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放送案投下スレ

40 ◆ARe2lZhvho:2015/08/10(月) 09:50:00
「別に違いなんてありませんけどねえ。江迎怒江本人が死亡している以上、『正喰者』でも消すのが精一杯でした。
 ですので終わってしまった結果の方、要するに腐敗した地面や空気はどうしようもありません。
 大元を消したので感染拡大するということはないと思いますがね。腐らせるスキルを浄化させるスキルにできれば言うこと無しだったんですけれど。
 で、あたしがこうして五体満足なことからおわかりでしょうけれど、『制限』そのものは有効でした、ってところですかね」

不知火半袖からの報告を聞いて「ふむ」と軽くうつむくと、

「それならばなんとかなりそうです。では私は都城さんがおっしゃっていた『あの人外』さんがいた場合の『策』を練っておきましょうか」

そう言って子荻も部屋を後にした。
残った二人はしばらく無言でお茶を飲んだり茶菓子を貪っていたが、ふと不知火袴が口を開いた。

「……袖ちゃんは本当に安心院さんがいると思うんですか?」
「あたしよりもおじいちゃんの方が詳しいでしょ」
「付き合いこそ確かに袖ちゃんよりは長いですが、深さにおいて勝るとまでは自負していませんよ」
「そんなの、あたしも似たようなものだって。それに、球磨川先輩の方が圧倒的なのは変わらないだろうし。まあいるかいないかで考えるならいるだろうね、多分」
「袖ちゃんもそう思いますか」
「案外あたしがもう見つけてるかもしれないけどね。でもいたとしてもそこまで介入はしてないんじゃない?」
「安心院さんがその気になれば、一瞬で片が付きますからな……それは望まないところです」
「実験を壊すなら参加者が、そう言ってたもんね」
「むしろそうでなければ困ります。この実験の成功は我々の悲願でもありますからな」
「あたしたち不知火一族の、ひいては世界のためにも、でしょ?」
「ええ、ですから成功した暁にはたった一つの願いなどいくらでも叶えて差し上げましょう。それくらいはお安いものです」

ことり、と空になった湯呑みを置いて不知火袴は笑みを浮かべた。
それは邪悪とも軽薄とも愉悦ともつかない笑いだった。

「そうそう、おじいちゃん。ここまで言うタイミングがなかったんだけど」

そこに水を差すように不知火半袖から声がかかる。

「何ですかな?」
「腐敗を止めるついでに回収してきたのがあるんだけど、一つはまだ中身入りだったんだよね。特に感染血統奇野師団の病毒なんかは使い道まだありそうだし」

右腕を持ち上げてデイパックを見せるように揺らして言う。

「これ、どうしよっか?」


 ▼


同時刻。
とある簡素な一室。
部屋のあるじとなった安心院なじみの元に来客が訪れる。
正体を認めると少しだけ意外そうに眉根を寄せた。
だが、それも一瞬のことで直後にはいつものように柔和な笑みに戻る。

「へえ、このタイミングで来るのか。噓八百のスタイルでも習得したのかい?」
「あひゃひゃ、冗談は結構ですって。……それにしても、スタイルのこともしっかりご存知のようで」
「その言い方だと、こっちの僕はスタイルのことをそこまで知らずに死んだみたいだねえ」
「間違いではありませんよ」
「どこまで知っていたかは、不知火ちゃんでもわからないか」
「さすがにそんなとこまで把握できませんって。それにしても、宗像形も、黒神めだかも死んだというのにその反応ですか」
「おかしなことを言うじゃないか。それこそそのままそっくり君に返してあげたいねえ」
「まあ今更ですね。だったら最初からどうにかしておけって話ですし」

探りを入れるような会話の応酬の末、来訪者の不知火半袖は先程と同じように対面のソファーに腰掛ける。

「で、何の用なんだい? まさかこの時間に来て話すだけだったとしても、付き合うのは吝かじゃないけど」


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