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90's バトルロイヤル

300希望の道しるべ ◆uuM9Au7XcM:2016/12/03(土) 02:21:35 ID:pELL9T0I0


「これでとりあえずの目標ができたってことかな」
「そこへ行ったところで、いい事があるのかわらへんけどな」
「……いや、有利になる何かがあるはずだ」
「まぁ……元気が出てきたようで何よりや。
 ウチは上のライト調べときたいやけど、しばらく待っといてもらってええやろか?」
「……ああ、わかった」
「じゃあ、すんまへんけどここで待っといてや」


そう功夫に断り再び梯子を登っていく。
登っている最中、紅蘭は内心少し安心していた。
出会ってから同行していてずっと、功夫には自暴自棄にもなりそうな不安定さを感じていた。
さっきの一件によって生きて帰る希望が見えたのか、地図から顔を上げた時の功夫の表情は、気力が湧いてきているように見えた。
どんな絶望的な状況でも、諦めてはいけない。
紅蘭が華撃団の仲間と一緒に戦ってきて学べたことだ。
きっと、隊長である大神はもちろん、さくらやアイリスだってノストラダムスを倒すために―――
そして強引に殺し合いをさせられている参加者たちを助けようと、諦めず懸命に頑張っているに違いない。
絶望する力なき民衆へ希望を与えるのも、自分たち帝国華撃団の仕事であり使命なのだ。

再び回転するライトの前まで到着し、構造を調べるべく作業に取り掛かる。とはいっても必要な道具類もないので、簡単な確認作業となってしまう。
その結果、ライトに何か変わった仕掛けが発見できたなどということはなかった。
地図にも特殊なインク等が使われている形跡はなく、首輪解除の一助になるかと思い調べてみたものの、どのような仕組みで印が浮き出てきたのかは謎のまま。
数分頭を悩ませ、諦めて戻ろうかと思った時ふと思い浮かぶ。

『霊子甲冑のように、霊力あるいはそれに類するものを利用しているのではないか』


「林はん!!ちょっと気になることが……ありゃ?」


功夫にも意見を聞くべく、箱のあった部屋まで勢いよく下りた紅蘭を待っていたのは無人の空間。
ここで待っているはずの同行者はおらず、なぜか部屋の隅に彼の白衣が放り捨ててある。


「なんや、待ちくたびれて先に出てしもたんか。
 しゃあないな……。上着忘れていったみたいやしウチも急いで降りるか」


そう呟きながら白衣を拾い上げる紅蘭の顔が、呆れ顔から驚愕の色へと染まる。













時限装置付き爆弾。
メッセージの書かれた紙と一緒に、灯台内で発見した箱に入っていたものである。
紙はすぐさま紅蘭へ見せたものの、独り占めするため隙を見てこっそりと自らのデイパックへ入れることに成功した。
灯台の頂上部から中に入る姿は確認できたが、灯台の外へは出てきておらず、タイミング的に爆発の直撃を受けたものと見れる。


「ごめんな。最初は殺すつもりなんてなかったんだけど、生き残るための手段はできるだけ持っておきたいからさ」


「殺すつもりはなかった」その言葉に偽りはない。
正確には「危険を冒してまで殺し合いをするつもりはない」であるが、その根本的な考えが変わったわけでもない。
ではなぜ紅蘭を殺したのか。
やはりきっかけは、灯台内での新たな支給品の取得と地図の仕掛けの発見。
他の参加者よりも有利な情報はそれを知る人物が少ないだけ重要度が増し、邪魔者を簡単に始末できる道具も手に入れることができた。
この場所には生存者は彼一人で、目撃者もいない。


(諦めないで頑張ろう……か。おかげでちょっとは生き残る希望ってやつが見えてきたよ)


功夫へ希望をもたらした灯台は脆くも崩れ去り、そのきっかけを与えた女を飲み込んだ。
それを引き起こした張本人は、もはや一瞥もせずにその場を後にした。


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