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第二次二次キャラ聖杯戦争 part3

1 名無しさん :2015/01/11(日) 03:53:37 ID:MASwPKVk0
ここは様々な作品のキャラクターをマスター及びサーヴァントとして聖杯戦争に参加させるリレー小説企画です。
本編には殺人、流血、暴力、性的表現といった過激な描写や鬱展開が含まれています。閲覧の際は十分にご注意ください。

まとめwiki
ttp://www63.atwiki.jp/2jiseihaisennsou2nd/

したらば
ttp://jbbs.shitaraba.net/otaku/16771/

前スレ
ttp://jbbs.shitaraba.net/bbs/read.cgi/otaku/14759/1406730151/


【参加者名簿】

No.01:言峰綺礼@Fate/zero&セイバー:オルステッド@LIVE A LIVE
No.02:真玉橋孝一@健全ロボ ダイミダラー&セイバー:神裂火織@とある魔術の禁書目録
No.03:聖白蓮@東方Project&セイバー:勇者ロト@DRAGON QUEST�〜そして伝説へ〜
No.04:シャア・アズナブル@機動戦士ガンダム 逆襲のシャア&アーチャー:雷@艦これ〜艦隊これくしょん
No.05:東風谷早苗@東方Project&アーチャー:アシタカ@もののけ姫
No.06:シオン・エルトナム・アトラシア@MELTY BLOOD&アーチャー:ジョセフ・ジョースター@ジョジョの奇妙な冒険
No.07:ジョンス・リー@エアマスター&アーチャー:アーカード@HELLSING
No.08:衛宮切嗣@Fate/zero&アーチャー:エミヤシロウ@Fate/stay night
No.09:アレクサンド・アンデルセン@HELLSING&ランサー:ヴラド三世@Fate/apocrypha
No.10:岸波白野@Fate/extra CCC&ランサー:エリザベート・バートリー@Fate/extra CCC
No.11:遠坂凛@Fate/zero&ランサー:クー・フーリン@Fate/stay night
No.12:ミカサ・アッカーマン@進撃の巨人&ランサー:セルベリア・ブレス@戦場のヴァルキュリア
No.13:寒河江春紀@悪魔のリドル&ランサー:佐倉杏子@魔法少女まどか☆マギカ
No.14:ホシノ・ルリ@劇場版 機動戦艦ナデシコ-The prince of darkness-&ライダー:キリコ・キュービィー@装甲騎兵ボトムズ
No.15:本多・正純@境界線上のホライゾン&ライダー:少佐@HELLSING
No.16:狭間偉出夫@真・女神転生if...&ライダー:鏡子@戦闘破壊学園ダンゲロス
No.17:暁美ほむら@魔法少女まどか☆マギカ&キャスター:暁美ほむら(叛逆の物語)@漫画版魔法少女まどか☆マギカ-叛逆の物語-
No.18:間桐桜@Fate/stay night&キャスター:シアン・シンジョーネ@パワプロクンポケット12
No.19:ケイネス・エルメロイ・アーチボルト@Fate/zero&キャスター:ヴォルデモート@ハリーポッターシリーズ
No.20:足立透@ペルソナ4&キャスター:大魔王バーン@ダイの大冒険
No.21:野原しんのすけ@クレヨンしんちゃん&アサシン:ニンジャスレイヤー@ニンジャスレイヤー
No.22:宮内れんげ@のんのんびより&アサシン:ベルク・カッツェ@ガッチャマンクラウズ
No.23:ジナコ・カリギリ@Fate/extra CCC&アサシン:ゴルゴ13@ゴルゴ13
No.24:電人HAL@魔人探偵脳噛ネウロ&アサシン:甲賀弦之介@バジリスク〜甲賀忍法帖〜
No.25:武智乙哉@悪魔のリドル&アサシン:吉良吉影@ジョジョの奇妙な冒険
No.26:美遊・エーデルフェルト@Fate/kaleid liner プリズマ☆イリヤ&バーサーカー:黒崎一護@BLEACH
No.27:ウェイバー・ベルベット@Fate/zero&バーサーカー:デッドプール@X-MEN
No.28:テンカワ・アキト@劇場版 機動戦艦ナデシコ-The prince of darkness-&バーサーカー:ガッツ@ベルセルク

951 リブート ◆HOMU.DM5Ns :2018/06/24(日) 23:41:36 ID:r0gE53mM0




【D-5/教会/2日目 未明】

【カレン・オルテンシア@Fate/hollow ataraxia】
[状態]:健康
[令呪]:不明
[装備]:マグダラの聖骸布
[道具]:リターンクリスタル(無駄遣いしても問題ない程度の個数、もしくは使用回数)、移動キー(教会内の燭台、月海原⇔教会の移動可能)、???
[思考・状況]
基本行動方針:聖杯戦争の恙ない進行時々趣味。
1.キャスター(ヴォルデモート)との会談について話す。必要なら職務の手伝いも。
2.ルーラーの裁定者としての仮面を剥がしてみたい。
3.言峰綺礼に掛ける言葉はない……があのキャスター(ヴォルデモート)との接触には複雑な感情
4.れんげの保護はひとまず了承
[備考]
※聖杯が望むのは偽りの聖杯戦争、繰り返す四日間ではないようです。
 そのため、時間遡行に関する能力には制限がかかり、万一に備えてその状況を解決しうるカレンが監督役に選ばれたようです。他に理由があるのかは不明。
※管理役として、箱舟内のニュースや噂などで流れる情報を操作する権限を持っています。
→操作できるのはあくまで「NPCの意識」だけです。報道規制を誘発させることはできますが、流出してしまった情報を消し去ることや、“なかったこと”にすることはできません。
※教会には『地上での冬木教会の機能』として敗退マスターを保護するための機能が残されています。本来は使用される想定のない機能です。


【ルーラー(ジャンヌ・ダルク)@Fate/Apocrypha】
[状態]:健康
[装備]:聖旗
[道具]:???
[思考・状況]
基本:聖杯戦争の恙ない進行。
1.???
2.れんげを教会で保護する。
3.その他タスクも並行してこなしていく。
4.聖杯を知る―――ですか。
[備考]
※カレンと同様にリターンクリスタルを持っているかは不明。
※Apocryphaと違い誰かの身体に憑依しているわけではないため、霊体化などに関する制約はありません。
※カッツェに対するペナルティとして令呪の剥奪を決定しました。後に何らかの形でれんげに対して執行します。
※バーンに対するペナルティとして令呪を使いました。足立へのペナルティは一旦保留という扱いにしています。
※令呪使用→エリザベート(一画)・デッドプール(一画)・ニンジャスレイヤー(一画)・カッツェ(一画)
※カッツェはアーカードに食われているが厳密には脱落していない扱いです。
 サーヴァントとしての反応はアーカードと重複しています。


【宮内れんげ@のんのんびより】
[状態]ルリへの不信感、すいみん中
[令呪]残り1画
[装備]なし
[道具]なし
[所持金]十円
[思考・状況]
基本:かっちゃん!
1.かっちゃんあっちゃんはっきょくけんが帰ってくるまで待ってるん。
2.るりりん、どうして嘘つくん?
3.はるるんにもあいたい
[備考]
※聖杯戦争のシステムを理解していません。
※昼寝したので今日の夜は少し眠れないかもしれません。
※ジナコを危険人物と判断しています。
※アンデルセンはいい人だと思っていますが、同時に薄々ながらアーカードへの敵意を感じ取っています。
※ルリとアンデルセンはアーカードが吸血鬼であることに嫌悪していると思っています。
※サーヴァントは脱落しましたが、アーカードがカッツェを取り込んだことにより擬似的なパスが繋がり生存しています
 アーカードは脱落しましたが、彼は"生きてもいないし死んでもいない"状態に還ったので、かろうじてパスも生きています。
※教会によって保護されています。教会内にいる限りは消滅の心配はありません。

再開の時は此処に。
月を望む巡礼の旅人よ。辿り着く日まで、どうか足を止めないで。






「さあ、聖杯戦争を続けましょう――――――」

952 ◆HOMU.DM5Ns :2018/06/24(日) 23:43:33 ID:r0gE53mM0
投下終了です。細々と続いていきますがよろしくおねがいします

953 名無しさん :2018/06/26(火) 02:15:06 ID:trBXbshE0
投下乙です。
教会に匿われて、これでれんげもひとまず安心といったところでしょうか。
様々なイレギュラーが重なった彼女は本当にただの被害者なのか、やはりジャンヌも疑問なようで。
れんげという謎を残したまま、聖杯戦争はいよいよ二日目を迎えるのですね……。
タイトルの「リブート」も相まって、今後の展開にも期待できる一作でした!

954 名無しさん :2018/06/26(火) 14:11:38 ID:LSwoFV.I0
投下乙です!
好きだったスレなので続いてくれて嬉しい

955 名無しさん :2018/06/28(木) 22:01:57 ID:dSsEuOPQ0
アニロワifのWikiが荒らされてますよ

956 名無しさん :2018/07/08(日) 19:38:57 ID:9GEXMGpU0
投下乙です
まさか更新が来るとは思わなかった、れんげが教会に保護されて良かった麻婆じゃないから安心できるぜ

957 名無しさん :2018/07/09(月) 02:07:04 ID:U0bUqTGc0
投下おつ!
二次二次の復活にふさわしいタイトルからの締め!
冒頭のちょっとした総集編もそんなセリフあったあったになったしシリアスにギャグ混ざってるのもワロタw
れんげはほんまイレギュラーだもんなー
色々先が楽しみになる雰囲気作りだった

958 ◆HOMU.DM5Ns :2018/09/19(水) 23:17:59 ID:lIxk.IbY0
投下します

959 ウェイバー・ベルベットの憂鬱(何度目) ◆HOMU.DM5Ns :2018/09/19(水) 23:19:34 ID:lIxk.IbY0

   ▼  ▼  ▼



雨の強い日だった。
外に出るのも億劫になる、暗い淀んだ空。地面を削るように打つ水滴の音。
そんな悪天候でも、遊びたい盛りの少年にとっては新しい遊び場なのは変わらない。
雨には雨の日の楽しみ方がある。雨合羽に長靴の防水装備で、側溝に浮かんで進む、新聞紙で出来たヨットを追いかけている。
水がある限りどこまでも続くおいかけっこ。しかし遊びは唐突に終りを迎えるもの。流れるヨットはそのまま、用水路に続く大きく空いた溝に流されてしまった。

「僕のお小遣いがドブに!」

なぜそんなものをヨットに入れて流したのか。
急いで溝の傍に駆け寄って中を窺うが、残念ながらとうにヨットは見えない。

「ハァイ、ジョージー」

諦めて立ち去ろうとする少年に、その時陽気に呼びかける声があった。
前には誰もいない――――――と思った瞬間、ひゅうん、と音がした
ピエロだ。白粉を塗りたくったメイク、真っ赤な髪と鼻のピエロが薄暗い排水溝から顔を出したのだ。

「映画『デッドプール』観た?」

ピエロはそう問いかけた。
知らない少年、驚きながらも首を横に振る。

「えー、面白いのに。今ならレンタルやってるよ」
「言うてアメコミでしょ?ガチムチはないわ」
「いやいや、そう嫌厭しなさんなって」

興味無さそうな素振りを見せる少年にも、ピエロは宥めて言葉を続けた。

「ヒーローのデッドプールはおしゃべりで画面の前の視聴者にも話しかけてくるお調子者だ。コミカルで日本人受けもいい。
 でも映画の内容はラブストーリーだ。おちゃらけた孤独なヒーローが愛する人のために命を懸けて戦う王道を行くんだ。どう?」

語る内容に聞き入ってるうち、少年も面白そうに笑顔を見せる。

「面白そう!『インフィニティ・ウォー』観るわ」
「待てや!」

まさかの逆張りにノリツッコミ。
ピエロ、慌てて態度を直してあるものを取り出した。

「これを置いていっていいのかい?」
「僕のお小遣い!」

流されてしまっていたヨット(お小遣い入り)である。
失ったと思った宝物に少年の関心は再びピエロに向く。

960 ウェイバー・ベルベットの憂鬱(何度目) ◆HOMU.DM5Ns :2018/09/19(水) 23:20:20 ID:lIxk.IbY0


「返して欲しければデッドプールを観ろ」

ピエロの脅迫、もとい要求に少年の顔はたちまち渋いものに変わった。

「おぅ……そんな嫌そうな顔しなくても」

本当に嫌そうだった。

「更にお買い得情報もあげちゃう。続編のデッドプール2もレンタル開始だ。
 今度はハートフルなファミリー映画だぞ。予算が出たから演出も大幅アップで新キャラだってたくさん出る。なんとあの超豪華俳優もサプライズ出演してるぞ!」
「ウルヴァリンも出る?」
「えっあっうん」

ピエロ、言い淀む。
少年との間に気まずい空気が流れる。


「デッドプールはいいぞ、ジョージー」


ねっとりとした声で念押しするピエロ。
しつこい誘惑に少年もおずおずと手を伸ばす。少なくともヨットは取り戻したい。


「金枠詐欺の屑十連引くよりも何倍もお得だ。だから―――」


もうすぐ手がヨットに触れようとする直前、


「お前もユキオ沼に沈め!」



代わりにピエロの白い手が掴む。
最後に見たのは、大きく開けた口から覗く、牙が。





―――





ジョージは死んだ。ユキオちゃんの出番が少なすぎたのだ。
でもネガソニックちゃんと常に一緒ながらもベタベタくっつき過ぎない距離感は素晴らしかったと思います。
同性にせよ異性にせよカップルとはこうあるべきものだ。ワイトもそう思います。
どうかお幸せに。






   ▼  ▼  ▼

961 ウェイバー・ベルベットの憂鬱(何度目) ◆HOMU.DM5Ns :2018/09/19(水) 23:21:23 ID:lIxk.IbY0






雨の中でしめやかに行われる葬式の場面に移ったところで、テレビの画面が切り替わった。
テレビショッピングらしき番組では、深夜帯であるのを感じさせないテンションで商品を置いてけぼりに司会が笑顔を振り撒いてる。

「この時間ろくな番組やってねーな。深夜アニメは日本のオハコじゃなかったのかよ。クソアニメ炎上させてやろうと思ったのに。
 お、CCCチャンネルの司会変わってんじゃん。うわ今度は邪悪ロリかよ。この前はジャガーノートみてえなデカ女だったし節操ねーなー」

チャンネル連打して飽きたのか、スイッチを切って最後にリモコンを投げ飛ばす。
衝撃でリモコンは中の電池が外れてバラバラに散っていった。

「ふう、スッキリしたわ。手狭だしブラッドバスもないしで不満だらけだけど、これも庶民のワビサビってやつね。
 ホラ子ブタ、こっち座りなさいよ。話するんでしょ?」

リフレッシュにはなったのか、体を洗って心なしか気分も良さそうだなエリザが、ちょいちょいと隣の席を指差す。

「随分、時間がかかりましたね」
「そりゃあアタシ、アイドルだもの。身だしなみに手をかけるのは常識でしょ?いついかなる時にも見られる用意を忘れないのがプロの気構えよ。
 アナタもレディならちゃんと着飾ってみなさい?アタシほどじゃないけど、素材はいいんだから勿体無いわよ」
「これはちゃんと意味のある服装です。とやかく言われる筋合いはありません」

「そうだそうだ、言ってやれ!今でも十分エロい格好だが、もっとエロい服に着替えれば俺もまたセイバーの身体に興奮できるってな!」
「そうだぜねーちん、堕天使エロメイド霊衣解放のチャンスを待ってる読者(プレイヤー)のためにも今こそひと肌脱ぐ時だぜ。そして着る時だ」
「そしてなぜ意気投合してるんですか貴方達は………………いえ、わかってます。理由はわかってますけど……」

「そもそもお前ら、どうして僕の家に集まってるんだよ……」
「そりゃフラグ体質だからよ。あ、そうだウェイバーたんセーブ確認した?デスノボリ確認忘れんなよ?
 俺ちゃんみたいに死亡地点で復活(リスポーン)できるわけじゃねえんだから。幸運255全振りだから自動で成功してるだろうけど」

エリザとセイバーが話をしたり、孝一とバーサーカーは肩を並べてやんややんやと囃し立てたり。
その脇でウェイバーはげっそりとしていたり。
手狭な部屋は今は随分と賑やかだ。
三組のマスターとサーヴァントが一同に集まればこうもなるだろう。

「ちょっとデップー。アタシ喉乾いたわ。飲み物とってちょうだい」
「えーこのカルピス俺ちゃんが飲みたかったのに。代わりに新鮮なブラッド割りでどう?腕をスパッとすりゃ1リットルぐらい出るよ?」
「イヤよ。アタシ今は節約、もとい節血中なの。それにアナタの血、なんか魚の脂みたいにギトギトして美容に悪そうだし。どうせ飲むなら清らかな少女のが欲しいわ。
 そのーーー本当に必要な時は……気に入った人のなら、ちょっとぐらいはいいけどね?ね?」

「そんなあざといチラッ視線は全スルーですと。じゃあエリちゃん、つまりねーちんならOKってこと?白い花咲かせちゃう?
 いいよどんどんやってこうこの業界そういうの寛容だし。なにせトップのハゲが……これはいいか。
 あ、吸うのはおっぱいからが伝統だから忘れないでね」
【ネガソニ×ユキオいいよね】【おい誰だ今の】
「……んー、そうね。確かに血は美味しそうだけど、ちょっと好みからは外れてるわね」
「今とても失礼な誤解をされた気がするのですが。違いますから。そもそも英霊に年齢とか外見とかあまり関係ないのでは?」

他愛ないやり取りに、月の裏での生徒会活動を思い出す。
レオが普段とは想像もできない弾け方をして主に凛が被害に遭い、ラニが追い打ちをかけ、ガウェインは爽やかに流してユリウスがフォローに回っている。
隅っこではガトーが暑苦しくも回線越しにジナコにかまい、またにシンジも来たりする。
ムーンセルでは無かった出来事になり、憶えているのは自分だけになった記憶。
けれど過去がないこの体にとっては、抱きしめるように仕舞い込んだ楽しい思い出だった。

962 ウェイバー・ベルベットの憂鬱(何度目) ◆HOMU.DM5Ns :2018/09/19(水) 23:22:16 ID:lIxk.IbY0



「さて……それでは始めても宜しいでしょうか」


気を取り直したセイバーは全員を見渡してから一息置いて、意を決したように話を切り出してきた。


D-6マンションのキャスター戦からの付き合いになる、ウェイバー・ベルベットと覆面のバーサーカー。
さっきコンビニで知り合った、真玉橋孝一とウェスタンルックのセイバー。
そして自分とエリザ。

3組で小さなテーブルを囲む。真ん中にはさっきコンビニで買ったサンドイッチに各種お菓子類。
戦いもせずここまでマスターとサーヴァントが集うのは、ここでの本来の聖杯戦争では珍しいだろう。
それというのも目的は戦闘ではなく話し合い、情報の共有だ。



「前置きを抜きにして伝えます。我々の目的は、聖杯戦争を変えることです」



「は、はぁ?」
「聖杯戦争を変える?どういう意味、それ?」

ウェイバーとエリザの困惑ももっともだ。かくいう自分も最初聞いた時は似たような反応だった。

「簡単だ。俺は聖杯が欲しい。それを使ってどうしても叶えたい願いがある。みんなのおっぱいを幸せにしてやりてえんだ」

疑問への答えは孝一が答えた。
「おっぱ…………は!?」と狼狽えるウェイバーを他所に孝一は続けて言葉を重ねる。

「けど、その為に誰かを殺して、殺して回って手に入れるなんてのは真っ平ごめんだ。
 おっぱいはな、やわらけえんだよ。恭子のおっぱいがなけりゃダイミダラーのコクピットもあんなに虚しいんだ!
 おっぱいの為に命が犠牲になるなんて、絶対にあっちゃならねえ!」

グッ、と拳を握って力説する。
節々の言葉のおかしさは置いといて、その言葉には偽りではない熱があった。
邪ではあるが邪悪ではないとでもいうのか、清々しくなるほどに真っ直ぐで、裏など見えない思いが気迫。

「だから俺はどっちも取る。おっぱいがふたつあるなら両腕で揉めばいい、それと同じだろ!
 ここの聖杯戦争で人が死ぬっていうなら、そこから変えさせる。無理なら脱出して別の場所でやりゃあいい。
 俺は何度も別の世界ってやつを見てきたし、行ったこともある。だったら可能性はゼロじゃねえ。ゼロじゃなけりゃあ、なんとかなるはずだ。
 無理とか無茶だとかは聞かねえ。俺は聖杯戦争でこうするって決めた。だからその為に動く。それだけだ!」

963 ウェイバー・ベルベットの憂鬱(何度目) ◆HOMU.DM5Ns :2018/09/19(水) 23:22:51 ID:lIxk.IbY0


聖杯戦争に優勝する、というのではなく、ただ否定するだけじゃない、第三の選択肢。
聖杯戦争という枠組みを覆す、という方針を孝一とセイバーは掲げるのだ。
聞いただけでは突拍子もない計画だ。とても実現するとは思えない。
まるで水面に映った月を掴むような行為。
そんな無謀をしようとしていた存在を―――自分は知っていた。

「ああ―――そういうこと。BBがやろうとしていたのと、似たようなことをやるつもりなのね」

エリザもやはり、同じ相手と結びつけていた。
月の裏のサクラ迷宮。暴走した上級AI、BB。
彼女が冒した無謀な違法(チート)の数々による、ムーンセル中枢への侵食事変だ。

戦いを回避できるとしたらそれが一番理想的な結末だ。
だが自分達は既に知っている。ムーンセルのシステムを改変する事が、どれだけ重い代償を支払う羽目になるのか。
百数十体ものサーヴァントを取り込み、女神の権能を手に入れたBBですら致命的な故障(バグ)を負ってしまった。
■■■によって狂わされ、あらゆる制約を破ったBBは現実の地球人類を絶滅させるようムーンセルを運営した。
異星文明の遺物であるムーンセルの防壁を破るのはそれほど厳重なのだ。
それを侵食するとすればそれこそ同じ、異なる文明の飛来物のような特例でしかない。
アークセルとムーンセルは別の存在だ。けれど平行世界を渡り泳ぐ方舟、強大極まるのはどちらも変わらない。
あの出来事を知る身としては、慎重に考えざるを得ない。


「……何だよ、それ」

零れた声が、いっとき静まった部屋に小さく響いた。
ウェイバーのものだ。
表情は困惑を超えて、わけがかわらないといったように憔悴している。

「戦う気がないって……じゃあお前、なんで聖杯戦争に参加したんだよ!」
「なんでって……ペンギン帝王からこいつを貰って、とんでもなくエロいイベントがあるって聞いたからさ」
「ふざけるなよ!そんないい加減な理由で……」
「じゃあさウェイバー、お前は何の為に聖杯が欲しいんだ!?」
「え……」

なおも食ってかかろうとしたウェイバーだが、孝一の言葉に頭から水を浴びせられたように急に動きを止められた。

「お前の願いは、おっぱいを奪う事より大きいっていうのか!?巨乳好きかよお前チクショウ俺だって大好きだ!」
「お―――胸の事ばっかり言うなさっきから!」
「え、ウェイバーたん巨乳派だったの?事件簿でバディがグレイたんだったしロリショタ派だと思ったのに。
 それとも将来に向けてゲンジ・ヒカル計画でも立ててる?確かにスゲエもんな乳上」
「勝手に人の性癖を決めるな!あと誰だよグレイって!」
「そうですね。まずはそこを知っていなければ我々の話も進まない。
 貴方方の、聖杯に託す願い。それを教えては貰えないでしょうか」

興奮する孝一(そしてバーサーカー)を制しながらセイバーは、全員に向けてそんなことを尋ねてきた。

964 ウェイバー・ベルベットの憂鬱(何度目) ◆HOMU.DM5Ns :2018/09/19(水) 23:23:19 ID:lIxk.IbY0


「私は―――少しでも多くの人が幸せになれる未来を求めてサーヴァントとして現界しました。
 絵空事と笑われてもおかしくないとしても、私はそれを諦めきれない。この魔法名(な)の誓いを捨てる気はない。
 そういう意味では……あくまでそういう意味のみでしたら、マスターと共通した願いであるといえます。
 ですから――――――それが人と世を乱す邪悪でない限りは、皆の願いも叶えられるべきである。私とマスターはそう考えています」

つまり、セイバー達の望みを叶えることは、他の願いも聖杯に受け入れられる結果に繋がるかもしれない、ということだ。
みんなを幸せにする。曖昧で、明確な境界線が無い、魔法のような言葉。
心からそれを願いだと口にしたセイバー。あるいは奇蹟によって名を残した、聖人のような英霊なのかもしれない。

「子ブタ。コイツらのこと、信用するの?」

自分の中で最も冷え切った部分が、彼らと共にいる危険性を警告している。
現状、二人の目的は具体性に欠いたものだ。
聖杯戦争の改変、打破は方舟への反逆の方針だ。裁定者であるルーラーと対立する結果もあり得る。
目標が一致してるのは途中まで。最後にどうなるかまでは未知数だ。どこかで、道を分かつかもしれない。

鋼となった血肉。叩き上げられた精神。
表の聖杯戦争。戦いの王の後継者を育てるべく改竄された熾烈な生存競争の勝者としての感覚。
それらの全てが、他者の夢想に付き合い破滅する愚を訴える。


隣に座る少女を見やる。
魔性の角。染み付いて落ちない血臭。落ちに堕ちた半英雄。
けれど今は頼もしい味方である、自分のサーヴァント。

「な、なによ、そんなにまじまじと熱っぽい視線で見つめて……。
 ひょ、ひょっとしてどこか変なとこある?鏡チェックしたわよちゃんと?」

そう。駆け抜けてこれたのは、ただ勝つことを目指したからじゃなかった。
敵だった相手、戦う仕組みだけの相手に手を伸ばしたこともあった。結果としてエリザのように並び立つ関係になってもいる。
聖杯戦争のルールに則り勝ち上がりながらも、最後にはその頂きに立つ何者かを否定した。
そうしたのは単純な理由、命が失われるから。
先程まで話していた相手が、今は世界のどこにも存在しない。
その声も姿も意志も願いも、二度と還らない。
対戦者を倒す度覚えたあの喪失感と痛み。戦争を否定する理由なんてそれだけで足りている。
きっと理屈じゃない部分で、自分はそういう風に出来ている。

965 ウェイバー・ベルベットの憂鬱(何度目) ◆HOMU.DM5Ns :2018/09/19(水) 23:23:45 ID:lIxk.IbY0


「――――――ま、そうよね。アナタがそうする男だから、アタシも少しだけ救われたんだし。
 先に言っとくけど、アタシの願いはこの子ブタに力を貸すコト。
 永遠に救われないアタシに許された、許されないはずの贖罪の機会。そのためなら田舎から金星まで今は地道に巡業中ってワケ」

溌剌としたエリザの言葉に心が軽くなる。
自分の願い、先程セイバーに伝えていた通りの答えを改めて告げる。
喪われた記憶を取り戻す。方舟の真相を、聖杯戦争の謎を解き明かす。そのためになら、協力関係を結びたい。

「―――ありがとうございます。助力に心から感謝します」

姿勢を正してセイバーが頭を下げる。
孝一は気持ちのいい笑顔を見せて親指を立てていた。

「ああ、よろしくな白野。しかし幸先がいいぜ。いきなりペンギン帝王に近いやつに会えるなんてな!」

ペン………………なんだって?
いま、とても不思議な響きの言葉を聞いた気がする。

「気持ちはわかります。すみません、後で説明をしますので」

こちらの主従も中々大変そうだ。主にサーヴァントの気苦労の面で。
ともかくこれで同盟成立だ。一日が経ってからようやくのそれらしい前進、結果何が待つかはまだ不明瞭だが、最初の一歩といえるだろう。


「じゃあ、次はウェイバーだな。お前、聖杯に何を願うんだ?」




   ▼  ▼  ▼



ウェイバー・ベルベットが聖杯戦争に挑む理由は明らかであった。
若輩ながら才ある己を歴史の浅さから顧みもしない魔術協会へ痛烈なカウンターを浴びせる。
権威も肩書も意味を成さない実力勝負、自らの力量を魔術世間に知らしめる一大好機と見て、偶然手にした聖遺物―――
師にあたるケイネス・エルメロイが聖杯戦争に参加するにあたって取り寄せていた触媒を用いて海を渡って舞台たる日本に向かっていた。
全ては自分が一流の魔術師であるのを証明するため。
魔術の歴史に不朽の名を残すべく、生を受けたこの身の不条理を覆すべく全てのチップを賭けたのだ。

966 ウェイバー・ベルベットの憂鬱(何度目) ◆HOMU.DM5Ns :2018/09/19(水) 23:24:17 ID:lIxk.IbY0


「……」

いまウェイバーは問われてる。なんのために聖杯戦争に参加したのか。聖杯を手に入れ何を願うのか。
魔術師としての名声と誇りを手中に収める。あるいは欠けている魔術の力量を埋めるよう願うでもいい。
魔術師なら誰もが口を揃えてそう言う。なんら恥じ入るものではないはずだ。
なのにいつまで経っても、ウェイバーの理想は言葉にならず口ごもるばかりだった。

―――なんなんだろう、コイツらは……

目の前の二人のマスターは、正式な魔術師ではない。
白野は魔術戦では何らかの礼装に頼ってるらしく、本人の技量は大したものではない。
孝一に至っては煩悩まみれの単細胞だ。どうしてこんな奴がここまで残ったのが不思議でならない。
そんな二人は、聖杯戦争の改変を目指すとのだという。
方舟のシステムを探求し、誰も犠牲にすることのない場所で聖杯戦争を再開させるのだと。

現実の見えてない絵空事と一笑に付せばよかった。ここに来る前のウェイバーなら考えるまでもなくそうしただろう。
それがもうできないでいるのは、彼らが『戦う者』の目をしていると感じ取ったからだった。

岸波白野。見るべきものもない、どこにでもいそうな平凡な印象の少年。
彼はこことは違う『月の聖杯戦争』に参加し、そして最後まで勝ち抜いたのだという。
更には月の裏などという、得体の知れない体験もしているらしい。
それが虚偽や虚仮威しでないことは、これまで見た戦いで十分理解している。
ニンジャのアサシン戦で見せた肝の据わりようと、戦術の指示の冴え。幾度となく死線を超え、逆境を乗り越えたた戦士であると証明していた。

あの真玉橋も、いつもの巫山戯た調子は完全に鳴りを潜めさせて熱弁を振るっていた。
そこには希望的観測ではない確信が伴っており、世界を移動云々も信じさせてしまう謎の説得力がある。
あんな間抜けですら、本人なりに命を懸けて、掴んだ成果があるというのだろうか。
そしてそんな両者と比して―――今の自分の有様はどうか?

地上の冬木とは違う、月を望むアークセルの聖杯戦争に招聘される羽目になったのを皮切りに、ウェイバーの目論見はいとも容易く瓦解した。
召喚されたのはまるで制御の利かないバーサーカー。お喋りで意味不明な発言を吐き出す品性下劣な男。
勝手に行動して戦闘してたのを令呪を消費してまで呼び戻し、また勝手に行動してアサシンと戦闘し、マンションのキャスター討伐では魔力の過剰供給に嘔吐した。
ブレーキの壊れた車の如き無軌道ぶりにウェイバーは終始振り回されっぱなしだった。
一度としてこの暴れ馬を制御できた試しがない。常にやってくる問題に受け身になるしかなく、ウェイバー自身の意思で行動できた事は数えるほどもなかった。

967 ウェイバー・ベルベットの憂鬱(何度目) ◆HOMU.DM5Ns :2018/09/19(水) 23:24:45 ID:lIxk.IbY0


「ぼ、僕の望みは……望みはな――――――」

自著の論文を講義にひけらかせてとわれれば堂々とやってのける自信があるのに、いまは胸がつかえたように言葉が出ない。
とどのつまり、ウェイバーはとてつもなく場違いなのだと感じ始めていた。
二人が方舟では異端の立場だとしても、自分の卑小さを散々見せつけられた形となった今となっては、沽券にこだわる自分がどうしようもなく無様に見えたのだ。
時間が経つごとに葛藤が胸を焦がす。
時計塔でケイネス講師に屈辱的に痛罵された時とも、戦場でバーサーカーに振り回された時とも違う未知の感情が熱となってウェイバーの内面を蝕んでいく。

「オイオイお前ら次作書くのに前作見直してないのかよ。映画のあらすじ見ないで視聴しちゃうタイプ?
【スキップしますか?】のアイコン見えてないの?
 俺ちゃんはFate作品にデビューお願いしたいから事件簿で主人公やったり他作品出ずっぱりのウェイバーたんをマスターに選んだって言ったじゃん。
 外部コラボ頑なに拒んでるけど俺ちゃん映画の例もあるし金チラつかせればいけるって」
【つまり実写映画化か】【やめろ『DRAGONBALL EVOLUTION』の比じゃねえぞ】

そして悩みの種である当のバーサーカー、デッドプールは空気を読まず、お喋りな口を割り込んできたのだった。


「デップー、うるさいわよ。口を糸で縫い付けられたいの?今はアナタのマスターに聞いてたんじゃないの」
「喋らない俺ちゃんとかエリちゃん拷問えげつねえな。糸の出せなくなったスパイディかよ。
 そんなんされたらタイムマシン使って過去の自分撃ち殺したくなるわ」

……信じがたいことだが、さっきから白野のランサーだけはバーサーカーとある程度会話が成立しているようだった。
「類友……」と白野が誰にも聞こえない声量でぼそりと呟いたのをウェイバーは聞いた気がした。

「スパイディ(蜘蛛男)?なに、アナタNY出身の英霊なの?やだ、アタシの名前ってそっちにも知れ渡ってるの?
 流石アタシ、気づかない内に英霊界のハリウッド進出を果たしてたなんて……!」
「ああバリエーションの多さは人気キャラの証だ。ハロウィンにもビキニ勇者にもメカにもなってるし量産もされてる。
 しかし魔○村からメカゴ○ラとか作者何考えてんだろうな。ヤバイ吹き出しでも見えてる?
 多分次のハロウィンはゾンビとかだぜ。定番だよなズンビーヒーロー」
「メカってなによーーーーーーーーー!?ゾンビになんか死んでもならないわよ!?
 それじゃあ、イロモノのヨゴレ芸人みたいじゃない!」
「えっあっうん」
「否定しなさいよーーーーーーーーーーーーーー!!」
「ッッ!ああもううるさいうるさい!」

968 ウェイバー・ベルベットの憂鬱(何度目) ◆HOMU.DM5Ns :2018/09/19(水) 23:25:24 ID:lIxk.IbY0


ランサーの壊れたラジオじみた叫び声とバーサーカーの異界の言語じみたスラングの嵐。
悪夢のコラボにキンキンと痛む耳鳴りに晒される内に、とうとうウェイバーの苛立ちは頂点に達した。

「なんで勝手に僕がおまえらに協力する話で進んでるんだよ!
 方舟がなんだとか、聖杯戦争を変えるとか人助けとかッ、僕はな、そんなのはまったく、これっぽっちも興味はないんだ!」

自分でも説明のできない巨大な感情を吐き出す。癇癪といわれようと構わない。
自分の首を絞めると思考で分かっていながらも、言わずにはいられなかった。

「お、おいどうしたウェイバー。欲求不満か?」
「いいから出てけよ……僕はお前たちに協力なんかしないからな!絶対だ!」

席を立って拒絶を示すように踵を返す。自分から逃げてるようだ、とは努めて考えなかった。



「ウェイバーたん……それってテンプレ?」
「絶対だからな!」


返事を待たずに扉を締める。
白野も、孝一も、何よりも目障りなバーサーカーをとにかく視界から遠ざけたかった。
流されるまま流されて波に飲まれて消える自分の惨めさだけが、ジグジグと鈍痛になって残っていた。




   ▼  ▼  ▼



「くそぅ、ウェイバーのやろう何が悪かったっていうんだ……もうエロ本や覗きじゃ物足りないっていうのかよ……!」

仕方なく取り付く島もないウェイバーを置いて外に出る。
夜はまだ更けているが、そう遠からず日の出が見えてくる頃合いだ。

「少し、話を急かしすぎたようですね……」

ウェイバーに拒絶された理由は、彼の動機に不用意に触れてしまったからだ。
誰にだって触れられたくない心の部分がある。それが願いとなるほど真摯に思うものならなおさらのこと。
聖杯戦争に挑む者とは誰もがその決意を抱えた者達だ。自分や孝一はいわば異端の立場のほうだろう。

969 ウェイバー・ベルベットの憂鬱(何度目) ◆HOMU.DM5Ns :2018/09/19(水) 23:25:57 ID:lIxk.IbY0


「まったくだわ。礼儀もなってない上、ちっちゃいプライドに拘っちゃってみっともないネズミよね」
「ツン期の到来だな。ジンクスがあるんだよ、ツンデレは早死にしやすいって」
「なぜ、貴方も外に出ているのです?」

なぜだかバーサーカーも、ドアに寄りかかって孝一が置いてった雑誌を読んでいた。

「しばらく顔を見せるなってさ。まだマスクの中も見せたことないのに失礼だよな。
 けどこの贈り物もよくないぜ。3Dのおっぱいが目と鼻の先に届くのにエロ本に″頼る″とか虚しくならない?」

パラパラと扇情的な表紙の雑誌をめくって、袋とじを指で乱雑に裂いて中身を見ている。
どうやら彼もウェイバーに追い出されたらしい。自分のサーヴァントも締め出すとは、思ったより根が深そうだ。

「なんでしばらくブラブラしてるわ。流石に今回は空気読んで他の予約に割り込んだりもしない。賢者タイムってやつ。
 けどもしウェイバーたんがツンデレ拗らせて優勝ルートに舵切ったらタイトルが『デッドプールキルズ・タイプムーン』に変更するから。
 はくのん切嗣マン赤アーチャーBANして、そっから1ページにつき1組殺していってコミック一巻分で完結って寸法なんで、そんときゃヨロシクね」
【吹き出しの色が赤くなったら開始のサインだ】【ウィキじゃなきゃ色出ないだろ】

「あーあー、やっぱ征服王みたくはいかねえなー」と去り際に零しながらバーサーカーは階段を降りていった。
その背中からは、いつもの調子の良さが少しだけ抜け、別の感情が見え隠れしていた。
他者から理解できなくても、狂人には狂人の理念がある。
彼なりにもこのまま孤立するウェイバーの身を案じてるのかもしれない。


「それより追い出されちゃったわよ、部屋どうするの?子ブタの家まで戻るの?」

C-8にある自宅のアパートまではそう遠くないが、エリザの言う通り少しでも休息は取りたいところだ。
帰路の途中で敵に襲われでもしたら目も当てられない。

「それなら俺の家に来いよ。丁度聞きたいこともあるしよ。ウェイバーだって気が変わってエロ本を取りに来るかもしれねえしな」

ウェイバーの部屋の隣のドアを指さして、孝一からそんな提案をされた。
ついさっきまでそこに入っていたのだし、確かに抵抗もない。エリザの方を見ると構わないわ、と返事が来た。
厚意に甘えて厄介させてもらう。

「よし、じゃあ聞かせてもらおうじゃねえか白野。優勝者の武勇伝ってやつを。
 おまえが聖杯戦争で出会った中で―――一番揉みたいおっぱいについてな!
 へへ、覚悟しろよ。今夜は寝かさねえぜ……!」」

と思っていたところにまさかの徹夜突入宣言。
生徒会での記憶が蘇る。これはレオとガウェイン、ユリウスの四人で囲んだこともある、同性のみに許された男子トークタイム……!

970 ウェイバー・ベルベットの憂鬱(何度目) ◆HOMU.DM5Ns :2018/09/19(水) 23:26:47 ID:lIxk.IbY0


「なんとなくだが、初めて会った時からおまえからはエロい逸話を持ってる気がしてならないんだ。妹もエロい格好してたしよ」

だから妹については誤解なのだが……………………
しかし孝一の嗅覚は侮れない。サクラ迷宮攻略の過程で生じたセンチネルの攻略において、不本意ながらも女性の嗜好問題について触れる機会は多くあった。
赤裸々に語っていいものでもない―――そもそもそのうちの一人がここにいるエリザだ。
なので話題に出さなかったのだが、それを察知したのだとしたら彼のエロの探求力は本物と言わざるを得まい。
どうする。このまま夜通し彼女たちのSG(シークレットガーデン)を開示するしかないのか。

「いえ、マスター。今夜はもう遅いですし明日に備えて眠ったほうがいいでしょう。彼も疲労してるようですし、さらなる負荷をかけるものではありません」

止めに入ったセイバーの心遣いが身に染みる。
孝一を抑えられる彼女がある意味、このチームの防波堤なのかもしれない。
ひとまず今夜は体を休めて、朝になったらもう一度ウェイバーを尋ねて話をしてみよう……。




「あ、ちょっと待った。いま閃いたんで最後に聞いてくれ」

そこに、戻ってきたバーサーカーがにゅっと顔だけを出してきた。

「ねーちんの新霊衣、上半身マッパでおっぱいのさきっちょにピエロの鼻みてえに真っ赤なイチゴ乗せて隠すってのはどうよ?」
「そ――――――――――それだぁ!」
「寝ろ!!」

セイバーの豪速のハイキック二連が、鮮やかな角度で二人の頭部へと決まった。








……ちなみにこの後、質問攻めに耐えかね
『96が階段上から顔にダイブ』『160の谷間をまさぐる』等の事例を白状する羽目になり
孝一からは揺るぎない信頼と敬意を得られたが、女性陣からはナイフより冷たくえぐる視線を送られる夜を過ごした、とオチがつくのだった。

971 ウェイバー・ベルベットの憂鬱(何度目) ◆HOMU.DM5Ns :2018/09/19(水) 23:29:13 ID:lIxk.IbY0
【C-5/賃貸マンション・ウェイバーの自室/未明】


【真玉橋孝一@健全ロボ ダイミダラー】
[状態]瘤と痣、魔力消費(小) 、白野への揺るぎない敬意(エロ方面)
[令呪]残り1画
[装備]学生服、コードキャスト[Hi-Ero Particle Full Burst]
[道具]ゴフェルの杭
[所持金]通学に困らない程度(仕送りによる生計)
[思考・状況]
基本行動方針:いいぜ……願いのために参加者が死ぬってんなら、まずはそのふざけた爆乳を揉みしだく!
0.他のマスターを殺さずに聖杯を手に入れる方法を探す。
1.白野陣営と協力する。ウェイバーとはもっかい話したい。
2.ペンギン帝王のような人物(世界の運命を変えられる人物)を探す。
3.好戦性の高い人物と出会った場合、戦いはやむを得ない。全力で戦う。
π.救われぬ乳に救いの手を―――!
4.アサシン(カッツェ)の性別を明らかにさせる。
5.お、おっぱいのスケールで………………………ま……………………………………まけた。
[備考]
※バーサーカー(デッドプール)とそのマスター・ウェイバーを把握しました。正純がマスターだとは気づいていません。
※アサシン(カッツェ)、アサシン(ゴルゴ13)のステータスを把握しました。
※明日は学校をサボる気です。
※学校には参加者が居ないものと考えています。
※アサシン(ゴルゴ13)がNPCであるという誤解はセイバーが解きました
※白野陣営と同盟を結びました。『聖杯戦争の真相を究明する』という点で協力します。



【セイバー(神裂火織)@とある魔術の禁書目録】
[状態]健康、魔力消費(小)
[装備]なし
[道具]なし
[思考・状況]
基本行動方針:救われぬ者に救いの手を。『すべての人の幸福』のために聖杯を獲る。
0.他のマスターを殺さずに聖杯を手に入れる方法を探す。
1.マスター(考一)の指示に従い行動する。
2.白野陣営と一時的に協力。
3.バーサーカー(デッドプール)に関してはあまり信用しない。
4.アサシン(カッツェ)を止めるべく正体を模索する。
5.聖杯戦争に意図せず参加した者に協力を求めたい。
[備考]
※バーサーカー(デッドプール)とそのマスター・ウェイバーを把握しました。正純がマスターだとは気づいていません。
※真玉橋孝一に対して少しだけ好意的になりました。乳を揉むくらいなら必要に迫られればさせてくれます。
※アサシン(ゴルゴ13)、B-4戦闘跡地を確認しました。
※アサシン(カッツェ)の話したれんげたちの情報はあまり信用していません。
※アサシン(カッツェ)は『男でも女でもないもの』が正体ではないかと考察しています。
 同時に正体を看破される事はアサシン(カッツェ)にとって致命的だと推測しています。
※今回の聖杯戦争でなんらかの記憶障害が生じている参加者が存在する可能性に気づきました。


[共通備考]
※今回の聖杯戦争の『サーヴァントの消滅=マスターの死亡』というシステムに大きな反感を抱いています。
 そのため、方針としては『サーヴァントの消滅とマスターの死亡を切り離す』、『方舟のシステムを覆す』、『対方舟』です。
※共にマスター不殺を誓いました。余程の悪人や願いの内容が極悪でない限り、彼らを殺す道を選びません。
※孝一自身やペンギン帝王がやったように世界同士をつなげば世界間転移によって聖杯戦争から参加者を逃がすことが可能だと考えています。
 ですが、Hi-Ero粒子量や技術面での問題から実現はほぼ不可能であり、可能であっても自身の世界には帰れない可能性が高いということも考察済みです。

972 ウェイバー・ベルベットの憂鬱(何度目) ◆HOMU.DM5Ns :2018/09/19(水) 23:29:44 ID:lIxk.IbY0



岸波白野@Fate/EXTRA CCC】
[状態]:ダメージ(微小/軽い打ち身、左手に噛み傷、火傷)、疲労(中)、魔力消費(大) 、女性陣の視線が痛い
[令呪]:残り三画
[装備]:アゾット剣、魔術刻印、破戒の警策、アトラスの悪魔
[道具]:携帯端末機、各種礼装
[所持金] 普通の学生程度
[思考・状況]
基本行動方針1:「 」(CCC本編での自分のサーヴァント)の記憶を取り戻したい。
基本行動方針2:遠坂凛との約束を果たすため、聖杯戦争に勝ち残る。
0.凛………………ありがとう。
1.今は孝一の自宅で休息する。
2.今日一日は休息と情報収集に当て、戦闘はなるべく避ける。
3.孝一陣営と一時的に協力。
4.朝になったらウェイバーともう一度話したい。
5.『NPCを操るアサシン』を探すかどうか……?
6.狙撃とライダー(鏡子)、『NPCを操るアサシン』を警戒。
7.アサシン(ニンジャスレイヤー)はまだ生きていて、そしてまた戦うことになりそうな気がする。
8.聖杯戦争を見極める。
9.自分は、あのアーチャーを知っている───?
[備考]
※“月の聖杯戦争”で入手した礼装を、データとして所有しています。
ただし、礼装は同時に二つまでしか装備できず、また強力なコードキャストは発動に時間を要します。
しかし、一部の礼装(想念礼装他)はデータが破損しており、使用できません(データが修復される可能性はあります)。
礼装一覧>h ttp://www49.atwiki.jp/fateextraccc/pages/17.html
※遠坂凛の魂を取り込み、魔術刻印を継承しました。
それにより、コードキャスト《call_gandor(32); 》が使用可能になりました。
《call_gandor(32); 》は一工程(シングルアクション)=(8); と同程度の速度で発動可能です。
※遠坂凛の記憶の一部と同調しました。遠坂凛の魂を取り込んだことで、さらに深く同調する可能性があります。
※エリザベートとある程度まで、遠坂凛と最後までいたしました。その事に罪悪感に似た感情を懐いています。
※ルーラー(ジャンヌ)、バーサーカー(デッドプール)、アサシン(ニンジャスレイヤー)のパラメーターを確認済み。
※アーチャー(エミヤ)の遠距離狙撃による攻撃を受けましたが、姿は確認できませんでした。
※アーチャー(エミヤ)が行った「剣を矢として放つ攻撃」、およびランサーから聞いたアーチャーの特徴に、どこか既視感を感じています。
しかしこれにより「 」がアーチャー(無銘)だと決まったわけではありません。
※『NPCを扇動し、暴徒化させる能力を持ったアサシン』(ベルク・カッツェ)についての情報を聞きました。
※孝一陣営と同盟を結びました。『聖杯戦争の真相を究明する』という点で協力します。

【ランサー(エリザベート・バートリー)@Fate/EXTRA CCC】
[状態]:ダメージ(大)、魔力消費(大)、疲労(中)
[装備]:監獄城チェイテ
[道具]:なし
[思考・状況]
基本行動方針:岸波白野に協力し、少しでも贖罪を。
1.とりあえず、今は孝一の自宅で休む。
2.白野とともに休息をとる。
3.アサシン(ニンジャスレイヤー/ナラク・ニンジャ)は許さない。
[備考]
※アーチャー(エミヤ)の遠距離狙撃による襲撃を受けましたが、姿は確認できませんでした。
※カフェテラスのサンドイッチを食したことにより、インスピレーションが湧きました。彼女の手料理に何か変化がある……かもしれません。
※なぜかバーサーカー(デッドプール)とはある程度意思疎通できるようです。

973 ウェイバー・ベルベットの憂鬱(何度目) ◆HOMU.DM5Ns :2018/09/19(水) 23:29:59 ID:lIxk.IbY0



【ウェイバー・ベルベット@Fate/zero】
[状態]:魔力消費(極大)、疲労(小)、心労(大)、自分でも理解できない感情(大)
[令呪]:残り二画
[装備]:デッドプール手作りバット
[道具]:仕事道具
[所持金]:通勤に困らない程度
[思考・状況]
基本行動方針:現状把握を優先したい
1.今は何も考えたくない。
2.バーサーカーの対応を最優先でどうにかするが、これ以上令呪を使用するのは……。
3.バーサーカーはやっぱり理解できない。
4.岸波白野に負けた気がする。
[備考]
※勤務先の英会話教室は月海原学園の近くにあります。
※シャア・アズナブルの名前はTVか新聞のどちらかで知っていたようです。
※バーサーカー(デッドプール)の情報により、シャアがマスターだと聞かされましたが半信半疑です。
※一日目の授業を欠勤しました。他のNPCが代わりに授業を行いました。
※ランサー(エリザベート)、アサシン(ニンジャスレイヤー)の能力の一部(パラメータ、一部のスキル)について把握しています。
※アサシン(ベルク・カッツェ)の外見と能力をニンジャスレイヤーから聞きました。
※バーサーカーから『モンスターを倒せば魔力が回復する』と聞きましたが半信半疑です。
※放送を聞き逃しました。


【バーサーカー(デッドプール)@X-MEN】
[状態]:魔力消費(大)
[装備]:日本刀×2、銃火器数点、ライフゲージとスパコンゲージ、その他いろいろ
[道具]:???
[思考・状況]
基本行動方針:一応優勝狙いなんだけどウェイバーたんがなぁー。
0.ツンデレルート突入する?相思相愛じゃないと爆死しちゃうんだよな。この前読んだ。
1.一通り暴れられてとりあえず満足。次もっと派手に暴れるために、今は一応回復に努めるつもり。
2.アサシン(甲賀弦之介)のことは、スキル的に何となく秘密にしておく。
3.あれ? そういやなんか忘れてる気がするけどなんだっけ?
[備考]
※真玉橋孝一組、シャア・アズナブル組、野原しんのすけ組を把握しました。
※『機動戦士ガンダム』のファンらしいですが、真相は不明です。嘘の可能性も。
※作中特定の人物を示唆するような発言をしましたが実際に知っているかどうかは不明です。
※放送を聞き逃しました。
※情報末梢スキルにより、アサシン(甲賀弦之介)に関する情報が消失したことになりました。
これにより、バーサーカーはアサシンに関する記憶を覚えていません………たぶん。

974 ◆HOMU.DM5Ns :2018/09/19(水) 23:30:46 ID:lIxk.IbY0
投下を終了します

975 名無しさん :2018/09/23(日) 19:45:16 ID:gm74LGPM0
投下乙
デップーと波長の合うエリちゃんで吹いた
でも確かに精神汚染だか狂化だか持ってたし会話成立するんだよなあ…

976 名無しさん :2018/09/26(水) 07:39:04 ID:bm1QsFrs0
冒頭からピエロネタパロったりデップーとエリちゃんの会話のドッチボールだったりおっぱいだったり狂気にまみれているw
その中にちょくちょく出てくるシリアスがなんともいい感じの風味を出すスパイスであって
つまりとても面白かったです、投下乙!

977 名無しさん :2018/09/26(水) 23:17:03 ID:TTnFBkdg0
投下乙です

ウェイバー君ロワの舞台で頭脳労働担当の非戦闘員が仲間と喧嘩別れして一人きりは完璧死亡フラグですわ
いくら幸運高くてもピンチやで

978 名無しさん :2018/11/23(金) 16:25:19 ID:TjcphaDc0
ねーちん身体がエロいばっかりに苦労人すぎる…

979 ◆HOMU.DM5Ns :2018/12/02(日) 22:03:54 ID:qCoCSqHg0
突然ですがゲリラ投下です。ご注意ください

980 路地裏ミッドナイト ◆HOMU.DM5Ns :2018/12/02(日) 22:04:53 ID:qCoCSqHg0


二の足ではなくその裏についたホイールを高速で回し、夜の街を鉄塊が走り抜ける。
交通道路の中を移動している、絡繰の巨人スコープドッグ。
4メートル未満のATの姿は大型自動車に取れなくもないが、薄明かりを差し引いても人型の造形を見過ごすのは無理がある。しかしそれを見咎める通行人も今はいない。
この時この場所に限っては、『巨人』が街に現れる程度の事も幻覚と受け止められてしまっていた。
だからこそルリも、そのサーヴァントたるライダー、キリコも顧みず目的地を宝具によって突っ切っていた。


たどり着いたC-6、錯刃大学付近。
双子館の火事を消防に任せ錯刃大学に向かったルリを待っていたのは、またしても炎だった。
炎のような狂乱。炎のような熱狂。
老いも若きも男も女も分け隔てなくドミノ倒しになってごった返す人、人、人の混沌。
ここは欲望と暴力が絡み合うソドムの街。その残滓。

大学付近の通りで突如起きた暴動事件。主張も発端も理由も判然としない、曖昧なままに始まり、曖昧に終わった謎の狂騒の時。
無秩序なままに無軌道に暴れ回るその傾向をルリは既に知っている。
明らかにルリが追っていたサーヴァント、れんげが解き放ったアサシン、ベルク・カッツェの巻いた種による事件だった。
ジナコ・カリギリに変装した時と同様に、聖杯戦争での勝ち筋とは何の関係もない、ただの享楽の一環のための騒乱。
孤児院で数組のマスターとサーヴァントに囲まれた絶体絶命の状況から、れんげの令呪で自由になり、今またこうして徒に被害を拡大させたというわけだ。

一手二手も遅れた形で現場に着いたルリだが、待っていた光景は予想外だった。
肝心要のカッツェの姿は何処にも見えない。住民達はまだ混乱から立ち直ってないが、警察の誘導に従うだけの理性を既に取り戻している。
うっすらと残る興奮の空気も余熱のようなものであり、既にカッツェの支配下からは脱している証だ。
現場に着くなり指示を求めに詰め寄った警官達に話を聞くに、骨折を負った住民はあれど死者が出るまでは至ってないらしい。
解せなかった。確かに多少の騒動にはなったが、街の機能が停止するほどの規模ではない。聖杯戦争にも大した支障が出ることもないだろう。
自由になった形なき悪意の扇動者が、何を目論んで街に出たかと思えば、街の一角を騒がせただけで気が済んだというのだろうか。

疑問はそれだけではない。カッツェを追っていたアンデルセン。さらに貶められたジナコ。
複数のマスターとサーヴァントがこの地に向けて集結していたはずだ。なのに彼らの姿も何処にも見えない。
戦いの結果は。カッツェは討伐されたのか。マスターであるれんげの処遇は。アンデルセン達は。そもそも戦いは起きたのか。
全ては雲散霧消。霞の如く事実は消え去ってしまっていた。

あの時の、春記との戦いは避けられないものだった。巻き込んでしまえば事態の混迷化は避けられなかった。遠ざかって挑戦を受けたのは間違いではない。
けどその間に、ルリがルリの戦争をしていた間に、別の戦争は終わりを迎えていた。

せめて結果どうなっただけは知りたかった。アンデルセン神父と連絡が取れないのがこうなると痛い。
ルリ達より先んじてカッツェを追っていたのだから、何らかの形でぶつかっているはずだ。
カッツェを標的に定めているジナコ・カリギリの音沙汰もない事も不安に拍車をかけた。姿を騙られ暴動の実行犯に仕立て上げられた、あの中で誰よりも恨みは深かろう。
ただし引きこもり的な性質からして目的が済んだらハイさようなら、という線もないではない。

向こうから合流、連絡が来る可能性を憂慮すれば、現場に留まり混乱を収める警察の仕事を請け負わざるを得なかった。
僅かでも情報が手に入るのを期待して受けていたが、結果は虚しいばかりだ。
暴動者の殆どは意識が混濁し自分が何をやったのか、そもそも何故こんな場所にいるのかすら把握してい有様だ。有益な情報が得られる望みは薄い。

981 路地裏ミッドナイト ◆HOMU.DM5Ns :2018/12/02(日) 22:06:06 ID:qCoCSqHg0

情報の収集は無理かと諦めるのと、この場を後にしようと決めるのは同時だった。
既に騒ぎの大部分は鎮まり、これ以上広がらないことも知っている。留まってる理由はもうなかった。

「どうしましたか警視」
「すみませんが、もうここを離れます。後は任せていいですか」

一応傍にいた警官に声をかけておく。いい顔はされないだろうなと思っていたが、警官は意外にも笑顔で快諾してくれた。

「え―――ああ、ハイ、そうですか。わかりました。お疲れ様です!頑張ってくださいね!」
「―――?ええ、はい」

警察署内からのルリの評価であるが、当初のものから印象は徐々に変化を見せていた。
浮き世離れした容貌に最年少のキャリアという目を引く経歴。なのに頻発する怪事件をほっぽり出してフラフラする昼行灯。かと思えばサボるでもなく、いざ動くとなると対応は迅速かつ適格に処理をする。
そしてまた現場をすぐに離れては別の事件に行き当たるのだ。離れの洋館炎上や大学付近の暴動には先んじて到着して指揮を執ったりもしている。
結果、NPCの警官から見たホシノ・ルリ警視とは、『顔に見合わず現場主義、気まぐれに事件を追っては立ち去る、文字通りの妖精警視』といった立ち位置になっていた。
この場を離れるのもまたぞろ新たな事件の匂いを嗅ぎつけたのだろうと受け止め、気分はどうあれ特に不審がることなく納得していた。
……裁定者側のNPCへの意識操作が重なった結果の、知られざる裏の事情であった。


当然ルリ自身がその辺りの経緯を知る由もなく、怪訝に思いながらも。
目的地がない以上闇雲にタクシーは使えない。聖杯戦争絡みとなるとパトカーを借りるのもよくないだろう。
そういえば、自分は車を持っているのだろうか。時代設定的にルリの年齢では自動車は持てない。けれど警察官の職には就いている。
……このあたりの設定は割といい加減のようだ。

「あ」

などと考えたところで、ひとつ遠回しにしていた―――というか念頭にすら入れてなかった問題に思い当たった。

『どうした』
『ライダーさん、私の家ってどこでしょう?』
『行ったこともない場所が分かるほど俺は人間離れしていない』
『ですよね』

アークセルに侵入して一日、ルリは自宅に帰っていない。着いたその足で警察署に向かい今まで仕事していたからだ。
そしてルリは予選期間を飛ばして方舟に入った稀有なる例だ。NPCであった期間もなく従って予選の偽りの日常を過ごした記憶もない。
れんげも、同じように役割がないまま方舟に来たという。経緯でいうと意外なところに共通点があった。
かといって警察のロールが割り当てられてる以上、家なき身ではないとは思う。思いたかった。

『……IDを証明するものは持ってないのか』
『あ、そうでした』

ライダーに指摘されて、警察署のデータベースの存在を思い出す。こんな事にも気づかないなんて、集中力が切れている証拠だ。
ほどなく自分の個人情報から記載されてる住所を見つける。新都方面B-9、番号的にマンションだろう。
とりあえず野宿という事態は避けられそうで安心する。後で裏路地でライダーに宝具を出してもらおうか―――と考えていた途端、

982 路地裏ミッドナイト ◆HOMU.DM5Ns :2018/12/02(日) 22:06:37 ID:qCoCSqHg0


「……っ」

くら、と頭が傾く。不意に訪れた目眩に足が止まった。
肉体が意思の制御を外れる。足が地面と同化して離れようとしないような疲労感。
徹夜くらいどうということもないはずだが、そうしたものとは違う。かたちにないが、自分の中に確かにあったものが欠けている感覚。
今までの戦いのうち、二度あった急激な体調不良。正体を知らぬルリだが原因には察しがついていた。
キリコに眠るブラックボックス。異能生存体。キリコ以外の誰も追いつけはしない、キリコを生かす代償にそれ以外の全てを振り落とす宝具。
神すらも触れ得ざる不死の異能は、マスターすらも置き去りにしていく両刃の凶器だ。
大量の魔力消費、そしてそれに伴う体力の消耗は徐々にルリを疲弊させていた。

『これ以上の深追いは危険だぞ』
「駄目……ですかね」

短くも端的に伝えてくるキリコの言葉。英霊であるキリコは己の因子を知っている。キリコを傍に置いたまま行動するリスクを知っている。
マスターの思考行動に異議を申し立てる事などないが、兵士としてコンディションについてははばからず進言する。
キリコとて聖杯を手にしたいだけの願いがある。このままルリをすり減らせていくのを看過はできなかった。
マスターとしての行動ができなければ元も子もない。それは軍人であるルリも十分わかっていた。
れんげの存在は方舟に関わる重大なファクターだが、そこに固執すれば視野が狭まり、足元の穴を見落としかねない。

れんげは戦う力も意思もない被害者だが、それでもマスターだった。契約したサーヴァントがいて、令呪を持っていた。
子供は大人が考えてるほど何も考えてないわけじゃない。むしろ大人が持つしがらみがない分行動が早い。
れんげは友達のカッツェを助けようと願っていて、自分達は無視していた。その失念が孤児院での失態に繋がった。

きちんと話を聞くべきだった。次はちゃんと聞いてあげたかった。なのに今のルリにはその余裕がなく、れんげに会う手立てもつかない。
春記を脱落させ、アンデルセン達を見失い、最も探しているアキトの存在すら追いつかず……。
巨大な電脳空間とはいえアークセルの内部はだいぶ現実に寄せてある。電子戦では幾つもの並列思考もこなせるのに、この方舟では手が圧倒的に足りなかった。
最適解が得られない焦燥にかられている、そんな時だった。路地裏の曲がり角から光が灯ったのは。

「………も……ぇ……………」
「もえ?」

誰かがいる。おそらく一人。細かな呟きがボソボソと聞こえるがここからでは聞き取れない。
暴動があった付近に隠れた不審な影……無視して素通りしてもいいが今は藁にもすがる思いだ。
ライダーに実体化させ声のした方向へと近づいていく。角を曲がり切った先には、袋を持った何の変哲もない男が壁に向かって話していた。

「駄目だ……声を聞かなくちゃ……いつも俺のするべき事を教えてくれるのに………………でも俺、耐えられねえ……もえが抑えきれねえよ………」

背格好からして青年の男は明らかに正気でなく、後ろで聞いても意味のわからない言葉を誰に向けてでもなく垂れ流している。
どうしたものかとルリは一考するも、ここまで来て何もしないのも意味がないと、声をかけてみた。

「あの、どうし」
「ああ燃え燃えしてええ!!燃え燃えしてえよおおお〜〜〜〜!!」
「ちょっ」

983 路地裏ミッドナイト ◆HOMU.DM5Ns :2018/12/02(日) 22:07:12 ID:qCoCSqHg0


設定された時刻に爆弾が作動したような、炸裂的な衝動だった。至近距離での絶叫にルリの心臓がひときわ大きく跳ねる。顔に出てこないのは性分だ。

「ああ、人たん、人たんがいる!しかもカワイイヤッター!」

男は恍惚としてルリを見つめ興奮を増した。変わったのは表情だけではない。
急に額に上げていた眼鏡を目にかけ、急にシャツをズボンの中に突っ込み、急にバンダナの巻き方を変え、急にニキビを生やした。
手を袋に突っ込み中のものを取り出す。消化器を改造した、簡易的な火炎放射器だった。

「ホントに急なんだ。メラメラ上がる炎がエロカワイク思えてきたんだ。だからおまえをこいつで最高の燃えキャラにしてやっ」

そこで言葉は途切れた。火炎放射器のホースをルリに向けるより先にキリコが、アーマーマグナムの柄で首を打ち付け気絶させたからだ。

「加減はしてある」
「……ありがとうございます」

倒れた男を見下ろして溜め息をつく。また警官に電話しなくてはいけないようだ。
これもカッツェの起こした撹乱の影響だったのだろうか。この男の錯乱ぶりは尋常ではなく、ケーキ屋で起こした事件の映像を監視カメラで見ていたルリだ、男の錯乱ぶりには共通項を感じている。

「マスター、手になにか持ってるようだ」

男の手には確かに携帯端末が握られていた。電源はつけられたままだ。
後ろからは見えなかったが、男の言葉はこの携帯に向けられていたらしい。
拾い上げて画面を見てみる。電話していた相手の番号でも映ってるとも思ったが、簡素なアドレス入力欄があるだけだった。
文字列は打ち込まれてる。

「……」

エンターキーを押す。するとタブレットの画面が切り替わって、










光光光光 光【見ている】光光光光 光光光光光光光光光光 光光光光光光光光光 光光光光光光光光光光光光光光光
光光光光 光光光光光光光光光光光 光光光光光光光光光光 光光光光光光光光光 光【新たな自分を構築せよ】光光
光光光光 光光光光光光光光光光光 光光光光光光光光光   光光光光光光光光 光光光光光光光光光光光光光光光
光光光光 光光光光光光光光光光光 光光光光光光光光光 光 光光光光光光光光 光光光光光光光光光光光光光光光
光光光光 光光光光光光光光光光光 光光光光光光光光光 光 光光光光光光光光 光光光光光光光光光光光光光光光
光光光光 光光光光光光光光光光光 【マスター!】光 光光光 光光光光光光光 光光光光光光光光光光光光光光光
光光光光 光光光光光光光光光光光 光光光光光光光光 光光光 光光光光光光光 光光光光光光光光光光光光光光光
光光光光 光光光光光光光光光光光 光光光光光光光光 光光光 光光光光光光光 光光光光光光光光光光光光光光光
【箱】光 光光光光光光光光光光光 光光光光光光光 光光光光光 光光光光光光 光光光光光光光光光光光光光光光
光光光光             光光光光光光光 光光光光光 光光光光光光 光光光光光光光光光光光光光光光
光光光光 光光光光光光光光光光光 光光光光光光光 光光光光光 光光光光光光 光光光光光光光光光光光【目が】
光光光光 光光光光光光光光光光光 光光光光光光 光光光光光光光 光光光光光 光光光光光光光光光光光光光光光
光光光光 光【四角い箱】光光光光 光光光光光光         光光光光光 光光光光光光光光光光光光光光光
光光光光 光光光光光光光光光光光 光光光光光光 光光光光光光光 光光光光光 光光光光光光光光光光光光光光光
光光光光 光光光光光光光光光光光 光光光光光 光光光光光光光光光 光光光光 光光光光【赤い林檎】光光光光光
光光光光 光光光光光光光光光光光 光光光光光 光光光光光光光光光 光光光光 光光光光光光光光光光光光光光光
光光光光 光光光光光光光光光光光 光光光光光 光光光光光光光光光 光光光光 光【画面を閉じてください!】光
光光光光 光光光光光光光光光光光 光光光光 光光光光光光光光光光光 光光光 光光光光光光光光光光光光光光光
光光光光 光光光光光光光光光光光 光光光光 光光光光光光光光光光光 光光光 光光光光光光光光光光光光光光光
光光光光 光光光光光光光光光光光 光光光光 光光【私の名は】光光光 光光光            光光光光
光光光光光光光光光光光光光光光光光光光光光光光光光光光光光光光光光光光光光光光光光光光光光光光光光光光光光

984 路地裏ミッドナイト ◆HOMU.DM5Ns :2018/12/02(日) 22:08:10 ID:qCoCSqHg0











「!」

脳から乖離していた意識が復帰する。夜の暗さでも視界はやけにクリアだ。
風が肌を刺すように痛い。感覚が必要以上に鋭敏になっている。

「……私、いまどうしてました?」
「その画面を食い入るように見ていた。二秒にも満たなかったが」

ライダーにそう問うルリからは時間の感覚が飛んでいた。瞬きほどの間にも、朝日を眺めるまで長くいたようにも感じる。
電源の堕ちた端末を見下ろす。眼球を突き破り、心の深層にまで差し込んでくるような光を浴びたのを憶えている。

「それで、何があった」
「ハッキングです。人間に対してですから、洗脳と言ったほうがいいかもしれませんけど」

電子上の進入を十八番としているルリには、光の正体が即座に理解できた。
こちらの電脳体……精神に介入し、その意識を改変していく映像、サブリミナルの集合体。プログラムの書き換えを人体データに当てはめて解釈したものだった。

「それに、一瞬ですから断定できませんけど『これ』、理性を無くしてその人の性格を凶暴なものに変えちゃうみたいです。NPCが見たらたちまちさっきみたいに暴れちゃいますよ」
「そんなものを見て平気だったのか」
「私はほら、こういうのは慣れてましたから。ギリギリで遮断できたみたいです」

ぶい、と指でサインを作って問題無いことをアピールする。
事実ハッキング……電子ドラッグの影響を心をくすぐられる程度で済んだのは、電子の妖精と仇名されるだけの調整を受けたルリの能力あったればこそだ。
生前に受けた数多の遺伝的調整、ナノマシン作用とそれを最大まで伸ばす教育を受けたルリのハッキング能力は、受けたハッキングに即座に対応、処理してみせた。

「……オモイカネ、あなたなの?」

心の内にだけ向けるように呼びかける。
長年仕事で付き合ってきた相棒。友人ともいえるプログラム・オモイカネ。ルリへ進入したプログラムに先んじて防衛行動を取ってくれたものかと思ったが、応答は返ってこない。
方舟に入ってからオモイカネと、そしてナデシコCとは依然繋がらないままだ。接続とバックアップこそ保たれてるものの、それ以外の交信は不可能だった。


「―――驚きました。感染者を探していたら、まさか独力で解く相手を見つけるなんて」


だから代わりに聞こえたのは彼ではなく、いつの間にかそこにいた彼女達のものだ。

985 路地裏ミッドナイト ◆HOMU.DM5Ns :2018/12/02(日) 22:08:44 ID:qCoCSqHg0


虚空の中で、淡く明滅する線が閃くのが見えた。
ひらひらと蝶のように、煙のように軽やかに浮く幾重もの糸のカタチが、その者の手首に収まっていくのをルリは視界に収めた。

「―――あなたは」

彼女―――シオン・エルトナム・アトラシアは、銀色の髪の少女を見て、瞬きほどの時間だけ硬直した。
頭の中で星が光るような衝撃。
初めて見た顔なのに驚きがある。
初めて聞いた声に既視感(デジャヴ)が起きる。
演算機として極まっているはずの思考群が、記憶にない情報が脳内に挟まった齟齬に混乱をきたしていた。
それでも―――視線は逸らさず。現実を在るがままに受け入れるようにルリを見ていた。

「あなたは―――?」

ルリもまた、紫の帽子を被った少女を見ていた。
隣にいる人物から放たれる感覚、魔力と呼ばれる要素の塊が目の前にあるとわかるそれは自分のライダーと同様のそれ。
彼がサーヴァントである明らかな証であり、彼女はそのマスターと判断するのは即座に理解できる。
電子上の麻薬(ドラッグ)が尾を引いているのか、互いの視線は交差したままだ。

ルリが方舟に招かれ聖杯戦争が開始してから一日。
初日での出会いと別れを経て、新たな出会いがルリを迎えた。





邂逅は偶然であるが、必然のものでもあった。

狭間に帰られ(食い逃げもされた)ファミレスを出たシオンは気を取り直して捜査を開始した。
分割思考が捉えていた外の喧騒、付近の一角で起きた暴動行動だ。
サーヴァントの仕業であるのは疑いがなく、戦闘に発展するのなら遠巻きに様子を見る方針でいたが、事態はほぼ収束しており争いの残滓を残すのみだった。
宴の後で補足したのは、森の方面へと向かっていく一団。都心に溶けて消えた飛行船。そして最後に残った裁定者。
どこを追うかを各思考で演算し照らし合わせる最中、哨戒中のジョセフが集団のうちとりわけ奇怪な行動に移る暴徒を発見したのだ。
それは、ジョセフが情報収集の名目で実体化して席で飲み交わしていた、錯刃大学に在籍する女生徒だった。
暴れまわる群衆の中で見知った顔を見つけ声をかけたところ、有無を言わさず暴言を吐きながら刃物で襲いかかったのを取り押さえた次第であった。
シオンはその女性にエーテライトを差し込み記憶の精査を試みた。暴動を扇動したサーヴァントの手がかりが得るためだったが、そこで入手した手がかりこそ例のアドレス。
見た人間を洗脳し、犯罪者に仕立て上げるプログラムの存在だった。
使用者の症状とプログラムの効果を観察する事で、シオンは安全にその内容を知る事ができた。
深層意識にある暴力的な衝動を引き出し、それを軸にして別人格を構築する。そしてNPCは重度の中毒症状と同じ状態となり、使用者の意のままと化す仕様だ。

学園に潜む影に並ぶ、新たな脅威の発見だった。
これが裁定者の敷くルール違反になるかは微妙なところだ。
このプログラムの開発者は相当な慎重派だ。洗脳された兵士達は日常を脅かすことのないよう統率されている。
魔術的な暗示よりも高度かつ直接的であるが、現状社会を乱すほどの活動は行っていない。昨今散発する暴力事件を起こすようや迂闊な真似をするとは思えない。
シオンとジョセフが気づけたのは例外―――何らかの原因で制御が乱れた時だっただけの幸運だ。
そうなるとこの暴動にも別の意味が見いだせる。全く無作為の、一般人を暴れさせるだけの無謀な扇動。
それが、この洗脳者を炙り出すための手段だとしたら。
積み重なる演算と検証の途で『彼女』を見つけたのは、その時だ。

986 路地裏ミッドナイト ◆HOMU.DM5Ns :2018/12/02(日) 22:09:10 ID:qCoCSqHg0

警察官に指示を下す。二つに束ねた銀の髪の少女。
その名と顔は知っている。広報でもたまに目にする、最年少警視として注目を集めている人物だ。
指揮を離れ路地裏に潜る行動に、NPCの括りから外れたものを感じ尾行したところ、やはりサーヴァントを実体化させた。
マスターと判明した自体は驚きではない。あれほど目立つ立場では一度視点を止めれば怪しい挙動から推察する事ができる。
真に驚くべきはその後。統制から外れていた感染者と行き合い、プログラムを目にしてしまったたにも関わらず自力で振り解いたのだ。
NPCとマスターのデータの内部構造の差か。霊子ハッカーであるシオンの思考は否定する。あれは自己の演算と展開した防衛論理によって、受けたハッキングを封じていた。
世界観、技術体系の差異を差し引いても驚嘆する演算能力。電子世界への適応力。
協議と解答は瞬時に脳内で出された。ジョセフも快く『賭ける』と即答し、かくしてシオンはビルの闇から身を乗り出した。



「失礼しました。こちらに敵対の意思はありません」
「あ、はい。それはわかります」

そして両者は交渉の段に入っている。
刹那に流れたノイズを振り払い、分割された各々の思考でシオンは相手を分析する。
表情は冷静そのもの。たった今ハッキングを受けたばかりなのに疲弊の様子もない。魔術よりは電子的技術に対応した素養故か。
対話に応じる姿勢を見せつつ適度な緊張感を保っている。交渉事の場数も踏んでるようだ。
シオンが求める相手としては申し分のないパラメータだ。

「自己紹介が遅れました。私はシオン・エルトナム・アトラシア。
 アトラスの錬金術師。あなたと同じく月を目指すため方舟に赴いたマスターです」

ルリにしても、わざわざ姿を見せた以上交戦が目的ではないのはわかりきってる。
もしそうならさっきのルリはまさしく隙だらけだった。キリコがいるのだから容易に背を撃たれる可能性は低かったとはいえ、チャンスだったのには違いない。
奇襲のチャンスを不意にして直接顔を見せた理由。何らかの交渉、情報交換。
そうだとすればルリには渡りに船だ。情報が足りないのはこっちも同じだ。

「ホシノ・ルリです。錬金術師っていうと、石を金に変えるっていう、あれですか」
「それらは異なる発祥の西洋式の錬金術です。魔術の祖ですアトラス院は……といってもおそらくそちらには存在しない名称なのでしょうが」
「すみません。そうしたオカルトとは今まで縁がなくて」

オーバーテクノロジーでなら関わりが深いが、と心中だけで注釈。
異星の文明である点では方舟も同義だが、魔術や英霊となるとまるで門外漢である。

「とにかくシオンさんは魔術師で、方舟が何であるか知った上で参加した、と」
「その言い方ですと、あなたは望まぬ形で招かれた客だと受け取れますが」
「こちらにも事情がありまして」

そこで言葉を切って、今までルリが会って話をしたマスター達の存在を思い出す。
春紀も、れんげも、アンデルセンも。ルリ自身も含めて、皆意図せず方舟に連れてこられた人ばかりだった。
願いの有無はどうあれ、元から方舟の存在を知っていたわけではなかった。
わからないのは美遊・エインズワースだが、"聖杯"について思わせぶりな意見があった。そういった奇跡に関わっているのかもしれない。
そこにきて、魔術師であり、自ら方舟に来たというシオンの言に焦点が当てられる。
知った上で向かったということは、聖杯や方舟について予め知識を揃えてる可能性は高い。
方舟―――アークセルの性質を知った上で、事前の準備をして聖杯戦争に参加したマスター。
魔術の概要すら把握してないルリにとっては欲しい知識ばかりだった。
本気で臨む気であるほどに、その情報の精度には信頼が持てる。今後を生き延びるためもあるし、調査が本命の任務上持ち帰れる情報が大いに越したことはない。

987 路地裏ミッドナイト ◆HOMU.DM5Ns :2018/12/02(日) 22:10:08 ID:qCoCSqHg0


「おーい。話する前にさ。そっちの兄ちゃんの銃引っ込ませてくれないか。こちとら手を上げてるってのにおっかなくて話もできねえよ」

思惑をかき消す声。軽装の男、アーチャーはお手上げ(ホールドアップ)したままおどけた風にしている。
視線の先には銃を抜き狂いなくアーチャーの眉間に照準を合わせているライダーだ。
とっくにルリより先に近づいてきた人物に気づいていたのだろう。染みついた経験値がサーヴァントの気配を捉えた時点で、いつでも発砲できる臨戦態勢に入っている。
撃たないでいるは、こちらを撃つという殺気が放たれてないからと、サーヴァントを警戒してのことだ。

「サーヴァント相手に武器の有無は参考にならんだろう」

ちぇー、とわざとらしく舌を打つ。一見して軽薄で無防備に立っているアーチャーだが、キリコの戦士の眼はその隙を意図的なものと断じた。
撃つ気はないが、撃たれればやり返すぞと。
一瞬で発動できるスキルなのか。あるいは既に罠が設置されているか。袖の下に札を仕込んだペテン師のように。いざとなれば反撃する手筈を整えていると踏んでいた。

「ライダーさん。撃たないでくださいね。降ろさなくてもいいですけど」
「賢明な判断です。そうして油断さえしていなければこちらも助かります」

互いのサーヴァントが牽制し合う抜き差しならない状況。負担を相棒に任せることで、二人のマスターはかえって落ち着き払っていた。

「あ、事情の話に戻りますね。私の場合、他のマスターとは目指すゴールは異なりまして」

簡潔であるがシオンに聖杯戦争に参加させられた経緯を説明する。
目的は方舟の調査。生還を第一にして積極的に優勝を目指す必要はない。
立場・スタンスの表明は相手の指針を決める大事なポイントだ。

「……なるほど、意図せず連れてこられたマスターか。それは盲点でした。
 経緯は違えど私と同様―――いや、聖杯の存在を知らぬまま舟へハッキングをしかけた事からして資質は私より上か。
 よほど魔術師(ウィザード)の適正が優れていたのでしょうね。警視の妖精。その名は伊達ではなかったということですね。やはりこれならば―――繋げる望みはあるか」

計算機に入力した数値を確かめるように呟いている。
設定の通り名を知られてるあたり、以前からある程度マークはされていたらしい。警官という役職も考えものだ。

「窺いますがホシノ・ルリ。この聖杯戦争が始まってから一日が経過しますが、目標に進展はありましたか」

何か考えを決めたようなシオンから、そんなことを問いかけられた。
方舟を脱出するのための方法。方舟に関する情報の収集。
皆無では無い。しかし遅々として進まないまま方策が見えないでいる。ルリは素直に首を振るしかなかった。

「こちらも同じです。情報の回収であれ、脅威への対処であれ、お互い手が足りないと痛感してるはず。それを隠さず開示したということは、多少粗が出るとしても膠着の打開を目指していたのでは」

988 路地裏ミッドナイト ◆HOMU.DM5Ns :2018/12/02(日) 22:10:37 ID:qCoCSqHg0


指摘は正鵠を射ていた。
役割の枷と襲撃は常に前に障害となって立ち塞がる。望まなくても戦いに巻き込まれるのが戦争だ。自分達のように穏健に済ませるのは少数派に違いない。
マスターは他のマスターにとって敵でしかない。補足されれば、戦わざるを得ない立場だ。
戦い自体を忌避するわけではないとはいえ。それで撃ち返して本末転倒になっては仕様がない。戦いも勝利も目的ではないのだから。

「情報交換の重要性は語るまでもありません。ですが私達の場合、そこから一歩踏み込んだ関係を求めています。
 私には提供できる術がある。そしてあなたには対処できるだけの腕がある。ふたつを合わせればこの街に潜む脅威に対抗し、あなたの目的にも近づける。
 互いが生存の道を開くためにも―――私はあなたが欲しい」

数値が足りなければ他から足すか、自ら生み出すという、合理的で単純な計算。
……聞くものが聞けば、顔から火が出そうな言葉を至極真面目な表情でルリに告げた。
シオンとしては、狭間との交渉に失敗からの反省を活かした言葉選びだったのだが。後ろのアーチャーはなぜ渋い面でいるのかとでも言いたげな反応だ。

一方ルリは惑うことなくシオンの申し出について思考する。
第二の同盟。新たな協力者。メリットはハッキリと見せてくれた。
どれもルリにとって旨味となる情報。生還と報告を目指すルリに必要不可欠になるカード。

「わかりました。こちらも切羽詰まってましたので、お話まででしたら喜んで受けます」

答えは早かった。可能性があるなら断る理由もない。
最悪決裂に至ろうとも、情報について一片でも掴めれば足がかりになるはずだ。

「けど、路地裏だとちょっと話しづらいですね。場所を変えてもいいですか?」
「無論です。それと情報交換について、ひとつだけ条件を提示させてもいいでしょうか」

ルリは小さく頷いて先を促す。シオンは生真面目な表情を崩さずに。


「今晩―――泊まる宿を、貸してもらえないでしょうか」


今度は流石に、予想だにしなかった要求だった。
平然としているシオンからどことなく逼迫した雰囲気が生じてるような気がして、冗談の類でないと感じた。
どうするかとキリコの方を向いても憮然とした表情で見るだけだ。こちらの意思に任せるということらしい。

「ええと―――はい、それくらいなら」

詳しく話を聞くためにも、家に戻るという選択肢はアリである。一度も自宅を見ていないというのはそれも後々になって困るかもしれない。安全に身を休める場所の確保は必要事項だ。

そう了承すると、会心の成果を得たかのようにアーチャーが後ろでヨッシャーと両手を上に伸ばした。シオンすら顔を隠して小さくガッツポーズをしていた。
……聖杯戦争では家なき子の役割(ロール)が多いのだろうか。などと、逸れたことを思うルリだった。

989 路地裏ミッドナイト ◆HOMU.DM5Ns :2018/12/02(日) 22:12:42 ID:qCoCSqHg0

[C-6/南部/二日目 未明]

【ホシノ・ルリ@機動戦艦ナデシコ〜The prince of darkness】
[状態]:魔力消費(極大)、消耗
[令呪]:残り三画
[装備]:警官の制服
[道具]:ペイカード、地図、ゼリー食料・栄養ドリンクを複数、携帯電話、カッツェ・アーカード・ジョンスの人物画コピー
[所持金]:富豪レベル(カード払いのみ)
[思考・状況]
基本行動方針:『方舟』の調査。
0.自宅に戻り休息を。
1.アキトを探す為に……?
2.シオンから話を聞く。
2.カッツェたちに起こった状況を知りたい。
3.『方舟』から外へ情報を発する方法が無いかを調査
4.優勝以外で脱出する方法の調査
5.聖杯戦争の調査
6.聖杯戦争の現状の調査
7.B-4にはできるだけ近づかないでおく。
8.れんげの存在についてルーラーに確認したい。
[備考]
※ランサー(佐倉杏子)のパラメーターを確認済。寒河江春紀をマスターだと認識しました。
※NPC時代の職は警察官でした。階級は警視。
※ジナコ・カリギリ(ベルク・カッツェの変装)の容姿を確認済み。ただしカッツェの変装を疑っています。
※美遊陣営の容姿、バーサーカーのパラメータを確認し、危険人物と認識しました。
※宮内れんげをマスターだと認識しました。カッツェの変身能力をある程度把握しました。
※寒河江春紀の携帯電話番号を交換しました。
※ジョンス・アーカード・カッツェの外見を宮内れんげの絵によって確認しています。
※アンデルセン・ランサー組と情報交換した上で休戦しました。早苗やアキトのこともある程度聞いています。
※警視としての職務に戻った為、警察からの不信感が和らぎましたが
 再度、不信な行動を取った場合、ルリの警視としての立場が危うくなるかもしれません。
 →評価が少し修正されました。よほど無茶をしない限りは不信が増すことはないでしょう。


【ライダー(キリコ・キュービィー)@装甲騎兵ボトムズ】
[状態]:負傷回復済
[装備]:アーマーマグナム
[道具]:無し
[思考・状況]
基本行動方針:フィアナと再会したいが、基本的にはホシノ・ルリの命令に従う。
1.ホシノ・ルリの護衛。
2.子供、か。
[備考]
※無し。

[共通備考]
※一日目・午後以降に発生した事件をある程度把握しました。
※B-3で発生した事件にはアーチャーのサーヴァントが関与していると推測しています。
※B-4で発生した暴動の渦中にいる野原一家が聖杯戦争に関係あると見て注目しています。
※図書館周辺でサーヴァントによる戦闘が行われたことを把握しました。
※行方不明とされている足立がマスターではないかと推測しています。警察に足立の情報を依頼しています。
※刑事たちを襲撃したのはジナコのサーヴァントであると推測しています。
※ルリの自宅はB-9方目のマンションです。
※電子ドラッグの存在を把握しました。

990 路地裏ミッドナイト ◆HOMU.DM5Ns :2018/12/02(日) 22:13:06 ID:qCoCSqHg0



【シオン・エルトナム・アトラシア@MELTY BLOOD】
[状態]アーチャーとエーテライトで接続。色替えエーテライトで令呪を隠蔽
[令呪]残り三画
[装備]エーテライト、バレルレプリカ
[道具]ボストンバッグ(学園制服、日用必需品、防災用具)
[所持金]豊富(ただし研究費で大分浪費中)カードと現金で所持
[思考・状況]
基本行動方針:方舟の調査。その可能性/危険性を見極める。並行して吸血鬼化の治療法を模索する。
1.明日、学園のサーヴァントを打倒する
2.ルリ陣営と協力。情報を提供する。
3.情報整理を継続。コードキャストを完成させる。
4.方舟の内部調査。中枢系との接触手段を探す。
5.街に潜む洗脳能力を持った敵を警戒。
6.学園に潜むサーヴァントたちを警戒。銀"のランサーと"蟲"のキャスター、アンノウンを要警戒。
7.展開次第では接触してきた教師と連絡を取ることも考える。
[備考]
※月見原学園ではエジプトからの留学生という設定。
※アーチャーの単独行動スキルを使用中でも、エーテライトで繋がっていれば情報のやり取りは可能です。
※マップ外は「無限の距離」による概念防壁(404光年)が敷かれています。通常の手段での脱出はまず不可能でしょう。
 シオンは優勝者にのみ許される中枢に通じる通路があると予測しています。
※「サティポロジァビートルの腸三万匹分」を仕入れました。研究目的ということで一応は怪しまれてないようです。
※セイバー(オルステッド)及びキャスター(シアン)、ランサー(セルべリア)、ランサー(杏子)、ライダー(鏡子)のステータスを確認しました。
※キャスター(シアン)に差し込んだエーテライトが気付かれていないことを知りました。
※「サティポロジァビートルの腸」に至り得る情報を可能な限り抹消しました。
※黒髪の若い教師(NPC、ヴォルデモートが洗脳済み)の連絡先を入手しました。現時点ではマスターだと考えています。
 これに伴いケイネスへの疑心が僅かながら低下しています。
※キャスター(シアン)とランサー(セルベリア)が同盟を組んでいる可能性が高いと推測しています。
※分割思考を使用し、キャスター(ヴォルデモート)が『真名を秘匿するスキル、ないし宝具』を持っていると知りました。
 それ以上の考察をしようとすると、分割思考に多大な負荷がかかります。
※狭間についての情報は学園での伝聞程度です。
※電子ドラッグの存在を把握しました。


【アーチャー(ジョセフ・ジョースター)@ジョジョの奇妙な冒険】
[状態]シオンとエーテライトに接続。
[装備]現代風の服、シオンからのお小遣い
[道具]
[思考・状況]
基本行動方針:「シオンは守る」「方舟を調査する」、「両方」やらなくっちゃあならないってのが「サーヴァント」のつらいところだぜ。
0.宿ゲットォォォ〜〜〜〜!
1.学園、行くかねぇ
2.裏で動く連中の牽制に、学園では表だって動く。
3.夜の新都で情報収集。でもちょっとぐらいハメ外しちゃってもイイよね?
4.エーテライトはもう勘弁しちくり〜!でも今回は助かった……。
[備考]
※予選日から街中を遊び歩いています。NPC達とも直に交流し情報を得ているようです。
※暁美ほむら(名前は知らない)が校門をくぐる際の不審な動きを目撃しました。
※黒髪の若い教師(NPC、ヴォルデモートが洗脳済み)を確認。現時点ではマスターだと考えています。

991 ◆HOMU.DM5Ns :2018/12/02(日) 22:15:35 ID:qCoCSqHg0
投下を終了します。次の投下は新スレになると思われますので埋めを

992 名無しさん :2018/12/03(月) 16:46:29 ID:v/fDs8js0
投下乙です!
スタンスが非常に近い頭脳派の二人が邂逅しましたか
対聖杯の参加者も増えてきましたが、彼女たちはどういった切り口から事態の打開を目指すのか楽しみです

ただ一つ気になったことが
指名手配にまで発展しているアキトの事件が未だにルリの耳に入っていないのは不自然ではないでしょうか
短時間とはいえ警官を指揮してカッツェさんの起こした事件の事後処理にあたっていた以上、別のエリアで起きた事件についても速やかに情報が入ってきて然るべきだと思います
事件そのものは新都で起きていても、警察からすれば犯人が深山町に逃げ込む可能性も考慮し得るわけですし

993 ◆HOMU.DM5Ns :2018/12/03(月) 22:22:22 ID:hjXoZ45A0
>>992
感想ありがとうございます。例えひとつでも読んだ方からの言葉は今後の励みになります

ご指摘について。直接事件に関わってない件まで全てを明かす必要もないとの判断から割愛しましたが、問題のようでしたら『アキトの報を知り、即座に捜そうと現場を後にする』よう描写をwikiにて追加しようと思います。今暫くお待ち下さい

994 ◆HOMU.DM5Ns :2018/12/05(水) 23:29:43 ID:wK.tCNVw0
主に>>980-981の部分を修正加筆しました。その他微修正を加えてwikiに載せます


向こうから合流、連絡が来る可能性を憂慮すれば、現場に留まり混乱を収める警察の仕事を請け負わざるを得なかった。
僅かでも情報が手に入るのを期待して受けていたが、暴動者の殆どは意識が混濁し自分が何をやったのか、そもそも何故こんな場所にいるのかすら把握してい有様だ。
有益な情報が得られる望みは薄いと見ていたルリだが、予想外の方向から思わぬ知らせが舞い込んできた。
B-9地区の女児銃撃及び警官殺害事件。カッツェの騒動と前後して起きたという事件を、ルリがいると聞きつけた他所の警官が報せに来たのだ。
優先順位の話として出来れば聞き流したかったルリだが、無事だった警官が見た犯人―――黒ずくめの服装にバイザーをつけた男という、既視感のありすぎる容姿に目が眩んだ。

つい、昔の口癖が衝いて出そうになったのを、たっぷり時間をかけて堪えた。

「………………何をやってるんですか、あのひとは」

白昼堂々でないとはいえNPCの警官の殺傷を、裁定者の沙汰に及ぶ凶行をテンカワ・アキトが行った。
俄には信じがたい事実だった。確かにかつてのアキトは復讐鬼であり、奪われた怒りを原動力に破壊を繰り返した。
だがそれは復讐対象に追いすがる過程であり、既に本懐を果たした彼には不要の動機だ。
ましてやこんなあからさまに目立つ真似をする必要がどこにもない。メリットがまるで釣り合わない。
何者かに嵌められたか。ジナコの例を知っているがため、そう推理するのは自然の成り行きだった。
既に騒ぎの大部分は鎮まり、広がらないことも知っている。留まってる理由はもうなかった。

995 名無しさん :2018/12/15(土) 05:58:38 ID:liBTthao0
身内のルリルリにまで呆れられるアキトさんェ……

996 名無しさん :2019/01/06(日) 16:28:15 ID:HeklxaFY0
ttps://jbbs.shitaraba.net/bbs/read.cgi/otaku/14759/1546759518/

新スレ立てました

997 名無しさん :2019/01/09(水) 06:09:36 ID:TTKKUmXU0
埋め

998 ◆HOMU.DM5Ns :2019/03/19(火) 22:56:27 ID:Xor2rcEM0
さぱっと埋める

999 ◆HOMU.DM5Ns :2019/03/19(火) 22:56:40 ID:Xor2rcEM0
てっとりばやく埋める

1000 ◆HOMU.DM5Ns :2019/03/19(火) 22:56:52 ID:Xor2rcEM0
うめ




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