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本投下用スレ

29夕夜の靄:2011/03/04(金) 07:33:42 ID:LJOMlZi60

「あ、あああああああああああああぁっ!」
「……なに?」

魔導アーマーの腕を、凍らせて砕いた。
持ち上げられていた体が落ちる。一気に霊力を消費して、脱力感を感じる。
叩きつけられた顔が、地面を舐める。土の味がした。

「うぐっ、げほっ、はぁっ、はぁっ……!」
「……まだわからないのかい?」
「みとめる、よ……あたいがバカで、余計に、グラハム達を死なせたのは」
「そうだ、死んだ。苦しみや悲しみを遺してね」
『チルノ……?』

マッハキャリバーの声が聞こえる。
地面に手を付いて、笑う膝を押さえ込みながら体を起こす。
開いた目からは、相手の顔も、ざわめく草木も、はっきりと見える。

「けど、覚えてる……
 文があたいを認めてくれたこと。
 わかってる、きっと文は、あたいを悲しませるために死んだんじゃない、はず」
「そうであっても、その死によって君は痛みを、苦しみを、悲しみを味わった。
 君はその死に縛られた。結果は同じだろう?」

今度は、首に魔導アーマーの左腕が伸びてきた。
バリアジャケットが弱まっているのか、容易く締め上げられる。
それでも、目は閉じない。

「同じ、じゃない……
 だって、あたいが貰ったのは、そんな感情だけじゃないって、覚えてる。
 文があたいに与えたかったものが、それなら……
 痛いのも、苦しいのも、悲しいのも、我慢して、みせる。
 それは結局自分のためでしかないのかもしれないけど、それでも……」
「ふぅ……しょうがないな。
 まぁ、これでも十分か」

次に伸びてきたのは、魔導アーマーじゃない。
降りてきたユベル自身の右手が、あたいの顔に張り付く。
同時に何かが頭に侵食してくるような感触。
必死に、体を動かす。

「まだ……殺され、なんか……」
「殺しはしない……君は大事な器だ。
 しばらく眠るがいい。育ちきっていないけれど、その闇は僕が貰う。
 他のすべては、忘れるといい」
「ぉ……ぼぇ……て……」

五感が消えていく。
体から、感覚が消えていく。
それでも、最後の最後に、ありったけの――




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