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オリロワアース

460みつどもえ ◆F3DFf2vBkU:2016/01/30(土) 00:14:08 ID:ptTP.aTw0


時は数分ほど遡る。
未だ早乙女エンマが眠りについている時。
吸血鬼、柊麗華は昇る太陽の光を体に浴びながら、エンマの寝顔を見つめていた。
(可愛いなあ)
それは肉体の強度的な意味でも、顔かたちのことでも、両方の意味でである。
柊麗華は自分の外見を気に入っている。
気に入ったからこそ、彼は「柊麗華」を皮にして、彼女になったのだ。
しかし、気に入っているといっても、毎日見ていればさすがに飽きる。
この体で小学校に通っている彼女にとって同年代の女子は珍しいものではないが、それでも早乙女エンマは十分に上玉だった。

そして、ジルに追いかけられた恐怖やエンマの持つ暴力に対する畏怖も、数時間経ったことで、収まっている。
(ちょっとならイタズラしても、バレないよね)

思えば、こういう油断や甘さが彼を一度人生からドロップアウトさせた要因なのだが、残念ながらこれは人外になっても治らなかった。

頬に手を触れる。ぷにぷにとして柔らかい。
髪に手を伸ばす。砂で多少汚れているが、それでも口にいれたいほどきめ細かい。

未だエンマが目覚める気配はない。
そっと、麗華は自分の顔をエンマに近づける。

(さすがに唇同士はまずいよね)
でも頬を舐めるくらいなら大丈夫、とエンマは心の中で呟く。

「おお、何と何と!ロリっ子同士の百合じゃと!いいのう、いいのう。妾はそういうのも大好物じゃ!」

突如聞こえた邪悪な声に、麗華ははっと顔を上げた。
自分の目の前にいるのは、一匹の烏。

まさか烏も参加者なのか、と麗華はこの殺し合いの底知れなさを感じ恐怖した。

「うむ、どうしたのじゃ。妾のことは気にするな、邪魔はせんぞ。ただこの式神で記録して動画サイトに上げるだけじゃ」
烏はそんな迷惑なことを言いながら、こちらをじっと見つめる。

(式神……)
と麗華は脳内で検索する。
高位の吸血鬼は使い魔として、蝙蝠などを使役できる。
この烏も似たようなものか、と麗華は推理した。
とりあえず、エンマを起こそうとその矮躯に手を伸ばす。

「しっかし世の中何が起きるかわからんもんじゃのう。怪獣の次は『人外同士』の百合とは!いいのう、いいのう、AKANEもわかっとるのう!」

手が止まった。
(見抜かれてる……!?)

それは柊麗華がエンマに明かしていない真実。
それを、正体不明の式神使いに見抜かれたのだ。
「ん、どうした?起こさんのか?もしやお主、自分が人間じゃないことをその赤いロリに隠しとるのか?ううむ、お主も大変じゃのう」

「あ……」

そして、そのことさえも見抜かれる。
完全に役者が違う、と麗華は痛感する。
後はまだ、この式神使いの良心にかけるだけだが。

「そうじゃのう、お主。妾に協力してきれたら、このことをそこの赤いロリに黙っておいてやるぞ」
「な、何をすればいいんですか?」

哀れな殺人鬼は、邪馬台国を治める女王に縋る。

「うむ、妾はこの殺し合いをもっと面白くする!お主は、その手伝いをしてくれ!」

――――邪悪。

ある意味、ジルやAKANEよりタチが悪い卑弥呼の言葉に、麗華は空を仰いだ。


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