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オールジャンルバトルロワイアル6

108 ◆.pKwLKR4oQ:2014/07/15(火) 18:36:31 ID:3YwIrQAw0
『吊り橋効果』という言葉がある。
異性と二人で危険な状況に陥ると恋が芽生える可能性が高くなるというものだ。
不安定な吊り橋の上のような危険な場でのドキドキと恋のドキドキの勘違いによる現象と言われている。
その効果は人によって様々だが、あながち出鱈目というわけでもない。
となると、殺し合いという究極の危険な状況を異性と二人で共に行動し続けると恋が芽生えるのかもしれない。

ここに殺し合いの場において誕生した一組のカップルがいる。
修羅の国の羅将であるゼロ(ハン)と有閑倶楽部の一員である黄桜可憐。
伝説の木の下で生まれたこのカップルは普通のカップルではない。
二人はお互いに約束を交わしていた。
ゼロは可憐が妻である限り可憐を殺さないと、可憐は夫たるゼロの意思に背いたら即座に殺されると、お互いに約束した。
しかも可憐は隙を見てゼロを殺そうと虎視眈々と機会を窺い、ゼロもまたその野心を知った上で行動を共にしている。
さらにカップル成立の瞬間は生きるか死ぬかの瀬戸際という曰く付きだ。
一般的なカップルと比べると、あまりに歪すぎる関係と言わざるを得ない。
だが命の瀬戸際の判断とは言え、可憐はそれで納得したつもりだった。
自分の心の中に渦巻く様々な感情に蓋をして。

そんな可憐が二回目の放送を耳にしたのは他の参加者を探して西に向かっていた途中だった。

「うぅ……ぁ、くっ……」

秋山深一。
その名前が呼ばれる事は知っていた。
なにしろ自らの手で殺した嘘付きの名前だ。
自分が初めて殺した者の名を可憐は一生忘れないと思った。

アルフレッド。
その名前も呼ばれる事は知っていた。
一緒にいた時間は短くとも、目の前で突然死んだ光景は今も目に焼き付いている。

この二人の名前が呼ばれる事は予想していた。
だが可憐の知る名前はそれだけではなかった。

「ミンウさん……」

最初勘違いで襲い掛かったにもかかわらず親身になって接してくれた魔導師ミンウ。
その名前もまた同じように告げられた。
ジェレミアに襲撃されたせいで離れ離れになってしまっていたが、運が良ければ再会できると思っていた。
だが結局森の中を見回ってくると言った後ろ姿がミンウを見た最後になってしまった。
それに加えてアルフレッドが言っていたテリー・ボガードの名前もあったが、その4人の名前よりも衝撃的な名前があった。

「悠里、ウソでしょ……」

可憐と同じく有閑倶楽部の仲間である剣菱悠里。
大財閥のお嬢様だと言うのに常に食い気優先でガサツな男勝り。
超人的な体力と運動神経を持つ一方で、勉強は全くダメなある意味野生児。
そんな悠里でさえも可憐の知らないところで死んでいった。
秋山とアルフレッドと違って可憐はミンウや悠里の死体を目にしたわけではない。
だが放送で名前が告げられたという事は既にこの世にはいないという事だ。

「悠里、が……死、んだ……」

呆然とする頭の中で悠里との思い出が次々と湧いてきた。
そのどれもこれも鮮明でまるで昨日の事のように思い出せた。
同時に有閑倶楽部の思い出もいくつも頭をよぎっていった。
そしてなぜか今の可憐にとってその記憶はどれも眩しすぎるように感じた。
ここに来て半日ぐらいしか経っていないのに、どれもひどく懐かしいとさえ思えた。


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