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変身ロワイアルその6
851
:
80 YEARS AFTER(4)
◆gry038wOvE
:2018/02/20(火) 02:49:05 ID:gooP8PFs0
それからどれだけ彷徨っても、おれは仲間を見つける事はできず、孤独のままだった。
気づけば、また元の島に戻っていた。手ごたえのない旅を徒労に感じ始めたおれは、別の島に行くのをやめた。
またそれから、毎日、島から出る事もなくつまらない日々を暮らし、戦う相手もしないのに頭の中だけで修行し、おれは、誰かが来るのを待つ事にした。
毎日毎日、ずっと同じ事を考えていた。
彼らもここにいないという事は――左翔太郎や、涼邑零や、高町ヴィヴィオや、蒼乃美希や、佐倉杏子や、孤門一輝や、花咲つぼみは――元の世界に帰れたのだろうか。涼村暁はどうなったのだろう。
彼らは、帰れたとして、その先が救えたのか、そこから先のあの管理世界は終わり、今度こそベリアルとの決着がついていたのか――そんな不安を持ちながら、きっと勝てたと信じ、彼らが助けてくれるのを待った。
だが、来ることはなかった。
もしかしたら、おれは死んだのかと思われているのかもしれない。
おれたちだけが、ふたりで、迷子でここにいた。
そして――クロスミラージュも、ある時に動かなくなった。どれだけ言葉をかけても返ってこなくなり、おれはクロスミラージュも埋めた。
おれだけが、ひとり、迷子になった。
それから、またずっと、長い孤独だった。時間はいつしか数えていない。ある時から、どう流れても一緒だった。いま何十年なのか――百年は経っていないと思う。
その間中、ずっと、誰かの支給品だったらしい、このオルゴール箱はおれの心を癒してくれた……。
悲しみに潰れそうな夜に聞くと、おれは壊れ行く心をなんとか維持できるようになった。
それだけはなんとか、今日まで壊れる事なくおれの傍にあり続けてくれた。
……そうだ。おれは、あいつらと一緒にその先の未来で過ごす事はできなかった。
ただ、ある時、ある予知の力と、いくつかの情報がおれの頭に過った。
それはダークザギが得た情報と能力だった。一度だけ仲間とともにウルトラマンノアと融合して戦った事や、ニア・スペースビーストを倒し続けた事によっておれも潜在的にその力が覚醒していたのだった。
バカなおれが、ニア・スペースビーストなんていう言葉を作り出せたのも、ノアやザギの情報によるものだ。
そして、ちょっとした予知の能力を得られたおれは、それから十年間、今日だけを待った。
誰かが来る。おれを殺しに来る。
だが、おれはそいつらを撃退する。
――そして、おれは願いを叶える。
おれはその願いを叶える時の事を、ずっと考えていた……。
この永遠の中で――ずっと、何度思い描いた事か……。
たとえば、あの殺し合いがなかった事にしたい……。
おれはずっと、何度も、そう思い続けていた。
願えば、きっと、おれのこの苦難の時間も忘れ去れさせるだろう。
だが、ひとつどうしても考えてしまう事がある。
最後の一人が願いを叶えるという事は――おれしかいなくなるという事だった。
「――――つぼみ。おまえはまだ、生きているんだよな……。どういう風に……どこで、どういう未来を生きたんだ……? なあ……おれが終わるとしても、世界が終わるとしても、どっちだとしても、せめて……おまえが生きているっていうのなら、おれはおまえと会いたい。おれにとっては、ここで出会った一番の友達だって、おれは――――」
言葉を忘れない為に、おれは時折こうして空に言葉を投げかける。言葉が形を保っている自信は、あまりない。それでも、おれはかつての言葉を思い出した。
おれは、つぼみがかつておれにくれた、花の形のヘアゴムを眺めていた。
あの時身に着けていたこいつも、エターナルメモリの力でおれ同様に、朽ち果てる事なく長い時間を寄り添ってくれている。
つぼみ以外の全員が死んだ事を、おれは悟っている。
そして……。
【残り2名】
◆
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