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新西尾維新バトルロワイアルpart6

747非通知の独解 ◆wUZst.K6uE:2017/11/04(土) 22:53:43 ID:hznMXV2k0
 
8枚。つまりは8人の死者の映像。
うち5人については、さっきの放送の内容が正しければすでに割れている。戦場ヶ原ひたぎ、宗像形、黒神めだか、そして人識が殺した真庭鳳凰と供犠創貴。
つまり放送をまたいで3人、新たな死者が出ているということになる。
ちょうど3人、という数字にはもはや悪意すら感じてしまう。このDVD自体、悪意以外の何物でもないという話だけれど。
本来なら伊織さんたちが入手する手筈だったこのDVDで伊織さんたちの生死を確認するというのは皮肉もいいところだが、見ないわけにはいかない。もしそこに水倉りすかが映っていたとしたら、それは重要な情報だ。

玖渚さんたちの遺志を継ぐために。


「……いや、だから『遺志』はまだ早いって」


どうにもさっきから、死を前提に考えすぎている節がある。
こんな非常時であることを思えば、仕方がないといえば仕方がないことだが。


それとも、僕はもともとこうだっただろうか。
誰かの死を、こうも簡単に受け入れる人間。
自分が殺したときは、ああも取り乱していた癖に。


ともかく事実の把握が先決だ。安全が確保できるような場所に着き次第、DVDを再生してみよう。幸いというか、手持ちの支給品にはノートパソコンがある。再生するための機材を探す必要はない。

……仮に、玖渚さんが本当に脱落してしまったとしたら、この殺し合いの打破を試みようとしている僕たちにとっては相当な痛手だ。彼女の機械工学の知識とスキルは常人の域をはるかに超えている。
すでにある程度首輪の解析は進んでいるらしいが、その解析結果さえ、玖渚さん以外の者に理解するのは容易じゃないだろう。僕が聞いたとしても、用語の意味すら理解不能に違いない。
『死線の蒼(デッドブルー)』。
凡人たる僕たちには、越えることすら許されない一線。
その玖渚さんでさえ一筋縄ではいかないこの首輪を解除することが、彼女なしにはたして可能なのだろうか?

あるいは、すでにいるのか。

何らかの方法で、首輪の解除に成功した者が。

もし僕が今、この首輪を外すことができたらどうするだろう。首輪さえなくなれば、今しがた僕がいた場所ももはや禁止エリアとしての脅威はない。どころか、この空間からの脱出も可能かもしれない。
ただし玖渚さんはこの空間を『非現実の閉鎖空間』と仮定していた。それが的を得ていたとしたら、首輪を外しただけでは脱出は不可能だろう。どうしても主催サイドへのアプローチが不可欠になる。
空を見上げる。時間はもはや夜より朝の領域に入っている。月はもう隠れて見えないが、次の夜もまた満月なのだろうか。

繰り返す満月。

閉鎖空間。

脱出不可能の非現実。

ふざけている。しかし、すべてはいま起こっていることだ。

首輪にそっと触れてみる。これひとつ外すだけでも、すでに四苦八苦の様相だ。ここから脱出することなど、僕たちの力だけでできるものなのか……?



「だったら、いっそのこと――」















――優勝を、狙ってみるか?















どくん。

心臓が妙な感覚を訴える。

風が頬を撫でつけ、その感触がいっそう肌を粟立てさせる。薄闇の中、ヘッドライトが照らす景色が妙にゆっくり流れていくのを、どこか他人事のように見ていた。


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