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90's バトルロイヤル
316
:
それぞれの道
◆uuM9Au7XcM
:2017/05/28(日) 01:15:42 ID:5M7EDqZ20
「人の気配がしたから来てみれば……なんだコイツは」
先ほどのムースと同じ場所に立ち、同じような反応をしているこの男の名はドモン・カッシュ。
ネオジャパン代表のガンダムファイターであり、世界の調停者『シャッフル同盟』の一員キング・オブ・ハートの紋章を受け継いだ青年である。
鋭い目つきにボサボサの黒髪には赤いハチマキをし、右頬に十字の古傷を付けたその姿はどこか近寄りがたい雰囲気を漂わせている。
「おい!こんなところで寝ていると危険だぞ起きろ!」
ドモンは眠っている少年に声をかけながら、軽くゆすって起こそうと試みるも、一向に起きる気配がない。
悠長に起こしている場合ではないと、今度は頬を叩いてでも起こそうと手を振り上げた。
すると、
「――――なんだとッ!!}
攻撃する相手に反撃してカウンターをいれるかのように、頬を叩こうとしたドモンへ向かって風を切るように少年が拳を繰り出してきたのだ。
腹部へ放たれた拳をドモンは咄嗟に左腕でガードしてみせるも、彼を警戒させるには十分な威力を持っていた。
「眠ったふりをして攻撃を仕掛けてくるとは卑怯な!!
そのつもりならば相手になってやる!!さあ、かかってくるがいい!!!」
少年に敵意があると思ったドモンはすぐさま構えをとり、戦闘態勢に入り相手に出方を窺う。
しかし、もう寝たふりをする必要のなくなったはずの少年は未だ起きる気配がない。
ドモンがどういうことだと再び困惑していると、
「それは彼が本当に寝ているからですよ」
急に背後から声をかけられた。
それは女性のような柔らかさと凛々しさを併せ持ったような、中性的な声。
「はじめまして、オレの名前は蔵馬。
名簿には南野秀一とありますが、蔵馬と呼んでください」
「……コードネームみたいなものか?」
「ちょっと違いますが、そのような認識でも構いません。
事情を説明すると長くなるので割愛させてください。貴方の名前を伺ってもいいですか?」
「ドモン・カッシュだ」
振り向いた先にいたのは、声からの想像通りの中性的な人物であった。赤く美しい長髪に女性と見紛う整った顔立ち、『オレ』という一人称を聞かなければ女性と勘違いしてしまってい
たであろう。
蔵馬と名乗ったその少年は、丁寧な口調でドモンに目の前の少年が寝ていることを説明した。
ということは、彼らは顔見知りと言う事になる。名前の説明にも引っかかったが、そちらは後回しにしてさらなる説明を求めることにした。
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