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本投下用スレ

27夕夜の靄:2011/03/04(金) 07:31:14 ID:LJOMlZi60

「君は本当の意味で誰かを愛しているわけじゃあない。もう一度言うよ。
 所詮、自分が生きる意味として文の言葉を守っているだけだ。
 文を助けたいなら生き返らせる手段を模索すればいい。
 他の友達のために生きるなら、自分が無事に帰ることを最優先にすればいい。
 君は、自分が帰れないことで君の友達がどんな苦しみを味わうか考えていない」
「そんな、ことして、帰っても……誰も、喜び、なんか」
「本当にそうかなぁ? 帰れないより、よほど喜ぶんじゃないかなぁ?
 痛み、苦しみ、悲しみ、そう言ったものを思う存分共有すればいいじゃないか。
 ただ自分の満足のために、君は君の友達を見捨てているんだ」
「ちがう……ちがうっ!」

気づけば飛んでいた。
グレートクラッシャー。
氷の槌を全力で編みあげて、ユベル目がけて振り下ろす。
気づけば視界は逆転して、あたいの体は吹き飛んでいた。
地面に四つん這いになって、濁っていく視界で、今までのことが流れ出す。
自分は生きていていいのかわからなかった。
ただ、生きなきゃと思った。
だって、そうしないと嘘になる。文の命が。
どんなことをしても生きて、文と最後に話したことを、しないといけないと思った。
忘れることなんてできなかった。
よく考えても分からない、で済ませてはいけないと思った。
だから、これ以上救えなかったものが出ては耐え切れないと、逃避するように。
正義の味方に対する想いは、いつの間にか憧憬だけなく、義務を兼ねていた。

……それは。
文のためじゃなく。
自分の、ため?

背負いきれない、残してきた友達の存在を忘れて、
そっちだけを、見ていた、だけ……?

『聞いてはいけません! ここは一旦引いて……』
「君は誰を守れた?
 文って天狗も死んで、グラハムも死んで、リンも死んだ。
 何人も何十人も死んだ。
 誰を守ろうとしている?
 故郷の仲間を見捨ててまで、何を?」

足元から、何か聞こえる。
それはあたいの味方で、あたいのことを思ってくれていて、
そっちに従うべきだってわかってるのに、頭に悪魔の声が押し入ってくる。


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