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90's バトルロイヤル
317
:
それぞれの道
◆uuM9Au7XcM
:2017/05/28(日) 01:16:48 ID:5M7EDqZ20
「寝ているとはどういうことだ?コイツは俺に攻撃を仕掛けてきたぞ」
「寝ているというのは本当ですよ。体力を回復させるため睡眠をとっているのでしょう。
反撃してきたのは……まあ彼の本能で、というしかありませんね」
「要するに、こいつはこのゲームに乗るような奴ではないと言いたいのか?」
「……ええ。そして、オレもノストラダムスの思惑通りに殺し合いをするつもりはありませんよ。
もちろん、仕掛けてくる相手に手加減するつもりもありませんけどね」
説明になっているのか疑問な説明をしながら、蔵馬は少年の元へ向かい彼の傍にしゃがみ、顔を覗き込む。
ドモンは、横を通り抜けていく蔵馬の美麗な横顔に見惚れてしまいそうになりつつも、二人の様子を注意深く見つめていた。
手加減するつもりはないと口にした時のほんの僅かだけ、蔵馬の雰囲気が冷徹なものへの変わった。
ドモンはそれを感じ取ると、蔵馬が見た目通りの男ではないと察する。
「おい、幽助。いくら君でもこんな所で呑気に寝ていたら危険だぞ」
「……グゥ…………ムニャムニャ……」
「だめだ……しばらく起きそうにないな」
「そういえば、その幽助というやつのデイパックが見当たらんが」
蔵馬も幽助を起こそうと試みてみるが、ドモンの時と同様に効果がないということが判明したところで、ドモンがある事実に気付く。
彼らバトルロイヤルの参加者全員に配られているはずのデイパックが、幽助の傍にないのである。
殺し合いのゲームにおいて命を繋ぐために必要不可欠な、地図や食料などが入っており、いくら実力者であったとしてもそれらなくしては死亡率は跳ね上がることだろう。
ドモンと蔵馬は二人して周囲を探してみるも、見つけることはできない。
「どこかに隠しているのか?」
「いえ、そこに気を使うのならばこんな無防備なところで寝ていないと思います。
オレ達よりも先に、この場所にいた何者かが持ち去ったと考えるのが自然かと」
「ならば取り返すのは難しそうだな。
何しろ手がかりがまるでない。犯人がどちらの方向へ逃げ去ったのかすらも分からん」
「ちょうどこういう時に便利な物が、俺の支給品にあるんです」
そう言って蔵馬がデイパックから取り出したのは、木製の箱に突き刺してある、指をさしたポーズの人形であった。
「見鬼くんという名前の道具なのですが、首輪を探知してその方向を指さすらしいです。
オレが見鬼くんを使って幽助のデイパックを盗んだ参加者を探すので、もしよろしければミスターカッシュ――――」
「ドモンでいい」
「ではドモンと―――ドモンは目が覚めるまで幽助についてやっていてくれませんか?」
「…………すまないが、俺の知り合いも参加させられていてな。あいつらを放ってここに留まるわけにはいかないんだ。
それにこいつと一緒にいるのはお前の方がいいんじゃないのか?」
「それが、この見鬼くんは妖気や霊気を使って動く仕組みのようで……」
妖気や霊気というドモンの常識の範疇から外れた言葉が出てきたが、今は問いただすのを後回しにする。
とにかく、限られた者にしか扱えないということらしい。
しばし考え込んだドモンだったが、蔵馬に一つの提案をした。
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