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ニコニコ動画バトルロワイアルγsm3

67 ◆czaE8Nntlw:2013/06/20(木) 21:00:01 ID:qZ0/4aSE0



「ハァ、ハァ…ここまで来れば何とか…」
「大丈夫ですか?勝治くん」

息を切らしながら走り続けた勝治とシャロ。
何時の間にかあたりの地面は傾斜を持ち始めている。どうやら山に近づいているらしい。
周囲に人気は全く無い。

「もう…大丈夫みたいだ。少し休憩しようか」
「ええ、でも、私より勝治くんの方が…」
「はは……大丈夫、だよ。権兵衛さんと、約束したからね。シャーロックちゃんを守る、って……」

勝治は立木に身体を預けて、乾いた笑いを浮かべる。
その顔色は生者と思えないほどに白く。

「どう見ても大丈夫じゃないですよ!こうなれば秘伝の風邪薬で…」
「…………」
「…勝治くん?」

勝治は立木にもたれたまま、眠るように────死んでいた。


【松岡勝治@人造昆虫カブトボーグV×V】 死亡


「勝治くん!勝治くん!しっかりして下さい!!勝治くん!!」

勝治は死んだ。
だがまだ助かるかも知れない。ここで勝治を見捨てる訳にはいかない。
助けを呼ばなくてはならない。シャロはデイバッグの中にある支給品に手を伸ばす。
拡声器。
これを使えば助けは呼べる。どこにいるか分からないアルセーヌやリュウセイと連絡が取れるかもしれない。
だが、同時にオリーブ男のような危険人物も寄ってくるだろう。
どうすればいいのだろう。勝治を助ける事を優先すべきか、自分の安全を優先すべきか。
逡巡するシャロの耳へ、一つの声が響いた。
声というには少し荒々し過ぎる、獣の遠吠え。
シャロとて探偵の端くれである。その遠吠えを誰が発したのか、発した人物がどうなったか、容易に想像できた。
空気を切り裂いてその声を響かせる絶叫。それはやがて弱々しく変化して、やがて何も聞こえなくなった。
だがその咆哮に込められた意味と志は、縮こまっていたシャロの勇気を奮い立たせるには充分なものだった。

少しだけ震える手で、持ち手をしっかりと握り締め、その先端を虚空へと向ける。
キィン、というハウリングの音が辺りへ響いた。
もう迷っている時間は無い。シャーロックは覚悟を決め、空気を大きく吸い込む。
そして、ありったけの声量を拡声器に通した。

「────アルセーヌさん、リュウセイ君、聞こえますか?他の誰でもいい、これを聞いている人は助けて下さい!私の仲間が死にそうなんです!!」

その声は空気を振動させながら、辺り一面へとシャーロックの存在を宣伝していく。
この行為がどの様な結果を招くのかは分からない。
だがシャロはその全ての結果を受け入れようと、そう思っていた。



◆◆◆


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