ているとはどういうことだ?コイツは俺に攻撃を仕掛けてきたぞ」
「寝ているというのは本当ですよ。体力を回復させるため睡眠をとっているのでしょう。
 反撃してきたのは……まあ彼の本能で、というしかありませんね」
「要するに、こいつはこのゲームに乗るような奴ではないと言いたいのか?」
「……ええ。そして、オレもノストラダムスの思惑通りに殺し合いをするつもりはありませんよ。
 もちろん、仕掛けてくる相手に手加減するつもりもありませんけどね」


説明になっているのか疑問な説明をしながら、蔵馬は少年の元へ向かい彼の傍にしゃがみ、顔を覗き込む。
ドモンは、横を通り抜けていく蔵馬の美麗な横顔に見惚れてしまいそうになりつつも、二人の様子を注意深く見つめていた。
手加減するつもりはないと口にした時のほんの僅かだけ、蔵馬の雰囲気が冷徹なものへの変わった。
ドモンはそれを感じ取ると、蔵馬が見た目通りの男ではないと察する。


「おい、幽助。いくら君でもこんな所で呑気に寝ていたら危険だぞ」
「……グゥ…………ムニャムニャ……」
「だめだ……しばらく起きそうにないな」
「そういえば、その幽助というやつのデイパックが見当たらんが」


蔵馬も幽助を起こそうと試みてみるが、ドモンの時と同様に効果がないということが判明したところで、ドモンがある事実に気付く。
彼らバトルロイヤルの参加者全員に配られているはずのデイパックが、幽助の傍にないのである。
殺し合いのゲームにおいて命を繋ぐために必要不可欠な、地図や食料などが入っており、いくら実力者であったとしてもそれらなくしては死亡率は跳ね上がることだろう。
ドモンと蔵馬は二人して周囲を探してみるも、見つけることはできない。


「どこかに隠しているのか?」
「いえ、そこに気を使うのならばこんな無防備なところで寝ていないと思います。
 オレ達よりも先に、この場所にいた何者かが持ち去ったと考えるのが自然かと」
「ならば取り返すのは難しそうだな。
 何しろ手がかりがまるでない。犯人がどちらの方向へ逃げ去ったのかすらも分からん」
「ちょうどこういう時に便利な物が、俺の支給品にあるんです」


そう言って蔵馬がデイパックから取り出したのは、木製の箱に突き刺してある、指をさしたポーズの人形であった。


「見鬼くんという名前の道具なのですが、首輪を探知してその方向を指さすらしいです。
 オレが見鬼くんを使って幽助のデイパックを盗んだ参加者を探すので、もしよろしければミスターカッシュ――――」
「ドモンでいい」
「ではドモンと―――ドモンは目が覚めるまで幽助についてやっていてくれませんか?」
「…………すまないが、俺の知り合いも参加させられていてな。あいつらを放ってここに留まるわけにはいかないんだ。
 それにこいつと一緒にいるのはお前の方がいいんじゃないのか?」
「それが、この見鬼くんは妖気や霊気を使って動く仕組みのようで……」


妖気や霊気というドモンの常識の範疇から外れた言葉が出てきたが、今は問いただすのを後回しにする。
とにかく、限られた者にしか扱えないということらしい。
しばし考え込んだドモンだったが、蔵馬に一つの提案をした。

318 それぞれの道 ◆uuM9Au7XcM :2017/05/28(日) 01:17:30 ID:5M7EDqZ20


「蔵馬、お前はそいつを使ってデイパックを探してくれ。俺は幽助を背負って移動する。
 そして、俺の知り合いに会ったら手助けをしてやってほしい」
「わかりました。では、軽く情報交換をして、待ち合わせの場所と時間を決めておきましょう」


基本方針が決まると、二人はすぐさまデイパックから地図と名簿、そして筆記用具を取り出し情報交換を始めた。


「まずはドモン、貴方の探し人を聞いておきましょう」
「レイン・ミカムラ、アレンビー・ビアズリーの二人だ。
 そしてもう一つ言っておくことがある。東方不敗には手を出すな」
「それは危険だから?それとも何か因縁があって自分が手を下したい相手ということですか?」
「…………両方だ」
「わかりました。こちらも伝えておきますが、戸愚呂兄弟には関わらないようにおススメします。
 少なくとも、幽助が目を覚ますまでは」

蔵馬の重苦しい物言いに、ドモンは深く肯いた。


「次に待ち合わせ場所ですが。互いに成果がなくても、二回目の放送頃にD-4地点のプレミアマカロニで落ち合いましょう。
 それまでにD-4が禁止区域となっていた場合には、E-3の駅に変更ということで如何でしょう?」
「よし、それでいこう」



蔵馬は見鬼くんが指し示す方角である西へ向かって駆けていく。
彼はドモンに伝えようか迷った結果、確証が持てずに伝えられなかったことがあった。
それは、幻海という名前が名簿に載っていることについて。蔵馬の認識では、彼女は戸愚呂弟によって殺されたはずであった。
幽助のように何らかの事情で生き返っていたのかもしれないが、どうもそう単純な話ではない予感がしたのだ。


(幽助の荷物やドモンの知り合いも大事だが、もう一つ確かめなければいけない事があるみたいだな…………)









ドモンと蔵馬が今後どうするか話し合っている頃、風林館高校から程なく離れた場所を移動していた。
その手には、先ほど風林館高校で寝ていた参加者のデイパックを持って――――


(すまぬッ!シャンプーのためにオラには多くの武器が必要なんじゃ)


暗器使いのムースが本来の力を発揮するためには、手持ちの武器を没収された状態をどうにかしなければならない。
ムースに与えられた支給品のなかにも戦闘に役立ちそうな物があったものの、暗器として用いる類の物ではなかった。
支給品が必要ではあったが、デイパックごと持っていくつもりではなかった。
人が来たため咄嗟にとった行動だったとはいえ、彼に死ねと言っているのと同じようなことをしてしまったことには、罪悪感が拭えない。


「駄目じゃ!駄目じゃ!駄目じゃ!!
 支給品を持っていくだけでも十分。よく知りもせん他人に同情しておってはシャンプーを救えんぞムースッ!!!」


ムースは自らの基準で許容範囲とした罪を抱きつつ、愛する女のために、その道をひた走る。

319 それぞれの道 ◆uuM9Au7XcM :2017/05/28(日) 01:19:13 ID:5M7EDqZ20




【F-5 風林館高校周辺/1日目 深夜】


【ムース@らんま1/2】
[状態]:健康
[装備]:
[道具]:支給品一式(2人分)、ランダム支給品4〜6(浦飯幽助の分は未確認)、
[思考]
基本行動方針:シャンプーを連れて脱出する。
1:シャンプーと合流する。
2:乱馬たちと合流する。
3:知り合い以外は信用しない。
4:可能ならば他の参加者から支給品を奪取する。


【ドモン・カッシュ@機動武闘伝Gガンダム】
[状態]:健康
[装備]:
[道具]:支給品一式、ランダム支給品2〜3
[思考]
基本行動方針:打倒ノストラダムス。
1:浦飯幽助を連れてレイン、アレンビーを探す。
2:第二回放送頃にD-4プレミアマカロニまたはE-3の駅で蔵馬と合流する。
3:東方不敗は自分が倒す。
4:戸愚呂兄弟を警戒。
[備考]
※参戦時期は東方不敗死亡前です。
※蔵馬と知り合いについて情報交換をしました。


【浦飯幽助@幽☆遊☆白書】
[状態]:疲労(極大)、熟睡
[装備]:
[道具]:
[思考]
基本行動方針:????
[備考]
※参戦時期は霊光波動拳を継承して寝ている最中です。


【南野秀一(蔵馬)@幽☆遊☆白書】
[状態]:健康
[装備]:見鬼くん@GS美神 極楽大作戦!!
[道具]:支給品一式、ランダム支給品1〜2(確認済)
[思考]
基本行動方針:バトルロイヤルを壊す。
1:幽助のデイパックを奪った犯人を追う。
2:ドモンの知り合いに会ったら保護する。
3:東方不敗と戸愚呂兄弟を警戒。
4:幻海の存在を確かめる。
[備考]
※参戦時期は戸愚呂チームとの対戦当日です。
※ドモンと知り合いについて情報交換をしました。



【支給品説明】

【見鬼くん@GS美神 極楽大作戦!!】
 南野秀一(蔵馬)に支給。
 作中では妖気を探知する道具として使われていたが、首輪探知機として改造されている。
 半径50メートル以上で一番近い首輪に反応し、指先を向けることでその方向を知らせる。
 少量の妖気や霊気を消費することで使用することができる。

320 ◆uuM9Au7XcM :2017/05/28(日) 01:20:02 ID:5M7EDqZ20
以上で投下終了です。

321 ◆uuM9Au7XcM :2017/05/29(月) 01:00:04 ID:7iJnnJiA0
投下します。

322 放たれた怪物 ◆uuM9Au7XcM :2017/05/29(月) 01:01:28 ID:7iJnnJiA0

病院というものは人の命を救う場所であるが、必然的に死が発生してしまう場所でもある。
そのため怪談の舞台になることも多く、どこか居心地の悪さを感じるものも少なくはないだろう。
夜間の大病院ともなれば、その広大さと昼間の喧騒から一転しての静けさにより不気味さはさらに増すことになる。
命を奪い合うバトルロイヤルの会場に設置された施設の一つ、大凶病院。
ゲームが開始され、この無人の病院に飛ばされた男が一階の待ち合いフロアの椅子に腰かけている。
彼の名前はチョコラータ。


「素晴らしいっ!!なんと心躍るイベントだ!」


その口から発せられたのは主催者への恨み言や嘆きではなく、最大限の賞賛の言葉。
彼の手には支給された名簿があり、そこに記された67人の名前を喜色をあらわにしながら眺めている。
それはまるで、腹ペコの子どもがご馳走の並んだメニューを手渡され、どれを食べようか迷っているかのようであった。


「この名簿に載っている者たちが殺し合うのか。
 くくく……私が主催者となってそのすべてを観察したいところだが、自ら好きに殺して回るのも悪くない」


舐めるように名簿に目を通していたチョコラータだが、ふと見覚えのある名前に目が留まった。


「ブチャラティとジョルノ・ジョバァーナ。……そしてリゾット・ネエロか」


彼らがこのゲームに参加していようと、チョコラータの行動方針に影響を与えることはない。
知った名前ではあるが、顔見知りでも親しいわけでもなく、むしろ積極的に殺しておきたい人物だといえるだろう。
ここに呼ばれる直前、チョコラータが始末しようと動いてた標的がブチャラティとその部下たちなのだ。
報告にあった人数はボスの娘を入れて5人だったはずだが、名簿に記されているのは2人だけ。チョコラータの相棒であるセッコがゲームに参加していないのと同様に、ブチャラティたちも全員が参加しているわけではないようである。
ボスから裏切り者たちを始末しろとの指令が下り、与えられた情報にはブチャラティたちの能力も含まれていた。だが、新入りのジョルノだけは能力が不明のままであった。
よりにもよって……と思わず顔をしかめそうになる。
だが、所詮は新入り。自分のスタンド、グリーン・デイに敵うはずはないと高を括り心の中で問題はないと断じる。

唯一注意すべきはリゾット・ネエロ。
同じく組織の裏切り者であるが、組織では暗殺を専門としており、手練れであるのが容易に想像できる。
また、その能力も不明なため、いくらグリーン・デイが強力なスタンドであろうとも慎重にならなければいけない。


「まあいい……能力がわからずともやりようはいくらでもある」

323 放たれた怪物 ◆uuM9Au7XcM :2017/05/29(月) 01:02:51 ID:7iJnnJiA0


一通り名簿を見終えたチョコラータは、次にデイパックの中身を確認し始めた。
食料などと共に入っていたのは、加工された鳥の羽と囚人用の手錠。


「おいおいおい、ビデオカメラがないぞ!
 気の利かない連中だな。これではせっかく殺しても死の瞬間を撮影して楽しむことができないではないか」


それまで上機嫌だったチョコラータだったが、お目当てのものが支給されていないことに怒りを露わにし、賞賛していた主催者へ理不尽な批判を吐き出した。
苛立ちが収まらないのかブツブツと愚痴を零しながら、取り出した支給品と院内を周って調達したメスなどの医療器具をデイパックへしまっていく。


「おや、客が来たようだな」


デイパックへ荷物をしまい終え、チョコラータが立ち上がりかけた時、正面入り口の自動ドアがゆっくりと開く音が鳴った。
人の気配を察したチョコラータは、狂気を隠すようににこやかな表情を作り人影の方へ歩き出す。
狂人の待つ病院へ、それを知らない参加者が足を踏み入れたのであった。





【E-4 大凶病院/1日目 深夜】


【チョコラータ@ジョジョの奇妙な冒険 Part5 黄金の風】
[状態]:健康
[装備]:
[道具]:支給品一式、キメラのつばさ、アルゴの手錠(鍵付き)
[思考]
基本行動方針:殺しを楽しむ。
1:ビデオカメラを探す。
2:スタンド使いは優先して殺しておく。
[備考]
※参戦時期はブチャラティたちを待ち構えていて遭遇する直前です。
※ボスの名前を知らないので参加していることに気付いていません。
※グリーン・デイには何らかの制限が加えられています。


【支給品説明】


【キメラのつばさ@DRAGON QUEST -ダイの大冒険-】
チョコラータに支給。
キメラという鳥型モンスターの羽を加工したアイテム。
使うと一度行ったことのある場所へワープすることができる。


【アルゴの手錠(鍵付き)@機動武闘伝Gガンダム】
チョコラータに支給。
ネオロシア代表のガンダムファイター、アルゴ・ガルスキーに付けられていた手錠。

324 ◆uuM9Au7XcM :2017/05/29(月) 01:03:42 ID:7iJnnJiA0
以上で投下終了です。


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