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中学生バトルロワイアル part6

628 ◆7VvSZc3DiQ:2016/11/03(木) 23:01:48 ID:ju7RNNqk0
エヴァンゲリオンパイロットでなければ知り得なかったはずの世界。そこには多くの思惑と策謀と暗躍があった。世界を揺るがす秘密があった。
各々の目的のために動く大人たちの行いに子どもたちは振り回され、傷つけられた。それはけっして、「優しい世界」だなんて言えないものだった。
その中でアスカは、辛酸を舐めながら生き抜いてきたのだ。自分の価値を守るために。己の意味を見つけるために。

「不幸自慢なんて趣味じゃないからやらないけどね。あたしが生きてきた世界だって、アンタには想像もつかない世界だったってことよ!
 あたしはそこで、強くなきゃいけなかった! 弱さなんて誰にも見せられなかった! 他の誰でもなく、あたしが、あたしであるためにッ!
 だから――自分の弱さを正当化するために他人を言い訳の道具にして、ガキの癇癪を叫び散らすばっかりのアンタみたいなヤツに、あたしは、負けらんないのよ!」

アスカが否定したのは、御手洗の弱さだった。いや、正確に言えば、弱さを理由に身勝手な正義を振りかざして自らの矮小さを誤魔化そうとする、その在り方だった。
弱さを他者に見せないように隠すでもなく、それも己の一部なのだと受入れることもせず。弱くて何も持っていない自分は、虐げられる自分は悪ではなく正義の側にいるのだと主張して。
それが甘えでなくて、なんだというのだ。認めない。受け入れない。初春飾利ならばそんな御手洗清志さえも救済の対象としたかもしれないが、式波・アスカ・ラングレーは違う。
御手洗が己を改めるつもりがないのならば、アスカの全身全霊をもって御手洗清志という存在を否定する。それが、アスカの中に残るプライドが出した答えだった。

「五月蠅い……五月蠅い五月蠅い五月蠅いッ!」

御手洗の怒号と共に、水兵が再び動き始める。水兵が掴んだのは、フードコートに散らばる無数の椅子。
二体の水兵がそれぞれアスカと初春に狙いをつけ、椅子を力任せに投擲する。

「――カザリっ! 避けなさい!」

初春の能力が無効化できるのは、あくまで御手洗の領域能力のみ。水兵の投擲によってもたらされる物理的ダメージに対して、初春は無力だ。
水兵が投げつけた椅子が初春の小柄な身体にぶつかる寸前、初春は身体をよじってすんでのところで回避。
転がる初春のもとへ駆けつけたアスカが、初春の手を握り物陰へと強引に引っ張り込んだ。そのまま姿勢を低くして、御手洗から隠れるように場所を変えていく。
水兵を操るには御手洗の目視が必要だということはわかっている。暗闇に紛れてしまえば、ある程度の時間稼ぎにはなるだろう。

「カザリ、大丈夫?」
「ええ、どうにか。式波さんこそ、傷のほうは……」
「このぐらいなら、まぁなんとかね。多少の無茶は承知の上よ。とにかく今は、アンタがあたしたちの生命線なんだからしっかり自覚すること! 分かった?」
「……はい!」

続いてアスカは、初春に彼女の能力について詳細を尋ねた。初春にとっても急激に成長・進化した『定温保存』については未知数の部分も多かったが、ここまでの経験と己の感覚から得た情報をアスカと共有する。
基本的には「手のひらで触れた物体の温度を操作する」能力であり、「温度変化に必要な分子操作を応用することで水流のベクトルを変化させる」こともできる。
しかし御手洗のように水を自由自在に操作するほどの応用力はなく、せいぜい一方向に向かって液体を爆散させるのが関の山。それだって攻撃手段に使えるほどの強度にはならない。


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