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リョナゲ製作所バトルロワイアル本編投下スレ(避難所)その1

6『トカゲと神子と無職 その5』 289:2011/02/20(日) 16:21:36

リザードマンは金髪の女性……レアを見つけ、喜んで飛び掛ろうとした。
だが、リザードマンはレアの構える双刀を見た途端、顔色を変える。

彼の脳裏に、忌まわしい記憶が蘇った。


数日前のことである。
リザードマンの棲みかにやってきた可愛い神官の少女。

一目でその少女を気に入った彼と仲間たちは、その少女に一斉に襲い掛かった。
だが、次の瞬間には仲間たちはバラバラになっていた。

唯一生き残った彼は、その神官少女から一目散に逃げ出した。
神官の少女のことは名残惜しかったが、全ては命あってのモノダネなのだ。
そう自分に言い聞かせ、彼はその場を逃げ去ったのだ。


……レアの持つ双刀は、そのときの神官の少女が持っていた双刀と
全く同じものだった。

リザードマンの本能が警告を鳴らす。


駄目だ、あれに逆らってはいけない!


そして、彼はその本能に従い、レアの前で急停止した。

「……?」

そんなリザードマンに訝しげな目を向けるレア。
だが、リザードマンはそんなことはおかまいなしに、

「友好条約!」
「……?」

リザードマンが両手をあげ、足を交互に上げ下ろしをしてステップを刻む。
まるで踊っているかのようだが、実に滑稽である。

「……何のつもり?」
「親愛朋友!」

レアが訝しげな反応を示すと、なんとかコミュニケーションを
取ろうと理解不能な言語で喋りながら腕を大きく広げて見せたり、
バタバタ動かしたりし始めた。

「…………」

レアはそれを見て、少なくともこのモンスターが
敵対的でないことだけは理解できた。

と、そこでようやくレアはリザードマンの首にも
自分と同じ首輪が着いていることに気がついた。

「……まさか、貴方はモンスターじゃなくて殺し合いの参加者なの?」
「同意肯定!」

レアの言葉に、こくこくと頷くリザードマン。
しばし考えたレアだったが、溜息を吐いてリザードマンに告げる。

「……たとえモンスターといえど、害意の無い者を傷つけることは
 できないわ。見逃してあげるから、この場を去りなさい」

レアの言葉に、リザードマンはこくこくと頷き、その場から立ち去ろうとする。

だが、そのとき、レアはふと思った。

(……ちょっと待ってよ?もし、このモンスターが
 実は猫を被っているだけで、本性は凶悪な魔物だったら?)

もし、そうだとしたら。
レアは他の参加者を襲うかもしれないモンスターを
野放しにしてしまうことになる。

「……待ちなさい」
「っ!?」

レアの呼び止める声にびくっと肩を震わせ、リザードマンは恐る恐る振り返る。

「貴方、やっぱり私と一緒に行動しなさい」
「!?……意味不明!?」
「悪いけど、モンスターである貴方を簡単には信用できないの。
 もし貴方が私の目の届かないところで、他の人を襲うようなことが
 あったら、私は後悔してもしきれないわ」

レアのその言葉にリザードマンは表面上は悲しそうな目を向けつつも、
内心では舌打ちをしていた。

そして、リザードマンは誓った。
必ず隙を見てこの女を酷い目に遭わせてやる、と。


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